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特表2022-551557N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体、およびがんの治療におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体、およびがんの治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/72 20060101AFI20221205BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20221205BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20221205BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20221205BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20221205BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20221205BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 31/5355 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 31/45 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
C07D213/72 CSP
C07D405/04
C07D413/04
C07D471/04 114Z
C07D401/12
C07D401/14
C07D417/14
A61K31/44
A61K31/5355
A61K31/4545
A61K31/496
A61K31/45
A61K31/4375
A61P35/00
A61K31/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513578
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020048477
(87)【国際公開番号】W WO2021041861
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/894,189
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520070172
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ オブ シンガポール
(71)【出願人】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】522075058
【氏名又は名称】インディアン インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100227008
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(72)【発明者】
【氏名】ラドハクリシュナン,スリンダー
(72)【発明者】
【氏名】テネン,ダニエル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ビー フイ
(72)【発明者】
【氏名】ブー リー,キム アン
(72)【発明者】
【氏名】ゴー,メイ リン
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,リー
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,チョン
(72)【発明者】
【氏名】カマル,アーメド
(72)【発明者】
【氏名】サンカリ,サティシュ
(72)【発明者】
【氏名】アイナムプディ,ベンカタ スバラオ
(72)【発明者】
【氏名】サイード,リヤズ
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C065
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055BA02
4C055BA52
4C055BA53
4C055BB03
4C055BB04
4C055BB08
4C055CA02
4C055CA58
4C055CB11
4C055DA01
4C063AA01
4C063BB01
4C063BB02
4C063CC12
4C063CC54
4C063CC62
4C063CC71
4C063DD03
4C063DD07
4C063DD12
4C063EE01
4C065AA04
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK01
4C065KK09
4C065LL04
4C065PP01
4C065PP03
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC17
4C086BC21
4C086BC22
4C086BC50
4C086BC73
4C086BC82
4C086CB09
4C086GA02
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206AA04
4C206GA30
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB26
(57)【要約】
本明細書に提供されるものは、N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体、例えば、式(I)のもの、その合成方法、および、細胞または治療を必要とする対象におけるがん、例えば、SALL4発現がんの治療におけるその使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
[式中、
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、-OCH、-CF、またはFであり;
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
10、R11、およびR12のそれぞれは、Hであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R12はHであるか;またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R10はHであり;
13は、H、-C≡C-CH、-C≡C-C、または-C≡Nであり;
Xは、NまたはCHである]。
【請求項2】
が-OCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、-OCHまたは-CFある、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が-OCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、H、Cl、-OCH、または-CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、HまたはClである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
10、R11、およびR12が、それぞれHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
13がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
XがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、
【化2】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が、
【化3】
である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物と、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む、組成物。
【請求項17】
細胞において、または治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、請求項1に記載の化合物を、前記細胞または対象に投与することを含む方法。
【請求項18】
細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項19】
細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項20】
前記がんがSALL4発現がんである、請求項17に記載の方法または使用。
【請求項21】
前記がんが、高レベルのSALL4発現を有するSALL4発現がんである、請求項20に記載の方法または使用。
【請求項22】
前記がんが、肺がん、肝がん、または乳がんである、請求項17に記載の方法または使用。
【請求項23】
前記がんが、NSCLCがん、子宮頸がん、または生殖細胞がんである、請求項22に記載の方法または使用。
【請求項24】
N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を調製する方法であって、
式1の化合物を式2の化合物と反応させて、式3の化合物を得ることと:
【化4】
前記式3の化合物を式4の化合物と反応させ、脱保護して、式5の化合物を得ることと:
【化5】
[ここで、PGは保護基を表し、脱保護は、PG保護基を除去して、式5の化合物を得ることを含む];
式5の化合物を式6の化合物と反応させて、式7のN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を得ることと:
【化6】
[式中、
、R、およびRは、H、-OCH、-CF、Cl、またはFからそれぞれ独立して選択され;
は、H、Cl、-OCH、-CH、またはFであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、またはFである]
を含む、方法。
【請求項25】
以下:
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【化7-4】
【化7-5】
【化7-6】
【化7-7】
【化7-8】
のうちの1つである、化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、一般に抗がん剤に関する。より詳細には、以下はN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体、およびがんの治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
胚性因子SALL4は、胎児および幹細胞に主に発現し、多くのがんに異常に発現することが見出されている。SALL4-NuRD複合体の阻害は、がん、とりわけ肺および肝がんの治療のための新薬開発用標的(druggable target)を提供しうる。
【0003】
およそ10個のSALL4-またはFOG1-由来ペプチドは、マイクロモル以下の濃度でSALL4-NuRD相互作用を阻害することが示されている。in vivo有効性がこれらのペプチドに示されているが、不十分な薬物様特性、とりわけ透過性および代謝安定性(すなわち、細胞浸透性およびバイオアベイラビリティ)という欠点を持つ。
【0004】
SALL4-RBBP4に対する改善された小分子阻害剤を確認するため、14000個の小分子を、AlphaScreen、細胞生存率WST(水溶性テトラゾリウム塩)、サーマルシフト(thermal shift)および蛍光偏光(fluorescent polarisation)アッセイによりスクリーニングした。がん標的としてスクリーニングされた癌胎児性タンパク質SALL4を用いて、Chaiらは、SALL4発現がん、特にNSCLCの治療に潜在性のある薬物としてHDAC阻害剤エンチノスタットの適用を報告し[1~5]、これは17個の肺がん細胞系において確証された。エンチノスタットは活発な研究下にあり、ある特定のがんに対して有望であることを示すこともあるが、がんの問題は依然として主要な健康上の懸念のままであり、この分野において追加の抗がん薬が極めて望ましい。
【0005】
代替的な、追加の、および/もしくは改善された抗がん剤、その生成方法、ならびに/またはその使用が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に提供されるものは、抗がん活性を有するN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体である。広範な構造活性研究が本明細書に記載されているように実施され、強力な化合物およびファーマコフォア(pharmacophore)が確認された。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体の例は、強力な抗がんおよび/または増殖阻害活性を提供することができ、低いSALL4レベルを有する細胞と比較して、上昇したまたは高いレベルのSALL4発現を有する細胞(例えば、肺がん細胞または肝がん細胞)に選択的でありうる。
【0007】
ある実施形態において、本明細書に提供されるものは、式I:
【0008】
【化1】
【0009】
[式中、
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、-OCH、-CF、またはFであり;
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
10、R11、およびR12のそれぞれは、Hであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R12はHであるか;またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R10はHであり;
13は、H、-C≡C-CH、-C≡C-C、または-C≡Nであり;
Xは、NまたはCHである]
の化合物である。
【0010】
上記の化合物の別の実施形態において、Rは-OCHでありうる。
【0011】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、Rは、-OCHまたは-CFでありうる。
【0012】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、Rは-OCHでありうる。
【0013】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、Rは、H、Cl、-OCHまたは-CHでありうる。
【0014】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、Rは、HまたはClでありうる。
【0015】
上記の化合物のいずれかの別の実施形態において、RはHでありうる。
【0016】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、RはHでありうる。
【0017】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、RはHでありうる。
【0018】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、RはHでありうる。
【0019】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、R10、R11、およびR12は、それぞれHでありうる。
【0020】
上記の化合物のいずれかの別の実施形態において、R13はHでありうる。
【0021】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、XはNでありうる。
【0022】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、化合物は下記でありうる:
【0023】
【化2】
【0024】
上記の化合物のいずれかのなお別の実施形態において、化合物は下記でありうる:
【0025】
【化3】
【0026】
別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、本明細書に記載されている1つ以上の化合物のいずれかと、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤とを含む組成物である。
【0027】
別の実施形態において、本明細書に記載されている化合物または組成物のいずれかは、細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するためのものでありうる。
【0028】
別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療ための、本明細書に記載されている化合物または組成物のいずれかの使用である。
【0029】
なお別の実施形態において、本明細に提供されるものは、細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬の製造における、本明細書に記載されている化合物または組成物のいずれかの使用である。
【0030】
使用のための上記化合物/組成物のいずれかの別の実施形態において、がんは、SALL4発現がんでありうる。別の実施形態において、がんは、高レベルのSALL4発現を有するSALL4発現がんでありうる。なお別の実施形態において、がんは、肺がん、肝がん、または乳がんでありうる。なお別の実施形態において、がんは、NSCLCがん、子宮頸がん、または生殖細胞がんでありうる。
【0031】
なお別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、細胞において、または治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
本明細書に記載されている化合物または本明細書に記載されている組成物のいずれかを、細胞または対象に投与することを含む、
方法である。
【0032】
上記方法の別の実施形態において、がんは、SALL4発現がんでありうる。なお別の実施形態において、がんは、高レベルのSALL4発現を有するSALL4発現がんでありうる。なお別の実施形態において、がんは、肺がん、肝がん、または乳がんでありうる。なお別の実施形態において、がんは、NSCLCがん、子宮頸がん、または生殖細胞がんでありうる。
【0033】
別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を調製する方法であって、
式1の化合物を式2の化合物と反応させて、式3の化合物を得ることと:
【0034】
【化4】
【0035】
式3の化合物を式4の化合物と反応させ、脱保護して、式5の化合物を得ることと:
【0036】
【化5】
【0037】
[ここで、PGは、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の任意の適切な保護基(例えば、アルキルエステル、例えばメチルエステル、エチルエステルまたはt-ブチルエステルであるが、これらに限定されない)を表し、脱保護は、PG保護基を除去して、式5の化合物を得ることを含む(脱保護条件は、使用される保護基に基づいて選択され、例には式5を生じるための、例えば酸性または塩基性加水分解が含まれうる)];
式5の化合物を式6の化合物と反応させて、式7のN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を得ることと:
【0038】
【化6】
【0039】
[式中、
、R、およびRは、H、-OCH、-CF、Cl、またはFからそれぞれ独立して選択され;
は、H、Cl、-OCH、-CF、またはFであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、またはFである]
を含む、方法である。
【0040】
上記方法の代替的実施形態において、式5の化合物は、式3bの化合物を式2の化合物と反応させること:
【0041】
【化7】
【0042】
によって、代わりに調製されてもよい。
【0043】
上記方法の別の実施形態では、式1の化合物を、NaOBu-t、Pd(OAc)、PPh、およびキシレン中の式2の化合物と反応させてもよい。
【0044】
上記方法のいずれかのなお別の実施形態では、式3の化合物を、Pd(dba)、DMF、およびDIPEA中の式4の化合物と反応させてもよい。
【0045】
上記方法のいずれかのなお別の実施形態では、式5の化合物を得るための脱保護を、DCM中のTFAにより実施してもよい。
【0046】
上記方法のいずれかのなお別の実施形態では、式5の化合物を、BOP、EtN、およびMeCN中の式6の化合物と反応させてもよい。
【0047】
別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、本明細書に記載されている方法のいずれかにより生成される式7の化合物である。別の実施態様において、式7の化合物は下記でありうる:
【0048】
【化8】
【0049】
なお別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、以下のうちのいずれかでありうる化合物である:
【0050】
【化9-1】
【0051】
【化9-2】
【0052】
【化9-3】
【0053】
【化9-4】
【0054】
【化9-5】
【0055】
【化9-6】
【0056】
【化9-7】
【0057】
【化9-8】
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】実施例1および/または2の試験化合物のライブラリーの一部を形成する化合物の一般的構造、ならびに構造活性相関(SAR)の結果を示す。
図2】SALL4の高/低細胞生存率表現型スクリーニングの結果を示す。特に、図2は、SALL4低細胞およびSALL4高細胞のライブラリーの4個の化合物(すなわち、Cmpd2、Cmpd6、Cmpd7、およびCmpd61)の細胞ベーススクリーニングの結果を示す。示されているように、Cmpd2、Cmpd6、およびCmpd7のそれぞれは、優れたEC50およびSALL4低細胞とSALL4高細胞との間の選択性を有した。一方、Cmpd61(アクリル酸リンカーが欠けている)は、低い選択性および効力を有した。
図3】N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体の治療によるSALL4タンパク質の下方制御を示すウエスタンブロットを示す。特に、図3は、SALL4関連効果のためにCmpd2、Cmpd6、Cmpd7、およびCmpd61による試験の結果、また、エンチノスタットおよびJQ1との比較も示す。
図4】N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体へのSALL4高腫瘍応答を示すin vivoトランスジェニックマウス実験の結果を示す。特に、図4は、Cmpd6化合物のin vivo異種移植試験の結果を示す。化合物6で治療されたマウスは、サイズおよび重量の両方が有意に(P<0.05)小さい異種移植片を有した。
図5】腫瘍細胞におけるSALL4阻害およびPTENの修復の提案された機構のダイアグラムを示す。
図6】化合物6(Cmpd6)および他の誘導体を、A549がSALL4低であり、H661がSALL4高である2個の肺がん細胞系において試験した結果を示す。細胞を化合物6により1μMおよび2.5μMで試験した。他のCmpdの量を示す。細胞を48時間で採取し、細胞溶解産物を、ウエスタンブロット分析に掛け、SALL4タンパク質およびRNAレベルのそれぞれについてはQ-PCR分析に掛けた。上側パネルでは、ウエスタンブロット分析において、化合物6がSALL4タンパク質レベルを2.5μMで低減できたことが見出された。下側パネルでは、Q-PCRを使用して、SALL4 RNAレベルが化合物6によりH661細胞において低減されたことを示した。
図7】化合物6(Cmpd6)がSALL4に結合することを示す結果を示す。上側パネルでは、サーマルシフトアッセイと命名される蛍光ベース結合アッセイを使用して、アンフォールディング移行の変化に基づいてSALL4 1-300タンパク質への化合物6の結合を評価した。結果は、100mMの化合物6を伴うSALL4 1-300タンパク質のインキュベーションが、4.7℃での融解シフトを生じることを示し、化合物6がSALL4に結合することを示している。下側パネルでは、SALL4への化合物6の結合を、15N SALL4 1-300および化合物6を使用して1H NMR実験および飽和移動差(Saturation Transfer Difference)(STD)により評価した。試料を、CPPTCI{19F}クリオプローブおよびSampleJetオートサンプラーを備えたBruker BioSpin AVANCE II 600MHz分光計を使用してスクリーニングした。SALL4 1-300への化合物6の弱い結合事象を、SALL4 1-300タンパク質の存在下で観察された横緩和速度(transverse relaxation rate)(R2)の増加に基づいて確認した。
図8】化合物6(Cmpd6)の薬物動態研究の結果を示す。化合物6(Cmpd6)のバイオアベイラビリティを理解するため、化合物6を経口(15mgf/kg)または静脈内注射(5mg/kg)でスイスアルビノマウス(Swiss albino mice)に与えた。化合物6を、静注用量のために3%のDMNSOおよび10%のヒドロキシプロピル-b-シクロデキストリン(Encapsin(商標))を含有する水に溶解し、経口用量のために5%のDMSOおよび9.5%のEncapsinを含有する水に溶解した。血液試料を、0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および24時間で収集した。全血濃度をLC-MS/MSにより測定した。経口経路では、化合物6の90%が2時間でクリアされた。静脈内経路では、化合物6の90%が4時間でクリアされた。
図9】化合物6(Cmpd6)を、肝臓ミクロソームを使用した代謝安定性について試験した結果を示す。1μMの化合物6を3.33mg/mlの肝臓ミクロソームおよび2.5mMのNADPHと共に、0、5、10、30、および60分間インキュベートした。混合物をLC-MS/MSに掛けて、インキュベーションの後の残存化合物を測定した。結果は、化合物6が45.88%QHで中程度の透過性状態を有することを示す。
図10】PAMPA透過性アッセイを、化合物6およびいくつかの比較対象(comparator)(化合物7(Cmpd7)、アンチピリン、カルバマゼピン)に実施した結果を示す。pION緩衝剤で調製した50μMの化合物6をUVプレートの底部に添加した。GIT-0溶液を添加し、溶液を4時間インキュベートした。プレートのスペクトルを、PAMPA pIONソフトウエアを使用する200nm~500nmのスキャンモードの分光測光計を使用して読み取った。結果は、化合物6が、PAMPAアッセイにおいて高い透過性を有することを示している。
図11】実施例1に記載されているライブラリーのスクリーニングによる、主要な構造活性化知見を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本明細書に記載されているものは、N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体、その合成方法、およびがんの治療におけるその使用である。実施形態および例は、当業者のために意図されている説明目的のために提供され、いかようにも制限的であることを意図してないことが理解される。
【0060】
胚性因子SALL4は、胎児および幹細胞に主に発現し、多くのがんに異常に発現することが見出されている。理論に束縛されるものではないが、SALL4は後成複合体のNuRDに結合することもあり、例えば、腫瘍抑制遺伝子のPTENのプロモーターを協同的に抑制しうると考慮される。SALL4またはSALL4-NuRD複合体の阻害は、腫瘍抑制経路を活性しうる、および/または、がん、とりわけ肺および肝がんの治療のための新薬開発用標的を提供しうる。SALL4の阻害剤、および/またはSALL4発現がん細胞において活性な抗がん剤が、極めて望ましい。
【0061】
SALL4-RBBP4結合を阻害する小分子を確認するため、本発明者たちは、本明細書下記に詳細に記載されているデュアルモチーフ(dual-motif)誘導体を開発および調査しようと探求した。本明細書に詳述されている結果は、SALL4低細胞と比較して、SALL4高がん細胞系において選択的に強力でありうる化合物が現在確認されていること、ならびにこの選択性が、SALL4-RBBP4相互作用が原因で特異的および選択的でありうることを示した。試験された誘導体は、SALL4高肝および肺がん細胞に、5~500nMの増殖阻害性IC50値を示し、SALL4低肝およびがん細胞に対して50~400倍の選択性であった。同様のプロファイルが、乳がん細胞(MBA-MD-231)に対するこれらの誘導体で観察された。これらの研究は、本明細書下記にさらに詳細に記載されている。
【0062】
本発明者たちは、SALL4を阻害する、および/または腫瘍抑制経路を活性化する小分子化合物を開発しようと探求し、チューブリン阻害用にアニリノ(例えば、トリメトキシアニリノ)ファーマコフォアのある特定の特色、およびベンズアミドタイプ(すなわち、N-(2-アミノフェニル)アミド)亜鉛結合剤/HDAC阻害剤のある特定の特色を組み込んだモチーフを設計した。アニリノファーマコフォアは、既知のチューブリン重合阻害剤である化合物E7010の構造にいくらか関連しており[6~9]、そのモチーフは、ある特定のベンズアミドタイプ(すなわち、N-(2-アミノフェニル)アミド)HDAC阻害剤(例えば、チダミド(Chidamide)および/またはエンチノスタット)の構造にいくらか関連している、ある特定の特色を有する部分をさらに含んでもよい。
【0063】
【化10】
【0064】
初期に設計されたシリーズの化合物は以下の通りであった:
【0065】
【化11】
【0066】
式中、
、R、およびRは、H、F、Cl、CF、または-OCHからそれぞれ独立して選択され;
およびRは、H、F、Cl、または-OCHからそれぞれ独立して選択される。
【0067】
このコレクションからの化合物は、下記の実施例1および2で試験された化合物ライブラリーの一部を形成する。また、ライブラリーの一部として、単純化誘導体も比較対象として調製され、以下の式を有する。
【0068】
【化12】
【0069】
E7010の塩基性ピリジルアミノ部分はRBBP4結合にとって重要でありうること、一方、亜鉛結合部分に関与する、ある特定のベンズアミドタイプ(すなわち、N-(2-アミノフェニル)アミド)HDAC阻害剤の構造に類似性を有する断片は、SALL4の阻害に関与しうることが考慮された。さらに、他のベンズアミドタイプ(すなわち、N-(2-アミノフェニル)アミド)HDAC阻害剤と異なり、本発明により開発された化合物は、ベンジル置換フェニルまたはピリジル部分ではなく「2-アニリノピリジル」官能基を有することができ、アニリノピリジルのない他のベンズアミドタイプ(すなわち、N-(2-アミノフェニル)アミド)HDAC阻害剤とさらに識別されうる。
【0070】
【化13】
【0071】
そのような化合物の試験および開発において、そのような化合物は、本明細書に記載されているように肺、肝および乳がんにおいて常にSALL4高細胞のSALL4阻害を示したことが発見された(下記の実施例を参照されたい)。本明細書に記載されている化合物のある特定の実施形態において、HDAC阻害/亜鉛結合は、SALL4への選択性によって意図的に妨げられた。
【0072】
生成された化合物ライブラリーからの化合物の試験の結果が、下記の実施例に詳細に記載されている。全体的には、抗がん活性を有するN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体が本明細書において確認される。広範な構造活性研究が本明細書に記載されているように実施され、強力な化合物およびファーマコフォアが確認された。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体の例は、強力な抗がんおよび/または増殖阻害活性を提供することができ、低いSALL4レベルを有する細胞と比較して、上昇したまたは高いレベルのSALL4発現を有する細胞(例えば、肺がん細胞または肝がん細胞)に選択的でありうる。
【0073】
したがって、ある特定の実施形態において、本明細書に提供されるものは、式I:
【0074】
【化14】
【0075】
[式中、
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、-OCH、-CF、またはFであり;
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
10、R11、およびR12のそれぞれは、Hであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R12はHであるか;またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R10はHであり;
13は、H、-C≡C-CH、-C≡C-C、または-C≡Nであり;
Xは、NまたはCHである]
の化合物である。
【0076】
本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、Rは-OCHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、Rは、-OCHまたは-CFである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、Rは-OCHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、Rは、H、Cl、-OCH、または-CHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、Rは、HまたはClである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、RはHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、RはHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、RはHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、RはHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、R10、R11、およびR12は、それぞれHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、R13はHである。本明細書に記載されている化合物のいずれかのある特定の実施形態において、XはNである。
【0077】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供されるものは、下記の化合物である:
【0078】
【化15】
【0079】
好ましい実施形態において、本明細書に提供されるものは、下記の化合物である:
【0080】
【化16】
【0081】
別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、本明細書に記載されている1つ以上の化合物のいずれかと、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤とを含む組成物である。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤には、当業者に既知の任意の適切な担体、希釈剤、または賦形剤が含まれうる。薬学的に許容される賦形剤の例には、セルロース誘導体、スクロース、およびデンプンが含まれうるが、これらに限定されない。当業者は、薬学的に許容される賦形剤には、当該技術に既知の適切な充填剤、結合剤、滑沢剤、緩衝剤、流動促進剤、および崩壊剤が含まれうることを認識する(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2006)を参照されたい)。薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤の例は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (2000 - 20th edition)およびUnited States Pharmacopeia: The National Formulary (USP 24 NF19) published in 1999において見出すことができる。
【0082】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供されるものは、プロドラッグ、塩、溶媒和物、結晶形態、抱合体、放射標識もしくは同位体標識形態、または本明細書に記載されている化合物もしくは組成物のいずれかの他のそのような誘導体である。本明細書の教示を考慮している当業者は、例えば、本明細書に記載されている化合物の1種以上のプロトン化形態、脱保護化形態、または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)を得ることができること、およびそのような形態も、すべて本明細書において考慮されることを理解する。
【0083】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の化合物は、経口剤形として処方されうる。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の化合物は、治療を必要とする対象に経口投与するためのものでありうる。
【0084】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている化合物または組成物は、細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するためのものでありうる。別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療ための、本明細書に記載されている化合物または組成物の使用である。なお別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用する医薬の製造における、本明細書に記載されている化合物または組成物の使用である。ある特定の実施形態において、治療は、例えば、in vitro治療、ex vivo治療、またはin vivo治療でありうる。
【0085】
ある特定の実施形態において、がんは、SALL4発現がんでありうる。ある特定のさらなる実施形態において、がんは、高レベルのSALL4発現を有するSALL4発現がんでありうる。ある特定の実施形態において、SALL4高は、例えば、ウエスタンブロットおよび/またはRNA発現を使用する、例えばリアルタイムPCRによる、タンパク質発現によって測定されうる。参照として、ある特定の実施形態において、SALL4「高」細胞の例には、例えば、SNU398細胞系が含まれてもよいが、それに対してSALL4「低」細胞には、例えば、SNU387細胞系が含まれてもよい。ある特定の実施形態において、がんは、肺がん、肝がん、または乳がんでありうる。例として、ある特定の実施形態において、がんは、NSCLCがん、子宮頸がん、または生殖細胞がんでありうる。ある特定の実施形態において、高レベルのSALL4発現を有するがんまたはがん細胞は、SALL4発現のレベルが健康な対照と比べて、または例えば健康もしくは対照の比較対象細胞と比べて増加しているがんまたはがん細胞を含んでもよい。
【0086】
なお別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、細胞において、または治療を必要とする対象においてがんを治療するin vitro、ex vivo、またはin vivo方法であって、
本明細書に記載されている化合物または組成物を、細胞または対象に投与することを含む、
方法である。
【0087】
ある特定の実施形態において、がんは、SALL4発現がんでありうる。ある特定の実施形態において、がんは、高レベルのSALL4発現を有するSALL4発現がんでありうる。ある特定の実施形態において、がんは、肺がん、肝がん、または乳がんでありうる。例として、ある特定の実施形態において、がんは、NSCLCがん、子宮頸がん、または生殖細胞がんでありうる。
【0088】
なお別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を調製する方法であって、
式1の化合物を式2の化合物と反応させて、式3の化合物を得ることと:
【0089】
【化17】
【0090】
式3の化合物を式4の化合物と反応させ、脱保護して、式5の化合物を得ることと:
【0091】
【化18】
【0092】
[ここで、PGは、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の任意の適切な保護基(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, Fourth Edition, 2006, John Wiley & Sonsを参照されたい)(例えば、アルキルエステル、例えばメチルエステル、エチルエステルまたはt-ブチルエステルであるが、これらに限定されない)を表し、脱保護は、PG保護基を除去して、式5の化合物を形成することを含む(脱保護条件が、使用される保護基に基づいて選択され、例には式5を生じるための、例えば酸性または塩基性加水分解が含まれてもよく、脱保護条件の例が、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, Fourth Edition, 2006, John Wiley & Sonsに見出されうる)];
式5の化合物を式6の化合物と反応させて、式7のN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を得ることと:
【0093】
【化19】
【0094】
[式中、
、R、およびRは、H、-OCH、-CF、Cl、またはFからそれぞれ独立して選択され;
は、H、Cl、-OCH、-CH、またはFであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、またはFである]
を含む、方法である。
【0095】
上記方法の代替的実施形態において、式5の化合物は、式3bの化合物を式2の化合物と反応させること:
【0096】
【化20】
【0097】
によって代わりに調製されてもよい。
【0098】
上記方法のいずれかの別の実施形態では、式1の化合物を、NaOBu-t、Pd(OAc)、PPh、およびキシレン中の式2の化合物と反応させてもよい。
【0099】
上記方法のいずれかのなお別の実施形態では、式3の化合物を、Pd(dba)、DMF、およびDIPEA中の式4の化合物と反応させてもよい。
【0100】
上記方法のいずれかのなお別の実施形態では、式5の化合物を得るための脱保護を、DCM中のTFAにより実施してもよい。
【0101】
上記方法のいずれかの別の実施形態では、式5の化合物を、BOP、EtN、およびMeCN中の式6の化合物と反応させてもよい。
【0102】
別の実施形態において、本明細書に提供されるものは、上記の方法のいずれかにより生成される化合物である。ある特定の実施態様において、式7の化合物は下記でありうる:
【0103】
【化21】
【0104】
[実施例1]
SARのための化合物ライブラリーのスクリーニングおよび試験
およそ80個の化合物を下記の合成スキーム1および2に表されているように合成し(本明細書において、化合物ライブラリーと称される)、乳がんSALL4高およびSALL4低の肝臓および肺細胞系に対して試験した。
【0105】
【化22】
【0106】
【化23】
【0107】
ライブラリーの化合物のうちのいくつかを図1にまとめる。
【0108】
例示的なスキームは以下の通りであった。
【0109】
3-ブロモ-N-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ピリジン-2-アミン(上記のスキーム1に「3」と表示されている式3の例)の合成:5mlのねじ蓋付きバイアルに、酢酸パラジウム(0.14mg、MW-225、0.62mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(キサントホス)(0.73g、MW-579、1.26mmol)、炭酸セシウム(8.25g,MW-326、25.2mmol)、2,3-ジブロモピリジン(3.0g、MW-237、12.6mmol)、および脱ガストルエン(30ml)を混合し、これに、トリメトキシアニリン(2.31g、MW-183、12.6mmol)を添加した。次いで、窒素ガスをバイアル中に封入し、バイアルを栓で密閉し、混合物を外部温度の115℃で1.5時間加熱しながら撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を室温に冷却し、トルエン(150ml)および水(150ml)を添加し、不溶性物質をセライトで濾取した。濾液をトルエン(300ml)で洗浄し、次いで、得られた有機層を飽和ブライン(250ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物に、ヘキサン/酢酸エチル(5/1)の混合物(500ml)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで不溶性物質を濾取した。濾液を減圧下で濃縮し、減圧下に50℃で乾燥して、標記化合物(3.4g、MW-339)を淡黄色の固体(収率80%)として生じた。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm): 8.17(dd, 1H, J= 8.0, 4.0 Hz, 1H), 7.75 (dd, 1H, J= 8.0, 4.0 Hz), 6.91 (brs, 1H), 6.91 (s, 2H), 6.65 (m, 1H), 3.89 (s, 6H), 3.83 (s, 3H). 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm): 153.35, 152.02, 146.49, 140.25, 135.72, 134.05, 115.51, 106.30, 98.34, 60.94, 56.13.
【0110】
(2E)-3-[2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリジン-3-イル]プロパ-2-エン酸t-ブチルエステル(式5の前駆体である式5aの例)の合成:100mLのフラスコに、無水DMF(20mL)中の式3(880mg、5mmol)、tert-ブチルアクリート(4mL、27.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(4mL、23mmol)、トリ-o-トリルホスフィン(0.95g、3mmol)、Pd(dba)(0.375g、0.4mmol)の混合物を120℃(油浴で予熱)で2時間、窒素下において撹拌した。DMFを除去した後、粗残留物を、カラムクロマトグラフィー(0~1%のDCM:MeOH)を使用して精製して、0.95gの生成物をもたらした。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm): 8.25 (dd, 1H, J= 8.0, 4.0 Hz), 7.70 (m, 2H), 6.82 (m, 3H), 6.43 (s, 1H), 6.37 (d, 1H, J= 12 Hz), 3.86 (s, 6H), 3.83 (s, 3H), 1.54 (s, 9H). 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm): 165.85, 153.36, 153.31, 149.34, 137.48, 136.19, 136.17, 133.98, 123.26, 116.85, 115.52, 98.54, 81.05, 60.91, 56.11, 28.16.
【0111】
(2E)-3-[2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリジン-3-イル]プロパ-2-エン酸(上記のスキーム1に「4」と表示されている式5の例)の合成:式5aのエステル(0.9g、mmol)をジクロロメタン中40%のTFA(50mL)に溶解し、溶液を室温で一晩撹拌した。溶媒を、アセトニトリル(3×30mL)を用いて真空下で除去し、高真空下で12時間保存した。式5の固体残留物(0.72g、93%)を、さらに精製することなくそのままアミンとのカップリングに使用した。1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm): 9.03(brs, 1H), 8.09 (m, 2H), 7.91 (d, 1H, J= 8.0 Hz), 6.88 (brs, 3H), 6.50 (m, 1H), 3.75 (s, 6H), 3.66 (s, 3H).
【0112】
化合物6の(2E)-N-(2-アミノ-4-クロロフェニル)-3-[2-(3,4,5-トリメトキシアニリノ)ピリジン-3-イル]プロパ-2-エナミド(上記にCmpd6と示されている)の合成:
100mLのRBフラスコ中の式5の酸(MW-330、1g、3.03mmol)に、DMF(15mL)、HATU(MW-380、1.4g、3.6mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(129.25、2.10ml、12.5mmol)を添加し、15分間撹拌した。次いで、対応するアミンのクロロフェニレンジアミン(MW-142、0.4g,2.83mmol)を反応混合物に添加し、溶液を22℃で21時間撹拌した。次いでHO(20mL)を添加し、得られた沈殿物を真空濾過により単離し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(97:3::CHCl/MeOH)により精製して、所望の生成物を淡黄色の固体としてもたらした。Mol Wt-454。1H-NMR (DMSO-D6, 400 MHz) δ (ppm): 9.41 (brs, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.19 (d, 1H, J = 4 Hz), 7.87 (m, 2H), 7.41 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.00 (s, 2H), 6.84 (m, 3 Hz), 6.61 (dd, 1H, J = 8, 2.4 Hz), 5.30 (brs, 2H), 3.74 (s, 6H), 3.62 (s, 3H).
【0113】
同じ順序の手順を化合物1~40の合成に採用した。化合物8、16、24、32、および40では、式5の合成の後に関与する代替的ステップがあり、TFA媒介脱保護であった。類似のカップリングおよびアミドカップリングを、スキーム2に示されている化合物41~80の合成に採用した。
化合物7:1H-NMR (DMSO-D6,400 MHz) δ (ppm): 9.44 (brs, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.20 (d, 1H, J = 4 Hz), 7.89 (m, 2H), 7.77 (s, 1H), 6.99 (s, 2H), 6.95 (s, 1 Hz), 6.91 (dd, 1H, J = 8 Hz), 6.84, (d, 1H, J = 16 Hz), 5.48 (brs, 2H), 3.74 (s, 6H), 3.62 (s, 3H). 13C-NMR (DMSO-D6, 400 MHz) δ (ppm): 163.82, 153.41, 152.43, 148.70, 141.49, 137.43, 135.35, 132.31, 126.82, 124.88, 123.62, 123.43, 117.21, 116.10, 115.78, 115.39, 114.06, 98.19, 60.09, 55.69.
化合物5:1H-NMR (DMSO-D6,400 MHz) δ (ppm): 9.35 (brs, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.19 (d, 1H, J = 4 Hz), 7.85 (m, 2H), 7.32 (dd, 1H, J = 8 Hz), 6.99 (s, 2H), 6.89 (m, 1 H), 6.81 (d, 1H, J = 12 Hz), 6.55 (dd, 1H, J = 8, 4 Hz), 6.36 (m, 1H), 5.28 (brs, 2H), 3.74 (s, 6H), 3.62 (s, 3H).
【0114】
ライブラリーからの1セットの化合物は、試験した細胞系に対してマイクロモル以下の範囲のIC50で活性であることがこの試験により確認され、これらの分子の明確な構造活性相関を示し、これは、スクリーニングされたがん細胞の大部分で一貫していた。ライブラリーからの2個の特に強力な化合物(Cmpd6およびCmpd7)は、高SALL4細胞においてのみマイクロモル以下の活性を示したが、それに対して低SALL4細胞の阻害は高マイクロモル濃度で観察された(図2を参照されたい)。すなわち、選択性は、低SALL4細胞と比較して高SALL4細胞において約100倍上昇した。
【0115】
このライブラリーのスクリーニングによる主要な構造活性相関の知見を、以下のようにまとめた(グラフ表示については図11を参照されたい):
・ある特定のベンズアミドタイプ(すなわち、N-(2-アミノフェニル)プロパ-2-エナミド)HDAC阻害剤に関連する結合モチーフは、分子の亜鉛結合領域Eでのヒドロキサム酸部分より活性であった。
・リンカー部分Cのアクリル酸部分は、短鎖の無リンカー誘導体より有効であった。
・ジアミン環Dの疎水性基の置換が好ましかった。4-クロロおよび3,4-ジクロロ置換は、このシリーズの効力を、他の置換基、例えば、フルオロ、メチル、またはメトキシより改善した。
・アニリンフェニル環Aでは立体嵩高の、例えば3,4,5-トリメトキシ基が、他の置換基、例えば、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、またはモノメトキシより好ましかった。アニリンフェニル環Aでの電気陰性フルオロまたはトリフルオロメトキシ置換基は、活性の低減をもたらしうる。
・2-アニリノピリジル環Bは、化学型の特色として残存した。伝統的なHDAC阻害剤は、大部分がパラ置換されており(para-substituted)、低減され立体障害を伴った亜鉛結合を可能にした。本発明の化合物では、HDAC阻害/亜鉛結合は、オルト位置での立体嵩高置換によって妨げられた。しかし、この立体要素は、本明細書に詳細に記載されているSALL4選択性を促進しうることが見出された。
【0116】
細胞ベース活性の他に、結果は、ライブラリーからの誘導体がH661のSALL4タンパク質発現を1μMの濃度で下方制御したことを示した。CBL-BのRNA発現およびPTENのRNA発現は、ライブラリーのある特定の誘導体により上方制御され、一方、c-MycのRNA発現は、一部の誘導体により下方制御された。このクラスの化合物の強力なメンバーは、臨床リード(clinical lead)のエンチノスタットより125×強力であり、SALL4高がん細胞への高い選択性を示した。これらは、非常に良好な透過性も有した。化合物および結果が下記にさらに詳細に記載されている(特に、表2を参照されたい)。
【0117】
[実施例2]
化合物ライブラリーのスクリーニングおよび試験
化合物ライブラリーのスクリーニングおよび試験を実施した。ライブラリーの様々な化合物を、下記に記載されているin vitroおよびin vivoアッセイにおいて試験して、これらの化合物の抗がん特性および様々な他の特性についてさらに調査した。
【0118】
物質および方法:
SALL4高/低表現型スクリーニング:
SNU-387空ベクター(empty vector)、Tg;SALL4AおよびTg:SALL4B発現同質遺伝子細胞系は、空ベクター、SALL4AまたはSALL4B FUW-Luc-mCh-puroレンチウイルス構築物をWT SNU-387細胞に形質導入することによって生成した。細胞を、384ウェル白色平底プレート(Corning)中の50μlのRPMI培養培地で平板培養し、5%CO2の湿度雰囲気下において37℃で一晩インキュベートした。ウェル1個当たりの細胞数は、SNU-398では1500個であり、SNU-387およびSNU387同質遺伝子系では750個であった。一晩インキュベートした後、様々な濃度の化合物1~80を、マルチチャンネル電動ピペット(Rainin)で細胞に添加した。次いで、10μlのCellTiter-Glo試薬をMultiFlo Microplate Dispenser(BioTek)によりウェルに添加する前に、細胞を5%CO2の湿度雰囲気下において37℃で72時間インキュベートした。細胞を室温で最低限でも10分間インキュベートし、その後、発光読み取り値をInfinite M1000 Microplate Reader(Tecan)で記録した。主要な結果を図2および表2に示す。
【0119】
SALL4タンパク質の下方制御/ウエスタンブロット:
SNU398細胞を化合物(Cmpd1~Cmpd80)と共に図に示された時間にわたってインキュベートした。次いで細胞を細胞スクレーパー(cell scraper)により採取し、PBSで洗浄した。収集したペレットを、プロテアーゼ阻害剤カクテルを補充したRIPA緩衝剤(50mMのTris、150mMのNaCl、1%のTritonX-100、0.5%のデオキシオコール酸ナトリウム、および0.1%のSDS)で溶解した。抽出されたタンパク質溶解産物を4×SDS試料緩衝剤(200mMのTris-HCl、pH6.8、8%のSDS、40%のグリセロール、4%のβ-メルカプトエタノール、50mMのEDTA、0.08%のブロモフェノールブルー)により99℃で5分間変性した。等量のタンパク質を8%のSDS-PAGEゲルの電気泳動に掛け、次いでPVDF膜に移した。Blocking One(Nacalai Tesque)で遮断した後、膜を、SALL4に対する一次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-101147)、およびβアクチンに対する一次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)によって、4℃で一晩プローブした。TBS-Tで洗浄した後、膜を、マウスに対する二次HRP抱合型抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-2005)と共に1時間インキュベートした。Luminata(商標)ウエスタンHRP基質(Millipore)を可視化のために膜に適用した。主要な結果を図3に示す。
【0120】
結果および考察:
これらの研究で試験されたライブラリーからの化合物のうちでは、以下の化合物が最も活性であることが確認された(これらの化合物は高い活性を有し、IC50が約0.15~1μMであった):
【0121】
【化24】
【0122】
以下の化合物は中程度の活性(すなわち、約10倍低い効力であり、IC50が約2μMn範囲である)ことが確認された:
【0123】
【化25】
【0124】
以下の化合物は低い活性を有する(すなわち、約100倍低い効力であり、IC50が約25μMn範囲である)ことが確認された:
【0125】
【化26】
【0126】
以下の化合物は不活性であることが確認された:
【0127】
【化27】
【0128】
この試験は、本明細書に記載されているSALL4高/低表現型スクリーニングに基づいていた。上記の化合物/基に示されたIC50値は、高SALL4 SNU398細胞におけるIC50に基づいている。
【0129】
図2は、SALL4低細胞およびSALL4高細胞のライブラリーの4個の化合物(すなわち、Cmpd2、Cmpd6、Cmpd7、およびCmpd61)の細胞ベーススクリーニングの結果を示す。示されているように、Cmpd2、Cmpd6、およびCmpd7のそれぞれは、優れたEC50、ならびにSALL4低細胞およびSALL4高細胞の間に選択性を有した。一方、Cmpd61(アクリル酸リンカーが欠けている)は、低い選択性および効力を有した。SALL4高/低表現型スクリーニングは、Cmpd2、Cmpd6、およびCmpd7が、陰性対照のCmpd61と比較して、SALL4高SNU398細胞に選択的に低いEC50値を有したことを明確に示している。
【0130】
下記の表1は、以下の構造に準拠したライブラリーの化合物Cmpd1~Cmpd80の構造を示す。
【0131】
【化28】
【0132】
【表1-1】
【0133】
【表1-2】
【0134】
【表1-3】
【0135】
【表1-4】
【0136】
ライブラリーの化合物を、Alphaアッセイ(RBBP4結合)、FPアッセイ(RBBP4結合)、細胞ベース1299(低SALL4)アッセイ、細胞ベース549(低SALL4)アッセイ、細胞ベース661(高SALL4)アッセイ、細胞ベースSNU-387(SALL4低)アッセイ、細胞ベースSNU-398(SALL4高)アッセイ、細胞ベースMDA-MB231アッセイ、Pan-HDAC結合アッセイ、チューブリン重合阻害アッセイ、SALL4タンパク質発現下方制御アッセイ、SALL4 RNA発現下方制御アッセイ、他のRNA発現変化アッセイ、透過性アッセイ(PAMPA)、ミクロソーム安定性アッセイ、およびin vivo PKアッセイが含まれる様々な試験に掛けた。
【0137】
ALPHAアッセイは、SALL4とRBBp4との結合を測定し、阻害剤は、この結合を遮断する可能性があり、ALPHAアッセイの低い読み取り値として反映された。FPアッセイもSALL4とRBBp4との結合を測定し、阻害剤は高い読み取り値を生じる。細胞ベースアッセイは、異なる濃度の化合物によって細胞生存率を測定している。細胞ベース1299は、H1299細胞を使用する細胞生存率アッセイを指し、細胞ベースSNU387は、SNU387細胞を使用する細胞生存率アッセイを指し、細胞ベースアッセイSNU-398は、SNU398細胞を使用する細胞生存率アッセイを指し、細胞ベースMDA-MB231は、MDA-MB231細胞を使用する細胞生存率アッセイを指す。
【0138】
Pan-HDHAC結合アッセイは、化合物のHDAC阻害活性を測定する。チューブリン重合阻害アッセイは、チューブリン重合に対する化合物の阻害活性を測定する。SALL4タンパク質発現下方制御アッセイは、ウエスタンブロット分析に変わり、SALL4 RNA発現下方制御アッセイは、リアルタイムPCRアッセイに変わった。透過性アッセイ(PAMPA)は、人工膜を通る化合物の透過性を測定する。ミクロソーム安定性アッセイは、肝臓ミクロソームにおける試験化合物の経時的な消失率を測定する。in vivo PKアッセイは、マウスにおける試験化合物の体内分布を測定する。
【0139】
下記の表2はアッセイの結果を示す。
【0140】
【表2-1】
【0141】
【表2-2】
【0142】
【表2-3】
【0143】
図3は、N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体の治療によるSALL4タンパク質下方制御を示すウエスタンブロットを示す。特に、図3は、SALL4関連効果のためにCmpd2、Cmpd6、Cmpd7、およびCmpd61による試験の結果、また、エンチノスタットおよびJQ1との比較も示す。
【0144】
これらの結果によって示されているように、ライブラリーからのある特定の化合物は比較的乏しいHDAC結合剤でありうるが、重要な阻害効果を依然として提供することができ、SALL4高細胞(肺がんと肝がんの両方)の表現型スクリーニングに選択性を示している。結果は、治療が(ウエスタンブロットにより測定して)SALL4タンパク質発現の下方制御を生じうることをさらに示している。細胞を化合物で24時間治療し、採取した。細胞溶解産物を調製し、ウエスタンブロッティングを実施した。DMSO治療細胞と比較したとき、化合物で治療した細胞は、ウエスタンブロットにおいて有意に低い量の検出可能なSALL4バンドを有する。
【0145】
SNU398細胞を化合物(Cmpd1~Cmpd80)と共に、図に示された時間にわたってインキュベートした。次いで細胞を細胞スクレーパーにより採取し、PBSで洗浄した。収集したペレットを、プロテアーゼ阻害剤カクテルを補充したRIPA緩衝剤(50mMのTris、150mMのNaCl、1%のTritonX-100、0.5%のデオキシオコール酸ナトリウム、および0.1%のSDS)で溶解した。抽出されたタンパク質溶解産物を4×SDS試料緩衝剤(200mMのTris-HCl、pH6.8、8%のSDS、40%のグリセロール、4%のβ-メルカプトエタノール、50mMのEDTA、0.08%のブロモフェノールブルー)により99℃で5分間変性した。等量のタンパク質を8%のSDS-PAGEゲルの電気泳動に掛け、次いでPVDF膜に移した。Blocking One(Nacalai Tesque)で遮断した後、膜を、SALL4に対する一次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-101147)、およびβアクチンに対する一次抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-47778)によって、4℃で一晩プローブした。TBS-Tで洗浄した後、膜を、マウスに対する二次HRP抱合型抗体(Santa Cruz Biotechnology、sc-2005)と共に1時間インキュベートした。Luminata(商標)ウエスタンHRP基質(Millipore)を可視化のために膜に適用した。
【0146】
図4は、N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体へのSALL4高腫瘍応答を示すin vivoトランスジェニックマウス実験の結果を示す。特に、図4は、Cmpd6化合物のin vivo異種移植試験の結果を示す。化合物6で治療されたマウスは、サイズおよび重量の両方が有意に(P<0.05)小さい異種移植片を有した。
【0147】
図5は、本明細書に記載されているN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド化合物による、腫瘍細胞におけるSALL4阻害およびPTEN(または、他の腫瘍抑制遺伝子)の修復の提案された機構のダイアグラムを示す。理論に束縛されるものではないが、N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド化合物による治療は、SALL4を阻害することができ、および/またはSALL4-NuRD複合体の形成を予防(もしくは、解離)することができ、このことは、1種以上の腫瘍抑制遺伝子、例えばPTENの発現を生じることができる。ある特定の実施形態において、理論に束縛されるものではないが、SALL4はNuRDに結合し、プロモーターを共占有する(co-occupying)ことによって腫瘍抑制遺伝子を抑制することができ、転写を抑制できることが考慮される。ある特定の実施形態において、理論に束縛されるものではないが、SALL4が分解または減少されると、複合体の形成は影響を受け、したがって転写を放出しうることが考慮される。
【0148】
図6は、化合物6(Cmpd6)および他の誘導体(示されている)を、A549がSALL4低であり、H661がSALL4高である2個の肺がん細胞系において試験した結果を示す。細胞を化合物6により1μMおよび2.5μMで試験した。他のCmpdの量も示す。細胞を48時間で採取し、細胞溶解産物を、ウエスタンブロット分析に掛け、SALL4タンパク質およびRNAレベルのそれぞれについてはQ-PCR分析に掛けた。図6の上側パネルに示されているように、ウエスタンブロット分析において、化合物6がSALL4タンパク質レベルを2.5μMで低減できたことが見出された。図6の下側パネルに示されているように、Q-PCRを使用して、SALL4 RNAレベルが化合物6によりH661細胞において低減されたことが示された。
【0149】
図7は、化合物6(Cmpd6)がSALL4に結合することを示す結果を示す。図7の上側パネルでは、サーマルシフトアッセイと命名される蛍光ベース結合アッセイを使用して、アンフォールディング移行の変化に基づいてSALL4 1-300タンパク質への化合物6の結合を評価した。結果は、100mMの化合物6を伴うSALL4 1-300のインキュベーションが、4.7℃での融解シフトを生じることを示し、化合物6がSALL4に結合することを示している。図7の下側パネルでは、SALL4への化合物6の結合を、15N SALL4 1-300および化合物6を使用して1H NMR実験および飽和移動差(STD)により評価した。試料を、CPPTCI{19F}クリオプローブおよびSampleJetオートサンプラーを備えたBruker BioSpin AVANCE II 600MHz分光計を使用してスクリーニングした。SALL4 1-300への化合物6の弱い結合事象を、SALL4 1-300タンパク質の存在下で観察された横緩和速度(R2)の増加に基づいて確認した。
【0150】
図8は、化合物6の薬物動態研究の結果を示す。化合物6(Cmpd6)のバイオアベイラビリティを理解するため、化合物6を経口(15mg/kg)または静脈内注射(5mg/kg)でスイスアルビノマウスに与えた。化合物6を、静注用量のために3%のDMNSOおよび10%のヒドロキシプロピル-b-シクロデキストリン(Encapsin(商標))を含有する水に溶解し、経口用量のために5%のDMSOおよび9.5%のEncapsinを含有する水に溶解した。血液試料を、0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および24時間で収集した。全血濃度をLC-MS/MSにより測定した。経口経路では、化合物6の90%が2時間でクリアされた。静脈内経路では、化合物6の90%が4時間でクリアされた。
【0151】
図9は、化合物6(Cmpd6)を、肝臓ミクロソームを使用した代謝安定性について試験した結果を示す。1μMの化合物6を3.33mg/mlの肝臓ミクロソームおよび2.5mMのNADPHと共に、0、5、10、30、および60分間インキュベートした。混合物をLC-MS/MSに掛けて、インキュベーションの後の残存化合物を測定した。結果は、化合物6が45.88%QHで中程度の透過性状態を有することを示す。
【0152】
図10は、PAMPA透過性アッセイを、化合物6およびいくつかの比較対象に実施した結果を示す。pION緩衝剤で調製した50μMの化合物6をUVプレートの底部に添加した。GIT-0溶液を添加し、溶液を4時間インキュベートした。プレートのスペクトルを、PAMPA pIONソフトウエアを使用する200nm~500nmのスキャンモードの分光測光計を使用して読み取った。結果は、化合物6が、PAMPAアッセイにおいて高い透過性を有することを示している。
【0153】
[実施例3]
追加の化合物
この実施例は、上記の実施例1および2に記載された結果に基づいて、本明細書に考慮されるさらなる化合物を記述する。ある特定の実施形態において、この実施例に記載される1つ以上の化合物(下記を参照されたい)は、例えば、高SALL4がんの治療に使用するためのものでありうることが考慮される。代替的または追加的に、ある特定の実施形態において、この実施例に記載される1つ以上の化合物(下記を参照されたい)は、比較対象として使用するためのもの、ファーマコフォア特色を調査する、および/またはタンパク質もしくは酵素標的との相互作用(例えば、SALL4もしくはSALL4-RBBP4相互作用)を調査する構造プローブとして、ならびに/またはSALL4および/もしくはSALL4-RBBP4の結合剤もしくは阻害剤として使用するためのもの、あるいはこれらの任意の組合せでありうる。
【0154】
ある特定の実施態様では、以下の式:
【0155】
【化29】
【0156】
に包含される化合物が本明細書に提供される。
【0157】
ある特定の実施形態において、環Aに以下の修飾を有する化合物が本明細書に提供される。
【0158】
【化30】
【0159】
ある特定の実施形態において、環A/環Bに以下の修飾を有する化合物が本明細書に提供される。
【0160】
【化31】
【0161】
ある特定の実施形態において、ピリジル環Bに以下の修飾を有する化合物が本明細書に提供される。
【0162】
【化32】
【0163】
ある特定の実施形態において、リンカーCに以下の修飾を有する化合物が本明細書に提供される。
【0164】
【化33】
【0165】
ある特定の実施形態において、アミド環Dに以下の修飾を有する化合物が本明細書に提供される。
【0166】
【化34】
【0167】
ある特定の実施形態において、結合モチーフEに以下の修飾を有する化合物が本明細書に提供される。
【0168】
【化35-1】
【0169】
【化35-2】
【0170】
ある特定の実施形態において、環A(除去または変更されている)および環D(単純化されている)に以下の修飾を有する化合物が本明細書に提供される。
【0171】
【化36-1】
【0172】
【化36-2】
【0173】
ある特定の実施形態では、E3リガーゼ結合剤抱合型分子が本明細書に提供される。理論に束縛されるものではないが、ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている分子は、標的タンパク質にE3リガーゼを接着させることによりSALL4またはその上流標的を分解しうることが考慮される。したがって、分子接着剤/PROTAC/分解剤として作用する化合物、例えば、E3リガーゼ(CRBN/VHL/IAP/MDM2/XIAP)結合剤をプロパ-2-エナミドタイプ官能基に抱合させるものが本明細書に考慮される。したがって、実施形態において、本明細書に提供されるものは、本明細書に記載されているプロパ-2-エナミド部分または誘導体に抱合または連結されたE3リガーゼ結合剤を含む化合物である。そのような分子の代表的な例が下記に提供される。ある特定の実施形態において、グルタルイミド(Glutarimide)、レナリドミド、ポマリドミド、およびこれらの異性体抱合型プロペンアミド(propenamide)はCRBN(E3リガーゼ)結合媒介SALL4(または、その上流標的)ユビキチン化/分解を誘導しうることが考慮される。ある特定の実施形態では、VHL結合剤抱合型プロペンアミドを設計して、VHL(E3リガーゼ)媒介分解を介してSALL4(または、その上流標的)を分解しうることが考慮される。同様に、ある特定の実施形態では、SALL4(または、その上流標的)の様々な他のE3リガーゼ(MDM2/IAP/XIAP)媒介分解を用いてもよいことが考慮される。したがって、ある特定の実施形態では、E3リガーゼ結合剤抱合型分子が本明細書に提供され、以下のE3リガーゼ結合剤抱合型分子(例えば、CRBN/VHL/IAP/MDM2/XIAP結合剤)が含まれる(がこれらに限定されない):
【0174】
【化37】
【0175】
ある特定の実施形態では、延長鎖長さ、および/または飽和結合、および/または延長二重結合を有する化合物が本明細書に提供される。PROTACまたは亜鉛結合剤(同様に、HDAC阻害剤)は一般に長いリンカーを有し、そのため増加したリンカー長さ、および/または飽和結合、および/または延長二重結合を有する化合物も本明細書において考慮され、以下の化合物が含まれる(がこれらに限定されない):
【0176】
【化38】
【0177】
実施形態の列挙:
実施形態1:式Iの化合物:
【0178】
【化39】
【0179】
[式中、
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、-OCH、-CF、またはFであり;
は、Hまたは-OCHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、F、または-NHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、Cl、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
は、H、-OCH、または-CHであり;
10、R11、およびR12のそれぞれは、Hであるか;またはR10およびR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R12はHであるか;またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール環を形成しており、R10はHであり;
13は、H、-C≡C-CH、-C≡C-C、または-C≡Nであり;
Xは、NまたはCHである]。
【0180】
実施形態2:Rが-OCHである、実施形態1に記載の化合物。
【0181】
実施形態3:Rが、-OCHまたは-CFある、実施形態1または2に記載の化合物。
【0182】
実施形態4:Rが-OCHである、実施形態1から3のいずれか一つに記載の化合物。
【0183】
実施形態5:Rが、H、Cl、-OCH、または-CHである、実施形態1から4のいずれか一つに記載の化合物。
【0184】
実施形態6:Rが、HまたはClである、実施形態1から5のいずれか一つに記載の化合物。
【0185】
実施形態7:RがHである、実施形態1から6のいずれか一つに記載の化合物。
【0186】
実施形態8:RがHである、実施形態1から7のいずれか一つに記載の化合物。
【0187】
実施形態9:RがHである、実施形態1から8のいずれか一つに記載の化合物。
【0188】
実施形態10:RがHである、実施形態1から9のいずれか一つに記載の化合物。
【0189】
実施形態11:R10、R11、およびR12が、それぞれHである、実施形態1から10のいずれか一つに記載の化合物。
【0190】
実施形態12:R13がHである、実施形態1から11のいずれか一つに記載の化合物。
【0191】
実施形態13:XがNである、実施形態1から12のいずれか一つに記載の化合物。
【0192】
実施形態14:化合物が、
【0193】
【化40】
【0194】
である、実施形態1に記載の化合物。
【0195】
実施形態15:化合物が、
【0196】
【化41】
【0197】
である、実施形態1または実施形態14に記載の化合物。
【0198】
実施形態16:実施形態1から15のいずれか一つに記載の化合物と、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む、組成物。
【0199】
実施形態17:細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、実施形態1から15のいずれか一つに記載の化合物、または実施形態16に記載の組成物。
【0200】
実施形態18:細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療のための、実施形態1から15のいずれか一つに記載の化合物、または実施形態16に記載の組成物の使用。
【0201】
実施形態19:細胞における、または治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用する医薬の製造における、実施形態1から15のいずれか一つに記載の化合物、または実施形態16に記載の組成物の使用。
【0202】
実施形態20:がんがSALL4発現がんである、実施形態17から19のいずれか一つに記載の化合物、組成物、または使用。
【0203】
実施形態21:がんが、高レベルのSALL4発現を有するSALL4発現がんである、実施形態20に記載の化合物、組成物、または使用。
【0204】
実施形態22:がんが、肺がん、肝がん、または乳がんである、実施形態17から21のいずれか一つに記載の化合物、組成物、または使用。
【0205】
実施形態23:がんが、NSCLCがん、子宮頸がん、または生殖細胞がんである、実施形態22に記載の化合物、組成物、または使用。
【0206】
実施形態24:細胞において、または治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
実施形態1から15のいずれか一つに記載の化合物、または実施形態16に記載の組成物を細胞または対象に投与することを含む、
方法。
【0207】
実施形態25:がんがSALL4発現がんである、実施形態24に記載の方法。
【0208】
実施形態26:がんが、高レベルのSALL4発現を有するSALL4発現がんである、実施形態25に記載の方法。
【0209】
実施形態27:がんが、肺がん、肝がん、または乳がんである、実施形態24から26のいずれか一つに記載の方法。
【0210】
実施形態28:がんが、NSCLCがん、子宮頸がん、または生殖細胞がんである、実施形態27に記載の方法。
【0211】
実施形態29:N-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を調製する方法であって、
式1の化合物を式2の化合物と反応させて、式3の化合物を得ることと:
【0212】
【化42】
【0213】
式3の化合物を式4の化合物と反応させ、脱保護して、式5の化合物を得ることと:
【0214】
【化43】
【0215】
[ここで、PGは、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の任意の適切な保護基(例えば、アルキルエステル、例えばメチルエステル、エチルエステルまたはt-ブチルエステルであるが、これらに限定されない)を表し、脱保護は、PG保護基を除去して、式5の化合物を得ることを含む(脱保護条件は、使用される保護基に基づいて選択され、例には式5を生じるための、例えば酸性または塩基性加水分解が含まれうる)];
式5の化合物を式6の化合物と反応させて、式7のN-(2-アミノフェニル)-プロパ-2-エナミド誘導体を得ることと:
【0216】
【化44】
【0217】
[式中、
、R、およびRは、H、-OCH、-CF、Cl、またはFからそれぞれ独立して選択され;
は、H、Cl、-OCH、-CH、またはFであり;
は、H、Cl、-OCH、-CH、またはFである]
を含む、方法。
【0218】
実施形態30:式1の化合物を、NaOBu-t、Pd(OAc)、PPh、およびキシレン中の式2の化合物と反応させる、実施形態29に記載の方法。
【0219】
実施形態31:式3の化合物を、Pd(dba)、DMF、およびDIPEA中の式4の化合物と反応させる、実施形態29または30に記載の方法。
【0220】
実施形態32:式5の化合物を得るための脱保護が、DCM中のTFAで実施される、実施形態29から31のいずれか一つに記載の方法。
【0221】
実施形態33:式5の化合物を、BOP、EtN、およびMeCN中の式6の化合物と反応さる、実施形態29から32のいずれか一つに記載の方法。
【0222】
実施形態34:実施形態29から33のいずれか一つに記載の方法により生成される、式7の化合物。
【0223】
実施形態35:式7の化合物が、
【0224】
【化45】
【0225】
である、実施形態29から33のいずれか一つに記載の方法。
【0226】
実施形態36:以下のうちのいずれか1つである、化合物:
【0227】
【化46-1】
【0228】
【化46-2】
【0229】
【化46-3】
【0230】
【化46-4】
【0231】
【化46-5】
【0232】
【化46-6】
【0233】
【化46-7】
【0234】
【化46-8】
【0235】
1つ以上の例示的実施形態が例として記載されてきた。多数の変更および修正を、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲を逸脱することなく実行できることは、当業者に理解される。
【0236】
参考文献
【0237】
【表3】
【0238】
ここに引用され、本明細書の他の部分に引用されたすべての参考文献は、それの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】