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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】免疫系を増強する組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/17 20160101AFI20221205BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 35/20 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221205BHJP
   A23C 9/152 20060101ALI20221205BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20221205BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
A23L33/17
A61P37/04
A61K38/02
A61K38/17
A61K39/395 V
A61K35/20
A61K45/00
A61P43/00 121
A23C9/152
A23L2/38 P
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519817
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 IL2020051084
(87)【国際公開番号】W WO2021070183
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/911,504
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,581
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,591
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,612
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522123773
【氏名又は名称】マオラック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】オルバッハ,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】アシュケナージ,マヤ
(72)【発明者】
【氏名】アッペルバウム,ユヴァル
【テーマコード(参考)】
4B001
4B018
4B117
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B001AC05
4B001AC25
4B001EC05
4B018LB07
4B018LB08
4B018MD20
4B018MD90
4B018ME09
4B018ME14
4B117LC04
4B117LK15
4B117LK18
4B117LK24
4C084AA02
4C084AA22
4C084DA38
4C084DA40
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZC75
4C085AA33
4C085BB11
4C085BB31
4C085EE03
4C085GG08
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB39
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZC75
(57)【要約】
本明細書においては、免疫系を増強する組成物であって、ケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物が提供される。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫系を増強する組成物であって、ケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物であって、ここで該ケラチン化合物が、KRT33B、KRT13、KRT18、KRT17、KRT42、KRT28、KRT36、KRT12、KRT10、KRT24、KRT14、KRT4、KRT75、KRT6A、KRT6C、KRT5、KRT77、KRT1、KRT3、KRT2またはそれらの組み合わせを含む群から選択される、組成物。
【請求項3】
請求項1の組成物であって、ここで該ケラチン化合物が0.01%~15.5%の濃度であり、該LGBが0.02%~23.4%濃度である、組成物。
【請求項4】
請求項1の組成物であって、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせをさらに含む組成物。
【請求項5】
請求項4の組成物であって、ここで該抗炎症成分が、ラクトトランスフェリン、リゾチームC、インターロイキン-10(IL-10)、形質転換増殖因子ベータ(TGF-ベータ)、インターロイキン-4(IL-4)およびシクロオキシゲナーゼ-1(Cox-1)を含む群から選択される、組成物。
【請求項6】
請求項4の組成物であって、ここで該炎症性成分が、ラクトトランスフェリン、リゾチームC、インターロイキン-1B(IL-1B)、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)を含む群から選択される、組成物。
【請求項7】
請求項4の組成物であって、ここで該抗微生物成分が、ベータ-デフェンシン1、ラクトペルオキシダーゼ、ラクトトランスフェリン、アルファ-ラクトアルブミン、カテプシンG、リゾチームC、免疫グロブリンG(IgG)、および免疫グロブリンA(IgA)を含む群から選択される、組成物。
【請求項8】
請求項4の組成物であって、ここで該第1の免疫刺激成分が、エンドプラスミン、好中球エラスターゼ、IgA、IgG、免疫グロブリンM(IgM)およびラクトトランスフェリンを含む群から選択される、組成物。
【請求項9】
請求項4の組成物であって、ここで該第2の免疫刺激成分が、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、エンドプラスミン、好中球エラスターゼ、IgA、IgG、IgM、プロラクチン誘導性蛋白質および白血球エラスターゼ阻害剤を含む群から選択される、組成物。
【請求項10】
請求項4の組成物であって、さらに初乳を含む組成物。
【請求項11】
請求項1の組成物の用途であって、乳児の免疫系を増強する用途。
【請求項12】
請求項1の組成物の用途であって、免疫系の低下した個体の免疫系を増強する用途。
【請求項13】
請求項1の組成物の用途であって、動物の免疫系を増強する用途。
【請求項14】
請求項1の組成物の用途であって、スポーツ選手の炎症を低減する用途。
【請求項15】
請求項1の組成物を含む食品生産物であって、ここで該食品生産物が、乳製品、ミルクシェイク、乳飲料、乳児用調製乳、動物用食品などを含む群から選択される、食品生産物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免疫学分野に関するものであり、具体的には、物質の免疫系応答惹起能または増強能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫系は、感染防御において特別な役割を有する細胞および分子からなる機構である。侵入する病原体に対する反応については、基本的に異なる2種類が存在する。先天的(自然)応答は感染性因子に遭遇すると何度でも同程度に起こるのだが、後天的(適応)応答は特定の感染に繰り返し曝露されると増強する。
【0003】
感染性疾患や病原体の種類がますます増え続けていることから、人々が直面する疾患に対処する免疫能力を増強可能な解決策が必要である。
【0004】
有害病原体に曝露した場合により感染し易い、あるいはより重症化し易い特定の集団は、例えば、乳児、高齢者、免疫系の低下した個体、動物およびスポーツ選手である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書のいくつかの例証的な実施態様では、免疫系を増強する組成物であって、ケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物を提供する。
【0006】
いくつかの実施態様では、該ケラチン化合物は、KRT33B、KRT13、KRT18、KRT17、KRT42、KRT28、KRT36、KRT12、KRT10、KRT24、KRT14、KRT4、KRT75、KRT6A、KRT6C、KRT5、KRT77、KRT1、KRT3、KRT2またはそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0007】
いくつかの実施態様では、該ケラチン化合物は0.01%~15.5%、好ましくは、0.01%~10.0%の濃度であってもよく、またLGBは0.02%~23.4%の濃度であってもよい。
【0008】
いくつかの実施態様では、該組成物は、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0009】
いくつかの実施態様では、該抗炎症成分は、ラクトフェリン、アルファ-ラクトアルブミン、糖蛋白質CD59、ラクトトランスフェリン、リゾチームC、インターロイキン-10(IL-10)、形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)、インターロイキン-4(IL-4)およびシクロオキシゲナーゼ-1(Cox-1)を含む群から選択されるのであってもよい。
【0010】
いくつかの実施態様では、該炎症性成分は、ラクトトランスフェリン、リゾチームC、インターロイキン-1B(IL-1B)、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)を含む群から選択されるのであってもよい。
【0011】
いくつかの実施態様では、該抗微生物成分は、ベータ-デフェンシン1、ラクトペルオキシダーゼ、ラクトトランスフェリン、アルファ-ラクトアルブミン、カテプシンG、リゾチームC、免疫グロブリンG(IgG)、および免疫グロブリンA(IgA)を含む群から選択されるのであってもよい。
【0012】
いくつかの実施態様では、該第1の免疫刺激成分は、エンドプラスミン、好中球エラスターゼ、IgA、IgG、免疫グロブリンM(IgM)およびラクトトランスフェリンを含む群から選択されるのであってもよい。
【0013】
いくつかの実施態様では、該第2の免疫刺激成分は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、エンドプラスミン、好中球エラスターゼ、IgA、IgG、IgM、プロラクチン誘導性蛋白質および白血球エラスターゼ阻害剤を含む群から選択されるのであってもよい。
【0014】
いくつかの実施態様では、該組成物は初乳をさらに含んでいてもよい。
【0015】
本明細書のいくつかの実施態様では、乳児の免疫系を増強する本発明の組成物の用途を提供する。
【0016】
本明細書のいくつかの実施態様では、免疫系の低下した個体の免疫系を増強する本発明の組成物の用途を提供する。
【0017】
本明細書のいくつかの実施態様では、動物の免疫系を増強する本発明の組成物の用途を提供する。
【0018】
本明細書のいくつかの実施態様では、スポーツ選手において炎症を低減する本発明の組成物の用途を提供する。
【0019】
本明細書のいくつかの実施態様では、乳製品、ミルクシェイク、乳飲料、乳児用調製乳、動物用食品などを含む群から選択される食品生産物を提供する。
【0020】
本明細書のいくつかの例証的な実施態様では、ケラチン化合物、ベータ-ラクトグロブリン(LGB)、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせを含む組成物を提供する。
【0021】
本明細書に付属し、本段落に次いでそのリストが示される図面を参照しながら、本発明の実施態様の非限定的例を以下に説明する。
【0022】
2つ以上の図に示す同一の構造物、要素または部分は、通常、それを含む全ての図において同一の数字で標示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の一局面における改良組成物を調製する処理法のフローチャートを示す。
図2】動物の初乳の利用および/または抽出の利点および欠点を示す図である。
図3】いくつかの例証的な実施態様における、乳児の年齢に対する蛋白質濃度の偏差を示すグラフである。
図4】いくつかの例証的な実施態様における、試料調製~蛋白質のゲル電気泳動の結果を示す。
図5】ヒトとウシの初乳間における相同性を示すグラフであるG1~G6を示す。
図6】ヒトとウシの初乳間における相同性を示すグラフであるG1~G6を示す。
図7】ヒトとウシの初乳間における相同性を示すグラフであるG1~G6を示す。
図8】いくつかの例証的な実施態様における、蛋白質のドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析を示す。
図9】いくつかの例証的な実施態様における、酸性沈殿後脱脂初乳の陰イオン交換(AE)クロマトグラフィーを示す。
図10】いくつかの例証的な実施態様における、酸性沈殿後脱脂初乳の陽イオン交換(CE)クロマトグラフィーを示す。
図11】いくつかの例証的な実施態様における、濃縮係数を示すグラフである。
図12】いくつかの例証的な実施態様における、PBMCのフローサイトメトリー分析の前方散乱および側方散乱についてのグラフである。
図13】いくつかの例証的な実施態様における、多様な試料のT細胞活性化を示すグラフである。
図14】いくつかの例証的な実施態様における、多様な試料の72時間後のIFN-ガンマ分泌を示すグラフである。
図15】いくつかの例証的な実施態様における、多様な被検群のIL-1β分泌を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書のいくつかの例証的な実施態様では、免疫系を強化する組成物(本明細書中では、「調製乳」と称することもある)であって、少なくとも1種類のケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物を提供する。
【0025】
いくつかの実施態様では、ケラチンは広範な分子多様性を示す、上皮の典型的な中間径線維蛋白質である;他方、β-ラクトグロブリン(LGB)はウシおよびヒツジの乳の主要な乳清蛋白質(約3g/l)であり、他の多くの哺乳動物種にも存在するが、ヒトには例外的に含まれない;また他の主要な乳清蛋白質と異なり、現在のところβ-ラクトグロブリンの明確な機能は未知のままである。
【0026】
しかし、いくつかの実施態様では、ケラチン化合物とベータ-ラクトグロブリン(LGB)の固有の組み合わせは、相乗効果、例えば、免疫刺激に関して相乗効果を発揮することがある。
【0027】
いくつかの実施態様では、ケラチン化合物は、KRT33B、KRT13、KRT18、KRT17、KRT42、KRT28、KRT36、KRT12、KRT10、KRT24、KRT14、KRT4、KRT75、KRT6A、KRT6C、KRT5、KRT77、KRT1、KRT3、KRT2またはそれらの組み合わせを含む群から選択されるのであってもよい。
【0028】
いくつかの実施態様では、ケラチン化合物の濃度は、0.01%~15.5%、好ましくは、0.01%~10.0%であってもよく、またLGBの濃度は0.02%~23.4%であってもよい。
【0029】
いくつかの実施態様では、インターロイキン(IL)は免疫反応のほとんど(炎症、T細胞増殖、および抗細菌反応の増強など)に関係し得る。ケラチンは異なるサイトカイン経路に関与することがあり、したがってそれらの反応の調節に利用することができる(例えば、炎症性サイトカイン)。ベータ-ラクトグロブリン(LGB)は、サイトカイン産生および/または細胞増殖を誘導し得るもう一つの因子である。さらに、ベータ-ラクトグロブリンは天然の鎮痛剤および抗炎症剤として用いることができ、LGB加水分解物(LGBH)は、抗酸化、抗高血圧性、抗微生物、およびオピオイド活性を示すことがある。
【0030】
いくつかの実施態様では、ケラチンおよびベータ-ラクトグロブリンの特定の組み合わせは、ヒトの単球および/または動物の単球において強力な炎症性反応を惹起することがある。つまり、いくつかの実施態様では、ケラチンとLGBとの間の相乗効果は、実質的な免疫反応をもたらすことがある。
【0031】
いくつかの好ましい実施態様では、本発明の組成物には、2種類以上のケラチン化合物が存在してもよい。
【0032】
いくつかの例証的な実施態様では、該組成物は、抗炎症性成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0033】
いくつかの実施態様では、該抗炎症性成分は、ラクトフェリン、アルファ-ラクトアルブミン、糖蛋白質CD59、ラクトトランスフェリン、リゾチームC、インターロイキン-10(IL-10)、形質転換増殖因子ベータ(TGF-ベータ)、インターロイキン-4(IL-4)およびシクロオキシゲナーゼ-1(Cox-1)を含む群から選択されてもよい。
【0034】
いくつかの実施態様では、該炎症性成分は、ラクトトランスフェリン、リゾチームC、インターロイキン-1B(IL-1B)、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)を含む群から選択されてもよい。
【0035】
いくつかの実施態様では、該抗微生物成分は、ベータ-デフェンシン1、ラクトペルオキシダーゼ、ラクトトランスフェリン、アルファ-ラクトアルブミン、カテプシンG、リゾチームC、免疫グロブリンG(IgG)、および免疫グロブリンA(IgA)を含む群から選択されてもよい。
【0036】
いくつかの実施態様では、該第1の免疫刺激成分は、エンドプラスミン、好中球エラスターゼ、IgA、IgG、免疫グロブリンM(IgM)およびラクトトランスフェリンを含む群から選択されてもよい。
【0037】
いくつかの実施態様では、該第2の免疫刺激成分は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、エンドプラスミン、好中球エラスターゼ、IgA、IgG、IgM、プロラクチン誘導性蛋白質および白血球エラスターゼ阻害剤を含む群から選択されてもよい。
【0038】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は相乗効果を示す。例えば、いくつかの実施態様では、組成物中の各成分および/または各分子は、1種類以上の免疫刺激特性を含んでいてもよいが、一緒に組み合わせた場合には、それら抗炎症性成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分は、個々の成分の全部を合計したものよりも強い免疫刺激効果を発揮する。
【0039】
いくつかの実施態様では、用語「相乗効果」は、免疫系の特定部分および/または成分の活性化の増強、および/または免疫系の複数の部分および/または成分の活性化を意味するものであってもよいが、いくつかの実施態様においては、相乗効果は、本発明の組成物の成分間の協同的相互作用、例えば、各成分を個々に用いる場合に観察される免疫刺激効果よりも強力な免疫刺激効果の増強を発揮することを意味するものであってもよい。
【0040】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物に用いる免疫グロブリンは、好ましくはIgAである。これらの好ましい実施態様では、粘膜経由で伝染する感染症および疾患に対して、乳児はより罹患しやすい。したがって、いくつかの実施態様では、IgAを用いることが好ましい。
【0041】
いくつかの実施態様では、用語「免疫系を増強する」(本明細書中では、「免疫系を強化すること」、「免疫刺激効果」、「免疫刺激」または「免疫刺激を増強する」と表現することもある)は、疾患の期間および/または流行の期間を短縮すること、病気になる可能性を減少させること、疾患などに伴う症状の数を減少させる、および/または重症度を低下させること、および/または免疫細胞の活性化および/または増殖、および/または炎症に関与する細胞の不活性化および/または活動低下を含むが、これらのみに限定されるものではない。
【0042】
いくつかの例証的な実施態様では、炎症性成分の特異的利用は意外なほど有益な効果をもたらす。いくつかの実施態様では、ヒトにおいては炎症を回避することが通常は好ましいのであるが、しかしながら本発明の組成物は病原体と闘うために炎症性免疫成分を利用することによって、有益な免疫刺激効果を発揮するのである。
【0043】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、初乳由来および/または全初乳に由来する(例えば、合成供給源、ヒトおよび/または動物の供給源に由来する)1種類以上の成分をさらに含んでいてもよい。
【0044】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、2種類以上の初乳の組み合わせを含むものであってもよい。
【0045】
いくつかの実施態様では、該組成物は、2種類の異なる哺乳動物から搾乳した異なる少なくとも2種類の初乳に由来する、2種類以上の分子の組み合わせを含むものであってもよい。
【0046】
いくつかの実施態様では、該組成物は好ましくは、抗菌保護と共に抗炎症反応を得るために2種類のウシ初乳の組み合わせ(例えば、LALBAとCATHL1の組み合わせ)を含んでいてもよい。
【0047】
LALBAは、アルファ-ラクトアルブミン-抗炎症成分であり、COX活性およびホスホリパーゼA(2)活性を阻害する。
【0048】
CATHL1は、抗微生物(グラム陰性)ペプチドが媒介する抗微生物性の液性免疫反応である。リポ多糖体(LPS)に結合可能であり、グラム陰性細菌の外膜透過能を増強する。
【0049】
いくつかの実施態様では、2種類のウシ初乳、LALBAとCATHL1との比は好ましくは60:40であってもよい。
【0050】
いくつかの実施態様では、該組成物は抗炎症特性を示す。
【0051】
いくつかの実施態様では、下記に示すように、末梢血単核球(PBMC)を抗CD3で刺激して、本発明の組成物を用いた処理を含む、異なる処理の存在下でT細胞の活性化と増殖を試験した。その結果は、本発明の組成物の存在下でT細胞の活性化と増殖が有意に減少することを明確に実証した。さらに、本発明の組成物に曝露することでインターフェロン-ガンマ(INFγ)の分泌が有意に減少した。すなわち、いくつかの実施態様においては、本発明の組成物は明らかな抗炎症効果を示す。
【0052】
本明細書中いくつかの実施態様では、炎症を低減するための本発明の組成物の用途を提供する。
【0053】
例えば、本発明の組成物を、例えば、筋肉および/または関節におけるストレス誘発性炎症を軽減する目的で、スポーツ選手に投与してもよい。例えば、いくつかの実施態様では、本発明の組成物を蛋白質シェイクおよび/またはエネルギーバーに添加してもよく、または粉末、小袋および/またはカプセルの形態として単独で摂取してもよい。
【0054】
本明細書中のいくつかの実施態様では、高齢者における本発明の組成物の用途、例えば、免疫系を強化する用途を提供する。
【0055】
いくつかの実施態様では、高齢世代(65歳以上と定義されることが多い)のほとんどの慢性病に対する最初の免疫反応は炎症性である。
【0056】
人は年を取るにしたがい、免疫系が低下して非効果的になる。高齢者の免疫系の最初の反応は、通常は非効果的で身体エネルギーを消耗する炎症反応である。いくつかの実施態様においては、身体の免疫系が病気と闘うことを支援する免疫系刺激能を保ちながら、本発明の組成物がこの炎症反応を和らげる。
【0057】
本明細書中のいくつかの例証的な実施態様においては、動物(例えば、ペット)の免疫系を強化する、組成物の用途を提供する。
【0058】
いくつかの実施態様においては、関節および筋肉の炎症は、特に活動的なペット、競技動物および使役動物によく起こることである。これらの炎症の処置は、通常、休息、軟膏によるものであるが、極端な場合には、理学療法も用いられ、この処置は非常に高額のこともある。いくつかの実施態様では、本発明の組成物が抗炎症特性を有する場合もあり、これを利用することによって動物において炎症発現を減らし回復期間を短縮することができる。
【0059】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物はまた炎症性成分を有する場合もあり、例えば、抗炎症性成分と併用して相乗的免疫刺激効果を発揮することもある。
【0060】
いくつかの実施態様では、免疫反応は異なる因子から成り、多数の免疫細胞を動員するためには炎症反応が重要である。したがって、いくつかの実施態様においては、軽度の炎症反応を作り出すことによって免疫系を刺激することが好ましい場合もある。
【0061】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物はSERPINB4およびSERPIND1の組み合わせを含むものであってもよく、例えば、それによって、胃の蛋白質分解酵素を有意に減少させる、および/または炎症性経路を亢進させて免疫系を刺激するのであってもよい。
【0062】
SERPINB4は炎症性蛋白質である(エンドペプチダーゼ活性の負の制御)。
【0063】
SERPIND1は、免疫系を活性化し潜在的に白血球走化性因子の放出を促進することもある蛋白質である。
【0064】
いくつかの実施態様では、SERPIND1をCXCL12で代替してもよい。これはリンパ球に対して強力な走化性を示し、そのシグナル伝達はB細胞上のCD20発現を制御する。
【0065】
いくつかの実施態様では、組成物におけるSERPINB4とSERPIND1との比はそれぞれ60:40であってもよい。
【0066】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物の存在下でインキュベートした単球は増殖を示した。さらに、Il-10の分泌は本発明の組成物の存在下で減少した。いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、免疫系を刺激可能な方式で炎症反応を惹起するものであってもよい。
【0067】
いくつかの実施態様では、短期の炎症は多くの疾患に対する身体の自然な反応である。例えば、感染との闘いは通常、炎症反応を利用して行われるものである。
【0068】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は複数の抗炎症性成分を含むものであってもよく、例えば、組成物は以下の成分を含むものであってもよい:ANXA1、APOE、BTN1A1、C4BPA、CD59、FCGR2、HBB、LALBA、LTF、PGLYRP1、PRDX4、SERPINB1、TNFRSF6B、LGB、KRT18、KRT17、KRT42、KRT36、KRT10、KRT24、KRT14、KRT75、KRT6A、KRT5、KRT1、KRT3およびKRT2。
【0069】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、そのような場合に補助的であり得る程度の穏やかな炎症性活性を有するものであってもよい。
【0070】
いくつかの実施態様では、炎症性組成物の濃度は好ましくは、100pg/Kg~100ng/Kgである。
【0071】
いくつかの実施態様においては、細菌は、直接的あるいは間接的に異なる疾患をもたらし得る一般的な病原体である。免疫系は通常これらの脅威に対処し得るのであるが、免疫系が細菌を打ち負かすことのできない場合も少なからず存在する。
【0072】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は抗細菌活性を有するものであってもよい。
【0073】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物はHSTNとC3との組み合わせを含むものであってもよく、例えば、貪食作用の増強と共に免疫反応による強力な抗細菌反応を惹起するものであってもよい。
【0074】
HSTNは抗微生物蛋白質である(自然免疫に関連し抗微生物および抗真菌活性を有する陽イオン性ペプチド)。
【0075】
C3は補体成分3であり、補体系において中心的な役割を担い自然免疫を刺激する。
【0076】
いくつかの実施態様では、組成物におけるHSTNとC3との間の比はそれぞれ80:20であってもよい。
【0077】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物の抗細菌活性は特に高齢者にとって有益なものであってもよく、免疫力のない個体が病原体と闘うのに役立つものであってもよい。
【0078】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物の投与は、腸管免疫を標的とする、腸管内菌叢を増強する、および病原体に対する免疫反応を強化することを可能にするものであってもよく、また血流を標的として、免疫系を増強するものであってもよい。
【0079】
いくつかの実施態様においては、本発明の組成物は、細菌および/またはウイルスによる脅威のある時期、例えば冬期において大規模集団に低用量で投与するものであってもよい。
【0080】
いくつかの実施態様では、免疫系は疾病およびストレスに対する保護において重要な成分である。したがって、適切に機能することが重要である。しかし、多くの場合、免疫系は低年齢小児および高齢世代では特に、強化と維持を必要とする。
【0081】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は免疫刺激成分を含む。
【0082】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物はPDIA3とLBPとの組み合わせを含むものであってもよく、例えば、炎症反応を最小限にすると共に免疫系を活性化させるものであってもよい。
【0083】
PDIA3は免疫系の刺激において重要な因子である。PDIA3は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスIペプチド・ローディング複合体の一部である。抗原の最終的な立体構造形成とその提示を担うシステムである。
【0084】
LBPはリポ多糖結合蛋白質(LBP)である(炎症性)。炎症反応に関与する白血球走化性、および免疫反応を引き起こすリポ多糖輸送によるマクロファージ活性化。
【0085】
いくつかの実施態様では、PDIA3およびLBPを含む本発明の組成物と共にインキュベートした細胞は、単球を刺激することが実証されている。
【0086】
いくつかの実施態様では、該組成物におけるPDIA3とLBPとの比は、それぞれ70:30である。
【0087】
いくつかの実施態様では、高齢者および免疫不全の個体では、ほとんどの病気に対して弱い/遅延性の反応を示す傾向がある。いくつかの実施態様では、本発明の組成物の利用は反応時間を短縮して反応強度を高めるので、その使用者が罹患する頻度が低下するのである。
【0088】
いくつかの実施態様においては、プロのスポーツ選手は、いかなる天候であっても厳しいトレーニングを行い、休息期間も短いのである。そのような身体ストレスは免疫能を低下させるので、様々な慢性病の危険性が高まる。いくつかの実施態様では、スポーツ選手が本発明の組成物を利用することによって、スポーツ選手のトレーニングにおけるマイナス面の効果を中和することを助けるので、その使用者が罹患する頻度が低下するのである。
【0089】
本明細書中のいくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物を含む、分子(例えば、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分についての分子)の1種類以上の有益な組み合わせを予測するアルゴリズムを提供する。
【0090】
いくつかの実施態様では、本明細書中で用いる用語「アルゴリズム」は、本発明の組成物を含む、1種類以上の蛋白質の免疫刺激効果の確率を算出する方法を意味することもある。例えば、該アルゴリズムは、1種類以上のヒト蛋白質による、有効な免疫刺激効果の確率を評価することを含むものであってもよい。
【0091】
いくつかの実施態様では、該アルゴリズムは、2種類以上の蛋白質の組み合わせの、有効な免疫刺激効果の確率を評価することを含むものであってもよい。
具体的には、該アルゴリズムが2種類以上の蛋白質間の適合性レベルを算出するものであってもよく、例えば、「適合性」は、2種類以上の蛋白質を組み合わせたときの、免疫刺激効果の増強および/または相乗効果に関する。
【0092】
いくつかの実施態様では、アルゴリズムは、蛋白質の有効な免疫刺激効果の確率(例えば、比較に基づく)の評価、例えば、動物において免疫刺激効果を有する蛋白質に対する相同性の度合いの評価を含むものであってもよい。
【0093】
下の表1は、e値で表現した特定蛋白質間の例示的比較を示している。
【0094】
いくつかの実施態様では、値が低いほど、比較する2種類の蛋白質間の適合性は良好となる。
【0095】
【表1】
【0096】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物はIgG成分の選択部分および/または選択領域を特異的に利用する。
【0097】
いくつかの実施態様では、IgG成分の選択部分および/または選択領域を利用することによって、(例えば、乳児または新生児による摂取時の)分子利用可能性を改善することができる。
【0098】
いくつかの実施態様では、用語「分子利用可能性」は、消化管における分子分解の必要性を無効にする、および/または回避するために、および透過性を増加させるために、乳児に経口的に与え得る分子の特定活性領域を消化することに関連することもある。
【0099】
いくつかの実施態様では、IgG成分の選択部分および/または選択領域は腸に入る前に吸収され得るものであり、これら分子の有効性が高まることがある;それによって、免疫系の増強を助ける(低分子の吸収は速いので、身体内でより速く作用し始めることがある)。
【0100】
いくつかの例証的な実施態様では、組成物を経口的に用いてもよく、および/または静脈投与あるいは皮下投与してもよい。
【0101】
他のいくつかの実施態様では、本発明の組成物を美容目的で用いてもよく、したがって、例えば、クリーム、軟膏などにより、局所(topically)に適用してもよい。
【0102】
乳児の免疫系を増強する組成物の利用法
母乳は、子供に栄養を与えるために女性の乳房(または乳腺)が産生する乳汁である。乳児の約40%は母乳のみで育てられるが、50%超は母乳および代用乳の組み合わせによって育てられる。
【0103】
授乳の各種健康効果は長らく以前より知られている。そのうちの最も顕著なものとしては、栄養的および免疫的側面が挙げられる。新生児にとって乳汁は、他の食物を食べて消化できるようになるまでは、重要な栄養源である;月齢の進んだ乳児やよちよち歩きの幼児にも授乳を続けることあるが、専ら授乳のみの場合もあれば、あるいは固形食を始める場合には6ヶ月齢ころから他の食物と組み合わせる場合もある。さらに、母乳は免疫グロブリン(すなわち抗体)の不可欠な供給源であるが、免疫グロブリンは血中に存在する蛋白質で感染性因子(ウイルスおよび細菌など)に対する免疫防御の機能を有する。これら抗体(主にsIgAであり、その機能は粘膜組織経由の病原体侵入を防御することである)のうちある種のものは、血漿あるいは母親の血液から母乳に移行する、あるいは乳腺でこの部位に遊走してきた細胞によって局所的に産生される;これら抗体が乳児の主要な免疫防御機構を形成する。
【0104】
授乳不可能あるいは授乳を望まない場合には、乳児用調製乳を用いることもできる。乳児用調製乳は、赤ん坊および乳児を育てるために設計され販売される加工食品であって、通常、粉末(水と混合する)または液体(付加的に水を用いる場合も、用いない場合もある)から調製する、哺乳びんまたは授乳カップ用の加工食品である。
【0105】
現在は、当該調製乳は乳児の発達段階によって異なり、その段階は1~6月齢、6~12月齢、およびそれ以上の区分にしたがって1段階ずつ上がってゆく。これらの段階は、赤ん坊の必要性を固有に評価することによってではなく、平均的なものとして、定義されている。
【0106】
赤ん坊の発達の観察は、異常の場合に実施される成長曲線および特定の検査(例えば、血液検査)に基づいて行われる。
【0107】
乳児は病原体に対して比較的脆弱であるが、それは免疫系の発達がまだ不充分であるためである。一部の免疫グロブリンは臍帯を通過して赤ん坊に到達するが、通常は6ヶ月以内に低下する。
【0108】
つまり、様々な疾患から赤ん坊を守る免疫学的成分が母乳である。しかし、不適切な栄養摂取や栄養不良によって、母乳の組成に欠陥が生じることがあり、免疫学的保護に関して有効性が低下する可能性もある。さらに、現代生活や異なる状況によっては、母乳による完全授乳が、多くの女性にとって余裕のない贅沢となる場合もある。したがって、ほとんどの赤ん坊が免疫学的成分の欠如した調製乳で育てられており、病原体に晒されているのである。
【0109】
しかし、異なる赤ん坊では栄養要求性および/または免疫学的要求性が異なるのであり、平均的な必要性に基づく一般的な調製乳を与えることによっては、個々の乳児に固有の要件を満たすことができないことも多い。
【0110】
具体的には、新生児は種々の微生物感染またはウイルス感染に非常に感染し易いのだが、現在のところ乳児用調製乳は乳児の脆弱な免疫系に対する解決策を提供することができていない。
【0111】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は乳児の経口摂取に適合するようにもできる。
【0112】
いくつかの実施態様では、該組成物は乳児の免疫系を増強する。
【0113】
いくつかの実証的な実施態様においては、ケラチン化合物、ベータ-ラクトグロブリン(LGB)、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分は異なる分子である。
【0114】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は相乗効果を示す。例えば、いくつかの実施態様では、該組成物中の各成分および/または分子は1種類以上の免疫刺激特性を含むものであってもよいが、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分と組み合わせた場合には、個々の成分を全て総計したよりも高い免疫刺激効果を発揮する。
【0115】
本明細書中のいくつかの実施態様では、本明細書中に記載の組成物を含む乳児用調製乳を提供する。
【0116】
いくつかの実施態様では、該調製乳は粉末形態であってもよい。
【0117】
いくつかの実施態様では、該調製乳は液状形態であってもよい。
【0118】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物を含む液状濃縮物を提供するが、ここで濃縮物は、液状の「直ぐに授乳できる」乳児用調製乳と混合することに適合するものであってもよい。
【0119】
本明細書中のいくつかの実施態様では、複数の初乳に由来してもよい、本発明の組成物の1種類以上の成分を含む組成物を製造する処理法を提供するが、該処理法は:
複数の個体から初乳を採集する工程であって、ここで複数の初乳中の成分の濃度および/または活性が実質的に初乳間で異なる、工程;
該初乳をプールする工程;
および
該初乳または該プールした初乳を濾過する工程、
を含む。
【0120】
本明細書中で後述する実施態様においては、乳児に栄養を与える組成物であって、改善された組成物を提供する。さらなる実施態様は、ヒト集団のその他の区分における消費に好適な組成物である。
【0121】
そのような組成物を作成する方法もまた本明細書において提供する。
【0122】
該実施態様の一局面においては、組成物中に少なくとも1種類の成分を含む組成物は、1種類以上の初乳に由来するものであってもよく、ここで1種類以上の初乳中の成分の濃度および/または活性は実質的に初乳間で異なる。
【0123】
該実施態様の別の一局面においては、複数の初乳に由来する少なくとも1種類の初乳成分を含む組成物を製造する処理法を提供するが、該処理法は:
【0124】
複数の個体(異なるウシ、ヒツジまたはヤギもしくはこれらの供給源の組み合わせなど)から初乳を採集する工程であって、ここで複数の初乳中の成分の濃度および/または活性が実質的に初乳間で異なる、工程;
該初乳をプールする工程;
および
該初乳または該プールした初乳を濾過する工程、
を含む。
【0125】
該処理法は任意選択的に、初乳中の生物学的に活性な成分の濃度を、(例えば、初乳または前処理した初乳について分離技術を用いることによって)変化させることをさらに含む。
【0126】
いくつかの実施態様では、該技術は、クロマトグラフィーおよび/または濾過から成る群から選択してもよい。調製用クロマトグラフィーは、アフィニティ・クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン・クロマトグラフィーのうちの1種類以上から選択してもよい。濾過は、クロスフロー濾過、限外濾過、逆浸透および透析を含む群の1種類以上から選択してもよい。最終的な調製乳における成分およびそれらおのおのの所望濃度にしたがって、他の技術を利用することができる。
【0127】
本考察においては、他で特記しない限り、本発明の実施態様の性質に特徴的な条件や関係を修飾する「実質的に」および「約」のような形容詞は、その条件または特徴が、意図する用途に関わる実施態様の運用について容認し得る許容範囲内において定義されるものであると理解される。
【0128】
いくつかの実証的な実施態様においては、本明細書中に記載のように、本発明の組成物は、ケラチンおよびLGBに加えて、5種類の成分の組み合わせを含んでいてもよい:抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分。
【0129】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の特定の組み合わせ、例えば、乳児が罹患し易い疾患(耳の感染症、髄膜炎など)を特に標的とする組み合わせを含むものであってもよい。
【0130】
いくつかの実施態様では、炎症反応を惹起、維持、および消散する目的で局所性および全身性の両方で、サイトカインが乳児の免疫系において作用する。
【0131】
いくつかの実施態様では、炎症性サイトカイン、抗炎症サイトカイン、および天然のサイトカイン阻害因子の間の相互作用が炎症反応およびその有効性を決定するものであってもよい。いくつかの実施態様では、新生児の免疫系が未成熟であるために、サイトカインが特異的である。いくつかの実施態様では、サイトカイン・カスケードの活性化ならびに他の炎症性サイトカインおよびケモカインの産生による免疫反応の増幅を目的として、好ましくは腫瘍壊死因子-(TNF-)およびインターロイキン-6(IL-6)を用いることもある。
【0132】
いくつかの実施態様ではまた、炎症性分子が肥満細胞および補体系を動員することもあり、例えば、免疫刺激効果をさらに増強する、例えば、病原体に対する攻撃を増強することによる。
【0133】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は複数の炎症性分子を含むものであってもよい。
【0134】
本明細書中のいくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物を含む分子(例えば、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分についての分子)の1種類以上の有益な組み合わせを予測するアルゴリズムを提供する。
【0135】
いくつかの実施態様では、本明細書中で用いる用語「アルゴリズム」は、本発明の組成物を含む1種類以上の蛋白質の免疫刺激効果の確率を算出する方法を意味することもある。例えば、該アルゴリズムは、1種類以上のヒト蛋白質による、有効な免疫刺激効果の確率を評価することを含むものであってもよい。
【0136】
いくつかの実施態様では、該アルゴリズムは、2種類以上の蛋白質の組み合わせの、有効な免疫刺激効果の確率を評価することを含むものであってもよい。
【0137】
具体的には、該アルゴリズムが2種類以上の蛋白質間の適合性レベルを算出するのであってもよく、例えば、「適合性」は、2種類以上の蛋白質を組み合わせたときの免疫刺激効果の増強および/または相乗効果に関する。
【0138】
いくつかの実施態様では、該アルゴリズムは、蛋白質の有効な免疫刺激効果の確率(例えば、比較に基づく)の評価、例えば、動物において免疫刺激効果を有する蛋白質に対する相同性の度合いの評価を含むものであってもよい。
【0139】
上記の表1は、e値で表現した特定蛋白質間の例示的比較を示している。
【0140】
いくつかの実施態様では、値が低いほど、比較する2種類の蛋白質間の適合性は良好となる。
【0141】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物はIgG成分の選択部分および/または選択領域を特異的に利用する。
【0142】
いくつかの実施態様では、IgG成分の選択部分および/または選択領域を利用することによって、(例えば、乳児または新生児による摂取時の)分子利用可能性を改善することができる。
【0143】
いくつかの実施態様では、用語「分子利用可能性」は、消化管における分子分解の必要性を無効にする、および/または回避するために、および透過性を増加させるために、乳児に経口的に与え得る分子の特定活性領域を消化することに関連することがある。
【0144】
いくつかの実施態様では、IgG成分の選択部分および/または選択領域は腸に入る前に吸収され得るものであり、これら分子の有効性が高まることがある;それによって、免疫系の増強を助ける(低分子の吸収は速いので、身体内でより速く作用し始めることがある)。
【0145】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、病原体に対する闘いにおいて新生児を助けることが可能であり、免疫系の発達を改善することが可能である1種類以上の免疫学的成分を含む。
【0146】
免疫グロブリンは免疫系の重要因子であり、直接病原体に作用するか、あるいは病原体に対して免疫系を動員することによって作用し得るものである。しかし、経口的に摂取されたほとんどの免疫グロブリンは消化系で分解される。赤ん坊の消化系はさほど発達していないため、多くの免疫グロブリンが無損傷のまま残るのである。さらに、一部の免疫グロブリンは口中でも吸収され得る。
【0147】
さらに、免疫グロブリンには多くの画分が存在し、特に、効力が非常に高いIgGの可変領域に由来する画分が多く存在する。これらの画分は小型であるため、酵素の蛋白質分解活性に対して「不活性」である。したがって、本発明の組成物の免疫学的成分としては、これらは大きな利点を与え得る。
【0148】
生化学において、ミカエリス・メンテンの速度論は、酵素速度論の最もよく知られたモデルの一つである。1925年にGeorge BriggsとJ.B.S.Haldaneによって、ミカエリス・メンテン式の最良の誘導式が示されており、それは以下の式である:
【化1】
ここで、Sは基質、Eは酵素である;ESは酵素-基質複合体、Pは産物、konは酵素-基質結合の2分子結合速度定数である;koffはES複合体が解離して遊離の酵素および基質に戻るときの単分子速度定数である;また、kcatはES複合体が解離して遊離の酵素および産物Pになるときの単分子速度定数である。
【0149】
いくつかの実施態様では、乳児の消化系においてペプシン酵素が基質(例えば、抗体)と相互作用すると直ぐに、ES複合体が形成されて産物(例えば、抗体の活性断片)方向に反応が進む。
【0150】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は抗体の酵素処理後の部分(例えば、IgG抗体の部分)を含み、これによって上記の式を産物(例えば、抗体の活性断片)の生産方向に向ける。
【0151】
いくつかの実施態様では、血流に到達し、そして標的部位(例えば、乳児の身体の感染領域)に到達する抗体の活性断片は、免疫系を迅速に刺激して活性化する(例えば、これらの断片と他の免疫刺激成分との組み合わせの結果としての相乗効果を含む)。
【0152】
例えば、免疫系は異なる成分(抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)、動員細胞(例えば、CD4)および活性細胞(例えば、NK細胞)など)から成る。これら異なる成分は一緒に作用することによって、有効な免疫的攻撃を開始することができる。いくつかの実施態様では、(例えば、本発明の組成物を用いることによって)免疫系の異なる局面を活性化することは、病原体に対する闘いおよび免疫系の刺激において非常に重要である。
【0153】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、免疫系の異なる成分を動員および/または活性化する(例えば、免疫刺激を増強する所望の効果を達成する)複数の分子を含んでいてもよい。
【0154】
いくつかの実施態様では、免疫系の一部の成分が個別に活性化されてもよいが、共に(協同的に)作用する時にはより効果的である;例えば、リゾチームは病原体を攻撃できるが、炎症性サイトカインを添加したときには、リゾチームは他の細胞(樹状細胞など)の動員も行い、これによって攻撃を増強するとともに、病原体をさらに破壊するためにその領域にNK細胞および好中球を動員する。
【0155】
いくつかの例証的な実施態様において、下の表1は本発明の組成物の成分についての可能な濃度を示している。
【0156】
【表2】
【0157】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、(例えば、免疫刺激効果を与えることによって)乳児の免疫系を強化するために用いるものであってもよい。
【0158】
他の実施態様においては、本発明の組成物は食品および/または飲料と混ぜてもよい(例えば、乳児用液状調製乳、乳児用調製粉乳、スポーツ選手用の乳製品および/またはミルクシェイク、免疫不全の各種病態に罹患している個体のための食品生産物などを含む)。
【0159】
本明細書中のいくつかの実施態様では、本明細書中に記載の組成物を含む免疫原性に増強された乳児用調製乳を提供する。いくつかの実施態様においては、該調製乳は、赤ん坊を高度に保護しながら(例えば、疾患に対する保護、免疫機構の増強、免疫系の増強など)赤ん坊の免疫系を刺激するものであってもよい。
【0160】
いくつかの実施態様では、該調製乳は重要なアミノ酸および脂肪酸ならびに成長の調節因子および食欲調節因子をさらに含むものであってもよく、そのようなものとしては、例えば、認知成長および認知発達を助ける健康栄養素を乳児に与えるものである(例えば、臓器および脳の発達などを助けるアミノ酸および脂肪酸の最適摂取を可能にすることによる)。
【0161】
いくつかの実施態様においては、該調製乳は、疾患から赤ん坊および/または乳児を守る、乳児の自然な胃腸管フローラを保護する、およびバランスのとれた栄養によって赤ん坊がより健康でより幸福になれるものであってもよい(例えば、鼓腸を軽減する、自然なフローラを保護する、睡眠を改善する、および乳児がより快適になるように改善することによって上記を達成する)。
【0162】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、乳児用調製乳と最適に混合される好適な状態および/または形態であってもよい(例えば、液状、粉末状、顆粒状形態などを含む)。
【0163】
いくつかの実施態様においては、本発明の組成物は少なくとも2種類の異なる初乳に由来する2種類以上の分子(例えば、第1の初乳に由来する第1の分子および第2の初乳に由来する第2の分子)を含むものであってもよい。
【0164】
本明細書中のこれらの実施態様においては、本発明の組成物を製造する方法もまた提供する。
【0165】
いくつかの実施態様では、該方法は、初乳のプールから成分を回収すること、および任意選択的に非初乳供給源から回収した成分を添加することを含んでいてもよい。
【0166】
いくつかの実施態様では、該方法は以下を含んでいてもよい:
(1)元の乳汁組成を調べること。前記調べることは、新生児の発生段階に応じた母乳の平均的な組成を明らかにすることを含むが、その理由は母乳の内容が乳児の発達度によって変わり、また遺伝的、環境および栄養上の相違によって母親毎に異なるからである。したがって、前記調べることは典型的には、出産後の様々な時点で複数群の母親から採取して乳汁内容を分析することを含む。前記調べることは、複数の分析技術で実施するのであってもよい。
【0167】
いくつかの実施態様においては、成分の構造決定に質量分析(MS)を利用してもよい。任意選択的に、1種類以上の複合技術またはより特殊化したMS技術を利用してもよい(HPLC-MS(高速液体クロマトグラフィー-MS)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、飛行時間MS、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)など)。
【0168】
(2)市販の調製乳に一般的な1種類以上の成分を提供すること(例えば、各種ミネラルならびにビタミンA、D、EおよびK、ビタミンC、リボフラビン、ナイアシンおよび/またはペンタン酸など)。
【0169】
(3)市販の調製乳には一般的ではないが、母乳に存在するものに類似する1種類以上の成分を提供すること;このようなものとしては、例えば:
(a)免疫系増強因子。IgAおよび種々のサイトカインのような免疫原性成分。免疫原性成分は、本来は乳児の粘膜(呼吸器系および消化器系)に局在しており、赤ん坊の身体と環境中の病原体との間の第1の免疫障壁として機能する。本実施態様の局面においては、通常これらの成分を初乳から取得する。
(b)乳児の一般的な発達および成長、血糖バランスおよび体温調節に寄与する因子(例えば、ホルモンおよび増殖因子:甲状腺ホルモン、インスリン、および成長ホルモン)。本実施態様の局面においては、通常これらの成分も初乳から取得する。
(c)脳の発達に寄与する、および/または食欲を調節するホルモン(オメガ3不飽和脂肪酸、カンナビノイド、グレリンおよび/またはレプチンなど)。本実施態様の局面においては、これらの成分は自然の供給源から取得するか、または合成物である(食欲制御因子であるヘキサレリン(hexarelin)など)。
(d)細胞内脂肪濃度の低減因子および抗炎症物質(例えば、アディポネクチン)。本実施態様の局面においては、通常これらの成分も、回収した初乳および/または乳汁から取得する。
(e)乳汁中に元々存在する脂肪、蛋白質および炭水化物の消化に関して消化系の適正活動、ならびに消化不良予防の促進因子または改善因子。そのような促進因子は各種酵素であってもよい。本実施態様の局面においては、これらの成分を天然の供給源から取得する。
(f)ウイルス増殖阻害因子および細菌増殖阻害因子(例えば、鉄に結合し、細胞における鉄吸収を増加させ、その結果として細菌にとって重要な鉄の取り込みを阻害することにより細菌増殖を停止させるラクトフェリン蛋白質)。本実施態様の局面においては、回収した初乳であってもよい天然の供給源から、これら成分を取得する。
(g)カルシウム吸収を促進し、有益な細菌増殖を増加させる乳糖。乳糖は、病原体に対する防御のため、および歯垢を減らすために利用される。本実施態様の局面においては、乳糖を天然の供給源から取得するか、あるいは合成する。
(h)遺伝的突然変異に対する予防因子。例えば、癌細胞発生に対する闘いにおいて役立つハムレット・プロテイン(Hamlet protein)。本実施態様の局面においては、通常これらの成分を、回収した初乳から取得する。
【0170】
いくつかの実施態様では、項目(a)、(b)、(d)、(f)および/または(h)の成分については、市販の調製乳に一般的な1種類以上の成分と任意選択的に組み合わせることによって、本発明者らの乳児用改善調製乳がそれらの成分を含むのであってもよい。任意選択的に、項目(c)、(e)および/または(g)の成分もまた、該改善調製乳の成分として添加してもよい。
【0171】
いくつかの実施態様では、上記の成分の混合物から乳児用調製粉乳を調製するために噴霧乾燥器を利用してもよい。
(4)乳児用改善調製乳を試験すること。プールした初乳から調製した該調製乳の有効性については、まず蛋白質プリンター(マイクロアレイ)で試験する。次いで、該調製乳をヒト細胞株および/または動物で試験してもよい。
【0172】
いくつかの実施態様においては、該プリンターは、ヒト類似のマトリックス中の非ヒト分子の活性あるいはヒト抗原に対する活性を調べるのであってもよい。
【0173】
いくつかの実施態様では、該プリンターは、それぞれ捕捉蛋白質アレイが結合するスライドグラス、ニトロセルロース膜、ビーズ、またはマイクロタイター・プレートなどの支持体表面から成るチップを含むものであってもよい。プローブ分子(典型的には蛍光色素で標識したもの)をアレイに添加する。プローブと固定化蛋白質との間の反応は蛍光シグナルを発するので、それをレーザースキャナーで読み取る。
【0174】
いくつかの実施態様では、適正な抗体-抗原活性化を確認するためにさらに試験を行うこともできる。
【0175】
当該実施態様の一局面に準拠する粉末の生産処理の詳細を説明する図1を参照のこと。この処理は以下を含む:
ホモジナイザーを備えたバイオリアクターに乳清と初乳を入れること;
本質的に均一な混合物に成るようにリアクター中で乳清と初乳をホモジナイズすること;
クロスフロー濾過またはタンジェンシャルフロー濾過(TFF):例えば、食品グレードの認定を受けたステンレス鋼のパイプシステムであって、セラミックフィフターを裏打ちしたパイプシステムに、混合物を低温で、すなわちヒト体温より高くはない温度で通過させること。
【0176】
この濾過には、混合物から余剰脂肪を除去する役割がある。濾過工程の残余物は、蛋白質に富んだ、栄養価の高い濾過液状物である。
【0177】
スチームで外部から加熱する噴霧乾燥器に残余物を通して、次いで凍結乾燥する。
【0178】
凍結乾燥粉末および市販の調製乳に通常存在する栄養成分(ビタミン、ミネラル、でんぷんおよび乳糖など)は、三角ロートによって添加し混合してもよい。得られた混合物は顆粒化してもよい。
【0179】
顆粒状粉末は有効性に関して検査してもよく、また添加試料を回収して安定性および微生物増殖に関して試験してもよい。
【0180】
いくつかの実施態様では、懸濁液の形態で提供する。例えば、実施態様において、直ぐ飲めるシェイクの形態で利用者に提供してもよく、あるいは水、フルーツジュース、または市販のミルクまたはヨーグルトなどの各種液状物に容易に懸濁できる粉末として提供することもできる。好ましい実施態様では、体温よりも高い温度には暴露しない、すなわち最高温度40℃、より好ましくは37℃を超えない。当該実施態様の調製もまた、好ましくはそのような温度で実施する。
【0181】
実施態様の他の局面においては、該調製乳はカプセルまたはシロップの剤形である。
【0182】
含有内容と製造処理を適切に調整すれば、該調製乳を、子供、慢性疾患の高齢者、妊婦およびスポーツ選手の治療または栄養補給に利用することもできる。該調製乳は、感染症などの病態の治療に利用することもできる。歴史的には、特に抗生物質の出現以前は、初乳がそのような目的に利用されてきたのであるが、現在では特定の初乳をこの目的で選択してもよく、より具体的には、いくつかの実施態様において、該病態の治療への利用を目的とする物質の濃度または活性を増加させる複数の初乳の組み合わせを選択してもよい。
【0183】
該調製乳は、食品グレードまたは栄養補給食品として提供してもよい。その含有内容および意図する用途ならびに利用者の要求に応じて、食事での摂取不足またはその他の欠乏に対する処置のための、他の食品供給源の補完物として、あるいは該調製乳の成分のうちの1種類以上の主要な、または唯一の供給源として、該調製乳を利用してもよい。いくつかの実施態様においては、該調製乳はプロドラッグ(該調製乳の他の成分の吸収を助けるもの、または同時に提供される他の栄養源の吸収を助けるものなど)を含む。代替的に、あるいは付加的に、成分の一部を腸溶コーティングして、胃で消化されることから保護してもよい。
【0184】
非ヒトおよびヒト免疫原性成分の間に交差反応性が存在する場合もある。したがって、該実施態様の他の一局面は、非ヒト初乳とヒト初乳または乳汁の免疫学的成分間の高度の交差反応性にとって最適または少なくとも好ましい条件(その観点から、あまり好適ではない成分を排除しながら、最適な成分が該調製乳に含まれるように選択することによる条件など)を提供することに関するものである。
【0185】
そのような選択は、参考文献が利用可能ならそれに基づく、あるいは発明者らの実験に基づく、のいずれかによって、異なる(典型的には、2~4)製造元に由来するヒト抗体を候補成分と比較して選択肢を絞り込むことであってもよい。他の予備的指標は、ヒト成分と非ヒト候補成分との間の相同性の程度である。
【0186】
この試験および/または実験は、ヒト抗体の高反応性は候補成分の高度交差反応性に関する指標であるという、不正確ではあるが妥当な初期仮定に基づいて実施してもよい。次いで、実際の実験は、例えば、ヒト細胞株を用いて実施し、前記仮定を確認することもできる。
【0187】
本明細書中のいくつかの実施態様では、動物から初乳を取得する方法を提供する。
【0188】
いくつかの実施態様では、該方法は以下を含むものであってもよい:
物理学的方法
【0189】
いくつかの実施態様では、物理学的方法は、濃縮し、初乳を画分に分離し、好ましくない成分を含む画分を廃棄することによって不純物を除去するために用いる浄化方法を含み得る。
【0190】
いくつかの実施態様では、該物理学的方法は、初乳それ自体の外にある成分に初乳を曝露しないので、その組成はほとんど不変のままである。
【0191】
いくつかの実施態様では、不必要な全ての分子から初乳を精製するために、これら成分の分子サイズ、分子量および特性を知る必要があり、それに応じた好適な浄化方法を選択する必要がある。
【0192】
いくつかの実施態様では、不純物除去の際に問題になるのは、2種類の成分のサイズと物理学的特性が似ており、一方が必要で他方が不必要である場合である。
【0193】
いくつかの実施態様では、該物理学的方法では電気泳動を利用してもよく、いくつかの実施態様においては、溶液中の分子をサイズによって分離するために用いることができる。初乳中の所望の成分または不要の成分のそれぞれの分子量が既知である限り、不純物を除去し初乳の所望画分のみを残すために本法を用いることができる。
【0194】
いくつかの実施態様では、該物理学的方法は透析を利用してもよく、いくつかの実施態様においては、分子が半透過性膜を通過して拡散する速度によって、溶液から当該分子を分離するために用いることができる。低分子除去に最も一般的に利用される。
【0195】
いくつかの実施態様では、該物理学的方法は遠心分離を利用してもよく、いくつかの実施態様においては、分子サイズ、分子量および密度にしたがって、溶液を複数の画分に分離するために用いることができる。
【0196】
いくつかの実施態様では、該物理学的方法はクロマトグラフィーを利用してもよく、いくつかの実施態様においては、イオン交換体に対する親和性に基づいて荷電分子を分離するために用いることができる。
【0197】
いくつかの実施態様では、物理学的方法としては、電気泳動、透析、遠心分離およびイオン・クロマトグラフィーが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0198】
化学的方法
いくつかの実施態様では、化学的方法は、所望の分子を標的として、初乳の残りの部分からそれらを分離する特異的浄化方法を含み得る。これらの方法はより「侵襲的」であり、その意味は、全体から所望分子を分離し易くするために外来成分を初乳に添加するということである。上記の理由で、これらの方法はより複雑な調整処理を実施することとなり、最早、これら精製分子は厳密には初乳とは見なすことができない。
【0199】
いくつかの実施態様では、これらの方法を適用するためには、化学的組成またはそれぞれ特異的標的分子が有する少なくとも1種類の化学相互作用が分かっており、次いで好適な方法を用いる必要がある。
【0200】
いくつかの実施態様では、最終産物から完全に除去される標的分子を分離するために、いかなる追加成分が初乳に添加されているかを確認する付加的工程を、これらの方法は必要とする。
【0201】
いくつかの実施態様では、これらの方法の利点は、「所望の」分子のみを標的とするので、得られる最終産物は、初乳から選択されるこれらの必要成分だけを含めばよいということである。
【0202】
いくつかの実施態様では、該化学的方法では免疫沈降を利用してもよく、いくつかの実施態様においては、溶液から抗原を、それに結合する抗体を利用して分離する目的で用いることもできる。
【0203】
いくつかの実施態様では、該化学的方法では酵素反応による分離を利用してもよく、いくつかの実施態様においては、特異的基質-酵素相互作用を活用して、(例えば、表面に結合させることによって)標的分子を分離する目的で用いることもできる。
【0204】
いくつかの実施態様では、該化学的方法ではクロマトグラフィーを利用してもよく、いくつかの実施態様においては、標的分子の特性を利用する、ある種の結合物質を保持する表面に該溶液を接触させることによって、分子を溶液から分離するために用いることができる。
【0205】
物理学的方法および化学的方法の利点および欠点を示す図である図2を参されたい。
【0206】
いくつかの実施態様では、該化学的方法としては、免疫沈降、酵素反応による分離、クロマトグラフィー(HPLC)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0207】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物を含む乳児用調製乳を提供する。
【0208】
いくつかの実施態様では、該乳児用調製乳は、赤ん坊および乳児を育てるために設計され販売される好適な食品であって、通常、粉末(水と混合する)または液体(付加的に水を用いる場合も、用いない場合もある)から調製する、哺乳びんまたは授乳カップ用の食品を含み得る。
【0209】
本明細書中のいくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物を含む液状濃縮物を提供するが、ここで該濃縮物は、液体状態の「直ぐ摂取できる」乳児用調製乳と混合するように適合させる。
【0210】
いくつかの実施態様では、該液状濃縮物は、乳児に与える液状食品の量に応じて、様々な濃度で用いることができ、例えば、完成品が120mlである直ぐ摂取できる乳児用食品を提供するために、20mlの濃縮物を100mlの調製済み乳児用調製乳食品と混合する必要があるものであってもよい。
【0211】
いくつかの実施態様では、例えば、完成品が150mlである直ぐ摂取できる乳児用食品を提供するために、50mlの濃縮物を100mlの調製済み乳児用調製乳食品と混合する必要があるものであってもよい。あるいは、乳児の年齢に応じて、該液状濃縮物を異なる濃度で与えるのであってもよい。例えば:
(a)4週齢の乳児については、完成品が120mlである直ぐ摂取できる乳児用食品を得るために、40mlの濃縮物を80mlの調製済み乳児用調製乳食品と混合する必要があるものであってもよく、
一方、
(b)25週齢の乳児については、完成品が120mlである直ぐ摂取できる乳児用食品を提供するために、20mlの濃縮物を100mlの調製済み乳児用調製乳食品と混合する必要があるものであってもよい。
【0212】
いくつかの実施態様では、例えば:
(a)2~8週齢の乳児については、完成品が140mlである直ぐ摂取できる乳児用食品を得るために、50mlの濃縮物を90mlの調製済み乳児用調製乳食品と混合する必要があるものであってもよく、
一方、
(b)9~25週齢の乳児については、完成品が120mlである直ぐ摂取できる乳児用食品を提供するために、20mlの濃縮物を100mlの調製済み乳児用調製乳食品と混合する必要があるものであってもよい。
【0213】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、例えば、乳児用改善調製乳を提供するために、個々の動物間で、例えばウシとヒツジで、初乳のばらつきを含んでいてもよい。
【0214】
下記に詳細に説明する実施態様の一局面においては、複数の初乳に由来する成分を含む組成物を提供する。そのような複数の初乳は、その成分の濃度および/または活性が多種多様であってもよい。
【0215】
いくつかの実施態様では、用語「個体(単数)」および/または「個体(複数)」は、初乳を採集できる好適な哺乳動物を意味し得るものであり、そのような個体としては、例えば、ヒト、ウシ(bovine)、家畜(例えば、ウシ(cows)、ヤギ、ヒツジ)、ウマ、ラクダ、ブタ(swine)、水牛、ヤク、ブタ(pig)、トナカイ、ラマ、イヌ、アルパカなどが挙げられる。
【0216】
いくつかの実施態様では、初乳は複数の非ヒト動物から採集してプールしてもよい。次いで、ヒト乳児の摂取にとって好適な乳児用調製乳を生産するために、プールした初乳を加工する。
【0217】
別の実施態様においては、第1の個体の初乳、または初乳成分の濃度および/または活性が類似している複数個体の第1の群の初乳(1箇所の農場に由来する、選択された複数のウシから得られるものなど)を処理し、次いでその加工品を、第2の個体、または同様に初乳成分の濃度および/または活性が類似しているが、第1の群の初乳とは異なる他の個体の第2の群に由来する、別の加工初乳と混合する。
【0218】
加工処理は、選択した成分の除去を含むものであってもよく、例えば、(前処理した、または生の)初乳を調製用のアフィニティ・カラムに通すことによって、または母乳中の成分それぞれの予想される、または所望の濃度または活性に相対的な成分の濃度に応じて、選択した成分の活性が変化するように、成分を反応させることによって除去する。
【0219】
該実施態様の一局面においては、各種のプール初乳から調製した乳児用調製乳であって、免疫原性分子と共に栄養成分を含む乳児用調製乳である製品を提供する。いくつかの実施態様では、例えば、疾患を予防し赤ん坊の健康と幸福を高める目的で赤ん坊の成長と発達を促進する追加的な成分を含む。いくつかの実施態様では、ヒト母乳に類似する組成物で乳児用代用乳を構成してもよい。
【0220】
特に、いくつかの実施態様では、新生児に免疫保護を提供する、および赤ん坊の罹患を予防する目的で、少なくとも1種類のサイトカインおよび少なくとも1種類の抗体(例えばIgA(免疫グロブリンA))を含む。
【0221】
別の実施態様においては、該調製乳はまた、唯一または付加的な初乳供給源として、非ウシ、非ヤギかつ非ヒツジの初乳に由来するものであるが、例えば、初乳の供給源はイヌであってもよい。イヌについて行った試験では、大部分のインターロイキンが、上記のいずれの家畜よりもヒト初乳に対して、高い相同性と交差反応性を示した。
【0222】
上記で簡単に説明したように、成分の一部は、その免疫学的有効性を増強または低下させる目的で、除去および/または修飾してもよい。そのような成分は、特に外来基質を認識して免疫系のキラー細胞に適切なシグナルを伝えるtoll様受容体であってもよく、一般的な免疫学的有効性を高める目的では、例えば、初乳に存在するTLR-2リガンドおよびTLR-4リガンド、または脂質輸送を支援する主要なコレステロール運搬体であり腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-a)を抑制するアポリポ蛋白質E(ApoE)であってもよい。
【0223】
いくつかの実施態様では、ウシの初乳に由来する分子は、ヒトに投与した場合に、アレルギー誘発性および/または好ましくない免疫効果を与えることもある。いくつかの実施態様では、このアレルギー誘発性および/または好ましくない免疫効果は低減させることもでき、および/またはメチル化、カプセル封入、塩分子への結合、など。
【0224】
該実施態様のさらに別の一局面においては、例えば、適切な栄養素を乳児にさらに与えるために、本発明の組成物は以下の群のいずれか1つから選択される1種類以上の成分を付加的に含んでいてもよい:
シュードビタミン:
イノシトール。
ビタミン:
ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、ピリドキーサル、ピリドキサミン、ピリドキシン(B6)、レチノール(A1)、リボフラビン(B2)、ビオチン、コリン、コバラミン(B12)、フッ素、葉酸、チアミン、トコフェロール、ビタミンa、ビタミンb1(チアミン)、ビタミンb12、ビタミンb2(リボフラビン)、ビタミンb3(ナイアシン)、ビタミンb5(パントテン酸)。ビタミンb6、ビタミンb7(ビオチン)、ビタミンc、ビタミンd、ビタミンd代謝物、ビタミンd-結合蛋白質、ビタミンe、ビタミンe(アルファ・トコフェロール)、ビタミンk。
ペプチドホルモン:
インスリン、プロラクチン。
蛋白質サブユニット:
インテグリン-アルファm。
ペプチド:
プロアクチベーター・ポリペプチド。
蛋白質:
インテグリン・ベータ-2、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、ラクトアドヘリン、ラクトアルブミン、ラクトフェリン、ラクトトランスフェリン、ロイシンジッパー-ef-ハンド含有膜貫通蛋白質1、ロイシンリッチ・アルファ-2-糖蛋白質1、Limおよびsh3ドメイン蛋白質1、リポ多糖-結合蛋白質、リトスタチン、低親和性免疫グロブリン・ガンマfc領域受容体ii、リンパ球サイトゾル蛋白質1(l-プラスチン)、リンパ球特異的蛋白質1、マクロファージ化学誘引性蛋白質-1、マクロファージ炎症蛋白質-1α、マクロファージ-キャッピング蛋白質、Matr3蛋白質、Mgc165862蛋白質、Mip-1β別名マクロファージ炎症蛋白質-1β、モエシン、単球走化性蛋白質1、ムチン類、ミオシン軽ポリペプチド6、ミオシン調節軽ポリペプチド9、マイリストイル化アラニンリッチCキナーゼ基質、好中球サイトゾル第2因子、ヌクレオチド交換因子SIL1、匂い結合タンパク質様Olfm4蛋白質、破骨細胞刺激因子1、オステオポンチン、Pcyox1蛋白質、Pdia6蛋白質、ペプチドグリカン認識蛋白質、ペプチジルプロリンシストランス異性化酵素aおよびb、ペルオキシレドキシン-1、ペルオキシレドキシン-4、ペルオキシレドキシン-5、ミトコンドリアリン酸輸送蛋白質、ミトコンドリア色素上皮由来因子、多量体免疫グロブリン受容体、ポリピリミジントラクト結合蛋白質1、Pp1201蛋白質、プロフィリン-1、プロヒビチン、プロヒビチン-2、プロテアソームサブユニット・ベータ2、蛋白質os-9、蛋白質s100-a12、蛋白質s100-a4、蛋白質s100-a9、プロテオリピド蛋白質2、P-セレクチン、推定未同定蛋白質mgc137211、Qsox1蛋白質、Rab14蛋白質、Ras-関連蛋白質rab-1b、Ras-関連蛋白質rab-21、Ras-関連蛋白質rab-5c、Ras-関連蛋白質rab-7a、Ras-関連蛋白質rap-1b、受容体発現促進蛋白質5、レジスチン、レチノール-結合蛋白質4、Rnase2蛋白質、Rpn1蛋白質、Samドメインおよびhdドメイン-含有蛋白質1、Scamp2蛋白質、Scgb2a2蛋白質、セクレトグロビンファミリー1dメンバー2、血漿トランスフェリン、SERPINA3-1、SERPINA3-3(エンドピン1b)、SERPINA3-5、SERPINA3-6、SERPINA3-8、SERPINB4蛋白質、SERPIND1蛋白質、血清アルブミン、Sh3ドメイン-結合グルタミン酸リッチ様蛋白質3、s100カルシウム-結合蛋白質a11(s100a11蛋白質)類似体(断片)、Slc3a2蛋白質、溶質担体ファミリー3、Sparc/オステオネクチン、cwcvおよびkazal-様ドメインプロテオグリカン(テスティカン)1、スプライシング因子3サブユニット1、Sqrdl蛋白質、Stat1蛋白質、ステフィン-c、シスタチン-b(ステフィン-b)、cstb蛋白質、Stom蛋白質、ストマチン様蛋白質2、14-3-3蛋白質ベータ/アルファ、14-3-3蛋白質イプシロン、14-3-3蛋白質ガンマ、14-3-3蛋白質テータ、14-3-3蛋白質ゼータ/デルタ、15kdaセレノ蛋白質、A2m蛋白質、アクチン(細胞質1、2)、アクチン-関連蛋白質2、アクチン-関連蛋白質2/3複合体サブユニット1b、アクチン-関連蛋白質2/3複合体サブユニット2、アクチン-関連蛋白質2/3複合体サブユニット5、アクチン-関連蛋白質3、心筋αアクチン1、ADAM10、アデニル酸シクラーゼ結合蛋白質1、アディポネクチン、アディポフィリン、アドセベリン、α1-酸性糖蛋白質、α1-アンチキモトリプシン、α1-アンチトリプシン、α-1b-糖蛋白質、α-2マクログロブリン、α-2-抗プラスミン、α-2-hs-糖蛋白質、α-アクチニン-1、α-アクチニン-4、α-ラクトアルブミン、αラクトグロブリン、アミロイド蛋白質a、アンギオジェニン-1、アンジオポイエチン-関連蛋白質4、アンジオテンシノーゲン(SERPINペプチダーゼ阻害因子、クレードa、メンバー8)、アネキシンa1、アネキシンa2、アネキシンa3、アネキシンa5、アネキシンa6、アネキシンa7、抗トロンビン-iii、アポリポ蛋白質a-I、アポリポ蛋白質a-iv、アポリポ蛋白質c-iii、アポリポ蛋白質d、アポリポ蛋白質E、B12-結合蛋白質、インテグリンB4α6、インテグリンB5α、インテグリンB6α、インテグリンB7α4/lpam-1、インテグリンB8α、B細胞受容体結合蛋白質31、ベータ-2-ミクログロブリン、ベータセルリン(btc)、ベータ-ラクトグロブリン、脳酸可溶性蛋白質1、Btd蛋白質、ブチロフィリン・サブファミリー1メンバーa1、アナフィラトキシンC5a受容体、
カルレティキュリン、Canx蛋白質、カゼイン、陽イオン依存性マンノース6リン酸受容体、Cd177蛋白質、Cd5l蛋白質、Cd82蛋白質、Cd9抗原、細胞分裂制御蛋白質42ホモローグ、tcp-1含有シャペロニンサブユニット5(イプシロン)、キチナーゼ-3-様蛋白質1、クラスリン重鎖1、クラステリン、コフィリン-1、コレクチン-43、コングルチニン、コロニン-1a、Cp蛋白質(断片)、システインに富む分泌性蛋白質2、サイトアドヘシン類、チトクロームb-c1複合体サブユニット2、ミトコンドリア・チトクロームc、血管拡張因子刺激リン酸化蛋白質、チトクロームcオキシダーゼサブユニット4アイソフォーム1、ミトコンドリア・チトクロームc1ヘム蛋白質、ミトコンドリア・ドリキルジホスホオリゴ糖-蛋白質グリコシルトランスフェラーゼ・サブユニット2、ジストログリカン-ef-ハンドドメイン含有蛋白質d2、電子伝達フラビン蛋白質サブユニットβ、伸長因子1-アルファ1、伸長因子1-アルファ2、伸長因子1-ガンマ、伸長因子2、エンドプラスミン、精巣上体分泌蛋白質e1、E-セレクチン/elam-1、真核生物開始因子4a-I、真核生物翻訳開始因子5a-1、エズリン-ラディキシン-モエシン-結合リン酸化蛋白質50、F-アクチン-キャッピング蛋白質サブユニットα1、F-アクチン-キャッピング蛋白質サブユニットβ、第xiia因子阻害因子、脂肪細胞特異的脂肪酸結合蛋白質、表皮性脂肪酸結合蛋白質、Fc受容体、乳汁産生抑制因子(fil)、フェチュイン、フィブリノーゲンγ鎖蛋白質、フィブリノーゲンα鎖、フィブリノーゲンβ鎖、フィブロネクチン、フィラミンa、Fk506-結合蛋白質11、葉酸受容体α、G蛋白質共役受容体ファミリーcグループ5メンバーb、IgEに結合するガラクトース特異的レクチン、Ganab蛋白質、ゲルゾリン、糖蛋白質2(チモーゲン顆粒膜)、糖化依存性細胞接着分子1、グリピカン1、Gnai2蛋白質、顆粒球コロニー刺激因子、ハムレット、ハプトコリン、ハプトグロビン、熱ショック70kda蛋白質1a、1b、熱ショックコグネート71kda蛋白質、熱ショック蛋白質ベータ-1、熱ショック蛋白質hsp90-α、熱ショック蛋白質hsp90-β、ミトコンドリア熱ショック蛋白質、造血細胞特異的Lyn基質-1、ヘム-結合蛋白質1、ヘモグロビン・サブユニットα、ヘモグロビン・サブユニットβ、ヘモペキシン、ヘテロ核リボヌクレオ蛋白質a/b、ヘテロ核リボヌクレオ蛋白質a1、ヘテロ核リボヌクレオ蛋白質d、ヘテロ核リボヌクレオ蛋白質h2、ヘテロ核リボヌクレオ蛋白質、ヘテロ核リボヌクレオ蛋白質10a2/b1、ハイバーネション蛋白質20様、高移動度群蛋白質b2、高ヒスチジン糖蛋白質、ヒストンh1.1(断片)、ヒストンh2a、ヒストンh2aタイプ1、ヒストンh3.3、ヒストンh4、エンドピン2、2b、エンドピン2c、Tコンプレックス蛋白質1サブユニットδ、テトラネクチン、Tgoln2蛋白質、チオレドキシン、Tmed7蛋白質、形質転換蛋白質rhoa、膜貫通emp24ドメイン含有蛋白質10、トランスサイレチン、チューブリンα-1b鎖、トロポミオシンα-3鎖、チューブリンβ-2c鎖、β-5鎖、ビメンチン、ユビキチン、Upf0527膜貫通蛋白質、ミトコンドリア極長鎖アシルCoA脱水素酵素、Vla、Vla-1、Vla-2、Vla-3、Vla-4、Vla-5、Vla-6、電位依存性陰イオン選択チャネル蛋白質1、WAP4ジスルフィドコアドメイン2、Wd反復含有蛋白質1、Yip1ドメインファミリーメンバー3、ザイキシン、αラクトアルブミン、α-s1-カゼイン、β-カゼイン。
複合体:
補体c1、補体c1sサブコンポーネント、補体c2、補体c3、補体c4、補体c4(断片)、補体c5、補体c6、補体c7、補体c8、補体c9、補体因子b、補体因子h、補体因子i。インターロイキン:
Il1、Il10、Il12、Il13、Il16、Il1β、Il2、Il20、Il3、Il4、Il5、Il6、Il7、Il8。
糖蛋白質:
血小板糖蛋白質4、タパシン、単球コロニー刺激因子、トロンボポエチン、ビトロネクチン、亜鉛-α2糖蛋白質。
腫瘍壊死因子:
Tnf-α、Tnf-β。
糖類:
乳糖、マルトース、単糖類、ガラクトオリゴ糖、乳糖オリゴ糖、オリゴ糖類、多糖類でんぷん、スクロース、トランスガラクトオリゴ糖類。
免疫グロブリン類:
細胞間接着分子1、細胞間接着分子2、細胞間接着分子3、Siga(1および2)、免疫グロブリンa、免疫グロブリンa2、免疫グロブリンd、免疫グロブリンe、免疫グロブリンg、免疫グロブリンg1、免疫グロブリンg2、免疫グロブリンm。
ミネラル類および金属類:
ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ナトリウム、イオウ、カルシウム、塩素、銅、コバルト、クロム、亜鉛。
酵素類:
細胞質イソクエン酸脱水素酵素[nadp]、ミトコンドリア・イソクエン酸脱水素酵素[nadp]、ラクトペルオキシダーゼ、L-アスパラギナーゼ、リパーゼ、L-セリン・デヒドラターゼ、リゾチーム、細胞質リンゴ酸脱水素酵素、ミトコンドリア・リンゴ酸脱水素酵素、ミクロソーム・グルタチオンS-トランスフェラーゼ1、ミエロペルオキシダーゼ、Nadh-チトクロームb5還元酵素3、好中球エラスターゼ、ヌクレアーゼ感受性エレメント結合蛋白質1、ヌクレオシド二リン酸キナーゼa2、Paf-アセチルヒドロラーゼ、ホスファターゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ1、ホスホグリセリン酸ムターゼ1、プロスタグランジン-h2 d-異性化酵素、蛋白質ジスルフィド異性化酵素、蛋白質ジスルフィド異性化酵素a3、蛋白質ジスルフィド異性化酵素a4、プロトロンビン、ピルビン酸キナーゼ、RNA分解酵素、膵臓RNA分解酵素、RNA分解酵素uk114、リボースリン酸ジホスホキナーゼ1、セリン・プロテアーゼ、Na-/K--輸送性ATPアーゼ・サブユニットα-1、活性酸素分解酵素、一級アミンオキシダーゼ(肝アイソザイム)、アデノシルホモシステイナーゼ、ミトコンドリア・アデニル酸キナーゼ・アイソザイム2、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ2型、ミトコンドリア・アコニット酸ヒドラターゼ、ADP/ATPトランスロカーゼ2、ADP/ATPトランスロカーゼ3、ミトコンドリア・アルデヒド・デヒドロゲナーゼ、α1-アンチプロテアーゼ、アミラーゼ、α―エノラーゼ、抗蛋白質分解酵素、アミトコンドリア・スパラギン酸アミノ基転移酵素、ATP合成酵素蛋白質8、ATP合成酵素サブユニットα(心臓アイソザイム、ミトコンドリア)、ミトコンドリアATP合成酵素サブユニットβ、ミトコンドリアATP合成酵素サブユニットδ、ミトコンドリアATP合成酵素サブユニットe、ミトコンドリアATP合成酵素サブユニットγ、ミトコンドリアATP合成酵素サブユニットo、ジペプチジルペプチダーゼ1、アリールスルファターゼ、β-1,4-ガラクトース転移酵素1、カルパイン小サブユニット1、カタラーゼ、カテプシンb、カテプシンd、カテプシンh、カテプシンs、カテプシンz、ミトコンドリア・クエン酸合成酵素、クレアチンキナーゼb型、細胞質アミノペプチダーゼ、サイトゾル非特異的ジペプチダーゼ、ミトコンドリア・エノイルCoAヒドラターゼ、脂肪酸合成酵素、フラビンレダクターゼ、フルクトース-ビスリン酸アルドラーゼ1および2、フマル酸ヒドラターゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、グルコシダーゼ2サブユニットβ、ミトコンドリア・グルタミン酸デヒドロゲナーゼ1、グルタチオンペルオキシダーゼ1、グルタチオンS-トランスフェラーゼp、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ(肝型)、ヘパラン硫酸(グルコサミン)3-O-スルホトランスフェラーゼ1、ヒスタミナーゼ、ミトコンドリア・チオレドキシン依存性過酸化物還元酵素、トランスアルドラーゼ、移行性小胞体ATPアーゼ、トランスケトラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、細胞質トリプトファニルtRNAシンテターゼ、ユビキチン様修飾因子活性化酵素1、V型プロトンATPアーゼ触媒サブユニットa、キサンチンデヒドロゲナーゼ/キサンチンオキシダーゼ、UTP-グルコース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ。
アミノ酸類:
ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、リジン、メチオニン、プロリン、セリン、アデノシン一リン酸(5”-amp)、アラニン、アルギニン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン。
阻害性分子類:
インターαトリプシン・インヒビター複合体要素II、インターαトリプシン・インヒビター重鎖h1、インターαトリプシン・インヒビター重鎖h4。
キニノゲン-1、2、白血球エラスターゼ阻害剤、マクロファージ遊走阻止因子、Rho GDP解離阻害因子1および2、セロトランスフェリン様、脾臓トリプシン阻害物質I。
細菌:
ラクトバチルス・ラムノースス(L.Rhamnosus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri(lactobacilli))。
酸類:
乳酸、ラウリン酸、ルーメン酸(cla)、α-ヒドロキシ酸。
脂質類:
ラクトシルセラミド、メソステロール、ホスファチジルイノシトール、多価不飽和脂肪、プロスタサイクリン類、プロスタグランジン類、スフィンゴリピド類、スフィンゴミエリン、トロンボキサン類、βラソステロール。
リン脂質類:
ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、プラズマロゲン類。細胞:
白血球、リンパ球、マクロファージ、ナチュラルキラー(nk)細胞、好中球、食細胞、好塩基球、Bリンパ球別名B細胞、樹状細胞、好酸球、ロイコトリエン類、Tリンパ球別名T細胞。
細胞接着分子類:
L-セレクチン、Madcam-1、Pecam-1、Vcam。
細胞成分:
ラミンB1前駆体、リゾホスファチジルエタノールアミン、Nadhデヒドロゲナーゼ[ユビキノン]1αサブコンプレックス・サブユニット8。
ステロール類:
ラソステロール、スティグマステロールおよびカンペステロール、7-デヒドロコレステロール、7-ケトコレステロール、コレステロール。
ホルモン類およびステロイド類:
レプチン、オキシトシン、コルチコステロン、コルチゾール、
ジメチルステロール、エイコサノイド類、グレリン、ゴナドトロピン放出ホルモン(gnrh)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、サイロキシン、トリヨードサイロニン。
増殖因子類:
上皮増殖因子(egf)、線維芽細胞増殖因子1(fgf1)、線維芽細胞増殖因子2(fgf2)、線維芽細胞増殖因子-結合蛋白質1、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、成長分化因子8、
インスリン様増殖因子1および2、インスリン様増殖因子-結合蛋白質7、形質転換増殖因子ベータ(tgf-β)。
リボソーム蛋白質:
40sリボソーム蛋白質s3、40sリボソーム蛋白質sa、60s酸性リボソーム蛋白質p0、60s酸性リボソーム蛋白質p2、60sリボソーム蛋白質l12、60sリボソーム蛋白質l4、60sリボソーム蛋白質l5、60sリボソーム蛋白質l8。
アレルゲン類:
アレルゲンbos d 2。
抗原類:
ルイス抗原aおよびb、リンパ球機能関連抗原1、Mhc抗原重鎖(断片)、Mhcクラスii抗原配列1および2、Mhcクラスii dr-α(断片)、単球分化抗原cd14、非古典的mhcクラスi抗原(断片)、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1および2、Scd14、Thy-1細胞表面25抗原、アレルゲンbos d 2。
色素類(カロテノイド類):
βクリプトキサンチン、ゼアキサンチン、βカロテン。
脂肪類:
飽和脂肪。
脂肪酸類:
リノール酸(la)、1価不飽和脂肪、ミリスチン酸、オクタデカジエン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、パリナリン酸、ステアリン酸、ステアリドン酸(sda)、クルパノドン酸、デカン酸(カプリン酸)、ジホモガンマリノレン酸(dgla)、ドコサジエン酸、ドコサヘキサエン酸(dha)、エイコサジエン酸、エイコサペンタエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサトリエン酸、エルカ酸、ガドレイン酸、ガンマリノレン酸、グロボシド(gb4)、ヘンエイコサペンタエン酸、ヘプタデセン酸、ヘキサデカトリエン酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、アドレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、酪酸、カレンジン酸、カプリル酸。テトラコサヘキサエン酸(ニシン酸)、テトラコサペンタエン酸、テトラデセン酸、トリアシルグリセロール。αリノレン酸(ala)。
抗体および抗菌剤:
β-2-糖蛋白質1、β-デフェンシン11、12、13、カテリシジン-1、カテリシジン-2、カテリシジン-4、カテリシジン-5、カテリシジン-6、カテリシジン-7、Cr6261、Fi6、ヘマグルチニン阻害剤。
遺伝子:
リポ蛋白質リパーゼ、ミオトロフィン、ヌクレオビンディン1および2、Pafah1b1蛋白質、Rasホモローグ遺伝子ファミリーメンバーg(rho g)、細胞質セリル-tRNAシンセターゼ。
蛋白質コード物質:
Loc511106蛋白質、Loc788112蛋白質。カロテノイド類:
ルテイン、リコピン。
受容体:
レニン受容体、ビトロネクチン受容体。
ケモカイン:
間質細胞由来因子4、Ccl11(エオタキシン-1)、Cxcl10、Ccl2別名mcp-1、Ccl24(エオタキシン-2)、Ccl26(エオタキシン-3)、Ccl5(ランテス)。
炭水化物:
セルロース、デスモステロール、二糖類、果糖、ガラクトオリゴ糖、ガラクトース、グルコサミン、グルコース、グルコシルセラミド、グリコーゲン、グアノシン二リン酸マンノース、ヒト乳汁オリゴ糖、αカロテン、βカロテン、ウリジン二リン酸、ウリジン二リン酸ヘキソース、ウリジン二リン酸-n-アセチルヘキソサミン、ウリジン二リン酸グルクロン酸、ウリジン25一リン酸(3’-ump)、ウリジン一リン酸(5’-ump)。微生物エンハンサー:
ビフィズス因子。
窒素有機酸:
クレアチン、クレアチニン。
シグナル分子:
環状アデノシン一リン酸(3’:5’-cyclic amp)。
ヌクレオチド類:
シチジン一リン酸(5’-cmp)、グアノシン二リン酸。
糖脂質類/スフィンゴ糖脂質:
ガラクトシルセラミド、ガングリオシド類、グロボトリアオシルセラミド(gb3)、スフィンゴ糖脂質類、Gm1、Gm2、Gm3。
神経伝達物質類:
エンドルフィン2、2b、エンドルフィン2c。
【0225】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、複数の生物種(例えば、ヒツジ、ヤギおよびウシ)の初乳に由来する複数分子を含むものであってもよい。同一の場所で一緒に生活している動物は本質的に同一の環境に接しているので、その初乳は少なくとも部分的には互いに類似性を有することが知られている。したがって、いくつかの実施態様においては、互いに異なる初乳を取得する目的で、単一生物種の個体の初乳を、意図的に互いに離れた場所から採集してもよい。
【0226】
高齢者および免疫系が低下した人の免疫系を増強する組成物の利用法
いくつかの実施態様においては、有害微生物に曝露された場合に、高齢世代および免疫系が低下した人は発病することが多い。
【0227】
本明細書中のいくつかの例証的な実施態様では、例えば、高齢者および/または免疫系の低下した個体が罹患しやすい疾患(通常の風邪など)を特異的に標的とするケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物を提供する。
【0228】
いくつかの例証的な実施態様では、該組成物は、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせをさらに含むものであってもよい。
【0229】
いくつかの例証的な実施態様では、用語「高齢者」、「高齢世代」は、若い成人よりも疾患、症候群、負傷および病気に罹りやすい老齢の人を意味し得る。
【0230】
いくつかの例証的な実施態様では、用語「免疫系の低下した個体(単数および複数)」または「免疫系の弱まった個体(単数および複数)」は、免疫系が適正に働かないために感染から人を効果的に守ることのでできない状態の人を意味し得る。ある種の病態および医薬品は免疫系を低下させる、または弱める。そのようなものとしては、アルコールの乱用または薬剤の乱用、あるいは断酒または断薬;特定の疾患または病態(糖尿病、癌、HIV/AIDSなど)、あるいは身体が誤って自分の組織を有害なものと判断する病態(自己免疫疾患)など;化学療法および放射線療法;一部の薬剤(コルチコステロイド類または臓器移植後に免疫系を抑制する目的で摂取する薬剤など)の使用;脾臓除去の手術(脾臓摘出);などが挙げられる。
【0231】
いくつかの例証的な実施態様では、炎症性成分を特異的に利用することが、意外なほど有益は効果をもたらす。高齢者および/または免疫系の低下した個体では通常、炎症を避けることが好ましいのであるが、しかし、いくつかの実施態様においては、病原体と闘う炎症性免疫成分を利用することによって、本発明の組成物は有益な免疫刺激効果を発揮する。
【0232】
いくつかの実施態様では、免疫系が低下すると、局所的および/または全身性の両方において、サイトカインが炎症反応を惹起、維持、および消散することが困難な場合がある。
【0233】
いくつかの実施態様では、炎症性サイトカイン、抗炎症サイトカイン、および天然のサイトカイン阻害因子の間の相互作用が炎症反応およびその有効性を決定することがある。いくつかの実施態様では、免疫系が弱まった、または低下した状態にあるので、サイトカインの使用が特に有益なことがある。
【0234】
いくつかの実施態様では、サイトカイン・カスケードの活性化ならびに他の炎症性サイトカインおよびケモカインの産生による免疫反応の増幅を目的として、好ましくは腫瘍壊死因子-(TNF-)およびインターロイキン-6(IL-6)を用いてもよい。
【0235】
いくつかの実施態様ではまた、炎症性分子が肥満細胞および補体系を動員することもあり、例えば、それは免疫刺激効果をさらに増強する、例えば、病原体に対する攻撃を増強することによる。
【0236】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は複数の炎症性分子を含むものであってもよい。
【0237】
いくつかの例証的な実施態様では、老齢者および/または免疫系の低下した個体の免疫系を強化するために、本発明の組成物を使用してもよく、例えば、免疫刺激効果を与えることによってこれを行う。
【0238】
他の実施態様においては、本発明の組成物を食品および/または飲料と混合してもよい。
【0239】
本明細書中のいくつかの実施態様では、本明細書中に記載の組成物を含む、免疫原性の強化された食品生産物を提供する。いくつかの実施態様では、該調製乳は、老齢者および/または免疫系の低下した個体の免疫系を刺激するものであってもよく、個体に優れた保護(例えば、疾患に対する保護、免疫機構の増強、免疫系刺激など)を提供することによってこれを行う。
【0240】
本明細書中のいくつかの実施態様では、老齢者および/または免疫系の低下した個体の免疫系を増強するための、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分を含む組成物の利用を提供する。
【0241】
いくつかの実施態様においては、該利用が、高齢者個体および/または免疫系の低下した個体に、組成物をある用量で投与することを含むものであってもよい。
【0242】
いくつかの好ましい実施態様においては、該利用が、特定の期間、例えば、高齢者個体および/または免疫系の低下した個体が感染性疾患に罹患しやすい可能性のある時期、例えば、冬期、入院前および/またはその他の医学的処置前、有害病原体などに曝露される前または曝露されている間に、該組成物を投与することを含むものであってもよい。
【0243】
いくつかの実施態様では、該利用は、高齢者個体および/または免疫系の低下した個体に初期負荷用量を与え、さらに維持用量を投与することを含むものであってもよい。
【0244】
本発明の他の実施態様においては、該利用は、例えば、長期持続する保護および/または有害病原体に対する免疫系の増強を提供する目的で、高齢者個体および/または免疫系の低下した個体に、少なくとも1日1回の用量で本発明の組成物を投与することを含むものであってもよい。
【0245】
いくつかの実施態様では、例えば、胃腸管内の過酷な状況から本発明の組成物を保護する、および/または該組成物の成分の制御放出または遅延放出を可能にする目的で、本発明の組成物をマイクロカプセル化してもよい。
【0246】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物を、食品と最適に混合するために好適な状態および/または形態(例えば、液状、粉末状、顆粒状などを含む)にすることもできる。
【0247】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも2種類の異なる初乳、例えば、第1の初乳に由来する第1の分子および第2の初乳に由来する第2の分子に由来する2種類以上の分子を付加的に含んでいてもよい。
【0248】
組成物を調製する方法、初乳を取得する方法、およびそれらの組み合わせに関しては、本明細書を通して詳細に説明する。
【0249】
スポーツ選手において免疫系を増強する、および/または炎症を低減する組成物の利用法
耐久力スポーツの選手(競走、自転車競技、水泳およびトライアスロンなどの個人競技を闘う選手など)は、毎週何時間も有酸素運動トレーニングを行う。耐久力トレーニングは、これらの活動のエネルギーを得るために筋肉での酸素利用に頼っている。こういったトレーニングの酸化的性質によって、高反応性のフリーラジカル産生が増加することもあり、フリーラジカルによる障害から細胞を保護するために抗酸化防御が必要になる。細胞を障害するこの潜在的可能性は酸化ストレスとよばれ、ストレスを受ける宿主組織を保護するために免疫系による炎症反応を引き起こすことがある。
【0250】
本明細書中の用語「スポーツ選手」は、身体活動、スポーツ、フィットネスなどを過度に行う人を意味するものである。
【0251】
高強度または長時間の耐久力トレーニングによる負荷がフリーラジカル産生および酸化ストレスの増加をもたらすことに関しては、かなりの証拠がある。
【0252】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物はスポーツ選手による経口摂取に適合させてもよく、炎症を軽減する1種類以上の成分の組み合わせを含むことによって適合させてもよい。
【0253】
本明細書中のいくつかの例証的な実施態様では、例えば、スポーツ選手において特異的に炎症を低減するための、ケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物を提供する。
【0254】
いくつかの例証的な実施態様では、該組成物は、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0255】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、初乳および/または全初乳(例えば、合成的供給源、ヒトおよび/または動物からの供給源)に由来する1種類以上の成分であって、例えば、スポーツ選手の関節、腱および筋肉の炎症および痛みを和らげるための成分をさらに含むものであってもよい。
【0256】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも2種類以上の異なる初乳に由来する2種類以上の分子、例えば、第1の初乳に由来する第1の分子および第2の初乳に由来する第2の分子を付加的に含むものであってもよい。
【0257】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、例えば、炎症(例えば、身体活動または身体的訓練によって生じた炎症)を特異的に低減するために、ケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)の特定の組み合わせ、ならびに抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分を含むものであってもよい。
【0258】
いくつかの実施態様では、用語「炎症を低減する」(本明細書中では「炎症の低減」とも表現する)は、炎症持続期間の短縮、炎症性マーカーの消失などを含むことがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0259】
いくつかの例証的な実施態様では、炎症性成分を特異的に利用することが、意外なほど有益は効果をもたらす。スポーツ選手では通常、炎症を避けることが好ましいのであるが、しかし、いくつかの実施態様においては、病原体と闘う炎症性免疫成分を利用することによって、本発明の組成物は有益な免疫刺激効果を発揮する。
【0260】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物はスポーツ選手の免疫系を(例えば、免疫刺激効果を発揮することによって)強化するために用いることができる。
【0261】
他の実施態様においては、本発明の組成物は食品および/または飲料と混ぜてもよい(例えば、スポーツ選手用の乳製品および/またはミルクシェイク、食品生産物などを含む)。
【0262】
本明細書中のいくつかの実施態様では、本明細書中に記載の組成物を含む免疫原性に増強されたスポーツ選手用調製乳を提供する。
【0263】
いくつかの実施態様では、該調製乳は重要なアミノ酸および脂肪酸ならびに筋肉成長の調節因子および食欲調節因子をさらに含むものであってもよい。
【0264】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも2種類以上の異なる初乳に由来する2種類以上の分子、例えば、第1の初乳に由来する第1の分子および第2の初乳に由来する第2の分子をさらに含むものであってもよい。
【0265】
動物の免疫系を増強する組成物の利用法
動物もかなりヒトに似ており、やはり感染性疾患に罹患し易い。
【0266】
動物原性感染症(人畜共通感染症および人獣共通伝染性疾患としても知られる)は、動物(通常、脊椎動物)間で感染の広がる細菌、ウイルスおよび寄生虫に起因する感染性疾患である。
【0267】
動物原性感染症には、異なる伝播様式が存在する。直接動物原性感染症では、疾患が空気(インフルエンザ)などの媒体を介して、あるいは噛まれたり唾液(狂犬病)を介したりすることによって動物からヒトに直接伝染する。それとは対照的に、それ自体は感染することなく疾患病原体を運搬する中間生物種(ベクターとよばれる)を介して、伝染が起こることもある。ヒトから動物に伝染する場合には、逆人獣共通感染症またはヒト媒介性感染症とよぶ。
【0268】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は動物による経口摂取に適合させてもよく、動物の免疫系を増強する1種類以上の成分の組み合わせを含むことによって適合させてもよい。
【0269】
本明細書中のいくつかの例証的な実施態様では、例えば、動物の免疫系を特異的に増強するための、ケラチン化合物およびベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物を提供する。
【0270】
いくつかの例証的な実施態様では、該組成物は、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0271】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、初乳および/または全初乳(例えば、合成的供給源、ヒトおよび/または動物からの供給源)に由来する1種類以上の成分であって、例えば、動物の免疫系を相乗効果的に増強するものであってもよい。
【0272】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも2種類以上の異なる初乳に由来する2種類以上の分子、例えば、第1の初乳に由来する第1の分子および第2の初乳に由来する第2の分子を付加的に含むものであってもよい。
【0273】
本明細書中の用語「動物」は、生物界のうちの動物界に属する生物を指す。好ましくは、本明細書中の用語「動物」は、家畜類、例えば、仔牛、仔羊、および仔馬;動物園の動物;および家庭で飼う動物(仔犬、仔猫およびイヌおよびネコなど)を指す。
【0274】
いくつかの例証的な実施態様では、炎症性成分を特異的に利用することが、意外なほど有益は効果をもたらす。動物では通常、炎症を避けることが好ましいのであるが、しかし、いくつかの実施態様においては、病原体と闘う炎症性免疫成分を利用することによって、本発明の組成物は有益な免疫刺激効果を発揮する。
【0275】
いくつかの実施態様では、本明細書中の上記に開示したアルゴリズムは、2種類以上の蛋白質の組み合わせによる有効な免疫刺激効果の確率を評価することを含むものであってもよい。
【0276】
具体的には、該アルゴリズムは、2種類以上の蛋白質間の適合性の度合いを算出するものであってもよく、例えば、2種類以上の蛋白質を組み合わせた場合に、「適合性」が免疫刺激効果の増強および/または相乗性に関するものであってもよい。
【0277】
いくつかの実施態様では、該アルゴリズムは、蛋白質の有効な免疫刺激効果の確率を評価することを含むものであってもよく、例えば、動物において免疫刺激効果を有する蛋白質との比較(例えば、相同性の度合い)に基づいて評価するものであってもよい。
【0278】
いくつかの例証的な実施態様では、本発明の組成物は、(例えば、免疫刺激効果を与えることによって)動物の免疫系を強化するために用いるものであってもよい。
【0279】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物は食品および/または飲料と混ぜてもよい(例えば、動物用の湿性食品生産物および/または乾燥食品生産物、飲料水などを含む)。
【0280】
本明細書中のいくつかの実施態様では、本明細書中に記載の組成物を含む免疫原性に増強された動物用調製乳を提供する。
【0281】
実施例
実施例1
パートA:蛋白質定量
方法
試料を4℃で解凍した。試料は脂肪を含むので、試料処理の前に遠心分離は行わなかった。ボルテックス撹拌の後にサンプリングを行った(すなわち、乳汁試料は粒子と脂肪を含んでいた)。
【0282】
試料調製:
(A)乳汁試料:各試料を2回サンプリングして異なる2種類の溶液に溶かした:
(1)Tris-HCl、グリシン、SDS、2メルカプトエタノールおよび微量のBPBを含む40μlの試料緩衝液に、10μlを添加して、最終濃度を63mM Tris-cl 6.8、10%グリシン、2%SDSおよび1%2メルカプトエタノールとした。試料はボルテックスで撹拌してから、煮沸し(95℃、10分)、凍結した(-80)。
(2)各乳汁試料50μlを尿素、重炭酸アンモニウム(ABC)およびジチオスレイトール(DTT)と混合し、最終濃度を8M尿素、100mM ABCおよび10mM DTTとした。試料はボルテックスで撹拌し、可能な限り蛋白質を脂肪から分離するために遠心した(10分、10000rpm、室温)。(下記の表3および4においてUと記載する)。20μlの「脂肪不含」試料を、8M尿素、100mM ABCおよび10mM DTTを含む尿素緩衝液で1:1希釈した(下記の表3および4においてUDと記載する)。
【0283】
(B)市販の製品:
各製品に関しては、約1.5~3mgの粉末をサンプリングして、63mM Tris-cl 6.8、10%グリシン、2%SDS、1%2メルカプトエタノールおよび微量のBPBを含む試料緩衝液に2μg/μlの濃度で溶解した。試料はボルテックスで撹拌し、煮沸し(95℃、10分)完全に溶解するまで超音波処理してから凍結した(-80)。
【0284】
蛋白質定量:(表3および4)「脂肪不含」の、尿素希釈試料それぞれから1μlをとり、ブラッドフォードアッセイを用いて蛋白質定量した。注記:[A]10μg/μl超の蛋白質濃度では、直線的なパターンが得られないので、正確ではない。[B]脂肪があると、値にばらつきが出ることがある。
【0285】
結果
【0286】
【表3】
【0287】
【表4】
【0288】
【表5】
【0289】
【表6】
【0290】
【表7】
【0291】
【表8】

注:この群の試料は脂肪を多量に含むので、値の読み取りを繰り返す必要があった。試料54849-50は変動が大きかった。
【0292】
蛋白質濃度の偏差対乳児の年齢を示すグラフである図3を参照されたい。
【0293】
パートB:蛋白質の同定
方法
試料緩衝液を含む乳汁試料および市販製品の試料を、室温で解凍した。
【0294】
(A)下の表にしたがい、各乳汁試料から、2μlを取り混合してプールした。
【0295】
【表9】
【0296】
2メルカプトエタノールを1%の最終濃度で各プールに加え、そのプールをボルテックスで撹拌した後、煮沸して(95℃、10分)、4~15%のMini-PROTEAN(登録商標)TGX Precast Gel(Bio-Rad、Cat#456-1084)に載せた。
【0297】
(B)各市販製品の試料を煮沸し(95℃、10分)、15μlを上記のゲルに載せた。
【0298】
フロント色素がレーン長の約95%に到達した後、電気泳動を止めた。ゲルをPIERCE’s Imperial蛋白質染色溶液で染色した。
【0299】
ここでは、試料調製から結果、蛋白質ゲルまでを示す図4を参照されたい。
【0300】
Ffでは、各レーンを分割して3片にした:80KDa超、80~25KDa。
【0301】
ゲル中の蛋白質を100mM重炭酸アンモニウム[ABC]中の3mM DTTで還元し(60℃、30分間)、100mM ABC中の10mMヨードアセトアミドで修飾した(暗所、室温、30分間);10%アセトニトリル、10mM ABCおよび10mM CaClを含む溶液中で、修飾トリプシン(Promega)を酵素対基質1:10の比で用いて一晩37℃で消化した。付加的に第2の消化を4時間行った。得られたペプチドを、C18チップ(手製のSTAGE(STop-nd-o-xtraction)チップ)を用いて脱塩してからLC-MS-MS分析に供した。逆相クロマトグラフィーにより、Reprosil逆相用樹脂(Dr Maisch GmbH、Germany)を充填した0.075X300mmの溶融石英細管(J&W)でペプチドを分離した。120分間の5~28%の直線勾配、15分間の28~95%勾配および0.1%ギ酸を含む水を添加した95%アセトニトリルで15分間かけ、0.15μl/分の流速で溶出した。質量分析はQ Exactive plus質量分析計(Thermo)を用いて実施したが、その際、ポジティブモードで繰り返し完全MSスキャンを行い、次いで最初のMSスキャンで選択された最も主要な10種類のイオンについて、高エネルギー衝突解離(HCD)を用いた。MaxQuantソフトウエアV1.5.2.8(Mathias Mann’s group)を用いて、質量分析データを、Uniprotデータベースのヒトおよびウシに関するデータ群ならびにNCBI-Nrデータベースのヤギに関するデータ群に対して1%FDRで分析した。同定と量子化結果の統計分析は、Perseus V 1.5.2.4ソフトウエア(Mathias Mann’s group)を用いて行った。強度(強度、IBAQ強度およびLFQ強度)はいずれも、log2を底として表す。ヒト試料の規格化は、同一乳汁容量に基づいて実施した。市販製品試料の規格化は、容量に対する重量の同一比に基づいて実施した。
【0302】
同定結果、パートA
異なる年齢群から取得したヒト母乳の統計分析:
少なくとも1レイザープラス固有ペプチド(razor+ unique peptide)および3ms/msで同定した蛋白質はいずれも統計分析に供した。その結果は、異なる年齢群間では、蛋白質パターンが明確に異なることを実証した。全ての年齢群間で分散分析検定を行った結果、337種類の蛋白質がp値0.05で有意に変化していた。群G1~G2、G3~G4およびG5~G6はよく似てはいるがそれでも異なっているということが明らかになった。
【0303】
群1の強度(G1)と群2~6の強度(G2~G6)に関してスチューデントt検定を実施した。p値0.05で変化しており、差が+/-1である蛋白質については色付けした。G1で蛋白質発現が増加(正の差)の場合には、濃い色で示している。G1で蛋白質発現が減少(負の差)の場合には、薄い色で示している。全群で有意な増加/減少変化を示す蛋白質は、「Fastaの見出し(Headers)」の列を、それぞれ褐色および緑色で色付けして示している。少なくとも1つの群で有意な増加/減少変化を示す蛋白質は、「遺伝子名」の列を、それぞれ褐色および緑色で色付けして示している。(また、赤色で示しているものは、例外である)。これらを、「STRING-DB」ソフトウエアを用いたバイオインフォマティクス分析に供した。結果を「STRING-Go annotations-human」ファイルに示す。
【0304】
同定結果パートB:異なる年齢群から取得したヒト母乳の、ウシおよびヤギ由来の市販製品に対する統計分析
異なる生物から同定した蛋白質はいずれも、「55711-85-ヒト-ウシ-ヤギ-B」と命名した1つのチャートにまとめて載せた。別のチャート「55711-85-ヒト-ウシ-ヤギ-IG」は、免疫グロブリンのみを含むように作成した。提示のIBAQ値は、試料内組成に基づく規格化を可能にする。
【0305】
ここでは、初乳中に存在するヒト蛋白質とウシ蛋白質の間の相同性をそれぞれ示す図5~7を参照されたい。
【0306】
図5は、ヒト初乳中に存在し、G1表に提示されるヒト蛋白質と、それに対応する、ウシ初乳に存在し、G2表に提示されるウシ蛋白質を示している。
【0307】
蛋白質の略号は以下である:
XDH = キサンチン・デヒドロゲナーゼ
PIGR = 多量体免疫グロブリン受容体
LTF = ラクトトランスフェリン
ALB、LALBA = アルブミン
KRT… = ケラチン
FASN = 脂肪酸合成酵素
CSN… = κカゼイン
CEL = カルボキシルエステルリパーゼ
IG… = 抗体
LYZ = 水解小体
【0308】
図6は、ヒト初乳中に存在し、G3表に提示されるヒト蛋白質と、それに対応する、ウシ初乳に存在し、G4表に提示されるウシ蛋白質を示している。
【0309】
蛋白質の略号は以下である:
XDH = キサンチン・デヒドロゲナーゼ
PIGR = 多量体免疫グロブリン受容体
LTF = ラクトトランスフェリン
ALB、LALBA = アルブミン
KRT… = ケラチン
FASN = 脂肪酸合成酵素
CSN… = κカゼイン
CEL = カルボキシルエステルリパーゼ
IG… = 抗体
LYZ = 水解小体
【0310】
図7は、ヒト初乳中に存在し、G5表に提示されるヒト蛋白質と、それに対応する、ウシ初乳に存在し、G6表に提示されるウシ蛋白質を示している。
【0311】
蛋白質の略号は以下である:
XDH = キサンチン・デヒドロゲナーゼ
PIGR = 多量体免疫グロブリン受容体
LTF = ラクトトランスフェリン
ALB、LALBA = アルブミン
KRT… = ケラチン
FASN = 脂肪酸合成酵素
CSN… = κカゼイン
CEL = カルボキシルエステルリパーゼ
IG… = 抗体
LYZ = リソソーム
【0312】
初乳ナノ粒子:
目的:初乳蛋白質ナノ粒子の調製。
【0313】
方法:
(1)初乳粉末の特徴付け:
4種類の市販の初乳にA~Dの標識をつけ、製造元の説明にある成分を記録した。Aは、Surthrival(28%脂肪、45%蛋白質、糖)。Bは、Immune tree(脂肪不含、60%蛋白質)。Cは、Symbiotics(レシチンおよびトリグリセリド、60%蛋白質、30%糖)。Dは、California gold nutrition(脂肪不含、35%蛋白質)。各初乳1gを計り取り、精製水(20ml)に溶かして一晩撹拌した。その後、その液体を4000rpmで30分間遠心して、上清を新しいチューブに移し2回目の遠心を7500rpm、4℃で15分間行った。上清を酢酸セルロースフィルター(0.45μm)で濾過し、次いで冷却し凍結乾燥した。その産物を280nmのUV吸光度、全UVスペクトル、質量収率分析および元素分析を行った。
【0314】
同一処置をウシ血清アルブミン(BSA)でも行い、これを純粋蛋白質の比較基準とした。
【0315】
(2)ナノ粒子の調製
単離した各初乳調製乳の60mgを1.5mlの精製水に溶解した。各試料のpHは約7であった。次いで、そのpHを5.5に調整した。
【0316】
一般的な蛋白質の標準として、ヒト血清アルブミン(BSA、60mg)を1.5mlの精製水に溶解した。
【0317】
追加で1.5mgの各材料を溶液に添加して、核形成剤とした。室温で15分間撹拌した後、室温にて500rpmで撹拌しながら8mlのエタノール(96%)を1ml/分の速度で添加して粒子を形成させた。最後に、110℃または105℃で、それぞれ15分間および10分間、安定化を行った。粒子溶液を室温で撹拌しながら冷却した後、4000rpmで15分間遠心して精製した。デシケーターを用いて、沈殿を乾燥させた。
【0318】
(3)粒子の特徴付け
[3.1]質量収率:空の遠心チューブの重さを計り、また乾燥した沈殿を含む遠心チューブの重さも計った。各沈殿の総量はその差によって算出した。
【0319】
[3.2]分散および粒子サイズ:各沈殿2mgを2mlの精製水に分散させて、ボルテックスで24時間撹拌した。その後、各々に2mlの精製水を加え、超音波破砕機に移して30分間処理した。6mlの水を加えて1:5の比(mg試料:水)とし、再び15分間の超音波処理で分散させた。DLS ZetaSizer(Malvern)を用いて、分散溶液中の粒子サイズを測定した。
【0320】
結果:
(1)初乳の特徴付け
・蛋白質画分の定量:溶解、濾過および凍結乾燥した量の割合(%)を初期量と比較して算出し、これを表10に示す。収率が最も高いのはタイプDである。
【0321】
【表10】
【0322】
・UV吸光度:各濾過溶液について、分光光度計により280nmの吸光度を測定し、蛋白質量を決定した(表11)。精製水中の濃度範囲が0.25~1.5mg/mlであり、R^2値が0.99であるBSAの標準曲線に基づいて濃度計算を行った。次いで、本分析で計った量について%w/wヘの変換を行った。UV吸光度では、初乳溶液はいずれも100%w/w超を示した。このことは、アルブミン溶液には存在しない因子であるが、同一の波長で吸収する因子が初乳溶液には存在していることを意味するものである。あるいは、アルブミンの組成が初乳蛋白質とは大幅に異なる。
【0323】
【表11】
【0324】
・元素分析:各試料中のC、H、NおよびOの割合(%)について、単離産物を分析し、規格化のために窒素対炭素比を算出した(表12)。蛋白質におけるN:C比は、理論的には0.3である。
【0325】
【表12】
【0326】
予想通り、BSAは%において理論値に最も近い値を示し、N:C比は同一であった。その理由は、それが純粋蛋白質だからである。初乳AおよびDはN:C比が理論的蛋白質のN:C比とより異なっていたが、初乳BおよびCではより近い値を示した。
【0327】
(2)粒子の特徴付け:
質量収率:形成した粒子の量は、粒子の調製に用いた初期量に関係すると考えられた(60mg:エタノール量が多くまた調製工程が緩徐であったため、60mgより多い量を得ることはできなかった)。結果を表4に示す。
【0328】
・分散能:乾燥粒子を精製水に再分散した後に、ボルテックス撹拌して超音波処理した。最適分散はD(105C)であった。下の表13を参照されたい。最良比および最適分散能は、105℃で安定化した初乳Dである。BSA粒子はその量の一部がバイアル壁に付着したため、調製処理についての質量%は低い。
【0329】
【表13】
【0330】
・粒子サイズ:各試料の平均粒子サイズを表14にまとめてある。平均粒子サイズ(526nm)およびPDI値(0.566)に関する最良の結果は、初乳D(105C)である。
【0331】
【表14】
【0332】
粒子を変性法で調製し、100Cまたは105Cで安定化した。
【0333】
結論:
ナノ粒子形成を目的として、4種類の初乳を調べた。混合物からの蛋白質画分抽出は第1の工程であったが、この工程は、混合物から溶解した一部を選択することによって成された。タイプDの質量収率は75%で他よりも高かった。製造元によれば、製品Dの蛋白質含量は35%と記載されていた。したがって、溶解画分は蛋白質以外に別の成分を含むはずであり、それが糖の可能性もある。一般的には、初乳のいずれのタイプのものも、溶解画分の質量収率は製造元が公表している値よりも高いが、脂肪分(タイプAおよびC)は水に溶けないと思われる。全てのタイプの初乳が波長280nmで蛋白質分を示唆する光吸収を示したが、その吸光度はBSAに比較してかなり高かった;このことは、他の内容物の存在を示唆しており、それがアミノ酸組成と重なったのである。さらに、BSAは初乳中の蛋白質分の定量には適さない。窒素の炭素に対する元素比を考慮に入れ、BおよびCでは蛋白質含量が60%という製造元の記載にしたがえば、蛋白質含量がより低いと記載されていて、かつN:C比がより低い値を示したAおよびDと比較して、理論値により近い値が得られた。本発明者らの所見の結果として、初乳Dは質量収率が最も高かったが、おそらくは単離画分中に蛋白質に加えて他の成分も、BおよびCに比べかなり高いパーセンテージで含んでいると考えられる。
【0334】
変性法による粒子調製および熱による安定化に関しては、小型のナノ粒子は得られなかったが、最良の結果は、105℃で10分間加熱して安定化したDのものである、粒子調製で収量51%w/wと高いパーセントを示した。水によく分散し、平均サイズは526nmであった。一般に、105℃に加熱した試料は、100℃に加熱したものに比べて水によく再分散した。
【0335】
溶液のpH、加熱温度、加熱時間および撹拌速度は、適切な結果(このような小型の粒子サイズおよび多分散性低下)を得るために検討可能な変数である。したがって、研究を継続して初乳ナノ粒子を得る見込みは充分ある。
【0336】
初乳粒子の調製方法:
蛋白質抽出:
市販型の各初乳を1g計り取り精製水(20ml)に溶かして一晩撹拌した。その後、この液体を4000rpmで15分間遠心し、上清を新しいチューブに移して2回目の遠心を7500rpm、4℃で15分間行った。上清を酢酸セルロースフィルター(0.45μm)で濾過し、次いで冷却し凍結乾燥した。
【0337】
粒子の調製:
単離した各初乳調製乳の60mgを1.5mlの精製水に溶解した。各試料のpHは約7であった。次いで、そのpHを5.5に調整した。追加で1.5mgの各材料を溶液に添加して、核形成剤とした。室温で15分間撹拌した後、室温にて自動シリンジを用いて500rpmで撹拌しながら8mlのエタノール(96%)を1ml/分の速度で添加して粒子を形成させた。最後に、110℃または105℃で、それぞれ15分間および10分間、安定化を行った。粒子溶液を室温で撹拌しながら冷却した後、4000rpmで15分間遠心して精製した。真空で沈殿物を乾燥させた。
【0338】
本明細書中に詳細を前述したように、本明細書中のいくつかの例証的な実施態様では、ケラチ化合物、ベータ-ラクトグロブリン(LGB)を含む組成物を提供する。
【0339】
いくつかの例証的な実施態様では、該組成物は、抗炎症成分、炎症性成分、抗微生物成分、第1の免疫刺激成分および第2の免疫刺激成分の組み合わせをさらに含んでいてもよい。
【0340】
いくつかの別の実施態様においては、該組成物は初乳をさらに含んでいてもよい。
【0341】
いくつかの実施態様では、該初乳は初乳ナノ粒子の形態である。
【0342】
実施例2
本発明者らは、免疫系において抗炎症性の役割を担う主要蛋白質を同定した。同定した該蛋白質としては:ラクトフェリン、アルファ-ラクトアルブミンおよびCD59である。本発明者らは、本実験の組成物1を得るために、これらの蛋白質(ラクトフェリン、アルファ-ラクトアルブミンおよびCD59)をベータ-ラクトグロブリンとKRT1の化合物に加えた。
【0343】
下記の実験の目的は:
(a)イオン交換クロマトグラフィーを用いて初乳試料から主要蛋白質を濃縮すること;
(b)送達系の実現可能性を証明すること;
(c)組成物1は本発明の組成物の例示的試料(本明細書中では「MAO画分」ともよぶ)であるが、この組成物1のヒトPBMCに対する効果を示すこと、である。
【0344】
これらの実験の実施中に、本発明者らは最大2グラムの被検蛋白質を調製することができた。この2グラムを、異なる必要性にしたがって、数種類の混合物の調製に利用できる構成要素に分離した。
【0345】
イオン交換クロマトグラフィーを用いた分画
所望の初乳蛋白質の最終収量を増やす目的で、酸性沈殿による前処理を行い初乳からカゼインを除去した。
【0346】
酸性沈殿:
(1)500mlの2回蒸留水に100mgの脱脂初乳粉末を溶かした(マグネティック・スターラーを用いて5分間撹拌した)。

(2)カゼインの酸性沈殿-溶液に、時間をかけてゆっくりと1M HClを加えてpH4.2にした。沈殿を濾過によって除いた(Millipore Express PLUS 0.22μm PES)。
(3)用いたカラムに応じてpHを調整した(AEについてはpH8、およびCEについてはpH5)。
(4)各工程の分析用に試料を溶出した。
【0347】
ここでは、蛋白質のドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析を示す図8を参照のこと。
【0348】
図8から分かるように、カゼイン除去は良好に行われていた(試料2では30kDaの印付近にバンドが欠如している)。初乳からカゼインを除去したことにより、脂質、リン脂質および糖脂質も除去されており、初乳中の主要蛋白質の濃度も増加した(試料4のバンド増強に注目のこと)。より効率的な分画処理のために調製した最終溶液。カゼインはウシ初乳蛋白質の大部分を占め凝集(ミセル)し易く、そのためイオン・クロマトグラフィーの全体的な精度を低下させる。最終溶液は溶解性がより高く、見た目にも透明度が高い。
【0349】
分画法
陰イオン交換カラム分画
カラム-HiTrap Q FF 5ml x2、GE Healthcare
緩衝液:平衡緩衝液-20mM Tris-HCl pH8
溶出緩衝液-20mM Tris-HCl pH8、1M NaCl
・0.45μmのフィルターを用いて200mlを濾過した(Millipore Express PLUS 0.45μm PES)。
・平衡化したHiTrap Q FF 5ml x2に濾過溶液を3ml/分で添加した。試料添加後に、カラムを3カラム容量の20mM Tris-HCl緩衝液(pH8)で洗浄した(5ml/分)。
・溶出には、段階勾配を用いた:100、400、および1000mM NaCl。画分を5mlで回収した。
・全画分をブラッドフォード法で定量し、SDS-PAGEで分析した。
【0350】
陽イオン交換カラム分画
カラム-HiTrap SP FF 5ml、GE Healthcare
緩衝液:平衡緩衝液-20mM酢酸ナトリウムpH5
溶出緩衝液-20m酢酸ナトリウムpH5、1M NaCl
・平衡化したHiTrap SP FFに200mlを3ml/分で添加した。試料添加後に、カラムを3カラム容量の20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)で洗浄した(5ml/分)。
・溶出には、段階勾配を用いた:100、400、および1000mM NaCl。画分を3mlで回収した。
・全画分をブラッドフォード法で定量し、SDS-PAGEで分析した。
【0351】
【表15】
【0352】
ここでは、酸性沈殿後の脱脂初乳のAEクロマトグラフィーを示す図9を参照されたい。
【0353】
陰イオン交換(AE)では、蛋白質の大部分が400mM NaClの第2溶出で溶出された。フロースルーおよび第1溶出はいずれも、ほぼ完全に蛋白質を含んでいなかった。
【0354】
【表16】
【0355】
ここでは、酸性沈殿後の脱脂初乳のCEクロマトグラフィーを示す図10を参照のされたい。
【0356】
陽イオン交換では、第1溶出(100nM NaCl)および第2溶出(400nM NaCl)で、同一量の蛋白質が溶出した。
【0357】
濃縮係数
イオン交換クロマトグラフィーの試料はいずれも質量分析を用いて分析し、その組成物を全初乳と比較した。
【0358】
1を超える濃縮係数は正の濃縮係数である。これは、最終画分中の目的蛋白質の濃度が全初乳中の濃度より高いことを意味する。
【0359】
【表17】
【0360】
濃縮係数を表すグラフである図11を参照されたい。
【0361】
このグラフは生の初乳と比較して濃縮された各蛋白質の増加倍率を示す。例えば、用いた生の初乳にはLGBが約14.72%含まれていたが、酸性化後には、約22%であった。したがって、濃縮係数は1.5であった。
【0362】
細胞培養:
本発明の組成物が抗炎症活性を有するか否かを調べるために末梢血単核球(PBMC)を用いる。
【0363】
目的:
(1)ヒトPBMCに対する初乳画分の免疫学的効果(例えば、活性化、増殖、アポトーシスなど)を試験すること。
(2)具体的には、組成物がT細胞(CD3)による炎症反応を低下させて抗CD3(OKT3)を活性化する能力を調べる-50ng/ml。
【0364】
方法の概要:
(1)PBMCは健常ボランティアからフィコールで単離した。
(2)120 X10個の細胞を採取し、本実験のために12 X10個をプレートに播種した(各ウェルに12 X10個)。細胞は1mlのRPMI完全培地(R-10)で、異なる処理を用いて培養した。
(3)細胞は37℃、5%COで72時間培養した。
【0365】
【表18】
【0366】
結果:
(1)初乳または組成物1のいずれかの存在下でPBMCを培養した場合には、増殖細胞が減少した。図12は、PBMCのフローサイトメトリー分析における前方散乱および側方散乱のグラフであり、抗炎症組成物またはウシ初乳(WC)の存在下における、抗CD3によるT細胞の活性化/増殖を表している。細胞が活性化される/増殖する場合には、右上にシフトする。ポリゴンはT細胞をゲーティングしており、T細胞をPBMC内の他の細胞(例えば、単球)から区別する。
(2)抗CD3による活性化の結果として、T細胞が有意に活性化/増殖した。
(3)図13に示すように、初乳の存在下では、T細胞の活性化および増殖の程度は低かった。
(4)組成物1の存在下では、このような活性化/増殖の低下はさらに顕著であった。
【0367】
説明:
免疫系の著しい反応の一つは、T細胞の顕著な活性化/増殖において発現する炎症反応である。PBMCにおけるT細胞活性化は抗CD3によって成され、結果として顕著な増殖/活性化をもたらす。初乳および組成物1などの抗炎症物質は、この増殖/活性化を低下させる。
【0368】
実施例3
本発明の組成物の多様な成分の潜在的有効濃度を判定するために、本発明者らは可能な組み合わせで複数の実験を行った。表19に各試験成分の好ましい濃度範囲を示す。
【0369】
【表19】
【0370】
実施例4
細胞における抗炎症活性
本発明の組成物は、の多様な組み合わせを含むものであってもよい。
【0371】
本実施例では、6種類の異なる実験を実施したが、その際、ケラチン化合物の組み合わせをLGB、CSN1S1、CSN2およびALBと共に(本明細書中では組成物2とよぶ)を末梢血単核球(PBMC)に対してインビトロで試験した。PBMCは健常なボランティアからフィコールで単離し、12 X10個の細胞を24穴プレートに播種した(各ウェルに12 X10個)。細胞は1mlのRPMI完全培地(R-10)で、異なる処理を用いて37℃、5%COで72時間培養した。細胞を抗CD3の存在下または非存在下で、活性化および増殖に関して試験し、初乳または組成物の抗炎症成分を用いた処理に供した。
【0372】
各成分の濃度を下の表20に示す。
【0373】
【表20】
【0374】
結果
(1)抗CD3の存在下では、細胞が活性化され増殖した-試験した全細胞が100%活性化された。
(2)抗CD3および初乳の存在下では、55%の細胞が活性化され増殖した。
(3)抗CD3および組成物2の6種類の変型種のうちの1つの存在下では、55%未満の細胞が活性化され増殖したが、平均ではわずか40%であった。
【0375】
説明:
免疫系の著しい反応の一つは、T細胞の顕著な活性化/増殖において発現する炎症反応である。PBMCにおけるT細胞活性化は抗CD3によって成され、結果として顕著な増殖/活性化をもたらす。組成物2の被検変型種は、この増殖/活性化を有意に低下させた。
【0376】
この活性化に加えて、培地をアッセイして抗炎症性サイトカイン/炎症性サイトカインの存在について調べた。図14に示されるように、T細胞における最も重要な炎症性因子の試験では、抗CD3による活性化後にインターフェロン-ガンマ(INFγ)が増加したが、初乳の存在下では大幅に低下し、組成物2の存在下ではさらに低下した(6つの実験の平均結果)。
【0377】
実施例5
免疫系には異なる種類の活性化がある。細菌に対する攻撃を開始するために免疫系を動員するには、および免疫系を刺激するには、炎症が必要となる。
【0378】
その炎症は軽度でかつ有益でなければならないが、炎症は必ず起こる必要がある。
【0379】
KRT1を7.7%の濃度、LGBを11.7%の濃度および炎症性成分SERPINB4およびSERPIND1をそれぞれ5.75%および3.83%の濃度で含む組成物(本明細書では、これらを全部まとめて組成物3とよぶ)を調製した。健常なボランティアのPBMCに由来する単球に対して、組成物3を試験した。
【0380】
炎症を模倣する目的で、細胞をリポ多糖体(LPS)に接触させた。IL-1βは疼痛、炎症および自己免疫病態に関連する炎症性サイトカインである。LPSの存在下で単球がこれを分泌する。
【0381】
図15に示されるように、LPSの存在下では、全群においてIL-1β分泌が認められたが、組成物3の存在下では、LPSによる活性化がない場合でもIL-1βの分泌が顕著であった。
WC-初乳
Pro-組成物3
【0382】
本願における本発明の実施態様に関する説明は、例示として提供されるものであり、本発明の範囲を限定する意図ではない。記載の実施態様は異なる特徴を含むが、それら特徴のすべてが本発明の全実施態様に必要なわけではない。いくつかの実施態様においては、その特徴の一部のみが利用され、あるいはその特徴の可能な組み合わせが利用される。本発明の記載の実施態様の変型、および記載の実施態様に言及されていない特徴の組み合わせであって、異なる組み合わせを含む本発明の実施態様も、当業者であれば思いつくであろう。本発明の範囲はその特許請求項のみによって限定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】