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特表2022-551585ロボットマニピュレータを誘導するための外科システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】ロボットマニピュレータを誘導するための外科システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20221205BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20221205BHJP
   A61B 17/14 20060101ALI20221205BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/16
A61B17/14
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520310
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 US2020053803
(87)【国際公開番号】W WO2021067597
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/908,915
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507280594
【氏名又は名称】マコ サージカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】クラーナ,リシャーブ
(72)【発明者】
【氏名】ボウリング,デイヴィッド,ジーン
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,マシュー
【テーマコード(参考)】
3C707
4C160
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS31
3C707KS33
3C707KS35
3C707KS37
3C707KT03
3C707LV15
4C160LL04
4C160LL09
4C160LL24
4C160LL26
4C160LL27
4C160LL28
(57)【要約】
目標部位に係合するためのツール、ツールを支持するように構成されたマニピュレータ、及びツール、マニピュレータ、目標部位、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数に関連する1つまたは複数のシステム条件を検出するように構成された感知システムを含む外科システム。コントローラは、マニピュレータに結合され、感知システムは、第1の制約基準に従って目標部位に対するツールの整合を維持するための第1のモード、及び第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、目標部位に対するツールの整合を維持するための第2のモードの間でマニピュレータを操作するように構成されている。コントローラはさらに、1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つが所定の条件を満たすと判定することに応答して、マニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するように構成されている。
【選択図】図14D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標部位と係合するためのツールと、
前記ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、
前記ツール、前記マニピュレータ、前記目標部位、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数に関連する1つまたは複数のシステム条件を検出するように構成された感知システムと、
前記マニピュレータ及び前記感知システムに結合されたコントローラであって、
第1の制約基準に従って前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するための第1のモードと、
前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するための第2のモードと
の間で前記マニピュレータを操作するように構成されているコントローラと
を含み、
前記コントローラはさらに、前記1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つが所定の条件を満たすと判定することに応答して、前記マニピュレータの動作を前記第1のモードから前記第2のモードに変更するように構成されている、外科システム。
【請求項2】
前記第1の制約基準は、前記ツールの動きが前記目標部位に対して制限される第1の数の自由度を含み、前記第2の制約基準は、前記ツールの動きが前記目標部位に対して制限されている第2の数の自由度を含み、前記第2の数の自由度は前記第1の数の自由度とは異なり、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の数の自由度に基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の数の自由度に基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持する
ように構成されている、請求項1に記載の外科システム。
【請求項3】
前記第2の数の自由度は、前記第1の数の自由度よりも少なく、前記コントローラは、前記第2のモードにおいて、前記第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、前記目標部位に対する前記ツールの移動を可能にする、請求項2に記載の外科システム。
【請求項4】
前記第1の制約基準が、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項2または3のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項5】
前記第1の制約基準及び前記第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項6】
前記第1の制約基準は、前記第2の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項7】
前記第1の制約基準及び前記第2の制約基準は、少なくとも1つの共通自由度を含む、請求項2から6のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項8】
前記第1の制約基準が第1の弾力性パラメータを含み、前記第2の制約基準が前記第1の弾力性パラメータとは異なる第2の弾力性パラメータを含み、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の弾力性パラメータに基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の弾力性パラメータに基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するように構成されている、請求項の1から7のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1のモードよりも前記第2のモードにおいて、前記目標部位に対してより弾力性のある前記ツールの動きを可能にする、請求項8に記載の外科システム。
【請求項10】
前記第1の弾力性パラメータ及び前記第2の弾力性パラメータはそれぞれ、共通自由度における前記目標部位に対する前記ツールの弾力性のある動きに関連する、請求項8または9に記載の外科システム。
【請求項11】
前記ツールがツール中心点を規定し、
前記コントローラは、前記マニピュレータを前記第1のモードで動作させて、前記第1の制約基準に従って前記目標部位から離れる前記ツール中心点の移動を制限するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第2の制約基準に従って前記目標部位から離れる前記ツール中心点の移動を可能にするように、前記第2のモードで前記マニピュレータを動作させるように構成されている、請求項11に記載の外科システム。
【請求項13】
前記コントローラに結合されたモードインジケータをさらに備え、
前記コントローラは、前記1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つが前記所定の条件を満たすと判定したことに応答して前記モードインジケータを始動して、前記マニピュレータの動作の前記第1のモードから前記第2のモードへの変更をユーザに通知するように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記第1の制約基準に従って、少なくとも1つの自由度で前記目標部位に対する前記ツールの移動を可能にするように、前記第1のモードで前記マニピュレータを動作させるように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記第2の制約基準に従って、少なくとも1つの自由度で前記目標部位に対する前記ツールの移動を可能にするように、前記第2のモードで前記マニピュレータを動作させるように構成されている、請求項14に記載の外科システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記第1の制約基準及び前記第2の制約基準の両方とは異なる第3の制約基準に従って、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持する第3のモードで、前記マニピュレータを操作するようにさらに構成され、
前記所定の条件は、第1の所定の条件としてさらに規定され、
前記コントローラは、前記1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つが前記第1の所定の条件とは異なる第2の所定の条件を満たすと判定することに応答して、前記マニピュレータの動作を前記第2のモードから前記第3のモードに変更するようにさらに構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項17】
前記第1の制約基準は、前記ツールの動きが前記目標部位に対して制限される第1の数の自由度を含み、前記第2の制約基準は、前記ツールの動きが前記目標部位に対して制限される第2の数の自由度を含み、前記第3の制約基準は、前記ツールの動きが前記目標部位に対して制限される第3の数の自由度を含み、前記第3の数の自由度は前記第1の数の自由度と前記第2の数の自由度との1つ以上とは異なり、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の数の自由度に基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の数の自由度に基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第3のモードでは、前記第3の数の自由度に基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するように構成されている、請求項16に記載の外科システム。
【請求項18】
前記第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータをさらに含み、前記第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータをさらに含み、前記第3の制約基準は、前記第1の弾力性パラメータ及び前記第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータをさらに含み、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の数の自由度に基づいて、また前記第1の弾力性パラメータに基づき、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の数の自由度に基づいて、また前記第2の弾力性パラメータに基づき、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第3のモードでは、前記第3の数の自由度に基づいて、また前記第3の弾力性パラメータに基づき、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持する、請求項17に記載の外科システム。
【請求項19】
前記第3の数の自由度は、前記第1の数の自由度よりも少なく、前記コントローラは、前記第3のモードにおいて、前記第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、前記目標部位に対する前記ツールの移動を可能にする、請求項18に記載の外科システム。
【請求項20】
前記第3の数の自由度は、前記第2の数の自由度よりも少なく、前記コントローラは、前記第3のモードにおいて、前記第2のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、前記目標部位に対する前記ツールの移動を可能にする、請求項19に記載の外科システム。
【請求項21】
前記第1の制約基準と前記第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項18から20のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項22】
前記第1の制約基準、前記第2の制約基準、及び前記第3の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項18から21のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項23】
前記第1の制約基準は、前記第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む、請求項18から22のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項24】
前記第2の制約基準は、前記第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む、請求項23に記載の外科システム。
【請求項25】
前記コントローラは、前記第1のモードよりも前記第2のモードにおいて、前記目標部位に対するより弾力性のある前記ツールの動きを可能にする、請求項18から24のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項26】
前記コントローラは、前記第3のモードよりも前記第2のモードにおいて、前記目標部位に対するより弾力性のある前記ツールの動きを可能にする、請求項25に記載の外科システム。
【請求項27】
前記第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータを含み、前記第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータを含み、前記第3の制約基準は、前記第1の弾力性パラメータ及び前記第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータを含み、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の弾力性パラメータに基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の弾力性パラメータに基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第3のモードでは、前記第3の弾力性パラメータに基づいて、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するように構成されている、請求項16から26のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項28】
前記感知システムは、前記目標部位と前記マニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、
前記少なくとも1つのセンサによって取得される前記力を示す前記測定値は、前記1つまたは複数のシステム条件のうちの少なくとも1つを規定し、前記コントローラが前記マニピュレータの動作を、
前記少なくとも1つのセンサによって検出された前記力が前記第1の所定の条件を満たすと判定することに応答して、前記第1のモードから前記第2のモードへ、及び
前記少なくとも1つのセンサによって検出された前記力が前記第2の所定の条件を満たすと判定することに応答して、前記第2のモードから前記第3のモードへ、変更するように構成されている、請求項16から27のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項29】
前記第1の所定の条件は、前記少なくとも1つのセンサによって検出された第1の力によって規定され、前記第2の所定の条件は、前記少なくとも1つのセンサによって検出された第2の力によって規定され、前記第2の力は、前記第1の力よりも大きい、請求項28に記載の外科システム。
【請求項30】
前記目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーをさらに含み、
前記感知システムは、前記患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムを含み、
前記患者トラッカーの追跡状態は、前記1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つを規定し、前記患者トラッカーの追跡状態は前記所定の条件を満たすという判定に応答して、前記コントローラが前記マニピュレータの動作を前記第1のモードから前記第2のモードに変更するように構成されている、請求項1から29のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項31】
前記コントローラは、前記ナビゲーションシステムから受信した追跡状態に基づいて、前記ツールの追跡された動きを前記患者トラッカーの動きと比較するようにさらに構成され、
前記ツールの追跡された動きは、前記1つまたは複数のシステム条件のうちの少なくとも1つを規定し、
前記所定の条件は、前記患者トラッカーの追跡された状態に対応する前記ツールの追跡された動きに基づいて規定される、請求項30に記載の外科システム。
【請求項32】
前記感知システムは、前記目標部位と前記マニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、
前記少なくとも1つのセンサによって取得される前記力を示す前記測定値は、前記1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つを規定し、前記コントローラが、前記少なくとも1つのセンサによって検出された前記力が前記所定の条件を満たすと判定したのに応答して、前記第1のモードから前記第2のモードに前記マニピュレータの動作を変更するように構成されている、請求項1から31のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項33】
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを前記第1のモードで動作させて、前記少なくとも1つのセンサによって取得される前記力を示す前記測定値が前記所定の条件に向かって増加するにつれて、弾力性の増加を伴い、前記目標部位に対する前記ツールの動きに抵抗するように構成されている、請求項32に記載の外科システム。
【請求項34】
前記ツールは、インパクターアセンブリを受け入れ、前記ガイドに対して前記インパクターアセンブリの制限された動きを可能にするように形成されたチャネルを備えたガイドを含み、前記インパクターアセンブリは、プロテーゼを解放可能に固定するためのインターフェースを有し、
前記マニピュレータは、前記インパクターアセンブリが前記ガイドの前記チャネルに受け入れられ、前記プロテーゼが前記インパクターアセンブリに固定されている間、前記目標部位に対する軌道に沿って前記ガイドを支持するように構成され、
前記目標部位はさらに寛骨臼カップとして規定され、
前記少なくとも1つのセンサは、前記寛骨臼カップに前記プロテーゼを設置するために前記インパクターアセンブリに加えられた力の結果として生じる前記力を検出するように構成され、
前記コントローラは、前記検出された力に基づいて前記寛骨臼カップに加えられているトルクを推定するようにさらに構成され、
前記コントローラは、前記寛骨臼カップに加えられた前記推定トルクが前記所定の条件を満たすと判定したことに応じて、前記マニピュレータの動作を前記第1のモードから前記第2のモードに変更するようにさらに構成されている、請求項32または33のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項35】
前記少なくともセンサは、力トルク変換器、ジョイントアクチュエータ電流センサ、ジョイント力センサ、ジョイントトルクセンサ、及びジョイントエンコーダの1つまたは複数としてさらに規定される、請求項28、29、及び32から34のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項36】
軌道に沿って目標部位を係合するためのツールと、
前記ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、
前記目標部位と前記マニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記マニピュレータ及び前記少なくとも1つの感知システムに結合されたコントローラであって、
第1の制約基準に従って前記軌道に対する前記ツールの整合を維持するための第1のモードと、
前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持するための第2のモードと
の間で前記マニピュレータを操作するように構成されているコントローラと
を含み、
前記コントローラはさらに、前記力が所定の条件を満たしていると判定することに応答して、前記マニピュレータの動作を前記第1のモードから前記第2のモードに変更するように構成されている、外科システム。
【請求項37】
前記第1の制約基準は、前記ツールの動きが前記軌道に対して制限される第1の数の自由度を含み、前記第2の制約基準は、前記ツールの動きが前記軌道に対して制限される第2の数の自由度を含み、前記第2の数の自由度は前記第1の自由度とは異なり、
前記コントローラは、前記マニピュレータを操作するようにさらに構成され、
前記第1のモードでは、前記第1の数の自由度に基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の数の自由度に基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持する、請求項36に記載の外科システム。
【請求項38】
前記第2の数の自由度は、前記第1の数の自由度よりも少なく、前記コントローラは、前記第2のモードにおいて、前記第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、前記軌道に対する前記ツールの移動を可能にする、請求項37に記載の外科システム。
【請求項39】
前記第1の制約基準が、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項37または38のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項40】
前記第1の制約基準及び前記第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項37から39のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項41】
前記第1の制約基準は、前記第2の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む、請求項37から40のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項42】
前記第1の制約基準及び前記第2の制約基準は、少なくとも1つの共通自由度を含む、請求項37から41のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項43】
前記第1の制約基準が第1の弾力性パラメータを含み、前記第2の制約基準が前記第1の弾力性パラメータとは異なる第2の弾力性パラメータを含み、
前記コントローラは、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持するようにさらに構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項44】
前記コントローラは、前記第1のモードよりも前記第2のモードにおいて、前記軌道に対してより弾力性のある前記ツールの動きを可能にする、請求項43に記載の外科システム。
【請求項45】
前記第1の弾力性パラメータ及び前記第2の弾力性パラメータはそれぞれ、共通自由度における前記軌道に対する前記ツールの弾力性のある動きに関連する、請求項43または44のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項46】
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを前記第1のモードで動作させて、前記少なくとも1つのセンサによって取得される前記力を示す前記測定値が前記所定の条件に向かって増加するにつれて、弾力性の増加を伴い、前記軌道に対する前記ツールの動きに抵抗するように構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項47】
前記ツールがツール中心点を規定し、
前記コントローラは、前記マニピュレータを前記第1のモードで動作させて、前記第1の制約基準に従って前記軌道から離れる前記ツール中心点の移動を制限するように構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項48】
前記コントローラは、前記第2の制約基準に従って前記軌道から離れる前記ツール中心点の移動を可能にするように、前記第2のモードで前記マニピュレータを動作させるように構成されている、請求項47に記載の外科システム。
【請求項49】
前記コントローラに結合されたモードインジケータをさらに備え、
前記コントローラは、前記少なくともセンサによって取得された前記力を示す前記測定値が、前記マニピュレータの動作の前記第1のモードから前記第2のモードへの前記変更をユーザに通信するための前記所定の条件を満たすと判定することに応答して、前記モードインジケータを起動するように構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項50】
前記コントローラは、前記第1の制約基準に従って、少なくとも1つの自由度で前記軌道に対する前記ツールの移動を可能にするように、前記第1のモードで前記マニピュレータを動作させるように構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項51】
前記コントローラは、前記第2の制約基準に従って、少なくとも1つの自由度で前記軌道に対する前記ツールの移動を可能にするように、前記第2のモードで前記マニピュレータを動作させるように構成されている、請求項50に記載の外科システム。
【請求項52】
前記コントローラは、前記第1の制約基準及び前記第2の制約基準の両方とは異なる第3の制約基準に従って、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持する第3のモードで、前記マニピュレータを操作するようにさらに構成され、
前記所定の条件は、第1の所定の条件としてさらに規定され、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサによって取得された力を示す測定値が前記第1の所定の条件とは異なる第2の所定の条件を満たすと判定することに応答して、前記マニピュレータの動作を前記第2のモードから前記第3のモードに変更するようにさらに構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項53】
前記第1の所定の条件は、前記少なくとも1つのセンサによって取得される測定値によって検出される第1の力によって規定され、前記第2の所定の条件は、前記少なくとも1つのセンサから取得される測定値によって検出される第2の力によって規定され、前記第2の力は、前記第1の力よりも大きい、請求項52に記載の外科システム。
【請求項54】
前記第1の制約基準は、前記ツールの動きが前記軌道に対して制限される第1の数の自由度を含み、前記第2の制約基準は、前記ツールの動きが前記軌道に対して制限されている第2の数の自由度を含み、前記第3の制約基準は、前記ツールの動きが前記軌道に対して制限されている第3の数の自由度を含み、前記第3の数の自由度は前記第1の数の自由度と前記第2の数の自由度の1つ以上とは異なり、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の数の自由度に基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の数の自由度に基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第3のモードでは、前記第3の数の自由度に基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持する
ように構成されている、請求項52または53のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項55】
前記第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータをさらに含み、前記第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータをさらに含み、前記第3の制約基準は、前記第1の弾力性パラメータ及び前記第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータをさらに含み、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の数の自由度に基づいて、また前記第1の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の数の自由度に基づいて、また前記第2の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第3のモードでは、前記第3の数の自由度に基づいて、また前記第3の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持する
ように構成されている、請求項54に記載の外科システム。
【請求項56】
前記第3の数の自由度は、前記第1の数の自由度よりも少なく、前記コントローラは、前記第3のモードにおいて、前記第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、前記軌道に対する前記ツールの移動を可能にする、請求項55に記載の外科システム。
【請求項57】
前記第3の数の自由度は、前記第2の数の自由度よりも少なく、前記コントローラは、前記第3のモードにおいて、前記第2のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、前記軌道に対する前記ツールの移動を可能にする、請求項56に記載の外科システム。
【請求項58】
前記第1の制約基準と前記第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項55に記載の外科システム。
【請求項59】
前記第1の制約基準、前記第2の制約基準、及び前記第3の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む、請求項55に記載の外科システム。
【請求項60】
前記第1の制約基準は、前記第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む、請求項55に記載の外科システム。
【請求項61】
前記第2の制約基準は、前記第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む、請求項60に記載の外科システム。
【請求項62】
前記コントローラは、前記第1のモードよりも前記第2のモードにおいて、前記軌道に対してより弾力性のある前記ツールの動きを可能にする、請求項55に記載の外科システム。
【請求項63】
前記コントローラは、前記第3のモードよりも前記第2のモードにおいて、前記軌道に対してより弾力性のある前記ツールの動きを可能にする、請求項62に記載の外科システム。
【請求項64】
前記第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータを含み、前記第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータを含み、前記第3の制約基準は、前記第1の弾力性パラメータ及び第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータを含み、
前記コントローラはさらに、前記マニピュレータを操作して、
前記第1のモードでは、前記第1の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第2のモードでは、前記第2の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持し、
前記第3のモードでは、前記第3の弾力性パラメータに基づいて、前記軌道に対する前記ツールの整合を維持するように構成されている、請求項52に記載の外科システム。
【請求項65】
前記目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーと、
前記患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムと
をさらに含み、
前記コントローラは、前記ナビゲーションシステムに結合され、前記ナビゲーションシステムから受信した前記患者トラッカーの前記追跡状態に基づいて前記軌道を規定するようにさらに構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項66】
前記ツールは、インパクターアセンブリを受け入れ、前記ガイドに対して前記インパクターアセンブリの制限された動きを可能にするように形成されたチャネルを備えたガイドを含み、前記インパクターアセンブリは、プロテーゼを解放可能に固定するためのインターフェースを有し、
前記マニピュレータは、前記目標部位に対して前記ガイドを支持するように構成されている、請求項36に記載の外科システム。
【請求項67】
前記マニピュレータは、前記インパクターアセンブリが前記ガイドの前記チャネルに受け入れられ、前記プロテーゼが前記インパクターアセンブリに固定されている間、前記目標部位に対して前記ガイドを支持するように構成され、
前記目標部位はさらに寛骨臼カップとして規定され、
前記少なくとも1つのセンサは、前記寛骨臼カップに前記プロテーゼを設置するために前記インパクターアセンブリに加えられた力の結果として生じる前記力を示す測定値を得るように構成され、
前記コントローラは、前記検出された力に基づいて前記寛骨臼カップに加えられているトルクを推定するようにさらに構成され、
前記コントローラは、前記寛骨臼カップに加えられた前記推定トルクが前記所定の条件を満たすと判定したことに応じて、前記マニピュレータの動作を前記第1のモードから前記第2のモードに変更するようにさらに構成されている、請求項66に記載の外科システム。
【請求項68】
前記少なくともセンサは、力トルク変換器、ジョイントアクチュエータ電流センサ、ジョイント力センサ、ジョイントトルクセンサ、及びジョイントエンコーダの1つまたは複数としてさらに規定される、請求項36、46、49、52、53、及び67のいずれか一項に記載の外科システム。
【請求項69】
目標部位に係合するためのツールと、
前記目標部位に対する前記ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、
前記目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーと、
前記患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムと、
前記マニピュレータ及び前記ナビゲーションシステムに結合されたコントローラであって、
第1の制約基準に従って前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するための第1のモードと、
前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するための第2のモードと
の間で前記マニピュレータを操作するように構成されているコントローラと
を含み、
前記コントローラは、前記ナビゲーションシステムから受信した追跡状態に基づいて、前記ツールの追跡された動きを前記患者トラッカーの動きと比較するようにさらに構成され、
前記コントローラは、前記ツールの追跡された動きが前記患者トラッカーの動きに対応すると判定することに応答して、前記マニピュレータの動作を前記第1のモードから前記第2のモードに変更するようにさらに構成されている、外科システム。
【請求項70】
プロテーゼを解放可能に固定するためのインターフェースを有するインパクターアセンブリ、前記インパクターアセンブリを受け入れるように形成されたチャネルを有するガイド、軌道に沿った目標部位に対して前記ガイドを支持するように構成されたマニピュレータ、少なくとも1つのセンサ、及び前記マニピュレータ及び前記少なくとも1つのセンサに結合されるコントローラを含む外科システムを操作する方法であって、
前記コントローラが、
第1の制約基準に従って前記軌道に関して前記ガイドの整合を維持するための第1のモードで前記マニピュレータを操作するステップと、
前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、前記軌道に対する前記ガイドの整合を維持するための第2のモードで前記マニピュレータを操作するステップと、
前記少なくとも1つのセンサからの測定値に基づいて、前記目標部位と前記マニピュレータとの間に発生する力を検出するステップと、
前記力が所定の条件を満たすことを判定し、それに応じて前記マニピュレータの動作を前記第1のモードから前記第2のモードに変更するステップと
を実行するよう構成されている、方法。
【請求項71】
目標部位に係合するためのツールと、
前記ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、
前記ツール、前記マニピュレータ、前記目標部位、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数に関連する1つまたは複数のシステム条件を検出するように構成された感知システムと、
前記マニピュレータ及び前記感知システムに結合され、
第1の制約基準に従って前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するため前記マニピュレータを操作し、
前記1つまたは複数のシステム条件の検出に応答して、前記マニピュレータを操作して、前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持する
ように構成されているコントローラと
を含む、外科システム。
【請求項72】
前記コントローラは、前記感知システムから検出されたシステム条件に基づいて前記第2の制約基準のパラメータを判定するように構成されている、請求項71に記載の外科システム。
【請求項73】
軌道に沿って目標部位に係合するためのツールと、
前記ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、
前記目標部位と前記マニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記マニピュレータ及び前記少なくとも1つのセンサに結合されたコントローラであって、
第1の制約基準に従って前記軌道に対する前記ツールの整合を維持するため前記マニピュレータを操作し、
前記力を示す前記取得された測定値を評価し、
前記評価に応じて、前記マニピュレータを操作して、前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って前記軌道に対して前記ツールの整合を維持する
ように構成されているコントローラと
を含む、外科システム。
【請求項74】
前記コントローラは、前記力を示す前記取得された測定値に基づいて、前記第2の制約基準のパラメータを判定するように構成されている、請求項73に記載の外科システム。
【請求項75】
目標部位に係合するためのツールと、
前記目標部位に対して前記ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、
前記目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーと、
前記患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムと、
前記マニピュレータ及び前記ナビゲーションシステムに結合されたコントローラであって、
第1の制約基準に従って前記目標部位に対する前記ツールの整合を維持するため前記マニピュレータを操作し、
前記ナビゲーションシステムから受信した前記患者トラッカーの追跡状態に基づいて、前記患者トラッカーの動きに対する前記ツールの追跡された動きを評価し、
前記評価に応じて、前記マニピュレータを操作して、前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って前記目標部位に対して前記ツールの整合を維持する
ように構成されているコントローラと
を含む、外科システム。
【請求項76】
前記コントローラは、前記評価された追跡された動きに基づいて、前記第2の制約基準のパラメータを判定するように構成されている、請求項75に記載の外科システム。
【請求項77】
目標部位に係合するためのツールと、
前記目標部位に対して前記ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、
前記目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーと、
前記患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムと、
前記マニピュレータ及び前記ナビゲーションシステムに結合されたコントローラであって、
第1の制約基準に従って前記目標部位に関連する仮想境界に対する前記ツールの動きを制約するよう前記マニピュレータを操作し、
前記ナビゲーションシステムから受信した前記患者トラッカーの追跡状態に基づいて、前記患者トラッカーの動きに対する前記ツールの追跡された動きを評価し、
前記比較に応じて、前記マニピュレータを操作して、前記第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って前記仮想境界に対する前記ツールの動きを制限する
ように構成されているコントローラと
を含む、外科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年10月1日出願の米国特許仮出願第62/908,915号の優先権及びすべての利益を主張し、その開示全体は、参照により本明細書において援用したものとする。
【背景技術】
【0002】
ロボットマニピュレータは、医療専門家が様々な従来の外科的処置を実行するのを支援するために頻繁に使用されている。この目的のために、外科医は、外科用ロボットまたは別のタイプのマニピュレータを使用して、外科手術中に様々なツール、コンポーネント、プロテーゼなどを誘導、配置、移動、作動、または他の方法で操作することができる。
【0003】
外科用ロボットは、外科医が多くの様々な種類の外科手術を行うのを支援するために使用でき、患者の移動性を改善して痛みを軽減するために、変性した関節の矯正、切除、または置換を伴う手術で一般的に使用される。説明的な例として、股関節置換術では、外科医は患者の股関節の一部を人工補綴コンポーネントで交換する。この目的のために、人工股関節全置換術では、外科医は、通常、患者の大腿骨の一部を除去して、ヘッドを含む人工大腿骨コンポーネントを収容し、骨盤の寛骨臼をリーマーで再表面化して、人工大腿骨コンポーネントを受容するよう形作られる補綴カップを取り付けるよう促す。
【0004】
実行される特定の処置に応じて、外科用ロボットは、外科医が手術部位に接近するのを補助し、関節及び/または骨の諸部分を除去し、補綴コンポーネントなどを取り付けるのに使用することができる。例えば、補綴カップを骨盤の寛骨臼に取り付けるために、外科医はカップをインパクターに接続し、インパクターを打撃して力を加える(例えば、木槌などで)ことにより、加工された寛骨臼にカップを植込む。カップの取り付けを容易にするために、外科用ロボットは寛骨臼に対してインパクターを整合させ続けるのを助け、外科医はインパクション中にカップの軌道と深さを注意深く監視して、カップの適切な整合を確実にする。ここで、寛骨臼のリーミングまたは切除は、一般に、カップの意図された位置を規定し、それは次にインパクションの軌道を規定し、それはナビゲーションシステムを介して追跡される骨盤に固定されたトラッカーを介して監視され得る。
【0005】
補綴コンポーネント、インパクションツール、及び外科用ロボットの構成によっては、特定のアプローチ及び外科技術で、設定された軌道を維持することが困難な場合があり、それによってカップまたは他の補綴コンポーネントのずれが、多くの場合に、不適切な整合及び/または衝撃力の適用から生じる。さらに、カップがリーミングされた寛骨臼に植込まれているとき、患者の体は、1つまたは複数の自由度でインパクター及び外科用ロボットに効果的に物理的に取り付けられるようになる。ここで、外科用ロボットが通常、骨盤に固定されたトラッカーに基づいて軌道に対するインパクターの動きを制限するため、カップと軌道の間のインパクション中に発生する可能性のある不整合は、時に、インパクターと骨盤が、インパクターツールを軌道との整合状態に戻そうとする外科用ロボットによって同時に動かされる「逸走」(runaway)状態に至る。外科用ロボットと骨盤の間の物理的接続のために、このタイプの「逸走」状態は、患者の望ましくない動き及び/または植込みされたまたは部分的に植込みされたカップの脱着をもたらす可能性がある。
【0006】
同様の「逸走」状態は、外科用ロボットによって誘導される様々なタイプのツールを使用する他の外科手術中に発生する可能性がある。非限定的な例として、動力付き外科用デバイスを含むツールを使用して、手術部位で組織を除去するように構成されたエネルギーアプリケータを駆動することができる。ここで、特定の動作条件下で、エネルギーアプリケータは、エネルギーアプリケータと組織との間にロックアップ状態を効果的に作り出すような方法で組織に係合することができる。例えば、脊椎の椎弓根に下穴を形成しているときに、ドリルビットを駆動する回転器具やバーが、ずれて骨に引っ掛かる可能性がある。ここでも、「逸走」状態は、患者、及び/または骨などの組織に係合するエネルギーアプリケータの望ましくない動きをもたらす可能性がある。
【0007】
したがって、これらの欠陥の1つまたは複数に対処する必要性が、当技術分野において残存している。
【発明の概要】
【0008】
本概要は、下段の発明を実施するための形態にさらに記述されている一連の概念を単純化された形式で紹介するために提供されている。本概要は、特許請求される主題の範囲を制限することを意図しておらず、特許請求される主題のすべての重要なまたは本質的な特徴を必ずしも特定するものではない。
【0009】
第1の態様によれば、目標部位と係合するためのツールと、ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、ツール、マニピュレータ、目標部位、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数に関連する1つまたは複数のシステム条件を検出するように構成された感知システムと、マニピュレータ及び感知システムに結合され、第1の制約基準(constraint criteria)に従って目標部位に対するツールの整合を維持するための第1のモードと、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、目標部位に対するツールの整合を維持するための第2のモードとの間でマニピュレータを操作するように構成されているコントローラとを含み、コントローラはさらに、1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つが所定の条件を満たすと判定することに応答して、マニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するように構成されている、外科システムが提供される。
【0010】
第2の態様によれば、第1の態様の外科システムを操作する方法が提供される。
【0011】
第3の態様によれば、軌道に沿って目標部位を係合するためのツール、ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、目標部位とマニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、マニピュレータ及び少なくとも1つの感知システムに結合され、第1の制約基準に従って軌道に対するツールの整合を維持するための第1のモードと、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、軌道に対するツールの整合を維持するための第2のモードとの間でマニピュレータを操作するように構成されているコントローラとを含み、コントローラはさらに、力が所定の条件を満たしていると判定することに応答して、マニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するように構成されている、外科システムが提供される。
【0012】
第4の態様によれば、第3の態様の外科システムを操作する方法が提供される。
【0013】
第5の態様によれば、目標部位を係合するためのツールと、目標部位に対してツールを支持するように構成されたマニピュレータと、目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーと、患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムと、マニピュレータ及びナビゲーションシステムに結合され、第1の制約基準に従って目標部位に対するツールの整合を維持するための第1のモードと、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、目標部位に対するツールの整合を維持するための第2のモードとの間でマニピュレータを操作するように構成されているコントローラとを含み、コントローラは、ナビゲーションシステムから受信した追跡状態に基づいて、ツールの追跡された動きを患者トラッカーの動きと比較するようにさらに構成され、追跡されたツールの動きが患者トラッカーの動きに一致しているという判定に応答して、コントローラがマニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するようにさらに構成されている外科システムが提供される。
【0014】
第6の態様によれば、第5の態様の外科システムを操作する方法が提供される。
【0015】
第7の態様によれば、プロテーゼを解放可能に固定するためのインターフェースを有するインパクターアセンブリ、インパクターアセンブリを受け入れるように形成されたチャネルを有するガイド、軌道に沿った目標部位に対してガイドを支持するように構成されたマニピュレータ、少なくとも1つのセンサ、及びマニピュレータ及び少なくとも1つのセンサに結合されるコントローラを含む外科システムを操作する方法であって、コントローラが、第1の制約基準に従って軌道に関してガイドの整合を維持するための第1のモードでマニピュレータを操作するステップと、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、軌道に対するガイドの整合を維持するための第2のモードでマニピュレータを操作するステップと、少なくとも1つのセンサからの測定値に基づいて、目標部位とマニピュレータとの間に発生する力を検出するステップと、及び力が所定の条件を満たすことを判定し、それに応じてマニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するステップとを実行するよう構成されている方法が提供される。
【0016】
第7の態様によれば、目標部位に係合するためのツールと、ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、ツール、マニピュレータ、目標部位、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数に関連する1つまたは複数のシステム条件を検出するように構成された感知システムと、マニピュレータ及び感知システムに結合されたコントローラであって、第1の制約基準に従って目標部位に対するツールの整合を維持するためマニピュレータを操作し、1つまたは複数のシステム条件の検出に応答して、マニピュレータを操作して、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って、目標部位に対するツールの整合を維持するよう構成されているコントローラとを含む、外科システムが提供される。
【0017】
第8の態様によれば、第7の態様の外科システムを操作する方法が提供される。
【0018】
第9の態様によれば、軌道に沿って目標部位に係合するためのツールと、ツールを支持するように構成されたマニピュレータと、目標部位とマニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、マニピュレータ及び少なくとも1つのセンサに結合され、第1の制約基準に従って軌道に対するツールの整合を維持するためマニピュレータを操作し、力を示す取得された測定値を評価し、評価に応じて、マニピュレータを操作して、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って軌道に対してツールの整合を維持するように構成されているコントローラとを含む、外科システムが提供される。
【0019】
第10の態様によれば、第9の態様の外科システムを操作する方法が提供される。
【0020】
第11の態様によれば、目標部位に係合するためのツールと、目標部位に対してツールを支持するように構成されたマニピュレータと、目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーと、患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムと、マニピュレータ及びナビゲーションシステムに結合され、第1の制約基準に従って目標部位に対するツールの整合を維持するためマニピュレータを操作し、ナビゲーションシステムから受信した患者トラッカーの追跡状態に基づいて、患者トラッカーの動きに対するツールの追跡された動きを評価し、評価に応じて、マニピュレータを操作して、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って目標部位に対してツールの整合を維持するように構成されているコントローラとを含む、外科システムが提供される。
【0021】
第12の態様によれば、第11の態様の外科システムを操作する方法が提供される。
【0022】
第13の態様によれば、目標部位に係合するためのツールと、目標部位に対してツールを支持するように構成されたマニピュレータと、目標部位に対する取り付けに適合した患者トラッカーと、患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムと、マニピュレータ及びナビゲーションシステムに結合されたコントローラであって、第1の制約基準に従って目標部位に関連する仮想境界に対するツールの動きを制約するようマニピュレータを操作し、ナビゲーションシステムから受信した患者トラッカーの追跡状態に基づいて、患者トラッカーの動きに対するツールの追跡された動きを評価し、比較に応じて、マニピュレータを操作して、第1の制約基準とは異なる第2の制約基準に従って仮想境界に対するツールの動きを制限するように構成されているコントローラとを含む、外科システムが提供される。
【0023】
第14の態様によれば、第13の態様の外科システムを操作する方法が提供される。
【0024】
上記の態様のいずれかを部分的または全体的に組み合わせることができる。さらに、上記の態様のいずれかが、下記の実装形態のいずれかと実施され得る。
【0025】
一実装形態では、第1の制約基準は、ツールの動きが目標部位に対して制限される第1の数の自由度を含む。一実装形態では、第2の制約基準は、ツールの動きが目標部位に対して制限される第2の数の自由度を含む。一実装形態では、第2の数の自由度は、第1の数の自由度とは異なる。一実装形態では、コントローラは、第1のモードでは、第1の数の自由度に基づいて、目標部位に対してツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の数の自由度に基づいて、目標部位に対してツールの整合を維持するように、マニピュレータを操作するようにさらに構成されている。
【0026】
一実装形態では、第2の数の自由度は、第1の数の自由度よりも少なく、その結果、コントローラは、第2のモードにおいて、第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、目標部位に対するツールの移動を可能にする。一実装形態では、第1の制約基準は、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準及び第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準は、第2の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準及び第2の制約基準は、少なくとも1つの共通自由度を含む。
【0027】
一実装形態では、第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータを含み、第2の制約基準は、第1の弾力性パラメータとは異なる第2の弾力性パラメータを含む。一実装形態では、コントローラは、さらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の弾力性パラメータに基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の弾力性パラメータに基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持するように構成されている。一実装形態では、コントローラは、第1のモードよりも第2のモードにおいて、目標部位に対してより弾力性のあるツールの動きを可能にする。一実装形態では、第1の弾力性パラメータ及び第2の弾力性パラメータはそれぞれ、共通自由度での目標部位に対するツールの弾力性のある動きに関連付けられている。
【0028】
一実装形態では、ツールはツール中心点を規定する。一実装形態では、コントローラは、マニピュレータを第1のモードで動作させて、第1の制約基準に従って目標部位から離れるツール中心点の移動を制限するように構成されている。
【0029】
一実装形態では、コントローラは、マニピュレータを第2のモードで動作させて、第2の制約基準に従って目標部位から離れるツール中心点の移動を制限するように構成されている。
【0030】
一実装形態では、モードインジケータがコントローラに結合されている。一実装形態では、コントローラは、1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つが所定の条件を満たすと判定したことに応答してモードインジケータを始動して、マニピュレータの動作の第1のモードから第2のモードへの変更をユーザに通知するように構成されている。
【0031】
一実装形態では、コントローラは、第1のモードでマニピュレータを動作させて、第1の制約基準に従って少なくとも1つの自由度で目標部位に対してツールの移動を可能にするように構成されている。
【0032】
一実装形態では、コントローラは、第2のモードでマニピュレータを動作させて、第2の制約基準に従って少なくとも1つの自由度で目標部位に対してツールの移動を可能にするように構成されている。
【0033】
一実装形態では、コントローラはさらに、第1の制約基準及び第2の制約基準の両方とは異なる第3の制約基準に従って、目標部位に対するツールの整合を維持するために第3のモードでマニピュレータを操作するように構成されている。一実装形態では、所定の条件は、第1の所定の条件としてさらに規定される。一実装形態では、コントローラは、1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つが第1の所定の条件とは異なる第2の所定の条件を満たすと判定することに応答して、マニピュレータの動作を第2のモードから第3のモードに変更するようにさらに構成されている。
【0034】
一実装形態では、第1の制約基準は、ツールの動きが目標部位に対して制限される第1の数の自由度を含む。一実装形態では、第2の制約基準は、ツールの動きが目標部位に対して制限される第2の数の自由度を含む。一実装形態では、第3の制約基準は、ツールの動きが目標部位に対して制限される第3の数の自由度を含む。一実装形態では、第3の数の自由度は第1の数の自由度と第2の数の自由度の1つ以上とは異なり、コントローラはさらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の数の自由度に基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の数の自由度に基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持し、第3のモードでは、第3の数の自由度に基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持するように構成されている。
【0035】
一実装形態では、第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータをさらに含む。一実装形態では、第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータをさらに含む。一実装形態では、第3の制約基準は、第1の弾力性パラメータ及び第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータをさらに含む。一実装形態では、コントローラはさらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の数の自由度に基づいて、また第1の弾力性パラメータに基づき、目標部位に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の数の自由度に基づいて、また第2の弾力性パラメータに基づき、目標部位に対するツールの整合を維持し、第3のモードでは、第3の数の自由度に基づいて、また第3の弾力性パラメータに基づき、目標部位に対するツールの整合を維持するように構成されている。
【0036】
一実装形態では、第3の数の自由度は、第1の数の自由度よりも少なく、その結果、コントローラは、第3のモードにおいて、第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、目標部位に対するツールの移動を可能にする。一実装形態では、第3の数の自由度は、第2の数の自由度よりも少なく、その結果、コントローラは、第3のモードにおいて、第2のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、目標部位に対するツールの移動を可能にする。一実装形態では、第1の制約基準及び第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準、第2の制約基準、及び第3の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準は、第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む。一実装形態では、第2の制約基準は、第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む。一実装形態では、コントローラは、第1のモードよりも第2のモードにおいて、目標部位に対してより弾力性のあるツールの動きを可能にする。一実装形態では、コントローラは、第3のモードよりも第2のモードにおいて、目標部位に対してより弾力性のあるツールの動きを可能にする。
【0037】
一実装形態では、第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータを含み、第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータを含み、第3の制約基準は、第1の弾力性パラメータ及び第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータを含み、コントローラはさらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の弾力性パラメータに基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の弾力性パラメータに基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持して、第3のモードでは、第3の弾力性パラメータに基づいて、目標部位に対するツールの整合を維持するように構成されている。
【0038】
一実装形態では、感知システムは、目標部位とマニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのセンサによって取得される力を示す測定値は、1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つを規定し、コントローラが、少なくとも1つのセンサによって検出された力が第1の所定の条件を満たすと判定したのに応答して、第1のモードから第2のモードに、また、少なくとも1つのセンサによって検出された力が第2の所定の条件を満たすと判定したのに応答して、第2のモードから第3のモードに、マニピュレータの動作を変更するように構成されている。一実装形態では、第1の所定の条件は、少なくとも1つのセンサによって検出される第1の力によって規定され、第2の所定の条件は、少なくとも1つのセンサによって検出される第2の力によって規定され、第2の力は、第1の力よりも大きい。
【0039】
一実装形態では、患者トラッカーは、目標部位に対する取り付けに適合されている。一実装形態では、感知システムは、患者トラッカーの状態を追跡するように構成されたナビゲーションシステムを含む。一実装形態では、患者トラッカーの追跡状態は、1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つを規定し、患者トラッカーの追跡状態は所定の条件を満たすという判定に応答して、コントローラがマニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するように構成されている。一実装形態では、コントローラは、ナビゲーションシステムから受信した追跡状態に基づいて、ツールの追跡された動きを患者トラッカーの動きと比較するようにさらに構成されている。一実装形態では、ツールの追跡された動きは、1つまたは複数のシステム条件のうちの少なくとも1つを規定する。一実装形態では、所定の条件は、患者トラッカーの追跡された状態に対応するツールの追跡された動きに基づいて規定される。
【0040】
一実装形態では、感知システムは、目標部位とマニピュレータとの間に発生する力を示す測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサを備える。一実装形態では、少なくとも1つのセンサによって取得される力を示す測定値は、1つまたは複数のシステム条件の少なくとも1つを規定し、コントローラが、少なくとも1つのセンサによって検出された力が所定の条件を満たすと判定したのに応答して、第1のモードから第2のモードにマニピュレータの動作を変更するように構成されている。
【0041】
一実装形態では、コントローラはさらに、マニピュレータを第1のモードで動作させて、少なくとも1つのセンサによって取得される力を示す測定値が所定の条件に向かって増加するにつれて、弾力性の増加を伴い、目標部位に対するツールの動きに抵抗するように構成されている。一実装形態では、ツールは、インパクターアセンブリを受け入れ、ガイドに対してインパクターアセンブリの制限された動きを可能にするように形成されたチャネルを備えたガイドを含み、インパクターアセンブリは、プロテーゼを解放可能に固定するためのインターフェースを有する。一実装形態では、マニピュレータは、インパクターアセンブリがガイドのチャネルに受け入れられ、プロテーゼがインパクターアセンブリに固定されている間、目標部位に対する軌道に沿ってガイドを支持するように構成されている。一実装形態では、目標部位はさらに寛骨臼カップとして規定される。一実装形態では、少なくとも1つのセンサは、寛骨臼カップにプロテーゼを設置するためにインパクターアセンブリに加えられた力の結果として生じる力を検出するように構成されている。一実装形態では、コントローラは、検出された力に基づいて寛骨臼カップに加えられているトルクを推定するようにさらに構成されている。一実装形態では、寛骨臼カップに加えられた推定トルクが所定の条件を満たすと判定したことに応じて、マニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するようにコントローラをさらに構成する。
【0042】
一実装形態では、少なくともセンサは、力トルク変換器、ジョイントアクチュエータ電流センサ、ジョイント力センサ、ジョイントトルクセンサ、及びジョイントエンコーダの1つまたは複数としてさらに規定される。
【0043】
一実装形態では、第1の制約基準は、ツールの動きが軌道に対して制限される第1の数の自由度を含む。一実装形態では、第2の制約基準は、ツールの動きが軌道に対して制限される第2の数の自由度を含む。一実装形態では、第2の数の自由度は、第1の数の自由度とは異なる。一実装形態では、コントローラは、第1のモードでは、第1の数の自由度に基づいて、軌道に対してツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の数の自由度に基づいて、軌道に対してツールの整合を維持するように、マニピュレータを操作するようにさらに構成されている。
【0044】
一実装形態では、第2の数の自由度は、第1の数の自由度よりも少なく、その結果、コントローラは、第2のモードにおいて、第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、軌道に対するツールの移動を可能にする。一実装形態では、第1の制約基準は、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準及び第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準は、第2の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準及び第2の制約基準は、少なくとも1つの共通自由度を含む。
【0045】
一実装形態では、第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータを含み、第2の制約基準は、第1の弾力性パラメータとは異なる第2の弾力性パラメータを含む。一実装形態では、コントローラは、さらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の弾力性パラメータに基づいて、軌道に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の弾力性パラメータに基づいて、軌道に対するツールの整合を維持するように構成されている。
【0046】
一実装形態では、コントローラは、第1のモードよりも第2のモードにおいて、軌道に対してより弾力性のあるツールの動きを可能にする。一実装形態では、第1の弾力性パラメータ及び第2の弾力性パラメータはそれぞれ、共通自由度での軌道に対するツールの弾力性のある動きに関連付けられている。
【0047】
一実装形態では、コントローラはさらに、マニピュレータを第1のモードで動作させて、少なくともセンサによって取得される力を示す測定値が所定の条件に向かって増加するにつれて、弾力性の増加を伴い、軌道に対するツールの動きに抵抗するように構成されている。
【0048】
一実装形態では、ツールがツール中心点を規定し、コントローラは、マニピュレータを第1のモードで動作させて、第1の制約基準に従って軌道から離れるツール中心点の移動を制限するように構成されている。一実装形態では、コントローラは、マニピュレータを第2のモードで動作させて、第2の制約基準に従って軌道から離れるツール中心点の移動を可能にするように構成されている。
【0049】
一実装形態では、モードインジケータがコントローラに結合され、コントローラは、少なくともセンサによって取得された力を示す測定値が、マニピュレータの動作の第1のモードから第2のモードへの変更をユーザに通信するための所定の条件を満たすと判定することに応答して、モードインジケータを起動するように構成されている。
【0050】
一実装形態では、コントローラは、第1のモードでマニピュレータを動作させて、第1の制約基準に従って少なくとも1つの自由度で軌道に対してツールの移動を可能にするように構成されている。
【0051】
一実装形態では、コントローラは、第2のモードでマニピュレータを動作させて、第2の制約基準に従って少なくとも1つの自由度で軌道に対してツールの移動を可能にするように構成されている。
【0052】
一実装形態では、コントローラはさらに、第1の制約基準及び第2の制約基準の両方とは異なる第3の制約基準に従って、軌道に対するツールの整合を維持するために第3のモードでマニピュレータを操作するように構成されている。一実装形態では、所定の条件は、第1の所定の条件としてさらに規定される。一実装形態では、コントローラは、少なくとも1つのセンサによって取得された力を示す測定値が第1の所定の条件とは異なる第2の所定の条件を満たすと判定することに応答して、マニピュレータの動作を第2のモードから第3のモードに変更するようにさらに構成されている。一実装形態では、第1の所定の条件は、少なくとも1つのセンサによって取得される測定値によって検出される第1の力によって規定され、第2の所定の条件は、少なくとも1つのセンサから取得される測定値によって検出される第2の力によって規定され、第2の力は、第1の力よりも大きい。一実装形態では、第1の制約基準は、ツールの動きが軌道に対して制限される第1の数の自由度を含み、第2の制約基準は、ツールの動きが軌道に対して制限されている第2の数の自由度を含み、第3の制約基準は、ツールの動きが軌道に対して制限されている第3の数の自由度を含み、第3の数の自由度は第1の数の自由度と第2の数の自由度の1つ以上とは異なり、コントローラはさらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の数の自由度に基づいて、軌道に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の数の自由度に基づいて、軌道に対するツールの整合を維持し、第3のモードでは、第3の数の自由度に基づいて、軌道に対するツールの整合を維持するように構成されている。
【0053】
一実装形態では、第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータをさらに含み、第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータをさらに含み、第3の制約基準は、第1の弾力性パラメータ及び第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータをさらに含み、コントローラはさらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の数の自由度に基づいて、また第1の弾力性パラメータに基づき、軌道に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の数の自由度に基づいて、また第2の弾力性パラメータに基づき、軌道に対するツールの整合を維持し、第3のモードでは、第3の数の自由度に基づいて、また第3の弾力性パラメータに基づき、軌道に対するツールの整合を維持するように構成されている。
【0054】
一実装形態では、第3の数の自由度は、第1の数の自由度よりも少なく、その結果、コントローラは、第3のモードにおいて、第1のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、軌道に対するツールの移動を可能にする。一実装形態では、第3の数の自由度は、第2の数の自由度よりも少なく、その結果、コントローラは、第3モードにおいて、第2のモードよりも少なくとも1つ多い自由度で、軌道に対するツールの移動を可能にする。
【0055】
一実装形態では、第1の制約基準及び第2の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの位置自由度及び少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準、第2の制約基準、及び第3の制約基準はそれぞれ、少なくとも1つの方向自由度を含む。一実装形態では、第1の制約基準は、第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む。一実装形態では、第2の制約基準は、第3の制約基準よりも少なくとも1つ多い位置自由度を含む。一実装形態では、コントローラは、第1のモードよりも第2のモードにおいて、軌道に対してより弾力性のあるツールの動きを可能にする。一実装形態では、コントローラは、第3のモードよりも第2のモードにおいて、軌道に対してより弾力性のあるツールの動きを可能にする。
【0056】
一実装形態では、第1の制約基準は、第1の弾力性パラメータを含み、第2の制約基準は、第2の弾力性パラメータを含み、第3の制約基準は、第1の弾力性パラメータ及び第2の弾力性パラメータの1つまたは複数とは異なる第3の弾力性パラメータを含む。一実装形態では、コントローラはさらに、マニピュレータを操作して、第1のモードでは、第1の弾力性パラメータに基づき、軌道に対するツールの整合を維持し、第2のモードでは、第2の弾力性パラメータに基づき、軌道に対するツールの整合を維持し、第3のモードでは、第3の弾力性パラメータに基づき、軌道に対するツールの整合を維持するように構成されている。
【0057】
一実装形態では、患者トラッカーは、目標部位に対する取り付けに適合し、ナビゲーションシステムは患者トラッカーの状態を追跡するように構成され、コントローラは、ナビゲーションシステムに結合され、ナビゲーションシステムから受信した患者トラッカーの追跡状態に基づいて軌道を規定するようにさらに構成されている。
【0058】
一実装形態では、ツールは、インパクターアセンブリを受け入れ、ガイドに対してインパクターアセンブリの制限された動きを可能にするように形成されたチャネルを備えたガイドを含み、インパクターアセンブリは、プロテーゼを解放可能に固定するためのインターフェースを有する。一実装形態では、マニピュレータは、目標部位に対してガイドを支持するように構成されている。
【0059】
一実装形態では、マニピュレータは、インパクターアセンブリがガイドのチャネルに受け入れられ、プロテーゼがインパクターアセンブリに固定されている間、目標部位に対してガイドを支持するように構成され、目標部位はさらに寛骨臼カップとして規定される。一実装形態では、少なくとも1つのセンサは、寛骨臼カップにプロテーゼを設置するためにインパクターアセンブリに加えられた力の結果として生じる力を示す測定値を得るように構成されている。一実装形態では、コントローラは、検出された力に基づいて寛骨臼カップに加えられているトルクを推定するようにさらに構成されている。一実装形態では、寛骨臼カップに加えられた推定トルクが所定の条件を満たすと判定したことに応じて、マニピュレータの動作を第1のモードから第2のモードに変更するようにコントローラをさらに構成する。
【0060】
一実装形態では、コントローラは、感知システムから検出されたシステム条件に基づいて、第2の制約基準のパラメータを判定するように構成されている。
【0061】
一実装形態では、コントローラは、力を示す取得された測定値に基づいて、第2の制約基準のパラメータを判定するように構成されている。
【0062】
一実装形態では、コントローラは、評価された追跡された動きに基づいて、第2の制約基準のパラメータを判定するように構成されている。
【0063】
上記の実装形態のいずれも、上記の態様のいずれかに利用することができる。上記の実装形態のいずれも、上記の任意の1つまたは複数の態様について、全体的または部分的に、組み合わせることができる。
【0064】
添付の図面と共に取得される続く説明を読んだ後に、本開示の他の特徴や利点は、より良好に理解されるため、容易に理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】マニピュレータ、ナビゲーションシステム、及び目標部位に係合するためのツールを含む外科システムの斜視図であり、ツールのうちの1つは、エネルギーアプリケータを駆動するための動力付き外科用デバイスを有して示されおり、ツールのうちの別のものは、プロテーゼに結合され、マニピュレータに取り付けられたガイドによって軌道に沿って支持されるインパクターアセンブリを有して示されている。
図2図1の外科システムを制御するための制御システムのブロック図である。
図3図2の制御システムのソフトウェアプログラムの機能ブロック図である。
図4図3のソフトウェアプログラムの境界発生器の出力を示す寛骨臼として実現された目標部位の例示的な図である。
図5図3のソフトウェアプログラムのパス発生器の出力を示す、図4の目標部位の例示的な図である。
図6】目標部位と図1のツールの1つを示した図であり、外科システムの仮想的な制約を示している。
図7図2の制御システムによって動作可能なモジュールのブロック図である。
図8図2の制御システムの制約方程式の例を示している。
図9図2の制御システムを使用して仮想シミュレーションを実行するためのフォワードダイナミクスアルゴリズムの例を示している。
図10図9のフォワードダイナミクスアルゴリズムを実装するための例示的な一連のステップを示している。
図11】制約の解を出し、フォワードダイナミクスを実行し、コマンドされたポーズを決定するために、図2の制御システムによって実行される例示的な一連のステップを示している。
図12】目標部位の軌道と整合させた軸に沿ってエネルギーアプリケータを支持し、目標部位からエネルギーアプリケータが離間された状態で示されている、図1のツールの例示的な概略図である。
図13A】ツール、エネルギーアプリケータ、及び図12の目標部位の別の例示的な概略図であり、エネルギーアプリケータが軌道に沿って目標部位に係合している状態で示されている。
図13B】ツール、エネルギーアプリケータ、及び図13Aの目標部位の別の例示的な概略図であり、エネルギーアプリケータが軌道に沿って前進し、目標部位の中により深く係合している状態で示されている。
図14A】ツール、エネルギーアプリケータ、及び図13Bの目標部位の別の例示的な概略図であり、エネルギーアプリケータが目標部位と係合している間に軸の周りの回転に対する抵抗に遭遇している状態で示されている。
図14B】ツール、エネルギーアプリケータ、及び図14Aの目標部位の別の例示的な概略図であり、図14Aに示される回転に対する抵抗に応答して、軌道に対してずれた目標部位にエネルギーアプリケータが係合し、ツールとエネルギーアプリケータは、逸走状態を示す軌道に対してずれが誇張されて配置されている状態で示されている。
図14C】ツール、エネルギーアプリケータ、及び図14Bの目標部位の別の例示的な概略図であり、図1のマニピュレータが目標部位によって規定された軌道にツールを整合させようとしているときの逸走状態を示すために、ツールがエネルギーアプリケータと共に移動し、目標部位が支持面から離れた状態で示されている。
図14D】ツール、エネルギーアプリケータ、及び図14Cの目標部位の別の例示的な概略図であり、図1のマニピュレータが目標部位によって規定された軌道にツールを整合させようとし続けているときの逸走状態を示すために、ツールがエネルギーアプリケータと共にさらに移動し、目標部位が支持面から離れた状態で示されている。
図15図1の外科システムの一部の部分斜視図であり、トラッカーを介してナビゲーションシステムによって監視される目標部位によって規定される軌道から離間したプロテーゼを支持するガイド及びインパクターアセンブリを含むツールを示している。
図16A図15のインパクターアセンブリの斜視図であり、インターフェースと、フランジとヘッドとの間に延びるハンドルに隣接して配置されたフランジとの間に延びるシャフトを備えた、プロテーゼから離間したインターフェースを有して示されている。
図16B図16Aのインパクターアセンブリの分解斜視図である。
図17A図15のガイドの斜視図である。
図17B】チャネルを規定する本体を含んで示されている、図17Aのガイドの部分的に分解された斜視図である。
図18図15~17Bのプロテーゼ及びツールの例示的な概略図であり、ガイドが目標部位の軌道に整合されたガイド軸を規定して示され、インパクターアセンブリがプロテーゼに取り付けられ、目標部位とガイドの両方から離間された状態で示されている。
図19A】ツール、プロテーゼ、及び図18の目標部位の別の例示的な概略図であり、プロテーゼ及びインパクターアセンブリが目標部位に隣接して配置され、インパクターアセンブリのフランジがガイドのチャネルに支持され、加えた力がガイドに作用している状態で示されている。
図19B】ツール、プロテーゼ、及び図19Aの目標部位の別の例示的な概略図であり、図19Aに示されている加えられた力に応答して、ツール及びプロテーゼが軌道及び目標部位に対して移動された状態で示されている。
図20A】ツール、プロテーゼ、及び図18の目標部位の別の例示的な概略図であり、プロテーゼ及びインパクターアセンブリが目標部位に隣接して配置され、インパクターアセンブリのフランジがガイドのチャネルに支持され、加えた力が軌道に実質的に沿ったインパクターアセンブリのヘッドに作用している状態で示されている。
図20B】ツール、プロテーゼ、及び図20Aの目標部位の別の例示的な概略図であり、図20Aに示されている加えられた力に応答して、プロテーゼが軌道に沿って目標位置で植込まれた状態で示されている。
図21A】ツール、プロテーゼ、及び図18の目標部位の別の例示的な概略図であり、プロテーゼ及びインパクターアセンブリが目標部位に隣接して配置され、インパクターアセンブリのフランジがガイドのチャネルに支持され、加えた力が軌道に対して横断してインパクターアセンブリのヘッドに作用している状態で示されている。
図21B】ツール、プロテーゼ、及び図21Aの目標部位の別の例示的な概略図であり、図20Aに示される加えられた力に応答して、プロテーゼが軌道に対してずれた目標部位に植込まれ、ツールとプロテーゼは、逸走状態を示す軌道に対してずれが誇張されて配置された状態で示されている。
図21C】ツール、プロテーゼ、及び図21Bの目標部位の別の例示的な概略図であり、図1のマニピュレータが目標部位によって規定された軌道にガイドを整合させようとしているときの逸走状態を示すために、ツールが植込まれたプロテーゼと共に移動し、目標部位が支持面から離れた状態で示されている。
図21D】ツール、プロテーゼ、及び図21Cの目標部位の別の例示的な概略図であり、図1のマニピュレータが目標部位によって規定された軌道にガイドを整合させ続けようとしているときの逸走状態を示すために、ツールが植込まれたプロテーゼと共にさらに移動し、目標部位が支持面から離れた状態で示されている。
図22A】ガイド、プロテーゼを支持するインパクターアセンブリ、及び図15~17Bの目標部位の別の部分斜視図であり、プロテーゼが目標部位に配置され、マニピュレータに結合されたガイドから離間された状態で示されている。
図22B】ガイド、プロテーゼを支持するインパクターアセンブリ、及び図22Aの目標部位の別の部分斜視図であり、マニピュレータに結合されたガイドが、ガイドのチャネル内に配置されたインパクターアセンブリのシャフトと共に軌道に向かって移動した状態で示されている。
図22C】ガイド、プロテーゼを支持するインパクターアセンブリ、及び図22Bの目標部位の別の部分斜視図であり、マニピュレータに結合されたガイドが、インパクターアセンブリのフランジをガイドのチャネルに係合するように軌道に沿って移動した状態で示されている。
図23】ガイド、プロテーゼを支持するインパクターアセンブリ、及び図22Cの目標部位の別の部分斜視図であり、マニピュレータに結合されたガイドが、ファントムで描かれた前の配置から1回転自由度で軌道の周りを移動した状態で示されている。
図24A】ガイド、プロテーゼを支持するインパクターアセンブリ、及び図22Bの目標部位の別の部分斜視図であり、マニピュレータに結合されたガイドが、ガイドのチャネルに係合するように配置されたインパクターアセンブリのフランジと軌道に沿って配置され、加えられた力が軌道を横断するインパクターアセンブリのヘッドに作用した状態で示されている。
図24B】ガイド、プロテーゼを支持するインパクターアセンブリ、及び図24Aの目標部位の別の部分斜視図であり、プロテーゼが目標部位に部分的に植込まれ、図24Aに示される加えられた力に応答して軌道に対してずれ、ツールとプロテーゼは、軌道に対して、またファントムで描かれた以前の配置に対してずれが誇張されて配置された状態で示されている。
図24C】ガイド、プロテーゼを支持するインパクターアセンブリ、及び図24Bの目標部位の別の部分斜視図であり、プロテーゼが目標部位に部分的に植込まれ、図24Aに示される加えられた力に応答して軌道に対してさらにずれ、ツールとプロテーゼは、軌道に対してずれがさらに誇張されて配置された状態で示されている。
図25】本開示の実施形態による、図1の感知システム、コントローラ、及びマニピュレータ間の相互作用を示すブロック図である。
図26】仮想境界と目標部位の骨の間にバーがトラップされた結果として発生する逸走状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図面全体に示されている実施形態のいずれか1つまたは複数は、例示の目的で、特定の構成要素、構造的特徴、及び/またはアセンブリが除去され、概略的に示され、及び/またはファントムにて示され得る。
【0067】
ここで図1を参照すると、ツール104を支持するロボットマニピュレータ102を含む外科システム100が示されている。外科システム100は、骨または軟組織などの患者Pの体Bの解剖学的体積または目標部位TSを治療するのに有用である。この目的のために、マニピュレータ102は、一般に、ベース106、ロボットアーム108、及びカップリング110を備える。ロボットアーム108は、ベース106によって支持され、使用中にベース106に対するカップリング110の位置及び/または向きを移動、維持、または他の方法で制御するように構成されている。カップリング110は、1つまたは複数のタイプのツール104を解放可能に固定するように適合されており、ツール104は、順次様々なタイプの外科的処置に関連して利用される器具112を一般に支持する、または別様には含む。いくつかの実施形態では、器具112は、目標部位TSでまたは隣接して治療を行うために使用されるエネルギーアプリケータ114(例えば、ドリルビット、タップ、バー、ブレード、のこぎり、リーマーなど)を支持、駆動、回転、発振、振動させる、及び/またはそうでなければそれにエネルギーを導くよう構成されている。いくつかの実施形態では、器具112は、マニピュレータ102によって維持される軌道Tに沿ったような、目標部位TSに関して、植込み可能コンポーネント116(例えば、カップ、ステム、スクリュー、ピン、ロッド、ワイヤ、アンカー、プロテーゼなど)を支持、配置、整合、及び/または誘導するように構成され得る。
【0068】
図1では、患者Pは、目標部位TSが患者の股関節と大腿骨の一部を含むか、そうでなければ定められる、例示的な外科的処置を受けている。しかしながら、その様々なタイプの外科的処置は、本開示によって企図され、部分的または全体的な膝または股関節の置換手術、肩置換手術、脊椎手術、足首手術などを含むがこれらに限定されない外科的処置を含む。外科的処置は、組織除去または他の形態の治療(例えば、切断、穴あけ、リーミング、凝固、傷害、他のその場での組織治療など)を含み得る。いくつかの実施形態では、外科システム100は、ユニコンパートメント、バイコンパートメント、マルチコンパートメント、または全膝インプラントを含む股関節及び膝のインプラントなどの植込み可能コンポーネント116(「インプラント」とも呼ばれる)によって置き換えられる材料を切断するのを容易にするように設計され得る。いくつかのタイプの植込み型コンポーネント116は、「Prosthetic Implant and Method of Implantation」と題された米国特許第9,381,085号に示され、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、以下の続く説明から理解されるように、他の構成が企図され、外科システム100は、いくつかの異なる外科的処置に関連して利用でき、本開示の範囲から逸脱しなければ、マニピュレータ102、ツール104、器具112、エネルギーアプリケータ114、及び/または植込み可能コンポーネント116の様々なタイプ、スタイル、及び構成を使用することができる。さらに、本明細書に開示される外科システム100及び技術は、外科的または非外科的である他の処置を実行するために使用され得るか、またはロボットシステムが利用される産業用途または他の用途で使用され得る。
【0069】
マニピュレータ102(「外科用ロボット」とも呼ばれる)は、ツール104を目標部位TSに対して、及びロボットアーム108を介してベース106に対して移動させ、とりわけ、動きに対し正確に制御しながら様々なタイプの外科的処置を実行すること、及びツール104、器具112、エネルギーアプリケータ114、及び/または植込み可能コンポーネント116の位置決めをすることで、医療専門家を補助する。上記のように、マニピュレータ102は、一般に、ベース106、ロボットアーム108、及びカップリング110を備える。ベース106は、マニピュレータカート118に固定され、ロボットアーム108を支持し、順次、使用中にベース106に対するカップリング110の位置及び/または向きを移動、維持、または他の方法で制御するように構成されている。この目的のために、図1に示されるロボットアーム108は、直列アーム構成に配置された複数のリンク120及びジョイントJを備える。しかしながら、マニピュレータ102は、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる構成を採用することができる。非限定的な例として、マニピュレータ102は、平行アーム構成、または任意の他の適切な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、複数のアーム構成で2つ以上のマニピュレータ102を利用することができる。ロボットアーム108の1つの例示的な構成は、「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」と題された米国特許第9,119,655号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ロボットアーム108及びマニピュレータ102の他の部分は、本開示の範囲から逸脱することなく、いくつかの異なる構成で配置することができる。
【0070】
図1に示される例では、マニピュレータ102は、ジョイントJの位置データを決定するためにジョイントJに配置された複数のジョイントエンコーダ122を備える。簡潔さのため1つだけのジョイントエンコーダ122が図1にラベル付けされているが、他のジョイントエンコーダ122が、同様に示され得る。本明細書に示される代表的な実施形態では、ロボットアーム108は、マニピュレータ102に対して少なくとも6自由度(DOF)を実施する6つのジョイントJ1、J2、J3、J4、J5、J6を有する。しかしながら、マニピュレータ102は、任意の適切な数の自由度を有し得、任意の適切な数のジョイントJを有し得、冗長なジョイントJを有し得る。マニピュレータ102はジョイントエンコーダ122を必要としないが、代わりにまたは加えて、各ジョイントJのモータ上に存在するモータエンコーダを利用する。さらに、マニピュレータ102は、回転性ジョイントを必要としないが、代わりに、またはさらに、1つまたは複数の角柱のジョイントを利用することができる。ジョイントのタイプの任意の適切な組み合わせが考えられる。
【0071】
外科システム100は、様々なタイプのトラッカー(例えば、複数の自由度の光学的、慣性的、及び/または超音波感知デバイス)、ナビゲーションシステム(例えば、マシンビジョンシステム、電荷結合デバイスカメラ、トラッカーセンサ、表面スキャナー、及び/または距離計)、解剖学的コンピューターモデル(例えば、患者の解剖学的構造の磁気共鳴イメージングスキャン)、以前のデータ外科的処置及び/または以前に実施された外科的技術(例えば、外科的処置の前のステップ中に記録されたデータ)などを利用することによって、共通の座標系内の、マニピュレータ102、ロボットアーム108、ツール104、器具112、エネルギーアプリケータ114、及び/または移植可能な構成要素116、ならびに患者の体Bの様々な部分の1つまたは複数の部分の相対的な位置及び/または向きの変化を監視、追跡、及び/または決定することができる。これらの目的のために、そして図1に概略的に示されているように、外科システム100は、ロボット制御システム126、ナビゲーションシステム128、及びツール制御システム130のうちの1つまたは複数を含むか、そうでなければ通信することができる制御システム124(「コントローラ」124とも呼ばれる)を使用し、それは、より詳細に後に説明されるように、マニピュレータ102を介して、目標部位TS及び外科システム100の他の部分に対してツール104の位置決め、移動、及び/または駆動を容易にするために協働する。例示的な制御方法論は、「Robotic System and Method for Backdriving the Same」と題された米国特許第10,327,849号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
ベース106、またはマニピュレータ102の別の部分は、一般に、マニピュレータ102の他の構成要素及び/または外科システム100の他の構成要素のための固定基準座標系を提供する。一般に、マニピュレータ座標系MNPLの原点は、ベース106の固定の基準で規定される。ベース106は、リンク120の1つまたは複数など、マニピュレータ102の任意の適切な部分に関して規定され得る。あるいは、またはさらに、ベース106は、マニピュレータ102がカート118に物理的に取り付けられている場合など、マニピュレータカート118に関して規定され得る。いくつかの実施形態では、ベース106は、ジョイントJ1の軸とジョイントJ2の軸との交点に規定される。したがって、ジョイントJ1とジョイントJ2は実際には可動コンポーネントであるが、ジョイントJ1とジョイントJ2の軸の交点は、仮想の固定基準ポーズであり、固定位置と方向基準の両方を提供し、マニピュレータ102及び/またはマニピュレータカート118に対して動かない。いくつかの実施形態では、マニピュレータ102は、ベース106が、ベース部分に対して可動のツールチップ(例えば、エンドエフェクタ)について、ツールのベース部分(例えば、ユーザによりフリーハンドで把持される部分)により定められる手持ち式であり得る。この実施形態では、ベース部分は追跡される参照座標系を有し、ツールチップは、参照座標系に対して計算されるツールチップ座標系を有する(例えば、モータ及び/またはジョイントエンコーダ及び順運動学計算を介して)。パスに対するツールチップのポーズを決定できるため、パスをたどるようにツールチップの動きを制御できる。このタイプのハンドヘルドマニピュレータ102の一例は、「Surgical Instrument Including Housing, A Cutting Accessory that Extends from the Housing and Actuators that Establish the Position of the Cutting Accessory Relative to the Housing」と題する米国特許第9,707,043号に示されている。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。上記は非限定的な説明的な例であり、他の構成が本開示によって企図される。
【0073】
図1に概略的に示されているように、ロボット制御システム126は、マニピュレータコントローラ132を含み、ナビゲーションシステム128は、ナビゲーションコントローラ134を含み、ツール制御システム130は、ツールコントローラ136を含む。図示の実施形態では、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、及びツールコントローラ136は、一般に、例えば、物理的な電気接続(例えば、テザードワイヤハーネス)及び/または1つまたは複数のタイプのワイヤレス通信(例えば、WiFi(商標)ネットワーク、Bluetooth(登録商標)、無線ネットワークなど)を介して互いに通信して(例えば、直接的または間接的に)、及び/または外科システム100の他の構成要素と通信して配置される。マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、及び/またはツールコントローラ136は、コンピュータ、プロセッサ、制御ユニットなどの様々な配置として、またはそれと共に実現され得、個別の構成要素を含み得るか、または統合され得る(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、入力、出力などを共有する)。他の構成が考えられる。
【0074】
マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、及び/またはツールコントローラ136はそれぞれ、プロセッサ138(例えば、中央処理装置)及び/または他のプロセッサ、メモリ140、及び/またはストレージ(表示されていない)を備えたコンピュータとして実現され得、以下でより詳細に説明するように、一般的にソフトウェアがロードされる。プロセッサ138は、マニピュレータ102、ナビゲーションシステム128、またはツール104の動作を制御するための1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。プロセッサ138は、任意のタイプのプロセッサ、マルチプロセッサ及び/またはマルチコア処理システムであり得る。マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、及び/またはツールコントローラ136は、追加的に、または代替的に、1つまたは複数のマイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、システムオンチップ、ディスクリート回路、及び/または本明細書に記載される機能を実行することができる他の適切なハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアを含むことができる。プロセッサという用語は、任意の実施形態を単一のプロセッサに限定することを意図するものではない。ロボット制御システム126、ナビゲーションシステム128、及び/またはツール制御システム130はまた、1つまたは複数の出力デバイス144(例えば、画面、ディスプレイ、ステータスインジケータなど)及び/または入力デバイス146(例えば、プッシュボタン、キーボード、マウス、マイク、音声起動デバイス、ジェスチャ制御デバイス、タッチスクリーン、フットペダル、ペンダントなど)を備えるユーザインターフェース142を含む、定める、さもなければ、採用することができる。他の構成が企図される。
【0075】
上記のように、1つまたは複数のツール104(「エンドエフェクタ」と呼ばれることもある)は、マニピュレータ102のカップリング110に解放可能に取り付けられ、ベース106に対して移動可能であり、特定のモードで患者Pの解剖学的構造と相互作用する(例えば、目標部位TS)。ツール104は、ユーザ(例えば、外科医)によって把持され得る。ツール104は、一般に、マニピュレータ102のカップリング110に解放可能に取り付けるように適合されたマウント148を含む。マウント148は、いくつかの実施形態では、取り付けられたエネルギーアプリケータ114を駆動するために使用される(例えば、チャック、カップリングなどを介して)発電アセンブリ152(例えば、モータ、アクチュエータ、ギアトレインなど)を使用する動力付き外科用デバイス150として構成され得る器具112を支持するか、そうでなければそれにより規定され得る。このタイプのマニピュレータ102、ツール104、及び器具112の1つの例示的な構成は、以前に参照された「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」と題された米国特許第9,119,655号に記載されている。マニピュレータ102、ツール104、及び/または器具112は、代替の構成で配置することができる。いくつかの実施形態では、ツール104及び/または器具112は、「End Effector of a Surgical Robotic Manipulator」と題された米国特許第9,566,121号に示されるものと同様であり得る。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ツール104及び/または器具112は、「End Effectors And Methods For Driving Tools Guided By Surgical Robotic Systems」と題された米国特許出願公開第2019/0231447A1に示されるものと同様であり得る。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の構成が企図される。いくつかの実施形態において、そして以下により詳細に説明されるように、器具112は、動力付き外科用デバイス150として構成されなくてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、エネルギーアプリケータ114は、目標部位TSで患者Pの組織に接触して除去するように設計されている。この目的のために、エネルギーアプリケータ114は、いくつかの実施形態では、バー154を含み得る。バー154は、実質的に球形であり得、球形の中心、半径、及び直径を含むことができる。あるいは、エネルギーアプリケータ114は、ドリルビット、鋸刃、超音波振動チップなどであり得る。ツール104、器具112、及び/またはエネルギーアプリケータ114は、周囲長、円周、半径、直径、幅、長さ、体積、面積、表面/平面、(任意の1つまたは複数の軸に沿った)モーションエンベロープの範囲などを含むがこれらに限定されない任意の幾何学的特徴を含み得る。幾何学的特徴は、所望の治療を実行するために、目標部位TSの組織に対してツール104をどのように配置するかを決定するために考慮され得る。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、ツール中心点(TCP)を有するかまたはさもなければ規定する球形バー154は、例示の便宜及び容易さのために説明されるが、ツール104、器具112、及び/または任意の特定の形態へのエネルギーアプリケータ114に限定することを意図してはいない。本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、ツール中心点TCPは、エネルギーアプリケータ114ではなく、器具112またはツール104の一部によって規定される。他の構成が企図される。
【0077】
器具112が動力付き外科用デバイス150として実現される場合などのいくつかの実施形態では、ツール104は、ツールコントローラ136を使用して、発電アセンブリ152(例えば、回転モータ)への電力を制御し、ツール104の動きを制御し、ツール104の灌注/吸引を制御するなど、ツール104の動作を容易にすることができる。ツールコントローラ136は、マニピュレータコントローラ132及び/または外科システム100の他の構成要素と通信することができる。いくつかの実施形態では、マニピュレータコントローラ132及び/またはツールコントローラ136は、マニピュレータ102及び/またはマニピュレータカート118に収容され得る。いくつかの実施形態では、ツールコントローラ136の部品は、ツール104に収容され得る。他の構成が企図される。ツール制御システム130はまた、ツール104の一部として形成され得る、及び/または外科システム100及び/または制御システム124(例えば、ロボット制御システム126及び/またはナビゲーションシステム128)の他の部分によって実現され得る、1つまたは複数の出力デバイス144及び/または入力デバイス146を備えたユーザインターフェース142を備え得る。他の構成が企図される。
【0078】
マニピュレータコントローラ132は、マニピュレータ座標系MNPLなどの座標系に関して、ツール104(例えば、ツール中心点TCP)の状態(位置及び/または向き)を制御する。マニピュレータコントローラ132は、ツール104の(線形または角度の)速度、加速度、または運動の他の導関数を制御することができる。一例では、ツール中心点TCPは、エネルギーアプリケータ114で規定された所定の基準点である。しかしながら、上記のように、ツール104及び/または器具112の他の構成要素は、いくつかの実施形態において、ツール中心点TCPを規定することができる。いずれにせよ、ツール中心点TCPは、他の座標系に対して既知のポーズをとる。ツール中心点TCPのポーズは、静的である場合もあれば、計算される場合もある。いくつかの実施形態では、エネルギーアプリケータ114の形状は、ツール中心点のTCP座標系において既知であるか、またはそれに対して規定されている。ツール中心点TCPは、1点のみが追跡されるように、ツール104の器具112によって支持または規定されるエネルギーアプリケータ114のバー154の球形中心に配置され得る。ツール中心点TCPは、エネルギーアプリケータ114、器具112、ツール104などの構成に応じて、様々な方法で規定することができる。
【0079】
マニピュレータ102は、ジョイントエンコーダ122(及び/または上記のようなモータエンコーダ)、または任意の他の非エンコーダ位置検出方法を使用して、ツール中心点TCPのポーズを決定することを可能にすることができる。マニピュレータ102は、ジョイントJ測定を使用して、ツール中心点TCPポーズを決定することができ、及び/または様々な技術を使用して、ツール中心点TCPポーズを直接測定することができる。ツール104の制御は、中心点に限定されない。例えば、任意の適切なプリミティブ、メッシュなどを使用して、ツール104を表すことができる。他の構成が企図される。
【0080】
図1を引き続き参照すると、上記のように、外科システム100は、とりわけ、ツール104などの様々な対象物の動きを追跡、監視、検出、または他の方法で感知するように構成されているナビゲーションシステム128、対象物(例えば、解剖学的構造の一部、トラッカーなど)、及び患者の体Bの部分(例えば、目標部位TSにあるかまたはそれに隣接する骨または他の解剖学的構造)を登録するために使用されるポインタ156も含む。この目的のために、ナビゲーションシステム128は、ローカライザ座標系LCLZ内のトラッカー160の位置及び/または方向を感知するように構成されたローカライザ158を使用する。ナビゲーションコントローラ134は、ローカライザ158と通信して配置され、ローカライザ座標系LCLZ内のローカライザ158の視野内で感知された各トラッカー160の位置及び/または方向データを収集する。
【0081】
ローカライザ158は、複数のトラッカー160の位置及び/または向きを感知して、ローカライザ座標系LCLZ内の対応する複数の対象物を追跡することができる。例として、図1に示されるように、トラッカー160は、ポインタ156に結合されたポインタトラッカー160P、マニピュレータ102のベース106に結合されたマニピュレータトラッカー160M、ツール104の部分に結合される1つまたは複数のツールトラッカー160G、160I、患者Pの解剖学的構造の一部に結合された第1の患者トラッカー160A、及び患者Pの解剖学的構造の別の部分に結合された第2の患者トラッカー160B、ならびに追加の患者トラッカー、追加の医療及び/または外科用ツール、器具用のトラッカーなどを含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、図1に示されるように、1つまたは複数のツールトラッカー160G、160Iはそれぞれ、ツール104の異なる部分、例えば、互いに対して移動するように構成され得る部分、及び/またはマニピュレータ102のベース106にしっかりと取り付けられているマニピュレータトラッカー160Mにしっかりと取り付けられ得る。非限定的な例として、そして以下により詳細に説明されるように、第1のツールトラッカー160Gは、マニピュレータ102を介してカップリング110と同時に移動するために、マウント148(またはツール104の別の部分)に結合され得、及び第2のツールトラッカー160Iは、1つまたは複数の自由度でマウント148及び/またはカップリング110に対して移動するツール104の異なる部分に結合することができる。図1に示される第1のツールトラッカー160G及び第2のツールトラッカー160Iは、ローカライザ158を介してツール104の異なる部分の相対位置及び/または方向を容易に決定するためにナビゲーションシステム128によって使用され得るが、本開示の特定の実施形態は、他の方法(例えば、1つまたは複数のセンサを用いて)でこの決定を容易にするように構成され得る。ここで、他の構成が本開示によって企図され、トラッカー160、センサ、所定の幾何学的関係などの様々な組み合わせを利用して、特定の対象物を追跡するか、さもなければそれらの対象物を追跡される対象物に関連付けることができる。
【0083】
図1を引き続き参照すると、第1の患者トラッカー160Aは、目標部位TS(例えば、寛骨臼近くの骨盤)またはそれに隣接する患者の体Bの1つの骨にしっかりと固定され、第2の患者トラッカー160Bは、別の骨に(例えば、大腿骨の一部に)しっかりと固定される。詳細には示されていないが、患者トラッカー160A、160Bは、ねじ山係合、クランプ、または他の技術などの様々な方法で、患者の体B内のいくつかの異なる骨に結合することができる。同様に、第1のツールトラッカー160G及び/または第2のツールトラッカー160Iは、製造中の統合によって、または外科的処置の前または最中の解放可能な取り付けによってなど、様々な方法でツール104の部分に固定することができる。様々なトラッカー160は、いくつかの異なる方法で、異なるタイプの追跡された対象物(例えば、個別の骨、ツール、ポインタなど)にしっかりと取り付けられ得る。例えば、トラッカー160は、それぞれのトラッカー160の関連付けられている対象物または解剖学的構造への関係(例えば、測定)を決定するための適切な(例えば、補足的な)方法がある限り、堅固に固定されるか、柔軟に接続される(光ファイバ)、または物理的にまったく接続されない(超音波)ことができる。
【0084】
トラッカー160が取り付けられている対象物または解剖学的構造に対するトラッカー160の位置及び/または向きは、既知の位置合わせの技術を利用することによって決定することができる。例えば、患者トラッカー160A、160Bが取り付けられている患者の体Bの部分に対するそれらの患者トラッカーのポーズを決定することは、ポインタ156の遠位先端が、どこで、特定の解剖学的ランドマークに対して係合するために使用されるか(例えば、骨の特定の部分に触れる)、またはローカライザ158がポインタトラッカー160Pの位置及び方向を監視するときに、表面ベースの位置合わせのために骨のいくつかの部分に係合するために使用されるなど、様々な形態の点ベースの位置合わせで達成することができる。次いで、従来の位置合わせの技法を用いて、患者トラッカー160A、160Bのポーズを患者の解剖学的構造(例えば、大腿骨と寛骨臼の各々)に相関させることができる。
【0085】
また、骨に挟着させ、クランプが挟着する骨の形状を決定する触覚センサ(図示せず)を含む機械的クランプを備えた患者トラッカー160A、160Bを使用するなど、他のタイプの位置合わせも可能である。次に、骨の形状を、位置合わせのために骨の3次元モデルに一致させることができる。触覚センサと患者トラッカー160A、160B上のマーカー162との間の既知の関係は、ナビゲーションコントローラ134に入力されるか、そうでなければ既知である(例えば、メモリ140に格納される)ことができる。この既知の関係に基づいて、患者の解剖学的形態に対するマーカー162の位置を決定することができる。位置及び/または方向データは、ローカライザ座標系LCLZまたは別の適切な座標系内の各トラッカー160の座標を決定するために、いくつかの異なる位置合わせ/ナビゲーション技術を使用して、ナビゲーションコントローラ134によって収集、決定、または他の方法で処理され得る。これらの座標は、以下でより詳細に説明するように、マニピュレータ102の関節運動を容易にするため、及び/または外科医が外科的処置を実行するのを支援するために、ロボット制御システム126などの制御システム124の他の部分に伝達される。
【0086】
本明細書に示される代表的な実施形態では、マニピュレータコントローラ132及びツールコントローラ136は、マニピュレータ102のベース106に動作可能に取り付けられ、ナビゲーションコントローラ134及びローカライザ158は、マニピュレータ102のベース106に対して可動なモバイルカート164にサポートされている。モバイルカート164はまた、外科医または別のユーザに情報を表示することによって、及び/または外科医または別のユーザから情報を受け取ることによって、外科システム100の動作を容易にするために、ユーザインターフェース142をサポートし得る。図1に示される代表的な実施形態ではナビゲーションシステム128の一部として示されているが、ユーザインターフェース142は、ロボット制御システム126及び/またはツール制御システム130などの制御システム124の一部を形成するか、別様には他の部分と通信することができる。この目的のために、ユーザインターフェース142は、ナビゲーションコントローラ134、マニピュレータコントローラ132、及び/またはツールコントローラ136と通信するように配置され得、同様に、1つ以上の出力デバイス144(例えば、モニタ、インジケータ、表示画面など)を含み得、外科医または他のユーザ(例えば、画像、ビデオ、データ、グラフィックス、ナビゲート可能なメニューなど)、及び1つまたは複数の入力デバイス146(例えば、物理的または仮想入力制御、ボタン、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャまたは音声ベースの入力デバイスなど)に情報を提示する。このタイプのナビゲーションシステム128で利用される1つのタイプのモバイルカート164及びユーザインターフェース142は、「Surgery System」と題された米国特許第7,725,162号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0087】
モバイルカート164及びマニピュレータ102のベース106は、互いに対して、また患者の体Bに対しても配置することができるので、外科システム100の1つまたは複数の部分は、一般に、ローカライザ158を介して感知された各トラッカー160の座標を、ローカライザ座標系LCLZからマニピュレータ座標系MNPLへ(または他の座標系へ)、またはその逆で、変換するように構成され、マニピュレータ102の関節運動が、共通の座標系(例えば、マニピュレータ座標系MNPL、ローカライザ座標系LCLZ、または別の共通座標系)内の特定のトラッカー160の相対位置及び/または方向に少なくとも部分的に基づいて実行され得る。ローカライザ座標系LCLZ内の座標は、様々な変換手法を使用して、マニピュレータ座標系MNPL(または他の座標系)内の座標に変換でき、その逆も可能である。座標系間のデータの変換または変換の一例は、「Registration of Anatomical Data Sets」と題された米国特許第8,675,939号に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0088】
図示の実施形態では、ローカライザ158は、光学ローカライザであり、1つまたは複数の光学センサ168を備えたカメラユニット166と、いくつかの実施形態では、ビデオカメラ170とを含む。ローカライザ158はまた、ナビゲーションコントローラ134と通信するか、さもなければナビゲーションシステム128の一部を形成するローカライザコントローラ(図示せず)を含み得る。ナビゲーションシステム128は、カメラユニット166の光学センサ168を使用して、ローカライザ座標系LCLZ内のトラッカー160の位置及び/または向きを感知する。本明細書に示される代表的な実施形態では、トラッカー160はそれぞれ、カメラユニット166の光学センサ168によって感知され得る複数のマーカー162(図2を参照)を使用する。このタイプのナビゲーションシステム128の一例は「Navigation System Including Optical and Non-Optical Sensors」と題された米国特許第9,008,757号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、マーカー162は、ローカライザ158によって感知され得る光を放出するアクティブマーカー(例えば、発光ダイオード「LED」)である。いくつかの実施形態では、トラッカー160は、ローカライザ158または別の光源から放出された光を反射するパッシブマーカー(例えば、反射器)を使用することができる。ナビゲーションシステム128の一実施形態が図面全体に示されているが、ナビゲーションシステム128は、トラッカー160を監視するための任意の適切な構成を有することができ、以下の説明から理解されるように、様々なタイプ及び構成であり得る。例えば、ナビゲーションシステム128は、同じまたは異なるタイプの複数のローカライザ158及び/またはトラッカー160を含むことができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム128及び/またはローカライザ158は、無線周波数(RF)ベースである。例えば、ナビゲーションシステム128は、ナビゲーションコントローラ134及び/または別のコンピューティングデバイス、コントローラなどに結合されたRFトランシーバを備え得る。ここで、トラッカー160は、RFエミッタまたはトランスポンダを含み得、これは受動的であり得るか、または能動的にエネルギーを与えられ得る。RFトランシーバは、RF追跡信号を送信し、RFエミッタは、追跡された状態がナビゲーションコントローラ134に通信される(または解釈される)ように、RF信号で応答する。RF信号は、任意の適切な周波数のものであり得る。RFトランシーバは、RF信号を効果的に使用して対象物を追跡するために、任意の適切な位置に配置することができる。さらに、RFベースのナビゲーションシステムの実施形態は、本明細書に示されるアクティブマーカーベースのナビゲーションシステム128とは異なる構造構成を有し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム128及び/またはローカライザ158は、電磁(EM)ベースである。例えば、ナビゲーションシステム128は、ナビゲーションコントローラ134及び/または別のコンピューティングデバイス、コントローラなどに結合されたEMトランシーバを備え得る。ここで、トラッカー160は、それに取り付けられたEM構成要素(例えば、様々なタイプの磁気トラッカー、電磁トラッカー、誘導トラッカーなど)を含み得、これは、受動的であり得るか、または能動的にエネルギーを与えられ得る。EMトランシーバは、EMフィールドを生成し、EMコンポーネントは、追跡された状態がナビゲーションコントローラ134に通信される(または解釈される)ように、EM信号で応答する。ナビゲーションコントローラ134は、受信したEM信号を分析して、相対状態をそれに関連付けることができる。ここでもまた、EMベースのナビゲーションシステムの実施形態は、本明細書に示されるアクティブマーカーベースのナビゲーションシステム128とは異なる構造構成を有し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム128及び/またはローカライザ158は、それに関連する位置データを決定するためにトラッカー160を対象物に固定することを必ずしも必要としない1つまたは複数のタイプの画像化システムに基づくことができる。例えば、超音波ベースの画像化システムは、超音波画像(例えば、追跡された対象物の特定の既知の構造的特徴、追跡された対象物に固定されたマーカーまたはステッカーなど)の取得を容易にするために提供され得、追跡された状態(例えば、位置、向きなど)は、超音波画像に基づいてナビゲーションコントローラ134に伝達され(またはそれによって解釈され)得る。超音波画像は、三次元、二次元、またはそれらの組み合わせであり得る。ナビゲーションコントローラ134は、追跡された状態を決定するために、ほぼリアルタイムで超音波画像を処理することができる。超音波画像装置は、任意の適切な構成を有し得、図1に示すようにカメラユニット166とは異なり得る。さらなる例として、放射線不透過性マーカー(例えば、追跡された対象物に取り付けられる既知の構造的特徴を有するステッカー、タグなど)のX線画像の取得を容易にするために透視ベースの画像化システムを提供することができ、追跡された状態がX線画像に基づいてナビゲーションコントローラ134に伝達される(または解釈される)ようにする。ナビゲーションコントローラ134は、追跡された状態を決定するために、ほぼリアルタイムでX線画像を処理することができる。同様に、他のタイプの光学ベースの画像化システムを提供して、特定の既知の対象物(例えば、追跡された対象物またはその構造的構成要素または特徴の仮想表現との比較に基づいて)及び/またはマーカー(例えば、追跡される対象物に貼付されているステッカー、タグなど)のデジタル画像、ビデオなどの取得を(例えば、ビデオカメラ170などの電荷結合デバイス「CCD」センサを介して)容易にすることができ、追跡された状態は、デジタル画像に基づいてナビゲーションコントローラ134に伝達される(またはそれによって解釈される)。ナビゲーションコントローラ134は、追跡された状態を決定するために、ほぼリアルタイムでデジタル画像を処理することができる。
【0092】
したがって、同じまたは異なるタイプの複数のイメージングシステムを含む様々なタイプのイメージングシステムは、本開示の範囲から逸脱することなく、ナビゲーションシステム128の一部を形成することができる。ナビゲーションシステム128及び/またはローカライザ158は、本明細書に具体的に記載されていない他の適切な構成要素または構造を有し得る。例えば、ナビゲーションシステム128は、慣性追跡のみ、または追跡技術の任意の組み合わせを利用することができ、追加的または代替的に、光ファイバーベースの追跡、マシンビジョン追跡などを含むことができる。さらに、図1に示されるナビゲーションシステム128に関連する技術、方法、及び/またはコンポーネントのいずれかは、いくつかの異なる方法で実施することができ、他の構成が本開示によって企図される。
【0093】
いくつかの実施形態では、外科システム100は、追跡された対象物の相対的な位置及び向きの仮想表現を、外科医または外科システム100の他のユーザに対して、例えば、1つまたは複数の出力デバイス144(例えば、表示画面)に提示される患者の体B、ツール104、器具112、エネルギーアプリケータ114などの画像及び/または解剖学的構造のグラフィック表現で表示することができる。マニピュレータコントローラ132及び/またはナビゲーションコントローラ134はまた、ユーザインターフェース142を利用して、外科医または他のユーザがロボット制御システム126と対話できるように(例えば、グラフィカルユーザインターフェースGUIを使用して)、命令を表示するか、または情報を要求し、マニピュレータ102の関節運動を容易にすることができる。他の構成が企図される。
【0094】
上記のように、ローカライザ158は、トラッカー160を追跡して、それぞれに取り付けられた対象物の状態にそれぞれ対応するトラッカー160のそれぞれの状態を決定する。ローカライザ158は、既知の三角測量技術を実行して、トラッカー160及び関連する対象物の状態を決定することができる。ローカライザ158は、トラッカー160の状態をナビゲーションコントローラ134に提供する。いくつかの実施形態では、ナビゲーションコントローラ134は、トラッカー160の状態を決定し、マニピュレータコントローラ132に伝達する。本明細書で使用される場合、対象物の状態には、追跡される対象物の位置及び/または方向、または位置及び/または方向の同等物/導関数を規定するデータが含まれるが、これらに限定されない。例えば、状態は、対象物のポーズであり得、線形速度データ、及び/または角速度データなどを含み得る。他の構成が企図される。
【0095】
図2を参照すると、外科システム100は、一般に、制御システム124を含み、制御システム124は、他の構成要素の中でも、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、ツールコントローラ136、及び/または上記のロボット制御システム126、ナビゲーションシステム128、及び/またはツール制御システム130を含み得る、またはそれらとして規定され得る。制御システム124は、図3に示す1つまたは複数のソフトウェアモジュールを含むこともできる。ソフトウェアモジュールは、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、ツールコントローラ136、またはそれらの任意の組み合わせであり、外科システム100の制御を容易にするか、さもなければ支援するために使用されるデータを処理するため動作する1つ以上のプログラムの一部であり得る。ソフトウェアプログラム及び/またはモジュールは、コントローラ136、132、134の1つ以上の1つまたは複数のプロセッサ138によって実行される、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、ツールコントローラ136、またはそれらの組み合わせ上の非一時的メモリ140に格納されたコンピュータ可読命令を含む。
【0096】
メモリ140は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性メモリなどの任意の適切な構成であり得、ローカルにまたは遠隔の場所(例えば、データベース、サーバーなど)で実行され得る。さらに、ユーザにプロンプトを表示及び/または通信するためのソフトウェアモジュールは、モジュールまたはプログラムの一部を形成し得、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、ツールコントローラ136、またはそれらの任意の組み合わせ上のメモリ140に格納された命令を含み得る。ユーザは、ソフトウェアモジュール及び/またはプログラムと通信するために、任意のユーザインターフェース142(例えば、図1に示されるナビゲーションシステム128のユーザインターフェース142)の任意の入力デバイス146及び/または出力デバイス144と対話することができる。制御システム124はまた、ユーザインターフェース142(例えば、グラフィカルユーザインターフェースGUI)、またはマニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、及び/またはツールコントローラ136(例えば、タブレットコンピュータなどのポータブル電子デバイス)から各デバイスで実行できる他のソフトウェア、またはモジュールを含み得る。他の構成が企図される。
【0097】
制御システム124は、本明細書に記載の機能及び方法を実行するのに適した入力、出力、及び処理デバイスの任意の適切な構成を含むことができる。外科システム100は、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、またはツールコントローラ136、あるいはそれらの任意の組み合わせを含み得るか、またはこれらのコントローラの一部のみ、または追加のコントローラを含み得、これらのいずれも上記のように制御システム124の一部を形成し得る。コントローラ132、134、136は、図2に示されるように、有線バスまたは通信ネットワークを介して、無線通信を介して、または他の方法で通信することができる。制御システム124は、1つまたは複数のマイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、システムオンチップ、ディスクリート回路、センサ、ディスプレイ、ユーザインターフェース、インジケータ、及び/または本明細書に記載される機能を実行することができる他の適切なハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアを含むことができる。他の構成が企図される。
【0098】
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、制御システム124によって使用されるソフトウェアは、境界発生器172を含み得る。図4に示されるように、境界発生器172は、ツール104の動き及び/または動作を制限するための仮想境界174を生成するソフトウェアプログラムまたはモジュールである。仮想境界174は、1次元、2次元、または3次元であり得、点、線、軸、軌道、平面、または複雑な幾何学的形状を含む他の形状を含み得る。いくつかの実施形態では、仮想境界174は、三角形メッシュによって規定される表面である。このような仮想境界174は、仮想対象物と呼ばれることもある。仮想境界174は、3次元骨モデルなどの解剖学的モデルAMに関して規定され得る。解剖学的モデルAMは、位置合わせまたは他のプロセスを介して患者Pの解剖学的構造にマッピングされる解剖学的モデルAMに基づいて、患者Pの実際の解剖学的構造に関連付けられている。図4の例では、仮想境界174は、寛骨臼へのアクセスを提供する入口部分(例えば、開口部)を備えた寛骨臼を実質的に取り囲むほぼ球形のメッシュを含む。入口部分は漏斗状または円錐形である。この代表的な実施形態では、仮想境界174は、骨盤の寛骨臼の3次元モデルに関連付けられている。
【0099】
解剖学的モデルAM及び関連する仮想境界174は、1つまたは複数の患者トラッカー160A、160Bに位置合わせされている。したがって、解剖学的モデルAM(及び患者Pの関連する実際の解剖学的構造)及び解剖学的モデルAMに固定された仮想境界174は、患者トラッカー160A、160Bによって追跡することができる。仮想境界174は、インプラント固有(例えば、植込み可能コンポーネント116のサイズ、形状、体積などに基づいて規定される)及び/または患者固有(例えば、患者Pの解剖学的構造に基づいて規定される)であり得る。仮想境界174は、術前、術中、またはそれらの組み合わせで作成される境界であり得る。言い換えれば、仮想境界174は、外科的処置が始まる前、外科的処置中(組織除去中を含む)、またはそれらの組み合わせで規定され得る。いずれにせよ、制御システム124は、メモリ140内/から仮想境界174を格納/検索する、メモリ140から仮想境界174を取得する、術前に仮想境界174を作成する、術中に仮想境界174を作成することなどによって、仮想境界174を取得する。
【0100】
マニピュレータコントローラ132及び/またはナビゲーションコントローラ134は、仮想境界174に対するツール104の状態を追跡することができる。いくつかの実施形態では、ツール中心点TCPの状態は、ツール104が仮想境界174に対する所望の位置関係(例えば、それらを超えて移動されない)に留まるように、仮想シミュレーションVSを介して仮想剛体VRBモデルに適用される触覚力を決定する目的で、仮想境界174に対して測定される。仮想シミュレーションVSの結果は、マニピュレータ102に命令される。制御システム124(例えば、ロボット制御システム126のマニピュレータコントローラ132)は、物理的な境界/障壁の存在下で物理的なハンドピースが応答する方法をエミュレートするように、マニピュレータ102を制御/配置する。境界発生器172は、マニピュレータコントローラ132に実装され得る。あるいは、境界発生器172は、ナビゲーションコントローラ134、または制御システム124の他の部分などの他の構成要素に実装され得る。他の構成が企図される。
【0101】
図3及び図5を参照すると、パス発生器176は、制御システム124によって実行され得る別のソフトウェアプログラムまたはモジュールである。いくつかの実施形態では、パス発生器176は、マニピュレータコントローラ132によって実行される。パス発生器176は、ツール104がトラバースするためのツールパスTPを生成する。例えば、目標部位TSで患者Pの解剖学的構造のセクションを除去して、植込み可能コンポーネント116を受け取るためである。ツールパスTPは、複数のパスセグメントPSを含み得るか、または単一のパスセグメントPSを含み得る。パスセグメントPSは、直線セグメント、曲線セグメント、それらの組み合わせなどであり得る。ツールパスTPは、解剖学的モデルAMに関して規定することもできる。ツールパスTPは、インプラント固有(例えば、植込み可能コンポーネント116のサイズ、形状、体積などに基づいて規定される)、及び/または患者固有(例えば、患者Pの解剖学的構造に基づいて規定される)であり得る。他の構成が企図される。
【0102】
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ツールパスTPは、目標部位TSに隣接する組織除去パスとして規定される。しかしながら、いくつかの実施形態では、ツールパスTPは、組織除去以外の治療のために使用され得る。本明細書に記載の組織除去パスの一例は、ミリングパスMPを含む。「ミリングパス」という用語は、一般に、解剖学的構造をミリングするための目標部位TSの近くのツール104のパスを指し、ツール104がパスの全期間にわたり解剖学的構造全体を動作可能にミリングすることを要求することを意図していないことを理解されたい。例えば、ミリングパスMPは、ツール104がミリングなしで、ある場所から別の場所に移行するセクションまたはセグメントを含み得る。さらに、組織切除など、ミリングパスMPに沿った他の形態の組織除去を使用することができる。ミリングパスMPは、術前、術中、またはそれらの組み合わせで作成される事前規定されたパスであり得る。言い換えれば、ミリングパスMPは、外科的処置が始まる前、外科的処置中(組織除去中を含む)、またはそれらの組み合わせで規定され得る。いずれにせよ、制御システム124は、メモリ140内にミリングパスMPを格納/メモリ140からミリングパスMPを検索し、メモリ140からミリングパスMPを取得し、術前にミリングパスMPを作成し、術中にミリングパスMPを作成することなどによって、ミリングパスMPを取得する。ミリングパスMPは、任意の適切な形状、または円形、らせん/栓抜き状、線形、曲線、それらの組み合わせなどの形状の組み合わせを有することができる。他の構成が企図される。
【0103】
仮想境界174及び/またはミリングパスMPを生成するためのシステム及び方法の一例は、以前に参照された「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」と題された米国特許第9,119,655号に記載されている。さらなる例は、「Haptic Guidance System and Method」と題された米国特許第8,010,180号及び「Guidance System and Method for Surgical Procedures with Improved Feedback」と題された米国特許第7,831,292号に記載されており、これらの開示はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、仮想境界174及び/またはミリングパスMPは、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、または外科システム100の別の構成要素ではなく、オフラインで生成され得る。その後、仮想境界174及び/またはミリングパスMPは、実行時にマニピュレータコントローラ132によって利用され得る。
【0104】
図3に戻ると、動作制御178を実行するために、マニピュレータコントローラ132及び/またはナビゲーションコントローラ134で実行され得る別のソフトウェアプログラムまたはモジュールが示されている。動作制御178は、ツール104の次の命令された位置及び/または方向(例えば、ポーズ)を示すデータを計算するプロセスである。ツール中心点TCPの位置または向きのみが動作制御178から出力される場合があるが、ツール中心点TCPの位置及び向きが動作制御178から出力される場合もある。いくつかの実施形態では、境界発生器172、パス発生器176、及びセンサ180(例えば、6自由度DOF力/トルク変換器)からの出力は、次の命令位置/またはツール104の向きを決定するために動作制御178への入力として供給され得る。動作制御178は、コマンドされたポーズCPを決定するために、以下でより詳細に説明されるように、1つまたは複数の仮想制約VCと共に、これらの入力を処理することができる。
【0105】
図3を引き続き参照して、マニピュレータコントローラ132及び/またはナビゲーションコントローラ134で実行され得る別のソフトウェアプログラムまたはモジュールが、運動制御182を実行するために示されている。運動制御182の一態様は、マニピュレータ102の制御である。運動制御182は、動作制御178から次の命令されたポーズCPを規定するデータを受け取る。これらのデータに基づいて、運動制御182は、マニピュレータ102のロボットアーム108のジョイントJの関節角度の次の位置を決定(例えば、逆運動学及びヤコビアン計算機を介して)し、そのため、マニピュレータ102は、動作制御178によって命令されたように(例えば、命令されたポーズCPで)ツール104を配置することができる。換言すれば、運動制御182は、デカルト空間で規定され得る命令されたポーズCPをマニピュレータ102のジョイント角度に処理し、その結果、マニピュレータコントローラ132は、ツール104の命令されたポーズCPに対応する命令されたジョイント角度へマニピュレータ102のジョイントJを移動させるために、状況に応じてジョイントモータに命令することができる。いくつかの実施形態では、運動制御182は、ロボットアーム108の各ジョイントJのジョイント角度を調節し、ジョイントモータが関連するジョイントJを命令されたジョイント角度に駆動することを可能な限り厳密に保証するために、各ジョイントモータが出力するトルクを継続的に調整する。
【0106】
境界発生器172、パス発生器176、動作制御178、及び運動制御182は、ソフトウェアプログラム184のサブセット(例えば、モジュール)であり得る。あるいは、それぞれは、別々に及び/または独立して、あるいはそれらの任意の組み合わせで動作するソフトウェアプログラムであり得る。「ソフトウェアプログラム」という用語は、本明細書では、説明された技術的解決策の様々な機能を実行するように構成されたコンピュータ実行可能命令を説明するために使用される。簡単にするために、「ソフトウェアプログラム」という用語は、少なくとも、境界発生器172、パス発生器176、動作制御178、及び/または運動制御182のうちの任意の1つまたは複数を包含することを意図している。ソフトウェアプログラム184は、マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、またはそれらの任意の組み合わせで実施することができ、または制御システム124によって任意の適切な方法で実施することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、臨床アプリケーション186は、ユーザの相互作用を容易にし、術前計画、インプラントの配置、位置合わせ、骨加工の視覚化、インプラント適合の術後評価などを含む外科的ワークフローを調整するために提供され得る。臨床アプリケーション186は、出力デバイス144(例えば、ディスプレイ、スクリーン、モニタなど)にデータを出力するように、入力デバイス146から入力データを受信するように、または他の方法でユーザインターフェース142と相互作用するように構成され得、グラフィカルユーザインターフェースGUIを含むか、その一部を形成する場合がある。臨床アプリケーション186は、それ自体の別個のプロセッサで実行することができ、またはナビゲーションコントローラ134、マニピュレータコントローラ132、及び/またはツールコントローラ136、または制御システム124の他の任意の適切な部分と一緒に実行することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、臨床アプリケーション186は、インプラントの配置がユーザによって設定された後、境界発生器172及び/またはパス発生器176とインターフェースし、次いで、実行のため、境界発生器172及び/またはパス発生器176によって返される仮想境界174及び/またはツールパスTPを、マニピュレータコントローラ132へ送信する。ここで、マニピュレータコントローラ132は、本明細書で説明されるようにツールパスTPを実行する。マニピュレータコントローラ132は、機械加工を開始または再開し生成されたツールパスTPにスムーズに戻るときに、特定のセグメント(例えば、引き込みセグメント)をさらに作成することができる。マニピュレータコントローラ132はまた、仮想境界174を処理して、以下でより詳細に説明されるように、対応する仮想制約VCを生成することができる。
【0109】
外科システム100は、以前に参照された「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」と題された米国特許第9,119,655号に記載されたような手動モードで操作され得る。ここで、ユーザは手動で指示し、マニピュレータ102は、手術部位でツール104及びそのエネルギーアプリケータ114の移動を実行する。ユーザ(例えば、外科医)は、ツール104に物理的に接触して、手動モードでツール104の移動を引き起こす。いくつかの実施形態では、マニピュレータ102は、ツール104を配置するために、ユーザによってツール104に加えられる力及びトルクを監視する。この目的のために、外科システム100は、ユーザによってツール104に加えられた力及びトルクを検出及び測定し、制御システム124によって使用される対応する入力(例えば、1つまたは複数の対応する入力/出力信号)を生成するセンサ180を使用することができる(例えば、複数の自由度のDOF力/トルク変換器)。ユーザによって加えられる力及びトルクは、手動モード(または他のモード)でツール104を動かす方法を決定するために使用される外力Fextを少なくとも部分的に規定する。外力Fextは、先に参照したように、米国特許第9,119,655号、発明の名称「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」に記載されているように、重力補償力、バックドライブ力など、ユーザによって加えられる力以外の他の力及びトルクを含み得る。したがって、ユーザによって加えられる力及びトルクは、外力Fextを少なくとも部分的に規定し、場合によっては、手動モード及び/または以下でより詳細に説明する他のモードでツール104の全体的な動きに影響を与える外力Fextを完全に規定し得る。
【0110】
センサ180は、マニピュレータ102と目標部位TSとの間に発生する力及び/またはトルク(例えば、ユーザによってツール104に加えられる力)を検出するように配置された6自由度のDOF力/トルク変換器を備え得る。説明のために、センサ180は、マニピュレータ102の結合110に隣接して、またはそうでなければその一部として(例えば、ロボットアーム108のジョイントJ6に結合されて)一般的に示されている。ただし、他の構成及び配置が考えられる。マニピュレータコントローラ132、ナビゲーションコントローラ134、ツールコントローラ136、及び/または外科システム100の他の構成要素は、センサ180から信号(例えば、入力として)を受信することができる。ユーザが加えた力及びトルクに応答して、マニピュレータ102は、ユーザによって加えられた力及びトルクに基づいて発生したであろう動きをエミュレートする方法でツール104を動かす。手動モードでのツール104の動きはまた、境界発生器172によって生成された仮想境界174に関連して制約され得る。いくつかの実施形態では、センサ180によって取得された測定値は、センサ180のセンサ座標系SNから別の座標系、例えば仮想質量座標系VMに変換され、その中で、以下に説明するように、仮想シミュレーションVSは、ツール104の仮想剛体VRBモデルで実行され、それにより、仮想シミュレーションVSで力とトルクを仮想剛体VRBに仮想的に適用して、これらの力とトルク(他の入力の中でも)が仮想剛体VRBの動きにどのように影響するかを最終的に決定できる。
【0111】
外科システム100はまた、マニピュレータ102のアクティブジョイントJを操作してユーザからツール104への力/トルクを必要とせずにツール104を動かすことによってなど、マニピュレータ102がミリングパスMPに沿って自動化された方法でツール104のを動かす半自律モードで動作し得る。半自律モードでの動作の例はまた、以前に参照された「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」と題された米国特許第9,119,655号にも記載されている。いくつかの実施形態では、マニピュレータ102が半自律モードで動作するとき、マニピュレータ102は、ユーザの支援なしにツール104を動かすことができる。ここで、「ユーザの支援なし」とは、ユーザがツール104またはロボットアーム108に物理的に接触せずツール104を動かさないことを意味し得る。代わりに、ユーザは何らかの形のリモートコントロール(例えば、ペンダント、図示せず)を使用して、動きの開始と停止を制御することができる。例えば、ユーザは、リモコンのボタンを押したままにしてツール104の動きを開始し、ボタンを離してツール104の動きを停止することができる。ユーザペンダントに具現化されたこのタイプのリモートコントロールの例は、「Robotic Systems and Methods for Controlling a Tool Removing Material from Workpiece」と題された米国特許第10,117,713号に記載されており、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の構成が企図される。
【0112】
手動モードでは、ユーザにとって、ツール104を現在の状態SCから目標状態STに(例えば、目標位置PT、目標方向OT、または目標ポーズに)動かすことは困難な場合がある。ツール104を特定の目標状態STに移動させることは、ツール104をミリングパスMPに所望の近接度で配置するなど、任意の数の理由で、ツール104を、特定の軌道/平面などに整合させるための、植込み可能コンポーネント116を受け入れるための組織の加工のために適切な方向にツール104を配置することが望ましい場合がある。しかしながら、ユーザがツール104を十分な精度で配置することは困難である可能性がある。これは、患者Pの解剖学的構造が、軟組織、体液などによってユーザの視界から部分的に遮られている場合に特に困難になる可能性がある。ここで、外科システム100は、以前に参照された「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」と題された米国特許第9,119,655号に記載されたように、手動モードから半自律モードに切り替えることができる。したがって、ツール104を目標状態STに配置するために、マニピュレータ102は、ツール104を現在の状態SCから目標状態STに自律的に移動させることができる。
【0113】
ユーザがツール104との手での接触を維持して、目標状態STに向かって移動する間にツール104の制御を達成することを望む場合、外科システム100はまた、誘導触覚モードで動作することができる。誘導触覚モードは、ユーザがツール104を目標状態ST(引力)に配置するように、または他の場合には目標状態ST(引力)に配置するように誘導するのを助けるために、またはユーザを目標状態から遠ざけるように誘導する(反発)ために使用され得る。誘導触覚モードでは、手動モードと半自律モードの両方で使用される制御の態様が利用される。例えば、ユーザによって加えられた力及びトルクは、依然としてセンサ180によって検出され、仮想シミュレーションVSに供給されてツール104の全体的な動きに少なくとも部分的に影響を与える外力Fextを決定する。さらに、誘導触覚モードでは、外科システム100は、仮想制約VC力Fcに具現化された仮想引力(または反発)力VF(またはトルク)を生成し、これは、外力Fextと共に仮想シミュレーションVSに供給される。誘導触覚モードは、ツール104を目標状態ST(反発性触覚)から遠ざけるため、及び/またはツール104を目標状態ST(引力性触覚)に引き付けるために使用され得る。
【0114】
仮想引力VFは、仮想シミュレーションVSにおいて仮想剛体VRBに仮想的に適用することができ、ツール104を目標状態STに向けて引き付けるか、さもなければ促すように適合された力及び/またはトルクを含む。仮想引力VFは、ツール104が目標状態STに到達するためにどのように動かされるべきかをユーザに示す触覚フィードバックをユーザに提供する方法で、ツール104の全体的な動きに影響を与える。より具体的には、仮想シミュレーションVSでは、仮想引力VFに関連する力及び/またはトルクは、外力Fextの力及び/またはトルク(及び/または他の力及び/またはトルク)の影響を無効にでき、ツール104が、ユーザに触覚相互作用効果を提供する方法で最終的に動かされるようになり、この触覚相互作用効果は、目標状態STに到達するためにツール104を動かす必要がある方向/回転を示す。したがって、誘導触覚モードは、ツール104を動かすために手動の操作に依存するが、そのような動きは、ユーザによって加えられる力及びトルクに基づいて発生するであろう動きを単にエミュレートするのではなく、目標状態STに向かってユーザを誘導するようアクティブに制御する。したがって、誘導触覚モードは、ツール104の自律的(または半自律的)な動きに関連する利点を提供しながら、ツール104との直接的なユーザの関与を可能にする。
【0115】
誘導触覚モードでは、ツール104は、目標状態STに効果的に引き付けられて、触覚的相互作用効果をユーザに提供する。これらの効果は、1つまたは複数の自由度DOFで生成されて、ツール104を目標状態STに引き付けることができる。したがって、目標状態STは、ツール104が1自由度DOFのみで引き付けられるように規定され得るか、またはツール104が2つ以上の自由度DOFで引き付けられるように規定され得る。したがって、目標状態STは、目標座標系TFで規定された、目標位置PT、目標方向OT、またはその両方(例えば、目標ポーズTP)を含み得る。目標位置PTは、目標座標系TFのx、y、及び/またはz軸に関する1つまたは複数の位置成分(例えば、x位置XP、y位置YP、及び/またはz位置ZP)を含み得る。場合によっては、目標位置PTは、目標座標系TFの原点として表すことができる。同様に、目標方向OTは、目標座標系TFのx、y、及び/またはz軸に関して1つまたは複数の方向成分(例えば、x方向XO、y方向YO、及び/またはz方向ZO)を含み得る。x位置XP、y位置YP、z位置ZP、x方向XO、y方向YO、及びz方向ZOは、それぞれ、それぞれの自由度DOF(例えば、座標系の)を表す。場合によっては、目標の方向OTは、目標座標系TFのx、y、z軸の向きとして表すことができる。「目標ポーズ」TPという用語は、1つまたは複数の位置成分XP、YP、ZPと、1つまたは複数の方向成分XO、YO、ZOとの組み合わせを意味する。場合によっては、目標ポーズTPは、目標座標系TFの6自由度DOFすべてにおいて、目標位置PT及び目標方向OTを含み得る。場合によっては、目標位置PT及び/または目標方向OTは、開始位置及び/または開始方向と呼ばれることもある。
【0116】
目標座標系TFは、目標状態STが規定されている任意の座標系であり得、目標状態STは、ツール104の目標状態STに対するツール104の現在の状態SCを監視するために望まれる任意の他の座標系に変換され得る。目標状態STは、トラッカー座標系、ローカライザ座標系LCLZ、マニピュレータ座標系MNPL、仮想質量座標系VM、ツール中心点TCP座標系などで追跡することができる。目標状態STは、患者Pの解剖学的モデルAMに関して規定され得、解剖学的モデル座標系、解剖学的トラッカー座標系(例えば、1つまたは複数の患者トラッカー160A、160Bによって追跡される)などにおける患者Pの解剖学的構造に関して固定され得る。ツール104の現在の状態SCは、誘導座標系GFに関して規定され得る。誘導座標系GFは、別の座標系に結び付けられ得るか、または現在の状態SCは、目標状態STに対する現在の状態SCの追跡を可能にするために任意の誘導座標系GFに変換され得る。例えば、現在の状態SCは、トラッカー座標系、ローカライザ座標系LCLZ、マニピュレータ座標系MNPL、仮想質量座標系VM、ツール中心点TCP座標系などで追跡することができる。いくつかの実施形態では、ツール104の現在の状態SCは、最初に、ツール中心点TCP座標系によって規定され得(例えば、TCP座標系及び誘導座標系GFは、例示の目的で同じであると示されている)、目標状態STは、最初は解剖学的モデル座標系に関して規定できるが、ガイド座標系GFと目標座標系TFの両方を、追跡目的で共通の座標系に変換できる。目標状態STは、術前、術中、またはその両方で規定できる。術中計画、解剖学的モデルなどの様々な態様は、「Surgical Systems and Methods for Facilitating Ad-hoc Intraoperative Planning of Surgical Procedures」と題された米国特許出願公開第US2018/0333207A1に記載されている。この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の構成が企図される。
【0117】
制御システム124は、ツール104を目標状態STに引き付ける仮想シミュレーションVSで使用される仮想引力VF(例えば、力及び/またはトルク)を生成するように規定される仮想制約VCを使用する。これらの仮想制約VCは、本明細書ではガイド制約GCと呼ばれる。ガイド制約GCは、最終的に、ツール104の目標状態STへの動きに影響を与えるように規定され、その結果、ユーザは、上記の触覚相互作用効果のうちの1つまたは複数を提供される。一般に、仮想制約VCは、マニピュレータ102にツール104を動かすように命令する方法を決定するために、他の動き関連情報と共に、制御システム124によって考慮される剛体の動きに対する制限である。以下でさらに説明するように、ガイド制約GCは、ガイド制約GCが無限に硬くならないように、構成可能なばねパラメータPS及び減衰パラメータPDを有する。より具体的には、いくつかのバージョンでは、ガイド制約GCは、目標状態STと反対方向にユーザによって加えられる力及びトルクから生じる動きなど、それらに違反する動きを妨げないように「ソフト制約」として規定される。したがって、誘導触覚モードまたは他のモードでは、ユーザは、ガイド制約GCに違反しても、ガイドの制約GCが依然として、ユーザが感じる(例えば、触覚相互作用効果)ユーザに対抗する引力とトルクを生成し、目標状態STと反対の方向へのツール104の動きに影響を与えることができる可能性が依然としてあり、これにより、ユーザは、目標状態STに到達するためにツール104をどの方向に動かす必要があるかを知ることができる。例えば、ユーザは、目標状態STから離れるのと比較して、ツール104が目標状態STに向かって移動することが容易であるという理由で、これらの触覚相互作用効果を感じることができる(例えば、ユーザは、目標状態STに向かって移動するのと比較して、ツール104を目標状態STから遠ざけるために、すべきことがより必要であるように感じる可能性がある)。言い換えれば、物理的なばねが、ツール104の誘導座標系GFを目標座標系TFと相互接続しているように、ユーザは感じる可能性がある(図6のばね及びダンパーの図を参照)。
【0118】
1つまたは複数のガイド制約GCは、目標位置PTに関連付けられた最大3つのガイド制約GC及び目標方向OTに関連付けられた最大3つのガイド制約GCを含み、ユーザを案内するために制御システム124によって使用され得る。以下でより詳細に説明するように、制御システム124は、ガイド制約GC(及び使用される場合は他の仮想制約VC)を満たす制約力Fcを計算するように動作する。制約力Fcは、ツール104を目標状態STに引き付けるために、その中に仮想引力VF(例えば、力及び/またはトルク)を組み込む。各ガイド制約GCは、1次元の仮想制約VCと見なされる。いくつかの実施形態では、ガイド制約GCは速度インパルス制約である。いくつかの実施形態では、制約は、以前に参照された「Surgical Manipulator Capable of Controlling a Surgical Instrument in Multiple Modes」と題された米国特許第9,119,655号に記載されたインパルスモデリングで使用されるものと同様である。いくつかの実施形態では、これらの仮想制約VCは、手動モードまたは半自律モードではなく、誘導触覚モードでのみ規定される。いくつかの実施形態では、仮想制約VCはすべてのモードで使用される。他の構成が企図される。
【0119】
図6では、目標位置PTに関連付けられた3つのガイド制約GCが、目標座標系TFで規定されているとして例示的に表されている。これらの3つのガイド制約GCの結果として最終的に計算される制約力Fcは、ツール104のツール中心点TCPを目標位置PT(例えば、目標座標系TFの原点まで)に導くばねパラメータPSと減衰パラメータPDを組み込んだ引力を含むものとして示されている。これはほんの一例である。制約力Fcは、ツール104を目標の向きに整合させるための力及びトルクの成分を含み得る。
【0120】
ガイド制約GC(及び使用されている場合は他の仮想制約VC)は、主に、制約ヤコビアンJp、目的の速度Vdes(またはVp2)、及び制約距離Δdという3つの実行時パラメータによって規定される。ヤコビアンJpは、各1次元のガイド制約GCを、仮想シミュレーションVSに使用される座標系(例えば、仮想質量座標系VM)にマッピングする。目的の速度Vdes(またはVp2)は、目標座標系TFのガイド制約GCのスカラー速度である。ここで、所望の速度Vdesは、患者Pが動かず、患者Pに対して規定された関連する目標状態STが動いていないときはゼロであり得るが、患者Pが動いているときは目標状態STは、患者Pに結び付けられ得るのでゼロではない可能性がある。制約距離Δdは、ガイド座標系GFが制約にどれだけ近いかを示し、制約に違反しているかどうかを示す。場合によっては、Δdは目標状態STからの現在の状態SCの距離/角度を指し、現在の状態SCが関連する自由度で目標状態STと一致しないときはいつでも、ガイド制約GCに違反する。
【0121】
ガイド制約GCは完全に剛性というわけではないが、代わりに各ガイド制約GCには、仮想制約VCの剛性を調整するための調整パラメータTPAがある(例えば、ばねパラメータPS及び/または減衰パラメータPDを組み込むことによって)。そのような調整パラメータTPAは、制約力混合パラメータC及び誤差低減パラメータεを含み得る。ばねパラメータPS及び減衰パラメータPDは、誘導触覚モードでの動作中に、または以下でより詳細に説明するように他のモードの間に、調整することができる。いくつかの実施形態では、調整パラメータTPAの値は、現在の状態SCと目標状態STとの間の関係に基づいて変化し得る。例えば、調整パラメータTPAは、ツール104が目標状態STに近づくにつれて剛性が増加するように構成され得るか、または調整パラメータTPAは、ツール104が目標状態STに近づくにつれて剛性が減少する可能性がある。調整パラメータTPAは、ガイド制約GCごとに異なる場合がある。例えば、ガイド制約GCは、調整パラメータTP1の第1の値を有する第1の仮想制約VCと、調整パラメータTPAの第2の値を有する第2の仮想制約VCとを含み得、第1の値は、制約力Fcに具体化された結果として生じる仮想引力VF(例えば、力及び/またはトルク)が、第2の仮想制約VCと比較して第1の仮想制約VCの結果としてツール104をより強く引き付けるように適合されるように、第2の値より大きい。調整パラメータTPAの値は、方向の制約よりも位置の制約の方が大きい(例えば、硬い)場合があり、その逆の場合もある。他の構成が企図される。
【0122】
調整パラメータTPAは、現在の状態SCから目標状態STまでの距離/角度に関係なく一定のまま、現在の状態SCから目標状態STまでの距離に応じて指数関数的に上昇/下降する、現在の状態SCと目標状態STの間の距離に比例して変化する、制約の方向によって異なる、重力の影響を考慮に入れる、などに設定することもできる。1つの自由度DOFに関連付けられた1つの仮想制約VCの調整パラメータTPAは、別の自由度DOFに関連付けられた関係に基づいて設定できる(例えば、x軸制約の剛性は現在の状態SCと目標状態STの間のy軸に沿った距離に基づいて変化する場合がある)。調整パラメータTPAはまた、目標状態STに到達するためにツール104が移動する必要がある方向に応じて変化し得る(例えば、x軸に沿った反対方向と比較して、x軸に沿った一方向に移動するとき、より剛性である)。調整パラメータTPAは、制約力Fcまたはその任意のコンポーネントの大きさに応じて剛性を増減することなどにより、ガイド制約GCに基づいて最終的に計算される制約力Fcに応じてスケーリングすることもできる。場合によっては、1つまたは複数の仮想引力VFの固定の値を仮想シミュレーションVSに追加することもできる。
【0123】
ガイド制約GCの調整パラメータTPAは、ユーザがツール104を目標位置PT及び/または目標方向OTから容易に移動させることができるように設定され得る。言い換えれば、調整パラメータTPAは、仮想シミュレーションVSにおいて、ユーザによって加えられる力及びトルクの影響が、仮想引力VF(例えば、力及びトルク)の影響を上回ることができるように設定され得る。したがって、制御システム124は、ガイド制約GCが有効にされている場合でも、ユーザがツール104を目標位置PT及び/または目標方向OTから離れて再配置及び/または再方向できるように構成され得る。ガイド制約GCの調整パラメータTPAは、術前または術中に設定することができ、術中に更新することができ、あるいはそれらの組み合わせであることができる。調整パラメータTPA及びそれらの値、特定の関係とのそれらの相関、及びそれらがスケーリングされ得る方法は、後で検索するために、制御システム124の任意の適切なメモリ140内の1つまたは複数のルックアップテーブルに格納され得る。
【0124】
各ガイド制約GCには、構成パラメータCPAもある。構成パラメータCPAは、制約力混合パラメータC及び誤差低減パラメータεなどの調整パラメータTPAに関する情報、力の上限FLU及び/または力の下限FLL、及び/または上限制約距離オフセットDOU及び/または下限制約距離オフセットDOLを含み得る。力の上限と下限FLU、FLOは、以下でさらに説明するように、制約ソルバー192によって最終的に解かれ制約力Fcを生成する、各ガイド制約GCに対して計算された力の限界を指す。ガイド制約GCは両側制約であり(例えば、制約を満たすために計算された力は正または負になる)、力制限FLU、FLOは正及び負の方向に高く(例えば、-100,000/+100,000ニュートン)または任意の制限で設定できる。上限と下限の制約距離オフセットDOU、DOLは、制約がアクティブになるタイミングを決定する。ガイド制約GCに関しては、上下の制約距離オフセットDOU、DOLは、現在の状態SCが目標状態STと異なるときはいつでも制約がアクティブになるように設定することができる。
【0125】
図7は、いくつかの実施形態において誘導触覚モードを実行するために実行されるプロセスを示している。ここで、動作制御178は、パスハンドラ188、ガイドハンドラ190、制約ソルバー192、及び仮想シミュレータ194を備える。動作制御178は、境界発生器172によって生成された1つまたは複数の仮想境界174に基づいて仮想境界制約BCを生成するための境界ハンドラ196をさらに備える。パスハンドラ188、ガイドハンドラ190、制約ソルバー192、仮想シミュレータ194、及び境界ハンドラ196はそれぞれ、前述のコントローラ132、134、136のいずれか1つまたは複数の非一時メモリ140に格納され、制御システム124によって実装される実行可能ソフトウェアを含む。上で紹介された動作制御178の各部分は、以下でより詳細に説明される。
【0126】
ガイドハンドラ190は、ツール104の目標状態STを取得し、ツール104の目標状態ST及び現在の状態SCに基づいて、1つまたは複数のガイド制約GCを生成する。図7に示されるように、ガイドハンドラ190への2つの入力は、現在の状態SC及び目標状態STを含む。最後に命令されたポーズCPはツール104の現在のポーズに相関するので、現在の状態SCは、最後に命令されたポーズCPに関して規定され得る。目標状態STは、解剖学的座標系、解剖学的トラッカー座標系などで規定され、現在の状態SCとの共通の座標系に変換され得る。ガイドハンドラ190への他の入力は、ガイド制約GCのための構成パラメータCPA及び調整パラメータTPAを含む。ガイドハンドラ190は、現在の状態SCと目標状態STとの間の関係、ならびに構成パラメータCPA及び調整パラメータTPAとの間の関係に基づいて、1つまたは複数のガイド制約GCを規定する。ガイド制約GCは、ガイドハンドラ190から制約ソルバー192に出力される。
【0127】
ガイド制約GC、パス制約PC、境界制約BC、及び他の制約を含む、様々な仮想制約VCを制約ソルバー192に供給することができる。これらの仮想制約VCは、制御システム124によってオン/オフされ得る。例えば、場合によっては、パス制約PC、境界制約BC、及びその他の制約が生成されないことがある。同様に、場合によっては、特定の動作モードでは、ガイド制約GCが生成されない場合がある。動作制御178で使用される仮想制約VCのすべては、ツール104の動きに影響を及ぼし得る。図解のために、ガイド制約GCのみを詳細に説明する。
【0128】
制約ソルバー192は、制約ソルバー192に供給される仮想制約VCに基づいて、仮想シミュレータ194でツール104に仮想的に適用される制約力Fcを計算する。誘導触覚モードでは、制約力Fcは、1つまたは複数のガイド制約GCに基づいて、現在の状態SCから目標状態STに向かってツール104を引き付けるように適合された力及び/またはトルクの成分を含む。ガイド制約GCのみが制約ソルバー192に入力される場合、制約力Fcは、上記の仮想引力VFであると見なすことができる。ただし、他の仮想制約VCが使用される場合、制約ソルバー192は、すべての仮想制約VCを満たす制約力Fcの解を提供するという最終的な任務を負い、したがって、他の仮想制約VCも制約力Fcの大きさ/方向に影響を与える可能性がある。これらの場合、仮想引力VF(例えば、力及び/またはトルク)は、ガイド制約GCの結果として目標状態STに向けられる制約力Fcの力及びトルク成分と見なされる。
【0129】
図8に示される制約方程式CEQを参照して、制約ソルバー192は、Fpを解くために、各仮想制約VCの制約データを制約方程式CEQの対応する行に行列形式で配置する。ここで、Fpは目標座標系TFの力ベクトルであり、Fpの各成分は対応する制約方向に作用するスカラー制約力である。Fpを解くために、以下でより詳細に説明するように、図8に示す方程式は、各行が単一の1次元仮想制約VCを表す行列方程式に変換される。制約データは、外力Fcgext、減衰力Fdamping、慣性力Finertial、仮想質量行列M、仮想質量速度Vcg1、及び時間ステップΔt(例えば、125マイクロ秒)などの制約ソルバー192によって既知の他の情報と共に制約方程式CEQに配置される。
【0130】
仮想質量行列Mは、3×3の質量行列と慣性行列を組み合わせたものである。減衰力と慣性力Fdamping力とFinertial力Fは、仮想シミュレータ194によって計算されるか、そうでなければ既知であり、前のタイムステップで仮想シミュレータ194によって出力される仮想質量速度Vcg1(例えば、仮想質量座標系VMの速度)に基づいている。仮想質量速度Vcg1は、線形及び角速度成分を含む6自由度DOFの速度ベクトルである。減衰力Fdampingは、仮想質量速度Vcg1と減衰係数行列の関数として計算された6自由度DOFの力/トルクベクトルである(線形係数と回転係数は等しくない場合がある)。仮想質量にダンピングを適用して、その安定性を向上させる。慣性力Finertialはまた、仮想質量速度Vcg1と仮想質量行列Mの関数として計算された6自由度DOFの力/トルクベクトルでもある。減衰力と慣性力、FdampingとFinertialは、「Robotic System and Method for Transitioning Between Operating Modes」と題された米国特許第9,566,122号に記載されている方法で決定することができ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0131】
制約ソルバー192は、連立方程式を最もよく満たす(例えば、様々な仮想制約VCを最もよく満たす)解を求めるために、連立方程式CEQを解くために、任意の適切なアルゴリズム命令(例えば、反復制約ソルバー、投影ガウス-ザイデルソルバーなど)で構成され得る。場合によっては、すべての仮想制約VCが同時に満たされないことがある。例えば、運動が様々な仮想制約VCによって過度に制約されている場合、制約ソルバー192は、様々な仮想制約VCの相対的な剛性/減衰を考慮して、本質的に「最適な」解を見つける。制約ソルバー192は連立方程式を解き、最終的に制約力Fcを出力する。
【0132】
投影ガウス-ザイデルソルバーを使用する場合、制約ソルバー192は仮想制約VCに基づいてA及びbの行列を作成し、投影ガウス-ザイデルソルバーを使用して連立方程式を解き、結果の力ベクトルFpを決定する。次に、制約ソルバー192は、投影ガウス-ザイデルソルバーの出力を受け取り、それを目標座標系TF(例えば、制約座標系)から仮想質量座標系VMに変換する。例えば、方程式Fc=JpTFpを使用すると、Fcは制約力であり、結果として取得される各力ベクトルFpは、仮想質量座標系VMに適用される力/トルクベクトルに変換される。
【0133】
投影ガウス-ザイデルソルバーを使用して複数の制約の連立方程式を解く方法は、例えば、”Constraint based physics solver” by Marijn Tamis and Giuseppe Maggiore、2015年6月15日(v1.02)に示されており、これはhttp://www.mft-spirit.nl/files/MTamis_ConstraintBasedPhysicsSolver.pdfにて見出すことができ、または“Comparison between Projected Gauss-Seidel and Sequential Impulse Solvers for Real-Time Physics Simulations”、Marijn Tamis著、2015年7月1日(v1.01)に示されており、これはhttp://www.mft-spirit.nl/files/MTamis_PGS_SI_Comparison.pdf;にて見出すことができ、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
投影ガウス-ザイデルソルバー法は、線形相補性問題LCPに対処する。一部の制約タイプ(例えば、境界制約BCなどの片側仮想制約VC)は、一方向にのみプッシュまたは「力を適用」できるため(例えば、正の制約力)、LCPに関連する不等式が発生する。そのような仮想制約VCについて計算された力が、無効である制約ソルバー192の所与の反復に対して負である(または、より広義には、その許容範囲外である)場合、所与の仮想制約VCは剪定されなければならず(または上限または下限の許容値FLU、FLOで制限/上限が設定される)、残りの仮想制約VCは、適切な結果(収束など)が見つかるまで解かれる。このようにして、制約ソルバー192は、所与の時間ステップについて仮想制約VCのアクティブなセットを決定し、次にそれらの値を解く。他の仮想制約VCタイプは、正と負の両方の方向に力を加えることができる(例えば、両側仮想制約VC)。そのような仮想制約VCは、ツール104を目標状態STに向かって移動するようにユーザを案内するために使用されるガイド制約GCを含む。このような両側仮想制約VCは、有効になっている場合、通常はアクティブであり、制約ソルバー192の反復中にプルーニング/制限されない。
【0135】
制約ソルバー192によって計算された制約力Fcは、x、y、z軸に沿った力の3つの成分と、x、y、z軸の周りのトルクの3つの成分を含む。仮想シミュレータ194は、その仮想シミュレーションVSにおいて、外力Fcgext、減衰力Fdamping、及び慣性力Finertial(これらはすべて、力/トルクの6つの成分を含み得る)と共に、制約力Fcを利用する。場合によっては、力/トルクのこれらの成分は、最初に共通の座標系(例えば、仮想質量座標系VM)に変換され、次に合計されて総力FTが規定される。結果として生じる6自由度DOFの力(例えば、力及びトルク)は、仮想剛体VRBに適用され、結果として生じる運動は、仮想シミュレータ194によって計算される。したがって、仮想シミュレータ194は、とりわけ、様々な仮想制約VCが仮想剛体VRBの動きにどのように影響するかを効果的にシミュレートするように機能する。仮想シミュレータ194は、フォワードダイナミクスを実行して、仮想剛体VRBに加えられる所与の総力FTに基づいて、仮想剛体VRBの結果として生じる6自由度DOFのポーズ及び速度を計算する。いくつかの実施形態では、仮想シミュレータ194は、前述のコントローラ132、134、136のいずれか1つまたは複数の非一時的メモリ140に格納され、制御システム124によって実装される実行可能ソフトウェアとして実現される物理エンジンを備える。
【0136】
仮想シミュレーションVSの場合、仮想シミュレータ194は、仮想質量座標系VMの原点は仮想剛体VRBの質量の中心に位置し、座標軸が仮想剛体VRBの主軸と整合されている状態で、ツール104を仮想質量座標系VM内の仮想剛体VRBとしてモデル化する。仮想剛体VRBは、仮想シミュレーションVSの目的のための動的対象物及びツール104の剛体表現である。仮想剛体VRBは、仮想シミュレーションVSに従って、デカルト空間の6自由度DOFに従って自由に移動できる。仮想シミュレーションVSは、視覚的またはグラフィカルな表現なしで計算的に処理される場合がある。したがって、仮想シミュレーションVSが仮想剛体VRBのダイナミクスを表示する必要はない。言い換えると、仮想剛体VRBは、処理ユニットで実行されるグラフィックスアプリケーション内でモデル化する必要はない。仮想剛体VRBは、仮想シミュレーションVSに対してのみ存在する場合がある。しかし、他の構成が企図される。
【0137】
仮想剛体VRB及びその特性(例えば、質量、慣性マトリックス、重心、主軸など)は、加えられた力及びトルク(例えば、ユーザによって加えられた力とトルク、及び仮想引力VF及び/またはトルクを組み込んでいる総力FTから)に応答してツール104がどのように動くかを規定する。仮想剛体VRBは、ツール104が重く感じるか軽いか、及び加えられた力及びトルクに応答してツール104がどのように動くか(例えば、並進及び/または回転で加速する)を支配する。仮想剛体VRBの特性を調整することにより、制御システム124は、ツール104がユーザに対してどのように感じるかを調整することができる。可能な限り現実的であるが必須ではない動き/感触を与えるなど、ツール104の実際の特性に合理的に近くなるようにモデル化された仮想剛体VRBの特性を有することが望ましい場合がある。制御の安定性の理由から(例えば、マニピュレータの有限の加速度、制御の待ち時間などが与えられた場合)、仮想の質量と慣性は、物理的なツール104のそれよりもいくらか高くなるようにモデル化できる。
【0138】
仮想剛体VRBは、ツール104上またはツール104内にあり得る構成要素に対応し得る。さらに、または代わりに、仮想剛体VRBは、部分的に、物理的ツール104を超えて延びることができる。仮想剛体VRBは、エネルギーアプリケータ114を備えたツール104を考慮し得るか、またはエネルギーアプリケータ114を備えていないツール104を考慮し得る。さらに、仮想剛体VRBは、ツール中心点TCPに基づいている場合がある。一例では、仮想剛体VRBの重心は、仮想力が仮想剛体VRBの別の点に加えられ、仮想剛体VRBが他の方法で制約されていない場合(例えば、マニピュレータ102によって制約されていない場合)に、仮想剛体VRBが回転する中心点であると理解される。仮想剛体VRBの重心は、ツール104の実際の重心に近くにあることができるが、同じである必要はない。仮想剛体VRBの重心は、経験的に決定できる。ツール104がマニピュレータ102に取り付けられると、個々のユーザの好みに対応するために、重心の位置をリセットすることができる。
【0139】
仮想シミュレータ194は、仮想シミュレーションVSにおいて仮想剛体VRBに力及び/またはトルクを仮想的に適用することによって、例えば、力及びトルクの成分を全力FTから仮想質量座標系VMの仮想剛体VRBの重心に仮想的に適用することによって、ツール104の剛体ダイナミクスを効果的にシミュレートする。したがって、仮想剛体VRBに仮想的に適用される力/トルクは、外力Fcgext(例えば、1つまたは複数のセンサ180からの入力に基づく)、減衰力Fdamping、慣性力Finertial、及び様々な仮想制約VC(制約力Fcで具体化されることによる)に関連付けられた制約力Fcからの力/トルクを含むことができる。
【0140】
剛体ヤコビアンは、速度と力を同じ仮想剛体VRB上の1つの座標系(または「参照フレーム」)から別の座標系に変換するために使用でき、ここで使用して、外力Fextの力とトルクを仮想質量座標系VMに変換できる(例えば、制約方程式CEQで使用される外力Fcgextを生成するため)。次に、仮想シミュレータ194は、減衰力Fdamping及び慣性力Finertialを内部的に計算して、総力FTを決定し、また、制約ソルバー192によって使用するために、減衰力Fdamping及び慣性力Finertialを次のタイムステップの連立方程式で出力する。
【0141】
図9及び10に示すように、仮想フォワードダイナミクスアルゴリズムVFAを仮想シミュレーションVSで使用して、全力FTの適用時に移動する仮想剛体VRBの動きをシミュレートできる。事実上、仮想フォワードダイナミクスアルゴリズムVFAは、方程式F=ma(またはa=F/M)を6自由度DOFで解き、加速度を積分して速度を生成する。これは、図10に示すように、新しいポーズを決定するために使用される。制御システム124は、仮想力及び/またはトルク(例えば、全力FT)を仮想シミュレータ194に入力し、これらの仮想力及び/またはトルクは、仮想剛体VRBが初期速度で初期ポーズにあるとき仮想シミュレーションVSにて重心で(例えば、CG)仮想剛体VRBに加えられる。仮想剛体VRBは、入力された仮想力及び/またはトルクを満たす制御システム124に応答して、異なる状態(例えば、位置及び/または向き)を有する最終ポーズに、デカルト空間内の最終速度で移動される。運動制御182に送られる次の命令されたポーズCPは、仮想シミュレータ194によって計算された最終ポーズに基づく。したがって、仮想シミュレータ194は、図10に示すように、仮想フォワードダイナミクスを使用して仮想剛体VRBに全力FTを加える効果をシミュレートすることによって、次のコマンドポーズCPを決定するように動作する。
【0142】
速度制限VLは、仮想シミュレーションVSの仮想剛体VRBに課せられる場合がある。場合によっては、速度制限VLを高く設定して、一般に仮想シミュレーションVSに影響を与えないようにするか、任意の所望の値に設定することができる。仮想剛体VRBは、初期ポーズ(例えば、初期状態)にあり、仮想シミュレーションVSの各反復の開始時(例えば、各時間ステップ/間隔dt)に初期速度を有する。初期ポーズ及び初期速度は、前の時間ステップで仮想シミュレータ194によって出力された最終ポーズ及び最終速度として規定することができる。
【0143】
最終的に、仮想シミュレータ194は、その仮想シミュレーションVSに基づいて、次のコマンドされたポーズCPを計算して出力する。制御システム124は、命令されたポーズCPに基づいてツール104を動かすようにマニピュレータ102に命令するように構成され、それは、ツール104を目標状態STに配置するようにユーザを案内する触覚フィードバックをユーザに提供することによって、ユーザを目標状態STにツール104を配置するように誘導する目標状態STに配置するように、ツール104の動きを理想的に生じさせる。したがって、ユーザは、手動でツール104を操作することができ、一方、制御システム124が、ガイド制約GCを利用することによって、ツールの動きをガイドするのを支援する。ユーザによってツール104に加えられた力とトルク(例えば、センサ180によって検出されたもの)は、コマンドポーズCPを決定するための仮想シミュレーションVSを実行する前に外力Fextが制約力Fcと組み合わされるため、ツール104の全体的な動きに影響を与える可能性がある。場合によっては(例えば、時間ステップ)、全力FTには、制約力Fcの力とトルクに打ち勝ち、ツール104が目標状態STから離れて移動可能であるように十分な大きさと方向を持つ外力Fextを形成する力とトルクの成分が含まれる。ただし、上記のように、ガイド制約GCには、特定の状況で外力Fextの影響が少なくなるように調整できる、構成可能な剛性と減衰(例えば、ばねパラメータPSと減衰パラメータPDに基づく)がある。
【0144】
図11は、動作制御178によって実行される様々なステップを要約している。これらには、上記のように制約ソルバー192及び仮想シミュレータ194によって実行されるステップが含まれる。ステップ1100において、外力Fextは、センサ180から取得された読み取り値に基づいて計算される。ステップ1102において、様々な仮想制約VCに関連する制約データは、パスハンドラ188、ガイドハンドラ190、境界ハンドラ196、及び/または他の制約ソースから制約ソルバー192に供給される。
【0145】
ステップ1104~1108において、剛体計算が仮想シミュレータ194によって実行されて、仮想剛体VRBの逆質量行列M-1、慣性力Finertial、及び減衰力Fdampingが決定される。ステップ1110~1114において、制約ソルバー192は、ステップ1104~1108で実行された剛体計算からの出力、及びステップ1102で提供された制約データを利用して、前述の制約力計算を実行し、最終的に制約力Fcを生成する。ステップ1116で、制約力Fcは、仮想質量座標系VM(Fcgext)に変換された外力Fext、減衰力Fdamping、及び慣性力Finertialと合計され、総力FTが生成される。ステップ1118において、全力FTが、仮想シミュレータ194によって実施される仮想シミュレーションVSにおいて仮想剛体VRBに加えられ、ステップ1120において、仮想剛体VRBの新しいポーズ及び速度を決定し、最終的には、ステップ1122で、新しいポーズと速度をツール中心点TCPに変換する。新しいコマンドポーズCP(TTCP)と速度(VTCP)は、ステップ1124で仮想シミュレータ194によって出力される。
【0146】
ここで図12を参照すると、図1のツール104の1つを含む外科システム100の部分、及び一般的に描写された目標部位TSが概略的に示され、目標部位TSは、例えば、手術台(詳細は示していない)などの作業面WSにて支持される。ここで、目標部位TSは、外科的処置中に治療される、骨または別のタイプの組織などの患者Pの解剖学的構造の一部を表す。この目的のために、ツール104は、軌道Tに沿って目標部位TSから離間して示され、軌道Tは、上記のように、目標部位TSに固定された第1の患者トラッカー160Aの追跡状態からナビゲーションシステム128によって監視される、またはそうでなければこのシステムによって既知である。説明のために、第1のツールトラッカー160Gは、ツール104にしっかりと固定されて示されている。しかしながら、ナビゲーションシステム128は、上記のように共通の座標系内で複数のトラッカー160の状態を追跡することができるが、追跡される対象物(例えば、ツール104)のポーズは、他の方法(例えば、既知の幾何学的関係に基づく)で決定し、座標系間(例えば、マニピュレータ座標系MNPLとローカライザ座標系LCLZ間)で変換することができる。言い換えると、外科システム100は、とりわけ、ツール104及びエネルギーアプリケータ114の形状が既知であるために、図示の第1のツールトラッカー160Gを必ずしも利用することなく、第1の患者トラッカー160Aに対するツール104のポーズの変化を決定することができる。
【0147】
この代表的な例では、ツール104は、同様に、マニピュレータ102のカップリング110への解放可能な取り付けを容易にするためのマウント148(ファントムで示される)を含み、器具112は、ツールコントローラ136または制御システム124の別の部分によって駆動される発電アセンブリ152(ファントムで示されている)を伴う動力付き外科用デバイス150として実現される。ここで、発電アセンブリ152は、1つまたは複数のタイプのエネルギーアプリケータ114を駆動するために、駆動軸ADの周りに回転トルクを選択的に生成するように構成された電気モータとして実現される。この目的のために、動力付き外科用デバイス150は、エネルギーアプリケータ114の解放可能な取り付けを容易にするために、発電アセンブリ152と回転で連絡して配置されたチャックアセンブリ198(図12を参照、ファントムで示される)を備え、この説明的実施形態では、バー154によって実現される(付属物は詳細には示されていない)。しかしながら、ツール104、器具112、及び/またはエネルギーアプリケータ114は、本開示の範囲から逸脱することなく、いくつかの異なる構成であり得る。ここで、ツール104は、入力デバイス146として機能し得る(例えば、エネルギーアプリケータ114の回転を開始及び停止する)トリガを備えた、ユーザによって把持されるように配置された処理領域200を備える。いくつかの実施形態では、ツール104及び/または動力付き外科用デバイス150は、以前に参照された「End Effector of a Surgical Robotic Manipulator」と題された米国特許第9,566,121号に示されるものと同様であり得る。いくつかの実施形態では、ツール104及び/または動力付き外科用デバイス150は、「Systems and Tools for Use With Surgical Robotic Manipulators」と題された米国特許出願公開第2018/0110572号A1に示されるものと同様であり得、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。他の構成が企図される。
【0148】
図12を引き続き参照すると、動力付き外科用デバイス150の発電アセンブリ152は、フレーム202(一般にファントムで示される)によって、例えば1つまたは複数の留め具(図示せず)によって、マウント148に動作可能に取り付けられる。フレーム202は、図示の実施形態ではマウント148とは別に形成されるが、他の構成が企図され、マウント148は、マニピュレータ102への結合を容易にするのに十分な任意の適切な数の構成要素から形成される、そうでなければそれによって実現され得る。同様に、フレーム202は、同様に、発電アセンブリ152及びツール104の他の部分を支持するために協働するいくつかの異なる構成要素によって規定することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のカバー204をツール104によって使用して、特定の構成要素(例えば、マウント148)を外部環境から隠蔽、保護、または別様にはシールドすることができる。カバー204はまた、電気部品(例えば、ワイヤ、電気コネクタ、プリント回路基板など)を隠すことができ、ツール104をマニピュレータ102に取り外し可能に取り付けることを容易にするためにマウント148とマニピュレータ102のカップリング110との間に配置される滅菌インターフェースシステム(図示せず、しかし関連する技術分野で一般に知られている)へのアクセスを可能にするように成形及び配置することができる。ここで、カップリング110のマウント148への解放可能な取り付けは、ツール104をマニピュレータ102に固定するのに十分な、いくつかの異なる方法で、達成することができる。
【0149】
図12では、目標部位TSの一部がファントムで示され、例示の目的で、この代表的な例でミリングパスMPとして機能する軌道Tに沿ってバー154によって除去される組織(例えば、骨)の意図された体積を示している。ここでも、目標部位TSでの組織の除去の意図された「深さ」は、ツール中心点TCPと同様に、座標系として規定できる目標基準点TRPによって表される。ここでは、ツール中心点TCPと目標基準点TRPの両方が軌道Tに沿って配置されて示されている。
【0150】
図12から図13Aに続くと、ツール104は、本明細書に記載の様々なモードの1つまたは複数でマニピュレータ102を操作することによってなど、マニピュレータ102によって維持される軌道Tに沿って配置されたエネルギーアプリケータ114のバー154と共に、目標部位TSと係合するよう、軌道Tに沿って前進している。より具体的には、バー154によって規定されるエネルギーアプリケータ114のツール中心点TCPは、軌道Tに沿って配置され、エネルギーアプリケータ114は、同様に軌道Tと整合する駆動軸ADを中心に回転する。ここで、ツール中心点TCPは、ツール104が軌道Tに沿って前進するときにバー154によって除去される組織(例えば、骨)の残りの体積を示すために、目標基準点TRPから離間されている。これは、図13Bでは、(図13B図13Aを比較して)目標基準点TRPのより近くに配置されたツール中心点TCPを示している。
【0151】
図14A~14Dは、エネルギーアプリケータ114またはツール104の別の部分がマニピュレータ102に効果的に「取り付け」られて、目標部位TSとツール104は、瞬間的または長時間のいずれかで、1つまたは複数の自由度DOFで一緒に移動するに至る特定の使用例で発生する可能性のある、外科システム100の仮想的な「逸走」状態を順次示す。ここで、説明的な例として、エネルギーアプリケータ114は、組織のタイプまたは特性の変化、不規則性、または摩擦及び/または熱、切断性能の低下、組織断片の蓄積(例えば、「切り端」)などによって引き起こされる他のタイプの増加した抵抗などに遭遇する可能性があり、これは、組織の除去を中断し、エネルギーアプリケータ114が瞬間的または長期間のいずれかで目標部位TSで組織に「ロック」されるに至るのに、十分大きいものであり得る。場合によっては、上記の抵抗により、エネルギーアプリケータ114が軌道Tから離れた目標部位TSで組織に「ロック」される可能性がある。
【0152】
上記の架空のシナリオは、図14A~14Bを比較することで説明できる。ここで、図14Aでは、エネルギーアプリケータ114は、目標部位TSと係合しており、駆動軸ADの周りの回転に対する大きな抵抗に遭遇し、これにより、ツール中心点TCPがマニピュレータ102によって維持される軌道Tから外れ、図14Bに示される軌道Tと駆動軸ADとの間の誇張された不整合によって示されるように、エネルギーアプリケータ114が目標部位TSに「ロック」されるに至る。ツール104の目標状態STは、いくつかの異なる方法で規定することができるが、この代表的な例の説明の目的のために、目標状態STは、駆動軸ADと軌道Tとの間の同時の整合を含む。しかし、図14Bに示されるツール104の現在の状態SCは、駆動軸ADと、エネルギーアプリケータ114が目標部位TSに「ロック」された軌道Tとの間の不整合を含むので、マニピュレータ102が現在の状態SCから目標状態STに移動することを試みるときに「逸走」状態が起こり得る。「逸走」状態はまた、患者トラッカー160が目標部位TSから緩み、それによって追跡精度の損失を引き起こす結果として起こり得る。
【0153】
この説明的な例では、図14B~14Dを連続して比較することによって示されるように、ツール104の目標部位STへの移動はまた、上記のように、ナビゲーションシステム128によって監視される第1の患者トラッカー160Aの追跡された状態に基づき軌道T(及び、したがって、目標状態ST)を規定する目標部位TSの対応する移動をもたらす。言い換えると、マニピュレータ102がツール104を現在の状態SCから目標状態STに移動させようとすると(例えば、駆動軸ADが軌道Tとの同時の整合に戻るようにすると)、目標部位TSはツール104と一緒に移動し、目標状態STに到達しない(例えば、同時の整合は起こらない)。図14C~14Dに示されているように、これにより、最終的に目標部位TSが作業面WSから「持ち上げられる」可能性がある。
【0154】
「逸走」状態が発生したときにそれを検出及び/または応答するための様々な技術が本明細書に開示されている。この目的のために、そして以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、外科システム100は、目標部位TSに係合するためにツール104を使用し、マニピュレータ102は、目標部位TS(例えば、ツール中心点TCPが軌道Tに沿って配置されている目標状態ST)に対してツール104を支持するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、感知システム206(図1~2を参照)は、ツール104、マニピュレータ102、目標部位TS、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数に関連する1つまたは複数のシステム条件SYCを検出するように構成されている。マニピュレータ102及び感知システム206に結合されたコントローラ124(例えば、マニピュレータコントローラ132、ツールコントローラ136、または外科システム100の別の適切なコントローラ、図25を参照)は、マニピュレータ102を、第1の制約基準C1に従って目標部位TSに関してツール104の整合を維持する第1のモードM1と、第1の制約基準C1とは異なる第2の制約基準C2に従って目標部位TSに関してツール104の整合を維持する第2のモードM2との間で動作させるように構成されている。コントローラ124はさらに、1つまたは複数のシステム条件SYCの少なくとも1つが所定の条件PRを満たすと判定することに応答して、マニピュレータ102の動作を第1のモードM1から第2のモードM2に変更するように構成されている。感知システム206、システム条件SYC、第1及び第2のモードM1、M2、第1及び第2の制約基準C1、C2、及び所定の条件PRがそれぞれ以下により詳細に説明されるが、本明細書に記載の技術は、エネルギーアプリケータ114を介して目標部位TSに係合するツール104に関連して、ならびに、図15に示されているように植込み可能コンポーネント116を介して目標部位TSに係合するツール104に関連しての両方で、利用することができる。ただし、他の構成も考えられ、追加の手法については以下で詳しく説明する。
【0155】
いくつかの実装形態では、第1のモードM1及び第2のモードM2は、アクティブ化及び非アクティブ化することができ、例えば、ユーザにモードの変更を直接通知することができるかまたはモードの変更間に一時停止があるような、マニピュレータ102の個別の別個の動作モードである。あるいは、しかしながら、別の実施形態では、第1及び第2のモードM1及びM2は、フィードバック制御方式に従ってマニピュレータ102を制御する異なる方法として理解することができる。例えば、制約基準C1、C2は、特定のモードをアクティブ化または非アクティブ化することなく、ユーザに直接通知することなく、またはモードの変更間に一時停止することなく、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで変更できる。言い換えると、制約基準C1、C2は、ユーザがモードM1、M2のいずれかを認識または開始する場合でも、その有無にかかわらず、シームレスな移行で変更できる。これらの実装の任意の組み合わせが企図され、「第1のモード」及び「第2のモード」という用語は、これらの実装のいずれかを限定なく含むと理解されるべきである。
【0156】
一実装形態では、第1及び第2の制約基準C1、C2、及びそれに関連するパラメータの値は、臨床データ、実験データ、外科医の好み、またはシステムのデフォルト設定などの情報に基づいて術前に決定または事前決定される。別の実装形態では、第1及び第2の制約基準C1、C2、及びそれに関連する任意のパラメータの値は、感知システム、センサ、ナビゲーションシステムなどからの測定に基づいて、システム条件SYC、または目標部位とマニピュレータの間に発生する力を検出するコントローラによって、動的かつ術中に、決定及び/または調整され得る。他の実装形態では、第1及び第2の制約基準C1、C2の1つは術前に決定または事前に決定され、第1及び第2の制約基準C1、C2の他方の1つは術中に決定される。
【0157】
ここで図15を参照すると、図1のツール104の1つを含む外科システム100の部分が、一般的に描写された目標部位TSに隣接して示されている。この実施形態では、ツール104は、マニピュレータ102によって維持される軌道Tに沿って、目標部位TS(例えば、リーミングされた寛骨臼)で植込み可能なコンポーネント116(例えば、人工寛骨臼カップ)にインパクションすることを容易にするように構成されている。この目的のために、ツール104の器具112は、以下でより詳細に説明するように、とりわけ、ロボットアーム108のカップリング110に取り付けられ、1つまたは複数の自由度での相対運動のためにインパクターアセンブリ210を支持するように構成されているガイド208として実現される。インパクターアセンブリ210は、とりわけ、植込み可能コンポーネント116を解放可能に固定するためのインターフェース212と、衝撃力FIを受けるように配置されたヘッド214(例えば、ヘッド214を木槌で打つことによって加えられる)とを備える。
【0158】
本明細書に示される代表的な実施形態では、植込み可能コンポーネント116は、患者Pの寛骨臼へのインパクションに適合した人工股関節の一部を形成する、略半球形のカップである。インパクションの前に、患者Pの寛骨臼は、目標部位TSを規定するためにリーミングまたはその他の方法で加工される。リーミング、加工、及びインパクションのプロセスは、「Depth of Impaction」と題された米国特許第8,979,859号及び「Tool, Kit-of-Parts for Multi-Functional Tool, and Robotic System for Same」と題された米国特許第8,753,346号に詳細に記載されており、これらの開示はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示は股関節を含む様々な整形外科的処置を記載しているが、本明細書に記載の主題は、例えば、肩、肘、手首、脊椎、膝、足首など、患者Pの体Bの他の関節に適用可能であり得る。さらに、本開示の外科システム100は、いくつかの異なるタイプの整形外科手術に関連して利用することができ、植込み可能コンポーネント116は、いくつかの異なるタイプ、スタイル、構成など(例えば、カップ、ステム、スクリュー、ピン、ロッド、ワイヤ、アンカー、プロテーゼなど)であり得る。したがって、様々なツール104が企図され、ガイド208、インパクターアセンブリ210、及び/または植込み型コンポーネント116の様々なスタイル、タイプ、及び/または構成を、本開示の範囲から逸脱することなく利用することができる。
【0159】
ここで図15~17Bを参照すると、ガイド208の代表的な実施形態は、インパクターアセンブリ210の動きの前にインパクターアセンブリ210と共に植込み可能コンポーネント116の有利な位置決めを容易にするように構成され、植込み可能コンポーネント116は、ガイド208(及び、したがって、マニピュレータ102)による支持により限定されている。言い換えると、ユーザ(例えば、外科医)は、ガイド208でインパクターアセンブリ210を最初に支持する必要なしに、手動で、植込み可能コンポーネント116を伴って目標部位TSに近づくことができる。アプローチが手動で完了し、植込み可能コンポーネント116が目標部位TSに配置された後、外科医は、その後、植込み可能コンポーネント116及びインパクターアセンブリ210を、迅速、効率的、かつ信頼できる方法でガイド208と係合するように関節接合させることができ、植込み可能コンポーネント116をマニピュレータ102によって維持される軌道Tと整合させることを容易にする。適切な整合が維持された状態で、外科医は、衝撃力FIをインパクターアセンブリ210のヘッド214に加えて、植込み可能コンポーネント116を目標部位TSに取り付けることができる。この目的のために、また以下により詳細に説明されるように、ガイド208は、外科システム100の特定の動作条件下で、ガイド208に対して1つまたは複数の自由度でインパクターアセンブリ210の移動を可能にするように構成されている。
【0160】
ここで図16A~16Bを参照すると、インパクターアセンブリ210は、一般に、植込み可能コンポーネント116を解放可能に固定するためのインターフェース212と、上記のように衝撃力FIを受けるように配置されたヘッド214とを備える。インパクターアセンブリ210はまた、以下でより詳細に説明されるように、使用中のインパクターアセンブリ210の動きを制限するためにガイド208に隣接する第1の係合面218を画定するフランジ216を備える。インパクターアセンブリ210は、一般に、第1の軸A1に沿って、インターフェース212に隣接する遠位端220と、ヘッド214に隣接する近位端222との間で延びる。フランジ216は、インターフェース212とヘッド214との間に配置され、第1の係合面218を規定する球形プロファイルを有し、フランジ216の中心に配置される第1の軸A1に沿ったフランジ基準点FRPを規定する(例えば、第1の係合面218を画定する球形プロファイルの幾何学的中心で)。同様に、植込み可能コンポーネント116は、プロテーゼが解放可能に取り付けられるインパクターアセンブリ210の第1の軸A1に沿ったインプラント基準点IRPを規定し(図15を参照)、目標部位TSは、軌道Tに沿った目標基準点TRPを規定する(図15を参照)。シャフト224は、第1の軸A1に沿って遠位端220からフランジ216まで延在し、グリップ228を備えたハンドル226は、フランジ216とヘッド214との間に延在する。上で紹介したインパクターアセンブリ210の各構成要素について、以下でより詳細に説明する。
【0161】
本明細書に示される代表的な実施形態では、ヘッド214、フランジ216、及びシャフト224は、一般に230で示されるインパクター本体によって規定され、インターフェース212は、インパクター本体230内に収容されるキャリアシャフト232によって規定される。より具体的には、インパクター本体230は、第1の軸A1に沿って遠位端220からシャフト224及びハンドル226を通ってヘッド214に向かって延びる中空領域234を規定する。キャリアシャフト232は、概して、遠位シャフト端236と近位シャフト端238との間の第1の軸A1に沿って延在し、1つまたは複数のベアリング領域240が、回転及び力の分配を容易にするためにそれらの間に設けられる。インターフェース212は、遠位シャフト端部236に配置され、インパクターアセンブリ210と植込み可能コンポーネント116が取り付けられたときに一緒に動くように、植込み可能コンポーネント116と解放可能に係合する。この目的のために、インターフェース212及び植込み可能コンポーネント116は、それぞれ、一般に242で示されるそれぞれのねじ込み係合(例えば、めねじ及びおねじ、図16Aを参照)を備え、これにより、植込み可能コンポーネント116を、インパクターアセンブリ210に解放可能に取り付ける。
【0162】
キャリアシャフト232のねじ込み係合242に隣接して、インパクター本体230は、シャフト224の遠位端220に形成されたキー部分244を備えている。キー部分244は、植込み可能コンポーネント116に形成された対応する形状のノッチ部分246と係合するように成形されたほぼ長方形のプロファイルを有する(図15Aを参照、ファントムにて示されている)。この構成は、植込み可能コンポーネント116がシャフト224(したがって、ハンドル226)に対してインデックス付けされることを可能にし、これは、植込み可能コンポーネント116が、目標部位TSに対して整合される必要がある特定の特徴を有する用途に有利であり得る。さらに、この構成はまた、シャフト224に対するキャリアシャフト232の回転及び並進を使用して、シャフト224を第1の軸A1の周りに回転させることなく、ねじ込み係合242を解除することができるという点で、植込み可能コンポーネント116とインパクターアセンブリ210との間の解放可能な取り付けを容易にするのに役立つ。この目的のために、ハンドル226がまた、ヘッド214とグリップ228との間に配置されたケージ248を備えており、ノブ250に対応し、アクセスを容易にするように成形され、ノブ250は、次に、キャリアシャフト232の近位シャフト端238に動作可能に取り付けられる。図示の実施形態では、ノブ250は、第1の軸A1に沿って形成された軸方向ノブアパーチャ252と、第1の軸A1を横切って形成され、軸方向ノブアパーチャ252と連通して配置された横方向ノブアパーチャ254とを備える。軸方向ノブアパーチャ252は、キャリアシャフト232の近位シャフト端部238を受け入れるように形作られ、横ノブアパーチャ254は、キャリアシャフト232に形成された横シャフトアパーチャ258内にも受け入れられる横ピン256を受け入れるように形作られる(図16Bを参照)。キャリアシャフト232の保持を確実にすることに加えて、この構成はまた、ノブ250及びキャリアシャフト232が第1の軸A1の周りで同時に回転及び並進することも可能にする。ここで、ハンドル226のケージ248は、略U字形のプロファイルを有し、外科医にノブ250へのアクセスも提供しながら、第1の軸A1に沿ったノブ250の限定された並進を可能にするように構成されている。
【0163】
ここで図15及び17A~17Bを参照すると、上記のように、ツール104の図示の実施形態は、とりわけ、第1の軸A1とマニピュレータ102のロボットアーム108を介した軌道Tの整合を維持するよう促すべく、インパクターアセンブリ210を解放可能に固定するためのガイド208を含む。この目的のために、ガイド208は、一般に、マニピュレータ102に取り付けられるように適合されたマウント148(図15を参照、全体的にファントムで描かれる)、及びマウント148に動作可能に取り付けられ、第2軸A2に沿って延びるチャネル262を有する本体260を備える。本明細書に示される代表的な実施形態では、ガイド208の本体260は、ファスナー(図示せず)などを介してマウント148(図15を参照、一般的に描写されている)に固定するように成形及び配置された1つまたは複数のねじ穴264及び陥凹領域266(図17A~17Bを参照)を備えている。図15に描写されているマウント148は、図示の実施形態では本体260とは別に形成されるが、他の構成が企図され、ガイド208は、マニピュレータ102への結合を容易にするのに十分な任意の適切な数の構成要素から形成される、そうでなければそれによって実現され得る。ここでもまた、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のカバー204をツール104のガイド208によって使用して、特定の構成要素(例えば、マウント148)を外部環境から隠蔽、保護、または別様にはシールドすることができる。カバー204はまた、電気部品(例えば、ワイヤ、電気コネクタ、プリント回路基板など)を隠すことができ、ツール104をマニピュレータ102に取り外し可能に取り付けることを容易にするためにマウント148とロボットアーム108のカップリング110との間に配置される滅菌インターフェースシステム(図示せず、しかし関連する技術分野で一般に知られている)へのアクセスを可能にするように成形及び配置することができる。ここでもまた、カップリング110のマウント148への解放可能な取り付けは、ツール104をマニピュレータ102に固定するのに十分な、いくつかの異なる方法で、達成することができる。
【0164】
図17A~17Bに示されるように、ガイド208の本体260に形成されたチャネル262は、それを通してインパクターアセンブリ210のシャフト224の一部を受け入れるように配置された開口部268を規定する。ガイド208はまた、一般に270で示される第2の係合面(図15も参照)、及びリミッタ272を備える。第2の係合面270は、第1の係合面218に隣接するように成形され、リミッタ272は、係合面218、270間の隣接を維持し、軸A1、A2とマニピュレータ102によって維持される軌道Tとの同軸整合を容易にするように構成されている。ガイド208の開口部268は、第1の軸A1を第2の軸A2と整合させるのを容易にすることができるように、ガイド208がフランジ216とインパクターアセンブリ210のインターフェース212との間に配置されたときに、インパクターアセンブリ210のシャフト224が通過できるように構成されている。図16Aの想像線で示されているように、インパクターアセンブリ210のシャフト224は、第1の周囲274を有し、インパクターアセンブリ210のフランジ216は、第1の周囲274よりも大きい第2の周囲276を有する。言い換えると、フランジ216は、シャフト224よりも大きく、ガイド208の開口部268を通過することができないが、シャフト224は、開口部268を通過することができるようなサイズである。
【0165】
図17A~17Bを引き続き参照すると、上記のように、ガイド208のリミッタ272は、インパクション中に第1の係合面218と第2の係合面270との間の隣接を維持し、軸A1、A2とマニピュレータ102によって維持される軌道Tとの同軸整合を容易にするように構成されている。この目的のために、図示の実施形態のリミッタ272は、チャネル262に隣接して配置された、一般に278で示される一対のフィンガーを含む。フィンガー278は、ガイド208の本体260から、間の開口部268を規定するように、互いに間隔を置いて配置されたそれぞれのフィンガーエンド280まで延びる(図15を参照)。フィンガー278はまた、それぞれ、一般に282で示されるそれぞれの弧状の表面を規定する。弧状の表面282は、第2の係合面270が第1の係合面218に隣接するときにインパクターアセンブリ210のフランジ216に接触するように配置され、第1の係合面218と第2の係合面270との隣接を維持し、以下に説明するように、ガイド208に対するインパクターアセンブリ210の動きを制限する。リミッタ272の弧状の表面282は、ガイド208の第2の係合面270と実質的に連続しており、第2の係合面270及び弧状の表面282の両方は、チャネル262によって少なくとも部分的に規定される。より具体的には、図17Aに最もよく示されているように、リミッタ272の弧形状の表面282及びガイド208の第2の係合面270は、チャネル262が実質的に連続的でほぼ円筒形のC字形のプロファイルを有し、第2の係合面270及び弧状の面282の両方を規定するように、共通の半径284で第2の軸A2からそれぞれ離間している。
【0166】
衝撃力FIがインパクターアセンブリ210のヘッド214に加えられるとき、植込み可能コンポーネント116及びインパクターアセンブリ210は、必然的に軌道Tに沿って並進する。したがって、ガイド208及びインパクターアセンブリ210は、フランジ216がチャネル262内を移動するとき(例えば、外科医が連続的に木槌でインパクターアセンブリ210のヘッド214を打撃するとき)、第1の係合面218と第2の係合面270との間の隣接が維持されることを確実にするように構成されている。この目的のために、ガイド208のチャネル262(詳細は示さず)は、フランジ216の厚さよりも大きい深さで第2の軸A2に沿って互いに間隔を置いて配置された第1及び第2の軸方向チャネル端部262A、262Bの間に延びる。ここで、ガイド208は、チャネル262の中心の第2の軸A2に沿って配置される(例えば、第1及び第2の軸方向チャネル端部262A、262Bの間で等間隔に配置される)ツール中心点TCPを、この実施形態で規定する。しかしながら、ツール中心点TCPは、本開示の範囲から逸脱することなく、他の方法で規定することができる。
【0167】
フランジ216は、上記のようにほぼ球形のプロファイルを有するので、第2の係合面270が第1の係合面218に隣接するとき、第1の係合面218を規定するフランジ216の一部のみが、実際に円筒形チャネル262に係合する。したがって、チャネル262は、フランジ216がインパクション中にチャネル262内に容易に配置され、チャネル262と隣接し続けることができることを確実にするのに十分な深さになるように、有利にも構成されている。しかしながら、第2の係合面270と第1の係合面218との間の隣接を維持することは、他の方法で達成することができる。例えば、インパクション中にマニピュレータ102を用いて、軌道Tに沿って目標部位TSに向かってガイド208を前進させることによって(例えば、ツール中心点TCPをフランジ基準点FRPに配置するために)達成することができる。他の構成が企図される。
【0168】
図17Bに最もよく示されるように、ガイド208の本体260はまた、センササブアセンブリ288、フォロワサブアセンブリ290、及び入力モジュール292を収容するポケット286を含み、これらのそれぞれは、以下でより詳細に説明される。ポケット286は、チャネル262と連通するように延在して、チャネル262に隣接するポケット286内に位置するフォロアサブアセンブリ290の取り付けを容易にする。ここで、フォロアサブアセンブリ290の一部はまた、第2の係合面270の一部を規定する(図17Aを参照)。
【0169】
センササブアセンブリ288は、概して、固定具(詳細には示されていない)を介してガイド208の本体260に固定され、第1のトリガセンサ296、第2のトリガセンサ298、及び入力センサ300を支持するセンサハウジング294を備え、各センサは、コントローラ124(例えば、マニピュレータコントローラ132、ツールコントローラ136、または別の適切なもの)または外科システム100の他の構成要素と通信(例えば、有線または無線電気通信)するよう配置され得る。入力センサ300は、入力モジュール292と係合するか、または通信するよう配列されるように配置され、第1及び第2のトリガセンサ296、298は、フォロアサブアセンブリ290と係合するか、または通信するように配置される。以下の後続の説明から理解されるように、センササブアセンブリ288の各センサは、いくつかの異なるタイプ、スタイル、構成などであり得、本明細書に具体的に示されるもの以外の他の構成が本開示によって企図される。
【0170】
入力モジュール292は、外科医による選択的作動のために構成され、一般に、入力フレーム302及び入力ボタン304を備える。入力フレーム302は、1つまたは複数のファスナ(詳細には示されていない)を介してガイド208の本体260に固定され、それに対して移動するために入力ボタン304を支持する。入力ボタン304は、外科医による作動に応答して(例えば、入力ボタン304を押すことによって)入力センサ300と係合するように配置された突起306を備える。いくつかの実施形態では、入力ボタン304は、ばね(図示せず)などによって、入力フレームから離れるように弾性的にバイアスすることができる。しかし、他の構成が企図される。入力モジュール292は、外科的処置中に異なる方法でマニピュレータ102を操作することを容易にするように構成され得、入力デバイス146として機能し得る。
【0171】
フォロアサブアセンブリ290は、センササブアセンブリ288と同様に、ガイド208の本体260に形成されたポケット286内に収容され、ファスナ(詳細には示されていない)で本体260に固定される。フォロアサブアセンブリ290は、概して、図示の実施形態においてインパクターアセンブリ210のフランジ216に対して係合するように成形及び配置された第1及び第2のトリガ310、312を支持するフォロアハウジング308を備える。この目的のために、第1及び第2のトリガ310、312は、チャネル262内に延在し、フランジ216との係合に応答してセンササブアセンブリ288に向かって偏向するようにフォロアハウジング308によって支持され、第1及び第2のトリガセンサ296、298にそれぞれ係合するフォロアハウジング308内で支持される、それぞれのプッシュロッドを独立して作動させる(示さず)。ここで、フォロアサブアセンブリ290及びセンササブアセンブリ288は、チャネル262内のフランジ216の存在の1つまたは複数、及び/または第1及び第2の軸方向チャネル端部262A、262Bとの間のフランジ216の相対位置を決定し得ることを容易にし、チャネル262に沿ったフランジ216の軸方向位置の変化に対応することに基づいて、目標部位TSでのインパクション中に軌道Tに沿った植込み可能コンポーネント116の「追跡」運動を促進するようにする。
【0172】
上記のように、マニピュレータ102は、目標部位TSに対してツール104を配置し、実施形態では植込み可能構成要素116に衝撃を与える方に向けられた、略線形であり、軸A1、A2と整合している軌道Tを維持するように構成されている。ここで、インパクターアセンブリ210のヘッド214に加えられた外部衝撃力FIは、インパクターアセンブリ210を通って植込み可能コンポーネント116に移動し、次に、植込み可能コンポーネント116を軌道Tに沿って目標部位TSに向かって前進させる。植込み可能コンポーネント116に衝撃を与えるプロセスは、以下でより詳細に説明されるが、軌道Tを維持することは、特定の条件において、目標部位TSに対するガイド208のすべてまたは特定のタイプの動きを制限するマニピュレータ102を含み得、及び/またはいくつかの実施形態では、ガイド208の動きを制限するか、または目標部位TSに対して軌道Tに沿った並進に向けることを含み得る。マニピュレータ102は、外科医がガイド208を軌道Tに沿って並進させ、とりわけ、上記のように、インパクターアセンブリ210のシャフト224をガイド208の開口部268に通すことを容易にすることができる。外科的処置の特定のステップは、異なる方法でマニピュレータ102を制御することを含み得る。さらに、ツール104の様々な構成が本開示によって企図され、いくつかの実施形態では、外科システム100、ツール104、器具112、及び/または植込み可能コンポーネント116の1つまたは複数の部分は、「End Effectors, Systems, And Methods For Impacting Prosthetics Guided By Surgical Robots」と題された米国特許出願公開第2019/0231446A1に記載されているものと類似していてよく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の構成が企図される。
【0173】
ここで図18~21Dを参照すると、外科システム100の一部及び一般的に描写された目標部位TSが概略的に示され、目標部位TSは、作業面WS(例えば、手術台、詳細には示されていない)で支持されて示されている。ここで、目標部位TSは、寛骨臼カップにインパクションしたときの植込み可能コンポーネント116の意図された位置を表す(図18のファントムにて示されている意図された位置)。ここでの寛骨臼は、軌道Tを規定するためにリーミングされるか、さもなければ加工されており、第1の患者トラッカー160Aがそれにしっかりと固定されている。上記のように、ナビゲーションシステム128によって監視される第1の患者トラッカー160Aの追跡された状態(例えば、位置及び/または方向データ、またはそれに基づくデータ)は、マニピュレータ102と目標部位TSとの整合を確実にするために目標状態SAの維持を容易にするために使用される。このことは、例えば、マニピュレータ102のロボットアーム108を制御して、ガイド208によって規定された第2の軸A2を、目標部位TSによって規定された軌道Tとの一致整合を保つようにすることなどによってなされる。
【0174】
図18では、マウント148(説明の目的でカバー204によって表されている、図15も参照)及びツール104のガイド208は、マニピュレータ102(部分的に描かれ、ファントムで示されている)によって支持される目標部位TSに隣接して配置され、第2の軸A2が軌道Tに整合されている(したがって、ツール中心点TCPが軌道Tに沿って配置されている)。インパクターアセンブリ210は、目標部位TSとガイド208の両方から離間して示され、植込み可能コンポーネント116がインターフェース212に固定され、第1の軸A1に沿って配置されている。説明のために、第1のツールトラッカー160Gはガイド208にしっかりと固定されて示され、第2のツールトラッカー160Iはインパクターアセンブリ210にしっかりと固定されて示されている。しかしながら、ナビゲーションシステム128は、上記のように共通の座標系内で複数のトラッカー160の状態を追跡することができるが、追跡される対象物(例えば、ツール104)のポーズは、他の方法(例えば、既知の幾何学的関係に基づく)で決定し、座標系間(例えば、マニピュレータ座標系MNPLとローカライザ座標系LCLZ間)で変換することができる。言い換えると、外科システム100は、図示の第1のツールトラッカー160G及び/または第2のツールトラッカー160Iを必ずしも利用することなく、第1の患者トラッカー160Aに対するツール104のポーズの変化を決定することができる。とりわけ、ガイド208、インパクターアセンブリ210、及び植込み可能コンポーネント116の形状は既知であり、フランジ216がチャネル262内に(例えば、センササブアセンブリ288を介して)配置されるときに、ツール中心点TCPに対するフランジ基準点FRPの配置を決定することができるためである。
【0175】
ここで図19Aを参照すると、インパクターアセンブリ210は、植込み可能コンポーネント116と共に、目標部位TS(ここでは、リーミングされた寛骨臼)に隣接する初期位置に移動され、第1の軸A1は、ガイド208によって規定された第2の軸A2と、目標部位TSによって規定された軌道Tの両方との同軸の整合において、インパクターアセンブリ210によって規定される。ここで、インパクターアセンブリ210のフランジ216は、ガイド208のチャネル262内に配置され、フランジ基準点FRPは、ツール中心点TCPと整合して配置される。植込み可能コンポーネント116によって規定されるインプラント基準点IRPは、目標部位TSによって規定される目標基準点TRPから離間している。
【0176】
上記のように、誘導触覚モードまたは他のモードで動作する場合、外科システム100は、センサ180の入力によって検出された力を解釈するように構成され得、それは、マニピュレータ102のロボットアーム108を駆動するために使用され、とりわけ、外科医がロボットアーム108及び/またはツール104の異なる部分に接触するか、さもなければ係合して、特定の動作条件の間にそれらを特定の方向に動かすことを可能にし得る。この概念を説明するために、図19Aは、外科医がガイド208またはインパクターアセンブリ210を手で押す及び/または引くことなどから、ガイド208に作用する加えられた力FAを示している(詳細は示されていない)。説明のために、マニピュレータ102が、ここに示されるように軌道Tとの整合を維持するように構成されていない場合(例えば、第2の軸A2と軌道Tとの間の一致する整合をもたらすように目標状態STが規定される場合)、図19Aに示されている加えられた力FAは、ツール104が(ロボットアーム108を介して)図19Bに示される配置に移動して、軸A1、A2が軌道Tと一致する位置から外れる(例えば、図19Aに示されているように)ことを生じる可能性がある。この仮説的な説明的な例では、外科医は、図20Aに示されるように、インパクション前、後続的に軸A1、A2を目標部位TSによって規定される軌道Tと一致する整合をし、マニピュレータ102との一致する整合を維持する前に、目標部位TSで係合させ、アプローチ及び植込み可能コンポーネント116の初期位置決めを調整または確定するよう手動モードまたは別のモード(例えば、入力ボタン304を介して起動される)で、ロボットアーム108を操作することができる。
【0177】
図20Aに示される説明的な例では、マニピュレータ102は、第2の軸A2(ガイド208によって規定される)と目標部位TSとの整合を維持するように(例えば、軌道Tとの一致を介して)動作し、それはまた、(インパクターアセンブリ210によって規定される)第1の軸A1と整合される。ここで、目標状態STは、軌道Tに沿って配置されたツール中心点TCPによって規定できる。ここに示すようにマニピュレータ102によって整合が維持されると、外科医は衝撃力FIをインパクターアセンブリ210のヘッド214に加えることができ、例えば、植込み可能コンポーネント116を目標部位TSに設置するために、木槌(図示せず)でヘッド214を連続的に打つことによる。図20Bに示すように、ヘッド214への衝撃力FIの適切な適用に応じて、インパクターアセンブリ210と植込み可能コンポーネント116は、軌道Tに沿って一緒に移動し、インプラント基準点IRP(植込み可能コンポーネント116によって規定される)を目標基準点TRP(目標部位TSで規定される)と整合するようにする。
【0178】
ここで、マニピュレータ102は、ツール中心点TCP(ガイド208のチャネル262によって規定される)をフランジ基準点FRP(インパクターアセンブリ210のフランジ216によって規定される)と整合に戻すために、インパクション中の木槌の打撃の間に軌道Tに沿って目標部位TSに向かってガイド208を前進させるように構成することができる。これは、上記のように、フォロワサブアセンブリ290及び/またはセンササブアセンブリ288を介して、及び/または第2のツールトラッカー160I及び第1のツールトラッカー160Gの追跡された状態に基づき、ナビゲーションシステム128を介して、決定され得る。マニピュレータ102は、例えば、軸方向チャネル端部262A、262Bが、フランジ216がインパクション中、チャネル262と係合したままであることを保証するのに十分な距離で互いに離間している場合、必ずしも軌道Tに沿ってガイド208を前進させることができない。これは、外科システム100が、ツール104に結合された線形可変差動変圧器(LVDT)コイル配置を使用することなどによって、チャネル262に沿ったフランジ216の相対位置を高精度で決定することができる実施形態において、有利であり得る。このタイプのLVDTコイル配置の実施形態は、以前に参照された「End Effectors, Systems, And Methods For Impacting Prosthetics Guided By Surgical Robots」と題された米国特許出願公開第US2019/0231446A1に記載されている。他の構成が企図される。
【0179】
上記のように、ツール104の図示の実施形態は、一般に、ガイド208に対するインパクターアセンブリ210の並進を可能にして、植込み可能コンポーネント116を目標部位TSと係合させるのを容易にするように構成されている。さらに、ツール104の実施形態はまた、一般に、1つまたは複数の自由度において、ガイド208に対してインパクターアセンブリ210の回転を可能にするように、及び/またはその逆を可能にするように構成されている。この相対回転は、第1の係合面218と第2の係合面270との間に発生するベアリングタイプの接触(例えば、滑り接触)によって達成される。ここで、インパクターアセンブリ210がガイド208に対して回転及び並進する能力は、例えば、衝撃力FIの適用中、かなりの量の力及び/またはトルクがインパクターアセンブリ210からガイド208(したがって、マニピュレータ102)に並進するのを防ぐのに役立つ。しかしながら、一定量の力及び/またはトルクは、ガイド208とインパクターアセンブリ210との間に生じる物理的接触のために、1つまたは複数の自由度DOFでマニピュレータ102に必然的に変換される。
【0180】
図21Aでは、インパクターアセンブリ210、ガイド208、植込み可能コンポーネント116、及びマニピュレータ102は、一般に、図20Aに示されるのと同じ方法で配置され、第2の軸A2(ガイド208によって規定される)は、同様に第1の軸A1(インパクターアセンブリ210によって規定される)、及びインパクション前に目標部位TSと係合して配置された植込み可能コンポーネント116と整合される目標部位TS(例えば、軌道Tとの一致を介して)と整合させる。しかしながら、図21Aでは、衝撃力FIは、インパクターアセンブリ210のヘッド214に不適切に加えられている(例えば、軌道Tを横切る)ものとして示されている。ここで、衝撃力FIの不適切な適用(例えば、大きさが比較的大きい、及び/または軌道Tとずれている)は、植込み可能コンポーネント116が、軌道Tとずれている(例えば、第1の軸A1及び第2の軸A2が軌道Tと一致しない場合)ように目標部位TSに着座する(例えば、部分的に着座する)結果となる可能性がある。このような仮説的なシナリオを図21Bに示すと、これは、説明のために、軸A1、A2と軌道Tの間の誇張されたミスアライメントを示している。
【0181】
図21Bでは、図14A~14Dに関連して上記で説明したシナリオのように、軌道Tとの不整合の結果として、外科システム100の仮想的な「逸走」状態が発生する可能性がある。ここで、衝撃力FIの不適切な適用は、第1及び第2の軸A1、A2と軌道Tとの不整合を引き起こす方法で、植込み可能コンポーネント116を目標部位TSに着座させた。ツール104の目標状態STは、この代表的な例における例示の目的のために、いくつかの方法で規定され得るが、目標状態STは、(例えば、軌道Tに沿って配置されたツール中心点TCPを用いることでの)第2の軸A2と軌道Tとの間の一致する整合を含む(またはそうでなければ結果として生じる)。しかしながら、図21Bに示されるツール104の現在の状態SCは、第2の軸A2と軌道Tとの間の不整合を含み、植込み可能コンポーネント116が目標部位TSに「ロック」されているので、マニピュレータ102が、現在の状態から目標状態のSTへの移動を試みるとき、「逸走」状態が、同様に生じ得る。「逸走」状態はまた、患者トラッカー160が目標部位TSから緩んで、それによって追跡精度の損失を引き起こす結果として起こり得る。
【0182】
この説明的な例では、図21B~21Dを連続して比較することによって示されるように、ツール104の目標状態ST(例えば、ツール中心点TCPを軌道Tに戻すため)への移動(例えば、ガイド208)はまた、目標部位TSの対応する移動をもたらし、これは、上記のように、ナビゲーションシステム128によって監視される第1の患者トラッカー160Aの追跡状態に基づいて軌道T(したがって、目標状態ST)を規定する。言い換えると、マニピュレータ102がツール104(例えば、ガイド208)を現在の状態SCから目標状態STに移動させようとすると(例えば、第1、第2の軸A1、A2が軌道Tとの同時の整合に戻るようにすると)、目標部位TSはツール104と一緒に移動し、目標状態STに到達していない(例えば、同時の整合は起こらない)。ここでもまた、図21C~21Dに示されているように、これにより、最終的に目標部位TSが作業面WSから「持ち上げられる」可能性がある。
【0183】
上記のように、発生する「逸走」状態を検出及び/または応答するための様々な技術が本開示によって企図され、それは、植込み可能コンポーネント116と目標部位TS(例えば、図18~21Dに関連して上記で説明したように)との係合を容易にするためにインパクターアセンブリ210を支持するためにガイド208などの器具112を備えたツール104を利用する外科システム100用、ならびに動力付き外科用デバイス150などの(例えば、図12~14Dに関連して上記で説明したように)目標部位TSとエネルギーアプリケータ114との係合を容易にするような器具112を備えたツール104を利用する外科用システム100用のものを含む。この目的のために、コントローラ124は、上記のように、及び以下でより詳細に説明されるように、1つまたは複数の所定の条件PR(例えば、第1の所定の条件PR1、第2の所定の条件PR2など)に対する1つまたは複数のシステム条件SYC(例えば、感知システム206によって感知されるように)を監視することで「逸走」状態を検知し得る。
【0184】
感知システム206は、上記(図25を参照)のように、ツール104、マニピュレータ102、目標部位TS、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数に関連する1つまたは複数のシステム条件SYCを検出するように構成されている。言い換えると、感知システム206は、ツール104に関連する1つまたは複数のシステム条件SYC、マニピュレータ102に関連する1つまたは複数のシステム条件SYC、及び/または目標部位TSに関連する1つまたは複数のシステム条件SYCを検出することができる。この目的のために、いくつかの実施形態では、感知システム206は、目標部位TSとマニピュレータ102との間に発生する力FDを検出するためのセンサ180を備え得る。ここで、例えば、センサ180によって検出される力FDの追跡状態は、以下でより詳細に説明するように、第1及び第2のモードM1、M2の間でマニピュレータ102の動作の変更を容易にするためにコントローラ124によって使用されるシステム条件SYCを規定することができる。いくつかの実施形態では、感知システム206は、ナビゲーションシステム128の1つまたは複数の構成要素(例えば、ローカライザ158)及び/または1つまたは複数のトラッカー160を備え得る。ここで、例えば、ローカライザ158によって監視されるトラッカー160の追跡状態は、以下でより詳細に説明するように、第1及び第2のモードM1、M2の間でマニピュレータ102の動作の変更を容易にするためにコントローラ124によって使用されるシステム条件SYCを規定することができる。ここでも、上記のように、外科システム100の1つまたは複数の構成要素は、1つまたは複数の座標系内のツール104の配置(例えば、ローカライザ座標系LCLZ内のツール中心点TCPのポーズ)を(直接的または間接的に)決定することができる。ここで、ツール104の配置、ならびにツール104の配置の変更(例えば、1つまたは複数のトラッカー160に対する動き)は、以下でより詳細に説明するように、第1及び第2のモードM1、M2の間でマニピュレータ102の動作の変更を容易にするためにコントローラによって使用されるシステム条件SYCを規定することができる。いくつかの実施態様では、感知システム206またはセンサ180は、追加的または代替的に、ジョイントJのアクチュエータの任意の1つまたは複数からの電流を検出するように構成されたセンサ180、ジョイントJまたはジョイントアクチュエータのいずれか1つまたは複数に加えられた1つまたは複数のトルクを検出するセンサ、または、任意の1つまたは複数のジョイントJに加えられた任意の他の外部(バックドライブなど)の力またはトルクを検出するセンサを含み得る。ジョイントへのバックドライブ力を計算する方法の一例は、「Robotic System and Method for Backdriving The Same」と題された米国特許第10,327,849号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。ジョイントJの任意の1つまたは複数のアクチュエータでセンサ180によって取得された電流測定値は、力またはトルク測定値に変換することができ、これは、ツール104が相互作用している目標部位TSに投影することができる。いくつかの例では、ジョイントから取得されたこれらの力トルク測定値は、マニピュレータ102と目標部位TSとの間で発生する力及び/またはトルクを検出するように配置された6自由度DOF力/トルク変換器からの測定値を、ナビゲーションシステムによって取得された患者またはツールに関する状態データと比較することができる。感知システム206は、非限定的な例として、1つまたは複数の器具112、ジョイントエンコーダ122、コントローラ124、132、134、136、入力デバイス146、出力デバイス144、ユーザインターフェース142、発電アセンブリ152、ポインタ156、ローカライザ158、トラッカー160、ビデオカメラ170などを含む、外科システム100の様々な構成要素を含む(またはそうでなければ通信する)ことができる。他の構成が企図される。
【0185】
システム条件SYCは、外科システム100の異なる構成要素及び/または目標部位TSとの間の関係に基づくことを含む、いくつかの異なる方法で規定することができる。例えば、第1の患者トラッカー160Aのポーズ(例えば、ローカライザ座標系LCLZ内で追跡される)及びツール104のツール中心点TCPのポーズ(例えば、ローカライザ座標系LCLZ内に変換または追跡される)は、それぞれがそれぞれのシステム条件SYCを規定し得、ツール中心点TCPのポーズと共に第1の患者トラッカー160Aのポーズの同時の移動は、異なるシステム条件SYCを規定することができる。したがって、本開示では、ツール104、マニピュレータ102、及び/または目標部位TSのうちの1つまたは複数で及び/またはそれらの間で発生する変化に基づいて様々な方法で規定できる、いくつかの異なるシステム条件SYCが企図される。
【0186】
ここで図22Aを参照すると、上記のように、コントローラ124は、第1のモードM1でマニピュレータ102を動作させて、第1の制約基準C1に基づいて、目標部位TSに関しツール104の整合を維持し、マニピュレータ102を第2のモードM2で動作させて、第1の制約基準C1とは異なる第2の制約基準C2に基づいて、目標部位TSに対してツール104の整合を維持するように構成されている。この目的のために、いくつかの実施形態では、第1の制約基準C1と第2の制約基準C2との間の差は、目標部位TSに対するツール104の動きが制限(または許可)される自由度DOF、ならびに、1つ以上の自由度DOFでの移動にどのように影響するか(図25も参照)ということに基づくことができる。この概念は、図24A~24Cに関連して以下でより詳細に説明されるが、例示の目的で、図22Aは、作業面WS上で支持された目標部位TSと最初に係合して配置された植込み可能コンポーネント116に固定されたインパクターアセンブリ210から離間されたツール104(ここではガイド208)の器具112を支持するマニピュレータ102を示しており、ツール104のツール中心点TCPと目標部位TSの目標基準点TRPとが、デカルト形式で表される6つのそれぞれの自由度DOFを含んで各々示されている。
【0187】
より具体的には、ツール中心点TCP及び目標基準点TRPはそれぞれ、共通の座標系内(例えば、ローカライザ座標系LCLZまたは別の適切な座標系)にて、それぞれのx位置XP自由度DOF、y位置YP自由度DOF、z位置ZP自由度DOF、x方向ZO自由度DOF、y方向YO自由度DOF、及びz方向ZO自由度DOFを規定する。ここで、ツール中心点TCPは、ツール104に対して「固定」されており、コントローラ124によって認識されている(例えば、ツール104とマニピュレータ102のカップリング110との間の幾何学的関係に基づく)。同様に、目標基準点TRPは、目標部位TSに対して「固定」されており、コントローラ124によって認識されている(例えば、目標部位TSに結合され、寛骨臼をリーミングすることによって規定される第1の患者トラッカー160Aの追跡状態に基づく)。説明のために、ツール中心点TCPと目標基準点TRPは、図22A~24Cに座標系として示され、x、y、z軸はそれぞれ2つの自由度DOF、すなわち、ある方向への軸に沿った座標系の平行移動、及び軸を中心とした方向での座標系の回転を表す。図22Aでは、説明の目的で、ツール中心点TCPは、そのz軸が軌道Tに平行であり、そのx軸が軌道Tを横切るように配置され、目標基準点TRPは、そのz軸が軌道Tに一致するように配置される。
【0188】
いくつかの実施形態では、第1の制約基準C1は、ツール104の動きが目標部位TSに対して制限される第1の数N1の自由度DOFを含み得、第2の制約基準C2は、ツール104の動きが目標部位TSに対して制限されている第2の数N2の自由度DOFを含み得、第2の数N2の自由度DOFは、第1の数N1の自由度DOFとは異なる。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ124は、第1のモードM1では、第1の数N1の自由度DOFに基づいて、目標部位TSに対してツール104の整合を維持し、第2のモードM2では、(異なる)第2の数N2の自由度DOFに基づいて、目標部位TSに対してツール104の整合を維持するように、マニピュレータ102を操作するように構成され得る。
【0189】
ここで、第1の数N1は、第1のモードM1における目標状態STを規定する「アクティブ」自由度DOFの数を表すことができ、第2の数N2は、第2のモードM2の目標状態STを規定する「アクティブ」自由度DOFの数を表すことができる。例えば、感知システム206が、目標部位TSとマニピュレータ102との間に発生する力FDを検出してシステム条件SYCを規定するためのセンサ180を備える場合、いくつかの実施形態で、コントローラ124は、マニピュレータ102を第1のモードM1で動作させるための合計6つの自由度DOF(例えば、x位置XP、y位置YP、z位置ZP、x方向XO、y方向YO、及びz方向ZO)に基づいて、目標状態STを規定することができ、センサ180によって検出された力FDが所定の条件PRを満たすとすぐに、3つの自由度DOF(例えば、x方向XO、y方向YO、及びz方向ZO)に基づいて、第2のモードM2でマニピュレータ102を動作させるために目標状態STがどのように規定されるかを自動的に変更することができる。ここで、所定の条件PRは、センサ180によって検出された力FD(例えば、1つまたは複数の自由度DOFにおける力及び/またはトルク)として規定することができ、これは、植込み可能コンポーネント116が、目標部位TSで患者Pの解剖学的構造に「固定」されることなどにより、規定される潜在的な「逸走」条件を示し、それにより、コントローラ124は、第2のモードM2で、目標部位TSに対するツール中心点TCPの位置(例えば、x位置XP、y位置YP、及びz位置ZP)をもはや維持しないように、目標状態STを効果的に変更する。
【0190】
したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ124はマニピュレータ102を第1のモードM1で動作させて、第1の制約基準C1(例えば、目標方向OTと目標位置PTに基づいて目標状態STを規定する)に従って、また第1の数N1の自由度DOFに基づいて、目標部位TS(または軌道T)から離れるツール中心点TCPの移動を制限し、マニピュレータ102を第2のモードM2で動作させて、第2の制約基準C1(例えば、目標方向OTに基づいて目標状態STを規定するが、目標位置PTには基づかない)に従って、また(異なる)第2の数N2の自由度DOFに基づいて、目標部位TSから離れるツール中心点TCPの移動を許可するよう構成することができる。この説明的な例は、図24A~24Cに関連して以下でより詳細に説明されるが、他の構成が企図され、所定の条件PRを満たすことに基づくモード間の変更は、感知システム206を介して決定される様々なシステム条件SYCに基づいて、いくつかの異なる方法で起こり得る。
【0191】
一実施形態では、第2の数N2の自由度DOFは、第1の数N1の自由度DOFよりも少なく、その結果、コントローラ124は、第2のモードM2において、第1のモードM1よりも少なくとも1つ多くの自由度で、目標部位TSに対するツール104の移動を可能にする。ここでも、いくつかの実施形態では、第1の制約基準C1及び第2の制約基準C2は、それぞれ、少なくとも1つの方向自由度DOF(例えば、x方向XO、y方向YO、及び/またはz方向ZO)を含み得、第1の制約基準C1は、第2の制約基準C2よりも少なくとも1つ多い位置自由度DOF(例えば、x位置XP、y位置YP、及び/またはz位置ZP)を含み得、及び第1の制約基準C1と第2の制約基準C2の両方は、少なくとも1つの共通自由度DOF(例えば、x方向XO、y方向YO、及び/またはz方向ZO)を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、第1の制約基準C1は、少なくとも1つの位置自由度DOF(例えば、x位置XP、y位置YP、及び/またはz位置ZP)及び少なくとも1つの方向自由度DOF(例えば、x方向XO、y方向YO、及び/またはz方向ZO)を含み得る。しかし、以下の説明からわかるように、他の構成が考えられ、第1の基準C1及び/または第2の制約基準C2は、例えば、目標部位TSで実施される外科的処置のタイプに応じて、ツール104(及び/またはエネルギーアプリケータ114または植込み型コンポーネント116)の特定の配置及び構成、ツール104がマニピュレータ102によって目標部位TSに対してどのように配置されるか、などいくつかの異なる方法で規定することができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、第1の制約基準C1は、第1の弾力性パラメータR1を含み得、第2の制約基準C2は、第1の弾力性パラメータR1とは異なる第2の弾力性パラメータR2を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ124は、第1のモードM1では、第1の弾力性パラメータR1に基づいて目標部位TSに関してツール104の整合を維持するように動作させ、第2のモードM2では、(異なる)第2の弾力性パラメータR2に基づいて目標部位TSに関してツール104の整合を維持するようにマニピュレータ102を動作させるよう構成され得る。ここで、第1の弾力性パラメータR1は、第1のモードM1を規定する1つまたは複数のガイド制約GCの調整パラメータTPA(例えば、ばねパラメータPS及び/または減衰パラメータPD)を表すか、そうでなければそれに対応させることができ、第2の弾力性パラメータR2は、第2のモードM2を規定する1つまたは複数のガイド制約GCの調整パラメータTPA(例えば、ばねパラメータPS及び/または減衰パラメータPD)を表すか、そうでなければそれに対応させることができる。以下の後続の説明から理解されるように、第1の制約基準C1及び/または第2の制約基準C2は、いくつかの異なる方法で構成または規定され得、例えば、非限定的な例として、第1のモードM1または第2のモードM2のいずれかで動作している間、各「アクティブな」自由度DOFに対して弾力性パラメータが規定される。別の言い方をすれば、第1の制約基準C1は、3つの「アクティブな」自由度DOFを含み得、それぞれがそれぞれの第1の弾力性パラメータを有し、これは互いに同じであっても異なっていてもよい。他の構成が企図される。
【0193】
いくつかの実施形態では、コントローラ124は、第1のモードM1よりも第2のモードM2において、目標部位TSに対してツール104のより弾力性のある動きを可能にするように構成され得る。言い換えると、第2の弾力性パラメータR2は、第1の弾力性パラメータR1よりも「剛性」が低く、第2のモードM2よりも第1のモードM1の方が目標状態STからの逸脱がより困難である可能性がある。しかし、他の構成が企図される。いくつかの実施形態では、第1の弾力性パラメータR1及び第2の弾力性パラメータR2はそれぞれ、少なくとも1つの共通自由度DOFにおける目標部位TSに対するツール104のレジリエンスのある動きに関連している(例えば、x位置XP、y位置YP、z位置ZP、x方向XO、y方向YO、またはz方向ZOにおいて)。非限定的な例として、z方向のZO自由度DOFが「アクティブ」であり、第1及び第2の弾力性パラメータR1、R2がそれぞれz方向ZO自由度DOFに関連付けられていて、第1の制約基準C1と第2の制約基準C2の両方の一部を形成することができる。
【0194】
いくつかの実施形態では、第1の制約基準C1、第2の制約基準C2、及び/または所定の条件PRは、ユーザインターフェース142などを介して、ユーザによって調整可能及び/または構成可能であり得る。この目的のために、閾値制御314(図2を参照、図25も参照)を設けて、所定の条件PRがどのように規定されるかを調整することを容易にすることができる。例として、閾値制御314は、所定の条件PRを満たすために必要とされるセンサ180によって検出される力FDの量(例えば、システム条件SYC)を変更する入力デバイス146として構成することができ、例えば、コントローラ124が第1のモードM1から第2のモードM2に変わる前に、より多くのまたはより少ない力FDが検出される(例えば、特定の方向の力及び/またはトルク)ことを要求するようにする。さらなる例として、閾値制御314は、所定の条件PRを満たすために、ツール104と目標部位TSが一緒に移動する時間を(例えば、ナビゲーションシステム128を介して決定されるように)変更する入力デバイス146として構成することができ、例えば、コントローラ124が第1のモードM1から第2のモードM2に変わる前に、より多くの時間またはより少ない時間の同時移動を必要とするようにする。上記の例は説明的で非限定的なものであり、他の構成が企図されている。
【0195】
いくつかの実施形態では、剛性制御316(図2を参照、図25も参照)は、第1の制約基準C1(または、いくつかの実施形態では、第2の制約基準C2)がどのように規定されるかを調整することを容易にするために提供され得る。例として、剛性制御316は、第1のモードM1を規定するために(例えば、目標状態STの維持を容易にするため)使用される1つまたは複数のガイド制約GCの調整パラメータTPA及び/または構成パラメータCPAを変更する入力デバイス146として構成することができ、例えば、第1の弾力性パラメータR1を増加または減少させて、マニピュレータ102が目標状態STからの動きを制限する程度に対応する変化をもたらす(例えば、より少ないまたはより多い「剛性」で)ことによってなされる。ここでも、前述の例は説明的で非限定的なものであり、他の構成が企図されている。
【0196】
他の実装形態では、第1の制約基準C1または第2の制約基準C2は、感知システムまたはセンサ180からの測定に基づいて動的に決定または調整することができる。コントローラは、例えばメモリに保存されているルックアップテーブルを使用して、感知された測定値の大きさまたは値を剛性の値に相関させることができる。この手法は、上記の閾値を使用して、または閾値に関係なく実装できる。
【0197】
いくつかの実施形態では、外科システム100はまた、マニピュレータ102の第1のモードM1から第2のモードM2への(または他のモード間)動作の変化を伝えるコントローラ124に結合されたモードインジケータ318(図2を参照、図25も参照)を含む。ここで、モードインジケータ318は、ユーザインターフェース142の一部を形成することができ(例えば、アラーム、スピーカー、インジケータライト、表示画面の一部、及び/または別のタイプの出力デバイス144として)、コントローラ124は、1つまたは複数のシステム条件SYCのうちの少なくとも1つが所定の条件PRを満たすと判定することに応答して、モードインジケータ318をアクティブにするように構成することができる。
【0198】
上記のように、図22Aは、作業面WS上で支持された目標部位TSと最初に係合して配置された植込み可能コンポーネント116に固定されたインパクターアセンブリ210から離間されたツール104(ここではガイド208)の器具112を支持するマニピュレータ102を示しており、ツール104のツール中心点TCPと目標部位TSの目標基準点TRPとが、互いに離間している。図22A図22Bと比較することは、x位置XP自由度DOF(例えば、ツール中心点TCPのx軸に沿った方向)におけるツール104の動きを示し、これにより、インパクターアセンブリ210のシャフト224は、ガイド208の開口部268を通過してチャネル262に入り、ツール中心点TCPを軌道Tに(また、目標基準点TRPのz軸上にも)もたらす。
【0199】
図22B図22Cと比較することは、z位置ZP自由度DOF(例えば、ツール中心点TCPのz軸に沿った方向)におけるツール104の動きを示し、それにより、インパクターアセンブリ210のフランジ216は、ガイド208のチャネル262内に配置され、第1の係合面218が第2の係合面270に隣接し、ツール中心点TCPがフランジ基準点FRPと一致して配置され、依然として軌道Tに沿って配置される。
【0200】
いくつかの実施形態では、コントローラ124は、第2のモードM2でマニピュレータ102を動作させて、第2の制約基準C2に従って、少なくとも1自由度DOFで目標部位TSに対してツール104の移動を可能にするように構成され得る。同様に、いくつかの実施形態では、コントローラ124は、第1のモードM1でマニピュレータ102を動作させて、第1の制約基準C1に従って、少なくとも1自由度DOFで目標部位TSに対してツール104の移動を可能にするように構成され得る。ここで、例えば、図22C図23と比較することは、z方向のZO自由度DOF(例えば、ツール中心点TCPのz軸の周りの方向)におけるツール104の動きを示しており、これにより、ガイド208は、図22Cに示される配置(図23にファントムの輪郭として示される)から、インパクターアセンブリ210及び目標部位TSに対して移動したが、しかし、ツール104のツール中心点TCPは、フランジ基準点FRPと一致して配置されたままであり、同様に軌道Tに沿って配置される。
【0201】
言い換えると、図22C~23を比較することによって示されるツール104の動きは、第1の制約基準C1が、5つのアクティブな自由度DOF(例えば、x位置XP、y位置YP、z位置ZP、x方向XO、及びy方向YO)を含み、1自由度DOF(例えば、Z方向ZO)での移動を許可し、第1のモードM1で動作している間の目標状態STを規定する。この構成は、例えば、ユーザが、軌道T(例えば、インパクターアセンブリ210のヘッド214への木槌の打撃の間隔)についてガイド208を、マニピュレータ102によって(例えば、ガイド208がユーザによって配置された場所がどこであってもそれに基づいて、目標状態STを再規定することによって)維持される異なる配置に対して、「回転」させるよう実施され得る。
【0202】
しかしながら、第1の制約基準C1は、第1のモードM1で動作している間に目標状態STを規定するためにいくつかの異なる方法で構成することができる。例えば、ユーザが軌道Tの周りでガイド208を「回転」させることに基づいて、マニピュレータ102が目標状態STを再規定するように、ユーザが第1のモードM1の軌道Tの周りのガイド208の向きを調整できるようにするよりもむしろ、代わりに、第1の制約基準C1を、6つの自由度DOFすべてで目標状態STを規定する一方で、他のものよりも1つまたは複数の自由度DOFでの弾力性のある動き(例えば、より少ない「硬い」動き)を可能にするように構成できる。説明的な例として、図22Cに示される配置は、代わりに、第1のモードM1における目標状態STを表すことができ、第1の制約基準C1は、z方向ZO自由度DOFに関連する第1の弾力性パラメータR1が比較的「弱い」値を有するように構成され、その値は、図23に示されるように、ユーザが軌道Tの周りでガイド208を「回転」させることを可能にするが、それにもかかわらず、ツール104を目標状態STに向かうよう促す。本例のこの場合、図23に示されているツール104の配置は、現在の状態SCを表し、目標状態STはファントムの輪郭として示されている(図22Cも参照)。
【0203】
ここで図24A~24Cを参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ124は、第1の制約基準C1及び第2の制約基準C2の両方とは異なる第3の制約基準C3に従って、目標部位TSに対するツール104の整合を維持するために第3のモードM3でマニピュレータ102を操作するようにさらに構成され得る。ここで、この実施形態では、コントローラ124は、1つまたは複数のシステム条件SYSの少なくとも1つが第1の所定の条件PR1を満たすと判定することに応答して、マニピュレータ102の動作を第1のモードM1から第2のモードM2に変更して、1つまたは複数のシステム条件SYSの少なくとも1つが第1の所定の条件PR1とは異なる第2の所定の条件PR2を満たすと判定したことに応答して、マニピュレータ102の動作を第2のモードM2から第3のモードM3に変更するように構成されている。ここで、この例示的な実施形態では、第1の制約基準C1は、ツール104の動きが目標部位TSに対して制限される第1の数N1の自由度DOFを含み、第2の制約基準C2は、ツール104の動きが目標部位TSに対して制限される第2の数N2の自由度DOFを含み、第3の制約基準C3は、ツール104の動きが目標部位TSに対して制限される第3の数N3の自由度DOFを含む。さらに、この説明的な実施形態では、第1の制約基準C1はまた、第1の弾力性パラメータR1を含み、第2の制約基準C2はまた、第2の弾力性パラメータR2を含み、第3の制約基準C3はまた、第3の弾力性パラメータR3を含む。
【0204】
したがって、図24A~24Cに関連して示される代表的な実施形態では、コントローラ124は、マニピュレータ102を操作して、第1のモードM1では、第1の数N1の自由度DOFに基づいて、また第1の弾力性パラメータR1に基づき、目標部位TSに対するツール104の整合を維持し、第2のモードM2では、第2の数N2の自由度DOFに基づいて、また第2の弾力性パラメータR2に基づき、目標部位TSに対するツール104の整合を維持し、第3のモードM3では、第3の数N3の自由度DOFに基づいて、また第3の弾力性パラメータR3に基づいて、目標部位TSに対するツール104の整合を維持するようにさらに構成されている。ここで、第3の数N3の自由度DOFは、第1の数N1の自由度DOF及び第2の数N2の自由度DOFのうちの1つまたは複数とは異なる。より具体的には、この実施形態で、第3の数N3の自由度DOFは、第1の数N1の自由度DOFよりも少なく、その結果、コントローラ124は、第3のモードM3において、第1のモードM1よりも少なくとも1つ多い自由度DOFで、目標部位TSに対するツール104の移動を可能にする。同様に、この実施形態で、第3の数の自由度DOFは、第2の数N2の自由度DOFよりも少なく、その結果、コントローラ124は、第3のモードM3において、第2のモードM2よりも少なくとも1つ多い自由度DOFで、目標部位TSに対するツール104の移動を可能にする。
【0205】
より具体的には、この代表的な実施形態では、第1の数N1の自由度DOFは、第2の数N2の自由度DOFに等しく、これらは両方とも、第3の数N3の自由度DOFとは異なる。しかし、他の構成が企図される。ここで、この実施形態では、第1の制約基準C1と第2の制約基準C2との差は、第1及び第2のモードM1、M2で「アクティブ」である第1及び第2の数N1、N2の自由度DOFではなく、以下でより詳細に説明するような、第1及び第2の弾力性パラメータR1、R2に基づく。
【0206】
図24A~24Cに関連して示されている実施形態などの、いくつかの実施形態において、第1の制約基準C1及び第2の制約基準C2は、それぞれ、少なくとも1つの位置自由度DOF(例えば、x位置XP、y位置YP、及び/またはz位置ZP)及び、少なくとも1つの方向自由度DOF(例えば、x方向XO、y方向YO、及び/またはz方向ZO)を含み、第1の制約基準C1、第2の制約基準C2、及び第3の制約基準C3の各々は、少なくとも1つの方向自由度(例えば、x方向XO、y方向YO、及び/またはz方向ZO)を含む。ここでも、第1の制約基準C1及び第2の制約基準C2はそれぞれ、第3の制約基準C3よりも少なくとも1つ多い位置自由度DOFを含む。しかし、他の構成が企図される。
【0207】
上記のように、図24A~24Cに示される代表的な実施形態では、第1の制約基準C1と第2の制約基準C2との差は、第1及び第2のモードM1、M2で「アクティブ」である第1及び第2の数N1、N2の自由度DOFではなく、第1及び第2の弾力性パラメータR1、R2に基づく。ここで、第3の弾力性パラメータR3は、第1の弾力性パラメータR1及び第2の弾力性パラメータR2のうちの1つまたは複数とは異なり、これらはまた、この実施形態では互いに異なる。より具体的には、以下でより詳細に説明するように、コントローラ124は、第1のモードM1よりも第2のモードM2において、目標部位TSに対してより弾力性のあるツール104の運動(例えば、より「硬くない」運動)を可能にして、第3のモードM3よりも第2のモードM2において、目標部位TSに対するツール104のより弾力性のある動き(例えば、より少ない「硬い」動き)を可能にする。ここでも、上記は非限定的な例であることが意図されており、外科システム100の他の構成が企図されている。
【0208】
図24Aでは、コントローラ124は、第1の制約基準C1に従ってマニピュレータ102を第1のモードM1で動作させており、この代表的な実施形態では、ツール104が、上記のように軸A1、A2の軌道Tと一致する整合が行われるように配置されて、図示のように目標状態STを規定する。この目的のために、第1の制約基準C1は、自由度DOFの第1の数N1及び第1の弾力性パラメータR1の両方を含む。この説明的な例の目的のために、第1の数N1は、6つの「アクティブな」自由度DOF、つまりx位置XP、y位置YP、z位置ZP、x方向XO、y方向YO、及びz方向ZOを含む。さらに、この説明的な例では、第1の弾力性パラメータR1は、例えば、ばねパラメータPSが6つのアクティブな自由度DOFのそれぞれでの動きに抵抗するために、比較的高く設定されているガイド制約GCの調整パラメータTPAによって規定される、比較的「硬い触覚」で、ツール104が目標状態STに維持されるように設定される。
【0209】
図24Aを引き続き参照すると、衝撃力FIが、インパクターアセンブリ210のヘッド214に不適切に加えられていることが示されている(例えば、軌道Tを横切る)。ここで、衝撃力FIの不適切な適用(例えば、比較的大きい、及び/または軌道Tとずれている)は、植込み可能コンポーネント116が、軌道Tとずれた方法で目標部位TSに部分的に着座する結果となる可能性があり、これは、例示の目的で、軸A1、A2と軌道Tとの間の誇張されたミスアライメントを伴う、図24Bに示されている。ここで、図24Bにおいて、センサ180は、目標状態ST(ここではファントムの輪郭で示されている)からの図示された現在の状態SCの偏差から生じる目標部位TSとマニピュレータ102との間の力FDを検出し、センサ180は感知システム206の一部として機能し、システム条件SYC(例えば、力FD)を検出する。このシナリオで、ツール104を目標状態STに戻すためにマニピュレータ102を動かし続ける(例えば、ツール中心点TCPを軌道Tに戻すことによって)のではなく、力FDが第1の所定の条件PR1を満たしたセンサ180によって検出されたのに応答して、コントローラ124は、第1のモードM1から第2のモードM2に変更し、それは、この実施形態では、センサ180によって検出される第1の力F1として規定される(例えば、1つまたは複数の自由度DOFにおける力及び/またはトルク)。したがって、図24Bは、第2の制約基準C2に従った第2のモードM2でのマニピュレータ102の動作を示している。
【0210】
図24Bでは、コントローラ124は、第2の制約基準C2に従って第2のモードM2でマニピュレータ102を動作させており、目標状態STは、図24Aに示される配置によって依然として規定されている(図24Bにファントムの輪郭として示される)。ここで、第2の制約基準C2は、第2の自由度DOFの数N2及び第2の弾力性パラメータR2を含む。この説明的な例の目的のために、第2の数N2は、6つの「アクティブな」自由度DOF、つまりx位置XP、y位置YP、z位置ZP、x方向XO、y方向YO、及びz方向ZOを含む。しかしながら、この説明的な例では、第2の弾力性パラメータR2は、ツール104が、例えばガイド制約GCの調整パラメータTPAによって規定される、比較的「緩い触覚」(例えば、第2の弾力性パラメータR2は、第1の弾力性パラメータR1よりも小さい)で目標状態STに向かって促されるように設定され、この場合ばねパラメータPSは比較的低く設定されており、6つのアクティブな自由度DOFのそれぞれで一定量の弾力性のある動きが可能である。この構成では、マニピュレータ102は依然として目標状態STに戻ろうとしているが(例えば、ツール中心点TCPを軌道Tに戻すことによって)、第2の制約基準C2によって提供される「緩い触覚」は、目標状態STからの特定の量の逸脱が発生することを許容し、それにより、植込み可能コンポーネント116がずれている間に目標部位TSに部分的に着座したときの「逸走」状態を防ぎ、目標部位TSを作業面WSで支持したままにする。
【0211】
図24Bを引き続き参照すると、さらなる衝撃力FIが、インパクターアセンブリ210のヘッド214に不適切に加えられていることが示されている(例えば、軌道Tを横切る)。ここで、衝撃力FIの不適切な適用(例えば、比較的大きい、及び/または軌道Tとずれている)は、依然として、植込み可能コンポーネント116が、軌道Tとさらにずれた方法でさらに目標部位TSに着座する結果となる可能性があり、これは、例示の目的で、軸A1、A2と軌道Tとの間の誇張された不整合を伴う、図24Cに示されている。ここで図24Cにおいて、センサ180は、同様に、目標状態ST(ここでは軌道Tの終点として示される)からの図示の現在の状態SCのさらなる偏差から生じる目標部位TSとマニピュレータ102との間の力FDを検出する。このシナリオのこの箇所でも、ツール104を目標状態STに戻すためにマニピュレータ102を動かし続ける(例えば、ツール中心点TCPを軌道Tに戻すことによって)のではなく、力FDが第2の所定の条件PR2を満たしたセンサ180によって検出されたのに応答して、コントローラ124は、第2のモードM2から第3のモードM3に変更し、それは、この実施形態では、センサ180によって検出される第2の力F2として規定され(例えば、1つまたは複数の自由度DOFにおける力及び/またはトルク)、第2の力F2は第1の力F1よりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の力F2は、そうでなければ部分的または完全に「脱着する」植込み可能コンポーネント116になり得る植込み型コンポーネント116との係合を介して1つまたは複数の方向で目標部位TSに作用する力及び/またはトルクの量よりも小さくてもよい。
【0212】
図24Cでは、コントローラ124は、第3の制約基準C3に従って第3のモードM3でマニピュレータ102を動作させており、目標状態STは、図24Aに示される配置で依然規定される(図24Cに、軌道Tの終点として示されている)。ここで、第3の制約基準C3は、第3の自由度DOFの数N3及び第3の弾力性パラメータR3を含む。この説明的な例の目的のために、第3の数N3は、3つの「アクティブな」自由度DOF、つまりx方向XO、y方向YO、及びz方向ZOを含む。言い換えると、第3の制約基準C3に従って、位置自由度DOFはアクティブにならない。ここでは、この説明的な例では、第3の弾力性パラメータR3は、例えば、ばねパラメータPSが3つのアクティブな自由度DOFのそれぞれでの動きに抵抗するために、比較的高く設定されているガイド制約GCの調整パラメータTPAによって規定される、比較的「硬い触覚」で、ツール104が目標状態STに向けて駆動されるように設定される。ここで、ツール104は、位置ではなく方向に基づいて、目標状態STに向かって促される。この構成では、マニピュレータ102は依然として目標状態STに戻ろうとしているが(例えば、ツール中心点TCPを目標部位TSに向けることによって)、アクティブな位置自由度DOFの欠如は、植込み可能コンポーネント116が、位置がずれている間に目標部位TSにさらに着座したときに「逸走」状態が発生することを防ぎ、目標部位TSが、同様に、作業面WS上で支持されたままである。ここで、外科医または別のユーザは、上記のように、1つまたは複数のユーザインターフェース142の一部を形成し得るモードインジケータ318を介して、第3のモードM3への変更について警告され得る。非限定的な例として、コントローラ124が第1のモードM1から第2のモードM2に切り替わるとき、「低レベル」アラート(例えば、スピーカーで再生される音、点滅するライトによって表示される警告、または画面に表示されるグラフィックなど)を生成して、ユーザに警告することができ、コントローラ124が第2のモードM2から第3のモードM2に(または第1のモードM1から第3のモードM3に)切り替わるとき、ユーザに警告するために異なるまたは「高レベル」アラートを生成することができる。アラートは、互いに区別するのに十分な様々な方法で規定でき(例えば、一方が視覚的でもう一方が聴覚的、またはそれらの組み合わせ)、上記のように、モードインジケータ318は、いくつかの異なるスタイル、タイプ、及び/または構成であり得る。
【0213】
図24A~24Cに関連して上記の代表的な実施形態は、3つの制約基準C1、C2、C3、3つのモードM1、M2、M3、及び2つの所定の条件PR1、PR2を使用するが、同様の機能は、いくつかの実施形態における2つのモード及び1つの所定の条件PRを提供することができる。非限定的な例として、センサ180を利用して、所定の条件PRが検出された力FD(例えば、1つまたは複数の自由度DOFにおける力及び/またはトルク)として規定されるシステム条件SYCを監視する場合で、コントローラ124が、第1のモードM1(例えば、第1の制約基準C1に従って6自由度DOFを維持するため)から第2のモードM2(例えば、第2の制約基準C2に応じて方向自由度DOFのみを維持するため)に切り替えるように構成されている場合に、コントローラ124は、第1のモードM1でマニピュレータ102を動作させて、センサ180によって検出された力FDが所定の条件PRに向かって増加するにつれて、弾力性を増加させながら、目標部位TSに対するツール104の動きに抵抗するように構成することができる。別の言い方をすれば、図24Bは、図24Aに示されているものとは異なるモードでの動作を示しているのではなく、代わりに、第1の制約基準C1が弾力性パラメータを含む同じモード(例えば、第1のモードM1)の一部を表すことができる。これは、例えば、検出された力FDが所定の条件PRを満たす(例えば、力FDが図24Cに関連して上記した第2の力F2を超える場合)まで、センサ180によって検出された力FDの関数として規定される。しかし、先行の例は説明的な例で非限定的なものであり、他の構成が企図される。
【0214】
モード(例えば、第1のモードM1及び第2のモードM2)間の変更を容易にするために感知システム206の一部としてセンサ180を利用する実施形態では、センサ180は、1つまたは複数の自由度DOFにおいて、マニピュレータ102と目標部位TSとの間に発生する力FD(例えば、力及び/またはトルク)を検出するように構成されている力トルクセンサ180としてさらに規定され得る。この目的のために、そして図1及び15に一般的に示されているように、センサ180は、ロボットアーム108に結合され得る(例えば、結合110の一部として)。しかしながら、センサ180は、マニピュレータ102と目標部位TSとの間に発生する力FDを検出するのに十分な任意の適切な方法で配置することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、いくつかの異なるタイプ、スタイル、または構成であり得る。非限定的な例として、センサ180は、カップリング110の一部として、ロボットアーム108の一部として(例えば、ジョイントの1つに配置されて)、及び/またはツール104の一部として(例えば、器具112及び/または移植可能コンポーネント116に配置される)実現され得る。同様に、センサ180は、マウント148及び/またはガイド208の本体260に配置することができる。さらに、本明細書に示される代表的な実施形態は、マニピュレータ102に結合された単一の複数の自由度のDOF力トルク変換器に向けられているが、センサ180はまた、複数の構成要素によって実現され得て、同じ場所または異なる場所に配置され(例えば、1つはガイド208に、もう1つはカップリング110に)、これらは、目標部位TSとロボットアーム108との間に発生する力FDの検出を容易にするために協働する。他の構成が企図される。
【0215】
いくつかの実施形態では、所定の条件PR(例えば、第1の力F1、第2の力F2、または他の値)を満たすセンサ180によって検出される力FDの量は、植込み可能コンポーネント116に適用されているトルク(または力)の量を表すか、またはそれに基づく。ここで、ツール104及び植込み可能コンポーネント116の既知の特性を使用して、センサ180での力/トルクを、植込み型コンポーネント116で加えられる力/トルクに関連付けることができる。センサ180から植込み可能コンポーネント116までの剛体ヤコビアンの計算は、FIMPLANT=JSENSOR_TO_IMPLANT-T*FSENSORに従って実行できる。センサ180によって検出された力FDは、いくつかの異なる方法で所定の条件PRを規定することができ、アプリケーション及び/または手順に固有であり得る。いくつかの実施形態では、植込み可能コンポーネント116のタイプ、スタイル、サイズ、または他のパラメータは、1つまたは複数の所定の条件PRを少なくとも部分的に規定することができる。ここで、例えば、比較的「大きい」植込み可能コンポーネント116は、比較的「小さい」植込み可能コンポーネント116と比較して、目標部位TSで脱着するようになる前にそれに加えられる異なる量のトルク(または力)を必要とし得る。センサ180に基づく所定の条件PRの特定のパラメータ(例えば、1つまたは複数の自由度DOFにおける力及び/またはトルクの大きさ)は、実験を実行することによる使用を含む他の方法で決定することができる。例えば、インパクションアセンブリ210の並進の制約を解放し始めるベースライン力を決定する際に、寛骨臼カップについてレバーアウトトルクが分析された。しっかりと固定されたカップ116が移動または脱着する可能性が高いおおよそのトルクを知ることにより、指定された限界または範囲で制約を解放することによってカップのレバーアウトを回避しながら、カップの配置の精度を最適化することができる。カップ116のレバーアウトの強度が約5から25Nmの範囲で、インパクションアセンブリ210で可能な力の限界は、様々なカップ固定シナリオに対応するために、20Nから100N(エンドエフェクタアタッチメントからカップ中心まで0.25mのレバーアームを想定)の範囲である可能性がある。一実装形態では、実験室評価ごとに所定の条件PRを満たすための力FDの量は、約64N(約16Nmのレバーアウトトルク)である。ただし、カップのタイプ、圧入、試験方法、及び材料に応じて、他の値または値の範囲が考慮されるか、可能である。他の例では、所定の条件PRを満たす力FDの量は、58~66N、50~70N、または40~80Nの間、またはこれらの範囲の間の任意の値である。
【0216】
いくつかの実施形態では、閾値制御314(及び/または剛性制御316)は、主観的考察、観察などに基づいて、術中にユーザによって手動で調整され得る(例えば、ユーザの好みに応じて特定の所定の条件PRは、より高くまたはより低く調整される)。いくつかの実施形態では、所定の条件PRは、患者固有のデータ(例えば、身長、体重、年齢、骨密度、肥満度指数BMIなど)に基づくことができ、そのデータは、ユーザインターフェース142の入力デバイス146を使用して入力することができる。いくつかの実施形態では、所定の条件PRは、「System and Method of Controlling a Robotic System for Manipulating Anatomy of a Patient During a Surgical Procedure」と題された米国特許出願公開第2015/0094736A1に記載されているものと同様の「ウィグルテスト」などによって、少なくとも部分的に術中に決定され得る。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかし、他の構成が企図される。
【0217】
他の実装形態では、第1の制約基準C1または第2の制約基準C2は、感知システムまたはセンサ180からの測定に基づいて動的に決定または調整することができる。コントローラは、例えばメモリに保存されているルックアップテーブルを使用して、検出された測定値の大きさまたは値を剛性値に関連付けることができる。この手法は、上記の閾値を使用して、または閾値に関係なく実装できる。
【0218】
上記のように、第1のモードと第2のモードM1、M2(及び/または他のモード)との間の切り替えにおいて外科システム100によって提供される機能は、センサ180以外の感知システム206の他の構成要素を使用して(及び/またはそれに加えて)実行され得る。非限定的な例として、また再度図24A~24Cを参照すると、ローカライザ158及び1つまたは複数のトラッカー160(例えば、第1の患者トラッカー160A及び第2のツールトラッカー160I)を利用して、所定の条件PRを満たす方法でのインパクターアセンブリ210との目標部位TSの同時移動など、システム条件SYCを監視することができる。ここで、1つまたは複数の所定の条件PRを満たす動きは、持続時間及び方向の様々な組み合わせに基づくことができ、例えば、インパクターアセンブリ210が第1の軸A1と軌道Tとの間に不整合を有する目標部位TSに「固定」されていることを示唆する動き、目標部位TSが作業面WSから持ち上げられているか、または意図しない方向に移動していることを示唆する動きなどに基づくことができる。ここで、感知システム206の構成要素の組み合わせは、モードM1、M2の間で変化をもたらすために所定の条件PRを満たすことが、同じまたは異なるタイプのシステム条件SYCに基づいて満たされる複数の所定の条件PRを必要とするように一緒に使用することができる。非限定的な例として、センサ180は、ユーザが衝撃力FIを適用しているときを検出するために使用でき、インパクションイベントを含む期間の所定の条件PRの規定方法を変更でき、例えば、インパクション時に第1の患者トラッカー160Aを介して目標部位TSの動きを別の方法で簡単に解釈して、目標部位TSが最初に衝撃力FIの適用に反応するときに、「逸走」状態の誤検出を防ぐようにする。他の構成が企図される。
【0219】
外科システム100は、衝撃力FI(または軸外力)を検出し、逸走状態制御アルゴリズムのためにそのような衝撃力FIを無視または軽視することができる。そうすることで、外科システム100は、イベントが予想される衝撃力FIであり、望ましくない「逸走」状態ではないことを識別することができる。次に、外科システム100は、第2のモードM2に従ってマニピュレータを制御する必要がないと判断することができる。一例では、逸走状態と衝撃力FIとを区別するために、システム100は、力トルクセンサ180からのX及びY成分の力信号を分析する。Z軸の力は機械設計で制約されていないため、Z成分の力は無視された。逸走状態を検出するために、一実装形態では、システム100は、組み合わされたX軸及びY軸の力の特定の期間(例として125ミリ秒)にわたって大きさの力を平均し、この平均の大きさの力が力の閾値より大きいかどうかを決定することができる。同じ期間の標準偏差を計算して、同じ期間が閾値を下回っているかどうかを判断できる。閾値が満たされる場合、システム100は、逸走状態が存在することを判断することができる。ある実験では、逸走状態でのX及びY方向の力の偏差の例は、+/-10~60Nの範囲であった。逸走状態が存在することを判定する他の方法があり得る。例えば、測定されたXとYの力は、時間の経過と共に閾値制限と個別に比較できる。逸走状態を検出するための閾値を決定する際には、他の要因を考慮することができる。
【0220】
他方、(逸走状態と比較して)衝撃力FIを検出するために、センサ180によって取得される力のX、Y、及びZ成分は、衝撃が発生する期間にわたって(例えば、30~60秒)感知システム100によって分析され得る。一例では、衝撃イベント中の力の大部分は、アセンブリの機械的性質のためにZ方向に発生する。ただし、X及びYの力は、ユーザがインパクターを叩く方法または精度に応じて発生する。この期間中、X、Y、Zの各成分は、それぞれの衝撃を示す個別の信号スパイクを生成する。感知システム100は、各インパクションを示す信号スパイクのそれぞれを分離することができる。一例では、各信号スパイクは、100~150ミリ秒の範囲内の持続時間の間続くように実験的に決定された。次に、感知システム100は、各インパクションイベントの持続時間を計算し、その計算された持続時間中の標準偏差を計算することができる。そこから、インパクションイベントを規定するための閾値が設定される。閾値が満たされると、システム100は、衝撃イベントが発生したと判断することができる。ある実験では、インパクションイベントに応じたX及びY方向の力の偏差の例は、+/-10~30Nの範囲であり、インパクションイベントに応じたZ方向の力の偏差の例は、+/-20~40Nの範囲であった。インパクションイベントが発生したことを判断する他の方法がある可能性がある。例えば、測定された力は、時間の経過と共に閾値と個別に比較できる。また、逸走状態を検出するための閾値は、カップのタイプ、カップのサイズ、患者データ、インパクターのパラメータ、予想される衝撃力などの要因によって変化する可能性がある。システム100は、逸走とインパクションイベントとの間でフィルタリングできることにより、逸走状態を打ち消すために必要な場合にのみ、制約基準をインテリジェントに変更することができる。
【0221】
さらに、モードM1、M2の間で変更する前に満たされるべき異なるタイプの所定の条件PRを組み合わせることはまた、図12~14Dに関連して上記の動力付き外科用デバイス150などの他のタイプのツール104を用いて実施できる。例えば、発電アセンブリ152の動作によって規定されるシステム条件SYCに関連する所定の条件PRは(例えば、モータ速度、負荷など)、ナビゲーションシステム128、センサ180などによって規定されるシステム条件SYCに関連する所定の条件PRと比較することができ、例えば、別の場合にはコントローラ124がモードM1、M2の間で変化するツール104と目標部位TSが同時に移動する場合でも、エネルギーアプリケータ114が依然回転している場合、モードM1、M2の間で変化するのを避けるようにする。ここでも、上記の例は、例示的かつ非限定的であることを意図しており、他の構成が企図されている。
【0222】
一例では、図26に示されるように、「逸走」状態は、エネルギーアプリケータ114としてバー154を有するツールなどのツール104が、目標部位TSに関連付けられた仮想境界174によって制約されながら、目標部位TSの骨と係合する状況に存在し得る。より具体的には、バー154が仮想境界174と目標部位TSの骨との間に閉じ込められ、配置され、または挟まれた場合、逸走状態が存在し得る。この状況の結果として、バー154は、仮想境界174の外側に部分的に押し出される可能性がある。仮想境界174は、ツール104の動きを制限するように構成されているので、システムは、反力RFをバー154に適用するようにマニピュレータを制御する。この反力RFにより、バー154が目標部位TSの骨に押し付けられ、目標部位TSの骨が移動する。目標部位TSは、トラッカー160Aを介してナビゲーションシステムによって追跡される。したがって、目標部位TSを押すと、関連する仮想境界174の対応する動きが引き起こされ、次に、反力RFが逸走状態まで持続する。上記のシステム、方法、及び手法の実装は、このシナリオを防ぐために完全に適用できる。この例では、第1の制約基準C1及び第2の制約基準C2は、逸走状態を防ぐために上記のいずれかのようにすることができる。追加的または代替的に、制約基準C1、C2は、反力RDの大きさまたは方向、反力RFに関連する剛性または減衰パラメータ、仮想境界174の形状、仮想境界174の柔軟性、ツール104及び/またはエネルギーアプリケータ114の方向に関連する剛性または減衰パラメータ、またはツール104及び/またはエネルギーアプリケータ114の有効な位置または方向の自由度に関連し得る。
【0223】
一実施態様では、本開示はまた、外科システム100を操作する方法を対象としており、外科システムは、植込み可能コンポーネント116を解放可能に固定するためのインターフェース212を有するインパクターアセンブリ210、インパクターアセンブリ210を受容するように形成されたチャネル262を有するガイド208、軌道Tに沿った目標部位TSに対してガイド208を支持するように構成されマニピュレータ102、センサ180、及びマニピュレータ102及びセンサ180に結合され、異なるステップを実行するように構成されたコントローラ124を含む。ステップは、第1の制約基準C1に従って軌道Tに関してガイド208の整合を維持するための第1のモードM1でマニピュレータ102を操作するステップ、第1の制約基準C1とは異なる第2の制約基準C2に従って、軌道Tに関してガイド208の整合を維持する第2のモードM2でマニピュレータ102を操作するステップ、センサ180を用いて、目標部位TSとマニピュレータ102との間に発生する力FDを検出するステップ、及びセンサ180によって検出された力FDが所定の条件PCを満たすことを判定し、それに応じてマニピュレータ102の動作を第1のモードM1から第2のモードM2に変更するステップを含む。
【0224】
このように、本開示の外科システム100の技術、方法、及び実施形態は、目標部位TSに対して異なるタイプのツール104をサポートするためにマニピュレータ102を使用して実行される様々なタイプの外科的処置に関連して重要な利点を提供する。コントローラ124、感知システム206、及びマニピュレータ102によって提供される機能は、外科医及び他のユーザが安全で、信頼性があり、予測可能な方法で外科的処置を実行できることを確実にするのに役立つ。具体的には、所定の条件PRを満たす異なるタイプのシステム条件SYCの検出に応答してモードM1、M2を切り替えられることは、そうでなければマニピュレータ102を介して患者Pを「持ち上げる」または「回転」させる「逸走」状態(及び他のタイプのツール104の望ましくない動き)を防ぐのに役立つ。
【0225】
当業者は、本明細書に記載及び図示された実施形態の態様を交換するか、さもなければ組み合わせることができることを理解する。
【0226】
さらに、「含む(include、includes、及びincluding)」という用語は、「備える(comprise、comprises、及びcomprising)」という用語と同じ意味を有することが理解されよう。さらに、本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」などの用語を使用して、明確性及び一貫性の非限定的で例示的な目的のために特定の構造的特徴及び構成要素を区別していることが理解されよう。
【0227】
前述の構成では、いくつかの実施形態について説明してきた。しかしながら、本明細書で論じられる構成は、網羅的であること、または本発明をいずれかの特定の形態に限定することを意図するものではない。使用されている用語は、限定ではなく説明の言葉の性質にあることを意図するものである。上記の教示に照らして多くの修正形態及び変形形態が可能であり、本発明は、具体的に記載されている以外のもので実施されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図21D
図22A
図22B
図22C
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26
【国際調査報告】