IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

特表2022-551591不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品
<>
  • 特表-不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品 図1
  • 特表-不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品 図2
  • 特表-不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品 図3
  • 特表-不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品 図4
  • 特表-不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品 図5
  • 特表-不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】不連続バインダー担持反射性層を含む再帰反射性物品
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/128 20060101AFI20221205BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20221205BHJP
【FI】
G02B5/128
B32B7/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520354
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 IB2020059115
(87)【国際公開番号】W WO2021064577
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/909,986
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】チェン-ホー,クイ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,グラハム エム.
(72)【発明者】
【氏名】ゴトリック,ケビン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ,ミカエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】メルトン,クリストファー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ナシュ,アーロン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ニワス,シュリ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,アンソニー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,カーラ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイティング,ティエン イー ティー.エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】シア,イン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,スコット ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2H042
4F100
【Fターム(参考)】
2H042EA07
2H042EA11
2H042EA12
2H042EA14
2H042EA22
4F100AB10B
4F100AK01D
4F100AK25A
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA13A
4F100DC21C
4F100DE01B
4F100GB72
4F100JL11C
4F100JN01B
4F100JN01D
4F100JN06B
4F100JN24B
(57)【要約】
バインダー層と、複数の再帰反射性素子とを含む再帰反射性物品。各再帰反射性素子は、バインダー層に部分的に埋め込まれた透明微小球と、破断したバインダー担持反射性シートの一部分によって提供される不連続バインダー担持反射性層とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー層と、
前記バインダー層の前側の長さ及び幅にわたって離間された複数の再帰反射性素子と、を含む再帰反射性物品であって、
前記再帰反射性素子の少なくともいくつかはそれぞれ、前記バインダー層に部分的に埋め込まれた透明微小球と、不連続バインダー担持反射性層とを含み、前記不連続バインダー担持反射性層が、前記透明微小球と前記バインダー層との間に位置付けられており、かつ、破断したバインダー担持反射性シートの一部分によって提供されている、
再帰反射性物品。
【請求項2】
前記再帰反射性素子の少なくともいくつかについて、前記バインダー層の少なくとも一部分は、前記不連続バインダー担持反射性層の空隙を通して、直接、又は少なくとも1つの介在層によって間接的に、前記透明微小球の一部分に接着されている、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項3】
前記再帰反射性物品の前記再帰反射性素子の少なくとも80%はそれぞれ、不連続バインダー担持反射性層を含み、前記不連続バインダー担持反射性層は、前記透明微小球と前記バインダー層との間に位置付けられており、かつ、破断したバインダー担持反射性シートの一部分によって提供されている、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項4】
最も近接している前記透明微小球間の横方向領域の少なくとも50%は、その中に存在する不連続反射性層を有する、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項5】
前記再帰反射性素子のうち少なくともいくつかは、前記透明微小球と前記不連続バインダー担持反射性層との間に少なくとも一部分が配設されたポリマー介在層を含む、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項6】
前記ポリマー介在層は、透明な有機ポリマー層である、請求項5に記載の再帰反射性物品。
【請求項7】
前記ポリマー介在層は、着色剤を含み、かつ/又は光学リターダ層である有機ポリマー層である、請求項5に記載の再帰反射性物品。
【請求項8】
各介在層は、少なくとも前記再帰反射性物品の再帰反射領域につき、少なくとも実質的にその長さ及び幅にわたって連続的に延びる介在階層の一部である、請求項4に記載の再帰反射性物品。
【請求項9】
前記不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかは、少なくとも1つの脆化層を含む多層スタックの形態である、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項10】
前記不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかは、選択的接合層を含む多層スタックの形態である、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項11】
前記不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかは、金属反射層を含む、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項12】
前記不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかは、高屈折率の副層と低屈折率の副層とを交互に備える誘電体反射層である反射層を含む、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項13】
前記再帰反射性素子のうち少なくともいくつかはそれぞれ、透明微小球を含み、前記透明微小球は、前記透明微小球の埋め込まれた部分の少なくとも一部に配設された透明微小球担持反射性層を有し、前記透明微小球担持反射性層は、前記透明微小球と前記不連続バインダー担持反射性層との間にある、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項14】
前記バインダー層は着色剤を含む、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項15】
前記物品は、ISO6330メソッド2Aに従って行われた25回の洗濯サイクルの後に、又はISO6330メソッド6Nに従って行われた10回の洗濯サイクルの後に、ある再帰反射係数(0.2度の観測角及び5度の入射角で測定されたR)を呈し、この再帰反射係数は、洗濯サイクルに曝露されていない場合の初期再帰反射係数の少なくとも10%である、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項16】
前記物品は、ANSI/ISEA107-2015の表5に示される32アングル試験における最小再帰反射係数の要件を満たす、請求項1に記載の再帰反射性物品。
【請求項17】
請求項1に記載の再帰反射性物品と、使い捨てキャリア層とを含む転写物品であって、前記透明微小球のうち少なくともいくつかが前記使い捨てキャリア層に接触した状態で、前記使い捨てキャリア層の上に前記再帰反射性物品が取り外し可能に配設されている、転写物品。
【請求項18】
請求項1に記載の再帰反射性物品を含む基材であって、前記再帰反射性物品の前記再帰反射性素子のうち少なくともいくつかが前記基材とは反対の方向に向いた状態で、前記再帰反射性物品の前記バインダー層が前記基材に結合されている、基材。
【請求項19】
事前作製されたバインダー層を透明微小球のセットにラミネートすることによる再帰反射性物品の製造方法であって、
事前作製された反射性シートを第1の表面に担持する事前作製されたバインダー層を透明微小球のセットに接触させて、前記反射性シートが破断して、前記バインダー層が変形して直接又は間接的に前記透明微小球に接着できるようにすることを含む、製造方法。
【請求項20】
前記透明微小球がキャリア層上に提供され、前記キャリア層内に前記透明微小球が取り外し可能に、部分的に埋め込まれており、前記透明微小球が前記バインダー層に固定された後に、前記キャリア層が前記バインダー層から、及び、前記透明微小球から取り外される、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記透明微小球を担持するキャリア層は、前記透明微小球の少なくとも突出部分に配設されたポリマー材料の層を含み、前記事前作製されたバインダー層を前記透明微小球に接触させることが、前記反射性シートを破断させて、前記事前作製されたバインダー層の少なくともいくつかの部分を前記ポリマー材料に接触及び接合させることを可能にする、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記ラミネーションは、第1のラミネーションツール及び第2のラミネーションツールを使用して行われる、請求項19に記載の製造方法。
【請求項23】
前記第1のラミネーションツール及び前記第2のラミネーションツールのうち少なくとも1つが、少なくとも70℃の温度に加熱される、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記第1のラミネーションツール及び前記第2のラミネーションツールは、共にプレスされて少なくとも200ポンド/リニアインチのニップ圧力を提供する第1のバッキングロール及び第2のバッキングロールの形態であるか、又は、共にプレスされて少なくとも30ポンド/平方インチの圧力を提供する第1の概して平坦なツール及び第2の概して平坦なツールの形態である、請求項22に記載の製造方法。
【請求項25】
前記事前作製された反射性シートが反射層を含む多層構造であり、前記ラミネーション工程が行われた後に、前記反射層と前記透明微小球との間に位置付けられるポリマー材料の層を更に含む、請求項19に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な用途のために再帰反射性材料が開発されてきた。このような材料は、着用者の視認性を高めるために衣類の高視認性トリム材料として使用されることが多い。例えば、このような材料は、消防士、レスキュー隊員、道路作業者などによって着用される衣類に追加されることが多い。
【発明の概要】
【0002】
要約すれば、本明細書にはバインダー層と複数の再帰反射性素子とを含む再帰反射性物品が開示される。各再帰反射性素子は、バインダー層に部分的に埋め込まれた透明微小球を含む。再帰反射性素子のうち少なくともいくつかは、破断したバインダー担持反射性シート(バインダーに担持された反射性シート)の一部によって提供されている、不連続バインダー担持反射性層(バインダーに担持された反射性層)を含む。これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、この広範な要約は、請求可能な主題を限定すると解釈されてはならず、これは、そのような主題が出願において最初に出願された特許請求の範囲に提示されているか、又は、出願経過中に修正されたか、又は他の方法で提示された請求項に提示されているかに関わらない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】破断したバインダー担持反射性シートの複数部分によって提供される不連続バインダー担持反射性層を含む例示的な再帰反射性物品の概略断面図である。
図2】再帰反射性物品を作製するための例示的な工程であって、バインダー担持反射性シートを破断して不連続バインダー担持反射性層を提供する工程の概略側面図である。
図3】破断したバインダー担持反射性シートの複数部分によって提供される不連続バインダー担持反射性層を含む、例示的な実施例の再帰反射性物品の、500倍の後方散乱走査電子顕微鏡写真である。
図4】透明微小球、バインダー層、及び例示的な不連続バインダー担持反射性層の一部の、単離された拡大概略側断面図である。
図5】不連続バインダー担持反射性層を含み、かつ、少なくとも1つの、透明微小球担持反射性層(透明微小球に担持された反射性層)を含む、別の例示的な再帰反射性物品の概略側断面図である。
図6】例示的な露出レンズ再帰反射性物品を備える例示的な転写物品の、転写物品が基材に結合されて示されている概略側断面図である。
【0004】
様々な図における類似の参照番号は、類似の要素を示す。いくつかの要素は、同一又は等価の複数で提示されることが可能であり、つまり1つのみ又はそれ以上の代表的要素が参照番号で示されているかもしれないが、かかる参照番号は、かかる同一要素の全てに適用されると理解されたい。本文書における写真以外の全ての図及び図面は、縮尺どおりではなく、本発明の様々な実施形態を例示する目的で選択されている。様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、単に例示的な観点から示されているにすぎず、様々な構成要素の寸法、相対的曲率などの間の関係が図面から推測されるべきではない。特に、反射性層の、ある一定の他のアイテムと比較した厚さは、説明を容易にするために誇張されている。
【0005】
本明細書で使用する場合、「前(front)」、「前方(forward)」などの用語は、再帰反射性物品が見られる側を指す。「後ろ(rear)」、「後方(rearward)」などの用語は、反対側、例えば、衣類に結合される側を指す。「横方向(lateral)」という用語は、物品の前後方向に垂直な任意の方向を指し、物品の長さに沿った方向と幅に沿った方向の両方を含む。例示的な物品の前後方向(f-r)及び例示的な横方向(l)が図1に示されている。再帰反射性物品を形成するために使用される特定のアイテム及び構成要素(例えば、バインダー層及び一時的キャリア層)についても、この前後方向という用語は、特定のアイテムに関するのではなく全体としての物品に関する。
【0006】
「上に(on)」、「上に(upon)」、「の上に(atop)」、「の間に(between)」、「背後に(behind)」、「に隣接して(adjacent)」、「接触して(contact)」、「近接して(proximate)」などの用語では、第1のエンティティ(entity)(例えば、層)が、第2のエンティティ(例えば、第2の層)と直接接触している必要はなく、つまり第1のエンティティは、その上に、背後に、隣接して、又は接触して配設される。むしろ、そのような技術用語は説明の便宜上使用されており、本明細書の説明から明らかになるように、追加のエンティティ(例えば、接合層などの層)又は、それらの間のエンティティの存在が斟酌される。
【0007】
本明細書で特性又は属性の修飾子として使用する場合、「概ね(generally)」という用語は、特に定めのない限り、当業者にとっては、性質又は属性を、高度の近似(例えば、定量化可能な特性の場合、+/-20%以内)を要することなく容易に認識可能であることを意味する。「実質的に(substantially)」という用語は、特に定めのない限り、高度の近似(例えば、定量化可能な特性の場合、+/-10%以内)を意味する。用語「本質的に(essentially)」は、非常に高度な近似(例えば、定量化可能な特性の場合、+/-2%以内)を意味するが、語句「少なくとも本質的に」は、「厳密な」一致という特定の場合を包含することを理解されたい。しかし、「厳密な」一致、又は例えば、同じ、等しい、同一、均一、一定などの用語を使用する任意の他の特徴付けであっても、絶対の正確さ又は完全な一致を必要とするというよりもむしろ、特定の状況に当てはまる通常の許容範囲又は測定誤差の範囲内であることを理解されたい。「構成される」などの用語は、少なくとも「適応される」という用語と同程度に制限的であり、明記された機能を遂行する単なる物理的な能力ではなく、その機能を遂行しようとする実際の設計意図を必要とする。数値パラメータ(寸法、比率など)に対する本明細書の全ての参照は、(特に断らない限り)パラメータの複数の測定値から導き出される平均値を用いて計算可能であると理解される。本明細書で言及する全ての平均は、特に指定されない限り、数平均である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、例示的な実施形態における再帰反射性物品1を示す。図1に示すように、物品1は、複数の再帰反射性素子20を含むバインダー層10を備え、再帰反射性素子は、バインダー層10の前側の長さ及び幅にわたって離間して存在する。各再帰反射性素子は、バインダー層10に部分的に埋め込まれた透明微小球21を備え、それにより、微小球21は部分的に露出し、また物品の前側(見える側)2を画定する。バインダー層10は、透明微小球21を支持して保持し、再帰反射性物品1に、加工及び取り扱いのため、並びに、(例えば、衣服に取り付けられたときに)所望の機能を果たすために、十分な機械的結着性を提供する。
【0009】
各透明微小球21は、バインダー層10の受容空洞11内に着座する埋め込み領域25と、物品1の主前面14から前方に突出した露出領域24とを有する。少なくともいくつかの実施形態では、物品1の微小球21の露出領域24は、最終物品の使用時には、例えば、なんらかの種類の透明なカバー層などで覆われるのではなく、周囲大気(例えば、空気)に曝露される。そのような物品は、露出レンズ再帰反射性物品と呼ばれる。
【0010】
各再帰反射性素子20は、再帰反射性素子の透明微小球21とバインダー層10との間に配設された反射性層30を備えることになる。微小球21及び反射性層30は、入射光のうち相当な量を集合的に、物品1の前側2に衝突する光の源に向けて戻す。すなわち、再帰反射性物品の前側2に当たった光は、微小球21に入って通り抜け、反射性層30で反射して微小球21に再入射し、それにより、光は光源に向かって戻るように導かれる。
【0011】
不連続バインダー担持反射性層
本明細書に開示される再帰反射性物品1は、少なくともいくつかの再帰反射性素子20を含み、図1の包括的な表現に示すように、再帰反射性素子20の反射性層30は不連続バインダー担持反射性層である。本明細書での定義では、「バインダー担持(binder-borne:バインダーに担持される)」反射性層30とは、事前作製された反射性シート30’を前側に担持する事前作製されたバインダー層10を提供し、事前作製されたバインダー層の反射性シートを担持する側を透明微小球のセットに接触させて、反射性シート30’が破断して、透明微小球が直接又は間接的にバインダー層に接合するようにすることによって得られる、反射性層である。この工程は図2に、理想化された包括的表現で示されている。
【0012】
そのような操作によって再帰反射性素子20のセットが得られ、各素子20は、透明微小球21と、破断したバインダー担持反射性シート30’の一部によって提供される不連続バインダー担持反射性層30とを含む。本明細書の考察を明確にするために、「層(layer)」という用語及び参照番号30は、個々の再帰反射性素子20の個々の不連続反射性層を示すために使用され、「シート」という用語及び参照番号30’は、反射性シート30’の破断によって個々の反射性層30が得られる元となった反射性シートを示すために使用される。
【0013】
本配置は、反射性層を担持する微小球のセット上に流動性バインダー前駆体を配設(例えば、コーティング)し、次いで硬化させてバインダー層を形成する、従来の手法とは異なる。図2から明らかなように、本手法では、バインダー層10を「事前作製」した後に、透明微小球に接触させる。このことは、バインダー材料が微小球に接触する前に、バインダー材料が、非流動性で、具体的には明確な安定した形状及び形態を示す層の形態で、既に少なくとも一定時間を過ごしていることを意味する。事前作製されたバインダー層10の前側には反射性シート30’が配設されており、これもまた事前作製されている(例えば、バインダー層の前側に事前に配設される)。反射性シート30’をその上に担持して事前作製されたバインダー層10を、透明微小球21のセットに接触させる(例えば、エンティティは、適切な熱及び/又は圧力の使用によって共にラミネートされる)。いくつかの好都合な実施形態では、そのようなラミネーション工程を行うために、図2に示すように、微小球21をキャリア層110上に提供することができる(例えば、部分的に、かつ取り外し可能に埋め込む)。キャリア層の上に突出した微小球の部分25は、キャリアに担持された微小球とバインダー層とが共にラミネートされる際に、微小球の埋め込み部分を形成する。
【0014】
そのようなラミネーション工程では、微小球の存在から生じる非一様な圧力によって、反射性シート30’は、例えば、図2に示した以前の平面形状から変形する。すなわち、反射性シート30’は、微小球の表面の周囲を部分的に「包み込む」ようにさせられ、それにより、反射性シート30’は破断して、例えば、図1の例示的な包括的表現に示すように、空隙34を形成する。図1から理解されるように、このように形成された反射性層30の集合は、例えば、その集合の元となった反射性シート30’の本質的に平面状の状態とは対照的に、きわめて3次元的な態様を示す。
【0015】
反射性シート30’を破断させ、微小球の埋め込み部分25の周囲を少なくとも部分的に包み込むことに加えて、このラミネーション工程は、バインダー層10を、微小球の埋め込み部分25の弓形形状(及び/又は、例えば以下で考察される介在層50などの層がその上に存在すれば、その層の形状)に少なくとも概ね一致するように、変形させる。このことにより、微小球の埋め込み部分25が中に存在する、バインダー層10内の空洞11が設けられる。バインダー層10は、少なくとも、バインダー担持反射性層30の空隙34を通して微小球(及び/又は、例えば介在層50などがその上に存在すれば、その層)に接合する。また、この工程により、バインダー及びバインダー担持反射性層が、図1に示すように、隣接する微小球間に横方向に以前に存在していた空間に入り込み、その空間を少なくとも概ね満たす。
【0016】
本明細書に開示される方法及び組成物の使用により、熱及び/又は圧力の印加を終えた際に、バインダー層10及び微小球21のセットは、互いに十分な接合を(直接、又は、例えば、接合層などの介在層50の使用により)維持している。次いで、最初に微小球21をその上に配設したキャリア110を剥離して除去してもよく、その結果、微小球21は、バインダー層10の前面の定位置に確実に残留し、再帰反射性物品1を提供する。
【0017】
図1は、本明細書に開示される物品の様々な特徴及び特性の説明及び考察を容易にするために提供される例示的な表現である。実際には、透明微小球21は正確に一様に離間していなくてもよく、介在層50は異なる位置で様々な厚さを呈してもよい。当然ながら、反射性シート30’が破断することにより、結果として得られる反射性層30の性質及び外観にかなりの非一様性がもたらされ得る。期待され得る特徴を例示するために、例示的な実施例の再帰反射性物品の後方散乱走査電子顕微鏡写真を図3に示す。図3は、液体窒素冷却した再帰反射性物品を割り、その試料を、図1とほぼ同じ視点から見た断面図が得られるように配向することによって得られた。図3には、透明微小球21、バインダー層10、不連続バインダー担持反射性層30、及び介在層50が見られる。(介在層50及び反射性層30のいくらかの部分は、試料を割った際に、はじけて外れた可能性があるが、この例示的な再帰反射性物品の構造は、見えている部分によって説明される。)
【0018】
図3により、本明細書で開示される工程が不連続なバインダー担持反射性層30をもたらすことが立証される。すなわち、ラミネーション工程中に元の反射性シート30’が破断した場所に、複数の空隙(そのうち無作為に選択された1つが図3に参照番号34で示されている)が存在する。また図3により、多くの場合、反射性層が、隣接する微小球間の横方向の場所に、例えば、一貫して存在することが明らかになる。本明細書では図に示さないが、光学顕微鏡法(visual microscopy)により、反射性層30が、隣接する微小球間の横方向の場所を含め、再帰反射性物品の長さ及び幅の全体にわたって存在する(ただし、不連続な様式で、多数の空隙を伴って)ことを更に確認した。
【0019】
事前作製された反射性シート30’がその上に配設されている事前作製されたバインダー層10は、不連続反射性層30を形成できるように反射性シート30’の十分な破断が発生するような様式で、透明微小球のセットとの接合(例えばラミネート)に成功することがわかった。この工程の終わりに微小球がバインダー層との接合を維持できることが、更にわかった。そのような様式で作製された再帰反射性物品が優れた再帰反射能を示せることが、更にわかった。特に、本明細書の実施例によって証明されるように、このような再帰反射性物品は複数回の洗濯の後であっても、この性能を維持できる(すなわち、物品が優れた洗濯耐久性を示せる)ことがわかった。
【0020】
これらは驚くべき結果であることが立証される。特に、事前作製された反射性シートを前面に担持する事前作製されたバインダー層が、優れた洗濯耐久性をもつ再帰反射能を提供するような様式で微小球のセットに形状一致させて接合できるという事実は、驚くべきことである。そのようなラミネーション工程では、バインダー層が微小球に適合し、微小球の間で横方向に空間を満たすために十分な程度に至るまで反射性シートが破断、粉砕、断裂などすることが必要である。そのような工程は、バインダー層と微小球との間(又は、バインダー層と微小球上に備わる介在層50との間)の接合のかなりの部分が(図1の包括的表現に例示的に示すように)反射性シート30’の破断によって生じる空隙34を通して侵入するバインダーの部分によって発生し、かつ、微小球及び/又は微小球上の介在層に接触して接合することができるだけの十分な程度にまで、反射性シートの破断を引き起こすことが前提となる。ラミネーション工程によって、洗濯耐久性を達成するのに十分な接合を可能にするような様式で反射性シートが破断され、同時に、破断した反射性シートの断片が優れた再帰反射を提供する能力を維持するという事実は、予想外である。
【0021】
上記の考察によって、定義により、「バインダー担持」反射性層30がバインダー層10の少なくとも概ね前側に位置付けられることが明らかになる(ただし、上記のとおり、破断工程により反射性層30内に形成された空隙34をバインダーの小さな部分が通過し、よって例えば反射性層30の部分と同一平面上になり得るという条件で)。言い換えれば、本明細書に開示される配置では、バインダー担持反射性層30は、バインダー層(及び得られた再帰反射性物品)の、透明微小球と同じ(前)側にくる。したがって、反射性層30の後面33は、バインダー層10の前面12(又は、例えば、接合層10の上に提供される結束層などのなんらかの層)に接触している。反射性層30の前面32は、微小球21及び/又は微小球の上に設けられた介在層50と接触していてもよい。
【0022】
したがって、本明細書に開示されるバインダー担持反射性層は、例えば米国特許第3228897号、同第4763985号、及び同第9671533号に開示されている様式のバインダー材料内に配設された(例えば、混合された)反射性粒子の集合効果によって実現される反射性の「層」とは、区別される。また少なくとも、バインダー層10の、透明微小球21と同じ側に反射性層30が位置していることによって、バインダー担持反射性層は、例えば米国特許第4226658号に開示されている様式の、透明微小球からバインダー層の反対側に配設された反射性層とは区別される。
【0023】
本明細書に開示されるバインダー担持反射性層30は不連続層であり、すなわち、図1に例示的な方法で示され、図3に見られるように、図2の反射性シート30’の複数の部分が、互いに完全に分離された少なくともいくつかの空隙34を含むことを意味する。いくつかの事例では、反射性材料の少なくともいくつかの「島」35(例えば、最小寸法で、0.2~0.3マイクロメートル程度から数マイクロメートルまでの寸法)が存在し得るような大きさ及び/又は数で、空隙が存在してもよい。ただし、これは必ずしもそうではない(また、例えば、反射性シート30’の脆性、バインダー層の(例えば、熱及び/又は圧力下の)変形性、及び/又は、ラミネーション工程が形成された特定の様式、例えば、どれだけのラミネーション圧力、若しくは、どれだけの高さのラミネーション温度を使用したかなどに依存し得る)。どのような所与の事例においても、破断の特定の程度に関わりなく、本明細書に開示される反射性層30は、少なくとも空隙を不連続となるように含むことによって、例えば米国特許第3700305号及び第3989775号に開示されている従来の蒸着被覆反射性層並びに、例えば米国特許第10,054,724号に開示されているいわゆる交互積層法(LBL)コーティングされた反射性層とは異なることが理解される。
【0024】
本明細書に開示されるバインダー担持反射性層30は、例えば国際特許出願公開第WO2019/084295号に開示されている、いわゆる「局所ラミネート」反射性層に表面的な類似性を示し得るが、当業者には、そのような層が互いに非常に異なり、区別可能であることが理解される。この文書WO’295によれば、局所ラミネート反射性層は、事前作製された反射性層の周囲領域から引き離され(切り離され)、透明微小球に転写された、事前作製された反射性層の局所領域である。局所領域を以前に取り囲んでいた反射性層の領域は、再帰反射性物品に残留するのではなく、除去される。したがって、局所ラミネート反射性層は、この局所領域が元の反射性シートの周囲の領域から切り離されることによって生じる少なくともいくつかの縁部を呈する。
【0025】
それとは対照的に、本明細書に開示されるバインダー担持反射性層30では、本質的に、事前作製された反射性シート30’の全体が再帰反射性物品内に残留する。言い換えれば、破断が起こる際には必ず、破断形成された間隙の両側の反射性層の縁部は、得られた再帰反射性物品内に残留する。したがって、本明細書に開示されるバインダー担持反射性層30は、破断/除去工程から生じる多数の縁部を有するのではなく、破断/残留工程から生じる縁部のみを有する。
【0026】
そのような違いは、例えば、局所ラミネート反射性層が多くの場合、透明微小球からめくれあがった縁部を呈し得る(例えば、文書WO’295の図12A及び図14Aに明示されるように)という事実からも、明らかになろう。それとは対照的に、本明細書の図3から明らかなように、バインダー担持反射性層30は比較的、そのような、めくれあがった縁部をほとんど呈さなくてもよい。理論又は機構によって限定されることを望むものではないが、バインダー層10が定位置に常に残留する(したがって、反射性層を微小球に向かってプレスする)ことによって、バインダー担持不連続反射性層の縁部は、局所ラミネート反射性層の様式でめくれあがる傾向を示すのではなく、下方に保持されたままになり得る。
【0027】
別の観察可能な違いは、例えば、本明細書に開示される再帰反射性物品が、図3の考察において上記で述べたように、微小球間の横方向領域の多く又は全てにおいて、少なくともいくつかの反射性材料を呈する(ただし、そのような材料は、例えば、破断、変形などされていることがある)ことであり得る。いくつかの実施形態では、最も近接している透明微小球間の横方向領域の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%は、それぞれ、その中に存在する不連続反射性層30を有することになる。それとは対照的に、局所ラミネート再帰反射性物品では、反射性材料は多くの場合、透明微小球の埋め込まれた領域に主として制限され得る。これは、局所ラミネーションでは、WO’295文書の図15から明らかなように、多くの場合、反射性材料の大部分が微小球の「埋め込まれた」部分に転写され、反射性材料の残りの部分(微小球間の横方向の領域)が典型的にはほとんど除去されるという事実によるものである。(WO’295には、そのような場所に時折、いわゆる「ブリッジ(橋渡し)」反射性層が存在し得ることが言及されている。しかし、これは、バインダー担持反射性層の特性である、微小球間で横方向に一貫して反射性材料が存在することとは容易に区別可能であると考えられる。)
【0028】
したがって、要約すると、本明細書の開示から、当業者は、本明細書に開示されるバインダー担持不連続反射性層と、例えば、WO’295文書に開示される局所ラミネート反射性層とを、容易に識別可能な多数の特徴又は特性によって区別することができる。
【0029】
例えば、同様の区別が、バインダー担持不連続反射性層と、例えば国際特許出願公開第WO2019/084302号に開示されている埋め込み局所反射性層との間にも見られ得る。反射性層前駆体(例えば、銀インク)を微小球又はその上の介在層に印刷することによって得られるものなどの、埋め込み局所反射性層は、透明微小球の埋め込まれた領域に主として制限される反射性材料を有する。それとは対照的に、バインダー担持不連続反射性層は、微小球間で横方向に、反射性材料の一貫した存在を有する。
【0030】
定義により、本明細書に開示されるバインダー担持反射性層は、バインダー層(又はバインダー層前駆体)を微小球と接触させる操作の前に、透明微小球(又は例えば、その上の介在層)上に配設(局所ラミネーション、蒸着被覆、印刷、又は、他のどのような方法によっても)される、どのような反射性層とも区別される。(本明細書では、そのような反射性層は、本明細書の更なる考察において「透明微小球担持反射層」と称される。)
【0031】
不連続バインダー担持反射性層の特許請求される特徴が純粋なプロダクトバイプロセス限定ではなく、本明細書に開示されるように事前作製されたバインダー担持反射性シートが破断されて不連続反射性層になる配置の特色である識別可能な多数の特徴、属性、又は特性によって他の反射性層(例えば、集合反射性粒子、蒸着被覆若しくはLBLコーティング反射性層、局所集積反射性層、又は印刷反射性層)とは識別され区別できることは、上記の考察によって明らかになる。
【0032】
上記のように、いくつかの実施形態では、再帰反射性素子20は、図1の包括的表現及び図3に見られるように、有機ポリマー材料(例えば、透明な有機ポリマー材料)の少なくとも1つの介在層50を含んでもよい。図2に示すように、いくつかの実施形態では、そのような介在層は、微小球21が一時的キャリア110の上にあるとき、その突出部分25の上、及びそれらの間に横方向に配設されてもよい。例えば、そのような層の前駆体は、キャリア及びその上に存在する微小球の上にコーティングされるか、別様に配設され、次いで、(例えば、冷却、架橋などによって)介在層に変換されてもよい。したがって、層50の前面52が、透明微小球21に、又は、微小球上に層が存在する場合はその層に接触し、それに接合されてもよい。本明細書で説明されるラミネーションを行うために、後面53が、反射性シート30’を担持する事前作製されたバインダー層10の前側と接触可能なように、外向きになっていてもよい。
【0033】
本明細書におけるいくつかの考察での説明を明確にするために、ある特定の再帰反射性素子に存在する介在エンティティの一部分を介在「層(layer)」と称し、介在エンティティの全体がキャリア層(及び得られた再帰反射性物品)の長さ及び幅にわたって存在する場合、介在「階層(stratum)」と称することがある。したがって、そのような用語によれば、個々の介在層は、より大きな介在階層の一部である(特定の透明微小球の後方にある部分)。そのような有機ポリマー材料の介在階層/層は、所望のどのような機能を果たしてもよい。いくつかの実施形態では、それは、物理的保護層及び/又は化学的保護層(例えば、改善された耐摩耗性、耐腐食性などを提供する)として機能してもよい。いくつかの実施形態では、そのような層は、バインダー層が接合できる接合層(例えば、結束層又は接着促進層)として機能してもよい。いくつかの実施形態では、そのような層にはまた、バインダー担持反射性層30が接合することが、少なくともある程度可能であってもよい。いくつかの実施形態では、介在層は2つ以上の目的を果たしてもよい。いくつかの実施形態では、介在層は透明であってもよい(具体的には、少なくとも本質的に、いかなる着色剤、顔料、染料、充填剤も含まなくてもよい)。有機ポリマー層(例えば、保護層)及びその潜在的に好適な組成物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,054,724号に詳細に記載されている。特定の実施形態では、このような層は、ポリウレタン材料で構成されてもよい。そのような目的に好適であり得る様々なポリウレタン材料は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,545,268号に記載されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、不連続バインダー担持反射性層30は、例えば、アルミニウム又は銀などの金属の、反射性材料の単一層の形態をとってもよい。ただし、いくつかの実施形態では、不連続バインダー担持反射性層30は、例えば、図4の例示的な実施形態に示され、本明細書で後述するように、例えば、脆化層302及び/又は選択的接合層303などの追加の層(例えば、透明層)と共に反射層301を含む多層構造であってもよい。したがって、本明細書で使用される用語によれば、「反射性層(reflective layer)」という用語は、少なくとも反射層301を含み、更に他の層(例えば、脆化層302及び/又は選択的接合層303)も含むことができるエンティティを示す。「反射層(reflecting layer)」という用語は、実際の光の反射を行う、反射性層30の特定の層301(例えば、金属層)を示す(いくつかの実施形態では、例えば、層301が以下に記載のように誘電体スタックである場合には、反射層301自体が副層を含み得ることに留意されたい)。
【0035】
いくつかの実施形態では、不連続バインダー担持反射性層30の反射層301は、例えば、単層又は多層の蒸着金属(例えば、アルミニウム又は銀)、又は金属合金などの金属層を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、反射層は、高屈折率の副層と低屈折率の副層のペアから構成される光学スタックを含む誘電体反射層の形態をとってもよく、これらのペアは光路に沿って直列に配置されて、組み合わせで反射特性を提供する。いくつかの実施形態では、屈折率の高い方の副層は、例えば、酸化ニオブ層(NbO)であってもよい。いくつかの実施形態では、屈折率の低い方の副層は、例えば、(メタ)アクリレート材料で作製された有機ポリマー副層、又は酸化ケイ素層などの無機副層(SiO)、又はシリコン酸化アルミニウム層(SiAlO)であってもよい。様々な実施形態において、高/低屈折率の副層のペアは1つ、2つ、3つ、又はそれ以上存在してもよい。誘電体反射層については、この目的で参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,545,268号に、更に詳細に記載されている。
【0037】
特定の実施形態において、誘電体反射層は、光学スタックの各副層(すなわち、高屈折率の各副層、及び低屈折率の各副層)自体が、複数の二重層からなるサブスタックにより構成される、いわゆる交互積層法(LBL)構造体であってもよい。各二重層は、ひいては第1の副層(例えば、正に帯電している副層)及び第2の副層(例えば、負に帯電している副層)により構成される。高屈折率のサブスタックの二重層の少なくとも1つの副層は、高屈折率を付与する成分を含むことになり、低屈折率のサブスタックの二重層の少なくとも1つの副層は、低屈折率を付与する成分を含むことになる。LBL構造体、そのような構造体の製造方法、及びそのような構造体を含む誘電体反射層を備える再帰反射性物品について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,054,724号に、詳細に記載されている。よって、いくつかの実施形態では、反射層は複数の副層を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第10,197,714号で論じられているように、金属反射層と誘電体反射層の両方が存在し得るハイブリッド構成が使用されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、不連続バインダー担持反射性層30は、反射層(例えば、金属層又は誘電体スタック)から本質的になっていてもよい。他の実施形態において、反射性層30は、上記のように、反射層301に加えて他の層を含む多層構造であってもよい。いくつかの実施形態では、不連続バインダー担持反射性層30は、少なくとも1つの脆化層302及び/又は少なくとも1つの選択的接合層303を含んでもよい。典型的には、そうした追加のいずれかの層が元の反射性シート30’に存在し、個々の反射性層30を形成するためのラミネーション工程中に他の層(例えば、反射層301)と共に破断される。
【0039】
図4に示すタイプの実施形態において、反射性層30は、反射層301の前方に位置する脆化層302と、脆化層302の前方にある選択的接合層303とを含んでもよい。そのような配置では、反射層301の後面が反射性層30の後面33(例えば、バインダー10の前面12と接触する)を提供してもよい。選択的接合層303の前面が反射性層30の前面32を提供してもよい。ただし、反射層301、脆化層302、及び/又は選択的接合層303の、どのような好適な順序も許容される。再帰反射光経路に存在する、そうしたいずれの層(例えば、図4の脆化層302及び選択的接合層303の両方の層)も、そこを通る光の通過に過度に干渉しないように構成される。例えば、そのような層は、全て透明であってもよい。いくつかの実施形態では、選択的接合層303及び/又は脆化層302は、誘電体スタックの副層としての役割を果たしてもよく、したがって、他の機能に加えて実現される、反射に寄与してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、酸化物層が脆性を提供してもよく、かつ、誘電体スタックの低屈折率の副層としての役割を果たしてもよい。いくつかの実施形態(例えば、誘電体スタックが複数の高屈折率/低屈折率の副層セットを含む実施形態)では、組み合わせで作用して所望の脆化を提供する、複数の脆化層が存在してもよい。
【0040】
脆化層302は、事前作製された反射性シートが本明細書に開示される様式で破断する能力を高めることのできる、好適な脆性特性を示すどのような層であってもよい。多くの酸化ケイ素(例えば、酸素を含む雰囲気中で、シリコン及びアルミニウム(SiAl)を含むターゲットからのスパッタコーティングによって作製される酸化ケイ素(SiAlO)など)は、そのような適用例に好適であり得る(脆化層は任意選択であって、様々な状況において含まれてもよいし、省略されてもよいことに留意されたい)。少なくともいくつかの状況において、脆化層の存在は、本明細書に開示される効果を達成するために、バインダー担持反射性シート30’が破断される能力を高められることがわかった。
【0041】
選択的接合層303は、一方の主面における剥離性と他方の反対主面における接合との所望の組み合わせを呈する、どのような材料を含んでもよい。多くの実施形態において、そのような材料は、参照によりその両方の全体が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/478,992号及び、その結果の国際特許出願公開第WO2018/178802号で論じられているような、様々な(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミド材料から選ばれてもよい。選択的接合層がモノマーのフラッシュ蒸留、蒸着に続いて架橋によって形成される場合、揮発性(メタ)アクリレート及び/若しくは(メタ)アクリルアミドモノマー又はオリゴマーが使用されてもよい。好適な材料は、蒸留装置内で蒸留されてから蒸着装置内で凝縮して液体又は固体のコーティングになるのに十分な蒸気圧を示す。好適である可能性のある材料及び処理方法の例が、‘992号仮出願に列挙されている。トリシクロデカンジメタノールジアクリレートは、好適な材料の具体的な例であり、例えば、凝縮有機コーティングに続いて、UV、電子ビーム、又はプラズマ開始フリーラジカル重合によって好都合に適用され得る。
【0042】
選択的接合層303の存在は、任意選択である。多くの事例において、選択的接合層が存在する理由は、主として、本明細書で後述されるように、事前作製された反射性層を事前作製されたバインダー層上に、ある種のラミネーション技術によって配設できるようにするために、そのような層が有用であることである。そのような層は、その層が、許容できないほどの影響を物品の属性に及ぼさない限り、最終的な再帰反射性物品中に残留することが容認される。反射性シート(及び得られた反射性層)が選択的接合層を含む場合、選択的接合層の選択的剥離表面は、いくつかの状況では、反射性層又は物品のなんらかの他の層に弱く接合した界面を提供し得る。そのような場合、本明細書に開示される配置では、反射性シートが破断され、破断によって引き起こされる空隙を通して、例えば介在層へのバインダー層の接合が生じることが可能であり、選択的接合層の存在下でも十分な接合を可能にするために有利である。
【0043】
いくつかの実施形態では、バインダー担持反射性層は、例えば、反射性層30の前方に位置付けられた光学リターダを含んでもよい。そのような光学リターダは、光の直交成分のうち1つを選択的に遅延させて、光の偏光を変化させる層(又は副層)である。いくつかの実施形態では、そのような光学リターダは、ある目的の波長λのために、λ/4の位相差を有する4分の1波長リターダとして構成されてもよい。光の所与の波長のための4分の1波長リターダは、その波長の光を円偏光から直線偏光に、又はその逆に変換する。光学リターダについては、参照によりその両方の全体が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/610180号及びPCT国際特許出願第WO2019/082162号で詳細に論じられている。
【0044】
不連続バインダー担持反射性層30は、どのような好適な厚さを示してもよい。反射性層30が複数の層を含む場合、そうしたいずれの層の厚さも、所望に応じて選択することができる。様々な実施形態において、反射性層30は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、4、又は8マイクロメートルから、最大40、20、10、7、5、4、3、2、又は1マイクロメートルまでの合計厚さを示してもよい。様々な実施形態において、反射性層30の反射層301は、例えば、10、20、40、又は80nmから、40、20、10、7、5、4、3、2、又は1マイクロメートルにわたって様々であってもよい。様々な実施形態において、脆化層302が存在する場合には、その厚さは、例えば、1、2、4、又は6nmから、100、80、60、40、30、又は20nmにわたって様々であってもよい。様々な実施形態において、選択的接合層303は、存在する場合には、例えば、20、40、又は60nmから、500、400、300、200、又は100nmにわたって様々であってもよい。
【0045】
多くの実施形態において、本明細書に開示される不連続バインダー担持反射性層30の特性は、層厚さの極めて高い一様性及び一貫性となる。これは、反射性層30の全てが同一の反射性シート30’から得られているためである。また、このような反射性シートは平面形式で事前作製されているため、反射性シート30’は、その長さ及び幅にわたって極めて一様な厚さを示すことが可能である。したがって、多くの場合で、様々な反射性層30の厚さの一様性及び一貫性は、不連続バインダー担持反射性層の別の特色となり、そのような反射性層を様々な他のタイプの反射性層と区別できるようにすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では(例えば、介在層50が存在しない場合)、いくつかの反射性層30の少なくともいくつかの部分(例えば、微小球間の横方向の領域)は、再帰反射性物品1の前面14に露出していてもよい。他の実施形態(例えば、図1のように、介在層50が存在する)では概して、実質的に、又は本質的に、全ての反射性層が埋め込み反射性層であってもよい。埋め込み反射性層とは、少なくともバインダー層10と、介在層50と、透明微小球21との組み合わせによって完全に包囲された(例えば、挟まれた)反射性層を意味する(いくつかの実施形態では、例えばカラー層などの他のいくつかの層も存在してよく、かつ反射性層の包囲に寄与してもよいことに留意されたい)。言い換えれば、埋め込み反射性層の全ての部分が、再帰反射性物品の前面14に露出せずに、(図1の例示的な実施形態に示すように)透明微小球21と、バインダー層10と、1つ以上の追加層との間に「埋め込まれる」。
【0047】
本明細書で前述したように、バインダー層10は、透明微小球21を支持して保持するように、かつ、機械的結着性を有する再帰反射性物品1を提供するように構成されている(例えば、物品1は、例えば、基材に取り付けられたり、衣料品などに縫合されたりしてもよい)。様々な実施形態において、バインダー層10は、1~2000マイクロメートルの平均厚さを示してもよい。更なる実施形態において、バインダー層10は、30~250マイクロメートルの平均厚さを示してもよい。いくつかの実施形態では、バインダー層10は、少なくとも概ね視覚的に透過性(例えば、透明)であってもよい。多くの好都合な実施形態において、バインダー層10は、1つ以上の着色剤を含んでもよい。特定の実施形態では、バインダーは、1つ以上の蛍光顔料を含んでもよい。好適な着色剤(例えば、顔料)は、例えば、本明細書において先に参照した、米国仮特許出願’444及び’844に列挙されているものから選択されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、当初に作製されたバインダー層(例えば、図2に示すように、透明微小球のセットとラミネートされる前のもの)は、同一平面上にある主前面12及び及び主後面13を含み得る。ところが、本明細書で開示されるラミネーション工程の後には、主前面12は、図1に示すように、微小球21の部分25がバインダー層10へ侵入できるように実質的に変形しており、部分25がバインダー層10の空洞11に存在している。
【0049】
バインダー層10は、バインダー層10の事前作製を可能とし、その上に反射性シート30’を配設すること(又はその逆)ができ、かつ、本明細書に開示される構造及び配置を実現するために、例えばラミネーション工程において反射性シートを担持するバインダー層を透明微小球のセットと共にラミネートできるように、十分に変形可能である、どのような好適な組成物であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、バインダー層10は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/785326号に開示される、一般的なタイプの組成物であってもよい。そのような組成物は、例えば、非炭素ヘテロ原子官能基を含む粘着付与剤などの1つ以上の好適な粘着付与剤と組み合わせたスチレンブロックコポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バインダー層10は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/785344号に開示される、一般的なタイプの組成物であってもよい。そのような組成物は、例えば、少なくとも1つの粘着付与剤と、天然ゴム及び合成ゴム(例えば、エラストマースチレンブロックコポリマー)のうち少なくとも1つから選択される少なくとも1つのエラストマーとを含んでもよい。
【0051】
バインダー層を形成するために、そのような組成物を、事前作製された反射性シート30’上に、例えばホットメルトコーティングによって配設してもよい(すなわち流動状態であるために十分に高い温度にある間に、シート30’上にコーティングしてもよい)。次いで、コーティングされた組成物を、例えば室温まで冷却してもよく、その条件下では、この組成物は比較的固体状(すなわち、非流動性)で安定した形態であることがあり、従来のフィルム取り扱い工程による取り扱いが可能である。次いで、得られた、反射性シートを担持するバインダー層を、例えば適切に上昇させた温度及び適切なラミネーション圧力で、透明微小球のセットと共にラミネートして、再帰反射性物品を形成してもよい。そのようなラミネーション温度は、典型的には、最初のホットメルトコーティング工程のために組成物を流動性にするのに使用された温度よりも低い。すなわち、組成物は、例えば、最初にホットメルトコーティングに使用される高温では流動性であり得るとしても、ラミネーションに使用される温度(及び圧力)では、典型的には流動性/コーティング可能にはならない。(ただし、本明細書に記載の結果を達成できるように、そうした条件下でも十分に変形可能である。)
【0052】
いくつかの実施形態では、バインダー層10は、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/522279号及び結果の国際特許出願公開第WO2018/236783号、並びに米国仮特許出願第62/527090号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/003158号に開示されている、一般的なタイプの組成物であってもよい。これらの文書には、「ビーズ接合層」(例えば、バインダー層)を形成するのに有用であり得る様々な硬化性(メタ)アクリレート配合物が記載されている。例えば、US’090文書には、1~14個の炭素原子を含有するアルコールから導出された1つ以上の(メタ)アクリレートエステルモノマーの重合単位と、ウレタンアクリレートポリマー又はアクリルコポリマーのうち少なくとも1つを含み得る組成物が記載されている。US’279文書には、1~14個の炭素原子を含有するアルコールから導出された1つ以上の(メタ)アクリレートエステルモノマーの重合単位と、ポリビニルアセタール樹脂とを含み得る組成物が記載されている。
【0053】
これらの文書で主に記載される配合物は、キャリアに担持された透明微小球上に配設されてから硬化されることによって取り扱われる。本配置では、同様の配合物を使用してもよいが、それらの取り扱いは非常に異なる。例えば、そのような配合物は、流動状態にある間に、事前作製された反射性シート30’上に(例えば、コーティングによって)配設されてもよい。次いで、この形態にある間に、配合物を適切な程度(その程度は、容易に理解できるように、例えば組成物中の三官能性架橋剤の量によって制御することができる)に硬化させて、反射性シートを担持するバインダー層を透明微小球のセットと共にラミネートできるようにする適切な物理的特性を有するバインダー層を提供してもよい。いくつかの実施形態では、最終的な所望の属性を達成するために、必要に応じて、ラミネーション工程後にバインダー層を後硬化させてもよい。
【0054】
反射性シートを担持するバインダー層の形態、特に完成した再帰反射性物品の形態で存在するバインダー層は、室温では流動性材料ではない。これは、バインダー層が10cps超の粘度を示すことを意味する(多くの場合、粘度は、どのような実用的な方法でも測定できないほど高くなる)。そのようなバインダー層を、例えば、適切なラミネーション圧力と併せて、本明細書で説明されるラミネーションを行える程度に変形可能になるまでバインダー層が軟化する条件(例えば、90℃)にまで、加熱してもよい。ところが、多くの実施形態において、このバインダー層は、そのような高温においてさえ、ラミネーションに使用される条件下で流動性材料であると見なすことのできないような高粘度を依然として呈し得る。(したがって、本明細書では、「変形可能」という用語は典型的には、ラミネーション工程において透明微小球の形状に適合することはできるが、使用されるラミネーション条件下では慣例的な意味ではコーティングすることができない層を示すために使用される)
【0055】
そのようなバインダー層はいずれも、それが形成された特定の組成及び/又は様式に関わらず、透明微小球を保持し、通常の使用に必要な結着性を有する再帰反射性物品を提供する。具体的には、このバインダー層によって、本明細書の他の箇所で考察されるように、再帰反射性物品が優れた洗濯耐久性を示せるようにすることができる。
【0056】
いくつかの特定の実施形態において、バインダー層10は、例えば、反射性材料(例えば、真珠層様又は真珠光沢の材料)の薄片などの、反射性粒子を含有してもよい。そのような反射性粒子は、例えば、透明微小球21に隣接するバインダー層10の少なくとも一部分が補助反射性層として機能できるように、バインダー層10の材料内に分散(混合)されてもよい。「補助的な」反射性層とは、不連続バインダー担持反射性層30によって提供される性能を超えて再帰反射性素子の性能を集合的に増強するために役立つ、バインダー層10内に分散された反射性粒子のセットを意味する。すなわち、そのような補助反射性層(明確に画定された後方境界を必ずしも有していなくてもよい)は、層内に存在する反射性粒子の集合効果に起因して、少なくともいくらかの追加の再帰反射を提供し得る。内部に分散された反射性粒子を含むバインダー層の詳細は、例えば、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる、米国特許仮特許出願第62/739529号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/084299号に記載されている。他の実施形態では、有意な量の再帰反射に寄与するそのような反射性粒子は、バインダー10内に存在しない。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される再帰反射性物品1の再帰反射性素子20のうち少なくともいくつかが、少なくとも1つのカラー層を含んでもよい。「カラー層」という用語は、少なくとも1つの波長範囲の電磁放射線の通過を優先的に可能にする一方で、少なくとも1つの他の波長範囲の放射線の少なくとも一部を吸収することによって、その波長範囲の電磁放射線の通過を優先的に最小化する層を意味するために使用される。いくつかの実施形態では、カラー層は、1つの波長範囲の可視光の通過を選択的に可能にする一方で、別の波長範囲の可視光の通過を低減又は最小化する。いくつかの実施形態では、カラー層は、少なくとも1つの波長範囲の可視光の通過を選択的に可能にする一方で、近赤外(700~1400nm)波長範囲の光の通過を低減又は最小化する。いくつかの実施形態では、カラー層は、近赤外放射線の通過を選択的に可能にする一方で、少なくとも1つの波長範囲の可視光の通過を低減又は最小化する。本明細書に定義されるカラー層は、カラー層内に配設された着色剤(例えば、染料又は顔料)を使用することによって、電磁放射線の波長選択的な吸収を行う。したがって、本明細書の考察に基づいて、当業者によって十分に理解されるように、カラー層は、反射性層(及び透明層)とは区別される。
【0058】
そうしたいずれかのカラー層を、再帰反射性素子20により再帰反射された光がカラー層を通過し、再帰反射された光がそのカラー層により付与された色を示すように、配置してもよい。カラー層は、例えば、カラー層の少なくとも一部分が透明微小球21の埋め込み領域25の後面と反射性層30の前面32との間に位置するように配設することができ、その結果、カラー層の少なくともこの部分は再帰反射性光路内にある。いくつかの実施形態では、上述の介在層(例えば、透明層)50が、カラー層に加えて存在してもよく、そのような層は、所望に応じて、どのような順序で(例えば、カラー層を介在層の前方にして、又は後方にして)提供されてもよい。いくつかの実施形態では、カラー層は、再帰反射光に色を付与することに加えて、いくつかの他の機能(例えば、接合層、接着促進層、又は結束層)を提供してもよい。
【0059】
再帰反射性物品内の再帰反射性光路のいくつかの中にカラー層(例えば、局所的な埋め込みカラー層)が存在することによって、物品1は、色付きの再帰反射光を示す少なくともいくつかの領域を含むことができ、その色は、これらの領域(又は物品の他のいずれかの領域)が周囲光(再帰反射されていない)内で示す色に関わらない。いくつかのそのような配置は、カラー層が、周囲光(非再帰反射)内での色の見え方を有利に向上させるために反射性層をマスキングすることを可能にし得る。いくつかのそのような配置では、再帰反射光が光の入射角/出射角に応じて異なる色を示せるようにできる。カラー層の詳細については、例えば、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/675020号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/084297号に、更に詳細に記載されている。
【0060】
いくつかの実施形態では、再帰反射性素子20は、本明細書に開示される不連続バインダー担持反射性層30が、(図1の例示的な設計のように)再帰反射性素子に存在する唯一の反射性層であるように構成されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、透明微小球担持反射性層である、少なくとも1つの追加の反射性層が存在してもよい。「透明微小球担持反射性層」という用語は、透明微小球がバインダー担持反射性層と接合されて再帰反射性物品を形成する前に透明微小球の一部に配設されている、反射性層を意味する。透明微小球担持反射性層40を含む再帰反射性素子を、図5の例示的な実施形態に示す。したがって、そのような再帰反射性素子は、(少なくとも)2つの反射性層、透明微小球担持層40、及びバインダー担持層30を含む。
【0061】
微小球担持反射性層40は、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/739489号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/084302号に詳細に記載されているように、所望のどのような幾何学的構成に配置されてもよい。特定の実施形態では、微小球担持反射性層40は、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/739506号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/084295号に詳細に記載されているように、局所ラミネートされた反射性層であってもよい。これらの文書ではまた、反射性層が透明微小球上に配設されて微小球担持反射性層を提供することができる様々な方法について考察されている。
【0062】
微小球担持反射性層とバインダー担持反射性層との両方を含む配置により、例えば、再帰反射能と、周囲光(非再帰反射)内での外観との独特の組み合わせを達成し得ることが理解される。1つの特定の例として、微小球担持反射性層40(例えば、銀又はアルミニウムの層)は、上記のUS’506文書に記載されている「極冠」構成で提供されてもよく、「正面」光に対して優れた再帰反射を提供し得る。バインダー担持反射性層30は、例えば、ある波長では優れた再帰反射を示し、他の波長では光を通過させる誘電体スタックの形態で存在してもよい。このバインダー担持反射性層は、それが占める微小球の弧が「極冠」反射性層が占める弧よりも大きい場合、「極冠」反射性層によって光が再帰反射されない「偏角」(正面から遠い角度)において、少なくともいくらかの追加の再帰反射を提供し得る。同時に、バインダー担持反射性層は、再帰反射性物品のバインダー層の色が周囲光内で見えるように、いくつかの波長において十分に透明であってもよい。したがって、そのような配置により、物品の本来の色(例えば、バインダー層中の着色剤によって付与される蛍光イエロー)が周囲光内で依然として見えるようにしながら、様々な再帰反射能試験のいずれにも合格できる、再帰反射性物品の生産が可能になる。
【0063】
これは、微小球担持反射性層及びバインダー担持反射性層の多数の可能な配列の一例に過ぎないことが理解される。上記のUS’506及びUS’489の文書の開示は、様々な効果のために、可能な多数の追加の構成及び配列を当業者に提供する。
【0064】
なお更に、いくつかの実施形態では、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/838569号及び同第62/838580号に詳細に説明されている、複数(例えば、2つ以上)の微小球担持反射性層(例えば、局所ラミネート層)が存在してもよい。複数の微小球担持反射性層がバインダー担持反射性層と組み合わせて使用される場合、なお更なる効果及び組み合わせが達成され得る。1つ以上の微小球担持反射性層が存在する実施形態において、微小球上に介在層を提供してから、その上に微小球担持反射性層を配設してもよい。あるいは、例えば、続いて適用されるバインダー層の接着を高めるために、微小球担持反射性層の後方に介在層を配設してもよい。
【0065】
上記の考察から、バインダー担持反射性層が、多数の配置及び組み合わせのいずれでも使用され得ることが理解される。例えば、いくつかの例では、バインダー担持反射性層は、再帰反射性素子の唯一の反射性層であってもよい。いくつかの実施形態では、バインダー担持反射性層は、多数の可能な構造、幾何学的属性などのうちいずれかをもつ、単一の微小球の反射性層と組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、バインダー担持反射性層は、多数の可能な構造、幾何学的属性などのうちいずれかから、それぞれが選ばれる、複数の直列の微小球担持反射性層と組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、バインダー担持反射性層は、バインダー層に分散された反射性粒子によって提供される補助反射性層と組み合わせて使用されてもよい。また、いくつかの実施形態では、バインダー担持反射性層は、例えば、カラー層、光学リターダ層などと組み合わせて使用されてもよい。上記の配置のあらゆる様々な組み合わせが想定され得る。
【0066】
図6に示す包括的なタイプのいくつかの実施形態では、本明細書に開示される再帰反射性物品1は、主前面111及び主後面112を含む取り外し可能な(使い捨て)キャリア層110と共に再帰反射性物品1を含む、転写物品100の一部として提供されてもよい。いくつかの好都合な実施形態において、再帰反射性物品1は、本明細書で後述するように、物品1を最終的に使用するために除去され得る、そのようなキャリア層110上に構築されてもよい。例えば、物品1の前側2は、図6の例示的な実施形態に示すように、キャリア層110の後面112に剥離可能に接触していてもよい。
【0067】
図6に示すように、再帰反射性物品1は(例えば、転写物品100の一部であるまま)、どのような所望の基材130に結合されていてもよい。これは、どのような好適な方法で行われてもよい。いくつかの実施形態では、これは、物品1の後ろ側3が基材130に面した状態で物品1を基材130に結合する、接合層120を使用することによって行ってもよい。そのような接合層120は、例えば、接合層120の1つの主表面124がバインダー層10の後面13に接合され、接合層120の他方の反対側の主表面125が基材130に接合された状態で、物品1のバインダー層10(又はバインダー層上に後ろ向きに配設された層がある場合は、その層)を基材130に接合することができる。このような接合層120は、例えば、(どのような好適な種類及び組成の)感圧接着剤又は加熱活性化接着剤(例えば、「アイロン貼付」接合層)であってもよい。様々な感圧接着剤について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,054,724号に詳細に記載されている。
【0068】
「基材」という用語は広義で使用されており、例えば再帰反射性物品1を結合するか、又は取り付けることが望ましい、どのようなアイテム、アイテムの一部分、又はアイテムの集合でも包含する。更に、基材に結合されるか、又は基材上に取り付けられる再帰反射性物品の概念は、例えば再帰反射性物品が基材の主表面に取り付けられる構成に限定されるものではない。むしろ、いくつかの実施形態では、再帰反射性物品は、再帰反射性物品の少なくともいくらかの部分が視認可能であるように、例えば、基材に縫い付けられた、織り込まれた、縫い込まれた、又は別様に基材内に、かつ/若しくは基材を通して挿入された、例えば、ストリップ、フィラメント、あるいは、縦横比の高いどのような好適な物品であってもよい。実際に、(例えば、糸の形態の)そのような再帰反射性物品を、他の、例えば非再帰反射性物品(例えば、非再帰反射糸)に組み付けて(例えば、織り込んで)、再帰反射性物品の少なくともいくらかの部分が視認可能である基材を形成してもよい。したがって、基材に結合された再帰反射性物品の概念には、物品が事実上、基材の一部になる場合が包含される。
【0069】
いくつかの実施形態では、基材130は、衣類の一部であってもよい。「衣類」という用語は広義で使用されており、一般に、着用、携帯、又はそれ以外の様式で、ユーザの身体上、又はその付近に存在することが意図される、あらゆるアイテム、又はその一部分を包含する。このような実施形態において、物品1を、例えば接合層120によって(あるいは、縫製、又は他のどのような好適な方法によっても)衣類に直接結合してもよい。他の実施形態では、基材130自体が、接合又は縫製によって物品1が結合され、また、物品に機械的結着性及び安定性を付加する支持層であってもよい。次いで、支持層を含むアセンブリ全体を、所望に応じて、どのような好適なアイテム(例えば、衣類)にでも結合することができる。多くの場合、キャリア110は、所望のエンティティに物品1を結合している間は定位置に残留し、次いで、結合の完了後に除去されることが好都合であり得る。厳密に言えば、キャリア110が物品1の前側の定位置に残留している間は、透明微小球21の領域24は、まだ空間に曝露されず、したがって再帰反射性素子20は、所望のレベルの再帰反射を呈さないことがある。それでも、物品1を再帰反射体として実際に使用するために除去されるキャリア110上に取り外し可能に配設された物品1は依然として、本明細書で特徴付けられる再帰反射性物品であると考えられる。
【0070】
製造方法
本明細書で前述したように、本手法では、事前作製された反射性シート30’を前側に担持する事前作製されたバインダー層10を、例えばラミネーション工程によって、透明微小球のセットに接触させて、不連続なバインダー担持(バインダーに担持された)反射性層30を含む再帰反射性物品を形成する。この工程では、バインダー層10が著しく変形し、反射性シート30’が著しく破断されて、本明細書で先に詳細に説明した構造及び配置を形成する。
【0071】
ラミネーション工程に投入される反射性シート30’は、どのような好適な形態を有してもよい。いくつかの実施形態では、事前作製された反射性シート30’は、連続した反射性シートであってもよい。反射性シート30’を説明するために使用する「連続した(continuous)」という用語は、「実質的に破断がない」ことと同義である。したがって、いくつかの実施形態では、反射性シート30’は、最初に作製されたときは連続した反射性シートであり得る。そのような反射性シートがこの状態で保存されていれば、それは、ラミネーション工程に投入される時点までは連続した反射性シートであり得る。連続した反射性シートであっても、いくつかの実施形態では、反射性を欠く領域を意図的に有するようにパターンを施されていてもよいことに留意されたい。
【0072】
多くの場合(特に、本明細書に開示される概括的な様式で、事前作製された反射性シートが事前作製されたバインダー層に事前ラミネーション工程によって転写されている場合)、反射性シート30’は、反射性シートを取り扱う際の応力によって発生すると思われる、少なくともいくつかの破断/亀裂を呈する場合があることがわかった。いくつかの事例では、そのような亀裂が多数存在することがある。ただし、典型的には、そのような取り扱いによってもたらされる亀裂では、亀裂の対向する縁部が大幅に分離することはないことがわかった。むしろ、縁部は互いに近接したままである(したがって、そのような破断は、「不完全」破断又は「ヘアライン」破断と称され得る)。反射性シートが破断を呈し、それが非常に多数であっても、破断の大多数が不完全破断である場合には、それは「途切れのない(contiguous)」反射性シートと称される。
【0073】
したがって、いくつかの実施形態では、事前作製されたバインダー層上に存在する、また、ラミネーション工程に投入される反射性シート30’は、例えば、連続した反射性シートではなく、途切れのない反射性シートであってもよい。ところが、いくつかの事例では、反射性シート30’(事前作製されたバインダー上に存在する)を「プレエンボス加工」することが有利であり得ることが更にわかった。プレエンボス加工とは、反射性シート30’が著しい数の破断を示すように、シート30’に著しい圧力、剪断などを付与して、そのように形成された亀裂の縁部が互いに著しく分離するようにする、いずれかの工程を意味する。そのようなプレエンボス加工工程を行うことは、いくつかの事例では、反射性シート30’がその後のラミネーション工程において更に破断する能力を高め、その結果得られる反射性層が透明微小球の形状に、より十分に適合することがわかった。
【0074】
したがって、いくつかの実施形態では、事前作製されたバインダー層上に存在し、ラミネーション工程に投入される反射性シート30’は、プレエンボス加工された反射性シートであってもよい。(したがって、プレエンボス加工工程を、本明細書に開示されるラミネーション工程における事前ステップであると見なしてもよい)。プレエンボス加工工程は、どのような好適な形態をとることもできる。例えば、反射性シートを担持するバインダー層が、著しい局所的剪断を付与するパターン付きニップロールのセットを通して供給されてもよい。あるいは、プレエンボス加工工程は、単純に、反射性シートを担持するバインダー層を、十分に小さい半径をもつロールの周りに通過させることを伴ってもよい。そうしたいずれの工程でも、所望の効果を達成し得る。ラミネーション工程に投入される反射性シート30’がプレエンボス加工されている場合であっても、そのシート(及びバインダー層)を透明微小球のセットにラミネートする工程の結果として、多くの場合、破断の数の観点と破断した縁部間の分離の観点との両方からみて、大量の追加の破断が得られることが強調される。
【0075】
いくつかの好都合な実施形態において、ラミネーション工程を行うために、図2に示すように、キャリア層110上に微小球21を備える(例えば、部分的に埋め込む)ことができ、キャリア層の上に突出する微小球部分25は、キャリアに担持された微小球とバインダー層とが共にラミネートされるときに微小球の埋め込み部分を形成する。
【0076】
したがって、本明細書に開示されるように、反射性層を担持するバインダー層10と微小球21のセット(例えば、キャリア層110上に担持されている)とを、一対のラミネーションツールによって達成される適切な熱及び/又は圧力を使用して共にラミネートすることができる。いくつかの実施形態では、これは、これらのエンティティの両方が平面構成にある状態で、エンティティを、例えば平圧式加工機に入れて、例えば、それらの一方又は両方をバインダー層10が十分に変形可能になるために適した温度に維持しながら共にプレスすることによって行われてもよい。ただし、いくつかの好都合な実施形態では、ラミネーションは、ニップロールを通してエンティティを供給することによって行われてもよい。したがって、いくつかのそのような工程では、ラミネーション工程の一部の間に、これらのエンティティの一方又は両方が一時的にわずかに弓形の構成になることがある。(したがって、図2はラミネーションの包括的な理想化された表現であり、ラミネーション中に一時的に生じる特定の屈曲を示そうとはしていないことが理解される。)
【0077】
そのようなニップロールは、例えば、バインダー層を支持する第1のバッキングロール及びキャリア層を支持する第2のバッキングロールの形態で、第1のバッキングロールの表面と第2のバッキングロールの表面の最も近いアプローチ点に設けられた適切な間隙を有する、第1のラミネーションツール及び第2のラミネーションツールを備えてもよい。各バッキングロールの表面は、どのような好適な硬度で選択されてもよく、例えば、表面は鋼又は他の金属であってもよく、又は、例えば、どのような好適な厚さ及びデュロメータのシリコーンゴムなどのコーティング若しくはスリーブを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、例えばバインダー層の長さ及び幅にわたって、よって、作成される再帰反射性物品の長さ及び幅にわたってラミネーションが一様に行われるように、一方又は両方のラミネーションツール(例えば、バッキングロール)の表面は平滑であってもよい。他の実施形態では、本明細書で説明される、透明微小球へのバインダー層の適合が、ある一定の領域でのみ生じるように、一方又は両方のツールにパターンが施されていてもよい(例えば、1組の台地状部分が複数の窪み領域によって分断されている)。
【0078】
ラミネーションツール(例えば、バッキングロール)が共にプレスされる力は、所望に応じて選択されてもよい。一方又は両方のツールは、例えば、いくつかの外部源によって加熱又は冷却されてバッキングロールの内部を循環する、熱伝達流体の使用によって温度制御されてもよい。いくつかの実施形態では、バインダー層及びキャリア層の一方又は両方は、(加熱バッキングロールの使用に加えて、又はその代わりに)バッキングロール以外のなんらかの手段によって加熱されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、バインダー層がニップに入る前に、例えば赤外線ランプの使用によってバインダー層が予熱されてもよい。
【0079】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるラミネーション工程は、少なくとも40、50、60、70、80、又は90℃に加熱されたラミネーションツールを使用して行われてもよい。更なる実施形態では、そのようなラミネーション工程で、180、160、140、120、100、又は80℃以下に加熱されたラミネーションツールを使用してもよい。様々な実施形態において、本明細書に開示されるラミネーション工程は、共にプレスされて少なくとも20、50、100、200、又は400ポンド/リニアインチのニップ圧力を提供するバッキングロールで行われてもよい。更なる実施形態では、そのようなラミネーション工程は、共にプレスされて最大1500、1000、700、500、300、250、又は150ポンド/リニアインチのニップ圧力を提供するバッキングロールで行われてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるラミネーション工程は、共にプレスされて少なくとも20、30、40、又は60ポンド/平方インチの圧力を提供する一組の平圧式加工機で行われてもよい。
【0080】
上記のように、いくつかの好都合な実施形態において、上記のラミネーションを行うために、透明微小球のセットをキャリア層110上に配設してもよい。そのような事例では、透明微小球21をキャリア層110に部分的に(かつ取り外し可能に)埋め込んで、実質的に単層の微小球を形成することができる。そのような目的で、いくつかの実施形態では、キャリア層110は、例えば加熱されることのできる熱軟化性ポリマー材料と、そこに部分的に埋め込む様式で堆積させた微小球とを含んでもよい。次いで、キャリア層を冷却して、更なる加工のために、微小球をその状態で剥離可能に保持することができる。微小球が埋め込まれているキャリアの少なくとも表面の組成は、上記のラミネーションが完了した後にキャリアを再帰反射性物品から剥離するときに、微小球をキャリアから確実に取り外せるように選択することができる。
【0081】
典型的には、微小球どうしは偶発的に横方向に接触していてもよいが、堆積している微小球は、互いに少なくともわずかに横方向に離間されている。キャリアに堆積した微小球のパターン(すなわち、集積密度又は相対的面積被覆率)は、最終物品におけるパターンを決定する。様々な実施形態において、微小球は、最終物品上に少なくとも30、40、50、60、又は70%の集積密度で(物品全体にわたって、又は物品の肉眼視できる微小球を含む領域内に)存在してもよい。更なる実施形態において、微小球は、最大80、75、65、55、又は45%の集積密度を呈してもよい(平面上の単分散球体の理論上の最大集積密度は、約90%の範囲内であることに留意されたい)。いくつかの実施形態では、微小球は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0293056号に記載されている方法によって、所定のパターンで提供されてもよい。
【0082】
様々な実施形態では、微小球21は、キャリア110内に部分的に、例えば、微小球の直径の約20~50%まで埋め込まれてもよい。微小球21の、キャリアに埋め込まれていない領域25は、ラミネーション工程中にバインダー層10に侵入する(そして、バインダー担持反射性シート30’を破断させる)ことができるように、キャリアから外向きに突出している。本明細書では、バインダー層の非存在下で微小球がキャリア層上に配設されているときには、これらの領域25(微小球の埋め込み領域25を最終物品に形成する)を微小球の突出領域と称する。慣習的な製造工程では、異なる微小球がキャリア110に埋め込まれる深さの程度にはいくらかの変動があってもよく、これは、例えば、ある特定の微小球に接触するバインダー担持反射性シート30’の領域がラミネーション工程で破断される程度に影響を与え得る。
【0083】
好適なキャリア層、キャリア層に透明微小球を一時的に埋め込む方法、及び再帰反射性物品を生産するためにそのような層を使用する方法の更なる詳細が、米国特許第10,054,724号に開示されている。
【0084】
いくつかの実施形態では、微小球21がキャリア110に部分的に埋め込まれた後、微小球の突出領域の上に介在層50が配設されてもよい。典型的には、そのような介在層はまた、図2に示すように、微小球間で横方向に存在するキャリア110の表面112の領域上に配設される。そのような介在層50は、複数の目的を果たしてもよい。第1に、それは、透明微小球21(又はその上の層)に十分に接合するように選択されてもよい。第2に、それは、バインダー層10がそれに十分に接合できるように選択されてもよい。(このように、いくつかの事例では、バインダー層は、微小球よりも介在層50に、より強力に接合してもよく、よって完成した再帰反射性物品の機械的結着性が高まる。)いくつかの事例では、例えば、反射性層の空隙を通したバインダー層と介在層との間の接合のみによって微小球を定位置に保持する必要がないように、介在層は、バインダー担持反射性層に接合するための少なくともなんらかの能力を示すように選択されてもよい。
【0085】
介在層はまた、それがバインダー層に対して呈する接合が、それがキャリア層110に対して呈する接合よりも大きくなるように選択されてもよい。これにより、キャリア層110が除去されて最終的な再帰反射性物品1が提供される際に、図1に示す概括的な様式で確実に介在層が物品に残留する。更に(特に、図1に示す概括的な様式で介在層が最終物品1に残留するように構成されている場合)、介在層は、保護機能を提供してもよい。例えば、介在層は、金属反射性層が腐食を呈する可能性を引き起こす、水が物品に浸透する能力を最小限に抑えてもよい。介在層の様々な組成物(例えば、ポリウレタン組成物及び同様の材料)が、そのような目的に好適であることがわかっている。
【0086】
上記のラミネーション工程では、事前作製された反射性シート30’を含む事前作製されたバインダー層10を提供する必要がある。一般に、そのようなエンティティは、2つの手法によって取得され得る。第1の手法は、バインダー層10を形成し、次いで、バインダー層上に反射性シート30’を形成するか、又は別様に配設することである。第2の手法は、反射性シート30’を形成し、次いで、反射性シート上にバインダー層10を形成するか、又は別様に配設することである。
【0087】
第1の手法に関しては、本明細書で既に言及した方法のいずれかによって(例えば、ホットメルトコーティングなどによって)バインダー層を形成してもよい。次いで、バインダー層を非流動性状態で維持してもよく、その状態では、様々な可能な工程のいずれかによって、その上に反射性シート30’を配設しやすい。いくつかの実施形態では、反射性シート30’は、バインダー層の主表面上に、例えば金属(アルミニウム又は銀など)又は金属合金を蒸着させることによって、バインダー層10上に配設されてもよい。いくつかの実施形態では、反射性シート30’は、例えば、LBLコーティングによって、又は、バインダー層の主表面上に銀インクなどを印刷することによる印刷によって、バインダー層10上に配設されてもよい。(そのような蒸着、コーティング又は印刷方法のいずれにおいても、その後に配設される反射性層の接着を高めるために、接合層の主表面上に結束層などが配設されてもよい)
【0088】
ただし、いくつかの特に好都合な実施形態では、反射性シート30’は、例えば、後からバインダー層上に、例えばラミネーションによって配設されるエンティティとして、事前作製されてもよい。(これは、反射性シート30’を担持するバインダー層を生成するために使用される事前ラミネーション工程であり、その後の、反射性シートを担持するバインダー層を透明微小球のセットにラミネートする前述の工程と混同してはならない)。そうした反射性シートはいずれも、バインダー層にラミネートされて、バインダー層に接着することのできる(かつ、反射性シートが最初にその上に形成されたどのような基材(例えば剥離ライナー)からも剥離できる)、どのような形態をとってもよい。したがって、例えば、反射性シートは、剥離ライナー上に蒸着、コーティング、又は印刷されたシートの形態で提供されてから、バインダー層に転写されてもよい。ラミネートされるアイテムはどちらも、(ロール形式での取り扱いが可能な場合があっても)典型的には局所的に平面状であるため、事前ラミネーション工程では、典型的には、反射性層を担持するバインダー層を透明微小球のセットにラミネートする前述の最終工程で発生する、バインダー層の著しい変形及び/又は反射性シートの大量の破断は引き起こされない。ただし、事前ラミネーション工程によって、本明細書で先に論じたような「途切れのない」反射性層として特徴付けられるような様式で、反射性シートに破断が呈されることはある。
【0089】
いくつかの好都合な実施形態において、事前作製されたバインダー層にラミネートされる反射性層は、多層スタック(脆化層、選択的接合/剥離層などのうち1つ以上を含む)の形態をとってもよい。エンティティへの反射性層のラミネーションを容易にする、この一般的なタイプの多層スタックの形成については、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/739506号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/084295号に詳細に記載されている。これらの刊行物は、本明細書で先に論じたように、反射性層の「局所的」ラミネーションの遂行という特定の問題に関する。ただし、そこに開示されている組成物、配置、及び方法を使用して、本明細書に開示される目的で反射性シート30’をバインダー層10にラミネートすることもできることは理解される。本明細書に開示される様々な配置は、例えば、様々な層(例えば、前述の図4を参照すれば、反射層301、脆化層302、及び/又は、選択的接合層303)が最終物品内で位置付けられ得る特定の順序に影響を及ぼす可能性があることが更に理解される。
【0090】
上述の第2の概括的な手法は、反射性シート30’を形成し、次いで、反射性シート上にバインダー層10を形成するか、又は別様に配設することである。したがって、そのような反射性シートは、バインダー層の非存在下で事前作製されるので、反射性シートが取り扱われ、その反射性シート上にバインダー層を配設できるようにする形態で作製されるべきである。単純な一実施形態では、反射性シートは、そこから金属を剥離することのできる剥離ライナーの主表面上に(例えば、蒸着被覆によって)配設された金属のシートであってもよい。次いで、バインダー層を反射性シートの反対側の主表面上に(例えばホットメルトコーティングによって)配設して、所望の、反射性層を担持するバインダー層を形成することができ、所望の時点で、そこから剥離ライナーを除去することができる。
【0091】
他の実施形態において、反射性シート30’は、上記の一般的な種類の多層スタックであってもよい。そのような反射性シート上に、前述したものと類似の様式で、バインダー層を配設することができる。いくつかの実施形態では(例えば、ホットメルトコーティング法を使用する場合)、バインダー材料は無溶剤であってもよく、事前作製された反射性シート上(又はその逆)に無溶剤法を使用して配設されてもよいことに留意されたい。無溶剤とは、バインダー材料を反射性シートと組み合わせて反射性層を担持するバインダー層を形成する工程に投入されるバインダー材料が、0.5重量%未満の揮発性溶剤(水を除く)を含むことを意味する。更なる実施形態において、そのようなバインダー材料は、0.2又は0.1重量%未満の揮発性溶剤を含んでもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、反射性シート30’は、上記のラミネーション工程において透明微小球(又は透明微小球上に存在する介在層)と実際に接触する層であってもよい。ただし、いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の層を、その追加の層(又は複数の追加の層の最も外側の層)が透明微小球(又はその上の介在層)と実際に接触する層となるように、反射性シート30’の上に配設してもよい。そのような追加の層は、例えば、カラー層、光学リターダ層、接着促進層、又は一般に、好適に選択された、どのような層であってもよく、例えば、コーティング印刷、蒸着などの、どのような好適な方法によって適用されてもよい。いくつかの実施形態では(ラミネーション前に追加の層が反射性シート30’の上に配設されるか否かに関わらず)反射性シート30’の外向き表面は、例えば、反射性シート30’の接着能力又は、被接着能力を高めるために、例えば、コロナ処理若しくはプラズマ処理、フラッシュランプ処理、火炎処理などの、どのような好適な様式で処理されてもよい。
【0093】
反射性シートを担持するバインダー層の形態、特に完成した再帰反射性物品の形態で存在するバインダー層は、室温で流動性材料ではない。これは、バインダー層が10cps超の粘度を示すことを意味する(多くの場合、粘度は、どのような実用的な方法でも測定できないほど高くなる)。そのようなバインダー層は、前述した透明微小球のセットへのラミネーションを適切なラミネーション圧力で行える程度にバインダー層を軟化させる条件(例えば、90℃)にまで、加熱することができる。いくつかの配置では、反射性シートをバインダー層上に配設する方法が事前ラミネーションである場合には、バインダー層を軟化させる必要もあり得る。ただし、そのような事前ラミネーションの条件は、微小球のセットへのラミネーションの場合ほど強い必要はないこともある。多くの実施形態では、微小球のセットへのラミネーションと同等の高温においてさえ、バインダー層は(本明細書に記載のとおりに透明微小球に適合するように十分に変形することができる一方で)、流動性材料と見なすことができないほどの高粘度(例えば、10cpsを超える)を依然として呈することがある。言い換えれば、そのような温度では、そのようなバインダー層は、多くのバインダー層が形成される従来の方法では、キャリアに担持された透明微小球のセット上にコーティングできないことがある。
【0094】
本明細書に開示されるバインダー層は、ラミネーションによって生成された再帰反射性物品の永続的構成要素である。したがって、そのようなバインダー層は、例えば時としてラミネーション工程を支援するための一時的な支持基材として使用され、ラミネートされた物品の永続的構成要素として残留しない共形基材(例えば、国際特許出願公開第WO2019/084295号に記載されている一般的な種類の共形基材)と同等と見なすことはできない。
【0095】
要約すると、本開示の方法は、事前作製された反射性シートを担持する事前作製されたバインダー層の使用に依存する。バインダー層の、反射性シートを担持する側を透明微小球のセットに接触させて、バインダー層と微小球を共にラミネートする。この工程を容易にするために、微小球は、例えば一時的キャリア層上に位置付けられてもよい。この工程により、事前作製された反射性シートが高度に破断される。上記の考察から(及び図3から)明らかになるように、この工程の結果、反射性シートは、最初に作製された、例えば本質的に平面状の構成から高度に変形する。すなわち、得られた反射性層30のセットは、全て同じ平面内にあるのではなく、それらは集合的に極めて3次元的な構造を示す。
【0096】
本明細書に開示されるラミネーション工程が行われた後、得られた物品は、どのような好適な形式で保存されてもよく、かつ/又は所望に応じて更に処理されてもよい。いくつかの好都合な実施形態では、一時的キャリア層(その元来の目的は、ラミネーションに好適な形式で微小球のセットを提示することであった)を、キャリア層が除去される時点まで、(例えば、物品を保護するために)定位置に留めておくことができる。厳密に言えば、キャリア層の厳密な性質によっては、キャリア層が除去されるまで、物品は再帰反射特性を呈さないことがある。ただし、本明細書の概念を定義する目的では、物品を再帰反射環境で実際に使用するために除去されるキャリア層を含む物品は、再帰反射性物品であると見なされる。そのような物品はいずれも、例えば、本明細書で先に詳細に論じた転写物品を提供するように更に処理されてもよい。
【0097】
本明細書における考察は主に、バインダー層10の前方に露出される(すなわち、突出する)微小球21の領域24が、使用中の最終的な再帰反射性物品において周囲大気(例えば、空気)に曝露される、再帰反射性物品に関する。他の実施形態では、微小球21の露出領域24は、物品1の永続的構成要素であるカバー層によって覆われてもよく、かつ/又はその中に存在してもよい。そのような物品は、カプセル化レンズ再帰反射性物品と称される。そのような場合、透明微小球は、カバー層の屈折率との組み合わせで適切に機能する屈折率をもつように選択されてもよい。様々な実施形態において、カプセル化レンズ再帰反射性物品では、微小球21は、少なくとも2.0、2.2、2.4、2.6、又は2.8の屈折率(例えば、微小球の材料の組成を通して得られる、かつ/又は、いずれかの種類の表面コーティングがその上に存在する場合はそれを通して得られる)を有してもよい。いくつかの実施形態では、カプセル化レンズ再帰反射体のカバー層は、副層を含んでもよい。そのような場合、微小球の屈折率及び副層の屈折率は、組み合わせて選択されてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、そのようなカバー層は、透明層であってもよい。他の実施形態では、カバー層の全体又は選択された領域は、所望に応じて着色されてもよい(例えば、1つ以上の着色剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、カバー層は、物品1の前側の少なくとも選択された領域に配設された(例えば、ラミネートされた)既存のフィルム又はシートの形態をとってもよい。他の実施形態において、カバー層は、物品1の前側の少なくとも選択された領域上にカバー層前駆体を印刷、コーティング、又は他の様式で堆積させ、次いで前駆体をカバー層に変換することによって取得されてもよい。
【0099】
本明細書で前述したように、いくつかの実施形態では、カラー層は、カラー層に配設された着色剤の使用により、可視光、赤外線、及び紫外線を含む範囲の少なくともどこかにある電磁放射線の、波長選択的な吸収を行い得る。「着色剤」という用語は、顔料及び染料を広く包含する。従来、顔料は、着色剤を含有する材料には一般的に不溶性の着色剤であると考えられ、染料は、着色剤を含有する材料には一般的に可溶性の着色剤であると考えられる。しかしながら、着色剤が、特定の材料に分散されたときに顔料として挙動するか、染料として挙動するかについて、常にはっきりとした明確な区分を示すわけではない。したがって、「着色剤」という用語は、特定の環境において、染料であると考えられるか、顔料であると考えられるかに関わらず、任意のこのような材料を包含する。好適な着色剤が、前述の米国仮特許出願第62/675020号に詳細に記載及び考察されている。
【0100】
本明細書に開示されるいずれかの物品に使用される透明微小球21は、どのような好適な種類のものであってもよい。「透明な」という用語は、一般に、選択された波長又は選択された波長範囲内の電磁放射線の、少なくとも50%を透過する物体(例えば、ガラス微小球)又は基材を指すために使用される。いくつかの実施形態では、透明微小球は、可視光スペクトル(例えば、約400nm~約700nm)内の光の少なくとも75%、いくつかの実施形態では少なくとも約80%、いくつかの実施形態では少なくとも約85%、いくつかの実施形態では少なくとも約90%、いくつかの実施形態では少なくとも約95%を透過してもよい。いくつかの実施形態では、透明微小球は、近赤外スペクトル(例えば、700nm~約1400nm)内の選択された波長(又は範囲)の放射線の少なくとも50%を透過してもよい。様々な実施形態において、透明微小球は、例えば無機ガラスで作製されてもよく、かつ/又は例えば1.7~2.0の屈折率を有してもよい。(前述のように、カプセル化レンズの配置では、透明微小球は、必要に応じてより高い屈折率を有するように選択されてもよい)。様々な実施形態において、透明微小球は、少なくとも20、30、40、50、60、70、又は80マイクロメートルの平均直径を有してもよい。更なる実施形態において、透明微小球は、最大200、180、160、140、120、100、80、又は60マイクロメートル平均粒径を有してもよい。微小球の大部分(例えば、個数の少なくとも90%)は、少なくとも、概ね、実質的に、又は本質的に、球形であってもよい。ただし、現実のどのような大規模工程で生産される微小球にも、形状にわずかな逸脱又は不規則性が見られる少数の微小球が含まれ得ることが理解される。したがって、「微小球」という用語を使用する際、これらのアイテムの形状が、必ずしも、例えば完全に、又は正確に球形であることは求められない。
【0101】
様々な実施形態において、再帰反射性物品1において微小球21は、平均して、微小球の直径の15、20、又は30%から、微小球の直径の約80、70、60、又は50%までがバインダー層10に埋め込まれるように、バインダー層に部分的に埋め込まれていてもよい。多くの実施形態では、微小球は、平均して、微小球の直径の50%から80%までがバインダー層に埋め込まれるように、バインダー層に部分的に埋め込まれていてもよい。
【0102】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第10,054,724号及び米国特許出願公開第2017/0293056号に、例えば再帰反射係数(R)によって再帰反射性を特徴付ける方法が論じられている。様々な実施形態において、本明細書に開示される物品の少なくとも選択された領域は、これらの公報に概説されている手順に従って(0.2度の観測角及び5度の入射角で)測定される、少なくとも50、100、200、250、350、又は450カンデラ/ルクス/平方メートルの再帰反射係数を呈し得る。いくつかの実施形態では、Rは、「正面からの」入射角(例えば、5度)で測定されたときに最も高くなってもよい。他の実施形態において、Rは、「斜めの」入射角(例えば、50度、更には88.76度)で測定されたときに最も高くなってもよい。
【0103】
様々な実施形態において、本明細書に開示される再帰反射性物品は、ANSI/ISEA107-2015及び/又はISO20471:2013に準拠する、再帰反射性材料の測光性能要件及び物理性能要件を満たし得る。多くの実施形態において、本明細書に開示される再帰反射性物品は、ANSI/ISEA107-2015の表5(すなわち、いわゆる「32アングル」試験)に示される最小再帰反射係数の要件に準拠する。多くの実施形態において、本明細書に開示される再帰反射性物品は、満足な、又は優れた洗濯耐久性を呈し得る。いくつかの実施形態では、このような洗濯耐久性は、米国特許第10,054,724号に概説されているように、ISO6330メソッド2Aに従って行われた多数回の(例えば25回の)洗濯サイクル後に、高いR保持率(洗濯後のRと洗濯前のRとの比)として明示され得る。いくつかの実施形態では、そのような洗濯耐久性は、例えば、ISO6330メソッド6Nに従って行われた10回の洗濯サイクル後に、高いR保持率として明示され得る。
【0104】
様々な実施形態において、本明細書に開示される再帰反射性物品は、前述の洗濯メソッドが行われた後に、少なくとも10%、30%、50%、又は75%のR保持率を呈し得る。様々な実施形態において、本明細書に開示される再帰反射性物品は、上記のように測定された、少なくとも100又は330カンデラ/ルクス/平方メートルの初期R(なんらかの洗濯を行う前)と組み合わせて、これらの再帰反射性保持特性のいずれかを示し得る。
【0105】
本明細書に開示される再帰反射性物品は、どのような所望の目的に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される配置は、周囲光の中に可視色及び/又は観察可能なパターンを提供する、再帰反射性物品を提供してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される配置は、再帰反射光の中に可視色及び/又は観察可能なパターンを提供する、再帰反射体を提供してもよい。いくつかの実施形態では、そのような機能の両方が存在してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される再帰反射性物品は、例えば、マシンビジョン、リモートセンシング、監視などを実行するシステム内で、又はそうしたシステムと共に使用するように構成されてもよい。このようなマシンビジョンシステムは、例えば、システムを動作されるために必要な任意の他のハードウェア及びソフトウェアと共に、例えば、1つ以上の可視及び/又は近赤外(IR)画像取得システム(例えば、カメラ)及び/又は放射線源若しくは照明源に依拠し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される再帰反射性物品は(基材上に取り付けられている場合でも、取り付けられていない場合でも)、どのような所望の種類及び構成のマシンビジョンシステムの構成要素であってもよく、あるいはそれらと協調して機能してもよい。このような再帰反射性物品は、例えば、周囲光の条件に関わらず、(例えば、最大数メートル又は、数100メートルの距離で、可視波長カメラ又は近赤外線カメラによって)光学的に識別されるように構成されてもよい。したがって、様々な実施形態では、このような再帰反射性物品は、任意の好適な画像、コード、パターンなどを集合的に呈するように構成された再帰反射性素子を含んでもよく、それによって、物品が担持する情報をマシンビジョンシステムが取り込むことが可能になる。例示的なマシンビジョンシステム、そのようなシステムで使用するように再帰反射性物品を構成することができる方法、及び、特にそのようなシステムの好適性に関して再帰反射性物品を特徴付けることができる方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第62/536654号に開示されている。
【0107】
本明細書に開示される反射性層を含む再帰反射性素子は、どのような好適な設計の、どのような好適な適用例のための、どのような再帰反射性物品にでも、使用できることが理解される。特に、透明微小球を(1つ以上のカラー層、反射性層などと共に)備える再帰反射性素子の存在が必要であることは、物品内のどこでも、透明微小球を備えない他の再帰反射性素子(例えば、いわゆるキューブコーナー再帰反射体)の存在を除外しないことに留意されたい。
【0108】
本明細書の考察は主として本明細書に記載された再帰反射性物品の衣類などのアイテムとの使用に関するものであったが、これらの再帰反射性物品は、どのような適用例においても、どのような好適なアイテム又はエンティティにでも取り付けられて、又はその上若しくは近くに存在して、使用法を見出し得ることが理解される。したがって、例えば、本明細書に開示される再帰反射性物品は、路面マーキングテープ、道路標識、車両マーキング又は識別子(例えば、ナンバープレート)、あるいは一般にどのような種類の反射性シートにでも、用途を見出すことができる。様々な実施形態では、このような物品及びそのような物品を備えるシートは、情報(例えば、印)を提示してもよく、審美的外観を提供してもよく、あるいはそのような両方の目的を組み合わせて達成してもよい。
【0109】
例示的な実施形態及び組み合わせ
第1の例示的な実施形態は、バインダー層と、バインダー層の前側の長さ及び幅にわたって離間された複数の再帰反射性素子と、を含む再帰反射性物品であって、再帰反射性素子の少なくともいくつかはそれぞれ、バインダー層に部分的に埋め込まれた透明微小球と、不連続バインダー担持反射性層とを含み、不連続バインダー担持反射性層は、透明微小球とバインダー層との間に位置付けられており、かつ、破断したバインダー担持反射性シートの一部分によって提供されている。
【0110】
第2の実施形態は、再帰反射性素子の少なくともいくつかについて、バインダー層の少なくとも一部分が、不連続バインダー担持反射性層の空隙を通して、直接、又は少なくとも1つの介在層によって間接的に、透明微小球の一部分に接着されている、実施形態1の再帰反射性物品である。
【0111】
実施形態3は、再帰反射性物品の再帰反射性素子の少なくとも80%がそれぞれ、不連続バインダー担持反射性層を含み、不連続バインダー担持反射性層が、透明微小球とバインダー層との間に位置付けられており、かつ、破断したバインダー担持反射性シートの一部分によって提供される、実施形態1~2のいずれかの再帰反射性物品である。
【0112】
実施形態4は、最も近接している透明微小球間の横方向領域の少なくとも50%が、その中に存在する不連続反射性層を有する、実施形態1~3のいずれかの再帰反射性物品である。
【0113】
実施形態5は、再帰反射性素子のうち少なくともいくつかが、透明微小球と不連続バインダー担持反射性層との間に少なくとも一部分が配設されたポリマー介在層を含む、実施形態1~4のいずれかの再帰反射性物品である。
【0114】
実施形態6は、ポリマー介在層が、透明な有機ポリマー層である、実施形態5の再帰反射性物品である。
【0115】
実施形態7は、ポリマー介在層が、着色剤を含み、かつ/又は光学リターダ層である有機ポリマー層である、実施形態5の再帰反射性物品である。
【0116】
実施形態8は、各介在層が、少なくとも再帰反射性物品の再帰反射領域につき、少なくとも実質的にその長さ及び幅にわたって連続的に延びる介在階層(stratum)の一部である、実施形態4~7のいずれかの再帰反射性物品である。
【0117】
実施形態9は、不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかが、少なくとも1つの脆化層を含む多層スタックの形態である、実施形態1~8のいずれかの再帰反射性物品である。
【0118】
実施形態10は、不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかが、選択的接合層を含む多層スタックの形態である、実施形態1~9のいずれかの再帰反射性物品である。
【0119】
実施形態11は、不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかが、金属反射層を含む、実施形態1~10のいずれかの再帰反射性物品である。
【0120】
実施形態12は、不連続バインダー担持反射性層のうち少なくともいくつかが、高屈折率の副層と低屈折率の副層とを交互に備える誘電体反射層である反射層を含む、実施形態1~11のいずれかの再帰反射性物品である。
【0121】
実施形態13は、再帰反射性素子のうち少なくともいくつかがそれぞれ、透明微小球を含み、透明微小球は、透明微小球の埋め込まれた部分の少なくとも一部に配設された透明微小球担持(透明微小球に担持された)反射性層を有し、透明微小球担持反射性層は、透明微小球と不連続バインダー担持反射性層との間にある、実施形態1~12のいずれかの再帰反射性物品である。
【0122】
実施形態14は、バインダー層が着色剤を含む、実施形態1~13のいずれかの再帰反射性物品である。
【0123】
実施形態15は、物品が、ISO6330メソッド2Aに従って行われた25回の洗濯サイクルの後に、又はISO6330メソッド6Nに従って行われた10回の洗濯サイクルの後に、ある再帰反射係数(0.2度の観測角及び5度の入射角で測定されたR)を呈し、この再帰反射係数は、洗濯サイクルに曝露されていない場合の初期再帰反射係数の少なくとも10%である、実施形態1~14のいずれかの再帰反射性物品である。
【0124】
実施形態16は、物品が、ANSI/ISEA107-2015の表5に示される32アングル試験における最小再帰反射係数の要件を満たす、実施形態1~15のいずれかの再帰反射性物品である。
【0125】
実施形態17は、実施形態1~16のいずれかの再帰反射性物品と、使い捨てキャリア層とを含む転写物品であって、透明微小球のうち少なくともいくつかが使い捨てキャリア層に接触した状態で、使い捨てキャリア層の上に再帰反射性物品が取り外し可能に配設されている、転写物品である。
【0126】
実施形態18は、実施形態1~16のいずれかの再帰反射性物品を含む基材であって、再帰反射性物品の再帰反射性素子のうち少なくともいくつかが基材とは反対の方向に向いた状態で、再帰反射性物品のバインダー層が基材に結合されている、基材である。
【0127】
実施形態19は、事前作製されたバインダー層を透明微小球のセットにラミネートすることによる再帰反射性物品の製造方法であって、事前作製された反射性シートを第1の表面に担持する事前作製されたバインダー層を透明微小球のセットに接触させて、反射性シートが破断して、バインダー層が変形して直接又は間接的に透明微小球に接着できるようにすることを含む、製造方法である。
【0128】
実施形態20は、透明微小球がキャリア層上に提供され、キャリア層内に透明微小球が取り外し可能に、部分的に埋め込まれており、透明微小球がバインダー層に固定された後に、キャリア層がバインダー層から、及び、透明微小球から取り外される、実施形態19に記載の製造方法である。
【0129】
実施形態21は、透明微小球を担持するキャリア層が、透明微小球の少なくとも突出部分に配設されたポリマー材料の層を含み、事前作製されたバインダー層を透明微小球に接触させることが、反射性シートを破断させて、事前作製されたバインダー層の少なくともいくつかの部分をポリマー材料に接触及び接合させることを可能にする、実施形態20の製造方法である。
【0130】
実施形態22は、ラミネーションが、第1のラミネーションツール及び第2のラミネーションツールを使用して行われる、実施形態19~21のいずれかの製造方法である。
【0131】
実施形態23は、第1のラミネーションツール及び第2のラミネーションツールのうち少なくとも1つが、少なくとも70℃の温度に加熱される、実施形態22の製造方法である。
【0132】
実施形態24は、第1のラミネーションツール及び第2のラミネーションツールが、共にプレスされて少なくとも200ポンド/リニアインチのニップ圧力を提供する第1のバッキングロール及び第2のバッキングロールの形態であるか、又は、共にプレスされて少なくとも30ポンド/平方インチの圧力を提供する第1の概して平坦なツール及び第2の概して平坦なツールの形態である、実施形態22~23のいずれかの製造方法である。
【0133】
実施形態25は、事前作製された反射性シートが反射層を含む多層構造であり、ラミネーション工程が行われた後に、反射層と透明微小球との間に位置付けられるポリマー材料の層を更に含む、実施形態19~24のいずれかの製造方法である。
【0134】
実施形態26は、実施形態19~25のいずれかの製造方法によって作製される、実施形態1~18のいずれかの再帰反射性物品、転写物品、又は基材である。
【0135】
実施例
試験方法
再帰反射性の測定
反射係数(観測角0.2°及び入射角5°でのRA)を、参照によりその両方が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/739506号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/084295号(簡潔さのために、実施例においてはこれ以降、これらの文書を「WO‘295」と称する)に記載されるものと同じ試験方法に従って、カンデラ/ルクス/平方メートルの単位で報告した。
【0136】
いくつかの事例では、試料を、安全衣料の評価で使用されることの多い、ANSI/ISEA107-2015の表5に記載されている、32の角度の組み合わせに対する最小再帰反射係数の「32アングル」試験で評価した。
【0137】
いくつかの事例では、試料を、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/578191号及び同第62/610180号及び結果の国際特許出願公開第WO2019/082162号に記載されている手順に従って、円偏光子の存在下で評価した。円偏光子内でのR保持率を報告した。
【0138】
色の測定
周囲光条件での色座標(蛍光イエローのY,x,y、又は白色などの他の色のL*,a*,b*)は、WO’295に記載されているものと同じ試験方法に従った。
【0139】
洗濯耐久性試験
指示された布物品の50ミリメートル(mm)×150mmの長方形のアップリケを、270グラム/平方メートルの重量を有するポリエステル85/綿15の蛍光オレンジの布片に縫い付けることによって、試験試料を調製した。次いで、この試料を、ISO6330メソッド6Nに従って10サイクル、又はISO6330メソッド2Aに従って25サイクルのいずれかで洗濯した。指示された洗濯手順後に、Rを測定した。試料は、指示された洗濯耐久性試験の後、Rの保持率(洗濯後のRと洗濯前のRの比として計算される)が10%以上であれば、指示された手順のもとで「洗濯耐久性がある」と見なされる。
【表1】
【0140】
事前物品及び作製方法
一時的キャリアへの透明微小球の配設は、WO’295の「Method for Making Temporary Bead Carrier containing Glass Microspheres(ガラス微小球を含有する一時的ビーズキャリアを作製する方法)」セクションに概説されているものと同じ一般的工程に従った。得られた物品を、一時的ビーズキャリアと称する(「ビーズ」という用語は、透明微小球を示すことに留意されたい)。
【0141】
一時的ビーズキャリアへの有機ポリマー介在層の配設を行う場合は、WO’295の実施例2.3.1.D(パートD)の第1段落に記載されているものと同じ一般的工程に従った。得られた物品を、ポリマーコーティングビーズキャリアと称する。
【0142】
ポリマーコーティングビーズキャリアへのAg(金属銀)ミラーの配設を行う場合は、WO’295の実施例2.4.1パートBに記載されているものと同じ一般的な工程に従った。得られた物品を、局所ラミネートAgビーズキャリアと称する。
【0143】
実施例1
39.9重量部(%)のEHA、30.0%のIBOA、10.0%のAA、20.0%のLA2330、0.1%のTMPTA、及び0.8%のIrg819を有する透明な接着性組成物を、褐色のガラスジャー内で混合し、一晩、ジャーローラーで回転させた。この透明な接着性組成物を、102μmの空隙設定でノッチバーコーティングステーションを使用して、3M200MPポリコーティングKraft剥離ライナー上にコーティングした。得られた組み合わせを、365nmのピーク発光波長を有する複数の蛍光ランプを使用して、窒素不活性化環境においてコーティング側から、2400ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm)の総UV-Aエネルギーに曝露した。低電力センサヘッド(EIT Incorporated(Sterling,VA)から入手可能)を備えるPOWERMAP放射計を使用して、総UV-Aエネルギーを判断した。次に、放射計ウェブ速度及びエネルギーを使用して、接着性組成物の硬化中に使用されるウェブ速度での総曝露エネルギーを計算した。得られた物品を、接着剤フィルム-1と称する。(この物品の接着層は、例えば、前述の接着層120として使用することもできる。)
【0144】
44.2%のEHA、16.4%のIBOA、9.3%のAA、23.4%のGN4188/EHA、0.09%のTMPTA、0.75%のIrg819、及び6.5%のGT-17を有する蛍光イエローのバインダー組成物を、褐色のガラスジャー内で混合し、一晩、ジャーローラーで回転させた。この蛍光イエローのバインダー組成物を、51umの空隙設定でノッチバーコーティングステーションを使用して、接着剤フィルム-1の接着剤側にコーティングした。得られた組み合わせを、365nmのピーク発光波長を有する複数の蛍光ランプを使用して、窒素不活性化環境においてコーティング側から、2400mJ/cmの総UV-Aエネルギーに曝露した。このように形成された蛍光イエローのバインダー層を含む得られた物品を、バインダーフィルム-1と称する。
【0145】
一時的キャリアのシート(紙の層の上にポリエチレンの層を含み、ビーズを含まない)に、約170nmの厚さのアルミニウム(Al)ミラーを真空コーティングした。次いで、この物品を、バインダーフィルム-1の露出したバインダー層表面に接触させ、加熱した卓上ロールラミネーター(Vivid laminating Technology Ltd.UKから入手可能なLineaDH-360ロールラミネーターなど)を使用して、60℃、毎分0.2メートル(m/分)でラミネートした。次いで、一時的キャリアをバインダー層から分離して、中間ラミネート物品を得た。
【0146】
この後、中間ラミネート体物品のAlミラーが露出している側を、ポリマーコーティングビーズキャリア(上記のとおり、有機ポリマー材料の介在層を含むが、ミラー層は含まない)に接触させて、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、90℃、0.2m/分でラミネートした。次いで、得られたラミネート体を金属プレートの縁部でプレスした。ラミネーション工程の結果、Alミラーが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が介在層及び透明微小球に接合した。
【0147】
最後に、この物品の接着剤層を、ポリコーティングされたKraft剥離ライナーを除去することによって露出させ、次いで、この接着剤層を、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、60℃、0.2m/分で、物品をポリエステル布にラミネートした。次いで、一時的キャリアを分離して除去し、得られた実施例1の再帰反射性物品を提供した。
【0148】
実施例1は、472のRを有する灰色の再帰反射性材料であり、ANSI/ISEA107-2015の表5に示される32アングルコンビネーションに対する最小再帰反射係数の要件を満たした。実施例1は、良好な洗濯性能を有し、ISO6330メソッド6Nに従う10回の洗濯サイクルの後に、42%のR保持率を有した。
【0149】
実施例2
バインダーフィルム-1を、実施例1で説明したように調製した。バインダーフィルム-1のバインダー層が露出した主表面に、約170nmの厚さのAlミラーを真空コーティングした。この後、物品のAlミラーが露出している側を、ポリマーコーティングビーズキャリアに接触させ、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、90℃、0.2m/分でラミネートした。次いで、得られたラミネート体を金属プレートの縁部でプレスした。ラミネーション工程の結果、Alミラーが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が介在層及び透明微小球に接合した。
【0150】
最後に、この物品の接着剤層を、ポリコーティングされたKraft剥離ライナーを除去することによって露出させ、次いで、この接着剤層を、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、60℃、0.2m/分で、物品をポリエステル布にラミネートした。次いで、一時的キャリアを分離して除去し、得られた実施例2の再帰反射性物品を提供した。
【0151】
実施例2は、313のRを有する灰色の再帰反射性材料であった。
【0152】
実施例3
複数の層を含む反射性シートの調製
米国特許第9,034,459号に記載されているコーターと類似したロールツーロール真空コーターに、プラズマ前処理ステーションと第1のスパッタリングシステムとの間に位置する第2の蒸発器及び硬化システムを追加し、米国特許第8,658,248号に記載されている蒸発器を使用して、複数層の転写Alミラーフィルムを調製した。
【0153】
このコーターに、3M Company製の厚さ0.05mm、幅35.6センチメートル(cm)のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの305メートル(m)長のロールの形態の基材を装備した。基材を窒素プラズマ処理して金属層の接着を改善することによって、コーティングのために基材を調製した。チタンカソードを用いて120ワット(W)で動作する窒素プラズマによって、9.8m/分のウェブ速度を使用してフィルムを処理し、-10℃に冷却したコーティングドラムにフィルムの裏側を接触させたまま保持した。
【0154】
調製したPET基材上に、前のプラズマ処理工程にインラインでSiAlの剥離層を堆積させた。カソードは、Soleras Advanced Coatings US(Biddeford,ME)から入手したSi(90%)/Al(10%)ターゲットを有した。Arガスを採用して24キロワット(kW)の電力で動作する従来のACスパッタリング工程を使用して、基材上にSiAl合金の厚さ37nmの層を堆積させた。得られたSiAlコーティングPET基材は、犠牲ミラー基材である。
【0155】
アクリレート-1の層を、犠牲ミラー基材のSiAl層の上にインラインで堆積させた。超音波噴霧及びフラッシュ蒸発によってアクリレート層を施して、31.8cm幅のコーティングを作製した。375nmの層を達成するには、この混合物の噴霧器への流量は1.33ミリメートル/分(ml/分)であり、ガス流量は、60標準立方センチメートル/分(sccm)であり、蒸発器温度は、260℃であった。SiAl層上に凝縮した後、このモノマーコーティングを、7.0kV及び10.0ミリアンペア(mA)で動作する電子ビーム硬化ガンで直ちに硬化させて、アクリレート層(選択的接合層として機能する)を形成した。
【0156】
このアクリレート層上に、無機酸化物層(脆化層として機能する)を施した。この酸化物材料は、40キロヘルツ(kHz)AC電源を用いるAC反応性スパッタ堆積工程によって配設された。カソードは、Soleras Advanced Coatings US(Biddeford,ME)から入手したSi(90%)/Al(10%)のロータリーターゲットを有した。スパッタリング中のカソードに関する電圧を、フィードバック制御ループにより制御した。この制御ループは、電圧が高いまま維持され、ターゲットの電圧がクラッシュしないように、電圧をモニターし、酸素流を制御した。16kW電力及び9.8m/分でシステムを動作させて、SiAl層上のアクリレート層に厚さ12nmの酸化ケイ素アルミニウム(SiAlOx)層を堆積させた。
【0157】
この無機酸化物層上に、ACI Alloys(San Jose,CA)から入手したカソードAlターゲットを使用して、Alの反射性層を施した。一対のカソードを使用した。このAl金属ミラー層の堆積は、Arガスを用いた従来のDCスパッタリング工程によって行い、カソード当たり3kWの電力で動作させ、3.7m/分のライン速度で、厚さ90nmのAlの層を堆積させた。得られた物品を転写可能ミラーフィルム-1と称し、これは、犠牲ミラー基材の上に、375nmのアクリレート層、12nmのSiAlO層、及び、90nmのAl反射性層を含んでいた。
【0158】
バインダー層の調製
43.65%のEHA、23.75%のIBOA、10.00%AA、12.50%のGN4188/EHA、0.10%のTMPTA、及び0.80%のIrg819を含む透明なバインダー組成物を、褐色のガラスジャー内で混合し、一晩、ジャーローラーで回転させた。この透明なバインダー組成物を、102μmの空隙設定でノッチバーコーティングステーションを使用して、転写可能ミラーフィルム-1の転写スタック側にコーティングした。得られた組み合わせを、365nmのピーク発光波長を有する複数の蛍光ランプを使用して、窒素不活性化環境においてコーティング側から、2400mJ/cmの総UV-Aエネルギーに曝露した。得られた物品を、バインダーフィルム-2と称する。
【0159】
次いで、バインダーフィルム-2のバインダー層側を、Hix N-800クラムシェルラミネーターを使用して、135℃及び40ポンド/平方インチ(PSI)で10秒間、Bemis5256ポリエステル系熱可塑性接着剤(Bemis Associates Inc.(Shirley,MA)から入手可能)にプレスした。Bemis5256接着剤から剥離ライナーを除去した後、ラミネート体の接着剤側を、Hix N-800クラムシェルラミネーターを使用して、135℃及び40PSIで10秒間、ポリエステル布にプレスした。
【0160】
この後、転写可能なミラーフィルム-1の犠牲材を除去した。すなわち、アクリレート-1選択的接合層とSiAl剥離層との間の界面で分離が生じて、SiAl剥離層がPET基材と共に除去されることによって、PET基材が物品から分離された。これにより、事前作製された多層反射性シートを担持するバインダー層を含む中間物品が生成され、(バインダー層に最も近いものから順に)Al反射層、SiAlOx脆化層、及びアクリレート-1選択的接合層を含んでいた。
【0161】
次いで、中間物品の反射側を、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、90℃、0.2m/分で、ポリマーコーティングビーズキャリアにラミネートした。次いで、このラミネート体を金属プレートの縁部でプレスした。ラミネーション工程の結果、多層反射性シートが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が介在層及び透明微小球に接合した。
【0162】
次いで、一時的キャリアを分離して除去し、得られた実施例3の再帰反射性物品を提供した。
【0163】
実施例3は、492のRを有する灰色の再帰反射性材料であり、ANSI/ISEA107-2015の表5に示される32アングルコンビネーションに対する最小再帰反射係数の要件を満たした。実施例3は、良好な洗濯性能を有し、ISO6330メソッド2Aに従う25回の洗濯サイクルの後に、80%のR保持率を有した。
【0164】
実施例4
WO’295の実施例2.4.1パートAに記載されている手順と同様の手順に従って、犠牲ミラー基材の上に、90nmのアクリレート-1選択的接合層、90nmのAg反射性層、及び6nmの酸化ケイ素アルミニウム(SiAlO)脆化層を含む転写スタックを用いて、犠牲ミラー基材の上に多層転写Agミラーフィルムを調製した。得られた物品(上記の転写スタックを担持する犠牲ミラー基材)を、転写可能ミラーフィルム-2と称する。
【0165】
透明なバインダー層を、60%のKraton D1119及び40%のWesterz5206を2軸押出機内で182℃で3分間混合することによって調製した。次いで、この混合組成物を、接触ダイを使用して、コーティング厚さ約101μmでバージンPET剥離ライナー上に押し出し、冷却した。得られた物品を、バインダーフィルム-3と称する。
【0166】
次いで、バインダーフィルム-3のバインダー層側を、ハンドローラーを使用して、転写可能ミラーフィルム-2の転写スタック側にラミネートした。転写可能なミラーフィルム-2の犠牲ミラー基材を除去した後、ラミネート体の反射側を、1.3ミリメートル/秒(mm/秒)、500ポンド/リニアインチ(PLI、87.5キロニュートン/メートルにほぼ等しい)のラミネート力で、ポリマーコーティングビーズキャリアにラミネートした。ラミネート中、ラミネート体のバージンPET剥離ライナー側を、68Aの硬度を有する82℃に加熱された直径12インチ(0.30m)のシリコーンゴムスリーブで裏打ちし、ラミネート体の一時的キャリア側を、周囲温度に設定された直径12インチの平滑面鋼ロールで裏打ちした。ラミネーション工程の結果、多層反射性シートが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が介在層及び透明微小球に接合した。バージンPET剥離ライナーを除去した後、得られたラミネート体のバインダー層側を、Hix N-800クラムシェルラミネーターを使用して、148℃及び40PSIで15秒間、ポリエステル布にプレスした。実施例4の再帰反射性物品を、上記のラミネート体から一時的キャリアを除去することによって調製した。
【0167】
実施例4は、622のR、68.6のL*、-1.2のa*、及び4.8のb*を有する灰色の再帰反射性材料であった。実施例4は、ANSI/ISEA107-2015の表5に示される32アングルコンビネーションに対する最小再帰反射係数の要件を満たした。
【0168】
実施例5
米国仮特許出願第62/838580号において転写スタックR3518-3について記載されているとおりに、300nmのアクリレート選択的接合層、58nmのNbO層、91nmのアクリレート層、及び58nmのNbO層を含む転写スタックを使用して、犠牲ミラー基材の上に多層転写可視誘電体ミラーフィルムを調製した。得られた物品を、転写可能ミラーフィルム-3と称する。
【0169】
59.5%のKRATOND1119、25.5%のResinall476、及び15.0%のGT-17を、2軸押出機内で182℃で3分間混合することによって、蛍光イエローのバインダー層を調製した。次いで、この混合組成物を、接触ダイを使用して、コーティング厚さ約101μmで第1のバージンPET剥離ライナー上に押し出した。20.0%のKraton D1119、11.5%のResinall476、58.5%のVector D4411、及び15.0%の白色顔料を、2軸押出機内で182℃で3分間混合することによって、白色接着剤層を調製した。次いで、この混合組成物を、接触ダイを使用して、コーティング厚さ約101μmで第2のバージンPET剥離ライナー上に押し出した。蛍光イエローのバインダー層及び白色接着剤層を、まず、ハンドローラーを使用してラミネートした。第2のバージンPET剥離ライナーを除去した後、ラミネート体の白色接着剤側を、ハンドローラーを使用してポリエステル布にラミネートした。第1のバージンPET剥離ライナーを除去した後に得られた物品を、バインダーフィルム-4と称する。
【0170】
バインダーフィルム-4の蛍光イエローのバインダー側を、転写可能ミラーフィルム-3の転写スタック側にハンドローラーを使用してラミネートした。転写可能ミラーフィルム-3の犠牲ミラー基材を除去した後、ラミネート体の転写スタック側を、Hix N-800クラムシェルラミネーターを使用して、177℃及び40PSIで20秒間を2回繰り返して、ポリマーコーティングビーズキャリアにプレスした。ラミネーション工程の結果、多層反射性シートが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が介在層及び透明微小球に接合した。実施例5の再帰反射性物品を、上記のラミネート体から一時的キャリアを除去することによって調製した。実施例5は、200のRを有する蛍光イエローの再帰反射性材料であった。
【0171】
実施例6
転写可能ミラーフィルム-1を、実施例3で説明したように調製した。バインダーフィルム-1を、実施例1で説明したように調製した。バインダーフィルム-1のバインダー側を、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、60℃、0.2m/分で、転写可能ミラーフィルム-1の転写スタック側にラミネートした。転写可能なミラーフィルム-1の犠牲ミラー基材を除去した後、ラミネート体の転写スタック側を、米国仮特許出願第62/578191号及び同第62/610180号、並びに結果の国際特許出願公開第WO2019/082162号の「Preparation of First Laminate with Conformal Retarder(コンフォーマルリターダを使用した最初のラミネートの調製)」に記載されているものと同じ手順に従ってコンフォーマルリターダ層でコーティングした。
【0172】
有機ポリマー層を担持するポリマーコーティングビーズキャリアの側部をコロナ処理し、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、90℃、0.2m/分で、上記のラミネート体のコンフォーマルリターダ側にラミネートした。次いで、このラミネート体を金属プレートの縁部でプレスした。ラミネーション工程の結果、多層反射性シートが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が介在層及び透明微小球に接合した。最後に、ラミネート体の接着剤側を、ポリコーティングされたKraft剥離ライナーを除去することによって露出させ、次いで、加熱した卓上ロールラミネーターを使用して、104℃、0.8m/分で、ポリアミド布にラミネートした。実施例6の再帰反射性物品を、上記のラミネート体から一時的キャリアを除去することによって調製した。実施例6は、263のR、66.4のL*、-1.7のa*、及び1.1のb*を有する灰色の再帰反射性材料であった。実施例6では、円偏光子の存在下で、11%のR保持率が得られた。
【0173】
実施例7
米国仮特許出願第62/838580号に転写スタックR3512について記載されているものと類似の手順に従って、70nmのアクリレート選択的接合層、65nmのNbO層、90nmのアクリレート層、65nmのNbO層、90nmのアクリレート層、及び65nmのNbO層を含む転写スタックを使用して、犠牲ミラー基材の上に多層転写可視誘電体ミラーフィルムを調製した。得られた物品を、転写可能ミラーフィルム-4と称する。
【0174】
51.0%のKraton D1119、34.0%のWestrez5206、及び15.0%のGT-17を、2軸押出機内で182℃で3分間混合することによって、蛍光イエローのバインダー層を調製した。次いで、この混合組成物を、接触ダイを使用して、コーティング厚さ約101μmで第1のバージンPET剥離ライナー上に押し出した。51.0%のKraton D1119、34.0%のWestrez5206、及び15.0%白色顔料を、2軸押出機内で182℃で3分間混合することによって、白色接着剤層を調製した。次いで、この混合組成物を、接触ダイを使用して、コーティング厚さ約101μmで第2のバージンPET剥離ライナー上に押し出した。蛍光イエローのバインダー層及び白色接着剤層を、まず、ハンドローラーを使用してラミネートした。第2のバージンPET剥離ライナーを除去した後、ラミネート体の白色接着剤側を、ハンドローラーを使用してポリエステル布にラミネートした。第1のバージンPET剥離ライナーを除去した後に得られた物品を、バインダーフィルム-5と称する。
【0175】
バインダーフィルム-5の蛍光イエローのバインダー側を、転写可能ミラーフィルム-4の転写スタック側にハンドローラーを使用してラミネートした。転写可能ミラーフィルム-4の犠牲ミラー基材を除去した後、ラミネート体の転写スタック側を、1.3mm/秒、500PLIのラミネート力で、局所ラミネーションAgビーズキャリアにラミネートした。ラミネート中、ラミネート体の布側を、68Aの硬度を有する116℃に加熱された直径12インチ(0.30m)のシリコーンゴムスリーブで裏打ちし、ラミネート体の一時的キャリア側を、周囲温度に設定された直径12インチの平滑面鋼ロールで裏打ちした。ラミネーション工程の結果、多層反射性シートが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が局所ラミネーションAg反射性層、介在層及び透明微小球に接合した。実施例7の再帰反射性物品を、上記のラミネート体から一時的キャリアを除去することによって調製した。
【0176】
実施例7は、441のR、74.9のY、0.3895のx、0.4837のyを有する蛍光イエローの再帰反射性材料であった。実施例7は、ANSI/ISEA107-2015の表5に示される32アングルコンビネーションに対する最小再帰反射係数の要件を満たした。実施例7は、良好な洗濯性能を有し、ISO6330メソッド6Nに従う10回の洗濯サイクルの後に、30%のR保持率を有した。
【0177】
実施例8
転写ミラーフィルム-2及びバインダーフィルム-3を、実施例4で説明したように調製した。
【0178】
次いで、バインダーフィルム-3のバインダー側を、ハンドローラーを使用して、転写可能ミラーフィルム-2の転写スタック側にラミネートした。犠牲ミラー基材を除去した後、ラミネート体の反射側を、1.3mm/秒、500PLIのラミネート力で、一時的ビーズキャリア(介在有機ポリマー層を含まない)にラミネートした。ラミネート中、ラミネート体のバージンPET剥離ライナー側を、68Aの硬度を有する82℃に加熱された直径12インチのシリコーンゴムスリーブで裏打ちし、ラミネート体の一時的キャリア側を、周囲温度に設定された直径12インチの平滑面鋼ロールで裏打ちした。バージンPET剥離ライナーを除去した後、得られたラミネート体のバインダー層を、Hix N-800クラムシェルラミネーターを使用して、148℃及び40PSIで15秒間、ポリエステル布にプレスした。ラミネーション工程の結果、多層反射性シートが破断し、本明細書に開示される概括的な様式でバインダー層が透明微小球に接合した。実施例8の再帰反射性物品を、上記のラミネート体から一時的キャリアを除去することによって調製した。実施例8は、258のR、78.3のL*、-1.2のa*、及び5.5のb*を有する灰色の再帰反射性材料であった。
【0179】
前述の実施例は、理解を明確にするためにのみ提示したものであり、これらの実施例による不要な限定はないものと理解される。実施例に記載の試験及び試験結果は、予測的なものではなく、例示的なものであることが意図され、試験手順の変更により、異なる結果がもたらされることが予想され得る。実施例中の全ての定量値は、用いられた手順に含まれる周知の許容誤差を考慮した近似的なものと理解される。
【0180】
本明細書に開示される特定の例示的な要素、構造、特色、詳細、構成などは、多数の実施形態において修正及び/又は組み合わせ可能であることは、当業者には明らかであろう。かかる全ての変形及び組み合わせは、単に例示的な例示としての役割を果たすように選択された代表的な設計ではなく、着想された発明の範囲内にあると発明者は考える。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の例示的な構造に限定してはならず、少なくとも請求項の文言によって記載された構造及びそれらの構造の均等物に拡張される。本明細書において選択肢として積極的に記載されている要素はいずれも、所望に応じた任意の組み合わせで、請求項に明示的に含めてもよく、又は請求項から除外してもよい。オープンエンド言語(例えば、「を含む(comprise)」とその派生語)で本明細書に記載される、要素のいずれか又は要素の組み合わせは、クローズドエンド言語(例えば、「からなる(consist)」とその派生語)及び部分的クローズドエンド言語(例えば、「から本質的になる(consist essentially)」とその派生語)で更に記載されると考えられる。様々な理論及び可能な機構が本明細書で検討され得るが、いかなる場合であっても、このような検討は、特許請求可能な主題を限定するものではない。本明細書の記載と、参照によって本明細書に組み込んだいずれかの文書の開示との間になんらかの矛盾又は不一致が存在する場合、本明細書の記載が優先するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】