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特表2022-551603抗NRP2抗体を含む組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】抗NRP2抗体を含む組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20221205BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221205BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221205BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221205BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20221205BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20221205BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20221205BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20221205BHJP
   C12N 7/00 20060101ALN20221205BHJP
【FI】
A61K39/395 N
C12M1/00 A
A61P35/00
A61P35/04
A61P35/02
A61P29/00
A61P37/06
A61P31/00
A61P11/00
A61P11/06
A61P9/00
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P37/08
A61P43/00 105
A61P17/02
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/02
A61P25/04
A61P19/08
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K9/08
A61K45/00
G01N33/531 A
G01N33/53 N
C07K16/28 ZNA
C12N5/10
C12N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520527
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020054017
(87)【国際公開番号】W WO2021067761
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/910,042
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/024,960
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510325880
【氏名又は名称】エータイアー ファーマ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バーマン, ルーク
(72)【発明者】
【氏名】チョン, イーティン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, レスリー アン
(72)【発明者】
【氏名】キング, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ジウェン
(72)【発明者】
【氏名】アダムス, ライアン アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B065AA93X
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA11
4C076AA12
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC15
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC31
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA011
4C084ZA081
4C084ZA201
4C084ZA361
4C084ZA591
4C084ZA621
4C084ZA891
4C084ZA941
4C084ZA961
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB081
4C084ZB111
4C084ZB131
4C084ZB151
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZB311
4C084ZC032
4C084ZC202
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB42
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する、親和性成熟され、ヒト化された抗体およびその抗原結合性断片が提供され、ヒトNRP2および少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合相互作用をモジュレートし、それによってその後のNRP2が媒介する下流のシグナル伝達事象をモジュレートするものを含み、NRP2活性をモジュレートするため、およびNRP2関連疾患などの疾患を処置するための関連する治療用組成物および方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片(抗NRP2抗体)を含む治療用組成物であって、前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、
前記ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する、表A1または表A3から選択される相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列、ならびにそれらのバリアントを含む、重鎖可変領域(V)配列;ならびに
前記ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する、表A1または表A3から選択される相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列、ならびにそれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域(V)配列
を含む、治療用組成物。
【請求項2】
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号1~3およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号4~6およびそれらのバリアントを含むか;
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号7~9およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号10~12およびそれらのバリアントを含むか;
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号13~15およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号16~18およびそれらのバリアントを含むか;
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号19~21およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号22~24およびそれらのバリアントを含むか;
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号25~27およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号28~30およびそれらのバリアントを含むか;
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号31~33およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号34~36およびそれらのバリアントを含むか;
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号34~39およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号40~42およびそれらのバリアントを含むか;
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号57~59およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号60~62およびそれらのバリアントを含むか;または
前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号63~65およびそれらのバリアントを含み、前記VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号66~68およびそれらのバリアントを含む、
請求項2に記載の治療用組成物。
【請求項3】
前記V配列が、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99または100%同一であり、必要に応じて、前記V配列が、フレームワーク領域中に1、2、3、4または5つの変更を有する、請求項1または2に記載の治療用組成物。
【請求項4】
前記V配列が、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99または100%同一であり、必要に応じて、前記V配列が、前記フレームワーク領域中に1、2、3、4または5つの変更を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項5】
前記V配列が、配列番号43と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号44と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
前記V配列が、配列番号45と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号46と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
前記V配列が、配列番号47と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号48と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
前記V配列が、配列番号49と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号50と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
前記V配列が、配列番号51と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号52と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
前記V配列が、配列番号53と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号54と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;または
前記V配列が、配列番号55と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号56と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
前記V配列が、配列番号69と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号70と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
前記V配列が、配列番号71と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号72と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;または
前記V配列が、配列番号73と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、前記V配列が、配列番号74と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含む、
請求項3または4に記載の治療用組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、全長ヒトNRP2ポリペプチドまたは表N1から選択されるヒトNRP2ポリペプチドに、必要に応じて、約10pM~約500pMもしくは約10pM~約50nM、または約、少なくとも約、もしくは多くても約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、もしくは50nMの親和性で、あるいは必要に応じて、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、もしくは約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、もしくは約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、もしくは約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、もしくは約25nM~約50nMの範囲である親和性で、特異的に結合し、必要に応じて、前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、そのネイティブ形態において前記ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合するが、その変性形態で前記ヒトNRP2ポリペプチドに実質的に結合しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、ニューロピリンb1ドメイン、ニューロピリンa1ドメイン、ニューロピリンa2ドメイン、ニューロピリンb2ドメイン、ニューロピリンcドメイン、ニューロピリンa1/a2複合ドメイン、ニューロピリンb1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1複合ドメイン、ニューロピリンb2/c複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1/b2/c複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1/b2/c複合ドメインおよびニューロピリンb1/b2/c複合ドメインの1つまたは複数から選択されるニューロピリンドメイン中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、約10pM~約500pMもしくは約10pM~約50nM、または約、少なくとも約、もしくは多くても約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、もしくは50nMの親和性で、あるいは必要に応じて、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、もしくは約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、もしくは約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、もしくは約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、もしくは約25nM~約50nMの範囲である親和性で、特異的に結合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ニューロピリンa1ドメイン、前記ニューロピリンa2ドメインおよび/または前記ニューロピリンa1a2複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、
(ニューロピリンa1ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基20~148、30~141、40~141、50~141、60~141、70~141、80~141、90~141、100~141、110~141、120~141、130~141;20~130、20~120、20~110、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、もしくは20~30;
(ニューロピリンa2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基142~280、150~265、160~265、170~265、180~265、190~265、200~265、210~265、220~265、230~265、240~265、250~265、260~265、141~270、141~260、141~250、141~240、141~230、141~220、141~210、141~200、141~190、141~180、141~170、141~160、141~150、200~250、210~250、220~250、230~250、200~240、210~240、220~240、230~240、227~247、228~247、229~247、230~247、231~247、232~247、233~247、234~247、235~247、236~247;227~246、227~245、227~244、227~243、227~242、227~241、227~240、227~239、227~238;235~240、236~239、236~238、もしくは残基237;または
(複合a1a2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基20~280、30~280、40~280、50~280、60~280、70~280、80~280、90~280、100~280、110~280、120~280、130~280、140~280、150~280、160~280、170~280、180~280、190~280、200~280、210~280、220~280、230~280、240~280、260~280、270~280、20~270、20~260、20~250、20~240、20~230、20~220、20~210、20~200、20~190、20~180、20~170、20~160、20~150、20~140、20~130、20~120、20~110、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、もしくは20~30
の付近で、特異的に結合する、請求項7に記載の治療用組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ニューロピリンb1ドメイン、前記ニューロピリンb2ドメインおよび/または前記ニューロピリンb1/b2複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、
(ニューロピリンb1ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基299~420、266~426、280~426、290~426、300~426、310~426、320~426、330~426、340~426、350~426、360~426、370~426、380~426、390~426、400~426、410~426、420~426、280~420、280~410、280~400、280~390、280~380、280~370、280~360、280~350、280~340、280~330、280~320、280~310、280~300、もしくは280~290、必要に応じて、前記エピトープが、前記ヒトNRP2前駆体配列によって定義される、残基299Y、354Nおよび/もしくは416Sの1、2もしくは3つを含む不連続エピトープである;
(ニューロピリンb2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基438~591、450~591、460~591、470~591、480~591、490~591、500~591、510~591、520~591、530~591、540~591、550~591、560~591、570~591、580~591、438~590、438~580、438~570、438~560、438~550、438~540、438~530、438~520、438~510、438~500、438~490、438~480、438~470、438~460、もしくは438~450;または
(ニューロピリンb1/b2複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基266~591、276~591、286~591、296~591、306~591、316~591、326~591、336~591、346~591、356~591、366~591、376~591、386~591、396~591、406~591、416~591、426~591、436~591、446~591、456~591、466~591、476~591、486~591、498~591、508~591、518~591、528~591、538~591、548~591、558~591、568~591、578~591、588~591、266~581、266~571、266~561、266~551、266~541、266~531、266~521、266~511、266~501、266~491、266~481、266~471、266~461、266~451、266~441、266~431、266~421、266~411、266~401、266~391、266~381、266~371、266~361、266~351、266~341、266~331、266~321、266~311、266~301、266~291、266~281、もしくは266~271
の付近で、特異的に結合する、請求項7に記載の治療用組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ニューロピリンa2/b1複合ドメインおよび/または前記ニューロピリンb2c複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、
(ニューロピリンa2b1複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基149~437、159~426、169~426、179~426、189~426、199~426、209~426、219~426、229~426、239~426、249~426、259~426、269~426、279~426、289~426、299~426、309~426、319~426、329~426、339~426、349~426、359~426、369~426、379~426、389~426、399~426、409~426、419~426、149~436、149~426、149~416、149~406、149~396、149~386、149~376、149~366、149~356、149~346、149~336、149~326、149~316、149~306、149~296、149~286、149~276、149~266、149~256、149~246、149~236、149~226、149~216、149~206、149~196、146~186、146~176、146~166、もしくは146~155;または
(ニューロピリンb2c複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基438~794、448~794、458~794、468~794、478~794、487~794、497~794、507~794、517~794、527~794、537~794、547~794、557~794、567~794、587~794、597~794、607~794、617~794、627~794、637~794、647~794、657~794、667~794、677~794、687~794、697~794、707~794、717~794、727~794、737~794、747~794、757~794、767~794、777~794、787~794、427~794、438~784、438~774、438~764、438~754、438~744、438~734、438~728、438~714、438~704、438~694、438~684、438~674、438~664、438~654、438~644、438~634、438~624、438~614、438~604、438~596、438~586、438~576、438~566、438~556、438~546、438~536、438~526、438~516、438~506、438~494、438~484、438~474、438~464、438~454、438~444
の付近で、特異的に結合する、請求項7に記載の治療用組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ニューロピリンcドメインおよび隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基591~794、600~794、610~794、620~794、630~794、640~794、650~794、660~794、670~794、680~794、690~794、700~794、710~794、720~794、730~794、740~794、750~794、760~794、770~794、780~794、790~794、591~790、591~780、591~770、591~760、591~750、591~740、591~730、591~720、591~710、591~700、591~690、591~680、591~670、591~660、591~650、591~640、591~630、591~620、591~610、もしくは591~600の付近で、特異的に結合する、請求項7に記載の治療用組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ニューロピリンb1/b2/c複合ドメインおよび隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基276~794、286~794、296~794、306~794、316~794、326~794、336~794、346~794、356~794、366~794、376~794、387~794、396~794、406~794、416~794、426~794、436~794、446~794、456~794、466~794、476~794、486~794、496~794、506~794、516~794、526~794、536~794、546~794、556~794、566~794、576~794、586~794、596~794、606~794、616~794、626~794、636~794、646~794、656~794、666~794、676~794、686~794、696~794、706~794、716~794、726~794、736~794、746~794、756~794、766~794、776~794、786~794、266~794、276~784、276~774、276~764、276~754、276~744、276~734、276~724、276~714、276~704、276~694、276~684、276~674、276~664、276~654、276~644、276~634、276~624、276~614、276~604、276~594、276~584、276~574、276~564、276~554、276~544、276~534、276~524、276~514、276~504、276~594、276~584、276~574、276~564、276~554、276~544、276~534、276~524、276~514、276~504、もしくは276~496の付近で、特異的に結合する、請求項7に記載の治療用組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、必要に応じて、NRP2aの膜近傍ドメイン(バリアント1)、NRP2aの膜近傍ドメイン(バリアント2)、NRP2aの膜近傍ドメイン(バリアント3)、NRP2bの膜近傍ドメイン(バリアント4)およびNRP2bの膜近傍ドメイン(バリアント5)、ならびにそれらの組合せの1つまたは複数から選択される膜近傍ドメイン(表N1を参照されたい)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する、請求項1~12のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、2つまたはそれよりも多くの不連続エピトープ領域から構成される立体構造エピトープに特異的に結合し、必要に応じて、立体構造エピトープが、
(a)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記a2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(b)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記b1ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(c)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記b2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(d)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記cドメイン内の第2のエピトープ領域;
(e)バリアント1、2、3、4および5から選択される前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(f)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a2ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記b1ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(g)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a2ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記b2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(h)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a2ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記cドメイン内の第2のエピトープ領域;
(i)バリアント1、2、3、4および5から選択される前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記a2ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(j)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記b1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記b2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(k)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記b1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記cドメイン内の第2のエピトープ領域;
(l)バリアント1、2、3、4および5から選択される前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記b1ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(m)前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記b2ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記cドメイン内の第2のエピトープ領域;
(n)バリアント1、2、3、4および5から選択される前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記b2ドメイン内の第1のエピトープ領域および前記膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;もしくは
(o)バリアント1、2、3、4および5から選択される前記ヒトNPR2ポリペプチドの前記cドメイン内の第1のエピトープ領域および前記膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域
を含むか、またはそれらからなる、請求項13に記載の治療用組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ヒトNRP2ポリペプチドの少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択されるNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド、必要に応じて、SV9(HRS(1~60))、SV11(HRS(1~60)+(399~509))およびSV14(HRS(1~100)+(399~509))の1つまたは複数から選択されるHRSスプライスバリアント)への結合をモジュレートする、請求項1~14のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、化学量論当量での前記ヒトNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、前記ヒトNRP2ポリペプチドおよび前記少なくとも1つのNRP2リガンドの間の理論最大結合の約または少なくとも約80~100%、必要に応じて、前記理論最大結合の約または少なくとも約80、85、90、95または100%を阻害する、遮断抗体である、請求項1~15のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、化学量論当量での前記ヒトNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、前記ヒトNRP2ポリペプチドおよび前記少なくとも1つのNRP2リガンドの間の理論最大結合の約または少なくとも約20~80%、必要に応じて、前記理論最大結合の約または少なくとも約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80%を阻害する、部分的遮断抗体である、請求項1~16のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドのHRSポリペプチド相互作用領域に特異的に結合し、前記NRP2ポリペプチドに結合する前記HRSポリペプチドの1つまたは複数のシグナル伝達活性を模倣またはアゴナイズする、請求項1~17のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドのHRSポリペプチド相互作用領域に特異的に結合し、前記NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をモジュレートする、請求項1~18のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドおよび前記少なくとも1つのNRP2リガンドの間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする、請求項19に記載の治療用組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドおよび前記少なくとも1つのNRP2リガンドの間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアゴナイズまたは増強する、請求項19に記載の治療用組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのNRP2リガンドが、
- VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-DおよびPIGF-2の1つまたは複数から選択されるVEGF;
- VEGFR2およびVEGFR3から選択されるVEGF受容体(VEGFR);
- SEMA3-A、SEMA-3B、SEMA-3C、SEMA-3D、SEMA-3FおよびSEMA-3Gの1つまたは複数から選択されるセマフォリン;
- プレキシンA1、A2、A3、A4およびD1の1つまたは複数から選択されるプレキシン;
- 線維芽細胞成長因子(FGF)、肝細胞成長因子(HGF)および血小板由来成長因子(PDGF)の1つまたは複数から選択される成長因子;
- 線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)および血小板由来成長因子受容体(PDGF)の1つまたは複数から選択される成長因子受容体;
- ガレクチンまたはガレクチン受容体;
- FAC1およびブロモプロテインPHDフィンガー転写因子から選択される転写因子;
- GIPC1、GIPC2およびGIPC3の1つまたは複数から選択されるアダプタータンパク質;
- 表N3、必要に応じて、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβの1つまたは複数から選択されるインテグリン;
- TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3およびそれらの対応するTGFβ受容体の1つまたは複数から選択されるトランスフォーミング成長因子ベータ;ならびに
- 表H1から選択されるHRSポリペプチド、必要に応じて、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4(SV9)、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8(SV11)およびHisRSC9(SV14)の1つまたは複数から選択されるHRSスプライスバリアント
から選択される、請求項15~21のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドおよびVEGFR2またはVEGFR3またはVEGF-Cの間の前記結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、前記NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする、請求項22に記載の治療用組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドおよびHRSポリペプチドの間の前記結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、前記NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする、請求項22に記載の治療用組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドおよびHRSポリペプチドの間の前記結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、前記NRP2ポリペプチドおよびVEGFR2またはVEGFR3またはVEGF-Cの間の前記結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、前記NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする、請求項22に記載の治療用組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の前記結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、前記NRP2ポリペプチドおよびVEGFR3の間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする、請求項22に記載の治療用組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記NRP2ポリペプチドおよび異なるリガンド、必要に応じて、HRSポリペプチドの間の前記結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、前記NRP2ポリペプチドおよびVEGFR3またはVEGF-Cの間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする、請求項22に記載の治療用組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、セマフォリン3のNRP2へのリガンド結合を実質的にモジュレートすることなく、前記NRP2ポリペプチドおよびプレキシン受容体の間の前記結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする、請求項22に記載の治療用組成物。
【請求項29】
前記プレキシン受容体が、プレキシンA1、A2、A3、A4およびD1から選択される、請求項22~28のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項30】
前記セマフォリンが、セマフォリン3B、3C、3D、3Fおよび3Gから選択される、請求項22~29のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ヒトNRP2のa2ドメイン内の少なくとも5つの連続するアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の二量体化を実質的に阻害することなく、NRP2およびプレキシンA1の間の受容体二量体化を選択的に阻害する、請求項1~30のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項32】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトNRP2前駆体(表N1を参照されたい)のアミノ酸232~242内のエピトープに特異的に結合する、請求項31に記載の治療用組成物。
【請求項33】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ヒトNRP2のb1ドメインのアミノ酸299~416内に含まれる不連続エピトープに特異的に結合し、前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、NRP2およびプレキシンA1の間の二量体化を実質的に阻害することなく、NRP2ならびにFLT4(VEGFR3)およびKDR(VEGFR2)の間の受容体二量体化を選択的に阻害する、請求項1~30のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項34】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ヒトNRP2のb2ドメイン内の少なくとも5つの連続するアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の受容体二量体化を阻害し、NRP2およびプレキシンA1の間の二量体化を阻害する、請求項1~30のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項35】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ヒトNRP2のcドメイン内の少なくとも5つの連続するアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、NRP2およびプレキシンA1の間の受容体二量体化を阻害し、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の二量体化を部分的に阻害する、請求項1~30のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項36】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、(i)ヒトNRP2ポリペプチドおよび(ii)カニクイザルNRP2ポリペプチドの対応する領域のそれぞれに対する親和性(KdまたはEC50)を有し、(i)および(ii)に対する前記親和性が、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約0.4~約1.2nM、約0.9~約5.5nM、約0.9~約5nMまたは約1nM~約10nMの範囲内である、請求項1~35のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、(i)ヒトNRP2ポリペプチドおよび(ii)マウスNRP2ポリペプチドの対応する領域のそれぞれに対する親和性(KdまたはEC50)を有し、(i)および(ii)に対する前記親和性が、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nMまたは約1nM~約10nMの範囲内である、請求項1~35のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項38】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、NRP2のNRP2aアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント1、2および/または3)に選択的に結合し、NRP2bアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント4および/または5)に実質的に結合しない、請求項1~37のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項39】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、NRP2bアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント4および/または5)に選択的に結合し、NRP2aアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント1、2および/または3)に実質的に結合しない、請求項1~37のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項40】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記抗NRP2抗体の実質的に化学量論当量での前記NRP2ポリペプチドとの、必要に応じて、NRP2リガンドの存在下でのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチド間のホモまたはヘテロ二量体化を、必要に応じて、約または少なくとも約20~100%(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90または100%)低減する、請求項1~39のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項41】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記抗NRP2抗体の実質的に化学量論当量での前記NRP2ポリペプチドとの、必要に応じて、NRP2リガンドの存在下でのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチド間のホモまたはヘテロ二量体化を、必要に応じて、約または少なくとも約20~100%(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90または100%)増強する、請求項1~39のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項42】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、マウスNRP2ポリペプチドと比べて、ヒトNRP2ポリペプチド(表N1を参照されたい)に選択的に結合し、必要に応じて、前記ヒトNRP2ポリペプチドに対するその親和性が、前記マウスNRP2ポリペプチドに対するその親和性よりも、必要に応じて、約または少なくとも約2、5、10、20、30、40、50、100、500もしくは1000倍、またはそれよりも高く、著しく強い、請求項1~41のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項43】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ヒトNRP2ポリペプチドに結合し、前記マウスNRP2ポリペプチドに実質的に結合せず、必要に応じて、前記マウスNRP2ポリペプチドが、Mus musculusのNRP2ポリペプチドである、請求項42に記載の治療用組成物。
【請求項44】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基299Y、354Nおよび416Sを含む前記b1ドメイン中のエピトープに結合する、請求項1~43のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項45】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)またはIgMのFcドメイン、必要に応じて、ヒトFcドメインまたはそれらのハイブリッドおよび/もしくはバリアントを含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項46】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトにおいて高いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、必要に応じて、IgG1またはIgG3のFcドメインを含む、請求項45に記載の治療用組成物。
【請求項47】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトにおいて低いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、必要に応じて、IgG2またはIgG4のFcドメインを含む、請求項45に記載の治療用組成物。
【請求項48】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、必要に応じて、表F1から選択される、IgG1またはIgG4のFcドメインを含む、請求項47に記載の治療用組成物。
【請求項49】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、FcRnへの結合が変更された改変されたIgG1またはIgG4のFcドメインを含み、必要に応じて、前記改変されたIgG1またはIgG4のFcドメインが、YD(M252Y/T256D)、DQ(T256D/T307Q)、DW(T256D/T307W)、YTE(M252Y/S254T/T256E)、AAA(T307A/E380A/N434A)、LS(M428L/N434S)、M252Y、T256D/E、K288D/N、T307Q/W、E380C、N434FYおよび/またはY436H/N/Wの突然変異(EU番号付け)、ならびにそれらの組合せのいずれか1つまたは複数を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項50】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、モノクローナル抗体および/またはヒト化抗体である、請求項1~49のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項51】
前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、Fv断片、一本鎖Fv(scFv)ポリペプチド、アドネクチン、アンチカリン、アプタマー、アビマー、ラクダ抗体、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、ミニボディ、ナノボディまたはユニボディである、請求項1~50のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項52】
前記少なくとも1つの抗体または抗原結合性断片に関して、タンパク質基準で、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%または99%の純度を有し、実質的に凝集していない、請求項1~51のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項53】
実質的にエンドトキシンを含まない、請求項1~52のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項54】
無菌の注射用溶液、必要に応じて、静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内の投与に好適な無菌の注射用溶液である、請求項1~53のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項55】
がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの追加薬剤をさらに含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項56】
前記がん免疫療法剤が、免疫チェックポイントモジュレート剤、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカインおよび細胞に基づく免疫療法の1つまたは複数から選択される、請求項55に記載の治療用組成物。
【請求項57】
前記免疫チェックポイントモジュレート剤が、ポリペプチド、必要に応じて、抗体もしくはその抗原結合性断片またはリガンドまたは低分子である、請求項56に記載の治療用組成物。
【請求項58】
前記免疫チェックポイントモジュレート剤が、
(a)阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニスト;または
(b)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト
を含み、
必要に応じて、前記免疫チェックポイントモジュレート剤が、前記免疫チェックポイント分子に特異的に結合する、
請求項56または57に記載の治療用組成物。
【請求項59】
前記阻害性免疫チェックポイント分子が、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、CD160、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、ならびにIgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)の1つまたは複数から選択される、請求項58に記載の治療用組成物。
【請求項60】
前記アンタゴニストが、PD-L1および/もしくはPD-L2に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)およびデュルバルマブ(MEDI4736)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-L1および/またはPD-L2のアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、PD-1に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MK-3475、AMP-224、AMP-514、PDR001およびピディリズマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-1のアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、CTLA-4に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、イピリムマブおよびトレメリムマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCTLA-4のアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、IDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸およびエパカドスタットの1つまたは複数から必要に応じて選択されるIDOのアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、TDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、680C91およびLM10の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTDOのアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、TIM-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIM-3のアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、LAG-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子およびBMS-986016の1つまたは複数から必要に応じて選択されるLAG-3のアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、VISTAに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるVISTAのアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、BTLA、CD160および/もしくはHVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるBTLA、CD160および/またはHVEMのアンタゴニストであるか;ならびに/あるいは
前記アンタゴニストが、TIGITに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIGITのアンタゴニストである、
請求項59に記載の治療用組成物。
【請求項61】
前記刺激性免疫チェックポイント分子が、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226およびヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)の1つまたは複数から選択される、請求項58に記載の治療用組成物。
【請求項62】
前記アゴニストが、OX40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、OX86、Fc-OX40LおよびGSK3174998の1つまたは複数から必要に応じて選択されるOX40のアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob7/4、ADC-1013およびrhCD40Lの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD40のアゴニストであるか;
前記アゴニストが、GITRに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、INCAGN01876、DTA-1およびMEDI1873の1つまたは複数から必要に応じて選択されるGITRのアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD137に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、ウトミルマブおよび4-1BBリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD137のアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD27に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、バルリルマブおよびCDX-1127(1F5)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD27のアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD28に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドおよびTAB08の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD28のアゴニストであるか;ならびに/または
前記アゴニストが、HVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるHVEMのアゴニストである、
請求項61に記載の治療用組成物。
【請求項63】
前記がんワクチンが、オンコファージ、ヒトパピローマウイルスHPVワクチン、必要に応じて、GardasilもしくはCervarix、B型肝炎ワクチン、必要に応じて、Engerix-B、Recombivax HBもしくはTwinrix、およびsipuleucel-T(Provenge)の1つもしくは複数から選択されるか、またはヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例えば、VEGF-A)、VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(またはCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10BまたはTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍において発現するジシアロガングリオシド)、グリピカン-3(GPC3)およびメソテリンの1つもしくは複数から選択されるがん抗原を含む、請求項56に記載の治療用組成物。
【請求項64】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、タリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、Oncorine(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NISおよびDNX-2401の1つまたは複数から選択される、請求項56に記載の治療用組成物。
【請求項65】
前記サイトカインが、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の1つまたは複数から選択される、請求項56に記載の治療用組成物。
【請求項66】
前記細胞に基づく免疫療法剤が、がん抗原特異的T細胞、必要に応じて、ex vivo由来T細胞を含む、請求項56に記載の治療用組成物。
【請求項67】
前記がん抗原特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞およびT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)ならびにペプチド誘導T細胞の1つまたは複数から選択される、請求項66に記載の治療用組成物。
【請求項68】
前記少なくとも1つの化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(I型またはII型)および抗微小管剤の1つまたは複数から選択される、請求項55に記載の治療用組成物。
【請求項69】
前記アルキル化剤が、ナイトロジェンマスタード(必要に応じて、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファン)、ニトロソウレア(必要に応じて、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシン)、テトラジン(必要に応じて、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミド)、アジリジン(必要に応じて、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ))、シスプラチンおよびその誘導体(必要に応じて、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)および非古典的アルキル化剤(必要に応じて、プロカルバジンおよびヘキサメチルメラミン)の1つまたは複数から選択されるか;
前記代謝拮抗剤が、葉酸代謝拮抗剤(必要に応じて、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(必要に応じて、5-フルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシドアナログ(必要に応じて、アンシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンおよびペントスタチン)およびチオプリン(必要に応じて、チオグアニンおよびメルカプトプリン)の1つまたは複数から選択されるか;
前記細胞傷害性抗生物質が、アントラサイクリン(必要に応じて、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシンおよびミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンおよびアクチノマイシンの1つまたは複数から選択されるか;
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンの1つまたは複数から選択されるか;ならびに/または
前記抗微小管剤が、タキサン(必要に応じて、パクリタキセルおよびドセタキセル)およびビンカアルカロイド(必要に応じて、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の1つまたは複数から選択される、
請求項68に記載の治療用組成物。
【請求項70】
前記少なくとも1つのホルモン治療剤が、ホルモンアゴニストまたはホルモンアンタゴニストである、請求項55に記載の治療用組成物。
【請求項71】
前記ホルモンアゴニストが、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(必要に応じて、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子およびリンパ脈管新生因子(必要に応じて、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲンならびにソマトスタチンアナログの1つまたは複数から選択される、請求項70に記載の治療用組成物。
【請求項72】
前記ホルモンアンタゴニストが、ホルモン合成阻害剤、必要に応じて、アロマターゼ阻害剤またはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)もしくはそのアナログ、およびホルモン受容体アンタゴニスト、必要に応じて、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)もしくは抗アンドロゲン剤、またはホルモン受容体に対する抗体、必要に応じて、ベバシズマブ、シズツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブまたはトベツマブの1つまたは複数から選択される、請求項70に記載の治療用組成物。
【請求項73】
前記キナーゼ阻害剤が、アダボセルチブ、アファチニブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エヌトレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブおよびベムラフェニブの1つまたは複数から選択される、請求項55に記載の治療用組成物。
【請求項74】
それを必要とする対象における疾患または状態を処置する方法であって、前記対象に、ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片を含む治療用組成物を、必要に応じて請求項1~64のいずれか一項に記載の治療用組成物として、投与することを含み、前記少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、前記ヒトNRP2ポリペプチドのヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチドへの結合をモジュレートする(例えば、妨げる)、方法。
【請求項75】
前記疾患または状態が、NRP2関連疾患または状態である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記疾患または状態が、がん、ならびにがん細胞の成長、惹起、遊走、接着、浸潤、化学耐性および/または転移を含むがんに関連する疾患および経路;移植片対宿主病(GVHD)などの不適切な免疫細胞の活性化または遊走に関連する疾患を含む、炎症、自己免疫および関連する炎症性疾患に関連する疾患;例えば、浮腫、リンパ浮腫、二次性リンパ浮腫、不適切な脂肪吸収および沈着、過度の脂肪沈着ならびに血管透過性を含む、リンパ管発生、リンパ管腫、リンパ脈管新生およびリンパ管損傷に関連する疾患;潜伏感染を含む、感染に関連する疾患;例えば、慢性閉塞性肺障害(COPD)、好中球性喘息、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連全身性血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、インフラマソーム関連疾患、および壊疽性膿皮症などの皮膚関連好中球媒介疾患を含む、アレルギー性障害/疾患、アレルギー反応に関連する疾患;サルコイドーシスおよび肉芽腫を含む、肉芽腫性炎症疾患に関連する疾患;線維性疾患、線維症、内皮間葉転換(EMT)および創傷治癒を含む、線維症に関連する疾患;不適切な平滑筋収縮性、平滑筋の代償および代償不全、ならびに不適切な血管平滑筋細胞の遊走および接着に関連する疾患;不適切なオートファジー、ファゴサイトーシスおよびエフェロサイトーシスに関連する疾患;不適切な遊走細胞移動に関連する疾患;神経疾患、末梢神経系リモデリングおよび痛覚に関連する疾患;ならびに骨発生および骨リモデリングに関連する疾患の1つまたは複数から選択される、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記疾患が、がんであり、必要に応じて、前記がんが、NRP2を発現または過剰発現し、必要に応じて、前記がんが、NRP2依存性成長、NRP2依存性接着、NRP2依存性遊走および/またはNRP2依存性浸潤を示す、請求項74または75に記載の方法。
【請求項78】
前記がんが、NRP2を発現または過剰発現するが、ニューロピリン-1(NRP1)を実質的に発現しない、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
それを必要とする対象におけるがんの再発を低減または予防するための方法であって、前記治療用組成物の投与が、前記がんに対する免疫記憶の発生を可能にする、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記対象が、リンパ浮腫を有する、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記対象に、請求項46~64のいずれか一項に従って必要に応じて定義される、がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの追加薬剤を投与することを含む、請求項74~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片および前記少なくとも1つの薬剤が、別々の組成物として、別々に投与される、請求項71に記載の方法。
【請求項83】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体および前記少なくとも1つの薬剤が、同じ治療用組成物の一部として、必要に応じて請求項46~64のいずれか一項に記載の治療用組成物として、一緒に投与される、請求項71に記載の方法。
【請求項84】
前記がん免疫療法剤が、免疫チェックポイントモジュレート剤、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカインおよび細胞に基づく免疫療法の1つまたは複数から選択される、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記免疫チェックポイントモジュレート剤が、ポリペプチド、必要に応じて、抗体もしくはその抗原結合性断片またはリガンドまたは低分子である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記免疫チェックポイントモジュレート剤が、
(a)阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニスト;または
(b)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト
を含み、
必要に応じて、前記免疫チェックポイントモジュレート剤が、前記免疫チェックポイント分子に特異的に結合する、
請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
前記阻害性免疫チェックポイント分子が、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、CD160、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、ならびにIgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)の1つまたは複数から選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記アンタゴニストが、PD-L1および/もしくはPD-L2に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)およびデュルバルマブ(MEDI4736)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-L1および/またはPD-L2のアンタゴニストであって、必要に応じて、前記がんが、結腸直腸がん、黒色腫、乳がん、非小細胞肺癌、膀胱がんおよび腎細胞癌の1つまたは複数から選択されるか;
前記アンタゴニストが、PD-1に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MK-3475、AMP-224、AMP-514、PDR001およびピディリズマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-1のアンタゴニストであって、必要に応じて、前記PD-1アンタゴニストがニボルマブであり、前記がんが、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、肝細胞癌、腎細胞癌および卵巣がんの1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
前記PD-1のアンタゴニストが、ペムブロリズマブであって、前記がんが、黒色腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、頭頸部がんおよび尿路上皮がんの1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
前記アンタゴニストが、CTLA-4に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、イピリムマブ、トレメリムマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCTLA-4のアンタゴニストであって、必要に応じて、前記がんが、黒色腫、前立腺がん、肺がんおよび膀胱がんの1つまたは複数から選択されるか;
前記アンタゴニストが、IDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸およびエパカドスタットの1つまたは複数から必要に応じて選択されるIDOのアンタゴニストであって、前記がんが、転移性乳がん、および脳がん、必要に応じて、多形神経膠芽腫、神経膠腫、膠肉腫または悪性脳腫瘍の1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
前記アンタゴニストが、TDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、680C91およびLM10の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTDOのアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、TIM-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIM-3のアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、LAG-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子およびBMS-986016の1つまたは複数から必要に応じて選択されるLAG-3のアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、VISTAに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるVISTAのアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、BTLA、CD160および/もしくはHVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるBTLA、CD160および/またはHVEMのアンタゴニストであるか;
前記アンタゴニストが、TIGITに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIGITのアンタゴニストである、
請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記刺激性免疫チェックポイント分子が、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226およびヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)の1つまたは複数から選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記アゴニストが、OX40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、OX86、Fc-OX40LおよびGSK3174998の1つまたは複数から必要に応じて選択されるOX40のアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob7/4、ADC-1013およびrhCD40Lの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD40のアゴニストであって、前記がんが、黒色腫、膵臓癌、中皮腫、および血液がん、必要に応じて、非ホジキンリンパ腫などのリンパ腫の1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
前記アゴニストが、GITRに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、INCAGN01876、DTA-1およびMEDI1873の1つまたは複数から必要に応じて選択されるGITRのアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD137に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、ウトミルマブおよび4-1BBリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD137のアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD27に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、バルリルマブおよびCDX-1127(1F5)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD27のアゴニストであるか;
前記アゴニストが、CD28に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドおよびTAB08の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD28のアゴニストであるか;ならびに/または
前記アゴニストが、HVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるHVEMのアゴニストである、
請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記がんワクチンが、オンコファージ、ヒトパピローマウイルスHPVワクチン、必要に応じて、GardasilもしくはCervarix、B型肝炎ワクチン、必要に応じて、Engerix-B、Recombivax HBもしくはTwinrix、およびsipuleucel-T(Provenge)の1つもしくは複数から選択されるか、またはヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例えば、VEGF-A)、VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(またはCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10BまたはTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍において発現するジシアロガングリオシド)、グリピカン-3(GPC3)およびメソテリンの1つまたは複数から選択されるがん抗原を含み、必要に応じて、前記対象が、対応するがん抗原を含むがんを有するか、またはそれを有するリスクがある、請求項84に記載の方法。
【請求項92】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、タリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、Oncorine(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NISおよびDNX-2401の1つまたは複数から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項93】
前記サイトカインが、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の1つまたは複数から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項94】
前記細胞に基づく免疫療法剤が、がん抗原特異的T細胞、必要に応じて、ex vivo由来T細胞を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項95】
前記がん抗原特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞およびT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ならびにペプチド誘導T細胞の1つまたは複数から選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1つの化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(I型またはII型)および抗微小管剤の1つまたは複数から選択される、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記アルキル化剤が、ナイトロジェンマスタード(必要に応じて、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファン)、ニトロソウレア(必要に応じて、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシン)、テトラジン(必要に応じて、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミド)、アジリジン(必要に応じて、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ))、シスプラチンおよびその誘導体(必要に応じて、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)および非古典的アルキル化剤(必要に応じて、プロカルバジンおよびヘキサメチルメラミン)の1つまたは複数から選択されるか;
前記代謝拮抗剤が、葉酸代謝拮抗剤(必要に応じて、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(必要に応じて、5-フルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシドアナログ(必要に応じて、アンシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンおよびペントスタチン)およびチオプリン(必要に応じて、チオグアニンおよびメルカプトプリン)の1つまたは複数から選択されるか;
前記細胞傷害性抗生物質が、アントラサイクリン(必要に応じて、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシンおよびミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンおよびアクチノマイシンの1つまたは複数から選択されるか;
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンの1つまたは複数から選択されるか;ならびに/または
前記抗微小管剤が、タキサン(必要に応じて、パクリタキセルおよびドセタキセル)およびビンカアルカロイド(必要に応じて、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の1つまたは複数から選択される、
請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも1つのホルモン治療剤が、ホルモンアゴニストまたはホルモンアンタゴニストである、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記ホルモンアゴニストが、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(必要に応じて、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子およびリンパ脈管新生因子(必要に応じて、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲンならびにソマトスタチンアナログの1つまたは複数から選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記ホルモンアンタゴニストが、ホルモン合成阻害剤、必要に応じて、アロマターゼ阻害剤またはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)もしくはそのアナログ、およびホルモン受容体アンタゴニスト、必要に応じて、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)もしくは抗アンドロゲン剤、またはホルモン受容体に対する抗体、必要に応じて、シズツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブまたはトベツマブの1つまたは複数から選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記キナーゼ阻害剤が、アダボセルチブ、アファチニブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エヌトレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブおよびベムラフェニブの1つまたは複数から選択される、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記がんが、原発がんである、請求項76~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記がんが、転移性がん、必要に応じて、NRP2aおよび/またはNRP2bを発現する転移性がんである、請求項76~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記がんが、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、膵臓がん、骨がん、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、中皮腫、白血病(例えば、リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、再発性急性骨髄性白血病)、リンパ腫、肝細胞腫(肝細胞癌)、肉腫、B細胞悪性腫瘍、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、神経膠腫、多形神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、膀胱がん、子宮がん、食道がん、脳がん、頭頸部がん、子宮頸がん、精巣がん、甲状腺がんおよび胃がんの1つまたは複数から選択される、請求項76~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記転移性がんが、
(a)骨、肝臓および/または肺に転移した膀胱がん;
(b)骨、脳、肝臓および/または肺に転移した乳がん;
(c)肝臓、肺および/または腹膜に転移した結腸直腸がん;
(d)副腎、骨、脳、肝臓および/または肺に転移した腎臓がん;
(e)副腎、骨、脳、肝臓および/または他の肺部位に転移した肺がん;
(f)骨、脳、肝臓、肺および/または皮膚/筋肉に転移した黒色腫;
(g)肝臓、肺および/または腹膜に転移した卵巣がん;
(h)肝臓、肺および/または腹膜に転移した膵臓がん;
(i)副腎、骨、肝臓および/または肺に転移した前立腺がん;
(j)肝臓、肺および/または腹膜に転移した胃がん;
(l)骨、肝臓および/または肺に転移した甲状腺がん;ならびに
(m)骨、肝臓、肺、腹膜および/または腟に転移した子宮がん
の1つまたは複数から選択される、請求項103または104に記載の方法。
【請求項106】
前記対象が、結合型または遊離型のいずれかで、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団のレベルと比べて、少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)の増加した循環もしくは血清レベル、必要に応じて、約もしくは少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000もしくは5000pMの前記少なくとも1つのNRP2リガンド、または約もしくは少なくとも約30~100、40~100、50~100、30~2000、40~2000、50~2000、60~2000、70~2000、80~2000、90~2000、100~2000、200~2000、300~2000、400~2000、500~2000、600~2000、700~2000、800~2000、900~2000、1000~2000、2000~3000、3000~4000もしくは4000~5000pMの前記少なくとも1つのNRP2リガンドを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される、請求項74~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記対象が、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)および/もしくはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現に関連する疾患を有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択され、必要に応じて、がんが、非癌性対照の細胞または組織と比べて、必要に応じて、前記がんと同じ種類の非癌性の細胞または組織と比べて、前記少なくとも1つのNRP2リガンドおよび/またはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現を有し、必要に応じて、前記HRSポリペプチドが、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8およびHisRSC9から選択されるスプライスバリアントである、請求項74~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記対象が、結合型または遊離型のいずれかで、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団のレベルと比べて、可溶性ニューロピリン2(NRP2)ポリペプチド(必要に応じて、表N1から選択される)の増加した循環もしくは血清レベル、必要に応じて、約もしくは少なくとも約10、20、30、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000、5000pMの前記可溶性NRP2ポリペプチドの循環もしくは血清レベル、または必要に応じて、約30~50、50~100、100~2000、200~2000、300~2000、400~2000、500~2000、600~2000、700~2000、800~2000、900~2000、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000pMの前記可溶性NRP2ポリペプチドの循環もしくは血清レベルを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される、請求項74~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記対象が、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、NRP2ポリペプチド(必要に応じて、表N1から選択される)および/もしくはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現に関連する疾患を有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択され、必要に応じて、がんが、非癌性対照の細胞または組織と比べて、必要に応じて、前記がんと同じ種類の非癌性の細胞または組織と比べて、NRP2ポリペプチド(必要に応じて、表N1から選択される)および/またはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現を有する、請求項74~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記対象が、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、NRP2aおよび/もしくはNRP2bの増加したレベルまたは発現、あるいはNRP2a:NRP2b発現の変更された比に関連する疾患を有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択される、請求項74~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記NRP2bのレベルが、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比較して、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%増加する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団が、薬物耐性、転移の可能性、攻撃性、遺伝子シグネチャー(必要に応じて、p53突然変異、PTEN欠失、IGFR発現)および/または発現パターンなどの特異的特徴を含む、前記がんと同じ種類の癌性もしくは非癌性の細胞または組織の年齢対応試料についての平均範囲を含む、請求項106~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記対象が、健康もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、HRS:NRP2複合体の増加した循環レベルを有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択される、請求項74~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体を、約500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pMもしくは10pM、または約500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pMもしくは10pM未満の可溶性NRP2ポリペプチドの平均の持続的な血清または循環レベルを達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む、請求項74~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体を、HRS:NRP2複合体の循環レベルの低減、必要に応じて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95、99または100%の低減を達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む、請求項74~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、前記がんに対する免疫応答を、対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する、請求項74~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、前記がんのin vitro成長の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する、請求項74~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、前記がんの基質へのin vitro接着を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減し、必要に応じて、前記基質が、ラミニンを含む、請求項74~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、前記がんの侵襲性を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する、請求項74~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、前記がんの遊走または運動の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く阻害する、請求項74~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、前記がんもしくは関連免疫細胞のオートファジーまたはエンドソーム突然変異(必要に応じて、エンドソーム酸性化)の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く阻害する、請求項74~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤の1つまたは複数から選択される追加薬剤に対する前記がんの感受性を、前記追加薬剤単独と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する、請求項74~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体が、前記がん免疫療法剤の抗腫瘍活性および/または免疫刺激活性を、前記がん免疫療法剤単独と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する、請求項74~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記少なくとも1つの抗NRP2抗体を、約1nM~約1μM、約1nM~約100nM、約1nM~約10nMまたは約1nM~約3μMの前記少なくとも1つの抗NRP2抗体の定常状態濃度または平均循環濃度を達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む、請求項74~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
患者ケアキットであって、
(a)ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片;ならびに必要に応じて
(b)がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1つの追加薬剤
を含む、患者ケアキット。
【請求項126】
(a)および(b)が、別々の治療用組成物中にある、請求項125に記載の患者ケアキット。
【請求項127】
(a)および(b)が、同じ治療用組成物中にある、請求項125に記載の患者ケアキット。
【請求項128】
前記少なくとも1つの化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(I型またはII型)および抗微小管剤の1つまたは複数から選択される、請求項125~127のいずれか一項に記載の患者ケアキット。
【請求項129】
前記アルキル化剤が、ナイトロジェンマスタード(必要に応じて、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファン)、ニトロソウレア(必要に応じて、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシン)、テトラジン(必要に応じて、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミド)、アジリジン(必要に応じて、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ))、シスプラチンおよびその誘導体(必要に応じて、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)および非古典的アルキル化剤(必要に応じて、プロカルバジンおよびヘキサメチルメラミン)の1つまたは複数から選択されるか;
前記代謝拮抗剤が、葉酸代謝拮抗剤(必要に応じて、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(必要に応じて、5-フルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシドアナログ(必要に応じて、アンシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンおよびペントスタチン)およびチオプリン(必要に応じて、チオグアニンおよびメルカプトプリン)の1つまたは複数から選択されるか;
前記細胞傷害性抗生物質が、アントラサイクリン(必要に応じて、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシンおよびミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンおよびアクチノマイシンの1つまたは複数から選択されるか;
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンの1つまたは複数から選択されるか;ならびに/または
前記抗微小管剤が、タキサン(必要に応じて、パクリタキセルおよびドセタキセル)およびビンカアルカロイド(必要に応じて、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の1つまたは複数から選択される、
請求項128に記載の患者ケアキット。
【請求項130】
前記少なくとも1つのホルモン治療剤が、ホルモンアゴニストまたはホルモンアンタゴニストである、請求項125~127のいずれか一項に記載の患者ケアキット。
【請求項131】
前記ホルモンアゴニストが、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(必要に応じて、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子およびリンパ脈管新生因子(必要に応じて、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲンならびにソマトスタチンアナログの1つまたは複数から選択される、請求項130に記載の患者ケアキット。
【請求項132】
前記ホルモンアンタゴニストが、ホルモン合成阻害剤、必要に応じて、アロマターゼ阻害剤またはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)もしくはそのアナログ、およびホルモン受容体アンタゴニスト、必要に応じて、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)もしくは抗アンドロゲン剤、またはホルモン受容体に対する抗体、必要に応じて、シズツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブまたはトベツマブの1つまたは複数から選択される、請求項130に記載の患者ケアキット。
【請求項133】
前記キナーゼ阻害剤が、アダボセルチブ、アファチニブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エヌトレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブおよびベムラフェニブの1つまたは複数から選択される、請求項125~127のいずれか一項に記載の患者ケアキット。
【請求項134】
バイオアッセイシステムであって、必要に応じて請求項1~51のいずれか一項に従って定義される、実質的に純粋な抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片、およびヒトNRP2ポリペプチドを細胞表面で発現する宿主細胞系を含む、バイオアッセイシステム。
【請求項135】
前記NRP2ポリペプチドが、検出可能な標識で標識されている、請求項134に記載のバイオアッセイシステム。
【請求項136】
前記抗NRP2抗体が、検出可能な標識で標識されている、請求項134または135に記載のバイオアッセイシステム。
【請求項137】
前記NRP2ポリペプチドが、前記NRP2ポリペプチドの生物活性の蛍光もしくは発光の指標などの読み出しまたは指標に機能的に連結されている、請求項134~136のいずれか一項に記載のバイオアッセイシステム。
【請求項138】
前記NRP2ポリペプチドが、表N1から選択される、請求項134~137のいずれか一項に記載のバイオアッセイシステム。
【請求項139】
少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択されるNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド)を含み、必要に応じて、前記宿主細胞が、前記少なくとも1つのNRP2リガンドを発現する、請求項134~138のいずれか一項に記載のバイオアッセイシステム。
【請求項140】
前記HRSポリペプチドが、表H1から選択され、必要に応じて、前記HRSポリペプチドが、HRSスプライスバリアント、必要に応じて、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8およびHisRSC9から選択されるHRSスプライスバリアントを含む、請求項139に記載のバイオアッセイシステム。
【請求項141】
前記少なくとも1つのNRP2リガンドが、表N2または表N3から選択される、請求項139または140に記載のバイオアッセイシステム。
【請求項142】
検出システムであって、ヒトニューロピリン2(NRP2)ポリペプチドを発現する細胞、少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択される組換えNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド)、および必要に応じて請求項1~51のいずれか一項に従って定義されるヒトまたはヒト化抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片を含み、前記NRP2ポリペプチドおよび前記少なくとも1つのNRP2リガンドの間の相互作用をモジュレートする、検出システム。
【請求項143】
前記抗NRP2抗体が、検出可能な標識で標識されている、請求項142に記載の検出システム。
【請求項144】
前記NRP2ポリペプチドが、表N1から選択される、請求項142または143に記載の検出システム。
【請求項145】
前記HRSポリペプチドが、表H1から選択されるHRSスプライスバリアント、必要に応じて、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8およびHisRSC9から選択されるHRSスプライスバリアントを含む、請求項142~144のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項146】
前記少なくとも1つのNRP2リガンドが、表N2または表N3から選択される、請求項142~145のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項147】
前記NRP2ポリペプチドおよび/または前記少なくとも1つのNRP2リガンドが、前記NRP2ポリペプチドもしくは前記少なくとも1つのNRP2リガンドの生物活性の蛍光もしくは発光の指標などの読み出しまたは指標に機能的に連結されている、請求項142~146のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項148】
診断システムであって、ニューロピリン2(NRP2)ポリペプチドを含む細胞、および前記NRP2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択されるNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド)を含み、前記細胞が、前記少なくとも1つのNRP2リガンドとの相互作用に応答して前記NRP2ポリペプチドのレベルまたは活性の変化を示す指標分子を含む、診断システム。
【請求項149】
細胞組成物であって、少なくとも1つの細胞が、必要に応じて請求項1~51のいずれか一項に従って定義されるヒトもしくはヒト化抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む操作された細胞の集団を含み、前記細胞が、無血清培地中で成長することができる、細胞組成物。
【請求項150】
細胞成長デバイスであって、必要に応じて請求項1~51のいずれか一項に従って定義されるヒトもしくはヒト化抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片、少なくとも1つの細胞が、前記抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む操作された細胞の集団、少なくとも約10リットルの無血清成長培地、および滅菌容器を含む、細胞成長デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2020年5月14日に出願された米国仮出願第63/024,960号および2019年10月3日に出願された米国仮出願第62/910,042号に対する米国特許法第119条(e)の利益を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に関する陳述
本出願に関する配列表は、紙の写しの代わりにテキストフォーマットで提供され、これにより、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、ATYR_136_02WO_ST25.txtである。テキストファイルは、約261KBであり、2020年10月2日に作成され、EFS-Web経由で電子的に提出されている。
【背景技術】
【0003】
背景
技術分野
本開示の実施形態は、ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する、親和性成熟され、ヒト化された抗体およびその抗原結合性断片に関し、ヒトNRP2および少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合相互作用をモジュレートし、それによってその後のNRP2が媒介する下流のシグナル伝達事象をモジュレートするものを含み、NRP2活性をモジュレートするため、およびNRP2関連疾患などの疾患を処置するための関連する治療用組成物および方法を含む。
【0004】
関連する分野の説明
最近の研究開発は、tRNAシンテターゼが、タンパク質合成におけるそれらの十分に特徴付けられた役割を超えて、細胞応答における重要な役割を果たすことを示唆している。特に、tRNAシンテターゼが、細胞内および細胞外の両方の環境において、細胞ストレスおよび組織ホメオスタシスに応答して、ある範囲のいまだに認識されていない役割に関与しているという認識が高まっている。
【0005】
推定上の細胞受容体であるニューロピリン-2(NRP2またはNRP-2)の特定を含む、細胞外HARS誘導タンパク質の役割の解明において著しい伸展がある。HARSとNRP2との相互作用は、HARSのN末端領域によって媒介されると思われ、NRP2の細胞機能における重要な変化をもたらし得る。
【0006】
したがって、この新たな調節の経路の最新の発見は、例えば、軸索ガイダンス、エンドサイトーシス、細胞遊走、増殖、生存、アポトーシス、リンパ脈管新生、細胞分化およびがんの惹起、成長、転移および化学耐性に直接関連する細胞接着、ならびに筋肉、血管、神経、骨および免疫ホメオスタシスを含む細胞プロセスの中心的な調節因子として働く、これまでに未知の機序を表す。これらのプロセスのいずれかの調節解除は、多種多様な疾患をもたらす場合があり、これは、ニューロピリン-2軸を選択的に標的にする抗NRP2抗体の開発によって対処され得る。本開示は、そのような抗体および関連する実施形態を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔な概要
本開示の実施形態は、ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその抗原結合性断片(抗NRP2抗体)を含む。
【0008】
ある特定の実施形態は、ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片(抗NRP2抗体)を含む治療用組成物であって、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する、表A1または表A3から選択される相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列、ならびにそれらのバリアントを含む、重鎖可変領域(V)配列;ならびにヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する、表A1または表A3から選択される相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列、ならびにそれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域(V)配列を含む、治療用組成物を含む。
【0009】
一部の実施形態では、
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号1~3およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号4~6およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号7~9およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号10~12およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号13~15およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号16~18およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号19~21およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号22~24およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号25~27およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号28~30およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号31~33およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号34~36およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号34~39およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号40~42およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号57~59およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号60~62およびそれらのバリアントを含むか;または
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号63~65およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、それぞれ、配列番号66~68およびそれらのバリアントを含む。
【0010】
一部の実施形態では、V配列は、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99または100%同一であり、必要に応じて、V配列は、フレームワーク領域中に1、2、3、4または5つの変更を有する。一部の実施形態では、V配列は、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99または100%同一であり、必要に応じて、V配列は、フレームワーク領域中に1、2、3、4または5つの変更を有する。
【0011】
一部の実施形態では、
配列が、配列番号43と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号44と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号45と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号46と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号47と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号48と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号49と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号50と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号51と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号52と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号53と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号54と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号55と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号56と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号69と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号70と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;
配列が、配列番号71と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号72と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含むか;または
配列が、配列番号73と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含み、V配列が、配列番号74と少なくとも80、85、90、95、97、98、99もしくは100%同一の配列を含む。
【0012】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、全長ヒトNRP2ポリペプチドまたは表N1から選択されるヒトNRP2ポリペプチドに、必要に応じて、約10pM~約500pMもしくは約10pM~約50nM、または約、少なくとも約、もしくは多くても約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、もしくは50nMの親和性で、あるいは必要に応じて、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、もしくは約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、もしくは約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、もしくは約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、もしくは約25nM~約50nMの範囲である親和性で、特異的に結合し、必要に応じて、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、そのネイティブ形態においてヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合するが、その変性形態でヒトNRP2ポリペプチドに実質的に結合しない。
【0013】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンb1ドメイン、ニューロピリンa1ドメイン、ニューロピリンa2ドメイン、ニューロピリンb2ドメイン、ニューロピリンcドメイン、ニューロピリンa1/a2複合ドメイン、ニューロピリンb1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1複合ドメイン、ニューロピリンb2/c複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1/b2/c複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1/b2/c複合ドメインおよびニューロピリンb1/b2/c複合ドメインの1つまたは複数から選択されるニューロピリンドメイン中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、約10pM~約500pMもしくは約10pM~約50nM、または約、少なくとも約、もしくは多くても約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、もしくは50nMの親和性で、あるいは必要に応じて、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、もしくは約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、もしくは約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、もしくは約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、もしくは約25nM~約50nMの範囲である親和性で、特異的に結合する。
【0014】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンa1ドメイン、ニューロピリンa2ドメインおよび/またはニューロピリンa1a2複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、
(ニューロピリンa1ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基20~148、30~141、40~141、50~141、60~141、70~141、80~141、90~141、100~141、110~141、120~141、130~141;20~130、20~120、20~110、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、もしくは20~30;
(ニューロピリンa2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基142~280、150~265、160~265、170~265、180~265、190~265、200~265、210~265、220~265、230~265、240~265、250~265、260~265、141~270、141~260、141~250、141~240、141~230、141~220、141~210、141~200、141~190、141~180、141~170、141~160、141~150、200~250、210~250、220~250、230~250、200~240、210~240、220~240、230~240、227~247、228~247、229~247、230~247、231~247、232~247、233~247、234~247、235~247、236~247;227~246、227~245、227~244、227~243、227~242、227~241、227~240、227~239、227~238;235~240、236~239、236~238、もしくは残基237;または
(複合a1a2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基20~280、30~280、40~280、50~280、60~280、70~280、80~280、90~280、100~280、110~280、120~280、130~280、140~280、150~280、160~280、170~280、180~280、190~280、200~280、210~280、220~280、230~280、240~280、260~280、270~280、20~270、20~260、20~250、20~240、20~230、20~220、20~210、20~200、20~190、20~180、20~170、20~160、20~150、20~140、20~130、20~120、20~110、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、もしくは20~30
の付近で、特異的に結合する。
【0015】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンb1ドメイン、ニューロピリンb2ドメインおよび/またはニューロピリンb1/b2複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、
(ニューロピリンb1ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基299~420、266~426、280~426、290~426、300~426、310~426、320~426、330~426、340~426、350~426、360~426、370~426、380~426、390~426、400~426、410~426、420~426、280~420、280~410、280~400、280~390、280~380、280~370、280~360、280~350、280~340、280~330、280~320、280~310、280~300、もしくは280~290、必要に応じて、エピトープは、ヒトNRP2前駆体配列によって定義される、残基299Y、354Nおよび/もしくは416Sの1、2もしくは3つを含む不連続エピトープである;
(ニューロピリンb2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基438~591、450~591、460~591、470~591、480~591、490~591、500~591、510~591、520~591、530~591、540~591、550~591、560~591、570~591、580~591、438~590、438~580、438~570、438~560、438~550、438~540、438~530、438~520、438~510、438~500、438~490、438~480、438~470、438~460、もしくは438~450;または
(ニューロピリンb1/b2複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基266~591、276~591、286~591、296~591、306~591、316~591、326~591、336~591、346~591、356~591、366~591、376~591、386~591、396~591、406~591、416~591、426~591、436~591、446~591、456~591、466~591、476~591、486~591、498~591、508~591、518~591、528~591、538~591、548~591、558~591、568~591、578~591、588~591、266~581、266~571、266~561、266~551、266~541、266~531、266~521、266~511、266~501、266~491、266~481、266~471、266~461、266~451、266~441、266~431、266~421、266~411、266~401、266~391、266~381、266~371、266~361、266~351、266~341、266~331、266~321、266~311、266~301、266~291、266~281、もしくは266~271
の付近で、特異的に結合する。
【0016】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンa2/b1複合ドメインおよび/またはニューロピリンb2c複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、
(ニューロピリンa2b1複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基149~437、159~426、169~426、179~426、189~426、199~426、209~426、219~426、229~426,239~426、249~426、259~426、269~426、279~426、289~426、299~426、309~426、319~426、329~426、339~426、349~426、359~426、369~426、379~426、389~426、399~426、409~426、419~426、149~436、149~426、149~416、149~406、149~396、149~386、149~376、149~366、149~356、149~346、149~336、149~326、149~316、149~306、149~296、149~286、149~276、149~266、149~256、149~246、149~236、149~226、149~216、149~206、149~196、146~186、146~176、146~166、もしくは146~155;または
(ニューロピリンb2c複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基438~794、448~794、458~794、468~794、478~794、487~794、497~794、507~794、517~794、527~794、537~794、547~794、557~794、567~794、587~794、597~794、607~794、617~794、627~794、637~794、647~794、657~794、667~794、677~794、687~794、697~794、707~794、717~794、727~794、737~794、747~794、757~794、767~794、777~794、787~794、427~794、438~784、438~774、438~764、438~754、438~744、438~734、438~728、438~714、438~704、438~694、438~684、438~674、438~664、438~654、438~644、438~634、438~624、438~614、438~604、438~596、438~586、438~576、438~566、438~556、438~546、438~536、438~526、438~516、438~506、438~494、438~484、438~474、438~464、438~454、438~444
の付近で、特異的に結合する。
【0017】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンcドメインおよび隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基591~794、600~794、610~794、620~794、630~794、640~794、650~794、660~794、670~794、680~794、690~794、700~794、710~794、720~794、730~794、740~794、750~794、760~794、770~794、780~794、790~794、591~790、591~780、591~770、591~760、591~750、591~740、591~730、591~720、591~710、591~700、591~690、591~680、591~670、591~660、591~650、591~640、591~630、591~620、591~610、もしくは591~600の付近で、特異的に結合する。
【0018】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンb1/b2/c複合ドメインおよび隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、必要に応じて、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基276~794、286~794、296~794、306~794、316~794、326~794、336~794、346~794、356~794、366~794、376~794、387~794、396~794、406~794、416~794、426~794、436~794、446~794、456~794、466~794、476~794、486~794、496~794、506~794、516~794、526~794、536~794、546~794、556~794、566~794、576~794、586~794、596~794、606~794、616~794、626~794、636~794、646~794、656~794、666~794、676~794、686~794、696~794、706~794、716~794、726~794、736~794、746~794、756~794、766~794、776~794、786~794、266~794、276~784、276~774、276~764、276~754、276~744、276~734、276~724、276~714、276~704、276~694、276~684、276~674、276~664、276~654、276~644、276~634、276~624、276~614、276~604、276~594、276~584、276~574、276~564、276~554、276~544、276~534、276~524、276~514、276~504、276~594、276~584、276~574、276~564、276~554、276~544、276~534、276~524、276~514、276~504、もしくは276~496の付近で、特異的に結合する。
【0019】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、必要に応じて、NRP2aの膜近傍ドメイン(バリアント1)、NRP2aの膜近傍ドメイン(バリアント2)、NRP2aの膜近傍ドメイン(バリアント3)、NRP2bの膜近傍ドメイン(バリアント4)およびNRP2bの膜近傍ドメイン(バリアント5)、ならびにそれらの組合せの1つまたは複数から選択される膜近傍ドメイン(表N1を参照されたい)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。
【0020】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、2つまたはそれよりも多くの不連続エピトープ領域から構成される立体構造エピトープに特異的に結合し、必要に応じて、立体構造エピトープは、
(a)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびa2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(b)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb1ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(c)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(d)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(e)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(f)ヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb1ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(g)ヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(h)ヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(i)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(j)ヒトNPR2ポリペプチドのb1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(k)ヒトNPR2ポリペプチドのb1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(l)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのb1ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(m)ヒトNPR2ポリペプチドのb2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(n)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのb2ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;もしくは
(o)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのcドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域
を含むか、またはそれらからなる。
【0021】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチドの少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択されるNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド、必要に応じて、SV9(HRS(1~60))、SV11(HRS(1~60)+(399~509))およびSV14(HRS(1~100)+(399~509))の1つまたは複数から選択されるHRSスプライスバリアント)への結合をモジュレートする。
【0022】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、化学量論当量でのヒトNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、ヒトNRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の理論最大結合の約または少なくとも約80~100%、必要に応じて、理論最大結合の約または少なくとも約80、85、90、95または100%を阻害する、遮断抗体である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、化学量論当量でのヒトNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、ヒトNRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の理論最大結合の約または少なくとも約20~80%、必要に応じて、理論最大結合の約または少なくとも約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80%を阻害する、部分的遮断抗体である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドのHRSポリペプチド相互作用領域に特異的に結合し、NRP2ポリペプチドに結合するHRSポリペプチドの1つまたは複数のシグナル伝達活性を模倣またはアゴナイズする。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドのHRSポリペプチド相互作用領域に特異的に結合し、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をモジュレートする。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0023】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をアゴナイズまたは増強する。一部の実施形態では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、
- VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-DおよびPIGF-2の1つまたは複数から選択されるVEGF;
- VEGFR2およびVEGFR3から選択されるVEGF受容体(VEGFR);
- SEMA3-A、SEMA-3B、SEMA-3C、SEMA-3D、SEMA-3FおよびSEMA-3Gの1つまたは複数から選択されるセマフォリン;
- プレキシンA1、A2、A3、A4およびD1の1つまたは複数から選択されるプレキシン;
- 線維芽細胞成長因子(FGF)、肝細胞成長因子(HGF)および血小板由来成長因子(PDGF)の1つまたは複数から選択される成長因子;
- 線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)、肝細胞成長因子受容体(HGFR)および血小板由来成長因子受容体(PDGF)の1つまたは複数から選択される成長因子受容体;
- ガレクチンまたはガレクチン受容体;
- FAC1およびブロモプロテインPHDフィンガー転写因子から選択される転写因子;
- GIPC1、GIPC2およびGIPC3の1つまたは複数から選択されるアダプタータンパク質;
- 表N3、必要に応じて、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβの1つまたは複数から選択されるインテグリン;
- TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3およびそれらの対応するTGFβ受容体の1つまたは複数から選択されるトランスフォーミング成長因子ベータ;ならびに
- 表H1から選択されるHRSポリペプチド、必要に応じて、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4(SV9)、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8(SV11)およびHisRSC9(SV14)の1つまたは複数から選択されるHRSスプライスバリアント
から選択される。
【0024】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよびVEGFR2またはVEGFR3またはVEGF-Cの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよびHRSポリペプチドの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよびHRSポリペプチドの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドおよびVEGFR2またはVEGFR3またはVEGF-Cの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドおよびVEGFR3の間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよび異なるリガンド、必要に応じて、HRSポリペプチドの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドおよびVEGFR3またはVEGF-Cの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0025】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、セマフォリン3のNRP2へのリガンド結合を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドおよびプレキシン受容体の間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。一部の実施形態では、プレキシン受容体は、プレキシンA1、A2、A3、A4およびD1から選択される。一部の実施形態では、セマフォリンは、セマフォリン3B、3C、3D、3Fおよび3Gから選択される。
【0026】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のa2ドメイン内の少なくとも5つの連続するアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の二量体化を実質的に阻害することなく、NRP2およびプレキシンA1の間の受容体二量体化を選択的に阻害する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2前駆体(表N1を参照されたい)のアミノ酸232~242内のエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のb1ドメインのアミノ酸299~416内に含まれる不連続エピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびプレキシンA1の間の二量体化を実質的に阻害することなく、NRP2ならびにFLT4(VEGFR3)およびKDR(VEGFR2)の間の受容体二量体化を選択的に阻害する。
【0027】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のb2ドメイン内の少なくとも5つの連続するアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の受容体二量体化を阻害し、NRP2およびプレキシンA1の間の二量体化を阻害する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のcドメイン内の少なくとも5つの連続するアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびプレキシンA1の間の受容体二量体化を阻害し、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の二量体化を部分的に阻害する。
【0028】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、(i)ヒトNRP2ポリペプチドおよび(ii)カニクイザルNRP2ポリペプチドの対応する領域のそれぞれに対する親和性(KdまたはEC50)を有し、(i)および(ii)に対する親和性は、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約0.4~約1.2nM、約0.9~約5.5nM、約0.9~約5nMまたは約1nM~約10nMの範囲内である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、(i)ヒトNRP2ポリペプチドおよび(ii)マウスNRP2ポリペプチドの対応する領域のそれぞれに対する親和性(KdまたはEC50)を有し、(i)および(ii)に対する親和性は、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nMまたは約1nM~約10nMの範囲内である。
【0029】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2のNRP2aアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント1、2および/または3)に選択的に結合し、NRP2bアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント4および/または5)に実質的に結合しない。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2bアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント4および/または5)に選択的に結合し、NRP2aアイソフォーム(必要に応じて、表N1のバリアント1、2および/または3)に実質的に結合しない。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、抗NRP2抗体の実質的に化学量論当量でのNRP2ポリペプチドとの、必要に応じて、NRP2リガンドの存在下でのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチド間のホモまたはヘテロ二量体化を、必要に応じて、約または少なくとも約20~100%(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90または100%)低減する。
【0030】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、抗NRP2抗体の実質的に化学量論当量でのNRP2ポリペプチドとの、必要に応じて、NRP2リガンドの存在下でのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチド間のホモまたはヘテロ二量体化を、必要に応じて、約または少なくとも約20~100%(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90または100%)増強する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、マウスNRP2ポリペプチドと比べて、ヒトNRP2ポリペプチド(表N1を参照されたい)に選択的に結合し、必要に応じて、ヒトNRP2ポリペプチドに対するその親和性は、マウスNRP2ポリペプチドに対するその親和性よりも、必要に応じて、約または少なくとも約2、5、10、20、30、40、50、100、500もしくは1000倍、またはそれよりも高く、著しく強い。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチドに結合し、マウスNRP2ポリペプチドに実質的に結合せず、必要に応じて、マウスNRP2ポリペプチドは、Mus musculusのNRP2ポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基299Y、354Nおよび416Sを含むb1ドメイン中のエピトープに結合する。
【0031】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)またはIgMのFcドメイン、必要に応じて、ヒトFcドメインまたはそれらのハイブリッドおよび/もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトにおいて高いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、必要に応じて、IgG1またはIgG3のFcドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトにおいて低いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、必要に応じて、IgG2またはIgG4のFcドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、必要に応じて、表F1から選択される、IgG1またはIgG4のFcドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、FcRnへの結合が変更された改変されたIgG1またはIgG4のFcドメインを含み、必要に応じて、改変されたIgG1またはIgG4のFcドメインは、YD(M252Y/T256D)、DQ(T256D/T307Q)、DW(T256D/T307W)、YTE(M252Y/S254T/T256E)、AAA(T307A/E380A/N434A)、LS(M428L/N434S)、M252Y、T256D/E、K288D/N、T307Q/W、E380C、N434FYおよび/またはY436H/N/Wの突然変異(EU番号付け)、ならびにそれらの組合せのいずれか1つまたは複数を含む。
【0032】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化抗体である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、Fv断片、一本鎖Fv(scFv)ポリペプチド、アドネクチン、アンチカリン、アプタマー、アビマー、ラクダ抗体、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、ミニボディ、ナノボディまたはユニボディである。
【0033】
一部の実施形態では、治療用組成物は、少なくとも1つの抗体または抗原結合性断片に関して、タンパク質基準で、少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%または99%の純度を有し、実質的に凝集していない。一部の実施形態では、治療用組成物は、実質的にエンドトキシンを含まない。一部の実施形態では、治療用組成物は、無菌の注射用溶液、必要に応じて、静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内の投与に好適な無菌の注射用溶液である。
【0034】
一部の実施形態では、治療用組成物は、がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの追加薬剤をさらに含む。一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、免疫チェックポイントモジュレート剤、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカインおよび細胞に基づく免疫療法の1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤は、ポリペプチド、必要に応じて、抗体もしくはその抗原結合性断片またはリガンドまたは低分子である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤は、
(a)阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニスト;または
(b)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト
を含み、
必要に応じて、免疫チェックポイントモジュレート剤は、免疫チェックポイント分子に特異的に結合する。
【0035】
一部の実施形態では、阻害性免疫チェックポイント分子は、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、CD160、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、ならびにIgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)の1つまたは複数から選択される。
【0036】
一部の実施形態では、
アンタゴニストは、PD-L1および/もしくはPD-L2に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)およびデュルバルマブ(MEDI4736)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-L1および/またはPD-L2のアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、PD-1に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MK-3475、AMP-224、AMP-514、PDR001およびピディリズマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-1のアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、CTLA-4に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、イピリムマブおよびトレメリムマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCTLA-4のアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、IDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸およびエパカドスタットの1つまたは複数から必要に応じて選択されるIDOのアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、TDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、680C91およびLM10の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTDOのアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、TIM-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIM-3のアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、LAG-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子およびBMS-986016の1つまたは複数から必要に応じて選択されるLAG-3のアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、VISTAに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるVISTAのアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、BTLA、CD160および/もしくはHVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるBTLA、CD160および/またはHVEMのアンタゴニストであるか;ならびに/あるいは
アンタゴニストは、TIGITに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIGITのアンタゴニストである。
【0037】
一部の実施形態では、刺激性免疫チェックポイント分子は、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226およびヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)の1つまたは複数から選択される。
【0038】
一部の実施形態では、
アゴニストは、OX40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、OX86、Fc-OX40LおよびGSK3174998の1つまたは複数から必要に応じて選択されるOX40のアゴニストであるか;
アゴニストは、CD40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob7/4、ADC-1013およびrhCD40Lの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD40のアゴニストであるか;
アゴニストは、GITRに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、INCAGN01876、DTA-1およびMEDI1873の1つまたは複数から必要に応じて選択されるGITRのアゴニストであるか;
アゴニストは、CD137に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、ウトミルマブおよび4-1BBリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD137のアゴニストであるか;
アゴニストは、CD27に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、バルリルマブおよびCDX-1127(1F5)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD27のアゴニストであるか;
アゴニストは、CD28に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドおよびTAB08の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD28のアゴニストであるか;ならびに/または
アゴニストは、HVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるHVEMのアゴニストである。
【0039】
一部の実施形態では、がんワクチンは、オンコファージ、ヒトパピローマウイルスHPVワクチン、必要に応じて、GardasilもしくはCervarix、B型肝炎ワクチン、必要に応じて、Engerix-B、Recombivax HBもしくはTwinrix、およびsipuleucel-T(Provenge)の1つもしくは複数から選択されるか、またはヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例えば、VEGF-A)、VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(またはCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10BまたはTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍において発現するジシアロガングリオシド)、グリピカン3(GPC3)およびメソテリンの1つもしくは複数から選択されるがん抗原を含む。
【0040】
一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、タリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、Oncorine(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NISおよびDNX-2401の1つまたは複数から選択される。
【0041】
一部の実施形態では、サイトカインは、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の1つまたは複数から選択される。
【0042】
一部の実施形態では、細胞に基づく免疫療法剤は、がん抗原特異的T細胞、必要に応じて、ex vivo由来T細胞を含む。一部の実施形態では、がん抗原特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞およびT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)ならびにペプチド誘導T細胞の1つまたは複数から選択される。
【0043】
一部の実施形態では、少なくとも1つの化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(I型またはII型)および抗微小管剤の1つまたは複数から選択される。
【0044】
一部の実施形態では、
アルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード(必要に応じて、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファン)、ニトロソウレア(必要に応じて、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシン)、テトラジン(必要に応じて、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミド)、アジリジン(必要に応じて、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ))、シスプラチンおよびその誘導体(必要に応じて、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)および非古典的アルキル化剤(必要に応じて、プロカルバジンおよびヘキサメチルメラミン)の1つまたは複数から選択されるか;
代謝拮抗剤は、葉酸代謝拮抗剤(必要に応じて、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(必要に応じて、5-フルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシドアナログ(必要に応じて、アンシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンおよびペントスタチン)およびチオプリン(必要に応じて、チオグアニンおよびメルカプトプリン)の1つまたは複数から選択されるか;
細胞傷害性抗生物質は、アントラサイクリン(必要に応じて、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシンおよびミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンおよびアクチノマイシンの1つまたは複数から選択されるか;
トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンの1つまたは複数から選択されるか;ならびに/または
抗微小管剤は、タキサン(必要に応じて、パクリタキセルおよびドセタキセル)およびビンカアルカロイド(必要に応じて、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の1つまたは複数から選択される。
【0045】
一部の実施形態では、少なくとも1つのホルモン治療剤は、ホルモンアゴニストまたはホルモンアンタゴニストである。一部の実施形態では、ホルモンアゴニストは、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(必要に応じて、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子およびリンパ脈管新生因子(必要に応じて、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲンならびにソマトスタチンアナログの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、ホルモンアンタゴニストは、ホルモン合成阻害剤、必要に応じて、アロマターゼ阻害剤またはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)もしくはそのアナログ、およびホルモン受容体アンタゴニスト、必要に応じて、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)もしくは抗アンドロゲン剤、またはホルモン受容体に対する抗体、必要に応じて、シズツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イマガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブまたはトベツマブの1つまたは複数から選択される。
【0046】
一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アダボセルチブ、アファチニブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エヌトレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブおよびベムラフェニブ(vemuafenib)の1つまたは複数から選択される。
【0047】
それを必要とする対象における疾患または状態を処置する方法であって、対象に、ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片を含む治療用組成物を、必要に応じて本明細書に記載される治療用組成物として、投与することを含み、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトNRP2ポリペプチドのヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチドへの結合をモジュレートする(例えば、妨げる)、方法も含まれる。
【0048】
一部の実施形態では、疾患または状態は、NRP2関連疾患または状態である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、ならびにがん細胞の成長、惹起、遊走、接着、浸潤、化学耐性および/または転移を含むがんに関連する疾患および経路;移植片対宿主病(GVHD)などの不適切な免疫細胞の活性化または遊走に関連する疾患を含む、炎症、自己免疫および関連する炎症性疾患に関連する疾患;例えば、浮腫、リンパ浮腫、二次性リンパ浮腫、不適切な脂肪吸収および沈着、過度の脂肪沈着ならびに血管透過性を含む、リンパ管発生、リンパ管腫、リンパ脈管新生およびリンパ管損傷に関連する疾患;潜伏感染を含む、感染に関連する疾患;例えば、慢性閉塞性肺障害(COPD)、好中球性喘息、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連全身性血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、インフラマソーム関連疾患、および壊疽性膿皮症などの皮膚関連好中球媒介疾患を含む、アレルギー性障害/疾患、アレルギー反応に関連する疾患;サルコイドーシスおよび肉芽腫を含む、肉芽腫性炎症疾患に関連する疾患;線維性疾患、線維症、内皮間葉転換(EMT)および創傷治癒を含む、線維症に関連する疾患;不適切な平滑筋収縮性、平滑筋の代償および代償不全、ならびに不適切な血管平滑筋細胞の遊走および接着に関連する疾患;不適切なオートファジー、ファゴサイトーシスおよびエフェロサイトーシスに関連する疾患;不適切な遊走細胞移動に関連する疾患;神経疾患、末梢神経系リモデリングおよび痛覚に関連する疾患;ならびに骨発生および骨リモデリングに関連する疾患の1つまたは複数から選択される。
【0049】
一部の実施形態では、疾患は、がんであり、必要に応じて、がんは、NRP2を発現または過剰発現し、必要に応じて、がんは、NRP2依存性成長、NRP2依存性接着、NRP2依存性遊走および/またはNRP2依存性浸潤を示す。一部の実施形態では、がんは、NRP2を発現または過剰発現するが、ニューロピリン-1(NRP1)を実質的に発現しない。ある特定の方法は、それを必要とする対象におけるがんの再発を低減または予防することを対象とし、治療用組成物の投与は、がんに対する免疫記憶の発生を可能にする。一部の実施形態では、対象は、リンパ浮腫を有する。
【0050】
ある特定の実施形態は、対象に、がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの追加薬剤を投与することを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片および少なくとも1つの薬剤は、別々の組成物として、別々に投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体および少なくとも1つの薬剤は、同じ治療用組成物の一部として、必要に応じて本明細書に記載される治療用組成物として、一緒に投与される。一部の実施形態では、がん免疫療法剤は、免疫チェックポイントモジュレート剤、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカインおよび細胞に基づく免疫療法の1つまたは複数から選択される。
【0051】
一部の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤は、ポリペプチド、必要に応じて、抗体もしくはその抗原結合性断片またはリガンドまたは低分子である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤は、
(a)阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニスト;または
(b)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニスト
を含み、
必要に応じて、免疫チェックポイントモジュレート剤は、免疫チェックポイント分子に特異的に結合する。
【0052】
一部の実施形態では、阻害性免疫チェックポイント分子は、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、CD160、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、ならびにIgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)の1つまたは複数から選択される。
【0053】
一部の実施形態では、
アンタゴニストは、PD-L1および/もしくはPD-L2に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)およびデュルバルマブ(MEDI4736)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-L1および/またはPD-L2のアンタゴニストであって、必要に応じて、がんは、結腸直腸がん、黒色腫、乳がん、非小細胞肺癌、膀胱がんおよび腎細胞癌の1つまたは複数から選択されるか;
アンタゴニストは、PD-1に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MK-3475、AMP-224、AMP-514、PDR001およびピディリズマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるPD-1のアンタゴニストであって、必要に応じて、PD-1アンタゴニストがニボルマブであり、がんは、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、肝細胞癌、腎細胞癌および卵巣がんの1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
PD-1のアンタゴニストは、ペムブロリズマブであって、がんは、黒色腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、頭頸部がんおよび尿路上皮がんの1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
アンタゴニストは、CTLA-4に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、イピリムマブ、トレメリムマブの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCTLA-4のアンタゴニストであって、必要に応じて、がんは、黒色腫、前立腺がん、肺がんおよび膀胱がんの1つまたは複数から選択されるか;
アンタゴニストは、IDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸およびエパカドスタットの1つまたは複数から必要に応じて選択されるIDOのアンタゴニストであって、がんは、転移性乳がん、および脳がん、必要に応じて、多形神経膠芽腫、神経膠腫、膠肉腫または悪性脳腫瘍の1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
アンタゴニストは、TDOに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子、680C91およびLM10の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTDOのアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、TIM-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIM-3のアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、LAG-3に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子およびBMS-986016の1つまたは複数から必要に応じて選択されるLAG-3のアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、VISTAに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるVISTAのアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、BTLA、CD160および/もしくはHVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるBTLA、CD160および/またはHVEMのアンタゴニストであるか;
アンタゴニストは、TIGITに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子の1つまたは複数から必要に応じて選択されるTIGITのアンタゴニストである。
【0054】
一部の実施形態では、刺激性免疫チェックポイント分子は、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226およびヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)の1つまたは複数から選択される。
【0055】
一部の実施形態では、
アゴニストは、OX40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、OX86、Fc-OX40LおよびGSK3174998の1つまたは複数から必要に応じて選択されるOX40のアゴニストであるか;
アゴニストは、CD40に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob7/4、ADC-1013およびrhCD40Lの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD40のアゴニストであって、がんは、黒色腫、膵臓癌、中皮腫、および血液がん、必要に応じて、非ホジキンリンパ腫などのリンパ腫の1つまたは複数から必要に応じて選択されるか;
アゴニストは、GITRに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、INCAGN01876、DTA-1およびMEDI1873の1つまたは複数から必要に応じて選択されるGITRのアゴニストであるか;
アゴニストは、CD137に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、ウトミルマブおよび4-1BBリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD137のアゴニストであるか;
アゴニストは、CD27に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド、バルリルマブおよびCDX-1127(1F5)の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD27のアゴニストであるか;
アゴニストは、CD28に特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドおよびTAB08の1つまたは複数から必要に応じて選択されるCD28のアゴニストであるか;ならびに/または
アゴニストは、HVEMに特異的に結合する抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドの1つまたは複数から必要に応じて選択されるHVEMのアゴニストである。
【0056】
一部の実施形態では、がんワクチンは、オンコファージ、ヒトパピローマウイルスHPVワクチン、必要に応じて、GardasilもしくはCervarix、B型肝炎ワクチン、必要に応じて、Engerix-B、Recombivax HBもしくはTwinrix、およびsipuleucel-T(Provenge)の1つもしくは複数から選択されるか、またはヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例えば、VEGF-A)、VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(またはCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10BまたはTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍において発現するジシアロガングリオシド)、グリピカン3(GPC3)およびメソテリンの1つまたは複数から選択されるがん抗原を含み、必要に応じて、対象は、対応するがん抗原を含むがんを有するか、またはそれを有するリスクがある。
【0057】
一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、タリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、Oncorine(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NISおよびDNX-2401の1つまたは複数から選択される。
【0058】
一部の実施形態では、サイトカインは、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の1つまたは複数から選択される。
【0059】
一部の実施形態では、細胞に基づく免疫療法剤は、がん抗原特異的T細胞、必要に応じて、ex vivo由来T細胞を含む。一部の実施形態では、がん抗原特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞およびT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ならびにペプチド誘導T細胞の1つまたは複数から選択される。
【0060】
一部の実施形態では、少なくとも1つの化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(I型またはII型)および抗微小管剤の1つまたは複数から選択される。
【0061】
一部の実施形態では、
アルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード(必要に応じて、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファン)、ニトロソウレア(必要に応じて、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシン)、テトラジン(必要に応じて、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミド)、アジリジン(必要に応じて、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ))、シスプラチンおよびその誘導体(必要に応じて、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)および非古典的アルキル化剤(必要に応じて、プロカルバジンおよびヘキサメチルメラミン)の1つまたは複数から選択されるか;
代謝拮抗剤は、葉酸代謝拮抗剤(必要に応じて、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(必要に応じて、5-フルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシドアナログ(必要に応じて、アンシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンおよびペントスタチン)およびチオプリン(必要に応じて、チオグアニンおよびメルカプトプリン)の1つまたは複数から選択されるか;
細胞傷害性抗生物質は、アントラサイクリン(必要に応じて、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシンおよびミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンおよびアクチノマイシンの1つまたは複数から選択されるか;
トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンの1つまたは複数から選択されるか;ならびに/または
抗微小管剤は、タキサン(必要に応じて、パクリタキセルおよびドセタキセル)およびビンカアルカロイド(必要に応じて、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の1つまたは複数から選択される。
【0062】
一部の実施形態では、少なくとも1つのホルモン治療剤は、ホルモンアゴニストまたはホルモンアンタゴニストである。一部の実施形態では、ホルモンアゴニストは、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(必要に応じて、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子およびリンパ脈管新生因子(必要に応じて、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲンならびにソマトスタチンアナログの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、ホルモンアンタゴニストは、ホルモン合成阻害剤、必要に応じて、アロマターゼ阻害剤またはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)もしくはそのアナログ、およびホルモン受容体アンタゴニスト、必要に応じて、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)もしくは抗アンドロゲン剤、またはホルモン受容体に対する抗体、必要に応じて、シズツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブまたはトベツマブの1つまたは複数から選択される。
【0063】
一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アダボセルチブ、アファチニブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エヌトレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブおよびベムラフェニブの1つまたは複数から選択される。
【0064】
一部の実施形態では、がんは、原発がんである。一部の実施形態では、がんは、転移性がん、必要に応じて、NRP2aおよび/またはNRP2bを発現する転移性がんである。一部の実施形態では、がんは、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、膵臓がん、骨がん、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、中皮腫、白血病(例えば、リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、再発性急性骨髄性白血病)、リンパ腫、肝細胞腫(肝細胞癌)、肉腫、B細胞悪性腫瘍、乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、神経膠腫、多形神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、膀胱がん、子宮がん、食道がん、脳がん、頭頸部がん、子宮頸がん、精巣がん、甲状腺がんおよび胃がんの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、転移性がんは、
(a)骨、肝臓および/または肺に転移した膀胱がん;
(b)骨、脳、肝臓および/または肺に転移した乳がん;
(c)肝臓、肺および/または腹膜に転移した結腸直腸がん;
(d)副腎、骨、脳、肝臓および/または肺に転移した腎臓がん;
(e)副腎、骨、脳、肝臓および/または他の肺部位に転移した肺がん;
(f)骨、脳、肝臓、肺および/または皮膚/筋肉に転移した黒色腫;
(g)肝臓、肺および/または腹膜に転移した卵巣がん;
(h)肝臓、肺および/または腹膜に転移した膵臓がん;
(i)副腎、骨、肝臓および/または肺に転移した前立腺がん;
(j)肝臓、肺および/または腹膜に転移した胃がん;
(l)骨、肝臓および/または肺に転移した甲状腺がん;ならびに
(m)骨、肝臓、肺、腹膜および/または腟に転移した子宮がん
の1つまたは複数から選択される。
【0065】
一部の実施形態では、対象は、結合型または遊離型のいずれかで、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団のレベルと比べて、少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)の増加した循環もしくは血清レベル、必要に応じて、約もしくは少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000もしくは5000pMの少なくとも1つのNRP2リガンド、または約もしくは少なくとも約30~100、40~100、50~100、30~2000、40~2000、50~2000、60~2000、70~2000、80~2000、90~2000、100~2000、200~2000、300~2000、400~2000、500~2000、600~2000、700~2000、800~2000、900~2000、1000~2000、2000~3000、3000~4000もしくは4000~5000pMの少なくとも1つのNRP2リガンドを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。
【0066】
一部の実施形態では、対象は、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)および/もしくはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現に関連する疾患を有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択され、必要に応じて、がんは、非癌性対照の細胞または組織と比べて、必要に応じて、がんと同じ種類の非癌性の細胞または組織と比べて、少なくとも1つのNRP2リガンドおよび/またはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現を有し、必要に応じて、HRSポリペプチドは、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8およびHisRSC9から選択されるスプライスバリアントである。
【0067】
一部の実施形態では、対象は、結合型または遊離型のいずれかで、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団のレベルと比べて、可溶性ニューロピリン2(NRP2)ポリペプチド(必要に応じて、表N1から選択される)の増加した循環もしくは血清レベル、必要に応じて、約もしくは少なくとも約10、20、30、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000、5000pMの可溶性NRP2ポリペプチドの循環もしくは血清レベル、または必要に応じて、約30~50、50~100、100~2000、200~2000、300~2000、400~2000、500~2000、600~2000、700~2000、800~2000、900~2000、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000pMの可溶性NRP2ポリペプチドの循環もしくは血清レベルを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。
【0068】
一部の実施形態では、対象は、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、NRP2ポリペプチド(必要に応じて、表N1から選択される)および/もしくはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現に関連する疾患を有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択され、必要に応じて、がんは、非癌性対照の細胞または組織と比べて、必要に応じて、がんと同じ種類の非癌性の細胞または組織と比べて、NRP2ポリペプチド(必要に応じて、表N1から選択される)および/またはそのコードmRNAの増加したレベルまたは発現を有する。
【0069】
一部の実施形態では、対象は、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、NRP2aおよび/もしくはNRP2bの増加したレベルまたは発現、あるいはNRP2a:NRP2b発現の変更された比に関連する疾患を有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択される。一部の実施形態では、NRP2bのレベルは、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比較して、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%増加する。一部の実施形態では、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団は、薬物耐性、転移の可能性、攻撃性、遺伝子シグネチャー(必要に応じて、p53突然変異、PTEN欠失、IGFR発現)および/または発現パターンなどの特異的特徴を含む、がんと同じ種類の癌性もしくは非癌性の細胞または組織の年齢対応試料についての平均範囲を含む。一部の実施形態では、対象は、健康もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、HRS:NRP2複合体の増加した循環レベルを有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択される。
【0070】
ある特定の実施形態は、少なくとも1つの抗NRP2抗体を、約500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pMもしくは10pM、または約500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pMもしくは10pM未満の可溶性NRP2ポリペプチドの平均の持続的な血清または循環レベルを達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む。ある特定の実施形態は、少なくとも1つの抗NRP2抗体を、HRS:NRP2複合体の循環レベルの低減、必要に応じて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95、99または100%の低減を達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む。
【0071】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんに対する免疫応答を、対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんのin vitro成長の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんの基質へのin vitro接着を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減し、必要に応じて、基質は、ラミニンを含む。
【0072】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんの侵襲性を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんの遊走または運動の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く阻害する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんもしくは関連免疫細胞のオートファジーまたはエンドソーム突然変異(必要に応じて、エンドソーム酸性化)の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く阻害する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤の1つまたは複数から選択される追加薬剤に対するがんの感受性を、追加薬剤単独と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がん免疫療法剤の抗腫瘍活性および/または免疫刺激活性を、がん免疫療法剤単独と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する。
【0073】
ある特定の実施形態は、少なくとも1つの抗NRP2抗体を、約1nM~約1μM、約1nM~約100nM、約1nM~約10nMまたは約1nM~約3μMの少なくとも1つの抗NRP2抗体の定常状態濃度または平均循環濃度を達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む。
【0074】
患者ケアキットであって、
(a)ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片;ならびに必要に応じて
(b)がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1つの追加薬剤
を含む、患者ケアキットも含まれる。
【0075】
一部の実施形態では、(a)および(b)は、別々の治療用組成物中にある。一部の実施形態では、(a)および(b)は、同じ治療用組成物中にある。一部の実施形態では、少なくとも1つの化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(I型またはII型)および抗微小管剤の1つまたは複数から選択される。
【0076】
一部の実施形態では、
アルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード(必要に応じて、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファン)、ニトロソウレア(必要に応じて、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシン)、テトラジン(必要に応じて、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミド)、アジリジン(必要に応じて、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ))、シスプラチンおよびその誘導体(必要に応じて、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)および非古典的アルキル化剤(必要に応じて、プロカルバジンおよびヘキサメチルメラミン)の1つまたは複数から選択されるか;
代謝拮抗剤は、葉酸代謝拮抗剤(必要に応じて、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(必要に応じて、5-フルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシドアナログ(必要に応じて、アンシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンおよびペントスタチン)およびチオプリン(必要に応じて、チオグアニンおよびメルカプトプリン)の1つまたは複数から選択されるか;
細胞傷害性抗生物質は、アントラサイクリン(必要に応じて、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシンおよびミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンおよびアクチノマイシンの1つまたは複数から選択されるか;
トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンの1つまたは複数から選択されるか;ならびに/または
抗微小管剤は、タキサン(必要に応じて、パクリタキセルおよびドセタキセル)およびビンカアルカロイド(必要に応じて、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の1つまたは複数から選択される。
【0077】
一部の実施形態では、少なくとも1つのホルモン治療剤は、ホルモンアゴニストまたはホルモンアンタゴニストである。一部の実施形態では、ホルモンアゴニストは、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(必要に応じて、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子およびリンパ脈管新生因子(必要に応じて、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲンならびにソマトスタチンアナログの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、ホルモンアンタゴニストは、ホルモン合成阻害剤、必要に応じて、アロマターゼ阻害剤またはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)もしくはそのアナログ、およびホルモン受容体アンタゴニスト、必要に応じて、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)もしくは抗アンドロゲン剤、またはホルモン受容体に対する抗体、必要に応じて、シズツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブまたはトベツマブの1つまたは複数から選択される。
【0078】
一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、アダボセルチブ、アファチニブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エヌトレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブおよびベムラフェニブの1つまたは複数から選択される。
【0079】
バイオアッセイシステムであって、必要に応じて本明細書に定義される実質的に純粋な抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片、およびヒトNRP2ポリペプチドを細胞表面で発現する宿主細胞系を含む、バイオアッセイシステムも含まれる。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、検出可能な標識で標識されている。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、検出可能な標識で標識されている。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、NRP2ポリペプチドの生物活性の蛍光もしくは発光の指標などの読み出しまたは指標に機能的に連結されている。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、表N1から選択される。ある特定のバイオアッセイシステムは、少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択されるNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド)を含み、必要に応じて、宿主細胞は、少なくとも1つのNRP2リガンドを発現する。一部の実施形態では、HRSポリペプチドは、表H1から選択され、必要に応じて、HRSポリペプチドは、HRSスプライスバリアント、必要に応じて、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8およびHisRSC9から選択されるHRSスプライスバリアントを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、表N2または表N3から選択される。
【0080】
検出システムであって、ヒトニューロピリン2(NRP2)ポリペプチドを発現する細胞、少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択される組換えNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド)、および必要に応じて本明細書に定義されるヒトまたはヒト化抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片を含み、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の相互作用をモジュレートする、検出システムも含まれる。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、検出可能な標識で標識されている。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、表N1から選択される。一部の実施形態では、HRSポリペプチドは、表H1から選択されるHRSスプライスバリアント、必要に応じて、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8およびHisRSC9から選択されるHRSスプライスバリアントを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、表N2または表N3から選択される。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドおよび/または少なくとも1つのNRP2リガンドは、NRP2ポリペプチドもしくは少なくとも1つのNRP2リガンドの生物活性の蛍光もしくは発光の指標などの読み出しまたは指標に機能的に連結されている。
【0081】
診断システムであって、ニューロピリン2(NRP2)ポリペプチドを含む細胞、およびNRP2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つのNRP2リガンド(必要に応じて、表N2もしくは表N3から選択されるNRP2リガンド、および/または表H1から選択されるヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチド)を含み、細胞が、少なくとも1つのNRP2リガンドとの相互作用に応答してNRP2ポリペプチドのレベルまたは活性の変化を示す指標分子を含む、診断システムも含まれる。
【0082】
細胞組成物であって、少なくとも1つの細胞が、本明細書に定義されるヒトもしくはヒト化抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む操作された細胞の集団を含み、細胞が、無血清培地中で成長することができる、細胞組成物も含まれる。
【0083】
細胞成長デバイスであって、本明細書に定義されるヒトもしくはヒト化抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片、少なくとも1つの細胞が、前記抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む操作された細胞の集団、少なくとも約10リットルの無血清成長培地、および滅菌容器を含む、細胞成長デバイスも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1図1A~1Bは、ニューロピリン(1A)の一般的なドメイン構造および例示的なニューロピリン共受容体の機能(1B)を図示する。
【0085】
図2-1】図2A~2Bは、NRP2アイソフォームのドメイン構造および例示的なNRP2リガンド結合ドメインを図示する。すべてのNRP2アイソフォームは、MAMドメイン全体で同一であり、この後、GENFKをコードする短い可能な保持イントロンがある。次に、2つの可能なスプライシングフレーム(形態aおよびb)があり、これらは、異なる膜近傍ドメイン、膜貫通ヘリックスおよび細胞質ドメインをコードする。最初の中には、17アミノ酸を除去する選択的スプライシングアクセプター(バリアント3または形態c)がある。それぞれの形態は、膜と異なる間隔を有し、これは、共受容体特異性に影響を与え得る。A/CおよびB形態はまた、異なる膜貫通ドメインを有し、ここで、A/C形態は、二量体化モチーフ(GXXXG)を含有する。
図2-2】図2A~2Bは、NRP2アイソフォームのドメイン構造および例示的なNRP2リガンド結合ドメインを図示する。すべてのNRP2アイソフォームは、MAMドメイン全体で同一であり、この後、GENFKをコードする短い可能な保持イントロンがある。次に、2つの可能なスプライシングフレーム(形態aおよびb)があり、これらは、異なる膜近傍ドメイン、膜貫通ヘリックスおよび細胞質ドメインをコードする。最初の中には、17アミノ酸を除去する選択的スプライシングアクセプター(バリアント3または形態c)がある。それぞれの形態は、膜と異なる間隔を有し、これは、共受容体特異性に影響を与え得る。A/CおよびB形態はまた、異なる膜貫通ドメインを有し、ここで、A/C形態は、二量体化モチーフ(GXXXG)を含有する。
【0086】
図3図3は、抗NRP2抗体のヒトNRP2を発現するクローンExpi293細胞への結合を示す。4つの抗NRP2抗体およびアイソタイプ対照抗体(ヒトIgG4)が、示された濃度でヒトNRP2発現細胞に添加され、細胞結合を、実施例に記載されるようにして、FACS解析によって決定した。
【0087】
図4図4は、抗NRP2抗体のカニクイザルNRP2を発現するクローンExpi293細胞への結合を示す。4つの抗NRP2抗体およびアイソタイプ対照抗体(ヒトIgG4)が、示された濃度でカニクイザルNRP2発現細胞に添加され、細胞結合を、実施例に記載されるようにして、FACS解析によって決定した。
【0088】
図5図5A~5Bは、VEGF-Aの存在下および非存在下、KDRとのNRP2受容体二量体化に対する抗NRP2抗体の効果を示す。示された抗体を、実施例に記載されるようにして、受容体二量体化アッセイにおいて評価した。5Aは、それぞれの個々のウェルについての正規化された応答を示し、これは、リガンドの添加前の時点に対して計算され、次いで、抗体なし/リガンドなし(ベースラインシグナル)に対して正規化された。次いで、反復処理して、平均応答および標準偏差を得た。5Bは、80分での正味の効果を示す。
【0089】
図6図6A~6Bは、VEGF-Cの存在下および非存在下、FLT4とのNRP2受容体二量体化に対する抗NRP2抗体の効果を示す。示された抗体を、実施例に記載されるようにして、受容体二量体化アッセイにおいて評価した。6Aは、それぞれの個々のウェルについての正規化された応答を示し、これは、リガンドの添加前の時点に対して計算され、次いで、抗体なし/リガンドなし(ベースラインシグナル)に対して正規化された。次いで、反復処理して、平均応答および標準偏差を得た。6Bは、80分での正味の効果を示す。
【0090】
図7図7A~7Bは、SEMA 3Fの存在下および非存在下、PLXNA1とのNRP2受容体二量体化に対する抗NRP2抗体の効果を示す。示された抗体を、実施例に記載されるようにして、受容体二量体化アッセイにおいて評価した。7Aは、それぞれの個々のウェルについての正規化された応答を示し、これは、リガンドの添加前の時点に対して計算され、次いで、抗体なし/リガンドなし(ベースラインシグナル)に対して正規化された。次いで、反復処理して、平均応答および標準偏差を得た。7Bは、80分での正味の効果を示す。
【0091】
図8図8A~8Bは、VEGF-Aの存在下および非存在下、KDRとのNRP2受容体二量体化に対する抗NRP2抗体の効果を示す。示された抗体を、実施例に記載されるようにして、受容体二量体化アッセイにおいて評価した。8Aは、それぞれの個々のウェルについての正規化された応答を示し、これは、リガンドの添加前の時点に対して計算され、次いで、抗体なし/リガンドなし(ベースラインシグナル)に対して正規化された。次いで、反復処理して、平均応答および標準偏差を得た。8Bは、80分での正味の効果を示す。
【0092】
図9図9A~9Bは、VEGF-Cの存在下および非存在下、FLT4とのNRP2受容体二量体化に対する抗NRP2抗体の効果を示す。示された抗体を、実施例に記載されるようにして、受容体二量体化アッセイにおいて評価した。9Aは、それぞれの個々のウェルについての正規化された応答を示し、これは、リガンドの添加前の時点に対して計算され、次いで、抗体なし/リガンドなし(ベースラインシグナル)に対して正規化された。次いで、反復処理して、平均応答および標準偏差を得た。9Bは、80分での正味の効果を示す。
【0093】
図10図10A~10Bは、SEMA 3Fの存在下および非存在下、PLXN A1とのNRP2受容体二量体化に対する抗NRP2抗体の効果を示す。示された抗体を、実施例に記載されるようにして、受容体二量体化アッセイにおいて評価した。10Aは、それぞれの個々のウェルについての正規化された応答を示し、これは、リガンドの添加前の時点に対して計算され、次いで、抗体なし/リガンドなし(ベースラインシグナル)に対して正規化された。次いで、反復処理して、平均応答および標準偏差を得た。10Bは、80分での正味の効果を示す。
【0094】
図11図11A~11Bは、NRP2を過剰発現するExpi293細胞への抗体結合の測定を示す。11Aは、マウス/ヒト反応性対照抗体で染色されたMFIプロファイルの例を示し、ここで、未トランスフェクト細胞のヒストグラムを薄灰色で示す一方、マウスNRP2 I383Vバリアントを過剰発現する細胞を暗灰色で示す。NRP2過剰発現細胞についてのゲーティングを示す。11Bは、10nMのヒトおよびマウス野生型NRP2、ならびにヒト残基を表す個々の突然変異を含有するマウスNRP2受容体でのaNRP2-10v10のMFI染色のチャートを示す。
【0095】
図12図12は、PBDファイル2QQKからのヒトNRP2のb1ドメインの構造を示す。アミノ酸280~426を示すリボン図を表示する。残基299Y、354N、416Sおよび319Tの側鎖を白色で強調表示する。オングストロームの299Y、354Nおよび416Sのアルファ炭素間の距離を、点線と一緒に示す。
【0096】
図13図13A~13Bは、3D軟寒天コロニー形成アッセイにおける、足場非依存性の成長に対する抗NRP2抗体の阻害効果およびトリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞における化学療法剤に対する感受性を示す。コロニー形成アッセイの蛍光読み取りは、化学療法薬のシスプラチンまたは5-FUと組み合わせて、100nMで、アイソタイプ対照hIgG4に対してa-NRP2-10v10で処理されたTNBC細胞のMDA-MB-231(13A)またはBT549(13B)についてのドットプロットと平均±SEMとして示す。統計学的有意性は、アスタリスクによって示す(スチューデントのt検定により、<0.05、**<0.01、****<0.0001)。両方の場合において、抗NRP2抗体の抗腫瘍効果は、シスプラチンまたは5-FUとの組合せにおいて、著しく、より明白である。
【0097】
図14図14は、3Dメチルセルロースコロニー形成アッセイにおける、TNBC MDA-MB-231細胞の足場非依存性の成長に対する化学療法剤およびVEGF-A抗体薬(ベバシズマブ)と組み合わせた抗NRP2抗体の阻害効果を示す。コロニー形成アッセイの発光読み取りは、化学療法薬のシスプラチン(2用量)またはベバシズマブ(100nM)と組み合わせて、100nMで、アイソタイプ対照hIgG4に対してaNRP2-10v10で処理されたTNBC細胞のMDA-MB-231についてのドットプロットと平均±SEMとして示す。統計学的有意性は、アスタリスクによって示す(スチューデントのt検定により、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。
【0098】
図15図15は、抗体aNRP2-10v10およびaNRP2-11v7による、血管内皮成長因子C(VEGF-C)に対するヒトリンパ管内皮細胞(HLEC)遊走の阻害を示す。HLECは、両方のNRP2抗体によって、それぞれ、VEGFR2またはVEGFR3に対する陽性対照抗体(αKDRまたは3C5)と一致したレベルまで阻害された。
【0099】
図16図16は、抗体aNRP2-14v10(NRP2_14)またはaNRP2-11v7(NRP2_11)による細胞の処理が、U251神経膠芽腫細胞において、セマフォリン3F処理の際にホスホ-Aktレベルの低減を遮断することを示す。Sema3FによるU251細胞の処理は、NRP2_11およびNRP2_14の両方によって遮断され得るが、VEGF-C遮断抗体aNRP2-10v10によってまたはmIgG1およびhIgG4対照抗体によって遮断されない、細胞内ホスホ-Aktレベルのおよそ50%の減少をもたらす。
【0100】
図17図17は、NRP2を介したSema3Fシグナル伝達の概略図を示す。Sema3Fによる処理は、PI3K活性の遮断、およびそれによるホスホ-Aktレベルの低減をもたらす。
【0101】
図18図18は、抗体aNRP2-14v10およびaNRP22-11v7が、AKTリン酸化のセマフォリン3F媒介阻害を遮断するが、抗体aNRP2-10v10は遮断しないことを示す。Sema3FによるU251細胞の処理は、抗体aNRP2-11v7およびaNRP2-14v10を遮断する両セマフォリンによって遮断され得るが、VEGF-C遮断抗体aNRP2-10v10によってまたはmIgG1およびhIgG4対照抗体で遮断されない、細胞内ホスホ-Aktレベルのおよそ50%の減少をもたらした。
【0102】
図19図19A~19Bは、マウスサロゲートVEGF遮断抗体aNRP2-28が、マウス黒色腫モデル(B16.F10)において腫瘍成長を阻害することを示す。B16-F10腫瘍を保持し、3用量のマウスサロゲート抗体aNRP2-28で処理された動物は、マウスNRP2を認識する(および抗ヒトNRP2抗体aNRP2-10v10についての機能的サロゲートである)。図19Aは、マウスサロゲート抗体aNRP2-28(灰色三角)による処置が、IgG対照群(黒色四角)およびベバシズマブ(黒色三角)と比較して、腫瘍成長阻害を示し、14、16および19日目に統計学的有意性(p≦0.05)に達したことを示す。図19Bは、それぞれの処置群についての最終腫瘍重量を示す。
【0103】
図20図20A~20Bは、自然転移のモデル(4T1)におけるVEGF遮断薬(aNRP2-28)の抗転移効果を示す。図20Aは、4T1腫瘍を保持し、マウスサロゲート抗体aNRP2-28で処置された動物が、IgG対照(黒色棒グラフ)と比較して、最後に肺において転移小結節の低減を示し、統計学的有意性(p≦0.05)に達したことを示す。図20Bは、肺転移の肺に対する血清抗体濃度を示し、最終抗体濃度および転移小結節の数の間の線形相関を実証する。
【0104】
図21図21は、TNBC異種移植モデル(MDA-MB-231)において、シスプラチンと組み合わせたVEGF遮断薬(aNRP2-10v10/aNRP2-28)の相乗効果を示す。プールされた抗NRP2抗体(黒色記号)のシスプラチン処置レジメンへの追加は、対照動物(灰色記号)と比較して、接種後40日目に開始するシスプラチンの腫瘍阻害効果を増加させ、60日目に統計学的有意性に達した。
【0105】
図22図22は、VEGF遮断薬(aNRP2-10v10)が、NSCLC異種移植モデル(A549)において、化学療法薬5-FUの活性を増強することを示す。5-FUおよびaNRP2-10(黒色記号)の組合せは、対照IgG(灰色記号)との5-FUよりも良好に遂行され、標的化NRP2が、NSCLCの当技術分野で許容されるモデルにおいて、化学療法薬5-FUの有効性を増加させることを証拠付けた。統計学的有意差には、細胞接種後51日目に達した。
【0106】
図23図23A~23Bは、VEGF遮断薬(aNRP2-28)が、角膜損傷の動物モデルにおいて、新リンパ脈管形成を阻害することを示す。図23Aは、IgG対照群およびaNRP2-28群のLyve-1(リンパ脈管新生マーカー)染色された角膜の代表的な画像スキャンを示す。それぞれの処置群について、Lye-1面積%の平均値をプロットする。図23Bは、IgG対照群と比較した、aNRP2-10処置群におけるリンパ管の低減された新芽形成に対する明らかな傾向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
詳細な説明
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または均等に同様または均等の任意の方法、材料、組成物、試薬、細胞は、本開示の主題の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が記載される。本明細書で引用される、限定されるものではないが特許および特許出願を含むすべての刊行物および参考文献は、それぞれ個々の刊行物または参考文献が、完全に示されるように参照により本明細書に組み込まれていることが具体的かつ個々に示されたかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。この出願が優先権を主張する任意の特許出願も、刊行物および参考文献について上記に記載された方法で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成および組織培養、ならびに形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)についての標準的な技法を使用し得る。酵素反応および精製技法は、製造者の仕様書に従って、または当技術分野において一般に達成されるようにして、または本明細書に記載されるようにして、行われ得る。これらのならびに関連する技法および手順は、一般に、当技術分野において周知の従来の方法に従って、ならびに本明細書全体を通して引用および議論されるさまざまな一般的なおよびより具体的な参考文献に記載されるようにして、行われ得る。具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載される、分子生物学、分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品および製薬化学に関連して利用される命名法、ならびにそれらの実験室手順および技法は、当技術分野において周知のものであり、一般に使用されている。組換え技術、分子生物学的合成、微生物学的合成、化学合成、化学分析、医薬品調製、製剤化および送達、ならびに患者の処置についての標準的な技法が使用され得る。
【0109】
本開示の目的のために、以下の用語を、下記に定義する。
【0110】
「a」および「an」という冠詞は、本明細書では、その冠詞の目的語が1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)であることを指すために使用される。例として、「要素(anelement)」は、「1つの要素(one element)」、「1つまたは複数の要素(one or more elements)」および/または「少なくとも1つの要素(at least one element)」を含む。
【0111】
「約」とは、量(quantity)、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量(amount)、重量または長さが、参照の、量(quantity)、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量(amount)、重量または長さに対して、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%程度変動することを意味する。
【0112】
「抗原」という用語は、抗体などの選択的結合剤によって結合することができ、さらに動物において使用して、その抗原のエピトープに結合することができる抗体を産生することができる、分子または分子の一部を指す。抗原は、1つまたは複数のエピトープを有していてもよい。本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、適切な条件下、物質との免疫応答を誘導することができる物質、および免疫応答の生成物と反応することができる物質を含む。例えば、抗原は、抗体(体液性免疫応答)もしくは感作Tリンパ球(ヘルパーTまたはT細胞媒介免疫応答)またはその両方によって認識され得る。抗原は、毒素および外来タンパク質などの可溶性物質、または細菌および組織細胞などの粒子状物質であり得るが、しかしながら、抗原決定基(エピトープ)として公知のタンパク質または多糖分子の一部のみが、抗体またはリンパ球上の特異的受容体と結合する。より広い意味では、「抗原」という用語は、物質が免疫原性であるかどうかにかかわらず、抗体に結合するか、または抗体が所望する、任意の物質を含む。そのような抗原について、抗体は、任意の免疫応答とは無関係に、組換え法によって特定することができる。
【0113】
「アンタゴニスト」は、別の薬剤または分子の生理学的作用を妨げるか、もしくはそうでなければ低減する、生物学的構造体または化学剤を指す。一部の例では、アンタゴニストは、他の薬剤または分子に特異的に結合する。フルアンタゴニストおよびパーシャルアンタゴニストが含まれる。
【0114】
「アゴニスト」は、別の薬剤または分子の生理学的作用を増加もしくは増強する、生物学的構造体または化学剤を指す。一部の例では、アゴニストは、他の薬剤または分子に特異的に結合する。フルアゴニストおよびパーシャルアゴニストが含まれる。
【0115】
「アネルギー」という用語は、抗原による再刺激に対するT細胞またはB細胞の応答の機能的不活性化を指す。
【0116】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸の両方、ならびにアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティックを意味することが意図される。天然に存在するアミノ酸としては、タンパク質生合成の間に利用される20個の(L)-アミノ酸、ならびに例えば、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デスモシン、イソデスモシン、ホモシステイン、シトルリンおよびオルニチンなどの他のアミノ酸が挙げられる。天然に存在しないアミノ酸としては、例えば、(D)-アミノ酸、ノルロイシン、ノルバリン、p-フルオロフェニルアラニン、エチオニンなどが挙げられ、これらは当業者に公知である。アミノ酸アナログとしては、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸の改変形態が挙げられる。そのような改変としては、例えば、アミノ酸における化学基および部分の置換もしくは置き換え、またはアミノ酸の誘導体化が挙げられ得る。アミノ酸ミメティックとしては、例えば、参照アミノ酸の電荷および電荷スペーシングの特徴などの機能的に同様の性質を示す有機構造体が挙げられる。例えば、アルギニン(ArgまたはR)を模倣する有機構造体は、天然に存在するArgアミノ酸の側鎖のeアミノ基と同様の分子空間に位置し、同程度の可動度を有する正電荷部分を有するであろう。ミメティックとしては、アミノ酸またはアミノ酸官能基の最適なスペーシングおよび電荷相互作用を維持するために、制限された構造体も挙げられる。当業者は、どの構造が機能的に同等のアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティックを構成するかは、公知であるか、またはそれを決定することができる。
【0117】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけではなく、それらの断片(dAb、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、一本鎖抗体(scFv)、それらの合成バリアント、天然に存在するバリアント、必要な特異性の抗原結合性断片を有する抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および必要な特異性の抗原結合部位または断片(エピトープ認識部位)を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変立体配置を包含する。抗体(およびその抗原結合性断片)のある特定の特性および特徴は、本明細書においてより詳細に記載する。
【0118】
抗体または抗原結合性断片は、本質的に任意の種類のものであり得る。当技術分野において周知であるように、抗体は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つのエピトープ認識部位により免疫チェックポイント分子などの標的に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。
【0119】
「抗原結合性断片」という用語は、本明細書で使用される場合、目的の抗原に結合する免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖の少なくとも1つのCDRを含有するポリペプチド断片を指す。これに関して、本明細書に記載される抗体の抗原結合性断片は、標的分子に結合する抗体由来のV配列およびV配列の1、2、3、4、5または6つすべてのCDRを含んでいてもよい。
【0120】
抗体およびその抗原結合性断片の結合性は、当技術分野において周知の方法を使用して定量体化することができる(Davies et al., Annual Rev. Biochem. 59:439-473, 1990を参照されたい)。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、標的分子、例えば、NRP2ポリペプチドまたはそのエピトープもしくは複合体に特異的に結合し、平衡解離定数は、約≦10-7M~約10-8Mであるか、またはその範囲である。一部の実施形態では、平衡解離定数は、約≦10-9M~約≦10-10Mであるか、またはその範囲である。ある特定の実例となる実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、約もしくは少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40もしくは50nM、または約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40もしくは50nM未満の(それが特異的に結合する)標的分子に対する親和性(KdまたはEC50)を有する。
【0121】
ポリペプチドまたは抗体などの分子は、それが、特定の細胞、物質または特定のエピトープと、それが代替の細胞もしくは物質、またはエピトープと結合するよりも、より高い頻度で、より迅速に、より長い期間および/もしくはより高い親和性で反応または会合する場合に、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、それが他の物質またはエピトープに結合するよりも、例えば、統計学的に有意な量で、それが、より高い親和性で、アビディティーで、より容易におよび/またはより長い期間結合する場合に、標的分子またはエピトープに「特異的に結合」または「優先的に結合」する。典型的には、特異的結合を示す対の分子の1つのメンバーは、その対の分子の他のメンバーの特定の空間的および/または極性構成に特異的に結合し、したがって相補的である、その表面上の領域または空洞を有する。したがって、対のメンバーは、互いに特異的に結合する性質を有する。例えば、特定のエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、それが他のエピトープに結合するよりも、より高い親和性で、アビディティーで、より容易におよび/またはより長い期間、その特異的エピトープと結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が、第2の標的に特異的または優先的に結合してもよくまたはしなくてもよいことも、この定義を読むことによって理解される。この用語は、例えば、抗体が、いくつかの抗原が持つ特定のエピトープに特異的である場合、抗原結合性断片またはドメインを持つ特異的結合メンバーが、そのエピトープを持つさまざまな抗原に結合することが可能である場合においても適用可能であり、例えば、これは、共通のエピトープを共有する複数の種由来の標的抗原のいくつかの異なる形態と交差反応性であってもよい。
【0122】
免疫学的結合は、一般に、免疫グロブリン分子およびその免疫グロブリンに特異的である抗原の間で、例えば、実例として、限定されないが、静電的、イオン性、親水性および/もしくは疎水性の引力または反発力、立体的な力、水素結合、ファンデルワールス力、ならびに他の相互作用の結果として起こる種類の非共有結合的な相互作用を指す。免疫学的結合相互作用の強さまたは親和性は、相互作用の解離定数(Kd)の観点から表すことができ、より小さいKdは、より高い親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合性は、当技術分野において周知の方法を使用して定量体化することができる。そのような一方法は、抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離の速度を測定することを伴い、ここで、それらの速度は、複合体のパートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメーターに依存する。したがって、「結合速度定数」(Kon)および「解離速度定数」(Koff)の両方とも、濃度、ならびに会合および解離の実際の速度の計算によって決定することができる。Koff/Konの比は、親和性に関係しないすべてのパラメーターの解除を可能にし、したがって、解離定数Kdに等しい。本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、2つの薬剤の可逆的結合についての平衡定数を含み、KdまたはEC50として表される。結合タンパク質のリガンドに対する親和性、例えば、エピトープに対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル濃度(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル濃度(pM)、または約100nM~約1フェムトモル濃度(fM)であり得る。本明細書で使用される場合、「アビディティー」という用語は、希釈後の2つまたはそれよりも多くの薬剤の複合体の解離に対する抵抗性を指す。一部の実施形態では、親和性は、50%有効濃度(EC50)の用語で表され、これは、特定の曝露時間後、ベースラインおよび最大の間の半分の応答を誘導する、本明細書に開示される抗体または抗NRP2抗体などの薬剤の濃度を指す。EC50は、一般に、抗体の効力の尺度として使用される。
【0123】
抗体は、当業者に公知の各種の技法のいずれかによって調製され得る。例えば、Harlowand Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照されたい。目的のポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体は、例えば、Kohlerand Milstein, Eur. J. Immunol. 6:511-519, 1976の技法およびそれらへの改善を使用して、調製され得る。マウスなどのトランスジェニック動物を利用してヒト抗体を発現させる方法も含まれる。例えば、Neubergeret al., Nature Biotechnology 14:826, 1996;Lonberg et al., Handbook ofExperimental Pharmacology 113:49-101, 1994;およびLonberg et al., Internal Reviewof Immunology 13:65-93, 1995を参照されたい。特定の例としては、REGENEREX(登録商標)によるVELOCIMMUNE(登録商標)プラットフォームが挙げられる(例えば、米国特許第6,596,541号を参照されたい)。
【0124】
抗体はまた、ファージディスプレイまたは酵母ディスプレイのライブラリーの使用によって、作成または特定することができる(例えば、米国特許第7,244,592号;Chao et al., Nature Protocols. 1:755-768, 2006を参照されたい)。利用可能なライブラリーの非限定的な例としては、クローン化または合成ライブラリー、例えば、Human Combinatorial Antibody Library(HuCAL)が挙げられ、これは、ヒト抗体レパートリーの構造多様性が7つの重鎖および7つの軽鎖の可変領域遺伝子によって表される。これらの遺伝子の組合せは、マスターライブラリーにおいて49のフレームワークを生じさせる。これらのフレームワークにおいて高可変遺伝子カセット(CDR=相補性決定領域)を重ね合わせることによって、膨大なヒト抗体レパートリーを再現することができる。軽鎖可変領域、重鎖CDR-3をコードするヒトドナーが起源の断片、重鎖CDR-1の多様性をコードする合成DNA、および重鎖CDR-2の多様性をコードする合成DNAを用いて設計されたヒトライブラリーも含まれる。使用のために好適な他のライブラリーは、当業者に明らかであろう。
【0125】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合性断片は、CDRに対する支持を提供し、互いに対してCDRの空間的関係を定義する、重鎖および軽鎖のフレームワーク領域(FR)セット間にそれぞれ挿入された、重鎖および軽鎖のCDRセットを含む。本明細書で使用される場合、「CDRセット」という用語は、重鎖または軽鎖のV領域の3つの超可変領域を指す。重鎖または軽鎖のN末端から順に、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」と示される。したがって、抗原結合部位は、重鎖および軽鎖のV領域のそれぞれに由来のCDRセットを含む6つのCDRを含む。単一のCDR(例えば、CDR1、CDR2またはCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書では「分子認識ユニット」と称される。いくつかの抗原-抗体複合体の結晶解析は、CDRのアミノ酸残基が、結合した抗原と広範囲の接触を形成し、ここで、最も広範囲の抗原接触が重鎖CDR3とであることが実証されている。したがって、分子認識ユニットは、主に、抗原結合部位の特異性の原因となる。
【0126】
本明細書で使用される場合、「FRセット」という用語は、重鎖または軽鎖のV領域のCDRセットのCDRを構成する4つの隣接するアミノ酸配列を指す。一部のFR残基は、結合した抗原と接触していてもよいが、しかしながら、FR、特に、CDRに直接隣接するFR残基は、V領域の抗原結合部位へのフォールディングの主な原因となる。FR内では、ある特定のアミノ残基およびある特定の構造特性は、非常に高度に保存される。これに関して、V領域配列はすべて、およそ90アミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含有する。V領域が結合部位にフォールディングする場合、CDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして提示される。正確なCDRのアミノ酸配列にかかわらず、ある特定の「標準」構造へのCDRループのフォールディングされた形状に影響を与えるFRの保存された構造領域が存在することは、一般に認識されている。さらに、ある特定のFR残基は、抗体の重鎖と軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合的なドメイン間接触に関与することが公知である。
【0127】
免疫グロブリン可変ドメインの構造および場所は、Kabat, E. A. etal., Sequences of Proteins of Immunological Interest. 4th Edition. USDepartment of Health and Human Services. 1987およびその改訂を参照することによって決定され得る。
【0128】
同種抗体の集団を指す「モノクローナル」抗体も含まれ、ここで、モノクローナル抗体は、エピトープの選択的結合に関与するアミノ酸(天然に存在するおよび天然に存在しない)から構成される。モノクローナル抗体は、非常に特異的で、単一のエピトープに対して作られる。「モノクローナル抗体」という用語は、インタクトなモノクローナル抗体および全長モノクローナル抗体だけではなく、それらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、一本鎖抗体(ScFv)、それらのバリアント、抗原結合部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ならびに必要な特異性およびエピトープに結合する能力の抗原結合性断片(エピトープ認識部位)を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変立体配置を包含する。抗体の供給源または抗体が作製される方法(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物による)に関して、限定することを意図するものではない。この用語は、全免疫グロブリンおよび「抗体」の定義下の上記に記載される断片などを含む。
【0129】
タンパク質分解酵素のパパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片を生じ、そのうちの2つ(F(ab)断片)は、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合性のヘテロ二量体をそれぞれ含む。酵素のペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含む、いくつかの断片を提供することが可能である。ある特定の実施形態に従って使用されるFv断片は、IgM、および稀な場合にIgGまたはIgAの免疫グロブリン分子の優先的タンパク質分解切断によって生成することができる。しかしながら、Fv断片は、より一般に、当技術分野において公知の組換え技法を使用して誘導される。Fv断片としては、抗原結合部位を含む非共有結合性VH::VLヘテロ二量体が挙げられ、これはネイティブ抗体分子の抗原認識能および抗原結合能の多くを保持する。Inbar et al., PNAS USA. 69:2659-2662, 1972;Hochman et al., Biochem.15:2706-2710, 1976;およびEhrlich et al., Biochem. 19:4091-4096, 1980を参照されたい。
【0130】
ある特定の実施形態では、一本鎖Fv(scFv)抗体が企図される。例えば、カッパボディ(Ill et al., Prot. Eng. 10:949-57, 1997);ミニボディ(Martin et al., EMBO J 13:5305-9,1994);ダイアボディ(Holliger et al., PNAS 90: 6444-8, 1993);またはJanusins(Traunecker etal., EMBO J 10: 3655-59, 1991;およびTraunecker et al., Int. J. Cancer Suppl.7:51-52, 1992)は、所望の特異性を有する抗体の選択に関する本出願の教示に従って、標準的な分子生物学的技法を使用して調製され得る。
【0131】
一本鎖Fv(scFv)ポリペプチドは、ペプチドコードリンカーによって連結されたVHおよびVLコード遺伝子を含む遺伝子融合体から発現される共有結合的に連結されたVH::VLヘテロ二量体である。Huston et al. (PNAS USA. 85(16):5879-5883, 1988)。自然に凝集しているが化学的に分離している抗体V領域由来の軽および重ポリペプチド鎖を、抗原結合部位の構造と実質的に同様の三次元構造にフォールディングするscFv分子に変換するための化学構造を識別するいくつかの方法が記載されている。例えば、Hustonらに対する米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号;ならびにLadnerらに対する米国特許第4,946,778号を参照されたい。
【0132】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片は、「ダイアボディ」の形態である。ダイアボディは、ポリペプチドの多量体であり、それぞれのポリペプチドは、免疫グロブリン軽鎖の結合領域を含む第1のドメインおよび免疫グロブリン重鎖の結合領域を含む第2のドメインを含み、2つのドメインは、(例えば、ペプチドリンカーによって)連結されているが、互いに会合して、抗原結合部位を形成することはできない。抗原結合部位は、多量体内の1つのポリペプチドの第1のドメインと多量体内の別のポリペプチドの第2のドメインとの会合によって形成される(国際公開第94/13804号)。抗体のdAb断片は、VHドメインからなる(Ward et al., Nature 341:544-546, 1989)。ダイアボディおよび他の多価断片または多特異性断片は、例えば、遺伝子融合によって、構築することができる(国際公開第94/13804号;およびHolligeret al., PNAS USA. 90:6444-6448, 1993を参照されたい)。
【0133】
CH3ドメインに連結されたscFvを含むミニボディも含まれる(Hu et al.,Cancer Res. 56:3055-3061, 1996を参照されたい)。Ward et al., Nature. 341:544-546, 1989;Birdet al., Science. 242:423-426, 1988;Huston et al., PNAS USA. 85:5879-5883, 1988);国際出願第PCT/US92/09965号;国際公開第94/13804号;およびReiteret al., Nature Biotech. 14:1239-1245, 1996も参照されたい。
【0134】
二特異性抗体が使用される場合、これらは従来の二特異性抗体であってもよく、これは、各種の方法で製造することができ(Holliger and Winter, Current Opinion Biotechnol. 4:446-449, 1993)、例えば、化学的にもしくはハイブリッドハイブリドーマから調製されてもよく、または上記で述べた二特異性抗体断片のいずれかであってもよい。ダイアボディおよびscFvは、Fc領域なしで、可変ドメインのみを使用して構築することができ、抗イディオタイプ反応の効果を潜在的に低減する。
【0135】
二特異性ダイアボディはまた、二特異性全抗体とは対照的に、それらを容易に構築し、E.coliにおいて発現させることができるので、特に有用であり得る。適切な結合特異性のダイアボディ(および抗体断片などの多くの他のポリペプチド)を、ファージディスプレイを使用して(国際公開第94/13804号)、ライブラリーから容易に選択することができる。ダイアボディの1つのアームが、例えば、抗原Xに対する特異性で一定に保たれる場合、その結果、他のアームを変え、適切な特異性の抗体を選択するライブラリーを作製することができる。二重特異性全抗体は、ノブイントゥホール操作によって作製されてもよい(Ridgeway et al., Protein Eng., 9:616-621, 1996)。
【0136】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片は、UniBody(登録商標)の形態である。UniBody(登録商標)は、ヒンジ領域が除去されたIgG4抗体である(GenMab Utrecht、オランダを参照されたい;例えば、米国特許出願公開第20090226421号も参照されたい)。この抗体技術は、現在の小型抗体フォーマットよりも長い治療域が予期される安定でより小型抗体フォーマットを作出する。IgG4抗体は、不活性と考えられ、したがって、免疫系と相互作用しない。完全ヒトIgG4抗体を、抗体のヒンジ領域を除去することによって改変して、対応するインタクトIgG4と比べて別個の安定性を有する半分子断片を得てもよい(GenMab、Utrecht)。IgG4分子を半分にすることで、同種抗原(例えば、疾患標的)に結合することができるUniBody(登録商標)上に一領域のみが残り、したがって、UniBody(登録商標)は、標的細胞の1部位のみに対して一価で結合する。ある特定のがん細胞表面抗原について、この一価結合は、同じ抗原特異性を有する二価抗体を使用して見られ得るように、がん細胞を刺激して成長させることはなく、そのため、UniBody(登録商標)技術は、従来の抗体による処置に抵抗性を示すことがある一部の種類のがんに対する処置の選択肢を提供し得る。小サイズのUniBody(登録商標)は、一部の形態のがんを処置する場合に大いに有益であり得、より大きな固形腫瘍におよぶ分子のより良好な分布を可能にし、有効性を増加させる可能性がある。
【0137】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体および抗原結合性断片は、ナノボディの形態である。ミニボディは、単一遺伝子によってコードされ、ほぼすべての原核生物および真核生物の宿主、例えば、E.coli(米国特許第6,765,087号を参照されたい)、カビ(例えば、AspergillusまたはTrichoderma)および酵母(例えば、Saccharomyces、Kluyvermyces、HansenulaまたはPichia(米国特許第6,838,254号を参照されたい))において効率的に産生される。産生プロセスは、スケーラブルであり、数キログラムの量のナノボディが産生されている。ナノボディは、長い有効期間を有する直ぐに使える溶液として製剤化されていてもよい。ナノクローン法(国際公開第06/079372号を参照されたい)は、B細胞の自動ハイスループット選択に基づく、所望の標的に対するナノボディを作成するための独占所有権がある方法である。
【0138】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片は、アプタマーの形態である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Ellington et al., Nature. 346, 818-22, 1990;およびTuerk et al.,Science. 249, 505-10, 1990を参照されたい)。アプタマーの例としては、核酸アプタマー(例えば、DNAアプタマー、RNAアプタマー)およびペプチドアプタマーが挙げられる。核酸アプタマーは、一般に、低分子、タンパク質、核酸、ならびにさらに細胞、組織および生物体などのさまざまな分子標的に結合するように、SELEX(指数関数的な富化によるリガンドの系統的進化)などのinvitro選択または同等の方法の繰り返しラウンドによって操作されている核酸種を指す。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,376,190号;および同第6,387,620号を参照されたい。
【0139】
ペプチドアプタマーは、典型的には、タンパク質骨格に両端で結合した可変ペプチドループを含み、二重の構造的制約が、典型的には、抗体の結合親和性に匹敵するレベル(例えば、ナノモルの範囲)までペプチドアプタマーの結合親和性を増加させる。ある特定の実施形態では、可変ループの長さは、約10~20アミノ酸(その間のすべての整数を含む)から構成されていてもよく、骨格は、良好な溶解性および緻密性を有する任意のタンパク質を含んでいてもよい。ある特定の例示的な実施形態は、細菌タンパク質であるチオレドキシン-Aを骨格タンパク質として利用し、可変ループは、還元活性部位内に挿入され(野生型タンパク質において-Cys-Gly-Pro-Cys-ループ)、2つのシステイン側鎖は、ジスルフィド架橋を形成することが可能である。ペプチドアプタマーを特定するための方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0108532号に記載されている。ペプチドアプタマー選択は、酵母ツーハイブリッドシステムを含む当技術分野において公知の異なる系を使用して行うことができる。
【0140】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片は、アビマーの形態である。アビマーは、in vitroのエキソンシャッフリングおよびファージディスプレイを使用して操作された多量体結合タンパク質またはペプチドを指す。多重結合ドメインが連結され、単一のエピトープ免疫グロブリンドメインと比較して、より高い親和性および高い特異性がもたらされる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Silverman et al., Nature Biotechnology. 23:1556-1561, 2005;米国特許第7,166,697号;ならびに米国特許出願公開第2004/0175756号、同第2005/0048512号、同第2005/0053973号、同第2005/0089932号および同第2005/0221384号を参照されたい。
【0141】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片は、アドネクチンの形態である。アドネクチンは、他のタンパク質と天然で結合する豊富な細胞外タンパク質であるヒトフィブロネクチンに由来する標的化生物製剤のクラスを指す。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0082365号;同第2008/0139791号;および同第2008/0220049号を参照されたい。アドネクチンは、典型的には、天然のフィブロネクチン骨格およびヒトフィブロネクチンの特異的部分の多重標的ドメインからなる。標的化ドメインは、アドネクチンがNRP2ポリペプチドまたはそのエピトープを特異的に認識することを可能にするように操作することができる。
【0142】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片は、アンチカリンの形態である。アンチカリンは、構造的に強固なフレームワークによって支持された超可変ループ領域を有する結合タンパク質のファミリーであるヒトリポカリンから典型的には合成される、抗体ミメティックのクラスを指す。例えば、米国特許出願公開第2006/0058510号を参照されたい。アンチカリンは、典型的には、約20kDaのサイズを有する。アンチカリンは、4つのペプチドループおよび結合したαヘリックスによって対で接続される8つの逆並行βストランド(安定なβバレル骨格)によって形成されるバレル構造によって特徴付けられ得る。ある特定の態様では、特異的結合を達成するための立体構造の異常が、超可変ループ領域において作られる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるSkerra, FEBS J. 275:2677-83, 2008を参照されたい。
【0143】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片は、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)の形態である。DARPinは、創薬および薬物開発において、標的結合について抗体に対する利点を提供することができる非免疫グロブリンタンパク質のクラスを含む。他の使用の中で、DARPinは、小サイズおよび高安定性を含むそれらの好ましい分子性質のため、invivoイメージングまたは毒素もしくは他の治療薬ペイロードの送達のために理想的に適している。細菌における低コストでの生成および多くの標的特異的DARPinの迅速な作成は、DARPinを、創薬に有用なアプローチにする。加えて、DARPinは、多特異的フォーマットで容易に作成することができ、エフェクターDARPinを特定の器官に対して標的化するまたはいくつかのDARPinから構成される1つの分子を用いて複数の受容体を標的化する可能性を提供する。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Stumpp et al., Curr Opin Drug Discov Devel. 10:153-159, 2007;米国特許出願公開第2009/0082274号;および国際出願第PCT/EP2001/10454号を参照されたい。
【0144】
ラクダ科およびサメ由来の抗体などの重鎖二量体も含まれる。ラクダ科抗体およびサメ抗体は、V様およびC様ドメイン(いずれも軽鎖を有さない)の2つの鎖のホモ二量体対を含む。ラクダ科における重鎖二量体IgGのVH領域は、軽鎖との疎水性相互作用を行わないので、軽鎖と通常接触する重鎖中の領域は、ラクダ科における親水性アミノ酸残基に変更されている。重鎖二量体IgGのVHドメインは、VHHドメインと呼ばれる。サメIg-NARは、1つの可変ドメイン(V-NARドメインと称される)および5つのC様定常ドメイン(C-NARドメイン)のホモ二量体を含む。
【0145】
ラクダ科では、抗体レパートリーの多様性は、VHまたはVHH領域中の相補性決定領域(CDR)1、2および3によって決定される。ラクダ科のVHH領域中のCDR3は、平均16アミノ酸のその比較的長い長さによって特徴付けられる(Muyldermans et al., 1994, Protein Engineering 7(9): 1129)。これは、多くの他の種の抗体のCDR3領域と対照的である。例えば、マウスVHのCDR3は、9アミノ酸の平均を有する。ラクダ科由来の抗体可変領域のライブラリーは、ラクダ科の可変領域のinvivo多様性を維持しており、例えば、2005年2月17日に公開された米国特許出願公開第20050037421号に開示される方法によって作製することができる。
【0146】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化されている。これらの実施形態は、組換え技法を使用して一般に調製されるキメラ分子を指し、非ヒト種からの免疫グロブリンに由来する抗原結合部位、ならびにヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく分子の残りの免疫グロブリン構造を有する。抗原結合部位は、定常ドメインに融合された完全可変ドメインまたは可変ドメイン中の適切なフレームワーク領域にグラフトされたCDRのみのいずれかを含み得る。エピトープ結合部位は、野生型であってもよく、または1つもしくは複数のアミノ酸置換によって改変されていてもよい。これは、ヒト個体における免疫原としての定常領域を排除するが、外来性可変領域に対する免疫応答の可能性を残す(LoBuglio et al., PNAS USA 86:4220-4224, 1989;Queen et al., PNAS USA.86:10029-10033, 1988;Riechmann et al., Nature. 332:323-327, 1988)。抗体のヒト化のための実例となる方法としては、米国特許第7,462,697号に記載される方法が挙げられる。
【0147】
別の手法は、ヒト型に可能な限り近くそれらを再形成するように、ヒト由来の定常領域を提供することだけでなく、可変領域を改変することにも着目している。重鎖および軽鎖の両方の可変領域は、所与の種において比較的保存され、CDRのための足場を推定上提供する4つのフレームワーク領域(FR)に隣接する、問題となっているエピトープに応じて変わり、結合能を決定する3つの相補性決定領域(CDR)を含有することが公知である。非ヒト抗体が特定のエピトープに関して調製される場合、可変領域は、改変されるヒト抗体中に存在するFRに非ヒト抗体に由来するCDRをグラフト化することによって、「再形成」または「ヒト化」することができる。さまざまな抗体に対するこの手法の適用は、Sato et al., Cancer Res. 53:851-856, 1993;Riechmann et al., Nature332:323-327, 1988;Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536, 1988;Kettleboroughet al., Protein Engineering. 4:773-3783, 1991;Maeda et al., Human AntibodiesHybridoma 2:124-134, 1991;Gorman et al., PNAS USA. 88:4181-4185, 1991;Tempestet al., Bio/Technology 9:266-271, 1991;Co et al., PNAS USA. 88:2869-2873, 1991;Carteret al., PNAS USA. 89:4285-4289, 1992;およびCo et al., J Immunol. 148:1149-1154,1992によって報告されている。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、すべてのCDR配列(例えば、マウス抗体由来の6つのCDRすべてを含有するヒト化マウス抗体)を保存している。他の実施形態では、ヒト化抗体は、元の抗体に対して変更された1つまたは複数(1、2、3、4、5、6つ)のCDRを有し、これらは、元の抗体からの1つまたは複数のCDRに「由来」する1つまたは複数のCDRとも称される。
【0148】
ある特定の実施形態では、抗体は「キメラ」抗体である。これに関して、キメラ抗体は、異なる抗体の異種Fc部分と作用可能に連結されたか、またはそうでなければ融合された、抗体の抗原結合性断片から構成される。ある特定の実施形態では、Fcドメインまたは異種Fcドメインは、ヒト起源のものである。ある特定の実施形態では、Fcドメインまたは異種Fcドメインは、マウス起源のものである。他の実施形態では、異種Fcドメインは、IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む)およびIgMを含む、親抗体とは異なるIgクラスに由来していてもよい。さらなる実施形態では、異種Fcドメインは、異なるIgクラスの1つまたは複数に由来するCH2およびCH3ドメインから構成されていてもよい。ヒト化抗体に関して上記で述べたように、キメラ抗体の抗原結合性断片は、本明細書に記載される抗体のCDRの1つのみもしくは複数(例えば、本明細書に記載される抗体の1、2、3、4、5または6つのCDR)を含んでいてもよく、または可変ドメイン全体(VL、VHまたはその両方)を含んでいてもよい。
【0149】
本明細書で使用される場合、疾患または有害反応を発生する「リスクがある」対象は、検出可能な疾患もしくは疾患の症状を有していてもよく、または有していなくてもよく、本明細書に記載される処置方法の前に、検出可能な疾患もしくは疾患の症状を示していてもよく、または示していなくてもよい。「リスクがある」とは、対象が、本明細書に記載されるおよび当技術分野において公知である疾患の発生と相関する測定可能なパラメーターである1つまたは複数のリスク因子を有することを表す。これらのリスク因子の1つまたは複数を有する対象は、これらのリスク因子の1つまたは複数がない対象よりも、疾患または有害反応を発生する高い可能性を有する。
【0150】
「生体適合性」は、細胞または対象の生物学的機能を一般に損なわず、アレルギーおよび疾患状態を含む任意の程度の許容されない毒性をもたらさない、材料または化合物を指す。
【0151】
「結合」という用語は、例えば、塩橋および水架橋などの相互作用を含む、共有結合的、静電的、疎水性およびイオン性ならびに/または水素結合の相互作用に起因する2つの分子間の直接的な会合を指す。
【0152】
「化学耐性」という用語は、がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤および/またはキナーゼ阻害剤の少なくとも1つに対する耐性を含む、化学療法への曝露後の経時的ながん細胞集団の治療感受性の変化を指す。最終的に、化学耐性は、がんの再発および/または転移につながり、がん患者に対する臨床転帰の改善に挑戦する。これは、長期間の成功裏のがん治療に対する主な障害のままである。例えば、早期の乳がんと診断されている女性のおよそ30%は、最後に耐性を発生し、最終的に転移性乳がんに進行する。化学耐性の分子機序としては、トランスポーターポンプの誘導、がん遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、ミトコンドリアの変化、DNA修復、オートファジー、上皮間葉移行(EMT)、がん幹細胞性およびエキソソーム生成が挙げられる。これらのプロセスは、単独でまたは互いに組み合わされて、別個の機序を介して作動し得るが、最後は、連動して、特異的標的化化学療法剤に応答して細胞死を防止する。例えば、そのようなプロセスは、代替的なプロ成長シグナルを提供し、および/またはアポトーシス経路を排除するか、もしくはそうでなければ低減する。したがって、化学耐性を低減する薬剤は、化学耐性がんの処置または低減における実用性が見出され得る。
【0153】
「コード配列」とは、遺伝子のポリペプチド産物のコードに寄与する任意の核酸配列を意味する。一方、「非コード配列」という用語は、遺伝子のポリペプチド産物のコードに直接寄与しない任意の核酸配列を指す。
【0154】
本開示全体にわたり、文脈が他を必要としない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」という語は、述べられたステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を含むが、任意の他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を除外しないことを意味することが理解される。
【0155】
「からなる」とは、「からなる」という語句に続くものすべてを含み、それらに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であること、および他の要素が存在することがないことを示す。「から本質的になる」とは、この語句の後に列挙され、列挙された要素について本開示で記述される活性もしくは作用を妨げないか、またはそれらに寄与しない他の要素に限定される、任意の要素を含むことを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素が、随意的であり、それらが列挙された要素の活性もしくは作用に実質的に影響を与えるか否かに応じて、存在していてもよく、または存在していなくてもよいことを示す。
【0156】
抗体の文脈における「エフェクター機能」または「ADCCエフェクター機能」という用語は、例えば、古典的補体経路の活性化またはFc受容体の会合によるものを含む、免疫系の他の武装に関与するその抗体の能力を指す。補体依存性経路は、主に、C1qと、クラスター化抗体のFcドメインを有するC1複合体との相互作用によって駆動される。抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、主に、それ自身が標的細胞に結合するIgGのFc領域に結合するエフェクター細胞(ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球および好酸球)の表面上のFc受容体(FcR)の相互作用によって駆動される。Fc受容体(FcR)は、細胞エフェクター機能への抗体媒介(体液性)免疫応答に関連する重要な免疫調節受容体である。FcγR(IgG)、FcεRI(IgE)、FcαRI(IgA)、FcμR(IgM)およびFcδR(IgD)を含む、免疫グロブリンのすべてのクラスに対する受容体が、特定されている。白血球において見られるヒトIgGに対する受容体の少なくとも3つのクラスがある:CD64(FcγRI)、CD32(FcγRIIa、FcγRIIbおよびFcγRIIc)およびCD16(FcγRIIIaおよびFcγRIIIb)。FcγRIは、高親和性の受容体(ナノモル濃度範囲のKD)として分類されるが、FcγRIIおよびFcγRIIIは、低~中親和性(マイクロモル濃度範囲のKD)である。Fc結合の際に、溶菌酵素、パーフォリン、グランザイムおよび腫瘍壊死因子などのさまざまな物質の分泌をもたらすシグナル伝達経路を始動させ、これが、標的細胞の破壊を媒介する。ADCCエフェクター機能のレベルは、ヒトIgGのサブタイプについて、さまざまである。これは、アロタイプおよび特定のFcvRに依存するが、簡単に言えば、ADCCエフェクター機能は、ヒトのIgG1およびIgG3について「高く」、IgG2およびIgG4について「低い」。
【0157】
「エンドトキシンフリー」または「実質的にエンドトキシンフリー」という用語は、一般に、最大でも痕跡量(例えば、対象に対して臨床的に有害な生理学的効果を有さない量)のエンドトキシン、好ましくは、検出不能な量のエンドトキシンを含有する、組成物、溶媒および/または容器に関する。エンドトキシンは、細菌、典型的には、グラム陰性菌などのある特定の微生物に関連する毒素であるが、エンドトキシンは、Listeria monocytogenesなどのグラム陽性菌において見出されることがある。最も広がっているエンドトキシンは、さまざまなグラム陰性菌の外膜中で見出されるリポ多糖(LPS)またはリポオリゴ糖(LOS)であり、これらは、疾患を引き起こすこれらの細菌の能力における中心的な病原特性を表す。ヒトにおける少量のエンドトキシンは、他の有害な生理学的効果の中でも、熱、血圧の低下、ならびに炎症および凝固の活性化を生じさせることがある。
【0158】
したがって、医薬品製造において、少量でさえもヒトにおいて有害な効果を引き起こすことがあるので、多くの場合、医薬製品および/または薬剤容器からほとんどまたはすべての痕跡のエンドトキシンを除去することが望ましい。300℃を超える温度が、典型的には、ほとんどのエンドトキシンを破壊するために必要であるので、脱パイロジェンオーブンが、この目的のために使用されてもよい。例えば、シリンジまたはバイアルなどの主な包装材料に基づいて、250℃のガラス温度および30分の保持時間の組合せは、多くの場合、エンドトキシンレベルの3logの低減を達成するのに十分である。例えば、本明細書に記載されるおよび当技術分野において公知のクロマトグラフィー法および濾過法を含む、エンドトキシンを除去する他の方法が企図される。
【0159】
エンドトキシンは、当技術分野において公知の日常的な技法を使用して検出することができる。例えば、カブトガニの血液を利用するLimulus Amoebocyte Lysateアッセイは、エンドトキシンの存在を検出するための非常に感度の高いアッセイである。この試験では、非常に低レベルのLPSが、この反応を増幅する強力な酵素カスケードに起因してカブトガニ溶解物の検出可能な凝固を引き起こすことができる。エンドトキシンは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって定量体化することもできる。実質的にエンドトキシンを含まないために、エンドトキシンレベルは、活性化合物の約0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.08、0.09、0.1、0.5、1.0、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9または10EU/mg未満であり得る。典型的には、1ngのリポ多糖(LPS)は、約1~10EUに相当する。
【0160】
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる、任意の決定基、好ましくは、ポリペプチド決定基を含む。エピトープは、抗体に結合する抗原の領域を含む。ある特定の実施形態では、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面集団を含み、ある特定の実施形態では、特異的な三次元構造特徴および/または特異的な電荷特徴を有していてもよい。エピトープは、抗原、例えば、NRP2ポリペプチドの1次構造に関して連続的または不連続的であり得る。特定の実施形態では、エピトープは、参照配列(例えば、表N1を参照されたい)または本明細書に記載される標的分子の約、少なくとも約または多くても約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続するアミノ酸(すなわち、直線状エピトープ)または不連続アミノ酸(すなわち、立体構造エピトープ)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。
【0161】
「エピトープ」は、結合タンパク質の可変領域結合ポケットと相互作用する結合相互作用を形成することができる抗原または他の巨大分子の一部を含む。そのような結合相互作用は、CDRの1つまたは複数のアミノ酸残基との分子間接触と呼ぶことができる。抗原結合は、CDR3またはCDR3対を含み得る。エピトープは、直鎖状ペプチド配列であり得るか(すなわち、「連続的」)、または不連続のアミノ酸配列から構成され得る(すなわち、「立体構造」または「不連続的」)。結合タンパク質は、1つまたは複数のアミノ酸配列を認識することができ、したがって、エピトープは、2つ以上の別個のアミノ酸配列を定義し得る。結合タンパク質によって認識されるエピトープは、当業者に周知のペプチドマッピングおよび配列分析の技法によって決定することができる。「潜在性エピトープ」または「潜在性結合部位」は、未改変ポリペプチド内で露出していないか、または実質的に認識から保護されているが、変性またはタンパク分解したポリペプチドの結合タンパク質によって認識することができる、タンパク質配列のエピトープまたは結合部位である。未改変ポリペプチド構造において、露出していないか、または部分的にのみ露出しているアミノ酸配列は、潜在性エピトープである可能性がある。エピトープが露出していないか、または部分的にのみ露出している場合、その結果、これは、ポリペプチドの内部に埋没している可能性がある。潜在性エピトープの候補は、例えば、未改変ポリペプチドの三次元構造を調べることによって特定することができる。
【0162】
「50%有効濃度」または「EC50」という用語は、一部の指定された曝露時間後に、ベースラインおよび最大の間の半分の応答を誘導する本明細書に記載される薬剤(例えば、抗体)の濃度を指し、したがって、段階的な用量応答曲線のEC50は、最大効果の50%が観察される化合物の濃度を表す。EC50は、in vivoで最大効果の50%を得るために必要な血漿濃度も表す。同様に、「EC90」は、最大効果の90%が観察される薬剤または組成物の濃度を指す。「EC90」は、「EC50」およびHill勾配から計算することができ、またはそれは、当技術分野における日常的な知識を使用して、データから直接決定することができる。一部の実施形態では、薬剤(例えば、抗体)のEC50は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200または500nM未満である。一部の実施形態では、薬剤は、約1nMまたはそれよりも低いEC50値を有する。
【0163】
「免疫応答」は、免疫系が起源である任意の免疫学的応答を意味し、細胞性および体液性の、自然および適応免疫系からの応答を含む。例示的な細胞性免疫細胞としては、例えば、リンパ球、マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、好酸球、樹状細胞、肥満細胞、単球およびそれらのすべてのサブセットが挙げられる。細胞応答としては、例えば、エフェクター機能、サイトカイン放出、ファゴサイトーシス、エフェロサイトーシス、トランスロケーション、輸送、増殖、分化、活性化、抑制、細胞-細胞相互作用、アポトーシスなどが挙げられる。体液性応答としては、例えば、IgG、IgM、IgA、IgEの応答、およびそれらの対応するエフェクター機能が挙げられる。
【0164】
抗体などの薬剤の「半減期」は、その薬理学的活性、生理学的活性または他の活性を、生物体の血清もしくは組織への投与の時のそのような活性と比べて、または任意の他の定義された時点と比べて、薬剤が半分喪失するのに要する時間を指し得る。「半減期」は、薬剤の量または濃度が、生物体の血清もしくは組織への投与の時のそのような量もしくは濃度と比べて、または任意の他の定義された時点と比べて、生物体の血清もしくは組織に投与された開始量の半分まで低減されるのに要する時間も指し得る。半減期は、血清および/または任意の1つもしくは複数の選択された組織において測定することができる。
【0165】
「モジュレートすること」および「変更すること」という用語は、対照と比べて、典型的には、統計学的に有意または生理学的に有意な量または程度で、「増加させること」、「増強すること」または「刺激すること」、および「減少させること」または「低減すること」を含む。「増加した」、「刺激された」または「増強された」量は、典型的には、「統計学的に有意な」量であり、組成物なし(例えば、薬剤の非存在)または対照の組成物によって生成する量の、1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100倍またはそれよりも高い(例えば、500、1000倍)(その間のすべての整数および範囲を含み、例えば1.5、1.6、1.7、1.8など)増加を含み得る。「減少した」または「低減された」量は、典型的には、「統計学的に有意な」量であり、組成物なし(例えば、薬剤の非存在)または対照の組成物によって生成する量の、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%の減少(その間のすべての整数および範囲を含む)を含み得る。比較および「統計学的に有意な」量の例は、本明細書に記載される。
【0166】
「遊走細胞」という用語は、刺激に応答して、ある場所から別の場所への移動ができる細胞を指す。例示的な遊走細胞としては、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞(未成熟または成熟)、骨髄性細胞、形質細胞様(リンパとも呼ばれる)細胞およびランゲルハンス細胞を含む樹状細胞のサブセット、組織球などのマクロファージ、クッパー細胞、CNSの小グリア細胞、肺胞マクロファージおよび腹腔マクロファージなどの組織在住マクロファージ、M0、M1、Mox、M2a、M2bおよびM2cマクロファージなどのマクロファージサブタイプ、好中球、好酸球、肥満細胞、好塩基球、血漿B細胞、メモリーB細胞、B-1細胞およびB-2細胞を含むB細胞、CD45RO(ナイーブT)細胞、CD45RA(メモリーT)細胞、Th1、Th2およびTr1/Th3細胞を含むCD4ヘルパーT細胞、CD8細胞傷害性T細胞、調節性T細胞、ガンマデルタT細胞、ならびに胸腺細胞などの免疫細胞が挙げられる。遊走細胞の追加例としては、線維芽細胞、線維細胞、腫瘍細胞および幹細胞が挙げられる。「細胞遊走」という用語は、遊走細胞の移動を指し、「細胞遊走のモジュレーション」という用語は、任意のそのような遊走細胞の移動のモジュレーションを指す。
【0167】
「ポリペプチド」、「タンパク質」および「ペプチド」という用語は、互換的に使用され、任意の特定の長さに限定されないアミノ酸のポリマーを意味する。「酵素」という用語は、ポリペプチドまたはタンパク質触媒を含む。これらの用語は、ミリストイル化、硫酸化、グリコシル化、リン酸化およびシグナル配列の付加または欠失などの改変を含む。「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、1つまたは複数のアミノ酸の鎖を意味し、それぞれの鎖は、ペプチド結合によって共有結合的に連結されたアミノ酸を含み、前記ポリペプチドまたはタンパク質は、ペプチド結合によって非共有結合的および/または共有結合的に一緒に連結された複数の鎖を含むことができ、これは、ネイティブタンパク質、すなわち、天然に存在する特定の非組換え細胞、または遺伝子操作されたもしくは組換え細胞によって産生されたタンパク質の配列を有し、ネイティブタンパク質のアミノ酸配列を有する分子またはネイティブ配列の1つもしくは複数のアミノ酸の欠失、付加および/もしくは置換を有する分子を含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、1つまたは複数の組換えDNA分子を含む組換え細胞によって産生された「組換え」ポリペプチドであり、典型的には、他に細胞において見出されないであろう異種ポリヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド配列の組合せから構成される。
【0168】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、mRNA、RNA、cRNA、cDNAおよびDNAを含む。この用語は、典型的には、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれか、またはヌクレオチドのいずれかの種類の改変形態の、少なくとも10塩基長のヌクレオチドの重合形態を指す。この用語は、DNAの一本鎖および二本鎖の形態を含む。「単離されたDNA」および「単離されたポリヌクレオチド」および「単離された核酸」という用語は、特定の種の全ゲノムDNAなしで単離されている分子を指す。したがって、ポリペプチドをコードする単離されたDNAセグメントは、1つまたは複数のコード配列を含有し、さらに、そのDNAセグメントが得られる種の全ゲノムDNAから実質的に単離されたか、またはそれを含まないで精製された、DNAセグメントを指す。ポリペプチドをコードしない非コードポリヌクレオチド(例えば、プライマー、プローブ、オリゴヌクレオチド)も含まれる。例えば、発現ベクター、ウイルスベクター、プラスミド、コスミド、ファージミド、ファージ、ウイルスなどを含む組換えベクターも含まれる。
【0169】
追加のコード配列または非コード配列は、必要ではないが、本明細書に記載されるポリヌクレオチド内に存在していてもよく、ポリヌクレオチドは、必要ではないが、他の分子および/または支持材料に連結されていてもよい。そのため、ポリヌクレオチドまたは発現可能なポリヌクレオチドは、コード配列それ自身の長さにかかわらず、他の配列、例えば、発現制御配列と結合されていてもよい。
【0170】
「発現制御配列」は、核酸または対応するアミノ酸の調節配列、例えば、プロモーター、リーダー、エンハンサー、イントロン、RNAまたはDNA結合タンパク質についての認識モチーフ、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、配列内リボソーム進入部位(IRES)、分泌シグナル、細胞内局在化シグナルなどを含み、これは、宿主細胞におけるコード配列の転写もしくは翻訳、または細胞内もしくは細胞の場所に影響を与える能力を有する。例示的な発現制御配列は、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185,Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。
【0171】
「プロモーター」は、細胞中でRNAポリメラーゼと結合し、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始することができる、DNA調節領域である。本明細書で使用される場合、プロモーター配列は、その3’末端で転写開始部位と結合し、上流(5’方向)に伸びて、バックグラウンドを上回って検出可能なレベルで転写を開始するために必要な最小数の塩基またはエレメントを含む。転写開始部位(好都合には、ヌクレアーゼS1でマッピングすることによって定義される)は、プロモーター配列内およびRNAポリメラーゼの結合の原因となるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)内で見い出され得る。真核生物プロモーターは、多くの場合、常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有することができる。原核細胞プロモーターは、-10および-35コンセンサス配列に加えて、シャイン-ダルガーノ配列を含有する。
【0172】
各種の異なる供給源由来の構成的プロモーター、誘導性プロモーターおよび抑制性プロモーターを含む多数のプロモーターは、当技術分野において周知である。代表的な供給源としては、例えば、ウイルス、哺乳動物、昆虫、植物、酵母および細菌の細胞型が挙げられ、これらの供給源由来の好適なプロモーターは容易に入手可能であり、あるいはオンラインで公に利用可能な配列、または例えば、ATCCなどの寄託機関および他の市販もしくは個人の供給源からの配列に基づいて、合成することができる。プロモーターは、一方向性(すなわち、一方向で転写を開始する)または両方向性(すなわち、3’または5’方向のいずれかで転写を開始する)であり得る。プロモーターの非限定的な例としては、例えば、T7細菌発現系、pBAD(araA)細菌発現系、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーターが挙げられる。誘導性プロモーターとしては、Tet系(米国特許第5,464,758号および同第5,814,618号)、エクダイソン誘導性系(No et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (1996) 93 (8): 3346-3351)、T-RExTM系(Invitrogen、Carlsbad、CA)、LacSwitch(登録商標)(Stratagene(San Diego、CA))およびCre-ERTタモキシフェン誘導性リコンビナーゼ系(Indraet al. Nuc. Acid. Res. (1999) 27 (22): 4324-4327;Nuc. Acid. Res. (2000) 28(23): e99;米国特許第7,112,715号;およびKramer & Fussenegger, Methods Mol. Biol.(2005) 308: 123-144)、または所望の細胞における発現のために好適な当技術分野において公知の任意のプロモーターが挙げられる。
【0173】
「発現可能なポリヌクレオチド」は、cDNA、RNA、mRNAまたは少なくとも1つのコード配列、ならびに必要に応じて少なくとも1つの発現制御配列、例えば、転写および/または翻訳調節エレメントを含む他のポリヌクレオチドを含み、これは、細胞、例えば、対象における細胞への導入の際に、コードされたポリペプチドを発現することができる。
【0174】
発現可能なポリヌクレオチドを送達するために利用することができるさまざまなウイルスベクターとしては、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターおよびレトロウイルスベクターが挙げられる。一部の例では、レトロウイルスベクターは、マウスもしくはトリのレトロウイルスの派生物であるか、またはレンチウイルスベクターである。単一の外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例としては、限定されるものではないが、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳がんウイルス(MuMTV)、SIV、BIV、HIVおよびラウス肉腫ウイルス(RSV)が挙げられる。いくつかの追加のレトロウイルスベクターが、複数の遺伝子を組み入れることができる。これらのベクターはすべて、選択マーカーについての遺伝子を移入または組み入れることができ、その結果、形質導入細胞を、特定および作成することができる。特定の標的細胞の受容体に対するリガンドをコードする別の遺伝子と一緒に目的のポリペプチド配列をウイルスベクターに挿入することによって、例えば、ベクターを、標的特異的にしてもよい。レトロウイルスベクターは、例えば、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを挿入することによって、標的特異的にすることができる。実例となる標的化は、レトロウイルスベクターを標的にする抗体を使用することによって達成されてもよい。当業者は、過度の実験なく、レトロウイルスゲノムに挿入されて、レトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にし得る特定のポリヌクレオチド配列を知るか、またはそれを容易に解明することができる。
【0175】
特定の実施形態では、発現可能なポリヌクレオチドは、改変RNAポリヌクレオチドまたは改変mRNAポリヌクレオチド、例えば、天然に存在しないRNAアナログである。ある特定の実施形態では、改変RNAまたはmRNAポリペプチドは、1つまたは複数の改変塩基または非天然塩基、例えば、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)および/またはウラシル(U)以外のヌクレオチド塩基を含む。一部の実施形態では、改変mRNAは、1つまたは複数の改変または非天然のヌクレオチド間結合を含む。コードされる治療用ポリペプチドを送達するための発現可能なRNAポリヌクレオチドは、例えば、Kormann et al., Nat Biotechnol. 29:154-7, 2011;ならびに米国特許出願公開第2015/0111248号;同第2014/0243399号;同第2014/0147454号;および同第2013/0245104号に記載されており、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0176】
本明細書で言及される「単離された」ポリペプチドまたはタンパク質という用語は、対象のタンパク質が(1)典型的には天然で見出されるであろう少なくとも一部の他のタンパク質を含まない、(2)同じ供給源由来、例えば、同じ種由来の他のタンパク質を本質的に含まない、(3)異なる種由来の細胞により発現される、(4)天然で会合するポリヌクレオチド、脂質、炭水化物もしくは他の物質の少なくとも約50%から分離される、(5)「単離されたタンパク質」と天然で会合するタンパク質の一部と(共有結合的または非共有結合的な相互作用によって)会合しない、(6)天然で会合しないポリペプチドと作動可能に(共有結合的または非共有結合的な相互作用によって)会合する、または(7)天然に存在しないことを意味する。そのような単離されたタンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、もしくは他のRNAによってコードされ得るか、合成起源、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。ある特定の実施形態では、単離されたタンパク質は、その使用(治療、診断、予防、研究、またはその他)を妨げるであろうその天然環境において見出される、タンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物質を実質的に含まない。
【0177】
ある特定の実施形態では、組成物中の任意の所与の薬剤(例えば、抗体などのポリペプチド)の「純度」が定義され得る。例えば、ある特定の組成物は、例えば、限定することを意味しないが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、生化学および分析化学において化合物を分離、特定および定量体化するために頻繁に使用される周知の形態のカラムクロマトグラフィーによって測定されるような、タンパク質基準または重量-重量基準で、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%、ならびにそれらの間のすべての小数および範囲の純粋であるポリペプチド剤などの薬剤を含んでいてもよい。
【0178】
「脂質ナノ粒子」または「固体脂質ナノ粒子」は、約10~約1000ナノメートルの平均直径を有し、脂溶性分子を可溶化することができる固体脂質コアマトリックスを含む、1つまたは複数の球状ナノ粒子を指す。脂質コアは、界面活性剤(例えば、乳化剤)によって安定化され、トリグリセリド(例えば、トリステアリン)、ジグリセリド(例えば、ベヘン酸グリセロール)、モノグリセリド(例えば、モノステアリン酸グリセロール)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)およびワックス(例えば、パルミチン酸セチル)、ならびにそれらの組合せの1つまたは複数を含むことができる。脂質ナノ粒子は、例えば、Petrilli et al., Curr Pharm Biotechnol. 15:847-55, 2014;ならびに米国特許第6,217,912号;同第6,881,421号;同第7,402,573号;同第7,404,969号;同第7,550,441号;同第7,727,969号;同第8,003,621号;同第8,691,750号;同第8,871,509号;同第9,017,726号;同第9,173,853号;同第9,220,779号;同第9,227,917号;および同第9,278,130号に記載されており、それらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるある特定の組成物は、1つまたは複数の脂質ナノ粒子を用いて製剤化される。
【0179】
「ニューロピリン2関連疾患」または「NRP2関連疾患」という用語は、NRP2の活性、発現および/または空間分布がその疾患または状態の病態生理学において役割を果たす、疾患および状態を指す。一部の例では、NRP2関連疾患は、本開示の抗NRP2抗体により、NRP2と少なくとも1つのNRP2リガンドとの相互作用を変えて、NRP2の活性、シグナル伝達、発現および/または空間分布に影響を及ぼすことによってモジュレートされる。例示的なNRP2関連疾患および状態としては、限定されないが、がん、ならびにがん細胞の成長、がんの惹起、がんの遊走、がん細胞の接着、浸潤、化学耐性および転移を含む、がんに関連する疾患または病状が挙げられる。移植片対宿主病(GVHD)などの不適切な免疫細胞の活性化または遊走に関連する疾患を含む、炎症、自己免疫および関連する炎症性疾患に関連する疾患も挙げられる。追加例としては、浮腫、リンパ浮腫、二次性リンパ浮腫、不適切な脂肪吸収および沈着、過度の脂肪沈着ならびに血管透過性を含む、リンパ管発生、リンパ脈管新生およびリンパ管損傷に関連する疾患が挙げられる。潜伏感染を含む、感染に関連する疾患、ならびに慢性閉塞性肺障害(COPD)、好中球性喘息、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連全身性血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、インフラマソーム関連疾患、および壊疽性膿皮症などの皮膚関連好中球媒介疾患を含む、アレルギー性障害/疾患およびアレルギー反応に関連する疾患も挙げられる。追加例としては、とりわけ、サルコイドーシスおよび肉芽腫を含む肉芽腫性炎症疾患、ならびに子宮内膜症、線維症、内皮間葉転換(EMT)および創傷治癒を含む線維性疾患に関連する疾患が挙げられる。不適切な平滑筋収縮性、平滑筋の代償および代償不全、血管平滑筋細胞遊走および/または接着に関連する疾患、ならびに不適切なオートファジー、ファゴサイトーシスおよびエフェロサイトーシスに関連する疾患も挙げられる。本明細書に記載されるような、不適切な遊走細胞移動に関連する疾患も挙げられる。追加例としては、末梢神経系リモデリングおよび痛覚に関連する疾患を含む、神経疾患が挙げられる。骨発生および/または骨リモデリングに関連する疾患も挙げられる。典型的には、「不適切」という用語は、病状もしくは疾患状態に関連するか、またはそれを引き起こす、活性または特徴を指す。
【0180】
「参照配列」という用語は、一般に、別の配列と比較されている、核酸コード配列またはアミノ酸配列を指す。本明細書に記載されるすべてのポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列は、名称によって記載されるもの、ならびに表および配列表に記載されるものを含んで、参照配列として含まれる。
【0181】
ある特定の実施形態は、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体)およびそれをコードするポリヌクレオチドの生物学的に活性な「バリアント」および「断片」を含む。「バリアント」は、参照ポリペプチドまたはポリヌクレオチド(例えば、表および配列表を参照されたい)と比べて、1つまたは複数の置換、付加、欠失および/または挿入を含有する。バリアントポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、本明細書に記載される参照配列と、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれよりも高い配列同一性または類似性または相同性を有するアミノ酸またはヌクレオチド配列を含み、参照配列の活性を実質的に維持している。参照配列からなる配列、あるいは参照配列と1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60,70、80、90、100、110、120、130、140、150もしくはそれよりも多くのアミノ酸またはヌクレオチドの付加、欠失、挿入または置換によって異なり、参照配列の活性を実質的に維持している配列も含まれる。ある特定の実施形態では、付加または欠失は、C末端および/またはN末端の付加および/または欠失を含む。
【0182】
「配列同一性」という用語または例えば「と50%同一の配列」を含む用語は、本明細書で使用される場合、配列が、比較のウィンドウにわたってヌクレオチドごとまたはアミノ酸ごとに同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較のウィンドウにわたって2つの最適にアライメントされた配列を比較すること、両方の配列中で同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、CysおよびMet)が生じる位置の数を決定して、一致した位置の数を得ること、一致した位置の数を比較のウィンドウ(すなわちウィンドウサイズ)中の位置の総数で割ること、およびその結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算され得る。比較ウィンドウをアライメントするための配列の最適なアライメントは、アルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Drive Madison、Wis.、USAにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によって、または選択されたさまざまな方法のいずれかによって作成された検証および最良のアライメント(すなわち、比較ウィンドウにわたって最も高いパーセンテージの相同性をもたらす)によって実施されてもよい。例えば、Altschul et al., Nucl. Acids Res. 25:3389, 1997によって開示されているようにして、BLASTファミリーのプログラムを参照してもよい。
【0183】
「溶解性」という用語は、本明細書に提供される薬剤(例えば、抗体)を液体溶媒に溶解し、均質な溶液を形成する性質を指す。溶解性は、典型的には、溶媒の単位体積あたりの溶質の質量(溶媒1kgあたりの溶質のg、1dL(100mL)あたりのg、mg/mlなど)、モル濃度、重量モル濃度、モル分率または他の類似の濃度の記述のいずれかによって、濃度として表される。溶媒の量あたりに溶解し得る溶質の最大平衡量は、温度、圧力、pHおよび溶媒の性質を含む特定の条件下で溶媒に溶解する溶質の溶解性である。ある特定の実施形態では、溶解性は、生理学的なpHまたは他のpH、例えば、pH5.0、pH6.0、pH7.0、pH7.4、pH7.6、pH7.8またはpH8.0(例えば、約pH5~8)で測定される。ある特定の実施形態では、溶解性は、水、またはPBSもしくはNaCl(NaPOありまたはなし)などの生理学的緩衝液中で測定される。具体的な実施形態では、溶解性は、比較的低いpH(例えば、pH6.0)および比較的高い塩(例えば、500mMのNaClおよび10mMのNaPO)で測定される。ある特定の実施形態では、溶解性は、血液または血清などの生体液(溶媒)中で測定される。ある特定の実施形態では、温度は、約室温(例えば、約20、21、22、23、24、25℃)または約体温(37℃)であり得る。ある特定の実施形態では、薬剤は、室温または37℃で、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90または100mg/mlの溶解性を有する。
【0184】
「対象」もしくは「それを必要とする対象」または「患者」もしくは「それを必要とする患者」は、ヒト対象などの哺乳動物対象を含む。
【0185】
「実質的」または「本質的」は、ほぼ全体的またはほぼ完全、例えば、一部の所与の量の95%、96%、97%、98%、99%またはそれよりも高いことを意味する。
【0186】
「統計学的に有意」とは、結果が偶然に起こった可能性が低いことを意味する。統計学的有意性は、当技術分野において公知の任意の方法によって決定することができる。有意性の一般に使用される尺度としては、p値が挙げられ、これは、帰無仮説が真である場合に、観察事象が起こる頻度または確率である。得られたp値が有意レベルよりも小さい場合、その結果、帰無仮説は却下される。単純な例では、有意レベルは、0.05またはそれよりも低いp値と定義される。
【0187】
「治療応答」は、1つまたは複数の治療剤の投与に基づく症状の改善(持続するか、または持続しないかにかかわらない)を指す。
【0188】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」、「治療用量」、「予防的有効量」または「診断有効量」という用語は、投与後に所望の生物学的応答を誘発するのに必要な薬剤(例えば、抗NRP2抗体、免疫療法剤)の量である。
【0189】
本明細書で使用される場合、対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)または細胞の「処置」は、個体または細胞の自然経過を変更しようとして使用される任意の種類の介入である。処置としては、限定されるものではないが、医薬組成物の投与が挙げられ、予防的に、または病理学的事象の開始もしくは病原因子との接触の後のいずれかで行われ得る。「予防的」な処置も含まれ、これは、処置される疾患もしくは状態の進行の速度を低減すること、疾患もしくは状態の発症を遅らせること、またはその発症の重症度を低減することを対象とし得る。「処置」または「予防」は、疾患もしくは状態またはそれらの関連する症状の完全な根絶、治癒または予防を必ずしも示さない。
【0190】
「野生型」という用語は、集団おいて最も頻繁に観察され、したがって、遺伝子の「正常」もしくは「野生型」の形態が任意に設計される、遺伝子または遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)を指す。
【0191】
本明細書のそれぞれの実施形態は、他に明確に述べない限り、すべての他の実施形態に適用されるべきである。
抗NRP2抗体
【0192】
ある特定の実施形態は、ヒトニューロピリン2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する抗体およびその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチドのヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチドまたは他のNRP2リガンドなどの少なくとも1つのNRP2リガンドへの結合をモジュレートする(例えば、妨げる)。
【0193】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列を含む重鎖可変領域(V)配列、ならびに相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列を含む軽鎖可変領域(V)配列によって特徴付けられるか、またはそれらを含む。例示的なV、VCDR1、VCDR2、VCDR3、V、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列は、下記の表A1、表A2および表A3に提供される。
【表A1-1】

【表A1-2】

【表A2-1】

【表A2-2】

【表A2-3】
【0194】
したがって、ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
ヒトNRP2ポリペプチド(例えば、表N1から選択される)に特異的に結合する、表A1から選択される相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列、ならびにそれらのバリアントを含む、重鎖可変領域(V)配列;ならびに
ヒトNRP2ポリペプチド(例えば、表N1から選択される)に特異的に結合する、表A1から選択される相補性決定領域VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列、ならびにそれらのバリアントを含む、軽鎖可変領域(V)配列を含む。
【0195】
ある特定の実施形態では、CDR配列は、以下の通りである:
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号1~3およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号4~6およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号7~9およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号10~12およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号13~15およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号16~18およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号19~21およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号22~24およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号25~27およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号28~30およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号31~33およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号34~36およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号34~39およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号40~42およびそれらのバリアントを含むか;
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号57~59およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号60~62およびそれらのバリアントを含むか;または
CDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号63~65およびそれらのバリアントを含み、VCDR1、VCDR2およびVCDR3配列が、それぞれ、配列番号66~68およびそれらのバリアントを含む。
【0196】
ヒトNRP2に結合する親和性成熟バリアントを含むそれらのバリアントも含まれ、例えば、バリアントは、1つまたは複数のCDR領域、例えば、本明細書に記載される1つまたは複数のVCDR1、VCDR2、VCDR3、VCDR1、VCDR2および/またはVCDR3配列中に、1、2、3、4、5または6つの変更を有する。例示的な「変更」としては、アミノ酸の置換、付加および欠失が挙げられる。
【0197】
ある特定の実施形態では、V配列は、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99または100%同一であり、例えば、V配列が、1つまたは複数のフレームワーク領域中に1、2、3、4または5つの変更を有するものを含む。
【0198】
一部の実施形態では、V配列は、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99または100%同一であり、例えば、V配列が、1つまたは複数のフレームワーク領域中に1、2、3、4または5つの変更を有するものを含む。
【0199】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片のVおよびV配列は、以下の通りである:
配列が、配列番号43を含み、V配列が、配列番号44を含むか;
配列が、配列番号45を含み、V配列が、配列番号46を含むか;
配列が、配列番号47を含み、V配列が、配列番号48を含むか;
配列が、配列番号49を含み、V配列が、配列番号50を含むか;
配列が、配列番号51を含み、V配列が、配列番号52を含むか;
配列が、配列番号53を含み、V配列が、配列番号54を含むか;
配列が、配列番号55を含み、V配列が、配列番号56を含むか;
配列が、配列番号69を含み、V配列が、配列番号70を含むか;
配列が、配列番号71を含み、V配列が、配列番号72を含むか;または
配列が、配列番号73を含み、V配列が、配列番号74を含む。
【0200】
それらのバリアント、例えば、1つまたは複数のフレームワーク領域中に1、2、3、4または5つの変更を有するバリアントも含まれる。例示的な「変更」としては、アミノ酸の置換、付加および欠失が挙げられる。
【0201】
下記の表A3は、例示的なコンセンサスCDR配列を含む例示的な冗長抗体のCDRをまとめ、それについてのアミノ酸コードを提供する。
【表A3-1】

【表A3-2】
【0202】
したがって、ある特定の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片は、CDR配列、例えば、表A3からのCDR1コンセンサス配列を含む。
【0203】
ニューロピリン-2は、各種のリガンドに対する必須の細胞表面受容体および共受容体としてのその役割により、広範囲の細胞機能をモジュレートする細胞表面受容体タンパク質である(例えば、Guo and Vander Kooi, J. Cell. Biol. 290 No 49: 29120-29126, 2015を参照されたい)。例えば、それは、上皮間葉転換(EMT)の間に、例えば、結腸直腸がん細胞および他のがん細胞におけるTGF-β1媒介EMTを促進することによって(例えば、Grandclementet al., PLoS ONE 6(7) e20444, 2011を参照されたい)、ならびに線維芽細胞、筋線維芽細胞および内皮細胞におけるEMTまたはendo-EMTを媒介して線維形成を促進することによって(例えば、Pardaliet al., Int. J. Mol. Sci. 18:2157, 2017を参照されたい)、機能する。
【0204】
ニューロピリン-2発現は、リンパ脈管新生を促進し(例えば、Doci et al.,Cancer Res. 75:2937-2948, 2015を参照されたい)、NRP2における一塩基多型(SNP)はリンパ浮腫と関連する(例えば、Miaskowskiet al., PLoS ONE 8(4) e60164, 2013を参照されたい)。NRP2はまた、平滑筋収縮性を調節し(例えば、Bielenberg etal., Amer. J. Path. 181:548-559, 2012を参照されたい)、例えば、がんにおいてオートファジーを調節し(例えば、Stantonet al., Cancer Res. 73:160-171, 2013を参照されたい)、腫瘍の惹起、生存および転移に寄与し(例えば、Goel et al.,EMBO Mol. Med. 5:488-508, 2013;およびSamuel et al., PLoS ONE 6(10) e23208, 2011を参照されたい)、免疫細胞の活性化および遊走を調節する(例えば、Mendes-da-Cruzet al., PLoS ONE 9(7) e103405, 2014を参照されたい)。ニューロピリンは、腫瘍の惹起、成長、転移および免疫性に関与する多機能共受容体でもある(例えば、Prud'hommeet al., Oncotarget 3:921-939, 2012を参照されたい)。
【0205】
ニューロピリン-2は、B細胞およびT細胞などのリンパ系細胞、ならびに好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞、好中球および組織特異的マクロファージ、例えば、肺胞マクロファージを含むマクロファージなどの骨髄性細胞を含む、免疫系のさまざまな細胞において発現される。これは、肺および他の組織中の内皮細胞および上皮細胞において、ならびに筋肉細胞においても発現される(例えば、Bielenberg et al., Amer. J. Path. 181:548-559, 2012;Aung, et al.,PLoS ONE 11(2) e0147358, 2016;Schellenburg et al., Mol. Imm 90:239-244, 2017;およびWildet al., Int. J. Exp. Path. 93:81-103, 2012を参照されたい)。
【0206】
ニューロピリン-2はまた、例えば、後期エンドソーム成熟を調節することによって、エンドソームの発達において重要な役割を果たし、ファゴサイトーシスならびにエフェロサイトーシスの重要な態様は、感染部およびアポトーシス細胞の排除にそれぞれ寄与する(例えば、Diaz-Vera et al., J. Cell. Sci. 130:697-711, 2017;Dutta et al.,Cancer Res. 76:418-428, 2016を参照されたい)。
【0207】
ニューロピリン-2は、多くの疾患(例えば、「NRP2関連疾患」)の病態生理学における重要な因子であることが公知であり、セマフォリン3F、VEGF-CおよびD、ならびにTGF-ベータ(例えば、表N2および表N3を参照されたい)、ならびに一連の細胞受容体および補助因子(例えば、図1A~1Bおよび図2を参照されたい)を含む、広範囲の可溶性リガンドと相互作用する。NRP2はまた、樹状細胞においてポリシアリル化され、ケモカインCCL21と積極的に相互作用して、免疫細胞の遊走を媒介し、これについて、ILDおよびRAに関連する一塩基多型が記載されている(例えば、Rey-Gallardo et al., Glycobiology 20:1139-1146, 2010;Stahl et al.,Nat. Genet. 42:508-514, 2013;およびMiller et al., Arthritis Rheum. 65:3239-3247を参照されたい)。加えて、NRP-2の可溶性の循環形態が公知であり(例えば、Parkeret al., Structure 23(4) 677-687, 2015を参照されたい)、内部研究で、循環中に、HRSポリペプチドおよびNRP-2ポリペプチドの循環複合体の存在を確認している。したがって、広範囲の疾患の病態生理学においてNRP2によって果たされる中心的な役割を考慮すると、これは、NRP2およびNRP2リガンド(例えば、表N2および表N3からのNRP2リガンド)の間の相互作用、ならびに対応する生物活性を選択的に変化させるNRP2に対する抗体とのそれらの相互作用のモジュレーションが、NRP2関連疾患を含む疾患の処置に対して幅広い可能性を提供するという証拠である。
【0208】
NRP2は、2つのCUBドメイン(a1/a2複合ドメイン)、2つの第V因子/第VIII因子相同ドメイン(b1/b2複合ドメイン)、MAMドメイン(cドメイン)(図1A~1Bを参照されたい)およびcドメインを膜貫通ドメインに接続する短い膜近傍領域(血漿膜を横断する)を含有する優勢な細胞外領域を有する単一の膜貫通受容体である。a1a2複合ドメインは、セマフォリンのsema領域と相互作用し、b1ドメインは、セマフォリンのPSIドメインおよびIg様ドメインと相互作用する。NRP2は、SEMA3Fおよび3Gに対するより高い親和性を有し、対照的に、SEMA3A、3Bおよび3Eは、NRP1と優先的に相互作用する。NRP1とNRP2は両方とも、SEMA3Cに対して同様の親和性を有する。b1b2複合ドメインは、VEGF CおよびDを含むヘパリン結合ドメイン、胎盤成長因子(PIGF)-2、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)およびトランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータを含有するいくつかの成長因子と相互作用する(例えば、Prud'homme et al., Oncotarget. 3:921-939, 2012を参照されたい)。NRP2はまた、さまざまな成長因子特異的受容体とも相互作用し、これらの受容体との相互作用は、SEMAへの結合とは無関係に起こる。この文脈では、インテグリン、ならびにVEGF受容体、TGF-ベータ受容体、c-Met、EGFR、FGFR、PDGFRのような成長因子受容体は、NRPと相互作用し、一般に、その受容体に対するそれぞれのリガンドの親和性を増加させ、下流シグナル伝達をモジュレートすると思われることが示される。cドメイン(Mam)のドメインは、リガンド結合に直接必要であると思われていないが、リガンド特異性、受容体シグナル伝達およびNRP2二量体化に影響を与え得る。膜近傍領域は、NRP2aおよびNRP2bアイソフォームの間で著しく異なり、リガンド特異性、二量体化およびシグナル伝達にも影響を与え得る。
【0209】
したがって、NRP2のa1および/またはa2ドメインに結合する抗NRP2抗体およびその抗原結合性断片は、セマフォリン結合を選択的にモジュレートする可能性を有する。同様に、b1ドメインに結合する抗NRP2抗体およびその抗原結合性断片は、セマフォリンならびにVEGFおよび成長因子の結合の両方をモジュレートする可能性を有し、b2ドメインに結合する抗NRP2抗体は、VEGFおよび成長因子の結合を選択的にモジュレートする可能性を有する。cドメインに結合する抗体およびその抗原結合性断片は、NRP2リガンド結合に直接影響を与える可能性はないが、NRP2の下流シグナル伝達を、例えば、NRP2受容体二量体化をモジュレートする(例えば、促進する、または増強する)ことによってモジュレートする可能性を有する。
【0210】
NRP2受容体のホモ二量体化を促進する抗NRP2抗体およびその抗原結合性断片は、NRP2受容体活性をモジュレートすることができ、結合部位の性質に応じてアゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体を提供する。そのような抗体およびその抗原結合性断片は、それらがリガンド結合を直接モジュレートしない場合でさえ、NRP2リガンドの活性をモジュレートする(例えば、増強する)ことができる。特異的抗NRP2抗体の機能的効果における追加の多様性は、それらの結合様式に基づいて、および立体効果の結果として、予測され得、それらは、リガンド結合に間接的に影響を与え得る。
【0211】
NRP2は、ホモ二量体およびヘテロ二量体を形成することができ、高度にグリコシル化されている。NRP2は、約551~926アミノ酸長である異なるスプライスバリアントを有する。NRP2についての2つの主なバリアントは、NRP2aおよびNRP2bとして分類されている。これらは、それらの細胞内C末端部分(図1A~1B)において相違し、ここで、NRP2aについて、c末端ドメインは、C末端SEAアミノ酸配列を有する42アミノ酸およびPDZ結合ドメインを含む。対照的に、NRP2bは、NRP2aの細胞内配列、膜近傍配列および膜貫通配列と約11%の配列相同性を共有する46アミノ酸のC末端ドメインを含む。MAMドメインおよび膜貫通ドメインの間に、追加のスプライシングが起こり得、追加の5アミノ酸(GENFK)が、NRP2aまたはNRP2bの形態のいずれかに付加され得、これらのバリアントは、選択的スプライシングにより付加された追加のアミノ酸の数に基づいて名付けられる。したがって、NRP2aの2つのバリアントは、NRP2a(17)(またはバリアント1)およびNRP2a(22)(またはバリアント2)と名付けられ、NRP2bについての2つの膜貫通バリアントは、NRP2b(0)(またはバリアント4)およびNRP2b(5)(またはバリアント5)と名付けられる。加えて、sNRP2b(またはバリアント6)と呼ばれる可溶形態が作成され得る。例示的なNRP2ポリペプチド配列は、NRP2のさまざまなアイソフォームの成熟(N末端シグナルペプチドの切断後)および前駆体形態を含んで、下記の表N1に提供される。
【表N1-1】

【表N1-2】

【表N1-3】

【表N1-4】

【表N1-5】

【表N1-6】

【表N1-7】

【表N1-8】

【表N1-9】
【0212】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、表N1から選択される全長ヒトNRP2ポリペプチドまたはヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチドに、約10pM~約500pMもしくは約10pM~約50nM、または約、少なくとも約、もしくは多くても約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、もしくは50nMの親和性で、あるいは必要に応じて、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、もしくは約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、もしくは約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、もしくは約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、もしくは約25nM~約50nMの範囲である親和性で、結合する。
【0213】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、少なくとも1つのニューロピリンドメイン中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。例示的なニューロピリンドメインとしては、ニューロピリンa1ドメイン、ニューロピリンa2ドメイン、ニューロピリンb1ドメイン、ニューロピリンb2ドメイン、ニューロピリンcドメイン、ニューロピリンa1/a2複合ドメイン、ニューロピリンb1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1複合ドメイン、ニューロピリンb2/c複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa2/b1/b2/c複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1/b2複合ドメイン、ニューロピリンa1/a2/b1/b2/c複合ドメイン、a1/a2/b1/b2/c/膜近傍複合ドメインおよびニューロピリンb1/b2/c複合ドメイン(ドメインの残基について、表N1を参照されたい)の1つまたは複数が挙げられる。具体的な実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンb1ドメイン、ニューロピリンb2ドメインおよび/またはニューロピリンb1/b2複合ドメイン(表N1を参照されたい)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、少なくとも1つのドメイン(または、その中の少なくとも1つのエピトープ)に、約10pM~約500pMもしくは約10pM~約50nM、または約、少なくとも約、もしくは多くても約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、もしくは50nMの親和性で、あるいは必要に応じて、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、もしくは約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、もしくは約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、もしくは約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、もしくは約25nM~約50nMの範囲である親和性で、結合する。
【0214】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンa1ドメイン、ニューロピリンa2ドメインおよび/またはニューロピリンa1a2複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、例えば、(ニューロピリンa1ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基20~148、30~141、40~141、50~141、60~141、70~141、80~141、90~141、100~141、110~141、120~141、130~141;20~130、20~120、20~110、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、もしくは20~30の付近で;または例えば、(ニューロピリンa2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基142~280、150~265、160~265、170~265、180~265、190~265、200~265、210~265、220~265、230~265、240~265、250~265、260~265、141~270、141~260、141~250、141~240、141~230、141~220、141~210、141~200、141~190、141~180、141~170、141~160、141~150、200~250、210~250、220~250、230~250、200~240、210~240、220~240、230~240、227~247、228~247、229~247、230~247、231~247、232~247、233~247、234~247、235~247、236~247;227~246、227~245、227~244、227~243、227~242、227~241、227~240、227~239、227~238;235~240、236~239、236~238、もしくは残基237の付近で;または例えば、(複合a1a2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基20~280、30~280、40~280、50~280、60~280、70~280、80~280、90~280、100~280、110~280、120~280、130~280、140~280、150~280、160~280、170~280、180~280、190~280、200~280、210~280、220~280、230~280、240~280、260~280、270~280、20~270、20~260、20~250、20~240、20~230、20~220、20~210、20~200、20~190、20~180、20~170、20~160、20~150、20~140、20~130、20~120、20~110、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、もしくは20~30の付近で、特異的に結合する。
【0215】
特定の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンb1ドメイン、ニューロピリンb2ドメインおよび/またはニューロピリンb1/b2複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、例えば、(ニューロピリンb1ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基266~426、280~426、290~426、299~420、300~426、310~426、320~426、330~426、340~426、350~426、360~426、370~426、380~426、390~426、400~426、410~426、420~426、280~420、280~410、280~400、280~390、280~380、280~370、280~360、280~350、280~340、280~330、280~320、280~310、280~300、もしくは280~290、ならびに、ヒトNRP2前駆体配列によって定義される、残基Y299、N354および/もしくはS416の1、2もしくは3つを含む不連続エピトープ;(ニューロピリンb2ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基438~591、450~591、460~591、470~591、480~591、490~591、500~591、510~591、520~591、530~591、540~591、550~591、560~591、570~591、580~591、438~590、438~580、438~570、438~560、438~550、438~540、438~530、438~520、438~510、438~500、438~490、438~480、438~470、438~460、438~450;または(ニューロピリンb1/b2複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基266~591、276~591、286~591、296~591、306~591、316~591、326~591、336~591、346~591、356~591、366~591、376~591、386~591、396~591、406~591、416~591、426~591、436~591、446~591、456~591、466~591、476~591、486~591、498~591、508~591、518~591、528~591、538~591、548~591、558~591、568~591、578~591、588~591、266~581、266~571、266~561、266~551、266~541、266~531、266~521、266~511、266~501、266~491、266~481、266~471、266~461、266~451、266~441、266~431、266~421、266~411、266~401、266~391、266~381、266~371、266~361、266~351、266~341、266~331、266~321、266~311、266~301、266~291、266~281、もしくは266~271の付近で、特異的に結合する。
【0216】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンa2/b1複合ドメインおよび/またはニューロピリンb2c複合ドメイン、ならびに隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、例えば、(ニューロピリンa2b1複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基149~437、159~426、169~426、179~426、189~426、199~426、209~426、219~426、229~426,239~426、249~426、259~426、269~426、279~426、289~426、299~426、309~426、319~426、329~426、339~426、349~426、359~426、369~426、379~426、389~426、399~426、409~426、419~426、149~436、149~426、149~416、149~406、149~396、149~386、149~376、149~366、149~356、149~346、149~336、149~326、149~316、149~306、149~296、149~286、149~276、149~266、149~256、149~246、149~236、149~226、149~216、149~206、149~196、146~186、146~176、146~166、もしくは146~155の付近で;または例えば、(ニューロピリンb2c複合ドメイン)ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基438~794、448~794、458~794、468~794、478~794、487~794、497~794、507~794、517~794、527~794、537~794、547~794、557~794、567~794、587~794、597~794、607~794、617~794、627~794、637~794、647~794、657~794、667~794、677~794、687~794、697~794、707~794、717~794、727~794、737~794、747~794、757~794、767~794、777~794、787~794、427~794、438~784、438~774、438~764、438~754、438~744、438~734、438~728、438~714、438~704、438~694、438~684、438~674、438~664、438~654、438~644、438~634、438~624、438~614、438~604、438~596、438~586、438~576、438~566、438~556、438~546、438~536、438~526、438~516、438~506、438~494、438~484、438~474、438~464、438~454、438~444の付近で、特異的に結合する。
【0217】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンcドメインおよび隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、例えば、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基591~794、600~794、610~794、620~794、630~794、640~794、650~794、660~794、670~794、680~794、690~794、700~794、710~794、720~794、730~794、740~794、750~794、760~794、770~794、780~794、790~794、591~790、591~780、591~770、591~760、591~750、591~740、591~730、591~720、591~710、591~700、591~690、591~680、591~670、591~660、591~650、591~640、591~630、591~620、591~610、もしくは591~600の付近で、特異的に結合する。
【0218】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンb1/b2/c複合ドメインおよび隣接リンカー領域中の少なくとも1つのエピトープに、例えば、ヒトNRP2前駆体配列(表N1を参照されたい)によって定義される、残基276~794、286~794、296~794、306~794、316~794、326~794、336~794、346~794、356~794、366~794、376~794、387~794、396~794、406~794、416~794、426~794、436~794、446~794、456~794、466~794、476~794、486~794、496~794、506~794、516~794、526~794、536~794、546~794、556~794、566~794、576~794、586~794、596~794、606~794、616~794、626~794、636~794、646~794、656~794、666~794、676~794、686~794、696~794、706~794、716~794、726~794、736~794、746~794、756~794、766~794、776~794、786~794、266~794、276~784、276~774、276~764、276~754、276~744、276~734、276~724、276~714、276~704、276~694、276~684、276~674、276~664、276~654、276~644、276~634、276~624、276~614、276~604、276~594、276~584、276~574、276~564、276~554、276~544、276~534、276~524、276~514、276~504、276~594、276~584、276~574、276~564、276~554、276~544、276~534、276~524、276~514、276~504、もしくは276~496の付近で、特異的に結合する。
【0219】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ニューロピリンC/膜近傍複合ドメイン中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。
【0220】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2aのニューロピリン膜近傍ドメイン(バリアント1)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2aのニューロピリン膜近傍ドメイン(バリアント2)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2aのニューロピリン膜近傍ドメイン(バリアント3)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2bのニューロピリン膜近傍ドメイン(バリアント4)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2bのニューロピリン膜近傍ドメイン(バリアント5)中の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。
【0221】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、2つまたはそれよりも多くの不連続エピトープ領域から構成される立体構造エピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、
(a)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびa2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(b)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb1ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(c)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(d)ヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(e)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのa1ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(f)ヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb1ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(g)ヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(h)ヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(i)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのa2ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(j)ヒトNPR2ポリペプチドのb1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびb2ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(k)ヒトNPR2ポリペプチドのb1ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(l)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのb1ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;
(m)ヒトNPR2ポリペプチドのb2ドメイン内の第1のエピトープ領域およびcドメイン内の第2のエピトープ領域;
(n)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのb2ドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域;もしくは
(o)バリアント1、2、3、4および5から選択されるヒトNPR2ポリペプチドのcドメイン内の第1のエピトープ領域および膜近傍ドメイン内の第2のエピトープ領域
を含むか、またはそれらからなる、立体構造エピトープに特異的に結合する。
【0222】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、少なくとも1つの「NRP2リガンド」に結合するか、またはそれと相互作用するヒトNRP2ポリペプチド、およびヒトNRP2のいずれか1つまたは複数のバリアントを含むヒトNRP2と相互作用するか、または可逆的に結合する任意の分子の領域内の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する。「NRP2リガンド」の一般的な例としては、HRSポリペプチドなどのポリペプチド、可溶性リガンド、受容体(例えば、細胞表面受容体)、および成長因子、成長因子受容体などが挙げられ、NRP2リガンドの具体例が本明細書に詳述される。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチドの少なくとも1つの「NRP2リガンド」への結合をモジュレートする(例えば、アンタゴナイズする、妨げる、アゴナイズする、増強する)。
【0223】
上記で述べたように、ある特定の実施形態では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、HRSポリペプチドである。したがって、ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、少なくとも1つのヒトHRSポリペプチドに結合するか、またはそれと相互作用する、ヒトNRP2ポリペプチドの領域内の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合し、それによって、ヒトNRP2ポリペプチドのヒトHRSポリペプチドへの結合をモジュレートする。例示的なHRSポリペプチドは、下記の表H1に提供される。
【表H1-1】

【表H1-2】

【表H1-3】

【表H1-4】
【0224】
したがって、ある特定の実施形態では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、表H1から選択され、抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチド(例えば、表N1から選択されるヒトNRP2ポリペプチド)の表H1から選択されるヒトHRSポリペプチドへの結合をモジュレートする(例えば、妨げる)。一部の実施形態では、抗NRP2抗体または抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドのHRSポリペプチド相互作用領域に特異的に結合し、一部の例では、例えば、アゴニスト抗体として、NRP2ポリペプチドに結合するHRSポリペプチドの1つまたは複数のシグナル伝達活性を模倣する。「HRSポリペプチド相互作用領域」は、例えば、異なるNRP2リガンドに対するリガンド結合部位(その例は本明細書に提供される)、二量体化ドメイン、タンパク質-タンパク質間相互作用ドメイン、またはNRP2ポリペプチドの活性をモジュレートするためのNRP2ポリペプチド内のアロステリックに敏感な部位で、ヒトHRSポリペプチドの領域またはドメインと相互作用する、ヒトNRP2ポリペプチドの領域またはドメインを含む。
【0225】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、「遮断抗体」であり、これは、ヒトNRP2ポリペプチド(例えば、表N1から選択される)、およびヒトHRSポリペプチドなどのNRP2リガンド(例えば、表H1から選択される)または他のNRP2リガンド(例えば、表N2または表N3から選択される)の間の結合を、完全にまたは実質的に阻害する。一部の実施形態では、「遮断抗体」は、実質的に化学量論当量での「遮断抗体」とNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチドおよびNRP2リガンド(例えば、HRSポリペプチド)の間の理論最大結合の約または少なくとも約80~100%(例えば、80、85、90、95または100%)を阻害する。本明細書で使用される場合、「化学量論当量」は、所与の式または反応において、1つの物質(例えば、抗NRP2抗体)のモル数が、少なくとも1つの他の物質(例えば、NRP2ポリペプチド)のモル数と等しいまたは実質的に等しい状況を指す。
【0226】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、「部分的遮断抗体」であり、これは、ヒトNRP2ポリペプチド(例えば、表N1から選択される)、およびヒトHRSポリペプチドなどのNRP2リガンド(例えば、表H1から選択される)または他のNRP2リガンド(例えば、表N2または表N3から選択される)の間の結合を、完全ではないが、少なくとも部分的に阻害する。一部の実施形態では、「部分的遮断抗体」は、化学量論量での「部分的遮断抗体」とNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチドおよびNRP2リガンド(例えば、HRSポリペプチド)の間の理論最大結合の約または少なくとも約20~80%(例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80%)を阻害する。
【0227】
具体的な実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチドおよび表H1から選択されるHRSポリペプチドスプライスバリアント、例えば、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4(SV9)、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8(SV11)およびHisRSC9(SV14)の1つまたは複数から選択されるHRSスプライスバリアントの間の結合を、特異的に阻害するか、またはそうでなければ低減する。
【0228】
上記で述べたように、NRP2は、HRS以外の複数のNRP2リガンドと相互作用し、これは、下流シグナル伝達事象を媒介する。NRP2リガンドの追加例は、下記の表N2および表N3に提供される。
【表N2】

【表N3】
【0229】
したがって、ある特定の実施形態では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、表N2および/または表N3から選択される。
【0230】
例えば、一部の態様では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-DおよびPIGF-2から選択されるVEGF(血管内皮成長因子)リガンドである。VEGF-VEGFR2/3-NRP2の相互作用は、細胞の遊走、細胞の成長、細胞の生存および細胞の付着の促進に関連し、ならびにリンパ脈管新生、血管透過性の増加、インテグリンシグナル伝達の活性化、小胞輸送および内部移行の促進、ならびに細胞分化の遅延にも関連する。したがって、VEGF関連NRP2リガンドをモジュレートする抗NRP2抗体は、これらの経路の1つまたは複数をモジュレートする有用性が見出されると予期されるであろう。
【0231】
ある特定の態様では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、SEMA-3B、SEMA-3C、SEMA-3D、SEMA-3FおよびSEMA-3Bの1つもしくは複数から選択されるセマフォリン、またはプレキシンA1、A2、A3、A4およびD1の1つもしくは複数から選択されるプレキシン受容体である。SEMAは、典型的には、VEGF-Cの効果をアンタゴナイズするが、VEGFおよびSemaシグナル伝達経路の間に密接な動的相互作用がある。SEMAは、典型的には、免疫系において機能して、細胞の移動、細胞の遊走、細胞-細胞情報交換および細胞の活性化を制御する。SEMAプレキシン-NRP2相互作用は、細胞遊走の阻害、細胞成長の阻害、アポトーシスの促進、細胞付着の阻害、インテグリンシグナル伝達の阻害、細胞分化の促進、リンパ脈管新生の阻害、血管透過性の低減、微小管不安定化の促進、アクチン細胞骨格の崩壊ならびに成長円錐の崩壊およびアクトミオシン収縮を含む細胞収縮の媒介、ならびに神経細胞拡散の防止、ならびに軸索伸長の阻害に関連する。したがって、SEMA関連NRP2リガンドをモジュレートする抗NRP2抗体は、これらの経路の1つまたは複数をモジュレートする有用性が見出されると予期されるであろう。
【0232】
一部の態様では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、αVβ1、αVβ3、αVβ5、αVβ6、αVβ8、α6β1およびα6β4の1つまたは複数から選択されるインテグリンである。インテグリン-NRP2相互作用は、一般に、細胞接着の増加、細胞成長、がん成長および侵襲性に関連する。したがって、インテグリンに関連するNRP2リガンドをモジュレートする抗NRP2抗体は、これらの経路の1つまたは複数をモジュレートする有用性が見出されると予期されるであろう。
【0233】
一部の態様では、少なくとも1つのNRP2リガンドは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3およびそれらの対応するTGFβ受容体から選択される。TGF-βシグナル伝達は、がんにおけるEMTの調節、また線維症の発生に強く関与している(例えば、Gemmill et al., Sci. Signal. 10 eaag0528, 2017を参照されたい)。NRP2b発現は、異常な肺においてTGF-βシグナル伝達によって優先的に上方調節され、正常な肺において、わずかな発現を示すか、または発現を示さない。NRP2b発現は、遊走、浸潤、転移、化学耐性および腫瘍様塊の形成を増強し、がん細胞におけるEMTに関連する獲得EGFR阻害剤耐性も増強する。したがって、TGF-βに関連するNRP2リガンドをモジュレートする抗NRP2抗体は、これらの経路の1つまたは複数をモジュレートする有用性が見出され、およびがん化学耐性の処置における有用性が見出されると予期されるであろう。ある特定の実施形態では、抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、NRP2ポリペプチドのNRP2リガンド相互作用領域に特異的に結合することによって、NRP2ポリペプチド、ならびに表N2および/または表N3からのNRP2リガンドの少なくとも1つとの間の結合活性/シグナル伝達活性をモジュレートする。
【0234】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2のNRP2aアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント1、2および/または3)に選択的に結合し、NRP2のNRP2bアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント4および/または5)に実質的に結合しない。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2bアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント4および/または5)に選択的に結合し、NRP2のNRP2aアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント1、2および/または3)に実質的に結合しない。
【0235】
一部の例では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。例えば、一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、実質的に化学量論当量での抗NRP2抗体とNRP2ポリペプチド/リガンドとのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチドおよびNRP2リガンドの間の理論最大結合/シグナル伝達を、約または少なくとも約20~100%(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90または100%)アンタゴナイズまたは低減する。
【0236】
一部の例では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、2つのNRP2ポリペプチド間の二量体化を低減または阻害する。例えば、一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、実質的に化学量論当量での抗NRP2抗体とNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、2つのNRP2ポリペプチド間の理論最大二量体化を、約または少なくとも約20~100%(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90または100%)アンタゴナイズまたは低減する。
【0237】
一部の例では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、2つのNRP2ポリペプチド間の二量体化をアゴナイズまたは増強する。例えば、一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、実質的に化学量論当量での抗NRP2抗体とNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、2つのNRP2ポリペプチドの基礎二量体化状態を、約または少なくとも約20%~500%(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400または500%)アゴナイズまたは増強する。
【0238】
一部の例では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をアゴナイズまたは増強する。例えば、一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、実質的に化学量論当量での抗NRP2抗体とNRP2ポリペプチドとのプレインキュベーション後に、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の理論最大結合活性/シグナル伝達活性を、約または少なくとも約20%~500%(例えば、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400または500%)アゴナイズまたは増強する。
【0239】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、セマフォリンのNRP2ポリペプチドへのもしくはそれを介した結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。一部の態様では、そのような抗体は、VEGF-Cまたは関連NRP2リガンドの相互作用を実質的に遮断しない。一部の態様では、そのような抗体は、セマフォリンシグナル伝達に関するアゴニスト抗体である。一部の態様では、そのような抗体は、セマフォリンシグナル伝達に関するアンタゴニスト抗体である。
【0240】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、VEGF-Cまたは関連NRP2リガンドのNRP2ポリペプチドへのもしくはそれを介した結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。一部の態様では、そのような抗体は、セマフォリンの相互作用を実質的に遮断しない。一部の実施形態では、そのような抗体は、VEGF-Cまたは関連NRP2リガンドおよびセマフォリンのNRP2ポリペプチドへの結合の両方を選択的にモジュレートする。一部の実施形態では、そのような抗体は、VEGF-Cシグナル伝達に関するアゴニスト抗体である。一部の態様では、そのような抗体は、VEGF-Cシグナル伝達に関するアンタゴニスト抗体である。
【0241】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、インテグリンまたは関連NRP2リガンドのNRP2ポリペプチドへの結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。
【0242】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3またはそれらの対応するTGFβ受容体のNRP2ポリペプチドへの結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。
【0243】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子および/またはそれらの対応する受容体の、NRP2ポリペプチドへの結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。
【0244】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドならびにVEGFR2、VEGFR3および/またはVEGF-Cの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0245】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよびHRSポリペプチドの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0246】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよびHRSポリペプチドの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにVEGFR2、VEGFR3および/またはVEGF-Cの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0247】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにVEGFR2および/またはVEGFR3の間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0248】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよびHRSポリペプチドの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにVEGFR2、VEGFR3および/またはVEGF-Cの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0249】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、セマフォリン3のNRP2へのリガンド結合を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドおよびプレキシン受容体の間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0250】
一部の実施形態では、プレキシン受容体は、プレキシンA1、A2、A3、A4およびD1から選択される。一部の実施形態では、セマフォリンは、セマフォリン3B、3C、3D、3Fおよび3Gから選択される。
【0251】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のa2ドメイン内の少なくとも5つのアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の二量体化を実質的に阻害することなく、NRP2およびプレキシンA1の間の受容体二量体化を選択的に阻害する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2前駆体(表N1を参照されたい)のアミノ酸232~242内のエピトープに特異的に結合する。
【0252】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のb1ドメイン内の少なくとも5つのアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびプレキシンA1の間の二量体化を実質的に阻害することなく、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の受容体二量体化を選択的に阻害する。
【0253】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のb2ドメイン内の少なくとも5つのアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の受容体二量体化を阻害し、NRP2およびプレキシンA1の間の二量体化を阻害する。
【0254】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2のcドメイン内の少なくとも5つのアミノ酸のエピトープに特異的に結合し、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2およびプレキシンA1の間の受容体二量体化を阻害し、NRP2およびFLT4(VEGFR3)の間の二量体化を部分的に阻害する。
【0255】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、(i)ヒトNRP2ポリペプチドおよび(ii)カニクイザルNRP2ポリペプチド(例えば、UniProt G7PL91を参照されたい)の対応する領域のそれぞれに対する親和性(KdまたはEC50)を有し、(i)および(ii)に対する親和性は、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約0.4~約1.2nM、約0.9~約5.5nM、約0.9~約5nM、または約1nM~約10nMの範囲内である。
【0256】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、(i)ヒトNRP2ポリペプチドおよび(ii)マウスNRP2ポリペプチドの対応する領域のそれぞれに対する親和性(KdまたはEC50)を有し、(i)および(ii)に対する親和性は、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、または約1nM~約10nMの範囲内である。
【0257】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、マウスNRP2ポリペプチドと比べて、ヒトNRP2ポリペプチド(表N1を参照されたい)に選択的に結合し、例えば、ヒトNRP2ポリペプチドに対するその親和性は、マウスNRP2ポリペプチドに対するその親和性よりも、例えば、約または少なくとも約2、5、10、20、30、40、50、100、500もしくは1000倍、またはそれよりも高く、著しく強い。特定の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトNRP2ポリペプチドに選択的に結合し、マウスNRP2ポリペプチドに実質的に結合しない。ある特定の例示的なマウスNRP2ポリペプチドとしては、Mus musculusのNRP2ポリペプチド(例えば、UniProt O35375を参照されたい)が挙げられる。
【0258】
単に例証目的で、ヒトNRP2ポリペプチドおよびNRP2リガンドの間の結合相互作用は、biacoreアッセイ(例えば、センサーチップに結合した適切にタグ化された可溶性試薬を用いる)、細胞表面でNRP2ポリペプチドを発現する細胞(ネイティブまたは組換えのいずれか)を用いるFACS解析、イムノアッセイ、蛍光染色アッセイ、ELISAアッセイおよびITC(等温滴定熱量測定)などのマイクロカロリメトリー手法を含む、各種の日常的な方法を使用して検出および定量体化することができる。
【0259】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、バリアントまたはそうでなければ改変Fc領域、ならびに野生型Fc領域と比べて変更された性質または生物活性を有するものを含む。改変Fc領域の例としては、例えば、野生型配列と比べて1つまたは複数のアミノ酸の置換、挿入、欠失またはトランケーションによって突然変異した配列を有するもの、異なる免疫グロブリンのクラス/サブクラス由来のドメインから構成されたハイブリッドFcポリペプチド、変更されたグリコシル化パターン/シアリル化パターンを有するFcポリペプチド、および例えば、ビオチン化(例えば、米国特許出願公開第2010/0209424号を参照されたい)、リン酸化、硫酸化などもしくは前述の任意の組合せによって改変または誘導体化されたFcポリペプチドが挙げられる。そのような改変を用いて、抗体またはその抗原結合性断片の対応する野生型Fc配列と比べて、本明細書に記載される他の性質の中でも、Fc領域の1つもしくは複数の特定のFcR(例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIa、FcγRIIIb、FcRn)に対する結合性、その薬物動態学的性質(例えば、安定性または半減期、生物学的利用率、組織分布、分布容積、濃度、消失速度定数、消失速度、曲線下面積(AUC)、クリアランス、Cmax、tmax、Cmin、変動)、その免疫原性、その補体結合もしくは活性化、および/またはFc領域のCDC/ADCC/ADCP関連活性を変更する(例えば、増加させる、減少させる)ことができる。ヒトおよび/またはマウス起源の改変Fc領域が含まれる。
【0260】
ハイブリッドFc領域、例えば、異なる種(例えば、ヒト、マウス)の免疫グロブリン、異なるIgクラスおよび/または異なるIgサブクラス由来のFcドメイン(例えば、ヒンジ、CH、CH、CH)の組合せを含むFc領域を含む、抗体またはその抗原結合性断片も含まれる。一般的な例としては、以下のCH/CHドメインの組合せ:IgA1/IgA1、IgA1/IgA2、IgA1/IgD、IgA1/IgE、IgA1/IgG1、IgA1/IgG2、IgA1/IgG3、IgA1/IgG4、IgA1/IgM、IgA2/IgA1、IgA2/IgA2、IgA2/IgD、IgA2/IgE、IgA2/IgG1、IgA2/IgG2、IgA2/IgG3、IgA2/IgG4、IgA2/IgM、IgD/IgA1、IgD/IgA2、IgD/IgD、IgD/IgE、IgD/IgG1、IgD/IgG2、IgD/IgG3、IgD/IgG4、IgD/IgM、IgE/IgA1、IgE/IgA2、IgE/IgD、IgE/IgE、IgE/IgG1、IgE/IgG2、IgE/IgG3、IgE/IgG4、IgE/IgM、IgG1/IgA1、IgG1/IgA2、IgG1/IgD、IgG1/IgE、IgG1/IgG1、IgG1/IgG2、IgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG1/IgM、IgG2/IgA1、IgG2/IgA2、IgG2/IgD、IgG2/IgE、IgG2/IgG1、IgG2/IgG2、IgG2/IgG3、IgG2/IgG4、IgG2/IgM、IgG3/IgA1、IgG3/IgA2、IgG3/IgD、IgG3/IgE、IgG3/IgG1、IgG3/IgG2、IgG3/IgG3、IgG3/IgG4、IgG3/IgM、IgG4/IgA1、IgG4/IgA2、IgG4/IgD、IgG4/IgE、IgG4/IgG1、IgG4/IgG2、IgG4/IgG3、IgG4/IgG4、IgG4/IgM、IgM/IgA1、IgM/IgA2、IgM/IgD、IgM/IgE、IgM/IgG1、IgM/IgG2、IgM/IgG3、IgM/IgG4、IgM/IgM(またはそれらの断片もしくはバリアント)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になるハイブリッドFc領域が挙げられ、必要に応じて、IgA1、IgA2、IgD、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4の1つもしくは複数由来のヒンジ、ならびに/またはIgEおよび/もしくはIgM由来のCHドメインを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ、CH、CHおよびCHドメインは、ヒトIg由来である。
【0261】
追加例としては、以下のCH/CHドメインの組合せ:IgA1/IgE、IgA2/IgE、IgD/IgE、IgE/IgE、IgG1/IgE、IgG2/IgE、IgG3/IgE、IgG4/IgE、IgM/IgE、IgA1/IgM、IgA2/IgM、IgD/IgM、IgE/IgM、IgG1/IgM、IgG2/IgM、IgG3/IgM、IgG4/IgM、IgM/IgM(またはそれらの断片もしくはバリアント)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になるハイブリッドFc領域が挙げられ、必要に応じて、IgA1、IgA2、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の1つもしくは複数由来のヒンジ、ならびに/またはIgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4もしくはIgMの1つもしくは複数由来のCHドメインを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ、CH、CHおよびCHドメインは、ヒトIg由来である。
【0262】
ある特定の例としては、以下のCH/CHドメインの組合せ:IgA1/IgE、IgA2/IgE、IgD/IgE、IgE/IgE、IgG1/IgE、IgG2/IgE、IgG3/IgE、IgG4/IgE、IgM/IgE、IgA1/IgM、IgA2/IgM、IgD/IgM、IgE/IgM、IgG1/IgM、IgG2/IgM、IgG3/IgM、IgG4/IgM、IgM/IgM(またはそれらの断片もしくはバリアント)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になるハイブリッドFc領域が挙げられ、必要に応じて、IgA1、IgA2、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の1つもしくは複数由来のヒンジ、ならびに/またはIgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4もしくはIgMの1つもしくは複数由来のCHドメインを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ、CH、CHおよびCHドメインは、ヒトIg由来である。
【0263】
特定の例としては、以下のヒンジ/CHドメインの組合せ:IgA1/IgA1、IgA1/IgA2、IgA1/IgD、IgA1/IgE、IgA1/IgG1、IgA1/IgG2、IgA1/IgG3、IgA1/IgG4、IgA1/IgM、IgA2/IgA1、IgA2/IgA2、IgA2/IgD、IgA2/IgE、IgA2/IgG1、IgA2/IgG2、IgA2/IgG3、IgA2/IgG4、IgA2/IgM、IgD/IgA1、IgD/IgA2、IgD/IgD、IgD/IgE、IgD/IgG1、IgD/IgG2、IgD/IgG3、IgD/IgG4、IgD/IgM、IgG1/IgA1、IgG1/IgA2、IgG1/IgD、IgG1/IgE、IgG1/IgG1、IgG1/IgG2、IgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG1/IgM、IgG2/IgA1、IgG2/IgA2、IgG2/IgD、IgG2/IgE、IgG2/IgG1、IgG2/IgG2、IgG2/IgG3、IgG2/IgG4、IgG2/IgM、IgG3/IgA1、IgG3/IgA2、IgG3/IgD、IgG3/IgE、IgG3/IgG1、IgG3/IgG2、IgG3/IgG3、IgG3/IgG4、IgG3/IgM、IgG4/IgA1、IgG4/IgA2、IgG4/IgD、IgG4/IgE、IgG4/IgG1、IgG4/IgG2、IgG4/IgG3、IgG4/IgG4、IgG4/IgM(またはそれらの断片もしくはバリアント)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になるハイブリッドFc領域が挙げられ、必要に応じて、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4もしくはIgMの1つもしくは複数由来のCHドメイン、ならびに/またはIgEおよび/もしくはIgM由来のCHドメインを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ、CH、CHおよびCHドメインは、ヒトIg由来である。
【0264】
ある特定の例としては、以下のヒンジ/CHドメインの組合せ:IgA1/IgA1、IgA1/IgA2、IgA1/IgD、IgA1/IgE、IgA1/IgG1、IgA1/IgG2、IgA1/IgG3、IgA1/IgG4、IgA1/IgM、IgA2/IgA1、IgA2/IgA2、IgA2/IgD、IgA2/IgE、IgA2/IgG1、IgA2/IgG2、IgA2/IgG3、IgA2/IgG4、IgA2/IgM、IgD/IgA1、IgD/IgA2、IgD/IgD、IgD/IgE、IgD/IgG1、IgD/IgG2、IgD/IgG3、IgD/IgG4、IgD/IgM、IgG1/IgA1、IgG1/IgA2、IgG1/IgD、IgG1/IgE、IgG1/IgG1、IgG1/IgG2、IgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG1/IgM、IgG2/IgA1、IgG2/IgA2、IgG2/IgD、IgG2/IgE、IgG2/IgG1、IgG2/IgG2、IgG2/IgG3、IgG2/IgG4、IgG2/IgM、IgG3/IgA1、IgG3/IgA2、IgG3/IgD、IgG3/IgE、IgG3/IgG1、IgG3/IgG2、IgG3/IgG3、IgG3/IgG4、IgG3/IgM、IgG4/IgA1、IgG4/IgA2、IgG4/IgD、IgG4/IgE、IgG4/IgG1、IgG4/IgG2、IgG4/IgG3、IgG4/IgG4、IgG4/IgM(またはそれらの断片もしくはバリアント)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になるハイブリッドFc領域が挙げられ、必要に応じて、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4もしくはIgMの1つもしくは複数由来のCHドメイン、ならびに/またはIgEおよび/もしくはIgM由来のCHドメインを含む。具体的な実施形態では、ヒンジ、CH、CHおよびCHドメインは、ヒトIg由来である。
【0265】
一部の例としては、以下のヒンジ/CHドメインの組合せ:IgA1/IgE、IgA1/IgM、IgA2/IgE、IgA2/IgM、IgD/IgE、IgD/IgM、IgG1/IgE、IgG1/IgM、IgG2/IgE、IgG2/IgM、IgG3/IgE、IgG3/IgM、IgG4/IgE、IgG4/IgM(またはそれらの断片もしくはバリアント)を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になるハイブリッドFc領域が挙げられ、必要に応じて、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4もしくはIgMの1つもしくは複数由来のCHドメイン、ならびに/またはIgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4もしくはIgMの1つもしくは複数由来のCHドメインを含む。
【0266】
ハイブリッドFc領域の具体例は、例えば、国際公開第2008/147143号に見出すことができ、それは、IgGサブクラスの組合せまたはヒトIgDおよびIgGの組合せに由来する。
【0267】
誘導体化Fc領域またはそうでなければ改変Fc領域を有する抗体またはその抗原結合性断片も含まれる。ある特定の態様では、Fc領域は、例えば、野生型または天然に存在するFc領域に対して、リン酸化、硫酸化、アクリル化、グリコシル化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化、アミド化などによって改変されていてもよい。ある特定の実施形態では、Fc領域は、野生型またはネイティブのグリコシル化パターンを含んでいてもよく、あるいは代替的に、ネイティブ形態と比べて増加したグリコシル化、ネイティブ形態と比べて減少したグリコシル化を含んでいてもよく、または全体的に脱グリコシル化されていてもよい。改変Fcグリコフォームの一例として、Fc領域の減少したグリコシル化は、第1補体成分C1のC1q領域への結合、ADCC関連活性の減少、および/またはCDC関連活性の減少を低減させる。したがって、ある特定の実施形態は、脱グリコシル化またはアグリコシル化されたFc領域を用いる。例えば、例示的なアグリコシル化Fc領域の生成について、国際公開第2005/047337号を参照されたい。Fc領域グリコフォームの別の例は、Kabatらの番号付けシステムに従って、Q295位をシステイン残基で置換することによって作成することができる(例えば、米国特許出願公開第2010/0080794号を参照されたい)。ある特定の実施形態は、Fc領域における糖タンパク質の約80~100%が、フルクトースを欠く成熟コア炭水化物構造を含む、Fc領域を含み得る(例えば、米国特許出願公開第2010/0255013号を参照されたい)。一部の実施形態は、フコシル化のレベルを低減するように、例えば、FcγRI、FcγRIaもしくはFcγRIIIaに対する親和性を増加させるように、および/またはFcγRIIa発現細胞によるファゴサイトーシスを改善するように、置換または欠失によって最適化されたFc領域を含み得る(米国特許出願公開第2010/0249382号および同第2007/0148170号を参照されたい)。
【0268】
改変Fcグリコフォームの別の例として、抗体またはその抗原結合性断片のFc領域は、オリゴマンノース型N-グリカンを含んでいてもよく、必要に応じて、複合型N-グリカンを含有する対応するFc領域と比べて、以下の1つまたは複数を有していてもよい:増加したADCCエフェクター活性、FcγRIIIA(および、ある特定の他のFcR)に対する増加した結合親和性、NRP2ポリペプチドの標的に対する同様もしくは増加した結合特異性、NRP2ポリペプチドの標的に対する同様もしくはより高い結合親和性、および/またはマンノース受容体に対する同様もしくはより低い結合親和性(例えば、米国特許出願公開第2007/0092521号および米国特許第7,700,321号を参照されたい)。別の例として、FcγRに対するFc領域の増強された親和性が、操作された細胞系またはバリアント細胞系において、抗体の発現によって生じた操作されたグリコフォームを使用して達成されている(例えば、Umana et al., Nat Biotechnol. 17:176-180, 1999;Davies et al.,Biotechnol Bioeng. 74:288-294, 2001;Shields et al., J Biol Chem.277:26733-26740, 2002;Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem. 278:3466-3473, 2003;および米国特許出願公開第2007/0111281号を参照されたい)。ある特定のFc領域グリコフォームは、N-グリコシド結合型複合糖鎖の増加した割合を含み、これは、糖鎖の還元末端にN-アセチルグルコサミンの6位に結合したフコースの1位を有さない(例えば、米国特許出願公開第2010/0092997号を参照されたい)。特定の実施形態は、それぞれの末端シアル酸部分にα-2,6結合によって接続されている少なくとも1つのガラクトース部分でグリコシル化された、IgGのFc領域を含んでいてもよく、必要に応じて、Fc領域は、対応する野生型Fc領域と比べて、より高い抗炎症活性を有する(米国特許出願公開第2008/0206246号を参照されたい)。ある特定のこれらのおよび関連する変更グリコシル化手法は、本明細書に記載されるように、Fc領域の能力の実質的な増強を生じさせて、FcγRIIIなどのFcRと選択的に結合させ、ADCCを媒介し、Fc領域の他の性質を変更する。
【0269】
抗体またはその抗原結合性断片のある特定のバリアント、断片、ハイブリッドまたはそうでなければ改変Fc領域は、対応する野生型Fc配列(例えば、同じ種、同じIgクラス、同じIgサブクラス)と比べて、1つもしくは複数のFcRへの結合を変更してもよく、および/または対応して、エフェクター機能を変化させる。例えば、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体および/または胎児性Fc受容体の1つまたは複数への結合を増加させてもよい。他の実施形態では、バリアント、断片、ハイブリッドまたは改変Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体および/または胎児性Fc受容体の1つまたは複数への結合を減少させてもよい。具体的なFcRは、本明細書の他の箇所に記載される。
【0270】
一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体および/または胎児性Fc受容体の1つまたは複数への結合を増加させる1つまたは複数の突然変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体および/または胎児性Fc受容体の1つまたは複数への結合を増加させる1つまたは複数の変異を含むIgG1またはIgG3のFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、エフェクター機能を増加させる1つまたは複数の突然変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体は、エフェクター機能を増加させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG1およびヒトIgG3から選択されるFcドメインを含む。
【0271】
一部の実施形態では、抗体は、高いエフェクター活性を有するFcドメインを含む遮断抗体である。一部の実施形態では、遮断抗体は、エフェクター機能を増加させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG1およびヒトIgG3から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、高いエフェクター活性を有するFcドメインを含む部分的遮断抗体である。一部の実施形態では、部分的遮断抗体は、エフェクター機能を増加させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG1およびヒトIgG3から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、高いエフェクター活性を有するFcドメインを含む非遮断抗体である。一部の実施形態では、非遮断抗体は、エフェクター機能を増加させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG1またはIgG3から選択されるFcドメインを含む。
【0272】
一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体および/または胎児性Fc受容体の1つまたは複数への結合を減少させる1つまたは複数の突然変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体および/または胎児性Fc受容体の1つまたは複数への結合を減少させる1つまたは複数の突然変異を含む、IgG1またはIgG3のFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、エフェクター機能を減少させる1つまたは複数の突然変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、エフェクター機能を減少させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG2およびIgG4から選択されるFcドメインを含む。
【0273】
一部の実施形態では、抗体は、低いエフェクター活性を有するFcドメインを含む遮断抗体である。一部の実施形態では、遮断抗体は、エフェクター機能を減少させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG2およびIgG4から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、低いエフェクター活性を有するFcドメインを含む部分的遮断抗体である。一部の実施形態では、部分的遮断抗体は、エフェクター機能を減少させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG2およびIgG4から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、低いエフェクター活性を有するFcドメインを含む非遮断抗体である。一部の実施形態では、非遮断抗体は、エフェクター機能を減少させる1つまたは複数の突然変異を含む、ヒトIgG2およびIgG4から選択されるFcドメインを含む。
【0274】
変更された(例えば、増加した、減少した)エフェクター機能/FcR結合を有するFcバリアントの具体例は、例えば、米国特許第5,624,821号および同第7,425,619号;米国特許出願公開第2009/0017023号、同第2009/0010921号および同第2010/0203046号;ならびに国際公開第2000/42072号および国際公開第2004/016750号に見出され得る。ある特定の例としては、298、333および/または334位、例えば、S298A、E333Aおよび/またはK334A(KabatらのEUインデックスの番号付けに基づく)に1つまたは複数の置換を有するヒトFc領域が挙げられ、これは、活性化受容体FcγRIIIaへの結合を増加させること、および阻害性受容体FcγRIIbへの結合を低減することが示されている。これらの突然変異を組み合わせて、FcRへの結合のさらなる改善を有する二重および三重の突然変異バリアントを得ることができる。ある特定の実施形態としては、S298A/E333A/K334Aの三重突然変異体が挙げられ、これは、FcγRIIIaへの結合を増加させ、FcγRIIbへの結合を減少させ、ADCCを増加させた(例えば、Shields et al., J Biol Chem. 276:6591-6604, 2001;およびPresta et al.,Biochem Soc Trans. 30:487-490, 2002を参照されたい)。上記のUmana et al.および米国特許第7,662,925号に開示されるように、FcRへの結合が増加した操作されたFcグリコフォームも参照されたい。一部の実施形態としては、KabatらのEUインデックスに基づく434S、252Y/428L、252Y/434Sおよび428L/434Sから選択される1つまたは複数の置換を含むFc領域が挙げられる(米国特許出願公開第2009/0163699号および同第20060173170号を参照されたい)。
【0275】
ある特定のバリアント、断片、ハイブリッドまたは改変Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、エフェクター機能が変更されていてもよい。例えば、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、補体結合もしくは補体活性化が増加し、Clq結合親和性が増加し、CDC関連活性が増加し、ADCC関連活性が増加し、および/またはADCP関連活性が増加していてもよい。他の実施形態では、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、補体結合もしくは補体活性化が減少し、Clq結合親和性が減少し、CDC関連活性が減少し、ADCC関連活性が減少し、および/またはADCP関連活性が減少していてもよい。単なる実例となる一例として、Fc領域は、C1q結合部位などの補体結合部位に欠失もしくは置換を含んでいてもよく、および/またはADCC部位に欠失もしくは置換を含んでいてもよい。そのような欠失/置換の例は、例えば、米国特許第7,030,226号に記載されている。ADCCなどの多くのFcエフェクター機能は、当技術分野における日常的な技法に従ってアッセイすることができる(例えば、Zuckerman et al., CRC Crit Rev Microbiol. 7:1-26, 1978を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、限定されるものではないが、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージおよび他の末梢血単核細胞(PBMC)が挙げられる。あるいは、または加えて、ある特定のFcエフェクター機能は、例えば、Clyneset al. PNAS. 95:652-656, 1998に記載されている動物モデルを用いることによって、in vivoで評価されてもよい。
【0276】
ある特定のバリアントハイブリッドまたは改変Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、安定性または半減期が変更されていてもよい。ある特定の実施形態では、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、半減期が増加していてもよい。他の実施形態では、バリアントハイブリッドまたは改変Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、半減期が減少していてもよい。半減期は、当技術分野における日常的な技法、例えば、放射性標識化、ELISAまたは他の方法に従って、in vitro(例えば、生理的条件下)またはin vivoで測定することができる。安定性または半減期のin vivo測定は、血液、血清、血漿、尿、もしくは脳脊髄液を含む1つもしくは複数の体液、または肝臓、腎臓、筋肉、中枢神経系組織、骨などのような所与の組織で測定することができる。
【0277】
一例として、FcRnに結合するその能力を変更するFc領域に対する改変は、そのin vivoでの半減期または他の性質を変更することができる。一部の実施形態では、改変Fcドメイン、例えば、改変IgG1またはIgG4のFcドメインは、例えば、Zalevsky et al. (Nature Biotechnology. 28(2): 157-159, 2010)またはMacknesset al. (mAbs. 11(7): 1276-1288, 2019)によって記載されているように、FcRn結合を変更する少なくとも1つの突然変異を含む。具体的な実施形態では、改変IgG1またはIgG3のFcドメインは、YD(M252Y/T256D)、DQ(T256D/T307Q)、DW(T256D/T307W)、YTE(M252Y/S254T/T256E)、AAA(T307A/E380A/N434A)、LS(M428L/N434S)、M252Y、T256D/E、K288D/N、T307Q/W、E380C、N434FYまたはY436H/N/W突然変異(EU番号付け)およびそれらの組合せのいずれか1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、改変IgG1またはIgG3のFcドメインは、M252Y、T256D/E、T307Q/Wおよび/またはN434F/Y突然変異(EU番号付け)、ならびにそれらの組合せのいずれか1つまたは複数を含む。in vivoの薬物動態学的性質(例えば、in vivoの平均消失半減期)を測定するためのアッセイ、およびFcRnへのその結合を変更するFc改変の非限定的な例は、例えば、米国特許第7,217,797号および同第7,732,570号;ならびに米国特許出願公開第2010/0143254号および同第2010/0143254号に記載されている。
【0278】
安定性または半減期を変更する改変の追加の非限定的な例としては、Kabatらの番号付けシステムに従って、CHドメインにおける251~256、285~290および308~314、ならびにCHドメインにおける385~389および428~436から選択されるアミノ酸残基の1つまたは複数での置換/欠失が挙げられる。米国特許出願公開第2003/0190311号を参照されたい。具体例としては、251位でのロイシンとの置換、252位でのチロシン、トリプトファンもしくはフェニルアラニンとの置換、254位でのトレオニンもしくはセリンとの置換、255位でのアルギニンとの置換、256位でのグルタミン、アルギニン、セリン、トレオニンもしくはグルタミン酸との置換、308位でのトレオニンとの置換、309位でのプロリンとの置換、311位でのセリンとの置換、312位でのアスパラギン酸との置換、314位でのロイシンとの置換、385位でのアルギニン、アスパラギン酸もしくはセリンとの置換、386位でのトレオニンもしくはプロリンとの置換、387位でのアルギニンもしくはプロリンとの置換、389位でのプロリン、アスパラギンもしくはセリンとの置換、428位でのメチオニンもしくはトレオニンとの置換、434位でのチロシンもしくはフェニルアラニンとの置換、433位でのヒスチジン、アルギニン、リシンもしくはセリンとの置換、および/または436位でのヒスチジン、チロシン、アルギニンもしくはトレオニンとの置換、ならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。そのような改変は、必要に応じて、対応する野生型Fc領域と比べて、FcRnに対するFc領域の親和性を増加させ、それによって半減期が増加する。
【0279】
ある特定のバリアントハイブリッドまたは改変Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、溶解性が変更されていてもよい。ある特定の実施形態では、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、溶解性が増加していてもよい。他の実施形態では、バリアントハイブリッドまたは改変Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、溶解性が減少していてもよい。溶解性は、例えば、当技術分野における日常的な技法に従って、in vitro(例えば、生理的条件下)で測定することができる。例示的な溶解性測定は、本明細書の他の箇所に記載される。
【0280】
バリアントの追加例としては、重鎖の250、314もしくは428位の1つもしくは複数、またはそれらの任意の組合せ、例えば、250および428位、もしくは250および314位、もしくは314および428位、または250、314および428位での保存的もしくは非保存的置換(本明細書の他の箇所に記載)を有するIgGのFc領域が挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2011/0183412号を参照されたい)。具体的な実施形態では、250位の残基は、グルタミン酸もしくはグルタミンで置換され、および/または428位の残基は、ロイシンもしくはフェニルアラニンで置換される。IgGのFcバリアントの別の実例として、214~238、297~299、318~322および/または327~331位のアミノ酸残基のいずれか1つまたは複数を、改変(例えば、保存的または非保存的置換、欠失)のために好適な標的として使用してもよい。特定の実施形態では、IgGのFcバリアントCHドメインは、228、234、235および/または331位でアミノ酸の置換を含有して(例えば、Ser228ProおよびLeu235Ala突然変異を有するヒトIgG4)、Fc領域のエフェクター機能を弱める(米国特許第7,030,226号を参照されたい)。ここで、重鎖における残基の番号付けは、EUインデックスの番号付けである(Kabat et al., "Sequences of Proteins of ImmunologicalInterest," 5th Ed., National Institutes of Health, Bethesda,Md. (1991)を参照されたい)。ある特定のこれらのおよび関連する実施形態は、FcRn結合および/または血清半減期を、必要に応じて、ADCCまたはCDC関連活性などのエフェクター機能を低減することなく、変更(例えば、増加、減少)されている。
【0281】
追加例としては、野生型Fc領域の279、341、343もしくは373位、またはそれらの任意の組合せに、1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域が挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2007/0224188号を参照されたい)。ヒトIgGについてのこれらの位置での野生型アミノ酸残基は、バリン(279)、グリシン(341)、プロリン(343)およびチロシン(373)である。置換基は、本明細書に記載されるように、保存的もしくは非保存的であり得るか、または天然に存在しないアミノ酸もしくはミメティックを含み得る。単独でまたはこれらの置換と組み合わせて、ある特定の実施形態はまた、以下から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多くのアミノ酸置換を含むバリアントFc領域を用い得る:235G、235R、236F、236R、236Y、237K、237N、237R、238E、238G、238H、238I、238L、238V、238W、238Y、244L、245R、247A、247D、247E、247F、247M、247N、247Q、247R、247S、247T、247W、247Y、248F、248P、248Q、248W、249L、249M、249N、249P、249Y、251H、251I、251W、254D、254E、254F、254G、254H、254I、254K、254L、254M、254N、254P、254Q、254R、254V、254W、254Y、255K、255N、256H、256I、256K、256L、256V、256W、256Y、257A、257I、257M、257N、257S、258D、260S、262L、264S、265K、265S、267H、267I、267K、268K、269N、269Q、271T、272H、272K、272L、272R、279A、279D、279F、279G、279H、279I、279K、279L、279M、279N、279Q、279R、279S、279T、279W、279Y、280T、283F、283G、283H、283I、283K、283L、283M、283P、283R、283T、283W、283Y、285N、286F、288N、288P、292E、292F、292G、292I、292L、293S、293V、301W、304E、307E、307M、312P、315F、315K、315L、315P、315R、316F、316K、317P、317T、318N、318P、318T、332F、332G、332L、332M、332S、332V、332W、339D、339E、339F、339G、339H、339I、339K、339L、339M、339N、339Q、339R、339S、339W、339Y、341D、341E、341F、341H、341I、341K、341L、341M、341N、341P、341Q、341R、341S、341T、341V、341W、341Y、343A、343D、343E、343F、343G、343H、343I、343K、343L、343M、343N、343Q、343R、343S、343T、343V、343W、343Y、373D、373E、373F、373G、373H、373I、373K、373L、373M、373N、373Q、373R、373S、373T、373V、373W、375R、376E、376F、376G、376H、376I、376L、376M、376N、376P、376Q、376R、376S、376T、376V、376W、376Y、377G、377K、377P、378N、379N、379Q、379S、379T、380D、380N、380S、380T、382D、382F、382H、382I、382K、382L、382M、382N、382P、382Q、382R、382S、382T、382V、382W、382Y、385E、385P、386K、423N、424H、424M、424V、426D、426L、427N、429A、429F、429M、430A、430D、430F、430G、430H、430I、430K、430L、430M、430N、430P、430Q、430R、430S、430T、430V、430W、430Y、431H、431K、431P、432R、432S、438G、438K、438L、438T、438W、439E、439H、439Q、440D、440E、440F、440G、440H、440I、440K、440L、440M、440Q、440T、440Vまたは442K。上記のように、重鎖における残基の番号付けは、EUインデックスの番号付けである(上記のKabat et al.を参照されたい)。そのようなバリアントFc領域は、典型的には、バリアントFc領域が作動可能に結合する抗体における変更されたエフェクター機能または変更された血清半減期を付与する。好ましくは、変更されたエフェクター機能は、そのようなアミノ酸置換を欠く対応するFc領域と比較して、ADCCの増加、ADCCの減少、CDCの増加、CDCの減少、Clq結合親和性の増加、Clq結合親和性の減少、FcR(好ましくは、FcRn)結合親和性の増加、またはFcR(好ましくは、FcRn)結合親和性の減少である。
【0282】
追加例としては、221、222、224、227、228、230、231、223、233、234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、246、247、249、250、258、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、278、280、281、283、285、286、288、290、291、293、294、295、296、297、298、299、300、302、313、317、318、320、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336および/または428位に1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域が挙げられる(例えば、米国特許第7,662,925号を参照されたい)。具体的な実施形態では、バリアントFc領域は、P230A、E233D、L234E、L234Y、L234I、L235D、L235S、L235Y、L235I、S239D、S239E、S239N、S239Q、S239T、V240I、V240M、F243L、V264I、V264T、V264Y、V266I、E272Y、K274T、K274E、K274R、K274L、K274Y、F275W、N276L、Y278T、V302I、E318R、S324D、S324I、S324V、N325T、K326I、K326T、L328M、L328I、L328Q、L328D、L328V、L328T、A330Y、A330L、A330I、I332D、I332E、I332N、I332Q、T335D、T335RおよびT335Yからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。他の具体的な実施形態では、バリアントFc領域は、V264I、F243L/V264I、L328M、I332E、L328M/I332E、V264I/I332E、S298A/I332E、S239E/I332E、S239Q/I332E、S239E、A330Y、I332D、L328I/I332E、L328Q/I332E、V264T、V240I、V266I、S239D、S239D/I332D、S239D/I332E、S239D/I332N、S239D/I332Q、S239E/I332D、S239E/I332N、S239E/I332Q、S239N/I332D、S239N/I332E、S239Q/I332D、A330Y/I332E、V264I/A330Y/I332E、A330L/I332E、V264I/A330L/I332E、L234E、L234Y、L234I、L235D、L235S、L235Y、L235I、S239T、V240M、V264Y、A330I、N325T、L328D/I332E、L328V/I332E、L328T/I332E、L328I/I332E、S239E/V264I/I332E、S239Q/V264I/I332E、S239E/V264I/A330Y/I332E、S239D/A330Y/I332E、S239N/A330Y/I332E、S239D/A330L/I332E、S239N/A330L/I332E、V264I/S298A/I332E、S239D/S298A/I332E、S239N/S298A/I332E、S239D/V264I/I332E、S239D/V264I/S298A/I332E、S239D/V264I/A330L/I332E、S239D/I332E/A330I、P230A、P230A/E233D/I332E、E272Y、K274T、K274E、K274R、K274L、K274Y、F275W、N276L、Y278T、V302I、E318R、S324D、S324I、S324V、K326I、K326T、T335D、T335R、T335Y、V240I/V266I、S239D/A330Y/I332E/L234I、S239D/A330Y/I332E/L235D、S239D/A330Y/I332E/V240I、S239D/A330Y/I332E/V264T、S239D/A330Y/I332E/K326EおよびS239D/A330Y/I332E/K326Tからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。より具体的な実施形態では、バリアントFc領域は、N297D/I332E、F241Y/F243Y/V262T/V264T/N297D/I332E、S239D/N297D/I332E、S239E/N297D/I332E、S239D/D265Y/N297D/I332E、S239D/D265H/N297D/I332E、V264E/N297D/I332E、Y296N/N297D/I332E、N297D/A330Y/I332E、S239D/D265V/N297D/I332E、S239D/D265I/N297D/I332EおよびN297D/S298A/A330Y/I332Eからなる群から選択される一連の置換を含む。具体的な実施形態では、バリアントFc領域は、332位にアミノ酸置換を含む(EUインデックス、Kabat et al.、上記の番号付けを使用)。置換の例としては、332A、332D、332E、332F、332G、332H、332K、332L、332M、332N、332P、332Q、332R、332S、332T、332V、332Wおよび332Yが挙げられる。Fc領域における残基の番号付けは、KabatらのEUインデックスの番号付けである。本明細書に記載される他の性質の中でも、そのようなバリアントFc領域は、対応する野生型Fc領域と比べて、FcγRに対する親和性が増加し、安定性が増加し、および/または溶解性が増加していてもよい。
【0283】
さらなる例としては、以下のアミノ酸置換:224N/Y、225A、228L、230S、239P、240A、241L、243S/L/G/H/I、244L、246E、247L/A、252T、254T/P、258K、261Y、265V、266A、267G/N、268N、269K/G、273A、276D、278H、279M、280N、283G、285R、288R、289A、290E、291L、292Q、297D、299A、300H、301C、304G、305A、306I/F、311R、312N、315D/K/S、320R、322E、323A、324T、325S、326E/R、332T、333D/G、335I、338R、339T、340Q、341E、342R、344Q、347R、351S、352A、354A、355W、356G、358T、361D/Y、362L、364C、365Q/P、370R、372L、377V、378T、383N、389S、390D、391C、393A、394A、399G、404S、408G、409R、411I、412A、414M、421S、422I、426F/P、428T、430K、431S、432P、433P、438L、439E/R、440G、441F、442T、445R、446A、447Eの1つまたは複数を含むバリアントFc領域が挙げられ、必要に応じて、バリアントは、親Fcポリペプチドと比較して、Fcリガンドの認識が変更され、および/またはエフェクター機能が変更されており、残基の番号付けは、Kabat et al.におけるようなEUインデックスの番号付けである。これらのおよび関連する実施形態の具体例としては、置換の以下のセット:(1)N276D、R292Q、V305A、I377V、T394A、V412AおよびK439E;(2)P244L、K246E、D399GおよびK409R;(3)S304G、K320R、S324T、K326EおよびM358T;(4)F243S、P247L、D265V、V266A、S383NおよびT411I;(5)H224N、F243L、T393AおよびH433P;(6)V240A、S267G、G341EおよびE356G;(7)M252T、P291L、P352A、R355W、N390D、S408G、S426FおよびA431S;(8)P228L、T289A、L365Q、N389Sおよび5440G;(9)F241L、V273A、K340QおよびL441F;(10)F241L、T299A、I332TおよびM428T;(11)E269K、Y300H、Q342R、V422IおよびG446A;(12)T225A、R301c、S304G、D312N、N315D、L351SおよびN421S;(13)S254T、L306I、K326RおよびQ362L;(14)H224Y、P230S、V323A、E333D、K338RおよびS364C;(15)T335I、K414MおよびP445R;(16)T335IおよびK414M;(17)P247A、E258K、D280N、K288R、N297D、T299A、K322E、Q342R、S354AおよびL365P;(18)H268N、V279M、A339T、N361DおよびS426P;(19)C261Y、K290E、L306F、Q311R、E333GおよびQ438L;(20)E283G、N315K、E333G、R344Q、L365PおよびS442T;(21)Q347R、N361YおよびK439R;(22)S239P、S254P、S267N、H285R、N315S、F372L、A378T、N390D、Y391C、F404S、E430K、L432PおよびK447E;ならびに(23)E269G、Y278H、N325SおよびK370Rを含むか、またはそれらからなるバリアントFc領域が挙げられ、残基の番号付けは、Kabatet al.におけるようなEUインデックスの番号付けである(例えば、米国特許出願公開第2010/0184959号を参照されたい)。
【0284】
バリアントFc領域は、例えば、米国特許出願公開第2003/0118592号に記載されるように、1つまたは複数の突然変異したヒンジ領域を有することもできる。例えば、ヒンジ領域中の1つまたは複数のシステインは、欠失または異なるアミノ酸で置換され得る。突然変異したヒンジ領域は、システイン残基を含んでいなくてもよく、またはそれは、対応する野生型ヒンジ領域よりも1、2または3つ少ないシステイン残基を含んでいてもよい。一部の実施形態では、この種類の突然変異したヒンジ領域を有するFc領域は、野生型Igヒンジ領域と比べて、低減された二量体化する能力を示す。
【0285】
特定の実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1もしくはIgG4由来のFc(例えば、Allberseand Schuurman, Immunology. 105:9-19, 2002を参照されたい)またはそれらの断片もしくはバリアントを含むか、それらからなるか、あるいはそれらから本質的になる。下記の表F1は、ヒトIgG1およびIgG4由来の例示的な配列(CH1、ヒンジ(下線)、CH2およびCH3領域)を提供する。用いられ得るバリアントIgG4配列の例は、例えば、Peterset al., JBC. 287:24525-24533, 2012に記載されており、C227、C230、C127(例えば、C127S)およびC131(例えば、C131S)での置換が挙げられる。使用され得る他のバリアントとしては、IgG4におけるL445P置換(IgG4-2と示す)またはIgG1におけるD356EおよびL358M置換(IgG1m(zf)と示す)が挙げられる。
【表F1】
【0286】
上記で述べたように、変更されたFc領域を有する抗体は、典型的には、対応する野生型Fc領域と比べて、薬物動態学的性質が変更(例えば、改善、増加、減少)されている。薬物動態学的性質の例としては、安定性または半減期、生物学的利用率(吸収される薬物の割合)、組織分布、分布容積(薬物が静脈内に注射された直後に分布し、血漿および周囲の組織の間で平衡化する場合の見掛けの容積)、濃度(血漿中の薬物の初期濃度または定常状態濃度)、消失速度定数(薬物が身体から除去される速度)、消失速度(消失との均衡を保つのに必要な注入の速度)、曲線下面積(AUCまたは曝露量;単回投与後または定常状態における濃度-時間曲線の積分値)、クリアランス(単位時間あたりの薬物の排出される血漿体積)、Cmax(経口投与後の薬物の最高血漿中濃度)、tmax(Cmaxに達するまでの時間)、Cmin(次の用量が投与される前に薬物が達する最低濃度)および変動(定常状態で、一投与間隔内でのピークトラフ変動)が挙げられる。
【0287】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、約pH7.4のおよその生理学的pHで、約25℃もしくは室温および/または約37℃もしくはヒトの体温で(例えば、in vivo、血清中、所与の組織中、ラット、マウス、サルまたはヒトなどの所与の種において)、約または少なくとも約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約18時間、約20時間、約24時間、約30時間、約36時間、約40時間、約48時間、約50時間、約60時間、約70時間、約72時間、約80時間、約84時間、約90時間、約96時間、約120時間もしくは約144時間、またはそれよりも長く、あるいは約1週間、もしくは約2週間、もしくは約3週間、もしくは約4週間、もしくは約5週間、もしくは約6週間、またはそれよりも長い生物学的半減期、あるいはそれらの間のすべての範囲を含む任意のその間の半減期を有する。
【0288】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、約または少なくとも約60、62、64、66、68、70、72、74または75℃のTを有する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、約60℃またはそれよりも高いTを有する。
【0289】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、1つまたは複数の細胞傷害性剤または化学療法剤とコンジュゲートされた。細胞傷害性剤または化学療法剤の一般的な例としては、限定されないが、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質、白金、I型トポイソメラーゼ阻害剤、II型トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドおよびタキサンが挙げられる。細胞傷害性剤または化学療法剤の具体例としては、限定されないが、シクロホスファミド、シレンギチド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブイダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、パクリタキセル、イマチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニチニブ(sunitnib)、バタラニブ、ゲフィチニブ(geftinib)、エルロチニブ、AEE-788、ジクロロアセテート、タモキシフェン、ファスジル、SB-681323、セマキシニブ(semaxanib)、ドネペジル(donepizil)、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、タクリン、ラサギリン(rasigiline)、ナルトレキソン、ルビプロストン、サフィナミド、イストラデフィリン、ピマバンセリン、ピトリザント、イスラジピン、プリドピジン(ACR16)、テトラベナジン、ベキサロテン、酢酸グラチラマー(glatirimer)、フィンゴリモドおよびミトキサントロン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩および酸が挙げられる。細胞傷害性剤または化学療法剤のさらなる例としては、チオテパ、シクロホスファミド(CYTOXAN(商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパおよびウレドパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド(phosphaoramide)およびトリメチロロメラミンを含む、エチレンイミンおよびメチラメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノボエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア(nitrosureas);アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸アナログ;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FUなどのピリミジンアナログ;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(doxetaxel)(TAXOTERE(登録商標)、Rhne-Poulenc Rorer、Antony、フランス);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金アナログ;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤のRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(difluoromethylomithine)(DMFO);Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)などのレチノイン酸誘導体;ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス);エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
【0290】
抗体またはその抗原結合性断片は、本明細書に記載される組成物、方法および/またはキットのいずれかにおいて使用することができ、本明細書に記載される免疫療法剤の1つまたは複数と組み合わせることができる。
追加の治療剤および組成物
【0291】
免疫療法剤。ある特定の実施形態は、1つまたは複数のがん免疫療法剤を用いる。ある特定の例では、免疫療法剤は、対象の免疫応答をモジュレートして、例えば、がん関連免疫応答もしくはがん特異的免疫応答を増加または維持し、それによって、がん細胞の増加した免疫細胞の阻害または低減をもたらす。例示的な免疫療法剤としては、ポリペプチド、例えば、抗体およびその抗原結合性断片、リガンド、ならびに小ペプチド、ならびにそれらの混合物が挙げられる。免疫療法剤として、低分子、細胞(例えば、T細胞などの免疫細胞)、さまざまながんワクチン、遺伝子療法剤または他のポリヌクレオチド系薬剤、ならびに腫瘍溶解性ウイルスなどのウイルス剤および当技術分野において公知の他のものも挙げられる。したがって、ある特定の実施形態では、がん免疫療法剤は、免疫チェックポイントモジュレート剤、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカインおよび細胞に基づく免疫療法の1つまたは複数から選択される。
【0292】
ある特定の実施形態では、がん免疫療法剤は、免疫チェックポイントモジュレート剤である。特定の例としては、1つまたは複数の阻害性免疫チェックポイント分子の「アンタゴニスト」および1つまたは複数の刺激性免疫チェックポイント分子の「アゴニスト」が挙げられる。一般に、免疫チェックポイント分子は、シグナルを強くする(共刺激性分子)またはシグナルを弱くする免疫系の構成成分であり、その標的化は、がん細胞が免疫チェックポイント分子の本来の機能を撹乱し得るので、がんの治療可能性を有する(例えば、Sharma and Allison, Science. 348:56-61, 2015; Topalian et al.,Cancer Cell. 27:450-461, 2015; Pardoll, Nature Reviews Cancer. 12:252-264, 2012を参照されたい)。一部の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤(例えば、アンタゴニスト、アゴニスト)は、本明細書に記載されるように、1つまたは複数の免疫チェックポイント分子に「結合する」または「特異的に結合する」。
【0293】
特定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤は、ポリペプチドまたはペプチドである。「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、本明細書において互換的に使用されるが、しかしながら、ある特定の例では、「ペプチド」という用語は、より短いポリペプチド、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸、ならびにそれらの間のすべての整数および範囲(例えば、5~10、8~12、10~15)のアミノ酸からなるポリペプチドを指し得る。ポリペプチドおよびペプチドは、本明細書に記載されるように、天然に存在するアミノ酸および/または天然に存在しないアミノ酸から構成され得る。
【0294】
抗体もポリペプチドとして含まれる。したがって、一部の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレートポリペプチド剤は、本明細書の他の箇所に記載される抗体または「その抗原結合性断片」である。
【0295】
一部の実施形態では、薬剤は、「リガンド」、例えば、免疫チェックポイント分子の天然のリガンドであるか、またはそれを含む。「リガンド」は、一般に、生物学的な目的を果たすように標的分子(例えば、生体分子)と複合体を形成する物質または分子を指し、「タンパク質リガンド」を含み、これは、一般に、標的分子または標的タンパク質の部位に結合することによって、シグナルを生成する。したがって、ある特定の薬剤は、実際に、免疫チェックポイント分子に結合し、シグナルを生成する、タンパク質リガンドである。「改変リガンド」、例えば、薬物動態修飾因子、例えば、免疫グロブリンに由来するFc領域に融合されるタンパク質リガンドも含まれる。
【0296】
ポリペプチドの結合性は、当技術分野において周知の方法を使用して定量体化することができる(Davies et al., Annual Rev. Biochem. 59:439-473, 1990を参照されたい)。一部の実施形態では、ポリペプチドは、標的分子、例えば、免疫チェックポイント分子またはそのエピトープに特異的に結合し、平衡解離定数は、約≦10-7~約10-8Mであるか、またはその範囲である。一部の実施形態では、平衡解離定数は、約≦10-9M~約≦10-10Mであるか、またはその範囲である。ある特定の実例となる実施形態では、ポリペプチドは、約もしくは少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40もしくは50nM、または約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40もしくは50nM未満の(それが特異的に結合する)本明細書に記載される標的に対する親和性(KdまたはEC50)を有する。
【0297】
一部の実施形態では、薬剤は、「低分子」であり、これは、合成または生物起源(生体分子)のものであるが、典型的にはポリマーではない、有機化合物を指す。有機化合物は、その分子が炭素を含有し、典型的には、炭酸塩、炭素の単純酸化物またはシアン化物のみを含有するものを除く、化合物の大分類を指す。「生体分子」は、一般に、生体によって産生される有機分子を指し、ペプチド、多糖および核酸などの大きなポリマー分子(生体高分子)、ならびに一次二次代謝産物、脂質、リン脂質、糖脂質、ステロール、グリセロ脂質、ビタミンおよびホルモンなどの低分子を含む。「ポリマー」は、一般に、典型的には共有化学結合によって接続された反復構造単位から構成される、大きな分子または巨大分子を指す。
【0298】
ある特定の実施形態では、低分子は、約1000~2000ダルトンまたは約1000~2000ダルトン未満、典型的には、約300~700ダルトン、ならびに約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、500、650、600、750、700、850、800、950、1000もしくは2000ダルトン、または約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、500、650、600、750、700、850、800、950、1000もしくは2000ダルトン未満の分子量を有する。
【0299】
ある特定の低分子は、抗体などのポリペプチドについて本明細書に記載される「特異的結合」特徴を有し得る。例えば、一部の実施形態では、低分子は、約もしくは少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40もしくは50nM、または約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40もしくは50nM未満の結合親和性(KdまたはEC50)で、標的、例えば免疫チェックポイント分子に特異的に結合する。
【0300】
一部の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤は、1つまたは複数の阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニストまたは阻害剤である。例示的な阻害性免疫チェックポイント分子としては、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、プログラム死1(PD-1)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、CD160、ならびにIgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)が挙げられる。
【0301】
ある特定の実施形態では、薬剤は、PD-1(受容体)のアンタゴニストまたは阻害剤であり、その標的化は、腫瘍環境における免疫機能を回復することが示されている(例えば、Phillips et al., Int Immunol. 27:39-46, 2015を参照されたい)。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、T細胞およびプロB細胞において発現する、細胞表面受容体である。PD-1は、PD-L1およびPD-L2の2つのリガンドと相互作用する。PD-1は、例えば、T細胞の活性化を低減または妨げることによって、阻害性免疫チェックポイント分子として機能し、次に、自己免疫を低減させ、自己寛容を促進する。PD-1の阻害効果は、少なくとも一部分において、リンパ節における抗原特異的T細胞のアポトーシスを促進しながら、調節性T細胞(サプレッサーT細胞)におけるアポトーシスも低減するという二重の機序により達成される。PD-1のアンタゴニストまたは阻害剤の一部の例としては、PD-1に特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数、例えば、その下流のシグナル伝達またはPD-L1とのその相互作用を低減する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。PD-1のアンタゴニストまたは阻害剤の具体例としては、抗体のニボルマブ、ペムブロリズマブ、PDR001、MK-3475、AMP-224、AMP-514およびピディリズマブ、ならびにそれらの抗原結合性断片が挙げられる(例えば、米国特許第8,008,449号;同第8,993,731号;同第9,073,994号;同第9,084,776号;同第9,102,727号;同第9,102,728号;同第9,181,342号;同第9,217,034号;同第9,387,247号;同第9,492,539号;同第9,492,540号;ならびに米国特許出願公開第2012/0039906号;同第2015/0203579号を参照されたい)。
【0302】
一部の実施形態では、薬剤は、PD-L1のアンタゴニストまたは阻害剤である。上記で述べたように、PD-L1は、PD-1受容体に対する天然リガンドの1つである。PD-L1のアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、PD-L1に特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数、例えば、そのPD-1受容体への結合を低減する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。PD-L1のアンタゴニストの具体例としては、抗体のアテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)およびデュルバルマブ(MEDI4736)、ならびにそれらの抗原結合性断片が挙げられる(例えば、米国特許第9,102,725号;同第9,393,301号;同第9,402,899号;同第9,439,962号を参照されたい)。
【0303】
一部の実施形態では、薬剤は、PD-L2のアンタゴニストまたは阻害剤である。上記で述べたように、PD-L2は、PD-1受容体に対する天然リガンドの1つである。PD-L2のアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、PD-L2に特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数、例えば、そのPD-1受容体への結合を低減する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。
【0304】
一部の実施形態では、薬剤は、CTLA-4のアンタゴニストまたは阻害剤である。CTLA4またはCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)は、CD152(表面抗原分類152)としても公知であり、例えば、それが抗原提示細胞の表面でCD80またはCD86に結合する場合にT細胞に阻害性シグナルを伝達することによって、阻害性免疫チェックポイント分子として機能するタンパク質受容体である。CTLA-4のアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、CTLA-4に特異的に結合する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。特定の例としては、抗体のイピリムマブおよびトレメリムマブ、ならびにそれらの抗原結合性断片が挙げられる。イピリムマブの少なくとも一部の活性は、CTLA-4を発現するサプレッサーTregの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)死滅によって媒介されると考えられる。
【0305】
一部の実施形態では、薬剤は、IDOのアンタゴニストもしくは阻害剤、またはTDOのアンタゴニストもしくは阻害剤である。IDOおよびTDOは、免疫阻害性を有するトリプトファン分解酵素である。例えば、IDOは、T細胞およびNK細胞を抑制すること、Tregおよび骨髄由来サプレッサー細胞を生成および活性化すること、ならびに腫瘍血管新生を促進することが公知である。IDOおよびTDOのアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、IDOまたはTDOに特異的に結合し(例えば、Platten et al., Front Immunol. 5: 673, 2014を参照されたい)、1つまたは複数の免疫抑制活性を低減または阻害する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。IDOのアンタゴニストまたは阻害剤の具体例としては、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸およびエパカドスタットが挙げられる(例えば、Sheridan,Nature Biotechnology. 33:321-322, 2015を参照されたい)。TDOのアンタゴニストまたは阻害剤の具体例としては、680C91およびLM10が挙げられる(例えば、Pilotteet al., PNAS USA. 109:2497-2502, 2012を参照されたい)。
【0306】
一部の実施形態では、薬剤は、TIM-3のアンタゴニストまたは阻害剤である。T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)は、活性化ヒトCD4+T細胞において発現し、Th1およびTh17サイトカインを調節する。TIM-3はまた、そのリガンドであるガレクチン-9との相互作用の際に細胞死を引き起こすことによって、Th1/Tc1機能の負の調節因子として作用する。TIM-3は、抑制的な腫瘍微小環境に寄与し、その過剰発現は、各種のがんにおける予後不良に関連する(例えば、Li et al., Acta Oncol. 54:1706-13, 2015を参照されたい)。TIM-3のアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、TIM-3に特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数を低減または阻害する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。
【0307】
一部の実施形態では、薬剤は、LAG-3のアンタゴニストまたは阻害剤である。リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)は、活性化T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞および形質細胞様樹状細胞において発現する。それは、CTLA-4およびPD-1と同様の方法で、T細胞の細胞増殖、活性化およびホメオスタシスを負に調節し(例えば、Workman and Vignali. European Journal of Immun. 33: 970-9, 2003;およびWorkmanet al., Journal of Immun. 172: 5450-5, 2004を参照されたい)、Treg抑制機能における役割を果たすことが報告されている(例えば、Huanget al., Immunity. 21: 503-13, 2004を参照されたい)。LAG3はまた、寛容原性状態でCD8+T細胞を維持し、PD-1と組み合わされて、CD8 T細胞の消耗を維持する。LAG-3のアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、LAG-3に特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数を阻害する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。具体例としては、抗体のBMS-986016およびその抗原結合性断片が挙げられる。
【0308】
一部の実施形態では、薬剤は、VISTAのアンタゴニストまたは阻害剤である。T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)は、主に、造血細胞において発現し、T細胞活性化を抑制し、Foxp3発現を誘導し、抗腫瘍T細胞応答を抑制する腫瘍微小環境内で高発現する、阻害性免疫チェックポイント調節因子である(例えば、Lines et al., Cancer Res. 74:1924-32, 2014を参照されたい)。VISTAのアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、VISTAに特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数を低減する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。
【0309】
一部の実施形態では、薬剤は、BTLAのアンタゴニストまたは阻害剤である。BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA;CD272)の発現は、T細胞の活性化の間に誘導され、これは、腫瘍壊死ファミリー受容体(TNF-R)および細胞表面受容体のB7ファミリーとの相互作用を介してT細胞を阻害する。BTLAは、腫瘍壊死因子(受容体)スーパーファミリー、メンバー14(TNFRSF14)に対するリガンドであり、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)としても公知である。BTLA-HVEM複合体は、例えば、ヒトCD8+がん特異的T細胞の機能を阻害することによって、T細胞の免疫応答を負に調節する(例えば、Derre et al., J Clin Invest 120:157-67, 2009を参照されたい)。BTLAのアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、BTLA-4に特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数を低減する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。
【0310】
一部の実施形態では、薬剤は、HVEMのアンタゴニストまたは阻害剤であり、例えば、HVEMに特異的に結合し、BTLAまたはCD160とのその相互作用を妨げる、アンタゴニストまたは阻害剤である。HVEMのアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、HVEMに特異的に結合し、必要に応じて、HVEM/BTLAおよび/またはHVEM/CD160の相互作用を低減し、それによって、HVEMの免疫抑制活性の1つまたは複数を低減する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。
【0311】
一部の実施形態では、薬剤は、CD160のアンタゴニストまたは阻害剤であり、例えば、CD160に特異的に結合し、HVEMとのその相互作用を妨げる、アンタゴニストまたは阻害剤である。CD160のアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、CD160に特異的に結合し、必要に応じて、CD160/HVEMの相互作用を低減し、それによって、その免疫抑制活性の1つまたは複数を低減または阻害する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる。
【0312】
一部の実施形態では、薬剤は、TIGITのアンタゴニストまたは阻害剤である。T細胞IgおよびITIMドメイン(TIGIT)は、各種のリンパ系細胞の表面において見出される共阻害受容体であり、抗腫瘍免疫を、例えば、Tregを介して抑制する(Kurtulus et al., J Clin Invest. 125:4053-4062, 2015)。TIGITのアンタゴニストまたは阻害剤の一般例としては、TIGITに特異的に結合し、その免疫抑制活性の1つまたは複数を低減する、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子が挙げられる(例えば、Johnstonet al., Cancer Cell. 26:923-37, 2014を参照されたい)。
【0313】
ある特定の実施形態では、免疫チェックポイントモジュレート剤は、1つまたは複数の刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストである。例示的な刺激性免疫チェックポイント分子としては、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226およびヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)が挙げられる。
【0314】
一部の実施形態では、薬剤は、OX40のアゴニストである。OX40(CD134)は、エフェクターおよびメモリーT細胞の拡大増殖を促進し、T調節性細胞の分化および活性を抑制する(例えば、Croft et al., Immunol Rev. 229:173-91, 2009を参照されたい)。そのリガンドは、OX40L(CD252)である。OX40のシグナル伝達は、T細胞活性化および生存の両方に影響を与えるので、それは、リンパ節における抗腫瘍免疫応答の惹起および腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫応答の維持において重要な役割を果たしている。OX40のアゴニストの一般例としては、OX40に特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドが挙げられる。具体例としては、OX86、OX-40L、Fc-OX40L、GSK3174998、MEDI0562(ヒト化OX40アゴニスト)、MEDI6469(マウスOX4アゴニスト)およびMEDI6383(OX40アゴニスト)、ならびにそれらの抗原結合性断片が挙げられる。
【0315】
一部の実施形態では、薬剤は、CD40のアゴニストである。CD40は、抗原提示細胞(APC)および一部の悪性腫瘍において発現する。そのリガンドは、CD40L(CD154)である。APCにおいて、ライゲーションは、共刺激分子の上方調節をもたらし、潜在的に、抗腫瘍免疫応答におけるT細胞の支援についての必要性を回避する。CD40アゴニスト療法は、APC成熟および腫瘍からリンパ節へのそれらの遊走において重要な役割を果たし、抗原提示およびT細胞活性化の上昇をもたらす。抗CD40アゴニスト抗体は、少なくとも一部分において、細胞傷害性T細胞によって媒介される効果である、動物モデルにおいて実質的な応答および耐久性の抗がん免疫を生じる(例えば、Johnson et al. Clin Cancer Res. 21: 1321-1328, 2015;およびVonderheideand Glennie, Clin Cancer Res. 19:1035-43, 2013を参照されたい)。CD40のアゴニストの一般例としては、CD40に特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドが挙げられる。具体例としては、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob 7/4、ADC-1013、CD40L、rhCD40Lおよびそれらの抗原結合性断片が挙げられる。
【0316】
一部の実施形態では、薬剤は、GITRのアゴニストである。グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)は、T細胞の拡大増殖を増加させ、Tregの抑制活性を阻害し、Tエフェクター細胞の生存を延長する。GITRのアゴニストは、Treg系列の安定性の喪失により抗腫瘍応答を促進することが示されている(例えば、Schaer et al., Cancer Immunol Res. 1:320-31, 2013を参照されたい)。これらの多様な機序は、GITRが、リンパ節における免疫応答の惹起および腫瘍組織における免疫応答の維持において重要な役割を果たすことを示す。そのリガンドは、GITRLである。GITRのアゴニストの一般例としては、GITRに特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドが挙げられる。具体例としては、GITRL、INCAGN01876、DTA-1、MEDI1873およびそれらの抗原結合性断片が挙げられる。
【0317】
一部の実施形態では、薬剤は、CD137のアゴニストである。CD137(4-1BB)は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーのメンバーであり、CD137の架橋は、T細胞増殖、IL-2分泌、生存および細胞溶解活性を増強する。CD137媒介シグナル伝達はまた、CD8+T細胞などのT細胞を活性化誘導細胞死から保護する。CD137のアゴニストの一般例としては、CD137に特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドが挙げられる。具体例としては、CD137(または4-1BB)リガンド(例えば、Shao and Schwarz, J Leukoc Biol. 89:21-9, 2011を参照されたい)、ならびに抗体のウトミルマブおよびその抗原結合性断片が挙げられる。
【0318】
一部の実施形態では、薬剤は、CD27のアゴニストである。CD27の刺激は、ナイーブT細胞の抗原特異的拡大増殖を増加させ、T細胞メモリーおよびT細胞免疫の長期維持に寄与する。そのリガンドは、CD70である。ヒトCD27のアゴニスト抗体による標的化は、T細胞活性化および抗腫瘍免疫を刺激する(例えば、Thomas et al., Oncoimmunology. 2014;3:e27255. doi:10.4161/onci.27255;およびHeet al ., J Immunol. 191:4174-83, 2013を参照されたい)。CD27のアゴニストの一般例としては、CD27に特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドが挙げられる。具体例としては、CD70、ならびに抗体のバルリルマブおよびCDX-1127(1F5)、ならびにそれらの抗原結合性断片が挙げられる。
【0319】
一部の実施形態では、薬剤は、CD28のアゴニストである。CD28は、CD4+T細胞、一部のCD8+細胞において恒常的に発現する。そのリガンドとしては、CD80およびCD86が挙げられ、その刺激は、T細胞の拡大増殖を増加させる。CD28のアゴニストの一般例としては、CD28に特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドが挙げられる。具体例としては、CD80、CD86、抗体のTAB08およびそれらの抗原結合性断片が挙げられる。
【0320】
一部の実施形態では、薬剤は、CD226のアゴニストである。CD226は、リガンドをTIGITと共有する刺激性受容体であり、TIGITとは異なって、CD226の会合は、T細胞活性化を増強する(例えば、Kurtulus et al., J Clin Invest. 125:4053-4062, 2015;Bottino et al.,J Exp Med. 1984:557-567, 2003;およびTahara-Hanaoka et al., Int Immunol.16:533-538, 2004を参照されたい)。CD226のアゴニストの一般例としては、CD226に特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンド(例えば、CD112、CD155)が挙げられる。
【0321】
一部の実施形態では、薬剤は、HVEMのアゴニストである。ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14(TNFRSF14)としても公知であり、TNF-受容体スーパーファミリーのヒト細胞表面受容体である。HVEMは、T細胞、APCおよび他の免疫細胞を含む、各種の細胞において見出される。他の受容体とは異なり、HVEMは、休止T細胞において高レベルで発現し、活性化の際に下方調節される。HVEMシグナル伝達が、T細胞活性化の初期段階においておよびリンパ節における腫瘍特異的リンパ球集団の拡大増殖の間に、重要な役割を果たすことが示されている。HVEMのアゴニストの一般例としては、HVEMに特異的に結合し、その免疫刺激活性の1つまたは複数を増加させる、抗体もしくは抗原結合性断片または低分子またはリガンドが挙げられる。
【0322】
ある特定の実施形態では、がん免疫療法剤は、がんワクチンである。例示的ながんワクチンとしては、オンコファージ、GardasilまたはCervarixなどのヒトパピローマウイルスHPVワクチン、Engerix-B、Recombivax HBまたはTwinrixなどのB型肝炎ワクチン、およびsipuleucel-T(Provenge)が挙げられる。一部の実施形態では、がんワクチンは、1つもしくは複数のがん抗原またはがん関連抗原を含むか、あるいはそれらを利用する。例示的ながん抗原としては、限定されないが、ヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例えば、VEGF-A)、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、NRP2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(またはCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10BまたはTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍において発現するジシアロガングリオシド)、グリピカン3(GPC3)およびメソテリンが挙げられる。
【0323】
ある特定の実施形態では、がん免疫療法剤は、腫瘍溶解性ウイルスである。腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞に優先的に感染し、死滅させるウイルスである。天然に存在する腫瘍溶解性ウイルスおよび人工または操作された腫瘍溶解性ウイルスが含まれる。ほとんどの腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍選択性について操作されているが、レオウイルスおよびSVV-001セネカバレーウイルスなどの天然に存在する例がある。腫瘍溶解性ウイルスの一般例としては、VSV、ポリオウイルス、レオウイルス、セネカウイルスおよびRIGVIR、ならびにそれらの操作されたバージョンが挙げられる。腫瘍溶解性ウイルスの非限定的な例としては、とりわけ、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびその操作されたバージョン、タリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、Oncorine(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NISおよびDNX-2401が挙げられる。
【0324】
ある特定の実施形態では、がん免疫療法剤は、サイトカインである。例示的なサイトカインとしては、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が挙げられる。
【0325】
ある特定の実施形態では、がん免疫療法剤は、細胞に基づく免疫療法、例えば、T細胞に基づく養子免疫療法である。一部の実施形態では、細胞に基づく免疫療法は、がん抗原特異的T細胞、必要に応じて、ex vivo由来T細胞を含む。一部の実施形態では、がん抗原特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞およびT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ならびにペプチド誘導T細胞の1つまたは複数から選択される。具体的な実施形態では、CAR改変T細胞は、CD-19に対して標的化される(例えば、Maude et al., Blood. 125:4017-4023, 2015を参照されたい)。
【0326】
ある特定の例では、処置されるがんは、がん抗原と会合する、すなわち、がん抗原特異的T細胞は、処置されるがんに会合することが公知である少なくとも1つの抗原に対して標的化されるか、またはそれらについて富化される。一部の実施形態では、がん抗原は、CD19、ヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例えば、VEGF-A)、VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(またはCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10BまたはTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍において発現するジシアロガングリオシド)、グリピカン3(GPC3)およびメソテリンの1つまたは複数から選択される。
【0327】
追加の例示的ながん抗原としては、5T4、707-AP、9D7、AFP、AlbZIP HPG1、アルファ-5-ベータ-1-インテグリン、アルファ-5-ベータ-6-インテグリン、アルファ-アクチニン-4/m、アルファ-メチルアシル-コエンザイムAラセマーゼ、ART-4、ARTC1/m、B7H4、BAGE-1、BCL-2、bcr/abl、ベータ-カテニン/m、BING-4、BRCA1/m、BRCA2/m、CA 15-3/CA 27-29、CA 19-9、CA72-4、CA125、カルレティキュリン、CAMEL、CASP-8/m、カテプシンB、カテプシンL、CDC27/m、CDK4/m、CDKN2A/m、CEA、CLCA2、CML28、CML66、COA-1/m、コアクトシン様タンパク質、コラーゲン(collage)XXIII、COX-2、CT-9/BRD6、Cten、サイクリンB1、サイクリンD1、cyp-B、CYPB1、DAM-10、DAM-6、DEK-CAN、EFTUD2/m、EGFR、ELF2/m、EMMPRIN、EpCam、EphA2、EphA3、ErbB3、ETV6-AML1、EZH2、FGF-5、FN、Frau-1、G250、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE7b、GAGE-8、GDEP、GnT-V、gp100、GPC3、GPNMB/m、HAGE、HAST-2、へプシン、Her2/neu、HERV-K-MEL、HLA-A0201-R1 7I、HLA-A1 1/m、HLA-A2/m、HNE、ホメオボックスNKX3.1、HOM-TES-14/SCP-1、HOM-TES-85、HPV-E6、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT、iCE、IGF-1 R、IL-13Ra2、IL-2R、IL-5、未成熟ラミニン受容体、カリクレイン-2、カリクレイン-4、Ki67、KIAA0205、KIAA0205/m、KK-LC-1、K-Ras/m、LAGE-A1、LDLR-FUT、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A12、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-B10、MAGE-B16、MAGE-B17、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-D1、MAGE-D2、MAGE-D4、MAGE-E1、MAGE-E2、MAGE-F1、MAGE-H1、MAGEL2、マンマグロビンA、MART-1/メラン-A、MART-2、MART-2/m、マトリックスタンパク質22、MCI R、M-CSF、ME1/m、メソテリン、MG50/PXDN、MMP1 1、MN/CA IX-抗原、MRP-3、MUC-1、MUC-2、MUM-1/m、MUM-2/m、MUM-3/m、ミオシンクラスl/m、NA88-A、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ-V、Neo-PAP、Neo-PAP/m、NFYC/m、NGEP、NMP22、NPM/ALK、N-Ras/m、NSE、NY-ESO-B、NY-ESO-1、OA1、OFA-iLRP、OGT、OGT/m、OS-9、OS-9/m、オステオカルシン、オステオポンチン、pi 5、p190マイナーbcr-abl、p53、p53/m、PAGE-4、PAI-1、PAI-2、PAP、PART-1、PATE、PDEF、Pim-1キナーゼ、Pin-1、Pml/PARアルファ、POTE、PRAME、PRDX5/m、プロステイン、プロテイナーゼ-3、PSA、PSCA、PSGR、PSM、PSMA、PTPRK/m、RAGE-1、RBAF600/m、RHAMM/CD1 68、RU1、RU2、S-100、SAGE、SART-1、SART-2、SART-3、SCC、SIRT2/m、Sp1 7、SSX-1、SSX-2/HOM-MEL-40、SSX-4、STAMP-1、STEAP-1、サバイビン、サバイビン-2B、SYT-SSX-1、SYT-SSX-2、TA-90、TAG-72、TARP、TEL-AML1、TGF-ベータ、TGFベータRII、TGM-4、TPI/m、TRAG-3、TRG、TRP-1、TRP-2/6b、TRP/INT2、TRP-p8、チロシナーゼ、UPA、VEGFR1、VEGFR-2/FLK-1およびWT1が挙げられる。ある特定の好ましい抗原としては、p53、CA125、EGFR、Her2/neu、hTERT、PAP、MAGE-A1、MAGE-A3、メソテリン、MUC-1、GP100、MART-1、チロシナーゼ、PSA、PSCA、PSMA、STEAP-1、Ras、CEAおよびWT1、より好ましくは、PAP、MAGE-A3、WT1およびMUC-1が挙げられる。
【0328】
一部の実施形態では、抗原は、MAGE-A1(例えば、受託番号M77481によるMAGE-A1)、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A6(例えば、受託番号NM_005363によるMAGE-A6)、MAGE-C1、MAGE-C2、メラン-A(例えば、受託番号NM_00551 1によるメラン-A)、GP100(例えば、受託番号M77348によるGP100)、チロシナーゼ(例えば、受託番号NM_000372によるチロシナーゼ)、サバイビン(例えば、受託番号AF077350によるサバイビン)、CEA(例えば、受託番号NM_004363によるCEA)、Her-2/neu(例えば、受託番号M1 1 730によるHer-2/neu)、WT1(例えば、受託番号NM_000378によるWT1)、PRAME(例えば、受託番号NM_0061 15のPRAME)、EGFRI(上皮成長因子受容体1)(例えば、受託番号AF288738によるEGFRI(上皮成長因子受容体1))、MUC1、ムチン-1(例えば、受託番号NM_002456によるムチン-1)、SEC61 G(例えば、受託番号NM_014302によるSEC61 G)、hTERT(例えば、受託番号NM_198253のhTERT)、5T4(例えば、受託番号NM_006670による5T4)、TRP-2(例えば、受託番号NM_001 922によるTRP-2)、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、PSCA、PSA、PSMAなどから選択される。
【0329】
一部の実施形態では、がん抗原は、PCA、PSA、PSMA、STEAP、および必要に応じてMUC-1、ならびにそれらの断片、バリアントおよび誘導体から選択される。一部の実施形態では、がん抗原は、NY-ESO-1、MAGE-C1、MAGE-C2、サバイビン、5T4、および必要に応じて、MUC-1、ならびにそれらの断片、バリアントおよび誘導体から選択される。
【0330】
一部の例では、がん抗原は、がんまたは腫瘍疾患、特に、リンパ腫またはリンパ腫関連疾患に関連するイディオタイプ抗原を包含し、例えば、イディオタイプ抗原は、リンパ系血液細胞の免疫グロブリンイディオタイプまたはリンパ系血液細胞のT細胞受容体イディオタイプである。
【0331】
一部の例では、がん抗原特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞(例えば、がん抗原に対して標的化される)およびT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ならびにペプチド誘導T細胞の1つまたは複数から選択される。
【0332】
当業者は、本明細書に記載されるさまざまながん免疫療法剤を、本明細書に記載されるさまざまな抗NRP2抗体(それらの抗原結合性断片を含む)のいずれか1つまたは複数と組み合わせることができ、本明細書に記載される方法または組成物のいずれか1つまたは複数に従って使用することができることを理解しているであろう。
【0333】
化学療法剤。ある特定の実施形態は、1つまたは複数の化学療法剤、例えば、低分子化学療法剤を用いる。化学療法剤の非限定的な例としては、とりわけ、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(I型またはII型)、微小管阻害剤が挙げられる。
【0334】
アルキル化剤の例としては、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾトシン)、テトラジン(例えば、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミド)、アジリジン(例えば、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジクオン(AZQ))、シスプラチンおよびその誘導体(例えば、カルボプラチンおよびオキサリプラチン)および非古典的アルキル化剤(必要に応じて、プロカルバジンおよびヘキサメチルメラミン)が挙げられる。
【0335】
代謝拮抗剤の例としては、葉酸代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(例えば、5-フルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシドアナログ(例えば、アンシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンおよびペントスタチン)およびチオプリン(例えば、チオグアニンおよびメルカプトプリン)が挙げられる。
細胞傷害性抗生物質の例としては、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシンおよびミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンおよびアクチノマイシンが挙げられる。トポイソメラーゼ阻害剤の例としては、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロンおよびアクラルビシンが挙げられる。
【0336】
抗微小管剤の例としては、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)およびビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)が挙げられる。
【0337】
当業者は、本明細書に記載されるさまざまな化学療法剤を、本明細書に記載されるさまざまな抗NRP2抗体(それらの抗原結合性断片を含む)のいずれか1つまたは複数と組み合わせることができ、本明細書に記載される方法または組成物のいずれか1つまたは複数に従って使用することができることを理解しているであろう。
【0338】
ホルモン治療剤。ある特定の実施形態は、少なくとも1つのホルモン治療剤を用いる。ホルモン治療剤の一般例としては、ホルモンアゴニストおよびホルモンアンタゴニストが挙げられる。ホルモンアゴニストの特定の例としては、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子およびリンパ脈管新生因子(例えば、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲン、ならびにソマトスタチンアナログが挙げられる。ホルモンアンタゴニストの例としては、アロマターゼ阻害剤およびゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト(例えば、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ヒストレリン)およびそのアナログなどのホルモン合成阻害剤が挙げられる。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM;例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン)および抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド)などのホルモン受容体アンタゴニストも含まれる。
【0339】
ホルモン受容体に対する抗体などのホルモン経路阻害剤も含まれる。例としては、シズツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブおよびロバツムマブなどのIGF受容体(例えば、IGF-IR1)の阻害剤;アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブなどの血管内皮成長因子受容体1、2または3(VEGFR1、VEGFR2またはVEGFR3)の阻害剤;フレソリムマブおよびメテリムマブなどのTGF-ベータ受容体R1、R2およびR3の阻害剤;ナキシタマブなどのc-Metの阻害剤;セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブおよびザルツムマブなどのEGF受容体の阻害剤;アプルツマブイクサドチンおよびベマリツズマブなどのFGF受容体の阻害剤;ならびにオララツマブおよびトベツマブなどのPDGF受容体の阻害剤が挙げられる。
【0340】
当業者は、本明細書に記載されるさまざまなホルモン治療剤を、本明細書に記載されるさまざまな抗NRP2抗体(それらの抗原結合性断片を含む)のいずれか1つまたは複数と組み合わせることができ、本明細書に記載される方法または組成物のいずれか1つまたは複数に従って使用することができることを理解しているであろう。
【0341】
キナーゼ阻害剤。ある特定の実施形態は、チロシンキナーゼ阻害剤を含む少なくとも1つのキナーゼ阻害剤を用いる。キナーゼ阻害剤の例としては、限定されないが、アダボセルチブ、アファチニブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エヌトレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブおよびベムラフェニブが挙げられる。例示的なPI3キナーゼ阻害剤としては、アルペリシブ、ブパリシブ、コパンリシブ、CUDC-907、ダクトリシブ、デュベリシブ、GNE-477、イデラリシブ(idelasib)、IPI-549、LY294002、ME-401、ペリフォシン、PI-103、ピクチリシブ、PWT33597、RP6503、タセリシブ、ウムブラリシブ、ボクスタリシブ、ウォルトマンニンおよびXL147が挙げられる。
【0342】
当業者は、本明細書に記載されるさまざまなキナーゼ阻害剤を、本明細書に記載されるさまざまな抗NRP2抗体(それらの抗原結合性断片を含む)のいずれか1つまたは複数と組み合わせることができ、本明細書に記載される方法または組成物のいずれか1つまたは複数に従って使用することができることを理解しているであろう。
使用の方法および治療用組成物
【0343】
本開示の実施形態は、一部分では、ヒトヒスチジルtRNAシンテターゼ(HRS)ポリペプチドが、広範囲の疾患および状態の処置にとって適切である予想外の生物学的性質を有するという発見、ならびにある特定のこれらの性質が、HRSおよびヒトニューロピリン2(NRP2)の間の相互作用に関連するという発見に関する。したがって、ヒトNRP2に対する抗体は、NRP2およびNRP2リガンドの間の結合を妨げ、および/またはNRP2受容体シグナル伝達をモジュレートし、NRP2関連疾患を含む疾患の処置において、単独の治療剤としてまたは本明細書に記載される他の治療剤と組み合わせて、使用することができる。
【0344】
したがって、ある特定の実施形態は、それを必要とする対象における疾患もしくは状態の症状を処置する、改善する、および/またはその進行を低減する方法であって、ヒトニューロピリン-2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片を、対象に投与することを含む、方法を含む。一部の例では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。一部の例では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、アゴニスト抗体として作用することによって、NRP2/NRP2リガンド相互作用の1つまたは複数のシグナル伝達活性を模倣するか、またはそうでなければ増強する。
【0345】
一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、NRP2のNRP2aアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント1、2および/または3)に選択的に結合し、NRP2bアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント4および/または5)に実質的に結合しない。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、NRP2bアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント4および/または5)に選択的に結合し、NRP2aアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント1、2および/または3)に実質的に結合しない。そのような結合特徴は、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つまたは複数に適用することができる。
【0346】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、VEGF-Cまたは関連NRP2リガンドのNRP2ポリペプチドへのもしくはそれを介した結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。一部の態様では、そのような抗体またはその抗原結合性断片は、セマフォリンのNRP2ポリペプチドとの相互作用を実質的に遮断しない。一部の実施形態では、そのような抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドを介したVEGF-Cシグナル伝達に関するアンタゴニスト抗体である。一部の態様では、そのような抗体は、NRP2ポリペプチドを介したセマフォリン3Fシグナル伝達に関するアゴニスト抗体である。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドおよびVEGFR2またはVEGFR3の間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0347】
一部の実施形態は、少なくとも1つの抗NRP2抗体を、約500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pMもしくは10pM、または約500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、50pM、40pM、30pM、20pMもしくは10pM未満の可溶性NRP2の平均の持続血漿濃度を達成するのに十分な量および頻度で対象に投与することを含む。ある特定の実施形態は、少なくとも1つの抗NRP2抗体を、HRS:NRP2複合体の循環レベルの低減、例えば、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95、99または100%の低減を達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む。一部の実施形態は、少なくとも1つの抗NRP2抗体を、約1nM~約1μM、約1nM~約100nM、約1nM~約10nMまたは約1nM~約3μMの少なくとも1つの抗NRP2抗体の定常状態濃度または平均循環濃度を達成するのに十分な量および頻度で投与することを含む。
【0348】
ある特定の実施形態では、疾患または状態は、NRP2関連疾患または状態である。一部の実施形態では、NRP2関連疾患または状態は、がん、ならびにがん細胞の成長、惹起、遊走、接着、浸潤、化学耐性および/または転移を含む、がんに関連する疾患および経路;移植片対宿主病(GVHD)などの不適切な免疫細胞の活性化または遊走に関連する疾患を含む、炎症、自己免疫および関連する炎症性疾患に関連する疾患;例えば、浮腫、リンパ浮腫、二次性リンパ浮腫、不適切な脂肪吸収および沈着、過度の脂肪沈着ならびに血管透過性を含む、リンパ管発生、リンパ脈管新生およびリンパ管損傷に関連する疾患;潜伏感染を含む、感染に関連する疾患;例えば、慢性閉塞性肺障害(COPD)、好中球性喘息、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連全身性血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、インフラマソーム関連疾患、および壊疽性膿皮症などの皮膚関連好中球媒介疾患を含む、アレルギー性障害/疾患、アレルギー反応に関連する疾患;サルコイドーシスおよび肉芽腫を含む、肉芽腫性炎症疾患に関連する疾患;線維性疾患、線維症、内皮間葉転換(EMT)および創傷治癒を含む、線維症に関連する疾患;不適切な平滑筋収縮性、平滑筋の代償および代償不全、ならびに不適切な血管平滑筋細胞の遊走および接着に関連する疾患;不適切なオートファジー、ファゴサイトーシスおよびエフェロサイトーシスに関連する疾患;神経疾患、末梢神経系リモデリングおよび痛覚に関連する疾患;ならびに骨発生および骨リモデリングに関連する疾患の1つまたは複数から選択される。
【0349】
一部の実施形態では、疾患は、がんである。ここで、NRP2発現の上方調節は、腫瘍形成、特に、腫瘍転移および化学耐性の発生に関連し、いくつかの腫瘍の種類におけるより攻撃的な疾患と相関する。また、セマフォリン/プレキシン/ニューロピリンのシグナル伝達軸は、がんの多くの顕著な特徴に影響を与える(例えば、Franzolin and Tamagnone Int. J. Mol. Sci. 20, 377;doi:10.3390/ijms20020377, 2019);Nasarre et al., OncoTargets and Therapy 2014:71663-1687;Neufeld et al., Cold Spring Harb Perspect Med. 2:a006718, 2012を参照されたい)。例えば、セマフォリン3F(SEMA3F)は、当初は、肺がんにおける腫瘍サプレッサー遺伝子として特定され、一貫して、in vitroおよびin vivoで、前立腺、膀胱および黒色腫細胞を含む非常に転移性の腫瘍細胞において下方調節される。これらの研究と一致して、前立腺がん細胞におけるNRP2の増加した発現は、腫瘍サプレッサー遺伝子であるホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)の欠失によっても誘導され、その発現は、グリーソングレードと相関する(例えば、Zhaoet al., Thoracic Cancer 8: 203-213, 2017を参照されたい)。加えて、P53突然変異は、DLX2転写の抑制を介してNRP2発現を上方調節し、細胞の運動性の増加をもたらす。ヒト腫瘍およびがんの約50%は、p53腫瘍サプレッサー遺伝子に突然変異を含有し、これらの突然変異の大多数は、DNA結合ドメインで起こり、予後不良に関係する(例えば、Drabkinet al., Oncotarget. 8 (No 57) 96464-96465, 2017を参照されたい)。加えて、TGF-βシグナル伝達は、NRP2bの発現およびがんにおけるEMTの上方調節に関与し、これは、進行性腫瘍において、TGF-βのより高い産生が、腫瘍の攻撃性および予後不良と正に関連する理由を説明し得る(例えば、Malfettoneet al., Cancer Lett. 392:39-50, 2017を参照されたい)。
【0350】
したがって、ある特定の実施形態は、それを必要とする対象におけるがんの症状を処置する、改善する、またはその進行を阻害する方法であって、ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片(抗NRP2抗体)を対象に投与することを含み、これが、ヒトNRP2ポリペプチドのNRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのヒトHRSポリペプチド)への結合をモジュレートする(例えば、妨げる)、方法を含む。ある特定の実施形態は、それを必要とする対象におけるがん、例えば、転移性がんおよび/または化学耐性がんの再発を低減または予防することを含み、治療用組成物の投与は、がんに対する免疫記憶の発生を可能にする。
【0351】
がんの処置のために、一部の例では、抗NRP2抗体は、がんに対する免疫応答を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する。例示的な免疫応答としては、固形腫瘍の免疫細胞浸潤を増加または増強すること、およびがんに対する生物活性を増加させることが挙げられる。ある特定の実施形態では、抗NRP2抗体は、がんに対する適応免疫応答を増強し、一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、がんに対する自然免疫応答を増強する。一部の例では、抗NRP2抗体は、がんに対するT細胞媒介応答を、直接的または間接的に増強する。一部の例では、抗NRP2抗体は、がんに対するB細胞媒介応答または抗体媒介応答を増強する。一部の例では、抗NRP2抗体は、がんに対するマクロファージ応答をモジュレートする。一部の例では、抗NRP2抗体は、免疫細胞またはがんのオートファジーをモジュレートする。一部の例では、抗NRP2抗体は、免疫細胞のファゴサイトーシスをモジュレートする。一部の例では、抗NRP2抗体は、がん細胞のアポトーシスをモジュレートする。一部の例では、抗NRP2抗体は、免疫細胞のエフェロサイトーシスおよび/またはがん細胞のオートファジーをモジュレートする。
【0352】
一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、がんに対するマクロファージ応答を増強する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、がんに対するマクロファージ応答を阻害する。抗NRP2抗体の一部の実施形態では、抗体は、オートファジーを増強する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、オートファジーを阻害する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、ファゴサイトーシスを増強する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、ファゴサイトーシスを阻害する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、アポトーシスを増強する。抗NRP2抗体の一部の実施形態では、抗体は、アポトーシスを阻害する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、エフェロサイトーシスを増強する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、エフェロサイトーシスを阻害する。
【0353】
一部の例では、抗NRP2抗体は、がんの惹起、がん細胞の遊走、接着またはがん細胞の転位を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する。一部の例では、抗NRP2抗体は、がん媒介リンパ脈管新生を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する。
【0354】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がん(例えば、生検から単離されたがん細胞、またはin vitroで成長させた他の試料)のin vitro成長の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する。
【0355】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がん(例えば、生検から単離されたがん細胞、またはin vitroで成長させた他の試料)の基質への接着を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する。一部の例では、基質は、ラミニンを含む。
【0356】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がん(例えば、生検から単離されたがん細胞、またはin vitroで成長させた他の試料)の侵襲性を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く低減する。
【0357】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんまたは遊走細胞(例えば、生検から単離されたがんもしくは免疫細胞、またはin vitroで成長させた他の試料)の遊走の速度または運動性を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く阻害する。
【0358】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がんもしくは関連免疫細胞のオートファジーまたはエンドソーム成熟(例えば、エンドソーム酸性化)の速度を、未処置対照と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く阻害する。
【0359】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、追加薬剤(例えば、化学療法剤、ホルモン治療剤およびまたはキナーゼ阻害剤)に対するがんの感受性を、追加薬剤単独と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗NRP2抗体は、がん免疫療法剤の抗腫瘍活性および/または免疫刺激活性を、がん免疫療法剤単独と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する。
【0360】
それを必要とする対象におけるがんの症状を処置する、改善する、またはその進行を阻害する方法であって、ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片(抗NRP2抗体)を、少なくとも1つの追加薬剤、例えば、がん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤および/またはキナーゼ阻害剤と組み合わせて対象に投与することを含む、方法を含む、がんを処置するための併用療法も含まれる。例示的ながん免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤およびキナーゼ阻害剤は、本明細書の他の箇所に記載される。
【0361】
一部の例では、抗NRP2抗体および少なくとも1つの追加薬剤は、別々に、例えば、別々の治療用組成物で、同じ時間または異なる時間に投与される。一部の実施形態では、抗NRP2抗体および少なくとも1つの追加薬剤は、同じ治療用組成物の一部として、同じ時間に投与される。
【0362】
特定の方法は、併用療法レジメンの一部として(すなわち、これらに加えて)、1つまたは複数の抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片を用いる。例示的な併用レジメンは、下記の表M1に提供される。
【表M1】
【0363】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法および治療用組成物(例えば、単独のまたは少なくとも1つの追加薬剤と組み合わせた抗NRP2抗体)は、対象の生存時間中央値を4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、15週、20週、25週、30週、40週またはそれよりも長く増加させる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法および治療用組成物(例えば、単独のまたは少なくとも1つの追加薬剤と組み合わせた抗NRP2抗体)は、対象の生存時間中央値を1年、2年、3年またはそれよりも長く増加させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法および治療用組成物(例えば、単独のまたはがん免疫療法剤と組み合わせた抗NRP2抗体)は、無進行生存を2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、またはそれよりも長く増加させる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法または治療用組成物は、無進行生存を1年、2年、3年またはそれよりも長く増加させる。
【0364】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法および治療用組成物(例えば、単独のまたは少なくとも1つの追加薬剤と組み合わせた抗NRP2抗体)は、生存腫瘍の量の統計学的に有意な減少、例えば、腫瘍質量の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、もしくはそれよりも高い減少によって、または変更されたスキャン寸法(例えば、統計学的に有意な減少)によって示される、腫瘍退縮をもたらすのに十分である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法および治療用組成物(例えば、単独のまたは少なくとも1つの追加薬剤と組み合わせた抗NRP2抗体)は、安定疾患をもたらすのに十分である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法および治療用組成物(例えば、単独のまたはがん免疫療法剤と組み合わせた抗NRP2抗体)は、熟練の臨床医に公知の特定の疾患徴候の症状の臨床的に関連性のある低減をもたらすのに十分である。
【0365】
一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、がん免疫療法剤の抗腫瘍活性および/または免疫刺激活性を、がん免疫療法剤単独と比べて、増加させる、補充する、またはそうでなければ増強する。一部の実施形態では、抗NRP2抗体は、がん免疫療法剤の抗腫瘍活性および/または免疫刺激活性を、がん免疫療法剤単独と比べて、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%またはそれよりも高く増強する。
【0366】
本明細書に記載される方法および治療用組成物は、任意の各種のがんまたは腫瘍の処置において使用することができる。一部の実施形態では、がんは、原発がん、すなわち、腫瘍の進行が始まり、癌性の量が生じた解剖学的部位で成長しているがんである。一部の実施形態では、がんは、二次がんまたは転移性がん、すなわち、起源の原発部位または組織から1つまたは複数の異なる部位または組織に拡がったがんである。一部の実施形態では、がんは、NRP2を発現または過剰発現する。一部の実施形態では、対象または患者は、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、上皮腫瘍または上皮由来腫瘍、膵臓がん、骨がん、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、中皮腫、白血病(例えば、リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、再発性急性骨髄性白血病)、リンパ腫、肝細胞腫(肝細胞癌またはHCC)、肉腫、B細胞悪性腫瘍、乳がん(例えば、エストロゲン受容体陽性(ER+)、エストロゲン受容体陰性(ER-)、Her2陽性(Her2+)、Her2陰性(Her2-)、またはそれらの組合せ、例えば、ER+/Her2+、ER+/Her2-、ER-/Her2+もしくはER-/Her2-、またはエストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性およびHER2陰性である「トリプルネガティブ」乳がん)、卵巣がん、結腸直腸がん、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫または脈絡叢乳頭腫)、多形神経膠芽腫(例えば、巨細胞膠芽腫または膠肉腫)、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、膀胱がん、子宮がん、食道がん、脳がん、頭頸部がん、子宮頸がん、精巣がん、甲状腺がん、胃がん、例えば、パピローマウイルス誘発癌などのウイルス誘発腫瘍(例えば、子宮頸癌、子宮頸がん)、腺癌、ヘルペスウイルス誘発腫瘍(例えば、バーキットリンパ腫、EBV誘発B細胞リンパ腫)、B型肝炎誘発腫瘍(肝細胞癌)、HTLV-1誘発およびHTLV-2誘発リンパ腫、聴神経腫、肺がん(例えば、肺癌、気管支癌)、小細胞肺癌、咽頭がん、肛門癌、神経膠芽腫、直腸癌、リンパ管腫、星状細胞腫、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、基底細胞腫、脳転移、髄芽腫、膣がん、膵臓がん、精巣がん、ホジキン症候群、髄膜腫、シュネーベルガー病、脳下垂体腫瘍、菌状息肉腫、カルチノイド、神経鞘腫、棘細胞がん、バーキットリンパ腫、咽頭がん、腎臓がん、胸腺腫、子宮体癌、骨がん、非ホジキンリンパ腫、尿道がん、CUP症候群、頭部/頸部腫瘍、乏突起神経膠腫、外陰部がん、腸がん、結腸癌、食道がん(例えば、食道癌)、疣贅合併症、小腸の腫瘍、頭蓋咽頭腫(craniopharyngeomas)、卵巣癌、生殖器腫瘍、卵巣がん(例えば、卵巣癌)、膵臓がん(例えば、膵臓癌)、子宮内膜癌、肝転移、陰茎がん、舌がん、胆嚢がん、白血病、形質細胞腫、ならびに眼瞼腫瘍の1つまたは複数から選択されるがんを有する。
【0367】
一部の実施形態では、上記で述べたように、がんまたは腫瘍は、転移性がん、例えば、NRP2aおよび/またはNRP2bを発現する転移性がんである。上記のがんに加えて、例示的な転移性がんとしては、とりわけ、限定されないが、骨、肝臓および/または肺に転移した膀胱がん;骨、脳、肝臓および/または肺に転移した乳がん;肝臓、肺および/または腹膜に転移した結腸直腸がん;副腎、骨、脳、肝臓および/または肺に転移した腎臓がん;副腎、骨、脳、肝臓および/または他の肺部位に転移した肺がん;骨、脳、肝臓、肺および/または皮膚/筋肉に転移した黒色腫;肝臓、肺および/または腹膜に転移した卵巣がん;肝臓、肺および/または腹膜に転移した膵臓がん;副腎、骨、肝臓および/または肺に転移した前立腺がん;肝臓、肺および/または腹膜に転移した胃がん;骨、肝臓および/または肺に転移した甲状腺がん;ならびに骨、肝臓、肺、腹膜および/または腟に転移した子宮がんが挙げられる。
【0368】
一部の実施形態では、例えば、がん免疫療法剤がPD-1またはPD-L1のアンタゴニストまたは阻害剤である場合、対象は、PD-1またはPD-L1の阻害剤療法に好適にする1つまたは複数のバイオマーカー(例えば、がん細胞またはがん特異的CTLなどの細胞における増加したPD-1またはPD-L1のレベル)を有する。例えば、一部の実施形態では、対象は、腫瘍浸潤性CD8+T細胞サブセット内のプログラム細胞死1高/細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4高(例えば、PD-1hiCTLA-4hi)細胞の割合が増加している(例えば、Daud et al., J Clin Invest. 126:3447-3452, 2016を参照されたい)。別の例として、一部の実施形態では、対象は、循環腫瘍反応性(例えば、PD-1CD11ahiCD8)T細胞におけるBim(B細胞リンパ腫2と相互作用する(Bcl2相互作用)メディエーター)のレベルが増加し、必要に応じて、転移性黒色腫を有する(例えば、Droncaet al., JCI Insight. May 5; 1(6): e86014, 2016を参照されたい)。
【0369】
ある特定の具体的な組合せとしては、結腸直腸がん、黒色腫、乳がん、非小細胞肺癌、膀胱がんおよび腎細胞癌の1つまたは複数から選択されるがんを処置するための、抗NRP2抗体、ならびにPD-L1のアンタゴニストまたは阻害剤、例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)およびデュルバルマブ(MEDI4736)が挙げられる。
【0370】
一部の具体的な組合せとしては、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、肝細胞癌、腎細胞癌および卵巣がんの1つまたは複数から選択されるがんを処置するための、抗NRP2抗体およびPD-1のアンタゴニスト、例えば、ニボルマブが挙げられる。
【0371】
特定の具体的な組合せとしては、黒色腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、頭頸部がんおよび尿路上皮がんの1つまたは複数から選択されるがんを処置するための、抗NRP2抗体およびPD-1のアンタゴニスト、例えば、ペムブロリズマブが挙げられる。
【0372】
ある特定の具体的な組合せとしては、黒色腫、前立腺がん、肺がんおよび膀胱がんの1つまたは複数から選択されるがんを処置するための、抗NRP2抗体、ならびにCTLA-4のアンタゴニスト、例えば、イピリムマブおよびトレメリムマブが挙げられる。
【0373】
一部の具体的な組合せとしては、転移性乳がん、および脳がん、必要に応じて、多形神経膠芽腫、神経膠腫、膠肉腫または悪性脳腫瘍の1つまたは複数から選択されるがんを処置するための、抗NRP2抗体およびIDOのアンタゴニスト、例えば、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸またはエパカドスタットが挙げられる。
【0374】
ある特定の具体的な組合せとしては、黒色腫、カポジ肉腫および血液がんを処置するための、抗NRP2抗体およびサイトカインのINF-αが挙げられる。転移性腎臓がんまたは転移性黒色腫を処置するための、抗NRP2抗体およびIL-2(例えば、アルデスロイキン)の組合せも挙げられる。
【0375】
一部の具体的な組合せとしては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)およびB細胞腫瘍などの血液がんを処置するための、抗NRP2抗体、および例えば、CD-19に対して標的化するCAR改変T細胞を含むT細胞に基づく養子免疫療法が挙げられる(例えば、上記のMaude et al., 2015;Lorentzen and Straten, Scand J Immunol. 82:307-19,2015;およびRamos et al., Cancer J. 20:112-118, 2014を参照されたい)。
【0376】
がんを処置するための方法は、他の治療用モダリティと組み合わせることができる。例えば、本明細書に記載される併用療法は、症状のケア、放射線療法、外科手術、移植、ホルモン療法、光線力学的療法、抗生物質療法またはそれらの任意の組合せを含む他の治療的介入の前、その間またはその後に、対象に投与することができる。症状のケアとしては、脳浮腫、頭痛、認知機能障害および嘔吐を低減するためのコルチコステロイドの投与、ならびにてんかん発作を低減するための抗けいれん剤の投与が挙げられる。放射線療法としては、全脳照射、分割放射線療法および定位放射線治療などの放射線手術が挙げられ、これは、従来の外科手術とさらに組み合わせることができる。
【0377】
ある特定の実施形態は、リンパ脈管新生をモジュレートするため、およびリンパ浮腫または腫瘍転移などの関連する状態を処置するための、本明細書に記載される抗NRP2抗体の使用を含む。リンパ系は、血管系から選別された流体およびタンパク質を吸収、収集および輸送する、相互接続された毛細血管、収集血管およびリンパ節のネットワークからなる。この系は、重要な恒常性機能を提供し、ヒトでは、リンパ管は、1日あたり>4リットルの流体およびかなりの量のタンパク質を頸部の大静脈に戻す。
【0378】
リンパ管機能不全(リンパ浮腫)は、間質における過剰の流体の蓄積(浮腫)をもたらす。リンパ浮腫は、典型的には、生命を脅かすものではないが、これは、疼痛、不動、線維症、炎症、脂肪組織蓄積および組織損傷を含む深刻な健康への影響を有する。リンパ系は、免疫応答の重要な構成要素でもあるので、リンパ浮腫は、典型的には、感染および他の免疫系の問題のリスクの増加を伴う。
【0379】
リンパ脈管新生は、以前から存在するリンパ管からの新たなリンパ管の形成であり、転移性播種、移植片拒絶(例えば、角膜、腎臓および心臓)、2型糖尿病、肥満、高血圧およびリンパ浮腫を含む多様な病態に関連する(例えば、Alitalo et al. Nature 438:946-953, 2005;Karaman et al. J Clin Invest124:922-928, 2014;Kim et al., J Clin Invest 124:936-942, 2014;Maby-El Hajjamiet al., Histochem Cell Biol 130:1063-107, 2008;Machnik et al., Nat Med15:545-552;Mortimer et al., 2014. J Clin Invest 124:915-921;Skobe et al., 2009.Nat Med 15:993-994を参照されたい)。
【0380】
血管の浸潤と比較した原発腫瘍中およびその周辺のリンパ管浸潤は、さまざまな種類のがんの攻撃性の予後マーカーである。リンパ管の成長は、移植片拒絶にも関与する(Dietrich, T., et al., J Immunol 184:535-539, 2010、Hall et al., ArchOtolaryngol Head Neck Surg 129:716-719, 2003.;Maula et al., Cancer Res63:1920-1926, 2003;Miyata et al., J Urol 176:348-353, 2006;Saad et al., ModPathol 19:1317-1323, 2006;Schoppmann et al., Ann Surg 240:306-312, 2004;Zeng etal., Prostate 65:222-230, 2005)。
【0381】
多数の疾患の発病におけるリンパ管の十分に確立された重要性にもかかわらず、臨床試験に入った豊富な抗血管新生剤と比較して、抗リンパ脈管新生剤の開発における進展はほとんどない。したがって、さらなるリンパ脈管新生阻害剤の開発は、リンパ浮腫およびがん転移を含む、ある範囲の状態の処置のための目的である。
【0382】
抗リンパ脈管新生剤は、例えば、眼の衰弱性疾患の処置のために有用であり、ここで、リンパ管の成長は、角膜移植片拒絶の主な理由、および加齢性黄斑変性症に関連する新血管形成に対する主な寄与体である(Dietrich, T., et al., J Immunol 184:535-539, 2010)。特に、全層角膜移植は、固形組織移植の最も一般的な形態であり、およそ40,000の角膜移植が、米国において、毎年行われている。全層角膜移植の成功率は、血管のない低リスクベッドで行われる合併症のない最初の移植について90%程度の高さである。しかしながら、高リスクの血管が発達した宿主ベッドに置かれた角膜移植組織の拒絶率は、極めて高い(70%~90%)。したがって、リンパ脈管新生を阻害する安全な標的化された新たなレジメンの開発は、移植片の生存を促進し、新血管形成を阻害するために必要である。
【0383】
抗リンパ脈管新生薬は、ドライアイ疾患の処置のためにも有用である。リンパ脈管新生促進因子(例えば、VEGF-C、VEGF-DおよびVEGFR-3)の著しい上方調節および血管の同時成長なしのリンパ管の選択的成長は、ドライアイ疾患を有する角膜において実証されている(Goyal et al., Arch Ophthalmol 128:819-824, 2010)。ドライアイ疾患は、約500万人のアメリカ人に影響を与える免疫媒介障害である。これは、視覚に関連するクオリティオブライフに重度の影響を及ぼし、症状は、衰弱性であり得る。ドライアイ疾患に対する現在の治療選択肢は、限定されており、大部分は対症的であり、高価である。したがって、リンパ脈管新生阻害剤の開発は、ドライアイ疾患の処置のための治療的価値があるものである。
【0384】
現在、転移が、固形腫瘍からの死亡の大部分(90%)の原因となっていることが認められている(Gupta and Massague, Cell 127, 679-695, 2006)。転移の複雑なプロセスは、原発腫瘍からの腫瘍細胞の脱離、腫瘍細胞のリンパ管または血管への異物侵入、ならびに二次部位における腫瘍細胞の溢出および成長を含む、一連の別個のステップを含む。多くの腫瘍型における局所リンパ節の分析は、リンパ脈管構造が、ヒトのがんの汎発のための重要な経路であることを示す。さらにまた、ほとんどの癌腫では、リンパ節中の腫瘍細胞の存在は、最も重要な予後不良因子である。そのような転移は、もっぱら、腫瘍の近くの既存のリンパ管に沿った悪性細胞の通過だけが関与すると以前は考えられていたが、最近の実験研究および臨床病理報告(例えば、Achenet al., Br J Cancer 94, 1355-1360, 2006およびNathanson, Cancer 98,413-423, 2003を参照されたい)は、リンパ脈管新生が、固形腫瘍によって誘導され得ること、および腫瘍の広がりを促進し得ることを示唆する。これらのおよび他の最近の研究は、リンパ管およびリンパ脈管新生の標的化が、がん転移の発生を制限する有用な治療戦略であり得、これが、多くの患者に対する著しい利益を有するであろうことを示唆する。
【0385】
したがって、リンパ脈管新生促進因子の活性を阻害する方法および組成物、ならびに移植片拒絶、ドライアイ疾患、腫瘍転移、リンパ浮腫および炎症状態を予防または処置する方法についての必要性が存在する。
【0386】
これらのプロセスにおけるNRP2の役割を考慮すると、抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片は、リンパ脈管新生促進療法および抗リンパ脈管新生療法の開発のための強力な新たなツールとなる。そのような示差的な効果は、例えば、異なる抗NRP2組成物の使用、示差的なNRP2aまたはNRP2b選択性、示差的な投与、示差的な処置期間、あるいは例えば、VEGF-Cまたはセマフォリン3Fおよび/もしくは3Gなどの追加の補助因子の適切な使用により、媒介され得る。
【0387】
したがって、一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、VEGF-Cまたは関連NRP2リガンドのNRP2ポリペプチドへのもしくはそれを介した結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。一部の態様では、そのような抗体またはその抗原結合性断片は、セマフォリンのNRP2ポリペプチドとの相互作用を実質的に遮断しない。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、セマフォリン3Fまたは関連NRP2リガンドのNRP2ポリペプチドへのもしくはそれを介した結合および/またはシグナル伝達を選択的にモジュレートする。一部の態様では、そのような抗体は、VEGF-CのNRP2ポリペプチドとの相互作用を実質的に遮断しない。一部の実施形態では、そのような抗体は、VEGF-Cまたは関連NRP2リガンドおよびセマフォリンのNRP2ポリペプチドへの結合の両方を選択的にモジュレートする。
【0388】
一部の実施形態では、そのような抗体は、VEGF-Cシグナル伝達に関するアゴニスト抗体である。一部の態様では、そのような抗体は、VEGF-Cシグナル伝達に関するアンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、そのような抗体は、セマフォリン3Fシグナル伝達に関するアゴニスト抗体である。一部の態様では、そのような抗体は、セマフォリン3Fシグナル伝達に関するアンタゴニスト抗体である。
【0389】
一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドおよびVEGFR2またはVEGFR3の間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。一部の実施形態では、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドならびにVEGFR2、VEGFR3および/またはVEGF-Cの間の結合活性/シグナル伝達活性を実質的にモジュレートすることなく、NRP2ポリペプチドならびにプレキシン受容体および/またはセマフォリンの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。
【0390】
したがって、ある特定の実施形態は、それを必要とする対象におけるリンパ脈管新生または新血管形成の症状を処置する、改善する、またはその進行を阻害する方法であって、ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片を対象に投与することを含み、これが、ヒトNRP2ポリペプチドのVEGF-C、VEGFR1、VEGFR2および/またはVEGFR3への結合をモジュレートする(例えば、妨げる)、方法を含む。
【0391】
一部の実施形態は、平滑筋収縮性をモジュレートするため、および関連状態を処置するための、本明細書に記載される抗NRP2抗体の使用を含む。膀胱における平滑筋(SM)収縮性の低減は、良性前立腺肥大症(BPH)に続発する部分的閉塞、後部尿道弁、真性糖尿病、多発性硬化症、脊髄損傷または特発性の原因を含む多数の病因から生じ得る(例えば、Drake et al., Nat Rev Urol. 11(8):454-464, 2014を参照されたい)。BPHまたは後部尿道弁などの状態において、膀胱は、閉塞した出口に対して収縮する。最初の応答は、適応的であり、増加した出口抵抗を克服するための増加した力の発生を可能にするSM肥大の代償段階を含む。需要が膀胱の適応能力を超えると、収縮性能は効率が低くなり、残存体積が増加し、膀胱がリモデルされ、最終的に、膀胱が非代償化するにつれて排尿筋の収縮性の喪失をもたらす(例えば、Zdericet al., J Cell Mol Med. 16(2):203-217, 2012を参照されたい)。活動が不十分な排尿筋機能の患者数は、成人の48%程度の高さであることが報告されている(Osmanet al., Eur Urol; 65(2):389-398, 2014)。さらにまた、ムスカリンアゴニストまたはコリンエステラーゼ阻害剤などのSM収縮の回復のための既存の薬理学的処置は、限定的な有効性および有害作用を示している(Barendrechtet al., BJU Int. 99(4):749-752, 2007)。
【0392】
最近の研究は、Nrp2発現の主な部位として膀胱の平滑筋を特定しており、RhoAおよび細胞骨格の硬化の阻害を実証し、NRP2インタクト同腹仔対照からの組織と比較して、in vivoでのNRP2の遍在的または平滑筋特異的欠失を有するマウスからの膀胱SMストリップの増加した収縮性が観察されている(例えば、Bielenberg et al., Am. J. Pathol. 181 548-559, 2012;およびVasquez etal., JCI Insight 2(3) e90617, 2017を参照されたい)。
【0393】
まとめると、これらの知見は、NRP2の下方調節が、閉塞を有する実験動物およびヒトにおける閉塞に対する代償性応答の重要な構成要素であることを示唆し、Nrp2が、非代償性膀胱における排尿筋収縮性の維持または回復のための新規の薬理学的標的となり得ることを示唆する。
【0394】
さらにまた、最近の研究は、代償不全を起こしている膀胱におけるNRP2の標的化が、進行中の閉塞にもかかわらず、収縮性を回復させる可能性を有することを示している(Vasquez et al., JCI Insight 2(3) e90617, 2017)。これらの知見は、NRP2軸が、部分的膀胱下尿道閉塞症候群におけるSM収縮性の回復のための可能性がある新規の薬理学的標的になり、NRP2機能の抗体系モジュレーターの開発のための重要な治療機会を提供すると主張する。
【0395】
これまでの減少した排尿筋収縮性の薬理学的管理は、膀胱の収縮性を増強し、排尿を容易にするための流出抵抗を低減する副交感神経活性の刺激に集中していた(Chancellor et al., Urology 72(5) 966-967, 2008)。しかしながら、低い収縮性の膀胱を有する患者における副交感神経刺激薬の10の無作為化臨床試験の分析は、症状の悪化または著しい改善の欠如のいずれかを明らかにした(Barendrechtet al., BJU Int. 99(4) 749-752, 2007)。代償不全の膀胱におけるNRP2欠失後の収縮性の増加は、NRP2が、慢性閉塞の状態下の低減した排尿筋収縮性を軽減する有用な標的であり得ることを示唆する。
【0396】
このプロセスにおけるNRP2の役割を考慮すると、本明細書に記載される抗NRP2抗体は、例えば、膀胱における低減した平滑筋(SM)収縮性、より具体的には、部分的膀胱下尿道閉塞症候群に関連する症候群の処置を含む、平滑筋収縮性をモジュレートする新たな療法を提供する。
【0397】
したがって、ある特定の実施形態は、それを必要とする対象における部分的膀胱下尿道閉塞症候群の症状を処置する、改善する、またはその進行を阻害する方法であって、ヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片(抗NRP2抗体)を対象に投与することを含み、これが、ヒトNRP2ポリペプチドのNRP2リガンド(例えば、表N2または表N3からのNRP2リガンド)への結合をモジュレートする(例えば、妨げる)、方法を含む。
【0398】
ある特定の実施形態は、それを必要とする対象における平滑筋収縮性をモジュレートする(例えば、増加させる、低減する)方法であって、本明細書に提供される抗NRP2抗体もしくはその抗原結合性断片または治療用組成物を対象に投与することを含む、方法も含む。ある特定の実施形態は、本明細書に提供される抗NRP2抗体もしくはその抗原結合性断片または治療用組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における低減した平滑筋収縮性の症状を処置すること、改善することおよび/またはその進行を低減することを含む。
【0399】
本明細書に記載される疾患または状態の1つまたは複数を有する対象を特定するための方法は、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、対象は、健康な対照と比べて、少なくとも1つのNRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)および/またはそのコードmRNAの増加したレベルもしくは発現に関連する疾患を有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。例えば、一部の実施形態では、疾患の対象、細胞または組織における少なくとも1つのNRP2リガンドのレベルは、健康な対照における少なくとも1つのNRP2リガンドの約または少なくとも約1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1000倍またはそれよりも高いレベルである。一部の実施形態では、対象は、非癌性対照の細胞または組織と比べて、少なくとも1つのNRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)および/またはそのコードmRNAの増加したレベルもしくは発現を有するがんを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。例えば、一部の実施形態では、がん細胞または組織における少なくとも1つのNRP2リガンドのレベルは、非癌性対照または標準におけるNRP2リガンドの約または少なくとも約1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1000倍またはそれよりも高いレベルである。したがって、ある特定の実施形態は、処置のための対象を選択する方法であって、(i)対照または参照と比べて、対象における少なくとも1つのNRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)および/またはコードmRNAの増加した発現レベルを検出すること、ならびに(ii)本明細書に記載される少なくとも1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片を含む治療用組成物を対象に投与することを含む、方法を含む。特定の実施形態では、HRSポリペプチドは、全長HRSのスプライスバリアントである。一部の実施形態では、HRSスプライスバリアントは、HisRSN1、HisRSN2、HisRSN3、HisRSN4、HisRSN5、HisRSC1、HisRSC2、HisRSC3、HisRSC4、HisRSC5、HisRSC6、HisRSC7、HisRSC8およびHisRSC9の1つまたは複数から選択される。
【0400】
一部の実施形態では、対象は、HRSポリペプチドへの結合型または遊離型のいずれかで、対象の健康なまたは対応対照集団のレベルと比べて、可溶性ニューロピリン2(NRP2)ポリペプチド(例えば、表N1から選択される)の増加した循環もしくは血清レベルを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。例えば、ある特定の実施形態では、循環または血清レベルは、約もしくは少なくとも約10、20、30、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000、5000pMの可溶性NRP2ポリペプチドであるか、または循環もしくは血清レベルは、約30~50、50~100、100~2000、200~2000、300~2000、400~2000、500~2000、600~2000、700~2000、800~2000、900~2000、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000pMの可溶性NRP2ポリペプチドである。
【0401】
ある特定の実施形態では、対象は、健康な対照(例えば、NRP2関連疾患)と比べて、NRP2ポリペプチド(必要に応じて、表N1から選択される)および/もしくはそのコードmRNAの増加したレベルもしくは発現に関連する疾患を有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、NRP2aアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント1、2および/または3)またはその断片である。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、NRP2bアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント4および/または5)またはその断片である。
【0402】
例えば、ある特定の実施形態では、疾患の対象、細胞または組織におけるNRP2ポリペプチドのレベルは、健康な対照におけるNRP2ポリペプチドの約または少なくとも約1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100倍またはそれよりも高いレベルである。一部の実施形態では、対象は、対照のがんまたは組織と比べて、必要に応じて、がんと同じ種類の非癌性の細胞または組織と比べて、NRP2ポリペプチド(例えば、表N1から選択される)および/もしくはそのコードmRNAの増加したレベルもしくは発現を有するがんを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。例えば、一部の実施形態では、がん細胞または組織におけるNRP2ポリペプチドのレベルは、非癌性対照または標準におけるNRP2ポリペプチドの約または少なくとも約1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100倍またはそれよりも高いレベルである。したがって、一部の実施形態は、処置のための対象を選択する方法であって、(i)対照または参照と比べて、対象におけるNRP2ポリペプチドおよび/またはそのコードmRNAの増加した発現レベルを検出すること、ならびに(ii)本明細書に記載される少なくとも1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片を含む治療用組成物を対象に投与することを含む、方法を含む。
【0403】
一部の実施形態では、対象は、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、NRP2a(例えば、表N1のバリアント1、2および/または3)および/もしくはNRP2b(例えば、表N1のバリアント4および/または5)の増加したレベルまたは発現、あるいはNRP2a:NRP2b発現の変更された比に関連する疾患を有するか、ならびに/あるいはそれを有することに基づいて処置のために選択される。一部の実施形態では、対象は、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、著しく高いNRP2bの発現またはレベルを有する。一部の実施形態では、NRP2bのレベルは、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団と比較して、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%または1000%増加する。一部の実施形態では、対象は、健康もしくは対応対照の標準または対象の集団と比べて、HRS:NRP2複合体の増加した循環レベルを有するか、および/またはそれを有することに基づいて処置のために選択される。したがって、ある特定の実施形態は、がん処置のための対象を選択する方法であって、(i)対照または参照と比べて、対象におけるHRS:NRP2複合体の増加した発現レベルを検出すること、ならびに(ii)本明細書に記載される少なくとも1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片を含む治療用組成物を対象に投与することを含む、方法を含む。
【0404】
一部の実施形態では、健康な対照もしくは対応対照の標準または対象の集団は、薬物耐性、転移の可能性、攻撃性、遺伝子シグネチャー(例えば、p53突然変異、PTEN欠失、IGFR発現)および/または発現パターンなどの特異的特徴を含む、同じ種類の罹患もしくは非罹患組織または細胞の年齢対応試料についての平均範囲を含む。
【0405】
in vivo使用のために、上記で述べたように、ヒトまたは非ヒト哺乳動物の疾患の処置または試験のために、本明細書に記載される薬剤は、一般に、投与前に、動物用の治療用組成物を含む1つまたは複数の治療用組成物または医薬組成物に組み込まれる。
【0406】
したがって、ある特定の実施形態は、本明細書に記載されるヒトNRP2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片を含む治療用組成物に関する。一部の例では、治療用組成物または医薬組成物は、本明細書に記載される薬剤の1つまたは複数を、薬学的または生理学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて含む。ある特定の治療用組成物は、本明細書に記載される少なくとも1つのがん免疫療法剤をさらに含む。
【0407】
一部の治療用組成物は、1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片のみを含む(および、ある特定の方法は、1つの抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片のみを利用する)。ある特定の治療用組成物は、少なくとも2、3、4または5つの異なる抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片の混合物を含む(および、ある特定の方法は、少なくとも2、3、4または5つの異なる抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片の混合物を利用する)。
【0408】
例えば、ある特定の治療用組成物は、ヒトNRP2ポリペプチドの少なくとも1つの第1のエピトープに特異的に結合する第1の抗体またはその抗原結合性断片、およびヒトNRP2ポリペプチドの少なくとも1つの第2のエピトープに特異的に結合する第2の抗体またはその抗原結合性断片を含む、少なくとも2つの抗NRP2抗体を含み、少なくとも1つの第1のエピトープは、少なくとも1つの第2のエピトープと異なる。一部の実施形態では、第1および第2の抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドの同じドメインに特異的および非競合的に結合する。一部の実施形態では、第1の抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2aアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント1、2および/または3)に特異的である第1のエピトープに選択的に結合し、第2の抗NRP2抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2bアイソフォーム(例えば、表N1のバリアント4および/または5)に特異的である第2のエピトープに選択的に結合する。
【0409】
一部の実施形態では、第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドの異なるドメインに特異的および非競合的に結合する。
【0410】
一部の実施形態では、第1の抗体は、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をアンタゴナイズする。ある特定の実施形態では、第2の抗体またはその抗原結合性断片は、NRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドの間の結合活性/シグナル伝達活性をアゴナイズまたは増強する。
【0411】
一部の実施形態では、第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合性断片は両方とも、例えば、少なくとも2つの異なるNRP2リガンドに対する、遮断抗体である。一部の実施形態では、第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合性断片は両方とも、例えば、少なくとも2つの異なるNRP2リガンドに対する、部分的遮断抗体である。一部の例では、第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合性断片は両方とも、例えば、少なくとも2つの異なるNRP2リガンドに関する、非遮断抗体である。
【0412】
一部の例では、第1の抗体またはその抗原結合性断片は、遮断抗体であり、第2の抗体またはその抗原結合性断片は、部分的遮断抗体である。ある特定の例では、第1の抗体またはその抗原結合性断片は、遮断抗体であり、第2の抗体またはその抗原結合性断片は、非遮断抗体である。
【0413】
一部の実施形態では、第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合性断片は両方とも、ヒトにおいて高いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、例えば、IgG1またはIgG3のFcドメインを含む。一部の実施形態では、第1および第2の抗体またはそれらの抗原結合性断片は、ヒトにおいて低いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、例えば、IgG2またはIgG4のFcドメインを含む。
【0414】
一部の例では、第1の抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトにおいて高いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、例えば、IgG1またはIgG3のFcドメインを含み、第2の抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトにおいて低いエフェクター機能を有するIgGのFcドメイン、例えば、IgG2またはIgG4のFcドメインを含む。
【0415】
特定の実施形態では、抗体または他のポリペプチド剤(例えば、抗NRP2抗体)などの薬剤を含む治療用組成物は、タンパク質基準または重量-重量基準で実質的に純粋であり、例えば、組成物は、タンパク質基準または重量-重量基準で少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%または99%の純度を有する。
【0416】
一部の実施形態では、本明細書に提供される抗体(例えば、抗NRP2抗体)または他のポリペプチド剤は、本明細書に記載されるようにおよび当技術分野において公知であるように、凝集物を形成せず、所望の溶解性を有し、および/またはヒトにおける使用に好適な免疫原性プロファイルを有する。したがって、一部の実施形態では、ポリペプチド剤(例えば、抗NRP2抗体などの抗体)を含む治療用組成物は、実質的に凝集していない。例えば、ある特定の組成物は、約10%未満(タンパク質基準)の高分子量の凝集タンパク質または、約5%未満の高分子量の凝集タンパク質、または約4%未満の高分子量の凝集タンパク質、または約3%未満の高分子量の凝集タンパク質、または約2%未満の高分子量の凝集タンパク質、または約1%未満の高分子量の凝集タンパク質を含む。一部の組成物は、その見掛けの分子質量に対して、少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約95%の単分散であるポリペプチド剤(例えば、抗NRP2抗体などの抗体)を含む。
【0417】
一部の実施形態では、抗体(例えば、抗NRP2抗体)などのポリペプチド剤は、約または少なくとも約0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6、0.7、0.8、0.9、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11、12、13、14または15mg/mlに濃縮され、生物学的療法使用のために製剤化される。
【0418】
治療用組成物または医薬組成物を調製するために、有効量または所望量の1つまたは複数の薬剤は、特定の薬剤および/または投与の様式に好適であることが当業者に公知の任意の薬学的担体または賦形剤と混合される。薬学的担体は、液体、半液体または固体であり得る。非経口、皮内、眼内、皮下、膀胱への直接滴下注入または局所適用のために使用される溶液または懸濁液としては、例えば、無菌希釈剤(水など)、食塩水(例えば、リン酸緩衝食塩水;PBS)、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤(ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなど);抗酸化剤(アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなど)およびキレート化剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩など)が挙げられ得る。静脈内に(すなわちIV注入により)投与される場合、好適な担体としては、生理的食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含む溶液が挙げられる。
【0419】
純粋な形態の、または適切な治療用組成物もしくは医薬組成物としての本明細書に記載される薬剤の投与は、同様の有用性を果たすための薬剤の任意の許容される投与の様式を介して行うことができる。治療用組成物または医薬組成物は、薬剤含有組成物を、適切な生理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせることによって調製することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェアおよびエアロゾルなどの、固体、半固体、液体またはガス状の形態の調製物に製剤化され得る。加えて、他の薬学的に活性な成分(本明細書の他の箇所に記載される他の低分子を含む)ならびに/または塩、緩衝液および安定剤などの好適な賦形剤が、必要ではないが、組成物内に存在していてもよい。
【0420】
投与は、経口、非経口、経鼻、静脈内、眼内、皮内、筋肉内、皮下、膀胱への設置または局所を含む各種の異なる経路によって達成され得る。投与の好ましい様式は、処置または予防される状態の性質に依存する。特定の実施形態は、IV注入による投与を含む。
【0421】
担体としては、例えば、用いられる投薬量および濃度で、それらに曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である、薬学的または生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤が挙げられ得る。多くの場合、生理学的に許容される担体は、水性のpH緩衝溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む、単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/またはポリソルベート20(TWEEN(登録商標))、ポリエチレングリコール(PEG)およびポロクサマー(PLURONICS(登録商標))などの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0422】
一部の実施形態では、1つまたは複数の薬剤は、例えば、コアセルベーション技法によって、もしくは界面重合(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)によって調製されたマイクロカプセルに、コロイド状の薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)に、またはマクロエマルジョンに、封入され得る。そのような技法は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Oslo, A., Ed.,(1980)に開示されている。粒子またはリポソームは、他の治療剤または診断剤をさらに含んでいてもよい。
【0423】
処置の正確な投薬量および期間は、処置される疾患の機能であり、公知の試験プロトコールを使用して、または当技術分野において公知のモデルシステムにおいて組成物を試験し、それから外挿することによって、経験的に決定されてもよい。また、比較臨床試験を行ってもよい。投薬量は、緩和される状態の重症度によっても変動し得る。医薬組成物は、一般に、望ましくない副作用を最小化しながら、治療的に有用な効果を示すように、製剤化され、投与される。組成物は、一度に投与されてもよく、いくつかの少ない用量に分割して、間隔をおいて投与されてもよい。任意の特定の対象のために、具体的な投薬量レジメンは、個々の必要性に従って、経時的に調整されてもよい。
【0424】
したがって、これらのおよび関連する治療用組成物または医薬組成物を投与する典型的な経路としては、限定されないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、眼、直腸、膣および鼻腔内が挙げられる。非経口という用語は、本明細書で使用される場合、皮下注射、静脈内、膀胱への滴下注入、筋肉内、胸骨内の注射または注入の技法を含む。本開示のある特定の実施形態による治療用組成物または医薬組成物は、それに含有される活性成分が、組成物の対象または患者への投与の際に生物学的利用が可能であるように、製剤化される。対象または患者に投与される組成物は、1つまたは複数の投薬量単位の形態を取ってもよく、ここで、例えば、錠剤は、単一投薬量単位であってもよく、エアロゾル形態の本明細書に記載される薬剤の容器は、複数の投薬量単位を保持していてもよい。そのような剤形を調製する実際の方法は公知であるか、または当業者に明らかである:例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)を参照されたい。投与される組成物は、典型的には、目的の疾患または状態の処置のために、治療有効量の本明細書に記載される薬剤を含有する。
【0425】
治療用組成物または医薬組成物は、固体または液体の形態であってもよい。一実施形態では、担体は、粒子状であり、その結果、組成物は、例えば、錠剤または散剤の形態である。担体は、液体であってもよく、組成物は、例えば、経口油、注射液、または、例えば吸入投与において有用であるエアロゾルである。経口投与を対象とする場合、医薬組成物は、好ましくは、固体または液体の形態のいずれかであり、ここで、半固体、半液体、懸濁液およびゲルの形態は、固体または液体のいずれかとして、本明細書で考慮される形態内に含まれる。ある特定の実施形態は、無菌注射溶液を含む。
【0426】
経口投与のための固体組成物として、医薬組成物は、散剤、顆粒剤、ゲル剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、ウエハーなどに製剤化されてもよい。そのような固体組成物は、典型的には、1つまたは複数の不活性希釈剤または食用担体を含有する。加えて、以下の1つまたは複数が存在していてもよい:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトースまたはデキストリンなどの賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなどのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味剤などの香味剤;および着色剤。医薬組成物が、カプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態である場合、これは、上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは油などの液体担体を含有していてもよい。
【0427】
治療用組成物または医薬組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、ゲル剤、エマルジョンまたは懸濁剤であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であってもよい。経口投与を対象とする場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、保存剤、色素/着色剤および香味増強剤の1つまたは複数を含有する。注射による投与が意図される組成物では、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤および等張剤の1つまたは複数が含まれていてもよい。
【0428】
液体の治療用組成物または医薬組成物は、それらが、溶液、懸濁液などの形態であるかにかかわらず、以下の補助剤の1つまたは複数を含んでいてもよい:注射用の水、食塩水、好ましくは、生理的食塩水、リンゲル液、等張食塩水、溶媒または懸濁媒として機能し得る合成モノグリセリドもしくはジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧の調整のための剤。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製の、アンプル、ディスポーザブルシリンジまたは複数回用量バイアルに封入され得る。生理食塩水は、好ましい補助剤である。注射用医薬組成物は、好ましくは、無菌である。
【0429】
非経口、眼内もしくは経口投与のいずれかを対象とする液体の治療用組成物または医薬組成物は、好適な投薬量が得られるように、ある量の薬剤を含有すべきである。典型的には、この量は、組成物中に少なくとも0.01%の目的の薬剤である。経口投与を対象とする場合、この量は、組成物の重量の0.1%~約70%に変動し得る。ある特定の経口の治療用組成物または医薬組成物は、約4%~約75%の目的の薬剤を含有する。ある特定の実施形態では、治療用組成物または医薬組成物、および治療用調製物または医薬調製物は、非経口投薬単位が、希釈前に、0.01~10重量%の目的の薬剤を含有するように調製される。
【0430】
治療用組成物または医薬組成物は、局所投与を対象としてもよく、その場合では、担体は、好適には、液剤、エマルジョン、軟膏またはゲル剤の基剤を含んでいてもよい。基剤は、例えば、以下の1つまたは複数を含んでいてもよい:ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツロウ、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定剤。増粘剤が、局所投与用の治療用組成物または医薬組成物中に存在していてもよい。経皮投与を対象とする場合、組成物は、経皮パッチまたはイオントフォレシスデバイスを含んでいてもよい。
【0431】
治療用組成物または医薬組成物は、例えば、直腸で溶融し薬物を放出する坐剤の形態で、直腸投与を対象としてもよい。直腸投与用の組成物は、好適な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有していてもよい。そのような基剤としては、限定されないが、ラノリン、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0432】
治療用組成物または医薬組成物は、固体または液体の投与単位の物理的形態を改変するさまざまな材料を含んでいてもよい。例えば、組成物は、活性成分を取り囲むコーティングシェルを形成する材料を含んでいてもよい。コーティングシェルを形成する材料は、典型的には、不活性であり、例えば、糖、シェラックおよび他の腸溶コーティング剤から選択されてもよい。あるいは、活性成分は、ゼラチンカプセルに封入されていてもよい。固体または液体の形態の治療用組成物または医薬組成物は、薬剤に結合し、それによって化合物の送達を支援する構成成分を含んでいてもよい。この能力を果たし得る好適な構成成分としては、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、1つもしくは複数のタンパク質またはリポソームが挙げられる。
【0433】
治療用組成物または医薬組成物は、エアロゾルとして投与され得る投薬単位から本質的になっていてもよい。エアロゾルという用語は、コロイドの性質のシステムから加圧パッケージで構成されるシステムの範囲の各種のシステムを表すために使用される。送達は、液化ガスもしくは圧縮ガスによって、または活性成分を分注する好適なポンプシステムによってであり得る。エアロゾルは、活性成分を送達するために、単一相、二相または三相のシステムで送達されてもよい。エアロゾルの送達は、必要な容器、活性剤、バルブ、サブ容器などを含み、これは一緒にキットを形成してもよい。当業者は、過度の実験なく、好ましいエアロゾルを決定し得る。
【0434】
本明細書に記載される組成物は、持続放出型製剤またはコーティングなどの、身体からの急速な消失から薬剤を保護する担体を用いて調製されてもよい。そのような担体としては、徐放性製剤、例えば、限定されないが、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システム、ならびにエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸および当業者に公知の他のポリマーなどの生分解性の生体適合性ポリマーが挙げられる。
【0435】
治療用組成物または医薬組成物は、医薬分野において周知の方法論によって調製されてもよい。例えば、注射による投与が意図される治療用組成物または医薬組成物は、溶液を形成するために、無菌の蒸留水とともに、塩、緩衝剤および/または安定剤の1つまたは複数を含んでいてもよい。界面活性剤を添加して、均質な溶液または懸濁液の形成を容易にし得る。界面活性剤は、水性送達システムにおいて薬剤の可溶化または均質な懸濁を容易にするための、薬剤と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0436】
治療用組成物または医薬組成物は、治療有効量で投与されてもよく、これは、用いられる具体的な化合物の活性;化合物の代謝安定性および作用の長さ;対象の年齢、体重、健康状態、性別および食事;投与の様式および時間;排出の速度;薬物の組合せ;特定の障害または状態の重症度;ならびに対象が受けている治療を含む各種の因子に応じて変わる。一部の例では、治療有効1日用量は、(70kgの哺乳動物に対して)約0.001mg/kg(すなわち、約0.07mg)~約100mg/kg(すなわち、約7.0g)であり、好ましくは、治療有効用量は、(70kgの哺乳動物に対して)約0.01mg/kg(すなわち、約0.7mg)~約50mg/kg(すなわち、約3.5g)であり、より好ましくは、治療有効用量は、(70kgの哺乳動物に対して)約1mg/kg(すなわち、約70mg)~約25mg/kg(すなわち、約1.75g)である。一部の実施形態では、治療有効用量は、毎週、隔週または毎月投与される。具体的な実施形態では、治療有効用量は、毎週、隔週または毎月、例えば、約1~10もしくは1~5mg/kg、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10mg/kgの用量で投与される。
【0437】
本明細書に記載される併用療法は、抗NRP2抗体および追加治療剤(例えば、免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、キナーゼ阻害剤)を含有する単一の医薬投薬製剤の投与、ならびに抗NRP2抗体および追加治療剤それ自身を別々の医薬投薬製剤に含む組成物の投与を含み得る。例えば、本明細書に記載される抗NRP2抗体および追加治療剤は、錠剤もしくはカプセル剤などの単一の経口投薬組成物で一緒に対象に投与することができ、またはそれぞれの薬剤は、別々の経口投薬製剤で投与することができる。同様に、本明細書に記載される抗NRP2抗体および追加治療剤は、食塩水または他の生理学的に許容される溶液中などの単一の非経口投薬組成物で一緒に対象に投与することができ、またはそれぞれの薬剤は、別々の非経口投薬製剤で投与することができる。別の例として、細胞に基づく療法のために、抗NRP2抗体は、投与前に細胞と混合し、別々の組成物の一部としてまたはその両方を投与することができる。別々の投薬製剤が使用される場合、組成物は、実質的に同じ時間、すなわち、同時に、または別々に交互の時間、すなわち、逐次的に任意の順序で投与することができ、併用療法は、これらのレジメンすべてを含むことが理解される。
【0438】
患者ケアキットであって、(a)本明細書に記載されるヒトニューロピリン2(NRP2)ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体またはその抗原結合性断片(抗NRP2抗体);ならびに必要に応じて(b)少なくとも1つの追加治療剤(例えば、免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、キナーゼ阻害剤)を含む、患者ケアキットも含まれる。ある特定のキットでは、(a)および(b)は、別々の治療用組成物中にある。一部のキットでは、(a)および(b)は、同じ治療用組成物中にある。
【0439】
本明細書のキットはまた、1つもしくは複数の追加治療剤または処置される徴候に対してもしくは所望の診断適用に対して、好適もしくは所望の他の構成成分を含んでいてもよい。本明細書のキットはまた、1つもしくは複数のシリンジまたは意図される送達の様式を容易にするのに必要なまたは所望の他の構成要素(例えば、ステント、埋め込み可能デポーなど)を含み得る。
【0440】
一部の実施形態では、患者ケアキットは、組成物および情報材料のための別々の容器、分配器またはコンパートメントを含有する。例えば、組成物は、ボトル、バイアルまたはシリンジに含有され得、情報材料は、容器に関連して含有され得る。一部の実施形態では、キットの別々の要素は、単一の分割されていない容器内に含有される。例えば、組成物は、情報材料がラベルの形態でそれらに付着された、ボトル、バイアルまたはシリンジに含有される。一部の実施形態では、キットは、抗NRP2抗体および必要に応じて少なくとも1つの追加治療剤の1つまたは複数の単位剤形(例えば、本明細書に記載される剤形)をそれぞれ含有する、複数の個々の容器(例えば、パック)を含む。例えば、キットは、抗NRP2抗体および必要に応じて少なくとも1つの追加治療剤の単回単位用量をそれぞれ含有する、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケットまたはブリスター包装を含む。キットの容器は、気密、防水性(例えば、湿気または蒸発の変化に対して不浸透性)および/または光を通さないものであり得る。
【0441】
患者ケアキットは、必要に応じて、組成物の投与に好適なデバイス、例えば、シリンジ、吸入器、ドロッパー(例えば、点眼器)、スワブ(例えば、綿棒または木製スワブ)または任意のそのような送達デバイスを含む。一部の実施形態では、デバイスは、薬剤の計量した用量を分注する埋め込み可能デバイスである。例えば、本明細書に記載される構成成分を組み合わせることによる、キットを提供する方法も含まれる。
薬剤放出アッセイのためのバイオアッセイおよび分析アッセイ、ならびに製品仕様、診断法および試薬
【0442】
抗NRP2抗体、ならびに治療用試薬および診断用試薬などの関連薬剤に関するバイオアッセイも含まれる。例としては、とりわけ、純度、生物活性、親和性、溶解性、pH、エンドトキシンレベルを測定するバイオアッセイおよび分析アッセイが挙げられ、その多くは、本明細書に記載される。用量応答曲線を確立するアッセイおよび/または抗体の異なるバッチ間の比較のための1つまたは複数のベースを提供するアッセイも含まれる。バッチの比較は、化学的特徴、生物学的特徴および臨床的特徴のいずれか1つまたは複数に基づき得る。選択された抗体の効力、安定性、薬物動態および免疫原性を評価する方法も含まれる。他の使用の中でも、これらのおよび他の方法を、本明細書に記載される抗NRP2抗体を含む生物学的薬剤または化学薬剤のロット出荷試験のために使用することができる。
【0443】
ある特定の実施形態は、バイオアフィニティーアッセイの使用を含む。そのようなアッセイを使用して、結合親和性、例えば、抗NRP2抗体および少なくとも1つのNRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)の間の結合親和性、ならびにヒトNRP2ポリペプチドおよび少なくとも1つのNRP2リガンドまたは他の細胞結合パートナーの間の相互作用を妨げる能力を評価することができる。ある特定の例示的な結合親和性アッセイは、本明細書に記載されるおよび当技術分野において公知のELISAアッセイおよび他のイムノアッセイを利用してもよい。ある特定のアッセイは、高性能受容体結合クロマトグラフィーを利用する(例えば、Roswall et al., Biologicals. 24:25-39, 1996を参照されたい)。他の例示的な結合親和性アッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく技術を利用してもよい。例としては、BIACore技術が挙げられ、ある特定のそれは、SPR技術をマイクロフルイディクスシステムと統合して、pM~mMの濃度範囲で分子の相互作用をリアルタイムにモニターするものである。KINEXA(商標)アッセイも挙げられ、これは、結合特異性、結合親和性および結合反応速度/速度定数の正確な測定を提供する。
【0444】
ある特定の実施形態は、抗NRP2抗体の免疫原性を評価または最適化するためのイムノアッセイに関する。例としては、治療用タンパク質の免疫原性能における有用な情報を提供するex vivoヒト細胞アッセイおよびin vitro免疫酵素アッセイが挙げられる。ex vivo細胞応答アッセイを使用して、例えば、抗原提示細胞(APC)およびT細胞の間の細胞間共同作用を再現し、それによって、目的のタンパク質と接触した後のT細胞活性化を測定することができる。ある特定のin vitro酵素アッセイは、関係するヒト集団の大部分を網羅する組換えHLA-DR分子のコレクションを利用してもよく、ペプチド(治療用タンパク質の断片からのステミング)とHLA-DR分子との結合を試験するための自動免疫酵素アッセイを含んでいてもよい。例えば、これらのおよび関連する方法を使用して、抗NRP2抗体由来の1つまたは複数のT細胞エピトープを特定し、次いで除去または変更することによる、選択されたタンパク質の免疫原性を低減する方法も含まれる。
【0445】
非標準の生物活性および細胞傷害性を含む特定の生物活性などのパラメーターを測定するための生物学的放出アッセイ(例えば、細胞に基づくアッセイ)も含まれる。ある特定の具体的な生物学的アッセイは、例えば、細胞結合パートナー(例えば、細胞表面受容体(例えば、細胞表面に存在するNRP2ポリペプチドおよび/または少なくとも1つのNRP2リガンド(例えば、表N2または表N3からのNRP2リガンド)、これは、細胞表面で内因的または組換え的のいずれかで発現される)を利用する細胞に基づくアッセイを含み、これは、本明細書に記載されるように、NRP2もしくはNRP2リガンドの結合または機能活性の蛍光指標または発光指標などの読み出しと機能的に連結される。
【0446】
例えば、具体的な実施形態は、細胞表面でヒトNRP2ポリペプチドを内因的または組換え的のいずれかで発現する細胞を含み、これは、抗NRP2抗体がNRP2に結合する能力の評価を可能にする。一部の実施形態では、抗NRP2抗体および/またはNRP2ポリペプチドは、NRP2ポリペプチドの結合活性および/または生物活性を測定する蛍光指標または発光指標などの読み出しまたは指標と機能的に連結されている。一部の実施形態では、細胞は、少なくとも1つのNRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)も発現し、少なくとも1つのNRP2リガンドは、少なくとも1つのNRP2リガンドの結合活性および/または生物活性の蛍光指標または発光指標などの読み出しまたは指標と連結されている。
【0447】
典型的には、操作されたか、または野生型のマウス、ラット、サルまたは他の哺乳動物を利用する、抗NRP2抗体の薬物動態を特徴付けるin vivo生物学的アッセイも含まれる(例えば、Lee et al., The Journal of Pharmacology. 281:1431-1439, 1997を参照されたい)。細胞傷害性に基づく生物学的アッセイの例としては、とりわけ、放出アッセイ(例えば、アポトーシスを測定するクロムまたはユーロピウム放出アッセイ;例えば、vonZons et al., Clin Diagn Lab Immunol.4:202-207, 1997を参照されたい)が挙げられ、これは、米国食品医薬品局(FDA)などのさまざまな規制当局による承認に関係する、用量応答曲線、バッチ試験、または他の性質を確立するためであるかどうかにかかわらず、抗NRP2抗体の細胞傷害性を評価することができる。
【0448】
抗NRP2抗体の免疫細胞に対する効果を評価するためのアッセイも含まれる。例としては、T細胞の活性化された集団および少なくとも1つの抗NRP2抗体を含むアッセイシステムであって、少なくとも1つの抗NRP2抗体が、NRP2の少なくとも1つのNRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)への結合を妨げる、アッセイシステムが挙げられる。
【0449】
ある特定の実施形態は、単一のモノクローナル抗NRP2抗体および少なくとも1つのヒトNRP2ポリペプチドを含むアッセイシステムであって、抗NRP2抗体が、NRP2ポリペプチドに結合する、アッセイシステムを含む。一部の例では、少なくとも1つの抗体は、IgG4のFcドメインを含む。
【0450】
精製されたNRP2ポリペプチドを含む試験材料も含まれ、前記精製されたNRP2ポリペプチドは、抗体結合の検出を可能にする方法で固体基材に結合されている。
【0451】
そのようなアッセイおよび材料を使用して、例えば、選択された抗NRP2抗体についての用量応答曲線を発生させることができ、および/またはタンパク質もしくは他の薬剤の異なるバッチの用量応答曲線を比較することができる。用量応答曲線は、NRP2-NRP2リガンド(例えば、表N2もしくは表N3からのNRP2リガンド、および/または表H1からのHRSポリペプチド)相互作用などの受容体の応答に対するストレッサーの大きさに関係するX-Yグラフであり、この応答は、in vitroの細胞またはin vivoの細胞もしくは組織における非標準の生物活性、in vivoで測定された治療有効量(例えば、EC50によって測定される)、あるいはin vitroで測定またはin vivoで測定されるかにかかわらない死亡(例えば、細胞死、生物死)などの生理学的または生化学的な応答であってもよい。死亡は、通常、モデル化集団の50%に対して致死的である統計的に誘導された用量であるLD50として示されるが、これは、LC01(動物試験集団の1%に対する致死量)、LC100(動物試験集団の100%に対する致死量)、またはLCLO(致死を引き起こす最低用量)によって示すことができる。ほとんどの任意の所望の効果またはエンドポイントは、この方法で特徴付けることができる。
【0452】
応答曲線の測定された用量は、典型的には、X軸にプロットされ、応答は、Y軸にプロットされる。より典型的には、用量の対数が、X軸にプロットされ、最も多くの場合に、中央に最急勾配部分を有するシグモイド曲線を発生する。最大無作用量(NOEL)は、測定可能な効果が観察されない最低実験用量を指し、閾値用量は、ゼロを上回る応答を示すグラフに沿った最初の点を指す。原則として、より強い薬物は、より勾配が大きい用量応答曲線を発生する。多くの薬物について、多くの場合、より低い用量は相対的に効果がなく、より高い用量は望ましくない副作用をもたらすので、所望の効果は、閾値用量よりもわずかに高い用量で見出される。in vivoで作成された用量応答曲線について、曲線は、所望により、体重のμg/kg、mg/kgまたはg/kgなどの値によって特徴付けることができる。
【0453】
バッチの比較のために、一部分では、変動係数(CV)が異なる単位または異なる平均を有するデータセット間の比較を可能にするので、異なるバッチ(例えば、抗NRP2抗体の異なるバッチ間)の異なる用量応答曲線間のCVを計算することが有用であり得る。例えば、ある特定の例示的な実施形態では、抗NRP2抗体または他の薬剤の2つまたは3つまたはそれよりも多くの異なるバッチは、4、5、6、7または8点の用量曲線について、約30%、20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%未満のそれらの間のCVを有する。ある特定の実施形態では、用量応答曲線は、細胞に基づくアッセイにおいて測定され、その読み出しは、抗NRP2抗体の選択された活性の増加または減少に関する。ある特定の実施形態では、用量応答曲線は、細胞放出アッセイまたは動物モデル(例えば、マウスモデル)において測定され、その読み出しは、細胞死または動物死に関する。他の変形形態は、当業者に明らかである。
発現系および精製系
【0454】
ある特定の実施形態は、本明細書に記載される抗NRP2抗体または他のポリペプチド系薬剤を発現および精製するための方法ならびに関連する組成物を含む。そのような組換え抗NRP2抗体は、好都合には、例えば、Sambrook, et al., (1989上記)、特に、セクション16および17;Ausubel et al., (1994、上記)、特に10および16章;ならびにColiganet al., Current Protocols in Protein Science (John Wiley & Sons, Inc.1995-1997)、特に、1、5および6章に記載されるような標準プロトコールを使用して調製することができる。一般的な一例として、抗NRP2抗体は、以下のステップの1つまたは複数を含む手順によって調製されてもよい:(a)抗NRP2抗体の重鎖および軽鎖をコードし、調節エレメントと作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列を含む構築物を調製するステップ;(b)構築物を宿主細胞に導入するステップ;(c)宿主細胞を培養して、抗NRP2抗体を発現させるステップ;ならびに(d)宿主細胞から抗NRP2抗体を単離するステップ。
【0455】
抗NRP2抗体ポリヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に記載される。所望のポリペプチドを発現させるために、抗NRP2抗体をコードするヌクレオチド配列、または機能的等価物は、適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のための必要なエレメントを含有するベクターに挿入されてもよい。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列、ならびに適切な転写および翻訳制御エレメントを含有する発現ベクターを構築してもよい。これらの方法としては、in vitro組換えDNA技法、合成技法およびin vivo遺伝子組換えが挙げられる。そのような技法は、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (1989)およびAusubelet al., Current Protocols in Molecular Biology (1989)に記載されている。
【0456】
各種の発現ベクター/宿主系が公知であり、それらを利用して、ポリヌクレオチド配列を含有および発現させてもよい。これらとしては、限定されるものではないが、組換えバクテリオファージ、プラスミドもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)もしくは細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞、より具体的には、ヒト細胞系を含む動物細胞系が挙げられる。
【0457】
発現ベクター中に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、ベクターの非翻訳領域である、転写および翻訳を行うように宿主細胞のタンパク質と相互作用する、エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域である。そのようなエレメントは、それらの強度および特異性で異なり得る。利用されるベクター系および宿主に応じて、構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む任意の数の好適な転写および翻訳エレメントを使用してもよい。例えば、細菌系のクローニングの場合、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene、La Jolla、Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL、Gaithersburg、Md.)などのハイブリッドlacZプロモーターなどの誘導性プロモーターを使用してもよい。哺乳動物細胞系では、哺乳動物遺伝子由来または哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが、一般に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含有する細胞系を作成することが必要である場合、SV40またはEBV系のベクターを、有利には、好適な選択マーカーとともに使用し得る。
【0458】
細菌系では、いくつかの発現ベクターを、発現ポリペプチドを対象とした使用に応じて選択してもよい。例えば、大量に必要とされる場合には、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現を指示するベクターを使用してもよい。そのようなベクターとしては、限定されるものではないが、BLUESCRIPT(Stratagene)などの多機能のE.coliクローニングおよび発現ベクター、ここで、目的のポリペプチドをコードする配列は、β-ガラクトシダーゼのアミノ末端のMetおよびその後の7残基の配列を有するインフレームのベクターにライゲーションされていてもよく、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される、ベクター;pINベクター(Van Heeke & Schuster, J. Biol. Chem. 264:5503 5509 (1989))などが挙げられる。pGEXベクター(Promega、Madison、Wis.)を使用して、外来ポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を有する融合タンパク質として発現させてもよい。一般に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、グルタチオン-アガロースビーズへの吸着、続いて、遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解した細胞から容易に精製することができる。そのような系で作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビンまたは第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されてもよく、その結果、目的のクローンポリペプチドは、GST部分から随意に放出され得る。
【0459】
ある特定の実施形態は、E.coliに基づく発現系を用いてもよい(例えば、StructuralGenomics Consortium et al., Nature Methods. 5:135-146, 2008を参照されたい)。これらのおよび関連する実施形態は、部分的にまたは全体的に、好適な発現ベクターを生成するライゲーション非依存性クローニング(LIC)に依拠してもよい。具体的な実施形態では、タンパク質発現は、T7RNAポリメラーゼ(例えば、pETベクターシリーズ)によって制御されてもよい。これらのおよび関連する実施形態は、T7媒介発現をサポートし、改善された標的タンパク質安定性のためにlonおよびompTプロテアーゼが欠損しているBL21のλDE3溶原菌である発現宿主株BL21(DE3)を利用してもよい。ROSETTA(商標)(DE3)株およびRosetta 2(DE3)株などのE.coliにおいてまれに使用されるtRNAをコードするプラスミドを持つ発現宿主株も含まれる。細胞溶解および試料ハンドリングはまた、BENZONASE(登録商標)ヌクレアーゼおよびBUGBUSTER(登録商標)タンパク質抽出試薬という商標で販売されている試薬を使用して改善され得る。細胞培養について、自己誘導性培地は、ハイスループット発現系を含む多くの発現系の効率を改善することができる。この種類の培地(例えば、OVERNIGHT EXPRESS(商標) Autoinduction System)は、IPTGなどの人工誘導剤の添加なく、代謝シフトによりタンパク質発現を徐々に誘発する。特定の実施形態は、ヘキサヒスチジンタグ(HIS・TAG(登録商標)融合物の商標で販売されているものなど)を用い、続いて固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)精製または関連する技法を行う。しかしながら、ある特定の態様では、臨床グレードのタンパク質を、アフィニティータグの使用ありまたはなしで、E.coli封入体から単離することができる(例えば、Shimpet al., Protein Expr Purif. 50:58-67, 2006を参照されたい)。さらなる例として、ある特定の実施形態は、低温でのEscherichia coliにおけるタンパク質の過剰発現が、それらの溶解性および安定性を改善するので、低温ショック誘導E.coli高収率産生系を用いてもよい(例えば、Qinget al., Nature Biotechnology. 22:877-882, 2004を参照されたい)。
【0460】
高密度細菌発酵系も含まれる。例えば、Ralstonia eutrophaの高細胞密度培養は、150g/Lを上回る細胞密度でのタンパク質産生、および10g/Lを超える力価での組換えタンパク質の発現を可能にする。
【0461】
酵母のSaccharomyces cerevisiaeでは、アルファ因子、アルコールオキシダーゼおよびPGHなどの構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含有するいくつかのベクターを使用してもよい。総説について、Ausubel et al. (上記)およびGrant et al., Methods Enzymol. 153:516-544 (1987)を参照されたい。Pichia pandoris発現系も含まれる(例えば、Liet al., Nature Biotechnology. 24, 210 - 215, 2006;およびHamilton et al., Science,301:1244, 2003を参照されたい)。ある特定の実施形態は、とりわけ、ヒト化N-グリコシル化経路を有する酵母を含む、タンパク質を選択的にグリコシル化するように操作された酵母系を含む(例えば、Hamiltonet al., Science. 313:1441-1443, 2006;Wildt et al., Nature Reviews Microbiol.3:119-28, 2005;およびGerngross et al., Nature-Biotechnology. 22:1409 -1414, 2004;米国特許第7,629,163号;同第7,326,681号;および同第7,029,872号を参照されたい)。単なる例として、組換え酵母培養物を、とりわけ、フェルンバッハフラスコまたは15L、50L、100Lおよび200Lの発酵槽において成長させることができる。
【0462】
植物発現ベクターが使用される場合では、ポリペプチドをコードする配列の発現は、いくつかのプロモーターのいずれかによって駆動され得る。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターを、単独でまたはTMV由来のオメガリーダー配列と組み合わせて使用してもよい(Takamatsu, EMBO J. 6:307-311 (1987))。あるいは、RUBISCOの小サブユニットなどの植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターを使用してもよい(Coruzziet al., EMBO J. 3:1671-1680 (1984);Broglie et al., Science 224:838-843 (1984);およびWinteret al., Results Probl. Cell Differ. 17:85-105 (1991))。これらの構築物は、直接的DNA形質転換または病原体媒介トランスフェクションによって植物細胞に導入することができる。そのような技法は、いくつかの一般にアクセス可能な総説に記載されている(例えば、Hobbsin McGraw Hill, Yearbook of Science and Technology, pp. 191-196 (1992)を参照されたい)。
【0463】
昆虫系も、目的のポリペプチドを発現させるために使用され得る。例えば、そのような1つの系では、Autographa californicaニュークレア多角体ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia細胞中で外来遺伝子を発現させる。ポリペプチドをコードする配列は、ポリヘドリン遺伝子などのウイルスの非必須領域内にクローニングされ、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置かれてもよい。ポリペプチドコード配列の成功裏の挿入は、ポリヘドリン遺伝子を不活性にし、コートタンパク質を欠く組換えウイルスが生成する。次いで、組換えウイルスを使用して、例えば、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia細胞を感染させてもよく、そこで、目的のポリペプチドを発現させてもよい(Engelhard et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:3224-3227 (1994))。SF9、SF21およびT.ni細胞を利用する系を含むバキュロウイルス発現系も含まれる(例えば、Murphyand Piwnica-Worms, Curr Protoc Protein Sci. Chapter 5:Unit5.4, 2001を参照されたい)。昆虫系は、哺乳動物系と同様の翻訳後修飾を提供することができる。
【0464】
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルスに基づく発現系が、一般に利用可能である。例えば、アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合では、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび三連リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体にライゲーションされてもよい。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を使用して、感染した宿主細胞中でポリペプチドを発現することができる生存ウイルスを得てもよい(Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:3655-3659 (1984))。加えて、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させてもよい。
【0465】
有用な哺乳動物宿主細胞系の例としては、SV40(COS-7、ATCC CRL1651)によって形質転換されたサル腎臓CV1系;ヒト胚腎臓系(293細胞、または懸濁培養における成長のためにサブクローニングされた293細胞、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol. Reprod. 23:243-251 (1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝臓細胞(BRL3A、ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝臓細胞(HepG2、HB8065);マウス乳房腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Matheret al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞腫系(HepG2)が挙げられる。他の有用な哺乳動物宿主細胞系としては、DHFR-CHO細胞(Urlaubet al., PNAS USA 77:4216 (1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびにNSOおよびSp2/0などの骨髄腫細胞系が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞系の総説について、例えば、Yazakiand Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B. K.C Lo, ed., Humana Press,Totowa, N.J., 2003), pp. 255-268を参照されたい。ある特定の好ましい哺乳動物細胞発現系としては、CHO細胞およびHEK293細胞に基づく発現系が挙げられる。哺乳動物発現系は、当技術分野において公知の他のものの中でも、例えば、T型フラスコ、ローラーボトルもしくはセルファクトリーにおいて、または懸濁培養、例えば、1Lおよび5Lのスピナー、5L、14L、40L、100Lおよび200Lの撹拌漕バイオリアクター、もしくは20/50Lおよび100/200LのWAVEバイオリアクターにおいて、接着細胞系を利用することができる。
【0466】
タンパク質の無細胞発現も含まれる。これらのおよび関連する実施形態は、典型的には、精製されたRNAポリメラーゼ、リボソーム、tRNAおよびリボヌクレオチドを利用し、これらの試薬は、細胞からの抽出によって、または細胞に基づく発現系から、生成され得る。
【0467】
特異的な開始シグナルを使用して、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳も達成され得る。そのようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。ポリペプチド、その開始コドンおよび上流配列をコードする配列が適切な発現ベクターに挿入される場合では、追加の転写または翻訳制御シグナルは必要ではない場合がある。しかしながら、コード配列またはその一部のみが挿入される場合では、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されなければならない。さらにまた、開始コドンは、全挿入部の翻訳を確実にするように、正しいリーディングフレーム中になければならない。外来性翻訳エレメントおよび開始コドンは、天然および合成の両方のさまざまな起源のものであり得る。発現の効率は、文献(Scharf. et al., Results Probl. Cell Differ. 20:125-162 (1994))に記載されているものなどの使用される特定の細胞系に適切なエンハンサーの挿入によって増強され得る。
【0468】
加えて、宿主細胞株は、所望の方法で、挿入される配列の発現をモジュレートする能力または発現したタンパク質をプロセシングする能力について選択され得る。そのようなポリペプチドの修飾としては、限定されるものではないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化などの翻訳後修飾が挙げられる。また、タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後処理を使用して、正しい挿入、フォールディングおよび/または機能が促進され得る。細菌細胞に加えて、そのような翻訳後活性についての特異的な細胞機構および特徴的な機序を有するか、またはさらにそれらを欠く、酵母、CHO、HeLa、MDCK、HEK293およびW138などの異なる宿主細胞を、選択して、外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実にし得る。
【0469】
組換えタンパク質の長期間、高収率の産生のために、安定発現が、一般に好ましい。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定的に発現する細胞系を、同じまたは別々のベクターにウイルスの複製開始点および/または内因性発現エレメントならびに選択マーカー遺伝子が含有し得る発現ベクターを使用して形質転換してもよい。ベクターの導入後、細胞を、富化培地中で約1~2日成長させた後、それらを選択培地に切り替え得る。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、その存在は、導入された配列を成功裏に発現させる細胞の成長および回収を可能にする。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に適切な組織培養技法を使用して増殖され得る。一過性のトランスフェクションまたは感染によるなどの一過性産生を用いることもできる。一過性産生に好適な例示的な哺乳動物の発現系としては、HEK293およびCHOに基づく系が挙げられる。
【0470】
任意の数の選択系を使用して、形質転換または形質導入された細胞系を回収し得る。これらとしては、限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11:223-232 (1977))およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyet al., Cell 22:817-823 (1990))遺伝子が挙げられ、これらは、それぞれ、tkまたはaprt細胞において用いることができる。また、代謝拮抗剤、抗生物質または除草剤の耐性を選択の基準として使用することができる;例えば、メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigleret al., PNAS USA. 77:3567-70 (1980));アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG-418に対する耐性を付与するnpt(Colbere-Garapinet al., J. Mol. Biol. 150:1-14 (1981));およびそれぞれ、クロルスルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与するalsまたはpat(Murry、上記)。例えば、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB、または細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にするhisDという追加の選択遺伝子が記載されている(Hartman& Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:8047-51 (1988))。緑色蛍光タンパク質(GFP)および他の蛍光タンパク質(例えば、RFP、YFP)、アントシアニン、β-グルクロニダーゼおよびその基質であるGUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質であるルシフェリンなどの可視マーカーの使用は、好評を博しており、形質転換体を特定するだけでなく、特異的なベクター系に寄与する一過性または安定なタンパク質発現の量を定量体化するために広く使用されている(例えば、Rhodeset al., Methods Mol. Biol. 55:121-131 (1995)を参照されたい)。
【0471】
ハイスループットタンパク質産生系またはマイクロ産生系も含まれる。ある特定の態様は、例えば、金属キレート修飾スライド表面におけるタンパク質発現および精製のためのヘキサ-ヒスチジン融合タグ、またはMagneHis Ni粒子を利用し得る(例えば、Kwon et al., BMC Biotechnol. 9:72, 2009;およびLin et al., Methods MolBiol. 498:129-41, 2009を参照されたい)。ハイスループット無細胞タンパク質発現系も含まれる(例えば、Sitaraman et al.,Methods Mol Biol. 498:229-44, 2009を参照されたい)。これらのおよび関連する実施形態を使用して、例えば、抗NRP2抗体のマイクロアレイを作成することができ、次いで、これを、ライブラリーをスクリーニングするために使用して、目的のNRP2ポリペプチドと相互作用する抗体および抗原結合ドメインを特定することができる。
【0472】
産物に特異的な結合薬剤またはポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体などの抗体を使用して、ポリヌクレオチドコード産物の発現を検出および測定するための各種のプロトコールが、当技術分野において公知である。例としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタン免疫ブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光標識細胞分取(FACS)が挙げられる。これらのおよび他のアッセイは、他の場所の中でも、Hampton et al., Serological Methods, a Laboratory Manual (1990)およびMaddoxet al., J. Exp. Med. 158:1211-1216 (1983)に記載されている。
【0473】
多種多様な標識およびコンジュゲーション技法は、当業者に公知であり、さまざまな核酸およびアミノ酸のアッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識化ハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを生成するための手段としては、オリゴ標識化、ニック翻訳、末端標識化または標識ヌクレオチドを使用するPCR増幅が挙げられる。あるいは、配列またはその任意の部分を、mRNAプローブの生成のために、ベクターにクローニングしてもよい。そのようなベクターは、当技術分野において公知であり、市販されており、T7、T3またはSP6などの適切なRNAポリメラーゼおよび標識ヌクレオチドの添加によりin vitroでRNAプローブを合成するために使用され得る。これらの手順は、各種の市販のキットを使用して実施され得る。使用され得る好適なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤または発色剤、ならびに基質、補助因子、阻害剤、磁気粒子などが挙げられる。
【0474】
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、発現およびタンパク質の細胞培養物からの回収に好適な条件下で培養され得る。ある特定の具体的な実施形態は、無血清細胞発現系を利用する。例としては、無血清培地で成長することができるHEK293細胞およびCHO細胞が挙げられる(例えば、Rosser et al., Protein Expr. Purif. 40:237-43, 2005;および米国特許第6,210,922号を参照されたい)。
【0475】
組換え細胞により産生された抗体またはその抗原結合性断片は、使用した配列および/またはベクターに応じて、分泌または細胞内に含有させてもよい。当業者によって理解されるように、ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を通してコードされたポリペプチドの分泌を指示するシグナル配列を含有するように設計されてもよい。他の組換え構築物を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製および/または検出を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に連結させてもよい。そのようなドメインの例としては、アビジン、FLAGタグ、ポリ-ヒスチジンタグ(例えば、6×His)、cMycタグ、V5タグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)タグなどのような、切断可能および切断不可能なアフィニティー精製タグならびにエピトープタグが挙げられる。
【0476】
組換え細胞によって産生されるタンパク質は、当技術分野において公知の各種の技法に従って、精製および特徴付けることができる。タンパク質精製を行うため、およびタンパク質の純度を分析するための例示的なシステムとしては、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)(例えば、AKTAおよびBio-RadのFPLCシステム)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)(例えば、BeckmanおよびWatersのHPLC)が挙げられる。精製のための例示的な化学としては、当技術分野において公知の他のもの中でも、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、Q、S)、サイズ排除クロマトグラフィー、塩グラジエント、アフィニティー精製(例えば、Ni、Co、FLAG、マルトース、グルタチオン、プロテインA/G)、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、セラミックHYPERD(登録商標)イオン交換クロマトグラフィー、および疎水性相互作用カラム(HIC)が挙げられる。SDS-PAGE(例えば、クーマシー、銀染色)、免疫ブロット、Bradford、およびELISAなどの分析方法も挙げられ、産生または精製プロセスの任意のステップの間に利用して、典型的には、タンパク質組成物の純度を測定し得る。
【0477】
抗NRP2抗体およびその抗原結合性断片を濃縮する方法、ならびに濃縮された可溶性タンパク質を含む組成物も含まれる。異なる態様では、そのような抗NRP2抗体の濃縮溶液は、タンパク質を、約5mg/mL;または約8mg/mL;または約10mg/mL;約15mg/mL;または約20mg/mLの濃度で含んでいてもよい。
【0478】
一部の態様では、そのような組成物は、実質的に単分散であってもよく、これは、少なくとも1つの抗NRP2抗体が、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、動的光散乱または分析超遠心分離によって評価された場合に、主に(すなわち、少なくとも約90%またはそれよりも高い)1つの見掛けの分子量の形態で存在することを意味する。
【0479】
一部の態様では、そのような組成物は、(タンパク質基準で)少なくとも約90%の純度、または一部の態様では、少なくとも約95%の純度、または一部の実施形態では、少なくとも98%の純度を有する。純度は、当技術分野において公知の任意の日常的な分析方法により決定され得る。
【0480】
一部の態様では、そのような組成物は、存在するタンパクの総量と比較して、約10%未満の高分子量凝集含有量を有し、または一部の実施形態では、そのような組成物は、約5%未満の高分子量凝集含有量を有し、または一部の態様では、そのような組成物は、約3%未満の高分子量凝集含有量、または一部の実施形態では、約1%未満の高分子量凝集含有量を有する。高分子量凝集含有量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、動的光散乱または分析超遠心分離によるものを含む各種の分析技法により決定され得る。
【0481】
本明細書で企図される濃縮手法の例としては、凍結乾燥が挙げられ、これは、典型的には、溶液が目的のタンパク質以外の可溶性成分をほとんど含有していない場合に用いられる。凍結乾燥は、多くの場合、HPLCの実行後に行われ、混合物からほとんどまたはすべての揮発性構成成分を除去することができる。限外濾過技法も挙げられ、これは、典型的には、1つまたは複数の選択透過膜を用いて、タンパク質溶液を濃縮する。膜は、水および低分子を透過させ、タンパク質を保持し、溶液に、他の技法の中でも、機械式ポンプ、ガス圧力または遠心分離によって膜に対して力を加えることができる。
【0482】
ある特定の実施形態では、試薬、抗NRP2抗体または関連する薬剤は、当技術分野における日常的な技法に従って測定される少なくとも約90%の純度を有する。診断用組成物またはある特定の治療用組成物などのある特定の実施形態では、抗NRP2抗体組成物は、少なくとも約95%の純度を有する。治療用組成物または医薬組成物などの具体的な実施形態では、抗NRP2抗体組成物は、少なくとも約97%または98%または99%の純度を有する。他の実施形態では、例えば、参照または研究試薬として使用される場合、抗NRP2抗体は、より低い純度であり得、少なくとも約50%、60%、70%または80%の純度を有していてもよい。純度、例えば、タンパク質基準の純度は、全体に、または他のタンパク質などの選択された構成成分に関連して、測定することができる。
【0483】
精製された抗NRP2抗体はまた、それらの生物学的特徴に従って特徴付けることができる。結合親和性および結合反応速度は、非標識相互作用物のリアルタイムでの検出を可能にする光学的現象である表面プラズモン共鳴(SPR)を利用するBiacore(登録商標)および関連する技法などの当技術分野において公知の各種の技法に従って測定することができる。SPRに基づくバイオセンサーを、活性濃度の決定、スクリーニングならびに親和性および動態学の両方の観点での特徴付けにおいて使用することができる。1つまたは複数の標準または非標準の生物活性の存在またはレベルは、本明細書に記載される生物活性の蛍光または発光指標などの読み出しまたは指標に機能的に連結された、選択された抗NRP2抗体の細胞結合パートナーを利用するものを含む、細胞に基づくアッセイに従って測定することができる。
【0484】
ある特定の実施形態では、上記で述べたように、抗NRP2抗体組成物は、実質的にエンドトキシンフリーであり、例えば、約95%エンドトキシンフリー、好ましくは、約99%エンドトキシンフリー、より好ましくは、約99.99%エンドトキシンフリーを含む。エンドトキシンの存在は、本明細書に記載されるように、当技術分野における日常的な技法に従って検出することができる。具体的な実施形態では、抗NRP2抗体組成物は、実質的に無血清培地中、哺乳動物細胞またはヒト細胞などの真核細胞から作製される。ある特定の実施形態では、本明細書で述べたように、抗NRP2抗体組成物は、抗NRP2抗体1mgあたり約10EU未満、抗NRP2抗体1mgあたり約5EU未満、抗NRP2抗体1mgあたり約3EU未満、または抗NRP2抗体1mgあたり約1EU未満のエンドトキシン含有量を有する。
【0485】
ある特定の実施形態では、抗NRP2抗体組成物は、約10%wt/wt未満の高分子量凝集物、または約5%wt/wt未満の高分子量凝集物、または約2%wt/wt未満の高分子量凝集物、または約1%wt/wt未満の高分子量凝集物を含む。
【0486】
タンパク質に基づく分析アッセイおよび方法も含まれ、これらを使用して、例えば、他の特徴の中でも、タンパク質の純度、サイズ、溶解性および凝集の程度を評価することができる。タンパク質の純度は、いくつかの方法で評価することができる。例えば、純度は、一次構造、高次構造、サイズ、電荷、疎水性およびグリコシル化に基づいて評価することができる。一次構造を評価するための方法の例としては、NおよびC末端シークエンシング、ならびにペプチドマッピングが挙げられる(例えば、Allen et al., Biologicals. 24:255-275, 1996を参照されたい)。高次構造を評価するための方法の例としては、円偏光二色性(例えば、Kellyet al., Biochim Biophys Acta. 1751:119-139, 2005を参照されたい)、蛍光分光法(例えば、Meagher etal., J. Biol. Chem. 273:23283-89, 1998を参照されたい)、FT-IR、アミド水素-重水素交換速度論、示差走査熱量測定法、NMR分光法、立体配座感受性抗体による免疫反応性が挙げられる。高次構造は、pH、温度または添加された塩などの各種のパラメーターの関数として評価することもできる。サイズなどのタンパク質特徴を評価するための方法の例としては、分析用超遠心分離およびサイズ排除HPLC(SEC-HPLC)が挙げられ、例示的な電荷を測定するための方法としては、イオン交換クロマトグラフィーおよび等電点電気泳動が挙げられる。疎水性は、例えば、逆相HPLCおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーHPLCによって評価することができる。グリコシル化は、薬物動態(例えば、クリアランス)、立体構造または安定性、受容体結合およびタンパク質機能に影響を与えることができ、例えば、質量分析法および核磁気共鳴(NMR)分光法によって評価することができる。
【0487】
上記で述べたように、ある特定の実施形態は、他の使用の中でも、純度、サイズ(例えば、サイズの均一性)もしくは凝集の程度などのタンパク質の特徴を評価するための、および/またはタンパク質を精製するための、SEC-HPLCの使用を含む。SECは、ゲル濾過クロマトグラフィー(GFC)およびゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)も含み、溶液中の分子が、それらのサイズ、またはより具体的には、それらの流体力学的容積、拡散係数および/もしくは表面の性質に基づいて、多孔質材料中で分離されるクロマトグラフ法を指す。プロセスは、一般に、生体分子を分離するため、およびポリマーの分子量および分子量分布を決定するために使用される。典型的には、生体試料またはタンパク質試料(本明細書に提供されるおよび当技術分野において公知のタンパク質発現法に従って産生したタンパク質抽出物など)は、定義された固定相(多孔質材料)、好ましくは、試料中のタンパク質と相互作用しない相を有する選択されたサイズ排除カラムにロードされる。ある特定の態様では、固定相は、ガラスまたはスチールのカラム内の高密度三次元マトリックスに充填された不活性粒子から構成される。移動相は、純水、水性緩衝液、有機溶媒またはそれらの混合物であり得る。固定相の粒子は、典型的には、ある特定のサイズを下回る分子のみを進入させる小さい細孔および/またはチャネルを有する。したがって、大きい粒子は、これらの細孔およびチャネルから排除され、固定相とのそれらの限定的な相互作用は、実験の開始時にそれらの「完全排除」ピークとしての溶出を引き起こす。細孔にフィットすることができるより小さい分子は、流動する移動相から除去され、それらが固定相の細孔に固定化されるのに費やす時間は、一部分では、細孔にそれらがどれだけ浸透するかに依存する。移動相流からのそれらの除去は、それらをカラムからより長く溶出させ、それらのサイズの違いに基づく粒子間の分離をもたらす。所与のサイズ排除カラムは、分離することができる分子量の範囲を有する。全体として、上限よりも大きい分子は、固定相によって捕捉されず、下限よりも小さい分子は、固相に完全に進入し、単一バンドとして溶出し、その範囲内の分子は、流体力学的容積などのそれらの性質によって定義される異なる速度で溶出する。医薬用タンパク質での実行におけるこれらの方法の例について、Bruner et al., Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis.15: 1929-1935, 1997を参照されたい。
【0488】
臨床適用のためのタンパク質純度は、例えば、Anicetti et al.(Trends in Biotechnology. 7:342-349, 1989)によっても議論されている。タンパク質純度を分析するためのより最新の技法としては、限定されないが、タンパク質および核酸の迅速分析のための自動化プラットフォームであるLabChip GXIIが挙げられ、これは、タンパク質の力価の分析、サイズ分類および純度分析のハイスループット分析を提供する。ある特定の非限定的な実施形態では、タンパク質断片および抗体などの臨床グレードのタンパク質は、他の方法の中でも、少なくとも2つの直交性のステップにおいて、クロマトグラフ材料の組合せを利用することによって得ることができる(例えば、TherapeuticProteins: Methods and Protocols. Vol. 308, Eds., Smales and James, Humana PressInc., 2005を参照されたい)。典型的には、タンパク質剤(例えば、抗NRP2抗体および抗原結合性断片)は、当技術分野において公知および本明細書に記載される技法に従って測定されるような実質的にエンドトキシンを含まない。
【0489】
タンパク質溶解性アッセイも含まれる。そのようなアッセイを利用して、例えば、組換え産生のために最適な成長および精製条件を決定することができ、緩衝液の選択を最適化することができ、抗NRP2抗体またはそのバリアントの選択を最適化することができる。溶解性または凝集は、温度、pH、塩および他の添加物の存在または非存在を含む各種のパラメーターに従って評価することができる。溶解性スクリーニングアッセイの例としては、限定されないが、とりわけ、エンドポイントとして濁度または他の尺度を使用するタンパク質溶解性を測定するマイクロプレートに基づく方法、精製された組換えタンパク質の溶解性の分析のためのハイスループットアッセイ(例えば、Stenvall et al., Biochim Biophys Acta. 1752:6-10, 2005を参照されたい)、遺伝子マーカータンパク質の構造的な相補性を使用して、タンパク質のフォールディングおよび溶解性をin vivoでモニターおよび測定するアッセイ(例えば、Wigleyet al., Nature Biotechnology. 19:131-136, 2001を参照されたい)、ならびに走査型電気化学顕微鏡法(SECM)を使用するEscherichia coliにおける組換えタンパク質溶解性の電気化学的スクリーニング(例えば、Nagamineet al., Biotechnology and Bioengineering. 96:1008-1013, 2006を参照されたい)が挙げられる。増加した溶解性(または低減された凝集)を有する抗NRP2抗体は、タンパク質溶解性のための簡単なin vivoアッセイを含む当該技術分野における日常的な技法に従って、特定または選択することができる(例えば、Maxwellet al., Protein Sci. 8:1908-11, 1999を参照されたい)。
【0490】
タンパク質の溶解性および凝集は、動的光散乱技法によって測定することもできる。凝集は、溶解性/非溶解性、共有結合性/非共有結合性、可逆性/非可逆性およびネイティブ/変性の相互作用ならびに特徴を含むいくつかの種類の相互作用または特徴を包含する一般的な用語である。タンパク質治療学のために、凝集の存在は、凝集が、免疫原性反応(例えば、小さい凝集)を引き起こし得るか、または投与の際に有害事象(例えば、微粒子)を引き起こし得るという懸念のために、典型的には、望ましくないと考えられる。動的光散乱は、懸濁液中の小さい粒子、または溶液中のタンパク質などのポリマーのサイズ分布プロファイルを決定するために使用することができる技法を指す。この技法は、光子相関分光法(PCS)または準弾性光散乱(QELS)とも称され、散乱光を使用して、タンパク質粒子の拡散の速度を測定する。散乱強度の変動は、溶液中の分子および粒子がブラウン運動に起因して観察することができる。この運動データを、慣例的に処理して、試料についてのサイズ分布を導き出すことができ、サイズは、タンパク質粒子のストークス半径または流体力学半径によって与えられる。流体力学的サイズは、質量および形状(立体構造)の両方に依存する。動的散乱は、広い質量の範囲を含有する試料においてさえ、非常に少量の凝集したタンパク質(<0.01重量%)の存在を検出することができる。これは、例えば、上昇した温度での変化のリアルタイムモニタリングに依拠する適用を含んで、異なる製剤の安定性を比較するために使用することもできる。したがって、ある特定の実施形態は、本開示の抗NRP2抗体を含有する試料における溶解性および/または凝集の存在を分析するための動的光散乱の使用を含む。
【0491】
前述の実施形態は、理解の明確さの目的のために実例および例によって多少詳細に記載したが、当業者には、本開示の教示を考慮して、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、ある一定の変更および改変をそれらに行ってもよいことは容易に明らかであろう。以下の実施例は、実例のみの目的で提供されているものであり、限定の目的で提供されているものではない。当業者は、本質的に同様の結果を生じるように変更または改変することができる各種の重要ではないパラメーターを容易に認識するであろう。
【実施例
【0492】
参照配列
【表1】
(実施例1)
ヒト化された親和性成熟抗ニューロピリン2抗体の特徴付け
組換えヒト化抗NRP2抗体を、ヒトNRP2の異なるドメインを標的化するマウスモノクローナル抗体のパネルから作成した。ヒト化抗体を、親和性成熟させて、ヒトにおける免疫原性についての可能性を制限する主にヒトIgG定常ドメインの背景のナノモル以下の親和性を有する非常に選択的で強力な抗体を生成した。組換えNRP2を発現する細胞系への結合の表面プラズモン共鳴(SPR)およびフローサイトメトリー(FACS)によって測定される結合親和性の初期評価を、表E1に表す。
【表E1-1】

【表E1-2】
【0493】
ヒト化および親和性成熟。ヒト化マウスモノクローナル抗体を、抗体を安定化するために必要な場合に、対応するヒト配列と比較したマウス特異的アミノ酸置換の選択的置き換えによりヒトIgG4におけるマウスCDRのグラフト化により調製し、スクリーニングして、NRP2ポリペプチドへの結合を確認した。ヒト化抗体を、それらのCDR配列の系統的突然変異により親和性成熟させ、最も有利な組換えの特定されたより高い親和性の組合せを完全に特徴付けた。組換え抗体を、プロテインAアフィニティーカラムに流し、溶出させ、リン酸緩衝食塩水(1×PBS)、pH7.4中で保存することによって、2週間の培養で開始した条件付け培地から精製した。それぞれのロットを、タンパク質の濃度、純度およびエンドトキシンレベルについて試験した。SDS-PAGEによる純度は、常に>90%であった。
【0494】
抗NRP2抗体の結合および親和性の測定。表面プラズモン共鳴(SPR)法を使用して、抗NRP2抗体のヒトNRP2抗原への結合を実証し、表E1にまとめるように、結合親和性を測定した。SPR実験を、Bio-Rad ProteOn XPR36タンパク質相互作用アレイ装置において実施した。ビオチン化抗ヒト抗体(ThermoFisher カタログ番号7103302100)を、ProteOn NLCセンサーチップ上に固定化した。その後、抗NRP2抗体を、その上に流し、抗ヒト抗体によって捕捉した。ヒトNRP2抗原タンパク質を、可変濃度(150、50、16.67、5.56、1.85nM)で捕捉された抗体上に流した。センサーチップ表面を、それぞれの分析物の泳動の間に再生して、抗NRP2抗体およびNRP2タンパク質を除去した。データを、抗NRP2抗体が捕捉されていない表面(固定化抗ヒト抗体のみ)および緩衝液のみのブランクに対して二重参照した。親和性定数を、ProteOnマネージャーソフトウェアにおいて、センサーグラムをラングミュア(1:1)相互作用モデルに包括的にフィットさせることによって誘導した。それぞれの抗NRP2抗体について、複数のNRP2濃度からのデータを、包括的パラメーターとして、解離速度定数(k)、結合速度定数(k)およびRmax値を伴う単一のデータセットとしてフィットさせた。報告した結合親和性は、k/kから計算した平衡解離定数(K)である。
・ランニング緩衝液:50mMのHEPES、300mMのNaCl、5mMのCaCl、0.005%のTween(登録商標)-20、pH7.4
・固定化抗体:CaptureSelect Human Fab-kappa Kineticsビオチンコンジュゲート、ThermoFisher カタログ番号7103302100
・抗原:C末端にAvi、MycおよびHisタグを有するヒトNRP2(aa23-855)
・再生緩衝液:10mMのグリシン、pH2.0
【0495】
プラスミドDNAの精製。ヒトNRP2を含有するプラスミドを、Origeneから購入した。多量のプラスミドのストックを作成し、DNAを精製するために、プラスミドを、製造者の使用説明書に従って、化学的にコンピテントなE.coli細胞(One Shot TOP10)に形質転換した。形質転換された細菌を、抗生物質としてカナマイシン一硫酸塩(50μg/mL)を含有する推奨された液体培地(水中に再懸濁されたDifco Dehydrated Miler Luria-Bertani培地粉末)中で成長させた。次いで、プラスミドDNAを、キットの使用説明書に従って、QIAGEN DNA maxi prepキットを使用して精製した。DNAの濃度および純度を、分光光度計(Nanodrop 2000)において測定した。1.8~2.0のA260/A280吸光度比が、トランスフェクションのために必要であった。
【0496】
ヒトNRP2を安定的に過剰発現するExpi293-hNRP2クローン細胞の作成。Myc-DDKタグに融合されたヒトNRP2バリアント2転写物NM_003872(hNRP2)をコードするプラスミド(Origene Technologies カタログ番号RC220706)を購入した。ベクターを、以下のプライマー対により、Q5ポリメラーゼ(New England Biolabs カタログ番号M0491)を使用してPCR増幅した。
5’-TGAGGATGACAAAGATTTGCAGCT-3’(配列番号149)
5’-ACCGCGGCCGGCCGTTTATGCCTCGGAGCAGCACTT-3’(配列番号150)
5’-AGTGCCAAGCAAGCAACTCAAA-3’(配列番号151)
5’-AAGTGCTGCTCCGAGGCATAAACGGCCGGCCGCGGT-3’(配列番号152)
【0497】
次いで、得られたPCR産物を、融合し、MfeI/AgeI(New England Biolabs カタログ番号R3589、R3552)で切断し、同じ酵素で切断したRC220706のベクター断片にライゲーションした。次いで、非タグ化ヒトNRP2転写物を含有するこのベクターを、直鎖状にし、10mMのTris-0.1mMのEDTAに再懸濁させた。懸濁Expi293細胞(ThermoFisher製の懸濁培養物中で維持されたHEK293に基づく一過性発現系;カタログ番号A14527)を、発現培地(ThermoFisher カタログ番号A1435101)中、37℃および8%のCOで成長させた。上記に記載された直鎖状のプラスミドを、SF細胞系4D-Nucleofector(登録商標)X Kit L(Lonza カタログ番号V4XC-2012)および懸濁HEK293細胞のための標準プロトコールT-030を使用して、Expi293細胞にトランスフェクトした。細胞を、静置培養液中で17時間回復させ、懸濁液に移し、さらに72時間回復させ、次いで、50μg増分の200~350μg/mLのG418(ThermoFisher カタログ番号10131035)で選択した。細胞の密度および生存率を、2日~3日ごとに新鮮な培地/抗生物質の交換を伴って、3週間の期間、モニターした。
【0498】
ヒトNRP2を過剰発現するクローン細胞を選択するために、細胞を、限定希釈によって96ウェルプレート中で懸濁させた。単一コロニーを、維持された選択圧下、さらなる拡大増殖のために、ファルコン管に移した。ヒトNRP2を過剰発現するクローン細胞を、a-NRP2染色、続いてフローサイトメトリー分析によって検証した。
【0499】
抗NRP2抗体のヒトNRP2(hNRP2)クローン細胞を発現するExpi293細胞への結合。Expi293-hNRP2クローン細胞を、300gで5分間の遠心分離によって収集し、DPBS(カルシウムおよびマグネシウムを有する、ThermoFisher カタログ番号14040133)で2回洗浄した。洗浄した細胞を、96ウェルのV底プレート(ThermoFisher カタログ番号1424572)に、Zombie Violet viability染料(Biolegend カタログ番号423114、1:500で希釈)を添加された50μLのDPBS中、細胞100,000個/ウェルで添加した。このステップから、細胞を、光から保護した。細胞を、室温で10分間保ち、4℃で5分間、300gでペレットダウンした。Zombie Violetを含有する上清を、廃棄し、洗浄せずに、フロー洗浄緩衝液(FWB、DPBSと2%のFBS、および受容体内部移行を阻害する0.1%のアジ化ナトリウム)に希釈された30uLの抗体を、細胞に添加した。Expi293-hNRP2クローン細胞における抗NRP2抗体染色のために、自家製のヒト抗NRP2抗体を、0.006~100nMの最終濃度で、4倍希釈で試験した。アイソタイプ対照ヒトIgG4抗体(Biolegend カタログ番号403701)を、抗NRP2抗体の代わりに使用して、染色の特異性を実証した。結合を、40~60分間氷上で続行した。次いで、細胞を、4℃で5分間、300gでペレット化し、上清を除去し、細胞を、150μLのFWBを添加すること、および同じ条件下で細胞を再び遠心分離することによって、2回洗浄した。細胞表面におけるa-NRP2の結合を検出するために、Cy3コンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgGのFc(Jackson ImmunoResearch カタログ番号109165098)を、30μLのFWB中3μg/mLの最終濃度で細胞に添加した。氷上での30~40分のインキュベーション後、細胞を、4℃で5分間、300gでペレット化し、上清を除去し、細胞を、以前に記載されるようにして2回洗浄した。次いで、細胞を、Cytoflexにおける取得前に、FWBに再懸濁させた。ゲインを、染色対照に基づいて設定した。細胞を、典型的には、10,000より多くのイベントで収集した。次いで、細胞を、死細胞を排除すること、および一重項をゲーティングすることによって、FlowJo分析ソフトウェアにおいて分析した。統計分析は、GraphPad Prismを使用して行った。4パラメーター可変勾配曲線を、非線形回帰を使用してデータ([アゴニスト]対応答)にフィットさせ、それぞれの曲線についてのEC50およびr2を決定した。
【0500】
NRP2の異なるドメインに対する4つの抗NRP2抗体のEC50を、Expi293-hNRP2クローン細胞への結合について測定した(表E1および図3を参照されたい)。それらは、ナノモル濃度以下またはナノモル濃度範囲のEC50でNRP2への特異的結合を示した。対照的に、アイソタイプ対照ヒトIgG4抗体によって、結合は観察されなかった。
(実施例2)
抗ヒトニューロピリン2抗体のカニクイザルNRP2への結合
【0501】
カニクイザルNRP2に対する抗NRP2抗体の交差反応性を、組換えタンパク質における表面プラズモン共鳴(SPR)およびHEK293細胞の表面で発現したNRP2への結合のフローサイトメトリー(FACS)によって評価した。カニクイザルおよびヒトのNRP2の間の交差反応性を確立することは、可能性がある治療法の候補を動物研究において毒性について容易に評価することができることを確実にするための、特に、ヒトおよびげっ歯動物のNRP2間で抗体の交差反応性がほとんどないか、または全くない場合に、重要な治療法開発の考慮事項である。
【0502】
プラスミドDNA。ヒトまたはカニクイザルのNRP2を含有するプラスミドを、Origeneから購入した。プラスミドの増殖および精製を、ヒトNRP2プラスミドについて記載されたようにして行った。
【0503】
Expi293増殖および一過性トランスフェクション。懸濁培養において維持されたHEK293一過性発現系であるExpi293細胞を使用して、カニクイザルNRP2を発現させた。細胞を、250mLのベント付懸濁培養フラスコ内で、60mLのExpi293培地中で成長させた。細胞の増殖を、Multitron Cellインキュベーター中、37℃、8%のCO、80%の湿度、および225rpmの振とうで行った。維持段階および拡大増殖段階の間、Expi293細胞を、トランスフェクションおよび高生存率に最適な範囲内の密度を保つために、週に2回、細胞0.3×10個/mLに分けた。細胞の密度および生存率を、細胞計数器(Cedex HiRes Cell Analyzer)を使用して決定した。
【0504】
DNAトランスフェクション前の日に、Expi293細胞を、高生存率(>95%)および低密度(細胞3~5×10個/mLを超えない)を維持するために、細胞2.0×10個/mLの密度で播種し、それによって、細胞に、新鮮な栄養を提供し、任意の分泌された物質によって引き起こされるトランスフェクションの妨害を回避した。
【0505】
DNAトランスフェクションの前に、Expi293細胞を、カウントし、50mLの振とうフラスコ(TPP TubeSpinバイオリアクター管)において、細胞2.5×10個/mLで再播種した。トランスフェクション手順を、Expifectamineキットを使用して行った。製造者のプロトコールを、30mLの代わりに5mLの総体積におけるトランスフェクションのために適合させた(すなわち、すべての体積を、6の因数によって割る)。5μgのそれぞれプラスミドDNAを、Opti-MEM低血清培地に希釈し、Expifectamineトランスフェクション試薬と複合体化し、Expi293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトされたプールを、225rpmで振とうしながら培養して、50mLのバイオリアクター内の細胞の完全な懸濁を確実にした。製造者のプロトコールに従って、Expifectamineキットのエンハンサーを、16~18時間後に添加し、培養物を、トランスフェクションの2日後にフローサイトメトリーによって分析した。
【0506】
a-NRP2のカニクイザルNRP2トランスフェクトExpi293細胞への結合。カニクイザル(cyno)NRP2トランスフェクトExpi293細胞を、300gで5分間の遠心分離によって収集し、DPBS(カルシウムおよびマグネシウムを有する、ThermoFisher カタログ番号14040133)で2回洗浄した。洗浄した細胞を、96ウェルのV底プレート(ThermoFisher カタログ番号1424572)に、Zombie Violet viability染料(Biolegend カタログ番号423114、1:500で希釈)を添加された50μLのDPBS中、細胞100,000個/ウェルで添加した。このステップから、細胞を、光から保護した。細胞を、室温で10分間保ち、4℃で5分間、300gでペレットダウンした。Zombie Violetを含有する上清を、廃棄し、洗浄せずに、フロー洗浄緩衝液(FWB、DPBSと2%のFBS、および受容体内部移行を阻害する0.1%のアジ化ナトリウム)に希釈された30uLの抗体を、細胞に添加した。Cyno NRP2トランスフェクトExpi293細胞におけるa-NRP2染色のために、自家製のヒト抗NRP2抗体を、0.006~100nMの最終濃度で、4倍希釈で試験した。それぞれの試験について、細胞表面におけるNRP2の過剰発現を、別々のウェルにおけるa-NRP2染色(10μg/mL R&D 番号AF567 a-NRP2)によって検証した。結合を、40~60分間氷上で続行した。次いで、細胞を、4℃で5分間、300gでペレット化し、上清を除去し、細胞を、150μLのFWBを添加すること、および同じ条件下で細胞を再び遠心分離することによって2回洗浄した。細胞表面におけるa-NRP2の結合を検出するために、Cy3コンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgGのFcまたはAF647コンジュゲート化ロバ抗ヤギIgG(Jackson ImmunoResearch カタログ番号109165098および705605147)を、30μLのFWB中3μg/mLの最終濃度で細胞に添加した。氷上での30~40分のインキュベーション後、細胞を、4℃で5分間、300gでペレット化し、上清を除去し、細胞を、以前に記載されるようにして2回洗浄した。次いで、細胞を、Cytoflexにおける取得前に、FWBに再懸濁させた。ゲインを、染色対照に基づいて設定した。細胞を、典型的には、10,000より多くのイベントで収集した。次いで、細胞を、死細胞を排除すること、および一重項をゲーティングすることによって、FlowJo分析ソフトウェアにおいて分析した。
【0507】
追加の対照として、以下の条件を試験した:1)アイソタイプ対照ヒトIgG4抗体(BioLegend カタログ番号403701)を、抗NRP2抗体の代わりに使用して、染色の特異性を実証した;および2)R&D #AF567 a-NRP2による染色も、偽トランスフェクトExpi293細胞を使用して決定して、Expi293細胞におけるCyno NRP2の過剰発現を実証した。統計分析は、GraphPad Prismを使用して行った。4パラメーター可変勾配曲線を、非線形回帰を使用してデータ([アゴニスト]対応答)にフィットさせ、それぞれの曲線についてのEC50およびr2を決定した。
【0508】
NRP2の別個のドメインにそれぞれ対する3つの抗NRP2抗体のEC50を、Cyno NRP2トランスフェクトExpi293細胞への結合について測定した(表E2および図4を参照されたい)。それらはすべて、ナノモル濃度範囲のEC50でのNRP2への特異的結合を示した。対照的に、アイソタイプ対照ヒトIgG4抗体によって、結合は観察されなかった。
【0509】
抗NRP2抗体の結合および親和性の測定。表面プラズモン共鳴(SPR)法を使用して、抗NRP2抗体のカニクイザルNRP2抗原への結合を実証し、表E2にまとめるように、結合親和性を測定した。SPR実験を、Bio-Rad ProteOn XPR36タンパク質相互作用アレイ装置において実施した。ビオチン化抗ヒト抗体(ThermoFisher カタログ番号7103302100)を、ProteOn NLCセンサーチップ上に固定化した。その後、抗NRP2抗体を、その上に流し、抗ヒト抗体によって捕捉した。カニクイザルNRP2抗原タンパク質を、可変濃度(150、50、16.67、5.56、1.85nM)で捕捉された抗体上に流した。センサーチップ表面を、それぞれの分析物の泳動の間に再生して、抗NRP2抗体およびNRP2タンパク質を除去した。データを、抗NRP2抗体が捕捉されていない表面(固定化抗ヒト抗体のみ)および緩衝液のみのブランクに対して二重参照した。親和性定数を、ProteOnマネージャーソフトウェアにおいて、センサーグラムを二価分析物相互作用モデルに包括的にフィットさせることによって誘導した。それぞれの抗NRP2抗体について、複数のNRP2濃度からのデータを、包括的パラメーターとして、解離速度定数(k)、結合速度定数(k)およびRmax値を伴う単一のデータセットとしてフィットさせた。報告した結合親和性は、k/kから計算した平衡解離定数(K)である。
・ランニング緩衝液:50mMのHEPES、300mMのNaCl、5mMのCaCl、0.005%のTween(登録商標)-20、pH7.4
・固定化抗体:CaptureSelect Human Fab-kappa Kineticsビオチンコンジュゲート、ThermoFisher カタログ番号7103302100
・抗原:C末端Fcタグを有するカニクイザルNRP2(aa23~854)
・再生緩衝液:10mMのグリシン、pH2.0
【表E2】
【0510】
これらの研究からの結果は、試験された抗体のそれぞれが、ヒトおよびカニクイザルのNRP2に対して同等の結合親和性を示し、その親和性が、すべて低ナノモル濃度であり、種間で互いに約5~6倍以内であったことを実証する。
(実施例3)
受容体NRP2二量体化における抗NRP2抗体の特徴付け
【0511】
抗NRP2抗体の生物活性の評価をさらに拡張するために、それらの活性を、受容体二量体化アッセイにおいて評価した。簡潔には、分割ルシフェラーゼpBiT1.1およびpBiT2.1をコードするベクターを、Promega corporation(Madison、Wisconsin)から入手した。NRP2a(バージョン2)、NRP2b(バージョン5)(表N1を参照されたい)、FLT4(VEGFR3)、KDR(VEGFR2)およびプレキシンA1(PLXNA1)の完全細胞外ドメインならびに膜貫通ヘリックスを、ベクターにクローニングし、確立された方法に従って、最適な方向、受容体の密度およびリガンド誘導二量体化についてスクリーニングした。Expi293細胞(Fisher)を、細胞100万個/mLで約20時間トランスフェクトした後、NRP2および共受容体を等しい質量でアッセイした。細胞をカウントし、100,000個の生細胞を、Live Cell Imaging Solution(Fisher)中、白色の発光光度計プレートのウェルに蒔いた。Nano-Gloアッセイ基質(Promega)を添加し、プレートを、Glomax 96発光光度計において室温にて読み取って、ベースラインの発光を確立した。抗体を、100nMでウェルに添加し、プレートを、再び読み取って、新たなベースラインを確立し、自発的受容体二量体化に対する抗体の効果をモニターした。受容体対に応じて、次いで、典型的には、200nMのSEMA3F-p95(aTyr Pharma)、2nMのVEGF-C(R&D Systems、Minnesota)または2nMのVEGF165(R&D Systems、Minnesota)を添加し、プレートを、再び読み取って、受容体の二量体化を測定した。それぞれ個々のウェルについての正規化された応答を、リガンドの添加前の時点に対して計算し、次いで、抗体なし/リガンドなし(ベースラインシグナル)に対して正規化した。次いで、反復処理して、平均応答および標準偏差を得た。結果を、下記の表E3にまとめ、図3~10にグラフで示す。
【表E3】
【0512】
結果は、試験された抗体はすべて、これらのアッセイにおいて示差的な機能的活性を示すことを実証する。驚くべきことに、特異的抗体は、極めて特異的で、受容体二量体化のレベルで明らかな機能的相違がないことを示し、特異的エピトープが、この受容体系において特有の機能的役割を有することを実証する。
【0513】
例えば、NRP2のa2ドメインに結合する抗体aNRP2-14v9は、NRP2-プレキシンヘテロ二量体化の極めて強力な阻害を示すが、NRP2-VEGFR3ヘテロ二量体化に対して著しい影響を有さないことを実証した。これらの特徴は、この抗体が、VEGFR2または3によるシグナル伝達を著しく阻害することなく、NRP2によるセマフォリン3シグナル伝達を強力に阻害するであろうことを示唆する。したがって、そのような特徴は、この抗体を、セマフォリンシグナル伝達の選択的モジュレーションが必要とされる適用のために十分に好適なものにする。例えば、軸索成長の回避、リンパ管の新芽形成、細胞遊走、平滑筋収縮性、免疫細胞の活性化および疲弊に対するセマフォリンシグナル伝達の効果をモジュレートするため、より一般には、細胞の成長および増殖をモジュレートするようなものである。
【0514】
加えて、NRP2のb1ドメインに結合する抗体aNRP2-10v10は、NRP2-プレキシンヘテロ二量体化を著しく阻害することなく、NRP2-VEGFR3ヘテロ二量体化を強力に阻害する能力を示す。これらの特徴は、この抗体が、プレキシン受容体/セマフォリン3経路によるシグナル伝達を著しく阻害することなく、NRP2によるVEGFシグナル伝達を強力に阻害するであろうことを示唆する。したがって、そのような特徴は、この抗体を、VEGFシグナル伝達の選択的モジュレーションが必要とされる適用のために十分に好適なものにする。例えば、リンパ脈管新生、新血管形成、血管新生、がん細胞の成長、がんの惹起、がんの遊走、がん細胞の接着、浸潤、化学耐性の発生および転移に対するVEGFの効果をモジュレートするためのものである。重要なことには、この抗体は、セマフォリン3シグナル伝達を著しく損なわず、それを、内因性セマフォリンシグナル伝達が、例えば、上記に列挙された適用のいずれかにおいて有利であり得る適用のために比類なく好適なものにする。
【0515】
それに反して、NRP2のb2ドメインに結合する抗体クローンaNRP2-11v7は、NRP2のFLT4とのヘテロ二量体化を阻害する能力を示すが、プレキシンおよびKDRの両方についてのリガンド誘導二量体化シグナルを増加させた。それが、NRP2のヘテロ二量体およびより高次の複合体を安定化することを示唆する。これらの特徴は、この抗体が、代替NRP2依存性経路によるシグナル伝達を促進しながら、FLT4シグナル伝達を阻害する特有のコンテキスト依存性シグナル伝達効果を有することを示唆する。
【0516】
最も驚くべきことに、抗体aNRP2-10v10に関して、以前に記載されたNRP2B抗体(Caunt et al., Cancer Cell. 13:331-342, 2008)は、試験される受容体対のいずれかについてのリガンド誘導二量体化を阻害する能力を示さないが、このアッセイ系において、NRP2/PLXNA1受容体対のリガンド誘導二量体化を増強する。NRP2のこれらの示差的な効果は、それが、aNRP2-10v10と比較してNRP2の特有のエピトープに結合し、機能的に別個の効果を有することを示唆する。
(実施例4)
aNRP2-10v10抗体のエピトープマッピング
【0517】
ヒトNRP2a(バージョン2;表N1を参照されたい)およびマウスNRP2v2のcDNAを、Origeneから入手した。本発明者らは、aNRP2-10v10抗体が、ヒトNRP2のb1ドメインに特異的に結合するが、マウスNRP2にはそうではないことを以前に実証しているので、マウスNRP2配列のb1ドメインにおける突然変異(F299Y、K354N、I383V、M400A、I407VおよびL416S)を、この領域におけるヒトおよびマウスのタンパク質の間で異なるアミノ酸を復元するために、分離して作製した。ヒトおよびマウスのNRP2、発現ベクターを、6つの突然変異体すべてをコードする発現ベクターと一緒に、標準的な技法によって、100万個細胞/mLでExpi293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションのおよそ40時間後、細胞を、aNRP2-10v10および種不明の抗NRP2 a1特異的結合抗体で共染色した。細胞を、図11Aに示されるように、生存している単一のNRP2発現細胞(a1結合剤陽性)に対してゲート開閉させ、aNRP2-10v10染色の程度を、図11Bに示されるように、平均蛍光強度(MFI)として定量体化した。
【0518】
突然変異体F299Y、K354NおよびL416Sは、aNRP2-10v10のマウスNRP2への結合活性は不完全であるが、部分的に復元された一方、残りの残基I383V、M400AおよびI407Vの突然変異体は、結合における改善を示さなかった(図11Bを参照されたい)。aNRP2-10v10のマウスNRP2への結合を改善するすべての置換を、公開されているヒトNRP2 PDBの構造2QQKにおいて極めて近接しているb1ドメインの共有表面においてマッピングする。3つの残基は、構造中で15.7、8.9および14.3オングストローム離れてマッピングされ、共有エピトープを形成する。Y299、N354およびS416も、VEGF-CのC末端に対して結合ポケット(「C-wall」)を取り囲み、結合ポケットのベースを形成する周囲のT319を示し(図12を参照されたい)、この以前の研究は、突然変異T319Rを示し、VEGF-Cの結合を遮断する(Parker 2015)。
(実施例5)
aNRP2-10v10による化学療法に対する腫瘍細胞の足場非依存性の成長および鋭敏化の阻害
【0519】
足場非依存性の成長は、固体表面とは無関係に成長する形質転換細胞の能力であり、発がんの顕著な特徴である。軟寒天コロニー形成アッセイは、in vitroでこの能力を特徴付けるための十分に確立された方法である(J Vis Exp. 2014; (92): 51998)。ヒトトリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞系のMDA-MB-231(HTB-26(商標))およびBT549(HTB122(商標))を、ATCCから入手し、このアッセイにおいて用いた。
【0520】
MDA-MB-231を、10%のFBSおよび1%のP/Sを含有する1×RPMI培地中で培養した。BT549を、10%のFBS、0.023U/mLのインスリンおよび1%のP/Sを含有する1×RPMI培地中で培養した。細胞を、回収し、2~3継代の間、凍結ストックから拡大培養した。NRP2高の集団を、フルオロフォアコンジュゲート化抗NRP2抗体による細胞表面染色後、FACS機器において選別した。コロニー形成アッセイを、Cell Biolabから入手した軟寒天コロニー形成蛍光定量的アッセイキット(番号CBA-130-CB)を使用して行った。簡潔には、選別されたNRP2高の細胞を、単一の細胞懸濁液として懸濁させ、3D軟寒天マトリックス中、細胞1~1.5K個/96ウェルで播種した。細胞を安定化させるための終夜のインキュベーション後、処理試薬を、培養培地に添加した。化学療法薬のシスプラチンまたは5-FUを、MDA-MB-231細胞におけるそれらの阻害曲線を決定した予備試験に基づくIC30またはIC30の半分の最終濃度で、100nMの抗体a-NRP2-10v10またはそのアイソタイプ対照hIgG4と組み合わせて添加した。試薬を、3日ごとに添加することによって新しくした。処理の6または9日後、軟寒天マトリックスを溶解し、形成された細胞コロニーを、PBS中に希釈されたCyQuant(Cell Biolabキットにおいて提供される)を使用して定量体化し、生存細胞に比例する蛍光シグナルを生じさせた。
【0521】
NRP2が乳がん細胞幹細胞(CSC)において優先的に発現し、VEGF/NRP2シグナル伝達がTNBCの形成および腫瘍の惹起について重要ではないことが示されたので(EMBO Mol Med. 2013 5(4):488-508)、TNBC細胞のNRP2高の集団を、コロニー形成アッセイにおける使用のために選別した。hIgG4対照と比較して、シスプラチンまたは5-FUのいずれかと組み合わせたa-NRP2-10v10抗体は、MDA-MB-231細胞によるコロニー形成の著しい阻害を示した(図13A)。同様の効果は、シスプラチンまたは5-FUのある特定の用量でのBT549細胞について観察された(図13B)。aNRP2-10v10処理単独による別々の試験では、コロニー形成アッセイにおける明らかな効果は、これらの細胞で観察されなかった。結果は、aNRP2-10v10が、化学療法薬処理に対して、TNBC CSC様細胞を鋭敏化し、がんとの戦いにおいて併用療法が開発される可能性を有することを示唆する。
(実施例6)
aNRP2-10v10によるシスプラチンおよびベバシズマブ治療に対する足場非依存性の成長および鋭敏化の阻害
【0522】
TNBC MDA-MB-231細胞の免疫染色は、>90%のこれらの細胞が、がん幹細胞(CSC)様表現型(CD44+/CD24-)を示すことを明らかにし、したがって、本発明者らは、さらに、事前選別なしの親MDA-MB-231細胞を使用してコロニー形成アッセイを行った。3Dコロニー形成アッセイのためのマトリックスを、より固体であり、in vivoで細胞外マトリックスをより良好に模倣し、軟寒天よりもより良好なシグナル-バックグラウンドを示すメチルセルロースに変更した。他の実験の詳細は、以前の実施例に記載されるものと本質的に同じである。
【0523】
結果は、化学療法薬のシスプラチンまたは抗VEGF-A薬のベバシズマブのいずれかと組み合わせた抗NRP抗体aNRP2-10v10が、アイソタイプ対照hIgG4抗体によるいずれかの処理と比較して、MDA-MB-231細胞によるコロニー形成の著しく増強された阻害を示した(図14を参照されたい)。したがって、aNRP2-10v10は、トリプルネガティブ乳がんの処置において、シスプラチンおよびベバシズマブの両方の有効性を著しく増大させる。
(実施例7)
抗体aNRP2-10v10およびaNRP2-11v7による、血管内皮成長因子C(VEGF-C)に対するヒトリンパ管内皮細胞(HLEC)遊走の細胞遊走の阻害
【0524】
遊走アッセイを、8μMの細孔サイズの膜、16ウェルCIMプレート(ACEA Biosciences)を用いる改変Boydenチャンバーを使用して行った。膜の両側を、30分間、37℃、5%のCOで、5ug/mlのフィブロネクチン(Sigma)でコーティングした。160μlの191.5pMのVEGF-Cまたはアッセイ媒体(0.1%のBSA、ECM)を、下側のチャンバーに添加し、上側のウェルを付着させ、50ulのアッセイ媒体を、蓋を交換する前に上側のチャンバーに添加し、プレートを、37℃、5%のCOで、1時間インキュベートした後、ベースライン測定を取得した。HLECを、回収し、洗浄し、αNRP2抗体または対照タンパク質を有するアッセイ媒体で、細胞100,000個/ウェルで再懸濁させ、37℃、5%のCOで、30分間インキュベートした。細胞を、プレートに添加し、室温で30分間インキュベートした。プレートを、xCELLigence RTCA DP(ACEA Biosciences)装置に挿入し、遊走を、24時間の期間にわたって、5分毎にリアルタイムで測定した(条件あたり2ウェル)。
【0525】
結果は、抗NRP2、VEGF-C遮断抗体、aNRP2-10v10およびaNRP2-11v7が、用量依存性の様式で、VEGF-Cの方へのHLEC細胞の遊走を効果的に遮断することが可能であったことを実証した(図15を参照されたい)。HLECは、両方のNRP2抗体によって、それぞれ、VEGFR2またはVEGFR3に対する陽性対照抗体(αKDRまたは3C5)と一致したレベルまで阻害された。
(実施例8)
抗体aNRP2-10v10ではなく、抗体aNRP2-14v10およびaNRP2-11v7によるAKTリン酸化のセマフォリン3F媒介阻害の遮断
【0526】
図17に模式的に示されるように、Sema3Fによる細胞の処理は、プレキシンA1とのNRP2媒介相互作用を介してPI3K活性を特異的に遮断するものであり、それによって、低減されたホスホ-Aktレベルをもたらす。この効果を遮断する抗NRP2抗体の能力を直接試験するために、溶解物を、標準的なプロトコール(MesoScale Discovery、Phospho(Ser473)/Total Akt Assay Whole Cell Lysateキット 番号K15100D)に従って調製した。血清が不足したコンフルエントのU251細胞(Sigma、カタログ09063001)を、10nMのラパマイシン(Sigma、カタログ553211、30分)で処理し、遮断抗体または対照を添加し(10ug/mL、30分)、続いて、25nMのSema3Fまたは無血清培地を1時間、三連で添加した。溶解物のタンパク質濃度を、BCAアッセイによって決定し、試料を、0.4mg/mLに等しくした。ホスホAKTおよび総AKTを、製造者の使用説明書に従って測定し、リン酸化パーセントを、リン酸化されたAKTの相対単位を、総AKTの相対単位で割ることによって計算した。それぞれの抗体または対照についてのSema3Fの遮断を、Sema3F処理細胞のリン酸化パーセントを非Sema3F処理細胞のリン酸化パーセントと比較することによって決定した。
【0527】
Sema3FによるU251細胞の処理は、抗体aNRP2-11v7およびaNRP2-14v10を遮断する両セマフォリンによって遮断され得るが、VEGF-C遮断抗体aNRP2-10v10によってまたはmIgG1およびhIgG4対照抗体で遮断されない、細胞内ホスホ-Aktレベルのおよそ50%の減少をもたらした(図16を参照されたい)。
(実施例9)
C57BL/6マウスにおけるB16-F10マウス黒色腫に対する試験化合物aNRP2-28の抗腫瘍活性の評価
【0528】
下記に記載されるようにして調製されたB16-F10細胞(マウス黒色腫がんモデル)を使用する同種マウスモデルにおいてサロゲート抗体aNRP2-28(抗体aNRP2-10v10(マウスNRP2と交差反応しない)と同様のエピトープ領域でマウスNRP2を認識する)を使用して、抗体aNRP2-10v10のin vivoでの抗がん可能性を検討するために研究を行った。
【0529】
動物および動物管理。すべてのマウスに、識別の目的のために耳にタグを付けた。到着時に、動物を調べて、それらが健康であることを保証した。動物を、オートクレーブされた固体床ポリカーボネートケージに収容した。収容および公衆衛生を、業界基準に従って行った。すべての動物の取り扱いは、クリーンルームに位置する層流フード中で行った。すべての実験で、安楽死の基準を、皮下腫瘍体積(通常、>2,000mm)および体重減少(通常、研究の間の個体の>20%の体重減少)における上限について設定した。動物の作業を、Comparative Biosciences,Inc.、786 Lucerne Dr.、Sunnyvale、CA 94085またはaTyr Pharma、3545 John Hopkins Court、Suite 250、San Diego、CA 92121のいずれかで行った。試験抗体の投与レジメンを、平均腫瘍体積が50~100mmに達したら、開始した。腫瘍の測定値を、下記に記載されるように、研究の終了まで、週に2回記録した。
腫瘍モニタリング。触知できたら、皮下腫瘍を、デジタルキャリパーで週に3回測定した。腫瘍体積を、以下の式:
腫瘍体積=長さ×幅×幅×1/2
を使用して計算した。
【0530】
統計分析。データは、平均±SEMとして表す。動物を腫瘍量または体重減少に起因して安楽死させた実験では、最終腫瘍体積を、統計分析のために繰り越した。動物が、大きな腫瘍を有していないが、死亡が見出された(未知の死亡原因)場合では、その動物のデータを、統計分析の前に除去した。経時的な有意差を、二元配置反復測定分散分析、それに続くダネットの事後検定で試験した。群の比較を、一元配置分散分析を使用して実施した(パラメーターまたはクラスカルウォリス、図の凡例で述べた通り)。<0.05のp値を有意と考えた。
【0531】
細胞培養および移植。マウスB16-F10細胞系をATCCから購入した。細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)が補充されたDMEM培地を含有する75cmのフラスコ中で培養し、5%のCOの加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。細胞が90%のコンフルエンスに達したら、培養を、十分な細胞が注射のために利用可能になるまで、175cmのフラスコに拡張した。20%のマトリゲルを有するPBS中の10,000個のがん細胞を、それぞれのマウスの右脇腹に皮下移植した。腫瘍が移植された日を、0日目として表す。
【0532】
処置レジメン。30頭のC57BL/6マウス(Charles River、雌、6~8週齢)をこの研究で使用した。動物を、10頭のマウスの3つの研究群に無作為に割り当て、材料および方法に記載されるようにして収容した。抗体の投与レジメンを、下記の表E4に示し、簡潔には、動物は、下記のプロトコールに従って投与される、対照IgG抗体、陽性対照抗体(ベバシズマブ)および抗NRP2抗体(材料および方法に記載される通り)の腹腔内注射を受けた(表E4)。
【表E4】
【0533】
結果のまとめ。B16-F10腫瘍を保持し、3用量のマウスサロゲート抗体aNRP2-28で処置された動物は、マウスNRP2を認識する(および抗ヒトNRP2抗体aNRP2-10v10についての機能的サロゲートである)。aNRP2-28による処置は、IgG対照群と比較して腫瘍成長阻害をもたらし、14、16および19日目に統計学的有意性(p≦0.05)に達した(図19A)。したがって、aNRP2-28処置マウスは、最も低い最終腫瘍重量を有していた(図19B)。加えて、抗NRP2抗体は、陽性対照として選択されたVEGF-a遮断抗体であるベバシズマブよりも、この研究においてより強力な抗腫瘍活性を有していた。研究の間の動物の体重の測定および観察からの毒性の証拠はなかった(データは示さない)。これらの結果は、抗NRP2抗体が、このマウス黒色腫モデル系においてがん成長に対する治療効果に対する明確な可能性を有することを実証する。
(実施例10)
自然転移のモデルにおける試験化合物aNRP2-28の抗転移活性の評価
【0534】
下記に記載されるようにして調製された4T1細胞(黒色腫がんモデル)において抗体aNRP2-10v10(マウスNRP2と交差反応しない)と同様のエピトープ領域でマウスNRP2を認識するサロゲート抗体aNRP2-28を使用して、抗体aNRP2-10v10のin vivoでの抗転移の可能性を検討するために研究を行った。試験抗体の投与レジメンを、細胞注射の1日前に開始し、動物の体重および腫瘍測定値を、研究の終了まで週に3回記録した。
【0535】
マウス4T1細胞系をATCCから購入した。細胞を、10%のFBSが補充されたRPMI-1640培地を含有する75cmのフラスコ中で培養し、5%のCOの加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。細胞が90%のコンフルエンスに達したら、培養を、十分な細胞が注射のために利用可能になるまで、150cmのフラスコに拡張した。PBS中の50,000個のがん細胞を、それぞれのマウスの右脇腹に皮下移植した。
【0536】
処置レジメン。20頭のBalb/cマウス(Charles River、雌、5~6週齢)をこの研究で使用した。動物を、10頭のマウスの3つの研究群に無作為に割り当て、材料および方法に記載されるようにして収容した。抗体の投与レジメンを、下記の表E5に示し、簡潔には、動物は、がん細胞移植の1日前に開始して23日目の終了までの下記のプロトコールに従って投与される、10mg/kgの対照IgG抗体およびaNRP2-28(材料および方法に記載される通り)の腹腔内注射を受けた(表E5)。
【表E5】
【0537】
結果のまとめ。4T1腫瘍を保持し、マウスサロゲート抗体aNRP2-28で処置された動物は、最後に肺において転移小結節の低減を示した研究全体にわたって、マウスNRP2を認識し(および、抗ヒトNRP2抗体aNRP2-10v10の機能的サロゲートである)、統計学的有意性(p≦0.05)に達する(図20A)。したがって、最終の抗体濃度および転移小結節の数の間の線形相関がある(図20B)。研究の間の動物の体重の測定および観察からの毒性の証拠はなかった(データは示さない)。これらの結果は、抗NRP2抗体が、予防的な、およびこのモデル系において遠隔転移の発生に対する潜在的な治療効果に対する明確な可能性を有することを実証する。
(実施例11)
トリプルネガティブ乳がんの異種移植モデルにおけるシスプラチンと組み合わせた試験化合物の抗腫瘍活性の評価
【0538】
MDA-MB-231細胞(トリプルネガティブ乳がん、TNBCがんモデル)を使用するヒト異種移植マウスモデルにおいて、シスプラチンと組み合わせた、マウスNRP2を認識する(内因性マウスNRP2を遮断する)マウスサロゲート抗体aNRP2-28の、抗ヒトNRP2抗体aNRP2-10v10(ヒトMDA-MB-231細胞においてNRP2を遮断する)との組合せのin vivoの抗がん可能性を検討するために研究を行った。投与レジメンを、すべての研究動物の平均腫瘍体積が50~100mmに達した時に開始した。
【0539】
処置レジメン。20頭のNSGマウス(Jackson Laboratory、雌、5~6週齢)をこの研究で使用した。動物を、10頭のマウスの2つの研究群に無作為に割り当てた。MDA-MB-231細胞系を、材料および方法に記載されるようにして、注射のために調製した。投与レジメンを、下記の表E6に示し、簡潔には、動物は、25mg/kgのそれぞれマウスサロゲート抗体aNRP2-28およびaNRP2-10v10またはIgG対照の注射を受け、これらは、下記のプロトコールに従って、マウスに腹腔内投与された(表E6)。
【0540】
ヒトMDA-MB-231細胞系をATCCから購入した。細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)が補充されたDMEM培地を含有する75cm2のフラスコ中で培養し、5%のCO2の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。細胞が90%のコンフルエンスに達したら、培養を、十分な細胞が注射のために利用可能になるまで、175cm2のフラスコに拡張した。20%のマトリゲルを有するPBS中の1.25×10個のがん細胞を、乳房脂肪体に同所性で注射した。腫瘍が移植された日を、0日目として表す。
【表E6】
【0541】
結果のまとめ。シスプラチン関連毒性に起因する可能性がある両方の群で観察された著しい体重減少があった。抗NRP2抗体のシスプラチン処置レジメンへの追加は、接種後40日目に開始するシスプラチンの腫瘍阻害効果を増加させ、60日目に統計学的有意性に達した(図21)。これらの結果は、シスプラチン処置と併用するNRP2の標的化が、TNBCの実験モデルにおいて化学療法の有効性を増強することを実証する。
(実施例12)
非小細胞肺がんの異種移植モデルにおけるフルオロウラシルと組み合わせたaNRP2-10の抗腫瘍活性の評価
【0542】
A549細胞を使用するヒト異種移植マウスモデル(NSCLCがんモデル)におけるフルオロウラシル(5-FU)と組み合わせたaNRP2-10v10のin vivo抗がん可能性を検討するためにこの研究を試みた。投与レジメンを、すべての研究動物の平均腫瘍体積が16日目に50~100mmに達した時に開始した。
【0543】
処置レジメン。20頭のNu/Jマウス(Jackson Laboratory、雌、6~8週齢)をこの研究で使用した。動物を、10頭のマウスの2つの研究群に無作為に割り当てた。A549細胞系を、材料および方法に記載されるようにして、注射のために調製した。投与レジメンを、下記の表E7に示し、簡潔には、動物は、12.5mg/kgのaNRP2-10またはIgG対照の注射を受け、これらは、下記のプロトコールに従って、週に2回、マウスに腹腔内投与された(表E7)。両方の群は、週に3回、2.5mg/kgの5-FUも受けた。
【0544】
ヒトA549細胞系をATCCから購入した。細胞を、解凍し、10%のFBSが補充されたDMEM培地を含有する75cmのフラスコ中で培養し、5%のCOの加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。細胞が90%のコンフルエンスに達したら、培養を、十分な細胞が注射のために利用可能になるまで、150cmのフラスコに拡張した。20%のマトリゲルを有するPBS中の2×10個のがん細胞を、それぞれのマウスの右脇腹に皮下移植した。腫瘍が移植された日を、0日目として表す。
【表E7】
【0545】
結果のまとめ。5-FUおよびaNRP2-10の組合せは、対照IgGとの5-FUよりも良好に遂行され、標的化NRP2が、このNSCLCのモデルにおいて、化学療法薬5-FUの有効性を増加させることを示唆した。統計学的有意差には、細胞接種後51日目に達した(図22を参照されたい)。明らかに増加した毒性は、臨床観察および体重によって決定されるように、aNRP2-10v10/5-FU群において観察されなかった。
(実施例13)
新血管形成の実験モデルにおけるaNRP2-10の抗リンパ脈管新生活性の評価
【0546】
マウスNRP2を認識する(および抗ヒトNRP2抗体aNRP2-10v10の機能的サロゲートである)マウスサロゲート抗体aNRP2-28の抗リンパ脈管新生活性を評価するために、それを、新血管形成の実験モデルにおいて試験した。
【0547】
研究設計および処置レジメン。研究は、4群に分けられた40頭の雌C57BL/6マウスからなった。研究の前に、動物を、群あたり10頭のマウスの4群に無作為化した。0日目に、角膜の新血管形成(NV)を、麻酔下の動物の眼においてアルカリ熱傷の損傷から誘導した。動物を、損傷後0、3、7および10日目に、対照IgG(群1)、aNRP2-28(群2)およびベバシズマブ(群3)で腹腔内処置した。生存中の段階の間、動物を、毎日の臨床観察および毎週の体重によりモニターした。加えて、損傷を受けた目の眼評価をスコア化し、損傷後7日目および14日目に写真撮影した。すべての動物を、14日目に安楽死させた。すべての動物からの損傷を受けた目を、取り出し、切開した。ホールマウントされた角膜を、固定し、LYVE-1で染色し、免疫組織化学的に分析して、試験物の有効性を調べた。
【0548】
結果のまとめ。図23A~23Bにおける結果は、aNRP2-28が、角膜損傷の実験モデルにおいて新リンパ脈管形成を阻害することができることを実証する。図23Aは、IgG対照群およびaNRP2-28群のLyve-1染色された角膜の代表的な画像スキャンを示す。それぞれの処置群について、Lye-1領域%の平均値をプロットする。図23Bは、IgG対照群と比較した、aNRP2-10処置群におけるリンパ管の新芽形成の低減に対する明らかな傾向を示す。観察された効果は、統計学的有意性に近かった(p=0.07)。これらのデータは、aNRP2-28および抗ヒトサロゲートなどの抗NRP2抗体の全身投与が、新血管形成の実験モデルにおいて薬理活性を示すことを示す。
【0549】
本明細書で引用されたすべての刊行物、特許出願および発行特許は、それぞれ個々の刊行物、特許出願または発行特許が、参照により組み込まれていることが具体的かつ個々に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図23
【配列表】
2022551603000001.app
【国際調査報告】