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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】モーター車両用ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20221205BHJP
   B60T 8/88 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
B60T17/18
B60T8/88
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520921
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020079331
(87)【国際公開番号】W WO2021078673
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】102019216234.7
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ブレン・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ベーム・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】グレーガー・ザシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ボイス・ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】カイル・アンゼルム
(72)【発明者】
【氏名】ベジーア・マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ムントゥ・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ザウアーヴァルト・ティーモ
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB02
3D049CC07
3D049HH39
3D049HH45
3D049HH47
3D049HH48
3D246BA08
3D246DA01
3D246DA02
3D246GA01
3D246GB37
3D246GC14
3D246HA03A
3D246HA05B
3D246HA64A
3D246JA03
3D246LA13Z
3D246LA17B
3D246LA73Z
3D246MA18
(57)【要約】
本発明は、電気機械車輪ブレーキ(104、106、108、110)と、ブレーキ作動ユニット(112)と、中央ブレーキ制御ユニット(102)とを有するモーター車両のブレーキシステム(100)に関し、車輪ブレーキ(104、106、108、110)の各々は局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)を有し、中央ブレーキ制御ユニット(102)は、ブレーキ作動ユニット(112)及び車輪ブレーキ(104、106、108、110)の局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に直接、第1のデータ接続(154)を介して接続され、ブレーキ作動ユニット(112)は、少なくとも1つの車輪ブレーキ(104、106、108、110)の局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に直接、第2のデータ接続(156)を介して接続される。中央ブレーキ制御ユニット(102)は、ブレーキシステム(100)の正常動作モードでは、特に第1のデータ接続(154)を介して受信される、ブレーキ作動ユニット(112)の第1の作動情報項目から少なくとも1つのブレーキ需要を突き止め、ブレーキ需要に対応する制御信号を車輪ブレーキ(104、106、108、110)の局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に送信するように設計される。車輪ブレーキ(104、106、108、110)の局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は、ブレーキシステム(100)のフォールバックレベル動作モードでは、第2のデータ接続(156)を介して受信されるブレーキ作動ユニット(112)の第2の作動情報項目に基づいて、車輪ブレーキ(104、106、108、110)のそれぞれを作動させるように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械車輪ブレーキ(104、106、108、110)と、ブレーキ動作ユニット(112)と、中央ブレーキ制御ユニット(102)とを有するモーター車両のブレーキシステム(100)であって、
前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の各々は局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)を有し、
前記中央ブレーキ制御ユニット(102)は、前記ブレーキ動作ユニット(112)及び前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に直接、第1のデータ接続(154)を介して接続され、
前記ブレーキ動作ユニット(112)は、少なくとも1つの車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に直接、第2のデータ接続(156)を介して接続され、
前記ブレーキシステム(100)の正常動作モードでの前記中央ブレーキ制御ユニット(102)は、特に前記第1のデータ接続(154)を介して受信される、前記ブレーキ動作ユニット(112)の第1の動作情報から少なくとも1つのブレーキ需要を特定し、前記ブレーキ需要に対応する制御信号を前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に送信するように構成され、
前記ブレーキシステム(100)のフォールバックレベル動作モードにおける前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は、前記第2のデータ接続(156)を介して受信される、前記ブレーキ動作ユニット(112)の第2の動作情報に基づいて、前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)のそれぞれを作動させるように構成される、ブレーキシステム(100)。
【請求項2】
前記ブレーキ動作ユニットは、厳密に1つの車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に直接接続され、前記ブレーキ動作ユニット(112)に直接接続された前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は、第3のデータ接続(158)を介して前記ブレーキ動作ユニット(112)から受信した第2の動作情報を更なる前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に送信するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項3】
前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は、前記第3のデータ接続(158)を介して互いと前記第2の動作情報及び/又は特定された車輪速度情報を交換するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項4】
前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は各々、前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)に関連付けられた車輪(142、144、146、148)の車輪速度センサ(134、136、138、140)に接続されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項5】
前記第1の動作情報は、前記第2の動作情報から独立して特定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項6】
前記ブレーキ動作ユニット(112)は少なくとも2つの信号出力(150、152)を有し、第1の信号出力(150)は前記第1のデータ接続(154)に接続され、第2の信号出力(152)は前記第2のデータ接続(156)に接続されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項7】
前記中央ブレーキ制御ユニット(102)は車両バス(114)に接続され、前記車両バス(114)から受信したブレーキ需要は、前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)の前記制御信号の決定において前記中央ブレーキ制御ユニット(102)によって考慮に入れられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は前記車両バス(114)に直接接続されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項9】
前記ブレーキシステム(100)は、一次電源と、前記一次電源から独立した二次電源とを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項10】
前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の少なくとも1つのサブセットは、パーキングブレーキ機能を実施するように構成され、前記フォールバックレベル動作モードでは、前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は、ドライバーが前記モーター車両から離れていきつつあること、前記モーター車両の点火が非アクティブ化されたこと、及び/又は第2のパーキングブレーキ動作デバイスがアクティブ化されたことが検出された場合、パーキングブレーキ機能をアクティブ化するように構成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項11】
前記正常動作モードでの前記中央ブレーキ制御ユニット(102)は、前記特定されたブレーキ需要から、前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の各々によって印加すべきブレーキトルク及び/又は把持力を決定し、前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に送信される前記制御信号は、各局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)と関連付けられた前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記決定されたブレーキトルク及び/又は把持力を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項12】
前記正常動作モードでの前記中央ブレーキ制御ユニット(102)は、前記決定されたブレーキ需要から、前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)によって印加すべき前記モーター車両の所望の減速を決定し、前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)に送信される前記制御信号は、前記モーター車両の前記決定された所望の減速を含み、前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は、前記モーター車両の前記所望の減速を実施するために前記関連付けられた車輪ブレーキ(104、106、108、110)の各々によって印加すべきブレーキトルク及び/又は把持力を決定するように構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項13】
前記フォールバックレベル動作モードでの前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)は、前記第2の動作情報から、前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)の各々と関連付けられた前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)によって印加すべきブレーキトルク及び/又は印加すべき把持力を決定するように構成されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項14】
ブレーキ需要を実施するために必要なブレーキ力の前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)間の予め定義される分布は、前記印加すべきブレーキトルク及び/又は前記印加すべき把持力の前記決定において考慮に入れられることを特徴とする、請求項12又は13に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項15】
前記局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)の少なくとも1つの故障が検出される場合、前記モーター車両の前記所望の減速の増大及び/又は前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)によって印加される前記ブレーキトルク及び/又は把持力の増大は、特定の勾配に制限されることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載のブレーキシステム(100)。
【請求項16】
前記勾配は、前記故障した局所ブレーキ制御ユニット(118、120、122、124)と関連付けられた前記車輪ブレーキ(104、106、108、110)の前記モーター車両における位置に依存することを特徴とする、請求項15に記載のブレーキシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター車両用のブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機械ブレーキでは、電気制御されるブレーキ力ブースターが故障し、且つ/又は分布が提供されない場合であってもブレーキトルクを生成するために、車輪ブレーキへのブレーキペダルの機械的フィードスルーはもはや提供されない。むしろ、ブレーキペダルから車輪ブレーキへの機械的フィードスルーの機械的分離が行われる。
【0003】
したがって、電気油圧式ブレーキシステムのフォールバックレベル動作モードで提供されるようなブレーキトルクを生成するためのドライバーの筋肉の力の直接使用はもはや可能ではない。したがって、フォールバックレベルで、即ち例えば、車輪ブレーキの中央電気コントローラが故障した場合に印加されるブレーキトルクの制御はもはや可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明の土台となる目的は、従来技術の上記欠点を解消するブレーキシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、電気機械車輪ブレーキと、ブレーキ動作ユニットと、中央ブレーキ制御ユニットとを有するモーター車両のブレーキシステムに関し、車輪ブレーキの各々は局所ブレーキ制御ユニットを有し、中央ブレーキ制御ユニットは、ブレーキ動作ユニット及び車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットに直接、第1のデータ接続を介して接続される。ブレーキ動作ユニットは、少なくとも1つの車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットに第2のデータ接続を介して接続され、ブレーキシステムの正常動作モードでの中央ブレーキ制御ユニットは、特に第1のデータ接続を介して受信される、ブレーキ動作ユニットの第1の動作情報から少なくとも1つのブレーキ需要を特定し、ブレーキ需要に対応する制御信号を車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットに送信するように構成される。ブレーキシステムのフォールバックレベル動作モードにおける車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットは、第2のデータ接続を介して受信されるブレーキ動作ユニットの第2の動作情報に基づいて、車輪ブレーキのそれぞれを作動させるように構成される。
【0006】
「直接」接続は、要素間の接続に更なる要素が配置されない2つの要素間の接続として理解されるべきである。したがって例えば、中央ブレーキ制御ユニットがブレーキ動作ユニット、局所ブレーキ制御ユニット、及び/又はブレーキシステムの更なる要素に直接、即ち即座に接続されるように、中央ブレーキ制御ユニットが径方向接続の中央ポイントとして提供されることが提供される。その場合、この径方向接続の個々の接続は、第1のデータ接続を形成する。したがって本発明の状況では、「データ接続」は、ブレーキシステムの複数の要素間にデータ接続を全体で確立する複数の個々の接続も含む。
【0007】
本発明の土台となる概念は、故障が技術システムに発生し得、ブレーキ能力の喪失が危険な状況に繋がることである。したがって、ブレーキシステムの要素は好ましくは、冗長的に設計されるべきである。したがって、ブレーキシステムのフォールバックレベル動作モードでは、例えば中央ブレーキ制御ユニットが故障した場合では、ブレーキ動作デバイスによって取得された動作情報はなお、車輪ブレーキによって実施することができる。
【0008】
この冗長性は好ましくは、最大の独立性でもって実行される。冗長性は、重複する要素及びデータ接続の数が最小であり、それにより、ブレーキシステムの生産に冗長設計によって生じる追加コストが最小であるように選ばれる。
【0009】
中央ブレーキ制御ユニットが、共有データ接続を介して車両の車軸の車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットの各々に接続されることを提供することができる。
【0010】
一実施形態によれば、第1の動作情報は、ブレーキ動作ユニットの動作の程度、特に動作角、動作移動力若しくは動作力、又はブレーキ需要自体を含む。動作情報としてのブレーキ需要の直接送信は、例えば自動運転機能のために提供することができ、その理由は、自動運転ではブレーキペダルの機械的データが必要なく、むしろ、運転機能により、印加すべき減速についての情報を提供することができるためである。したがって、「動作情報」という名称は、ブレーキペダルの動作のみならず、ブレーキ自体の動作も指す。
【0011】
本明細書では同様に、更なる実施形態により、一実施形態による第2の動作情報が、ブレーキ動作ユニットの動作の程度、特に動作角、動作移動力若しくは動作力、又はブレーキ需要自体を含むことが提供される。
【0012】
本発明の更なる実施形態によれば、ブレーキ動作ユニットが厳密に1つの車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットに直接接続され、ブレーキ動作ユニットに直接接続された局所ブレーキ制御ユニットが、第3のデータ接続を介してブレーキ動作ユニットから受信した第2の動作情報を更なる車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットに送信するように構成されることが更に提供される。この場合、更なる車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットの各々は、好ましくは、第3のデータ接続を介して車輪ブレーキの2以下の更なる局所ブレーキ制御ユニットに接続される。この場合、特に、第3のデータ接続が、車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットのみを一緒に接続することを提供することができる。この場合、第3のデータ接続は特に、局所ブレーキ制御ユニットを一緒にリンクするリング構造を形成することができる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、この場合、車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットが、第3のデータ接続を介して互いと第2の動作情報及び/又は特定された車輪速度情報を交換するように構成されることが提供される。
【0014】
それにより、更なる実施形態によれば、電子機械的車輪ブレーキの各々が電子機械アクチュエータを有し、局所ブレーキ制御ユニットが、ブレーキトルクを生成するために、各電子機械アクチュエータを作動させるように構成されることが提供される。
【0015】
更なる実施形態によれば、車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットが各々、情報送信のために、車輪ブレーキと関連付けられた車輪の車輪速度センサに接続されることが更に提供される。この場合、局所ブレーキ制御ユニットが、第1のデータ接続を介して、各車輪速度センサの車輪速度情報を中央ブレーキ制御ユニットに送信するように構成されることを更に提供することができる。
【0016】
その場合、正常動作モードでの中央ブレーキ制御ユニットは好ましくは、車輪の車輪速度情報及びブレーキ動作ユニットの第1の動作情報に基づいて、車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットの制御信号を決定するように構成される。したがって例えば、車輪ブレーキのアンチロック制御を中央で実施することができる。局所ブレーキ制御ユニットが、車輪速度センサから受信した車輪速度情報に基づいて、ブレーキ制御機能、特にアンチロック制御を実行するように構成されることを更に提供することができる。
【0017】
さらに、更なる実施形態により、局所ブレーキ制御ユニットが、中央ブレーキ制御ユニットの故障が検出されるまで、第2又は第3のデータ接続を介して受信した情報を無視するように構成され、それにより、誤った作動が回避されることが提供される。
【0018】
更に好ましい実施形態によれば、第1の動作情報が第2の動作情報から独立して特定されることが更に提供される。これは特に、第1の動作情報がブレーキ動作ユニットの少なくとも第1のセンサ組立体によって特定され、第2の動作情報がブレーキ動作ユニットの少なくとも第2のセンサ組立体によって特定されることによって達成することができる。この場合、好ましい実施形態によれば、第1のセンサ組立体が第1の動作情報を特定する元となる物理的数量が、第2のセンサ組立体が第2の動作情報を特定する元となる物理的数量と異なることが提供される。それにより、互いに独立して動作情報が特定され、したがって、例えばセンサ故障の結果としての一方のタイプの検出の故障は必ずしも、動作情報の取得の完全な失敗に繋がるわけではないため、ブレーキシステムの信頼性を改善することができる。
【0019】
更なる好ましい実施形態によれば、ブレーキ動作ユニットが少なくとも2つの信号出力を有し、第1の信号出力が第1のデータ接続に接続され、第2の信号出力が第2のデータ接続に接続されることが提供される。信号出力は好ましくは互いから電気的に絶縁され、したがって、信号出力の一方の故障は他方の信号出力に影響しない。それにより、ブレーキシステムの信頼性は更に改善する。
【0020】
更なる実施形態によれば、中央ブレーキ制御ユニットが車両バスに接続され、車両バスから受信されるブレーキ需要が、局所ブレーキ制御ユニットの制御信号の決定において中央ブレーキ制御ユニットによって考慮に入れられることが更に提供される。それにより、制御信号の決定において追加情報を考慮に入れることができる。
【0021】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つの局所ブレーキ制御ユニットが車両バスに直接接続されることが更に提供される。この場合、特に、車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットが、第3のデータ接続を介して互いと車両バスによって受信したブレーキ需要を交換し、それにより、車両バスからの情報が、第3のデータ接続によって形成されるリングラインを介して通信されることを提供することができる。
【0022】
ブレーキシステムの信頼性を更に改善するために、更なる実施形態により、ブレーキシステムが一次電源と、一次電源から独立した二次電源とを有することが更に提供される。この場合、好ましくは、一次電源が、ブレーキ動作ユニットの第1のセンサ組立体、中央ブレーキ制御ユニット及び車輪ブレーキの第1のサブセットに電力を供給するように構成され、一方、二次電源が、ブレーキ動作ユニットの第2のセンサ組立体及び第1のサブセットと異なる車輪ブレーキの第2のサブセットに電力を供給するように構成されることが提供される。車輪ブレーキへの電力の供給は、車軸ごと又は対角線上のいずれかで分割することができ、それにより、車輪ブレーキの第1のサブセットは第1の車両車軸の車輪ブレーキであり、車輪ブレーキの第2のサブセットは第2の車両車軸の車輪ブレーキである。
【0023】
更なる実施形態によれば、車輪ブレーキの少なくとも1つのサブセット、特に車両の後車軸の車輪ブレーキが、パーキングブレーキ機能を実施するように構成され、フォールバックレベル動作モードでは、局所ブレーキ制御ユニットは、ドライバーがモーター車両から離れていきつつあること、モーター車両の点火が非アクティブ化されたこと、及び/又は第2のパーキングブレーキ動作デバイスがアクティブ化されたことが検出された場合、パーキングブレーキ機能をアクティブ化するように構成されることが更に提供される。ブレーキシステムが少なくとも1つのパーキングブレーキ動作デバイスを有し、パーキングブレーキ動作デバイスが中央ブレーキ制御ユニットに接続され、パーキングブレーキ動作デバイスの動作についてのパーキングブレーキ情報を中央ブレーキ制御ユニットに送信するように構成され、中央ブレーキ制御ユニットは好ましくは、パーキングブレーキ情報がパーキングブレーキ動作デバイスから受信された場合、パーキングブレーキ機能をアクティブ化するために、車輪ブレーキを作動させるように構成されることを更に提供することができる。
【0024】
更なる実施形態によれば、正常動作モードでの中央ブレーキ制御ユニットが、特定されたブレーキ需要から、車輪ブレーキの各々によって印加すべきブレーキトルク及び/又は把持力を決定し、局所ブレーキ制御ユニットに送信される制御信号が、各局所ブレーキ制御ユニットと関連付けられた車輪ブレーキの決定されたブレーキトルク及び/又は把持力を含むことが更に提供される。「把持力」は、車輪ブレーキの摩擦相手方が互いに押し合う力として理解されるべきである。さらに、「ブレーキトルク」は、車輪ブレーキにより車両車輪に印加され、車両車輪の回転方向の逆に作用するトルクとして理解されるべきである。それに従って、この実施形態では、ブレーキ需要の処理は、車輪ブレーキによって実際に生成すべき力が決定されるポイントまで全体的に中央ブレーキ制御ユニットによって行われる。この場合、好ましくは、所望の減速を達成するために提供される車輪ブレーキ間のブレーキ力の分布も、中央ブレーキ制御ユニットによって考慮に入れられる。そして「ブレーキ力」は、車両車輪と道路との間で作用し、車両の減速を生じさせる力として理解されるべきである。
【0025】
全体的に中央ブレーキ制御ユニットによるブレーキ需要の上記処理への代替として、更なる実施形態によれば、正常動作モードでの中央ブレーキ制御ユニットが、特定されたブレーキ需要から、車輪ブレーキによって印加すべきモーター車両の所望の減速を決定し、局所ブレーキ制御ユニットに送信される制御信号が、モーター車両の決定された所望の減速を含むことが提供される。その場合、局所ブレーキ制御ユニットは、モーター車両の所望の減速を実施するために、関連付けられた各車輪ブレーキによって印加すべきブレーキトルク及び/又は把持力を決定するように構成される。この場合、各場合において車輪ブレーキ間でブレーキ量を分割するブレーキ力分布機能は、印加するべきブレーキトルク及び/又は把持力を決定するに当たり車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットによって考慮に入れられる。したがって、この実施形態では、中央ブレーキ制御ユニットは、車両の所望の減速についての情報のみを決定し、その情報は次いで、局所ブレーキ制御ユニットによって更に処理されなければならない。
【0026】
更なる実施形態によれば、フォールバックレベル動作モードでの局所ブレーキ制御ユニットが、第2の動作情報から、各局所ブレーキ制御ユニットと関連付けられた車輪ブレーキによって印加すべきブレーキトルク及び/又は各局所ブレーキ制御ユニットと関連付けられた車輪ブレーキによって印加すべき把持力を決定するように構成されることが更に提供される。
【0027】
好ましい実施形態によれば、ブレーキ需要を実施するために必要なブレーキ力の車輪ブレーキ間の予め定義された分布が、印加すべきブレーキトルク及び/又は印加すべき把持力の決定において考慮に入れられることが更に提供される。ここでも、「ブレーキ力」は、車両車輪と道路との間で作用し、車両の減速を生じさせる力として理解されるべきである。したがって、例えば、車両の前車軸の車輪ブレーキが原理上、車両の後車軸の車輪ブレーキよりも高いブレーキ力を印加すべきであることを提供することができる。特に、分布は、例えば、ブレーキ需要の実施に必要なブレーキ力の一定の割合が後車軸又は前車軸の車輪ブレーキによって提供されるように決定することができる。例えば、必要とされるブレーキ力の20%が後車軸の車輪ブレーキによって提供され、一方、前車軸の車輪ブレーキが残りの80%のブレーキ力を提供することを提供することができる。
【0028】
したがって、中央ブレーキ制御ユニットによる減速の調整がない場合であっても、車両車軸の過剰ブレーキを回避することにより、車両の可能な減速能力の効率的な利用を保証することができる。ブレーキ力の分布は、例えば、車両の重量、車両の車輪ベース、車両の重力中心の位置等の車両パラメータに依存することができる。
【0029】
さらに、ブレーキ力の分布が車両の速度、操舵角、及びブレーキ需要の強度に依存することを提供することもできる。したがって例えば、高速でのコーナリング時の顕著な減速の場合、後車軸の過剰ブレーキを回避することが不可欠であり、その理由は、後車軸の過剰ブレーキが後部の車両ブレーキを失わせることになり得るためである。
【0030】
特に好ましくは、車輪ブレーキ間での印加すべきブレーキトルクの分布は、ブレーキ需要の大きさに更に依存する。したがって、ブレーキ需要の大きさが大きくなるにつれて、車両減速時の動的車輪負荷分散により車両の前車軸にブレーキ力がシフトすることが好都合である。
【0031】
減速中の車両の運転安定性は、局所ブレーキ制御ユニットの少なくとも1つの故障が検出される場合、モーター車両の所望の減速の増大並びに/或いは車輪ブレーキによって印加されるブレーキトルク及び/又は把持力の増大が特定の勾配に制限されるという点で、更なる実施形態により改善する。この場合、増大の制限は、車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニット及び中央ブレーキ制御ユニットの両方によって制御することができる。車輪ブレーキのブレーキトルクの増大を定義された勾配に制限することにより、車両に非対称に作用する減速の結果として車両のドライバーにより生成されないように制御することがもはやできない車両のヨーモーメントを回避することができる。
【0032】
この場合、好ましい実施形態によれば、勾配が、故障した局所ブレーキ制御ユニットと関連付けられた車輪ブレーキのモーター車両における位置に依存することが更に提供される。したがって例えば、車両の前輪の車輪ブレーキが故障した場合、減速時に扱うことができるレベルまで車両のヨーモーメントを低減するのに必要な勾配は、車両の後輪の車輪ブレーキの故障と比較して小さい。このために特に、局所ブレーキ制御ユニットの動作ステータスについての情報が局所ブレーキ制御ユニット間で第3のデータ接続を介して交換されるとともに、局所ブレーキ制御ユニットと中央ブレーキ制御ユニットとの間で第2のデータ接続を介して交換されることを提供することができる。したがって、正常動作モード及びフォールバックレベル動作モードの両方で車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットが故障した場合、勾配を目的にかなって設定することができる。
【0033】
本発明の実施形態によれば、後述するアーキテクチャが実施される。各車輪又は各車輪ブレーキに、局所ブレーキ制御ユニット(WCU)及び車輪力又はブレーキ/車輪トルクの生成を担当する電子機械アクチュエータが配置される。これらの局所ブレーキ制御ユニットは径方向配置で中央ブレーキ制御ユニットに接続され、中央ブレーキ制御ユニットは、車両要求、パイロット(Parkpilot、自動クルーズ制御、自動運転)要求、又は機能要求(能動的ヨー制御、牽引制御システム)に基づいてブレーキ需要を局所ブレーキ制御ユニットに分布させる。
【0034】
中央ブレーキ制御ユニットはブレーキ動作ユニット、即ち電子ブレーキペダル(eペダル)の対応するセンサの第1の信号出力を読み込み、DBR要求(運転ブレーキ要求)を決定する。この通信は、土台をなすセンサの生のセンサ情報を用いて行われ、中央ブレーキ制御ユニットによってブレーキ需要に処理、即ち変換される。
【0035】
代替的には、ブレーキ動作ユニットと中央ブレーキ制御ユニットとの間の通信は、車両ネットワークのシリアル通信(CAN、Flexray、Ethernet)を使用して行うことができる。この場合、シリアル通信チャネルは第1のデータ接続の部分として理解されるべきである。
【0036】
中央ブレーキ制御ユニットは、車両バスに接続され、外部需要、特にブレーキ需要をそこから受信することができる。ブレーキ動作ユニットは、通信線(第1のデータ接続)上で、移動、力、又は直接ドライバー要求をブレーキトルクの形態で中央ブレーキ制御ユニットに送信する。
【0037】
ブレーキシステムのフォールバックレベルでは、車輪ブレーキの局所ブレーキ制御ユニットが、第2のチャネルにおいて第2及び第3のデータ接続によって形成された共有リング通信線を介してブレーキ動作ユニットに接続されることが提供される。ブレーキ動作ユニットは、この通信線上で、異なる筐体内又はメインパスから十分に離れた独立センサによって特定された移動、力、又は直接ドライバー要求、即ち中央ブレーキ制御ユニットに送信される情報を送信する。この通信は好ましくは、車両ネットワークのバス(マルチポイント)通信(CAN、Flexray、Ethernet)を使用して行われる。
【0038】
局所ブレーキ制御ユニットは、パス又はeペダルの力に関連する情報からドライバーブレーキ要求(ブレーキ需要)を決定する。局所ブレーキ制御ユニットは、このドライバーブレーキ要求から分散して、任意選択的に他の局所ブレーキ制御ユニットの利用可能な情報を用いてこのドライバーブレーキ要求に関連付けられたブレーキトルクを生成する。自動運転では、リングラインは好ましくは、例えば車両バスによって行われる冗長パイロットにも接続され、そこにブレーキ要求を直接送信することができる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、局所ブレーキ制御ユニットがブレーキ制御機能、例えばABSを直接実行することを更に提供することができる。さらに、局所ブレーキ制御ユニットが車両ブレーキの車輪速度センサの車輪速度情報を直接読み込み、それを使用してブレーキトルクを制御することを提供することができる。
【0040】
さらに、ラジアルライン(第1のデータ接続)が中央ブレーキ制御ユニットから局所ブレーキ制御ユニットへの接続ではなく、むしろ中央ブレーキ制御ユニットから車軸の全ての局所ブレーキ制御ユニットへの接続であることを提供することができる。さらに、中央ブレーキ制御ユニットは一般シャーシコントローラに統合することができる。
【0041】
中央ブレーキ制御ユニット(マスタ)と局所ブレーキ制御ユニット(WCU)との間及び車両バス(車両)との可能な接続を以下、表形式で再び示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
それにより、中央ブレーキ制御ユニットのチャネルと更なる要素との間に提供される接続は「X」で示される。
【0045】
電源、即ちブレーキシステムの要素への電力供給に関して、本発明の一実施形態によれば、中央ブレーキ制御ユニット、ブレーキ動作ユニットのセンサパス(第1のセンサ組立体)、及び車輪ブレーキのうちの2つ(対角又は前若しくは後)又はその局所ブレーキ制御ユニットが、一次車載電源(一次電源)によって供給されることが提供される。2つの他の車輪ブレーキ(対角又は前若しくは後)又はその局所ブレーキ制御ユニット及びブレーキ動作ユニットの第2のセンサパス(第2のセンサ組立体)は、二次車載電源(二次電源)によって供給される。
【0046】
パーキングブレーキ機能を実施するための車輪ブレーキの作動に関して、更なる実施形態によれば、EPBスイッチ(パーキングブレーキ動作デバイス)自体が中央ブレーキ制御ユニットに接続されることが提供される。中央ブレーキ制御ユニットは、パーキングブレーキの作動需要(パーキングブレーキ情報)を決定し、パーキングブレーキ機能を実施するように構成された局所ブレーキ制御ユニットに配信する。
【0047】
フォールバックレベル動作モードでは、車両の車載電源が、「ドライバーが離れた」、「点火オフ」、第2のスイッチ、又は他の入力可能性を介して電子パーキングブレーキの動作要求を決定し、それをリングライン(第2のデータ接続)上で直接送信することを更に提供することができる。
【0048】
この場合、局所ブレーキ制御ユニットが、例えば通信の時間切れ又は明確なログオフを介して、中央ブレーキ制御ユニットの故障が検出されるまで、リングライン(第2のデータ接続)上の情報が無視されるという選択肢を含むことを提供することができる。
【0049】
本発明の好ましい実施形態について図に基づいて以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】例示的なブレーキシステムの概略図を示す。
図2】正常動作モードでの中央ブレーキ制御ユニットにより第1の動作情報から制御信号を決定するための例示的なコントローラ構成を示す。
図3】フォールバックレベル動作モードでの中央ブレーキ制御ユニットにより第2の動作情報から把持力を決定するための例示的なコントローラ構成を示す。
図4】局所ブレーキ制御ユニットが故障した場合、動作情報から制御信号又は把持力を決定するための例示的なコントローラ構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の文章では、類似又は同一の特徴を同じ参照符号で表記する。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態によるブレーキシステム100の概略図を示している。この場合、ブレーキシステム100は、中央ブレーキ制御ユニット102、4つの電子機械車輪ブレーキ104、106、108、及び110、ブレーキ動作ユニット112、車両バス114、並びにパーキングブレーキ動作デバイス116を有する。車輪ブレーキは各々、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124、アクチュエータ126、128、130、132、並びに車輪速度センサ134、136、138、140を有し、車両車輪142、144、146、148と関連付けられる。
【0053】
ブレーキ動作ユニット112は好ましくは、全体的に機械的なペダルフィールシミュレータを有するブレーキペダル(eペダル)の形態である。
【0054】
ブレーキ動作ユニット112は2つの独立した信号出力150、152を有し、第1又は第2の動作情報はそれぞれ、車両ドライバーによるブレーキ動作ユニット112の動作時に信号出力150、152を介して提供される。第1の動作情報は第1のセンサ組立体によって特定され、第2の動作情報は第2のセンサ組立体によって特定される。第1及び第2のセンサ組立体は好ましくは、互いから独立し、好ましくは、異なる物理的数量に基づいて動作情報を特定する。
【0055】
第1の信号出力150は、第1のデータ接続154を介して中央ブレーキ制御ユニット102に接続される。さらに、中央ブレーキ制御ユニット102は、第1のデータ接続154を介して車輪ブレーキ104、106、108、110の局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124、車両バス114、及びパーキングブレーキ動作デバイス116に直接接続される。それにより例えば、車両が自律又は半自律運転モードである場合、ブレーキ需要は車両バスを介して送信することができる。それに従って第1のデータ接続154は、中心に中央ブレーキ制御ユニット102が配置された径方向接続を形成する。
【0056】
中央ブレーキ制御ユニット102は、ブレーキ動作ユニット112から受信した第1の動作情報及び車両バス114から受信したブレーキ需要に基づいて、車輪ブレーキ104、106、108、110のブレーキ制御ユニット118、120、122、124の制御信号を生成し、第1のデータ接続を介してこれらの制御信号をブレーキ制御ユニット118、120、122、124に送信するように構成される。次いで、ブレーキ制御ユニット118、120、122、124は、ブレーキトルクが車輪142、144、146、148において生じるように、受信した制御信号に従ってアクチュエータ126、128、130、132を作動させるように構成される。それにより、車輪142、144、146、148の車輪速度は各々、車輪速度センサ134、136、138、140によってモニタされ、対応する車輪速度情報は第1のデータ接続154を介して中央ブレーキ制御ユニット102に送信される。車輪速度情報に基づいて、任意選択的に更なる情報を考慮に入れて、中央ブレーキ制御ユニット102は、例えばアンチロック制御等のブレーキ制御機能を実施することができる。
【0057】
ボタン又はスイッチの形態、例えば特にトグルスイッチの形態であることができるパーキングブレーキ動作デバイス116の対応する動作に基づいて、対応するパーキングブレーキ情報が中央ブレーキ制御ユニット102に送信される場合、中央ブレーキ制御ユニット102は、対応するパーキングブレーキ機能が車輪ブレーキ104、106、108、110によって実施されるように、車輪ブレーキ104、106、108、110又はそのブレーキ制御ユニット118、120、122、124を作動させる。
【0058】
ブレーキ動作デバイス112の第2の信号出力152は、第2のデータ接続156を介して車輪ブレーキ104の局所ブレーキ制御ユニット118に直接接続される。したがって、ブレーキシステム100のフォールバックレベル動作モード、例えば中央ブレーキ制御ユニット102が故障した場合では、動作情報はブレーキ動作ユニット112から車輪ブレーキ104の局所ブレーキ制御ユニット118に直接送信することができる。この場合、局所ブレーキ制御ユニット118は、受信した動作情報から、ブレーキ需要、ひいては車輪ブレーキ104によって印加すべき対応するブレーキトルクを局所的に決定し、それに対応してアクチュエータ126を作動させるように構成される。
【0059】
さらに、局所ブレーキ制御ユニット118は、第3のデータ接続158を介して、受信した動作情報を更なる局所ブレーキ制御ユニット122、124、及び120に通信するように構成され、それにより、ブレーキ需要もそこで局所的に決定することができ、各アクチュエータ130、128、及び132をそれに対応して作動させることができる。さらに、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124は好ましくは、車輪速度センサ134、136、138、140の各車輪速度情報に基づいて例えばアンチロック制御等のブレーキ制御機能を実行するように構成される。このために特に、各車輪速度センサ134、136、138、140の車輪速度情報が局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124間で交換されることを提供することもできる。
【0060】
最後に、局所ブレーキ制御ユニット120は車両バス114にも接続され、それにより、車両バス114によって受信したブレーキ需要は、ブレーキトルクを提供するためにアクチュエータ128を作動するに当たり局所ブレーキ制御ユニット120によって考慮に入れられる。さらに、車両バス114によって受信したブレーキ需要は、第3のデータ接続を介して局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124間で交換もされ、車輪ブレーキ104、106、108、110の制御において局所的に考慮に入れられる。
【0061】
第3のデータ接続156は、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124が前後に直列接続されるリング接続を形成し、それにより、局所ブレーキ制御ユニットは常に、第3のデータ接続156を介して最大で2つの更なるブレーキ制御ユニットに接続される。
【0062】
ブレーキシステム100のフォールバックレベル動作モード、ひいては中央ブレーキ制御ユニット102が故障した場合、パーキングブレーキ動作デバイス116は中央ブレーキ制御ユニット102のみに接続されるため、パーキングブレーキ動作デバイス116によって提供されるパーキングブレーキ情報はもはや局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124に提供されない。しかしながら、パーキングブレーキ機能はなお、他の車両情報にアクセスすることによって車輪ブレーキ104、106、108、110によって実施することができる。例えば、車両の点火がオフに切り替えられたとき又はドライバーが車両から離れるとき、車輪ブレーキ104、106、108、110のパーキングブレーキ機能が自動的にアクティブ化されることを提供することができる。そのような情報は、例えば車両バス114を介して局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、124に送信することができ、それにより、中央ブレーキ制御ユニット102による別個のパーキングブレーキ需要がない場合であっても、各パーキングブレーキ機能はこれらの場合で自動的にアクティブ化される。
【0063】
ブレーキシステムは好ましくは2つの独立した電源(図示せず)を有する。一次電源は好ましくは、電力をブレーキ動作ユニット112の第1のセンサ組立体、中央ブレーキ制御ユニット102、並びに車輪ブレーキ104及び106、即ち車両の前車軸の車輪ブレーキに供給するように構成される。それに従って二次電源は、電力をブレーキ動作ユニット112の第2のセンサ組立体並びに車輪ブレーキ108及び110、即ち車両の後車軸の車輪ブレーキに供給するように構成される。代替的には、後車軸の車輪ブレーキ108及び110に、一次電源によって中央ブレーキ制御ユニット102と一緒に電力を供給することもでき、一方、前車軸の車輪ブレーキ104及び106には二次電源によって電力が供給される。
【0064】
代替的には、一次電源が電力をブレーキ動作ユニット112の第1のセンサ組立体、中央ブレーキ制御ユニット102、車輪ブレーキ104、及び車輪ブレーキ110、即ち対角線上に配置された車輪ブレーキに供給し、一方、二次電源が電力をブレーキ動作ユニット112の第2のセンサ組立体及び車輪ブレーキ106及び108に供給することを提供することもできる。さらに、一次電源は電力を中央ブレーキ制御ユニット102と一緒に車輪ブレーキ106及び108に供給することもでき、一方、二次電源は電力を車輪ブレーキ104及び110に供給する。
【0065】
図2は、上述したブレーキシステム100の正常動作モードでの中央ブレーキ制御ユニット102によって、第1の動作情報から制御信号を決定するための例示的なコントローラ構成200を示す。この場合、この場合ではブレーキ動作ユニット112のブレーキペダルの動作移動xPedalの形態で示される第1の動作情報202が取得され、ドライバー要求取得204に供給される。動作移動xPedalに加えて、ペダルの動作速度vPedalが更に、例えばブレーキ需要が緊急ブレーキであるか否かを示すことができる、示される実施形態でのドライバー要求取得204のために考慮に入れられる。
【0066】
それにより、ペダルの動作速度vPedalはドライバー要求取得204の動的部分206に供給され、一方、動作移動xPedalは動的部分206及び動作移動208の直接評価の両方に供給される。それにより、動作移動208の直接評価は、入力動作移動xPedalに関数値f(xPedal)を割り振り、そしてこれは動的部分206に供給される。
【0067】
動的部分206から生じるfFBA(vPedal)及び動作移動208の直接評価から生じるf(xPedal)は次いで、機能ブロック210において処理されて、車両減速要求ZRequestの形態のブレーキ需要になり、これは次いでブレーキ力分布212の決定に供給される。車両減速要求ZRequestは、車輪ブレーキ104、106、108、110によって行うべき車両の所望の減速を記述する。
【0068】
ブレーキ力分布212の決定において、図2ではa)及びb)によって区別されている2つの手法が区別される。第1の場合a)では、理想的なブレーキ力分布が、決定された車両減速要求ZRequestからのブレーキ力分布に適用される。理想的なブレーキ力分布を決定するために、例えば、車両の重量、車輪ベース、車両の重力中心の位置等の更なる車両データ214が考慮に入れられる。この場合、車両の前車軸と後車軸との間で印加すべきブレーキ力の分布が、車両減速要求ZRequestの大きさに応じて決定されることを提供することもできる。この場合、車両減速要求ZRequestの大きさが増大するにつれて、車両減速のますます多くの割合が、車両の前車軸の車輪ブレーキ104及び106によって実施されることを提供することができる。したがって、車輪ブレーキの減速能力は、動的車輪負荷分散を考慮に入れて最適に利用することができる。逆に、第2の場合b)では、車両の前車軸と後車軸との間の一定の予め定義されたブレーキ力分布が適用される。
【0069】
ブレーキ力分布のFに従って車両減速要求ZRequestを実施するために必要なブレーキ力のそうして決定された値から、車輪ブレーキ104、106、108、及び110によって印加すべき把持力FSp,Request[VL,VR,HL,HR]は次いで、機能ブロック216において決定され、制御情報として車輪ブレーキ104、106、108、及び110の局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124に送信される。代替的には、ここで及び更に考慮するために、把持力に望ましい値の代わりに、車輪でのブレーキトルクの所望の値を指定することもできる。これは、どの物理的数量が電子機械的車輪ブレーキ104、106、108、110によって設定されるべきか又は設定することができるかにも依存する。
【0070】
代替的には、正常動作モードでは更に、ブレーキ力分布212が局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124において行われ、それにより、中央制御ユニット102が車両減速要求ZRequestのみを決定し、第1のデータ接続154を介してそれを制御情報として局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124に送信することも既に提供することができる。
【0071】
図3は、フォールバックレベル動作モードにおいて局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124により、第2の動作情報から把持力を決定する例示的なコントローラ構成300を示す。この場合、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124が、直接、第2のデータ接続156及び第3のデータ接続158を介して、ブレーキ動作ユニット112のブレーキペダルの動作移動xPedalの形態で第2の動作情報302を受信することが提供される。動作移動xPedalの代わりに、特に動作移動xPedalから物理的に独立して特定される動作角又は動作力を第2の動作情報302として提供することができる。
【0072】
第2の動作情報はここでも、動作移動の直接評価308に供給され、ここから、動作移動xPedal又は代替の数量に依存する値f(xPedal)が決定される。図2を参照して上述した動的部分206は、ここに示される実施形態では非アクティブ化される。値f(xPedal)から、車両減速要求ZRequestが再び機能ブロック310において決定され、ブロック312において印加すべきブレーキ力Fの決定に供給される。この場合、車両減速要求ZRequestの大きさに依存しない前車軸と後車軸との間の一定の予め定義されたブレーキ力分布が適用される。最後に、各車輪ブレーキ104、106、108、又は110によって印加すべき把持力FSp,Request[Bremsen_id]に望ましい値は、ブロック314において局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124によって決定され、Bremsen_idは、車両における問題となっている車輪ブレーキ104、106、108、又は110の位置を識別する(VL,VR,HL,HR)。この情報は次いで、各アクチュエータ126、128、130、及び132の作動に使用される。
【0073】
最後に、図4は、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、又は124が故障した場合、動作情報から制御信号又は把持力を決定するための例示的なコントローラ構成400を示す。車両減速要求ZRequestの決定を含め車両減速要求ZRequestの決定まで、図4の構成は図3の構成と相違せず、したがって、対応する説明は図4の構成に該当する。
【0074】
しかしながら、図4の構成では、車両減速要求ZRequestは、印加すべきブレーキ力の決定412に直接供給されない。むしろ、決定された車両減速要求ZRequestは増大制限機能414に供給され、増大制限機能414は、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124のステータスEMB_Status[VL、VR、HL、HR]を追加情報として考慮に入れる。それにより、増大制限機能414は車両減速要求ZRequestにおける増大、ひいては印加すべきブレーキトルクの増大を特定の勾配に制限する。局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、又は124が故障した場合、なお機能している残りの車輪ブレーキへの減速要求は、車両がブレーキの動作について制御可能なままであるように形成されるべきである。特に前車輪ブレーキが故障した場合、生じるヨーモーメントをドライバーによる対応する反応によって制御することができるようにするために、残りの損なわれていない車輪ブレーキにおける力の蓄積の実行は速すぎるべきではない。
【0075】
勾配が制限される程度は、全ての局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124の機能ステータス又はどの局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124がアクティブステータスを有するかについての情報に依存する。アクティブステータスはこの場合、問題となっている車輪ブレーキ104、106、108、及び110が適宜機能しており、使用可能な状態であることを意味する。ブロック414における増大の制限は、車両の後車軸の車輪ブレーキ108又は110が故障する場合よりも、車輪の前車軸の車輪ブレーキ104又は106が故障する場合(機能状態エラー)にはるかに大きくなる。逆に、全ての車輪ブレーキ104、106、108、110が利用可能な場合、増大制限機能414は非アクティブ化される。最後に、図4の構成400でも、車輪ブレーキ104、106、108、及び110によって印加すべき把持力FSP,Request[VL、VR、HL、HR]は、ブロック412において決定される増大制限ブレーキ力Fから機能ブロック416において決定される。
【0076】
図4に示されるコントローラ構成は、中央ブレーキ制御ユニット102により及びフォールバックレベル動作モードでの好ましい実施形態によれば局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124の両方によって実施することができる。中央制御ユニット102におけるコントローラ構成の実施の場合、機能している各車輪ブレーキ104、106、108、及び110の印加すべき把持力FSP,Request[VL,VR,HL,HR]が決定され、第1のデータ接続154を介して制御情報として各局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124に送信される。
【0077】
逆に、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、又は124において実施される場合、各車輪ブレーキ104、106、108、又は110で印加すべき把持力FSP,Request[VL、VR、HL、HR]のみが決定され、対応するアクチュエータ126、128、130、132の制御に使用される。
【0078】
さらに、局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、又は124の1つの故障した場合、中央ブレーキ制御ユニット102が車両減速要求ZRequestのみを決定し、それを残りの局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124に送信することも可能である。次いで局所ブレーキ制御ユニット118、120、122、及び124は、上述したように車両減速要求ZRequestから、関連付けられた車輪ブレーキ104、106、108、及び110で印加すべき把持力FSP,Request[VL、VR、HL、HR]を決定するように構成される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】