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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】接着剤送達システム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/35 20180101AFI20221205BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20221205BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20221205BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
C09J7/35
C09J7/40
C09J7/10
C09J5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521192
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 IB2020059514
(87)【国際公開番号】W WO2021070137
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/914,157
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ストックホルム,アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エイスミン,リャン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハオ,エンカイ
(72)【発明者】
【氏名】マクダニエル,ディヴィッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ル,ヨンシャン
(72)【発明者】
【氏名】カルヴェルレイ,カレン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AB05
4J004BA02
4J004BA08
4J004DB02
4J004DB03
4J004FA08
4J040JB02
4J040LA02
4J040MB08
4J040NA16
4J040NA17
4J040PA27
(57)【要約】
本発明は、上面及び底面を有する適合性フィルムと、適合性フィルムの上面の少なくとも一部に剥離可能にコーティングされた接着剤と、適合性フィルムの反対側の接着剤の側に接着された軽剥離ライナと、を含む、接着剤送達システムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び底面を有する適合性フィルムと、
前記適合性フィルムの前記上面の少なくとも一部に剥離可能にコーティングされた接着剤と、
前記適合性フィルムの反対側の前記接着剤の側に接着された軽ライナと、
を備える、接着剤送達システム。
【請求項2】
前記適合性フィルムに取り付けられた剛性フレームキャリアを更に備える、請求項1に記載の接着剤送達システム。
【請求項3】
前記剛性フレームキャリアは窓を含む、請求項2に記載の接着剤送達システム。
【請求項4】
前記剛性フレームキャリアの前記窓は、前記接着剤の中心に近接して配置され、剛性フレームキャリアは、前記適合性フィルムの外周に近接して配置されている、請求項3に記載の接着剤送達システム。
【請求項5】
前記剛性フレームキャリアは、前記適合性フィルムよりも剛性が高い材料で形成されている、請求項2に記載の接着剤送達システム。
【請求項6】
前記剛性フレームキャリアと前記適合性フィルムとの間の結合は、前記適合性ライナと前記剛性フレームキャリアとの間の前記結合を破壊することなく、前記接着剤を前記適合性フィルムから除去することができる、請求項2に記載の接着剤送達システム。
【請求項7】
前記適合性フィルムは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の接着剤送達システム。
【請求項8】
前記接着剤は多層複合材料を含む、請求項1に記載の接着剤送達システム。
【請求項9】
前記接着剤は熱活性化される、請求項1に記載の接着剤送達システム。
【請求項10】
前記接着剤は光学的に透明である、請求項1に記載の接着剤送達システム。
【請求項11】
前記接着剤は微細構造を含む、請求項1に記載の接着剤送達システム。
【請求項12】
上面及び底面を有する適合性フィルムと、
前記適合性フィルムの前記上面の少なくとも一部にコーティングされた接着剤と、
前記適合性フィルムの反対側の前記接着剤の面に剥離可能に接着されたライナと、
前記適合性フィルムに強く又は剥離可能に取り付けられたキャリアであって、前記適合性フィルムよりも実質的により剛性の材料で更に形成されている、キャリアと、を備える、接着剤送達システム。
【請求項13】
前記適合性フィルムは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の接着剤送達システム。
【請求項14】
前記キャリアと前記適合性フィルムとの間の前記結合は、前記接着剤と前記適合性フィルムとの間の前記結合よりも強い、請求項12に記載の接着剤送達システム。
【請求項15】
前記接着剤は熱活性化される、請求項12に記載の接着剤送達システム。
【請求項16】
前記接着剤は光学的に透明である、請求項12に記載の接着剤送達システム。
【請求項17】
前記接着剤は微細構造を含む、請求項12に記載の接着剤送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤送達システムに関する。特に、本発明は、成形表面に接着剤を送達するためのシステムである。
【背景技術】
【0002】
ダイカット又はレーザー切断接着剤は、電子及び自動車ディスプレイにおける光学及び/又は結合層として広く使用されている。消費者電子機器及び自動車の両方においてディスプレイがより複雑になり、非平坦又は湾曲しているなどの新しい形状を取る傾向が高まると、成形表面上に接着剤を適用するために、様々な材料及び製造方法を開発する必要がある。電子ディスプレイに使用される接着剤は、一般に、接着剤を使用する準備ができるまで接着剤を保護するために、各表面上に剥離ライナを備えている。電子ディスプレイに接着剤を適用するために使用される剥離ライナは、典型的には剛性かつ寸法的に安定である。
【0003】
接着剤を表面に積層(laminate)するために、様々な方法を使用することができる。1つの方法では、ローララミネータを使用して、接着剤を2D及び2.5D(2つの反対側の縁部で湾曲した)ディスプレイ表面に積層する。本方法では、軽剥離ライナは接着剤から除去され、接着剤の一方の縁部はディスプレイ層表面の嵌合縁と位置合わせされる。剛性重剥離ライナの支持体によって支持されているため、ローラは、接着剤をディスプレイ表面に正確に適用する。接着剤をディスプレイ表面上に積層する別の方法は、真空ラミネータを使用することである。本方法では、接着剤は、適用面に固定され、ディスプレイ層表面の上に位置合わせされる。次いで、接着剤は、真空環境において表面圧力下でディスプレイ表面に適用される。
【0004】
剛性ライナは、2D及び2.5Dの表面に積層するときに接着剤に効果的な支持を提供するが、適合に必要な潜在的な大きな変形及びライナ材料を座屈させ得る応力により、接着剤を3D表面に積層するときにいくらかの問題が発生する場合がある。座屈問題に対する1つの解決策は、より剛性の低いライナを使用するか、又は積層プロセス中にプロセスライナの剛性を熱で低減することである。しかしながら、これは、製造プロセスの各ステップにおいて品質問題を生じさせる可能性がある。剛性が低いライナが使用される場合、接着剤及びライナは、真空でディスプレイ表面上に引っ張られ、接着される。従来のライナは、ライナの一部がディスプレイ表面の湾曲した角部まで引っ張られるので、しわになる場合がある。より低い剛性ライナは、湾曲面への成形を可能にするが、コーティング、変換、及び組み立てプロセス中に接着剤を支持するのに十分な剛性を有しなければならないという点で制限され得る。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、本発明は、上面及び底面を有する適合性フィルムと、適合性フィルムの上面の少なくとも一部に剥離可能にコーティングされた接着剤と、適合性フィルムの反対側の接着剤側に接着された軽剥離ライナと、を含む、接着剤送達システムである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、添付図面を参照して更に説明され得る。
図1A】本発明による送達システムの第1の実施形態の底面図である。
図1B】本発明による送達システムの第1の実施形態の断面図である。
図1C】本発明による送達システムの第1の実施形態に対する代替の断面図である。
図1D】本発明による送達システムの第1の実施形態に対する代替の断面図である。
図2】本発明による送達システムの第2の実施形態の底面図である。
図3】本発明による送達システムの第3の実施形態の底面図である。
図4】本発明による送達システムの第4の実施形態の底面図である。
図5A】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図5B】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図5C】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図5D】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図5E】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図5F】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図5G】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図5H】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
図6A】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図6B】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図6C】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図6D】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図6E】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図6F】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図6G】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図6H】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第2の実施形態のフローチャートである。
図7A】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7B】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7C】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7D】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7E】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7F】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7G】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7H】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7I】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7J】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7K】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図7L】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第3の実施形態のフローチャートである。
図8A】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8B】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8C】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8D】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8E】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8F】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8G】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8H】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8I】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8J】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8K】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8L】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8M】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8N】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図8O】本発明による接着剤送達システムを製造する方法の第4の実施形態のフローチャートである。
図9A】本発明の一実施形態による成形表面に積層されている接着剤のフローチャートである。
図9B】本発明の一実施形態による成形表面に積層されている接着剤のフローチャートである。
図9C】本発明の一実施形態による成形表面に積層されている接着剤のフローチャートである。
図10】積層前に接着剤がパック上で伸張されるセットアップの側面図である。
図11】パック上で接着剤を伸張するために、接着剤は積層プロセス中にクランプされているセットアップの側面図である。
図12】パック硬度の関数としての変位を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1Aは、底面図を示し、図1B図1C、及び図1Dは、本発明の接着剤送達システムの一実施形態の断面図を示す。接着剤送達システムは、2つの基材の光学/ディスプレイ結合を可能にし、基材のうちの少なくとも1つは、成形されている(例えば、トポグラフィを含む湾曲又は他の非平面である)。すなわち、基材のうちの少なくとも1つは、x軸及びy軸の両方で平面から湾曲する。接着剤送達システムは、一般に、適合性フィルム上の接着剤を含む(適合性ライナとも呼ばれ、これらの用語は本明細書全体を通して互換的に使用される)。適合性フィルムは、適合性フィルムに関連する取り扱い及び精度の問題を克服するのを助けるために、より剛性のフレームキャリアによって支持され得る。剛性フレームキャリアは、ライナ応力座屈及び結果として得られる接着積層欠陥なしで、成形表面への接着剤の積層を支持する。更に、一実施形態では、本発明は、使用中に望ましくない剛性フレームキャリアの部分が、消費者により使用前に任意選択的に除去され、それによって、接着剤を適用し、消費者レベルで廃棄物流を低減するために必要なステップを最小化する方法及び装置を提供する。図1Bは、廃棄物が除去されていることを示し、図1Cは、廃棄物が除去されていないことを示す。
【0008】
本発明の接着剤送達システムは、電子ディスプレイ製造の分野において特に有用である。3次元湾曲面に均一に適合する平面フィルムの場合、フィルムは、合わせ表面に接触するときに曲がり、伸張し、及び/又は圧縮し、これは、フィルム及び表面基材の両方に応力を生じさせる場合がある。フィルムの変形ひずみは、その降伏強度を超える応力を発生させる場合があり、ここでは、応力が解放されたても変形ひずみは完全に回復せず、これは塑性変形として定義される。ひずみが回復される場合、材料は、典型的には、ひずみが時間とともに回復する弾性又は粘弾性と見なされる。ポリウレタンなどの材料は、例えば、ひずみレベルが約10%を超える場合、ポリプロピレンフィルムよりも著しく良好にひずみを回復する。ひずみ変形が固定されている場合、応力レベルが緩和され得る。応力が維持される場合、材料はまた、クリープひずみを生成する場合があり、材料は、時間とともに変形し続ける。クリープは、応力が存在する場合、任意の所与のひずみレベルで起こり得る。一実施形態では、適合性フィルムは、3次元(3D)電子ディスプレイ層表面に適合可能である。このように、適合性フィルムを使用して接着剤がディスプレイ層表面に適用される場合、接着剤は、しわ又は光学歪みなしで、表面に均一に適合する。
【0009】
本発明の接着剤送達システム10は、図に示すように、剥離特性を有する上面14、及び底面16を有する重剥離ライナ12と、重剥離ライナ12の上面14の少なくとも一部がコーティングされた接着剤18と、重剥離ライナ12の反対側の接着剤18に剥離可能に接着された軽剥離ライナ20と、を含む。重剥離ライナ12は、2層可剥性構造であり、適合性フィルム22と、適合性フィルム22のための剛性フレームキャリア26としても用いられ得る剛性ライナ24と、を含む。剛性フレームキャリア26は、適合性フィルム22の少なくとも一部に取り付けられ、適合性フィルムの少なくとも一部を覆う。剛性フレームキャリア26は、適合性フィルム22よりも実質的に剛性が高い材料で形成されて、特に軽剥離ライナ20を除去した後、送達システム10に剛性を提供する。剛性フレームキャリア26は、適合性フィルム22に恒久的に又は剥離可能に取り付けられ得る。図1A図1B図1C、及び図1Dに示す実施形態では、剛性フレームキャリア26は、接着領域内に延びず、接着剤18が表面に適合する最大能力を有することを可能にする。
【0010】
一実施形態では、重剥離ライナ12は、剥離コーティング及び剛性フレームキャリア26で処理された表面を有する薄い伸張可能な適合性フィルム22を含む。一実施形態では、剥離コーティングは、シリコーン、フルオロポリマー、又は疎水性アルキルアクリレートを含むことができるが、これらに限定されない。適合性フィルム22を支持する剛性ライナ24もまた剛性フレームキャリア26である場合(図5に示すように)、剛性フレームキャリア26と適合性フィルム22との間の結合は、接着剤18と重剥離ライナ12及び軽剥離ライナ20の両方との間の結合よりも小さい。剛性フレームキャリア26と適合性フィルム22との間の結合は、接着剤18と軽剥離ライナ20との間の結合と同等であるか、それ以下である。剛性フレームキャリア26が剛性ライナ24とは異なる場合、剛性ライナ24は除去されてもよく、剛性フレームキャリア26は、変換プロセス中に薄い適合性フィルム22に結合されて、光学/ディスプレイ表面積層中に接着剤部分を支持する。一実施形態では、剛性フレームキャリア26は、接着剤18のサイズ及び形状を越えて延びて、積層が真空下で行われる前に、成形表面の上の接着剤18の支持及び近似を提供することができる。一実施形態では、重剥離ライナ12はまた、少なくとも1つのフレームタブを含んでもよい。フレームタブを使用して、適用後に、薄い適合性フィルム22を接着剤から除去することができる。
【0011】
一実施形態では、剛性フレームキャリア26は、接着剤18の周りに窓28を含み、その結果、接着剤18と接触する適合性フィルム22の全体は、積層プロセス中に邪魔のない表面に自由に適合する。別の実施形態では、本発明はまた、適合性フィルム22及び接着剤18のひずみを所望のように制御するために、接着剤18の特定の領域の後ろに適合性フィルム22上に剛性フレームキャリア26を戦略的に位置決めされるという利点を提供する。ひずみを制御することにより、光学的欠陥を低減することができる。
【0012】
図2及び図3は、本発明による接着剤送達システムの第2及び第3の実施形態10a及び10bのそれぞれの底面図を示す。接着剤送達システムの第2及び第3の実施形態の各々は、剛性フレームキャリア26a、26bの様々な実施形態を含む。特定の場合において、接着剤18のある程度の制御は、それが適合性フィルム22と共に自由に変形しないように望まれる。これらの場合、剛性フレームキャリア26は、角部などの所望の領域における伸張の量を低減及び/又は制御するために、接着領域内に延びてもよい。図2に示す第2の実施形態10aでは、剛性フレームキャリア26aは、接着剤18の中心に近接する窓28aと、接着剤18の外周に近接する外部フレーム26aとを含み、接着剤18に支持を提供する。図3に示す第3の実施形態10bでは、内部フレーム26bは、多くの適合性を必要としない接着剤18の領域に使用される。本実施形態では、剛性フレームキャリア26bは、接着剤18の中心に近接し、接着剤18の形状を維持するために接着剤18の縁部に向かって延びる突起部30を含む。
【0013】
図4は、本発明の接着剤送達システムの第4の実施形態10cの底面図を更に示す。図4に示す第4の実施形態10cでは、接着剤送達システムは、剛性フレームキャリアを含まない。この場合、適合性フィルム22cは、接着剤送達システムに構造を提供するのに十分に剛性であるか、又は除去可能な剛性キャリアによって完全に積層される。
【0014】
本発明の接着剤送達システム10は、その上に接着剤コーティング18を有する任意の適合性フィルム22と関連して有用である。一実施形態では、接着剤18は、適合性フィルム22への重結合、及びOLEDディスプレイなどの別の光学フィルムへの軽結合を有する場合があり、適合性フィルム22がOLEDに接着されて、接着剤/適合性フィルム基材がその後除去される3D成形又は積層プロセスを助けることができる。
【0015】
本発明の接着剤送達システム10での使用に好適な軽剥離ライナ20は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、又はそのような複合材料が挙げられるが、これらに限定されない材料で作製することができる。一実施形態では、軽剥離ライナは、フルオロケミカル又はシリコーンなどの、剥離剤でコーティングされている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,472,480号は、低表面エネルギーペルフルオロ化合物ライナを記載している。一実施形態では、軽剥離ライナ20は、シリコーン剥離材料でコーティングされたポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムを含むことができるが、これらに限定されない。市販のシリコーンコーティング剥離ライナの例としては、SKC Haas(Korea)から市販されているRF02Nライナ、Nan Ya Plastics Corp.(Taiwan)から市販されているLN75ライナ、及びCary,North Carolinaに所在するLoparexによって販売されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明の適合性フィルム22は、約60MPaを超えない、特に約40MPaを超えない、より具体的には約20MPaを超えない、0~100%の真ひずみ、かつ明確な塑性(又は永久)変形を有さない、真の応力/ひずみ勾配を有する。この勾配は、弾性材料のヤング率に似ており、これは、E=σ/εとして定義でき、式中、Eはヤング率、σは単位固定面積当たりの一軸工学応力又は一軸力、εは一軸工学ひずみ、又は比例変形(長さの変化を元の長さで割ったもの)である。大きな変形の場合、工学ひずみは、変形状態を正確に記述せず、次に真のひずみは定義される。真のひずみは、長さの変化を元の部品の長さから積分された長さで割った積分であり、1単位ずつ増分する工学ひずみの自然対数に単純化される。小さなひずみ(<1%)については、工学ひずみは、真のひずみと同様である。3D積層の場合、真のひずみは、約50%を超え得る。真の応力は、領域がもはや固定されていないことを除いて、工学応力のように定義される。勾配自体が一定でない場合があるため、適合性材料について勾配限界が定義される。E及びσの両方は圧力の単位を有し、一方、εは無次元である。適合性フィルム上の所与の量の真のひずみのパーセントについて、真の応力は、勾配によって限定される値を超えるべきではない(例えば、100%真のひずみは、約40MPaを超えるべきではない)。
【0017】
適合性フィルム22は、剥離ライナの弾力性及び透明性の望ましい特性を有する材料から形成される。一実施形態では、適合性フィルム22は、半透明又は透明なポリマーフィルムである。一実施形態では、適合性フィルム22は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、及びそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0018】
一実施形態では、本発明の適合性フィルム22は、接着剤接触側に低接着性コーティング又は表面を含む。低接着性コーティングは、剥離コーティングを適用することによって、又はそれが薄いフィルムとしてキャスト若しくは押し出される前に適合性フィルム樹脂中に剥離添加剤を添加することによって適用され得る。一実施形態では、接着剤に面する側の低接着性コーティングは、接着剤及び剛性フレームキャリア結合法の両方と互換性がある。低接着性コーティングが反対側に存在する場合、接着剤は、剛性フレームキャリア結合法と互換性がある。
【0019】
本発明による任意の低接着性コーティング又は処理を選択する際の主要な考慮事項は、剛性フレームキャリア26と適合性フィルム22との間、及び接着剤18と適合性フィルム22との間の結合におけるそれらの剥離特性及びそれらの適合性である。
【0020】
本発明の接着剤送達システム10での使用に好適な剛性フレームキャリア26は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそのような複合材料が挙げられるが、これらに限定されない材料で作製することができる。一実施形態では、剛性フレームキャリアは、フルオロケミカル又はシリコーンなどの、剥離剤でコーティングされている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,472,480号は、低表面エネルギーペルフルオロ化合物ライナを記載している。一実施形態では、剛性フレームキャリア26は、低接着性接着剤層でコーティングされている。そのようにして、フレームキャリアを可撓性の適合性ライナに結合して、コーティング中、積層プロセス中の取り扱いの支持を提供することができる。一実施形態では、剛性フレームキャリアは、ポリウレタンフィルム、ポリオレフィンフィルム、及び更に紙を挙げることができるが、これらに限定されない。市販のシリコーンコーティング剥離ライナの例としては、SKC Haas(Korea)から市販されているRF02Nライナ、Nan Ya Plastics Corp.(Taiwan)から市販されているLN75ライナ、及びCary,North Carolinaに所在するLoparexによって販売されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
一実施形態では、送達システム10のために剛性フレームキャリア26を供給するために使用される材料は、適合性フィルム22が、しわになるのを防ぎ、適用中に接着剤18の望ましくないひずみを制御するために、適合性フィルム22よりも実質的に剛性である。剛性フレームキャリア26に使用される材料は、適合性フィルム22への制御された結合を有し得る。一実施形態では、剛性フレームキャリア材料26は、適合性フィルム22への結合を生成するために接着剤コーティングされ得る。別の実施形態では、剛性フレームキャリア材料26はまた、適合性フィルム樹脂を剛性フレームキャリア材料上に押し出すことによって、適合性フィルム22に結合され得る。更に別の実施形態では、剛性フレームキャリア材料26はまた、接着剤送達システム10を製造する目的で、低接着性コーティングの有無にかかわらず、適合性フィルムにヒートシール可能であり得る。一般に、剛性フレームキャリア26の材料としては、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ(メチル)メタクリレートフィルム、アクリロニトリルブタジエンスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリオキシメチレンフィルム、及びそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0022】
剥離ライナ及び接着剤の他の組み合わせは、本発明による実施形態と共に使用するために企図される。当業者は、最終製品において所望される品質の組み合わせに到達するために、異なるライナ対して新しい接着剤又は異なる接着剤に対して新しいライナを試験するプロセスに精通しているであろう。シリコーン剥離ライナの選択に関連する考慮事項は、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,Van Nostrand-Reinhold,1982,pp.384~403の第18章に記載を見ることができる。米国特許第4,472,480号はまた、ペルフルオロポリエーテル剥離ライナの選択に関連する考慮事項について記載している。
【0023】
剥離ライナは、多種多様な独自の配合で様々な製造業者から入手可能である。当業者は、通常、所望の剥離特性を有する製品に到達するために選択された接着剤に対する模擬使用条件についてそれらの剥離ライナを試験するであろう。
【0024】
一実施形態では、接着剤18は、約65℃の高温で高流量/クリープ、室温で低い初期粘着性、並びにディスプレイ電子機器及び自動車産業のための十分な接着特性を有する光学的に透明な転写接着剤である。本明細書で使用するとき、用語「光学的に透明」は、硬化させると約6%未満、特に約4%未満、より具体的には約2%未満のヘイズ、約88%より高い、特に約89%より高い、より具体的には約90%より高い視感透過率、約98%より高い、特に約99%より高い、より具体的には約99.5%より高い光学的透明度を有する材料を指す。典型的には、透明度、ヘイズ、及び透過率は、接着剤が、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などの2つの光学フィルムの間に保持される構造上で測定する。次いで、接着剤及び基材を含む構造全体で測定を行う。ヘイズ及び視感透過率は共に、例えばASTM-D 1003-92を使用して測定することができる。透過率、ヘイズ、及び光学的透明度の光学測定は、例えば、BYK Gardner haze-gard plus 4725 instrument(Geretsried,Germany)を使用して行うことができる。BYK機器は、光源「C」源を使用し、そのスペクトル範囲にわたる全ての光を測定して、透過値を計算する。ヘイズは、入射ビームから2.5°より大きく偏位する透過光の百分率である。光学的透明度は、2.5°未満の角度で評価される。典型的には、PCOCAは、視覚的に気泡を含まない。
【0025】
接着剤18は、約65℃の高温で高流量/クリープ、室温で低い初期粘着性、並びにディスプレイ電子機器及び自動車産業のための十分な接着特性を達成することができる。接着剤18は、当業者に既知の任意の方法で上記の特性を達成するために活性化され得る。一実施形態では、接着剤18は、感圧性接着剤(PSA)である。PSAは、より低い粘着性、より強い分子相互作用(例えば、水素結合)、及び室温での高い弾性率を有し得る。一実施形態では、接着剤18は、加熱活性化接着剤である。一実施形態では、接着剤18は、積層時及び紫外線投与を介してフィルム(例えば、プラスチックシート)のように作用し、フィルムは粘弾性及び感圧接着剤になる。一実施形態では、接着剤18は、接着剤と反応する添加剤を含む化学活性化接着剤であり、反応が起こると、非常にゆっくりと接着を構築する。一実施形態では、接着剤18は、接着剤18の表面にあるシリコーンを含むことができる。シリコーンの存在は、初期接着性を低くするため、積層欠陥がある場合、接着剤を再作業可能にする(すなわち、剥離する)ことができる。経時的に、シリコーンは、接着剤のバルクに移動し、したがってガラスに対して粘着性になり、ガラスに対してより高い接着性をもたらす。一実施形態では、接着剤18は、粘着性感圧層であってもよいが、再配置性及び滑り特性を達成するために具体化された構造を有する。一実施形態では、接着剤18は、粘着性感圧性接着剤であってもよいが、滑り又は再配置性を助けるために非粘着性ドメインであってもよい。非粘着性ドメインは、接着剤層と同様の屈折率を有し得る。非粘着性ドメインは、熱活性接着剤配合物であり得る。
【0026】
一実施形態では、接着剤18の積層温度は、約40℃~約150℃、具体的には約40℃~約100℃、より具体的には約50℃~約80℃、最も具体的には約65℃である。
【0027】
クリープは、所与の圧力又は応力が加えられたときに接着剤18がどの程度変形するかどうかの測定値である。クリープひずみの百分率が高いほど、積層圧力が印加されたときに接着剤が3D形状に「流動」する可能性が高いことが予想されるであろう。一実施形態では、接着剤18は、約25℃で、約0~約100%、具体的には約2~約75%、より具体的には約2~約50%のクリープひずみ百分率を有する。一実施形態では、接着剤18は、約65℃で、約65~約800%、具体的には約85~約600%、より具体的には約100~約500%のクリープひずみ百分率を有する。
【0028】
一実施形態では、接着剤18は、約-20℃~約150℃、具体的には約-15℃~約100℃、より具体的には約-5℃~約85℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0029】
貯蔵弾性率は、接着剤18の弾性性質の尺度である。値が高いほど、よりフィルムのようになり、接着剤が低い粘着性を有する傾向が高く、滑りがより良好になり得る。一実施形態では、接着剤18は、約25℃で、約1E+4~約1E+9Pa、具体的には約1E+5~約1E+8Pa、より具体的には約5E+5~約5E+7Paの貯蔵弾性率を有する。一実施形態では、接着剤18は、約65℃で、約1E+2~約1E+6Pa、具体的には約1E+3~約1E+6Pa、より具体的には約1E+4~1E+6Paの貯蔵弾性率を有する。
【0030】
損失弾性率は、接着剤18の粘度特性の尺度である。損失弾性率が高いほど、接着剤は液体として挙動する。一実施形態では、接着剤18は、約25℃で、約1E+3~約1E+9Pa、具体的には約1E+4~約1E+8Pa、より具体的には約1E+5~約5E+7Paの損失弾性率を有する。一実施形態では、接着剤18は、約65℃で、約1E+3~約5E+6Pa、具体的には約1E+4~約1E+6Pa、より具体的には約1E+4~約1E+5Paの貯蔵弾性率を有する。
【0031】
接着剤18のtan δは、損失弾性率を貯蔵弾性率で割ったものである。tan δは、接着剤の「流動」を説明するのに役立ち得る。高いtan δは、一般に、「液体様」特性をより有する、より高い流動を意味する。一実施形態では、接着剤は、約25℃で、約0.01~約2.5、具体的には約0.1~2.2、より具体的には約0.4~1.5のtan δを有する。一実施形態では、接着剤は、約65℃で、約0.1~約3、具体的には約0.25~3、より具体的には約0.5~2.5のtan δを有する。
【0032】
本発明の接着剤18はまた、硬化させると、ASTM3330に基づいて少なくとも約100g/cm、特に少なくとも約500g/cm、より具体的には少なくとも約1000g/cmの剥離接着力を有する。接着剤18の剥離接着力が低すぎると、接着剤18が破損し、それを含む物品がバラバラになる(すなわち、剥離する)ことがある。接着剤は、さまざまな形で破損し得る。
【0033】
一実施形態では、接着剤18は、室温で基材上の湿潤を防止するために微細構造パターンが付与される。高温では、接着剤が湿潤する。微細構造は、湿潤中に空気ブリードを促進するように機能することができる。微細構造は、構造化されたバッキングに直接コーティングすること、又はコーティング後に構造化されたバッキングに転写することのいずれかによって、接着剤18に付与することができる。この構造化されたバッキングは、転写接着剤の軽剥離ライナ及び重剥離ライナとして機能する。重剥離ライナは、積層中にライナ及び接着剤の座屈を低減するために覆われる表面の形状に適合することになる。
【0034】
一実施形態では、接着剤18は多層複合材料である。多層構造は、異なる特性を有する接着剤の少なくとも2つの層を含む。例えば、薄い、より粘着性の低い接着剤スキン層及びPSAコア層。より粘着性の低い接着剤層は、積層プロセス中に「滑る」能力を提供し、厚いPSAコアは、積層プロセス中に効率的な流れを提供することができる。
【0035】
本発明の送達システム10は、適合性フィルム22の両側にリリースを含み、接着剤18を有するリリース、及び剛性フレームキャリア26を有するリリースを含む。又は、いくつかの実施形態では、剛性フレームキャリア26は、剛性ライナ24を剛性フレームキャリア基材26として使用することに対して、ダイカットプロセスの一部として適合性フィルム22に適用される。変換プロセス中に剛性フレームキャリア26を結合する場合、強力な結合が生成され、適合性フィルム22が剛性フレームキャリア26上に押し出される場合、結合とは異なる要件セットを有する。
【0036】
好適なキャリア結合を提供する組み合わせの例は、以下の実施例に提示されるが、多くの他の組み合わせもまた、本発明による装置及び方法の要件を満たすことが企図される。
【0037】
上で論じたように、接着剤送達システム10は、適合性フィルム22の上面上の制御された剥離表面及び適合性フィルム22の底表面上の制御された剥離表面を有する適合性フィルム22と、適合性フィルム22の上表面に接着された接着剤18と、適合性フィルム22の上表面又は底表面のいずれかに接着された剛性フレームキャリア26と、接着剤18の露出表面に取り付けられた軽ライナ20と、を含む。一実施形態では、剛性フレームキャリア26は、押出溶融結合又はヒートシール結合で適合性フィルム22に取り付けられている。任意選択的に、窓部28は、剛性フレームキャリア26から切り取られ、フレーム及び適合性フィルム22の面の一部分を露出する窓を作ることができる。剛性フレームキャリア26は、軽ライナ20が送達システム10から除去された後、適合性フィルム22に剛性を提供する。上述のように、ライナと接着剤18との間の低接着性コーティングは、剛性フレームキャリア26と適合性フィルム22との間の結合と適合する。本発明の接着剤送達システム10を製造する様々な方法を以下に説明する。
【0038】
図5A図5Hは、本発明の接着剤送達システム10を製造する一実施形態を示す。本実施形態では、適合性フィルム22は、最初に剛性ライナ24上に作製され、これもまた剛性フレームキャリア26になる。次いで、接着剤18は、軽剥離ライナ20と適合性フィルム22との間にコーティングされる。一実施形態では、接着剤18の軽剥離ライナ20と重剥離ライナ12との間の差動剥離は、約5~約10g/インチである。特に、重剥離ライナ12の剥離力は、軽剥離ライナ20の剥離力よりも約1.5倍大きい。一実施形態では、適合性フィルム22と剛性ライナ24との間の差動剥離は、約10~約20g/インチである。一実施形態では、重剥離ライナ12と接着剤18との間の差は、約15~約25g/インチである。次いで、軽剥離ライナ20を除去し、必要に応じて接着剤18を切断する。任意の接着剤廃棄物をストリッピングする。送達システム10を製造する1つの方法では、適合性フィルムのキャリパ及び弾性率は、剛性ライナ24と適合性フィルム22との間の幾分低い結合を破壊することなく、接着剤廃棄物を適合性フィルム22からストリッピングするのに十分な構造を提供する。軽剥離ライナ20は、接着剤18に積層されて、接着剤送達システム10を形成する。剛性キャリアフレーム26は、任意の廃棄物が除去された状態で、必要に応じて剛性ライナ24から切断することができる。本実施形態では、剛性フレームキャリア26と適合性フィルム22との間の結合は、接着剤18と適合性フィルム22との間の結合よりも小さい。この差は、剛性フレームキャリア廃棄物が送達システム10から除去されるときに、接着剤18が適合性フィルム22に取り付けられたままであることを確実にする。一実施形態では、接着剤18と適合性フィルム22との間の結合は、剛性フレームキャリア26と適合性フィルム22との間の結合が、接着剤廃棄物がストリッピングされたときに破壊されないように、適合性フィルム22と剛性フレームキャリア26との間の結合よりもそれほど大きくない。本実施形態では、適合性フィルム22は、部品製造中に剛性ライナ24に取り付けられ、それによって支持される。
【0039】
図6A図6Hは、本発明の接着剤送達システム10を製造する別の実施形態を示す。本実施形態では、適合性フィルム22は、最初に作製される。次いで、接着剤18は、適合性フィルム22と軽剥離ライナ20との間にコーティングされる。次いで、剛性フレームキャリア26は、適合性フィルム22に積層される。軽剥離ライナ20を除去し、必要に応じて接着剤18を切断する。図5A図5Hに示す実施形態と同様に、次いで、接着剤廃棄物はストリッピングされ、軽剥離ライナ20は、接着剤18に積層されて、接着剤送達システム10を形成する。本実施形態では、適合性フィルム22は、剛性フレームキャリア26になる剛性材料によって支持されない。むしろ、フレームは、製造中に追加される。
【0040】
図7A図7Lは、本発明の接着剤送達システム10を製造する更に別の実施形態を示す。図7A図7Lに示す実施形態は、押し出される適合性フィルム22のバッキングを(図5A図5Hの実施形態のように剛性フレームキャリア26の一部になるのではなく)除去することができるように、一時的な支持ウェブ34が、支持のために適合性フィルム22の剥離側に積層されていることを除いて、図5に示される実施形態と同様であり、所望のフレーム材料をその位置に積層することを可能にする。本実施形態では、適合性フィルム22は、剛性ライナ24上に押し出され、剥離層32は、適合性フィルム22上にコーティングされる。変換するために、一時的なキャリア34は、支持のために適合性フィルム22の剥離側に積層され、剛性ライナ24は、適合性フィルム22からストリッピングされる。次いで、剛性フレームキャリア材料26を必要に応じてダイカットし、廃棄物を除去する。次いで、剛性フレームキャリア26は、適合性フィルム22に積層される。接着剤18は、軽剥離ライナ20の間にコーティングされる。1つの剥離ライナ20は接着剤18から除去され、接着剤18はダイカットされ、廃棄物はストリッピングされる。最後に、ダイカット接着剤は、適合性フィルム22の剥離側に積層される。
【0041】
図8A図8Oでは、本発明の接着剤送達システム10を製造する更に別の実施形態が開示される。図8A図8Oの実施形態は、接着剤18及び適合性フィルム22の両方を、それらが一緒に積層されるまで、剛性材料によって完全に支持されるように常に保持する。更に、剛性材料(軽剥離ライナ20及び剛性ライナ24)は、低い剥離力で容易に除去することができ、適合性フィルム/光学フィルム積層体を変形又は損傷するリスクを低減することができる。図8A図8Oの実施形態の最初の数ステップは、図7A図7Lの実施形態の最初の数ステップと同じである。しかしながら、変換ステップは異なる。キャリアフレーム26を適合性フィルム22の底部に接着するのではなく、剥離側に接着する。このようにして、剛性ライナ24は、除去が望まれるまで、適合性フィルム22を支持するためにダイカット部分上に留まることができる。支持用の剛性ライナ24を使用することにより、製造中の一時的なキャリアは、図7A図7Lの場合と同様には必要とされない。
【0042】
図8A図8Oは引き続き、接着剤送達システム10が積層機にどのように固定されて接着剤18を成形表面上に適用するかを示す。剛性ライナ24は除去され、剛性キャリアフレーム26は、クランプ38で接着剤送達システム10の外周にクランプされる。次いで、軽剥離ライナ20は除去され、接着剤18が、3D部品の形状を具現化するパック36に適合される。次いで、接着剤18は、成形表面40に積層され、これは、空気が積層体間に捕捉されるのを防ぐために真空になっている。一旦積層されると、部品が大気圧に解放され、次いで、パック36、クランプ38、及び適合性フィルム22が除去され、接着剤18が成形表面40に接着される。
【0043】
図9A図9Cは、本発明の一実施形態による成形表面40に積層されている接着剤18のフローチャートを示す。本実施形態では、フレーム26が接着剤18の反対側の適合性フィルム22の側面に組み立てられることを除いて、本実施形態は、図8A図8Oに示す方法と同様である。接着剤部分は、最初に積層固定具に配置され、軽剥離ライナ20が除去される。パック36は、接着剤18が真空チャンバ内にある間に成形表面40に押し付けられたときにパック36の形状をとるように、接着剤18に押圧される。
【0044】
実際には、適合性フィルム22及び剛性フレームキャリア26は、接着剤18を成形表面40に適合させ、積層のために接着剤18を担持するために必要である。一実施形態では、接着剤18及び適合性フィルム22は、パック36と結合される表面上に押し付けられる。接着剤18がテクスチャ表面を含む場合、接着剤18上の微細構造は、積層及び空気ブリード中の整列のための滑りを促進する。
【0045】
様々な方法を使用して、送達システム10の接着剤18を成形表面40に光学的に結合することができる。1つの方法は、捕捉された空気を排除するために真空下で動作する積層機器を使用する。図10及び図11は、本発明の接着剤送達システム10を適用するためのモデリング設定の一実施形態の上面図及び側面図をそれぞれ示す。図10及び図11に示す実施形態では、接着剤18は、積層前にパック36上で伸張される。機器は、接着剤送達システム10の縁部を保持し表面の形状に適合させるためのクランプ機構38と、接着剤18の湿潤を改善するために接着剤18を形状に又は形状上に押すためのコンプライアントパック36と、を含む。次いで、接着剤18を積層プロセス中にクランプして、パック36上で接着剤18を伸張する。実際には、接着剤18は、プロセス中に圧縮力が存在しないように、積層中に張力下に保持される。モデリングは、接着剤18が積層中に全ての場所で張力を受ける必要があり、圧縮力が存在してはならないことを示す。圧縮力が存在する場合、接着剤18は、積層中に座屈することになり、その結果、湿潤が不十分になる。接着剤18は、4つ全ての側面で拘束されなければならず、そうでなければ座屈が拘束されていない側面で発生し、パック36への適合が不十分になる。
【0046】
一実施形態では、パック36は、シリコーンで形成される。ソフトシリコンパックは、積層前のフィルム張力中に圧縮され、変位をもたらす。これにより、事前に接着剤18の縁部接触がもたらされ、成形表面40の角部における湿潤が防止される。図12に示すように、一般にパック36の角部で発生する最大変位は、パック硬度の関数である。
【0047】
一部の実施形態では、得られた積層体は、光学素子とすることができるか、又は光学素子を調製するために使用することができる。本明細書で使用する場合、用語「光学素子」は、光学的効果又は光学的用途を有する物品を指す。光学素子は、例えば、電子ディスプレイ、建築用途、交通用途、投影用途、光通信用途及びグラフィック用途において使用することができる。好適な光学素子としては、グレイジング(例えば、窓及びフロントガラス)、スクリーン又はディスプレイ、陰極線管及び反射器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
例示的な光学的に透明な基材としては、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイ、タッチパネル、又は陰極線管、窓若しくはグレイジングなどのディスプレイパネル、反射器、偏光子、回折格子、ミラー又はカバーレンズなどの光学的構成要素、化粧フィルム若しくは別の光学フィルムなどの別のフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
光学的に透明な基材の代表的な例としては、ガラス、並びにポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど、及び三酢酸セルロースを含有するものを含む、ポリマー基材が挙げられる。典型的に、カバーレンズは、ガラス、ポリメチルメタクリレート、又はポリカーボネートで作製することができる。
【0050】
本発明について、好ましい実施形態を参照しながら記述してきたが、当業者なら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細において変更が行われ得ることを、認識するであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図8L
図8M
図8N
図8O
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
【国際調査報告】