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特表2022-551657トラップリッチ層を含むシリコン・オン・インシュレーター基板およびその作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-12
(54)【発明の名称】トラップリッチ層を含むシリコン・オン・インシュレーター基板およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221205BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
H01L27/12 B
H01L21/02 B
H01L27/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521598
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 US2020054588
(87)【国際公開番号】W WO2021071955
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/911,827
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,835
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/911,843
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522142431
【氏名又は名称】クロケット,アディソン
【氏名又は名称原語表記】CROCKETT, Addison
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン,ロン
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン,マーク
(57)【要約】
シリコン・オン・インシュレーター基板は、(1)シリコンおよび第1の側内に拡散したヒ素を含むトラップリッチ領域を含む高抵抗率ベース層、(2)高抵抗率ベース層の第1の側に位置付けられ、1000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する二酸化シリコン層、ならびに(3)二酸化シリコン層に位置付けられたトランスファー層を含む。トラップリッチ領域は1~10ミクロンの範囲の厚さおよび0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有し、高抵抗率ベース層は50~100オームメートルの範囲の低効率および500~700ミクロンの範囲の厚さを有し、トランスファー層がシリコンウェーハを含み500~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第1の側および第1の側とは反対側の第2の側を有する高抵抗率ベース層、
(2)前記高抵抗率ベース層の第1の側に位置付けられた二酸化シリコン層、ならびに
(3)前記二酸化シリコン層に位置付けられたトランスファー層
を順に含む層構造を含み、
前記高抵抗率ベース層は、
(a)シリコン、および
(b)前記高抵抗率ベース層の第1の側内に拡散したヒ素を含むトラップリッチ領域を含み、
前記トラップリッチ領域は、
(i)1~10ミクロンの範囲の厚さ、および
(ii)0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有し、
前記高抵抗率ベース層は、
(a)50~100オームメートルの範囲の低効率、および
(b)500~700ミクロンの範囲の厚さを有し、
前記二酸化シリコン層が1000~5000オングストロームの範囲の厚さを有し、
前記トランスファー層がシリコンウェーハを含み、および500~5000オングストロームの範囲の厚さを有する、シリコン・オン・インシュレーター基板。
【請求項2】
前記トラップリッチ領域が1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有する、請求項1に記載のシリコン・オン・インシュレーター基板。
【請求項3】
前記トラップリッチ領域が前記高抵抗率ベース層のシリコンの結晶構造内に点在するヒ素を含む、請求項1に記載のシリコン・オン・インシュレーター基板。
【請求項4】
前記トラップリッチ領域が4ミクロン~7ミクロンの範囲にある厚さを有する、請求項1に記載のシリコン・オン・インシュレーター基板。
【請求項5】
前記高抵抗率ベース層が550~650ミクロンの範囲にある厚さを有する、請求項1に記載のシリコン・オン・インシュレーター基板。
【請求項6】
前記二酸化シリコン層が2000~4000オングストロームの範囲にある厚さを有する、請求項1に記載のシリコン・オン・インシュレーター基板。
【請求項7】
前記トランスファー層が2000~3500オングストロームの範囲にある厚さを有する、請求項1に記載のシリコン・オン・インシュレーター基板。
【請求項8】
第1の側および第2の側を有する第1シリコンウェーハを供する工程、
前記第1シリコンウェーハの前記第1の側に液体コロイド溶液であるヒ素溶液を適用する工程、
前記第1シリコンウェーハの前記第1の側に拡散したヒ素をもたらし、トラップリッチ領域を生成するために、制御された時間に制御された温度で前記第1の側にヒ素溶液を有する前記第1シリコンウェーハを保持する工程、
高密度プラズマ化学蒸着(HDPCVD)プロセスを用いて前記第1シリコンウェーハの第1の側に二酸化シリコン層を堆積させる工程、
第1の側および第1の側とは反対側の第2の側を有する第2シリコンウェーハを供する工程、
前記第2シリコンウェーハに水素注入物を導入して、劈開面を規定する工程、
前記二酸化シリコン層を活性化させる工程、
前記第2シリコンウェーハの第1の側を活性化させた二酸化シリコン層に接触させて、一体化させたウェーハを生成する工程、
一体化させたウェーハをアニーリングする工程、
前記第1シリコンウェーハと前記第2シリコンウェーハとを相互に離隔させるために一方向に一体化させたウェーハに張力を適用する工程、ならびに
前記劈開面で前記第2シリコンウェーハを劈開するために前記第2シリコンウェーハのエッジをうち、それによってシリコン・オン・インシュレーター基板を作製する工程
を含み、
前記第1シリコンウェーハを保持する工程にて、前記制御された時間が5時間~20時間の範囲にあり、
前記制御された温度が摂氏700~1200度の範囲にあり、
前記トラップリッチ領域の厚さが1~10ミクロンの範囲にあり、
前記トラップリッチ領域が0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲にあるトラップ密度を有し、
前記二酸化シリコン層を堆積させる工程にて、前記HDPCVDプロセスが誘導結合プラズマ源を用い、誘導結合プラズマ源を65ワット~225ワットの範囲にある出力で駆動させ、
前記HDPCVDプロセスが酸素ガス流れ、シランガス流れ、およびアルゴンガス流れを用い、
酸素ガス流れの流量が20~35sccmの範囲であり、
シランガス流れの流量が20~35sccmの範囲であり、
アルゴンガス流れの流量が20~35sccmの範囲であり、
前記HDPCVDプロセスを5ミリトール~20ミリトールの範囲にある圧力で実施し、
前記HDPCVDプロセスを0~100ワットの範囲にあるバイアス電力を用いて実施し、
前記HDPCVDプロセスを摂氏100~250度の範囲にある温度で保持した前記第1シリコンウェーハで実施し、
前記二酸化シリコン層の堆積速度が900~1100オングストローム/分の範囲にあり、
前記二酸化シリコン層の厚さが1500~5000オングストロームの範囲にあり、
前記第2シリコンウェーハに水素注入物を導入する工程にて、前記第2シリコンウェーハの前記第1の側と前記劈開面との間の前記第2シリコンウェーハの一部の厚さが500~5000オングストロームの範囲にあり、
前記二酸化シリコン層を活性化させる工程が0.1~100Paの範囲にある圧力での低圧プラズマ活性化結合を含み、
前記一体化させたウェーハをアニーリングする工程にて、前記アニーリングを、1時間~8時間の範囲の時間で摂氏200~400度の範囲の温度で実施する、方法。
【請求項9】
前記第1シリコンウェーハの前記第1の側にヒ素溶液を適用する工程が、前記第1シリコンウェーハの前記第1の側にヒ素溶液をスピンコーティングすることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体コロイド溶液はヒ素が注入されたガラスを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記酸素ガス流れの流量、シランガス流れの流量、およびアルゴンガス流れの流量が相互に同一である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記酸素ガス流れの流量、シランガス流れの流量、およびアルゴンガス流れの流量が前記二酸化シリコン層の屈折率を制御するために選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記制御された時間が前記トラップリッチ層の電荷散逸を制御するために選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記トラップリッチ領域が1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
制御された時間に制御された温度で前記第1の側にヒ素溶液を有する前記第1シリコンウェーハを保持する工程により前記高抵抗率ベース層のシリコンの結晶構造内に点在するヒ素が生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
制御された時間に制御された温度で前記第1の側にヒ素溶液を有する前記第1シリコンウェーハを保持する工程により4ミクロン~7ミクロンの範囲にある厚さを有するトラップリッチ領域が生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記高抵抗率ベース層が550~650ミクロンの範囲にある厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記二酸化シリコン層が2000~4000オングストロームの範囲にある厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記第2シリコンウェーハの前記第1の側と前記劈開面との間の前記第2シリコンウェーハの一部の厚さが2000~3500オングストロームの範囲にある、請求項1に記載のシリコン・オン・インシュレーター基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、共通に有する「トラップリッチ層を含むシリコン・オン・インシュレーター基板およびその作製方法」と題する2019年10月7日に出願された米国仮特許出願番号62/911,827号、「トラップリッチ層を含むシリコン・オン・インシュレーター基板およびその作製方法」と題する2019年10月7日に出願された米国仮特許出願番号62/911,835号、および「トラップリッチ層を含むシリコン・オン・インシュレーター基板およびその作製方法」と題する2019年10月7日に出願された米国仮特許出願番号62/911,843号に関し、およびこれらの仮特許出願の利益を主張する国際(PCT)特許出願であり、これら仮特許出願の全ての内容がそれらの全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野はシリコン・オン・インシュレーター基板およびかかる基板の作製方法に関する。特に、本発明の分野はトラップリッチ層を有するシリコン・オン・インシュレーター基板およびかかる基板の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積チップは半導体材を含む基板に形成される。従来、集積チップは半導体材の固体層を含むバルク基板に形成されていた。より最近においては、シリコン・オン・インシュレーター基板が代替物として出ている。シリコン・オン・インシュレーター(SOI)基板は、下層のハンドルウェーハから離れた活性シリコンの薄層を有する基板である。絶縁材の層はハンドルウェーハから活性シリコンの薄層を電気的に絶縁し、それによって活性シリコンの薄層内に形成されるデバイスの電流漏れを減じる。活性シリコンの薄層は速やかなスイッチング時間および低い作動電圧を供し、それによりRFスイッチ等の高容量の無線周波数(RF)システムの製造のために幅広く用いられるSOI基板が作られる。
【0004】
SOI基板は高抵抗率を有するハンドルウェーハを典型的に用いる。高抵抗率のハンドルウェーハの使用により、SOI基板は、デバイス間の絶縁、パッシブコンポーネントのQファクターなどのアプリケーション要件を満たすことが可能となる。しかしながら、このような高抵抗率のハンドルウェーハのドーピングが低いと、ハンドルウェーハの上にある埋め込まれた酸化物層に存在する電荷のタイプに応じて、ハンドルウェーハの表面およびサブ表面領域からのキャリアが高抵抗率のハンドルウェーハの表面に沿って増え、蓄積層または反転層を形成し得る。上にある活性シリコンの薄層内でのデバイスに印加される電圧はそのような蓄積層と相互作用する可能性があり、RF信号に望ましくないデバイスのクロストークおよび/または非線形歪みを導く寄生表面伝導をもたらし得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態を例示のみにより本明細書に記載する。詳細に図面を具体的に参照すると、例によって本発明の実施形態の例示的な説明の目的のために特定の事項が示されるということを強調する。これに関して、図面と合わせた説明は本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにするものである。
【0006】
図1図1は、RFシステムの製造等の用途に適する例示的なシリコン・オン・インシュレーター基板を示す。
図2図2は、図1に示されるシリコン・オン・インシュレーター基板の例示的な作製方法のフローチャートを示す。
図3A図3Aは、図2の例示的な方法の第1段階での中間生成物を示す。
図3B図3Bは、図2の例示的な方法の第2段階での中間生成物を示す。
図3C図3Cは、図2の例示的な方法の第3段階での中間生成物を示す。
図3D図3Dは、図2の例示的な方法の第4段階での中間生成物を示す。
図3E図3Eは、図2の例示的な方法の第5段階での中間生成物を示す。
図3F図3Fは、図2の例示的な方法の第6段階での中間生成物を示す。
図3G図3Gは、図2の例示的な方法の第7段階での中間生成物を示す。
図3H図3Hは、図2の例示的な方法の第8段階での中間生成物を示す。
図3I図3Iは、図2の例示的な方法の第9段階後の最終生成物を示す。
図4図4は、RFシステムの製造等の用途に適する例示的なシリコン・オン・インシュレーター基板を示す。
図5図5は、図4に示されるシリコン・オン・インシュレーター基板の例示的な作製方法のフローチャートを示す。
図6A図6Aは、図5の例示的な方法の第1段階での中間生成物を示す。
図6B図6Bは、図5の例示的な方法の第2段階での中間生成物を示す。
図6C図6Cは、図5の例示的な方法の第3段階での中間生成物を示す。
図6D図6Dは、図5の例示的な方法の第4段階での中間生成物を示す。
図6E図6Eは、図5の例示的な方法の第5段階での中間生成物を示す。
図6F図6Fは、図5の例示的な方法の第6段階での中間生成物を示す。
図6G図6Gは、図5の例示的な方法の第7段階での中間生成物を示す。
図6H図6Hは、図5の例示的な方法の第8段階での中間生成物を示す。
図6I図6Iは、図5の例示的な方法の第9段階後の最終生成物を示す。
図7A図7Aは、ヒ素が拡散した例示の第1シリコンウェーハ内のヒ素の濃度の状態を示す。
図7B図7Bは、図7Aにより示された例示の第1シリコンウェーハの深さに対するヒ素濃度のブロットを示す。
図7C図7Cは、イオン注入によりヒ素が注入した例示の第1シリコンウェーハ内のヒ素の濃度の状態を示す。
図7D図7Dは、図7Cにより示された例示の第1シリコンウェーハの深さに対するヒ素濃度のブロットを示す。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施形態では、基板は、第1の側および第2の側を有する高抵抗率ベース層、高抵抗率ベース層の第1の側に配置された窒化シリコン層、高抵抗率ベース層とは反対側の窒化シリコン層に配置された二酸化シリコン層、および窒化シリコン層とは反対側の二酸化シリコン層に配置されたシリコン層を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、基板を作製するための方法は、第1の側および第2の側を有する第1シリコンウェーハを供する工程、第1シリコンウェーハの第1の側に窒化シリコン層を堆積させる工程、窒化シリコン層の第1シリコンウェーハの第1の側とは反対側の二酸化シリコン層を堆積させる工程、第2シリコンウェーハを供する工程、劈開面を規定するために水素注入物を第2シリコンウェーハに導入する工程、二酸化シリコン層を活性化させる工程、第2シリコンウェーハを活性化させた二酸化シリコン層に接着し、それによって一体化させたウェーハを生成する工程、一体化させたウェーハをアニーリングする工程、第1シリコンウェーハと第2シリコンウェーハとを相互に離隔させるために一方向に一体化させたウェーハに張力を適用する工程、ならびに劈開面で第2シリコンウェーハを劈開するために第2シリコンウェーハのエッジをうち、それによってシリコン・オン・インシュレーター基板を作製する工程を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、窒化シリコン層を堆積させる工程は、高密度プラズマ化学蒸着プロセスを用いて実施される。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層を堆積させる工程は、高密度プラズマ化学蒸着プロセスを用いて実施される。
【0010】
いくつかの実施形態では、基板は、第1の側および第2の側を有する高抵抗率ベース層、高抵抗率ベース層の第1の側に拡散したヒ素層、ヒ素層を覆う高抵抗率ベース層の第1の側に配置された二酸化シリコン層、ならびに砒素層とは反対側の二酸化シリコン層に配置されたシリコン層を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、基板を作製するための方法は、第1の側および第2の側を有する第1シリコンウェーハを供する工程、ヒ素層を第1シリコンウェーハの第1の側に拡散させる工程、ヒ素層を覆う高抵抗率ベース層の第1の側に二酸化シリコン層を堆積させる工程、第2シリコンウェーハを供する工程、劈開面を規定するために、水素注入物を第2シリコンウェーハに導入する工程、二酸化シリコン層を活性化させる工程、第2シリコンウェーハを活性化させた二酸化シリコン層に接着し、それによって一体化させたウェーハを作製する工程、一体化させたウェーハをアニーリングする工程、第1シリコンウェーハと第2シリコンウェーハとを相互に離隔させるために一方向に一体化させたウェーハに張力を適用する工程、ならびに劈開面で第2シリコンウェーハを劈開するために第2シリコンウェーハのエッジをうち、それによってシリコン・オン・インシュレーター基板を作製する工程を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ヒ素層を拡散させる工程は、ヒ素を含む溶液を回転(又はスピン;spin)させ、制御された温度の下で制御された時間に、ヒ素を拡散させることによって実施される。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層を堆積させる工程は、高密度プラズマ化学蒸着プロセスを用いて実施される。
【0013】
いくつかの実施形態では、シリコン・オン・インシュレーター基板は、(1)第1の側および第1の側とは反対側の第2の側を有する高抵抗率ベース層、(2)高抵抗率ベース層の第1の側に位置付けられた二酸化シリコン層、ならびに(3)二酸化シリコン層に位置付けられたトランスファー層を順に含む層構造を含み、高抵抗率ベース層は、(a)シリコン、および(b)高抵抗率ベース層の第1の側内に拡散したヒ素を含むトラップリッチ領域を含み、トラップリッチ領域は、(i)1~10ミクロンの範囲の厚さ、および(ii)0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有し、高抵抗率ベース層は、(a)50~100オームメートルの範囲の低効率、および(b)500~700ミクロンの範囲の厚さを有し、二酸化シリコン層が1000~5000オングストロームの範囲の厚さを有し、トランスファー層がシリコンウェーハを含み、および500~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記トラップリッチ領域が1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、前記トラップリッチ領域が前記高抵抗率ベース層のシリコンの結晶構造内に点在するヒ素を含む。いくつかの実施形態では、前記トラップリッチ領域が4ミクロン~7ミクロンの範囲にある厚さを有する。いくつかの実施形態では、前記高抵抗率ベース層が550~650ミクロンの範囲にある厚さを有する。いくつかの実施形態では、前記二酸化シリコン層が2000~4000オングストロームの範囲にある厚さを有する。いくつかの実施形態では、前記トランスファー層が2000~3500オングストロームの範囲にある厚さを有する。
【0015】
一方法は、第1の側および第2の側を有する第1シリコンウェーハを供する工程、前記第1シリコンウェーハの前記第1の側に液体コロイド溶液であるヒ素溶液を適用する工程、前記第1シリコンウェーハの前記第1の側に拡散したヒ素をもたらし、トラップリッチ領域を生成するために、制御された時間に制御された温度で前記第1の側にヒ素溶液を有する前記第1シリコンウェーハを保持する工程、高密度プラズマ化学蒸着(HDPCVD)プロセスを用いて前記第1シリコンウェーハの第1の側に二酸化シリコン層を堆積させる工程、第1の側および第1の側とは反対側の第2の側を有する第2シリコンウェーハを供する工程、前記第2シリコンウェーハに水素注入物を導入して、劈開面を規定する工程、前記二酸化シリコン層を活性化させる工程、前記第2シリコンウェーハの第1の側を活性化させた二酸化シリコン層に接触させて、一体化させたウェーハを生成する工程、一体化させたウェーハをアニーリングする工程、前記第1シリコンウェーハと前記第2シリコンウェーハとを相互に離隔させるために一方向に一体化させたウェーハに張力を適用する工程、ならびに前記劈開面で前記第2シリコンウェーハを劈開するために前記第2シリコンウェーハのエッジをうち、それによってシリコン・オン・インシュレーター基板を作製する工程を含み、前記第1シリコンウェーハを保持する工程にて、前記制御された時間が5時間~20時間の範囲にあり、前記制御された温度が摂氏700~1200度の範囲にあり、 前記トラップリッチ領域の厚さが1~10ミクロンの範囲にあり、前記トラップリッチ領域が0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲にあるトラップ密度を有し、前記二酸化シリコン層を堆積させる工程にて、前記HDPCVDプロセスが誘導結合プラズマ源を用い、誘導結合プラズマ源を65ワット~225ワットの範囲にある出力で駆動させ、前記HDPCVDプロセスが酸素ガス流れ、シランガス流れ、およびアルゴンガス流れを用い、酸素ガス流れの流量が20~35sccmの範囲であり、シランガス流れの流量が20~35sccmの範囲であり、アルゴンガス流れの流量が20~35sccmの範囲であり、前記HDPCVDプロセスを5ミリトール~20ミリトールの範囲にある圧力で実施し、前記HDPCVDプロセスを0~100ワットの範囲にあるバイアス電力を用いて実施し、前記HDPCVDプロセスを摂氏100~250度の範囲にある温度で保持した前記第1シリコンウェーハで実施し、前記二酸化シリコン層の堆積速度が900~1100オングストローム/分の範囲にあり、前記二酸化シリコン層の厚さが1500~5000オングストロームの範囲にあり、前記第2シリコンウェーハに水素注入物を導入する工程にて、前記第2シリコンウェーハの前記第1の側と前記劈開面との間の前記第2シリコンウェーハの一部の厚さが500~5000オングストロームの範囲にあり、前記二酸化シリコン層を活性化させる工程が0.1~100Paの範囲にある圧力での低圧プラズマ活性化結合を含み、前記一体化させたウェーハをアニーリングする工程にて、前記アニーリングを、1時間~8時間の範囲の時間で摂氏200~400度の範囲の温度で実施する。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記第1シリコンウェーハの前記第1の側にヒ素溶液を適用する工程が、前記第1シリコンウェーハの前記第1の側にヒ素溶液をスピンコーティングすることを含む。いくつかの実施形態では、前記液体コロイド溶液はヒ素が注入されたガラスを含む。いくつかの実施形態では、前記酸素ガス流れの流量、シランガス流れの流量、およびアルゴンガス流れの流量が相互に同一である。いくつかの実施形態では、前記酸素ガス流れの流量、シランガス流れの流量、およびアルゴンガス流れの流量が前記二酸化シリコン層の屈折率を制御するために選択される。いくつかの実施形態では、前記制御された時間が前記トラップリッチ層の電荷散逸を制御するために選択される。いくつかの実施形態では、前記トラップリッチ領域が1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、制御された時間に制御された温度で前記第1の側にヒ素溶液を有する前記第1シリコンウェーハを保持する工程により前記高抵抗率ベース層のシリコンの結晶構造内に点在するヒ素が生成される。いくつかの実施形態では、制御された時間に制御された温度で前記第1の側にヒ素溶液を有する前記第1シリコンウェーハを保持する工程により4ミクロン~7ミクロンの範囲にある厚さを有するトラップリッチ領域が生成される。いくつかの実施形態では、前記高抵抗率ベース層が550~650ミクロンの範囲にある厚さを有する。いくつかの実施形態では、前記二酸化シリコン層が2000~4000オングストロームの範囲にある厚さを有する。いくつかの実施形態では、前記第2シリコンウェーハの前記第1の側と前記劈開面との間の前記第2シリコンウェーハの一部の厚さが2000~3500オングストロームの範囲にある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示された発明の利点および改善の中で、本発明の他の目的および利点は、添付図面と併せた以下の説明から明らかになるであろう。本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示される。しかしながら、開示された実施形態は様々な形で具体化され得る本発明の単なる例示であることは理解されよう。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して与えられる例のそれぞれは、例示的であり、限定的ではないことを意図している。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲を通して、以下の用語は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、本明細書で明示的に関連付けられた意味をとる。 本明細書で使用される「一実施形態において」、「ある実施形態において」、および「いくつかの実施形態において」という用語は、同じ実施形態を指す場合もあり得るが、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態において」および「いくつかの他の実施形態において」という用語は、異なる実施形態を指す場合もあり得るが、必ずしも異なる実施形態を指すものではない。したがって、以下に説明するように、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、容易に組み合わせることができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「に基づく」という用語は排他的ではなく、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、記載されていない追加の要因に基づくことを可能にする。さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」、および「the」の意味は、複数の参照を含む。「in」の意味には、「in」と「on」が含まれる。
【0020】
別段の定義がない限り、(本明細書で使用される技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で規定されるような用語は、関連技術および本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、明示的に定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されるものではない。
【0021】
本開示は、小型化されたウェアラブル注入装置の例示的な実施形態を説明する。例示的な装置に具体化された一般原理は他の装置にも具体化され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0022】
本明細書で使用される「トラップリッチ(富トラップまたはトラップ富または富捕捉または捕捉富;trap rich)層」または「トラップリッチ領域」という用語は、電気的に活性なキャリアトラップが高密度な層または領域を指す。トラップリッチ層またはトラップリッチ領域をSOI基板に組み込むと、自由電荷キャリアの寿命と移動度が大幅に減少し、基板の実効抵抗が維持されます。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層または領域は、1010cmeV-1を超えるトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層または領域は、0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1のトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層または領域は、0.9×1010cmeV-1~1.1×1010cmeV-1のトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層または領域は、1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1のトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層または領域は、1010cmeV-1~1.5×1010cmeV-1のトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層または領域は、1010cmeV-1~2×1010cmeV-1のトラップ密度を有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層または領域は、0.5×1010cmeV-1~1010cmeV-1のトラップ密度を有する。
【0023】
図1は、第1の例示的なデバイス100の概略図を示す。いくつかの実施形態では、デバイス100は、シリコン・オン・インシュレーター(「SOI」)基板(silicon-on-insulator substrate)と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、デバイス100は層状構造を有する。 いくつかの実施形態では、デバイス100は、第1の側112および第1の側112とは反対側の第2の側114を有するハンドルウェーハ110を含む。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ110は高抵抗率シリコンを含む。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ110は、別の適した高抵抗率材料を含む。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ110は、50~100オームメートルの範囲の抵抗率を有する材料を含む。 いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの厚さは500~700ミクロンの範囲である。
【0024】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、第1の側122および第1の側122とは反対側の第2の側124を有するトラップリッチ層120を含む。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120の第1の側122がハンドルウェーハ110の第2の側114に接するように、トラップリッチ層120はハンドルウェーハ110に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は窒化シリコン(または窒化ケイ素またはシリコン窒化物;silicon nitride)を含む。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は、ハンドルウェーハ110に隣接して配置された窒化シリコン層を含む。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は、100~1000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は、100~400オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は、400~700オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は、700~1000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は、100~700オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120は、400~1000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120の厚さの変化は、デバイス100を用いて作製されるRFデバイスの周波数分離値の対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層120の厚さの増加は、トラップリッチ層120の抵抗率の増加をもたらし、それにより、デバイス100を用いて作製されるRFデバイスの周波数分離の対応する増加を供する。いくつかの実施形態では、逆に、トラップリッチ層120の厚さの減少は、トラップリッチ層120の抵抗率の減少をもたらし、それにより、デバイス100を用いて作製されるRFデバイスの周波数分離の対応する減少を供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、第1の側132および第1の側132の反対側の第2の側134を有する二酸化シリコン(または二酸化ケイ素またはシリコン酸化物;silicon dioxide)(「SiO」)層130を含む。いくつかの実施形態では、SiO層130の第1の側132がトラップリッチ層120の第2の側124に接するように、SiO層130はトラップリッチ層120に隣接して位置付けられる。いくつかの実施形態では、SiO層130は、1000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、1000~2000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、2000~3000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、3000~4000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、4000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、1000~3000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、2000~4000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、3000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、1000~4000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130は、2000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層130の厚さの変化は、SiO層130の抵抗率および静電容量の対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、SiO層130の厚さの増加は、SiO層130の抵抗率の増加とSiO層130の静電容量の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、逆に、SiO層130の厚さの減少は、SiO層130の抵抗率の減少とSiO層130の静電容量の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、SiO層130の抵抗率の増加によって引き起こされる抵抗の増加は、信号が電圧しきい値に達するまでの時間を長くする(すなわち、「オン」速度が遅い)一方で、SiO層130の抵抗率の減少によって引き起こされる抵抗の減少は、信号が電圧しきい値に達するまでの時間を短縮する効果がある(すなわち、「オン」速度がはやい)。いくつかの実施形態では、SiO層130の静電容量の増加は、減少する信号が電圧閾値よりも低くなる点までブリードオフするまでの時間が長くなる効果を有する(すなわち、「オフ」速度が遅い)一方、SiO層130の静電容量の減少は、減少する信号が電圧閾値よりも低くなる点までブリードオフするまでの時間が短くなる効果を有する(すなわち、「オフ」速度がはやい)。いくつかの実施形態では、より速い「オン」および「オフ」速度を有するデバイス100を用いて作製された増幅器はより高い動作速度を有するであろう。
【0026】
いくつかの実施形態では、デバイス100は、第1の側142および第1の側142の反対側の第2の側144を有するトランスファー層(または移動層または輸送層または転写層;transfer layer)140を含む。いくつかの実施形態では、トランスファー層140は、トランスファー層140の第1の側142がSiO層130の第2の側134に接するようにSiO層130に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、トランスファー層140は、500~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層140は、500~2000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層140は、2000~3500オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層140は、3500~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層140は、500~3500オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層140は、2000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層140の厚さの増加は、デバイス100を用いて作製されるRFデバイスの電圧閾値の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、逆に、トランスファー層140の厚さの減少は、デバイス100を用いて作製されたRFデバイスの電圧閾値の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、トランスファー層140はシリコンウェーハを含む。
【0027】
図2は、デバイス100を作製するための例示的な方法200のフローチャートを示す。図3A~3Hは、例示的な方法200の実施の間に存在する様々な中間生成物を示し、図3Iは、例示的な方法200の実施による最終生成物を示す。工程210において、第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハが供される。いくつかの実施形態では、第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハのそれぞれの厚さは、500~700ミクロンの範囲である。いくつかの実施形態では、第1シリコンウェーハは、本明細書でハンドルウェーハと称される。図1を参照しつつ上記のように、いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハは高抵抗率シリコンである。図3Aは、工程210で供された第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0028】
工程220では、窒化シリコン層を、工程210で供されたハンドルウェーハに堆積させる。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層を、高密度プラズマ化学蒸着(「HDPCVD」)プロセスを用いて堆積させる。HDPCVDは、標準のPECVDシステムよりも高いプラズマ密度を生成する、誘導結合プラズマ(「ICP」)源または電子サイクロトロン共鳴源のいずれかを用いるプラズマ化学気相成長法(「PECVD」)の特定の形式であることは当業者によって理解されよう。いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスはICP源を用いて実施される。いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、複数のガス流の混合物をハンドルウェーハに導入することによって実施される。いくつかの実施形態では、ガス混合物は、窒素(例えば、N)ガスの流れ、シラン(例えば、SiH)の流れ、およびアルゴン(例えば、Ar)の流れを含む。いくつかの実施形態では、Nガス、シランガス、およびアルゴンガスの相対流量は、屈折率などの堆積フィルムの特性を制御するために変化させる。例えば、いくつかの実施形態では、Nガスとシランガスとの間の1:1の流量比は1.46の屈折率を供し、この比を変えることにより屈折率を上げたり下げたりすることができる。いくつかの実施形態では、Nガスの流量と比較してシランガスの流量を増加させると、窒化シリコン層のシリコン含有量が増加し、それにより、堆積フィルムの屈折率が減少する。いくつかの実施形態では、逆に、Nガスの流量と比較してシランガスの流量を減少させると、窒化シリコン層のシリコン含有量が減少し、それにより、堆積フィルムの屈折率が増加する。図3Bは、工程220の実施後の窒化シリコン層が堆積した第1シリコンウェーハと第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0029】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、構成された圧力を用いて実施される。いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~20ミリトールである。 いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~10ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトール~15ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は15ミリトール~20ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~15ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトール~20ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は、7.5ミリトール~12.5ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は9ミリトール~11ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は約10ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトール~14ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は11ミリトール~13ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は約12ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は12ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力を変化させると、フィルムの均一性の程度が変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、12ミリトールの圧力は、約1%の不均一性およびウェーハの中心に向かってわずかなバイアスを有する概して均一なフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、圧力を変化させると、中心から端までの速度が変化し、その結果として均一性を調整することが可能になり得る。いくつかの実施形態では、圧力の変化は、影響の範囲(又は球;sphere)であり、その外側で電荷が遮蔽されるデバイ球に対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセス中に用いられる圧力の増加はより大きなデバイ球を生成し、その結果、中央と比較してエッジでの堆積速度が増加する。逆に、いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセス中に用いられる圧力の減少はより小さなデバイ球を生成し、その結果、中心と比較してエッジでの堆積速度が減少する。その結果、いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセス中に使用される圧力が、堆積されるフィルムの均一性を調整するために調整され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、構成されたICP電力(またはパワーまたは力;power)で動作するICP源を用いて実施される。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~105ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、105ワット~145ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、185ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~145ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、105ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力を変化させると、フィルムの均一性の程度が変化する。いくつかの実施形態では、ICP電力の変化は、影響の範囲であり、その外側で電荷が遮蔽されるデバイ球への対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力の増加は、より小さなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較して、エッジでの堆積速度の減少をもたらす。逆に、いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力の減少は、より大きなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較して、エッジでの堆積速度が増加する。その結果、いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力が、堆積されたフィルムの均一性を調整するために調整され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、構成されたバイアス電力(またはバイアスパワーまたはバイアス力;bias power)を用いて実施される。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~25ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~50ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は50ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、75ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~50ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は50ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変化させると、フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変化させると、堆積フィルム中の水素の割合が変化し、それによって堆積フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、より低い水素含有量を有するフィルムはより高密度であり、より高い水素含有量を有するフィルムはより密度が低い。いくつかの実施形態では、バイアス電力の増加は、プラズマ状態の水素の速度を増加させ、それにより、より低い水素含有量を有するフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、逆に、バイアス電力の減少は、プラズマ状態の水素の速度を減少させ、それにより、より高い水素含有量を有するフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変えると、フィルムの均一性が変わる。いくつかの実施形態では、バイアス電力を増加させると、下部電極から生成される電極場が増加し、それによってフィルムの均一性が増加する。いくつかの実施形態では、逆に、バイアス電力を減少させると、下部電極から生成される電極場が減少し、それによってフィルムの均一性が減少する。
【0032】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、構成された温度に保持されたハンドルウェーハを用いて実施される。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~250度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~150度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏150度~200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏200度~250度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏150度~250度である。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を変えると、堆積フィルム中の水素の割合が変化し、それによって堆積フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、より低い水素含有量を有するフィルムはより高密度であり、より高い水素含有量を有するフィルムはより密度が低いである。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を上げると、フィルムの水素含有量が減少する。いくつかの実施形態では、逆に、ハンドルウェーハの温度を下げると、フィルムの水素含有量が増える。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ温度を変えると、フィルムの堆積速度が変わる。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を上げると、シランガスをシリコンと水素に分解するのに必要なRFエネルギーが減少し、再結合の時間が増加し、それによって堆積速度が増加する。逆に、いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を下げると、シランガスをシリコンと水素に分解するのに必要なRFエネルギーが増加し、再結合の時間が短縮され、それによって堆積速度が低下する。
【0033】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのNガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、Nガスの流量は、20~35標準立方センチメートル/分(sccm)の範囲にある。いくつかの実施形態では、Nガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Nガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Nガスの流量は、30~35sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Nガスの流量は、20~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Nガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0034】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのシランガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~25sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、30~35sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~30sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0035】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのアルゴンガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、30~35sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0036】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスのパラメータは、ハンドルウェーハ上の窒化シリコン層の制御された堆積速度を供するように構成される。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の堆積速度は、300~500オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の堆積速度は、350~450オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の堆積速度は、375~425オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の堆積速度は、約400オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の堆積速度は、400オングストローム/分である。
【0037】
いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスのパラメータは、ハンドルウェーハ上の窒化シリコン層の制御された厚さを供するように構成される。いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスのパラメータは、300~500オングストロームである窒化シリコン層の厚さを供するように構成される。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の厚さは、350~450オングストロームである。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の厚さは、375~425オングストロームである。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の厚さは約400オングストロームである。いくつかの実施形態では、窒化シリコン層の厚さは400オングストロームである。いくつかの実施形態では、工程220のHDPCVDプロセスは1分間実施される。
【0038】
図2を続けて参照すると、工程230において、工程220で堆積された窒化シリコン層を覆うように、二酸化シリコン層をハンドルウェーハ上に堆積させる。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層は、HDPCVDプロセスを用いることによって堆積される。いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、ICP源を用いて実施される。いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、複数のガス流の混合物を、堆積した窒化シリコン層を備えたハンドルウェーハに導入することによって実施される。いくつかの実施形態では、ガス混合物は、酸素ガスの流れ(例えば、O )、シランの流れ(例えば、SiH)、およびアルゴンの流れ(例えば、Ar)を含む。いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、工程220のHDPCVDプロセスの実質的に続きであるが、工程220で使用される窒素ガスの代わりに工程230で使用される酸素ガスの代用のためである。図3Cは、工程230の実施後の窒化シリコンおよび二酸化シリコンが堆積された第1シリコンウェーハと、第2シリコンウェーハとの概略図を示す。
【0039】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、構成された圧力を用いて実施される。いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~20ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~10ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトール~15ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は15ミリトール~20ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~15ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトール~20ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力を変化させると、フィルムの均一性の程度が変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、12ミリトールの圧力は、約1%の不均一性およびウェーハの中心に向かってわずかなバイアスを有する概して均一なフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、圧力を変化させると、中心から端までの速度が変化し、それによって、均一性を調整することが可能になり得る。いくつかの実施形態では、圧力の変化は、影響の範囲であり、その外側で電荷が遮蔽されるデバイ球に対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセス中に使用される圧力の増加はより大きなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較して、エッジでの堆積速度の増加をもたらす。逆に、いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセス中に使用される圧力の減少は、より小さなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較して、エッジでの堆積速度の減少をもたらす。その結果、いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセス中に使用される圧力が、堆積されたフィルムの均一性を調整するために調整され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、構成されたICP電力で動作するICP源を用いて実施される。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~105ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、105ワット~145ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、185ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~145ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、105ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力を変化させると、フィルムの均一性の程度が変化する。いくつかの実施形態では、ICP電力の変化は、影響範囲であり、その外側で電荷が遮蔽されるデバイ球への対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力の増加はより小さなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較して、エッジでの堆積速度の減少をもたらす。逆に、いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力の減少は、より大きなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較してエッジでの堆積速度の増加をもたらす。その結果、いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力が、堆積されたフィルムの均一性を調整するために調整され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、構成されたバイアス電力を用いて実施される。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~25ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~50ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は50ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、75ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~50ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は50ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変化させると、フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変化させると、堆積フィルム中の水素の割合が変化し、それによって堆積フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、より低い水素含有量を有するフィルムはより高密度であり、より高い水素含有量を有するフィルムはより密度が低い。いくつかの実施形態では、バイアス電力の増加は、プラズマ状態の水素の速度を増加させ、それにより、より低い水素含有量を有するフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、逆に、バイアス電力の減少は、プラズマ状態の水素の速度を減少させ、それにより、より高い水素含有量を有するフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変えると、フィルムの均一性が変わる。いくつかの実施形態では、バイアス電力を増加させると、下部電極から生成される電極場が増加し、それによってフィルムの均一性が増加する。いくつかの実施形態では、逆に、バイアス電力を減少させると、下部電極から生成される電極場が減少し、それによってフィルムの均一性が減少する。
【0042】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、構成された温度に保持されたハンドルウェーハを用いて実施される。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~250度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~150度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏150度~200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏200度~250度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏150度~250度である。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ温度を変化させると、堆積フィルム中の水素の割合が変化し、それによって堆積フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、より低い水素含有量を有するフィルムはより高密度であり、より高い水素含有量を有するフィルムはより密度が低いである。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を上げると、フィルムの水素含有量が減少する。いくつかの実施形態では、逆に、ハンドルウェーハの温度を下げると、フィルムの水素含有量が増加する。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ温度を変えると、フィルムの堆積速度の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を上げると、シランガスをシリコンと水素に分解するのに必要なRFエネルギーが減少し、再結合の時間が増加し、それによって堆積速度が増加する。逆に、いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を下げると、シランガスをシリコンと水素に分解するのに必要なRFエネルギーが増加し、再結合の時間が短縮され、それによって堆積速度が低下する。
【0043】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのOガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、30~35sccmの範囲である。 いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、20~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0044】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのシランガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、30~35sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0045】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのアルゴンガスの流量で実施される。 いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、30~35sccmの間の範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0046】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスのパラメータは、ハンドルウェーハ上の二酸化シリコン層の制御された堆積速度を供するように構成される。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、900~1100オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、950~1050オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、975~1025オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、約1000オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は1000オングストローム/分である。
【0047】
いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスのパラメータは、ハンドルウェーハ上の二酸化シリコン層の制御された厚さを供するように構成される。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~2000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコンの厚さは、2000~2500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2500~3000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~3500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3500~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは4000~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、4500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~2500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~3000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2500~3500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3500~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは4000~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~3000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~3500オングストロームである。いくつかの実施形態において、二酸化シリコン層の厚さは、2500~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~3500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~4000オングストロームである。 いくつかの実施形態において、二酸化シリコン層の厚さは、2500~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~4500オングストロームである。いくつかの実施形態において、二酸化シリコン層の厚さは、2500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、工程230のHDPCVDプロセスは、二酸化シリコン層の制御された厚さを達成するために、2分~3分の間にわたり実施される。
【0048】
図2を続けて参照すると、工程240において、水素注入物を第2ウェーハに注入する。いくつかの実施形態では、水素注入は、第2ウェーハに劈開面を規定するように配置される。いくつかの実施形態では、劈開面は、方法200の完了後の第2シリコンウェーハの所望の厚さを規定する。いくつかの実施形態では、水素注入はイオン注入装置を用いて注入される。いくつかの実施形態では、イオン注入装置は、日本の京都のニッシンイオン装置株式会社によって商品化されているものなどのイオン注入装置である。いくつかの実施形態では、イオン注入装置は、水素イオンのビームを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、イオン注入装置は、5000ボルト~1メガボルトの電力で動作するように構成される。いくつかの実施形態では、所望の厚さは500~5000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは500~2000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは、2000~3500オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは3500~5000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは500~3500オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは、2000~5000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、注入された水素は、格子間、空孔、および複合体(または錯体;complexes)の形で変位欠陥を生成する。いくつかの実施形態では、そのような欠陥は、プレートレットと呼ばれる多数の壊された結合を有する領域を生成する。いくつかの実施形態では、水素はこれらの表面にトラップされ、壊された結合を不動態化する。図3Dは、工程240の実施後における、窒化シリコン層および二酸化シリコン層が堆積された第1シリコンウェーハと、水素注入物が注入された第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0049】
図2を続けて参照すると、工程250において、工程230で堆積された二酸化シリコン層の表面を活性化させる。いくつかの実施形態では、活性化は、プラズマ体積内で生成された短命の(または寿命の短い;short-lived)化学種で二酸化シリコン層の表面に衝撃を与えて表面で化学反応を開始し、接着を可能にすることによって実施されるプラズマ活性化である。いくつかの実施形態では、活性化は、0.1~100Paの範囲の圧力での低圧プラズマ活性化結合である。図3Eは、工程250の実施後における窒化シリコンおよび活性化二酸化シリコン層が堆積された第1シリコンウェーハと、水素注入物が注入された第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0050】
図2を続けて参照すると、工程260において、(窒化シリコン層および二酸化シリコン層が堆積されている)第1シリコンウェーハを、二酸化シリコン層の活性化表面が第2シリコンウェーハに面する第2シリコンウェーハであって、かつ水素注入によって規定される劈開面に沿った劈開後に、第2シリコンウェーハの所望の部分(すなわち、上記で説明した厚さを有する部分)が第1シリコンウェーハに隣接したままになるように方向づけられた第2シリコンウェーハと接合させる。図3Fは、工程260の実施に従った、窒化シリコン層および活性化二酸化シリコン層が堆積した第1シリコンウェーハと、水素注入物が注入された第2シリコンウェーハとの接合の概略図を示す。
【0051】
図2を続けて参照すると、工程270において、接合された第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハを、低温アニーリングプロセスに付す。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~250度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏250~300度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏300度~350度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏350度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~300度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏250~350度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏300度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~350度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏250度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスの時間は1時間~8時間である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセス中に、工程240を参照して上記で説明したトラップされた水素は、複合体から解離し、プレートレットに拡散して、H分子を形成する。いくつかの実施形態では、圧力の増加により、プレートレットは、同じ平面で一体となって結合する微小なクラック内にて膨張し、材料の剥離を引き起こす。図3Gは、工程270のアニーリングプロセスの概略図を示す。
【0052】
図2を続けて参照すると、工程280において、接合された第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハを張力下に置く(すなわち、第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハを互いに引き離すように張力をかける)。いくつかの実施形態では、張力は、接合された領域全体で1平方インチあたり10~60ポンドの範囲の張力を生成するのに十分な力である。 図3Hは、工程280の張力処理プロセスの概略図を示す。
【0053】
図2を続けて参照すると、工程290において、第2シリコンウェーハを、水素注入によって規定された劈開面で打つ。いくつかの実施形態では、剥離波を生じさせるために、薄いブレード状要素を用いてターゲット領域全体にわたり5~10ポンド/平方インチの範囲の力を加えて、第2シリコンウェーハを打つ。いくつかの実施形態では、薄いブレード状要素は、適当な幅を有する任意の適当な物体である。いくつかの実施形態では、適当な幅は約50ミクロンである。 この打ちの結果として、水素注入物と第1シリコンウェーハとの間に配置された第2シリコンウェーハ(本明細書では「ドナーウェーハ(donor wafer)」と呼ばれ得る)の一部は第1シリコンウェーハ(本明細書では「ハンドルウェーハ」と呼ばれ得る)に貼り付けられたままであり、第2シリコンウェーハの残りの部分は劈開される。この劈開工程に続いて、最終の完成したウェーハが製造される。図3Iは、工程290の実施後における、完成したウェーハと第2シリコンウェーハの除去された部分の概略図を示す。
【0054】
図4は、第2の例示的なデバイス400の概略図を示す。いくつかの実施形態では、デバイス400は、シリコン・オン・インシュレータ(「SOI」)基板と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、デバイス400は、層状構造を有する。いくつかの実施形態では、デバイス400は、第1の側412と、第1の側412の反対側の第2の側414とを有するハンドルウェーハ410を含む。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ410は高抵抗率シリコンを含む。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ410は、別の適当な高抵抗率材を含む。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ410は、50~100オームメートルの範囲の抵抗率を有する材料を含む。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの厚さは500~700ミクロンの範囲である。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの厚さは550~650ミクロンの範囲である。
【0055】
いくつかの実施形態では、デバイス400は、第1の側422および第1の側422の反対側の第2の側424を有するトラップリッチ層420を含む。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420の第1の側422がハンドルウェーハ410の第1の側412と第2の側414との間に位置づけられ、トラップリッチ層420の第2の側424がハンドルウェーハ410の第2の側414に配置されるように、トラップリッチ層420がハンドルウェーハ410内に位置づけられる。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420はヒ素を含む。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は拡散したヒ素を含む。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は、ハンドルウェーハ510内に配置された(例えば、その第2の側414に拡散された)トラップリッチヒ素領域、例えば、ヒ素がハンドルウェーハ410の結晶構造内に散在している領域を含む。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は、1~10ミクロンの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は、1~4ミクロンの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は、4~7ミクロンの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は、7~10ミクロンの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は、1~7ミクロンの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420は、4~10ミクロンの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層420の厚さの変化は、トラップリッチ層420の電荷散逸の対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、拡散されたヒ素は、ハンドルウェーハのシリコン格子内に壊れた結合を形成し、それによって、より速い散逸経路およびより速い散逸速度をもたらす。結果として、いくつかの実施形態では、より低い周波数はより深い(または大きな;deeper)電流の流れを生成するところ、トラップリッチ層420の厚さの増加はより低い動作周波数に適したチップをもたらす。いくつかの実施形態では、逆に、より高い周波数はより浅い(または小さい;shallower)電流の流れを生成するところ、トラップリッチ層420の厚さの減少がより高い動作周波数に適したチップをもたらす。
【0056】
いくつかの実施形態では、デバイス400は、第1の側432および第2の側432の反対側の第2の側434を有する二酸化シリコン(「SiO」)層430を含む。いくつかの実施形態では、SiO層430は、SiO層430の第1の側432がトラップリッチ層420の第2の側424に隣接するように、トラップリッチ層420に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、SiO層430は、1000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、1000~2000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、2000~3000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、3000~4000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、4000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、1000~3000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、2000~4000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、3000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、1000~4000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430は、2000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、SiO層430の厚さの変化は、SiO層430の抵抗率および静電容量の対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、SiO層430の厚さの増加は、SiO層430の抵抗率の増加およびSiO層430の静電容量の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、逆に、SiO層430の厚さの減少は、SiO層430の抵抗率の減少およびSiO層430の静電容量の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、SiO層430の抵抗率の増加によって引き起こされる抵抗の増加は、信号が電圧閾値に達するまでの時間を長くする(すなわち、「オン」速度がより遅くなる)という効果を有し、一方、SiO層430の抵抗率の減少によって引き起こされる抵抗の減少は、信号が電圧閾値に到達するまでの時間をより短くする(すなわち、「オン」速度がより速くなる)という効果を有する。いくつかの実施形態では、SiO層430の静電容量の増加は、減少する信号が電圧閾値未満(すなわち、「オフ」速度がより遅くなる)になる点までブリードオフするまでにより長い時間を生成する効果を有する一方で、SiO層430の静電容量の減少は、減少する信号が電圧閾値よりも低くなる(すなわち、「オフ」速度がより速くなる)点までブリードオフするまでにより短い時間を生成する効果を有する。いくつかの実施形態では、より速い「オン」および「オフ」速度を備えたデバイス400を用いて作製された増幅器は、より高い動作速度を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、デバイス400は、第1の側442および第1の側442の反対側の第2の側444を有するトランスファー層440を含む。いくつかの実施形態では、トランスファー層440の第1の側442がSiO層430の第2の側434に隣接するように、トランスファー層440はSiO層430に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、トランスファー層440は、500~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層440は、500~2000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層440は、2000~3500オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層440は、3500~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層440は、500~3500オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層440は、2000~5000オングストロームの範囲の厚さを有する。いくつかの実施形態では、トランスファー層440の厚さの増加は、デバイス400を用いて作製されるRFデバイスの電圧閾値の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、逆に、トランスファー層440の厚さの減少は、デバイス400を用いて作製されるRFデバイスの電圧閾値の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、トランスファー層440はシリコンウェーハを含む。
【0058】
図5は、デバイス400を作製するための例示的な方法500のフローチャートを示す。図6A図6Hは例示的な方法500の実施中に存在する様々な中間生成物を示し、図6Iは例示的な方法500の実施の最終生成物を示す。工程510において、第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハを供する。いくつかの実施形態では、第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハのそれぞれの厚さは、500~700ミクロンの範囲である。いくつかの実施形態では、第1シリコンウェーハは本明細書ではハンドルウェーハと呼ばれる。図4を参照して上記で説明したように、いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハは高抵抗率シリコンを含む。図6Aは、工程510で供された第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0059】
工程520では、工程510で供されたハンドルウェーハ内にヒ素層を拡散させる。いくつかの実施形態では、ヒ素層は、ヒ素を含む液体コロイド溶液をハンドルウェーハ上にスピンコーティングし、続いてヒ素をハンドルウェーハ内に拡散させることによって適用される。いくつかの実施形態では、液体コロイド溶液は、ヒ素がドープされたガラスを含む。いくつかの実施形態では、液体コロイド溶液は、アリゾナ州テンペのデザートシリコン社によって商品名As-0200で商品化された溶液である。いくつかの実施形態では、拡散は、所望の深さを有する拡散されたヒ素の層を生成するために制御された期間および制御された温度で生じる。いくつかの実施形態では、ドーパント(例えば、ヒ素)がシリコン結晶(例えば、工程510で供されるハンドルウェーハ)に拡散されるとき、シリコン結晶は、ドーパントが移動する必要がある原子の固体格子からなる。ドーパントは、濃度勾配のバランスが取れている限り、または温度が低下してドーパントの原子が移動できなくなるまでは拡散し続けることができる。結果として、拡散が生じることが可能な期間が長いと、より大きな深さを有する拡散されたヒ素の層をもたらし、拡散プロセス中の制御された温度がより高いと、より大きな深さを有する拡散されたヒ素の層をもたらす。
【0060】
いくつかの実施形態では、工程520の拡散プロセスは構成された温度を用いて実施される。いくつかの実施形態では、温度は摂氏700度~摂氏1200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏800度~摂氏1200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏900度~摂氏1200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏1000度~摂氏1200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏1100度~摂氏1200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏700度~摂氏1100度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏800度~摂氏1100度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏900度~摂氏1100度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏1000度~摂氏1100度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏700度~摂氏1000度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏800度~摂氏1000度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏900度~摂氏1000度である。 いくつかの実施形態では、温度は摂氏700度~摂氏900度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏800度~摂氏900度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏700度~摂氏800度である。いくつかの実施形態では、上記のように、温度が上昇すると、拡散されたヒ素層の深さが増え、温度が低下すると、拡散されたヒ素層の深さが減る。結果として、いくつかの実施形態では、工程520の拡散プロセス中に使用される温度が、トラップリッチ層の深さを調整するために調整され得る。それによって、トラップリッチ層の深さに応じた特性(例えば、上記の電荷散逸およびデバイスの周波数)が調整され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、工程520の拡散プロセスは、構成された期間にヒ素を拡散させることによって実施される。いくつかの実施形態では、その期間は5時間~20時間である。いくつかの実施形態では、その期間は8時間~20時間である。いくつかの実施形態では、その期間は11時間~20時間である。いくつかの実施形態では、その期間は14時間~20時間である。いくつかの実施形態では、その期間は17時間~20時間である。いくつかの実施形態では、その期間は5時間~17時間である。いくつかの実施形態では、その期間は8時間~17時間である。いくつかの実施形態では、その期間は11時間~17時間である。いくつかの実施形態では、その期間は14時間~17時間である。いくつかの実施形態では、その期間は5時間~14時間である。いくつかの実施形態では、その期間は8時間~14時間である。いくつかの実施形態では、その期間は11時間~14時間である。いくつかの実施形態では、その期間は5時間~11時間である。いくつかの実施形態では、その期間は8時間~11時間である。いくつかの実施形態では、その期間は5時間~8時間である。いくつかの実施形態では、上記のように、拡散が発生する期間の増加は、拡散されたヒ素層の深さの増加をもたらし、一方、拡散が発生する期間の減少は、拡散されたヒ素層の深さの減少をもたらす。結果として、いくつかの実施形態では、工程520の拡散プロセス中に拡散が発生する期間が、トラップリッチ層の深さを調整するために調整され得る。それによって、トラップリッチ層の深さに応じた特性(たとえば、前述の電荷の散逸とデバイスの周波数)を調整することができる。 図6Bは、工程520の実施後におけるヒ素層が拡散された第1シリコンウェーハと、第2シリコンウェーハとの概略図を示す。 図7Aは、工程520の実施後の第1シリコンウェーハ内のヒ素濃度の例示的な状態(またはレンダリング;rendering)を示す。図7Bは、図7Aの例示的な状態での深さに対するヒ素濃度のグラフを示す。図7Aおよび図7Bから、ヒ素が第1シリコンウェーハ内の深さまで(例えば、上記のように1ミクロン~10ミクロンの深さまで)浸透し、ヒ素の濃度が第1シリコンウェーハの表面で最大になり、表面よりも下方で減少することが分かる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ヒ素をシリコンウェーハ上にコーティングすることによってヒ素を適用し、ヒ素をシリコンウェーハ内に拡散させるのではなく、ヒ素をイオン注入によってシリコンウェーハに適用する。いくつかの実施形態では、イオン注入プロセスは、工程510で供されるハンドルウェーハに高エネルギーヒ素イオンのビームを発射することを含む。いくつかの実施形態では、そのようなビームの発射により、ヒ素が浸透し、ハンドルウェーハ内に留まる。いくつかの実施形態では、そのようなプロセス中のヒ素イオンとシリコン格子の原子との間の衝突は、シリコンの結晶構造の歪みおよび弱化を引き起こす。いくつかの実施形態では、そのような歪みに対処するために、高エネルギーヒ素イオンのビームの発射に続いてアニーリング工程を実施する。図7Cは、イオン注入による適用後の第1シリコンウェーハ内のヒ素濃度の例示的な状態を示す。図7Dは、図7Cの例示的な状態での深さに対するヒ素濃度のグラフを示す。図7Cおよび図7Dから、ヒ素が第1シリコンウェーハ内の深さまで(例えば、上記のように1ミクロン~10ミクロンの深さまで)浸透し、ヒ素の濃度が表面のわずかに下方で最大になり、表面に向かっておよび表面の更に下方の両方で減少することが分かり得る。
【0063】
図5を続けて参照すると、工程530において、工程520においてハンドルウェーハ内に拡散されたヒ素層を覆うためにハンドルウェーハ上に二酸化シリコン層を堆積させる。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層は、HDPCVDプロセスを使用することによって堆積される。いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、誘導結合プラズマ(「ICP」)源を用いて実施される。いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、ヒ素層が拡散されたハンドルウェーハに複数のガス流の混合物を導入することによって実施される。いくつかの実施形態では、ガス混合物は、酸素ガス(例えば、O)の流れ、シラン(例えば、SiH)の流れ、およびアルゴン(例えば、Ar)の流れを含む。図6Cは、工程530の実施後におけるヒ素層が内部に拡散され、二酸化シリコン層が堆積された第1シリコンウェーハと、第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0064】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、構成された圧力を用いて実施される。いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~20ミリトールである。 いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~10ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトール~15ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は15ミリトール~20ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は5ミリトール~15ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力は10ミリトール~20ミリトールである。いくつかの実施形態では、圧力を変化させると、フィルムの均一性の程度が変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、12ミリトールの圧力は、約1%の不均一性およびウェーハの中心に向かってわずかなバイアスを有する概して均一なフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、圧力を変化させると、中心からエッジまでの速度が変化し、それによって、均一性を調整することが可能になり得る。いくつかの実施形態では、圧力の変化は、影響の範囲であり、その外側で電荷が遮蔽されるデバイ球に対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセス中に使用される圧力の増加は、より大きなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較して、エッジでの堆積速度の増加をもたらす。逆に、いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセス中に使用される圧力の減少は、より小さなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較して、エッジでの堆積速度の減少をもたらす。その結果、いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセス中に使用される圧力は、堆積されたフィルムの均一性を調整するために調整され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、構成されたICP電力で動作するICP源を用いて実施される。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~105ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、105ワット~145ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、185ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~145ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、105ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、65ワット~185ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力は、145ワット~225ワットである。いくつかの実施形態では、ICP電力が変化すると、フィルム均一性の程度の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、ICP電力の変化は、影響の範囲であり、その外側で電荷が遮蔽されるデバイ球への対応する変化をもたらす。いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力の増加は、より小さなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較してエッジでの堆積速度の減少をもたらす。 逆に、いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力の減少は、より大きなデバイ球を生成し、それによって、中心と比較してエッジでの堆積速度の増加をもたらす。その結果、いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセス中に使用されるICP電力が、堆積されたフィルムの均一性を調整するために調整され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、構成されたバイアス電力を用いて実施される。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~25ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~50ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は50ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、75ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~50ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は50ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は、0ワット~75ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力は25ワット~100ワットである。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変化させると、フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変化させると、堆積フィルム中の水素の割合が変化し、それによって堆積フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、より低い水素含有量を有するフィルムはより高密度であり、より高い水素含有量を有するフィルムはより密度が低い。いくつかの実施形態では、バイアス電力の増加は、プラズマ状態の水素の速度を増加させ、それにより、より低い水素含有量を有するフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、逆に、バイアス電力の減少は、プラズマ状態の水素の速度を減少させ、それにより、より高い水素含有量を有するフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、バイアス電力を変えると、フィルムの均一性が変わる。いくつかの実施形態では、バイアス電力を増加させると、下部電極から生成される電極場が増加し、それによってフィルムの均一性が増加する。いくつかの実施形態では、逆に、バイアス電力を減少させると下部電極から発生する電極場を減少させ、それによってフィルムの均一性が低下する。
【0067】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、構成された温度に保持されたハンドルウェーハを用いて実施される。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~250度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~150度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏150度~200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏200度~250度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏100度~200度である。いくつかの実施形態では、温度は摂氏150度~250度である。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ温度を変化させると、堆積フィルム中の水素の割合が変化し、それによって堆積フィルムの密度が変化する。いくつかの実施形態では、より低い水素含有量を有するフィルムはより密度が高く、より高い水素含有量を有するフィルムはより密度が低い。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を上げると、フィルムの水素含有量が減少する。いくつかの実施形態では、逆に、ハンドルウェーハの温度を下げると、フィルムの水素含有量が増える。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハ温度を変えると、フィルムの堆積速度が変わる。いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を上げると、シランガスをシリコンと水素に分解するのに必要なRFエネルギーが減少し、再結合の時間が増加し、それによって堆積速度が増加する。逆に、いくつかの実施形態では、ハンドルウェーハの温度を下げると、シランガスをシリコンと水素に分解するのに必要なRFエネルギーが増加し、再結合の時間が短縮され、それによって堆積速度が低下する。
【0068】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのOガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、30~35sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、20~30sccmの間の範囲である。いくつかの実施形態では、Oガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0069】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのシランガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、30~35sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、20~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、シランガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0070】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、構成された流量でのアルゴンガスの流量で実施される。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~35sccmの範囲にある。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~25sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、25~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、30~35sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、20~30sccmの範囲である。いくつかの実施形態では、アルゴンガスの流量は、25~35sccmの範囲である。
【0071】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスのパラメータは、ハンドルウェーハ上の二酸化シリコン層の制御された堆積速度を供するように構成される。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、900~1100オングストローム/分である。 いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、950~1050オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、975~1025オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、約1000オングストローム/分である。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の堆積速度は、1000オングストローム/分である。
【0072】
いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスのパラメータは、ハンドルウェーハ上の二酸化シリコン層の制御された厚さを供するように構成される。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~2000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~2500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2500~3000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~3500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3500~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは4000~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、4500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~2500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~3000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2500~3500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3500~4500オングストロームである いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは4000~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~3000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~3500オングストロームである。いくつかの実施形態において、二酸化シリコン層の厚さは、2500~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~3500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~4000オングストロームである。いくつかの実施形態において、二酸化シリコン層の厚さは、2500~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、3000~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~4000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層は2500~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、1500~4500オングストロームである。いくつかの実施形態では、二酸化シリコン層の厚さは、2000~5000オングストロームである。いくつかの実施形態では、工程530のHDPCVDプロセスは、二酸化シリコン層の制御された厚さを達成するために2~3分間にわたり実施される。
【0073】
図5を続けて参照すると、工程540において、第2のウェーハに水素注入物を注入する。いくつかの実施形態では、水素注入は、第2ウェーハに劈開面を規定するように配置される。いくつかの実施形態では、劈開面は、方法500の完了後の第2シリコンウェーハの所望の厚さを規定する。いくつかの実施形態では、水素注入は、イオン注入装置を用いて注入される。いくつかの実施形態では、イオン注入装置は、日本の京都のニッシンイオン装置株式会社によって商品化されているものなどのイオン注入装置である。いくつかの実施形態では、イオン注入装置は、水素イオンのビームを放出するように構成される。いくつかの実施形態では、イオン注入装置は、5000ボルト~1メガボルトの電力で動作するように構成される。いくつかの実施形態では、所望の厚さは500~5000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは500~2000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは、2000~3500オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは3500~5000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは500~3500オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、所望の厚さは、2000~5000オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、注入された水素は、格子間原子、空孔、および複合体の形で変位欠陥を生成する。いくつかの実施形態では、そのような欠陥は、プレートレットと呼ばれる多数の壊された結合を有する領域を生成する。いくつかの実施形態では、水素はこれらの表面にトラップされ、壊された結合を不動態化する。図6Dは、工程540の実施後に、ヒ素層が内部に拡散され、二酸化シリコン層がその上に堆積された第1シリコンウェーハと、水素注入物が注入された第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0074】
図5を続けて参照すると、工程550において、工程530で堆積された二酸化シリコン層の表面が活性化させる。いくつかの実施形態では、活性化は、プラズマ体積内で生成された短命の化学種で二酸化シリコン層の表面に衝撃を与えて表面で化学反応を生じさせ、接着を可能にすることによって実施されるプラズマ活性化である。いくつかの実施形態では、活性化は、0.1~100Paの範囲の圧力での低圧プラズマ活性化結合である。図6Eは、工程550の実施後において、ヒ素層が内部に拡散され活性化二酸化シリコン層が堆積された第1シリコンウェーハと、水素注入物がその中に注入された第2シリコンウェーハの概略図を示す。
【0075】
図5を続けて参照すると、工程560において、(内部にヒ素層が拡散され、二酸化シリコン層が堆積されている)第1シリコンウェーハを、二酸化シリコン層の活性化表面が第2シリコンウェーハに面する(内部に水素注入物を有する)第2シリコンウェーハであって、かつ水素注入によって規定される劈開面に沿った劈開後に、第2シリコンウェーハの所望の部分(すなわち、上記で説明した厚さを有する部分)が第1シリコンウェーハに隣接したままになるように方向づけられた第2シリコンウェーハと接合させる。図6Fは、工程560の実施に従った、内部にヒ素層が拡散され活性化二酸化シリコン層が堆積した第1シリコンウェーハと、水素注入物が注入された第2シリコンウェーハとの接合の概略図を示す。
【0076】
図5を続けて参照すると、工程570において、接合された第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハを、低温アニーリングプロセスに付す。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~250度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏250~300度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏300度~350度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏350度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~300度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏250~350度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏300度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏200度~350度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスで使用される温度は、摂氏250度~400度の範囲である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスの時間は1時間~8時間である。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセス中に、工程540を参照して上記で説明したトラップされた水素は、複合体から解離し、プレートレットに拡散して、H分子を形成する。いくつかの実施形態では、圧力の増加により、プレートレットは、同じ平面で一体となって結合する微小なクラック内にて膨張し、材料の剥離を引き起こす。図6Gは、工程570のアニーリングプロセスの概略図を示す。
【0077】
図5を続けて参照すると、工程580において、接合された第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハを張力下に置く(すなわち、第1シリコンウェーハおよび第2シリコンウェーハを互いに引き離すように張力をかける)。いくつかの実施形態では、張力は、接合された領域全体で1平方インチあたり10~60ポンドの範囲の張力を生成するのに十分な力である。 図6Hは、工程580の張力処理プロセスの概略図を示す。
【0078】
図5を続けて参照すると、工程590において、第2シリコンウェーハを、水素注入によって規定された劈開面で打つ。いくつかの実施形態では、剥離波を生じさせるために、薄いブレード状要素を用いてターゲット領域全体にわたり5~10ポンド/平方インチの範囲の力を加えて、第2シリコンウェーハを打つ。いくつかの実施形態では、薄いブレード状要素は、適当な幅を有する任意の適当な物体である。いくつかの実施形態では、適当な幅は約50ミクロンである。 この打ちの結果として、水素注入物と第1シリコンウェーハとの間に配置された第2シリコンウェーハ(本明細書では「ドナーウェーハ(donor wafer)」と呼ばれ得る)の一部は第1シリコンウェーハ(本明細書では「ハンドルウェーハ」と呼ばれ得る)に貼り付けられたままであり、第2シリコンウェーハの残りの部分は劈開される。この劈開工程に続いて、最終の完成したウェーハが製造される。図6Iは、工程590の実施後における、完成したウェーハと第2シリコンウェーハの除去された部分の概略図を示す。
【0079】
いくつかの実施形態では、例示的な基板(例えば、図1を参照した上記のデバイス100、図2に示される方法200に従って作製された基板、図4を参照した上記のデバイス400、および/または図5に示される方法500に従って作製された基板)は、トラップリッチ層(例えば、デバイス100の窒化シリコン層またはデバイス400の拡散されたヒ素層)を含み、(デバイス100の窒化シリコン層の場合)トラップリッチ層はハンドルウェーハの上面と接する位置で基板内に配置され、または(デバイス400のヒ素層の場合)トラップリッチ層はハンドルウェーハの上面内に配置される。いくつかの実施形態では、そのような例示的な基板は、RFシステムの製造での使用に適している。いくつかの実施形態では、トラップリッチ層は、キャリア、すなわち、RF放射によって誘導され得る寄生電流をトラップするように作動する。したがって、いくつかの実施形態では、チップ設計者は、互いに干渉する機能により誘導される電流を有することなく同じチップ上に多様な機能(例えば、スイッチ、電力増幅器、アンテナチューナーなど)を統合できるので、そのような基板はRFシステムの製造での使用に適している。
【0080】
RFシステムの製造に使用するのに適したSOI基板を形成するための以前の技術は、ハンドルウェーハをアクティブシリコンウェーハに結合する前に、ハンドルウェーハ上にトラップリッチ層を堆積する工程を含む。 例えば、ポリシリコンの層がそのような技術で使用され得る。しかしながら、高温のフロントエンドオブライン(「FEOL」)プロセスがポリシリコンウェーハの結晶構造とハンドルウェーハとの界面に悪影響を及ぼし、ポリシリコン層のトラップ特性を劣化させるため、このプロセスを用いて形成されたSOI基板は熱不安定性な性質を有する。いくつかの実施形態では、例示的な実施形態は、そのような熱的不安定性の問題を防止する。いくつかの実施形態では、例示的な実施形態は、ポリシリコンなどのトラップリッチ材をハンドルウェーハ上に堆積させることに関連する製造コストを削減する。
【0081】
いくつかの実施形態では、シリコン・オン・インシュレータ基板は、順に、(1)第1の側および第1の側の反対側の第2の側を有する高抵抗率ベース層、(2)高抵抗率ベース層の第1の側に配置された二酸化シリコン層、および(3)二酸化シリコン層に配置されたトランスファー層を含む層状構造を含む。高抵抗率ベース層は、(a)シリコン、および(b)高抵抗率ベース層の第1の側内に拡散したヒ素を含むトラップリッチ領域を含む。このトラップリッチ領域は、(i)1~10ミクロンの範囲の厚さと(ii))0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有する。高抵抗率ベース層は、50~100オームメートルの範囲の抵抗率を有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の側および第2の側を有する第1シリコンウェーハを供すること;十分な量のヒ素を第1シリコンウェーハの第1の面に塗布して、ヒ素を第1シリコンウェーハの第1の側に拡散させて、トラップリッチ領域を生成すること(ここで、トラップリッチ領域の厚さは1~10ミクロンの範囲であり、トラップリッチ領域は0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有する);高密度プラズマ化学蒸気堆積(HDPCVD)プロセスを用いて、第1シリコンウェーハの第1の側に二酸化シリコン層を堆積させること(この工程では、HDPCVDプロセスは、酸素ガスの流れ、シランガスの流れ、およびアルゴンガスの流れを用いる);第1の側と第1の側の反対側の第2の側を有する第2シリコンウェーハを供すること;劈開面を規定するために、水素注入物を第2シリコンウェーハに導入すること;二酸化シリコン層を活性化させること;第2シリコンウェーハの第1の側を活性化された二酸化シリコン層に接触させ、それによって結合されたウェーハを作製すること;結合されたウェーハをアニーリングすること;第1シリコンウェーハと第2シリコンウェーハを互いに離れるように一方向に結合したウェーハに張力を加えること;および劈開面で第2シリコンウェーハを劈開させ、それにより、シリコン・オン・インシュレータ基板を作製することを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の側および第2の側を有する第1シリコンウェーハを供すること;第1の高密度プラズマ化学蒸着(HDPCVD)プロセスを用いて、第1シリコンウェーハの第1の側に窒化シリコン層を堆積させること(ここで、第1のHDPCVDプロセスは誘導結合プラズマ源を使用し、誘導結合プラズマ源を第1のHDPCVDプロセス中に65ワット~225ワットの範囲の電力で動作させ、第1のHDPCVDプロセスは酸素ガスの流れ、シランガスの流れ、およびアルゴンガスの流れを用い、第1のHDPCVDプロセス中の窒素ガス流れの流量が20~35sccmの範囲にあり、シランガス流れの流量が20~35sccmの範囲であり、アルゴンガスの流れの流量は20~35sccmの範囲であり、第1のHDPCVDプロセスは5ミリトール~20ミリトールの範囲の圧力で実施され、第1のHDPCVDプロセスは0~100ワットの範囲のバイアス電力を用いて実施され、第1のHDPCVDプロセスは摂氏100~250度の範囲の温度に保持された第1シリコンウェーハで実施され、窒化シリコン層の堆積速度が300~500オングストローム/分の範囲にあり、窒化シリコン層の厚さが300~500オングストロームの範囲にあり、窒化シリコン層が0.8×1010cmeV-1~1.2×1010cmeV-1の範囲のトラップ密度を有するトラップリッチ層である。);第2のHDPCVDプロセスを用いて窒化シリコン層上に二酸化シリコン層を堆積させること(ここで、第2のHDPCVDプロセスは誘導結合プラズマ源を使用し、誘導結合プラズマ源は第2のHDPCVDプロセス中に65ワット~225ワットの範囲の電力で動作され、第2のHDPCVDプロセスは、酸素ガスの流れ、シランガスの流れ、およびアルゴンガスの流れを使用し、第2のHDPCVDプロセス中の酸素ガスの流れの流量は20~35sccmの範囲にあり、第2のHDPCVDプロセス中のシランガスの流れの流量が20~35sccmの範囲にあり、第2のHDPCVDプロセス中のアルゴンガスの流れの流量が20~35sccmの範囲にあり、第2のHDPCVDプロセスが5ミリトール~20ミリトールの範囲の圧力で実施され、第2のHDPCVDプロセスが0~100ワットの範囲のバイアス電力を用いて実施される、第2のHDPCVDプロセスは摂氏100~250度の範囲の温度に保持された第1シリコンウェーハを用いて実施され、二酸化シリコン層の堆積速度は900~1100オングストローム/分の範囲であり、二酸化シリコン層の厚さは1500~5000オングストロームの範囲である);第1の側および第1の側の反対側の第2の側を有する第2シリコンウェーハを供すること;劈開面を規定するために第2シリコンウェーハに水素注入物を導入すること(ここで、第2シリコンウェーハの第1の側と劈開面との間の第2シリコンウェーハの一部の厚さが500~5000オングストロームの範囲である);二酸化シリコン層を活性化させること(ここで、活性化工程は0.1~100Paの範囲の圧力での低圧プラズマ活性化結合を含む);第2シリコンウェーハの第1の側を活性化させた二酸化シリコン層に接触させ、それによって結合されたウェーハを作製すること;結合されたウェーハをアニーリングすること(ここで、アニーリングは、摂氏200度~400度の範囲の温度で、1時間~8時間の範囲の期間にわたり実施される。);第1シリコンウェーハと第2シリコンウェーハが互いに離れるように一方向に結合されたウェーハに張力を加えること;および第2シリコンウェーハを劈開面で劈開するために第2シリコンウェーハのエッジをうって、それによってシリコン・オン・インシュレータ基板を作製することを含む。
【0084】
そのような材料および方法のすべての当技術分野で知られている機能的同等物は、本発明に含まれることが意図されている。本明細書で使用されている用語および表現は、説明の用語として使用され、限定ではなく、そのような用語および表現の使用において、示され、説明されている特徴またはその一部の同等物を除外する意図はないが、特許請求される本発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識されている。したがって、本発明は好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正および変形は当業者によって実施され得、そのような修正および変形は、この開示の範囲内にあることは理解されよう。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は例示にすぎず、限定的ではなく、多くの修正が当業者に明らかになり得ることが理解される。例えば、本明細書で説明されているすべての寸法は、例としてのみ提供されており、例示的であり、限定的ではないことを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4
図5
図6A
図6B
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図6D
図6E
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図6H
図6I
図7A
図7B
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【国際調査報告】