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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光導電体読み出し回路
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20221206BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20221206BHJP
   H01C 10/00 20060101ALI20221206BHJP
   H01C 13/00 20060101ALI20221206BHJP
   H01L 31/08 20060101ALI20221206BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01R19/00 L
H01G4/40 301Z
H01G4/40 Z
H01C10/00 L
H01C13/00 C
H01C13/00 E
H01C13/00 V
H01C13/00 L
H01L31/08
H01L31/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521612
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020078227
(87)【国際公開番号】W WO2021069554
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】19202131.9
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】シャーヴァト,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ファイエス,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】グエン,セラル モハン
(72)【発明者】
【氏名】グスト,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ホース,シュテファン
【テーマコード(参考)】
2G035
5E030
5E082
5F849
【Fターム(参考)】
2G035AA08
2G035AD03
2G035AD04
2G035AD10
2G035AD13
2G035AD20
2G035AD23
2G035AD28
5E030AA20
5E082BB08
5E082BC14
5E082DD01
5E082DD11
5F849AA17
5F849AB02
5F849AB07
5F849AB09
5F849BA18
5F849KA04
5F849KA11
5F849XB01
5F849XB31
(57)【要約】
装置(111)が提案されている。装置(111)は、
- 光導電体(114)の感光領域(118)の照射(116)に依存する電気抵抗Rphotoを示すように構成された、少なくとも1つの光導電体(114)と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路(112)であって、前記光導電体読み出し回路(114)は前記光導電体(114)の電気抵抗Rphotoを決定するように構成され、前記光導電体読み出し回路(112)は少なくとも1つの変調バイアス電圧を前記光導電体(114)に印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源(152)を備える、少なくとも1つの光導電体読み出し回路(112)と、
を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 光導電体(114)の感光領域(118)の照射(116)に依存する電気抵抗Rphotoを示すように構成された、少なくとも1つの光導電体(114)と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路(112)であって、前記光導電体読み出し回路(112)は前記光導電体(114)の電気抵抗Rphotoを決定するように構成され、前記光導電体読み出し回路(112)は少なくとも1つの変調バイアス電圧を前記光導電体(114)に印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源(152)を備える、少なくとも1つの光導電体読み出し回路(112)と、
を備える装置(111)。
【請求項2】
前記バイアス電圧が周期的な時間依存バイアス電圧であり、前記バイアス電圧は、測定期間にわたって前記光導電体(114)を流れる電荷キャリアの積分がゼロとなるように選択され、前記測定期間は、同じ方向へのバイアス電圧分極の2つの連続遷移の間の時間によって定義される、請求項1に記載の装置(111)。
【請求項3】
前記光導電体読み出し回路(112)は、
- 少なくとも1つの測定分圧回路(122)であって、前記光導電体(114)は少なくとも1つのコンデンサ(124)と直列であり、前記コンデンサ(124)は前記光導電体(114)によって充電可能である、少なくとも1つ測定分圧回路(122)と;
- 少なくとも1つの基準分圧回路(128)と少なくとも1つのコンパレータ(130)とを備える少なくとも1つのコンパレータ回路(126)であって、前記コンパレータ(130)は少なくとも1つの入力(134)を備え、第1入力(136)は前記測定分圧回路(122)の出力と電気的に接続され、前記コンパレータ(130)は前記第1入力(136)における入力電圧が少なくとも1つの基準電圧と同じである場合に2つの出力状態の間で変化するように構成されている、少なくとも1つのコンパレータ回路(126)と;
- 少なくとも1つの出力端子(140)であって、前記光導電体(114)の電気抵抗Rphotoは、前記出力端子(140)における充放電周波数から決定可能である、少なくとも1つの出力端子(140)と、
を備える、請求項1又は2に記載の装置(111)。
【請求項4】
前記基準分圧回路(128)は、それぞれが事前定義された又は所定の抵抗を有する少なくとも2つの基準抵抗器(132)を備える、請求項3に記載の装置(111)。
【請求項5】
前記コンパレータ(130)は、少なくとも1つの演算増幅器;少なくとも1つのシュミットトリガ;エミッタ結合論理(ECL)に基づく少なくとも1つの論理要素;少なくとも1つのアドバンストショットキー(ASTTL)、少なくとも1つのFAST-ショットキー、少なくとも1つの高速CMOS及び少なくとも1つのCMOSなどの少なくとも1つのトランジスタ-トランジスタ論理(TTL);及び少なくとも1つのトライステート論理コンパレータ、の1つ以上であるか、又はそれらを含み、
前記コンパレータ(130)は、前記入力電圧を少なくとも1つの基準電圧と比較するように、及び比較の結果を示す出力信号を生成するように構成されている、請求項3又は4に記載の装置(111)。
【請求項6】
前記コンデンサ(124)の充放電速度は、前記抵抗Rphotoに依存する、請求項3~5のいずれか1項に記載の装置(111)。
【請求項7】
前記光導電体読み出し回路(112)は、前記コンパレータ回路の出力信号を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅器(144)を備える、請求項3~6のいずれか1項に記載の装置(111)。
【請求項8】
前記装置は、少なくとも1つの評価装置(142)への少なくとも1つのカップリング(146)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(111)。
【請求項9】
前記感光領域(118)は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、有機半導体、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(111)。
【請求項10】
前記装置(111)は、少なくとも1つの第1電子回路を備え、前記第1電子回路は、少なくとも1つの第1出力信号を生成するように構成され、前記第1出力信号の周波数は、前記光導電体(114)の前記測定周期の数学的関数である、請求項2に記載の装置(111)。
【請求項11】
前記装置(111)は、少なくとも1つの温度感受性要素を含み、前記温度感受性要素の信号は、前記第1電子回路の前記第1出力信号を補正するために使用される、請求項10に記載の装置(111)。
【請求項12】
前記装置(111)は、その感光領域の照射に依存する電気抵抗Rphoto2を示すように構成された少なくとも1つの第2光導電体(164)を含み、前記装置(111)は、第2測定期間を生成するように構成された少なくとも1つの第2電子回路(162)を含み、前記第2電子回路は、少なくとも1つの第2出力信号を生成するように構成され、前記第2出力信号の周波数は、前記光導電体(114)の前記測定期間と前記第2光導電体(164)の前記測定期間との数学的関数である、請求項10又は11に記載の装置(111)。
【請求項13】
前記第2電子回路(162)は、周波数ミキサーである、請求項12に記載の装置(111)。
【請求項14】
前記装置(111)は、前記光導電体(114)及び前記第2光導電体と同じ温度依存性を有する照射に依存しない電気抵抗を示す少なくとも1つの第3抵抗器(166)を含み、前記第3抵抗器(166)は、照射を受けないように暗くされた光導電体、又は非感光性抵抗器のいずれかであり、前記装置(111)は、第3周波数を生成するように構成された少なくとも1つの第3電子回路(168)を含み、前記第3周波数は、基準周波数として機能し、前記基準周波数は、少なくとも2つの電子回路(162,168)によって、照射された光導電体から周波数の差を生成するために使用される、請求項12又は13に記載の装置(111)。
【請求項15】
検出器(110)が、前記装置(111)の前記光導電体読み出し回路(112)の少なくとも1つの出力の出力信号を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置(142)を備え、前記評価装置(142)は、前記出力信号を評価することによって前記光導電体(114)の電気抵抗Rphotoを決定するように構成されている、請求項1~14のいずれか1項による装置(111)を有する検出器(110)。
【請求項16】
前記評価装置(142)は、少なくとも1つのフーリエ変換;周波数のカウント、エッジ検出、周期長測定、からなる群の1つ以上の操作を実行するように構成されている、請求項15に記載の検出器(110)。
【請求項17】
少なくとも1つの光導電体の読み出しの目的のための装置(111)を参照する請求項1~16のいずれか1項の記載の装置(111)の使用であって、
前記装置(111)は、光導電体(114)の感光領域(118)の照射(116)に依存する電気抵抗Rphotoを示すように構成された、少なくとも1つの光導電体と、
少なくとも1つの光導電体読み出し回路(112)であって、前記光導電体読み出し回路(112)は、前記光導電体(114)の前記電気抵抗Rphotoを決定するように構成され、前記光導電体読み出し回路(112)は、前記前記光導電体(114)に少なくとも1つの変調バイアス電圧を適用するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源(152)を有し、前記光導電体は少なくとも1つPbSセンサ、少なくとも1つPbSeセンサ、又は、複数のピクセルを含み各ピクセルは少なくとも1つのPbS又はPbSeセンサを含む少なくとも1つのピクセル化されたセンサアレイ、のうち1つ以上を有する、少なくとも1つの光導電体読み出し回路(112)と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導電体の読み出しのための光導電体読み出し回路、検出器、及び光導電体読み出し回路の使用に関する。具体的には、該光導電体読み出し回路は、硫化鉛光導電体センサなどの光導電体の測定可能な電圧応答を決定するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
硫化鉛光導電体などの光導電体は、読み出しのために抵抗値測定を必要とする。これには、強いバイアス電圧及びこの電圧に適合する回路が必要となる場合がある。測定は通常、他の抵抗との比較で行われる。通常、抵抗又は光導電体は、ホイートストンブリッジのような回路で測定される。例えば、光導電体の読み出しには分圧回路が知られている。通常、電圧増幅器は、光導電体からの信号を測定するために、分圧器と共に使用される(例えば、https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/ssd/e06_handbook_compound_semiconductor.pdfを参照)。
【0003】
しかし、この公知の読み出し回路では、おそらく電気化学プロセスに起因して、無変調のバイアス電圧に対する応答として抵抗がドリフトすることがある。広帯域赤外光源との組み合わせでは、光源の変調は問題となり、通常は低速で、測定時間が長くなるため、高いfノイズが発生する。光変調周波数に依存せずに測定周波数を調整できる、より安価で信頼性の高い読み出し回路が必要とされている。
【0004】
CN208077480は、デジタル電子技術分野に属する555集積回路教育用のLEDシンチレーション周波数制御ウェアを記載している。555の集積回路を構成する発振回路は、デジタル電子技術コース教育中の焦点及び難点であり、実用新案は555の集積回路設計方形波発振回路を開示し、その「周波数」は環境照射強度によって制御され、そして、光照射強度制御LED点滅周波数の機能を実現する。この実用新案に適用されるデジタル電子技術コース実験の555の集積回路は、学生に知識を与え、学生が実験教育に参加したという興味を移し、教育効果を向上させる。「555タイマーIC」については、「555タイマーIC-ウィキペディア」、en.wikipedia.org/w/index.php?title=555タイマーIC&oldid=919149415で説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明によって対処される問題は、この種の既知の回路の欠点を少なくとも実質的に回避する、光導電体読み出し回路及び検出器を特定することである。特に、光導電体の、改善された、特により信頼性が高く、費用対効果の高い読み出しが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現されることができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0007】
本明細書で使用される場合、「有する」、「備える」、及び「含む」という用語、ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現、ならびに「AはBを備える」、又は「AはBを含む」という表現は、B以外に、Aは1つ以上のさらなる成分及び/又は構成要素を含むという事実、及びB以外に、他の成分及び/又は構成要素がAに存在しない場合の両方を指し得る。
【0008】
本発明の第1の態様では、装置が開示されている。前記装置は:
- 光導電体の感光領域の照射に依存する電気抵抗Rphotoを示すように構成された、少なくとも1つの光導電体と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路であって、前記光導電体読み出し回路は前記光導電体の電気抵抗Rphotoを決定するように構成され、前記光導電体読み出し回路は少なくとも1つの変調バイアス電圧を前記光導電体に印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源を備える、少なくとも1つの光導電体読み出し回路と、
を備える。
【0009】
本明細書で使用される「光導電体」という用語は、フォトレジスタとも表され、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光導電体の感光領域の照射に依存する特定の電気抵抗Rphotoを示すことができる感光要素を指し得る。具体的には、電気抵抗は、光導電体の材料の照射に依存する。以下に詳細に概説されるように、光導電体は、「光導電性材料」を含む感光領域を含んでよい。光導電体は、例えば、感光検出器回路に適用されることができる。
【0010】
本明細書で使用される「照射」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、及び赤外スペクトル範囲のうちの1つ以上の電磁放射を指し得る。そこでは、部分的に規格ISO-21348に従って、可視スペクトル範囲という用語は、一般に、380nm~760nmのスペクトル範囲を指す。赤外(IR)スペクトル範囲という用語は、一般に、760nm~1000μmの範囲の電磁放射を指し、そのうち、760nm~1.4μmの範囲は、一般に、近赤外(NIR)スペクトル範囲と呼ばれ、15μm~1000μmの範囲は遠赤外(FIR)スペクトル範囲と呼ばれる。「紫外スペクトル範囲」という用語は、一般に、1nm~380nm、好ましくは100nm~380nmの範囲の電磁放射を指す。以下では、「照射」という用語は、「光」とも表される。好ましくは、本発明内で使用される照射は、可視光、すなわち可視スペクトル範囲の光、及び/又は赤外光、すなわち赤外スペクトル範囲の光である。
【0011】
本明細書で使用される「光導電体の感光領域」という用語は、一般に、例えば入射光ビームによる照射に感応する光導電体のエリアを指す。例えば、感光領域は、好ましくは(必ずしもそうである必要はないが)連続的であり、連続領域を形成することができる二次元又は三次元の領域であってよい。光導電体は、このような感光領域を1つ有するか、さもなければ複数有することができる。本明細書で使用される「照射に依存して電気抵抗Rphotoを示す」という用語は、一般に、光導電体の電気抵抗が、感光領域の照射、特に照射の強度に依存して、調整及び/又は変化及び/又は変動されることを指す。特に、照射に応答して、電気抵抗が調整及び/又は変化及び/又は変動される。光導電体が照射されると、光導電体は電気抵抗の低下を示すことがある。光導電体は、照射されると、その電気抵抗が低下することがある。具体的には、光導電体の電気抵抗は、入射光強度の増加に伴って減少し得る。暗抵抗と明抵抗との間の変更は、測定される量又は読み出される量である。本明細書で使用される「暗抵抗」という用語は、一般に、非点灯状態、すなわち照射なしの状態における光導電体の電気抵抗を指す。本明細書でさらに使用される「明抵抗」という用語は、照射下での光導電体の電気抵抗を指す。測定及び/又は読み出しのために、一般に、非線形挙動を有する分圧回路が知られている。光導電体の抵抗の線形変化は、電圧出力の非線形変化をもたらす。本発明は、以下でより詳細に概説するように、線形挙動を有する回路機能を提案する。
【0012】
光導電体は、少なくとも1つの光導電材料を備え得る。電気抵抗は電気伝導率の逆数で定義されるため、代わりに、「光抵抗材料」という用語が同種の材料を呼ぶのにも使用されることがある。感光領域は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、例えば、ドープされたGe、Si、GaAs、有機半導体、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含むことができる。しかし、他の材料も可能である。さらなる可能な光導電性材料は、例えば、WO2016/120392A1に記載されている。例えば、光導電体は、trinamiX GmbH,D-67056 Ludwigshafen am Rhein,GermanyからHertzstueckという商標名で市販されている光導電体であってよい。
【0013】
例えば、感光領域は、少なくとも1つの照射源によって照射されてよい。照射源は、例えば、周囲光源であってよく、又はそれを含むことができ、及び/又は、人工照射源であってよく、又はそれを含むことができる。例として、照射源は、少なくとも1つの赤外線エミッタ及び/又は可視光線用の少なくとも1つのエミッタ及び/又は紫外線用の少なくとも1つのエミッタを含んでよい。例として、照射源は、少なくとも1つの発光ダイオード及び/又は少なくとも1つのレーザーダイオードを含んでよい。照射源は、特に以下の照射源:レーザー、特にレーザーダイオード(ただし原則として、代替的又は追加的に、他のタイプのレーザーも使用することができる);発光ダイオード;白熱灯;ネオン光;火炎源;有機光源、特に有機発光ダイオード;構造化光源、のうちの1つ以上を含むことができる。代替的又は追加的に、他の照射源も使用することができる。照射源は、一般に、紫外スペクトル範囲、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの光を放出するように適合されることができる。最も好ましくは、少なくとも1つの照射源は、NIR及びIR範囲、好ましくは800nm及び5000nmの範囲、最も好ましくは1000nm及び4000nmの範囲の光を放出するように適合される。
【0014】
照射光源は、少なくとも1つの非連続的光源を含むことができる。あるいは、照射光源は、少なくとも1つの連続的光源を含むことができる。光源は、感光検出器の感光波長と重複する少なくとも1つの放射波長を有する任意の光源であってよい。例えば、光源は、プランク放射を生成するように構成されてよい。例えば、光源は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)及び/又は少なくとも1つのレーザー光源を含み得る。例えば、光源は、液体又は固体材料又は気体の酸化のような発熱反応による照射を生成するように構成されてよい。例えば、光源は、蛍光効果からの照射を生成するように構成されてよい。照射光源は、少なくとも1つの変調された光ビームを生成するように構成されてよい。あるいは、照射源によって生成される光ビームは、非変調であってもよく、及び/又は、さらなる光学的手段によって変調されていてもよい。照射源は、連続光源からの光ビームを変調するように構成された少なくとも1つの光チョッパ装置を含んでよい。光チョッパ装置は、連続光源からの光ビームを周期的に遮断するように構成されてよい。例えば、光チョッパ装置は、少なくとも1つの可変周波数回転ディスクチョッパ及び/又は少なくとも1つの固定周波数音叉チョッパ及び/又は少なくとも1つの光シャッタであってよく、又はそれらを含んでよい。提案された装置は、光変調周波数から独立した光導電体の抵抗を測定及び/又は決定することができる。したがって、提案された装置は、変調光強度なしに照射光源の光導電体抵抗の測定を可能にする。
【0015】
本明細書で使用される「光導電体読み出し回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの光導電体及び/又は複数の光導電体の読み出しするように構成された電子回路を指し得る。
【0016】
光導電体読み出し回路は、
- 少なくとも1つの測定分圧回路であって、光導電体が少なくとも1つのコンデンサと直列であり、前記コンデンサは前記光導電体によって充電可能である、少なくとも1つの測定分圧回路と;
- 少なくとも1つの基準分圧回路と少なくとも1つのコンパレータを備える少なくとも1つのコンパレータ回路であって、前記コンパレータは少なくとも1つの入力を備え、第1入力は前記測定分圧回路の出力と電気的に接続され、前記コンパレータは前記第1入力における入力電圧が少なくとも1つの基準電圧と同じである場合に2つの出力状態の間で変化するように構成されている、少なくとも1つのコンパレータ回路と;
- 少なくとも1つの出力端子であって、前記光導電体の電気抵抗Rphotoは、前記出力端子における充放電周波数から決定可能である、少なくとも1つの出力端子と、
を備え得る。
【0017】
本明細書で使用される「分圧回路」という用語は、分圧器(potential divider)とも示され、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、分圧回路の入力電圧信号の一部である出力電圧信号を生成するように構成された電子回路を指し得る。本明細書で使用される「測定分圧回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、測定される少なくとも1つの光導電体を含む分圧回路を指し得る。本明細書で使用される「基準分圧回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、それぞれが事前定義された又は所定などの既知の抵抗を有する少なくとも2つの基準抵抗器を備える分圧回路を指し得る。基準分圧回路は、それぞれが事前定義された又は所定の抵抗を有する少なくとも2つの基準抵抗器を備えてよい。本明細書で使用される「基準抵抗器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、既知の電気抵抗Rを有する抵抗器を指し得、ここでiは自然数であり、抵抗器の名称を示す。
【0018】
本明細書で使用される「コンデンサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、電気エネルギー、特に光導電体から生じる電子を収集及び/又は蓄積するように構成された少なくとも1つの要素を指し得る。コンデンサは、光導電体と直列に配置される。コンデンサは、光導電体によって充電可能である。特に、光導電体の少なくとも1つの出力は、コンデンサの少なくとも1つの入力と電気的に接続されることができる。電気抵抗Rphotoが小さいほど、コンデンサCはより速く充電される。一般的な分圧器では、出力信号の最大ダイナミックレンジは、両方の抵抗の抵抗値が同じであるときに達成される。光導電体は一般に100kΩを超える抵抗値を有することがある。抵抗値が大きいと、回路に高い熱ノイズが発生することがある。金属箔技術に基づく低ノイズ、高温安定性の抵抗器は、一般的により低い抵抗値で見出され、したがって、分圧器として適用することができない。本発明による回路では、測定分圧器の抵抗器はコンデンサに置き換えられている。
【0019】
本明細書で使用される「コンパレータ回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの入力電圧、具体的には測定される少なくとも1つの電圧を、少なくとも1つの基準電圧、具体的には少なくとも1つの既知の又は所定の基準電圧と比較するように構成された電子回路を指し得る。コンパレータ回路は、比較の結果を示す出力信号を出力するように構成されてよい。コンパレータ回路は、反転シュミットトリガとして具現化されてよい。反転シュミットトリガは、コンパレータと、分圧回路(この場合、基準分圧器)によって実施されるコンパレータの非反転入力への正フィードバックとを含むことができる。
【0020】
コンパレータ回路は、少なくとも1つのコンパレータを含む。本明細書で使用される「コンパレータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの入力電圧を少なくとも1つの基準電圧と比較するように、及び比較の結果を示す出力信号を生成するように構成された電子要素を指し得る。コンパレータ、具体的には電子コンパレータ要素は、少なくとも1つの演算増幅器;少なくとも1つのシュミットトリガ;エミッタ結合論理(ECL)に基づく少なくとも1つの論理要素;少なくとも1つのアドバンストショットキー(ASTTL)、少なくとも1つのFAST-ショットキー、少なくとも1つの高速CMOS及び少なくとも1つのCMOSなどの少なくとも1つのトランジスタ-トランジスタ論理(TTL);及び少なくとも1つのトライステート論理コンパレータ、の1つ以上であってよく、又は、それらを含むことができる。例えば、コンパレータは、少なくとも1つの演算増幅器及び/又は挙げられた動作を実行するように構成された少なくとも1つのさらなる電子要素であってよく、又は、それらを含むことができる。本明細書で使用される「比較」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、入力電圧を基準電圧で除算又は減算するなど少なくとも1つの数学的演算を行うことを指し得る。
【0021】
基準分圧回路の抵抗器については、抵抗器の比率のみが重要であり得る。基準分圧回路の基準抵抗器の比率は、両抵抗器の抵抗値が同じ係数で変化している限り同じであってもよく、抵抗値の広い範囲で抵抗器を使用することができる。
【0022】
コンパレータは、供給電圧によって駆動されてよい。例えば、±0.001V~±5000V、好ましくは±1V~±500V、より好ましくは±2V~±50Vの範囲のような2つの同じの直流(DC)電圧が、コンパレータの供給入力に印加されてよい。コンパレータは単一の供給電圧で駆動されてもよく、供給電圧は±0.001V~±5000Vの範囲であり得る。好ましくは、供給電圧は、±0.1V~±500Vであり得、最も好ましくは、供給電圧は、±1V~±50Vであり得る。あるいは、コンパレータは、±0.001V~±5000Vとすることができるデュアル供給電圧で駆動されてもよい。好ましくは、供給電圧は、±0.1V~±500Vであり得、最も好ましくは、供給電圧は、±1V~±50Vであり得る。コンパレータのデュアル供給電圧は、対称又は非対称にすることができる。
【0023】
コンパレータは、少なくとも1つの入力を備えている。例えば、コンパレータは、2つの入力端子などの少なくとも2つの入力を備え得る。コンパレータは、少なくとも第1入力と少なくとも第2入力を含み得る。具体的には、コンパレータは、反転入力(-)と非反転入力(+)とを有してよい。基準分圧器の出力は、コンパレータの非反転入力に接続されてよく、一方、測定分圧器の出力は、反転入力に接続されてよい。このように、第1入力は測定分圧回路の出力と電気的に接続され、第2入力は基準分圧回路の出力と電気的に接続されている。第1入力は反転入力であってよく、第2入力は非反転入力であってよい。基準分圧器は、コンパレータに正のフィードバックを提供するように構成されてよい。特に、基準分圧器は、コンパレータの出力電圧の一部が非反転入力に現れるように配置されてよい。他の実施形態では、コンパレータは、1つの入力のみを含み得る。この場合、コンパレータは、内部比較電圧を含み得る。
【0024】
コンパレータの出力信号(出力電圧とも示される)は、入力電圧と基準電圧の比較した結果に依存し得る。第1入力における電圧は、本明細書では入力電圧、具体的には測定電圧信号Vmeasとして示される。前記コンパレータの第2入力における電圧又は内部基準電圧(例えば、シュミットトリガの場合)は、基準電圧Vrefとして示される。コンパレータは、第1入力における入力電圧が基準電圧と同じである場合に、2つの出力状態の間で変化させるように構成される。
【0025】
出力信号は、デジタル信号、特に、出力状態として示される2つの状態を有するバイナリデジタル出力とすることができる。出力状態Voutは、入力電圧又は基準電圧のどちらが大きいかに依存する:
【数1】
【0026】
測定電圧が基準電圧より低い場合、出力電圧は「高」になる。「高」出力状態は正であってよく、特に正の飽和電圧に等しい。測定電圧が基準電圧に等しくなると、すなわちコンデンサのさらなる充電によって、コンパレータは出力状態を「低」、特に負の飽和電圧に等しい状態に変化させる。高出力状態から低出力状態へ切り替えるこの場合、コンパレータの出力の負の飽和電圧の結果として、非反転入力に負の電圧が現れることがある。したがって、同じの入力信号の場合、出力信号は、コンパレータの出力における電位を反対の符号に切り替える。さらに、反転シュミットトリガはヒステリシスを示すことができる。出力状態が変化した場合、非反転入力の基準電圧が変化し、2つの異なる基準電圧値となり、出力状態を切り替えるための2つの異なる値となる。
【0027】
【数2】
である限り、すなわち「高」出力状態では、コンデンサは、測定電圧と基準電圧が同じになるまで、光導電体によって充電される。その後、出力状態が「低」に変化し、コンデンサは、出力状態の次の切り替えまで逆符号の電圧に充電される。光導電体の電気抵抗Rphotoは、光導電体読み出し回路の出力端子における充放電周波数から決定できる。コンデンサの充放電速度は、抵抗Rphotoに依存し得、具体的には、Rphotoが小さいほど高くなる。したがって、出力端子で測定される充放電周波数は、光導電体の電気抵抗Rphotoに依存する。光導電体読み出し回路は、少なくとも1つの出力端子を含む。本明細書で使用される「出力端子」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、コンパレータ回路の出力のタッピング電圧を可能にする任意の電子要素を指し得る。特に、出力端子は、コンパレータの出力と直列に接続されてよい。本明細書で使用される「充放電周波数」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、出力状態における2つの切り替えの間でコンデンサを充電又は放電するための時間定数を指し得る。このように、光導電体の抵抗率測定は、周波数測定に変換されることができる。
【0028】
光導電体読み出し回路は、コンパレータ回路の出力信号を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅器、特に少なくとも1つのインピーダンス変換器を備えてよい。
【0029】
装置、特に光導電体読み出し回路は、少なくとも1つの評価装置への少なくとも1つのカップリングを含んでもよい。光導電体読み出し回路は、周波数測定のための少なくとも1つのマイクロコントローラなどの低電圧評価システムにカップリングするための少なくとも1つの整流器及び少なくとも1つのさらなる分圧器を含むことができる。カップリングは、少なくとも1つのダイオード及び少なくとも1つのカップリング分圧回路を含むことができる。カップリングは、コンパレータ回路の出力に配置されてよい。
【0030】
光導電体読み出し回路は、少なくとも1つの変調バイアス電圧を光導電体に印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源を備える。本明細書で使用される「バイアス電圧源」という用語は、バイアス電圧を生成するように構成された少なくとも1つの電圧源を指す。バイアス電圧は、光導電体材料にかかって印加される電圧であってよい。一般的な読み出し回路は、バイアス電圧の変動の影響を受けやすい分圧器に基づく場合がある。バイアス電圧のいかなるノイズも、分圧器の出力における測定電圧として測定されることができる。本発明による回路では、基準分圧器及び測定分圧器が、コンパレータの出力電圧である同じ電位に接続されてよい。これにより、変動の影響の受けやすさを取り除くことができる。
【0031】
本明細書で使用される「変調バイアス電圧」という用語は、バイアス電圧が周期的な時間依存バイアス電圧及び/又は交流バイアス電圧であるという事実を指す。バイアス電圧源は、充電及び/又は放電ごとにバイアス電圧を変化するように構成されてよい。本明細書で使用される「変調」という用語は、光導電体を通る電荷キャリアの正味の流れが測定期間にわたってゼロとなるような、光導電体上のバイアス電圧の分極の変化を指す。具体的には、バイアス電圧は、測定期間中に光導電体を流れる総電流などの電荷キャリアの積分がゼロになるように選択される。測定期間は、立ち上がりエッジ、例えばポジティブエッジから立ち上がりエッジへ、又は立ち下がりエッジ、例えばネガティブエッジから立ち下がりエッジへのような、同じ方向におけるバイアス電圧分極の2つの連続する遷移間の時間であり得る。各充電又は放電に伴うバイアス電圧の変化は、抵抗ドリフトから光導電体を保護することを可能にし得る。通常、光導電体は、光導電体材料又は基板内のイオンのドリフト(光導電体の特性を変化させ得る)につながり得るDCバイアス電圧で測定される。本発明で提案されているように、適切な周波数の交流バイアス電圧を用いることにより、イオンのドリフトを相殺することができる。交流バイアス電圧は、フリッカーノイズ、1/fノイズ又はピンクノイズなどのノイズを低減させることができる。Fノイズは、測定の変調と高い周波数の実現により、著しく減少させることができる。出力では、少なくとも1つのフーリエ変換;周波数のカウント、エッジ検出、周期長測定など、からなる群の1つ以上の操作を用いて、周波数を測定することができる。バイアス電圧は、±0.001V~±5000Vであり得る。好ましくは、バイアス電圧は、±0.1V~±500Vであってよく、最も好ましくは、バイアス電圧は、±1V~±50Vであり得る。バイアス電圧は、正と負の間の切り替りであってよい。光導電体は、正バイアス電圧と負バイアス電圧に対して抵抗非対称性を特徴とすることができる。提案された回路内において測定期間にわたる電荷キャリアの積分がゼロであるため、非対称性は抵抗測定に影響を与えないようにすることができる。光導電材料にかかる電界は、バイアス電圧により、約50V/mmであり得る。
【0032】
光導電体読み出し回路は、複数の光導電体を含むことができる。光導電体は、アレイに配置されてもよい。光導電体読み出し回路は、複数の光導電体の各光導電体の電気抵抗を決定するように構成されてよい。複数の光導電体の読み出しのための光導電体読み出し回路は、プログラマブルロジック、例えば少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、単一又は複数の入力チャンネルを有する集積回路、単一又は複数の入力を有するマイクロプロセッサなどの少なくとも1つの論理ゲートを含んでよい。FPGAは、フリーランニングリング発振器として構成されてよい。これにより、コンパレータの出力周波数の測定において、非常に高い時間分解能を生成することができる。
【0033】
光導電体読み出し回路は、特にさらなる評価のために、出力信号をデジタル信号に変換するように構成された少なくとも1つのアナログデジタル変換器(ADC)をさらに備えてよい。
【0034】
光導電体読み出し回路は、集積回路として具現化されることができる。本明細書で使用される「集積回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、半導体基板などの基板上の電子回路を指し得る。例えば、集積回路は、マイクロチップとして具現化されてよい。
【0035】
一実施形態において、装置は、少なくとも1つの第1電子回路を含んでよい。第1電子回路は、少なくとも1つの第1出力信号を生成するように構成されてよい。第1出力信号の周波数は、光導電体の前記測定周期の数学的関数であってよい。光導電体読み出し回路の出力は、光導電体の抵抗に依存する周波数であってよい。光導電体読み出し回路の出力として、周波数を測定するためのカウンタが必要とされる場合がある。1/fノイズを低減するためには高い周波数が必要であるため、カウンタは、例えばジッタのように、高い周波数を高精度に、かつ低ノイズでサンプリングするように構成されてよい。
【0036】
装置は、その感光領域の照射に依存する電気抵抗Rphoto2を示すように構成された少なくとも1つの第2光導電体を含んでいてよい。装置は、第2測定期間を生成するように構成された少なくとも1つの第2電子回路を含んでよい。第2電子回路は、少なくとも1つの第2出力信号を生成するように構成されてよい。第2出力信号の周波数は、光導電体の測定期間と第2光導電体の測定期間との数学的関数であってよい。
【0037】
第2電子回路は、周波数ミキサーであってよい。ガス分析のための非分散赤外線分光のような、1つの検出器がある特定の波長の光強度を測定し、1つの検出器が別の波長の光強度を測定するデュアル検出器用途の場合、2つの測定信号が比較される必要がある。別の例は、放射率に依存しない温度測定であり得、そこでは、測定対象の放射出力を2つの異なる波長で測定し、信号を比較する。周波数カウントを行う第2電子回路は、2つの信号を同じ精度かつ低ノイズでサンプリングするように構成されてよい。これは、周波数カウンタの要求とコストをさらに増加させる可能性がある。あるいは、周期長カウンタを採用することも可能である。周期長カウンタ及び周波数カウンタの要求は同じままでよい。デュアル用途のための両方の光導電体読み出し回路の出力信号は、個別にデジタル化されてよい。両方の光導電体読み出し回路の出力信号は周波数であってもよいため、両方の周波数を周波数カウンタでサンプリングすることができ、これは、マイクロコントローラ、FPGA、Time-to-Digital変換器(TDC)を使用したタイマーの形式で実現することができる。このアプローチは、マイクロコントローラ及びFPGAに2つの入力チャンネルを必要とし、又は非常に優れた時間分解能を有するこれらのカウンタを2つ採用する必要があり得る。追加的に又は代替的に、両方の光導電体読み出し回路の周波数は、デジタル化する前にアナログレベルで周波数ミキサーを使用して、混合することができる。周波数ミキサーは、それに印加された2つの信号から新しい周波数を生成するように構成された非線形電気回路であってよく、又はそれを含んでよい。周波数ミキサーは、2つの印加された信号を取り込み、元の周波数の差及び和に等しい新しい信号を生成するように構成されてよい。元の周波数、すなわち光導電体読み出し回路の出力信号の和は、単純なローパスフィルタによってフィルタリングされることができ、一方、差はサンプリングされることができる。
【0038】
例えば、2つの周波数f=10000Hz及びf=9960Hzを混合して、fMixed=f-f=40Hzにフィルタリングすることができ、これは通常の周期又は周波数カウンタを用いても非常に優れた分解能で測定することができる。このようにして、要求及びコスト、特にカウンタの数を減少させることができる一方で、分解能を上げることができる。測定分解能は、ヘテロダイン係数、特にビート周波数fMixedに対するキャリアfの比率f/fMixedによって増加させることができる。この説明された例では、ヘテロダイン係数は10000/40=250である。したがって、100ナノ秒の分解能を有する周期カウンタは、400ピコ秒の周期長の変化を分解することができる。
【0039】
周波数ミキサーは、当業者に一般的に知られている。多種多様な周波数ミキサーが、特に、異なる周波数範囲、ノイズレベル、パッケージ形式で、集積回路として、又はディスクリート要素として利用可能である。
【0040】
装置は、少なくとも1つの温度感受性要素を含んでいてよい。温度感受性要素の信号は、第1電子回路の第1出力信号又は第2出力信号の一方又は両方を補正するために使用され得る。
【0041】
装置は、光導電体及び第2光導電体と同じ温度依存性を有する照射に依存しない電気抵抗を示す少なくとも1つの第3抵抗器を含んでよい。第3抵抗器は、照射を受けないように暗くされた光導電体、又は非感光性抵抗器のいずれかであってもよい。装置は、第3周波数を生成するように構成された少なくとも1つの第3電子回路を含んでよい。第3周波数は、基準周波数として機能してよい。基準周波数は、少なくとも2つの電子回路によって、照射された光導電体から周波数の差を生成するために使用されてよい。測定された波長における測定された抵抗及び特定の検出率は、熱変化、例えば環境温度効果、採用された熱電冷却器の不安定性などによってドリフトすることがある。そのため、活性領域がいかなる照射もされないに覆われた追加の暗光導電体を採用することができる。この検出器の出力周波数を基準fRefとすることができる。デュアルミキサー構成を用いることで、fMixed1=f-fRefとfMixed2=f-fRefの差を高精度に測定することができる。商fMixed1/fMixed2を計算することで、fとfの温度依存性を除去することができる。例えば、光導電体の温度係数をαとすると、温度Tに対する商は、
【数3】
となり、したがって、温度に依存しない。
【0042】
さらに、分周器は、その周波数出力が入力信号の2のべき乗の整数除算であるが、そのべき乗は自由に選択され得るという方式で採用され得る。5のべき乗の場合、出力周波数は入力周波数の1/32となる。光導電体の温度を測定するために、負特性サーミスター(NTC)などの安価な温度センサを構築することができる。暗抵抗の温度依存性は工場で較正されることができ、測定値は温度依存性較正係数で補正されることができる。
【0043】
本発明のさらなる態様では、本発明による少なくとも1つの光導電体読み出し回路を含む検出器が開示される。検出器は、さらに、装置の少なくとも1つの出力における出力信号、特に光導電体読み出し回路の出力信号を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置を備える。評価装置は、出力信号を評価することによって光導電体の電気抵抗Rphotoを決定するように構成される。
【0044】
本明細書で使用される「評価装置」という用語は、一般に、電圧出力における少なくとも1つの電圧出力信号を決定及び/又は生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の集積回路、及び/又は1つ以上のデータ処理装置、例えば、1つ以上のコンピュータ、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラであってよく、又はこれらを備えてよい。追加の構成要素、例えば1つ以上の前処理装置及び/又はデータ収集装置、例えば1つ以上の電圧信号の受信及び/又は前処理のための装置、例えば、1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタが含まれてよい。さらに、評価装置は、1つ以上のデータ記憶装置を含むことができる。評価装置は、1つ以上のインターフェース、例えば1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースを含むことができる。評価装置は、特に、少なくとも1つのデータ処理装置、特に、少なくとも1つの出力電圧信号を決定するように設計することができる電子データ処理装置を含むことができる。評価装置はまた、少なくとも1つの照射源を完全に又は部分的に制御するように、及び/又は少なくとも1つの電圧源を制御するように、及び/又は少なくとも1つの負荷抵抗器を調整するように設計されることができる。評価装置は、1つ以上のさらなる追加の構成要素、例えば1つ以上の電子ハードウェア構成要素及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素、例えば1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニットをさらに含むことができる。例えば、評価装置は、少なくとも1つの出力電圧信号を測定するように適合された少なくとも1つの測定装置、例えば少なくとも1つの電圧計を備えることができる。評価装置は、少なくとも1つのフーリエ変換;周波数のカウント、エッジ検出、周期長測定など、からなる群の1つ以上の操作を実行するように構成されてよい。
【0045】
検出器は、少なくとも1つの照射光源を含んでいてよい。
【0046】
本発明のこの態様に関するさらなる詳細、特に光導電体読み出し回路、評価装置及び任意の照射源のさらなる詳細については、上述及び以下でより詳細に提供される光導電体読み出し回路の説明を参照することができる。
【0047】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つのPbSセンサ、少なくとも1つのPbSeセンサ、又は複数のピクセルを含む少なくとも1つのピクセル化されたセンサアレイ(各ピクセルは少なくとも1つのPbS又はPbSeセンサを含む)のうち1つ以上の読み出しの目的のための本発明による装置の使用が開示される。特に、本発明による装置は、中程度又は低バイアス電圧用途、例えば装置がバッテリ駆動であるか又は低電力で動作する必要がある用途、例えばセンサノード、ポータブル測定装置、爆発性雰囲気における装置などで使用することができ、改善された信号対ノイズ比、したがって高い信号品質を可能にする。例えば、分圧回路は、分光器、水分測定器、厚さ測定機器、ガス分析器、又は光導電体をセンサ要素として光導電体を使用するいかなる他のタイプの機器に使用することができる。本装置は、光センサに使用することができる。例えば、分圧回路は、例えばWO2012/110924A1、WO2014/097181A1、WO2016/120392A1のような、いわゆるFiP効果を利用した光センサにおいて使用され得る。公知の分圧回路は、光変調なしでは高分解能で抵抗の変化を測定することができず、例えば光導電検出器を用いた分光計は、分散要素と多重ピクセルでのみ実現できる。単一ピクセル分光計は、光変調を伴わない測定を可能にする安定性のために、InGaS、Siフォトダイオードなどの他の電流発生検出器を使用する。本発明による装置は、光変調を伴わずに高精度で光導電体の抵抗変化を測定できるため、マイケルソン干渉計、又はファブリーペロー干渉計などに基づいた用いた単一ピクセル分光計もまた光導電検出器によって実現され得る。上述した全ての利点を有する提案された装置は、単一ピクセル分光計を実現するために使用されることができる。
【0048】
要約すると、本発明の文脈では、以下の実施形態が特に好ましいと考えられる。
【0049】
実施形態1:
- 光導電体の感光領域の照射に依存して電気抵抗Rphotoを示すように構成された、少なくとも1つの光導電体と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路であって、前記光導電体読み出し回路は前記光導電体の電気抵抗Rphotoを決定するように構成され、前記光導電体読み出し回路は少なくとも1つの変調バイアス電圧を前記光導電体に印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源を備える、光導電体読み出し回路と、
を備える。
【0050】
実施形態2:前記バイアス電圧が周期的な時間依存バイアス電圧であり、前記バイアス電圧は、測定期間にわたって前記光導電体を流れる電荷キャリアの積分がゼロとなるように選択され、前記測定期間は、同じ方向へのバイアス電圧分極の2つの連続遷移の間の時間によって定義される、先行する実施形態による装置。
【0051】
実施形態3:前記光導電体読み出し回路は、
- 少なくとも1つの測定分圧回路であって、前記光導電体の感光領域の照射に依存して電気抵抗Rphotoを示すように構成された少なくとも1つの光導電体と、前記光導電体と直列の少なくとも1つのコンデンサとを備え、前記コンデンサは前記光導電体によって充電可能である、少なくとも1つ測定分圧回路と;
- 少なくとも1つの基準分圧回路と少なくとも1つのコンパレータを備える少なくとも1つのコンパレータ回路であって、前記コンパレータは少なくとも1つの入力を備え、第1入力は前記測定分圧回路の出力と電気的に接続され、前記コンパレータは前記第1入力における入力電圧が少なくとも1つの基準電圧と同じである場合に2つの出力状態の間で変化するように構成されている、少なくとも1つのコンパレータ回路と;
- 少なくとも1つの出力端子であって、前記光導電体の電気抵抗Rphotoは、前記出力端子における充放電周波数から決定可能である、少なくとも1つの出力端子と、
を備える、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0052】
実施形態4:前記基準分圧回路は、それぞれが事前定義された又は所定の抵抗を有する少なくとも2つの基準抵抗器を備える、先行する実施形態による装置。
【0053】
実施形態5:前記コンパレータは、少なくとも1つの演算増幅器;少なくとも1つのシュミットトリガ;エミッタ結合論理(ECL)に基づく少なくとも1つの論理要素;少なくとも1つのアドバンストショットキー(ASTTL)、少なくとも1つのFAST-ショットキー、少なくとも1つの高速CMOS及び少なくとも1つのCMOSなどの少なくとも1つのトランジスタ-トランジスタ論理(TTL);及び少なくとも1つのトライステート論理コンパレータ、の1つ以上であるか、又はそれらを含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる装置。
【0054】
実施形態6:前記コンパレータは、前記入力電圧を少なくとも1つの基準電圧と比較するように、及び比較の結果を示す出力信号を生成するように構成されている、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる装置。
【0055】
実施形態7:前記コンデンサの充放電速度は、抵抗Rphotoに依存する、先行する4つの実施形態のいずれか1つによる装置。
【0056】
実施形態8:前記光導電体読み出し回路は、前記コンパレータ回路の出力信号を増幅するように構成された少なくとも1つの増幅器を備える、先行する5つの実施形態のいずれか1つによる装置。
【0057】
実施形態9:前記装置は、少なくとも1つの評価装置への少なくとも1つのカップリングを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0058】
実施形態9:前記感光領域は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、有機半導体、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0059】
実施形態10:前記装置は、少なくとも1つの第1電子回路を備え、前記第1電子回路は、少なくとも1つの第1出力信号を生成するように構成され、前記第1出力信号の周波数は、前記光導電体の前記測定周期の数学的関数である、実施形態2による装置。
【0060】
実施形態11:前記装置は、少なくとも1つの温度感受性要素を含み、前記温度感受性要素の信号は、前記第1電子回路の前記第1出力信号を補正するために使用される、先行する実施形態による装置。
【0061】
実施形態12:前記装置は、その感光領域の照射に依存する電気抵抗Rphoto2を示すように構成された少なくとも1つの第2光導電体を含み、前記装置は、第2測定期間を生成するように構成された少なくとも1つの第2電子回路を含み、前記第2電子回路は、少なくとも1つの第2出力信号を生成するように構成され、前記第2出力信号の周波数は、前記光導電体の前記測定期間と前記第2光導電体の前記測定期間との数学的関数である、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる装置。
【0062】
実施形態13:前記第2電子回路は、周波数ミキサーである、先行する実施形態による装置。
【0063】
実施の形態14:前記装置は、前記光導電体及び前記第2光導電体と同じ温度依存性を有する照射に依存しない電気抵抗を示す少なくとも1つの第3抵抗器を含み、前記第3抵抗器は、照射を受けないように暗くされた光導電体、又は非感光性抵抗器のいずれかであり、前記装置は、第3周波数を生成するように構成された少なくとも1つの第3電子回路を含み、前記第3周波数は、基準周波数として機能し、前記基準周波数は、少なくとも2つの電子回路によって、照射された光導電体から前記周波数の差を生成するために使用される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる装置。
【0064】
実施形態15:検出器が、前記装置の少なくとも1つの出力の出力信号を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置を備え、前記評価装置は、前記出力信号を評価することによって前記光導電体の電気抵抗Rphotoを決定するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの装置を含む検出器。
【0065】
実施形態16:前記評価装置は、少なくとも1つのフーリエ変換;周波数のカウント、エッジ検出、周期長測定など、からなる群の1つ以上の操作を実行するように構成されている、先行する実施形態による検出器。
【0066】
実施形態17:少なくとも1つのPbSセンサ、少なくとも1つのPbSeセンサ、又は、複数のピクセルを含み各ピクセルは少なくとも1つのPbS又はPbSeセンサを含む少なくとも1つのピクセル化されたセンサアレイ、のうち1つ以上の読み出しのための、装置を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる装置の使用。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、単独で、又は他の特徴と組み合わせて実施されてよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に模式的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0068】
具体的には、以下の図においては:
図1】本発明による装置を備えた検出器の例示的な実施形態を示す図である。
図2】光導電体読み出し回路を備えた装置のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図3】本装置のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図4】本装置のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図5図5A図5Cは、本装置のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図6】本装置及び光導電体読み出し回路のさらなる実施形態を示す図である。
図7図7A図7Cは、装置が複数の光導電体を含んでいる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
例示的な実施形態
図1は、非常に概略的な方法で、少なくとも1つの光導電体読み出し回路112を含む本発明による少なくとも1つの装置111を備える検出器110の例示的な実施形態を示している。装置111は、光導電体114の感光領域118の照射116に依存する電気抵抗Rphotoを示すように構成された少なくとも1つの光導電体114を備える。
【0070】
電気抵抗Rphotoは、光導電体114の材料の照射に依存し得る。光導電体114の感光領域118は、光導電性材料を含み得る。感光領域118は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、例えば、ドープされたGe、Si、GaAs、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含むことができる。しかし、他の材料も可能である。さらなる可能な光導電性材料は、例えば、WO2016/120392A1に記載されている。例えば、光導電体は、trinamiX GmbH,D-67056 Ludwigshafen am Rhein,GermanyからHertzstueckという商標名で市販されている光導電体であってよい。
【0071】
例えば、感光領域118は、少なくとも1つの照射源120によって照射されてよい。照射源120は、例えば、周囲光源であってよく、又はそれを含むことができ、及び/又は、人工照射源であってよく、又はそれを含むことができる。検出器110は、感光領域118を照射するように構成された少なくとも1つの照射源120を備えることができる。例として、照射源120は、少なくとも1つの赤外線エミッタ及び/又は可視光線用の少なくとも1つのエミッタ及び/又は紫外線用の少なくとも1つのエミッタを含んでよい。例として、照射源120は、少なくとも1つの発光ダイオード及び/又は少なくとも1つのレーザーダイオードを含んでよい。照射源120は、特に以下の照射源:レーザー、特にレーザーダイオード(ただし原則として、代替的又は追加的に、他のタイプのレーザーも使用することができる);発光ダイオード;白熱灯;ネオン光;火炎源;有機光源、特に有機発光ダイオード;構造化光源、のうちの1つ以上を含むことができる。代替的又は追加的に、他の照射源も使用することができる。照射源120は、一般に、紫外スペクトル範囲、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの光を放出するように適合されることができる。最も好ましくは、少なくとも1つの照射源は、NIR及びIR範囲、好ましくは800nm及び5000nmの範囲、最も好ましくは1000nm及び4000nmの範囲の光を放出するように適合される。照射源120は、少なくとも1つの連続的光源又は少なくとも1つの非連続的光源を含み得る。
【0072】
光導電体読み出し回路112は、少なくとも1つの光導電体114と、光導電体114と直列に接続された少なくとも1つのコンデンサC124を含む少なくとも1つの測定分圧回路122を備える。コンデンサC124は、光導電体114によって充電可能である。特に、光導電体114の少なくとも1つの出力は、コンデンサ124の少なくとも1つの入力と電気的に接続されることができる。電気抵抗Rphotoが小さいほど、コンデンサCはより速く充電される。一般的な分圧器では、出力信号の最大ダイナミックレンジは、両方の抵抗の抵抗値が同じであるときに達成される。光導電体は一般に100kΩを超える抵抗値を有することがある。抵抗値が大きいと、回路に高い熱ノイズが発生することがある。金属箔技術に基づく低ノイズ、高温安定性の抵抗器は、一般的により低い抵抗値で見出され、したがって、分圧器として適用することができない。本発明による回路では、測定分圧器の抵抗器がコンデンサ124に置き換えられている。コンデンサC124は、さらに、接地されてもよい。
【0073】
光導電体読み出し回路112は、少なくとも1つの基準分圧回路128と少なくとも1つのコンパレータ130を含む少なくとも1つのコンパレータ回路126を備える。コンパレータ回路126は、少なくとも1つの入力電圧を少なくとも1つの基準電圧と比較し、比較の結果を示す出力信号を出力するように構成されてよい。コンパレータ回路126は、反転シュミットトリガとして具現化されてよい。反転シュミットトリガは、コンパレータ130と、分圧回路(この場合、基準分圧器128)によって実施されるコンパレータの非反転入力への正のフィードバックとを含むことができる。基準分圧回路128は、少なくとも2つの基準抵抗器132(図1においてR及びRを示される)を含むことができ、それぞれが事前定義された又は所定の抵抗を有している。抵抗器Rは、抵抗器Rと直列に接続されてよい。抵抗器Rは、コンパレータ130の出力に接続されてよい。Rは、さらに、接地されてもよい。コンパレータ130は、少なくとも1つの演算増幅器;少なくとも1つのシュミットトリガ;エミッタ結合論理(ECL)に基づく少なくとも1つの論理要素;少なくとも1つのアドバンストショットキー(ASTTL)、少なくとも1つのFAST-ショットキー、少なくとも1つの高速CMOS及び少なくとも1つのCMOSなどの少なくとも1つのトランジスタ-トランジスタ論理(TTL);及び少なくとも1つのトライステート論理コンパレータ、の1つ以上であってよく、又は、それらを含むことができる。
【0074】
基準分圧回路128の抵抗器については、抵抗器の比率のみが重要であり得る。基準分圧回路の基準抵抗器の比率は、両抵抗器の抵抗値が同じ係数で変化している限り(それは抵抗値の広い範囲で抵抗器を使用することを可能にする)、同じであってもよい。コンパレータ130は、少なくとも1つの入力134、特に図1に示すように2つの入力端子を備える。コンパレータは、少なくとも1つの第1入力136と少なくとも1つの第2入力138を含み得る。具体的には、コンパレータ130は、非反転入力(+)と反転入力(-)を有してよい。基準分圧器128の出力は、コンパレータの非反転入力に接続されてよく、一方、測定分圧器122の出力は、反転入力に接続されてよい。このように、第1入力136は測定分圧回路122の出力と電気的に接続され、第2入力は基準分圧回路128の出力と電気的に接続されている。第1入力136は反転入力であってよく、第2入力は非反転入力であってよい。基準分圧器128は、コンパレータ130に正のフィードバックを提供するように構成されてよい。特に、基準分圧器128は、コンパレータ130の出力電圧の一部が非反転入力に現れるように配置されてよい。
【0075】
コンパレータ130の出力信号(出力電圧とも示される)は、第1入力136における入力電圧を少なくとも1つの基準電圧と比較した結果に依存し得る。図1の実施形態では、基準電圧は、第2入力138における入力電圧であり得る。第1入力136における電圧は、本明細書では測定電圧信号Vmeasとして示され、第2入力138における電圧は、基準電圧信号Vrefとして示される。コンパレータ130は、第1入力と第2入力における入力電圧が同じである場合に、2つの出力状態の間で変化するように構成される。出力信号は、デジタル信号、特に、出力状態として示される2つの状態を有するバイナリデジタル出力とすることができる。出力状態Voutは、どちらの入力電圧が大きいかに依存する:
【数4】
【0076】
測定電圧が基準電圧より低い場合、出力電圧は「高」になる。「高」出力状態は正であってよく、特に正の飽和電圧に等しい。測定電圧が基準電圧に等しくなると、すなわちコンデンサのさらなる充電により、コンパレータは出力状態を「低」、特に負の飽和電圧に等しい状態に変化させる。高出力状態から低出力状態へ切り替えるこの場合、コンパレータ130の出力の負の飽和電圧の結果として、非反転入力に負の電圧が現れることがある。したがって、同じの入力信号の場合、出力信号は、コンパレータ130の出力における電位を反対の符号に切り替える。さらに、反転シュミットトリガはヒステリシスを示すことができる。出力状態が変化した場合、非反転入力の基準電圧が変化し、2つの異なる基準電圧値となり、したがって、出力状態を切り替えるための2つの異なる値となる。
【0077】
【数5】
である限り、すなわち「高」出力状態では、コンデンサ124は、測定電圧と基準電圧が同じになるまで、光導電体114によって充電される。その後、出力状態が「低」に変化し、コンデンサ124は、出力状態の次の切り替えまで逆符号の電圧に充電される。光導電体114の電気抵抗Rphotoは、光導電体読み出し回路の出力端子における充放電周波数から決定できる。コンデンサ124の充放電速度は、抵抗Rphotoに依存し得、具体的には、Rphotoが小さいほど高くなる。したがって、出力端子140で測定される充放電周波数は、光導電体114の電気抵抗Rphotoに依存する。光導電体読み出し回路112は、少なくとも1つの出力端子140を含む。出力端子140は、コンパレータ130の出力と直列に接続されてよい。充放電周波数は、出力状態における2つの切り替えの間でコンデンサ124を充電又は放電するための時間定数であり得る。このように、光導電体114の抵抗率測定は、周波数測定に変換されることができる。
【0078】
検出器110はさらに、装置、特に光導電体読み出し回路112の少なくとも1つの出力140における出力信号を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置142を備える。評価装置142は、出力信号を評価することによって、光導電体114の電気抵抗Rphotoを決定するように構成されている。評価装置142は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)など、1つ以上の集積回路、及び/又は1つ以上のデータ処理装置、例えば、1つ以上のコンピュータ、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラであってよく、又はこれらを備えてよい。追加の構成要素、例えば1つ以上の前処理装置及び/又はデータ収集装置、例えば1つ以上の電圧信号の受信及び/又は前処理のための装置、例えば、1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタが含まれてよい。さらに、評価装置142は、1つ以上のデータ記憶装置を含むことができる。評価装置142は、1つ以上のインターフェース、例えば1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースを含むことができる。評価装置142は、特に、少なくとも1つのデータ処理装置、特に、少なくとも1つの出力電圧信号を決定するように設計することができる電子データ処理装置を含むことができる。評価装置142はまた、少なくとも1つの照射源を完全に又は部分的に制御するように、及び/又は少なくとも1つの電圧源を制御するように、及び/又は少なくとも1つの負荷抵抗器を調整するように設計されることができる。評価装置142は、1つ以上のさらなる追加の構成要素、例えば1つ以上の電子ハードウェア構成要素及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素、例えば1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニットをさらに含むことができる。例えば、評価装置142は、少なくとも1つの出力電圧信号を測定するように適合された少なくとも1つの測定装置、例えば少なくとも1つの電圧計を備えることができる。評価装置142は、少なくとも1つのフーリエ変換;周波数のカウント、エッジ検出、周期長測定など、からなる群の1つ以上の操作を実行するように構成されてよい。
【0079】
図2は、装置111及び光導電体読み出し回路112のさらなる実施形態を示す。図1に示された要素に加えて、図2の実施形態では、光導電体読み出し回路112は、少なくとも1つの追加の増幅器144、特にコンパレータ回路126の出力信号を増幅するように構成された少なくとも1つのインピーダンス変換器を備える。追加の増幅器144は、抵抗器R及びRからを含むさらなる分圧器に接続されてよい。抵抗器Rは、さらなる増幅器144の出力及び抵抗器Rに接続されてもよく、抵抗器Rは、接地されてよい。さらなる分圧器の出力は、追加の増幅器144の非反転入力に接続されてよい。
【0080】
図3は、装置111及び光導電体読み出し回路112のさらなる実施形態を示す。図1に示された要素に加えて、図3の実施形態では、光導電体読み出し回路112が、少なくとも1つの評価装置142への少なくとも1つのカップリング146を含む。光導電体読み出し回路112は、周波数測定のための少なくとも1つのマイクロコントローラなどの低電圧評価システムにカップリングするための少なくとも1つの整流器148及び少なくとも1つのさらなる分圧器150を含むことができる。カップリング146は、少なくとも1つのダイオード及び少なくとも1つのカップリング分圧回路を含むことができる。カップリング146は、コンパレータ回路126の出力に配置されてよい。
【0081】
光導電体読み出し回路112は、少なくとも1つの変調バイアス電圧を光導電体114に印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源152を備える。一般的な読み出し回路は、バイアス電圧の変動の影響を受けやすい分圧器に基づく場合がある。バイアス電圧のいかなるノイズも、分圧器の出力における測定電圧として測定されることができる。本発明による回路では、基準分圧器128及び測定分圧器122が、コンパレータの出力電圧である同じ電位に接続されてよい。これにより、変動の影響の受けやすさを取り除くことができる。変調バイアス電圧は、周期的な時間依存バイアス電圧及び/又は交流バイアス電圧であり得る。バイアス電圧源152は、充電及び/又は放電ごとにバイアス電圧を変化させるように構成されてもよい。変調は、光導電体114を通る電荷キャリアの正味の流れが測定期間にわたってゼロとなるような、光導電体114上のバイアス電圧の分極の変化であり得る。具体的には、バイアス電圧は、測定期間にかけて光導電体114を流れる総電流などの電荷キャリアの積分がゼロとなるように選択される。測定期間は、立ち上がりエッジ(例えば正エッジ)から立ち上がりエッジへ、又は立ち下がりエッジ(例えば負エッジ)から立ち下がりエッジへのような、同じ方向へのバイアス電圧分極の2つの連続遷移の間の時間であってよい。各充電又は放電に伴うバイアス電圧の変化は、抵抗ドリフトから光導電体114を保護することを可能にし得る。通常、光導電体は、光導電体材料又は基板内のイオンのドリフト(光導電体の特性を変化させ得る)につながり得るDCバイアス電圧で測定される。本発明で提案されているように、適切な周波数の交流バイアス電圧を用いることにより、イオンのドリフトを相殺することができる。交流バイアス電圧は、フリッカーノイズ、1/fノイズ又はピンクノイズなどのノイズを低減させることができる。Fノイズは、測定の変調と高い周波数の実現により、著しく減少させることができる。出力では、少なくとも1つのフーリエ変換;周波数のカウント、エッジ検出など、からなる群の1つ以上の操作を用いて、周波数を測定することができる。バイアス電圧は、±0.001V~±5000Vの範囲とすることができる。好ましくは、バイアス電圧は、±0.1V~±500Vであり得、最も好ましくは、バイアス電圧は、±1Vから±50Vであり得る。バイアス電圧は、正と負とで切り替わってよい。光導電体114は、正バイアス電圧と負バイアス電圧に対して抵抗非対称性を特徴とすることができる。提案された回路内の、測定期間にわたる電荷キャリアの積分はゼロであるため、非対称性は抵抗測定に影響を与えないようにすることができる。光導電材料を横切る電界は、バイアス電圧により、約50V/mmであり得る。
【0082】
コンパレータ130は、供給電圧156によって駆動されてよい。例えば、±0.001V~±5000V、好ましくは±1V~±500V、より好ましくは±2V~±50Vの範囲のような2つの同じの直流(DC)電圧が、コンパレータ130の供給入力158に印加されてよい。コンパレータ130は単一の供給電圧156で駆動されてもよく、該供給電圧156は±0.001V~±5000Vの範囲であり得る。好ましくは、供給電圧156は、±0.1V~±500Vであり得、最も好ましくは、供給電圧156は、±1V~±50Vであり得る。あるいは、コンパレータ130は、±0.001V~±5000Vとすることができるデュアル供給電圧で駆動されてもよい。好ましくは、供給電圧156は、±0.1V~±500Vであり得、最も好ましくは、供給電圧156は、±1V~±50Vであり得る。コンパレータのデュアル供給電圧は、対称又は非対称にすることができる。
【0083】
さらに、図3には、サブ図1)~4)が示されている。サブ図1)は、時間(単位:ms)の関数として、例示的な測定電圧信号Vmeas(単位:V)を示している。サブ図2)は、時間(単位:ms)の関数として、例示的な基準電圧Vref(単位:V)を示している。サブ図3)は、コンパレータ130の例示的な出力を示している。サブ図4)は、評価装置142の時間(単位:ms)の関数として、例示的な入力電圧(単位:V)を示している。
【0084】
図4は、装置111及び光導電体読み出し回路112のさらなる実施形態を示す。図1に示された要素に加えて、図4の実施形態では、光導電体読み出し回路112は、光導電体114に少なくとも1つのバイアス電圧を印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源152を備えてよい。図4に示すように、光導電体読み出し回路112は、カップリング146を含んでいる。図4において、カップリング146は、少なくとも1つの金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)154を含むことができる。
【0085】
図1図4における抵抗R及びRは、追加的又は代替的に、少なくとも1つの負の温度係数サーミスタ(NTC)、又は少なくとも1つの感温ダイオード、又は少なくとも1つの正の温度係数サーミスタ(PTC)、又は少なくとも1つの追加の暗光導電体などの温度依存性抵抗として具現化されてもよい。これにより、光導電体114の温度依存性を補償することができる。
【0086】
図5A図5Cは、本発明による装置111及び光導電体読み出し回路112のさらなる実施形態を示す。図5Aにおいて、コンパレータ130は、シュミットトリガ160として具現化されている。読み出し回路は、図1図4に関して説明したように動作するが、コンパレータ130は、基準電圧として使用される内部比較電圧を含み得る。図5Bでは、コンパレータ130は、反転ゲートとして具現化されている。反転ゲートは、シュミットトリガのように動作してもよく、コンパレータにおける入力電圧の閾値は、使用される回路技術に適応される。トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)の場合、閾値は、低レベルの場合はU<0.8Vであり、高レベルの場合はU>2Vであり得る。あるいは、CMOSなどの他のデジタル回路技術を使用してもよい。図5Cでは、コンパレータ130は、2つのトランジスタなどのディスクリート部品を含む反転回路として具現化されてもよい。集積部品の代わりに、光導電体114の導電率に依存する周波数を有する発振を生成するように構成されたディスクリート部品で回路が構成された実施形態も可能である。
【0087】
図6は、装置111及び光導電体読み出し回路112のさらなる実施形態を示す。図1に示された要素に加えて、図6の実施形態では、光導電体読み出し回路112は、少なくとも1つの追加のコンパレータ131を含み、一方、第1コンパレータ130の出力は、追加のコンパレータ131の反転入力に接続されている。コンパレータ130と追加のコンパレータ131の非反転入力は、同じ電位に接続されている。両方のコンパレータ130、131には、Vsupplyの一定のDC供給電圧を有するTTL電源又はバッテリなどの単一のDC電圧源が供給されてもよい。この実施形態では、光導電体上に印加されるバイアス電圧は、依然として変調され、光導電体114を通る電荷キャリアの正味の流れが測定期間にわたってゼロとなるように、Vsupplyと-Vsupply間でその分極を変化させる。サブ図1)は、時間(単位:ms)の関数として、光導電体114の例示的なバイアス電圧(単位:V)を示している。サブ図2)は、時間(単位:ms)の関数として、コンパレータ130の例示的な出力を示している。サブ図3)は、時間(単位:ms)の関数として、追加のコンパレータ131の例示的な出力を示している。追加のコンパレータ131の出力は、コンパレータ130の出力と比較して少なくとも半周期の位相遅延とされ得る。あるいは、コンパレータ130及び追加のコンパレータ131は、2つの入力及び2つの出力を有する単一のコンパレータで置き換えられてもよく、一方、出力は互いに差動であり、これは出力電圧が回路の共通モード動作点を基準にして極性が反対であることを意味する。
【0088】
図7は、装置111が複数の光導電体を含む、実施形態を示している。図7Aは、装置111は、少なくとも1つの第2電子回路162を含む、実施形態を示している。本実施形態では、装置111は、2つの光導電体、光導電体114と第2光導電体164を含んでいる。第2電子回路162は、周波数ミキサーであってもよく、又はそれを含んでよい。両方の光導電体読み出し回路112の周波数f及びfは、デジタル化する前にアナログレベルで周波数ミキサーを使用して、混合されることができる。周波数ミキサーは、それに印加された2つの信号から新しい周波数を生成するように構成された非線形電気回路であってよく、又はそれを含んでよい。周波数ミキサーは、2つの印加された信号を取り込み、元の周波数の差及び和に等しい新しい信号を生成するように構成されてよい。元の周波数、すなわち光導電体読み出し回路112の出力信号の和は、単純なローパスフィルタによってフィルタリングされることができ、一方、差は図7Aに視覚化されるようにサンプリングされることができる。サンプリングされた差は、少なくとも1つのカウンタ164によって測定され得る。
【0089】
例えば、2つの周波数f=10000Hz及びf=9960Hzを混合して、fMixed=f-f=40Hzにフィルタリングすることができ、これは通常の周期又は周波数カウンタを用いても非常に優れた分解能で測定することができる。このようにして、要求及びコスト、特にカウンタの数を減少させることができる一方で、分解能を上げることができる。測定分解能は、ヘテロダイン係数、特にビート周波数fMixedに対するキャリアfの比率f/fMixedによって増加させることができる。この説明された例では、ヘテロダイン係数は10000/40=250である。したがって、100ナノ秒の分解能を有する周期カウンタは、400ピコ秒の周期長の変化を分解することができる。
【0090】
周波数ミキサーは、当業者に一般的に知られている。多種多様な周波数ミキサーが、特に、異なる周波数範囲、ノイズレベル、パッケージ形式で、集積回路として、又はディスクリート要素として利用可能である。
【0091】
図7Bに示すように、装置111は、光導電体114及び第2光導電体164と同じ温度依存性を有する照射に依存しない電気抵抗を示す少なくとも1つの第3抵抗器166を含んでよい。第3抵抗器166は、照射を受けないように暗くされた光導電体、又は非感光性抵抗器のいずれかであってもよい。装置111は、第3周波数fRefを生成するように構成された少なくとも1つの第3電子回路168を含んでよい。第3周波数は、基準周波数として機能してよい。基準周波数は、少なくとも2つの電子回路162、168によって、照射された光導電体から周波数の差を生成するために使用されてよい。測定された波長における測定された抵抗及び特定の検出率は、熱変化、例えば環境温度効果、採用された熱電冷却器の不安定性などによってドリフトすることがある。そのため、活性領域がいかなる照射もされないに覆われた追加の暗光導電体を採用することができる。この検出器の出力周波数を基準fRefとすることができる。図7Bに示すデュアルミキサー構成を用いることで、fMixed1=f-fRefとfMixed2=f-fRefの差を高精度で測定することができる。商fMixed1/fMixed2を計算することで、fとfの温度依存性を除去することができる。例えば、光導電体の温度係数をαとすると、温度Tに対する商は、
【数6】
となり、したがって、温度に依存しない。
【0092】
図7Cに示すように、さらに、分周器170が、その周波数出力が入力信号の2のべき乗の整数除算であるが、そのべき乗は自由に選択され得るという方式で採用され得る。5のべき乗の場合、出力周波数は入力周波数の1/32となる。光導電体の温度を測定するために、負特性サーミスター(NTC)などの安価な温度センサを構築することができる。暗抵抗の温度依存性は工場で較正することができ、測定値は温度依存性較正係数で補正されることができる。
【符号の説明】
【0093】
参照番号のリスト
110 検出器
111 装置
112 光導電体読み出し回路
114 光導電体
116 照射
118 感光領域
120 照射源
122 測定分圧回路
124 コンデンサ
126 コンパレータ回路
128 基準分圧回路
130 コンパレータ
131 コンパレータ
132 基準抵抗器
134 入力
136 第1入力
138 第2入力
140 出力端子
142 評価装置
144 追加の増幅器
146 カップリング
148 整流器
150 さらなる分圧器
152 バイアス電圧源
154 MOSFET
156 供給電圧
158 供給入力
160 シュミットトリガ
162 第2電子回路
164 カウンタ
166 第3抵抗器
168 第3電子回路
170 分周器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】