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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光導電体読み出し回路
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/44 20060101AFI20221206BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20221206BHJP
   H01L 31/08 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01J1/44 F
G01J1/02 Q
G01J1/02 B
H01L31/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521655
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020078213
(87)【国際公開番号】W WO2021069547
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】19202133.5
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】フォイアーシュタイン,ベルトラム
(72)【発明者】
【氏名】グスト,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ゴルト,ダレン リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
【テーマコード(参考)】
2G065
5F849
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA02
2G065BA09
2G065BA33
2G065BC03
2G065BC33
2G065BC35
5F849AA17
5F849AB07
5F849AB09
5F849AB11
5F849EA02
5F849KA20
5F849XA01
5F849XB01
5F849XB18
5F849XB19
(57)【要約】
装置が提案されている。装置(110)は、
- 光導電体(112)の感光領域の照射に依存する電気抵抗を示すように構成された少なくとも1つの光導電体(112)と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路(116)であって、前記光導電体読み出し回路(116)は少なくとも1つの分圧回路(118)を含み、前記分圧回路(118)は、前記光導電体(112)と直列に配置された少なくとも1つの基準抵抗器Rref(120)を含み、前記光導電体読み出し回路(116)は少なくとも1つの増幅器装置(128)を含み、前記光導電体読み出し回路(116)は、前記増幅器装置(128)の入力と前記分圧回路(118)の出力との間に配置された少なくとも1つのコンデンサ(126)を含む、少なくとも1つの光導電体読み出し回路(116)と、
を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 光導電体(112)の感光領域の照射に依存する電気抵抗を示すように構成された少なくとも1つの光導電体(112)と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路(116)であって、前記光導電体読み出し回路(116)は少なくとも1つの分圧回路(118)を含み、前記分圧回路(118)は、前記光導電体(112)と直列に配置された少なくとも1つの基準抵抗器Rref(120)を含み、前記光導電体読み出し回路(116)は少なくとも1つの増幅器装置(128)を含み、前記光導電体読み出し回路(116)は、前記増幅器装置(128)の入力と前記分圧回路(118)の出力との間に配置された少なくとも1つのコンデンサ(126)を含む、少なくとも1つの光導電体読み出し回路(116)と、
を備える、装置(110)。
【請求項2】
前記増幅器装置(128)は、少なくとも1つの電荷増幅器(130)又は少なくとも1つのトランスインピーダンス増幅器(132)である、請求項1に記載の装置(110)。
【請求項3】
前記増幅器装置(128)は、分圧回路(118)の少なくとも1つの出力信号を増幅するように構成されている、請求項1又は2に記載の装置(110)。
【請求項4】
前記コンデンサ(126)は、前記光導電体(112)の暗電流を遮断するように構成され、前記コンデンサ(126)は、前記分圧回路(118)の少なくとも1つの出力信号から暗DC電流をフィルタリングするように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項5】
前記基準抵抗器(120)は、暗光導電体(122)である、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項6】
前記光導電体(112)は、暗抵抗Rdarkを有し、前記基準抵抗器の抵抗と前記暗抵抗の比であるRref/Rdarkは、0.01≦Rref/Rdark≦10である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項7】
前記光導電体読み出し回路(116)は、前記コンデンサ(126)及び前記増幅器装置(128)との間に配置された少なくとも1つのダイオード(138)を含んでいる、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項8】
少なくとも1つの読み出し集積回路(148)を備える、請求項5~7のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項9】
前記光導電体読み出し回路(116)は、前記光導電体(112)に少なくとも1つのバイアス電圧を印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源(124)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項10】
前記バイアス電圧Ubiasは、0.001V≦Ubias≦5000V、好ましくは1V≦Ubias≦500V、最も好ましくは2V≦Ubias≦50Vである、請求項9に記載の装置(110)。
【請求項11】
前記装置(110)は複数の光導電体(112)を含み、前記光導電体(112)はアレイに配置されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項12】
前記光導電体読み出し回路(116)は、前記複数の光導電体(112)の各光導電体(112)の電気抵抗を決定するように構成され、前記装置(110)は、少なくとも1つのサンプルアンドホールド回路(139)及び少なくとも1つのマルチプレクサ(140)を含む、請求項11に記載の装置(110)。
【請求項13】
前記感光領域は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、有機半導体、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項14】
光導電体読み出し回路(116)の少なくとも1つの電圧出力における出力信号を決定するように適合された少なくとも1つの評価装置(146)を備える、請求項1~13のいずれか1項による少なくとも1つの装置(110)を備える抵抗変換器(136)。
【請求項15】
少なくとも1つのPbSセンサ、少なくとも1つのPbSeセンサ、又は複数のピクセルを含む少なくとも1つのピクセル化センサアレイであって、前記ピクセルのそれぞれは少なくとも1つのPbSセンサ又はPbSeセンサを含む少なくとも1つのピクセル化センサアレイ、のうち1つ以上の読み出しのための、装置を参照する請求項1~14のいずれか1項による装置(110)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導電体の読み出しのための装置、抵抗変換器及び装置の使用に関する。具体的には、該装置は、硫化鉛光導電体センサなどの光導電体の測定可能な電圧応答を決定するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
硫化鉛光導電体などの光導電体は、読み出しのために抵抗値測定を必要とする。光導電体、特に硫化鉛光導電体は、光導電体の照射履歴に対する暗抵抗への強い依存性を示す。さらに、温度、湿度及び不純物への暴露などの外部パラメータは、光導電体の暗抵抗と信号抵抗を時間的に強く変化させることができる。その結果、光導電体の信号強度(所与の照射強度に対する抵抗値の変化として決定される)は強いドリフト挙動を示し、それは検出器の外部影響への露出を制限することによって、定期的に補正又は最小化する必要がある。
【0003】
分圧回路は、光導電体の読み出しで知られている。通常、電圧増幅器は分圧器と共に、光導電体からの信号を測定するのに使用される(例えば、https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/ssd/e06_handbook_compound_semiconductor.pdfを参照)。しかし、この構成は、暗抵抗の変化を伴う信号の強いドリフトを生じ得る。既知の演算増幅器回路は、暗DC電圧をフィルタ除去する。暗抵抗の変化はDCフィルタリングにほとんど影響を及ぼさない。しかし、信号は、環境変化に対する応答性、検出率の変化によって、確実にドリフトする。
【0004】
分光計は、電磁スペクトルの異なる波長での電磁吸収を検出するセンサを必要とする。1つのアプローチは、アレイ内の各ピクセルが異なる波長の電磁エネルギーに応答するセンサのアレイを使用することである。しかし、さまざまなタイプの光抵抗センサは大きな暗電流を示す。例えば、光導電体は一般に、装置を通って流れる暗電流をもたらす直流(DC)電圧でバイアスされる。しかし、外部電磁照射源が光導電体の感光領域を照射すると、光導電体の電気抵抗が変化し、それは次に変調照射源に比例する変化電流を引き起こす。変化電流は一般にセンサを通って流れる暗電流と比較して小さい。
【0005】
このようなセンサのアレイが使用される場合、各ピクセルは暗電流を除去し、小さな変化電流を増幅する関連回路を有する必要がある。既知の回路でこのタスクは達成されるが、部品数はピクセル数に線形的に比例する。大きい部品数は、高いコストと複雑さ、ならびに大きいプリント回路基板(PCB)をもたらす。さらに、抵抗器は、熱又は電流雑音などの電気的雑音の源となり、それは増幅された変化電流の信号対ノイズ比に影響を与える。
【0006】
このため、回路の複雑さを軽減し、センサの品質を決定する要因である信号対ノイズ比を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明によって対処される問題は、この種の既知の回路の欠点を少なくとも実質的に回避する、装置及び抵抗変換器を特定することである。特に、光導電体の改良された(特に暗抵抗に依存しない)読み出しが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現されることができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0009】
本明細書で使用される場合、「有する」、「備える」、及び「含む」という用語、ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現、ならびに「AはBを備える」、又は「AはBを含む」という表現は、B以外に、Aは1つ以上のさらなる成分及び/又は構成要素を含むという事実、及びB以外に、他の成分及び/又は構成要素がAに存在しない場合の両方を指し得る。
【0010】
本発明の第1の態様では、装置が開示されている。前記装置は:
- 光導電体の感光領域の照射に依存する電気抵抗を示すように構成された、少なくとも1つの光導電体と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路であって、前記光導電体読み出し回路は少なくとも1つの分圧回路を含み、前記分圧回路は、前記光導電体と直列に配置された少なくとも1つの基準抵抗器Rrefを含み、前記光導電体読み出し回路は少なくとも1つの増幅器装置を含み、前記光導電体読み出し回路は、前記増幅器装置の入力と前記分圧回路の出力との間に配置された少なくとも1つのコンデンサを含む、少なくとも1つの光導電体読み出し回路と、
を備える。
【0011】
本明細書で使用される「光導電体」という用語は、フォトレジスタとも表され、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光導電体の感光領域の照射に依存する特定の電気抵抗Rphotoを示すことができる感光要素を指し得る。具体的には、電気抵抗は、光導電体の材料の照射に依存する。以下に詳細に概説されるように、光導電体は、「光導電性材料」を含む感光領域を含んでよい。光導電体は、例えば、感光検出器回路に適用することができる。装置は、複数の光導電体を含み得る。光導電体は、アレイに配置されてよい。アレイの光導電体は、特に、その感光領域及び/又は光導電材料のサイズ及び/又は形状に関して、同一に設計されてよい。
【0012】
本明細書で使用される「照射」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲、及び赤外スペクトル範囲のうちの1つ以上の電磁放射を指し得る。そこでは、部分的に規格ISO-21348に従って、可視スペクトル範囲という用語は、一般に、380nm~760nmのスペクトル範囲を指す。赤外(IR)スペクトル範囲という用語は、一般に、760nm~1000μmの範囲の電磁放射を指し、そのうち、760nm~1.4μmの範囲は、一般に、近赤外(NIR)スペクトル範囲と呼ばれ、15μm~1000μmの範囲は遠赤外(FIR)スペクトル範囲と呼ばれる。「紫外スペクトル範囲」という用語は、一般に、1nm~380nm、好ましくは100nm~380nmの範囲の電磁放射を指す。以下では、「照射」という用語は、「光」とも表される。好ましくは、本発明内で使用される照射は、可視光、すなわち可視スペクトル範囲の光、及び/又は赤外光、すなわち赤外スペクトル範囲の光である。
【0013】
本明細書で使用される「光導電体の感光領域」という用語は、一般に、例えば入射光ビームによる照射に感応する光導電体のエリアを指す。例えば、感光領域は、好ましくは(必ずしもそうである必要はないが)連続的であり、連続領域を形成することができる二次元又は三次元の領域であってよい。光導電体は、このような感光領域を1つ有するか、さもなければ複数有することができる。本明細書で使用される「照射に依存して電気抵抗を示す」という用語は、一般に、光導電体の電気抵抗が、感光領域の照射、特に照射の強度に依存して、調整及び/又は変化及び/又は変動されることを指す。特に、照射に応答して、電気抵抗が調整及び/又は変化及び/又は変動される。光導電体が照射されると、光導電体は電気抵抗の低下を示し得る。光導電体は、照射されると、その電気抵抗が低下することがある。具体的には、光導電体の電気抵抗は、入射光強度の増加に伴って減少し得る。暗抵抗と明抵抗との間の変更は、測定される量又は読み出される量であり、光導電体の出力電流と表されることがある。本明細書で使用される「暗抵抗」という用語は、一般に、非点灯状態、すなわち照射なしの状態における光導電体の電気抵抗を指す。本明細書でさらに使用される「明抵抗」という用語は、照射下での光導電体の電気抵抗を指す。測定及び/又は読み出しのために、一般に、非線形挙動を有する分圧回路が知られている。光導電体の抵抗の線形変化は、電圧出力の非線形変化をもたらす。一般に、標準的な演算増幅回路にはある程度の非線形性が存在し、それは主にPbSセンサのような光導電体の非線形性に起因する。回路自体は適切に設計されている場合、比較的線形である。本発明による回路はまた、適切に設計された場合、線形に動作する。本発明は、以下でより詳細に概説するように、線形挙動を有する回路特徴を提案する。
【0014】
光導電体は、少なくとも1つの光導電材料を備え得る。電気抵抗は電気伝導率の逆数で定義されるため、代わりに、「光抵抗材料」という用語が同種の材料を呼ぶのにも使用されることがある。感光領域は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、例えば、ドープされたGe、Si、GaAs、有機半導体、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含むことができる。しかし、他の材料も可能である。さらなる可能な光導電性材料は、例えば、WO2016/120392A1に記載されている。例えば、光導電体は、trinamiX GmbH,D-67056 Ludwigshafen am Rhein,GermanyからHertzstueckという商標名で市販されている光導電体であってよい。
【0015】
例えば、感光領域は、少なくとも1つの照射源によって照射されてよい。照射源は、例えば、周囲光源であってよく、又はそれを含むことができ、及び/又は、人工照射源であってよく、又はそれを含むことができる。例として、照射源は、少なくとも1つの赤外線エミッタ及び/又は可視光線用の少なくとも1つのエミッタ及び/又は紫外線用の少なくとも1つのエミッタを含んでよい。例として、照射源は、少なくとも1つの発光ダイオード及び/又は少なくとも1つのレーザーダイオードを含んでよい。照射源は、特に以下の照射源:レーザー、特にレーザーダイオード(ただし原則として、代替的又は追加的に、他のタイプのレーザーも使用することができる);発光ダイオード;白熱灯;ネオン光;火炎源;有機光源、特に有機発光ダイオード;構造化光源、のうちの1つ以上を含むことができる。代替的又は追加的に、他の照射源も使用することができる。照射源は、一般に、紫外スペクトル範囲、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの光を放出するように適合されることができる。最も好ましくは、少なくとも1つの照射源は、NIR及びIR範囲、好ましくは800nm及び5000nmの範囲、最も好ましくは1000nm及び4000nmの範囲の光を放出するように適合される。
【0016】
照射光源は、少なくとも1つの非連続的光源を含むことができる。あるいは、照射光源は、少なくとも1つの連続的光源を含むことができる。光源は、光導電体の感光波長と重複する少なくとも1つの放射波長を有する任意の光源であってよい。例えば、光源は、プランク放射を生成するように構成されてよい。例えば、光源は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)及び/又は少なくとも1つのレーザー光源を含み得る。例えば、光源は、液体又は固体材料又は気体の酸化のような発熱反応による照射を生成するように構成されてよい。例えば、光源は、蛍光効果からの照射を生成するように構成されてよい。照射光源は、少なくとも1つの変調された光ビームを生成するように構成されてよい。あるいは、照射源によって生成される光ビームは、非変調であってもよく、及び/又は、さらなる光学的手段によって変調されていてもよい。照射源は、連続光源からの光ビームを変調するように構成された少なくとも1つの光チョッパ装置を含んでよい。光チョッパ装置は、連続光源からの光ビームを周期的に遮断するように構成されてよい。例えば、光チョッパ装置は、少なくとも1つの可変周波数回転ディスクチョッパ及び/又は少なくとも1つの固定周波数音叉チョッパ及び/又は少なくとも1つの光シャッタであってよく、又はそれらを含んでよい。非連続的な照射のため、出力電流は、変化する電流信号であってよく、変調電流とも呼ばれる。変調電流は、光導電体の暗電流に比べて小さい場合がある。
【0017】
本明細書で使用される「光導電体読み出し回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの光導電体及び/又は複数の光導電体の読み出しするように構成された電子回路を指し得る。
【0018】
光導電体読み出し回路は、少なくとも1つの分圧回路を含む。本明細書で使用される「分圧回路」という用語は、分圧器(potential divider)とも示され、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、分圧回路の入力電圧信号の一部である出力電圧信号を生成するように構成された電子回路を指し得る。
【0019】
分圧回路は、光導電体と直列に配置された少なくとも1つの基準抵抗器Rrefを備える。本明細書で使用される「基準抵抗器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、既知の電気抵抗Rrefを有する抵抗器を指し得る。基準抵抗器は、電圧変化を決定できるように適合された任意の抵抗器であり得る。基準抵抗器は、光導電体の抵抗Rphotoを決定及び/又は測定することを可能にするように構成されてよい。基準抵抗器は、光導電体と直列に配置される。
【0020】
光導電体は、暗抵抗Rdarkを有し得る。本明細書で使用される「暗抵抗」という用語は、一般に、非点灯状態、すなわち照射なしにおける光導電体の電気抵抗を指す。基準抵抗と暗抵抗との抵抗の比であるRref/Rdarkは、0.01≦Rref/Rdark≦10であり得る。好ましくは、比Rref/Rdarkは、約0.1であってよい。光導電体の暗抵抗は、50Ω≦Rdark≦500MΩであってよい。室温では、暗抵抗は、50Ω≦Rdark≦50MΩであってよい。より低い温度では、暗抵抗はより高く、例えば、-40℃で約10倍高い。例えば、光導電体のアレイの暗抵抗は、10MΩであってよい。基準抵抗器は調整可能であってよい。基準抵抗器の抵抗値は、手動及び/又は自動で調整可能であってよい。特に、基準抵抗器は、電圧入力信号及び光導電体特性(例えば、ノイズ指数)に関して調整可能であってよい。
【0021】
基準抵抗器は、暗光導電体であってよい。本明細書で使用される「暗光導電体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、非点灯状態、すなわち照射なしにおける光導電体を指し得る。光導電体及び暗光導電体は、互いに同一に、又は異なるように設計されることができる。具体的には、暗光導電体は、暗PbSセンサであってよい。例えば、基準抵抗器は、少なくとも1つの不透明マスクで覆われた光導電体を備えてよく、不透明マスクは、光が、覆われた光導電体の感光領域に透過することを防止する。上記のように、装置は、アレイに配置された複数の光導電体を含んでよい。照射された各ピクセルに対して、暗ピクセルが基準抵抗器として採用されてよい。暗抵抗を調整、特に最適化するために、暗ピクセルのサイズを適合させてよい。例えば、製造工程において、すべてのピクセルが同じ材料でコーティングされ得、そのため、ピクセルのサイズを変更することがピクセル抵抗を適合させる最も簡単な方法であり得る。
【0022】
光導電体読み出し回路は、光導電体に少なくとも1つのバイアス電圧Ubiasを印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源を備えてよい。光導電体は、バイアス電圧源と電気的に接続されていてよい。本明細書で使用される「バイアス電圧源」という用語は、バイアス電圧を生成するように構成された少なくとも1つの電圧源を指す。バイアス電圧は、光導電体材料に印加される電圧であってよい。バイアス電圧は、直流(DC)電圧であってよい。バイアス電圧Ubiasは、0.001V≦Ubias≦5000V、好ましくは1V≦Ubias≦500V、最も好ましくは2V≦Ubias≦50Vである。光導電体は、上記のように直列に配置された基準抵抗器と電気的に接続されてよい。基準抵抗器は接地されていてもよい。光導電体が照射されると、光導電体は電気抵抗の低下を示し得る。光導電体を通過した電流は、基準抵抗器を通過し、光導電体の電気抵抗Rphotoに依存する出力信号Uαを生成させることができる。暗光導電体を基準抵抗器として使用することにより、光導電体の暗抵抗の出力信号に対する強い依存性を排除することができる。さらに、暗光導電体を基準抵抗器として使用することは、光導電体の温度依存性に関する温度補償を組み込むことができる。しかし、光導電体の感光領域の照射によって導入される対象の信号が1%未満であるように、いまだに電圧Uαの99%超がUbias/2から構成される。
【0023】
光導電体読み出し回路は、少なくとも1つのコンデンサ(以下、コンデンサCと表記する)を含む。コンデンサは、0.05~500nFの容量を有していてよい。コンデンサCの容量は、例えば、10nFであり得る。コンデンサCは、増幅器装置の入力と分圧回路の出力との間に配置される。本明細書で使用される「コンデンサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、特に分圧回路の出力から生じる電気エネルギーを収集及び/又は蓄積するように構成された少なくとも1つの要素を指し得る。コンデンサは、フィルタリングコンデンサであってよい。コンデンサCは、光導電体の暗電流を遮断するように構成されることができる。具体的には、コンデンサCは、分圧回路の出力信号のうち暗DC電流をフィルタリングするように構成されてよい。コンデンサCは、交流(AC)信号成分をフィルタリングするように構成されている。コンデンサは、AC信号成分を通過させるように構成されてよい。AC信号成分は、直流(DC)成分を有していなくてよい。AC信号成分は、対象信号のみから構成されていてよい。公知の光導電体読み出し回路では、コンデンサは、本発明で提案されるのと異なる使用をされる。例えば、公知の電圧増幅器では、コンデンサは、DCコンテンツを除去し、ACコンテンツを増幅するためのRC-ハイパスフィルタとして使用される。さらに、フィルタは、CHP及びRHPなどのさらなる部品を必要とする。例えば、公知の回路で一般的に使用されている非反転増幅回路は、少なくとも1つの光導電体、1つの基準抵抗器、1つのフィルタコンデンサ、及び1つのフィルタ抵抗器を含んでいる。これに対し、本発明では、コンデンサCをハイパスフィルタとして使用するが、それに加えてAC電流を増幅器装置に供給する。本発明による電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器は、比較すると抵抗器が1つ少ない。光導電体、基準抵抗器及びコンデンサは、フィルタを形成し、したがって必要とされる部品がより少なくなる。さらに、一般的に使用される非反転増幅器は、非反転入力の増幅のために2つの抵抗器を有する。本発明による電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器は1つの部品のみを有する。したがって、本発明による電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器は、先行技術と比較して、部品が少ない。さらに、多くの場合、光導電体のアレイは、潜在的に数百のセンサと共に使用されるため、部品の削減は非常に有利である。
【0024】
光導電体読み出し回路は、少なくとも1つの増幅器装置を備える。本明細書で使用される「増幅器装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、電荷又は電流を増幅するように構成された少なくとも1つの電子装置を指し得る。増幅器装置は、分圧回路の少なくとも1つの出力信号、特に、コンデンサを通過したAC信号成分Uα,ACを増幅するように構成されてよい。増幅器装置は、少なくとも1つの電荷増幅器又は少なくとも1つのトランスインピーダンス増幅器であってよい。本明細書で使用される「電荷増幅器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、高入力インピーダンスを有する積分回路(integrator)として構成された電子装置を指し得る。電荷増幅器は、電荷を電圧に変換するように構成されてよい。高入力インピーダンスは、漏れ損失を防止し得る。電荷増幅器は、演算増幅器(operational amplifier)を含み得る。電荷増幅器は、フィードバック経路に少なくとも1つのコンデンサCを含み得る。フィードバック経路のコンデンサは、時間の経過とともに電流を蓄積するように構成されてよい。本明細書で使用される「トランスインピーダンス増幅器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの演算増幅器とフィードバック経路内の抵抗器とを含む電子装置を指し得る。トランスインピーダンス増幅器は、入力電流をフィードバック経路の抵抗器の抵抗値Rと乗算するように構成されてよい。トランスインピーダンス増幅器は、入力を増加させるように、及び入力電流を電圧に変換するように構成されてよい。
【0025】
電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器は、電荷及び電流を測定するために使用されるよく知られた回路である。電荷増幅器又はトランスインピーダンス増幅器に光導電体を直接接続することは、光導電体の暗電流が大きいため実行可能ではない。増幅器のダイナミックレンジは、暗電流に対する光導電体の出力電流の比が小さいためにきびしく制限される。結果として、これらの回路は、光導電体と共に使用されることは検討されていなかった。本発明による光導電体読み出し回路は、電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器を、大きな暗電流を示すセンサ、特に光導電体と共に使用されることを可能にする。上に概説したようなコンデンサは、増幅器の入力と分圧回路の出力との間に配置されてよい。コンデンサは、暗電流を遮断し、光導電体の小さな出力電流を増幅器装置に分流させる役割を果たすことができる。
【0026】
理論に拘束されることを望まないが、電荷増幅器又はトランスインピーダンス増幅器の出力電圧vは、次のように決定されることができる。コンデンサにより、電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器が電圧装置とみなされることができ、フーリエ定常状態が仮定される。電荷増幅器の伝達関数は、以下であってよい。
【0027】
【数1】
【0028】
式中、vは、電荷増幅器の入力電圧であり、τは電荷増幅器の積分時間であり、ωは照射の変調周波数である。同様に、トランスインピーダンス増幅器の出力電圧v及びトランスインピーダンス増幅器の入力電圧vの関係は、
【数2】
によって決定されることができる。
【0029】
光導電体読み出し回路は、コンデンサC及び増幅器装置との間に配置された少なくとも1つのダイオードを含んでよい。ダイオードは、電圧ピークから増幅を保護する保護ダイオードとして構成されてよい。ダイオードのカソードは接地され、アノードはコンデンサCで接続されてよい。ダイオードは、接地に電流を導通させ、他方向への電流の流れを保護するように構成されてよい。ダイオードを使用すると、起動時の過渡振動時間を大幅に短縮することができる。ダイオードは、TVSダイオードであってよく、又はTVSダイオードを有していてよい。ダイオードは、過渡電圧を抑制するように構成されていてよい。ダイオードは、回路に機能的に影響を与えないように設計されることができる。ダイオードは、過渡電圧の場合に回路を損傷から保護するために使用されることができる。TVS ESD ダイオードなどの保護ダイオードは、一般に、読み出し集積回路の一部であるか、追加の保護のために含まれる別個のダイオードである。他のダイオードのタイプ又は保護回路も可能である。特に、入力を保護するための他のメカニズムも可能である。
【0030】
上記のように、装置は、アレイ内に配置されるように複数の光導電体を備えることができる。光導電体読み出し回路は、複数の光導電体の各光導電体の電気抵抗を決定するように構成されてよい。装置は、少なくとも1つのサンプルアンドホールド回路、及び少なくとも1つのマルチプレクサを含んでよい。本明細書で使用される「サンプルアンドホールド回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、電圧をサンプリングし、電圧の値を一定の期間、一定レベルに保持するように構成された電子装置を指し得る。サンプルアンドホールド回路は、電荷を蓄積するように構成された少なくとも1つのコンデンサを含んでいてよい。サンプルアンドホールド回路は、回路を放電するために、増幅器装置と並列にスイッチを有してよい。スイッチが閉じている場合、コンデンサは増幅器装置で充電され得る。スイッチを開くと、コンデンサは、スイッチを開く前に存在していた一定値の電圧を保持することができる。原則として保護ダイオードと並列の抵抗器を介して放電を行うことは可能である。しかし、サンプルアンドホールド回路を介した放電は、抵抗器を介した放電よりもはるかに高速で行うことができる。
【0031】
本装置は、特にさらなる評価のために、光導電体読み出し回路の出力信号をデジタル信号に変換するように構成された少なくとも1つのアナログ/デジタル変換器(ADC)をさらに備えてよい。装置が複数の光導電体及び対応する基準抵抗器を備える場合、装置は、光導電体及び対応する基準抵抗器の各ペアについて、少なくとも1つのADCを含むことができる。しかし、他の構成も可能である。
【0032】
この装置は、少なくとも1つの読み出し集積回路(ROIC)を備えてよい。光導電体読み出し回路は、少なくとも1つの集積回路として設計されてよい。基準抵抗器Rref及びコンデンサCは、スペースの制約からROICの一部を形成しないことがある。特に、大きなコンデンサ及び抵抗は、集積回路内に大きな面積を必要とし、非常に高価であり得る。ROICは、ADC、マルチプレクサ、サンプルアンドホールド回路などの特定の技術ブロックを含むことができる。サンプルアンドホールド回路とマルチプレクサは、ROIC構成の一部であってよい。多くの異なる構成が可能であり、いくつかはサンプルアンドホールド回路及び/又はマルチプレクサ、ADC等を含まない。ROICは、暗信号キャンセレーション、特にフィルタリング及び増幅ステージのための手段、ならびに各入力の出力信号にアクセスするための手段を含むことができる。集積回路は、増幅器装置及び/又はサンプルアンドホールド回路及び/又はマルチプレクサを含んでいてもよい。集積回路は、さらに、ダイオードを含んでいてもよい。集積回路は、さらに、少なくとも1つのADCを含むことができる。本明細書で使用される「集積回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、半導体基板などの基板上の電子回路を指し得る。例えば、集積回路は、マイクロチップとして具現化されてよい。
【0033】
装置は、プログラマブル論理などの少なくとも1つの論理ゲート、例えば少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むことができる。
【0034】
本発明のさらなる態様において、本発明による少なくとも1つの装置を含む抵抗変換器が開示される。抵抗変換器は、光導電体読み出し回路の少なくとも1つの電圧出力における電圧出力信号を決定するように適合された少なくとも1つの評価装置を備える。
【0035】
本明細書で使用される「評価装置」という用語は、一般に、電圧出力において少なくとも1つの電圧出力信号を決定及び/又は生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)など、1つ以上の集積回路、及び/又は1つ以上のデータ処理装置、例えば、1つ以上のコンピュータ、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラであってよく、又はこれらを備えてよい。追加の構成要素、例えば、1つ以上の処理装置、及び/又は1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタなどの、電圧信号の受信及び/又は前処理を行う1つ以上の装置などのデータ収集装置が含まれていてもよい。さらに、評価装置は、1つ以上のデータ記憶装置を含むことができる。さらに、上で概説したように、評価装置は、1つ以上のインターフェース、例えば1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースを含むことができる。評価装置は、特に、少なくとも1つのデータ処理装置、特に、少なくとも1つの出力電圧信号を決定するように設計することができる電子データ処理装置を含むことができる。評価装置はまた、少なくとも1つの照射源を完全に又は部分的に制御するように、及び/又は少なくとも1つの電圧源を制御するように、及び/又は少なくとも1つの負荷抵抗器を調整するように設計されることができる。評価装置は、1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニットなどの1つ以上の電子ハードウェア構成要素及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素など、1つ以上のさらなる追加の構成要素をさらに含むことができる。
【0036】
抵抗変換器は、上記の装置に関して説明された少なくとも1つの照射光源などの少なくとも1つの照射光源を含み得る。
【0037】
本発明のこの態様に関するさらなる詳細については、上述及び以下でより詳細に説明される装置の説明を参照することができる。
【0038】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つのPbSセンサ、少なくとも1つのPbSeセンサ、又は複数のピクセルを含む少なくとも1つのピクセル化センサアレイ(各ピクセルは少なくとも1つのPbS又はPbSeセンサを含む)のうち1つ以上の読み出しの目的のための本発明による装置の使用が開示される。特に、本発明による装置は、中程度又は低バイアス電圧用途、例えば装置がバッテリー駆動であるか又は低電力で動作する必要がある用途、例えばセンサノード、ポータブル測定装置、爆発性雰囲気における装置などで、改善された信号対ノイズ比、したがって高い信号品質を可能にして使用されることができる。例えば、装置は、分光器、水分測定器、厚さ測定機器、ガス分析器、又は光導電体をセンサ要素として使用する他のタイプの機器に使用されることができる。本装置は、光センサに使用されることができる。例えば、本装置は、例えばWO2012/110924A1、WO2014/097181A1、WO2016/120392A1のような、いわゆるFiP効果を利用した光センサにおいて使用され得る。
【0039】
上述したように、光導電体の読み出しのための公知の読み出し回路は、ハイパスフィルタされた信号電圧の電圧増幅に依存する。本発明は、暗電流を遮断し、変調された電流を増幅するために、電荷増幅器又はトランスインピーダンス増幅器を用いた異なるアプローチを使用する。このアプローチの主な利点は2つある。第1に、部品数が従来技術と比較して著しく少ない。第2に、市販のROICが、ソフトウェア制御アナログ信号利得を可能にする。抵抗器の数は、従来技術に比べて4個から1個に減少する。同様に、高集積化された市販の読み出し集積回路(ROIC)は、複数の演算増幅器及びフィードバック抵抗器又はコンデンサを集積化するマルチピクセルソリューションに利用可能である。さらに、これらのROICには、ADCなどの機能が集積されている。これらの理由から、このタイプのソリューションでは、より低コスト、より少ない部品点数、及びより高密度化であるマルチピクセルの読み出し回路を可能にする。外部コンデンサ及び抵抗器を減らすことで、ノイズ源排除し、測定の信号対ノイズ比を向上させることができる。ROICは一般に、ソフトウェアを介したゲイン調整を可能にし、そのことはダイナミックレンジのソフトウェア制御を可能にする。これは、増幅された出力電圧が、より弱い又はより強い電磁波の変調信号が存在する場合に、調整され得ることを意味する。
【0040】
要約すると、本発明の文脈では、以下の実施形態が特に好ましいと考えられる。
【0041】
実施形態1:
- 光導電体の感光領域の照射に依存する電気抵抗を示すように構成された少なくとも1つの光導電体と;
- 少なくとも1つの光導電体読み出し回路であって、前記光導電体読み出し回路は少なくとも1つの分圧回路を含み、前記分圧回路は、前記光導電体と直列に配置された少なくとも1つの基準抵抗器Rrefを含み、前記光導電体読み出し回路は少なくとも1つの増幅器装置を含み、前記光導電体読み出し回路は、前記増幅器装置の入力と前記分圧回路の出力との間に配置された少なくとも1つのコンデンサを含む、少なくとも1つの光導電体読み出し回路と、
を備える、装置。
【0042】
実施形態2:前記増幅器装置は、少なくとも1つの電荷増幅器又は少なくとも1つのトランスインピーダンス増幅器である、先行する実施形態による装置。
【0043】
実施形態3:前記増幅器装置は、分圧回路の少なくとも1つの出力信号を増幅するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0044】
実施形態4:前記コンデンサは、前記光導電体の暗電流を遮断するように構成され、前記コンデンサは、前記分圧回路の少なくとも1つの出力信号から暗DC電流をフィルタリングするように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0045】
実施形態5:前記基準抵抗器は、暗光導電体である、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0046】
実施形態6:前記光導電体は、暗抵抗Rdarkを有し、前記基準抵抗器の抵抗と前記暗抵抗の比であるRref/Rdarkは、0.01≦Rref/Rdark≦10である、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0047】
実施形態7:前記光導電体の前記暗抵抗、50Ω≦Rdark≦500MΩである、先行する実施形態による装置。
【0048】
実施形態8:前記基準抵抗器は調整可能である、先行する実施形態のいずれか1つによる分圧回路。
【0049】
実施形態9:前記光導電体読み出し回路は、前記コンデンサ及び前記増幅器装置との間に配置された少なくとも1つのダイオードを含んでいる、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0050】
実施形態10:少なくとも1つの読み出し集積回路を備える、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる装置。
【0051】
実施形態11:前記光導電体読み出し回路は、前記光導電体に少なくとも1つのバイアス電圧を印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源を備える、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0052】
実施形態12:前記バイアス電圧Ubiasは、0.001V≦Ubias≦5000V、好ましくは1V≦Ubias≦500V、最も好ましくは2V≦Ubias≦50Vである、先行する実施形態による装置。
【0053】
実施形態13:前記装置は複数の光導電体を含み、前記光導電体はアレイに配置されている、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0054】
実施形態14:前記光導電体読み出し回路は、前記複数の光導電体の各光導電体の電気抵抗を決定するように構成され、前記装置は、少なくとも1つのサンプルアンドホールド回路及び少なくとも1つのマルチプレクサを含む、先行する実施形態による装置。
【0055】
実施形態15:前記感光領域は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、有機半導体、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる装置。
【0056】
実施形態16:光導電体読み出し回路の少なくとも1つの電圧出力における出力信号を決定するように適合された少なくとも1つの評価装置を備える、先行する実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの装置を備える抵抗変換器。
【0057】
実施形態17:少なくとも1つのPbSセンサ、少なくとも1つのPbSeセンサ、又は複数のピクセルを含む少なくとも1つのピクセル化センサアレイのうち1つ以上の読み出しのための、装置を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる装置の使用。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、単独で、又は他の特徴と組み合わせて実施されてよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に模式的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0059】
具体的には、以下の図においては:
図1】本発明による装置の例示的な実施形態を示す。
図2】本装置のさらなる例示的な実施形態を示す。
図3】本発明による抵抗変換器の例示的な実施形態を示す図である。
図4】抵抗変換器のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図5A】既知の強度の変調された電磁信号に応答した増幅された出力電圧の実験結果を示す図である。
図5B】既知の強度の変調された電磁信号に応答した増幅された出力電圧の実験結果を示す図である。
図6】ROICの光導電体アレイに対する出力電圧応答の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
例示的な実施形態
図1は、非常に概略的な方法で、装置110の例示的な実施形態を示している。装置110は、光導電体112の感光領域の照射に依存する電気抵抗を示すように構成された少なくとも1つの光導電体112を備える。光導電体112は、光導電体112の感光領域の照度に依存した特定の電気抵抗Rphotoを示すことができる感光要素であってよい。具体的には、電気抵抗は、光導電体112の材料の照射に依存する。光導電体112は、光導電性材料を含む感光領域を含み得る。感光領域は、硫化鉛(PbS);セレン化鉛(PbSe);テルル化水銀カドミウム(HgCdTe);硫化カドミウム(CdS);セレン化カドミウム(CdSe);アンチモン化インジウム(InSb);ヒ化インジウム(InAs);ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);外因性半導体、例えば、ドープされたGe、Si、GaAsなど、からなる群から選択される少なくとも1つの光導電材料を含むことができる。しかし、他の材料も可能である。さらなる可能な光導電性材料は、例えば、WO2016/120392A1に記載されている。例えば、光導電体112は、trinamiX GmbH,D-67056 Ludwigshafen am Rhein,GermanyからHertzstueckという商標名で市販されている光導電体であってよい。光導電体112は、例えば、感光検出器回路に適用することができる。装置110は、複数の光導電体112を含み得る。光導電体は、アレイに配置されてよい。アレイの光導電体112は、特に、その感光領域及び/又は光導電材料のサイズ及び/又は形状に関して、同一に設計されてよい。
【0061】
例えば、感光領域は、少なくとも1つの照射源114によって照射されてよい。照射源114は、例えば、周囲光源であってよく、又はそれを含むことができ、及び/又は、人工照射源であってよく、又はそれを含むことができる。例として、照射源114は、少なくとも1つの赤外線エミッタ及び/又は可視光線用の少なくとも1つのエミッタ及び/又は紫外線用の少なくとも1つのエミッタを含んでよい。例として、照射源114は、少なくとも1つの発光ダイオード及び/又は少なくとも1つのレーザーダイオードを含んでよい。照射源114は、特に以下の照射源:レーザー、特にレーザーダイオード(ただし原則として、代替的又は追加的に、他のタイプのレーザーも使用することができる);発光ダイオード;白熱灯;ネオン光;火炎源;有機光源、特に有機発光ダイオード;構造化光源、のうちの1つ以上を含むことができる。代替的又は追加的に、他の照射源も使用することができる。照射源114は、一般に、紫外スペクトル範囲、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの光を放出するように適合されることができる。最も好ましくは、少なくとも1つの照射源は、NIR及びIR範囲、好ましくは800nm及び5000nmの範囲、最も好ましくは1000nm及び4000nmの範囲の光を放出するように適合される。
【0062】
照射光源114は、少なくとも1つの非連続的光源を含むことができる。あるいは、照射光源114は、少なくとも1つの連続的光源を含むことができる。光源は、光導電体112の感光波長と重複する少なくとも1つの放射波長を有する任意の光源であってよい。例えば、光源は、プランク放射を生成するように構成されてよい。例えば、光源は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)及び/又は少なくとも1つのレーザー光源を含み得る。例えば、光源は、液体又は固体材料又は気体の酸化のような発熱反応による照射を生成するように構成されてよい。例えば、光源は、蛍光効果から照射を生成するように構成されてよい。照射光源114は、少なくとも1つの変調された光ビームを生成するように構成されてよい。あるいは、照射源によって生成される光ビームは、非変調であってもよく、及び/又は、さらなる光学的手段によって変調されていてもよい。照射源114は、連続光源からの光ビームを変調するように構成された少なくとも1つの光チョッパ装置を含んでよい。光チョッパ装置は、連続光源からの光ビームを周期的に遮断するように構成されてよい。例えば、光チョッパ装置は、少なくとも1つの可変周波数回転ディスクチョッパ及び/又は少なくとも1つの固定周波数音叉チョッパ及び/又は少なくとも1つの光シャッタであってよく、又はそれらを含んでよい。非連続的な照射のため、出力電流は、変化する電流信号であってよく、変調電流とも呼ばれる。変調電流は、光導電体112の暗電流に比べて小さい場合がある。
【0063】
例えば、感光領域は、二次元又は三次元の領域であってよく、好ましくは(必ずしもそうである必要はないが)連続的であり、連続領域を形成することができる。光導電体112は、このような感光領域を1つ有するか、さもなければ複数有することができる。照射に応答して、光導電体112の電気抵抗は、調整及び/又は変化及び/又は変動される。光導電体112が照射されると、光導電体112はその電気抵抗が低下することがある。光導電体112は、照射されるとその抵抗率を下げることがある。具体的には、光導電体112の電気抵抗は、入射光強度の増加に伴って減少し得る。暗抵抗と明抵抗との間の変更は、測定される量又は読み出される量であり、光導電体の出力電流と表されることがある。
【0064】
装置110は、少なくとも1つの光導電体読み出し回路116を備える。光導電体読み出し回路116は、少なくとも1つの分圧回路118を備える。分圧回路118は、光導電体112と直列に配置された少なくとも1つの基準抵抗器120を備える。基準抵抗器120は、既知の電気抵抗Rrefを有する抵抗器であってよい。基準抵抗器120は、電圧変化を決定できるように適合された任意の抵抗器であり得る。基準抵抗器120は、光導電体112の抵抗Rphotoを決定及び/又は測定することを可能にするように構成されてよい。
【0065】
光導電体112は、暗抵抗Rdarkを有し得る。基準抵抗120の抵抗と暗抵抗との比であるRref/Rdarkは、0.01≦Rref/Rdark≦10であり得る。好ましくは、比Rref/Rdarkは、約0.1であってよい。光導電体の暗抵抗は、50Ω≦Rdark≦500MΩであってよい。例えば、光導電体112のアレイの暗抵抗は、10MΩであってよい。基準抵抗器120は調整可能であってよい。基準抵抗器120の抵抗値は、手動及び/又は自動で調整可能であってよい。特に、基準抵抗器120は、電圧入力信号及び光導電体特性(例えば、ノイズ指数)に関して調整可能であってよい。
【0066】
基準抵抗器120は、暗光導電体122であってもよい。光導電体112及び暗光導電体122は、互いに同一に設計されてもよいし、異なるように設計されてもよい。特に、暗光導電体122は、暗PbSセンサであってよい。例えば、基準抵抗器120は、少なくとも1つの不透明マスクで覆われた光導電体を備えてよく、不透明マスクは、光が、覆われた光導電体の感光領域に透過することを防止する。上記のように、装置110は、アレイに配置された複数の光導電体112を含んでよい。照射された各ピクセルに対して、暗ピクセルが基準抵抗器120として採用されてよい。暗抵抗を調整、特に最適化するために、暗ピクセルのサイズを適合させてよい。例えば、製造工程において、すべてのピクセルが同じ材料でコーティングされ得、それによって、ピクセルのサイズを変更することがピクセル抵抗を適合させる最も簡単な方法であり得る。
【0067】
光導電体読み出し回路116は、光導電体112に少なくとも1つのバイアス電圧Ubiasを印加するように構成された少なくとも1つのバイアス電圧源124を備えてよい。図1には、共通コレクタVccの電圧が例示されている。光導電体112は、バイアス電圧源124と電気的に接続されていてよい。バイアス電圧は、光導電体に印加された電圧であってよい。バイアス電圧は、直流(DC)電圧であってよい。バイアス電圧Ubiasは、0.001V≧Ubias≦5000V、好ましくは1V≧Ubias≦500V、最も好ましくは2V≧Ubias≦50Vである。光導電体112は、上記のように直列に配置された基準抵抗器120と電気的に接続されてよい。基準抵抗器120は接地されていてよい。光導電体112が照射されると、光導電体112は電気抵抗の低下を示すことがある。光導電体112を通過した電流は、基準抵抗器120を通過し、光導電体112の電気抵抗Rphotoに依存する出力信号Vaを生成させることができる。暗光導電体122を基準抵抗器として使用することにより、光導電体112の暗抵抗の出力信号に対する強い依存性を排除することができる。さらに、暗光導電体122を使用することは、光導電体112の温度依存性に関する温度補償を組み込むことができる。しかし、光導電体112の感光領域の照射によって導入される対象の信号が1%未満であるように、いまだに電圧Vaの99%超がUbias/2から構成される。
【0068】
光導電体読み出し回路116は、少なくとも1つのコンデンサ126(以下、コンデンサCと表記する)を含む。コンデンサ126は、0.05~500nFの容量を有していてよい。コンデンサCの容量は、例えば、10nFであり得る。コンデンサCは、増幅器装置の入力と分圧回路の出力との間に配置される。コンデンサ126は、フィルタリングコンデンサであってよい。コンデンサCは、光導電体112の暗電流を遮断するように構成されることができる。具体的には、コンデンサCは、分圧回路の出力信号のうち暗DC電流をフィルタリングするように構成されてよい。コンデンサCは、分圧回路118の少なくとも1つの出力信号の交流(AC)信号成分をフィルタリングするように構成されている。コンデンサ126は、AC信号成分を通過させるように構成されてよい。AC信号成分は、直流(DC)成分を有していなくてよい。AC信号成分は、対象信号のみから構成されていてよい。公知の光導電体読み出し回路では、コンデンサは、本発明で提案されるのと異なる使用をされる。例えば、公知の電圧増幅器では、コンデンサは、DCコンテンツを除去し、ACコンテンツを増幅するためのRC-ハイパスフィルタとして使用される。さらに、フィルタは、CHP及びRHPなどのさらなる部品を必要とする。例えば、公知の回路で一般的に使用されている非反転増幅回路は、少なくとも1つの光導電体、1つの基準抵抗器、1つのフィルタコンデンサ、及び1つのフィルタ抵抗器を含んでいる。これに対し、本発明では、コンデンサCをハイパスフィルタとして使用するが、それに加えてAC電流を少なくとも1つの増幅器装置に供給する。本発明による電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器は、比較すると抵抗器が1つ少ない。光導電体112、基準抵抗器120及びコンデンサ126は、フィルタを形成し、したがって必要とされる部品がより少なくなる。さらに、一般的に使用される非反転増幅器は、非反転入力の増幅のために2つの抵抗器を有する。本発明による電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器は1つの部品のみを有する。したがって、本発明による電荷増幅器及びトランスインピーダンス増幅器は、先行技術と比較して、部品が少ない。さらに、多くの場合、光導電体のアレイは、潜在的に数百のセンサと共に使用されるため、部品の削減は非常に有利である。
【0069】
光導電体読み出し回路116は、少なくとも1つの増幅器装置128を備える。増幅器装置128は、分圧回路118の少なくとも1つの出力信号、特に、コンデンサ126を通過したAC信号成分を増幅するように構成されてよい。増幅器装置128は、図1に示すように、少なくとも1つの電荷増幅器130又は少なくとも1つのトランスインピーダンス増幅器132であってよい。図2に示すように、電荷増幅器130は、高入力インピーダンスを有する積分回路として構成された電子装置であってよい。電荷増幅器130は、電荷を電圧に変換するように構成されてよい。高入力インピーダンスは、漏れ損失を防止し得る。電荷増幅器は、演算増幅器134を含み得る。電荷増幅器130は、フィードバック経路に少なくとも1つのコンデンサCを含み得る。フィードバック経路のコンデンサCは、時間の経過とともに電流を蓄積するように構成されてよい。トランスインピーダンス増幅器132は、少なくとも1つの演算増幅器134とフィードバック経路内の抵抗器Rとを含む電子装置であり得る。トランスインピーダンス増幅器132は、入力電流を抵抗値Rと乗算するように構成されてよい。トランスインピーダンス増幅器132は、入力を増加させるように、及び入力電流を電圧に変換するように構成されてよい。
【0070】
電荷増幅器130及びトランスインピーダンス増幅器132は、電荷及び電流を測定するために使用されるよく知られた回路である。電荷増幅器130又はトランスインピーダンス増幅器132に光導電体112を直接接続することは、光導電体112の暗電流が大きいため実行可能ではない。増幅器のダイナミックレンジは、暗電流に対する光導電体の出力電流の比が小さいためにきびしく制限される。結果として、これらの回路は、光導電体と共に使用されることは検討されていなかった。本発明による光導電体読み出し回路116は、電荷増幅器130及びトランスインピーダンス増幅器132を、大きな暗電流を示すセンサ、特に光導電体112と共に使用されることを可能にする。上に概説したようなコンデンサ126は、増幅器の入力と分圧回路の出力との間に配置されてよい。コンデンサ126は、暗電流を遮断し、光導電体112の小さな出力電流を増幅器装置128に分流させる役割を果たすことができる。
【0071】
理論に拘束されることを望まないが、電荷増幅器130及びトランスインピーダンス増幅器132の出力電圧vは、次のように決定されることができる。コンデンサ126により、電荷増幅器130及びトランスインピーダンス増幅器132が電圧装置とみなされることができ、フーリエ定常状態が仮定される。電荷増幅器の伝達関数は、以下であってよい。
【0072】
【数3】
【0073】
式中、vは、電荷増幅器130の入力電圧であり、τは電荷増幅器130の積分時間であり、ωは照射の変調周波数である。同様に、トランスインピーダンス増幅器132の出力電圧v及びトランスインピーダンス増幅器132の入力電圧vの関係は、
【数4】
によって決定されることができる。
【0074】
図3は、図1及び図2に関して説明されたように、本発明による少なくとも1つの装置110を含む抵抗変換器136の実施形態を示している。さらに、図1及び図2に示される実施形態に加えて、光導電体読み出し回路116は、コンデンサC及び増幅器装置128の間に配置された少なくとも1つのダイオード138を含んでよい。ダイオード138は、電圧ピークから増幅を保護する保護ダイオードとして構成されてよい。ダイオードのカソードは接地され、アノードはコンデンサCで接続されてよい。ダイオード138は、接地に電流を導通させ、他方向への電流の流れを保護するように構成されてよい。ダイオード138を使用すると、起動時の過渡振動時間を大幅に短縮することができる。ダイオード138は、TVSダイオードであってよく、又はTVSダイオードを有していてよい。ダイオード138は、過渡電圧を抑制するように構成されていてよい。ダイオード138は、回路に機能的に影響を与えないように設計されることができる。ダイオード138は、過渡電圧の場合に回路を損傷から保護するために使用されることができる。TVS ESD ダイオードなどの保護ダイオードは、一般に、読み出し集積回路の一部であるか、追加の保護のために含まれる別個のダイオードである。入力を保護するための他のメカニズムも可能である。
【0075】
上記のように、装置110は、アレイ内に配置されるような複数の光導電体112を備えることができる。光導電体読み出し回路116は、複数の光導電体112の各光導電体112の電気抵抗を決定するように構成されてよい。装置110は、少なくとも1つのサンプルアンドホールド回路139、及び少なくとも1つのマルチプレクサ140を含んでよい。サンプルアンドホールド回路139は、電圧をサンプリングし、電圧の値を一定の期間、一定レベルに保持するように構成された電子装置を指し得る。サンプルアンドホールド回路139は、電荷を蓄積するように構成された少なくとも1つのコンデンサを含んでいてよい。サンプルアンドホールド回路139は、回路を放電するために、増幅器装置128と並列にスイッチ142を有してよい。スイッチ142が閉じている場合、コンデンサは増幅器装置128で充電され得る。スイッチ142を開くと、コンデンサは、スイッチを開く前に存在していた一定値の電圧を保持することができる。原則として保護ダイオードと並列の抵抗器を介して放電を行うことは可能である。しかし、サンプルアンドホールド回路を介した放電は、抵抗器を介した放電よりもはるかに高速で行うことができる。
【0076】
本装置110は、特にさらなる評価のために、光導電体読み出し回路116の出力信号をデジタル信号に変換するように構成された少なくとも1つのアナログ/デジタル変換器(ADC)144をさらに備えてよい。装置110が複数の光導電体112及び対応する基準抵抗器120を備える場合、装置110は、光導電体112及び対応する基準抵抗器120の各ペアについて、少なくとも1つのADC144を含むことができる。しかし、他の構成も可能である。
【0077】
抵抗変換器136は、光導電体読み出し回路116の少なくとも1つの電圧出力における電圧出力信号を決定するように適合された少なくとも1つの評価装置146を備える。評価装置146は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の集積回路、及び/又は、1つ以上のデータ処理装置、例えば、1つ以上のコンピュータ、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラであってよく、又はこれらを備えていてよい。追加の構成要素、例えば、1つ以上の処理装置、及び/又は1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタなどの、電圧信号の受信及び/又は前処理を行う1つ以上の装置などのデータ収集装置が含まれていてもよい。さらに、評価装置146は、1つ以上のデータ記憶装置を含むことができる。さらに、上で概説したように、評価装置146は、1つ以上のインターフェース、例えば1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースを含むことができる。評価装置146は、特に、少なくとも1つのデータ処理装置、特に、少なくとも1つの出力電圧信号を決定するように設計されることができる電子データ処理装置を含むことができる。評価装置146はまた、少なくとも1つの照射源を完全に又は部分的に制御するように、及び/又は少なくとも1つの電圧源を制御するように、及び/又は少なくとも1つの負荷抵抗器を調整するように設計されることができる。評価装置146は、1つ以上の電子ハードウェア構成要素及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素などの1つ以上の追加の構成要素、例えば、1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニットをさらに含むことができる。
【0078】
図4に示すように、装置110は、少なくとも1つの読み出し集積回路(ROIC)148を備えてよい。基準抵抗器Rref及びコンデンサCは、スペースの制約からROIC148の一部を形成しないことがある。特に、大きなコンデンサ及び抵抗は、集積回路内に大きな面積を必要とし、非常に高価であり得る。ROIC148は、ADC、マルチプレクサ、サンプルアンドホールド回路などの特定の技術ブロックを含むことができる。ROIC148は、暗信号キャンセレーション、特にフィルタリング、及び増幅ステージのための手段、ならびに各入力の出力信号にアクセスするための手段を含むことができる。光導電体読み出し回路116は、少なくとも1つの集積回路として設計され得る。集積回路は、増幅器装置128及び/又はサンプルアンドホールド回路139及び/又はマルチプレクサ140を含んでいてよい。集積回路は、さらに、ダイオード138を含んでいてよい。集積回路は、さらに、少なくとも1つのADCを含むことができる。例えば、集積回路は、マイクロチップとして具現化されてよい。
【0079】
図5A及び図5Bは、サンプルN(NはADCからのサンプル数)の関数として、既知の強度の変調された電磁信号に応答して増幅された出力電圧(ADC出力をVで示す)の実験結果を示している。設定されたサンプルNの数は、各サンプルの間の一定の時間間隔でADCから読み取られた。実験の構成のために、P=10.1μW/cmの出力密度を有する光源を使用した。電荷増幅器130を含む光導電体読み出し回路116は、いくつかの市販の集積回路(IC)を用いて、様々な条件下でテストされた。様々なコンデンサC、基準抵抗器Rref、積分時間τ、フィードバックコンデンサCが、システムの最適な信号対ノイズ比と動的信号応答を見出すためにテストされた。図5Aは、C=3.3nF、Rref=1.2MΩ、C=3.0pFの場合の実験結果を示している。図5Bは、C=3.3nF、Rref=2.4MΩ、C=3.0pFの場合の実験結果を示している。両図とも、変調された電磁波信号の周波数は60Hz、積分時間τは640μsであった。
【0080】
図6は、変化するC及びRrefの値に基づいて、本発明による光導電体アレイに対するROICの出力電圧応答(ADC出力をVで示す)の実験結果を示している。Rdark/Rrefの関数としてのADC出力がプロットされた。特に、15MΩの暗抵抗を有する、380μm×38μmのPbS-アレイを使用した。実験構成には、出力密度P=20μW/cmの光源を使用した。図6の両方では、変調された電磁波信号の周波数は16Hz、積分時間τは1000μsであった。バイアス電圧は10V、Cは25.0pFであった。曲線150は、C=(10.0Rdarkref)/(Rdark+Rref)に対するADC出力を示している。曲線152は、C=(1.0Rdarkref)/(Rdark+Rref)に対するADC出力を示している。曲線154は、C=(0.1Rdarkref)/(Rdark+Rref)に対するADC出力を示している。
【符号の説明】
【0081】
110 装置
112 光導電体
114 光源
116 光導電体読み出し回路
118 分圧回路
120 基準抵抗器
122 暗基準抵抗器
124 バイアス電圧源
126 コンデンサ
128 増幅器装置
130 電荷増幅器
132 トランスインピーダンス増幅器
134 演算増幅器
136 抵抗変換器
138 ダイオード
139 サンプルアンドホールド回路
140 マルチプレクサ
142 スイッチ
144 アナログデジタル変換器
146 評価装置
148 読み出し集積回路
150 カーブ
152 カーブ
154 カーブ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】