(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】エネルギーを熱として貯蔵するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
F01K 3/02 20060101AFI20221206BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20221206BHJP
F03G 7/06 20060101ALI20221206BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F01K3/02 C
F03G7/00 C
F03G7/06 H
F28D20/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521722
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 GB2020052532
(87)【国際公開番号】W WO2021069929
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522143748
【氏名又は名称】シンクロスター・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SYNCHROSTOR LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランペン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,カーン
(72)【発明者】
【氏名】セッラ,トンマーゾ
(57)【要約】
ポンプ式熱貯蔵装置は、原動機と、電力テークオフと、圧縮器(8)としておよび膨張器(10)として機能する第1および第2の流体作動機と、高圧側および低圧側を有する作動流体循環経路と、高温および低温熱交換器(18A、18B)とを有する。熱交換器は、典型的にはオーガ(44)を使用して、反対方向に移動する、気体状作動流体と、ガラスビーズなどの固体蓄熱媒体との直接接触を使用して動作する。システムは、エネルギー貯蔵モードとエネルギー回収モードとの間で可逆的であり、逆転すると、作動流体および蓄熱媒体の移動の方向が逆転する。装置は、全体にわたって大容量および高エネルギーを有しながら、エネルギー貯蔵とエネルギー回収との間で非常に迅速に交替することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体循環経路を備える装置において、圧力差にわたって、蓄熱媒体を媒体格納器から熱交換チャンバへ、またはその逆に移送する方法であって、前記作動流体循環経路は、前記熱交換チャンバを備える熱交換器を備え、前記装置は、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であり、前記蓄熱媒体は、固体であり、前記作動流体は、前記熱交換チャンバにおいて、気体として前記蓄熱媒体と直接接触し、それによって、熱を前記蓄熱材料へまたは前記蓄熱材料から移送し、
前記方法は、蓄熱媒体を、気体作動流体の存在下で少なくとも1つの移送チャンバ内に受容することを含み、前記方法は、前記少なくとも1つの移送チャンバが少なくとも1つの作動チャンバに流体接続されている間に、前記少なくとも1つの作動チャンバの容積を減少または増加させ、それによって、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮または膨張させるステップをさらに含み、
前記方法は、作動流体が膨張する間に、前記作動流体によって前記少なくとも1つの作動チャンバに行われた仕事からエネルギーを回収することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記蓄熱媒体は、媒体格納器から前記少なくとも1つの移送チャンバ内に移送され、前記少なくとも1つの作動チャンバの前記容積は、減少されて、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮し、次いで、前記蓄熱媒体と前記圧縮された作動流体の少なくとも一部とが、前記少なくとも1つの移送チャンバから前記熱交換チャンバへ移送される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作動流体を圧縮するステップの後に、かつ前記蓄熱媒体と前記圧縮された作動流体の少なくとも一部とを前記移送チャンバから前記熱交換チャンバへ移送するステップの前に、前記少なくとも1つの作動チャンバは、前記少なくとも1つの移送チャンバから封止される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの移送チャンバは、蓄熱媒体が導入される前記熱交換チャンバの端部の上方に位置する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
蓄熱媒体が前記少なくとも1つの移送チャンバ内に移送された後に、少なくとも1つの移送チャンバは、前記少なくとも1つの作動チャンバに接続され、前記少なくとも1つの作動チャンバ内の加圧された作動流体は、前記少なくとも1つの移送チャンバに入り、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体の圧力を増加させる、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの作動チャンバ内の前記加圧作動流体は、典型的には前記少なくとも1つの移送チャンバが前記熱交換チャンバに接続されたときに、前記熱交換チャンバから前記少なくとも1つの作動チャンバ内に事前に受容されており、結果として、前記熱交換チャンバから受容された加圧された気体は、続いて、前記少なくとも1つの移送チャンバを、それが蓄熱媒体を保持している間に、部分的に加圧するために使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの作動チャンバの前記容積が低減されるときに、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の圧力は、前記蓄熱媒体が導入される位置における、前記熱交換チャンバ内の少なくとも圧力に、または典型的にはそれを上回って、増加する、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの移送チャンバ内の前記作動流体を圧縮するステップの後に、前記少なくとも1つの移送チャンバ、および典型的にはさらに前記少なくとも1つの作動チャンバは、前記熱交換チャンバに接続され、作動流体は、それらの間を循環することが可能となる、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
蓄熱媒体が前記熱交換チャンバ内に変位されている間、前記少なくとも1つの作動チャンバの前記容積は、増加し、前記熱交換チャンバから前記少なくとも1つの作動チャンバ内への作動流体の正味流れが存在する、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記少なくとも1つの作動チャンバを前記熱交換チャンバから接続解除することと、次いで、前記少なくとも1つの作動チャンバ内に残存する前記作動流体を膨張させることと、を含み、典型的には、エネルギーは、前記作動流体によって前記少なくとも1つの作動チャンバに行われた仕事からのこの膨張から回収される、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記蓄熱媒体は、前記熱交換チャンバから前記少なくとも1つの移送チャンバ内に移送され、前記少なくとも1つの作動チャンバの前記容積は、増加し、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の前記作動流体は、膨張し、次いで、前記蓄熱媒体、および前記膨張した作動流体の少なくとも一部は、前記熱交換チャンバに移送される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記作動流体を膨張させるステップの後に、かつ前記蓄熱媒体(および前記圧縮された作動流体の少なくとも一部)を前記移送チャンバから前記媒体格納器へ移送するステップの前に、前記少なくとも1つの作動チャンバは、前記少なくとも1つの移送チャンバから封止される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱交換器から蓄熱媒体と共に受容された作動流体は、前記少なくとも1つの作動チャンバを膨張させる際に行われた仕事によるエネルギーを回収するために使用され、これは、前記少なくとも1つの作動チャンバが前記少なくとも1つの移送チャンバに接続されているが、前記熱交換器には接続されていない状態で行われる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの移送チャンバは、蓄熱媒体が受容される前記熱交換チャンバの端部の下方に位置する、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
蓄熱媒体が、作動流体と共に、前記熱交換チャンバから前記少なくとも1つの移送チャンバ内に移送されるとき、前記少なくとも1つの作動チャンバ内の加圧された作動流体は、前記熱交換チャンバ内に移送され、任意選択的に、前記方法は、前記少なくとも1つの作動チャンバが容積を減少させ、作動流体交換チャンバを圧縮するステップを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記作動流体循環経路内を循環する作動流体の質量を維持するために、作動流体は、定期的にまたは連続的に加圧され、前記熱交換チャンバに導入される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記媒体格納器は、周囲温度および圧力にあり、気体状作動流体を含み、媒体貯蔵器と前記熱交換チャンバとの間の圧力差は、10バールよりも大きい、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの移送チャンバは、前記熱交換チャンバの上方に位置し、作動されると、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の蓄熱媒体が、重力によって、前記熱交換チャンバ内に落下することを可能にする弁を備え、少なくとも1つの移送チャンバは、前記熱交換チャンバの下方に位置し、作動されると、前記熱交換チャンバ内の蓄熱媒体が、重力によって、前記少なくとも1つの移送チャンバ内に落下することを可能にする弁を備える、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上のチャンバは、代替的な動作構成において、前記移送チャンバまたは前記作動チャンバとして動作可能である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記装置は、異なる温度、基準温度、および前記基準温度よりも高いまたは低いエネルギー貯蔵温度で媒体を保持するための第1および第2の媒体格納器を備え、エネルギー貯蔵中、蓄熱媒体は、前記第1の媒体格納器から前記熱交換チャンバへ移送され、作動流体との直接接触により前記熱交換チャンバ内で加熱され、次いで、前記第2の媒体格納器内に、前記基準温度よりも高い温度で格納され、エネルギー回収中、蓄熱媒体は、前記第2の媒体格納器から、前記基準温度よりも高い温度で受容され、次いで、作動流体との直接接触により、前記熱交換チャンバ内の作動流体を加熱するために使用され、次いで、前記第1の媒体格納器内に基準温度で格納される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記装置は、作動流体を保持する作動流体循環経路と熱交換器とを備えるポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であり、前記熱交換器は、前記作動流体循環経路内で、蓄熱媒体を作動流体と直接接触させ、それによって、前記作動流体と前記蓄熱媒体との間で熱エネルギーを交換するように構成された熱交換チャンバを有し、前記作動流体は前記熱交換チャンバ内で気体であり、前記蓄熱媒体は固体であり、前記熱交換器は、受容した蓄熱媒体を前記熱交換チャンバに出し入れする(典型的にはそれを通す)ように構成され、前記熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを前記作動流体から前記蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
固体蓄熱媒体と、熱媒体格納器と、熱交換チャンバを有する熱交換器と、作動流体循環経路と、を備える、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であって、前記作動流体循環経路は、前記熱交換器を含み、
前記装置は、少なくとも1つの移送チャンバと、少なくとも1つの作動チャンバと、をさらに備え、蓄熱媒体を前記媒体格納器から前記少なくとも1つの移送チャンバへ、次いで前記熱交換チャンバへ、または前記熱交換チャンバから前記少なくとも1つの移送チャンバへ、次いで前記熱媒体格納器へ移送するように構成されており、
前記装置は、前記少なくとも1つの移送チャンバが前記少なくとも1つの作動チャンバに流体接続されている間に、前記少なくとも1つの作動チャンバの前記容積を減少または増加させ、それによって、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮または膨張させるように、
かつ、前記作動流体が膨張している間に、前記少なくとも1つの作動チャンバによって行われた仕事からエネルギーを回収するように構成されている、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項23】
前記装置の代替的な動作モードにおいて、前記移送チャンバまたは前記作動チャンバとして動作可能な可変容量の複数のチャンバを備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
少なくとも1つの移送チャンバが前記熱交換チャンバの上方に位置し、前記装置は、作動されると、前記少なくとも1つの移送チャンバ内の蓄熱媒体が、重力によって、前記熱交換器内に落下することを可能にする弁をさらに備える、請求項22または23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの移送チャンバは、出口を備え、それを通して、蓄熱媒体が、重力によって、前記少なくとも1つの移送チャンバから落下し得る、請求項22~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記熱交換チャンバの第1の端部には、蓄熱媒体を媒体格納器から前記熱交換チャンバ内に移送するために、第1のチャンバが前記熱交換チャンバの上方に位置し、蓄熱媒体を前記熱交換チャンバから、同じまたは異なる媒体格納器であり得る媒体格納器内に移送するために、第2のチャンバが前記熱交換チャンバの下方に位置し、したがって、前記第1および第2のチャンバは、各々、重力を使用して蓄熱媒体を前記熱交換チャンバに出し入れし得る、請求項22~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
第1の動作モードでは、前記第1のチャンバは前記移送チャンバとして動作可能であり、前記第2のチャンバは前記作動チャンバとして動作可能であり、第2の動作モードでは、前記第1のチャンバは前記作動チャンバとして動作可能であり、前記第2のチャンバは前記移送チャンバとして動作可能である、請求項22~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1つのチャンバが、シリンダと、前記シリンダ内にスライド可能に取り付けられたピストンとを備え、これは、前記移送チャンバとしてまたは作動チャンバとして動作可能であり、前記装置は、前記ピストンを駆動することによって前記圧縮ステップ中にエネルギーを入力するためのアクチュエータと、前記少なくとも1つの移送チャンバの前記容積が増加するにつれて作動流体を膨張させることによって前記ピストンに行われた仕事からエネルギーを回収するための、前記アクチュエータと一体的または別個の発電機とを備える、請求項22~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
作動流体を保持する作動流体循環経路と熱交換器とを備えるポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であって、前記熱交換器は、前記作動流体循環経路内で、蓄熱媒体を作動流体と直接接触させ、それによって、前記作動流体と前記蓄熱媒体との間で熱エネルギーを交換するように構成された熱交換チャンバを有し、前記作動流体は気体であり、前記蓄熱媒体は固体であり、前記熱交換器は、受容した蓄熱媒体を前記熱交換チャンバに出し入れするように構成され、前記熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、前記作動流体から前記蓄熱媒体へ、またはその逆に、熱エネルギーを移送するように可逆的である、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項30】
第1の動作モードでは、前記蓄熱媒体は第1の媒体格納器から前記熱交換器内に受容され、前記第2の動作モードでは、前記蓄熱媒体は前記熱交換器から出力されて前記第1の媒体格納器に移送されるように構成され、典型的には、前記第1の動作モードでは、前記蓄熱媒体は前記熱交換器から出力されて第2の媒体格納器に移送され、前記第2の動作モードでは、前記蓄熱媒体は前記第2の媒体格納器から前記熱交換器内に受容されるように構成されている、請求項29に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項31】
前記装置は、第1の動作モードでは、前記蓄熱媒体は、第1の媒体格納器から受容され、前記熱交換チャンバ中を第1の方向に動かされ、前記第2の動作モードでは、前記蓄熱媒体は、前記熱交換チャンバを、前記第1の方向の逆である第2の方向に動かされ、典型的には、前記第2の動作モードでは、前記蓄熱媒体は、前記第1の媒体格納器に戻されるように構成されている、請求項29または30に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項32】
前記装置は、第1の動作モードでは、前記蓄熱媒体は、第1の媒体格納器から受容され、前記熱交換器内に入力され、前記第2の動作モードでは、少なくとも前記装置が前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに変化したときに最初は、前記蓄熱媒体は、前記熱交換器から後入れ先出し式に出力される(また典型的には、前記第1の媒体格納器に戻される)ように構成されている、請求項29~31のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項33】
前記装置は、前記第1の動作モードでは、前記蓄熱媒体は、前記熱交換器から出力されて第2の媒体格納器に移送され、前記第2の動作モードでは、前記蓄熱媒体は、前記第2の媒体格納器から前記熱交換器内に後出し先入れ式に受容されるように構成されている、請求項32に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項34】
前記熱交換装置は、モータを使用して、前記蓄熱媒体を、前記熱交換チャンバを通して搬送するように構成されている、請求項29~33のいずれかに記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項35】
前記蓄熱媒体は、離散粒子を含み、前記熱交換器は、前記蓄熱媒体を、前記熱交換チャンバを通して搬送するように構成されたオーガを備える、請求項29~34のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項36】
前記熱交換装置は、水平に対して±5°未満の勾配で、典型的には実質的に水平に、蓄熱媒体を、前記熱交換チャンバを通して搬送するように構成されている、請求項29~35のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項37】
前記熱交換器は、前記作動流体循環経路のあるセクション内に位置し、前記作動流体循環経路の前記セクションを通る気体流の方向は、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で逆転し、したがって、前記第1の動作モードでは、前記気体は、圧縮器の出力から膨張器の入力まで第1の方向に流れ、前記第2の方向では、前記気体は、圧縮器の出力から膨張器の入力まで反対方向に流れる、請求項29~36のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項38】
前記第1の動作モードでは、作動流体が、1つ以上の第1の経路に沿って前記熱交換チャンバを通って流れ、前記第2の動作モードでは、作動流体が、前記1つ以上の第1の経路に沿って反対方向に前記熱交換チャンバを通って流れる、請求項29~37のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項39】
前記装置が前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを交替するとき、前記装置は、エネルギー貯蔵とエネルギー返還とを、またはその逆に、交替し、前記作動流体と前記蓄熱媒体との間の熱エネルギーの流れの方向が逆転し、第1の媒体格納器から受容された前記蓄熱媒体は、前記第1の媒体格納器に戻され、前記熱交換チャンバを通る前記作動流体の流れの方向が逆転し、前記熱交換チャンバを通る前記蓄熱媒体の移動の方向が逆転するように構成されている、請求項29~38のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項40】
低圧マニホルド、高圧マニホルド、回転可能シャフト、および周期的に変化する容積の複数の作動チャンバを有する1つ以上の電子整流式流体作動機を備え、各作動チャンバは、前記低圧マニホルドと前記作動チャンバとの間の作動流体の流れを調節する電子制御低圧弁と、前記高圧マニホルドと前記作動チャンバとの間の作動流体の流れを調節する電子制御高圧弁とを有し、コントローラが、前記作動チャンバの前記低圧弁および高圧弁を、作動チャンバ容積サイクルと同位相の関係で制御して、各作動チャンバ容積サイクルにおける各作動チャンバによる作動流体の正味置換を決定し、前記コントローラは、各作動チャンバが、作動流体の正味置換がない非活性サイクルまたは作動流体の正味置換がある活性サイクルのいずれかとなるように、前記低圧弁および高圧弁を制御する、請求項29~39のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項41】
前記蓄熱媒体は、5~25mmの範囲の直径を有する粒子として形成されている、請求項29~41のいずれか一項に記載のポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【請求項42】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置を動作させる方法であって、前記装置は、作動流体を保持する作動流体循環経路と熱交換器とを備え、前記方法は、蓄熱媒体を前記熱交換器の熱交換チャンバ内に受容し、前記蓄熱媒体を前記熱交換チャンバ内の作動流体と接触させ、次いで、前記蓄熱媒体を前記熱交換チャンバから出力するステップを含み、前記熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを前記作動流体から前記蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、方法。
【請求項43】
前記第1の動作モードでは、前記蓄熱媒体は前記熱交換チャンバを第1の方向に通過し、前記第2の動作モードでは、前記蓄熱媒体は前記熱交換チャンバを反対方向に通過する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
熱交換器であって、蓄熱媒体を流体と直接接触させ、それによって前記作動流体と前記蓄熱媒体との間で熱エネルギーを交換するように構成された熱交換チャンバを有し、前記流体は前記熱交換チャンバ内で気体であり、前記蓄熱媒体は固体であり、前記熱交換器は、受容した蓄熱媒体を前記熱交換チャンバに出し入れするように構成され、前記熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを前記流体から前記蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、熱交換器。
【請求項45】
熱交換器を動作させる方法であって、蓄熱媒体を前記熱交換器の熱交換チャンバ内に受容し、前記熱交換チャンバ内で、前記蓄熱媒体を気体状流体と接触させ、次いで、前記蓄熱媒体を前記熱交換チャンバから出力するステップを含み、前記熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを前記流体から前記蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、方法。
【請求項46】
ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の作動流体と蓄熱媒体との間で熱を交換する方法であって、前記装置は、作動流体循環経路を備え、前記作動流体は固体であり、前記作動流体を、気体として前記蓄熱媒体と直接接触させ、それによって、熱を前記熱貯蔵材料へまたは前記熱貯蔵材料から移送し、前記方法は、前記気体と直接接触した前記蓄熱媒体を前記気体から分離することと、前記分離した蓄熱媒体を格納し、一方で、前記分離した気体を、前記作動流体循環経路内で、作動流体として保持および再使用することと、を含む、方法。
【請求項47】
前記方法はまた、前記蓄熱媒体を気体と共に受容することと、前記蓄熱媒体を前記作動流体と直接接触させる前に、前記受容した気体を前記蓄熱媒体から分離し、一方で、前記受容した気体が前記作動流体循環経路内へ進入することを制限することと、を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記作動流体は、作動流体循環経路を循環し、そこで、一サイクル内に、圧縮され、それによって加熱され、熱貯蔵材料と直接接触し、膨張し、それによって冷却され、低温貯蔵材料と直接接触し、前記作動流体は、前記作動流体循環経路に保持され、前記作動流体を前記蓄熱媒体と直接接触させ、前記蓄熱媒体から前記作動流体を分離させ、前記作動流体を圧縮器または膨張器の入口に運ぶステップの間に、圧力下に維持される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記蓄熱媒体からの前記気体を液体で置換するステップを含む、請求項36~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
蓄熱媒体の一部分を容積内に含めることと、前記気体が前記容積を離れる経路を提供しながら、前記液体を前記容積に導入すること(典型的には、前記容積を前記液体で満たすことと)、または蓄熱媒体の一部分を、前記液体を含む容積に入れる(例えば、降下もしくは落下させる)ことを含む、請求項36~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記液体を前記蓄熱媒体から分離するステップを含む、請求項36~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記方法は、前記作動流体の圧力とは異なる圧力、典型的には前記作動流体の圧力の50%未満の圧力で、前記作動流体と接触した前記蓄熱媒体を出力すること、または、前記蓄熱媒体と直接接触させた作動流体の圧力とは異なる圧力である圧力、典型的には前記作動流体の圧力の2倍を超える圧力で、蓄熱媒体を受容し、それにより、前記方法は、圧力差にわたって、かつ気密を維持しながら、蓄熱媒体を前記作動流体循環経路に取り込む、および/または前記作動流体循環経路から取り出すことを伴う、請求項36~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
加圧された作動流体を圧縮器から受容することと、前記加圧された作動流体を前記蓄熱媒体と直接接触させることと、前記作動流体の圧力を維持しながら、かつ分離された蓄熱媒体をより低い圧力、例えば、周囲圧力に出力しながら、前記蓄熱媒体を前記加圧された作動流体から分離することとを含む、請求項40~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記蓄熱媒体は粒子状であり、前記方法は、前記蓄熱媒体の一部分を、気体が存在する媒体格納器から熱交換器へ、または作動流体が存在する熱交換器から媒体格納へ、搬送することと、附随して、前記液体を使用して、前記蓄熱媒体と共に受容した前記気体を置換することとを含む、請求項40~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記液体の温度が、前記液体が前記蓄熱媒体と接触して前記気体を置換する前に調節され、典型的には、前記液体の温度は、前記液体が前記蓄熱媒体と接触する前に上昇され、前記液体が前記蓄熱媒体から分離された後に再び低減される、請求項40~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記液体は、イオン性液体である、請求項40~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
作動流体循環経路と流体連通している熱交換チャンバを有する熱交換器と、蓄熱媒体とを備えるポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であって、前記蓄熱媒体は固体であり、前記熱交換器は、前記作動流体循環経路内の作動流体を、気体として、前記蓄熱媒体と直接接触させ、それによって、熱を前記熱貯蔵材料へまたは熱貯蔵材料から移送するように、かつ前記気体と直接接触した前記蓄熱媒体を前記気体から分離するように構成され、前記分離した蓄熱媒体のための第1の出口と前記分離した気体のための第2の出口とを有する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、エネルギーを熱エネルギーとして貯蔵し、続いてエネルギーを取り出すための装置および方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー源(例えば、電力供給)によって駆動される原動機が作動流体回路内の作動流体用の圧縮器を駆動するポンプ式熱エネルギー貯蔵システムが知られている。圧縮器に結合されている膨張器が、回路内の作動流体を膨張させ、さらに圧縮器を駆動する。したがって、作動流体(気体であっても液体であっても)が、圧縮器の作用によって断熱的に加圧および加熱され、第1の(高温/高圧側)熱交換器が、エネルギーを作動流体から、好適に高い熱容量を有する一塊の材料であって、温度上昇する熱貯蔵体へ移送する。このステップは、典型的には、等圧的であり、熱を引き渡した加圧作動流体は、次いで、膨張器の作用によって断熱的に膨張および冷却される。第2の(低温/低圧側)熱交換器が、エネルギーを、好適に高い熱容量を有するさらなる一塊の材料であり、したがって冷却される低温貯蔵体から移送する。この熱交換ステップもまた、典型的には、等圧的であり、次いで、温められた作動流体は圧縮器に再循環される。それにより、エネルギー源からのエネルギーは、熱エネルギーを低温貯蔵体から熱貯蔵体へ移送し、それによってエネルギーを貯蔵するために使用される。エネルギーを取り出すために、熱力学的プロセスが、逆方向に効果的に作動され、圧縮器および膨張器に結合された電力テークオフ(発電機など)が回収された(再生された)エネルギーを出力する。
【0003】
これらのデバイスは、ヒートポンプを駆動するためにエネルギー源が効果的に使用されるので、ポンプ式熱エネルギー貯蔵システムと称されている。次いで、エネルギーの流れの方向が、事実上逆転され、貯蔵された熱エネルギーは、電力テークオフを駆動するために使用される。そのようなシステムの一例が、WO2009/44139(MacNaghtenら)に開示されている。周知のシステムは、信頼性、効率性、および/またはコストに関連するいくつかの技術的課題に直面していることが確かに示されている。
【0004】
発明のいくつかの実施形態は、使用中に、第1の容器から第2の容器へ、必要に応じて高温側または低温側の熱交換器を介して動かされる蓄熱媒体を利用する。蓄熱媒体の搬送により、エネルギーの貯蔵および回収プロセスでの損失を最小限に抑え、熱交換器のサイズが低減されることが可能になる。概して、発明は、所与のサイズに対して、良好な貯蔵および回収効率、ならびに良好な容量を有する装置を提供しようとするものである。
【0005】
典型的な熱交換器は、熱交換器の壁を通した、気体と蓄熱媒体との間接的接触を利用しており、熱交換器のサイズを増大させ、効率および電力スループットを低下させている。気体と液体の直接接触熱交換器が周知であるが、いったん気体流量がいっ注点を超えると、効率が悪くなる。この点よりも下で動作させると、効率は良好であるが、定格は低くなる。本発明は、熱が気体状作動流体と固体蓄熱媒体との間で直接流れる直接接触熱交換器を採用する。この構成は、高いエネルギー貯蔵率または使用率で効率的である可能性を有するが、蓄熱媒体を搬送して、高度に加圧された蓄熱媒体容器に出し入れすることは、かなりの技術的課題を呈する。実用上の課題は、既存のデバイスが、熱エネルギー貯蔵および熱エネルギー回収のために別個の装置(例えば、蓄熱媒体のための別個の熱交換器および/または容器)を必要とすることを意味する。
【0006】
本発明は、ポンプ式熱エネルギー貯蔵システムに関する上記および他の問題に対処しようとするものである。発明のいくつかの態様は、そのような装置に有用な熱交換器に特に関連する技術的問題に対処する。発明のいくつかの態様は、固体蓄熱媒体を、圧力勾配にわたって、直接接触熱交換器に出し入れすることに関する技術的問題に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
発明の第1の態様によれば、作動流体を保持する作動流体循環経路と熱交換器とを備えるポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であって、熱交換器は、作動流体循環経路内で、蓄熱媒体を作動流体と直接接触させ、それによって、作動流体と蓄熱媒体との間で熱エネルギーを交換するように構成された熱交換チャンバを有し、作動流体は、熱交換チャンバ内で、典型的には気体であり、蓄熱媒体は固体であり、熱交換器は、受容した蓄熱媒体を熱交換チャンバに出し入れする(典型的にはそれを通す)ように構成され、熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを作動流体から蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置が提供される。
【0009】
発明の第2の態様によれば、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置を動作させる方法であって、装置は、作動流体を保持する作動流体循環経路と熱交換器とを備え、方法は、蓄熱媒体を熱交換器の熱交換チャンバ内に受容し、熱交換チャンバ内で蓄熱媒体を、典型的には気体状の作動流体と接触させ、次いで、蓄熱媒体を熱交換チャンバから出力するステップを含み、熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを作動流体から蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、方法が提供される。典型的には、第1の動作モードでは、蓄熱媒体は熱交換チャンバを第1の方向に通過し、第2の動作モードでは、蓄熱媒体は熱交換チャンバを反対方向に通過する。
【0010】
典型的には、作動流体循環経路は、高圧側と低圧側とを含み、上記熱交換器は高圧側にある(高温熱交換器として機能する)。典型的には、作動流体循環経路は、低圧側にさらなる熱交換器(低温熱交換器)を備える。したがって、熱交換器は、高圧側(高温)熱交換器であり得る。熱交換器は、低圧側(低温)熱交換器であり得る。さらなる熱交換器はまた、さらなる熱交換器の代替的な第1および第2の動作モードにおいて、作動流体から蓄熱媒体へ、またはその逆に、熱エネルギーを移送するように可逆的であり得、さらなる熱交換器の第1の動作モードでは、作動流体は蓄熱媒体を冷却し、さらなる熱交換器の第2の動作モードでは、蓄熱媒体は作動流体を温める。本明細書に記載の熱交換器の他の任意選択的な特徴は、さらなる熱交換器の特徴でもあり得る。さらなる熱交換器は、対応する熱交換器であり得る。
【0011】
作動流体は、熱交換チャンバ内で、典型的には気体である。作動流体は、作動流体循環経路の全体にわたり、気体のままであり得る。しかしながら、作動流体は、熱交換チャンバ内では気体であるが、作動流体循環経路の別の部分では液体であるということがあり得る。作動流体循環経路は、(上述の熱交換器である)高温熱交換器と(さらなる熱交換器であり得る)低温熱交換器とを備え、作動流体は、高温熱交換器内では気体であり、低温熱交換器内では少なくとも部分的に液体であるということがあり得る。これは、例えば、作動流体が二酸化炭素である場合に起こり得る。いくつかの実施形態では、作動流体は、熱交換チャンバ内で液体であり得る。
【0012】
圧縮器および膨張器とは、それぞれ、流体を圧縮または膨張させる機械を指す。したがって、圧縮器とは、ポンプを含み、膨張器とは、モータを含む。作動流体は、圧縮器または膨張器の一方または両方内で液体であり、その場合、作動流体は、圧縮器によってポンプ圧送されるか、またはモータによって膨張されるということがあり得る。圧縮器および膨張器は、典型的には、容積型機械である。圧縮器および膨張器は、同じ機械の異なる部分であってもよく、例えば、それらは、流体作動機の異なるグループの1つ以上の作動チャンバ(例えば、シリンダ)を含み得る。
【0013】
装置は、第1の動作モードでは、蓄熱媒体は第1の媒体格納器から熱交換器内に受容され、第2の動作モードでは、蓄熱媒体は熱交換器から出力され、第1の媒体格納器に移送されるように構成されることがあり得る。装置は、第1の動作モードでは、蓄熱媒体は熱交換器から出力され、第2の媒体格納器に移送され、第2の動作モードでは、蓄熱媒体は第2の媒体格納器から熱交換器内に受容されるように構成されることがあり得る。第1の動作モードは、第1の媒体格納器から熱交換器内に(任意選択的に第2の媒体格納器に)蓄熱媒体を受容することを含み得、第2の動作モードは、蓄熱媒体を第1の媒体格納器に出力すること(および任意選択的に、蓄熱媒体を第2の媒体格納器から受容すること)を含み得る。
【0014】
装置は、第1の動作モードでは、蓄熱媒体は、第1の媒体格納器から受容され、熱交換チャンバ中を第1の方向に動かされるように構成されることがあり得る。第2の動作モードでは、蓄熱媒体は、熱交換チャンバ中を、第1の方向とは逆の第2の方向に動かされることがあり得る。第2の動作モードでは、蓄熱媒体は、第1の媒体格納器に戻されることがあり得る。第1の動作モードでは、蓄熱媒体は、第2の媒体格納器に出力されることがあり得る。第2の動作モードでは、蓄熱媒体は、第2の媒体格納器から受容されることがあり得る。熱交換チャンバを通る蓄熱媒体の移動の方向は、装置が第1の動作モードから第2の動作モードに切り替えられたときに逆転することがあり得る。
【0015】
装置は、第1の動作モードでは、蓄熱媒体は、第1の媒体格納器から受容され、熱交換器に入力され、第2の動作モードでは、少なくとも装置が第1の動作モードから第2の動作モードに変わったときに最初は、蓄熱媒体は、熱交換器から後入れ先出し式に出力される(また典型的には、やはり第1の媒体格納器に戻される)ように構成されることがあり得る。装置は、第1の動作モードでは、蓄熱媒体は、熱交換器から出力され、第2の媒体格納器に移送され、第2の動作モードでは、蓄熱媒体は、第2の媒体格納器から熱交換器内に後出し先入れ式に受容されるように構成されることがあり得る。
【0016】
熱交換装置は、モータを使用して、蓄熱媒体を、熱交換チャンバを通して搬送するように構成されることがあり得る。これは、重力の使用とは対照的である。熱交換装置は、蓄熱媒体を、水平に対して±5°未満の傾斜で、典型的には実質的に水平に、熱交換チャンバを通して搬送するように構成されることがあり得る。典型的には、熱交換チャンバの容積の大部分は、水平に対して±5°未満の傾斜で、典型的には実質的に水平に延在するパイプによって画定される。
【0017】
蓄熱媒体は、離散粒子、例えば、ビーズまたはブロックであり得る。固体蓄熱媒体は、代替的に、剛性(例えば、細長い棒)または可撓性(例えば、チェーン)であり得る長尺体に形成され得る。典型的には、蓄熱媒体は、離散粒子を含み、熱交換器は、蓄熱媒体を、熱交換チャンバを通して搬送するように構成されたオーガなどのコンベヤを備える。典型的には、モータが、コンベヤ(例えば、オーガ)の回転を駆動する。コンベヤ(例えば、オーガ)の動きの方向は、典型的には、可逆的である。オーガの回転方向は、典型的には、可逆的である。したがって、オーガは、蓄熱媒体を、第1および第2の動作モードでそれぞれ第1の方向または反対の第2の方向に熱交換チャンバを通して搬送する。オーガは、水平に対して±5°未満の傾斜の、典型的には実質的に水平の軸を有し得る。これは、熱交換チャンバを通る蓄熱媒体の移動の方向の逆転を容易にする。オーガおよび熱交換チャンバ(および典型的には熱交換器)は、同軸であり得る。
【0018】
典型的には、蓄熱媒体は、重力の影響だけで熱交換チャンバを通過するものではない。それにもかかわらず、熱交換チャンバは第1の端部と第2の端部との間に延在し、各端部には、第1の動作モードにおいて蓄熱媒体を媒体格納器から受容するための重力送りポートと、第2の動作モードにおいて、エレベータ手段(エレベータ、典型的にはオーガなど)を使用して、蓄熱媒体を同じ媒体格納器に出力して戻すための別個の第2のポートとが存在することがあり得る。第2のポートは、ピットを備え得、その中に蓄熱媒体(例えば、粒子)が落下し、典型的にはエレベータ手段を使用してそこから持ち上げられる。
【0019】
熱交換器は、熱交換チャンバ内の蓄熱媒体(例えば、粒子)の深さを維持するように機能する1つ以上のせきを備え得る。作動流体が蓄熱媒体と相互作用することなく蓄熱媒体上を通過するための経路が設けられることを避けるために、熱交換チャンバは、できるだけ熱交換チャンバの頂部近くまで蓄熱媒体で満たされたままに保つことが好ましい。上記せきは、熱交換チャンバの中央領域と上記第2のポートとの間に位置し得る。第2のポートがピットである場合、それは、ピットの周りに壁を備え得る。
【0020】
装置は、第1の動作モードでは、作動流体が1つ以上の第1の経路に沿って熱交換チャンバを通って流れ、第2の動作モードでは、作動流体が1つ以上の第1の経路に沿って反対方向に熱交換チャンバを通って流れるように構成されることがあり得る。
【0021】
装置が第1の動作モードと第2の動作モードとを交替するとき、装置はエネルギー貯蔵とエネルギー回収(再生)とを、またはその逆に、交替し、作動流体と蓄熱媒体との間の熱エネルギー流の方向が逆転し、第1の媒体格納器から受容された蓄熱媒体は第1の媒体格納器に戻されることがあり得る。典型的には、熱交換チャンバを通る作動流体の流れの方向は、逆転する。典型的には、熱交換チャンバを通る蓄熱媒体の移動の方向は、逆転する。第1および第2の熱交換器が存在する場合、典型的には、各熱交換器の熱交換チャンバを通る作動流体の方向および蓄熱媒体の移動の方向は、逆転する。
【0022】
典型的には、熱交換器は、作動流体循環経路のあるセクション内に位置し、作動流体循環経路のセクションを通る作動流体の流れの方向は、第1の動作モードと第2の動作モードとの間で逆転し、第1の動作モードでは、作動流体は、第1の方向に流れ、第2の方向では、作動流体は、(熱交換チャンバを通って)反対方向に流れる。典型的には、第1の動作モードでは、作動流体は、圧縮器の出力から膨張器の入力まで第1の方向に流れ、第2の方向では、作動流体は、圧縮器の出力から膨張器の入力まで反対方向に流れる。第1および第2の動作モードでは、圧縮器と膨張器とは機能を交替する(第1の動作モードでは圧縮器である機械は第2の動作モードでは膨張器として機能し、第1の動作モードでは膨張器である機械は第2の動作モードでは圧縮器として機能する)ことがあり得る。したがって、作動流体は、(一方は第1の動作モードでは圧縮器として、第2の動作モードでは膨張器として機能し、他方は第1の動作モードでは膨張器として、第2の動作モードでは圧縮器として機能する)同じ2台の作動機の間で、同じ経路を、反対方向にたどることがあり得る。典型的には、圧縮器と膨張器とは、結合された(例えば、同じシャフトの部分である)回転可能シャフトを有する。
【0023】
典型的には、作動流体循環経路は、高圧側および低圧側を有する。これらは、典型的には、高温側および低温側に対応する。とはいっても、高圧側および低圧側の温度は、時間で、および作動流体循環経路の高圧側および低圧側の長さに沿って、大いに変動することがあり得る。例えば、作動流体循環経路内の熱交換器の反対側の端部の温度は、典型的には非常に異なる。典型的には、第1および第2の流体作動機は、作動流体循環経路を高圧側と低圧側とに分割する。これは、使用中の作動流体循環経路内の作動流体の相対圧力を指す。典型的には、装置は、作動流体循環経路の高圧側に位置する第1の熱交換器(高温熱交換器)と、作動流体循環経路の低圧側に位置する第2の熱交換器(低温熱交換器)とを有する。高温および低温とは、使用中の熱交換器内の作動流体の相対圧力を指す。第1および/または第2の熱交換器は、上記の熱交換器に対応し得る。作動流体循環経路の高圧側および/または低圧側は、作動流体を格納するための少なくとも1つのタンクを含み得る。
【0024】
典型的には、装置は、第1の流体作動機および第2の流体作動機を備え、第1の動作モードでは、第1の流体作動機は圧縮器として機能し、第2の流体作動機は膨張器として機能し、第2の動作モードでは、第1の流体作動機は膨張器として機能し、第2の流体作動機は圧縮器として機能する。したがって、作動流体は、第1および第2の動作モードにおいて、第1および第2の流体作動機を通って、作動流体循環経路を巡って反対方向に流れ得る。典型的には、第1および第2の流体作動機は、結合された(例えば、同じシャフトの部分である)回転可能シャフトを有し、(任意選択的に、第1の動作モードでは原動機であり、第2の動作モードでは電力テークオフ、例えば、発電機としても動作可能な電気モータとして機能し得る)原動機および電力テークオフに結合もされている。
【0025】
装置は、(作動流体循環経路の低圧側に接続されている)低圧マニホルドと、(作動流体循環経路の高圧側に接続されている)高圧マニホルドと、回転可能シャフトと、周期的に変化する容積の複数の作動チャンバとを有する1つ以上の電子整流式流体作動機を備え得、各作動チャンバは、低圧マニホルドと作動チャンバとの間の作動流体の流れを調節する電子制御低圧弁と、高圧マニホルドと作動チャンバとの間の作動流体の流れを調節する電子制御高圧弁とを有し、コントローラが、作動チャンバ容積サイクルと同相の関係で作動チャンバの低圧弁および高圧弁を(典型的にはシャフト位置センサを使用して)制御して、各作動チャンバ容積サイクルにおける各作動チャンバの作動流体の正味置換を決定する。典型的には、コントローラは、各作動チャンバが、作動流体の正味置換がない非活性サイクルまたは作動流体の正味置換がある活性サイクルのいずれかとなるように、低圧弁および高圧弁を制御する。典型的には、コントローラは、各作動チャンバに、(作動流体が低圧マニホルドから受容されて、より高い圧力および温度で高圧マニホルドに出力されることになる)圧縮器サイクルまたは(作動流体が高圧マニホルドから受容されて、より低い圧力および温度で低圧マニホルドに出力されることになる)膨張器サイクルのいずれかを実行させるように、低圧弁および高圧弁を制御する。第1および第2の流体作動機は、各々、(典型的には、一方の流体作動機の作動チャンバが、非活性サイクルが散在し得る圧縮器サイクルを実行し、他方の流体作動機の作動チャンバが、非活性サイクルが散在し得る膨張器サイクルを実行する)そのような電子整流式流体作動機であることがあり得るけれども、第1および第2の流体作動機は、一方のグループの作動チャンバが、非活性サイクルが散在し得る圧縮器サイクルを実行し、他方のグループの作動チャンバが、非活性サイクルが散在し得る膨張器サイクルを実行する、同じ上記電子整流式流体作動機内の(別個の、それぞれの低圧マニホルドおよび高圧マニホルドを有する)異なるグループの作動チャンバによって形成されることも可能である。
【0026】
そのような機械により、作動流体循環経路の高圧側の圧力(および典型的にはまた、作動流体循環経路の低圧側の圧力)と、作動流体循環経路を巡る作動流体の循環率とを独立して制御するために、第1および第2の流体作動機(すなわち、圧縮器および膨張器)による作動流体の置換率を独立して変化させることが可能になる。第1および第2の流体作動機による置換率は、作動チャンバ容積の活性サイクル対非活性サイクルの比を変えることによって調節し得る。
【0027】
しかしながら、少なくとも3つの流体作動機が存在し、第1の動作モードでは、第1の流体作動機が膨張器として機能し、第2の流体作動機が圧縮器として機能し、作動流体は第2の機械の出力から第1の機械の入力に、熱交換器を通して第1の方向に流れ、第2の動作モードでは、第3の流体作動機が膨張器として機能し、第1の流体作動機または第4の流体作動機のいずれかが圧縮器として機能し、作動流体は、第1または第4の流体作動機の出力から第3の流体作動機の入力に、熱交換器を通して第1の方向とは反対の第2の方向に流れるということがあり得る。第1、第2、第3、および存在する場合は第4の流体作動機は、典型的には、結合された回転可能シャフトを有し、例えば、それらは、同じ回転シャフトに取り付けられ得る。第1、第2、第3、および存在する場合は第4の流体作動機は、ターボ機械であり得る。
【0028】
典型的には、蓄熱媒体は、粒子状である。蓄熱媒体は、球状であり得る粒子を含んでもよいし、または粒子として形成されてもよい。粒子は、5~25mm、例えば、8~15mmの範囲の直径を有し得る。熱交換チャンバ内の蓄熱媒体の滞留時間は、2~20分、例えば、3~8分の範囲であり得る。これらのパラメータは、良好な結果を与えることが見出された。
【0029】
蓄熱媒体は、低コストで容易に入手可能である、ガラスカレットから作製されたガラス、例えば、再生ガラスであり得る。ガラスは、頑丈で、良好な比熱容量を有しながら、安価である。
【0030】
熱交換器はまた、他の用途、例えば、化学製造プロセスで反応流体を加熱または冷却するためにも有用である。発明の第3の態様によれば、熱交換器であって、蓄熱媒体を流体と直接接触させ、それによって、作動流体と蓄熱媒体との間で熱エネルギーを交換するように構成された熱交換チャンバを有し、流体は、熱交換チャンバ内で、典型的には気体であり、蓄熱媒体は固体であり、熱交換器は、受容した蓄熱媒体を熱交換チャンバに出し入れする(典型的には、それを通す)ように構成され、熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを流体から蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、熱交換器が提供される。
【0031】
発明の第4の態様によれば、熱交換器を動作させる方法であって、蓄熱媒体を熱交換器の熱交換チャンバ内に受容し、熱交換チャンバ内で、蓄熱媒体を典型的には気体状の作動流体と接触させ、次いで、蓄熱媒体を熱交換器から出力するステップを含み、熱交換器は、代替的な第1および第2の動作モードにおいて、熱エネルギーを流体から蓄熱媒体へ、またはその逆に、移送するように可逆的である、方法が提供される。典型的には、第1の動作モードでは、蓄熱媒体は、熱交換チャンバを第1の方向に通過し、第2の動作モードでは、蓄熱媒体は、熱交換チャンバを反対方向に通過する。
【0032】
例えば、流体は、例えば、放熱または吸熱によって行われ得る化学反応を受けるかまたは化学反応を受けている反応物質を含み得る。流体は、作動流体であり得る。
【0033】
(例えば、熱交換器、蓄熱媒体などの)さらなる任意選択的な特徴は、発明の第1および第2の態様に関して上述した任意選択的な特徴に対応する。
【0034】
例えば、第1の圧力(例えば、周囲の)で格納されていた蓄熱媒体を、例えば、エアロック装置を使用して、圧力差にわたって、通常は重力の作用によって、固体材料を分配するデバイスであるロックホッパを使用して、第2の(典型的にはより高い)圧力で熱交換器内に導入することが知られている。同様に、長時間格納するために、ロックホッパを使用して、蓄熱媒体を、熱交換器から、熱交換器よりも低い圧力にある、より低温またはより高温の媒体格納器内に取り出すことが知られている。
【0035】
しかしながら、ロックホッパは、特に作動流体が、少なくとも熱交換器において、気体である場合、作動流体の加圧および減圧に起因して、一般にかなりの量のエネルギーを消費する。
【0036】
発明の第5の態様では、作動流体循環経路を備える装置において、圧力差にわたって、蓄熱媒体を媒体格納器から熱交換チャンバへ、またはその逆に、移送する方法であって、作動流体循環経路は、熱交換チャンバを備える熱交換器を備える、方法が提供される。
【0037】
典型的には、熱交換チャンバは、(動作中に)媒体格納器よりも高い圧力にある。
典型的には、装置は、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置である。典型的には、蓄熱媒体は、固体である。典型的には、作動流体は、熱交換チャンバにおいて、気体として蓄熱媒体と直接接触し、それによって、熱を蓄熱材料へまたは蓄熱材料から移送する。したがって、熱交換器は、典型的には、(作動流体は、熱交換器の熱交換チャンバにおいて、気体として蓄熱媒体と直接接触するように構成された)直接接触熱交換器である。
【0038】
典型的には、方法は、気体状作動流体の存在下で蓄熱媒体を少なくとも1つの移送チャンバ内に受容することを含む。装置は、少なくとも1つの移送チャンバと、少なくとも1つの移送チャンバに流体接続可能な少なくとも1つの作動チャンバとを備える。
【0039】
蓄熱媒体は、(蓄熱媒体が熱交換チャンバ内にロードされる場合)媒体格納器から、または(蓄熱媒体が熱交換チャンバからアンロードされる場合)熱交換チャンバから、少なくとも1つの移送チャンバ内に移送され得る。それによって、蓄熱媒体は、媒体格納器から少なくとも1つの移送チャンバへ、次いで熱交換チャンバへ移送される(ロード中)か、または熱交換チャンバから少なくとも1つの移送チャンバへ、そして媒体格納器へ移送される(アンロード中)。
【0040】
方法によれば、少なくとも1つの移送チャンバは、可変容積の少なくとも1つの作動チャンバに流体接続されている。少なくとも1つの移送チャンバは、既に少なくとも1つの作動チャンバに流体接続されていてもよいし、または(例えば、1つ以上の弁を開くことによって)少なくとも1つの移送チャンバを少なくとも1つの作動チャンバに接続するステップが存在してもよい。
【0041】
方法は、少なくとも1つの移送チャンバが少なくとも1つの作動チャンバと流体接続されている間(および蓄熱媒体が少なくとも1つの移送チャンバ内に残存する間)、少なくとも1つの作動チャンバの容積を減少または増加させ、それによって、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮または膨張するステップをさらに含む。典型的には、少なくとも1つの作動チャンバは、このステップの間、蓄熱媒体を包含しない。
【0042】
少なくとも1つの移送チャンバ内の蓄熱媒体の存在に起因する圧縮または膨張の制限を回避するために、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体の圧縮または膨張のために、少なくとも1つの移送チャンバではない少なくとも1つの作動チャンバを使用することが有利である。
【0043】
方法は、作動流体が膨張する間、作動流体によって少なくとも1つの作動チャンバに行われた仕事からエネルギーを回収することを含む。
【0044】
第6の態様では、固体蓄熱媒体と、熱媒体格納器と、熱交換チャンバを有する熱交換器と、作動流体循環経路とを備えるポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であって、作動流体循環経路は、熱交換器を含み、装置は、少なくとも1つの移送チャンバと少なくとも1つの作動チャンバとを備え、蓄熱媒体を媒体格納器から少なくとも1つの移送チャンバへ、次いで熱交換チャンバへ、または熱交換チャンバから少なくとも1つの移送チャンバへ、次いで熱媒体格納器へ移送するように構成されており、装置は、少なくとも1つの移送チャンバが少なくとも1つの作動チャンバに流体接続されている間に、少なくとも1つの作動チャンバの容積を減少または増加させ、それによって、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮または膨張させるように、かつ、作動流体が膨張している間に、少なくとも1つの作動チャンバによって行われた仕事からエネルギーを回収するように構成されている、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置が提供される。装置は、装置の代替的な動作モードにおいて、上記移送チャンバまたは上記作動チャンバとして動作可能な可変容量の複数のチャンバを備え得る。
【0045】
エネルギーは、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体の上記膨張から回収される(一方で、蓄熱媒体は少なくとも1つの移送チャンバ内に残存する)ことがあり得る。方法は、(例えば、熱交換チャンバからの)作動流体を膨張させることと、その膨張からエネルギーを回収することとをさらに含むことがあり得る。仕事が行われる少なくとも1つの作動チャンバは、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮または膨張するために少なくとも1つの移送チャンバに流体接続されている少なくとも1つの作動チャンバと同じまたは異なる少なくとも1つの作動チャンバであり得る。
【0046】
典型的には、(いずれかの選択肢による)作動流体の膨張からのエネルギーは、少なくとも1つの作動チャンバが膨張する間、(同じまたは異なる少なくとも1つの作動チャンバであり得る)少なくとも1つの作動チャンバに作動流体によって行われた仕事から回収される。
【0047】
蓄熱媒体が媒体格納器から少なくとも1つの移送チャンバ内に移送され、少なくとも1つの作動チャンバの容積が減少して少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮し、次いで、蓄熱媒体(および圧縮された作動流体の少なくとも一部)が少なくとも1つの移送チャンバから熱交換チャンバに移送されることがあり得る。
【0048】
少なくとも1つの移送チャンバは、既に少なくとも1つの作動チャンバに流体接続されていてもよいし、または(例えば、1つ以上の弁を開くことによって)少なくとも1つの移送チャンバを少なくとも1つの作動チャンバに接続するステップが存在してもよい。
【0049】
典型的には、少なくとも1つの作動チャンバは、作動流体を圧縮するステップの後に、かつ蓄熱媒体および圧縮された作動流体の少なくとも一部を移送チャンバから熱交換チャンバへ移送するステップの前に、少なくとも1つの移送チャンバから封止される。
【0050】
蓄熱媒体が熱交換チャンバから少なくとも1つの移送チャンバに移送され、少なくとも1つの作動チャンバの容積が増加し、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体が膨張し、次いで、蓄熱媒体(および膨張した作動流体の少なくとも一部)が熱交換チャンバに移送されることがあり得る。
【0051】
少なくとも1つの移送チャンバは、既に少なくとも1つの作動チャンバに流体接続されていてもよいし、または(例えば、1つ以上の弁を開くことによって)少なくとも1つの移送チャンバを少なくとも1つの作動チャンバに接続するステップが存在してもよい。
【0052】
典型的には、少なくとも1つの作動チャンバは、作動流体を膨張させるステップの後に、かつ蓄熱媒体(および圧縮された作動流体の少なくとも一部)を移送チャンバから媒体格納器に移送するステップの前に、少なくとも1つの移送チャンバから封止される。
【0053】
したがって、作動流体を圧縮する際に消費されるエネルギーの一部は、作動流体の膨張から回収される。典型的には、熱交換チャンバへの導入のために作動流体を圧縮する際に消費されるエネルギーの一部は、作動流体の膨張から回収される。エネルギーは、例えば、熱交換器チャンバから受容した作動流体を膨張させることによって、または作動流体を圧縮するプロセスの一部として圧縮されたが、熱交換器チャンバにまだ導入されていない作動流体を膨張させることによって、回収され得る。これにより、全体的なエネルギー効率が改善される。さらに、熱交換チャンバ内にロードされる蓄熱媒体と共に存在する作動流体は、圧縮され、加熱される。これにより、蓄熱媒体が熱交換チャンバ内にロードされたときに、熱交換チャンバからの作動流体の流出(および結果としての熱エネルギーの損失)が回避される。同様に、熱交換チャンバから貯蔵媒体が受容される移送チャンバは、加圧されて、熱交換チャンバからの作動流体の流出を制限する。
【0054】
(媒体貯蔵器と熱交換チャンバとの間の)圧力差は、典型的には1バールよりも大きく、10バールよりも大きい、または100バールよりも大きくてもよい。圧力差が大きいほど、発明の利点は大きい。
【0055】
媒体格納器は、周囲温度であることがあり得る。媒体格納器は、周囲圧力であることがあり得る。典型的には、媒体格納器は、気体状作動流体を含む。
【0056】
典型的には、媒体格納器内に存在する気体は、気体状作動流体である。典型的には、作動流体は、作動流体循環経路を循環し、一部はまた、作動流体循環経路から媒体格納器へ、またはその逆に、移送される。
【0057】
装置は、異なる温度、基準温度(例えば、環境温度)、および基準温度よりも高いまたは低いエネルギー貯蔵温度で媒体を保持するための第1および第2の媒体格納器を備え得る。エネルギー貯蔵中、蓄熱媒体は、第1の媒体格納器から熱交換チャンバへ移送され、作動流体との直接接触から熱交換チャンバ内で加熱され、次いで、第2の媒体格納器内で、基準温度よりも高い温度で貯蔵されることがあり得る。エネルギー取り出し中、蓄熱媒体は、基準温度よりも高い温度で第2の媒体格納器から受容され、次いで、作動流体との直接接触によって熱交換チャンバ内で作動流体を加熱するために使用され、次いで、基準温度で第1の媒体格納器内に格納されることがあり得る。ポンプ式熱エネルギー貯蔵システムでは、これらのプロセスは、装置の高圧側で適用される。この場合、低圧側では、エネルギー貯蔵中、蓄熱媒体は、第3の媒体格納器から熱交換チャンバへ移送され、作動流体との直接接触から第2の熱交換チャンバ内で冷却され、次いで第4の媒体格納器内で基準温度よりも低い温度で格納されることがあり得る。エネルギー取り出し中、蓄熱媒体は、基準温度よりも低い温度で第4の媒体格納器から受容され、次いで、作動流体との直接接触によって熱交換チャンバ内で作動流体を冷却するために使用され、次いで、基準温度で第3の媒体格納器内に格納されることがあり得る。基準温度は、例えば、周囲温度の変化に起因して、ならびに/またはエネルギー貯蔵および/もしくは取り出しプロセス中の何らかの変動に起因して、時間とともに変化し得る。より高温およびより低温もまた、エネルギー貯蔵および取り出し中、エネルギーが貯蔵および/または取り出されるにつれて変化し得る。
【0058】
典型的には、熱交換器は、作動流体循環経路内で、蓄熱媒体を作動流体と直接接触させ、それによって、作動流体と蓄熱媒体との間で熱エネルギーを交換するように構成された熱交換チャンバを有する。作動流体は、作動流体循環経路全体を通して気体であり得るが、作動流体が作動流体循環経路内で相変化を受けること、例えば、熱交換チャンバ内では気体(例えば、超臨界気体)であるが、作動流体循環経路の少なくとも1つの領域内では液体であることも可能である。したがって、装置は、発明の第1の態様によるポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であり得、方法は、発明の第2の態様による方法であり得る。熱交換器は、発明の第3の態様による熱交換器であり得る。方法は、発明の第4の態様の方法によって熱交換器を動作させることを含み得る。典型的には、第1の動作モード(例えば、エネルギー貯蔵)では、蓄熱媒体は、熱交換チャンバを第1の方向に通過し、第2の動作モード(例えば、エネルギー回収)では、蓄熱媒体は、熱交換チャンバを反対の第2の方向に通過する。第1の動作モードでは、蓄熱媒体は、第1の媒体格納器から、熱交換チャンバを第1の方向に通過して、第2の媒体格納器に至り、第2の動作モードでは、蓄熱媒体は、第2の媒体格納器から、熱交換チャンバを反対の第2の方向に通過することがあり得る。
【0059】
ロード中、蓄熱媒体は、少なくとも1つの移送チャンバを介して媒体格納器から熱交換チャンバ内へ移送される。典型的には、熱交換チャンバ内の圧力は、媒体格納器内の圧力よりも大きい。熱交換チャンバ内の圧力は、媒体格納器内の圧力の少なくとも10倍であることがあり得る。媒体格納器内の圧力は、2バール未満であり、例えば、大気圧でもよいことがあり得る。熱交換チャンバ内の圧力は、少なくとも10バール、または少なくとも25バール、または少なくとも100バールであることがあり得る。熱交換チャンバ内の圧力は、5~25バールの範囲(例えば、低圧側の熱交換チャンバの場合)または50~250バールの範囲(例えば、高圧側の熱交換チャンバの場合)であることがあり得る。
【0060】
この場合、少なくとも1つの作動チャンバの容積は、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮するように低減される。次いで、蓄熱媒体および圧縮された作動流体が、熱交換チャンバ内に移送される。
【0061】
典型的には、少なくとも1つの移送チャンバは、蓄熱媒体が導入される熱交換チャンバの端部の上方に位置する。したがって、熱交換器内への蓄熱媒体の移送は、重力送りすることができる。
【0062】
蓄熱媒体が少なくとも1つの移送チャンバ内に移送された後、少なくとも1つの移送チャンバは少なくとも1つの作動チャンバに接続され、少なくとも1つの作動チャンバ内の加圧された作動流体が少なくとも1つの移送チャンバ内に至り、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体の圧力を増加させることがあり得る。このプロセスは、典型的には、等エンタルピーなしの膨張である。
【0063】
典型的には、少なくとも1つの作動チャンバ内の上記加圧作動流体は、熱交換チャンバから少なくとも1つの作動チャンバ内に事前に受容されていた。典型的には、それは、少なくとも1つの移送チャンバが熱交換チャンバに接続されている間に、事前に受容されていた。典型的には、それは、1バッチの貯蔵媒体を熱交換チャンバ内へロードするまたは熱交換チャンバからアンロードする1サイクル内に、事前に受容されていた。結果として、熱交換チャンバから受容された加圧気体は、続いて、少なくとも1つの移送チャンバを、それが蓄熱媒体を保持している間に、部分的に加圧するために使用される。これにより、作動流体の機械的圧縮に使用されるエネルギーの量が低減される。
【0064】
少なくとも1つの作動チャンバの容積が低減されるとき、少なくとも1つの移送チャンバ(および少なくとも1つの作動チャンバ)内の圧力は、(蓄熱媒体が導入される位置における)少なくとも熱交換チャンバ内の圧力に、または典型的にはそれを上回って、増加することがあり得る。これにより、少なくとも1つの移送チャンバの内容物が熱交換チャンバ内に移送されるとき、エネルギー損失は最小限に抑えられる。
【0065】
少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を圧縮するステップの後、少なくとも1つの移送チャンバ、および典型的にはさらに少なくとも1つの作動チャンバは、熱交換チャンバに接続され、作動流体がそれらの間を循環することが可能になることがあり得る。
【0066】
(例えば、ピストンの動きによって)少なくとも1つの移送チャンバの容積が低減され、その中の蓄熱媒体を熱交換チャンバ内に変位させることがあり得る。典型的には、蓄熱媒体が熱交換チャンバ内に変位されている間、少なくとも1つの作動チャンバの容積が増加し、熱交換チャンバから少なくとも1つの作動チャンバ内への作動流体の正味流れが存在する。したがって、作動流体が蓄熱媒体と共に熱交換チャンバ内に導入されると、加圧された作動流体が、少なくとも1つの作動チャンバ内に変位され、そこで、エネルギーを回収するために使用され得る。
【0067】
典型的には、方法は、少なくとも1つの作動チャンバを熱交換チャンバから接続解除することと、次いで少なくとも1つの作動チャンバ内に残存する作動流体を膨張させることとを含む。典型的には、エネルギーは、(作動流体によって少なくとも1つの作動チャンバ(例えば、ピストン)に行われた仕事からの)この膨張から回収される。
【0068】
アンロード中、蓄熱媒体は、少なくとも1つの移送チャンバを介して熱交換チャンバから媒体格納器へ移送される。典型的には、熱交換チャンバ内の圧力は、媒体格納器内の圧力よりも大きい。
【0069】
この場合、少なくとも1つの作動チャンバの容積が増加されて、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を膨張させる。したがって、熱交換器から(典型的には、蓄熱媒体と共に)受容された作動流体は、少なくとも1つの作動チャンバを膨張させる際に行われた仕事によるエネルギーを回収するために使用される。典型的には、これは、少なくとも1つの作動チャンバが少なくとも1つの移送チャンバに接続されているが、熱交換器に接続されていない状態で行われる。このステップの後、蓄熱媒体および膨張した作動流体は、典型的には、媒体格納器に移送される。
【0070】
したがって、方法は、典型的には、熱交換チャンバから少なくとも1つの移送チャンバ内に蓄熱媒体を受容するステップを含む。典型的には、少なくとも1つの移送チャンバは、蓄熱媒体が受容される熱交換チャンバの端部の下方に位置する。したがって、熱交換チャンバから少なくとも1つの熱移送チャンバ内への蓄熱媒体の移送は、重力送りすることができる。
【0071】
蓄熱媒体が、作動流体と共に、熱交換チャンバから少なくとも1つの移送チャンバ内に移送されるとき、少なくとも1つの作動チャンバ内の加圧された(および典型的には加熱された)作動流体が、熱交換チャンバ内に移送されることがあり得る。これにより、熱交換チャンバからの加圧された作動流体の損失が低減または回避される。方法は、(典型的には、少なくとも1つの作動チャンバが封止されている間に)少なくとも1つの作動チャンバが、容積を減少させ、作動流体を圧縮するステップを含み得る。したがって、少なくとも1つの作動チャンバは、熱交換チャンバに移送するための作動流体を加圧した。典型的には、少なくとも1つの作動チャンバは、少なくとも1つの移送チャンバ内の作動流体を膨張させるステップの後に封止される。したがって、加圧において貯蔵されたエネルギーおよび蓄熱媒体を有する熱交換チャンバから受容した作動流体の熱エネルギーの一部を保持することができ、熱交換チャンバ内への移送のために作動流体を加圧するのに少なくとも1つの作動チャンバが必要とするエネルギーを低減させる。
【0072】
典型的には、少なくとも1つの移送チャンバ内の蓄熱媒体は、次いで、熱媒体格納器に移送される。蓄熱媒体は、少なくとも1つの移送チャンバから、例えば、少なくとも1つの移送チャンバ内のピストンがその進行行程の最下端にあるときに露出されるポートを通して、落下し得る。典型的には、蓄熱媒体は、典型的には熱交換チャンバの下から、(典型的には、熱交換チャンバよりも高い)熱媒体格納器に、コンベヤ(例えば、オーガ)によって上昇される。
【0073】
作動流体は、定期的および/または連続的に、加圧され、熱交換チャンバ内に導入されることがあり得る。これにより、作動流体循環経路内を循環する作動流体の質量が維持される。導入の圧力および/または速度は、作動流体循環経路内の作動流体の固定または可変の目標質量を達成するように変化させ得る。
【0074】
方法は、(少なくとも1つの移送チャンバの容積を低減させることによって)(典型的には低圧、例えば、周囲の)作動流体を少なくとも1つの移送チャンバから媒体格納器に変位させるステップを含むことがあり得る。次いで、熱交換器チャンバ、少なくとも1つの移送チャンバ、および少なくとも1つの作動チャンバは、互いに封止され得る。次いで、アンロードサイクルが繰り返され得る。
【0075】
少なくとも1つの移送チャンバが、熱交換チャンバの上方に位置し得、装置は、作動されると、少なくとも1つの移送チャンバ内の蓄熱媒体が、重力によって、熱交換チャンバ内に落下することを可能にする弁をさらに備え得る。少なくとも上記1つの移送チャンバは、ピストンがチャンバの容積を低減させるために下向きに、チャンバの容積を増加させるために上向きにその中で動く、ピストンシリンダを備え得る。少なくとも1つの移送チャンバは、ピストンがシリンダ内の閾値位置を上回ったときに蓄熱媒体を受容するように構成され得る。
【0076】
少なくとも1つの移送チャンバが、熱交換チャンバの下方に位置し得、作動されると、熱交換チャンバ内の蓄熱媒体が、重力によって、少なくとも1つの移送チャンバ内に落下することを可能にする弁を備える。少なくとも上記1つの移送チャンバは、ピストンがチャンバの容積を低減させるために上向きに、チャンバの容積を増加させるために下向きにその中で動く、ピストンシリンダを備え得る。したがって、ピストンを下方に動かして、熱交換器チャンバ内の蓄熱媒体を少なくとも1つの移送チャンバ内に落下させ得る。
【0077】
少なくとも1つの移送チャンバは、典型的にはシリンダ内でスライドするピストンによって動作可能である出口を備え得、それを通して、蓄熱媒体が、重力によって、少なくとも1つの移送チャンバから落下し得る。蓄熱媒体コンベヤが、上記出口から出た蓄熱媒体を媒体格納器まで持ち上げるように構成され得る。
【0078】
1つ以上のチャンバが、代替的な動作構成において、上記移送チャンバまたは上記作動チャンバとして動作可能である(または作動される)ことがあり得る。これにより、必要とされるチャンバの総数が低減される。少なくとも1つの移送チャンバおよび少なくとも1つの作動チャンバ(および上記移送チャンバまたは上記作動チャンバとして動作可能であるかまたは作動される1つ以上のチャンバ)は各々、ピストンシリンダであり得る。
【0079】
熱交換チャンバの第1の端部には、蓄熱媒体を媒体格納器から熱交換チャンバ内に移送するために、第1のチャンバが熱交換チャンバの上方に位置し、蓄熱媒体を熱交換チャンバから(同じまたは異なる媒体格納器であり得る)媒体格納器内に移送するために、第2のチャンバが熱交換チャンバの下方に位置することがあり得る。したがって、有利には、第1および第2のチャンバは、各々、重力を使用して、蓄熱媒体を、熱交換チャンバ内にまたは熱交換チャンバから変位させ得る。
【0080】
第1の動作モードでは、第1のチャンバは上記移送チャンバとして動作可能であり、第2のチャンバは上記作動チャンバとして動作可能であり、第2の動作モードでは、第1のチャンバは上記作動チャンバとして動作可能であり、第2のチャンバは上記移送チャンバとして動作可能であることがあり得る。典型的には、蓄熱媒体は、熱交換チャンバの一方の端部で、熱交換チャンバ内にロードされるか、または熱交換チャンバからアンロードされるかのいずれかであり(典型的には、一方で、熱交換チャンバの他方の端部でそれぞれアンロードまたはアンロードされている)、したがって、これにより、今現在、蓄熱媒体を移送するのに必要とされていない1つ以上のチャンバが、1つ以上の作動チャンバとして使用されることが可能になる。
【0081】
少なくとも1つの移送チャンバ、または上記移送チャンバまたは作動チャンバとして動作可能な少なくとも1つのチャンバは、典型的には、(シリンダと、シリンダ内にスライド可能に取り付けられたピストンとを備える)少なくとも1つのピストンシリンダユニットである。例えば、1つ以上の油圧(もしくは空気圧)または電気アクチュエータを使用して、または回転シャフトに取り付けられた1つ以上のカムを介して、(少なくとも1つの移送チャンバの容積が減少するにつれて)ピストンを駆動することによって、圧縮ステップ中にエネルギーが入力され得る。したがって、装置は、(作動流体を圧縮するために)ピストンを駆動することによって、圧縮ステップ中にエネルギーを入力するためのアクチュエータを備え得る。エネルギーは、膨張ステップ中に、例えば、油圧(もしくは空気圧)アクチュエータにおける油圧(もしくは空気圧)流体の圧縮、電気アクチュエータにおける電力の回収によって、または回転シャフトに取り付けられたカムに行われた仕事によって、(少なくとも1つの移送チャンバの容積が増加するにつれて)ピストンに行われた仕事から回収され得る。したがって、装置は、少なくとも1つの移送チャンバの容積が増加するにつれて作動流体を膨張させることによって、ピストンに行われた仕事からエネルギーを回収するために、アクチュエータと一体的な、またはアクチュエータとは別個の、発電機を備え得る。
【0082】
作動チャンバ駆動機構は、油圧または空気圧アクチュエータ、例えば、油圧ポンプを備え得る。作動チャンバ駆動機構は、代替的な動作モードで発電機として動作可能であり得る電気モータを備え得る。作動チャンバ駆動機構は、例えば、カムを使用して、作動チャンバ容積サイクルにその回転が結合されている(使用中に回転する)回転可能シャフトを備え得る。作動チャンバ駆動機構は、1つ以上のエネルギー貯蔵および返還機構、例えば、1つ以上の弾性体または気体蓄積器を備え得る。そのような機構は、作動流体の膨張から受容したエネルギーを貯蔵し、典型的には同じ膨張および圧縮サイクル内で、それを部分的に使用して作動流体を圧縮し得る。
【0083】
作動流体を圧縮するために使用される少なくとも1つの作動チャンバは、典型的には、作動流体を膨張するために使用される少なくとも1つの作動チャンバと同じであるが、これは必須ではなく、異なる1つ以上の作動チャンバがこれらのステップに使用されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、蓄熱媒体は、作動流体(例えば、大気)の存在下以外で、媒体格納器内に格納され、したがって、蓄熱媒体が熱交換器に導入されるためには、作動流体と接触させなければならない。これは、熱交換器内の作動流体を(例えば、大気で)希釈する危険性がある。同様に、蓄熱媒体が、作動流体(例えば、大気)以外の流体の存在下で格納のために熱交換器から取り出されるとき、作動流体が熱交換器から失われる可能性がある。これらの問題は、作動流体の温度を下回る流体を熱交換器内に導入することによって引き起こされる可能性があるエネルギーの損失、または作動流体圧力の損失からのエネルギーの損失に加えて、当てはまる。媒体格納器と熱交換器との間の典型的に実質的な圧力差は、これらの問題を解決することをより困難にする。
【0085】
特に、作動流体が気体であり、蓄熱媒体が、作動流体(例えば、大気)以外の気体の存在下で格納されている固体材料である場合では、熱交換の後、蓄熱媒体が格納されるとき、作動流体は蓄熱媒体と共に失われる。作動流体は、後で回収されたとしても、熱エネルギーまたは圧力を失っている。
【0086】
場合によっては、特に蓄熱媒体が作動流体以外の気体中で媒体格納器内に格納される(例えば、大気中で格納される)場合、貯蔵媒体が熱交換器から取り出されるときにさもなければ蓄熱媒体と共に失われるであろう作動流体を分離して保持することは特に重要である。
【0087】
したがって、発明の第7の態様では、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の作動流体と蓄熱媒体との間で熱を交換する方法であって、装置は、作動流体循環経路を備え、蓄熱媒体は固体であり、作動流体を、典型的には気体として、蓄熱媒体と直接接触させ、それによって、熱を蓄熱材料へまたは蓄熱材料から移送し、方法は、気体と直接接触した蓄熱媒体を気体から分離することと、分離した蓄熱媒体を格納し、一方で、分離した気体を、作動流体循環経路内で、作動流体として保持および再使用することと、を含む方法が提供される。
【0088】
発明の第8の態様では、作動流体循環経路と流体連通している熱交換チャンバを有する熱交換器と、蓄熱媒体とを備えるポンプ式熱エネルギー貯蔵装置であって、蓄熱媒体は固体であり、熱交換器は、作動流体循環経路内の作動流体を、典型的には気体として、蓄熱媒体と直接接触させ、それによって、熱を蓄熱材料へまたは蓄熱材料から移送するように、かつ気体と直接接触した蓄熱媒体を気体から分離するように構成され、分離した蓄熱媒体のための第1の出口と分離した気体のための第2の出口とを有する、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置が提供される。第2の出口は、典型的には、作動流体循環経路内に作動流体を保持するために、作動流体循環経路に接続されている。
【0089】
前と同様に、作動流体は、熱交換チャンバ内で、典型的には気体であり、典型的には、気体として蓄熱媒体と接触する。作動流体は動作中に気体のままであること、または蓄熱媒体と接触するところでは気体である作動流体が、作動流体循環経路を循環し、作動流体循環経路の少なくとも一部において液体であり得ることが可能である。いくつかの実施形態では、作動流体は、熱交換器内で液体である。
【0090】
典型的には、方法はまた、(典型的には、蓄熱媒体がその中に格納されていた)気体と共に蓄熱媒体を受容することと、蓄熱媒体を作動流体と直接接触させる前に、受容した気体を蓄熱媒体から分離し、一方で、受容した気体が作動流体循環経路内に進入することを制限することと、を含む。上記受容された気体は、蓄熱媒体がそこから受容された容器などの蓄熱媒体のための容器に戻され得る。
【0091】
作動流体は、典型的には、作動流体循環経路を循環し、そこで、1サイクルの間に、圧縮され、それによって加熱され、(典型的には熱交換器の熱交換チャンバ内で)蓄熱材料と直接接触し、膨張し、それによって冷却され、低温貯蔵材料と直接接触する。したがって、作動流体は、典型的には、作動流体循環経路で保持される。
【0092】
作動流体は、典型的には、作動流体を蓄熱媒体と直接接触させ、作動流体を蓄熱媒体から分離し、作動流体を圧縮器または膨張器の入口に運ぶステップの間、圧力下に維持される。
【0093】
したがって、蓄熱媒体は、典型的には閉じた作動流体循環経路からの作動流体の損失を最小化または回避しながら格納することができる。したがって、方法は、蓄熱媒体が格納されるときに、作動流体の損失、特に作動流体の熱(または低温性)および圧力の損失を最小化しようとするものである。気体が蓄熱媒体と一緒に作動流体循環経路内へ進入することも、典型的には回避される。
【0094】
典型的には、方法は、蓄熱媒体からの気体(例えば、受容した気体または作動流体)を液体で置換するステップを含む。液体は、気体よりも圧縮性がはるかに低い。それらは、気体を置換し、それによって、蓄熱媒体と接触している気体が蓄熱媒体から分離されることを可能にすることができる。
【0095】
方法は、容積内に蓄熱媒体の一部分を包含させることと、気体が容積を離れるための経路を提供しながら、容積に液体を導入すること(典型的には、容積を液体で満たすこと)と、を含み得る。方法は、蓄熱媒体の一部分を、液体を包含する容積に入れること(例えば、降下または落下させること)を含み得る。
【0096】
方法は、液体を蓄熱媒体から分離するステップを含み得る。液体は、重力によって、蓄熱媒体から落下し得る。液体は、典型的には、再使用される。液体は、典型的には、作動流体と同様の温度で維持される。液体は、作動流体循環経路内で、作動流体からの圧力を使用して、蓄熱媒体と接触するように促され得る。例えば、液体は、作動流体循環経路からの(典型的には気体連通している)作動流体も包含するチャンバ内に、分離せずに、またはその間に可動性(典型的には可撓性)バリアを有して、のいずれかで、包含され得る。
【0097】
方法は、作動流体の圧力とは異なる圧力、典型的には作動流体の圧力の10%未満、さらには1%未満の圧力で、作動流体と接触した蓄熱媒体を出力することを含み得る。例えば、作動流体は、100バールよりも大きい圧力(例えば、およそ200バール)を有し得、蓄熱媒体は、2バールを下回る、例えば、周囲圧力で、典型的には容器に出力され得る。作動流体循環経路内の作動流体の圧力は、(典型的には熱交換器内での)作動流体との直接接触の後および/または前に蓄熱媒体が容器内に格納されている圧力とは異なり得、例えば、少なくとも10バールもしくは少なくとも100バール、または例えば、少なくとも2倍もしくは少なくとも10倍の圧力差を有する。
【0098】
方法は、蓄熱媒体と直接接触させる作動流体の圧力とは異なる圧力、典型的には作動流体の圧力の10倍よりも大きい、さらには100倍よりも大きい圧力で、貯蔵媒体を受容することを含み得る。例えば、蓄熱媒体は、100バールよりも大きい圧力(例えば、およそ200バール)で(例えば、容器から)受容され得、作動流体は、(作動流体循環経路の低温側で)2バール未満の圧力、例えば周囲圧力、または周囲圧力未満を有してもよい。
【0099】
したがって、方法は、典型的には、圧力差にわたって、かつ気密を維持しながら、蓄熱媒体を作動流体循環経路に入れることおよび/または作動流体循環経路から出すことを伴う。
【0100】
方法は、圧縮器から加圧された作動流体を受容することと、加圧された作動流体を蓄熱媒体と直接接触させることと、作動流体の圧力を維持しながら、蓄熱媒体を加圧された作動流体から分離し、一方で、分離された蓄熱媒体をより低い圧力、例えば、周囲圧力に出力することと、を含むことがあり得る。
【0101】
典型的には、蓄熱媒体は粒子状であり、方法は、蓄熱媒体の一部分を、気体が存在する媒体格納器から熱交換器へ、または作動流体が存在する熱交換器から媒体格納器へ移送することと、附随して、液体を使用して、蓄熱媒体と共に受容した気体を置換することと、を含む。
【0102】
搬送ステップは、1つ以上のチャンバを有する回転機、または1つ以上のシリンダを有するピストンシリンダ機を使用するステップを含み得る。回転機またはピストンシリンダ機は、同時に、蓄熱媒体の一部分を熱交換のために媒体貯蔵器から熱交換器に搬送し、熱交換の後、同時に、蓄熱媒体の一部分を熱交換器からに搬送し得る。回転機またはピストンシリンダ機は、液体がチャンバまたはシリンダ内にそれを通して導入される1つ以上の入口ポートと、気体がチャンバまたはシリンダからそれを通して変位される1つ以上の出口ポートとを備え得る。
【0103】
液体を蓄熱媒体と接触させて気体を置換する前に、液体の温度が調節されることがあり得る。例えば、それは、(高温熱交換器の場合には)加熱されるか、または(低温熱交換器の場合には)冷却され得る。
【0104】
典型的には、液体を蓄熱媒体と同様の温度に維持するために、温度調節手段が設けられる。温度調節手段は、(熱交換器または蓄熱媒体を運搬する導管と熱的に連通している)さらなる熱交換器、または(高圧側には)ヒータ(例えば、電気ヒータ)もしくは(低圧側には)冷却要素(例えば、ペルチェポンプ)を備え得る。
【0105】
温度調節手段は、蓄熱媒体の温度が変化するにつれて液体の温度を変化させるように構成され得る。
【0106】
液体は、イオン性液体であり得る。300℃よりも高い温度に耐えることができるいくつかのイオン性液体、例えば、1エチル3メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスフロニル)イミド(EMIM TF SI)が存在する。異なる組成を有する液体が、作動流体循環経路の高圧側および低圧側で使用され得る。
【0107】
それにもかかわらず、(高圧側の)エアロックで使用される液体の最大動作温度は、そうでないと液体が劣化することがあるので、制限要因となり得る。したがって、液体を蓄熱媒体と接触させる前に、液体の温度を上昇させることがあり得、任意選択的には、(高温熱交換器の場合では)液体が蓄熱媒体から分離された後に、液体の温度が再び低減される。液体を蓄熱媒体と接触させる前に、液体の温度が低減されることがあり得、任意選択的には、(低温熱交換器の場合では)液体が蓄熱媒体から分離された後に、液体の温度が再び上昇されることがあり得る。温度調節手段は、液体(例えば、液体の流れ)を、蓄熱媒体と接触させて気体を置換する前に加熱して、次いで、液体を、蓄熱媒体に導入した後に冷却するように構成され得る。それは、蓄熱媒体と接触させて気体を置換する前後に、液体(例えば、液体の流れ)間で熱を交換するように構成された熱交換器を備え得る。それは、液体は、液体ポリシロキサン(シリコーン流体)、例えば、Syltherm800を含み得る、または本質的に含み得る。(SylthermはDow Corning Corporationの商標である)。
【0108】
ここで、本発明の例示的な実施形態を、以下の図面を参照して示す。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】エネルギー貯蔵中の動作を示すようにラベル付けされた、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の概略図である。
【
図2】エネルギー回収中の動作を示すようにラベル付けされた、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の概略図である。
【
図4】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の等角図である。
【
図6】エネルギー貯蔵中の動作を示すようにラベル付けされた、ターボ機械を使用するポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の概略図である。
【
図7】代替的なロックホッパ構成を使用したポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の概略図である。
【
図8】
図7の装置の熱交換器およびロックホッパ構成要素の高圧側の概略断面図である。
【
図9】
図7および
図8の装置の熱交換器およびロックホッパ構成要素の高圧側の部分断面図である。
【
図10A】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をロードするプロセスの段階Aにおける熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図10B】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をロードするプロセスの段階Bにおける熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図10C】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をロードするプロセスの段階Cにおける熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図10D】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をロードするプロセスの段階Dにおける熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図10E】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をロードするプロセスの段階Eにおける熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図11A】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をアンロードするプロセスの段階Aの間の熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図11B】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をアンロードするプロセスの段階Bの間の熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図11C】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をアンロードするプロセスの段階Cの間の熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図11D】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をアンロードするプロセスの段階Dの間の熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図11E】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をアンロードするプロセスの段階Eの間の熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【
図11F】ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の熱交換器内に蓄熱媒体をアンロードするプロセスの段階Fの間の熱交換器、移送チャンバ、および作動チャンバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
ここで、電気的インターフェース2からの電気エネルギーが熱エネルギーとして貯蔵される(蓄熱媒体として機能するガラスビーズが、周囲温度から加熱され、一方で、蓄熱媒体としても機能する他のガラスビーズが、周囲温度から冷却される)エネルギー貯蔵モードと、熱エネルギーを使用して電気エネルギーを生成し、それを電気的インターフェースに戻す(一方で、ガラスビーズは周囲温度に戻される)代替的なエネルギー回収(エネルギー生成)モードとにおける動作を示すようにラベル付けされた
図1および
図2を参照して、ポンプ式熱エネルギー貯蔵設備1を説明する。
【0111】
電気的インターフェース2は、装置を、全国的AC送電網などの送電網であり得る電気ネットワークに接続するが、発明は、単独動作のACまたはDC送電網およびネットワークでも有用である。インターフェースは、電気モータ4に接続され、この実施例では、電気モータ4は、発電機として機能するように可逆的であるが、代わりに別個の発電機が設けられてもよい。電気モータは、回転可能シャフト6を駆動し、回転可能シャフト6は、使用中に回転して、代替的な動作モードにおいて圧縮器または膨張器として動作することができる第1および第2の流体作動機8、10の作動チャンバ(例えば、シリンダ)を駆動する。圧縮器および膨張器は、作動流体を圧縮させるかまたは膨張させるかを交替するように、かつ作動流体の流れの方向を逆転させるように可逆的であるが、逆転は、回転可能シャフトが単一の方向に連続的に回転している状態で動作中に行われる。これにより、エネルギーの貯蔵と回収との迅速な切り替えが容易になる。シャフト位置センサ12が、使用中の回転可能シャフトの位置および回転速度を監視する。
【0112】
作動流体は、気体であり、この実施例ではアルゴンである。高圧側26Aおよび低圧側26Bを有する閉ループ作動流体循環経路8、14、16A、20、10、22、16B、24、8が存在する。低圧および高圧とは、動作中の作動流体の相対圧力を指す。低圧側はまた、低温側と見なすこともでき、高圧側はまた、高温側と見なすこともできるが、温度は、以下に説明される熱交換器を挟んで、実質的に各側で変化することができる。
【0113】
より詳細には、作動流体循環経路は、第1の流体作動機の高圧側から、高圧導管14を通り、高圧側熱交換器18A(高温熱交換器)の熱交換チャンバ16Aを通り、次いで第2の高圧導管20を通って、第2の流体作動機10の高圧側まで延在する。経路は、第2の流体作動機の低圧側から、低圧導管22を通り、低圧側熱交換器22B(低温熱交換器)の熱交換チャンバ16Bを通り、次いでさらなる低圧導管24を通って、第1の流体作動機8の低温側まで続く。導管14、20、22、24上の矢印は、
図1では、エネルギー貯蔵中の作動流体の流れの方向を示し、
図2は、エネルギー再生中の流れの方向を示す。
【0114】
作動流体循環経路に加えて、装置は、高温側および低温側の蓄熱媒体経路をさらに備える。この実施例では、蓄熱媒体経路は、概して、8の字形経路の形態であり、蓄熱媒体は、エネルギー貯蔵中に一方の方向に、エネルギー回収中に他方の方向に、熱交換器を通って移動する。
【0115】
ホッパ30Aおよび30Bが、高圧側熱交換器18Aを通って延在する回路に接続され、ホッパ30Cおよび30Dが、低圧側熱交換器を通って延在する回路に接続されている。蓄熱媒体経路は、固体蓄熱媒体を保持する。この実施例では、蓄熱媒体は、再生ガラスから経済的に作製することができるガラスビーズの形態をとる。この実施例では、ビーズはすべて互いに同じサイズであり、直径は約10~12mmの範囲である。ホッパは、典型的には、大気圧にある。必要に応じて各場合に、ホッパ30Aは周囲温度ビーズを格納し、ホッパ30Bは高温ビーズを格納し、ホッパ30Cは周囲温度ビーズを格納し、ホッパ30Dは低温ビーズを格納する。
【0116】
高圧側では、ビーズ32が、周囲温度および圧力でホッパ30Aに保持されている。エネルギー貯蔵中に必要とされるとき、周囲温度ビーズが、ホッパ30Aから出て、導管34を通り、以下でさらに説明されるエアロック36を通り、またさらなる導管38を通って、高温熱交換器18Aの第1の端部40内に至る。
【0117】
ビーズは、モータ46によって動力供給されるオーガ44の作用によって、熱交換器18Aの第1の端部40から反対側の第2の端部42まで可動である。ホッパ30Aから熱交換器の第1の端部までのビーズの移動は、全体的に重力の影響下にあり得るが、
図4に示されるように、ビーズを持ち上げるためのオーガを有する導管が一般的に採用される。ビーズはまた、エアロック内の回転アクチュエータによって、それらの経路を巡るように促され得る。各熱交換器は水平であり、熱交換チャンバを通るビーズの移動は、オーガの回転によって得られる。高温熱交換器18Aの第2の端部42では、熱交換器を通過したビーズが、(典型的にはリフト、この実施例ではオーガを必要とする)さらなる導管48を通して持ち上げられて、エアロックの別個の部分に戻され、次いで、(やはり典型的にはオーガを含む)別の導管50を通して、エネルギー貯蔵中にそれらを蓄積することができる高温ホッパ30Bの頂部までさらに持ち上げられる。
【0118】
高圧蓄熱媒体経路は、高温ホッパ30Bから続く。エネルギー回収中に必要とされるとき、高温ビーズが、高温ホッパ30Bから出て、導管52を通ってエアロック36に戻り、さらなる導管54を通って、高温熱交換器18Aの第2の端部42に至る。ビーズは、オーガ44が反対方向に回転されることによって高温熱交換器の第1の端部まで運搬することができ、高温熱交換器の第1の端部からエアロックまでビーズを運搬するための導管56と、エアロックから周囲温度ホッパ30Aの頂部までビーズを運搬するためのさらなる導管58とがやはり存在する。これらの導管は、典型的には、ビーズを上昇させるためのオーガを含む。しかしながら、他の種類のコンベヤ、例えば、蓄熱媒体を運搬するためにチューブを通して引っ張られるプレート(例えば、キノコ形状体)を含むチェーンコンベヤが採用され得る。そのようなコンベヤは、ビーズにより少ない応力を加え、かつ/またはビーズを垂直に上昇させることを可能にし得る。
【0119】
図では、ビーズは、ホッパ30B(および以下に説明される他方のホッパ)の基部から出るが、代替的な構成が採用され得、例えば、ビーズは、ロボットアクチュエータ、ビーズの頂部に浮かぶ吸引デバイスなどを使用して、ホッパ内のビーズの本体の頂部から掃引または吸引されてもよい。
【0120】
タンク76、78が、以下に説明されるように、導管を介してエアロックを通って循環される液体であって、ビーズから気体を置換する役割を果たす液体を格納している。液体は、作動流体回路からの作動流体ガスと共に(同じ容積内に、または例えば、可撓性膜によって分離されて)タンク内に格納されて、液体をエアロック内に促す圧力を提供し得る。
【0121】
低圧側は、概ね対応する。周囲温度熱交換器30Dが、さらなるガラスビーズ32を保持している。エネルギー貯蔵中、それらは、導管58を通る経路に沿って、さらなる液体供給78を有するさらなるエアロック36まで動かされ、次いで、導管60を通って、形態において高温熱交換器に概ね対応し、さらなるオーガ44およびモータ46を有する低温熱交換器18Bの第2の端部42まで動かされる。経路は、熱交換器の第2の端部40から、導管70を通って、エアロックに戻り、導管64を通って、冷却されたビーズが格納される低温ホッパ30Cの頂部まで延在する。エネルギー回収中、冷却されたビーズは、導管66を通ってエアロックまで運ばれ、エアロックから導管68を通って低温熱交換器の第1の端部まで運ばれる。それらは、低温熱交換器の第2の端部から導管62を通ってエアロックまで動かされ、そこから導管72を通って周囲温度ホッパ30Dの頂部まで運搬される。導管は、ビーズを持ち上げるのに必要なオーガを含む。
【0122】
図3を参照すると、より詳細には、熱交換器18Aは、ライナチューブ65を保持する外部チューブ64を有し、ライナチューブ65は、熱交換器の壁を貫いてベルハウジングおよびカップリング67まで延在し、そこでモータ20に接続するオーガ14を含む内部熱交換チャンバ16Aを画定する。
【0123】
熱交換器の各端部には、気体注入および掃気ギャラリ66が存在し、(熱交換器の第2の端部にある)作動流体導管14および(熱交換器の第1の端部にある)作動流体導管20に接続し、それにより、各場合で熱交換チャンバ壁の周囲に取り付けられた気体拡散器68を通して、作動流体を熱交換チャンバ内に導入し、作動流体を熱交換チャンバから取り出すポートとして機能する。
【0124】
各気体注入および掃気ギャラリを超えたところに、ビーズを熱交換器内に導入し、ビーズを熱交換器から取り出すための構成が存在する。熱交換器の各端部には、ビーズ入口バッファ68、70が存在し、高温熱交換器の場合、それぞれホッパ30B、30Aから導管54、38を通して低温熱交換器の場合、それぞれホッパ30C、30Dから導管68、60を通して)受容されたビーズを格納する役割を果たす。バッファは、(いずれかの側でビーズ入口バッファを上回って延在する)オーガが、熱交換チャンバの全高を使用してビーズを引き込むように、熱交換チャンバの高さを上回って延在する。各ビーズ入口バッファの下では、外部チューブ64が、周辺液体フィルタ74を保持し、それを通して、ビーズと共に受容されたエアロック機構からのいかなる液体も排出され、再使用のためにタンク76、78に再循環される。ビーズ入口バッファの外側には、高圧熱交換器の場合には導管48、56がそこから延在し、低温熱交換器の場合には導管62、70がそこから延在するピット84、86の周囲を超えて所定の高さまでビーズを保持する役割を果たすせき80、82が存在する。ピットから延在する導管は、ビーズを上昇させる必要があり、したがってオーガを含む。
【0125】
したがって、熱交換器は、作動流体が流体作動機の動作(圧縮または膨張)の方向に応じていずれかの方向に流れ、ビーズが熱交換器のオーガの動きの方向に応じていずれかの方向に動いて、作動され得る。使用中、作動流体とビーズとは反対方向に動く(反対流)。したがって、作動流体とビーズとの間に直接接触が存在する。ビーズのサイズは、いくつかの要因、つまり
-熱エネルギー貯蔵の効率を最大化することと、
-熱移送を容易にするために、好適に高い表面積対容積比を達成することと、
-作動流体に、均一な流れを作り出すように十分な流れ抵抗と、ビーズのコアへの熱移送を可能にするのに十分な滞留時間とを提供することと、
-気体流を事実上短絡させる大きな空洞を避けることと、
-ビーズの表面に隣接して流速を増加させ、熱移送を増強するのに十分に小さい間隙空間を容積内に残すことと、を考慮して選択される。
【0126】
エアロックは、熱交換器が、使用中に、高度に、例えば、200バールまで加圧される可能性がある一方で、ホッパは、はるかに低い圧力、この実施例では周囲圧力の1バールであり、それにより、実質的な圧力差にわたって、ビーズを運搬する必要があるという問題に対処する。したがって、ホッパは、ロックホッパとして機能せねばならない。本装置では、ビーズは、回転式エアロック36のチャンバ内に受容される。それらがホッパから受容される場合、それらは、ビーズが格納される気体(典型的には周囲空気、またはアルゴン)によって取り囲まれており、エアロックが回転すると、ビーズおよび気体の両方を含む各チャンバが封止される。それらが熱交換器から受容される場合、それらは、加圧された作動流体ガスによって取り囲まれている。やはり、エアロックが回転すると、ビーズおよび気体の両方を含む各チャンバが封止される。次いで、液体が、ポートを通してチャンバ内に注入されて、出口を通して気体を置換する。ポートおよび出口は、チャンバがビーズ用の入口から封止された後にのみチャンバと連通し、ビーズがエアロックから流出するためにチャンバが開く前に再び閉じられるように、エアロックの壁に位置する。この構成は、液体が気体を置換し、液体は圧縮性がはるかに低いことから、機能する。気体がホッパから受容した空気である場合、大気中に渡すことが可能であり得る。ビーズが作動チャンバから受容された場合、気体は加圧され、温度調整され(高圧側では高温、低圧側では低温)、置換された気体は、必要に応じて高圧側または低圧側で、関連出口から作動流体循環経路に戻される。これは、作動流体は、蓄熱媒体と直接接触し、それを通って流れることができるが、作動流体と、かなりの程度に、作動流体の圧力および温度に貯蔵されたエネルギーとの、どちらもが保持されないという効果を有する。
図1および
図2に示された構成では、回転式エアロック36のチャンバは、両側で(該両側は、破線で示されている)非常に異なる温度のビーズを有する。したがって、それらは、熱膨張および収縮にもかかわらず、封止されたままであるように設計されるべきであり、例えば、それらは鋳鉄ピストンリングを使用し得る。気体を置換するために使用される液体は、全範囲の温度に耐えることができねばならず、例えば、イオン性液体または液体ポリシロキサンであり得る。いくつかの実施形態では、高圧側および低圧側は、エアロック内で同じ液体を使用し、他の実施形態では、それらは、適用可能な温度範囲に適切な異なる液体を有する。
【0127】
流体作動機は、回転可能シャフトの回転ごとに作動流体の置換を独立して変化させるような、圧縮器および膨張器としての機能を交替させるような能力を有する。この実施例では、これらは、電子整流式流体作動機である。圧縮器および膨張器は各々、周期的に変化する容積の複数の作動チャンバを備える流体作動機であって、作動チャンバを通る流体の置換は、電子制御可能な弁によって、サイクルごとに、かつ作動チャンバ容積サイクルに対して同相の関係で調節されて、機械を通る流体の正味スループットを決定する流体作動機とすることができる。
【0128】
このタイプの流体作動機は、例えば、電子制御可能なポペット弁を、作動チャンバ容積サイクルに対して位相の関係で開いて、かつ/または閉じて、ポンプの個々の作動チャンバと低圧マニホルドとの間の流体連通を調節することによって、マルチチャンバポンプを通る流体の正味スループットを制御する方法を導入したEP0 361 927に開示されている。結果として、個々のチャンバは、サイクルごとに、所定の量の流体を置換するか、または流体の正味置換がないアイドルサイクルとするかのいずれかをコントローラによって選択可能であり、それによって、作動チャンバが、要望に動的に一致することができる置換を有する圧縮器として機能することを可能にする。EP0 494 236は、この原理を発展させ、個々の作動チャンバと高圧マニホルドとの間の流体連通を調節する電子制御可能なポペット弁を包含し、それにより、代替的な動作モードにおいて圧縮器または膨張器のいずれかとして機能する流体作動機の提供を容易にした。EP1 537 333は、個々の作動チャンバの個々のサイクルが、複数の異なる量の流体のうちのいずれかを置換して、要望により良く一致することを可能にする、部分サイクルの可能性を導入した。そのような機械では、作動流体の正味置換を行わないアイドルサイクルに、(例えば、圧力または流体流量に対する)所与の要望を満たすための作動流体の正味置換を行う活性サイクルを散在させることができ、活性サイクルは、圧縮器(ポンピング)サイクルと膨張器(モータリング)サイクルとの間で切り替えることができる。
【0129】
図5を参照すると、このタイプの電子整流式容積型機械は、流体回路の低圧(および低温)側に接続された低圧マニホルド102と、流体回路の高圧(および高温)側に接続された高圧マニホルド104とを有する。複数の作動チャンバの各作動チャンバ106は、シリンダ108の内部と、好適な機械リンケージ116によって軸114に取り付けられたカム112の回転に機械的に連係し、作動チャンバの容積を周期的に変化させるようにシリンダ内で往復するピストン110とによって画定される。低圧弁118が、低圧マニホルドと作動チャンバとの間の作動流体の流れを調節する。高圧弁120が、作動チャンバから流体回路の高圧側への流体の流れを調節する。例示的な流体作動機は、適切な位相差を有する、同じ車軸の回転に機械的に連係された複数の作動チャンバを含む。コントローラは、シャフト位置センサからシャフト位置を読み取り、これを使用して、作動チャンバ容積サイクルに相対的な弁開閉サイクルの位相を調節し、かつシャフト回転速度を決定する。低圧弁および高圧弁は、コントローラの能動制御下で電子的に作動化可能である。
【0130】
作動チャンバの各膨張行程中、圧縮器として機能するとき、低圧弁が開かれ、作動流体が流体回路の低圧側から受容される。コントローラは、各作動チャンバの各サイクルに対して、作動チャンバが、次いで、低圧弁を閉じ、最大可能量の作動流体を、高圧弁を通して流体回路の高圧側に変位させることによって完全圧縮器(ポンピング)サイクルを完了すべきか、または低圧弁が開いたままで作動流体が低圧側に戻るアイドルサイクルを完了するべきかを決定し得る。膨張器(モータリング)サイクルを実行するために、低圧弁は上死点の直前に閉じられ、シリンダ容積が縮小するにつれて作動チャンバ内で圧力が増大し、コントローラの能動制御下で高圧弁が開くことが可能になる。次いで、高圧弁が、コントローラによって開かれ、作動流体が、作動チャンバ内に流入し、膨張する。高圧弁は、膨張行程中(典型的には、膨張行程の初期)に閉じられ、作動チャンバ内に残存する作動流体の圧力は、作動チャンバが膨張し続けるにつれて低下し、低圧弁を開き、作動流体を低圧側に排出することが可能になる。
【0131】
装置は、電気モータ/発電機4、流体作動機、様々なオーガ、およびエアロックの動作を調節して装置を動作させるコントローラ100によって制御される。コントローラは、シャフト位置センサ12および圧力センサ94、ならびに装置の周りに分散された様々な温度センサ(図示せず)を含む様々なセンサからデータを受容する。それはまた、装置がどのモードで動作すべきか(例えば、エネルギー貯蔵、エネルギー回収、アイドリング)に関する命令を受容する、またはどのように応答すべきか(例えば、送電網負荷係数の表示)を決定するために、コントローラが監視するかのいくつかの入力を提供する、制御入力96を有する。
【0132】
装置は、4つの主な動作モードを有し、これらは、エネルギー貯蔵モード、エネルギー回収(発電)モード、およびアイドリングモード、休眠モードである。
【0133】
エネルギー貯蔵モードでは、送電網からの電気エネルギーが、シャフト6を回転させるモータ4を駆動する。第1の流体作動機8は、圧縮器として機能し、第2の流体作動機10は、膨張器として機能する。電気モータと膨張器とは、互いに同じ方向のトルクを発生させ、これが圧縮器を駆動する。圧縮器と膨張器とは、(
図1では時計回りに)作動流体回路を巡る作動流体を駆動する。ガラスビーズが、周囲ホッパ30Aから、導管34、エアロック36、および導管36を通って、高温熱交換器の第1の側まで動かされ、そこでガラスビーズは、モータ46によって駆動されるオーガ44の作用によって、熱交換器の長さに沿って、作動流体とは反対の流れの方向90に動かされる。熱交換が行われ、気体が冷却され、ガラスビーズが温度上昇する。それによって、高温熱交換器は、その第1の動作モードで機能し、熱をガラスビーズに移送する。水平な熱交換チャンバを通って進行した後、ガラスビーズは、ピット84内に落下し、導管48を通ってエアロック36まで持ち上げられ、次いで、導管50を通ってホッパ30Bの頂部まで持ち上げられ、そこで格納される。ホッパは、断熱されており、熱を長期間保持することができる。同時に、ガラスビーズが、周囲ホッパ30Dから、導管58および低温エアロックおよび導管60を通って、低温熱交換器の第2の端部まで動かされる。低温熱交換器内のオーガが、ビーズを、熱交換器の長さに沿って、やはり膨張器から受容した冷却された作動流体とは反対の流れの方向92に、動かす。したがって、低温熱交換器は、その第1の動作モードで機能し、ガラスビーズを冷却する。ビーズは、熱交換器の端部でピット内に落下し、導管68を通って持ち上げられ、エアロックを通り、導管64を通ってホッパ30Cの頂部まで持ち上げられる。
【0134】
コントローラは、圧力センサ94を使用して、作動流体の循環速度と、作動流体回路の高圧側および作動流体の低圧側の圧力(特に、作動流体回路の高圧側の圧力と作動流体回路の低圧側の圧力の比)とを独立して制御するように、圧縮器および膨張器の置換を調節する。
【0135】
有利には、圧縮器および膨張器は各々、回転可能シャフトの回転に伴って周期的に変化する容積を有する複数の作動チャンバ(例えば、ピストンシリンダ)を備える電気整流式流体作動機であり得る。
【0136】
一実施例では、気体は、低圧側の約20バールから高圧側の200バールまで圧縮され、それが、気体を約400℃に加熱し、高温熱交換器に供給する。気体は、およそ20℃および200バールで高温熱交換器を離れ、膨張して20バールに戻り、気体をおよそ120℃に冷却させる。冷却された気体は、低温熱交換器に供給され、そこから、さらなる再循環のために、約20℃の温度および20バールの圧力で出る。熱交換器内のビーズの滞留時間は、約5分である。
【0137】
エネルギー回収モードに移行するために、第1の流体作動機は、圧縮器として機能するように切り替わり、同時に、第2の流体作動機は、膨張器として機能するように切り替わる。ここで、膨張器は、送電網2に出力する電力を生成し、圧縮器を駆動し続ける発電機として機能するように、モータ4を駆動する。熱交換器内のオーガは、回転方向を変える。ここで、高温ビーズが、高温ホッパ30Bから導管52、エアロック、および導管52を通って周囲ホッパ30Aへ、高温熱交換器を通って第2の端部42から第1の端部40へ、次いで導管56、エアロックおよび導管58を通って周囲ホッパ30Aの頂部へと運搬される。ここで、高温熱交換器は、その第2の動作モードで機能し、熱エネルギーが蓄熱媒体から作動流体に移送される。同時に、低圧側では、低温ビーズが、ホッパ30Cからホッパ30Dへ、導管66、エアロック、導管68、低温熱交換器を通るオーガ、導管62、エアロック、および導管72を通して運搬され、低温熱交換器は、その第2の動作モードで機能し、蓄熱媒体が作動流体を温める。
【0138】
上記の電子整流式機械では、圧縮から膨張へ、またはその逆の切り替えは、回転可能シャフトの1回転内に実施することができる。したがって、高温および低温熱交換器内のガラスビーズの温度により、ビーズの流れを逆転させるのに短い遅延があるとしても、エネルギー回収および発電が直ちに開始することを可能にする。
【0139】
必要な場合、装置は、やはり流体作動機の機能を圧縮と膨張とで、またはその逆に、交替させ、熱交換器内の兆候の動きの方向を逆転させ、高温および低温の蓄熱媒体循環経路を巡るガラスビーズの移動の方向を変えることによって、回転可能シャフトの1回転内に、交替して電気貯蔵に戻り得る。
【0140】
装置は、追加モードを有し得る。例えば、いったん完全に充電されると、高温貯蔵ホッパ30Bおよび/または低温貯蔵ホッパ30C内のビーズが所定の閾値温度にある状態で、機械は、一時的にシャットダウンして、必要に応じて後で使用するために高温および低温のビーズを保持するか、または作動流体が比較的低い流量で循環し続けるが、ビーズはさらに動かされないか、もしくはゆっくりとしか動かされないアイドルモードで動作し得る。これにより、機械が、必要に応じてエネルギー回収/発電に素早く切り替わることが可能になる。アイドルモードでは、回転可能シャフトの回転速度は、(作動チャンバに必要に応じて圧縮器または膨張器の行程を実行させる決定点が比較的頻繁に存在することを保証する効果を有することによって)エネルギー回収/発電への迅速な切り替えを容易にするために、シャフトが送電網と同期したままであるように、閾値速度を上回って維持され得る。
【0141】
図6は、(
図1に相当する)エネルギー貯蔵モードにおける発明の代替実施形態を示す。圧縮器または膨張器8、10として動作可能な可変容積型機の代わりに、回転可能シャフト6は、第1の専用圧縮器7A、第1の専用膨張器9A、第2の専用圧縮器7B、および第2の専用膨張器9Bを有し、これらは、各々、ターボ機械(典型的には、可変容積型ターボ機械)であり得る。低圧側の作動流体は、導管24を通って切り替え可能弁11Cまで流れ、切り替え可能弁11Cは、
図6に示されたエネルギー貯蔵モードでは、流体を第1の圧縮器7Aに導き、そこで、流体は圧縮され、加熱され、切り替え可能弁11Aを介して高圧側に移送される。高圧側の作動流体は、導管20を通って切り替え可能弁11Bまで流れ、そこで、エネルギー貯蔵モードでは、流体は、専用膨張器7Bに導かれ、そこで、膨張され、切り替え可能弁11Dを介して低圧側に移送される。ビーズは、
図1のようにホッパおよび熱交換器を通して動かされる。動作中、装置がエネルギー回収モードに切り替えられると、低圧側の導管22からの作動流体が、切り替え可能弁11Dを通って膨張器9Bに至り、次いで、切り替えユニット11Bを通って高圧側の導管20に至り、熱交換器16Aを通って導管14に至った高圧作動流体は、弁ユニット11Aを通って膨張器9Aに、次いで低圧側の弁ユニット11Cおよび導管24に至るように、切り替え可能弁11A、11B、11C、および11Dがすべて、コントローラの制御下で切り替えられる。したがって、作動流体循環経路を巡る作動流体の流れの方向と、熱交換器を通るビーズの移動の方向とを同時に逆転させることができる。次いで、ビーズは、
図2に対応する方向にホッパおよび熱交換器を通して動かされる。任意の所与の時間に使用されていない機械(例えば、エネルギー貯蔵中の膨張器9Aおよび圧縮器7B、ならびにエネルギー回収中の圧縮器7Aおよび膨張器9B)は、スピニング損失を低減するために退避させ得る。この実施例では、圧縮器または膨張器として交互に働く第1の実施例の第1および第2の流体作動機は、各々、圧縮器または膨張器のいずれかが任意の時点で機能する場合、圧縮器および膨張器で効果的に置き換えられる。
【0142】
エネルギー貯蔵モードまたはアイドルモードからエネルギー回収および発電へと非常に迅速に切り替わることができるという装置の能力により、装置は、必要であれば迅速に発電に切り替わり得るので、送電網をサポートするのに非常に有用になる。しかしながら、一般に、装置は、比較的高いエネルギー貯蔵効率および容量、ならびに最大電力貯蔵率および/または回収率/再生率を有する、比較的単純で費用効果の高いデバイスを提供した。
【0143】
実施例では、エネルギーは送電網から受容され、送電網に戻されるが、装置は、例えば、風力発電装置および海洋発電装置のような再生可能発電装置において、他の形態からのエネルギーを貯蔵するため、または他の形態、例えば、原動力にエネルギーを戻すために、等しく有用である。このために、代替的な原動機かつ電力テークオフを使用することにより、装置を適合させることができる。
【0144】
上記の実施例は、高圧側および低圧側の各々における蓄熱媒体の移動のための8の字形経路を示す。しかしながら、代替的な構成を考えることができる。例えば、周囲ホッパ30Aおよび30Dを組み合わせてもよい。2つ、3つ、または4つを超えるホッパを採用してもよい。蓄熱媒体は、熱交換器を通して連続的に再循環して、必要に応じて次第に温度を得ても、失ってもよい。
【0145】
図7~
図11は、発明の第5および第6の態様による、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置の代替実施形態を示す。
図7~
図11では、機械の高圧側のみが示されている。低圧側は、概ね対応し、同じように機能するが、気体圧力はより低いものの、依然として周囲圧力よりも有意に高い。この実施例では、低温側熱交換器は、約20バールで動作する。
【0146】
この実施形態は、発明の第1~第4の態様による、固体蓄熱媒体(この実施例ではガラスビーズ)と、気体状作動流体(この実施例ではアルゴン)を圧力下で蓄熱媒体と熱接触させる可逆的熱交換器とをやはり使用する。(媒体格納器として機能する)ホッパは、蓄熱媒体を周囲温度で、また昇温および降温でも、格納する。この実施形態では、蓄熱媒体は、作動流体であるアルゴンの雰囲気中に格納され、したがって、間隙ガスは、交換される必要はないが、加熱または冷却され、圧力勾配にわたって搬送される必要がある。装置は、上記のような4つの動作モードを有する。
【0147】
前と同様に、熱交換器からの作動流体の損失を回避すること、および作動流体経路内への不要な気体の導入を回避することには技術的問題があり、この問題は、特に、この実施例のように、ホッパが蓄熱媒体を周囲圧力で格納する場合、熱交換器とホッパとの間の圧力差によって増大する。
【0148】
図7~
図9を参照すると、ポンプ式熱エネルギー貯蔵装置200は、電気的インターフェース202を備え、それを通して電気モータ204が電気ネットワークに接続されている。この実施例では、電気モータは、発電機として機能するように可逆的であるが、別個の発電機が設けられてもよい。電気モータは、代替的な動作モードにおいて圧縮器または膨張器として動作することができ、閉ループ作動流体循環経路を巡る作動流体の流れの方向を逆転させるように動作可能である、
図5に関して上述したような合成的整流式機械である第1および第2の流体作動機208、210に結合された回転可能シャフト206を駆動する。シャフト位置センサ212が、回転可能シャフトの位置および回転速度を監視する。コントローラ201が、制御インターフェース203を通して受容された命令や、圧力センサ205ならびにシャフト位置および速度センサ212などのセンサからの測定値に応答して各弁およびアクチュエータの機能を制御する。
【0149】
装置は、(代替的または追加的に、高温側および低温側と見なすことができる)高圧側226Aおよび低圧側226Bを有する。作動流体循環経路208、214、216A、220、210、222、216B、224、208は、第1の流体作動機208から高圧側熱交換器218A(高温熱交換器)の熱交換器チャンバ216Aまで、次いで第2の高圧導管220を通って第2の流体作動機210の高圧側まで延在する高圧導管214を含む。導管上の矢印は、エネルギー貯蔵中の作動流体の流れの方向を示し、その方向は、エネルギー回収中に逆転する。
【0150】
装置は、高圧側熱媒体貯蔵経路および低圧側熱媒体貯蔵経路をさらに備える。高温側では、ホッパ230Aが周囲温度ビーズ232(蓄熱媒体)を格納し、ホッパ230Bが加熱ビーズを格納し、低温側では、ホッパ230Cが冷却ビーズを格納し、ホッパ230Dが周囲温度ビーズを格納する。エネルギー貯蔵中、ビーズは、高圧熱交換チャンバ216A中を第1の端部270から第2の端部272まで、低圧熱交換チャンバ216B中を第1の端部274から第2の端部276まで、すなわち、熱交換チャンバを通る作動流体の流れの方向とは反対方向に、移動する。エネルギー回収中、ビーズは、高温側では、ホッパ230Bから、熱交換チャンバ中を第2の端部272から第1の端部270まで、ホッパ230Aまで移動し、低温側では、ホッパ230Cから低温側熱交換器218Bの第2の端部276まで、第1の端部274まで、次いでホッパ230Dまで、反対方向に移動する。説明されるように、ビーズが熱交換チャンバのいずれかの端部で熱交換チャンバにロードされ、熱交換チャンバからアンロードされる経路は、重力によってビーズをホッパから下向きに受容するための入口と、ビーズをホッパまで上昇させる前に重力によってビーズを下向きに出力するための出口とで異なる。
【0151】
典型的には、装置が完全に放電されたとき、すべてのビーズは、周囲温度(および圧力)にあり、ホッパ230Bおよび230C内にビーズは存在せず、装置が完全に充電されたとき、周囲ホッパ230Aおよび230Dは空である。この実施例では、すべてのホッパ(230A、230B、230C、230D)内のビーズが、アルゴン雰囲気中の大気圧で格納され、作動流体およびビーズは、環境ボックス260によって概略的に示された、気密環境またはエンクロージャ内を循環する。
【0152】
前と同様に、低圧および高圧は、互いに相対的な圧力を指す。典型的には、作動流体循環経路の低圧側および高圧側の両方が、全体を通して大気圧よりも高圧である。
【0153】
各ホッパ230A、230B、230C、230Dは、その基部に出口ポート234を有し、それを通して、ビーズは、重力下で、導管235を通して、機械コントローラ201の制御下で(
図8に示された)弁237A、237Bによって制御可能に放出され得、(後述されるように、動作モードに応じて移送チャンバまたは作動チャンバとして機能する)それぞれのロードシリンダ236A、236B、236C、236D内に、それぞれのスリーブ弁238が機械コントローラ201の制御下で開かれたときに、入る。導管および弁は、媒体格納器から移送シリンダ内へのコンベアとして機能する。各移送シリンダ内に、ピストン239が、スライド可能に取り付けられ、機械コントローラ201の制御下でアクチュエータ240によって可能である。各ロードシリンダの基部には、やはり機械コントローラの制御下にあるビーズ放出弁242が存在する。ビーズは、ピストンが上昇され、スリーブ弁が開かれたときにロードシリンダに入り得、ビーズ放出弁が開かれたときに、ビーズ放出弁を通ってロードシリンダを離れ、それぞれの熱交換チャンバ216Aまたは216B内に入り得る。ビーズは、重力の作用によってロードシリンダを離れてもよいし、またはピストンによって置換されてもよい。
【0154】
各ホッパ230A、230B、230C、230Dはまた、それぞれの熱交換器から、(動作モードに応じて作動チャンバまたは移送チャンバとして機能する)アンロードシリンダ244A、244B、244C、244Dを通してビーズを制御可能に供給され得、各アンロードシリンダは、熱交換器からビーズを重力によりそれを通して受容し得る、機械コントローラによって制御される入口弁246と、出口248と、BDCに後退するまで出口を閉塞するピストン239と、アクチュエータ240とを有し、スリーブ弁およびアクチュエータは、やはり機械コントローラの制御下にある。出口は、1つ以上のオーガを使用してビーズをそれぞれのホッパの入口まで上昇させるコンベヤシステム252まで延在する。気体配管254および関連制御システムを、
図8および
図9を参照してより詳細に説明する。
【0155】
エネルギー貯蔵モードでの動作中、作動流体は、
図7に示されたように時計回り方向に作動流体循環経路を循環し、流体作動機208によって圧縮され、流体作動機210によって膨張される。高圧側226Aでは、周囲ビーズが、ホッパ230Aからロードシリンダ236Aを通って熱交換器218Aの熱交換チャンバ216A内に供給され、そこで、
図7では右から左へ運搬される。それらは、アンロードシリンダから出て、オーガリフトを通して高温ホッパ230Bに搬送され、低圧側226Bでは、周囲ビーズが、ホッパ230Dから、ロードシリンダ236Dを通り、熱交換器218Bを通り、アンロードシリンダ244Cから出て、やはりオーガリフトを通して低温ホッパ230Cに供給される。エネルギー回収モードでの動作中、流体作動機208は膨張器として動作し、流体作動機210は圧縮器として動作し、熱交換器を通る作動流体の流れおよびビーズの移動の方向は逆転し、ロードシリンダおよびアンロードシリンダは役割を交替する。
【0156】
前と同様に、装置は、追加モードを有し得る。例えば、いったん完全に充電されると、高温格納ホッパ230Bおよび/または低温格納ホッパ230C内のビーズが所定の目標温度にある状態で、機械は、一時的にシャットダウンして、必要に応じて後で使用するために高温および低温のビーズを保持するか、または作動流体が比較的低い流量で循環し続けるが、ビーズはさらに動かされないか、もしくはゆっくりとしか動かされないアイドルモードで動作し得る。これにより、機械は、必要に応じてエネルギー回収と発電とに迅速に切り替わることが可能になる。アイドルモードでは、回転可能シャフトの回転速度は、(作動チャンバに必要に応じて圧縮器または膨張器の行程を実行させる決定点が比較的頻繁に存在することを保証する効果を有することによって)エネルギー回収/発電への迅速な切り替えを容易にするために、シャフトが送電網と同期したままであるように、閾値速度を上回って維持され得る。
【0157】
ロードシリンダ236A、236B、236C、236Dは、ビーズおよび周囲の気体状作動流体の両方が熱交換器入力圧力まで上昇された状態で、気体状作動流体を損失することなく、ビーズを熱交換器内にロードするために使用される部分ロックホッパとして機能する。ロードが行われている間、対応するアンロードシリンダ(それぞれ244A、244B、244C、244D)は、気体状作動流体の回収のための回収シリンダとして機能する。
【0158】
装置226Aの高圧側は、
図8および
図9にさらに詳細に示されている。
図6に示されたものに対応する特徴は、一致するように番号付けされている。ビーズをロードシリンダに運搬する導管235は、所定の量のビーズを関連するロードチャンバ内に分配するような制御によって動作可能である、上方および下方ナイフ弁237A、237Bを備える。各ロードシリンダの基部では、ビーズ弁ハウジング278が、ビーズ弁242と、ビーズ(および間隙作動流体)を重力下でロードチャンバから熱交換器内に搬送するようにコントローラの電子制御下で動作可能であるビーズ弁アクチュエータ282とを含む。各アンロードシリンダの頂部では、さらなるビーズ弁ハウジング278が、ビーズ弁スパイダ251上に支持された環状ビーズ弁242と、ビーズ(および間隙作動流体)を重力の作用によって熱交換器からアンロードチャンバに搬送するようにコントローラの電子制御下で作動シャフト288を通して弁を開くように動作可能なビーズ弁アクチュエータ282とを含む。
【0159】
熱交換チャンバの各端部には、配管254が、ロードチャンバおよびアンロードチャンバと熱交換器との間に延在し、コントローラによって制御可能である電子作動弁284と、さらに逆止め弁286とを含む。制御可能な弁は、開放可能かつ閉鎖可能であり、ロードチャンバとアンロードチャンバとの間の接続を提供し、逆止め弁は、作動流体の圧力が熱交換チャンバ内の圧力を超えたときに、作動流体がロードチャンバから熱交換チャンバ内に入ることを可能にする。補助シリンダ260が、アンロードチャンバに接続されて、アンロードチャンバが移送チャンバとして使用されているときに、圧縮器262によって連続的に加圧され、熱交換器に移送される過剰なアルゴン作動流体を受容する。媒体格納器を含む装置は全体的に気密であり、したがって、動作中に作動流体が作動流体循環経路から失われる可能性があるが、必要に応じて継続的に補充することができる。アンロードシリンダの出口248は、アンロードシリンダピストンが十分に後退したときに、ビーズがアンロードシリンダから出る経路を提供し、その際、それらは、オーガリフトを通して関連媒体格納器に戻される。低圧リザーバ264が、ブースト圧力を維持する。
【0160】
高圧熱交換器218Aの第1の端部270が、
図9の挿入に示されている(この熱交換器の他方の端部および低圧熱交換器218Bの両端部が対応する)。入口290が、ロードシリンダ236Aからビーズを受容する。出口292が、ビーズがアンロードシリンダ244A内に落下する経路を提供する。(オーガライナ296によって取り囲まれた)オーガ294が、熱交換チャンバを通していずれかの方向にビーズを運搬するために、オーガモータによっていずれかの方向に回転可能である。オーガせき298が、熱交換チャンバ内のビーズの目標深度を維持するために使用され、十分なクリアランスを提供するために、せきの真上に隆起した屋根部分265が存在する。気体インジェクタポート273が、作動流体が圧縮器262またはロードシリンダから逆止め弁286を介して熱交換チャンバに入るための経路を提供する。
【0161】
周囲格納ホッパ230Aから高圧熱交換器18A内に蓄熱媒体をロードするプロセスの様々なステップを、
図10A~
図10Eを参照して示す。各図は、周期的に繰り返される手順の連続ステップを示す。明確にするために、限られた数の重要な機能のみを明らかにする。
【0162】
以下の表1は、例示的な実施態様の各ステップにおける熱交換器入口、ロードシリンダ、および回収シリンダ内の圧力および温度を示す。
【0163】
【0164】
当業者は、下死点(BDC)が最大作動チャンバ容積を指し、上死点(TDC)が最小作動チャンバ容積を指すことを理解するであろうが、実際には、ロードシリンダについては、ピストンは、BDCよりもTDCでより低い高さにある。
【0165】
図10Aに示された初期状態(状態A)では、(移送チャンバとして機能する)ロードシリンダ236Aは、下死点(BDC、最大作動チャンバ容積)にあり、周囲温度および圧力でガラスビーズ232(蓄熱媒体)および間隙アルゴン作動流体で満たされ、ロードシリンダピストンは、ガラスビーズ積層体の頂部に接触している。対応するアンロードシリンダ244Aは、作動チャンバとして機能する。それもまた、BDCにあり、中間の低温アルゴンで満たされている。このアンロードシリンダの初期状態は、以下に説明するように、前のサイクルの終わりに得られる。
【0166】
次に、
図10Bに示された状態Bに達するために、ロードシリンダおよびアンロードシリンダは、機械コントローラの制御下で、第1の気体導管経路254内の弁を開くことによって接続される。これにより、両者の間に、不可逆的なプロセスである気体の等エンタルピー自由膨張が可能になる。シリンダの動きはなく、機械的な仕事も行われない。これは、機械的な仕事なしに、ロードシリンダ内の気体圧力を中間圧力(熱交換器チャンバの高圧でも周囲媒体格納器の圧力でもない)に上昇させる。
【0167】
図10Cに示された状態Cに達するために、ロードシリンダおよびアンロードシリンダは接続されたままであり、アンロードシリンダのピストンが上死点(TDC、最小作動チャンバ容積)まで上向きに進行し、ロードシリンダおよびアンロードシリンダの両方内の気体を圧縮する。ロードシリンダおよびアンロードシリンダ内の圧力および気体温度は、蓄熱媒体がロードされる熱交換器の端部の圧力および気体温度よりも高くなる。例示的な実施形態では、気体を圧縮する際のアンロードシリンダによる消費電力は、ロードサイクルにわたって平均して、32.4kWのガスに達した。
【0168】
図10Dに示された状態Dに達するために、弁が開かれ、閉じられ、ロードシリンダおよびアンロードシリンダの各々を熱交換器に導管254を通して直接接続する。ロードシリンダ(およびアンロードシリンダ)内の気体は、熱交換器内の気体と混合する。いったんロードシリンダおよび熱交換器内の圧力が等しくなると、ビーズ弁280が開き、ビーズが熱交換器内に落下する。機械的な仕事は行われない。
【0169】
図10Eに示された状態Eに達するために、ロードシリンダおよびアンロードシリンダは、気体導管を通して熱交換器に接続されたままであり、ロードシリンダピストンは、ガラスビーズが落下するにつれてBDCからTDCに移動し、ガラスビーズおよび間隙気体を熱交換器内に送達する。同時に、アンロードシリンダピストンは、TDCから、BDCとTDCの中間の位置まで進行し、したがって、ピストンによって掃引される容積は、初期ロードシリンダ空隙容積(ビーズの周りの間隙容積)に等しくなる。これは、ガラスビーズと共に熱交換器に送達された過剰な作動流体を吸い出し、そうでなければ熱交換器から失われるであろう作動流体を回収し、熱交換器内の作動流体の量および圧力を維持する。同時に、ナイフ弁237Aおよび237Bが、それらの間の空間に所定の量のビーズをロードするように順番に操作される(上方弁は、下方弁が閉じられたたままで開かれて、所定の量の貯蔵媒体を受け入れ、次いで上方弁が閉じられ、後に貯蔵媒体を分配するように下方弁が開かれる)。
【0170】
状態Aに戻るために、ロードシリンダおよびアンロードシリンダは、熱交換器から、また互いから、接続解除される。ロードシリンダは、周囲媒体格納器230Aに接続され、そのピストンはBDCまで上向きに進行し、ロードシリンダは、ビーズ内の間隙に位置する周囲気体と共に、弁239を通してビーズで満たされる。アンロードシリンダピストンは、それが保持する作動流体の圧力によって駆動されてBDCまで動き、作動流体は断熱的に膨張し、アンロードシリンダのアクチュエータ240が、気体によって行われた仕事からエネルギーを回収する。これは、アクチュエータがエネルギー回収の能力がある(例えば、逆に発電機として駆動され得る電気モータである)ことを仮定しているが、代替的に、このステップでエネルギーを回収するために別個のデバイスを採用することができる。例示的な実施形態では、エネルギーは、25kWの平均レートで回収される。
【0171】
このようにして、全ロードサイクルが完了し、繰り返すことができる。(作動チャンバとして機能する)アンロードシリンダ内の作動流体を圧縮するために使用されるエネルギーは、部分的に回収される。
【0172】
同時に、ガラスビーズは、それぞれのアンロードシリンダを介して熱交換器の他方の端部でアンロードされる。ここで、
図11A~
図11Fを参照して、アンロード手順を説明する。以下の表2は、例示的な実施態様で周期的に繰り返される6つの段階の各々における、熱交換器入口内、(移送シリンダとして機能する)アンロードシリンダ244B、および作動チャンバとして使用されるロードシリンダ236B内、ならびに気体回収に使用される補助シリンダ260内の圧力および温度を示す。
【0173】
【0174】
図11Aに示された初期状態(状態A)では、アンロードシリンダ244Bは、TDCにあり、熱交換器218Aに接続され、熱交換器から加熱されたガラスビーズを受容する準備ができている。ロードシリンダ236Bは、TDCとBDCの中間の位置にあり、高温で加圧されたアルゴン作動流体で部分的に満たされている。
【0175】
図11Bに示された状態Bに達するために、アンロードシリンダ、ロードシリンダ、および熱交換器は、すべて互いに接続される。アンロードシリンダピストンは、熱交換器から高温のガラスビーズを受容しながら、後退してBDCまで進行し、一方、ロードシリンダは、TDCまで進行してアルゴンを熱交換器内へ押しやり、そうでなければアンロードシリンダ内に失われるであろう間隙気体をガラスビーズで置き換える。このステップでは、機械的な仕事は行われない。
【0176】
図11Cに示された状態Cに達するために、アンロードシリンダおよびロードシリンダは、熱交換器から接続解除され、これらのシリンダを熱交換器に接続するビーズ弁242は両方とも閉じられるが、それらは、気体配管254を通して互いに接続されたままである。ロードシリンダ内に残存する気体は断熱的に膨張し、ロードシリンダピストンはBDCまで進行し、一方、ロードシリンダのアクチュエータが、膨張する気体によって行われた仕事からエネルギーを回収する。例示的な実施形態では、膨張する気体によって駆動されるロードシリンダピストンによって回収される電力は、アンロードサイクルにわたって平均して、24.58kWに達する。
【0177】
図11Dに示された状態Dに達するために、アンロードシリンダおよびロードシリンダは接続解除される。アンロードシリンダは、およそTDCおよび弁284にあるアンロードシリンダ内の開口部を通して、周囲シリンダ260に接続される。これにより、アンロードシリンダと周囲シリンダとの間の気体の等エンタルピー自由膨張が可能になる。ロードシリンダピストンは、TDCとBDCの中間の位置まで進行し、ロードシリンダ内の気体を圧縮し、いったんロードシリンダ内の圧力が熱交換器内の圧力を超えると、逆止め弁286を通して気体を熱交換器に戻す。例示的な実施形態では、ピストンは、気体を圧縮する際に18.56kWの仕事を行う。
【0178】
図11Eに示された状態Eに達するために、アンロードシリンダは、高温媒体格納器230Bに接続され、アンロードシリンダ内の高温のガラスビーズは、通常は閉塞されているがアンロードシリンダがBDCにあるときに開かれる出口248を通り、アンロードシリンダコンベヤ252の作用を介して高温媒体格納器に変位される。アンロードシリンダピストンは、ビーズがこの出口を通って出ることを可能にするのに十分に遠くに後退し、そして、アンロードシリンダピストンよりはむしろコンベヤ252が、ガラスビーズを高温媒体格納器への入口のレベルまで上昇させる。
【0179】
図11Fに示された状態Fに達するために、アンロードシリンダは、高温媒体格納器に接続されたままであり、アンロードシリンダピストンはTDCまで進行し、次のアンロードサイクルの準備ができ、プロセスでは、低圧アルゴンを高温媒体格納器230Bに変位させる。
【0180】
状態Aに戻るために、ロードシリンダおよびアンロードシリンダ、熱交換器、ならびに高温媒体格納器はすべて、互いから封止される。
【0181】
このプロセス全体を通して、周囲シリンダ260からの周囲気体は、多段圧縮器262を使用して圧縮され、熱交換器に注入され、作動流体回路内に作動流体の必要な質量を維持する。機能した実施例では、周囲気体を再圧縮する際の平均消費電力は、アンロードサイクルにわたって14.88kWに達する。
【0182】
次いで、アンロード手順は、アンロードシリンダ244Bを使用してアンロードが必要とされる限り、状態Aから繰り返される。
【0183】
図10A~
図10Eおよび
図11A~
図11Fに示されたプロセスは、エネルギー貯蔵中に同時に行われ、周囲媒体格納器から高温媒体格納器へのビーズの正味移動が存在する。機械がエネルギー回収/発電に切り替わると、熱交換器を通るビーズの移動の方向が逆転し、
図10A~
図10Eのロードプロセスのために、ロードシリンダ236Bが移送シリンダとして機能し、アンロードシリンダ244Bが作動チャンバとして機能して、ビーズが媒体格納器230Bから熱交換器内にロードされ、
図11A~
図11Fのプロセスによる熱交換チャンバから媒体格納器236Aへビーズをアンロードするプロセスのために、アンロードシリンダ244Aが移送チャンバとして機能し、ロードシリンダ236Aが作動チャンバとして機能する。
【0184】
図7~
図11Fに示された実施形態は、
図5による可逆的な、合成的整流式機械を使用するが、この機械はまた、ターボ機械の圧縮器および膨張器を使用するために、
図1と
図6との相違に対応する適合を有してもよい。実施例では、作動流体は、それが固体蓄熱媒体に接触する熱交換器チャンバ内だけでなく、作動流体循環経路全体にわたって気体であるが、作動流体が作動流体循環経路の少なくとも一部において液体であることが可能である。代わりに、熱交換器は、作動流体循環経路を巡る液体である作動流体内で動作させることができる。
【国際調査報告】