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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】カンナビジオールの経皮送達
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20221206BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20221206BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221206BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61K31/12
A61K31/352
A61K9/70 401
A61K9/16
A61K9/08
A61K9/70
A61P25/04
A61P25/06
A61P19/02
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522266
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 IB2020059608
(87)【国際公開番号】W WO2021074790
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/914,662
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522142752
【氏名又は名称】パイク セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】プラコヤニス,フォショス,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラーザー,タマンナ
(72)【発明者】
【氏名】モディ,ニサージ
(72)【発明者】
【氏名】ボロヴィンスカヤ,マリナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA72
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC11
4C076DD01
4C076DD38
4C076EE23
4C076FF31
4C076FF35
4C076FF36
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4C076FF61
4C086AA01
4C086AA10
4C086BA08
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4C086ZB11
4C086ZB15
4C206AA01
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4C206CB15
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA36
4C206MA52
4C206MA54
4C206MA83
4C206NA12
4C206NA13
4C206ZA08
4C206ZA96
4C206ZB11
4C206ZB15
(57)【要約】
カンナビジオール又はその塩を単独又は組み合わせて含む経皮送達システムが提供される。経皮送達は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための投与頻度を軽減することで、簡便化された治療レジメンで、所定の期間、所定の速度で薬物血漿濃度を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジオール(CBD)、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて含む、経皮送達用の剤形である、医薬組成物。
【請求項2】
カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
経皮液体剤形、経皮半固形剤形、又は経皮マトリクスパッチ剤形として製剤化される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
さらに、溶媒、ゲル化剤、高分子、感圧接着剤、浸透促進剤、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、充填剤、粘着剤、架橋剤、樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を含む、請求項1~3いずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
さらに、溶媒、ゲル化剤、高分子、感圧接着剤、浸透促進剤、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、充填剤、粘着剤、架橋剤、樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
担体は、0.01%~99.8%w/w又はw/vの範囲で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
経皮パッチとして製剤化される、請求項1~6のいずれか一項に記載に記載の医薬組成物。
【請求項8】
経皮パッチは、リザーバパッチ、マイクロリザーバパッチ、液体リザーバパッチ、粘着パッチ、マトリクスパッチ等の群から選択され、ここで、前記マトリクスパッチは、感圧接着マトリクスパッチ、徐放性経皮吸収フィルム、ドラッグイン粘着マトリクスパッチ等の群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、急性痛、慢性痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛、炎症性疼痛、線維筋痛症、薬剤誘発性神経障害性疼痛、カウザルギー、複合領域疼痛症候群タイプI及びII、及び反射性交感神経ジストロフィー(RSDS)、エイズに伴う疼痛及び消耗、関節炎及びリウマチ、偏頭痛、及び多発性硬化症及び麻痺に関連する筋痙縮、小児患者の自閉症スペクトラム障害(ASD)及び自閉症スペクトラム障害(ASD)、肝臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、腎臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、肝臓がん患者の痛み及び/又は炎症、腎臓がん患者の治療の痛み及び/又は炎症、がん患者の痛み及び/又は炎症、並びにそれらの組合せからなる群より選択される症状の治療に用いられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
約4時間、8時間、12時間、16時間、24時間、48時間、60時間、72時間、84時間、108時間、120時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、及び4ヶ月間からなる群から選択される期間に患者に適用される、経皮剤形として製剤化される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
マイクロニードルとして製剤化されることができる、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
CBD又はその誘導体は、合成経路又は生合成経路によって作製される、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
カンナビジオール(CBD)を含み、経皮送達用の剤形である、医薬組成物であって、以下の:
約9%~約12%w/wのCBD、
場合によっては、約30%~約99%の溶媒、
場合によっては、約1%~約20%の1又はそれ以上の浸透促進剤、
を含み、ここで、前記医薬組成物のpHは、約4.0~約8.0に維持される、医薬組成物。
【請求項14】
経皮液体剤形、経皮半固形剤形、又は経皮高分子マトリクス剤形として製剤化される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
さらに、ゲル化剤、高分子、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を含む、請求項13又は14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
さらに、ゲル化剤、高分子、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
経皮パッチとして製剤化される、請求項13~16のいずれか一項に記載に記載の医薬組成物。
【請求項18】
経皮パッチは、リザーバパッチ、マイクロリザーバパッチ、マトリクスパッチ、感圧接着パッチ、徐放性経皮吸収フィルム、液体リザーバシステム、マイクロリザーバパッチ、マトリクスパッチ、感圧接着パッチ、粘着パッチ及びそれらの組み合わせ等の群から選択される、経皮パッチとして製剤化される、請求項13~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
1日に1回、1日に2回、1日に3回、1~8時間に1回、1~24時間に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、8~約13日に1回、2週間に1回、15日~約30日に1回からなる群から選択される投与レジメンで投与されうる、経皮剤形として製剤化される、請求項13~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
マイクロニードルとして製剤化されることができる、請求項13~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
CBD又はその誘導体は、合成経路によって作製される、請求項13~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は軽減及び/又は制御のための方法であって、以下の:
疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御が必要な患者を選択すること、かつ、
請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物を局所適用すること、
を含む、方法。
【請求項23】
疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のために経皮パッチは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、10日に1回からなる群から選択する回数で局所適用される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
さらに、経皮パッチの活性成分の送達は、一定期間にわたり、一定の送達速度で提供される、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
さらに、経皮パッチの活性成分は、一定期間にわたり、安定した吸収速度で提供される、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
さらに、経皮パッチの活性成分の血清レベルは、一定期間にわたり、一定に提供される、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
さらに、経皮パッチの活性成分の投与量のばらつきは、一定期間にわたり、低減される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
さらに、経皮パッチの活性成分の血漿濃度は、一定期間にわたり、治療範囲で提供する、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
経皮パッチの局所適用は、頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、急性痛、慢性痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛、炎症性疼痛、線維筋痛症、薬剤誘発性神経障害性疼痛、カウザルギー、複合領域疼痛症候群タイプI及びII、及び反射性交感神経ジストロフィー(RSDS)、エイズに伴う疼痛及び消耗、関節炎及びリウマチ、偏頭痛、及び多発性硬化症及び麻痺に関連する筋痙縮、小児患者の自閉症スペクトラム障害(ASD)及び自閉症スペクトラム障害(ASD)、肝臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、腎臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、肝臓がん患者の痛み及び/又は炎症、腎臓がん患者の治療の痛み及び/又は炎症、がん患者の痛み及び/又は炎症、並びにそれらの組合せからなる群より選択される、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のためである、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年10月14日に出願された米国特許出願第62/914,662号の優先権を主張し、その全体は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
疼痛及び炎症は、組織損傷、感染及び遺伝的変化に対する身体の生理学的反応である。これらの反応は、急性期と慢性期の2つの段階に分けることができる。急性期は、初期の非特異的期であり、局所的な血管拡張、毛細血管の透過性の亢進、間質腔における体液及び血液タンパク質の蓄積、毛細血管からの好中球の遊走、炎症性メディエーターの放出を特徴とする。痛みはこれらの炎症性物質によって生じ、痛覚過敏を誘引する。痛覚過敏は、非受容性終末に発現する対応する受容体の活性化によっても誘引される。損傷を誘発する状態が解消されなければ、炎症細胞の浸潤、炎症誘発性遺伝子の過剰発現、細胞シグナル伝達の調節障害、及び関門機能の喪失等の免疫病理学的変化を特徴とする、炎症過程は亜急性/慢性炎症に進行していく(非特許文献1)。
【0003】
神経障害性疼痛を含む慢性的な病理学的疼痛状態は、疼痛源の消散を越えて持続し、QOLに深刻な影響を及ぼす可能性があるため、世界的にみても主要な健康問題である(非特許文献2)。組織損傷及び/又は炎症が感覚神経系に可逆的な適応変化を誘発して、保護的な感作をもたらす生理的疼痛とは異なり、神経障害性疼痛では感受性の変化が持続又は慢性化する。さらに、神経障害性疼痛では、中枢、末梢を問わず神経系が損傷を受ける。神経障害性疼痛の特徴は、侵害刺激がないのに痛みが生じることであり、その時間的特性は自発的であったり、感覚刺激によって誘発されたりすることもある。
【0004】
関節炎は慢性疼痛性炎症の典型例であり、例えば、心臓血管や神経変性疾患、糖尿病、がん、喘息等の様々な疾患や病態があげられる。合成抗炎症化合物は、慢性炎症及び疼痛を制御する一般的な方法の一つである。これらの合成抗炎症薬には、胃の刺激と潰瘍、腎不全と肝不全、溶血性貧血、喘息増悪等の一般的な副作用がある。変形性関節症に伴う関節痛の病態生理に、内因性カンナビノイド系が積極的に関与していることを示すエビデンスが増えている。前臨床試験及び臨床試験のデータから、CB2受容体(カンナビノイド受容体2)を標的とする内因性カンナビノイド作動薬の有効な抗炎症作用の可能性が支持されている(非特許文献3)。
【0005】
大麻(マリファナ)は、米国ではスケジュールI薬物に指定されている。大麻は、400種類以上の植物栄養素(微量栄養素)を含む顕花植物である。100種類以上のテルペノイド、精油、抗酸化物質、カンナビノイドが植物から抽出されている。すべての植物化学物質の中で、テトラヒドロカンナビノール(THC)のみが顕著な精神活性作用を示した。THCについては、その精神作用と治療効果から、多くの研究論文が発表されている。THC以外にも、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビゲロール(CBG)、テトラヒドロカンビバリン(THCV)、デルタ9-テトラヒドロカンビノール(デルタ9THC)等の、精神作用を伴わない治療効果を示す成分が研究されている。カンナビス及びその誘導体は、疼痛、2型関連代謝障害、眼圧低下、ドレーブト(Dravet)症候群、レノックス・ガスタウト(Lennox-Gastaut)症候群(LGS)、てんかん、AIDSに伴う悪心、疼痛及び消耗、関節炎及びリウマチ、片頭痛、多発性硬化症及び麻痺に伴う筋痙縮、アルコール及び麻薬の離脱、ストレス及び抑うつ、喘息、線維筋痛症、炎症性疼痛、化学療法に伴う疼痛及び/又は炎症、抗菌剤の治療に用いることができることが示されている。FDAが承認したMarinol及びSyndrosにはデルタ9-THCが含まれており、現在、化学療法に伴う吐き気、嘔吐、食欲不振に用いられている。さらに、2016年4月、FDAは結節性硬化症症候群(TSC)、ドレーブト症候群及びレノックス・ガスタウト症候群の治療薬としてカンナビジオールを希少疾病用医薬品として指定した。カンナビジオールは、疼痛及び炎症に対して経口的に有効な治療薬である。(非特許文献4)。
【0006】
現在、カンナビス・サチバ(cannabis Sativa)から107種類のカンナビノイドが同定されている。これらの化合物は、長鎖多価不飽和脂肪酸からなる内因性カンナビノイド群に類似する(非特許文献5)。カンナビノイド受容体には、I) CB1受容体とII)CB2受容体の2種類がある。
【0007】
内因性カンナビノイド系は、カンナビノイド受容体、カンナビノイド受容体の内因性リガンド(内因性カンナビノイド)、及び内因性カンナビノイドの生合成と不活性化を調節する酵素からなる重要な内因性脂質シグナル伝達経路の1つである。脂質シグナル伝達系は、中枢神経系、末梢神経系、内分泌系、及び免疫系における多くの重要な生理学的機能に関与している。これらの受容体はグアノシン結合タンパク質共役型受容体ファミリーに属し、広く発現しており、その特異的な機能、局在、及びシグナル伝達機構によって区別される(非特許文献3及び6)。
【0008】
カンナビノイド受容体1(CB1)は、アデニル酸シクラーゼを阻害し、cAMPレベル及びプロテインキナーゼA(PKA)活性を低下させ、その結果、A型カリウムチャネルを活性化させて、細胞カリウムレベルを低下させる。この受容体は主に脂肪組織、消化管、脊髄、副腎、甲状腺、肝臓、生殖器官、免疫細胞に存在する(非特許文献7)。
【0009】
カンナビジオール(CBD)は、主要な非精神作用性の植物性カンナビノイド(フィトカンナビノイド)で、CB1及びCB2に対してほとんど親和性がなく、かつ、CB2は、部分アンタゴニストCB1として、並びに、弱性の逆CB2作動薬として作用する(非特許文献8)。
【0010】
選択的CB2作動薬は、様々な神経障害性疼痛前臨床モデルにおいてかなりの有効性を示し、その一方で、臨床試験から得られた多くのエビデンスにより、慢性疼痛及び慢性炎症性疾患(関節炎)の患者に利益をもたらすカンナビノイド系の可能性が確認されている。現在、慢性関節炎及び筋骨格痛の患者は治療用大麻製品の最も一般的な使用者である(非特許文献9)。
【0011】
前臨床試験では、カンナビノイド受容体作動薬が様々な急性及び慢性の疼痛モデルにおいて疼痛を遮断し、炎症を軽減させることが示されている(非特許文献10~12)。CB1受容体作動薬及びCB2受容体作動薬は、単独でも併用でも、抗侵害受容活性を示し、ミクログリア細胞に影響を及ぼすと考えられているCB2活性を示し、その結果、神経-炎症機序を低下させる(非特許文献13及び14)。CB2受容体は、中枢神経系の疼痛回路において特に重要であると考えられており、作動薬活性は、中脳領域においてドパミン放出を誘導し、下行性の疼痛コントロール及びプラセボ効果に寄与する(非特許文献15)。炎症作用は、カンナビノイド受容体活性の上方制御又は内因性カンナビノイドの産生亢進によって調節され、ヒト関節リウマチに類似した炎症性関節炎の前臨床モデルにおける関節破壊を減弱させる(非特許文献9及び11)。同様に、CB1受容体及びCB2受容体、タンパク質及び内因性カンナビノイドは、関節リウマチ及び変形性関節症の両方の患者のヒト滑膜組織に見出される(非特許文献16)。
CBDの経皮送達には、関節痛に関連する行動を緩和し、完全フロイントアジュバント誘発単関節炎膝関節炎モデルを用いて、精神作用のない抗炎症効果を発揮することが示された。
【0012】
また、6.2mg/日の投与で膝関節の腫脹が抑制され、62mg/日に増量してもさらなる改善は得られないという結果も得られた(非特許文献17)。
【0013】
経口抗炎症薬に関連するこれらの副作用は、経皮投与により回避することができる。さらに、経皮吸収型製剤を用いて、薬物分子を所定の入力速度で常に供給することにより、経口投与による血漿濃度のピークと谷を回避することができる。
【0014】
カンナビジオールに関する特許は多数存在するが、その実用性は評価されていない。その一例が特許文献1である。特許文献1にはいくつかの例が示されているが、それらの例のインビトロ又はインビボデータはない。これらのデータがなくては、実用化は不可能である。
【0015】
特許文献2は、リザーバパッチと粘着性マトリクスパッチの例を提供する。これらの例はすべて、カンナビジオールの代わりにカンナビノイド(デルタ-8-THC、デルタ-9-THC、カンナビジオール、カンナビノール等)の混合物を含む。THCは精神活性物質であり、依存性があるため、その有用性には問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第9375417号
【特許文献2】米国特許第6328992号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Bruni,N.et.al.,“Cannabinoid Delivery Systems for Pain and Inflammation Treatment”,Molecules,2018,23(10),2478-
【非特許文献2】Jensen,M.P.;Chodroff,M.J.;Dworkin,R.H.,“The impact of neuropathic pain on health-related quality of life: Review and Implication”,Neurology,2007,68,1178-182
【非特許文献3】Di Marzo,V.;Bifulco,M.;De Petrocellis,L.,“The Endocannabinoid system and its therapeutic exploitation” Nature review drug discover,2004,3,771-784
【非特許文献4】Costa,B.The non-psychoactive cannabis constituent cannabidiol is an orally effective therapeutic agent in rat chronic inflammatory and neuropathic pain. European Journal of Pharmacology.Volume556,Issues1-3,5 February 2007,Pages 75-83
【非特許文献5】Mehmedic Z.,et.al.,“Potency trends of delta-9-THC and other cannabinoids in confiscated cannabis preparation from 1993 to 2008”,J.Forensic Sci,2010,5,1209-17
【非特許文献6】Svizenska,I.;Dubovy,P.;SulcovaA.,“Cannabinoid receptors 1 and 2(CB1 and CB2),their distribution, ligands an functional involvement in central nervous system structure-A short review”,Pharmacol Biochem Behav.,2008,90(4),501-511
【非特許文献7】Fukuda S. et al., “Cannabinoid receptor 2 as a potential therapeutic target in rheumatoid arthritis”,BMC Musculoskelet Disord.,2014,12,15-275
【非特許文献8】Ligresti,A.;Petrocellis,L.D.;Di Marzo,V.,“From Phytocannabinoids to cannabinoid receptors and Endocannabinoids: Pleiotropic physiological and Pathological Roles through Complex Pharmacology”,Physio Rev.,96(4),1593-659
【非特許文献9】Malfait,A.M. et.al.,“The nonpsychoactive cannabis constituent cannabidiol is an oral anti-arthritic therapeutic in murine collagen-induced arthritis” Proc Natl Acad Sci USA,2000,97(17),9561-9566
【非特許文献10】Akopian A.et.al.,“Cannabinoids desensitize capsaicin and mustard oil responses in sensory neuron via TRPA1 activation”,Journal of Neuroscience,2008,28(5),1064-75
【非特許文献11】Schuelert,N.;McDougall,J.J.,“Cannabinoid-mediated antinociception is enhanced in rat osteoarthritic knees”,Arthritis Rehum.,2008,58(1),145-53
【非特許文献12】Robles,E.M.S.;Arias A.B.;Fontelles, M.M.,“Cannabinoids and muscular pain.Effectiveness of the local administration in rat”,Eur.J.Pain,2012,16(8),1116-27
【非特許文献13】Correa F.et.al.,“A role of CB2 receptors in anandamide signaling pathways involved in the regulation of IL-12 and IL-23 in microglial cells”,Biochem Pharmacol.,2009,77(1),86-100
【非特許文献14】Cheng,Y.;Hitchcock,S.A.,“Targeting Cannabinoid agonist for inflammatory and neuropathic pain”, Expert opinion Investig Drugs,2007,16(7),951-65
【非特許文献15】Shang,Y.;Tang,Y.,“The central cannabinoid receptor type-2(CB2) and Chronic Pain”,Int J.Neurosci.,127(9),812-823
【非特許文献16】Richardson,D.et.al.,“Charctersation of the cannabinoid receptor system in synovial tissue and fluid in patient with osteoarthritis and rheumatoid arthritis”,Arthritis Res.Ther.,10(2),R43
【非特許文献17】Hammell,D.C.,et.al.,“Transdermal cannabidiol reduced inflammation and pain-related behaviors in a rat model of arthritis”,Eur.J.Pain,20(6),936-48
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
経口経路に関連する欠点を克服することができる、カンナビジオールの改良された薬物送達システムが必要である。カンナビジオール(CBD)、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、経口薬物送達に関連する課題に対処することができる。本開示は、上記の全ての欠点に対処し、現実の世界の有用性を有することができる特許を提供する。さらに、本開示は、カンナビジオールの植物源よりも制御された環境で製造されるカンナビジオールの合成産物の使用を提供する。加えて、カンナビジオールの合成産物は、それの混合処理産物と比較して、より多くの透過性を提供することができる。さらに、本開示は、例えば、合成カンナビジオールを1日間、及び/又は2日間、及び/又は3日間、及び/又は4日間、及び/又は5日間、及び/又は6日間、及び/又は7日間、及び/又は15日間まで送達することができる経皮マトリクスパッチを対象とする。
なお、ここで引用されている文献は、参照により全面的に本明細書に援用される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
経皮薬物送達では、経皮パッチ又は経皮組成物を皮膚表面に局所的に適用する。経皮パッチ又は経皮組成物の局所適用期間中、薬物は継続的に放出され、無傷の皮膚を通して(経細胞的、細胞間及び付属器的経路を介して)送達され、全身に効果を発揮する。したがって、一旦適用された経皮組成物又は経皮パッチは、1日中、あるいは適用期間によっては1日以上、薬物を全身循環に送達することができるが、1週間に及ぶ場合もある。
【0020】
経皮送達は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、投与回数を低減することができる。経皮送達を通じて、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、皮膚に局所的に適用することができ、それにより、局所適用の期間を通して薬物を送達することができる。必要に応じて、局所適用の期間を、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、1週間に1回とすることができる。したがって、経皮送達は、投与頻度を減少させることによって、経口送達の反復投与レジメンを克服することができる。
【0021】
さらに、経皮薬物送達では、薬物は、局所適用の期間中、緩慢かつ連続的に送達されるため、1日複数回の投与に伴う薬物血漿濃度のピークや谷が存在しない。したがって、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独で又は組み合わせる経皮送達により、患者は、薬物の血漿濃度を劇的に変化させずに長期間にわたって治療効果が得られる。
【0022】
経皮投与は簡便で、非侵襲的であり、かつ利便性が高い。経皮パッチ又は経皮組成物の投与は、患者自身が経皮パッチ又は経皮組成物を局所的に適用することができるため、医学的な監視が必要ない。
【0023】
さらに、いかなる有害作用が発生した場合でも、副作用又は緊急経皮送達は、経皮パッチや経皮組成物を皮膚から剥離することで、いつでも治療を終了させることができる。
【0024】
疼痛及び/又は炎症の経皮送達を予防する理由で述べたように、経皮送達は、従来の送達系に比べて、患者に好都合で、簡素化された、便利な治療レジメンを提供することができる。経皮送達は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、投与頻度を低下させることができる。必要に応じて、局所適用の期間を、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、1週間に1回とすることができる。
【0025】
併用薬剤の経皮投与により、2種類以上の薬剤を同時に投与することができる。必要に応じて、経皮パッチ又は薬物の組合せを含む経皮組成物の投与頻度を、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、1週間に1回とすることができる。これにより、患者のコンプライアンスが大きく向上する。
【0026】
本開示は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて含む、経皮送達のための投薬形態で含む医薬組成物を提供する。本開示は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、医薬組成物を提供する。本開示は、経皮液体剤形、経皮半固形剤形、又は経皮高分子マトリクス剤形として製剤化される、医薬組成物を提供する。本開示は、さらに、溶媒、ゲル化剤、高分子、感圧接着剤、浸透促進剤、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、充填剤、粘着剤、架橋剤、樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を含む、医薬組成物を提供する。本開示は、さらに、溶媒、ゲル化剤、高分子、感圧接着剤、浸透促進剤、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、充填剤、粘着剤、架橋剤、樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、医薬組成物を提供する。本開示は、担体は、0.01%~99.8%w/w又はw/vの範囲で存在する、医薬組成物を提供する。本開示は、経皮パッチとして製剤化される医薬組成物を提供する。本開示は、経皮パッチとして製剤化される医薬的組成物を提供し、ここで、経皮パッチは、リザーバパッチ、マイクロリザーバパッチ、マトリクスパッチ、感圧接着パッチ、徐放性経皮吸収フィルム、液体リザーバシステム、マイクロリザーバパッチ、マトリクスパッチ、感圧接着パッチ、粘着パッチ及びそれらの組み合わせ等の群から選択される。本開示は、頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、急性痛、慢性痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛、炎症性疼痛、線維筋痛症、薬剤誘発性神経障害性疼痛、カウザルギー、複合領域疼痛症候群タイプI及びII、及び反射性交感神経ジストロフィー(RSDS)、エイズに伴う疼痛及び消耗、関節炎及びリウマチ、偏頭痛、及び多発性硬化症及び麻痺に関連する筋痙縮の治療に示される医薬組成物を提供する。本開示は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1~8時間に1回、1~24時間に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、8~約13日に1回、2週間に1回、15日~約30日に1回からなる群から選択される投与レジメンで投与されうる、経皮剤形として製剤化される、医薬組成物を提供する。本開示は、マイクロニードルとして製剤化されることができる医薬組成物を提供する。本開示は、CBD又はその誘導体は、合成経路又は生合成経路によって作製される医薬組成物を提供する。
【0027】
本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は軽減及び/又は制御のための方法であって、以下の:疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御が必要な患者を選択すること、かつ、本明細書に開示されるような医薬組成物を局所適用すること、を含む。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のために経皮パッチは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、10日に1回からなる群から選択する回数で局所適用される、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供する。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の送達は、一定期間にわたり、一定の送達速度で提供される。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分は、一定期間にわたり、安定した吸収速度で提供される。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の一定の血清レベルを一定期間にわたって達成する。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の投与量のばらつきは、一定期間にわたり、低減される。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の血漿濃度を、一定期間にわたり、治療範囲で提供する。
【0028】
本開示は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、経皮送達のための投薬形態で含む医薬組成物を提供する。本開示は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、医薬組成物を提供する。本開示は、経皮液体剤形、経皮半固形剤形、又は経皮高分子マトリクス剤形として製剤化される、医薬組成物を提供する。本開示は、さらに、溶媒、ゲル化剤、高分子、感圧接着剤、浸透促進剤、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、充填剤、粘着剤、架橋剤、樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を含む、医薬組成物を提供する。本開示は、さらに、溶媒、ゲル化剤、高分子、感圧接着剤、浸透促進剤、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、充填剤、粘着剤、架橋剤、樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、医薬組成物を提供する。本開示は、担体は、0.01%~99.8%w/w又はw/vの範囲で存在する、医薬組成物を提供する。本開示は、経皮パッチとして製剤化される医薬組成物を提供する。本開示は、経皮パッチは、リザーバパッチ、マイクロリザーバパッチ、マトリクスパッチ、感圧接着パッチ、粘着パッチ及びそれらの組み合わせ等の群から選択され、接着マトリクスパッチ、非接着マトリクスパッチ、感圧接着マトリクスパッチ、徐放性経皮フィルム、薬剤含有接着マトリクスパッチ等の限定されない経皮マトリクスパッチ等の群から選択される、経皮パッチとして製剤化される医薬的組成物を提供する。本開示は、頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、急性痛、慢性痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛、炎症性疼痛、線維筋痛症、薬剤誘発性神経障害性疼痛、カウザルギー、複合領域疼痛症候群タイプI及びII、及び反射性交感神経ジストロフィー(RSDS)、エイズに伴う疼痛及び消耗、関節炎及びリウマチ、偏頭痛、及び多発性硬化症及び麻痺に関連する筋痙縮、小児患者の自閉症スペクトラム障害(ASD)及び自閉症スペクトラム障害(ASD)、肝臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、腎臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、肝臓がん患者の痛み及び/又は炎症、腎臓がん患者の治療の痛み及び/又は炎症、がん患者の痛み及び/又は炎症、並びにそれらの組合せからなる群より選択される症状の治療に用いられる医薬組成物を提供する。本開示は、経皮剤形が、例えば、約4時間、8時間、12時間、16時間、24時間、48時間、60時間、72時間、84時間、108時間、120時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、及び4ヶ月間からなる群から選択される期間に患者に適用される、経皮剤形として製剤化される医薬的組成物を提供する。本開示は、マイクロニードルとして製剤化されることができる医薬組成物を提供する。本開示は、CBD又はその誘導体は、合成経路又は生合成経路によって作製される医薬組成物を提供する。
【0029】
本開示は、カンナビジオール(CBD)を含み、経皮送達用の剤形である、医薬組成物を提供し、この医薬組成物は、経皮送達用の剤形で、約9%~約12%w/wのCBD、場合によっては、約30%~約99%の溶媒、場合によっては、約1%~約20%の1又はそれ以上の浸透促進剤、を含み、ここで、前記医薬組成物のpHは、約4.0~約8.0に維持される。本開示は、経皮液体剤形、経皮半固形剤形、又は経皮高分子マトリクス剤形として製剤化される、医薬組成物を提供する。本開示は、さらに、ゲル化剤、高分子、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を含む、医薬組成物を提供する。本開示は、さらに、ゲル化剤、高分子、エモリエント剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有効量の担体又は成分を0.01%~95%w/w又はw/vの範囲で含む、医薬組成物を提供する。本開示は、経皮パッチとして製剤化される医薬組成物を提供する。本開示は、経皮パッチとして製剤化された医薬的組成物を提供し、ここで、経皮パッチは、リザーバパッチ、マイクロリザーバパッチ、マトリクスパッチ、感圧接着パッチ、徐放性経皮吸収フィルム、液体リザーバシステム、マイクロリザーバパッチ、マトリクスパッチ、感圧接着パッチ、粘着パッチ及びそれらの組み合わせ等の群から選択される。本開示は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1~8時間に1回、1~24時間に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、8~約13日に1回、2週間に1回、15日~約30日に1回からなる群から選択される投与レジメンで投与されうる、経皮剤形として製剤化される、医薬組成物を提供する。本開示は、マイクロニードルとして製剤化されることができる医薬組成物を提供する。本開示は、CBD又はその誘導体は、合成経路によって作製される医薬組成物を提供する。
【0030】
本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は軽減及び/又は制御のための方法であって、以下の:疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御が必要な患者を選択すること、かつ、本明細書に開示されるような医薬組成物を局所適用すること、を含む。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のために経皮パッチは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、10日に1回からなる群から選択する回数で局所適用される、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供する。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の送達は、一定期間にわたり、一定の送達速度で提供される。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分は、一定期間にわたり、安定した吸収速度で提供される。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の血清レベルは、一定期間にわたり、一定となる。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の投与量のばらつきは、一定期間にわたり、低減される。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、さらに、経皮パッチの活性成分の血漿濃度は、一定期間にわたり、治療範囲で提供する。本開示は、疼痛及び/又は炎症の治療及び/又は予防及び/又は制御のための方法を提供し、ここで、経皮パッチの局所適用は、頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、急性痛、慢性痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛、炎症性疼痛、線維筋痛症、薬剤誘発性神経障害性疼痛、カウザルギー、複合領域疼痛症候群タイプI及びII、及び反射性交感神経ジストロフィー(RSDS)、エイズに伴う疼痛及び消耗、関節炎及びリウマチ、偏頭痛、及び多発性硬化症及び麻痺に関連する筋痙縮、小児患者の自閉症スペクトラム障害(ASD)及び自閉症スペクトラム障害(ASD)、肝臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、腎臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、肝臓がん患者の痛み及び/又は炎症、腎臓がん患者の治療の痛み及び/又は炎症、がん患者の痛み及び/又は炎症、並びにそれらの組合せからなる群より選択される。
【0031】
本開示は、本明細書に記載された適応症を治療するための薬剤の製造のための本発明の組成物の使用を提供する。
【0032】
さらなる実施形態では、本開示は、医薬として用いるのに有効な量の、最も好ましくは被験体における疾患又は障害を治療するための医薬として用いるための、上記の医薬組成物の使用を提供する。
【0033】
さらなる別の実施形態では、本開示は、医薬として用いるのに有効な量の、上記の医薬組成物、及び少なくとも1つのさらなる治療薬の使用を提供し、かつ、最も好ましくは、被験体の疾患又は疾患に関連する疾患を治療するための薬剤として使用である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
カンナビノイド類は、カンナビス類が生産する炭素数21のテルペンフェノール化合物の一群である。カンナビノイド類はまた、合成的に生産される場合もある。以下、用語「カンナビノイド」は、脳内の神経伝達物質の放出を抑制する細胞上のカンナビノイド受容体に作用する多様な化学化合物のクラスをいう。これらの受容体タンパク質には、エンドカンナビノイド(ヒト及び動物が体内で自然に生成する)、フィトカンナビノイド(大麻及び他のいくつかの植物に含まれる)、及び合成カンナビノイドが含まれる。親油性カンナビノイドは、一般的にエンドカンナビノイド(最も典型的には哺乳類のエンドカンナビノイドとして)、植物由来のフィトカンナビノイド、及び合成カンナビノイドとして分類される。当該カンナビノイドは、以下のサブクラス:カンナビゲロール(CBG);カンナビクロメン(CBC);カンナビジオール(CBD);テトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビノール(CBN);カンナビジオール(CBDL);カンナビシクロル(CBL);カンナビエルソイン(CBE);及びカンナビトリオール(CBT)に分類される場合もある。
【0035】
カンナビジオール
IUPAC名:2-[(1R,6R)-6-isopropenyl-3-methylcyclohex-2-en-1-yl]-5-pentylbenzene-1,3-diol
化学式: C210O
分子量:314.46ダルトン
化学構造を式Iとして以下に示す。
【0036】
【化1】

テトラヒドロカンナビノール(THC)
IUPAC名:(-)-(6aR,10aR)-6,6,9-Trimethyl-3-pentyl-6a,7,8,10a-tetrahydro-6H-benzo[c]chromen-1-ol
化学式:C210O
分子量314.47ダルトン
化学構造式を下記式IIに示す。
【0037】
【化2】
本明細書で用いられる用語「カンナビス」は、カンナビス及びその誘導体を単独又は組み合わせるすべての医薬的に許容される形態をいい、例えば、遊離塩基又は塩又は異性体又は非晶質又は結晶又は共結晶又は固溶体又はプロドラッグ又は類似体又は誘導体又は代謝物等の形態であるが、これらに限定されない。例えば、カンナビジオールの遊離塩基又はその塩又はその異性体又はその非晶質形態又はその結晶形態又はその共結晶形態又はその固溶体又はそのプロドラッグ又はその類似体又はその誘導体又は合成形態があげられる。
【0038】
本化合物は、例えば、酸付加塩もしくは塩基性塩等の医薬的に許容される塩、又はその水和物を含むその溶媒和物の形態であってよい。適当な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成され、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩。酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカレート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩があげられる。適当な塩基性塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成され、例としては、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、及びジエタノールアミン塩があげられる。
【0039】
本明細書中で用いる用語「カンナビジオール」は、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体及びその合成形態を単独で又はそれらの組み合わせで含む。特定の実施形態では、CBDは高度に精製されている。特定の実施形態では、CBDは、剤形の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99・5%、又は99・75%(w/w)のCBDを含むカンナビスの高度に精製された抽出物として存在する。例示的な実施形態では、本開示の剤形は、本明細書に開示されるようなCBDを、剤形の約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約9.1%、約9.2%、約9.3%、約9.4%、約9.5%、約9.6%、約9.7%、約9.8%、約9.9%、約9.25%、約9.5%、約9.75%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、及び約80%の濃度で含んでよい。例示的な実施形態では、本開示の剤形は、剤形の約1~25%、約5~20%、約8~約15%、又は約9~約14%、約9~約13%、約9~約12%、w/wの濃度でCBDを含んでよい。ある実施形態では、CBDの用量は、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又は45mg/kg/日より大きい。特定の実施形態では、CBDの用量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、又は275mg/日以上である。
【0040】
一実施形態では、CBDは、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.75%(w/w)のCBDを含むカンナビスの高度に精製された抽出物として存在する。
【0041】
本明細書中で用いられる用語「医薬的に許容される塩」は、遊離塩基の酸付加塩又は付加塩を含む。その範囲内のカンナビジオールの「医薬的に許容される塩」という用語は、すべての可能な異性体及びそれらの混合物、ならびにいかなる医薬的に許容される代謝物、バイオ前駆体及び/又はプロドラッグ、例えば、哺乳動物、特にヒトなどの被験体への投与により、開示の化合物の1つとは構造式が異なるものの、直接又は間接的に生体内で開示の化合物に変換される化合物等があげられる。
【0042】
本明細書で用いられる用語「被験体」及び「患者」は、互換的に用いられる。本明細書で用いられる用語「患者」は、動物、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット等)及び霊長類(例えば、サル及びヒト)等の哺乳動物、最も好ましくはヒトをいう。いくつかの実施形態では、被験体は、家畜(例えば、ウマ、ブタ、又はウシ)又はペット(例えば、イヌ又はネコ)等の非ヒト動物である。特定の実施形態では、被験体は、ヒトである。本明細書で用いられる用語「薬剤」は、疾患又は症状の予防、治療、管理及び/又は診断に用いるためのいかなる分子、化合物、方法論及び/又は物質もいう。本明細書で用いられる用語「有効量」は、疾患又は症状及びその1つ以上の症状の発生、再発又は発症の予防をもたらし、他の療法の予防効果を増強又は改善し、疾患又は症状の重症度、期間を短縮し、疾患又は症状の1つ以上の症状を改善し、疾患又は症状の進行を防ぎ、疾患又は症状を退行させ、及び/又は他の療法の治療効果を増強又は改善するに足りる量の療法を意味する。
【0043】
本明細書で用いられる用語「医薬的に許容される」とは、連邦政府又は州政府の規制機関によって承認されるか、又は動物、より詳細にはヒトに用いるために米国薬局方、欧州薬局方、又は他の一般に認められた薬局方に収載されていることを意味する。
【0044】
本明細書で用いられる用語「治療薬」は、疾患又は障害を治療及び/又は管理するために用いられるいかなる分子、化合物、及び/又は物質もいう。
【0045】
本明細書で用いられる用語「療法」及び「治療」は、疾患若しくは状態、又はそれらの1つ若しくは複数の症状の予防、治療及び/若しくは管理に用いることができるいかなる方法(複数可)、組成物(複数可)、及び/若しくは薬剤(複数可)をいうことができる。特定の実施形態では、用語「療法」及び「治療」は、小分子療法をいう。
【0046】
本明細書で用いられる用語「誘導体」又は「誘導体化」は、例えば、本開示の化合物の化学修飾、若しくは植物源から抽出されたもの、又はそれらの医薬的に許容される塩若しくはそれらの混合物を含む。すなわち、「誘導体」は、所定の被験体において改善された薬理学的機能活性を誘導することができる、本開示の化合物の機能的等価物であってよい。
【0047】
本明細書で用いられる用語「組成物」及び「剤形」は、互換的に用いられる。
【0048】
本明細書で用いられる用語「経皮送達」は、皮膚を介して全身循環に薬物を送達することを意味する。
【0049】
本明細書中で用いられる合成カンナビノイドとしては、少なくとも以下があげられる:
AM-087は、3位の側鎖が置換されたΔ8THCのカンナビノイド作動薬誘導体であり、強力なCB1作動薬である鎮痛剤である;AM-251はCB1カンナビノイド受容体の逆作動薬で、いずれもビアリールピラゾールカンナビノイド受容体拮抗薬及びμ-オピオイド受容体拮抗薬のSR141716A(リモナバント)と構造的に類似する;メトアナンダミド(AM-356)は、アナンダミドの安定なキラル類似体であり、CB1のKiが17.9nM、CB2のKiが868nMでカンナビノイド受容体に作用する;AM-374-パルミチルスルホニルフルオリド;AM-381-ステアリルスルホニルフルオライド;AM404は、ナラチドノイルラミノフェノールとしても知られ、パラセタモール(アセトアミノフェン)の活性代謝物であり、疼痛及び体温調節経路に存在する内因性カンナビノイド、COX、及びTRPV系に対するその活性を介する鎮痛作用鎮痛作用を誘導すると考えられている;AM-411はカンナビノイド作動薬である鎮痛剤である;AM-411は強力でかなり選択的なCB1完全作動薬であり、鎮痛、鎮静及び抗不安等の他のカンナビノイド作動薬と同様の作用を示す;AM-630(6-ロドプラバドリン)はカンナビノイド受容体CB2に対する強力で選択的な逆作動薬として作用し、弱い部分作動薬として作用するCB1に対する選択性がある;AM661-1-(N-メチル-2-ピペリジン)メチル-2-メチル-3-(2-ヨード)ベンゾインドール;JWH-018(1-ペンチル3-(1-ナフトイル)インドール)又はAM-678はナフトイルインドールファミリーの鎮痛剤であり、CB1カンナビノイド受容体及びCB2カンナビノイド受容体に対して完全な作動薬として作用し、CB2に対して若干選択性がある;AM-679はカンナビノイド受容体に対する中程度に強力な作動薬として作用する;AM-694(1-(5-フルオロペンチル)-3-(2-ヨードベンゾイル)インドール)はカンナビノイド受容体CB1に対して強力で選択的な作動薬として作用する;AM-735-3-ボルニル-Δ8-THCはCB1/CB2混合型作動薬である;AM-855は、CB1とCB2の両方で鎮痛作用があり、CB1に対して中程度の選択性がある;AM881はアナンダミドの塩素置換立体異性体で、CB1でKi=5.3nM、CB2で95nM;AM-883はアナンダミドのアリル置換立体異性体で、CB1でKi=9.9nM、CB2で226nM;AM-905は鎮痛性カンナビノイドであり、CB1カンナビノイド受容体に対する強力で合理的に選択的な作動薬として作用する;AM-906はカンナビノイド作動薬であり、CB1カンナビノイド受容体に対する強力で選択的な作動薬である;AM-919はCB1受容体及びCB2受容体に対して強力な鎮痛性カンナビノイド受容体作動薬である;AM-926はCB1に対して中程度の選択性があるCB1受容体及びCB2受容体に対して強力な作動薬である;AM-938はカンナビノイド受容体作動薬である鎮痛剤であり、CB1受容体及びCB2受容体に強力な作動薬であるが、CB2に対して適度に選択的である;AM-1116はアナンダミドのジメチル化立体異性体である;AM-1172は、強力かつ選択的なAEAの取り込み阻害剤として設計された内因性カンナビノイド類似体で、FAAHの加水分解に抵抗性がある;AM-1220は、カンナビノイド受容体CB1に対して強力で中程度に選択的な作動薬である;AM-1221は、カンナビノイド受容体CB2に対して強力かつ選択的なアゴニストとして作用する;AM-1235(1-(5-フルオロペンチル)-3(ナフタレン-1-オイル)-6-ニトロインドール)はカンナビノイド受容体CB1に対する強力で合理的に選択的な作動薬として作用する;AM-1241(1-(メチルピペリジン-2-イルメチル)-3-(2-ヨード-5ニトロベンゾイル)インドール)はカンナビノイド受容体CB2に対する強力で選択的な作動薬であり、特に哺乳動物における痛覚過敏症や異痛症等の「非定型」疼痛に対する鎮痛作用があり、また哺乳類のモデルにおいて、筋萎縮性側索硬化症の治療に効能を示す;AM-1248は、カンナビノイド受容体CB1及びCB2に対して中程度に強力な作動薬として作用する;AM-1710は、CB1に対して54倍の選択性を示し、CB2選択的カンナビラクトンである;AM-1714は、末梢性カンナビノイド受容体CB2に対して合理的な選択的作動薬として作用し、鎮痛作用と抗アロディニア作用を備える;AM-2201(1-(5-フルオロペンチル)-3-(1-ナフトイル)インドール)は、カンナビノイド受容体の完全作動薬として強力に作用するが非選択性である;AM-2212はCB1とCB2の両方で強力な作動薬として作用する;AM-2213はCB1とCB2の両方で強力な作動薬として作用する;AM-2232(1-(4-シアノブチル)-3-(ナフタレン-1-オイル)インドール)は、強力で非選択的なカンナビノイド受容体CB1及びCB2の作動薬として作用する;AM-2233はカンナビノイド受容体CB1及びCB2の強力な完全作動薬として作用し、特定の哺乳動物試験ではTHCと完全に置換することが見いだされており、その効能はJWH-018よりも低く、WIN55,212-2よりも高い;AM-2389はCB1受容体に対する強力で合理的に選択的な作動薬として作用する;AM-3102はオレオイルエタノールアミド(増殖因子活性化受容体α(PPARα)の内因性作動薬)の類似体であり、CB1及びCB2において弱いカンナビノイド作動薬として作用する;AM-4030はCB1及びCB2に対する強力な作動薬であるが、CB1に対して適度に選択性のある鎮痛剤である;AM-4054はCB1親和性及びCB2に適度に選択性のある強力ではあるが遅発性の作動薬である;AM-4113は、CB1選択的中立アンタゴニストである;AM-6545はCB1に対する末梢選択的なサイレント拮抗薬として作用し、肥満治療のために開発された;JWH007は、CB1受容体及びCB2受容体でカンナビノイド作動薬として作用する鎮痛剤であり、CB2に対して若干の選択性を持つ鎮痛剤である;JWH-015は、CB1よりもほぼ28倍強力にCB2に結合するサブタイプ選択的カンナビノイド作動薬として作用し、免疫調節作用があることが示されている;JWH018は、CB1及びCB2のカンナビノイド受容体の完全作動薬として作用し、THCと同様の効果をもたらす鎮痛剤である;JWH-019-は、CB1受容体及びCB2受容体で作動薬として作用し、CB1受容体及びCB2受容体でカンナビノイド作動薬として作用するナフトイルインドールファミリーの鎮痛剤である;JWH-030は、CB1受容体の部分作動薬である;JWH-047は、CB2受容体の強力で選択的な作動薬である;JWH-048は、CB2受容体の強力で選択的な作動薬である;JWH-051は、CB1受容体への親和性が高い鎮痛剤である;JWH-057は、Δ8-THCの1-デオキシ類似体であり、CB2受容体への親和性が非常に高いが、CB1受容体への親和性も高い;JWH-073は、CB1受容体及びCB2受容体の両方でカンナビノイド作動薬として作用する鎮静剤であり、これはCB1サブタイプに対してある程度選択的である;JWH-081は、カンナビノイドのCB1受容体及びCB2受容体の両方で作動薬として作用する鎮静剤である;JWH-098は、強力でかなり選択的なCB2作動薬である;JWH-116は、CB1リガンドである;JWH-120は、強力かつ173倍の選択性を有するCB2作動薬である;JWH-122は、強力でかなり選択的なCB1作動薬である;JWH-133は、強力で選択的なCB2受容体作動薬である;1JWH-139は、3-(1,1-ジメチルプロピル)-6,6,9-トリメチル6a,7,10,10a-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[c]クロメンである;JWH-147は、CB1受容体及びCB2受容体でカンナビノイド作動薬として作用する、ナフトピロール系の鎮痛剤である;JWH-148は、CB2受容体に対する中程度に選択的なリガンドであり、CB1サブタイプの8倍以上の選択性を有する;JWH-149は、強力かつかなり選択的なCB2作動薬である;JWH-161は、CB1リガンドである;JWH-164は、強力なカンナビノイド作動薬である;JWH-166は、強力かつ高度に選択的なCB2作動薬である;JWH-167は、フェニルアセチルインドールファミリーの弱いカンナビノイド作動薬である;JWH-171は、カンナビノイド受容体作動薬として作用する;JWH-175は、(1-ペンチリンドール-3-イル)ナフタレン-1-イルメタン、22nMのCB1である;JWH-176は、1([(1E)-3-ペンチリンデン-1-イリジン]メチル)ナフタレンである;JWH-181-強力なカンナビノイド作動薬である;JWH-182は、CB1に対してある程度の選択性を有する強力なカンナビノイド作動薬である;JWH-184は、1-ペンチル1H-インドール-3-イル(4-メチル)-1-ナフチルメタンである;JWH-185は、1-ペンチル-3-イル(4-メトキシ1-ナフチル)メタンである;JWH-192は、(1-(2-モルホリン-4-イルエチル)インドール-3-イル)-4-メチルナフタレン-1-メタンである;JWH-193は、(1-(2-モルホリン-4-イルエチル)インドール-3-イル)-4-メチルナフタレン-1-イルメタノンである;JWH-194は、2-メチル-1-ペンチル-1H-インドール-3-イル-(4-メチル-1-ナフチル)メタンである;JWH-195は、(1-(2-モルホリン-4-イルエチル)インドール-3-イル)-ナフタレン-1-イルメタンである;JWH-196は、2-メチル-3-(1-ナフタレニルメチル)-1-ペンチル-1H-インドールである;JWH-197は、2-メチル-1-ペンチル-1H-インドール3-(4-メトキシ-1-ナフチル)メタンである;JWH-198は、(1-(2-モルホリン-4-イルエチル)インドール-3-イル)-4-メトキシナフタレン-1-イルメタノンである;JWH-199は、(1-(2-モルホリン-4-イルエチル)インドール-3-イル)-4-メトキシナフタレン-1-イルメタンである;JWH-200は、カンナビノイド受容体作動薬として作用するアミノアルキルインドールファミリーの鎮痛剤;JWH-203は、CB1受容体及びCB2受容体にほぼ同等の親和性があるカンナビノイド作動薬として作用するフェニルアセチルインドールファミリー由来の鎮痛剤;JWH-205は、142-メチル-1-ペンチリンドール-3-イル)-2フェニルエタノンである;JWH-210は、CB1受容体及びCB2受容体で強力なカンナビノイド作動薬として作用するナフトイルインドールファミリーの鎮痛剤である;JWH-213は、強力でかなり選択的なCB2作動薬である;JWH-229は、1-メトキシ-3-(1’,1’-ジメチルヘキシル)-Δ8-THCで、強力なCB2作動薬である;JWH-234は、CB2選択性を有するカンナビノイド作動薬である;JWH-250は、CB1受容体及びCB2受容体のカンナビノイド作動薬として作用するフェニルアセチルインドールファミリーの鎮痛剤である;JWH-251は、(1-ペンチル-3-(2メチルフェニルアセチル)インドール)である;JWH-258は、強力で軽度に選択的なCB1作動薬である;JWH-302は、(1-ペンチル-3-(3-メトキシフェニルアセチル)インドール)である;JWH-307は、ナフトイルピロールファミリーの鎮痛剤であり、CB1受容体及びCB2受容体においてカンナビノイド作動薬として作用し、CB2サブタイプに対してある程度選択的である;JWH-350は、11-nor-1-メトキシ-3(1’,1’-ジメチルヘプチル)-9α-ヒドロキシヘキサカンナビノールであり
、CB2受容体に対して33倍の選択性を有し、高いCB2受容体親和性を有し、CB1受容体に対する親和性は低い、CB2受容体作動薬である;JWH-359は、ジベンゾピラン系カンナビノイドであり;JWH-387は、-387-1ペンチル-(4-ブロモ-1-ナフトイル)インドールであり、CB1受容体及びCB2受容体に強力なカンナビノイド作動薬として作用するナフトイルインドールファミリーの鎮痛剤である;JWH-398は、CB1受容体及びCB2受容体で強力なカンナビノイド作動薬として作用するナフトイルインドールファミリーの鎮痛剤であり、KiがCB1で2.3nM、CB2で2.8nMである;JWH-424は、強力かつ中程度の選択性を有するCB2アゴニストで、KiはCB2で5.44nM、CB1で20.9nMである;HU-210は、大麻由来の天然THCの100~800倍の強力なカンナビノイドであり、作用持続時間が長く、天然THCと同じ多くの作用を有する強力な鎮痛剤である;アジュレム酸(AB-III-56、HU-239、IP-751、CPL 7075、CT-3、レズナブ)は、非精神活性THC代謝物11-nor-9-カルボキシ-THCのカンナビノイド誘導体であり、自覚的に「高い」状態を誘発せずに有用な鎮痛及び抗炎症作用を示す。神経障害性疼痛や関節炎等の炎症性疾患の治療薬として、また生命を脅かす炎症性疾患の希少疾病の治療薬として開発されている;HU-243(AM-4056)はCB1受容体及びCB2受容体で強力な作動薬であるカンナビノイドであり;HU-308はカンナビノイド作動薬として作用し、CB2受容体サブタイプに対して高度に選択的である。鎮痛作用を有し、神経幹細胞の増殖を促進し、TNF-αの阻害を介して酸化ストレスから肝臓と血管組織の両方を保護する;HU-331はカンナビジオールから合成されたキノン抗発がん性化合物である;HU-336は血管新生阻害剤であり、血管新生促進サイトカイン及びその受容体の発現を変化させずに、血管内皮細胞のアポトーシスを直接誘導し、血管新生を阻害する;HU-345(カンナビノールキノン)は、その親化合物であるカンナビノールよりも強力に大動脈輪血管新生を阻害することができる薬物である;CP47,497又は(C7)-CP47,497は、カンナビノイド受容体作動薬である。
【0050】
本開示はまた、カンナビノイドの生合成のための方法、並びにカンナビノイド及びカンナビノイド類似体の製造に用いることができる生合成酵素の産生用の真核生物又は原核生物の発現系で用いるための方法を提供する。カンナビノイド酸合成酵素のクローニング及び発現には、真核細胞及び原核細胞と同様に酵母が適しており、大腸菌、酵母及びバキュロウイルス宿主を含むが、これらに限定されない。したがって、本開示は、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)合成酵素及びカンナビジオール酸(CBDA)合成酵素を含むが、これらに限定されない、カンナビノイド酸合成酵素を用いて、生合成カンナビノイド、例えばTHC及び/又はCBDを産生する方法を提供する。本開示は、さらに、例えば、生合成CBDを単独又は他の活性剤と組み合わせて含む、本明細書中に開示される経皮組成物を提供する。
【0051】
ある実施形態では、本明細書に記載される経皮組成物は、疼痛及び/又は炎症の予防及び/又は治療のためのものである。ある実施態様では、本明細書に記載される経皮組成物は、疼痛及び/又は炎症の重症度を軽減するためのものである。
【0052】
本明細書に記載されるある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物又は経皮剤形は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて含む。より好ましくは、経皮剤形は、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を単独又は組み合わせ含むことができる。
【0053】
本開示の一実施形態は、経皮剤形、経皮パッチ、局所剤形、マイクロニードル、イオントフォレシス、計量された用量の経皮スプレーを含むがこれらに限定されない経皮薬物送達システムであり得る。
【0054】
経皮剤形は、例えば、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン等の限定されない液体を含む。経皮剤形は、例えば、ゲル、軟膏、エマルジョン、クリーム、懸濁液、ペースト、ローション、バルム等の限定されない半固体を含む。液体剤形及び/又は経皮パッチに組み込まれたゲル剤形が好ましい。経皮剤形は、接着マトリクスパッチ、非接着マトリクスパッチ、感圧接着マトリクスパッチ、徐放性経皮フィルム、接着マトリクスパッチ中の薬物等の限定されないマトリクスパッチを含む。
【0055】
経皮パッチはいかなる限定もなく、好ましくは、リザーバパッチ、マトリクスパッチ、二層マトリクスパッチ、多層マトリクスパッチ、マイクロリザーバパッチ、接着システム、経皮適用可能テープ及びその他に記載された全ての経皮薬物送達システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0056】
本開示のある実施形態では、経皮パッチは、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて含む、リザーバ又はマトリクス中に含有される経皮剤形を含み、かつ、経皮パッチが皮膚に接着できるように、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、患者の皮膚を通してのその経皮パッチから通過できるような接着剤を含む。経皮送達システムは、閉塞性、半閉塞性、又は非閉塞性であってよく、接着性又は非接着性であってよい。
【0057】
カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて含む経皮剤形は、パッチ内に組み込むことができ、パッチは皮膚表面に局所的に適用することができる。パッチは、いかなる適当な期間、被験動物上に残存することができる。ある実施形態では、経皮パッチは、例えば、約4時間、8時間、12時間、16時間、24時間、48時間、60時間、72時間、84時間、108時間、120時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、及び4ヶ月間からなる群から選択される期間に患者に適用される。
【0058】
いくつか実施形態では、経皮パッチは、活性成分の送達を、一定期間にわたり、一定の送達速度で提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0059】
なおさらなる実施形態では、本明細書に記載される経皮パッチは、患者による経皮パッチの活性成分を、一定期間にわたり、安定した吸収速度で提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0060】
なおさらなる実施形態では、本明細書に記載された経皮パッチは、患者における経皮パッチの活性成分の血清レベルを、一定期間にわたり、一定に提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0061】
なおさらなる実施形態では、本明細書に記載された経皮パッチは、患者における経皮パッチの活性成分の血漿濃度を、一定期間にわたり、治療範囲で提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0062】
ある実施形態では、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、含むマトリクスパッチを経皮マトリクスパッチとして調製することができ、マトリクスパッチは、皮膚表面に局所的に適用することができる。マトリクスパッチは、いかなる適当な期間、被験動物上に残存することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、マトリクスパッチは、マトリクスパッチの活性成分の送達を、一定期間にわたり、一定の送達速度で提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0064】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載されたマトリクスパッチは、患者によるマトリクスパッチの活性成分を、一定期間にわたり、安定した吸収速度で提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0065】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載されたマトリクスパッチは、患者におけるマトリクスパッチの活性成分の血清レベルを、一定期間にわたり、一定に提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0066】
なおさらなる実施形態では、本明細書に記載されるマトリクスパッチは、所定の時間にわたり、患者に活性成分の血漿濃度を、一定期間にわたり、治療範囲で提供する。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0067】
さらにさらなる実施形態では、本明細書に記載されるマトリクスパッチは、患者における活性成分の投与量のばらつきを、一定期間にわたり、低減させることができる。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0068】
なおさらなる実施形態では、本明細書に記載された経皮パッチは、患者における活性成分の投与量のばらつきを、一定期間にわたり、低減させることができる。いくつかの実施形態では、一定期間は、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、7日、8~13日、2週間、又は15日である。
【0069】
限定されるものではないが、例えば、軟膏、クリーム、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ペースト、バルム、ゲル、ローション、ムース等の半固体を含む、当該技術分野に記載の局所剤形を用いることができる。溶液等の液体、懸濁液、微小懸濁液、ナノ懸濁液、分散液、ナノ分散液等の液体噴霧、エアロゾル、マグマ等のカンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を含む局所剤形は、単独又は組み合わせて、カンナビジオールの経皮送達のために皮膚表面に局所塗布することができる。
【0070】
本開示のいくつかの実施形態の経皮剤形及び/又は局所剤形は、これらに限定されないが、溶媒、ゲル化剤、高分子、生分解性高分子、浸透促進剤、皮膚軟化剤、皮膚刺激軽減剤、緩衝剤、pH安定剤、可溶化剤、懸濁剤、分散剤、安定剤、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、揮発性化学物質、抗酸化剤、酸化剤、充填剤、感圧接着剤、キレート剤、錯化剤、賦形剤、パッチを調製するための材料、経皮マトリクスパッチを調製するための材料、リザーバパッチを調製するための材料等のいずれかを単独又は組み合わせた有効量の担体又は成分を含んでよい。
【0071】
カンナビジオールは、上記の単一担体、担体の混合物及び担体の組み合わせに溶解、懸濁、分散又は均一に混合することができる。カンナビジオール等の2つ以上の薬物のいかなる組合せは、上記の単一の担体、担体の混合物及び担体の組合せ中に溶解、懸濁、分散又は均一に混合することができる。
【0072】
カンナビジオールの単独又は組み合わせの所望の最適な経皮及び/又は局所剤形は、実施例1~13に記載の以下の担体の単独又は組み合わせで構成されてよいが、これらに限定されない。
以下、本発明は、以下の実施例を参照して、より詳細に説明されるが、本発明は、それに限定されるものではないと理解されるべきである。
[実施例]
【実施例1】
【0073】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるわけではないが、以下の:メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、プロパノール等であってこれらに限定されないC1~C20アルコール、多価アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等であってこれらに限定されないグリコール、N-メチル2-ピロリドン等であってこれらに限定されないピロリドン、;N-メチル2-ピロリドン等であってこれらに限定されない2-ピロリドン、グリコール類の誘導体、N-メチル2-ピロリドン、2-ピロリドン等であってこれらに限定されないピロリドン、ジメチルスルホキシド、デシメチルスルホキシド等であってこれらに限定されないスルホキシド、ジメチルイソソルビド、鉱物油、植物油、水、極性溶媒、半極性溶媒、非極性溶媒、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、IPA等であってこれらに限定されないマトリクスパッチに用いうる揮発性化学物質、酢酸、乳酸、レブリン酸等であってこれらに限定されない酸、塩基等のような当業者に公知の溶媒を単独で又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、0.01%~95%w/w又はw/vの範囲である。
【0074】
例示的な実施形態では、本開示の剤形は、約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、約75%、及び約80%の処方である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、約30~99%、約35~95%、約40~約90%w/wの濃度の溶媒を含んでよい。本開示の例示的な剤形では、溶媒は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%、より好ましくは5質量%~20質量%であろう。
【実施例2】
【0075】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるものではないが、以下の、(寒天、アルギン酸及び誘導体、カシア・トーラ、コラーゲン、ゼラチン、ゲル・ガム、グアー・ガム、ペクチン、カリウムカラゲナン、ナトリウムカラゲナン、トラガカント、キサンタム、ガム・コパール、キトサン、樹脂等)であってこれらに限定されない天然高分子、多糖類及びその誘導体、(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース等)であってこれらに限定されないセルロース及びその誘導体等であってこれらに限定されない半合成高分子及びその誘導体、(カルボポール940、カルボポール934、カルボポール971pNF等)であってこれらに限定されないカルボキシビニル高分子又はカルボマーであってこれらに限定されない合成高分子及びその誘導体、ポリエチレン、及びその共重合体等、(ケイ酸塩、ベントナイト)であってこれらに限定されない粘土、二酸化ケイ素、ポリビニルアルコール、アクリル高分子(eudragit)、アクリル酸エステル、ポリアクリレート共重合体、ポリアクリルアミド、(PVP、Kollidon 30、ポロキサマー等)であってこれらに限定されないポリビニルピロリドンホモ高分子及びポリビニルピロリドン共重合体、イソブチレン、酢酸ビニルエチル共重合体、天然ゴム、合成ゴム、(bio psa 4302、bio-psa 4202等)であってこれらに限定されないシリコン高分子等の感圧接着剤、(duro-tak 87-2156、duro-tak 387-2287等)であってこれらに限定されないアクリル感圧接着剤、(低分子量のポリイソブチレン、中程度の分子量のポリイソブチレン、ポリイソブチレン35000mw等)であってこれらに限定されないポリイソブチレン、アクリル共重合体、ゴム系接着剤、ホットメルト接着剤、スチレン-ブタジエン共重合体、すべての水及び/又は有機溶媒膨潤性高分子であってこれらに限定されない、当業者に公知のゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤を単独又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、0.1%~95%w/w又はw/vの範囲である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、当該剤形の、0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、75%、約80%の濃度のゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤を含んでよい。本開示の例示的な剤形において、ゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤は、剤形の約1~20質量%、約5%~25%、約10%~20%、約15%~18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約64%(w/w)含んでよい。本開示の例示的な剤形において、ゲル化剤及び/又は増粘剤及び/又は懸濁剤は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%。より好ましくは、剤形の5質量%~20質量%を表す。
【実施例3】
【0076】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるものではないが、以下の、(ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、デシメチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド等)であってこれらに限定されないスルホキシド及びその類似の化学物質、1,3-ブタンジオール、アゾン、(N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン等)であってこれらに限定されないピロリドン、エステル、(プロピレングリコールモノラウレート、ブチルエタノエート、エチルエタノエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、メチルエタノエート、デシルオレエート、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノラウレート、メチルラウレート、ラウリルラウレート、乳酸ラウリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、ラウリン酸メチル等)であってこれらに限定されない脂肪酸エステル、(カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸等)であってこれらに限定されない脂肪酸、アルコール類、脂肪アルコール及び(オレイルアルコール、ナタノール、ドデカノール、プロピレングリコール、グリセロール等)であってこれらに限定されないグリコール、(ジエチレングリコールモノエチルエーテル等)であってこれらに限定されないエーテルアルコール、尿素、(トリアセチン等)であってこれらに限定されないトリグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエステル、精油、(ブリヂ、ラウリル硫酸ナトリウム、Tween、ポリソルベート)であってこれらに限定されない界面活性剤系促進剤、テルペン、テルペノイド、及び「経皮浸透促進剤」(Eric W Smith,Howard I.Maibach,2005.Nov,CRC press)に言及されているすべての浸透剤又は浸透促進剤であってこれらに限定されない、当業者に公知の浸透剤又は浸透促進剤を単独又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、0.01%~95%(w/w)又は(w/v)の範囲である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、当該剤形の、0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、75%、約80%の濃度の浸透促進剤を含んでよい。本開示の例示的な剤形において、浸透促進剤は、剤形の約1~20質量%、約5%~25%、約10%~20%、約15%~18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約64%(w/w)含んでよい。本開示の例示的な剤形において、浸透促進剤は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%。より好ましくは、剤形の5質量%~20質量%を表す。
【実施例4】
【0077】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるものではないが、以下の、グリセロール及びそのエステル類、リン酸エステル類、グリコール誘導体類、糖アルコール類、セバシン酸エステル類、クエン酸エステル類、酒石酸エステル類、アジピン酸、フタル酸エステル類、トリアセチン、オレイン酸エステル類、及び「可塑剤ハンドブック」(Handbook of Plasticizers)(George Wypych,2004,Chem Tee Publishing)に言及されている経皮薬物送達システムで用いることのできる、すべての可塑剤であってこれらに限定されない、当業者に公知の可塑剤を単独又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、より好ましくは、0.01%~95%(w/w)又は(w/v)の範囲である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、当該剤形の、0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、75%、約80%の濃度の可塑剤を含んでよい。本開示の例示的な剤形において、可塑剤は、剤形の約1~20質量%、約5%~25%、約10%~20%、約15%~18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約64%(w/w)含んでよい。本開示の例示的な剤形において、可塑剤は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%。より好ましくは、剤形の5質量%~20質量%を表す。
【実施例5】
【0078】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるものではないが、以下の、ワセリン、ラノリン、鉱油、ジメチコン、酸化亜鉛、グリセリン、プロピレングリコール及びその他であってこれらに限定されない、当業者に公知のエモリエント、湿潤剤、皮膚刺激軽減剤類似の化合物又は化学物質を単独又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、より好ましくは、0.01%~95%(w/w)又は(w/v)の範囲である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、当該剤形の、0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、75%、約80%の濃度のエモリエント、湿潤剤、皮膚刺激軽減剤類似の化合物又は化学物質を含んでよい。本開示の例示的な剤形において、エモリエント、湿潤剤、皮膚刺激軽減剤類似の化合物又は化学物質は、剤形の約1~20質量%、約5%~25%、約10%~20%、約15%~18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約64%(w/w)含んでよい。本開示の例示的な剤形において、エモリエント、湿潤剤、皮膚刺激軽減剤類似の化合物又は化学物質は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%。より好ましくは、剤形の5質量%~20質量%を表す。
【実施例6】
【0079】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるものではないが、以下の、(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80等)であってこれらに限定されないポリソルベート(Tween(登録商標))、(スパン80、スパン20等)であってこれらに限定されないスパン、(陰イオン性、カチオン性、非イオン性、両性)であってこれらに限定されない界面活性剤、プロピレングリコールモノカプリレートI型、プロピレングリコールモノカプリレートII型、プロピレングリコールジカプリレート、中鎖トリグリセリド、プロピレングリコールモノラウレートII型、リノロイルポリオキシル-6グリセリド、オレオイル-ポリオキシル-6-グリセリド、ラウロイルポリオキシル-6-グリセリド、オレイン酸エチル、ポリグリセリル-3-ジオレエート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、I型プロピレングリコールモノラウレート、ポリグリセリル-3-ジオレエート、カプリロプロイルポリオキシル-8グリセリド等、シクロデキストリン、LABRASOL(登録商標)(カプリロプロイルマクロゴルグリセリド、カプリロプロリルマクロゴール-8グリセリドEP、カプリロプロリルポリオキシルポリオキシル-8グリセリドNF)等であってこれらに限定されない、当業者に公知の可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及び類似の化合物又は化学物質を単独又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、0.01%~95%(w/w)又は(w/v)の範囲である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、当該剤形の、0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、75%、約80%の濃度の可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及び類似の化合物又は化学物質を含んでよい。本開示の例示的な剤形において、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及び類似の化合物又は化学物質は、剤形の約1~20質量%、約5%~25%、約10%~20%、約15%~18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約64%(w/w)含んでよい。本開示の例示的な剤形において、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤及び類似の化合物又は化学物質は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%。より好ましくは、剤形の5質量%~20質量%を表す。
【実施例7】
【0080】
剤形中においてカンナビジオールの安定性及び/又は溶解性を増大させるために、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、例えば、コーティング、カプセル化、マイクロカプセル化、ナノカプセル化、凍結乾燥、キレート剤、錯化剤などに限定されない、異なる技術及び成分を用いることができる。
【実施例8】
【0081】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるものではないが、以下の、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等、(カルボン酸、無機酸、スルホン酸、ビニルカルボン酸等)であってこれらに限定されない酸、(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等)であってこれらに限定されない塩基、であってこれらに限定されない、当業者に公知の剤形を適当なpHを好ましくは4.0~8.0の範囲に維持するのに寄与する当業者に周知の補助pH緩衝剤及びpH安定剤及び同様の化合物を単独又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、より好ましくは、0.01%~30%(w/w)又は(w/v)の範囲である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、当該剤形の、0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、75%、約80%の濃度の補助pH緩衝剤及びpH安定剤及び類似の化合物を含んでよい。本開示の例示的な剤形において、補助pH緩衝剤及びpH安定剤及び類似の化合物は、剤形の約1~20質量%、約5%~25%、約10%~20%、約15%~18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約64%(w/w)含んでよい。本開示の例示的な剤形において、補助pH緩衝剤及びpH安定剤及び類似の化合物は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%。より好ましくは、剤形の5質量%~20質量%を表す。特定の実施形態では、剤形のpHは、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、又は約8.0に維持される。特定の実施形態では、剤形のpHは、約4.0~約8.0、約4.5~約7.5、又は約5.0~約7.0の範囲に維持される。
【実施例9】
【0082】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるものではないが、以下の、(メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸、BHA、BHT)等の抗酸化剤、酸化剤、安定剤、変色剤、保存剤及び安定な剤形を得るために用いられる当業者に公知の同様の化合物又は化学物質であってこれらに限定されないものを単独又はそれらの組み合わせで含んでよい。より好ましくは、0.01%~50%(w/w)又は(w/v)の範囲である。例示的実施形態では、本開示の剤形は、当該剤形の、0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、75%、約80%の濃度の抗酸化剤を含んでよい。本開示の例示的な剤形において、抗酸化剤は、剤形の約1~20質量%、約5%~25%、約10%~20%、約15%~18%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約64%(w/w)含んでよい。本開示の例示的な剤形において、抗酸化剤は、剤形の約1質量%~75質量%、好ましくは2質量%~30質量%。より好ましくは、剤形の5質量%~20質量%を表す。
【実施例10】
【0083】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、当業者に公知の軟膏及び/又はクリームベースで製剤化することができる。
【実施例11】
【0084】
例えば、リザーバパッチ、マトリクスパッチ、接着剤中の薬物、経皮フィルム等、これらに限定されないが、当業者に公知のパッチ形態の本開示の経皮投与システムを作製するための材料は、高分子、共重合体、誘導体、バッキングフィルム、剥離膜、剥離ライナー等の単独又はそれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。感圧接着剤(例えば、シリコン高分子、ゴム系接着剤、アクリル高分子、アクリル共重合体、ポリイソブチレン、アクリル酸-イソオクチルアクリレート共重合体、ホットメルト接着剤、ポリブチレン、例えば、デュロタク9301、デュロタク2516、デュロタク2207、デュロタク87-2516、デュロタク87-4287、デュロタク87-900A、デュロタク87-9301等)、バッキングフィルム(エチレン酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、金属箔、ポリエステル、アルミ蒸着フィルム、ポリエチレン、耐光性バッキングフィルム等かつそれらに限定されない)、剥離膜(例えば、微孔性ポリエチレン膜、微孔性ポリプロピレン膜、速度制御エチレン酢酸ビニル共重合体膜等かつそれらに限定されない)、剥離ライナー(例えば、シリコン化ポリエステルフィルム、フッ素樹脂コーティングポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム、シリコン化ポリエチレンテレフタレートフィルム等それらに限定されない)、テープ等である。
【実施例12】
【0085】
本発明の経皮剤形及び/又は局所剤形は、限定されるわけではないが、コロイド状二酸化ケイ素、ラクトース、マンニトール、タルク、二酸化チタン等、例えば、カオリン、ベントナイト等の粘土等を単独又は組み合わせて含むことができる。より好ましくは、0.01%~70%w/w又はw/vの範囲である。
【実施例13】
【0086】
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形は、結晶化阻害剤、粘着剤、架橋剤、樹脂等を単独又は組み合わせて含んでよい。
本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形及び/又は経皮送達系は、少なくとも治療有効量のカンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて送達することができる。治療上有効なカンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて含み、疼痛及び/又は炎症を治療及び/又は予防するために必要なヒト血漿中に提供することができる。治療上有効なカンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせた用量は、疼痛及び/又は炎症を治療及び/又は予防に必要な当該形態のヒト血漿中の治療濃度を意味する。さらに、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて含む、経皮剤形若しくは局所剤形若しくは経皮送達システム、又は経皮パッチの正確な治療有効量は、患者の状態等の要因に限定されるわけではないが、当業者によって決定されてよい。経皮剤形又は局所剤形若しくは経皮送達系又は経皮パッチは、患者の要望に基づいた最適な治療結果を達成するために、異なる投与強度及びパッチサイズで利用可能である。
【0087】
さらに他の実施形態では、本開示の経皮剤形及び/又は局所剤形及び/又は経皮送達系又は経皮パッチは、カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、少なくとも治療上有効量を送達することができる。
【0088】
治療上有効なカンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、疼痛関連する状態及び/又は疾患及び/又は障害を治療及び/又は予防及び/又は制御するのに必要なヒト血漿中に存在させることを意味し:疼痛症候群としては、例えば、頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、急性痛、慢性痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性疼痛、炎症性疼痛、線維筋痛症、薬剤誘発性神経障害性疼痛、カウザルギー、複合領域疼痛症候群タイプI及びII、及び反射性交感神経ジストロフィー(RSDS)、エイズに伴う疼痛及び消耗、関節炎及びリウマチ、偏頭痛、及び多発性硬化症及び麻痺に関連する筋痙縮、小児患者の自閉症スペクトラム障害(ASD)及び自閉症スペクトラム障害(ASD)、肝臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、腎臓疾患患者の痛み及び/又は炎症、肝臓がん患者の痛み及び/又は炎症、腎臓がん患者の治療の痛み及び/又は炎症、がん患者の痛み及び/又は炎症、並びにそれらの組合せからなる群より選択される症状があげられる。
【0089】
本開示の他の態様は、本明細書中に開示されているような経皮組成物を例えば、肝臓がん患者の疼痛及び/又は炎症を治療する予防及び/又は治療のための治療剤として、並びに、肝臓がんの治療薬及び治療の副作用である疼痛を治療するために用いることに関する。本開示の他の態様は、本明細書中に開示されているような経皮組成物を、例えば、腎臓がん患者の疼痛及び/又は炎症を治療する予防及び/又は治療のための治療剤として、並びに腎臓がんの治療薬及び治療の副作用である疼痛を治療するために用いることに関する。本開示の他の態様は、本明細書中に開示されているような経皮組成物を、がん患者に、及びがんの治療薬及び治療の副作用である疼痛を治療するために用いることに関する。
【0090】
本開示の他の態様は、本明細書中に開示されているような経皮組成物を、例えば疼痛の予防及び/又は治療のための治療剤として用いる。
【0091】
本開示の他の態様は、例えば、免疫炎症性障害の予防及び/又は治療のための治療剤としての、本明細書に開示されるような経皮組成物の使用に指向される。用語「免疫炎症性疾患」は、自己免疫疾患、増殖性皮膚疾患、及び炎症性皮膚疾患を含む種々の状態を包含する。免疫炎症性疾患は、炎症過程による健康な組織の破壊、免疫系の調節障害、及び細胞の不要な増殖をもたらす。免疫炎症性疾患の例としては、尋常性ざ瘡、急性呼吸窮迫症候群、アジソン病、アレルギー性鼻炎、アレルギー性眼内炎症性疾患、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連小血管炎、強直性脊椎炎、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、ベーチェット病、ベル麻痺、水疱性類天疱瘡、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、肝硬変、コーガン症候群、接触皮膚炎、COPD、クローン病、クッシング症候群、皮膚筋炎、糖尿病、円板状エリテマトーデス 好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、剥脱性皮膚炎、線維筋痛症、限局性糸球体硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、巨細胞性動脈炎、痛風、痛風性関節炎、移植片対宿主病、手湿疹、ヘノッホ-ションライン紫斑病、妊娠ヘルペス、多毛症、特発性耳介-強膜炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患、又は消化器疾患、炎症性皮膚症、扁平苔癬、ループス腎炎、リンパ性気管気管支炎、黄斑浮腫、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎・非特異的線維化肺疾患、変形性関節症、膵炎、妊娠性天疱瘡、尋常性天疱瘡、歯周炎、結節性多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛、陰嚢炎、そう痒症/炎症、乾癬、乾癬性関節炎、肺ヒストプラスマ症、関節リウマチ、再発性多発軟骨炎、サルコイドーシスによる酒さ、強皮症による酒さ、甘草(Sweet)症候群による酒さ、全身性エリテマトーデスによる酒さ、蕁麻疹による酒さ、帯状疱疹関連痛による酒さ、サルコイドーシス、強皮症、局所性糸球体硬化症、敗血症性ショック症候群、肩腱炎又は滑液包炎、シェーグレン症候群、スティル病、脳卒中による脳細胞死、スウェーツ病、全身性エリテマトーデス;全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎;中毒性表皮壊死症;移植拒絶反応及び移植拒絶反応関連症候群;結核;1型糖尿病;潰瘍性大腸炎;ブドウ膜炎;血管炎及びヴェーゲナー肉芽腫症があげられる。
【0092】
本開示の他の態様は、例えば炎症の予防及び/又は治療のための治療剤として、本明細書中に開示されているような経皮組成物の使用に関する。特定の疾患に関連する炎症の症状及び徴候としては、関節リウマチ:関連する関節の疼痛、腫脹、熱感及び圧痛;全身性及び朝のこわばり;インスリン依存性糖尿病-インスリン依存性膵炎;この疾患は、網膜症、神経障害、腎症等の、炎症性の様々な合併症を誘発する可能性がある;冠動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患;自己免疫性甲状腺炎:脱力感、便秘、息切れ、顔面腫脹、手足の腫脹、末梢浮腫、徐脈;多発性硬化症:痙縮、霧視、めまい、四肢の衰弱、麻痺感;ブドウ膜網膜炎:夜間視力低下、末梢視力低下;エリテマトーデス:関節痛、発疹、光線過敏症、発熱、筋肉痛、手足の腫脹、尿検査異常(血尿、円柱腎炎、タンパク尿)、糸球体腎炎、認知機能障害、血管血栓症、心膜炎;強皮症:レイノー病;手、腕、足、顔面の腫脹;皮膚の肥厚;手指と膝の疼痛、腫脹、硬直、胃腸機能障害、拘束性肺疾患;心膜炎;腎不全;リウマチ性脊椎炎、変形性関節症、敗血症性関節炎及び多発性関節炎等の炎症性要素を有する他の関節疾患:発熱、疼痛、腫脹、圧痛;髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS痴呆脳炎等の他の炎症性脳疾患:羞明、認知機能障害、記憶喪失;網膜炎等の他の炎症性眼炎:視力低下;湿疹、アトピー、接触等の他の皮膚炎、乾癬、紫外線(太陽光線及び類似の紫外線源)による熱傷等の炎症性皮膚疾患:紅斑、疼痛、鱗屑形成、腫脹、圧痛;クローン病、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患:疼痛、下痢、便秘、直腸出血、発熱、関節炎;喘息:息切れ、喘鳴; アレルギー性鼻炎等の他のアレルギー:脳卒中感覚消失後の脳損傷、運動消失、認知障害等の急性外傷に伴うくしゃみ、かゆみ、鼻水、心筋虚血:疼痛、息切れ;成人呼吸促迫症候群で生じるような肺損傷:息切れ、過換気、酸素化低下、肺浸潤;敗血症等の感染に伴う炎症、敗血症性ショック、中毒性ショック症候群:発熱、呼吸不全、頻脈、低血圧、白血球増加;その他の特定の臓器や組織に関連する炎症状態、例えば、(i)腎炎(例えば、糸球体腎炎):乏尿、尿検査異常;(ii)炎症を起こした付属器:発熱、痛み、圧痛、白血球増加症;(iii)痛風:-関与する関節の痛み、圧痛、腫れ及び紅斑、血清及び/又は尿中尿酸の上昇;(iv)炎症を起こした胆嚢:-腹痛及び圧痛、発熱、悪心、白血球増加症;(v)うっ血性心不全:息切れ、ラレ、末梢浮腫;(vi)II型糖尿病:心臓血管、眼、腎、及び末梢血管疾患を含む最終臓器合併症;(vii)肺(肺)線維症:換気過多、息切れ、酸素化の減少;(viii)アテローム性動脈硬化症や再狭窄などの血管疾患:痛み、感覚の喪失、脈拍の減少、機能の喪失;及び(ix)移植拒絶につながる同種免疫:痛み、圧痛、発熱。本開示の別の態様は、例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)、及び小児用自閉症スペクトラム障害(ASD)の予防及び/又は治療のための治療剤として、本明細書中に開示されている経皮組成物の使用に関する。
カンナビジオール、その遊離塩基、その塩、その異性体、その非晶質形態、その結晶形態、その共結晶形態、そのプロドラッグ、その類似体、その誘導体、その合成形態、その生合成形態、その活性代謝物を、単独又は組み合わせて、経皮剤形又は経皮パッチで、以下の:例えば1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、8~約13日に1回、2週間に1回、15日に1回等のいずれかの投与レジメンで皮膚表面に適用することができるが、これらに限定されない。
【実施例14】
【0093】
経皮送達用の合成カンナビジオール(CBD)剤形(剤形番号)001、002、003、004及び005)は表1に示すように成分を混合して調製した:

表1:経皮的合成カンナビジオール剤形
【0094】
【表1】

表1のすべての成分を、CBDを除いて、18時間撹拌しながら混合した。次に、CBDを賦形剤混合物に添加して、最終経皮剤形を調製した。
【0095】
次いで、調製された経皮剤形を、以下のようにフラックス測定試験に供した。-80℃で保存したヒトの死体皮膚をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、室温で解凍し、欠陥がないか目視検査した後、本試験に用いた。次に、円筒形のドナーコンパートメントと、13mLの容量がある別個のウォータージャケット付き円筒形の受容体コンパートメントで構成される標準フランツ拡散セルを用いて経皮フラックスを測定した。ヒトの死体の皮膚を、真皮側が受容体コンパートメントに面するように、2つのコンパートメントの間にクランプした。ドナーコンパートメントを、上記のように調製された経皮的CBD剤形で満たした。受容体コンパートメントを受容培地で満たし、一定温度に保ち、CBDが皮膚を通って受容体コンパートメントに拡散するときにCBDを収集するために、絶えず撹拌した。受容液が常に皮膚に接触していることを確認することが重要である。受容体コンパートメントは、CBDのアッセイのために24時間間隔で空にし、新しい受容体溶液と交換した。受容体コンパートメントの沈下状態を維持するためには、受容体コンパートメントのCBD濃度をその溶解度の10%未満に保つことが重要である。実験条件を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【実施例15】
【0098】
経皮送達用のさらなる合成カンナビジオール(CBD)剤形(剤形番号006~014)を、表4に示す成分を混合することにより調製した。
【0099】
【表4】
経皮送達用の合成カンナビジオール剤形(006-014)は、実施例1に記載したのと同じ手順によって調製した。また、実施例1に記載のようにフラックス測定を行った。実験条件は、実施例1の表2に示されたものと同じである。
ヒトの死体皮膚を通過するCBDのフラックスを最低48時間測定した、フラックス測定試験の結果を表5に示す。
【0100】
【表5】
【実施例16】
【0101】
表6に示すように、成分を混合することにより、経皮送達パッチ用の追加の合成カンナビジオール(CBD)剤形(剤形番号015~018)を調製した。
【0102】
【表6】
合成カンナビジオールを含む経皮パッチを調製するために、CBDを除く表6の全ての成分を18時間撹拌しながら混合した。次に、剤形を広げる30分前にCBDを添加した。この剤形は、市販のベンチトップスプレッダーを用いて塗布した。具体的には、配合マトリクスが均一に広がっている剥離ライナー(3M 9744等)の厚さが0.5mmの8×14インチシートに剤形マトリクスを均一に分散させる。次いで、シートを100°Fのオーブンに1時間入れ、酢酸エチル及びエタノール接着剤溶媒を蒸発させる。次いで、光劣化及び酸化劣化を防止するため、酸素に対する透過性の低い不透明なバッキングフィルム(3M 9730 NR膜等)を手作業でシートに注意深く塗布し、気泡及びボイドの形成を回避する。円形のダイ(直径1.5インチ)(7cm)を用いてパッチを切断し、その後の試験を行った。
【0103】
上記実施例における経皮剤形のフラックス測定の一般的手順は以下の通りであった。-80℃で保存したヒトの死体皮膚をPBSで、室温で解凍し、欠陥がないか目視検査した後、本試験に用いた。次に、円筒形のドナーコンパートメントと、13mLの容量がある別個のウォータージャケット付き円筒形の受容体コンパートメントで構成される標準フランツ拡散セルを用いて経皮フラックスを測定した。ヒトの死体の皮膚を、真皮側が受容体コンパートメントに面するように、2つのコンパートメントの間にクランプした。経皮粘着パッチのフラックス測定の一般的手順は以下の通りである。剥離ライナーをパッチから剥離し、接着面をヒトの死体皮膚片に適用する。経皮パッチは以下の通りであった皮膚の側面にパッチを貼付し、ドナーコンパートメントと接触させて皮膚に付着させた。経皮パッチは、ドナーコンパートメントと接触している皮膚の側面のパッチで皮膚に接着した。受容体コンパートメントを受容培地で満たし、一定温度に保ち、CBDが皮膚を通って受容体コンパートメントに拡散するときにCBDを収集するために、絶えず撹拌した。受容液が常に皮膚に接触していることが確認された。受容体コンパートメントは、CBDのアッセイのために24時間間隔で空にし、新しい受容体溶液と交換した。受容体コンパートメントの沈下状態を維持するためには、受容体コンパートメントのCBD濃度をその溶解度の10%未満に保たれた。実験条件は、実施例15の表2に示されたものと同じである。
【0104】
本明細書では、本発明が、その特定の実施の形態又は実施例について詳細に説明されているが、当業者であれば、本発明の範囲及び技術思想から離脱することなく、種々の変形例及び修正例に想到することができることは明らかであろう。
【0105】
参考文献
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【国際調査報告】