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特表2022-551738薬物送達デバイス再構成のためのシステム及び手法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス再構成のためのシステム及び手法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A61J1/20 314Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522309
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 US2020055873
(87)【国際公開番号】W WO2021076825
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/923,179
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マロイ,ショーン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA11
(57)【要約】
送達のための薬物を調製する方法及びこれを達成するための薬物送達システムが開示される。送達のための薬物を調製する方法は、希釈剤容器内に収容された希釈剤を用意することと、薬物製品容器内に収容された薬物製品を用意することとを含んでもよい。方法は、希釈剤容器と薬物製品容器とを流体接続することを更に含んでもよい。追加的に、方法は、希釈剤の少なくとも一部を、ポンプによって、希釈剤容器から薬物製品容器内に付勢して薬物製品を少なくとも部分的に再構成することを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達のための薬物を調製する方法であって、
希釈剤容器内に収容された希釈剤を用意することと、
薬物製品容器内に収容された薬物製品を用意することと、
前記希釈剤容器と前記薬物製品容器とを流体接続することと、
前記希釈剤の少なくとも一部を、ポンプによって、前記希釈剤容器から前記薬物製品容器内に付勢して前記薬物製品を少なくとも部分的に再構成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ポンプを作動させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶液容器内に収容された所定量の生理食塩水及び所定量の静脈内安定化溶液(「IVSS」)を用意することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定量の生理食塩水及び前記所定量のIVSSの少なくとも一部を、前記ポンプによって、前記溶液容器から前記薬物製品容器内に付勢することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記希釈剤容器及び前記溶液容器のうちの一方を前記薬物製品容器に選択的に流体接続するように構成された弁を用意することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記希釈剤容器及び前記溶液容器のうちの一方を前記薬物製品容器に流体接続するように前記弁を構成することと、
前記希釈剤容器からの前記希釈剤の少なくとも一部並びに前記溶液容器からの前記所定量の生理食塩水及び前記所定量のIVSSの少なくとも一部のうちの一方を、前記ポンプによって、前記薬物製品容器内に付勢することと
を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記希釈剤容器及び前記溶液容器のうちの他方を前記薬物製品容器に流体接続するように前記弁を構成することと、
前記希釈剤容器からの前記希釈剤の前記少なくとも一部並びに前記溶液容器からの前記所定量の生理食塩水及び前記所定量のIVSSの前記少なくとも一部のうちの他方を、前記ポンプによって、前記薬物製品容器内に付勢することと
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記弁は、親水性フィルタを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記希釈剤は、注入用水(「WFI」)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記希釈剤容器は、ソフトバッグである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記薬物製品容器は、ソフトバッグである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液容器は、ソフトバッグである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
無菌コネクタを介して前記希釈剤容器を前記薬物製品容器に流体結合する工程を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
無菌コネクタを介して前記溶液容器を前記薬物製品容器に流体結合する工程を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記IVSSは、前処理界面活性剤又はポリソルベート80を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記所定量の希釈剤は、約0.5mL~約10mLである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記所定量の生理食塩水は、約50mL~約500mLである、請求項3~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記所定量のIVSSは、約1mL~約30mLである、請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
共通のキットパッケージから前記薬物製品容器及び前記希釈剤容器を取り外す工程を更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記薬物製品は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))の形態である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記BiTE(登録商標)は、半減期延長(HLE)BiTE(登録商標)である、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
薬物送達システムであって、
希釈剤を収容する希釈剤容器と、
薬物製品を収容する薬物製品容器と、
前記希釈剤容器と前記薬物製品容器とを少なくとも選択的に流体接続するように構成された少なくとも1つの流体経路コネクタと、
前記流体経路コネクタと機能的に接続するとともに、前記希釈剤の少なくとも一部を前記希釈剤容器から前記薬物製品容器内に付勢して前記薬物製品を少なくとも部分的に再構成するように構成されたポンプと
を含む、薬物送達システム。
【請求項23】
所定量の生理食塩水と所定量の静脈内安定化溶液(「IVSS」)とを収容する溶液容器を更に含む、請求項22に記載の薬物送達システム。
【請求項24】
前記ポンプは、前記所定量の生理食塩水及び前記所定量のIVSSの少なくとも一部を前記溶液容器から前記薬物製品容器内に付勢するように構成される、請求項23に記載の薬物送達システム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの流体経路コネクタは、前記希釈剤容器及び前記溶液容器のうちの一方を前記薬物製品容器に選択的に流体接続するように構成された弁を含む、請求項23又は24に記載の薬物送達システム。
【請求項26】
前記弁は、親水性フィルタを含む、請求項25に記載の薬物送達システム。
【請求項27】
前記ポンプは、蠕動ポンプである、請求項22~26のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項28】
前記希釈剤容器、前記薬物製品容器、及び前記ポンプは、共通のキットパッケージからのものである、請求項22~27のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項29】
前記共通のキットパッケージは、前記溶液容器と前記少なくとも1つの流体経路コネクタとを更に含む、請求項28に記載の薬物送達システム。
【請求項30】
前記薬物製品は、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))の形態である、請求項22~29のいずれか一項に記載の薬物送達システム。
【請求項31】
前記BiTE(登録商標)は、半減期延長(HLE)BiTE(登録商標)である、請求項30に記載の薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
「Systems And Approaches For Drug Delivery Device Reconstitution」という名称の、2019年10月18日に出願された米国仮出願第62/923,179号明細書に対する優先権の利益が本明細書により主張されており、これらの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して薬物送達デバイスに関し、より詳細には、薬物送達デバイスのための再構成手法に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物は、様々な状態及び疾患を治療するために投与される。静脈内(「IV」)療法は、送達容器(例えば、ソフトバッグ)内に収容された点滴液を用いて、患者の静脈内に直接薬物を送達する薬物投与プロセスである。これらの薬物投与は、医療施設で行われる場合もあれば、場合により患者の自宅などの遠隔の場所で行われる場合もある。特定の用途では、薬物製品は、医療施設(例えば、入院施設、外来患者施設、及び/又は薬局)に粉末形態又は凍結乾燥形態で出荷されることがある。
【0004】
これらの薬物を投与のために再構成するときに、薬物の品質を悪化させない、薬物の無菌状態を損なわない、又は薬物の品質を別様に損ねないように、無菌環境を維持することが特に重要である。追加的に、二重特異性T細胞エンゲージャーなどの一部のクラスの薬物は、薬物製品が毒性になるのを防止するために、投与に必要な極めて正確な量の薬物製品及び/又は他の流体を必要とする場合がある。多くの場合、医療専門家は、場合により、正しい手順に従うことを含む、無菌環境が維持されることと、正しい量の成分が送達容器に添加されることとを確実にするために、一組の工程に厳密に従うことによって、薬物を調製しなければならない。これらの薬物を投与のために再構成するときに、薬物製品バイアルに希釈剤を添加することなどによって、希釈剤を利用することが望ましいか又は必要である場合がある。これらの様々な工程及び要件の結果として、再構成プロセスは、時間がかかり、面倒であることがあり、許容できない又は望ましくないエラー率をもたらすことがある。
【0005】
凍結乾燥された腫瘍製品を再構成する現在のプロセスは、多くの場合、認可された薬剤師によって病院又は特殊配合薬局のいずれかで行われる。フードの使用は、多くの場合、工程の複雑さを考えると薬剤師にとって煩わしい可能性がある無菌作業環境を提供する再構成工程を実施するために必要とされる。加えて、この再構成プロセスは、注入用滅菌水(WFI)、生理食塩水及び/又は静脈内溶液安定化剤(IVSS)溶液を抜き取る/添加するための複数の針の使用を伴う。典型的には、IVバッグ内で調製された二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))分子(例えばBlincyto(登録商標))などの比較的複雑な腫瘍製品については、特定量のWFIが、針及びシリンジシステムの使用によって、バイアル内に収容された凍結乾燥薬物製品を再構成するために添加される。次いで、再構成済みの最終薬物製品が導入される前に、適切な量の生理食塩水及びIVSS溶液が空のIVバッグに添加される。プロセス全体は、システムの各々が手作業の時間と潜在的な針への露出とを伴う、最大で5つの針及びシリンジシステムを必要とすることがある。更に、この複雑な調製中のフードの使用によって、リスクがもたらされることがある。
【0006】
加えて、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)によって実施されている現行の規制要件により、特定の腫瘍製品は、追加の保護手段としての閉鎖式薬物移送システム(CSTD)などの追加の工学的制御の使用を必要とする有害薬物リストに含まれている。また、薬物がNIOSHリストに載っているかどうかにかかわらず、CSTD及び/又は他の構成要素/システムを利用して、空気中への煙の望ましくない放出又は他の曝露を最小限に抑えるか又は防ぐことが有利である場合がある。
【0007】
以下に更に詳述するように、本開示は、既存のシステム及び方法に対する有利な代替案を具現化した薬物送達デバイス再構成のためのシステム及び方法を説明するものであり、本明細書で述べる課題又はニーズの1つ又は複数に対処するとともに他の利益及び利点も提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、送達のための薬物を調製する方法を提供する。方法は、(a)希釈剤容器内に収容された希釈剤を用意することと、(b)薬物製品容器内に収容された薬物製品を用意することと、(c)希釈剤容器と薬物製品容器とを流体接続することと、(d)希釈剤の少なくとも一部を、ポンプによって、希釈剤容器から薬物製品容器内に付勢して薬物製品を少なくとも部分的に再構成することとを含んでもよい。
【0009】
本開示の追加の態様は、希釈剤容器と、薬物製品容器と、少なくとも1つの流体経路コネクタと、ポンプとを含む薬物送達システムを提供する。希釈剤容器は希釈剤を収容してもよく、薬物製品容器は薬物製品を収容してもよい。少なくとも1つの流体経路は、希釈剤容器と薬物製品容器とを少なくとも選択的に流体接続するように構成されてもよい。ポンプは、流体経路コネクタと機能的に接続するとともに、希釈剤の少なくとも一部を希釈剤容器から薬物製品容器内に付勢して薬物製品を少なくとも部分的に再構成するように構成されてもよい。
【0010】
上記の必要性は、特に図面と併せて研究される、以下の詳細な説明に記載される薬物送達デバイス再構成のためのシステム及び手法の提供を通して少なくとも部分的に満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】様々な実施形態による、例示的な薬物送達システム構成要素を示す。
図2】様々な実施形態による、動作構成にある図1に示す薬物ポンプを示す。
図3】様々な実施形態による、例示的な薬物送達システムを示す。
図4】様々な実施形態による、図1のシステムを使用して薬物送達デバイスを準備するための例示的な手法を示す。
図5】様々な実施形態による、薬物送達システムの例示的な使用構成を示す。
図6】様々な実施形態による、例示的な薬物送達システムを示す。
図7】様々な実施形態による、例示的な薬物送達システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当業者であれば、図中の要素は簡略化及び明確化のために描かれているものであり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中の要素のうちのいくつかの寸法及び/又は相対位置は、本発明の様々な実施形態の理解を向上させるのに役立つように他の要素に対して誇張される場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要な、一般的ではあるが十分に理解されている要素は、これら様々な実施形態の図をあまり妨げないようにするために示されないことが多い。更に、特定の行為及び/又は工程は、特定の発生順序で記載される又は示される場合があることは認識されるであろうが、当業者であれば、順序に関するこのような特定性は実際には必要ないことを理解するであろう。本明細書で使用される用語及び表現は、異なる特定の意味が本明細書で説明される場合を除き、上述のように、こうした用語及び表現に当業者が与えるような通常の技術的な意味を有することも理解されるであろう。
【0013】
本開示は、概して、希釈剤を収容する希釈剤容器と、薬物製品を収容する薬物製品容器と、希釈剤容器と薬物製品容器とを少なくとも選択的に流体接続する流体経路コネクタと、流体経路コネクタと機能的に接続する(例えば、動作可能に接続される)とともに、希釈剤の少なくとも一部を希釈剤容器から薬物製品容器内に付勢して薬物製品を少なくとも部分的に再構成するように構成されたポンプとを含む、薬物送達デバイス及び薬物送達デバイスを準備する方法に関する。本開示はまた、所定量の生理食塩水と所定量の静脈内安定化溶液(「IVSS」)とを収容する溶液容器を含んでもよい。そのようなシステムでは、ポンプは、所定量の生理食塩水及び所定量のIVSSの少なくとも一部を溶液容器から薬物製品容器内に付勢することができる。
【0014】
例えば、薬物製品は、バルク凍結乾燥して、典型的にはIVポンプで投与するために使用されるカートリッジ内に充填することができる。必要であれば、最終投与溶液に必要とされる脱水形態のIVSS、NaCl、及び他の任意の成分を長期貯蔵のためにバルク凍結乾燥してカセット内に充填することができる。任意の投与カセット用のキットの一部として、補完的な注入用滅菌水(sWFI)カセットを提供することができ、注入用滅菌水(sWFI)は、製品を投与のために再構成するための希釈剤として作用する。再構成は、追加の付属品なしに再構成を実施するために投与ポンプ自体を利用して、簡単且つ巧妙な方法で行うことができる。次いで、sWFIカートリッジは、図6に見られるように、IVポンプと結合されてもよい。例えば、2つのカートリッジは、簡単なルアーアダプタ又はカートリッジの一体接続部を介して接続される。次いで、「再構成モード」のための簡単なボタン又はモード設定を選択することができ、この「再構成モード」は、図6に見られるように、凍結乾燥物を再構成するためにsWFIカートリッジの内容物を取り出してLyoカートリッジ内に送るようにポンプに指示する。内容物が取り出された後に、完全に再構成済みのカセットは、ポンプに接続されて、患者への投与を行うことができる。この調製は、薬局で又はHCPの診療室若しくは患者の自宅などの別の場所で完了することができる場合がある。
【0015】
図1及び図2に移ると、これらの様々な実施形態に従って、薬物送達システム1又はキットと、薬物送達システム1を使用して薬物送達デバイスを準備する対応する方法とが提供される。医療専門家、介護者、又は患者は、薬物送達システム1を使用して、患者への送達のために薬物送達デバイスを準備することができる。薬物送達システム1は、システム1内に含まれる多くの成分が正しい投与量で事前充填及び/又は事前混合されるという点で、従来のシステムと異なる。結果として、正しい量の成分が投与されることを確実にする一方で、医療専門家、介護者、又は患者による薬物送達デバイスの準備が軽減される。システム1は、静脈内、皮下、動脈内、筋肉内、及び/又は硬膜外の送達手法を提供するために使用されてもよい。このシステム1を使用することで、薬物調製プロセスによって生じる調製の複雑さ及び待ち時間の減少に起因して、患者の不安及び/又は錯乱が軽減されることがある。追加的に、システム1は、医療提供者、薬剤師、患者、及び/又は、薬剤の調製、提供若しくは使用に関与する他の個人が、薬物送達のためのより合理化され、予測可能で且つ/又は効果的なプロセスを有することを許容してもよい。例えば、システム1は、患者によって使用される薬剤を薬剤師が調製するのに費やす時間を減らし、患者によって使用される薬剤を薬剤師が調製するために手作業で行わなければならない工程の数を低減し、且つ/又は薬剤調製プロセスの全体的な効率を改善してもよい。より具体的な例として、システム1は、希釈剤を添加し、次いで、生理食塩水及び/又はIVSSを含有する溶液を添加することなどの、いくつかの工程を伴う薬剤調製、及び/又は長い調製時間を必要とする薬剤投与での使用に特に有利である場合がある。
【0016】
図1に示す薬物送達システム1は、概して、希釈剤12を収容する希釈剤容器10と、薬物製品22を収容する薬物製品容器20と、希釈剤容器10と薬物製品容器20とを少なくとも選択的に流体接続する流体経路コネクタ30と、流体経路コネクタ30と機能的に接続するとともに、希釈剤12の少なくとも一部を希釈剤容器10から薬物製品容器20内に付勢して薬物製品22を少なくとも部分的に再構成するように構成されたポンプ40とを含む。図1に示す薬物送達システム1はまた、所定量の生理食塩水52と所定量の静脈内安定化溶液(「IVSS」)54とを収容する溶液容器50を含んでもよい。図に示す所定量の生理食塩水52及び所定量のIVSS54が混合され、一般に水溶液を形成するが、他の構成も適切である場合がある。そのようなシステムでは、ポンプ40は、所定量の生理食塩水52及び所定量のIVSS54の少なくとも一部を溶液容器から薬物製品容器内に付勢することができる。
【0017】
図1に示すポンプ40は、蠕動ポンプ、容積型ポンプ、又は流体経路コネクタ30に機能的に接続される他の任意の適切な種類のポンプであってもよい。例えば、流体経路コネクタ30は、略円形になるようにループ状にされた部分を有する管であってもよく、取り外し可能なポンプヘッド42は、管部分と、略円形の移動経路を進み、その途中で、管部分を締め付けて、管を通って移動するように流体を付勢する回転構成要素とを有する蠕動ポンプヘッドであってもよい。そのような構成では、取り外し可能なポンプヘッド42は、管を通って移動する流体がポンプヘッド42の構成要素に直接接触していなくても、流体経路コネクタ30に機能的に接続される。別の例として、ポンプは、管を通って移動する流体に直接接触する構成要素を有してもよい。別の例として、任意の適切なポンプが使用されてもよい。追加的に、又は代替的に、ポンプの代わりに、システムは、希釈剤12を薬物製品容器20内に付勢する、様々な容器間の負圧配置などの、混合のための別の構成又はプロセスを利用してもよい。
【0018】
ポンプ40は、それぞれの容器10、20、50のうちの1つ又は複数が互いに結合された時点で自動的に作動されてもよく、又はポンプ40は、作動ボタン44又は他の適切な構成要素によって作動されてもよい。例えば、作動ボタン44は、ポンプ40を操作する内部コントローラ及び/又は電気機械的構成要素に機能的に接続されてもよい。
【0019】
流体経路コネクタ30は、ポンプヘッド42と結合された管30a、ステークコネクタ34bを介して希釈剤容器10と流体結合された管30b、ステークコネクタ34cを介して薬物製品容器20と流体接続された管30c、及び/又はステークコネクタ34dを介して溶液容器50と流体接続された管30dなどの、いくつかの異なる管を含んでもよい。コネクタ32b、32c、32dは、無菌性又は別の望ましい清浄度基準を維持しながら互いに選択的に嵌合するそれぞれのサブ構成要素を備えた迅速接続無菌コネクタであってもよい。例えば、迅速接続無菌コネクタは、互いにスナップ嵌合するか、絡まり合うか、若しくは螺合し、迅速接続無菌コネクタは、接続時に鞘若しくは覆いが外される有鞘の及び覆われた構成要素を有してもよく、且つ/又は迅速接続無菌コネクタは、ルアーロック構成若しくは修正されたルアーロック構成を有してもよい。1つの例示的な動作中に、希釈剤容器10は、コネクタ32b、32cを介して薬物製品容器20と選択的に結合され、ポンプヘッド42は、希釈剤容器10から希釈剤12を付勢して薬物製品容器内の薬物製品22と相互作用させるように動作する。次に、例示的な動作における別の工程中に、希釈剤容器10は、コネクタ32bを介してのポンプヘッド42との流体接続から切り離され、次いで、溶液容器50は、コネクタ32dを介して管30aと流体結合される。次いで、ポンプヘッドは、様々な成分(薬物製品22、希釈剤12、生理食塩水52、及びIVSS54)が十分に混合されてこの組み合わせを患者への送達のために利用できるように、生理食塩水52及びIVSS54を薬物製品容器20内に付勢することができる。より具体的な例として、薬物製品容器20が所望の成分の所望の混合物を有した時点で、薬物製品容器20は、静脈ライン、ポート、カテーテル、又は他の適切な薬物送達構成要素を介して、患者への送達のためのポンプヘッド42と流体接続されてもよい。
【0020】
図1に示すそれぞれの容器10、20、50は、一度に2つずつ互いに流体結合されているが、管30dが管30bと流体接続され、その間、管30bも管30cに流体接続される場合などの、他の適切な構成が使用されてもよい。例えば、管30dは、希釈剤容器10が空になるか又は実質的に空になるまでポンプが希釈剤を希釈剤容器10から付勢し、次いで、ポンプ42からの真空力によって溶液容器50の内容物が流体経路コネクタ30の様々な構成要素を通って薬物製品容器20内に付勢されるように、ステーク34bと流体接続されてもよい。
【0021】
追加的に、又は代替的に、それぞれの成分12、22、52、54が吸引される方向と、成分が混合される容器10、20、50が異なってもよい。例えば、希釈剤12が、上述のように薬物製品容器20内に付勢されてもよく、次いで、薬物製品22/希釈剤12混合物が、溶液52及びIVSS54との混合のために溶液容器50内に付勢されてもよい。コネクタ32b、32c、32dは、ユーザに対して柔軟な構成を可能にする。
【0022】
いくつかの例では、IVSS54は、溶液の全体積に対する割合として提供されてもよい。これらの例では、IVSS54の適切な量は、約2%~約15%(例えば、50mLの容器内の約1mL~より大きな270mLの容器内の約25mL、図4の工程202を参照)の範囲であってもよい。IVSS54はまた、容器50の壁への薬物の吸着を防止する前処理界面活性剤又は緩衝成分として作用することができる。例えば、容器がIVSS54で十分且つ適切にコーティングされていない場合、投与されるいくつかの薬物の高度に強力な性質に起因して、薬物分子が容器の内壁に付着又は吸着する望ましくないリスクにつながることがある。送達容器の壁に薬物が吸着した場合、薬物の投与量に悪影響が及ぶことがある。このような状況では、前の段落で述べた例示的な工程を利用することが望ましい場合がある。
【0023】
いくつかの例では、IVSS54は、ポリソルベートを含んでもよい。いくつかの例では、IVSS54製剤は、約1.25Mのリジン一塩酸塩、25mMのクエン酸一水和物、0.1%(w/v)のポリソルベート80を含んでもよく、約7.0のpHを有する。他の例では、IVSS54は、同様の製剤を含むが、少なくとも約0.9%のNaCl及び約0.001~約0.1%(w/v)のポリソルベート80も有してもよい。異なるBiTEは、送達容器内に異なる最終的な割合のIVSS54を必要とすることが理解される。この割合は、送達容器内の最終体積の約0.5%~約12%の間で異なり得る。更に、クエン酸塩は、ガラスバイアル内に充填された場合に、ガラス剥離のリスクを高めることがある。クエン酸塩が薬物製品の安定化(製品毎に決定される)のために必要である場合、送達容器は、crystal zenith(CZ)ポリマー又は他のプラスチック組成物から構築されてもよい。適切なIVSS54のための成分の他の例も可能である。適切なIVSS54濃度は、タンパク質とプラスチックとの相互作用及び/又は表面吸着を、より具体的には、僅かな損失でさえ有効量を変化させる可能性があり得る濃度範囲の下限において防ぐ。以下の表は、様々なIVSS濃度についての例示的な成分濃度を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
選択的に接続可能な容器内に成分12、22、52、54を用意することによって、針及びシリンジアセンブリを準備して、ある成分を別の容器に注入し、この準備された針及びシリンジアセンブリが無菌であることを確実にし、且つ/又は正しい体積若しくは量の成分が一緒に添加されることを確実にする必要がもはやなくなる可能性がある。
【0026】
いくつかの従来のシステムは、投与量に必要な量よりも多くの生理食塩水が送達容器に提供される場合に、生理食塩水が過剰に充填された送達容器を提供することがある。これらのシステムでは、無菌の抜き取りツール(例えば、針及びシリンジアセンブリ)を準備して正確な量の生理食塩水を慎重に抜き取る必要があり得る、薬物投与量の調製に先立って一定量の生理食塩水を除去する必要がある場合がある。逆に、開示のシステム1は、送達容器に所要量の成分が事前充填されているので、このプロセスを更に排除する。追加的に、成分の移送に起因する針刺しのリスクも低減又は緩和されることがある。
【0027】
追加的に、上記の工程の多く又は全ては、自動化若しくは半自動化されるか、又は時間/範囲が低減されてもよく、それにより、薬物を調製及び/又は使用する人の時間及び労力が節約される可能性がある。
【0028】
上述のように、薬物製品容器20は、図示の例では、再構成を必要とする粉末形態(すなわち、凍結乾燥形態)である、BiTE(登録商標)及び容器サイズに応じて、所定量(例えば、約2mcg~約100mcg)の薬物製品22又は活性医薬成分(「API」)を収容する。他の例では、薬物製品22は、液体形態であってもよく、再構成を必要としない場合がある。それにもかかわらず、システム1は、正確な量の薬物製品22を含むので、無菌環境で薬物製品22に追加の量を添加する必要はない。いくつかの例では、APIは、所望により、半減期延長(「HLE」)BiTE(登録商標)及び/又はIV投与のモノクローナル抗体(「mAb」)の形態であってもよい。これらのHLE BiTEは、より長い半減期及び延長された半減期などの異なる薬物特性を有利に提供する抗体Fc領域を含む。よって、そのようなAPIは、比較的長い期間にわたって患者の保護レベルを維持できるので好ましい場合がある。それにもかかわらず、他の例では、APIは、専門的な医療環境で投与されるべき標準のBiTEの形態であってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、薬物送達システム1は、凍結乾燥薬物を液体形態に希釈するために搭載された内蔵型の再構成サブシステムを有してもよい。特定のそのような実施形態では、希釈溶液を貯蔵するための希釈剤リザーバが含まれていてもよく、凍結乾燥化合物を希釈溶液と別々に貯蔵する凍結乾燥物リザーバが含まれてもよい。更に、希釈剤リザーバ内の希釈溶液を凍結乾燥物リザーバ内の凍結乾燥化合物と混合するための流体駆動機構が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、流体駆動機構は、希釈溶液を希釈剤リザーバから凍結乾燥物リザーバに移動させてもよい、並びに/又は完全な再構成を得るのに必要な任意の循環及び/若しくは撹拌を提供してもよい。いくつかの実施形態では、追加的な再構成済みの最終薬物用のリザーバが含まれてもよく、再構成済みの薬物が患者に放出される送達リザーバとしての役割を果たしてもよい。その一方で、他の実施形態では、凍結乾燥物リザーバは送達リザーバとしての役割を果たしてもよい。特定の実施形態では、再構成サブシステムは薬物送達システム1に物理的に内蔵され得るが、他の実施形態では、再構成サブシステムは、薬物送達システム1と流体連通する別個のユニットを構成してもよい。別個のユニットを有することで、特定の場合における医療提供者の再構成プロセスを簡略化してもよい。
【0030】
薬物製品容器20は、IVバッグ、バイアル、事前充填シリンジ、又は内容積を画定する再構成容器本体を含む同様の容器の形態であってもよい。内容積は無菌であってもよい。いくつかの手法では、再構成容器アダプタはまた、バイアルアダプタに嵌合、係合及び/又は結合するCSTDであってもよい(又は、事前充填再構成容器がシリンジの形態である例では、容器アダプタは針であってもよい)。追加的又は代替的に、薬物製品22は、バルク凍結乾燥して、典型的にはIVポンプで投与するために使用されるカートリッジ又は容器内に充填することができる。必要であれば、最終投与溶液に必要とされる脱水形態のIVSS、NaCl、及び他の任意の成分を長期貯蔵のためにバルク凍結乾燥してカセット内に充填することができる。
【0031】
事前充填希釈剤容器10は、薬物製品22の再構成のために事前充填薬物製品容器20に添加されるべき所定量の希釈剤12(例えば、保存剤を含まない注入用水又は「WFI」)(例えば、約0.5mL~約10mL)を収容する。いくつかの例では、ベンジルアルコールで保存した(又は他の任意の保存剤を含む)WFIが使用されてもよい。
【0032】
既に述べたように、いくつかの例では、事前充填薬物製品容器は、薬物製品を収容する事前充填シリンジの形態であってもよい。これらの例では、薬物製品は、モノクローナル抗体(mAb)と併せて使用される液体BiTE(登録商標)製剤の形態であってもよい。これらの例では、薬物製品は、容器内へのより従来的な針-シリンジの注入/送達が好ましい場合には、有利にはサプライチェーン及び製造管理を簡略化及び/又は改善し得、更に、医療施設における貯蔵システム内のより少ない空間を占有するよりコンパクトな商業用包装を可能にし得る、バイアルアダプタシステム(上述のCSTDなど)を使用せずに、送達容器に直接添加されてもよい。これらの例では、事前充填薬物製品バイアルは、送達容器への薬物製品の移送に先立って再構成される必要がある場合もない場合もある。
【0033】
システム1は、共通のキットパッケージ60として流通及び/又は販売されてもよいが、他の適切な流通/パッケージも適切である。薬物製品は、半減期が延長された二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))の形態であってもよいが、他の薬物製品も適切である。希釈剤12は、注入用水(「WFI」)を含むが、他の希釈剤も適切である場合がある。容器10、20、50は、IVバッグなどの、ソフト(例えば、可撓性)バッグであってもよいが、他の容器も適切である場合がある。いくつかの例では、容器10、20、50の1つ又は複数は、プラスチック又は他の材料から構築されたIV点滴バッグ、例えば、ポリオレフィン、非DEHP(フタル酸ジエチルヘキシル)、PVC、ポリウレタン、又はEVA(エチレン酢酸ビニル)などの適切な材料で構築された250mLの0.9%塩化ナトリウムIVバッグの形態であり、長期貯蔵の間中の潜在的な水分損失を考慮して、約270mLの容量まで充填することができる。
【0034】
次に、上記の工程のいくつか又は全ての工程中に、成分を混合するために、容器の内容物を緩やかに攪拌し、渦流化し、且つ/又は反転させ、それにより、所望の混合物を形成してもよい。同様に、混合物は、不完全性について及び/又は適切な混合が行われたことを確認するために目視検査されてもよい。
【0035】
所望により薬物製品22及び他の成分が混合された時点で、薬物製品容器20(又は混合された薬物製品22及び他の成分を保持する任意の容器)は、ポンプ40を利用して患者に送達されてもよい。例えば、同じポンプヘッド42が使用されてもよいが、一端部が容器10に接続され、別の端部が患者に接続される。代替的に、新しい未使用のポンプヘッド42が、この次の工程のために使用されてもよい。ポンプヘッド42は、使い捨て又は再利用可能であってもよい。同様に、ポンプ40の残り部分も再利用可能又は使い捨て(環境上の利点及びコスト面での利点のために好ましくは再利用可能)であってもよい。ポンプはまた、ポンプが一組のパラメータの下で動作する「再構成モード」と、ポンプが別の組のパラメータの下で動作する「送達モード」などの、異なるモードを有してもよい。代替的に、又は追加的に、ポンプは、ポンプ自体の制御によって又は無線でペアリングされたスマートフォン若しくは他の適切なデバイスなどの別のデバイスの制御によって、異なるモード又は速度又は他のパラメータで動作してもよい。
【0036】
ポンプ40は、ポンプヘッド42構成要素の取り外しと挿入とを容易する及び/又は操作の安全上の理由のための、ドア48及びロック46を含んでもよい。ポンプ40は、ドア48及びロック46が所望の位置にない限り動作しないように構成されてもよい。
【0037】
図2は、例示的な薬物送達モードにおけるポンプ40を示し、このモードでは、薬物製品22が溶解され、混合成分12、22、52、54が容器20全体に均一に分布している。再構成モードは、図2に示す構成と同様又は同じに見え得るが、追加の容器が互いに結合されている。
【0038】
図1に示す流体経路コネクタ30は、これらの容器のどちらが現時点で薬物製品容器20に流体を移送しているかに応じて、任意の時点で希釈剤容器10及び溶液容器50のうちの一方の容器に接続されてもよい。図7に示す薬物送達システム300は、システム300が弁360を追加的に含むことを除き、図1に示す上記のものと同様又は同一の多くの構成要素を含む。以下に更に詳述するように、弁330は、再構成プロセス全体を通して流体経路コネクタ330が希釈剤容器310と溶液容器350の両方に接続されたままであることを可能にしてもよい。以下では更に詳述されていない薬物送達システム300の要素は、図1に示す薬物送達システム1に関して上記した対応する番号が付与された要素と同様又は同一の構成、機能、及び/又は構造を有してもよい。
【0039】
弁360は、希釈剤容器310及び溶液容器350のうちの一方を薬物製品容器320に選択的に流体接続するように構成されてもよい。例として、弁360は、それぞれ管330e及び管330fを介して、希釈剤容器310及び溶液容器350とそれぞれ流体接続された少なくとも2つの入口又はポートを有してもよい。弁360は、管330aを介してポンプヘッド342と流体接続された少なくとも1つの出口又はポートを追加的に有してもよい。より具体的な例として、弁360は、その位置又は状態に応じて2つの入口のうちの一方と出口との間の通路を開放する一方で2つの入口のうちの他方の入口と出口との間の通路を閉鎖する移動可能又は作動可能な構成要素を含んでもよい。より更に具体的な例として、弁360は、例えば、ロータの内部にL字形の流体通路を有する3方向ボール弁を含む3方向弁であってもよい。別の例として、弁360は、希釈剤容器310及び溶液容器350のうちの一方を薬物製品容器320に選択的に流体接続するためのソレノイドなどの電子制御可能な要素を含んでもよい。別の例として、弁360には、親水性フィルタが組み込まれてもよい。親水性フィルタは、希釈剤容器310及び溶液容器350の一方からの流体の枯渇時に、希釈剤容器310及び溶液容器350の他方の容器から流体を強制的に引き出すか又は直接抜き取るように構成されてもよい。より具体的な例として、親水性フィルタは、希釈剤容器310及び溶液容器350の一方からの流体の枯渇時に、親水性フィルタが空の容器への通路を閉鎖し得るように、且つ少なくともいくつかの構成では、親水性フィルタによって、ポンプ340からの吸引力が希釈剤容器310及び溶液容器350の他方の容器から流体を抜き取るように方向付けられるように、流体の通過を許容するが、ガスの通過を防止するように構成されてもよい。
【0040】
図7に示すように、弁360は、ポンプ340及びポンプヘッド342とは別体である構成要素であってもよい。他の実施形態では、弁360は、ポンプ340及び/又はポンプヘッド342に組み込まれてもよい。
【0041】
1つの例示的な再構成プロセス中に、弁360は、希釈剤容器310を薬物製品容器320に流体接続するように構成されてもよく、ポンプヘッド342は、希釈剤容器310から希釈剤312を付勢して薬物製品容器320内の薬物製品322と相互作用させるように、ポンプ340によって駆動されてもよい。次に、例示的な動作における別の工程中に、弁360は、希釈剤容器を薬物製品容器320から流体的に切り離し、代わりに、溶液容器350を薬物製品容器320に流体接続するように構成されてもよい。続いて、ポンプヘッド342は、様々な成分(例えば、薬物製品322、希釈剤312、生理食塩水352、及びIVSS354)が十分に混合されてこの組み合わせを患者への送達のために利用できるように、生理食塩水352及びIVSS354を薬物製品容器320内に付勢するようにポンプ340によって駆動されてもよい。薬物製品容器320が所望の成分の所望の混合物を有した時点で、薬物製品容器320は、静脈ライン、ポート、カテーテル、又は他の適切な薬物送達構成要素を介して、患者への送達のためのポンプヘッド342と流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの薬物送達構成要素は、再構成プロセス中に弁360を希釈剤容器310若しくは溶液容器350と接続するために使用される弁360のポートの1つに又は弁360の別のポートに接続されてもよい。
【0042】
図3図5に移ると、様々な実施形態に従って、薬物送達システム100又はキットと、薬物送達システム100を使用して薬物送達デバイスを準備する対応する方法200とが提供される。システム100の特徴の多く又は全ては、システム1の特徴の多く又は全てとともに利用されてもよい。追加的に、システム1の特徴の多く又は全ては、システム100の特徴の多く又は全てとともに利用されてもよい。
【0043】
医療専門家、介護者、又は患者は、薬物送達システム100を使用して、患者への送達のために薬物送達デバイスを準備することができる。薬物送達システム100は、システム100内に含まれる多くの成分が正しい投与量で事前充填及び/又は事前混合されるという点で、従来のシステムと異なる。結果として、正しい量の成分が投与されることを確実にする一方で、医療専門家、介護者、又は患者による薬物送達デバイスの準備が軽減される。システム100は、静脈内、皮下、動脈内、筋肉内、及び/又は硬膜外の送達手法を提供するために使用されてもよい。このシステム100を使用することで、薬物調製プロセスによって生じる調製の複雑さ及び待ち時間の減少に起因して、患者の不安及び/又は錯乱が軽減されることがある。
【0044】
概して、図3に示すように、薬物送達システム100は、事前充填送達容器102と、事前充填薬物製品バイアル110と、事前充填再構成容器120とを含む。より具体的には、事前充填送達容器102は、内容積104を画定する容器本体103と、送達容器アダプタ105と、処方薬を送達するために管が結合されることを可能にするIVライン出口109とを含む。いくつかの例では、事前充填送達容器102は、プラスチック又は他の材料から構築されたIV点滴バッグ、例えば、ポリオレフィン、非DEHP(フタル酸ジエチルヘキシル)、PVC、ポリウレタン、又はEVA(エチレン酢酸ビニル)などの適切な材料で構築された250mLの0.9%塩化ナトリウムIVバッグの形態であり、長期貯蔵の間中の潜在的な水分損失を考慮して、約270mLの容量まで充填することができる。例えば、ガラス瓶又は容器(例えば、図5を参照)などの、適切な送達容器の他の例も可能である。例示的な適切な事前充填送達容器102は、明細書の各々の内容全体が参照により組み込まれる、2019年2月12日に出願された米国特許出願第62/804,447号明細書及び2019年7月22日に出願された米国特許出願第62/877,286号明細書に記載されている。
【0045】
送達容器アダプタ105は、容器本体103内への薬物及び/又は流体の移送を可能にする閉鎖式薬物移送システム(「CSTD」)であってもよい。例示的なCSTDデバイスとしては、B.Braun Medical Incによって提供されるOnGuard CSTD、BD PhaSeal CSTD構成要素、Equashield CSTD、Codon CSTDなどが挙げられ得る。更に、West Pharmaceuticalsのバイアル及びバッグアダプタなどの、非閉鎖式薬物移送システムが使用されてもよい。他の例も可能である。事前充填送達容器102は、異なる薬物製品バイアル110の使用に対応する異なる規格(例えば、ポートサイズ)を有する任意の数の送達容器アダプタ105を含んでもよい。
【0046】
事前充填送達容器102は、所定量(例えば、一定量)の賦形剤溶液を収容する。例えば、事前充填送達容器102は、所定量の生理食塩水108(例えば、容器のサイズに応じて、約50mL~500mLの0.9%塩化ナトリウム、好ましくは、約110mL又は約270mL)と所定量の静脈内安定化溶液(「IVSS」)106とを含むことができる。いくつかの例では、IVSS106は、溶液の全体積に対する割合として提供されてもよい。これらの例では、IVSS106の適切な量は、約2%~約15%(例えば、50mLの容器102内の約1mL~より大きな270mLの容器内の約25mL、図4の工程202を参照)の範囲であってもよい。いくつかの例では、事前充填送達容器102は、約270mLの総容量を有してもよい。IVSS106はまた、容器102の壁への薬物の吸着を防止する前処理界面活性剤又は緩衝成分として作用することができる。例えば、容器102がIVSS106で十分且つ適切にコーティングされていない場合、投与されるいくつかの薬物の高度に強力な性質に起因して、薬物分子が容器102の内壁に付着又は吸着する望ましくないリスクにつながることがある。送達容器の壁102に薬物が吸着した場合、薬物の投与量に悪影響が及ぶことがある。いくつかの例では、IVSS106は、ポリソルベート80を含んでもよい。いくつかの例では、IVSS106製剤は、約1.25Mのリジン一塩酸塩、25mMのクエン酸一水和物、0.1%(w/v)のポリソルベート80を含んでもよく、約7.0のpHを有する。他の例では、IVSS106は、同様の製剤を含むが、少なくとも約0.9%のNaCl及び約0.001~約0.1%(w/v)のポリソルベート80を有してもよい。異なるBiTEは、送達容器102内に異なる最終的な割合のIVSS106を必要とすることが理解される。この割合は、送達容器102内の最終体積の約0.5%~約12%の間で異なり得る。更に、クエン酸塩は、ガラスバイアル内に充填された場合に、ガラス剥離のリスクを高めることがある。クエン酸塩が薬物製品の安定化(製品毎に決定される)のために必要である場合、送達容器102は、CZ又は他のプラスチック組成物から構築されてもよい。適切なIVSS106のための成分の他の例も可能である。適切なIVSS106濃度は、タンパク質とプラスチックとの相互作用及び/又は表面吸着を、より具体的には、僅かな損失でさえ有効量を変化させる可能性があり得る濃度範囲の下限において防ぐ。以下の表は、様々なIVSS濃度についての例示的な成分濃度を示す。
【0047】
【表2】
【0048】
送達容器102内に事前充填されたIVSS106を用意することによって、IVSS106を収容するために使用される別個の容器がもはや必要ないので、システム100の全体的な設置面積が低減される。追加的に、針及びシリンジアセンブリを準備して、IVSS106を送達容器に注入し、この準備された針及びシリンジアセンブリが無菌であることを確実にし、且つ/又は正しい体積のIVSSが容器102に添加されることを確実にする必要がもはやなくなる。
【0049】
いくつかの従来のシステムは、投与量に必要な量よりも多くの生理食塩水108が送達容器に提供される場合に、生理食塩水108が過剰に充填された送達容器102を提供することがある。これらのシステムでは、無菌の抜き取りツール(例えば、針及びシリンジアセンブリ)を準備して正確な量の生理食塩水108を慎重に抜き取る必要があり得る、薬物投与量の調製に先立って一定量の生理食塩水108を除去する必要がある場合がある。逆に、開示のシステム100は、送達容器102に所要量の生理食塩水108が事前充填されているので、このプロセスを更に排除する。追加的に、容器102内へのIVSS106の移送及び/又は容器102からの生理食塩水108の移送に起因する針刺しのリスクも低減又は緩和されることがある。
【0050】
事前充填薬物製品バイアル又はシリンジ110は、内容積112を画定するバイアル本体111とバイアルアダプタ114とを含む。内容積112は無菌であってもよい。いくつかの手法では、バイアルアダプタ114はまた、送達容器アダプタ105に嵌合、係合及び/又は結合するCSTDであってもよい。事前充填薬物送達容器102と同様に、事前充填薬物製品バイアル110の内容積112は、図示の例では、再構成を必要とする粉末形態(すなわち、凍結乾燥形態)である、BiTE(登録商標)及びバイアルサイズに応じて、所定量の薬物製品又は活性医薬成分(「API」)116(例えば、約2mcg~約100mcg)を収容する。他の例では、薬物製品116は、液体形態であってもよく、再構成を必要としない場合がある。それにもかかわらず、システム100は、正確な量の薬物製品116を含むので、無菌環境で薬物製品116に追加の量を添加する必要はない。いくつかの例では、APIは、所望により、半減期延長(「HLE」)BiTE(登録商標)及び/又はIV投与のモノクローナル抗体(「mAb」)の形態であってもよい。これらのHLE BiTEは、より長い半減期及び延長された半減期などの異なる薬物特性を有利に提供する抗体Fc領域を含む。よって、そのようなAPIは、比較的長い期間にわたって患者の保護レベルを維持できるので好ましい場合がある。それにもかかわらず、他の例では、APIは、専門的な医療環境で投与されるべき標準のBiTEの形態であってもよい。
【0051】
事前充填再構成容器120は、バイアル、事前充填シリンジ、又は内容積122を画定する再構成容器本体121と再構成容器アダプタ124とを含む同様の容器の形態であってもよい。内容積122は無菌であってもよい。いくつかの手法では、再構成容器アダプタ124はまた、バイアルアダプタ114に嵌合、係合及び/又は結合するCSTDであってもよい(又は、事前充填再構成容器120がシリンジの形態である例では、容器アダプタ124は針であってもよい)。事前充填薬物送達容器102及び事前充填薬物製品バイアル110と同様に、事前充填再構成容器120は、薬物製品116の再構成のために事前充填薬物製品バイアル110に添加されるべき所定量の希釈剤(例えば、保存剤を含まない注入用水又は「WFI」)126(例えば、約0.5mL~約10mL)を収容する。いくつかの例では、ベンジルアルコールで保存した(又は他の任意の保存剤を含む)WFIが使用されてもよい。
【0052】
より具体的には、薬物製品116は、事前充填薬物製品バイアル110のバイアルアダプタ114を事前充填再構成容器120の再構成容器アダプタ124に嵌合させて、希釈剤124を薬物製品バイアル110内に移送することによって、送達容器102への添加に先立って再構成される(図4の工程204を参照)。次に、成分を混合するために、内容物を緩やかに攪拌し、渦流化し、且つ/又は反転させ、それにより、所望の混合物を形成してもよい。次いで、再構成済みの薬物製品バイアル110は、不完全性について及び/又は適切な混合が行われたことを確認するために目視検査されてもよい。
【0053】
既に述べたように、いくつかの例では、事前充填薬物製品バイアル110は、薬物製品116を収容する事前充填シリンジの形態であってもよい。これらの例では、薬物製品116は、モノクローナル抗体(mAb)と併せて使用される液体BiTE(登録商標)製剤の形態であってもよい。これらの例では、薬物製品116は、容器102内へのより従来的な針-シリンジの注入/送達が好ましい場合には、有利にはサプライチェーン及び製造管理を簡略化及び/又は改善し得、更に、医療施設における貯蔵システム内のより少ない空間を占有するよりコンパクトな商業用包装を可能にし得る、バイアルアダプタシステム(上述のCSTDなど)を使用せずに、送達容器102に直接添加されてもよい。これらの例では、事前充填薬物製品バイアル110は、送達容器102への薬物製品116の移送に先立って再構成される必要がある場合もない場合もある。
【0054】
次いで、事前充填薬物バイアル110内に収容された再構成済みの薬物は、事前充填薬物製品バイアル110のバイアルアダプタ114を送達容器102の送達容器アダプタ105に嵌合させることによって、薬物送達容器102内に移送されてもよい(図4の工程206を参照)。結果として、送達容器102内への再構成済みの薬物のこの移送は、抜き取りアセンブリ(例えば、ルアーロック針及びシリンジ機構)がないので、素早く(したがって、調製時間を大幅に減らす)且つ安全に実施される可能性がある。本明細書に記載するシステムは、バイアルの過圧に起因する針刺し及び/又は流出が生じる可能性を回避及び/又は排除する。追加的に、閉鎖式薬物移送システムの使用に起因して汚染が軽減され、その一方で、従来のアセンブリは、環境に開放されており、したがって、汚染にさらされる可能性がある構成要素を使用する。
【0055】
薬物送達システム100は、任意の数の追加及び/若しくは任意選択の特徴又は代替手段を含んでもよい。例えば、送達容器アダプタ105、バイアルアダプタ114、又は再構成容器アダプタ124のいずれか1つ又は複数は、事前充填送達容器102、事前充填薬物製品バイアル110、及び再構成容器120にそれぞれ結合されたポート又は結合機構の形態であってもよい。次に、これらのポートは、所望の容器間の流れを可能にするためにCSTDデバイスに結合されてもよい。よって、適切な結合機構の寸法を有するCSTDデバイスがシステム100に含まれてもよい。
【0056】
上述の記載では、薬物送達デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法、又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物、並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むがそれらに限定されない薬物を更に含むことができ、又はこれらとともに使用することができる。本明細書で使用される場合、薬物という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子、及びジェネリック医薬品を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用することができる。非治療的な注入可能材料も包含される。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成されたものであってもよい。以下の例示的な薬物のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0057】
薬物はリザーバ内に収容される。場合により、リザーバは、治療のために薬物が充填されるか又は事前充填されるかのいずれかである、一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又は事前充填シリンジとすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよく、又はそれらとともにデバイスを使用することができる。このようなG-CSF製剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルグラスチム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)が含まれるが、それらに限定されない。
【0059】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容してもよく、又はこれとともに使用されてもよい。ESAは、赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用される場合、「赤血球造血刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、若しくは誘導体、エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体、又はエリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球造血刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0060】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディなどとも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質など;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体などであるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質など;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば146B7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質など;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、ペキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンα-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3 mAb、抗C.ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO 1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0061】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、又はBPS 804(Novartis)などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容してもよく、又はこれらとともに使用されてもよい。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるが、それらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容してもよく、又はこれらとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填されてもよく、又はデバイスは、これらとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容してもよく、又はこれとともに使用されてもよい。エレヌマブ、並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体もまた、本開示の薬物送達デバイスを用いて送達されてもよい。加えて、抗体Fc領域を含む半減期延長BiTE、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるがそれらに限定されない二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体を、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容してもよく、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用される。
【0062】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び方法を、例示的な実施形態の観点から説明してきたが、これらに限定されるものではない。本詳細説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。
【0063】
当業者であれば、本明細書に開示される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲内にあると解釈されることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】