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特表2022-551754発現プロファイリングの空間的マッピングのためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】発現プロファイリングの空間的マッピングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16B 45/00 20190101AFI20221206BHJP
   G16B 25/00 20190101ALI20221206BHJP
【FI】
G16B45/00
G16B25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522649
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2020056035
(87)【国際公開番号】W WO2021076928
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/916,990
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】513322707
【氏名又は名称】ナノストリング テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アスコビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ガヤスリー バラスンダラム
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ エム.ビーチェム
(72)【発明者】
【氏名】マイケル マッキーン
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ ウィルキンズ
(57)【要約】
組織試料に含まれる標的生物学的成分の少なくとも1つの生物学的発現を、組織試料の画像に空間的にマッピングするシステム、機器及び方法が提供される。いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサと、プロセッサによって実行されたときに、システムに、少なくとも組織試料の画像を含む走査ペインを第1の表示部に表示させる命令とを含み、画像は、関心領域(ROI)に対応する少なくとも1つの区分を含み、ROIは、組織画像内の組織の一部に対応する。命令は、システムに、ROIに含まれる生物学的発現の視覚化を含む視覚化ペインを第2の表示部に表示させ、組織画像内のROIをコーディングして、ROI内の生物学的発現の空間マッピングを示すことによって第1の表示を拡張するように更に構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織試料に含まれる標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現を前記組織試料の画像に空間的にマッピングするように構成された生物学的発現マッピングシステムであって、前記システムはプロセッサ上で動作する命令を有する少なくとも1つのプロセッサを備え、前記命令は、実行されると、前記システムに
少なくとも前記組織試料の前記画像を含む走査ペインを第1の表示部に表示させ、前記画像は、1つ以上の関心領域(ROI)の特定の1つに対応する1つ以上の区分を含み、前記1つ以上のROIの各々は、前記組織画像内の前記組織の特定の部分に対応し、
前記1つ以上のROIに含まれる前記生物学的発現の各々の視覚化を備える視覚化ペインを第2の表示部に表示させ、及び、
前記1つ以上のROI内の前記生物学的発現の前記空間マッピングを示すため、前記組織画像内の前記1つ以上のROIをコーディングすることによって前記第1の表示部を拡張させるように構成されている、システム。
【請求項2】
コーディングは、少なくともカラーコーディングを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記生物学的発現の各々の前記視覚化は、前記1つ以上のROIのあるROIに含まれる生物学的発現の画像を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記視覚化は、前記1つ以上のROIに含まれる前記1つ以上の生物学的発現のグラフ、プロット、図、及びマップのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記生物学的発現の前記グラフ、プロット、図、及びマップは、ヒートマップ、樹形図、棒グラフ、散布図、箱ひげ図、フォレストプロット、主成分、統計プロット、ボルケーノプロット、傾向プロット、及びストリッププロットのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記樹形図は系統樹を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記統計プロットは1つ以上の主成分分析(PCA)プロットを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の表示部は、前記視覚化に含まれる生物学的発現の少なくとも1つの選択を指定するユーザ入力に基づいて拡張される、請求項1から7の何れか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのユーザが選択した生物学的発現の前記空間マッピングは、前記1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにその空間的コンテキストを提供するよう構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の表示部を拡張することは、前記1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにおける組織の形態プロファイリングを容易にするように構成される、請求項1から9の何れか一項に記載のシステム。
【請求項11】
形態プロファイリングは、幾何学的プロファイリング、セグメントプロファイリング、等高線プロファイリング、グリッドプロファイリング、及び細胞プロファイリングのうちの少なくとも1つを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
セグメントプロファイリングは、手動セグメントプロファイリング及び自動セグメントプロファイリングのうちの少なくとも1つを備え、前記自動セグメントプロファイリングは、少なくとも1つのセグメントプロファイリングのパラメータを指定するユーザ入力に基づいて、前記1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにおける組織のセグメントプロファイリングを自動化及び促進するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
細胞プロファイリングは、単一細胞プロファイリング及び希少細胞プロファイリングを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも前記1つ以上のROI内における前記1つ以上の標的生物学的成分の前記1つ以上の生物学的発現は、前記組織試料を複数の試薬に暴露することに基づいて決定され、並びに、
前記試薬は、
少なくとも前記1つ以上のROI内の前記組織試料の生物学的境界に結合するよう構成された複数のイメージング試薬と、及び、
複数のプロファイリング試薬とを含み、
各プロファイリング試薬は、
少なくとも前記1つ以上のROI内に含まれる特定の標的生物学的成分の特定の生物学的発現に結合し、及び、
切断可能な関連するオリゴヌクレオチドを含むように構成される、請求項1から13の何れか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記組織試料を前記複数の試薬に暴露した後、前記第1の表示部及び前記第2の表示部に表示する前に、前記命令はさらに、前記システムに
前記組織試料に光を当てて、撮像し、
前記1つ以上のROIの選択を指定するユーザ入力を受信させ、
前記組織試料の少なくとも前記1つ以上のROIを照射させ、それによって前記プロファイリング試薬から前記会合オリゴヌクレオチドを切断し、
前記切断されたオリゴヌクレオチドを回収させ、及び、
前記回収された切断された会合オリゴヌクレオチドを分析させ、
少なくとも前記1つ以上のROI内に含まれる前記1つ以上の生物学的発現、及び
前記1つ以上のROI内の対応する位置
を決定するよう構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
各プロファイリング試薬は、
前記切断可能な会合オリゴヌクレオチドが取り外し可能に結合している標的結合領域を含む核酸プローブ、又は
取り外し可能に結合している抗体を含むオリゴヌクレオチドを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のROIの前記選択を指定する前記ユーザ入力は、形状又はサイズに関する1つ以上の前記ROIの選択を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項18】
前記命令は、前記システムに、
少なくとも1つのユーザ選択可能なデータセットを含むデータセットペインを第3の表示部に表示させるように更に構成され、前記少なくとも1つのデータセットは、前記1つ以上のROIに含まれる前記生物学的発現のうちの1つ以上と関連付けられる、請求項1から17の何れか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記命令は、前記システムに、
各々が少なくとも1つの組織画像を含む複数の走査レコードを含むレコードペインを、第4の表示部に表示させるように更に構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の表示部、前記第2の表示部、前記第3の表示部、及び前記第4の表示部のうちの1つ以上は、ユーザ入力に基づいて、前記組織画像、前記視覚化、前記ユーザ選択可能なデータセット、及び前記複数の走査レコードのうちの1つ以上をインタラクティブに関連付けるように構成された統合ユーザインタフェース内に提供される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記統合ユーザインタフェースは単一のディスプレイとして構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の表示部、前記第2の表示部、前記第3の表示部、及び前記第4の表示部は、それぞれ、前記単一のディスプレイの1つ以上の部分に対応する、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記命令は、前記システムに、ユーザ入力に基づいて少なくとも1つのレコードを選択させ、その結果、選択時に、前記走査ペイン、前記視覚化ペイン、及び前記データセットペインのうちの少なくとも1つが、それぞれの表示部に表示されるようにさらに構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記命令は、前記システムに、前記ユーザ入力に基づいて、前記複数のレコードのプロパティ、制約、及び値の少なくとも1つでフィルタリングするように更に構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記走査ペインは、前記1つ以上のROIのうち少なくとも1つ又は前記組織画像全体の特定のセグメントに各々が対応する複数のアイコンを更に含むことができる、請求項1から24の何れか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記命令は、ユーザ入力に基づいて前記統合ユーザインタフェースを介して実時間で表示するため、前記システムに、前記視覚化ペイン、並びに、前記データセットペイン及び前記レコードペインのうちの1つ以上と併せて、前記走査ペインをレンダリングさせるように更に構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記1つ以上のROIをコーディングすることは、前記生物学的発現の定量的測定値を提示することを含む、請求項1から26の何れか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つ以上のROIをカラーコーディングすることは、前記生物学的発現の定量的測定値を提示することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項29】
前記定量的測定値は、生物学的発現の種類及び程度のうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記定量的測定値は、前記生物学的発現の種類及び程度のうちの少なくとも1つを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記種類又は程度は、各々の生物学的発現に対する特定の色、又は、各々の生物学的発現に対する色彩強度に対応する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
命令を表すコードを格納する非一時的なプロセッサ可読媒体であって、前記命令は生物学的発現マッピングシステムのプロセッサによって実行されるように構成され、前記生物学的発現マッピングシステムは、組織試料に含まれるそれぞれの標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現を前記組織試料の画像に空間的にマッピングするように構成され、前記命令は、実行されると、前記システムに、
少なくとも前記組織試料の画像を含む走査ペインを第1の表示部に表示させ、前記画像は、1つ以上の関心領域(ROI)の特定の1つに対応する1つ以上の区分を含み、前記1つ以上のROIの各々は、前記組織画像内の前記組織の特定の部分に対応し、
前記1つ以上のROIに含まれる前記生物学的発現の各々の視覚化を備える視覚化ペインを第2の表示部に表示させ、及び、
前記1つ以上のROI内の前記生物学的発現の前記空間マッピングを示すため、前記組織画像内の前記1つ以上のROIをコーディングすることによって前記第1の表示部を拡張するように構成されている、非一時的なプロセッサ可読媒体。
【請求項33】
少なくとも前記組織試料の画像を含む走査ペインを第1の表示部に表示することと、前記画像は、1つ以上の関心領域(ROI)の特定の1つに対応する1つ以上の区分を含み、前記1つ以上のROIの各々は、前記組織画像内の前記組織の特定の部分に対応し、
前記1つ以上のROIに含まれる前記生物学的発現の各々の視覚化を備える視覚化ペインを第2の表示部に表示することと、及び、
前記1つ以上のROI内の前記生物学的発現の前記空間マッピングを示すため、前記組織画像内の前記1つ以上のROIをコーディングすることによって前記第1の表示部又は戦記第2の表示部を拡張することと、を含む方法。
【請求項34】
本特許請求の範囲に開示された実施形態の何れかに係わるシステム、機器、方法、及び/又は非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年10月18日に出願された米国仮特許出願第62/916990号の利益及び優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、タンパク質及びmRNA発現に視覚的空間的分解能を適用し、デジタル定量化するためのシステム、機器、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌などの病気は細胞の異常な増殖を伴うもので、その異常な増殖は概して、身体に局所的又は転移した1つ以上の腫瘍を生じさせる。手術は、腫瘍、癌性リンパ節、及び腫瘍に隣接する健康な組織を取り除くための第1の治療ラインである。多くの場合、術後に補助療法が行われ、これには数週間にわたる放射線療法、化学療法、標的薬物療法、及び/又は免疫療法が含まれ得る。これらの治療では、患者によって異なる転帰や副作用が混在して発生し得る。研究者は、治療に対する患者の反応を予測し得るバイオマーカーを特定するために転帰の差異を積極的に調査している。これらの発現シグネチャは、計画的で根拠に基づく方法で、より効果的な治療を行うように医師を導くのに役立ち得る。
【0004】
今日の課題は、腫瘍微小環境に影響を及ぼすバイオマーカーの同定である。ただし、腫瘍試料中のかかるバイオマーカーを得るには組織を破壊しなければならず、ほとんどの場合にはバイオマーカーに関する空間情報が犠牲にされる。蛍光イメージング及び明視野イメージングは、バイオマーカーの視覚的マップを提供することができるが、それらは、1回の試験で撮像することができる蛍光体の数によって制限され、同じ試料上での複数回にわたる免疫染色及び撮像を必要とする。その結果、試料の経時劣化が起こり、画像登録の誤りや結果の誤認識につながる可能性がある。
【0005】
したがって、より信頼性が高く効果的な治療がより計画的で根拠に基づく方法で実施され得るように、免疫組織化学システム、方法、及び技術を改善するため、腫瘍微小環境に影響を及ぼすバイオマーカー及びそれらの組み合わせの同定及び特性評価に関連する解決策のような、前述の問題を克服する解決策が求められる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、いくつかの実施形態では、組織試料に含まれるそれぞれの標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現を組織試料の画像に空間的にマッピングするように構成された生物学的発現マッピングシステム及び方法が提供される。
【0007】
当業者であれば、1つ以上のプロセッサ(例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ)上で動作し/動作可能で、かかる1つ以上のプロセッサ(例えば、システム)に各種処理工程を実行させる種々のコンピュータ命令を詳述するシステムの実施形態は、本開示における1つ以上のマッピング方法の実施形態に関する工程でもあり得ることを理解するであろう。
【0008】
したがって、いくつかの実施形態では、システムは、実行されると少なくとも組織試料の画像を含む走査ペインを第1の表示部に表示させるように構成された、システム上で動作する命令を有する少なくとも1つのプロセッサを含み、画像は、1つ以上の関心領域(ROI)の特定の1つにそれぞれ対応する1つ以上の区分を含み、1つ以上のROIの各々は組織画像内の組織の特定の部分に対応する。命令は、システムに、1つ以上のROIに含まれる生物学的発現の各々の視覚化を備える視覚化ペインを第2の表示部に表示させるように更に構成される。命令は、1つ以上のROI内の生物学的発現の空間マッピングを示すために、組織画像内の1つ以上のROIをコーディングすることによって、システムに第1の表示部を拡張させるように更に構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、生物学的発現マッピング方法が提供され、方法は、少なくとも組織試料の画像を含む走査ペインを第1の表示部に表示することと、画像は、1つ以上の関心領域(ROI)の特定の1つに対応する1つ以上の区分を含み、1つ以上のROIの各々は組織画像内の組織の特定の部分に対応し、1つ以上のROIに含まれる生物学的発現の各々の視覚化を備える視覚化ペインを第2の表示部に表示することと、及び、1つ以上のROI内の生物学的発現の空間マッピングを示すために、組織画像内の1つ以上のROIをコーディングすることで、第1の表示部又は第2の表示部を拡張することとを含む。
【0010】
上記各実施形態(すなわち、システム、方法)の各々は、以下の追加の構造、特徴、工程、機能性、及び/又は明確化のうちの少なくとも1つ(及び、いくつかの実施形態では、複数、及びいくつかの実施形態では実質的に全て)を更に含んでもよく、更に追加の実施形態を作り出す(また、以下の一覧の各項目、及び以下に列挙する項目の組み合わせは、単独の実施形態であり得る)。
-コーディングは、少なくともカラーコーディングを含み、
-生物学的発現の各々の視覚化は、1つ以上のROIのあるROIに含まれる生物学的発現の画像を含み、
-生物学的発現のグラフ、プロット、図、及びマップは、ヒートマップ、樹形図、棒グラフ、散布図、箱ひげ図、フォレストプロット、主成分、統計プロット、ボルケーノプロット、傾向プロット、及びストリッププロットのうちの少なくとも1つを備え、
-樹形図には系統樹が含まれ、
-統計プロットには、1つ以上の主成分分析(PCA)プロットが含まれ、
-視覚化に含まれる生物学的発現の少なくとも1つの選択を指定するユーザ入力に基づいて、第1の表示部が拡張され、
-少なくとも1つのユーザが選択した生物学的発現の空間マッピングは、1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにその空間的コンテキストを提供するように構成され、
-第1の表示部を拡張することは、1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにおける組織の形態プロファイリングを容易にするように構成され、
-形態プロファイリングは、幾何学的プロファイリング、セグメントプロファイリング、等高線プロファイリング、グリッドプロファイリング、及び細胞プロファイリングのうちの少なくとも1つを備え、
-セグメントプロファイリングは、手動セグメントプロファイリング及び自動セグメントプロファイリングのうちの少なくとも1つを備え、自動セグメントプロファイリングは、少なくとも1つのセグメントプロファイリングのパラメータを指定するユーザ入力に基づいて、1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにおける組織のセグメントプロファイリングを自動化及び促進するように構成され、
-細胞プロファイリングは、単一細胞プロファイリング及び希少細胞プロファイリングを含み、
-少なくとも1つ以上のROI内における1つ以上の標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現は、組織試料を複数の試薬に暴露することに基づいて決定され、そして試薬は、
〇少なくとも1つ以上のROI内の組織試料の生物学的境界に結合するように構成された複数のイメージング試薬と、及び、
〇複数のプロファイリング試薬とを含み、各プロファイリング試薬は、
■少なくとも1つ以上のROI内に含まれる特定の標的生物学的成分の特定の生物学的発現に結合し、かつ、
■切断可能な、関連するオリゴヌクレオチドを含むように構成され、
-組織試料を複数の試薬に暴露した後、第1の表示部及び第2の表示部に表示する前に、命令はシステムに
〇組織試料に光を当てて、撮像させ、
〇1つ以上のROIの選択を指定するユーザ入力を受信させ、
〇組織試料の少なくとも1つ以上のROIを照射させ、それによってプロファイリング試薬から会合オリゴヌクレオチドを切断し、
〇切断されたオリゴヌクレオチドを回収させ、及び、
〇回収された切断された会合オリゴヌクレオチドを分析させるよう更に構成され(又は、ことを更に含む方法で)、それによって
・少なくとも1つ以上のROI内に含まれる1つ以上の生物学的発現、及び
・それらの対応する位置を決定し、
-各プロファイリング試薬は、
〇切断可能な会合オリゴヌクレオチドが取り外し可能に結合している標的結合領域を含む核酸プローブ、又は
〇取り外し可能に結合している抗体を含むオリゴヌクレオチドを備え、
-1つ以上のROIの選択を指定するユーザ入力は、形状又はサイズに関する1つ以上のROIの選択を含み、
-命令は、システムに、
〇少なくとも1つのユーザ選択可能なデータセットを含むデータセットペインを第3の表示部に表示させるよう更に構成され(又は、ことを更に含む方法で)、少なくとも1つのデータセットは、1つ以上のROIに含まれる生物学的発現のうちの1つ以上と関連付けられ、
-命令は、システムに、
〇各々が少なくとも1つの組織画像を含む複数の走査レコードを含むレコードペインを、第4の表示部に表示させるよう更に構成され(又は、ことを更に含む方法で)、
-第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び第4の表示部のうちの1つ以上は、ユーザ入力に基づいて、組織画像のうちの1つ以上、視覚化、ユーザ選択可能なデータセット、及び複数の走査レコードのうちの1つ以上をインタラクティブに関連付けるように構成された統合ユーザインタフェース内に提供され、
-統合ユーザインタフェースは単一のディスプレイとして構成され、
-第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び第4の表示部は、それぞれ単一のディスプレイの1つ以上の部分に対応し、
-命令は、システムに、
〇ユーザ入力に基づいて、少なくとも1つのレコードを選択させ、その結果、選択時に、走査ペイン、視覚化ペイン、及びデータセットペインのうちの少なくとも1つが、それぞれの表示部に表示されるよう更に構成され(又は、ことを更に含む方法で)、
-命令は、システムに、ユーザ入力に基づいて、複数のレコードのプロパティ、制約、及び値の少なくとも1つをフィルタリングさせるよう更に構成され(又は、ことを更に含む方法で)、
-走査ペインは、1つ以上のROIのうち少なくとも1つ又は組織画像全体の特定のセグメントにそれぞれ対応する複数のアイコンを更に含み、
-命令は、ユーザ入力に基づいて統合ユーザインタフェースを介して実時間で表示するため、システムに、視覚化ペイン並びにデータセットペイン及びレコードペインのうちの1つ以上と併せて、走査ペインをレンダリングさせるように更に構成され(又は、ことを更に含む方法で)、
-1つ以上のROIをコーディングすることは、生物学的発現の定量的測定値を提示することを含み、
-1つ以上のROIをカラーコーディングすることは、生物学的発現の定量的測定値を提示することを含み、
-定量的測定値は、生物学的発現の種類及び程度のうちの少なくとも1つを含み、
-定量的測定値は、生物学的発現の種類及び程度のうちの少なくとも1つを含み、及び、
-種類及び程度は、各々の生物学的発現に対する特定の色、又は各々の生物学的発現に対する色彩強度に対応する。
【0011】
本開示の実施形態はまた、2016年7月15日に出願された、「SIMULTANEOUS QUANTIFICATION OF GENE EXPRESSION IN A USER-DEFINED REGION OF A CROSS-SECTIONED TISSUE」と題する国際出願PCT/US2016/042460(WO2017/015099)号明細書、及び、2016年7月15日に出願された、「SIMULTANEOUS QUANTIFICATION OF PLURALITY OF PROTEINS IN A USER-DEFINED REGION OF A CROSS-SECTIONED TISSUE」と題する国際出願PCT/US2016/042455(WO2017/015097)号明細書に関連し、その開示は、それぞれその全体が参照により本明細書に援用されるものとする。
【0012】
上記実施形態及び他の実施形態、並びに、それらの目的及び利点は、簡潔な説明が以下に記載される図面、及び、それに続く(実施形態の少なくともいくつかの)詳細な説明を参照して更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、発現マッピングシステムを示す機能ブロック図である。
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、発現マッピングシステムの動作方法の例を示すフロー図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、遺伝子発現を示す視覚化の例を示す図である。
図4A-C】図4A~4Eは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、組織及び遺伝子発現を示すことができる視覚化及びプロファイリング様式の例を示す図である。
図4D-E】図4A~4Eは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、組織及び遺伝子発現を示すことができる視覚化及びプロファイリング様式の例を示す図である。
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、相互接続された視覚化を含むユーザインタフェース表示の例を示す図である。
図6A図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6B図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6C図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6D図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6E図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6F図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6G図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6H図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図6I図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、視覚化の例をそれぞれ示す図である。
図7A図7A~7Dは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図7B図7A~7Dは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図7C図7A~7Dは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図7D図7A~7Dは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図8A図8A~8Eは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図8B図8A~8Eは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図8C図8A~8Eは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図8D-E】図8A~8Eは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。
図9図9は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、ユーザ装置及び/又は発現マッピングシステムを示すブロック図である。
図10図10は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、発現マッピングプラットフォームのクラウドコンピューティング環境を示す。
図11図11は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、発現マッピングプラットフォームの抽象化モデル層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、物質内及び物質の遺伝子発現(「遺伝子発現(複数可)」又は「発現事象(複数可)」)の個別の発生に対して空間分解能を適用し、デジタル定量化することによって生物学的物質を分析するための装置、システム、及び方法を対象とする。発現事象としては、例えば、タンパク質発現、mRNA発現及び同種のものが挙げられる。いくつかの事例では、生物学的物質は、例えば、組織試料(例えば、スライドに載せられたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片)、溶解物、体液検体などの試料(「生物学的物質」又は「試料」又は「組織試料」)を含み得る。試料は、組織(例えば、培養又は摘出を含む)、及び、かかる組織を構成する細胞(例えば、初代細胞及び培養細胞株の両方を含む)を含み得る。例えば、試料は、
-(例えば、外植片からの)培養細胞、初代細胞、又は解離細胞、
-組織、ユーザ定義細胞、及び/又は細胞内のユーザ定義亜細胞構造などの生物学的物質、
-約2~1000マイクロメートル(μm)の厚さを有する組織切片、及び、
-スライド上に固定された培養細胞又は解離細胞(固定又は非固定)を含み得る。
【0015】
有利には、本開示のいくつかの実施形態は、組織不均一性を効率的に特性評価することを可能にし、これは、トランスレーショナル研究における重要な生物学的質問への解答を導き出すのに重要であり得る。現在の組織解析パラダイムでは、形態解析と高プレックスのトレードオフを必要とし、貴重な情報を犠牲にしたり、又は、貴重な試料を消費したりする。この目的を達成するため、いくつかの実施形態では、1日あたり最大16~20枚の組織スライドについて、単細胞分解能での全体の組織画像の生成と、数10~数1000種類のRNA又はタンパク質分析物のデジタルプロファイリングデータの生成が可能である。高プレックス、高スループットの空間プロファイリングのこの特異な組み合わせにより、研究者は、組織試料内の不均一性の生物学的意義を迅速かつ定量的に評価することができる。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、組織試料の高プレックス、高スループット、複数の分析物、及び非破壊的特性評価を可能にする。
【0016】
図1は、いくつかの実施形態に係わる、発現マッピングシステム100を示す概略ブロック図である。図示されるように、発現マッピングシステム100は、ネットワーク102を介して相互接続されたユーザ装置110及び発現マッピングプラットフォーム130を含み得る。発現マッピングシステム100は、2つの別個の装置を含むように図示されるが、他の配置も企図され得る。例えば、他の実施形態では、発現マッピングプラットフォーム130は、少なくとも5つの別個の構成要素(例えば、131、133、135、137、139)を含む代わりに、例えば、少なくとも4つの別個の構成要素(例えば、131、133、135、139)を含んでもよい。さらに、ユーザ装置及びマッピングプラットフォームの各種構成要素の機能の1つ及び/又は別のものを、単一の装置/システムに組み合わせることができる。
【0017】
ネットワーク102は、例えば、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、首都圏ネットワーク(MAN)、マイクロ波アクセスネットワーク(WiMAX(登録商標))のための世界的な相互運用性、光ファイバ(又は光ファイバ)ベースのネットワーク、Wi-Fi(商標)ネットワーク、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、仮想ネットワーク、及び/又はそれらの任意の組み合わせであってもよく、又はそれらを含み得る。ネットワーク102は、例えば、有線接続、無線(例えば、無線通信、自由空間光通信)接続、光ファイバ接続及び同種のものを含み得る。ネットワーク102は、例えば、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、エッジサーバ及び同種のものを含み得る。いくつかの事例では、代替的に又はそれ以外の場合には、ネットワーク102は、例えば、データ及び信号が装置間で通信、伝送、又は伝播され得る、電気通信、データ通信、及び/若しくはデータ伝送チャネルのリンク、接続、又は経路を含み得る。例えば、ネットワーク102は、近距離通信(NFC)接続(例えば、NFCビーコン接続)、短距離若しくは近距離の通信接続(例えば、Bluetooth(登録商標))、及び/又は同種のものを含むことができる。ネットワーク102は、ユーザ装置110と発現マッピングプラットフォーム130との間の相互接続、通信、及び相互運用を可能にし、サポートするように構成された接続及びプロトコルの任意の適切な組み合わせを含み得る。
【0018】
ユーザ装置110及び発現マッピングプラットフォーム130は、例えば、機械又は演算装置、演算システム、演算プラットフォーム、情報システム、プログラム可能な電子装置、情報コンテンツ処理装置及び/若しくは同種のものなどの装置、ノード、システム、又はプラットフォームを個別にそれぞれ含むことができる。例えば、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングプラットフォーム130は、例えば、コントローラ、プロセッサ、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ若しくはデスクトップコンピュータ、サーバ(例えば、データベースサーバ)、仮想マシン、ウェアラブルデバイス(例えば、電子時計)、植込み型デバイス、及び/又は同種のものを含み得る。それ以外の場合には、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングプラットフォーム130は、ユーザ装置110及び/若しくは発現マッピングプラットフォーム130などの1つ以上の他の装置、システム、並びに/又はプラットフォームと(例えば、ネットワーク102を介して)通信する又は相互運用することができる、任意の適切な種類の装置、システム、及び/又はプラットフォームであり得る、を含み得る、又は使用し得る。いくつかの実施形態では、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングプラットフォーム130は、図9を参照して説明されるような内部及び外部のハードウェア構成要素を含んでもよい。他の実施形態では、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングプラットフォーム130は、図10及び11を参照して説明されるようなクラウドコンピューティング環境内に実装されてもよい。
【0019】
ユーザ装置110は、プロセッサ111、ユーザインタフェース113、通信装置115、及びメモリ117を含む。ユーザ装置110は、プロセッサ111、ユーザインタフェース113、通信装置115、及びメモリ117の動作をサポートし、ユーザ装置110と発現マッピングプラットフォーム130との間の(例えば、ネットワーク102を介した)通信を可能にするプラットフォームを提供するために、ネットワークデバイス及びデバイスドライバなどの装置並びに技術の任意の適切な組み合わせを実装するように構成され得る。
【0020】
プロセッサ111は、ソフトウェア、コード、コマンド、若しくはロジックを動作させる及び/又は実行するように構成された任意の適切な種類の処理装置であり得るか、又はそれを含み得る。例えば、プロセッサ111は、ハードウェアベースの集積回路(IC)、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、加速処理装置(APU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又は同種のものであってもよく、又はそれを含み得る。プロセッサ111は、バス(例えば、アドレスバス、データバス、制御バス)などのデータ転送装置又はシステムなどの手段によってメモリ117に動作可能に結合され得る。プロセッサ111は、それ以外の場合、本明細書に記載されるように、アプリケーション112などのアプリケーション若しくはプログラムに対応する、又はそれを表す、任意の適切な種類又は形態のソフトウェア、コード、コマンド、及び/若しくはロジックを実行するように構成されたプロセッサを含み得る。
【0021】
アプリケーション112は、ソフトウェア若しくはコンピュータプログラム、プログラムに含まれる1つ以上のサブルーチン、アプリケーションプログラミングインタフェース若しくは同種のものなどの任意の適切な種類のアプリケーション又はプログラムであり得る、又はそれを含み得る。アプリケーション112は、機械実行形式のコード、コンピュータ実行形式のコード、若しくはプロセッサ実行形式のコード、ロジック、命令、コマンド、及び/若しくは同種のものなど、命令を表す任意の適切な種類若しくは形態のソフトウェア、コード、コマンド、及び/又はロジックを含み得る。アプリケーション112は、ユーザ装置110に常駐又はホストされるように構成され得る。例えば、アプリケーション112は、ユーザ装置110に(例えば、メモリ117によって)記憶されるように構成され得る。代替的に又は組み合わせて、アプリケーション112は、サーバ、ノード、及び/若しくは同種のものなど、ユーザ装置110から分離された、別個の又は遠隔の装置に常駐若しくはホストされるように構成され得る。アプリケーション112は、プロセッサ111などの任意の適切な種類のプロセッサ若しくは処理装置によって、又はそれを介して動作する又は実行されるように構成され得る。例えば、アプリケーション112は、ネイティブアプリケーション、ウェブアプリケーション若しくはウェブベースアプリケーション、及び/又はハイブリッドアプリケーション(例えば、ネイティブアプリケーション及びウェブベースアプリケーションの特性又は機能の組み合わせを有するアプリケーション)であってもよく、又はそれを含み得る。
【0022】
ユーザインタフェース113は、ユーザとユーザ装置110との間のユーザインタラクションを可能にするように構成された任意の適切な種類のユーザインタフェース装置であり得るか、又はそれを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース113は、本明細書に記載されるように、ユーザ(例えば、ユーザ装置110において)と発現マッピングプラットフォーム130との間のユーザインタラクションを可能にするように構成され得る。例えば、ユーザインタフェース113は、(例えば、マッピングアプリケーション132及び/又はサンプリングプロファイラ133から)出力を提供する(例えば、表示する)ように構成され得る。さらに、ユーザインタフェース113は、本明細書に記載されるように、ユーザ入力を(例えば、ユーザ装置110においてユーザから)受信するように構成され得る。例えば、ユーザインタフェース113は、キーボード及びマウス等の1つ以上の入力装置、並びに、ディスプレイ、画面、プロジェクタ及び同種のものなどの1つ以上の出力装置を含み得る。別の例として、ユーザインタフェース113は、タッチスクリーン、ホログラフィックディスプレイ、コンタクトレンズディスプレイなどのウェアラブルデバイス、光学ヘッドマウントディスプレイ、仮想現実ディスプレイ、拡張現実ディスプレイ及び/又は同種のものなどの1つ以上の入出力(I/O)装置を含み得る。ユーザインタフェース113は、任意の適切な種類のヒューマンマシンインタフェースデバイス、ヒューマンコンピュータインタフェースデバイス、バッチインタフェース、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)及び同種のものなどを実装するように構成され得る。ユーザインタフェース113は、それ以外の場合、本明細書に記載されるように、ユーザと装置との間のユーザインタラクションを提供するためなどに、発現マッピングプラットフォーム130などの装置と併せて実施することができる任意の適切な種類のインタフェース(例えば、ユーザインタフェース113)を含む、又は実装するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース113で受信されたユーザ入力は、実行のために発現マッピングプラットフォーム130に(例えば、ネットワーク102を介して)送信され得る。
【0023】
通信装置115は、例えば、プロセッサ111及びメモリ117に動作可能に結合されたハードウェア装置、並びに/又は、メモリ117に記憶され、プロセッサ111によって実行可能であり、ネットワーク(例えば、ネットワーク102)を介した通信及び/若しくは演算装置(例えば、ユーザ装置110及び発現マッピングプラットフォーム130)間の直接的な通信を可能にし、サポートすることができるソフトウェアであるか、又はそれを含み得る。例えば、通信装置115は、ネットワークインタフェースカード(NIC)、伝送制御プロトコル(TCP)/インターネットプロトコル(IP)アダプタカード若しくは無線通信アダプタなどのネットワークアダプタ(例えば、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)技術を使用する4G無線通信アダプタ)、Wi-Fi(登録商標)装置若しくはモジュール、Bluetooth(登録商標)装置若しくはモジュール、並びに/又は任意の他の適切な有線通信装置及び/若しくは無線通信装置であってもよく、又はそれらを含み得る。通信装置115は、通信ネットワーク(例えば、ネットワーク102)を介してなど、ユーザ装置110と、1つ以上の他の装置(例えば、発現マッピングプラットフォーム130)とをそれらの間のデータ通信のために接続又は相互接続するように構成され得る。通信装置115は、本明細書に記載されるように、プロセッサ(例えば、プロセッサ111、プロセッサ131)、システムメモリ(例えば、メモリ117、メモリ139)、周辺装置(例えば、ユーザインタフェース113、ユーザインタフェース135)、及び、発現マッピングシステム(例えば、発現マッピングシステム100)などのシステム内の任意の他の装置又は構成要素(例えば、発現マッピングシステム100の、及び/又は、発現マッピングプラットフォーム130を含む)の間でデータ及び/又は制御情報を伝達するように設計されたものなどの任意の適切なアーキテクチャと併せて実装され得る。
【0024】
メモリ117は、(例えば、アプリケーション112の、又はアプリケーション112に関連付けられた)機械又はコンピュータプログラム、デジタル情報、電子情報、及び同種のものなどを記憶することができる任意の適切な種類のメモリ、データ記憶装置、又は機械可読媒体、コンピュータ可読媒体、若しくはプロセッサ可読媒体であってもよく、又はそれを含み得る。例えば、メモリ117は、プロセッサ111による実行などのために、アプリケーション112などのアプリケーション又はプログラムを記憶するように構成され得る。メモリ117は、メモリバッファ、ハードドライブ、内部ハードドライブの磁気ディスク記憶装置、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、ポータブルメモリ(例えば、フラッシュドライブ、フラッシュメモリ、ポータブルハードディスク、メモリスティック)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの半導体記憶装置(例えば、キャッシュメモリを含むRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去及びプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去及びプログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、及び/又は同種のものであってもよく、又はそれを含み得る。メモリ117は、それ以外の場合、任意の適切な種類のメモリ又はデータ記憶装置を含んでもよく、それらは設計の問題として選択され得る。
【0025】
発現マッピングプラットフォーム130は、プロセッサ131、サンプリングプロファイラ133、ユーザインタフェース135、通信装置137、及びメモリ139を含む。発現マッピングプラットフォーム130は、本明細書に記載されるように、プロセッサ131、サンプリングプロファイラ133、ユーザインタフェース135、通信装置137、及びメモリ139の動作をサポートし、ユーザ装置110と発現マッピングプラットフォーム130との間の(例えば、ネットワーク102を介した)通信を可能にするプラットフォームを提供するために、ネットワークデバイス及びデバイスドライバなどの装置及び技術の任意の適切な組み合わせを実装するように構成され得る。発現マッピングプラットフォーム130は、本明細書に記載されるように、組織試料に含まれるそれぞれの標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現を組織試料の画像に空間的にマッピングするように(例えば、サンプリングプロファイラ133を介して)構成され得る。発現マッピングプラットフォーム130は、5つの個別の要素又は構成要素(例えば、プロセッサ131、サンプリングプロファイラ133、ユーザインタフェース135、通信装置137、メモリ139)を含んで示されるが、他の配置も企図され得る。例えば、いくつかの実施形態では、発現マッピングプラットフォーム130は、代替的に又はそれ以外の場合、プロセッサ131、サンプリングプロファイラ133、ユーザインタフェース135、及びメモリ139(例えば、4つの別個の要素又は構成要素)、並びに/又は任意の他の数の別個の要素若しくは構成要素(例えば、1つ以上の一体化した又は別個の装置、プラットフォーム、ノードなどを含む)を含むことができ、これらは設計の問題として選択され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、発現マッピングプラットフォーム130は、生物学的発現マッピングシステム、生体組織若しくは物質画像化システム、遺伝子発現分析装置、遺伝子発現画像化装置、遺伝子発現プロファイリング装置、遺伝子発現マッピング装置、デジタル空間プロファイリング装置、分子画像化装置及び同種のものなどの装置、システム、又はプラットフォーム(総称して「発現マッピングプラットフォーム」)を備え得る。例えば、いくつかの事例では、発現マッピングプラットフォーム130は、本明細書に記載されるように、NanoString Technologies(登録商標)社(ワシントン州、シアトルのサウスレイクユニオン)による1つ以上のnCounter(登録商標)システム及び/又は方法を含み得る。
【0027】
プロセッサ131は、ソフトウェア、コード、コマンド、若しくはロジックを動作する及び/又は実行するように構成された任意の適切な種類の処理装置であるか、又はそれを含み得る。例えば、プロセッサ131は、ハードウェアベースの集積回路(IC)、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、加速処理装置(APU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又は同種のものであってもよく、又はそれを含み得る。プロセッサ131は、バス(例えば、アドレスバス、データバス、制御バス)などのデータ転送装置又はシステムなどの手段によって、メモリ139に動作可能に結合され得る。プロセッサ131は、それ以外の場合、本明細書に記載されるように、マッピングアプリケーション132などのアプリケーション又はプログラムに対応する、又はそれを表す、任意の適切な種類又は形態のソフトウェア、コード、コマンド、及び/若しくはロジックを実行するように構成されたプロセッサを含み得る。
【0028】
マッピングアプリケーション132は、ソフトウェア若しくはコンピュータプログラム、プログラムに含まれる1つ以上のサブルーチン、アプリケーションプログラミングインタフェース若しくは同種のものなどの任意の適切な種類のアプリケーション又はプログラムであってもよく、又はそれを含み得る。マッピングアプリケーション132は、機械実行形式のコード、コンピュータ実行形式のコード、若しくはプロセッサ実行形式のコード、ロジック、命令、コマンド、及び/若しくは同種のものなど、命令を表す任意の適切な種類又は形態のソフトウェア、コード、コマンド、及び/若しくはロジックを含み得る。いくつかの実施形態では、マッピングアプリケーション132は、本明細書に記載されるように、サンプリングプロファイラ133と通信するように構成され得る。マッピングアプリケーション132は、発現マッピングプラットフォーム130に常駐又はホストされるように構成され得る。例えば、マッピングアプリケーション132は、発現マッピングプラットフォーム130に(例えば、メモリ139によって)記憶されるように構成され得る。代替的に又は組み合わせて、マッピングアプリケーション132は、サーバ、ノード、装置、及び/又は同種のものなど、発現マッピングプラットフォーム130とは分離された、別個の、又は遠隔の装置に常駐若しくはホストされるように構成され得る。マッピングアプリケーション132は、プロセッサ131などの任意の適切な種類のプロセッサ若しくは処理装置によって、又はそれを介して動作する又は実行されるように構成され得る。例えば、マッピングアプリケーション132は、ネイティブアプリケーション、ウェブアプリケーション若しくはウェブベースアプリケーション、及び/又はハイブリッドアプリケーション(例えば、ネイティブ及びウェブベースアプリケーションの特性又は機能の組み合わせを有するアプリケーション)であってもよく、又はそれを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、マッピングアプリケーション132は、ユーザ入力に基づいて、(例えば、ユーザ入力に対応する)実行可能なコマンド及び/又は命令をサンプリングプロファイラ133に通信することなどによって、発現マッピングプラットフォーム130の動作を制御するように構成され得る。例えば、マッピングアプリケーション132は、命令に対応するユーザ入力を(例えば、ユーザインタフェース135及び/又はユーザインタフェース113でユーザから)受信し、ユーザ入力に基づいて対応する命令(「ユーザ入力命令」)をサンプリングプロファイラ133に送信し、それによってサンプリングプロファイラ133に各種動作を実行させるように構成され得る。例えば、ユーザ入力命令は、実行されると、本明細書に記載されるように、サンプリングプロファイラ133に、試料をロードさせ、試料に関連付けられた情報を識別させ、試料の対応する画像(例えば、蛍光画像)を生成するため試料を走査させ、試料に関して1つ以上のROIを指定する選択に基づくユーザ入力を決定させる、などの関連動作を実施させるように構成され得る。ROIは、例えば、試料中に存在する組織型、細胞型、細胞、又は細胞内の亜細胞構造であってもよく、又はそれを含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、サンプリングプロファイラ133は、
-試料を画像化し、分析することと、
-組織試料に含まれるそれぞれの標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現を、試料の画像に空間的にマッピングすることと、並びに、
-試料のユーザ定義領域(例えば、1つ以上のROI)における発現事象(例えば、タンパク質発現、mRNA発現)の多重検出、分析、及び/若しくは定量化を実施する又は実装すること、の少なくとも1つを実行するように構成された装置又はシステムを表す。
【0031】
例えば、サンプリングプロファイラ133は、本明細書に記載されるように、(例えば、ユーザ装置110又は発現マッピングプラットフォーム130においてマッピングアプリケーション132によってユーザから受信される)1つ以上のROIの選択を指定するユーザ入力に対応する命令に基づいて、(1つ以上のROIにおいて)試料に含まれるそれぞれの標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現を試料の画像に空間的にマッピングするように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、サンプリングプロファイラ133は、例えば、試料調製ステーション(図示せず)及び分析計器(図示せず)を含み得る。分析計器は、例えば、デジタル分析計器(「デジタルアナライザ」)を含み得る。例えば、サンプリングプロファイラ133は、例えば、NanoString Technologies(登録商標)社によるGeoMx(登録商標)デジタル空間プロファイラ(DSP)を含み得る。この例では、試料調製ステーション及びデジタルアナライザは、それぞれnCounter(登録商標)調製ステーション及びnCounter(登録商標)デジタルアナライザを含み得る。いくつかの実施形態では、サンプリングプロファイラ133は、本明細書に記載されるように、データ収集のために及びデータ収集の前に(例えば、試料調製ステーションによって)組織試料などの試料を処理のために受け取り、続いて、処理された組織試料についてデータ収集及び分析を(例えば、デジタルアナライザによって)行うように構成され得る。いくつかの実施形態では、サンプリングプロファイラ133は、本明細書に記載されるように、マッピングアプリケーション132及び/又はユーザインタフェース(例えば、ユーザインタフェース113、ユーザインタフェース135)を介して受信されたユーザ入力に対応するユーザ入力命令に基づいて、制御されるか、又はそうでなければ実装されるように構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、試料調製ステーションは、例えば、本明細書に記載されるように、後続の(例えば、デジタルアナライザによる)データ収集及び分析のために、1つ以上の試料(例えば、標識組織、ユーザ定義細胞、細胞内のユーザ定義亜細胞構造)を処理するように構成された、マルチチャネルピペッティングロボットなどの自動化された試料調製ステーションを含み得る。いくつかの実施形態では、試料の1つ以上を処理することは、例えば、試料を染色することによって試料を調製すること、又は試料を複数の試薬に暴露すること(例えば、ハイブリダイゼーション)を含み得る。例えば、試料調製ステーションは、1つ以上の試料を染色又は標識することにより、少なくとも1つの細胞を含む試料の場合などに染色又は標識された細胞内の亜細胞若しくは細胞構造の視覚化を可能にすることによって、又は代替的或いは追加的に、試料が組織試料を含む場合など、染色又は標識された組織試料内の亜細胞、細胞、若しくは組織関連構造若しくは切片の視覚化を可能にすることによって、試料を(例えば、デジタルアナライザによる)後続のデータ収集及び分析のために処理するように構成され得る。
【0034】
複数の試薬は、例えば、複数のイメージング試薬及び複数のプロファイリング試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のイメージング試薬は、例えば、1つ以上のマーカー、タグ及び同種のものを含み得る。例えば、いくつかの事例では、複数のイメージング試薬は、蛍光形態マーカーなどの1つ以上のイメージング試薬(例えば、最大4つ)を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のプロファイリング試薬は、例えば、1つ以上のRNA及び/又はタンパク質検出試薬、又はプローブ(「プロファイリング試薬(複数可)」又は「プローブ(複数可)」)を含み得る。例えば、複数のプロファイリング試薬は、約10~10000のプロファイリング試薬を含み得る。各タンパク質検出用試薬又はプローブは、例えば、光切断性(例えば、UV切断性)プローブ及び同種のものなどの切断可能なプローブ等を含み得る。いくつかの実施形態では、プローブは、抗体当たり2つ以上の標識オリゴヌクレオチドを含み得る。例えば、各プローブは、標的結合ドメイン及びシグナルオリゴヌクレオチドを含み得る。標的結合ドメインは、例えば、タンパク質結合分子(例えば、抗体、ペプチド、アプタマー、ペプトイド)を含み得る。シグナルオリゴヌクレオチドは、例えば、一本鎖核酸又は部分二本鎖核酸を含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、各イメージング試薬は、少なくとも1つ以上のROI内の組織試料の生物学的境界に結合するように構成することができ、各プロファイリング試薬は、少なくとも1つ以上のROI内に含まれる特定の標的生物学的成分の特定の生物学的発現に結合するように構成することができる。いくつかの実施形態では、各プロファイリング試薬は、例えば、切断可能な会合オリゴヌクレオチドを含むように更に構成することができ、いくつかの実施形態では、各プロファイリング試薬は、例えば、切断可能な会合オリゴヌクレオチドが取り外し可能に連結された標的結合領域を含む1つ以上の核酸プローブ、又は、取り外し可能に結合している抗体を含むオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、取り外し可能な連結は、例えば、標的結合ドメインとシグナルオリゴヌクレオチドとの間に位置するリンカー(例えば、切断可能なリンカー)を含み得る。切断可能なリンカーは、例えば、適切なコヒーレント光源(例えば、レーザー、レーザー走査装置、共焦点レーザー走査装置、UV光源)又は適切な非コヒーレント光源(例えば、放電灯及び発光ダイオード(LED))などの光源によって放出される電磁放射(例えば、光)によって切断されるように構成された光切断性リンカーを含み得る。いくつかの実施形態では、光源は、追加的に又はそれ以外の場合には、例えば、デジタルミラー装置(DMD)を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、切断可能な会合オリゴヌクレオチドは、例えば、光切断性オリゴヌクレオチドタグを含み得る。例えば、組織試料は、光切断性オリゴヌクレオチドタグに結合された抗体又はRNAプローブを使用することによって(例えば、発現マッピングプラットフォーム130によって)アッセイのために調製され得る。いくつかの実施形態では、各光切断性オリゴヌクレオチドタグは、バーコードスキャナ及び同種のものなどのスキャナによって走査又は読み取ることができる機械可読識別子であってもよく、又はそれを含み得る。いくつかの事例では、光切断性オリゴヌクレオチドタグは、1つ以上の形態マーカーと共に、スライドに載せられたFFPE組織切片に結合させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の形態マーカーは、例えば、最大4つの形態マーカーを含むことができ、各形態マーカーは、例えば、蛍光プローブを含み得る。スライドに載せられたFFPE組織切片にオリゴコンジュゲートプローブと形態マーカーとを結合させた後、組織の選択した領域からオリゴヌクレオチドタグを遊離させて、さらに解析を行うことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、試料調製ステーションは、例えば、液体移送操作、磁気ビーズ分離操作、(例えば、試料カートリッジ面上の分子標識の)固定操作、及び同種のものを含む他の処理操作を実行するように更に構成され得る。試料は、固定されても固定されなくてもよい。例えば、いくつかの事例では、試料調製ステーションを介した試料処理は、少なくとも1つの細胞を含む試料を精製し、容器(例えば、試料容器)、カートリッジ(例えば、試料カートリッジ)、及び/又は同種のものの面(例えば、内面)上に固定することを含み得る。例えば、少なくとも1つの細胞は、面に直接固定され得るか、又は少なくとも1つの他の細胞を介して面に間接的に固定され得る。組織試料の処理後、サンプリングプロファイラ133は、本明細書に記載されるように、撮像、データ収集、及び分析のために組織試料をデジタルアナライザに移送するように構成され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、例えば、多重化分析装置、スキャナ、読み取り装置、計数装置及び同種のものを含み得る。例えば、デジタルアナライザは、バーコード走査装置、マルチチャネル落射蛍光スキャナ及び同種のものを含み得る。デジタルアナライザは、電荷結合素子(例えば、カメラ)などの撮影装置と、顕微鏡の対物レンズとを含み得る。デジタルアナライザは、エネルギー源、エネルギーエミッタ、光源及び同種のものなどのトランスデューサ(「光源」)を更に含み得る。いくつかの実施形態では、光源は、例えば、コヒーレント光源(例えば、レーザー)、紫外線(UV)光源及び同種のものなどであってもよく、又はそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、光源は、例えば、インコヒーレント光源(例えば、放電灯及び発光ダイオード(LED))であってもよく、又はそれらを含み得る。光源は、試料に対して、少なくとも1つの細胞の少なくとも1つの亜細胞構造に照射し、その結果、少なくとも1つの細胞の少なくとも1つの亜細胞構造中の又は亜細胞構造からの少なくとも1つのタンパク質標的の存在量を検出できるように構成され得る。また、光源は、最初に、少なくとも1つの細胞内の少なくとも1つの亜細胞構造に照射し、次に、少なくとも1つの第2の細胞内の少なくとも1つの亜細胞構造に照射し、少なくとも1つの細胞内の少なくとも1つの亜細胞構造内の又は亜細胞構造からの少なくとも1つのタンパク質標的の存在量と、少なくとも1つの第2の細胞内の少なくとも1つの亜細胞構造内の又は亜細胞構造からの少なくとも1つのタンパク質標的の存在量との比較を可能にし得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、試料中に含まれる(例えば、それぞれの標的生物学的成分の)生物学的発現のうちの1つ以上を試料の画像に空間的にマッピングするように、少なくとも1つ以上のROI内に含まれる1つ以上の生物学的発現、及び、試料中のその対応する位置を決定するように構成され得る。したがって、デジタルアナライザは、試料に含まれるそれぞれの標的生物学的成分の1つ以上の生物学的発現を試料の画像に空間的にマッピングするように、試料の1つ以上の画像を撮像し、試料に関連付けられたデータを収集及び/又は分析するように構成され得る。例えば、デジタルアナライザは、少なくとも1つ以上のROI内に含まれる生物学的発現を計数し、計量し、及び/又は定量化するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、1つ以上のマッピングされた生物学的発現を、1つ以上のROIに含まれる生物学的発現の各々の視覚化と関連付けるように構成され得る。
【0040】
少なくとも1つのユーザが選択した生物学的発現の空間マッピングは、試料中のユーザが選択した生物学的発現の間の空間的コンテキストと、(例えば、ユーザが選択した生物学的発現が配置される)1つ以上の関連付けられたROIを提供するように構成され得る。換言すれば、少なくとも1つのユーザが選択した生物学的発現の空間マッピングは、標的生物学的成分の生物学的発現(例えば、標的生物学的成分の生物学的発現に関連する、又はそれに対応する発現事象の発生場所又は位置)と、1つ以上のROI(例えば、1つ以上のROIの発生場所又は位置)との間で、組織試料に関して空間的コンテキストを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の生物学的発現は、空間プロファイラ133によって組織試料の視覚化又は画像に空間的にマッピングされることができ、上記のように、本明細書に記載されるように、デジタルアナライザによって生物学的発現を計数、計量、又は定量化するように構成することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、
-組織試料中の少なくとも1つの細胞内又は細胞からの少なくとも1つのタンパク質標的を、標的結合ドメイン及びシグナルオリゴヌクレオチドを備える少なくとも1つのプローブと接触させ、
-シグナルオリゴヌクレオチドを遊離させるのに充分な力を組織試料のある位置に与え又は加え、並びに、
-遊離されたシグナルオリゴヌクレオチドを回収及び同定し、それによって、力を与えた組織試料の特定の位置内又は特定の位置からの少なくとも1つの標的を検出するように構成されてもよく、特定の位置は、例えば、組織のユーザ定義領域、ユーザ定義細胞、細胞内のユーザ定義亜細胞構造及び同種のもの(例えばROI)を含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、工程b)及びc)を組織試料の少なくとも第2の特定の位置で繰り返すように構成することができ、第2の特定の位置は、少なくとも第2の細胞を備える。検出は、例えば、
-第1の特定の位置内又は前記第1の特定の位置からの少なくとも1つのタンパク質標的の存在量と、第2の特定の位置内又は第2の特定の位置からの少なくとも1つのタンパク質標的の存在量とを比較することと、少なくとも1つの細胞及び少なくとも第2の細胞は、同一の細胞型又は異なる細胞型であり得る、
-第1の細胞型内又は第1の細胞型からの少なくとも1つのタンパク質標的の存在量と、第2の細胞型内又は第2の細胞型からの少なくとも1つのタンパク質標的の存在量とを定量化することと、並びに、
-ポリメラーゼ反応、逆転写酵素反応、オリゴヌクレオチドマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、質量分析、蛍光モレキュラービーコンへのハイブリダイゼーション、配列決定反応、nCounter(登録商標)分子バーコードなどの機械可読識別子の機械読取り、及び同種のもの、のうちの少なくとも1つ(好ましくは複数、より好ましくは全て)を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の細胞型は、正常細胞、及び例えば疾患細胞や癌細胞といった異常細胞から(例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135で受信した入力に基づいて)それぞれ独立して選択することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、タンパク質結合分子、例えば、抗体、ペプチド、アプタマー、及びペプトイドを備え、いくつかの実施形態では、2つ以上の標的、例えば、(例えば、それぞれ生物学的発現に対応する)1~1000以上の標的、及びその間の任意の数を検出することができる。いくつかの実施形態では、標的は、それぞれ、例えば、個々のRNA標的、DNA標的、タンパク質標的及び同種のものと関連付けられた発現事象を含むか、又は関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、検出は、例えば、各標的の存在量を定量化することを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、試料に光を当てて(例えば、レーザー走査装置、DMD等)撮像し、その後(例えば、試料の画像に基づいて)1つ以上のROIの選択を指定するユーザ入力を受信し、及び、組織試料のROIの少なくとも1つ以上に照射し、それによってプロファイリング試薬から会合オリゴヌクレオチドを切断するように構成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、切断されたオリゴヌクレオチドを回収し、回収された切断された会合オリゴヌクレオチドを分析(例えば、計量)して、少なくとも1つ以上のROI内に含まれる1つ以上の生物学的発現、及びROI内の対応する位置を決定するように構成され得る。したがって、デジタルアナライザからの関連データは、本明細書で更に詳細に説明されるように、空間的コンテキストを提供するために、レンダリング若しくは(例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135で)表示するための(例えば、生物学的発現の1つ以上の空間マッピング及び試料の画像に対応する)画像及び/又は視覚化を生成する際に使用するために出力され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、デジタルアナライザは、本明細書に記載されるように、ユーザインタフェース(例えば、ユーザインタフェース113、ユーザインタフェース135)での表示、視聴、及びユーザインタラクションのために、画像及び1つ以上の関連付けられた対応する視覚化を生成するように構成され得る。例えば、デジタルアナライザは、本明細書に記載されるように、1つ以上のROIに含まれる生物学的発現の各々に関連付けられた発現事象の尺度(例えば、計数値)に対応する単一細胞解像度の画像及び/又は視覚化を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、視覚化又は画像は、図3、5及び6A~6Iを参照して本明細書に記載されるような、1つ以上のROIに含まれる1つ以上の生物学的発現のグラフ、プロット、図、及びマップのうちの少なくとも1つを含み得る。組織試料の視覚化又は画像は、組織試料に含まれるそれぞれの標的生物学的成分の生物学的発現、及び組織試料中の各生物学的発現の位置に基づいて、組織試料の形態プロファイリング、分析、及び特性評価(「形態プロファイリング」)を容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、形態プロファイリングは、例えば、図4A~4Eを参照して本明細書に記載されるような、幾何学的プロファイリング、セグメントプロファイリング、等高線プロファイリング、グリッドプロファイリング、及び細胞プロファイリングのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0047】
ユーザインタフェース135は、ユーザと発現マッピングプラットフォーム130との間のユーザインタラクションを可能にするように構成された任意の適切な種類のユーザインタフェース装置であり得るか、又はそれを含み得る。例えば、ユーザインタフェース135は、(例えば、マッピングアプリケーション132及び/又はサンプリングプロファイラ133から)出力を提供する(例えば、表示する)ように構成され得る。さらに、ユーザインタフェース135は、本明細書に記載されるように、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、スクリーン/タッチスクリーン、プロジェクタ及び同種のものを含む1つ以上の入力及び/又は出力装置を介して、(例えば、発現マッピングプラットフォーム130においてユーザから)ユーザ入力を受信するように構成され得る(すなわち、ユーザインタフェース135は、任意の適切な種類のヒューマンマシンインタフェースデバイス、ヒューマンコンピュータインタフェースデバイス、バッチインタフェース、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)及び同種のものを実装するように構成され得る)。ユーザインタフェース135は、それ以外の場合、任意の適切な種類のインタフェース(例えば、ユーザインタフェース113)を含むか、又は実装するように構成され得る。
【0048】
通信装置137は、例えば、プロセッサ131及びメモリ139に動作可能に結合されたハードウェア装置、並びに/又は、メモリ139に記憶され、プロセッサ131によって実行可能であり、ネットワーク(例えば、ネットワーク102)を介した通信、及び/又は、演算装置(例えば、ユーザ装置110及び発現マッピングプラットフォーム130)間の直接的な通信を可能にし、サポートすることができるソフトウェアであってもよく、又はそれを含み得る。例えば、通信装置137は、ネットワークインタフェースカード(NIC)、伝送制御プロトコル(TCP)/インターネットプロトコル(IP)アダプタカード又は無線通信アダプタなどのネットワークアダプタ(例えば、直交周波数分割多元アクセス(OFDMA)技術を使用する4G無線通信アダプタ)、Wi-Fi(商標)装置若しくはモジュール、Bluetooth(登録商標)装置若しくはモジュール、及び/又は、任意の他の適切な有線通信装置並びに/若しくは無線通信装置であってもよく、又はそれらを含み得る。通信装置137は、通信ネットワーク(例えば、ネットワーク102)を介してなど、発現マッピングプラットフォーム130と1つ以上の他の装置(例えば、ユーザ装置110)とをそれらの間のデータ通信のために接続又は相互接続するように構成され得る。通信装置137は、本明細書に記載されるように、プロセッサ(例えば、プロセッサ111、プロセッサ131)、システムメモリ(例えば、メモリ117、メモリ139)、周辺装置(例えば、ユーザインタフェース113、ユーザインタフェース135)、及び発現マッピングシステム(例えば、発現マッピングシステム100)などのシステム内の任意の(例えば、発現マッピングシステム100、及び/又は、発現マッピングプラットフォーム130を含む)他の装置若しくは構成要素の間でデータ及び/又は制御情報を渡すように設計されたものなど、任意の適切なアーキテクチャと併せて実装され得る。
【0049】
メモリ139は、(例えば、マッピングアプリケーション132の、又はマッピングアプリケーション132に関連付けられた)機械若しくはコンピュータプログラム、デジタル情報、電子情報及び同種のものを記憶することができる任意の適切な種類のメモリ、データ記憶装置、又は機械可読媒体、コンピュータ可読媒体、若しくはプロセッサ可読媒体であってもよく、又はそれらを含み得る。例えば、メモリ139は、プロセッサ131による実行などのために、マッピングアプリケーション132などのアプリケーション又はプログラムを記憶するように構成され得る。メモリ139は、メモリバッファ、ハードドライブ、内部ハードドライブの磁気ディスク記憶装置、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、ポータブルメモリ(例えば、フラッシュドライブ、フラッシュメモリ、ポータブルハードディスク、メモリスティック)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの半導体記憶装置(例えば、キャッシュメモリを含むRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去及びプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去及びプログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、及び/又は同種のものであってもよく、又はそれらを含み得る。メモリ139は、それ以外の場合、任意の適切な種類のメモリ又はデータ記憶装置を含んでもよく、それらは設計の問題として選択され得る。
【0050】
ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135は、例えば、1つ以上の表示部が提供されるユーザインタフェースディスプレイを含み得る。ユーザインタラクションは、例えば、組織画像、視覚化、ユーザ選択可能なデータセット、及び複数の走査レコードの1つ以上のうちの1つ以上の(例えば、ユーザ入力に基づいた)インタラクティブな関連付けを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の表示部は相互接続されるように構成され、例えば、第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び/又は第4の表示部を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、統合ユーザインタフェースは、単一のディスプレイの区分/部分として、第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び/若しくは第4の表示部を介して、並びに/又はそれと連動させて効果的に動作するように構成され得る。例えば、統合ユーザインタフェースは、(例えば、ユーザインタフェース135への)ユーザ入力に基づいて、組織画像、視覚化、ユーザ選択可能なデータセット、及び複数の走査レコードの1つ以上のうちの1つ以上をインタラクティブに関連付けるように構成され得る。そのような統合ユーザインタフェースは図5を参照して本明細書に更に詳細に記載される。
【0051】
いくつかの実施形態では、発現マッピングプラットフォーム130は、(例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135で受信された)ユーザ入力に基づいて生物学的物質を分析するように構成することができ、その結果、スライドに載せられた組織切片へのプローブのハイブリダイゼーションの後、オリゴヌクレオチドタグは、例えば、(サンプリングプロファイラ133で)UV暴露によって組織の別個の領域から遊離され、(例えば、サンプリングプロファイラ133で、及びデジタルアナライザにより)遊離されたタグはnCounterアッセイで計量され、計数値が組織位置に再度マッピングされ、分析物存在量の空間分解されたデジタルプロファイルが得られる。空間分解されたデジタルプロファイルは、本明細書に記載されるように、例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135に表示されるように構成され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ROIは、プローブを提供するため、組織の連続切片上で/に隣接して同定される。第1の事例では、いくつかの実施形態では、目的の細胞/組織に対する完全な「巨視的特徴」撮像方法、例えば、DAPI染色、膜染色、ミトコンドリア染色、特異的エピトープ染色、及び特異的転写産物染色を実施して、目的の細胞/組織の全体的な巨視的特徴を決定する。あるいは、プローブが提供される連続切片に隣接する連続切片でROIが同定され、(上記のような)完全な「巨視的特徴」の撮像は第1の連続切片で実行される。この撮像は、概して、隣接する連続切片上のROIを同定し、ROIにおいて適切で指向性のある力を加えると、シグナルオリゴヌクレオチドがプローブから遊離される。連続切片は、互いに約5μm~15μm離れていてもよい。さらなる詳細は、関連するPCT国際出願PCT/US2016/042455号明細書に記載されており、この出願は、上述のように、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0053】
この例では、発現マッピングプラットフォーム130は、以下のように(例えば、サンプリングプロファイラ133において)生物学的物質を分析するように構成され得る。
-プロセス:FFPEスライドに載せた組織を、光切断性リンカーを介してDNAオリゴに結合された一次抗体のカクテルと一緒に、限られた数の可視波長イメージング試薬を加えてインキュベートする、
-表示:腫瘍スライスの全体的な「構造」を確立するために、可視光ベースのイメージング試薬を用いて低プレックスでROIを同定する(例えば、核を撮像及び/又は1つ若しくは2つの主要な腫瘍バイオマーカーを使用する)、
-プロファイル:選択されたROIは、高解像度のマルチプレックスプロファイリングのために選択され、選択された領域からのオリゴは、UV光に暴露された後に遊離される、
-播種:次に、光切断された遊離オリゴを、例えば、マイクロキャピラリーベースの「シッパー」を用いて回収し、その後計量するためにマイクロプレートウェルに保存する、及び/又は
-デジタル計数:デジタル計数工程の間、マイクロプレート内の空間分解されたROIからの光切断されたオリゴは、4色の6スポット光学バーコードにハイブリダイゼーションされ、標準的なNanoString nCounter読み出し計器(例えば、SPRINT、Flex、及びMAX)を使用して、単一のROI内の(最大800-plexマーカーにわたって分散された)タンパク質標的の最大100万個のデジタル計数を可能にする。
【0054】
画像は内部で処理され、(いくつかの実施形態では)各レーンから、そのレーンの計数値を含む1つのRCC(レポーターコードカウント)ファイルが生成される。かかるRCCファイルは、マッピングアプリケーション132(例えば、nSolver(商標)ソフトウェア)による分析(及び任意選択で品質制御)のためにインポートするため、圧縮され(例えば、zip形式で圧縮され)ダウンロードされてもよい。次に、実行データは、例えば、最も一般的に使用されるスプレッドシートパッケージ(例えば、Microsoft(登録商標)Excel)によって開くことができるコンマ区切り値(CSV)形式ファイルとしてエクスポートすることができ、分析ソフトウェア(例えば、NanoString社のnSolver又は他のデータ分析及び視覚化ソフトウェアパッケージ)を使用して分析することができる。
【0055】
図2は、いくつかの実施形態による、発現マッピングシステム(「方法201」)を動作させる方法の例を示すフロー図である。方法201は、例えば、発現マッピングシステム100などの発現マッピングシステムによって実装することができる(例えば、図1及び関連する記述を参照されたい)。したがって、方法201は、組織試料の1つ以上のROI内の生物学的発現の空間マッピングを示すように実装されてもよく、具体的には、いくつかの実施形態では、空間マッピングは、本明細書に記載されるように、組織試料内の発現事象の発生及び測定に対応する(例えば、ROI内の)組織試料内の及び組織試料の空間分解された分析対象物プロファイルを示すように構成されてもよい。
【0056】
方法201は、202において、発現マッピングシステムに、例えば、少なくとも組織試料の画像を含み得る走査ペインを第1の表示部に表示させることを含み、画像は、1つ以上の関心領域(ROI)の特定の1つに各々が対応する1つ以上の区分を含み、1つ以上のROIの各々は組織画像内の組織の特定の部分に対応する。走査ペインは、例えば、図5を参照して本明細書で更に詳細に説明される。方法201は、204において、発現マッピングシステムに、例えば、1つ以上のROIに含まれる生物学的発現の各々の視覚化を含む視覚化ペインを第2の表示部に表示させることを含む。かかる視覚化は、例えば、図5を参照して本明細書に更に詳細に記載される。
【0057】
方法201は、206において、組織画像内の1つ以上のROIをコーディングして、1つ以上のROI内の生物学的発現の空間マッピングを示すことによって、発現マッピングシステムに第1の表示部を拡張させることを含む。いくつかの実施形態では、発現マッピングシステムは、図4A~4Eを参照して説明されるように、1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにおける(例えば、組織の)形態プロファイリングを容易にするために、第1の表示部を拡張するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、コーディングは、例えば、図4A~4Eを参照して説明されるようなカラーコーディングを含み得る。いくつかの実施形態では、コーディング又はカラーコーディングの1つ以上は、例えば、図3、4A~4E、及び/又は6A~6Iを参照して説明されるような、生物学的発現の定量的測定値をそれぞれ提示することを含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の表示部は、視覚化に含まれる生物学的発現の少なくとも1つの選択を指定するユーザ入力に基づいて拡張され得る。いくつかの実施形態では、図5を参照して本明細書に記載されるように、少なくとも1つのユーザが選択した生物学的発現の空間マッピングは、その空間的コンテキストをROIのうちの少なくとも1つに提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のROIの選択を指定するユーザ入力は、例えば、選択に関連付けられた1つ以上のROIの形状又はサイズを定義するROIの1つ以上の選択を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法201は、例えば、少なくとも1つのユーザ選択可能なデータセットを含むデータセットペインを第3の表示部に表示することを更に含んでもよく、少なくとも1つのデータセットは、図5を参照して説明されるような、1つ以上のROIに含まれる生物学的発現のうちの1つ以上に関連付けられる。いくつかの実施形態では、方法201は、例えば、各々が少なくとも1つの組織画像を含む、複数の走査レコードを含むレコードペインを第4の表示部に表示することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、方法201は、例えば、ユーザ入力に基づいて少なくとも1つのレコードを選択することを更に含んでもよく、その結果、その選択時に、走査ペイン、視覚化ペイン、及びデータセットペインのうちの少なくとも1つが、それぞれの表示部又は関連付けられた表示部に表示される。
【0060】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、遺伝子発現を示す視覚化の例を示す図である。図示されるように、視覚化は、例えば、ヒートマップ及び同種のものなどのマップを含むことがあり、試料の領域(例えば、ROI)は、発現されるマーカーの強度及び識別に基づいて分類されている。また、例示的なROIは(上から下へ)、「ROI3」、「ROI2」、「ROI1」、「ROI10」、「ROI12」、「ROI11」、「ROI5」、「ROI4」、「ROI6」、「ROI8」、「ROI7」、及び「ROI9」を含む。さらに、例示的な領域としては(上から下へ)「CD20濃縮」、「CD3濃縮」、「混合」、及び「PanCK濃縮」を含む。さらに、例示的な抗体としては、図示されるように(左から右へ)、「P-S6」、「β-カテニン」、「PanCK」、「CD34」、「CD163」、「VISTA」、「Tim3」、「CD8」、「CD56」、「IDO1」、「CD11c」、「p70-S6K」、「GZMB」、「CD3」、「CD4」、「CD45RO」、「Bcl-2」、「P-STAT5」、「B2M」、「CD45」、「lk-Ba」、「HistoneH3」、「AKT」、「B7-H4」、「PD1」、「HLA-DR」、「CD20」、「BIM」、「P-STAT3」、「PD-L1」、「S6」、「B7-H3」、「c-Myc」、「CD68」、「Ki-67」、「MSH2」、「MSH6」、「BCL6」、「STAT3」、「BCL6」、「STAT3」、「PMS2」、及び「MLH1」を含む。また、ヒートマップは、例えば、それぞれの生物学的発現の種類及び程度を示すように構成された1つ以上の凡例を含み得る。例えば、図示されるように、ヒートマップは、「nCounter計数目盛り」凡例及び「領域」凡例を含み得る。
【0061】
ヒートマップは、生物学的発現、又は生物学的発現に関連付けられた発現事象がマッピングされる関連するROIに関して、様々な生物学的発現のカラーコーディングされた計量値又は計数値を示す(例えば、サンプリングプロファイラ133からの)データの視覚化を表す。ヒートマップは、色によって計数値を描写する画像であってもよく、又は画像を含み得る。画像はx軸線に沿って整列するよう構成されたセグメントと、y軸線上に沿って整列するよう構成された標的を含み得る。ヒートマップは、生物学的発現の定量的測定値を提示するようにヒートマップを提示するよう、1つ以上のROIのカラーコーディングによって表示することができる。例えば、ヒートマップの色による計数値は、生物学的発現の計数値がマッピングされる試料の領域(例えば、「領域」の凡例に示される)に関して、生物学的発現の計数値(例えば、「nCounter計数目盛り」の凡例によって示される)などの定量的測定値を示すように構成され得る。さらに、定量的測定値は、それぞれの生物学的発現の(例えば、領域及び/又はROI並びに関連する抗体型による)種類及び/又は(例えば、計数値による)程度に対応するように構成され得る。さらに、ヒートマップは、対応する色又は強度によってそれぞれの生物学的発現の程度又は範囲を示すように構成することができる。例えば、ヒートマップに示されるように、より高い強度(例えば、比較的暗い領域)は、より高い生物学的発現の計測数を示すように構成することができ、より低い強度(例えば、比較的明るい領域)は、より低い生物学的発現の計測数を示すように構成することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ヒートマップは、ヒートマップの領域上に(例えば、カーソルを)合わせることに対応するユーザ入力に応じて示され得るインタラクティブなポップアップボックスを表示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、インタラクティブなポップアップは、例えば、その上にカーソルを合わせたことが検出された領域に関連付けられたセグメント、標的、計数値、及び/又は任意のタグを示すように構成され得る。いくつかの実施形態では、スクロール又はスライドに対応するユーザ入力要素が示され、線形データとLog2データとの間の選択を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ヒートマップが表示される色彩の配合が、ユーザ入力に基づいて調整又は変更されるように構成され得る。一例として、ヒートマップは、例えば以下のようなインタラクティブなユーザ操作のために構成され得る:クリック及びドラッグをしてヒートマップの一部又は全てを選択する、選択されたプローブからなるプローブグループを選択、定義、及び/又は指定する、(例えば、現在の試験から)プローブグループの選択を解除、定義を解除、及び/又は指定する。いくつかの実施形態では、ヒートマップは、例えば、線形スケール、対数スケール及び同種のもので実装することができる。
【0063】
図4A~4Eは、いくつかの実施形態に係わる、組織(例えば、組織試料)及び遺伝子発現(例えば、組織全体で又は組織内での発現事象の発生)を(例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135によって)示すことができる、視覚化及びプロファイリングの様式(「視覚化及びプロファイリングの様式(複数可)」又は「プロファイリングの様式(複数可)」)の例を示す図である。図示されるように、視覚化及びプロファイリングの様式は、幾何学的プロファイリング(図4A)、セグメントプロファイリング(図4B)、等高線プロファイリング(図4C)、グリッドプロファイリング(図4D)、及び希少細胞プロファイリング(図4E)を含む。視覚化及びプロファイリングの様式は、本明細書に記載されるように、ユーザ入力に基づいて、ユーザが1つ以上のROIをインタラクティブかつ視覚的に定義することを可能にするように構成され得る。視覚化及びプロファイリングの様式は、本明細書に記載されるように、1つ以上のROIのうちの少なくとも1つにおける(例えば、組織の)形態プロファイリングを容易にするように生成及び構成することができる。例えば、視覚化及びプロファイリングの様式は、試料の分析のために構成することができ、それによって、試料内及び試料の発現事象の不均一性のレベル及び関連する生物学的発現を決定、評価、及び/又は特性評価する。
【0064】
図4Aを参照すると、幾何学的プロファイリングは、ユーザ入力に基づいて、試料の不均一性及び/又はプロファイル(例えば、生物学的発現プロファイル)の空間的かつ定量的評価、検討、及び特性評価を可能にし、サポートし、容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ユーザ入力は、1つ以上のROIの形状及び/又はサイズに関する1つ以上の選択を指定、調整、及び/又は定義するように構成され得る。例えば、1つ以上のROIの選択を指定するユーザ入力は、例えば、1つ以上のROIの選択に加え、1つ以上のROIの選択に関連する1つ以上のROIの形状又はサイズを含み得る。同じ形状が再利用でき、これによってROI間で特定の領域(ピクセル)が同じであることを確実にする。いくつかの実施形態では、幾何学的プロファイリングは、試料の異なる組織領域間で標準化された幾何学的形状を提供するように構成され得る。一例として、幾何学的プロファイリングは、腫瘍及び免疫マーカーの発現が試料全体でどのように異なり得るか(例えば、不均一性)の評価を容易にするように構成され得る。幾何学的プロファイリングは、近接性に基づいて、組織発現プロファイルの特定の領域全体及び領域内の別個の発現プロファイルを同定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、幾何学的プロファイリングは、選択された1つ以上のROI内の生物学的発現の定量化を表すように構成され得る。
【0065】
次に、図4Bを参照すると、セグメントプロファイリングは、1つ以上のROI内の別個の生物学的区画を同定及びプロファイリングするため、形態マーカーを使用して細胞充実度の種類及び/又は程度を示すように構成され得る。セグメントプロファイリングは、特異な腫瘍及び腫瘍微小環境分子プロファイルを明らかにする。例えば、セグメントプロファイリングは、腫瘍が腫瘍微小環境とどのように異なり得るかの評価を容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、セグメントプロファイリングは、例えば、手動セグメントプロファイリング又は自動セグメントプロファイリングを含み得る。いくつかの実施形態では、自動セグメントプロファイリングは、少なくとも1つ以上のROIにおける試料のセグメントプロファイリングを、少なくとも1つのセグメントプロファイリングパラメータを指定するユーザ入力に基づいて、自動化し、容易にするよう構成され得る。いくつかの実施形態では、セグメントプロファイリングは、本明細書に記載されるように、1つ以上のROI内の別個の生物学的領域の同定及びプロファイリングを容易にするために、形態マーカー(蛍光標的)からの(例えば、種類及び/又は程度に関する)高い信号と低い信号の違いを検出、分類、同定及び/若しくは区別する、又は、その他の場合には決定するように構成され得る。例えば、セグメントプロファイリングは、CD45陽性組織とS100B陽性組織のような別個の生物学的領域を区別するために、ROI内の別個の生物学的領域を同定及び/又はプロファイルするように構成され得る。
【0066】
次に、図4Cを参照すると、等高線プロファイリングは、本明細書に記載されるように、1つ以上のROIにおける中央構造の周囲の生物学的応答及び局所微小環境に対する近接性の影響の評価、検討、及び特性評価を可能にし、サポートし、容易にするように構成され得る。例えば、等高線プロファイリングは、(例えば、1つ以上のROIにおいて)腫瘍又は免疫細胞集団への近接性が生物学的応答をどのように変化させるかを決定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のROIは、図4Cに示されるような、近接性に基づいて別個の発現プロファイルを示すように構成された1つ以上の放射状ROIを含み得る。いくつかの実施形態では、等高線プロファイリングは、放射状ROIを用いて中心構造の周囲の局所微小環境を調べることによって、近接性が生物学的応答にどのように影響するかを示すように構成され得る。中心構造は、免疫細胞のクラスタのような小さな構造でも、ニューロンや血管のような複雑な構造でもよい。したがって、等高線プロファイリングは、1つ以上のROIにおける中心構造の周囲の生物学的反応及び局所微小環境に対する近接性の影響の評価、検討、及び特性評価を可能にし、サポートし、容易にするように構成することができる。中心構造は、例えば、小さな免疫細胞のクラスタ、又はニューロンや血管のような複雑なものを含む。
【0067】
次に、図4Dを参照すると、グリッドプロファイリングは、調整可能なグリッドパターンを使用して深さのある空間マッピングを実行するように構成され得る。例えば、本明細書に記載されるように、グリッドプロファイリングは、1つ以上のROIの選択に対応するユーザ入力に基づいて、試料中の構造(例えば、腫瘍)の分子プロファイルのデジタルマップを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、グリッドプロファイリングの視覚化は、例えば、試料の深さのある空間マッピングを作成するために画像上に重畳される調節可能なグリッドパターンを含み得る。
【0068】
次に、図4Eを参照すると、希少細胞プロファイリングは、例えば、単一細胞プロファイリング及び希少細胞プロファイリングを含み得る。単離された免疫細胞集団は、特異な発現プロファイルを示す。したがって、希少細胞プロファイリングは、例えば、本明細書に記載されるように、1つ以上のROI内の別個の細胞集団の機能を示すように構成され得る。いくつかの実施形態では、希少細胞プロファイリングは、1つ以上のROIにおける細胞型特異的形態マーカーに基づいて、別個の細胞集団を検出又は同定するように構成され得る。したがって、希少細胞プロファイリングは、例えば、対応する生物学的発現に関連し得る希少発現事象及びその種類を含む「希少事象に光を当てる」のに役立つ。いくつかの実施形態では、希少細胞プロファイリングは、例えば、希少又は単一の免疫細胞を含む特定の免疫細胞が腫瘍生物学及び治療応答にどのように影響を及ぼし得るかの評価、検討、及び特性評価を容易にするように構成され得る。別個の細胞集団の機能は、例えば、特異な発現プロファイルに対応する細胞型特異的形態マーカーに基づいて示され得る。
【0069】
図5は、いくつかの実施形態に係わる、視覚化を含むユーザインタフェースディスプレイの例を示す図である。ユーザインタフェースディスプレイは、本明細書(及び上記)に記載されるように、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135などのユーザインタフェースを含み得る。図示されるように、ユーザインタフェースディスプレイは、例えば、走査ペイン、データセットペイン、及び視覚化ペインを含む。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースディスプレイは、例えば、レコードペイン(図示せず)を更に含み得る。さらに、走査ペイン、データセットペイン、及び視覚化ペインは、それぞれ、様々な機能ボタンを含み得る。例えば、図5に示されるように、走査ペインでは、機能ボタンに「注釈の管理」、データセットペインでは「データセット履歴」及び「データセットのエクスポート、名前の変更、削除」、並びに、視覚化ペインでは「ドロップダウンパラメータメニュー」が含まれ得る。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースディスプレイは、例えば、ツールバー及び/又は一般的な機能ボタンを更に含み得る。例えば、図示されるように、ツールバーには「タスクバーオプション」を含むことができ、一般的な機能ボタンには「エクスポート機能」を含むことができる。ユーザインタフェースディスプレイは、それ以外の場合、任意の他の適切な種類又は構成のペイン、ツールバー、及び/又は機能ボタンを含むことができ、それらは設計の問題として選択され得る。
【0070】
ユーザインタフェースディスプレイは、本明細書に記載されるように、(例えば、ユーザ装置110又は発現マッピングプラットフォーム130で)ユーザと(例えば、発現マッピングプラットフォーム130で)発現マッピングプラットフォームとの間のインタラクティブなユーザインタラクションを提供するように構成された統合ユーザインタフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザインタラクションは、例えば、組織画像、視覚化、ユーザ選択可能なデータセット、及び複数の走査レコードの1つ以上のうちの1つ以上の(例えば、ユーザ入力に基づいた)インタラクティブな関連付けを含むことができる。概して、相互接続された視覚化は、例えば、本明細書に記載されるように、データセットの選択(例えば、1つ以上のユーザ選択可能なデータセット、複数の走査レコードのうちの1つ以上と関連付けられた任意の適切な種類の(例えば、試料の)視覚化及び/又は画像を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、走査ペインは、例えば、1つ以上のROI又は組織画像全体の少なくとも1つの特定のセグメントに各々が対応する複数のアイコンを含み得る。いくつかの実施形態では、走査ペインは、例えば、1つ以上のROI又は組織画像全体のうちの少なくとも1つの特定のセグメントに各々が対応する複数のアイコンを含み得る。いくつかの実施形態では、走査ペインは、例えば、1つ以上のROI、セグメント及び同種のものに関連付けられた、若しくはそれに対応する表現、視覚化、及び/又は画像を含むことができる。いくつかの実施形態では、走査ペインは、1つ以上の走査、1つ以上のROI、及び/又は1つ以上のセグメントが、1つ以上の走査、1つ以上のROI、及び/又は1つ以上のセグメントの選択に対応するユーザ入力(例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135を介して、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130でユーザから受信された)に基づいて且つそれに応答して、(例えば、図5に示されるような)特定の試験から除外される又は含まれることができるように構成され得る。さらに、走査ペインは、ユーザ入力に基づいたタグの選択を提供するように構成され得る。さらに、走査ペインは、走査の個々の画像ビューアを含み得る。
【0072】
例えば、走査ペインは、例えば、各走査に関連付けられたアイコン(例えば、図5に示されるように、このペインの上部に配置され、各セグメントを表すピッカーボタンは、各画像ビューアの右側に配置される)を含み得る。いくつかの実施形態では、各アイコンは、例えば、シングルクリックによって走査又はセグメントの状態を選択から非選択に切り替え、その逆にも切り替えるように、各走査とインタラクティブに関連付けられ得る。それ以外の場合、アイコンは、他の制御動作を提供するように構成されてもよく、これは設計事項として選択され得る。いくつかの実施形態では、走査ペインは、アイコン又はピッカーボタンにカーソルを合わせると、名前、タグなどの追加情報が表示されるように構成され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、走査ペインは、例えば、選択されたセグメントの数及び/又は分析されるセグメントの総数、並びに分析のために選択されたセグメントの大まかな割合の視覚的プレビューを提供するように構成された「走査アイコン」ボタンを含み得る。いくつかの実施形態では、走査ペインは、例えば、画像ビューアを含み得る。各画像ビューアは、走査並びにROI及びセグメントの空間的配置を描写する。例えば、左上隅のチェックボックスは、図5に示されるように、その走査が分析のために選択されているかどうかを示す。選択された走査は緑色のヘッダーを有し、選択解除した走査は白色のヘッダーを有する。走査ペインは、セグメントの表示、選択、及び選択解除を補助するため、走査画像を調整するように構成され得る。例えば、走査画像は、セグメントの視野を変更するように調整される。別の例として、走査画像は、(例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135によって)拡大及び縮小表示されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、走査ペインは、各々が1つ以上のROI(例えば、走査画像)に対応する1つ以上のピッカーボタンを含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、データセットペインは、例えば、1つ以上のデータセット、プローブ、プローブグループ、及び/若しくはセグメントグループに関連付けられた、若しくはそれに対応する表現、視覚化、並びに/又は画像を含み得る。例えば、データセットペインは、表現、視覚化、及び/又は画像のリストを含み得る。いくつかの実施形態では、データセットペインは、現在の試験に関連付けられたデータセット及びプローブグループを初めに示すように構成され得る。例えば、データセットペインは、新しい試験の開始時に初期データセット(インポートされた生のデータセット。これは「データセット」リストの上部に表示される)と「全てのプローブ」グループを表示するように構成できる。
【0075】
いくつかの実施形態では、視覚化ペインは、例えば、本明細書に記載されるように、1つ以上のROIに含まれる1つ以上の生物学的発現のグラフ、プロット、図、及びマップのうちの1つ以上に各々対応する1つ以上の視覚化を含み得る。各視覚化は、1つ以上の選択されたデータセット、プローブ、及び/又はそれらのプローブからのデータに適用される調整の視覚化表現を含み得る。いくつかの実施形態では、視覚化の1つ以上は、1つ以上の画像(例えば、試料画像)を含み得る。いくつかの実施形態では、視覚化の1つ以上は、プロット上の関心領域(例えば、ROI)の選択に対応するユーザ入力によって、「走査」ペイン内の関連する強調表示されたセグメントが表示されるように構成され得る。関心領域の選択は、例えば、右クリックでタグ、グループなどを作成することを含み得る。例えば、視覚化ペインは、任意の視覚化における関心領域を(例えば、ユーザインタフェース113及び/又はユーザインタフェース135を介したユーザ装置110及び/又は発現マッピングプラットフォーム130へのユーザによるユーザ入力に基づいて)選択することで、「走査」ペインで強調表示されたそれぞれのセグメントを示すように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のROIは、視覚化ペインによって選択され得る。いくつかの実施形態では、視覚化ペインは、例えば、実時間でデータ調整を行うために適用され得る変更の選択に対応するユーザ入力によって、実時間のユーザインタラクションを可能にするように構成され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、視覚化ペインは、ユーザ入力に基づいて、プローブグループ、セグメントグループ、及び/又は同種のものを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、視覚化ペインは、ユーザ入力に基づいて、1式以上のセグメント及び/又は個別のセグメントの1つ以上の選択と関連付けられるタグを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、視覚化ペインは、ユーザ入力に応答して、1つ以上のデータセット、セグメント、及び/又はプローブを動的に表示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、視覚化ペインは、走査ペイン又はデータセットペインのうちの1つ以上にインタラクティブに相互接続され得る。例えば、視覚化ペインは、視覚化の関心領域を選択することで1つ以上のROIが選択され得るように構成された視覚化を含み得る。いくつかの実施形態では、視覚化ペインで選択されたROIは、「走査」ペインに表示、強調表示、又はそれ以外の方法で示されるように構成され得る。したがって、視覚化ペインは、ユーザが選択のためのプローブグループ又はセグメントグループを生成すること、選択された一式のプローブ又はセグメントを試験から除外すること、1つ以上の選択されたセグメントと関連付けられたタグを定義すること、及び同種のものを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、レコードペイン及び/又はデータセットペインは、関連付けられたデータセットに対して行われた任意の変更又は調整を示すように構成され得る。
【0077】
一例として、データセットペインは、使用中に、現在の試験に関連付けられた全てのデータセット及びプローブグループのリストを含むことができる。いくつかの実施形態では、データセットペインは、試験の開始時に初期データセットを示すように構成され得る。例えば、初期データセットには、インポートされた生のデータセットを含めることができる。これは、「データ」設定フィールドの「データセット」リストの一番上に表示されるように設定され得る。別の例として、初期データセットは、プローブグループ、並びに、ユーザのコア及びモジュールキットの設定ファイルに定義された追加的なプローブグループを含めるように構成することができる。この設定ファイルは、試験の開始時に「プローブ」グループフィールドに入力される。
【0078】
いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースの表示部は、統合ユーザインタフェースによってユーザ入力に基づいて実時間で表示するために、視覚化ペイン並びにデータセットペイン及びレコードペインのうちの1つ以上と併せて、走査ペインをレンダリングするように構成され得る。いくつかの実施形態では、検出されたデータセットのプローブは、「データセット」ペインのプローブリストに列挙され得る。データセットペインは、個々のデータセットを(例えば、ドラッグアンドドロップ操作によって)レコードペインに保存することができるように構成され得る。いくつかの実施形態では、レコードペインは、例えば、データセット(例えば、保存されたデータセット)のフォルダ又はリストを含むことができる。いくつかの実施形態では、レコードペインは、タグ、テキスト及び同種のものに基づいて検索可能であるように構成され得る。いくつかの実施形態では、図5に示されるように、ユーザインタフェースの表示部は、ユーザ入力に基づいて、少なくとも1つのレコードを選択し、レコードを選択すると、走査ペイン、視覚化ペイン、及びデータセットペインのうちの少なくとも1つがそれぞれの表示部内に表示されるように構成され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、レコードペインはデータ分析キューを含み得る。例えば、レコードペインは、レコードボタンによってアクセスされ、1つ以上の走査を含む1つ以上のフォルダのユーザ入力による選択を可能にするように構成され得る。左上隅のチェックボックスをクリックして、関心のある各走査を選択する。これにより例えばヘッダーの色が変わる(例えば、緑)。1度に1枚のスライドが表示されてもよい。いくつかの実施形態では、レコードペインは、(例えば、図5に示されるように、「レコード」の下に)「走査ギャラリービュー」を含み得る。いくつかの実施形態では、レコードペインは、ユーザ入力に基づく分析のために、1つ以上の走査が一緒にキューに入るように構成される。いくつかの実施形態では、レコードペインは、ユーザ入力に基づいて走査順序を調整するように構成され得る。例えば、走査順序は、走査日に基づいて自動的に設定できる。別の例として、走査順序は、「走査名」、「スライド名」及び同種のものに関して、ユーザ入力に基づいて調整することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース表示は、ユーザ入力に基づいて、複数のレコードのプロパティ、制約、及び/又は値のうちの少なくとも1つをフィルタリングするように構成され得る。例えば、ユーザインタフェースディスプレイは、(例えば、テキストによって及び/又はタグによってプローブを検索するため)テキスト及び/又はタグに基づいて、「分析物の種類」に基づいてプローブをフィルタリングするように(例えば、ユーザが、出現するプローブをフィルタリングするために「RNA」又は「タンパク質」を選択できるように)構成することができる。プローブグループ及びセグメントグループは、例えば、「データセット」ペインに列挙され得る。他の事前定義されたプローブグループはコア又はモジュールキットの設定ファイルで定義されているため、このフィールドに自動入力されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタリングは、例えば、種類ごとにセグメントのグループ化ができるように「タグ」の選択に基づいて実施されるように構成されることができ、分析のためにデータを分類及びフィルタリングするために使用することができる。
【0081】
一例として、使用中、走査ペインは、ユーザが、ユーザ入力に基づいて、試験に含む1つ以上の走査、プローブ、及び/又はセグメントを選択することを可能にするように構成され得る。試験内の1つ以上の走査は、図5に示されるように、例えば、走査ペインの上部にある走査アイコン、及び下向きに列挙された走査画像として表すことができる。いくつかの実施形態では、走査ペインは、試験での分析のために実質的に全ての走査及びセグメントが初期選択されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、「走査」ペインは、セグメントの注釈を走査ペインの「注釈の管理」ボタンを使用してスプレッドシートにアップロードできるように構成できる。いくつかの実施形態では、走査ペインは、含むことができる。
【0082】
図6A~6Iは、本開示のいくつかの実施形態に係わる、例示的な視覚化をそれぞれ示す図である。図示されるように、視覚化には、クラスタ図(図6A)、棒グラフ(図6B)、散布図(図6C)、箱ひげ図(図6D)、フォレストプロット(図6E)、統計プロット(図6F)、ボルケーノプロット(図6G)、傾向プロット(図6H)及びストリッププロット(図6I)が含まれる。
【0083】
図6Aを参照すると、クラスタ図はデータポイント間の関係についての推論を行うインタラクティブツリーを含み得る。いくつかの実施形態では、インタラクティブツリーは、系統樹であってもよく、又は系統樹を含み得る。クラスタ図は、図6Aに示されるように、クラスタの同じブランチに属する点はある水準で互いに類似しており、別々のブランチのデータ点は類似度が低く、セグメントはx軸線に沿って整列し、標的はy軸線に沿って整列するように構成され得る。いくつかの実施形態では、クラスタ図は、ユーザ入力に基づく選択によってデータがログ変換され、zスコアが計算され、(相関/系統樹が計算される)「クラスタリング」によってクラスタヒートマップ内の位置を決定するように構成されるアルゴリズムによって実装され得る。クラスタヒートマップは、決定された位置に基づいて、各セグメント―プローブセルをzスコアを表す色でプロットする。視覚化からデータをエクスポートする際に、ユーザに表示されるzスコアの値をエクスポートする性能がなければならない。
【0084】
図6Bを参照すると、棒グラフは、試験に含まれる全セグメントにおける全プローブの計数値を表している。例えば、x軸線に沿ってセグメント、y軸線に計数値が記載されてもよく、各バーの高さはビンで定義された各計数値の頻度を表す。いくつかの実施形態では、棒グラフは、棒グラフが線形及び/若しくは対数スケールで示されるように構成されるアルゴリズムによって実装されてもよく、並びに/又は、エラーバーは、グループ内の計数値の「標準」偏差、若しくは標準誤差の何れかである。いくつかの実施形態では、棒グラフは、「線形」/「対数」スライダを使用して、強度データを自動スケーリング及び/又は線形空間若しくは対数空間で表示できるように構成することができる。いくつかの実施形態では、棒グラフは、比率データ(該当する場合)を「比率」、「倍率変化」、又は「Log2」比として表示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、棒グラフは、ユーザ入力に基づいて、自動又は手動で、「最小計数値」及び/又は「最大計数値」(対数スケールではなく、線形強度データを表示する場合にのみ利用可能)を入力して目盛りを適用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、棒グラフは、「タグ」、「係数」、「平均」メソッド(中央値、幾何平均、平均)、及び「エラー」バー(SE、SD、なし)を選択することによってグループ化を「適用」するように構成することができる。
【0085】
図6Cを参照すると、散布図は、あるセグメントの結果をx軸線に、別のセグメントの結果をy軸線にプロットする視覚化である。代替的又は追加的に、散布図は、第1の試験からのプローブに関連する結果を示す第1のプロットを、第2の試験からのプローブに関連する結果を示す第2のプロットに対して示すように構成された視覚化であってもよく、又はそれを含み得る。いくつかの実施形態では、散布図は、R2線などの傾向線と(例えば、図6Cのプロットの右上に示される)関連する値を自動的に表示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、R2値は、ピアソン相関係数(例えば、Excelの「RSQ」関数)として計算されるように構成され得る。
【0086】
図6Dを参照すると、箱ひげ図は、四分位値に基づいて試験のサブセットを描写するプロットを表す。箱ひげ図には、箱から垂直に伸びる線(ひげ)があり、上下の四分位値から外れたばらつきを示す。外れ値は、個々の点としてプロットされ得る。これらの視覚化は、基礎となる統計分布を仮定することなく、実験のサブセット間の差異を表示するもので、非パラメータ的である。例えば、箱ひげ図は、ユーザ入力に基づき、セグメント、タグ、並びに、中央値、最大値、第1及び第3四分位の値を表示するポップアップを表示するように構成され得る。凡例は、各プロットに割り当てられた色とそれに対応するラベルを示す。凡例内のカラーボックスをクリックし、プロットを表示又は非表示する。いくつかの実施形態では、箱ひげ図は、25パーセンタイル四分位値と75パーセンタイル四分位値との間に延びるように構成することができ、及び/又は、ひげは、最小値及び最大値まで延びる。
【0087】
図6Eを参照すると、フォレストプロットは、すべてのセグメント又はセグメントグループにおける、個々のプローブの比率値の分布を示す。各プローブ名(垂直軸線に記載)に対して水平軸線に沿った箱ひげ図として倍率変化を記載した。縦軸線は1に等しい比率で示される。ボックスにカーソルを合わせると、ツールチップに各プローブのプロットで描かれた分布の統計情報が表示される。ボックスは、分布の第1四分位と第3四分位に亘り、線は中央値を示す。ひげは、データの95%信頼限界の間に延びる。いくつかの実施形態では、フォレストプロットは以下の機能を含み得る:強度データを「比率」、「倍率変化」、若しくは「Log2」で表示する、タグ及びタグの組み合わせでグループ化してデータを階層化及び色付けする、タグでデータポイントを色付けする、及び/又は、色付けする1つ以上のセグメントタグを選択する(組み合わせグループも同様に作成される)。
【0088】
図6Fを参照すると、統計プロットは、例えば、主成分プロット又はPCAプロットを含み得る。主成分プロットは、3次元プロットのx軸線、y軸線、及びz軸線に沿って、選択されたデータセットの上位3つの主成分を描写するように構成され得る。変動の原因の大部分は、これらの上位3つの成分によって説明できる。主成分プロットは、以下のような様々な機能を持つように設定することができる:プロットをクリックし、x、y、又はz軸線に沿って回転させ、異なる軸線の視点でプロットを表示する、データポイントをクリックすると、セグメントペイン及び走査イメージビューアでそのセグメントが自動的にハイライトされる、及び/又は、プロットのデータポイントにカーソルを合わせると、それが表すセグメント名、関連タグ、及び、各座標、並びに、その定義された3次元がポップアップ表示される。
【0089】
図6Gを参照すると、ボルケーノプロットは、x軸線にデータセットの比率データ(log2)とy軸線に有意性の尺度(p値の-log10)をとる散布図である。この視覚化は、t検定(p値)を含むデータセットで利用可能である。いくつかの実施形態では、ボルケーノプロットは、平均値を使用して個々の比率(例えば、腫瘍1/ストローマAV、腫瘍2/ストローマAV等)を1つの値に組み合わせるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ボルケーノプロットは、ユーザ入力に基づいて、プロットで使用する比率(例えば、腫瘍/免疫又は免疫/腫瘍)を示すように構成され得る。例えば、ボルケーノプロットは、「ビュー」比率データを「比率」、「倍率変化」又は「Log2」比として表示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ボルケーノプロットは、スライダを使用してp値/-10logを使用して指定され得る。いくつかの実施形態では、ボルケーノプロットは、対応する色によって異なるプローブ群を示すように構成され得る。
【0090】
図6Hを参照すると、傾向プロットは、データセット内の全ての選択されたプローブの折れ線グラフを示す。セグメントはx軸線に沿って順に並べられてもよく、プローブ計数値はy軸線に沿って並べられる。傾向プロットは、以下のような各種機能を含むように構成され得る:カーソルを合わせると、プローブ名及びp値を含むポップアップが表示される、y軸線の線形値と対数値を切り替える、タグ若しくは係数による「セグメント」のグループ化を選択する、又はタグによってセグメントをソートする、p値の選択(例えば、最大p値)によって傾向プロット上の線を選択して、そのp値以上の値に関連付けられた結果を表す何れかの線を選択させる。線による「選択」ボタンを使用してグラフ上に線を描く。
【0091】
図6Iを参照すると、ストリッププロットは、視覚化ごとに1つのプローブを描写する。ストリッププロットは、以下のような各種機能を含むように構成され得る:ストリッププロット上の点は各値を表す、線はグループの中央値を示す、散布図上のデータポイントにカーソルを合わせると、そのポイントの標的及びx座標及びy座標を表示するポップアップが表示される、プロット上の任意の他の領域にカーソルを合わせると、最小値、中央値、最大値、四分位数及び現在表示されているプローブが表示される、選択するプローブをフィルタリングするために使用するp値を選択する(選択されたp値以上のプローブが表示される)、線形計数値又はLog2値を表示する、ユーザ入力に基づいて、どのプローブのプロットを表示するかを選択する、p値を設定する、選択されたセグメントにタグを追加して、選択からセグメントグループを作成する。
【0092】
実施例1
図7A~7Dは、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的な結果を示す。本開示に係わる空間マッピングの実施形態は、生存の潜在的な予後バイオマーカーに関連する区画特異的マーカーを同定するのに役立った。
【0093】
予後バイオマーカーを同定するための腫瘍微小環境内の特定の細胞型。
【0094】
マクロファージ(CD68+)、メラノサイト(S100B+)、及び非マクロファージ免疫細胞(CD45+CD68-)に焦点を当てて、シリアルマスクを使用した「希少細胞プロファイリング」によって区画を解明した。目的:腫瘍と間質領域を区別すること。
【0095】
結果:CD3、CD8、β-2ミクログロブリン、PD-L1、及びHLA-DRはいずれも全生存率及び無増悪生存率の両方において細胞型特異的予測力を示し、PD-L1は、マクロファージ区画内の全生存率と最も強い関連を示し(図7A~7D)、免疫非マクロファージ区画内のβ-2ミクログロブリンは、全生存率及び無増悪生存率の両方と関連した。
【0096】
実施例2
図8Aは、本開示の発現空間マッピングの実施形態によって取得された例示的結果を示す。具体的には、図8Aは、治療前及び治療生検の生物学的発現プロファイリングが応答に関連する複数のマーカーを同定している様子を示す。治療中に患者の腫瘍を検査したところ、応答者は、非応答者よりも高いレベルのCD45+発現、CD8+浸潤、PDL1、PDL1、CD4、グランザイムB、FoxP3、CD20及びPD-1の発現の増加を示した。これらの差異は、治療中の試料だけでなくベースライン試料においても観察され、これらのマーカーは投与前に治療の成功を予測するために使用され得ることを示唆し、患者のために選択される治療の種類を再形成し得る。
【0097】
実施例3
図8B~8Cは、本開示の発現空間マッピングの実施形態によって取得された例示的結果を示す。特に、図8Bは、幾何学的ROI選択手法に使用される試料画像及びROIを示し、図8Cは、GeoMxDSPで解析したネオアジュバント療法後に再発したメラノーマ患者と再発しなかったメラノーマ患者間のタンパク質の発現差を測定したボルケーノプロットを示す。再発のない患者におけるβ2M、CD3、及びPD-L1のレベルの増加に留意されたい。他のタンパク質はいずれも図に示されておらず、CD3は適応免疫応答と関連付けられている(図はNature Medicineより作成された)。「Neoadjuvant versus Adjuvant Ipilimumab Plus Nivomumab in Macroscopic Stage III Melanoma」(Blank、CU等、Neoadjuvant versus Adjuvant Ipilimumab Plus Nivolumab in Macroscopic Stage III Melanoma.Nat Med.2018;24(11):1655-1661)を参照されたい。これは、I+Nをアジュバント又はネオアジュバント治療5の何れかとして使用した場合の効果を比較したものである。
【0098】
I+N投与前に採取されたFFPE生検は、29の標的とメラノサイトに発現する抗原であるS100Bが染色され、腫瘍の多いROIを同定した。腫瘍あたり6つのROIが「幾何学的プロファイリング」によって選択された。また、高い免疫浸潤を有する3つのROI及び低い免疫浸潤を有する3つのROIを確定するためにCD45染色が使用された。CD3、β-2ミクログロブリン、及びPD-L1タンパク質のレベルをGeoMxDSPで定量化し、IFN-γRNAレベルを低、中、及び高として層別化した。
【0099】
この試験では、ネオアジュバント治療が腫瘍サイズの縮小に成功し、外科的介入の範囲を小さくした。本開示の実施形態は、
-治療前後のTCR配列の決定によって実証されるように、ネオアジュバントI+Nによって、アジュバントI+Nよりも多くの常在T細胞クローンが生成され、及び
-治療前腫瘍生検におけるインターフェロンγ(IFN-γ)RNAのレベルは、治療後の臨床転帰及び再発率と相関している、という結果により支持される。
【0100】
CD3、β-2ミクログロブリン、及びPD-L1のレベルが低下し、IFN-γRNAのレベルが低かった患者は再発した。IFN-γRNAのレベルが中程度から高いレベルの患者は再発しなかった(発表時)ことから、このバイオシグネチャーは患者の治療効果を予測するために利用できる可能性があることが示された(図5)。
【0101】
実施例4
図8D~8Eは、本開示の発現マッピングシステムによって取得された例示的結果を示す。特に、図8Dは、S100B(腫瘍細胞)及びCD45(免疫細胞)で染色した「腫瘍」試料を示す。S100B及びCD45の細胞形態に基づきセグメントが作成され、図8Eは、セグメンテーションの(カラーコーディングされた)「拡大」ビューを示す:緑色=S100B陽性腫瘍細胞、赤色=CD45陽性免疫細胞、及び青色=DNA。各セグメントは、ROI内で個別に回収及び定量化される。
【0102】
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係わる、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130を示すブロック図である。図示されるように、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130は、1つ以上のプロセッサ902(例えば、マイクロプロセッサ、CPU、GPUなど)、1つ以上のコンピュータ可読RAM904、1つ以上のコンピュータ可読ROM906、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体908、デバイスドライバ912、読み取り/書き込みドライブ又はインタフェース914、ネットワークアダプタ又はインタフェース916を含んでもよく、これらは全て通信ファブリック918を介して相互接続される。ネットワークアダプタ916は、ネットワーク930と通信する。通信ファブリック918は、プロセッサ(マイクロプロセッサ、通信及びネットワークプロセッサなど)、システムメモリ、周辺装置、及びシステム内の任意の他のハードウェア構成要素の間でデータ及び/又は制御情報を伝達するように設計された任意のアーキテクチャで実装され得る。
【0103】
1つ以上のオペレーティングシステム910及び発現マッピングプラットフォーム130上に常駐する安全なマッピングアプリケーション132などの1つ以上のアプリケーションプログラム911は、それぞれのRAM904(典型的には、キャッシュメモリを含む)のうちの1つ以上を介してプロセッサ902のうちの1つ以上によって実行されるために、コンピュータ可読記憶媒体908のうちの1つ以上に記憶される。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体908の各々は、内部ハードドライブの磁気ディスク記憶装置、CD-ROM、DVD、メモリスティック、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、半導体記憶装置(RAM、ROM、EPROM、フラッシュメモリなど)、又は、コンピュータプログラム及びデジタル情報を記憶可能な任意の他のコンピュータ可読媒体(例えば、有形記憶装置)であってもよい。
【0104】
ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130はまた、1つ以上のポータブルコンピュータ可読記憶媒体926から読み取り及び書き込みを行うための読み取り/書き込み(R/W)ドライブ又はインタフェース914を含み得る。視聴装置110及び/又はユーザ装置120上のアプリケーションプログラム911は、ポータブルコンピュータ可読記憶媒体926のうちの1つ以上に記憶され、それぞれのR/Wドライブ又はインタフェース914を介して読み取られ、それぞれのコンピュータ可読記憶媒体908にロードされ得る。ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130はまた、伝送制御プロトコル(TCP)/インターネットプロトコル(IP)アダプタカード又は無線通信アダプタ(直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)技術を使用する4G無線通信アダプタなど)などのネットワークアダプタ又はインタフェース916を含み得る。例えば、アプリケーションプログラム911は、ネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク若しくは他のワイドエリアネットワーク、又は無線ネットワーク)及びネットワークアダプタ又はインタフェース916を介して、外部コンピュータ又は外部記憶装置から演算装置にダウンロードされ得る。プログラムは、ネットワークアダプタ又はインタフェース916からコンピュータ可読記憶媒体908上にロードされ得る。ネットワークは、銅線、光ファイバ、無線送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/又はエッジサーバを含み得る。ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130はまた、1つ以上の出力装置又はインタフェース920(例えば、ディスプレイ画面)、及び1つ以上の入力装置又はインタフェース922(例えば、キーボード、キーパッド、マウス又はポインティングデバイス、タッチパッド)を含み得る。例えば、デバイスドライバ912は、撮像のために出力装置又はインタフェース920に接続し、(例えば、圧力又は容量感知による)ユーザ入力又はユーザ選択などのために入力装置又はインタフェース922などに接続し得る。デバイスドライバ912、R/Wドライブ又はインタフェース914、及びネットワークアダプタ又はインタフェース916は、ハードウェア及び(コンピュータ可読記憶媒体908及び/又はROM906上に記憶される)ソフトウェアを含み得る。
【0105】
発現マッピングシステム130は、スタンドアロンネットワークサーバであり得るか、又は、1つ以上のネットワークシステムに統合された機能として表され得る。ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、専用コンピュータサーバ、又は本技術分野で既知の任意の他のコンピュータシステムであってもよい。いくつかの実施形態では、発現マッピングシステム130は、LAN、WAN、又はその2つの組み合わせなどネットワークを介してアクセスされるときにシームレスな単一のリソースプールとして機能するために、クラスタ化されたコンピュータ及び構成要素を使用するコンピュータシステムを表す。この実施形態は、特にデータセンタ及びクラウドコンピューティングアプリケーションで所望され得る。概して、ユーザ装置110及び/又は発現マッピングシステム130は、本開示の実施形態に係わる、任意のプログラム可能な電子装置であってもよく、又はそのような装置の任意の組み合わせであってもよい。
【0106】
本明細書に記載のプログラムは、特定の実施形態又は本開示の実施形態においてプログラムが実装される用途に基づいて特定される。ただし、本明細書における任意の特定のプログラム命名法は便宜上使用されるのみであり、したがって、実施形態及び本開示の実施形態は、そのような命名法によって識別及び/又は示唆される任意の特定の用途のみで使用されることに限定されるべきではない。
【0107】
本開示の実施形態は、任意の可能な技術的詳細の水準で統合された、装置、システム、方法、及び/又はコンピュータ可読媒体のうちの1つ以上であってもよく、又はそれらを使用してもよい。コンピュータ可読媒体は、プロセッサに本開示の1つ以上の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(又は媒体)を含み得る。
【0108】
コンピュータ可読(記憶)媒体は、命令実行装置によって使用されるための命令を保持及び記憶することができる有形の装置であり得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又は前述の任意の好適な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、以下を含む:フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去及びプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピー(登録商標)ディスク、命令が記録されたパンチカード又は溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、及び前述の任意の適切な組み合わせ。本開示の実施形態に係わる本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波若しくは他の自由に伝播する電磁波、導波路若しくは他の伝送媒体を通じて伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又は配線を通じて伝送される電気信号など、一過性の信号自体であると解釈されるべきではない。
【0109】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの演算装置/処理装置にダウンロードすることができる、又は、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/若しくは無線ネットワークなどのネットワークを介して外部コンピュータ若しくは外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又は、エッジサーバを含み得る。各演算装置/処理装置内のネットワークアダプタカード又はネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれの演算装置/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0110】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ、又は、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語若しくは同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードの何れかであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で完全に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ且つ部分的にリモートコンピュータ上で、又は、リモートコンピュータ若しくはサーバ上で完全に実行され得る。後者の場合には、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、又は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本開示の様々な態様を実行するために、電子回路をパーソナライズするためにコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。
【0111】
本開示の態様は、本発明の実施形態に係わる方法、機器(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフロー図並びに/又はブロック図を参照して本明細書に記載される。フロー図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフロー図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることが理解されるであろう。
【0112】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フロー図及び/又はブロック図のブロック(複数可)に指定された機能/動作を実装するための手段を生成するような機械又はシステムを作り出すために、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。本開示の実施形態に係わるこれらのコンピュータ可読プログラム命令はまたコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、コンピュータ、プログラム可能な処理装置、及び/又は他の装置に特定の方法で機能するよう指示することができ、そのため、命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体は、フロー図及び/又はブロック図のブロック(複数可)に指定される機能/動作の態様を実装する命令を含む製造物品を含む。
【0113】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他の装置にロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能な機器、又は他の装置上で一連の動作工程を実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成し、それによって、コンピュータ、他のプログラム可能な機器、又は他の装置上で実行される命令が、フロー図及び/又はブロック図のブロック(複数可)に指定された機能/動作を実装することができる。
【0114】
図面に示されるフロー図及びブロック図は、本開示の各種実施形態に係わる、システム、方法、及びコンピュータ可読媒体の可能な実施形態のアーキテクチャ、機能性、並びに動作を示す。この点で、フロー図又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(複数可)を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含む、命令のモジュール、セグメント、又は部分を表し得る。いくつかの実施形態では、ブロックに記載された機能は、図面に記載された順序から外れて生じ得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、関連する機能に応じて時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図のブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは動作を実行する、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得ることにも留意されたい。
【0115】
本開示は、クラウドコンピューティングに関する詳細な説明を含むが、本明細書に列挙される教示の実施形態は、クラウドコンピューティング環境に限定されないことを理解されたい。むしろ、本開示の実施形態は、現在知られていない、又は今後開発される任意の他の種類のコンピューティング環境と併せて実装され得る。
【0116】
クラウドコンピューティングは、構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想マシン、及びサービス)の共有プールへの便利なオンデマンドネットワークアクセスを可能にするためのサービス配信モデルであり、最小限の管理労力又はサービスプロバイダとの最小限のインタラクションで迅速に提供及び公開することができる。このクラウドモデルは、少なくとも5つの特徴、少なくとも3つのサービスモデル、及び少なくとも4つの展開モデルを含み得る。
【0117】
特徴は、以下を含み得る。オンデマンドセルフサービス:クラウドの消費者は、サービスプロバイダと対人でのやりとりを必要とせずに、必要に応じて自動的にサーバ時間及びネットワークストレージなどのコンピューティング機能を一方的に提供することができる。広範なネットワークアクセス:ネットワークを介して利用可能であり、異種のシン又はシッククライアントプラットフォーム(例えば、携帯電話、ラップトップ、及びPDA)による使用を促進する標準的な仕組みを介してアクセスされる。リソースプール:プロバイダのコンピューティングリソースは、異なる物理リソース及び仮想リソースが動的に割り当てられ、需要に応じて再度割り当てられるマルチテナントモデルを使用して複数の消費者にサービスを提供するためにプールされる。消費者は、概して、提供されたリソースの正確な位置について制御又は知識を有さないが、より抽象度の高いレベル(例えば、国、州、又はデータセンター)で位置を指定することができるという位置独立性の感覚がある(スピーディな拡張性:迅速にスケールアウトし、迅速に解放されて素早くスケールインするために、機能は、迅速かつ弾性的に、場合によっては自動的に、提供され得る)。消費者にとって、プロビジョニングに利用可能な機能はしばしば無制限であるように見え、いつでも任意の量を購入することができる(測定されたサービス:クラウドシステムは、サービスの種類(例えば、ストレージ、処理、帯域幅、及びアクティブユーザアカウント)に適切なあるレベルの抽象化で計測能力を活用することによって、自動的にリソース使用を制御及び最適化する)。リソースの使用を監視、制御、及び報告することができ、利用されるサービスのプロバイダと消費者の両方に透明性を提供する。
【0118】
「サービスモデル」は以下の通りである。サービスとしてのソフトウェア(SaaS):消費者に提供される機能は、クラウドインフラストラクチャ上で実行されるプロバイダのアプリケーションの使用である。アプリケーションは、ウェブブラウザ(例えば、ウェブベースの電子メール)などのシンクライアントインタフェースを介して各種クライアント装置からアクセス可能である。消費者は、限られたユーザ固有のアプリケーション構成設定を除き、ネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージ、又は個々のアプリケーション機能を含む基盤となるクラウドインフラストラクチャを管理又は制御しない。サービスとしてのプラットフォーム(PaaS):消費者に提供される機能は、プロバイダがサポートするプログラミング言語及びツールを使用して作成されており、消費者が作成又は取得したアプリケーションをクラウドインフラストラクチャに展開することである。消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、又はストレージを含む基盤となるクラウドインフラストラクチャは管理又は制御しないが、展開されたアプリケーション、場合によってはアプリケーションのホスティング環境構成を制御できる。サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS):消費者に提供される機能は、処理、ストレージ、ネットワーク、及び他の基本的なコンピューティングリソースをプロビジョニングすることであり、消費者はオペレーティングシステム及びアプリケーションを含み得る任意のソフトウェアを展開及び実行することができる。消費者は基盤となるクラウドインフラストラクチャを管理又は制御しないが、オペレーティングシステム、ストレージ、配備されたアプリケーションを制御し、場合によっては一部のネットワーク構成要素(ホストのファイアウォールなど)を制限的に制御する。
【0119】
「展開モデル」は次の通りである。プライベートクラウド:クラウドインフラストラクチャは組織専用に運用される。組織又は第3者が管理し、オンプレミス又はオフプレミスに存在し得る。コミュニティクラウド:クラウドインフラストラクチャはいくつかの組織で共有されており、懸念事項(ミッション、セキュリティ要件、ポリシー、コンプライアンスの考慮事項など)が共有された特定のコミュニティをサポートする。組織又は第3者が管理し、オンプレミス又はオフプレミスに存在し得る。パブリッククラウド:クラウドインフラストラクチャは一般又は大規模な業界団体が利用でき、クラウドサービスを販売する組織が所有している。ハイブリッドクラウド:クラウドインフラストラクチャは、2つ以上のクラウド(プライベート、コミュニティ、又はパブリック)の構成であり、2つ以上のクラウドは固有のエンティティのままであるが、データとアプリケーションのポータビリティ(例えば、クラウド間の負荷バランスのためのクラウドバースト)を可能にする標準化された又は独自の技術によって結合されている。クラウドコンピューティング環境は、ステートレス、疎結合、モジュール性、及びセマンティック相互運用性に焦点を当てたサービス指向である。クラウドコンピューティングの中心には、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャがある。
【0120】
次に図10を参照すると、例示的なクラウドコンピューティング環境1900が示される。図示されるように、クラウドコンピューティング環境1900は、例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)又は携帯電話1920A、デスクトップコンピュータ1920B、ラップトップコンピュータ1920C、及び/又は自動車コンピュータシステム1920Nなど、クラウド消費者が使用するローカル演算装置が通信し得る1つ以上のクラウドコンピューティングノード(図示せず)を含む。1つ以上のクラウドコンピューティングノードは互いに通信し得る。クラウドコンピューティングノードは、物理的又は仮想的に、上記の「プライベート」、「コミュニティ」、「パブリック」、又は「ハイブリッド」クラウド、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のネットワークにグループ化され得る(図示せず)。これによって、クラウドコンピューティング環境1900は、クラウド消費者がローカル演算装置上にリソースを維持する必要がないサービスとしてインフラストラクチャ、プラットフォーム、及び/又はソフトウェアを提供するよう実装され得る。図10に示される演算装置1920A~1920Nの種類は、例示的なものに過ぎず、1つ以上のコンピューティングノード及びクラウドコンピューティング環境1900が、任意の種類のネットワーク及び/又はネットワークアドレス可能な接続を介して(例えば、ウェブブラウザを使用して)任意の種類のコンピュータ制御装置と通信することができることを意図する。
【0121】
次に図11を参照すると、クラウドコンピューティング環境1900によって提供される機能抽象化層の一式が示される。構成要素、層、及び機能は、例示のみを意図しており、本開示の実施形態はこれらに限定されない。図示されるように、以下の層及び対応する機能が提供される。
【0122】
ハードウェア及びソフトウェア層60は、ハードウェア及びソフトウェア構成要素を含む。ハードウェア構成要素の例としては、メインフレーム61、RISC(縮小命令セットコンピュータ)アーキテクチャベースのサーバ62、サーバ63、ブレードサーバ64、記憶装置65、並びにネットワーク及びネットワーク構成要素66を含む。いくつかの実施形態では、ソフトウェア構成要素は、ネットワークアプリケーションサーバソフトウェア67及びデータベースソフトウェア68を含む。仮想化層70は抽象化層を提供し、抽象化層からは仮想エンティティの以下の例が提供され得る:仮想サーバ71、仮想ストレージ72、仮想プライベートネットワークを含む仮想ネットワーク73、仮想アプリケーション及びオペレーティングシステム74、並びに仮想クライアント75。
【0123】
一例として、管理層80は、以下に記載される機能を提供し得る。リソースプロビジョニング81は、クラウドコンピューティング環境内でタスクを実行するために利用されるコンピューティングリソース及び他のリソースの動的調達を提供する。計測及び価格設定82は、リソースがクラウドコンピューティング環境内で利用されるときに原価管理を提供し、これらのリソースの消費に対して請求又は請求書の発行を行う。例えば、これらのリソースは、アプリケーションソフトウェアのライセンスを含み得る。セキュリティは、クラウド消費者及びタスクのID検証、及び、データやその他のリソースの保護を提供する。ユーザポータル83は、消費者及びシステム管理者にクラウドコンピューティング環境へのアクセスを提供する。サービスレベル管理84は、必要なサービスレベルが満たされるように、クラウドコンピューティングリソースの割り当て及び管理を提供する。サービスレベルアグリーメント(SLA)計画及び履行85は、SLAに従って将来の要求が予想されるクラウドコンピューティングリソースの事前配置及び調達を提供する。
【0124】
ワークロード層90は、クラウドコンピューティング環境(例えば、クラウドコンピューティング環境1900)が利用され得る機能の例を提供する。この層から提供され得るワークロード及び機能の例は、マッピング及びナビゲーション91、ソフトウェア開発及びライフサイクル管理92、仮想教室教育配信93、データ分析処理94、トランザクション処理95、並びに発現マッピング管理96を含む。発現マッピング管理96は、本開示の実施形態に従って、クラウドコンピューティング環境を使用した発現マッピングの実行を可能にする機能を含み得る。
【0125】
本発明の各種実施形態を本明細書に記載及び例示してきたが、当業者は、機能を実行するための、並びに/又は、本明細書に記載の結果及び/若しくは利点の1つ以上を得るための種々の他の手段及び/又は構造を容易に想定するであろう。かかる変形及び/又は修正の各々は本明細書に記載された本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。大抵の場合には、当業者は、本明細書に記載の全ての構造、パラメータ、寸法、材料、機能及び構成が例示を意図し、実際の構造、パラメータ、寸法、材料、機能及び構成は本発明の教示が用いられる特定の用途に依存するであろうことを容易に理解するであろう。
【0126】
当業者は、本明細書に記載された発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するであろう、又は、通常行われるような実験を通して確認できるであろう。したがって、前述の実施形態が単に例示として提示されており、本発明の実施形態は、本開示によって支持される特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、具体的に説明され請求された以外の方法で実施され得ることが理解される。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、機能性、工程及び方法も対象とする。加えて、2つ以上のかかる特徴、システム、物品、構造、材料、キット、機能性、工程、及び方法の任意の組み合わせは、かかる組み合わせが相互に矛盾しない限り、本開示の発明の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態は、1つ以上の特徴/要素/機能性を特異的に欠くために、従来技術と区別され得る(すなわち、かかる実施形態に関する特許請求の範囲は、負の限定を含み得る)。
【0127】
また、上述のように、種々の発明の概念は1つ以上の方法として具現化され、その例が提供された。方法の一部として行われる動作は、任意の適切な方法で順序付けられ得る。したがって、説明とは異なる順序で動作が実行される実施形態を構築してもよく、これには、例示的実施形態では連続的動作として示されていても、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る。
【0128】
本出願の何れかの文中に提示されている特許、特許出願、論文、ウェブページ、書籍などを含むがこれらに限定されない刊行物及び他の文献に関する一切の参照は、参照によりその全体が本明細書に援用される。また、本明細書で定義され、使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により援用される文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味に優先されると理解されるべきである。
【0129】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」及び「an」は、異なる旨が明確に示されない限り、「少なくとも1つ(at least one)」を意味すると理解されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲で使用される表現「及び/又は(and/or)」は、それによって結合される要素の「何れか又は両方」を意味し、つまり、ある場合には結合的に存在し、他の場合には選言的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」で列挙される複数の要素は同じ様式で解釈されるべきであり、つまり要素の「1つ以上」が同様に連結される。「及び/又は」の表現によって具体的に特定される要素以外の他の要素が、それらの具体的に特定された要素に関連する又は関連しないかどうかにかかわらず、任意選択的に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「備える(comprising)」などのオープンエンドの言語と組み合わせて使用されるとき、ある実施形態ではAのみ(任意選択的にB以外の要素も含む)、別の実施形態ではBのみ(任意選択的にA以外の要素も含む)、さらに別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択的に他の要素も含む)などを指すことができる。
【0130】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「又は(or)」は、上記で定義される「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、列挙された項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であると解釈され、つまり、多くの要素又は列挙された要素の少なくとも1つだけでなく、2つ以上も含み、場合により列挙されていない追加的項目も含む、と解釈されるべきである。例えば「の1つのみ(only one of)」若しくは「まさに1つの(exactly one of)」又は、特許請求の範囲で使用される場合、「からなる(consisting of)」など、そうでないことを明確に示す用語が使用された場合のみ、多くの要素又は要素のリストのまさに1つの要素を含むことを指す。概して、本明細書で使用されるとき、用語「又は」は、排他的用語、例えば、「何れか(either)」「1つの(one of)」「1つのみの(only one of)」又は「まさに1つの(exactly one of)」が先行するときのみ、排他的選択肢(つまり「一方又は他方であるが両方でない」)を示すものとして解釈される。特許請求の範囲で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有する。
【0131】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに言及する表現「少なくとも1つ(at least one)」は、要素のリストの任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に列挙された各要素の少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、列挙された要素内の要素の組み合わせを排除するものではないと理解されるべきである。また、この定義は、「少なくとも1つ」という表現が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、それらの具体的に特定された要素に関連する又は関連しないかにかかわらず、適宜存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ(at least one of A and B)」(又は同等な「A又はBの少なくとも1つ(at least one of A or B)」又は同等な「A及び/又はBの少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、ある実施形態では、少なくとも1つの、場合に応じて2つ以上の、Aは存在するがBは存在しない(及び、場合に応じてB以外の要素を含む)ことを指すことができ、別の実施形態では、少なくとも1つの、場合に応じて2つ以上の、Bは存在するがAは存在しない(及び、場合に応じてA以外の要素を含む)ことを指すことができ、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、場合に応じて2つ以上のAを含む、及び、少なくとも1つの、場合に応じて2つ以上のBを含む(及び場合に応じて他の要素を含む)ことを指すことができる。
【0132】
上述した明細書と同様に、特許請求の範囲において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」等の全ての移行句は、オープンエンドであること、すなわち、これに限定されないが、含むことを意味することを理解されたい。米国特許庁特許審査便覧第2111.03章に記載されているように、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ閉鎖的又は半閉鎖的移行句となる。
【0133】
本明細書で使用される用語は、1つ以上の実施形態、実用的な用途、若しくは現在の技術からの技術的な改善の原理を最もよく説明するために、又は、本明細書に開示される実施形態の理解を可能にするために選択された。上述のように、本開示の実施形態を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の特徴及び技術の詳細は省略され得る。
【0134】
本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「好ましい実施形態」及び同種のものへの言及は、記載される実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、かかる特定の特徴、構造、又は特性が、本明細書における本開示の各開示された実施形態に共通であっても、共通でなくてもよいことを理解されたい。さらに、かかる表現は、必ずしも、任意の1つの特定の実施形態自体を指すものではない。したがって、1つ以上の特定の特徴、構造、又は特性がある実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、該当する場合には、他の実施形態に関連して、かかる1つ以上の特徴、構造、又は特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内であることが提示される。
図1
図2
図3
図4A-C】
図4D-E】
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D-E】
図9
図10
図11
【国際調査報告】