(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法
(51)【国際特許分類】
C07K 1/22 20060101AFI20221206BHJP
C07K 1/16 20060101ALI20221206BHJP
C07K 1/20 20060101ALI20221206BHJP
C07K 1/18 20060101ALI20221206BHJP
C07K 1/12 20060101ALI20221206BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20221206BHJP
G01N 30/84 20060101ALI20221206BHJP
G01N 30/08 20060101ALI20221206BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20221206BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20221206BHJP
B01J 20/285 20060101ALI20221206BHJP
B01J 20/287 20060101ALI20221206BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20221206BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20221206BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
C07K1/22 ZNA
C07K1/16
C07K1/20
C07K1/18
C07K1/12
G01N30/88 J
G01N30/84 J
G01N30/08 L
G01N30/72 C
B01J20/281 R
B01J20/285
B01J20/287
G01N33/68
C07K16/00
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522652
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020055744
(87)【国際公開番号】W WO2021076735
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507302748
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャオジン
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン ジョンソン リード
(72)【発明者】
【氏名】グリア タイラー
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045BA13
2G045BB03
2G045BB12
2G045CB01
2G045DA36
2G045DA37
2G045FA40
2G045FB06
4H045AA10
4H045AA20
4H045BA10
4H045BA16
4H045BA17
4H045CA40
4H045EA50
4H045FA15
4H045FA16
4H045FA70
4H045FA74
4H045GA21
4H045GA23
4H045GA25
4H045GA26
(57)【要約】
試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法が提供される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法であって、
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、前記試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、
前記親和性クロマトグラフィーからのフロースルーに対して分画を実施する工程と、
質量分析計を使用して、前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記親和性クロマトグラフィー支持体が、プロテインAクロマトグラフィー支持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記親和性クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄する工程、および
フロースルーを収集する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記親和性クロマトグラフィー支持体が、プロテインAまたはプロテインGを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロテインAまたは前記プロテインGが、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記質量分析計が、タンデム質量分析計である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記質量分析計が、液体クロマトグラフィーシステムと連結されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記液体クロマトグラフィーシステムが、ナノ液体クロマトグラフィーシステムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを、高電場非対称波形イオン移動度分光法デバイスを使用して特徴付ける工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記試料マトリックスが、目的のタンパク質をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記目的のタンパク質が、抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記目的のタンパク質が、融合タンパク質である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記分画が、サイズベースの分画である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記分画が、疎水性ベースの分画である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
分画が、電荷ベースの分画である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
分画が、pIベースの分画である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記分画が、液体クロマトグラフィーによる分画を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記液体クロマトグラフィーが、逆相液体クロマトグラフィーである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分画ステップを実施することなく前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって前記試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって前記試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮することなく分画を実施する方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記分画ステップを実施することなく前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって前記試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって前記試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮することなく分画を実施する方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
目的のタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法であって、
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、前記試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、
前記親和性クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄する工程と、
フロースルーを収集する工程と、
前記濃縮ステップを実施した後に得られた試料に対して分画を実施する工程と、
質量分析計を使用して、前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と
を含む、方法。
【請求項24】
前記フロースルーが、前記試料マトリックスよりも低減された量の目的のタンパク質を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法であって、
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて混合物を得ることによって、前記混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、
前記混合物を非変性消化条件に供する工程と、
質量分析計を使用して、前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と
を含む、方法。
【請求項26】
前記親和性クロマトグラフィー支持体が、プロテインAクロマトグラフィー支持体である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記親和性クロマトグラフィー支持体からフロースルーを収集する工程
をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記親和性クロマトグラフィー支持体が、プロテインAまたはプロテインGを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記プロテインAまたは前記プロテインGが、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定されている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記質量分析計が、タンデム質量分析計である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記質量分析計が、液体クロマトグラフィーシステムと連結されている、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記液体クロマトグラフィーシステムが、ナノ液体クロマトグラフィーシステムである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記質量分析計が、高電場非対称波形イオン移動度分光器である、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記試料マトリックスが、目的のタンパク質をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記目的のタンパク質が、抗体またはその断片もしくは誘導体、融合タンパク質、および生理学的に活性な非抗体タンパク質からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて混合物を得ることによって前記混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮することなく前記混合物を非変性消化条件に供して混合物を形成する方法よりも、少なくとも約500%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて混合物を得ることによって前記混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮することなく前記混合物を非変性消化条件に供して混合物を形成する方法よりも、少なくとも約100%~約1000%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法であって、
前記試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、前記試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、
前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して特徴付ける工程と
を含む、方法。
【請求項39】
高電場非対称波形イオン移動度分光法を含まない方法よりも、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
高電場非対称波形イオン移動度分光法を含まない方法よりも、少なくとも約30%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法であって、
試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて混合物を得ることにより、前記試料マトリックス中の前記宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、
前記混合物を非変性消化条件に供する工程と、
前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して特徴付ける工程と
を含む、方法。
【請求項42】
試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて混合物を得ることによって前記試料マトリックス中の前記宿主細胞タンパク質を濃縮し、前記混合物を非変性消化条件に供し、前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを、高電場非対称波形イオン移動度分光法装置以外の質量分析装置を使用して特徴付ける方法よりも、少なくとも約15%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて混合物を得ることによって前記試料マトリックス中の前記宿主細胞タンパク質を濃縮し、前記混合物を非変性消化条件に供し、前記宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを、高電場非対称波形イオン移動度分光法装置以外の質量分析装置を使用して特徴付ける方法よりも、少なくとも約15%~約60%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は概して、宿主細胞タンパク質を特徴付けることに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
タンパク質ベースのバイオ医薬品は、がん、自己免疫疾患、感染症、および心臓代謝障害の治療のための重要な薬物として登場しており、それらは製薬業界で最も急速に成長している製品セグメントのうちの1つを表す。タンパク質ベースの生物治療薬を臨床にもたらすことは、発見、プロセスおよび製剤開発、分析的特徴付け、ならびに前臨床毒性学および薬理学を含む、様々な研究開発分野にわたって協調的な努力を必要とする複数年にわたる事業である場合がある。タンパク質ベースのバイオ医薬品は、非常に高い純度基準を満たす必要がある。したがって、薬物の開発、製造、保管、および取り扱いの種々の段階で、かかるバイオ医薬品におけるいかなる不純物をも監視することが重要であり得る。
【0003】
例えば、宿主細胞タンパク質(HCP)は、細胞ベースのシステムを使用して開発されるタンパク質ベースのバイオ医薬品に存在する可能性がある。医薬品中のHCPの存在を監視する必要があり、一定の量を超えると許容されない可能性がある。HCPを特徴付けるアッセイのための分析方法は、十分な正確さおよび分解能を示す必要がある。直接的な分析は、アッセイのために十分に多量の産物の単離を必要とする可能性があり、これは、望ましくなく、選択された場合においてのみ可能であった。したがって、圧倒的に高い濃度の活性薬物と混合した場合に、試料マトリックス中のHCPを特徴付けるためのワークフローおよび分析試験を決定するのは困難な作業である。上記から、バイオ医薬プロセスの様々な段階でHCPを特徴付け、監視するための改善された方法の必要性が存在することが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0004】
概要
バイオ医薬品の開発における重要な基準は、製品中の不純物を監視することであり得る。かかる不純物が生じる場合、それらの特徴付けは、バイオプロセスにおける重要なステップを構成する。
【0005】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法を提供することによって、前述の要求を満たす。
【0006】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスをクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによる、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質に対する濃縮ステップを含み得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0007】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0008】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0009】
別の態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0010】
一態様において、分画ステップは、サイズベースの分画、疎水性ベースの分画、電荷ベースの分画、pIベースの分画、液体クロマトグラフィーによる分画、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の態様において、液体クロマトグラフィーによる分画ステップは、逆相液体クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0011】
別の態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0012】
さらに別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0013】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0014】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0015】
さらに別の態様において、本方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0016】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによる試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質に対する濃縮ステップを含み得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。別の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0017】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0018】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0019】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0020】
別の態様において、分画ステップは、サイズベースの分画、疎水性ベースの分画、電荷ベースの分画、pIベースの分画、液体クロマトグラフィーによる分画、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の態様において、液体クロマトグラフィーによる分画ステップは、逆相液体クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0021】
さらに別の態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0022】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0023】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0024】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0025】
一態様において、本方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0026】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスをクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによる試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質に対する濃縮ステップを含み得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0027】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0028】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0029】
別の態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0030】
さらに別の態様において、分画ステップは、サイズベースの分画、疎水性ベースの分画、電荷ベースの分画、pIベースの分画、液体クロマトグラフィーによる分画、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の態様において、液体クロマトグラフィーによる分画ステップは、逆相液体クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0031】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0032】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0033】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0034】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0035】
さらに別の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。
【0036】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによる試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質に対する濃縮ステップを含み得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0037】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0038】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0039】
さらに別の態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0040】
一態様において、分画ステップは、サイズベースの分画、疎水性ベースの分画、電荷ベースの分画、pIベースの分画、液体クロマトグラフィーによる分画、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の態様において、液体クロマトグラフィーによる分画ステップは、逆相液体クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0041】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0042】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0043】
別の態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0044】
さらに別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0045】
一態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。
【0046】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスをクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによる試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質に対する濃縮ステップを含み得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0047】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0048】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0049】
さらに別の態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0050】
一態様において、分画ステップは、サイズベースの分画、疎水性ベースの分画、電荷ベースの分画、pIベースの分画、液体クロマトグラフィーによる分画、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の態様において、液体クロマトグラフィーによる分画ステップは、逆相液体クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0051】
別の態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0052】
さらに別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0053】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0054】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0055】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによる試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質に対する濃縮ステップを含み得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0056】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0057】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0058】
別の態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0059】
別の態様において、分画ステップは、サイズベースの分画、疎水性ベースの分画、電荷ベースの分画、pIベースの分画、液体クロマトグラフィーによる分画、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の態様において、液体クロマトグラフィーによる分画ステップは、逆相液体クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0060】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0061】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0062】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0063】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0064】
一例示的な実施形態において、目的とするタンパク質を有する試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させ、親和性クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄してフロースルーを収集し、分画ステップを実施することによる試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質に対する濃縮ステップを含み得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0065】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0066】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0067】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0068】
一態様において、分画ステップは、サイズベースの分画、疎水性ベースの分画、電荷ベースの分画、pIベースの分画、液体クロマトグラフィーによる分画、またはそれらの組み合わせであり得るあり得る。特定の態様において、液体クロマトグラフィーによる分画ステップは、逆相液体クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0069】
別の態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0070】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0071】
一態様において、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0072】
別の態様において、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約50%~約75%宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0073】
一態様において、フロースルーは、試料マトリックスよりも低減された量の目的のタンパク質を有し得る。
【0074】
別の態様において、本方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。特定の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。別の態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法(FAIMS)デバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の態様において、本方法は、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の特定の態様において、本方法は、LCおよびMSと併せてFAIMSデバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0075】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、(b)混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、を含み得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0076】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0077】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0078】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0079】
別の態様において、本方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。特定の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。別の態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の態様において、本方法は、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の特定の態様において、本方法は、LCおよびMSと併せてFAIMSデバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0080】
一態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約500%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0081】
一態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約100%~約1000%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0082】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、(b)混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、を含み得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0083】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0084】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0085】
別の態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0086】
さらに別の態様において、本方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。特定の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。別の態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の態様において、本方法は、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の特定の態様において、本方法は、LCおよびMSと併せてFAIMSデバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0087】
一態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約500%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0088】
別の態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約100%~約1000%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0089】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、(b)混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、(c)質量分析計を使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。別の特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。さらに別の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0090】
一態様において、濃縮ステップは、親和性クロマトグラフィー支持体からフロースルーを収集することをさらに含み得る。
【0091】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0092】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0093】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0094】
別の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。
【0095】
さらに別の態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の態様において、本方法は、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の特定の態様において、本方法は、LCおよびMSと併せてFAIMSデバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0096】
一態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約500%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0097】
別の態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約100%~約1000%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0098】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、(b)混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、(c)質量分析計を使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0099】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0100】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0101】
別の態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0102】
さらに別の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。別の態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の態様において、本方法は、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の特定の態様において、本方法は、LCおよびMSと併せてFAIMSデバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0103】
一態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約500%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0104】
一態様において、本方法は、ステップ(a)を含むが、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約100%~約1000%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0105】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスをクロマトグラフィー支持体と接触させることによって試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0106】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0107】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0108】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0109】
一態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を含まない方法と比較して、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0110】
別の態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を含まない方法と比較して、少なくとも約30%~約75%多くの宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0111】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0112】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0113】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0114】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0115】
一態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を含まない方法と比較して、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0116】
別の態様において、本方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を含まない方法と比較して、少なくとも約30%~約75%多くの宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0117】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、(b)混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、(c)高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。特定の態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0118】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0119】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0120】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0121】
別の態様において、本方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。特定の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。別の態様において、本方法は、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の特定の態様において、本方法は、LCおよびMSと併せてFAIMSデバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0122】
一態様において、本方法は、ステップ(a)および(b)を含むがステップ(c)を含まない方法よりも、少なくとも約15%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0123】
さらに別の態様において、本方法は、ステップ(a)および(b)を含むがステップ(c)を含まない方法よりも、少なくとも約15%~約60%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0124】
一例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、(b)混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、(c)高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー支持体は、プロテインAクロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、プロテインAまたはプロテインGを含み得る。特定の態様において、プロテインAまたはプロテインGは、アガロースまたはセファロース樹脂上に固定され得る。
【0125】
一態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を洗浄緩衝液で洗浄し、フロースルーを収集することをさらに含み得る。別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体を溶出緩衝液で洗浄し、溶出された画分を収集することをさらに含み得る。
【0126】
別の態様において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。一態様において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。一態様において、処理は、還元剤を試料に添加することを含み得る。一態様において、処理は、アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。別の態様において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0127】
一態様において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。特定の態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0128】
別の態様において、本方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。特定の態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結され得る。その態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステムであり得る。さらに別の特定の態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムと連結したタンデム質量分析計であり得る。別の態様において、本方法は、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。別の特定の態様において、本方法は、LCおよびMSと併せてFAIMSデバイスを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0129】
一態様において、本方法は、ステップ(a)および(b)を含むがステップ(c)を含まない方法よりも、少なくとも約15%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0130】
さらに別の態様において、本方法は、ステップ(a)および(b)を含むがステップ(c)を含まない方法よりも、少なくとも約15%~約60%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0131】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて考慮すると、よりよく認識され、理解されるであろう。以下の説明は、その様々な実施形態および多数の特定の詳細を示しているが、例示のために与えられており、限定のためではない。多くの置換、修正、追加、または再配置は、本発明の範囲内で行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】例示的な実施形態に従って実施される方法の再現性統計とともに、プロテインAクロマトグラフィーを伴わない方法およびプロテインAクロマトグラフィーを伴う方法によって特徴付けられた、試料マトリックス中のタンパク質および特有のペプチドの数を示す。
【
図2】例示的な実施形態に従って実施される分画ステップのためのプロトコルを示す。
【
図3】例示的な実施形態に従って実施される方法の再現性統計とともに、分画ステップを伴わない方法および分画ステップを伴う方法によって特徴付けられた、試料マトリックス中のタンパク質および特有のペプチドの数を示す。
【
図4】例示的な実施形態に従って実施される方法の再現性統計とともに、プロテインAクロマトグラフィーステップを伴う方法およびプロテインAクロマトグラフィーステップと分画ステップとを伴う方法によって特徴付けられた、試料マトリックス中のタンパク質および特有のペプチドの数を示す。
【
図5】例示的な実施形態に従って実施される方法の再現性統計とともに、タンパク質の通常の消化が行われた方法、およびタンパク質の天然の消化が行われた方法によって特徴付けられた、試料マトリックス中のタンパク質および特有のペプチドの数を示す。
【
図6】例示的な実施形態に従って実施される方法の再現性統計とともに、プロテインAクロマトグラフィーを伴わない方法およびプロテインAクロマトグラフィーを伴う方法によって特徴付けられた、天然条件に供された試料マトリックス中のタンパク質および特有のペプチドの数を示す。
【
図7】例示的な実施形態に従って実施される方法の再現性統計とともに、FAIMSデバイスを伴わない方法およびFAIMSデバイスを伴う方法によって特徴付けられた、試料マトリックス中のタンパク質および特有のペプチドの数を示す。
【
図8】例示的な実施形態に従って実施される方法の再現性統計とともに、FAIMSデバイスを伴わないプロテインAクロマトグラフィーを含む方法およびFAIMSデバイスを伴うプロテインAクロマトグラフィーを含む方法によって特徴付けられた、試料マトリックス中のタンパク質および特有のペプチドの数を示す。
【
図9】(A)天然消化物対通常消化物、(B)通常消化物対プロテインA枯渇消化物、(C)天然消化物対プロテインA枯渇天然消化物、(D)FAIMSを伴うプロテインA枯渇天然消化物およびFAIMSを伴わないプロテインA枯渇天然消化物、ならびに(E)最適化された方法対報告されたHCPの例示的な実施形態による分析において検出されたHCPの数および重複を示す。すべての同定されたタンパク質は、1%のペプチドFDRおよび5%のタンパク質FDRを有する2+特有のペプチドを有する。
【
図10】例示的な実施形態に従って実施される、FAIMSを伴って、およびFAIMSを伴わず実行された試料を示す。(A)HCPペプチドのDS干渉を示すインサートを有する、FAIMSを伴って実行された試料(青色、赤色、および緑色)およびFAIMSを伴わず実行された試料(灰色)についての塩基ピーククロマトグラム、(B)「明らかにされた」HCPペプチドの断片化スペクトル。ペプチド配列には、K.KLEELDLDEQQR.K(配列番号1)、K.VYACEVTHQGLSSPVTK.S(配列番号2)、およびKLEELDLDEQQR(配列番号3)が含まれる。
【
図11】例示的な実施形態に従って試みられた方法のすべての組み合わせについて、複製物の実行において検出されたHCPの数および重複を示す。すべての同定されたタンパク質は、1%のペプチドFDRおよび5%のタンパク質FDRを有する2+特有のペプチドを有する。
【
図12】他のすべての方法(B~H)と比較した、FAIMSを使用して(A)検出されたプロテインA枯渇天然消化試料中のHCPの数および重複を示す。すべての同定されたタンパク質は、1%のペプチドFDRおよび5%のタンパク質FDRを有する2つ以上の特有のペプチドを有する。
【発明を実施するための形態】
【0133】
詳細な説明
宿主細胞タンパク質(HCP)は、すべての細胞由来タンパク質治療薬から除去される必要がある不純物の部類である。これらの治療用タンパク質の細胞ベースの産生の間、最終的なタンパク質ベースの医薬品は、細胞由来の不純物が臨床使用前に許容可能な低いレベルにあるように、高度に精製される必要がある。不純物、特に、哺乳類発現系(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)に由来する宿主細胞タンパク質(HCP)は、監視される必要がある。最終原薬の総HCPレベルの一般的ガイドラインは、100ppm未満である(John H.Chon & Gregory Zarbis-Papastoitsis,Advances in the production and downstream processing of antibodies,28 NEW BIOTECHNOLOGY 458-463(2011))。HCPは、患者の安全性と薬物の有効性の両方にとって懸念事項である。Leslie C.Eaton,Host cell contaminant protein assay development for recombinant biopharmaceuticals,705 JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A 105-114(1995)、Xing Wang,Alan K.Hunter & Ned M.Mozier,Host cell proteins in biologics development: Identification,quantitation and risk assessment,103 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 446-458(2009)、およびChristina L.Zuch De Zafra et al.,Host cell proteins in biotechnology-derived products: A risk assessment framework,112 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 2284-2291(2015)を参照されたい。100ppmを下回るHCPレベルは、一般に許容されるとみなされるが、特定の汚染物質に関連するリスクは、個別に評価される必要があり、さらに低い検出限界を必要とする場合がある(Daniel G.Bracewell,Richard Francis & C.Mark Smales,The future of host cell protein(HCP)identification during process development and manufacturing linked to a risk-based management for their control,112 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 1727-1737(2015)、Tanja Wolter & Andreas Richter,Assays for controlling host-cell impurities in biopharmaceuticals,40 BIOPROCESS INTERNATIONAL 40-46(2005)。
【0134】
多数の報告された症例は、HCP活性による治療用タンパク質または安定化剤の分解を説明している(Nitin Dixit et al.,Residual Host Cell Protein Promotes Polysorbate 20 Degradation in a Sulfatase Drug Product Leading to Free Fatty Acid Particles,105 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES1657-1666(2016)、Troii Hall et al.,Polysorbates 20 and 80 Degradation by Group XV Lysosomal Phospholipase A2 Isomer X1 in Monoclonal Antibody Formulations.,105 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 1633-1642、Sharon X.Gao et al.,Fragmentation of a highly purified monoclonal antibody attributed to residual CHO cell protease activity,108 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 977-982(2010)、Deepti Ahluwalia et al.,Identification of a host cell protein impurity in therapeutic protein,P1,141 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL AND BIOMEDICAL ANALYSIS 32-38(2017)、Amareth Lim et al.,Characterization of a cathepsin D protease from CHO cell-free medium and mitigation of its impact on the stability of a recombinant therapeutic protein,34 BIOTECHNOLOGY PROGRESS 120-129(2017))。
【0135】
FDAは、HCPの最大許容レベルを指定していないが、最終医薬品中のHCP濃度は、制御され、バッチごとに再現可能である必要がある(FDA、1999)。しかしながら、総HCP不純物が原薬中に低レベルで存在する場合でも、注射後に毒性または生物学的に活性である、免疫応答を引き起こし得るいくつかの特定のHCPについては、微量のHCPが許容されない場合がある(J.R.Bierich,Treatment of Pituitary Dwarfism with Biosynthetic Growth Hormone,75 ACTA PAEDIATRICA 13-18(1986)、T.Romer et al.,Efficacy and safety of a new ready-to-use recombinant human growth hormone solution,30 JOURNAL OF ENDOCRINOLOGICAL INVESTIGATION 578-589(2007)、Daniel G.Bracewell,Richard Francis & C.Mark Smales,The future of host cell protein(HCP) identification during process development and manufacturing linked to a risk-based management for their control,112 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 1727-1737(2015)、Saloumeh Kadkhodayan Fischer et al.,Specific Immune Response to Phospholipase B-Like 2 Protein,a Host Cell Impurity in Lebrikizumab Clinical Material,19 THE AAPS JOURNAL 254-263(2016)、Andres H.Gutierrez,Leonard Moise & Annie S.De Groot,Of[hamsters]and men,8 HUMAN VACCINES & IMMUNOTHERAPEUTICS 1172-1174(2012)、Vibha Jawa et al.,Evaluating Immunogenicity Risk Due to Host Cell Protein Impurities in Antibody-Based Biotherapeutics,18 THE AAPS JOURNAL 1439-1452(2016)、Naghmeh Abiri et al.,Assessment of the immunogenicity of residual host cell protein impurities of OsrHSA,13 PLOS ONE(2018))。HCPが、抗体を分解するか、または抗体結合力を変化させる力に関する場合、それは許容できない場合もある(Nitin Dixit et al.,Residual Host Cell Protein Promotes Polysorbate 20 Degradation in a Sulfatase Drug Product Leading to Free Fatty Acid Particles,105 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES1657-1666(2016)、Troii Hall et al.,Polysorbates 20 and 80 Degradation by Group XV Lysosomal Phospholipase A2 Isomer X1 in Monoclonal Antibody Formulations.,105 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 1633-1642))。したがって、すべてのHCP成分を個別に監視することができる方法を有することが望ましい場合がある。
【0136】
従来、ポリクローナル抗HCP抗体を有する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、全体的なHCPの存在量を定量化するために使用されてきた(Denise C.Krawitz et al.,Proteomic studies support the use of multi-product immunoassays to monitor host cell protein impurities,6 PROTEOMICS 94-110(2006)、Catherine Em Hogwood,Daniel G Bracewell & C Mark Smales,Host cell protein dynamics in recombinant CHO cells,4 BIOENGINEERED 288-291(2013)、Anne Luise Tscheliessnig et al.,Host cell protein analysis in therapeutic protein bioprocessing - methods and applications,8 BIOTECHNOLOGY JOURNAL 655-670(2013))。個々のHCP成分の測定に対する需要を考えると、ELISAはHCPのレベルを評価するための最終的な解決策ではないかもしれない。さらに、いくつかの弱いまたは免疫原性でないHCPは、ELISA検出用の抗体が生成されない場合があり、したがって、これらのHCPを、検出することができない。ELISAは、プロセス内対照および放出試験として有用であるが、それは、総HCPレベルのみを測定すること、新たな汚染源を検出することができないこと、およびより免疫原性の高いタンパク質へのバイアスを含む、いくつかの重要な制限を有する(Fengqiang Wang,Daisy Richardson,& Mohammed Shameem,Host-cell protein measurement and control,28 BIOPROCESS INTERNATIONAL 32-38(2015)、Judith Zhu-Shimoni et al.,Host cell protein testing by ELISAs and the use of orthogonal methods,111 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 2367-2379(2014))。別の厄介な問題は、ELISAが典型的には、産生株とは実質的に異なるHCPプロファイルを有し得る治療用タンパク質を欠く細胞株(ヌル株)から生成される抗原に依存していることである。さらに、治療用タンパク質と共精製し、多く存在するHCP(Nabila Aboulaich et al.,A novel approach to monitor clearance of host cell proteins associated with monoclonal antibodies,30 BIOTECHNOLOGY PROGRESS 1114-1124(2014)、Nicholas E.Levy et al.,Identification and characterization of host cell protein product-associated impurities in monoclonal antibody bioprocessing,111 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 904-912(2013)、Nicholas E.Levy et al.,Host cell protein impurities in chromatographic polishing steps for monoclonal antibody purification,113 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 1260-1272(2015)を参照されたいは、非線形応答を示し得る。試料中のHCP濃度がヌル株よりもはるかに高く、それを認識することができる抗体が不十分な場合、汚染物質の過小評価につながる可能性がある。さらに、すべてのタンパク質が免疫原性ではなく、結果として関連する抗体を欠くため、すべてのHCPをELISAによって検出できるわけではない。規制当局はこれらの制限を認識しており、現在では、広範囲にわたる薬物産生の前に特定の汚染物質を検出することができる直交的な方法を期待している。実際に、補完的なHCP検出方法は、より良い監視のためだけでなく、かかる技術が提供され得るプロセス開発の実質的な改善のために、現在、日常的に採用されている(Viktor Hada et al.,Recent advancements,challenges,and practical considerations in the mass spectrometry-based analytics of protein biotherapeutics: A viewpoint from the biosimilar industry,161 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL AND BIOMEDICAL ANALYSIS 214-238(2018)、Kristin N Valente et al.,Applications of proteomic methods for CHO host cell protein characterization in biopharmaceutical manufacturing,53 CURRENT OPINION IN BIOTECHNOLOGY 144-150(2018)、およびMatthew R.Schenauer,Gregory C.Flynn & Andrew M.Goetze,Identification and quantification of host cell protein impurities in biotherapeutics using mass spectrometry,428 ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 150-157(2012))。
【0137】
1D/2D-PAGEおよび質量分析ベースの分析技術を含む多くの補完的な分析アプローチが、HCPを監視するために採用されている(Julita K.Grzeskowiak et al.,Two-dimensional fluorescence difference gel electrophoresis for comparison of affinity and non-affinity based downstream processing of recombinant monoclonal antibody,1216 JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A 4902-4912(2009)、Catalin Doneanu et al.,Analysis of host-cell proteins in biotherapeutic proteins by comprehensive online two-dimensional liquid chromatography/mass spectrometry,4 MABS 24-44(2012)、Mi Jin et al.,Profiling of host cell proteins by two-dimensional difference gel electrophoresis(2D-DIGE):Implications for downstream process development,105 BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING306-316(2010))。タンデム質量分析と結合した液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)はまた、HCP不純物の同定および定量化の両方の手段を同時に提供することができ、ELISAアッセイを補完する主要な直交方法として登場した。しかしながら、質量分析ベースの方法の大きな課題は、質量分析計自体が、圧倒的で高度に濃縮された抗体原薬と混合した場合に、低濃度のHCPを検出する能力を欠くことである。低ppmレベルのHCPと高存在量の治療抗体との間の広いダイナミックレンジ(6桁を超える)の問題を克服するために、1つの戦略は、分離効率を増加させるために、データ依存的取得またはデータ非依存的取得に加えて、2D-LCおよびイオン移動度などの別の次元の分離を追加することによって、質量分析の前に共溶出ペプチドを分解することである。1つの研究では、Eckerらは、データ非依存的取得を伴ってLC-MS/MSを使用して、一桁のppmレベルのHCPの同定を報告し、彼らはまた、ヌル株由来のHCPの質量、保持時間および断片イオンを含むライブラリーを確立した。この方法は感度がよいが、特定の産物とのみ共発現されるHCPを失う可能性がある(Dawn M Ecker,Susan Dana Jones & Howard L Levine,The therapeutic monoclonal antibody market,7 MABS 9-14(2014))。別の研究は、2D-HPLCを使用して10~50ppmのHCPを同定できることを示した(Catalin Doneanu et al.,Analysis of host-cell proteins in biotherapeutic proteins by comprehensive online two-dimensional liquid chromatography/mass spectrometry,4 MABS 24-44(2012)、Donald E.Walker et al.,A modular and adaptive mass spectrometry-based platform for support of bioprocess development toward optimal host cell protein clearance,9 MABS 654-663(2017))。しかしながら、2D-LCのサイクル時間は非常に長く、この方法は低レベルのHCP(<10ppm)の分析には感度が十分ではない可能性がある。さらに、これは一般に、新規汚染物質の同定を妨げ、その有用性を低減させる(ただし、この欠点を制限し得る代替案がある)(Veronika Reisinger et al.,A mass spectrometry-based approach to host cell protein identification and its application in a comparability exercise,463 ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 1-6(2014)、Simion Kreimer et al.,Host Cell Protein Profiling by Targeted and Untargeted Analysis of Data Independent Acquisition Mass Spectrometry Data with Parallel Reaction Monitoring Verification,89 ANALYTICAL CHEMISTRY 5294-5302(2017))。
【0138】
多次元クロマトグラフィーはまた、HCPトリプシン消化ペプチドを治療用タンパク質のものからより良好に分離することによって感度を改善することが示されている(Catalin Doneanuら、上記参照、Matthew R.Schenauerら、上記参照、G.Joucla et al.,Cation exchange versus multimodal cation exchange resins for antibody capture from CHO supernatants:Identification of contaminating Host Cell Proteins by mass spectrometry,942-943 JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY B 126-133(2013、Qingchun Zhang et al.,Comprehensive tracking of host cell proteins during monoclonal antibody purifications using mass spectrometry,6 MABS 659-670(2014)、Amy Farrell et al.,Quantitative Host Cell Protein Analysis Using Two Dimensional Data Independent LC-MSE,87 ANALYTICAL CHEMISTRY 9186-9193(2015)、Feng Yang et al.,A 2D LC-MS/MS Strategy for Reliable Detection of 10-ppm Level Residual Host Cell Proteins in Therapeutic Antibodies,90 ANALYTICAL CHEMISTRY 13365-13372(2018)、Regina Kufer et al.,Evaluation of Peptide Fractionation and Native Digestion as Two Novel Sample Preparation Workflows to Improve HCP Characterization by LC-MS/MS,91 ANALYTICAL CHEMISTRY 9716-9723(2019)を参照されたい)。例えば、高pHオフライン分画を低pH逆相クロマトグラフィーと組み合わせて、試料の複雑性を大幅に低減することができる。しかしながら、オフラインおよびオンラインの多次元クロマトグラフィーの両方は、治療用タンパク質からの干渉を完全に否定することはできず、試料スループットを大幅に低減させる可能性があり、それらを産生中の日常的な分析には適していない。イオン移動度は、HCP分析にはめったに使用されないが、試料スループットを低減させることなく追加の分離を提供する可能性がある(Catalin Doneanuら、上記参照)。
【0139】
他の戦略は、親和性精製、限定的な消化で試料マトリックス中の抗体を除去することによるか、またはポリクローナル抗体を使用してHCPを捕捉することによる、HCPを濃縮するための試料マトリックス調製に焦点を当てている(Lihua Huang et al.,A Novel Sample matrix Preparation for Shotgun Proteomics Characterization of HCPs in Antibodies,89 ANALYTICAL CHEMISTRY 5436-5444(2017)、Jenny Heidbrink Thompson et al.,Improved detection of host cell proteins(HCPs)in a mammalian cell-derived antibody drug using liquid chromatography/mass spectrometry in conjunction with an HCP-enrichment strategy,28 RAPID COMMUNICATIONS IN MASS SPECTROMETRY 855-860(2014)、James A Madsen et al.,Toward the complete characterization of host cell proteins in biotherapeutics via affinity depletions,LC-MS/MS,and multivariate analysis,7 MABS 1128-1137(2015)。治療用タンパク質の除去は、HCPの検出を数桁改善することができるが、結果にバイアスがかかるか、または意図せずに試料から除去するHCPをリスクがある。
【0140】
既存の方法についての主要な課題のうちの1つは、HCPと薬物との間の広いダイナミックレンジ(5~8桁)を有する試料マトリックス中の低濃度のHCP(例えば、0.01~10ppm)を検出する能力が欠如している可能性があり、それは分析においてHCPシグナルが抑制される可能性がある。
【0141】
何千ものHCPを測定および監視する能力は、取得するデータの量を比例的に増加させる。情報を使用して重要なHCPを決定し、それによってリスク管理のための改善された基盤を作成することができれば、大きな利点がある。かかるHCPのライブラリーの開発は、社内のHCPスクリーニング、バイオ医薬プロセスにおける不純物の調節および監視、ならびに創薬のためのより新しい標的の発見に有利であり得る。HCPライブラリーを使用して、ライブラリーに存在することが確認されたものと、タンデム質量スペクトルおよびタンパク質同一性を比較することによって、原薬中の、または精製プロセスを通して低存在量HCPの同一性を検証することもできる。そのような多数のHCPから得られた質量、保持時間、および断片イオンから、将来の分析のためのDIAライブラリーを構築することができる。
【0142】
既存の方法の限界を考慮して、HCPの同定のための効果的で効率的な方法が開発された。
【0143】
別段の記載のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものと類似のまたは同等の任意の方法および材料を実施または試験において使用することができるが、特定の方法および材料をこれから説明する。言及されているすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
用語「1つの(a)」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解される必要があり、用語「約」および「およそ」は、当業者によって理解されるように、標準的な変化を可能にすると理解される必要があり、範囲が提供される場合、端点が含まれる。
【0145】
いくつかの例示的な実施形態において、本開示は、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法を提供する。本明細書で使用される場合、「宿主細胞タンパク質」という用語は、宿主細胞に由来するタンパク質を含み、所望の目的のタンパク質とは無関係であり得る。宿主細胞タンパク質は、製造プロセスに由来するプロセス関連不純物であり得、細胞基質由来、細胞培養物由来、および下流由来の3つの主要なカテゴリーを含み得る。細胞基質由来の不純物は、宿主生物に由来するタンパク質および核酸(宿主細胞ゲノム、ベクター、または全DNA)を含むが、これらに限定されない。細胞培養物由来の不純物は、誘導剤、抗生物質、血清、および他の培地成分を含むが、これらに限定されない。下流由来の不純物は、酵素、化学的および生化学的処理試薬(例えば、シアノゲン臭化物、グアニジン、酸化剤および還元剤)、無機塩(例えば、重金属、ヒ素、非金属イオン)、溶媒、担体、リガンド(例えば、モノクローナル抗体)、および他の浸出可能物を含むが、これらに限定されない。
【0146】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質は、約4.5~約9.0の範囲のpIを有し得る。一態様において、pIは、約4.5、約5.0、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9.0であり得る。
【0147】
いくつかの例示的な実施形態において、本開示は、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法を提供する。一態様において、試料マトリックスは、培養された細胞培養液(CCF)、採取された細胞培養液(HCCF)、プロセス性能認定(PPQ)、下流処理における任意のステップ、原薬(DS)、または最終的に製剤化された産物を含む医薬品(DP)などのバイオプロセスの任意のステップから得ることができる。別の態様において、試料マトリックスは、浄化、クロマトグラフィー精製、ウイルス不活性化、または濾過の下流プロセスの任意のステップから選択され得る。他の一態様において、医薬品は、診療所、輸送、保存、または取り扱いにおける製造された医薬品から選択され得る。
【0148】
いくつかの例示的な実施形態において、組成物中の宿主細胞タンパク質の種類は、少なくとも2つであり得る。
【0149】
いくつかの例示的な実施形態において、試料マトリックスは、目的のタンパク質をさらに含み得る。本明細書で使用する場合、「タンパク質」または「目的のタンパク質」という用語は、共有結合で連結されたアミド結合を有する任意のアミノ酸ポリマーを含み得る。タンパク質は、概して「ポリペプチド」として当技術分野において既知である、1つ以上のアミノ酸ポリマー鎖を含む。「ポリペプチド」は、アミノ酸残基、関連する天然に存在する構造変異体、およびペプチド結合を介して連結されたその合成の非天然に存在する類似体、関連する天然に存在する構造変異体、ならびにそれらの合成の非天然に存在する類似体からなるポリマーを指す。「合成のペプチドまたはポリペプチド」は、天然に存在しないペプチドまたはポリペプチドを指す。合成のペプチドまたはポリペプチドは、例えば、自動化ポリペプチド合成機を使用して合成され得る。様々な固相ペプチド合成方法が、当業者に既知である。タンパク質は、単一の機能的な生体分子を形成するために、1つ以上のポリペプチドを含み得る。タンパク質は、生物治療薬タンパク質、研究または治療において使用される組換えタンパク質、トラップタンパク質および他のキメラ受容体Fc融合タンパク質、キメラタンパク質、抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ならびに二重特異性抗体のうちのいずれかを含み得る。別の例示的な態様において、タンパク質は、抗体断片、ナノボディ、組換え抗体キメラ、サイトカイン、ケモカイン、ペプチドホルモンなどを含み得る。タンパク質は、昆虫バキュロウイルス系、酵母系(例えば、Pichia種)、哺乳類系(例えば、CHO細胞、およびCHO-K1細胞のようなCHO誘導体)などの組換え細胞ベースの産生系を使用して産生され得る。生物治療薬タンパク質およびそれらの産生を論じる最近のレビューについては、Ghaderi et al.,”Production platforms for biotherapeutic glycoproteins.Occurrence,impact,and challenges of non-human sialylation,”(Darius Ghaderi et al.,Production platforms for biotherapeutic glycoproteins.Occurrence,impact,and challenges of non-human sialylation,28 BIOTECHNOLOGY AND GENETIC ENGINEERING REVIEWS147-176(2012))を参照されたい。一態様において、タンパク質は、修飾、付加物、および他の共有結合で連結された部分を含む。それらの修飾、付加物、および部分は、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、グリカン(例えば、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、ノイラミン酸、N-アセチルグルコサミン、フコース、マンノース、および他の単糖類)、PEG、ポリヒスチジン、FLAGタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)、キチン結合タンパク質(CBP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)myc-エピトープ、蛍光標識、および他の色素などを含む。タンパク質は、組成および溶解性に基づいて分類され得、したがって、球状タンパク質および線維状タンパク質などの単純タンパク質;ヌクレオタンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク質、色素タンパク質、リンタンパク質、金属タンパク質、およびリポタンパク質などのコンジュゲートタンパク質;ならびに一次由来タンパク質および二次由来タンパク質などの誘導タンパク質を含み得る。一態様において、目的のタンパク質は、抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、モノクローナル抗体、融合タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0150】
「抗体」という用語は、本発明で使用される場合、ジスルフィド結合によって相互接続された2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖の4本のポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分子、ならびにそれらの多量体(例えば、IgM)を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化され得、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が点在する。VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に、以下の順序で配置された3つのCDRおよび4つのFRからなる。FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。本発明の異なる実施形態において、抗big-ET-1抗体(もしくはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であり得るか、または天然にもしくは人工的に修飾され得る。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ以上のCDRの並列分析に基づいて定義され得る。
【0151】
「抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、完全な抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」および同様の用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在する、酵素的に入手可能な、合成の、または遺伝子操作された、抗原に特異的に結合して複合体を形成するポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗体結合断片は、例えば、完全な抗体分子から、抗体可変ドメインおよび任意選択で定常ドメインをコードするDNAの操作および発現に関連するタンパク質分解消化、または組換え遺伝子操作技術などの任意の適切な標準的技術を使用して、得ることができる。そのようなDNAは既知であり、および/または例えば、市販の供給源、DNAライブラリー(例えばファージ抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか、または合成し得る。DNAは、例えば、1つ以上の可変および/もしくは定常ドメインを適切な構成へと配置するか、またはコドンを導入し、システイン残基を作成し、アミノ酸を修飾、付加、もしくは欠失などするために、化学的に、または分子生物学技術を使用することによって配列決定および操作され得る。
【0152】
本明細書で使用される場合、「抗体断片」は、例えば、抗体の抗原結合領域または可変領域などの完全なままの抗体の一部を含む。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv断片、Fv断片、dsFvダイアボディ、dAb断片、Fd’断片、Fd断片、および単離された相補性決定領域(CDR)領域、ならびにトリアボディ、テトラボディ、線形抗体、単鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。Fv断片は、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の可変領域の組み合わせであり、scFvタンパク質は、免疫グロブリン軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによって接続された組換え単鎖ポリペプチド分子である。いくつかの例示的な実施形態において、抗体断片は、親抗体と同じ抗原に結合する断片である親抗体の十分なアミノ酸配列を含み、いくつかの例示的な実施形態において、断片は、親抗体と同等の親和性で抗原に結合し、および/または抗原への結合について親抗体と競合する。抗体断片は、任意の手段によって産生され得る。例えば、抗体断片は、完全なままの抗体の断片化によって酵素的または化学的に産生され得、かつ/またはそれは、部分的な抗体配列をコードする遺伝子から組換え的に産生され得る。代替的または追加的に、抗体断片は、完全にまたは部分的に合成的に産生され得る。抗体断片は、任意選択で単鎖抗体断片を含み得る。代替的または追加的に、抗体断片は、例えば、ジスルフィド連結によって一緒に連結される複数の鎖を含み得る。抗体断片は、任意選択で多分子複合体を含み得る。機能的抗体断片は、典型的には、少なくとも約50アミノ酸を含み、より典型的には、少なくとも約200アミノ酸を含む。
【0153】
「二重特異性抗体」という語句は、2つ以上のエピトープに選択的に結合することが可能な抗体を含む。二重特異性抗体は、概して、2つの異なる重鎖を含み、各重鎖は、2つの異なる分子(例えば、抗原)上または同じ分子上(例えば、同じ抗原上)のいずれかで異なるエピトープに特異的に結合する。二重特異性抗体が2つの異なるエピトープ(第1のエピトープおよび第2のエピトープ)に選択的に結合することができる場合、第1の重鎖の第1のエピトープに対する親和性は、概して、第1の重鎖の第2のエピトープに対する親和性より少なくとも1~2、または3、または4桁低く、逆も同様である。二重特異性抗体によって認識されるエピトープは、同じまたは異なる標的上(例えば、同じまたは異なるタンパク質上)であり得る。二重特異性抗体は、例えば、同じ抗原の異なるエピトープを認識する重鎖を組み合わせることによって作製され得る。例えば、同じ抗原の異なるエピトープを認識する重鎖可変配列をコードする核酸配列は、異なる重鎖定常領域をコードする核酸配列に融合され得、そのような配列は、免疫グロブリン軽鎖を発現する細胞で発現し得る。
【0154】
典型的な二重特異性抗体は、それぞれが3つの重鎖CDRを有する2つの重鎖、続いて、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、ならびに免疫グロブリン軽鎖を有し、その免疫グロブリン軽鎖は抗原結合特異性を付与しないが、各重鎖と会合可能であるか、または各重鎖と会合可能であり、かつ重鎖抗原結合領域によって結合されたエピトープのうちの1つ以上と会合可能であるか、または各重鎖と会合可能であり、かつ重鎖のうちの1つもしくは両方が1つもしくは両方のエピトープと結合可能である。BsAbは、Fc領域を保有するもの(IgG様)と、Fc領域を欠くものの2つの主要なクラスに分けることができ、後者は、通常、Fcを含むIgGおよびIgG様二重特異性分子よりも小さい。IgG様bsAbは、これらに限定されないが、トリオマブ、ノブイントゥホールIgG(kih IgG)、クロスMab、orth-Fab IgG、二重可変ドメインIg(DVD-Ig)、ツーインワンもしくは二重作用Fab(DAF)、IgG-単鎖Fv(IgG-scFv)、またはκλ-体などの異なる形式を有し得る。非IgG様の異なる形式としては、タンデムscFv、ダイアボディ形式、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(TandAb)、二重親和性再標的化分子(DART)、DART-Fc、ナノボディ、またはドックアンドロック(DNL)法によって産生される抗体(Gaowei Fan,Zujian Wang & Mingju Hao,Bispecific antibodies and their applications,8 JOURNAL OF HEMATOLOGY & ONCOLOGY 130、Dafne Muller & Roland E.Kontermann,Bispecific Antibodies,HANDBOOK OF THERAPEUTIC ANTIBODIES265-310(2014))が挙げられる。
【0155】
bsAbを産生する方法は、2つの異なるハイブリドーマ細胞株の体細胞融合に基づくクアドローマ技術、化学的架橋剤を含む化学的コンジュゲーション、および組換えDNA技術を利用する遺伝子アプローチであるが、これらに限定されない。bsAbの例としては、以下の特許出願に開示されているものが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。2010年6月25日に出願された米国特許出願第12/823838号、2012年6月5日に出願された米国特許出願第13/488628号、2013年9月19日に出願された米国特許出願第14/031075号、2015年7月24日に出願された米国特許出願第14/808171号、2017年9月22日に出願された米国特許出願第15/713574号、2017年9月22日に出願された米国特許出願第15/713569号、2016年12月21日に出願された米国特許出願第15/386453号、2016年12月21日に出願された米国特許出願第15/386443号、2016年7月29日に出願された米国特許出願第15/22343号、および2017年11月15日に出願された米国特許出願第15814095号。低レベルのホモ二量体不純物は、二重特異性抗体の製造中のいくつかのステップで存在し得る。このようなホモ二量体不純物の検出は、通常の液体クロマトグラフィー法を使用して実施する場合、ホモ二量体不純物の存在量が少なく、これらの不純物が主な種と共溶出するため、手つかずの質量分析を使用して実施する場合、困難である可能性がある。
【0156】
本明細書で使用される場合、「多重特異性抗体」または「Mab」とは、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する抗体を指す。そのような分子は通常、2つの抗原のみに結合するが(すなわち、二重特異性抗体、bsAb)、三重特異性抗体およびKIH三重特異性などの追加の特異性を有する抗体は、本明細書に開示される系および方法によって対処することができる。
【0157】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ハイブリドーマ技術を介して産生される抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、当技術分野において利用可能または既知の任意の手段によって、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一のクローンに由来し得る。本開示で有用なモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当技術分野において既知の多種多様な技術を使用して調製され得る。
【0158】
いくつかの例示的な実施形態において、目的のタンパク質は、約4.5~約9.0の範囲のpIを有し得る。一態様において、pIは、約4.5、約5.0、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、または約9.0であり得る。
【0159】
いくつかの例示的な実施形態において、試料マトリックス中の目的のタンパク質の種類は、少なくとも2つであり得る。一態様において、少なくとも2つの目的のタンパク質のうちの1つは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、抗体断片、融合タンパク質、または抗体-薬物複合体であり得る。いくつかの他の実施形態において、少なくとも2つの目的のタンパク質のうちの1つの濃度は、約20mg/mL~約400mg/mLであり得る。いくつかの例示的な実施形態において、組成物中の目的のタンパク質の種類は、2つである。いくつかの例示的な実施形態において、組成物中の目的のタンパク質の種類は、3つである。いくつかの例示的な実施形態において、組成物中の目的のタンパク質の種類は、5つである。
【0160】
いくつかの例示的な実施形態において、組成物中の2つ以上の目的のタンパク質は、トラップタンパク質、キメラ受容体Fc融合タンパク質、キメラタンパク質、抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体断片、ナノボディ、組換え抗体キメラ、サイトカイン、ケモカイン、またはペプチドホルモンから選択され得る。
【0161】
いくつかの例示的な実施形態において、試料マトリックスは、共製剤であり得る。
【0162】
いくつかの例示的な実施形態において、目的のタンパク質は、哺乳類細胞から精製され得る。哺乳類細胞は、ヒト起源または非ヒト起源のものであり得、初代上皮細胞(例えば、角化細胞、子宮頸部上皮細胞、気管支上皮細胞、気管上皮細胞、腎臓上皮細胞および網膜上皮細胞)、確立された細胞株およびそれらの株(例えば、293胎児腎臓細胞、BHK細胞、HeLa子宮頸部上皮細胞およびPER-C6網膜細胞、MDBK(NBL-1)細胞、911細胞、CRFK細胞、MDCK細胞、CHO細胞、BeWo細胞、Chang細胞、Detroit562細胞、HeLa229細胞、HeLaS3細胞、Hep-2細胞、KB細胞、LSI80細胞、LS174T細胞、NCI-H-548細胞、RPMI2650細胞、SW-13細胞、T24細胞、WI-28 VA13、2RA細胞、WISH細胞、BS-C-I細胞、LLC-MK2細胞、クローンM-3細胞、1-10細胞、RAG細胞、TCMK-1細胞、Y-1細胞、LLC-PKi細胞、PK(15)細胞、GHi細胞、GH3細胞、L2細胞、LLC-RC256細胞、MHiCi細胞、XC細胞、MDOK細胞、VSW細胞、およびTH-I、B1細胞、BSC-1細胞、RAf細胞、RK細胞、PK-15細胞、またはそれらの誘導体)、任意の組織または器官由来の線維芽細胞(以下を含むがこれらに限定されない。心臓、肝臓、腎臓、結腸、腸、食道、胃、神経組織(脳、脊髄)、肺、血管組織(動脈、静脈、毛細血管)、リンパ組織(リンパ腺、咽頭扁桃腺、扁桃腺、骨髄、および血液)、脾臓、ならびに線維芽細胞および線維芽細胞様細胞株(例えば、CHO細胞、TRG-2細胞、IMR-33細胞、Don細胞、GHK-21細胞、シトルリン血症細胞、Dempsey細胞、Detroit551細胞、Detroit510細胞、Detroit525細胞、Detroit529細胞、Detroit532細胞、Detroit539細胞、Detroit548細胞、Detroit573細胞、HEL299細胞、IMR-90細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、WI-26細胞、Midi細胞、CHO細胞、CV-1細胞、COS-1細胞、COS-3細胞、COS-7細胞、Vero細胞、DBS-FrhL-2細胞、BALB/3T3細胞、F9細胞、SV-T2細胞、M-MSV-BALB/3T3細胞、K-BALB細胞、BLO-11細胞、NOR-10細胞、C3H/IOTI/2細胞、HSDMiC3細胞、KLN205細胞、McCoy細胞、マウスL細胞、2071株(マウスL)細胞、L-M株(マウスL)細胞、L-MTK’(マウスL)細胞、NCTCクローン2472および2555、SCC-PSA1細胞、Swiss/3T3細胞、Indian muntjac細胞、SIRC細胞、Cn細胞、およびJensen細胞、Sp2/0、NS0、NS1細胞、またはそれらの派生物)を含み得る。
【0163】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスをクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮することを含み得る。
【0164】
本明細書で使用される場合、「クロマトグラフィー」という用語は、液体または気体によって担持される化学混合物が、固定した液体または固相の周囲または上を流れるとき化学的存在物の差分分布の結果として成分に分離され得るプロセスを指す。クロマトグラフィーの非限定的な例としては、従来の逆相(RP)、イオン交換(IEX)および順相クロマトグラフィー(NP)が挙げられる。疎水性相互作用、親水性相互作用、およびイオン性相互作用がそれぞれ優勢な相互作用モードであるRP、NP、およびIEXクロマトグラフィーとは異なり、混合モードクロマトグラフィーは、これらの相互作用モードのうちの2つ以上の組み合わせを採用し得る。迅速分離液体クロマトグラフィー(rapid resolution liquid chromatography)(RRLC)、超高性能液体クロマトグラフィー(ultra-performance liquid chromatography)(UPLC)、超高速液体クロマトグラフィー(ultra-fast liquid chromatography)(UFLC)およびナノ液体クロマトグラフィー(nLC)などのいくつかのタイプの液体クロマトグラフィーを、質量分析計とともに使用することができる。クロマトグラフィーの方法および原理のさらなる詳細については、Colinら(COLIN F.POOLE ET AL.,LIQUID CHROMATOGRAPHY FUNDAMENTALS AND INSTRUMENTATION(2017))を参照されたい。
【0165】
いくつかの例示的な実施形態において、クロマトグラフィー支持体は、液体クロマトグラフィー支持体であり得る。本明細書で使用される場合、「液体クロマトグラフィー」という用語は、液体によって担持される化学混合物が、固定した液体または固相の周囲または上を流れるとき化学的存在物の差分分布の結果として成分に分離され得るプロセスを指す。液体クロマトグラフィーの非限定的な例としては、逆相液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、または疎水性クロマトグラフィーが挙げられる。
【0166】
本明細書で使用される場合、「イオン交換クロマトグラフィー」は、全体として目的の分子および/もしくはクロマトグラフィー材料上、または局所的に目的の分子の特定の領域および/もしくはクロマトグラフィー材料上のいずれかで、それぞれのイオン電荷の差に基づいて2つの物質が分離される任意の方法を含む分離を含み得、したがって、陽イオン交換材料または陰イオン交換材料のいずれかを採用し得る。イオン交換クロマトグラフィーは、目的の分子の局所電荷とクロマトグラフィー材料の局所電荷との間の差に基づいて分子を分離する。詰められたイオン交換クロマトグラフィーカラムまたはイオン交換膜デバイスは、結合溶出モード、フロースルー、またはハイブリッドモードで操作することができる。平衡緩衝液または異なるpHおよび/または導電性を有する別の緩衝液でカラムまたは膜デバイスを洗浄した後、産物回収は、イオン交換マトリックスの荷電部位について溶質と競合するように溶出緩衝液のイオン強度(例えば、導電性)を増加させることによって達成され得る。pHを変化させ、それによって溶質の電荷を変化させることは、溶質の溶出を達成する別の方法であり得る。導電性またはpHの変化は、徐々に(勾配溶出)または段階的(ステップ溶出)であり得る。次いで、次の使用前に、カラムを再生し得る。陰イオン性または陽イオン性置換基は、クロマトグラフィーのための陰イオン性または陽イオン性支持体を形成するために、マトリックスに結合され得る。陰イオン性交換置換基の非限定的な例としては、ジエチルアミノエチル(DEAE)、四級アミノエチル(QAE)および四級アミン(Q)基が挙げられる。陽イオン性置換基としては、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、リン酸塩(P)およびスルホン酸塩(S)が挙げられる。セルロースイオン交換媒体または支持体は、DE23(商標)、DE32(商標)、DE52(商標)、CM-23(商標)、CM-32(商標)、およびCM-52(商標)を含み得、Whatman Ltd. Maidstone,Kent,U.K.から入手可能であり、SEPHADEX(登録商標)ベースおよびロクロス結合イオン交換体も知られている。例えば、DEAE-、QAE-、CM-、およびSP-SEPHADEX(登録商標)ならびにDEAE-、Q-、CM-、およびS-SEPHAROSE(登録商標)ならびにSEPHAROSE(登録商標)ファーストフロー、ならびにCapto(商標)Sは、すべてGE Healthcareから入手可能である。さらに、TOYOPEARL(商標)DEAE-650SまたはM、およびTOYOPEARL(商標)CM-650SまたはMなどのDEAEおよびCM誘導体化エチレングリコール-メタクリル酸コポリマーは、Toso Haas Co.、Philadelphia,Pa.から入手可能であり、またはNuvia SおよびUNOSphere(商標)SはBioRad、Hercules,Calif.から、Eshmuno(登録商標)SはEMD Millipore、MAから入手可能である。
【0167】
本明細書で使用される場合、用語「疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂」は、フェニル、オクチル、またはブチル化学物質で共有結合的に修飾され得る固相を含み得る。疎水性の特性を使用して、分子を互いに分離し得る。この種類のクロマトグラフィーにおいて、フェニル、オクチル、ヘキシル、またはブチルなどの疎水性基を固定カラムに結合させ得る。表面に疎水性アミノ酸側鎖を有するカラムを通過する分子は、カラムの疎水性基と相互作用して結合することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂または支持体の例としては、Phenyl sepharose FF、Capto Phenyl(GE Healthcare、Uppsala,Sweden)、Phenyl 650-M(Tosoh Bioscience、Tokyo,Japan)およびSartobind Phenyl(Sartorius corporation、New York,USA)が挙げられる。
【0168】
本明細書で使用される場合、用語「混合モードクロマトグラフィー(MMC)」または「多様式クロマトグラフィー」は、溶質が2つ以上の相互作用モードまたはメカニズムを介して固定相と相互作用するクロマトグラフィー方法を含む。MMCは、従来の逆相(RP)、イオン交換(IEX)、および順相クロマトグラフィー(NP)に代わるまたは補完するツールとして使用され得る。疎水性相互作用、親水性相互作用、およびイオン性相互作用がそれぞれ優勢な相互作用モードであるRP、NP、およびIEXクロマトグラフィーとは異なり、混合モードクロマトグラフィーは、これらの相互作用モードのうちの2つ以上の組み合わせを採用し得る。混合モードクロマトグラフィー媒体は、単一モードクロマトグラフィーによって再現することができない特有の選択性を提供し得る。混合モードクロマトグラフィーはまた、親和性ベースの方法と比較して、潜在的なコスト削減、より長いカラム寿命、および動作の柔軟性を提供し得る。いくつかの例示的な実施形態において、混合モードクロマトグラフィー媒体は、直接またはスペーサーを介して、場合によってはベースマトリックスと表記される有機または無機の支持体に連結された混合モードリガンドからなり得る。支持体は、本質的に球状の粒子などの粒子、モノリス、フィルタ、膜、表面、キャピラリーなどの形態であり得る。いくつかの特定の例示的な態様において、支持体は、アガロース、寒天、セルロース、デキストラン、キトサン、コンニャク、カラギーナン、ジェラン、アルギン酸塩などの架橋炭水化物材料などの天然ポリマーから調製され得る。高い吸着容量を得るために、支持体は多孔性であり得、次いで、リガンドは外部表面および細孔表面に結合される。かかる天然ポリマー支持体は、逆懸濁ゲル化などの標準的な方法に従って調製され得る(Stellan Hjerten,The preparation of agarose spheres for chromatography of molecules and particles,79 BIOCHIMICA ET BIOPHYSICA ACTA(BBA)-BIOPHYSICS INCLUDING PHOTOSYNTHESIS 393-398(1964)は、参照により本明細書に組み込まれる)。あるいは、支持体は、架橋合成ポリマー、例えば、スチレンまたはスチレン誘導体、ジビニルベンゼン、アクリルアミド、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、ビニルエステル、ビニルアミドなどの合成ポリマーから調製され得る。かかる合成ポリマーは、標準的な方法に従って産生され得、例えば、Eduardo Vivaldo-Lima et al.,An Updated Review on Suspension Polymerization,36 INDUSTRIAL & ENGINEERING CHEMISTRY RESEARCH 939-965(1997)を参照されたい。多孔質天然または合成ポリマー支持体は、Amersham Biosciences、Uppsala,Swedenなどの商業的供給源からも入手可能である。
【0169】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスを親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮することを含み得る。
【0170】
本明細書で使用される場合、「親和性クロマトグラフィー」は、クロマトグラフィー材料に対するそれらの親和性に基づいて2つの物質が分離される任意の方法を含む分離を含み得る。親和性クロマトグラフィー支持体の非限定的な例には、プロテインA樹脂、プロテインG樹脂、結合分子が提起された抗原を含む親和性支持体、およびFc結合タンパク質を含む親和性支持体が挙げられるが、これらに限定されない。親和性クロマトグラフィー樹脂は、樹脂上、例えば、アガロースもしくはセファロースなどの上に、プロテインA、プロテインG、結合分子が提起された抗原、またはFc結合タンパク質を固定することによって形成され得る。プロテインA樹脂には、いくつかの商業的供給源がある。プロテインA樹脂の非限定的な例としては、GE HealthcareのMabSelect SuRe(商標)、MabSelect SuRe LX、MabSelect、MabSelect Xtra、rProtein A Sepharose、ならびにEMD MilliporeのProSep HC、ProSep Ultra、およびProSep Ultra Plusが挙げられる。
【0171】
一態様において、親和性クロマトグラフィー材料は、試料マトリックスを充填する前に、適切な緩衝液で平衡化され得る。この平衡化に続いて、試料マトリックスをカラム上に充填し得る。一態様において、親和性クロマトグラフィー材料の充填に続いて、適切な洗浄緩衝液を使用して、親和性クロマトグラフィー材料を1回または複数回洗浄し得る。いくつかの特定の態様において、洗浄からのフロースルーを収集し得る。特定の態様において、洗浄からのフロースルーを、さらに処理し得る。任意選択で、異なる緩衝液を採用した洗浄を含む他の洗浄を、カラムを溶出する前に採用し得る。洗浄からのフロースルーを収集し、さらに処理し得る。親和性クロマトグラフィー材料はまた、適切な溶出緩衝液を使用して溶出され得る。溶出液を、当業者に周知の技術を使用して監視し得る。例えば、OD280での吸光度を追跡し得る。次いで、目的の溶出画分を、さらなる処理のために調製し得る。
【0172】
一態様において、コスモトロピック塩溶液を、親和性クロマトグラフィー樹脂と接触する前に、目的のタンパク質を含む試料マトリックスに補充し得る。コスモトロピック塩溶液は、少なくとも1つのコスモトロピック塩を含む。最適なコスモトロピック塩の例としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、コスモトロピック塩は、硫酸アンモニウムであり、別の態様において、コスモトロピック塩は、硫酸ナトリウムであり、別の態様において、コスモトロピック塩は、クエン酸ナトリウムである。コスモトロピック塩は、約0.3M~約1.1Mの濃度でコスモトロピック塩溶液中に存在する。一実施形態において、コスモトロピック塩は、約0.5Mの濃度でコスモトロピック塩溶液中に存在する。
【0173】
いくつかの例示的な実施形態において、濃縮ステップは、クロマトグラフィー支持体から得られた試料を処理することをさらに含み得る。
【0174】
いくつかの例示的な実施形態において、処理は、加水分解剤を試料に添加してペプチドを産生することを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「加水分解剤」は、タンパク質の消化を実施し得る多数の種々の剤のうちの任意の1つまたは組み合わせを意味する。酵素消化を行うことができる加水分解剤の非限定的な例としては、トリプシン、エンドプロテアーゼArg-C、エンドプロテアーゼAsp-N、エンドプロテアーゼGlu-C、外膜プロテアーゼT(OmpT)、Streptococcus pyogenesの免疫グロブリン分解酵素(IdeS)、キモトリプシン、ペプシン、熱溶解素、パパイン、プロナーゼ、およびAspergillus Saitoi由来のプロテアーゼが挙げられる。非酵素消化を実施し得る加水分解剤の非限定的な例としては、高温、マイクロ波、超音波、高圧、赤外線、溶媒(非限定的な例は、エタノールおよびアセトニトリル)、固定化酵素消化(IMER)、磁性粒子固定化酵素、およびオンチップ固定化酵素の使用が挙げられる。タンパク質消化のための利用可能な技術を論じる最近のレビューについては、Switazar et al.,“Protein Digestion:An Overview of the Available Techniques and Recent Developments”(Linda Switzar,Martin Giera & Wilfried M.A.Niessen,Protein Digestion:An Overview of the Available Techniques and Recent Developments,12 JOURNAL OF PROTEOME RESEARCH 1067-1077(2013))を参照されたい。加水分解剤の1つまたは組み合わせは、タンパク質またはポリペプチドにおいて、配列特異的な様式でペプチド結合を切断し、より短いペプチドの予測可能な収集物を生成し得る。
【0175】
タンパク質に対する加水分解剤の配合比および消化に必要な時間は、タンパク質の消化を得るために適切に選択され得る。酵素対基質の比が不適切に高い場合、それは、非特異的な切断(すべてのタンパク質/ペプチドを個々のアミノ酸に分解する可能性がある)を引き起こす可能性があり、それによって、タンパク質を同定する能力を制限し、配列カバレッジを低減させる可能性がある。一方、低いE/Sの比は、長い消化を必要とし、したがって試料準備時間が長くなる。酵素対基質比は、約1:0.5~約1:500の範囲であり得る。
【0176】
本明細書で使用される場合、用語「消化」は、タンパク質の1つ以上のペプチド結合の加水分解を指す。適切な加水分解剤、例えば、酵素消化または非酵素消化を使用して、試料中のタンパク質の消化を実施するためのいくつかのアプローチがある。
【0177】
試料中のタンパク質の消化のための広く受け入れられている方法の1つは、プロテアーゼの使用を伴う。多くのプロテアーゼが利用可能であり、それらのそれぞれは、特異性、効率、および最適な消化条件に関して独自の特徴を有する。プロテアーゼは、エンドペプチダーゼおよびエキソペプチダーゼの両方を指し、ペプチド内の非末端または末端アミノ酸で切断するプロテアーゼの能力に基づいて分類される。あるいは、プロテアーゼはまた、触媒作用のメカニズムで分類される、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびメタロプロテアーゼ、システイン、セリン、およびスレオニンプロテアーゼの6つの異なるクラスを指す。「プロテアーゼ」および「ペプチダーゼ」という用語は、互換的に使用され、ペプチド結合を加水分解する酵素を指す。
【0178】
宿主細胞タンパク質を加水分解剤に接触させること以外に、本方法は、任意選択で、宿主細胞タンパク質を低減させるためのステップ、宿主細胞タンパク質をアルキル化するためのステップ、宿主細胞タンパク質を緩衝させるためのステップ、および/または試料マトリックスを脱塩するためのステップを含み得る。これらのステップは、所望により任意の適切な方法で達成され得る。
【0179】
いくつかの例示的な実施形態において、処理は、タンパク質還元剤を試料に添加することを含み得る。本明細書で使用される場合、「タンパク質還元剤」という用語は、タンパク質中のジスルフィド架橋の還元のために使用される剤を指す。タンパク質を還元するために使用されるタンパク質還元剤の非限定的な例は、ジチオスレイトール(DTT)、β-メルカプトエタノール、エルマン試薬、ヒドロキシルアミン塩酸塩、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP-HCl)、またはそれらの組み合わせである。
【0180】
いくつかの例示的な実施形態において、処理は、タンパク質アルキル化剤を試料に添加することを含み得る。本明細書で使用される場合、「タンパク質アルキル化剤」という用語は、タンパク質中の特定の遊離アミノ酸残基をアルキル化するために使用される剤を指す。タンパク質アルキル化剤の非限定的な例は、ヨードアセトアミド(IOA)、クロロアセトアミド(CAA)、アクリルアミド(AA)、N-エチルマレイミド(NEM)、メタンチオスルホン酸メチル(MMTS)、および4-ビニルピリジン、またはこれらの組み合わせである。
【0181】
いくつかの例示的な実施形態において、処理は、アルキル化剤、還元剤、加水分解剤、またはそれらの組み合わせからなる群からの1つ以上を添加することを含み得る。これらの剤の試料への添加は、多様であり得る。添加は、試料を剤に添加することによって、または剤を試料に添加することによって実施され得る。
【0182】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料マトリックスをクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによって、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮することを含み得る。本明細書で使用される場合、「分画」という用語は、試料マトリックス中に存在する宿主細胞タンパク質を消化することから得られる様々なペプチドを分離するプロセスを含み得る。このプロセスは、複雑な生物学的試料マトリックスからペプチドを単離するための基盤として、ペプチドのpI、疎水性、金属結合能力、露出したチオール基の含有量、サイズ、電荷、形状、溶解性、安定性、および沈降速度、様々なイオン基と結合する能力、ならびに基質に対する親和性などの様々な一般的性質に基づいてペプチドを分画することができる適切なペプチド分画技術を使用してペプチドを分離することを含み得る。ペプチドはまた、それらの細胞の位置に基づいて分離することができ、それにより、細胞質タンパク質、核タンパク質、および膜タンパク質を抽出することができる。
【0183】
いくつかの例示的な実施形態において、分画は、サイズベースの分画であり得る。一態様において、サイズベースの分画は、ゲル電気泳動を使用することによって実施され得る。ゲル電気泳動の詳細は、Zaifang Zhu,Joann Lu & Shaorong Liu,Protein separation by capillary gel electrophoresis:A review,709 ANALYTICA CHIMICA ACTA 21-31(2012)において見出すことができ、それは参照により本明細書に組み込まれる。さらなる原理および基礎は、SAMEH MAGDELDIN,GEL ELECTROPHORESIS: PRINCIPLES AND BASICS (2012)において見出すことができ、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0184】
一態様において、サイズベースの分画は、透析を使用することによって実施され得る。透析は、分子カットオフ膜フィルタまたは一連の膜フィルタを使用して実施され得る。透析はまた、透析カセットを使用して実施され得る。かかる透析方法の1つの例は、Slide-A-Lyzer(商標)透析カセットを使用することを含み得る。カセット設計は、表面積体試料体積の比を最大化し、優れた試料回収を可能にする。
【0185】
一態様において、サイズベースの分画は、キャピラリー電気泳動を使用することによって実施され得る。キャピラリー電気泳動に関する最近の傾向および進歩は、Robert Voeten et al.,Capillary Electrophoresis:Trends and Recent Advances,90 ANALYTICAL CHEMISTRY 1464-1481(2018)およびMaria Ramos-Payan et al.,Recent trends in capillary electrophoresis for complex samples analysis: A review,39 ELECTROPHORESIS 111-125(2017)において見出すことができ、それらは参照により本明細書に組み込まれる。さらなる原理および基本は、Harry Whatley,Basic Principles and Modes of Capillary Electrophoresis,CLINICAL AND FORENSIC APPLICATIONS OF CAPILLARY ELECTROPHORESIS 21-58において見出すことができ、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0186】
一態様において、サイズベースの分画は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して実施され得る。「サイズ排除クロマトグラフィー」または「SEC」または「ゲル濾過」という語句は、溶液中の分子のサイズに従って分子を選別することができる液体カラムクロマトグラフィー技術を含む。本明細書で使用される場合、「SECクロマトグラフィー樹脂」または「SECクロマトグラフィー媒体」という用語は、本明細書で互換的に使用され、所望の産物から不純物を(例えば、二重特異性抗体産物に対するホモ二量体汚染物質)分離するSECにおいて使用される任意の種類の固相を含み得る。樹脂の体積、使用されるカラムの長さおよび直径、ならびに動的容量および流量は、処理される流体の体積、本発明のプロセスに供される流体中のタンパク質の濃度などのいくつかのパラメータに依存し得る。各ステップのこれらのパラメータの決定は、十分に当業者の平均的なスキルの範囲内である。サイズ排除クロマトグラフィーについての簡単な実用的レビューは、Richard R.Burgess,A brief practical review of size exclusion chromatography:Rules of thumb,limitations,and troubleshooting,150 PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION 81-85(2018)およびGloria Brusotti et al.,Advances on Size Exclusion Chromatography and Applications on the Analysis of Protein Biopharmaceuticals and Protein Aggregates:A Mini Review,81 CHROMATOGRAPHIA 3-23(2017)において見出すことができ、それらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。SECのさらなる原理および基礎は、Paula Hong,Stephan Koza & Edouard S.P.Bouvier,A Review Size-Exclusion Chromatography For The Analysis Of Protein Biotherapeutics And Their Aggregates,35 JOURNAL OF LIQUID CHROMATOGRAPHY & RELATED TECHNOLOGIES 2923-2950(2012)において見出すことができ、それは参照により本明細書に組み込まれる。Singh et al.,New Automated Systems for Size-fractionation of Protein Samples,24 JOURNAL OF BIOMOLECULAR TECHNOLOGIES S60-S61(2013)において示されるサイズ排除クロマトグラフィーの新しい方法は、本方法にも使用され得、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0187】
一態様において、サイズベースの分画は、フィールドフロー分画を使用して実施され得る。フィールドフロー分画(FFF)は、主に層流マイクロ流体フロー内の超分子、タンパク質およびバイオ粒子(直径<100μm)の不均一混合物を分離するために採用される「ソフトインパクト」溶出技術の部類である。FFFの概要は、Messaudらによる論文(Fathi A.Messaud et al.,An overview on field-flow fractionation techniques and their applications in the separation and characterization of polymers,34 PROGRESS IN POLYMER SCIENCE 351-368(2009))で提供されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。FFFのさらなる技術は、T.Kowalkowski et al.,Field-Flow Fractionation:Theory,Techniques,Applications and the Challenges,36 CRITICAL REVIEWS IN ANALYTICAL CHEMISTRY 129-135(2006)およびBarbara Roda et al.,Field-flow fractionation in bioanalysis:A review of recent trends,635 ANALYTICA CHIMICA ACTA 132-143(2009)において見出すことができ、それらは各々参照により本明細書に組み込まれる。
【0188】
いくつかの例示的な実施形態において、分画は、疎水性ベースの分画であり得る。一態様において、サイズベースの分画は、逆相クロマトグラフィーを使用して実施され得る。逆相クロマトグラフィーは、タンパク質の疎水性に基づいてタンパク質の分離を可能にする最も広く使用されるクロマトグラフィーモードである。分離は、極性移動相と疎水性(非極性)固定相との間の分析物の分配係数に基づいている。ペプチドの場合、極性が高いペプチドが最初に溶出し、一方、極性が低いペプチドは、固体シリカ支持体の周囲に「液体様」層を形成する疎水性基とより強く相互作用する。RPLCは、勾配溶出、水性試料との適合性、および保持機構の汎用性での使いやすさのためにペプチド分離に広く適用されており、pH、有機改質剤、または添加剤によって分離の変化をもたらすことができる。一態様において、サイズベースの分画は、pH勾配クロマトグラフィーを使用して実施され得る。
【0189】
いくつかの例示的な実施形態において、逆相クロマトグラフィーは、ナノLCを使用する低pH逆相液体クロマトグラフィー分離を含み得る。一態様において、逆相クロマトグラフィーは、高pH逆相液体クロマトグラフィー分離を含み得る。特定の態様において、逆相クロマトグラフィーは、低pH逆相液体クロマトグラフィーに直交する高pH逆相液体クロマトグラフィー分離を含み得る。トップダウンプロテオミクスのための高pHおよび低pH逆相液体クロマトグラフィーを使用したそのような2次元分離の概要は、Zhe Wang et al.,Two-dimensional separation using high-pH and low-pH reversed phase liquid chromatography for top-down proteomics,427 INTERNATIONAL JOURNAL OF MASS SPECTROMETRY 43-51(2018)において見出すことができる。
【0190】
いくつかの例示的な実施形態において、分画は、電荷ベースの分画であり得る。別の態様において、電荷ベースの分画は、イオン交換クロマトグラフィーを使用して実施され得る。特定の態様において、イオン交換クロマトグラフィーは、陽イオン交換クロマトグラフィーであり得る。別の特定の態様において、イオン交換クロマトグラフィーは、陰イオン交換クロマトグラフィーであり得る。
【0191】
いくつかの例示的な実施形態において、分画は、pIベースの分画であり得る。一態様において、電荷ベースの分画は、イオン交換クロマトグラフィーを使用して実施され得る。特定の態様において、イオン交換クロマトグラフィーは、陽イオン交換クロマトグラフィーであり得る。別の特定の態様において、イオン交換クロマトグラフィーは、陰イオン交換クロマトグラフィーであり得る。一態様において、電荷ベースの分画は、等電点電気泳動法によって行うことができる。等電点電気泳動法(IEF)は、タンパク質の分離を提供することができ、タンパク質は、分子の正味電荷がゼロ(例えば、等電位点、pI)になるまで、pH勾配の存在下で、電場の影響下でそれらの電荷に従って移動することができる。分離は、弱酸および弱塩基として振る舞うアミノ酸および露出した荷電残基の組成に応じてみなすことができる。タンパク質の移動は、電気泳動の基本原理に従うが、pI値に近い値での移動が減速することによって、pH勾配の存在下で移動性は変化する。IEFの概要は、Pergande and Cologna Melissa Pergande & Stephanie Cologna,Isoelectric Point Separations of Peptides and Proteins,5 PROTEOMES 4(2017)による論文で提供されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。IEFのさらなる技術は、Findley Cornell,Isoelectric Focusing,Blotting and Probing Methods for Detection and Identification of Monoclonal Proteins,30 THE CLINICAL BIOCHEMIST REVIEWS 123-130(2009)、Tomasz Baczek,Fractionation of peptides in proteomics with the use of pI-based approach and ZipTip pipette tips,34 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL AND BIOMEDICAL ANALYSIS 851-860(2004)、C.F.Ivory,A Brief Review of Alternative Electrofocusing Techniques,35 Separation Science and Technology 1777-1793(2000)、G.B.Smejkal,Solution phase isoelectric fractionation in the multi-compartment electrolyser: A divide and conquer strategy for the analysis of complex proteomes,4 BRIEFINGS IN FUNCTIONAL GENOMICS AND PROTEOMICS 76-81(2005)、およびDavid Garfin,Gel Electrophoresis of Proteins,in ESSENTIAL CELL BIOLOGY,VOLUME 1,A PRACTICAL APPROACH 197-268(2003)において見出すことができ、それらは各々、参照により本明細書に組み込まれる。
【0192】
pIベースの分画のさらなる改善は、Subhashini Selvaraju & Ziad El Rassi,Liquid-phase-based separation systems for depletion,prefractionation and enrichment of proteins in biological fluids and matrices for in-depth proteomics analysis-An update covering the period 2008-2011,33 ELECTROPHORESIS 74-88(2011)で説明されている方法などの分画ステップに使用され得る。
【0193】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。
【0194】
いくつかの例示的な実施形態において、特徴付けることは、分画ステップから得られたペプチドを同定することを含み得る。ペプチドの同定は、ポリペプチド断片化に由来する質量スペクトルを、タンパク質のインシリコ消化から生成される理論的質量スペクトルと比較することによってさらに実施され得る。次いで、タンパク質にペプチド配列を割り当てることによって、タンパク質の推論を達成する。
【0195】
本明細書で使用される場合、「質量分析計」という用語は、特定の分子種を同定し、それらの正確な質量を測定することができるデバイスを含む。この用語は、検出および/または特徴付けのためにポリペプチドまたはペプチドが溶出され得る任意の分子検出器を含むことを意味する。質量分析計は、イオン源、質量分析器、および検出器の3つの主要な部分を含み得る。イオン源の役割は、気相イオンを作成することである。分析物の原子、分子、またはクラスターを気相に移動させ、同時に(エレクトロスプレーイオン化のように)または別々のプロセスを介してイオン化し得る。イオン源の選択は、用途に大きく依存する。
【0196】
いくつかの例示的な実施形態において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。
【0197】
本明細書で使用される場合、用語「タンデム質量分析」は、質量選択および質量分離の複数の段階を使用することによって、試料マトリックス分子についての構造情報が得られる技術を含む。前提条件は、試料マトリックス分子を気相に移動させ、完全なままイオン化し得ること、ならびにそれらを、第1の質量選択ステップの後、何らかの予測可能で制御可能な方法で崩壊するように誘導し得ることである。多段階MS/MS、またはMSnは、まず、前駆体イオン(MS2)を選択して単離し、断片化し、一次断片イオン(MS3)を単離し、断片化し、二次断片(MS4)を単離することによって、意味のある情報を得ることができるか、または断片化イオン信号が検出可能である限り、実施され得る。タンデムMSは多種多様な分析装置の組み合わせで成功裏に実行されている。特定の用途のためにどの分析器を組み合わせるかは、感度、選択性、および速度だけでなく、サイズ、コスト、および可用性などの多くの異なる要因によって決定され得る。タンデムMS方法の2つの主要なカテゴリーは、タンデムインスペースおよびタンデムインタイムであるが、タンデムインタイム分析器が空間内で、またはタンデムインスペース分析器と連結されるハイブリッドも存在する。タンデムインスペース質量分析計は、イオン源、前駆体イオン活性化デバイス、および少なくとも2つの非捕獲質量分析器を含む。特定のm/z分離機能は、機器の1つのセクションにおいてイオンが選択され、中間領域において解離され、次いで産物イオンがm/z分離およびデータ取得のために別の分析器に伝達されるように設計され得る。タンデムインタイムにおいては、イオン源において産生された質量分析イオンは、同じ物理デバイスにおいて捕捉、分離、断片化、およびm/z分離され得る。
【0198】
質量分析計によって同定されたペプチドは、完全なままのタンパク質およびそれらの翻訳後修飾の代理の代表物として使用され得る。実験および理論的なMS/MSデータを相関させることによってそれらをタンパク質の特徴付けに使用し得、後者は、タンパク質配列データベースにおける可能性のあるペプチドから生成される。特徴付けには、タンパク質断片のアミノ酸の配列決定、タンパク質配列決定、タンパク質デノボ配列決定、翻訳後修飾の位置特定もしくは翻訳後修飾の同定、または比較可能性分析、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0199】
本明細書で使用される場合、「データベース」という用語は、データベースにおけるすべての可能性のある配列に対して解釈されていないMS-MSスペクトルを検索する可能性を提供するバイオインフォマティクスツールを指す。そのようなツールの非限定的な例は、Mascot(http://www.matrixscience.com)、Spectrum Mill(http://www.chem.agilent.com)、PLGS(http://www.waters.com)、PEAKS(http://www.bioinformaticssolutions.com)、Proteinpilot(http://download.appliedbiosystems.com//proteinpilot)、Phenyx(http://www.phenyx-ms.com)、Sorcerer(http://www.sagenresearch.com)、OMSSA(http://www.pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/omssa/)、X!Tandem(http://www.thegpm.org/TANDEM/)、Protein Prospector(http://www.http://prospector.ucsf.edu/prospector/mshome.htm)、Byonic(https://www.proteinmetrics.com/products/byonic)、Andromeda(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21254760)またはSequest(http://fields.scripps.edu/sequest)である。
【0200】
いくつかの例示的な実施形態において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムに連結し得る。別の例示的な実施形態において、質量分析計は、ナノ液体クロマトグラフィーに連結し得る。一態様において、液体クロマトグラフィーにおいてタンパク質を溶出するために使用される移動相は、質量分析計と適合性であり得る移動相であり得る。特定の態様において、移動相は、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、もしくはギ酸アンモニウム、アセトニトリル、水、ギ酸、揮発性酸、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0201】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、高電場非対称波形イオン移動度分光法を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「高電場非対称波形イオン移動度分光法」もしくは「FAIMS」または「微分移動度分光法」もしくは「DMS」は、強電界および弱電界でのその挙動によって気相イオンを分離する大気圧イオン移動度技術を含み得る。FAIMSデバイスは、エレクトロスプレーイオン化と容易にインタフェース接続することができ、プロテオミクス研究において液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析(MS)との間の追加の分離モードとして実装されている。FAIMS分離は、LCおよびMSの両方に直交し得、複雑な試料中のペプチドの検出を改善するためのオンライン分画手段として使用され得る。FAIMSは、化学ノイズをフィルタリングすることによって、ダイナミックレンジを改善し、それに伴ってイオンの検出限界を改善し得る。FAIMSを使用して、干渉イオン種を除去し、タンデムMSによる同定に最適なペプチド電荷状態を選択することもできる。質量分析ベースのプロテオミクスのためのFAIMSの使用に関するレビューは、SwearingenおよびMoritzによって公開された論文(Kristian E Swearingen & Robert L Moritz,High-field asymmetric waveform ion mobility spectrometry for mass spectrometry-based proteomics,9 Expert Review of Proteomics 505-517(2012))において見出すことができ、これは、参照により本明細書に組み込まれる。FAIMSの詳細については、以下のいくつかのレビューにおいて見出すことができる。Roger Guevremont,High-field asymmetric waveform ion mobility spectrometry:A new tool for mass spectrometry,1058 JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A 3-19(2004)、Alexandre A.Shvartsburg et al.,Field Asymmetric Waveform Ion Mobility Spectrometry Studies of Proteins:Dipole Alignment in Ion Mobility Spectrometry?,110 THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY B 21966-21980(2006)、Beata M.Kolakowski & Zoltan Mester,Review of applications of high-field asymmetric waveform ion mobility spectrometry(FAIMS) and differential mobility spectrometry(DMS),132 THE ANALYST 842(2007)、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。KolakowskiおよびMesterによるFAIMSの一般的なレビュー、Nazarovおよびその同僚によるFAIMSの一連の理論的および実践的な調査(Nazarov,Electric field dependence of the ion mobility,285 INTERNATIONAL JOURNAL OF MASS SPECTROMETRY 149-156(2009))、Bradley B.Schneider et al.,Planar differential mobility spectrometer as a pre-filter for atmospheric pressure ionization mass spectrometry,298 INTERNATIONAL JOURNAL OF MASS SPECTROMETRY 45-54(2010)、Evgeny V.Krylov et al.,Selection and generation of waveforms for differential mobility spectrometry,81 REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS 024101(2010)、Bradley B.Schneider et al.,Control of Chemical Effects in the Separation Process of a Differential Mobility Mass Spectrometer System,16 EUROPEAN JOURNAL OF MASS SPECTROMETRY 57-71(2010)、Stephen L.Coy et al.,Detection of radiation-exposure biomarkers by differential mobility prefiltered mass spectrometry(DMS-MS),291 INTERNATIONAL JOURNAL OF MASS SPECTROMETRY 108-117(2010)、Bradley B.Schneider et al.,Control of Chemical Effects in the Separation Process of a Differential Mobility Mass Spectrometer System,16 EUROPEAN JOURNAL OF MASS SPECTROMETRY 57-71(2010)およびShvartsburgによる本(ALEXANDRE A.SHVARTSBURG,DIFFERENTIAL ION MOBILITY SPECTROMETRY NONLINEAR ION TRANSPORT AND FUNDAMENTALS OF FAIMS(2009))、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0202】
市販または適合した質量分析計およびFAIMSセル/システム/デバイスのいずれも、宿主細胞タンパク質の特徴付けに利用し得る。FAIMSセルは、サイズが変更し得、長さ65mm、幅20mm、および分析ギャップ2mmの「フルサイズ」セル(FS-FAIMS)、および長さ15mm、幅5mm、および分析ギャップ0.38mmの「4分の1サイズ」セル(QS-FAIMS)であり得る。使用されるFAIMSデバイスは、Ionalyticsによるc-FAIMSまたはSionexによるp-FAIMSであり得る。Owlstone Nanotech Inc.から入手した、UltraFAIMS A1およびLonestar Gas Analyzerなどの小型化されたチップベースのFAIMSシステムも使用し得る。各デバイスの両方のチップは、チップの面全体にわたって曲がりくねった形状を作成する2つの交互にかみ合う電極で構成され、各列は、異なる平面FAIMSチャネルである。Thermo ScientificのFAIMS Pro(商標)インタフェースも本方法に使用できる。
【0203】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得る。
【0204】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をプロテインAクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得る。
【0205】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得る。
【0206】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、タンデム質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得る。一態様において、タンデム質量分析計は、空間的にタンデムであるか、または時間的にタンデムであり得る。
【0207】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、液体クロマトグラフィーシステムに連結された質量分析計を使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得る。一態様において、液体クロマトグラフィーシステムは、ナノ液体クロマトグラフィーシステム(nLC)であり得る。
【0208】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得る。一態様において、FAIMSに使用される担体ガスは、揮発性化学修飾剤を含み得る。特定の態様において、揮発性化学修飾剤は、イソプロパノールまたは塩化メチレンであり得る。
【0209】
特定の例示的な一実施形態において、FAIMSデバイスを、MSと組み合わせて使用し得る。別の特定の例示的な実施形態において、FAIMSデバイスを、LCおよびMSと組み合わせて使用し得る。
【0210】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施し、LC-FAIMS-MSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付けることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得る。
【0211】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも、少なくとも約20%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、少なくとも約20%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約25%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約35%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約40%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約45%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約55%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約60%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約65%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約70%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約75%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約80%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約85%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約90%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約95%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約100%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約105%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約110%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約115%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約120%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約125%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約130%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約135%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約140%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約145%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約150%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約155%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約160%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約165%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約170%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約175%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約180%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約185%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約190%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約195%多い宿主細胞タンパク質、または少なくとも約200%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。
【0212】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも、少なくとも約20%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、少なくとも約20%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約25%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約35%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約40%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約45%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約55%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約60%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約65%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約70%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約75%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約80%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約85%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約90%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約95%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約100%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約105%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約110%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約115%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約120%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約125%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約130%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約135%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約140%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約145%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約150%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約155%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約160%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約165%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約170%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約175%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約180%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約185%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約190%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約195%多い宿主細胞タンパク質、または少なくとも約200%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。
【0213】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得、本方法は、濃縮ステップを含むが分画ステップを含まない方法よりも約20%~200%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、約20%~約30%多い宿主細胞タンパク質、約30%~約40%多い宿主細胞タンパク質、約40%~約50%多い宿主細胞タンパク質、約50%~約60%多い宿主細胞タンパク質、約60%~約70%多い宿主細胞タンパク質、約70%~約80%多い宿主細胞タンパク質、約80%~約90%多い宿主細胞タンパク質、約90%~約100%多い宿主細胞タンパク質、約100%~約150%多い宿主細胞タンパク質、または約100%~約200%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。
【0214】
いくつかの例示的な実施形態において、試料中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、試料をクロマトグラフィー支持体と接触させ、分画ステップを実施することによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮するためのステップを含み得、本方法は、分画ステップを含むが濃縮ステップを含まない方法よりも約20%~200%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、約20%~約30%多い宿主細胞タンパク質、約30%~約40%多い宿主細胞タンパク質、約40%~約50%多い宿主細胞タンパク質、約50%~約60%多い宿主細胞タンパク質、約60%~約70%多い宿主細胞タンパク質、約70%~約80%多い宿主細胞タンパク質、約80%~約90%多い宿主細胞タンパク質、約90%~約100%多い宿主細胞タンパク質、約100%~約150%多い宿主細胞タンパク質、または約100%~約200%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。
【0215】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、を含み得る。クロマトグラフィー支持体は、液体クロマトグラフィー支持体であり得る。上で説明したように、液体クロマトグラフィー支持体は、逆相液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、または混合モードクロマトグラフィーを含み得る。
【0216】
本明細書で使用される場合、「非変性消化条件」または「天然条件」は、タンパク質変性を引き起こさない条件を含み得る。タンパク質変性は、ペプチド結合の破裂がなく、分子の三次元形状をその天然の状態から変化させるプロセスを指し得る。タンパク質変性は、カオトロピック剤などのタンパク質変性剤を使用して実施し得る。カオトロピック溶質は、水素結合、ファンデルワールス力、および疎水性効果などの非共有結合力によって媒介される分子内相互作用を妨げることによって、系のエントロピーを増加させる。非変性条件についての非限定的な例としては、水または緩衝剤が挙げられる。使用される水は、蒸留および/または脱イオン化され得る。いくつかの例示的な実施形態において、溶媒は、HPLCグレードであり得る。緩衝液の非限定的な例には、酢酸アンモニウム、トリス塩酸塩、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。一態様において、緩衝液の濃度は最大で1Mであり得る。
【0217】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、を含み得る。
【0218】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物をプロテインA親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、を含み得る。
【0219】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、親和性クロマトグラフィー支持体からフロースルーを収集する工程と、を含み得る。
【0220】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、質量分析計を使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、質量分析計は、タンデム質量分析計であり得る。タンデム質量分析計は、空間的にタンデムあるか、または時間的にタンデムであり得る。一態様において、質量分析計は、液体クロマトグラフィーシステムに連結され得る。別の態様において、質量分析計は、ナノ液体クロマトグラフィーシステムに連結され得る。一態様において、液体クロマトグラフィーにおいてタンパク質を溶出するために使用される移動相は、質量分析計と適合性であり得る移動相であり得る。特定の態様において、移動相は、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、もしくはギ酸アンモニウム、アセトニトリル、水、ギ酸、揮発性酸、またはそれらの組み合わせであり得る。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、本方法は、特徴付けのためにFAIMSデバイスを使用することをさらに含み得る。
【0221】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成すること、混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮することを含み得、本方法は、混合物をクロマトグラフィー支持体と接触さることを含まない方法よりも、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約75%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約100%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約125%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約150%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約175%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約200%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約225%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約250%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約275%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約300%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約325%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約350%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約375%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約400%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約425%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約450%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約475%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約500%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約525%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約550%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約575%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約600%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約625%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約650%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約675%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約700%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約725%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約750%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約775%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約800%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約825%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約850%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約875%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約900%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約925%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約950%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約975%多い宿主細胞タンパク質、または少なくとも約1000%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、本方法は、特徴付けのためにFAIMSデバイスを使用することをさらに含み得る。
【0222】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成すること、混合物をクロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮することを含み得、本方法は、混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触さることを含まない方法よりも、約50%~約100%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、約50%~約100%多い宿主細胞タンパク質、約50%~約500%多い宿主細胞タンパク質、約100%~約500%多い宿主細胞タンパク質、約100%~約1000%多い宿主細胞タンパク質、または約500%~約1000%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、クロマトグラフィー支持体は、親和性クロマトグラフィー支持体であり得る。一態様において、本方法は、特徴付けのためにFAIMSデバイスを使用することをさらに含み得る。
【0223】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、FAIMSを使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。
【0224】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、FAIMS-MSを使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。一態様において、FAIMSデバイスに使用される担体ガスは、揮発性化学修飾剤を含み得る。一態様において、揮発性化学修飾剤は、イソプロパノールであり得る。別の態様において、FAIMSデバイスを、MSと組み合わせて使用し得る。別の特定の態様において、FAIMSデバイスを、LCおよびMSと組み合わせて使用し得る。別の特定の態様において、FAIMS-MSは、LCと連結され得る。
【0225】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、宿主細胞タンパク質を有する試料マトリックスを非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって、該混合物中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、nLC-FAIMS-MSを使用して、宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。
【0226】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて試料を形成することによって、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、宿主細胞タンパク質を有する試料を非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、FAIMSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得、本方法は、FAIMSを含まない方法よりも、少なくとも約15%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、少なくとも約15%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約16%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約17%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約18%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約19%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約20%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約21%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約22%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約23%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約24%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約25%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約26%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約27%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約28%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約29%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約31%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約32%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約33%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約34%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約35%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約36%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約37%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約38%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約39%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約40%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約41%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約42%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約43%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約44%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約45%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約46%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約47%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約48%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約49%多い宿主細胞タンパク質、または少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0227】
いくつかの例示的な実施形態において、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、混合物を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させて試料を形成することによって、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、宿主細胞タンパク質を有する試料を非変性消化条件に供して混合物を形成する工程と、FAIMSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得、本方法は、FAIMSを含まない方法よりも、少なくとも約15%~約60%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0228】
いくつかの例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)試料を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、(b)FAIMSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得る。
【0229】
いくつかの例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)試料を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、(b)FAIMSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得、本方法は、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。一態様において、本方法は、少なくとも約30%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約35%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約40%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約45%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約50%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約55%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約60%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約65%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約70%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約75%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約80%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約85%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約90%多い宿主細胞タンパク質、少なくとも約95%多い宿主細胞タンパク質、または少なくとも約100%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0230】
いくつかの例示的な実施形態において、試料マトリックス中の宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、(a)試料を親和性クロマトグラフィー支持体と接触させることによって試料中の宿主細胞タンパク質を濃縮する工程と、(b)FAIMSを使用して宿主細胞タンパク質のうちの少なくとも1つを特徴付ける工程と、を含み得、本方法は、ステップ(b)を含まない方法よりも、少なくとも約30%~約75%多い宿主細胞タンパク質を特徴付けることができる。
【0231】
本方法は、前述のタンパク質、宿主細胞タンパク質、クロマトグラフィー支持体、質量分析、分画法のうちのいずれにも限定されず、宿主細胞タンパク質を特徴付けるための方法は、任意の適切な手段によって行われ得ることが理解される。
【0232】
本明細書で提供される方法ステップの数字および/または文字を用いた連続したラベル付けは、方法またはその任意の実施形態を特定の指示された順序に限定することを意味するものではない。
【0233】
特許、特許出願、公開特許出願、アクセッション番号、技術論文、および学術論文を含む様々な公表文献が、本明細書全体で引用される。これらの引用された文献のそれぞれは、参照により、その全体がすべての目的のために、本明細書に組み込まれる。
【0234】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0235】
(A)Ab1を含む調製物について同定されたHCPの数
材料。脱イオン水は、MilliPak Express20フィルタ(MilliporeSigma、Burlington,MA)とともに設置されたMilli-Q一体型浄水システムによって提供された。酢酸アンモニウム(LC/MSグレード)、酢酸および重炭酸アンモニウム(LC/MSグレード)、Promegaの再懸濁緩衝液で供給される配列決定グレードの改変トリプシン、Invitrogenの超高純度1M Tris-HCl pH7.5、Invitrogenの超高純度1M Tris-HCl pH8、Thermo Scientificのトリフルオロ酢酸(TFA、配列決定グレード)、Fisherのアセトニトリル(最適条件LC/MSグレード)、Sigma-Aldrichの氷酢酸、Sigma-Aldrichのヨードアセトアミド、Sigma-Aldrichのジチオトレトール(DTT)、Alfa Aesarの尿素(超高純度)、Thermo ScientificのDulbecco’sリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)、pH8.4、GE HealthcareのrProtein A Sepharose Fast Flow抗体精製樹脂、およびSigma-Aldrichの酢酸アンモニウム(LC/MSグレード)。HCPについて分析した調製物は、抗体Ab1を含んだ。
【0236】
データ分析。ペプチドについてのデータベース検索は、SwissProtマウスタンパク質データベースに対して、Proteome Discoverer2.2(Thermo Fisher Scientific)に埋め込まれたSEQUESTおよびMASCOTを使用して実施された。検索パラメータは次のとおりである。前駆体イオン質量については20ppmの公差、イオントラップによって分析した断片イオン質量については0.5Daの公差である。データベース検索中にトリプシンが指定された。メチオニン酸化(+16Da)を可変修飾として設定した。偽発見率(FDR)は、標的デコイ戦略を使用して決定され、ペプチド同定については1%、タンパク質同定については5%に設定され、タンパク質ごとに最低1つの特有のペプチドが検出された(Alexander S.Hebert et al.,The One Hour Yeast Proteome,13 MOLECULAR & CELLULAR PROTEOMICS339-347(2013))。
【0237】
実施例1.採取された細胞培養液中のHCP
採取された細胞培養液を乾燥させ、8Mの尿素、100mMのTris-HCl中で再構成した。試料を10mMのジチオスレイトールで還元し、50℃で30分間インキュベーションした。次いで、還元された試料を15mMのヨードアセトアミドで、暗所で1時間アルキル化した。アルキル化後、試料を分子量カットオフフィルタを用いて100mMの重炭酸アンモニウムに緩衝液交換し、トリプシン(1:20w/wの酵素:基質比)で、暗所で37℃で一晩消化した。次いで、トリフルオロ酢酸(TFA)の添加によって消化を停止した。次いで、得られたトリプシン消化ペプチドを、逆相液体クロマトグラフィーによって分離し、続いて、オンライン質量分析を行った。まず、Thermo Scientific Acclaim PepMap(商標)100トラップカラム(C18、75μmのID、2cmのベッド長、3μmの粒径、100Åの孔径)でトリプシン消化ペプチドを濃縮および脱塩し、次いで、0.1%のギ酸(移動相A)を含有する水および0.1%のギ酸(移動相B)を含有する80%のアセトニトリル/20%の水を使用して、Acquity BEH固定相(C18、1.7μmの粒径、130Åの孔径)が充填されたNew Objective PicoFritカラム(360μmのOD、75μmのID、10μmの先端ID、25cmのベッド長)でそれらを分離することによって、Thermo Scientific Easy-nLC1200を使用して分離を行った。ペプチドを、最初の10分間、6%移動相Bで保持された勾配プロファイルを使用して分離し、次いで、次の120分間にわたって、6%から50%の移動相Bに増加させた。MSおよびMS/MS実験は、MS/MS実験のためのペプチド断片化に採用される高エネルギー衝突性解離(HCD)を有するThermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos Tribrid質量分析計で実施された(Thermo Orbitrap Fusion(Q-OT-qIT、Thermo Fisher Scientific、San Jose,CA,USA))。
【0238】
いずれの処理もしていないHCCF中の同定されたHCPの数は、1279であった(
図1を参照されたい)。さらに、いずれの処理もしていないHCCF中の同定された特有のペプチドの総数は、5675であった。
【0239】
実施例2.プロテインA枯渇を使用して特徴付けられたHCP
2.1 プロテインAクロマトグラフィー
タンパク質試料を乾燥させ、DPBS中に再懸濁した。rProtein A Sepharoseをカラム中に充填し、5カラム体積のDPBS(pH8.4)で平衡化した。タンパク質試料を各カラム上にピペット処理し、室温で4分間インキュベーションした。HCPフロースルーを収集し、保存した。各カラムを3カラム体積のDPBS(pH8.4)で洗浄し、HCP溶出液をフロースルーと合わせた。収集したHCP溶出液を50mMの酢酸アンモニウムに緩衝液交換した。
【0240】
2.2 HCP分析
HCP溶出液を、実施例1に示されるように、それらを分析する前に処理した。
【0241】
プロテインAクロマトグラフィーを使用して同定されたHCPの数は、1906であった(
図1を参照されたい)。さらに、プロテインAクロマトグラフィーを使用して同定されたHCCF中の特有のペプチドの総数は、9245であった。
【0242】
実施例3.分画法を使用して特徴付けられたHCP
Pierce(商標)High pH Reversed-Phase Peptide Fractionation Kitをこのステップに使用した(
図2を参照されたい)。
【0243】
3.1 スピンカラムのコンディショニング
カラムの底部から保護用の白い先端を取り外して廃棄し、カラムを2.0mLの試料チューブに入れた。チューブを5000×gで2分間遠心分離して溶液を除去し、樹脂材料を充填し、液体を廃棄した。上部スクリューキャップを取り外し、カラムに300μLのACN(Fisher)を充填し、キャップを交換し、スピンカラムを2.0mLの試料チューブに戻し、5000×gで2分間遠心分離した。ACNを廃棄し、洗浄ステップを報告した。次いで、ACN洗浄について前述したように、スピンカラムを0.1%のTFA溶液(Thermo Scientific)で2回で2回洗浄した。
【0244】
3.2 HCCFの分画
溶出溶液を表1に従って示すとおりに調製した。採取された細胞培養液由来の100μgのタンパク質を、300μLの0.1%のTFA溶液中に添加した。スピンカラムを新しい2.0mLの試料チューブに入れ、試料溶液をカラム上に充填した。上部キャップを交換した後、試料チューブを3000×gで2分間遠心分離した。「フロースルー」画分を収集した。次いで、カラムを新しい2.0mLの試料チューブに入れ、[300]μLの水をカラムに添加し、再び遠心分離して、「洗浄」画分を収集した。次いで、カラムを新しい2.0mLの試料チューブに入れ、[300]μLの適切な溶出溶液を添加し、3000×gで2分間遠心分離し、画分を収集した。このステップを、新しい2.0mL試料チューブ中の表1からの適切な溶出溶液を使用して、残りのステップの勾配画分について繰り返した。真空遠心分離(例えば、SpeedVac濃縮器)を使用して、各試料チューブについて液体内容物を蒸発させて乾燥させた。乾燥試料を、LC-MS分析の前に、適切な体積の0.1%のギ酸(FA)中に再懸濁した。
【0245】
3.3 HCP分析
実施例1に示すとおり、分析の前に、各画分を処理した。分画法によって同定されたHCPの数は、2023であった(
図3を参照されたい)。さらに、分画法を使用して同定されたHCCF中の特有のペプチドの総数は、11750であった。
【0246】
【0247】
実施例4.プロテインA枯渇および分画法を使用して特徴付けられたHCP
4.1 プロテインAクロマトグラフィー
プロテインAクロマトグラフィーは、実施例2に記載の方法を使用して実施された。
【0248】
フロースルー中のタンパク質を10mMのジチオスレイトールで還元し、50℃で30分間インキュベーションした。次いで、還元された試料を15mMのヨードアセトアミドで、暗所で1時間アルキル化した。アルキル化後、試料を分子量カットオフフィルタを用いて100mMの重炭酸アンモニウムに緩衝液交換し、トリプシン(1:20w/wの酵素:基質比)で、暗所で37℃で一晩消化した。次いで、トリフルオロ酢酸(TFA)の添加によって消化を停止した。次いで、得られたトリプシン消化ペプチドを分画ステップに供した。
【0249】
4.2 分画ステップ
得られたトリプシン消化ペプチドを実施例3に記載のとおりに分画した。
【0250】
4.3 HCP分析
ステップ4.2から得られた分画ペプチドを、逆相液体クロマトグラフィー、続いてオンライン質量分析を使用して、各々分離に供した。まず、Thermo Scientific Acclaim PepMap(商標)100トラップカラム(C18、75μmのID、2cmのベッド長、3μmの粒径、100Åの孔径)でトリプシン消化ペプチドを濃縮および脱塩し、次いで、0.1%のギ酸(移動相A)を含有する水および0.1%のギ酸(移動相B)を含有する80%のアセトニトリル/20%の水を使用して、Acquity BEH固定相(C18、1.7μmの粒径、130Åの孔径)が充填されたNew Objective PicoFritカラム(360μmのOD、75μmのID、10μmの先端ID、25cmのベッド長)でそれらを分離することによって、Thermo Scientific Easy-nLC1200を使用して分離を行った。ペプチドを、最初の10分間、6%移動相Bで保持された勾配プロファイルを使用して分離し、次いで、次の120分間にわたって、6%から50%の移動相Bに増加させた。MSおよびMS/MS実験は、MS/MS実験のためのペプチド断片化に採用される高エネルギー衝突性解離(HCD)を有するThermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos Tribrid質量分析計で実施された(Thermo Orbitrap Fusion(Q-OT-qIT、Thermo Fisher Scientific、San Jose,CA,USA))。
【0251】
本方法によって同定されたHCPの数(プロテインAおよび分画ステップを伴う)は、3195であった(
図4を参照されたい)。さらに、改変された方法(プロテインAおよび分画ステップを有する)を使用して同定されたHCCF中の特有のペプチドの総数は、23133であった。
【0252】
実施例5.通常の消化を使用して特徴付けられたHCP
5.1 試料の調製
Ab1を、100mMの重炭酸アンモニウム(pH7.4)中、1:20の基質の濃度になるように混合物に添加したトリプシンで消化した。
【0253】
5.2 HCP分析
得られた消化物を、実施例1に概説される方法を使用して、HCPについて分析した。本方法によって同定されたHCPの数は7であり(
図5を参照されたい)、同定された特有のペプチドの総数は、9であった。
【0254】
実施例6.天然消化を使用して特徴付けられたHCP
6.1 試料の調製
Ab1を、試料を乾燥させ、25mMのtris-HCl緩衝液、pH8中に再懸濁させることによって処理した。試料を、トリプシン(1:400w/wの酵素:基質比)で、最終pH約7.4で、37℃で一晩消化した。試料を3mMのジチオスレイトールで還元し、90℃で10分間インキュベーションした。試料を約0.2%のギ酸に酸性化し、15000×gで2分間遠心分離した。上清をLC/MS分析に使用した。
【0255】
6.2 HCP分析
得られた消化物を、実施例1に概説される方法を使用して、HCPについて分析した。本方法によって同定されたHCPの数は20であり(
図5を参照されたい)、同定された特有のペプチドの総数は、37であった。
【0256】
実施例7.プロテインA枯渇、続いて天然消化を使用して特徴付けられたHCP
実施例2に記載の方法を使用して、プロテインAクロマトグラフィー枯渇後に実験6.1からの消化物を生成された。フロースルーを収集し、上記のとおりに分析した。この方法(天然消化およびプロテインAクロマトグラフィー)によって同定されたHCPの数は、132であり(
図6を参照されたい)、同定された特有のペプチドの総数は、424であった。
【0257】
実施例8.プロテインA枯渇を使用して特徴付けられたHCP
8.1 プロテインAクロマトグラフィー
タンパク質試料を乾燥させ、DPBS中に再懸濁した。rProtein A Sepharoseをカラム中に充填し、5カラム体積のDPBS(pH8.4)で平衡化した。タンパク質試料を各カラム上にピペット処理し、室温で4分間インキュベーションした。HCPフロースルーを収集し、保存した。各カラムを3カラム体積のDPBS(pH8.4)で洗浄し、HCP溶出液をフロースルーと合わせた。収集したHCP溶出液を50mMの酢酸アンモニウムに緩衝液交換した。
【0258】
8.2 HCP分析
HCP溶出液を乾燥させ、8Mの尿素、100mMのTris-HCl中に再構成した。試料を10mMのジチオスレイトールで還元し、50℃で30分間インキュベーションした。次いで、還元された試料を15mMのヨードアセトアミドで、暗所で1時間アルキル化した。アルキル化後、試料を分子量カットオフフィルタを用いて100mMの重炭酸アンモニウムに緩衝液交換し、トリプシン(1:20w/wの酵素:基質比)で、暗所で37℃で一晩消化した。次いで、トリフルオロ酢酸(TFA)の添加によって消化を停止した。次いで、得られたトリプシン消化ペプチドを、逆相液体クロマトグラフィーによって分離し、続いて、オンライン質量分析を行った。まず、Thermo Scientific Acclaim PepMap(商標)100トラップカラム(C18、75μmのID、2cmのベッド長、3μmの粒径、100Åの孔径)でトリプシン消化ペプチドを濃縮および脱塩し、次いで、0.1%のギ酸(移動相A)を含有する水および0.1%のギ酸(移動相B)を含有する80%のアセトニトリル/20%の水を使用して、Acquity BEH固定相(C18、1.7μmの粒径、130Åの孔径)が充填されたNew Objective PicoFritカラム(360μmのOD、75μmのID、10μmの先端ID、25cmのベッド長)でそれらを分離することによって、Thermo Scientific Easy-nLC1200を使用して分離を行った。ペプチドを、最初の10分間、6%移動相Bで保持された勾配プロファイルを使用して分離し、次いで、次の120分間にわたって、6%から50%の移動相Bに増加させた。MSおよびMS/MS実験は、MS/MS実験のためのペプチド断片化に採用される高エネルギー衝突性解離(HCD)を有するThermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos Tribrid質量分析計で実施された(Thermo Orbitrap Fusion(Q-OT-qIT、Thermo Fisher Scientific、San Jose,CA,USA))。
【0259】
プロテインAクロマトグラフィーを使用して同定されたHCCF中のAb1のHCPの数は、1759であり(
図7を参照されたい)、特有のペプチドの総数は、7086であった。
【0260】
実施例9.プロテインA枯渇およびFAIMSデバイスを使用して特徴付けられたHCP
実施例8で実施したプロテインAクロマトグラフィーからのフロースルー中のタンパク質をペプチドに消化し、以下に記載のシステムを使用して分析した。
【0261】
FAIMSが使用可能な実験では、FAIMSデバイスをナノ電気スプレー源と質量分析計との間に配置したことを除いて、設定は上記の実施例に記載と同じであった。FAIMS分離は、以下の設定を用いて実施された。内側電極温度=100℃(注記されている場合を除く)、外側電極温度=100℃、FAIMSキャリアガス流量=4.6L/分、DVを有する非対称波形=-5000V、入口プレート電圧=250V、およびCV整定時間=25ms。FAIMSキャリアガスはN2のみであり、イオン分離ギャップは1.5mmである。注記されたCVをFAIMS電極に適用した。外部ステッピングまたは単一のCV実験では、選択したCVを分析全体を通じてすべてのスキャンに適用した。内部CVステッピング実験では、選択した各CVを順次調査スキャンおよびMS/MSサイクル(1秒)に適用した。MS/MS CVを、対応する調査スキャンからの適切なCVと常に対にした。
【0262】
FAIMSデバイスの使用と組み合わせてプロテインAクロマトグラフィーを使用して同定されたHCCF中のAb1のHCPの数は、2641であり(
図7を参照されたい)、特有のペプチドの総数は、10606であった。
【0263】
実施例10.天然消化およびプロテインAクロマトグラフィーを使用して特徴付けられたHCP
10.1 プロテインAクロマトグラフィー
Ab1試料を、実施例2に記載の方法を使用して、プロテインAクロマトグラフィー枯渇を使用して精製した。フロースルーを収集し、以下に記載のとおりに消化した。
【0264】
10.2 天然消化
Ab1を、試料を乾燥させ、25mMのtris-HCl緩衝液、pH8中に再懸濁させることによって処理した。試料を、トリプシン(1:400w/wの酵素:基質比)で、最終pH約7.4で、37℃で一晩消化した。試料を3mMのジチオスレイトールで還元し、90℃で10分間インキュベーションした。試料を約0.2%のギ酸に酸性化し、15000×gで2分間遠心分離した。上清をLC/MS分析に使用した。
【0265】
この方法(天然消化およびプロテインAクロマトグラフィー)によって同定されたmAb1のHCPの数は、146であり(
図8を参照されたい)、同定された特有のペプチドの総数は、363であった。
【0266】
実施例11.天然消化、プロテインAクロマトグラフィーおよびFAIMSを使用して特徴付けられたHCP
実施例9に記載のFAIMSデバイスを使用して、実施例10からの上清も分析した。
【0267】
FAIMSデバイスの使用と組み合わせた後の天然消化条件を使用した方法を使用して同定されたHCPの数は、214であり(
図8を参照されたい)、特有のペプチドの総数は、505であった。
【0268】
(B)Ab1を含む調製物について同定されたHCPの数
化学物質。氷酢酸、尿素、ヨードアセトアミド(IAM)、およびジチオスレイトール(DTT)は、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。トリフルオロ酢酸(TFA)、ギ酸(FA)、アセトニトリル、およびDulbecco’sリン酸緩衝生理食塩水(DPBS10×、カルシウムなし、マグネシウムなし)は、Thermo Fisher Scientific(Rockford,IL)から入手し、一方で、rProtein A Sepharose Fast Flowビーズは、GE Healthcare(Uppsala,Sweden)から購入した。再懸濁緩衝液を有する配列決定グレードの改変トリプシンはPromega(Madison,WI)から購入し、Tris-HCl緩衝液(pH7.5および8.0)はInvitrogen(Carlsbad,CA)から入手し、ヒト化IgG1κモノクローナル抗体標準物RM8671はNational Institute of Standards and Technology(NIST)から購入した。
【0269】
プロテインA枯渇。原薬をDPBSに緩衝液交換し、pH8.4に調整した。1mLのプロテインAカラムを5カラム体積のDPBSで平衡化した。原薬をプロテインAカラムに添加し、室温で4分間インキュベーションした。各カラムを3カラム体積のDPBSで洗浄し、溶出液およびフロースルーを収集した。フロースルーおよび溶出液を、3000gおよび5℃で遠心分離することによって、Amicon Ultra3kDa遠心フィルタ(Millipore)で50mMの酢酸アンモニウムに緩衝液交換した。タンパク質濃度を、NanoDrop1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を使用して測定した。各試料由来のタンパク質を真空中で乾燥させたか、または-80℃で保存した。
【0270】
標準的な消化。乾燥した原料物質試料を、8Mの尿素/100mMのTris-HCl中に再構成した。タンパク質を10mMのDTTで還元し、50℃で30分間インキュベーションした。試料を室温に冷却し、15mMのIAMで、暗所で1時間アルキル化した。混合物を、製造業者の指示に従って、Amicon Ultra3kDa遠心フィルタ(Millipore)で100mMの酢酸アンモニウムに緩衝液交換した。37℃で、一晩トリプシン(1:20のトリプシン:基質比)でタンパク質分解消化を行った。消化を、0.2%のFAに酸性化することによってクエンチした。
【0271】
天然消化。天然消化の詳細な説明は、Huangら2017、上記参照によって提供される。簡単に述べると、試料を乾燥させ、25mMのtris-HCl緩衝液、pH8中に再懸濁した。次いで、試料を、トリプシン(1:400w/wの酵素:基質比)で、最終pHが約7.4で、37℃で一晩消化した。続いて、試料を3mMのDTTで還元し、90℃で10分間インキュベーションした。試料を約0.2%のFAに酸性化し、15000gで2分間遠心分離した。上清を除去し、LC-MS2分析に使用した。
【0272】
ナノLC-MS2。約1μgの消化されたタンパク質を、Easy-nLC(Thermo Fisher Scientific)で、C18カラム(BEH C18 粒子[1.7μm、130Å、Waters]が充填されたNew Objective PicoFrit カラム、360μmのOD、75μmのID、10μmの先端ID、25cmのベッド長)に注入した。移動相Aは水中の0.1%のFAを含有し、移動相Bは80%アセトニトリル/20%水中の0.1%FAを含有した。直線LC勾配は以下のように設定された。0~10分:6%B、130分:50%B、140~155分:100%B。FAIMS Proインタフェース(Thermo Fisher Scientific)を備えたOrbitrap Fusion Lumos Tribrid質量分析計で溶出液を分析した。プロテインA枯渇および天然消化物が試料中のペプチドのダイナミックレンジを低減させるため、標準的なプロテオミクスMS設定を実装した(例として、Alexander S.Hebert et al.,The One Hour Yeast Proteome,13 MOLECULAR & CELLULAR PROTEOMICS 339-347(2013)を参照されたい)。簡単に述べると、Orbitrap中、調査スキャンを1秒のサイクルタイムで実施した。MSスキャンは、m/z範囲が360~1600であり、解像度が60Kであり、AGC標的が5E5であり、最大注入時間が50msであった。HCD断片化は、30%の正規化された衝突エネルギーでMSサイクル間で実施され、続いてイオントラップ中で分析された。MS2スキャンは、m/z範囲が100~2000であり、AGC標的が1E4であり、最大注入時間が35msであった。動的排除期間を単一反復カウントで30秒に設定し、+2~+8の電荷状態を有する前駆体のみを分析した。FAIMS Proインタフェースの動作は、Hebertらによって説明されている(Alexander S.Hebert et al.,Comprehensive Single-Shot Proteomics with FAIMS on a Hybrid Orbitrap Mass Spectrometer,90 ANALYTICAL CHEMISTRY 9529-9537(2018))。簡潔に述べると、FAIMS電極温度を100℃に設定し、FAIMSキャリアガス流量は4.7L/分N2であり、DVを有する非対称波形は-5000Vであり、入口プレート電圧は250Vであり、CV整定時間は25msであり、CVを-50V、-65V、および-85Vに設定した。実験に使用しない場合、FAIMS ProインタフェースをMSから取り外した。
【0273】
データ分析。ペプチドおよびタンパク質同定のためのデータベース検索は、一般的な汚染物質を含むSwissProtマウスタンパク質データベースに対して、Proteome Discoverer2.2(Thermo Fisher Scientific)に埋め込まれたSEQUESTおよびMascotを使用して実施された。質量公差は、Orbitrapによって分析された前駆体イオン質量については20ppm、イオントラップによって分析された断片イオン質量については0.5Daであった。データベース検索中にトリプシンが指定された。メチオニン酸化(+16Da)を可変修飾として設定し、システインカルバミドメチル化を通常(アルキル化)消化物の固定修飾として設定した。偽発見率(FDR)は、標的デコイ戦略を使用して決定され、ペプチド同定については1%、タンパク質同定については5%に設定され、タンパク質ごとに最低2つの特有のペプチドが検出された。
【0274】
LC-MS2によるHCP分析の主要な課題の1つは、薬物溶液(DS)中の治療用タンパク質と比較して、HCPの濃度が非常に低いことである(約1~100ngのHCP/mg産物)。トリプシン消化ペプチドは、処理されたタンパク質にかかわらず、質量分析計において事実上同じ挙動を示し、治療用タンパク質はDS中に圧倒的に豊富であるため、HCP由来のトリプシン消化ペプチドは、典型的な分析中のシグナル抑制およびバックグラウンドの増加に苦しむ。DS中の治療用タンパク質とともに共溶出する1ppmのHCP汚染物質を検出するために、質量分析計は、現在の質量分析計が達成することができるものを超える、6桁にわたるダイナミックレンジを必要とする。この感度要件により、試料の消化、クロマトグラフィー/分離、および機器分析を含む、典型的なプロテオミクスワークフローのすべてのステップが最適化される必要がある。しかしながら、感度の増加は分析の単一の側面に過ぎないため、リソースおよび試料スループットも考慮する必要がある。HCP検出を改善するためのいくつかの方法を比較して、複雑性と、速度と、分析深度との間のバランスを達成するための推奨事項を作成した。HCPプロトコルを最適化しながら広範囲に比較可能なデータセットを生成するために、National Institute of Standards & Technologyのヒト化IgG1κモノクローナル抗体標準物(NISTmAb)を使用したが、結果は、試験した他の治療用タンパク質と同じ傾向を示した(データは示されていない)。
【0275】
実施例12.NISTmAbを用いた方法の比較および最適化
以前、「天然消化物」を作った、HCP分析におけるダイナミックレンジの問題を緩和する単純で効率的な方法は、Huangら、上記参照によって報告された。低存在量のHCPを選択的に消化し、比較的大きく安定した抗体をそのままにすることによって、それらは、抗体ペプチドからの干渉を劇的に低減し、したがって、典型的な消化物よりもはるかに多くのHCPを検出した。本発明者らの知見は、これらの結果を裏付けている(
図9A)。「通常」トリプシン消化物(すなわち、消化前の還元およびアルキル化を伴うもの)と比較して、「天然」消化物を使用するよりも4倍以上多くのHCPが同定され、特有のペプチドの数が比例的に増加した(表1)。比較のために、本発明者らは、プロテインAカラムを使用して抗体試料を枯渇させた(
図9B)。プロテインA枯渇は、天然消化物よりも効果的な戦略であり、対照試料(通常の消化物)と比較して約10倍多くのHCPを検出し、特有のペプチドの数が比例的に増加した。しかしながら、両方の手順に利点がある。例えば、天然消化物は、枯渇および消化の両方を必要とするプロテインAプロトコルよりも試料前調製および出発物質が少なくてすむが、プロテインA枯渇は自動化され得、試料分析には追加の機器の時間を必要としないことにも留意される必要がある。
【0276】
(表1)分析で検出されたHCPおよび特有のペプチドの数
【0277】
これらの結果は、HCPの従来のショットガンプロテオミクス分析と比較してかなりの改善を表すが、上記の実験において検出されたペプチドのほとんどは、依然として目的のタンパク質ではなく抗体由来であった。したがって、天然消化およびプロテインA枯渇を組み合わせて試験し、独立してプロテインA枯渇または天然消化と比較して、DSからの干渉を低下させることによって、HCPペプチドシグナルをさらに改善させることができるかどうかを決定した。実際、プロテインA枯渇後の天然消化物と天然消化物との比較は、既に効果的な単一方法が提供することができるものを超えて、感度の著しい増加を示している(
図9C)。プロテインA枯渇および天然消化の組み合わせから、天然消化物試料中(84個のHCPが同定された)および通常の消化物試料でのプロテインA枯渇(144個のHCPが同定された)よりもはるかに多い、精製されたDS試料中の511個のHCPが検出された。さらに、結果は非常に相補的であり、以前のNISTmAb分析で検出された99%を超えるHCPが、プロテインA枯渇天然消化物試料でも検出される。これは、これらの枯渇戦略と消化戦略との間のタンパク質同定においてバイアスがほとんどないか、または全くないことを示す。HCPが治療用タンパク質と共精製される頻度を考慮すると、(Aboulaichら、上記参照、Levyら(2014)、上記参照、およびLevyら(2018)、上記参照)、プロテインA枯渇、または治療用タンパク質を枯渇させるか、もしくはHCPを濃縮する任意の他の方法は、意図せずにHCPを除去する可能性もあるという合理的な懸念が存在する。しかしながら、プロテインA枯渇を伴わない分析において検出された実質的にすべてのHCPも、プロテインA枯渇試料において検出されたため、いずれの損失よりも上回る感度の増加は、HCPとプロテインAまたは治療用タンパク質との間の相互作用に起因する。
【0278】
これらの結果は、DS由来のバックグラウンド干渉を低減することの重要性を強調する。しかしながら、複数の枯渇方法を組み合わせた後、本研究者らは、プロテインA枯渇天然消化物試料において検出された主要なピークはもはや単独のDSペプチドではなく、HCP、プロテインA、トリプシン自己分解および他のペプチドの組み合わせであるため、DSのさらなる除去はもはや有用ではないことを見出した。本質的に、最も豊富なペプチドと最も豊富でないペプチドとの間のダイナミックレンジは、およそ2桁に低減し、したがって、治療用タンパク質のさらなる除去は、HCPに対する感度を増加させる可能性は低い。しかしながら、この分析はまた、治療用タンパク質が枯渇すると、単一の試料中で500を超えるタンパク質および数千のペプチド有して、精製されたDS試料がどれほど複雑になるかを示している(表1)。したがって、ペプチドのより良い分離およびより速いMS分析が、分析深度をさらに増加させるのに役立つ可能性が高いと思われる。実際、この戦略は、ほとんどのショットガンプロテオミクス分析においてタンパク質の同定を増加させる可能性が高い。しかしながら、かかる戦略の追加される複雑さを考慮することが重要である。例えば、HCP分析のための分画の使用は、以前に論じられている(Kuferら、上記参照)。DSの分画は依然として有用であることがわかったが、それは機器の時間のかなりの増加を表し、これは通常の分析では問題である。イオン移動度は、追加の試料調製および機器の時間がなく、分画と同様の利益を達成することができる代替物である(Doneanuら(2015)、上記参照)。
【0279】
実施例13.NISTmAbを用いた方法の比較および最適化
DSペプチドの分画の代わりに使用できる可能性のある技術として、高電場非対称波形イオン移動度分光法(FAIMS)を調査した。FAIMSの概要は、他の場所で詳細に報告されている(Hebertら(2018)、上記参照)。簡潔に述べると、FAIMSセルは、ナノスプレーエミッタと質量分析計転移チューブとの間のインタフェースに存在し、内部は、補償電圧(CV)が印加され得る円形電極である。これにより、質量分析計に入る前にイオンの気相分離が可能になる。CVを急速に(約25ミリ秒/転移)変更し得るため、単一の実行の間に複数のCVを切り替え、それにより個々のスキャンを簡素化することができる。
【0280】
一例として、
図10に示されるように、FAIMSを伴って、および伴わない同じ試料の実行を考慮する。プロテインAカラムおよび天然消化などによって治療用タンパク質を枯渇させる試料についてであっても、検出される主要なペプチドの多くは依然として治療用タンパク質からである。これらのペプチドの溶出中の全MSスキャンは、潜在な目的のものであるいくつかのイオンを示した。主なDSペプチドイオンは存在量が豊富であるが、一方で、HCPペプチドであり得、分析の必要性があるが、次のピークが溶出を開始する前にMS
2断片化のために選択されない可能性がある他のいくつかの低存在量のイオンがある。これは、治療用タンパク質が枯渇した試料においてでさえ、しばしばHCPイオンがDSペプチドイオンよりも2桁弱いことから、特に懸念される。対照的に、同じ試料を、3つの異なるCVを有するFAIMSセルを使用して実行する場合、3つの特有の塩基ピーククロマトグラム(BPC)を得た。-50VのCVでは、BPCは、FAIMSを伴わない試料の実行と同様であり、全MSスペクトルにおいて同じ主要なDSペプチドイオンが観察される。-85および-65VのCVを有するスペクトルでは、DSペプチドイオンは消失し、FAIMSを伴わずに検出されなかったHCPペプチドの分析を可能にする。この例では、FAIMSは、義務的なサイクルまたは追加の試料調製ステップの大幅な増加なしに、基本的に、試料を3つの異なる実行に分画する。
【0281】
HCP分析のためのFAIMSの主な利点は、試料の複雑性を低減する能力であり、低存在量のペプチドの検出を可能にする。原則として、追加の試料調製または機器の時間を必要とすることなく、他の種類の分画に類似している。さらに、FAIMSのフィルタリング効果に起因するバックグラウンドノイズの低減は、前駆体イオン選択をより良くし、MS
2スペクトルを改善し、ペプチドIDの信頼性を増加させることも可能になる。FAIMSインタフェースは、潜在的に信号を低減させることができるが、シグナルの任意の低減は、バックグラウンドノイズの減少を伴う(すなわち、ほとんどの観察された場合にシグナル対ノイズ比が改善される)。FAIMSの追加は、FAIMSを伴わない試料の実行と比較して、HCPの同定を約20%増加させることが見出された(表1および
図9D)。
【0282】
この最適化されたワークフローでは、多数のHCP(FAIMSを使用するプロテインA枯渇天然消化物試料中602個)が同定されただけでなく、それは、非常に堅牢であることが見出され、以前に報告された方法とよく一致する。再現性は、HCP含有量についてDSを解析する場合に特に重要であり、本明細書で説明する技術はかなり再現性があることがわかった(
図11)。例えば、上述の最適化された方法におけるHCPの同定は、複製物試料間で最大でも4%変化する。
図12によって示されるように、異なる技術または試料調製物の間でさえも、著しく広範囲に重複していた。FAIMSを使用せずに検出されたプロテインA枯渇天然消化物試料に特有の63個のタンパク質は、試料をFAIMSで1回、およびFAIMSなしで1回実行した後に得られた同定を組み合わせることによって、最大数のHCPを得ることができることを示している。これらの結果はまた、文献で報告されたものとよく一致し、最適化されたプロトコルを使用して、Huangら、上記参照によって報告された60個のタンパク質のうち59個を同定した(
図9E)。複製物とプロトコルとの間のこの一貫性は、バイオ医薬品の製造中のHCPの日常的な分析におけるこれらの技術の使用についての強力な支持を提供する。
【0283】
この多因子アプローチ(
図13に示される)は、まず、プロテインAカラムで抗体の試料を枯渇させ、次いで、任意の残存抗体を沈殿させながらHCPを特異的に消化し、最後に、HCPの日常的な分析に必要な単純さおよびハイスループットを維持しながら単一の方法よりも1桁深い分析深度を可能にする高電場非対称波形イオン移動度分光法(FAIMS)を使用したショットガンプロテオミクスおよび補償電圧(CV)切り替えを介してスペクトルの複雑性を低減させる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】