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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プラズマ圧縮ドライバ
(51)【国際特許分類】
   G21B 1/11 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G21B1/11 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532027
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 CA2020051655
(87)【国際公開番号】W WO2021108908
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】62/942,723
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511190568
【氏名又は名称】ジェネラル フュージョン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキー、ジェイムズ ヘイスティングス
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ワイト、マーティン クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】エソウ、コーディー ジョン パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】カールゾフ、イワン ヴィクトロヴィチ
(57)【要約】
圧縮ドライバは、プラズマを含む液体ライナを形成する液状媒体を格納するプラズマ格納容器に接続され、液体ライナ方向に順次駆動される同軸上に整列した一対のピストンを備える。プッシャピストンを含むプッシャボアは、ドライバボアとプッシャボアとの接合部で相互接続環状面表面が画定されるように、ドライバピストンを含むドライバボアと同軸であり、かつドライバボアよりも小さい直径を有する。圧縮動作中、原動機は、ドライバピストンをプッシャピストン方向に加速して圧縮流体を圧縮し、プッシャピストンを加速してプッシャボア内の液状媒体を容器内に押し込み、液体ライナを崩壊させ、プラズマを圧縮する。圧縮ドライバの反跳及び容器圧力の増加によって引き起こされる容器壁への外向きの力は、圧縮動作中に環状面表面上の圧縮流体によって加えられる内向きの力によって打ち消される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ圧縮システムであって、
液状媒体及び前記液状媒体を循環させてキャビティを有する液体ライナを形成するための循環機構を備えるプラズマ格納容器と、
前記容器と流体連通し、かつ前記キャビティ内にプラズマを注入するように動作可能なプラズマ発生器と、
前記容器に接続された圧縮ドライバであって、
ドライバピストンがこの中で摺動可能なドライバボアと、
プッシャピストンがこの中で摺動可能であり、前記ドライバピストンの質量よりも小さい質量を有するプッシャボアであって、前記液状媒体と流体連通する遠位端、ボア接合部で前記ドライバボアの遠位端に結合される近位端、及び前記ドライバボアの長さよりも短い長さを有するプッシャボアと、
前記ドライバボアに結合され、かつ前記ドライバピストンを前記ドライバボアに沿って移動させるように動作可能な原動機と、
前記ドライバピストンと前記プッシャピストンとの間の圧縮可能な圧縮流体又は磁場であって、前記ドライバピストンが前記プッシャピストンに向かって移動することによる前記圧縮流体又は磁場の圧縮が前記プッシャピストンに圧力をかけ、前記プッシャピストンが前記液状媒体を前記容器内に押し込んで前記液体ライナを崩壊させて前記プラズマを圧縮する、圧縮流体又は磁場と、
を備える、圧縮ドライバと、
を備える、プラズマ圧縮システム。
【請求項2】
前記プッシャボアが、前記ドライバボアの直径よりも小さい直径を有し、前記圧縮ドライバが、前記プッシャボアの近位端と前記ドライバボアの遠位端とを前記ボア接合部において相互接続する環状面表面を更に備え、それによって、前記圧縮流体の圧縮により前記環状面表面に内向きの圧力がかかり、前記容器に対する外向きの圧力を打ち消す、請求項1に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項3】
前記原動機が、加圧されたドライバ流体を収容するアキュムレータと、前記アキュムレータを前記ドライバピストンの後方にある前記ドライバボアに流体結合するドライバ流体弁とを備える、請求項1に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項4】
前記ドライバ流体弁が、前記ドライバ流体によって前記ドライバピストンに加えられる圧力を調整するように調整可能である、請求項3に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項5】
前記ドライバボアに、前記ドライバ流体又は前記圧縮流体を前記ドライバボアから排出するための、前記ドライバボア内に少なくとも1つの排出口を更に備え、前記排出口が、前記ドライバ流体又は前記圧縮流体によって前記ドライバピストンに加えられる圧力を調整するように調整可能な排出弁を備える、請求項3又は4に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項6】
前記ボア接合部に近接して前記ドライバボア内に設けられ、前記圧縮流体を前記ドライバピストンの前方にある前記ドライバボア内に注入するための圧縮流体注入口であって、前記圧縮流体によって前記ドライバピストンに加わる圧力を調整するように調整可能な圧縮流体注入弁を備える圧縮流体注入口を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項7】
前記ドライバピストンが、円錐台形の突起を備える遠位端を有し、前記プッシャピストンが、前記ドライバピストンの前記遠位端を受け入れるように構成された円錐台形のレセプタクルを備える近位端を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項8】
前記ドライバピストンは、前記ドライバピストンが前記ボア接合部にある場合、環状リム、前記環状面表面、及び環状レッジによって圧縮流体チャネルが形成されるように、前記環状面表面に平行な前記環状レッジと、前記環状レッジに垂直でかつ隣接する環状リムとを有する遠位端を備える、請求項2~7のいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項9】
前記ドライバボアの前記近位端に移動可能に取り付けられたリコイルピストンを更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項10】
前記プラズマ格納容器が、前記プラズマ格納容器に接続された複数の圧縮ドライバを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のプラズマ圧縮システム。
【請求項11】
プラズマ圧縮システムの容器に格納された液状媒体からなる液体ライナによって画定されたキャビティ内でプラズマを圧縮するための圧縮ドライバであって、
ドライバピストンがこの中で摺動可能なドライバボアと、
プッシャピストンがこの中で摺動可能であり、前記ドライバピストンの質量よりも小さい質量を有するプッシャボアであって、前記容器内の前記液状媒体と連通するための遠位端、ボア接合部で前記ドライバボアの遠位端に結合される近位端、及び前記ドライバボアの長さよりも短い長さを有するプッシャボアと、
前記ドライバボアに結合され、かつ前記ドライバピストンを前記ドライバボアに沿って移動させるように動作可能な原動機と、
前記ドライバピストンと前記プッシャピストンとの間の圧縮可能な圧縮流体又は磁場であって、前記ドライバピストンが前記プッシャピストンに向かって移動することによる前記圧縮流体又は磁場の圧縮が前記プッシャピストンに圧力をかけ、前記プッシャピストンが前記液状媒体を前記容器内に押し込んで前記液体ライナを崩壊させて前記プラズマを圧縮する、圧縮流体又は磁場とを
備える、圧縮ドライバ。
【請求項12】
前記プッシャボアが、前記ドライバボアの直径よりも小さい直径を有し、前記圧縮ドライバが、前記プッシャボアの前記近位端と前記ドライバボアの前記遠位端とを前記ボア接合部において相互接続する環状面表面を更に備え、それによって、前記圧縮流体の圧縮により前記環状面表面に内向きの圧力がかかり、前記容器に対する外向きの圧力を打ち消す、請求項11に記載の圧縮ドライバ。
【請求項13】
前記原動機が、加圧されたドライバ流体を収容するアキュムレータと、前記アキュムレータを前記ドライバピストンの後方にある前記ドライバボアに流体結合するドライバ流体弁とを備える、請求項11又は12に記載の圧縮ドライバ。
【請求項14】
前記ドライバ流体弁が、前記ドライバ流体によって前記ドライバピストンに加えられる圧力を調整するように調整可能である、請求項13に記載の圧縮ドライバ。
【請求項15】
前記ドライバボアに、前記ドライバ流体又は前記圧縮流体を前記ドライバボアから排出するための、前記ドライバボア内に少なくとも1つの排出口を更に備え、前記排出口が、前記ドライバ流体又は前記圧縮流体によって前記ドライバピストンに加えられる圧力を調整するように調整可能な排出弁を備える、請求項11~14のいずれか一項に記載の圧縮ドライバ。
【請求項16】
前記ボア接合部に近接して前記ドライバボア内に設けられ、前記圧縮流体を前記ドライバピストンの前方にある前記ドライバボア内に注入するための圧縮流体注入口であって、前記圧縮流体によって前記ドライバピストンに加わる圧力を調整するように調整可能な圧縮流体注入弁を備える圧縮流体注入口を更に備える、請求項11~15のいずれか一項に記載の圧縮ドライバ。
【請求項17】
前記ドライバピストンが、円錐台形の突起を備える遠位端を有し、前記プッシャピストンが、前記ドライバピストンの前記遠位端を受け入れるように構成された円錐台形のレセプタクルを備える近位端を有する、請求項11~16のいずれか一項に記載の圧縮ドライバ。
【請求項18】
前記ドライバピストンは、前記ドライバピストンが前記ボア接合部にある場合、環状リム、前記環状面表面、及び環状レッジによって圧縮流体チャネルが形成されるように、前記環状面表面に平行な前記環状レッジと、前記環状レッジに垂直でかつ隣接する環状リムとを有する遠位端を備える、請求項12~17のいずれか一項に記載の圧縮ドライバ。
【請求項19】
前記ドライバボアの前記近位端に移動可能に取り付けられたリコイルピストンを更に備える、請求項11~18のいずれか一項に記載の圧縮ドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、プラズマを圧縮するために使用されるドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で特に指示しない限り、本セクションに説明された材料は、本出願の特許請求の範囲の先行技術ではなく、本セクションに含めることによって先行技術であると認めるものではない。
【0003】
液体ライナ内のキャビティに格納されるプラズマは、液体ライナを爆縮させることで圧縮することができる。液体ライナの爆縮は、圧縮ドライバによって駆動することができる。既知の圧縮ドライバのいくつかの例では、液体ライナの爆縮は、高圧流体(例えば高圧ガス)によって駆動され、ピストンを押し、その結果、ピストンは液体ライナと流体連通する液状媒体を押すことになる。1つの例示的な用途では、プラズマ圧縮システムは、プラズマが注入されるキャビティを画定する液体ライナを形成するために循環される液状媒体を格納する容器を備える。容器は、液状媒体と流体連通する複数の圧縮ドライバに接続されており、各圧縮ドライバは、アキュムレータからの高圧ガスが弁を通って移動し、液状媒体を容器内に押し込んで液体ライナを崩壊させるピストンに作用するように開く弁を備える。
【0004】
いくつかの用途では、プラズマは、ミリ秒単位の非常に短い時間内に圧縮される必要がある。その結果、圧縮動作も、同様に短時間で実行されなければならず、ピストンを非常に速く動かす必要がある。液体ライナを崩壊させてプラズマを圧縮するために必要なエネルギーを供給するには、圧縮動作時間を短縮するために、それに比例して力を増す必要がある。目標時間内にプラズマを圧縮するのに十分な力を与えることは困難であり得る。
【0005】
更に、圧縮ドライバが液状媒体を容器の内部に押し込むとき、特に圧縮動作が急速に、例えば、数ミリ秒のオーダーで起こるとき、容器は、極めて大きな外向きの応力を受ける可能性がある。外向きの応力は、2つの重要な力、即ち、(1)ドライバピストンが加速するときの圧縮ドライバからの反跳力、及び(2)ピストンの前方の液状媒体内の圧力上昇、によって引き起こされる。この第2の原因は、ピストンが液状媒体を加圧して内部に加速すると、加圧された液状媒体が容器を外向きに押すので、特に一般的に見られる。
【0006】
いくつかの用途では、容器壁は65MPa程度の圧力を受ける可能性がある。外向きの圧力を低減することができない限り、そのような圧力に耐えられるように容器を設計しなければならず、これは高価で複雑なものになる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、プラズマ圧縮システムの容器に格納された液状媒体からなる液体ライナによって画定されたキャビティ内でプラズマを圧縮するための圧縮ドライバが提供される。圧縮ドライバは、ドライバピストンがその中で摺動可能なドライバボアと、プッシャピストンがその中で摺動可能であり、かつドライバピストンの質量よりも小さい質量を有するプッシャボアであって、容器内の液状媒体と連通する遠位端、ボア接合部でドライバボアの遠位端に結合される近位端、及びドライバボアの長さよりも短い長さを有するプッシャボアと、ドライバボアに結合され、かつドライバピストンをドライバボアに沿って移動させるように動作可能な原動機と、ドライバピストンとプッシャピストンとの間の圧縮可能な圧縮流体又は磁場であって、ドライバピストンがプッシャピストンに向かって移動することによる圧縮流体又は磁場の圧縮がプッシャピストンに圧力をかけ、プッシャピストンが液状媒体を容器内に押し込んで液体ライナを崩壊させてプラズマを圧縮する、圧縮流体又は磁場とを備える。
【0008】
プッシャボアは、ドライバボアの直径よりも小さい直径を有することができ、この場合、圧縮ドライバは、プッシャボアの近位端とドライバボアの遠位端とをボア接合部において相互接続する環状面表面を更に備えることができ、それによって、圧縮流体の圧縮により環状面表面に内向きの圧力がかかり、容器に対する外向きの圧力を打ち消す。
【0009】
原動機は、加圧されたドライバ流体を収容するアキュムレータと、アキュムレータをドライバピストンの後方にあるドライバボアに流体結合するドライバ流体弁とを備えることができる。ドライバ流体弁は、ドライバ流体によってドライバピストンに加わる圧力を調整するように調整可能であり得る。ドライバボアには、ドライバ流体又は圧縮流体をドライバボアから排出するために、少なくとも1つの排出口をドライバボア内に設けることができる。排出口は、ドライバ流体又は圧縮流体によってドライバピストンに加えられる圧力を調整するように調整可能な排出弁を備える。圧縮流体注入口は、接合部に近接してドライバボア内に設けられ、圧縮流体をドライバピストンの前方にあるドライバボア内に注入するように機能することができ、かつ圧縮流体によってドライバピストンに加わる圧力を調整するように調整可能な圧縮流体注入弁を備える。
【0010】
ドライバピストンは、円錐台形の突起を備える遠位端を有することができ、プッシャピストンは、ドライバピストンの遠位端を受け入れるように構成された円錐台形のレセプタクルを備える近位端を有することができる。ドライバピストンは、ドライバピストンがボア接合部にある場合、圧縮流体チャネルが環状リム、環状面表面、及び環状レッジによって形成されるように、環状面表面に平行な環状レッジと、隣接する環状レッジに垂直な環状リムとを有する遠位端を更に備えることができる。
【0011】
別の態様では、液状媒体及び液状媒体を循環させてキャビティを有する液体ライナを形成するための循環機構を備えるプラズマ格納容器と、容器と流体連通し、かつキャビティ内にプラズマを注入するように動作可能なプラズマ発生器と、
容器に接続された圧縮ドライバとを備えるプラズマ圧縮システムが提供される。圧縮ドライバは、ドライバピストンがその中で摺動可能なドライバボアと、プッシャピストンがその中で摺動可能であり、かつドライバピストンの質量よりも小さい質量を有するプッシャボアであって、液状媒体と流体連通する遠位端、ボア接合部でドライバボアの遠位端に結合される近位端、及びドライバボアの長さよりも短い長さを有するプッシャボアと、ドライバボアに結合され、かつドライバピストンをドライバボアに沿って移動させるように動作可能な原動機と、ドライバピストンとプッシャピストンとの間の圧縮可能な圧縮流体又は磁場であって、ドライバピストンがプッシャピストンに向かって移動することによる圧縮流体又は磁場の圧縮がプッシャピストンに圧力をかけ、プッシャピストンが液状媒体を容器内に押し込んで液体ライナを崩壊させてプラズマを圧縮する、圧縮流体又は磁場とを備える。
【0012】
上述の態様及び実施形態に加えて、更なる態様及び実施形態が、図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
【0013】
図面を通して、参照番号は、参照される要素間の対応を示すために再使用されてもよい。図面は、本明細書に説明の例示的な実施形態を例示するために提供されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、様々な要素の形状及び角度は縮尺通りに描かれておらず、これらの要素のいくつかは、図面の読みやすさを向上させるために任意に拡大及び配置される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ドライバピストン、ドライバボア、プッシャピストン、及びプッシャボアを示す、一実施形態によるプラズマ圧縮ドライバの斜視断面図である。
図2】動作中の圧縮ドライバの概略図であり、4段階の動作中のドライバピストン及びプッシャピストンの位置を示している。
図3A】圧縮ドライバの近位端の斜視断面図であり、ドライバガス注入弁が閉位置に、ドライバピストンが始動位置にある状態を示す。
図3B】圧縮ドライバの近位端の斜視断面図であり、ドライバガス注入弁が開位置にあり、ドライバピストンが弁を流れるドライバガスによって変位する変位位置にある状態を示す。
図4A】圧縮ドライバのドライバボアとプッシャボアとの接合部の断面図であり、プッシャピストンに接近するドライバピストンを示す。
図4B】圧縮ドライバのドライバボアとプッシャボアとの接合部の断面図であり、接合部におけるドライバピストン及びプッシャピストンを示す。
図4C】圧縮ドライバのドライバボアとプッシャボアとの接合部の断面図であり、接合部におけるドライバピストン及びドライバピストンから離れてプッシャボアに沿って加速するプッシャピストンを示す。
図5】ドライバピストンの斜視断面図である。
図6】プッシャピストンの斜視断面図である。
図7A】複数のプラズマ圧縮ドライバを示すプラズマ圧縮システムの斜視部分図である。
図7B】プラズマ圧縮ドライバと流体連通する液状媒体から形成された液体ライナを格納するプラズマ格納容器を示すプラズマ圧縮システムの概略図である。
図8】ドライバ圧縮動作中のドライバピストン、プッシャピストン及び液体ライナの位置、ならびにドライバ圧縮動作中のドライバボア及び容器の圧力のグラフである。
図9A】ドライバピストン及びプッシャピストンの位置の軌跡を示す、ドライバの圧縮動作の実験結果のグラフ表示である。
図9B】ドライバピストン及びプッシャピストンの位置の軌跡を示す、ドライバの圧縮動作の別の実験結果のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に説明の実施形態は、プラズマを格納するキャビティを取り囲む液体ライナを爆縮することによってプラズマを圧縮する、二段式プラズマ圧縮ドライバに関する。圧縮ドライバは、液体ライナを形成する液状媒体を格納するプラズマ格納容器に接続され、液体ライナ方向に順次駆動される同軸上に整列した一対のピストンを備える。より具体的には、圧縮ドライバは、ドライバボア内で移動可能なドライバピストンと、プッシャボア内で移動可能なプッシャピストンとを備える。プッシャボアは、容器と流体連通する遠位端と、ドライバボアの遠位端に接続された近位端とを有し、ドライバボアの近位端は、ドライバピストンを駆動するための原動機に結合される。プッシャボアは、ドライバボアと同軸であり、かつドライバボアよりも小さい直径を有し、ドライバとプッシャボアとの接合部で相互接続環状面表面が画定される。圧縮動作の開始時に、プッシャピストンはドライバボアとプッシャボアとの接合部に位置し、ドライバピストンはドライバボアの近位端に位置し、プッシャボアは液状媒体で満たされ、ドライバピストンとプッシャピストンとの間のドライバボアは圧縮性流体(「圧縮流体」)を収容する。圧縮動作中、原動機は、ドライバピストンをプッシャピストン方向に加速して圧縮流体を圧縮する。圧縮流体圧力がプッシャピストンに作用する液状媒体圧力を超えると、プッシャピストンはプッシャボアの遠位端方向に加速され、それによってプッシャボア内の液状媒体が容器内に押し込まれ、液体ライナが崩壊し、プラズマが圧縮される。プッシャボアはドライバボアの長さに比べて短く、プッシャピストンはドライバピストンの質量に比べて小さいので、プッシャピストンが液状媒体に対して与える力を効果的に増幅する。圧縮ドライバの反跳及び容器圧力の上昇によって引き起こされる容器壁にかかる外向きの力は、圧縮動作中に圧縮流体によって環状面表面上にかかる内向きの力によって打ち消される。この反対に作用する内向きの力により、プラズマ圧縮動作によって引き起こされる容器壁にかかる応力が低減することが予想される。
【0016】
図7A及び図7Bを参照すると、ジェネラルフュージョン社(General Fusion Inc.)によって開発されたシステムなどのプラズマ圧縮システム50では、複数のプラズマ圧縮ドライバ10が使用され得る。このプラズマ圧縮システム50は、例えば液体金属などの液状媒体で部分的に満たされた略球形のプラズマ格納容器52を備える。しかしながら、プラズマ圧縮ドライバは、他の実施形態では円筒形容器などの他の形状を有するプラズマ格納容器を用いて動作することができる。液状媒体は、キャビティを画定する液体ライナ55が形成されるまで回転させることができる。プラズマ発生器57は、キャビティ内に注入されるプラズマを生成する。次いで、圧縮ドライバ10を動作させて、液体金属を容器52内に押し込み、液体ライナ55を爆縮させ、キャビティを崩壊させ、その中に閉じ込められたプラズマを圧縮する。
【0017】
本明細書は、爆縮の軌跡を調整する能力を有する液体ライナを爆縮させることができる圧縮ドライバ10の実施形態を開示する。図1は、外壁13を有するハウジング12と、ドライバボア14と、ドライバボア14内に摺動可能に挿入されたドライバピストン15と、プッシャボア16と、プッシャボア16内に摺動可能に挿入されたプッシャピストン17とを備える圧縮ドライバ10の一実施形態を示す。圧縮ドライバ10は、高圧流体(「ドライバ流体」)を貯蔵するためのアキュムレータ18及び弁19を備える原動機を更に備える。弁19は、アキュムレータ18からドライバピストン15の後方にあるドライバボア14へのドライバ流体の流れを制御する。弁19が開くと、ドライバ流体は膨張し、アキュムレータ18から弁19を通ってドライバピストン15に流れる。ドライバ流体は、ヘリウムなどの加圧ガスとすることができる。代替的に、比較的小さい流れ抵抗を有する他のガスをドライバ流体として使用することができる。一実施態様では、アキュムレータ圧力は約20MPaとすることができるが、アキュムレータ圧力は、異なる実施態様では異なる可能性があり、圧縮ドライバ10の構成要素の寸法及び他の物理的特性などの要因に依存する。
【0018】
加圧されたドライバ流体を収容するアキュムレータの代わりに、当技術分野で知られている他の原動機を使用することができ、例えば、原動機は、機械的ばね又は電磁的ドライバを備えることができる。
【0019】
ドライバピストン15は、ドライバボア14内に存在し、弁19に隣接するドライバボア14の近位端にある初期始動位置を有する(図3A参照)。ドライバピストン15とプッシャピストン17との間のドライバボア14内の容積には、低圧圧縮性流体(「圧縮流体」)が含まれる。本出願の目的では、圧縮性流体とは、圧縮可能なあらゆる流体を意味することができる。例えば、一実施態様では、圧縮流体はヘリウムなどのガスであり得る。別の実施態様では、ピストン15とピストン17との間のボア14内の圧縮流体混合物が圧縮可能である限り、圧縮流体は気体と液体との混合物であり得る。別の実施形態では、圧縮性流体は圧縮性磁場で置き換えられる。この代替的な実施形態では、ピストン15とピストン17との間のボア14内に磁場を生成するために多数のコイル(図示せず)を使用することができ、ピストン15、17は、銅などの互いに対向する導電性材料で構成される。ドライバピストン15がプッシャピストン17に向かって加速すると、このような磁場は圧縮される。ドライバピストン15が初期始動位置にあるとき、(ピストン15とピストン17との間の)圧縮流体又は磁場の初期圧力は、ドライバ流体の流体圧力よりも著しく低い。例えば、一実施態様では、圧縮流体の圧力は約0.7MPaであるが、アキュムレータ18の流体圧力よりも著しく低い限り、圧力は異なっていてもよい。
【0020】
ドライバボア14及びプッシャボア16は、ボア接合部31で接続される。プッシャボア16の直径は、ドライバボア14の直径よりも小さく、プッシャボア16の近位端の環状面表面41は、接合部31でドライバボア14の遠位端と向かい合う。プッシャピストン17は、ボア接合部31、即ち、プッシャボア16の近位端に初期始動位置を有する。プッシャボア16は、容器52に開口した遠位端11を有する。プッシャピストン17の外側(遠位)面は、プッシャボア16内の液状媒体(図示せず)と流体接触しており、液状媒体は、ドライバピストン15が初期始動位置にあるときに圧縮流体よりも高い圧力を有し、この初期圧力差によって、プッシャピストン17は初期始動位置に確実に留まることができる。代替的に、機械的、油圧的、又は気体的な圧力手段(図示せず)をプッシャピストン17にかけて、プッシャピストンをその初期始動位置に保持することができる。
【0021】
プッシャピストン17は、ドライバボア14内(ピストン15とピストン17との間)の圧縮流体とプッシャボア16内の液状媒体とを分離する。プッシャボア16の開口端11には、プッシャピストン17がプッシャボア16から外れるのを防止するために、例えば、レッジ33などの保持手段が配置されている。更に、プッシャボア16内の液状媒体から加えられる圧力によってプッシャピストン17がドライバボア14内に押し込まれるのを防止するために、近位端31に追加の保持手段35(図4A参照)を設けることができる。
【0022】
ドライバピストン15及びプッシャピストン17は、ステンレス鋼又はチタン、又は液状媒体、ドライバ流体、及び圧縮流体と反応しない別の同等の材料で構成することができる。本実施形態における弁19は、ポペット/スライダ21とドライバであるが、他の実施形態では、ガス駆動弁や電磁弁など、他の比較的高速作動する弁を使用することができる。一実施態様では、圧縮ドライバ10は、ドライバ10の反跳を低減するように構成された第3のピストン20(「リコイルピストン」)を更に備えることができる。リコイルピストンは、ドライバピストンよりも著しく大きい質量を有し、ダンパ又はばね(図示せず)によってドライバボアに接続することができる。より具体的には、リコイルピストン20は、弁19が開くと、ドライバピストン15がドライバボア14の方に駆動される一方で、リコイルピストン20が反対方向に駆動されるようにドライバピストン15とは反対側の弁19の近くに配置される。リコイルピストンはドライバピストンよりも重いため、ドライバピストンよりもゆっくりと加速し、圧縮動作中に到達するピーク速度は小さい。換言すれば、第3のピストンの大きな質量は、反跳パルスを遅く、長くするように機能する。弁19のサイズ及びドライバ流体圧力は、ドライバピストン15をドライバボア14に沿って目標時間内に接合部31まで加速させるために、十分な流量のドライバ流体が弁19を通ることができるように選択される。例えば、弁のサイズ及びドライバ流体圧力は、約15ms内に60kgのピストンを長さ2mのボアに沿って加速するのに十分な圧力を供給するように選択され得る。
【0023】
図2は、圧縮ドライバ10の圧縮動作を概略的に示し、特に、圧縮動作の4段階の間のドライバピストン15とプッシャピストン17の軌跡及び位置を示す。第1段階は、圧縮ドライバ10がトリガされる前の初期(始動)段階である。この段階では、アキュムレータ18は完全に充填され、弁19は閉じられ、ピストン15、17は初期位置にある。第2段階では、弁19が開かれ、アキュムレータ18内のドライバ流体が弁19を通過しドライバピストン15の後方にあるドライバボア14に入り、ドライバピストン15をプッシャピストン17に向けてボア14内を加速して、圧縮流体を圧縮する。この段階では、圧縮流体の圧力は上昇しているが、液状媒体によって引き起こされるプッシャピストン17の流体圧力をまだ超えていないため、プッシャピストン17はまだ大きく移動していない。第3段階では、ドライバピストン15が接合部31に到達し、圧縮流体が最大圧力となり、この圧力がプッシャピストン17及び環状面表面41にかかる。この段階で、圧縮流体圧力がプッシャボア16内の液状媒体の圧力を超え、プッシャピストン17が移動する。第4段階では、プッシャピストン17が急速に加速し、液状媒体をプッシャボア16から容器52の中に押し込む。
【0024】
ドライバボア14の直径はプッシャボア16よりも大きいので、ドライバピストン15の直径はプッシャピストン17よりも大きいことになる。加えて、この実施形態では、ドライバピストン15はプッシャピストン17よりも重く、ドライバボア14はプッシャボア16よりも長い。略全てのエネルギーがドライバピストン15からプッシャピストン17に伝達されると仮定すると、プッシャピストン16によって液状媒体に加えられる力は、ドライバピストン14によって圧縮流体に加えられる力よりも大きいことが予想される。換言すれば、圧縮ドライバ10の2ピストン設計は、プッシャピストン17が液状媒体に与える力を増幅するのに役立つ。このような力の増幅は、所与のエネルギー量、例えば、目標時間内にプラズマを圧縮するために必要なエネルギー量に対する圧縮動作時間の短縮に寄与する。
【0025】
図3Aは、弁19が閉じられ、ポペット21がシートに着座して出口を閉じているときの初期位置にあるドライバピストン15を示す。弁19は、電気パルスがコイル(図示せず)に供給されると、ポペット21がそのシートから離れる(図3B参照)ように駆動されるような電磁弁であり得る。弁19が開くと、アキュムレータからのドライバ流体がドライバピストン15と第3のピストン20との間のドライバボア14に流入し、ドライバ流体圧力によってドライバピストン15がドライバボア14を加速して、第3のピストン20(図3A及び図3Bに部分的に示す)を反対方向に押す。
【0026】
動作中、ドライバピストン15の加速度プロファイルは、ドライバピストン15の後方にあるドライバボア14内のドライバ流体の圧力を制御することによって制御することができる。ドライバピストン15の加速度プロファイルは、ドライバピストン15の後方(上流)のドライバ流体圧力(アキュムレータ18の圧力)を調整することによって調整することができる。例えば、ドライバピストンにかかるドライバ流体圧力は、弁19の開口サイズ又は持続時間を調整してアキュムレータからのドライバ流体の流れを制御することによって、及び/又はドライバピストン15の後方にあるドライバボア14内のポート22を介してドライバボア14からドライバ流体を排出することによって、調整することができる。このポート22は、ドライバ流体弁19と同様の制御可能な弁(図示せず)を有することができる。ドライバピストン15の加速度プロファイルは、ドライバピストン15の前方(下流)の圧縮流体の圧力を制御することによっても制御することができる。ドライバピストン15とプッシャピストン17との間のハウジング12の壁13にあるポート22(図1参照)は、圧縮流体を注入又は排出するように制御することができる。更に、追加の圧縮性流体をドライバボア14の近位端の近くに注入して、ドライバピストン15を減速させてプッシャピストン17との衝突を防止することができる。ドライバボア14の長さは、ドライバ流体の圧力及び/又は圧縮流体の圧力を変化させることによって、ドライバピストン15の軌跡を調整することができるように、十分に長く設計することができる。ドライバピストン15の位置を測定し、測定された信号をコントローラ(図示せず)に提供するために、いくつかのセンサ(図示せず)を設けることができる。
【0027】
図4A図4Cを参照すると、ドライバボア14とプッシャボア16とは、接合部31で、環状面表面41によって接続されている。特に、図4B及び図4Cに見られるように、ドライバピストン15は、ドライバピストン15が圧縮流体が大きく圧縮される接合部31にあるとき、環状面表面41と協働して環状チャネル43を画定するように設計された遠位端を有する。チャネル43内の圧縮流体の高圧は、ドライバピストン15を減速させ、環状面表面41及び/又はプッシャピストン17との衝突を防止する役割を果たす。更に、前述したように、圧縮流体は、環状面表面41に内向きの力をかける。換言すれば、環状面表面41は、容器に内向きの力をかけ、ドライバピストン15によって発生する圧力パルスは、プッシャピストン17がプッシャボア16内の流体を押すことによって発生する圧力パルスを相殺又は低減し、したがって、圧縮ドライバ10によって容器(又はドライバが接続されている任意の他の構造)に与えられる応力を低減(最小化)するように、圧力バランスリップの役割をする。
【0028】
図5は、ドライバピストン15の一実施形態を示す。ドライバピストン15は、前壁44、後壁42、及び側壁46を有する略円錐台形状を有する。前壁44は、プッシャピストン17に面するピストン15の表面であり、後壁42は、弁19に面する表面であり、アキュムレータ18からのドライバ流体が押し込まれる。側壁46の周囲には、ピストン15を軽量化するために環状流路48が形成されている。いくつかのシールシート47、49が側壁46に形成され、いくつかのシール(図示せず)を収容する。いくつかの実装形態では、シールシート47及び対応するシールを省略することができる。代替的に、ドライバピストン15は、ピストンがボア14、16内の圧力を保持し、プッシャピストン17に衝突しない限り、異なる幾何学的形状を有することができる。
【0029】
図6は、プッシャピストン17の一実施形態を示す。プッシャピストン17は、円錐台形状の内壁34と、外壁38と、側壁32とを有する。プッシャピストン17の内壁34は、図4A図4Cから分かるように、ドライバピストン15の前壁44に面している。ドライバピストン15及びプッシャピストン17は、ドライバピストン15の前壁44がプッシャピストン17の内壁34に接近し、それらの円錐形部分の間に圧縮性流体を集中させることができるように成形されている。ピストン15、17の形状により、ピストンを軽量化することで、圧縮ドライバ10の重量を低減することができる。プッシャピストン17は、プッシャピストン17の外壁38に形成された複数のガセット36を更に備えることができる。ガセット36は、プッシャピストン17の剛性を高めるように構成されている。代替的な一実施形態(図示せず)では、外壁38は、ガセットとプッシャボア16に収容される液状媒体とが接触しないように、ガセット36を囲む中実プレートとすることができる。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、所望の剛性(及び軽さ)を提供することができる材料を使用することによって、又はガセット以外の異なる特徴を追加することによって、ガセット36を省略することができ、プッシャピストン17の剛性を高めることができることを理解することができる。プッシャピストン17は、シール(図示せず)を収容するための一対のシールシート39を更に備える。突出したレッジ37は、側壁32の外面から外向きに延在する。突出したレッジ37は、プッシャボア16の開口端11に形成されたレッジ33(図1参照)と協働して、プッシャピストン17がボア16から外れるのを防止する。更に、プッシャピストン17が開口端11に近づくと、2つのレッジ33、37の間の空間に捕捉される液状媒体は、レッジ33、37の周りを迂回しなければならない液体によって抵抗を生じ、したがってピストン17を減速し、ピストン17及び/又はボア16の損傷を防止するのに寄与する。加えて、プッシャピストン17は、プッシャピストン17がドライバボア14内に押し込まれるのを防止するために、プッシャボア16の近位端31に形成されたレッジ35と相互作用することができる内壁34の近くに形成されたレッジ37aを更に備えることができる。あるいは、当業者に容易に明らかな保持手段の他の構成を使用して、プッシャピストン17がプッシャボア16から外れたり、ドライバボア14の中に押し込まれたりするのを防止することができる。
【0030】
図8は、例示的な一実施形態について、圧縮動作中のドライバのボア及び容器壁における圧力パルス、ならびにドライバピストン、プッシャピストン、及びライナインタフェースの経時的な位置の軌跡をグラフで示す図である。図8に示す曲線は、本例示的実施形態の圧縮ドライバの一例であり、圧縮ドライバは、質量約55kgのドライバピストンと、長さ約2mで直径約340mmのドライバボアと、質量約10kgで長さ約0.6mのプッシャピストンと、直径約290mmのプッシャボアとを有する。ドライバピストンを加速するために、圧力20MPaのドライバ流体を収容する50Lのアキュムレータが設けられている。2つのピストン間のドライバボア内の圧縮性流体の初期圧力は、約0.7MPaである。圧縮ドライバは、液体ライナを爆縮させて、液体ライナの中に形成された半径約1.5mの球形のキャビティを崩壊させるために使用される。グラフによって分かるように、プッシャピストン及び液体ライナ(それぞれ曲線504及び506を参照)は、ドライバピストン(曲線502)がプッシャピストンの近くにあるとき(第2段階の終り)だけ加速する。ドライバとプッシャボアとの接合部における環状面表面の内向きのピーク圧力と容器507の壁の外向きのピーク圧力とが同時に発生するため(即ち、プッシャピストンが加速されると)、互いに対抗しあって、圧縮動作によって生じる容器壁の全体的な応力を低減させる。
【0031】
圧縮ドライバ10の一動作モードでは、図7A及び図7Bに示すプラズマ圧縮システム50では、複数の圧縮ドライバ10を用いることができる。プラズマ圧縮システム50は、液状媒体で部分的に充填することができる容器52を備える。液体回転/循環機構53は、液状媒体が開口端11を通ってドライバ10のプッシャボア16内に押し込まれるように、容器52内を流れる液状媒体を回転させるために設けられている。容器52内の液状媒体の回転により、容器52内に回転する内部界面を有する液体ライナ55が形成され、この内部界面はライナ55内に形成された真空キャビティを画定する。容器52は、壁を貫通して延伸するポート54を形成する複数の開口部を備えた壁を有する。複数の圧縮ドライバ10は、容器52の壁に取り付けられ、ドライバ10のプッシャボア16がポート54に沿って延伸するように、容器52の周囲に配列される。例えば、ドライバ10のプッシャボア16をポート54に挿入し、プッシャボア16の開口端11を容器52の内面と合わせるようにすることができる。プラズマ発生器57は、プラズマを発生させることができる。プラズマ発生器57は、容器52の壁に形成された入口用開口部59に接続された出口(図示せず)を有する。液体ライナ内に形成された真空キャビティは、生成されたプラズマがキャビティ内に注入されるように、プラズマ発生器57の出口と位置合わせされた入口用開口部59を有する。容器52内の液体ライナ55とプッシャボア16内の液状媒体とは流体連通しているので、プッシャピストン17の加速により、プッシャボア16内の液状媒体がプッシャボア16の外に変位すると(本明細書で上述したように)、それは液体ライナ55を爆縮させて、キャビティを内向きに崩壊させ、そこに閉じ込められたプラズマを圧縮することになる。コントローラ(図示せず)を設けて、各ドライバ10のセンサから得られた信号を受信して処理し、多数の弁に出力し、このようなドライバ10のドライバピストン15の位置を調整し、よってプッシャピストン17の加速度プロファイルを調整し、したがって液体ライナの爆縮の軌跡を制御することができる。ドライバピストン15の加速度プロファイルの調整は、ドライバピストン15の後方の圧力(アキュムレータの圧力)を調整することによって、及び/又は圧縮動作中のドライバピストン15とプッシャピストン17との間の圧縮性流体の圧力を調整することによって行うことができる。例えば、より多くの流体をドライバピストン15の後方に追加してそれを加速することができ、又は一部の流体を排出してピストン15を減速し、したがってドライバピストン15の加速度プロファイル、したがってプッシャピストン17の加速度プロファイルを調整することができる。
【0032】
圧縮ドライバ10の実験的実施形態は、ジェネラルフュージョン社(General Fusion Inc.)で試験されており、実験結果を理論的予測と比較した。実験及びコンピュータシミュレーションモデルの結果を図9A及び図9Bにグラフで示す。実験は、0.77kgのドライバピストン、0.77kgのプッシャピストン、及び長さ0.47mで直径44mmのドライバボアを有する圧縮ドライバを用いて行った。ドライバピストンを加速するために、2MPaの圧力を有する1.1Lのアキュムレータが設けられ、2つのピストン間のドライバボア内の圧縮性流体の初期圧力は約0.1MPaであった。5つの実験結果を、同じ条件をシミュレーションするコンピュータモデルから得られた結果と比較した。図9Aは実験の全体を示し、図9Bのグラフは第3段階付近の時間に焦点を当てている。試験間にある程度のばらつきがあるが、シミュレーション結果と実験結果との間に相関があることが明らかである。
【0033】
本開示の特定の要素、実施形態及び用途を示し説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、特に前述の教示に照らして当業者によって修正を行うことができるので、本開示の範囲はそれに限定されないことが理解されよう。したがって、例えば、本明細書に開示された任意の方法又はプロセスにおいて、方法/プロセスを構成する作用又は動作は、任意の適切な順序で実行されてもよく、必ずしも任意の特定の開示された順序に限定されない。要素及び構成要素は、様々な実施形態において、異なって構成又は配置され、組み合わされ、及び/又は排除され得る。上述した様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、又は様々な方法で組み合わされてもよい。全ての可能な組合せ及び部分的な組合せは、本開示の範囲内に入ることが意図されている。本開示全体を通して「いくつかの実施形態」、「実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、ステップ、プロセス、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本開示全体を通して、「いくつかの実施形態では」、「実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らず、同じ又は異なる実施形態のうちの1つ又は複数を指し得る。実際、本明細書に記載の新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。また、本明細書に説明された発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、均等物、再構成、変更を行うことができる。
【0034】
実施形態の様々な態様及び利点が、適切な場合に説明されている。そのような態様又は利点の全てが、任意の特定の実施形態に従って必ずしも達成されるとは限らないことを理解されたい。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書で教示又は示唆され得るような他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点群を達成又は最適化するように実行され得ることが認識されるべきである。
【0035】
本明細書で使用される条件付き言語、例えば、とりわけ、「できる」、「可能性がある」、「場合によっては」、「であってもよい」、「例えば」などは、特に明記しない限り、又は使用される文脈内で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又はステップを含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを意図している。したがって、このような条件付き言語は、一般に、特徴、要素及び/又はステップが1つ又は複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、又は1つ又は複数の実施形態が、オペレータ入力又はプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれるか、又は実行されるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを意味することを意図するものではない。単一の特徴又は特徴のグループは、任意の特定の実施形態に必要ではなく、又は必須ではない。「備える」、「含む」、「有する」などの用語は同義語であり、包括的に、オープンエンド方式で使用され、追加の要素、特徴、作用、動作などを排除しない。また、「又は」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用され、例えば、要素のリストを接続するために使用される場合、「又は」という用語は、リスト内の要素の1つ、いくつか、又は全てを意味する。
【0036】
本明細書に説明の実施形態の例示的な計算、シミュレーション、結果、グラフ、値、及びパラメータは、例示することを意図しており、開示された実施形態を限定することを意図していない。他の実施形態は、本明細書に説明の例示的な例とは異なるように構成及び/又は動作することができる。
図1
図2
図3(A)】
図3(B)】
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7(A)】
図7(B)】
図8
図9A
図9B
【国際調査報告】