(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】新規な構造のクラッチアセンブリー
(51)【国際特許分類】
F16D 13/70 20060101AFI20221207BHJP
F16D 13/38 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
F16D13/70 A
F16D13/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547767
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 KR2020009541
(87)【国際公開番号】W WO2021071066
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0124043
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0034811
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353610
【氏名又は名称】オートディン シス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジョン ユン
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA07
3J056AA62
3J056AA70
3J056BA04
3J056BB02
3J056BB22
3J056BE30
3J056CC32
3J056CC44
3J056GA02
3J056GA12
(57)【要約】
本発明によるクラッチシステムのクラッチアセンブリーは、アクセルペダル及びブレーキペダルの踏込み及び踏込み解除によって正確にエンジンと変速機との間に動力を伝達するか遮断する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアクセルペダル及びブレーキペダルと連動して一方向又は他方向に回転するアウターカムと、車両エンジンの回転によって回転するインナーカムと、アウターカムと接触し、アウターカムの一方向又は他方向への回転によって高さ方向に移動することによって選択的にインナーカムと接触することができる回転部材と、回転部材を支持し、回転部材とともに回転するフォーク部とを含み、エンジンの回転力がインナーカム、回転部材及びフォーク部を介して順次伝達される、クラッチアセンブリー。
【請求項2】
フォーク部は前後に対向する一対のフォーク板を含み、フォーク板の間の所定空間に一定間隔で回転部材が支持されるように設けられ、インナーカムはフォーク板より小さい直径を有するディスクであり、アウターカムはフォーク板より大きい直径を有するディスクであり、アウターカム及びインナーカムはフォーク板の間の空間に装着される、請求項1に記載のクラッチアセンブリー。
【請求項3】
アウターカムの外周部には縁部が形成され、縁部の内面には回転部材を収容することができる曲線形の収容面が形成される、請求項1に記載のクラッチアセンブリー。
【請求項4】
インナーカムの外周には、回転部材に対応するように外方に突出する曲線形の凸面が形成される、請求項3に記載のクラッチアセンブリー。
【請求項5】
フォーク板の外面には一定間隔で凹んでいる曲面部が形成され、連結部が曲面部の間を連結し、連結部の両側面にはフォークが設けられ、回転部材がフォークの両側面と接して支持される、請求項2に記載のクラッチアセンブリー、
【請求項6】
アウターカムの一方向又は他方向への回転によって回転部材は収容面又は収容面を外れた縁部の平坦面に位置して垂直高さが変わり、垂直高さの変化によってインナーカムの凸面と接触するか凸面から離隔する状態になる、請求項4に記載のクラッチアセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願人は韓国特許出願第10-2019-0124043号(2019年10月7日出願)でエンジンの回転軸と連結されて回転する回転板、回転板の周縁に半円形に突出した複数のガイド、カムディスク及びカムディスクの外周に位置する回転部材からなるクラッチアセンブリーを提案した。このようなクラッチアセンブリーは出願人のさらに他の韓国特許出願第10-2019-0166488号(2019年12月13日出願)に開示されたアクセル及びブレーキ連動動力伝達機構を含むクラッチシステムに適用される。
【0002】
本発明は韓国特許出願第10-2019-0124043号を改良したクラッチアセンブリーに関するものである。
【背景技術】
【0003】
自動車の車輪は、エンジンの回転運動がフライホイール及びクラッチディスクを介して変速機に伝達されて変速され、メイン軸に伝達されることにより回転する。
【0004】
手動変速車両の場合、フライホイールとディスクの断続は、運転席の左側上方のフロアに設けられたクラッチペダルによって遂行される。クラッチペダルを踏み込めば両部材の接続が遮断され、踏込みを解除すれば両部材が連結される。運転者はギア変速のためにクラッチペダルを踏み込み、ペダルを踏み込んだ状態でギアを変速した後、ペダルから徐々に足を離せば、フライホイールとディスクがすぐに接触し始める状態の半クラッチ状態になる。
【0005】
自動変速車両の場合、クラッチペダルはなく、エンジン回転、車両速度などを感知し、車両負荷によって自動で変速する方式であり、トルクコンバーター、オイルポンプ、油圧クラッチ、遊星ギアセット、回転センサー、減速ギア及びバルブボディーから構成され、遊星ギアセット、湿式多板クラッチ及びブレーキの組合せから変速段が構成される。
【0006】
手動及び自動変速機は両者の利点を互いに模倣しながら発展して来た。例えば、手動変速機は自動変速機に適用された自動制御アルゴリズムを適用して来たし、自動変速機は燃費向上のために手動変速機に適用された機械的な摩擦クラッチ方式を一部適用して来た。しかし、手動及び自動変速機の設計構造は最初に開発されたプラットホーム形態を維持している。
【0007】
手動変速車両の場合、クラッチペダルと同時に連動して変速しなければならなく、傾斜路で再出発するときに滑り現象の発生によって国内及び北米地域で選好度が落ちる方である。よって、ブレーキ及び加速ペダルと連動して別途のクラッチペダルの必要なしに変速ができるようにし、傾斜路での滑り現象を防止することができるシステムの開発が必要である。
【0008】
自動変速車両の場合、流体によるトルク伝達によって燃費効率が下がり、急発進のような異常現象の発生の際、エンジンからトランスミッションに伝達されるトルクの短絡に脆弱な問題がある。よって、ブレーキペダル及び加速ペダルによる加速、半クラッチ、停止(ブレーキ)状態を機械的に作動することにより、自動変速機で発生する急発進現象を除去するシステムの開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許出願第10-2019-0124043号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は車両システム内のエンジンとトランスミッションとの間のトルク伝達率を100%保障し、既存の手動及び自動変速機車両に共に適用することができる新概念のクラッチシステムに適用されるクラッチアセンブリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述した目的を達成するために、車両のアクセルペダル及びブレーキペダルと連動して一方向又は他方向に回転するアウターカムと、車両エンジンの回転によって回転するインナーカムと、アウターカムと接触し、アウターカムの一方向又は他方向への回転によって高さ方向に移動することによって選択的にインナーカムと接触することができる回転部材と、回転部材を支持し、回転部材とともに回転するフォーク部とを含み、エンジンの回転力がインナーカム、回転部材及びフォーク部を介して順次伝達されるクラッチアセンブリーを提供する。
【0012】
フォーク部は前後に対向する一対のフォーク板を含み、フォーク板の間の所定空間に一定間隔で回転部材が支持されるように設けられ、インナーカムはフォーク板より小さい直径を有するディスクであり、アウターカムはフォーク板より大きい直径を有するディスクであり、アウターカム及びインナーカムはフォーク板の間の空間に装着される。
【0013】
アウターカムの外周部には縁部が形成され、縁部の内面には回転部材を収容することができる曲線形の収容面が形成される。
【0014】
インナーカムの外周には、回転部材に対応するように外方に突出する曲線形の凸面が形成される。
【0015】
フォーク板の外面には一定間隔で凹んでいる曲面部が形成され、連結部が曲面部の間を連結し、連結部の両側面にはフォークが設けられ、回転部材がフォークの両側面と接して支持される、
【0016】
アウターカムの一方向又は他方向への回転によって回転部材は収容面又は収容面を外れた縁部の平坦面に位置して垂直高さが変わり、垂直高さの変化によってインナーカムの凸面と接触するか凸面から離隔する状態になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のクラッチシステムのクラッチアセンブリーは、変速の簡素化によって手動変速機車両の底辺層を拡大することができ、アクセルペダル及びブレーキペダルと連動して正確で永久的な使用が可能であるという効果を発揮する。
【0018】
また、本発明のクラッチアセンブリーは、動力伝達と断絶が機械的に作動するから、急発進から自由であり、運転者及び歩行者の両者を保護することができる。
【0019】
また、本発明のクラッチアセンブリーは、全ての乗用車に適用可能であり、ハイブリッド自動車の運営の際、内燃機関が関与することになる時点に内燃機関から発生する動力を伝達する主要部品に代替することができ、電気自動車とその他のパワープラントなど、内燃機関が使われる大型システム内の動力伝達及び断絶が要求される部分に拡大適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の新概念のクラッチシステムの全体構成図である。
【
図2】運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【
図3】
図2の状態で運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【
図4】
図3の状態、すなわち運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した状態でブレーキペダルを踏み込んだ場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【
図5】
図4の状態、すなわち運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態でその踏込みを解除した場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【
図6】本発明のクラッチアセンブリーの外郭を成すリム及びリムの間に介在されたフォーク部材の斜視図である。
【
図8】フォーク板の間の空間で切断して示した本発明のクラッチアセンブリーの断面図である。
【
図10】
図8で運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合を示す図である。
【
図11】
図10で運転者がアクセルペダルの踏込みを解除した場合を示す図である。
【
図12】
図11で運転者がブレーキペダルを完全に踏み込んだ場合を示す図である。
【
図13】
図12の状態で運転者がブレーキペダルの踏込みを解除した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的又は辞書的意味に限定して解釈されてはいけなく、本発明の技術的思想に合う意味と概念に解釈されなければならない。本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は本発明の実施例に過ぎないだけで、本発明の技術的思想を全部代弁するものではない。
【0022】
図1は本発明の新概念のクラッチシステムの全体構成図である。
【0023】
クラッチシステムは、エンジンEgと、エンジンEgに連結されるか断絶されるクラッチアセンブリーCとを含む。入力軸200’が少なくともクラッチアセンブリーCと変速機構Trとの間に連結される。エンジンEg、変速機構Tr及び入力軸200’の構成及び機能は公知となっているが、現在又は将来のいずれも用いることができる。
【0024】
本発明のクラッチアセンブリーCは、アクセルペダルEの踏込み及び踏込み解除、そしてブレーキペダルBの踏込み及び踏込み解除によって位置及び状態が変わる。アクセルペダル及びブレーキペダルE、Bの踏込み及び踏込み解除をクラッチアセンブリーCに伝達するために、動力伝達機構1及び駆動軸100’が提供される。動力伝達機構1と駆動軸100’はロッドのような連結部材Sを介して連結される。動力伝達機構1の動力は駆動軸100’に伝達され、駆動軸100’の動力はクラッチアセンブリーCに伝達される。駆動軸100’は変速機Trとは連結されない。動力伝達機構1の一側はアクセルペダルEと、例えばケーブルを介して連動し、反対側はブレーキペダルBと連動する。
【0025】
図2は運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【0026】
運転者がアクセルペダルEを踏み込めば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第1方向、例えば左側に線形移動する。すると、駆動軸100’が左側に線形移動し、駆動軸100’の線形移動はクラッチアセンブリーCの回転運動に変換され、クラッチアセンブリーCはエンジンEgの回転力を入力軸200’を介して変速機構Trに伝達する状態、すなわち第1状態に転換される。運転者がアクセルペダルEをずっと踏み込めば、エンジンEgの増加した回転力が変速機Trに伝達され、クラッチアセンブリーCは第1状態をずっと維持する。
【0027】
図3は
図2の状態で運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【0028】
運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除すれば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第2方向、例えば右側に少し線形移動する。すると、駆動軸100’が右側に多少線形移動し、駆動軸100’の線形移動は、
図2とは反対方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。クラッチアセンブリーCの位置は第1状態と少し違うが、エンジンEgの回転力を入力軸200’を介して変速機Trに伝達する状態(“第2状態”)はそのまま維持する。
【0029】
一般に、クラッチ機構は、アクセルペダルEを踏み込む場合にもその踏込みを解除する場合にもエンジンと変速機を連結する機能を依然として遂行する。この点で
図2と
図3のクラッチアセンブリーCの機能は根本的に同一であると言える。
【0030】
図4は、例えば
図3の状態、すなわち運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した状態でブレーキペダルBを踏み込んだ場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【0031】
運転者がブレーキペダルEを踏み込めば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第2方向、すなわち右側に線形移動する。すると、駆動軸100’が右側に線形移動し、駆動軸100’の線形移動は、
図2とは反対方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。クラッチアセンブリーCはエンジンEgと入力軸200’の接続を断絶する段階、すなわち変速機Trに動力を伝達しない状態(“第3状態”)に転換される。
図3との相違点は、動力伝達機構1の連結部材がもっと右側に移動し、クラッチアセンブリーCが
図3と同じ方向にもっと回転し、エンジンEgの回転力が入力軸200’に伝達されない確かな遮断状態に転換されることにある。
【0032】
図5は、例えば
図4の状態、すなわち運転者がブレーキペダルBを踏み込んだ状態でその踏込みを解除した場合のクラッチシステムの全体構成図である。
【0033】
運転者がブレーキペダルEの踏込みを解除すれば、動力伝達機構1の駆動によって連結部材Sが図面の第1方向、すなわち左側に少し線形移動する。すると、駆動軸100’が左側に多少線形移動し、駆動軸100’の線形移動は、
図2と同じ方向へのクラッチアセンブリーCの回転運動に変換される。ここで、本発明のクラッチアセンブリーCはエンジンのフライホイールとディスクがいま接触し始める、いわゆる半クラッチ状態に転換される(“第4状態”)。本発明で、“半クラッチ状態”はエンジンの回転力を変速機に伝達する初期の不安定な状態であるという点で、従来の手動車両でクラッチペダルの踏込みを解除した“半クラッチ状態”と同じ用語を使うが、ブレーキペダルの踏込みを解除した状態である点で根本的に違う。したがって、以下では、説明によって“半クラッチ状態”を“遷移状態(transition condition or status)”又は“中間状態(intermediate condition or status)”と称することにする。
【0034】
運転者は車両を駆動するためにブレーキペダルBを踏み込みながら始動させ、ブレーキペダルBの踏込みを解除してからアクセルペダルEを踏み込む。この場合、本発明のクラッチシステムは、順次
図4、
図5及び
図2の状態、すなわちエンジンEgと変速機Trとの間の動力断絶、初期動力伝達(半クラッチ状態又は遷移状態)及びエンジンEgと変速機Trとの間の動力連結状態に転換される。運転者が走行中にアクセルペダルE及びブレーキペダルBの踏込み及び解除を繰り返す場合、本発明のクラッチシステムも
図2~
図5のいずれか一状態に転換されるか既存の状態を維持する。このように、本発明のクラッチシステムは手動車両のクラッチペダルを無くしながら手動及び自動を含めた全ての車両に適用可能である。
【0035】
以下で説明する本発明のクラッチアセンブリーCはアクセルペダルE及びブレーキペダルBと連動して動力を伝達又は遮断することができる構造であればいずれも採用可能である。したがって、
図6以降の実施例は理解を助けるための例示であるだけで、本発明の権利範囲を制限するものに解釈されてはいけない。
【0036】
図6は本発明のクラッチアセンブリーCの外郭を成すリム10及びリム10の間に介在されたフォーク部20の斜視図である。
【0037】
リム10は互いに対向する一対の円形ディスクからなり、ディスクは図示しない締結道具によって結合されて機能的に一体になる。
【0038】
図7に詳細に示すように、フォーク部20は、互いに対向する一対の略円形のディスク状を有するフォーク板22を含む。フォーク板22の外面には一定間隔で、例えば5個の凹んでいる曲面部24が形成され、連結部26が曲面部24を互いに連結する。連結部26の両側面にはフォーク28が設けられる。連結部26の間で対面するフォーク28の間には、例えばニードルベアリングのような回転部材30が設けられる。
【0039】
回転部材30はフォーク28の両側面と接触する。すなわち、フォーク28は回転部材30と接触してこれを支持する機能を果たす。回転部材30はフォーク部20とは独立した構成である。回転部材30は曲面部24上に装着され、フォーク28によって狭持されるので、回転部材30が回転すればフォーク部20も回転する。フォーク部20の中央には回転軸20Aが形成され、回転軸20Aの回転が変速機構Trに伝達される。
【0040】
本発明では、一対のフォーク板22の間の空間に、回転部材30の下面に隣接してはインナーカム100を、上面に隣接してはアウターカム200を設けた点に特徴がある。
【0041】
図8はフォーク板22の間の空間で切断して示す本発明のクラッチアセンブリーCの断面図である。
【0042】
インナーカム100はフォーク板22より小さい直径を有する全体的に五角円形を有する。アウターカム200はフォーク板22より大きい直径を有するディスク形を有する。インナーカム100とアウターカム200は回転部材30を介して連結されているだけで、互いに動力の観点で断絶され、いずれか一部材が回転すれば自動で他の部材が回転するものではない。インナーカム100とアウターカム200はフォーク板22の間の空間に配置されるので、それぞれの回転によってフォーク板22との衝突や干渉は発生しない。インナーカム100とアウターカム200はリム10やフォーク部20のように対向する二重板からならなく、所定厚さを有する単一プレートから製作される。アウターカム200は、インナーカム、フォーク板及びリムを含むハウジングの役割を果たす。
【0043】
インナーカム100は図示しないエンジンEgの回転軸と連結されている。よって、インナーカム100はエンジンEgの回転によって自動で回転する従属部材である。インナーカム100の外周には、回転部材30の数に対応して均等な間隔で外部に突出した5個の曲線形凸面102が形成される。
【0044】
アウターカム200の外周部には縁部204が形成され、縁部204の内面には回転部材30の数に対応して均等な間隔で縁部204の外面に向かって凹んでいる5個の曲線形収容面202が形成される。このような構造により、それぞれの回転部材30にそれぞれの凸面102と収容面202が配置されて“整列”されると言える。図示の例では一つの回転部材30を示したが、全部5個の回転部材30が装着される。
【0045】
アウターカム200はアクセルペダル又はブレーキペダルE、Bの踏込み又は踏込み解除によって時計方向に又は反時計方向に回転する。駆動軸100’は図示しないアウターカム200の軸と連結され、駆動軸100’の線形移動はアウターカム200の軸を介してアウターカム200の回転運動に変換される。これにより、収容面202に収容された回転部材30の位置が変わる。
【0046】
図8では、回転部材30が収容面202の頂点に接触して完全に収容され、凸面102とは微細な間隔を置いて離隔している。よって、エンジンEgとインナーカム100が回転しても回転部材30とこれを支持するフォーク部20は回転しなく、変速機構Trに回転力が伝達されない。この点で、
図8は車両においてブレーキペダルBを完全に踏み込んで動力が断絶された状態を示すと言える。
【0047】
図8の一部を拡大した
図9を参照して本発明のクラッチアセンブリーCの動作原理について説明する。
【0048】
図9の状態で、アウターカム200が反時計方向(R1)に回転すれば、収容面202が同じ方向に回転する。この際、収容面202の頂点ではない他の部分が回転部材30を下方に強制で押し出すので、回転部材30は方向(H1)に下方に移動する。回転部材30の側面は、前述したように、フォーク28の側面28Aによって支持され、アウターカム200が回転してもフォーク部20は回転しないので、回転部材30は側方に移動しない。すなわち、方向(H1)は回転部材30が側面28Aに沿って下方に移動するほとんど垂直線に近い線形経路である。また、方向(H2)は回転部材30が側面28Aに沿って上方に移動するほとんど垂直線に近い線形経路である。
【0049】
回転部材30が下方に移動すれば、回転部材30はインナーカム100の凸面102と接触する。よって、エンジンEgが駆動してインナーカム100が回転すれば、凸面102の回転に伴って回転部材30が回転し、回転部材30を把持するフォーク部20も回転し、回転力がフォーク部20の回転軸20Aを介して変速機構Trに伝達される。アウターカム200は、その縁部204がいつも回転部材30と当接しているので、回転部材30の回転に伴って一緒に回転する。
【0050】
図9の状態で、アウターカム200が時計方向(R2)に回転すれば、前記と同様な原理が適用されることが理解可能であろう。
【0051】
次に、以上の説明に基づき、運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合、アクセルペダルEの踏込みを解除した場合、ブレーキペダルBを踏み込んだ場合、及びブレーキペダルBの踏込みを解除した場合の本発明のクラッチアセンブリーCの作動について
図10~
図13を参照して説明する。
【0052】
図10は
図8で運転者がアクセルペダルEを踏み込んだ場合を示す図である。アクセルペダルEの踏込みによってアウターカム200が反時計方向(R1)に回転すると仮定すれば、
図9で説明した結果と一致するようになる。すなわち、図示のように、収容面202が回転部材30を下方に押し出しながら回転部材30から離脱し、縁部204の内周の平坦面が回転部材30を押す。回転部材30は収容面202の深さの分だけ下方(H1)に移動してインナーカム100の凸面102と接触する。エンジンEgの加速によって回転するインナーカム100の回転力は回転部材30を介してフォーク部20に伝達され、フォーク部20の回転運動は変速機構Trに伝達される。回転部材30と当接しているアウターカム200も同時に回転する。アクセルペダルEを最大に踏み込めばアウターカム200は反時計方向(R1)にもっと回転するが、回転部材30とインナーカム100は基本的に
図10と同様に接触した状態をずっと維持するので、動力伝達に何の問題もない。
【0053】
図11は
図10で運転者がアクセルペダルEの踏込みを解除した場合を示す図である。アウターカム200は時計方向(R2)に少し回転して位置し、回転部材30は依然として縁部204の平坦な内周面に位置するから、アクセルペダルEの踏込みの際と同様に、依然としてエンジンEgのトルクを伝達する。また、回転部材30はインナーカム100の凸面102と接触した状態をそのまま維持する。よって、
図10に比べて、アクセルペダルEの踏込みが解除された状態であるので、エンジンEgの加速とインナーカム100の回転力が減少する点を除けば、エンジンEgの回転力は回転部材30を介してフォーク部20にずっと伝達される。回転部材30と当接したアウターカム200も同時にずっと回転する。
【0054】
図12は
図11で運転者がブレーキペダルBを完全に踏み込んだ場合を示す図である。アウターカム200は時計方向(R2)にさらに回転し、
図8のように回転部材30が収容面202の頂点に接触するように上方に移動して完全に収容され、凸面102とは微細な間隔を置いて離隔する。よって、エンジンEgの動力は変速機構Trに伝達されない。
【0055】
図11の状態でブレーキペダルBを徐々に踏み込めば、
図12の状態に段階的に変化することが理解可能であろう。すなわち、回転部材30は最初にはインナーカム100と接触を維持するが、自体の遠心力によって再びアウターカム200の収容面202に入り始めて垂直上方(H2)に移動し、相対的にインナーカム100との接触面積は次第に小さくなる。そして、収容面202の頂点近所に到逹する瞬間、収容面202に完全に収容されてインナーカム100から離隔した状態(
図12)になる。
【0056】
図13は
図12の状態で運転者がブレーキペダルBの踏込みを解除した場合を示す図である。
図12の状態でアウターカム200が反時計方向(R1)に少し回転するが、アクセルペダルEを踏み込んだ場合ではないので、回転距離は
図10に比べて小さい。このときは、図示のように、回転部材30が収容面202と縁部204の内周平坦面との間の境界付近に位置するまでアウターカム200が回転する。すると、回転部材30は次第に下方(H1)に移動し、図示のようにインナーカム100の凸面102と接し始める位置に来る。この状態は前述した、いわゆる半クラッチ状態(“第4状態”)であり、エンジンの回転力を変速機に伝達する初期の不安定な状態になる。このように、本発明はクラッチペダルを無くしながらもまるで手動変速機車両のように“遷移状態”又は“中間状態(intermediate condition or status)”を具現することができる。これは本発明のクラッチアセンブリーCの特徴を成すものである。
【0057】
以上の
図10~
図13を総合すると、運転者が車両を駆動するためにブレーキペダルBを踏み込みながら始動させ、ブレーキペダルBの踏込みを解除してからアクセルペダルEを踏み込む場合、本発明のクラッチアセンブリーCは順次
図12、
図13及び
図10の状態になることが分かる。車両の走行中には、運転者がアクセルペダル及びブレーキペダルE、Bを踏み込む程度によってクラッチアセンブリーCは
図10及び
図11に基づいて説明したいずれか段階に位置し、エンジンEgと変速機構Trはいつも動力連結状態を成すという事実が重要である。車両の実際走行速度の変化はエンジンの回転数変化によって決定され、クラッチアセンブリーC自体とは関係ない。
【0058】
以上で説明したクラッチアセンブリーCは多様な変形が可能である。フォーク部20は回転部材30を把持して支持することができる限り、フォーク28を省略することができる。回転部材30の数及び形状は多様に変更可能であり、インナーカム100とアウターカム200との間で高さ方向に移動することができる限り、ニードルベアリング以外の部品を選択することができる。また、フォーク28が高速回転にもかかわらず回転部材30を堅く支持するために、締結部材を用いてフォーク28をリムに固定することも可能である。
【0059】
以上で本発明の好適な実施例を開示したが、これは例示のためのものであるだけで、本発明の権利範囲を限定するか制限するものではない。
【国際調査報告】