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特表2022-551793エンボス加工カセットを備えたエンボス加工システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】エンボス加工カセットを備えたエンボス加工システム
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/07 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
B31F1/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503465
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2021050220
(87)【国際公開番号】W WO2021144709
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】20152524.3
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522022214
【氏名又は名称】ボエグリ-グラビュール エスエー
【氏名又は名称原語表記】BOEGLI-GRAVURES SA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ボエグリ, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ルステンバーガー, フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ドロズ, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥミトル, ガブリエル
【テーマコード(参考)】
3E078
【Fターム(参考)】
3E078AA02
3E078BB51
3E078BC01
3E078DD09
(57)【要約】
エンボス加工フレームと、エンボス加工カセットとを備えるエンボス加工システムが開示される。エンボス加工カセットは、少なくとも2つのローラと、これらのローラを保持するように構成された本体とを備え、ローラは、本体に取外し可能に取り付けられる。エンボス加工フレームは、エンボス加工カセットを取外し可能に収容するように構成され、エンボス加工カセットがエンボス加工フレーム内に収容されるときにエンボス加工カセットの対応する本体位置決め手段と協働して、エンボス加工フレームの内側の所定の位置にエンボス加工カセットを位置決めするように構成されたエンボス加工フレーム位置決め手段を含む。エンボス加工システムは、本体内の対応するローラの回転軸線の位置を調整及び補正するための複数の手段をさらに備え、各手段の各々の位置は、少なくとも2つのローラの各端部のうちの1つにある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工フレームと、エンボス加工カセットとを備えるエンボス加工システムであって、
前記エンボス加工カセットは
少なくとも2つのローラと、
前記少なくとも2つのローラを保持するように構成された本体であって、前記少なくとも2つのローラが該本体内に取外し可能に取り付けられている、本体と
を備え、
前記エンボス加工フレームは、前記エンボス加工カセットを取外し可能に収容するように構成されており、
前記エンボス加工フレームは、前記エンボス加工カセットが前記エンボス加工フレーム内に収容されたときに前記エンボス加工カセットの対応する本体位置決め手段と協働して前記エンボス加工カセットを前記エンボス加工フレームの内側の所定の位置に位置決めするように構成されたエンボス加工フレーム位置決め手段を備える、
エンボス加工システムにおいて、
当該エンボス加工システムは、前記本体内の対応する前記ローラの回転軸線の位置を調整及び補正するための複数の調整・補正手段をさらに備え、前記調整・補正手段の各々の位置は、前記少なくとも2つのローラの各端部のうちの1つにあり、前記複数の調整・補正手段は、次の方向のうちの少なくとも2つにおいて、すなわち、対応する前記ローラの軸線方向と、前記軸線方向に垂直な平面の2つの次元方向によって定義される2つの方向のうちの1つにおいて調整及び補正するように構成されており、
前記エンボス加工フレームは、前記エンボス加工カセットが前記エンボス加工フレーム内に収容されたときに、前記回転軸線の位置を調整及び補正するための前記複数の調整・補正手段を前記エンボス加工フレームの外側からアクセス不能にするために、前記調整・補正手段のためのエンクロージャを形成するようにさらに構成されている、エンボス加工システム。
【請求項2】
前記複数の調整・補正手段は、前記少なくとも2つのローラの各端部の少なくとも1つのうちの1つにて、前記2つの次元方向のうちの第1の次元方向において、前記回転軸線の位置を調整するように構成された偏心ピン装置と、関係する前記ローラの反対側の端部における固定回転中心とを備え、前記固定回転中心は、前記回転軸線に垂直な軸線の周りで前記回転軸線が前記固定回転中心の周りを回転することを可能にするように構成されている、請求項1に記載のエンボス加工システム。
【請求項3】
前記複数の調整・補正手段は、前記少なくとも2つのローラのうちの1つの両端部のうちの1つにて、対応する前記ローラの回転軸線の位置を軸線方向に調整するように構成されたノッチディスク調整機構をさらに備える、請求項1又は2に記載のエンボス加工システム。
【請求項4】
前記複数の調整・補正手段は、前記ローラのうちの1つの各端部に結合されたハンドルバーシステムと、前記ハンドルバーシステムを作動させて、前記2つの次元方向のうちの第2の次元方向における前記ローラのうちの前記1つの位置を調整するように構成された作動機構とをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項5】
前記複数の調整・補正手段は、前記エンボス加工カセットの前記本体に少なくとも部分的に取り付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項6】
前記エンボス加工フレームは、前記本体位置決め手段が前記エンボス加工フレーム位置決め手段と協働するよう、前記エンボス加工フレーム内への前記エンボス加工カセットの挿入中に前記エンボス加工カセットを案内するように構成された案内手段をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項7】
前記案内手段は、前記エンボス加工カセットを前記エンボス加工フレーム内に挿入する間、前記エンボス加工カセットの対応要素上を摺動するように構成された少なくとも1つの傾斜面を備える、請求項6に記載のエンボス加工システム。
【請求項8】
前記案内手段、前記本体位置決め手段及び前記エンボス加工フレーム位置決め手段は、0.02~0.06mmの範囲内の公差で前記エンボス加工フレームの内側の前記所定の位置となるように構成されている、請求項6又は7に記載のエンボス加工システム。
【請求項9】
前記エンボス加工フレームの内側に取り付けられ、前記少なくとも2つのローラ間の対抗圧力を調整するように構成された少なくとも1つの油圧又は空気圧ジャッキをさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項10】
前記エンボス加工フレームは、少なくとも、個別に取外し可能に固定された第1の壁と、個別に取外し可能に固定された第2の壁とを備え、前記第1の壁と前記第2の壁がそれぞれ、前記第1の壁又は前記第2の壁の側で前記エンボス加工カセットの前記エンボス加工フレームへの挿入及び前記エンボス加工フレームからの取出しをそれぞれ可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項11】
前記エンボス加工フレームは、駆動システムを前記エンボス加工カセットに結合するように構成された機械結合部を備え、それによって前記エンボス加工カセット内の前記2つのローラのうちの少なくとも1つが駆動されることを可能にするようになっている、請求項1~10のいずれか一項に記載のエンボス加工システム。
【請求項12】
少なくとも2つのローラと
前記少なくとも2つのローラを保持するように構成された本体であって、それによって前記少なくとも2つのローラが該本体内に取外し可能に取り付けられる、本体と
を備えるエンボス加工カセットにおいて、
前記本体内の対応する前記ローラの回転軸線の位置を調整及び補正するための複数の調整・補正手段を備え、前記調整・補正手段の各々の位置は、前記少なくとも2つのローラの各端部のうちの1つにあり、前記複数の調整・補正手段は、次の3つの方向のうちの少なくとも2つにおいて、すなわち、前記本体内の前記対応するローラの軸線方向Zと、前記軸線方向に垂直な平面の2つの次元方向によって定義される2つの方向X及びYのうちの1つにおいて調整及び補正するように構成されており、
前記軸線方向Zにおいて調整及び補正する前記調整・補正手段は、ノッチディスク調節機構を備え、
前記方向Xにおいて調整及び補正する前記調整・補正手段は、偏心ピンを備え、
前記方向Yにおいて調整及び補正する前記調整・補正手段は、ハンドルバーシステム及び調整ホイールを備える、エンボス加工カセット。
【請求項13】
前記複数の調整・補正手段は、当該エンボス加工カセットの前記本体に少なくとも部分的に取り付けられている、請求項12に記載のエンボス加工カセット。
【請求項14】
前記少なくとも2つのローラは、100mm~5000mmの範囲内の長さを有する、請求項13に記載のエンボス加工カセット。
【請求項15】
前記少なくとも2つのローラは、ウェブ材料をエンボス加工するように構成されている、請求項12~14のいずれか一項に記載のエンボス加工カセット。
【請求項16】
前記少なくとも2つのローラは、加熱ローラである、請求項12~15のいずれか一項に記載のエンボス加工カセット。
【請求項17】
エンボス加工カセットのオフライン調整のための方法であって、
オフライン状態になるように、オンライン生産チェーンから前記エンボス加工カセットを分離するステップと、
前記エンボス加工カセットの本体内に少なくとも第1のエンボス加工ローラ及び第2のエンボス加工ローラを位置決めするステップと、
前記エンボス加工カセットの前記本体に取り付けられた前記少なくとも第1のエンボス加工ローラ及び第2のエンボス加工ローラの各々の少なくとも1つの位置を、前記第1のエンボス加工ローラ及び前記第2のエンボス加工ローラの各端部の少なくとも1つにおいて複数の調整・補正手段を作動させることによって調整及び補正し、それによって、次の3つの方向のうちの少なくとも2つにおいて、すなわち、軸線方向と、前記軸線方向に垂直な平面の2つの次元方向によって定義される2つの方向のうちの少なくとも1つにおいて回転軸線の位置を調整するステップと
を少なくとも含む、方法。
【請求項18】
前記オンライン生産チェーンのエンボス加工フレーム内に前記エンボス加工カセットを収容するステップと、
前記複数の調整・補正手段を前記エンボス加工フレームから見えないようにするステップと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ材料のエンボス加工の分野、特にオンラインエンボス加工の分野にある。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公開第10212172号明細書には、2つの互いに逆回転するエンボス加工ローラを有する少なくとも1つのエンボス加工カセットを備えるシステムが記載されている。エンボス加工カセットは、支持プレート上に配置され、プレートの所定の溝内を作業位置から休止位置に摺動することができる。少なくとも1つの交換用エンボス加工カセットが、作業位置において作業中のエンボス加工カセットと交換できるように、交換位置において支持プレート上に配置される。さらに、少なくとも1つの予備エンボス加工カセットが、交換位置において交換用エンボス加工カセットと交換できるように、予備位置において支持プレート上に摺動可能に配置される。ドイツ特許出願公開第10212172号明細書のシステムは、交換用エンボス加工カセットが交換位置にある状態で手動で摺動させることによって、エンボス加工カセットの迅速な交換を可能にする。しかし、この文献は、エンボス加工カセット内のローラの事前位置合わせについても、これが行われる状況についても言及していない。そこに記載されたシステムは、その実施のために比較的大きな設置面積が必要であることを示唆している。このシステムはさらに、例えばエンボス加工カセットを固定し、動力をクラッチでつなぎ、圧力ギアを取り付けるなどの、資格のあるオペレータによるいくつかの組立ステップを必要とする。さらに、この文献は、ローラ及びエンボス加工カセットについての位置合わせ及び位置決めの公差の精度に関する情報を示しておらず、これらを調整する方法も開示していない。
【0003】
欧州特許出願公開第1721742号明細書には、2つの互いに逆回転するエンボス加工ローラを有するエンボス加工カセットを備えるシステムが記載されている。エンボス加工ローラは、保持装置によって本体に取り付けられる。保持装置は、1つのローラがエンボス加工カセットの内部でその回転軸線の方向に沿って移動することができるように、そして回転軸線に垂直な傾動軸線を中心としたローラの回転軸線間の相対位置決めを可能にするように構成されている。エンボス加工ローラの位置合わせは、エンボス加工カセットが生産ラインに取り付けられている間に行われる。しかしながら、この文献は、エンボス加工カセットが生産ラインに導入される前のエンボス加工カセット内のローラの事前位置合わせについても、これが行われるであろう状況についても言及していない。このシステムは、さらに、生産環境におけるエンボス加工カセット内のエンボス加工ローラの位置決め及び位置合わせなど、資格のあるオペレータによるいくつかの組立てステップを必要とする。さらに、この文献は、ローラ及びエンボス加工カセットについての位置合わせ及び位置決めの公差の精度に関する情報を示しておらず、これらを調整する方法も開示していない。
【0004】
米国特許第666599号明細書には交換可能なエンボス加工ローラが記載されており、このローラはエンボス加工システムのための適切な交換可能なエンボス加工カセット内に配置されている。エンボス加工カセットは、例えば、両端に取付面が設けられた本体の形態をとるとよい。エンボス加工システムのマウント又はエンボス加工フレームは、実際のエンボス加工カセットに非常に正確に適合される対応の座部を備える。したがって、挿入された状態では、すなわち保持要素の取付面が関連する座部に挿入された場合には、エンボス加工カセットに収容されたエンボス加工ローラは、さらなる調整作業を必要とすることなく、それらの動作位置に置かれる。したがって、特に、そのようなエンボス加工システムの被駆動エンボス加工ローラは、交換があまり複雑ではなく、それによって迅速な保守及び生産の変更を可能にする。
【0005】
従来技術から知られているエンボス加工カセット及びそのエンボス加工フレームは、実際には、エンボス加工ローラのためのさらなる調整作業を必要としないが、これは、ローラが比較的長くなり、その結果としてより重くなる場合には、十分ではないことが分かっている。さらに、従来技術に記載されたシステムは、エンボス加工ローラ間の予め定められた接触圧力で動作し、いかなる差圧の適用も許されない。したがって、比較的大きなエンボス加工ローラ、特にオンラインエンボス加工用に設計されたエンボス加工カセットのためのシステム及び対応の調整方法が必要とされている。
【0006】
本発明は、上記の問題点及びさらなる問題点に対処するものである。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明は、エンボス加工フレームとエンボス加工カセットとを備えるエンボス加工システムを提供する。エンボス加工カセットは、少なくとも2つのローラと、少なくとも2つのローラを保持するように構成された本体とを備え、少なくとも2つのローラは、本体に取外し可能に取り付けられる。エンボス加工フレームは、エンボス加工カセットを取外し可能に収容するように構成され、また、エンボス加工フレームは、エンボス加工カセットがエンボス加工フレーム内に収容されるときにエンボス加工カセットの対応する本体位置決め手段と協働して、エンボス加工フレームの内側の所定の位置にエンボス加工カセットを位置決めするように構成されたエンボス加工フレーム位置決め手段を含む。エンボス加工システムは、本体内の対応するローラの回転軸線の位置を調整及び補正するための複数の手段(以下「調整・補正手段」ともいう)をさらに備え、調整・補正手段の各々の位置は、少なくとも2つのローラの各端部のうちの1つにあり、複数の調整・補正手段は、次の方向のうちの少なくとも2つにおいて、すなわち、対応するローラの軸線方向と、前記軸線方向に垂直な平面の2つの次元方向によって定義される2つの方向のうちの1つにおいて調整及び補正するように構成され、また、エンボス加工フレームは、エンボス加工カセットがエンボス加工フレームの内部に収容されたときに、前記回転軸線の位置を調整及び補正するための複数の調整・補正手段を前記エンボス加工フレームの外部からアクセス不能にするために、調整・補正手段のためのエンクロージャ(囲い)を形成するようにさらに構成されている。
【0008】
好適な実施形態では、複数の調整・補正手段は、少なくとも2つのローラの各端部のうちの少なくとも1つのうちの1つにて、2つの次元方向のうちの第1の次元方向において、回転軸線の位置を調整するように構成された偏心ピン装置と、関係するローラの反対側の端部における固定回転中心とを備え、固定回転中心は、回転軸線に垂直な軸線の周りで回転軸線がこの固定回転中心の周りを回転することを可能にするように構成されている。
【0009】
さらなる好適な実施形態では、複数の調整・補正手段は、少なくとも2つのローラのうちの1つの端部のうちの1つにて、対応するローラの回転軸線の位置を軸線方向に調整するように構成されたノッチディスク調整機構をさらに備える。
【0010】
さらに好適な実施形態では、複数の調整・補正手段は、ローラのうちの1つの各端部に結合されたハンドルバーシステムと、ハンドルバーシステムを作動させてローラのうちの1つの位置を2つの次元方向のうちの第2の次元方向において調整するように構成された作動機構とをさらに含む。
【0011】
さらに好適な実施形態では、複数の調整・補正手段は、エンボス加工カセットの本体に少なくとも部分的に取り付けられる。
【0012】
さらなる好適な実施形態では、エンボス加工フレームは、本体位置決め手段がエンボス加工フレーム位置決め手段と協働するように、エンボス加工フレーム内へのエンボス加工カセットの挿入中にエンボス加工カセットを案内するように構成された案内手段をさらに含む。
【0013】
さらなる好適な実施形態では、案内手段は、エンボス加工カセットをエンボス加工フレーム内に挿入する間、エンボス加工カセットの対応要素上を摺動するように構成された少なくとも1つの傾斜面を含む。
【0014】
さらなる好適な実施形態では、案内手段、本体位置決め手段及びエンボス加工フレーム位置決め手段は、0.02mm~0.06mmの範囲内の公差でエンボス加工フレームの内側の所定の位置となるように構成されている。
【0015】
さらなる好適な実施形態では、エンボス加工システムは、エンボス加工フレームの内側に取り付けられた少なくとも1つの油圧又は空気圧ジャッキをさらに備え、少なくとも1つの油圧又は空気圧ジャッキは、少なくとも2つのローラ間の対抗圧力(counter-pressure)を調整するように構成されている。
【0016】
さらなる好適な実施形態では、エンボス加工フレームは、少なくとも、個別に取外し可能に固定された第1の壁と、個別に取外し可能に固定された第2の壁とを備え、第1の壁と第2の壁がそれぞれ、第1の壁又は第2の壁の側でエンボス加工カセットのエンボス加工フレームへの挿入及びエンボス加工フレームからの取出しをそれぞれ可能としている。
【0017】
さらなる好適な実施形態では、エンボス加工フレームは、駆動システムをエンボス加工カセットに結合するように構成された機械結合部を備え、それによってエンボス加工カセット内の2つのローラのうちの少なくとも1つが駆動されることを可能としている。
【0018】
第2の態様では、本発明は、少なくとも2つのローラと、少なくとも2つのローラを保持するように構成された本体とを備えるエンボス加工カセットを提供し、少なくとも2つのローラは、本体に取外し可能に取り付けられる。エンボス加工カセットは、本体内の対応するローラの回転軸線の位置を調整及び補正するための複数の調整・補正手段を備え、調整・補正手段の各々の位置は、少なくとも2つのローラの各端部のうちの1つにあり、複数の調整・補正手段は、次の方向のうちの少なくとも2つにおいて、すなわち、本体内の対応するローラの軸線方向と、この軸線方向に垂直な平面の2つの次元方向のうちの1つにおいて調整及び補正するように構成されている。
【0019】
さらに好適な実施形態では、複数の調整・補正手段は、エンボス加工カセットの本体に少なくとも部分的に取り付けられる。
【0020】
さらに好適な実施形態では、少なくとも2つのローラは、100mm~5000mmの範囲内の長さを有する。
【0021】
さらに好適な実施形態では、少なくとも2つのローラは、ウェブ材料をエンボス加工するように構成されている。
【0022】
さらに好適な実施形態では、少なくとも2つのローラは加熱ローラである。
【0023】
第3の態様では、本発明は、エンボス加工カセットのオフライン調整のための方法を提供し、この方法は、少なくとも、オフライン状態になるようにオンライン生産チェーンからエンボス加工カセットを分離するステップと、少なくとも第1及び第2のエンボス加工ローラをエンボス加工カセットの本体内に位置決めするステップと、第1及び第2のエンボス加工ローラの各端部の少なくとも1つにおいて複数の調整・補正手段を作動させ、それによって、次の方向ののうちの少なくとも2つにおいて、すなわち、軸線方向と、この軸線方向に垂直な平面の2つの次元方向によって定義される2つの方向のうちの少なくとも1つにおいて回転軸線の位置を調整するステップとを含む。
【0024】
さらなる好適な実施形態では、本方法は、オンライン生産チェーンのエンボス加工フレームの内側にエンボス加工カセットを収容するステップをさらに含み、それによって、複数の調整・補正手段をエンボス加工フレームの外側から隠す。
【0025】
本発明は、添付の図面を参照し、本発明の好適な実施形態の詳細な説明を通してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるエンボス加工システムの例示的な実施形態を、一部断面した状態で概略的に示している。
図2】本発明による第1のローラの端部及びその回転軸線を概略的に示している。
図3】本発明によるエンボス加工システムのさらなる例を概略的に示している。
図4】組み立てられ側部ドアで閉じられた状態の図3の例を概略的に示している。この図は、1つの側壁が省かれており、したがって内側を見ることができる。
図5】本発明による、エンボス加工カセットをエンボス加工フレーム内に導入する別の態様を概略的に示している。
図6】本発明のさらなる例示的な実施形態による、ラックに取り付けられたエンボス加工システムを示している。
図7】本発明の例示的な実施形態による、エンボス加工フレームの外側に配置された任意的な油圧又は空気圧ジャッキを有するエンボス加工システムを示している。
図8】場合に応じて異なる直径を有するローラを備えたエンボス加工カセットの形態の例示的な実施形態のうちの1つを示している。
図9】場合に応じて異なる直径を有するローラを備えたエンボス加工カセットの形態の例示的な実施形態のうちの1つを示している。
図10】場合に応じて異なる直径を有するローラを備えたエンボス加工カセットの形態の例示的な実施形態のうちの1つを示している。
図11】本発明の例示的な実施形態による、偏心ピンによってエンボス加工カセット内のエンボス加工ローラ回転軸線の位置を調整するための例示的な実施形態の概略図である。
図12】本発明の例示的な実施形態による、エンボス加工ローラ回転軸線の位置を2つの異なる方向に調整するための機構を示す、2つの拡大部分を有するエンボス加工システムの概略図である。
図13】エンボス加工システムの内部にある一対のエンボス加工ローラと、本発明の例示的な実施形態によるエンボス加工カセットとの概略図である。
図14図13の例によるハンドルバーシステムを有するエンボス加工カセットを示している。
図15】本発明の例示的な実施形態によるエンボス加工カセットのオフライン調整のためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
エンボス加工カセットとエンボス加工フレームとの従来技術による一体化は、例えば500mmより大きい幅でエンボス加工することを望む場合、非実用的であることが分かっている。その理由は、従来技術のシステムが重くなりすぎてエンドユーザが取り扱うことができないからである。また、操作中、ローラがずれるという高いリスクが存在する。各ローラは、例えば100kgの質量を超えることもある。したがって、エンボス加工のためにローラを互いに向かって押圧するために、使用される油圧又は空気圧ジャッキが必要である場合があり、そのような油圧又は空気圧ジャッキは、それに応じて寸法決めされなければならず、従来技術の一体化においてはもはや含まれないとするのがよい。
【0028】
本発明は、エンボス加工カセットとエンボス加工フレームとを備えるエンボス加工システムに関する。
【0029】
エンボス加工カセットは、エンボス加工ヘッドとも呼ばれる装置を意味する。エンボス加工システムは、エンボス加工カセットが少なくとも2つのエンボス加工ローラを備え、それらの軸線が互いに平行であることを保証するためにエンボス加工ローラを調整することを可能とするように構成されてもよい。
【0030】
エンボス加工フレームは、エンボス加工カセットを収容するように構成された装置を意味する。エンボス加工システムはさらに、エンボス加工フレームがエンボス加工カセットを支持し、任意であるが少なくとも2つのエンボス加工ローラのためのサーボドライブを含むような態様で構成されてもよい。
【0031】
本発明によるエンボス加工システムは、オンラインエンボス加工、すなわち例えば1000セクション/分超がエンボス加工される生産チェーン(production chain)で使用するのに最も適している。
【0032】
本明細書で述べるエンボス加工システムは、回転式のプロセスを使用して、約10μm~800μmの範囲の厚さを有する薄いホイル(箔)又は薄い包装ホイルの微細なエンボス加工に適している。回転エンボス加工ローラを用いて薄い包装ホイルをエンボス加工することは、食品産業、医薬品、タバコ産業、贅沢品などにおいて周知である。そのような薄い包装ホイルは、シガレットの束又はリスク軽減タバコ製品の周りに巻かれること、又はコーヒータブ又はティータブのための包装材料、チョコレート、バター又は同様の食品のための包装材料、及び医薬品、芳香剤、電子機器、宝石類又は腕時計における包装材料として使用されることを意図したものとされ得る。エンボス加工された薄いホイルは、例えば、金属箔、有機基材と積層された金属箔、紙などの有機基材と積層されたプラスチックフィルム、紙などの有機基材と積層されたポリマーフィルム、金属化紙、金属化ポリマーフィルム、ポリマーフィルム、ハイブリッドポリマーフィルム、又は一般的なハイブリッドを含む群のうちのいずれか1つであってもよい。
【0033】
図1を参照すると、本発明によるエンボス加工システム100の例示的な実施形態が示されている。エンボス加工システム100は、エンボス加工フレーム101と、エンボス加工カセット102とを備える。エンボス加工カセット102は、第1のローラ103及び第2のローラ104のような少なくとも2つのローラと、第1のローラ103及び第2のローラ104を保持するように構成された本体105とを備える。第1のローラ103及び第2のローラ104は本体105に取外し可能に取り付けられ、それは、例えばローラ103、104を交換する必要がある場合に、それらのローラを固定解除して本体105から取り外すために使用することができる取付手段(図1には示されていない取付手段)を使用してそれらのローラが取り付けられることを意味する。エンボス加工カセット102と、エンボス加工カセットを含む要素とは、断面した状態で表されており、例えば、それぞれの回転軸線に沿って長手方向に切断された第1のローラ103及び第2のローラ104を示している。
【0034】
エンボス加工フレーム101は、その内側も見ることができるように、図1に部分的にのみ示されている。例えば、エンボス加工フレーム101は、エンボス加工システム100の任意選択的な特徴部である一対の油圧又は空気圧ジャッキ106を備えていることが分かる。エンボス加工フレーム101は、エンボス加工カセット102を取外し可能に収容するように構成されており、エンボス加工カセット102は、図1のエンボス加工フレーム102の外側に、エンボス加工フレーム101の上部開口部107(この開口部を通してエンボス加工カセット102はエンボスかこうフレーム101に導入され得る)の近傍にあるように表されている。蓋108は、エンボス加工カセット102がエンボス加工フレーム101内に完全に導入されると、上部開口部107を閉じるように構成されている。蓋108は、任意であるが、エンボス加工カセット102と一体であってもよく、又はそれとは別個に設けられてもよい。蓋108は、本体位置決め手段を備えてもよい。
【0035】
エンボス加工フレーム101は、少なくとも1つのエンボス加工フレーム位置決め手段109をさらに備え、これは、例えば、エンボス加工フレーム101に一体的であるピン、又は堅固に固定されたピンとして具現化されてもよい。エンボス加工フレーム位置決め手段109は、エンボス加工カセット102の対応する本体位置決め手段と協働するように構成され(本体位置決め手段は図1では見えない)、この本体位置決め手段は、本例では、対応するエンボス加工フレーム位置決め手段109に嵌合するように寸法決めされた少なくとも1つの穴によって具現化される。エンボス加工フレーム位置決め手段109は、複数であってもよく、エンボス加工フレーム101上の様々な箇所、例えば、エンボス加工カセット102の蓋108と接触するように構成された箇所に配置されてもよい。図1では、蓋108の対応する本体位置決め手段に嵌合するように構成されたそのようなエンボス加工フレーム位置決め手段109が示されている。したがって、エンボス加工カセット102は、互いに協働するエンボス加工フレーム位置決め手段109及び本体位置決め手段によって、予め決められた態様でエンボス加工フレーム101の内側に位置決めされることができる。エンボス加工フレーム位置決め手段109は、対応する本体位置決め手段への導入を比較的容易にする円錐形状のヘッドを有するとよい。典型的には、各軸線方向X、Y及びZにおいて0.02mm~0.06mmの寸法公差が得られる。
【0036】
本体105は、第1のローラ103及び第2のローラ104の各端部のうちの少なくとも1つにそれぞれ調節及び補正するための手段(調整・補正手段)を備えてもよく、かかる手段は、第1のローラ103の各端部に対しては参照符号110及び111が、第2のローラ104の各端部に対しては参照符号112及び113がそれぞれ付けられている。調整・補正手段110~113の各々は、本体105の内部で、すなわち本体105に対して、第2のローラ104の対応する第1のローラ103の回転軸線の位置を調整及び補正することを可能にする。
【0037】
説明のために、図2は、第1のローラ103の先端及びその回転軸線200を概略的に示している。より読みやすくするために、調整・補正手段110は図2には示されていない。回転軸線200の軸線方向は「Z」で示され、この軸線方向に垂直な平面の2次元方向は「X」と「Y」で示されている。
【0038】
図11に表される特定の実施形態では、少なくとも2つのローラのうちの1つ、例えば、第2のローラ104の端部1100のうちの1つにおけるX方向の回転軸線200の位置の調整及び補正は、例えば、偏心ピン1101によって±0.1mmだけ調整及び補正されてもよい。これにより、第1ローラと第2ローラとの回転軸線の位置合わせの精度を0.01mm、すなわち2秒角(arcsec)とすることができる。第2のローラ104の他方の端部1102は、固定回転中心装置(fixed rotation center device)1103に回転可能に固定され、固定回転中心装置1103は、回転軸線200を、この回転軸線200に対して垂直な軸線を中心にして固定回転中心装置1103の周りで回転させるように構成されている(前者は図11に示されていない)。「A」とラベルが付けられた図11の上の図では、偏心ピン1101は中心位置に調整されている。「B」とラベルが付けられた図11の中央の図では、偏心ピン1101は、偏心ピンの回転中心1104から離れる方向に回転軸線200を移動させるように調整されている。「C」とラベルが付けられた図11の下の図では、偏心ピン1101は、回転中心1101に向かう方向に回転軸線200を移動させるように調整されている。ここで図12を参照すると、この図は、2つの拡大部分A及びBを有するエンボス加工システム100の概略図を含んでおり、本発明の例示的な実施形態による、エンボス加工ローラ回転軸線の位置を2つの異なる方向X、Yにおいてそれぞれ調整するための機構を示している。拡大部分Aは、偏心ピン1101の働きを表し、この偏心ピンは、調整偏心カム1200によって調整され、次いで、固定ねじ1201によって正しい位置に固定されるとよい(このような4つの固定ねじが、調整偏心カム1200の近傍に示されている)。
【0039】
加えて、図12に示されるさらなる特定の実施形態では、少なくとも2つのローラのうちの1つの端部の一方における(ここでは第2のローラ103の端部1102における)Z方向の回転軸線200の位置の調整及び補正は、図12の拡大部分Bに示されるように、第1及び第2のローラ103、104のそれぞれの軸線上に取り付けられた歯車800に隣接するノッチディスク(notch-disk)調整機構1202を使用して達成され得る。ノッチディスク調節機構1202は、当該技術分野において周知であり、従って、これ以上詳細には説明しない。なお、歯車800は、第1のローラと第2のローラとを同期回転可能に連結するように構成されており、詳細は後述する。本明細書に記載の調整機構は、0.01mmよりも良好な位置合わせの精度を達成することを可能にする。
【0040】
ここで図13を参照する。この図は、エンボス加工カセット102内の第1のローラ103に対する第2のローラ104の回転軸線200のY方向における位置調整のための例示的なシステムを説明することを意図したエンボス加工システム100の図を含む。これは、図13の「B」とラベルが付けられた中間の図及び図13の「C」とラベルが付けられた下の図、並びに図14を考慮すると明らかになるであろう。「B」とラベルが付けされた図13の中間の図では、第1のローラ103及び第2のローラ104は、エンボス加工システム100のエンボス加工フレーム内に収容されたエンボス加工カセット102内にあると示されている。矢印Yは、第2のローラ104の両端でY方向に調整がされる意図された調整方向を示す。「C」とラベルが付けされた図13の下側の図では、第1のローラ103及び第2のローラ104は、エンボス加工カセット102(エンボス加工フレームから引き出された状態で示されている)内にあると示されている。この下側の図はさらに、ハンドルバーシステム1300を操作するように構成された調整ホイール1301とともにハンドルバーシステム1300を概略的に示している。ここで図14を参照すると、この図は、図13における下側の図のエンボス加工カセット102を上下逆に表している。この位置状態では、エンボス加工カセット102は、ユーザ(図14には示されていない)によって調整ホイール1301を操作することができ、したがって、第1のローラ103に対する第2のローラ104の回転軸線の位置(第1のローラは定位置のままである)をY方向に調整及び補正することができるよう、堅い作業面(図14には示されていない)上に好適に配置することができる。エンボス加工カセット102全体は調整後に再び逆さまにされ、エンボス加工フレーム内に取外し可能に配置されてもよいが、軸線のその新たな調整状態は維持されたままとされる。本明細書で説明されるようなY方向の調整のための例示的なシステムは、1μm~5μmの範囲の位置合わせの公差を維持することを可能にする。
【0041】
ここで図1に戻ると、この図は、案内手段114も含むエンボス加工フレーム101を有する好適な実施形態をさらに示しており、案内手段114は、本体位置決め手段がエンボス加工フレーム位置決め手段109と協働するようにするために、エンボス加工フレーム101内へのエンボス加工カセット102の挿入中にエンボス加工カセット102を案内するように構成されている。エンボス加工フレーム101に取り付けられた衝撃吸収体118は、エンボス加工カセット102がエンボス加工フレームに挿入されてエンボス加工フレーム101の内部の終端位置に到達するときに発生し得る衝撃を吸収するように構成されている。これにより、エンボス加工カセット102をエンボス加工フレーム101内に垂直方向及び/又は水平方向に導入する際の損傷の危険性を実質的になくすことができる。
【0042】
また、エンボス加工フレーム101の内側に取り付けられた任意的な油圧又は空気圧ジャッキ106は、第1のローラ103と第2のローラ104との間の対抗圧力を調整するように構成されている。任意的な油圧又は空気圧ジャッキ106は、圧力伝達プレート116に作用し、標準部品117を介して調整手段112、113に圧力を伝達する。エンボス加工がエンボス加工ローラの幅全体にわたって均一でない特別な場合には、油圧又は空気圧ジャッキは、ローラの両端間に差圧を生成するように構成されてもよいが、これは、次いで、平均的なエンボス加工圧力を変化させることなく行われる。油圧又は空気圧ジャッキ106は、典型的には、最大2×15kNの力を加えるように構成されてもよい。
【0043】
本明細書で上述したように、蓋108は、エンボス加工カセット102がエンボス加工フレーム101内に完全に導入されたときに開口部107を閉鎖するように構成されている。蓋108は、任意的であるが、エンボス加工カセット102と一体であってもよく、又はそれとは別個に設けられてもよい。
【0044】
エンボス加工カセット102がエンボス加工フレーム101内に収容されると、軸線方向X、軸線方向Y及び軸線方向Zにおけるエンボス加工ローラの回転軸線のための調整機構、例えば、本明細書の上記の実施形態に記載されるものは、エンボス加工フレーム101の外部に対して隠れた状態とされる。これは、エンボス加工フレームがエンボス加工カセット、より具体的には調整機構のためのエンクロージャ(囲い)を形成するように構成されるからである。したがって、ハウジングを完成させた後にエンボス加工ローラに対していかなる調整も行うこと又は変更することができなくなる。エンボス加工ローラに対して行われるいかなる調整も、オフラインで、すなわちエンボス加工カセット102がエンボス加工フレーム101から取り外されている間に、行われる必要がある。これにより、エンボス加工カセット102の製造業者は、エンボス加工ローラのいかなる設置も、また対応するいかなる調整も工場で行うことができ、完全に構成されたエンボス加工カセット102をエンボス加工フレーム101(顧客のエンボス加工生産ラインに好適に取り付けられ保持されている)に容易かつ迅速に設置するために供給することができる。したがって、顧客は、エンボス加工生産ラインにおけるローラのいかなる調整にも介入する必要も関与する必要もない。これは、エンボス加工ローラの調整に伴う潜在的な複雑さを考慮すると、特にエンボス加工ローラが取り扱うためには比較的嵩が張り重くなる場合に特に顕著である。
【0045】
図3は、内部をより良く示すために一部のみが示されている図1とは対照的に、エンボス加工フレーム101の完全な形を示す。図3において、エンボス加工カセット102は、上部開口部107を通って垂直方向301に、及び上部開口部107に隣接する側部開口部300を通って水平方向302に、可能な限り同時にエンボス加工フレーム101内に導入される。この例では、蓋108はエンボス加工カセット102の本体105と一体であり、エンボス加工カセット102は、蓋108上のフック303で吊支されることによって吊り上げることができる。図4に示すように、エンボス加工カセット102がエンボス加工フレーム101内に配置されると、ドア400をエンボス加工フレーム101に取外し可能に取り付けて、側部開口部300を閉じることができる。ドア400は、案内手段114と共に、エンボス加工フレーム101内でのエンボス加工カセット102の確実な位置決めを保証する追加の案内手段401を含むことができる。
【0046】
図5は、エンボス加工カセット102をエンボス加工フレーム101内に導入する別の手段を示しており、側部開口部300は導入前、ドア400によって閉鎖されている。この場合、案内手段114及び追加の案内手段401は、本体位置決め手段がエンボス加工フレーム位置決め手段109と協働するように、エンボス加工カセット102をエンボス加工フレーム101内に垂直方向301に沿って挿入する間、エンボス加工カセット102を案内する。
【0047】
ここで図1に戻ると、案内手段114は少なくとも傾斜面115を含んでもよく、この傾斜面115は、エンボス加工フレーム101内へのエンボス加工カセット102の挿入時にエンボス加工カセット102の対応要素(図の斜視図ではエンボス加工カセット102の背後に位置するため、図1では見えない対応要素)で摺動するように構成されている。また、図5は、追加の案内手段401の傾斜面115及びさらなる傾斜面500を示し、図示された例では、エンボス加工カセット102の対応要素が単にそれぞれエンボス加工カセット102上に位置する面であることを明らかにしている。本発明による案内手段を使用すると、約1mの長さを有するローラに対して0.05mm未満の公差で比較的高い位置決め精度を達成することができる。
【0048】
図5において、エンボス加工フレーム101は、オンライン生産設備(図5には示されていないオンライン生産設備)の一部であってもよい任意的な基礎部501上に取り付けられる。基礎部501は、駆動システム502をさらに支持しており、この駆動システムは、エンボス加工フレーム101に挿入されると、駆動システムをエンボス加工カセット102に結合するよう構成された機械結合部を有し、これにより、エンボス加工カセット102内の2つのローラのうちの少なくとも1つを駆動することができる。
【0049】
図6は、オンライン生産設備の一部であり得るラック600上に取り付けられた、エンボス加工カセット102が挿入されたエンボス加工フレーム101を示している。この例では、駆動システム502は、エンボス加工フレーム101上に取り付けられ、エンボス加工カセット102内の2つのローラのうちの少なくとも1つを駆動することを可能にする外部駆動モータ(図6には図示せず)に結合されてもよい。
【0050】
エンボス加工フレームがサーボドライブを含む実施形態では、エンボス加工システムの結合用接続器(インターフェース)は具体的なものではなく、任意の生産ラインで使用できる。
【0051】
好適な実施形態では、少なくとも2つのローラ103及び104は、それぞれ100mm~5000mmの範囲内に含まれる長さを有するが、両方とも互いに調整されるように同じ長さを有する。
【0052】
さらに好適な実施形態では、少なくとも2つのローラ103及び104は加熱ローラである。これは、当該技術分野において周知の態様で具現化されるものであり、図では詳細には示されていない。
【0053】
本明細書に提示されるエンボス加工システムの利点は、少なくとも2つのローラのサイズ及び重量にもかかわらず、エンボス加工カセットをエンボス加工フレームから容易に引き出すことができることである。これは、エンボス加工カセットを比較的短時間で交換することを可能にし、オンライン生産のセッティングの際における生産上の無駄な時間を抑制することを可能とする。全プロセスは、ロボット又は専用の機械によって実行されてもよく、それは図15のフローチャートで示されている。それによると、エンボス加工カセット1500は、上記の例で簡単に図示、説明したように、エンボス加工フレームの前部及び上部の両方から引き出され得る(1501)。エンボス加工カセットは簡単に交換することができるが、その本体に取り付けられた少なくとも2つのローラの保守のために、例えばエンボス加工カセットのローラの調整のために、エンボス加工カセットを引き出すことも可能である。オンライン生産チェーンにおけるエンボス加工フレームからのエンボス加工カセットの分離/引出し1501の後、エンボス加工カセットはオフライン状態にあり、これは、エンボス加工カセットがオンライン生産ラインにおいてアクティブでないことを意味する。その時点で、第1及び第2のローラがエンボス加工カセット内に位置決めされてもよい(1502)。これは、エンボス加工カセットを引き出す前に既に使用されていたローラに関係する場合があり、その場合、位置決めは、実際には再位置決めであってもよいし、交換される新しいローラであってもよい。次のステップでは、本体に取り付けられた各ローラの位置が調整及び補正されるとよく、この調整及び補正は、対応のローラの各端部の少なくとも1つ、回転軸線の位置について、以下のうちの少なくとも2つ(軸線方向と、この軸線方向に直交する平面の2次元のうちの少なくとも1つとにおいて)を調整及び補正することによって行われる(1503)。これは、第1及び第2のエンボス加工ローラのそれぞれの少なくとも1つについて複数の調整・補正手段を作動させることによって行われる。この1つの目的は、回転軸線の平行度の完全な調整を達成することであってもよい(1504)。図2は、軸線方向及び軸線方向に垂直な平面の概念を示す。
【0054】
好適な実施形態では、エンボス加工カセットは、その後、オンライン生産チェーンのエンボス加工フレーム内に収容される。これにより、複数の調整・補正手段は、エンボス加工フレームの外側から見えなくなる。
【0055】
図7は、エンボス加工フレーム101と、基礎部501上に取り付けられたエンボス加工カセット102とを備えるエンボス加工システムの例示的な実施形態を示すが、油圧ジャッキ106は、エンボス加工フレーム101の外側にて、基礎部501上に直接取り付けられている。油圧又は空気圧ジャッキ106によって生成される力は、レバーバー700によってローラに伝達され得る。
【0056】
エンボス加工システム100は、直径が異なる少なくとも2つのローラの組合せで構成されてもよい。
【0057】
少なくとも2つのローラの各々の直径は、典型的には50mm~800mmの範囲内とすることができる。
【0058】
図8は、実質的に同じ直径を有するローラを備えた例示的な実施形態を示している。加えて、図8は、各ローラの軸線上に取り付けられ、ローラを互いに連結するように構成された歯車800を示す。同じ直径は例えば130mmとすることができる。
【0059】
図9は、実質的に同じ直径を有するが、図8で使用されるものよりも大きい直径を有するローラを備えたさらなる例を示す。同じ直径は例えば180mmとすることができる。
【0060】
図10は、一方が例えば90mmの直径を有し、他方が180mmの直径を有する、互いに異なる直径を有するローラを備えたさらなる例を示す。
【0061】
ローラは、かかるローラの幅全体にわたってより均一なエンボス加工構造を得るために反っていてもよい。これは、当該技術分野では周知であり、図には示していない。
【0062】
一般的に言えば、エンボス加工の品質の必要性に応じて、エンボス加工ローラは、円筒形、凸状又は凹状であってもよい。
【0063】
ローラはステンレス鋼を含むものとしてもよく、その表面にエンボス加工構造をレーザ彫刻してもよい。好適な実施形態では、エンボス加工ローラは、例えば、パトリックス(patrix)/マトリックス構成などの調和した同期構造設計を呈する。
【0064】
ステンレス鋼は、全体積又は表面層(<0.5mm)上で硬化されてもよい。このようにして得られたローラは、サンドブラストされ、ピーニング硬化されてもよい。
【0065】
好適な実施形態では、エンボス加工ローラは、その耐摩耗性を高めるために、硬質コーティング又は別の表面処理を施してもよい。例えば、エンボス加工ローラは、PVDによって得られる摩耗低減コーティングを備えてもよい。
【0066】
エンボス加工ローラは、55~65HRCの初期硬度を有する粉末冶金によるもの又は鋳造によるもののいずれかであってもよく、265nm~1065nmの波長及び0.2ps~20psのパルス持続時間を有するレーザパルスを有するレーザ源を用いてレーザ彫刻されたものでもよい。
【0067】
好ましくは、エンボス加工カセット内のローラの同期微調整が、専用のエンボス加工ユニットを使用して、内部部品がエンボス加工フレーム内にまだ取り付けられていない状態で実行され検証される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
【国際調査報告】