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特表2022-551827増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物
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  • 特表-増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物 図1
  • 特表-増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物 図2-3
  • 特表-増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物 図4
  • 特表-増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物 図5-6
  • 特表-増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物 図7
  • 特表-増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】増強されたバイオアベイラビリティを有するルテインおよびゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/047 20060101AFI20221207BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20221207BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K31/047
A61P3/02
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/70
A61K9/14
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/24
A61K47/22
A61K9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520052
(86)(22)【出願日】2020-10-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 IB2020059534
(87)【国際公開番号】W WO2021074763
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】201921041676
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515202449
【氏名又は名称】オムニアクティブ ヘルス テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ティー.ケー.,スニル クマール
(72)【発明者】
【氏名】ナラワデ,プラビン
(72)【発明者】
【氏名】ラル,ジャンジール モハン
(72)【発明者】
【氏名】モルデ,アブヒジート
(72)【発明者】
【氏名】タカレ,ラビンドラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA23
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA71
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD34
4C076DD46
4C076DD59S
4C076DD63N
4C076EE38
4C076EE53
4C076FF03
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA13
4C206KA17
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA43
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA11
4C206ZC21
(57)【要約】
本発明は、選択的比率で、好ましい粒径のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの選択的異性体、ならびに担体、溶解性エンハンサー、バイオアベイラビリティ増強剤、抗酸化剤および任意により香料剤などの薬学的および/または栄養補助的に許容される賦形剤を含むキサントフィル組成物に関し、これにより、バイオアベイラビリティを増強させる。キサントフィル組成物は、総キサントフィルの少なくとも80%であり、少なくとも65重量%のトランス-R,Rルテインおよび少なくとも10重量%のトランス-R,Rゼアキサンチンを含み、これは、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンが好ましい比率となるように一定の割合でマリーゴールドとパプリカのオレオレジンから組み合わせて調製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)65~85重量%の範囲のトランス-R,Rルテイン;
b)10~30重量%の範囲のトランス-R,Rゼアキサンチン;
c)20~80重量%の範囲の1つ以上の担体および/またはビヒクル;
d)1~10重量%の範囲の1つ以上の溶解性エンハンサー;
e)任意により、1~5重量%の範囲の1つ以上の香料剤;
f)1~10重量%の範囲の1つ以上のバイオアベイラビリティ増強剤;および
g)1~10重量%の範囲の1つ以上の抗酸化剤を含む、キサントフィル組成物であって、
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンは、マリーゴールドおよびパプリカオレオレジンから抽出され、4:1~6:1の比率で存在し、実質的にR,SゼアキサンチンおよびS,Sゼアキサンチンを含まない、キサントフィル組成物。
【請求項2】
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの粒径が、0.1~10ミクロンの範囲である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項3】
担体および/またはビヒクルが、中鎖トリグリセリド(MCT)オイル、ヒマワリオイル、ココナッツオイル、トウモロコシオイル、綿実油、カノーラオイル、パーム油、ピーナッツオイル、ベニバナオイル、ゴマ油、大豆油、菜種油および中鎖トリグリセリドまたはそれらの組み合わせから選択され、好ましくはMCTオイルである、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項4】
前記溶解性エンハンサーが、タイムオイル、オリーブオイル、アマニオイル(フラックスシードオイル)またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項5】
前記バイオアベイラビリティ増強剤が、ニゲラ(ブラッククミンオイル)、キャラウェイ(ヒメウイキョウ)オイル、ホスファチジルコリン(レシチン)、またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項6】
抗酸化剤が、トコフェロールおよびアスコルビン酸ナトリウムまたはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項7】
得られた組成物の前記粒径が、0.1~10ミクロンの範囲である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項8】
前記組成物が、参照に対して1.5~4倍のバイオアベイラビリティの増加を有する、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項9】
前記組成物が、参照に対して2~4倍の血清中濃度の増加を有する、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項10】
前記製剤が、ビーズレット、粉末、油性懸濁液、顆粒、カプセル、錠剤、フィルムの形態である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項11】
前記組成物が、油性懸濁液の形態である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項12】
前記油性懸濁液が、
a)トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンが、請求項1に記載のマリーゴールドおよびパプリカオレオレシンから4:1~6:1の選択比で得られるステップと;
b)エアジェットミルを使用することによって、ステップ(a)のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを微粉化し、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を得るステップと;
c)ステップ(b)で得られた微粉化トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンが、担体および/またはビヒクルと混合されるステップと;
d)香料剤と共にステップ(c)に溶解性エンハンサーを添加するステップと;
e)ステップ(d)にバイオアベイラビリティ増強剤および抗酸化剤を添加するステップと;
f)ステップ(e)で得られた前記懸濁液を、ボールミルを使用して混合し、均質な油性懸濁液を得るステップと;
g)ステップ(f)から得られた前記混合物をふるいにかけて、その結果得られた粒径の油性懸濁液を得るステップと;を含むことによって調製される、請求項10に記載のキサントフィル組成物。
【請求項13】
前記ビーズレットが、以下のステップ:
a)トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンが、請求項1に記載のマリーゴールドおよびパプリカオレオレシンから4:1~6:1の選択比で得られるステップと;
b)エアジェットミルを使用することによって、ステップ(a)のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを微粉化し、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を得るステップと、
c)微粉化トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを二塩化メチレンに溶解し、その後抗酸化剤および任意でバイオアベイラビリティ増強剤に溶解し、加温し、その後、前記溶液を冷却し、濾過して、透明な茶色がかった色の溶液を得るステップと;
d)加工でんぷんを水に溶解し、透明な溶液になるまで加温し、室温まで冷却するステップと;
e)撹拌しながらステージ(c)の溶液をステージ(d)の溶液に混合し、均質化下でアスコルビン酸ナトリウムを前記混合物に添加するステップと;
f)ステップ(e)の溶液をロータリーエバポレータに加え、真空下で二塩化メチレンを除去し、冷却するステップと;
g)流動化下において乾燥デンプンに対して、ステップ(f)の溶液を噴霧するステップと;
h)コーティングされた黄斑カロテノイドビーズレットを収集し、乾燥させるステップと、を含むことによって調製される、請求項10に記載のキサントフィル組成物。
【請求項14】
前記ビーズレットが、以下のステップ:
a)トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンは、請求項1に記載のマリーゴールドおよびパプリカオレオレシンから4:1~6:1の選択比で得られるステップと;
b)エアジェットミルを使用することによって、ステップ(a)のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを微粉化し、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を得るステップと、
c)前記加工デンプンおよびアスコルビン酸ナトリウムを温水に分散させて、透明な溶液を形成させるステップと;
d)微粉化したトコフェロールをステップ(c)の分散液に添加するステップと;
e)均一に混合するためにポリトロン高せん断撹拌機下で加工し、サイズ縮小のために水平粉砕機を通過させるステップと、を含むことによって調製される、請求項10に記載のキサントフィル組成物。
【請求項15】
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの前記比が5:1である、請求項1、12(a)、13(a)、および14(a)に記載のキサントフィル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、ルテインおよびゼアキサンチンの選択的異性体と、薬学的および/または栄養補助的に許容される賦形剤および溶解性エンハンサー、抗酸化剤を、活性物質のバイオアベイラビリティを増強するバイオ増強剤(bio-enhancing agent)と共に含むキサントフィル組成物に関する。本発明は、特に、選択的トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチン、および少なくとも1つのバイオアベイラビリティ増強剤、溶解性エンハンサー、および抗酸化剤を含むキサントフィル組成物に関する。本発明はさらに、総キサントフィルの80%を超えるキサントフィル組成物に関し、本組成物は、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンなどの選択的異性体から構成される。本発明は、より具体的には、少なくとも80重量%のトランス-R,Rルテインおよび少なくとも15重量%のトランス-R,Rゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物に関し、これは、産業的に実行可能なプロセスを使用する2つの異なる植物源からの抽出プロセスによって調製される。本発明はさらに、ビヒクル/担体および選択的溶解性エンハンサー、抗酸化剤およびバイオ増強剤として、好ましい油中における選択的範囲の粒径を得るために、微粉化プロセスの組み合わせによる、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物のバイオアベイラビリティの増強に関する。この驚くほど改善されたバイオアベイラビリティは、好ましい油中においてビヒクルとして選択的範囲の粒径を得るための微粉化プロセスと、驚くべきことにバイオアベイラビリティの改善を発揮する溶解度増強剤および抗酸化剤を含む選択的バイオ増強剤との組み合わせ効果によるものである。本発明はさらに、ルテインおよびゼアキサンチンのトランス-R,R異性体を特定の比率で含み、薬学的または栄養学的に許容される賦形剤または担体またはそれらの混合物を使用して、ビーズレット、粉末、油性懸濁液、顆粒、カプセル、錠剤、フィルムまたは他の任意の好適な経口剤形、非経口剤形または局所剤形など、異なる形態でさらに製剤化され得るキサントフィル組成物に関する。本発明はさらに、R,Sゼアキサンチンを実質的に含まず、様々な眼および脳の健康用途において使用されるヒトの消費に好適であるキサントフィル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然キサントフィルは、様々な植物源および動物源に十分に存在し、それらに由来する。天然キサントフィルの有益な健康への効果およびその抗酸化性は、全科学文献において十分に報告されている。身体によるこれらの特性の効果的な利用に対する唯一の障害は、これらの栄養素のバイオアベイラビリティが低いことおよび高度に酸化可能な性質であることである。バイオアベイラビリティの必要性を長く感じていたことを理解することは、健康補助食品および薬物の用量を最適化する助けとなる。
【0003】
多くのキサントフィル栄養素の経口バイオアベイラビリティは、胃腸液への低溶解度;分子構造;消化管内で化学変換を引き起こす酵素の代謝;低上皮細胞透過性、膜輸送体、腸内細菌叢との相互作用などの物理化学的および生理学的プロセスのために制限されている。これらの剤のバイオアベイラビリティは、胃腸管内でのそれらの放出、可溶化、輸送、代謝、および吸収を制御する組成物を特別に設計することによって改善できる。ヒトまたは獣医学での用途の栄養補助食品の形態で使用するための黄斑(macular)栄養素の低いバイオアベイラビリティのこれらの問題に対処するために、様々なアプローチが使用されてきたが、バイオアベイラビリティを改善する必要性が強く感じられている。アプローチには、食品グレードの溶媒および工業的に実行可能な抽出、アルカリによる処理、中和、精製のプロセスを使用して、2つの異なる植物源の抽出物から調製される、特定の重量パーセントのトランス-R,Rゼアキサンチンおよびトランス-R,Rルテインを含む組成物を含み、微粉化による選択的粒径と、好ましい担体またはビヒクルと、バイオアベイラビリティ増強剤と、をさらに製剤化することを含み、これにより、組み合わせ効果をもたらし、結果として、バイオアベイラビリティの増強がもたらされる。
【0004】
米国特許第6075058(A)号は、カロテノイドのバイオアベイラビリティを高めるための組成物について教示している。この米国特許では、200マイクログラムのカロテノイドルテインおよび125マイクログラムのカロテノイドゼアキサンチン、ならびに10mgのコレステロール、100mgのオリーブオイル、20mgの卵黄リン脂質、250マイクログラムのアルファトコフェロール、および0.375mlの0.15M塩化ナトリウム水溶液の混合物を教示している。
【0005】
WO1999/047001は、カロテノイドの吸収を増加させる方法、より具体的には、リゾレシチンおよびレシチンの使用により、ヒトおよび家禽においてルテインおよびゼアキサンチンの吸収およびバイオアベイラビリティを増加させる方法に関する。
【0006】
IN201821036199は、(トランスRR)-ルテインおよび(トランスR,R)-ゼアキサンチンを含む精製キサントフィル組成物に関するものであり、これは、総キサントフィルの80%超を占め、それらを調製するための方法である。精製キサントフィル組成物は、少なくとも85重量%の(トランスR,R)-ルテインおよび少なくとも15重量%の(トランスR,R)-ゼアキサンチンなどの選択的異性体から構成される。組成物は、抽出のプロセスによって調製される。これは工業的に実行可能なプロセスであり、食品グレードの極性および非極性溶媒を使用することによって精製が行われる。本発明は、主に、組成物を調製するためのプロセスについて記載しており、製剤組成物については全面的に言及していない。
【0007】
本発明の発明者らは、トランス-R,Rゼアキサンチンの選択的異性体と、トランス-R,Rルテインの選択的異性体とを含むキサントフィル組成物を調製するための厳密な実験を実施した。この組成物は、2つの異なる植物源の抽出を行い、キサントフィルエステルリッチ抽出物をアルコール性アルカリでの処理を行うことにより調製される。次に、得られた反応混合物を、食品グレードの極性および無極性溶媒を使用する抽出、単離、および精製プロセスにかけ、少なくとも15重量%のトランス-R,Rゼアキサンチン異性体を少なくとも80重量%のトランス-R,Rルテインと組み合わせて含むキサントフィル組成物を選択的に得る。
【0008】
本発明者らは、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物のバイオアベイラビリティの増強は、ビヒクルとして、好ましい油中において選択的範囲の粒径を得るための微粉化プロセスと、バイオアベイラビリティの驚くべき改善を発揮する選択的バイオ増強剤、溶解性エンハンサーおよび抗酸化剤との組み合わせ効果によるものであることを見出した。
【0009】
本発明の目的
本発明の主な目的は、食品グレードの溶媒および工業的に実行可能なプロセスを使用して、2つの異なる植物源の抽出物から調製される、特定の重量パーセントのトランス-R,Rゼアキサンチンと共にトランス-R,Rルテインを選択的に含むキサントフィル組成物を提供することであり、薬学的および/または栄養補助食品として許容されている賦形剤を用いて製剤化することにより、バイオアベイラビリティが増強する。
【0010】
本発明のさらなる主目的は、ビヒクルとして好ましい油中における選択的範囲の粒径を得るための微粉化プロセスと、バイオアベイラビリティの驚くべき改善を発揮する選択的バイオ増強剤、溶解性エンハンサーおよび抗酸化剤との組み合わせ効果による、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物のバイオアベイラビリティを増強することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、ルテインのトランス-R,R異性体およびゼアキサンチンのトランス-R,R異性体を特定の比率で含むキサントフィル組成物を提供することであり、薬学的もしくは栄養学的に許容されている賦形剤および/または担体を使用して、ビーズレット、粉末、油性懸濁液、顆粒、カプセル、錠剤、フィルム、または任意の他の好適な経口、非経口または局所剤形など、異なる形態でさらに製剤化される。
【0012】
本発明の別の目的は、トランス-R,Rゼアキサンチンおよびトランス-R,Rルテインならびに選択的バイオエンハンサーを含むキサントフィル組成物を提供することであり、これは、試験製剤の90%信頼区間がより統計的に有意であり(すなわち生物学的同等性の基準の80~125%より高い)、バイオアベイラビリティが増強していることを示す。これは、参照製剤と比較して、優れたバイオアベイラビリティを示す。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、総キサントフィルのうちの少なくとも80%を含むキサントフィル組成物を提供することであり、これは、少なくとも80重量%のトランス-R,Rルテインおよび少なくとも15重量%のトランス-R,Rゼアキサンチンからさらに構成される。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、トランス-R,Rゼアキサンチンおよびトランス-R,Rルテインなどの選択的異性体から構成され、R,SおよびS,Sゼアキサンチンを実質的に含まないキサントフィルリッチ組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらにもう1つの目的は、単位操作を伴う特定の反応条件を使用することによって特定の割合で食品グレードの溶媒で処理することによって調製されるキサントフィルエステルを含む、2つの異なる植物源の抽出物から得られる組成物を提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの重要な目的は、マリーゴールドおよびパプリカなどの2つの異なる植物源の抽出物から調製されるキサントフィルリッチ組成物を提供することである。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、2つのキサントフィルエステルリッチ抽出物を一定の割合で混合し、反応混合物をアルコールアルカリで処理し、その後中和単離し、精製プロセスを行うことによって調製され、所望の純度のキサントフィル組成物を得るキサントフィル組成物の調製プロセスを提供することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、微粉化により粒径を選択すること、および選択的バイオエンハンサー、溶解性エンハンサー、抗酸化剤および任意による香料剤と共にビヒクルとしての好適な油をさらに添加すること、および混合して油性懸濁液の形態のキサントフィル組成物を得ることを提供する。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、ビーズレットを調製するために、トランス-R,Rゼアキサンチンおよびトランス-R,Rルテインと、少なくとも1つの薬学的および/または栄養補助的に許容される賦形剤とを選択的に含むキサントフィル組成物を提供することである。
【0020】
本発明のもう1つの目的は、R,SおよびS,Sゼアキサンチンを実質的に含まず、様々な眼および脳の健康用途で使用されるヒトの消費に好適であるキサントフィル組成物を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の一態様によれば、
i)65~85重量%の範囲のトランス-R,Rルテイン;
ii)10~30重量%の範囲のトランス-R,Rゼアキサンチン;
iii)10~80重量%の範囲の1つ以上の担体および/またはビヒクル;
iv)1~10重量%の範囲の1つ以上の溶解性エンハンサー;
v)1~5重量%の範囲の1つ以上の香料剤;
vi)1~10重量%の範囲の1つ以上のバイオアベイラビリティ増強剤;および
vii)1~10重量%の範囲の1つ以上の抗酸化剤を含み、
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンは、マリーゴールドおよびパプリカオレオレジンから抽出され、4:1~6:1、好ましくは5:1の比率で存在し、実質的にR,SおよびS,Sゼアキサンチンを含まない、キサントフィル組成物が提供される。
【0022】
本発明はさらに、油性懸濁液およびビーズレットとしての製剤を調製するためのプロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1~8によると、生成物A(Micro OS R+)として指定されたグラフは、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチン組成物として読み取られる。参照は生成物Bである。
図1】Micro OS R+および参照の血清トランス-R,Rルテイン濃度と時間のベースライン補正平均±SDの比較線形プロットを示す図である。図1は、Micro OS R+群のベースライン補正血清トランス-R,Rルテイン濃度が、投与後2~72時間の時点で、参照群と比較して有意に高かったことを明らかにしている(P<0.05)。
図2】トランス-R,Rルテインの薬物動態パラメータ-Cmax、AUC0-72およびAUC0-T:(Micro OS R+対参照)を示す図である。図2および図3は、参照群と比較して、Micro OS R+群がトランス-R,Rルテインについて、有意に高い吸収を示したことを明らかにしている。これは、Cmaxが2.5倍であり、AUC0-72が2.9倍であり、AUC0-Tレベルが3.2倍であることから明白である。
図3】トランス-R,Rルテインの薬物動態パラメータ-Cmax、AUC0-72およびAUC0-T:(Micro OS R+対参照)を示す図である。図2および図3は、参照群と比較して、Micro OS R+群がトランス-R,Rルテインについて、有意に高い吸収を示したことを明らかにしている。これは、Cmaxが2.5倍であり、AUC0-72が2.9倍であり、AUC0-Tレベルが3.2倍であることから明白である。
図4】Micro OS R+および参照の血清トランス-R,Rゼアキサンチン濃度と時間のベースライン補正平均±SDの比較線形プロットを示す図である。図4は、Micro OS R+群のベースライン補正血清トランス-R,Rゼアキサンチン濃度が、投与後4~72時間の時点で、参照群と比較して有意に高かったことを明らかにしている(P<0.05)。
図5】トランス-R,Rゼアキサンチンの薬物動態パラメータ-Cmax、AUC0-72およびAUC0-T:(Micro OS R+対参照)を示す図である。図5および図6は、参照群と比較して、Micro OS R+群がトランス-R,Rゼアキサンチンについて、有意に高い吸収を示したことを明らかにしている。これは、Cmaxが1.7倍であり、AUC0-72およびAUC0-Tレベルが2.2倍であることから明白である。
図6】トランス-R,Rゼアキサンチンの薬物動態パラメータ-Cmax、AUC0-72およびAUC0-T:(Micro OS R+対参照)を示す図である。図5および図6は、参照群と比較して、Micro OS R+群がトランス-R,Rゼアキサンチンについて、有意に高い吸収を示したことを明らかにしている。これは、Cmaxが1.7倍であり、AUC0-72およびAUC0-Tレベルが2.2倍であることから明白である。
図7】油性懸濁液を調製する前のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの粒径を示す図である。
図8】油性懸濁液を調製する後のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの粒径を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンなどの選択的異性体を含むキサントフィル組成物、およびそれらを調製するためのプロセスに関する。本発明は、具体的には、総キサントフィルの80%超を占めるキサントフィル組成物に関する。これは、少なくとも80重量%のトランス-R,Rルテインおよび少なくとも15重量%のトランス-R,Rゼアキサンチンをさらに含む。このプロセスは、2つの異なる植物源から得られたキサントフィルエステルを含む抽出物を一定の割合で混合し、さらに処理して、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを所望のパーセンテージで選択的に含むキサントフィル組成物を得ることから構成される。トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物のバイオアベイラビリティの増強は、ビヒクルとしての好ましい油中の選択的範囲の粒径を得るための微粉化プロセスと、香料剤を含む選択的生物学的増強剤、溶解性エンハンサーおよび抗酸化剤との組み合わせ効果によるものであり、これは、驚くべきことに、基準に対して1.5~4倍のバイオアベイラビリティの改善を発揮する。ルテインのトランス-R,R異性体およびゼアキサンチンのトランス-R,R異性体を特定の比率4:1~6:1で含むこのキサントフィル組成物は、薬学的もしくは栄養学的に許容される賦形剤および/または担体を使用するビーズレット、粉末、油性懸濁液、顆粒、カプセル、錠剤、フィルム、または任意の他の好適な経口、非経口または局所剤形などの様々な形態でさらに製剤化される。キサントフィル組成物は、R,SおよびS,Sゼアキサンチンを実質的に含まず、様々な眼および脳の健康用途で使用されるヒトの消費に好適である。
【0025】
本発明の実施形態によれば、特定の重量パーセントのトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを選択的に含むキサントフィル組成物は、食品グレードの溶媒および工業的に実行可能なプロセスを使用して、2つの異なる植物源の抽出物から調製され、アルカリによる処理、中和、単離、精製、ならびに薬学的および/または栄養補助として許容されている賦形剤を用いた製剤化により、バイオアベイラビリティが増強する。
【0026】
本発明の文脈において、「キサントフィル組成物」という用語は、ルテインおよびゼアキサンチンの選択的異性体などのキサントフィルから構成される組成物を意味し、これは、2つの異なる植物源から調製され、食品グレードの溶媒を使用することによって精製され、その結果、組成物はトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンから選択的に構成される。さらに重要なことに、この組成物は、ゼアキサンチンのR,SおよびS,S異性体を実質的に含まない。
【0027】
本発明の主な実施形態によれば、キサントフィル組成物は、総キサントフィルの少なくとも80重量%を選択的に占め、そのうちの少なくとも65~85重量%は、トランス-R,Rルテインであり、少なくとも10~30重量%は、トランス-R,Rゼアキサンチンであり、これは、栄養およびヘルスケアにとって有用である。
【0028】
本発明の重要な実施形態によれば、抽出に使用される植物材料は、これらに限定されないが、キウイ果実、ブドウ、ホウレンソウ、オレンジジュース、ズッキーニ(またはベジタブル・マロウ)などの果物、花および野菜、および様々な種類のカボチャ、パプリカ、他の暗緑色葉野菜、パセリ、ケール、卵黄、トウモロコシなど様々な供給源から選択され得る。本発明の実施形態の1つによれば、本組成物の調製のために選択される植物材料は、マリーゴールドの花(センジュギク)およびパプリカのハイブリッド種である。特にルテインエステルリッチ抽出物は、マリーゴールドの花から得られ、ゼアキサンチンエステルリッチ抽出物は、特定の種類のパプリカから得られる。
【0029】
本発明のもう1つの実施形態によれば、特定のパーセンテージのキサントフィル含有量を含むマリーゴールドの花が選択され、加工されて(特定の条件下で食品グレードの溶媒を使用して抽出される)、ペレットが得られる。約14~17重量%のルテインエステルを含む抽出物が、さらなる加工のために得られる。
【0030】
本発明のもう1つの実施形態によれば、約0.04~0.08重量%のR,Rゼアキサンチン含有量を有する新鮮なパプリカ果実莢が選択され、特定の水分レベルおよびトランス-R,Rゼアキサンチン含有量まで乾燥させる。乾燥トウガラシ(パプリカ)を小片に切断して粉末を得て、食品グレードの溶媒で処理して、3~4重量%のR,Rゼアキサンチンエステルを有する抽出物を得る。
【0031】
マリーゴールドの花(学名-センジュギク、キク科):メキシコ原産のマリーゴールド属の種である。アジア、アフリカ、および南アメリカで栽培されている。マリーゴールドは、カルナタカ、特にハッサン、チクマガルール、マイソール、チャマラジャナガル、ダバンゲレの地域でも栽培されている。さらに加工するために、マリーゴールドの花は、インドのハッサン(カルナタカ)およびカンガヤム(タミル・ナードゥ)にある施設に納入される。抽出は、キサントフィルが豊富である組成物を調製するために手動介入によって実施され、これは、トランス-R,Rゼアキサンチン異性体およびトランス-R,Rルテインを特定の重量パーセントで選択的に含み、マリーゴールドの花の天然に存在する組成物とは明らかに異なり、豊富にあり、ヒトの消費のために安全である。
【0032】
本発明で使用される別の供給源は、北アメリカ南部および南アメリカ北部原産の植物属トウガラシ(コショウ(pepper))の種であるパプリカ(トウガラシ(Capsicum annuum))である。この種は、5つの在来トウガラシの中で最も一般的であり、広く栽培されている。本発明の目的のために、原材料は、インド国外から購入してよいか、またはカルナタカでトウガラシとして栽培してもよい。
【0033】
キサントフィル組成物は、総キサントフィルの少なくとも80重量%を占め、そのうちの少なくとも65重量%がトランス-R,Rルテインであり、少なくとも10重量%がトランス-R,Rゼアキサンチンである。
【0034】
好ましい実施形態によれば、組成物は、R,SおよびS,Sゼアキサンチンを実質的に含まない。
【0035】
一実施形態では、キサントフィル組成物は、4:1~6:1の比率のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンから構成される。
【0036】
一実施形態では、キサントフィル組成物は、5:1の比率のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンから構成される。
【0037】
一実施形態では、キサントフィル組成物は、10~15mgのトランス-R,Rルテイン、および2~3mgのトランス-R,Rゼアキサンチンから構成される。
【0038】
一実施形態では、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物は、0.1~10ミクロンの範囲である。
【0039】
一実施形態では、粒径を有する実施例1に従って得られる油性懸濁液組成物は、0.1~10ミクロンの範囲にある。
【0040】
一実施形態では、キサントフィル組成物は、参照(生成物B)に対して、1.5~4倍のバイオアベイラビリティの増加を含む。
【0041】
本発明のさらに1つの実施形態によれば、本明細書に記載のキサントフィル組成物は、少なくとも1つの医薬品、栄養補助食品または食品グレードの賦形剤またはそれらの組み合わせを使用して製剤化され得る。賦形剤は、バイオアベイラビリティ増強剤、担体/ビヒクル、造粒剤、不活性コア、コーティング剤、溶媒、希釈剤、結合剤、滑剤、崩壊剤、抗酸化剤、油、界面活性剤、可溶化剤、乳化剤、または他の任意の賦形剤から選択され、これは、対象にとって許容可能である味の良い剤形を調製するために必要な賦形剤として、当業者にとっては既知のものである。
【0042】
本発明のさらなる実施形態によれば、バイオアベイラビリティ増強剤は、ニゲラ(ブラッククミンオイル)、キャラウェイ(ヒメウイキョウ)オイル、ホスファチジルコリン(レシチン)、スターチオクテニルコハク酸ナトリウム、オールスパイスベリー、アンバーエッセンス、アニスシード、アルニカ 、ペルーバルサム、バジル、ベイリーフ、ベンゾインガム、ベルガモット、ボワドローズ(ローズウッド)、カユプテ、カレンデュラ(ポットマリーゴールド)、ホワイトカンファー、キャラウェイシード、カルダモン、キャロットシード、シダーウッド、セロリ、カモミール(ドイツまたはハンガリー)、カモミール(ローマまたは英語)、シナモン、シトロネラ、クラリーセージ、クローブバッド、コリアンダー、クミン、ヒノキ、ユーカリ、フェンネル、シベリアファーニードル、フランキンセンス(オリバナムオイル)、ニンニク、ローズゼラニウム、ジンジャー、グレープフルーツ、ヒソップ、ジャスミンアブソリュート、ホホバ、ジュニパーベリー、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、スイートマジョラム、マグワート、ムレインフラワー、ミルガム、ビガラードネロリ、ナツメグ、ビターオレンジ、スイートオレンジ、オレガノ、パチュリ、ペニーロイヤル、ブラックペッパー、ペパーミント、プチグレイン、パインニードル、ヨウシュヤマゴボウ、ローズアブソリュート、ローズヒップシード、ローズマリー、ダルメーションセージ、サンダルウッドオイル、サッサフラス、スペアミント、スパイケナード、スプルース(ヘムロック)、タンジェリン、ティーツリー、トゥジャ(シダーリーフ)、タイム、バニラエッセンス、ベチバー 、ウィンターグリーン、ウィッチヘーゼル(ハマメリア)エキス、またはイラン(カナンガ)エキスまたはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、バイオアベイラビリティ増強剤は、ニゲラ(ブラッククミンオイル)、キャラウェイ(ヒメウイキョウ)オイル、ホスファチジルコリン(レシチン)から選択される。
【0044】
さらなる実施形態によれば、バイオアベイラビリティ増強剤は、組成物の1~10重量%の範囲で存在する。
【0045】
さらなる実施形態によれば、バイオアベイラビリティ増強剤は、組成物の1~5重量%の範囲で存在する。
【0046】
さらなる実施形態によれば、バイオアベイラビリティ増強剤は、組成物の1~3重量%の範囲で存在する。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、溶解性エンハンサーは、タイムオイル、オリーブオイル、アマニオイル(フラックスシードオイル)またはそれらの混合物から選択することができる。
【0048】
さらなる実施形態によれば、溶解性エンハンサーは、組成物の1~10重量%の範囲で存在する。
さらなる実施形態によれば、溶解性エンハンサーは、組成物の1~5重量%の範囲で存在する。
【0049】
本発明のさらなる実施形態によれば、抗酸化剤は、これらに限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、混合トコフェロール、アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、デルタ-トコフェロール、合成ラセミトコフェロールおよびトコフェロールエステルまたはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0050】
さらなる実施形態によれば、抗酸化剤の範囲は、組成物の1~10重量%である。さらなる実施形態によれば、抗酸化剤は、組成物の1~10重量%の範囲で存在する。さらなる実施形態によれば、抗酸化剤は、組成物の1~5重量%の範囲で存在する。さらなる実施形態によれば、抗酸化剤は、組成物の1~3重量%の範囲で存在する。
【0051】
本発明のさらなる実施形態によれば、担体/ビヒクルは、これらに限定されないが、ヒマワリオイル、ココナッツオイル、トウモロコシオイル、綿実油、カノーラオイル、オリーブオイル、パーム油、ピーナッツオイル、ベニバナオイル、ゴマ油、大豆油、菜種油および中鎖トリグリセリド(MCT)オイル、またはそれらの組み合わせなどから選択され得る。
【0052】
本発明のさらなる実施形態によれば、親水性担体は、これらに限定されないが、以下から選択され得る:アルキルセルロース(メチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびそのアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩)、カルボキシアルキルアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルエチルセルロース)、カルボキシアルキルセルロースエステル(例えば、カルボキシメチルセルロースブチレート、カルボキシメチルセルロースプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレートおよびカルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート)などのセルロースまたはそれらの組み合わせ;
ポリアクリレート、例えば、ポリメタクリレート、メタクリレートコポリマー(例えば、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、ジメチルアミノエチルメタクリレート-ブチルメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー、およびジエチルアミノエチルメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー)、およびメタクリル酸コポリマー(例えば、メタクリル酸エタクリル酸コポリマー)またはそれらの組み合わせ;ポビドン、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニルフタレート(PVAP)、およびポリエチレングリコールポリビニルアセテートコポリマー(例えば、ポリエチレングリコール-ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテートコポリマー))またはそれらの組み合わせ;
デンプンおよびデンプン誘導体、例えば、加工デンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン、デキストリン、酸処理デンプン、アルカリ処理デンプン、漂白デンプン、酸化デンプン、酵素処理、モノデンプンホスフェート、ジデンプンホスフェート、ホスフェートジデンプンホスフェート、アセチル化ジデンプンホスフェート、デンプンアセテート、アセチル化ジデンプンアジペート、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルジデンプンホスフェート、ヒドロキシプロピルジデンプングリセロール、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム、アセチル化酸化デンプンおよびマルトデキストリンまたはそれらの組み合わせ;
アルギン酸ペクチン、カラゲナン寒天、アラビアゴム、トラガカンスガム、カラヤガム、ガッティガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、ジェランガムおよびウェランガムなどのガムまたはそれらの組み合わせ;フルクタン、スクロース、グルコースおよびフルクトースなどの糖またはそれらの組み合わせ。
【0053】
好ましい実施形態によれば、担体は、MCTオイルである。さらなる実施形態によれば、MCTオイルは、組成物の20~80重量%の範囲で存在する。さらなる実施形態によれば、MCTオイルは、組成物の50~70重量%の範囲で存在する。
【0054】
好ましい実施形態によれば、担体は、加工デンプンである。さらなる実施形態によれば、デンプンは、組成物の10~40重量%の範囲で存在する。
さらなる実施形態によれば、デンプンは、組成物の10~30重量%の範囲で存在する。さらなる実施形態によれば、デンプンは、組成物の10~20重量%の範囲で存在する。
【0055】
一実施形態によれば、トランスを豊富に含むルテインおよびゼアキサンチンのトランス-R,R異性体を特定の比率で含むキサントフィル組成物は、薬学的または栄養学的に許容される賦形剤および/または担体を用いて、ビーズレット、粉末、油性懸濁液、顆粒、カプセル、錠剤、フィルムまたは他の任意の好適な経口剤形、非経口剤形または局所剤形などの異なる形態、好ましくは、油性懸濁液およびビーズレットでさらに製剤化され得る。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、ビーズレットを製造するためのプロセスは、カロテノイドエマルジョンを正方形のチャンバに噴霧すること、それをコールドマトリックスベッドに埋め込むことを含み、正方形のチャンバは、ジャケット付き容器を通して冷水の連続回転および循環を提供する。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、カロテノイドエマルジョンを調製するためのプロセスは、溶媒相および水相を含み、この2つの相を特定の条件下で撹拌しながら混合してエマルジョンを得る。本明細書に記載の溶媒相は、特定の条件で、有機溶媒、抗酸化剤、および少なくとも1つ以上の油性賦形剤を含む溶媒相に活性物質を溶解し、それを濾過してあらゆる不溶性残留物を除去することによって調製される。本明細書に記載の水相は、親水性担体および抗酸化剤を水に溶解することによって調製される。
【0058】
本発明のもう1つの実施形態によれば、溶媒相を撹拌しながら水相に加えてエマルジョンを得て、高圧ホモジナイザーで均質化する。次に、この均質化されたエマルジョンを真空蒸発させて、無溶媒のカロテノイドエマルジョンを得る。
【0059】
本発明の1つの重要な実施形態によれば、カロテノイドビーズレットを製造するためのプロセスは、カロテノイドエマルジョンを正方形のチャンバに噴霧することを含み、これをコールドマトリックス床に埋め込み、固化させてビーズレットを形成する。
【0060】
本発明のもう1つの実施形態によれば、カロテノイドビーズレットを製造するためのプロセスは、エマルジョンのスプレーノズル用および親水性マトリックス用に上部に2つの入口を備えた正方形のチャンバ内で実施される。正方形のチャンバには、チャンバの底部にビーズレットおよび未使用のマトリックス床を収集するための2つの出口も有する。
【0061】
本発明のもう1つの重要な実施形態によれば、正方形のチャンバは、内部温度を20℃未満に維持するために、連続回転ならびにジャケット付き容器を通る冷水の循環を提供する。
【0062】
本発明の主な実施形態によれば、カロテノイドビーズレットを製造するためのプロセスは、正方形のチャンバの上部にある1つの入口を通してマトリックス床を装填すること、および冷水の循環の助けを借りてそれを冷却して維持することを含む。エマルジョンは、回転する正方形のチャンバのスプレーノズルから噴霧され、液滴はコールドマトリックス床の粒子に埋め込まれてビーズレットを形成する。
【0063】
上記のプロセスによって形成されたビーズレットは、正方形のチャンバの底部にある出口から収集され、所望の水分レベルが達成されるまで乾燥にかける。
【0064】
本発明のもう1つの実施形態によれば、正方形スプレーチャンバに装填されるマトリックス床は、これらに限定されないが、ワックス加工トウモロコシデンプンなどのデンプン誘導体、でんぷんおよびタルクと組み合わせた加工でんぷん、ケイ酸、硬化脂肪、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸の金属塩、アルカリ金属/アルカリ土類金属のケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムナトリウムまたはカルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、粉末シリカゲル、炭酸マグネシウムおよび酸化マグネシウムまたはそれらの組み合わせから選択される。
【0065】
本発明の好ましい実施形態によれば、油性懸濁液形態のキサントフィル組成物を調製するためのプロセスは、マリーゴールドおよびパプリカオレオレジンから抽出することによって、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを4:1~6:1の選択比で得ることを含む。マリーゴールドおよびパプリカを抽出して、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを(濃縮物と呼ばれる)得て、エアジェットミルを使用することによってさらに微粉化を行い、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を得る。得られた好ましい粒径を有する、選択的比率の微粉化トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンは、ボールミルを使用して室温で、バイオアベイラビリティ増強剤、溶解性エンハンサー、抗酸化剤、担体オイル、および任意により香料を添加することによって混合させる。得られた油性懸濁液組成物は、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を有する。
【0066】
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの粒径は、0.1~10ミクロンの範囲である。
【0067】
担体オイル/ビヒクル、バイオアベイラビリティ増強剤、溶解性エンハンサー、安定剤、および抗酸化剤などの他の賦形剤がボールミルに添加される。
【0068】
粒径を有する実施例1による得られた油性懸濁液組成物の粒径は、0.1~10ミクロンの範囲である。
【0069】
さらなる実施形態によれば、キサントフィルならびに薬学的および/または栄養学的に許容される賦形剤を含む油性懸濁液の形態のキサントフィル組成物では、バイオアベイラビリティの増強が低下する。
【0070】
以下の説明の冒頭で、次の説明は本発明の特定の形態を例示するのみであることを理解されたい。しかしながら、そのような特定の形態は、単なる例示的実施形態であり、本発明の範囲に対するあらゆる制限を意味するように限定的に解釈されることを意図するものではない。
【0071】
実施例01:
好ましい実施形態によれば、製造過程における産業上実行可能性をサポートするために、小規模から大規模まで異なるサイズのバッチを実行した。
油性懸濁液組成物の調製;バッチサイズ500g
【表1】
【0072】
16.6%のキサントフィル含有量(分光光度法による)および13.6ルテイン含有量(HPLC法による)を含むマリーゴールドオレオレジン(33.5kg)の重量。5.7%のキサントフィル含有量(分光光度法による)および3.5%のゼアキサンチン含有量(HPLC法による)を含むパプリカオレオレジン(16.5kg)。
【0073】
各オレオレジンを、アルコール性アルカリ水溶液(10kgの水酸化カリウムを含む15リットルの水および62.5リットルのエタノール)の入った反応器に添加した。混合物を反応器内で撹拌しながら80℃で4時間加熱した。反応中、加水分解の程度をHPLCによってモニターし、250リットルの水を添加することにより反応を停止させた。室温で反応塊を均質化し、液液抽出用の反応器に酢酸エチル(300ltr)を添加し、このプロセスを3~5回繰り返す。EA層を分離し、室温で水(1:1)で洗浄した。水で洗浄した酢酸エチルを濃縮するためにさらに取り、濃縮された材料を得た。濃縮材料は、ヘキサンを使用して単離し、不純物を除去し、キサントフィル組成物の半精製結晶(22.5kg)を得た。得られた半精製結晶を室温でエタノール5倍量で精製し、その後濾過(7.8kg)した。得られた結晶を約50~55℃の温度で36時間真空乾燥させた。乾燥キサントフィル結晶の収量は、9.6kg(9.6%)であった。キサントフィル含有量は、87.2重量%(UV/Vis-分光光度法)であり、そのうちトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの含有量は、70.3%および14.4%であり、トランスR,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの面積%は、順相HPLC分析によって測定したときに、それぞれ80.6%および16.5%であった。
【0074】
(分光光度法により)87.2%のキサントフィル含有量を含む得られた濃縮物(2.5kg)を微粉化のために取った。粒径(DV90)1690μmを有するマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物の微粉化は、エアジェットミルを使用して微粉化した。得られた微粉化結晶(2.2kg)は、粒径(DV90)3.24μm(図8)を含み、キサントフィル含有量は、89.09重量%(UV/Vis-分光光度法)であり、そのうちトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの含有量は、71.62%および14.75%であり、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの面積%は、順相HPLC分析によって測定したときに、それぞれ80.39%および16.56%であった。
【0075】
87.2%(分光光度法およびHPLC法による)のキサントフィル含有量を含む微粉化マリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物(170g)を使用して、油性懸濁液として製剤を作製した。微粉化したマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物を、オリーブオイル、タイムオイル、アマニオイル(フラックスシードオイル)、D-リモネン、レシチン(ホスファチジルコリン)(ヒマワリから得られる)など14%(70g)の他の成分と中鎖トリグリセリド(MCT)オイル(260g)を添加することによって混合し、室温でボールミルを使用することによってトコフェロールを混合した。混合物をふるいにかけ、アンロード(500g)して、含まれている粒径(DV90)2.66μm(図7)について分析し、キサントフィル含有量は、28.05重量%(UV/Vis-分光光度法)であり、そのうちトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの含有量は、22.64%および4.63%であり、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの面積%は、順相HPLC分析によって測定したときに、それぞれ80.72%および16.49%であった。
【0076】
実施例02:
油性懸濁液の調製;バッチサイズ18Kg
【表2】
【0077】
80.97%のキサントフィル含有量(分光光度法およびHPLC法による)を含む加重量の微粉化マリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物(6.28kg)を使用して、油性懸濁液として製剤を作製した。微粉化したマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物を、オリーブオイル、タイムオイル、アマニオイル(フラックスシードオイル)、D-リモネン、レシチン(ホスファチジルコリン)(ヒマワリから得られる)など14%(2.52kg)の他の成分と中鎖トリグリセリド(MCT)オイル(9.2kg)を添加することによって混合し、室温でボールミルを使用することによってトコフェロールを混合した。混合物をふるいにかけ、アンロード(18kg)して、含まれている粒径(DV90)2.62μmについて分析し、キサントフィル含有量は、28.23重量%(UV/Vis-分光光度法)であり、そのうちトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの含有量は、22.6%および4.71%であり、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの面積%は、順相HPLC分析によって測定したときに、それぞれ80.16%および16.68%であった。
【0078】
実施例03:
ビーズレットの調製(15%);バッチサイズ24.2kg
【表3】
【0079】
手順:
A.微粉化したマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物を二塩化メチレンに溶解し、その後撹拌しながらトコフェロールを添加した。溶液が透明になるまで40~45℃で30分間加温し、さらに室温まで冷却した。溶液を濾過して、透明な茶色がかった色の溶液を得た。
B.加工デンプンを水に溶解し、撹拌しながら透明な溶液になるまで50~55℃まで加温した。水系を室温まで冷却する。
C.ステージAの溶液を撹拌しながらステージBの溶液に混合し、アスコルビン酸ナトリウムを混合物に加えた。
D.ステージCの溶液を15,000~20,000rpmで5分間隔で均質化した。
E.ステージDの溶液をロータリーエバポレータに添加し、二塩化メチレンを水浴中で60℃で真空下4rpmで回転させながら除去し、室温まで冷却した。
F.最初に105℃で4時間乾燥させた3.5kgデンプンをスプレーパンに添加し、ドライアイスをチャンバに加えて温度を2℃まで低下させた。流動化下の乾燥デンプンに対して、ステージEの溶液の噴霧を開始した。
G.コーティングされた黄斑カロテノイドビーズレットは、ステージFの材料をふるいにかけることによって収集され、35℃~40℃のトレイオーブンでビーズレットを乾燥させ、メッシュ60および40のふるいを通して乾燥ビーズレットをふるいにかけた。
【0080】
実施例04:
ビーズレットの調製(20%);バッチサイズ31.7kg
【表4】
【0081】
手順:
A.微粉化したマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物をジクロロメタンに溶解し、その後撹拌しながらトコフェロールを添加した。
溶液が透明になるまで40~45℃で30分間加温し、さらに室温まで冷却した。溶液を濾過して、透明な茶色がかった色の溶液を得た。
B.加工デンプンを水に溶解し、撹拌しながら透明な溶液になるまで50~55℃まで加温した。水系を室温まで冷却した。
C.ステージAの溶液を撹拌しながらステージBの溶液に混合し、アスコルビン酸ナトリウムを混合物に加えた。
D.ステージCの溶液を15,000~20,000rpmで5分間隔で均質化した。
E.ステージDの溶液をロータリーエバポレータに添加し、二塩化メチレンを水浴中で60℃で真空下4rpmで回転させながら除去し、室温まで冷却した。
F.最初に105℃で4時間乾燥させた3.5kgデンプンをスプレーパンに添加し、ドライアイスをチャンバに加えて温度を2℃まで低下させた。流動化下の乾燥デンプンに対して、ステージEの溶液の噴霧を開始した。
G.コーティングされた黄斑カロテノイドビーズレットは、ステージFの材料をふるいにかけることによって収集され、35℃~40℃のトレイオーブンでビーズレットを乾燥させ、メッシュ60および40のふるいを通して乾燥されたビーズレットをふるいにかけた。
【0082】
実施例05:
ビーズレットの調製(10%);バッチサイズ19.5kg
【表5】
【0083】
手順:
A.加工でんぷんおよびアスコルビン酸ナトリウムバインダーを撹拌しながら温水(50~55℃)に分散させ、透明な溶液を形成させる。
B.微粉化したマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物およびトコフェロールを撹拌しながらステージAの分散液に加え、15分間溶液を形成した。
C.ステージBの溶液をポリトロン高せん断撹拌機で加工し、ケークをバインダー溶液に5000~12000RPMで15分間均一に混合し、溶液の温度および流動能力を観察した。
D.ステージCの溶液を水平粉砕機の入口に添加し、次の加工パラメータを使用して、サイズを縮小し、溶液を適切に乳化するために、繰り返し通過させて加工した。
E.ATFE通過後、所望のプロセスパラメータで流動化させたデンプンN200に溶液を捕捉する。
F.55℃のオーブンでビーズレットを乾燥させて、5%未満のLODを達成させる。
【0084】
油性懸濁液の形態でトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを含むキサントフィル組成物のバイオアベイラビリティ試験デザインは、以下の試験1として実施した:
【0085】
試験1:
理解しやすいように、生成物Aのサンプル命名は、Micro OS R+であり、生成物Bは参照サンプルである。さらに、ルテインおよびゼアキサンチンが言及されている実施例では、それはトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンと見なされるものとする。
【0086】
目的:
摂食条件下で、健康な成人ヒト対象での補給において、生成物A(Micro OS R+)としての単回経口投与(油性懸濁液)からのトランス-R,Rルテイン10mgおよびトランス-R,Rゼアキサンチン2mgのバイオアベイラビリティを生成物B(参照)製剤(トランス-R,Rルテイン10mgおよびトランス-R,Rゼアキサンチン2mg/カプセル)と比較することである。生成物Bは、市販製品のFlorglo(登録商標)(トランス-R,Rルテイン)およびOptisharp(商標)(トランス-R,Rゼアキサンチン)である。
【0087】
試験デザイン:二重盲検、平衡、ランダム化、2治療、単期、単回投与、並行試験
調製:
Micro OS R+サンプル:実施例01に従って5:1の比率で調製した。
生成物B:市販製品FlorgloおよびOptisharp(FloraGLO(登録商標)ルテイン20%SAFおよびOPTISHARP(商標)ナチュラル(ゼアキサンチン)14%ベニバナオイルを計算し、混合して、トランス-R,Rルテイン10mgおよびトランス-R,Rゼアキサンチン2mg/カプセルの比率5:1を維持した。
ボランティア数:90名の健康なボランティア(45名のボランティア/群)
ボランティアの収容:最小限の量のルテインおよびゼアキサンチンを含む食事を管理するために、試験前後の7日間収容した。
【0088】
薬物動態(PK)評価:
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンのベースライン補正血清濃度を様々な時点で測定した。
時点(時間):-48時間、-24時間、0時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、48時間、および72時間
-薬物動態パラメータ(Ln(Cmax)、Ln(AUC0-72)、Ln(AUC0-TおよびTmax))
-90%CI、T/R比
【0089】
生物分析手順:
ルテインおよびゼアキサンチン(トランス-R,Rルテインを含むルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを含むゼアキサンチン)は、検証済みのHPLC法を使用して血清中で推定した。
【0090】
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの結果
生成物A(Micro OS R+)および生成物B(参照)のベースライン補正血清トランス-R,Rルテイン濃度
【表6】
*P値<0.05
-Micro OS R+群のベースライン補正血清トランス-R,Rルテイン濃度が、投与後すべての時点(2~72時間)において、参照群と比較して有意に高かった(P<0.05)。(図1
-Micro OS R+群のベースライン補正血清トランス-R,Rルテイン濃度は、参照群と比較して、すべての時点で2倍を超える高い吸収を示し、Tmax(20時間)で3倍高い吸収を示した。
【0091】
トランス-R,Rルテインのベースライン補正薬物動態パラメータ
【表7】
$中央値(最小-最大)
*P値<0.05
-Micro OS R+群は、参照群と比較して、トランス-R,Rルテインについては有意に高い吸収を示した。(P<0.05)。これは、ベースライン補正対数変換Cmax、AUC0-72およびAUC0-Tより有意に高いことから明白である。
-Micro OS R+群は、20時間で最高の血清トランス-R,Rルテイン濃度(Tmax)に達し、その一方で、参照群は、16時間で最高の血清トランス-R,Rルテイン濃度を達成した。
-CmaxおよびAUCパラメータの90%信頼区間は、80~125%の生物学的同等性基準よりも有意に高かった。これは、参照群よりもMicro OS R+群のバイオアベイラビリティが有意に優れていることを明らかにしている。
【0092】
ベースライン補正トランス-R,RルテインPKパラメータの参照と比較した試験の倍数。
【表8】
-Micro OS R+群は、参照群と比較して、トランス-R,Rルテインについて、有意に高い吸収を示し、これは、Cmaxが2.5倍であり、AUC0-72が2.9倍であり、AUC0-Tレベルが3.2倍であることから明白である(図2および図3)。
【0093】
トランス-R,Rゼアキサンチンの結果
生成物A(Micro OS R+)および生成物B(参照)のベースライン補正血清トランス-R,Rゼアキサンチン濃度
【表9】
*P値<0.05
-Micro OS R+群のベースライン補正血清トランス-R,Rゼアキサンチン濃度は、投与後4~72時間の時点で、参照群と比較して有意に高かった(P<0.05)。(図4
-Micro OS R+群のベースライン補正血清トランス-R,Rゼアキサンチン濃度は、参照群と比較して、すべての時点で1.5倍を超える高い吸収を示し、Tmax(20時間)で2.9倍高い吸収を示した。
【0094】
トランス-R,Rゼアキサンチンのベースライン補正薬物動態パラメータ
【表10】
$中央値(最小-最大)
*P値<0.05
-Micro OS R+群は、参照群と比較して、トランス-R,Rゼアキサンチンについては有意に高い吸収を示した。(P<0.05)。これは、ベースライン補正対数変換Cmax、AUC0-72およびAUC0-Tより有意に高いことから明白である。
-Micro OS R+群は、20時間で最高の血清トランス-R,Rゼアキサンチン濃度(Tmax)に達し、その一方で、参照群は、24時間で最高の血清濃度を達成した。
-CmaxおよびすべてのAUCパラメータの90%信頼区間は、80~125%の生物学的同等性基準よりも有意に高かった。これは、参照群よりもMicro OS R+群のトランス-R,Rゼアキサンチンのバイオアベイラビリティが有意に優れていることを明らかにしている。
【0095】
ベースライン補正トランス-R,RゼアキサンチンPKパラメータの参照と比較した試験の倍数。
【表11】
-参照群と比較して、Micro OS R+群がトランス-R,Rゼアキサンチンについて、有意に高い吸収を示し、これは、Cmaxが1.7倍であり、AUC0-72およびAUC0-Tレベルが2.2倍であることから明白である。
【0096】
油性懸濁液(Micro OS R+;生成物A)の組成物に関する試験の結論:
Micro OS R+(生成物A)組成物は、より高い血清濃度の達成に関して、参照(生成物B)組成物と比較したときに、投与後に測定した複数の時点で、2.9~3.2倍の範囲でトランス-R,Rルテイン、2.2倍のトランス-R,Rゼアキサンチンの有意に高い吸収を示した。より高い吸収、Cmaxの90%信頼区間、およびすべてのAUCパラメータは、80~125%の生物学的同等性基準よりも有意に高く、これは、参照群よりもMicro OS R+群の有意に優れたバイオアベイラビリティを明らかにしている。
【表12】

図1
図2-3】
図4
図5-6】
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)65~85重量%の範囲のトランス-R,Rルテイン;
b)10~30重量%の範囲のトランス-R,Rゼアキサンチン;
c)20~80重量%の範囲の1つ以上の担体および/またはビヒクル;
d)1~10重量%の範囲の1つ以上の溶解性エンハンサー;
e)任意により、1~5重量%の範囲の1つ以上の香料剤;
f)1~10重量%の範囲の1つ以上のバイオアベイラビリティ増強剤;および
g)1~10重量%の範囲の1つ以上の抗酸化剤を含む、キサントフィル組成物であって、
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンは、マリーゴールドおよびパプリカオレオレジンから抽出され、4:1~6:1の比率で存在し、実質的にR,SゼアキサンチンおよびS,Sゼアキサンチンを含まない、キサントフィル組成物。
【請求項2】
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの粒径が、0.1~10ミクロンの範囲である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項3】
担体および/またはビヒクルが、中鎖トリグリセリド(MCT)オイル、ヒマワリオイル、ココナッツオイル、トウモロコシオイル、綿実油、カノーラオイル、パーム油、ピーナッツオイル、ベニバナオイル、ゴマ油、大豆油、菜種油および中鎖トリグリセリドまたはそれらの組み合わせから選択され、好ましくはMCTオイルである、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項4】
前記溶解性エンハンサーが、タイムオイル、オリーブオイル、アマニオイル(フラックスシードオイル)またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項5】
前記バイオアベイラビリティ増強剤が、ニゲラ(ブラッククミンオイル)、キャラウェイ(ヒメウイキョウ)オイル、ホスファチジルコリン(レシチン)、またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項6】
抗酸化剤が、トコフェロールおよびアスコルビン酸ナトリウムまたはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項7】
得られた組成物の前記粒径が、0.1~10ミクロンの範囲である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項8】
前記組成物が、参照に対して1.5~4倍のバイオアベイラビリティの増加を有する、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項9】
前記組成物が、参照に対して2~4倍の血清中濃度の増加を有する、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項10】
前記製剤が、ビーズレット、粉末、油性懸濁液、顆粒、カプセル、錠剤、フィルムの形態である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項11】
前記組成物が、油性懸濁液の形態である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【請求項12】
前記油性懸濁液が、
a)トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンが、請求項1に記載のマリーゴールドおよびパプリカオレオレシンから4:1~6:1の選択比で得られるステップと;
b)エアジェットミルを使用することによって、ステップ(a)のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを微粉化し、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を得るステップと;
c)ステップ(b)で得られた微粉化トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンが、担体および/またはビヒクルと混合されるステップと;
d)香料剤と共にステップ(c)に溶解性エンハンサーを添加するステップと;
e)ステップ(d)にバイオアベイラビリティ増強剤および抗酸化剤を添加するステップと;
f)ステップ(e)で得られた前記懸濁液を、ボールミルを使用して混合し、均質な油性懸濁液を得るステップと;
g)ステップ(f)から得られた前記混合物をふるいにかけて、その結果得られた粒径の油性懸濁液を得るステップと;を含むことによって調製される、請求項10に記載のキサントフィル組成物。
【請求項13】
前記ビーズレットが、以下のステップ:
a)トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンが、請求項1に記載のマリーゴールドおよびパプリカオレオレシンから4:1~6:1の選択比で得られるステップと;
b)エアジェットミルを使用することによって、ステップ(a)のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを微粉化し、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を得るステップと、
c)微粉化トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを二塩化メチレンに溶解し、その後抗酸化剤および任意でバイオアベイラビリティ増強剤に溶解し、加温し、その後、前記溶液を冷却し、濾過して、透明な茶色がかった色の溶液を得るステップと;
d)加工でんぷんを水に溶解し、透明な溶液になるまで加温し、室温まで冷却するステップと;
e)撹拌しながらステージ(c)の溶液をステージ(d)の溶液に混合し、均質化下でアスコルビン酸ナトリウムを前記混合物に添加するステップと;
f)ステップ(e)の溶液をロータリーエバポレータに加え、真空下で二塩化メチレンを除去し、冷却するステップと;
g)流動化下において乾燥デンプンに対して、ステップ(f)の溶液を噴霧するステップと;
h)コーティングされた黄斑カロテノイドビーズレットを収集し、乾燥させるステップと、を含むことによって調製される、請求項10に記載のキサントフィル組成物。
【請求項14】
前記ビーズレットが、以下のステップ:
a)トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンは、請求項1に記載のマリーゴールドおよびパプリカオレオレシンから4:1~6:1の選択比で得られるステップと;
b)エアジェットミルを使用することによって、ステップ(a)のトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンを微粉化し、0.1~10ミクロンの範囲の粒径を得るステップと、
c)前記加工デンプンおよびアスコルビン酸ナトリウムを温水に分散させて、透明な溶液を形成させるステップと;
d)微粉化したトコフェロールをステップ(c)の分散液に添加するステップと;
e)均一に混合するためにポリトロン高せん断撹拌機下で加工し、サイズ縮小のために水平粉砕機を通過させるステップと、を含むことによって調製される、請求項10に記載のキサントフィル組成物。
【請求項15】
トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの前記比が5:1である、請求項1に記載のキサントフィル組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
(分光光度法により)87.2%のキサントフィル含有量を含む得られた濃縮物(2.5kg)を微粉化のために取った。粒径(DV90)1690μmを有するマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物の微粉化は、エアジェットミルを使用して微粉化した。得られた微粉化結晶(2.2kg)は、粒径(DV50)1.61μmおよび(DV90)3.24μm(図8)を含み、キサントフィル含有量は、89.09重量%(UV/Vis-分光光度法)であり、そのうちトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの含有量は、71.62%および14.75%であり、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの面積%は、順相HPLC分析によって測定したときに、それぞれ80.39%および16.56%であった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
87.2%(分光光度法およびHPLC法による)のキサントフィル含有量を含む微粉化マリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物(170g)を使用して、油性懸濁液として製剤を作製した。微粉化したマリーゴールドパプリカ抽出物濃縮物を、オリーブオイル、タイムオイル、アマニオイル(フラックスシードオイル)、D-リモネン、レシチン(ホスファチジルコリン)(ヒマワリから得られる)など14%(70g)の他の成分と中鎖トリグリセリド(MCT)オイル(260g)を添加することによって混合し、室温でボールミルを使用することによってトコフェロールを混合した。混合物をふるいにかけ、アンロード(500g)して、含まれている粒径(DV50)1.04μmおよび(DV90)2.66μm(図7)について分析し、キサントフィル含有量は、28.05重量%(UV/Vis-分光光度法)であり、そのうちトランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの含有量は、22.64%および4.63%であり、トランス-R,Rルテインおよびトランス-R,Rゼアキサンチンの面積%は、順相HPLC分析によって測定したときに、それぞれ80.72%および16.49%であった。
【国際調査報告】