(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】高度加水分解された乳児用フォーミュラ
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20221207BHJP
A23L 33/115 20160101ALI20221207BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20221207BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20221207BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20221207BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/215 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20221207BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20221207BHJP
A61K 35/20 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/115
A23L33/125
A23L33/17
A61K38/05
A61K38/07
A61K31/702
A61K31/215
A61K31/198
A61P3/04
A61P37/08
A61K35/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520134
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020079205
(87)【国際公開番号】W WO2021074374
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】クスリス, マルティナス, ユルギス
(72)【発明者】
【氏名】スティーンハウト, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヤルヴィ, アネッテ
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン, エヴァ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD01
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4B018ME14
4C084AA02
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4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZB13
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4C087AA02
4C087BB39
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA70
4C087ZB13
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB48
4C206FA53
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4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA70
4C206ZB13
(57)【要約】
高度加水分解された乳児用フォーミュラ
タンパク質、炭水化物、及び脂質を含む高度加水分解された乳児用フォーミュラ(eHF)であって、該eHFが、100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含み、脂質の約30重量%以下が中鎖トリグリセリド(MCT)であり、該eHFが更に2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含み得る、eHF。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質、炭水化物、及び脂質を含む高度加水分解された乳児用フォーミュラ(eHF)であって、前記eHFが、100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含み、前記脂質の約30重量%以下が中鎖トリグリセリド(MCT)である、eHF。
【請求項2】
前記eHFが、2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含み、好ましくは、前記eHFが、2’FL及びLNnTを含む、請求項1に記載のeHF。
【請求項3】
前記eHFが、0.5~3g/L、0.8~1.5g/L、又は約1g/Lの2’FLを含み、好ましくは、前記eHFが、約1g/Lの2’FLを含む、請求項1又は請求項2に記載のeHF。
【請求項4】
前記eHFが、0.2~1g/L、0.5~0.8g/L、又は約0.5g/LのLNnTを含み、好ましくは、前記eHFが、約0.5g/LのLNnTを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項5】
前記eHFが、100kcal当たり約1.8g以上のタンパク質を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項6】
前記eHFが、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項7】
前記eHFが、100kcal当たり約2.2gのタンパク質を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項8】
前記脂質の約25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下が中鎖トリグリセリド(MCT)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項9】
前記eHFが、添加されたMCTを含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項10】
前記eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%が、約3000Da未満の分子量を有し、好ましくは、前記eHF中には約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドはない、請求項1~9のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項11】
前記eHF中の前記ペプチドの少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%が、約1200Da未満の分子量を有し、好ましくは、前記eHF中の前記ペプチドの少なくとも約98重量%が、約1200Da未満の分子量を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項12】
前記eHF中の前記ペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%が、ジペプチド及びトリペプチドであり得、好ましくは、前記eHF中の前記ペプチドの51~53重量%が、ジペプチド及びトリペプチドであり、又はより好ましくは、前記eHF中の前記ペプチドの約52重量%が、ジペプチド及びトリペプチドである、請求項1~11のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項13】
前記eHF中の前記ペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%が、240~600Daの分子量を有し、好ましくは、前記eHF中の前記ペプチドの51~53重量%が、240~600Daの分子量を有し、より好ましくは、前記eHF中の前記ペプチドの約52重量%が、240~600Daの分子量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項14】
前記タンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約100%が、ホエイタンパク質である、請求項1~13のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項15】
前記eHFが遊離アミノ酸を含み、好ましくは前記遊離アミノ酸が、アミノ酸の総重量に基づいて、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、又は25重量%以下の濃度で存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項16】
前記遊離アミノ酸が、アミノ酸の総重量に基づいて、20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在する、請求項15に記載のeHF。
【請求項17】
前記eHFが、100kcal当たり9~14gの炭水化物及び/又は100kcal当たり4.0~6.0gの脂質を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項18】
前記eHFが、100mL当たり60~72kcalのエネルギー密度を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のeHF。
【請求項19】
乳児に栄養を与える方法であって、前記乳児に請求項1~18のいずれか一項に記載のeHFを投与することを含み、前記乳児が牛乳タンパク質アレルギーを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低減された量のタンパク質を含む高度加水分解された乳児用フォーミュラ(eHF)に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳タンパク質(Cow’s milk protein、CMP)は、乳児の食物アレルギーの主要な原因であり、世界中で2~3%の小児に影響を及ぼしている。CMPアレルギー(CMPA)を有する小児のほとんどは、2つ以上の症状を有する:50~70%は皮膚症状があり;50~60%は胃腸症状があり;20~30%は気道症状がある。10%の小児では、重篤な生命を脅かす症状が現れることがある。これらの患者の管理は、CMPの回避と、偶発的な曝露によるアレルギー反応の迅速な認識及び治療に重点を置いている(Nutten,2018.EMJ Allergy Immunol,3(1),pp.50-59)。
【0003】
生後数ヶ月の健康な乳児にとって、ヒトの母乳及び母乳栄養は栄養の最適な形態であると考えられている。母乳は、CMPAを有する乳児に栄養を与えるためのゴールドスタンダードであり続けている。欧州小児栄養消化器肝臓学会(ESPGHAN)は、母乳栄養乳児において、母親の食事から牛乳を完全に排除することがCMPAの最善の治療法であると推奨している(Koletzko,S.,et al.,2012.Journal of pediatric gastroenterology and nutrition,55(2),pp.221-229)。
【0004】
母乳栄養が不可能である場合は、特殊な乳児用フォーミュラが推奨される。ESPGHANは、CMPAを有する非母乳栄養乳児には、CMPAを有する乳児に有効であることが証明されている高度加水分解タンパク質をベースとしたフォーミュラを使用することを推奨している。非常に重篤又は生命を脅かす症状を有する乳児では、アミノ酸フォーミュラが、第一選択として考慮され得る(Koletzko,S.,et al.,2012.Journal of pediatric gastroenterology and nutrition,55(2),pp.221-229)。
【0005】
高度加水分解された乳児用フォーミュラ(eHFs)は、完全なタンパク質フォーミュラ又はヒト母乳よりも低い窒素吸収率を有し得る(Rigo,J.,et al.,1995.European journal of clinical nutrition,49,pp.S26-38)。したがって、乳児のニーズに対応するために、eHFは、典型的には、100kcal当たり2.6~2.8gのタンパク質を含有する(Borschel,M.,et al.,2018.Nutrients,10(3),p.289)。
【0006】
しかしながら、高タンパク質の乳児用フォーミュラの摂取は、2歳齢の体重及びボディマス指数の増加、並びに、血漿必須アミノ酸、インスリン様成長因子-1、及びC-ペプチドの血中循環濃度の上昇と関連しており、これらは体重増加及び脂質生成活性を誘発するおそれがある。より低いタンパク質含有量は、その後の肥満のリスクを減少させ得る(Totzauer,M.,et al.,2018.Obesity,26(7),pp.1203-1210)。
【0007】
したがって、アレルギー乳児の適切な発育及び発達を支え、安全で耐容性が良好である、低減された量のタンパク質を有するeHFが必要とされている。
【0008】
[発明の概要]
本発明者らは、低減された量のタンパク質を有するeHFを開発した。したがって、本明細書に記載のeHFは、ヒト母乳に近いタンパク質含有量を有し、その後の人生における肥満のリスクを低減し得る。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、eHFがアレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートしたことを示した。更に、eHFは安全で耐容性が良好であった。これは、少なくとも部分的に、加水分解度、1200Da超のペプチドの量が非常に少ないこと、及び/又は中鎖トリグリセリド(MCT)が含まれていないことに起因し得る。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、eHFがアレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートしたことを示した。更に、eHFは安全で耐容性が良好であった。これは、少なくとも部分的に、加水分解度、1200Da超のペプチドの量が非常に少ないこと、及び/又は中鎖トリグリセリド(MCT)が低レベル/含まれていないこと、及び/又はヒトミルクオリゴ糖(HMO)の存在に起因し得る。
【0011】
したがって、一態様では、本発明は、タンパク質、炭水化物、及び脂質を含む高度加水分解された乳児用フォーミュラ(eHF)であって、eHFが100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含み、脂質の約30重量%以下が中鎖トリグリセリド(MCT)である、eHFを提供する。
【0012】
eHFは、好ましくは、1種以上のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含み得る。一態様では、eHFは、2’-フコシルラクトース(2’FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、好ましくは2’FL及びLNnTを含む。eHFは、0.5~3g/L、0.8~1.5g/L、又は約1g/Lの2’FLを含み得る。好ましくは、eHFは、約1g/Lの2’FLを含む。eHFは、0.2~1g/L、0.5~0.8g/L、又は約0.5g/LのLNnTを含み得る。好ましくは、eHFは、約0.5g/LのLNnTを含む。より好ましくは、eHFは、約1g/Lの2’FL及び約0.5g/LのLNnTを含む。
【0013】
eHFは、100kcal当たり約1.8g以上のタンパク質を含み得る。例えば、eHFは、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は100kcal当たり2.15~2.25gのタンパク質を含み得る。好ましくは、eHFは、100kcal当たり約2.2gのタンパク質を含む。
【0014】
脂質の約25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、又は1重量%以下は、中鎖トリグリセリド(MCT)であり得る。好ましくは、脂質の約0重量%がMCTである、及び/又はeHFは添加されたMCTを含まない。最も好ましくは、eHFは、添加されたMCTを含まない。
【0015】
eHF中のペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約3000Da未満の分子量を有し得る。好ましくは、eHF中には約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドはない。
【0016】
eHF中のペプチドの少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%は、約1500Da未満の分子量を有し得る。好ましくは、eHF中のペプチドの少なくとも約99%は、約1500Da未満の分子量を有する。
【0017】
eHF中のペプチドの少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%は、約1200Da未満の分子量を有し得る。好ましくは、ペプチドの少なくとも98重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。
【0018】
eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、ジペプチド及びトリペプチドであり得る。好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又はより好ましくは約52重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。
【0019】
eHF中のペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、240~600Daの分子量を有し得る。好ましくは、eHF中のペプチドの約51~53重量%、又はより好ましくは約52重量%は、240~600Daの分子量を有する。
【0020】
タンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約100%は、ホエイタンパク質であり得る。好ましくは、タンパク質の供給源はホエイタンパク質である。
【0021】
eHFは、遊離アミノ酸を含み得る。遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、又は25重量%以下の濃度で存在し得る。好ましくは、遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在する。
【0022】
eHFは、100kcal当たり9~14gの炭水化物、及び/又は100kcal当たり4.0~6.0gの脂質を含み得る。eHFは、100mL当たり60~72kcalのエネルギー密度を有し得る。
【0023】
別の態様では、本発明は、乳児に栄養を与える方法であって、乳児に本発明によるeHFを投与することを含む、方法を提供する。好ましくは、乳児は、牛乳タンパク質アレルギーを有する。
【0024】
別の態様では、本発明は、牛乳タンパク質アレルギー、慢性下痢、及び/又は吸収不良の治療に使用するための、本発明によるeHFを提供する。一実施形態では、本発明は、牛乳タンパク質アレルギーの治療に使用するための、本発明によるeHFを提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、肥満の予防及び/又は肥満のリスクの低減に使用するための、本発明によるeHFを提供する。
【0026】
別の態様では、本発明は、本発明によるeHFを調製する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】体重 試験フォーミュラ(低タンパク質+HMO)及び対照フォーミュラについて、ベースライン診察からの月数に対する平均体重(kg単位)。いずれの時点でも、群間に有意差はなかった。
【
図2】年齢別体重Zスコア 試験フォーミュラ(低タンパク質+HMO)及び対照フォーミュラについて、ベースライン診察からの月数に対する年齢別平均体重Zスコア。いずれの時点でも、群間に有意差はなかった。
【
図3】非劣性:1日当たりの体重増加 診察4での体重増加に対する治療効果。主要解析は、試験フォーミュラを与えた乳児の体重増加[g/d]が対照フォーミュラでの発育に対して非劣性であったことを示す。
【
図4】年齢別身長Zスコア 試験フォーミュラ(低タンパク質+HMO)及び対照フォーミュラについて、ベースライン診察からの月数に対する年齢別平均身長Zスコア。いずれの時点でも、群間に有意差はなかった。
【
図5】年齢別頭囲Zスコア 試験フォーミュラ(低タンパク質+HMO)及び対照フォーミュラについて、ベースライン診察からの月数に対する年齢別平均頭囲Zスコア。いずれの時点でも、群間に有意差はなかった。
【
図6】年齢別BMI Zスコア 試験フォーミュラ(低タンパク質+HMO)及び対照フォーミュラについて、ベースライン診察からの月数に対する年齢別平均BMI Zスコア。いずれの時点でも、群間に有意差はなかった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な実施例により記載する。
【0029】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことについて留意する必要がある。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」又は「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、他を包含し得るもの、すなわちオープンエンドであり、かつ追加の、列挙されていない構成、要素、又は工程を除外しない。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」はまた、用語「を含む(consisting of)」を含む。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「約」は、およそ、ほぼ、概ね、又はその付近、を意味する。用語「約」が数値又は範囲と共に使用される場合、その値又は範囲は、記載された数値(複数可)の上方及び下方の境界を拡大することによって、その値又は範囲を修正する。一般に、用語「約」及び「ほぼ」は、本明細書では、規定された値(複数可)を10%超える及び下回る数値(複数可)を調整するために使用される。
【0032】
本明細書で論じられる刊行物は、単に本出願の出願日より前にそれらが開示されていたがために提供されている。本明細書において引用されるいかなる文献も、これらの刊行物が本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成するものであると認めるものとして解釈されるべきではない。
【0033】
本開示は、本明細書に開示される例示的な方法及び材料によって限定されず、本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本開示の実施形態の実施又は試験に使用することができる。数値範囲は、その範囲を画定する数を含む。
【0034】
高度加水分解フォーミュラ
「高度加水分解された乳児用フォーミュラ」又は「eHF」という用語は、高度加水分解タンパク質を含む乳児用フォーミュラを指し得る。eHFは、インタクトなCMPを消化することができない、又はCMPに対して不耐性若しくはアレルギーを有する乳児に対して完全栄養を提供する、低アレルギー乳児用フォーミュラであり得る。
【0035】
「乳児用フォーミュラ」という用語は、生後1年の間の乳児の特定栄養用途食品であって、当該フォーミュラそのものが、前記カテゴリーに該当するヒトの栄養要件(2015年9月25日の欧州委員会規則(EU)2016/127に定義される)を満たす、食品を指し得る。
【0036】
「低アレルギー性」組成物は、アレルギー反応を引き起こす可能性が低い組成物である。好適には、本発明のeHFは、CMPAを有する乳児の90%超に耐容性がある。これは、米国小児科学会が提供するガイダンスに沿ったものである(Committee on Nutrition,2000.Pediatrics,106(2),pp.346-349)。好適には、本発明のeHFは、例えばCMPAを有する対象の、CMP特異的IgEよって認識されるペプチドを含有し得ない。
【0037】
乳児にはeHFのみを与えることができ、又はeHFを、ヒト母乳を補完するものとして使用できる。
【0038】
本発明のeHFは、粉末又は液体の形態であり得る。
【0039】
液体は、例えば、濃縮液体eHF又はレディトゥフィードeHFであってもよい。eHFは、再構成したeHF(すなわち、粉末形態から再構成した液体eHF)の形態であってもよい。濃縮液体eHFは、好ましくは、例えば水を添加することによって、乳児に与えるのに好適な液体組成物に希釈することができる。
【0040】
一実施形態では、eHFは粉末形態である。粉末は、例えば水を加えることによって、乳児に与えるのに好適な液体組成物に再構成することができる。
【0041】
eHFは、指示通りに配合した場合、100mL当たり約60~72kcalのエネルギー密度を有し得る。好適には、eHFは、指示通りに配合した場合、100mL当たり約60~70kcalのエネルギー密度を有し得る。
【0042】
タンパク質
「タンパク質」という用語は、ペプチド及び遊離アミノ酸を含む。eHFのタンパク質含有量は、当業者に既知の任意の方法によって計算され得る。好適には、タンパク質含有量は、窒素タンパク質換算法によって算出され得る。例えば、Maubois,J.L.and Lorient,D.,2016.Dairy science&technology,96(1),pp.15-25に記載のとおりである。好ましくは、タンパク質含有量は、2015年9月25日の欧州委員会規則(EU)2016/127に定義されるように、窒素含有量×6.25として計算される。窒素含有量は、当業者に既知の任意の方法によって決定され得る。例えば、窒素含有量は、ケルダール法によって測定され得る。
【0043】
タンパク質濃度
eHFは、典型的には、100kcal当たり2.6~2.8gのタンパク質を含有するものであり、重度の吸収不良を含む胃腸病変のある乳児のニーズに対応し、又は高い代謝率を補うためにタンパク質及びカロリーをより多く必要とする乳児のニーズに対応する。
【0044】
本発明者らは、驚くべきことに、より低いタンパク質含有量を有するeHFが、アレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートし得ることを示した。更に、本発明者らは、驚くべきことに、本eHFが安全で耐容性が良好であることを示した。
【0045】
したがって、本発明のeHFは、100kcal当たり約2.4g以下のタンパク質を含む。例えば、本発明のeHFは、100kcal当たり約2.3g以下のタンパク質、100kcal当たり2.25g以下のタンパク質、又は100kcal当たり2.2g以下のタンパク質を含み得る。
【0046】
好適には、eHFは、100kcal当たり約1.8g以上のタンパク質を含む。例えば、本発明のeHFは、100kcal当たり約1.86g以上のタンパク質、100kcal当たり1.9g以上のタンパク質、100kcal当たり2.0g以上のタンパク質、又は100kcal当たり2.1g以上のタンパク質を含み得る。好ましくは、eHFは、現行EU規制(EFSA NDA Panel,2014.EFSA journal,12(7),3760)に沿って、100kcal当たり約1.86g以上のタンパク質を含む。
【0047】
本発明のeHFは、100kcal当たり1.8~2.4gのタンパク質、100kcal当たり1.86~2.4gのタンパク質、100kcal当たり1.9~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.4gのタンパク質、100kcal当たり2.0~2.3gのタンパク質、100kcal当たり2.1~2.3gのタンパク質、又は2.15~2.25gのタンパク質を含み得る。
【0048】
好ましくは、eHFは、100kcal当たり約2.2gのタンパク質を含む。
【0049】
タンパク質の供給源
タンパク質の供給源は、乳児用フォーミュラにおける使用に好適な任意の供給源であり得る。好適には、タンパク質は牛乳タンパク質である。
【0050】
高度加水分解/加水分解ホエイベースフォーミュラは高度加水分解/加水分解カゼインベースフォーミュラよりも嗜好性が高い場合があり、及び/又は対象はカゼインタンパク質にのみ感作される場合がある。したがって、好適には、タンパク質の約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又は約100%がホエイタンパク質である。好ましくは、タンパク質の供給源はホエイタンパク質である。
【0051】
ホエイタンパク質は、チーズの製造に由来するホエイであってよく、特に、レンネットによるカゼインの凝固により得られるものなどのスイートホエイ、酸によるカゼインの凝固又は発酵物の酸性化により得られる酸性ホエイ、あるいは更には酸による及びレンネットによる凝固により得られる混合ホエイであってよい。この原料は、イオン交換により及び/又は電気透析により脱塩された、脱塩乳清タンパク質(DWP)として知られる乳清であり得る。
【0052】
ホエイタンパク質の供給源は、カゼイノ-グリコマクロペプチド(CGMP)が完全に又は部分的に除去されたスイートホエイであり得る。このホエイは、変性スイートホエイ(MSW)と呼ばれる。スイートホエイからCGMPを除去すると、スレオニン及びトリプトファン含有量がヒト母乳に近いタンパク質材料が得られる。スイートホエイからのCGMPの除去プロセスは、欧州特許第880902号に記載されている。
【0053】
ホエイタンパク質はDWP及びMSWの混合物であってよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、eHF中のカゼインの量は検出不可能であり、例えば、0.2mg/kg未満である。カゼインの量は、当業者に既知の任意の方法によって決定され得る。
【0055】
加水分解度
eHFでは、タンパク質は「高度加水分解され」、その結果、eHFはCMPAを有する乳児の90%超に耐容性があり得る。
【0056】
タンパク質加水分解物は、非タンパク質窒素を全窒素で除算した値×100を指すNPN/TN%で特徴付けられる加水分解の程度を有し得る。非タンパク質窒素は、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)などの試薬と自由に反応するアミノ窒素を指す。NPN/TN%は、当業者に既知の任意の方法によって決定され得る。例えば、NPN/TN%は、Adler-Nissen(Adler-Nissen,J.(1979)J.Agric.Food Chem.27:1256-1262)に記載の通りに測定され得る。好適には、タンパク質は、90%超、95%超、又は98%超のNPN/TN%を有し得る。
【0057】
加水分解の程度はまた、加水分解度によって決定され得る。「加水分解度」(DH)は、タンパク質加水分解物中の切断されたペプチド結合の割合として定義され、当業者に既知の任意の方法によって決定され得る。好適には、加水分解度は、pHスタット、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)、o-フタルジアルデヒド(OPA)、トリクロロ酢酸可溶性窒素(SN-TCA)、又はホルモール滴定法によって決定される。(Rutherfurd,S.M.,2010.Journal of AOAC International,93(5),pp.1515-1522)。タンパク質の加水分解度(DH)は、90超、95超、又は98超であり得る。
【0058】
加水分解の程度はまた、ペプチド分子量分布によって決定され得る。ペプチド分子量分布は、高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって、任意にUV検出器を用いて(HPSEC/UV)決定され得る(Johns,P.W.,et al.,2011.Food chemistry,125(3),pp.1041-1050)。例えば、ペプチド分子量分布は、205nm、214nm、又は220nmで決定されたHPSECピーク面積ベースの推定値であり得る。好適には、ペプチド分子量分布がHPSEC/UVによって決定される場合、特定の分子量を有する「ペプチドの重量パーセント」は、205nm、214nm、又は220nmで決定された分子量を有する「総ピーク面積の百分率としてのピーク面積の分率」によって推定され得る。好適には、加水分解の程度は、国際公開第2016/156077号に記載されている方法によって決定され得る。あるいは、ペプチド分子量分布は、当業者に既知の任意の方法、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって決定され得る(Chauveau,A.,et al.,2016.Pediatric Allergy and Immunology,27(5),pp.541-543)。
【0059】
理論的には、細胞膜結合型IgEと結合するためには、ペプチドは約1500Da(約15アミノ酸)を超えるサイズである必要があり、IgE分子を架橋して免疫反応を誘導するためには、約3000Da(約30アミノ酸)を超えるサイズである必要がある(Nutten,2018.EMJ Allergy Immunol,3(1),pp.50-59)。
【0060】
したがって、好適には、ペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約3000Da未満の分子量を有する。約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドは存在しない場合がある。
【0061】
したがって、好適には、ペプチドの少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%は、約1500Da未満の分子量を有する。好ましくは、ペプチドの少なくとも99重量%は、約1500Da未満の分子量を有する。約1500Da以上のサイズの検出可能なペプチドは存在しない場合がある。
【0062】
好ましくは、ペプチドの少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。より好ましくは、ペプチドの少なくとも95重量%又は98重量%は、約1200Da未満の分子量を有する。
【0063】
好適には、ペプチドの少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は、約1000Da未満の分子量を有する。好ましくは、ペプチドの少なくとも約95重量%は、約1000Da未満の分子量を有する。
【0064】
好ましくは、本発明のeHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず、ペプチドの少なくとも約95重量%、約1200Da未満の分子量を有する。
【0065】
ジペプチド及びトリペプチドの割合が高いと、腸機能障害のある患者でも窒素(タンパク質)吸収が改善され得る。PEPT1は、低分子ペプチド(例えば、ジペプチド及びトリペプチド)の吸収を促進する専用の輸送経路である。生後数週間においては、腸のPEPT1は栄養摂取に重要であり、その後は離乳後の食移行に重要である。
【0066】
したがって、ペプチドの少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。好ましくは、ペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。より好ましくは、ペプチドの約51~53重量%、又は最も好ましくは約52重量%は、ジペプチド及びトリペプチドである。
【0067】
好適には、ペプチドの少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%は、240~600Daの分子量を有する。好ましくは、ペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、45~55重量%、又は50~54重量%は、240~600Daの分子量を有する。より好ましくは、ペプチドの約51~53重量%、又は最も好ましくは、約52重量%は、240~600Daの分子量を有する。
【0068】
eHF中のペプチドは、300Da~370Da、好ましくは320Da~360Daの分子量中央値を有し得る。
【0069】
主要な牛乳アレルゲンとしては、α-ラクトアルブミン(aLA)、β-ラクトグロブリン(bLG)、及びウシ血清アルブミン(BSA)が認識されている。
【0070】
したがって、好適には、eHFは、検出不可能なaLA含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のaLAを有し得、eHFは、検出不可能なbLG含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のbLGを有し得、及び/又はeHFは、検出不可能なBSA含有量、例えば、約0.010mg/kg以下のBSAを有し得る。好ましくは、本発明のeHFは、検出可能な量のaLA、bLG、及びBSAを含まない。aLA、bLG、及びBSAの含有量は、当業者に既知の任意の方法、例えばELISAによって決定され得る。
【0071】
加水分解方法
本発明のeHFに使用するためのタンパク質は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって加水分解され得る。例えば、タンパク質は、例えばプロテアーゼを使用して酵素加水分解され得る。例えば、タンパク質は、アルカラーゼを使用して加水分解され得る(例えば、約1~15重量%の酵素:基質比で、約1~10時間の持続時間)。温度は、約40℃~60℃の範囲、例えば、約55℃であり得る。反応時間は、例えば、1~10時間であり得、加水分解を開始する前のpH値は、例えば、6~9、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは7.0~8.0の範囲内にあり得る。
【0072】
加水分解プロセスには、ブタ酵素、特にブタ膵臓酵素が使用され得る。例えば、国際公開第9304593(A1)号は、トリプシン及びキモトリプシンを使用した加水分解プロセスについて開示している。このプロセスには2ステップの加水分解反応が含まれており、プロセス間には、最終的な加水分解物を、インタクトなアレルゲン性タンパク質を実質的に含まないものにすることを担保すべく、熱変性ステップが含まれている。これらの方法に使用されるトリプシン及びキモトリプシンは、ブタ膵臓抽出物により製造される調製物である。
【0073】
国際公開第2016156077(A1)号は、乳ベースのタンパク性材料を、微生物由来アルカリセリンプロテアーゼと、ブロメライン、アスペルギルス属(Aspergillus)由来のプロテアーゼ、及びバシラス属(Bacillus)由来のプロテアーゼの組み合わせとにより加水分解することを含む、乳タンパク質加水分解物の調製プロセスについて開示している。
【0074】
ヒトミルクオリゴ糖
本発明のeHFはまた、1種以上のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を含有し得る。
【0075】
HMOは、ヒト母乳中に高濃度で見出され得ることが知られている。HMOは酵素加水分解に非常に耐性があり、このことは、HMOがカロリー値とは直接関係のない重要な機能を示し得ることを示唆している。特に、免疫系の成熟など、乳幼児の早期発達に不可欠な役割を果たすことが示されている。ヒト母乳には多くの種類のHMOが見出される。各個々のオリゴ糖は、グルコース、ガラクトース、シアル酸(N-アセチルノイラミン酸)、フコース、及び/又はN-アセチルグルコサミンの組み合わせをベースに、それらの間に多種多様な結合を有するため、ヒト母乳中の異なるオリゴ糖は非常に多くなり、これまでに130を超えるそのような構造が特定されている。これらのオリゴ糖のほとんどすべては還元末端にラクトース残基を有し、非還元末端の末端位置にはシアル酸及び/又はフコース(存在する場合)が占める。HMOは、酸性(例えば、荷電シアル酸含有オリゴ糖)又は中性(例えば、フコシル化オリゴ糖)であり得る。
【0076】
好適には、本発明のeHFは、少なくとも1種のフコシル化オリゴ糖を含み得る。
【0077】
「フコシル化オリゴ糖」とは、フコース残基を有するオリゴ糖である。かかるオリゴ糖は中性の性質を有する。1種又はいくつかの種類のフコシル化オリゴ糖(複数可)が存在し得る。フコシル化オリゴ糖は、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、ジフコシルラクトース、ラクト-N-フコペンタオース(ラクト-N-フコペンタオースI、ラクト-N-フコペンタオースII、ラクト-N-フコペンタオースIII、ラクト-N-フコペンタオースVなど)、ラクト-N-フコヘキサオース、ラクト-N-ジフコヘキサオースI、フコシルラクト-N-ヘキサオース、フコシルラクト-N-ネオヘキサオース(フコシルラクト-N-ネオヘキサオースI、フコシルラクト-N-ネオヘキサオースIIなど)、ジフコシルラクト-N-ヘキサオースI、ジフコ-ラクト-N-ネオヘキサオース、ジフコシルラクト-N-ネオヘキサオースI、ジフコシルラクト-N-ネオヘキサオースII、フコシル-パラ-ラクト-N-ヘキサオース、トリ-フコ-パラ-ラクト-N-ヘキサオースI、及びそれらの任意の組み合わせを含むリストから選択することができる。いくつかの実施形態では、フコシル化オリゴ糖は、2’-フコシル-エピトープを含む。フコシル化オリゴ糖は、例えば、2’-フコシルラクトース、ジフコシルラクトース、ラクト-N-フコペンタオース、ラクト-N-フコヘキサオース、ラクト-N-ジフコヘキサオース、フコシルラクト-N-ヘキサオース、フコシルラクト-N-ネオヘキサオース、ジフコシルラクト-N-ヘキサオース、ジフコ-ラクト-N-ネオヘキサオース、ジフコシルラクト-N-ネオヘキサオース、フコシル-パラ-ラクト-N-ヘキサオース、及びそれらの任意の組み合わせを含むリストから選択することができる。
【0078】
好ましい実施形態では、本発明によるeHFは、2’-フコシルラクトースを含む。いくつかの実施形態では、2’-フコシルラクトース以外の種類のフコシル化オリゴ糖は存在せず、すなわち、本発明のeHFは、フコシル化オリゴ糖として2’-フコシルラクトースのみを含む。
【0079】
好適には、本発明のeHFは、少なくとも1種のN-アセチル化オリゴ糖を含み得る。
【0080】
「N-アセチル化オリゴ糖」という表現は、「N-アセチル-ラクトサミン」及び「N-アセチル-ラクトサミンを含有するオリゴ糖」の両方を包含する。これらは、N-アセチル-ラクトサミン残基を有する中性オリゴ糖である。1種又はいくつかの種類のN-アセチル化オリゴ糖が存在し得る。N-アセチル化オリゴ糖は、例えば、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、N-アセチル化オリゴ糖は、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、パラ-ラクト-N-ネオヘキサオース(パラ-LNnH)、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、N-アセチル化オリゴ糖はLNnTである。いくつかの実施形態では、N-アセチル化オリゴ糖はLNTである。いくつかの他の実施形態では、N-アセチル化オリゴ糖は、LNTとLNnTの混合物である。いくつかの実施形態では、eHFは、LNT及びLNnTの両方を、LNT:LNnTの比が、5:1~1:2、又は2:1~1:1、又は2:1.2~2:1.6で含む。
【0081】
好ましい実施形態では、本発明によるeHFは、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含む。いくつかの実施形態では、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)以外の種類のN-アセチル化オリゴ糖は存在しない、すなわち、本発明のeHFは、N-アセチル化オリゴ糖としてラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)のみを含む。
【0082】
N-アセチル化オリゴ糖は、例えば米国特許第5,288,637号及び国際公開第96/10086号に記載されているように、グリコシルトランスフェラーゼを使用して、ドナー部分からアクセプター部分への糖単位の酵素による転移によって化学的に合成され得る。あるいは、LNT及びLNnTは、Wrodnigg,T.M.;Stutz,A.E.(1999)Angew.Chem.Int.Ed.38:827-828に記載されているように、遊離、又はオリゴ糖(例えば、ラクツロース)に結合したケトヘキソース(例えば、フルクトース)をN-アセチルヘキソサミン又はN-アセチルヘキソサミン含有オリゴ糖に化学変換することにより調製され得る。このようにして生成されたN-アセチル-ラクトサミンは、次いでアクセプター部分としてラクトースに転移され得る。
【0083】
好適には、本発明のeHFは、少なくとも1つのフコシル化オリゴ糖及び少なくとも1つのN-アセチル化オリゴ糖を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明のeHFは、2’-フコシルラクトース(2-FL)及び/又はラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含むオリゴ糖混合物を含む。好ましい実施形態では、本発明のeHFは、2’-フコシルラクトース(2-FL)及びラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)を含むオリゴ糖混合物を含む。本発明のeHFは、フコシル化オリゴ糖として2’-フコシルラクトース(2-FL)のみを含み得、N-アセチル化オリゴ糖としてラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)のみを含み得る。
【0085】
フコシル化オリゴ糖は、本発明によるeHF中に、eHF1L当たり0.5~3g、例えば、0.8~1.5gの合計量(指示通りに配合した場合)で存在し得る。いくつかの実施形態では、フコシル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり0.85~1.3g、例えば、0.9~1.25g又は0.9~1.1g又は1~1.25g又は1~1.2g(指示通りに配合した場合)であり得る。好ましくは、eHF(指示通りに配合した場合)は、約1g/Lのフコシル化オリゴ糖、例えば、約1g/Lの2’-フコシルラクトースを含む。
【0086】
N-アセチル化オリゴ糖は、本発明によるeHF中に、eHF1L当たり0.2~1g、例えば、0.5~0.8gの総量(指示通りに配合した場合)で存在し得る。いくつかの実施形態では、N-アセチル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり0.5~0.75g又は0.5~0.7g又は0.5~0.6g(指示通りに配合した場合)であり得る。好ましくは、eHF(指示通りに配合した場合)は、約0.5g/LのN-アセチル化オリゴ糖、例えば、約0.5g/Lのラクト-N-ネオテトラオースを含む。
【0087】
これらの異なる範囲は全て、一緒に組み合わせることができる。
【0088】
したがって、本発明の一実施形態では、eHF(指示通りに配合した場合)は、少なくとも1種のフコシル化オリゴ糖及び少なくとも1種のN-アセチル化オリゴ糖(例えば、2’-フコシルラクトース及びラクト-N-ネオテトラオース)を含み、
(i)フコシル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり0.8~1.5gであり、及び/又は
(ii)N-アセチル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり0.5~0.8gである。
【0089】
別の実施形態では、本発明のeHF(指示通りに配合した場合)は、少なくとも1種のフコシル化オリゴ糖及び少なくとも1種のN-アセチル化オリゴ糖(例えば、2’-フコシルラクトース及びラクト-N-ネオテトラオース)を含み、
(i)フコシル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり0.9~1.25gであり、及び/又は
(ii)N-アセチル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり0.5~0.7gである。
【0090】
別の実施形態では、本発明のeHF(指示通りに配合した場合)は、少なくとも1種のフコシル化オリゴ糖及び少なくとも1種のN-アセチル化オリゴ糖(例えば、2’-フコシルラクトース及びラクト-N-ネオテトラオース)を含み、
(i)フコシル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり1~1.2gであり、及び/又は
(ii)N-アセチル化オリゴ糖の合計量は、eHF1L当たり0.5~0.6gである。
【0091】
好ましい実施形態では、本発明のeHF(指示通りに配合した場合)は、約1g/Lのフコシル化オリゴ糖及び約0.5g/LのN-アセチル化オリゴ糖を含む。より好ましい実施形態では、本発明のeHF(指示通りに配合した場合)は、約1g/Lの2’-フコシルラクトース及び約0.5g/Lのラクト-N-ネオテトラオースを含む。
【0092】
本発明のeHFは、0.075~0.5g/100kcal、0.1~0.3g/100kcal、又は0.12~0.25g/100kcalの2’-フコシルラクトース、及び約0.03~0.15g/100kcal、0.05~0.12g/100kcal、又は0.05~0.1g/100kcalのラクト-N-ネオテトラオースを含み得る。好ましくは、本発明のeHFは、約0.15g/100kcalの2’-フコシルラクトース及び約0.075g/100kcalのラクト-N-ネオテトラオースを含む。
【0093】
本発明によるeHFに含まれるフコシル化オリゴ糖及びN-アセチル化オリゴ糖は、典型的には、フコシル化オリゴ糖:N-アセチル化オリゴ糖の比が、2.0:0.54~2.0:2.26、例えば、2.0:0.76~2.0:1.8又は2.0:0.8~2.0:1.4で存在する。特に有利な実施形態では、この比は、2.0:1又は約2.0:1である。
【0094】
好ましい実施形態では、本発明のeHFは、約1g/Lの2’-フコシルラクトース及び約0.5g/Lのラクト-N-ネオテトラオース、並びに/又は約0.15g/100kcalの2’-フコシルラクトース及び約0.075g/100kcalのラクト-N-ネオテトラオースを含み;脂質の約0重量%がMCTであり、及び/又はeHFは添加されたMCTを含まず;任意に、遊離アミノ酸が、アミノ酸の総重量に基づいて、20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在する。
【0095】
好ましい実施形態では、本発明のeHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず、ペプチドの少なくとも約95重量%は、約1200Da未満の分子量を有し;任意に、ペプチドの少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、又は45~55重量%は、240~600Daの分子量を有し、及び/又は遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在し;脂質の約0重量%がMCTであり;本発明のeHFは、約1g/Lの2’-フコシルラクトース及び約0.5g/Lのラクト-N-ネオテトラオース、並びに/又は約0.15g/100kcalの2’-フコシルラクトース及び約0.075g/100kcalのラクト-N-ネオテトラオースを含む。
【0096】
遊離アミノ酸
本発明のeHFは、遊離アミノ酸を含み得る。
【0097】
遊離アミノ酸は、ペプチドに含まれるアミノ酸を補充するために本発明のeHFに組み込まれ得る。遊離アミノ酸のレベルは、乳児栄養に十分なアミノ酸プロファイル、特に栄養規制(例えば、欧州委員会指令2006/141/EC)を満たすアミノ酸プロファイルを提供するように選択され得る。
【0098】
本発明のeHFに使用する遊離アミノ酸の例としては、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、スレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、カルニチン、タウリン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0099】
遊離アミノ酸は、タンパク質と同等の供給源を提供する(すなわち、窒素含有量に寄与する)。上記のように、ジペプチド及びトリペプチドの割合が高いと、腸機能障害のある患者でも窒素(タンパク質)吸収が改善され得る。したがって、遊離アミノ酸の割合が低いと、腸機能障害のある患者でも窒素(タンパク質)吸収が改善され得る。
【0100】
したがって、好適には、遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、又は25重量%以下の濃度で存在し得る。好ましくは、eHFは、アミノ酸の総重量に基づいて、25重量%以下の遊離アミノ酸を含む。
【0101】
より好ましくは、遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて、20~25重量%、21~23重量%、又は約22重量%の濃度で存在する。
【0102】
遊離アミノ酸含有量は、当業者に既知の任意の方法によって決定され得る。好適には、遊離アミノ酸含有量は、イオン交換クロマトグラフィーによる水性サンプル抽出物中に存在する遊離アミノ基の分離及びニンヒドリン試薬によるポストカラム誘導体化後の光検出によって得られ得る。総アミノ酸含有量は、窒素下、6mol/LのHCl中での試験部分の加水分解によって、及び上記のようにイオン交換クロマトグラフィーによる個々のアミノ酸の分離によって得られ得る。
【0103】
炭水化物
本発明のeHFの炭水化物含有量は、好ましくは100kcal当たり9~14gの範囲の炭水化物である。
【0104】
炭水化物脂質eHFにおける使用に好適な任意の炭水化物であり得る。
【0105】
本発明のeHFに使用する炭水化物の例としては、ラクトース、サッカロース、マルトデキストリン、及びデンプンが挙げられる。炭水化物の混合物を使用してもよい。
【0106】
一実施形態では、炭水化物含有量は、マルトデキストリンを含む。一実施形態では、総炭水化物含有量の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%は、マルトデキストリンである。
【0107】
一実施形態では、炭水化物含有量は、ラクトースを含む。一実施形態では、総炭水化物含有量の少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%は、ラクトースである。
【0108】
一実施形態では、炭水化物は、ラクトース及びマルトデキストリンを含む。
【0109】
脂質
本発明のeHFの脂質含有量は、好ましくは、100kcal当たり4.0~6.0gの範囲の脂質である。
【0110】
脂質は、eHFにおける使用に好適な任意のリピッド又は脂質であり得る。
【0111】
本発明のeHFに使用する脂質の例としては、ヒマワリ油、低エルカ酸菜種油、ベニバナ油、キャノーラ油、オリーブ油、ココナッツ油、パーム核油、大豆油、魚油、パームオレイン、高オレイン酸ヒマワリ油、及び高オレイン酸ベニバナ油、及び長鎖多価不飽和脂肪酸を含有する微生物発酵油(microbial fermentation oil)が挙げられる。
【0112】
脂質はまた、パームオレイン、中鎖トリグリセリド(MCT)、及び脂肪酸(例えば、アラキドン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸など)のエステルなどの油に由来する画分の形態であり得る。
【0113】
更なる脂質の例としては、構造化脂質(すなわち、構造を変化させるための化学的又は酵素的な修飾を受けた脂質)が挙げられる。好ましくは、構造化脂質は、sn2構造化脂質であり、例えば、トリグリセリドのsn2位にパルミチン酸を有する割合が高められているトリグリセリドが含まれる。構造化脂質は、添加してもよく、又は含めなくてもよい。
【0114】
あらかじめ形成されたアラキドン酸(ARA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)を多量に含有する魚油又は微生物油などの油を添加してもよい。
【0115】
ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖多価不飽和脂肪酸を添加してもよい。
【0116】
eHFは、100kcal当たり2~20mgのARA、100kcal当たり5~15のARA、若しくは100kcal当たり約10mgのARA、及び/又は100kcal当たり2~20mgのDHA、100kcal当たり5~15のDHA、若しくは100kcal当たり約10mgのDHAを含み得る。好ましくは、eHFは、100kcal当たり約10mgのARA及び100kcal当たり約10mgのDHAを含む。
【0117】
中鎖トリグリセリド(MCT)
高濃度のMCTは、早期の体重増加を損なう可能性がある。MCTは蓄積されず、脂質の蓄積をサポートしない。例えば、Borschelらは、MCTを含まないフォーミュラを与えた乳児は、MCT由来の脂質を50%含有するフォーミュラを与えた乳児よりも、1~56日の間に体重が有意に増加したと報告している(Borschel,M.,et al.,2018.Nutrients,10(3),p.289)。
【0118】
したがって、本発明のeHFにおいて、脂質の約30重量%以下は、中鎖トリグリセリド(MCT)である。
【0119】
いくつかの実施形態では、脂質の約25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、又は0.1重量%以下は、中鎖トリグリセリド(MCT)である。
【0120】
いくつかの実施形態では、脂質の0~30重量%、0~25重量%、0~20重量%、0~15重量%、0~10重量%、0~5重量%、0~4重量%、0~3重量%、0~2重量%、0~1重量%、0~0.5重量%、又は0~0.1重量%は、中鎖トリグリセリド(MCT)である。
【0121】
好ましくは、eHFは、添加されたMCTを含まない。好適には、脂質の約0重量%がMCTである、及び/又はeHFは検出可能なMCTを含まない。好適には、eHFは、MCTを含まない。
【0122】
好ましい実施形態では、本発明のeHFは、約3000Da以上のサイズの検出可能なペプチドを有しておらず;ペプチドの少なくとも約95重量%は、約1200Da未満の分子量を有し;ペプチドの45~55重量%は、240~600Daの分子量を有し;遊離アミノ酸は、アミノ酸の総重量に基づいて20~25重量%の濃度で存在し;eHFは、添加されたMCTを含まない。
【0123】
更なる成分
本発明のeHFはまた、好ましくは、毎日の食事に必須と考えられるあらゆるビタミン及びミネラルを、栄養に有意な量で含有する。特定のビタミン及びミネラルに関しては最小必要量が確立されている。
【0124】
本発明のeHFに使用するビタミン、ミネラル、及びその他の栄養素の例としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩素、カリウム、ナトリウム、セレン、クロム、モリブデン、タウリン、及びL-カルニチンが挙げられる。ミネラルは、通常、その塩形態で添加される。
【0125】
本発明のeHFは、1種以上のカロテノイドを含み得る。
【0126】
本発明のeHFはまた、少なくとも1種のプロバイオティクスを含み得る。「プロバイオティクス」という用語は、宿主の健康又はウェル・ビーイングに有益な効果を有する微生物細胞の調製物又は微生物細胞の成分を指す。具体的には、プロバイオティクスは、腸内バリア機能を改善することができる。
【0127】
好ましいプロバイオティクスは、全体として安全で、L(+)乳酸生成培養物であり、最大24ヶ月間安定かつ有効なままであることが要求される製品に対して許容可能な保存期間を有するものである。
【0128】
本発明のeHFに使用するためのプロバイオティクス微生物の例としては、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、デバロマイセス属(Debaromyces)、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、及びトルロプシス属(Torulopsis)などの酵母、並びにビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム属(Clostridium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、メリソコッカス属(Melissococcus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostrepococcus)、バシラス属(Bacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、リューコノストック属(Leuconostoc)、ワイセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、及びラクトバシラス属(Lactobacillus)などの細菌が挙げられる。
【0129】
好適なプロバイオティクス微生物の具体例は、サッカロマイセス・セレビシエ、バチルス・コアグランス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・スブチリス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・フェカリス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバシラス・アリメンタリウス、ラクトバシラス・カゼイ亜種カゼイ、ラクトバチルス・カゼイ・シロタ、ラクトバチルス・カルバタス、ラクトバシラス・デルブリッキー亜種ラクティス、ラクトバチルス・ファルシミナス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ジョンソニ、ラクトバチルス・ラムノーサス(ラクトバチルスGG)、ラクトバチルス・サケ、ラクトバチルス・ラクティス、ミクロコッカス・バリアンス、ペディオコッカス・アシディラクティシ、ペディオコッカス・ペントサス、ペディオコッカス・アシディラクティシ、ペディオコッカス・ハロフィルス、ストレプトコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、スタフィロコッカス・カルノーシス及びスタフィロコッカス・キシローサスである。
【0130】
本発明のeHFはまた、例えばプレバイオティクス、ラクトフェリン、食物繊維、ヌクレオチド、ヌクレオシドなどの、有益な効果を有し得る他の物質を含有してもよい。
【0131】
治療方法
一態様では、本発明は、乳児に栄養を与える方法であって、乳児に本発明によるeHFを投与することを含む、方法を提供する。
【0132】
「乳児」という用語は、12ヶ月齢未満の小児を指し、例えば、生後0ヶ月~6ヶ月の小児を指す。乳児はヒトである。
【0133】
牛乳タンパク質アレルギー
好ましくは、乳児は、牛乳タンパク質アレルギーを有する。「アレルギー」という用語は、通常は耐容性がある物質に対する、免疫系の過敏症を指す。アレルギーは、医師によって診断されたアレルギーであり得る。
【0134】
牛乳タンパク質(CMP)は、乳児の食物アレルギーの主要な原因であり、世界中で2~3%の小児に影響を及ぼしている。CMPアレルギー(CMPA)を有する小児のほとんどは、2つ以上の症状を有する:50~70%は皮膚症状があり;50~60%は胃腸症状があり;20~30%は気道症状がある。10%の小児では、重篤な生命を脅かす症状が現れることがある。(Nutten,2018.EMJ Allergy Immunol,3(1),pp.50-59)。
【0135】
皮膚症状としては、蕁麻疹、アトピー性湿疹、及び血管性浮腫が挙げられ得る。胃腸症状としては、嚥下障害、頻繁な吐き戻し、疝痛、腹痛、嘔吐、食欲不振、拒食、下痢(腸内タンパク質の喪失又は出血を伴う又は伴わないもの)、便秘(肛囲発疹を伴う又は伴わないもの)、発育不良、潜血(occult blood loss)、及び鉄欠乏性貧血が挙げられ得る。呼吸器症状としては、鼻水、喘鳴、及び慢性咳嗽が挙げられ得る。他の全身症状としては、アナフィラキシー、並びに重篤な代謝性アシドーシス、嘔吐、及び下痢(食物タンパク質誘発胃腸炎)を伴うショック様症状が挙げられる。これらの症状は、典型的には、感染症、薬物摂取、又は他の原因とは無関係である(Koletzko,S.,et al.,2012.Journal of pediatric gastroenterology and nutrition,55(2),pp.221-229)。
【0136】
母乳栄養が不可能である場合は、特殊な乳児用フォーミュラが推奨される。ESPGHANは、CMPAを有する非母乳栄養乳児には、CMPAを有する乳児に有効であることが証明されている、高度加水分解タンパク質をベースとしたフォーミュラ、すなわちeHFを使用することを推奨している(Koletzko,S.,et al.,2012.Journal of pediatric gastroenterology and nutrition,55(2),pp.221-229)。
【0137】
したがって、一態様では、本発明は、乳児において、牛乳タンパク質アレルギー、並びに/又は蕁麻疹、アトピー性湿疹、血管性浮腫、嚥下障害、頻繁な吐き戻し、疝痛、腹痛、嘔吐、食欲不振、拒食、下痢(腸内タンパク質の喪失又は出血を伴う又は伴わないもの)、便秘(肛囲発疹を伴う又は伴わないもの)、発育不良、潜血、鉄欠乏性貧血、鼻水、喘鳴、慢性咳嗽、アナフィラキシーのうちの1つ以上、並びに重篤な代謝性アシドーシス、嘔吐、及び下痢(食物タンパク質誘発胃腸炎)を伴うショック様症状を治療する及び/又は予防する方法であって、好ましくは該乳児が感染症を有しておらず、該方法が本発明によるeHFを乳児に投与することを含む、方法を提供する。
【0138】
別の態様では、本発明は、乳児において、牛乳タンパク質アレルギー、並びに/又は蕁麻疹、アトピー性湿疹、血管性浮腫、嚥下障害、頻繁な吐き戻し、疝痛、腹痛、嘔吐、食欲不振、拒食、下痢(腸内タンパク質の喪失又は出血を伴う又は伴わないもの)、便秘(肛囲発疹を伴う又は伴わないもの)、発育不良、潜血、鉄欠乏性貧血、鼻水、喘鳴、慢性咳嗽、アナフィラキシーのうちの1つ以上、並びに重篤な代謝性アシドーシス、嘔吐、及び下痢(食物タンパク質誘発胃腸炎)を伴うショック様症状の治療及び/又は予防に使用するための、本発明によるeHFを提供し、好ましくは該乳児は、感染症を有していない。
【0139】
肥満
CMPAを有する乳児は、例えば、胃腸症状に起因して、より高いレベルのタンパク質を必要とし得る。したがって、eHFは、典型的には、100kcal当たり2.6~2.8gのタンパク質を含有するものであり、重度の吸収不良を含む胃腸病変のある乳児のニーズに対応し、又は高い代謝率を補うためにタンパク質及びカロリーをより多く必要とする乳児のニーズに対応する。
【0140】
しかしながら、高タンパク質の乳児用フォーミュラの摂取は、2歳齢の体重及びボディマス指数の増加、並びに、血漿必須アミノ酸、インスリン様成長因子-1、及びC-ペプチドの血中濃度の上昇と関連しており、これらは体重増加及び脂質生成活性を誘発するおそれがある。より低いタンパク質含有量は、その後の肥満のリスクを減少させ得る(Totzauer,M.,et al.,2018.Obesity,26(7),pp.1203-1210)。
【0141】
例えば、欧州小児肥満プロジェクト(CHOP)では、高いタンパク質レベルを含有する乳児用フォーミュラを与えられた乳児は、より低いタンパク質レベルを含有する乳児用フォーミュラを与えられた乳児よりも、生後1年間に体重が増加し、6歳時のBMI及び肥満のリスクが高いことが示されている(Totzauer,M.,et al.,2018.Obesity,26(7),pp.1203-1210)。
【0142】
重要なことに、eHFは、CMPAを有する乳児に尚も好適なものである必要がある。しかしながら、タンパク質の量を減らすと、アレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートすることができない。
【0143】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明のeHFがアレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートしたことを示した。更に、eHFは安全で耐容性が良好であった。
【0144】
したがって、一態様では、本発明は、乳児における肥満を予防する、及び/又は乳児における肥満のリスクを低減する方法であって、該方法が、本発明によるeHFを乳児に投与することを含む、方法を提供する。好ましくは、乳児は、牛乳タンパク質アレルギーを有する。本方法はまた、乳児における牛乳タンパク質アレルギーを治療及び/又は予防し得る。
【0145】
別の態様では、本発明は、乳児における肥満の予防及び/又は乳児における肥満のリスクの低減に使用するための、本発明によるeHFを提供する。好ましくは、乳児は、牛乳タンパク質アレルギーを有する。特に、本発明は、乳児における肥満の予防及び/又は乳児における肥満のリスクの低減に使用するための;並びに、牛乳タンパク質アレルギー(CMPA)及び/又はCMPAの1つ以上の症状の治療及び/又は予防に使用するための、本発明によるeHFを提供する。
【0146】
製造方法
本発明のeHFは、任意の好適な方法で調製することができる。
【0147】
例えば、eHFは、加水分解タンパク質の供給源、炭水化物の供給源、及び脂質の供給源を、適切な割合で一緒にブレンドすることによって調製することができる。更に乳化剤を使用する場合、この時点で含めることができる。この時点でビタミン及びミネラルを添加してもよいが、通常、ビタミンは熱分解を避けるために後で添加する。任意の親油性ビタミン及び乳化剤などをブレンド前に脂質の供給源に溶解することができる。次いで、水、好ましくは逆浸透処理した水を混合して、液体混合物を形成することができる。市販の液化装置を用いて液体混合物を形成することができる。次いで、液体混合物を均質化してもよい。
【0148】
次いで、液体混合物を熱処理して、細菌含有量を低減することができる。この熱処理は、例えば、蒸気注入によって、又はオートクレーブ若しくは熱交換器、例えば、プレート熱交換器を使用して行うことができる。
【0149】
次いで、液体混合物を冷却、及び/又は均質化してもよい。均質化した混合物のpH及び固形分含有量は、この時点で調整することができる。
【0150】
次いで、均質化した混合物を、噴霧乾燥機又は凍結乾燥機などの好適な乾燥装置に移し、粉末に変換することができる。液体eHFが好ましい場合、均質化された混合物を滅菌し、次いで適切な容器に無菌充填してもよく、又は最初に容器に充填し、次いでレトルト処理してもよい。
【実施例】
【0151】
次に、実施例により本発明を更に説明するが、これらの実施例は、当業者が本発明を実施するのに役立てるために提供することを意味するものであり、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。
【0152】
実施例1-高度加水分解された乳児用フォーミュラの例示
以下は、本発明による例示的な高度加水分解された乳児用フォーミュラである。本発明のeHFは、好ましくは、毎日の食事に必須と考えられるあらゆる栄養素、ビタミン、及びミネラルを、栄養に有意な量で含有する。特定の栄養素、ビタミン、及びミネラルに関しては最小必要量が確立されている。
【0153】
【0154】
実施例2-タンパク質含有量を減らして高度加水分解された乳児用フォーミュラの安全性及び有効性。
試験デザイン
タンパク質含有量を減らして高度加水分解された乳児用フォーミュラの安全性及び有効性を、フォーミュラを与えた2つの並行群の、対照二重盲検無作為化多施設共同での介入臨床試験において調査した。
【0155】
臨床試験の主要目的は、牛乳タンパク質アレルギー(CMPA)の乳児に、タンパク質(Althera 2.2)レベルを減らし2種類のヒトミルクオリゴ糖(HMO)を添加した新規なeHF(試験フォーミュラ)を与えて、HMOを含まない市販のeHF(Althera 2.5)(対照フォーミュラ)を与えられた乳児と同等に発育することを示すことであった。市販のeHFは、現在、特定医療目的用食品として承認されている(規制(EU)2016/128)。試験の主要評価項目は、登録時から4ヶ月のフォローアップまでの1日当たりの体重増加であり、登録時の年齢枠は0~6ヶ月齢とした(非劣性デザイン)。
【0156】
副次目的には、CMPA乳児による試験フォーミュラの摂取が、耐容性が良好であり、年齢に応じた発育を可能にするかどうかが含まれた。したがって、試験の副次的評価項目には、年齢別体重、年齢別身長、年齢別頭囲Zスコア(WHO発育基準)を含む他の発育パラメータにおける変化が含まれた。
【0157】
試験対象集団は、標準的な臨床診療に従って医師がCMPAと診断し、選択基準ごとに少なくとも2つの症状を有する満期産乳児であった。4ヶ月間の試験フォーミュラ摂取を完了する130人の乳児が必要であった。
【0158】
選択基準は、以下の通りとした。
1.満期産乳児(37週間≦在胎≦42週間);
2.2500g≦出生体重≦4500g;
3.乳児の親(国の規制により必要な場合は両方の親)又は法定代理人(LAR)の書面によるインフォームド・コンセントを得ていること;
4.生後6ヶ月までの乳児;
5.登録時にフォーミュラのみを与えられている者、又は母乳栄養をしているCMPA乳児の母親で、登録前にフォーミュラのみを与えることを自主的に選択した者:並びに
6.標準的な臨床診療に従って医師がCMPAと診断した(かつ、高度加水分解乳又はアミノ酸乳児用フォーミュラで未治療である)乳児で、以下の症状のうち少なくとも2つが存在する者-泣く、吐き戻し、液状便又は便秘、アトピー性皮膚病変、蕁麻疹又は呼吸器症状。陽性IgE血液試験、皮膚プリック試験、パッチ試験、又は食物負荷試験のいずれかに基づく診断の場合、上記のうち、1つのみの症状が存在すればよい。
【0159】
除外基準は、以下の通りとした。
1.発育に影響を及ぼし得る先天性疾患又は先天異常。
2.CMPAによるものではないことが実証された慢性吸収不良。
3.登録前にCMPA以外の重大な出生前及び/又は出生後の重篤な疾患(治験責任医師の医学的判断による)。
4.未成年の親(両親)。
5.両親又は介護者が試験の手順を遵守することが期待できない乳児。
6.現在、別の臨床試験に参加している、又は生まれてから参加したことがある。
【0160】
試験フォーミュラ及び対照フォーミュラを以下に示す。
【0161】
【0162】
試験フォーミュラ及び対照フォーミュラにおいて、
・ペプチドの99重量%超は3000Da未満の分子量であった。
・ペプチドの95重量%超は1200Da未満の分子量であった。
・ペプチドの約52重量%はジペプチド及びトリペプチド(600~240Daの分子量のペプチド)であった。
・総アミノ酸の約22.4重量%は、試験フォーミュラ及び対照フォーミュラ中の遊離アミノ酸であった。
・検出可能なβ-ラクトグロブリンはなかった(すなわち、β-ラクトグロブリン含有量は0.01mg/kg未満であった)。
・検出可能なカゼインはなかった(すなわち、カゼイン含有量は0.2mg/kg未満であった)。
【0163】
両方のフォーミュラは粉末形態であり、缶の製品ラベルに印刷されている説明に従って、乳児が体重、年齢、及び食欲に適した量を経口摂取できるように調製した。
【0164】
乳児には、最低でもベースライン後4ヶ月まで(主要試験期間)、そして医療処方に従って乳児が必要とする期間(最長で12ヶ月齢まで)、試験フォーミュラを与えた。
【0165】
乳児が必要とする1日当たりの摂取量は、年齢、体重、及び食欲によって異なった。製品は乳児に自由に与えられるが、親又は介護者はラベルに印刷された1日に与えるべき適切な摂取量に関するガイドラインに従った、及び/又は試験担当者からの助言を受けた。
【0166】
乳児は、最大7回の試験診察を受けた:ベースライン(登録時)、ベースラインから4ヶ月後まで毎月(+1、+2、+3、+4ヶ月)、ベースラインから6ヶ月後。乳児が12ヶ月齢に達する時に、更に1回の最終診察が計画される。
【0167】
無作為化は、試験フォーミュラ群当たり1:1の比率であり、Medidata Balanceにおける最小化により実施した。層別化は、登録時の年齢(0~60日、61~120日、120日超)、性別、分娩様式(経膣分娩又は帝王切開)により行われた。双子が登録されている場合は、同じフォーミュラに無作為化した。
【0168】
試験結果
試験は、試験フォーミュラがアレルギー乳児の適切な発育及び発達をサポートし、安全性及び忍容性が良好であったことを示した。
【0169】
主要解析では、最初の4ヶ月間の治療にわたって、試験フォーミュラを与えられた乳児が対照フォーミュラを与えられた乳児に対して発育が非劣性であるかどうかを評価した。治療差及び片側同時97.5%信頼区間は、混合モデルにより実施した。体重(kg)は、年齢(月齢)、治療、性別、年齢*治療、年齢*性別の関数としてモデル化した。モデルは、隣接する診察における転帰について、自己相関タイプI構造を持つ分散共分散行列を仮定した。計算された差は、63日目[(14+112)/2]の治療効果の推定に用いられた。0.0305の除数を使用して、推定値をkg/月からg/日に換算した。体重、身長、及び頭囲を含む、主要副次解析を行った。
【0170】
タンパク質含有量を減らした、HMOを含む試験フォーミュラを与えた乳児は、WHO発育基準に沿った正常な発育を達成した(
図1~6)。具体的には、主要解析は、試験フォーミュラを与えた乳児の体重増加[g/d]が対照フォーミュラでの発育に対して非劣性であったことを示した(
図1~3)。4ヶ月のフォローアップまでのどの時点でも、身体測定パラメータのいずれにおいても有意差はなかった(
図4~6)。
【0171】
試験及び対照フォーミュラの安全性プロファイルは同様であった。対象となる有害事象の発生率には、有意な群間差はなかった。
【0172】
上記明細書で言及した全ての刊行物は、本明細書に参照により組み込まれる。開示された本発明の方法、細胞、組成物、及び使用の、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することのない様々な修正及び変更が、当業者には明白であろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者には自明であり、本発明を実施するために開示された様式の種々の改変は以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。
【国際調査報告】