IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーエフエス ファイテル,エルエルシーの特許一覧

特表2022-551839マルチコアファイバ及びファンアウト組立体
<>
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図1
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図2
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図3
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図4
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図5
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図6
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図7
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図8
  • 特表-マルチコアファイバ及びファンアウト組立体 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】マルチコアファイバ及びファンアウト組立体
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20221207BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20221207BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20221207BHJP
   G02B 6/04 20060101ALI20221207BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G02B6/26
G02B6/42
G02B6/02 461
G02B6/04 B
G02B6/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520399
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020054163
(87)【国際公開番号】W WO2021067880
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/930,838
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/909,422
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】バンサル,ラリットクマー
(72)【発明者】
【氏名】ディジョヴァンニ,デヴィッド,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ホランド,ウィリアム,アール.
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H137AB06
2H137BA04
2H137BA12
2H137BA13
2H137BA15
2H137BA18
2H137BA23
2H137BB03
2H137BB17
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC16
2H137BC58
2H137CC11
2H137FA05
2H137HA01
2H250AC61
2H250AD32
2H250AE71
2H250CA32
2H250CA68
(57)【要約】
本発明の複数の実施形態によれば、光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバ組立体のような、光源からのMM信号を伝搬するように構成された、例示的なシステムおよび製品が本明細書に記載されており、光ファイバ組立体は、ファイバ開口数(NA)値、第1のコア直径および第1の外径(OD)を有するマルチコアファイバ(MCF)と、MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、光源と通信する少なくとも1つのピグテール部分とを含むコンバイナとを含み、コンバイナは、光源からのMM信号を伝搬し、MM信号が少なくとも1つのピグテール部分を満たすように、ファイバNA値より小さい信号NA値を有するMM信号を伝搬する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコアファイバ(MCF)と、
コンバイナと、
光源をピグテール部に動作可能に結合するための光ファイバと、
不整合と
を含む、光源開口数(NA)値を有する前記光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバアセンブリであって、
前記マルチコアファイバ(MCF)は、
MCF NA値と、
MCFコア直径と、
MCF外径(OD)とを含み、
前記コンバイナは、
前記MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分であって、テーパ比を含むTFBと、
ピグテール部分とを含み、
前記ピグテール部分は
ピグテールNA値と、
ピグテールコア直径とを含み、
前記光ファイバは、
光ファイバNA値と、
光ファイバのコア径とを含み、
前記不整合は、
光ファイバNAとピグテールNAとのNA不整合と、
光ファイバコア径とピッグテールコア径とのコア径不整合と
NAミスマッチとコア直径ミスマッチの両方と、
からなるグループのうちの選択された1つである、光ファイバアセンブリ。
【請求項2】
前記TFB NA値は前記MCF NA値より小さく、
前記TFB NA値は前記ピグテールNA値と前記テーパ比の積である、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【請求項3】
前記ピグテールNA値が前記光ファイバNA値より小さい、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【請求項4】
前記光ファイバは、前記ピグテール部分を前記光源に接続するための入射ファイバであり、前記入射ファイバは、前記ピグテールNA値より大きいNA値を有する、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【請求項5】
前記MCFはコアを含み、前記コア間のクロストークは-13dB未満である、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【請求項6】
前記光ファイバは、ファイバリボンアレイ内に配置され、前記ファイバリボンアレイは、
円形リボン構成と、
線形リボン構成と
からなるグループから選択される1つである、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【請求項7】
前記ファイバリボンアレイは、
マルチファイバコネクタと、
マルチファイバプッシュオンコネクタと、
拡張ビームマルチファイバコネクタと、
レンズ付きマルチファイバ相互接続と
からなるグループから選択されるコネクタ内で終端される、請求項6に記載の光ファイバ組立体。
【請求項8】
前記TFBにおける損失が2.2dB未満である、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【請求項9】
光散乱コンポーネントをさらに含み、前記光散乱コンポーネントが、
高屈折率コーティングを含む前記TFBと、
光ストリッピングゲルを含む前記TFBと、
高屈折率コーティングを含む前記ピグテールと、
光ストリッピングゲルから成る前記ピグテールと、
からなる群から選択される1つである、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【請求項10】
前記TFBまたは前記ピグテールのいずれかが、コア間結合を防止するように構成される、請求項1に記載の光ファイバ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2019年10月2日に出願された米国仮出願第62/909,422号及び2019年11月5日に出願された米国仮出願第62/930,838号の利益を主張するものであり、両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書には、光源からのマルチモード(MM)信号を、特に、マルチコアファイバ(MCF)スパンおよび光源からのMM信号を伝播するための入出力(I/O)コンバイナ(ファンイン(Fan-in)および/またはファンアウト(Fan-out))組立体、例えば垂直共振器形面発光レーザ(VCSEL)送信器に伝播するためのシステム、方法、および製品が記載される。
【背景技術】
【0003】
ファイバレーザは高出力光応用にしばしば用いられる。これらの用途では、テーパファイババンドル(TFB)光カプラが、様々な光源からの複数の光入力を単一の光出力ポートに結合するためにしばしば使用される。より具体的には、TFBは、典型的には、複数のレーザの出力パワーをマルチモード光ファイバに結合して、これらの高パワー光応用においてファイバレーザおよび増幅器をポンピングする目的で使用される。
【0004】
ほとんどの光ファイバは、通常ファイバ軸上に位置する単一のファイバコアを有するが、複数のコアを含む特殊ファイバもある。マルチコアファイバ(MCF)と呼ばれるこのようなファイバは、複数の光信号を単一のファイバによって並列に搬送することを可能にすることによって、現在の光ファイバシステムの通信信号伝送容量を大幅に増加させる可能性を有する。MCFは、シングルコアファイバと同等またはそれに近い直径を有するように開発されている。しかしながら、マルチモードファイバのコア径は大きく(例:50um)、光ファイバの外ガラス径は曲げの信頼性(例:<200um)によって制限されるため、MCFのコア径は、市販のシングルコアマルチモードファイバのコア径よりも小さいことが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、当該技術分野におけるニーズに対処し、MCFおよびコンバイナ(または「ファンアウト」)組立体を利用して、VCSEL送信器などの光源からMM信号を伝搬することを目的とする。本明細書に記載される一実施形態によれば、マルチコアファイバ内のコアのNAは、コンバイナの入射ファイバのNAより大きくてもよい。入射ファイバは、TFBピグテールと接続されるか、または「接続される」ファイバとして定義され得る。従って、例示的な入射ファイバは、TFBピグテールのコアNAに嵌合し、充填不足にすることができる。
【0006】
あるいは、MCF内のコアのNAは、コンバイナ入射ファイバ内のコアのNAとほぼ等しくできる。本明細書に記載される例示的な実施形態は、ファイバNAと先細り要因とのバランスをとって、どこで輝度損失が発生するかを制御することができ、それによって、クロストークを最小限に抑えるように迷光を除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の複数の実施形態によれば、光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバ組立体のような、光源からのMM信号を伝搬するように構成された、例示的なシステムおよび製品が本明細書に記載されており、光ファイバ組立体は、ファイバ開口数(NA)値と、第1のコア直径および第1の外径(OD)を有するマルチコアファイバ(MCF)と、MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、光源と通信する少なくとも1つのピグテール部分とを含むコンバイナとを含み、コンバイナは、光源からのMM信号を伝搬し、MM信号が少なくとも1つのピグテール部分を満たすように、ファイバNA値より小さい信号NA値を有するMM信号を伝搬する。
【0008】
本明細書に記載される追加の実施形態は、光源からのMM信号を伝搬するための光ファイバ組立体に関し、光ファイバ組立体は、ファイバNA値、第1のコア直径および第1のODを有するMCFと、MCFと通信するTFB部分と、光源と通信する少なくとも1つのピグテール部分とを含むコンバイナと、ピグテールNA値およびピグテールコア直径を有する少なくとも1つのピグテール部分と、少なくとも1つのピグテール部分と通信するリボンアレイとを含み、リボンアレイは、リボンアレイNA値およびリボンアレイコア直径のうちの少なくとも1つが、それぞれ、ピグテールNA値およびピグテールコア直径から不整合である。
【0009】
本明細書に記載される更なる実施形態は、光源からMM信号を伝搬させるための光ファイバ組立体に関し、光ファイバ組立体は、ファイバNA値、第1コア直径および第1ODを有するMCFと、MCFと通信するTFB部分と、光源と通信する少なくとも1つのピグテール部分とを含むコンバイナと、ピグテールNA値およびピグテールコア直径を有する少なくとも1つのピグテール部分と、少なくとも1つのピグテール部分と通信するトランスフォーマと、光源およびトランスフォーマと通信する入射ファイバとを含み、入射ファイバは、入射ファイバNA値および入射ファイバコア直径を有し、入射ファイバNA値および入射ファイバコア直径の少なくとも1つは、それぞれ、ピグテールNA値およびピグテールコア直径から不整合である。
【0010】
本発明の他のおよびさらなる実施形態および態様は、以下の議論の過程において、添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図面が参照される。
図1】本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム100を示す。
図2】本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム200を示す。
図3】は、本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム300を示す。
図4】本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム400を示す。
図5】本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム500を示す。
図6】本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム600を示す。
図7】本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム700を示す。
図8】マルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム800を示し、本発明の一実施形態によるファンインおよびファンアウトの両方を結合するために同様のオプションを使用することができる。
図9】本明細書に記載する例示的な実施形態による、クロストークレベルと測定されたチャネル損失とを相関させる例示的なグラフ900を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載される1つ以上の例示的な実施形態による用語
MCF:マルチコアファイバ
MM:マルチモード
VCSEL:垂直共振器型面発光レーザ
TFB:テーパファイババンドル
テーパ比:TFBがMCFからピグテールに向かって漸減する係数
NA値:開口数
ファイバNA値:MCF内のいずれかのコアのNA
信号NA値:MCF内の光のNA
ピグテールNA値:TFBピグテールのコアのNA
TFB NA値:ピグテールNA値とTFBのテーパ比との積
リボンNA値:リボンファイバアレイのコアのNA
入射NA値:入射ファイバのコアのNA
【0013】
本発明は、VCSEL送信器、または単に「VCSEL」のような光源からMM信号を伝搬するためのMCFおよびファンアウト組立体に関する。上述したように、MCFにおけるコア直径は、市販のシングルコアマルチモードファイバにおける直径よりも小さいことが好ましい。MCF内のコアNAは、明るさを維持するために、より大きな直径のコアよりも高くする必要があり、ここで、明るさは、直径とNAの積として理解され得る。多くのTFB組立体では、コア直径は、入力ピグテールから出口に向かって先細りし、それによって、断熱テーパでNAを増加させ得る。
【0014】
当業者であれば、VCSELは、半導体レーザ、より具体的には、モノリシックなレーザ共振器を有するレーザダイオードとして説明することができ、放射光は、チップ表面などの上面に垂直な方向に送信器から出射することが理解されるであろう。これは、ウエハから個々のチップを切断することによって形成された表面から発光する従来のエッジ発光半導体レーザとは反対である。VCSELは、典型的には、かなり小さいモード領域(例えば、直径が数ミクロン程度)に対してのみ高いビーム品質を有し、したがって、出力パワーに関して制限される。
【0015】
より大きなモード領域では、高次横モードの励起は避けられない。これは、共振器の長さがわずか数ミクロンという非常に短いことの結果である。短い共振器往復時間により、VCSELはギガヘルツ(GHz)範囲の周波数で良好に変調され得る。したがって、VCSELは、光ファイバ通信用および自由空間光通信用の送信器として有用であり得る。短距離通信では、850nmのVCSELがMMファイバと組み合わせて使用され、10Gbit/sのデータレートが数百メートルの距離にわたって到達され得る。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、複数のVCSEL (例:8個のVCSEL)があってもよく、それぞれがNA<0.28および9μmモードフィールド直径(MFD)を有する。例示的なMM VCSELは、活性層の上のわずかな距離に開口を含むことができる。この例示的なMM VCSELのMFDは、活性層(例えば、約10um)上の開口または窓の直径として記載され得る。発散は上部と下部の反射器の間に支持された横モードから発生する。複数のVCSELの各々は、50μm、0.2NAコアを有する複数のファイバに任意に結合されてもよく、複数のファイバは、リボン状ファイバアレイに組み立てられてもよい。この実施形態は、一端で複数のVCSELに接続し、他端でMM MCF(例えば、8つのコアファイバ)に接合するファンアウトコンポーネントをさらに含むことができる。
以下にさらに詳細に説明するように、ファンアウトコンポーネントは、任意選択的に、リボン状MMファイバアレイ、すなわち、光源とピグテール部分との間の「ファイバリボン」接続を介して達成することができる。例示的なファイバリボンは、円形または「巻取り可能なリボン」構成、線形リボン構成などのような、しかしこれらに限定されない任意の構成を特徴とすることができる。さらに、例示的なファイバリボンアレイは、マルチファイバコネクタ、マルチファイバプッシュオンコネクタ、拡張ビームマルチファイバコネクタ、レンズ付きマルチファイバ相互接続などで終端することができる。
【0017】
MCFファイバの外側ODの制約により、ファンアウトの入力と出力の間に(例えば、コア直径とNAの積にほぼ等しい)輝度の不整合が存在する可能性がある。この不整合は、光がMCFのコアから迷光として結合されるため、光信号の減衰を引き起こす可能性がある。1つのコアからの迷光は、他のコアに結合する可能性があり、その結果、信号クロストークが発生し、リンク性能に大きな悪影響を及ぼす可能性がある。従って、コアによって捕捉される迷光の量を最小にしながら、MCF入力に入射される送信器(例:VCSEL)からの信号のモード内容を管理するための設計が必要とされる。同様に、MCF出力は、出力ファンアウトに結合されてもよく、これは、望ましくないクロストークをもたらす別のソースとなり得る。
【0018】
NA、OD、コア直径など(しかし、これらに限定されない)のような1つまたは複数の異なる特性を有する光源(例:VCSEL)に接続するためのMCFおよびコンバイナまたはファンアウトアレイのいくつかの例示的実施形態が本明細書に記載される。例示的コンバイナアレイは、入射ファイバ、テーパファイババンドル(TFB)部分、およびTFBピグテール部分を含んでもよく、ここで、TFBは例示的MCFに接続される。この接続は、機械的コネクタまたは融着接合のいずれかを介して達成することができることに留意されたい。さらに、接合された又は機械的な接続のいずれも、各コア間のクロストークを低減するために、モードストリッパを特徴とすることができる。場合によっては、コンバイナまたはファンアウトの同様の構成が、MCFからの光を結合するために必要とされ得る。
【0019】
本明細書に記載される実施形態は、入力テーパによって生成される輝度機構の損失および/または不整合から生じる迷光およびクロストークを議論するが、同じ原理が出力テーパで生じる迷光およびクロストークに適用され得ることを当業者は理解するであろう。換言すれば、入力側に見られる入射ファイバ、TFBピグテール、ダウンテーパ、および接合領域に関連する損失は、出力側で発生する可能性がある。したがって、クロストークは、光ストリッパ(例えば、高屈折率コーティング、光ストリッピングゲルなど)を出力またはアップテーパに追加することによって改善することができる。これは、膨張コア間の前方散乱またはエバネセント結合に起因する可能性がある。したがって、光ストリッピングは、入力テーパ、出力テーパ、またはその両方で実行することができる。
【0020】
上述のように、TFBと光源との間の接続は、ピグテール部分に融合されたリボンアレイを含むことができる。出力が必要な場合、入射ファイバは出力ファイバとして機能し、この構成は逆の方法で動作して(例えば、光源の代わりに)複数の光受信器に接続される。入射ファイバと同様に、この出力は、上述のリボンアレイ技術を利用することができる。出力ファイバは、光が反対方向(例えば、MCFからの光を光源ではなく受光器に伝送する)に進む入射ファイバに類似している。換言すれば、MCF内のコアの半分は光を一方向に搬送でき、残りの半分は光を反対方向に搬送できる。したがって、TFBからのファイバは、半入射(または入力)ファイバおよび半出力ファイバとみなすことができる。
【0021】
全体的に直径とNAの積に等しい輝度を維持するために、MCF中のコアのNAは、より大きな直径のコアのNAよりも高くする必要がある。さらに、多くのTFBでは、コア直径は入力ピグテールから出口に向かって先細り、断熱テーパではNAで必然的に増加する。多くの場合(例えば、クロストークを低減するために)、TFBが本質的に損失のないものであり、輝度が保持されていることが望ましいため、入力ピグテール内のコアは、より大きなコア内に、(例えば、充填不足の)より小さなNA光を含み、(例えば、完全に満たされた)より大きなNA光を含み得る、より小さなコア直径を有するファイバへのテーパリングを容易にすることができる。
【0022】
コアクラッド屈折率差がテーパに沿って変化しないので、入力ピッグテールファイバは、入射する光よりも高いNAを有することが好ましい。換言すれば、入力ピッグテールファイバは、充填不足にされるべきである。これは、ピッグテールを、同様のコア直径を有するがより低いNAを有する入射ファイバに接続することによって達成することができる。送信器(例:VCSEL)に結合された例示的な入射ファイバは、OM3またはOM4タイプのファイバであり得、これは、50μmのコア直径およびNAを有し、OM3/4タイプのファイバを充填不足にする。この場合、光源から入射される光のNAを制限することによって、または、OM3もしくはOM4ファイバの中もしくは後のモードフィルタリングによって、光のNAを低減することが望ましい。このコンディショニングは、入力ピグテールがより高いNA光を誘導することを防止する。より高いNA光はテーパで除去され、MCFでクロストークを引き起こす可能性がある。
【0023】
TFBおよびMCFのこの設計の1つの利点は、OM3ファイバのような入射ファイバを必要とせずに、入力ピグテールを複数のVCSELに直接結合することを容易にすることである。この場合、結合光学系は、損失を低下させながらTFBを介して輝度を維持するために、入力ピグテールを充填不足にする必要がある。
【0024】
図1図6は、例示的な実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体のための様々な配置オプションの選択を示す。以下の図に記載された配置の各々は、NA<0.28および9μmのMFDを有するVCSELを特徴とするが、このような光源は単に説明のためのものであり、光源のタイプおよび/またはパラメータに対する任意の変形を利用することもできることが理解される。本明細書に記載する例示的な実施形態では、0.28未満のNA値を有するVCSELについて説明するが、別のNA値を使用してもよいことに留意されたい。例えば、例示的なMM VCSELは、0.2から0.3NAの範囲内のNA値を有することができる。さらに、例示的なVCSELは、代替的に、少数モード(FM)VCSELまたはシングルモード(SM)VCSELであってもよいことに留意されたい。
【0025】
以下に説明する様々な実施形態は、マルチコアファイバ送信組立体(例えば、入力側にある入射、TFBピグテール、ダウンテーパ、またはス接合領域)の入力側に関連するが、追加の実施形態は、出力側の出力配置に向けられてもよいことに留意されたい。これらの構成によれば、クロストーク(下記の図8参照)を改善するために、出力側(例えば、高屈折率コーティング/ゲルまたは他の光ストリッピング手段の使用)で光ストリッピングを行うことができる。さらに、MCFから光受信器への結合を目的として、以下に説明するものと同様のオプションを利用することができる。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム100を示す。システム100は、NA<0.28および9umのMFDを有する例示的なVCSELのような複数の送信器を含む。送信器110は、レンズ120を介して送信し、NAが0.20でMFDが26μmのコアを有するMM MCF160に接続される。システム100の実施形態によれば、送信器110は、0.20のNAおよび50μmのMFDを有するファイバを有するリボンアレイ130(リボンには複数のファイバがあるが、1つのみを図示する)を介して送信する。このリボンアレイは、0.20のNAおよび65μmのMFDを有するTFBピグテール140に融合することができる。さらに、TFBピグテール140は、NA>0.20およびその出力における26μmのMFDを有するTFB150と通信可能であってもよい。図1はリボンアレイ130の単一のファイバのみを示しているが、当業者は、例示的なリボンアレイ130が複数のファイバを含むことを理解するであろう。したがって、複数のコアに結合する複数の発光ファセットが存在してもよい。
【0027】
MM MCF160に関して、および本明細書に記載される様々な実施形態を通して、前述のMFDは、MCF160内のコアのコア直径を指すことができることに留意されたい。換言すれば、MCF160内のコアのMFD値を、MM MCF160におけるMFDの上限値としてサービスしてもよい。さらに、例示的なシステム100および本明細書に記載される例示的なシステムの他のすべての実施形態において、種々のNA値は、信号NA(例えば、TFBの出力で生成される光のNA、ピグテールファイバに入射される光のNA)、例示的なシステムの種々のコンポーネント(例:TFB、ピグテールファイバ、入射ファイバ、リボンアレイなど)におけるファイバNAを参照し得ることに留意されたい。
【0028】
表1は、例示的なMCFおよびファンアウト組立体に関連する様々なデータを含む。
【0029】
【表1】
【0030】
図2は、本発明のさらなる実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム200を示す。システム100と同様に、システム200は、NA<0.28および9umのMFDを有する例示的な複数のVCSELなどの送信器210を含む。送信器210は、レンズ220を介して送信し、0.20のNAおよび26μmのMFDを有するコアを有するMCF260に接続される。システム200の実施形態によれば、送信器210は、0.20のNAおよび65μmのMFDを有するTFBピグテール240を介して送信する。さらに、TFBピグテール240は、NA>0.20およびその出力における26μmのMFDを有するTFB250と通信可能であってもよい。したがって、システム100とは対照的に、システム200は、レンズ220とTFBピグテール240との間のリボンアレイを利用しない。
【0031】
図3は、本発明のさらなる実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム300を示す。システム200と同様に、システム300は、NA<0.28および9umのMFDを有する例示的な複数のVCSELなどの送信器310を含む。送信器310は、レンズ320を透過し、NAが0.3でMFDが15μmのコアを有するMCF360に接続される。なお、システム300のMCF360は、システム200のMCF260とは異なる特性を有する。システム300の実施形態によれば、送信器310は、0.15のNAおよび37μmのMFDを有するTFBピグテール340を介して送信する。さらに、TFBピグテール340は、NA>0.15およびその出力における15μmのMFDを有するTFB350と通信可能であってもよい。したがって、システム300は、システム200で使用されるものよりも小さいNAおよび小さいMFDを有するTFBおよび対応するピグテールを使用する。
【0032】
図4は、本発明のさらなる実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム400を示す。システム100と同様に、システム400は、NA<0.28および9umのMFDを有する例示的な複数のVCSELなどの送信器410を含む。送信器410は、レンズ420を透過し、NAが0.30でMFDが26μmのコアを有するMCF460に接続される。なお、MCF460におけるコアのNAは、システム100のNAよりも大きい。システム400の実施形態によれば、送信器410は、0.20のNAおよび50μmのMFDを有するファイバを含むリボンアレイ430を介して送信する。このリボンアレイは、0.16のNA、50μmのMFD、および75μmのODを有する不整合TFBピグテール440に融合することができる。最後に、TFBピグテール440は、NA>0.30およびその出力における26μmのMFDを有するTFB450と通信することができる。リボンアレイ430とTFBピグテール440との間の不整合ODは、2dBの接合損失のような接合損失の尺度を説明することができることに留意されたい。同様に、TFB450とMCF460との間の接合は、本質的に無損失の接合であってもよい。無損失接合については、以下に詳細に説明する。
【0033】
図5は、本発明のさらなる実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム500を示す。システム500は、NA<0.28および9umのMFDの例示的な複数のVCSELのような送信器510を含む。システム400と同様に、送信器510は、レンズ520を透過し、0.30のNAおよび26μmのMFDを有するコアを有するMCF560に接続される。システム500の実施形態によれば、システム500は、複数の入射ファイバ570および複数のトランスフォーマ580をさらに含む。トランスミッタ510は、NAが0.20でMFDが37μmの複数の入射ファイバ570及び複数のトランスフォーマ580を介してTFBピグテール540に送信する。TFBピグテール540は、0.09のNA、83μmのMFD、および125μmのODを有することができる。さらに、TFBピグテール540は、NA>0.30およびその出力における26μmのMFDを有するTFB550と通信可能であってもよい。したがって、システム400で使用されるリボンアレイ430とは対照的に、システム500は、複数のレンズ520と複数のTFBピグテール540との間の複数の入射ファイバ570を利用する。TFBピグテール540(125μm)のODは、システム400のTFBピグテール440(75μm)のODよりもはるかに大きいことに留意されたい。TFB550とMCF560との間の接合は、無損失接合であってもよい。無損失接合については、以下に詳細に説明する。
【0034】
図4および5に示された例示的な実施形態の両方は、テーパの前に高NA光を「フィルタ」で除去し、それぞれのテーパを通じて伝搬させるために利用される低NA入力を特徴とする場合がある。低いNA入力は、フィルタリング損失に加えてテーパ損失を加えることができることに留意されたい。次いで、「無損失」TFBを実現するために、フィルタリングされた低NAの光は、テーパを介した伝搬のためにより高NAファイバに注入して戻すことができる。そうでなければ、このような構成は、逆方向の損失効果も有する。
【0035】
クロストークを低減するために、フィルタリングされた光は、近くのコアに結合する前に減衰され得る。フィルタリングは、NAまたはコア直径の不整合を有するファイバ間の接合または接続において、およびTFBのテーパに沿って行われ得る。迷光の減衰は、曲げ、吸収または散乱材料(例えば、ファイバの表面またはガラスファイバの部分内のいずれか)の包含、または光をエバネッセント的にストリップするための高屈折率材料の使用などの方法によって達成することができる。本明細書に記載される例示的な実施形態によれば、コア間のクロストークは、好ましくは-25dB未満、より好ましくは-30dB未満、場合によっては-40dB未満であってもよい。
【0036】
図6は、本発明のさらなる実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム600を示す。システム600は、NA<0.28および9μmのMFDを有する例示的なVCSELなどの送信器610を含む。システム500と同様に、送信器610は、レンズ620を介して送信し、0.30のNAおよび26μmのMFDを有するMCF660に接続される。しかしながら、システム600の実施形態によれば、レンズ620とMCF660との間に介在するコンポーネント(例えば、TFB、TFBピグテール、リボンファイバアレイ、入射ファイバ)は存在しない。したがって、送信器610は、MCF660内に直接起動することができる。このオプションによれば、MCFは、例示的な送信器610のNA(例:0.30)およびMFDの両方よりも大きいNA(例えば、それぞれ0.28のNAおよび9μmのMFD)およびMFD(例:26um)を有することができる。
【0037】
図7は、本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム700を示す。システム100と同様に、システム700は、NA<0.28および9μmのMFDを有する例示的な複数のVCSELなどの送信器710を含む。送信器710は、レンズ720を透過し、0.20のNAおよび26μmのMFDを有するコアを有するMCF760に受信器790に接続される。送信器710は、NAが0.20、MFDが50μm、ODが125μmの複数のファイバからなるリボンアレイ730を介して送信する。このリボンアレイは、TFBピグテール740に融合することができ、このピグテール740は、TFB750と通信することができる。
【0038】
一実施形態によれば、MCF760は、点765において機械的な接続を介してTFB750に接続されてもよい。リボンアレイの複数のファイバを充填する送信器710からの複数のモードに基づいて、システム700内の様々な点で損失を推定することができる。点735において、リボンアレイ730からTFBピグテール740へのコネクタにおける損失は、2.2dBの最大損失および同じ値の名目損失を有すると推定され得る。点755において、テーパ組立体損失は、0.8dBの最大損失及び0.4dBの名目損失を有すると推定され得る。点765において、各コアのTFB750とMCF760との間の機械的な接続における損失は、1dBの最大損失および0.6dBの名目損失を有すると推定され得る。最後に、点775において、TFB770およびTFBピグテール780のテーパ組立損失は、0.8dBの最大損失および0.4dBの名目損失を有すると推定され得る。したがって、点765における機械的な接続を使用する総最大損失は、2.2+0.8+1.0+1.0+0.8=5.8dBと推定され得、総名目損失は、2.2+0.4+0.6+0.6+0.4=4.2dBと推定され得る。
【0039】
代替的な実施形態によれば、MCF760は、上述の機械的接続とは対照的に、765において融合接合を介してTFB750に接続されてもよい。従って、ポイント765において、各コアのTFB750とMCF760との間の融着接合部における損失は、0.5dBの最大損失および0.2dBの名目損失を有すると推定され得る。したがって、点765における機械的接続を使用する総最大損失は、2.2+0.8+0.5+0.5+0.8=4.8dBと推定され得、総名目損失は、2.2+0.4+0.2+0.2+0.4=3.4dBと推定され得る。
【0040】
図8は、マルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム800を示しており、本発明の一実施形態によるファンインおよびファンアウトの両方を結合するために同様のオプションを使用することができる。具体的には、システム800は、ファンイン組立体820に接続された光源(例えば、VCSEL送信器810)を示す。ファンイン組立体820の例示的なコアは、より小さい直径に先細りしてもよい。従って、光信号は、共通ファイバ830内に扇形に流れることができる。システム800はさらに、ファンアウト組立体840に接続された受信器850を示す。ファンアウト組立体840の例示的なコアは、より大きな直径まで先太りしてもよい。従って、光信号は、共通ファイバ830からファンアウトすることができる。
【0041】
図9は、本明細書に記載の例示的な実施形態による、クロストークレベルと測定されたチャネル損失とを相関させる例示的なグラフ900を示す。具体的には、グラフ900は、入射条件が充填不足の状態から完全に充填された状態まで変化するときのクロストークとチャネル損失との間の関係を示す。例えば、二つの測定(例:VCSEL VS. OM4)は、一つのチャネルのみがアクティブな状態(下側の曲線910を参照)で行われた。
【0042】
上側の曲線920は、全てのチャネルが点灯した状態での10Gの測定値を表し、一つのチャネル曲線からのシフトを示す。したがって、全チャネルでの補正を考慮すると、約3dBの損失と-30dBのクロストークがある。一実施形態によれば、クロストーク測定が1つのチャネルで行われた場合、1つのチャネルから別のチャネルへの平均クロストークは~-34.4dBである。すべてのチャンネルが同時に動作している場合、平均クロストークは~-26.4dBです。平均挿入損失は~3.1dBである。10Gb/s NRZリンク送信をテストしたところ、すべてのチャネルがアクティブになった。さらに、3.1dBの挿入損失は、(例えば、2つのTFB、MCF-MCF接合および複数のコネクタなどの)リンク全体を説明することができる。
【0043】
本発明は、現在最も実用的かつ様々な実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正および同等の構成をカバーすることが意図されていることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは包括的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
【0044】
この記述された説明は、最良の態様を含む本発明を開示するために、また、任意の装置またはシステムの製造および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本発明を当業者が実施することを可能にするために、実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、請求項に定義されており、当業者に生じる他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、それらが請求項の文字どおりの文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが請求項の文字どおりの文言と実質的な相違がない同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内であることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】