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特表2022-551843金属マイクロワイヤのエクスシチュー製造、及びIC回路におけるFIBプレースメント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】金属マイクロワイヤのエクスシチュー製造、及びIC回路におけるFIBプレースメント
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
H01L21/60 301F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520671
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020054202
(87)【国際公開番号】W WO2021067908
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】16/592,102
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】マイケル リー ドーソン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ジェイ プライヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー エル ラージ
(72)【発明者】
【氏名】マリー コールス
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044FF05
5F044FF06
5F044FF08
5F044FF10
(57)【要約】
回路パッケージを製造する方法(200)が、10ミクロン又はそれより小さい直径を有するマイクロワイヤを移送のために搭載すること(205)と、搭載されたマイクロワイヤと回路パッケージとを集束イオンビーム(FIB)装置内に導入すること(210)とを含む。FIB装置は、FIB顕微鏡及びナノポジショナー(210)を含む。マイクロワイヤ、ナノポジショナー、及び回路パッケージは、FIB装置のための作業領域に運ばれる(215)。ナノポジショナー(220)を用いて、マイクロワイヤと回路パッケージとを共に、取り付けのための位置に運ぶ。マイクロワイヤは、適所に溶接され(225)、マイクロワイヤは切り離される(230)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(IC)パッケージであって、
前記ICパッケージの一部として製造される第1の導電性要素と、
前記第1の導電性要素に結合された第1の端部を有するマイクロワイヤと、
を含み
前記マイクロワイヤが、エクスシチュー(ex-situ)製造され、10ミクロン又はそれより小さい直径を有する金属を含む、
ICパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のICパッケージであって、前記マイクロワイヤがアンテナを形成する、ICパッケージ。
【請求項3】
請求項1に記載のICパッケージであって、前記ICパッケージの一部として製造される第2の導電性要素を更に含み、前記マイクロワイヤの第2の端部が前記第2の導電性要素に結合されている、ICパッケージ。
【請求項4】
請求項3に記載のICパッケージであって、前記第1の導電性要素及び前記第2の導電性要素が、各々、前記ICパッケージのICチップの表面より上に高架されている、ICパッケージ。
【請求項5】
請求項3に記載のICパッケージであって、前記第3の導電性要素に接することなく、前記マイクロワイヤが、前記第1の導電性要素と前記第2の導電性要素との間の第3の導電性要素の上を延在するように成形されている、ICパッケージ。
【請求項6】
請求項3に記載のICパッケージであって、前記第1の導電性要素が前記ICパッケージの第1のICチップ上に第1のボンドパッドを含み、前記第2の導電性要素が前記ICパッケージの第2のICチップ上に第2のボンドパッドを含み、前記第2のICチップが前記第1のICチップ上に搭載され、更に、前記マイクロワイヤが、前記第1のボンドパッド及び前記第2のボンドパッドへの取り付けのために成形される、ICパッケージ。
【請求項7】
請求項3に記載のICパッケージであって、前記マイクロワイヤがマイクロインダクタを形成するように成形される、ICパッケージ。
【請求項8】
回路パッケージの製造方法であって、前記方法が、
金属でつくられ、10ミクロン又はそれより小さい直径を有する、移送のためのマイクロワイヤを搭載することと、
前記搭載されマイクロワイヤと前記回路パッケージを、集束イオンビームFIB顕微鏡とナノポジショナーとを含むFIB装置に内に導入することと、
前記マイクロワイヤ、前記ナノポジショナー、及び前記回路パッケージを、前記FIB装置のための作業領域に運ぶことと、
前記ナノポジショナーを用いて、前記マイクロワイヤと前記回路パッケージとを取り付けのための位置で一緒にすることと、
前記マイクロワイヤを適所に溶接することと、
前記マイクロワイヤを切り離すことと、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記FIB装置が走査型電子顕微鏡(SEM)を更に含む、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記ナノポジショナーが、細長い先端部、マイクログリッパ、微小電気機械(MEM)デバイス、及び位置決めのために静電気力を使用するデバイスから成る群から選択される要素を含む、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、前記マイクロワイヤを適所に溶接することが、(トリメチルシクロペンタジエン)トリメチルプラチナ(C17Pt)とタングステンヘキサカルボニル(W(CO))とを含む有機金属前駆体の群から選択される前駆体ガスを使用する、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、前記回路パッケージが、単一ICチップ、共に取り付けられた複数のICチップ、チップ・ツー・デバイス・パッケージ、及びデバイス・ツー・デバイス・パッケージから成る群から選択された要素を含み、前記デバイスが非IC電気構成要素又は回路である、方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法であって、前記マイクロワイヤを成形してアンテナを形成することを更に含む、方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であって、マイクロワイヤを成形してマイクロインダクタを形成することを更に含む、方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法であって、前記マイクロワイヤを適所に溶接することが、前記マイクロワイヤの第1の端部を前記回路パッケージの第1のICチップ上の前記第1の導電性要素に溶接することと、前記マイクロワイヤの第2の端部を前記第1のICチップ上の第2の導電性要素に溶接することとを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記第1の導電性要素と前記第2の導電性要素との間の第3の導電性要素の上に、前記マイクロワイヤをアーチ状に成形することを更に含む、方法。
【請求項17】
請求項8に記載の方法であって、前記回路パッケージが、第2のICチップが上に搭載された第1のICチップを含み、前記方法が、
前記第1のICチップ上の第1のボンドパッドと前記第2のICチップ上の第2のボンドパッドとの間に取り付けのためのマイクロワイヤを成形することを更に含み、
前記マイクロワイヤを適所に溶接することが、前記マイクロワイヤの第1の端部を前記第1のボンドパッドに溶接することと、前記マイクロワイヤの第2の端部を前記第2のボンドパッドに溶接することとを含む、
方法。
【請求項18】
請求項8に記載の方法において、前記ナノポジショナーを用いて前記前記マイクロワイヤと前記回路パッケージを一緒にすることが、前記ナノポジショナーの先端部を前記搭載されたマイクロワイヤに溶接することと、マイクロワイヤセクションを切り離すことと、取り付けのための前記位置に前記マイクロワイヤセクションを配置することとを含み、更に、前記マイクロワイヤを切り離すことが、前記マイクロワイヤセクションを前記ナノポジショナーの前記先端部から切り離すことを含む、方法。
【請求項19】
マイクロワイヤを製造するための方法であって、
10ミクロン又はそれより小さい直径を達成するために、導電性金属を含む事前形成されたワイヤの或るセクションを、既知の濃度及び温度を有するエッチャント溶液中に或る時間期間懸架させることと、
エッチングされた前記ワイヤを前記エッチャント溶液から除去することと、
前記エッチングされたワイヤをリンスすることと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記導電性金属がタングステンであり、前記エッチャント溶液が、約30%の濃度及び約110℃の温度の過酸化水素である、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、前記導電性金属が銅であり、前記エッチャント溶液が希硝酸である、方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、前記導電性金属がアルミニウムであり、前記エッチャント溶液が希塩酸である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体集積回路(IC)チップの生産及び評価の初期段階において、「回路修正(circuit edit)」は、既存の結合を切断するか、又は既存のICチップに新たな結合を追加することによって、開発サイクルタイム及び販売までの時間を効果的に短縮するために一般に用いられる慣行である。回路修正は、例えば、数時間又は数日で改変を行う、迅速なプロトタイプ改変を提供し得る。これらの同じ改変は、半導体製造プラントを介して処理すると数週間要することがある。これは、しばしば、高価なマスクセットを生産又は改変する必要があるためである。回路修正を行うための技術は現存する課題の多くに対処するが、いくつかのタイプの新たな接続を確立することに関して、引き続き未解決の課題もある。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施例は、マイクロワイヤを製造する方法、及び、集束イオンビーム(FIB)顕微鏡、FIBと走査型電子顕微鏡(SEM)の組み合わせ、プラズマFIB顕微鏡、又は同様の顕微鏡のいずれかを使用する装置を用いて、ICチップ及び回路パッケージ内にマイクロワイヤを配置する方法を提供する。マイクロワイヤは、現時点では困難又は不可能なタイプの回路修正において、FIB装置の能力を高めるために、開発中に用いることができる。FIB装置を用いて、マイクロワイヤをICチップ及びパッケージの生産に組み込むこともできる。ICチップと共に使用するために開発されたが、記載される方法及びデバイスは、ICの一部ではない回路においても利用し得る。
【0003】
一態様において、ICパッケージの実施例が説明される。ICパッケージは、ICパッケージの一部として製造される第1の導電性要素と、第1の導電性要素に結合された第1の端部を有するマイクロワイヤとを含み、マイクロワイヤは、エクスシチュー(ex-situ)製造され、10ミクロン又はそれより小さい直径を有する金属を含む。
【0004】
別の態様において、金属で形成されたマイクロワイヤを有する集積回路パッケージを製造する方法の一実施例が記載される。この方法は、移送のためのマイクロワイヤであって、金属で形成され、10ミクロン又はそれより小さい直径を有するマイクロワイヤを搭載することと、搭載されたマイクロワイヤ及び回路パッケージを、集束イオンビーム(FIB)顕微鏡とナノポジショナーとを含むFIB装置に導入することと、マイクロワイヤ、ナノポジショナー、及び回路パッケージをFIB装置の作業領域に運ぶことと、ナノポジショナーを用いて、マイクロワイヤ及び回路パッケージを取り付けのための位置に共に運ぶことと、マイクロワイヤを適所に溶接することと、マイクロワイヤを切り離すこととを含む。
【0005】
更に別の態様において、マイクロワイヤを製造する方法の一実施例が記載される。この方法は、10ミクロン又はそれより小さい直径を達成するために、既知の濃度及び温度を有するエッチャント溶液中に、導電性金属を含む予め形成されたワイヤの或るセクションを、或る時間期間、懸架することと、エッチングされたワイヤをエッチャント溶液から除去することと、エッチングされたワイヤをリンスすることとを含む。
【0006】
本記載の実施例は、同様の参照符号が類似要素を示す添付図面の図において、限定としてではなく例として示されている。「1つの(an又はone)」実施例に対する異なる言及は、必ずしも同じ実施例に対するものではなく、少なくとも1つを意味し得る。更に、特定の特徴、構造、又は特性が或る実施例に関連して記載されている場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、それは、他の実施例に関連したそのような特徴、構造、又は特性を実施する当業者の知見の範囲内にある。本明細書で用いられるように、「結合する」という語はワイヤレス接続を含み得る「通信可能に結合された」と認定されない限り、間接的又は直接的な電気的接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な電気的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介する間接的電気的接続を介するものであり得る。
【0007】
添付の図面は、本明細書に組み込まれており、本明細書の一部を形成して、本明細書の1つ又は複数の例示の実施例を図示する。本記載の種々の利点及び特徴は、添付の特許請求の範囲に関連して、また添付の図面を参照して、以下の詳細な記載から理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施例に従った導電性マイクロワイヤの製造方法を示す。
【0009】
図1A】一実施例に従った、マイクロワイヤを形成するためにエッチングされている事前形成されたワイヤ或るセクションを示す。
【0010】
図2】一実施例に従った、回路パッケージの製造方法を示す。
【0011】
図2A図2の方法の一部であり得る付加的な要素を示す。
図2B図2の方法の一部であり得る付加的な要素を示す。
図2C図2の方法の一部であり得る付加的な要素を示す。
図2D図2の方法の一部であり得る付加的な要素を示す。
図2E図2の方法の一部であり得る付加的な要素を示す。
図2F図2の方法の一部であり得る付加的な要素を示す。
【0012】
図3A】一実施例に従った、ナノポジショナーの先端に取り付けられたマイクロワイヤを示す。
【0013】
図3B】一実施例に従った、ICチップの表面に取り付けられたマイクロワイヤを示す。
【0014】
図3C】一実施例に従った、回路パッケージに取り付けられた2本のマイクロワイヤを示す。
【0015】
図4A】一実施例に従った、ICチップの表面に設けられた2つの埋め込み導電性要素を結合するマイクロワイヤを示す。
【0016】
図4B】一実施例に従った、ICチップのレベル間誘電体の頂部に設けられた2つの導電性要素を結合するマイクロワイヤを示す。
【0017】
図4C】一実施例に従った、ICチップ上の第3の導電性要素を回避しつつ2つの導電性要素を結合するマイクロワイヤを示す。
【0018】
図4D】一実施例に従った、スタックされた第1のICチップ及び第2のICチップのためのボンドパッドを結合するマイクロワイヤを示す。
【0019】
図4E】一実施例に従った、アンテナを形成するように成形されており、ICチップ上の導電性要素に取り付けられたマイクロワイヤを示す。
【0020】
図4F】一実施例に従った、マイクロインダクタを形成するように成形されており、ICチップ上の導電性要素に取り付けられたマイクロワイヤを示す。
【0021】
図5】デュアルビームFIB顕微鏡及びSEMを示しており、これは金属製マイクロワイヤを含むICチップの製造に利用し得る。
【0022】
図6A図5のFIBが実施し得る回路修正の一例を示す。
【0023】
図6B図5のFIBが実施し得ない回路修正の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の特定の実施例について、添付の図を参照して詳細に説明する。以下の本発明の実施例の詳細な記載において、本発明のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに本発明が実施され得ることは当業者に明らかであろう。他の事例において、本記載を不必要に複雑にすることを避けるため、周知の特徴は詳細に記載されていない。
【0025】
IC回路は近くの構造物に不用意に影響を与えることなく、デバイス内部の小さな相互接続を改変するために、精度が要求される。現在開発中のチップ上の回路修正には、高精度電動ステージ、高真空チャンバ、特定のガス化学物質、すなわち前駆体ガス、及び、コンピュータ支援製図(CAD)ナビゲーション、を備えるFIB顕微鏡が必要であり、これらにより、表面下に位置し、露出されるまでは見ることができないターゲットの相互接続の位置特定をする。前駆体ガスとイオンビームスキャンの組合せを用いて、これらのFIB顕微鏡は選択性エッチングと堆積を行うことができる。
【0026】
次に、図5を参照すると、オペレーション中のFIB装置500の側面図が示されている。FIB装置500のセンターピースは、液体金属イオン源(例えば、ガリウム)からイオンビーム504を生成する一次イオンカラム502である。正に帯電したガリウムイオン(Ga)506は、フィールドエミッタポイント源から引き出され、一般に30~50キロボルト(kV)範囲の大きな電位の印加によって加速される。静電レンズの助けを借りて、エミッションは、サブミクロン直径を有し得るイオンビーム504内に集束される。イオンビーム504は、故障解析に必要とされ得るような、集積回路であり得るサンプル508をミリングするために用いられ得る。サンプル508は、通常、真空チャンバ512内部のステージ510上に配置される。
【0027】
イオンビーム504がサンプル508に衝突すると、二次電子514、二次イオン(I又はI)516、及び中性分子及び原子518が、サンプル表面520から放出され得る。帯電粒子は、電気的にバイアスされたグリッドに向かって引き出され、イオンカラム502から概ね或る角度に配置される検出器(図示せず)によって収集される。放出された粒子からの信号は、増幅されて表示されて、対象領域のリアルタイム画像を提供し得る。
【0028】
デュアルカラムツールは、イオンカラム502から45~60度傾斜され得る任意の電子カラム522によって補完されるイオンカラム502を有し得る。電子カラム522は、一連の電子524を局所エリアに送達し、FIB装置500のためのSEM画像化を行なって、イオンカラム502単独によって形成される画像よりも概して優れた画像を提供し、増大した被写界深度を提供するのに役立つ。電子カラム522はまた、ミリングエリアを画像化するのが容易であるため、断面化及び透過型電子顕微鏡(TEM)サンプル準備を補助し得る。
【0029】
イオンビーム504は、概して、単一方向ラスタ又はユーザ定義パターンでサンプル508を横切って移動される。オペレータは、ビーム電流、スポットサイズ、画素間隔、滞留時間などの種々のパラメータを制御する。サンプル表面に衝突するガリウムイオン506のドーズ量、又は量は、概して、ビーム電流、スキャン持続期間、及びスキャンエリアの関数である。サンプルに向けられたガリウムイオン506当たりの二次イオン516の数である二次歩留まりは、ミリングされる材料の関数である。イオンビーム504によってスパッタされたサンプル508の表面材料の量は、上述のパラメータの全ての関数である。
【0030】
イオンビーム504は、サンプル材料に対してスパッタリング効果を有し得るが、しばしば、材料を化学的に除去するのを補助するためにガスを添加する必要があり、それによって材料除去プロセスが向上される。ガス支援エッチングは、モデムFIBの一般的な特徴である。任意選択のガス注入カラム526が、局所化された堆積ガス528をミリングされるべきエリアに送達する。この堆積ガス528は、イオンビーム504と相互作用して、選択的ガス支援化学的エッチングを提供し得る。あるいは、一次イオンビームを用いてガスを分解し、サンプル上に導電性又は絶縁性材料を選択的に堆積させることができる。
【0031】
半導体デバイスの改変は、実施されるべき改変の局所化されたエリアにイオンビームを向けることによって、FIBによって促進され得る。イオンビームは、局所エリア内の材料を除去し、種々の層をミリングする。対象の層に到達すると、回路修正は、接続を確立するために所望の位置に新たな金属線又は他の材料を堆積することによって、又は接続を切断するために既存の導電性線を切断することによって行うことができる。いくつかの例において、FIB内部に導電性接続を生成するために、例えばプラチナを含む有機金属前駆体が目標エリア、例えば2つ又はそれ以上の導電性コンタクトポイントに向けてチャンバ内に注入され、イオンビームがデバイスの表面上のパターンを走査し、前駆体ガスの分解を引き起こし、デバイス上への堆積をもたらす。他の前駆体ガスは、タングステンヘキサカルボニル(W(CO))、並びにアルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)などを含む有機金属ガスを含み得る。
【0032】
FIB装置は、基板の裏側を介するか、又はそれ以外の、金属層を包囲する誘電体層を介するアプローチを用いて、デバイス上で回路修正を行うことができる。最善のアプローチは、デバイスの配置、及び表面と所望の導電性要素との間に存在する障害物に依存し得る。図6Aは、FIB装置が新たな接続を提供する、ICチップ600Aの裏側を介して実施される回路修正の一例を示す。ICチップ600Aは、基板602及びレベル間誘電体(ILD)604を含む。基板602は、ドープされたシリコンである導電性領域606を含み、例えば、ソース、ドレイン、又は回路に関連するウェルを形成し得る。ILD604は、ビア608によって接続され得る、金属層M1~M6を含む。
【0033】
示される回路修正では、基板内の導電性領域606Aと、金属層M5の一部である導電性要素610との間に、新たな接続がつくられている。FIB装置を用いて、トレンチ612が基板602内にミリングされ、対象領域が露出される。また、トレンチ614A及びトレンチ614Bは、各々、導電性要素610及び導電性領域606Aと接するようにミリングされている。これらのトレンチは、基板602の一部を横切るため、新たな接続は基板から絶縁される必要がある。これは、トレンチ612の底部618の一部を横切って延在するとともに、トレンチ614A及び614Bを充填し得る誘電体層、例えばシリコン酸化物616を堆積することによって達成し得る。次いで、FIBは、トレンチ614A及びトレンチ614Bを充填するシリコン酸化物616を介してミリングし得、一方、これらのトレンチの壁上に酸化シリコンの層を残すことができる。次いで、FIBは、2つのトレンチ614A、614B間に導電性接続を形成するとともに、トレンチ614A及びトレンチ614B内に導電性材料620を堆積する。
【0034】
図6Aに示された回路修正は、現行のFIB装置500の能力の範囲内に十分にあるが、他の所望の修正、例えば、BOAC(Bond over active circuit)又は頂部銅要素などの、表面より上に上にある2つの導電性要素の間に導電性接続を形成することなどを行うことはFIBには現時点では不可能である。図6Bは、誘電体層622、頂部銅要素624、及び頂部銅要素626を含むICチップ600Bを示す。この例では、頂部銅素子624と頂部銅素子626との間に、これら頂部銅素子間に誘電体をまず堆積することなく、新たな接続を形成することが望ましい。しかしながら、堆積物はガスから作られ、導電性要素624、626は張り出し部(overhang)を含むため、頂部銅要素624と頂部銅要素626との間のギャップを横切る接続を提供することはできない。その代わりに、接続を堆積しようとすると、図示のように、不連続なセクション628A、628B、628Cが生じることになる。
【0035】
FIB内に形成される導電性要素で生じ得るもう一つの問題は、金属導電性要素を揮発させるために用いられる方法の結果として生じる。FIBにおける接続の蒸着に用いられる金属、例えば、白金、タングステン、又はモリブデンなど、はさほど揮発性ではないので、これらの金属を使用するために、これらの金属は、揮発性を高めるために炭素の「ケージ」内に封入され得る。一実施例では、(トリメチルシクロペンタジエナール)トリメチルプラチナ(C17Pt)がプラチナを堆積するために用いられる前駆体ガスである。結果として得られた堆積された白金は多量の炭素を含有し、これは、接続の抵抗率を増加させる。FIBによって堆積される例示の接続は、約20オーム/ミクロンの抵抗率を有する。これは、90μmの長さ及び1μmの幅を有する例示のFIB接続は、約1800オームの抵抗を有し得ることを意味する。幅を2μmに増加させることで、抵抗は、約900オームまで低下させることができるが、高いままである。これは、電流が接続を焼き尽くす恐れがあるので、新たな接続が大電流の搬送を必要とするときに問題を生じる。これらの問題に対処するために、FIBで実施され得る新たなオペレーションが必要とされている。
【0036】
本願は、例えば、数ミクロン又は更に小さい直径を有するマイクロワイヤを製造し、これらのマイクロワイヤをICチップ上に結合された導電性要素に使用する方法を記載する。電気化学エッチングは、ワイヤの直径を減少させる既知の方法であり、多くのプロセス、例えば走査型トンネル顕微鏡法で使用するために、非常に小さく、鋭い先端部の製造に用いられてきている。出願人は、10μm又はそれより小さい直径を有するマイクロワイヤを提供するためにワイヤの化学エッチングを適合させてきた。一旦用意されると、これらのマイクロワイヤは、集積回路チップ上で回路修正を行う際に用いることができる。既存のFIBプロセスにおける特定された欠点を解決するためのそれらの使用に加えて、記載されたマイクロワイヤをICチップの製造において使用する方法も特定されている。また、記載される概念は、ICで使用するために開発されたものであるが、それらの使用は以下で更に説明するように、ICに限定されるものではない。
【0037】
図1は、回路修正において利用することができ、完成したパッケージの製造にも利用し得る、マイクロワイヤを製造するための方法100のフローチャートを示す。この方法は、現在は、ワイヤの均一なエッチングを提供することが示されている手動プロセスである。手動方法は、概念の証明を提供するために本明細書に記載されているが、本方法を限定するものではない。方法100は、既知の濃度及び温度を有するエッチャント溶液中に、予め形成されたワイヤのセクションを懸架する(105)で始まる。タングステン、銅、アルミニウムなどの導電性金属を含む事前形成されたワイヤは、10ミクロン又はそれより小さい直径を達成する時間期間の間、エッチャント溶液中に残る。一実施例では、事前形成されたワイヤはタングステンであり、1ミルの初期的な直径を有する。
【0038】
試験を行って、所望の結果を達成するための適切な濃度及び時間を決定した。次いで、1ミルの直径を有するタングステンワイヤの種々のセグメントを、110℃の30%過酸化水素水溶液中に約30分間±1分間懸架させ、1μm~6μmの範囲のそれぞれの直径を有するマイクロワイヤを得た。必要な実際の時間は、事前形成されたワイヤの金属組成及び初期直径、エッチャント及びエッチャント濃度、並びに溶液の温度に依存する。使用し得る他の金属及びそれぞれのエッチャントのいくつかの例には、銅配線をエッチングするための希硝酸、及びアルミニウムワイヤをエッチングするための希塩酸が含まれる。決定された時間が経過すると、この方法は、エッチングされたワイヤをエッチャント溶液から除去すること(110)で続く。エッチングされたワイヤは、エッチング作用を完全に止めるためにリンスされる(115)。
【0039】
図1Aは、マイクロワイヤを形成するためのエッチング中のワイヤの一例を示す。この図は、一定の縮尺で描かれておらず、単に一般的な概念を示すために提供されている。予め形成されたワイヤ122は、特に図示されていないホルダを用いてエッチャント溶液124中に懸架されている。エッチングの期間の後、事前形成されたワイヤ122は2つのセグメントを含み、第1のセグメント126はエッチャント溶液の上に残り、エッチングの影響を受けず、第2のセグメント128は、エッチャント溶液124に浸漬され、直径が経時的に減少する。エッチャント溶液124は選択された温度に維持されるが、この場合も装置は特に示されていない。第1のセグメント126はその直径及び可視性を保持するが、第2のセグメント128が10μm又はそれより小さいの最終直径に近づくと、第2のセグメント128もはや肉眼では見えず、拡大した場合にのみ見ることができる。マイクロワイヤは使用のためにFIBチャンバに移送されることになるので、セグメント126は移送中にワイヤ122の取り扱いのために取り付けられたままであり得る。更に、事前形成されたワイヤ122の長さを、FIBチャンバ内で操作可能な長さに制限することが望ましい場合がある。現行のFIBチャンバは、概して、数百ミリメートルで測定可能なサイズを有し、したがって、数ミリメートルの長さを有するマイクロワイヤを提供し得る。
【0040】
図2は、一実施例に従った、回路パッケージの製造方法200のフローチャートを示す。回路パッケージは、単一のICチップ、例えばマルチチップモジュールのように共に取り付けられる複数のICチップを含み得る。本願の目的のために、ICチップについての言及は、ICパッケージ又は回路パッケージの一部であるICチップを含む。ICパッケージ又は回路パッケージは、図3A図3C及び図4A図4Fに示す素子を含み得るが、これらに限定されないことに留意されたい。回路パッケージはまた、デバイスに結合されたチップを含み得、デバイスは、非IC電気部品又は回路、あるいは或るデバイスに結合されたデバイスである。回路パッケージは、回路修正が実施されている場合、製造のプロセス中であり得、或いは、その設計の開発及び/又はデバッグのプロセス中であり得る。回路修正が実施されているとき、回路パッケージの1つ又は複数の領域は、例えば、材料を除去して1つ又は複数の導電性要素を露出させるためにFIB装置を用いて、事前に露出されていてもよい。導電性要素は、ボンドパッド、ビア、ワイヤ、金属層、構成要素などを含み得るが、これらに限定されない。回路パッケージはまた、研究応用例の一部であってもよく、微小電気機械(MEM)デバイスなどを含んでもよい。
【0041】
方法200は、移送のために10μm又はそれより小さい直径を有するマイクロワイヤを搭載すること(205)で始まる。一実施例では、マイクロワイヤは図1の方法100を用いて形成されている。一実施例では、マイクロワイヤは、FIBチャンバ内への導入のためにマイクロワイヤを保持する安定した手段を提供する基板に搭載され、基板はその目的に適した任意の材料で形成され得る。一実施例では、マイクロワイヤは、例えば、マイクロワイヤをそこからFIB内にピックアップし得るクレードルなど、レセプタクル内に配置される。一実施例では、ワイヤ全体の直径は10ミクロン又はそれより小さい。一実施例では、ワイヤの第1のセクションが10ミクロン又はそれより小さい直径を有し、ワイヤの第2のセクションが、より容易に固定し得るより大きな直径を有する。
【0042】
搭載されたマイクロワイヤ及び回路パッケージは、プラズマFIB顕微鏡であり得るFIB顕微鏡と、ナノポジショナーとを含むFIB装置に導入される(210)。いくつかの実施例において、FIB装置が走査型電子顕微鏡も含む。要求されるわけないが、SEMは、内部作業領域の別個の図を提供し、3次元のFIBチャンバ内にマイクロワイヤなどのアイテムを配置する能力を改善する。ナノポジショナーは、ナノメートルの精度でサンプルを位置決めできる高精度のモーションデバイスである。ナノポジショナーは、当初、TEMサンプル準備に使用するためにFIBチャンバに導入されたが、マイクロワイヤの操作のために再利用し得る。本願の目的のために、ナノポジショナーについての言及は、マイクログリッパ、MEMSデバイス、静電気力を使用するデバイスなど、並びに、自己アセンブリ又は自己整合の方法を含むと解釈される。FIBチャンバは更に、高真空を提供するように結合され、高エネルギー源、可視化のための検出器、及び、前述のようにミリング又は堆積のいずれかを行うために使用し得る複数の化学物質を含む。
【0043】
次いで、マイクロワイヤ、回路パッケージ、及びナノポジショナーを、FIB装置のための作業領域に運び(215)、ナノポジショナーを用いて、マイクロワイヤ及び回路パッケージを共に、取り付けのための位置に運ぶ(220)。一実施例では、回路パッケージを操作して2つを接触させる一方で、マイクロワイヤを静止状態に保持し得る。一実施例では、マイクロワイヤが、ナノポジショナーの一部であるマイクログリッパによってピックアップされ、回路パッケージ上に正確に配置され得る。マイクロワイヤはまた、細長い先端部のみを含むナノポジショナーを用いて非常に正確に配置し得る。このプロセスを以下に説明する。一旦配置されると、マイクロワイヤセクションは、1つ又は複数の溶接部を用いて適所に溶接される(225)。一実施例において、溶接部は、前駆体ガス(トリメチルシクロペンタジエナール)トリメチルプラチナを用いてつくられ、マイクロワイヤを横切ってプラチナの短いストラップを堆積させる。マイクロワイヤが適所に固定されると、マイクロワイヤは、マイクロワイヤを保持しているか又はマイクロワイヤに取り付けられているデバイスから切り離され得る(230)。
【0044】
上述のように、一例の実施例において、ナノポジショナーは、マイクロワイヤが最初に取り付けられなければならない細長い先端を含む。この方法のための付加的な要素が図2Aに示されている。ナノポジショナーの先端は、マイクロワイヤに溶接される。FIB装置の文脈では、溶接という用語は、物理的及び/又は電気的接続をつくるプロセスを説明するために用いられ、ナノポジショナー及びマイクロワイヤの両方に接着し得る利用可能な化学物質の1つの少量を堆積させることによって達成し得る。溶接部は、取り付けるものがICチップ上の適所に配置されることになるマイクロワイヤの部分内にあるように配置され得る。次いで、マイクロワイヤの或るセクションが、使用のために切断される(245)。位置決め(220)及び溶接(225)が完了した後、マイクロワイヤセクションを、ナノポジショナーの先端から切断する(250)ことによって、マイクロワイヤセクションを切り離し得る(230)。
【0045】
図3Aは、図2Aの方法の一部を示す作業領域300Aのイオンビーム図の図面である。基板310は、取り付けられたマイクロワイヤ312と共に背景に見られる。ナノポジショナー先端314は、元々マイクロワイヤ312の或るセクションに溶接され、次いで、マイクロワイヤセクション316を形成するよう切断された。矢印313は、切断が行われたマイクロワイヤ312及びマイクロワイヤセクション316上の位置を指す。また、図3には、ガスインジェクションシステムの一部であるノズル318も示されている。比較のために、ノズル318は直径が約1ミリメートルである。一実施例において、ナノポジショナーはOxford Instruments Nano-Manipulatorである。
【0046】
図3Bは、方法200が完了した後のFIBチャンバの作業領域300Bの更なる図である。作業領域300Bに見られるように、ICチップ322はボンドパッド324を含む。マイクロワイヤセクション326は、プラチナ溶接部328Aを用いてボンドパッド324に取り付けられている。追加のプラチナ溶接部328B、328C、328Dも、マイクロワイヤセクション326を更に固定するために追加されている。マイクロワイヤセクション326は、長さ約500μm、直径約1μmである。マイクロワイヤ326は第2の導電性要素に取り付けられては示されていないが、外部でつくられたマイクロワイヤをICチップ上に配置して取り付ける能力は図3Bによって明確に示されている。この実施例において、マイクロワイヤ326上の抵抗値は、4点ケルビン測定法を用いて、90μmの長さにわたって1.6オームを測定し、この抵抗値はFIB堆積法を用いた抵抗よりも2桁良好である。
【0047】
図2B図2Fはそれぞれ、方法200の要素上で更に拡張する要素、又は方法200の一部であり得る付加的な要素のいずれかを示す。これらの付加的な要素の各々は図4A図4Fと関連して説明される。図4A図4Fは、記載されるマイクロワイヤを利用して、回路修正中の新たな接続を、又は製造回路パッケージの正規の部品として形成し得る、多くの方式を示している。図2Bでは、マイクロワイヤセグメントを適所に溶接する(225)要素を拡大して、マイクロワイヤセグメントの第1の端部がICチップ上の第1の導電性要素に溶接され、マイクロワイヤセグメントの第2の端部がICチップ上の第2の導電性要素に溶接されていること(260)を明確にしている。この例では2つの導電性要素のみが結合されているが、複数の導電性要素は1つ又はそれ以上のマイクロワイヤを用いて共に結合され得る。
【0048】
要素260の最も単純な例は図4Aに示されており、これは、導電性溶接(特に図示せず)によって第1の導電性要素404及び第2の導電性要素406に取り付けられるマイクロワイヤセグメント408を含むICチップ400Aの断面を示す。第1の導電性要素404及び第2の導電性要素406は、例えば、レベル間誘電体402に共に埋め込まれる、金属層のボンドパッド又はセグメントであり得る。この種の回路修正は、現行のFIB技法の能力の範囲内であるが、記載される方法で取り付けられたマイクロワイヤは、はるかに低い抵抗値を提供し得、例えば、FIB内に堆積されたプラチナを用いる接続よりも大きな電流を導通し得る。一実施例において、この例は、より低い抵抗及び電流搬送能力を必要とする特定の回路修正のために確保され得る。
【0049】
別の例が図4Bに示されており、これはICチップ400Bの断面を示す。ICチップ400Bは、第1の導電性要素414と、ICチップ400Bの表面411の上方にある第2の導電性要素416とを含む。第1の導電性要素414及び第2の導電性要素416は、レベル間誘電体412の頂部に形成された頂部銅層又はBOAC層の一部とし得る。第1の導電性要素414及び第2の導電性要素416の高さ及びアンダーカット側部の両方は、図6Bに示されるように、これら2つの導電性要素の間に誘電体を最初に堆積することなく堆積された金属を用いて接続を形成することはできない。しかしながら、マイクロワイヤセグメント418は、第1の導電性要素414と第2の導電性要素416との間を橋渡しするのに十分な剛性を有する。
【0050】
2本のボンドワイヤとそれらのそれぞれのボンドパッドとの間の表面結合及び高架結合の両方を提供するために追加されたマイクロワイヤの例が、図3Cに示されている。FIBチャンバ内の完成した作業のこの更なる図において、ICチップ330は、ボンドパッド332、334及びそれらのそれぞれのボンドワイヤ336、338を含む。ボンドワイヤ336ははんだ接合部340によってボンドパッド332に取り付けられ、ボンドワイヤ338ははんだ接合部342によってボンドパッド334に取り付けられる。ボンドワイヤ336及びボンドパッド332をボンドワイヤ338及びボンドパッド334に結合することが望まれていた。ターゲット抵抗のため、結合を形成するために2本のマイクロワイヤを配置した。図示の実施例において、マイクロワイヤ344が溶接部348によって、はんだ接合部340及びはんだ接合部342に取り付けられた。マイクロワイヤ346は、空中結合として配置され、溶接部350によってボンドワイヤ336及びボンドワイヤ338に取り付けられる。
【0051】
第1及び第2の導電性要素が、直線ワイヤが接続を形成することを可能にする位置にあるとは限らない。例えば、第3の導電性要素は、第1の導電性要素と第2の導電性要素との間に存在し得る。FIB化学物質を用いる場合、第3の導電性要素への偶発的な接続は、第3の導電性要素の上に誘電体の層を最初に堆積させ、続いて所望の接続を堆積させることによってのみ回避し得る。しかしながら、FIB内に堆積された誘電体はリークの可能性があり、その接続と第3の導電性要素との間の望ましくないリーケージをもたらし得るともに、多量の時間を要する。図2Cは、この状況において方法200に追加し得る要素を示す。この実施例では、マイクロワイヤセグメントは、第3の導電性要素に接することなく、第1の導電性要素と第2の導電性要素との間の第3の導電性要素を覆ってアーチ状に成形され得る(265)。一実施例において、成形は、マイクロワイヤを位置決めする前に行われる。一実施例において、マイクロワイヤの第1の端部を適所に溶接し、次いで、マイクロワイヤの第2の端部を溶接する前に、マイクロワイヤを曲げるか又はその他の方式で所望の形状に整形し得る。
【0052】
図4Cは、第1の導電性要素434及び第2の導電性要素436の各々がレベル間誘電体432内に埋め込まれている、ICチップ400Cの或るセクションを示しており、第3の導電性要素437は、第1の導電性要素434と第2の導電性要素436との間の直接経路上にある。マイクロワイヤセグメント438は、第3の導電性要素437を覆ってアーチ状に曲げられるか又は他の方式で成形され、第3の導電性要素437と接することなく、第1の導電性要素434及び第2の導電性要素436との接触を成す。
【0053】
マイクロワイヤの利用によってもたらされる新たな能力が、回路修正中だけでなく、チップやチップパッケージの製造中にも利用できる状況があることは注目に値する。ミクロンサイズのワイヤは、より大きなワイヤで成されるのと同じプロセスで採用し得るが、より小さな特徴及びより高い精度で行われる。例えば、現在のボンドパッドは概して幅が40~60ミクロンの範囲であり、直径が25~40ミクロンのボンドワイヤを使用する。ボンドパッドが50ミクロン×50ミクロンである場合、マイクロアレイは、複数の接続を可能にするために一辺が数百ミクロンである必要がある。対照的に、マイクロワイヤを使用することによって、より小さいボンドパッドを用いることができ、ボンドパッドに用いられる面積がより少なくなるか、又は同じチップサイズパッケージ内のボンドパッドの数をより多くし得る。
【0054】
図2Dは、第2のICチップが、例えばマルチチップモジュールにおいて、第1のICチップ上に又は第1のICチップの近傍に搭載される場合に、方法200を追加し明確にするいくつかの要素を示す。ここでも、マイクロワイヤセグメントは、第1のICチップ上の第1のボンドパッドと第2のICチップ上の第2のボンドパッドとの間への取り付けのために成形され得る(270)。次いで、マイクロワイヤセグメントを適所に溶接する(225)要素が、マイクロワイヤセグメントの第1の端部が第1のボンドパッドに溶接され、マイクロワイヤセグメントの第2の端部が第2のボンドパッドに溶接されること(275)を明確にするため、拡大されている。
【0055】
この使用の一例を図4Dに示す。回路パッケージ400Dは、第1のボンドパッド443、444を有する第1のICチップ442を含む。第2のボンドパッド446、447を有する第2のICチップ445が、第1のICチップ442の上に搭載されている。第2のICチップ445は例えば、インダクタ、キャパシタ、1つ又は複数のセンサ、能動素子のマイクロアレイ、受動素子、又は製造中又は製造後のいずれかに第1のICチップ442に追加される任意の他の回路とし得る。マイクロワイヤ448は第1のボンドパッド443を第2のボンドパッド446に接続するように形作られ取り付けられており、マイクロワイヤ449は、第1のボンドパッド444を第2のボンドパッド447に接続するように形作られ取り付けられている。
【0056】
金属マイクロワイヤの延性のために、これらのマイクロワイヤは、例えば、ICチップ又はICパッケージなどの回路パッケージに付加され得る付加的な要素を形成するように成形され得る。図2Eは、アンテナを形成するためにマイクロワイヤセグメントが成形される(280)方法200のための付加的な要素を提供する。一旦、マイクロワイヤセグメントが整形され回路パッケージに取り付けられると、アンテナを用いて通信を行うことができる。
【0057】
図4Eは、ILD452に埋め込まれた導電性要素454を含むICチップ400Eの断面を示す。導電性要素454も、対象のメタライゼーション層内のボンドパッド又はコンタクトなどとし得る。マイクロワイヤ456が、アンテナ458を形成するように成形されており、このアンテナは、通信能力を提供するために導電性要素454に取り付けられる。マイクロワイヤ456の長さは所望の周波数に調整され得る。アンテナ458は、もちろん、図4Eに図示されるものとは異なる多くの形状をとることができる。
【0058】
図2Fは、マイクロワイヤセグメントがマイクロインダクタを形成するために成形される(285)方法200に付加され得る更なる要素を提供する。インダクタは、インダクタが大きく難しい構造を形成するので、半導体処理で製造することは困難である。ICチップに付加され得るマイクロインデューサとしてマイクロワイヤを成形することで、別の製法が提供される。図4Fは、ILD462に埋め込まれた、第1の導電性要素466及び第2の導電性要素468を含むICチップ400Fを示す。マイクロワイヤ463が、第1の導電性要素466及び第2の導電性要素468に取り付けられるマイクロインダクタ464を形成するように成形されている。コイルの直径及びコイルのきつさは、所望のインダクタンスを達成するように調整し得る。
【0059】
記載されるマイクロワイヤの導入により、ICチップの製造における現在の能力とFIBの能力との間の橋渡しが提供される。マイクロワイヤの製造及び使用は、2つの隆起した素子間を橋渡しすること、介在する導電性要素の上でアーチ状にすること、及びより大きな電流を搬送し得る接続を提供することなど、回路修正技術において以前は利用できなかった新たな能力を提供し得る。マイクロワイヤは、より小さなボンドパッドを可能にすることや、今や、大きさがより小さなサイズで製造し得るアンテナ及びマイクロインダクタを提供することなど、既存の機能を行う新たな方法も提供し得る。ICチップ及びそれに関連するパッケージのサイズが縮小し続けるにつれて、記載されるマイクロワイヤの使用は、更なる可能性を開くことができる。
【0060】
種々の実施例を詳細に示し、説明してきたが、特許請求の範囲は特定の実施形態又は例に限定されない。上記の詳細な説明のいずれも、任意の特定の構成要素、要素、工程、動作、又は機能が、特許請求の範囲に含まれなければならないように必須であることを暗示するものではない。単数形の要素についての言及は、明示的にそのように述べられていない限り「1つのみ」を意味するのではなく、「1つ又はそれ以上」を意味する。当業者に知られている、上述の実施例の要素に対するすべての構造的及び機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、本請求項の範囲に包含される。従って、当業者であれば、本明細書に記載される例示の実施例が、以下に添付される特許請求の範囲の趣旨及び範囲内で種々の変形及び変更を伴って実施され得ることを認識するであろう。
図1
図1A
図2
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】