IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-551876直接変換型検出器のセンサレイアウト
<>
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図1
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図2
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図3
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図4
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図5
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図6
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図7
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図8
  • 特表-直接変換型検出器のセンサレイアウト 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】直接変換型検出器のセンサレイアウト
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/24 20060101AFI20221207BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20221207BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G01T1/24
A61B6/03 320R
G01T1/161 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521346
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020027901
(87)【国際公開番号】W WO2021071549
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/912,875
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ビジャ,アレクサンダー ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ミーシェル
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA01
2G188BB04
2G188CC29
2G188CC32
2G188DD16
2G188EE36
2G188EE39
4C093AA21
4C093EA05
4C093EB13
4C093EB17
4C093EB22
4C188EE02
4C188FF04
4C188GG21
4C188JJ05
(57)【要約】
システム及び方法は、ガンマ線を電荷に変換することができる材料に電気的に結合された複数のセンサからなるアレイを含み、第1のセンサの中心と第1のセンサに直ぐに隣接する各センサの中心との間の距離は実質的に等しい。信号は、第1のセンサに直ぐに隣接する各センサから収集され、第1のセンサの複数の論理的サブピクセルのうちの1つは、第1のセンサに直ぐに隣接する各センサから収集された信号に基づいて決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接変換材料と、
前記直接変換材料に電気的に結合されたカソードと、
前記直接変換材料に電気的に結合された複数のセンサからなるアレイと、
を備え、
前記複数のセンサからなるアレイの第1のセンサの中心と、前記第1のセンサに隣り合う各センサの中心と、の間の距離が実質的に等しい、ガンマ線検出器。
【請求項2】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、六角形である、請求項1に記載のガンマ線検出器。
【請求項3】
前記複数のセンサからなるアレイの前記複数のセンサは、六方充填されている、請求項1に記載のガンマ線検出器。
【請求項4】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、実質的に円形である、請求項3に記載のガンマ線検出器。
【請求項5】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、実質的に正方形である、請求項3に記載のガンマ線検出器。
【請求項6】
コリメータをさらに備え、
前記コリメータによって規定される複数の開口は、前記アレイの前記複数のセンサに位置合わせされていない、請求項1記載のガンマ線検出器。
【請求項7】
カソードを直接変換材料に結合すること、および、
複数のセンサからなるアレイを前記直接変換材料に結合すること、
を含み、
ここで、前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、直ぐに隣り合う各センサの中心に対して実質的に等距離である、
ガンマ線検出器を構成する方法。
【請求項8】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、六角形である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のセンサからなるアレイの前記複数のセンサは、六方充填されている、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、実質的に円形である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、実質的に正方形である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
さらに含む、請求項7に記載の方法:
コリメータを検出器に取り付ける。ここで、取り付けられたコリメータによって定義される開口は、アレイのセンサに登録されない。
【請求項13】
ガンマ線を電荷に変換することができる材料に電気的に結合された複数のセンサからなるアレイの第1のセンサから、第1の信号を収集すること、ここで、前記第1のセンサの中心と前記第1のセンサに直ぐに隣り合う各センサの中心との間の距離は実質的に等しく、前記第1のセンサは、複数の論理的サブピクセルを含む、
前記第1のセンサに直ぐに隣り合う各センサからの信号を収集すること、および、
前記第1のセンサに直ぐに隣り合う各センサから収集された信号に基づいて、前記複数のサブピクセルのうちの1つを決定すること、
を含む方法。
【請求項14】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、六角形である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のセンサからなるアレイの前記複数のセンサは、六方充填されている、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、実質的に円形である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のセンサからなるアレイの各センサは、実質的に正方形である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のサブピクセルのうちの1つの決定は、前記第1のセンサに直ぐに隣り合う各センサから収集された前記信号に基づいて、六角格子における3座標の各々の値を決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、直接変換型検出器のセンサレイアウトに関する。
本出願は、2019年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/912,875号に対する優先権を主張し、その内容はすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
直接変換型ガンマ線検出器は、カドミウム-亜鉛-テルル化物(CZT)のような材料を用いて、受けとったガンマ線を電荷に直接的に変換する。典型的には、変換材料の表面にアノード(Anode)を接合することによって、検出器のピクセルを画定する。アノードは、電荷を収集し、そして衝突したガンマ線の位置を画定されたピクセルに関連して特定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的な検出器の設計においては、格子状に配置された正方形のアノードを使用して、検出器のピクセルが画定される。このようなシステムの固有分解能を高めるために、アンガーロジック(Anger logic)等のアルゴリズムが実装され、ガンマ線の位置がサブピクセル単位で特定される。しかしながら、通常のアノード格子は、最適とは言えないノイズ特性を示し、検出器の固有分解能を直接的に制限している。また、アノード面内の等方性が欠如しているために、サブピクセル位置でのガンマ線の位置決めも最適とはいえない。例えば、集電アノードの端部におけるサブピクセル位置の不確かさは、中心における不確かさよりも小さい。
【0004】
したがって、直接変換型検出器においては、センサ領域にわたって、ノイズおよび/または不確実さの不均一性が低減されたシステムが望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】いくつかの実施形態に係る直接変換型検出器センサアレイの図である。
図2】いくつかの実施形態に係る直接変換型検出器の構成要素の図である。
図3】いくつかの実施形態に係る直接変換型検出器の動作を示す図である。
図4】いくつかの実施形態に係る直接変換型検出器を使用して画像を生成するプロセスのフロー図である。
図5】いくつかの実施形態に係るサブピクセルの配置を示す図である。
図6】いくつかの実施形態に係るサブピクセルの配置を示す図である。
図7】いくつかの実施形態に係る直接変換型検出器センサアレイの図である。
図8】いくつかの実施形態に係る直接変換型検出器センサアレイの図である。
図9】いくつかの実施形態に係るSPECT撮像システムの構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、当該技術分野の任意の人が、ここに記載された実施形態を作製し、使用することを可能にするために提供され、ここに記載された実施形態を実施するために企図されるベストモードを示す。しかしながら、様々な変更が可能なことは、当業者には明らかであろう。
【0007】
いくつかの実施形態は、従来のセンサよりも静電容量が低く、信号対雑音比(signal-to-noise ratio:S/N比)が大きい直接変換型検出器センサに充てられる。このような静電容量は、ある実施形態では、所定のセンサ面積に対するセンサ周囲長を減少させることによって達成され得る。静電容量をより低くすること、および、S/N比をより大きくすることは、サブピクセルの位置決めの不確実性を低減し、固有分解能の改善につながる。
【0008】
さらに、いくつかの実施形態は、センサのサブピクセルにわたって、従来のセンサアレイよりも均一な電界分布と、より均一なノイズパターンおよび応答を示す、直接変換型検出器センサアレイに充てられる。均質性(homogeneity)と均一性(uniformity)は、従来利用可能であったよりも、均一なサブピクセルでの位置決めを実現する。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、センサアレイにおいて、隣り合うセンサの中心間の距離は、実質的に均一である。このような配置は、正方格子状のセンサと比較して、より均一な電界分布、ならびに、より均一なノイズパターンおよび応答、を提供することができる。なお、正方格子状のセンサにおいて、一のセンサの中心から、隣り合う(例えば、N(北)、S(南)、E(東)、W(西))センサの中心までの距離は、当該センサの中心から別の隣り合う(例えば、NE、NE、SE、SW)センサの中心までの距離と、同じではない。
【0010】
いくつかの実施形態によるセンサアレイは、形状が六角形のセンサから構成されてもよい。そのようなセンサアレイは、3方向でのサブピクセル位置(例えば、六角格子パターン)の計算を可能にし、これによって従来のシステムに対して固有分解能をさらに改善することができる。
【0011】
非線形性が低減することで、位置依存型の位置決め補正の必要性を低減できる可能性がある。さらに、検出器コリメータのセプタ(隔壁)の2次元位置は、従来のシステム(例えば、正方形または長方形パターンのセンサを有する)よりも正確に分解できるため、実施形態は、セプタを物理的なセンサの境界に適切に位置合わせされるように調整する必要性を低減することができる。
【0012】
図1は、いくつかの実施形態に係る、それぞれが六角形状のセンサからなるアレイ100の一部を示す図である。ここに記載されるセンサは、当該技術分野では、アノード(陽極)、ピクセル、または電極等と呼ばれることがある。六角形状のセンサのそれぞれは、専用の信号線に接続されており、隣り合うセンサとは、電気的には直接接触していない。実施形態は、このアレイ100の充填配置、または図示されたセンサ形状に限定されない。
【0013】
アレイ100のセンサは、従来のセンサよりも、小さい静電容量と大きなS/N比とを示し得る。例えば、アレイ100のセンサは、面積に対する周囲長の比がより小さい六角形であるため、同じ表面積を有する従来の正方形センサよりも、より低い静電容量とより大きなS/N比を呈し得る。後述するように、静電容量が小さく、S/N比が大きいと、サブピクセルの位置決めの不確かさが低減し、そして固有分解能の改善をもたらす可能性がある。
【0014】
面積Aを有し、距離dだけ離れた2枚の平行平板間の静電容量Cは、2枚の平行平板間の距離dがAの大きさに対して十分に小さい場合、C=εA/dで計算することができる。ここで、Cは静電容量(F)、Aは2枚の板が重なる面積(m)、εは材料の電気定数、dは平板間の距離(m)である。センサ1個あたりの検出面積を4mm、センサの厚さを5mmと任意に設定した場合、六角形のセンサの静電容量は正方形のセンサの静電容量より4~5%小さく、正方形センサでは1.479pF、六角形センサでは1.415pFである。したがって、六角形状のセンサは、正方形状のセンサと比較して、アノード全体にわたって、S/Nが大きく、サブピクセル位置の不確かさがより均一なことが理解できる。
【0015】
1つのセンサで見られる静電容量への最大の寄与は、隣り合うセンサの近接性に由来し、これはピクセルの外周に関連する。したがって、三角形、四角形、六角形のセンサは、同じセンサ面積であっても、それぞれの形状によって単位面積あたりの周囲長が小さくなるため、静電容量が減少していることがわかる。正方形センサは、三角形形状センサの88%の周囲長を有し、六角形センサは、三角形センサの82%の周囲長を有する。したがって、六角形センサは、システムの固有分解能を増加させる超低ノイズシステムにおいて、正方形および三角形のセンサの両方に対して有利なS/Nを示すことが可能である。
【0016】
アレイ100の隣り合うセンサの中心間の距離は、実質的に等しい。別の言い方をすれば、アレイ100の各センサは、その直ぐ隣に配置された各センサから、実質的に等距離にある。後述するように、このような構成は、正方格子状のセンサと比較して、より均一な電界分布、ならびに、より均一なノイズパターンおよび応答を提供し得る。また、アレイ100を六方充填(hexagonally-packed、六角形にパック)することは、後述するように、3方向(例えば、六角格子パターン)におけるサブピクセル位置の計算を可能にすることにより、従来のシステムに関する固有分解能を改善し得る。
【0017】
図2は、いくつかの実施形態による直接変換型検出器の構成要素の概略図である。検出器200は、センサアレイ210、カソード(Cathode)220、およびそれらの間にある直接変換材料230、を含む。センサアレイ210は、本明細書に記載されるような六角形の、またはその他の形状の、アノードからなるアレイグリッドから構成され得る。カソード220は、検出器200によって検出されるべきエネルギーのガンマ線に対して、概ね透明である連続層を含むことができる。直接変換材料230は、CZTまたはカドミウムテルライド(CdTe)などの単結晶半導体材料から構成することができる。
【0018】
図3は、一つの動作例における検出器300を示す。検出器300は、センサアレイ310、カソード320、直接変換材料330を含む、上述のような検出器200の構造を実装することができる。また、カソード320に隣接するコリメータ340も示されている。コリメータ340は、当該技術分野で知られているように、多焦点円錐ビームコリメータまたは平行多孔型コリメータから構成されていてもよい。
【0019】
検出器300は、ボリューム(volume)350から放射されるガンマ線355を検出するように配置される。ボリュームからガンマ線の放出を促すためのシステムは、当該技術分野で知られており、特に単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)画像に関して知られている。ガンマ線355のある種のものは、コリメータ340によってコリメートされて、その応答線(Line of response:LOR)を規定し、散乱ガンマ線または迷ガンマ線をフィルタリングする。このようにコリメートされたガンマ線は、その透明性によってカソード320を通過する。
【0020】
ガンマ線は、直接変換材料330内に侵入し、直接変換材料330と相互作用して、電子-正孔対を生成する。カソード320は、負のバイアス電位に保持され、一方、アレイ310のセンサは、反発の少ない電位に保持される。その結果、正電荷を帯びた正孔はカソード320に向かってドリフトし、負電荷を帯びた電子はアレイ310のセンサに向かってドリフトする。電子がアレイ310の所定のセンサに近づくと、所定のセンサおよびその隣り合うセンサにおいて信号が誘導される。
【0021】
所定のセンサによって電子を収集した後、読出し電子回路360は、隣り合うセンサから受信された信号を使用して、ガンマ線が受信されたと仮定される所定のセンサのサブピクセル位置を決定することができる。そして、当該技術分野で知られているように、全てのガンマ線が受信されたサブピクセル位置を使用して、画像を生成することができる。このような複数の画像は、当該技術分野においても知られているように、ボリューム350の周囲の様々な角度から取得することができ、ボリューム350の三次元画像を再構成するために使用することができる。
【0022】
実施形態は、図2および図3の構造、または図3に示される向きに限定されない。例えば、ガンマ線は、任意の方向から材料330に入射してもよい。ただし、図3の向きは、センサアレイ310にすぐ隣り合うように読出し電子回路360を配置しているために有益であり得る。
【0023】
上述のように、いくつかの実施形態によるセンサの静電容量は、同じ表面積を有する別のセンサの静電容量よりも小さくてもよい。読出し電子回路360によって見られる静電容量の低減は、システムのノイズを減少させ、システムのS/N比を増大させる。
【0024】
図4は、いくつかの実施形態によるプロセスのフロー図である。プロセス400および本明細書に記載される他のプロセスは、ハードウェアおよびソフトウェアの任意で適切な組み合わせを使用して実行され得る。これらのプロセスを具体化するソフトウェアプログラムコードは、固定ディスク、揮発性または不揮発性ランダムアクセスメモリ、CD、DVD、フラッシュドライブ、または磁気テープを含む任意の非一時的な有形媒体によって記憶することができる。実施形態は、後述する実施例に限定されない。
【0025】
最初に、S410において、直接変換型ガンマ線検出器の第1のセンサで電荷が受け取られる。上述したように、電荷は、ガンマ線の侵入に応じて直接変換材料によって生成される電子-正孔対の電子から構成され得る。本実施例によれば、第1のセンサに直接的に隣り合う各センサの中心は、第1のセンサの中心に対して実質的に等距離にある。この物理的特性は、図1のセンサアレイ100によって例証されるが、実施形態は、これに限定されない。
【0026】
次に、S420において、第1のセンサに直接的に隣り合うセンサのそれぞれに誘導され、第1のセンサで受信した電荷に対応する(すなわち、同じガンマ線相互作用に起因する)電気信号に基づいて、センサのサブピクセルが決定される。当技術分野で知られているように、発生した電子を収集するセンサの誘導信号は、隣接する非収集センサの誘導信号とは異なる。したがって、隣接する非収集センサに誘導される信号は、ガンマ線相互作用が発生したとみなされる収集センサの、サブピクセルまたはサブ領域を決定するために使用することができる。この点に関し、各センサは、多数の論理的なサブピクセルを画定すると考えることができる。
【0027】
S420は、当該技術分野で知られているようにアンガーロジックを使用して進めることができるが、デカルト格子ではなく、六角格子を使用する。アンガーロジックは、反対側にあるセンサの信号の和の間の比を計算することを含む。しかし、正方形のセンサでは、全ノイズへの寄与は、すべてのセンサで均一ではない。具体的には、収集センサに近いセンサ、すなわち、N、S、E、およびWセンサは、ノイズへの寄与が大きく、その他の隣接センサ、すなわち、NE、NW、SE、およびSWセンサは、収集センサから離れており、全体のノイズへの寄与は小さくなる。
【0028】
計算された比の結果として生じる非線形性により、センサの中心により近いイベント(事象)では、比はほぼ高低のない状態であり、特にS/N比が小さい場合にはノイズが固有分解能を支配するため、不確実性がより大きくなる。計算された比は高度に非線形であるため、従来のセンサアレイを用いたサブピクセルの決定においては、真の相互作用の推定位置を算出するために非線形補正が必要となる。なお、正方形のセンサを使用すると、集光センサに近いセンサによって定義される直交する2方向、例えばX-Y方向、において比が計算されるのが一般的である。
【0029】
図5は、いくつかの実施形態による、S420におけるサブピクセルの決定を示す。六角形状センサ500は、36個の論理的サブピクセルを有するように描かれているが、実施形態は、センサあたり任意の数のサブピクセルを定義することができる。センサおよびサブピクセルの六角形の形状により、3方向を有する六角格子パターンでアンガー比を有利に計算することができ、これにより、すべての座標を使用する場合の固有分解能を向上させることができる。特に、各ガンマ線イベントiの収集センサ510内の3次元サブピクセル位置(x,y,z)は、520に図示されるX、530に図示されるY、および、540に図示されるZに関して示されるように、2つの電極からなり、反対側に位置するグループに誘導される信号に基づいて決定することができる。ここで、Kx,Ky,Kz,およびKdepthは、線形補正係数および"より小さい"非線形補正係数である。
【0030】
図6はまた、いくつかの実施形態による、S420における収集センサ510についてのサブピクセルの決定を示す。図6の決定では、追加の(すなわち、第3の)信号を用いて各座標値を算出し、620に図示されるX、630に図示されるY、および640に図示されるZに示されるようにサブピクセル位置の軸をシフトさせながらS/N比を増加させる。
【0031】
S420におけるサブピクセル位置の決定は、任意の適切なアルゴリズムを利用してもよい。さらに、サブピクセル位置の決定は、または代替的に、収集センサにすぐには隣接しない1以上のセンサからの信号を利用してもよい。
【0032】
プロセス400に戻り、次いで、S430において、決定されたサブピクセルに基づいて画像が生成される。S410およびS420は、多数のガンマ線相互作用とその結果生じる収集電荷に関連して、多数回並行して実行されると仮定されるので、S430で生成される画像は、多くのサブピクセルの撮像データを含む。上述したように、生成された画像は、当該技術分野で知られるように、3次元ボリュームを再構成するために他の2次元画像と組み合わせて使用することができる2次元画像を含んでもよい。
【0033】
図7は、いくつかの実施形態によるセンサアレイ700を示す。センサアレイ700のセンサは、円形である。この点に関し、円は、任意の形状の所定の面積に対して最小の周囲長を有する。したがって、アレイ700において円形状のセンサを採用することは、任意のセンサ形状のうちで所与の面積に対する最小の静電容量を示し、その結果、上述した対応する利点がもたらされる。
【0034】
さらに、アレイ700のセンサは、六方充填されている。したがって、アレイ700の任意の所与のセンサについて、隣り合う全てのセンサの中心は、所定のセンサの中心から等距離にある。この特性は、各センサのサブピクセルについて、非線形性を低減し、位置決めの確実性についての一貫性を向上させる。センサアレイ700は、アレイ700の個々のセンサ間の、電荷を収集しない領域の広さに起因して、アレイ100よりも感度が低い場合がある。
【0035】
図8は、いくつかの実施形態による、六方充填されたセンサアレイ800を示す。センサアレイ800のセンサは、正方形であり、したがって、上述の六角形および円形のセンサよりも、単位面積あたりの静電容量が大きい。六方充填により、アレイ800の任意の所与のセンサに関し、すべての隣り合うセンサの中心は、所与のセンサの中心から等距離にある。したがって、センサアレイ800は、従来の正方格子に対して、各センサのサブピクセルの非線形性を低減し、位置決めの確実性の一貫性の増大を向上させることができる。また、センサアレイ800は、アレイ800の個々のセンサの間の電荷を収集しない領域の広さのために、アレイ100よりも低感度となり得る。
【0036】
図9は、上述のような1つまたは複数の直接変換型検出器を実装することができるSPECTシステム900を示す。システム900は、1つまたは複数の検出器904a,904bが取り付けられ得るガントリー902を含む。検出器904a,904bの各々は、ベッド908上のボリューム906内の放射性同位元素によって放出されるガンマ光子(すなわち、放出データ)を検出する。
【0037】
ベッド908は、軸Aおよび/または軸Bに沿って、ボリューム906を移動させることができる。それぞれのベッド位置(すなわち、撮像位置)において、ボリューム906の一部は、その身体部分からの発光データを捕捉するために、直接変換型検出器904a,904bの間に位置決めされる。直接変換型検出器904a,904bは、本明細書に記載されるようなセンサアレイを採用することができ、当該技術分野で知られるように、多焦点円錐ビームコリメータまたは平行多孔型コリメータに結合することができる。
【0038】
制御システム920は、任意の汎用のまたは専用のコンピューターシステムを備えることができる。したがって、制御システム920は、システム920を本明細書に記載されるように動作させるためにプロセッサで実行可能なプログラムコードを実行するように構成された1または複数の処理ユニット922と、プログラムコードを記憶するための記憶装置930とを含む。記憶装置930は、1または複数の固定ディスク、ソリッド・ステート・ランダムアクセスメモリ、および/または、対応するインターフェース(例えば、USBポート)に取り付けられたリムーバブル・メディア(例えば、サム・ドライブ)で構成されていてもよい。
【0039】
記憶装置930は、システム制御プログラム932のプログラムコードを記憶する。1または複数の処理ユニット922は、SPECTシステムインターフェース940と連動してシステム制御プログラム932を実行し、モータ、サーボ、およびエンコーダを制御して、検出器904a,904bをガントリー902に沿って回転させ、受信したガンマ線に基づいてセンサ検出器904a,904bから信号を取得し、本明細書に記載されるような電気信号に基づいて、ガンマ線イベントのサブピクセル位置(すなわち、投影画像)をすることができる。イベントデータ934は、記憶装置930に記憶されていてもよい。制御プログラム932は、既知のイベントデータ934からボリューム936を再構成するために実行してもよい。
【0040】
端末950は、システム920に結合された、表示装置と、入力装置と、を含んでもよい。端末950は、記憶装置930に格納された任意の投影画像または再構成されたボリュームを表示することができる。いくつかの実施形態では、端末950は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、およびスマートフォンなどの別個の演算装置であるが、これらに限定されない。
【0041】
システム900の構成要素の各々は、その動作に必要な他の要素、および本明細書に記載された以外の機能を提供するための追加の要素を含んでもよい。
【0042】
本明細書に記載される各機能構成要素は、当該技術分野で知られているように、少なくとも部分的に、コンピュータハードウェアにおいて、プログラムコードにおいて、および/またはそのようなプログラムコードを実行する1つ以上のコンピューターシステムにおいて、実装されてもよい。このようなコンピューティングシステムは、記憶装置に格納されたプロセッサ実行可能なプログラムコードを実行する1以上の処理ユニットを含むことができる。
【0043】
前述の図は、いくつかの実施形態によるプロセスを記述するための論理アーキテクチャを表し、実際の実装は、他の方法で配置された、より多くの、または異なる構成要素を含んでもよい。他のトポロジーは、他の実施形態と組み合わせて使用されてもよい。さらに、本明細書に記載される各構成要素または装置は、任意の数の他のパブリックネットワークおよび/またはプライベートネットワークを介して通信する任意の数の装置によって実装されていてもよい。そのようなコンピューティングデバイスの2つ以上は、互いに離れた場所に配置されていてもよく、任意の公知の方法によるネットワークおよび/または専用接続を介して互いに通信することができる。各構成要素または装置は、本明細書に記載される機能だけでなく、任意の他の機能を提供するのに適した、任意の数のハードウェア要素および/またはソフトウェア要素を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態によるシステムの実装において使用される任意のコンピューティングデバイスは、本明細書に記載するようにコンピューティングデバイスが動作するようなプログラムコードを実行するプロセッサを含んでもよい。
【0044】
本明細書で論じるすべてのシステムおよびプロセスは、1以上の非一過性のコンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムコードで具体化することができる。このような媒体は、例えば、ハードディスク、DVD-ROM、フラッシュドライブ、磁気テープ、および、ソリッドステート・ランダムアクセスメモリ(RAM)またはリード・オンリー・メモリ(ROM)記憶ユニット、を含むことができる。したがって、実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されない。
【0045】
当業者であれば、請求項から逸脱することなく、上述の実施形態の様々な応用および変更が構成可能であることを理解することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施され得ることが理解される。
【符号の説明】
【0046】
100,210,310…センサアレイ、200,300,500,700,800…検出器、220,320…カソード、230,330…変換材料、355…ガンマ線、360…読出し電子回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】