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特表2022-551899加工性及び耐食性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板及びその製造方法
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  • 特表-加工性及び耐食性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】加工性及び耐食性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/12 20060101AFI20221207BHJP
   C23C 2/28 20060101ALI20221207BHJP
   C23C 2/40 20060101ALI20221207BHJP
   C23C 2/26 20060101ALI20221207BHJP
   C22C 21/00 20060101ALI20221207BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20221207BHJP
   C22C 38/04 20060101ALI20221207BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C23C2/12
C23C2/28
C23C2/40
C23C2/26
C22C21/00 M
C22C38/00 301T
C22C38/04
C21D9/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521589
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 KR2020018688
(87)【国際公開番号】W WO2021125887
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0172332
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】イ、 スク-キュ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ヒョン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ミョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】オー、 ジョン-ギ
(72)【発明者】
【氏名】ミン、 クワン-チ
【テーマコード(参考)】
4K027
4K042
【Fターム(参考)】
4K027AA05
4K027AA23
4K027AB02
4K027AB05
4K027AB48
4K027AC72
4K027AC73
4K027AE23
4K042AA25
4K042BA06
4K042BA14
4K042CA02
4K042CA12
(57)【要約】
本発明は、加工性及び耐食性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板及びこの製造方法に関するものであって、より詳細には熱間成形時に発生するマイクロクラックの発生を抑制し、さらに、焼付性及び耐食性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板及びその製造方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素地鋼板;及び
前記素地鋼板上に形成された合金化めっき層を含み、
前記合金化めっき層は重量%で、Fe:30~50%、Zn:1~20%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含み、
前記合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さが2.5μm以下である、アルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項2】
前記合金化めっき層の厚さは5~25μmである、請求項1に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項3】
前記合金化めっき層は、FeAlの合金相を相分率で、80%以上含む、請求項1に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項4】
前記合金化めっき層内のAl含有量は、重量%で、40.5~53.9%である、請求項1に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項5】
前記素地鋼板は、重量%で、C:0.05~0.3%、Si:0.1~1.5%、Mn:0.5~8%、B:50ppm以下、残部Fe及びその他の不可避不純物を含む、請求項1に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項6】
前記合金化めっき層内のSi含有量は、重量%で、0.1~0.5%である、請求項1に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項7】
熱間プレス成形に用いられるアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法であって、
素地鋼板を用意する段階;
前記素地鋼板を、重量%で、Zn:3~30%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含むアルミニウムめっき浴に浸漬してアルミニウムめっき鋼板を得る段階;
アルミニウムめっき後、200~300℃で加熱された空気を前記アルミニウムめっき鋼板に供給してアルミニウムめっき鋼板の表面に酸化皮膜を形成する冷却段階;及び
前記冷却後に連続して650~750℃の加熱温度範囲で1~20秒維持して熱処理するオンライン(on-line)合金化によってアルミニウム系合金めっき鋼板を得る段階;を含む、アルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記合金化処理後に冷却する段階をさらに含む、請求項7に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記めっき時の片面当たりのめっき量は20~100g/mの範囲である、請求項7に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記合金化処理後の冷却は空冷である、請求項8に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記酸化皮膜は、表面に溶融アルミニウムめっき層の全厚さに対して10%以上形成される、請求項7に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項12】
下記関係式1を満たすように合金化温度を制御する、請求項7に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
[関係式1]
160-0.41×[T]+3.35×10-4×[T]-0.3×[wt%Zn]-3×[wt%Si]≦[wt%Fe]≦180-0.41×[T]+3.35×10-4×[T]-0.3×[wt%Zn]-3×[wt%Si]
[前記関係式1において、[T]は合金化熱処理温度(℃)を表し、[wt%Zn]はめっき浴におけるZn重量%含有量を表し、[wt%Si]はめっき浴におけるSi重量%含有量を表し、[wt%Fe]は合金化めっき層におけるFe重量%含有量を表す。]
【請求項13】
請求項1に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板を熱間プレス成形して得られる、熱間成形部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工性及び耐食性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱間成形のためにアルミニウム(Al)めっき鋼板や亜鉛(Zn)めっき鋼板が用いられているが、マイクロクラックが発生したり、熱処理時に形成された合金相によって耐食性が劣化する問題点があった。また、熱間成形時にめっき層の液化が発生してロールに融着する問題点があり、900℃まで急速に昇温させることができず生産性が低下する問題もあった。また、アルミニウム系めっき鋼板の場合には、アルミニウムの犠牲防食性がないため、加工後の耐食性が問題となる場合がある。
【0003】
このような耐食性及び熱間成形性を改善するために、従来において、めっき浴中にSiを4%以下添加し、合金化温度700℃及び合金化時間20秒にしてめっき層を合金化したアルミニウム合金化めっき鋼板が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記条件では、合金化時間が20秒と長時間かかるため、実践で合金化処理することに困難があり、合金化後に強い冷却が必要であるという問題点がある。また、Si含有量が減少するにつれてめっき浴温度が700℃程度と非常に高くなるため、めっき浴に浸漬されているシンクロールなどの構造物の耐久性が著しく低下する問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開公報1997-0043250号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面によると、熱間成形時に発生するマイクロクラックの発生を抑制し、かつ焼付性及び耐食性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板及びその製造方法を提供しようとする。
【0007】
本発明の課題は、上述した内容に限定されない。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、誰でも本発明の明細書の全体にわたる内容から本発明のさらなる課題を理解するのに困難がない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、
素地鋼板;及び
上記素地鋼板上に形成された合金化めっき層を含み、
上記合金化めっき層は重量%で、Fe:30~50%、Zn:1~20%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含み、
上記合金化めっき層と素地鋼板の界面粗さが2.5μm以下である、アルミニウム系合金めっき鋼板を提供する。
【0009】
さらに、本発明のまた別の一側面は、
熱間プレス成形に用いられるアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法であって、
素地鋼板を用意する段階;
上記素地鋼板を、重量%で、Zn:3~30%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含むアルミニウムめっき浴に浸漬してアルミニウムめっき鋼板を得る段階;
アルミニウムめっき後、200~300℃で加熱された空気を上記アルミニウムめっき鋼板に供給してアルミニウムめっき鋼板の表面に酸化皮膜を形成する冷却段階;及び
上記冷却後に連続して650~750℃の加熱温度範囲で1~20秒維持して熱処理するオンライン(on-line)合金化によってアルミニウム系合金めっき鋼板を得る段階;を含む、アルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明のまた他の一側面は、上述したアルミニウム系合金めっき鋼板を熱間プレス成形して得られる熱間成形部材を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、熱間成形時に発生するマイクロクラックを抑制し、焼付性及び耐食性を向上させたアルミニウム系合金めっき鋼板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】比較例4によって製造されたアルミニウム系合金めっき鋼板の断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真である。
図2】発明例1によって製造されたアルミニウム系合金めっき鋼板の断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真である。
図3】発明例1から形成された合金化めっき層についてXRD(X-Ray Diffraction;X線回折法)を用いて相分析した結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明の一側面であるアルミニウム系合金めっき鋼板について詳細に説明する。
【0014】
従来の技術はアルミニウムめっき浴にSiを多量添加することで、めっき層に緻密なFe-Al-Siの合金相が形成され、素地鉄がめっき層に拡散することを抑制した。これにより、高い合金化温度及び長い合金化時間が必要であった。
【0015】
これを改善するために、Si含有量を0.5~4%の範囲に制限してオンライン(on-line)合金化を試みたが、Si含有量が減少するにつれてAl-Feの合金相が早く生成され、めっき層の融点が高くなる問題点があった。これにより、素地鉄のFeがめっき層への拡散が抑制されることによって、オンラインで合金化させ難いという問題点がある。
【0016】
そこで、本発明者らは、上述した従来技術の問題点を解決するため鋭意検討した結果、合金化めっき層の組成及び合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さを制御することにより、上述した従来技術の問題点を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
したがって、本発明によると、20秒以下の比較的短時間でめっき層の合金化が可能となり、同時に焼付性、耐食性及びめっき層の密着性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板を効果的に提供することができる。
【0018】
[アルミニウム系合金めっき鋼板]
すなわち、本発明の一側面は、
素地鋼板;及び
上記素地鋼板上に形成された合金化めっき層を含み、
上記合金化めっき層は重量%で、Fe:30~50%、Zn:1~20%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含み、
上記合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さが2.5μm以下であるアルミニウム系合金めっき鋼板を提供する。
【0019】
本発明の一側面に係るアルミニウム系合金めっき鋼板は、素地鋼板及び上記素地鋼板上に形成された合金化めっき層を含み、上記合金化めっき層は、素地鋼板の一面または両面に形成されることができる。
【0020】
本発明の一側面によると、上記合金化めっき層は重量%で、Fe:30~50%、Zn:1~20%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含む組成を有することができる。このとき、上記合金化めっき層は選択的に、Mn:3%以下(0%含む)をさらに含むことができ、より好ましくはMn:2%以下(0%含む)をさらに含むことができる。
【0021】
本発明の一側面によると、上記合金化めっき層において、Znはめっき鋼板の焼付性及び耐食性を向上させるだけでなく、合金化処理後の合金化めっき層の密着性を向上させる重要な役割を果たす。したがって、上記合金化めっき層内のZn含有量が1~20%であることが好ましい。上記合金化めっき層内のZn含有量が1%未満であると、耐食性の効果が期待できず、上記合金化めっき層内のZn含有量が20%を超過すると、めっき密着性が劣る問題がある。
【0022】
また、上記合金化めっき層内のSi含有量は0.1~1.5%に制御する。上記合金化めっき層内のSi含有量が0.1%未満であると、合金化めっき層と素地鋼板との間の界面粗さが大きくなり過ぎてめっき層が密着性確保の側面で問題が生じ、上記合金化めっき層内のSi含有量が1.5%を超過すると、Fe-Alの合金相にSiが固溶することで、素地鉄から拡散するFeの拡散を抑制することができ、これにより合金化温度が高くなることがあるため、好ましくない。
【0023】
また、本発明の一側面によると、上記合金化めっき層は、選択的にMnをさらに含むことができ、これは素地鋼板をアルミニウムめっき浴に浸漬してめっきした後、合金化熱処理を介して素地鋼板に含まれる成分であるMnがめっき層側に流入するためである。このような拡散の結果、アルミニウム系合金めっき鋼板の合金化めっき層内には、2%以下のMnをさらに含むことができる。Mn含有量の上限は、めっき密着性の確保の面で2%以下であることが好ましい。Mnは、Al-Fe合金相の形成においてFeを置換する元素として、素地鉄との密着性を向上させる役割を果たすが、2%以上である場合、Al-Feの合金相が緻密なAl-Fe(Mn)相に形成されて合金化が遅延されることがある。また、合金化めっき層内のMn含有量は0%である場合を含むため、その下限は別途限定しない。
【0024】
また、本発明の一側面によると、上述した合金化処理によって素地鋼板に含まれるFeなどの成分が拡散し、合金化めっき層において、Fe含有量は重量%で、30~50%であることが好ましく、より好ましくは36~48%であることができる。上述した組成を満たすことによって本発明で目的とする焼付性、耐食性を確保することができ、まためっき層の密着性も確保することができる。
【0025】
また、本発明の一側面によると、上記合金化めっき層において、Al含有量は40~60%であることが本発明の目的達成のために好ましく、40.5~53.9%であることがより好ましい。上記合金化めっき層内のAl含有量を40%以上として、高融点を有するFe-Al合金相を形成することで、焼付性及びマイクロクラック発生の抑制効果があり、上記合金化めっき層内のAl含有量を60%以上である場合、Al-base合金相形成により融点が低くなって熱処理時に焼付性が劣化する問題点がある。
【0026】
また、本発明の一側面によると、上記合金化めっき層の厚さは5~25μmであることができる。上記合金化めっき層の厚さを5μm以上とすることで耐食性を確保することができ、25μm以下とすることで溶接性を確保することができる。したがって、本発明において合金化めっき層の厚さは5~25μmであることが好ましく、より好ましくは5~20μmであることができる。
【0027】
一方、本発明の一側面によると、上記合金化めっき層は、上述した製造過程中でめっき後の合金化処理によって、素地鋼板に含まれるFe(またはMn)などは、Al及びZnの含有量が高いアルミニウムめっき層に拡散し、その結果、主にFe及びAlの金属間化合物からなる合金化めっき層が形成されることができる。
【0028】
特にこれを限定するものではないが、上記合金化めっき層を主に成すFe-Al系金属間化合物の合金相としては、FeAl、FeAl、FeAlなどが挙げられ、Zn、Mn、Siなどの元素は、上記合金化めっき層内に固溶して存在することができる。
【0029】
特に、本発明の一側面によると、上記単層の合金化めっき層は、FeAlの合金相を相分率で、80%以上含むことができ、より好ましくはFeAlの合金相を90%以上含むことができる。また、本発明の一側面によると、上記単層の合金化めっき層は、FeAlをベースに(すなわち、相分率で80%以上)Zn、Mn及び/またはSiなどが固溶した合金相からなることができる。
【0030】
また、本発明の一側面によると、上記合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さが2.5μm以下であり、より好ましくは0.03~2.5μmの範囲であることができる。これにより、良好なめっき層の密着性を確保することができる。なお、本明細書において、上記界面粗さ(Ra)とは、合金化めっき層と素地鋼板との間に形成された界面について、下記数学式1のようにプロファイル中心線から上/下にずれる程度を算術的に計算した平均値を意味する。したがって、数学的には、粗さ曲線のすべての山(peak)と谷(vally)の面積の合計と同一面積を有する長方形の面積の高さ(振幅)に該当する。このとき、上記界面粗さ(Ra)はアルミニウム系合金めっき鋼板に対する厚さ方向(圧延方向と垂直な方向を意味する)への断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、合金化めっき層と素地鋼板の界面を観察することによって測定することができる。
[数学式1]
【数1】
(上記数学式1において、Raは上述の合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さを表し、lは測定しようとする界面線の全長さを表し、Z(x)はx軸の長さ方向に沿った界面線の位置変化を表す関数である。)
【0031】
本発明の一側面によると、上述しためっき鋼板に含まれる素地鋼板は、熱間プレス成形用鋼板として、熱間プレス成形に用いられる限り、特に限定しない。但し、一つの非制限的な例を挙げると、素地鋼板としてMnを1~10%の範囲で含む鋼板を用いることができる。或いは、より好ましくは素地鋼板として、重量%で、C:0.05~0.3%、Si:0.1~1.5%、Mn:0.5~8%、B:50ppm以下、残部Fe及びその他の不可避不純物を含む組成を有する素地鋼板を用いることができる。
【0032】
すなわち、本発明によると、熱間成形時に発生するプレスダイ(die)やロールに付着するめっき層の焼付を抑制することができるとともに、耐食性及びめっき層の密着性に優れたアルミニウム系合金めっき鋼板を提供することができる。
【0033】
[アルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法]
以下、本発明の一側面に係る熱間プレス成形に用いられる、アルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法に対する一例を説明すると、以下のとおりである。但し、下記の熱間プレス成形用アルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法は一例として、本発明の熱間プレス成形用アルミニウム系合金めっき鋼板が必ずしも本製造方法によって製造される必要があるとの意味ではない。
【0034】
本発明のまた他の一側面は、
熱間プレス成形に用いられるアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法であって、
素地鋼板を用意する段階;
上記素地鋼板を、重量%で、Zn:3~30%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含むアルミニウムめっき浴に浸漬してアルミニウムめっき鋼板を得る段階;
アルミニウムめっき後、200~300℃で加熱された空気を上記アルミニウムめっき鋼板に供給してアルミニウムめっき鋼板の表面に酸化皮膜を形成する冷却段階;及び
上記冷却後に連続して650~750℃の加熱温度範囲で1~20秒維持して熱処理するオンライン(on-line)合金化によってアルミニウム系合金めっき鋼板を得る段階;を含む、アルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0035】
まず、アルミニウム合金めっき鋼板を製造するために素地鋼板を用意する。上記素地鋼板については、上述の説明を同様に適用することができる。
【0036】
次に、本発明の一側面に係るアルミニウム系合金めっき鋼板は、素地鋼板の表面に重量%で、Zn:3~30%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含むアルミニウムめっき浴を用いて溶融アルミニウムめっきを行い、めっき工程に連続して冷却した後、続いてすぐ熱処理するオンライン(on-line)合金化処理を行うことで得られる。
【0037】
具体的には、素地鋼板を溶融アルミニウムめっき浴に浸漬してめっきを行い、上記めっき浴の組成は、Zn:3~30%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含むことができ、より好ましくは、Zn:5~30%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含むことができる。または、上記溶融アルミニウムめっき浴は、Zn:5%以上30%以下、Si:0.1%以上0.5%未満、残部Al及びその他の不可避不純物を含むこともできる。
【0038】
また、本発明の一側面によると、上記アルミニウムめっき浴には、本発明の目的を損なわない範囲で追加の元素をさらに添加することができる。
【0039】
本発明の一側面によると、上記アルミニウムめっき浴に添加されるZnは重量%で、3~30%添加することが好ましい。上記Zn含有量が30%を超えると、めっき浴のアッシュ(ash)が多量発生するため、粉塵発生などにより作業性が劣る問題が生じる。また、上記Zn含有量が3%未満であると、めっき浴の溶融点が大きく減少せず、合金化時のZnの蒸発によりめっき層中にZnが残留しなくなって、耐食性の向上が得られない。但し、本発明の効果をより極大化するために、上記Zn含有量の下限は5%であることが好ましく、上記Zn含有量の上限は20%であることがより好ましい。
【0040】
また、本発明の一側面によると、上記アルミニウムめっき浴に添加されるSiは重量%で、0.1~1.5%であることが好ましい。上記アルミニウムめっき浴中のSi含有量が0.1%未満であると合金化めっき層と素地鋼板との間の界面粗さが大きくなり過ぎてめっき密着性の向上効果が得られず、上記アルミニウムめっき浴中のSi含有量が1.5%を超過するとFe-Alの合金相にSiが固溶することで、素地鉄から拡散するFeの拡散を抑制するため、合金化温度が高くなる問題点がある。
【0041】
一方、本発明の一側面によると、上記めっき浴の温度は、めっき浴の溶融点(Tb)に対して20~50℃程度高く管理(すなわち、Tb+20℃~Tb+50℃の範囲に制御)することが好ましい。上記めっき浴の温度をTb+20℃以上に制御することで、めっき浴の流動性によるめっき付着量の制御が可能となり、上記めっき浴の温度をTb+50℃以下に制御することで、めっき浴中の構造物浸食を防止することができる。
【0042】
また、本発明の一側面によると、上記めっき時の片面当たりのめっき量(めっき層の片面当たりの付着量)は20~100g/mであることができ、これは素地鋼板を溶融アルミニウムめっき浴に浸漬した後、エアワイピング(air wipping)工程を適用することで制御され得る。上記めっき時の片面当たりのめっき量が20g/m以上であると、耐食性効果が発揮され、上記めっき時の片面当たりのめっき量が100g/m以下であると、めっき層を全体的に合金化可能となる効果がある。
【0043】
次いで、アルミニウムめっき後、200~300℃で加熱された空気を上記アルミニウムめっき鋼板に供給してアルミニウムめっき鋼板の表面に酸化皮膜を形成するように冷却することができる。このような冷却段階は、均一な合金層を形成する手段であるという点で本発明において重要である。すなわち、冷却時に200~300℃で加熱された空気をアルミニウムめっき鋼板に供給して露出させることで、アルミニウムめっき鋼板の表面には酸化皮膜(アルミニウム酸化膜;AlO)を形成する。
【0044】
本発明の一側面によると、上述したように合金化処理前に、酸化皮膜をアルミニウムめっき鋼板の表面に溶融アルミニウムめっき層の全厚さに対して10%以上(より好ましくは10%以上20%以下)形成することができる。上述したように、酸化皮膜を10%以上形成することで、めっき層に含まれるZnが合金化処理過程で揮発することを防止することができ、これにより優れた焼付性、耐食性及びめっき層の密着性を確保することができる。
【0045】
次に、上述した冷却後にすぐ連続して熱処理するオンライン(on-line)合金化処理を行うことができる。このような合金化熱処理によって素地鋼板のFe及び/またはMnがアルミニウムめっき層に拡散し、これによりめっき層の合金化が行われることができる。
【0046】
具体的には、本発明において、上記合金化熱処理温度は650~750℃の範囲であり、維持時間は1~20秒であることができる。本発明において、オンライン合金化処理は、溶融アルミニウムめっき後に昇温して熱処理する工程を意味する。本発明によるオンライン合金化熱処理方式では、溶融アルミニウムめっき後にめっき層が冷却されて固まる前に合金化のための熱処理が開始されるため、短時間で合金化が可能である。従来知られているアルミニウムめっき鋼板のめっき層の成分系では合金化速度が遅くて短時間で十分な合金化を完了させることができなかったため、めっきの直後にすぐ熱処理するオンライン(on-line)合金化方法を適用することが難しかった。しかしながら、本発明では、合金化速度に影響を及ぼすめっき浴の組成及び製造条件などを制御することで、1~20秒の比較的短い熱処理時間にも関わらず、アルミニウムめっき層の合金化を達成することができる。
【0047】
本発明の一側面によると、上記合金化熱処理温度は650~750℃の範囲であることができる。上記合金化熱処理温度は熱処理される鋼板の表面温度を基準とし、上記熱処理温度が650℃未満であると、めっき層の合金化が不十分となる問題が発生することがあり、一方、上記熱処理温度が750℃を超えると、過合金化して密着性が劣化するだけでなく、合金化された鋼板の冷却が容易でないため、トップロール(top roll)にめっき層が脱落してロールに付着する問題が生じる。
【0048】
また、本発明の一側面によると、上記合金化熱処理時の維持時間は1~20秒の範囲で行うことができる。本発明において、上記合金化熱処理時の維持時間とは、鋼板において上記加熱温度(偏差±10℃含む)が維持される時間を意味する。上記維持時間を1秒以上とすることで十分な合金化が可能となり、上記維持時間を20秒以下とすることで生産性確保の効果がある。
【0049】
本発明の一側面によると、本発明の効果をより向上させるために、上記合金化熱処理時の維持時間の下限は2秒であり、より好ましくは5秒であることができる。同様に、上記合金化熱処理時の維持時間の上限は15秒であり、より好ましくは10秒であることができる。
【0050】
上述したように、従来技術ではSiが含まれることでFeの拡散が抑制されるため、20秒以下の短時間で合金化が行われることが不可能であったのに対し、本発明によると、めっき浴の組成及び合金化熱処理時の条件を制御することで、20秒以下という比較的短時間で合金化が行われることができる。
【0051】
一方、本発明の一側面に係るアルミニウム合金めっき鋼板の製造方法は、上記合金化処理後に冷却する段階をさらに含むことができる。
【0052】
本発明の一側面によると、上記冷却は、鋼板の表面温度を基準にして、300℃以下まで5~50℃/sの平均冷却速度で冷却することができる。一方、上記冷却は空冷(Air cooling)、水冷(mist cooling)であり、本発明の一側面によると、最も好ましくは上記冷却は水冷(mist cooling)であることができる。
【0053】
一方、本発明の一側面によると、より好ましくは上記平均冷却速度を10~30℃/sとすることで、on-line上で従来の溶融めっきラインを用いて追加設備なしに冷却することができる効果がある。また、本発明の一側面によると、上記冷却は5~20秒間行うことができ、上記冷却時間を10秒以上とすることで十分な冷却効果が発揮されることができる。
【0054】
一方、本発明の一側面によると、本発明によって製造されるめっき鋼板において、合金化めっき層中のFe含有量は下記のような関係式1で表すことができ、合金化中の熱処理温度及びめっき浴におけるZn、Si含有量を適正範囲に制御することで優れた焼付性、耐食性及び/またはめっき層の密着性の効果を容易に発揮することができる。
[関係式1]
160-0.41×[T]+3.35×10-4×[T]-0.3×[wt%Zn]-3×[wt%Si]≦[wt%Fe]≦180-0.41×[T]+3.35×10-4×[T]-0.3×[wt%Zn]-3×[wt%Si]
[上記関係式1において、[T]は合金化熱処理温度(℃)を表し、[wt%Zn]はめっき浴におけるZn重量%の含有量を表し、[wt%Si]はめっき浴におけるSi重量%含有量を表し、[wt%Fe]は合金化めっき層におけるFe重量%含有量を表す。]
【0055】
一方、本発明のまた他の一側面は、上述したアルミニウム合金めっき鋼板を熱間プレス成形して得られる熱間成形部材を提供する。
【0056】
上記熱間プレス成形は、当技術分野で一般的に用いられる方法を利用することができる。例えば、めっき鋼板を800~950℃の温度範囲で3~10分加熱した後、プレス(press)を用いて上記加熱された鋼板を所望の形状に熱間成形することができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
また、上記熱間プレス成形部材の素地鋼板の組成は、上述した素地鋼板の組成と同一であることができる。
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示して、より詳細に説明するためのものにすぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものではない点に留意する必要がある。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項と、それから合理的に類推される事項によって決定されるものであるためである。
【実施例
【0059】
(実施例)
まず、素地鋼板として下記表1の組成を有する厚さ1.2mmの熱間プレス成形用冷延鋼板を用意した後、素地鋼板を浸漬して超音波洗浄することで表面に存在する圧延油などの物質を除去した。
【0060】
【表1】
【0061】
この後、これを還元性雰囲気で維持されている炉(Furnace)で焼鈍温度800℃、焼鈍時間50秒で熱処理した後、上記素地鋼板を下記表2に示しためっき浴組成及びめっき浴温度条件でめっき浴に浸漬してアルミニウムめっきを行った。上記めっき浴の浸漬時の浸漬温度はめっき浴の温度と同様に維持し、めっき浴の温度はそれぞれのめっき成分系の溶融点(Tb)に対して一括して40℃上昇させた温度でめっき浴を維持した。めっき量は、合金化を比較するためにエアワイピング(air wipping)を用いて片面60g/mに一定に維持した。
【0062】
続いて、アルミニウムめっきされた鋼板を200~300℃で加熱された空気を上記アルミニウムめっき鋼板に供給することで、溶融アルミニウムめっき層の全厚さを基準にして10%以上の酸化皮膜が形成されるように制御して冷却を行った。この後、下記表2に示した合金化熱処理条件で合金化熱処理を行い、この後、鋼板の表面温度を基準に、300℃以下まで空冷によって冷却してアルミニウム合金めっき鋼板を製造した。
【0063】
【表2】
【0064】
一方、上述の方法で製造されたアルミニウム合金めっき鋼板において、合金化めっき層における各成分含有量及び合金化めっき層の厚さを測定して下記表3に示した。上記合金化めっき層における成分はICP(Inductive Coupled Plasma Stectroscopy;誘導結合プラズマ分光法)を用いて湿式方法で測定し、厚さは電子顕微鏡を用いて断面を観察して測定した。また、界面粗さ(Ra)はアルミニウム系合金めっき鋼板に対する厚さ方向(圧延方向と垂直な方向を意味する)への断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、合金化めっき層と素地鋼板との界面を観察することで測定した。
【0065】
また、上記発明例1から形成された合金化めっき層について、XRD(X-Ray Diffraction;X線回折法)を用いて相分析した結果を図3に示し、合金化めっき層は、FeAlまたはFeAlをベースにした合金相で相分率80%以上(すなわち、合金化めっき層は合金相としてFeAl及びFeAlの合計の相分率を80重量%以上)となることを確認した。
【0066】
一方、アルミニウム合金めっき鋼板の特性評価のために、下記方法で焼付性、耐食性、めっき密着性及び生産性を評価し、評価結果を下記表3に示した。
【0067】
[焼付性]
このように製造されためっき鋼板について、めっきの物性評価のために900℃の条件で5分間加熱した後、合金化めっき層がダイ(die)に融着しているかを目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:焼付なし
×:めっき層の溶融によるダイ吸着が発生
【0068】
[耐食性]
めっき鋼板に対して塩水噴霧実験を行った後に720時間放置し、その後に表面に形成された腐食生成物を除去して表面に形成されている腐食生成物の最大深さを測定した。
【0069】
耐食性:720時間塩水噴霧実験を行った後、表面に形成された腐食生成物を除去し、腐食によって形成された腐食の深さを測定して下記の基準値(70μm)以下である場合を良好とした。
○:70μm以下
×:70μm超過
【0070】
[めっき密着性]
めっき密着性は、合金化後にめっき層を60°ベンディング(banding)実験した後、ベンディングの内部にテープを貼って剥離した後、テープに付着しているめっき層の広さを測定し、下記の基準で評価した。
○:4mm以下
×:4mm超過
【0071】
[生産性]
生産性は合金化に要する時間を測定して、下記の基準で評価した。
◎:15秒未満
○:15秒以上20秒以下
×:20秒超過
【0072】
【表3】
【0073】
上記表3に示したように、本発明で規定するめっき層の組成及び製造条件を満たす発明例1~7の場合、焼付性、耐食性及びめっき密着性がいずれも良好であり、これにより熱間成形時に発生するプレスダイやロールにめっき層が焼付したり、マイクロクラックが発生することを防止することができた。
【0074】
一方、本発明で規定するめっき浴のZn含有量を満たさないか、または製造条件を満たさない比較例1~12の場合、焼付性、耐食性及びめっき密着性のうち1つ以上の特性が良好でなく、これによって熱間成形時にプレスダイやロールにめっき層が焼付したり、マイクロクラックが発生するなどの問題が生じた。
【0075】
特に、上記比較例4によって製造されたアルミニウム系合金めっき鋼板の断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した写真を図1に示した。この場合、合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さが2.5μmを超過し、耐食性及びめっき密着性が良好でなかった。
【0076】
一方、発明例1によって製造されるアルミニウム系合金めっき鋼板の断面を走査電子顕微鏡を用いて観察した写真を図2に示した。この場合、合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さが2.5μm以下を満たし、焼付性、耐食性及びめっき密着性のいずれにおいても優れる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素地鋼板;及び
前記素地鋼板上に形成された合金化めっき層を含み、
前記合金化めっき層は重量%で、Fe:30~50%、Zn:1~20%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含み、
前記合金化めっき層と素地鋼板との界面粗さが2.5μm以下である、アルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項2】
前記合金化めっき層の厚さは5~25μmである、請求項1に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項3】
前記合金化めっき層は、FeAlの合金相を相分率で、80%以上含む、請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項4】
前記合金化めっき層内のAl含有量は重量%で、40.5~53.9%である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項5】
前記素地鋼板は、重量%で、C:0.05~0.3%、Si:0.1~1.5%、Mn:0.5~8%、B:50ppm以下、残部Fe及びその他の不可避不純物を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項6】
前記合金化めっき層内のSi含有量は、重量%で、0.1~0.5%である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板。
【請求項7】
熱間プレス成形に用いられるアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法であって、
素地鋼板を用意する段階;
前記素地鋼板を、重量%で、Zn:3~30%、Si:0.1~1.5%、残部Al及びその他の不可避不純物を含むアルミニウムめっき浴に浸漬してアルミニウムめっき鋼板を得る段階;
アルミニウムめっき後、200~300℃で加熱された空気を前記アルミニウムめっき鋼板に供給してアルミニウムめっき鋼板の表面に酸化皮膜を形成する冷却段階;及び
前記冷却後に連続して650~750℃の加熱温度範囲で1~20秒維持して熱処理するオンライン(on-line)合金化によってアルミニウム系合金めっき鋼板を得る段階;を含む、アルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記合金化処理後に冷却する段階をさらに含む、請求項7に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記めっき時の片面当たりのめっき量は20~100g/mの範囲である、請求項7又は請求項8に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記合金化処理後の冷却は空冷である、請求項8又は請求項9に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記酸化皮膜は、表面に溶融アルミニウムめっき層の全厚さに対して10%以上形成される、請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
【請求項12】
下記関係式1を満たすように合金化温度を制御する、請求項7から請求項11のいずれか一項に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板の製造方法。
[関係式1]
160-0.41×[T]+3.35×10-4×[T]-0.3×[wt%Zn]-3×[wt%Si]≦[wt%Fe]≦180-0.41×[T]+3.35×10-4×[T]-0.3×[wt%Zn]-3×[wt%Si]
[前記関係式1において、[T]は合金化熱処理温度(℃)を表し、[wt%Zn]はめっき浴におけるZn重量%含有量を表し、[wt%Si]はめっき浴におけるSi重量%含有量を表し、[wt%Fe]は合金化めっき層におけるFe重量%含有量を表す。]
【請求項13】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアルミニウム系合金めっき鋼板を熱間プレス成形して得られる、熱間成形部材。
【国際調査報告】