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特表2022-551905抗菌効力を有するオレア・エウロパエア変種シルベストリスの組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】抗菌効力を有するオレア・エウロパエア変種シルベストリスの組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/63 20060101AFI20221207BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20221207BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221207BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K36/63
A61P31/10
A61P31/04
A61K47/36
A61K9/06
A61K9/08
A61K8/9789
A61Q19/00
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521615
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020078232
(87)【国際公開番号】W WO2021069558
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】19202847.0
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509081713
【氏名又は名称】タプロゲ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】522142556
【氏名又は名称】クワトロ モリノス エセ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】デプマー,ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】タプロゲ,デトレフ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD48
4B018ME09
4B018ME14
4B018MF01
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA12
4C076AA16
4C076AA22
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB31
4C076CC32
4C076EE30G
4C076EE30P
4C076FF17
4C076FF35
4C076GG41
4C076GG43
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC05
4C083DD08
4C083DD14
4C083DD15
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD39
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE10
4C083FF01
4C088AB64
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC06
4C088AC11
4C088BA08
4C088BA11
4C088CA10
4C088MA13
4C088MA16
4C088MA17
4C088MA23
4C088MA27
4C088MA28
4C088MA31
4C088MA34
4C088MA37
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZB35
(57)【要約】
本発明は、オリーブ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア)、好ましくは、アセブチェ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア変種シルベストリス)組成物を調製する方法、調製されたオリーブ又はアセブチェ組成物、及び哺乳動物における細菌又は真菌感染症、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症の予防又は治療におけるそれらの使用に関する。他の使用は、機能性食品添加物、特に動物用飼料添加物に、又は化粧品における使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリーブ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア)、好ましくは、アセブチェ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア変種シルベストリス)組成物を調製する方法であって、
a)オリーブ又はアセブチェ植物の部分を準備する工程と、
b)前記オリーブ又はアセブチェ部分の脱水又は乾燥によって、前記オリーブ又はアセブチェ部分から水分を除去する工程と、
c)前記オリーブ又はアセブチェ部分の剪断、摩砕、製粉、微粉砕又は粉砕の他の方法によって、工程b)の前記オリーブ又はアセブチェ部分を粉砕して、微粉砕化オリーブ又はアセブチェを得る工程と、
d)前記微粉砕化オリーブ又はアセブチェを、好ましくは、121℃又は134℃の温度で、適切に滅菌して、滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを得る工程と、場合により、
e)前記滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを水及び増粘剤とブレンドして、抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェゲルを得る工程と、又は、
d')抽出、好ましくは、CO2抽出によって、工程c)の該微粉砕化オリーブ又はアセブチェから抗生的又は抗真菌的に活性な薬剤を抽出し、無毒の可溶化剤及び乳化剤に前記活性な薬剤を懸濁させ、抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェ懸濁液を得る工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
工程b)及びc)が、前記オリーブ又はアセブチェを動的気流によって生成される力に供することによって、好ましくは、前記オリーブ又はアセブチェが空気、好ましくは予め加熱した空気とともにベンチュリノズルを通過することによって、同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増粘剤が、ゲル化剤から選択され、例えばジェランガムであり、及び/又は前記無毒の可溶化剤及び/又は乳化剤が界面活性剤から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記オリーブ又はアセブチェ部分が葉、枝、小枝、根皮、茎皮、果実若しくは油生成残留物又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記活性な薬剤が、イリドイド又はフェノール、並びにオレウロペイン、オレアセイン、オレオカンタール、チロソール、ヒドロキシチロソール、ウバオール及びエリスロジオールの群から選択される少なくとも1種の有機化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
オレアセイン、ヒドロキシチロソール、オレオカンタール、ウバオール及びエリスロジオールから選択される少なくとも1種の有機化合物を含む、抗細菌又は抗真菌組成物。
【請求項7】
哺乳動物における細菌又は真菌感染症の予防又は治療に使用される、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症に対して使用される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の方法の工程a)、b)、c)及びd)から得られる、抗生的又は抗真菌的に活性な滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェ。
【請求項9】
前記微粉砕化オリーブ又はアセブチェが粉末であり、95重量%より多くの乾燥バイオマスからなる、請求項8に記載の抗生的又は抗真菌的に活性な滅菌された微粉砕化アセブチェ。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に従って生成されるオリーブ又はアセブチェ組成物であって、場合により、薬学的又は化粧品的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含み、好ましくは、前記組成物がゲル、好ましくは均質なコロイド状ゲルであり、好ましくは、前記オリーブ又はアセブチェ懸濁液が水性懸濁液である、組成物。
【請求項11】
懸濁液であり、前記無毒の可溶化剤の量が前記オリーブ又はアセブチェ懸濁液の全体積の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満である、請求項10に記載のオリーブ又はアセブチェ組成物。
【請求項12】
軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、スプレー剤、ゲル剤、液剤、ドロップ剤、カプセル剤又は坐剤の形態である、請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
好ましくは、a)細菌が、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、クレブシエラ・ニューモニエ、結核菌、エンテロコッカス・ヒラエ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、プロビデンシア属、モルガネラ属、エンテロコッカス・フェシウム、ピロリ菌、カンピロバクター属、サルモネラ属、淋菌、ストレプトコッカス・ニューモニエ、インフルエンザ菌、赤痢菌属、アシネトバクター・バウマンニ、並びにこれらの耐性及び多耐性株から選択され、b)真菌が、カンジダ・アルビカンス及びアスペルギルス・ブラジリエンシスから選択される、哺乳動物における細菌又は真菌感染症、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症の予防又は治療に使用される、請求項8又は9に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェ、請求項10~12のいずれか一項に記載のオリーブ又はアセブチェ組成物。
【請求項14】
機能性食品添加物、特に動物用飼料添加物としての、請求項8若しくは9に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は請求項10~12のいずれか一項に記載のオリーブ若しくはアセブチェ組成物の使用。
【請求項15】
化粧品における、請求項8又は9に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェ、請求項10~12のいずれか一項に記載のオリーブ又はアセブチェ組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリーブ(オレア・エウロパエア(Olea europaea)亜種エウロパエア(europaea))、好ましくは、アセブチェ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア変種シルベストリス(sylvestris))組成物を調製する方法、調製されたオリーブ又はアセブチェ組成物、及び哺乳動物における細菌又は真菌感染症、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症の予防又は治療におけるそれらの使用に関する。他の使用は、機能性食品添加物、特に動物用飼料添加物に、又は化粧品における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブの木(オレア・エウロパエアL.)は古くから栽培されており、モクセイ(Oleaceae)科の特徴的な植物である。これは、30属及び600の異なる種を含む。オレア(Olea)属は、アフリカ、中国、インド、米国及びオーストラリアを含めた様々な大陸及び地域で見出すことができる50種を含む(非特許文献1)。オレア・エウロパエアは異なる亜種:数ある中でも、ヨーロッパのオリーブの木であるオレア・エウロパエア亜種エウロパエア、並びにアフリカ、マダガスカル、インド及び中国で生育するオレア・エウロパエア亜種アフリカーナ(africana)に分けられる。両方の種の中には、野生型及び栽培型が存在する(非特許文献1)。オリーブの木は最大で1000年まで生育することができ、ほとんど水を必要とせず、これによって、オリーブの木が乾燥地帯に存在することが説明される(非特許文献1)。世界のオリーブの収穫物のほとんどは地中海沿岸から来る(非特許文献2)。
【0003】
すべてのオリーブ植物の先祖である野生オリーブ、オレア・エウロパエア変種シルベストリスは、スペインにおいて「アセブチェ」という名称で一般に既知である。例えばスペイン半島におけるアセブチェの木の分布は不規則であり、これらは、主として地中海沿岸において、自然に、及び時折孤立した低木又は低木の集団として、生育する。
【0004】
オリーブの木の葉は果樹のものと全く異なり、葉は、時には天然の治療薬として使用される。オリーブの木は、さらに、真菌及び細菌の攻撃に対して非常に耐性がある。これらの抗生的及び保護的な特性は、オリーブによって産生される多数の活性化合物、例えば、現在最も研究されているもののうちの1つであるオレウロペインに基づくものであると考えられている(非特許文献1)。
【0005】
オリーブの木の活性化合物は、様々な濃度で、葉、果実、芽、茎、枝及び根に存在する(非特許文献3)。オリーブの葉が免疫増強、抗炎症性及び血圧低下効果を有し得ることが推測される(非特許文献1)。それにもかかわらず、関与する実際の医学的効果についてはほとんど分かっていない。
【0006】
多数の生理活性物質がオリーブの木において特徴付けられており、これらは、例えば、セコイリドイド配糖体、フェノール化合物、フラボノイド、モノテルペン、トリテルペン、ステロイド、キノリンアルカロイド、カロテノイド、クロロフィル、フェノールカルボン酸、タンニン及びビタミンの物質クラスに割り当てることができる(非特許文献3)。
【0007】
オリーブの木の葉はオリーブの収穫の間蓄積するので、他の目的のために使用することができる容易に利用しやすい副産物を提供する(非特許文献4)。オリーブ油生成の副産物に対する新しい用途の開発は、特にオリーブ園にとって、大いに重要である。研究はオリーブ果実の化学組成にますます焦点を合わせてきており、オリーブの葉、特に野生オリーブの木であるアセブチェの化学成分についてはほとんど分かっていない。
【0008】
70年より前に発見されて以来、抗生物質は、命に関わる院内感染症を含めた細菌感染症の治療における主な武器となっている。しかし、抗生物質は日常的に処方されることが多く、かつ不適切に服用されることが多い。抗生物質は、治療、疾患予防及び生育促進のために、畜産業でも使用されている。抗生物質は、環境、例えば一部の給水システム中にも見られる(非特許文献5)。
【0009】
抗生物質耐性は、通常は特定の細菌種の生育を止めるであろう抗生物質が、いかなる効果ももはや有さない場合に生じる、予想される天然の機構である(非特許文献6)。世界的に、抗菌薬耐性(AMR)がもとで大体700000人が毎年死亡する。EUでは、約25000人である。2050年までに癌よりも多くの死亡が抗菌薬耐性によって引き起こされる可能性があることが懸念されている(非特許文献7)。
【0010】
耐性細菌による感染症は治癒させることが困難であることが多く、時には治癒不可能でさえあり、その数は増加している。しかし、新しい有効な抗生物質の研究は非常に費用がかかり、時間がかかり、新しい抗生物質の市場投入後でさえも抗生物質耐性が出現することが多い。現在、開発中の新しい抗生物質はごくわずかである。有効な新しい抗生物質が発見されず、かつ耐性が蔓延し続ける場合、抗生物質の発見前に、子供が単純な肺炎による死亡に巻き込まれることが多く、髄膜炎に関する医師が無力であったような状況に社会が戻るおそれがある。また、有効な抗生物質が予防法にもはや利用可能でなくなった場合、いくつかの複雑な医療介入及び診断が不可能になるであろう。
【0011】
耐性細菌の出現は、数ある中でも、命に関わる血液感染症及び創傷感染症並びに肺炎につながる、健康管理施設における重大な問題である。抗生物質耐性は、入院がより長期になること、抗生物質及び治療への支出がより高まること、並びに家族及び社会に対する間接費が理由で、治療費の増加につながる。ヨーロッパ地域の多くの国で、抗生物質は処方箋を必要としない。抗生物質耐性感染症に関するデータは収集されないことが多く、その結果、医師の間で意識のレベルが高いにもかかわらず、問題の程度が記録に残されていない。病院内感染症は、ドイツにおいて最も一般的な感染症の中の1つである。これらの感染症と正確に関連付けられる、抗生物質耐性及びその蔓延の問題は、現代医学にとって最大の課題の1つである(非特許文献8)。
【0012】
Ahmedら(非特許文献9)は、殻をむいた背ワタを抜いていない生のエビの微生物負荷に対するオレア・エウロパエアL.由来のオリーブ葉抽出物の効果を評価し、微生物的品質を向上させるための、及び天然防腐剤としてのオリーブ葉抽出物製剤の使用の可能性について議論した。
【0013】
Paudelら(非特許文献10)は、5種の異なる細菌性ヒト病原体に対する抗細菌活性についての野生オリーブ粗抽出物のスクリーニングを開示しており、ここでは、メタノールを用いて得られた抽出物がすべての病原性細菌に対して最も有効であると思われた。
【0014】
特許文献1は、水に非常に溶解しにくい親油性物質のための透明な液体製剤を記載しており、この製剤は、正確に1種の可溶化剤を含み、更なる複雑なプロセス工程なしで、撹拌するだけで生成することができる。
【0015】
更なる研究(例えば、非特許文献11)では、オリーブ葉抽出物は、いくつかの細菌及びカビ、例えば、大腸菌(Escherichia Coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、セレウス菌(Bacillus cereus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・パラジチカス(Aspergillus parasiticus)の生育を阻害した。オリーブの葉の水性抽出物は試験微生物に対して抗細菌効果がなかったが、アセトン抽出物は、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)に対して阻害効果を示した。さらに、微生物に対するいくつかのフェノール化合物の抗菌活性が試験された。最も有効な化合物はオレウロペインであることが分かったが、シリンガ酸は無効であることが分かった。この種類の実験は、野生オリーブ「アセブチェ」ではまだ行われていない。
【0016】
Wangら(非特許文献12)は、オレア・エウロパエアL.の葉のエタノール(EtOH)抽出物の酢酸エチル(EtOAc)可溶性部分から抽出された、5種の既知のトリテルペノイド、すなわちベータ-アミリン、オレアノール酸、エリスロジオール、ウルス-2ベータ,3ベータ-ジヒドロキシ-12-エン-28-オイック酸及びベータ-マスリン酸とともに2種のセコイリドイド配糖体であるオレウリシン(oleuricines)A(1)及びB(2)を開示している。これらの化合物の構造は、集約的(intensive)1D、2D NMR、及びHR-ESI-MS技法を含めた様々な分光学的方法によって解明された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011108948号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Iming, S. (2005). Olivenblattextrakte-Altbewahrte Heilmittel in der Praxis. Wien, Double-U GmbH.
【非特許文献2】Lieberei, R. R., C. (2007). Nutzpflanzenkunde. Stuttgart, Thieme Verlag.
【非特許文献3】Effect, B. N. (2017). "Olivenblattextrakt Forschung." Retrieved 10.10.2017, from http://www.best-natural-effect.c0m/info/5/ olivenblattextrakt-forschung.html.
【非特許文献4】Cayuela、2006
【非特許文献5】WHO, W.H.O. (2018). "Antibiotikaresistenz." from http:// www.euro.who.int/de/health-topics/ disease-prevention/ antimicrobial-resistance/antibiotic-resistance.
【非特許文献6】Kramer, J. (2007). Lebensmittel-Mikrobiologie, Ulmer.
【非特許文献7】Parliament、2018
【非特許文献8】AG, B.M. (2018)."Multiresistente Erreger." 2018, from https://www.bbraun.de/ de/produkte-undtherapien/hyiene/ multiresistente-erreger.html
【非特許文献9】Ahmed, Ali & S. Rabii, Nancy & Garbaj, Aboubaker & Abolghait, Said. (2014). Antibacterial effect of olive (Olea europaea L.) leaves extract in raw peeled undeveined shrimp (Penaeus semisulcatus). International Journal of Veterinary Science and Medicine. 2. 10.1016/j.ijvsm.2014.04.002
【非特許文献10】Paudel, Shambhu & Magrati, Thakur & Lamichhane, Jay Ram. (2011). Antimicrobial activity of wild olive crude extracts in vitro. International Journal of Pharma Sciences and Research
【非特許文献11】Korukluoglu, Mihriban & Sahan, Yasemin & YIGIT, AYCAN & Tiimay Ozer, Elif & Gucer, Seref. (2010). Antibacterial activity and chemical constitutions of Olea europaea L. leaf extracts. Journal of Food Processing and Preservation. 34. 383-396. 10.1111/j.1745-4549.2008.00318.x
【非特許文献12】Wang, Xiao-Fei & Li, Chen & Shi, Yan-Ping & Di, Duo-Long. (2009). Two new secoiridoid glycosides from the leaves of Olea europaea L. Journal of Asian natural products research. 11. 940-4.10.1080/10286020903310979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記を考慮すれば、本発明の一目的は、オリーブ又はアセブチェに由来する新しくかつ有効な抗細菌性化合物及び組成物を提供することである。本発明の他の目的及び利点は、以下の本発明のより詳細な説明を注意深く読むことにより当業者に明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
それらの第一の態様において、本発明は、オリーブ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア)、好ましくは、アセブチェ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア変種シルベストリス)組成物を調製する方法であって、
a)オリーブ又はアセブチェ植物の部分を準備する工程と、
b)上記オリーブ又はアセブチェ部分の脱水又は乾燥によって、上記オリーブ又はアセブチェ部分から水分を除去する工程と、
c)上記オリーブ又はアセブチェ部分の剪断、摩砕、製粉、微粉砕又は粉砕の他の方法によって、工程b)の上記オリーブ又はアセブチェ部分を粉砕して、微粉砕化オリーブ又はアセブチェを得る工程と、
d)上記微粉砕化オリーブ又はアセブチェを、好ましくは、121℃又は134℃の温度で、適切に滅菌して、滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを得る工程と、場合により、
e)上記滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを水及び増粘剤とブレンドして、抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェゲルを得る工程と、又は、
d')抽出、好ましくは、CO2抽出によって、工程c)の該微粉砕化オリーブ又はアセブチェから抗生的又は抗真菌的に活性な薬剤を抽出し、無毒の可溶化剤及び乳化剤に上記活性な薬剤を懸濁させ、抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェ懸濁液を得る工程と、
を含む、方法を提供することによって、上記の目的を解決する。
【0021】
驚いたことに、薬理学的差異は栽培オリーブとアセブチェとの間で特に顕著であることが分かった(例えば、以下の表2を参照されたい)。
【0022】
それらの第二の態様において、本発明は、上記の本発明による方法の工程a)、b)、c)、又はd)から得られた抗生的又は抗真菌的に活性な滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを提供することによって、上記の目的を解決する。
【0023】
それらの第三の態様において、本発明は、場合により、薬学的又は化粧品的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含む、本発明による方法によって生成されたオリーブ又はアセブチェ組成物を提供することによって、上記の目的を解決する。
【0024】
それらの第四の態様において、本発明は、哺乳動物における細菌又は真菌感染症の予防又は治療に使用される、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症の予防又は治療に使用される、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本明細書に記載のオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物を提供することにより、上記の目的を解決する。
【0025】
それらの第五の態様において、本発明は、機能性食品添加物、特に動物用飼料添加物としての、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本明細書に記載のオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物の使用を提供することにより、上記の目的を解決する。
【0026】
それらの第六の態様において、本発明は、化粧用生成物としての、及び/又は化粧方法における、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェ、本明細書に記載のオリーブ又はアセブチェ組成物の使用を提供することにより、上記の目的を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】それぞれの中間産物を含めた、本発明による抗生/抗真菌ゲルの調製のための、又は本発明による抗生/抗真菌懸濁液の調製のための模式的方法工程を示す図である。
図2】脱水又は乾燥によってオリーブ又はアセブチェ部分から水分を除去する方法工程、及び微粉砕化オリーブ又はアセブチェを得るための、剪断、摩砕、製粉、微粉砕によるオリーブ又はアセブチェ部分の粉砕の方法工程に使用される装置の原理を示す図である。工程は、オリーブ又はアセブチェ部分を動的気流によって生成される力に供することによって、好ましくは、上記オリーブ又はアセブチェが空気、好ましくは予め加熱した空気とともにベンチュリノズルを通過することによって、同時に行われる。
図3】様々なオリーブ品種の活性物質(イリドイド)の比較を示す図である。
図4】様々なオリーブ品種の活性物質(フラボノイド)の比較も示す図である。
図5】様々なオリーブ品種の活性物質(テルペン)の別の比較を示す図である。
図6】様々なオリーブ品種の活性物質(チロソール及びヒドロキシチロソール)の更に別の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記で説明したように、本発明の第一の態様において、オリーブ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア)、好ましくは、アセブチェ(オレア・エウロパエア亜種エウロパエア変種シルベストリス)組成物を調製する方法であって、a)オリーブ又はアセブチェ植物の部分を準備する工程と、b)上記オリーブ又はアセブチェ部分の脱水及び/又は乾燥によって、上記オリーブ又はアセブチェ部分から水分を除去する工程と、c)微粉砕化オリーブ又はアセブチェを得るために、上記オリーブ又はアセブチェ部分の剪断、摩砕、製粉、微粉砕及び/又は粉砕の他の適切な方法によって、工程b)の上記オリーブ又はアセブチェ部分を粉砕する工程と、d)滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを得るために、上記微粉砕化オリーブ又はアセブチェを、好ましくは、約120℃~約140℃、好ましくは、約121℃又は約134℃の温度で、適切に滅菌する工程と、場合により、e)抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェゲルを得るために、上記滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを水及び増粘剤とブレンドする工程と、又はd')抽出、好ましくはCO2抽出によって、工程c)の微粉砕化オリーブ又はアセブチェから抗生的又は抗真菌的に活性な薬剤を抽出し、抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェ懸濁液を得るために、少なくとも1種の無毒の可溶化剤及び/又は乳化剤に上記活性な薬剤を懸濁させる工程とを含む方法を提供することによって、上記の問題は解決される(図1を参照されたい)。
【0029】
したがって、本発明は、望ましい特性を有する2つの特に重要な組成物、すなわち、i)抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェゲル、及びii)少なくとも1種の無毒の可溶化剤及び/又は乳化剤中の抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェ懸濁液に関する。
【0030】
オリーブ植物の最もよく研究されたセコイリドイド配糖体はオレウロペインである。オレウロペインはオリーブ植物の全部分に存在し、抗細菌性、抗ウイルス性、抗炎症性、抗リウマチ性、抗酸化又は心保護的活性を含めて、様々な有益効果がこの化合物に起因する(Fleming、1973)。オリーブの木の葉は、60 mg/g~90 mg/g乾燥質量のオレウロペインを含む(Khan、2007)。
【0031】
オレウロペインに加えて、オリーブの葉は、他のフェノール成分、例えば、ジメチルオレウロペイン、リグストロシド、ベルバコシド、オレオシドジメチルエステル及びオロイロシド(oleuroside)を含む(Cayuela、2006)。オリーブの葉はフラボノイドも含む。これらとしては、ルチン、ルテオリン及びアピゲニンが含まれる。フラボノイドは、UV光を吸収することによって酸化的損傷を低減させ、フリーラジカルによる酸化を防止する(Cayuela、2006)。
【0032】
Guindaらは、オリーブの木がオレアノール酸及び他の五員環トリテルペンの生成のための適切な原材料であることを記載している(Guinda、2010)。これらとしては、ウルソール酸、ベツリン酸、マスリック酸(maslic acid)、エリスロジオール及びウバオールが挙げられる。Guindaらは、オリーブの葉における五員環トリテルペンの含量は、果実自体のものよりも高いことを既に記載している。オレアノール酸及びウルソール酸が最も強く現れる(Guinda、2010、Bianchi、1992)。様々なトリテルペンの濃度は、果実及び植物の発達段階並びに品種に強く依存する(Guinda、2010、Stiti、2007)。
【0033】
オリーブの葉から抽出することができるオレアノール及びマスリック酸は、製薬及び化粧品産業のための望ましい原材料である(Guinda、2010)。このような理由で、野生オリーブ「アセブチェ」の葉が、その五員環トリテルペンプロファイルについて調べられた。これらは、おそらく抗菌効力に影響を及ぼす可能性がある。
【0034】
本発明において、本発明者らは、抗菌効力を有するオリーブ又はアセブチェ組成物の最適な加工方法を開発した。本発明による方法の1つの特別な利点は、2つの決定的な工程、すなわち水分の抽出及び粉砕が単一の装置で行われ、これにより投資が大幅に低減し、運転費用及びエネルギー費用が節約されることである。
【0035】
さらに、本方法において、ベンチュリノズルを使用する場合に、必要とされるエネルギー消費が有意に低いことが分かった。
【0036】
また、驚いたことに、ベンチュリ装置によって加工したオリーブ又はアセブチェ部分は、従来のミルで、すなわちベンチュリ装置なしで加工した材料よりも有意に高い抗生及び抗真菌効果を有する微粉砕化オリーブ又はアセブチェをもたらすことが分かったことは最も重要なことである。上記ベンチュリ装置で生成された微粉砕化オリーブ又はアセブチェが特に長い貯蔵寿命を有することも分かった。
【0037】
以下の表1は、ベンチュリ装置によって加工したオリーブ基材と比較した、従来の製粉方法によって加工したオリーブ基材で処理した場合の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)細菌のCFUの減少を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
幅広い抗菌活性を有する天然の抗生又は抗真菌薬剤としてのオリーブ葉抽出物は、特に(複数の)抗生物質耐性微生物、したがって特に問題となる微生物の場合に、感染との戦いにおける革新的な工程である。
【0040】
活性な滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又はオリーブ若しくはアセブチェ組成物は、例えば、相互作用性創傷被覆材の基礎として働くが、防腐性の局所的身体消毒、病原菌定着の好発部位の医療洗浄のために、特に、創傷治療における優占病原菌及びその多耐性変異体の低減及び/又は排除のために、使用することもできる。
【0041】
本発明において、用語「準備する」は、本明細書に記載の方法のための供給材料としてオリーブ及びアセブチェ植物を調製することを意味する。例えば、水浴、すすぎ若しくは噴霧又は当業者に既知の更なる方法によって、存在する表面不純物から上記オリーブ及びアセブチェ植物をきれいにする必要があり得る。オリーブ及びアセブチェ植物をオリーブ及びアセブチェ植物の取り扱いに適すると考えられ得るサイズにすることも必要であり得る。それぞれの方法も当業者に既知である。
【0042】
本明細書で使用する場合、「脱水する」又は「乾燥する」は、通常、及び好ましくは、例えば、空気(自然風乾とも呼ばれる)への、又は例えば、換気装置、送風器若しくは従来技術で既知の他の装置によって増強された気流乾燥の熱風への供給材料の単純な曝露によって達成される直接乾燥;又は接触乾燥若しくはドラム乾燥によって達成される間接乾燥;又は例えばマイクロ波による誘電乾燥;又は赤外線乾燥;真空乾燥;又は凍結乾燥に関し、これらの方法は、乾燥時間を低減させるのに、又は必要に応じて、より高い感度を可能にするのに適し得る。高温を使用して水分抽出の時間を短縮する方法は、温度が高すぎること、及び高温曝露の継続期間が長すぎることが原材料の抗細菌的/抗真菌的に活性な成分の劣化又は破壊につながり得るので、限界がある。乾燥した材料の取り扱い及び貯蔵による任意の汚損又は腐敗プロセスを回避するために、材料は、好ましくは、95%乾燥物質(DS)以上の程度まで乾燥される。水分含量の程度は、その後の粉砕及び微粉砕工程のために推奨され得るような乾燥物質のより低い又はより高いパーセンテージ(%-age)に最適化することができる。
【0043】
本明細書で使用する場合、「粉砕」は、微粉砕の望ましい程度を達成するために、通常、及び好ましくは、1つ以上の工程で行われる。微粉砕の最も望ましい程度は、一方では粉砕の費用を考慮し、他方では得られる微粉砕化材料の抗細菌的又は抗真菌的影響の有効性を考慮して決定される。本明細書に記載の発明によれば、オリーブ又はアセブチェ部分の望ましい粒径は、1 μmから1000 μmの間、より好ましくは40 μmから500 μm、最も好ましくは125 μmから250 μmの間の範囲である。微粉砕の望ましい程度は、粉砕装置中でオリーブ又はアセブチェ部分を数回加工することによって、又は好ましい粒径の取り扱いを可能にする異なるタイプの粉砕装置を使用することによって、達成される。典型的な粉砕装置は、破砕機、シュレッダー、チョッパー、カッター、グラインダー及びミル、例えば、ハンマーミル、ボールミル、インパクトミル、回転ミル、遠心ミル、ジェットミル、バークミル、遊星ミル、乳鉢、微粉砕機(pulverizer)、マイクロナイザー、超音波マイクロミル又はマイクログラインダー等から選択されるが、これらに限定されない。仕様要件に応じて、必要とされるサイズのクラスに植物材料を分けるために、微粉砕化材料の分類をこの工程に加えることができる。これは、大きすぎると分類された粒子を再度微粉砕して、望ましいサイズクラスに到達させるためにも有用であり得る。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「滅菌」は、様々な滅菌プロセスを使用して、微粉砕されたオリーブ/アセブチェの、例えば好気性芽胞形成菌による天然の汚染を除去することを意味する。熱によって、例えば、湿性状態での加熱(蒸気滅菌)若しくは乾燥状態での加熱(乾熱滅菌)によって微生物が死滅させられる熱滅菌、又は加熱が連続的に繰り返される間欠殺菌、又は物理的滅菌技法によるもの、又は従来技術で既知の他の滅菌方法から、異なるタイプの滅菌を選択することができる。本開示において、真空滅菌器における121℃及び134℃での滅菌が好ましく、ここでは、この温度は薬学的に活性な成分を保持するのに適しており、場合により、滅菌は蒸気滅菌により行われる。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「ブレンドする」は、本明細書で以下に記載されるように、滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェを注射用水及び増粘剤と混合又はホモジナイズして、抗生的又は抗真菌的に活性なオリーブ又はアセブチェゲルを得ることであって、これらが均一なゲルが形成されるまで混合されることを意味する。要求される結果を達成するために使用することができる、当業者に既知の様々な方法が存在する。
【0046】
本明細書で使用する場合、「抽出する」は、本明細書に記載の方法によって得られた微粉砕化オリーブ又はアセブチェから抗生的又は抗真菌的に活性な薬剤を単離することを説明する。本発明によれば、抽出は、好ましくは、CO2抽出によって達成される。抽出は、抽出器を大気圧でのみ空にし、再び満たすことができるので、バッチ様式で行うことができる。抽出の間、超臨界二酸化炭素(CO2)が高圧で原材料に浸透し、微粉砕化オリーブ又はアセブチェから可溶性物質(抽出物に相当する)を抽出する。徐々に圧力を低下させることによって、溶解した物質を異なる組成を有する画分に分ける。第1の画分(セパレーター1)では、可溶性の低い物質が蓄積するが、可溶性の高い物質は次のセパレーター2に収集される。これらに限定されることなく、活性な薬剤が十分に有効なままである限り、冷浸及びデカンテーション等の更なるタイプの固液抽出を選択することができる。
【0047】
本発明による方法の好ましい実施形態において、工程b)及びc)は、上記オリーブ又はアセブチェ部分を動的気流によって生成される力にかけることによって、好ましくは、上記オリーブ又はアセブチェが空気又は他の適切な気体、好ましくは予め加熱した空気とともにベンチュリノズルを通過することによって、同時に行われる。登録特許の米国特許第7,429,008号、米国特許第7,500,830号及び米国特許第7,909,577号は、ベンチュリノズルにつながれた気流発生器によるが、例えば、一般に供給材料としてポリマー又は廃棄物を使用する、微粉砕の間水分抽出及び乾燥に供され続ける材料の微粉砕を開示している。さらに、特許出願国際公開第2013/052583号は、一般に、下水汚泥等のバイオマスの脱水、微粉砕及び熱分解を開示している。特許出願国際公開第2013/075003号は、生物に基づく生成物の製造で使用するための卵殻粉末の生成方法を提供する。この方法は、卵殻を微粉砕し、内膜成分から卵殻成分を分離するために、室温で高い気流速度をともなう。それにもかかわらず、本発明によって提供されるような、オリーブ又はアセブチェの部分を同時に脱水及び乾燥し、それらを同時に粉砕することが可能な方法を開発することはまだ可能ではない。オリーブ又はアセブチェの活性な薬剤は保持され、粉末は長い貯蔵寿命を有する。
【0048】
したがって、オリーブ及び/又はアセブチェ部分は、例えば、上記オリーブ又はアセブチェ部分が空気とともに上記ベンチュリノズルを通過することによって、動的気流に曝露される。そうすることで、気流は装置と接続して配置されたベンチュリノズルを通して供給材料を引き込む。次いで、ベンチュリノズルを通る空気の移動は、空気と気流に含まれるオリーブ又はアセブチェとの両方を加速する。気流は、例えば、ターボ機械の刃の回転によって、又は気流を引き込むための別の適切な装置によって、生成される。気流及び乾燥した微粉砕化オリーブ又はアセブチェは、装置が備える出口ノズルを介して装置を出て、ここで、微粉砕化オリーブ又はアセブチェは篩、サイクロン又は当業者に既知の同様の方法によって気流から分離され得る。粉砕と同時に、ターボ機械の作動によるエネルギー損失(熱)によって、気流が加熱される。次いで、加速された気流(及び微粉砕化オリーブ又はアセブチェ)はこの熱を吸収し、その温度を高める。物理的に、高い温度の空気は、低い温度の空気よりも相対的に多くの水分を吸収することができる。この自然現象により、ベンチュリ装置の原理では、粉砕及び微粉砕と熱損失の利用とは、互いに補完している。ベンチュリを含めた装置を通じて引き寄せられた供給材料の粉砕は、気流への水分の移行のために、供給材料の表面を拡大することを容易にし、ターボ機械の作動により高まった空気温度は、材料から気流への水分移行を増大させる。ベンチュリ装置を使用して、本発明による方法の工程b)及びc)を完全に又は部分的に実行することができる。好ましくは、オリーブ又はアセブチェ部分の供給箇所は、装置と連結している入口パイプの前であり得る(図2を参照されたい)。
【0049】
本発明による方法の更に好ましい実施形態において、使用される増粘剤は、ゲル化剤、例えば、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコール、寒天、カラゲナン、ファーセレラン、ローカストビーンガム、グアーガム、トラガント、アラビアゴム、キサンタンガム、カラヤ、タラガム、ペクチン、セルロース、ゼラチン及び加工デンプンから選択される。
【0050】
本発明による方法の更に別の好ましい実施形態において、上記無毒の可溶化剤及び/又は乳化剤は界面活性剤から選択され、ここで、界面活性剤は、好ましくは、Kolliphor(商標)、最も好ましくはKolliphor(商標)RH40から選択される。更なる界面活性剤は、ノノキシノール-9、オクトキシノール-9(Triton X-100(商標))、ポリソルベート20(Tween 20(商標))、オクチル-β-グルコシド、及びN-オクチル-β-D-1-チオグルコピラノシドから選択することができる。他の無毒の可溶化剤及び/又は乳化剤は、エタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルム及びメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)から選択することができる。
【0051】
本発明による方法のためのオリーブ又はアセブチェ部分は、葉、小枝、根皮、茎皮、果実又は油生成残留物及びこれらの組み合わせから選択することができる。本明細書で使用する場合、用語「部分」は、例えば、葉、小枝、茎又は根の皮、オリーブ又は生産物及びオリーブの加工由来の残留物の形態の、オリーブ及びアセブチェ植物のすべての適切な構成要素を指すものとする。部分は、例えば、土壌で生育している植物、植物の収穫部分、植物の廃棄部分、植物の既に加工された部分及び植物の枯れた部分も指すことができる。
【0052】
抗生又は抗真菌化合物から選択される少なくとも1種の活性な薬剤が調製された組成物中に含まれる、本発明による方法が好ましい。好ましい薬剤はイリドイド又はフェノールのクラスから選択され、好ましくは少なくとも1種の有機化合物は、オレウロペイン、オレアセイン、オレオカンタール、チロソール、ヒドロキシチロソール、ウバオール及びエリスロジオールの群から選択される。さらに、本開示において、活性な薬剤は、オロイロシド、リグストロシド、ベルバスコシド、フラボノイド、マスリン酸、アピゲニン、ルテオリン及びオレアノール酸を更に含むことができる。オレウロペイン、オレアセイン、オレオカンタール、チロソール、ヒドロキシチロソール、ウバオール及びエリスロジオールが最も好ましい。
【0053】
それらの第二の態様において、本発明は、本発明による方法によって得られる、抗生的又は抗真菌的に活性な滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェ生成物/組成物を提供することによって、上述の問題を解決する。
【0054】
本発明による方法の工程a)、b)、c)及びd)から得られる、本発明による抗生的又は抗真菌的に活性な滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェが特に好ましい。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「抗生的に活性な」は、一般に、微生物によって引き起こされる感染症に対して作用する活性を指す。これらの微生物は主として細菌であるが、例えば原生動物も含む。効果は、微生物を死滅させること、及び/又は生育及び/又は繁殖を阻害することを含むことができる。本発明において、抗細菌剤は、市販の抗生物質に耐性の微生物に対して、特に多耐性微生物(すなわち、少なくとも2種の抗生物質、例えば市販の抗生物質に対して耐性の細菌又は真菌)に対して特に活性であり、かつ有効である。本明細書で使用する場合、「抗真菌的に活性な」は、カビ等の真菌によって引き起こされる感染症に対して作用する活性を説明する。効果は、真菌を死滅させること、又は生育若しくは増殖を阻害することを含むことができる。本明細書で使用する場合、用語「耐性」は、微生物が市販の抗生物質の作用を弱めるか又は完全に中和するのを可能にする微生物の特性を指す。本明細書で使用する場合、用語「多耐性」は、少なくとも2種の異なる市販の抗生物質の作用を弱めるか又は完全に中和するための微生物の特性を指す。
【0056】
本発明による抗生的又は抗真菌的に活性な滅菌された微粉砕化アセブチェが好ましく、上記微粉砕化オリーブ又はアセブチェは粉末であり、95重量%より多くの乾燥バイオマスからなる。本明細書で使用する場合、用語「乾燥バイオマス」は、水又は他の構成要素、例えば他の液体を含まない物質質量の実際の乾燥量を説明する。本明細書で使用する場合、「重量%」は、混合物、特に、微粉砕化オリーブ又はアセブチェの質量比率を意味する。微粉砕化オリーブ又はアセブチェの組成は、100グラムの混合物中の単一成分の比率に依存する。本発明において、100 gの約95%より多くが乾燥バイオマスで構成されていることが好ましい。
【0057】
それらの第三の態様において、本発明は、本発明による方法によって生成されたオリーブ又はアセブチェ組成物を提供することによって、上述の問題を解決する。場合により、及び好ましくは、上記組成物は、薬学的又は化粧品的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含む。
【0058】
別の好ましい態様において、本発明は、オレアセイン、ヒドロキシチロソール、オレオカンタール、ウバオール及びエリスロジオールから選択される少なくとも1種の有機化合物を含む抗細菌又は抗真菌組成物に関する。組成物は、好ましくは、本明細書に記載の薬学的組成物又は化粧組成物である。
【0059】
別の好ましい態様において、本発明は、哺乳動物における細菌又は真菌感染症の予防又は治療に使用される、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症に対して使用される上記の組成物に関する。
【0060】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤」は、対象に対して無毒である、薬学的製剤又は組成物中の活性成分以外の成分を指す。薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤としては、生理的に適合する、ありとあらゆる適切な溶媒、分散媒、コーティング剤、更なる抗細菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤が挙げられる。担体としては、様々な防腐剤、抗細菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等が挙げられる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を本発明の組成物中に含むことが望ましい場合もある。さらに、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することによって、注射用剤形の持続性吸収を達成することができる。
【0061】
選択される投与経路にかかわらず、適切な水和形態で使用することができる本発明の組成物及び/又は本発明の薬学的組成物は、当業者に既知の従来の方法によって、薬学的に許容可能な剤形に製剤化される。本発明の薬学的組成物の活性成分の実際の投薬量レベルは変動し得る。選択される投薬量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排出速度、治療の継続期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康状態及び既往歴、並びに医学分野で既知の類似因子を含めた様々な薬物動態因子に依存するであろう。
【0062】
組成物は無菌であり、組成物がシリンジによって送達可能な程度まで流動性でなければならない。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール又はソルビトール、及び塩化ナトリウムが組成物に含まれる。
【0063】
本発明の組成物は、局部的又は全身的に投与することができる。投与は、一般に、非経口的、例えば静脈内である。非経口投与のための調製物は、無菌の水性又は非水性の溶液、懸濁液及び乳濁液を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、及び注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体としては、生理食塩水及び緩衝化媒体を含めて、水、アルコール溶液/水溶液、乳濁液又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル又は不揮発性油が挙げられる。静脈内用ビヒクルとしては、流体及び栄養補充物、電解質補充薬(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)等が挙げられる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤及び不活性ガス等のような、防腐剤及び他の添加物も存在していてもよい。
【0064】
本明細書で使用する場合、「化粧品的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤」は、活性成分以外の、化粧用製剤中の適切な成分を指す。通常、そのような成分は、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応等なしで、組織、例えば皮膚との局所接触での使用に適さなければならない。化粧品的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤としては、例えば、水、液体又は固体の軟化剤、溶媒、保水剤、増稠剤を挙げることができ、粉末は、例えば皮膚、毛髪及び/又は爪に塗布された場合に、組成物の分布を容易にする。
【0065】
本発明の更に特に好ましい実施形態は、ゲル、好ましくは均質なコロイド状ゲルである、本発明によるオリーブ又はアセブチェ組成物である。本発明において、「コロイド状ゲル」は、難溶性の親油性微粉砕化オリーブ又はアセブチェが可溶性になり、微粉砕化オリーブ又はアセブチェの均一な分布が保証されるように、本発明による方法によって得られる親油性微粉砕化オリーブ又はアセブチェが、最大で100%までの装填量で、コロイドサイズの、すなわち、1 μmから1000 μmの間の粒子中に存在するものを意味する。
【0066】
他の特に好ましい実施形態は、水性懸濁液である、本発明によるオリーブ又はアセブチェ懸濁液に関する。本明細書で使用する場合、この用語は、界面活性剤を使用して水溶性であるオリーブ又はアセブチェ懸濁液、及び上記使用によって好都合なことに利用可能になるそれぞれの水溶液を特に含む。
【0067】
懸濁液であり、無毒の可溶化剤、特に界面活性剤の量がオリーブ又はアセブチェ懸濁液の全体積の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満である、本発明によるオリーブ又はアセブチェ組成物が更に好ましい。前述のように、界面活性剤は、好ましくは、Kolliphor(商標)、最も好ましくはKolliphor(商標)RH40から選択される。
【0068】
本発明の別の好ましい実施形態において、本明細書に記載の組成物は、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、スプレー剤、ゲル剤、液剤、ドロップ剤、カプセル剤又は坐剤の形態である。上記組成物は、全身的に、すなわち、経粘膜的又は経皮的手段によって、投与することができる。経粘膜的又は経皮的投与のために、浸透させるバリアに適した浸透剤が製剤中で使用される。そのような浸透剤は一般に当該技術分野で既知であり、浸透剤としては、例えば、経粘膜投与について、デタージェント、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与のために、本発明による組成物は、液剤、ドロップ剤、カプセル剤又は坐剤に製剤化される。局所(経皮的)投与のために、上記組成物は、当該技術分野で一般に既知であるように、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、スプレー剤、又はゲル剤に製剤化される。
【0069】
それらの第四の態様において、本発明は、医薬で使用される、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本明細書に記載のオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物を提供することによって、上述の問題を解決する。哺乳動物における微生物感染症、例えば細菌感染症又は真菌感染症の予防又は治療に使用される、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は更には多耐性細菌による感染症に対して使用される、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本明細書に記載のオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物がより好ましい。別の態様は、哺乳動物における微生物感染症、例えば細菌感染症又は真菌感染症の予防又は治療のための、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は更には多耐性細菌による感染症に対して使用される医薬品の製造のための、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本明細書に記載のオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物の使用に関する。
【0070】
本明細書で使用する場合、「哺乳動物」は、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ又はブタ)、ペット(例えば、ネコ、イヌ、ウサギ又はモルモット)、齧歯類、又は特にヒトでもよい。したがって、本発明による組成物は、これらの哺乳動物のうちのいずれかを治療するために使用することができる。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「治療」は、好ましくは、疾患又は疾患の進行を軽減するための治療有効量での、上記哺乳動物への上記組成物の投与を含む。したがって、有効量は、哺乳動物において感染症の状況を正常化する、本明細書において上で記載した組成物又は薬学的組成物の量である。この量は、対象に対して毒性を持たずに、感染症及び/又は状態についてみられる症状を軽減する。投薬レジメンは、主治医及び臨床的因子によって決定される。医学分野で既知であるように、任意の1哺乳動物に対する投薬量は、哺乳動物のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間及び経路、全体的な健康状態、並びに同時に投与される他の薬物を含めた多くの因子に依存する。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「予防」は、好ましくは、どんなにわずかであろうとも、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症を発症する対象の素因又は危険性の低減に関連するような予防的有効量での、上記哺乳動物への上記組成物の投与を含む。予防については、哺乳動物は、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症の危険性があるか又は該感染症を発症しやすい哺乳動物であり、ここで、組成物は、好ましくは、注射によって投与される。さらに、経腸及び局所投与も本開示の文脈に含めることができ、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、髄腔内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0073】
本発明の更に別の好ましい実施形態において、本発明による滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本発明によるオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物は、哺乳動物における細菌又は真菌感染症、好ましくは、抗生物質耐性細菌又は多耐性細菌による感染症の予防又は治療で使用するためのもの(ここで、上記細菌は、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロバクター属(Enterobacter)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、セラチア属(Serratia)、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、モルガネラ属(Morganella)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ピロリ菌(Heliocobacter pylori)、カンピロバクター属(Campylobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、赤痢菌属(Shigella)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、並びにこれらの耐性及び多耐性株から選択される)、並びに哺乳動物における真菌感染症の予防又は治療で使用するためのもの(ここで、上記真菌は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)及びアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)から選択される)である。
【0074】
それらの第五の態様において、本発明は、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本明細書に記載のオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物を含む機能性食品添加物を提供することによって、上述の問題を解決する。上述の問題は、機能性食品添加物、特に動物用飼料添加物としての、本明細書に記載の滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェ又は本明細書に記載のオリーブ組成物若しくはアセブチェ組成物の使用を提供することによって、更に解決される。本明細書で使用する場合、用語「動物用飼料添加物」は家畜用飼料における組成物の添加を意味する。
【0075】
さらに、本明細書で使用する場合、用語「機能性食品添加物」は、一般的な食事に追加することによって哺乳動物への組成物の活性成分の供給を増大するための組成物の使用を説明する。組成物は、一般的な栄養物に加えて適切な少量を経口摂取するために、濃縮物の形態で、又は用量で、特に、カプセル剤、香錠、錠剤、丸剤、発泡錠剤及び他の同様の形態、粉末サシェ、液体アンプル、滴瓶の形態並びに液剤及び粉末剤の同様の形態で、規定食又は栄養補助食品として摂取することもできる。特に、用語「動物用飼料添加物」は、家畜用飼料への組成物の添加を意味し、これによって、他の動物種用の飼料が除外されることはない。
【0076】
それらの第六の態様において、本発明は、本発明による滅菌された微粉砕化オリーブ若しくはアセブチェを含む化粧用生成物、本発明によるオリーブ若しくはアセブチェのゲル若しくは懸濁液、又は本発明による薬学的組成物を提供することによって、上述の問題を解決する。次いで、別の態様は、化粧品又は化粧方法における、本明細書に記載の上記滅菌された微粉砕化オリーブ又はアセブチェ、本明細書に記載のオリーブ又はアセブチェ組成物の使用に関する。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「化粧品」は、ボディケアの全領域、又は哺乳動物の外見を維持する、回復する若しくは向上させるのに役立つ全領域を包含する。特に、洗浄、ケア及び保護、並びに特に歯及び口のケアの適用の分野が本開示の範囲内に含まれる。
【0078】
本発明において、用語「約」及び「およそ」は、論議されている特色の技術的効果を依然として保証すると当業者が理解するであろう精度の間隔を意味する。該用語は、典型的には、±20%、±15%、±10%、例えば±5%の、示される数値からの偏差を示す。当業者によって認識されるように、所与の技術的効果についての数値に対する特定のそのような偏差は、技術的効果の性質に依存するであろう。例えば、天然の又は生物学的な技術的効果は、一般に、人工的又は工学的技術的効果の偏差よりも大きなそのような偏差を有し得る。当業者に認識されるように、所与の技術的効果についての数値に対する特定のそのような偏差は、技術的効果の性質に依存するであろう。例えば、天然の又は生物学的な技術的効果は、一般に、人工的又は工学的技術的効果よりも大きなそのような偏差を有し得る。単数名詞に言及する際に不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」、「an」又は「the」が使用される場合、これは、何か他に特記されていない限り、その名詞の複数形を含む。
【0079】
本発明をこれから以下の実施例で更に説明するが、それらに限定されることを望むものではない。本発明において、本明細書で引用されるすべての参考文献、特許及び刊行物は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【実施例
【0080】
実施例1:超臨界二酸化炭素を用いたオリーブの木の成分の抽出
乾燥させ予め摩砕したオリーブの木の成分を抽出器に供する。抽出は、抽出器を大気圧でのみ空にし、再び満たすことができるので、常にバッチ様式で行う。抽出の間、超臨界二酸化炭素(C02)が高圧で原材料に浸透し、原材料から可溶性物質(すなわち、抽出物)を抽出する。徐々に圧力を低下させることによって、溶解した物質を異なる組成を有する画分に分けることができる。第1の画分(セパレーター1)では、圧力は、より難溶性の物質の蓄積になり得るが、次のセパレーター2では、より易溶性の物質を収集することができる。
【0081】
行われる実験について、1つの分離段階のみを有する抽出変形形態を選択し、これによって、すべての溶解した物質をセパレーター1に収集した。物質の量は、選択された抽出条件(圧力及び温度)、並びに原材料に含まれる物質の溶解度及び量に依存する。
【0082】
プロセスフロー:高圧実験用システム(HDL 4)を実験に使用した。これは、1つの抽出器及び2つのセパレーターを有する実験用プラントである。このプラントは、最大で1000バールまでの抽出圧力及び最大で95℃までの温度用に設計されている。抽出圧力は1000バール以下である。C02タンクからの液体C02はポンプによって抽出圧力にさせられ、熱交換器によって抽出温度にさせられる。抽出器において、この段階では超臨界状態のC02が原材料を通って流動し、可溶性物質を豊富に含むようになる。減圧後、混合物は気体のC02及び抽出物に分離される。抽出物は、セパレーターで収集することができ、プラントから取り出すことができる。次いで、この段階では気体の無電荷のC02を凝縮器中で再度液化することができ、抽出サイクル用に再使用することができる。
【0083】
実施:抽出のために、原材料をHDL 4の抽出器に供した。続いて、天然物質から有用な成分(例えば、テルペン及びテルペノイド)を取り出すことを試みた。その後の抽出物の分離に1つの分離段階のみを使用し、セパレーター1に全抽出物を収集した。得られた抽出物は-60℃で流動性でないので、セパレーター1の出口バルブを介した従来の抽出物抽出法は困難であるか又は不可能である。抽出物を各試験の実施後に取り出し、セパレーターを開けた後に更にこすり落とさなければならず、或る程度溶媒を洗い流すことができる。
【0084】
実施例2:ベンチュリ乾燥機を使用したオリーブの木の材料の加工
原材料の粒径及びその水分含量が明確に変えられる熱機械的プロセスに最初のオリーブの木の材料を最初にかける。技術的適用の結果は、プロセスチェーンにおける直接的な更なる使用のための、またおそらくその中間貯蔵のための、脱水された微粒状のおそらく粉状でもある生成物である。
【0085】
実施例3:滅菌プロセス
好気性芽胞形成菌による出発生成物の天然の汚染が理由で、様々な滅菌手順を適用した。異なる滅菌温度を使用して、薬学的に活性な成分を保持するために最適な温度を決定した:121℃及び134℃。滅菌は異なる温度で行った。
【0086】
実施例4:栽培オリーブの葉及び野生オリーブの葉における活性物質の比較並びに粉砕方法
野生オリーブの植物部分及び栽培オリーブの植物部分のサンプリングは、Casa de Porros、Valdevaqueros、Tarifa、Spain地域において、手で行った。植物部分をそれぞれ以下のように加工した:新鮮な葉、小枝、茎皮及び根皮の一部をTaproggeベンチュリ装置中で乾燥し、他の部分をThermomix中で微粉砕した。試料材料は、遮光された密閉された容器中に周囲温度で貯蔵した。比較のために、両方の試料を篩にかけて、同一の粒径スペクトルにした。続いて、ソックスレー抽出及びクロマトグラフィー方法を行って、栽培オリーブ及び野生オリーブの両方において活性な薬剤の化学組成を分析した。酸素ラジカル吸収能(ORAC)試験で正の効果が見出され、ソックスレー抽出後の活性物質のサンプリングによって、Taproggeベンチュリ装置で粉砕した材料についてより高い抽出収量が達成されることが明らかになった。Taproggeベンチュリ装置によって粉砕した材料について、ORAC(酸素ラジカル吸収能)に対する好都合な影響が検出され、次にこれが、正の保存特性、特に長貯蔵寿命につながる。これは、Taproggeベンチュリ装置法によって加工した試料の値を一定にしながら、30日間にわたって新鮮な試料の抗酸化活性と比較して、Taproggeベンチュリ装置法によって加工した葉及び小枝の抗酸化活性を測定することによって実証された。表2に結果を示す。
【0087】
表2:30日間にわたる、新鮮な試料及びTaproggeベンチュリ装置法によって加工した試料の抗酸化活性の比較
【表2】
【0088】
野生オリーブ及び栽培オリーブの活性物質を比較することによって、野生型のオリーブの木により高濃度の活性物質が存在することが分かる。オレア・エウロパエアの変種エウロパエア及び変種シルベストリスは、多くの面で異なる。栽培オリーブは一定の形のより大きな果実を有し、したがって、オリーブ油の生成により適する。しかし、より大きな果実をつける傾向は、オリーブ植物の残りの部分には、より少ない活性物質しか含まれないことを明らかに意味する。2つの植物の比較は、アンダルシアにおける栽培オリーブの最も一般的な3種:アルベキーナ、オヒブランカ及びピクアルに関する既に公開されているデータに基づいて行った。新鮮なアセブチェオリーブの葉をその活性物質のプロファイルについて調べた(表3)。
【0089】
表3:単一物質の濃度(mg/g)
【表3】
【0090】
様々なオリーブ品種の活性物質の比較を図3~6に示し、図3はイリドイドの比較を示し、図4はフラボノイドの比較を示し、図5はテルペンの比較を示し、図6はチロソール及びヒドロキシチロソールの比較を示す。
【0091】
以下の表4は、アセブチェ対栽培オリーブの活性物質のパーセンテージを比較する。
【0092】
表4:アセブチェ対栽培オリーブの特定された活性物質の量
【表4】
【0093】
これら9種の物質に基づく比較は、アセブチェオリーブの葉が最高濃度のフェノール及び単一フェノール、特にフラボノイドを有することを示す。薬学的見解から、野生オリーブ(アセブチェ)及び栽培オリーブは全く別のものであり、したがって、野生オリーブが潜在的に治療的又は化粧用の生成物のためのより優れた原材料であることは明らかである。
【0094】
実施例5:オリーブ又はアセブチェ懸濁液の抗菌効力の研究
本研究の目的は、拡張した試験病原菌スペクトルに対して、Kolliphor RH40及び注射用水(WFI)に懸濁した後のオリーブ又はアセブチェ懸濁液の抗菌効力を試験することであった(表5)。
【0095】
表5:本開示の微生物学的研究の試験病原菌スペクトル
【表5】
【0096】
実施:試験病原菌懸濁液の調製:最大継代数5で試験細菌を培養した。無菌の0.9% NaCl溶液中でおよそ1000 CFU/0.1 mlに試験細菌懸濁液を調整した。
【0097】
試料調製:1.01 gのKolliphor RH40中の3.00 gのオリーブ抽出物を水浴中にて45℃でおよそ5分間加熱し、次いで、水浴中にて80℃でおよそ15分間加熱し、手で振盪した。オリーブ抽出物及びKolliphor RH40を15 mlのWFIと一緒に混合して、ピペッティングすることができない、非常に粘性の濃緑色から暗褐色の懸濁液を得た。翌日、水浴中にて保存液を80℃で再度加熱し、80℃に加熱した別の5 mlのWFIを加えた。保存液をおよそ5分間80℃に再度加熱した。水浴を温め、およそ1分手で振盪した。結果として、1 mlあたり125 mgのオリーブ抽出物及び4.2% Kolliphor RH40を含む保存液を得た。この加工後、オリーブ抽出物は、暗褐色から濃緑色の均一でピペッティング可能な懸濁液として利用可能になった。
【0098】
保存液の調製後のオリーブ抽出物の抗菌効力の評価:各試験病原菌について、1 mlの保存液を1 mlの二倍濃縮CaSoブイヨン及びSabブイヨン(C.アルビカンス)に変えた。次いで、およそ1000 CFU/0.1 mlに調整したそれぞれ0.1 mlの試験病原菌懸濁液を調製物に接種した。試験病原菌懸濁液中の細菌数は、スパチュラ方法によって、血液寒天及びsab寒天について確認した。すべての培養培地調製物を(30℃~35℃)で最大で72時間までインキュベートした。24時間、48時間及び72時間のインキュベーション後、すべて0.1 mlバッチの継代培養をそれぞれ血液寒天プレート及びSab寒天上に画線することによって行った。寒天プレートは、30℃~35℃で24時間~48時間(酵母)好気的にインキュベートして、試験した。陽性対照:1 mlのWFIを1 mlの二倍濃縮CaSoブイヨン又はSabブイヨン(C.アルビカンス)に加え、次いで、単回測定でおよそ1000 KBE/0.1 mlに調整したそれぞれ0.1 mlの試験病原菌懸濁液をこれに接種した。陽性対照は、1:2希釈後の二倍濃縮培養培地における試験細菌の生育のための参照として使用した。以下の表に結果を示す。
【0099】
表6:試験病原菌C.アルビカンスATCC10231を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:1160 CFU=580 CFU/ml培養培地バッチ
【表6】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0100】
表7:試験細菌E.フェシウムATCC BAA2317を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:1810 CFU=905 CFU/ml培養培地バッチ
【表7】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0101】
表8:試験細菌E.ヒラエATCC 10541を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:760 CFU=380 CFU/ml培養培地バッチ
【表8】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0102】
表9:試験細菌クレブシエラ・ニューモニエ亜種ニューモニエCCUG 56233を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:1200 CFU=600 CFU/ml培養培地バッチ
【表9】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0103】
表10:試験細菌クレブシエラ・ニューモニエ亜種ニューモニエATCC 10031を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:740 CFU=370 CFU/ml培養培地バッチ
【表10】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0104】
表11:試験細菌緑膿菌ATCC 9027を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:640 CFU=320 CFU/ml培養培地バッチ
【表11】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0105】
表12:試験細菌緑膿菌ESBL DSM 24600を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:680 CFU=340 CFU/ml培養培地バッチ
【表12】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0106】
表13:試験細菌大腸菌ATCC 8739を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:860 CFU=430 CFU/ml培養培地バッチ
【表13】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0107】
表14:試験細菌大腸菌DSM 22312を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:670 CFU=435 CFU/ml培養培地バッチ
【表14】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0108】
表15:試験細菌黄色ブドウ球菌ATCC 6538を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:680 CFU=340 CFU/ml培養培地バッチ
【表15】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0109】
表16:試験細菌黄色ブドウ球菌亜種アウレウスATCC 29213を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:2020 CFU=1010 CFU/ml培養培地バッチ
【表16】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0110】
2種の更なる試験病原菌アシネトバクター・バウマンニ及びアスペルギルス・ブラジリエンシス細菌の研究のために、保存液のKolliphor RH40の含量を4.2%から2.1%に50%低減させた。127.5 mg/mlの濃度のオリーブ抽出物を含むこの起点保存液A1に加えて、オリーブ抽出物が63.8 mg/mlの濃度を有するように、注射用水で1:2希釈液を調製した(保存液A2)。
【0111】
表17:試験細菌A.バウマンニATCC 19606を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:4000 CFU=2000 CFU/ml培養培地バッチ
【表17】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0112】
表18:試験細菌A.バウマンニNCTC 13420を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:890 CFU=445 CFU/ml培養培地バッチ
【表18】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0113】
表19:試験病原菌A.ブラジリエンシスATCC 16404を用いた、オリーブ懸濁液の抗菌効力の結果;接種材料:試験バッチあたりの効果的に接種された細菌数:620 CFU=310 CFU/ml培養培地バッチ
【表19】
+=栄養培地調製物中における、視覚的に明らかな混濁の形態での試験病原菌の生育
P=生成物の混濁度、試験病原菌の生育の可視的評価が不可能である
それぞれ0.1 mlの栄養培地調製物を画線することによる継代培養(SC)
【0114】
試験が示すように、試験病原菌A.ブラジリエンシスATCC 16404を除いて、試験病原菌の生育は、対応する継代培養を行った後の栄養培地調製物の72時間のインキュベーション後に検出することができなかった。したがって、それぞれ62.5 mg/ml又は63.8 mg/mlの濃度のオリーブ抽出物の優れた抗菌効力を試験条件下で実証することができる。保存液A1及び保存液A2からのオリーブ懸濁液の存在下の試験病原菌A.ブラジリエンシスについて、試験全体を通して、少数の分離した残存している生胞子を依然として検出することができるが、ここではCFUの減少も重要である。
【0115】
実施例6:オリーブ又はアセブチェゲルの抗菌効力の研究
実施:Kelcogel CG-HAを含むコロイド状ゲルをオリーブ葉粉末から生成した。この目的のために、85℃~90℃に加熱することによって0.1 gのKelcogel CG-HAを100 mlのWFIに溶解し、次いで、均一な懸濁液が視覚的に形成されるまで撹拌しながら15 gのオリーブ葉粉末を加えた。氷浴で冷却した後、コロイド状のオリーブ葉粉末ゲルを得た。調整した試験病原菌懸濁液(105 CFU/g~106 CFU/g)を10 gのゲルのアリコートに接種し、表15に列挙される試験時間に応じて、病原菌数について試験した。
【0116】
表20:試験時間に応じたCFUの数
【表20】
【0117】
大腸菌はt0時間値で非常に優れた効力を既に示し、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌は12分後、100 CFU/グラムの検出限界未満を示し、短い曝露期間で全体的に非常に優れた抗菌効力を証明する。
【0118】
実施例7:オリーブ又はアセブチェゲルの抗菌効力の研究
実施:Kelcogel CG-HAを含むコロイド状ゲルをオリーブ葉粉末から生成した。この目的のために、85℃~90℃に加熱することによって0.1 gのKelcogel CG-HAを100 mlのWFIに溶解し、次いで、均一な懸濁液が視覚的に形成されるまで撹拌しながら15 gのオリーブ葉粉末を加えた。氷浴で冷却した後、コロイド状のオリーブ葉粉末ゲルを得た。調整した試験病原菌懸濁液(105 CFU/g~106 CFU/g)を10 gのゲルのアリコートに接種し、表21に列挙される試験時間に応じて、病原菌数について試験した。
【0119】
表21:試験時間に応じたCFUの数
【表21】
【0120】
その結果、大腸菌は6分後に非常に優れた効力を示し、黄色ブドウ球菌は12分後に最大で100 CFU/グラムの検出限界未満を示した。緑膿菌について、細菌数は30分後に検出限界未満に減少し、短い曝露期間で全体的に非常に優れた抗菌効力を証明する。
【0121】
実施例8:生地片を含むオリーブ又はアセブチェ組成物の抗菌効力の研究
実施:500 mgの試料を1 mlのWFIと混合することによって、試験時間ごとに生地片を調製した。均質化後、0.5 mlの調整した病原菌懸濁液を加え、均一に混合して生地にした。その後、両方の試験病原菌は、未処理の粉末状オリーブ葉生成物並びに121℃で15分及び130℃で30分蒸気滅菌した粉末状オリーブ葉生成物との室温で6時間の反応時間後に既に非常に優れた効力を示した(表22)。
【0122】
表22:試験時間に応じたCFUの数
【表22】
【0123】
未処理のオリーブ葉の生地片は、それぞれ6時間及び24時間後の試験期間内に死滅しなかった様々な好気性芽胞形成菌による、500 mgの生地片あたり1.4×103 CFU~2.1×103 CFU程度の天然の汚染を示す。121℃で15分間滅菌した試験試料では、生地片は、500 mgあたり1.1×103 CFU~2.2×102 CFUの範囲の天然の汚染を示した。両方の滅菌試験検体を130℃で30分間滅菌し、これは汚染病原菌が検出されなかった。
【0124】
実施例9:生地片を含むオリーブ又はアセブチェ組成物の抗菌効力の研究
実施:試験病原菌及び試験時間ごとに、500 mgのオリーブ基材を1 mlのWFIと混合することによって、生地片を調製した。均質化後、0.5 mlの調整した病原菌懸濁液を加え、均一に混合して生地にした。その後、両方の試験病原菌は、未処理のオリーブ葉と121℃で15分及び130℃で30分蒸気滅菌したオリーブ葉との両方で、室温で24時間の反応時間後に既に非常に優れた効力を示した(表23)。
【0125】
表23:試験時間に応じたCFUの数
【表23】
【0126】
未処理のオリーブ葉の生地片は、24時間後の試験期間内に死滅しなかった様々な好気性芽胞形成菌による、500 mgの生地片あたり2.9×104 CFU程度の天然の汚染を示す。滅菌した試験試料では汚染病原菌を検出することができない。
【0127】
実施例10:生地片を含むオリーブ又はアセブチェ組成物の抗菌効力の研究
実施:試験病原菌及び試験時間ごとに、500 mgのオリーブ基材を1 mlのWFIと混合することによって、生地片を調製した。均質化後、0.5 mlの調整した病原菌懸濁液を加え、均一に混合して生地にした。その後、両方の試験病原菌は、未処理の粉末状の皮/株の生成物と121℃で15分及び130℃で30分蒸気滅菌した粉末状の皮/株の生成物との両方で、室温で24時間の反応時間後に非常に優れた効力を示した(表24)。
【0128】
表24:試験時間に応じたCFUの数
【表24】
【0129】
未処理の粉末状の皮/株は、24時間後の試験期間内に死滅しなかった様々な好気性芽胞形成菌による、500 mgの生地あたり4.4×102 CFU程度の天然の汚染を示した。1.1×102 CFU/生地片の汚染病原菌は、121℃で滅菌された試験検体において依然として検出することができる。試験検体は121℃でも滅菌される。130℃で滅菌した試験検体では、汚染病原菌を検出することができない。
【0130】
実施例11:生地片を含むオリーブ又はアセブチェ組成物の抗菌効力の研究
実施:試験病原菌及び試験時間ごとに、500 mgのオリーブ基材を1 mlのWFIと混合することによって、生地片を調製した。均質化後、0.5 mlの調整した病原菌懸濁液を加え、均一に混合して生地にした。その後、両方の試験病原菌は、未処理の粉末状の皮/根の生成物と121℃で15分及び130℃で30分蒸気滅菌した粉末状の皮/根の生成物との両方で、室温で24時間の反応時間後に既に非常に優れた効力を示した(表25)。
【0131】
表25:試験時間に応じたCFUの数
【表25】
【0132】
未処理の粉末状の皮/根は、24時間後の試験期間内に死滅しなかった様々な好気性芽胞形成菌による、500 mgの生地あたり1.1×106 CFUの範囲の天然の汚染を示した。121℃及び130℃で滅菌した試験試料では、1.8×103 CFU/生地片及び8.8×102 CFU/生地片の汚染病原菌を依然として検出することができる。
【0133】
実施例12:黄色ブドウ球菌(Staphyloccus aureus)ATCC 6538に対するヒドロキシチロソール(単一物質)の抗菌効力の分析
ヒドロキシチロソールは、オリーブの木に由来する基材及び抽出物に見出される。
【0134】
0.1 mlのメタノールを10.48 mgのヒドロキシチロソールに加えることによって、保存液を調製した。化合物の溶解後、溶液を4.9 mlの注射用水(WFI)に定量的に移した。ヒドロキシチロソールの有効濃度:2.0 mg/ml。
【0135】
保存液を使用して、2 mgヒドロキシチロソール/ml~0.125 mgヒドロキシチロソール/mlの等比数列のヒドロキシチロソールの5つの濃度を定量的懸濁液アッセイで試験した。
【0136】
それぞれ2 mlの保存液及び希釈液(V1~V4)並びに陽性対照としての2%のメタノール溶液に約2.0×105 CFU/0.1 mlに調整した黄色ブドウ球菌ATCC 6538の試験懸濁液0.1 mlを接種し、個々のアッセイにおいて約100.000 CFU/mlを得た。
【0137】
次いで、接種後t 0分、12分、30分及び60分並びにt 24時間、48時間及び72時間で試料(0.1 ml)を採取し、これを20℃~25℃で培養し、0.9 mlの0.9% NaCl溶液で希釈した。試料を血液寒天プレート上にプレーティングし、30℃~35℃で最大で5日間までインキュベートした。
【0138】
以下の表26に結果を示す。
【0139】
表26 CFUの数;初期細胞負荷:1.7×105 CFU/ml、細菌:黄色ブドウ球菌ATCC 6538、Hyd=ヒドロキシチロソール
【表26】
【0140】
表26に見られるように、2%のメタノールは試験の初めに有意な抗菌効果がなかった。その後の時点での減少は細菌の生存能力の自然喪失が理由である。ヒドロキシチロソールは有意な効果を24時間後でしか示さないが、それにもかかわらず、この効果は強く、すなわち、100 CFU/mlのアッセイの検出限界未満である。更なる希釈は効果を更に遅らせる。
【0141】
実施例13:黄色ブドウ球菌ATCC 6538に対するオレオカンタール(単一物質)の抗菌効力の分析
オレオカンタールは、オリーブの木に由来する基材及び抽出物に見出される。
【0142】
2 mg/mlのオレオカンタールの濃度で保存液を調製した。エタノール(99.8%)でこの化合物を溶解し、WFIを加えた。
【0143】
保存液を使用して、1 mgオレオカンタール/ml~0.125 mgオレオカンタール/mlの等比数列のオレオカンタールの濃度を定量的懸濁液アッセイで試験した。
【0144】
それぞれ2 mlの保存液及び希釈液(V1~V4)並びに陽性対照としての2.85%のエタノール溶液に約3.6×105 CFU/0.1 mlに調整した黄色ブドウ球菌ATCC 6538の試験懸濁液0.055 mlを接種し、個々のアッセイにおいて約99.000 CFU/mlを得た。
【0145】
次いで、接種後t 0分、12分、30分及び60分並びにt 24時間、48時間及び72時間で試料(0.1 ml)を採取し、これを20℃~25℃で培養し、0.9 mlの0.9% NaCl溶液で希釈した。試料を血液寒天プレート上にプレーティングし、30℃~35℃で最大で5日間までインキュベートした。
【0146】
以下の表27に結果を示す。
【0147】
表27 CFUの数;初期細胞負荷:9.9×104 CFU/ml、細菌:黄色ブドウ球菌ATCC 6538、Ole=オレオカンタール
【表27】
【0148】
表27に見られるように、3.84%のエタノールは試験の初めに有意な抗菌効果がなかった。その後の時点での減少は細菌の生存能力の自然喪失が理由である。オレオカンタールは、100 CFU/mlのアッセイの検出限界未満で、より高い濃度で即時効果を示す。希釈はこれらの効果を遅らせるが、それにもかかわらず、効果を確認することができる。
【0149】
実施例14:黄色ブドウ球菌ATCC 6538に対するオレアシン(oleacin)(単一物質)の抗菌効力の分析
オレアシンはオリーブの木に由来する基材及び抽出物に見出される。
【0150】
1 mg/mlのオレアシンの濃度で保存液を調製した。エタノール(99.8%)でこの化合物を溶解し、WFIを加えた。
【0151】
保存液を使用して、0.25 mgオレアシン/ml及び0.125 mgオレアシン/mlのオレアシンの濃度を定量的懸濁液アッセイで試験した。
【0152】
それぞれ2 mlの保存液及び希釈液(V1及びV2)並びに陽性対照としての0.44%のエタノール溶液に約3.5×105 CFU/0.1 mlに調整した黄色ブドウ球菌ATCC 6538の試験懸濁液0.055 mlを接種し、個々のアッセイにおいて約99.000 CFU/mlを得た。
【0153】
次いで、接種後t 0分、12分、30分及び60分並びにt 24時間、48時間及び72時間で試料(0.1 ml)を採取し、これを20℃~25℃で培養し、0.9 mlの0.9% NaCl溶液で希釈した。試料を血液寒天プレート上にプレーティングし、30℃~35℃で最大で5日間までインキュベートした。
【0154】
以下の表28に結果を示す。
【0155】
表28 CFUの数;初期細胞負荷:9.9×104 CFU/ml、細菌:黄色ブドウ球菌ATCC 6538、Oci=オレアシン
【表28】
【0156】
表28に見られるように、0.44%のエタノールは試験の初めに有意な抗菌効果がなかった。その後の時点での減少は細菌の生存能力の自然喪失が理由である。オレアシンは、100 CFU/mlのアッセイの検出限界未満で、試験した濃度で即時効果を示す。
【0157】
実施例15:黄色ブドウ球菌ATCC 6538に対するウバオール(単一物質)の抗菌効力の分析
ウバオールは、オリーブの木に由来する基材及び抽出物に見出される。
【0158】
0.1 mlのクロロホルムを25 mgのウバオールに加えることによって、保存液を調製した。化合物の溶解後、溶液を12.4 mlの注射用水(WFI)に定量的に移した。ウバオールの有効濃度:2.0 mg/ml。
【0159】
保存液を使用して、2 mgウバオール/ml~0.125 mgウバオール/mlの等比数列の5つの濃度のウバオールを定量的懸濁液アッセイで試験した。
【0160】
それぞれ2 mlの保存液及び希釈液(V1~V4)並びに陽性対照としての0.8%のクロロホルム溶液に約2.0×105 CFU/0.1 mlに調整した黄色ブドウ球菌ATCC 6538の試験懸濁液0.1 mlを接種し、個々のアッセイにおいて約100.000 CFU/mlを得た。
【0161】
次いで、接種後t 0分、12分、30分及び60分並びにt 24時間、48時間及び72時間で試料(0.1 ml)を採取し、これを20℃~25℃で培養し、0.9 mlの0.9% NaCl溶液で希釈した。試料を血液寒天プレート上にプレーティングし、30℃~35℃で最大で5日間までインキュベートした。
【0162】
以下の表29に結果を示す。
【0163】
表29 CFUの数;初期細胞負荷:2.0×105 CFU/ml、細菌:黄色ブドウ球菌ATCC 6538、Uva=ウバオール
【表29】
【0164】
表29に見られるように、試験の間、0.8%のクロロホルムは有意な抗菌効果がなかった。ウバオールは、0.25 Uva/ml以上の濃度で、24時間を超えるインキュベーション後に効果を示すが、100 CFU/mlのアッセイの検出限界未満である。
【0165】
実施例16:黄色ブドウ球菌ATCC 6538に対するエリスロジオール(単一物質)の抗菌効力の分析
エリスロジオールは、オリーブの木に由来する基材及び抽出物に見出される。
【0166】
0.1 mlのクロロホルムを10.45 mgのエリスロジオールに加えることによって保存液を調製した。化合物の溶解後、溶液を4.9 mlの注射用水(WFI)に定量的に移した。エリスロジオールの有効濃度:2.0 mg/ml。
【0167】
保存液を使用して、2 mgウバオール/ml~0.125 mgウバオール/mlの等比数列の5つの濃度のウバオールを定量的懸濁液アッセイで試験した。
【0168】
それぞれ2 mlの保存液及び希釈液(V1~V4)並びに陽性対照としての2%のクロロホルム溶液に約3.6×105 CFU/0.1 mlに調整した黄色ブドウ球菌ATCC 6538の試験懸濁液0.1 mlを接種し、個々のアッセイにおいて約100.000 CFU/mlを得た。
【0169】
次いで、接種後t 0分、12分、30分及び60分並びにt 24時間、48時間及び72時間で試料(0.1 ml)を採取し、これを20℃~25℃で培養し、0.9 mlの0.9% NaCl溶液で希釈した。試料を血液寒天プレート上にプレーティングし、30℃~35℃で最大で5日間までインキュベートした。
【0170】
以下の表30に結果を示す。
【0171】
表30 CFUの数;初期細胞負荷:9.5×104 CFU/ml、細菌:黄色ブドウ球菌ATCC 6538、Ery=エリスロジオール
【表30】
【0172】
表30に見られるように、2%のクロロホルムは試験の初めに有意な抗菌効果がなかった。その後の時点での減少は細菌の生存能力の自然喪失が理由である。エリスロジオールは、2.0 Ery/mlの濃度でのインキュベーション後に強い効果を示し、低い濃度は、細菌のその後の再出現を示すか、又は効果を示さないかのいずれかである。オレアシン又はオレオカンタールと比較して低い効果は、少なくとも部分的には、アッセイ中に遭遇したように、エリスロジオールの不十分な可溶性が理由であるように思われる。
【0173】
参考文献
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18. WO 2013/075003 Ai; EGGSHELL POWDER COMPOSITIONS AND METHODS OF PRODUCING EGGSHELL POWDER COMPOSITIONS; Liu et al., 2013
【0174】
図面訳
図1
PROCESS プロセス
Providing parts of an olive or acebuche plant オリーブ又はアセブチェ植物部分の準備
Extracting moisture 水分の抽出
Extracting moisture+Comminution/Puverization 水分の抽出+粉砕/微粉砕
Comminution/Puverization 粉砕/微粉砕
Sterilization 滅菌
Antibiotic/Antifungal Powder (sterilized) 抗生/抗真菌粉末(滅菌)
Blending with thickening agent 増粘剤とブレンドする
Antibiotic/Antifungal Gel 抗生/抗真菌ゲル
Antibiotic/Antifungal Powder (non-sterilized) 抗生/抗真菌粉末(非滅菌)
Extraction 抽出
Suspension in non-toxic tenside 無毒の界面活性剤中の懸濁液
Antibiotic/Antifungal Suspension 抗生/抗真菌懸濁液
図2
Air 空気
Feed material 供給材料
Venturi nozzle ベンチュリノズル
Pulverized material+Air 微粉砕化材料+空気
Turbomachine ターボ機械
Motor モーター
図3
IRIDOIDS (mg/g) イリドイド(mg/g)
Sylvestris シルベストリス
Arbequina アルベキーナ
Hojiblanca オヒブランカ
Picual ピクアル
Oleuropein オレウロペイン
Oleuroside オロイロシド
Ligstroside リグストロシド
Verbascoside ベルバスコシド
図4
FLAVONOIDS (mg/g) フラボノイド(mg/g)
Sylvestris シルベストリス
Arbequina アルベキーナ
Hojiblanca オヒブランカ
Picual ピクアル
Apigenin アピゲニン
Luteolin ルテオリン
図5
TERPENES (mg/g) テルペン(mg/g)
Sylvestris シルベストリス
Arbequina アルベキーナ
Hojiblanca オヒブランカ
Picual ピクアル
Oleanolic ac. オレアノール酸
Maslinic ac. マスリン酸
図6
TRYOSOL+HYDROXYTYROSOL (mg/g) チロソール+ヒドロキシチロソール(mg/g)
Sylvestris シルベストリス
Arbequina アルベキーナ
Hojiblanca オヒブランカ
Picual ピクアル
Tyrsol+hydroxytyrosol チロソール+ヒドロキシチロソール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】