(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】絹フィブロインベースのマイクロニードルおよびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20221207BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221207BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221207BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20221207BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20221207BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20221207BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/7084 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20221207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221207BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221207BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20221207BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20221207BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20221207BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20221207BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20221207BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221207BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20221207BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221207BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20221207BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P37/02
A61K48/00
A61K38/20
A61K38/21
A61K38/19
A61K39/395 D
A61K31/7068
A61K31/437
A61K31/506
A61K31/519
A61K31/704
A61K31/7084
A61K31/282
A61P43/00 121
A61K9/08
A61P37/04
A61P35/04
A61P1/04
A61P13/10
A61P19/08
A61P25/00
A61P15/00
A61P1/02
A61P11/02
A61P11/04
A61P27/16
A61P35/02
A61P13/12
A61P1/16
A61P11/00
A61P17/00
A61P21/00
A61P15/02
A61M37/00 505
A61M37/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521636
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020055139
(87)【国際公開番号】W WO2021072313
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522142899
【氏名又は名称】ヴァクセス・テクノロジーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】コスダ,キャスリン・エム
(72)【発明者】
【氏名】チレリ,キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】ベリボー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブーパティ,アルチャナ・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ディルクス,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ,ジョナサン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー,マイケル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】アイゼル,ミーガン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA12
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4C076BB21
4C076BB22
4C076CC07
4C076CC27
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4C076EE16
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4C267GG16
(57)【要約】
例えば、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の持続皮膚送達のための絹フィブロインベースのマイクロニードルチップを含むマイクロニードルおよびマイクロニードルデバイス、ならびにそれを製造および使用する方法が本明細書において記載される。他の実施形態では、対象におけるがんに対する改善された免疫応答を提供するための抗がん剤および/または免疫モジュレート剤のバースト放出または持続放出投与のための組成物および方法が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絹フィブロインベースのマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)であって、前記複数のマイクロニードルが、
抗がん剤を含む第1のマイクロニードル;および
免疫モジュレート剤を含む第2のマイクロニードル
を含み、
第1および/または第2のマイクロニードルが絹フィブロイン(例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロイン)を含み、マイクロニードルデバイスが、対象に抗がん剤および免疫モジュレート剤を送達するように構成されている、マイクロニードルデバイス。
【請求項2】
複数のマイクロニードルにおける第1および/または第2のマイクロニードルが、
(i)ベース(例えば、溶解可能なベース)、
(ii)ベースに適用された絹フィブロインを含む絹フィブロインチップ(例えば、埋め込み可能な絹フィブロインチップ)、および
(iii)ベースに適用された(任意選択の)バッキング
を含む、請求項1に記載のマイクロニードルデバイス。
【請求項3】
抗がん剤を含む第1のマイクロニードル;および
免疫モジュレート剤を含む第2のマイクロニードル
を含み、
第1および/または第2のマイクロニードルが、絹フィブロイン、例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロインを含む、
複数のマイクロニードル。
【請求項4】
絹フィブロインチップが、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を含む、請求項2に記載のマイクロニードルデバイス。
【請求項5】
ベースが、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を含む、請求項2に記載のマイクロニードルデバイス。
【請求項6】
マイクロニードルが、生物学的バリア(例えば、皮膚)を貫通するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項7】
第3のマイクロニードルを更に含み、必要に応じて、第3のマイクロニードルが、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項8】
2種類以上の抗がん剤(例えば、3種類以上、4種類以上、または5種類以上の抗がん剤)を送達(例えば、放出)するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項9】
2種類以上の抗がん剤が同じマイクロニードル中に存在する、請求項8に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項10】
2種類以上の抗がん剤が異なるマイクロニードル中に存在する、請求項8に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項11】
2種類以上の免疫モジュレート剤(例えば、3種類以上、4種類以上、または5種類以上の免疫モジュレート剤)が送達(例えば、放出)されるように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項12】
2種類以上の免疫モジュレート剤が同じマイクロニードル中に存在する、請求項11に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項13】
2種類以上の免疫モジュレート剤が異なるマイクロニードル中に存在する、請求項11に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項14】
抗がん剤および免疫モジュレート剤が同じマイクロニードル中に存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項15】
抗がん剤および免疫モジュレート剤が異なるマイクロニードル中に存在する、請求項1から14のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項16】
抗がん剤が、小分子(例えば、化学療法薬物)、生物学的製剤(例えば、抗体)、ウイルス性がん治療剤、ナノ医薬品、および核酸分子(例えば、DNAおよび/またはRNA)のうちの1つまたは複数から選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項17】
抗がん剤がmRNAであり、必要に応じて、mRNAが抗がん剤および/または免疫モジュレート剤をコードし、必要に応じて、mRNAが、チェックポイント阻害剤、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、RIGアゴニスト、がんワクチン、標的療法、および/またはサイトカインをコードする、請求項1から16のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項18】
免疫モジュレート剤が、チェックポイント阻害剤、トル様受容体(TLR)アゴニスト、STINGアゴニスト、RIGアゴニスト、がんワクチン、およびサイトカインから選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項19】
チェックポイント阻害剤が、CTLA4、PD1、PD-L1、PD-L2、TIM3、LAG3、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、BTLA、KIR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、およびA2aRから選択されるチェックポイント分子を阻害する、請求項18に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項20】
TLRアゴニストが、TLR-1アゴニスト、TLR-2アゴニスト、TLR-3アゴニスト、TLR-4アゴニスト、TLR-5アゴニスト、TLR-6アゴニスト、TLR-7アゴニスト、TLR-8アゴニスト、TLR-9アゴニスト、TLR-10アゴニスト、TLR-1/2アゴニスト、TLR-2/6アゴニスト、またはTLR-7/8アゴニストから選択される、請求項17または18に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項21】
STINGアゴニストが、環式ジヌクレオチド、例えば、プリンまたはピリミジン核酸塩基(例えば、アデノシン、グアニン、ウラシル、チミン、またはシトシン核酸塩基)を含む環式ジヌクレオチド、必要に応じて、ビス-(3’-5’)-環式二量体グアノシン一リン酸塩(c-ジ-GMP)である、請求項17または18に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項22】
サイトカインが、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1β、TGF-β、TNF-α、またはTNFβである、請求項17または18に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項23】
抗PD1抗体および/または抗CTLA4抗体を、
(i)IL-2;
(ii)IL-12;
(iii)IL-15;
(iv)IL-18;
(v)ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));
(vi)ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標));
(vii)ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標));
(viii)トラメチニブ(MEKINIST(登録商標));
(ix)ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標));
(x)c-ジ-GMP;
(xi)mRNA;
(xii)TLR-9アゴニスト(例えば、非メチル化CGジヌクレオチド(CpGODN));
(xiii)オキサリプラチン;および
(xiv)GM-CSF
のうちの1つまたは複数と組み合わせて投与するように構成されている、請求項1から22のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項24】
デバイスまたは複数が、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を持続放出するために構成されており、持続放出が、少なくとも約2日(例えば、約2、3、4、5、6、7日以上、例えば、約5日から約10日の間、例えば、約7日から約15日の間、例えば、約1から約2週の間、約1から約3週の間、または約2から約4週の間、例えば、約1から約3カ月の間、例えば、約2から約4カ月の間、例えば、約3から約6カ月の間)を含む時間にわたるものである、請求項1から23のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項25】
デバイスまたは複数が、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤をバースト放出するために構成されており、バースト放出が、少なくとも約1時間を含む時間(例えば、約1から約30分、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または24時間)にわたるものである、請求項1から24のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項26】
抗がん剤の放出が、免疫モジュレート剤の放出と異なる速度で起こり、その結果、抗がん剤が、免疫モジュレート剤が放出される実質的に前または実質的に後に放出される、請求項8から15、24、または25のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項27】
皮膚層、細胞膜、粘膜表面、口腔、または頬腔から選択される生物学的バリアに適用(例えば、投与)されるように構成されている、請求項1から26のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項28】
腫瘍(例えば、転移性腫瘍)に適用(例えば、投与)されるように構成されている、請求項1から27のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項29】
例えば、腫瘍に対する免疫応答を誘発するためにおよび/または切除後に取り残されたいずれのがん細胞も除去するために、腫瘍を切除した後に腫瘍の位置に適用(例えば、投与)されるように構成されている、請求項1から28のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項30】
例えば、腫瘍に対する免疫応答を誘発するためにおよび/または切除後に取り残されたいずれのがん細胞も除去するために、腫瘍を切除する前に腫瘍の位置に適用(例えば、投与)されるように構成されている、請求項1から29のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項31】
腫瘍内に適用(例えば、投与)されるように構成されている、請求項1から30のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項32】
腫瘍周囲に適用(例えば、投与)されるように構成されている、請求項1から31のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項33】
皮膚病変部(例えば、がんまたは前がん状態と関連する皮膚病変部)にまたはその近位に適用(例えば、投与)されるように構成されている、請求項1から32のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項34】
局所および/または全身送達(例えば、放出)によって、
(i)投与部位またはその付近での腫瘍成長の阻害;
(ii)投与部位またはその付近での腫瘍を除去するための局所免疫応答の誘発;
(iii)腫瘍微小環境における活性化された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の増加;
(iv)局所免疫抑制細胞(例えば、調節性T細胞(Treg))の減少;
(v)遠隔部位での腫瘍を除去するための全身免疫応答の誘発;
(vi)がんまたは前がん状態に対する免疫記憶;および/または
(vii)腫瘍抗原、例えば新抗原に対する免疫応答;および/または
(viii)がん再発(例えば、がん再燃)の阻止および/または阻害
が得られる、請求項1から33のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル
【請求項35】
バッキングが、固体支持体、例えば、紙ベースの材料、プラスチック材料、ポリマー材料、またはポリエステルベースの材料(例えば、Whatman 903紙、ポリマーテープ、プラスチックテープ、裏面接着式ポリエステルテープ、または他の医療用テープ)から選択される、請求項2に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項36】
ベース(例えば、溶解可能なベース)が、
(i)ポリサッカライド(例えば、デキストラン);
(ii)二糖(例えば、スクロース、マルトース、およびトレハロース);
(iii)ポリマー(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、およびヒアルロネート);
(iv)タンパク質(例えば、ゼラチン);
(v)可塑剤(例えば、グリセロール、プロパンジオール);および
(vi)界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、および/またはポリエトキシル化アルコール)
のうちの2つ以上を含む、請求項2、5、または35のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項37】
ベースが、ゼラチン、デキストラン、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、低分子量PEGを含む)、スクロース、トレハロース、マルトース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロネート、メチルセルロース、および/または界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、例えばP188、および/またはポリエトキシル化アルコール)のうちの1つまたは複数を含み、必要に応じて、マイクロニードルが、持続放出および/またはバースト放出するために構成されている、請求項2、5、35、または36のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項38】
絹フィブロインチップが、
(i)二糖(例えば、スクロース、マルトース、およびトレハロース);
(ii)ポリマー(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロネート);
(iii)アミノ酸(例えば、トレオニン);
(iv)可塑剤(例えば、グリセロール、プロパンジオール);および
(v)緩衝液(例えば、PBS)
のうちの2つ以上を含む、請求項2または4に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項39】
絹フィブロインチップが賦形剤を含む、請求項2、4、または38のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項40】
絹フィブロインチップが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スクロース、およびトレオニンのうちの1つまたは複数を含む、請求項2、4、38、または39のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項41】
絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の60MB絹フィブロイン溶液、または
図5による絹フィブロイン溶液、例えば、100kDaから200kDa(例えば、約153kDa)の絹フィブロイン溶液を含む、請求項2、4、または38から40のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項42】
絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の180MB絹フィブロイン溶液、または
図5による絹フィブロイン溶液、例えば、36kDaから100kDa(例えば、約71kDa)の絹フィブロイン溶液を含む、請求項2、4、または38から41のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項43】
約0.5μgから約500μgの絹フィブリオン、必要に応じて、約0.5μgから約5μg、または約1μgから約10μg、または約5μgから約15μg、または約10μgから約20μg、または約15μgから約25μg、または約20μgから約30μg、または約25μgから約35μg、または約30μgから約40μg、または約35μgから約45μg、または約40μgから約50μg、または約45μgから約55μg、または約50μgから約60μg、または約55μgから約65μg、または約60μgから約70μg、または約65μgから約75μg、または約70μgから約80μg、または約75μgから約85μg、または約80μgから約90μg、または約85μgから約95μg、または約90μgから約100μg、または約95μgから約150μg、または約125μgから約175μg、または約150μgから約200μg、または約225μgから約275μg、または約250μgから約300μg、または約325μgから約375μg、または約350μgから約400μg、または約425μgから約475μg、または約450μgから約500μgの絹フィブリオンの量の絹フィブリオンを含む、請求項2、4、または38から42のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項44】
約1重量%から約75重量%の絹フィブリオン、必要に応じて、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンの量の絹フィブリオンを含む、請求項2、4、または38から43のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項45】
マイクロニードルが、約100μmから約1mmの間の深さ(例えば、チップの遠位部分の最大侵入深さ)に、対象の生物学的バリア中に絹フィブロインチップを埋め込むように構成されている、請求項2、4、または38から44のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【請求項46】
がん(例えば、転移性がん)を処置および/またはそれに対する免疫応答を誘発するための方法であって、対象のがん(例えば、転移性腫瘍)の部位に、請求項1から45のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを接触させ(例えば、投与し)、その結果、
(i)がん関連抗原(例えば、新抗原)を対象の免疫系に放出および/または曝露するためのがん細胞、例えば、腫瘍細胞の溶解;
(ii)免疫系細胞(例えば、アクセサリー細胞、例えば、B細胞、樹状細胞など)への、抗原提示細胞(APC)による、主要組織適合性複合体(MHC)と複合体を形成したがん関連抗原(例えば、新抗原)のその表面上での提示;
(iii)免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞による、提示されたがん関連抗原(例えば、新抗原)の認識;
(iv)対象における提示されたがん関連抗原(例えば、新抗原)に特異的な免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞の活性化および/または拡大;および
(v)対象におけるがん関連抗原(例えば、新抗原)を発現している標的細胞の殺傷および/またはその成長もしくは増殖の阻害を促進する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞の免疫応答の強化、例えば、刺激または上方制御
のうちの1つまたは複数をもたらすステップを含む方法。
【請求項47】
がん(例えば、転移性がん)を処置および/またはそれに対する免疫応答を誘発するための方法であって、対象のがん(例えば、転移性腫瘍)および/または皮膚障害(例えば、皮膚病変部)の部位に、請求項1から45のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを接触させる(例えば、投与する)ステップを含む方法。
【請求項48】
がん(例えば、転移性がん)または前がん状態(例えば、前がん皮膚状態)を処置するための方法であって、対象の腫瘍(例えば、転移性腫瘍)または病変部(例えば、皮膚病変部)に、請求項1から45のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを接触させる(例えば、投与する)ステップを含む方法。
【請求項49】
がん(例えば、転移性がん)を処置するための方法であって、請求項1から38のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを、対象の腫瘍(例えば、転移性腫瘍)の位置に接触させ(例えば、投与し)、その結果、
(i)がんに対する局所免疫応答および/または局所細胞毒性(例えば、適用されたマイクロニードルデバイスの位置でのまたはその近位でのがん細胞の死滅、例えば、局所腫瘍サイズおよび/または局所腫瘍組織量における減少によって確認される);および/または
(ii)がんに対する遠位免疫応答および/または遠位細胞毒性(例えば、適用されたマイクロニードルパッチの位置から遠位の位置でのがん細胞の死滅、例えば、遠位腫瘍サイズおよび/または全身腫瘍組織量における減少によって確認される)
を誘発するステップを含む方法。
【請求項50】
がんが、肛門がん;基底細胞癌;膀胱がん;骨がん;脳腫瘍;乳がん;子宮頸がん;結腸直腸がん;子宮内膜がん;食道がん;消化管間質腫瘍;妊娠性絨毛性疾患;頭頚部がん;ホジキンリンパ腫;カポジ肉腫;腎臓(腎細胞)がん;白血病;肝臓がん;肺がん;悪性中皮腫;黒色腫;メルケル細胞癌;多中心性キャッスルマン疾患;多発性骨髄腫および他の形質細胞新生物;骨髄増殖性新生物;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;卵巣、卵管、または原発性腹膜がん;膵臓がん;陰茎がん;褐色細胞腫および傍神経節腫;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;皮膚がん;扁平上皮細胞癌;軟部組織肉腫;身体におけるいずれかの固形腫瘍;胃(stomach)(胃(gastric))がん;精巣がん;甲状腺がん;膣がん;外陰がん;およびウィルムス腫瘍および他の小児腎臓がんから選択される、請求項46から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
がんが黒色腫である、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
がんが基底細胞癌である、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
がんが扁平上皮細胞癌である、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
がんがメルケル細胞癌である、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
がんが乳がんである、請求項46から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前がん状態が、光線角化症(AK)、悪性黒子、白板症、およびボーエン疾患から必要に応じて選択される前がん皮膚状態である、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
接触(例えば、投与)が腫瘍内で行われる、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
接触(例えば、投与)が腫瘍周囲で行われる、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
接触(例えば、投与)が外科的切除より前に行われる、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
接触(例えば、投与)が外科的切除後に行われる、請求項46から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
接触(例えば、投与)が、外科手術、化学療法、免疫療法、標的療法、ホルモン療法、および/または放射線療法から必要に応じて選択される標準ケアの処置(例えば、がんまたは前がん状態のための)と組み合わせて行われる、請求項46から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
標準ケアの処置が、マイクロニードルデバイスの前、その後、またはそれと同時に投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
対象がヒト対象である、請求項46から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
マイクロニードルデバイスを製造する方法であって、
所定の形状を有する配列されたニードルキャビティ、例えば、ピラミッド形および/または円錐形のニードルキャビティがその中に形成されたモールド体を含むモールドを用意するステップと;
ニードルキャビティのチップに、絹フィブロインおよび治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはその両方)の溶液を含む組成物を充填するステップと;
ニードルキャビティの充填されたチップを乾燥して、絹フィブロインチップを作製し、必要に応じて、絹フィブロインチップをアニーリングするステップと;
モールドのニードルキャビティに第1のベース(例えば、溶解可能なベース)溶液を更に充填するステップと;
第1のベース溶液を乾燥して第1のベース層を形成するステップと;
(必要に応じて)1つまたは複数の追加のベース溶液を第1のベース層に添加し、追加のベース溶液を乾燥することによって1つまたは複数の追加のベース層を形成するステップであって、必要に応じて、追加のベース溶液が第1のベース溶液と異なるステップと、
(必要に応じて)バッキングをベース層(例えば、第1のベース層、または1つもしくは複数の追加のベース層)に適用し、マイクロニードルデバイスを製造するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
本出願は、2019年10月9日に出願された米国特許出願第62/912,832号の優先権を主張する。前述の出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、全般的に、疾患または障害、例えばがんを有する対象を処置するために、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを放出するように構成されている絹フィブロインベースのマイクロニードルに関する。
【背景技術】
【0003】
局所的または全身的な効果のための皮膚への薬物送達は、皮膚の最外層である角質層の効果的バリア特性の高さに起因して極めて困難である。マイクロニードルデバイスは、侵襲を最小限にし、角質層をバイパスして、皮膚の微小循環にアクセスして、経皮経路により治療剤の局所および/または全身送達を達成するように設計されているミリメートル未満のニードルを含む。しかし、従来のマイクロニードルの設計および材料は、その製造を損ない、その性能を限定するさまざまな制限と関連付けられる(例えば、Donnelly et al.Drug Deliv.17(4):187-207,2010を参照のこと)。具体的には、角質層を貫通するための十分な機械的強度と有効量の治療剤を組み込み、その後放出するための能力の両方を有するマイクロニードルを設計することが困難である。マイクロニードルの設計および製造プロセスを改善することが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、絹フィブロインが、完全水性加工(all-aqueous processing)、機械的強度、生体適合性、および絹ベースのマトリクスからのさまざまな治療剤の放出を安定化し、制御するための能力を含む、マイクロニードルの製造において使用するための好適な特性を有するという認識に少なくとも一部は基づいている。更に、本開示は、腫瘍の位置への治療剤、例えば抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の局所投与が、投与部位またはその付近で腫瘍成長の阻害をもたらす場合があり、遠隔部位で腫瘍を除去するための全身免疫応答ももたらす場合があるという認識に少なくとも一部は基づいている。更に、がんなどのある特定の疾患は、例えば免疫抑制性の腫瘍微小環境(TME)に起因して、抗原提示細胞(APC)による対象の免疫系への提示が不十分および/または無効な腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)と関連する。理論に束縛されることを望むものではないが、本開示は、例えば、有効量の抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを投与することによって腫瘍微小環境を変化させ、その結果、対象の身体においてAPCに対して腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)の提示を促進し、腫瘍特異的抗原に対する頑強で持続的な免疫(例えば、がん免疫)の発生を促進するために使用してもよい絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスを提供する。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、対象において、治療剤、例えば、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の持続放出を介して、患者特異的新抗原(例えば、がんワクチン)を送達して免疫の強化を達成するために使用してもよい。
【0005】
本開示は、有効量の治療剤または治療剤の組合せを組み込み、その後、対象(例えば、ヒト対象)に放出(例えば、投与)するように構成されている絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスを提供する。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルは、第2の治療剤または手順、例えばがん療法(例えば、抗がん剤、免疫療法、光線力学的療法(PDT)、外科手術および/または放射線のうちの1つまたは複数)と組み合わせて使用してもよい。
【0006】
開示される絹フィブロインベースのマイクロニードルは、さまざまな放出動態、例えば、バースト放出(例えば生物学的バリア、例えば、皮膚、粘膜表面、腫瘍、口腔、または頬腔に適用した場合に通常数分内に行われるマイクロニードルの即時のまたは迅速な溶解)、および/または持続放出に従って、治療剤または治療剤の組合せ(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を放出するように構成されていてもよい。持続放出の例としては、これらに限定されるものではないが、0次放出(例えば、放出速度は、投薬形態における治療剤の濃度とは無関係であり、例えば、放出速度はある期間にわたっておよそ一定であり、例えば、一定量の治療剤が単位時間あたりに消失される)、1次放出(例えば、放出速度は投薬形態中に残存する治療剤の量の関数、例えば、単位時間あたりに消失される薬物の一定の比、例えば、百分率である)、および2次放出(例えば、投薬における治療剤の濃度を2倍にすると、放出速度は4倍になる)がある。一部の実施形態では、マイクロニードルの一部は第1のタイプの放出、例えば、バースト放出のために構成されており、別の部分のマイクロニードルは、第2のタイプの放出、例えば、持続放出のために構成されている。更に、本明細書において記載される絹フィブロインベースのマイクロニードルからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出(例えば、投与)は、マイクロニードルまたはその一部から治療剤を拡散すること;マイクロニードルまたはその一部を分解(例えば、プロテアーゼ介在性分解)すること;および/またはマイクロニードルまたはその一部を溶解することによって促進してもよい。
【0007】
開示される絹フィブロインベースのマイクロニードルは、治療剤または治療剤の組合せ(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の、対象への局所および/または全身送達を達成するために、生物学的バリア(例えば、皮膚、腫瘍、組織、細胞膜、粘膜表面、口腔、または頬腔)を貫通するのに十分な機械的特性(例えば、強度)および好適な外形(例えば、チップの鋭さ、チップの先端角(included angle)、長さ、ニードル間の間隔)を有するように構成されていてもよい。一部の実施形態では、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはデバイスは、腫瘍の位置に(例えば、腫瘍内でおよび/または腫瘍周囲に)治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を投与するように構成されている。一部の実施形態では、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはデバイスは、皮膚病変部の位置に治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を投与するように構成されている。
【0008】
一部の実施形態では、本明細書において記載される絹フィブロインベースのマイクロニードルまたは絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスによる腫瘍および/または皮膚病変部の部位への治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の局所投与は、投与部位またはその付近で抗がん効果(例えば、腫瘍成長の阻害)をもたらす場合があり、必要に応じて、遠隔部位での腫瘍を除去するための全身性抗がん効果(例えば、免疫応答)をもたらす場合がある。
【0009】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、外科手術、化学療法、免疫療法、標的療法、ホルモン療法、および/または放射線療法から必要に応じて選択される標準ケアの処置(例えば、がんまたは皮膚状態のための)と組み合わせて投与される。
【0010】
対象における疾患、例えばがんを処置するためのマイクロニードルを製造および使用する方法も開示される。
当業者であれば、日常的な実験のみを使用して、本明細書において記載される本開示の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するかまたは確認できるであろう。そのような均等物は、以下の実施形態(E)に包含されることが意図される。
【0011】
E1.複数の絹フィブロインベースのマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)であって、前記複数のマイクロニードルが、
抗がん剤を含む第1のマイクロニードル;および
免疫モジュレート剤を含む第2のマイクロニードル
必要に応じて、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を含む第3のマイクロニードル
を含み、
第1および/または第2のマイクロニードルが絹フィブロイン(例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロイン)を含み、対象に抗がん剤および免疫モジュレート剤を送達するように構成されている、マイクロニードルデバイス。
【0012】
E2.複数の絹フィブロインベースのマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)であって、前記複数のマイクロニードルが、
抗がん剤を含む2つ以上のマイクロニードルを含み、
2つ以上のマイクロニードルが絹フィブロイン(例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロイン)を含み、対象に抗がん剤を送達するように構成されている、マイクロニードルデバイス。
【0013】
E3.複数の絹フィブロインベースのマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)であって、前記複数のマイクロニードルが、
免疫モジュレート剤を含む2つ以上のマイクロニードル
を含み、
2つ以上のマイクロニードルが絹フィブロイン(例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロイン)を含み、対象に免疫モジュレート剤を送達するように構成されており、必要に応じて、免疫モジュレート剤ががんに対する免疫応答を強化する、マイクロニードルデバイス。
【0014】
E4.複数のマイクロニードルにおける第1および/または第2のマイクロニードルが、
(i)ベース(例えば、溶解可能なベース)、
(ii)ベースに適用された絹フィブロインを含む絹フィブロインチップ(例えば、埋め込み可能な絹フィブロインチップ)、および
(iii)(必要に応じて)ベースに適用されたバッキング
を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス。
【0015】
E5.抗がん剤を含む第1のマイクロニードル;および
免疫モジュレート剤を含む第2のマイクロニードル、
必要に応じて、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を含む第3のマイクロニードル
を含み、
第1および/または第2のマイクロニードルが、絹フィブロイン、例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロインを含む、複数のマイクロニードル。
【0016】
E6.抗がん剤を含む第1のマイクロニードル;および
抗がん剤を含む第2のマイクロニードル
を含み、
第1および/または第2のマイクロニードルが、絹フィブロイン、例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロインを含む、複数のマイクロニードル。
【0017】
E7.免疫モジュレート剤を含む第1のマイクロニードル;および
免疫モジュレート剤を含む第2のマイクロニードル
を含み、
第1および/または第2のマイクロニードルが、絹フィブロイン、例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロインを含む、複数のマイクロニードル。
【0018】
E8.絹フィブロインチップが、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を含む、実施形態E4に記載のマイクロニードルデバイス。
E9.ベースが、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を含む、実施形態E4に記載のマイクロニードルデバイス。
【0019】
E10.マイクロニードルが、生物学的バリア(例えば、皮膚)を貫通するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0020】
E11.マイクロニードルが、対象の生物学的バリア(例えば、皮膚)中に絹フィブロインチップを埋め込むように構成されている、実施形態E4またはE8に記載のマイクロニードルデバイス。
【0021】
E12.マイクロニードルデバイスが、対象への抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の局所および/または全身送達(例えば、放出)を達成するように構成されている、実施形態E1~E4またはE8~E11のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス。
【0022】
E13.マイクロニードルデバイスが、対象に有効量の抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を送達するように構成されている、実施形態E1~E4またはE8~E12のマイクロニードルデバイス。
【0023】
E14.絹フィブロインチップが、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロインを含む、実施形態E4またはE8に記載のマイクロニードルデバイス。
E15.2種類以上の抗がん剤(例えば、3種類以上、4種類以上、または5種類以上の抗がん剤)を送達(例えば、放出)するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0024】
E16.2種類以上の免疫モジュレート剤(例えば、3種類以上、4種類以上、または5種類以上の免疫モジュレート剤)が送達(例えば、放出)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0025】
E17.前記複数のマイクロニードルが少なくとも1つの追加のマイクロニードルを含み、追加のマイクロニードルが同じ第1の抗がん剤を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0026】
E18.前記複数のマイクロニードルが少なくとも1つの追加のマイクロニードルを含み、追加のマイクロニードルが、第1の抗がん剤と異なる抗がん剤(「第2の抗がん剤」)を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0027】
E19.前記複数のマイクロニードルが少なくとも1つの追加のマイクロニードルを含み、追加のマイクロニードルが、同じ第1の免疫モジュレート剤を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0028】
E20.前記複数のマイクロニードルが少なくとも1つの追加のマイクロニードルを含み、追加のマイクロニードルが、第1の免疫モジュレート剤と異なる免疫モジュレート剤(「第2の免疫モジュレート剤」)を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0029】
E21.前記複数のマイクロニードルが、第2の抗がん剤を含む追加の絹フィブロインベースのマイクロニードルを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0030】
E22.前記複数のマイクロニードルが、第2の免疫モジュレート剤を含む追加の絹フィブロインベースのマイクロニードルを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0031】
E23.複数の前記第1、第2、および/または追加のマイクロニードルを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0032】
E24.抗がん剤が、小分子(例えば、化学療法薬物)、生物学的製剤(例えば、抗体)、ウイルス性がん治療剤、ナノ医薬品、および核酸分子(例えば、DNAおよび/またはRNA)のうちの1つまたは複数から選択される、実施形態E1、E2、E4~E6、またはE8~E23のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0033】
E25.抗がん剤が化学療法ヌクレオチドではない、実施形態E1、E2、E4~E6、またはE8~E24のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0034】
E26.抗がん剤がmRNAであり、必要に応じて、mRNAが抗がん剤および/または免疫モジュレート剤をコードし、必要に応じて、mRNAが、チェックポイント阻害剤、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、RIGアゴニスト、がんワクチン、標的療法、および/またはサイトカインをコードする、実施形態E1、E2、E4~E6、またはE8~E25のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0035】
E27.抗がん剤が、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標))、ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標))、トラメチニブ(MEKINIST(登録商標))、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、エンコラフェニブ(BRAFTOVI(登録商標))、コビメチニブ(COTELLIC(登録商標))、ビニメチニブ(MEKTOVI(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)、テモゾロミド(TEMODAR(登録商標))、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、アルデスロイキン(Proleukin(登録商標))、組換えインターフェロンアルファ-2b(IntronA)、ペグインターフェロンアルファ-2b(PEG-Intron/Sylatron)、オキサリプラチン、およびタリモジェンラヘルパレプベク(IMLYGIC(登録商標))のうちの1つまたは複数から選択される、実施形態E1、E2、E4~E6、またはE8~E26のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0036】
E28.免疫モジュレート剤が、チェックポイント阻害剤、トル様受容体(TLR)アゴニスト、STINGアゴニスト、RIGアゴニスト、がんワクチン、およびサイトカインから選択される、実施形態E1、E3~E5、またはE7~E27のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0037】
E29.チェックポイント阻害剤が、CTLA4、PD1、PD-L1、PD-L2、TIM3、LAG3、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、BTLA、KIR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、およびA2aRから選択されるチェックポイント分子を阻害する、実施形態E28に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0038】
E30.チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、実施形態E28またはE29に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
E31.チェックポイント阻害剤がCTLA4阻害剤である、実施形態E28またはE29に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0039】
E32.TLRアゴニストが、TLR-1アゴニスト、TLR-2アゴニスト、TLR-3アゴニスト、TLR-4アゴニスト、TLR-5アゴニスト、TLR-6アゴニスト、TLR-7アゴニスト、TLR-8アゴニスト、TLR-9アゴニスト、TLR-10アゴニスト、TLR-1/2アゴニスト、TLR-2/6アゴニスト、またはTLR-7/8アゴニストから選択される、実施形態E28に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0040】
E33.TLRアゴニストがTLR-7アゴニストである、実施形態E28またはE32に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
E34.TLRアゴニストが、TLR-9アゴニスト(例えば、非メチル化CGジヌクレオチド(CpG ODN)である、実施形態E28またはE32に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0041】
E35.STINGアゴニストが、環式ジヌクレオチド、例えば、プリンまたはピリミジン核酸塩基(例えば、アデノシン、グアニン、ウラシル、チミン、またはシトシン核酸塩基)を含む環式ジヌクレオチド、必要に応じて、ビス-(3’-5’)-環式二量体グアノシン一リン酸塩(c-ジ-GMP)である、実施形態E28に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0042】
E36.サイトカインが、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1β、TGF-β、TNF-α、およびTNFβである、実施形態E28に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0043】
E37.サイトカインが、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1β、TGF-β、TNF-α、またはTNFβである、実施形態E28に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0044】
E38.サイトカインがIL-2である、実施形態E28またはE36に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
E39.サイトカインがIL-12である、実施形態E28またはE36に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0045】
E40.サイトカインがIL-15である、実施形態E28またはE36に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
E41.サイトカインがIL-18である、実施形態E28またはE37に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0046】
E42.サイトカインが遺伝子操作されたサイトカインである、実施形態E28、E36、またはE37のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0047】
E43.サイトカインが遺伝子操作されたインターロイキン(例えば、遺伝子操作されたIL-2またはIL-18)である、実施形態E28、E36、またはE37のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0048】
E44.サイトカインが遺伝子操作されたインターロイキン2である、実施形態E28、E36、またはE37のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0049】
E45.サイトカインが遺伝子操作されたインターロイキン18である、実施形態E28またはE37に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
E46.サイトカインがデコイ耐性インターロイキンである、実施形態E28、E36、またはE37のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0050】
E47.サイトカインがデコイ耐性インターロイキン18である、実施形態E28またはE37に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
E48.サイトカインがGM-CSFである、実施形態E28またはE36に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0051】
E49.抗PD1抗体および/または抗CTLA4抗体を、
(i)IL-2;
(ii)IL-12;
(iii)IL-15;
(iv)ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));
(v)ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標));
(vi)ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標));
(vii)トラメチニブ(MEKINIST(登録商標));
(viii)ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標));
(ix)c-ジ-GMP;
(x)mRNA;
(xi)TLR-9アゴニスト(例えば、非メチル化CGジヌクレオチド(CpG ODN));
(xii)オキサリプラチン;および
(xiii)GM-CSF
のうちの1つまたは複数と組み合わせて投与するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0052】
E50.抗PD1抗体および/または抗CTLA4抗体を、
(i)IL-2;
(ii)IL-12;
(iii)IL-15;
(iv)IL-18
(v)ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));
(vi)ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標));
(vii)ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標));
(viii)トラメチニブ(MEKINIST(登録商標));
(ix)ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標));
(x)c-ジ-GMP;
(xi)mRNA;
(xii)TLR-9アゴニスト(例えば、非メチル化CGジヌクレオチド(CpG ODN));
(xiii)オキサリプラチン;および
(xiv)GM-CSF
のうちの1つまたは複数と組み合わせて投与するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0053】
E51.抗PD1抗体および/または抗CTLA4抗体を、IL-2、IL-12、またはIL-18のうちの1つまたは複数と組み合わせて投与するように構成されている、実施形態E28またはE37に記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0054】
E52.抗PD1抗体および/または抗CTLA4抗体を、IL-2およびIL-12と組み合わせて投与するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0055】
E53.抗PD1抗体および/または抗CTLA4抗体を、IL-2およびTLR-9アゴニスト(例えば、非メチル化CGジヌクレオチド(CpG ODN))と組み合わせて投与するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0056】
E54.IL-2およびc-ジ-GMP、必要に応じてIL-12を投与するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0057】
E55.IL-12およびc-ジ-GMP、必要に応じてIL-2を投与するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0058】
E56.がんワクチンを投与するように構成されており、必要に応じて、がんワクチンが腫瘍抗原、例えば新抗原を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0059】
E57.
(i)ベース(例えば、溶解可能なベース)、
(ii)ベースに適用または接着された絹フィブロインを含む埋め込み可能な絹フィブロインチップ、および
(iii)(必要に応じて)ベースに適用されたバッキング
を含み、
対象、例えばヒト対象の生物学的バリア(例えば、皮膚)中に絹フィブロインチップを埋め込むように構成されており、
絹フィブロインチップが、絹フィブロイン、例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロインを含み、
絹フィブロインチップが、抗がん応答を誘発するのに十分な量の抗がん剤を更に含む、マイクロニードル。
【0060】
E58.実施形態E57に記載のマイクロニードルを含み、必要に応じて、複数のうちの少なくとも2つのマイクロニードルが同じ抗がん剤または異なる抗がん剤を含む、マイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0061】
E59.(i)ベース(例えば、溶解可能なベース)、
(ii)ベースに適用された絹フィブロインを含む埋め込み可能な絹フィブロインチップ、および
(iii)(必要に応じて)ベースに適用されたバッキング
を含み、
対象、例えばヒト対象の生物学的バリア(例えば、皮膚)中に絹フィブロインチップを埋め込むように構成されており、
絹フィブロインチップが、絹フィブロイン、例えば、再生絹フィブロインおよび/または組換え絹フィブロインを含み、
絹フィブロインチップが、免疫系を刺激および/または抑制するのに十分な量で免疫モジュレート剤を更に含む、マイクロニードル。
【0062】
E60.必要に応じて、複数のうちの少なくとも2つのマイクロニードルが同じ免疫モジュレート剤または異なる免疫モジュレート剤を含む、実施形態E1、E3~E5、E7~E56、またはE59のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードル。
【0063】
E61.複数の絹フィブロインベースのマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイスであって、前記複数のマイクロニードルが、前述の実施形態のいずれか1つに記載の1つまたは複数のマイクロニードルを含む、マイクロニードルデバイス。
【0064】
E62.デバイス、複数、またはマイクロニードルが、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を持続放出するために構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0065】
E63.持続放出が、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の実質的に連続的な低用量投与を含む、実施形態E62に記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0066】
E64.持続放出が、絹フィブロインチップに存在する抗がん剤の総量および/または免疫モジュレート剤の総量の約0%を超える部分から約100%の部分の連続的な投与を含む、実施形態E62またはE63に記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0067】
E65.持続放出が、少なくとも約3日(例えば、約3、4、5、6、7日以上、例えば、約5日から約10日の間、例えば、約7日から約15日の間、例えば、約1から約2週の間、約1から約3週の間、または約2から約4週の間、例えば、約1から約3カ月の間、例えば、約2から約4カ月の間、例えば、約3から約6カ月の間)を含む期間にわたるものである、E62~E64のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0068】
E66.持続放出が、約2日から約28日の間の期間にわたるものである、実施形態E62~E65のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0069】
E67.持続放出が、約5日から約21日の間の期間にわたるものである、実施形態E62~E66のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0070】
E68.有効量の抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を放出して、がんに関連する新抗原(例えば、腫瘍細胞溶解後に放出される新抗原)への対象の免疫系への曝露を強化し、その結果、新抗原に特異的な免疫エフェクター細胞、例えばT細胞を誘発および/または拡大するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0071】
E69.有効量の抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を放出して、腫瘍微小環境においてT細胞の活性化を誘発するようにおよび/または免疫抑制を克服するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0072】
E70.デバイス、複数、またはマイクロニードルが、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤をバースト放出するために構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0073】
E71.バースト放出が、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の急速な投与を含む、実施形態E70に記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0074】
E72.バースト放出が、絹フィブロインチップに存在する抗がん剤の総量および/または免疫モジュレート剤の総量の0%を超える部分から約100%の部分の急速な投与を含む、実施形態E70またはE71に記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0075】
E73.バースト放出が、少なくとも約1時間(例えば、約1から約30分、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または24時間)を含む期間にわたるものである、実施形態E70~E72のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0076】
E74.抗がん剤の放出が、免疫モジュレート剤の放出と実質的に同じ速度で(例えば、同時に)行われる、実施形態E12、E15、E16、またはE62~E73のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0077】
E75.抗がん剤の放出が、免疫モジュレート剤の放出と異なる速度で起こり、その結果、免疫モジュレート剤が放出される実質的に前または実質的に後に抗がん剤が放出される、実施形態E12、E15、E16、またはE62~E74のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0078】
E76.皮膚層、細胞膜、粘膜表面、口腔、または頬腔から選択される生物学的バリアに適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0079】
E77.腫瘍(例えば、転移性腫瘍)に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0080】
E78.例えば、腫瘍に対する免疫応答を誘発するためにおよび/または切除後に取り残されたいずれのがん細胞も除去するために、腫瘍を切除した後に腫瘍の位置に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0081】
E79.例えば、腫瘍に対する免疫応答を誘発するためにおよび/または切除後に取り残されたいずれのがん細胞も除去するために、腫瘍を切除する前に腫瘍の位置に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0082】
E80.皮膚に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0083】
E81.眼に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0084】
E82.口腔に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0085】
E83.腫瘍内に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0086】
E84.腫瘍周囲に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0087】
E85.皮膚病変部(例えば、がんまたは前がん状態と関連する皮膚病変部)にまたはその近位に適用(例えば、投与)されるように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0088】
E86.局所および/または全身送達(例えば、放出)によって、
(i)投与部位またはその付近での腫瘍成長の阻害;
(ii)投与部位またはその付近での腫瘍を除去するための局所免疫応答の誘発;
(iii)腫瘍微小環境における活性化された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の増加;
(iv)局所免疫抑制細胞(例えば、調節性T細胞(Treg))の減少;
(v)遠隔部位での腫瘍を除去するための全身免疫応答の誘発;
(vi)がんまたは前がん状態に対する免疫記憶;および/または
(vii)腫瘍抗原、例えば新抗原に対する免疫応答;および/または
(viii)がん再発(例えば、がん再燃)の阻止および/または阻害
が得られる、実施形態E12に記載のマイクロニードルデバイス。
【0089】
E87.バッキングが、固体支持体、例えば、紙ベースの材料、プラスチック材料、ポリマー材料、またはポリエステルベースの材料(例えば、Whatman 903紙、ポリマーテープ、プラスチックテープ、裏面接着式ポリエステルテープ、または他の医療用テープ)から選択される、実施形態E4またはE57~E59のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0090】
E88.ベース(例えば、溶解可能なベース)が、
(i)多糖(例えば、デキストラン);
(ii)二糖(例えば、スクロース、マルトース、およびトレハロース);
(iii)ポリマー(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、およびヒアルロネート);
(iv)タンパク質(例えば、ゼラチン);
(v)可塑剤(例えば、グリセロール、プロパンジオール);および
(vi)界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、および/またはポリエトキシル化アルコール)
のうちの2つ以上を含む、実施形態E4、E9、E57~E59、またはE87のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0091】
E89.ベースが、ゼラチン、デキストラン、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、低分子量PEGを含む)、スクロース、トレハロース、マルトース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロネート、メチルセルロース、および/または界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、例えばP188、および/またはポリエトキシル化アルコール)のうちの1つまたは複数を含み、必要に応じて、マイクロニードルが、持続放出および/またはバースト放出するために構成されている、実施形態E4、E9、E57~E59、E87、またはE88のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0092】
E90.ベースが、デキストラン、スクロース、グリセロール、および界面活性剤を含み、必要に応じて、持続放出するために構成されている、実施形態E4、E9、E57~E59、またはE87~E89のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0093】
E91.持続放出するために構成されており、
(i)約20%から約40%の間、例えば30%の70kDaデキストラン;
(ii)約5%から約15%の間、例えば約10%のスクロース;
(iii)約0.5%から約2.5%の間、例えば約1%のグリセロール;および
(iv)約0.001%から約1%の間、例えば約0.01%のTriton-X
(必要に応じて、これは鋳造に使用される溶液、および/または乾燥し、固化されるベースの組成物である)を含む、実施形態E62~E67、E89、またはE90のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0094】
E92.デキストランの分子量が約30kDから約600kDaの間である、実施形態E88~E91のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0095】
E93.デキストランがロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)由来のものである、実施形態E88~E92のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0096】
E94.ベースが、ポリビニルアルコール(PVA)およびスクロースを含み、必要に応じて、バースト放出するために構成されている、実施形態E4、E8、E9、E57~E59、E87、またはE88~E93のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0097】
E95.バースト放出するために構成されており:
(i)約15%から約20%、例えば約18%のPVA;
(ii)約25%から約75%のスクロース、例えば約50%のスクロース;
(iii)約25%から約75%のPVA、例えば約50%のPVA;および
(iv)約15%から約20%、例えば約18%のスクロース
(必要に応じて、これは鋳造に使用される溶液、および/または乾燥し、固化されるベースの組成物である)を含む、実施形態E70~E72、E89、またはE94のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0098】
E96.ベースがポリ(アクリル酸)(PAA)を含まない、実施形態E4、E8、E9、E57~E59、E87、またはE88~E95のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0099】
E97.絹フィブロインチップが、
(i)二糖(例えば、スクロース、マルトース、およびトレハロース);
(ii)ポリマー(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロネート);
(iii)アミノ酸(例えば、トレオニン);
(iv)可塑剤(例えば、グリセロール、プロパンジオール);および
(v)緩衝液(例えば、PBS)
のうちの2つ以上を含む、実施形態E4、E8、E9~E96のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0100】
E98.絹フィブロインチップが賦形剤を含む、実施形態E4、E8、E9~E97のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0101】
E99.絹フィブロインチップが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スクロース、およびトレオニンのうちの1つまたは複数を含む、実施形態E4、E8、E9~E98のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0102】
E100.絹フィブロインチップが、緩衝液、必要に応じて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む、実施形態E4、E8、E9~E99のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0103】
E101.絹フィブロインチップがバースト放出するために構成されており、約2%から約8%の間のスクロース(例えば、約5%のスクロース)を含む、実施形態E70~E72、E89、E94、またはE95、のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0104】
E102.絹フィブロインチップがバースト放出するために構成されており、約0.5%から約3%w/vのCMC(例えば、約1%のCMC)を含む、実施形態E70~E72、E89、E94、E95、またはE101のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0105】
E103.絹フィブロインチップがバースト放出するために構成されており、約50mMから約100mMのアミノ酸、例えばトレオニン(例えば、約75mMのトレオニン)を含む、実施形態E70~E72、E89、E94、E95、E101、またはE102のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0106】
E104.絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の絹フィブロイン、または
図5による分子量分布を有する絹フィブロインを含むか、または例えば、121個のマイクロニードルアレイあたり約20μgから約245μgの間の量の絹フィブロインを含む、実施形態E4、E8、またはE9~E103のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0107】
E105.絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の10MB絹フィブロイン溶液、または
図5による絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E4、E8、またはE9~E103のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0108】
E106.絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の60MB絹フィブロイン溶液、または
図5による絹フィブロイン溶液、例えば、100kDaから200kDa(例えば、約153kDa)の絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E4、E8、またはE9~E103のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0109】
E107.絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の120MB絹フィブロイン溶液、または
図5による絹フィブロイン溶液、例えば、70kDaから150kDa(例えば、約100kDa)の絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E4、E8、またはE9~E103のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0110】
E108.絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の180MB絹フィブロイン溶液、または
図5による絹フィブロイン溶液、例えば、36kDaから100kDa(例えば、約71kDa)の絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E4、E8、またはE9~E103のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0111】
E109.絹フィブロインチップが、約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の480MB絹フィブロイン溶液、または
図5による絹フィブロイン溶液、例えば、1kDaから60kDa(例えば、約16kDa)の絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E4、E8、またはE9~E103のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0112】
E110.絹フィブロインチップが、持続放出するために構成されており、約1%から約10%w/vの間の60MB絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E62~E67、E89、E90、またはE91のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0113】
E111.絹フィブロインチップが持続放出するために構成されており、約1%から約10%w/vの間の60MB絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E62~E67、E89、E90、またはE91のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0114】
E112.絹フィブロインチップが持続放出するために構成されており、約1%から約10%w/vの間の120MB絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E62~E67、E89、E90、またはE91のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0115】
E113.絹フィブロインチップが持続放出するために構成されており、約1%から約10%w/vの間の180MB絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E62~E67、E89、E90、またはE91のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0116】
E114.絹フィブロインチップが持続放出するために構成されており、約1%から約10%w/vの間の480MB絹フィブロイン溶液を含む、実施形態E62~E67、E89、E90、またはE91のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0117】
E115.実質的に溶解可能な材料のみ、例えば、実質的にポリマーベースおよび/または糖ベースの材料のみを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0118】
E116.例えば切除後、腫瘍の位置に適用され、所定の位置に残して完全に溶解するように構成されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0119】
E117.マイクロニードルが、約100μmから約1mmの間の深さ(例えば、チップの遠位部分の最大侵入深さ)に、対象の生物学的バリア中に絹フィブロインチップを埋め込むように構成されている、実施形態E4、E8、またはE9~E114のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0120】
E118.マイクロニードルの長さが約350μmから約1500μmの間である、前述の実施形態のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0121】
E119.絹フィブロインチップの高さをマイクロニードルの全長のおよそ半分まで伸長してもよい、実施形態E4、E8、E9~E114、またはE117のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0122】
E120.絹フィブロインチップの高さが、約75μmから約475μmの間である、実施形態E4、E8、E9~E114、またはE117のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0123】
E121.絹フィブロインチップが、約0.5μmから約100μmの間のチップ半径を含む、実施形態E4、E8、E9~E114、またはE117のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0124】
E122.絹フィブロインチップが、約5μmから約10μmの間のチップ半径を含む、実施形態E4、E8、E9~E114、またはE117のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0125】
E123.絹フィブロインチップが、約5度から約45度の間の角度を含む、実施形態E4、E8、E9~E114、またはE117のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、またはマイクロニードル。
【0126】
E124.がん(例えば、転移性がん)を処置および/またはそれに対する免疫応答を誘発するための方法であって、対象のがん(例えば、転移性腫瘍)の部位に、実施形態E1~E56、E58、またはE60~E123のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルのうちのいずれか1つを接触させ(例えば、投与し)、その結果、
(i)がん関連抗原(例えば、新抗原)を対象の免疫系に放出および/または曝露するためのがん細胞、例えば、腫瘍細胞の溶解;
(ii)免疫系細胞(例えば、アクセサリー細胞、例えば、B細胞、樹状細胞など)への、抗原提示細胞(APC)による、主要組織適合性複合体(MHC)と複合体を形成したがん関連抗原(例えば、新抗原)のその表面上での提示;
(iii)免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞による、提示されたがん関連抗原(例えば、新抗原)の認識;
(iv)対象における提示されたがん関連抗原(例えば、新抗原)に特異的な免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞の活性化および/または拡大;および
(v)対象におけるがん関連抗原(例えば、新抗原)を発現している標的細胞の殺傷および/またはその成長もしくは増殖の阻害を促進する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞の免疫応答の強化、例えば、刺激または上方制御
のうちの1つまたは複数をもたらすステップを含む方法。
【0127】
E125.がんが複数の抗原(例えば、新抗原)を発現するが、腫瘍微小環境が、それを認識する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の活性化を妨げる、実施形態E124に記載の方法。
【0128】
E126.がん関連抗原(例えば、新抗原)を発現している標的細胞に対する強化された、例えば刺激または上方制御された免疫応答が、投与部位またはその付近で行われる、実施形態E124またはE125に記載の方法。
【0129】
E127.がん関連抗原(例えば、新抗原)を発現している標的細胞に対する強化された、例えば刺激または上方制御された免疫応答が、遠隔部位での腫瘍を除去するための全身免疫応答(例えば、広範囲の応答)である、実施形態E124~E126のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
E128.がん(例えば、転移性がん)を処置および/またはそれに対する免疫応答を誘発するための方法であって、対象のがん(例えば、転移性腫瘍)の部位に、実施形態E1~E56、E58、またはE60~E123のうちのいずれか1つのマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを接触させる(例えば、投与する)ステップを含む方法。
【0131】
E129.がん(例えば、転移性がん)または前がん状態(例えば、前がん皮膚状態)を処置するための方法であって、対象の腫瘍(例えば、転移性腫瘍)または病変部(例えば、皮膚病変部)に、実施形態E1~E56、E58、またはE60~E123のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを接触させる(例えば、投与する)ステップを含む方法。
【0132】
E130.がんの再燃を阻止するための方法であって、対象の腫瘍(例えば皮膚上の、例えば転移性腫瘍)に、実施形態E1~E56、E58、またはE60~E123のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを接触させる(例えば、投与する)ステップを含む方法。
【0133】
E131.がん(例えば、転移性がん)を処置するための方法であって、対象の外科的切除の位置にまたはその近位の位置に、実施形態E1~E56、E58、またはE60~E123のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを、接触させる(例えば、投与する)ステップを含む方法。
【0134】
E132.がん(例えば、転移性がん)を処置するための方法であって、実施形態E1~E56、E58、またはE60~E123のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを、対象の腫瘍(例えば、転移性腫瘍)の位置に接触させ(例えば、投与し)、その結果、
(i)がんに対する局所免疫応答および/または局所細胞毒性(例えば、適用されたマイクロニードルデバイスの位置でのまたはその近位でのがん細胞の死滅、例えば、局所腫瘍サイズおよび/または局所腫瘍組織量における減少によって確認される);および/または
(ii)がんに対する遠位免疫応答および/または遠位細胞毒性(例えば、適用されたマイクロニードルパッチの位置から遠位の位置でのがん細胞の死滅、例えば、遠位腫瘍サイズおよび/または全身腫瘍組織量における減少によって確認される)
を誘発するステップを含む方法。
【0135】
E133.接触させる(例えば、投与する)ステップによって、
(i)投与部位またはその付近での腫瘍成長の阻害;
(ii)投与部位またはその付近での腫瘍を除去するための局所免疫応答の誘発;
(iii)腫瘍微小環境における活性化された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の増加;
(iv)局所免疫抑制細胞(例えば、調節性T細胞(Treg))の減少;
(v)遠隔部位での腫瘍を除去するための全身免疫応答の誘発;
(vi)がんまたは前がん状態に対する免疫記憶;
(vii)腫瘍抗原、例えば新抗原に対する免疫応答;および/または
(viii)がん再発(例えば、がん再燃)の阻止および/または阻害
のうちの1つまたは複数が得られる、実施形態E124~E132のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
E134.免疫学的記憶によって、必要に応じて、再発性腫瘍が、投与後約1から約6カ月以内に出現した場合、必要に応じて、再発性腫瘍が、投与後約1から約5年以内に出現した場合、投与部位またはその付近での再発性腫瘍の除去および/または遠位部位での再発性腫瘍の除去が得られる、実施形態E133に記載の方法。
【0137】
E135.免疫学的記憶が腫瘍の再発を阻止する、実施形態E133またはE134に記載の方法。
E136.免疫学的記憶が、マイクロニードルの初回投与後、最初の5年以内のがんの再発を阻止する、実施形態E133~E135のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
E137.がんが転移性がんである、実施形態E124~E136のいずれか1つに記載の方法。
E138.がんが再燃性がんである、実施形態E124~E137のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
E139.がんが難治性がんである、実施形態E124~E138のいずれか1つに記載の方法。
E140.がんが、肛門がん;基底細胞癌;膀胱がん;骨がん;脳腫瘍;乳がん;子宮頸がん;結腸直腸がん;子宮内膜がん;食道がん;消化管間質腫瘍;妊娠性絨毛性疾患;頭頚部がん;ホジキンリンパ腫;カポジ肉腫;腎臓(腎細胞)がん;白血病;肝臓がん;肺がん;悪性中皮腫;黒色腫;メルケル細胞癌;多中心性キャッスルマン疾患;多発性骨髄腫および他の形質細胞新生物;骨髄増殖性新生物;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;卵巣、卵管、または原発性腹膜がん;膵臓がん;陰茎がん;褐色細胞腫および傍神経節腫;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;皮膚がん;扁平上皮細胞癌;軟部組織肉腫;身体におけるいずれかの固形腫瘍;胃(stomach)(胃(gastric))がん;精巣がん;甲状腺がん;膣がん;外陰がん;およびウィルムス腫瘍および他の小児腎臓がんから選択される、実施形態E124~E139のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
E141.がんが黒色腫である、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
E142.がんが基底細胞癌である、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
E143.がんが扁平上皮細胞癌である、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
E144.がんがメルケル細胞癌である、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
E145.がんが乳がんである、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
E146.がんが、皮膚病変部および/または腫瘍と関連する、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
E147.腫瘍が転移性腫瘍である、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
E148.腫瘍が外科手術なしでアクセス可能である、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
E149.腫瘍が外科手術によってアクセス可能である、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
E150.腫瘍が皮膚上に存在する、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
E151.腫瘍が眼に存在する、実施形態E124~E140のいずれか1つに記載の方法。
E152.前がん状態が、光線角化症(AK)、悪性黒子、白板症、およびボーエン疾患から必要に応じて選択される前がん皮膚状態である、実施形態E129またはE133~E151のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
E153.接触(例えば、投与)が腫瘍内で行われる、実施形態E124~E152のいずれか1つに記載の方法。
E154.接触(例えば、投与)が腫瘍周囲で行われる、実施形態E124~E152のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
E155.接触(例えば、投与)が外科的切除より前に行われる、実施形態E124~E152のいずれか1つに記載の方法。
E156.接触(例えば、投与)が外科的切除後に行われる、実施形態E124~E152のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
E157.接触(例えば、投与)が、外科手術および/または生検採取と同時に行われる、実施形態E124~E152のいずれか1つに記載の方法。
E158.接触(例えば、投与)が、外科手術、化学療法、免疫療法、標的療法、ホルモン療法、および/または放射線療法から必要に応じて選択される標準ケアの処置(例えば、がんまたは前がん状態のための)と組み合わせて行われる、実施形態E124~E152のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
E159.標準ケアの処置が、マイクロニードルデバイスの前、その後、またはそれと同時に投与される、実施形態E158に記載の方法。
E160.対象がヒト対象である、実施形態E124~E159のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
E161.マイクロニードルデバイスを製造する方法であって、
所定の形状を有する配列されたニードルキャビティ、例えば、ピラミッド形および/または円錐形のニードルキャビティがその中に形成されたモールド体を含むモールドを用意するステップと;
ニードルキャビティのチップに、絹フィブロイン、抗がん剤、および/または免疫モジュレート剤溶液を含む組成物を充填するステップと;
ニードルキャビティの充填されたチップを乾燥して、絹フィブロインチップを作製し、必要に応じて、ニードルのチップをアニーリングするステップと;
モールドのニードルキャビティにベース(例えば、溶解可能なベース)溶液を充填するステップと;
ベース溶液を乾燥して、絹フィブロインチップのためのベース層を形成するステップと;
(必要に応じて)バッキングをベース層に適用して、マイクロニードルデバイスを作製するステップと
を含む方法。
【0151】
E162.マイクロニードルデバイスを製造する方法であって、
所定の形状を有する配列されたニードルキャビティ、例えば、ピラミッド形および/または円錐形のニードルキャビティがその中に形成されたモールド体を含むモールドを用意するステップと;
ニードルキャビティのチップに、絹フィブロインおよび治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはその両方)の溶液を含む組成物を充填するステップと;
ニードルキャビティの充填されたチップを乾燥して、絹フィブロインチップを作製し、必要に応じて、絹フィブロインチップをアニーリングするステップと;
モールドのニードルキャビティに第1のベース(例えば、溶解可能なベース)溶液を更に充填するステップと;
第1のベース溶液を乾燥して第1のベース層を形成するステップと;
(必要に応じて)1つまたは複数の追加のベース溶液を第1のベース層に添加し、追加のベース溶液を乾燥することによって1つまたは複数の追加のベース層を形成するステップであって、必要に応じて、追加のベース溶液が第1のベース溶液と異なるステップと、
(必要に応じて)バッキングをベース層(例えば、第1のベース層、または1つもしくは複数の追加のベース層)に適用し、その結果、マイクロニードルデバイスが製造されるステップと
を含む方法。
【0152】
E163.ベース溶液(例えば、第1のベース溶液、1つまたは複数の追加のベース溶液、またはその両方)が、融解液体を含む、実施形態E161またはE162に記載の方法。
【0153】
E164.ベース溶液(例えば、第1のベース溶液、1つまたは複数の追加のベース溶液、またはその両方)が、スラリーを含む、実施形態E161またはE162に記載の方法。
【0154】
E165.充填する(例えば、モールドまたはニードルキャビティに)ステップが、融解液体を含むベース溶液を充填するステップを含む、実施形態E161~E163のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
E166.充填する(例えば、モールドまたはニードルキャビティに)ステップが、スラリーを含むベース溶液を充填するステップを含む、実施形態E161~E165のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
E167.化学反応を使用して(例えば、充填後に)ベース層(例えば、第1のベース層、1つまたは複数の追加のベース層、またはその両方)を固化するステップを更に含む、実施形態E161~E166のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
E168.必要に応じて、バッキングを適用する前に、モールドからマイクロニードルデバイスを取り出すステップを更に含む、実施形態E161~E167のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
E169.マイクロニードルデバイスが、モールドを曲げてマイクロニードルデバイスから離すことによって取り出される、実施形態E161~E168のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
E170.パッケージ内部の相対湿度を約0%から約50%の間(例えば、約0%から10%の間、約10%から約20%の間、約20%から約30%の間、約30%から約40%の間、または約40%から50%の間、例えば、約25%)に維持するために乾燥剤を備えた水蒸気透過率が低い容器中にマイクロニードルデバイスを包装するステップを更に含む、実施形態E161~E169のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
E171.絹フィブロイン、抗がん剤、および/または免疫モジュレート剤溶液が、ナノリットルプリント(nanoliter printing)を介してモールドの各ニードルキャビティに分注される、実施形態E161~E170のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
E172.ニードルキャビティのチップを充填するステップが、各ニードルキャビティに、溶液、例えば、絹フィブロイン、抗がん剤、および/または免疫モジュレート剤溶液を分注するステップを含む、実施形態E161~E171のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
E173.ニードルキャビティの充填されたチップを乾燥するステップが、一次乾燥ステップおよび二次乾燥ステップを含む、実施形態E161~E172のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
E174.ベース(例えば、溶解可能なベース)溶液を乾燥するステップが、モールドを3900rpmで2分間遠心分離し、50μLのベース溶液を含むニードルキャビティを仕上げるステップを含む、実施形態E161~E173のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
E175.ベースの充填が、ナノリットル(nL)単位の分注(nanoliter (nL) dispensing)(例えば、ナノリットルプリント)によって行われる、実施形態E161~E174のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
E176.ニードルキャビティのチップを充填した後に、アニーリングするステップを(例えば、ベースを充填する前に)更に含む、実施形態E161~E175のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
E177.ニードルキャビティのチップを充填した後に、水でアニーリングするステップを(例えば、ベースを充填する前に)更に含む、実施形態E161~E176のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
E178.バッキング層が、紙バッキング層のうちの1つおよび接着プラスチックテープを含む、実施形態E161~E177のいずれか1つに記載の方法。
E179.バッキング層が、接着コーティングされたプラスチックテープを含む、実施形態E161~E178のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
E180.バッキング層が多孔質層を含む、実施形態E161~E179のいずれか1つに記載の方法。
E181.バッキング層が、アクリル、アクリレート、シアノアクリレート、シリコーン、ポリウレタン、および合成ゴムからなる群から選択される1つまたは複数の接着剤を含む、実施形態E161~E180のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
E182.バッキング層が、光照射によって硬化することができる接着剤を含む、実施形態E161~E181のいずれか1つに記載の方法。
E183.マイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、マイクロニードル、またはこれらの構成要素が、約0.5μgから約500μgの絹フィブリオン(例えば、約0.5μgから約5μg、または約1μgから約10μg、または約5μgから約15μg、または約10μgから約20μg、または約15μgから約25μg、または約20μgから約30μg、または約25μgから約35μg、または約30μgから約40μg、または約35μgから約45μg、または約40μgから約50μg、または約45μgから約55μg、または約50μgから約60μg、または約55μgから約65μg、または約60μgから約70μg、または約65μgから約75μg、または約70μgから約80μg、または約75μgから約85μg、または約80μgから約90μg、または約85μgから約95μg、または約90μgから約100μg、または約95μgから約150μg、または約125μgから約175μg、または約150μgから約200μg、または約225μgから約275μg、または約250μgから約300μg、または約325μgから約375μg、または約350μgから約400μg、または約425μgから約475μg、または約450μgから約500μgの絹フィブリオン)の量で絹フィブリオンを含む、実施形態E1~E182のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、マイクロニードル、または方法。
【0170】
E184.マイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、マイクロニードル、またはこれらの構成要素が、約1重量%から約75重量%の絹フィブリオン(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオン)の量で絹フィブリオンを含む、実施形態E1~E183のいずれか1つに記載のマイクロニードルデバイス、複数のマイクロニードル、マイクロニードル、または方法。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【
図1】本開示の例によるマイクロニードル製造工程の概略図である。
【
図2】本開示の例による、持続放出によって、またはバースト(「ボーラス」と称される)放出によって、種々の治療剤を放出するように構成されている一連のマイクロニードルである。最も左側のマイクロニードルは、化学療法剤等の抗がん剤を、2週間かけて放出するように構成されている。中央のマイクロニードルは、チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1抗体)等の免疫モジュレート剤を、2週間かけて放出するように構成されている。最も右側のマイクロニードルは、サイトカイン(例えば、IL-2)等の免疫モジュレート剤を、短期間、例えば数分かけて迅速に放出するように構成されている。
【
図3】本開示の実施例によるバッキングまたは「ハンドル」層に適用された配列されたマイクロニードルを有する完成マイクロニードルデバイスを示す図である。
【
図4】本開示の例によるマイクロニードルデバイスを示す図である。マイクロニードルデバイスは、治療剤または治療剤の組合せ(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはそれらの組合せ)の、対象への局所および/または全身送達を達成するために、生物学的バリア(例えば、皮膚)を貫通するのに十分な機械的特性(例えば、強度)および好適な外形(例えば、チップの鋭さ、チップの先端角、長さ、およびニードル間の間隔)を有する複数のマイクロニードルを含む。
【
図5】本明細書中に記載されるマイクロニードルを製造するのに有用な絹フィブロイン溶液のさまざまな分子量プロファイルを示す図である。
【
図6A】例示的なマウスモデルにおけるIL-2またはゲムシタビンの、ボーラス腫瘍内(IT)用量を、連日のIT用量と比較するのに使用される投薬レジメンを示す図である。
【
図6B】ボーラスIL-2(IT)または連日のIL-2(IT)のいずれかで処置したマウスにおける、経時的な腫瘍体積を表すグラフである。
【
図6C】ボーラス(IT)または連日のIL-2(IT)のいずれかで処置したマウスにおける生存を比較するグラフである。
【
図6D】ボーラスゲムシタビン(IT)または連日のゲムシタビン(IT)のいずれかで処置したマウスにおける、経時的な腫瘍体積を表すグラフである。
【
図6E】ボーラス(IT)または連日のゲムシタビン(IT)のいずれかで処置したマウスにおける生存を表すグラフである。
【
図7A】
図7A~
図7Bは、例示的なマウスモデルにおけるボーラス腫瘍内(IT)ゲムシタビン(
図7A)を、連日のITゲムシタビン(
図7B)と比較するのに使用される投薬量レジメンを示す図である。
【
図7B】
図7A~
図7Bは、例示的なマウスモデルにおけるボーラス腫瘍内(IT)ゲムシタビン(
図7A)を、連日のITゲムシタビン(
図7B)と比較するのに使用される投薬量レジメンを示す図である。
【
図7C】ボーラス(IT)または連日の(IT)ゲムシタビンのいずれかで処置したマウスにおける、経時的な腫瘍体積を表すグラフである。
【
図7D】ボーラス(IT)または連日の(IT)ゲムシタビンのいずれかで処置したマウスにおける生存を表すグラフである。
【
図8】IL-2回収(%)によって決定されるような、4℃、室温(RT)、または37℃で14日間にわたる例示的な絹製剤におけるIL-2の安定性を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0172】
定義
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本開示が属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0173】
本明細書において使用される「a」および「an」という冠詞は、冠詞の文法上の目的語のうちの1つまたは1つを超えるもの(即ち、少なくとも1つの)を指す。例として、「元素(an element)」は、1つの元素または1つを超える元素を意味する。
【0174】
「約」という用語は、測定可能な値、例えば、量、経時的持続時間などについて言及する場合、指定の値から±20%または場合によっては±10%、または場合によっては±5%、または場合によっては±1%、または場合によっては±0.1%の変動を、そのような変動が例えば開示される方法を行うために適切である場合に包含することを意味する。
【0175】
「組合せ」または「と組み合わせて」は、これらの送達法は本明細書において記載される範囲内であるが、治療法または治療剤を同時に投与してもおよび/または一緒に送達するために製剤化してもよいことを示唆することは意図されない。組合せにおける治療剤は、1つまたは複数の他の追加の治療法または治療剤を同時に、これらより前に、またはこれらの後に投与してもよい。治療剤または治療的プロトコールは、任意の順序で投与してもよい。全般的に、各薬剤は、その薬剤のために判定された用量および/または時間スケジュールで投与されることになる。この組合せにおいて利用される追加の治療剤を、単一の組成物として一緒に投与しても個別の組成物として別に投与してもよいことは更に理解されるであろう。全般的に、組合せにおいて利用される追加の治療剤は、これらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。一部の実施形態では、組合せにおいて利用されるレベルは、個々に利用されるものより低いことになる。
【0176】
「阻害」、「阻害剤」、または「拮抗薬」という用語は、ある特定のパラメーター、例えば所与の分子の活性における減少を含み、例えば免疫チェックポイント阻害剤を含む。例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の活性、例えばPD-1またはPD-L1活性の阻害がこの用語に含まれる。したがって、阻害は100%である必要はない。
【0177】
「活性化」、「活性化因子」、または「アゴニスト」という用語は、ある特定のパラメーター、例えば所与の分子の活性における増加を含み、例えば共刺激分子を含む。例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の活性、例えば共刺激活性の増加がこの用語に含まれる。
【0178】
「抗腫瘍効果」および「抗がん効果」という用語は、区別せずに使用され、これらに限定されないが、例えば、腫瘍体積またはがん体積の減少、腫瘍細胞またはがん細胞の数の減少、転移の数の減少、平均余命の増加、腫瘍細胞の増殖またはがん細胞の増殖の減少、腫瘍細胞の生存またはがん細胞の生存の減少、再燃の阻止、またはがんの状態と関連するさまざまな生理学的症状の改善を含むさまざまな手段によって示すことができる生物学的効果を指す。「抗腫瘍効果」または「抗がん効果」は、第1の場所における腫瘍もしくはがんの出現および/またはがんの再発もしくは再燃の阻止における本開示のマイクロニードルの能力によって示される場合もある。「抗腫瘍効果」または「抗がん効果」は、がんに対する免疫応答、例えば、がん関連抗原(例えば、新抗原)に対する免疫応答の形成における本開示のマイクロニードルの能力によって示される場合もある。
【0179】
本明細書において使用される場合、「腫瘍抗原」または同じ意味で「がん抗原」は、がんに存在するかまたはそれと関連する任意の分子、例えば、免疫応答を引き起こし得るがん細胞または腫瘍微小環境を含む。本明細書において使用される場合、「免疫細胞抗原」は、免疫応答を引き起こし得る免疫細胞上に存在するかまたはこれらと関連する任意の分子を含む。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、新抗原(例えば、野生型抗原とは異なり、各腫瘍および/または対象に特異的であり得る腫瘍における体細胞突然変異に起因するペプチドなどの抗原)を指す。
【0180】
本明細書において使用される場合、「抗がん剤」という用語は、抗腫瘍および/または抗がん効果を誘発し得る治療法および/または薬物を指す。一部の実施形態では、抗がん効果は、これらに限定されるものではないが、腫瘍体積またはがん体積の減少、腫瘍細胞またはがん細胞の数の減少、転移の数の減少、平均余命の増加、腫瘍細胞の増殖またはがん細胞の増殖の減少、腫瘍細胞の生存またはがん細胞の生存の減少、再燃の阻止、またはがん性状態と関連するさまざまな生理学的症状の改善を含む。
【0181】
本明細書において使用される場合、測定値における「増加」または「減少」は、特に指定がない限り典型的にはベースライン値と比較したものである。例えば、測定値における増加または減少は、健常対象に関して期待される測定値のベースラインレベルと比較したものであってもよい。あるいは、測定値における増加または減少は、同じ対象に関する前の時点、例えば、処置前と比較したものであってもよい。場合によっては、測定値における増加または減少は、同じ対象に関する前の時点、例えば、処置過程中と比較したものであってもよい。
【0182】
本明細書において使用される場合、「免疫モジュレート剤」という用語は、例えば、がんを有する対象における免疫応答のうちの1つまたは複数の側面をモジュレート(例えば、増加および/または減少)、強化、誘発、刺激、抑制、低下、または上方調節することができる治療法および/または薬物を指す。例えば、免疫モジュレート剤は、標的細胞、例えばがん細胞の免疫攻撃を強化もしくは促進することができ、および/または免疫エフェクター細胞による標的細胞、例えばがん細胞の成長もしくは増殖の殺傷または阻害を促進することができる。一部の実施形態では、例えば、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはデバイスによって、本明細書において記載されるように投与された免疫モジュレート剤は、がんに対する対象の免疫応答を強化することができる。
【0183】
本明細書において使用される場合、「がん」という用語は、病理組織学的タイプまたは侵襲性の段階に関係なく、全てのタイプのがんの成長または腫瘍形成プロセス、転移性の組織または悪性に形質転換された細胞、組織、もしくは器官を含むことを意味する。がん細胞は、局所的に、または血流およびリンパ系を通して身体の他の部分に広がる場合がある。がん性障害の例としては、これらに限定されるものではないが、固形腫瘍、血液がん、軟組織腫瘍、および転移性病変がある。固形腫瘍の例としては、悪性のもの、例えば、さまざまな臓器系の肉腫および癌腫(腺癌および扁平上皮細胞癌を含む)、例えば、肝臓、肺、乳房、リンパ系、胃腸(例えば、結腸)、泌尿生殖器(例えば、腎臓、尿路上皮細胞)、前立腺、および咽頭に影響を与えるものがある。腺癌としては、悪性のもの、例えば大部分の結腸がん、直腸がん、腎細胞癌腫、肝臓がん、肺の非小細胞癌、小腸がんおよび食道がんがある。扁平上皮細胞癌としては、悪性のもの、例えば、肺、食道、皮膚、頭頚部領域、口腔、肛門、および子宮頚部に影響を与えるものがある。前述のがんの転移性病変も、本開示の方法およびマイクロニードルを使用して処置または阻止してもよい。
【0184】
「腫瘍」および「がん」という用語は、本明細書において区別せずに使用され、例えば両方の用語が、固体および液体、例えば拡散性または循環性の腫瘍を包含する。本明細書において使用される場合、「がん」または「腫瘍」という用語は、前悪性のならびに悪性のがんおよび腫瘍を含む。
【0185】
「抗原提示細胞」または「APC」という用語は、その表面上の主要組織適合性複合体(MHC)と複合体を形成した外来性の抗原を示す免疫系細胞、例えば、アクセサリー細胞(例えば、B細胞、樹状細胞など)を指す。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を使用してこれらの複合体を認識することができる。APCは、抗原を処理し、それをT細胞に提示する。
【0186】
本明細書において使用される場合、「免疫細胞」は、免疫系において機能して、例えば、感染症および外来性物質の因子に対して保護するさまざまな細胞のいずれかを指す。実施形態では、この用語は、白血球、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、および単球を含む。先天的な白血球としては、食細胞(例えば、マクロファージ、好中球、および樹状細胞)、肥満細胞、好酸球、好塩基球、およびナチュラルキラー細胞がある。先天的な白血球は、接触を介して大きな病原体を攻撃することによって、または飲み込み、次いで微生物を殺傷することによって病原体を同定し、排除し、適応免疫応答の活性化におけるメディエーターである。適応免疫系の細胞は特殊なタイプの白血球であり、リンパ球と称される。B細胞およびT細胞は、重要なタイプのリンパ球であり、骨髄における造血幹細胞に由来する。B細胞は、体液性免疫応答に関与し、一方、T細胞は、細胞介在性免疫応答に関与する。「免疫細胞」という用語は免疫エフェクター細胞を含む。
【0187】
「免疫エフェクター細胞」または「エフェクター細胞」は、これらの用語が本明細書において使用される場合、免疫応答に、例えば免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例としては、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞およびガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞、および骨髄由来食細胞がある。
【0188】
「免疫エフェクター」または「エフェクター」「機能」または「応答」は、これらの用語が本明細書において使用される場合、例えば、標的細胞の免疫攻撃を強化するかまたは促進する免疫エフェクター細胞の機能または応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能または応答は、標的細胞を殺傷するかまたはその成長もしくは増殖の阻害を促進するT細胞またはNK細胞の特性を指す。T細胞の場合、一次刺激および共刺激は、免疫エフェクターの機能または応答の例である。
【0189】
「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊な機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えばサイトカインの分泌を含む、細胞溶解活性またはヘルパー活性であってもよい。
【0190】
本明細書において使用される場合、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、障害、例えば増殖性障害の進行、重症度および/もしくは持続期間の減少または改善、または1つもしくは複数の治療法の投与に起因する障害の1つもしくは複数の症状(好ましくは、1つまたは複数の識別可能な症状)の改善を指す。具体的な実施形態では、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、増殖性障害、例えば腫瘍の成長の少なくとも1つの測定可能な身体的パラメーターの改善を指し、必ずしも患者によって識別可能なものではない。他の実施形態では、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、物理的な、例えば識別可能な症状の安定化による、生理学的な、例えば身体的パラメーターの安定化による、またはその両方による増殖性障害の進行の阻害を指す。他の実施形態では、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、腫瘍サイズまたはがん性細胞数の減少または安定化を指す。
【0191】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は(単一鎖の場合)、本明細書において区別せずに使用され、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、改変アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって割り込まれていてもよい。その用語は、改変された;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、またはその他の操作、例えば標識構成要素とコンジュゲートされたアミノ酸ポリマーも包含する。ポリペプチドは、天然原料から単離しても、真核または原核生物の宿主から組換え技術によって製造しても、合成手順の産物であってもよい。
【0192】
「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または「ポリヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド」という用語は区別せずに使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、またはこれらの類似体のいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖ストランドまたは二本鎖ストランドのいずれかであってもよく、一本鎖ストランドの場合、コードストランドまたは非コード(アンチセンス)ストランドであってもよい。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含んでいてもよい。ヌクレオチド配列は、非ヌクレオチド構成要素によって割り込まれていてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば標識構成要素とのコンジュゲートによって、重合後に更に改変してもよい。核酸は、組換えポリヌクレオチドであっても、ゲノム、cDNA、半合成、または合成起源のポリヌクレオチドであってもよく、いずれも天然では生じないかまたは非天然配置で別のポリヌクレオチドにリンクされている。
【0193】
ヌクレオチド配列の文脈において本明細書において使用される「実質的に同一の」という用語は、第2の核酸配列においてアラインメントされたヌクレオチドと同一である十分なまたは最小の数のヌクレオチドを含み、その結果、第1および第2のヌクレオチド配列が、共通の機能活性を有するポリペプチドをコードするか、または共通の構造的ポリペプチドドメインもしくは共通の機能的ポリペプチド活性をコードする第1の核酸配列、例えば、参照配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列、例えば、本明細書において提供される配列を指す。
【0194】
「バリアント」という用語は、参照アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、または実質的に同一のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを指す。一部の実施形態では、バリアントは機能的バリアントである。
【0195】
「機能的バリアント」という用語は、参照アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、または実質的に同一のヌクレオチド配列によってコードされ、参照アミノ酸配列の1つまたは複数の活性を有することができるポリペプチドを指す。
【0196】
「サイトカイン」という用語(例えば、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1β、TGF-β、TNF-α、およびTNFβ)は、天然に存在するサイトカインの全長、断片またはバリアント、例えば機能的バリアントを含む(活性、例えば、天然に存在するサイトカインの免疫モジュレート活性の少なくとも10%、30%、50%、または80%を有する断片およびこれらの機能バリアントを含む)。一部の実施形態では、サイトカインは、天然に存在するサイトカインと実質的に同一の(例えば、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性)、またはサイトカインをコードする天然に存在するヌクレオチド配列と実質的に同一の(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性)ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、文脈において理解されるように、サイトカインは、受容体ドメイン、例えば、サイトカイン受容体ドメイン(例えば、IL-15/IL-15R)を更に含む。
【0197】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書において区別せずに使用され、特定の生物学的結果を達成するのに有効な本明細書において記載される化合物、製剤、材料、または組成物の量を指す。
【0198】
「治療的」という用語は、本明細書において使用される場合、処置を意味する。治療的効果は、病態(例えば、がん)の減少、抑制、寛解、または根絶によって得られる。
「予防」という用語は、本明細書において使用される場合、疾患または病態(例えば、がん)の阻止または防御的処置を意味する。
【0199】
「難治性」は、本明細書において使用される場合、処置に対して応答しない疾患、例えばがんを指す。実施形態では、難治性がんは、処置の前または開始時に処置に対して耐性であってもよい。他の実施形態では、難治性がんは、処置の間に耐性を示すようになる場合がある。難治性がんは耐性がんとも称される。
【0200】
「再燃性」または「再燃」は、本明細書において使用される場合、改善または応答の期間後に、例えば治療法、例えばがん療法の前処置を行った後に、疾患(例えば、がん)、またはがんなどの疾患の兆候および症状が復帰または再出現することを指す。応答の最初の期間は、がん細胞のレベルが、ある特定の閾値未満、例えば、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%未満に低下することを伴っていてもよい。再出現は、がん細胞のレベルがある特定の閾値を超えて、例えば、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%を超えて上昇することを伴っていてもよい。例えば、いくつかのがんの文脈において、再出現は、例えば、応答後の腫瘍の再出現を伴っていてもよい。一部の実施形態では、応答(例えば、完全奏効または部分奏効)は、検出可能な腫瘍または検出可能なMRD(微小残存疾患)の不在を伴う場合がある。一部の実施形態では、応答の最初の期間は、少なくとも1、2、3、4、5、または6日;少なくとも1、2、3、または4週;少なくとも1、2、3、4、6、8、10、または12カ月;または少なくとも1、2、3、4、または5年持続する。
【0201】
範囲:本開示全体にわたって、本発明のさまざまな実施形態は範囲形式で示される場合がある。範囲形式における説明は、利便性および簡潔さのためのものにすぎず、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきではないことを理解するべきである。したがって、範囲の説明は、具体的に開示される全ての可能なサブ範囲ならびにその範囲内の個々の数値を有すると考えるべきである。例えば、範囲の説明、例えば1から6は、具体的に開示されるサブ範囲、例えば、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6など、ならびにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を有すると考えるべきである。別の例として、ある範囲、例えば95~99%の同一性は、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を伴うものを含み、サブ範囲、例えば、96~99%、96~98%、96~97%、97~99%、97~98%、および98~99%の同一性を含む。これは範囲の幅にかかわらず適用される。
【0202】
がんの処置と関連する一部の実施形態で「アジュバント」が本明細書において使用される場合、アジュバントは、がんが再発するであろうリスクを低下させるための、最初の処置後に与えられる追加のがん処置である。アジュバント療法としては、例えば、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的療法、または生物学的療法があり得る。
【0203】
ワクチン送達と関連する一部の実施形態で「アジュバント」が本明細書において使用される場合、アジュバントは、免疫学的事象のカスケードを助けるかまたは増幅し、最終的に細胞性および/または体液性免疫応答を含む免疫学的応答、例えば抗原に対する総合的な身体の応答を増加させることができる物質である。アジュバントの非限定的な例としては、アルミニウム(例えば、アルミニウムゲルおよび/またはアルミニウム塩、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、および硫酸アルミニウムカリウム)、脂質(例えば、スクアレン、モノホスホリル脂質A(MPL))、AS03(例えば、D,L-アルファ-トコフェロール(ビタミンE)、スクアレン、およびポリソルベート80を含むアジュバント)、AS04(例えば、水酸化アルミニウムおよびMPLの組合せを含むアジュバント)、およびMF59(登録商標)(例えば、スクアレンを含むアジュバント)がある。
【0204】
本明細書において使用される場合、「バッキング」という用語は、マイクロニードルの構成要素への結合および/または接着に好適な材料を指す。一部の実施形態では、バッキング材料は、本明細書において記載されるマイクロニードルの溶解可能なベースへの結合および/または接着に好適である。
【0205】
本明細書において使用される場合、「ベース」という用語は、マイクロニードルのベースを形成し(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せがロードされた遠位絹チップの支持体として機能し)、および/または隣接するマイクロニードルを連結して、連続的なマイクロニードルアレイまたはマイクロニードルパッチを形成する層の役割を果たす場合もある層を指す。一部の実施形態では、ベースの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上は、生物学的バリア、例えば、皮膚、腫瘍、組織、細胞膜、粘膜表面、口腔、または頬腔への適用後に溶解される。
【0206】
本明細書において使用される場合、「用量」という用語は、生物において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、体液性および/または細胞性免疫応答)を誘発するために投与される(例えば、本明細書において記載されるマイクロニードルとして)抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の量を意味する。
【0207】
本明細書において使用される場合、「標準的な用量」は、例えば国内的または国際的規制当局(例えば、U.S.FDA、EMEA)によって販売に関する承認を受けているような、典型的なヒト用量で投与される抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の量を意味する。
【0208】
本明細書において使用される場合、「分割用量」は、生物において抗がん応答および/または免疫応答を誘発するために投与される(例えば、マイクロニードルとして)抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の総用量(例えば、標準的な用量)の分割された量を含む投薬量を指す。一部の実施形態では、分割用量で投与される抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の量は、投与される抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の総用量(例えば、標準的な用量)の1/X以下であり、ここで、Xは任意の数であり、例えばXは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または100以上である。
【0209】
本明細書において使用される場合、「ゼラチン」という用語は、コラーゲン由来の水溶性タンパク質を指す。一部の実施形態では、「ゼラチン」という用語は、動物コラーゲンの部分的酸加水分解によって(タイプAゼラチン)または部分的アルカリ加水分解によって(タイプBゼラチン)製造され、ウシ、ブタ、および魚類源に通常由来する無菌の非発熱性タンパク質調製物(例えば、画分)を指す。ゼラチンは、さまざまな分子量範囲で得ることができる。ゼラチン組換え源も使用してもよい。
【0210】
本明細書において使用される場合、「ポリエチレングリコール(PEG)」という用語は、エチレンオキシドのオリゴマーまたはポリマーを指す。PEGは、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)としても知られている。PEGの構造はH-(O-CH2-CH2)n-OHとして通常示される。
【0211】
本明細書において区別せずに使用される場合、「持続放出絹フィブロインチップ」という用語は、対象の生物学的バリア、例えば、皮膚、粘膜表面、腫瘍、口腔、または頬腔を貫通し、生物学的バリア、皮膚層(例えば、真皮)内に沈着することができるマイクロニードルの遠位末端、例えばチップを指す。実施形態では、チップは、治療剤、例えば、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を長時間にわたって、例えば、少なくとも約1日(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日以上、例えば、約4日から約30日、例えば、約1~2週の間、約1~3週、または約1~4週、例えば、約2~12カ月)にわたって持続放出するのに十分な量で絹フィブロインタンパク質を含む。
【0212】
本明細書において使用される場合、「マイクロニードル」という用語は、生物学的バリア、例えば、皮膚、組織、腫瘍、または細胞膜を通過して、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを輸送または送達するための少なくとも2つ、より典型的には3つの構成要素、例えば層を有する構造を指す。一部の実施形態では、マイクロニードルは、ベース(例えば、本明細書において記載される溶解可能なベース)、チップ(例えば、本明細書において記載される埋め込み可能なチップ)、および必要に応じて、バッキング材料を含む。実施形態では、マイクロニードルの寸法は、約350μmから約1500μmの間(例えば、約350μmから約1500μmの間、例えば、約350μm、約400μm、約450μm、約500μm、約550μm、約600μm、約650μm、約700μm、約750μm、約800μm、約850μm、約900μm、約950μm、約1000μm、約1050μm、約1100μm、約1150μm、約1200μm、約1250μm、約1300μm、約1350μm、約1400μm、約1450μm、約1500μm)の高さである。一部の実施形態では、マイクロニードルは、皮膚の真皮層中に約100μmから約900μmの間の深さで(例えば、約800μmの深さで)絹フィブロインチップ、例えば埋め込み可能な持続放出チップを配置して、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを放出、例えば制御放出または持続放出するのを可能にする任意の寸法および/または外形を有するように製造される。
【0213】
本明細書において使用される場合、「マイクロニードルパッチ」および「マイクロニードルアレイ」という用語は、例えばランダムまたは所定のパターン、例えばアレイで配列された複数のマイクロニードル、例えば、絹フィブロインベースのマイクロニードルを含むデバイスを指す。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、約0.5μgから約500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、約0.5μgから約5μg、または約1μgから約10μg、または約5μgから約15μg、または約10μgから約20μg、または約15μgから約25μg、または約20μgから約30μg、または約25μgから約35μg、または約30μgから約40μg、または約35μgから約45μg、または約40μgから約50μg、または約45μgから約55μg、または約50μgから約60μg、または約55μgから約65μg、または約60μgから約70μg、または約65μgから約75μg、または約70μgから約80μg、または約75μgから約85μg、または約80μgから約90μg、または約85μgから約95μg、または約90μgから約100μg、または約95μgから約150μg、または約125μgから約175μg、または約150μgから約200μg、または約225μgから約275μg、または約250μgから約300μg、または約325μgから約375μg、または約350μgから約400μg、または約425μgから約475μg、または約450μgから約500μgの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、少なくとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、最大約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。
【0214】
一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、約1重量%から約75重量%、約1重量%から約5重量%、約10重量%から約60重量%、約15重量%から約50重量%、または約20重量%から約40重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、本開示のマイクロニードルパッチまたはマイクロニードルアレイは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。
【0215】
本明細書において使用される場合、「絹フィブロイン」という用語は、カイコフィブロインおよび昆虫またはクモの絹タンパク質を含む。いずれのタイプの絹フィブロインも、本明細書において記載されるさまざまな態様に従って使用してもよい。カイコ、例えばカイコガ(Bombyx mori)によって産生される絹フィブロインは最も一般的であり、環境に優しい再生可能な資源の象徴である。例えば、マイクロニードル(例えば、絹フィブロインチップ、例えば、マイクロニードルの埋め込み可能な制御放出または持続放出チップ)において使用される絹フィブロインは、カイコガ(B.mori)の繭からセリシンを除去することによって得てもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、再生絹フィブロイン、例えば、カイコガ(B.mori)の繭からセリシンを抽出し、例えば沸騰ステップを介した追加の加工を行った後に得られた絹フィブロインである。有機カイコ繭は市販もされている。しかしクモの絹(例えば、ジョロウグモ(Nephila clavipes)から得られるもの)、遺伝子導入絹、組換えおよび/または遺伝子操作絹、例えば細菌、酵母、哺乳動物細胞からの絹、遺伝子導入動物、または遺伝子導入植物(例えば、国際公開第97/08315号;米国特許第5,245,012号を参照のこと)、ならびにこれらのバリアントを含む多くのさまざまな絹が存在し、これらを使用してもよい。
【0216】
本明細書において使用される場合、「対象」は、ヒトまたは動物を指す。通常、動物は、脊椎動物、例えば、霊長類、齧歯動物、家畜動物または狩猟動物である。霊長目としては、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、およびマカク(例えば、アカゲザル)がある。齧歯動物としては、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギおよびハムスターがある。家畜および狩猟動物としては、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、水牛、ネコ科種(例えば、家畜ネコ)、イヌ科種(例えば、イヌ、キツネ、オオカミ)、鳥類種(例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ)、および魚類(例えば、トラウト、ナマズおよびサーモン)がある。本明細書において記載される態様のある特定の実施形態では、対象は哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト)である。対象は雄または雌であってもよい。ある特定の実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであってもよいが、これらの例に限定されるものではない。更に、本明細書において記載される方法および製剤は、家畜化動物および/またはペットを処置するために使用してもよい。一部の実施形態では、「対象」という用語は、免疫応答を誘発することができる生物(例えば哺乳動物、例えばヒト)を含むことが意図される。
【0217】
本明細書において使用される場合、「放出」および「制御放出または持続放出」という用語は、ある期間にわたる、例えば、少なくとも約1から約28日間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日以上、例えば、約4日から約14日の間、例えば、約1~2週、約1~3週、または約1~4週の間、例えば、約1カ月から約3カ月の間)の、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せの放出(例えば、マイクロニードル、マイクロニードルデバイス、製剤、組成物、物品、デバイス、または本明細書において記載される製剤からの、例えば、本明細書において記載される絹フィブロインベースのマイクロニードルチップからの)を指す。一部の実施形態では、マイクロニードル、マイクロニードルデバイス、製剤、組成物、物品、デバイス、または本明細書において記載される製剤による、約1から約14日、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日の期間にわたる、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せの制御放出または持続放出は、例えば、対象において抗がん応答および/または免疫応答をもたらす場合がある。一部の実施形態では、マイクロニードル、マイクロニードルデバイス、製剤、組成物、物品、デバイス、または本明細書において記載される製剤による、約1から約4週、例えば、約1、2、3、または4週の期間にわたる、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せの制御放出または持続放出は、例えば、対象において抗がん応答および/または免疫応答をもたらす場合がある。一部の実施形態では、絹フィブロインおよび治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを含む製剤および調製物は、制御放出または持続放出特性を有する(例えば、治療剤を、1、5、10、15、30、45分の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、10、24時間の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8週の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11カ月の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5年の期間または少なくともこれらの期間以上にわたって、例えば対象の皮膚に放出するように製剤化および/または構成されている)。一部の実施形態では、制御放出または持続放出はバースト放出によるものである。一部の実施形態では、本明細書において記載されるマイクロニードルおよびマイクロニードルデバイスは、約28日以上の抗がん剤、例えば化学療法剤の持続放出するために構成されていてもよい。
【0218】
本明細書において使用される場合、「治療剤」および「活性剤」という用語は当技術分野において認識される用語であり、対象において局所的または全身的に作用する生物学的、生理学的、または薬理学的活性物質である任意の化学的部分を指す。対象に投与する際に本明細書において記載されるマイクロニードルから、隣接する組織または体液に放出することができるさまざまな形態の治療剤を使用してもよい。
【0219】
本明細書において組成物および方法のさまざまな実施形態は、以下で更に詳細に記載される。追加の定義は明細書全体にわたって示される。
説明
有効量の治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を組み込み、その後、対象において(例えば、対象の生物学的バリア、例えば皮膚中におよび/またはそれを通過して)放出(例えば、投与)するように構成されている絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)が本明細書において提供される。絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)の使用は、患者におけるがんに抗がん効果および/または免疫(例えば、がん関連抗原、例えば、新抗原に長期の広範囲の免疫)をもたらす場合がある。
【0220】
理論に束縛されることを望むものではないが、対象上の適用部位(例えば、異常細胞、例えば、腫瘍または病変部の部位)への本明細書において開示されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスの投与によって、対象への有効量の治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出が得られ、その結果、投与部位またはその付近での局所処置効果(例えば、局所抗がん効果)が誘発される。この局所処置効果に加えて、本明細書において開示されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスの投与は、適用部位と類似の特徴を有する遠隔部位(例えば、異常細胞の遠位部位、例えば、遠隔腫瘍または遠隔病変部)での全身処置効果(例えば、全身性抗がん効果)ももたらす。
【0221】
一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスは、あらかじめ定義された期間、例えば、4~15日にわたって対象中に有効量の治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の持続放出をもたらすために対象に投与してもよい。一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスは、あらかじめ定義された期間、例えば、少なくとも1、5、10、15、30、45分;1、2、3、4、5、10、24時間の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8週の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11カ月の期間または少なくともこれらの期間;または1、2、3、4、5年の期間または少なくともこれらの期間以上にわたって対象中に有効量の治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の持続放出をもたらすために対象に投与してもよい。
【0222】
一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスは、あらかじめ定義された期間、例えば、約24時間以下にわたって対象中に有効量の治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)のバースト放出を対象にもたらすために投与してもよい。一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスは、あらかじめ定義された期間、例えば、少なくとも1、5、10、15、30、45分;または1、2、3、4、5、10、24時間の期間または少なくともこれらの期間にわたって対象中に有効量の治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)のバースト放出をもたらすために対象に投与してもよい。
【0223】
一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスは、第2の治療剤または手順と組み合わせて投与してもよい。
したがって、対象における疾患の処置に使用するための、改善された絹フィブロインベースのマイクロニードルおよびそれを含むデバイスを作製する製造プロセスが本明細書において開示される。
絹フィブロインベースのマイクロニードル
一部の実施形態では、本開示は、有効量の治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを、生物学的バリア(例えば、皮膚、腫瘍、粘膜、組織、例えば臓器組織および筋肉組織、頬腔、口腔、または細胞膜)中におよび/またはこれらを通過して輸送し、放出するための絹フィブロインベースのマイクロニードルおよびマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)を提供する。
【0224】
したがって、本明細書において開示される絹フィブロインベースのマイクロニードルおよびマイクロニードルデバイスは、対象に、有効量の治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを投与して、例えば、疾患または障害、例えば、がんおよび/または皮膚状態を処置するのを可能にするために、さまざまな機械的特性(例えば、強度)、設計および外形(例えば、ニードルの形状および鋭さ)、および放出動態(例えば、持続放出および/またはバースト放出)を有するように構成されていてもよい。
【0225】
機械的特性
本明細書において開示される絹フィブロインベースのマイクロニードルを含むマイクロニードルは、破壊されることなく皮膚に挿入されるように設計してもよい。一部の実施形態では、マイクロニードルの挿入は、挿入前に起こる生物学的バリア(例えば、皮膚)の表面のたわみを克服するための鋭利なチップを備え、十分な長さを備えたニードルを使用することによって達成される。一部の実施形態では、挿入中のマイクロニードルの完全性は、必要とされる挿入力を最小にすることによって、例えば、先端が鋭利なニードルを使用することによって、機械的強度を最大化することによって、および/またはニードルの直径を最適化することによって達成してもよい(例えば、Park et al.J.Korean Phys.Soc.56(4):1223-1227,2010を参照のこと)。したがって、一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの機械的特性は、座屈によるマイクロニードルの突然の破損を回避し、生物学的バリア(例えば、皮膚、腫瘍、組織、細胞膜、粘膜表面、口腔、または頬腔)へのマイクロニードルの侵入および挿入が成功するのを可能にするように最適化されている(例えば、本明細書において開示される絹フィブロイン結晶化度を含むさまざまな製剤構成要素の濃度を調整することによって)。一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルは、長さ対相当直径のアスペクト比が4:1未満の外形を有し、ならびに/または500MPa超のヤング率および10MPaを超える破壊応力によって特徴付けられる機械的強度を有するように構成されていてもよい。一部の実施形態では、マイクロニードルは、15度の先端角および/または約4:1のアスペクト比を有する。一部の実施形態では、ベース製剤は、約1000から約1500MPaのFlex率および約15から約30MPaの破壊応力を有する。一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルは、長さ対相当直径のアスペクト比が2:1未満の外形を有するように構成されていてもよい。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約5度から約50度の先端角を有する。例えば、マイクロニードルは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50度の先端角を有していてもよい。一部の実施形態では、マイクロニードルは30度の先端角を有する。一部の実施形態では、マイクロニードルは、30度の先端角および/または約1.87:1のアスペクト比を有する。一部の実施形態では、ベース製剤は、約50から約1500MPa(例えば、約50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、560、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、または1500MPa)の曲げ率、および/または約1から約30MPa(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30MPa)の曲げ破壊応力を有する。
【0226】
マイクロニードル設計
一部の実施形態では、本開示は、さまざまな設計配置を有する、絹フィブロインベースのマイクロニードルおよびそれを含むデバイスを提供する。本明細書において開示される絹フィブロインベースのマイクロニードルは、生物学的バリア(例えば、皮膚、腫瘍、組織、細胞膜、粘膜表面、口腔、または頬腔)を貫通して、対象内で治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を放出、例えば、持続放出および/またはバースト放出するのを可能にすることでの使用に好適な任意の形状および/または外形であってもよい。マイクロニードルの形状および/または外形の非限定的な例としては、円筒形状、くさび形状、円錐形状、ピラミッド形状、および/または不規則形状、またはこれらのいずれかの組合せがある。
【0227】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、溶解性のおよび/または分解可能なマイクロニードルから構成されている。一部の実施形態では、本開示の溶解可能なおよび/または分解可能な(例えば、再吸収可能な)マイクロニードルは、対象(例えば、皮膚)の内部に入ると溶解するおよび/または分解する製剤、例えば絹フィブロインベースの製剤中に治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)をカプセル化している。一部の実施形態では、分解可能なマイクロニードルからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出は、プロテアーゼ介在性分解によるものである。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの一部(例えば、チップ、例えば、絹フィブロインチップ)のみが、溶解可能および/または分解可能であるように構成されている。一部の実施形態では、実質的に全ての絹フィブロインベースのマイクロニードルが溶解可能および/または分解可能である。一部の実施形態では、溶解可能なおよび/または分解可能な(例えば、再吸収可能な)マイクロニードルからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出は、マイクロニードル材料を介した拡散制御放出によるものである。
【0228】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは固体マイクロニードルである。一部の実施形態では、本開示の固体マイクロニードルは2パーツ系として設計されている。一部の実施形態では、絹フィブロインベースの固体マイクロニードルを含むマイクロニードルデバイスは、生物学的バリア(例えば、皮膚)の最外層に侵入するのにちょうど十分な深さの微視的ウェルを生成し、次いで治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を経皮パッチを介して適用するために皮膚に最初に適用される。一部の実施形態では、固体マイクロニードルからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出は、マイクロニードル材料を介した拡散および/またはマイクロニードル材料の分解、例えば、プロテアーゼ介在性分解によるものである。固体マイクロニードルが分解する一部の実施形態では、固体マイクロニードルは、典型的には、溶解性のまたは再吸収可能なマイクロニードルと称される。
【0229】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは中空マイクロニードルである。一部の実施形態では、本開示の中空マイクロニードルは、適用部位(例えば、生物学的バリア、例えば、皮膚)中に治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を直接送達するリザーバを含む。
【0230】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、コーティングマイクロニードルである。一部の実施形態では、治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)は、マイクロニードルの一部(例えば、表面)に直接適用される。一部の実施形態では、コーティングマイクロニードルはまた、治療剤が適切に送達されることを確実にするために、界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、例えばP188、および/またはポリエトキシル化アルコール)および/または増粘剤でコーティングされている。
【0231】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、(1)バッキング材料層(必要に応じて);(2)ベース層(例えば、溶解可能なベース);および(3)絹フィブロインチップ層を含んでいてもよい。例えば、本明細書において記載されるマイクロニードルは、絹フィブロインを含む遠位絹フィブロインチップを支える溶解可能なベース層に(必要に応じて)適用されたバッキング材料、および治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を含んでいてもよい。
【0232】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、約0.5μgから約500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、約0.5μgから約5μg、または約1μgから約10μg、または約5μgから約15μg、または約10μgから約20μg、または約15μgから約25μg、または約20μgから約30μg、または約25μgから約35μg、または約30μgから約40μg、または約35μgから約45μg、または約40μgから約50μg、または約45μgから約55μg、または約50μgから約60μg、または約55μgから約65μg、または約60μgから約70μg、または約65μgから約75μg、または約70μgから約80μg、または約75μgから約85μg、または約80μgから約90μg、または約85μgから約95μg、または約90μgから約100μg、または約95μgから約150μg、または約125μgから約175μg、または約150μgから約200μg、または約225μgから約275μg、または約250μgから約300μg、または約325μgから約375μg、または約350μgから約400μg、または約425μgから約475μg、または約450μgから約500μgの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、少なくとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、最大約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。
【0233】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、約1重量%から約75重量%、約1重量%から約5重量%、約10重量%から約60重量%、約15重量%から約50重量%、または約20重量%から約40重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。
【0234】
バッキング
本開示のマイクロニードルの製造において使用してもよい例示的なバッキング材料としては、これらに限定されるものではないが、固体支持体、例えば、紙ベースの材料、プラスチック材料、ポリマー材料、またはポリエステルベースの材料(例えば、Whatman 903紙、ポリマーテープ、プラスチックテープ、裏面接着式ポリエステルテープ、または他の好適なテープ)がある。一部の実施形態では、バッキングはWhatman 903紙を含む。一部の実施形態では、バッキングはポリエステルテープを含む。一部の実施形態では、ポリエステルテープは、裏面接着式ポリエステルテープを含む。一部の実施形態では、バッキング材料は、本明細書において記載されるマイクロニードルの溶解可能なベースへの結合および/または接着に好適な接着剤で(例えば、少なくとも片側に)コーティングされていてもよい。一部の実施形態では、バッキングは、マイクロニードルアレイを超えて延長してもよい。一部の実施形態では、バッキング上の接着コーティングは、所定の位置にアレイを保持するために対象の皮膚への接着に好適なものであってもよい。
【0235】
本開示のマイクロニードルにおいて使用されるバッキング材料は、これらに限定されないが、溶解性ベース層に結合および/または付着し、離型を可能にする能力を含むさまざまな特性を有していてもよい。バッキング材料は、例えば、溶解性ベース層が亀裂または切れ目を有する場合、バッキングがパッチの完全性を維持するのに十分な強度であり得る。バッキング材料は、例えば平たんではない表面、例えば皮膚表面に合うように十分に可撓性があってもい。特に、バッキングは、例えばパッチが皮膚に適用された(例えば、押し込まれた)後の着用時間の間十分可撓性があってもよい。皮膚表面へのパッチの適用後におよび皮膚表面からパッチを除去する間、バッキングはその完全性を維持するように、非溶解性材料を含んでいてもおよび/またはそれからなっていてもよい。
【0236】
一部の実施形態では、バッキング層は、接着剤コーティングプラスチックテープ、多孔質材料、および/または接着剤を含む。一部の実施形態では、接着剤は、アクリル、アクリレート、シアノアクリレート、シリコーン、ポリウレタン、および合成ゴムからなる群から選択される。一部の実施形態では、接着剤は、光照射によって硬化することができる材料を含む。
【0237】
バッキングは、標的の生物学的バリア、例えば皮膚表面への適用に好適な任意の寸法を有していてもよい。一部の実施形態では、バッキングの寸法は、円形を含む。一部の実施形態では、バッキングの寸法は、長方形(例えば、正方形、または長方形のストリップ)を含む。バッキングは、丸い角(例えば、丸い角を有する正方形または長方形)を有していてもよい。バッキングは、例えば「ハンドル」として使用されるための延長部を更に含んでいてもよい(例えば、
図3を参照のこと)。
【0238】
バッキングは、例えば、マイクロニードルアレイを収容するのに、および/または意図する適応部位に更に適合するのに好適な任意の寸法を有していてもよい。例えば、バッキングは、約5mmから約50mmの間、例えば、約6mmから約40mmの間、約8mmから約35mmの間、約10mmから約30mmの間、約11mmから約25mmの間、約12mmから約24mmの間、約10mmから約20mmの間、または約10から約15mmの間の直径を有していてもよい。一部の実施形態では、バッキングは、約5mm以上、例えば、約6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm以上の直径を有する。
【0239】
一部の実施形態では、バッキングは、約8mmから約16mmの間、例えば、約8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、または16mmの直径を有する円形である。一部の実施形態では、バッキングは、約8mm×8mm、約9mm×9mm、約10mm×10mm、約11mm×11mm、約12mm×12mm、約13mm×13mm、約14mm×14mm、約15mm×15mm、または約16mm×16mmの寸法を有する正方形である。一部の実施形態では、バッキングは、約8mm以上の幅(例えば、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm以上の幅)および幅よりも長い長さ、例えば約10mm以上の長さ(例えば、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm以上の長さ)を有する長方形(例えば、長方形のストリップ)である。
【0240】
一部の実施形態では、バッキングの寸法は、12mmの直径の円形であってもよい。一部の実施形態では、バッキングの寸法は、12mm×12mmのパッチの端部を超えて最大12mmの長さの「ハンドル」のセクションを有する12mmの幅のストリップであってもよい(例えば、
図3を参照のこと)。一部の実施形態では、およそ12mmの正方形の延長された「ハンドル」を有する12mmの正方形ポリエステルテープを使用してもよい(例えば、
図3を参照のこと)。一部の実施形態では、バッキングは更に大きくても、例えば、必要に応じて丸い角を有する約25mmの正方形であってもよい。一部の実施形態では、バッキングは約25mmの直径の円形であってもよい。一部の実施形態では、アレイを超えて延長するバッキングの領域は、パッチを皮膚上に生体適合性皮膚接着剤を用いて保持するのに役立つことができる。
【0241】
溶解可能なベース
ベース層(例えば、溶解性ベース層)は、ニードルのベースを形成する(例えば、治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)をロードすることができる遠位絹フィブロインチップのための支持体として機能する)。ベース層(例えば、溶解可能なベース層)は、隣接するニードルを連結してマイクロニードルアレイまたはパッチを形成する層として機能する場合もある。
【0242】
一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)は、例えば意図される着用時間(例えば、約5分)内に対象中に溶解することができる材料を含む。一部の実施形態では、溶解可能なベース層の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%は、対象の生物学的バリア(例えば、皮膚)への適用後、意図される着用時間(例えば、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、または約10分以上)内に溶解される。
【0243】
溶解可能なベースの製造において使用される材料は、マイクロニードルが皮膚に侵入することを可能にするのに十分強力であり、製造中のマイクロニードルの離型を可能にするのに十分頑丈でもあり得る(例えば、過剰に脆弱ではない)。溶解可能なベース材料は、日常的な取扱いに適し、ひどく破損することはない場合があり、離型から適用の間でその機械的特性を保持することができる(例えば、周囲湿度に起因して融解するほどの吸湿性はない)。溶解可能なベース層材料は、パッチにおいて使用される用量で非毒性および非反応源性であり得る。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、水溶性の構成要素を含む。
【0244】
ベース層(例えば、溶解可能なベース層)を製造するために使用してもよい材料の非限定的な例としては、多糖、二糖、ポリマー、タンパク質、可塑剤、および/または界面活性剤がある。一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)は、多糖(例えば、デキストラン);二糖(例えば、スクロース、マルトース、およびトレハロース);ポリマー(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロネート);タンパク質(例えば、ゼラチン、フィブロイン);可塑剤(例えば、グリセロール、プロパンジオール);および界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、および/またはポリエトキシル化アルコール)のうちの1つまたは複数(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、または全て)を含む。
【0245】
本明細書において開示されるベース層は、約0.001%から約75%の間(例えば、約0.001%から約1%の間、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%)の濃度で多糖、二糖、ポリマー、タンパク質、可塑剤、および/または界面活性剤を含んでいてもよい。場合によっては、乾燥固体ベースは、最大約100%の濃度で多糖、二糖、ポリマー、タンパク質、可塑剤、および/または界面活性剤を含んでいてもよい。場合によっては、乾燥固体ベースは、約0.001%の濃度で界面活性剤を含んでいてもよい。
【0246】
一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)は、治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)をバースト放出および/または持続放出するために構成されている。一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)は、ゼラチン、デキストラン、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、スクロース、トレハロース、マルトース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロネート、メチルセルロース、および/または界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、および/またはポリエトキシル化アルコール)のうちの1つまたは複数(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、または6つ以上)を含み、必要に応じて、マイクロニードルは、持続放出および/またはバースト放出するために構成されている。
【0247】
一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)は、デキストラン、スクロース、グリセロール、および界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、および/またはポリエトキシル化アルコール)のうちの1つまたは複数(例えば、2つ以上、3つ以上、または4つ以上)を含み、必要に応じて持続放出するために構成されている。
【0248】
一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)はポリビニルアルコール(PVA)およびスクロースを含み、必要に応じてバースト放出するために構成されている。
【0249】
一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)はデキストランを含む。一部の実施形態では、デキストランは、約30kDaから約600kDaの間の分子量を有していてもよい。一部の実施形態では、デキストランの分子量は、約40kDa、約50kDa、約60kDa、約70kDa、約80kDa、約90kDa、約100kDa、約200kDa、約300kDa、約400kDa、約500kDa、または約600kDaである。一部の実施形態では、異なるデキストランの混合物、例えば、さまざまな分子量を有するデキストランの混合物を使用してもよい。一部の実施形態では、デキストランは、これらに限定されないが、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)を含むさまざまな細菌性源から得てもよくおよび/またはそれら由来であってもよい。
【0250】
一部の実施形態では、ベース層(例えば、溶解性ベース層)はポリ(アクリル酸)(PAA)を含まない。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、本明細書において記載される場合、例えば、ポリ(アクリル酸)(PAA)を含む溶解可能なベース層と比較して改善された生体適合性を有する。一部の実施形態では、溶解可能なベース層材料は、炎症応答の低下および/または組織壊死の減少をもたらす場合がある。一部の実施形態では、溶解可能なベース層材料はPAAではなく、PAAと比較して炎症応答の低下および/または組織壊死の減少を誘発する。一部の実施形態では、溶解可能なベース層材料は、それが溶解されることになる生物学的バリアのものと類似しているpH、例えば、約4.0から約8.0、例えば、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、または約8.0のpHを有する。
【0251】
他の実施形態では、ベース層は、絹フィブロインおよび/または治療剤を含む。ベース層(例えば、溶解可能なベース層)は、マイクロニードルおよび/またはマイクロニードルデバイス中にロードされる治療剤の総量(例えば、用量)の98%未満(例えば、約98%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満)を含んでいてもよい。
【0252】
一部の実施形態では、ベース層は、例えば検出可能な量の絹フィブロインおよび/または治療剤を含まない。一部の実施形態では、ベース層は、例えば当技術分野で既知のベース層製剤、例えばPAAを含むベース層製剤と比較して、絹フィブロインチップからベース層中に治療剤が漏出(例えば、拡散)する量を制限するおよび/または減少させるために製剤化される。一部の実施形態では、絹フィブロインチップからの治療剤の制限および/または減少される漏出(例えば、拡散)量は、例えば、PAAを含むベース層製剤と比較して、製造および保管(例えば、約4℃(例えば、冷蔵)で、約25℃(例えば、室温)で、約37℃(例えば、身体温度)で、約45℃で、および/または約50℃で保管)後、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、または約6日;約1週、約2週、または約3週;約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、または約11カ月;または約1年以上と判定することができる。
【0253】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約10%から約70%の間のゼラチン(例えば、加水分解ゼラチン)(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%のゼラチン)を含む。
【0254】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは約10%から約70%の間の可塑剤、例えば、グリセロール(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%のグリセロール)を含む。一部の実施形態では可塑剤は、脆弱性を低下させるために添加される。例えば、可塑剤を含む溶解可能なベース層の脆弱性は、可塑剤を実質的に含まない溶解可能なベース層に対して、約1%、約2%、約4%、約6%、約8%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約200%、約300%以上減少させることができる。
【0255】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約0.001%から約5%の間の本明細書において記載される界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、約0.001%から約1%、または約1%から約5%の界面活性剤)を含む。一部の実施形態では、界面活性剤は、加工に役立てるために添加される。一部の実施形態では、界面活性剤は、可塑剤として添加される。
【0256】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約1%から約70%の間のポリエチレングリコール(PEG)(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%のPEG)を含む。
【0257】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約1%から約35%の間のスクロース(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のスクロース)を含む。
【0258】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約1%から約35%の間のCMC(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のCMC)を含む。
【0259】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約10%から約70%の間のPVP(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%のPVP)を含む。
【0260】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約1%から約35%の間のPVA(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のPVA)を含む。
【0261】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約1%から約75%の間のヒアルロネート(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%のヒアルロネート)を含む。
【0262】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約1%から約75%の間のマルトース(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%のマルトース)を含む。
【0263】
一部の実施形態では、溶解可能なベースは、約1%から約75%の間のメチルセルロース(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%のメチルセルロース)を含む。
【0264】
一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、脱イオン(DI)水中に40%w/vの加水分解ゼラチン、10%w/vのスクロースを含んでいてもよい。必要に応じて、ベース層は1%の低粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)を含んでいてもよく、これが脆弱性を低下させる場合がある。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、DI水中に最大50%w/vで10kD MWのポリビニルピロリドン(PVP);DI水中に最大20%で、13kD MWにおいて87%加水分解されているポリビニルアルコール(PVA);またはDI水中に最大10%でCMCを含んでいてもよい。30%のPVPおよび10%のPVA;37%のPVP、5%のPVA、および15%のスクロース;またはさまざまな他の割合のPVP、PVA、およびスクロースの組合せも、溶解可能なベース層の製造における使用に好適であり得る。
【0265】
溶解可能なベース層は、好適な任意の寸法、サイズ、または形状であってもよい。例えば、溶解可能なベース層は、マイクロニードルアレイを収容するのに、および/または意図する適応部位に更に適合するのに好適な寸法、サイズ、または形状を有していてもよい。一部の実施形態では、溶解可能なベース層の形状は、円形を含む。一部の実施形態では、溶解可能なベース層の形状は、長方形(例えば、正方形、または長方形のストリップ)を含む。溶解可能なベース層は、丸い角(例えば、丸い角を有する正方形または長方形)、または鋭利な角(例えば、鋭利な角を有する正方形または長方形)を有していてもよい。
【0266】
一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、約5mmから約50mmの間、例えば、約6mmから約40mmの間、約8mmから約35mmの間、約10mmから約30mmの間、約11mmから約25mmの間、約12mmから約24mmの間、約10mmから約20mmの間、または約10から約15mmの間の直径を有する。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、約5mm以上、例えば、約6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm以上の直径を有する。
【0267】
一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、約8mmから約16mmの間、例えば、約8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、または16mmの直径を有する円形である。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、約8mm×8mm、約9mm×9mm、約10mm×10mm、約11mm×11mm、約12mm×12mm、約13mm×13mm、約14mm×14mm、約15mm×15mm、または約16mm×16mmの寸法を有する正方形である。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、約8mm以上の幅(例えば、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm以上の幅)、および幅よりも長い長さ、例えば、約10mm以上の長さ(例えば、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm以上の長さ)を有する長方形(長方形のストリップ)である。
【0268】
溶解可能なベース層の厚さは、特定のマイクロニードルデバイス、および/またはマイクロニードルデバイスの意図される適用に従って調整してもよい。一部の実施形態では、溶解可能なベース層の厚さは、約0.5から1mmの間、例えば、約0.55mmから0.95mmの間、約0.60mmから0.90mmの間、約0.65mmから0.85mmの間、または約0.70mmから0.80mmの間である。一部の実施形態では、溶解可能なベース層の厚さは、約0.50mm以上、例えば、約0.55mm、約0.60mm、約0.65mm、約0.70mm、約0.75mm、約0.80mm、約0.85mm、約0.90mm、約0.95mm以上である。
【0269】
溶解可能なベース層は、例えば、本明細書において記載される方法を使用して、マイクロニードルデバイスの調製において1つを超えるベース層溶液を使用することによって1つまたは複数の層を含んでいてもよい。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は単一の層を含む。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は2つの層を含む。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は3つの層を含む。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は4つ以上の層を含む。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は1つを超える層を含み、例えば各ベース層が、ベース層溶液のうちの1つまたは複数の異なる組成物を使用して形成された場合、層のうちの1つまたは複数は異なる。一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、各層が異なる1つを超える層を含む。
【0270】
一部の実施形態では、溶解可能なベース層は、およそ12mmの正方形および0.75mmの厚さである。一部の実施形態では、溶解可能なベース層はパッチ(例えば、マイクロニードルパッチ)全体を覆っていてもよい。一部の実施形態では、ベース層の寸法は12mmの直径の円形、または12×12mmの正方形であってもよい。
【0271】
絹フィブロインチップ
本明細書において提供される方法は、任意の寸法の絹フィブロインチップ、例えば、絹フィブロインベースの埋め込み可能な持続放出および/またはバースト放出チップを製造するために使用してもよい。絹フィブロインチップは、有効量の治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を含み、放出するように構成されていてもよい。
【0272】
一部の実施形態では、絹フィブロインチップは、高さ/長さにおいて約75μmから約800μm(例えば、約75、約100μm、約125μm、約150μm、約250μmから約300μm、約300μmから約350μm、約350μmから約400μm、約400μmから約450μm、約450μmから約500μm、約500μmから約550μm、約550μmから約600μm、約600μmから約650μm、約650μmから約700μm、約700μmから約750μm、約750μm、から約800μm)の範囲の寸法を有する。
【0273】
一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能なチップは、例えば、チップによって貫通されることが意図される生物学的バリア(例えば、皮膚層、腫瘍、組織、細胞膜、粘膜表面、口腔、または頬腔)のタイプに基づいて任意のサイズの直径を有していてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップは、約10μm以下(例えば、約1μmから約10μmの間、例えば、約1μm以下、約2μm以下、約3μm以下、約4μm以下、約5μm以下、約6μm以下、約7μm以下、約8μm以下、約9μm以下、または約10μm以下)のチップ半径を有する。実施形態では、チップは、約50nmから約50μm(例えば、約50nmから約250nm、約250nmから約500nm、約500から約750nm、約750nmから約1μm、約1μmから約5μm、約5μmから約10μm、約10μmから約15μm、約15μmから約20μm、約20μmから約25μm、約25μmから約30μm、約30μmから約35μm、約35μmから約40μm、約40μmから約45μm、または約45μmから約50μm)の範囲の寸法(例えば、直径)を有していてもよい。チップが更に小さな直径を有することを阻止する基本的な限定は存在しないことは理解することができる(例えば、絹レプリカ鋳造の限定は数十nmの分解で実証されている、例えば、Perry et al.,20 Adv.Mat.3070(2008)を参照のこと)。
【0274】
一部の実施形態では、絹フィブロインチップ先端、例えば、埋め込み可能な持続放出チップ先端の鋭さは、チップ半径に関して本明細書において記載される。本明細書において記載されるマイクロニードルの製造において使用される型は、約0.5μmから約10μmの間(例えば、約0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、または10μm)のチップ半径を有するように設計されている。一部の実施形態では、チップ半径は、約20μmから約25μmの間(例えば、約20μm、21μm、22μm、23μm、24μm、または25μm)である。理論に束縛されるものではないが、とがっていないニードルは、表皮に侵入するためにより多くの力を必要とする場合があることは理解することができる。実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば埋め込み可能な持続放出チップの他の寸法は、モールドの形状および充填体積によって制御してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約5度から約45度の間(例えば、約5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、または45度)の先端角を有していてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約15度から45度の間(例えば、約15度、約16度、約17度、約18度、約19度、約20度、約21度、約22度、約23度、約24度、約25度、約26度、約27度、約28度、約29度、約30度、約31度、約32度、約33度、約34度、約35度、約36度、約37度、約38度、約39度、約40度、約41度、約42度、約43度、約44度、または約45度)の先端角を有していてもよい。
【0275】
実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップの高さは、製剤および充填体積(例えば、充填体積または液滴の分注体積)に依存し、これらは表面張力および乾燥速度に影響を与えることがある。一部の実施形態では、チップの高さは、マイクロニードルの全長の半分まで伸長してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップの高さは、約75μmから約475μmの間(例えば、約75、約100μm、約125μm、約150μm、約175μm、約200μm、約225μm、約250μm、約275μm、約300μm、約325μm、約375μm、約400μm、約425μm、または約475μm)である。一部の実施形態では、チップの一部は、およそ約5~10μmの間の厚さ(例えば、約5、6、7、8、9、または10μmの厚さ)の薄い「シェル」様層を含む。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、最小限の「シェル」を備えたより固体の構築物に乾燥してもよく、高さは150μmに近く(例えば、約50μmから約200μmの間)、厚さは50μmを超えても(例えば、約25μmから約75μmの間でも)よい。
【0276】
更に、本開示のマイクロニードルは、例えば絹フィブロインを機能化するために開発された当技術分野で既知の技術(例えば、活性剤、例えば染料およびセンサー)を利用してもよい。例えば、米国特許第6,287,340号、Bioengineered anterior cruciate ligament;国際公開第2004/000915号、Silk Biomaterials & Methods of Use Thereof;国際公開第2004/001103号、Silk Biomaterials & Methods of Use Thereof;国際公開第2004/062697号、Silk Fibroin Materials & Use Thereof;国際公開第2005/000483号、Method for Forming Inorganic Coatings;国際公開第2005/012606号、Concentrated Aqueous Silk Fibroin Solution & Use Thereof;国際公開第2011/005381号、Vortex-Induced Silk fibroin Gelation for Encapsulation & Delivery;国際公開第2005/123114号、Silk-Based Drug Delivery System;国際公開第2006/076711号、Fibrous Protein Fusions & Uses Thereof in the Formation of Advanced Organic/Inorganic Composite Materials;米国特許出願公開第2007/0212730号、Covalently Immobilized Protein Gradients In Three-Dimensional Porous Scaffolds;国際公開第2006/042287号、Method for Producing Biomaterial Scaffolds;国際公開第2007/016524号、Method for Stepwise Deposition of Silk Fibroin Coatings;国際公開第2008/085904号、Biodegradable Electronic Devices;国際公開第2008/118133号、Silk Microspheres for Encapsulation & Controlled Release;国際公開第2008/108838号、Microfluidic Devices & Methods for Fabricating Same;国際公開第2008/127404号、Nanopatterned Biopolymer Device & Method of Manufacturing Same;国際公開第2008/118211号、Biopolymer Photonic Crystals & Method of Manufacturing Same;国際公開第2008/127402号、Biopolymer Sensor & Method of Manufacturing Same;国際公開第2008/127403号、Biopolymer Optofluidic Device & Method of Manufacturing the Same;国際公開第2008/127401号、Biopolymer Optical Wave Guide & Method of Manufacturing Same;国際公開第2008/140562号、Biopolymer Sensor & Method of Manufacturing Same;国際公開第2008/127405号、Microfluidic Device with Cylindrical Microchannel & Method for Fabricating Same;国際公開第2008/106485号、Tissue-Engineered Silk Organs;国際公開第2008/140562号、Electroactive Biopolymer Optical & Electro-Optical Devices & Method of Manufacturing Same;国際公開第2008/150861号、Method for Silk Fibroin Gelation Using Sonication;国際公開第2007/103442号、Biocompatible Scaffolds & Adipose-Derived Stem Cells;国際公開第2009/155397号、Edible Holographic Silk Products;国際公開第2009/100280号、3-Dimensional Silk Hydroxyapatite Compositions;国際公開第2009/061823号、Fabrication of Silk Fibroin Photonic Structures by Nanocontact Imprinting;国際公開第2009/126689号、System & Method for Making Biomaterial Structuresを参照されたい。
【0277】
さまざまな実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルチップは、少なくとも1つの追加の治療剤を更に含んでいてもよく、追加の治療剤は、マイクロニードル全体にわたって分散させても、マイクロニードルチップの少なくとも一部を形成していてもよい。一部の実施形態では、追加の治療剤は、がんのような本明細書において記載される疾患および/または障害の処置において有用である。必要に応じて、絹フィブロインベースのマイクロニードルチップは、本明細書において記載される賦形剤および/またはアジュバントを更に含んでいてもよい。
【0278】
実施形態では、マイクロニードルチップは、絹フィブロインから製造してもよく、本明細書において記載される治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、チップは、真皮におけるプロフェッショナル抗原提示細胞の集団が皮下空間よりもはるかに多いため、皮膚の真皮層中に配置されるように設計してもよい(例えば、皮下空間中ではない)。ヒトでは、真皮の厚さは、位置および患者の年齢および健康に基づいて、約1000~2000μm(例えば、約1~2mm)の範囲である。齧歯動物では、真皮ははるかに薄い(例えば、マウス約100~300μm、ラット約800~1200μm)。理論に束縛されることを望むものではないが、高さ650μmのマイクロニードルチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、本明細書において記載される治療剤の制御放出または持続放出を達成するために、約100μmから約600μmの間の深さで配置されてもよい。
【0279】
理論に束縛されるものではないが、本明細書において記載されるマイクロニードルの製造において使用される絹フィブロイン溶液の分子量は、チップからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出をモジュレートするための制御因子として機能する場合がある。一部の実施形態では、高分子量の絹フィブロイン溶液は、遅延制御放出または持続放出を助ける場合がある(例えば、初回バーストの量(例えば、0日目に放出される量)を少なくとも約10%減少させ、次いで少なくとも次の約4日にわたって追加の抗原を放出する。)。一部の実施形態では、チップからの抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せの制御放出または持続放出は、少なくとも約4日(例えば、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日以上、例えば約4日から約15日の間、例えば、約1~2週の間、約1~3週、または約1~4週)にわたるものであってもよい。一部の実施形態では、放出は約1週から約2週にわたって行われる。
【0280】
実施形態では、本明細書において記載されるマイクロニードルの製造において使用される絹フィブロイン溶液は、さまざまな分子量を有する絹フィブロイン断片の集団を含む低分子量絹フィブロイン組成物であってもよく、集団における絹フィブロイン断片の総数の15%以下が200kDaを超える分子量を有し、集団における絹フィブロイン断片の総数の少なくとも50%が指定の範囲内の分子量を有し、ここで、指定の範囲は約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であるということを特徴とする。言い換えれば、本明細書において記載されるマイクロニードルの製造において使用される絹フィブロイン溶液は、さまざまな分子量を有する絹フィブロイン断片の集団を含んでいてもよく、集団における絹フィブロイン断片の総モルの15%以下が200kDaを超える分子量を有し、集団における絹フィブロイン断片の総モルの少なくとも50%が指定の範囲内の分子量を有し、ここで、指定の範囲は約3.5kDaから約120kDaの間、または約5kDaから約125kDaの間であることを特徴とする(例えば、国際公開第2014/145002号を参照されたく、本明細書において参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0281】
例示的な絹フィブロイン(例えば、再生絹フィブロイン)溶液は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法によって判定されるような、さまざまな分子量プロファイルを有していてもよい(例えば、
図5を参照のこと)。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、例えば確立された方法に従って調製してもよい。一部の実施形態では、カイコ、カイコガ(Bombyx mori)からの繭の一部を0.02M Na
2CO
3中で最初に煮沸して、未処理の天然絹に存在するセリシンタンパク質を除去してから、SECで分析した。一部の実施形態では、絹フィブロイン組成物は、大気沸騰温度で約480分以下、例えば、480分未満、400分未満、300分未満、200分未満、180分未満、120分未満、100分未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、10分未満間、または更に短い時間、カイコ、カイコガ(Bombyx mori)からの繭からゴム質を取り除くことによって生成される組成物または混合物であってもよい。一実施形態では、絹フィブロイン組成物は、炭酸ナトリウム水溶液中、大気沸騰温度で約480分以下、例えば、480分未満、400分未満、300分未満、200分未満、180分未満、120分未満、100分未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、10分未満間、または更に短い時間、絹繭からゴム質を取り除くことによって生成される組成物または混合物であってもよい。
【0282】
一部の実施形態では、絹フィブロイン溶液は、10分沸騰した(10MB)、60分沸騰した(60MB)、120分沸騰した(120MB)、180分沸騰した(180MB)、または480分沸騰した(480MB)絹フィブロイン溶液であってもよい(例えば、
図5を参照のこと)。一部の実施形態では、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せは、1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の10MB絹フィブロイン溶液として製剤化してもよい。一部の実施形態では、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せは、1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の60MB絹フィブロイン溶液として製剤化してもよい。一部の実施形態では、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せは、1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の120MB絹フィブロイン溶液として製剤化してもよい。一部の実施形態では、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せは、1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の180MB絹フィブロイン溶液として製剤化してもよい。一部の実施形態では、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せは、1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の480MB絹フィブロイン溶液として製剤化してもよい。
【0283】
一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約0.5μgから約500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約0.5μgから約5μg、または約1μgから約10μg、または約5μgから約15μg、または約10μgから約20μg、または約15μgから約25μg、または約20μgから約30μg、または約25μgから約35μg、または約30μgから約40μg、または約35μgから約45μg、または約40μgから約50μg、または約45μgから約55μg、または約50μgから約60μg、または約55μgから約65μg、または約60μgから約70μg、または約65μgから約75μg、または約70μgから約80μg、または約75μgから約85μg、または約80μgから約90μg、または約85μgから約95μg、または約90μgから約100μg、または約95μgから約150μg、または約125μgから約175μg、または約150μgから約200μg、または約225μgから約275μg、または約250μgから約300μg、または約325μgから約375μg、または約350μgから約400μg、または約425μgから約475μg、または約450μgから約500μgの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、少なくとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、最大約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で絹フィブリオンを含んでいてもよい。
【0284】
一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約1重量%から約75重量%、約1重量%から約5重量%、約10重量%から約60重量%、約15重量%から約50重量%、または約20重量%から約40重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンを含む。
【0285】
理論に束縛されるものではないが、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップに関して主に調整可能なのは、ベータシート含有量(分子間および分子内βシート)を介して測定されたその結晶化度である。これは、絹チップマトリクスの溶解性および抗原を保持する能力に影響を与える。βシート含有量の増加に伴って、チップも機械的により強くなる。特定の治療剤(例えば、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤)の放出プロファイルは、絹マトリクスの結晶化度および拡散率のモジュレートを介して達成される。これは、絹投入材料と製剤化の両方ならびに結晶化度を増加させるための後処置(例えば水アニーリング、メタノール/溶媒アニーリング)を介して達成される。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な制御放出または持続放出マイクロニードルチップは、例えば「結晶化度指数」、例えば当技術分野において既知の「結晶化度指数」に基づいて、約10%から約60%の間(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%)のベータシート含有量を含む。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な制御放出または持続放出マイクロニードルチップは、粒子(例えば、微小粒子および/またはナノ粒子)のまま製剤化してもよい。
【0286】
別の態様において、本開示は、例えば、マイクロニードル組成物の熱安定化特性(例えば、絹フィブロイン組成物の熱安定化特性)に一部起因して、マイクロニードルに配置された治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはその両方)を安定化することができるマイクロニードル(例えば、絹フィブロインベースのマイクロニードル)を特徴とする。一部の実施形態では、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはその両方(例えば、本明細書において記載される抗がん剤または免疫モジュレート剤)は、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスによって安定化される。理論に束縛されることを望むものではないが、治療剤を安定化させる本開示のマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスの能力は、マイクロニードルデバイスの保管を容易にして、例えば、保管中の治療剤の生物活性の損失を阻止することができる。更に、治療剤の生物活性を、マイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスの投与後に維持することができる。例えば、治療剤を、マイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスを投与した後に、絹フィブロインチップ内で安定化して、例えば、身体温度での放出(例えば、制御放出)期間中の生物活性の損失を阻止することができる。
【0287】
一部の実施形態では、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤は、例えば、室温(例えば、約25℃)で2週以上の期間にわたって保管した後、その元の生物活性の少なくとも50%(例えば、約50%、60%、70%、80%、90%、92%、94%、96%、98%、99%、99.5%、以上)を保持する。一部の実施形態では、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤は、約25℃で、少なくとも約2週間(例えば、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、または約12週間)保管した後、その元の生物活性の少なくとも70%、80%、または90%を保持する。一部の実施形態では、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤は、約37℃で、少なくとも約2週間(約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、または約12週間)保管した後、その元の生物活性の少なくとも60%、70%、または80%を保持する。一部の実施形態では、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤は、約45℃で、少なくとも約2週間(約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、または約12週間)保管した後、その元の生物活性の少なくとも50%、60%、または70%を保持する。
【0288】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルはサイトカインを安定化させる。例えば、絹フィブロインは、長期間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日以上、1、2、3、もしくは4週以上、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12カ月以上、または1、2、3、もしくは4年以上)を含む、さまざまな温度での保管(例えば、4℃、室温(例えば、25℃)、または37℃での保管)中、サイトカイン(例えばインターロイキン、例えばIL-2)を安定化させることができる。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルはインターロイキンを安定化させる。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルはインターロイキン-2(IL-2)を安定化させる。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、4℃で少なくとも14日にわたってIL-2を安定化させる。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、室温(約25℃)で少なくとも14日にわたってIL-2を安定化させる。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、身体温度(約37℃)で少なくとも14日にわたってIL-2を安定化させる。
【0289】
マイクロニードルの寸法
一部の実施形態では、本開示は、さまざまな寸法および外形を有する絹フィブロインベースのマイクロニードルおよびそれを含むデバイスを提供する。
【0290】
実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの長さは、生物学的バリア(例えば、皮膚)内の所望の深さへの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を含む絹フィブロインチップの送達(例えば、埋め込み)を可能にして、例えばがん応答を誘発するのに、例えば免疫応答を誘発するのに十分長く製造することができる。
【0291】
一部の実施形態では、生物学的バリアは、腫瘍および/または皮膚病変部である。
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの長さは、約350μmから約1500μmの間(例えば、約350μm、約400μm、約450μm、約500μm、約550μm、約600μm、約650μm、約700μm、約750μm、約800μm、約850μm、約900μm、約950μm、約1000μm、約1050μm、約1100μm、約1150μm、約1200μm、約1250μm、約1300μm、約1350μm、約1400μm、約1450μm、約1500μm)であってもよい。
【0292】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの長さは、表皮(例えば、皮膚表面から約10μmから120μm下)への送達を可能にするのに十分である。
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの長さは、真皮(例えば、皮膚表面から約60μmから約2.1mm下)への送達を可能にするのに十分である。
【0293】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの長さは、眼(例えば、眼表面から約10μmから120μm下)への送達を可能にするのに十分である。
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルの長さは、腫瘍(例えば、腫瘍表面から約10μmから120μm下)への送達を可能にするのに十分である。
【0294】
一部の実施形態では、マイクロニードルは、約100μmから約600μmの間の深さ(例えば、チップの遠位部分の最大侵入深さ)に、対象の生物学的バリア中に絹フィブロインチップを埋め込むように構成されている。一部の実施形態では、マイクロニードルの長さは約350μmから約1500μmの間である。一部の実施形態では、絹フィブロインチップの高さは、マイクロニードルの全長のおよそ半分まで伸長してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップの高さは約75μmから約475μmの間である。一部の実施形態では、絹フィブロインチップは、約0.5μmから約25μmの間のチップ半径を含む。一部の実施形態では、絹フィブロインチップは、約5μmから約10μmの間のチップ半径を含む。一部の実施形態では、絹フィブロインチップは、約5度から約45度の間の角度を含む。
【0295】
一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能なチップは、例えば、チップによって貫通されることが意図される生物学的バリア(例えば、皮膚層)のタイプに基づいて任意のサイズの直径を有していてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップは、約10μm以下(例えば、約1μmから約10μmの間、例えば、約1μm以下、約2μm以下、約3μm以下、約4μm以下、約5μm以下、約6μm以下、約7μm以下、約8μm以下、約9μm以下、または約10μm以下)のチップ半径を有する。実施形態では、チップは、約50nmから約50μm(例えば、約50nmから約250nm、約250nmから約500nm、約500から約750nm、約750nmから約1μm、約1μmから約5μm、約5μmから約10μm、約10μmから約15μm、約15μmから約20μm、約20μmから約25μm、約25μmから約30μm、約30μmから約35μm、約35μmから約40μm、約40μmから約45μm、または約45μmから約50μm)の範囲の寸法(例えば、直径)を有していてもよい。チップが更に小さな直径を有することを阻止する基本的な限定は存在しないことは理解することができる(例えば、絹レプリカ鋳造の限定は数十nmの分解で実証されている、例えば、Perry et al.,20 Adv.Mat.3070(2008)を参照のこと)。
【0296】
一部の実施形態では、絹フィブロインチップ先端、例えば、埋め込み可能な持続放出チップ先端の鋭さは、チップ半径に関して本明細書において記載される。本明細書において記載されるマイクロニードルの製造において使用される型は、約0.5μmから約10μmの間(例えば、約0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、または10μm)のチップ半径を有するように設計されている。一部の実施形態では、チップ半径は、約20μmから約25μmの間(例えば、約20μm、21μm、22μm、23μm、24μm、または25μm)である。理論に束縛されるものではないが、とがっていないニードルは、表皮に侵入するためにより多くの力を必要とする場合があることは理解することができる。実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば埋め込み可能な持続放出チップの他の寸法は、モールドの形状および充填体積によって制御してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインチップ、例えば、埋め込み可能な持続放出チップは、約5度から約45度の間(例えば、約5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、または45度)の先端角を有していてもよい。一部の実施形態では、チップは、約15度から45度の間(例えば、約15度、約16度、約17度、約18度、約19度、約20度、約21度、約22度、約23度、約24度、約25度、約26度、約27度、約28度、約29度、約30度、約31度、約32度、約33度、約34度、約35度、約36度、約37度、約38度、約39度、約40度、約41度、約42度、約43度、約44度、または約45度)の先端角を有していてもよい。
【0297】
理論に束縛されることを望むものではないが、当業者であれば、限定するものではないが、組織の厚さ、例えば、皮膚の厚さ、(例えば、年齢、性別、身体での位置、対象の種(例えば、ヒト)、薬物送達プロファイル、治療剤の拡散特性(例えば、治療剤のイオン性電荷および/または分子量、および/または形状)、またはこれらのいずれかの組合せに応じて)を含む、多数の因子に関して絹フィブロインベースのマイクロニードルの長さを調整することができる。
【0298】
しかし、理論に束縛されることを望むものではないが、およそ650μmの高さのマイクロニードルを用いると、絹フィブロインチップは、対象に、皮膚の真皮層内の約100μmから約600μmの間の深さで配置され(例えば、埋め込まれ)て、絹フィブロインチップからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出(例えば、バースト放出または持続性の放出)が達成される場合がある。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約800μmの高さ(例えば、約500μmから1200μmの間の高さ)であってもよい。
【0299】
組合せ療法のための絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイス
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)は、複数の本明細書において開示されるマイクロニードルを含んでいてもよい。絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)は、同じタイプの複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。あるいは、マイクロニードルデバイスは、異なるタイプの複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。
【0300】
例えば、絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、抗がん剤を含む複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、抗がん剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の抗がん剤)の組合せを含む複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。抗がん剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の抗がん剤)の組合せを送達するように構成されているマイクロニードルの場合、マイクロニードルデバイスは、例えば、同じ組合せ(例えば、全て)の抗がん剤を含む複数の同じマイクロニードル;または異なる抗がん剤または異なる組合せの抗がん剤を含む複数の異なるマイクロニードルを含んでいてもよい。一部の実施形態では、複数でのマイクロニードルは、1種類の抗がん剤を含む。一部の実施形態では、複数でのマイクロニードルは、2種類以上の抗がん剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の抗がん剤)を含む。
【0301】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、免疫モジュレート剤を含む複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、免疫モジュレート剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の抗がん剤)の組合せを含む複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。免疫モジュレート剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の免疫モジュレート剤)の組合せを送達するように構成されているマイクロニードルに関しては、マイクロニードルデバイスは、例えば、同じ組合せ(例えば、全て)の免疫モジュレート剤を含む複数の同じマイクロニードル;または異なる免疫モジュレート剤または異なる組合せの免疫モジュレート剤を含む複数の異なるマイクロニードルを含んでいてもよい。一部の実施形態では、複数でのマイクロニードルは、1種類の免疫モジュレート剤を含む。一部の実施形態では、複数でのマイクロニードルは、2種類以上の免疫モジュレート剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の免疫モジュレート剤)を含む。
【0302】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスは、抗がん剤および免疫モジュレート剤の組合せを含む複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。抗がん剤および免疫モジュレート剤の組合せを送達するように構成されているマイクロニードルに関しては、マイクロニードルデバイスは、例えば、同じ組合せの抗がん剤および免疫モジュレート剤を含む複数の同じマイクロニードル;または異なる組合せの抗がん剤および免疫モジュレート剤を含む複数の異なるマイクロニードルを含んでいてもよい。
【0303】
一部の実施形態では、抗がん剤および免疫モジュレート剤の組合せを送達するように構成されているマイクロニードルに関しては、マイクロニードルデバイスは、1種類の抗がん剤を含む複数のマイクロニードル;2種類以上の抗がん剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の抗がん剤)を含む複数のマイクロニードル;1種類の免疫モジュレート剤を含む複数のマイクロニードル;2種類以上の免疫モジュレート剤(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の免疫モジュレート剤)を含む複数のマイクロニードル;および/または抗がん剤(例えば、1種類、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の抗がん剤)と免疫モジュレート剤(例えば、1種類、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類以上の免疫モジュレート剤)の両方を含む複数のマイクロニードルを含んでいてもよい。
【0304】
一部の実施形態では、複数のマイクロニードルは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはパッチを形成するように、ランダムなまたは所定のパターンで配列されていてもよい。パッチは、ベースの背面に接着された、担体、バッキング、または「ハンドル」層を含んでいてもよい(例えば、
図3を参照のこと)。この層は、構造的支持および領域を提供することができ、これらによってニードルのアレイを乱すことなくパッチを取扱い、操作することができる。
【0305】
本明細書において記載されるマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)は、さまざまな数のマイクロニードルを収容するように設計されていてもよい。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイスは、少なくとも50個のマイクロニードル、例えば、少なくとも約60個、約64個、約70個、約80個、約81個、約90個、約100個、約110個、約121個、約144個、約150個、約169個、約175個、約196個、約200個、約225個、約250個、約256個、約289個、約300個以上のマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)は、約50から500個の間のマイクロニードル、例えば、約50から400個の間のマイクロニードル、約75から約300個の間のマイクロニードル、約100から200個の間のマイクロニードル、または約100から150個の間のマイクロニードルを含む。マイクロニードルは、グリッド、例えば正方形グリッドで配列されていてもよい。一部の実施形態では、マイクロニードルは、8×8グリッド、9×9グリッド、10×10グリッド、11×11グリッド、12×12グリッド、13×13グリッド、14×14グリッド、15×15グリッド、16×16グリッド、または17×17グリッドで配列される。一部の実施形態ではマイクロニードルは11×11グリッドで配列される。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイスは、約0.5mmから1.0mmの間、例えば、約0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.95mm、または1mmのピッチを有する。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイスは約0.75mmのピッチを有する。
【0306】
一部の実施形態では、マイクロニードルデバイスは、およそ0.75mmピッチの11×11正方形グリッドにおいて約121本のニードルを含む。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)は、およそ0.75mmピッチの11×11正方形グリッドにおいて約121本のニードルを含んでいてもよい。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイスは、長さおよそ0.65mm、ベース直径およそ0.35mm、先端角およそ30°の円錐状である個々のニードルを含む。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイスは、絹フィブロインチップを有する個々のニードルを含み、ニードルの絹フィブロインチップは生物学的バリア(例えば、皮膚)に侵入するのに十分鋭利である。一部の実施形態では、マイクロニードルデバイスは、絹フィブロインチップを有する個々のニードルを含み、絹フィブロインチップの屈曲の半径は、理想的には0.01mm以下であるべきである。
本開示の例示的なマイクロニードルおよびデバイスは
図2~4に図示される。
【0307】
放出動態
開示される絹フィブロインベースのマイクロニードルは、さまざまな放出動態に従って、治療剤または治療剤の組合せ(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を放出するように構成されていてもよい。
【0308】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、対象において、有効量の抗がん剤および/または免疫モジュレート剤を放出して、抗がん応答を誘発するように構成されていてもよい。ある特定の実施形態では、抗がん剤の放出および/または免疫モジュレート剤は、がんに関連する新抗原への対象の免疫系への曝露を強化し、その結果、対象において、新抗原に特異的な免疫エフェクター細胞、例えばT細胞を誘発して、活性化および/または拡大することになる。抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の放出は、対象におけるがんに対する長期の免疫の発生を促進することができる。
【0309】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、バースト放出によって治療剤または治療剤の組合せ(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を放出するように構成されていてもよい。一部の実施形態では、バースト放出は、対象への抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の急速な投与を含む。バースト放出は、絹フィブロインチップに存在する抗がん剤の総量および/または免疫モジュレート剤の総量の0%を超える部分から約100%の部分(例えば、約1から約25%、約25%から約50%、約50%から約75%、約75%から約100%)の急速な投与を含んでいてもよい。一部の実施形態では、バースト放出は、少なくとも約1時間(例えば、約1から約30分、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または24時間)を含む時間にわたるものである。
【0310】
一部の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、持続放出によって治療剤または治療剤の組合せ(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を放出するように構成されていてもよい。持続放出の例としては、これらに限定されるものではないが、0次放出、1次放出、および2次放出がある。一部の実施形態では、0次放出は、投薬形態(例えば、マイクロニードル)における治療剤の濃度とは無関係な放出速度である。一部の実施形態では、0次放出は、およそ一定な時間にわたる治療剤の放出である(例えば、単位時間あたりに一定量の治療剤が放出される)。一部の実施形態では、1次放出は、投薬形態(例えば、マイクロニードル)中に残存する治療剤の量の関数である放出速度である。一部の実施形態では、1次放出は、単位時間あたりの投薬形態(例えば、マイクロニードル)からの治療剤の一定の比、例えば百分率の放出である。一部の実施形態では、2次放出は、治療剤の濃度を2倍にした場合、投薬形態における放出速度は4倍になるものである。一部の実施形態では、持続放出は、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤の実質的に連続的な低用量投与を含む。持続放出は、絹フィブロインチップに存在する抗がん剤の総量および/または免疫モジュレート剤の総量の約0%を超える部分から約100%の部分(例えば、約1から約25%、約25%から約50%、約50%から約75%、約75%から約100%)の連続的な投与を含んでいてもよい。一部の実施形態では、持続放出は、少なくとも約3日(例えば、約3、4、5、6、7日以上、例えば、約5日から約10日の間、例えば、約7日から約15日の間、例えば、約1から約2週の間、約1から約3週の間、または約2から約4週の間、例えば、約1から約3カ月の間、例えば、約2から約4カ月の間、例えば、約3から約6カ月の間)を含む時間にわたるものである。ある特定の実施形態では、持続放出は、約7日から約15日の間の時間にわたるものである。
【0311】
一部の実施形態では、本明細書において記載される絹フィブロインベースのマイクロニードルからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出(例えば、投与)は、マイクロニードルまたはその一部から治療剤を拡散することによって促進してもよい。
【0312】
一部の実施形態では、本明細書において記載される絹フィブロインベースのマイクロニードルからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出(例えば、投与)は、マイクロニードルまたはその一部を分解(例えば、プロテアーゼ介在性分解)することによって促進してもよい。
【0313】
一部の実施形態では、本明細書において記載される絹フィブロインベースのマイクロニードルからの治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)の放出(例えば、投与)は、マイクロニードルまたはその一部を溶解することによって促進してもよい。
【0314】
理論に束縛されることを望むものではないが、抗がん剤の放出は、免疫モジュレート剤の放出と実質的に同じ速度で(例えば、同時に)起こってもよい。他の実施形態では、抗がん剤の放出は、免疫モジュレート剤の放出速度と異なる速度で起こり、その結果、抗がん剤が、免疫モジュレート剤が放出される実質的に前または実質的に後に放出されてもよい。
【0315】
治療剤
本開示は、一部の実施形態では、治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せ)を含む絹フィブロインベースのマイクロニードルを提供する。本開示はまた、本明細書において開示されるマイクロニードルと追加の治療法とを投与するための組合せ処置法を提供する。本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルに組み込んでもよい、および/または本開示のフィブロインベースのマイクロニードルとの組合せ療法として投与してもよい治療剤の非限定的な例は以下に開示される。
【0316】
抗がん剤
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、低分子量または小分子量の化学療法剤を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例示的な低分子または小分子量の化学療法剤としては、これらに限定されないが、13-シス-レチノイン酸(イソトレチノイン、ACCUTANE(登録商標))、2-CdA(2-クロロデオキシアデノシン、クラドリビン、LEUSTATIN(商標))、5-アザシチジン(アザシチジン、VIDAZA(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU、フルオロウラシル、ADRUCIL(登録商標))、6-メルカプトプリン(6-MP、メルカプトプリン、PURINETHOL(登録商標))、6-TG(6-チオグアニン、チオグアニン、THIOGUANINE TABLOID(登録商標))、アブラキサン(パクリタキセルタンパク質結合)、アクチノマイシン-D(ダクチノマイシン、COSMEGEN(登録商標))、アリトレチノイン(PANRETIN(登録商標))、オールトランスレチノイン酸(ATRA、トレチノイン、VESANOID(登録商標))、アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン、HMM、HEXALEN(登録商標))、アメトプテリン(メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、MTX、TREXALL(商標)、RHEUMATREX(登録商標))、アミフォスチン(ETHYOL(登録商標))、アラビノシルシトシン(Ara-C、シタラビン、CYTOSAR-U(登録商標))、三酸化ヒ素(TRISENOX(登録商標))、アスパラギナーゼ(エルウィニア属(Erwinia)L-アスパラギナーゼ、L-アスパラギナーゼ、ELSPAR(登録商標)、KIDROLASE(登録商標))、BCNU(カルムスチン、BiCNU(登録商標))、ベンダムスチン(TREANDA(登録商標))、ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))、ブレオマイシン(BLENOXANE(登録商標))、ブスルファン(BUSULFEX(登録商標)、MYLERAN(登録商標))、ロイコボリンカルシウム(シトロボラム因子、フォリン酸、ロイコボリン)、カンプトセシン-11(CPT-11、イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標))、カルムスチンウェハー(カルムスチン埋込体を用いたプロリフェプロスパン(prolifeprospan)20、GLIADEL(登録商標)ウエハ)、CCI-779(テムシロリムス、TORISEL(登録商標))、CCNU(ロムスチン、CeeNU)、CDDP(シスプラチン、PLATINOL(登録商標)、PLATINOL-AQ(登録商標))、クロラムブシル(leukeran)、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標))、ダカルバジン(DIC、DTIC、イミダゾールカルボキサミド、DTIC-DOME(登録商標))、ダウノマイシン(ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ルビドマイシン、CERUBIDINE(登録商標))、デシタビン(DACOGEN(登録商標))、デクスラゾキサン(ZINECARD(登録商標))、DHAD(ミトキサントロン、NOVANTRONE(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、RUBEX(登録商標))、エピルビシン(ELLENCE(商標))、エリブリン(HALAVEN(登録商標))、エストラムスチン(EMCYT(登録商標))、エトポシド(VP-16、リン酸エトポシド、TOPOSAR(登録商標)、VEPESID(登録商標)、ETOPOPHOS(登録商標))、フロクスウリジン(FUDR(登録商標))、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、フルオロウラシル(クリーム)(CARAC(商標)EFUDEX(登録商標)、FLUOROPLEX(登録商標))、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、ヒドロキシ尿素(HYDREA(登録商標)、DROXIA(商標)、MYLOCEL(商標))、イダルビシン(IDAMYCIN(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イキサベピロン(IXEMPRA(商標))、LCR(ロイロクリスチン、ビンクリスチン、VCR、ONCOVIN(登録商標)、VINCASARPFS(登録商標))、L-PAM(L-サルコリシン、メルファラン、フェニルアラニンマスタード、ALKERAN(登録商標))、メクロレタミン(塩酸メクロレタミン、ムスチン、ナイトロジェンマスタード、MUSTARGEN(登録商標))、メスナ(MESNEX(商標))、マイトマイシン(マイトマイシン-C、MTC、MUTAMYCIN(登録商標))、ネララビン(ARRANON(登録商標))、オキサリプラチン(ELOXATIN(商標))、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、ONXAL(商標))、ペグアスパラガーゼ(PEG-L-アスパラギナーゼ、ONCOSPAR(登録商標))、ペメトレキセド(ALIMTA(登録商標))、ペントスタチン(NIPENT(登録商標))、プロカルバジン(MATULANE(登録商標))、ストレプトゾシン(ZANOSAR(登録商標))、テモゾロミド(TEMODAR(登録商標))、テニポシド(VM-26、VUMON(登録商標))、TESPA(チオホスファミド(thiophosphoamide)、チオテパ、TSPA、THIOPLEX(登録商標))、トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチン、VLB、ALKABAN-AQ(登録商標)、VELBAN(登録商標))、ビノレルビン(酒石酸ビノレルビン、NAVELBINE(登録商標))、およびボリノスタット(ZOLINZA(登録商標))がある。
【0317】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、FDA承認された標的療法を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例えば、黒色腫の処置に関しては、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、ビニメチニブ(MEKTOVI(登録商標))、コビメチニブ(COTELLIC(登録商標))、ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標))、エンコラフェニブ(BRAFTOVI(登録商標))、トラメチニブ(MEKINIST(登録商標))、および/またはベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標))を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。
【0318】
一部の実施形態では、基底細胞癌の処置に関しては、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、ソニデギブ(ODOMZO(登録商標))および/またはビスモデギブ(Erivedge(登録商標))を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。
【0319】
一部の実施形態では、乳がんの処置に関しては、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、アベマシクリブ(VERZENIO(登録商標))、アルペリシブ(PIQRAY(登録商標))、オラパリブ(LYNPARZA(登録商標))、パルボシクリブ(IBRANCE(登録商標))、リボシクリブ(KISQALI(登録商標))、および/またはタラゾパリブ(TALZENNA(登録商標))を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。
【0320】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、生物学的製剤を含んでいてもおよび/またはそれと組み合わせて投与してもよい。がんの処置において有用である生物学的製剤は当技術分野において既知であり、本明細書において記載される絹フィブロインベースのマイクロニードルは、例えばそのような既知の生物学的製剤と組み合わせて投与してもよい。例えば、FDAは、乳がんの処置のために次の生物学的製剤を承認している:HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ、Genentech Inc.、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州;HER2-陽性乳がんにおいて抗腫瘍活性を有するヒト化モノクローナル抗体);FASLODEX(登録商標)(フルベストラント、AstraZeneca Pharmaceuticals、LP、ウィルミントン、デラウェア州;乳がんを処置するために使用されるエストロゲン受容体拮抗薬);ARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール、AstraZeneca Pharmaceuticals、LP;エストロゲンを生成するのに必要な酵素であるアロマターゼをブロックする非ステロイド性アロマターゼ阻害剤);AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer Inc.、ニューヨーク、ニューヨーク州;乳がんの処置において使用される不可逆的ステロイド性アロマターゼ不活性化剤);FEMARA(登録商標)(レトロゾール、Novartis Pharmaceuticals、イーストハノーバー、ニュージャージー州;乳がんを処置するためにFDAによって承認された非ステロイド性アロマターゼ阻害剤);およびNOLVADEX(登録商標)(タモキシフェン、AstraZeneca Pharmaceuticals、LP;乳がんを処置するためにFDAによって承認された非ステロイド性抗エストロゲン)。本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルと組み合わせてもよい他の生物学的製剤としては、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ、Genentech Inc.;血管新生を阻害するように設計された最初のFDA承認療法);およびZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen Idec、ケンブリッジ、マサチューセッツ州;B細胞リンパ腫を処置するために最近承認された放射性標識モノクローナル抗体)がある。
【0321】
更に、FDAは、直腸結腸がんを処置するために次の生物学的製剤を承認している:AVASTIN(登録商標);ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ、ImClone Systems Inc.、ニューヨーク、ニューヨーク州、およびBristol-Myers Squibb、ニューヨーク、ニューヨーク州;表皮成長因子受容体(EGFR)に対するモノクローナル抗体である);GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ;プロテインキナーゼ阻害剤);およびERGAMISOL(登録商標)(塩酸レバミゾール、Janssen Pharmaceutica Products、LP、タイタスビル、ニュージャージー州;デュークス病ステージC結腸がんを呈する患者における外科的切除後の5-フルオロウラシルと組み合わせたアジュバント処置において1990年にFDAによって承認された免疫モジュレーター)。
【0322】
肺がんの処置に関しては、例示的な生物学的製剤としては、TARCEVA(登録商標)(エルロチニブHCL、OSI Pharmaceuticals Inc.、メルビル、ニューヨーク州;ヒト表皮成長因子受容体1(HER1)経路を標的とするように設計された小分子)がある。
【0323】
多発性骨髄腫の処置に関しては、例示的な生物学的製剤としては、VELCADE(登録商標)Velcade(ボルテゾミブ、Millennium Pharmaceuticals、ケンブリッジ、マサチューセッツ州;プロテアソーム阻害剤)がある。追加の生物学的製剤としては、THALIDOMID(登録商標)(サリドマイド、Clegene Corporation、ウォレン、ニュージャージー州;免疫モジュレート剤、骨髄腫細胞および抗血管新生の成長および生存を阻害する能力を含む複数の作用を有すると思われる)がある。
【0324】
追加の例示的ながん治療抗体としては、これらに限定されるものではないが、3F8、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アドトラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(登録商標))、アフツズマブ、アラシズマブペゴル、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MABCAMPATH(登録商標))、アルツモマブ(altumomab)ペンテテート(HYBRI-CEAKER(登録商標))、アナツモマブマフェナトックス(anatumomab mafenatox)、アンルキンズマブ(IMA-638)、アポリズマブ、アルシツモマブ(CEA-SCAN(登録商標))、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN(登録商標))、ベリムマブ(BENLYSTA(登録商標)、LYMPHOSTAT-B(登録商標))、ベシレソマブ(SCINTIMUN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ビバツズマブメルタンシン、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、カンツズマブメルタンシン、カプロマブペンデチド(PROSTASCINT(登録商標))、カツマキソマブ(REMOVAB(登録商標))、CC49、セミプリマブ-rwlc(LIBTAYO(登録商標))セツキシマブ(C225、ERBITUX(登録商標))、シタツズマブボガトックス(citatuzumab bogatox)、シクスツムマブ、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、コナツムマブ(conatumumab)、ダセツズマブ(dacetuzumab)、デノスマブ(PROLIA(登録商標))、デツモマブ(detumomab)、エクロメキシマブ(ecromeximab)、エドロコロマブ(edrecolomab)(PANOREX(登録商標))、エロツズマブ、エピツモマブシツキセタン(epitumomab cituxetan)、エプラツズマブ(epratuzumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)(REXOMUN(登録商標))、エタラシズマス(etaracizumab)、ファルレツズマブ、フィギツムマブ(figitumumab)、フレソリムマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ギレンツキシマブ(girentuximab)、グレンバツムマブベドチン、イブリツモマブ(イブリツモマブチウキセタン、ZEVALIN(登録商標))、イゴボマブ(igovomab)(INDIMACIS-125(登録商標))、インテツムマブ(intetumumab)、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ(CEA-CIDE(登録商標))、レクサツムマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ(lucatumumab)、ルミリキシマブ、マパツムマブ(mapatumumab)、マツズマブ(matuzumab)、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(minretumomab)、ミツモマブ(mitumomab)、ナコロマブタフェナトクス(nacolomab tafenatox)、ナプツモマブエスタフェナトクス(naptumomab estafenatox)、ネシツムマブ、ニモツズマブ(THERACIM(登録商標)、THERALOC(登録商標))、ノフェツモマブメルペンタン(nofetumomab merpentan)(VERLUMA(登録商標))、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標))、オララツマブ、オポルツズマブモナトクス(oportuzumab monatox)、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ペムツモマブ(pemtumomab)(THERAGYN(登録商標))、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標))、ピンツモマブ(pintumomab)、プリツムマブ(pritumumab)、ラムシルマブ、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、リロツムマブ、リツキシマブ(MABTHERA(登録商標)、RITUXAN(登録商標))、ロバツムマブ(robatumumab)、サツモマブペンデチド(satumomab pendetide)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シルツキシマブ、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)(AFP-CIDE(登録商標))、タプリツモマブパプトクス(taplitumomab paptox)、テナツモマブ(tenatumomab)、TGN1412、チシリムマブ(トレメリムマブ)、ティガツズマブ(tigatuzumab)、TNX-650、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk(HERCEPTINHYLECTA(登録商標))、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ベルツズマブ、ボロシキシマブ(volociximab)、ボツムマブ(votumumab)(HUMASPECT(登録商標))、ザルツムマブ(zalutumumab)(HUMAX-EGFR(登録商標))、およびザノリムマブ(zanolimumab)(HUMAX-CD4(登録商標))がある。
【0325】
他の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、ウイルス性がん治療剤を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例示的なウイルス性がん治療剤としては、これらに限定されるものではないが、ワクシニアウイルス(vvDD-CDSR)、がん胎児性抗原発現麻疹ウイルス、組換えワクシニアウイルス(TK-欠失およびGM-CSF)、セネカバレーウイルス-001、ニューカッスルウイルス、コクサッキーウイルスA21、GL-ONC1、EBNA1C末端/LMP2キメラタンパク質発現組換え改変ワクシニアアンカラワクチン、がん胎児性抗原発現麻疹ウイルス、G207腫瘍崩壊性ウイルス、p53発現改変ワクシニアウイルスアンカラワクチン、OncoVEX GM-CSF改変単純ヘルペス1型ウイルス、鶏痘ウイルスワクチンベクター、組換えワクシニア前立腺特異的抗原ワクチン、ヒトパピローマウイルス16/18L1ウイルス様粒子/AS04ワクチン、MVA-EBNA1/LMP2Inj.ワクチン、4価HPVワクチン、4価ヒトパピローマウイルス(タイプ6、11、16、18)組換えワクチン(GARDASIL(登録商標))、組換え鶏痘-CEA(6D)/TRICOMワクチン;組換えワクシニア-CEA(6D)-TRICOMワクチン、組換え改変ワクシニアアンカラ-5T4ワクチン、組換え鶏痘-TRICOMワクチン、腫瘍崩壊性ヘルペスウイルスNV1020、HPV L1 VLPワクチンV504、二価ヒトパピローマウイルス(タイプ16および18)ワクチン(CERVARIX(登録商標))、単純ヘルペスウイルスHF10、Ad5CMV-p53遺伝子、組換えワクシニアDF3/MUC1ワクチン、組換えワクシニア-MUC-1ワクチン、組換えワクシニア-TRICOMワクチン、ALVAC MART-1ワクチン、ヒトPreproenkephalin(NP2)発現複製欠損単純ヘルペスウイルスタイプI(HSV-1)ベクター、野生型レオウイルス、レオウイルスタイプ3Dearing(REOLYSIN(登録商標))、腫瘍崩壊性ウイルスHSV1716、エプスタインバーウイルス標的抗原をコードする組換え改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベースのワクチン、組換え鶏痘-前立腺特異的抗原ワクチン、組換えワクシニア前立腺-特異的抗原ワクチン、組換えワクシニア-B7.1ワクチン、rAd-p53遺伝子、Ad5-delta24RGD、HPVワクチン580299、JX-594(チミジンキナーゼ欠失ワクシニアウイルスおよびGM-CSF)、HPV-16/18 L1/AS04、鶏痘ウイルスワクチンベクター、ワクシニア-チロシナーゼワクチン、MEDI-517HPV-16/18VLP AS04ワクチン、単純ヘルペスウイルスTK99UN、HspE7、FP253/フルダラビンのチミジンキナーゼを含むアデノウイルスベクター、ALVAC(2)黒色腫多抗原治療ワクチン、ALVAC-hB7.1、カナリア痘-hIL-12黒色腫ワクチン、Ad-REIC/Dkk-3、rAd-IFN SCH721015、TIL-Ad-INFg、Ad-ISF35、およびコクサッキーウイルスA21(CVA21、CAVATAK(登録商標))がある。他の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、FDAが承認した黒色腫処置のタリモジェンラヘルパレプベク(IMLYGIC(登録商標))を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。
【0326】
他の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、新抗原ワクチンを含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。ある特定の実施形態では、新抗原ワクチンは、例えば、Schumacher et al.Science.348(6230):69-74,2015で記載されているように調製してもよく、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルは、新抗原を同定するための方法において、および/または新抗原ワクチンを調製する方法において使用してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、腫瘍組織におけるランダムな体細胞突然変異由来のがん新抗原は、がんワクチンを含むがん免疫療法の魅力的なタイプの標的を表す。腫瘍特異的新抗原に対するワクチン接種は、中枢性および末梢性寛容の潜在的な誘発ならびに自己免疫のリスクを最小限にする(例えば、Guo et al.Frontiers in Immunology.Vol.9 Article 1499,2018を参照されたく、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする)。ある特定の実施形態では、本開示のマイクロニードルの腫瘍への適用は、対象の免疫系を腫瘍特異的新抗原に曝露させ、同じかまたは類似の腫瘍特異的新抗原を有するがんに対するワクチン接種および免疫の発生をもたらすことができる。
【0327】
他の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、ナノ医薬品を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例示的ながんナノ医薬品としては、これらに限定されるものではないが、アブラキサン(登録商標)(パクリタキセル結合アルブミンナノ粒子)、CRLX101(直鎖状シクロデキストリンベースのポリマーにコンジュゲートされたカンプトセシン(CPT))、CRLX288(ドセタキセルを生分解性ポリマーポリ(乳酸-コ-グリコール酸)にコンジュゲートさせたもの)、シタラビンリポソーム(リポソームAra-C、DEPOCYT(商標))、ダウノルビシンリポソーム(DAUNOXOME(登録商標))、ドキソルビシンリポソーム(DOXIL(登録商標)、CAELYX(登録商標))、カプセル化クエン酸ダウノルビシンリポソーム(DAUNOXOME(登録商標))、およびPEG抗VEGFアプタマー(MACUGEN(登録商標))がある。
【0328】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、パクリタキセルまたはパクリタキセル製剤、例えば、タキソール(登録商標)、タンパク質結合パクリタキセル(例えば、アブラキサン(登録商標))を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例示的なパクリタキセル製剤としては、これらに限定されるものではないが、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(アブラキサン(登録商標)、Abraxis Bioscienceにより市販されている)、ドコサヘキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、タキソプレキシン、Protargaにより市販されている)、ポリグルタミン酸結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX、CellTherapeuticにより市販されている)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)、ANG105(パクリタキセル3分子に結合されたAngiopep-2、ImmunoGenにより市販されている)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合されたパクリタキセル;Li et al.,Biopolymers(2007)87:225-230を参照のこと)、およびグルコースコンジュゲートパクリタキセル(例えば、2’-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシネート(例えば、Liu et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2007)17:617-620を参照のこと)がある。
【0329】
がんを処置するための例示的なRNAi剤およびアンチセンスRNA剤としては、これらに限定されないが、CALAA-01、siG12DLODER(ローカルドラッグEluteR)、およびALN-VSP02がある。
【0330】
他のがん治療剤としては、これらに限定されないが、サイトカイン(例えば、アルデスロイキン(IL-2、インターロイキン-2、PROLEUKIN(登録商標))、アルファインターフェロン(IFN-アルファ、インターフェロンアルファ、INTRON(登録商標)A(インターフェロンアルファ-2b)、ROFERON-A(登録商標)(インターフェロンアルファ-2a))、エポエチンアルファ(PROCRIT(登録商標))、フィルグラスチム(G-CSF、顆粒球-コロニー刺激因子、NEUPOGEN(登録商標))、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、サルグラモスチム、LEUKINE(商標))、IL-11(インターロイキン-11、オプレルベキン、NEUMEGA(登録商標))、インターフェロンアルファ-2b(PEGコンジュゲート)(PEGインターフェロン、PEG-INTRON(商標))、およびペグフィルグラスチム(NEULASTA(商標))、ホルモン療法剤(例えば、アミノグルテチミド(CYTADREN(登録商標))、アナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))、ビカルタミド(CASODEX(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、フルオキシメステロン(HALOTESTIN(登録商標))、フルタミド(EULEXIN(登録商標))、フルベストラント(FASLODEX(登録商標))、ゴセレリン(ZOLADEX(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、リュープロリド(ELIGARD(商標)、LUPRON(登録商標)、LUPRON DEPOT(登録商標)、VIADUR(商標))、メゲストロール(酢酸メゲストロール、MEGACE(登録商標))、ニルタミド(ANANDRON(登録商標)、NILANDRON(登録商標))、オクレチド(酢酸オクレチド、SANDOSTATIN(登録商標)、SANDOSTATIN LAR(登録商標))、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、ロミプロスチム(NPLATE(登録商標))、タモキシフェン(NOVALDEX(登録商標))、およびトレミフェン(FARESTON(登録商標))、ホスホリパーゼA2阻害剤(例えば、アナグレリド(AGRYLIN(登録商標))、生物学的応答改変物質(例えば、BCG(THERACYS(登録商標)、TICE(登録商標))、およびダルベポエチンアルファ(ARANESP(登録商標))、標的療法剤(例えば、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、ダサチニブ(SPRYCEL(商標))、デニロイキンディフティトックス(ONTAK(登録商標))、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、メシル酸イマチニブ(STI-571、GLEEVEC(商標))、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、およびSU11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標))、免疫モジュレートおよび抗血管新生剤(例えば、CC-5013(レナリドミド、REVLIMID(登録商標))、およびサリドマイド(THALOMID(登録商標))、グルココルチコステロイド(例えば、コルチゾン(ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、ALA-CORT(登録商標)、HYDROCORT ACETATE(登録商標)、リン酸ヒドロコルトンLANACORT(登録商標)、SOLU-CORTEF(登録商標))、デカドロン(デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、DEXASONE(登録商標)、DIODEX(登録商標)、HEXADROL(登録商標)、MAXIDEX(登録商標))、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、DURALONE(登録商標)、MEDRALONE(登録商標)、MEDROL(登録商標)、M-PREDNISOL(登録商標)、SOLU-MEDROL(登録商標))、プレドニゾロン(DELTA-CORTEF(登録商標)、ORAPRED(登録商標)、PEDIAPRED(登録商標)、PRELONE(登録商標))、およびプレドニゾン(DELTASONE(登録商標)、LIQUID PRED(登録商標)、METICORTEN(登録商標)、ORASONE(登録商標))、およびビスホスホネート(例えば、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、およびゾレドロン酸(ZOMETA(登録商標))がある。
【0331】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤)を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例示的なチロシンキナーゼ阻害剤としては、これらに限定されるものではないが、表皮成長因子(EGF)経路阻害剤(例えば、表皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤)、血管内皮成長因子(VEGF)経路阻害剤(例えば、VEGFに対する抗体、VEGFトラップ、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)阻害剤(例えば、VEGFR-1阻害剤、VEGFR-2阻害剤、VEGFR-3阻害剤))、血小板由来成長因子(PDGF)経路阻害剤(例えば、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)阻害剤(例えば、PDGFR-β阻害剤))、RAF-1阻害剤、KIT阻害剤およびRET阻害剤がある。一部の実施形態では、AHCM剤と組み合わせて使用される抗がん剤は、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セディラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(semaxanib)(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、乳酸ドビチニブ(TKI258、CHIR-258)、BIBW2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、XL228、AEE788、AG-490、AST-6、BMS-599626、CUDC-101、PD153035、ペリチニブ(EKB-569)、バンデタニブ(zactima)、WZ3146、WZ4002、WZ8040、ABT-869(リニファニブ)、AEE788、AP24534(ポナチニブ)、AV-951(チボザニブ)、アキシチニブ、BAY73-4506(レゴラフェニブ)、ブリバニブアラニネート(BMS-582664)、ブリバニブ(BMS-540215)、セディラニブ(AZD2171)、CHIR-258(ドビチニブ)、CP673451、CYC116、E7080、Ki8751、マシチニブ(AB1010)、MGCD-265、モテサニブ二リン酸(AMG-706)、MP-470、OSI-930、塩酸パゾパニブ、PD173074、トシル酸ソラフェニブ(Bay43-9006)、SU5402、TSU-68(SU6668)、バタラニブ、XL880(GSK1363089、EXEL-2880)からなる群から選択される。選択されるチロシンキナーゼ阻害剤は、スニチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、またはソラフェニブから選択される。一実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤はスニチニブである。
【0332】
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、抗血管新生剤または血管標的剤もしくは血管破壊剤のうちの1つを含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例示的な抗血管新生剤としては、これらに限定されるものではないが、とりわけ、血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤(例えば、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ);VEGF受容体阻害剤(例えば、イトラコナゾール);細胞増殖および/または内皮細胞遊走の阻害剤(例えば、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470);血管新生刺激物質阻害剤(例えば、スラミン)がある。血管標的剤(VTA)または血管破壊剤(VDA)は、中枢性壊死をもたらすがん腫瘍の血管系(血管)を損傷するように設計されている(例えば、Thorpe,P.E.(2004)Clin.Cancer Res.Vol.10:415-427でレビューされている)。VTAは小分子であってもよい。例示的な小分子VTAとしては、これらに限定されるものではないが、微小管不安定化薬物(例えば、コンブレタスタチンA-4リン酸二ナトリウム(CA4P)、ZD6126、AVE8062、Oxi4503);およびバジメザン(ASA404)がある。
【0333】
ある特定の実施形態では、本明細書において記載される抗がん剤は、持続放出粒子として製剤化してもよい。
【0334】
免疫モジュレート剤
チェックポイント阻害剤
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、免疫チェックポイント阻害剤を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例えば、ある特定の実施形態では、絹フィブロインベースのマイクロニードルは、チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1抗体)の全身投与(例えば、注射によって)と組み合わせて治療剤(例えば、抗がん剤および/または免疫モジュレート剤)を対象における腫瘍に局所的に投与するために使用してもよい。
【0335】
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はチェックポイント分子を阻害する。例示的なチェックポイント分子としては、これらに限定されるものではないがCTLA4、PD1、PD-L1、PD-L2、TIM3、LAG3、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、BTLA、KIR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、およびA2aRがある。例えば、Pardoll.Nat.Rev.Cancer 12.4(2012):252-64を参照されたく、本明細書において参照により組み込まれるものとする。
【0336】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤、例えば抗PD-1抗体、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピジリズマブである。ニボルマブ(MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、またはBMS-936558とも称される)は、PD1を特に阻害する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。例えば、米国特許第8,008,449号および国際公開第2006/121168号を参照されたい。ペンブロリズマブ(ランブロリズマブ、MK-3475、MK03475、SCH-900475またはKEYTRUDA(登録商標);Merckとも称される)は、PD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である(例えば、Hamid,O.et al.(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134-44、米国特許8,354,509第号および国際公開第2009/114335号を参照のこと)。ピジリズマブ(CT-011またはCure Techとも称される)は、PD1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である(例えば、国際公開第2009/101611号を参照のこと)。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピジリズマブの配列と実質的に同一のまたはこれらと類似の配列、例えば、少なくとも85%、90%、95%以上同一の配列を有する抗体分子である。追加の抗PD1抗体、例えばAMP514(Amplimmune)は、例えば、米国特許第8,609,089号、同第2010028330号、および/または同第20120114649号に記載されている。
【0337】
一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、免疫付着因子、例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリンのFc領域)に融合されたPD-1リガンド(例えば、PD-L1またはPD-L2)の細胞外/PD-1結合部分を含む免疫付着因子である。実施形態では、PD-1阻害剤は、B7-H1とPD-1との間の相互作用をブロックするPD-L2Fc融合可溶性受容体であるAMP-224(B7-DCIg、例えば、国際公開第2011/066342号および同第2010/027827号に記載されている)である。
【0338】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、例えば抗体分子である。一部の実施形態では、PD-L1阻害剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718C、またはMDX-1105である。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体はMSB0010718C(A09-246-2とも称される;Merck Serono)であり、これはPD-L1に結合するモノクローナル抗体である。例示的なヒト化抗PD-L1抗体は、例えば国際公開第2013/079174号に記載されている。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体、例えばYW243.55.S70である。YW243.55.S70抗体は、例えば国際公開第2010/077634号に記載されている。一実施形態では、PD-L1阻害剤はMDX-1105(BMS-936559とも称される)であり、これは、例えば国際公開第2007/005874号に記載されている。一実施形態では、PD-L1阻害剤はMDPL3280A(Genentech/Roche)であり、これは、PD-L1に対するヒトFc-最適化IgG1モノクローナル抗体である。例えば、米国特許第7,943,743号および米国特許出願公開第20120039906号を参照されたい。一実施形態では、PD-L1の阻害剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718C、またはMDX-1105の配列と実質的に同一のまたはそれと類似の配列、例えば、少なくとも85%、90%、95%以上同一の配列を有する抗体分子である。
【0339】
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L2阻害剤、例えばAMP-224(PD1とB7-H1との間の相互作用をブロックするPD-L2Fc融合可溶性受容体である。例えば、国際公開第2010/027827号および同第2011/066342号を参照されたい。
【0340】
一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はLAG-3阻害剤、例えば抗LAG-3抗体分子である。実施形態では、抗LAG-3抗体はBMS-986016(BMS986016とも称される;Bristol-Myers Squibb)である。BMS-986016および他のヒト化抗LAG-3抗体は、例えば、米国特許第2011/0150892号、国際公開第2010/019570号、および同第2014/008218号に記載されている。
【0341】
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はTIM-3阻害剤、例えば抗TIM3抗体分子であり、例えば、米国特許第8,552,156号、国際公開第2011/155607号、欧州特許第2581113号および米国特許出願公開第2014/044728号に記載されている。
【0342】
実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体分子である。例示的な抗CTLA4抗体としては、トレメリムマブ(Pfizer製のIgG2モノクローナル抗体、以前はチシリムマブ、CP-675,206として既知である);およびイピリムマブ(MDX-010とも称される、CAS番号477202-00-9)がある。他の例示的な抗CTLA-4抗体は、例えば米国特許第5,811,097号に記載されている。
【0343】
TLRアゴニスト
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、トル様受容体(TLR)アゴニストを含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。
【0344】
TLRは、微生物病原体を認識する先天的な免疫系のセンサーとして最初に同定されたパターン認識受容体のファミリーである。ヒトでは、TLRとしては、TLR-1、TLR-2、TLR-3、TLR-4、TLR-5、TLR-6、TLR-7、TLR-8、TLR-9、およびTLR-10がある。TLR-1、-2、-4、-5、および-6は細胞表面上に発現され、TLR-3、-7/8、および-9はERコンパートメントで発現される。ヒト樹状細胞サブセットは、異なるTLR発現パターンに基づいて同定してもよい。ヒト樹状細胞の骨髄性または「従来型」サブセットはTLR1-8を発現し、樹状細胞の形質細胞様サブセットはTLR-7およびTLR-9のみを発現する。TLRに結合するリガンドは、炎症および免疫に関与する因子の産生を誘発する細胞内シグナル伝達経路のカスケードを引き起こす。刺激の際に、ヒト樹状細胞の骨髄性サブセットおよび形質細胞様サブセットは、抗原特異的CD4+およびCD8+T細胞初回抗原刺激、ならびにNK細胞およびT細胞の活性化をそれぞれもたらす。
【0345】
一部の実施形態では、TLRアゴニストは、TLR-1アゴニスト、TLR-2アゴニスト、TLR-3アゴニスト、TLR-4アゴニスト、TLR-5アゴニスト、TLR-6アゴニスト、TLR-7アゴニスト、TLR-8アゴニスト、TLR-9アゴニスト、TLR-10アゴニスト、TLR-1/2アゴニスト、TLR-2/6アゴニスト、またはTLR-7/8アゴニストのうちの1つまたは複数から選択される。一実施形態では、TLRアゴニストはTLR7アゴニストである。
【0346】
一部の実施形態では、TLRアゴニストは、イミキモドまたは3-(2-メチルプロピル)-3,5,8-トリアザトリシクロ[7.4.0.02,6]トリデカ-1(9),2(6),4,7,10,12-ヘキサエン-7-アミンである。イミキモドまたは3-(2-メチルプロピル)-3,5,8-トリアザトリシクロ[7.4.0.02,6]トリデカ-1(9),2(6),4,7,10,12-ヘキサエン-7-アミンは、TLR-7および/またはTLR-8に結合し、活性化することができる。
【0347】
一部の実施形態では、TLRアゴニストは852Aである。852Aは、例えば、Inglefield et al.J Interferon Cytokine Res.2008;28(4):253-63で開示されている。852Aは、TLR-7および/またはTLR-8に結合し、活性化することができる。
【0348】
一部の実施形態では、TLRアゴニストはカルメット-ゲラン菌(Bacille Calmette-Guerin)(BCG)である。BCGはTLR-9に結合し、活性化することができる。
一部の実施形態では、TLRアゴニストはEMD120108である。EMD120108は、ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドを含む合成オリゴヌクレオチドである。EMD1201081はTLR-9に結合し、活性化することができ、例えば、単球/マクロファージ、形質細胞様の樹状細胞(DC)およびB細胞において、免疫シグナル伝達経路を開始し、B細胞を活性化し、ヘルパーT細胞のサイトカイン産生を誘発する。
【0349】
一部の実施形態では、TLRアゴニストはIMO-2055である。IMO-2055は、非メチル化CpGジヌクレオチドを含む合成オリゴヌクレオチドである。細菌DNAにおける非メチル化CpG配列を模倣すると、IMO-2055はTLR-9に結合し、活性化することができ、例えば、単球/マクロファージ、形質細胞様の樹状細胞(DC)、およびB細胞において、免疫シグナル伝達経路を開始し、B細胞およびDCを活性化し、ヘルパーT細胞のサイトカイン産生を誘発する。
【0350】
組合せにおいて使用してもよい他の例示的なTLRアゴニストとしては、例えば、TLR-1/2アゴニスト(例えば、Pam3Cys)、TLR-2アゴニスト(例えば、CFA、MALP2、Pam2Cys、FSL-1、またはHib-OMPC)、TLR-3アゴニスト(例えば、ポリリボシン酸(polyribosinic):ポリリボシチジン酸(Poly I:C)、ポリアデノシン-ポリウリジル酸(poly AU)、ポリ-L-リシンおよびカルボキシメチルセルロースで安定化されたポリイノシン-ポリシチジル酸(Hiltonol(登録商標))、TLR-4アゴニスト(例えば、モノホスホリル脂質A(MPL)、LPS、シアリル-Tn(STn))、TLR-5アゴニスト(例えば、細菌性フラジェリン)、TLR-7アゴニスト(例えば、イミキモド)、TLR-7/8アゴニスト(例えば、レシキモドまたはロキソリビン)、およびTLR-9アゴニスト(例えば、非メチル化CpGジヌクレオチド(CpG-ODN))がある。
【0351】
別の実施形態では、TLRアゴニストは、例えば、国際公開第2004/060319号および同第2014/012479号で記載されているようなGITRアゴニストと組み合わせて使用される。
【0352】
STINGアゴニスト
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、STINGアゴニストを含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。
【0353】
一部の実施形態では、STINGアゴニストは、環式ジヌクレオチド、例えば、プリンまたはピリミジン核酸塩基(例えば、アデノシン、グアニン、ウラシル、チミン、またはシトシン核酸塩基)を含む環式ジヌクレオチドである。一部の実施形態では、環式ジヌクレオチドの核酸塩基は、同じ核酸塩基または異なる核酸塩基を含む。
【0354】
一部の実施形態では、STINGアゴニストは、アデノシンまたはグアノシン核酸塩基を含む。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、1つのアデノシン核酸塩基および1つのグアノシン核酸塩基を含む。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、2つのアデノシン核酸塩基または2つのグアノシン核酸塩基を含む。
【0355】
一部の実施形態では、STINGアゴニストは、例えば、改変核酸塩基、改変リボース、または改変ホスフェート結合を含む、改変環式ジヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、改変環式ジヌクレオチドは、改変ホスフェート結合、例えば、チオホスフェートを含む。
【0356】
一部の実施形態では、STINGアゴニストは、2’,5’または3’,5’ホスフェート結合を伴う環式ジヌクレオチド(例えば、改変環式ジヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、ホスフェート結合の周囲にRpまたはSp立体化学を伴う環式ジヌクレオチド(例えば、改変環式ジヌクレオチド)を含む。
【0357】
一部の実施形態では、STINGアゴニストはRp,Rpジチオ2’,3’c-ジ-AMP(例えば、Rp,Rp-ジチオc-[A(2’,5’)pA(3’,5’)p])、またはその環式ジヌクレオチド類似体である。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、米国特許出願公開第2015/0056224号で図示されている化合物(例えば、
図2cにおける化合物、例えば、化合物21または化合物22)である。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、c-[G(2’,5’)pG(3’,5’)p]、そのジチオリボースO置換誘導体、または国際公開第2014/189805号および同第2014/189806号の
図4において図示される化合物である。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、c-[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]もしくはそのジチオリボースO置換誘導体であるか、または国際公開第2014/189805号および同第2014/189806号の
図5に図示される化合物である。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、c-[G(2’,5’)pA(3’,5’)p]もしくはそのジチオリボースO置換誘導体であるか、または国際公開第2014/189805号および同第2014/189806号の
図5で図示される化合物である。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、2’-0-プロパルギル-環式-[A(2’,5’)pA(3’,5’)p](2’-0-プロパルギル-ML-CDA)または国際公開第2014/189806号の
図7で図示される化合物である。
【0358】
他の例示的なSTINGアゴニストは、例えば、国際公開第2014/189805号および同第2014/189806号、および米国特許出願公開第2015/0056225号で開示されている。
【0359】
RIGアゴニスト
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、RIGアゴニスト(即ち、遺伝子DDX58によってコードされるレチノイン酸誘発性遺伝子I(RIG-I)のアゴニスト)を含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。例示的なRIGアゴニストは、Elion et al.Oncotarget.9(48):29007-29017,2018に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0360】
サイトカイン
一部の実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのマイクロニードルは、サイトカインを含んでいてもおよび/またはこれらと組み合わせて投与してもよい。
【0361】
サイトカインは、全般的に、例えば、シグナル伝達経路を介して細胞活性に影響を与えるポリペプチドである。したがって、サイトカインは有用であり、細胞膜の外側からシグナルを伝達して細胞内の応答をモジュレートする、受容体-介在性シグナル伝達と関連する場合がある。サイトカインは、タンパク質性のシグナル伝達化合物であり、これは免疫応答のメディエーターである。これらは、増殖、分化および細胞生存/アポトーシスを含む多くの異なる細胞機能を制御し;サイトカインは、ウイルス感染および自己免疫疾患を含むいくつかの病態生理学的プロセスにも関与する。サイトカインは、先天的な免疫系(単球、マクロファージ、樹状細胞)と適応免疫系(T-およびB細胞)の両方のさまざまな細胞によってさまざまな刺激下で合成される。サイトカインは、2つのグループ:炎症促進性物質および抗炎症性物質に分類することができる。IFNγ、IL-1、IL-6およびTNF-アルファを含む炎症促進性サイトカインは、先天的な免疫細胞およびTh1細胞に主に由来する。IL-10、IL-4、IL-13およびIL-5を含む抗炎症性サイトカインはTh2免疫細胞から合成される。
【0362】
したがって、一部の実施形態では、サイトカイン分子は、インターロイキンまたはそのバリアント、例えばその機能的バリアントである。一部の実施形態では、インターロイキンは炎症促進性インターロイキンである。一部の実施形態では、インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-7(IL-7)、またはインターフェロンガンマから選択される。一部の実施形態では、サイトカイン分子は炎症促進性サイトカインである。ある実施形態では、サイトカイン分子はIL-18である。
【0363】
サイトカインは、野生型(例えば、野生型組換え)または遺伝子操作されたもの(例えば、1つまたは複数の突然変異を導入するためのもの)であってもよい。一部の実施形態では、サイトカインは、遺伝子操作されたサイトカイン、例えば遺伝子操作されたインターロイキンである。一部の実施形態では、遺伝子操作されたサイトカインは、例えば、野生型バリアントに対して異なる生物学的特性を与えるような1つまたは複数の突然変異を含む。例えば、サイトカイン分子は、Zhouら(Nature(2020)583:609-614;その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする)によって記載されているような遺伝子操作された「デコイ耐性」インターロイキン(例えば、デコイ耐性IL-18)であってもよい。一部の実施形態では、サイトカインは遺伝子操作されたインターロイキン(例えば、遺伝子操作されたIL-2、または遺伝子操作されたIL-18)である。
【0364】
一部の実施形態では、サイトカインは、1つまたは複数の薬物動態特性を改善するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、遺伝子操作されたサイトカインは、例えば、サイトカインの血清半減期が増加されるように別の分子(例えば、抗体)に融合されたサイトカインを含む。一部の実施形態では、サイトカインは、長半減期のタンパク質またはタンパク質ドメインに融合(例えば、Fc融合、トランスフェリン[Tf]融合、またはアルブミン融合)される。一部の実施形態では、サイトカインは、不活性ポリペプチド(例えば、XTENまたは組換えPEG(rPEG);ホモアミノ酸ポリマー(HAP;例えば、HAP化による);プロリン-アラニン-セリンポリマー(PAS;例えば、PAS化による);またはエラスチン様ペプチド(ELP;例えば、ELP化による))に融合される。一部の実施形態では、サイトカインは、例えば、サイトカインの流体力学的半径を増加させるために、化学的部分(例えば、ポリマー、例えばPEG化によるPEG;またはヒアルロン酸)を繰り返すようにコンジュゲートされている。一部の実施形態では、サイトカインの負電荷は、例えば、サイトカインのポリシアル化によって、または負に帯電した高度にシアル化されたペプチド(例えば、カルボキシ末端ペプチド[CTP;絨毛性ゴナドトロピン(CG)β-鎖のもの])をサイトカインに融合することによって増加する。一部の実施形態では、サイトカインは、長半減期のタンパク質、例えば、HSA、ヒトIgG、またはトランスフェリンに非共有結合される。一部の実施形態では、サイトカインは、長半減期のタンパク質、例えば、ヒトIgG、Fc部分、またはHSAに化学的にコンジュゲートされる。例えば、半減期を延長するために、融合タンパク質および類似の改変タンパク質を調製し使用するための方法は記載されている(例えば、Strohl et al.BioDrugs(2015)29:215-239;およびそこに引用されている文献を参照のこと)。
【0365】
遺伝子操作されたサイトカイン(例えば、遺伝子操作されたインターロイキン)は、既知の方法によって、例えば、指向性進化技術によって生成してもよい(例えば、Zhouら、上記を参照のこと)。遺伝子操作されたサイトカイン(例えば、遺伝子操作されたインターロイキン)の例は記載されている(例えば、国際公開第2012/107417号;同第2009/061853号;米国特許第9,580,486号;Minsahwi et al.Front Immunol.2020(11);1794;Tang et al.Cytokine X(2019)100001;Mitra et al.Immunity(2015)42:826-838;Casadesus et al.OncoImmunology(2020)9:1770565;Zhouら、上記を参照のこと;これらそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0366】
理論に束縛されることを望むものではないが、遺伝子操作されたサイトカイン(例えば、「デコイ耐性」インターロイキン、例えばデコイ耐性IL-18)は、その野生型の対応物と比較して有益な特性を有する場合がある。例として、デコイ耐性IL-18はシグナル伝達の可能性を維持することができるが、IL-18結合タンパク質(IL-18BP)による阻害は依然として受けにくいままである。一部の実施形態では、遺伝子操作されたサイトカインは、野生型サイトカインと比較して改善された安定性(例えば、改善された温度依存性安定性、pH依存性安定性、またはその両方)を有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたサイトカインは、野生型サイトカインと比較して改善された血清半減期を有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたサイトカインは、野生型サイトカインとは異なり、受容体に対して改変された親和性(例えば、強化された親和性)を有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたサイトカインは、野生型サイトカインに対して低い毒性を有する。
【0367】
ある特定の実施形態では、サイトカインは単一鎖のサイトカインである。ある特定の実施形態では、サイトカインは多連鎖のサイトカインである(例えば、サイトカインは、2つ以上(例えば、2つ)のポリペプチド鎖を含む)。例示的な多連鎖のサイトカインはIL-12である。
【0368】
有用なサイトカインの例としては、これらに限定されるものではないが、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-18、IL-21、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1β、TGF-β、TNF-α、およびTNFβがある。一実施形態では、多重特性または多機能性ポリペプチドのサイトカインは、GM-CSF、IL-2、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IFN-α、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1βおよびTGF-βの群から選択されるサイトカインである。一実施形態では、多重特性または多機能性ポリペプチドのサイトカインは、GM-CSF、IL-2、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、IFN-α、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1βおよびTGF-βの群から選択されるサイトカインである。一実施形態では、多重特性または多機能性ポリペプチドのサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-18、IFN-α、およびIFN-γの群から選択されるサイトカインである。一実施形態では、多重特性または多機能性ポリペプチドのサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IFN-α、およびIFN-γの群から選択されるサイトカインである。ある特定の実施形態では、サイトカインは、N-および/またはO-グリコシル化部位が除去されるように突然変異される。グリコシル化の消失は、組換え産生物において入手可能な産生物の均一性を増加させることができる。
【0369】
一実施形態では、サイトカインはIL-2である。ある特定の実施形態では、IL-2サイトカインは、活性化Tリンパ球細胞における増殖、活性化Tリンパ球細胞、細胞毒性T細胞(CTL)活性における分化、活性化B細胞における増殖、活性化B細胞における分化、ナチュラルキラー(NK)細胞における増殖、NK細胞における分化、活性化T細胞またはNK細胞によるサイトカイン分泌、およびNK/リンパ球活性化キラー(LAK)抗腫瘍細胞毒性からなる群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。
【0370】
別の実施形態では、サイトカインはIL-12である。ある特定の実施形態では、前記IL-12サイトカインは単一鎖のIL-12サイトカインである。一実施形態では、IL-12サイトカインは、NK細胞における増殖、NK細胞における分化、T細胞における増殖、およびT細胞における分化からなる群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。
【0371】
別の実施形態では、サイトカインはIL-10である。別の特定の実施形態では、IL-10サイトカインは単量体IL-10サイトカインである。一実施形態では、IL-10サイトカインは、サイトカイン分泌の阻害、抗原提示細胞による抗原提示の阻害、酸素ラジカル放出の減少、およびT細胞増殖の阻害からなる群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。
【0372】
ある特定の実施形態では、前記IL-15サイトカインは、IL-15受容体のα-サブユニットへの結合親和性が低下した突然変異体IL-15サイトカインである。理論に束縛されることを望むものではないが、IL-15受容体のα-サブユニットへの結合が低下した突然変異体IL-15ポリペプチドは、身体全体にわたって線維芽細胞に結合する能力が低下しており、野生型IL-15ポリペプチドと比較して薬物動態および毒性プロファイルが改善されている。一実施形態では、IL-15サイトカインは、活性化Tリンパ球細胞における増殖、活性化Tリンパ球細胞、細胞毒性T細胞(CTL)活性における分化、活性化B細胞における増殖、活性化B細胞における分化、ナチュラルキラー(NK)細胞における増殖、NK細胞における分化、活性化T細胞またはNK細胞によるサイトカイン分泌、およびNK/リンパ球活性化キラー(LAK)抗腫瘍細胞毒性からなる群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。
【0373】
別の実施形態では、サイトカインはインターロイキン-18(IL-18)である。一実施形態では、サイトカインはIL-18バリアントポリペプチドである。一実施形態では、前記IL-18サイトカインはデコイ耐性IL-18である(例えば、米国特許出願公開第2019/0070262号を参照のこと;およびZhouら上記を参照のこと、これらそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする)。一実施形態では、IL-18サイトカインは、NK細胞における増殖、NK細胞における分化、T細胞における増殖、T細胞における分化、およびリンパ球(例えば、先天的なリンパ球)のシミュレーションからなる群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、IL-18は、効果的な免疫療法薬として使用することができ、ヒトにおいて十分な耐容性を示す(例えば、Robertson et al.Clin.Cancer Res.(2006)12:4265-4273を参照のこと)。一部の実施形態では、IL-18(例えば、デコイ耐性IL-18)は、抗腫瘍機能を有する転写因子(例えば、Tcf1)を発現する前駆T細胞(例えば、CD8T細胞)の集団を増加させる。一部の実施形態では、IL-18(例えば、デコイ耐性IL-18)は、高活性多機能性エフェクター表現型へ向かうT細胞の分化を促進する。一部の実施形態では、IL-18(例えば、デコイ耐性IL-18)は、枯渇したCD8+T細胞(例えば、枯渇TOXの転写レギュレーターを発現するもの)の有病率を低下させる。一部の実施形態では、IL-18(例えば、デコイ耐性IL-18)は、NK細胞の活性および/または成熟を強化する。
【0374】
一部の実施形態では、サイトカインはデコイ耐性インターロイキンIL-18である。一部の実施形態では、サイトカインはIL-18バリアントポリペプチドであり、IL-18バリアントポリペプチドは、野生型(WT)IL-18と比較してIL-18受容体(IL-18R)に特異的に結合し、IL-18バリアントポリペプチドは、少なくとも1つの突然変異を含み、IL-18結合タンパク質(IL-18BP)への結合の大幅な低下を示す。一部の実施形態では、サイトカインは、野生型IL-18配列、例えば米国特許第2019/0070262号の配列番号30と比較して、Y1X、L5X、K8X、M51X、K53X、S55X、Q56X、P57X、G59X、M60X、E77X、Q103X、S105X、D110X、N111X、M113X、V153X、およびN155Xからなる群から選択される少なくとも1つの突然変異を含むIL-18バリアントポリペプチドである。一部の実施形態では、サイトカインは、野生型IL-18配列、例えば、米国特許第2019/0070262号の配列番号30と比較して、Y1H、Y1R、L5H、L5I、L5Y、K8Q、K8R、M51T、M51K、M51D、M51N、M51E、M51R、K53R、K53G、K53S、K53T、S55K、S55R、Q56E、Q56A、Q56R、Q56V、Q56G、Q56K、Q56L、P57L、P57G、P57A、P57K、G59T、G59A、M60K、M60Q、M60R、M60L、E77D、Q103E、Q103K、Q103P、Q103A、Q103R、S105R、S105D、S105K、S105N、S105A、D110H、D110K、D110N、D110Q、D110E、D110S、D110G、N111H、N111Y、N111D、N111R、N111S、N111G、M113V、M113R、M113T、M113K、V153I、V153T、V153A、N155K、およびN155Hからなる群から選択される少なくとも1つの突然変異を含むIL-18バリアントポリペプチドである。一部の実施形態では、サイトカインは、野生型IL-18配列、例えば、米国特許第2019/0070262号の配列番号30と比較して、Y1X、L5X、K8X、M51X、K53X、555X、Q56X、P57X、G59X、M60X、E77X、Q103X、S105X、D110X、N111X、M113X、V153X、およびN155Xから選択される少なくとも6つの突然変異を含むIL-18バリアントポリペプチドである。一部の実施形態では、サイトカインは、野生型IL-18配列、例えば、米国特許第2019/0070262号の配列番号30と比較して、M51、K53、Q56D110、およびN111の位置において突然変異を含むIL-18バリアントポリペプチドである。一部の実施形態では、サイトカインは、野生型IL-18配列、例えば、米国特許第2019/0070262号の配列番号30と比較して、次の5つの突然変異:(i)M51E、M51R、M51K、M51T、M51D、またはM51N;(ii)K53G、K53S、K53T、またはK53R;(iii)Q56G、Q56R、Q56L、Q56E、Q56A、Q56V、またはQ56K;(iv)D110S、D110N、D110G、D110K、D110H、D110Q、またはD110E;および(v)N111G、N111R、N111S、N111D、N111H、またはN111Yを含むIL-18バリアントポリペプチド配列である。一部の実施形態では、サイトカインは、野生型IL-18配列、例えば、米国特許第2019/0070262号の配列番号30と比較して、P57およびM60の位置において突然変異を更に含むIL-18バリアントポリペプチドである。一部の実施形態では、サイトカインは、野生型IL-18配列、例えば、米国特許第2019/0070262号の配列番号30と比較して、次の7つの突然変異:(i)M51E、M51R、M51K、M51T、M51D、またはM51N;(ii)K53G、K53S、K53T、またはK53R;(iii)Q56G、Q56R、Q56L、Q56E、Q56A、Q56V、またはQ56K;(iv)D110S、D110N、D110G、D110K、D110H、D110Q、またはD110E;(v)N111G、N111R、N111S、N111D、N111H、またはN111Y;(vi)P57A、P57L、P57G、またはP57K;および(vii)M60L、M60R、M60K、またはM600を含むIL-18バリアントポリペプチドである。一部の実施形態では、サイトカインは、米国特許第2019/0070262号で記載されるポリペプチド配列(例えば、配列番号34~59、60~72、73~91、191~193、またはこれらの断片うちの1つ)を含むIL-18バリアントポリペプチド配列である。
【0375】
理論に束縛されることを望むものではないが、IL-18バリアントタンパク質(例えば、デコイ耐性IL-18)は、IL-18結合タンパク質、例えばIL-18BPの存在に起因する、活性の潜在的な減衰を回避することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、IL-18バリアントタンパク質(例えば、デコイ耐性IL-18)はIL-18BPを回避することができ、NK細胞活性を刺激することおよび/またはNK細胞成熟を強化することによる先天的な抗腫瘍免疫を更に促進することができ、MHCクラスI表面発現の損失に起因して標準的な免疫チェックポイント遮断療法(immune checkpoint blockade therapy)(例えば、抗PD-1および抗CLTA-4)に耐性を示す腫瘍に対する抗腫瘍免疫を発揮することができる。
【0376】
エフェクター部分として有用な突然変異体サイトカイン分子は、当技術分野において周知の遺伝的または化学的方法を使用した欠失、置換、挿入または改変によって調製してもよい。遺伝的方法としては、コードDNA配列の部位特異的突然変異誘発、PCR、遺伝子合成などがあり得る。的確なヌクレオチド変化は、例えば、シークエンシングによって検証してもよい。置換または挿入は、天然ならびに非天然アミノ酸残基を伴っていてもよい。アミノ酸改変は、化学的修飾、例えば、グリコシル化部位の付加もしくは除去、または炭水化物の付着などの周知の方法を含む。
【0377】
一実施形態では、サイトカインはGM-CSFである。ある特定の実施形態では、GM-CSFサイトカインは、顆粒球、単球または樹状細胞において増殖および/または分化を誘発することができる。
【0378】
一実施形態では、サイトカインはIFN-αである。ある特定の実施形態では、IFN-αサイトカインは、ウイルス感染細胞におけるウイルス複製の阻害、および主要組織適合性複合体I(MHCI)の発現の上方制御からなる群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。別の特定の実施形態では、IFN-αサイトカインは、腫瘍細胞における増殖を阻害することができる。一実施形態では、サイトカイン、特に単一鎖のサイトカインはIFNγである。ある特定の実施形態では、IFN-γサイトカインは、マクロファージ活性の増加、MHC分子の発現の増加、およびNK細胞活性の増加の群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。
【0379】
一実施形態では、サイトカイン、特に単一鎖のサイトカインはIL-7である。ある特定の実施形態では、IL-7サイトカインは、Tおよび/またはBリンパ球の増殖を誘発することができる。
【0380】
一実施形態では、サイトカインはIL-8である。ある特定の実施形態では、IL-8サイトカインは、好中球における走化性を誘発することができる。一実施形態では、サイトカイン、特に単一鎖のサイトカインはMIP-1αである。ある特定の実施形態では、MIP-1αサイトカインは、単球およびTリンパ球細胞における走化性を誘発することができる。一実施形態では、サイトカインはMIP-1βである。ある特定の実施形態では、MIP-1βサイトカインは、単球およびTリンパ球細胞における走化性を誘発することができる。一実施形態では、サイトカインはTGF-βである。ある特定の実施形態では、TGF-βサイトカインは、単球における走化性、マクロファージにおける走化性、活性化マクロファージにおけるIL-1発現の上方調節、および活性化B細胞におけるIgA発現の上方調節からなる群から選択される細胞性応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。
【0381】
一部の実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルまたは組合せ処置はサイトカインを含む。実施形態では、サイトカインは、サイトカインの全長、断片またはバリアント;サイトカイン受容体ドメイン、例えば、サイトカイン受容体二量体化ドメイン;またはサイトカイン受容体のアゴニスト、例えば、サイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)を含む。
【0382】
一部の実施形態では、サイトカインは、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-7、IL-21、またはインターフェロンガンマ、またはこれらの断片もしくはバリアント、または前述のサイトカインのいずれかの組合せから選択される。サイトカイン分子は、単量体または二量体であってもよい。実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカイン受容体二量体化ドメインを更に含んでいてもよい。
【0383】
他の実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカイン受容体のアゴニスト、例えば、IL-15RaまたはIL-21Rから選択されるサイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)である。
【0384】
他の免疫モジュレート剤としては、これらに限定されるものではないが、がんワクチン、例えばウイルス性がん治療剤、および/または腫瘍抗原、例えば新抗原を含むがんワクチンがある。
【0385】
活性剤製剤
本明細書において開示される少なくとも1つの治療剤は、例えば、制御放出および/または持続放出を達成するように投与するためのさまざまな製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物中に組み込んでもよい。より詳細には、少なくとも1つの治療剤は、適切な薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせることによって、製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物に製剤化してもよく、半固体、固体、または液体のフォーマットの調製物に製剤化してもよい。一部の実施形態では、本明細書において記載される製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、絹フィブロインを含む。例示的な製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、マイクロニードル(例えば、マイクロニードルデバイス、例えば、マイクロニードルパッチ、例えば、本明細書において記載されるようなもの)、埋め込み可能なデバイス(例えば、ポンプ、例えば、皮下ポンプ)、注射可能な製剤、デポ、ゲル(例えば、ヒドロゲル)、埋込体、および粒子(例えば、微小粒子および/またはナノ粒子)を含む。したがって、組成物の投与は、皮内、筋肉内、経皮、皮下、または静脈内投与を含むさまざまな方法で達成してもよい。更に、治療剤の制御放出および/または持続放出を達成するように、製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物を製剤化しておよび/または投与してもよい。
【0386】
一部の実施形態では、治療剤は、1、5、10、15、30、45分の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、10、24時間の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8週の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11カ月の期間または少なくともこれらの期間;1、2、3、4、5年以上の期間または少なくともこれらの期間にわたって、例えば実質的に持続的に投与される。一実施形態では、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せは、制御放出もしくは持続放出の製剤、投薬形態またはデバイスとして投与される。一実施形態では、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せは、バースト放出の製剤、投薬形態またはデバイスとして投与される。ある特定の実施形態では、治療剤は、連続的な送達、例えば、皮内、筋肉内、および/または静脈内の連続的な送達のために製剤化される。一部の実施形態では、治療剤の制御放出または持続放出のための組成物またはデバイスは、マイクロニードル(例えば、マイクロニードルデバイス、例えば、マイクロニードルパッチ)、埋め込み可能なデバイス(例えば、ポンプ、例えば皮下ポンプ)、注射可能な製剤、デポ、ゲル(例えば、ヒドロゲル)、埋込体、または粒子(例えば、微小粒子および/またはナノ粒子)から選択される。一実施形態では、治療剤は、絹フィブロインベースのマイクロニードルの制御放出または徐放投薬形態または製剤(例えば、本明細書において記載されるマイクロニードル)である。一実施形態では、治療剤は、埋め込み可能なデバイス、例えば、ポンプ(例えば、皮下ポンプ)、埋込体、マイクロニードルの埋め込み可能なチップ、またはデポを介して投与される。送達方法は、本明細書において記載される治療剤の用量(例えば、標準的な用量)が、所定の期間(例えば、1、5、10、15、30、45分;1、2、3、4、5、10、24時間;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日;1、2、3、4、5、6、7、8週;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11カ月;1、2、3、4、5年の期間または少なくともこれらの期間以上)にわたって対象において投与および/または維持されるように最適化してもよい。治療剤の実質的な持続放出または徐放は、数時間、数日、数週、数カ月、または数年の期間にわたって、疾患および/または障害、例えばがんを阻止または処置するために使用してもよい。
【0387】
本開示は、一部の実施形態では、対象において、抗原(例えば、腫瘍特異的抗原、例えば新抗原)に対する免疫応答(例えば、細胞性免疫応答および/または体液性免疫応答)をもたらすのに十分な量(例えば、投薬量)でおよび/または期間にわたって、治療剤を制御放出または持続放出するために製剤化および/または構成してもよい製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物を提供する。
【0388】
一部の実施形態では、本開示の製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、対象において、免疫(例えば、がん免疫)をもたらすのに十分な量(例えば、投薬量)でおよび/または期間にわたって少なくとも治療剤を制御放出または持続放出するために製剤化および/または構成してもよい。
【0389】
治療剤を実質的に連続放出または徐放する送達または製剤は、数時間、日、数週、数カ月、または数年の期間にわたって、疾患または障害、例えばがんを阻止または処置するために使用してもよい。
【0390】
一部の実施形態では、本明細書において記載される治療剤は、例えば、本明細書において記載される絹フィブロインマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスを形成する前に、絹フィブロイン溶液に添加してもよい。実施形態では、本明細書において記載される所望の材料特性のいずれかを有するマイクロニードルを製造するために、絹フィブロイン溶液は治療剤と混合し、次いで、例えば、充填および/または鋳造し、乾燥し、および/またはアニーリングするプロセスによる埋め込み可能なマイクロニードルチップの製造において使用してもよい。
【0391】
理論に束縛されるものではないが、マイクロニードルの絹フィブロインチップ、例えば埋め込み可能なチップにおける絹フィブロインの治療剤に対する比率は、これらの放出に影響を与える。一部の実施形態では、チップにおける絹濃度の増加は、チップ内の治療剤の遅延放出および/または優れた保持を助ける。印刷可能な濃度であり、皮膚を貫通するのに十分な機械的強度を有する限りは、いずれの濃度の絹を使用してもよい。
【0392】
一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約1%w/vから約10%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%w/v)の範囲の濃度で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約1%w/vから約30%w/v(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または30%w/v)の範囲の濃度で使用してもよい。
【0393】
一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約0.5μgから約500μgの絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約0.5μgから約5μg、または約1μgから約10μg、または約5μgから約15μg、または約10μgから約20μg、または約15μgから約25μg、または約20μgから約30μg、または約25μgから約35μg、または約30μgから約40μg、または約35μgから約45μg、または約40μgから約50μg、または約45μgから約55μg、または約50μgから約60μg、または約55μgから約65μg、または約60μgから約70μg、または約65μgから約75μg、または約70μgから約80μg、または約75μgから約85μg、または約80μgから約90μg、または約85μgから約95μg、または約90μgから約100μg、または約95μgから約150μg、または約125μgから約175μg、または約150μgから約200μg、または約225μgから約275μg、または約250μgから約300μg、または約325μgから約375μg、または約350μgから約400μg、または約425μgから約475μg、または約450μgから約500μgの絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において少なくとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において最大約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μgの絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約2.42μgから242μgの量で使用してもよい。
【0394】
一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約1重量%から約75重量%、約1重量%から約5重量%、約10重量%から約60重量%、約15重量%から約50重量%、または約20重量%から約40重量%の絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンの量で使用してもよい。一部の実施形態では、絹フィブロインは、本明細書において記載されるマイクロニードルまたはこれらの構成要素の製造において約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75重量%の絹フィブリオンの量で使用してもよい。
【0395】
例示的な賦形剤
更に、製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、皮内、筋内、経皮、皮下、または静脈内経路によって投与されるための一般的な賦形剤、希釈剤または担体を用いて製剤化され得る。一部の実施形態において、製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、例えば、経皮的に投与されてもよく、制御または持続放出投薬量形態等として製剤化され得る。本明細書中に記載される製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、単独で、互いに組み合わせて投与されてもよく、または他の既知の治療剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0396】
本開示における使用に好適な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1985年)に見られる。更に、薬物送達に関する方法の概説について、Langer(1990年)Science 249:1527頁~1533頁を参照のこと。本明細書中に記載される製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、当業者に既知の様式で、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠形成、粉末化(levigating)、乳化、カプセル化、封入(entrapping)または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。下記の方法および賦形剤は、単に例示的であり、決して限定的ではない。
【0397】
本明細書中に記載されるマイクロニードルの製造に使用される絹フィブロイン製剤は、賦形剤を含み得る。ある実施形態において、賦形剤を含むことは、取り込まれた治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはそれらの組合せの安定性を改善する目的、絹マトリクス多孔性および治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはそれらの他の組合せの、製剤、組成物、物品、デバイス、調製物、および/またはマイクロニードル、例えばマイクロニードルチップからの拡散性を高めるため、および/または絹-材料を不溶性にさせるように絹マトリクスの結晶化度/ベータ-シート含有量を高めるためであり得る。
【0398】
例示的な賦形剤として、糖または糖アルコール(例えば、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、またはそれらの組合せ)、二価陽イオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Mn2+、およびCu2+)、界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、および/またはポリエトキシ化アルコール)、ポリオール(例えば、グリセロール)、グリコール(例えば、プロピレングリコール、PEG)および/または緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、賦形剤の濃度は、マトリクスの多孔性を修飾するのに使用することができ、例えば、スクロースは、この目的で最も一般的な賦形剤として使用される。賦形剤はまた、規則的なベータシート二次構造への絹自己集合を支持するように添加されてもよく、かかる賦形剤は概して、絹との水素結合または電荷相互作用に関与して、この効果を達成することができる。規則的なベータシート二次構造への絹自己集合を支持するのに使用され得る賦形剤の非限定的な例として、グルタミン酸ナトリウム(例えば、L-グルタミン酸)、リシン、糖アルコール(例えば、ソルビトールおよび/またはグリセロール)、および溶媒(例えば、DMSO、メタノール、および/またはエタノール)が挙げられる。
【0399】
一部の実施形態において、糖または糖アルコールは、例えば、乾燥直前に、70%(w/v)未満、60%(w/v)未満、50%(w/v)未満、40%(w/v)未満、30%(w/v)未満、20%(w/v)未満、10%(w/v)未満、9%(w/v)未満、8%(w/v)未満、7%(w/v)未満、6%(w/v)未満、または5%(w/v)以下の量で存在するスクロースである。
【0400】
一部の実施形態において、糖または糖アルコールは、例えば、乾燥直前に、約1%(w/v)~約10%(w/v)、約2(w/v)%~約8%(w/v)、約2.2%(w/v)~約6%(w/v)、約2.4%(w/v)~約5.5%(w/v)、約2.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約2.4%(w/v)、約2.5%、または約5%(w/v)の量で存在するスクロースである。
【0401】
一部の実施形態において、糖または糖アルコールは、例えば、乾燥直前に、約1%(w/v)~約10%(w/v)、約2(w/v)%~約8%(w/v)、約2.2%(w/v)~約6%(w/v)、約2.4%(w/v)~約5.5%(w/v)、約2.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約2.4%(w/v)、約2.5%、または約5%(w/v)の量で存在するトレハロースである。
【0402】
一部の実施形態において、糖または糖アルコールは、例えば、乾燥直前に、約1%(w/v)~約10%(w/v)、約2(w/v)%~約8%(w/v)、約2.2%(w/v)~約6%(w/v)、約2.4%(w/v)~約5.5%(w/v)、約2.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約2.4%(w/v)、約2.5%、または約5%(w/v)の量で存在するソルビトールである。
【0403】
一部の実施形態において、糖または糖アルコールは、例えば、乾燥直前に、約1%(w/v)~約10%(w/v)、約2(w/v)%~約8%(w/v)、約2.2%(w/v)~約6%(w/v)、約2.4%(w/v)~約5.5%(w/v)、約2.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約2.4%(w/v)、約2.5%、または約5%(w/v)の量で存在するグリセロールである。
【0404】
一部の実施形態において、界面活性剤(例えば、オクチルフェノールエトキシレート(例えば、Triton-X)、ポリソルベート、ポロキサマー、および/またはポリエトキシ化アルコール)は、例えば、乾燥直前に、約0.005%(w/v)~約1%(w/v)、約1(w/v)%~約10%(w/v)、約2%(w/v)~約8%(w/v)、約2.2%(w/v)~約6%(w/v)、約2.4%(w/v)~約5.5%(w/v)、約2.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約2.4%(w/v)、約2.5%、または約5%(w/v)の量で存在する。
【0405】
一部の実施形態において、ポリオール(例えば、グリセロール)は、例えば、乾燥直前に、約1(w/v)%~約10%(w/v)、約2%(w/v)~約8%(w/v)、約2.2%(w/v)~約6%(w/v)、約2.4%(w/v)~約5.5%(w/v)、約2.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約2.4%(w/v)、約2.5%、または約5%(w/v)の量で存在する。
【0406】
一部の実施形態において、グリコール(例えば、プロピレングリコール、例えば、PEG)は、例えば、乾燥直前に、約1(w/v)%~約10%(w/v)、約2%(w/v)~約8%(w/v)、約2.2%(w/v)~約6%(w/v)、約2.4%(w/v)~約5.5%(w/v)、約2.5%(w/v)~約5%(w/v)、または約2.4%(w/v)、約2.5%、または約5%(w/v)の量で存在する。
【0407】
一部の実施形態において、治療剤調製物は、二価陽イオンを更に含む。一部の実施形態において、二価陽イオンは、Ca2+、Mg2+、Mn2+、およびCu2+からなる群から選択される。一部の実施形態において、二価陽イオンは、例えば、乾燥直前に、0.1mM~100mMの量で調製物中に存在する。一部の実施形態において、二価陽イオンは、例えば、乾燥直前に、治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、ウイルス免疫原、またはそれらの組合せ)の標準的用量当たり10-7モル~10-4モルの量で調製物中に存在する。一部の実施形態において、二価陽イオンは、乾燥の直前に、10-10モル~2×10-3モルの量で調製物中に存在する。
【0408】
一部の実施形態において、治療剤は、ポリ(乳酸-グリコール酸)(PGLA)を更に含む。
一部の実施形態において、治療剤調製物は、例えば、乾燥直前に、緩衝液を更に含む。一部の実施形態において、緩衝液は、pH3~pH8、pH4~pH7.5、またはpH5~pH7の緩衝能を有する。一部の実施形態において、緩衝液は、PBS、HEPES、およびCP緩衝液からなる群から選択される。いくつかの実形態において、緩衝液は、例えば、乾燥の直前に、0.1mM~100mMの量で調製物中に存在する。一部の実施形態では、緩衝液は、治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、ウイルス免疫原、またはそれらの組合せ)の標準的な用量当たり10-7モル~10-4モルの量で存在する。一部の実施形態において、緩衝液は、乾燥の直前に、10-10モル~2×10-3モルの量で存在する。
【0409】
更に、治療剤はまた、デポ、ゲル、またはヒドロゲル調製物として製剤化され得る。かかる長時間作用型製剤は、埋め込みによって(例えば、皮下的にまたは筋内に)、または筋内注射によって投与され得る。したがって、例えば、治療剤は、好適な高分子または疎水性材料(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化され得る。
【0410】
一実施形態において、治療剤は、埋め込み可能な注入デバイス、例えば、ポンプ(例えば、皮下ポンプ)、インプラントまたはデポを介して投与される。埋め込み可能な注入デバイスは通常、注入ポート中隔を穿通する皮下針によって経皮的に充填され得る液体リザーバを含有するハウジングを含む。投薬リザーバは概して、内部流路を介して、患者の身体部位にカテーテルを通じて液体を送達するためのデバイス出口ポートへ連結される。典型的な注入デバイスはまた、液体を、リザーバから、内部流路を通じて、デバイスの出口ポートに移動させるための、コントローラーおよび流体移行メカニズム、例えば、ポンプまたはバルブを含む。
【0411】
一部の実施形態において、治療剤は、粒子として、例えば、微粒子および/またはナノ粒子として、パッケージングおよび/または製剤化され得る。通常、ナノ粒子は、直径10、15、20、25、30、35、45、50、75、100、150もしくは200nm、または200nm~1,000nm、例えば、10、15、20、25、30、35、45、50、75、100、150、もしくは200、または20もしくは30もしくは50~400nmである。より小さな粒子は、系からより迅速に排除される傾向にある。本明細書中に記載される治療剤を含む治療剤は、ナノ粒子内に封入されてもよく、またはナノ粒子に連結されてもよく、例えば、ナノ粒子に共有結合されてもよく、または他の状況ではナノ粒子に接着されてもよい。
【0412】
液体または油ベースのナノ粒子、例えばリポソームおよび固体脂質ナノ粒子を使用して、本明細書中に記載されるような、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはそれらの組合せを送達することができる。治療剤の送達のための固体脂質ナノ粒子が記載されている(例えば、Serpeら(2004年)Eur.J.Pharm.Bioparm.58:673~680頁、およびLuら(2006年)Eur.J.Pharm.Sci.28:86~95頁を参照)。ポリマーベースのナノ粒子、例えば、PLGAベースのナノ粒子を使用して、本明細書中に記載される薬剤を送達することができる。これらは、ポリマーのマトリクス中に挿入された治療剤(ポリマーへの共有結合を有するか、または有さない)を有する生分解性骨格に依存する。PLGAは、高分子ナノ粒子において広く使用されている(例えば、Huら(2009年)J.Control.Release 134:55~61頁;Chengら(2007年)Biomaterials 28:869~876頁、およびChanら(2009年)Biomaterials 30:1627~1634頁を参照)。PEG化PLGAベースのナノ粒子もまた、治療剤を送達するのに使用することができる(例えば、Danhhierら(2009年)J.Control.Release 133:11~17頁、Gryparisら(2007年)Eur.J.Pharm.Biopharm.67:1~8を参照)。金属ベースのナノ粒子、例えば、金ベースのナノ粒子もまた、治療剤を送達するのに使用することができる。タンパク質ベースのナノ粒子、例えば、アルブミンベースのナノ粒子を使用して、本明細書中に記載される治療剤を送達することができる。一部の実施形態において、治療剤は、ヒトアルブミンのナノ粒子に結合され得る。
【0413】
広範囲のナノ粒子が、当該技術分野で既知である。例示的なアプローチとして、国際公開第2010/005726号、同第2010/005723号、同第2010/005721号、同第2008/121949号、同第2010/075072号、同第2010/068866号、同第2010/005740号、同第2006/014626号、米国特許第7,820,788号および同第7,780,984号に記載されるものが挙げられ、それらの内容は、参照により本明細書においてそれらの全体が組み込まれる。
【0414】
投薬量
対象における処置応答(例えば、抗がん応答、例えば、免疫応答)を誘発することができる治療剤のいずれの投薬量(例えば、標準的な用量および/または分割用量)も、本開示のマイクロニードルによって投与される場合、本明細書において記載される方法に従って使用してもよい。
【0415】
理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書において記載されるマイクロニードルによって投与されることになる治療剤の総投薬量(例えば、標準的な用量)は、マイクロニードルチップが、総投薬量の約1%未満(例えば、約121個のマイクロニードルを含むアレイにおいて)、または総投薬量の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、もしくは25%以上を含むことができるように、複数のマイクロニードル間で(例えば、パッチ内で)分割してもよい。
【0416】
一部の実施形態では、マイクロニードルパッチ中にロードされる治療剤の投薬量は、ニードルのチップを形成する製剤化溶液における治療剤の濃度、各ニードルのチップへ分注される溶液の体積、およびニードルの総数を介して操作してもよい。一部の実施形態では、前の2つは用量を変更するというより好都合な手段である。対象中に放出される投薬量は、配置効率(パッチを除去した後に生物学的バリア、例えば皮膚に取り残されるニードルのチップの部分)、また対象内でのチップの経時的放出プロファイルおよび滞留時間と関連する。表皮から皮膚が連続的に痂皮脱落するために、皮膚内での配置の深さは滞留時間の長さと関連する。その結果、ニードルのチップの侵入深さを最大限(皮膚内の疼痛受容体の深さによって定義される限界まで、例えば、約100μmから約600μmの間の深さ)にすること、またニードルのチップに向かって空間的に集中する抗原を有することが望ましい。
【0417】
絹フィブロインチップ製剤を含む本明細書において記載される製剤、組成物、物品、デバイス、および/または調製物は、真皮中でチップを保持する期間にわたって治療剤を放出する、例えば放出を持続するだけではなく、この期間(例えば、少なくとも約1~2週)中の治療剤の安定性も維持するように設計される。一部の実施形態では、例えば、本明細書において記載される製剤、組成物、物品、デバイス、調製物、および/またはマイクロニードルに組み込まれる総投薬量のおよそ95~100%は、例えば、対象中に、例えば対象の組織、例えば、皮膚、腫瘍、粘膜、臓器組織、頬腔、組織、または細胞膜中への送達に利用可能であることを期待してもよい。理論に束縛されるものではないが、皮膚中へのマイクロニードルの配置の成功は、アレイの少なくとも約50%であり、100%にまでなる場合がある(例えば、適用した際に、アレイのマイクロニードルの総数の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%以上(例えば、100%)は、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを制御放出または持続放出するための、例えば皮膚内での配置が成功する)。一部の実施形態では、抗原の一部は、配置の期間中、絹チップから放出されない場合がある。
【0418】
マイクロニードルを製造する方法
本開示のマイクロニードルを製造する例示的な方法を示す概略図を、
図1に示す。個々のニードルキャビティ中への正確なナノリットル(nL)単位の体積の絹フィブロイン溶液のマシンビジョンガイド付きでの分注は、異なる投薬量および製剤が、マイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルアレイまたはパッチ)の放出可能なチップ内に組み込まれるのを可能にする。例示的なマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルアレイまたはパッチ)は、11×11個の円錐状アレイを含む。マイクロニードルデバイスは、所望の結果を達成するためのさまざまな数のキャビティと方向とのアレイに製造されたニードルキャビティを含んでいてもよいことを理解するべきである。
【0419】
モールドの製造
一部の実施形態では、モールドは、マイクロニードルデバイスの製造において使用される。以下でより詳細に議論することになるように、無菌にしたモールドが、治療剤-絹製剤(例えば、抗がん剤-絹製剤、免疫モジュレート剤-絹製剤、抗原-絹製剤、またはこれらの組合せ)を統合する放出可能なチップのアレイを有するマイクロニードルデバイスを生成するために使用される。
【0420】
例えば、シリコーン(DOW Corning Sylgard(登録商標)184)樹脂は、マイクロニードルアレイの意図される外形を有するポジティブマスター(positive master)に対して鋳造してもよい。シリコーンが硬化したら、それをマスターから取り出してもよい。その後、マスターは多数のシリコーン鋳造に再利用してもよい。製造プロセス全体にわたって(例えば、鋳造の間に)、シリコーンモールドは、欠損に関して検査される場合がある。必要に応じて、シリコーンモールドは、例えばオートクレーブ処理によって無菌にしてもよい。一実施形態では、モールドは、モールド体内に形成されたニードルキャビティのアレイを有するモールド体を含む。
【0421】
一部の実施形態では、他のタイプのシリコーンおよび/または他の材料およびプロセスは、モールドを製造するために使用してもよい。例えば、液体シリコーン射出成形および熱可塑性エラストマー射出成形を使用してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、重要な必須要件は、モールド材料が柔軟で可撓性があり(例えば、約50Aのショアー硬度を含む)、絹およびパッチの構築において使用される他の材料との接着性が低いことは理解することができる。
【0422】
チップ充填
水溶液中の絹フィブロイン、治療剤(例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、抗原、またはこれらの組合せ)、および可能性として他の賦形剤からなるチップ製剤は、ナノリットルプリントを介してモールドの各ニードルキャビティに分注される。現在のところ、これは、マシンビジョンガイド付き自動分注システム、例えばBioDot製Biojet Elite(商標)AD3400分注システムを使用して実験室規模で行われるが、他の供給会社によって作製された類似の能力を備えたシステムを用いてもよい。一部の実施形態では、例えば、製剤の乾燥を遅らせるために、および/または分注ノズル上に乾燥固体が蓄積するのを回避するために、チップの充填に使用されるディスペンサー(例えば、BioDot(商標)ディスペンサー)の作業体積は密閉され、高相対湿度(RH)、例えば60%以上のRHで維持される。ある実施形態では、製剤の乾燥を遅らせ、分注ノズル上に乾燥固体が蓄積するのを回避するために、BioDot(商標)ディスペンサーの作業体積は密封され、60%の相対湿度(RH)で維持される。
【0423】
モールドは、BioDot(商標)ディスペンサーの加工プラットフォーム上のその位置に抑える固定具内に配置する。機械はカメラを使用して、各モールドを画像化し、マシンビジョンアルゴリズムで、各モールド中のニードルキャビティのアレイの正確な位置および方向を同定する。この位置を使用して、その後の分注ステップを指示する。充填されたモールドを、充填欠損、例えば正しく整列されていない分注または液体中の大きな気泡に関して実体顕微鏡を使用して検査する。
【0424】
一次乾燥
一部の実施形態では、充填されたモールドは確保して、例えば、所望の周囲湿度を維持する封入器内で乾燥される。ある実施形態では、充填されたモールドは確保して、機械封入器内で約7分間乾燥する。一部の実施形態では、絹フィブロイン溶解度は、乾燥時間を操作することによってモジュレートしてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、乾燥中、絹構造は、更にベータシートへシフトする場合があり、溶解性が低下するように(例えば、不溶性に)なり、この効果は、よりゆっくりと乾燥することによっておよび/または高湿度、例えば約10%から約100%RHまででインキュベートすることによって高めることができる。
【0425】
乾燥後、上記の分注プロセスを繰り返してもよい。一部の実施形態では、モールドをほぼ飽和湿度のチャンバーに移動し、一晩インキュベートして、チップをゆっくりと乾燥する。この間、絹構造は、更にベータシートにシフトし、溶解性が低下するように(例えば、不溶性に)なる(アニーリング)。
【0426】
二次乾燥
一部の実施形態では、モールドを、湿度が約10%から約25%の相対湿度(RH)および室温に制御されたチャンバーに移動し、一晩(約14時間)維持して、乾燥を完了する。これは「二次」乾燥ステップである。
【0427】
水アニーリング
一部の実施形態では、モールド(例えば、乾燥された絹フィブロインチップを含むモールド)を、脱イオン水(DIW)約500mLも含む真空デシケーターに移動する。デシケーターを閉じ、実験室のメインの真空ラインを使用して約5分間真空引きを行う。5分後、デシケーターの出口バルブを閉じ、インキュベーター内に配置し、37℃で4時間維持する。4時間後、デシケーターを排気し、モールドを25%RH、室温のチャンバーに戻す。
【0428】
アニーリング後の乾燥
モールドは、約10%から約25%RHで少なくとも4時間または最大一晩維持してからその後のステップを行ってもよい。
【0429】
ベース層充填
溶解可能なベース層は、本明細書において記載されるベース溶液をモールドに充填することによって形成してもよい。一部の実施形態では、ベース溶液は、DIW中の40%w/v加水分解ゼラチンおよび10%w/vスクロースを含む。一部の実施形態では、ベース溶液は、30%デキストラン70kDa、10%スクロース、1%グリセロール、および0.01%Triton-X100を含む。ベース層は、任意の好適な様式で充填してもよい。例えば最初に、ベース溶液のモールドに好適な体積(例えば、150μL)を、ピペットを用いてモールド全体に均一に広げてもよい。次に、モールドを遠心分離(例えば、3900rpmで最大約2分間)してもよい。モールドは検査されることがあり、いずれかのニードルキャビティが未充填のままである場合、充填、遠心分離のプロセスを繰り返してもよい。モールドは、好適な量のベース溶液(例えば、50μLのベース溶液)で更に「仕上げ」てもよい。一部の実施形態では、遠心分離充填を使用してもよい。一部の実施形態では、ベースは、ビジョンガイド付き液滴分注を使用することによってチップと同じ様式でモールドキャビティ中に充填される。
【0430】
一部の実施形態では、1つを超えるベース層を適用してもよい。例えば、第1のベース層は、上記で概説された方法に従って形成してもよい。次いで、例えば、第1のベース層を乾燥後、プロセスを繰り返して、1つまたは複数の追加のベース層を加えてもよい。1つもしくは複数の追加のベース層を、第1のベース層に使用されるものと同じベース層溶液を使用して適用してもよく、または1つもしくは複数の異なるベース層溶液(例えば、本明細書において記載される1つまたは複数のベース層溶液)を必要に応じて使用してもよい。一部の実施形態では、ベース溶液は融解液体またはスラリーである。一部の実施形態では、ベース層は、(例えば、充填後に)化学反応を使用して固化される。
【0431】
ベースの乾燥
充填されたモールドは、約10%から約25%RHのチャンバーに戻し、少なくとも一晩、最大3日乾燥してもよい。
【0432】
バッキングの適用
治療剤の放出、例えば、制御放出または持続放出を生成し、および/または免疫原性を改善するために使用されるパッチ(例えば、実施例を参照のこと)は、紙のバッキング層を有するが;その後の開発によって、接着プラスチックテープがバッキング層として優れた性能を有する場合があることが示されている。
【0433】
一部の実施形態では、紙バッキングのプロセスは以下のとおりである:乾燥されたベース層を、DIW 10~30μLを、ピペットを用いて表面全体に広げながら部分的に再湿潤させる。Whatman903紙を12mmの直径の円形に打ち抜く。円形の紙を、ベース層の湿潤表面に徐々に押し込む。湿潤ベース層を、紙に部分的に浸す。バッキングを備えたモールドを25%RHチャンバーに戻して、使用するまで少なくとも4時間乾燥する。一部の実施形態では、バッキング(例えば、接着剤を含むバッキング)を光照射によって硬化する。
【0434】
接着テープのプロセス
裏面接着式ポリエステルテープ(例えば、3M(登録商標)magic(商標)テープ)を幅約12mmおよび長さ約25mmの一片にカットする。テープの一端をパッチに合わせ、ベース層の表面上に徐々にプレスする。テープの固定されていない末端をそれ自体の上に折畳んで、非接着「ハンドル」を形成する。
【0435】
離型
パッチをモールドから取り出してから使用する。可撓性モールドを徐々に曲げ、より堅いパッチから離し、パッチをモールドから取り出す。パッチを、欠損、例えばニードルの紛失または破損に関して検査する。
【0436】
包装
上記の研究では、パッチを離型直後に使用し、包装はしなかった。長期の保管が必要な場合、組み立てられたパッチは、水蒸気透過率が低い容器(例えば、ガラスバイアル、または低MVTR材料で作製された熱形成プラスチックトレイおよびホイルで裏打ちされヒートシールされた蓋)中に、パッケージ内部の相対湿度を約0%から約50%の間(例えば、約0%から10%の間、約10%から約20%の間、約20%から約30%の間、約30%から約40%の間、または約40%から50%の間、例えば、約25%)に維持するための乾燥剤とともに包装してもよい。
【0437】
治療的適用
一態様では、本開示は、生物学的バリア(例えば、皮膚層、細胞膜、粘膜表面、口腔、皮膚病変部、腫瘍、または頬腔)を越えて、有効量の治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを送達(例えば、投与)するための方法を提供する。
【0438】
一態様では、本開示は、対象における疾患および/または障害、例えば対象におけるがんおよび/または皮膚状態を処置、阻止、および/または改善するための方法を提供する。一部の実施形態では、送達は、腫瘍内送達によるものである。しかし、一部の実施形態では、マイクロニードルは、腫瘍に近接した位置に適用してもよい(例えば、腫瘍周囲送達)。一部の実施形態では、マイクロニードル投与は、例えば、切除不能な腫瘍のための一次療法としてのものである。一部の実施形態では、マイクロニードル投与は、腫瘍を縮小するための(例えば、主な処置、例えば、腫瘍を切除するための外科手術より前の)ネオアジュバントとしてのものである。一部の実施形態では、マイクロニードル投与は、がん再発のリスクを低下させるための(例えば、腫瘍切除後の)アジュバントとしてのものである。
【0439】
一態様では、本開示は、対象におけるがんを処置する方法に関する。方法は、がんが対象において処置されるように、本開示のマイクロニードルを対象に投与することを含む。本開示のマイクロニードルによって処置可能な例示的ながんは当技術分野において既知であり、本明細書において開示される。
【0440】
一態様では、本開示は、対象における皮膚状態を処置する方法に関する。方法は、がんが対象において処置されるように、本開示のマイクロニードルを対象に投与することを含む。本開示のマイクロニードルによって処置可能な例示的な皮膚状態は当技術分野において既知であり、本明細書において開示される。
【0441】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)を誘発する方法に関する。一部の実施形態では、対象における抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)は、腫瘍体積またはがん体積の減少、腫瘍細胞またはがん細胞の数の減少、転移の数の減少、平均余命の増加、腫瘍細胞の増殖またはがん細胞の増殖の減少、腫瘍細胞の生存またはがん細胞の生存の減少、再燃の阻止、および/またはがん性状態と関連するさまざまな生理学的症状の改善を含む。
【0442】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)を誘発し、それによって、例えばベースライン値と比較して、対象における腫瘍体積またはがん体積に少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上の減少が得られる方法に関する。
【0443】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)を誘発し、それによって、例えばベースライン値と比較して、対象における腫瘍細胞またはがん細胞の数に少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上の減少が得られる方法に関する。
【0444】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)を誘発し、それによって、例えばベースライン値と比較して、対象における転移の数に少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上の減少が得られる方法に関する。
【0445】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)を誘発し、対象の寿命を少なくとも約15、30、60、90、120、180または360日延長する方法に関する。
【0446】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)を誘発し、それによって、例えばベースライン値と比較して、腫瘍細胞の増殖またはがん細胞の増殖に少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上の減少が得られる方法に関する。
【0447】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において抗がん応答および/または免疫応答(例えば、局所および/または全身免疫応答)を誘発し、それによって、例えばベースライン値と比較して、腫瘍細胞の生存またはがん細胞の生存に少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%以上の減少が得られる方法に関する。
【0448】
一態様では、本開示は、腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)の発現と関連する疾患を処置するための方法を提供する。
一態様では、本開示は、腫瘍および/または皮膚病変部、例えば腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)を発現する腫瘍および/または皮膚病変部の成長を阻害する方法に関する。ある特定の実施形態では、処置されることになる腫瘍は、正常細胞に存在しないことがあるがん特異的または腫瘍特異的抗原と関連する場合がある。しかし、理論に束縛されることを望むものではないが、新抗原は、例えば免疫抑制性の腫瘍微小環境(TME)に起因して、対象の免疫系に十分にまたは効率的に提示されない場合がある。一部の実施形態では、本明細書において記載される方法は、対象の免疫系への新抗原の提示を改善し、対象における頑強で長期の免疫応答(例えば、抗がん応答、例えば、がん免疫)の発生を促進することができる。ある特定の実施形態では、本明細書において記載される方法は、最初にマイクロニードルを適用した位置にまたはその付近に腫瘍の除去をもたらす場合があり、また、例えば、新抗原を発現するがん細胞が存在するところであればどこでも、対象の身体内の遠隔部位での腫瘍の除去をもたらす。
【0449】
本開示は、がん(例えば、転移性がん)および/または皮膚状態(例えば、皮膚状態)を処置および/またはこれらに対する免疫応答を誘発するための絹フィブロインベースのマイクロニードルおよび絹フィブロインベースのマイクロニードルデバイスを提供する。一部の実施形態では、本明細書において開示される方法は、対象のがん(例えば、転移性腫瘍)の部位または病変部(例えば、皮膚病変部)に、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを含むマイクロニードルデバイスまたは複数のマイクロニードルを接触させ(例えば、投与し)、それによって、(i)がん関連抗原(例えば、新抗原)を対象の免疫系に放出および/または曝露するための、がん細胞、例えば、腫瘍細胞の溶解;(ii)免疫系細胞(例えば、アクセサリー細胞、例えば、B細胞、樹状細胞など)への、抗原提示細胞(APC)による、主要組織適合性複合体(MHC)と複合体を形成したがん関連抗原(例えば、新抗原)のその表面上での提示;(iii)免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞による、提示されたがん関連抗原(例えば、新抗原)の認識;(iv)対象における提示されたがん関連抗原(例えば、新抗原)に特異的な免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞の活性化および/または拡大;および(v)対象におけるがん関連抗原(例えば、新抗原)を発現している標的細胞の殺傷および/またはその成長もしくは増殖の阻害を促進する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞および/またはNK細胞の免疫応答の強化、例えば、刺激または上方制御のうちの1つまたは複数をもたらすことを含む。
【0450】
一態様では、本開示は、対象の免疫系に腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)を放出および/または曝露して、抗がん応答および/または免疫応答を誘発する方法に関する。
一態様では、本開示は、対象におけるがん免疫を誘発する方法であって、必要に応じて、がん免疫が腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)に対するものである方法に関する。
【0451】
本明細書において記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、マイクロニードルの投与によって、マイクロニードル(例えば、抗がん剤、および免疫モジュレート剤、および/またはこれらの組合せを含むマイクロニードル)で処置された結果として腫瘍から露出したおよび/または放出された腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)に応答した免疫細胞の活性化が得られる。更に、活性化免疫細胞が、腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)を発現しているがん細胞を標的化し、その結果、がんの成長および/または増殖を阻害する。必要に応じて、標的化されたがん細胞は、マイクロニードル投与の部位にまたはその付近に存在する。必要に応じて、標的化されたがん細胞は遠位部位に位置する。
【0452】
一態様では、本開示は、対象における抗がん応答を誘発する方法に関する。一部の実施形態では、方法は、例えば、腫瘍特異的抗原(例えば、新抗原)発現と関連する疾患に対する免疫応答が誘発されるように、本開示のマイクロニードルを対象に投与することを含む。本明細書において記載される方法のいずれかのさまざまな態様では、免疫(例えば、がん免疫)は、マイクロニードルの投与後、ある一定の期間にわたって対象において持続する。例えば、免疫(例えば、がん免疫)は、対象へマイクロニードルを投与後、約1週、約2週、約3週、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約13カ月、約14カ月、約15カ月、約16カ月、約17カ月、約18カ月、約19カ月、約20カ月、約21カ月、約22カ月、約23月、約2年、約3年、約4年、または約5年の間対象において持続する場合がある。
【0453】
一態様では、例えば、腫瘍に対する免疫応答を誘発するように、および/または切除後に取り残されたいずれのがん細胞も除去するように、腫瘍を切除した後に腫瘍の位置に有効量の治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを送達(例えば、投与)するための方法が本明細書において提供される。
【0454】
一態様では、例えば、腫瘍に対する免疫応答を誘発するように、および/または切除後に取り残されたいずれのがん細胞も除去するように、腫瘍を切除する前に腫瘍の位置に有効量の治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを送達(例えば、投与)するための方法が本明細書において提供される。
【0455】
そのような方法は、治療剤、例えば、本明細書において記載される抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを含むマイクロニードルを提供することを含んでいてもよい。例えば、そのような方法は、本明細書において記載される少なくとも1つのマイクロニードルまたは少なくとも1つのマイクロニードルデバイスを提供することを含んでいてもよく、マイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスは、治療剤、例えば、抗がん剤、免疫モジュレート剤、またはこれらの組合せを有する絹フィブロインベースのチップを含み;生物学的バリア(例えば、皮膚、例えば、腫瘍)中にマイクロニードルまたはマイクロニードルデバイスを侵入させ;ある一定の期間、例えば、少なくとも約1日(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日以上、例えば、約4日から約14日の間、例えば、約1~2週の間、約1~3週、または約1~4週、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11カ月、例えば、1、2、3、4、5年以上)にわたって絹フィブロインチップから有効量の治療剤を放出させる。
【0456】
組合せ療法
本明細書において開示されるマイクロニードルは、第2の治療剤または手順と組み合わせて使用してもよい。
【0457】
実施形態では、本明細書において開示されるマイクロニードルおよび第2の治療剤または手順は、対象ががんを呈すると診断された後、例えばがんが対象から消失される前に投与される/行われる。実施形態では、マイクロニードルおよび第2の治療剤または手順は、付随してまたは同時に投与される/行われる。例えば、一方の処置の送達は、第2の送達を開始した場合、いまだに発生しており、例えば処置の投与に重複がある。他の実施形態では、マイクロニードルおよび第2の治療剤または手順は、連続的に投与される/行われる。例えば、一方の処置の送達が停止してから、他の処置の送達を開始する。
【0458】
実施形態では、組合せ療法は、いずれかの薬剤を単独で用いた単独療法よりも効果的な処置につながる場合がある。実施形態では、第1および第2の処置の組合せは、第1のまたは第2の単独の処置よりも効果的である(例えば、症状および/またはがん細胞の大幅な減少につながる)。実施形態では、組合せ療法は、単独療法として投与した場合に同様の効果を達成するのに通常必要とされる第1のまたは第2の処置の用量と比較して低い第1のまたは第2の処置の用量の使用を可能にする。実施形態では、組合せ療法は、部分的相加効果、完全な相加効果、または相加効果を超える効果を有する。
【0459】
一実施形態では、マイクロニードル分子は、治療法、例えばがん療法(例えば、抗がん剤、免疫療法、光線力学的療法(PDT)、外科手術および/または放射線のうちの1つまたは複数)と組み合わせて投与される。「化学療法」、「化学療法剤」、および「抗がん剤」という用語は本明細書において区別せずに使用される。マイクロニードルおよび治療法、例えばがん療法の投与は、連続的であっても(重複の有無にかかわらず)付随していてもよい。マイクロニードルの投与は、治療(例えば、がん療法の)過程の間連続的であっても間欠的であってもよい。本明細書において記載されるある特定の治療法は、がんおよび非がん性疾患を処置するために使用してもよい。例えば、治療剤の有効性は、本明細書において記載される方法および組成物を使用してがん性および非がん性状態において強化してもよい。
【0460】
患者の選択
本明細書において開示される対象を処置する方法、または使用するための組成物のいずれかの一部の実施形態では、対象は、障害、例えばがんを有する。
【0461】
「がん」は、本明細書において使用される場合、全てのタイプの腫瘍形成プロセスおよび/またはがんの成長を包含する場合がある。実施形態では、がんは、原発性腫瘍ならびに転移性組織、または悪性形質転換細胞、組織、または器官を含む。実施形態では、がんは、全ての組織病理およびステージ、例えば、がんの侵襲性/重症度のステージを包含する。実施形態では、がんは、再燃性および/または耐性がんを含む。「がん」および「腫瘍」という用語は区別せずに使用してもよい。例えば、両方の用語が固体および液体腫瘍を包含する。本明細書において使用される場合、「がん」または「腫瘍」という用語は、前がん、ならびに悪性のがんおよび腫瘍を含む。さまざまながんの例は本明細書において記載され、これらに限定されるものではないが、肛門がん;基底細胞癌;膀胱がん;骨がん;脳腫瘍;乳がん;子宮頸がん;結腸直腸がん;子宮内膜がん;食道がん;胃腸がん(例えば、消化管間質腫瘍);妊娠性絨毛性疾患;頭頚部がん;ホジキンリンパ腫;カポジ肉腫;腎臓(腎細胞)がん;白血病;肝臓がん;肺がん;悪性中皮腫;黒色腫;メルケル細胞癌;多中心性キャッスルマン疾患;多発性骨髄腫および他の形質細胞新生物;骨髄増殖性新生物;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;卵巣、卵管、または原発性腹膜がん;膵臓がん;陰茎がん;褐色細胞腫および傍神経節腫;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;皮膚がん;扁平上皮細胞癌;軟部組織肉腫;身体におけるいずれかの固形腫瘍;胃(stomach)(胃(gastric))がん;精巣がん;甲状腺がん;膣がん;外陰がん;およびウィルムス腫瘍および他の小児腎臓がん;などを含む。
【0462】
一部の実施形態では、がんは黒色腫である。一部の実施形態では、がんは基底細胞癌である。一部の実施形態では、がんは扁平上皮細胞癌である。一部の実施形態では、がんはメルケル細胞癌である。一部の実施形態では、がんは乳がんである。
【0463】
本明細書において開示される対象を処置する方法、または使用するための組成物のいずれかの一部の実施形態では、対象は皮膚状態を有する。さまざまな皮膚状態の例は本明細書において記載され、これらに限定されるものではないが、光線角化症(AK)、悪性黒子、白板症、およびボーエン疾患を含む。
【0464】
例示的なキット
ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書中に記載されるマイクロニードルを含むパッケージまたはキットに関する。一部の実施形態において、本開示は、本明細書中に記載される治療剤を含むパッケージまたはキットに関する。一部の実施形態において、キットは、マイクロニードルを用いた併用療法のための更なる治療薬を更に含み得る。一部の実施形態において、キットは、消毒薬(例えば、アルコール消毒綿)を更に含み得る。一部の実施形態において、キットは、使用説明書(例えば、本明細書中に記載されるマイクロニードルデバイスの適用または投与に有用な使用説明書)を更に含み得る。一部の実施形態において、本明細書中に記載されるかかるパッケージ、およびキットは、例えば、本明細書中に記載されるように、対象において広域スペクトル免疫性を達成するように、ワクチン接種目的に使用することができる。一部の実施形態において、本明細書中に記載されるかかるパッケージ、およびキットは、例えば、本明細書中に記載されるように、対象においてがんを処置または防止するように、がん処置または防止目的に使用することができる。
【0465】
ワクチン
本明細書中に記載されるマイクロニードルおよび方法はまた、それを必要とする対象へのワクチンの送達において使用され得る。ワクチン送達に関して、本開示は、少なくとも幾分、本明細書中に記載されるようなワクチン、例えば、インフルエンザワクチン等のウイルスワクチンを含む、制御および/または持続放出組成物ならびにデバイス(例えば、マイクロニードル、例えば、絹ベースのマイクロニードル、およびマイクロニードルデバイス)を介して、抗原提示の動態を調節することにより、例えば、ワクチンの単回用量の投与またはボーラス投与と比較した場合に、対象においてより強力な、および/または持続性の免疫応答(例えば、より強力な、および/または持続性の細胞性免疫応答および液性免疫応答)が駆動され得るという発見に基づいている。一部の実施形態において、本明細書中に開示されるようなワクチンの制御または持続放出を使用して、対象において広域スペクトル免疫性を達成することができる。
【0466】
一部の実施形態において、本明細書中に記載されるマイクロニードルおよびマイクロニードルデバイスは、少なくとも約1~2週間(例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間)のワクチン(例えば、インフルエンザワクチン)の制御または持続放出を実証しており、これは、改善された免疫原性、増強された免疫応答、および/または広域スペクトル免疫性の1つまたは複数をもたらす。
【0467】
ある特定の実施形態において、本開示のマイクロニードルは、本明細書中に記載されるようなワクチン、抗原、および/または免疫原(例えば、インフルエンザワクチン)の制御または持続放出を達成するように構成され得る。理論によって拘束されるのを望まないが、ワクチンを含む本明細書中に開示されるマイクロニードルの投与は、対象において、ウイルスに対する広域スペクトル免疫性の発生を誘発し得る。
【0468】
本明細書中に記載されるマイクロニードルおよびマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)における使用のためのワクチンの非限定的な例として、季節性ワクチン、流行性ワクチン、および/または万能ワクチン等の市販ワクチン;卵ベースのワクチン、細胞培養ベースのワクチン;組換えワクチン;生弱毒、不活化全ウイルス、スプリットビリオン、および/またはタンパク質サブユニットワクチン;およびアジュバント添加(adjuvanted)ワクチンが挙げられ得る。
【0469】
本明細書中で使用される場合、「ウイルス」という用語は、タンパク質においてキャプシド形成された核酸で構成される感染性因子を指す。かかる感染性因子は、自己複製が不可能である(即ち、複製は、宿主細胞の機構の使用を要する)。ウイルスゲノムは、一本鎖(ss)もしくは二本鎖(ds)のRNAまたはDNAであってもよく、逆転写酵素(RT)を使用し得るか、または使用し得ない。更に、ssRNAウイルスは、センス(+)またはアンチセンス(-)のいずれかであり得る。例示的なウイルスとして、dsDNAウイルス(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス)、ssDNAウイルス(例えば、パルボウイルス)、dsRNAウイルス(例えば、レオウイルス)、(+)ssRNAウイルス(例えば、ピコルナウイルス、トガウイルス)、(-)ssRNAウイルス(例えば、オルソミクソウイルス、ラブドウイルス)、ssRNA-RTウイルス、即ち、生活環においてDNA中間体を有する(+)センスRNA(例えば、レトロウイルス)、およびdsDNA-RTウイルス(例えば、ヘパドナウイルス)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、ウイルスはまた、野生型(天然)ウイルス、死滅ウイルス、生弱毒ウイルス、改変ウイルス、組換えウイルスまたはそれらの任意の組合せを包含し得る。例示的なレトロウイルスとして、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が挙げられる。ウイルスの他の例として、エンベロープを持ったウイルス(enveloped viruses)、呼吸器合胞体ウイルス、エンベロープを持たないウイルス(non-enveloped viruses)(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV))、バクテリオファージ、組換えウイルス、およびウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。「バクテリオファージ」という用語は、本明細書中で使用される場合、細菌を感染するウイルスを指す。
【0470】
例として、本開示のマイクロニードルに取り込まれ得る各種市販インフルエンザウイルスを以下に列挙する。更に、mRNA、DNA、ウイルスベクター、および/またはウイルス様粒子(VLP)を含むインフルエンザワクチンは、本明細書中に記載されるマイクロニードルおよびマイクロニードルデバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)における使用に好適である。一部の実施形態において、インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスの基質タンパク質1、基質タンパク質2(M2e)、および/または核タンパク質(NP)を標的とし得る。
【0471】
【実施例】
【0472】
本開示は、下記の実験的実施例を参照して、更に詳細に記載される。これらの実施例は、単に説明の目的で提供されるものであり、別記されない限りは限定的であると意図されない。したがって、本開示は、下記の実施例に限定されると解釈されるべきではなく、それどころか、本明細書中で提供される教示の結果として明白となる、ありとあらゆる変化形態を包含すると解釈されるべきである。
【0473】
実施例1.固形腫瘍/がんの処置のための抗がん剤および免疫モジュレート剤の絹ベースのマイクロニードル投与の有効性のin vivo評価
マウス黒色腫のin vivoモデルを使用して、多重治療剤(例えば、サイトカイン、チェックポイント阻害剤、化学療法薬、抗がん剤をコードするmRNAまたは2つ、3つ、もしくは4つ全ての組合せ)の持続放出の、腫瘍微小環境を制御する、それらの能力における有効性を評価することができる。これらの実験で使用されるモデルが黒色腫であると、このプラットフォームは、固形がんを含む他のがんにおいて、より広範に使用されると予想される。
【0474】
マウス黒色腫細胞(B16-F10)は、マウス(C57B1/6)の側腹部(右側)に注射されるべきであり、腫瘍が、形成され得る。薬剤は、腫瘍内に、または腫瘍周囲に(即ち、皮内に、または皮下に)、下記のいずれかとして投与される:
1.単回ボーラス、
2.時間枠にわたって付与される総用量が、単回ボーラスに等しい一連の分割注射。これらの注射は、毎日または1日おきに付与され得る。
【0475】
3.1つまたは複数の治療剤を用いて製剤化された絹マイクロニードルパッチ。
これらの実験において検討されるべき治療剤(即ち、単剤として、および組合せで)として、下記が挙げられ得るが、これらに限定されない:
・抗がん剤、例えば、:
○化学療法剤:ゲムシタビン、ドキソルビシン、オキサリプラチン、ダカルバジン、テモゾロミド
○標的療法:ベムラフェニブ、タブラフェニブ、トラメチニブ
○その他:抗がん剤をコードするmRNA
・免疫モジュレート剤、例えば、:
○サイトカイン:IL-2、IL-12、IL-15、GM-CSF
○免疫モジュレート剤:CpG、c-ジ-GMP
○チェックポイント阻害剤:抗PD1、抗PD-L1、抗CTLA4
○その他:サイトカインをコードするmRNAおよび他の免疫調節分子
持続放出(毎日の注射または絹マイクロニードル)の持続期間は、調査および最適化される(およそ2日~28日)。更に、持続放出の多重サイクルは、腫瘍排除に最適であると考えられる。このことを検査するために、薬剤は、単回ボーラスまたは持続放出(毎日の注射または絹マイクロニードル)のいずれかを介して、およそ2日~28日にかけて投与される。一定期間(およそ5日~14日)の間、動物には処置を付与せず、続いて、第1のラウンドと同一の第2のラウンドで薬剤を付与する。
【0476】
腫瘍成長は、週に2回~3回測定される。人道的エンドポイントに達したら、動物は安楽死させる。これらのエンドポイントとして、15%を超える体重減少、1未満のボディコンディションスコア、1cm3を超える腫瘍体積、1.5cmを超える腫瘍長(最長の寸法として定義される)、または腫瘍潰瘍化/壊死が挙げられる。これらの人道的エンドポイントは、黒色腫モデルを使用した全てのin vivo実験に適用される。
【0477】
治療剤の持続放出は、腫瘍成長の阻害(従来の単回ボーラス注射と比較して)または腫瘍の総排除を引き起こし得る。これらの実験は、最適な投薬動態、タイミング、投与経路を同定する。重要なことには、腫瘍成長に対して影響がある薬剤または薬剤の組合せをダウンセレクトおよび同定することが目的である。アブスコパル抗体およびメモリー応答を増強する、これらの薬剤の能力が検査される(以下に詳述される実験)。
【0478】
B16-F10マウスにおけるIL-2またはゲムシタビンの腫瘍内投与
上記で概要される方法に従って、毎日の腫瘍内投与を、B16-F10マウス黒色腫腫瘍モデルを使用して、IL-2またはゲムシタビンを用いて、単回腫瘍内ボーラス用量と比較した。この研究に関して、7日目および21日目のボーラス投与、ならびに7日目~11日目および21日目~25日目の毎日の投与を含む、2つのサイクルの処置を実施した(
図6Aを参照)。0日目に、マウスを、B16-F10細胞の皮下投与によって接種した。4日目および9日目に、マウスに、腹腔内注射によって抗PD1 mAbの用量(用量1回当たり100μg)を投与した。データは、1群当たり15匹のマウスを用いた2つの実験からプールされた。
【0479】
第1のサイクル:7日目に、「単回ボーラス用量」群におけるマウスに、単回ボーラス用量のIL-2(5μg)またはゲムシタビン(475μg)を付与した。「1日用量」群におけるマウスに、1日用量(腫瘍内)のIL-2(1μg)またはゲムシタビン(95μg)を7日目~11日目にかけて(5回の総用量)を付与した。各1日用量は、単回ボーラス用量のおよそ1/5に等しい分割用量であった。
【0480】
第2のサイクル:21日目に、「単回ボーラス用量」群におけるマウスに、単回ボーラス用量のIL-2(5μg)またはゲムシタビン(475μg)を付与した。「1日用量」群におけるマウスに、1日用量(腫瘍内)のIL-2(1μg)またはゲムシタビン(95μg)を21日目~25日目にかけて(5回の総用量)を付与した。各1日用量は、単回ボーラス用量のおよそ1/5に等しい分割用量であった。
【0481】
1日用量のIL-2を付与したB16-F10マウスは、経時的な腫瘍体積によって決定されるように、ボーラス用量を付与した対応マウスと比較して、より低い腫瘍組織量を有した(
図6Bを参照;平均値+SEM)。1日用量のIL-2を付与したマウスはまた、
図6Cに示されるカプラン・マイヤー曲線によって実証されるように、ボーラス用量のIL-2を付与したマウスよりも良好な生存を有した。
【0482】
同様に、1日腫瘍内用量のゲムシタビンで処置したB16-F10マウスは、経時的な腫瘍体積によって決定されるように、ボーラスゲムシタビンを付与した同等のマウスと比較して、より低い腫瘍組織量を示した。(
図6Dを参照;平均値+SEM)。1日腫瘍内ゲムシタビンを付与したマウスは、
図6Eに提供されるカプラン・マイヤー曲線によって示されるように、ボーラス群と比較して、より高い生存を有した。
【0483】
CT26マウスにおけるゲムシタビンの腫瘍内投与
単回腫瘍内ボーラス用量と比較した毎日の腫瘍内投与を、マウスCT26結腸癌腫モデルにおいて、ゲムシタビンを使用して更に検討した(
図7A~
図7Bを参照)。0日目に、マウスを、CT26細胞の皮下投与によって接種した。4日目および9日目に、マウスに、腹腔内注射によって抗PD1 mAbの用量(用量1回当たり100μg)を投与した。データは、1群当たり10匹のマウスを用いた2つの実験からプールされた。
【0484】
「単回ボーラス用量」群におけるCT26マウスに、7日目に単回ボーラス用量のゲムシタビン(475μg)(腫瘍内)を、また4回用量の生理食塩水(腫瘍内)を次の4日間付与した(
図7A)。「1日用量」群におけるCT26マウスに、1日用量のゲムシタビン(95μg)(腫瘍内)を7日目~11日目にかけて(5回の総用量)を付与した(
図7B)。各1日用量は、単回ボーラス用量のおよそ1/5に等しい分割用量であった。経時的な腫瘍体積の分析により、1日用量群におけるマウスは、単回ボーラス群と比較して、より低い腫瘍組織量を有することが明らかとなった(
図7Cを参照)。1日用量群におけるマウスの生存性全体もまた、
図7Dに提供されるカプラン・マイヤー曲線から明らかであるように、ボーラス用量群よりも高かった。
【0485】
実施例2.遠位腫瘍におけるアブスコパル効果のin vivo評価
腫瘍の局所処置が、遠位腫瘍の更なる成長を阻害し得るか、または遠位腫瘍の排除を促進し得る現象であるアブスコパル効果を、持続放出が生み出すかどうかを決定するために、腫瘍は、B16-F10黒色腫細胞を使用して、マウスの両側腹部(右側および左側)に誘発される。腫瘍が発達したら、薬剤(複数可)は、下記として右の腫瘍に投与される:
1.単回ボーラス
2.一連の分割用量注射
3.薬剤(複数可)を用いて製剤化された絹マイクロニードルパッチ。
【0486】
両方の腫瘍の成長は、経時的に、1週間に2回~3回測定される。ヒトエンドポイントに達したら、動物は安楽死させる。薬剤(複数可)の持続放出が、アブスコパル効果を促進する場合、左の(未処置)腫瘍は、単回ボーラス処置動物の腫瘍よりも有意に小さいはずである。
【0487】
実施例3.将来の腫瘍の拒絶を引き起こすメモリー応答を確立させる能力のin vivo評価
優れた免疫学的メモリー応答が、原発腫瘍処置時に確立されるかどうかを決定するために、腫瘍は、B16-F10黒色腫細胞を使用して、マウスの単一側腹部(右側)に誘発される。薬剤(複数可)は、下記として投与される:
1.単回ボーラス
2.一連の分割用量注射
3.薬剤(複数可)を用いて製剤化された絹マイクロニードルパッチ。
【0488】
腫瘍サイズは、経時的に測定される。長期間(およそ60日~90日)後、細胞を、初期腫瘍の側腹部とは反対側の側腹部(左)に注射する。新たな腫瘍のサイズは、経時的に追跡される。薬剤(複数可)の持続放出が、抗がんメモリー応答を増強する場合、新たな腫瘍は、成長することができないはずであるか、または従来処置された動物の体積よりも、体積が有意に小さいはずである。
【0489】
実施例4.サイトカイン/化学療法剤/チェックポイント阻害剤の持続放出のin vivo評価
タンパク質ベースの薬剤(例えば、サイトカイン、抗チェックポイント抗体)に関して、薬剤は、フルオロフォアで標識される。薬剤の組合せが使用される場合、薬剤は、種々のフルオロフォアで標識される。腫瘍は、これまでに記載されるように、B16-F10モデルを使用して、マウスにおいて誘発される。処置は、下記を介して、腫瘍内に、または腫瘍周囲に投与される:
1.単回ボーラス
2.薬剤(複数可)を用いて製剤化された絹マイクロニードルパッチ。
【0490】
薬剤放出の持続期間は、In Vivo Imaging System(IVIS)を使用して可視化される。ボーラスを介して投与された薬剤は、腫瘍から迅速に排除されるのに対して、絹マイクロニードルからの薬剤は、長時間(数日~数週間)、腫瘍内に存在するはずである。
【0491】
化学療法薬は概して、かさ高いフルオロフォアで標識することができない小分子である。IVISを使用して、これらの製剤の持続放出を決定するために、溶解度、サイズ、および電荷が、可視化され得る薬剤(複数可)に類似している代替分子(例えば、ローダミンB、クマリン6)を、これまでに記載されるように腫瘍に投与する。
【0492】
実施例5.黒色腫の処置に関するサイトカインの絹ベースのマイクロニードル投与の有効性のin vitro評価
絹ベースのマイクロニードルのサイトカインカーゴが放出されて、生物学的に機能性であることを決定するために、一連のin vitroアッセイが使用される。
【0493】
全てのサイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、IL-15、GM-CSF)に関して、市販の酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を使用して、マイクロニードルから放出されるサイトカインの量を決定する。
【0494】
生物機能が保存されるかどうかを評価するために、細胞系に基づくアッセイが用いられる。サイトカインを選択するために、その成長がこれらのサイトカインに依存している細胞系が利用可能である(例えば、CTLL-2、HT-2)。細胞の増殖は、テトラゾリウム塩(例えば、WST-1、MTT、またはMTS)を使用して、数日(2日~5日)かけて測定される。
【0495】
IL-12機能は、マウス脾細胞によるIFNγの産生を介して測定され得る。続いて、IFNγは、ELISAを使用して測定される。
ほとんどのサイトカインの生物機能は、用量依存的様式で測定可能なタンパク質(比色分析、発光分析または蛍光)を産生するように遺伝子操作されている市販のレポーター細胞系を使用して決定することができる。
【0496】
これらの実験全てにおいて、マイクロニードルから放出される機能性サイトカインの濃度は、細胞の読み取りを、標準曲線と比較することによって算出される。これらのアッセイそれぞれに対する、絹自体の効果は、精製した絹を用いて、および精製した絹を用いずに、これらのアッセイを実施することによって評価される(マイクロニードルが製剤化される範囲内の濃度で)。
【0497】
乾燥絹組成物におけるIL-2の安定性
絹フォーマットにおいて経時的なインターロイキン2(IL-2)の安定性を検討するために、絹膜を、2%絹および10ng/mLのIL-2を使用して生成し、PDMS上で風乾させた。次に、膜を、4℃、室温、または37℃で、14日間維持した。続いて、膜を、完全細胞培養培地中で再構成した後、生物機能性IL-2の存在下のみでアルカリホスファターゼを分泌するHEK-Blue IL-12(Invitrogen社)細胞に添加した。続いて、アルカリホスファターゼの放出を、24時間後に測定して、その結果を、
図8に提供する。
図8は、ある特定量の変化形態を有し得る細胞に基づくアッセイを表す。回収を算出するのに使用される標準曲線には、より高い回収値に関する要因としてのアッセイ変化変形を排除するために絹が含まれた。全体として、これらの結果により、IL-2の安定性および活性は、乾燥絹組成物において経時的に維持されることが実証される。
【0498】
実施例6.黒色腫の処置に関する絹製剤化小分子化学療法の有効性のin vitro評価
腫瘍細胞生存率を、5日間かけて測定し、単回用量の化学療法用小分子の有効な持続期間をin vitroで評価した。処置は、小分子化学療法(例えば、ゲムシタビン、ドキソルビシン、オキサリプラチン)を、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ディスク上への製剤化を伴って、または伴わずに流し込むことによって調製された。処置は、10%相対湿度で4時間乾燥させた後、マイクロチューブに移した。黒色腫細胞(例えば、B16-F10)を、10,000個の細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播種して、インキュベートした。24時間後、新鮮な培地を使用して、処置フィルムを再構成して、24ウェルプレート中の培地を交換するのに使用する。細胞生存率は、テトラゾリウム塩アッセイを介して毎日測定される。細胞生存率に対する製剤の効果を評価するために、処置群は、未処置の対照(生理食塩水)、製剤のみの群(小分子なし)、製剤を伴わない小分子、および製剤の存在下で乾燥された小分子を含む。細胞生存率アッセイの結果により、絹において製剤化された化学療法剤は、細胞傷害性機能性を維持することが示されると予想される。
【0499】
均等体
本開示は、それらの好ましい実施形態を参照して、詳細に示され、記載されてきたが、形態および詳細におけるさまざまな変更が、併記の特許請求の範囲によって規定されるような本開示の主旨および範囲を逸脱することなく、本開示において成され得ることは、当業者に理解されよう。当業者であれば、日常的な実験のみを使用して、本明細書中で具体的に記載される本開示の特定の実施形態に対する多くの均等体を認識するかまたは確認できるであろう。かかる均等体は、併記の特許請求の範囲内に包含されると意図される。
【国際調査報告】