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特表2022-551940統合された電子構造及び当該構造のコンポーネント間のデータ通信
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】統合された電子構造及び当該構造のコンポーネント間のデータ通信
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20221207BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L25/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521992
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 IL2020051094
(87)【国際公開番号】W WO2021074916
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/914,713
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522145199
【氏名又は名称】ゼロ イーシー ソシエテアノニム
【氏名又は名称原語表記】ZERO EC SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ハラミ,エレズ
(57)【要約】
電子チップ間の通信のための電子アセンブリが提供される。電子アセンブリは、少なくとも2つの電子チップを含む少なくとも1つの基本ブロックを担持する機械的支持体を含む。電子チップのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの他の電子チップへのデータ通信のための少なくとも1つの他の電子チップに関してデータ信号チップとして構成され、少なくとも1つの他の電子チップは、データ信号チップに関してデータ受信チップとして構成される。データ信号チップとデータ受信チップは、それぞれそれらの表面によって互いに向き合っており、間隔を置いて配置され、少なくとも1つのインタフェース領域を一緒に規定する。データ信号チップから少なくとも1つのデータ受信チップへのデータ通信は、前記インタフェース領域内のチップの前記間隔を置いた面間のギャップを介した自由空間伝播における電荷キャリアの少なくとも1つのフラックスの形態であり、基本ブロックの少なくとも1つの電子チップの動作状態に応じて、少なくとも1つのデータ受信チップを選択的に動作させる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に通信用電子チップの少なくとも1つの基本ブロックを担持する機械的支持体を含む電子アセンブリであって、
前記基本ブロックは、少なくとも2つの電子チップを含み、
前記少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つが、前記少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つの他のチップへのデータ通信のために、前記少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つの他のチップに対して、データ信号チップとして構成され、
前記少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つの他のチップが、前記データ信号チップに対してデータ受信チップとして構成され、
前記データ信号チップと前記データ受信チップは、それぞれ、間隔を置いて配置されて少なくとも1つのインタフェース領域を共に規定するこれらのチップの表面によって互いに対向し、
前記データ信号チップから少なくとも1つの前記データ受信チップへの前記データ通信は、前記インタフェース領域における前記間隔を置いた前記これらのチップの表面間のギャップを介した自由空間伝播における電荷キャリアの少なくとも1つのフラックスの形態であり、前記基本ブロックの前記電子チップの少なくとも1つの動作状態に応じて、前記少なくとも1つのデータ受信チップを選択的に動作させることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子アセンブリにおいて、
電荷キャリアのフラックスは、前記少なくとも1つのインタフェース領域内の少なくとも1つの受信チップに通信されるデータに従ってデータ変調されることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子アセンブリにおいて、
データ変調信号の異なるプロファイルが、前記基本ブロックの前記電子チップの少なくとも1つにおける異なる動作状態にそれぞれ対応することを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、前記基本ブロックが、
前記電荷キャリアの電荷エミッタとして構成され動作可能な少なくとも1つの電荷キャリア源と、
それぞれの前記受信チップを動作させるために電荷キャリアのフラックスを受信するように構成され動作可能な少なくとも1つの受信信号通信ポートと、
を含むことを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の電子アセンブリにおいて、
前記基本ブロックは、前記ギャップによって離間された前記表面によって互いに対向する一対の前記電子チップであって、少なくとも1つの第1のタイプのインタフェース領域を規定する一対の前記電子チップを含み、
前記第1のタイプのインタフェース領域は、前記一対の電子チップの一方が前記データ信号チップとして構成され、前記一対の電子チップの他方が、前記第1のタイプのインタフェース領域における前記第1の電子チップと第2の電子チップとの間のデータ通信のための前記データ受信チップとして構成されるように、構成されることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載の電子アセンブリにおいて、
前記第1のタイプのインタフェース領域は、前記電子チップの1つに配置された電荷キャリア源であって、前記信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続されて電荷キャリアの前記フラックスを生成し、前記電荷キャリア源と少なくとも部分的に整合した他の前記電子チップ上のデータ受信信号通信ポートに向けて前記ギャップを介して伝播させる電荷キャリア源を含むことを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項7】
請求項6記載の電子アセンブリにおいて、
前記第1のタイプのインタフェース領域の前記データ受信信号通信ポートは、通常、前記第1のタイプのインタフェース領域の前記データ受信信号通信ポートへの電荷キャリアの到達が前記第1のタイプのインタフェース領域の放電をもたらすことで、前記第1のタイプのインタフェース領域の動作状態が変化するように、プレチャージされることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
前記基本ブロックは、追加の第1のタイプのインタフェース領域を含み、
2つの前記第1のタイプのインタフェース領域は、前記一対の電子チップのそれぞれが、前記2つの第1のタイプのインタフェース領域の一方において前記データ信号チップとして動作し、前記2つの第1のタイプのインタフェース領域の他方において前記データ受信チップとして動作するように、独立して動作することを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載の電子アセンブリにおいて、
前記追加の第1のタイプのインタフェース領域は、他方の前記電子チップ上に配置された電荷キャリア源であって、前記信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続された追加の電荷キャリア源を含み、電荷キャリアの前記フラックスを生成して、前記追加の電荷キャリア源と少なくとも部分的に整合した一方の前記電子チップ上のデータ受信信号通信ポートに向かって前記ギャップを介して伝播させることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項10】
請求項4に記載の電子アセンブリにおいて、
前記基本ブロックは、前記ギャップによって離間された前記表面によって互いに対向する一対の前記電子チップであって、少なくとも1つの第2のタイプのインタフェース領域を規定する一対の前記電子チップを含み、
前記第2のタイプのインタフェース領域は、前記一対の電子チップの双方が、電荷キャリアのフラックスを互いに向けフラックスを受信するように構成および動作可能である一方、前記一対の電子チップの一方が前記データ信号チップとして動作し、前記一対の電子チップの他方が、前記第2のタイプのインタフェース領域における前記第1の電子チップと前記第2の電子チップとの間のデータ通信のための前記データ受信チップとして動作するように、構成されることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の電子アセンブリにおいて、
前記データ受信チップは、前記第2のタイプのインタフェース領域の前記ギャップを介して前記信号チップに向かって伝播する電荷キャリアのフラックスを生成するために電源に接続された電荷キャリア源と、データ受信信号通信ポートとを含み、
前記データ信号チップは、前記電荷キャリア源及び前記受信チップ上の前記データ受信信号通信ポートと少なくとも部分的に整合した信号レシーバ/応答器であって、前記信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続された信号レシーバ/応答器を含み、前記ギャップを介して前記電荷キャリア源から到達した電荷キャリアを選択的に吸収するか、または、前記ギャップを介して前記データ受信信号通信ポートに電荷キャリアをリダイレクトすることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載の電子アセンブリにおいて、
前記データ受信チップの前記データ受信信号通信ポートは、通常、前記受信チップの前記データ受信信号通信ポートへの電荷キャリアのフラックスの到達が前記受信チップの放電をもたらすことで、前記受信チップの動作状態が変化するように、プレチャージされることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項13】
請求項5~7のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
前記基本ブロックが、さらに、第2のタイプのインタフェース領域を含み、
前記第1のタイプのインタフェース領域及び前記第2のタイプのインタフェース領域は、独立して動作し、
前記第2のタイプのインタフェース領域は、前記一対の電子チップの双方が、電荷キャリアのフラックスを互いに向け電荷キャリアのフラックスを受信する一方で、前記一対の電子チップの一方は前記データ信号チップとして動作し、前記一対の電子チップの他方は、前記第2のタイプのインタフェース領域における前記第1の電子チップと前記第2の電子チップとの間のデータ通信のための前記データ受信チップとして動作するように、構成され動作可能であることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載の電子アセンブリにおいて、
前記データ受信チップは、前記第2のタイプのインタフェース領域のギャップを介して前記信号チップに向かって伝播する電荷キャリアのフラックスを生成するために、電源に接続された電荷キャリア源を含み、さらに、データ受信信号通信ポートを含み、
前記データ信号チップは、前記電荷キャリア源と前記受信チップ上の前記データ受信信号通信ポートとに少なくとも部分的に整合した信号レシーバ/応答器であって、前記信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続された信号レシーバ/応答器を含み、前記ギャップを介して前記電荷キャリア源から到達した電荷キャリアを選択的に吸収するか、または、前記ギャップを介して前記データ受信信号通信ポートに電荷キャリアをリダイレクトすることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の電子アセンブリにおいて、
前記データ受信チップの前記データ受信信号通信ポートは、通常、前記受信チップの前記データ受信信号通信ポートへの電荷キャリアのフラックスの到達が前記データ受信チップの放電をもたらすことで、前記データ受信チップの動作状態が変化するように、プレチャージされることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項16】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
前記基本ブロックが少なくとも3つの電子チップを含み、前記少なくとも3つの電子チップのうちの1つが、前記電子チップの少なくとも2つの他の電子チップに、これらの電子チップ間のギャップを介して対向し、それぞれ、少なくとも2つのインタフェース領域を規定しており、
1つの前記電子チップは、前記少なくとも2つの他の電子チップの少なくとも1つから、少なくとも1つの電荷キャリアガイドを介して、前記少なくとも2つの電子チップの他方に、データを通信するための電子コネクタチップとして構成および動作可能であり、
前記電荷キャリアガイドは、前記電子コネクタチップ内に配置され、前記2つのインタフェース領域とそれぞれ整合する前記電荷キャリアガイドの第1の端部と第2の端部との間に延在することを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載の電子アセンブリにおいて、
前記第1のインタフェース領域は、前記少なくとも2つの他の電子チップのうちの前記1つに関連付けられており、前記電荷キャリアガイドの第1の端部に近接して前記電子コネクタチップ上に配置されて電源に接続された電荷キャリア源と、前記少なくとも2つの他の電子チップの前記1つに配置され、前記電荷キャリア源および前記電荷キャリアガイドの前記第1の端部と少なくとも部分的に整合するレシーバ/応答器とを含み、
前記レシーバ/応答器は、前記信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続されて、前記ギャップを介して前記電荷キャリア源から到達した帯電キャリアを選択的に吸収するか、または、前記帯電キャリアをリダイレクトして、前記電荷キャリアガイドの第1の端部を介して前記電荷キャリアガイドに入れ、前記ガイドを通って前記第2のインタフェース領域で前記電荷キャリアガイドの第2の端部に伝播させ、前記第2のインタフェース領域の前記ギャップを通して電荷キャリアのフラックスを2つの前記電子チップのうちの他方のデータ受信信号通信ポートに向けることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項18】
請求項16または17に記載の電子アセンブリにおいて、
前記電子コネクタチップは、さらに、それぞれ第2および第1のインタフェース領域と整合する追加の電荷キャリアガイドの第1の端部と第2の端部との間に延在する少なくとも1つの追加の電荷キャリアのガイドを含み、
前記電子コネクタチップは、これにより、前記2つの電子チップのうちの他方から前記2つの電子チップのうちの一方にデータを通信するように構成され動作可能であることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項19】
請求項19に記載の電子アセンブリにおいて、前記第2のインタフェース領域は、
前記追加の電荷キャリアガイドの第1の端部に近接して前記電子コネクタチップ上に配置された追加の電荷キャリア源であって、電源に接続された追加の電荷キャリア源と、
前記2つの電子チップのうちの前記他方に配置され、前記追加の電荷キャリア源および前記追加の電荷キャリアガイドの前記第1の端部と少なくとも部分的に整合する追加のレシーバ/応答器と、を含み、
前記追加の受信機/レスポンダは、前記信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続され、前記ギャップを介して前記追加の電荷キャリア源から到達した帯電キャリアを選択的に吸収するか、または帯電キャリアをリダイレクトして、前記追加の電荷キャリアガイドの前記第1の端部を介して前記追加の電荷キャリアガイドに入れ、前記追加のガイドを通して前記第1のインタフェース領域における前記電荷キャリアガイドの第2の端部に伝播させ、前記第1のインタフェース領域のギャップを通して電荷キャリアのフラックスを、前記2つの電子チップのうちの前記一方の追加のデータ受信信号通信ポートに向けることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
前記電子コネクタチップは、さらに、それぞれの前記少なくとも1つの電荷キャリアガイドの第2の端部に配置された少なくとも1つのフローティング電荷キャリア源を含むことを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項21】
請求項17~20のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
前記電荷キャリアガイドが、少なくとも部分的に導電性のコネクタとして構成されていることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項22】
請求項21に記載の電子アセンブリにおいて、
前記電荷キャリアガイドがマイクロチャネルとして構成されていることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項23】
請求項21または22に記載の電子アセンブリにおいて、
前記電荷キャリアガイドが真空容器として構成されていることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
前記2つの電子チップが互いに対向する前記電子チップの2つの表面が、それぞれ、前記2つの電子チップの上面および下面であることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
前記電子チップは、支持バンプを介して機械的支持体の前記表面上に組み立てられることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の電子アセンブリにおいて、
少なくとも1つの基本ブロックを担持する機械的支持体の前記表面が実質的に平面であることを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項27】
請求項24および25に記載の電子アセンブリにおいて、
少なくとも1つの基本ブロックを担持する機械的支持体の前記表面が実質的に平面であり、
上部対向面を有する少なくとも1つの電子チップを支持する支持バンプが、下部対向面を有する1つの電子チップを支持する支持バンプよりも短く、これにより、対向面間の前記ギャップを規定することを特徴とする電子アセンブリ。
【請求項28】
請求項24および25に記載の電子アセンブリにおいて、
前記機械的支持体の上面は、複数の基本ブロックに対応する複数の溝を規定するパターンを有し、
各溝は、前記電子チップを担持する前記機械的支持体の前記表面の少なくとも1つの隣接する突起部に配置された少なくとも1つの電子チップの、それぞれ、少なくとも1つの下面に面する上面を有する前記電子チップを担持することを特徴とする電子アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合電子構造の分野にあり、統合電子構造の様々なアクティブコンポーネント(特に、集積回路)間の通信を可能にする統合電子構造で使用するための電子アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
統合構造は、通常、トランジスタ、増幅器、発振器などの機能要素を含む複数のアクティブコンポーネント(電子チップ)を規定するするさまざまなパターン化された層を含む多層構造となっている。統合構造のアクティブコンポーネントの機能要素は、通常、光および/または電気および/または電磁信号により、信号又はデータ交換を介して相互に通信する。
【0003】
例えば、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第9,762,233号は、電気伝導に依存することなく、電界効果トランジスタ(FET)のゲート領域の電界を制御することによるFETの非接触制御の技術を開示している。この技術によれば、真空にされた容器は、自由電荷を生成し、自由電荷が少なくとも部分的に弾性的に散乱することができる壁を有する電荷担体が事前に装填されて使用される。真空容器の一方の端は、FETのゲート領域に面し、その近くに配置されている間、そこから離間されており、充電可能な要素として動作可能であり、もう一方の端には、真空容器内の自由電荷を最初の方向に加速する送信器がある。これにより、空間内の電界の変化をもたらし、電界誘導およびトランジスタのチャネル内の電荷分布の変更によってゲート領域の電荷の分離を引き起こし、それにより、トランジスタの伝導状態を非接触的に変更する。
【発明の概要】
【0004】
電子アセンブリ/統合された電子構造の電子チップ間のデータ通信のための新しいアプローチが当技術分野で必要とされている。
【0005】
従来のアプローチによれば、統合構造のアクティブコンポーネントの機能要素は、電気コネクタを使用して、信号またはデータ交換を介して相互に通信する。しかしながら、様々なアクティブコンポーネント間を直接接続する電気コネクタ(例えば、プロセッサまたはプロセッササブシステム間の接続バス)には、例えば容量が比較的大きいため、必然的に比較的強い動的電流が含まれる。
【0006】
本発明は、電荷キャリアの自由空間伝搬を介した統合構造内の電子チップ間のデータ/信号通信のための新規の電子アセンブリを提供する。電子アセンブリは、少なくとも2つの電子チップによって形成された少なくとも1つの基本ブロックを担持する基板を含む。これらの電子チップの少なくとも1つは、信号チップに関して受信チップとして構成される少なくとも1つの他の電子チップへのデータ通信のための少なくとも1つの他の電子チップに関して信号チップとして構成される。データ/信号通信は、信号チップと受信チップの間のギャップを介した電荷キャリアの自由空間伝播を介して実装される。
【0007】
本発明の1つの広い態様によれば、表面上に通信用電子チップの少なくとも1つの基本ブロックを担持する基板を含む電子アセンブリが提供され、この電子アセンブリは、基本ブロックは、少なくとも2つの電子チップを含み、少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つが、少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つの他のチップへのデータ通信のために、少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つの他のチップに対して、データ信号チップとして構成され、少なくとも2つの電子チップのうちの少なくとも1つの他のチップが、データ信号チップに対してデータ受信チップとして構成され、データ信号チップとデータ受信チップは、それぞれ、間隔を置いて配置されて少なくとも1つのインタフェース領域を共に規定するこれらのチップの表面によって互いに対向し、データ信号チップから少なくとも1つのデータ受信チップへのデータ通信は、インタフェース領域内の間隔を置いたこれらのチップの表面間のギャップを介した自由空間伝播における電荷キャリアの少なくとも1つのフラックスの形態であり、基本ブロックの信号チップ及び電子チップのうちの少なくとも1つの動作状態に応じて、少なくとも1つのデータ受信チップを選択的に動作させる。
【0008】
本明細書において以下で使用される「対向面」という用語は、同じ基本ブロックのチップと少なくとも1つの別のチップとの間のギャップを形成するチップの表面に関することに留意されたい。このような対向面は、チップの「面」である場合とそうでない場合があり、これに関連して、これらのチップは、TSVまたは活性化された真空容器を使用して、向かい合わせに、または表と裏を合わせて、または背中合わせに配置することができる。
【0009】
電荷キャリアのフラックスは、少なくとも1つのインタフェース領域内の少なくとも1つの受信チップに通信されるデータに従ってデータ変調される。データ変調信号の異なるプロファイル(値又はパターン)が、基本ブロックの信号チップ及び受信チップのうちの少なくとも1つにおける異なる動作状態にそれぞれ対応する
【0010】
基本ブロックが、電荷キャリアの電荷エミッタとして構成され動作可能な少なくとも1つの電荷キャリア源と、それぞれの受信チップを動作させるために電荷キャリアのフラックスを受信するように構成され動作可能な少なくとも1つのデータ受信信号通信ポートと、を含む。
【0011】
ある実施例では、基本ブロックは、ギャップによって離間された電子チップの対向面(すなわち、電子チップ間のギャップを形成する表面)によって互いに対向する一対の電子チップであって、少なくとも1つの第1のタイプのインタフェース領域を規定する一対の電子チップを含む。第1のタイプのインタフェース領域は、一対の電子チップの一方がデータ信号チップとして構成され、一対の電子チップの他方が、第1のタイプのインタフェース領域における第1の電子チップと第2の電子チップとの間のデータ通信のためのデータ受信チップとして構成されるように、構成される。
【0012】
例えば、第1のタイプのインタフェース領域は、電子チップの1つに配置された電荷キャリア源であって、信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続されて電荷キャリアのフラックスを生成し、電荷キャリア源と少なくとも部分的に整合した他の電子チップ上のデータ受信信号通信ポートに向けてギャップを介して伝播させる電荷キャリア源を含む。
【0013】
第1のタイプのインタフェース領域のデータ受信信号通信ポートは、通常、例えば、データ受信信号通信ポートへの電荷キャリアのフラックスの到達が放電プロセスをもたらすことで、第1のタイプのインタフェース領域の動作状態が変化するように、プレチャージされる。
【0014】
ある実施形態では、基本ブロックは、追加の第1のタイプのインタフェース領域を含み、2つの第1のタイプのインタフェース領域は独立して動作する。一対の電子チップのそれぞれが、2つの第1のタイプのインタフェース領域の一方においてデータ信号チップとして動作し、2つの第1のタイプのインタフェース領域の他方においてデータ受信チップとして動作する。
【0015】
追加の第1のタイプのインタフェース領域は、他方の電子チップ上に配置された電荷キャリア源であって、信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続された追加の電荷キャリア源を含み、電荷キャリアの追加のフラックスを生成して、追加の電荷キャリア源と少なくとも部分的に整合した一方の電子チップ上のデータ受信信号通信ポートに向かってギャップを介して伝播させる。
【0016】
ある実施形態では、基本ブロックは、互いに対向し、ギャップによって互いに間隔を置いて配置され、少なくとも1つの第2のタイプのインタフェース領域を規定する一対の電子チップを含む。第2のタイプのインタフェース領域は、一対の電子チップの双方が、電荷キャリアのフラックスを互いに向けフラックスを受信するように構成および動作可能である一方、一対の電子チップの一方がデータ信号チップとして動作し、一対の電子チップの他方が、第2のタイプのインタフェース領域における第1の電子チップと第2の電子チップとの間のデータ通信のためのデータ受信チップとして動作するように、構成される。
【0017】
この実施形態では、データ受信チップは、第2のタイプのインタフェース領域のギャップを介して信号チップに向かって伝播する電荷キャリアのフラックスを生成するために電源に接続された電荷キャリア源と、データ受信信号通信ポートとを含む。データ信号チップに関しては、データ信号チップは、電荷キャリア源及び受信チップ上のデータ受信信号通信ポートと少なくとも部分的に整合した信号レシーバ/応答器であって、信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続された信号レシーバ/応答器を含み、ギャップを介して電荷キャリア源から到達した電荷キャリアを選択的に(2つの異なる偏向領域によって)吸収又は偏向させるか、または、ギャップを介してデータ受信信号通信ポートに電荷キャリアをリダイレクトする。
【0018】
上記のように、データ受信信号通信ポートは、通常、データ受信信号通信ポートへの電荷キャリアのフラックスの到達が受信チップの放電をもたらすことで、受信チップの動作状態が変化するように、プレチャージされる。
【0019】
ある実施形態では、基本ブロックが、独立して動作する第1のタイプのインタフェース領域と第2のタイプのインタフェース領域とを含む。
【0020】
ある実施形態では、基本ブロックが少なくとも3つの電子チップを含み、少なくとも3つの電子チップのうちの1つが、少なくとも2つの他の電子チップに、ギャップを介して対向し、それぞれ、少なくとも2つのインタフェース領域を規定する。1つの電子チップは、少なくとも2つの他の電子チップの少なくとも1つから、少なくとも1つの電荷キャリアガイドを介して、少なくとも2つの電子チップの他方に、データを通信するための電子コネクタチップとして構成および動作可能であり、電荷キャリアガイドは、電子コネクタチップ内に配置され、2つのインタフェース領域とそれぞれ整合する電荷キャリアガイドの第1の端部と第2の端部との間に延在する。
【0021】
この実施形態では、第1のインタフェース領域は、少なくとも2つの他の電子チップのうちの1つに関連付けられている。第1のインタフェース領域は、電荷キャリアガイドの第1の端部に近接して電子コネクタチップ上に配置されて電源に接続された電荷キャリア源と、少なくとも2つの他の電子チップの1つに配置され、電荷キャリア源および電荷キャリアガイドの第1の端部と少なくとも部分的に整合するレシーバ/応答器とを含む。レシーバ/応答器は、信号コントローラからのデータ変調電源によって動作するよう信号コントローラに接続されて、ギャップを介して電荷キャリア源から到達した帯電キャリアを選択的に吸収するか、概して偏向させ、または、帯電キャリアをリダイレクトして、電荷キャリアガイドの第1の端部を介して電荷キャリアガイドに入れ、ガイドを通って第2のインタフェース領域で電荷キャリアガイドの第2の端部に伝播させ、第2のインタフェース領域のギャップを通して電荷キャリアのフラックスを2つの電子チップのうちの他方のデータ受信信号通信ポートに向ける。
【0022】
電子コネクタチップは、さらに、それぞれ第2および第1のインタフェース領域と整合する追加の電荷キャリアガイドの第1の端部と第2の端部との間に延在する少なくとも1つの追加の電荷キャリアのガイドを含む。このような電子コネクタチップは、これにより、2つの電子チップのうちの他方から2つの電子チップのうちの一方にデータを通信するように構成され動作可能である。
【0023】
電子コネクタチップは、さらに、それぞれの少なくとも1つの電荷キャリアガイドの第2の端部に配置された少なくとも1つのフローティング電荷キャリア源を含む。
【0024】
電荷キャリアガイドが、導電性のコネクタ、例えば真空容器であるマイクロチャネルとして構成されている。
【0025】
電子アセンブリにおいて、2つの電子チップが互いに向き合う2つの対向面は、それぞれ、電子チップの上面および下面である。電子チップは、例えばサポートバンプ、接着剤、ワイヤボンディング等を使用して、共通の基板の面上に適切に組み立てられる。
【0026】
ある実施形態では、1又は複数の基本ブロックを担持する基板の表面が実質的に平面である。このケースでは、上部対向面を有する1又は複数の電子チップを支持する支持バンプが、下部対向面を有する1又は複数の電子チップを支持する支持バンプよりも短く、これにより、対向面間のギャップを規定する。
【0027】
他の実施形態では、1又は複数の基本ブロックを担持する基板の上面は、複数の基本ブロックに対応する複数の溝を規定するパターンを有する。このケースでは、各溝は、上部対向面を有する電子チップを担持し、下部対向面を有する電子チップを担持するパターン化した基板の表面の突起部によって囲まれている。この構成では、溝の深さは、必要とされる対向面間のギャップを規定するよう選択される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、それが実際にどのように実行され得るかを例示するために、ここで、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【0029】
図1図1Aおよび1Bは、本発明のある実施形態による電子アセンブリの基本ブロックの2つの例をそれぞれ概略的に示しており、基本ブロックの各電子チップは、データ信号チップまたはデータ受信チップのいずれかとして構成され、基本ブロックには1つのインタフェース領域がある。
図2図2Aおよび2Bは、本発明の他のある実施形態による基本ブロック構成の2つの例をそれぞれ概略的に示しており、基本ブロック12の電子チップのそれぞれは、信号チップおよび受信チップの双方として動作する。
図3図3A~3Eは、本発明のさらに別の実施形態を例示しており、図3Aは、2つの電子チップが電子コネクタチップに関連付けられ、2つの電子チップの間で通信する電子アセンブリの基本ブロックの構成を概略的に示し、図3B~3Eは、図3Aの基本ブロックの様々な動作段階を概略的に示している。
図4図4Aおよび4Bは、それぞれ、実質的に平らな表面(図4A)およびパターン化された表面(図4B)を有する基板上に本発明の基本ブロックを組み立てる2つの例を示す。
図5図5は、共通の基板上に離間して配置された基本ブロックのアレイを含む、本発明の原理に従って構成された統合構造を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、統合された構造内の電子チップ間のデータ/信号通信のために構成された新規の電子アセンブリを提供する。この電子アセンブリは、少なくとも2つの電子チップを担持する基板を含み、それらのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの他の電子チップへのデータ通信のための2つ以上の電子チップのうちの少なくとも1つの他の電子チップに関して信号チップとして構成され、前記少なくとも1つの他の電子チップは、信号チップに対して受信チップとして構成されている。いくつかの実施形態では、電電子チップは、少なくとも1つの他の受信電子チップに関して信号チップとして構成され、少なくとも1つの他の信号チップに関して受信チップとして構成される。
【0031】
データ/信号通信は、基本ブロックのチップ間のギャップを介した電荷キャリアの自由空間の伝播を介して実装される。場合によっては、ギャップを空にするか、ガスで満たされたスペースにすることができる。ギャップのサイズは、その中の媒体に応じて適切に選択される。
【0032】
所定の媒体について、ギャップのサイズは、使用されている電荷担体のフラックスの効果的な通過を提供するように適切に選択されることを理解されたい。
【0033】
より具体的には、本発明は電子フラックスを扱い、したがって、この特定の、しかしながら限定されない例に関して以下で説明される。
【0034】
離間した通信のための電子チップは、以下に説明するように、例えばリング状の要素といった分離要素を使用して組み立てることができることに留意されたい。一般に、この目的のために、任意の既知の適切なパッケージング技術を使用することができる。
【0035】
より具体的には、信号チップおよび受信チップのそれぞれは、それらのうちの他方に面する面を有している。送信および/または受信動作は、以下でさらに具体的に説明および例示されるように、信号チップおよび受信チップのいずれかまたは両方の動作状態に応じて実行される。
【0036】
本発明の電子アセンブリは、例えばいくつかの基板要素で作ることができる、共通の基板または他の任意の機械的支持体を共有する1つまたは複数の基本的なブロックを含み得る。基本ブロックは、通信のための電子チップの構造であり、このようなブロックをアレイ状に配置することができる。アレイの基本ブロックは独立したブロックである場合もあれば、2つのローカルに隣接する基本クロックが共通/共有の信号および/または受信チップを有する場合もある。これについても、以下で具体的に説明および例示する。
【0037】
電子チップは、通常、通信チップ間に所望のギャップを提供するように構成される支持バンプによって基板上に取り付け/組み立てられる。以下でさらに例示されるように、電子チップを担持する基板の表面は、平面であり又はパターン化され得る。
【0038】
図1Aおよび1Bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による、一般に100で示す基本ブロックの構成の2つの例がそれぞれ概略的に示され、各電子チップは、データ信号チップSCまたはデータ受信チップRCのいずれかとして構成され、基本ブロックには単一のインタフェース領域IRがある。
【0039】
説明と理解を容易にするために、本明細書に記載のすべての例および実施形態において機能的に類似しているすべての要素は、同じ参照番号によって特定されることに留意されたい。
【0040】
図1Aは、少なくとも1つの基本ブロック12を担持する基板10を含む電子アセンブリ100を示しており、そのような単一の基本ブロックが図に示されている。この基本ブロックは、少なくとも1つの信号チップ14および少なくとも1つの受信チップ15を含み、このようなチップの一対が図に示されている。
【0041】
信号チップ14および受信チップ15は、それらが互いに向き合い、自由空間における電子束伝播のためにギャップ20によって隔てられた対向する表面14Aおよび15Aを有する。対向する表面は、チップ間の通信のためのインタフェースを提供する。
【0042】
信号チップ14は、電界放出構成において電子エミッタとして構成されたカソードによって構成され得る電子源16(電荷キャリアの源を構成する)を含む。この例では、電子源16は、電源22Bに接続されて動作し、電源22Bがデータ変調器22Aによって提供されるデータパターンによって動作することを意味する、いわゆる「アクティブソース」である。したがって、この例では、信号ユニット14は、特にデータ変調器22Aおよび電源22Bを含む信号コントローラ22に接続されている。この例では、信号コントローラ22は送信器コントローラとして動作する。
【0043】
受信チップ15は、充電可能な電極(アノード)によって構成され得るデータ受信信号通信ポート18(この例ではパッシブレシーバである)を含む。信号チップ14上の電子源16(すなわち、そのインタフェース部分/開口)は、インタフェース領域IRを一緒に規定する受信チップ15上のパッシブレシーバ18と少なくとも部分的に位置合わせされている。
【0044】
電子源16は、任意の適切なタイプの電界放出、例えば、電気、光または熱放出、またはそれらの任意の組み合わせとして構成され得ることが理解されるべきであり、これは、本明細書に記載のすべての実施形態/実施例に共通である。そのような電子源の構造および動作はそれ自体が知られており、したがって、それが適切な電子束を生成することに注意することを除いて、具体的に説明する必要はない。
【0045】
したがって、「アクティブソース」の場合、送信器コントローラ22によって電子源16に対して生成される制御信号CSは、データ変調信号であり、これは、バイナリ信号であってもなくてもよい。データ変調信号の値/パターンが異なると、電子源の動作状態がそれぞれ異なり、それに応じて電子束が生成される。
【0046】
制御信号の「1」と「0」の2進値の最も単純な例では、電子束がそれぞれ生成されるか又は生成されない。しかしながら、本発明は、デジタルまたはアナログタイプの制御信号に限定されず、並びにバイナリタイプのデジタル制御信号に限定されないことに留意されたい。
【0047】
基本ブロック12は、以下のように動作する。送信器コントローラ22は、制御信号CSをアクティブ電子源16に選択的に提供するように動作し、電子源16から受信信号の通信ポート18に向けられた矢印によって図に示すように、対応するデータ変調された電子束が生成される。したがって、受信チップは、信号チップからの電子束によって動作する。
【0048】
アノードタイプのパッシブデータレシーバー18の特定の限定されない例では、アノードは、「通常」プリチャージされ、例えば電子ベースの構成の場合、正に帯電し、アノードへの電子束の到達が、それぞれの動作状態、例えば「1」に対応するその放電を開始する。
【0049】
図1Bの例では、いわゆる「ミラー」構成が例示されている。ここでは、電子チップ14と15の双方は、電子束を互いに送信/方向付けおよび受信することができる一方、それらのうちの一方のみがデータ信号チップであり、他方は、通信されるデータに関するデータ受信チップあり、すなわち一方は「データソース」であり、もう一方はデータ受信器である。しかしながら、この例では、データ受信チップ15は、電子束を生成する電子源16’を含むものであり、一方、データ信号チップは、アクティブなデータレシーバ/応答器18’を有しており、このレシーバが信号コントローラ22’に接続されていることを意味し、この例では、信号コントローラ22’は受信器コントローラとして動作する。
【0050】
レシーバ要素18’は、信号コントローラ22’によって直接操作され、電子束に応答するため、「アクティブ」と称されることに留意されたい。これは、データ信号によって直接制御されないが、それぞれの電子チップを操作する「パッシブ」レシーバ18と呼ばれるものとは機能的に異なる。
【0051】
さらに、この例では、電子源16は、連続電源17に適切に接続された連続動作源であり、電子源16に近接して配置された「パッシブ」信号通信ポート18をさらに含む。
【0052】
電子源16(すなわち、そのインタフェース部分/開口)およびパッシブレシーバ18の双方は、インタフェース領域IRを一緒に規定する信号チップ14上のアクティブレシーバ18’と少なくとも部分的に整合している。
【0053】
信号制御器22’は、データ変調器22Aおよび電圧ユニット22B’を含み、これは、アクティブなデータレシーバ18’へのデータ変調された電圧信号を生成する。したがって、アクティブなデータレシーバ18’は、ユニット22B’からの電圧供給に応じて異なる動作状態を有し、これにより、電子源16から連続的に供給される電子束を異なる方法で受信または応答する。バイナリデータ変調の最も単純な例では、電圧供給22B’は、アクティブなデータレシーバ18’に相対的に正および相対的に負の電圧を提供し、それぞれ、アクティブなレシーバ18’による電子の吸収および受信チップ15上のパッシブなレシーバ18への電子の逆流の生成を引き起こす。
【0054】
ここで、図2Aおよび2Bを参照すると、それぞれ、本発明の他のいくつかの実施形態の2つの例を示し、基本ブロック12の電子チップ14および15のそれぞれは、信号チップSCおよび受信チップRCの双方として動作する。これらの図には特に示されていないが、基本ブロック12は、あらゆる種類の機械的支持体、例えばそれぞれのサポートバンプ(図1A~1Bの30および32)を介した基板(図1A~1Bの10)の上部に配置されていることに留意されたい。
【0055】
これらの図2Aおよび2Bの双方の例において、基本ブロック12は、2つの通信電子チップ14および15を有し、それらの対向面は、ギャップ20によって離間され、2つの独立して動作するインタフェース領域IRおよびIRを規定する。インタフェース領域IRおよびIRを介した電子チップ14および15間のデータ通信は、場合によっては、同時にまたは異なるタイムセッションで実施されることに留意されたい。
【0056】
図2Aの例では、インタフェース領域IRおよびIRのそれぞれは、上記の図1Aの例のインタフェース領域IRのものと同様に構成され、動作可能である。これは、図に自明の方法で明確に示されているため、再度具体的に説明することはない。
【0057】
図2Bの例では、インタフェース領域IRおよびIRは、それぞれ、上記の図1Aと1Bの例の領域と同様に構成され、動作可能である。これは、図に自明の方法で明確に示されているため、再度具体的に説明することはでない。
【0058】
ここで、本発明のさらに別の実施形態を例示する図3A~3Eを参照する。図3Aは、本発明の電子アセンブリ100の基本ブロック12の構成を概略的に示しており、図3B~3Eは、電子アセンブリ100の様々な動作段階を概略的に示す。この実施形態では、基本ブロック12は、電子コネクタチップ114に関連付けられてそれらの間で通信する2つの電子チップ14および15を含む。電子コネクタチップ114は、電子チップ14および15の少なくとも一方から他方へ、または、それらのそれぞれから他方へのデータ通信を提供するように構成される。
【0059】
これらの図には特に示されていないが、電子アセンブリの要素は、機械的支持構造を介して、例えば、支持バンプ(図1A及び1Bの30、32)を介して共通の基板(図1A及び1Bの10)上に、組み立て/取り付けられることに留意されたい。
【0060】
電子コネクタチップ114は、2つのインタフェース領域IRおよびIRを規定するように、対向面114Aによって(またはその一部によって)電子コネクタチップ114が電子チップ14および15の表面(またはその一部)に面する対向面114Aを有する。対向面は、ギャップ20によって隔てられている。
【0061】
最も単純な例では、電子コネクタチップ114は、電子チップ14から電子チップ15にデータを通信するように構成される。電子コネクタチップ114は、それぞれ、少なくとも1つの電荷キャリアガイド、例えば、電子ガイド120によって2つのインタフェース領域の間に接続された、2つのインタフェース領域に含まれる対向面の2つの部分を含む。
【0062】
また、対向面114Aには、電源17(ある実施形態では連続電源である)に接続された電子源16が設けられている。電子源16および電子ガイド120の一端120Aは、互いに近接して配置され、信号コントローラに直接接続され、信号コントローラ22’からのデータ変調制御信号CSによって動作するアクティブなレシーバ/応答器18’と少なくとも部分的に整合する(上記の意味で)。電子ガイド120の反対側の端部120Bは、プレチャージされた(例えば、正に事前に充電された)アノードであるパッシブレシーバ18と少なくとも部分的に整合している。
【0063】
上記のように、制御信号動作は、アクティブなレシーバ/応答器18’が、電子フラックスをソース16から選択的に偏向させるか、または、電子フラックスをチップ114に向けてリダイレクトする(「ミラー」構成)ことを提供する。しかしながら、この実施形態では、リダイレクトされた逆フラックスは、その端部120Aで電荷ガイド120に入り、その反対側の端部120Bを介してガイドから電子フラックスが自由空間に出て、パッシブレシーバ18に伝播することを可能にする。したがって、電子チップ14のアクティブレシーバ/応答器18’の動作状態に応じて、その動作状態は信号コントローラ22’によって制御され、電子チップ15のパッシブレシーバ18は、電子コネクタチップ114のソース16で発生した電子フラックスと異なって相互作用する。バイナリ制御信号の最も単純な例では、電子チップ15はデータ信号を受信するかしないかのどちらかである。
【0064】
図3Aに示されるように、電子コネクタチップ114は、好ましくは、電子ガイド120の反対側の端部120Bにフローティングソース(フローティングカソード)140も含む。電子フラックスは、レスポンダ18’から電子ガイドの端部120Aに向け直され、浮遊カソードに到達すると、フローティングカソード140から連続的な電子放出を引き起こし、したがって、パッシブレシーバ18に向かう連続的な対応する電子フラックスが生成される。
【0065】
したがって、この実施形態のこの最も単純な例では、電子チップ14は実際にはデータ信号チップSCとして動作し、電子チップ15はデータ受信チップRCとして動作する。
【0066】
破線を使用して図にも示されているように、電子アセンブリ100は、電子チップ15から電子チップ14への同様のデータ通信のためにさらに構成され得る。この目的のために、電子コネクタチップ114は、その両端が、それぞれ、(例えば、同じインタフェース領域IR又は場合によっては追加のインタフェース領域において)電子チップ15上の追加のアクティブなレシーバ/応答器18’及び(例えば、同じインタフェース領域IR又は場合によっては追加のインタフェース領域において)電子チップ14上の追加のパッシブレシーバ18と(少なくとも部分的に)整合する追加の電子ガイド130を含む。
【0067】
また、領域IRの電子ガイド端120Bは、電源17(追加のもの又はそうではないもの、及び、連続電源又はそうではないもの)に接続された追加の電子源126の近くに配置され、領域IR内の追加の電子ガイドの反対側の端部は、追加のフローティングソース/カソードに関連付けられているかどうかにかかわらず、電子チップ14上の追加のパッシブレシーバ18と少なくとも部分的に整合している。
【0068】
電荷キャリアガイドは、少なくとも部分的に導電性のコネクタとして構成され、例えば、真空容器であるマイクロチャネルとして構成され得ることに留意されたい。後者の場合、電荷キャリアが真空容器に事前に装填されているため、フローティングカソードのような荷電粒子源は必要ないことを理解されたい。
【0069】
図3Bから3Eは、図3Aの電子アセンブリ100の最も単純なシナリオの動作、すなわち、バイナリデジタルデータ変調の場合を例示している。
【0070】
最初に、図3Bに示すように、電子チップ14のレシーバ/応答器18’は、バイナリデータ値「0」に対応する動作状態にある。図3Cに示すように、電子源16は、前記「0」状態(例えば、相対的に正の電圧)で電子フラックスを受け取るレシーバ/応答器18’に向けて電子フラックスを提供するように動作する。次に、図3Dに示すように、信号コントローラは、レシーバ/応答器18’を操作して、その動作状態を「1」(相対的に負の電圧)に変更し、これにより、電子フラックスは電子チップコネクタに向けてリダイレクトされ、そこで電子ガイド120に入り、電子フラックスは電子ガイドを通って(例えば、フローティングカソード140との相互作用を介して)ギャップに向かって伝播し、次いで図3Eに示すようにパッシブレシーバ18と相互作用して、電子チップ15にデータを供給する。
【0071】
ここで、図4Aおよび4Bを参照すると、基板上に基本ブロックを組み立てる例が概略的に示されている。
【0072】
図4Aの例では、基本ブロックの要素は、基板10の平面10Aに取り付けられている。したがって、基本ブロック12の電子コネクタチップの上部対向面114Aと電子チップ14および15の下部対向面14Aおよび15Aとの間に間隔を置いて実質的に平行な関係を提供するために、チップ14および15が組み立てられる支持バンプ32は、コネクタチップ114が組み立てられる支持バンプ30よりも長い/高い。バンプの長さの違いは、対向面間のギャップの望ましい寸法、及び場合によってはシステム全体のパッケージングに必要な分離要素の厚さによっても決まる。チップ14および15は、それらの間にスペーサを用いてチップ114に接触することができる。
【0073】
図4Bの例では、基本ブロック12の要素が取り付けられている基板10の面10Aは、2つの実質的に平らな突起部152の間に溝150を規定する表面レリーフを有する。電子コネクタチップ114は、溝150内のその支持バンプ上に組み立てられる一方、電子チップ14および15は、溝150の両サイドの平らな突起部152上のそれらの支持バンプ上に組み立てられる。
【0074】
この構成では、コネクタチップ114の上面114Aの周辺領域は、電子チップ14および15の底面14Aおよび15Aの周辺領域にそれぞれ対向し、整合する。この場合、溝150の深さは、必要なギャップのサイズによって(および場合によっては分離要素のサイズによっても)決定され、したがって、バンプ30および32は同じ長さである。チップ14および15は、それらの間にスペーサを用いてチップ114に接触することができる。
【0075】
上記のように、統合された構造は、共通の基板上に間隔を置いて配置された基本ブロックのアレイを含み得る。これに関連して、このようなマルチブロック配置を例示する図5を参照する。図5のこの特定の例は、図3Aのそれと概ね同様の基本ブロック構成を示しているが、マルチブロック配置の同じ概念が、上記の例のいずれかの基本ブロックに適用され得ることに留意されたい。また、図5の例は、平な上面を備える基板を使用するものである。しかしながら、例えば図4Bに示すように、パターン化された基板表面も使用できる。この場合、パターンは、いくつかの基本ブロックに対応するいくつかの間隔を空けた溝を規定し、各溝は、対向面が最上部である電子チップを担持し、隣接する突起部は、(1つ又は複数の)対向面が底面であるそれぞれの基本ブロックの(1つ又は複数の)電子コネクタチップを担持/担持する。特に示されていないが、複数の基本ブロックのアレイは、上記の実施形態の1つまたは複数に従って構成された、類似の基本ブロックまたは異なる基本ブロックを含み得ることに留意されたい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】