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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】二次電池及び二次電池を備える装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0568 20100101AFI20221207BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221207BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221207BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20221207BHJP
【FI】
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M10/052
H01M10/0567
H01M4/48
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
H01M4/58
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522047
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2019127976
(87)【国際公開番号】W WO2021127997
(87)【国際公開日】2021-07-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梁 成都
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲則▼利
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 培培
(72)【発明者】
【氏名】付 成▲華▼
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ04
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ20
5H050AA07
5H050AA10
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050HA01
(57)【要約】
本願は、二次電池及び二次電池を備える装置を提供し、二次電池は電解質塩及び有機溶媒を有する電解液を含み、電解質塩はビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含み、電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.8mol/L~1.2mol/Lであり、電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.4mol/Lであり、有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)を含み、有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦20%である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質塩及び有機溶媒を有する電解液を含む二次電池であって、
前記電解質塩は、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含み、
前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.8mol/L~1.2mol/Lであり、
前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.4mol/Lであり、
前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦20%である、
ことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.9mol/L~1.2mol/Lである、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.3mol/Lである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度とヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度の比の値は、3~7:1であり、好ましくは、4~6:1である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦15%であり、好ましくは、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦10%である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)のうちの1種類又は複数種類をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)をさらに含み、前記有機溶媒におけるエチルメチルカーボネート(EMC)の質量占有率は、60%~95%であり、好ましくは、75%~95%である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記電解液は、添加剤をさらに含み、前記添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニルサルフェート(DTD)、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,3-プロペニル-スルトン(PST)、無水コハク酸(SA)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiDFOB)、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(LiDFOP)、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP)、トリス(トリメチルシリル)ボレート(TMSB)のうちの1種類又は複数種類を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記電解液の25℃での導電率は、6.5mS/cm~9.5mS/cmであり、好ましくは、前記電解液の25℃での導電率は、7.0mS/cm~9.0mS/cmである、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記電解液における前記電解質塩の体積モル濃度は、1.0mol/L~1.4mol/Lであり、好ましくは、1.1mol/L~1.3mol/Lである、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項11】
前記二次電池は、負極シートを含み、前記負極シートは、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと、を含み、前記負極活性材料は、炭素材料、ケイ素系材料のうちの1種類又は複数種類を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記負極活性材料は、ケイ素系材料を含み、且つ、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の重量占有率が≦40%であり、好ましくは、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の重量占有率は、15%~30%である、
ことを特徴とする請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
前記二次電池は、正極シートを含み、前記正極シートは、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ且つ正極活性材料を含有する正極フィルムと、を含み、前記正極活性材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物のうちの1種類又は複数種類を含み、
好ましくは、前記正極活性材料は、一般式 LiNiCoM’又は少なくとも一部の表面に被覆層が設けられたLiNiCoM’のうちの1種類又は複数種類を含み、ここで、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、0≦e≦0.1、1≦f≦2、0≦g≦1であり、Mは、Mn、Alから選択される1種類又は複数種類であり、M’は、Zr、Al、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti、Bから選択される1種類又は複数種類であり、Aは、N、F、S、Clから選択される1種類又は複数種類である、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項14】
前記正極活性材料は、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、コバルト酸リチウム及びその改質化合物のうちの1種類又は複数種類をさらに含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の二次電池。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の二次電池を備える、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に、二次電池及び二次電池を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーの日増しな枯渇及び環境汚染の圧力がますます大きくなるに連れて、新エネルギー自動車は前例のない注目と開発を受けている。二次電池は、エネルギー密度が高く、作動電圧が高く、メモリ効果がないなどの特徴を有するため、広く応用されている。
【0003】
電気自動車に応用される二次電池について、クライアントは電池の長期的な信頼性と航続距離に対してより高い要求を提出している。
【0004】
したがって、動力エネルギーに対する新エネルギー自動車の性能需要を満たすために、良好な総合性能を有する二次電池を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に存在する課題に鑑み、本願は、高いエネルギー密度を有する前提で、良好な高温サイクル性能及び高温貯蔵性能を両立できる二次電池及び二次電池を備える装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達するために、本願の第1の態様は、二次電池を提供し、前記二次電池は、電解質塩及び有機溶媒を有する電解液を含み、前記電解質塩は、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含み、前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.8mol/L~1.2mol/Lであり、前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.4mol/Lであり、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦20%である。
【0007】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様に記載の二次電池を備える装置を提供する。
【0008】
本願は少なくとも以下の有益な効果を含む。
本願の二次電池において、電解液中の電解質塩が特定の含有量のビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を同時に含み、且つ有機溶媒が特定の含有量のエチレンカーボネート(EC)を含み、これにより、二次電池は、良好な高温サイクル性能及び高温貯蔵性能を両立できる。本願の装置は、前記二次電池を備えるため、少なくとも前記二次電池と同じ利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】二次電池の一実施形態の模式図である。
図2】電池モジュールの一実施形態の模式図である。
図3】電池パックの一実施形態の模式図である。
図4図3の分解図である。
図5】二次電池が電源として用いられる装置の一実施形態の模式図である。
【0010】
ここで、図面の符号の説明は、以下の通りである。
1 電池パック、
2 上部筐体、
3 下部筐体、
4 電池モジュール、
5 二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願に係る二次電池及び二次電池を備える装置を詳細に説明する。
【0012】
本願の第1の態様の二次電池によると、前記二次電池は、電解質塩及び有機溶媒を有する電解液を含み、ここで、前記電解質塩は、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含み、前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.8mol/L~1.2mol/Lであり、前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.4mol/Lであり、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦20%である。
【0013】
本願の第1の態様に係る二次電池において、本発明者らは、大量の研究により、電解液が、電解質塩がビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含むことと、前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度が0.8mol/L~1.2mol/Lであることと、前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度が0.1mol/L~0.4mol/Lであることと、有機溶媒がエチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦20%であることを同時に満たす場合、上記条件の相乗作用により、二次電池が良好な高温サイクル性能及び高温貯蔵性能を有することを見出した。
【0014】
本発明者らの推定によると、上記の有益な効果を有する可能な理由は、以下の通りである。電解質塩としてLiFSI及びLiPFを併用し、且つ両者の体積モル濃度を特定の範囲内に制御する場合、両者の優位性が相補的であり、正極でのLiFSIの酸化による二次電池サイクル性能への影響を効果的に緩和することができ、同時に、上記混合電解質塩に加えて、有機溶媒に特定の含有量のエチレンカーボネート(EC)をさらに含むため、上記混合電解質塩をよく解離することができるだけでなく、電池の高温貯蔵性能をさらに改善することができる。
【0015】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度は、0.9mol/L~1.2mol/Lである。前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度がこの範囲内にある場合、電池の高温貯蔵性能をさらに改善することができる。
【0016】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度は、0.15mol/L~0.3mol/Lである。前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度がこの範囲内にある場合、電池の高温サイクル性能をさらに改善する。
【0017】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦15%である。ECの含有量が高すぎると、その分解生成物により形成された負極表面でのSEI膜が厚すぎ、ある程度で二次電池の直流インピーダンスを悪化させる。より好ましくは、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦10%である。
【0018】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度とヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度の比の値は、3~7:1である。両者の体積モル濃度の比の値がさらに所定の範囲内に制御される場合、両者は相乗効果をよりよく発揮することができ、二次電池の高温サイクル性能及び高温貯蔵性能をよりよく改善することができる。より好ましくは、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度とヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度の比の値は、4~6:1である。
【0019】
本願の第1の態様に係る二次電池において、さらに、前記有機溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)のうちの1種類又は複数種類をさらに含む。
【0020】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記有機溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)をさらに含み、前記有機溶媒におけるエチルメチルカーボネート(EMC)の質量占有率は、60%~95%であり、より好ましくは、75%~95%である。
【0021】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解液は、添加剤をさらに含み、好ましくは、前記添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニルサルフェート(DTD)、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,3-プロペニル-スルトン(PST)、無水コハク酸(SA)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiDFOB)、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(LiDFOP)、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP)、トリス(トリメチルシリル)ボレート(TMSB)のうちの1種類又は複数種類を含む。
【0022】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解液の25℃での導電率は、6.5mS/cm~9.5mS/cmであり、より好ましくは、前記電解液の25℃での導電率は、7.0mS/cm~9.0mS/cmである。
【0023】
前記電解液の25℃での導電率は、本分野で周知の方法で測定でき、用いられる測定装置は、中国雷磁導電率測定装置であってもよい。
【0024】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記電解液における前記電解質塩の体積モル濃度は、0.9mol/L~1.1mol/Lである。
【0025】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記二次電池は、負極シートをさらに含み、前記負極シートは、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと、を含む。
【0026】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記負極集電体の種類は特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的に、前記負極集電体は、銅箔のような金属箔から選択できる。
【0027】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記負極活性材料は、炭素材料、ケイ素系材料のうちの1種類又は複数種類を含む。
【0028】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記炭素材料は、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンのうちの1種類又は複数種類を含んでもよく、好ましくは、前記炭素材料は、黒鉛を含み、前記黒鉛は、人造黒鉛、天然黒鉛から選択される1種類又は複数種類である。
【0029】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記ケイ素系材料は、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素酸素化合物、ケイ素炭素複合体、ケイ素窒素化合物のうちの1種類又は複数種類を含んでもよく、好ましくは、前記ケイ素系材料は、ケイ素酸素化合物を含む。
【0030】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記負極活性材料がケイ素系材料を含む場合、好ましくは、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の重量占有率が≦40%であり、より好ましくは、前記負極活性材料における前記ケイ素系材料の重量占有率は、15%~30%である。
【0031】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記二次電池は、正極シートをさらに含み、前記正極シートは、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に配置され且つ正極活性材料を含有する正極フィルムと、を含む。
【0032】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記正極集電体の種類は特に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。具体的に、前記正極集電体は、アルミニウム箔のような金属箔から選択できる。
【0033】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記正極活性材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物のうちの1種類又は複数種類を含む。リチウムニッケルコバルトマンガン酸素化合物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物は、二次電池の正極活性材料として、比容量が高く、サイクル寿命が長いなどの利点を有する。
【0034】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記正極活性材料は、一般式 LiNiCoM’又は少なくとも一部の表面に被覆層が設けられたLiNiCoM’の材料のうちの1種類又は複数種類を含み、ここで、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、0≦e≦0.1、1≦f≦2、0≦g≦1であり、Mは、Mn、Alから選択される1種類又は複数種類であり、M’は、Zr、Al、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti、Bから選択される1種類又は複数種類であり、Aは、N、F、S、Clから選択される1種類又は複数種類である。
【0035】
上記正極活性材料表面の被覆層は、炭素層、酸化物層、無機塩層又は導電性高分子層であってもよい。正極活性材料表面を被覆改質することにより、二次電池のサイクル性能をさらに改善することができる。
【0036】
本願の第1の態様に係る二次電池において、さらに、前記正極活性材料は、リチウムニッケル酸化物(例えば、ニッケル酸リチウム)、リチウムマンガン酸化物(例えば、スピネル型マンガン酸リチウム、層状構造マンガン酸リチウム)、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、コバルト酸リチウム及びその改質化合物のうちの1種類又は複数種類をさらに含んでもよい。
【0037】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記二次電池は、セパレータをさらに含み、前記セパレータの種類は特に限定されず、本分野においてリチウムイオン電池に適用される様々なセパレータであってもよい。具体的に、前記セパレータは、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜、ポリフッ化ビニリデン膜及びそれらの多層複合膜から選択される1種類又は複数種類であってよい。
【0038】
いくつかの実施例において、二次電池は、正極シート、負極シート及び電解液を封入するのに用いられる外装を含んでもよい。一例として、正極シート、負極シート及びセパレータを積層又は巻回して積層構造の電極アセンブリ又は巻回構造の電極アセンブリを形成し、電極アセンブリは、外装内に封止され、電解液は、電極アセンブリ内に浸潤される。二次電池における電極アセンブリの個数は、一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調整することができる。
【0039】
いくつかの実施例において、二次電池の外装は、ソフトパッケージであってもよく、例えば袋状ソフトパッケージである。ソフトパッケージの材質は、プラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレンPP、ポリブチレンテレフタレート PBT、ポリブチレンサクシネート PBSなどのうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。二次電池の外装は、ハードケースであってもよく、例えばアルミニウムケースなどであってもよい。
【0040】
本願は、二次電池の形状を特に限定せず、円筒形、角形又は他の任意の形状であってもよい。図1は、一例としての角形構造の二次電池5である。
【0041】
いくつかの実施例において、二次電池は、電池モジュールとして組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の個数は複数であってもよく、具体的な個数は、電池モジュールの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0042】
図2は、一例としての電池モジュール4である。図2を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長さ方向に沿って順次に配列されてもよい。当然のことながら、他の任意の方式で配列されてもよい。この複数の二次電池5は、さらに締結具によって固定されてもよい。
【0043】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含み、複数の二次電池5は、該収容空間に収容される。
【0044】
いくつかの実施例において、上記電池モジュールはさらに電池パックとして組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの個数は、電池パックの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0045】
図3及び図4は、一例としての電池パック1である。図3及び図4を参照すると、電池パック1は、電池ボックスと、電池ボックス内に配置される複数の電池モジュール4と、を含んでもよい。電池ボックスは、上部筐体2及び下部筐体3を備え、上部筐体2は、下部筐体3を覆うように配置されて、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、電池ケース内に任意に配置されてもよい。
【0046】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様に係る二次電池を備える装置を提供する。前記二次電池は、前記装置の電源として用いられてもよく、前記装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記装置は、モバイル機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電気自動車(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
前記装置は、その使用の必要に応じて、二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0048】
図5は、一例としての装置である。当該装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。二次電池の高電力及び高エネルギー密度に対する当該装置の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを使用してもよい。
【0049】
他の例としての装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコンなどであってもよい。当該装置は、一般的に軽量化及び薄型化を必要とし、電源として二次電池を用いることができる。
【実施例
【0050】
以下、実施例と組み合わせて、本願をさらに説明する。理解すべきことは、これらの実施例は本願を説明するためのものであって本願の範囲を限定するものではない。
【0051】
実施例1~24及び比較例1~7の二次電池は、いずれも以下の方法で製造される。
【0052】
(1)正極シートの製造
正極活性材料(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)、結着剤 ポリフッ化ビニリデン、及び導電剤 Super Pを、重量比 98:1:1で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を添加し、真空撹拌機の作用下で系が均一な透明状になるまで撹拌して、正極スラリーを得る。正極スラリーをアルミニウム箔に均一に塗布する。室温でアルミニウム箔を乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、正極シートを得る。
【0053】
(2)負極シートの製造
負極活性材料 人造黒鉛と導電剤 Super P、結着剤 SBRを、質量比 96:2:2で混合し、脱イオン水を添加し、真空撹拌機の作用下で負極スラリーを得る。負極スラリーを負極集電体 銅箔に均一に塗布する。室温で銅箔を乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、負極シートを得る。
【0054】
(3)電解液の調製
含水量<10ppmのアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で、各有機溶媒を混合し、次に十分に乾燥後の電解質塩を有機溶媒で溶解させた後、有機溶媒に添加剤(0.5% FEC、1% DTD)を添加し、均一に混合して、電解液を得る。ここで、各電解質塩の体積モル濃度、各有機溶媒の重量比は、表1に示す通りである。表1において、各電解質塩の体積モル濃度は、電解液の総体積に基づいて計算して得られた体積モル濃度であり、各有機溶媒の含有量は、有機溶媒の総重量に基づいて計算して得られた重量百分率である。上記添加剤の含有量は、電解液の総重量に基づいて計算して得られた重量百分率である。
【0055】
(4)セパレータの製造
ポリエチレン膜をセパレータとする。
【0056】
(5)二次電池の製造
セパレータが正極シートと負極シートの間に位置して隔離の役割を果たすように、正極シート、セパレータ、負極シートを順次に積層した後、巻回により電極アセンブリを得る。電極アセンブリを外装内に置き、上記調製された電解液を乾燥後の二次電池に注入し、真空封止、静置、化成、整形などの工程を経て、二次電池を得る。
【0057】
実施例2~24及び比較例1~7の二次電池の製造方法は実施例1と類似し、実施例2~24及び比較例1~7において、二次電池における電解液の配合率が異なる(詳細は表1を参照)。
【0058】
実施例25~48及び比較例8~14の二次電池は、いずれも以下の方法で製造される。
【0059】
(1)正極シートの製造
正極活性材料(LiNi0.8Co0.1Mn0.1)、結着剤 ポリフッ化ビニリデン、及び導電剤 Super Pを、重量比 98:1:1で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を添加し、真空撹拌機の作用下で系が均一な透明状になるまで撹拌して、正極スラリーを得る。正極スラリーをアルミニウム箔上に均一に塗布する。室温でアルミニウム箔を乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、正極シートを得る。
【0060】
(2)負極シートの製造
負極活性材料 一酸化ケイ素と人造黒鉛を質量比 2:8で混合した後、それと導電剤 Super P、及び結着剤 アクリル酸エステルを、質量比 92:2:6で混合し、脱イオン水を添加し、真空撹拌機の作用下で負極スラリーを得る。負極スラリーを負極集電体 銅箔に均一に塗布する。室温で銅箔を乾燥させた後にオーブンに移して乾燥させ、その後に冷間プレス、切断を経て、負極シートを得る。
【0061】
(3)電解液の調製
含水量<10ppmのアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で、各有機溶媒を混合し、次に十分に乾燥後の電解質塩を有機溶媒で溶解させた後、有機溶媒に添加剤(8% FEC、1% SA、0.8% TMSP)を添加し、均一に混合して、電解液を得る。ここで、各電解質塩の体積モル濃度、各有機溶媒の重量比は、表2に示す通りである。表2において、各電解質塩の体積モル濃度は、電解液の総体積に基づいて計算して得られた体積モル濃度であり、各有機溶媒の含有量は、有機溶媒の総重量に基づいて計算して得られた重量百分率である。上記添加剤の含有量は、電解液の総重量に基づいて計算して得られた重量百分率である。
【0062】
(4)セパレータの製造
ポリエチレン膜をセパレータとする。
【0063】
(5)二次電池の製造
セパレータが正極シートと負極シートの間に位置して隔離の役割を果たすように、正極シート、セパレータ、負極シートを順次に積層した後、巻回により電極アセンブリを得る。電極アセンブリを外装内に置き、上記調製された電解液を乾燥後の二次電池に注入し、真空封止、静置、化成、整形などの工程を経て、二次電池を得る。
【0064】
実施例26~48及び比較例8~14の二次電池の製造方法は実施例25と類似し、実施例26~48及び比較例8~14において、二次電池における電解液の配合率が異なる(詳細は表2を参照)。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
次に、二次電池の測定手順を説明する。
【0068】
(1)高温サイクル性能測定
45℃で、二次電池を1Cの定電流で4.25Vまで充電し、さらに4.25Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、5min静置し、次に1Cの定電流でカットオフ電圧の下限まで放電し(表1における各実施例及び比較例は2.8Vを取り、表2における各実施例及び比較例は2.5Vを取る)、これが二次電池の初回充放電サイクルであり、今回の放電容量を二次電池の初回サイクルの放電容量と記し、上記方法に応じて、二次電池に対して、800回の充放電サイクルを行って、二次電池の800回サイクル後の放電容量を得る。
二次電池の45℃で800回サイクル後の容量維持率(%)=(二次電池の800回サイクル後の放電容量/二次電池の初回サイクルの放電容量)×100%
【0069】
(2)高温貯蔵性能測定
60℃で、二次電池を0.5Cの定電流で4.25Vまで充電し、さらに4.25Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、排水法でこの時のリチウムイオン電池の体積を測定して、Vと記す。その後、二次電池を60℃の恒温箱に入れ、30日間貯蔵した後に取り出し、この時の二次電池の体積を測定して、Vと記す。
二次電池の60℃で30日間貯蔵後の体積膨張率(%)=[(V-V)/V]×100%
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
表3及び表4の測定結果分析から分かるように、実施例1~24と比較例1~7の比較、実施例25~48と比較例8~14の比較によると、本願の実施例1~48の電解質塩がビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含み、前記電解液におけるビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)の体積モル濃度が0.8mol/L~1.2mol/Lであり、前記電解液におけるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の体積モル濃度が0.15mol/L~0.4mol/Lであり、且つ有機溶媒がエチレンカーボネート(EC)を含み、前記有機溶媒におけるエチレンカーボネート(EC)の質量占有率が≦20%であり、上記電解質塩と有機溶媒の相乗作用により、本願の二次電池は、良好な高温サイクル性能及び高温貯蔵性能を両立できる。二次電池が本願の上記条件を満たさない場合、比較例1~7が実施例1~24に比べて、比較例8~14が実施例25~48に比べて、高温サイクル性能と高温貯蔵性能を相対的に両立させることができない。
【符号の説明】
【0073】
1 電池パック
2 上部筐体
3 下部筐体
4 電池モジュール
5 二次電池
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】