(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】筋再生および筋成長
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20221207BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20221207BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20221207BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20221207BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20221207BHJP
A01K 67/027 20060101ALI20221207BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20221207BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20221207BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221207BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221207BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20221207BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20221207BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20221207BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221207BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20221207BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221207BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K45/00
C12N15/09 110
C12N15/113 130Z
C12N15/54 ZNA
C12N5/077
A01K67/027
A61K45/06
A61P25/02
A61P21/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K48/00
A61K31/713
A61K31/7105
A61K31/7115
A61K31/712
A61K31/7125
A61P17/02
A61P27/02
A61P11/04
A61P9/00
A61P9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522663
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 US2020055971
(87)【国際公開番号】W WO2021076883
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512241232
【氏名又は名称】ブラウン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ファロン,ジャスティン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】マディガン,ローラ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,アシュリー,イー.
(72)【発明者】
【氏名】マケチニー,ベス
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュ,ローレン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイム,ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ,ジョン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
筋再生を増加させるための、および神経筋機能障害と関連した疾患、障害、または病状を予防するまたは治療するための方法および組成物が本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経筋機能障害または筋ジストロフィーの1つまたは複数の特質に罹患している対象を治療する方法であって、
機能的Ig3ドメインを欠如するMuSKポリペプチドのレベルもしくは活性を増加させるステップ;および/または
BMP-MuSKポリペプチド複合体のレベルもしくは活性を低下させるステップを含み、前記MuSKは機能的Ig3ドメインを含む、対象を治療する方法。
【請求項2】
筋再生および/または筋成長を増加させる方法であって、
機能的Ig3ドメインを欠如するMuSKポリペプチドのレベルもしくは活性を増加させるステップ;および/または
BMP-MuSKポリペプチド複合体のレベルもしくは活性を低下させるステップを含み、前記MuSKは機能的Ig3ドメインを含む、筋再生および/または筋成長を増加させる方法。
【請求項3】
筋線維症を予防するまたは治療する方法であって、
機能的Ig3ドメインを欠如するMuSKポリペプチドのレベルもしくは活性を増加させるステップ;および/または
BMP-MuSKポリペプチド複合体のレベルもしくは活性を低下させるステップを含み、前記MuSKは機能的Ig3ドメインを含む、筋線維症を予防するまたは治療する方法。
【請求項4】
MuSK筋再生(MR)アゴナイズ剤(agonizing agent)を含むまたは送達する薬学的組成物を対象に投与するステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSK Ig3ドメインタンパク質発現、MuSK Ig3ドメイン遺伝子発現、および/またはBMPシグナル伝達のMuSK Ig3活性化を下方調節する作用物質であり、前記組成物は筋肉の細胞外空間内の細胞外マトリックスの蓄積を阻止するまたは低下させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記MuSK MRアゴナイズ剤は小分子であるまたは小分子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記MuSK MRアゴナイズ剤は抗体剤であるまたは抗体剤を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記MuSK MRアゴナイズ剤はオリゴヌクレオチドであるまたはオリゴヌクレオチドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体剤はMuSKポリペプチドに特異的に結合する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体剤はMuSKを標的にし、MuSKポリペプチドの前記Ig3ドメインに特異的に結合する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
MuSKタンパク質の前記Ig3ドメインを標的にする前記抗体は、MuSKのIg1またはIg2ドメインと比べて前記Ig3ドメインに特異的に結合し得る、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体剤は、4本のポリペプチド鎖、例えば2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体剤はモノクローナル抗体であるまたはモノクローナル抗体を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体剤はポリクローナル抗体であり得るまたはポリクローナル抗体を含み得る、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記MuSK MRアゴナイズ剤はオリゴヌクレオチドである、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記オリゴヌクレオチドはMuSK Ig3標的CRISPR/Cas9である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドはMuSK Ig3標的siRNAである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドはMuSK Ig3標的shRNAである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップは、転写産物のスプライシングの変更を増加させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
転写産物のスプライシングの前記変更は、MuSKスプライシングを変更することであるまたは変更することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
MuSKスプライシングの前記変更は、所望のおよび/もしくは向上した生物学的機能を有する産物の産生、ならびに/または非所望の生物学的機能が抑制され得るようにスプライシング産物を改変することによる非所望の産物のノックダウンを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
MuSKスプライシングの前記変更は、MuSK Ig3ドメインをコードする配列を欠如する転写産物の産物を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記スプライシング産物はmRNAである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記変更は、1つまたは複数のエクソンをスキップすることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
エクソンスキッピングが、エクソンスキッピングの非存在と比較して、向上した有益な活性を有するmRNAおよびタンパク質のレベルを増加させるという点で、転写産物の前記スプライシングが増加する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
エクソンスキッピングが、エクソンスキッピングの非存在と比較して、非所望の活性を有するmRNAおよびタンパク質のレベルを下げるという点で、転写産物の前記スプライシングが増加する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
エクソンスキッピングが、MuSK Ig3ドメインのmRNAおよびタンパク質のレベルを下げるという点で、転写産物の前記スプライシングが増加する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記スキップされた1つまたは複数のエクソンは前記MuSK Ig3ドメインにある、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記スキップされたエクソンはMuSK Ig3ドメインのエクソン6である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記スキップされたエクソンはMuSK Ig3ドメインのエクソン7である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記スキップされたエクソンはMuSK Ig3ドメインのエクソン6および7である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物は、制御された構造エレメント、例えば制御された化学修飾を含むオリゴヌクレオチドを含み、予想外の特性を提供する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記オリゴヌクレオチドは化学修飾を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化学修飾は、塩基修飾、糖修飾、およびヌクレオチド間連結修飾のうちの1つまたは複数のタイプを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記化学修飾は糖修飾を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記糖修飾は2-MOE修飾である、請求項15に記載の方法。
【請求項37】
エクソン6および7の一方または両方のスキッピングが増加するように、MuSK一次転写産物の集団を含むシステムと、そのような一次転写産物に結合するオリゴヌクレオチドとを接触させることによって、MuSKエクソンスキッピングを誘導する方法。
【請求項38】
前記オリゴヌクレオチドは、制御された構造エレメント、例えば制御された化学修飾を含み、それが予想外の特性を提供する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記オリゴヌクレオチドは化学修飾を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記化学修飾は、塩基修飾、糖修飾、およびヌクレオチド間連結修飾のうちの1つまたは複数のタイプを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記化学修飾は糖修飾を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記糖修飾は2-MOE修飾である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記オリゴヌクレオチドを含みおよび/または前記オリゴヌクレオチドを対象に送達する組成物の薬学的有効量を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物はCNSに送達される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物は脳脊髄液に送達される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記組成物は筋肉に投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物は、全身性または限局性投与のために製剤化され得る、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物は、静脈内注射、静脈内注入、筋肉内注射、髄腔内投与、経口投与、口腔投与、吸入、経鼻投与、局所投与、眼科的投与、または耳性投与から選択される経路による送達のために製剤化される、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物は、筋肉内投与による送達のために製剤化される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物は、静脈内投与による送達のために製剤化される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物は、経口投与による送達のために製剤化される、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記対象は、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害、および筋消耗によって特徴付けられる疾患からなる群から選択される疾患もしくは障害の危険性があるまたは罹患している、請求項4~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記神経筋機能障害は、ベッカー型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋強直性筋ジストロフィー、および眼咽頭型筋ジストロフィーからなる群から選択される筋ジストロフィーである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記心機能障害は心筋梗塞または心筋症である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記対象は、外科手術、外傷、および長期の運動抑制からなる群から選択される病状の後に筋再生および/または筋成長の増強を必要としている、請求項4~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記長期の運動抑制は床上安静またはキャスティングから生じる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記対象はサルコペニアの危険性があるまたは罹患している、請求項4~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象は、外傷、遺伝性疾患、筋障害、および加齢からなる群から選択される疾患または病状から生じる筋線維症の危険性があるまたは罹患している、請求項4~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記外傷は、放射線治療、挫滅、裂傷、および切断からなる群から選択される病状の結果である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記遺伝性疾患または筋障害は、先天性筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および加齢関連サルコペニアからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
MuSK筋再生アゴナイズ剤に曝露された細胞の集団であって、それにより筋原性マーカーによって特徴付けられる細胞のレベルまたはパーセンテージが、前記曝露なしで観察されるものと比べて集団内で増加している、細胞の集団。
【請求項62】
前記筋原性マーカーは、Pax7、MyoD、ミオゲニンおよびMERGE、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項61に記載の集団。
【請求項63】
レベルまたはパーセンテージの前記増加は、前記曝露なしで観察されるものと比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%の、または95%より大きい増加である、請求項61に記載の集団。
【請求項64】
前記筋マーカーは活性化筋(例えば、衛星)細胞を指し示す、請求項61に記載の集団。
【請求項65】
結果として生じる集団を生成するために、筋前駆細胞であるまたはそれを含む元の細胞の集団とMuSK筋再生アゴナイズ剤とを接触させるステップを含む方法であって、前記接触させるステップは、筋マーカーによって特徴付けられる細胞のレベルまたはパーセンテージが、前記元の集団においてよりも前記結果として生じる集団において有意に高いような条件下でかつ十分な時間の間実施される、ステップを含む方法。
【請求項66】
前記接触させるステップはインビボで生じる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記接触させるステップは成人において生じる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記接触させるステップは筋組織内の部位で生じる、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記接触させるステップはエクスビボで生じる、請求項66または67に記載の方法。
【請求項70】
前記細胞の集団は、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害、または筋消耗によって特徴付けられる疾患に罹患している対象から獲得されている、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記結果として生じる集団を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記神経マーカーは、Pax7、MyoD、ミオゲニンおよびMERGE、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記筋マーカーは活性化筋(例えば、衛星)細胞を指し示す、請求項65に記載の方法。
【請求項74】
MuSK筋再生アゴナイズ剤を特徴付けする方法であって、
MuSK-Ig3-BMP複合体形成を低下させる能力を査定するステップ(形成を再阻止する(re prevent)依存性、形成された分断、Ig3および/またはBMPへの直接結合を査定する、濃度依存性等);
一次MuSK転写産物のスプライシングパターンを変更する能力を査定するステップ;
転写産物(例えば、Ig3を含む)の発現を阻害する能力を査定するステップ(依存は、分解を誘導すること、翻訳を阻害すること等を含む);
前記Ig3ドメインをコードする配列を欠如するMuSK転写産物の発現を増加させる能力を査定するステップ;
機能的Ig3を欠如するMuSKポリペプチドのレベルを増加させる能力を査定するステップ;および
集団における細胞の特徴に影響を与える能力を査定するステップ
のうちの1つまたは複数を含む、MuSK筋再生アゴナイズ剤を特徴付けする方法。
【請求項75】
前記MuSK MRアゴナイズ剤はオリゴヌクレオチドである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの改変を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記オリゴヌクレオチドは、対象に投与された場合、一次MuSK転写産物のスプライシング活性を変更し、それによりエクソン6および7の一方または両方のスキッピングが増加する、請求項75または請求項76に記載の方法。
【請求項78】
MuSKをコードする配列をそのゲノムに含む遺伝子改変されたマウスであって、MuSKをコードする前記配列は、(5’から3’の順序に)エクソン6からエクソン7までのヌクレオチドの距離を含まず;
前記遺伝子改変されたマウスは、全長MuSK転写産物を発現し得ないまたは全長MuSKタンパク質を産生し得ない、遺伝子改変されたマウス。
【請求項79】
前記マウスは配列番号2におけるアミノ酸配列を含むMuSKタンパク質を発現し得ない、請求項78に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項80】
前記マウスはIg3ドメインを欠如するMuSKタンパク質をコードするMuSK転写産物を発現し得る、請求項78に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項81】
前記全長MuSK転写産物を発現し得るまたは全長MuSKタンパク質を産生し得るマウスと比較して、前記マウスは筋再生の増加を呈する、請求項78に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項82】
筋再生の前記増加は、運動機能の増加であることを含む、請求項81に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項83】
前記マウスはMuSKをコードする前記配列における(5’から3’の順序に)エクソン6からエクソン7までのヌクレオチドの距離を、CRISPR/Cas9システムを使用して除去することによって遺伝子改変されている、請求項78に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項84】
前記CRISPR/Cas9システムは、前記MuSK遺伝子配列のエクソン6および/またはエクソン7内の領域を標的にするgDNAを含む、請求項83に記載の遺伝子改変されたマウス。
【請求項85】
前記gDNAが標的にする配列は配列番号3~6を含む、請求項84に記載の遺伝子改変されたマウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援による研究または開発に関する声明
本発明は、国立衛生研究所によって授与された以下の資金:NIH助成金:T32賞5T32AG041688-07、およびU01助成金:NIH 1U01NS064295-04を用いて開発された。政府は、本発明におけるある特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
骨格筋は損傷後に再生する能力を有する。筋再生は、筋衛星細胞と称される常在性幹細胞に依存する。成熟筋組織において、衛星細胞は、有糸分裂的および生理学的静止細胞の小さい散らばった集団を構成する。衛星細胞は、一生を通じて正常な筋成長および維持にも関わり、それらを利用して筋消耗状態を治療し得ることを示している。
【0003】
骨格筋は、体重の約35%を占め、代謝、運動および呼吸に必須であり、ヒトの健康におけるその重要性を協調する。筋消耗は、がん患者、高齢患者、および神経筋機能障害の病歴がない多くの他の者の大多数に対して、可動性、代謝およびクオリティオブライフを低下させる。加えて、筋ジストロフィーは、小児に影響を及ぼすデュシェンヌ型筋ジストロフィーを含めて、重篤な筋力低下につながる遺伝的疾患のしばしば致死的なグループである。治療の開発のための障害は、衛星細胞を調節するシグナル伝達および筋再生があまり理解されていないことである。したがって、筋再生および筋成長のための組成物ならびに方法の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達は、正常状態および病的状態の両方において骨格筋幹細胞の活性を調節する。本発明の実施形態は、BMPシグナル伝達をモジュレートするための技術を提供する。数ある中でも、本開示は、BMPと筋特異的チロシンキナーゼタンパク質(MuSK)との間の重要な相互作用がMuSKの第3の免疫グロブリンドメイン(Ig3)によって媒介されるという洞察を提供する。本開示は、BMPシグナル伝達がIg3ドメインの非存在下で撹乱されることを実証する。さらには、本開示は、MuSKを標的にする薬理学的介入によるBMPシグナル伝達のモジュレートが、筋幹細胞の活性を増強するためおよび筋再生を増加させるための魅力的な方法を提供することを教示する。
【0005】
本開示は、筋再生に機能的に参加するMuSK形態のレベルおよび/または活性を、一部の実施形態における、そのように参加しないMuSK形態を別様に生成するであろう選択的スプライシングを低下させることによってを含めて、増加させるための技術を提供する。一部の実施形態において、そのような増加は、筋肉等の関連組織においてである。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、そのような増加は、脳組織(例えば、海馬および/または脳室下)および/または肺組織等の組織においてである。
【0006】
一部の実施形態において、本開示は、例えば、Ig3ドメインが変更され(例えば、変異し、遮断され、除去され等)、それにより例えばそれがBMPとの相互作用に有効に参加することができないMuSKの1つまたは複数の形態のレベルおよび/または活性を増加させることによって、Ig3-MuSKをアゴナイズするための技術を提供する。一部の実施形態において、本開示は、例えば、Ig3ドメインがBMPとの相互作用に有効に参加するMuSKの1つまたは複数の形態のレベルおよび/または活性を低下させることによって、Ig3+MuSKを低下させるための技術を提供する。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、本開示は、MuSK Ig3/BMP複合体のレベルおよび/または活性を低下させる(例えば、そのような複合体の形成を阻害する、そのような複合体を分断する、かつ/または別様にアンタゴナイズする)技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一部の実施形態において、本開示は、MuSK Ig3ドメインおよび/またはBMPを標的にし、それによりMuSK/BMP複合体のレベルおよび/または活性が低下するMuSK筋再生アゴナイズ剤を提供する。一部のそのような実施形態において、そのようなMuSK筋再生アゴナイズ剤は、そのような複合体の形成を阻害しおよび/またはそのような複合体を分断する。一部の実施形態において、そのようなMuSK筋再生アゴナイズ剤は、MuSK Ig3への結合をBMPと競合しおよび/またはBMPへの結合をMuSK Ig3と競合する。
【0008】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるMuSK Ig3ドメインおよび/またはBMPを標的にし、それによりMuSK/BMP複合体のレベルおよび/または活性が低下する作用物質(例えば、MuSK筋再生アゴナイズ剤)は、筋再生および/または筋成長の文脈において有用である。一部の実施形態において、提供される作用物質は筋成長を増強し得る。一部の実施形態において、筋成長は損傷のない組織で生じる。一部の実施形態において、筋成長は損傷した組織で生じる。一部の実施形態において、筋成長の増強および/または増加は、衛星細胞数の減少および/または筋線維のサイズの増加によって判定される。これに関して、筋成長は、衛星細胞数の減少および/または筋線維のサイズの増加によって特徴付けされ得、衛星細胞の分化、ならびに既存の筋線維および新たに形成された筋線維への融合/増大を指し示す。
【0009】
本発明の実施形態は、MuSK Ig3ドメインタンパク質発現、MuSK Ig3ドメイン遺伝子発現、および/またはBMPシグナル伝達のMuSK Ig3活性化を下方調節し、それによって筋再生および/または筋成長の増強もたらす筋衛星細胞を上方調節する組成物を投与することによって、例えばそれを必要とする対象において、筋再生および/または筋成長を増強する方法を提供する。一部の実施形態において、そのような組成物は、MuSK Ig3標的遮断抗体、MuSK Ig3標的エクソンスキッピングオリゴヌクレオチド、MuSK Ig3標的CRISPR/Cas9、MuSK Ig3標的siRNA、MuSK Ig3標的小分子、および/またはMuSK Ig3標的shRNAを含み得および/または送達し得る。
【0010】
一部の実施形態において、関心対象の対象は、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患を含むがそれらに限定されない疾患または障害の危険性があり得るまたは疾患または障害に苦しみ得る。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、関心対象の対象は、例えば特発性肺線維症(IPF)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺炎、および/またはCOVID-19等のコロナウイルス感染症を含むウイルス感染症を含めた、ある特定の感染症を含む、肺損傷と関連した疾患または障害の危険性があり得るまたは罹患し得る。
【0011】
本発明の技術によって治療され得る例示的な神経筋機能障害または神経筋障害は、ベッカー型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋強直性筋ジストロフィー、および眼咽頭型筋ジストロフィーを含むが、それらに限定されるわけではない。
【0012】
一部の実施形態において、筋成長の増強は、筋萎縮または筋消耗と関連した疾患または障害を治療する文脈において使用される。筋萎縮または筋消耗は、神経筋障害等の本明細書に記載される様々な疾患および病状に関連して観察され得、または長期の不活動、床上安静、入院、加齢、栄養不良、がん悪液質、慢性炎症性疾患等によって直接的もしくは間接的に引き起こされ得る。慢性炎症性疾患の例には、関節リウマチ、慢性心不全、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)が含まれる。
【0013】
入院の期間ならびに病気のタイプおよび重症度は、対象における筋消耗の程度に影響を及ぼし得、筋消耗は、敗血症、臓器不全、高血糖症、ならびに慢性および全身性の炎症または酸化的ストレスと関連した疾患に罹患している患者において一般的である。付加的に、完全な運動抑制/床上安静を要する入院は、筋消耗に有意に寄与する。
【0014】
筋萎縮/筋消耗と関連した付加的な障害には、関節リウマチ、骨関節炎および傷害等の可動性の減少と関連した障害が含まれる。Powersら(2016)。ゆえに、一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載される多数の疾患もしくは病状に関連するまたはその結果としての筋消耗または筋萎縮を予防する/治療するための技術を提供する。
【0015】
一部の実施形態において、本発明の方法はまた、対象が外科手術、外傷および/または長期の運動抑制(例えば、床上安静またはキャスティングに由来する)後に筋再生および筋成長の増強を必要とする場合、使用され得る。筋幹細胞の活性は、加齢とともに減少することが公知であり、本発明の方法はまた、そうでなければ健康である患者におけるサルコペニアを予防または回復させるために使用され得、クオリティオブライフおよび自律性の有意な向上をもたらし得る。
【0016】
本開示の実施形態は、MuSK Ig3ドメインタンパク質発現、MuSK Ig3ドメイン遺伝子発現、および/またはBMPシグナル伝達のMuSK Ig3活性化を下方調節し、筋肉の細胞外空間内の細胞外マトリックスの蓄積を阻止するまたは低下させる組成物を投与することによって、例えばそれを必要とする対象において、筋線維症を予防するまたは治療する方法も提供する。組成物は、MuSK Ig3標的遮断抗体、MuSK Ig3標的エクソンスキッピングオリゴヌクレオチド、MuSK Ig3標的CRISPR/Cas9、MuSK Ig3標的siRNA、MuSK Ig3標的小分子、および/またはMuSK Ig3標的shRNAを含み得る。
【0017】
対象は、外傷、遺伝性疾患、筋障害、および加齢を含むがそれらに限定されない疾患または障害から生じる筋線維症の危険性があり得るまたは罹患し得る。外傷は、例えば放射線治療、挫滅、裂傷、および切断から生じ得る。遺伝性疾患または筋障害には、先天性筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および加齢関連サルコペニアが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0018】
一部の実施形態において、本開示は、MuSK Ig3ドメインタンパク質発現、MuSK Ig3ドメイン遺伝子発現、および/またはBMPシグナル伝達のMuSK Ig3活性化を下方調節し、筋肉の細胞外空間内の細胞外マトリックスの蓄積を阻止するまたは低下させる作用物質をスクリーニングする、検証する、特徴付ける、査定するかおよび/または同定するために使用され得るモデル系を提供する。一部の実施形態において、モデル系は人為的に操作された細胞株である。一部の実施形態において、モデル系は遺伝子操作されたマウスモデルである。一部の実施形態において、マウスモデルはΔIg3-MuSKマウスを含む。
【0019】
例示の目的のために、本発明のある特定の実施形態が、下で記載される図面に示される。図面における同様の数字は、全体にわたって同様の要素を表す。しかしながら、本発明は示される正確な配置、寸法、および機器に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】衛星細胞におけるMuSK発現を例示する図である。
図1Aは衛星細胞のタンパク質発現マーカーを示している。
図1Bは全長MuSKおよびΔIg3-MuSKの構造を示している。
図1Cは、直ぐに(静止)または培養24時間後(活性化)に染色された単離された無傷のWT筋原線維の免疫組織化学検査(IHC)を示している。これらのIHCデータは、活性化されているが静止状態ではない衛星細胞が検出可能なMuSKを発現することを示している。ΔIg3-MuSK衛星細胞は同様の発現パターンを有する(示さない)。
【
図2】BMP受容体に関連する全長MuSKおよびΔIg3-MuSKの構造を示している図である。Ig3ドメインは高アフィニティーBMP結合に必要である。ΔIg3-MuSKはMuSK-BMP活性を低下させ、筋再生および筋成長はΔIg3-MuSKを発現する筋肉において加速される。
【
図3】25ng/mLのBMP4ありまたはなしで2時間処理された新生仔マウスからの初代筋管におけるWnt11転写を示している図である。MuSK依存性BMP4誘導Wnt11転写は、qRT-PCRによって判定されるΔIg3-MuSK筋管を低下させた。これらのデータは、2つの別々の実験においてn=6の反復での培養で、2.6倍の増加に対して5.8倍の増加を示している。T検定、p=0.0007。
【
図4】損傷のない筋肉、ならびに損傷の5、7および14日後(dpi)の再生筋肉における衛星細胞(SC)の特徴付けを例示する図である。
図4Aは、実験プロトコールの概略図を提供する。5~8カ月齢の雌の前脛骨筋を損傷させた。5-エチニル-2’-デオキシウリジン(EdU)を、4、6または13dpiに腹腔内(i.p.)注射を介して投与し、筋組織を、それぞれ、5、7または14dpiに採取した。
図4Bおよび
図4Cは、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E;
図4B)または細胞外マトリックスタンパク質のラミニン(緑色)もしくはPax7(赤色)に対する抗体(
図4C)で染色された、損傷のない、5dpi、7dpiまたは14dpiの野生型およびΔIg3-MuSKマウスからの筋肉の代表画像を示している。
図4Bおよび
図4Cは、5dpiでΔIg3-MuSKマウスにおけるPax7+衛星細胞の密度の増加が存在したことを示している。
【
図5】損傷のない筋肉、ならびに損傷の5、7および14日後(dpi)の再生筋肉における衛星細胞(SC)の特徴付けを例示する図である。
図5Aは、ΔIg3-MuSK SCが5dpiに衛星細胞密度を有意に増加させたことを示している。断面積あたりのSC量を、反対側の対照および5、7、14dpiの損傷したTAの筋肉において、盲検で算出した(n=4マウス、マウスあたり約5,000,000μmをカウント、t検定、p=0.02)。
図5Bは、ΔIg3-MuSK SCが5dpiに衛星細胞増殖を有意に増加させたことを示している。EdU+ SCのパーセントを、5、7および14dpiの損傷した前脛骨筋において、盲検で算出した(n=4、t検定、P=0.04)。すべての分析は盲検で行った。EdUは採取の24時間前に投与された。
【
図6】5カ月齢の動物におけるBaCl2損傷7日後に収集された野生型およびΔIg3-MuSK筋肉における最小フェレット直径を示している図である。マン・ホイットニーT検定:P<0.0001、n=4マウス、群あたり1000~2000の総線維を解析した。筋原線維領域は、7dpiで、野生型マウスと比較して、ΔIg3-MuSKマウスにおいてより多く、筋再生がΔIg3-MuSKマウスにおいて加速されることを示している。
【
図7】ΔIg3-MuSKマウスモデルの作出を示している図である。MuSK Ig3ドメインを欠如するマウスモデルを、CRISPR/Cas9を使用して作出した。hSpCas9と、Ig3ドメインをコードする遺伝子座に隣接するgRNAとをコードするプラスミド(黒三角)を、およそ11kbの領域を切除するように設計し、それによってIg3コードドメインを欠如する新規のMuSKアレル(MuSK
ΔIg3)を作出した。矢印は、WTまたはMuSK
ΔIg3のいずれかを増幅するように設計されたPCRプライマーを示す。MuSK
ΔIg3に関してホモ接合型である樹立マウスを遺伝子型判定によって選択し、DNAシーケンシングによって確認した。PCRによるWTおよびMuSK
ΔIg3アレルのゲノムDNAの増幅は、それぞれ436および400bpのアンプリコンを産生する。WTマウスは、WT MuSKアレルを有するが、MuSK
ΔIg3を有しない。ヘテロ接合型MuSK
ΔIg3マウスは、それぞれ436および400bpの産物によって証明されるWTおよびMuSK
ΔIg3アレルの両方を有し、一方でMuSK
ΔIg3ホモ接合体は、436bpのMuSK
ΔIg3アレルのみを増幅する。
【
図8】WTおよびΔIg3-MuSKマウスにおける最小フェレット直径によって測定される筋原線維のサイズのヒストグラムを示している図である。3カ月齢のマウスからの筋肉において行われた線維サイズ分類は、WTとΔIg3-MuSK筋原線維との間の平均サイズまたはサイズ分布において相違がないことを示している。5カ月齢のマウスにおいて行われた線維サイズ分類は、ΔIg3-MuSKマウスでは筋原線維のサイズが増加していることを示している。これは、ΔIg3-MuSKマウスでは3~5カ月の間に筋成長が増加していることが示す。マン・ホイットニーT検定:P<0.0001、n=3~4マウス、マウスあたり500の総線維を解析した。
【
図9】3および5カ月での損傷のないΔIg3-MuSKおよびWTマウスにおける衛星細胞の数を示している図である。筋切片における免疫組織化学検査を利用して、領域ごとにPax7+細胞によって測定される衛星細胞の数を判定した。3カ月齢の動物において、衛星細胞の数は、WTとΔIg3-MuSK筋肉との間で同等である。5カ月では、WT筋肉におけるSCの量は変化していないが、Ig3-MuSK筋肉における衛星細胞の量は約半分まで低下している。それぞれの点は動物を表す。これは、ΔIg3-MuSKマウスにおけるSCの数は3~5カ月の間に減っていることを示している。対応のないt検定、n=8マウス、p=0.01。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において使用される一部の用語および語句の意味が下で提供される。別様に記述されないまたは文脈から黙示的でない限り、以下の用語および語句は、下で提供される意味を含む。
【0022】
本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるため、これらの定義は、特定の実施形態を記載するのを助けるために提供されるものであり、請求される発明を限定することを意図されるわけではない。
【0023】
別様に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。当技術分野における用語の使用法と本明細書に提供されるその定義との間に明らかな矛盾がある場合、本明細書内に提供される定義が優先するものとする。
【0024】
約またはおよそ:「約」または「およそ」という用語は、値に関連して本明細書において使用される場合、参照値との背景において同程度である値を指す。一般的に、背景を熟知している当業者であれば、その背景において「約」によって包含される分散の関連する程度を解するであろう。例えば、一部の実施形態において、「約」という用語は、参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内、またはそれ未満にある値の域を包含し得る。
【0025】
投与:本明細書において使用するとき、「投与」という用語は、典型的に、例えば組成物であるまたは組成物に含まれるまたは組成物によって送達される作用物質(例えば、アゴナイズ剤)の送達を達成するための、対象またはシステムへの組成物の投与を指す。当業者であれば、適当な状況において、対象、例えばヒトへの投与に利用され得る多様な経路を知っているであろう。例えば、一部の実施形態において、投与は、眼、経口、口腔、皮膚(例えば、真皮に局所的、皮内、皮膚の間(interdermal)、経皮等のうちの1つまたは複数であり得るまたはそれを含み得る)、腸内、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、特定の臓器内(例えば、肝内)、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば、気管内点滴による)、経腟、硝子体等であり得る。一部の実施形態において、作用物質(例えば、アゴナイズ剤)は、中枢神経系(CNS)に送達される、例えば脳室内投与を介して送達される。一部の実施形態において、投与は、単回投薬のみを伴い得る。一部の実施形態において、投与は、固定数の投薬の適用を伴い得る。一部の実施形態において、投与は、間欠的な(例えば、時間が隔てられた複数回の投薬)および/または周期的な(例えば、共通の期間によって隔てられた個々の投薬)投薬である投薬を伴い得る。一部の実施形態において、投与は、少なくとも選択された期間の間の連続投薬(例えば、灌流)を伴い得る。
【0026】
作用物質:一般的に、本明細書において使用される「作用物質」という用語は、例えばポリペプチド、核酸、サッカリド、脂質、小分子、金属、またはその組み合わせもしくは複合体を含めた、任意の化学分類の化合物または実体を指すために使用され得る。適当な状況において、当業者にとって文脈から明白であろうように、該用語は、細胞もしくは生物、またはその画分、抽出物、もしくは構成要素であるまたはそれを含む実体を指すために利用され得る。代替的にまたは付加的に、文脈により明白になるであろうように、該用語は、それが天然に見出されかつ/または天然から獲得されるという点で天然産物を指すために使用され得る。ある場合には、再度文脈から明白であろうように、該用語は、人間の手の作用を通じて設計され、操作され、かつ/もしくは産生される、および/または天然には見出されないという点で人為的である1つまたは複数の実体を指すために使用され得る。一部の実施形態において、作用物質は、単離されたまたは純粋な形態で利用され得;一部の実施形態において、作用物質は、粗形態で利用され得る。一部の実施形態において、潜在的な作用物質は、収集物またはライブラリーとして提供され得、例えばそれをスクリーニングして、それらの中で活性剤を同定し得るまたは特徴付けし得る。ある場合には、「作用物質」という用語は、ポリマーであるまたはそれを含む化合物または実体を指し得;ある場合には、該用語は、1つまたは複数のポリマー部分を含む化合物または実体を指し得る。一部の実施形態において、「作用物質」という用語は、ポリマーではなく、かつ/あるいはいかなるポリマーもおよび/または1つもしくは複数の特定のポリマー部分も実質的に含んでいない化合物または実体を指し得る。一部の実施形態において、該用語は、任意のポリマー部分を欠如するまたは実質的に含んでいない化合物または実体を指し得る。
【0027】
アゴニスト:当業者であれば、「アゴニスト」という用語は、その存在、レベル、程度、タイプ、または形態が、別の作用物質(すなわち、アゴナイズされる作用物質または標的作用物質)のレベルまたは活性の増加と相関する作用物質(すなわち、「アゴナイズ剤」)、条件、または事象を指すために使用され得ることを解するであろう。一般的に、アゴニストは、関連する活性化活性を示す、例えば小分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、および/または他の任意の実体を含めた、任意の化学分類の作用物質であり得るまたはそれを含み得る。一部の実施形態において、アゴニストは直接的であり得(その場合、それは、その標的に対して直接的にその影響を及ぼす);一部の実施形態において、アゴニストは間接的であり得る(その場合、それは、その標的への結合以外によって、例えば標的の調節因子と相互作用し、それにより標的のレベルまたは活性が変更されることによって、その影響を及ぼす)。一部の実施形態において、アゴニストは、標的(例えば、タンパク質または核酸)に結合し、それにより標的のレベル、形態、および/または活性が変更される、タンパク質(例えば、抗体)または核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)である結合作用物質である。一部の実施形態において、レベル、形態、および/または活性の変更は、標的核酸配列から発現される変更されたタンパク質のレベルの増加である。当業者であれば、本開示を読めば、一部の実施形態において、アゴナイズ剤は結合標的に結合し得(かつ潜在的にアゴナイズし)、結合は、アゴナイズされるさらなる標的のレベルまたは活性の増加を引き起こすことを解するであろう。具体的な例を与えるために、一部の実施形態において、核酸標的に結合するアゴナイズ剤は、その標的のレベルおよび/または活性を変更し得、および一部の具体的な実施形態において、その核酸標的の活性をアゴナイズし得(例えば、その修飾、スプライシング、5’キャップ形成および/もしくは3’末端形成、輸送、ならびに/または翻訳等を増加させ、それにより所望の産物、例えばmRNAのレベルが増加することによって)、かつ/またはそのような核酸標的によってコードされるポリペプチド等の下流標的をアゴナイズし得る。1つの特定のそのような例を与えるために、一部の実施形態において、アゴナイズ剤は、一次転写産物に結合しかつそのスプライシングパターンを変更し、それにより、特定のスプライス形態(例えば、成熟mRNA)のレベルおよび/または活性が増加し、それが今度は、そのような特定のスプライス形態であるまたはそれによってコードされる産物(例えば、ポリペプチド)のレベルの増加を達成し得る、オリゴヌクレオチドであり得るまたはそれを含み得る。
【0028】
アゴニスト療法:本明細書において使用される「アゴニスト療法」という用語は、関心対象の特定の標的をアゴナイズして、所望の治療効果を達成する、アゴニストの投与を指す。一部の実施形態において、アゴニスト療法は、アゴニストの単回投薬を施すことを伴う。一部の実施形態において、アゴニスト療法は、アゴニストの複数回投薬を施すことを伴う。一部の実施形態において、アゴニスト療法は、治療効果を達成することが知られるまたは予想される投薬レジメンに従ってアゴニストを投与することを伴う、なぜなら例えば、そのような結果は、例えば関連集団への投与を通じて、指定される程度の統計的信頼度まで立証されているためである。一部の実施形態において、アゴニスト療法は、本明細書に記載されるアゴナイズ剤の送達を伴う。上で記されるように、一部の実施形態において、アゴナイズ剤は、標的(例えば、タンパク質または核酸)に結合し、それにより標的のレベル、形態、および/または活性が変更される、タンパク質(例えば、抗体)または核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)である結合作用物質であり得るまたはそれを含み得る。一部の実施形態において、アゴナイズ剤は結合標的に結合し得(かつ潜在的にアゴナイズし)、結合は、アゴナイズされるさらなる標的のレベルまたは活性の増加を引き起こす。具体的な例を与えるために、一部の実施形態において、核酸標的に結合するアゴナイズ剤は、その標的のレベルおよび/または活性を変更し得、および一部の具体的な実施形態において、その核酸標的の活性をアゴナイズし得(例えば、その修飾、スプライシング、5’キャップ形成および/もしくは3’末端形成、輸送、ならびに/または翻訳等を増加させ、それにより所望の産物、例えばmRNAのレベルが生み出されることによって)、かつ/またはそのような核酸標的によってコードされるポリペプチド等の下流標的をアゴナイズし得る。1つの特定のそのような例を与えるために、一部の実施形態において、アゴナイズ剤は、一次転写産物に結合しかつそのスプライシングパターンを変更し、それにより、特定のスプライス形態(例えば、成熟mRNA)のレベルおよび/または活性が生み出され、それが今度は、そのような特定のスプライス形態であるまたはそれによってコードされる産物(例えば、ポリペプチド)のレベルの増加を達成し得る、オリゴヌクレオチドであり得るまたはそれを含み得る。
【0029】
アンタゴニスト:当業者であれば、本明細書において使用される「アンタゴニスト」という用語は、その存在、レベル、程度、タイプ、または形態が、別の作用物質(すなわち、阻害される作用物質、または標的)のレベルまたは活性の減少と相関する作用物質(すなわち、「アンタゴナイズ剤」)、条件、または事象を指すために使用され得ることを解するであろう。一般的に、アンタゴニストは、関連する阻害活性を示す、例えば小分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、および/または他の任意の実体を含めた、任意の化学分類の作用物質であり得るまたはそれを含み得る。一部の実施形態において、アンタゴニストは直接的であり得(その場合、それは、その標的に対して直接的にその影響を及ぼす);一部の実施形態において、アンタゴニストは間接的であり得る(その場合、それは、その標的への結合以外によって、例えば標的の調節因子と相互作用し、それにより標的のレベルまたは活性が変更されることによって、その影響を及ぼす)。一部の実施形態において、アンタゴニストは、標的(例えば、タンパク質または核酸)に結合し、それにより標的のレベル、形態、および/または活性が変更される、タンパク質(例えば、抗体)または核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)である結合作用物質である。一部の実施形態において、レベル、形態、および/または活性の変更は、標的核酸配列から発現される変更されたタンパク質のレベルの減少である。当業者であれば、本開示を読めば、一部の実施形態において、アンタゴナイズ剤は結合標的に結合し得(かつ潜在的にアンタゴナイズし)、結合は、アンタゴナイズされるさらなる標的のレベルまたは活性の減少を引き起こすことを解するであろう。具体的な例を与えるために、一部の実施形態において、核酸標的に結合するアンタゴナイズ剤は、その標的のレベルおよび/または活性を変更し得、および一部の具体的な実施形態において、その核酸標的の活性をアンタゴナイズし得(例えば、その修飾、スプライシング、5’キャップ形成および/もしくは3’末端形成、輸送、ならびに/または翻訳等を減少させ、それにより非所望の産物、例えばmRNAのレベルが抑制されることによって)、かつ/またはそのような核酸標的によってコードされるポリペプチド等の下流標的をアンタゴナイズし得る。1つの特定のそのような例を与えるために、一部の実施形態において、アンタゴナイズ剤は、一次転写産物に結合しかつそのスプライシングパターンを変更し、それにより、特定のスプライス形態(例えば、成熟mRNA)のレベルおよび/または活性が抑制され、それが今度は、そのような特定のスプライス形態であるまたはそれによってコードされる産物(例えば、ポリペプチド)のレベルの減少を達成し得る、オリゴヌクレオチドであり得るまたはそれを含み得る。
【0030】
抗体剤:本明細書において使用するとき、「抗体剤」という用語は、特定の抗原(例えば、関心対象のタンパク質、例えばMuSKタンパク質のエピトープであり得るまたはそれを含み得る)に特異的に結合する作用物質を指す。一部の実施形態において、該用語は、特異的結合を付与するのに十分な免疫グロブリン構造エレメントを含む、任意のポリペプチドまたはポリペプチド複合体を包含する。例示的な抗体剤には、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、抗体剤は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体に特徴的である1つまたは複数の定常領域配列を含み得る。一部の実施形態において、抗体剤は、当技術分野において公知であるように、ヒト化されている、霊長類化されている、キメラである等の1つまたは複数の配列エレメントを含み得る。多くの実施形態において、「抗体剤」という用語は、抗体の構造的および機能的特質を代替的な提示で利用するための、当技術分野において公知のまたは開発された構築物または形式の1つまたは複数を指すために使用される。例えば、実施形態において、本発明に従って利用される抗体剤は、無傷のIgA、IgG、IgE、またはIgM抗体;二重特異性または多特異性(例えば、Zybodies(登録商標)等);Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fd’フラグメント、Fdフラグメント、および単離されたCDRまたはそのセット等の抗体フラグメント;一本鎖Fv;ポリペプチド-Fc融合体;単一ドメイン抗体(例えば、IgNAR等のサメ単一ドメイン抗体またはそのフラグメント);ラクダ科(cameloid)抗体;マスクされた抗体(例えば、Probodies(登録商標));小さなモジュラー免疫医薬品(「SMIPs(商標)」);一本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));VHH;Anticalins(登録商標);Nanobodies(登録商標)ミニボディ;BiTE(登録商標);アンキリン反復タンパク質またはDARPINs(登録商標);Avimers(登録商標);DART;TCR様抗体;Adnectins(登録商標);Affilins(登録商標);Trans-bodies(登録商標);Affibodies(登録商標);TrimerX(登録商標);マイクロタンパク質;Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標);およびKALBITOR(登録商標)から選択される形式にあるものであるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、抗体は、それが天然に産生される場合に有するであろう共有結合修飾(例えば、グリカンの付着)を欠如し得る。一部の実施形態において、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカンの付着、搭載物(例えば、検出可能部分、治療用部分、触媒部分等)、または他のペンダント基(例えば、ポリエチレングリコール等)を含有し得る。多くの実施形態において、抗体剤は、アミノ酸配列が、当業者によって相補性決定領域(CDR)として認識される1つまたは複数の構造エレメントを含むポリペプチドでありまたはそれを含み;一部の実施形態において、抗体剤は、アミノ酸配列が、参照抗体に見出されるものと実質的に同一である少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDRおよび/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるまたはそれを含む。一部の実施形態において、含まれるCDRは、それが、参照CDRと比較して、配列が同一であるまたは1~5個のアミノ酸置換を含有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。一部の実施形態において、含まれるCDRは、それが、参照CDRとの少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で、参照CDRと実質的に同一である。一部の実施形態において、含まれるCDRは、それが、参照CDRとの少なくとも96%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で、参照CDRと実質的に同一である。一部の実施形態において、含まれるCDRは、参照CDRと比較して、含まれるCDR内の少なくとも1個のアミノ酸が欠失されている、付加されている、または置換されているが、含まれるCDRは、その他の点では参照CDRのものと同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。一部の実施形態において、含まれるCDRは、参照CDRと比較して、含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が欠失されている、付加されている、または置換されているが、含まれるCDRは、その他の点では参照CDRと同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。一部の実施形態において、含まれるCDRは、参照CDRと比較して、含まれるCDR内の少なくとも1個のアミノ酸が置換されているが、含まれるCDRは、その他の点では参照CDRのものと同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。一部の実施形態において、含まれるCDRは、参照CDRと比較して、含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が欠失されている、付加されている、または置換されているが、含まれるCDRは、その他の点では参照CDRと同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。一部の実施形態において、抗体剤は、アミノ酸配列が、当業者によって免疫グロブリン可変ドメインとして認識される構造エレメントを含むポリペプチドであるまたはそれを含む。一部の実施形態において、抗体剤は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるまたは大部分は相同である結合ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。
【0031】
抗体:本明細書において使用するとき、「抗体」という用語は、抗原(例えば、関心対象のタンパク質、例えばMuSKタンパク質のエピトープであり得るまたはそれを含み得る)に結合し得る免疫グロブリンドメインを含有する免疫グロブリンまたはその誘導体を指す。抗体は、任意の種、例えばヒト、齧歯類、ウサギ、ヤギ、ニワトリ等のものであり得る。抗体は、ヒトクラス:IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE、またはIgG1、IgG2等のそのサブクラスのいずれかを含めた、任意の免疫グロブリンクラスのメンバーであり得る。本発明の様々な実施形態において、抗体は、Fab’、F(ab’)2、scFv(一本鎖可変)、もしくは抗原結合部位を保持する他のフラグメント、または組み換えで産生されたフラグメントを含めた組み換えで産生されたscFvフラグメント等のフラグメントである。例えば、Allen(2002)およびその中の参考文献を参照されたい。抗体は、一価、二価、または多価であり得る。抗体は、例えば齧歯類起源の可変ドメインがヒト起源の定常ドメインと融合し、ゆえに齧歯類抗体の特異性を保持する、キメラ抗体または「ヒト化」抗体であり得る。ヒト起源のドメインは、それが人間において最初に合成されるという意味で、ヒトを直接起源にする必要はない。その代わり、「ヒト」ドメインは、ゲノムがヒト免疫グロブリン遺伝子を組み入れている齧歯類において生成され得る。例えば、Vaughanら(1998)を参照されたい。抗体は、部分的にまたは完全にヒト化され得る。抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり得、とはいえ本発明の目的上、モノクローナル抗体が概して好まれる。関心対象の事実上任意の分子に特異的に結合する抗体を産生するための方法が、当技術分野において公知である。例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗体は、抗体を産生する動物の血液もしくは腹水から精製され得る(例えば、分子またはその抗原フラグメントへの自然曝露またはそれによる免疫付与の後)、細胞培養もしくはトランスジェニック生物における組み換え技法を使用して産生され得る、または化学合成によって少なくとも一部作製され得る。一部の実施形態において、抗体は、例えば標的抗原に結合することによってアンタゴニストとして作用し得、前記抗原のレベルまたは活性の減少をもたらす。一部の実施形態において、抗体は、例えば標的抗原に結合することによってアゴニストとして作用し得、前記抗原のレベルまたは活性の増加をもたらす。
【0032】
アンチセンス:「アンチセンス」という用語は、ヌクレオチド配列が、コード鎖核酸に見出される配列の一部またはすべてに相補的である核酸を指すために本明細書において使用される。典型的に、「コード鎖」核酸とは、配列が、オープンリーディングフレームの一部もしくはすべて、またはポリペプチドの一部もしくはすべてをコードする他の一続きの残基を含むものである。一部の実施形態において、「アンチセンス」という用語は、特に、コード鎖に(すなわち、そのようなコード鎖内の標的配列に)特異的に結合するオリゴヌクレオチドに関して本明細書において使用され得る。一部の実施形態において、コード鎖は、コードおよび非コード配列の両方を含み得る(例えば、1つの例を与えるにすぎないが、イントロンおよびエクソン配列の両方を含む一次転写産物等、転写産物であり得る)。当業者であれば、本開示を読めば、一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、その配列の一部またはすべてがその標的鎖の非コード部に相補的である場合、「アンチセンス」オリゴヌクレオチドと見なされ得るまたは称され得ることを解するであろう。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的センス鎖におけるコード配列に結合し;一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的コード配列における非コード配列に結合する。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的コード鎖におけるコードおよび非コード配列の両方に結合する。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、コード鎖(例えば、転写産物)におけるその標的配列に結合した場合、それがそのようなコード鎖の転写後プロセシング(例えば、修飾、スプライシング、5’キャップ形成および/もしくは3’末端形成、5’キャップ形成および/もしくは3’末端形成、輸送、ならびに/または翻訳のうちの1つまたは複数)を変更することで特徴付けされる。一部の特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その標的コード鎖のスプライシングを変更する。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、アンチセンス-コード鎖複合体は、例えばRNaseHによって、分解されるまたは分解され得る。
【0033】
およそ:本明細書において使用するとき、数に関連した「およそ」または「約」という用語は、一般的に、特に記述されないまたは特に文脈から明瞭でない限り、数のいずれかの方向(より大きいまたはより少ない)に5%、10%、15%、または20%の域内に入る数を含むと捉えられる(そのような数が、考え得る値の0%未満であろうまたは100%を超えるであろう場合を除く)。
【0034】
結合作用物質:概して、「結合作用物質」という用語は、本明細書に記載される関心対象の標的に結合する任意の実体を指すために本明細書において使用される。多くの実施形態において、関心対象の結合作用物質とは、それが、特定の相互作用背景においてその標的と他の潜在的結合パートナーとを区別するという点で、その標的と特異的に結合するものである。一般的に、結合作用物質は、任意の化学分類の実体(例えば、ポリマー、非ポリマー、小分子、ポリペプチド、炭水化物、脂質、核酸等)であり得るまたはそれを含み得る。一部の実施形態において、結合作用物質は単一の化学的実体である。一部の実施形態において、結合作用物質は、非共有結合性相互作用によって関連する条件下で互いと結び付いた2つ以上の個別の化学的実体の複合体である。例えば、当業者であれば、一部の実施形態において、結合作用物質は、「包括的」結合部分(例えば、ビオチン/アビジン/ストレプトアビジンおよび/またはクラス特異的抗体のうちの1つ)、および包括的結合(biding)部分のパートナーに連結されている「特異的」結合部分(例えば、特定の分子標的を有する抗体またはアプタマー)を含み得る。一部の実施形態において、そのような手法は、異なる特異的結合部分と同じ包括的結合部分(poiety)パートナーとの連結を通じた、複数の結合作用物質のモジュール式組み立てを可能にし得る。一部の実施形態において、結合作用物質はポリペプチド(例えば、抗体または抗体フラグメントを含む)であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質は小分子であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質は核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質はアプタマーである。一部の実施形態において、結合作用物質はポリマーであり;一部の実施形態において、結合作用物質はポリマーではない。一部の実施形態において、結合作用物質は、それらがポリマー部分を欠如するという点で、非ポリマー性である。一部の実施形態において、結合作用物質は炭水化物であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質はレクチンであるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質はペプチド模倣体であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質は足場タンパク質であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質はミモトープ(mimeotope)であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、結合作用物質はステープルペプチドであるまたはそれを含む。ある特定の実施形態において、結合作用物質は、DNAまたはRNA等の核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)であるまたはそれを含む。
【0035】
特徴的な配列エレメント:本明細書において使用するとき、「特徴的な配列エレメント」という語句は、そのポリマーの特徴的な部分を表す、ポリマーに(例えば、ポリペプチドまたは核酸に)見出される配列エレメントを指す。一部の実施形態において、特徴的な配列エレメントの存在は、ポリマーの特定の活性または特性の存在またはレベルと相関する。一部の実施形態において、特徴的な配列エレメントの存在(または非存在)は、そのようなポリマーの特定のファミリーまたは群のメンバー(またはメンバーでない)として特定のポリマーを規定する。特徴的な配列エレメントは、典型的に、少なくとも2つのモノマー(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を含む。一部の実施形態において、特徴的な配列エレメントは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50個、またはそれを上回る数のモノマー(例えば、連続的に連結したモノマー)を含む。一部の実施形態において、特徴的な配列エレメントは、配列エレメントを共有するポリマーによって長さが変動しても変動しなくてもよい、1つまたは複数のスペーサー領域によって間隔を置かれた、隣接モノマーの少なくとも第1および第2ストレッチを含む。
【0036】
相補的:本明細書において使用するとき、当技術分野において認められたその意味に従って、「相補的」とは、特定の塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、または核酸間の正確な対合の能力を指す。例えば、アデニン(A)およびウリジン(U)は相補的であり;アデニン(A)およびチミジン(T)は相補的であり;ならびにグアニン(G)およびシトシン(C)は相補的であり、当技術分野においてワトソン・クリック型塩基対合と称される。第1の核酸配列のある特定の場所におけるヌクレオチドが、鎖を逆平行の方位にアラインした際に、第2の核酸配列において反対側に位置するヌクレオチドに相補的である場合、ヌクレオチドは相補的塩基対を形成し、核酸はその場所において相補的である。第2の核酸に対する第1の核酸の相補性パーセントは、評価のウィンドウにわたって最大の相補性のために逆平行の方位にそれらをアラインし、ウィンドウ内で相補的塩基対を形成する、両鎖におけるntの総数を判定し、ウィンドウ内のntの総数で割り、100を掛けることによって評価され得る。例えば、AAAAAAAAおよびTTTGTTATは、合計16ntのうち12ntが相補的塩基対の状態にあることから、75%相補的である。特定の相補性%を達成するために必要とされる相補的ntの数を計算する場合、分数は最も近い整数に四捨五入される。非相補的ヌクレオチドによって占有される場所はミスマッチをなし、すなわち該場所は、非相補的塩基対によって占有される。ある特定の実施形態において、評価のウィンドウは、二重鎖部または標的部に対して、本明細書に記載される長さを有する。相補的配列は、両ヌクレオチド配列の長さ全体にわたって(同じ長さの場合)またはより短い配列の長さ全体にわたって(異なる長さの場合)、第2のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドへの第1のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの塩基対合を含む。そのような配列は、互いに対して「完璧に相補的」(100%の相補性)と本明細書において称され得る。評価のウィンドウにわたって少なくとも70%相補的である核酸は、そのウィンドウにわたって「実質的に相補的」と見なされる。ある特定の実施形態において、相補的な核酸は、評価のウィンドウにわたって少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相補的である。第1の配列が第2の配列に対して「実質的に相補的」と本明細書において称される場合、2つの配列は完璧に相補的であり得る、またはそれらは、ハイブリダイゼーションがあると1つもしくは複数のマッチしない塩基、例えばハイブリダイゼーションがあると最高で約5%、10%、15%、20%、もしくは25%のマッチしない塩基、例えば最高で30個の塩基対の二重鎖に対してハイブリダイゼーションがあると1、2、3、4、5、もしくは6個のミスマッチした塩基対を含み得、一方で、それらの意図される使用に最も関連する条件下でハイブリダイズする能力を保持する。2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションがあると、1つまたは複数の一本鎖突出を形成するように設計される場合、そのような突出は、相補性パーセントの判定に関して、ミスマッチまたは対にならないヌクレオチドとして見なされないことが理解されるべきである。例えば、長さが21ヌクレオチドの一方のオリゴヌクレオチドと、長さが23ヌクレオチドのもう一方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAの2つの鎖であって、より長いオリゴヌクレオチドが、より短いオリゴヌクレオチドに完璧に相補的である21ヌクレオチドの配列、および2ヌクレオチド突出を含む2つの鎖は、本明細書において「完璧に相補的」と称され得る。本明細書において使用される「相補的」配列は、ハイブリダイズするそれらの能力に関する要件が満たされる限りにおいて、1つもしくは複数の非ワトソン・クリック型塩基対、ならびに/または非天然のおよび他の改変ヌクレオチドから形成される塩基対を含み得る。そのような非ワトソン・クリック型塩基対には、G:Uゆらぎまたはフーグスティーン型塩基対合が含まれるが、それに限定されるわけではない。当業者であれば、グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルは、そのような塩基を持つヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変更することなく、いわゆる「ゆらぎ」ルールに従って、他の塩基によって置き換えられ得ることを知っている。例えば、MurphyおよびRamakrishnan(2004)を参照されたい。例えば、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン、またはウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対合し得る。ゆえに、ウラシル、グアニン、またはアデニンを含有するヌクレオチドは、本明細書に記載される阻害性RNAのヌクレオチド配列において、例えばイノシンを含有するヌクレオチドによって置き換えられ得る。「相補的」、「完璧に相補的」、および「実質的に相補的」という用語は、任意の2つの核酸間の塩基マッチング、例えば二本鎖核酸のセンス鎖およびアンチセンス鎖間、またはその一部の間の塩基マッチングに対して使用され得ることが理解されるであろう。本明細書において使用される「ハイブリダイズする」とは、当業者によって理解されるであろう関心対象の特定の条件下で安定である二重鎖構造(すなわち、分子内または分子間二重鎖)が形成されるような、相補的な部分を含むまたはそれからなる2つの核酸配列(一部の実施形態において、同じ核酸分子の一部であり得、および他の実施形態において、異なる核酸分子の一部であり得るまたはそれを含み得る)間の相互作用を指す。
【0037】
含む:「含む」という用語は、存在している規定の要素に加えて他の要素も存在し得ることを意味する。「含む」の使用は、限定よりもむしろ包含を示す。
【0038】
からなる:「からなる」という用語は、本明細書に記載される組成物、方法およびそのそれぞれの構成要素を指し、これは、実施形態のその説明に列挙されていない任意の要素を排除する。本明細書において使用するとき、「から本質的になる」という用語は、所与の実施形態に要されるそれらの要素を指す。この用語は、本発明の実施形態の基本的なおよび新規の特徴または機能的特徴に実質的に影響を及ぼさない付加的な要素の存在を許容する。
【0039】
併用療法:本明細書において使用するとき、「併用療法」という用語は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2種以上の治療剤)に同時に曝露されるそうした状態を指す。一部の実施形態において、2つ以上のレジメンは同時に投与され得;一部の実施形態において、そのようなレジメンは逐次的に投与され得(例えば、第1のレジメンのすべての「投薬」が、第2のレジメンの任意の投薬の投与の前に投与される);一部の実施形態において、そのような作用物質は、重複する投薬レジメンにおいて投与される。一部の実施形態において、併用療法の「投与」は、他の作用物質または様態を受けている対象への、組み合わせでの1種または複数の作用物質または様態の投与を伴い得る。明確にするために、併用療法は、個々の作用物質が単一の組成物において一緒に(またはさらに、必然的に同じ時間に)投与されることを要するわけではない、とはいえ一部の実施形態において、2種以上の作用物質またはその活性部分は、組み合わせ組成物またはさらに組み合わせ化合物において(例えば、単一の化学的複合体または共有結合性実体の一部として)一緒に投与され得る。
【0040】
比較可能な:本明細書において使用するとき、「比較可能な」という用語は、互いに同一でなくてもよいがそれらの間での比較を可能にするのに十分に類似しており、それにより当業者であれば、観察された相違点または類似点に基づいて結論が合理的に導き出され得ると解するであろう、2つ以上の作用物質、実体、状態、条件一式等を指す。一部の実施形態において、比較可能な条件一式、状況、個体、または集団は、複数の実質的に同一の特質および1つまたは少数の変化に富む特質によって特徴付けられる。当業者であれば、文脈の中で、比較可能と見なされる対象となる2つ以上のそのような作用物質、実体、状態、条件一式等に対して、任意の所与の状況においてどの程度の同一性が要されるかを理解するであろう。例えば、当業者であれば、状況一式、個体、または集団は、種々の状況一式、個体、または集団の下でまたはそれを用いて獲得される結果または観察される現象の相違が、変化に富むそうした特質の変動によって引き起こされるまたはそれを指し示すという合理的な結論を正当化する十分な数およびタイプの実質的に同一の特質によって特徴付けられる場合、互いに比較可能であると解するであろう。
【0041】
ドメイン:本明細書において使用される「ドメイン」という用語は、実体の一区画または一部分を指す。一部の実施形態において、「ドメイン」は、実体の特定の構造的および/または機能的特質と関連しており、それにより、ドメインがその親実体の残部から物理的に分離された場合、それは特定の構造的および/または機能的特質を実質的にまたは完全に保持する。代替的にまたは付加的に、ドメインは、その(親)実体から分離されかつ異なる(レシピエント)実体と連結された場合、親実体においてそれを特徴付けた1つまたは複数の構造的および/または機能的特質を実質的に保持しかつ/またはレシピエント実体上に付与する、実体の一部分であり得るまたはそれを含み得る。一部の実施形態において、ドメインは、分子(例えば、小分子、炭水化物、脂質、核酸、またはポリペプチド)の一区画または一部分である。一部の実施形態において、ドメインはポリペプチド(例えば、MuSKタンパク質のIg3ドメイン)の一区画であり;一部のそのような実施形態において、ドメインは、特定の構造エレメント(例えば、特定のアミノ酸配列または配列モチーフ、a-ヘリックス特徴、b-シート特徴、コイルドコイル特徴、ランダムコイル特徴等)によって、および/または特定の機能的特質(例えば、結合活性、酵素活性、フォールディング活性、シグナル伝達活性等)によって特徴付けられる。
【0042】
投薬レジメン:当業者であれば、「投薬レジメン」という用語は、典型的には期間によって隔てられた、対象に個々に投与される単位投薬一式(典型的には1回を上回る)を指すために使用され得ると解するであろう。一部の実施形態において、所与の治療剤は、1回または複数の投薬を伴い得る推奨投薬レジメンを有する。一部の実施形態において、投薬レジメンは、そのそれぞれが他の投薬と時間が隔てられている複数の投薬を含む。一部の実施形態において、個々の投薬は、同じ長さの期間によって互いと隔てられており;一部の実施形態において、投薬レジメンは、複数回の投薬、および個々の投薬を隔てる少なくとも2つの異なる期間を含む。一部の実施形態において、投薬レジメン内のすべての投薬は、同じ単位投薬量のものである。一部の実施形態において、投薬レジメン内の異なる投薬は、異なる量のものである。一部の実施形態において、投薬レジメンは、第1の投薬量での第1の投薬、それに続く、第1の投薬量とは異なる第2の投薬量での1回または複数の付加的な投薬を含む。一部の実施形態において、投薬レジメンは、第1の投薬量での第1の投薬、それに続く、第1の投薬量と同じ第2の投薬量での1回または複数の付加的な投薬を含む。一部の実施形態において、投薬レジメンは、関連集団にわたって投与された場合、所望のまたは有益な成果と相関する(すなわち、治療的投薬レジメンである)。
【0043】
発現:本明細書において使用するとき、核酸配列の「発現」とは、以下の事象:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による);(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、および/または3’末端形成による);(3)RNA転写産物の輸送(例えば、核から細胞質へ;および/または(4)ポリペプチドもしくはタンパク質へのRNAの翻訳;および/または(4)ポリペプチドもしくはタンパク質の翻訳後修飾、のうちの1つまたは複数を指す。
【0044】
単離されたまたは部分的に精製された:本明細書において使用される「単離された」または「部分的に精製された」という用語は、核酸またはポリヌクレオチドの場合において、その天然起源中で見出される核酸もしくはポリペプチドとともに存在するか、および/または細胞によって発現されるもしくは分泌ポリペプチドの場合は分泌されるときに核酸もしくはポリペプチドとともに存在するであろう少なくとも1種の他の構成要素(例えば、核酸またはポリペプチド)から分離された核酸またはポリペプチドを指す。化学合成された核酸もしくはポリペプチド、またはインビトロ転写/翻訳を使用して合成されたものは、「単離された」と見なされる。「精製された」または「実質的に精製された」という用語は、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれを上回る対象の核酸またはポリペプチドを含めた、少なくとも95重量%の対象の核酸またはポリペプチドである、単離された核酸またはポリペプチドを指す。一部の実施形態において、本明細書に記載される抗体、その抗原結合部分、またはキメラ抗原受容体(CAR)は単離されている。一部の実施形態において、本明細書に記載される抗体、抗体試薬、その抗原結合部分、またはCARは精製されている。
【0045】
操作された:本明細書において使用するとき、「操作された」とは、人の手によって操縦されている態様を指す。例えば、抗体、抗体試薬、その抗原結合部分、CARまたは二重特異性抗体は、抗体、抗体試薬、その抗原結合部分、CARまたは二重特異性抗体の配列が、天然で存在するような抗体の配列と異なるように人の手によって操縦されている場合、「操作された」と見なされる。一般的な方法および当業者によって理解されているように、操作されたポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの子孫およびコピーは、典型的に、実際の操縦が従前の実体に対して実施されたとしても、依然として「操作された」と称される。
【0046】
フラグメント:本明細書に記載される材料または実体の「フラグメント」は、全体の個別の部分を含むが、全体に見出される1つまたは複数の部分を欠如する構造を有する。一部の実施形態において、フラグメントは、そのような個別の部分からなる。一部の実施形態において、フラグメントは、全体に見出される特徴的な構造エレメントまたは部分からなるまたはそれを含む。一部の実施形態において、ポリマーフラグメントは、ポリマー全体に見出される少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500個、またはそれを上回る数のモノマー単位(例えば、残基)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、ポリマーフラグメントは、ポリマー全体に見出される少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを上回る割合のモノマー単位(例えば、残基)を含むまたはそれからなる。材料または実体全体は、一部の実施形態において、フラグメントの「親」と称され得る。
【0047】
遺伝子:本明細書において使用するとき、「遺伝子」という用語は、産物(例えば、RNA産物および/またはポリペプチド産物)をコードする、染色体におけるDNA配列を指す。一部の実施形態において、遺伝子はコード配列(すなわち、特定の産物をコードする配列)を含み;一部の実施形態において、遺伝子は非コード配列を含む。一部の特定の実施形態において、遺伝子は、コード(例えば、エクソン)および非コード(例えば、イントロン)配列の両方を含み得る。一部の実施形態において、遺伝子は、例えば遺伝子発現の1つまたは複数の態様(例えば、細胞タイプ特異的発現、誘導性発現等)を制御し得るまたはそれに影響を与え得る、1つまたは複数の調節エレメントを含み得る。
【0048】
遺伝子産物または発現産物:本明細書において使用するとき、「遺伝子産物」または「発現産物」という用語は、概して、遺伝子から転写されたRNA(プロセシング前および/または後)、または遺伝子から転写されたRNAによってコードされるポリペプチド(修飾前および/または後)を指す。一部の実施形態において、遺伝子産物は、RNA転写産物の特定のプロセシングされた形態(例えば、特定の編集された形態、特定のスプライス形態、特定のキャップされた形態等)であり得るまたはそれを含み得る。
【0049】
相同性:本明細書において使用するとき、「相同性」という用語は、ポリマー分子間、例えば核酸分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。一部の実施形態において、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一である場合、互いに「相同」であると見なされる。一部の実施形態において、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%類似している場合、互いに「相同」であると見なされる。
【0050】
同一性:本明細書において使用するとき、「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば核酸分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。一部の実施形態において、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一である場合、互いに「実質的に同一」であると見なされる。2つの核酸またはポリペプチド配列の同一性パーセントの算出は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列をアラインすることによって実施され得る(例えば、最適なアラインメントのために第1および第2の配列の一方または両方にギャップが導入され得、同一でない配列は比較目的のために無視され得る)。ある特定の実施形態において、比較目的のためにアラインされる配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的に100%である。次いで、対応する場所におけるヌクレオチドが比較される。第1の配列における場所が、第2の配列における対応する場所と同じ残基(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)によって占有される場合には、分子はその場所において同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップの数を考慮して配列によって共有される同一の場所の数と、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要がある各ギャップの長さとの関数である。配列の比較、および2つの配列間の同一性パーセントの判定は、数学的アルゴリズムを使用して遂行され得る。例えば、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられているMeyersおよびMiller(1989)のアルゴリズムを使用して判定され得る。一部の例示的な実施形態において、ALIGNプログラムを用いて行われる核酸配列比較は、PAM120加重残基表、12というギャップ長ペナルティ、および4というギャップペナルティを使用する。2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、代替的に、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用したGCGソフトウェアパッケージ内のGAPプログラムを使用して判定され得る。
【0051】
「向上させる」、「増加させる」、「阻害する」、または「低下させる」:本明細書において使用するとき、「向上させる」、「増加させる」、「阻害する」、「低下させる」という用語またはその文法的等価物は、ベースラインまたは他の参照測定と相対的である値を示す。一部の実施形態において、適当な参照測定は、特定の作用物質もしくは処理の存在なしの(例えば、前および/または後の)その他の点では比較可能な条件下での、または適当な参照作用物質(例えば、陽性対照作用物質または陰性対照作用物質)の存在下での、特定のシステムにおける(例えば、単一個体、単一細胞、または細胞集団における)測定であり得るまたはそれを含み得る。一部の実施形態において、適当な参照測定は、関連する作用物質または処理の存在下での、特定のやり方で応答することが知られるまたは予想される、比較可能なシステムにおける測定であり得るまたはそれを含み得る。当業者であれば、「向上」、「増加」、「低下」等は、典型的に、統計的に有意な変化を指すと解するであろう。さらに、当業者であれば、どの大きさの変化が関連し得るかを文脈から理解するであろう。例えば、一部の実施形態において、変化は「倍」変化であり得、すなわちそれにより、「変化した」値は、関連する参照と比べて、1.1、1.2、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50倍またはそれを上回る倍(例えば、500、1000倍)(その間にあるおよび1を上回るすべての整数および小数点、例えば1.5、1.6、1.7、1.8等を含む)の差を表す。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、「変化」は「パーセンテージ」変化であり得、それにより、「変化した」値は、関連する参照と比べて、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の増加または減少(その間にあるすべての整数および小数点を含む)を表す。
【0052】
連結された:本明細書において使用するとき、「連結された」という用語は、2つ以上の部分に関して使用される場合、部分が互いと物理的に結び付いてまたは接続して十分に安定である分子構造を形成し、それにより、連結が形成される条件下で、および好ましくは新たな分子構造が使用される条件、例えば生理学的条件下で、部分が結び付いたままであることを意味する。本発明のある特定の好ましい実施形態において、連結は共有結合性連結である。他の実施形態において、連結は非共有結合性である。部分は直接的または間接的に連結され得る。2つの部分が直接的に連結される場合、それらは互いに共有結合で結合される、または2つの部分間の分子間力がそれらの結び付きを維持するように十分に近接にある。2つの部分が間接的に連結される場合、それらはそれぞれ、2つの部分間の結び付きを維持する第3の部分に共有結合でまたは非共有結合で連結される。一般的に、2つの部分が「リンカー」または「連結部分」または「連結部」によって連結されていると称される場合、2つの連結された部分間の連結は間接的であり、典型的に、連結された部分のそれぞれは、リンカーに共有結合で結合される。リンカーは、部分の安定性と合致した条件下で(条件に応じて、適切なように保護され得る)、かつ妥当な産出量をもたらす十分な量で、2つの部分と反応して妥当な期間内に連結される任意の適切な部分であり得る。
【0053】
ヌクレオチド間連結:本明細書において使用するとき、「ヌクレオチド間連結」という語句は、概して、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド単位間のリン含有連結を指し、上記でおよび本明細書において使用される「糖類間連結」および「リン原子架橋」と互換可能である。一部の実施形態において、ヌクレオチド間連結は、天然に存在するDNAおよびRNA分子に見出されるホスホジエステル連結である。一部の実施形態において、ヌクレオチド間連結は、ホスホジエステル連結の各酸素原子が、任意でおよび独立して、有機または無機部分によって置き換えられている「改変ヌクレオチド間連結」である。一部の実施形態において、そのような有機または無機部分は、=S、=Se、=NR’、-SR’、-SeR’、-N(R’)2、B(R’)3、-S-、-Se-、および-N(R’)-、式中、各R’は、独立して、下で規定されかつ記載されるとおりである、から選択されるがそれらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、ヌクレオチド間連結は、ホスホトリエステル連結、ホスホロチオエートジエステル連結(
【0054】
【0055】
)、または改変ホスホロチオエートトリエステル連結である。ヌクレオチド間連結は、連結における酸または塩基部分の存在に起因して、所与のpHでアニオンまたはカチオンとして存在し得ることが当業者によって理解される。一部の実施形態において、ヌクレオチド間連結はキラル連結であり得る。
【0056】
長期投与:本明細書において使用するとき、「長期」投与という用語は、治療剤または薬物が少なくとも12週の期間の間投与されることを意味する。これには、治療剤または薬物が、少なくとも12週の期間にわたってまたはその間有効であるように投与されることが含まれ、例えば、徐放性組成物または長時間作用型の治療剤もしくは薬物が使用される場合、投与それ自体が12週の間行われることを必ずしも意味しない。ゆえに、対象は、少なくとも12週の期間の間治療される。多くの場合において、長期投与は、少なくとも4、5、6、8、9カ月間、またはそれを上回って、あるいは少なくとも1、2、3、5、7もしくは10年間、またはそれを上回る。
【0057】
部分:当業者であれば、「部分」は、本明細書に記載される、特定の構造および/または活性を有する既定の化学基または実体であると解するであろう。
【0058】
ナノ粒子:本明細書において使用するとき、「ナノ粒子」という用語は、1000ナノメートル(nm)未満の直径を有する粒子を指す。一部の実施形態において、ナノ粒子は、アメリカ国立科学財団によって規定されるように、300nm未満の直径を有する。一部の実施形態において、ナノ粒子は、アメリカ国立衛生研究所によって規定されるように、100nm未満の直径を有する。一部の実施形態において、ナノ粒子は、それらが、空間またはコンパートメントを取り囲みかつ封入する(例えば、内腔を規定する)両親媒性実体から典型的には構成されるミセル膜によってバルク溶液から分離された、封入されたコンパートメントを含むという点でミセルである。一部の実施形態において、ミセル膜は、例えば生体適合性および/または生分解性ポリマー等、少なくとも1種のポリマーから構成される。
【0059】
核酸:本明細書において使用するとき、その最も広い意味において、オリゴヌクレオチド鎖であるまたはそれに組み入れられ得る任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態において、核酸は、ホスホジエステル連結を介してオリゴヌクレオチド鎖であるまたはそれに組み入れられ得る化合物および/または物質である。文脈から明白であろうように、一部の実施形態において、「核酸」とは、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指し;一部の実施形態において、「核酸」とは、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態において、「核酸」はRNAでありまたはそれを含み;一部の実施形態において、「核酸」はDNAであるまたはそれを含む。一部の実施形態において、核酸は、1つまたは複数の天然核酸残基である、それを含む、またはそれからなる。一部の実施形態において、核酸は、1つまたは複数の核酸類似体である、それを含む、またはそれからなる。一部の実施形態において、核酸類似体は、それがホスホジエステル骨格を利用しないという点で核酸とは異なる。例えば、一部の実施形態において、核酸は、当技術分野において公知であり、骨格においてホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有し、本発明の範囲内にあると見なされる、1つまたは複数の「ペプチド核酸」である、それを含む、またはそれからなる。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、核酸は、ホスホジエステル結合ではなく、1つまたは複数のホスホロチオエートおよび/または5’-N-ホスホロアミダイト連結を有する。一部の実施形態において、核酸は、1つまたは複数の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)である、それを含む、またはそれからなる。一部の実施形態において、核酸は、1つまたは複数のヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、0(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレートされた塩基、およびその組み合わせ)である、それを含む、またはそれからなる。一部の実施形態において、核酸は、天然核酸におけるものと比較して、1つまたは複数の改変糖類(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)を含む。一部の実施形態において、核酸は、RNAまたはタンパク質等の機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態において、核酸は1つまたは複数のイントロンを含む。一部の実施形態において、核酸は、天然供給源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素的合成(インビボまたはインビトロ)、組み換え細胞またはシステムにおける複製、および化学合成のうちの1つまたは複数によって調製される。一部の実施形態において、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000個、またはそれを上回る数の残基長である。一部の実施形態において、核酸は、部分的にまたは全体的に一本鎖であり;一部の実施形態において、核酸は、部分的にまたは全体的に二本鎖である。一部の実施形態において、核酸は、ポリペプチドをコードする、またはポリペプチドをコードする配列の相補体である、少なくとも1つのエレメントを含むヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態において、核酸は酵素活性を有する。
【0060】
プロドラッグ:一般的に、「プロドラッグ」とは、その用語が本明細書において使用されるようにおよび当技術分野において理解されるように、生物に投与された場合、体内で代謝されて関心対象の活性剤(例えば、治療剤または診断剤)を送達する実体である。典型的に、そのような代謝は、少なくとも1つの「プロドラッグ部分」の除去を伴い、それにより活性剤が形成される。様々な形態の「プロドラッグ」が当技術分野において公知である。そのようなプロドラッグ部分の例に関しては、
a)Design of Prodrugs、H.Bundgaard編(Elsevier、1985)およびMethods in Enzymology、42:309~396、K.Widderら編(Academic Press、1985);
b)Prodrugs and Targeted Delivery、J.Rautio編(Wiley、2011);
c)A Textbook of Drug Design and Development、Krogsgaard-Larsen編;
d)Bundgaard、第5章、「Design and Application of Prodrugs」、H.Bundgaard、113~191ページ(1991);
e)Bundgaard、Advanced Drug Delivery Reviews、8:1~38(1992);
f)Bundgaardら、Journal of Pharmaceutical Sciences、77:285(1988);ならびに
g)Kakeyaら、Chem.Pharm.Bull.、32:692(1984)
を参照されたい。本明細書に記載される他の化合物と同様に、プロドラッグは、多様な形態のいずれか、例えば結晶形態、塩形態等で提供され得る。一部の実施形態において、プロドラッグは、その薬学的に許容される塩として提供される。
【0061】
作動可動に連結された:本明細書において使用するとき、「作動可動に連結された」という用語は、記載される構成要素が、それらがそれらの意図される様式で機能するのを可能にする関係性にある並置を指す。機能的エレメントに「作動可動に連結された」制御エレメントは、機能的エレメントの発現および/または活性が、制御エレメントと適合する条件下で達成されるように結び付いている。一部の実施形態において、「作動可動に連結された」制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー等)は、関心対象のコードエレメントと連続しており(例えば、共有結合で連結しており);一部の実施形態において、制御エレメントは、関心対象の機能的コードエレメントとトランスまたはシスで作用する。
【0062】
患者:本明細書において使用するとき、「患者」という用語は、提供される組成物(例えば、ASO等のアゴナイズ剤)が、例えば実験、診断、予防、美容、および/または治療目的のために投与されるまたは投与され得る任意の生物を指す。典型的な患者には動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒト等の哺乳類)が含まれる。一部の実施形態において、患者はヒトである。一部の実施形態において、患者は、1つまたは複数の障害または病状に罹患しているまたはなりやすい。一部の実施形態において、患者は、障害または病状の1つまたは複数の症状を呈示する。一部の実施形態において、患者は、1つまたは複数の障害または病状を有すると診断されている。一部の実施形態において、障害または病状は、筋ジストロフィーまたは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患である。一部の実施形態において、患者は、疾患、障害、または病状を診断するためのおよび/または治療するためのある特定の療法を受けているところであるまたは受けている。
【0063】
薬学的組成物:本明細書において使用するとき、「薬学的組成物」という用語は、1種または複数の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される活性剤(例えば、アゴナイズ剤)を指す。一部の実施形態において、活性剤は、関連集団に投与された場合に所定の治療効果を達成する統計的に有意な可能性を示す、治療レジメンにおける投与に適切な単位投薬量で存在する。一部の実施形態において、薬学的組成物は、以下のもの:経口投与、例えばドレンチ(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、例えば口腔、舌下、および全身性吸収を標的にしたもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト;例えば滅菌溶液もしくは懸濁液、または持続放出製剤としての、例えば皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、または硬膜外注射による、非経口投与;例えば、皮膚、肺、または口内に適用されるクリーム、軟膏、または制御放出パッチまたはスプレーとしての、局所適用;例えばペッサリー、クリーム、または泡として膣内にまたは直腸内に;舌下に;眼に;経皮的に;あるいは経鼻的に、肺に、および他の粘膜表面に、に適応するものを含めた、固体または液体形態での投与のために特別に製剤化され得る。
【0064】
薬学的に許容される:本明細書において使用するとき、「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な有益性/危険性の比に見合う、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なく、人間および動物の組織と接触した使用に適している、そうした化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0065】
薬学的に許容される担体:本明細書において使用するとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、材料を封入する、対象化合物を身体の一方の臓器または部分から身体のもう一方の臓器または部分に運ぶまたは輸送することに関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒等、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であるという意味で「許容され」なければならず、患者にとって有害であってはならない。薬学的に許容される担体として働き得る材料の一部の例には、ラクトース、グルコース、およびスクロース等の糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン等のデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース等のセルロースおよびその誘導体;トラガカント末;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬ワックス等の賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油等の油;プロピレングリコール等のグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール等のポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質不含水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物;ならびに薬学的製剤において採用される他の非毒性の適合する物質が含まれる。
【0066】
薬学的に許容される塩:本明細書において使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的背景における使用に適当である、そのような化合物の塩、すなわち、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答等なく、ヒトおよび下等動物の組織と接触した使用に適しており、妥当な有益性/危険性の比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、Bergeら(1977)は、薬学的に許容される塩を詳細に記載する。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸等の無機酸を用いて、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸等の有機酸を用いて、またはイオン交換等の当技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である非毒性の酸付加塩が含まれるが、それに限定されるわけではない。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩には、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重硫酸、ホウ酸、酪酸、樟脳、カンファースルホン酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸、グルコン酸、ヘミ硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸(pectinate)、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸の塩等が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、提供される化合物は、1つまたは複数の酸性基、例えばオリゴヌクレオチドを含み、薬学的に許容される塩は、アルカリ、アルカリ土類金属、またはアンモニウムの塩(例えば、N(R)3のアンモニウム塩、式中、各Rは、独立して、本開示に規定されかつ記載される)である。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれる。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩はナトリウム塩である。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩はカリウム塩である。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩はカルシウム塩である。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩には、適当な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1~6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成される非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンが含まれる。一部の実施形態において、提供される化合物は、1個を上回る数の酸性基を含み、例えばオリゴヌクレオチドは、2個以上の酸性基(例えば、天然ホスフェート連結および/または改変ヌクレオチド間連結の状態にある)を含み得る。一部の実施形態において、そのような化合物の薬学的に許容される塩、または一般的には塩は、同じであり得るまたは異なり得る2個以上のカチオンを含む。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩(または一般的には塩)において、酸性基におけるすべてのイオン化水素(例えば、わずか約11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2;一部の実施形態において、わずか約7;一部の実施形態において、わずか約6;一部の実施形態において、わずか約5;一部の実施形態において、わずか約4;一部の実施形態において、わずか約3のpKaを有する水溶液中の)はカチオンで置き換えられる。一部の実施形態において、各ヌクレオチド間連結、例えばリン酸基は、その塩形態(例えば、ナトリウム塩の場合、-O-P(O)(ONa)-O-)で独立して存在する。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩は、オリゴヌクレオチドのナトリウム塩である。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩は、オリゴヌクレオチドのナトリウム塩であり、各酸性リン酸基および改変リン酸基はあるとしたら塩形態(すべてナトリウム塩)として存在する。
【0067】
ポリペプチド:本明細書において使用するとき、本明細書において「タンパク質」という用語と互換可能に使用される「ポリペプチド」という用語は、少なくとも3つのアミノ酸残基のポリマーを指す。一部の実施形態において、ポリペプチドは、1つもしくは複数の、またはすべての天然アミノ酸を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、1つもしくは複数の、またはすべての非天然アミノ酸を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、1つもしくは複数の、またはすべてのD-アミノ酸を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、1つもしくは複数の、またはすべてのL-アミノ酸を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、1つもしくは複数のペンダント基、または例えばポリペプチドのN末端で、ポリペプチドのC末端で、もしくはその任意の組み合わせで、1つもしくは複数のアミノ酸側鎖を修飾しているもしくはそれに付着している他の修飾を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、アセチル化、アミド化、アミノエチル化、ビオチン化、カルバミル化、カルボニル化、シトルリン化、脱アミド化、脱イミノ化、エリミニル化(eliminylation)、グリコシル化、脂質化、メチル化、ペグ化、リン酸化、SUMO化、またはその組み合わせ等、1つまたは複数の修飾を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、1つまたは複数の分子内または分子間ジスルフィド結合に参加し得る。一部の実施形態において、ポリペプチドは環状であり得、かつ/または環状部を含み得る。一部の実施形態において、ポリペプチドは環状ではなく、かつ/またはいかなる環状部も含まない。一部の実施形態において、ポリペプチドは線形である。一部の実施形態において、ポリペプチドはステープルポリペプチドを含み得る。一部の実施形態において、ポリペプチドは、1つまたは複数の他のポリペプチドとの非共有結合性または共有結合性の結び付きによる非共有結合性複合体形成に参加する(例えば、抗体に見られるような)。一部の実施形態において、ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、それが、人間の手の作用を通じて設計されかつ/または産生されるという点で操作されているアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、「ポリペプチド」という用語は、参照ポリペプチド、活性、または構造の名前に付け加えられ得;そのような場合、それは、関連する活性または構造を共有し、ゆえにポリペプチドの同じクラスまたはファミリーのメンバーであると見なされ得るポリペプチドを指すために本明細書において使用される。それぞれのそのようなクラスに関して、本明細書は、アミノ酸配列および/または機能が公知であるクラス内の例示的なポリペプチドを提供し、および/または当業者であればそれを知っていると考えられ;一部の実施形態において、そのような例示的なポリペプチドは、ポリペプチドクラスまたはファミリーに対する参照ポリペプチドである。一部の実施形態において、ポリペプチドクラスまたはファミリーのメンバーは、クラスの参照ポリペプチドと;一部の実施形態において、クラス内のすべてのポリペプチドと、有意な配列相同性もしくは同一性を示し、共通の配列モチーフ(例えば、特徴的な配列エレメント)を共有し、かつ/または共通の活性(一部の実施形態において、比較可能なレベルでまたは指定の域内にある)を共有する。例えば、一部の実施形態において、メンバーポリペプチドは、少なくとも約30~40%であり、しばしば約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれを上回る、参照ポリペプチドとの配列相同性もしくは同一性の全体的程度を示し、かつ/あるいは、しばしば90%を上回るまたはさらに95%、96%、97%、98%、もしくは99%の非常に高い配列同一性を示す少なくとも1つの領域(例えば、一部の実施形態において、特徴的な配列エレメントを含み得る保存された領域)を含む。そのような保存された領域は、通常、少なくとも3~4個の、しばしば最高20個またはそれを上回る数のアミノ酸を包含し;一部の実施形態において、保存された領域は、少なくとも1つの一続きの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個、またはそれを上回る数の連続的アミノ酸を包含する。一部の実施形態において、有用なポリペプチドは、親ポリペプチドのフラグメントを含み得る。一部の実施形態において、有用なポリペプチドは複数のフラグメントを含み得、そのそれぞれは、関心対象のポリペプチドに見出されるのとは、互いに対する異なる空間的配置で同じ親ポリペプチドに見出され(例えば、親において直接連結されているフラグメントは、関心対象のポリペプチドにおいて空間的に隔てられ得、もしくは逆もまた同様であり、および/またはフラグメントは、親においてとは、関心対象のポリペプチドにおいて異なる順序で存在し得る)、それにより、関心対象のポリペプチドはその親ポリペプチドの誘導体である。一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリペプチド(またはそのようなポリペプチドをコードする核酸)は、本明細書に記載されるアミノ酸配列の1つの機能性フラグメントであり得る。本明細書において使用するとき、「機能性フラグメント」は、本明細書で下に記載されるアッセイに従って野生型参照ポリペプチドの活性の少なくとも50%を保持するペプチドのフラグメントまたはセグメントである。機能性フラグメントは、本明細書に開示される配列の保存的置換を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリペプチドは、本明細書に記載される配列のバリアントであり得る。一部の実施形態において、バリアントは保存的に改変されたバリアントである。保存的置換バリアントは、例えば、ネイティブヌクレオチド配列の変異によって獲得され得る。本明細書で称される「バリアント」は、ネイティブまたは参照ポリペプチドと実質的に相同であるが、1つまたは複数の欠失、挿入または置換のために、ネイティブまたは参照ポリペプチドのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。バリアントポリペプチドコードDNA配列は、ネイティブまたは参照DNA配列と比較した場合、1つもしくは複数の付加、欠失または置換を含むが、活性を保持するバリアントタンパク質またはそのフラグメントをコードする配列を包含する。多種多様なPCRに基づく部位特異的突然変異誘発手法は、当技術分野において公知であり、当業者によって適用され得る。本明細書に記載される様々な実施形態において、記載される特定のポリペプチドのいずれかのバリアント(天然に存在する、またはそうではない)、アレル、ホモログ、保存的に改変されたバリアント、および/または保存的置換バリアントが包含されることがさらに企図される。アミノ酸配列に関しては、当業者は、コードされる配列中の単一のアミノ酸または小パーセンテージのアミノ酸が変更されている核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加が、「保存的に改変されたバリアント」であることを認識し、ここで、変更は、化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらし、ポリペプチドの所望の活性を保持している。そのような保存的に改変されたバリアントは、多形体バリアント、種間ホモログ、および本開示と合致するアレルに追加され、それらを排除しない。
【0068】
予防するまたは予防:疾患、障害、および/または病状の発生に関連して本明細書において使用する場合、疾患、障害、および/もしくは病状を発症する危険性を低下させること、ならびに/または疾患、障害、もしくは病状の1つもしくは複数の特徴もしくは症状の開始を遅延させることを指す。予防は、疾患、障害、または病状の開始が所定の期間遅延されている場合、完全と見なされ得る。
【0069】
組み換え:本明細書において使用するとき、「組み換え」という用語は、宿主細胞にトランスフェクトされた組み換え発現ベクターを使用して発現されたポリペプチド;組み換えのコンビナトリアルヒトポリペプチドライブラリーから単離されたポリペプチド;ポリペプチドまたはその1つもしくは複数の構成要素、一部分、エレメント、もしくはドメインをコードするおよび/またはその発現を導く1つまたは複数の遺伝子または遺伝子構成要素に対してトランスジェニックであるまたはそれを発現するように別様に操縦されている動物(例えば、マウス、ウサギ、ヒツジ、魚類等)から単離されたポリペプチド;ならびに/あるいは、選択された核酸配列エレメントをスプライシングすることもしくは互いにライゲーションすること、選択された配列エレメントを化学合成すること、ならびに/あるいは、ポリペプチドまたはその1つもしくは複数の構成要素、一部分、エレメント、もしくはドメインをコードするおよび/またはその発現を導く核酸を別様に生成することを伴う他の任意の手段によって調製された、発現された、創出された、または単離されたポリペプチド等、組み換え手段によって設計される、操作される、調製される、発現される、創出される、製造される、および/または単離されるポリペプチドを指すことを意図される。一部の実施形態において、そのような選択された配列エレメントの1つまたは複数は、天然に見出される。一部の実施形態において、そのような選択された配列エレメントの1つまたは複数は、インシリコで設計される。一部の実施形態において、1つまたは複数のそのような選択された配列エレメントは、例えば関心対象の供給源生物の(例えば、ヒト、マウス等の)生殖細胞系列等における、例えば天然または合成供給源由来の、公知の配列エレメントの突然変異誘発(例えば、インビボまたはインビトロでの)により生じる。
【0070】
小分子:本明細書において使用するとき、「小分子」という用語は、低分子量の有機および/または無機化合物を意味する。一般的に、「小分子」とは、サイズが約5キロダルトン(kD)未満である分子である。一部の実施形態において、小分子は、約4kD、3kD、約2kD、または約1kD未満である。一部の実施形態において、小分子は、約800ダルトン(D)、約600D、約500D、約400D、約300D、約200D、または約100D未満である。一部の実施形態において、小分子は、約2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満、または約500g/mol未満である。一部の実施形態において、小分子はポリマーではない。一部の実施形態において、小分子はポリマー分子を含まない。一部の実施形態において、小分子は、タンパク質またはポリペプチドではなくかつ/またはそれを含まない(例えば、オリゴペプチドまたはペプチドではない)。一部の実施形態において、小分子は、ポリヌクレオチドではなくかつ/またはそれを含まない(例えば、オリゴヌクレオチドではない)。一部の実施形態において、小分子は、多糖ではなくかつ/またはそれを含まず;例えば、一部の実施形態において、小分子は、糖タンパク質、プロテオグリカン、糖脂質等ではない。一部の実施形態において、小分子は脂質ではない。一部の実施形態において、小分子はモジュレート剤である(例えば、阻害剤または活性化剤である)。一部の実施形態において、小分子は生物学的に活性である。一部の実施形態において、小分子は検出可能である(例えば、少なくとも1つの検出可能な部分を含む)。一部の実施形態において、小分子は治療剤である。当業者であれば、本開示を読めば、本明細書に記載されるある特定の小分子化合物は、例えば結晶形態、塩形態、保護された形態、プロドラッグ形態、エステル形態、異性体形態(例えば、光学および/または構造異性体)、同位体形態等の多様な形態のいずれかで提供され得かつ/または利用され得ることを解するであろう。当業者であれば、ある特定の小分子化合物は、1つまたは複数の立体異性体形態で存在し得る構造を有することを解するであろう。一部の実施形態において、そのような小分子は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態で本開示に従って利用され得、または立体異性体の混合物の形態にあり得;一部の実施形態において、そのような小分子は、ラセミ混合物形態で本開示に従って利用され得る。当業者であれば、ある特定の小分子化合物は、1つまたは複数の互変異性形態で存在し得る構造を有することを解するであろう。一部の実施形態において、そのような小分子は、個々の互変異性体の形態で、または互変異性形態の間を相互変換する形態で本開示に従って利用され得る。当業者であれば、ある特定の小分子化合物は、同位体置換(例えば、Hに対する2Hまたは3H;12Cに対する11C、13C、または14C;14Nに対する13Nまたは15N;16Oに対する17Oまたは18O;35Cに対する36Cl;19Fに対する18F;127Iに対する131Iまたは125I等)を可能にする構造を有することを解するであろう。一部の実施形態において、そのような小分子は、1つもしくは複数の同位体改変された形態またはその混合物で本開示に従って利用され得る。一部の実施形態において、特定の小分子化合物への言及は、その化合物の特異的形態に関し得る。一部の実施形態において、特定の小分子化合物は、塩形態で(例えば、化合物に応じて、酸付加または塩基付加形態で)提供され得かつ/または利用され得;一部のそのような実施形態において、塩形態は、薬学的に許容される塩形態であり得る。一部の実施形態において、小分子化合物が天然に存在するまたは天然に見出されるものである場合、その化合物は、それが天然に存在するまたは天然に見出されるものとは異なる形態で本開示に従って提供され得かつ/または利用され得る。当業者であれば、一部の実施形態において、関心対象の参照調製物に(例えば、生物学的または環境的供給源等、関心対象の供給源由来の一次サンプルに)存在する、化合物または形態の絶対量または相対量(例えば化合物の別の形態を含めた、調製物の別の構成要素に対する)とは異なる、該化合物のまたはその特定の形態の絶対量または相対量を含有する、特定の小分子化合物の調製物は、該化合物とは、それは参照調製物または供給源に存在することから、異なることを解するであろう。ゆえに、一部の実施形態において、例えば、小分子化合物の単一立体異性体の調製物は、該化合物のラセミ混合物とは、該化合物の異なる形態であると見なされ得;小分子化合物の特定の塩は、該化合物の別の塩形態とは異なる形態であると見なされ得;二重結合の1つの配座異性体((Z)または(E))を含有する該化合物の形態のみを含有する調製物は、二重結合の他の配座異性体((E)または(Z))を含有するものとは、該化合物の異なる形態であると見なされ得;1つまたは複数の原子が、参照調製物に存在するものとは異なる同位体である調製物は、異なる形態であると見なされ得る、等。
【0071】
特異的結合:本明細書において使用するとき、「特異的結合」という用語は、結合が生じ得る環境において、考え得る結合パートナーを区別する能力を指す。1つの特定の標的と相互作用する結合作用物質は、他の潜在的標的が存在する場合、それが相互作用する標的(例えば、関心対象の標的タンパク質/遺伝子上の標的アミノ酸または核酸配列)に「特異的に結合する」と言われる。一部の実施形態において、特異的結合は、結合作用物質とそのパートナーとの間の結び付きの程度を検出するまたは判定することによって査定され;一部の実施形態において、特異的結合は、結合作用物質-パートナー複合体の解離の程度を検出するまたは判定することによって査定され;一部の実施形態において、特異的結合は、結合作用物質がそのパートナーと別の実体との間の代替的相互作用を競合する能力を検出するまたは判定することによって査定される。一部の実施形態において、特異的結合は、ある域の濃度にわたってそのような検出または判定を実施することによって査定される。
【0072】
特異性:当技術分野において公知であるように、「特異性」とは、特定のリガンドが、その結合パートナーを他の潜在的結合パートナーから見分ける能力の度合いである。
【0073】
対象:本明細書において使用するとき、「対象」という用語は、生物、典型的には哺乳類(例えばヒト、一部の実施形態において出生前のヒト形態を含む)を指す。一部の実施形態において、対象は、関連する疾患、障害、または病状(例えば、筋ジストロフィーまたは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患)に罹患している。一部の実施形態において、対象は、疾患、障害、または病状になりやすい。一部の実施形態において、対象は、疾患、障害、または病状の1つまたは複数の症状または特徴を呈示する。一部の実施形態において、対象は、疾患、障害、または病状のいかなる症状または特徴も呈示しない。一部の実施形態において、対象は、疾患、障害、または病状に対する感受性またはその危険性に特徴的な1つまたは複数の特質を有する誰かである。一部の実施形態において、対象は患者である。一部の実施形態において、対象は、診断および/または療法が投与されるおよび/または投与されている個体である。
【0074】
実質的に:本明細書において使用するとき、「実質的に」という用語は、関心対象の特徴または特性の全面的なまたはほぼ全面的な範囲または程度を呈しているという定性的様相を指す。生物学の技術分野における当業者であれば、生物学的および化学的現象は、仮にあるとしても、滅多に完了まで行かずかつ/もしくは完全性まで進まない、または絶対的結果を達成しないもしくは回避しないことを理解するであろう。それゆえ、「実質的に」という用語は、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の潜在的欠如を捉えるために本明細書において使用される。
【0075】
実質的な同一性:本明細書において使用するとき、アミノ酸または核酸配列の間の比較を指す。当業者によって解されるであろうように、2つの配列は、一般的に、それらが、対応する場所において同一の残基を含有する場合に「実質的に同一」であると見なされる。本技術分野において周知であるように、アミノ酸または核酸配列は、ヌクレオチド配列に対するBLASTN、ならびにアミノ酸配列に対するBLASTP、gapped BLAST、およびPSI-BLAST等、商業的コンピュータープログラムにおいて利用可能なものを含めた、多様なアルゴリズムのいずれかを使用して比較され得る。例示的なそのようなプログラムは、Altschulら(1990および1997);Baxevanisら(1998);およびMisenerら(1999)に記載される。同一の配列を同定することに加えて、上で述べられるプログラムは、典型的に、同一性の程度の表示を提供する。一部の実施形態において、2つの配列は、それらの対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを上回る割合が、関連する一続きの残基にわたって同一である場合に実質的に同一であると見なされる。一部の実施形態において、関連する一続きとは、完全な配列である。一部の実施形態において、関連する一続きとは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500個、またはそれを上回る数の残基である。
【0076】
罹患している:疾患、障害、および/または病状(例えば、筋ジストロフィーまたは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患)に「罹患している」個体は、疾患、障害、および/または病状の1つまたは複数の症状を有すると診断されておりかつ/またはそれを呈示する。
【0077】
なりやすい:疾患、障害、および/または病状(例えば、筋ジストロフィーまたは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患)に「なりやすい」個体は、一般大衆のメンバーよりも、疾患、障害、および/または病状を発症する高い危険性を有するものである。一部の実施形態において、疾患、障害、および/または病状になりやすい個体は、疾患、障害、および/または病状を有すると診断されていなくてもよい。一部の実施形態において、疾患、障害、および/または病状になりやすい個体は、疾患、障害、および/または病状の症状を呈し得る。一部の実施形態において、疾患、障害、および/または病状になりやすい個体は、疾患、障害、および/または病状の症状を呈しなくてもよい。一部の実施形態において、疾患、障害、および/または病状になりやすい個体は、疾患、障害、および/または病状を発症するであろう。一部の実施形態において、疾患、障害、および/または病状になりやすい個体は、疾患、障害、および/または病状を発症しないであろう。
【0078】
症状が低下する:本発明によれば、特定の疾患、障害、または病状(例えば、筋ジストロフィーまたは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患)の1つまたは複数の症状が、大きさ(例えば、強度、重症度等)および/または頻度が低下した場合、「症状が低下する」。明確にする目的のために、特定の症状の発生の遅延は、その症状の頻度を低下させることの1つの形態と見なされる。
【0079】
標的遺伝子:本明細書において使用される「標的遺伝子」とは、発現が、例えばスプライス活性を改変することを通じて(例えば、エクソンスキッピングを誘導することによって)モジュレートされる対象となる遺伝子を指す。本明細書において使用するとき、「標的部」または「標的領域」という用語は、標的遺伝子のヌクレオチド配列の連続的部分を指す。一部の実施形態において、標的部または標的領域は、標的遺伝子配列内の1つまたは複数のエクソンである。標的部は、長さが約8~36個のヌクレオチド、例えば長さが約10~20個または約15~30個のヌクレオチドであり得る。標的部の長さは、前述の域内の特異的値または部分域を有し得る。例えば、ある特定の実施形態において、標的部は、長さが約15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22個のヌクレオチドであり得る。
【0080】
治療剤:本明細書において使用するとき、「治療剤」という語句は、対象に投与された場合に治療効果を有しかつ/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的効果を引き出す任意の作用物質を指す。一部の実施形態において、治療剤は、疾患、障害、および/または病状の1つまたは複数の症状または特質(例えば、筋ジストロフィーまたは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患の1つまたは複数の症状または特質)を緩和し、改善し、軽減し、阻害し、予防し、その発生を遅延させ、その重症度を低下させ、かつ/またはその出現を低下させるために使用され得る任意の物質である。
【0081】
治療有効量:本明細書において使用するとき、「治療有効量」という用語は、治療的投薬レジメンの一部として投与された場合に所望の生物学的応答を引き出す、物質(例えば、治療剤、組成物、および/または製剤)の量を意味する。一部の実施形態において、物質の治療有効量とは、疾患、障害、および/または病状に罹患しているまたはなりやすい対象に投与された場合に、疾患、障害、および/または病状を治療し、診断し、予防し、かつ/またはその発生を遅延させるのに十分である量である。本技術分野における当業者によって解されるであろうように、物質の有効量は、所望の生物学的評価項目、送達される対象となる物質、標的細胞または組織等の因子に応じて変動し得る。所与の適用に対する有効量を判定するための当技術分野において公知の多くの方法が存在するであろうことを解するであろう。例えば、投薬量判定のための薬理学的方法は、治療の文脈において使用され得る。治療的または予防的適用の文脈において、対象に投与される組成物の量は、疾患のタイプおよび重症度、ならびに全般的な健康状態、年齢、性別、体重および薬物への耐容性等の個体の特徴に依存するであろう。これは、疾患の程度、重症度およびタイプにも依存するであろう。当業者は、これらのおよび他の因子に依存する適当な投薬量を判定し得るであろう。例えば、疾患、障害、および/または病状を治療するための、製剤における化合物の有効量は、疾患、障害、および/または病状の1つまたは複数の症状または特質を緩和し、改善し、軽減し、阻害し、予防し、その発生を遅延させ、その重症度を低下させ、かつ/またはその出現を低下させる量である。本明細書において使用するとき、「有効量」および「治療有効量」という用語は、ベッカー型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋強直性筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー等の筋ジストロフィーに加えて、がん患者、高齢患者、および神経筋機能障害の病歴がない多くの他の者において、筋消耗から生じる可動性、代謝およびクオリティオブライフの低下等の疾患または病状の兆候を予防または改善するのに十分な量を含む。所与の適用に対する有効量を判定するための当技術分野において公知の多くの方法が存在するであろうことを解するであろう。例えば、投薬量判定のための薬理学的方法は、治療の文脈において使用され得る。治療的または予防的適用の文脈において、対象に投与される組成物の量は、疾患のタイプおよび重症度、ならびに全般的な健康状態、年齢、性別、体重および薬物への耐容性等の個体の特徴に依存するであろう。これは、疾患の程度、重症度およびタイプにも依存するであろう。当業者は、これらのおよび他の因子に依存する適当な投薬量を判定し得るであろう。組成物はまた、1種または複数の付加的な治療用化合物との組み合わせで投与され得る。一部の実施形態において、治療有効量は単回投薬で投与され;一部の実施形態において、治療有効量を送達するためには、複数回の単位投薬が要される。
【0082】
治療すること:本明細書において使用するとき、「治療すること」という用語は、治療を提供すること、すなわち対象の任意のタイプの医学的または外科的管理を提供することを指す。治療を提供して、疾患、障害、もしくは病状を回復させ得る、緩和し得る、その進行を阻害し得る、その可能性を予防し得るもしくは低下させ得る、または疾患、障害、もしくは病状の1つもしくは複数の症状もしくは兆候を回復させ得る、緩和し得る、その進行を阻害し得るもしくは予防し得る、その可能性を予防し得るもしくは低下させ得る。有益なまたは所望の臨床結果には、治療の非存在で予想されるものと比較して、1つまたは複数の症状の軽減、欠陥の程度の減少、筋ジストロフィーの安定な(すなわち、悪化していない)状態、筋消耗の遅延または緩慢化、および寿命の増加が含まれるが、それらに限定されるわけではない。治療することには、筋ジストロフィーまたは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患を指し示す1つまたは複数の症状または兆候の発症後に、対象に作用物質を投与して、例えば、病状を回復させ、緩和し、その重症度を低下させ、かつ/またはその進行を阻害するもしくは予防すること、および/あるいは病状の1つまたは複数の症状または兆候を回復させ、緩和し、その重症度を低下させ、かつ/またはそれを阻害することが含まれ得る。本開示の組成物は、筋ジストロフィーもしくは神経筋機能障害によって特徴付けられる他の疾患を発症している、または一般集団のメンバーと比べてそのような障害を発症する増加した危険性がある対象に投与され得る。本開示の組成物は、予防的に、すなわち病状の任意の症状または兆候の発症前に投与され得る。典型的に、この場合、対象は病状を発症する危険性があるであろう。
【0083】
バリアント(変異体):分子、例えば核酸(例えば、ASO)、タンパク質、または小分子の文脈で本明細書において使用するとき、「バリアント」という用語は、参照分子と有意な構造的同一性を示すが、参照実体と比較して、例えば1つまたは複数の化学的部分の存在もしくは非存在の点でまたはそのレベルの点で、参照分子とは構造的に異なる分子を指す。一部の実施形態において、バリアントは、その参照分子と機能的にも異なる。一般的に、特定の分子が、参照分子の「バリアント」であると適正に見なされるかどうかは、参照分子との構造同一性のその程度に基づく。当業者によって解されるであろうように、任意の生物学的または化学的参照分子は、ある特定の特徴的な構造エレメントを有する。定義によるバリアントとは、1つまたは複数のそのような特徴的な構造エレメントを共有するが、少なくとも1つの態様において参照分子とは異なる個別の分子である。いくつかの例を与えるにすぎないが、ポリペプチドは、線形のもしくは三次元の空間において互いに対して指定の場所を有しかつ/または特定の構造モチーフおよび/もしくは生物学的機能に寄与する、複数のアミノ酸から構成される特徴的な構造エレメントを有し得;核酸は、線形のもしくは三次元の空間において互いに対して指定の場所を有する、複数のヌクレオチド残基から構成される特徴的な構造エレメントを有し得る。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、アミノ酸またはヌクレオチド配列における1つもしくは複数の相違、および/またはポリペプチドもしくは核酸の共有結合性の構成要素である(例えば、ポリペプチドまたは核酸骨格に付着している)化学的部分(例えば、炭水化物、脂質、リン酸基)における1つもしくは複数の相違の結果として、参照ポリペプチドまたは核酸とは異なり得る。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%である、参照ポリペプチドまたは核酸との全体的配列同一性を示す。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸と少なくとも1つの特徴的な構造エレメントを共有しない。一部の実施形態において、参照ポリペプチドまたは核酸は、1つまたは複数の生物学的活性を有する。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸の生物学的活性の1つまたは複数を共有する。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸の生物学的活性の1つまたは複数を欠如する。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照ポリペプチドまたは核酸と比較して、1つまたは複数の生物学的活性の低下したレベルを示す。一部の実施形態において、関心対象のポリペプチドまたは核酸は、それが、特定の場所における少数の配列変更がなければ参照のものと同一であるアミノ酸またはヌクレオチド配列を有する場合、参照ポリペプチドまたは核酸の「バリアント」であると見なされる。典型的に、バリアントにおける残基の約20%、約15%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、または約2%を下回る割合が、参照と比較して置換されている、挿入されている、または欠失されている。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照と比較して、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1個の置換された残基を含む。しばしば、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照と比べて、非常に少数の(例えば、約5、約4、約3、約2、または約1個を下回る)数の置換された、挿入された、または欠失された機能的残基(すなわち、特定の生物学的活性に参加する残基)を含む。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照と比較して、多くても約5、約4、約3、約2、または約1個の付加または欠失を含み、および一部の実施形態において、付加または欠失を含まない。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドまたは核酸は、参照と比較して、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約10、約9、約8、約7、約6個を下回る、一般に約5、約4、約3、または約2個を下回る数の付加または欠失を含む。一部の実施形態において、参照ポリペプチドまたは核酸は、天然に見出されるものである。一部の実施形態において、参照ポリペプチドまたは核酸は、ヒトポリペプチドまたは核酸である。
【0084】
ベクター:本明細書において使用するとき、「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子を指す。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、それは、付加的なDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントはウイルスゲノムにライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製し得る(例えば、細菌性の複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム性哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳類ベクター)は、宿主細胞内への導入があると、宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を導き得る。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。標準的な技法が、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および組織培養、および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用され得る。酵素反応および精製技法は、メーカーの仕様書に従ってまたは当技術分野において一般に達成されるようにまたは本明細書に記載されるように実施され得る。前述の技法および手順は、一般的に、当技術分野において周知の従来的方法に従って、ならびに本明細書を通して引用されかつ論じられる様々な一般的なおよびより具体的な参考文献に記載されるように実施され得る。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)を参照されたい。
【0085】
ある特定の実施形態の詳細な説明
MuSKならびに筋再生および/または筋成長
衛星細胞は、筋核の約5%を占め、通常は静止状態で、成熟した多核筋原線維に沿って分布している。筋肉が損傷すると、衛星細胞は、通常、静止状態に戻るまたは分化するいずれかの前に増殖する(
図1Aを参照されたい)。分化の際に、衛星細胞は、筋管に融合する関与する筋芽細胞になり、最終的に、筋形成と称される過程において成熟筋原線維を形成する。骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達は、転写生産をモジュレートすることによってインビボおよびインビトロの両方で衛星細胞の動態および筋再生を調節する。BMPシグナル伝達は、静止状態の衛星細胞において検出可能ではなく、衛星細胞の増殖において上方調節され、分化の間に下方調節される。しかしながら、衛星細胞の増殖と分化との間のバランスを調節するメディエーターは知られていない。
【0086】
筋関連受容体チロシンキナーゼとしても公知の筋特異的キナーゼ(MuSK)は、神経筋接合部(NMJ)の形成および維持においてその必須の役割が最初に認識された膜貫通タンパク質である。MuSKは、3つの細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメインおよびシステインリッチfrizzled(CRD/Fz)ドメイン、ならびに細胞内チロシンキナーゼ(TK)ドメインを有する。Ig1、TKおよび潜在的なCRD/Fzドメインは、NMJの形成および維持に要される。Ig1およびTKドメインは、シナプス分化を導くアグリン-LRP4シグナル伝達に必須である。この理由のために、全体的欠失MuSKマウスは新生仔致死的である。インビボで存在するMuSKの2つのアイソフォームは、全長(FL)MuSK、およびIg3ドメインを欠如する天然に存在するスプライスバリアント(ΔIg3-MuSK)である(
図1B)。FL MuSK mRNAレベルはΔIg3-MuSKのmRNAよりも10倍高いが、2つとも協調的に発現される。
【0087】
ヒトおよびマウスMuSK Ig3ドメインの(すなわち、MuSK Ig3ドメインポリペプチドの)例示的なアミノ酸配列は、下に示されるとおりである。
MuSK ヒト_Ig3_ドメイン:
ARILRAPESHNVTFGSFVTLHCTATGIPVPTITWIENGNAVSSGSIQESVKDRVIDSRLQLFITKPGLYTCIATNKHGEKFSTAKAAATIS(配列番号1)
MuSK マウスIg3ドメイン
ARILRAPESHNVTFGSFVTLRCTAIGIPVPTISWIENGNAVSSGSIQESVKDRVIDSRLQLFITKPGLYTCIATNKHGEKFSTAKAAATVS(配列番号2)
数ある中でも、本開示は、MuSK選択的スプライシングを調節することが、筋再生を増加させるためのストラテジーであることを教示する。
【0088】
MuSKは、アグリンと呼ばれる神経由来プロテオグリカンによって活性化される。アグリンは、胚形成の間の神経筋接合部の発生におけるその役割について特徴付けられている。アグリンは、シナプス形成の間のアセチルコリン受容体の凝集におけるその関与に基づいて名前が付けられている。ヒトにおいて、このタンパク質はAGRN遺伝子によってコードされる。アグリンタンパク質は、プロテアーゼ阻害剤に相同な9つのドメインを有する。
【0089】
MUSKは筋肉において発現され、筋再生の間、上方調節されている。データは、MuSKが筋形成におけるBMPシグナル伝達に関わることを示唆する。MuSKは、BMP2、BMP4およびBMP7、ならびにI型BMP受容体のALK3およびALK6に結合するBMP共受容体として作用し得る。例えば、Yilmazら(2016)を参照されたい。MuSKのIg3ドメインは、BMPへの高アフィニティー結合に要される。MuSKは、SMAD1/5/8のBMP4依存性リン酸化によって測定されるBMPシグナル伝達を上方調節する。重要なことに、MuSK-BMPシグナル伝達は、筋芽細胞および筋管におけるBMP誘導トランスクリプトームの大きさおよび組成を形作り、この役割は任意のMuSKチロシンキナーゼ活性と無関係である。MuSKは、BMPシグナル伝達を強化するBMP共受容体であり、不死化筋原細胞において筋原性因子5(Myf5)等の筋原性因子を調節する。
【0090】
本明細書に記載されるように、活性化衛星細胞はMuSKタンパク質を発現し、MuSK-BMPシグナル伝達の分断は、インビボでの筋肉の再生において衛星細胞の分化を変更する。本明細書に含まれるデータは、衛星細胞および筋再生におけるMuSK-BMP経路の役割に関する情報を提供する。これらのデータは、MuSK-BMP経路が重要な役割を果たすことを示唆しており、本開示は、少なくともMuSK発現がBMP経路のものよりもはるかに制限されているので、MuSK-BMP経路を標的にすることはBMPの幅広い活性を標的にするよりも選択的であるという洞察を提供する。本明細書に提供されるデータは、MuSK-BMP経路を標的にすることが筋成長を増強することも教示する。一部の実施形態において、筋成長は、例えば、損傷のない組織で生じる。
【0091】
MuSK筋再生(MR)アゴナイズ剤
一部の実施形態において、本開示は、その存在下でMuSK筋再生レベルおよび/または活性が増加する作用物質(すなわち、MuSK筋再生(MuSK MR)アゴナイズ剤)を投与することによって、対象における筋再生を達成する(例えば、誘導する、増強する等)ための技術を提供する。本明細書に記載されるように、筋再生(MR)は、筋成長の増加も含み得るまたはそれに寄与し得る。例えば、一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、有効なIg3ドメインを欠如する1つまたは複数のMuSKポリペプチド(例えば、ΔIg3-MuSK)のレベルまたは活性を増加させる作用物質である、なぜなら、例えば、そのようなドメインは変異している、除去されている、または別様に不活性化されている(例えば、遮断する、改変等によって)ためである。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSKからの機能的Ig3ドメインを遮断する、不活性化する、変異させる、もしくは除去する、またはそのような遮断、不活性化、変異、もしくは除去を達成する、支持する、もしくは寄与するものである。
【0092】
一部の実施形態において、本開示は、例えばそのような作用物質自体を提供すること、ならびに/またはそれらを同定し、特徴付けし、製造し、かつ/もしくは使用するための方法および/もしくは試薬を提供すること、ならびに/またはそれらを含みかつ/もしくは送達する組成物を含めた、MuSK MRアゴナイズ剤に関する技術を提供する。
【0093】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSKポリペプチドと(例えば、全長MuSKとおよび/またはΔIg3-MuSKと)直接相互作用し得る。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSKポリペプチドと直接相互作用し得ず、むしろ他の何らかの相互作用(例えば、MuSKの前駆体または調節因子または下流産物との)を通じて、ΔIg3-MuSKのレベルおよび/または活性に影響を与える。
【0094】
原則として、ΔIg3-MuSK MRアゴナイズ剤は、任意の化学分類(例えば、小分子、ポリペプチド[例えば、抗体]、核酸等)のものであり得る。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSK Ig3ドメインタンパク質発現、MuSK Ig3ドメイン遺伝子発現、および/またはBMPシグナル伝達のMuSK Ig3活性化を下方調節し、それによって筋再生を誘導する作用物質である。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSK ΔIg3の発現を増加させるアゴナイズ剤である。本明細書により詳細に記載される一部の特定の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は小分子であり得るまたはそれを含み得る。本明細書により詳細に記載される一部の特定の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSKポリペプチドに結合する抗体(例えば、MuSK Ig3を遮断する、および/または機能的Ig3を含む1つもしくは複数のMuSKポリペプチド形態を隔離する抗体)であり得るまたはそれを含み得る。本明細書により詳細に記載される一部の特定の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は核酸剤であり得るまたはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、機能的Ig3ドメインを欠如するMuSk形態(例えば、ΔIg3-MuSK)をコードする核酸(例えば、遺伝子療法ベクター、またはmRNA等のRNA治療薬(therapeutic))であり得るまたはそれを含み得る。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、核酸MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSK Ig3標的エクソンスキッピングオリゴヌクレオチド、MuSK Ig3標的CRISPR/Cas9 gRNA(例えば、Ig3を改変しかつ/または除去する)、MuSK Ig3標的siRNA(例えばそれをコードする転写産物からの、例えばMuSK Ig3の産生/発現を阻害する)、および/またはMuSK Ig3標的shRNA等のオリゴヌクレオチドであり得るまたはそれを含み得る。
【0095】
小分子
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は小分子化合物であり得るまたはそれを含み得る。
【0096】
一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSKスプライシングを標的にする治療剤を標的にし;例えば、一部の実施形態において、そのような小分子化合物は、ΔIg3-MuSKをコードするメッセージを生成するスプライシング事象を増強し、かつ/または他のMuSKスプライスバリアントをコードするメッセージを生成するスプライシング事象を阻害する。一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤はBMPシグナル伝達経路を変更する。一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤はBMPシグナル伝達経路を変更し、それは筋再生をさらに誘導する。
【0097】
一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤は、I型BMP受容体であるALK3(ALKは未分化リンパ腫キナーゼである)およびALK6、ならびにI型アクチビン受容体ALK4のうちの1つまたは複数を標的にする。一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤はALK阻害剤である。一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤は、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、ロルラチニブからなる群から選択されるALK阻害剤である。
【0098】
一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤は、MuSK Ig3ドメインおよび/またはBMPを標的にし、それによりMuSK/BMP複合体のレベルおよび/または活性は低下する。一部のそのような実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤は、そのような複合体の形成を阻害しかつ/またはそのような複合体を分断する。一部の実施形態において、そのようなMuSK MRアゴナイズ剤は、MuSK Ig3への結合をBMPと競合しかつ/またはBMPへの結合をMuSK Ig3と競合する。
【0099】
抗体剤
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は抗体剤である。
【0100】
一部の実施形態において、そのような抗体剤はMuSKポリペプチドに特異的に結合する。一部の実施形態において、MuSKを標的にする抗体剤は、MuSKポリペプチドのIg3ドメインに特異的に結合する。
【0101】
一部の実施形態において、MuSKタンパク質のIg3ドメインを標的にする抗体は、MuSKのIg1またはIg2ドメインと比べてIg3ドメインに特異的に結合し得る。
【0102】
一部の実施形態において、抗MuSK抗体剤は、MuSK Ig3ドメインおよび/またはBMPを標的にし、それによりMuSK/BMP複合体のレベルおよび/または活性は低下する。一部のそのような実施形態において、抗MuSK抗体剤は、そのような複合体の形成を阻害しかつ/またはそのような複合体を分断する。一部の実施形態において、そのような抗MuSK抗体剤は、MuSK Ig3への結合をBMPと競合しかつ/またはBMPへの結合をMuSK Ig3と競合する。
【0103】
一部の実施形態において、抗MUSK抗体剤は、細胞(例えば、衛星細胞)によって内在化される。一部の実施形態において、本明細書に記載される抗体剤(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントであるまたはそれを含む)は、免疫グロブリン、重鎖抗体、軽鎖抗体、または抗体様特性を有する他のタンパク質足場、ならびにFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、ジスルフィド結合したFvフラグメント、scFvフラグメント、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、tandab、BiTe、およびその任意の組み合わせを含めた、当技術分野において公知の他の免疫学的結合部分であり得るまたはそれを含み得る。
【0104】
一部の実施形態において、抗MuSK抗体剤は、例えばMUSKのIg3ドメインを標的にする。一部の実施形態において、そのような抗体剤は、MuSK Ig3ドメインへのBMPの結合を阻害し得るまたは実質的に予防し得る。
【0105】
一部の実施形態において、抗体剤は、例えば4本のポリペプチド鎖、例えば2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖の免疫グロブリン分子で例えばあり得る抗体であり得るまたはそれを含み得る。重鎖は、重鎖可変ドメインおよび重鎖定常ドメインを含み得る。重鎖定常ドメインは、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびある場合にはCH4領域を含み得る。軽鎖は、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含み得る。軽鎖定常ドメインはCLを含み得る。重鎖の重鎖可変ドメインおよび軽鎖の軽鎖可変ドメインは、典型的に、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と称される可変性の領域にさらに分割され得る。そのような重鎖および軽鎖可変ドメインはそれぞれ、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシル末端に並べられた、3つのCDRおよび4つのフレームワーク領域を含み得、そのうちの1つまたは複数は、本明細書に記載されるように操作され得る。
【0106】
一部の実施形態において、抗体剤(例えば、抗MUSK抗体)は、本明細書に記載される様々な重鎖および軽鎖を含み得る。一部の実施形態において、抗体は、2本の重鎖および軽鎖を含み得る。様々な実施形態において、本開示は、本明細書に開示される少なくとも1本の重鎖および/もしくは軽鎖、本明細書に開示される少なくとも1つの重鎖および/もしくは軽鎖フレームワークドメイン、本明細書に開示される少なくとも1つの重鎖および/もしくは軽鎖CDRドメイン、ならびに/または本明細書に開示される任意の重鎖および/もしくは軽鎖定常ドメインを含む抗体を包含する。
【0107】
一部の実施形態において、抗体剤はモノクローナル抗体であるまたはそれを含む。典型的に、モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の集団から獲得され、すなわち集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る考え得る天然に存在する変異を除いて、実質的に同一である。ゆえに、本明細書において使用される「モノクローナル」という修飾語は、個別の抗体の混合物ではないものとしての抗体の特徴を示す。一部の実施形態において、特定のエピトープに向けられたモノクローナル抗体は、単一細胞株(例えば、B細胞株)に由来する。
【0108】
一部の実施形態において、抗体剤(例えば、抗MUSK抗体)はポリクローナル抗体であり得るまたはそれを含み得る。モノクローナル抗体とは対照的に、ポリクローナル抗体は、典型的に、異質な抗体の集団であり、すなわち特定の集団における抗体は、構造的変動、例えば特定の抗原上の異なるエピトープ(例えば、MuSKのIg3ドメイン、またはIg3ドメイン内の領域)に対するアフィニティーを含む。任意で1種または複数のアジュバントの共投与を含む、動物への関連抗原の複数回の皮下および/または腹腔内注射の使用を含めた、ポリクローナル抗体を産生するいくつかの方法が当技術分野において公知である。
【0109】
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態において、本明細書に記載されるMuSK MRアゴナイズ剤はオリゴヌクレオチドであるまたはそれを含む。
【0110】
合成オリゴヌクレオチドは、多種多様な適用において有用な分子ツールを提供する。例えば、オリゴヌクレオチドは、治療的な、診断的な、研究の、および新たなナノ材料の適用において有用である。天然に存在する核酸(例えば、非改変DNAまたはRNA)の使用は、例えばエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼに対するそれらの感受性によって限定される。そのため、これらの短所を逃れるために、様々な合成対応物が開発されている。これらには、数ある中でも、これらの分子を分解に対して感受性を低くし、オリゴヌクレオチドの他の特性を向上させる、化学修飾、例えば塩基修飾、糖修飾、骨格修飾等を含有する合成オリゴヌクレオチドが含まれる。化学修飾は、毒性の増加等のある特定の非所望の効果にもつながり得る。
【0111】
数ある中でも、本開示は、塩基配列、化学修飾(例えば、糖類、塩基、および/またはヌクレオチド間連結、ならびにそのパターンの修飾)、および/または立体化学(例えば、骨格キラル中心(キラルヌクレオチド間連結)および/またはそのパターンの立体化学)等、オリゴヌクレオチドの構造エレメントが、特性、例えば安定性、スプライシング変更能等に対してかなりの影響を有し得るという認識を包含する。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチド特性は、化学修飾(塩基、糖類、および/またはヌクレオチド間連結の修飾)および/または立体化学(骨格キラル中心のパターン)を最適化することによって調整され得る。
【0112】
一部の実施形態において、本開示は、制御された構造エレメント、例えば制御された化学修飾を有するオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド組成物が、本明細書に記載されるものを含むがそれに限定されない予想外の特性を提供することを実証する。一部の実施形態において、化学修飾(例えば、塩基修飾、糖修飾、ヌクレオチド間連結修飾等)を有するオリゴヌクレオチドを含む提供される組成物は、向上したスプライシング変更能、または向上したタンパク質結合プロファイル、および/または向上した送達等、向上した特性を有する。特に、一部の実施形態において、本開示は、転写産物のスプライシングを変更するための組成物および方法を提供する。一部の実施形態において、本開示は、転写産物のスプライシングを向上させるための組成物および方法を提供する。一部の実施形態において、提供される組成物および方法による転写産物スプライシングの変更は、所望のおよび/もしくは向上した生物学的機能を有する産物の産生、ならびに/または例えば非所望の生物学的機能が抑制され得るもしくは除去され得るようにスプライシング産物を改変することによる、非所望の産物のノックダウンを含む。
【0113】
一部の実施形態において、スプライシング産物はmRNAである。一部の実施形態において、変更は、1つまたは複数のエクソンをスキップすることを含む。一部の実施形態において、エクソンスキッピングが、エクソンスキッピングの非存在と比較して、向上した有益な活性を有するmRNAおよびタンパク質のレベルを増加させるという点で、転写産物のスプライシングは向上する。
【0114】
一部の実施形態において、エクソンスキッピングが、エクソンスキッピングの非存在と比較して、非所望の活性を有するmRNAおよびタンパク質のレベルを下げるという点で、転写産物のスプライシングは向上する。一部の実施形態において、標的は、1つまたは複数のエクソンをスキップすることによって早期終止コドンおよび/またはフレームシフト変異を引き起こすエクソンスキッピングを通じてノックダウンされる。
【0115】
一部の実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドは、1つもしくは複数の天然核酸塩基、および/または天然核酸塩基に由来する1つもしくは複数の改変核酸塩基を含む。例には、それらそれぞれのアミノ基がアシル保護基によって保護されているウラシル、チミン、アデニン、シトシン、およびグアニン、2-フルオロウラシル、2-フルオロシトシン、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、2,6-ジアミノプリン、アザシトシン、シュードイソシトシンおよびシュードウラシル等のピリミジン類似体、ならびに8-置換プリン、キサンチン、またはヒポキサンチン(後者の2つは天然分解産物である)等の他の改変核酸塩基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0116】
改変核酸塩基には、フェニル環等の1つまたは複数のアリール環が付加されている、拡張サイズの核酸塩基も含まれる。
【0117】
一部の実施形態において、改変核酸塩基は、任意で置換された、以下の構造のいずれか1つのものである。
【0118】
【0119】
一部の実施形態において、改変核酸塩基は置換されていない。一部の実施形態において、改変核酸塩基は置換されている。一部の実施形態において、改変核酸塩基は、それが、例えばヘテロ原子、アルキル基、あるいは蛍光部分、ビオチンもしくはアビジン部分、または他のタンパク質もしくはペプチドに接続した連結部分を含有するように置換されている。一部の実施形態において、改変核酸塩基は、最も古典的な意味では核酸塩基ではないが、核酸塩基と同様に機能する「ユニバーサル塩基」である。そのようなユニバーサル塩基の1つの代表的な例は3-ニトロピロールである。
【0120】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、改変核酸塩基、および/または改変糖類に共有結合で結合した核酸塩基を組み入れているヌクレオシドを含む。改変核酸塩基を組み入れているヌクレオシドの一部の例には、4-アセチルシチジン;5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウリジン;2’-O-メチルシチジン;5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン;5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン;ジヒドロウリジン;2’-O-メチルシュードウリジン;ベータ,D-ガラクトシルクエオシン;2’-O-メチルグアノシン;N6-イソペンテニルアデノシン;1-メチルアデノシン;1-メチルシュードウリジン;1-メチルグアノシン;l-メチルイノシン;2,2-ジメチルグアノシン;2-メチルアデノシン;2-メチルグアノシン;N7-メチルグアノシン;3-メチル-シチジン;5-メチルシチジン;5-ヒドロキシメチルシチジン;5-メチルシトシン、5-ホルミルシトシン;5-カルボキシルシトシン;N6-メチルアデノシン;7-メチルグアノシン;5-メチルアミノエチルウリジン;5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン;ベータ,D-マンノシルクエオシン;5-メトキシカルボニルメチルウリジン;5-メトキシウリジン;2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン;N-((9-ベータ,D-リボフラノシル-2-メチルチオプリン-6-イル)カルバモイル)トレオニン;N-((9-ベータ,D-リボフラノシルプリン-6-イル)-N-メチルカルバモイル)トレオニン;ウリジン-5-オキシ酢酸メチルエステル;ウリジン-5-オキシ酢酸(v);シュードウリジン;クエオシン;2-チオシチジン;5-メチル-2-チオウリジン;2-チオウリジン;4-チオウリジン;5-メチルウリジン;2’-O-メチル-5-メチルウリジン;および2’-O-メチルウリジンが含まれる。
【0121】
一部の実施形態において、ヌクレオシドには、6’位に(R)または(S)キラリティーのいずれかを有する6’改変二環式ヌクレオシド類似体が含まれ、米国特許第7,399,845号に記載される類似体が含まれる。他の実施形態において、ヌクレオシドには、5’位に(R)または(S)キラリティーのいずれかを有する5’改変二環式ヌクレオシド類似体が含まれ、米国公報第20070287831号に記載される類似体が含まれる。一部の実施形態において、核酸塩基または改変核酸塩基は、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、または2,6-ジアミノプリンである。一部の実施形態において、核酸塩基または改変核酸塩基は、蛍光部分を用いた置換によって修飾される。
【0122】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドにおけるリン酸基または連結リンが、糖類または改変糖類の様々な場所に連結されている、1つまたは複数の改変ヌクレオチドを含む。非限定的な例として、リン酸基または連結リンは、糖類または改変糖類の2’、3’、4’、または5’ヒドロキシル部分に連結され得る。本明細書に記載される改変核酸塩基を組み入れているヌクレオチドも、この文脈において企図される。
【0123】
他の改変糖類も、オリゴヌクレオチド分子内に組み入れられ得る。一部の実施形態において、改変糖類は、以下のもの:-F;-CF3、-CN、-N3、-NO、-NO2、-OR’、-SR’、または-N(R’)2、式中、各R’は、独立して、上で規定されかつ本明細書に記載されるとおりである;-O-(C1~C10アルキル)、-S-(C1~C10アルキル)、-NH-(C1~C10アルキル)、または-N(C1~C10アルキル)2;-O-(C2~C10アルケニル)、-S-(C2~C10アルケニル)、-NH-(C2~C10アルケニル)、または-N(C2~C10アルケニル)2;-O-(C2~C10アルキニル)、-S-(C2~C10アルキニル)、-NH-(C2~C10アルキニル)、または-N(C2~C10アルキニル)2;あるいは-O-(C1~C10アルキレン)-O-(C1~C10アルキル)、-O-(C1~C10アルキレン)-NH-(C1~C10アルキル)もしくは-O-(C1~C10アルキレン)-NH(C1~C10アルキル)2、-NH-(C1~C10アルキレン)-O-(C1~C10アルキル)、または-N(C1~C10アルキル)-(C1~C10アルキレン)-O-(C1~C10アルキル)、式中、アルキル、アルキレン、アルケニル、およびアルキニルは置換されていても置換されていなくてもよい、のうちの1つを含めた1つまたは複数の置換基を2’位に含有する。置換基の例には、-O(CH2)nOCH3および-O(CH2)nNH2、式中、nは1~約10、MOE、DMAOE、DMAEOEである、が含まれ、それらに限定されるわけではない。
【0124】
一部の実施形態において、リボースの2’-OHは、以下のもの:-H、-F;-CF3、-CN、-N3、-NO、-NO2、-OR’、-SR’、または-N(R’)2、式中、各R’は、独立して、上で規定されかつ本明細書に記載されるとおりである;-O-(C1~C10アルキル)、-S-(C1~C10アルキル)、-NH-(C1~C10アルキル)、または-N(C1~C10アルキル)2;-O-(C2~C10アルケニル)、-S-(C2~C10アルケニル)、-NH-(C2~C10アルケニル)、または-N(C2~C10アルケニル)2;-O-(C2~C10アルキニル)、-S-(C2~C10アルキニル)、-NH-(C2~C10アルキニル)、または-N(C2~C10アルキニル)2;あるいは-O-(C1~C10アルキレン)-O-(C1~C10アルキル)、-O-(C1~C10アルキレン)-NH-(C1~C10アルキル)もしくは-O-(C1~C10アルキレン)-NH(C1~C10アルキル)2、-NH-(C1~C10アルキレン)-O-(C1~C10アルキル)、または-N(C1~C10アルキル)-(C1~C10アルキレン)-O-(C1~C10アルキル)、式中、アルキル、アルキレン、アルケニル、およびアルキニルは置換されていても置換されていなくてもよい、のうちの1つを含めた置換基で置き換えられる。一部の実施形態において、2’-OHは-H(デオキシリボース)で置き換えられる。一部の実施形態において、2’-OHは-Fで置き換えられる。一部の実施形態において、2’-OHは-OR’で置き換えられる。一部の実施形態において、2’-OHは-OMeで置き換えられる。一部の実施形態において、2’-OHは-OCH2CH2OMe(MOE)で置き換えられる。
【0125】
改変糖類はロックド核酸(LNA)も含む。一部の実施形態において、ロックド核酸は、下で示される構造を有する。下の構造のロックド核酸が示されており、式中、Baは、本明細書に記載される核酸塩基または改変核酸塩基を表し、式中、R2sは-OCH2C4’-である。
【0126】
【0127】
一部の実施形態において、本発明は、式Iの構造を独立して有する1つまたは複数の改変ヌクレオチド間連結を含むオリゴヌクレオチドを提供する。
【0128】
【0129】
式中、
P*は、不斉リン原子であり、RpまたはSpであり;
Wは、O、S、またはSeであり;
X、Y、およびZのそれぞれは、独立して、-O-、-S-、-N(-L-R1)-、またはLであり;
Lは、共有結合または任意で置換された直鎖のまたは分岐したC1~C10アルキレンであり、Lの1つまたは複数のメチレン単位は、任意でおよび独立して、任意で置換されたC1~C6アルキレン、C1~C6アルケニレン、-C≡C-、-C(R’)2-、-Cy-、-O-、-S-、-S-S-、-N(R’)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(NR’)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-N(R’)C(O)O-、-OC(O)N(R’)-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2N(R’)-、-N(R’)S(O)2-、-SC(O)-、-C(O)S-、-OC(O)-、または-C(O)O-によって置き換えられ;
R1は、ハロゲン、R、または任意で置換されたC1~C50脂肪族化合物であり、1つまたは複数のメチレン単位は、任意でおよび独立して、任意で置換されたC1~C6アルキレン、C1~C6アルケニレン、-C≡C-、-C(R’)2-、-Cy-、-O-、-S-、-S-S-、-N(R’)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(NR’)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-N(R’)C(O)O-、-OC(O)N(R’)-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2N(R’)-、-N(R’)S(O)2-、-SC(O)-、-C(O)S-、-OC(O)-、または-C(O)O-によって置き換えられ;
各R’は、独立して、-R、-C(O)R、-CO2R、もしくは-SO2Rであり、または;
同じ窒素上の2つのR’は、それらの介在原子と一緒になって、任意で置換された複素環もしくはヘテロアリール環を形成し、または
同じ炭素上の2つのR’は、それらの介在原子と一緒になって、任意で置換されたアリール、炭素環、複素環、もしくはヘテロアリール環を形成し;
-Cy-は、フェニレン、カルボシクリレン(carbocyclylene)、アリレン、ヘテロアリレン、もしくはヘテロシクリレン(heterocyclylene)から選択される任意で置換された二価の環であり;
各Rは、独立して、水素、またはC1~C6脂肪族化合物、フェニル、カルボシクリル(carbocyclyl)、アリール、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルから選択される任意で置換された基であり;かつ
各
【0130】
【0131】
は、独立して、ヌクレオシドへの接続を表す。
【0132】
一部の実施形態において、式Iの構造を有するヌクレオチド間連結は、
【0133】
【0134】
である。
【0135】
数ある中でも、本開示は、本開示に記載される、様々な核酸塩基およびそのパターン、糖類およびそのパターン、ヌクレオチド間連結およびそのパターン、ならびに/または付加的な化学的部分およびそのパターンを含み得る、様々な設計のオリゴヌクレオチドを提供する。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドは、MuSK Ig3ドメインタンパク質発現、MuSK Ig3ドメイン遺伝子発現、および/またはBMPシグナル伝達レベルのMuSK Ig3活性化を下方調節し得、それによって筋再生を増加させる。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドは、対象または患者の細胞におけるMuSK Ig3ドメインおよび/またはその産物の1つもしくは複数の発現、レベル、および/または活性の減少を導き得る。一部の実施形態において、細胞は、通常、MuSK Ig3ドメインによってコードされるタンパク質を発現するまたは産生する。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドは、MuSK Ig3ドメイン遺伝子または遺伝子産物の発現、レベル、および/または活性の減少を導き得、各Tが独立してUで置換され得、逆もまた同様であり、かつオリゴヌクレオチドが、塩基、糖類、および/またはヌクレオチド間連結の少なくとも1つの天然に存在しない改変を含む、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドの塩基配列からなる、それを含む、またはその一部分(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれを上回る連続的塩基のスパン)を含む塩基配列を有する。
【0136】
本明細書に記載されるように、非常に豊富な全長MuSKは、BMP結合Ig3ドメインを持し、BMPシグナル伝達を強化し、筋再生に影響を及ぼす。対照的に、ΔIg3-MuSKは、より低いBMPシグナル伝達を有し、筋再生を促進しかつ/または筋線維症を予防する。一部の実施形態において、本開示は、全長MuSKから筋肉を促進するΔIg3-MuSKスプライス形態にMuSKを切り替えるエクソンスキッピングASOを提供する。
【0137】
一部の実施形態において、1つまたは複数のスキップされるエクソンは、エクソン6および7またはMuSK遺伝子から選択される。一部の実施形態において、MuSKのエクソン6がスキップされる。一部の実施形態において、MuSKのエクソン7がスキップされる。一部の実施形態において、MuSKのエクソン6および7の両方がスキップされる。
【0138】
様々な実施形態において、活性化合物は、MuSK遺伝子における1つまたは複数のエクソンのスキッピングを導くオリゴヌクレオチドである。様々な実施形態において、活性化合物は、MuSK遺伝子における複数のエクソンのスキッピングを導くオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態において、活性化合物は、MuSK遺伝子におけるエクソン6、エクソン7、またはその両方のスキッピングを導くオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態において、活性化合物は、MuSK遺伝子におけるエクソン6のスキッピングを導くオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態において、活性化合物は、MuSK遺伝子におけるエクソン7のスキッピングを導くオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態において、活性化合物は、MuSK遺伝子におけるエクソン6および7のスキッピングを導くオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態において、複数のオリゴヌクレオチドが一緒に使用され得る。一部のそのような実施形態において、2つ以上の異なるエクソンスキッピングオリゴヌクレオチド(例えば、エクソン6のスキッピングを導く少なくとも1つ、およびエクソン7のスキッピングを導く1つ)が組み合わせで使用され得る。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、少なくとも1つのエクソンスキッピングオリゴヌクレオチドは、例えば機能的Ig3ドメインまたはその一部分を含むMuSK転写産物を標的にし得る少なくとも1つの分解オリゴヌクレオチド(例えば、転写産物をRNaseH分解の標的にする)との組み合わせで使用され得る。
【0139】
一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、塩形態で提供されかつ/または利用される。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、それらの塩形態として存在する負に帯電したヌクレオチド間連結(例えば、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結、天然ホスフェート連結等)を含む塩として提供される。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩として提供される。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは金属塩として提供される。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドはナトリウム塩として提供される。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは金属塩、例えばナトリウム塩として提供され、負に帯電した各ヌクレオチド間連結は独立して塩形態にある(例えば、ナトリウム塩に関して、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結に対しては-O-P(O)(SNa)-O-、天然ホスフェート連結に対しては-O-P(O)(ONa)-O-等)。
【0140】
MuSK MRアゴナイズ剤の特徴付け
本明細書に提供されるMuSK筋再生(MR)アゴナイズ剤は、1つまたは複数のそれらの物理的/化学的特性および/または生物学的活性について同定され得、査定され得、かつ/または特徴付けされ得る。当業者であれば、そのような同定、査定、および/または特徴付けに利用され得る特定のアッセイを含めた多様な手法を知っているであろう。
【0141】
一部の実施形態において、小分子MuSK MRアゴナイズ剤は、例えばMuSK Ig3にまたはBMPに直接結合することによって、MuSK Ig3とBMPとの間の相互作用に干渉し得る。一部のそのような実施形態において、そのような作用物質は、MuSK Ig3へのおよび/もしくはBMPへの直接結合アッセイ(例えば、それらの標的に対するそれらのアフィニティー、それに対する特異性、および/またはそれとのそれらの相互作用についての1つもしくは複数の速度論的もしくは熱力学的特質を査定する)によって、ならびに/または競合結合アッセイ(例えば、MuSK Ig3とBMPとのあらかじめ形成された複合体を破壊または過度に破壊する、および/または複合体形成を低下させるそれらの能力を査定する)によって特徴付けされ得る。一部の実施形態において、そのような結合アッセイは、望ましくは複数の濃度で実施され;一部の実施形態において、そのような結合アッセイは、全長MuSKを用いて、またはMuSK Ig3であるもしくはそれを含む他の何らかのポリペプチドもしくは作用物質を用いて実施され得る。
【0142】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤(例えば、MuSKのIg3ドメインに結合する抗体または小分子)は、MuSKを発現する細胞と接触した場合、Ig3ドメインの結合をBMPと競合するであろう。一部の実施形態において、そのような抗体剤は、特定の細胞タイプ(例えば、衛星細胞)において発現されるMuSKのエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態において、そのような抗体剤は、少なくとも約10-4M、少なくとも約10-5M、少なくとも約10-6M、少なくとも約10-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9Mの、またはそれを下回る、MuSKタンパク質、例えばMuSKタンパク質のIg3ドメインに対する結合アフィニティー(例えば、解離定数によって測定される)を有し得る。当業者であれば、ある場合には、結合アフィニティー(例えば、解離定数によって測定される)は、2つの分子間の水素結合、静電相互作用、疎水性、およびファンデルワールス力等の非共有結合性分子間相互作用によって影響され得ることを解するであろう。代替的にまたは付加的に、リガンドとその標的分子との間の結合アフィニティーは、他の分子の存在による影響を受け得る。当業者であれば、例えばELISA、ゲルシフトアッセイ、プルダウンアッセイ、平衡透析、分析的超遠心分離、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法、グレーティング結合干渉法、および分光学的アッセイを含むがそれらに限定されない、本開示に従って、結合アフィニティーおよび/または解離定数を測定するための多様な技術を熟知しているであろう。
【0143】
一部の実施形態において、競合アッセイを使用して、MuSKのIg3ドメインへの結合を、本明細書に記載される抗MuSK抗体剤と競合する抗体を同定し得る。一部の実施形態において、そのような競合抗体は、本明細書に記載される抗MuSK抗体によって結合される、MuSKのIg3ドメイン内の同じエピトープに結合する。例示的なエピトープマッピング法は公知である。例えば、Morris(1996)を参照されたい。
【0144】
一部の実施形態において、生物学的活性を有するその抗MuSK抗体剤を同定するためのアッセイが提供され得る。一部の実施形態において、MuSKに対する中和活性を有するその抗MuSK抗体剤を同定するためのアッセイが提供され得る。インビボおよび/またはインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体剤も提供され得る。一部の実施形態において、本開示の抗体は、そのような生物学的活性について試験され得る。
【0145】
抗MuSK抗体剤の「生物学的活性」とは、例えば特定のMuSKエピトープ(例えば、Ig3ドメイン内の)に対する結合アフィニティー、BMPへのMuSK結合の中和または阻害、インビボでのMuSK活性の中和または阻害(例えば、IC50)、薬物動態、および交差反応性(例えば、MUSKタンパク質の非ヒトホモログもしくはオルソログとの、または他のタンパク質もしくは組織との)を指し得る。当技術分野において認識される、抗原結合作用物質の他の生物学的特性または特徴には、例えばアビディティー、選択性、溶解度、フォールディング、免疫毒性、発現、および製剤化が含まれ得る。前述の特性または特徴は、ELISA、競合ELISA、表面プラズモン共鳴分析(BIACORE(商標))、または結合平衡除外(Kinetic Exclusion)アッセイ(KINEXA(商標))、インビトロもしくはインビボ中和アッセイ、受容体-リガンド結合アッセイ、サイトカインもしくは成長因子産生および/もしくは分泌アッセイ、ならびにシグナル変換および免疫組織化学アッセイを含むがそれらに限定されない標準的技法を使用して観察され得、測定され得、かつ/または査定され得る。
【0146】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるMuSK MRアゴナイズ剤は、例えばMuSK MRアゴナイズ剤(例えば、アゴナイズオリゴヌクレオチド)が、MuSKを発現する細胞と接触した場合、MuSK ΔIg3 mRNAおよび/またはタンパク質のレベルまたは活性を増加させるであろうことで特徴付けされる。
【0147】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドは、細胞におけるMuSK プレmRNAのスプライシング活性を変更するその能力によって特徴付けされる。例えば、細胞にMuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドをトランスフェクトし得、インキュベーションの期間の後、MuSK RNA転写産物のプロセシングされた形態の代替形態(例えば、エクソン6および7がスキップされている)の発現をRT-PCRによって測定し得る。例えば、培養細胞におけるMuSKエクソンスキッピングの効率は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または95%を上回る。
【0148】
一部の態様において、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドは、MuSK ΔIg3 mRNAを増加させる。一部の態様において、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドは、MuSK プレmRNAのスプライシングを変更する。一部の態様において、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドは、エクソン6および/またはエクソン7のスキッピングを促進する。
【0149】
MuSK ΔIg3の発現のモジュレーションは、動物の細胞、組織、または臓器を含有しても含有しなくてもよい、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドで処理された対象の体液において測定され得る。体液(例えば、痰、血清、CSF)、組織(例えば、生検)、または臓器等、分析のためのサンプルを獲得する方法、および分析を可能にするサンプルの調製の方法は、当業者に周知である。対象に対する処理の効果は、本出願に記載される1種または複数の組成物と接触した動物から収集された1種または複数の生物学的流体、組織、または臓器における標的遺伝子発現と関連したバイオマーカーを測定することによって査定され得る。
【0150】
一部の実施形態において、MuSK ΔIg3 mRNAの増加は、MuSK ΔIg3 mRNAの細胞内レベルが、対照における(例えば、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドを投与されていない対象における)MuSK ΔIg3 mRNAのレベル等の参照レベルよりも高いことを意味する。細胞内MuSK ΔIg3 mRNAの増加は、産生されたMuSK ΔIg3タンパク質および/またはmRNAのレベルの増加として測定され得る。一部の実施形態において、MuSK ΔIg3 mRNAの増加は、例えば下で実施例に記載される方法によって、および/あるいはRNA溶液ハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼ保護、ノーザンハイブリダイゼーション、逆転写、マイクロアレイを用いた遺伝子発現モニタリング、抗体結合、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、核酸シーケンシング、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、他の免疫アッセイ、蛍光活性化細胞分析(FACS)、またはMuSK ΔIg3 mRNAもしくはタンパク質(例えば、対象における、または対象から獲得されたサンプルにおける)の存在を検出し得る他の任意の技法もしくは技法の組み合わせ等のアッセイ技法によって判定され得る。
【0151】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチド処理を受けた対象から獲得されたサンプルにおけるMuSK ΔIg3 mRNAのレベルと、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドで処理されていない対象におけるMuSK ΔIg3 mRNAのレベルとを比較することによって、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチド処理がMuSK ΔIg3 mRNAを増加させた程度が判定され得る。一部の実施形態において、MuSK ΔIg3 mRNAの参照レベルは、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチド処理を受ける前に、同じ対象から獲得される。一部の実施形態において、MuSK ΔIg3 mRNAの参照レベルは、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチド処理を受けていない対象の集団によって判定される域である。一部の実施形態において、全長MuSK mRNAのレベルをMuSK ΔIg3 mRNAのレベルと比較する。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチド処理を受けた対象における、全長MuSK mRNAに対するMuSK ΔIg3 mRNA(例えば、エクソン6および7なしのMuSK mRNA)の比は、例えば1倍、1.5~5倍、5~10倍、10~50倍、50~100倍、約1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、l00倍を上回る、または参照比よりも高い。
【0152】
一部の実施形態において、MuSK ΔIg3 mRNAの増加したレベルは、例えば1倍、1.5~5倍、5~10倍、10~50倍、50~100倍、約1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100倍を上回る、または参照値よりも高い。
【0153】
一部の実施形態において、対象におけるMuSK ΔIg3 mRNAの増加は、参照レベルと比較したMuSK ΔIg3タンパク質の増加によって示され得る。一部の実施形態において、MuSK ΔIg3タンパク質の参照レベルは、処理前に、例えば、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患を有するまたは有する危険性がある対象から獲得されたMuSK ΔIg3タンパク質レベルである。体液、臓器、または組織を、本明細書に記載される1種または複数の組成物の有効量と接触させる方法も企図される。体液、臓器、または組織を、MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドを含む1つまたは複数の組成物と接触させ得、体液、臓器、または組織の細胞におけるMuSK ΔIg3の発現およびMuSK発現のモジュレーションをもたらす。有効量は、対象に投与されるまたは細胞に接触させるMuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドの機能的MuSK ΔIg3タンパク質発現に対する効果をモニターすることによって判定され得る。
【0154】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、細胞の集団(例えば、衛星細胞(SC)、筋芽細胞、筋原性前駆細胞(MPC)を含む)に投与された場合、活性化状態(例えば、活発な増殖)にある細胞の数を増加させる。集団内の細胞は、それらが活性化状態にあるかどうかについて、例えばEdU+周期細胞を総細胞カウント数と比較するEdUアッセイを含めた、当技術分野において公知の方法によって査定され得る。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、衛星細胞を含む細胞の集団に投与された場合、集団における静止衛星細胞の数を減少させ、かつ/または活性化衛星細胞の数を増加させる。
【0155】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、SC、MPCおよび/または筋芽細胞を含む細胞の集団に投与された場合、遺伝子または筋原性因子(例えば、Pax7、MyoD、ミオゲニンおよびMERGE)を発現する細胞の数を増加させる、かつ/またはMuSK-BMPシグナル伝達経路と関連した遺伝子(例えば、RGS4、Msx2、Myf5、Ptx3、Id1)を発現する細胞の数を減少させる。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、衛星細胞および/または筋芽細胞を含む細胞の集団に投与された場合、細胞の集団において、筋原性因子(例えば、Pax7、MyoD、ミオゲニンおよびMERGE)と関連した遺伝子の発現のレベルを増加させる、かつ/またはMuSK-BMPシグナル伝達経路と関連した遺伝子(例えば、RGS4、Msx2、Myf5、Ptx3、Id1)の発現のレベルを減少させる。
【0156】
一部の実施形態において、細胞の集団は、(例えば、胚性幹細胞または多能性幹細胞等の幹細胞から)衛星細胞および/または筋芽細胞であるように誘導されている衛星細胞および/または筋芽細胞を含む。
【0157】
一部の実施形態において、細胞の集団は健常対象から獲得される。一部の実施形態において、細胞の集団は、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患等の疾患または障害に罹患している対象から獲得される。
【0158】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、対象由来の細胞の集団と接触させた場合、対象における筋再生を増加させる。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤を、例えば対象への注射によって、インビボで細胞の集団と接触させる。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤を、対象由来の細胞の集団を獲得することによってエクスビボで細胞の集団に接触させ、処理された細胞を前記対象に再導入した場合に筋再生は増加する。
【0159】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、対象に投与された場合、筋再生および/もしくは筋成長、ならびに/または神経筋機能、ならびに/または筋形成を増加させるであろう。これらの生物学的効果を査定する方法の例は、例えば下の実施例に詳述される。
【0160】
モデル系
数ある中でも、本開示は、本明細書に記載される有用なモデル系を提供する。例えば、一部の実施形態において、提供されるモデル系は、1種または複数のMuSK MRアゴナイズ剤をスクリーニングする、検証する、特徴付ける、査定するかつ/または同定するために使用され得る。
【0161】
一部の実施形態において、本明細書に提供されるモデル系は人為的に操作された細胞株であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、操作された細胞株は不死化MuSK-/-筋原細胞株である。
【0162】
一部の実施形態において、本明細書に提供されるモデル系は本明細書に記載される操作されたマウスであるまたはそれを含む。一部の実施形態において、提供されるマウスはΔIg3-MuSKマウスであるまたはそれを含む。
【0163】
一部の実施形態において、提供されるモデル系(例えば、細胞株および/またはマウス)は、例えば小分子剤、抗体剤、オリゴヌクレオチド剤等、およびその組み合わせを含めた、本明細書に記載される作用物質をスクリーニングする、検証する、特徴付ける、査定するかつ/または同定するために使用される。一部の実施形態において、そのような作用物質の活性は適当な参照(例えば、陽性対照および/または陰性対照)と比較される。一部の実施形態において、適当な参照は、任意の作用物質の非存在、またはモデル系において活性もしくはパフォーマンスが公知の作用物質の存在であり得るあるいはそれを含み得る。一部の実施形態において、適当な参照は歴史的参照であり得る。一部の実施形態において、適当な参照は同年齢対象または同時参照であり得る。
【0164】
アゴナイズ剤の産生
抗体
本発明の抗体および抗原結合フラグメントは、安定な抗体または抗体フラグメントの後続の形成を可能にする、当技術分野において公知の任意の技法によって調製され得かつ/または精製され得る。
【0165】
本開示の抗MuSK抗体剤をコードする核酸は、従来的手順によって容易に単離され得かつシーケンシングされ得る。
【0166】
一部の実施形態において、本開示の発現された抗体は、宿主細胞から単離された後に均一に精製され得る。本開示の抗体の単離および/または精製は、タンパク質を単離するおよび精製するための従来的方法によって実施され得る。例えば、理論によって拘束されることを望むことなく、本開示のMuSK抗体剤は、プロテインA精製、プロテインG精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含むがそれらに限定されない周知の方法によって、組み換え細胞培養物から回収され得かつ/または精製され得る。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も精製に採用され得る。例えば、Colligan(1997~2001)を参照されたい。一部の実施形態において、本開示の抗体は、濾過、超濾過、塩析、透析等を付加的に組み合わせることによって単離され得かつ/または精製され得る。
【0167】
本開示の精製された抗MuSK剤は、例えばELISA、ELISPOT、フローサイトメトリー、免疫細胞学、BIACORE(商標)分析、SAPIDYNE KINEXA(商標)結合平衡除外アッセイ、SDS-PAGE、およびウェスタンブロットによって、またはHPLC分析によって、ならびに本明細書に開示される多数の他の機能的アッセイによって特徴付けされ得る。
【0168】
オリゴヌクレオチド
アゴナイズ剤、例えば本明細書に記載されるアゴナイズオリゴヌクレオチドは、例えば自動合成装置の使用によって、当技術分野において公知の標準的方法によって合成され得る。化学合成(例えば、ホスホロアミダイト法を使用した固相合成)の後、アゴナイズオリゴヌクレオチド分子は、脱保護され得、ds分子にアニールされ得、精製され得る(例えば、ゲル電気泳動またはHPLCによって)。アゴナイズオリゴヌクレオチドの調製のためのプロトコールは、当技術分野において公知である。
【0169】
アゴナイズオリゴヌクレオチドは、細胞内に導入された発現構築物からのRNAの転写によって細胞内でも形成され得る。例えば、Yuら(2002)を参照されたい。アゴナイズオリゴヌクレオチド分子のインビボ産生のための発現構築物は、例えばプロモーターエレメントおよび転写終結シグナルを含めた、アンチセンスコード配列の適正な転写に必要なエレメントに作動的に連結された1つまたは複数のアンチセンスコード配列を含み得る。そのような発現構築物における使用のための好ましいプロモーターには、ポリメラーゼIII HI-RNAプロモーター(例えば、Brummelkampら(2002)を参照されたい)およびU6ポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、Suiら(2002);Paulら(2002);およびYuら(2002)を参照されたい)が含まれる。アゴナイズオリゴヌクレオチド発現構築物は、発現構築物のクローニングを容易にする1つまたは複数のベクター配列をさらに含み得る。使用され得る標準的ベクターには、例えばpSilencer2.0-U6ベクター(Ambion Inc.、Austin、Tex.)が含まれる。
【0170】
薬学的組成物
本開示は、本明細書に記載されるアゴナイズ剤を含みかつ/または送達する薬学的組成物を提供する。本開示は、本明細書に記載されるアゴナイズ剤に曝露されている細胞集団であるまたはそれを含む薬学的組成物も提供する。
【0171】
例えば、一部の実施形態において、提供される薬学的組成物は、例えば、投与された場合、BMPとの相互作用に機能的なIg3ドメインを欠如するMuSKポリペプチド(例えば、MuSK ΔIg3ポリペプチド、または分断されたIg3を有する別のMuSKバリアントポリペプチド)のレベルおよび/または活性の増加を達成する抗体剤または核酸剤等のMuSK MRアゴナイズ剤を含み得かつ/または送達し得る。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、提供される薬学的組成物は、神経細胞数および/または活性が集団において増加するように、MuSK MRアゴナイズ剤に曝露されている細胞の集団を含み得かつ/または送達し得る。
【0172】
多くの実施形態において、薬学的組成物は、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた活性剤(例えば、本明細書に記載されるアゴナイズ剤またはその前駆体)であろうまたはそれを含むであろう。当業者であれば、特定の薬学的組成物の構成要素が、薬学的組成物の投与の経路によって影響され得ることを解するであろう。
【0173】
本開示の組成物は、全身性および局所性または限局性投与を含めた投与の多様な様態のために製剤化され得る。技法および製剤化は、一般的に、Remington(2000)に見出され得る。
【0174】
本発明の組成物は、多種多様な経口、非経口、および局所の剤形で調製され得かつ投与され得る。ゆえに、本発明の組成物は、注射によって(例えば、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に、または腹腔内に)投与され得る。また、本明細書に記載される組成物は、吸入、例えば鼻腔内に投与され得る。付加的に、本発明の組成物は経皮的に投与され得る。複数の投与の経路(例えば、筋肉内、経口、経皮)を使用して、本発明の組成物を投与し得ることも想定される。
【0175】
一部の実施形態において、本明細書に記載される薬学的組成物は、静脈内注射、髄腔内投与、経口投与、口腔投与、吸入、経鼻投与、局所投与、眼科的投与、または耳性投与から選択される経路による送達のために製剤化され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、髄腔内投与による送達のために製剤化され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、静脈内投与による送達のために製剤化され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、経口投与による送達のために製剤化され得る。
【0176】
ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドおよび組成物はCNSに送達される。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドおよび組成物は脳脊髄液に送達される。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドおよび組成物は脳実質に投与される。ある特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドおよび組成物は、髄腔内投与または脳室内投与によって動物/対象に送達される。中枢神経系内での、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドおよび組成物の広い分布は、実質内投与、髄腔内投与、または脳室内投与を用いて達成され得る。
【0177】
ある特定の実施形態において、非経口投与は、注射による、例えばシリンジ、ポンプ等によるものである。ある特定の実施形態において、注射はボーラス注射である。ある特定の実施形態において、注射は、線条体、尾状核(caudate)、皮質、海馬、および小脳等の組織に直接投与される。
【0178】
ある特定の実施形態において、ボーラス注射等による、薬学的作用物質を特異的に局在化する方法は、半有効濃度(EC50)を20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、または50分の1に減少させる。ある特定の実施形態において、アンチセンス化合物における薬学的作用物質は、本明細書にさらに記載されるとおりである。ある特定の実施形態において、標的組織は脳組織である。ある特定の実施形態において、標的組織は海馬組織である。ある特定の実施形態において、EC50を減少させることは、そのことが、それを必要とする患者において薬理学的結果を達成するために要される用量を低下させるため望ましい。
【0179】
ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1カ月に1回、2カ月ごと、90日ごと、3カ月ごと、6カ月ごと、1年に2回、または1年に1回の注射または注入によって送達される。
【0180】
活性成分に加えて、これらの薬学的組成物は、薬学的に使用され得る、調製物への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および助剤を含む適切な薬学的に許容される担体を含有し得る。経口投与のために製剤化される調製物は、錠剤、糖衣錠、カプセル、または溶液の形態にあり得る。
【0181】
経口使用のための薬学的調製物は、活性化合物と固体賦形剤とを組み合わせ、結果として生じる混合物を任意ですりつぶして粉にし、かつ所望の場合には適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを獲得することによって獲得され得る。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールを含めた糖類;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、および/またはポリビニルピロリドン(PVP:ポビドン)等の充填剤である。所望の場合には、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム等のその塩等、崩壊剤が添加され得る。
【0182】
糖衣錠コアは、適切なコーティングとともに提供される。この目的のために、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール(PEG)、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合液を任意で含有し得る、濃縮された糖溶液が使用され得る。活性化合物投薬の種々の組み合わせの同定のためにまたはそれを特徴付けするために、染料または色素が錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0183】
経口で使用され得る薬学的調製物には、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル、ならびにゼラチンで作られた軟い密封カプセル、およびグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤が含まれる。押し込み型カプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、および任意で安定剤と混和した活性成分を含有し得る。軟カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール(PEG)等の適切な液体中に溶解され得るまたは懸濁され得る。加えて、安定剤が添加され得る。
【0184】
一部の実施形態において、薬学的組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、液体、吸入薬、鼻腔スプレー液、坐薬、懸濁液、ゲル、コロイド、分散体、懸濁液、溶液、乳濁液、軟膏、ローション、点眼薬、または点耳薬である。
【0185】
治療されている具体的な病状に応じて、本開示の薬学的組成物は、液体または固体の剤形に製剤化され得、全身にまたは局所的に投与され得る。薬学的組成物は、当業者に公知であるように、例えば時限性のまたは持続性の低放出形態で送達され得る。製剤化および投与のための技法は、Remington(2000)に見出され得る。適切な経路には、経口、口腔、吸入スプレーによる、舌下、直腸、経皮、経腟、経粘膜、経鼻、もしくは腸内投与;筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、静脈内、関節内(intra-articullar)、胸骨内(intra-sternal)、滑液嚢内、肝内、病巣内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、もしくは眼球内の注射を含めた非経口送達;または他の送達の方式が含まれ得る。
【0186】
注射に関して、本開示の薬学的組成物は、ハンクス液、リンゲル液、または生理食塩緩衝液等の生理学的に適合する緩衝液中等、水溶液中に製剤化され得かつ希釈され得る。そのような経粘膜投与に関して、浸透されるべきバリアに適当な浸透剤が製剤において使用される。そのような浸透剤は、当技術分野において一般的に公知である。
【0187】
全身投与に適した投薬物に、本開示の実践のために開示される本明細書における組成物を製剤化するための、薬学的に許容される不活性担体の使用は、本開示の範囲内にある。担体の適正な選定および適切な製造実践を用いて、本開示の組成物、特に溶液として製剤化されるものは、静脈内注射等によって非経口的に投与され得る。
【0188】
一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、経口投与に適した投薬物に、当技術分野において利用可能な薬学的に許容される担体を使用して製剤化され得る。そのような担体は、治療されるべき対象(例えば、患者)による経口摂取のために、本開示の化合物が、錠剤、丸薬、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として製剤化されるのを可能にする。
【0189】
経鼻または吸入送達に関しては、生理食塩水等の1種または複数の可溶化物質、希釈物質、または分散物質、ベンジルアルコール等の防腐剤、吸収促進剤、およびフルオロカーボンが採用され得る。
【0190】
一部の実施形態において、提供される組成物は、活性剤の前駆体を含み得かつ/または送達し得、前駆体は、投与があると活性治療剤になるまたはそれを放出する。一部の実施形態において、例えば、前駆体は、小分子アゴナイズ剤のプロドラッグ、またはタンパク質アゴナイズ剤をコードする核酸等であり得るまたはそれを含み得る。
【0191】
一部の特定の実施形態において、提供される薬学的組成物は、治療有効量(例えば、確立されたプロトコールに従って投与された場合に有効である量)の提供されるオリゴヌクレオチド(本明細書に記載されるように、薬学的に許容される塩形態で、例えばナトリウム塩、アンモニウム塩等として提供され得る)を含みまたは送達し;一部の実施形態において、そのような提供される薬学的組成物は、関連オリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容される賦形剤、および薬学的に許容される担体から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される不活性成分とを含む。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドの塩形態は2個以上のカチオン、例えば一部の実施形態において、最高でオリゴヌクレオチドにおける負に帯電した酸性基(例えば、ホスフェート、ホスホロチオエート等)の数を含む。
【0192】
薬学的に許容される塩は当業者に一般的に周知であり、例として、しかし限定されることなく、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カルンシレート(carnsylate)、炭酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩(subacetate)、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、またはテオクル酸塩を含み得る。他の薬学的に許容される塩は、例えばRemington、The Science and Practice of Pharmacy(第20編、2000)に見出され得る。好ましい薬学的に許容される塩には、例えば酢酸塩、安息香酸塩、臭化物、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、ナプシル酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、または酒石酸塩が含まれる。
【0193】
当業者によって解されるように、オリゴヌクレオチドは、例えば薬学的使用のために、いくつかの塩として製剤化され得る。一部の実施形態において、塩は、金属カチオン塩および/またはアンモニウム塩である。一部の実施形態において、塩は、オリゴヌクレオチドの金属カチオン塩である。一部の実施形態において、塩は、オリゴヌクレオチドのアンモニウム塩である。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれる。一部の実施形態において、塩は、オリゴヌクレオチドのナトリウム塩である。一部の実施形態において、薬学的に許容される塩には、適当な場合、提供されるオリゴヌクレオチド内にあり得る水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、ホスホロチオエート等の対イオンとともに形成される非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンが含まれる。当業者によって解されるように、オリゴヌクレオチドの塩は、オリゴヌクレオチド内には1個を上回る数のアニオンがあり得ることから、1個を上回る数のカチオン、例えばナトリウムイオンを含有し得る。
【0194】
一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドおよびその組成物は、広い投薬量域にわたって有効であり得る。例えば、成人の治療において、約0.01~約1000mg、約0.5~約100mg、1日あたり約1~約50mg、および1日あたり約5~約100mgの投薬量は、使用され得る投薬量の例である。精確な投薬量は、投与の経路、化合物が投与される形態、治療されるべき対象、治療されるべき対象の体重、ならびに主治医の優先傾向および経験に依存するであろう。
【0195】
一部の実施形態において、本開示は、例えば他の治療剤および/または医学的手順との併用療法のための技術(例えば、組成物、方法等)を提供する。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドおよび/または組成物は、1種または複数の他の治療剤と一緒に使用され得る。一部の実施形態において、提供される組成物は、提供されるオリゴヌクレオチドおよび1種または複数の他の治療剤を含む。一部の実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、組成物における提供されるオリゴヌクレオチドと比較した場合、1つもしくは複数の異なる標的、および/または標的に向けた1つもしくは複数の異なるメカニズムを有し得る。一部の実施形態において、治療剤はオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態において、治療剤は小分子薬物である。一部の実施形態において、治療剤はタンパク質である。一部の実施形態において、治療剤は抗体である。いくつかの治療剤が、本開示に従って利用され得る。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドまたはその組成物は、1種または複数の他の治療剤および/または医学的手順の前に、それと同時に、またはその後に投与される。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドまたはその組成物は、1種または複数の他の治療剤および/または医学的手順と同時に投与される。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドまたはその組成物は、1種または複数の他の治療剤および/または医学的手順の前に投与される。一部の実施形態において、提供されるオリゴヌクレオチドまたはその組成物は、1種または複数の他の治療剤および/または医学的手順の後に投与される。一部の実施形態において、提供される組成物は、1種または複数の他の治療剤を含む。
【0196】
薬学的組成物の産生
本発明の組成物から薬学的組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物には、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェー、坐薬、および分散性顆粒が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても作用し得る1つまたは複数の物質であり得る。
【0197】
粉末において、担体は、微粉化活性構成要素と混合した微粉化固体である。錠剤において、活性構成要素は、必要な結合特性を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0198】
粉末および錠剤は、好ましくは、治療剤の5%~70%を含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等である。「調製」という用語は、他の担体の有無にかかわらず、その中で活性構成要素が担体によって取り囲まれ、ゆえにそれは担体と関連しているカプセルを提供する担体としての封入材料との、活性治療剤の製剤化を含むことを意図される。同様に、カシェーおよびトローチが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カシェー、およびトローチは、経口投与に適した固体剤形として使用され得る。
【0199】
坐薬を調製するために、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物等の低融点ワックスをまず融解し、撹拌する等によって活性構成要素をその中で均質に分散させる。融解した均質な混合物を、次いで好都合なサイズの型枠に流し込み、冷却させ、それによって凝固させる。
【0200】
液体形態調製物には、溶液、懸濁液、および乳濁液、例えば水または水/プロピレングリコール溶液が含まれる。非経口注射のために、液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中に溶液状に製剤化され得る。
【0201】
非経口適用が必要とされるまたは所望される場合、本発明の組成物にとって特に適切な混和物は、注射可能な無菌溶液、好ましくは油性または水性溶液、ならびに懸濁液、乳濁液、または坐薬を含めた埋め込み物である。特に、非経口投与のための担体には、デキストロースの水溶液、生理食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、落花生油、ゴマ油、ポリエチレンブロックポリマー等が含まれる。アンプルは、好都合な単位投薬量である。本発明の組成物は、また、リポソームに組み入れられ得るまたは経皮ポンプもしくはパッチを介して投与され得る。本発明における使用に適した薬学的混和物には、例えばPharmaceutical Sciences(第17編、Mack Pub.Co.、Easton、PA)およびWO96/05309に記載されるものが含まれる。
【0202】
経口使用に適した水溶液は、活性構成要素を水に溶解し、かつ適切な着色料、香味料、安定剤、および増粘剤を所望どおりに添加することによって調製され得る。経口使用に適した水性懸濁液は、微粉化活性構成要素を、天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁化剤等の粘性のある材料とともに水中に分散させることによって作製され得る。
【0203】
使用の少し前に、経口投与のために液体形態調製物に変換されることを意図される固体形態調製物も含まれる。そのような液体形態には、溶液、懸濁液、および乳濁液が含まれる。これらの調製物は、活性構成要素に加えて、着色料、香味料、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有し得る。
【0204】
薬学的調製物は、好ましくは単位剤形の状態にある。そのような形態において、調製物は、適当な分量の活性構成要素を含有する単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージされた調製物であり得、パッケージは、バイアルまたはアンプル中の詰め込まれた錠剤、カプセル、および粉末等、個別の分量の調製物を含有する。また、剤形は、カプセル、錠剤、カシェー、もしくはトローチ自体であり得る、またはそれは、パッケージされた形態でのこれらのうちの適当な数のいずれかであり得る。
【0205】
単位用量調製物における活性構成要素の分量は、特定の適用および活性構成要素の効能に従って変動し得るまたは調整され得る。組成物は、所望の場合には、他の適合する治療剤も含有し得る。
【0206】
患者集団:一部の実施形態において、適当な患者または集団は、神経筋機能障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、もしくは筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患、または筋再生の増加により別様に利益を受けるであろうもの等の疾患、障害に罹患しているおよび/またはなりやすい者である。
【0207】
一部の実施形態において、対象および/または集団は、神経変性疾患、障害、または病状である疾患、障害、または病状に付加的にまたは代替的に罹患していてもかつ/またはなりやすくてもよい。一部の実施形態において、そのような神経変性疾患、障害または病状は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、認知症(例えば、前頭側頭型認知症)、脳卒中、大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、物質関連でかつ嗜癖性の障害(例えば、慢性コカイン使用および生涯にわたる喫煙)、側頭葉てんかん、海馬硬化症、ニーマン・ピック病C型、糖尿病性海馬ニューロン喪失、およびハンチントン病のうちの1つまたは複数である。
【0208】
一部の実施形態において、集団は、肺の疾患または障害に付加的にまたは代替的に罹患していてもかつ/またはなりやすくてもよい。一部の実施形態において、そのような疾患または障害は、特発性肺線維症(IPF)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺炎、およびウイルス感染症に起因する肺合併症のうちの1つまたは複数である。
【0209】
一部の実施形態において、適当な患者または集団はモデル生物である。一部の実施形態において、適当な患者または集団はヒトである。一部の実施形態において、ヒトは、約0カ月~約6カ月齢、約6~約12カ月齢、約6~約18カ月齢、約18~約36カ月齢、約1~約5歳、約5~約10歳、約10~約15歳、約15~約20歳、約20~約25歳、約25~約30歳、約30~約35歳、約35~約40歳、約40~約45歳、約45~約50歳、約50~約55歳、約55~約60歳、約60~約65歳、約65~約70歳、約70~約75歳、約75~約80歳、約80~約85歳、約85~約90歳、約90~約95歳、または約95~約100歳の域内の年齢を有する。
【0210】
一部の実施形態において、ヒトはヒト乳児である。一部の実施形態において、ヒトはヒト幼児である。一部の実施形態において、ヒトはヒト小児である。一部の実施形態において、ヒトは成人である。さらに他の実施形態において、ヒトは高齢のヒトである。
【0211】
一部の実施形態において、適当な患者または集団は、年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態、療法への先行曝露等の1つまたは複数の基準によって規定され特徴付けられ得る。
【0212】
一部の実施形態において、適当な患者または集団は、例えば、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患に罹患している者である。一部の実施形態において、適当な患者または集団は、外科手術を受けているもしくは損傷を経験している、外傷および/または長期の運動抑制(例えば、床上安静またはキャスティングから)に罹患している者である。一部の実施形態において、適当な患者または集団は、サルコペニアに罹患している者である。一部の実施形態において、適当な患者または集団は、外傷、遺伝性疾患、筋障害および加齢を含むがそれらに限定されない疾患または病状から生じる筋線維症に罹患しているまたはその危険性がある者である。外傷は、例えば放射線治療、挫滅、裂傷、および切断から生じ得る。一部の実施形態において、適当な患者または集団は、先天性筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、加齢関連サルコペニア、遠位型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋強直性筋ジストロフィーおよび眼咽頭型筋ジストロフィー等の筋線維症と関連した遺伝性疾患に罹患しているまたはその危険性がある者である。
【0213】
一部の実施形態において、適当な患者または集団は、筋線維症および/もしくは筋消耗と関連した疾患または障害に対するスクリーニングツールに従ったものによって規定され得る。一部の実施形態において、適当な患者または集団は、筋線維症および/もしくは筋消耗と関連した疾患の診断に対するスクリーニングツールおよびそのための方法に従ったものによって規定され得る。
【0214】
一部の実施形態において、適当な患者または集団は、構造イメージング(例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピューター断層撮影法(CT)、超音波等)において獲得された結果に従って規定され得る。一部の実施形態において、適当な患者または集団は、神経学的試験の結果に従って規定され得る。一部の実施形態において、認知試験は、運動スクリーニング課題(MOT)、反応時間(RTI)、対連合学習(Paired Associates Learning)(PAL)、空間作業記憶(SWM)、パターン認識記憶(PRM)、遅延見本合わせ(Delayed Matching to Sample)(DMS)、急速視覚情報処理(RVP)のうちの1つまたは複数の試験を伴う。急速視覚情報処理(RVP)、遅延見本合わせ(DMS)、見本合わせ視覚探索(Match to Sample Visual Search)(MTS)。一部の実施形態において、適当な患者または集団は、筋酵素、EMG、筋生検、遺伝子検査、心臓検査(例えば、ECG)等の測定の査定、強度および呼吸機能の査定の結果に従って規定され得る。
【0215】
投与
当業者であれば、一部の実施形態において、対象、特にヒトに投与される投薬量は、例えば採用される特定の治療薬および/または製剤、投与の方法、投薬レジメン、治療されている特定の対象の1つまたは複数の特徴等に応じて変動し得ることを解するであろう。一部の実施形態において、当技術分野における技能を有する臨床医であれば、特定の医学的状態を治療するまたは予防するための、ヒトまたは他の対象に投与されるべき治療薬の治療有効量を判定するであろう。治療上有効であるために要される治療薬の正確な量は、当技術分野における技能の範囲内にある多くの対象特異的な検討事項に加えて、例えば治療薬の特異的活性および投与の経路等、数々の因子に依存するであろう。
【0216】
一部の実施形態において、投与は、眼、経口、口腔、皮膚(例えば、真皮に局所的、皮内、皮膚の間(interdermal)、経皮等のうちの1つまたは複数であり得るまたはそれを含み得る)、腸内、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、特定の臓器内(例えば、肝内)、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば、気管内点滴による)、経腟、硝子体等であり得る。
【0217】
当業者であれば、本開示を読めば、一部の実施形態において、筋肉へのMuSK MRアゴナイズ剤の送達を達成することが望ましくあり得ることを解するであろう。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、CNS(例えば、海馬および/または脳室下領域等の脳)および/または肺へのMuSK MRアゴナイズ剤の送達を達成することが望ましくあり得る。
【0218】
一部の実施形態において、作用物質(例えば、アゴナイズ剤)は、全身送達および/または筋肉への局部送達(例えば、筋肉内注射を介して)を介して送達される。
【0219】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、核酸搭載物の形態でMuSK MRアゴナイズ剤を有効に送達するウイルスベクターを使用して投与される。一部の実施形態において、ウイルスベクターは、ある特定の細胞タイプ(例えば、筋芽細胞、筋細胞、筋管、衛星細胞および筋原線維)を標的にする。AAV1、AAV6およびAAV9ベクターは、異なる筋肉の細胞タイプを標的にするために使用される。例えば、Arnettら(2014)およびRiazら(2015)を参照されたい。
【0220】
当業者であれば、本開示を読めば、一部の実施形態において、CNSへの、および一部の実施形態において脳への、MuSK MRアゴナイズ剤の送達を達成することが望ましくあり得ることを解するであろう。
【0221】
一部の実施形態において、全身投与はCNS(例えば、脳、例えば、海馬および/または脳室下帯)への送達を達成する。一部の実施形態において、作用物質(例えば、アゴナイズ剤)は、中枢神経系(CNS)に、例えば脳室内投与を介して、中枢神経系(CNS)に送達される。
【0222】
また、ある特定のウイルスベクターは、ニューロンを選択的に標的にし、および脳に遺伝的搭載物を有効に送達することが公知である。例えば、AAV2/1ベクターは、海馬における神経細胞に、核酸搭載物(例えば、遺伝子療法、コードされたRNA等)を有効に送達することが立証されている。例えば、Hammondら(2017);Guggenhuberら(2010);Lawlorら(2007)を参照されたい。類似して、ある特定のAAVベクター(例えば、AAV2/1および/またはAAV4ベクター)は、脳室下帯細胞におけるある特定の細胞を標的にし、そこに核酸搭載物を有効に送達することが立証されている。例えば、Liuら(2005);Bockstaelら(2012)を参照されたい。
【0223】
神経変性と関連した疾患、障害または病状に罹患しているまたはなりやすい対象のために、CNSへの、例えば、脳への(例えば、海馬および/または脳室下領域への)送達を達成する投与が望ましくあり得る。
【0224】
一部の実施形態において、有効な送達は、本明細書に記載される組成物の全身投与によって達成され得る。代替的にまたは付加的に、一部の実施形態において、有効な送達は、CNSへのおよび/または脳への局部投与によって、例えば髄腔内および/または腔内(例えば、脳室内)送達によって達成され得る。
【0225】
CNSへのおよび/または脳への局部投与のための技術が開発されており、例えば様々なタンパク質治療薬に関して(例えば、Caliasら(2014)を参照されたい);小分子に関して(例えば、Dodou(2012)を参照されたい);細胞組成物に関して(例えば、Eftekharzadehら(2015)を参照されたい);および核酸治療薬に関して(例えば、Otsukaら(2011)を参照されたく;オナセムノゲンアベパルボベク-xioi(onasemnogene abeparvovec-xioi)[Zolgensma(商標)という商標名で販売]に関する処方情報、およびヌシネルセン[Spinraza(商標)という商標名で販売]に関するものも参照されたい)、有効であることが実証されている。
【0226】
当業者であれば、髄腔内送達は、細胞、タンパク質、および核酸治療薬に関してを含めて、海馬への送達を達成するのに特に有効であり得ることを知っているであろう。
【0227】
全身投与技術(例えば、経口、非経口、粘膜等を含む)は、多種多様な作用物質に対して十分に確立されている。CNSおよび/または脳送達を達成する全身投与は、一部の実施形態において、血液脳関門(BBB)を横断する能力に依存し得る。
【0228】
ある特定の活性剤および/または送達システムは、BBBを横断することが公知である。最近の技術は、その点で特に困難であると歴史的に見なされてきた、オリゴヌクレオチド等の作用物質のCNSおよび/または脳送達さえ達成することが示されている。1つの例を与えるにすぎないが、参照により本明細書に組み入れられるMinら(2020)は、BBBを越えてオリゴヌクレオチドを輸送するグルコースコーティングされたポリマーナノ担体を記載する。
【0229】
オリゴヌクレオチド治療薬へのある特定の化学的性質の組み入れは、BBBを越えたそれらの移動を容易にし得ることも報告されている。例えば、Khorkovaら(2017)は、
「2’-改変ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド...は、単回注射後に最高6カ月続く脳における効果を有するそれらの長い半減期を考慮すると、CNS障害に特に適応可能であり得る。糖部分の改変の別のタイプであるロックド核酸(LNA)において、2’酸素と4’炭素を接続する架橋が導入される。この改変は、LNA-DNAおよびLNA-RNAハイブリッドの融解温度を実質的に高め、ゆえに生体利用性の増加および製造コストの低下を有する、より短いODNに基づく化合物の創出を可能にする。最近提唱された立体構造的に制約されたオリゴヌクレオチド類似体であるトリシクロ-DNAは、糖類のC(5’)とC(3’)との間に3つの付加的なC原子を有する(
図2)。この改変は、安定性、疎水性、およびRNAアフィニティーを増加させ、組織取り込みおよびBBB透過性を向上させる。」
と記載している(引用省略)。
【0230】
特発性肺線維症(IPF)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺炎、およびウイルス感染症に起因する肺合併症等の疾患または障害に罹患しているまたはなりやすい対象のために、肺への送達を達成する投与が望ましくあり得る。
【0231】
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態において、ASOは標的部位へのそれらの送達を増強するために開発されている。当技術分野において記載されているように、オリゴ負荷は、標的部位への安全な送達を増強するために、脂質粒子、リポソーム、ナノ粒子、およびより最近では糖のN-アセチルガラクトサミン等の担体またはリガンドに共有結合で結合される。Verma(2018)を参照されたい。
【0232】
ある特定の技術が、標的部位、例えば筋肉へのASOの細胞送達の効率を改善するために開発されている。例えば、アミノグリコシド(AG)は、インビトロおよびインビボの両方でアンチセンスホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)の送達を改善することが示されている。Wangら(2019)を参照されたい。共有結合によりまたは非共有結合ナノ粒子複合体の形成によりオリゴヌクレオチドに直接付着され得る短い細胞透過性ペプチド(CPP)は、細胞取り込みを容易にし得る。McCloreyおよびBanerjee(2018)を参照されたい。ASO脂肪酸コンジュゲートも、筋肉においてアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の機能的取り込みを増強することが報告されている。Prakashら(2019)を参照されたい。
【0233】
当業者は、第三世代のホスホロジアミデートモルホリノASOである、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のための承認された治療のエテプリルセン(ExonDys 51)を熟知しているであろう。
【0234】
Exondys 51(商標)(Sarepta Therapeutics’)という商標名で販売されているエテプリルセンは、エクソン51をプレmRNAにおいてスプライシングで切り出し、受け入れられるフレームシフト変異を有する患者の13%においてリーディングフレームを復元させる。CrudeleおよびChamberlain(2019)を参照されたい。
【0235】
エテプリルセンは、35~60分にわたって静脈内注入を介して投与される。特に、その推奨投薬量は、週に30mg/kg体重である。1回量バイアルにおいて、薬学的組成物は、100mg/2mLまたは500mg/mL(50mg/mL)溶液として製剤化される。
【0236】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド治療薬は、静脈内に投与され得る。一部のそのような実施形態において、そのようなオリゴヌクレオチド治療薬は、エテプリルセン[Exondys 51(商標)という商標名で販売]に対して使用されるものと合理的に比較可能なレジメンに従って投与され得る。
【0237】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるアゴナイズオリゴヌクレオチドのより低い用量は12mgである。一部の実施形態において、投薬あたり合計5mg~60mgのアゴナイズオリゴヌクレオチドが対象に投与される。一部の実施形態において、投薬あたり合計12mg~48mgのアゴナイズオリゴヌクレオチドが対象に投与される。一部の態様において、投薬あたり合計12mg~36mgのアゴナイズオリゴヌクレオチドが対象に投与される。一部の態様において、投薬あたり合計12mgのアゴナイズオリゴヌクレオチドが対象に投与される。
【0238】
当業者であれば、生存運動ニューロン-2(SMN-2)に向けられた遺伝子転写産物を標的にし、小児および成人患者における脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療に適応されるアンチセンスオリゴヌクレオチド治療薬であるヌシネルセン[Spinraza(商標)という商標名で販売]を熟知しているであろう。Spinrazaは髄腔内に投与される。特に、その推奨投薬量は、4回の負荷投薬;そのうちの最初の3回は14日間隔で投与され、そのうちの4回目は、3回目の投薬の30日後に投与され;維持投薬は、その後4カ月ごとに1回投与される、を伴うレジメン(resiment)に従って、投与あたり1回量バイアルで12mg/5mL(2.4mg/mL)である。ベースライン時および各投薬前に、血小板数、凝固実験室試験、および定量的スポット尿タンパク質試験を行うことが推奨される。
【0239】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド治療薬は、髄腔内に投与され得る。一部のそのような実施形態において、そのようなオリゴヌクレオチド治療薬は、ヌシネルセン[Spinraza(商標)という商標名で販売]に対して使用されるものと合理的に比較可能なレジメンに従って投与され得る。
【0240】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド治療薬は、髄腔内に投与され得る。一部のそのような実施形態において、そのようなオリゴヌクレオチド治療薬は、ヌシネルセン[Spinraza(商標)という商標名で販売]に対して使用されるものと合理的に比較可能なレジメンに従って投与され得る。
【0241】
細胞療法
筋再生(例えば、SC、MPC、および/または筋芽細胞であるまたはそれを含む細胞集団からの)を促進する、本明細書に記載されるMuSK MRアゴナイズ剤の能力を踏まえると、本開示を読んだ当業者であれば、数ある中でも、本開示は、細胞集団に存在するSC、MPC、および/または筋芽細胞のレベルを増強するための技術を提供することを解するであろう。つまり、元の細胞集団と本明細書に記載されるMuSK MRアゴナイズ剤とを接触させることは、元の集団におけるものと比較して、SC、MPC、および/または筋芽細胞のレベルおよび/またはパーセンテージの増加を有する結果として生じる集団を生成し得;本明細書に記載されるそのようなMuSK MRアゴナイズ剤の投与は、そのような増加を達成し得る。
【0242】
一部の実施形態において、元の細胞集団は、SC、MPC、および/または筋芽細胞であり得るまたはそれを含み得る。一部の実施形態において、元の細胞集団は、胚性幹細胞および/または多能性幹細胞であるまたはそれを含む。一部の実施形態において、胚性幹細胞および/または多能性幹細胞は、例えば当技術分野において公知の技法を使用して、筋原性前駆細胞であるまたはそれに分化している。例えば、Miyagoe-Suzukiら(2017)を参照されたい。
【0243】
一部の実施形態において、上で論じられるように、そのような投与はMuSK MRアゴナイズ剤を送達し、それによりそれは、インビボで(例えば、ヒトにおいて、特に成人において、例えばそのようなヒトの筋組織において)、関連する元の細胞集団に曝露される(すなわち、接触する)。
【0244】
一部の実施形態において、本開示に従った投与は、MuSK MRアゴナイズ剤と、例えばSC、MPC、および/または筋芽細胞であり得るまたはそれを含み得る細胞の集団(例えば、元の細胞の集団)とをエクスビボで接触させる。例えば、一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤は、対象由来の細胞の集団にエクスビボで(例えば、インビトロで)投与される。一部の実施形態において、対象から獲得された細胞の集団。
【0245】
一部の実施形態において、エクスビボにおける特定の使用のMuSK MRアゴナイズ剤は、小分子および抗体もしくは核酸剤、またはその組み合わせであり得るまたはそれを含み得る。一部の特定のそのような実施形態において、核酸(例えば、1つまたは複数の遺伝子療法[例えば、核酸ベクターおよび/または転写産物]、オリゴヌクレオチド、および/またはgRNA)であるまたはそれを含む1種または複数の作用物質は、細胞へのエクスビボおよび/またはインビトロ投与に特に有用であり得る。細胞集団のCRISPR/Cas改変は、確立されかつ成長中の分野であり、当業者であれば、例えばMuSK Ig3ドメイン配列を改変しかつ/または分断するための、本開示に従ったそのようなストラテジーの適用性を解するであろう。代替的にまたは付加的に、機能的Ig3ドメインを欠如するMuSK形態をコードする(または、その発現産物がコードする)核酸は、エクスビボおよび/またはインビトロで細胞内に導入され得る。なおさらに代替的にまたは付加的に、機能的Ig3を欠如する形態を好むようにMuSK転写産物のエクソンスキッピングを導く、および/または機能的Ig3を含む形態の分解を導く(および/または翻訳を遮断する)オリゴヌクレオチドが利用され得る。
【0246】
一部の実施形態において、細胞の集団を、MuSK MRアゴナイズ剤と接触させ、同時にもしくはその後刺激し、かつ/または増大させる。代替的にまたは付加的に、細胞の集団を、活性化衛星細胞の、または筋原性因子(例えば、Pax7、MyoD、ミオゲニンおよびMERGE)の発現についての、またはMuSK-BMPシグナル伝達経路と関連した遺伝子(例えば、RGS4、Msx2、Myf5、Ptx3、Id1)の発現の減少/欠如についての特徴を呈する細胞に対して富化しかつ/または選択する。
【0247】
一部の実施形態において、元の細胞の集団とMuSK MRアゴナイズ剤とをエクスビボで接触させることによって達成された、結果として生じる細胞の集団を、次いで対象に投与する。一部の実施形態において、結果として生じる細胞の集団を、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患等の疾患または障害に罹患しているまたはなりやすい対象に投与する。一部の実施形態において、結果として生じる細胞の集団を、元の細胞の集団が獲得された対象に投与する。一部の実施形態において、結果として生じる細胞の集団を、元の細胞の集団が獲得された者とは異なる対象に投与し;一部のそのような実施形態において、元の集団は健常対象から獲得され、結果として生じる集団を、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患等の疾患または障害に罹患しているまたはなりやすい対象に投与する。
【0248】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ剤と接触した細胞の集団を投与することは、対象における神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害(例えば、心筋梗塞、心筋症)、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患等の疾患または障害を有効に治療する。
【0249】
一部の実施形態において、本明細書に記載される刺激されかつ/または増大したSC、MPC、および/または筋芽細胞の集団は、細胞治療薬に製剤化され得る。一部の実施形態において、細胞治療薬は、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤を含む。本明細書に記載される薬学的に許容される担体、例えばビヒクル、アジュバント、賦形剤、および希釈剤は当業者に周知であり、容易に利用可能である。好ましくは、薬学的に許容される担体は、活性剤、例えば細胞治療薬に対して化学的に不活性であり、使用の条件下でいかなる有害な副作用または毒性も引き出さない。
【0250】
一部の実施形態において、細胞治療薬は、例えば静脈内、腫瘍内、動脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、および/または皮下の投与経路等、任意の適切な経路による投与のために製剤化され得る。好ましくは、細胞治療薬は、投与の非経口経路のために製剤化される。一部の実施形態において、細胞治療薬は、注入により対象に投与される。
【0251】
一部の実施形態において、非経口投与に適した細胞治療薬は、水性または非水性の等張の滅菌注射液であり得、それは、例えば組成物を、意図されるレシピエントの血液と等張にする、抗酸化物質、緩衝剤、静菌剤、および溶質を含有し得る。水性または非水性の滅菌懸濁液は、1種または複数の懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含有し得る。
【0252】
一部の実施形態において、本明細書に記載される単一の治療用細胞は、治療的有益性を増大させ得かつ提供し得る。一部の実施形態において、102個もしくはそれを上回る、例えば103個もしくはそれを上回る、104個もしくはそれを上回る、105個もしくはそれを上回る、または108個もしくはそれを上回る数の治療用細胞が、細胞治療薬として投与される。代替的にまたは付加的に、1012個もしくはそれを下回る、例えば1011個もしくはそれを下回る、109個もしくはそれを下回る、107個もしくはそれを下回る、または105個もしくはそれを下回る数の本明細書に記載される治療用細胞が、細胞治療薬として対象に投与される。一部の実施形態において、102~105、104~107、103~109、または105~1010個の本明細書に記載される治療用細胞が、細胞治療薬として投与される。
【0253】
本明細書に記載される細胞治療薬の用量は、1回で、または適切な期間、例えば必要に応じて毎日、週2回、毎週、2週間に1回、月2回、2カ月に1回、年2回、もしくは毎年にわたって投与される一連の部分用量で対象に投与され得る。有効量の細胞治療薬を含む投薬量単位は、単回の1日用量で投与され得る、または総1日投薬量は、必要に応じて1日に投与される2、3、4回、もしくはそれを上回る回数の分割用量で投与され得る。一部の実施形態において、細胞治療薬は、別の療法との組み合わせで投与される。
【0254】
併用療法
一部の実施形態において、本明細書に記載されるMuSK MRアゴナイズ療法は、別の療法との組み合わせで投与され、すなわち、それにより対象は両療法に同時に曝露される。
【0255】
本明細書に記載されるMuSK MRアゴナイズ療法の投薬量、および組み合わせで投与される別の療法の投薬量、ならびに投薬スケジュールは、治療されている疾患(例えば、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患)、対象の全般的な健康状態、および投与する医師の裁量を含むがそれらに限定されない、様々なパラメーターに依存し得る。
【0256】
MuSK MRアゴナイズ療法は、それを必要とする対象に、他の療法の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前に)、それと同時に、またはその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後に)投与され得る。様々な実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法および他の療法は、1分間離して、10分間離して、30分間離して、1時間未満離して、1時間離して、1時間~2時間離して、2時間~3時間離して、3時間~4時間離して、4時間~5時間離して、5時間~6時間離して、6時間~7時間離して、7時間~8時間離して、8時間~9時間離して、9時間~10時間離して、10時間~11時間離して、11時間~12時間離して、24時間以内離して、または48時間以内離して投与される。1つの実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法および他の療法は3時間以内に投与される。別の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法および他の療法は、1分間~24時間離して投与される。
【0257】
MuSK MRアゴナイズ療法と他の療法との相乗的な組み合わせは、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患に罹患している対象への、これらの作用物質の一方もしくは両方のより低い投薬量の使用、および/または療法のより低い頻度の投与を可能にし得る。相乗効果は、これらの作用物質の効力の向上、および/またはいずれかの作用物質単独の使用と関連した任意の悪影響もしくは望まれない副作用の低下をもたらし得る。
【0258】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法は、関連する疾患、障害、または病状(例えば、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患)に対する標準ケア治療との組み合わせで投与される。
【0259】
DMDに対する療法には、デフラザコート(Emflaza;PTC Therapeutics)、エテプリルセン(Exondys 51;Sarepta Therapeutics)、アタルレン(Translarna;PTC Therapeutics)、およびプレドニゾン等のグルココルチコイドが含まれる。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法は、DMDに対する1つまたは複数の療法との組み合わせで投与される。
【0260】
ALSに対する承認された療法には、Radicava、Rilutek、TiglutikおよびNuedextaが含まれる。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法は、ALSに対する1つまたは複数の療法との組み合わせで投与される。
【0261】
心筋症に対して承認された療法には、アンジオテンシンII変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)およびスピロノラクトンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法は、心筋症に対する1つまたは複数の療法との組み合わせで投与される。
【0262】
一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法は、関連する疾患、障害、もしくは病状の症状もしくは特徴を軽減する1つもしくは複数の療法、またはそれに対する療法との組み合わせで投与される。一部の実施形態において、MuSK MRアゴナイズ療法は、症状または特徴を軽減する1つまたは複数の他の療法との組み合わせで投与され、それにより他の療法と関連した副作用は軽減される。一部の実施形態において、療法と関連した副作用は、筋痙攣および筋攣縮、便秘、疲労、過剰な唾液および痰、疼痛、うつ、睡眠障害、ならびに制御されていない笑いまたは泣きの爆発のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0263】
有用であることが公知であるまたは使用されてきた任意の療法が、神経筋機能障害、神経変性障害、心機能障害、または筋消耗によって特徴付けられる遺伝的疾患の治療または予防に使用されると考えられまたは現在使用されており、本明細書に記載される本発明に従ったMuSK MRアゴナイズ療法との組み合わせで使用され得る。
【実施例】
【0264】
[実施例1]
インビボでの衛星細胞の動態および筋再生の調節におけるMuSK-BMP経路の役割
構成的ΔIg3-MuSK筋肉における再生
BMPシグナル伝達経路はインビボで筋再生および衛星細胞増殖を促進する。いくつかの証拠の系列がこの過程におけるMuSK-BMP経路についての役割を支持する。MuSKレベルは、再生の間に全筋において上方調節される。本発明者らは、MuSK-BMP経路が、培養筋芽細胞および筋管において筋原性因子をコードするいくつかの転写産物の発現を調節することを以前に報告した。衛星細胞は、MuSK mRNAを発現することが報告されているが、これらの細胞におけるMuSKタンパク質の存在は報告されていない。
【0265】
衛星細胞がMuSKタンパク質を発現するかを判定するために、マウス後肢筋肉から単離された無傷の筋原線維において免疫組織化学検査(IHC)を実施し、Pax7、筋肉中の衛星細胞特異的タンパク質、活性化衛星細胞において発現したMyoD、およびMuSKに対して染色した。
図1Cに示されるように、活性化されたが静止状態ではない衛星細胞は、検出可能なMuSKタンパク質を発現し、これは衛星細胞におけるBMPの発現パターンと類似する。
【0266】
ΔIg3-MuSKマウス
インビボでMuSK-BMPシグナル伝達を調査するために、CRISPR/Cas9を使用して、高アフィニティーBMP結合に必要なドメインであるMuSKのIg3ドメインの構成的欠失を有するマウス(ΔIg3-MuSKマウス)を作出した。
【0267】
MuSK Ig3ドメインを欠如するマウスモデルを、CRISPR/Cas9を使用して作出した(
図7)。hSpCas9と、Ig3ドメインをコードする遺伝子座に隣接するgRNAとをコードするプラスミド(黒三角)を、およそ11kbの領域を切除するように設計し、それによって、Ig3コードドメインを欠如する新規のMuSKアレル(MuSK
ΔIg3)を作出した。矢印は、WTまたはMuSK
ΔIg3のいずれかを増幅するように設計されたPCRプライマーを表す。MuSK遺伝子内の配列を標的にするために使用されたgDNA配列が下に示される。
【0268】
Musk_sgRNAex6up1: TGCTCATATCTAAATGCGAT(配列番号3)
Musk_sgRNAex7dw1: GCACTCCATGGCATCTGGAA(配列番号4)
Musk_sgRNAex6up2: GAGCATAAATGTTCTAGACT(配列番号5)
Musk_sgRNAex7dw2: CTCCATGGCATCTGGAAGGG(配列番号6)
MuSK
ΔIg3に関してホモ接合型であるマウスを遺伝子型判定によって選択し、DNAシーケンシングによって確認した。PCRによるWTおよびMuSK
ΔIg3アレルのゲノムDNAの増幅は、それぞれ436および400bpのアンプリコンを産生する。WTマウスは、WT MuSKアレルを有するが、MuSK
ΔIg3を有しない。ヘテロ接合型MuSK
ΔIg3マウスは、それぞれ436および400bpの産物によって証明されるWTおよびMuSK
ΔIg3アレルの両方を有し、一方でMuSK
ΔIg3ホモ接合体は、436bpのMuSK
ΔIg3アレルのみを増幅する(
図7)。
【0269】
本発明者らの調査は、MuSK-BMPシグナル伝達がΔIg3-MuSKマウスから培養された初代筋管において撹乱されていることを示した。MuSK-BMP調節転写産物の有意なレベルの低下が測定された;例えば、Wnt11の転写は不完全であった(
図3を参照されたい)。インビボの調査も、MuSK-BMPシグナル伝達がこれらのマウスにおいて分断されたことを示した(
図4B~Cおよび
図A~Bを参照されたい)。
【0270】
ΔIg3-MuSKマウスも使用して、損傷のないおよび損傷した再生筋肉中の衛星細胞を調べた。
図4Aに示されるように、衛星細胞数は、ΔIg3-MuSKとWTマウスとの間で、損傷のない前脛骨筋(TA)およびヒラメ筋において等価であることが見出され、MuSK-BMP経路が衛星細胞の発生を要しないことを示唆している。対照的に、
図4B~Cおよび
図A~Bに示されるように、5dpiの衛星細胞量は、WT筋肉と比較して、ΔIg3-MuSKにおいてより高かった。この相違が増殖の増加に起因していたかを試験するために、マウスに4日目に5-エチニル-2’-デオキシウリジン(EdU)を注射し、衛星細胞の増殖が、4~5dpiの間でWT筋肉と比較して、ΔIg3-MuSK筋肉において有意に高いことを観察した(
図5B)。これらの結果は、MuSK-BMPシグナル伝達が損傷後の衛星細胞の増殖を調節することを示唆する。
【0271】
上で記載される同じ再生実験を実施したが、組織を7dpiおよび14dpi(筋再生がほぼ完全である時)にマウスから採取し、結果を
図4B~Cおよび
図5Aにも示す。
図4Dおよび
図5Bに示されるように、衛星細胞数は、7および14dpiにほぼベースラインに戻った。
【0272】
一緒に、これらのデータは、MuSK-BMPシグナル伝達が筋再生の間に衛星細胞の活性を調節することを示しており、構成的ΔIg3-MuSKマウスが異常な衛星細胞の増殖および分化に起因して筋再生を変更するであろうことを示唆する。
【0273】
方法
構成的ΔIg3-MuSKおよびWTマウス由来の前脛骨筋に、1.2%のBaCl
2(PBS中)注射を使用して損傷を与えた。注射されたBaCl
2は、筋線維を破壊するが、再生を可能にする基底膜および衛星細胞を無傷のままにする。損傷した筋肉の反対側のTAおよび別のTAの筋肉の両方の損傷のない対照のために、損傷のない同腹仔マウスを、損傷した筋肉によって放出された全身性因子の効果を制御するために使用した。5カ月齢(全筋成長が達成された時)のマウスを使用した。再生を4つの時点で分析した:衛星細胞の活性化がそのピークにある5dpi;筋肉がほぼ再生されている7dpiおよび14dpi;ならびにWTマウスにおいて完全な筋再生を可能にするのに十分な時間である21dpi。Pax7抗体がこれらの条件下で最適な染色を与えるので、マウスを灌流-固定する(
図4Cを参照されたい)。
【0274】
筋再生を査定するために、TAの筋肉を採取し、重量測定した。IHCを、DAPI、筋原線維の細胞膜を示すラミニン、および胚性ミオシン重鎖(emb-MyHC)で染色することによって実施する。中心に核のある筋原線維の数およびemb-MyHCを発現する筋原線維の数をカウントし、その両方とも再生した筋原線維のマーカーである。損傷した筋肉の重量を対照筋肉と比較し、対照筋肉重量のパーセントを算出した。再生した筋原線維のサイズも、ラミニン染色および画像ソフトウェアによる形態計測を使用して算出した。
【0275】
衛星細胞の動態も各時点で比較し、衛星細胞の総数および衛星細胞のパーセンテージを各段階(静止状態、増殖および分化)で判定した。EdU(5-エチニル-2’-デオキシウリジン)をマウスの採取前に1~3日間腹腔内に注射し、次いで採取後のEdU+細胞を、EdUが投与されている日の間活発に増殖していた衛星細胞をマークするために、Click-it EdU細胞増殖アッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して検出した。
図1Aに概説されるように、筋肉切片も、それらの個々の固有のタンパク質発現プロファイルについて、静止状態のおよび分化している衛星細胞に対して染色した。すべての抗体は、市販されているまたはDevelopmental Studies Hybridoma Bankから供給される。ΔIg3-MuSKとWT筋肉との間の総衛星細胞数または静止状態の、増殖しているまたは分化している衛星細胞のパーセンテージにおける相違は、MuSK-BMPシグナル伝達が筋再生の間に衛星細胞の動態を制御することを示唆する。BMPシグナル伝達が活発であることを確認するために、BMPシグナル伝達の読み出しを、リン酸化Smad1/5/8に対して染色することによって獲得する。潜在的なCRISPR/Cas9のオフターゲット効果は、作出された第2の独立したΔIg3-MuSK系における重要な調査を繰り返すことによって制御される。
【0276】
コンディショナル衛星細胞-ΔIg3-MuSK筋肉における再生
構成的ΔIg3-MuSKマウスを使用することに加えて、タモキシフェン注射の際に、衛星細胞においてMuSKのIg3ドメインを条件付きで切除する予定であるマウス(SC-ΔIg3-MuSKマウス)も作出する。MUSKは無傷の筋肉において発現され、再生の間、上方調節される。タモキシフェン誘導性コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスを使用して、他の細胞タイプからのMuSK-BMPシグナル伝達からの寄与とは対照的に、結果がMuSK-BMP衛星細胞自律性に起因するかどうかを判定する。このコンディショナルマウスモデルは、マウスが成人期に達した後に分断されたMuSK-BMP活性が誘導され得るので、MuSK-BMPシグナル伝達が衛星細胞の機能的発生を調節するかの情報も提供する。コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスは、損傷後の異常なSCの増殖および分化に起因して、筋再生の変更を呈する。
【0277】
方法
衛星細胞におけるMuSKのIg3ドメインのタモキシフェン誘導性切除を有するマウスを作出し、コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスと称する。MuSK-Ig3LoxP/LoxPマウスを作出し、そこでは、MuSKのIg3ドメインはLoxP部位に隣接している。Pax7CreERT2;核-tdTomatoマウスはBradley Olwin博士から提供される。これらの2系統の交配から作出されたコンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスにおいて、Pax7は通常発現され;CreERT2はPax7プロモーター下で発現される。CreERT2活性を誘導するタモキシフェン投与の際に、MuSKのIg3ドメインは、すべてのPax7+細胞において切除され、ゆえにすべての衛星細胞において切除される。付加的に、これらのマウスは、安全域の遺伝子座Rosa26において、Pax7プロモーター下で核tdTomatoを発現する。Pax抗体染色が不必要であろうため、および衛星細胞に由来する線維がtdTomatoを発現する予定であるため、このtdTomato標識化は分析を容易にする。
【0278】
SC-ΔIg3-MuSKマウスを使用して、マウスがCre組み換えを誘導するために損傷前に5日間毎日タモキシフェンの適当な用量を注射されることを除いて、筋損傷および筋再生のアッセイおよび分析を上で記載されるよう実行する。
【0279】
統計分析
T検定は、多重比較のための適当な事後補正(例えば、ボンフェローニ)を用いて実施される。実験に要する動物の数を、予備データを使用して、G
*Power(バージョン3.1)を使用する検出力分析を実施することによって判定した。これらの算出は有意性を観察するための十分な検出力を示す(
図5A 5dpi、n=4マウス/群、エフェクトサイズ(d)=2.13)。G
*Powerを使用して、群あたり7頭の動物が観察および2.13のエフェクトサイズ(d)(a=0.05;検出力=0.95)に最適であったと判定した。
【0280】
結果
構成的ΔIg3-MuSK筋肉およびコンディショナルSC-ΔIg3-MuSK筋肉は両方とも、損傷後のWT対照筋肉と比較して再生能力の変更を示しており、調節不全の衛星細胞の増殖および分化は、MuSK-BMPシグナル伝達の分断に起因して観察される。上に記載される結果は、これらのマウスが再生の間に衛星細胞の増殖を増加したことを示しており、これは、正常なMuSK-BMPシグナル伝達が筋肥大を予防することを示す。さらには、これらの知見は、構成的ΔIg3-MuSK筋肉およびコンディショナルSC-ΔIg3-MuSK筋肉が、WT筋肉との比較において、損傷の14および21日後に収集された場合、異常な再生重量、再生線維の数および/または再生筋原線維のサイズを有することを示している。構成的ΔIg3-MuSKマウスおよびコンディショナルΔIg3-MuSKマウスも、すべての時点で、静止状態の、増殖しているおよび分化している衛星細胞の異常な数を有する。構成的ΔIg3-MuSKマウスとコンディショナルΔIg3-MuSKマウスとの間の結果における有意差の欠如は、衛星細胞の発生の間のMuSK-BMPシグナル伝達が損傷表現型に寄与しないことを示し、任意の欠陥が衛星細胞依存性および自律的であることを示唆するであろう。
【0281】
代替的に、最終の筋再生において差はないが、構成的ΔIg3-MuSK TAの筋肉およびコンディショナルSC-ΔIg3-MuSK TAにおけるタイミングおよび/または衛星細胞の動態は、WTと比較した場合、異なっている。このことは、MuSK-BMPシグナル伝達は衛星細胞の動態を調節するが、筋肉を確保するのを補償する他の経路は正しく再生されることを示し、MuSKが衛星細胞の動態の調節因子であることを示している。
【0282】
野生型およびΔIg3-MuSK筋肉の再生における線維サイズの査定
損傷後
上に記載されるように、ΔIg3-MuSK筋肉の再生において観察される表現型は、5dpiでの衛星細胞数および増殖の増加である。筋線維直径の増加は加速された再生の指標である。したがって、本調査は、WTおよびΔIg3-MuSK TAの筋肉の再生における筋線維のサイズを比較した。
【0283】
WTおよびΔIg3-MuSK TAの筋肉を、5カ月齢のマウスのBaCl2損傷の7日後に収集した。筋肉をOptimal Cutting Temperature(OCT)化合物中で凍結し、-80℃で保管した。筋肉を帯電したスライド上で10ミクロンの切片に凍結切片化し、次いでそれを、abcamからのウサギポリクローナル抗ラミニン(ab11575)を使用して、Dapi(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール;VECTASHIELD(登録商標) DAPIを有するAntifade Mounting培地)およびラミニンに対して染色した。スライドを、蛍光顕微鏡を使用して、20倍で画像化した。画像を、コンピュータープログラムMyoVisionを用いて解析して、線維サイズおよび最小フェレット直径を測定した。プログラムによる線維のアウトライン化を手動で行った。DAPI染色を使用して、損傷のない線維とは対照的に、再生していた線維のみ(すなわち、中心に核のある)が解析されるのを確実にした。1000~2000線維を4頭の異なる動物からの表現型ごとに解析した。
【0284】
図6に示されるように、最小フェレット直径は、WT筋肉と比較して、7dpiで再生ΔIg3-MuSKにおいて有意に増加した。この直径の増加は加速された再生の表示である。
【0285】
損傷のないマウス
加えて、筋原線維サイズおよび衛星細胞数を損傷のないWTおよびΔIg3-MuSKマウスにおいて査定した。
【0286】
WTおよびΔIg3-MuSK TAの筋肉を、3および5カ月齢の動物においてWTおよびΔIg3-MuSKから収集した。筋肉をOptimal Cutting Temperature(OCT)化合物中で凍結し、-80℃で保管した。筋肉を帯電したスライド上で10ミクロンの切片に凍結切片化し、次いでそれを、abcamからのウサギポリクローナル抗ラミニン(ab11575)を使用して、Dapi(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール;VECTASHIELD(登録商標) DAPIを有するAntifade Mounting培地)およびラミニンに対して染色した。スライドを、蛍光顕微鏡を使用して、20倍で画像化した。画像を、コンピュータープログラムMyoVisionを用いて解析して、線維サイズおよび最小フェレット直径を測定した。プログラムによる線維のアウトライン化を手動で行った。DAPI染色を使用して、損傷のない線維とは対照的に、再生していた線維のみ(すなわち、中心に核のある)が解析されるのを確実にした。1000~2000線維を4頭の異なる動物からの表現型ごとに解析した。
【0287】
図8に示されるように、3カ月で、WTとΔIg3-MuSKマウスとの間で平均筋原線維サイズまたはサイズ分布の相違は観察されなかった。有意差は5カ月で観察された。しかしながら、特に、5カ月齢のΔIg3-MuSKマウスは、5カ月齢のWTマウスと比べて筋原線維サイズが増加していた。この知見は、それらが3カ月から5カ月の年齢になったときに、ΔIg3-MuSKマウスは、WTマウスと比べて筋成長が増加していたことを示す。マン・ホイットニーT検定:P<0.0001、n=3~4マウス、マウスあたり500の総線維を解析した。
【0288】
付加的に、免疫組織化学検査を、領域ごとにPax7+細胞によって測定される衛星細胞の数を判定するために筋肉切片において実施した。
図9に示される結果は、3カ月齢の動物において、衛星細胞の数は、WTとΔIg3-MuSK筋肉との間で同等であることを示している。5カ月では、WT筋肉におけるSCの量は変化しなかったが、Ig3-MuSK筋肉における衛星細胞の量は約半分まで低下した。それぞれの点は動物を表す。対応のないt検定、n=8マウス、p=0.01。
【0289】
本明細書に記載されるように、筋再生は、例えば上に記載される5dpiのマウスにおいて観察されるように、衛星細胞の爆発的な増殖によって特徴付けられる。それに反して、筋成長は、衛星細胞が分化しかつ互いとおよび/または既存の筋線維と融合するときに成長が生じるので(
図8の損傷のないΔIg3-MuSKについて観察されるように、線維サイズの増加をもたらす)、衛星細胞数の減少によって特徴付けられる。
【0290】
ゆえに、本明細書に記載される知見は、MuSKモジュレーター(例えば、MuSKアゴナイズ剤)が筋損傷、筋修復および/または筋再生の文脈において、また筋成長の文脈において(例えば、筋萎縮および/または筋発生において)の両方で有用であり得ることを実証する。
【0291】
[実施例2]
衛星細胞のトランスクリプトームの調節におけるMuSK-BMP経路の役割
マイクロアレイ分析を不死化WTおよびMuSK-/-筋原細胞株において実施し、MuSKがこれらの細胞の転写生産の大きさおよび組成をモジュレートすることを示した。この調査で発見されたいくつかのMuSK調節遺伝子も、分化1(Id1)およびMyf5の阻害剤のように、筋形成を調節することが公知である。
図3に示されるように、本発明者らは、ここで、重要なMuSK-BMP依存性遺伝子の転写も新生仔構成的ΔIg3-MuSKマウスに由来する初代筋管において低下していることを実証した。上で記されるように、BMPシグナル伝達は、筋再生を促進し、衛星細胞の増殖を促進し、かつ衛星細胞の分化において下方調節される。
図4C~Dおよび
図5Aに示されるデータは、分断されたMuSK-BMP活性が、インビボで筋再生の間に異常な衛星細胞の増殖を引き起こすことを示す。
【0292】
コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスからの衛星細胞のRNAシーケンシング(RNA seq)分析を使用して、MuSK-BMPメカニズムを精査し得る。これらの調査のための準備において、NCBIのGene Expression Omnibus(GEO)データベース(GSE121589)からの既存のRNA seqデータセットを分析し、これは、損傷のないおよび損傷した再生筋肉からの衛星細胞のRNA seqを含んでいた。生データファイルを、TrimGalore!を使用して、トリミングアダプターおよび低品質リードによって再処理し、次いでデータを、HiSat2を使用して、ENSEMBL GRCm38マウスゲノムとアラインした。StringTieを使用して、各サンプル中の100万遺伝子あたりの転写産物(TPM)を判定し、DESeq2を使用して、異なって発現した遺伝子(DEG)を同定した。
【0293】
重要なMuSK-BMP依存性遺伝子は、再生筋肉におけるWT衛星細胞において高度に調節されていることが見出され、これは、損傷のない筋肉の衛星細胞からのTMPにおける有意な変化によって示された(表1を参照されたい)。本明細書に記載されるデータと組み合わせて(
図4~5)、これらのデータは、コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスが、衛星細胞においてMuSK-BMP経路によって調節される遺伝子に貴重な洞察を提供することを示唆する。
【0294】
【0295】
コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスを使用して、損傷のないおよび損傷した筋肉から単離された初代の静止状態の衛星細胞(実施例2A)および活性化された増殖衛星細胞(実施例2B)のトランスクリプトームを、調べる。この調査は、衛星細胞におけるMuSK-BMP調節トランスクリプトームを明らかにする。同じMuSK-BMP調節遺伝子のいくつかを不死化筋芽細胞において同定し、初代筋管をこの調査で同定する。例えば、Id1は、この遺伝子がBMPの下流標的であるので、Ig3-MuSK-/-衛星細胞と比較して、WTにおいてより高い発現を有し;Id1は、MuSK-/-筋芽細胞と比較して、BMP処理WTにおいて3倍高く活性化され;かつId1は、増殖している衛星細胞において高度に発現される。Id1は、MyoDおよびミオゲニンを負に調節することが公知であり、ゆえに衛星細胞に関して分化するために下方調節される。WTおよびΔIg3-MuSK衛星細胞のDEGをベースラインおよび損傷後に比較する。MuSK-BMP経路は、静止状態の衛星細胞およびId1等のMuSK-BMP転写産物におけるよりも、増殖している衛星細胞においてより活発であり、再生の間に衛星細胞の活性を調節する。
【0296】
衛星細胞においてMuSK-BMPシグナル伝達によって調節される遺伝子
衛星細胞においてMuSK-BMPシグナル伝達によって調節される遺伝子を同定するために、損傷のない筋肉からの静止状態の衛星細胞においてRNA-Seqを最初に実施した。衛星細胞が損傷のない筋肉における総筋核の小さいパーセンテージを占めるので、損傷のないマウスの後肢筋肉を十分な衛星細胞収量を確実にするためにプールする。衛星細胞をタモキシフェン誘導および非タモキシフェン誘導コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスから単離する。タモキシフェン誘導および非タモキシフェン誘導コンディショナルSC-ΔIg3-MuSKマウスの使用は、WT MuSKまたはΔIg3-MuSKの発現、およびPax7プロモーター下でのtdTomato発現を有する衛星細胞を作出する。簡単にするために、これらをWTおよびΔIg3-MuSK SCと称する。これらの衛星細胞におけるtdTomato発現を、これらの細胞に対して最適化された方法を使用するフローサイトメトリーによる細胞選別のために使用する。Pax7CerERT2アレルを、LoxPが導入された核tdTomatoを有するマウスにおいて交配し、これらは、生細胞を追跡するためにこれをうまく使用した。これにより、マウスあたり約100~150K細胞を得る。これらのマウスをLoxPが導入されたΔIg3-MuSKマウスと交配して、衛星細胞においてMuSK-BMPシグナル伝達を低減する特異的な効果を調査する。
【0297】
Computational Biology Core(CBC)との協議において、RNA seqおよびその後のバイオインフォマティクスを実行して、MuSK-BMP経路が分断されるときに衛星細胞において差次的発現するMuSK-BMP依存性遺伝子を同定する。TruSeq RNA V2(Illumina)ライブラリー調製キットを使用してcDNAライブラリーを調製する。RNA完全性をライブラリー構築の前にチェックする。関心対象の遺伝子がシーケンシングされるトランスクリプトームのごく一部を表すので、サンプルあたりおよそ5000万個のリードがシーケンシングされる。データ解析を、上に記載される公的に入手可能なGEOデータセットに対して以前に行ったように、かつCBCからの支援を用いて行う。WTとΔIg3-MuSK SCとの間のDEGのリストを編集し、静止状態の衛星細胞における遺伝子発現に対するMuSKのIg3ドメインの役割を評価する。10の最も関連するDEGをqRT-PCRによって検証する。衛星細胞におけるMuSK-BMP経路の役割を探索する手段としてこのデータを使用して、Ingenuity Pathway Analysis(Qiagen)も実施する。
【0298】
再生筋肉の衛星細胞において調節される遺伝子のさらなる精査
MuSK-BMP経路をさらに精査してどの遺伝子が再生筋肉の衛星細胞において調節されるかを判定するために、損傷した再生TA筋肉から収集されたWTおよびΔIg3-MuSK衛星細胞においてRNA seq分析を行う。衛星細胞数を増加させるために両後肢からのTAが損傷されるのを除いて、実施例1に記載される同じ筋損傷プロトコールを使用する。衛星細胞の増殖が、5dpiに、
図4Eに示されるようにこの時にそのピークであることが報告されているので、衛星細胞を5dpiに調べ、衛星細胞は、損傷したIg3-MuSK筋肉における異常な衛星細胞の増殖を有する。5dpiでは、衛星細胞数は、損傷のない筋肉における衛星細胞数との比較において、30倍を上回って増加し(
図5Aを参照されたい)、これは、5dpiでの再生TA筋肉がこの目的のために十分な衛星細胞を有することを示している。衛星細胞を、フローサイトメトリーを使用して単離し、次いでRNA seqおよびその後の分析を実施例2Aに記載されるように実施する。
【0299】
この手法に対する潜在的な危険は、静止状態の衛星細胞が十分に高い収量を確実にするためにプールされた後肢筋肉から選別されるが、活性化衛星細胞が再生TA筋肉からのみ選別されることである。筋線維のタイプの効果の任意の懸念に対処するために、マウスの後肢のヒラメ筋における圧倒的に遅いけいれん筋のみを排除し得る。再生TA筋肉は十分な数の活性化衛星細胞を生じるが、腓腹筋は、代わりにさらに細胞収量を増加させるために選択され得る。
【0300】
付加的に、衛星細胞は採取直後に活性化を開始する。ゆえに、この調査から「静止状態」と記載される細胞が、実際には活性化の最も初期の段階であり得ることが可能である。これに対処するために、高分解能インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)を選択MuSk-BMP調節転写産物に対して行って、それらが静止状態の衛星細胞に存在することを確認する。この調査に対する代替的な手法として、初代衛星細胞培養物をこれらのマウスから作出し、RNA seqをBMP4処理ありおよびなしで実行して、MuSK-BMP経路を精査する。しかしながら、培養物中の衛星細胞はそれらのニッチになく、活性化のMuSK調節はインビボとは異なって機能するので、静止状態の衛星細胞はこの方法を用いて調べることができない。
【0301】
統計学的検出力:
CBCは、適当なnを判定するために検出力分析を実施するのを助けるサービスを提供している。上に記載されるRNA seq実験の前に、RNA seq実験のために使用される適当なnを判定するためにCBCと協議する。
【0302】
結果
上に記載される結果は、MuSKのIg3ドメインがBMP調節遺伝子の発現を調節することを示唆する(
図2)。これには、Id1およびMyf5等の衛星細胞の動態および筋形成を調節することが公知の遺伝子、ならびに筋再生に関わるとして以前に同定されていない他の新規の遺伝子が含まれる。さらには、WTとΔIg3-MuSK衛星細胞との間のトランスクリプトームの相違は、損傷のない筋肉(すなわち、静止状態の衛星細胞)との比較において、再生筋肉(すなわち、活性化された増殖衛星細胞)からの衛星細胞においてより大きい。これは、MuSK-BMP経路が衛星細胞の増殖および分化を調節するためであり、検出可能なMuSKが筋線維における静止状態の衛星細胞において観察されなかったので、この経路は静止状態に関わっていない(
図1C)。
【0303】
[実施例3]
筋線維症におけるMuSK-BMP経路の役割
筋線維症は、間質性要素による機能性実質の分断である。これは、しばしば、外傷性筋損傷、加齢および先天性疾患の見落とされている続発症である。
【0304】
骨格筋の顕著な再生能力は、線維症の発生および伝播の原因となる筋原性前駆体と同じ間質結合組織要素との相互作用に依存する。再生のための顕著な能力にもかかわらず、間質要素による機能性筋肉の線維化置き換えは、外傷、遺伝性疾患および加齢に応えて十分に考証されている。実際に、筋線維症は、放射線治療、挫滅、裂傷、および切断後の患者に対するかなりの臨床的問題を引き起こし、結果として、進行性の機能喪失およびかなりの病的状態をもたらす。
【0305】
細胞外マトリックス(ECM)は骨格筋の必須構成要素である。これは、筋原線維および毛細血管、ならびに筋肉に供給される神経を保持する骨格構造を提供する。加えて、これは、筋線維の力伝達、維持および修復における主要な役割を有する。過剰なECM産生、ECM分解活性の変更、または両方の組み合わせに起因する、ECMの構成要素、特にコラーゲンの過剰な蓄積は、線維症として規定される。
【0306】
最近の調査は、筋再生および筋線維症のバランスに内在する生体分子メカニズムの解明を始めている。損傷後の細胞外要素の沈着および間質細胞の増殖は、線維症形成の発病の根底にあると思われるが、これらの同じ要素は、損傷後の再生を成功させるために必須であることが証明されており、機能性筋組織とそれを取り巻く結合組織との間の重要で良好に調整されたバランスを示唆している。
【0307】
骨格筋線維症は、筋機能を損ない、損傷後の筋再生に負の影響を及ぼし、かつ再損傷に対する筋肉の感受性を増加させる。そのため、これは、筋力低下の主な原因と見なされている。骨格筋の線維症は、筋ジストロフィー、加齢および重篤な筋損傷の証である。線維症はまた、先天性筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー、加齢関連サルコペニア;筋損傷後の修復;筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルーゲーリック病としても公知)ならびに他の筋消耗状態を含む多くの筋障害において主な役割を有する。ゆえに、筋線維症のメカニズムのより良い理解は、ジストロフィー筋疾患において生じる事象の認識を進め、かつそのような病態において線維症を反転させる革新的な抗線維症療法を開発するのを助けるであろう。さらには、線維症を和らげる作用物質は、これらの病状において有益であろう。
【0308】
MuSK-BMP経路は、衛星細胞の増殖および衛星細胞の分化を調節し、それが筋再生において重要な役割を果たすことを示唆している。本実施例は、この経路が筋線維症にも関わるかどうかを探索した。
【0309】
前脛骨筋をBaCl2注射で損傷させた。損傷の5、7および14日後(dpi)に、野生型およびΔIg3-MuSK筋肉のサンプルを獲得し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)または細胞外マトリックスタンパク質のラミニンに対する抗体のいずれかで染色した。
図4Bに示されるように、14dpiでは、H&E染色筋肉におけるWT筋原線維は、「明白な」空間によって分離されるが、ΔIg3-MuSK筋肉における筋原線維は、最小の細胞外空間で密接に詰まっている。H&Eにおけるそのような間隔は、蓄積された細胞外マトリックスの特徴である。ラミニン染色はこの解釈を確認する。
図4Cにおいて見られ得るように、筋原線維間の「空間」は、間質性の免疫反応性によって示されるように、豊富な細胞外マトリックスを含有する。
【0310】
これらのデータは、MuSK-BMP経路も筋線維症において重要な役割を果たし、MuSKの第3の免疫グロブリンドメインであるIg3が筋線維症を予防するおよび/または処置するための治療標的を提供することを示唆する。
【0311】
[実施例4]
MuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチド
エクソンスキッピングASOの設計および合成。いかなる理論によっても拘束されることを望むことなく、本明細書に記載されるMuSK MRアゴナイズオリゴヌクレオチドは、以下の一般的ガイドラインに従って設計されるが、それに限定されるわけではない(Aartsma-Rusら(2012)を参照されたい):
・RNAまたはDNAは、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼに対する抵抗性のために改変される(例えば、2’MoE、2’OMe、PMO、ホスホロチオエート);
・標的配列に対して設計される;
・典型的には12~25ヌクレオチド、より最適には17~20;
・典型的には、48℃を上回る融解温度で最も有効である;
・典型的には、立体障害/二量体化、標的に接近する利用可能性を阻止するのに、40%~60%のGC含有量で最も有効である;
・典型的には、開かれた/接近可能なプレmRNA構造を最も有効に標的にする;
・典型的には、スプライス調節部位またはエクソン規定部位を最も有効に標的にする(例えば、イントロン性スプライスエンハンサー、イントロン性スプライスサイレンサー(例えば、SMN2エクソン7のISSを標的にしたSpinraza)、エクソン性スプライスエンハンサー、エクソン性スプライスサイレンサー);
・典型的には、直接の連なりで2個以下のグアニン(G)またはシトシン(C)ヌクレオチドを含有する配列組成で最も有効である(例えば、CCCまたはGGG)。
【0312】
ASO化学。本発明者らは、糖骨格にホスホロチオエート結合も含む2’-O-2-メトキシエチル(2’MOE)ASOを開発する予定である。齧歯類および非ヒト霊長類における製造、薬物動態、生体内分布、および毒物学を含めて、そのようなASOの設計および試験のための方法は十分に確立されている(BennettおよびSwayze、2010;Chiribogaら、2016;Huaら、2015;Mercuriら、2018;Rigoら、2014)。リボースの2’位に付加されたMOE基は、Tmを残基あたり約2℃増加させ、ゆえに結合アフィニティーを高め、またヌクレアーゼ抵抗性を向上させる。ホスホロチオエート修飾は、さらなるヌクレアーゼ抵抗性を付与し、また血漿タンパク質に対するアフィニティーを増加させ、組織に効率的に分布しかつ製剤の必要性を有する細胞に取り込まれるASOをもたらす。この化学は特許期限切れであり、商業的利点を与える。
【0313】
ASO設計。ASOは商業的設備によって合成される予定であり、Bolden Therapeutics,Inc.によってブラウン大学のFallonおよびWebb研究室にスクリーニングのために提供される予定である。ASOを設計するためのストラテジーは、重複するASO(1~2bpシフト/オリゴ)を用いて、5’および3’スプライス部位の両方に隣接するエクソン配列およびイントロン配列をスキャンすることを含むであろう。ASOの最適な長さは、標的特異性と薬物曝露との間の良好なバランスを提供する約17merである。ASOを、潜在的オフターゲット効果、ならびに組成の偏り(GC含有量)および望まれない二量体形成の傾向について、インシリコでプレスクリーニングする予定である。
【0314】
ASOを、それらがMuSKにおけるエクソン6および7の両方のスキッピングを誘導するように設計する予定である(
図3)。重要なことに、これら2つのエクソンは、インビボで協調的にスプライスされる(Garcia-Ostaら、2006;Hesserら、1999)。
【0315】
最適なエクソンスキッピングASOのスクリーニングおよび選択
本発明者らは、以下の個別のMuSKスプライス形態:1)全長(FL)MuSK;2)ΔIg3-MuSKをコードする所望の産物であるΔエクソン;および3)潜在的な「不完全」スキッピング」アイソフォームのΔエクソンおよびΔエクソン、を特異的に定量するRT-qPCR TaqManアッセイを設計する予定である。本発明者らは、従来的RT-PCRを並行して実施して、任意の予想外の産物を検出する予定である。すべてのスクリーニングを、マウスC2C12筋芽細胞において実行する予定である。この細胞株は、MuSKを内因的に発現し、リポフェクタミン2000等の標準的方法を使用して効率的にトランスフェクトされる。細胞に、約0.1~10nMの域にわたるいくつかの濃度の候補ASOをトランスフェクトする予定である。処理の1日後、RNAを抽出する予定であり、スプライシングをRT-qPCRによって測定して、エクソンスキッピング効率を査定する予定である。本発明者らの目標は、エクソン6および7の≧80%の協調的スプライシングを誘導する少なくとも1種のASOを単離することである。
【0316】
培養細胞におけるMuSK-BMPシグナル伝達を阻害する能力についての選択ASOの試験
本発明者らは、ΔIg3-MuSKのみを構成的に発現するノックインマウスが、WTマウスと比較して、損傷後に衛星細胞の増加を示し、筋線維のサイズを増加させ、これが筋再生の増強を示していることを観察した。しかしながら、インビボでのスキッピングは、100%未満の効率である可能性があるであろうことから(Rigoら、2014)、達成されるスキッピングのレベルと生理学的影響との間の関係性を立証することが重要である。それゆえ、この目的で、本発明者らは、ASO処理細胞におけるMuSK-BMP依存的シグナル伝達のレベルを測定する予定である。
【0317】
本発明者らは、qRT-PCRを使用して、MuSK-BMP依存的転写産物のレベルを測定する予定である(例えば、Dok7およびWnt11;
図4、またはRGS4;Yilmazら、2016)。本発明者らは、BMP共受容体としてのMuSKの発見および特徴付けの間に得られた、このシステムにおける広範な経験を有する(Yilmazら、2016)。対照ASOのいずれかのエクソンスキッピングで処理された細胞をBMPで2時間刺激する予定である。次いで、転写産物のレベルを測定する予定であり、BMPに対する応答はエクソンスキッピングの程度と相関するであろう。
【0318】
本明細書に提供されるΔIg3-MuSKマウスからのデータは、ΔIg3-MuSKの発現の増加が有益な影響を提供することを支持する。本開示は、一部の実施形態において、エクソン6および7をスキップする効率が、単一のASOでは効率が不十分であり得ると解する。一部の実施形態において、単独でのおよび/またはエクソンに向けられたASOとの使用のための、エクソン7に向けられた1種または複数のASOを調製することが望ましくあり得る。
【0319】
当業者であれば、本開示を読めば、一部の実施形態において、調査を再現すること(例えば、少なくとも3回)、および/またはデータを適当な統計的方法論で(例えば、多重比較のための適当な補正(例えば、ボンフェローニ)を用いたt検定によって)分析することが望ましくあり得ることを解するであろう。
【0320】
本明細書に記載される研究は、神経筋の疾患および障害に対するASO媒介性療法の効率的な開発のための技術を提供し、筋再生を増強する。
【0321】
[実施例5]
不死化ΔIg3-MuSK細胞株
この実施例は、インビトロで本明細書に記載される1種または複数のMuSK MRアゴナイズ剤をスクリーニングする、検証する、特徴付ける、査定するかつ/または同定するためのモデル系として使用されるΔIg3-MuSK細胞株を提供する。
【0322】
ΔIg3-MuSK細胞株を作出するために、初代筋芽細胞を、野生型および不死化導入遺伝子H-2Kb-tsA58(Pimentelら、2017、Morganら、1994)の少なくとも1つのコピーを有するMuSK-Ig3-/-マウスの新生仔の後肢から単離した。細胞を、20%のFBS、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、2%のL-グルタミン、1%の鶏胚抽出物および1%のIFN-γを含有するDMEM成長培地中、33℃および10%のCO2で培養した。細胞を、Matrigelでコーティングされた96ウェルプレートに0.5個細胞/ウェルの密度で蒔くことによってサブクローニングした。個々のクローンを、形態に基づいて拡大増殖のために選択し、拡大増殖し、ゼラチン基材上で成長する能力を確認するために試験した。筋原性を、分化培地(5%のウマ血清、1%のペニシリン/ストレプトマイシンを有するDMEM)に37℃および10%のCO2で蒔くことによって試験し、筋原性クローンを拡大増殖した。
【0323】
この細胞株は、例えば小分子剤、抗体剤、オリゴヌクレオチド剤等およびその組み合わせを含めた、本明細書に記載される作用物質をスクリーニングする、検証する、特徴付ける、査定するかつ/または同定するために使用され得る。例えば、不死化ΔIg3-MuSK筋原細胞株は、小分子MuSK MRアゴナイズ剤のハイスループットスクリーニングにおいて使用され得る。小分子MuSK MRアゴナイズ剤の例には、I型BMP受容体のALK3(ALKは未分化リンパ腫キナーゼである)およびALK6、ならびにI型アクチビン受容体のALK4、例えばALK阻害剤(例えば、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、ロルラチニブ)のうちの1つまたは複数を標的にする小分子が含まれる。
【0324】
ΔIg3-MuSK細胞株の遺伝子発現プロファイルは、例えば効果を判定し、かつ筋成長および筋再生に対する前記作用物質を特徴付けるために、特定のMuSK MRアゴナイズ剤による処理/曝露に応答して観察され得る。増殖および分化マーカーを測定する細胞アッセイは、MuSK MRアゴナイズ剤を特徴付けるために使用され得る。
【0325】
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等価物
当業者であれば、本明細書に記載される発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を、単なるルーチン実験だけを使用して認識するであろうまたは確かめ得るであろう。本発明の範囲は、上記の説明を限定することを意図するわけではないが、むしろ以下の特許請求の範囲に記載されるものである。
【配列表】
【国際調査報告】