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特表2022-551977迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
A61M25/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522715
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 US2020056364
(87)【国際公開番号】W WO2021077103
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/923,320
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード ハロルド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB09
4C267BB12
4C267CC07
4C267GG02
4C267GG05
4C267GG10
4C267HH07
(57)【要約】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)及びその方法が開示される。例えば、RICCは、カテーテルチューブの遠位側端部の第1の部分と、カテーテルチューブの第1の部分の近位側に位置する、カテーテルチューブの遠位側端部の第2の部分と、カテーテルチューブの第1の部分及び第2の部分を接続する接続部とを有してもよい。カテーテルチューブの第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されてもよい。カテーテルチューブの第2の部分は、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されてもよい。カテーテルチューブの第1の部分は、接続部の受容部に配置されてそこに溶媒結合される近位側端部を有してもよい。例えば、方法は、RICCを作成又は使用する方法を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテルであって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されるカテーテルチューブの第1の部分であって、前記カテーテルチューブの遠位側端部の第1の部分と、
前記第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成される前記カテーテルチューブの第2の部分であって、前記第1の部分の近位側に位置する、前記カテーテルチューブの前記遠位側端部の第2の部分と、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分及び前記第2の部分を接続する接続部と、を備え、前記カテーテルチューブの前記第1の部分は、前記接続部の受容部に配置されて前記受容部に溶媒結合される近位側端部を有する、迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項2】
前記接続部は、前記カテーテルチューブの前記第2の部分のテーパ状の遠位側端部である、請求項1に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記テーパ状の遠位側端部と前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部との間の反内腔側移行部は、前記第1のポリマー材料及び前記第2のポリマー材料の溶媒相互拡散ポリマー材料からなる平滑な移行部である、請求項2に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項4】
前記接続部は、前記カテーテルチューブの前記第2の部分に結合又は溶接された前記カテーテルチューブのテーパ状の第3の部分であり、前記カテーテルチューブの前記第3の部分は、前記第1のデュロメータ硬さよりも低い第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成される、請求項1に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテルチューブの前記テーパ状の第3の部分と前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部との間の反内腔側移行部は、前記第1のポリマー材料及び前記第2のポリマー材料の溶媒相互拡散ポリマー材料からなる平滑な移行部である、請求項4に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項6】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口で終端する第1の管腔と、前記接続部に隣接する、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第1のアイレットで終端する第2の管腔と、前記接続部に隣接する、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第2のアイレットで終端する第3の管腔と、を有する三管腔カテーテルである、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項7】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、前記カテーテルチューブの前記第1の部分の遠位端の開口で終端する第1の管腔と、前記接続部に隣接する、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の第1のアイレットで終端する第2の管腔と、を有する二管腔カテーテルである、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルチューブの前記第1の部分は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン又はポリウレタンである、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルチューブの前記第2の部分は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン又はシリコーンである、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項10】
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルは、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造を通って前進するときに前記カテーテルチューブの折れ曲がりを防止できる柱強度を有する、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテル。
【請求項11】
迅速挿入型中心静脈カテーテルの作成方法であって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブの第1の部分と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された前記カテーテルチューブの第2の部分とを取得することと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位側端部、前記カテーテルチューブの前記第2の部分のテーパ状の遠位側端部の受容部、又は前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部と前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記テーパ状の遠位側端部の前記受容部との両方に溶媒を塗布することと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部を、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記テーパ状の遠位側端部の前記受容部に挿入することと、
前記溶媒を蒸発させることによって、前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記カテーテルチューブの前記第2の部分との間に溶媒結合による接続部を形成することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記カテーテルチューブの前記第2の部分のテーパ状でない遠位側端部にテーパ付けをして、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記テーパ状の遠位側端部を形成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カテーテルチューブを前記カテーテルチューブの長手軸線に沿って回転させることと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部と前記カテーテルチューブの前記第2の部分の前記テーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部に前記溶媒又は別の溶媒を塗布することにより、溶媒分子を前記第1のポリマー材料及び前記第2のポリマー材料内に拡散することと、
前記第1のポリマー材料及び前記第2のポリマー材料の少なくとも溶媒和された側鎖の絡み合いから生じる相互拡散ポリマー材料を用いて前記移行部を平滑化することと、をさらに含む、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
迅速挿入型中心静脈カテーテルの作成方法であって、
第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブの第1の部分と、前記第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成された前記カテーテルチューブの第2の部分と、前記第1のデュロメータ硬さよりも低い第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成された前記カテーテルチューブのテーパ状の第3の部分とを取得することと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位側端部、前記カテーテルチューブの前記テーパ状の第3の部分の遠位側端部の受容部、又は前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部と前記カテーテルチューブの前記テーパ状の第3の部分の前記遠位側端部の前記受容部との両方に溶媒を塗布することと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部を、前記カテーテルチューブの前記第3の部分の前記遠位側端部の前記受容部に挿入することと、
前記溶媒を蒸発させることによって、前記カテーテルチューブの前記第1の部分と前記カテーテルチューブの前記テーパ状の第3の部分との間に溶媒結合による接続部を形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記テーパ状の第3の部分のテーパが始まる位置又はその付近において、前記カテーテルチューブの前記第2の部分の遠位側端部を前記テーパ状の第3の部分の近位側端部に結合又は溶接することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カテーテルチューブを前記カテーテルチューブの長手軸線に沿って回転させることと、
前記カテーテルチューブの前記第1の部分の前記近位側端部と前記カテーテルチューブの前記第3の部分の前記テーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部に前記溶媒又は別の溶媒を塗布することにより、溶媒分子を前記第1のポリマー材料及び前記第3のポリマー材料内に拡散することと、
前記第1のポリマー材料及び前記第3のポリマー材料の少なくとも溶媒和された側鎖の絡み合いから生じる相互拡散ポリマー材料を用いて前記移行部を平滑化することと、をさらに含む、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
迅速挿入型中心静脈カテーテルの方法であって、
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルの管腔内に配置された針で患者の脈管構造に到達するための挿入部位を形成することと、
前記迅速挿入型中心静脈カテーテルのカテーテルチューブの遠位側端部を前記挿入部位に挿入することと、
セルジンガー法を使用せずに、前記カテーテルチューブの前記遠位側端部を前記患者の前記脈管構造を通って前進させることと、を含む、方法。
【請求項18】
前記挿入部位を形成し、前記カテーテルチューブの前記遠位側端部の少なくとも一部を前記挿入部位に挿入した後に、前記迅速挿入型中心静脈カテーテルの前記管腔から前記針を引き抜くことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記挿入部位は、右鎖骨下静脈又は右内頸静脈に位置する、請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カテーテルチューブの前記遠位側端部を前記患者の前記脈管構造を通って前進させることは、前記カテーテルチューブの前記遠位側端部を、前記右鎖骨下静脈又は前記右内頸静脈、右腕頭静脈を通って上大静脈に前進させることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、迅速挿入型中心静脈カテーテル及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)はデュロメータ硬さが比較的小さい材料で形成されており、それが、CVCが柱強度(column strength)を欠く一因となっている。柱強度の欠如により、CVCは一般にセルジンガー法によって患者の体内へと導入され、その脈管構造内で前進させられる。セルジンガー法では、多くのステップと医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ディレータ、CVC等)が利用される。セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法の多数のステップ中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、カテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0003】
本願では、上記に対処する迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC(rapidly inserted central catheter)」)及びその方法が開示される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示されるRICCは、いくつかの実施形態において、カテーテルチューブの遠位側端部の第1の部分と、カテーテルチューブの第1の部分の近位側に位置する、カテーテルチューブの遠位側端部の第2の部分と、カテーテルチューブの第1の部分及び第2の部分を接続する接続部とを有している。カテーテルチューブの第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されている。カテーテルチューブの第2の部分は、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されている。カテーテルチューブの第1の部分は、接続部の受容部に配置されてそこに溶媒結合される近位側端部を有している。
【0005】
いくつかの実施形態では、接続部は、カテーテルチューブの第2の部分のテーパ状の遠位側端部である。
いくつかの実施形態では、カテーテルチューブの第2の部分のテーパ状の遠位側端部とカテーテルチューブの第1の部分の近位側端部との間の反内腔側移行部は、第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料の溶媒相互拡散ポリマー材料からなる平滑な移行部である。
【0006】
いくつかの実施形態では、接続部は、カテーテルチューブの第2の部分に結合又は溶接されたカテーテルチューブのテーパ状の第3の部分である。カテーテルチューブの第3の部分は、第1のデュロメータ硬さよりも低い第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、カテーテルチューブのテーパ状の第3の部分とカテーテルチューブの第1の部分の近位側端部との間の反内腔側移行部は、第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料の溶媒相互拡散ポリマー材料からなる平滑な移行部である。
【0008】
いくつかの実施形態では、RICCは三管腔カテーテルである。三管腔カテーテルの第1の管腔は、カテーテルチューブの第1の部分の遠位端の開口で終端している。三管腔カテーテルの第2の管腔は、接続部に隣接する、カテーテルチューブの第2の部分の第1のアイレットで終端している。三管腔カテーテルの第3の管腔は、接続部に隣接する、カテーテルチューブの第2の部分の第2のアイレットで終端している。
【0009】
いくつかの実施形態では、RICCは、二管腔カテーテルである。二管腔カテーテルの第1の管腔は、カテーテルチューブの第1の部分の遠位端の開口で終端している。二管腔カテーテルの第2の管腔は、接続部に隣接する、カテーテルチューブの第2の部分の第1のアイレットで終端している。
【0010】
いくつかの実施形態では、カテーテルチューブの第1の部分は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン又はポリウレタンである。
いくつかの実施形態では、カテーテルチューブの第2の部分は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン又はシリコーンである。
【0011】
いくつかの実施形態では、RICCは、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造を通って前進するときにカテーテルチューブの折れ曲がりを防止できる柱強度を有している。
また、本明細書に開示されるRICCの作製方法は、いくつかの実施形態において、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブの第1の部分と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブの第2の部分とを取得する取得工程とを有している。本方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位側端部、カテーテルチューブの第2の部分のテーパ状の遠位側端部の受容部、又はカテーテルチューブの第1の部分の近位側端部とカテーテルチューブの第2の部分のテーパ状の遠位側端部の受容部との両方に溶媒を塗布する塗布工程を含んでいる。また、本方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位側端部を、カテーテルチューブの第2の部分のテーパ状の遠位側端部の受容部に挿入する挿入工程を含んでいる。本方法は、溶媒を蒸発させることによって、カテーテルチューブの第1の部分とカテーテルチューブの第2の部分との間に溶媒結合による接続部を形成する蒸発工程も含んでいる。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、カテーテルチューブの第2の部分のテーパ状でない遠位側端部にテーパ付けをして、カテーテルチューブの第2の部分のテーパ状の遠位側端部を形成するテーパ付け工程をさらに含んでいる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、カテーテルチューブをその長手軸線に沿って回転させる回転工程をさらに有している。また、本方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位側端部とカテーテルチューブの第2の部分のテーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部に上記溶媒又は別の溶媒を塗布する塗布工程を含んでいる。塗布工程の結果として、溶媒分子が、第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料内に拡散する。また、本方法は、第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料の少なくとも溶媒和された側鎖の絡み合いから生じる相互拡散ポリマー材料を用いて移行部を平滑化する平滑化工程を含んでいる。
【0014】
また、本明細書には、いくつかの実施形態において、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブの第1の部分と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブの第2の部分と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成されたカテーテルチューブのテーパ状の第3の部分とを取得する取得工程を含むRICCの作製方法が開示されている。本方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位側端部、カテーテルチューブのテーパ状の第3の部分の遠位側端部の受容部、又はカテーテルチューブの第1の部分の近位側端部とカテーテルチューブのテーパ状の第3の部分の遠位側端部の受容部との両方に溶媒を塗布する塗布工程を含んでいる。本方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位側端部を、カテーテルチューブの第3の部分の遠位側端部の受容部に挿入する挿入工程も含んでいる。また、本方法は、溶媒を蒸発させることによって、カテーテルチューブの第1の部分とカテーテルチューブのテーパ状の第3の部分との間に溶媒結合による接続部を形成する蒸発工程を含んでいる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、テーパ状の第3の部分のテーパが始まる位置又はその付近において、カテーテルチューブの第2の部分の遠位側端部をテーパ状の第3の部分の近位側端部に結合又は溶接する、結合又は溶接工程をさらに含んでいる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、カテーテルチューブをその長手軸線に沿って回転させる回転工程をさらに有している。本方法は、カテーテルチューブの第1の部分の近位側端部とカテーテルチューブの第3の部分のテーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部に上記溶媒又は別の溶媒を塗布する塗布工程も含んでいる。塗布工程の結果として、溶媒分子が、第1のポリマー材料及び第3のポリマー材料内に拡散する。また、本方法は、第1のポリマー材料及び第3のポリマー材料の少なくとも溶媒和された側鎖の絡み合いから生じる相互拡散ポリマー材料を用いて移行部を平滑化する平滑化工程を含んでいる。
【0017】
また、本明細書にはRICCの使用方法も開示されており、本方法は、いくつかの実施形態では、RICCの管腔内に配置された針で患者の脈管構造に到達するための挿入部位を形成する形成工程を含んでいる。また、本方法は、RICCのカテーテルチューブの遠位側端部を挿入部位に挿入する挿入工程を含んでいる。さらに、本方法は、セルジンガー法を使用せずに、カテーテルチューブの遠位側端部を患者の脈管構造を通って前進させる前進工程を含んでいる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、挿入部位を形成し、カテーテルチューブの遠位側端部の少なくとも一部を挿入部位に挿入した後に、RICCの管腔から針を引き抜く引き抜き工程をさらに含んでいる。
【0019】
いくつかの実施形態では、挿入部位は、右鎖骨下静脈又は右内頸静脈に位置している。
いくつかの実施形態では、前進工程は、カテーテルチューブの遠位側端部を、右鎖骨下静脈又は右内頸静脈、右腕頭静脈を通って上大静脈に前進させることを含んでいる。
【0020】
本明細書で提供される概念のこのような特徴及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】いくつかの実施形態による、RICCのカテーテルチューブの遠位側端部を示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、別のRICCのカテーテルチューブの遠位側端部を示す図である。
図3A】いくつかの実施形態による、図1のRICCのカテーテルチューブの第1の横断面を示す図である。
図3B】いくつかの実施形態による、図1のRICCのカテーテルチューブの第2の横断面を示す図である。
図3C】いくつかの実施形態による、図1のRICCのカテーテルチューブの第3の横断面を示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、図1のRICCの作製方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、又は置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0023】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3等)は、一般に、複数の特徴又は複数のステップのグループ内の異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用され、連続的な限定又は数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、及び「第3」の特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、等のラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、及び「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0024】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」又は「近位側端部」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位側端部、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位側端部、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位側端部、又は近位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0025】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」又は「遠位側端部」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、又は患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位側端部、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位側端部、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位側端部、又は遠位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0026】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
上述したように、カテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。本願では、上記に対処するRICC及びその方法が開示される。
【0027】
迅速挿入型中心静脈カテーテル
図1に、いくつかの実施形態による、RICC100のカテーテルチューブ110の遠位側端部を示す。図3Aは、いくつかの実施形態による、カテーテルチューブ110の第1の部分120の横断面を示す図である。図3Bは、いくつかの実施形態による、カテーテルチューブ110の第2の部分130の横断面を示す図である。図3Cは、いくつかの実施形態による、カテーテルチューブ110の接続部140の横断面を示す図である。
【0028】
図示されるように、RICC100は、カテーテルチューブ110の遠位側端部の第1の部分120と、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側に位置するカテーテルチューブ110の遠位側端部の第2の部分130と、カテーテルチューブ110の第1の部分120及び第2の部分130を接続している接続部140とを有している。カテーテルチューブ110の第1の部分120は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されている。カテーテルチューブ110の第2の部分130は、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されている。接続部140は、カテーテルチューブ110の第1の部分120及び第2の部分130を接続しているカテーテルチューブ110の第3の部分であってもよく、又は、単にカテーテルチューブ110の第1の部分120と第2の部分130とが接続される箇所であってもよい。カテーテルチューブ110の第1の部分120、カテーテルチューブ110の第2の部分130及び接続部140は、全体として、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造内を前進する際にカテーテルチューブ110の折れ曲がりを防止できる柱強度を有している。RICC100は上記部分を有しているが、その他の部分及び構成が可能であることが理解される。
【0029】
RICC100は三管腔カテーテルである。三管腔カテーテルの第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の管腔122、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第1の管腔132及び接続部140の管腔142を含む、流体接続された管腔部分を含んでいる。第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の遠位端の開口で終端している。三管腔カテーテルの第2の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第2の管腔134を含んでいる。第2の管腔134は、接続部140に隣接する、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第1のアイレット135で終端している。三管腔カテーテルの第3の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第3の管腔136を含んでいる。第3の管腔136は、接続部140に隣接する、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第2のアイレット137で終端している。
【0030】
あるいは、RICC100は二管腔カテーテルである。上記の三管腔カテーテルと同様に、二管腔カテーテルの第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の管腔122、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第1の管腔132及び接続部140の管腔142を含む、流体接続された管腔部分を含んでいる。第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の遠位端の開口で終端している。二管腔カテーテルの第2の管腔は、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第2の管腔134を含んでいる。第2の管腔134は、接続部140に隣接する、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第1のアイレット135で終端している。カテーテルチューブ110の第2の部分130の第3の管腔136は、二管腔カテーテルには存在しない。
【0031】
さらに別の例では、RICC100は単管腔カテーテルである。前述の三管腔カテーテル及び二管腔カテーテルと同様に、単管腔カテーテルの管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の管腔122、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第1の管腔132及び接続部140の管腔142を含む、流体接続された管腔部分を含んでいる。第1の管腔は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の遠位端の開口で終端している。カテーテルチューブ110の第2の部分130の第2の管腔134及び第3の管腔136は、単管腔カテーテルには存在しない。
【0032】
図4に、いくつかの実施形態による、カテーテルチューブ110の第1の部分120、カテーテルチューブ110の第2の部分130及び接続部140の縦断面を示す。
カテーテルチューブ110の第1の部分120は、先端を含んでいる遠位側端部と、接続部140の受容部144に配置されてそこに溶媒結合されるように構成された近位側端部とを有している。
【0033】
前述したように、カテーテルチューブ110の第1の部分120は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されている。第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン又はポリウレタン等であるが、第1のポリマー材料は、これらのポリマーに限定されない。ポリウレタンの場合、カテーテルチューブ110の第1の部分120が、室温では比較的剛性であるが、体内では体温によってより柔軟になり、血管壁及び静脈炎に対する刺激を抑制できるという点で有利である。
【0034】
カテーテルチューブ110の第2の部分130は、カテーテルが単管、二管又は三管であるかに応じて、第1のアイレット135及び第2のアイレット137の一方又は両方のアイレットを任意で含む遠位側端部を有している。図示されていないが、カテーテルチューブ110の第2の部分130は、RICC100のハブに連結された近位側端部を有している。
【0035】
前述したように、カテーテルチューブ110の第2の部分130は、第1のポリマー材料の第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されている。第1のデュロメータ硬さと第2のデュロメータ硬さは異なる尺度(例えば、タイプA又はタイプD)による場合もあるため、第2のデュロメータ硬さは第1のデュロメータ硬さよりも数値的に低くならない場合もある。この場合でも、異なる尺度(それぞれ0から100の範囲)は、同様の硬度を有する複数の材料のグループ内で異なる材料の特徴を表すことを意図しているため、第2のポリマー材料の硬度は、第1のポリマー材料の硬度よりも低い。第2のポリマー材料は、塩化ポリビニル、ポリエチレン、ポリウレタン又はシリコーン等であるが、第1のポリマー材料は、これらのポリマーに限定されない。ポリウレタンは、他のポリマーよりも血栓形成性が低いという点で有利である。
【0036】
上記にかかわらず、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造内を前進する際にカテーテルチューブ110の折れ曲がりを防止できる柱強度をカテーテルチューブ110が有しているのであれば、カテーテルチューブ110の第1の部分120及び第2の部分130は、同じポリマー材料で形成してもよいし、デュロメータ硬さが略等しい異なるポリマー材料で形成してもよい。
【0037】
接続部140は、カテーテルチューブ110の第3の部分であってもよい。接続部140は、テーパ状の遠位側端部と、近位側端部とを有している。近位側端部は、テーパ付けされていないか、又は、接続部140のテーパ状の遠位側端部のテーパが始まる位置又はその付近にテーパを有している。接続部140の近位側端部は、溶媒結合又は熱溶接によってカテーテルチューブ110の第2の部分130の遠位側端部に当接している。
【0038】
接続部140は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の第1のポリマー材料の第1のデュロメータ硬さよりも低い第3のデュロメータ硬さを有する第3のポリマー材料で形成されている。前述したように、このようなデュロメータ硬さは異なる尺度(例えば、タイプA又はタイプD)による場合もあるため、第3のデュロメータ硬さは第1のデュロメータ硬さよりも数値的に低くならない場合もある。あるいは、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造内を前進する際にカテーテルチューブ110の折れ曲がりを防止できる柱強度をカテーテルチューブ110が有しているのであれば、第3のポリマー材料のデュロメータ硬さは、カテーテルチューブ110の第1の部分120の第1のポリマー材料のデュロメータ硬さと略等しくてもよく、カテーテルチューブ110の第1の部分120の第1のポリマー材料よりも高くてもよい。第3のポリマー材料のデュロメータ硬さは、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第2のポリマー材料のデュロメータ硬さと略等しくてもよいし、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第2のポリマー材料のデュロメータ硬さとは異なっていてもよく、例えば、カテーテルチューブ110の第2の部分130の第2のポリマー材料のデュロメータ硬さよりも高くてもよい。前述したように、挿入部位に挿入されて患者の脈管構造内を前進する際にカテーテルチューブ110の折れ曲がりを防止できる柱強度をカテーテルチューブ110が有しているのであれば、デュロメータ硬さは異なっていてもよい。
【0039】
上記の代替例においては、カテーテルチューブ110の第2の部分130は、接続部140又はカテーテルチューブ110の第3の部分を含んでいる。すなわち、カテーテルチューブ110の第3の部分は、カテーテルチューブ110の第2の部分130とは別に形成されて第2の部分130に結合又は溶接されるのではなく、カテーテルチューブ110の第2の部分130と一体的に形成される。接続部140について前述したように、カテーテルチューブ110の第2の部分130が接続部140又はカテーテルチューブ110の第3の部分を含んでいる場合、カテーテルチューブ110の第2の部分130はテーパ状の遠位側端部を有している。第2の部分130のポリマー材料については上記の通りである。
【0040】
カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部と接続部140のテーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部は、第1のポリマー材料及び第3のポリマー材料の溶媒相互拡散ポリマー材料からなる平滑な移行部である。あるいは、カテーテルチューブ110の第2の部分130が、カテーテルチューブ110の接続部140又は第3の部分と一体である場合、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部とカテーテルチューブ110の第2の部分130との間の反内腔側移行部は、第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料の溶媒相互拡散ポリマー材料からなる平滑な移行部である。上記の反内腔側移行部は、図4の下部に最も明瞭に示されている。上記のいずれの平滑な移行部においても、「平滑な」は、カテーテルチューブ110の第1の部分120と接続部140のテーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部に含まれる縁部が、十分に小さいか微小であり、RICC100が患者の挿入部位に挿入されたときに皮膚に引っ掛かることがないことを意味している。
【0041】
図2に、いくつかの実施形態による、別のRICC200のカテーテルチューブ210の遠位側端部を示す。RICC200及びその方法は、2020年8月28日に出願された国際出願PCT/US2020/048583号及び2020年9月24日に出願された国際出願PCT/US2020/052536号に詳述されている。これらは、参照することによりその全文が本出願に援用される。
【0042】
方法
図4に、いくつかの実施形態による、図1のRICC100の作製方法の挿入工程を示す。図4の挿入工程を含む、RICC100を作製する第1の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120、カテーテルチューブ110の第2の部分130及び接続部140からカテーテルチューブ110を形成することに関する。図4の挿入工程を含む、RICC100を作製する第2の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120及びカテーテルチューブ110の第2の部分130からカテーテルチューブ110を形成することに関し、カテーテルチューブ110の第2の部分130は、接続部140又はカテーテルチューブ110の第3の部分を含んでいる。
【0043】
RICC100を作製する第1の方法は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブ110の第1の部分120と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブ110の第2の部分130と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第3のデュロメータ硬さを有する第3の材料で形成されたカテーテルチューブ110の第3の部分又は接続部140とを取得する取得工程を含む。接続部140は、前述したように、そのテーパ状の遠位側端部を有している。
【0044】
また、第1の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部、接続部140の遠位側端部の受容部144、又はカテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部と接続部140の遠位側端部の受容部144との両方に溶媒を塗布する塗布工程を含んでいる。
【0045】
図4に示すように、第1の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部を、接続部140の遠位側端部の受容部144に挿入する挿入工程も含んでいる。
【0046】
また、第1の方法は、溶媒を蒸発させることによって、カテーテルチューブ110の第1の部分120と接続部140との間に溶媒結合による接続部を形成する蒸発工程を含んでいる。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の方法は、接続部140のテーパ状の遠位側端部のテーパが始まる位置又はその付近において、接続部140の近位側端部に、カテーテルチューブ110の第2の部分130の遠位側端部を結合又は溶接する、結合又は溶接工程をさらに含んでいる。
【0048】
第1の方法は、カテーテルチューブ110をその長手軸線に沿って回転させる回転工程を含んでいてもよい。
また、第1の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部と接続部140のテーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部に上記溶媒又は別の溶媒を塗布する塗布工程を含んでいてもよい。塗布工程の結果として、溶媒分子が、第1のポリマー材料及び第3のポリマー材料内に拡散する。
【0049】
また、第1の方法は、第1のポリマー材料及び第3のポリマー材料の少なくとも溶媒和された側鎖の絡み合いから生じる相互拡散ポリマー材料を用いて反内腔側移行部を平滑化する平滑化工程を含んでいてもよい。
【0050】
RICC100を作製する第2の方法は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブ110の第1の部分120と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料で形成されたカテーテルチューブ110の第2の部分130とを取得する取得工程を含んでいる。
【0051】
第2の方法は、カテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパ状でない遠位側端部にテーパ付けをして、カテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパ状の遠位側端部を形成するテーパ付け工程をさらに含んでいてもよい。
【0052】
また、第2の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部、カテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパ状の遠位側端部の受容部144、又はカテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部とカテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパ状の遠位側端部の受容部144との両方に溶媒を塗布する塗布工程を含んでいる。
【0053】
図4に示すように、第2の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部を、カテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパ状の遠位側端部の受容部144に挿入する挿入工程も含んでいる。
【0054】
さらに、第2の方法は、溶媒を蒸発させることによって、カテーテルチューブ110の第1の部分120とカテーテルチューブ110の第2の部分130との間に溶媒結合による接続部を形成する蒸発工程を含んでいる。
【0055】
第2の方法は、カテーテルチューブ110をその長手軸線に沿って回転させる回転工程を含んでいてもよい。
また、第2の方法は、カテーテルチューブ110の第1の部分120の近位側端部とカテーテルチューブ110の第2の部分130のテーパ状の遠位側端部との間の反内腔側移行部に上記溶媒又は別の溶媒を塗布する塗布工程を含んでいてもよい。塗布工程の結果として、溶媒分子が、第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料内に拡散する。
【0056】
また、第2の方法は、第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料の少なくとも溶媒和された側鎖の絡み合いから生じる相互拡散ポリマー材料を用いて反内腔側移行部を平滑化する平滑化工程を含んでいてもよい。
【0057】
RICC100の使用方法は、RICC100の管腔内に配置された針で患者の脈管構造に到達するための挿入部位を形成する形成工程を含んでいる。挿入部位は、右鎖骨下静脈もしくは左鎖骨下静脈等の鎖骨下静脈、右内頸静脈もしくは左内頸静脈等の内頸静脈又は大腿静脈に位置していてもよい。
【0058】
本方法は、RICC100のカテーテルチューブ110の遠位側端部を挿入部位に挿入する挿入工程も含んでいる。
本方法は、挿入部位を形成し、カテーテルチューブ110の遠位側端部の少なくとも一部を挿入部位に挿入した後に、RICC100の管腔から針を引き抜く引き抜き工程をさらに含んでいる。
【0059】
さらに、本方法は、セルジンガー法を使用せずに、カテーテルチューブ110の遠位側端部を患者の脈管構造を通って前進させる前進工程を含んでいる。例えば、挿入部位が右鎖骨下静脈又は右内頸静脈にある場合、前進工程は、カテーテルチューブ110の遠位側端部を、右鎖骨下静脈又は右内頸静脈、右腕頭静脈を通って上大静脈に前進させることを含んでいてもよい。左鎖骨下静脈又は左内頸静脈等の他の挿入部位の場合は、対応する脈管構造を通ってカテーテルチューブ110の遠位側端部を前進させる必要がある。
【0060】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。当業者は、より広い態様において、付加的な適応をおこなったり、及び/又は改変を行ったりすることを理解することができ、これらの適応及び/又は改変も包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から外れて実施されてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】