(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ネットワークに未加入のノードへの輻輳通知による動的加入時刻の実現
(51)【国際特許分類】
H04W 48/06 20090101AFI20221207BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20221207BHJP
H04W 28/08 20090101ALI20221207BHJP
H04W 48/10 20090101ALI20221207BHJP
H04W 80/02 20090101ALI20221207BHJP
【FI】
H04W48/06
H04W84/18
H04W28/08
H04W48/10
H04W80/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522923
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2020055628
(87)【国際公開番号】W WO2021076663
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513113895
【氏名又は名称】ランディス・ギア イノベーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR INNOVATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ローレンス エス
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA28
5K067BB27
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE25
5K067GG01
(57)【要約】
方法は、ネットワークにまだ加入していない加入途上ノードによって、ネットワークに加入済みである第2のノードをリッスンすることを含む。加入途上ノードは、ネットワークに加入することを要求する加入時刻を決定してもよい。加入途上ノードは、上記第2のノードから、ネットワークの時間同期を示すビーコンであって、ネットワークの輻輳のレベルを示す第1の輻輳変数をさらに含むビーコンを受信してもよい。加入途上ノードは、ビーコンにおける第1の輻輳変数に基づいて加入時刻を調整してもよい。加入時刻において、加入途上ノードは、ネットワークに加入する関連付け要求を送信してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに加入する方法であって、上記方法は、
ネットワークにまだ加入していない加入途上ノードによって、上記ネットワークに加入済みである第2のノードをリッスンすることと、
上記加入途上ノードによって、上記ネットワークに加入することを要求する加入時刻を決定することと、
上記加入途上ノードによって、上記第2のノードから、上記ネットワークの時間同期を示すビーコンであって、上記ネットワークの輻輳のレベルを示す第1の輻輳変数をさらに含むビーコンを受信することと、
上記加入途上ノードによって、上記ビーコンの第1の輻輳変数に基づいて上記加入時刻を調整することと、
上記加入途上ノードによって、上記加入時刻において、上記ネットワークに加入する関連付け要求を上記第2のノードに送信することとを含む、
方法。
【請求項2】
上記第1の輻輳変数を含むビーコンは、通信のデータリンク層におけるメッセージとして受信される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記第1の輻輳変数を含むビーコンは、上記データリンク層の媒体アクセス制御(MAC)サブレイヤにおけるメッセージとして受信される、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記第1の輻輳変数は、上記ビーコンのヘッダにおける1つ又は複数のビットとして表される、
請求項2記載の方法。
【請求項5】
上記ビーコンの第1の輻輳変数は、上記ネットワークにおける輻輳を示し、
上記加入時刻を調整することは、上記ネットワークに輻輳が存在することを示す上記第1の輻輳変数に基づいて、上記加入時刻を増大させることを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記加入途上ノードによって、上記ネットワークに輻輳上記加入途上ノードによって、第2の輻輳変数を含む第2のビーコンを受信することと、
上記輻輳が存在しないことを示す上記第2の輻輳変数に基づいて、上記加入時刻を減少させることとを含む、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記加入時刻を減少させることは、上記第1の輻輳変数が輻輳の存在を示してからの経過時間に基づく、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
上記加入時刻は、上記ネットワークの輻輳状態に動的に基づいて変化する、
請求項6記載の方法。
【請求項9】
上記加入途上ノードは需給計器である、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
上記プロセッサによって実行されたとき、上記プロセッサに以下のステップを含む動作を実行させる上記コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを備えた加入途上ノードであって、
上記加入途上ノードはネットワークに未加入であり、
上記動作は、
上記ネットワークに加入済みである第2のノードをリッスンすることと、
上記ネットワークに加入することを要求する加入時刻を決定することと、
上記第2のノードから、上記ネットワークの時間同期を示すビーコンであって、上記ネットワークに輻輳が存在することを示す第1の輻輳変数をさらに含むビーコンを受信することと、
上記ビーコンの第1の輻輳変数に基づいて上記加入時刻を増大させることと、
上記加入時刻において、上記ネットワークに加入する関連付け要求を上記第2のノードに送信することとを含む、
加入途上ノード。
【請求項11】
上記第1の輻輳変数を含むビーコンは、通信のデータリンク層の媒体アクセス制御(MAC)サブレイヤにおけるメッセージとして受信される、
請求項10記載の加入途上ノード。
【請求項12】
上記動作は、(a)輻輳が存在しないことを示す第2のビーコンにおける第2の輻輳変数と、(b)上記第1の輻輳変数が輻輳の存在を示してからの経過時間とのうちの少なくとも一方に基づいて、上記加入時刻を減少させることをさらに含む、
請求項10記載の加入途上ノード。
【請求項13】
上記動作は、
上記加入途上ノードによって、上記ネットワークに輻輳上記加入途上ノードによって、第2の輻輳変数を含む第2のビーコンを受信することと、
上記輻輳が存在しないことを示す上記第2の輻輳変数に基づいて、上記加入時刻を減少させることとをさらに含む、
請求項10記載の加入途上ノード。
【請求項14】
上記加入時刻を減少させることは、上記第1の輻輳変数が輻輳の存在を示してからの経過時間に基づく、
請求項13記載の加入途上ノード。
【請求項15】
上記加入途上ノードは需給計器である、
請求項10記載の加入途上ノード。
【請求項16】
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
上記プロセッサによって実行されたとき、上記プロセッサに以下のステップを含む動作を実行させる上記コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを備える加入済みノードであって、
上記動作は、ネットワークにおける親ノードをリッスンすることを含み、
上記加入済みノードは上記ネットワークを上記親ノードと共用し、
上記方法は、
上記親ノードから、上記ネットワークの時間同期を示すビーコンであって、上記ネットワークに輻輳が存在しないことを示す輻輳変数をさらに含むビーコンを受信することと、
メッセージキューが進行中のメッセージのしきい値量を満たすことを決定することと、
上記進行中のメッセージのしきい値量を満たす上記メッセージキューに基づいて、上記ネットワークに輻輳が存在することを示すように上記ビーコンの輻輳変数を更新することと、
上記更新された輻輳変数を含むビーコンを、上記加入済みノードをリッスンする1つ又は複数の他のノードに送信することとを含む、
加入済みノード。
【請求項17】
上記更新された輻輳変数を含む上記ビーコンを送信することは、通信のデータリンク層において上記ビーコンを送信することを含む、
請求項16記載の加入済みノード。
【請求項18】
上記更新された輻輳変数を含む上記ビーコンを送信することは、上記データリンク層の媒体アクセス制御(MAC)サブレイヤにおいて上記ビーコンを送信することを含む、
請求項17記載の加入済みノード。
【請求項19】
上記動作は、
上記メッセージキューが上記進行中のメッセージのしきい値量をもはや満たしていないと決定することと、
上記メッセージキューが上記しきい値量を満たしてからの経過時間がしきい値時間未満であることに基づいて、上記ネットワークに輻輳が存在することを示すように上記ビーコンの輻輳変数を更新することとを含む、
請求項16記載の加入済みノード。
【請求項20】
上記動作は、
上記メッセージキューが上記進行中のメッセージのしきい値量をもはや満たしていないと決定することと、
上記進行中のメッセージのしきい値量をもはや満たしていない上記メッセージキューと、さらに、上記メッセージキューが上記進行中のメッセージのしきい値量を満たしてからの経過時間とに基づいて、 上記ネットワークに輻輳が存在することを示すように上記ビーコンの輻輳変数を更新しないことを選択することとを含む、
請求項16記載の加入済みノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な実施例は、ネットワーク通信に関し、より詳しくは、ネットワークに未加入のノードへの輻輳通知を行って、ノードのための動的加入時刻をもたらすことに関する。
【背景技術】
【0002】
需給計器は、典型的には、メッシュネットワークに参加し、メッシュネットワークでは、様々なノードが、無線周波数(RF)無線装置によって互いに通信する。時々、需給計器又は他のタイプのノードは、ネットワークにおける様々なノード間の通信に参加するように、ネットワークに加入することを必要としうる。このことは、ネットワークの形成中に生じる可能性があり、その場合、多数のノードがネットワークへの加入を試みている状態にあり、又は、このことは、ノードが新たに作動開始されるかオフラインであった場合に生じる。
【0003】
ネットワークに加入することは、典型的には、まだネットワークのメンバーではない加入途上ノード(joining node)と、既にネットワークのメンバーである潜在的な親ノードとの間で通信されるメッセージのシーケンスを必要とする。例えば、加入途上ノードは、潜在的な親ノードに関連付け要求を伝送し、潜在的な親ノードは、加入途上ノードに肯定応答を伝送する。加入途上ノード及び潜在的な親ノードは、次いで、加入途上ノードがネットワークに適切に加入されることを保証するように追加のメッセージを交換してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある場合、ネットワークは、低帯域幅を有する可能性があるが、多数の装置をサポートすることをなおも要求される可能性がある。ネットワークにノードを加入させる処理は、加入処理の一部であるメッセージが紛失された場合には失敗する可能性があり、このことは、ネットワークが輻輳している場合にはより生じる可能性が高くなる。そのような失敗を減らすために、各ノードは、ランダム化された加入時刻を利用することで、複数のノードがネットワークに同時に加入しようとすることを防ぐ。さらに、あるノードが、ネットワークに加入する際に失敗を経験した場合、そのノードは、所定期間にわたって待機して、その後、ランダム化された時刻においてもう1回試みる。連続して失敗するごとに、待機期間は指数関数的に増大し、従って、加入を試みる複数のノードにわたって複数の失敗が存在する場合、加入する要求は、失敗するごとにますます離隔される。
【0005】
本開示の目的は、ネットワークに未加入のノードへの輻輳通知による動的加入時刻の実現にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施例では、方法は、ネットワークにまだ加入していない加入途上ノード(joining node)によって、ネットワークに加入済みである第2のノードをリッスンすることを含む。加入途上ノードは、ネットワークに加入することを要求する加入時刻を決定する。加入途上ノードは、上記第2のノードから、ネットワークの時間同期を示すビーコンであって、ネットワークの輻輳のレベルを示す第1の輻輳変数をさらに含むビーコンを受信する。加入途上ノードは、ビーコンにおける第1の輻輳変数に基づいて加入時刻を調整する。加入時刻において、加入途上ノードは、ネットワークに加入する関連付け要求を送信する。
【0007】
もう1つの実施例では、ネットワークに加入しようとする加入途上ノードは、プロセッサ及びメモリを含む。プロセッサは、コンピュータ可読命令を実行するように構成され、メモリは、プロセッサによって実行されたときにプロセッサに動作を実行させるコンピュータ可読命令を格納するように構成される。本動作は、ネットワークに加入済みである第2のノードをリッスンすることと、ネットワークに加入することを要求する加入時刻を決定することとを含む。本動作は、第2のノードから、ネットワークの時間同期を示すビーコンであって、ネットワークに存在する輻輳を示す第1の輻輳変数をさらに含むビーコンを受信することをさらに含む。本動作は、ビーコンの第1の輻輳変数に基づいて加入時刻を増大させることと、加入時刻において、ネットワークに加入する関連付け要求を第2のノードに送信することとをさらに含む。
【0008】
さらにもう1つの実施例では、ネットワークのメンバーである加入済みノード(joined node)は、プロセッサ及びメモリを含む。プロセッサは、コンピュータ可読命令を実行するように構成され、メモリは、プロセッサによって実行されたときにプロセッサに動作を実行させるコンピュータ可読命令を格納するように構成される。本動作は、ネットワークにおける親ノードをリッスンすることを含む。加入済みノード及び親ノードは、両方とも、ネットワークのメンバーである。本動作は、親ノードから、ネットワークの時間同期を示すビーコンであって、ネットワークに輻輳が存在しないことを示す輻輳変数をさらに含むビーコンを受信することをさらに含む。本動作は、メッセージキューが進行中のメッセージのしきい値量を満たすことを決定することと、進行中のメッセージのしきい値量を満たすメッセージキューに基づいて、ネットワークに輻輳が存在することを示すようにビーコンの輻輳変数を更新することとをさらに含む。本動作は、更新された輻輳変数を含むビーコンを、加入済みノードをリッスンする1つ又は複数の他のノードに送信することをさらに含む。
【0009】
これらの例示的な態様及び特徴は、ここで説明する主題を限定又は定義するためではなく、本願において説明する概念についての理解を支援する実施例を提供するために言及される。ここに説明する主題の他の態様、利点、及び特徴は、本願全体に目を通すことにより明らかになるであろう。
【0010】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付の図面を参照して読まれるとき、さらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のいくつかの実施例に係る、ネットワークに加入するための関連付けシーケンスのブロック図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施例に係る、関連付けシーケンスにおいてノードとして動作する需給計器のブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施例に係る、ネットワークのビーコンにおいて輻輳を示す方法のフロー図である。
【
図4】本発明のいくつかの実施例に係る、ビーコンにおける輻輳の表示に基づくネットワークに加入する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
損失のあるネットワークは、高いパケット紛失レートを経験する可能性が高く、このことはネットワーク形成を遅くする。さらに、ノードが、ネットワークに加入することを試み、加入処理における1つ又は複数の紛失パケットに起因して失敗した場合、その加入処理が再スタートされる必要性が生じうる。このことは、パケットが再送信される必要が生じうることを意味する。輻輳したネットワークでは、ノードは複数回にわたって加入を再試行する可能性がある。失敗しそうな要求でネットワークを埋めつくすことは、帯域幅を浪費し、さらなる輻輳をもたらす。既存の技術は、いくつかの場合では反応的な方法で輻輳を管理できるが、輻輳の悪化を避けるように、ノードに加入しようとするときに失敗を避けるように先を見越して輻輳を認識するための機構は現在存在せず、また、輻輳期間が終了したことと、ノードが加入しようとする前に長い待機時間を保持することをもはや必要としていないこととを認識するための機構は現在存在しない。失敗に基づいて加入を延期する現在の戦略は、加入処理中に輻輳により引き起こされた失敗を経験したネットワークに関して、遅くて非効率的なネットワーク形成をもたらす。そのような戦略は、動的なネットワーク状態にはうまく反応しない。
【0013】
本発明のいくつかの実施例は、ネットワークにまだ加入していないノードにネットワーク輻輳を通知又は広告するための機構を確立することで、さらに、加入途上ノードが動的な加入時刻を確立することを可能にすることで、これらの欠点に取り組む。加入時刻は、ネットワーク輻輳の表示に基づいて、早められても遅らされてもよい。本発明の実施例は、ビーコンにおいて、輻輳のレベルを示す輻輳変数を含む。ビーコンは、典型的には時間同期に使用され、通信のデータリンク層によって送信される。加入途上ノード(すなわち、ネットワークにまだ加入していないが加入しようとしているノード)は、加入済みノード(すなわち、ネットワークに加入しているノード)をリッスンすることで、ビーコンを受信してもよい。加入済みノードは、潜在的には、加入途上ノードの親ノードである。加入途上ノードは、初期加入ウィンドウ内においてランダム化された加入時刻を決定する。輻輳変数に基づいて、加入ウィンドウは延長又は短縮されてもよく、それに応じて、加入時刻が調整される。調整された加入時刻に達したとき、加入途上ノードは、ネットワークに加入する要求を、その潜在的な親ノードに送信してもよい。
【0014】
ネットワークに加入しようとする各ノードによって保持される加入ウィンドウの動的性質に起因して、ネットワークに加入する複数の要求は、ネットワークにおける現在の状態に関して適切に離隔される。このことは、多数のノードが加入しようとし、輻輳をもたらす可能性がある場合、ネットワーク形成中に特に有用となりうる。輻輳に応答して加入要求を遅延させることによって、本発明の実施例は、ネットワークが迅速に形成される確率を増大させる。輻輳した後に状態が改善する場合、加入途上ノードの加入ウィンドウは短縮され、したがって、複数の加入要求を無期限に離隔させる既存の欠点を回避する。
【0015】
図1は、本発明のいくつかの実施例に係る、ネットワーク100に加入するための関連付けシーケンスのブロック図である。
図1に示すように、関連付けシーケンス(すなわち、ネットワーク100にノードを加入させるためのシーケンス)は、既にネットワーク100のメンバーであるノード110a(加入済みノード110aとも呼ぶ)と、まだネットワーク100のメンバーではないノード110bとを含む1つ又は複数のノード110をともなう。本願では、まだネットワーク100のメンバーではないがネットワーク100に加入しようとしているノード110bは、加入途上ノード110bと呼ぶ。加入済みノード110aは、その親として、ネットワーク100のメンバーであるもう1つの加入済みノード110aを有してもよい。
【0016】
従来、ビーコンは、ネットワーク100の全体にわたって時々に伝送され、ネットワークのルートノードから発信され、ネットワークの全体にわたって親から子へ送信される。ビーコンは、時間同期に関連する情報を提供する。例えば、ネットワークは、RF無線装置を用いて行われる通信を有するメッシュネットワークであってもよく、ビーコンは、いつ、どの無線チャンネルを使用するかを示してもよく、それにより、様々なノードが通信を保持することを可能にする。典型的には、ビーコンは、データリンク層を介して、具体的には、データリンク層の媒体アクセス制御(Medium Access Control:MAC)サブレイヤを介して送信される。
【0017】
通信アーキテクチャの1つのプロトコル層であるデータリンク層は、ネットワークにおける物理的リンクへの及びそのリンクからのデータ移動を取り扱う。データリンク層は、電気通信プロトコルのための開放型システム間相互接続(Open Systems Interconnection:OSI)アーキテクチャモデルにおける第2層である。データのビットは、必要に応じて符号化又は復号され、直接的に接続されたノード間で伝送される前にデータリンク層において組織化される。最下位から最上位まで、OSIモデルにおける層は以下のとおりである:物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、及びアプリケーション層。ある層は、その上の層にサービスを提供し、その下の層によってサービスの提供を受ける。ネットワーク層は、中間ノードを介してルーティングすることを含む、パケット転送を担当する。インターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)における明示的輻輳通知(Explicit Congestion Notification:ECN)機能は、典型的には、ネットワーク内の輻輳を示すために使用されるが、この機能は、ネットワーク層を規制するために存在し、従って、より低いデータリンク層において利用可能ではない。ECN機能は、IPプロトコルが適用可能である場合、確立されたネットワークに加入済みのノードについてのみ利用可能である。しかしながら、ネットワーク形成中において、又は、ノードがまだネットワークの一部ではない場合、IPプロトコルは使用中ではなく、ECNは利用可能ではない。
【0018】
本開示は、一般的な用語として、用語「ビーコン」を利用する。この用語がデータリンク層におけるメッセージを示すために使用されることは、そのようなメッセージが典型的にはどのように呼ばれるかにかかわらず、当業者に理解されるであろう。例えば、限定としてではなく、本願で述べる「ビーコン」は、IEEE802.15.4プロトコルにおけるビーコン、又は、Wi-SUNプロトコルにおけるPan広告メッセージを示してもよい。本願において説明するように、本発明の実施例は、輻輳に関する情報をそのようなメッセージに追加する。
【0019】
各加入済みノード110aは、加入済みノード110aをリッスンするノード110であるダウンストリームノード110に、ビーコン120を送信してもよい。そのようなダウンストリームノード110は、例えば、ネットワーク100に既に加入している1つ又は複数の子ノード110a、ネットワーク100にまだ加入していない1つ又は複数の潜在的な子ノード110b、又は両方の組み合わせを含む。概して、ビーコン120は、ツリー形成において下方のノード110まで伝送され、各加入済みノード110aは、ビーコン120を、その子ノード110aに伝送するとともに、リッスンしているかもしれない他のノード110(例えば、加入途上ノード110b)にも伝送する。
【0020】
いくつかの実施例では、ビーコン120は、ビーコン120に書き込まれた輻輳変数125を含む。例えば、輻輳変数125は、ビーコン120のヘッダ又は情報要素(information element:IE)に書き込まれてもよい。一実施例では、輻輳変数125は単一ビットによって表されてもよく、このビットはヘッダに存在してもよく、ここで、そのビットは、輻輳が存在するか否かを示すブール変数として使用される。その場合、例えば、値1は、ネットワーク100に輻輳が存在する(すなわち、ネットワーク100が輻輳している)ことを示し、値0は、ネットワーク100に輻輳が存在しない(すなわち、ネットワーク100は輻輳していない)ことを示す。もう1つの実施例では、輻輳変数125は、IPヘッダの差別化サービス(differentiated services:DiffServ)変数の2つの最下位ビットに類似した2つのビットのような、2つのビットによって表されてもよく、ここで、そのような2つのビットは、ビーコンのヘッダに組み込まれたIEに存在してもよく、最下位DiffServビットと同様に機能してもよい。輻輳を検出したとき、詳細後述するように、ネットワーク100における例示的なノード110は、輻輳の存在を示すように輻輳変数125を更新することで、受信されたビーコン120を更新する。言いかえると、例えば、例示的なノード110は、輻輳変数125を表すビットを0から1に反転するか、又は、輻輳変数125を、輻輳が存在することを示すことが知られた他の何らかの値に設定する。例示的なノード110は、ビーコン120のこの更新されたバージョンを、リッスンしているノード110に、具体的には、ネットワーク100の子ノード110aと、まだネットワークに加入していない潜在的な子ノード110bとに送信する。いくつかの実施例では、ネットワーク100における各子ノード110aは、この更新されるビーコン120を、それ自体の子ノード110aに順当に伝送し、したがって、輻輳の表示は、ネットワーク100のダウンストリームノード110の全体にわたって伝搬される。
【0021】
いくつかの実施例では、加入済みノード110aは、輻輳の存在を示す状態から、輻輳が存在しないことを示す状態に輻輳変数125を変更しないように制限される。そのような変更を可能にすることは、本質的に、ノード110が、アップストリームノード110によって提供された輻輳の表示を除去することを可能にするであろう。むしろ、次のビーコン120がネットワーク100を通過する場合、当該次のビーコン120における輻輳変数125は、輻輳が存在することを示すように更新されても更新されなくてもよく、したがって、ネットワークの輻輳状態の変化する状態がビーコン120に記録される。
【0022】
ネットワーク100にまだ加入していない加入途上ノード110bは、加入済みノード110aを選択して、潜在的な親ノード110として使用してもよい。どのノード110を潜在的な親ノード110として選択するかを決定するために様々な機構が存在し、加入途上ノード110bは、そのような機構のうちの1つ又は複数を利用してもよい。例えば、限定としてではなく、加入途上ノード110bは、加入途上ノード110bが取得する最も強い信号の発信元である加入済みノード110aを選択してもよい。加入途上ノード110bは、ビーコン120について、選択された加入済みノード110aをリッスンしてもよい。前述したように、ノード110は、デフォルト加入ウィンドウからランダムに選択された特定の時点であってもよい、ランダム化された加入時刻130を決定してもよい。デフォルト加入ウィンドウは、例えば、加入途上ノード110bがネットワーク100に加入することを決定したときに開始し、予め決められた時刻長を有する。しかしながら、いくつかの実施例では、加入ウィンドウ及び選択された加入時刻130は動的である。詳細後述するように、各ビーコン120の輻輳変数125に基づいて、又は、輻輳変数125が最後に変更されてからの経過時間に基づいて、加入時刻130は増大又は減少されてもよく、暗黙的に、加入ウィンドウをそれぞれ延長又は短縮させてもよい。
【0023】
加入時刻130に達したとき、加入途上ノードは、潜在的な親として選択された加入済みノード110aに関連付け要求140を送信してもよい。
図1に示すように、一実施例では、関連付け要求140の後に加入処理を完了するために、いくつかのメッセージが交換される。この実施例では、加入済みノード110aは、関連付け応答と、低電力かつ損失のあるネットワークのためのルーティングプロトコル(Routing Protocol for Low Power and Lossy Networks:RPL)のDODAG情報オブジェクト(DODAG Information Object:DIO)とを送信し、それは、加入途上ノード110bが、使用中のRPLインスタンスを発見することと、ネットワーク100においてデータをルーティングするために必要なパラメータを学習することとを可能にする情報を伝送する。加入途上ノード110bは、加入途上ノード110bと、その親と、適用可能であればバックアップ親との関係を記述するRPL宛先広告オブジェクト(Destination Advertisement Object:DAO)を加入済みノード110aに送信する。この情報は、ルートノードのような収集装置に向けてアップストリームに伝送され、これにより、収集装置は、ネットワーク100における様々なノード110に関する親子関係の情報を集約することで、ネットワーク100を介してメッセージをルーティングする方法を決定することを可能にする。それに応答して、加入済みノード110aは、RPL DAOの肯定応答であるRPL DAO-ACKを第1のノード110に送信する。この実施例では、加入途上ノード110bは、そのようなメッセージを交換した結果、ネットワーク100に加入される。しかしながら、関連付け要求140に応答してネットワーク100にノード110を加入させるために必要とされるメッセージが変更されてもよいことは理解されるであろう。
【0024】
図1では単一の加入途上ノード110bのみを示すが、所与の時間において様々なノード110がネットワーク100に加入しようとしてもよいことが理解されるであろう。そのような各ノード110は、潜在的な親ノード110を識別してもよく、また、本願において説明した動作を実行することで、加入時刻130を選択し、必要に応じて加入時刻130を調整し、関連付け要求130を送信してネットワーク100に加入してもよい。また、
図1では、ネットワーク100のメンバーとして2つの加入途上ノード110aのみを示すが、ネットワーク100が複数のノード110を含んでもよく、それらは本願において説明するようにビーコン120を伝搬してもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施例では、
図1に示す加入途上ノード110aは、ネットワーク100における一連のノード110であって、親としてそれぞれ動作して従ってその子ノード110aにビーコン120をわたすノード110の最後に接続される。ネットワーク100に加入しようとする場合、加入途上ノード110bは、複数のノード110のうちの1つのノード110を、ネットワーク100における潜在的な親ノード110として選択してもよい。
【0025】
図2は、本発明のいくつかの実施例に係るノード110、具体的には需給計器200のアーキテクチャ図である。例えば、限定としてではなく、需給計器200は、水道メーター、ガスメーター、又はリソース210の消費量を測定する他のタイプのメーターであってもよい。この例示的な需給計器200又はその他は、輻輳を示すビーコン120に書き込んで伝搬させるように構成された加入済みノード110aとして動作してもよく、又は、この例示的な需給計器200又はその他は、本願において説明するように輻輳変数125を組み込んだビーコン120をリッスンする加入途上ノード110bとして動作してもよい。
【0026】
図2に示すように、需給計器200は、構内220において生じるリソース210の消費量を測定する。この目的で、需給計器200は、リソース210の使用を示す信号を検出し、その信号に基づいて構内220におけるリソース210の使用を決定する計測エンジン205を含んでもよい。需給計器200は、処理装置230、メモリ240、記憶装置250、及び無線装置260のような通信装置をさらに含んでもよく、これらは、バス270によって、互いに通信し、また、計測エンジン205と通信してもよい。例えば、限定としてではなく、メモリ240はランダムアクセスメモリ(random-access memory:RAM)であってもよく、記憶装置250はフラッシュ記憶装置又は読み出し専用メモリ(read-only memory:ROM)であってもよい。処理装置230、メモリ240、及び記憶装置250は、本願では別個の構成要素として図示及び説明しているが、この区別が例示の目的のみであることが理解されるであろう。例えば、処理装置230、メモリ240、及び記憶装置250は、マイクロコントローラユニットのような単一のチップにともに一体化されてもよい。
【0027】
いくつかの実施例では、ビーコン120における輻輳変数125に値を書き込むこと、又は、ビーコン120から輻輳変数125の値を読み取ることのような、本願において説明したノード110の動作は、記憶装置250又はメモリ240のようなコンピュータ可読媒体に格納されたプログラム命令として具体化される。いくつかの実施例では、コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体である。処理装置230は、プログラム命令を実行することで、本願において説明するように本発明を実施してもよい。無線装置260又は他の通信装置は、本願において説明するように輻輳変数125を有するビーコン120を受信してもよく、又は、本願において説明するようにそのようなビーコン120を送信してもよい。
【0028】
本開示は、需給計器200として具体化された本発明の実施例を繰り返し参照するが、本願において説明する実施例が需給計器200に限定されないことは当業者によって理解されるであろう。むしろ、例えば、ノード110は、需給計器200以外に、収集装置、ゲートウェイ、又は他の計算装置であってもよい。
【0029】
図3は、本発明のいくつかの実施例に係る、ネットワーク100のビーコンにおいて輻輳を示す方法300のフロー図である。この方法300又は類似の方法を使用することで、ネットワーク100における例示的なノード110は、ビーコン120における輻輳変数125を更新することによって、ダウンストリームノード110に輻輳を広告する。ダウンストリームノード110は、ネットワーク100における子ノード110a、又は、ネットワーク100にまだ加入していない潜在的な子ノード110bを含む。次いで、ネットワーク100における各ダウンストリームノード110は、この広告を伝送する。その結果、ダウンストリームノード110は、輻輳が解消されるまで、非クリティカルトラフィックを延期することを選んでもよく、また、加入途上ノード110bは、さらなるネットワーク輻輳を低減するようにそれらの各加入時刻130を更新してもよい。
【0030】
図3に示すように、ブロック305において、ネットワーク100におけるノード110aは、典型的には該当するように、ネットワーク100に加入済みである親ノード110aをリッスンする。ブロック310において、ノード110aは、親ノード110aから、本願において説明した本発明のいくつかの実施例に係る輻輳変数125を含むビーコン120を受信する。例えば、輻輳変数125は、ビーコン120のヘッダにおける1つのビットであってもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、受信されたビーコン120における輻輳変数125が既に輻輳の存在を示す場合、ノード110aは、この表示を変更せず、むしろ、輻輳が存在することの広告をノード110aの上流に伝送する。いくつかの実施例では、ノード110aは、輻輳の存在を示す状態から、輻輳が存在しないことを示す状態に輻輳変数125を変更しないように制限される。そのような変更を可能にすることは、本質的に、ノード110aが、アップストリームノード110aによって提供された輻輳の表示を除去することを可能にするであろう。しかしながら、いくつかの実施例では、輻輳変数125の値にかかわらず、ノード110aは、ネットワーク100が輻輳しているか否かをそれ自体により決定してもよい。輻輳変数125が輻輳の存在を既に示している場合であっても、ノード110aは、ノード110a自体が過去に輻輳を発見したか否かについての、また、ノード自体の決定により現在の輻輳状態(例えば、輻輳しているか否か)がどれくらいの時間にわたって存在したかについてのレコードを保持してもよい。このレコードは、輻輳表示の急速な反転の繰り返しを避けるために、下記に述べるように、輻輳を後で示すか否かを決定するために使用されてもよい。
【0032】
ブロック315において、ノード110aは、ネットワーク100が輻輳しているか否かに関してそれ自体の決定を下す。より具体的には、ノード110aは、ノード110aから視認可能なローカルピクチャに基づいて、ネットワーク100が輻輳しているか否かを決定する。例えば、限定としてではなく、ノード110aは、ノード110aによって送信される進行中のメッセージを保持するキューであるそれ自体のメッセージキューに基づいて、その輻輳の決定を行ってもよい。いくつかの実施例では、メッセージキューが、しきい値量を満たす(例えば、しきい値量以上である)所定量の進行中のメッセージを含む場合、ノード110aは、ネットワーク100が輻輳しているとみなしてもよい。しかしながら、メッセージキューが、しきい値量を満たさない所定量のメッセージを有する場合、ノード110aは、ネットワーク100が輻輳していないと決定してもよい。もう1つの実施例では、ノード110aは、パケット成功率に基づいて、例えば、ノード110a自体が送信するパケットの成功率に基づいて、その輻輳の決定を行ってもよい。パケット成功率がしきい値レート未満に低下した場合、ノード110aは、ネットワーク100が輻輳しているとみなしてもよく、パケット成功率がそのようなしきい値レート以上になった場合、ノード110aは、ネットワーク100が輻輳していないとみなしてもよい。輻輳が存在するか否かを決定するために、ノード110aによって他の様々な技術が使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0033】
ブロック320において、ノード110aは、輻輳についてのそれ自体の決定の履歴を追跡するために使用されるその内部レコードを更新する。例えば、そのようなレコードは、状態変数及びタイマ変数を含んでもよい。状態変数は、ノード110aによって行われた、輻輳状態についての以前の決定を示してもよい。それは、例えば、以前のビーコン120を受信したときに行われた輻輳状態の決定である。タイマ変数は、ノードの自体の決定において輻輳状態が変化してからどれくらいの時間が経過したか(例えば、どれくらいの時間にわたって、ネットワーク100が輻輳している又は輻輳していないとノード110aがみなしているか)を追跡する実行時間であってもよい。したがって、現在の輻輳状態が、状態変数で示された状態とは異なる場合、ノード110aは、タイマ変数をゼロにリセットしてもよく、状態変数は、ノード110aによってローカルに決定されるような現在の輻輳状態を示すように設定されてもよい。しかしながら、現在の輻輳状態が、状態変数によって示された状態と同じである場合、状態変数は不変であってもよく、タイマ変数はリセットされずに計時し続けてもよい。
【0034】
ノード110aのいくつかの実施例は、このレコードに基づいて、より具体的には、輻輳状態についての以前の決定と、その輻輳状態がどれくらいの時間にわたって保持されたかとに基づいて、輻輳を示すか否か(すなわち、輻輳変数125を更新するか否か)の決定を行う。この内部レコードは、ノード110aによって生成される異なる輻輳表示間の急速な反転の繰り返しを避けるために有用となりうるが、ある実施例ではそのようなレコードを保持しないことが理解されるであろう。そのようなレコードが存在しない場合、ノード110aは、過去の輻輳状態にかかわらず、ノード110aがネットワークにおける輻輳を識別するごとに、輻輳の存在を示すように輻輳変数125を単に更新してもよい。
【0035】
決定ブロック325において、ノード110aは、受信されたビーコン120における輻輳変数125が輻輳の存在を既に示すか否かを決定する。そうであれば、方法300は、輻輳変数を更新するか否かを決定する動作をスキップして、ブロック340に進む。上述したように、ノード110aのいくつかの実施例は、輻輳が存在することを既に示す場合には輻輳変数125を変更せず、むしろ、単にその表示を前方に伝送する。
【0036】
しかしながら、輻輳変数が輻輳の存在を示さない場合、決定ブロック330において、ノード110aは、輻輳の存在を示すようにビーコン120における輻輳変数125を更新するか否かを決定する。同様に、ブロック310が行われず、従って、ノード110aが親ノード110aからビーコン120を受信せず、むしろ、それ自体のビーコン120を生成している場合、ノード110aは、そのビーコン120の輻輳変数125において輻輳の存在を示すか否かを決定してもよい。輻輳変数125において輻輳の存在を示すか否かを決定することは、部分的には、ノード110aによって決定される、ネットワーク100が現在輻輳しているか否かに基づいてもよい。本発明のいくつかの実施例は、輻輳変数125による輻輳の広告における急速な反転の繰り返しを回避しようとする。例えば、ノード110aがその進行中のメッセージキューにおいて10個のメッセージを有する場合に輻輳を示し、その直後、ノード110aが9個のメッセージを有する場合に輻輳なしを示し、輻輳あり及び輻輳なしの表示間で反転を繰り返すことは望ましくない可能性がある。したがって、いくつかの場合には、(例えば、メッセージキューに基づいて)輻輳が現在存在しないとノード110aが決定した場合であっても、ノード110aは、そのような急速な反転の繰り返しを避けるために、輻輳変数125において輻輳をなおも表示してもよい。相似して、いくつかの場合には、輻輳が現在存在するとノード110aが決定した場合であっても、ノード110aは、輻輳が存在しないことを輻輳変数125になおも表示させてもよい。
【0037】
概して、輻輳の存在を示すか否かは、下記のうちの1つ又は複数に基づく:輻輳状態の現在の決定、及び、輻輳状態の決定の履歴(例えば、以前の輻輳状態、及び、現在の輻輳状態がどれくらいの時間にわたって存在したか)。より具体的には、輻輳変数125において輻輳の存在を示すか否かを決定するために、ノード110aは、タイマ変数がしきい値時刻を満たすか否か(すなわち、少なくともしきい値時刻の時刻が、輻輳の現在の状態において経過したか否か)を決定してもよい。タイマ変数がタイマしきい値を満たす場合(例えば、タイマしきい値以上である場合)、かつ、ネットワーク100が現在輻輳しているとノード110aがみなす場合、ノード110aは、輻輳の存在を示すように輻輳変数125を更新することを決定してもよい。タイマ変数がタイマしきい値を満たす場合、かつ、ネットワーク100が現在輻輳していないとノード110aがみなす場合、ノード110aは、輻輳の存在を示すことなく、輻輳変数125を現状のままにすることを決定してもよい。しかしながら、輻輳状態における最後の変化からの経過時間がしきい値時刻を満たさないので、ノード110aは、ネットワークが現在輻輳していないと決定した場合のみ、輻輳の存在を示すように輻輳変数125を更新してもよい。この場合、ネットワーク100は、ごく直近になって、輻輳していないとノード110aによって決定され、したがって、ノード110aは、輻輳が存在することを表示し続けることで、表示の急速な反転の繰り返しを回避してもよい。したがって、ネットワーク100が輻輳していないとノード110aがみなした場合であっても、ノード110aは、いくつかの場合には、輻輳の存在を示すように輻輳変数125をなおも更新してもよい。
【0038】
ノード110aが、輻輳の存在を示すように輻輳変数125を更新することを決定した場合、ブロック335において、ノード110aは、それに応じて輻輳変数125を更新する。しかしながら、ノード110aが、輻輳変数125を更新しないことを決定した場合、ノードはブロック335をスキップし、ブロック340に進む。
【0039】
ブロック340において、ノード110aは、例えば、無線を介してビーコン120をブロードキャストすることによって、その子ノード110aと、他の任意のリッスンするノード110とに、ビーコン120を送信する。いくつかの実施例では、しかしながら、ノード110aは、受信されたビーコン120を転送するのではなく、それ自体のビーコン120を生成する。しかしながら、いずれの場合も、送信されるビーコン120は輻輳変数125を含んでもよい。したがって、ノード110aは、そのような表示における急速な反転の繰り返しを避けるように調整された、輻輳が存在するか否かについてのその決定を伝送してもよい。さらに、ノード110aのアップストリームノード110aが輻輳の存在を表示した場合、その表示は、ビーコン120にともに伝送されてもよい。
【0040】
図4は、本発明のいくつかの実施例に係る、ビーコン120における輻輳の表示に基づくネットワーク100に加入する方法400のフロー図である。この方法400又は同様の方法を用いて、ネットワーク100に加入しようとする加入途上ノード110bは、ネットワーク100における輻輳を示す広告を受信してもよく、この場合、その広告は、ビーコン120における輻輳変数125の形式を有する。輻輳の表示に基づいて、加入途上ノード110bは、ネットワーク状態に適応するために、そのランダム化された加入時刻130を調整する、すなわち、それをより大きくするか(すなわち遅らせる)、より小さくしてもよい(すなわち早める)。
【0041】
図4に示すように、ブロック405において、加入途上ノード110bは、加入途上ノード110bが加入しようとしているネットワーク100に既に加入している第2のノード110aをリッスンする。ネットワーク100における様々なノード110aの中から第2のノード110aを選択するために、加入途上ノード110bによって、当該技術において既知の様々な機構が使用されてもよい。
【0042】
ブロック410において、加入途上ノード110bは加入時刻130を決定する。加入時刻130は、加入途上ノード110bがネットワーク100に加入するために関連付け要求140を送信する時刻である。いくつかの実施例では、例えば、加入途上ノード110bは、加入ウィンドウ内における時刻をランダムに選択することで加入時刻130を決定する。ここで、加入ウィンドウは、予め決められた長さ、例えば15分間にわたって延在する時間期間である。加入ウィンドウは、ネットワーク100に加入する加入途上ノードの試行の開始部を表す時刻に開始してもよい。例えば、限定としてではなく、加入ウィンドウは、加入途上ノード110bが第2のノード110aをリッスンし始めるとき、又は、加入時刻130が選択されようとしているとき、開始してもよい。概して、加入ウィンドウは、加入時刻130を所定の時間フレーム、具体的には、加入ウィンドウの時間フレームに限定することを可能にし、加入ウィンドウ内において加入時刻130をランダム化することで、複数の加入ノード110bのる加入時間130を拡散させる。例えば、複数のノード110は、特にネットワーク形成中に、同時にネットワーク100に加入しようとしてもよい。これらの複数ノード110が、同じ又は同様の時刻にネットワーク100に加入しようとすること及び予め決められた同じ加入ウィンドウ長を利用することに起因して、同じ又は同様の加入ウィンドウを有する場合であっても、ランダム化された加入時間130を使用することで、複数のノード110の各加入時間130を拡散させる。
【0043】
いくつかの実施例では、加入途上ノード110bのための加入ウィンドウの開始部は固定される。しかしながら、加入ウィンドウの長さは、本願において説明するように、ネットワーク輻輳に基づいて動的であってもよい。ブロック410において決定された加入時刻130は、ネットワーク輻輳に基づいて変更されうる初期加入時刻130であってもよい。
【0044】
ブロック415において、加入途上ノード110bは、第2のノード110aから、埋め込まれた輻輳変数125を有するビーコン120を受信する。
図3の方法300に関して前述したように、ビーコン120における輻輳変数125は、ネットワーク100における輻輳のレベルを示してもよい。いくつかの実施例では、第2のノード110aは、必要に応じて輻輳変数125の値を更新又は通過させるために、
図3の方法300又は同様の方法を実行している。
【0045】
ブロック420において、加入途上ノード110bは、輻輳変数125を読み取って、ネットワーク100が1つ又は複数のアップストリームノード110に従って輻輳しているか否かを識別する。具体的には、例えば、輻輳変数125が設定される(例えば、輻輳が存在することを示す1の値又は他の値を有する)場合、加入途上ノード110bは、ネットワーク100がアップストリームノード110に従って輻輳していることを識別してもよく、輻輳変数125が設定されない(例えば、輻輳が存在しないことを示すもう1つの値のゼロの値を有する)場合、加入途上ノード110bは、ネットワーク100がアップストリームノード110に従って輻輳していないことを識別してもよい。
【0046】
ブロック425において、加入途上ノード110bは、部分的に輻輳変数125に基づいて加入時刻130を調整することで、加入時刻130を更新する。例えば、輻輳変数125が輻輳の存在を示す場合、加入時刻130は増大されてもよく(すなわち遅延される)、輻輳変数125が輻輳なしを示す場合、加入時刻130は減少されてもよい(すなわち早められる)。例えば、調整の後、更新された加入時刻130は、下記のパラメータのうちの1つ又は複数に基づいてもよい:現在設定されている加入時刻130、輻輳変数125、加入途上ノード110bによって観察された輻輳変数125が最後に変化してからの経過時間、及び、もしあれば、加入途上ノード110bがネットワーク100に加入しようとして既に行った失敗した試行回数。加入時刻130が、第1のビーコン120と、加入途上ノード110bによって読み取られた第1の輻輳変数125とに基づいて調整されている場合、経過時間は、ゼロに設定されてもよく、又は、単に考慮されなくてもよい。
【0047】
加入時刻130を調整するために様々な機構が使用されてもよい。例えば、限定としてではなく、ネットワーク100が輻輳しているとみなされる場合、加入時刻130、すなわちJは最大加入時刻JMの方に調整されてもよく、ネットワーク100が輻輳していないとみなされる場合、加入時刻130は最小加入時刻Jmの方に調整されてもよい。調整の決定は、加入途上ノード110bがネットワーク100における異なる輻輳状態を観察してからの(すなわち、輻輳変数125において異なる値を有するビーコン120を受信してからの)経過時間にさらに基づいてもよい。例えば、調整された加入時刻J2は、既存の加入時刻J1と、加入途上ノード110bが輻輳変数125における異なる値を観察してからの経過時間(例えば秒を単位とする)と、下記の輻輳変数Cとに基づいて計算されてもよい。
【0048】
C=0かつt>tminである場合、J2=αJ1+βJM
C=1かつt>tminである場合、J2=αJ1+βJm
さもなければ、J2=J1
【0049】
上記において、J1及びJ2の両方は、加入ウィンドウの開始部からの時間として表される。さらに、上記において、最小加入時刻Jmは、いくつかの実施例ではゼロであってもよく、その場合には、最小加入時刻は加入ウィンドウの開始部である。スカラーα及びβは、α+β=1のような調整係数であってもよく、この場合、これらの調整係数は、しきい値時刻を満たした後で加入時刻130がどの程度積極的に増大又は減少されるかを決定する。
【0050】
加入時刻130を更新する特定のこの機構は、例示の目的のみで提供されることが理解されるであろう。輻輳変数125として0及び1以外の値が使用される場合、それに応じて上述の式が変更されてもよいことはさらに理解されるであろう。例えば、上述の式の「C=0」において、0の値は、輻輳が存在しないことを示す任意の値で置き換えられてもよく、「C=1」において、1の値は、輻輳の存在を示す任意の値で置き換えられてもよい。
【0051】
決定ブロック430において、加入途上ノード110bは、加入時刻130に達したか否か、又は、より具体的には、現在時刻が調整された加入時刻130に等しい又は超過したか否かを決定する。加入時刻130に達していない場合、方法400はブロック415に戻り、第2のノード110aからの追加のビーコン120を待機する。しかしながら、加入時刻130に達した場合、ブロック435において、加入途上ノード110bは、ネットワーク100に加入するための関連付け要求140を第2のノード110aに送信する。加入時刻130が過去の時刻にすでに更新されている場合、同様に、加入途上ノード110bは、関連付け要求140の送信に進んでもよい。言いかえると、現在時刻が少なくとも加入時刻130である場合、加入途上ノード110bは関連付け要求140を送信してもよい。関連付け要求140に従って、加入途上ノード110b及び第2のノード110aは、加入途上ノード110bをネットワーク100に組み込むために、1つ又は複数の追加のメッセージを交換してもよい。
【0052】
決定ブロック430はブロック425の後に現れるが、加入途上ノード110bのいくつかの実施例は、加入時刻130を調整した後にのみチェックするのではなく、方法400の全体にわたって加入時刻130に達したか否かを周期的にチェックすることが理解されるであろう。加入途上ノード110bが、加入時刻130に達したことを決定した場合、加入途上ノード110bは関連付け要求140を送信してもよい。
【0053】
したがって、本願において説明したように、いくつかの実施例では、ネットワーク100に加入された各ノード110は、ネットワークにおける輻輳を広告し、ここで、そのような広告は、輻輳の表示及びその欠如の間で急速な反転を繰り返すことを回避するように調整されてもよい。さらに、ネットワーク100に加入しようとする各ノード110は、輻輳の表示を含むビーコン120について、潜在的な親ノード110をリッスンする。輻輳のその表示に基づいて、そのような各ノード110は、様々なノード110の加入時間130をランダム化させたままにするが、さらに、受信された輻輳の表示に基づいて拡散又は圧縮するように、その加入時刻130を動的に更新する。
【0054】
特許請求の範囲に記載された主題についての詳細な理解を提供するために、本明細書において多数の特定の詳細事項を述べている。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲に記載された主題がこれらの特定の詳細事項なしで実施されてもよいことを理解するであろう。他の例では、特許請求の範囲に記載された主題を不明瞭にしないように、通常の技術を有する者によって知られるであろう方法、装置、又はシステムについては詳述していない。
【0055】
本願において説明した特徴は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。計算装置は、1つ又は複数の入力を条件とした結果を提供する構成要素からなる任意の適切な装置を含んでもよい。適切な計算装置は、格納されたソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリ上に格納されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的のマイクロプロセッサに基づくコンピュータシステムを含み、このソフトウェアは、汎用の計算装置から本願の主題の1つ又は複数の態様を実装する特別な計算装置になるように計算システムをプログラミング又は構成する。計算装置のプログラミング又は構成に使用されるソフトウェアにおいて、本願に含まれる開示内容を実装するために、任意の適切なプログラミング、スクリプティング、他のタイプの言語、又は言語の組み合わせが使用されてもよい。
【0056】
本願において開示した方法の態様は、そのような計算装置の動作において実行されてもよい。上述の実施例において提示したブロックの順序は変更されてもよく、例えば、ブロックが並べかえられてもよく、組み合わされてもよく、又はサブブロックに分割されてもよい。所定の複数のブロック又は複数の処理を並列に実行してもよい。
【0057】
本願における「~ように適応化される」又は「~ように構成される」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適応化又は構成された装置を除外しない、オープンかつ包括的な用語を意図している。さらに、「~に基づく」の使用は、記載された1つ又は複数の条件又は値「に基づく」処理、ステップ、計算、又は他の動作が、実際に、記載したものを越える追加の条件又は値に基づいてもよいという点で、オープンかつ包括的であることを意図している。本願に含まれた見出し、リスト、及び番号は、説明の簡単化のみを目的とし、限定を意図していない。
【0058】
本願の主題をその特定の態様に関して詳述したが、当業者は、上述したことを理解することにより、そのような態様の変更、変形、及び等価物を容易に作成しうることが認識されるであろう。従って、本開示が限定ではなく例示の目的で提示され、当業者に容易に明らかになるように、本願の主題に係るそのような変更、変形、及び/又は追加を含むことを除外しないことは理解されるべきである。
【国際調査報告】