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特表2022-551995細胞外マトリックス足場中の単層細胞パッチ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】細胞外マトリックス足場中の単層細胞パッチ
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/077 20100101AFI20221207BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20221207BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20221207BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20221207BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20221207BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20221207BHJP
【FI】
C12N5/077
A61L27/24
A61L27/22
A61L27/18
A61L27/38
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522932
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 US2020056327
(87)【国際公開番号】W WO2021077084
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/973,695
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】591236068
【氏名又は名称】カーネギー-メロン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】CARNEGIE-MELLON UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ファインバーグ,アダム ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】シムコ,レイチェル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C081
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC02
4B029GB09
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BC46
4B065CA44
4C081AB11
4C081BA12
4C081BA13
4C081CA271
4C081CD111
4C081CD121
4C081CD171
4C081CD34
4C081DA02
4C081EA06
(57)【要約】
細胞の微細組織カプセル化の方法は、組織足場スタンプを細胞外マトリックス化合物でコーティングすることを含む。方法は、組織足場スタンプを熱応答性基質に置くことと、組織足場スタンプに細胞培養物を播種することとを含む。細胞培養物は、細胞外マトリックス化合物に結合する細胞パッチを形成する。組織足場スタンプ上の単層の境界は細胞間結合のための発現を維持し、ここで、単層の細胞間結合は張力を発現するように構成される。方法は、熱応答性基質を除去することを含む。方法は、溶媒中に微細組織を懸濁させることによって微細組織構造を折り畳むことを含む。折り畳まれた微細組織構造を溶媒から回収し、生体に投与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の微細組織カプセル化の方法であって、
組織足場スタンプを細胞外マトリックス化合物でコーティングすることと、
前記組織足場スタンプを熱応答性基質上に置くことと、
前記組織足場スタンプに細胞培養物を播種することと、
前記細胞培養物を、指定される温度で、前記組織足場スタンプ上でインキュベートすることであって、前記細胞培養物が、前記細胞外マトリックス化合物に結合する細胞パッチを形成する、インキュベートすることと、
前記細胞パッチによって、前記組織足場スタンプ上に単層を形成し、前記単層の境界が、細胞間結合の発現を維持することと、
前記熱応答性基質を除去することと、
前記組織足場スタンプを前記細胞パッチから除去して、前記細胞パッチ周囲に微細組織構造を形成することと、
前記微細組織を溶媒中に懸濁させることによって前記微細組織構造を折り畳むことと、
前記折り畳まれた微細組織構造を溶媒から回収することと、
前記折り畳まれた微細組織構造を生体へ投与することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記組織足場を管構造に形成することと、
前記組織足場の管構造に基づいて管形状を含む細胞パッチを形成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞パッチが、血管の断片を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抗体を前記細胞パッチに添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
微細組織構造を生体へ投与することが、前記微細組織構造を注入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞パッチが角膜内皮細胞を含み、前記方法が、
前記細胞パッチを角膜に導入することと、
重力を利用して前記細胞パッチと前記角膜との接触を確保することと
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記微細組織構造のサイズが、前記組織足場スタンプのサイズに比例し、前記微細組織構造のサイズが、注射装置の直径の一部である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記組織足場スタンプが有機ケイ素化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有機ケイ素化合物がポリジメチルシロキサンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞外マトリックス化合物が、コラーゲンIV、ラミニン、線維芽細胞成長因子タンパク質、および血管内皮成長因子タンパク質のうちの1つまたは複数を含むタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組織足場スタンプの配置が、前記組織足場スタンプを前記熱応答性基質上にプリンティングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記熱応答性基質がPIPAAmポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組織足場スタンプが、規則的な形状を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記組織足場スタンプが、250μm未満またはそれにほぼ等しい表面寸法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞パッチが10~100個の細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
細胞パッチ中にある細胞間結合の発現および細胞の細胞骨格を維持する細胞単層を含む細胞パッチと、
前記細胞パッチ周囲に折り畳まれた微細組織構造であって、細胞パッチと外部環境との間に物的障壁を設けるように構成された細胞外マトリックスを含む微細組織構造と
を含むシステム。
【請求項17】
前記細胞外マトリックスが、コラーゲンIV、ラミニン、線維芽細胞成長因子タンパク質、および血管内皮成長因子タンパク質のうちの1つまたは複数を含むタンパク質を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記微細組織構造が管構造を形成する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記単層が細胞10~100個を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記細胞パッチが筋組織を含み、成長因子を前記細胞外マトリックスに添加して筋組織の血管内部成長を促進する、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月18日に出願された米国特許出願シリアル番号第62/973,695号についての米国特許法第119条(e)による優先権を主張するものである。
【0002】
政府の権利
本発明は、アメリカ国立衛生研究所から授与された認可番号1RO1EY024642-01A1の政府支援を用いて行われた。連邦政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
本開示は、微細組織の形成、および生体への微細組織の適用に関する。
【背景技術】
【0004】
細胞を患者へ投与することは、多くの疾患に有望な療法になってきた。しかしながら、単一細胞懸濁液中でデリバリーされた細胞は、修復部位に注入された直後に死ぬことが多く、単一細胞が、損傷したまたは不全の何百万もの細胞から構成される臓器および組織を適切に修復したかも不明である。細胞注射療法の現在の方法は、細胞構造および表現型に変化を与える単一細胞懸濁液中への細胞の酵素放出を用いることを含む。加えて、注入された単一細胞は、物理的注射プロセスから生じるストレスと所望の組織への結合不足との組合せにより、注射直後に死ぬことが多い。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、小型無傷細胞パッチ(例えば、微細組織)の形成および患者の身体への微細組織の適用を可能にする。これらの微細組織を、細胞パッチが培養される基質(例えば、細胞外マトリックスタンパク質足場(ECM))から熱放出させることは、細胞がその構造および表現型を維持するのを可能にし、デリバリー後、細胞に損傷した組織を修復させる。細胞外マトリックスは、培養細胞パッチ(例えば、細胞の単層)を囲み、身体へのデリバリープロセスの物理的ストレスから細胞パッチを保護するように構成される。また、ECMは、細胞パッチの所望の標的組織への結合(例えば、組織の修復のために)を促進する結合部位も提供する。
【0006】
ECMは、インビボで細胞パッチに望ましい微環境を再現する封入材料を含むことができる。例えば、ECMは、天然ECMと同様の密度、構造、および/または組成になるように構成され、これらの細胞はインビボで囲まれる。ECMは、インビボで存在するものとより厳密に一致する特有の微環境をもたらし、したがって細胞挙動を調整する能力を改善する。
【0007】
細胞パッチは、細胞単層を含むことができる。単層は、細胞パッチ中の細胞間密着結合のための細胞発現を含むように形成される。比較的大型の基質および長時間の培養時間(例えば、約24時間)は、密着結合の形成を可能にする。これらの結合は、一般的にインビボで生じ、投与時に細胞パッチがより容易に組織内に受容されることを可能にする。
【0008】
収縮包装された単層は、以下の利点の1つ又は複数を提供する。細胞を足場から放出させる酵素ベースの手法とは対照的に、細胞の生物学的特徴は、インビボ投与用に維持される。細胞は、単層中のその表現型(例えば、密着結合)を維持する。細胞は、上皮(empithelium)のパッチを形成し、かつ/または細胞投与のために維持されうる細胞骨格を構築する。例えば、さまざまな状況において(例えば、心臓、角膜において、または肺修復のために)インビボで導入されるとき、細胞は、後述するように、容易に組織内に取り込まれる。具体的には、細胞間結合は維持される。
【0009】
後述するように、細胞パッチを疾患の治療のために使用することができる。例えば、細胞単層を使用して角膜修復を実施することができる。心臓修復を実施することができる。一部の実施態様では、肺修復を実施することができる。
【0010】
後述するように、単層は、単一細胞の手法に関する他の利点をもたらす。例えば、内皮および/または上皮は、細胞投与のための障壁である。投与される細胞単層は泡沫細胞パッチであるため、内皮はパッチを取り込ませる。一部の実施態様では、細胞パッチは、細胞のドームとして結合し、平らになり、経時的に内皮と一体化する。加えて、単層細胞は、パッチから他の内皮へ移動するが、これは個々の細胞が適用されるときには起こらない。個々の細胞は結合しにくい。したがって単層は、単一細胞に比べて生存率が高くなる。細胞間結合は、細胞シグナリングに影響を与えて細胞接着をこのやり方で促進することができ、細胞表現型が維持され、生存率が高くなる。
【0011】
一部の実施態様では、細胞追加材料を細胞外マトリックスに添加してパターニングを促進する。例えば、特定の位置にデリバリーする(例えば、標的デリバリー)ために抗体を添加することができる。一部の実施態様では、収縮包装されるマトリックスに成長因子(例えば、筋細胞にはpbGF)を添加することができる。これは、例えば、筋細胞に必要な血管内部成長を強化することができる。一部の実施態様では、この手法は、バリデーションのための標識化を含む。例えば、細胞追跡因子(例えば、細胞質染料)を使用することができる。
【0012】
一部の実施態様では、異なる形状の足場が可能である。正方形に加えて、管が産生してチューブが生成されうる。これは、血管の断片および/または内皮細胞の連鎖の成長を促進することができる。一部の実施態様では、異なる種類の収縮包装された細胞を混合することが可能である。
【0013】
収縮包装した細胞を使用してさまざまな病気の治療が可能である。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載するものには、低細胞密度による角膜失明に罹患している患者に細胞を注入することが含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載するものには、既存の内皮を除去する必要なく細胞密度を増加することができるミクロ単層の注入が含まれる。
【0014】
一部の実施形態において、本明細書に記載するものには、密度によって進行する角膜失明の軽減を助ける必要がある小口径を通って注入されうる角膜内皮細胞ミクロ単層の統合が含まれる。
【0015】
一部の実施形態において、本明細書に記載するものには、細胞外マトリックス収縮包装細胞(SHELL)技術によって作製できる細胞集合体の配列が含まれるが、該技術において、熱放出に際して、細胞集合体はその細胞間結合を維持することができ、注射針を通って組織内に注入されるのに十分小さなサイズに収縮できる。
【0016】
一部の実施形態において、本明細書に記載するものには、注射後に注射を受けた眼を休ませ、細胞集合体が角膜内皮に取り込ませることを要するインビボ注入プロセスが含まれる。一部の実施形態において、本明細書に記載するものには、単層中の細胞の維持を助けることができ、単層中の細胞の細胞骨格を維持でき、その細胞間結合と共に統合を改善できる、細胞外マトリックスSHELL足場の合成が含まれる。
【0017】
一態様では、細胞の微細組織カプセル化の方法は、組織足場スタンプを細胞外マトリックス化合物でコーティングすることを含む。方法は、組織足場スタンプを熱応答性基質に置くことを含む。方法は、組織足場スタンプに細胞培養物を播種することを含む。方法は、指定される温度で組織足場スタンプ上の細胞培養物をインキュベートすることを含み、ここで、細胞培養物は、細胞外マトリックス化合物に結合する細胞パッチを形成する。方法は、細胞パッチによって、単層の境界が細胞間結合のための発現を維持する組織足場スタンプ上に単層を形成することを含む。方法は、熱応答性基質を除去することを含む。方法は、組織足場スタンプを細胞パッチから除去して、細胞パッチ周囲に微細組織構造を形成することを含む。方法は、微細組織を溶媒中に懸濁させることによって微細組織構造を折り畳むことを含む。方法は、折り畳まれた微細組織構造を溶媒から回収することを含む。方法は、折り畳まれた微細組織構造を生体に投与することを含む。
【0018】
一部の実施態様では、方法は、組織足場を管構造に形成することを含む。一部の実施態様では、方法は、組織足場の管構造に基づいて管形状を成す細胞パッチを形成することを含む。
【0019】
一部の実施態様では、細胞パッチは、血管の断片を含む。一部の実施態様では、方法は、抗体を細胞パッチに添加することを含む。一部の実施態様では、微細組織構造を生体に投与することは、微細組織構造を注入することを含む。一部の実施態様では、細胞パッチは、角膜内皮細胞を含む。方法は、細胞パッチを角膜に導入し、重力を利用して細胞パッチと角膜との接触を確保することを含む。
【0020】
一部の実施態様では、微細組織構造のサイズは、組織足場スタンプのサイズに比例し、ここで、微細組織構造のサイズは、注射装置の直径の一部である。一部の実施態様では、組織足場スタンプは、有機ケイ素化合物を含む。一部の実施態様では、有機ケイ素化合物は、ポリジメチルシロキサンを含む。一部の実施態様では、細胞外マトリックス化合物は、コラーゲンIV、ラミニン、線維芽細胞成長因子タンパク質、および血管内皮成長因子タンパク質のうちの1つまたは複数を含むタンパク質を含む。
【0021】
一部の実施態様では、組織足場スタンプの配置は、組織足場スタンプを熱応答性基質上にプリントすることを含む。一部の実施態様では、熱応答性基質は、PIPAAmポリマーを含む。一部の実施態様では、組織足場スタンプは、規則的な形状を形成する。一部の実施態様では、組織足場スタンプは、250μm未満またはほぼ同等の表面寸法を含む。一部の実施態様では、細胞パッチは、10~100個の細胞を含む。
【0022】
一般的態様において、システムは、細胞パッチ中にある細胞間結合のための発現および細胞の細胞骨格を維持する細胞単層を含む細胞パッチを含む。システムは、細胞パッチ周囲で折り畳まれた微細組織構造であって、細胞パッチと外部環境との間に物的障壁を設けるように構成された細胞外マトリックスを含む微細組織構造を含む。
【0023】
一部の実施態様では、細胞外マトリックスは、コラーゲンIV、ラミニン、線維芽細胞成長因子タンパク質、および血管内皮成長因子タンパク質のうちの1つまたは複数を含むタンパク質を含む。一部の実施態様では、微細組織構造は、管構造を形成する。一部の実施態様では、単層は、細胞10~100個を含む。一部の実施態様では、細胞パッチは筋組織を含む。一部の実施態様では、成長因子を細胞外マトリックスに加えて、筋組織の血管内部成長を促進する。
【0024】
これらのシステムおよび方法の1つまたは複数の実施形態の詳細を、添付の図面および提示する説明の中で記述する。これらのシステムおよび方法のその他の特徴、目的、および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1A~Bは、細胞外マトリックスカプセル化の方法を示す。
図2-8】図2~8は、細管足場を使用した細胞外マトリックスカプセル化の画像を示す。
図9-14】図9~14は、単層角膜内皮細胞培養物のための細胞外マトリックスカプセル化の画像およびグラフを示す。
図15図15は、細胞外マトリックスカプセル化および投与の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に記載の細胞外マトリックス(ECM)は、放出時に折り畳む幾何学的形状の配列を含む。例えば、ECMは、長さおよび幅にマイクロメートルの寸法ならびに厚さにナノメートルの寸法を有する1つまたは複数のパターン化された形状を形成することができる。いくつかの例では、配列中の幾何学的形状は、2D微細組織、特に細胞単層の形成を可能にする細胞を培養するために使用できる細胞外マトリックスタンパク質を含む。次いで、これらの微細組織は、それらが形成されたら、基質から放出されうる。一部の実施態様では、微細組織は、熱的に放出される。放出時、これらの微細組織は、ECMが培養細胞周囲に外層を形成するように自発的に折り畳み、培養細胞は、その微細組織構造および表現型を保持する。次いで、折り畳まれた微細組織を、例えば、注射針を通しての注射によって投与して、組織を修正または置き換えることができる。微細組織は、インビボおよびインビトロの応用例である。例えば、微細組織は、小口径の針を通って注射されうる角膜内皮細胞微細組織の形成を助ける。
【0027】
本明細書に記載の方法およびシステムは、注射後に細胞が高い生存能力、細胞間結合、および細胞骨格構造を維持することを可能にし、同時に細胞に、細胞接着を促進することができる細胞-ECM相互作用をももたらすECMタンパク質の薄層中のマイクロ単層細胞パッチ(例えば、μ単層)のカプセル化を含む。インビトロでの結果は、CE細胞が改変ECM基質上に単層を形成し、24時間以内に密着結合を構築し、組織化されたF-アクチン細胞骨格構造を形成したことを確認し、該組織化されたF-アクチン細胞骨格構造は、熱放出および注射プロセスを通じて保たれていた。酵素的に放出された単一細胞と比較した場合、注入された収縮包装μ単層は、後述するように、CE単層密度を顕著に増加する。
【0028】
加えて、収縮包装μ単層は、インビトロ単層およびエクスビボ角膜の両方に3時間以内に結合され、記載のカプセル化方法が、単一細胞CE注入の臨床治験で最近使用されているプロトコルを用いて適用されうることを示す。例えば、健常なウサギの眼を利用するインビボのウサギ研究は、多数の収縮包装μ単層が健常CEに取り込まれたことを示した。一般的に、若年の健常ウサギCE中の細胞は、接触阻止され、極度に高い密度にある。したがって、収縮包装μ単層が、そのような組織内で一体化できた場合、非常に低い細胞密度での損傷または罹患CEへの取り込みが非常に高い割合で生じる。
【0029】
一般的に、ECMはタンパク質、グリコサミノグリカンおよび他の生体分子の線維ネットワークを含む。ECMは、例えば、構造支柱、成長因子隔離、接着および機械的シグナリングのネットワーク、ならびに他の多数の機能を与える細胞周囲の骨格を形成する。ECMは、微細組織の培養細胞の機能に好適な環境またはニッチとして機能することができる。例えば、成体幹細胞ニッチは、幹細胞の多能性状態の維持を助ける特異ECMタンパク質構造、組成物、支持細胞集団ならびに一組の可溶性および不溶性シグナリング分子を含む。ECMは、天然ECMではなく、人工的に製造されたタンパク質基質である。ECMタンパク質の選択は、以下でさらに詳述するように、製造される細胞培養物に基づいて選択される。
【0030】
いくつかの例では、2D培養細胞は、典型的には、ECMタンパク質でプレコーティングされたまたは媒体中に補給される血清に含まれるECMタンパク質でコーティングされた硬組織培養処置ポリスチレン(TCPS)上で成長する。そのようなECMタンパク質が、細胞のTCPSへの接着および後続する増殖を可能にする一方で、多くの初代細胞タイプは、上皮間葉転換(EMT)を経るような老化により表現型が変化するようになる前に限られた時間だけ通過できる。合成および/または天然ヒドロゲルを使用する3D培養は、化学力学的環境を変えてインビボ条件をより良好に再現することによって、これらの制限のうちのいくつかを対処することができ、広範囲の細胞タイプの培養に有効だった。しかしながら、これらのヒドロゲルは、典型的には構造が等方性であり、基底膜などのECM富化構造を再現せず、インビボ環境における錯体とは典型的に異なる組成(例えば、コラーゲン、フィブリン、マトリゲル、PEG)を有する。さらに、2Dまたは3Dのいずれにおいても、これらの細胞の通過は、細胞-マトリックスおよび細胞-細胞の接着を分裂させて単一細胞懸濁液を生成する酵素およびカルシウムキレート剤の使用を要することが多い。再度播種したとき、細胞は、細胞が置かれる新しい環境内に細胞マトリックスおよび細胞間接着を再構築するためにエネルギーを消費しなければならない。ECMは、(i)天然ECM構造をより良好に疑似する所定のECM中に細胞をカプセル化し、(ii)細胞-マトリックス間および細胞間接着を最小限に分裂することによって、インビボで見出される細胞微環境を疑似するように構成される。
【0031】
化学力学的微環境を調整するために細胞を少なくとも部分的にカプセル化するために使用できるECMナノ足場が形成される。表面開始集合体(SIA)の適応を用いて、組織化ECMタンパク質の明確なナノ足場を自立構造に形成する。これらのECMナノ足場の放出前に細胞を接着することによって、細胞を、組織化タンパク質マトリックス層中にカプセル化(例えば、収縮包装)する。一部の実施態様では、ECMナノ足場は、約75μmの横寸法および約50nmの厚さの細胞規模のサイズで改変する。一部の実施態様では、SIA手法を用いて、天然細胞周囲マトリックスの主要タンパク質組成を表すフィブロネクチン(FN)、ラミニン(LAM)、フィブリノゲン(FIB)およびコラーゲンタイプIV(Col IV)のうちの1つまたは複数を含む所定のECM中にさまざまな細胞タイプをカプセル化することができる。長期目標は、これらのECMナノ足場およびカプセル化方法が、梗塞を起こした心筋層に見られるような他の点で罹患したマトリックス環境における細胞の生存および機能の統合を助けることによって治療用細胞の送達を強化することである。
【0032】
ECMナノ足場は、いずれの接着細胞タイプと共に使用することができ、PDMSスタンプ上でインキュベートする前に、細胞表面マーカー用の抗体をECMタンパク質溶液中で混合する場合、非接着細胞にさえも及びうる。例えば、細胞タイプには、接着細胞タイプを含む肝細胞を挙げることができる。例えば、細胞タイプには、非接着細胞タイプであるキラーT細胞を挙げることができ、ECM中で細胞表面マーカー抗体と合わせられる。これらの細胞タイプは、コラーゲンI、コラーゲンIV、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、およびミクロ接触プリンティングされうる任意のECMタンパク質と共に使用することができる。
【0033】
図1Aは、収縮包装および注射注入する角膜内皮カプセル化細胞パッチ(例えば、細胞単層)用の例示的方法100を示す。表面開始アセンブリー技術を用いて、熱応答性ポリマーPIPAAm上で200マイクロメートル(μm)×200μm×5ナノメートル(nm)のECM足場を改変する。次いで、試料および細胞を40℃に加熱した後、正方形の上に細胞を播種し、約24時間培養する。約24時間後、試料を温かい媒体ですすぎ、室温まで冷却して、PIPAAmの溶解および細胞パッチ(例えば、角膜内皮細胞)のミクロンサイズの単層の収縮包装/放出を引き起こす。
【0034】
方法100は、以下の各実施形態のために実施することができる。
【0035】
ECM足場の生成
ECM足場を、細かい変更(例えば、収縮包装紙)を加えた前述の表面開始アセンブリーを介して生成した。簡単に言えば、200μm×200μmの平方形の特徴を有するように設計された1センチメートル(cm)×1cmのPDMSスタンプを、標準ソフトリソグラフィー技術によって作製した。スタンプを50%のエタノール中で60分間超音波処理し、窒素流の下で乾燥し、工程110に示すように、50μg/mLのコラーゲンIV(COL4)および50μg/mLのラミニン(LAM)の50:50混合物と共に60分間インキュベートした。50%のAlexaFluor488標識化COL4または50%のAlexaFluor633標識化LAMのいずれかを使用してタンパク質を視覚化した。インキュベーション後、スタンプを滅菌水ですすぎ、窒素流の下で乾燥し、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)(2%高分子量、Sceintific Polymers)がコーティングされた25mmのガラスカバースリップと30分間等角接触させて、工程120に示すように正方形の移動を確保した。PDMSカバースリップ上にミクロ接触プリンティングされたECM正方形を対照として使用した。スタンプの除去時、レーザー走査共焦点顕微鏡法を使用して、移動させたECM正方形の質を決定した(Nikon AZI00)。
【0036】
実施形態例:ウシ角膜内皮細胞培養物
ウシ角膜内皮細胞(BCEC)を単離し、前述のとおりに培養した(ref EBMおよび膨張紙)。簡単に言うと、角膜を眼球(Pel Freez)から摘出し、400μLのTrypLE Expressを有するセラミック製12ウェルスポットプレート中で内皮側を上にして20分間インキュベートした。次いで細胞を、ゴム製スパチュラを使用して角膜から慎重に擦り取り、1500RPMで5分間遠心分離し、5mLの培地(POで指定され、50kPaのPDMSでコーティングされたT-25フラスコ(COL4でプレコーティングされた)中で培養した10%のFBS、1%のPen/Strep/AmphBおよび0.5%のゲンタマイシンを有する低グルコースDMEM)中で再懸濁した。眼球50個を一度に入手し、5個のT-25フラスコに播種するために使用した。細胞をコンフルエントになるまで培養し、P2のコンフルエントで一度に使用されるまで1:3に分割した。
【0037】
ECM足場中の収縮包装BCECμ単層
パターニングされたカバースリップ(25mm)を、35mmのペトリ皿の底に真空グリースで固定し、これを52℃に設定した乾燥ブロック上に置いた。これにより、カバースリップは(30分以内に)40℃に達し保持される。ウシCECを、TrypLE Expressを有する培養フラスコから放出し、遠心分離し、15mLの遠心分離管中、細胞150,000個/mLの密度で再懸濁した。管を45℃に設定した乾燥ブロック中に約5分間、または細胞溶液が40℃にちょうど達するまで置き、2mLの細胞懸濁液を各35mm皿に添加した後、即座にインキュベーター(37℃、5%CO2)中に入れた。細胞を正方形の上で24時間培養して、200μmの正方形上に小さな単層を形成させた。24時間後、インキュベーターから試料を取り出し、37℃の媒体で2回すすぎ、2mLの新鮮な温かい媒体を加え、試料を室温まで冷却させた。温度が32℃未満まで低下したら、PIPAAmが溶解し、足場+μ単層を放出した。放出工程はPhotometrics CoolSnap cameraを使用して記録された。放出後、足場+μ単層を、さらなる実験で使用する前に150rpmで5分間遠心分離することによって回収した。PDMSカバースリップ上に播種したCECを対照として使用した。
【0038】
収縮包装BCECの免疫染色:Ca2およびMg2(PBS++)を含有するPBS中に再懸濁させた収縮包装μ単層を、小口径の針を通してガラスカバースリップ上に注入し、約15分間定着させ、その後、4%のパラホルムアルデヒド(PBS++)中で15分間固定した。試料をPBS++で2回慎重に洗浄し、DAPI1:100希釈液、マウス抗-ZO-1抗体(Life Technologies)の1:100希釈液およびAlexaFluor488の3:200希釈液と共にインキュベートした。試料をPBS++で2回、5分間すすぎ、AlexaFluor555ヤギ抗マウス二次抗体の1:100希釈液と共に約2時間インキュベートした。試料をPBS++で2回、5分間すすぎ、Pro-Long Gold Antifade(Life Technologies)を有するガラススライド上に乗せ、次いでZeiss LSM700共焦点顕微鏡で画像化した。
【0039】
収縮包装BCEC注射後の生存率
遠心分離後、収縮包装μ単層またはTrypLE Express放出単一細胞を200μLの培養基中で再懸濁し、280針に引き入れ、ペトリ皿中に注入し、PBS++中の2μMのカルセインAMおよび4μMのEthD-1(Live/Dead Viability/Cytoxicity Kit、Life Technologies)と共に37℃で30分間インキュベートした。30分後、試料をZeiss LSM700共焦点顕微鏡で画像化し、一試料当たり5枚の画像および一タイプ当たり3個の試料を使用した。生存細胞および死滅細胞の数を手動で計数した。生存細胞の数を死滅細胞で割り、ECM足場包装細胞と酵素的に放出された細胞の両方の%生存率を決定した。
【0040】
間質模倣体上の収縮包装BCECおよび単BCECの播種
自己圧縮コラーゲンI膜を前述のとおりに調製した。簡単に言うと、6mg/mLのコラーゲンIゲル溶液を製造業者の指示にしたがって調製し、ガラスカバースリップの上部の直径9mmのシリコーン環型中にピペット注入した。ゲルを湿潤インキュベーター(37℃、5%CO2)中に3時間入れて、それ自体の重量下で圧縮した。次いでゲルをバイオフード中で完全に乾燥した後、PBS中で再水和し、極薄コラーゲンI間質模倣体を形成した。収縮-w包装BCECμ単層を、スタンプしたカバースリップとコラーゲンI膜の1:1比で膜上に播種した。対照として、フラスコ中で培養したBCECおよびTrypLE Expressを使用して単一細胞懸濁液中に酵素的に放出されたBCECを、コラーゲンI膜上に播種した。最良のシナリオ事例として全ての正方形が全単層を有していた場合、播種した対照細胞の数は、1つのスタンプECM足場試料から播種されたと考えられる細胞の数と等しかった。200μmの正方形を占める細胞の平均数は30個であり、したがって、1スタンプ当たり細胞30個×1600正方形であり、1試料当たり細胞約48,000個を意味する。したがって、1試料当たり細胞50,000個を対照に播種した。6時間および24時間の時点で、試料を培地から取り除き、固定し、核ZO-1(密着結合タンパク質)およびF-アクチンのために染色した。
【0041】
簡単に言うと、試料をPBS++で2回すすぎ、0.05%Triton-X100と共に4%のパラホルムアルデヒド(PBS++中)中で15分間固定した。試料をPBS++で5分間、2回すすぎ、5滴のNucBlue(Life Technologies)を用いて10分間インキュベートした。試料をPBS++で1回すすぎ、マウス抗-ZO-1抗体(Life Technologies)の1:100希釈液およびAlexaFluor488または633ファロイジンの3:200希釈液を用いて2時間インキュベートした。試料をPBS++で5分間、3回すすぎ、AlexaFluor555ヤギ抗マウス二次抗体の1:100希釈液を用いて2時間インキュベートした。試料をPBS++で5分間、3回すすぎ、Pro-Long Gold Anti-fadeを使用してガラススライド上に乗せ、Zeiss LSM700共焦点顕微鏡で画像化した。
【0042】
収縮包装CEC対ウシ単CECのインビトロ統合
低密度老化CEを模倣するために、25,000PSウシ細胞を上記のコラーゲンI間質模倣体上にコンフルエントになるまで播種し、「老齢」単層を形成した。収縮包装μ単層および単BCECを前述のとおりに調製し、CellTracker緑色(Life Technologies)で30分間標識化し、遠心分離し、細胞50,000個/試料と同等に希釈し、「老齢」単層上に注射した。頂部に細胞が注入されない「老齢」単層は対照として機能した。試料を、上述のとおりに3、7および14日目に染色されて固定した。Zeiss LSM700共焦点を使用して各試料上に10個の無作為なスポットを撮像し、細胞密度を手動で計数した(例えば、細胞核)。核の数を画像領域で割り、1画像当たりの細胞/mm2を得た。各画像の細胞密度を平均することによって各試料の細胞密度を決定し、3または4つの試料の細胞密度を平均することによって各試料タイプの平均細胞密度を決定した。収縮包装μ単層の経時的な外部成長を調べるために、中心の共焦点像および個々の収縮包装μ単層(3日目、n=33、7日目、n=37、14日目、n=40)を回収し、CellTrackerチャネルを二値黒白画像に変換した。次いで各試料タイプの二値画像をZスタックに変換し、Heat MapによってZスタックプラグイン(log10なしの相対値)を介して分析してCellTrackerの平均画素密度を決定した。
【0043】
収縮包装ウシCECのインビトロ統合のライブイメージング
ライブイメージングのために、コラーゲンI間質模倣体上の「老齢」単層を先ずCellTracker橙色を用いて30分間インキュベートして、既存の単層と上述のようにCellTracker緑色で標識化した注入細胞との間を識別した。10%FBS、1%Pen/Strepを有するHEPE緩衝Opti-MEM I Reduced Serum Media(Life Technologies)を単層に添加し、上述のように調製した収縮包装μ単層を30G針に通して試料の頂部に注射した。試料を、37℃に設定した温度チャンバを備えたZeiss LSM700共焦点上に30分間置いて、細胞を定着させた。Definite Focusシステムを使用して、一zスタックのタイムラプスシリーズを48時間の間、毎時間得た。
【0044】
ウサギCEC単離、培養および収縮包装
ウサギの眼球をPel Freez Biologicalsから氷上で受け取った。角膜を眼球から摘出し、CEおよびデスメ膜を手動で鉗子を用いて剥き、Dispase(1U/mL、Stem Cell Technologies)中で1.5時間、37℃でインキュベートし、デスメ膜からウサギCE細胞(RCEC)を外した。次いでRCECをピペットで慎重に上下し、培地(DMEM/Fl2、10%FBS、0.5%Pen/Strep)中で希釈し、1500RPMで5分間遠心分離し、10mLの培地中で再懸濁し、POで指定し、細胞収率に応じてフラスコ1個当たり15~25個の眼に相当するCOL4コーティングされたT-25フラスコを培養した。RCECをコンフルエントになるまで培養し、1:2に分割し、P1またはP2でコンフルエントになったら全ての実験で使用した。RCECμ単層を上述のとおりに以下の修正を加えて収縮包装した:ECM足場(同じ1cm×1cmのPDMSスタンプを使用)を18mmのガラスカバースリップ上にスタンプし、過剰の播種領域を有することを回避し、コンフルエントに達したら細胞約50,000個/試料の完全被覆率を依然として実現するように一試料当たりに播種される必要のある細胞の数を減らした。カバースリップを真空グリースによってNunc IVF中心ウェル皿(内径20mmのウェル)の底に固定し、細胞を細胞150,000個/mLで再懸濁し、1mLのRCECを一試料ごとに播種した。
【0045】
収縮包装ウサギCECのエクスビボ統合
ウサギの眼球3個を12ウェルプレート中に角膜を上にして入れた。収縮包装RCECμ単層を上述のとおりに調製した。エクスビボの眼当たりに2つのμ単層の試料を調製し、100μLのDMEM/Fl2中に再懸濁した。30-Gインスリン用注射筒を使用して全100μLを引き上げ、前眼房中で見えるようになるまで針を角膜の中心に挿入し、50μLの懸濁液を注入した。これにより、細胞50,000個に相当する細胞が前眼房中に注入された。針を所定の位置で数秒間保持して媒体および細胞が注射部位の外に戻らないことを確保した。注射は、実体立体顕微鏡の下で見て、前眼房に充填される媒体のピンク色は目で見ることができ、成功裏の注射を示す。眼を反転させ、角膜を下にして、加湿インキュベーター中の5%CO2下、37℃で3時間インキュベートした。3時間後、眼球を、4℃で24時間、2%のパラホルムアルデヒド(PBS++)中に置いた。24時間後、眼をPBSですすぎ、角膜を摘出し、5分間、3回すすいだ。次いで角膜を、CE面を下にして、2滴のNucBlue(Life Technologies)、マウス抗ZO-1抗体(Life Technologies)の2:100希釈液およびAlexaFluor488ファロイジン(Life Technologies)の3:200希釈液を含有する1mLのPBS++上で、室温にて2時間インキュベートした。次いで角膜をPBS中で5分間、3回すすぎ、その後、AlexaFluor555ヤギ抗マウス二次抗体の2:100希釈液を有する1mLのPBS++上で2時間インキュベートし、Zeiss LSM700共焦点で画像化する前にPBS中で保存した。
【0046】
収縮包装CECのインビボ注射および統合
収縮包装RCECμ単層を、1つの細かな修正を加えて上述のとおりに調製した:5μLのVybrant DiOを有する媒体1mL中で細胞を30分間インキュベートした後、新鮮な媒体で3回、10分間のすすぎを行うことによってECMナノ足場上に播種する前日に、細胞をVybrant DiOで標識化した。注射用に十分な用量を確保するために過剰数のμ単層試料を調製した(16)。収縮包装μ単層を放出し、合計300μLで1.5mL微小遠心管の1本の管の中で再懸濁させた。体重が約2.5kgの健常な無傷CEを有するニュージーランドホワイト系ウサギ雌3羽を、この試験に使用した。ウサギをケタミン(40mg/kg)およびキシラジン(4mg/kg)で麻酔した後、イソフルオレンを用いてウサギを3時間鎮静作用下に維持した。ウサギ番号1を50μL(細胞約100,000個)で右眼(OD)に注射した。ウサギ番号2は、先ず100μLで右眼に注射したが、ほとんどの容量が角膜の外へ戻り、そのため追加の50μLを第2の位置へ注射し、全ての細胞が成功裏に前眼房中に留まった場合、約300,000の細胞が注入されるようにした。ウサギ番号3は、通常の右眼より小さかったため、左眼に100μLまたは細胞約200,000個を注射した。注射の直後、各ウサギを、注射した側の眼を下に向けて3時間置き、細胞の定着を確保した。7日目に、ウサギをケタミン(40mg/kg)およびキシラジン(4mg/kg)の筋肉注射により麻酔し、次いで390mg/mLのペントバルビタールナトリウム、50mg/mLのフェニトインナトリウムを含有するユーサゾル(Euthasol)溶液(1mL/1.8lbs)で耳静脈注射により安楽死させた。眼を即座に除核し、100μLの2%パラホルムアルデヒド(PBS++)を硝子体内注射した。
【0047】
次いで眼球を2%のパラホルムアルデヒド(PBS++)中に浸漬し、4℃で24時間固定した。24時間後、眼をPBSですすぎ、角膜を摘出し、5分間で3回すすいだ。次いで角膜を、CEを下に向けて、2滴のNucBlue(Life Technologies)およびマウス抗ZO-1抗体(Life Technologies)の2:100希釈液を含有する1mLのPBS++上で2時間、室温にてインキュベートした。次いで角膜を5分間、PBS中で3回すすぎ、その後、AlexaFluor555ヤギ抗マウス二次抗体の2:100希釈液を有する1mLのPBS++上で2時間インキュベートし、Zeiss LSM700共焦点で画像化する前にPBS中で保存した。
【0048】
実施形態例:心臓組織の細管ECM構造
一態様において、細管内皮部分は、PIPAAm(感熱性ポリマー)上のマイクロパターン化フィブロネクチン長方形上で内皮細胞を培養することによって生成される。PIPAAmの溶解後、細管部分が放出され、これを培養心臓組織内に取り入れて原始血管網を作製することができる。フィブロネクチン長方形は、PIPAAm上にスタンプされる。内皮細胞は、3つの異なるスタンプパターン上に播種され、異なる播種密度で長方形上にコンフルエント単層を形成する。熱制御を利用して内皮細管をPIPAAm表面から放出する。
【0049】
細管内皮部分は、心臓血管疾患(CVD)の治療のために構成されている。CVDは、大きな世界的懸念であり、世界中で主要な死因である。CVDとしては、心筋梗塞、心不全、および先天性心臓欠損が挙げられ、身体全体の組織への血液の供給を行う心臓の能力低下につながりうる。組織工学における近年の進歩により、胚幹細胞または人工多能性幹細胞由来の心筋細胞と組み合わせて線維芽細胞から三次元心臓組織が作製された。これらの培養心臓組織は、心臓の損傷部位を「パッチ」するために潜在的に使用されうる。しかしながら、心臓は、線維芽細胞および心筋細胞に加えて、複数の細胞型が存在する極度に複雑な臓器である。本明細書に記載の細胞パッチは、血管組織の供給を提供するように構成されている。
【0050】
図1Bは、内皮細管部分を形成するための方法105を示す。内皮細管部分は、三次元で生成され、培養心臓コンストラクトに取り入れることができる。これは、損傷した心臓を修復する能力をより高く有しうる成長可能な組織工学によって作製された移植片のサイズを拡大させると考えられる。最も有効な3D内皮細管部分を作製するためのマイクロパターン化された長方形の寸法およびHUVECの濃度は、下記のように決定した。フィブロネクチン長方形を、感熱性ポリマーであるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)上にマイクロパターン化した。次いで内皮細胞を、これらのフィブロネクチン長方形上で培養し、組織血管系に見られる重要な細胞間結合成分である密着結合を形成させた。次いでフィブロネクチンおよび内皮細胞からなる細管部分を、PIPAAm溶解後に放出した。
【0051】
図1Bに示すように、工程115で、PEMSスタンプを標識化フィブロネクチン中でコーティングし、次いで乾燥する。工程125で、PDMSスタンプを、スタンプ側を下にしてPIPAAmコーティングガラスカバースリップ上に置き、ECMコーティングされたスタンプを接合させる。工程135で、スタンプを除去した後にHUVECをカバースリップ上に播種し、37℃で24時間接着させる。工程145で、室温の媒体をカバースリップに添加し、感熱性PIPAAmを溶解させる。工程155で、ECM長方形が放出され、細胞周囲に包装される。これらの各工程については、引き続き、詳述していく。
【0052】
ガラスカバースリップ上へのPDMSおよびPIPAAmのスピンコーティング
ガラスカバースリップを50%v/vエタノール溶液中で超音波処理して一切の微粒子を除去した。次いで窒素スプレーガンを使用してカバースリップを乾燥し、大型ペトリ皿に入れた。これらのカバースリップをスピンコーティングするために使用したPDMSは、1:10比のSylgard 184と硬化剤を使用することによって調製した。次いで、この溶液を均一になるまで混合し、真空チャンバに入れ、45分間消泡した。次いで200μLのPDMS液滴をカバースリップの中心に位置し、カバースリップをスピンコータに加えた。カバースリップを2000rpmで2分間スピンコーティングした。PDMSでコーティングされたカバースリップを摂氏65℃で4時間硬化した。完了したら、カバースリップを、さらに使用するまで保存した。
【0053】
HUVECの培養
HUVECを液体窒素室から取り出し、水浴中で解凍させ、10mLの培養基と合わせ、ペレットに沈降させ、次いで吸引しさらに培養基と合わせて10細胞/mLの濃度に達させた。次いで細胞を、細胞5000個/cmの濃度で175cmのフラスコ中へ配分した。細胞が約80%のコンフルエントに達するまで(この時点で実験に使用した)、培地を一日おきに入れ替えた。
【0054】
フィブロネクチンを使用したコーティングカバースリップ上へのスタンプ
先ず50μg/mLの非標識化フィブロネクチン溶液を作製することによってフィブロネクチンを調製した。これは、3.8mLの脱イオン水と0.2mLの1mg/mL非標識化フィブロネクチンとを合わせることによって行った。ここから、900μLの50μg/mL非標識化フィブロネクチン溶液、92.5μLの脱イオン水、および7.5μLの667μg/mL標識化633-フィブロネクチンを合わせることによって10%の標識化フィブロネクチン溶液を作製した。
【0055】
PDMSスタンプを、50%エタノール溶液および50%蒸留水/脱イオン水で充填されたビーカーに添加した。このビーカーを超音波発生装置に、少なくとも30分間入れた。次いで滅菌ピンセットを使用してスタンプを個別に拾い上げ、窒素ガンを使用して乾燥した。次いでスタンプを滅菌ペトリ皿に入れ、フィブロネクチンのコーティングを待った。次いで工程115に示すように、300μLのフィブロネクチン溶液を、スタンプを上に向けた各PDMSスタンプ上にピペット注入した。ピペットを使用して、PDMSスタンプの四隅全範囲にフィブロネクチンを広げ、少なくとも1時間スタンプをコーティングさせた。
【0056】
この1時間の終わり近くで、PDMSでコーティングされたカバースリップを、蓋をクリーナー内部の皿の下に位置して、UVOクリーナーに15分間入れた。15分後すぐに、ペトリ皿をバイオフード中に入れ、滅菌を維持した。ピンセットを使用して、各カバースリップを、6ウェル培養プレートのそれ自体のウェル中に入れた。
【0057】
PDMSスタンプを脱イオン水の皿の中で個別にかき混ぜることによって洗浄し、次いで別の脱イオン水の皿の中でさらにもう1回洗浄した。次いで、窒素ガンを使用してスタンプを乾燥し、次いで、工程125に示すように、良好な接触を確保するために第2の鉗子ペアを使用して、スタンプを、スタンプ面を下にして、PDMSでコーティングされたカバースリップ上にひっくり返した。スタンプを軽くたたいてカバースリップとの良好な接触を確保した。次いで移したパターンが壊れないようにねじらずに、スタンプをカバースリップから持ち上げた。次いで保存目的のために、カバースリップを1X PBS中に浸漬した。
【0058】
PIPAAmでコーティングされたカバースリップをスタンプするプロトコルは、上記プロトコルとは特定の工程においてのみ異なる。これは、UVO処置中にペトリ皿の蓋を取ることと、保存目的でPBSを使用しないこととを含む。一般的に、スタンプは、少なくとも45分間から最長24時間までカバースリップ上に残す。
【0059】
PDMSスタンプカバースリップ上への播種
工程135に示すように、スタンプしたカバースリップのPBSを吸引し、次いで細胞150,000個/cm、細胞300,000個/cm、および細胞450,000個/cmのHUVEC濃度で播種した。
【0060】
PIPAAmスタンプカバースリップ上への播種
一態様において、工程135で、ヒートブロックを70%のエタノールでスプレーし、バイオフードに入れた。左側を摂氏52℃に、右側を摂氏45℃に設定した。スタンプPIPAAmカバースリップを、真空グリースを使用してそれ自体のペトリ皿の底に固定した。次いでペトリ皿をヒートブロックの左側に置いた。各カバースリップは2mLの流体を必要とする。意図した実験細胞濃縮物を15mLの管に加え、約5分間または摂氏38~40℃の温度が達成されるまでヒートブロックの右側に配置した。カバースリップは、摂氏38~40℃の温度に達した。次いで2mLの細胞溶液を各カバースリップに添加し、即座にインキュベーターに入れて、PIPAAmを尚早に溶解させると考えられる一切の温度低下を防止した。
【0061】
基質を熱放出して内皮細管を形成する
工程145で、PIPAAmは、顕微鏡下で室温の培地を皿に加えるプロセスを通して熱放出された。培地を吸引して細胞を固定し、カルシウムおよびマグネシウムを有する1X PBSで洗浄し、さらにもう1回吸引して細胞が吸引されないことを確認し、次いでフード中で4%のホルムアルデヒドを添加し、30分待ち、この時点で、溶液を注意深く吸引し、細胞を1xPBS中に浸漬し、次いで保存する。
【0062】
カバースリップは一次ZO-1抗体(5:200比)であり、次いで1x PBSで3回(間に30分刻みの時間が入る)洗浄した。次いでカバースリップをDAPI(1:100比)、488ファロイジン(3:200比)、および二次ヤギ抗マウス555(5:200比)で染色した。ZO-1抗体は、細胞間の密着結合のために染色する。これらの密着結合は、細胞のコンフルエントの程度が高い指標であり、内皮細管部分の形成において重要である。
【0063】
図2を参照して、画像200a~cは、以下の寸法を有するPDMSコーティングされたカバースリップ上にスタンプされたフィブロネクチンを示す。画像200a中、寸法は、200×10μm長方形を含む。画像200b中、寸法は、200×20μm長方形を含む。画像200c中、寸法は、200×30μm長方形を含む。これらの各画像のスケールバーは50μmである。これらの例は、マイクロパターン化フィブロネクチン長方形をPIPAAm基質上に正確にパターン化することが可能であることを示す。
【0064】
図3は、異なる細胞濃度で200×10μmのスタンプPDMSコーティングされたカバースリップに播種されたHUVECの画像300a~cを示す。画像300aは、細胞150,000個/cmの濃度を示す。画像300bは、細胞300,000個/cmの濃度を示す。画像300cは、細胞450,000個/cmの濃度を示す。ここで、各画像のスケールバーは500μmである。一般的に、異なる播種濃度のヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)を使用して、マイクロパターン化フィブロネクチン長方形に結合して24時間以内にその上にコンフルエント単層を作製する内皮細胞の能力を評価した。HUVECの播種濃度が増加するに従い、長方形間の間隙を埋める内皮細胞が増加した。これは、長方形が10μmの短距離(200×10μmのパターン)のみによって分離されたスタンプで特に顕著だった。しかしながら、より高い細胞濃度により、長方形は区別ができなくなり、200×10μmの長方形は、高濃度のHUVECで播種するには密集し過ぎであることを示す。
【0065】
図4は、異なる細胞濃度で200×20μmのスタンプPDMSコーティングされたカバースリップに播種されたHUVECの画像400a~cを示す。画像400aは、細胞150,000個/cmの濃度を示す。画像400bは、細胞300,000個/cmの濃度を示す。画像400cは、細胞450,000個/cmの濃度を示す。画像400a~c中、スケールバーは500μmである。画像300a~cとは対照的に、細胞濃度の増加に従い、隣接する長方形間により多くのスペース(200×20μm)を有するが、重なりは最小限であり、長方形はその区別可能な形状を維持する。細胞は非常にコンフルエントであり、これは、インビボでの微小血管系の内膜の有効化を助けるアスペクトである。
【0066】
図5A~5Cのそれぞれは、異なる細胞濃度で200×10μmのスタンプPDMSコーティングされたカバースリップに播種されたHUVECの共焦点像500a~cを示す。図5Aの画像500aは、細胞150,000個/cmの細胞濃度を示す。図5Bの画像500bは、細胞300,000個/cmの細胞濃度を示す。図5Cは、細胞450,000個/cmの細胞濃度を示す。カバースリップを、密着結合の染色のために、DAPI(青色)、ファロイジン(緑色)、およびZO1-抗体(赤色)で染色した。スタンプフィブロネクチンは、画像500aおよび500c中でより暗い色度(例えば、マゼンタ)で見ることができる。各画像500a~c中、スケールバーは50μmである。
【0067】
前述したように、密着結合は、組織血管系中の内皮細胞間に存在する重要な結合成分である。密着結合が、マイクロパターン化長方形上に播種されたHUVEC中に存在するかを決定するために、ZO-1を標的とする抗体を使用する。この抗体は、密着結合のマーカーである。図5Aの画像500aに示すように、最低の播種密度を有する試料において、非常に低いレベルのZO-1が観察された。これは、低密度の播種試料中の低い細胞間接触に起因する。細胞境界間の密着結合は、図5Bの画像500b中の高密度単層中で容易に識別できる。「一次抗体なし」の対照は、ZO-1密着結合に対する抗体の特異性を実証するために図5Cの画像500cに示す。画像500c中の染色している密着結合の欠乏は、染色しているZO-1抗体が画像500b中で有効だったことを示す。
【0068】
図6A~6Bは、異なる細胞濃度で200×20μmのスタンプPDMSコーティングされたカバースリップに播種されたHUVECの共焦点像600a~bを示す。図6Aの画像600aは、細胞150,000個/cmの細胞濃度を示す。図6Bの画像600bは、細胞450,000個/cmの細胞濃度を示す。カバースリップを、密着結合の染色のために、DAPI(青色)、ファロイジン(緑色)、およびZO1-抗体(赤色)で染色した。各画像600a~b中、スケールバーは50μmである。画像600a~bの両方の濃度のHUVECは非常にコンフルエントである。これは、染色している密着結合の高い存在率によってみることができる。細胞濃度の増加にもかかわらず、細胞は依然としてその明確な長方形のパターニングを維持することができる。
【0069】
図7は、細胞300,000個/cmの細胞濃度でコーティングされた200×20μmのスタンプPDMS上に播種されたHUVECの放出前および放出後の時間帯を表す画像700a~fを示す。マイクロパターン化長方形上に播種されたHUVECが放出されうるかを試験するために、本発明者らは、200×20μmの長方形をPIPAAmコーティングされたカバースリップ上にパターン化し、その上にHUVECを播種した。HUVECを放出する前に、長方形上に播種されたHUVECは、高いコンフルエント度およびマイクロパターン化長方形への特異的結合を実証した。各画像700a~fは、同じカバースリップを表す。画像700a~f中、スケールバーは500μmである。画像700aで見られるように、長方形の角は全て、輪郭がはっきりしており、フィブロネクチンスタンプの完全なコーティングの観点から播種がいかに効果的であったかを示す。画像700c~f中のPIPAAm放出後、HUVECは、その個々のパターンを維持することができ、カーリングの兆候を示し、三次元において円筒様部分を形成できたことが示唆しうる。
【0070】
図8は、放出され、染色され、画像化された、細胞300,000個/cmの細胞濃度で200×20μmのスタンプPDMSコーティングされたカバースリップ上に播種されたHUVECの画像800a~dを示す。各画像800a~dは、同じカバースリップを表す。カバースリップをDAPI(暗)、ファロイジン(明)で染色した。画像800a~cは、10×倍率で撮影する。画像800dは、20×倍率で撮影する。各画像のスケールバーは50μmである。放出された細管部分の共焦点像は、放出された長方形は、その個々の部分を維持し、管状構造を形成することを示す。これらの構造は、各画像800a~dにおいて若干内側にカールするように見える。
【0071】
一態様において、前述の画像に基づいて、最適な細胞濃度の例は、細胞約300,000個/cmである。一般的に、細胞450,000個/cmは、3つ全てのマイクロパターン化寸法において高過ぎた。200×20μmのマイクロパターン化長方形は、マイクロパターン化長方形からはみ出して伸展する傾向にある200×10μmのサイズに比べて最もコンフルエントな細胞を有する。
【0072】
実施形態例:角膜内皮細胞の包装μ単層
CEは、角膜後面に並ぶ細胞の単層であり、過剰の流体を間質から前房へ送り出すことによって適度な角膜の厚さおよび透明度の維持に関与する。CEの細胞は、細胞周期のGI期で停止され、したがって疾患、外傷、または正常な老化による損傷を修復するために複製できない。結果として、細胞が死滅したとき、残りの細胞は肥大化して単層の統合およびポンプ機能を維持し、細胞密度が低下するようになる。細胞密度が細胞約500個/ミリメートル(mm)未満に低下すると、CEはもはや適切な機能を果たすことができなくなり、過剰の流体が角膜実質中に蓄積し、結果として角膜失明になる。CEの構造(細胞単層)、機能(障壁/流体ポンピング)、および位置(前房に隣接)は、より複雑な組織と比べて細胞注射療法にとって理想的な標的にする。さらに、動物モデルおよび臨床試験は、CE修復のための前房への注入が、細胞保持の欠乏、生存能力およびCEへの統合に悩まされ、所望の結果を達成するために、多数の細胞およびROCK阻害物質Y-27632などの小分子の注入を必要とすることを示した。しかしながら、特にCE細胞の細胞間結合および細胞骨格構造が、接触抑制を通して成熟した非増殖性単層状態の細胞シグナリング、機能および維持に必要とされることが示されたため、最良の結果でもその再生能力が限定される。
【0073】
この実施形態は、図1Aに関して記述されたカプセル化の方法によるナノメートル厚のECM足場中のCE細胞(CEC)のミクロン規模の単層の収縮包装(例えば、カプセル化)を記載している。収縮包装に際して、ミクロン規模の単層(μ単層)は、細胞間結合および細胞骨格構造を有する、よく組織化された単層細胞シートを維持しながら、300ゲージの針に通して注射するのに十分小さなサイズまで収縮する。インビトロで、収縮包装μ単層は、単一細胞のカプセル化に比べて既存の単層の細胞密度を顕著に増加する。
【0074】
この記述は、収縮包装μ単層をインビボでウサギの眼の前房に注入し、細胞密度を増加するためのCEへのインビボ統合を実証する実験結果を説明している。実験は、ECM足場中の収縮包装CECμ単層が、注射後の細胞の細胞骨格構造、密着結合および生存能力を維持することを示した。
【0075】
CECの単層をミクロン規模の寸法で改変するために(μ単層)、ナノメートル厚のECM足場中の収縮包装単一細胞(SHELLと呼ぶ)に修正を加えた。ここで、表面開始アセンブリー技術によってポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)上にパターン化した正方形の寸法は、サイズが約200μm×200μmまで増える。足場のサイズ拡大は、より多くの細胞が各足場に接着するのを可能にする。正方形上の細胞の24時間までの培養時間は、約24時間まで延長される。PIPAAmが熱応答性であるため、播種プロセス中に試料および細胞を40℃まで加熱して、PIPAAmが溶解しないようにした。
【0076】
図9を参照して、培養細胞単層の例を示す。対照として、画像900aに示すように、同じサイズの足場をPDMS上にミクロ接触プリンティングした。CECは、PDMS上(対照として使用した)および熱応答性ポリマーPIPAAm上にミクロ接触プリンティングしたECM正方形上に単層を形成する。PIPAAmが溶解したら、CEC単層は収縮し、ECM正方形中で収縮包装される。24時間後、PIPAAm上に作られたECM足場上で培養されたウシCEC(BCEC)μ単層は、位相差顕微鏡下で見たとき、PDMS上に作られたECM足場上で培養されたものと同様の形態を示した。
【0077】
画像900bは、試料が室温まで冷却したら即座に100秒未満でCECの放出および収縮包装が生じることを示す。PIPAAmの溶解および熱放出に際して、μ単層は元の状態のままであり、ECM正方形の中で成功裏に収縮包装された。放出されたら、収縮包装されたμ単層を回収し、遠心分離し、280針に通して注射し、30分間定着させた後、μ単層中のBCECの構造を調べるために固定および染色を行った。画像900cでみられるように、収縮包装BCECは、境界における連続Z0-1および皮質F-アクチン構造を示し、細胞が、放出プロセスを通して密着結合および細胞骨格構造を維持していたことを示した。共焦点顕微鏡画像は、注射後、CECが細胞骨格構造(F-アクチン)および密着結合(Z0-1)の両方を維持することを示す。
【0078】
画像900dは、弛緩し始めて元の形状に戻る様子を例示する、注射の30分後の収縮包装CEC単層の3D投影を含む。画像900dは、放出後、収縮包装μ単層が弛緩し始め、注射から約30分後に工学的正方形様構造に戻ることを示す。注射後のμ単層中の細胞の生存率を、生存/死滅細胞毒性分析を用いて検査し、酵素的に放出された単一細胞と比較した。画像900eは、対照の単CECの代表的な生存/死滅画像を示し、収縮包装CECは、両タイプの細胞が生存可能で、存在する死滅細胞は非常に少ないことを示す。共焦点顕微鏡画像は、収縮w-包装μ単層試料中の死滅細胞のみが、μ単層に統合されなかった個々の細胞だったことを示した。
【0079】
生存/死滅データ(n=3)を、スチューデントt-検定を用いて統計的に比較し、単一細胞と28G針に通して注射した収縮包装細胞との間で生存率に有意な差は観察されず、両タイプとも90%を超える生存率を示した。画像900fは、定量化が、単CECが93%超の生存率を有し、収縮包装細胞(μ単層中に統合されていない細胞を含む)が97%超の生存率を有していたことを決定したことを示す。
【0080】
収縮包装μ単層は、単CECと比較して異なる成長特性を示す。細胞注射療法における収縮包装μ単層の潜在的使用を評価するために、主にコラーゲンIである剥離間質に結合して増殖すると考えられるかを決定した。単CECおよび収縮包装μ単層は両方とも、剥離間質模倣体として機能する圧縮コラーゲンIゲル上に注射した。試料を定着させ、注射の6および24時間後に染色して、細胞構造および外部成長を観察した。
【0081】
図10を参照して、画像1000aに示すように、注射の6時間後に、単CECは大部分が円形であり、観察された伸展は非常に少なかった。F-アクチンの染色は、細胞の細胞骨格へのフィラメント様構造物の欠乏を示した。加えて、ZO-1は観察されなかった。対照的に、収縮包装μ単層由来のCECは、細胞境界のF-アクチンフィラメントおよび連続ZO-1発現(1000aの2つの下の画像)からも明らかなように、その細胞骨格構造および密着結合を維持していた。より具体的には、コラーゲンIゲル上に再度播種して6時間後、CECは、ECM足場から成長しながら、Z0-1発現およびF-アクチン細胞骨格を維持した。収縮包装CECの周囲の細胞もZ0-1を発現する。対照的に、単CECは、F-アクチン細胞骨格またはZ0-1発現を確立しなかった。
【0082】
画像1000bは、単CEC(上の画像)および包装単層(下の画像)の比較を示す。播種から6時間後の細胞の3D図は、単CECと収縮包装CECとの間の違いを示す。3Dの試料を調べることにより、単CECが非常に丸く、細胞間の相互作用が非常に少ないのに対し、収縮包装μ単層は、間質模倣体に直接結合されていた細胞の中心に存在するECM足場と共に反転する(1000b、下)ことが確認された。24時間後、単CECは、ほとんどの間質模倣体を被覆し、多くのF-アクチンが細胞体全体の繊維にストレスをかける6時間目のCECと比較してより画定された細胞骨格構造を有していた。画像1000cは、24時間の時点で、単CECは伸展し始め、ほぼ足場全体を被覆したことを示す。24時間の時点で、CECは既にECM足場から成長し、ほぼ完全な単層を形成した。画像1000d中、核は暗色(陰影付き青色)であり、Z0-1は明色(陰影付き赤色)であり、COL4は陰影付きマゼンタであり、F-アクチンは陰影付き緑色である。スケールバーは50μmであるが、例外として直交図では、スケールバーは20μmである。単CECは、細胞境界に非常に僅かな不連続ZO-1を示した。対照的に、収縮包装μ単層は、画像1000dに示すように、全ての細胞境界における連続ZO-1と、インビボCECの構造に酷似している皮質F-アクチン細胞骨格と、を有していた。ECM足場は、画像1000d中の矢印によって示すように、24時間後でも見ることができた(右の画像)。
【0083】
収縮包装μ単層は、CE単層に統合し、インビボで密度を増加する。多くの患者は、疾患ではなく低い細胞密度によって生じる障害のため、角膜移植を必要とし、したがって細胞の注射から恩恵を受けて完全な移植なしで細胞密度をブーストすることができる。したがって、収縮包装CECの既存のCE単層中への統合を実施する。低密度CE単層は、以前の実験で使用したコラーゲンIゲル間質模倣体上に後期継代BCECを播種することによって形成した。次いで収縮包装μ単層または同等数の単CECを、300針に通してコンフルエントCE単層に注射した。単一細胞およびμ単層の両方の注射に使用したCECをCellTracker緑色で標識化し、注射後の細胞と、対照として機能する、いずれの細胞とも注射しなかったCE単層と、を追跡した。注射から3、7および14日後に、試料を定着させ、染色し、分析した。これらのデータ点それぞれの画像を図11Aに格子1100aで示す。各時点で、非常に少ない単CECが既存の単層中に統合されうる。3日目で、統合された収縮包装μ単層は、CE単層由来の細胞と比較して非常に高密度に充填されているように見え、依然としてこれらにいくつかの3D構造を有していた。7日目まで、収縮包装μ単層は、単層中に完全に統合されたが、μ単層由来のCellTracker陽性細胞は、既存の単層由来のものより小さく現れた。画像400aを標識化して、対照細胞、単一細胞、および包装細胞を示す。14日目に、収縮包装μ単層は、既存の単層由来の細胞と同等のサイズにここで見えてきて、単層の統合および密度平衡が達成されたことを示す。CellTrackerで標識化された単一細胞および収縮包装細胞は、各時点で目に見えた。しかしながら、かなり多くの収縮包装細胞が各時点で存在し、ECM足場は、注射から14日後でも依然として目に見えた。
【0084】
各時点で統合する収縮包装μ単層の共焦点画像は、ヒートマップ表記を用いて定量化した。各統合μ単層のCellTrackerシグナルの平均画素密度を算出し、結果を画像1100bに示すヒートマップ中に表示する。これらのヒートマップは、先ず収縮包装CECμ単層が、経時的に伸展する高密度に充填されたクラスター中に統合されるという観察を確認する。CellTrackerで標識化された収縮包装細胞が占める領域のヒートマップは、14日間にわたって、先ず細胞が密着クラスター中に統合し、次いで細胞が少しずつ伸展していくに従って密度が平衡化し始めることを示す。例えば、3日目では、数は33であり、7日目では、数は37であり、14日目では、数は40である。
【0085】
収縮包装μ単層がCE単層の細胞密度を増加したかを定量化するために、共焦点像を得、一画像当たりの核を計数し、各時点での各試料タイプの画像領域で割ることによって細胞密度を決定した。一試料当たり10個の画像を計数して一試料当たりの平均を得、3個または4個のいずれかの個々の試料から一試料タイプ当たりの平均を算出し、結果をグラフ1100cに示す。3日目に、収縮包装μ単層が統合されたCE単層(1731±267細胞/mm2)は、対照(1016±75細胞/mm2)に比べてかなり高い細胞密度を有していたが、単CECが統合されたCE単層(1253±31細胞/mm2)と比較すると有意な差はなかった。7日目には、収縮包装μ単層が統合されたCE単層(1631±58細胞/mm2)は、対照(989±11細胞/mm2)と単CECが統合された単層(1220±56細胞/mm2)の両方に比べてかなり高い密度を有していた。同様に、14日目に、収縮包装μ単層が統合されたCE単層(1545±95細胞/mm2)は、対照(994±104細胞/mm2)と単CECが統合された単層(1224±66細胞/mm2)の両方に比べてかなり高い密度を有していた。収縮包装試料で観察された3日目の細胞密度における大きな標準偏差は、7日目および14日目には減少し、共焦点像およびヒートマップから定量的に割り出した観察をさらに裏付けた。この継続する統合および平衡化も、3日目から14日目までの細胞密度に認められる低下を説明するが、ここで、細胞密度全体は必ずしも低下するわけではなく、CE単層全体にわたってより均一になるだけである。
【0086】
これらの長期の結果は有用であるが、患者の顔を3時間下にしたままにする単一細胞注射のために臨床的に用いた方法が、収縮包装μ単層の注入に十分であると考えられるかを決定するために、収縮包装CECの短期統合を理解することも重要だった。図11Bの画像1100dは、収縮包装CECの既存単層中への統合のライブ共焦点像由来のタイムラプス画像を示す。3時間で、細胞が結合し、統合し始め、43時間までに細胞がほぼ完全に単層中に統合される。収縮包装μ単層の統合のライブ共焦点像は、収縮包装細胞をCellTracker緑色で標識化し、CE単層中の細胞をCellTracker橙色で標識化することによって撮像した。Z-スタックは48時間の間、毎時間収集し、タイムラプスビデオは補助的ビデオS1で見る。注射から3時間後、収縮包装μ単層は、結合し始め、CE単層の頂部で平らになった。CE単層細胞は、48時間にわたって移動し続け、収縮包装μ単層を統合させた。43時間まで、収縮包装μ単層は、ほぼ完全にCE単層中に統合される。また、このビデオは、収縮包装μ単層中の細胞が、早期時点で、CE単層細胞に比べて非常に高密度に充填されているという以前の結果も確認した。収縮包装μ単層は、3時間以内にエクスビボのウサギ角膜中への統合を開始する。インビトロのライブ像の結果は、患者が3時間、顔を下にして横たわることが、注射後に収縮包装μ単層が統合するために十分な時間量であると考えられることを示唆するが、インビトロのCE単層は潜在的に、インビボCEと比較して、注入された細胞を移動して取り込むための能力がより高い。
【0087】
インビボ試験に移行する前にこれらの結果を確認するための次の工程として、収縮包装ウサギμ単層を、エクスビボのウサギの前眼房に注射し、角膜を下に向けた眼を3時間インキュベートし、その後、眼球を定着させた。定着後、角膜を摘出し、勢いよく3回すすいで全ての未結合細胞を除去し、Z0-1、F-アクチンおよび核のために染色した。角膜の共焦点像は、角膜全体にわたって結合された多数の収縮包装μ単層を示した。収縮包装μ単層は、図12の画像1200に示すように、依然として丸く、中心にECM足場と共に集まっていた。共焦点像は、収縮包装細胞が、エクスビボCEに統合し始めたことを示し、ECM足場が、収縮包装細胞と既存の単層との間にあることが観察される。縦線および横線は、直交図が得られた位置を示す。
【0088】
図13は、インビボの健常なウサギCEに統合された収縮包装μ単層の結果を示す。患者のCE細胞密度を増加するために収縮包装μ単層を使用する実現可能性を試験するために、3羽のニュージーランドホワイトウサギの健常な眼を使用する試験を実施した。DiOで標識化した収縮包装μ単層を、各ウサギの片眼の前房に注入した。注射した眼の側を下に向けてウサギを3時間置き、収縮包装μ単層を統合させた。次いでウサギを7日間観察した後、屠殺し、除核した。7日目に、3羽のウサギ全ての注射した眼は、透明のままであり、炎症または腫れの外的兆候は見られなかった。画像1300aは、7日目のウサギの眼の写真であり、角膜は健常かつ透明のままだったことを示す。除核後、2%のパラホルムアルデヒド(PBS++)の注射を介して眼を前房中に定着させ、眼球を2%のパラホルムアルデヒド(PBS++)中に24時間浸漬した後、Z0-1および核を介して密着結合について染色した。共焦点顕微鏡画像は、DiOで標識化された細胞が、3羽のウサギ全ての注射された眼内に存在したことを示し、広域タイルスキャンは、角膜全体に統合された収縮包装μ単層の多数のクラスターを示した。画像1300bは、広域タイルスキャンされた共焦点像は、注射から7日後に、DiO(緑色)標識化された収縮包装細胞を有する多くの領域が依然として角膜内に存在することを示す。より高倍率の画像は、収縮包装μ単層の細胞が、健常ウサギCEとしっくり統合し、Z0-1がDiO標識化細胞と天然ウサギCECとの間の全ての細胞境界に連続的に存在することを示した。画像1300cは、四角によってハイライトされ、DiO標識化された収縮包装細胞が健常ウサギCE中に統合され、収縮包装CECと天然CECとの間に連続密着結合(Z0-1)を示すことを示す1300bの領域を拡大表示した画像を示す。ECM足場も、矢印で示すように依然として可視であり、収縮包装CECは、CEの上の細胞を有さない単層と同じ面にあり、途切れのない統合を示す。ECM足場は依然として可視であり、収縮包装μ単層が統合し、インビボのウサギCEの一部になったというさらなる証拠を与えている。
【0089】
図14は、収縮包装CECが健常ウサギ角膜内皮中に統合されその中で局部密度を増加することを例示する画像1400a~cおよびグラフ1400dを示す。画像1400a中、健常ウサギ内皮中にある統合された単一細胞は非常に少ない。対照的に、画像1400bでは、多くの収縮包装μ単層が健常ウサギ内皮に統合されている。画像1400cは、統合されたμ単層のクローズアップ画像を示す。ECMは依然として中央にあるが、完全に統合されたμ単層由来の注入された細胞の細胞体の下にある。グラフ1400dは、同じ視野内での角膜の他の領域と比較した、μ単層が統合された領域の注射後7日目の局部細胞密度の増加を示す。
【0090】
図15に、細胞をカプセル化するための方法1500を示す。組織足場スタンプを、細胞外マトリックス化合物でコーティングする(1510)。組織足場スタンプを熱応答性基質上に置いた(1520)。組織足場スタンプに細胞培養物を播種した(1530)。細胞培養物を、指定の温度の組織足場スタンプ上でインキュベートした(1540)。細胞培養物は、組織足場スタンプ上に単層を形成し(1550)、単層の境界は、細胞間結合の発現を維持し、単層の細胞間結合は、張力を発現するように構成されている。熱応答性基質は、温度を低下させることによって溶解した。組織足場スタンプを細胞パッチから除去し(1560)、組織足場スタンプを溶媒中に溶解することによって微細組織構造を形成した。溶媒中に微細組織を懸濁させながら微細組織構造を折り畳み(1570)、細胞パッチが細胞外マトリックス化合物を折り畳むことを可能にし、マトリックス化合物の折り畳みも、微細組織構造を折り畳ませた。折り畳まれた微細組織構造を、遠心分離を利用して溶媒から回収した(1580)。次いで、折り畳まれた微細組織構造を生体に投与した(1590)。
【0091】
多数の例示的実施形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載の技術の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな改変を行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】