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特表2022-552001D型肝炎ウイルス感染を処置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】D型肝炎ウイルス感染を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/21 20060101AFI20221207BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K38/21
A61K31/4545
A61K31/427
A61P1/16
A61P31/14
A61P43/00 121
A61P43/00 117
A61P43/00 111
A61P29/00
A61K31/506
A61K31/7072
A61K31/522
A61K31/675
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522957
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2020055714
(87)【国際公開番号】W WO2021076714
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/915,933
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/014,774
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/070,047
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516326575
【氏名又は名称】アイガー・バイオファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Eiger Biopharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】チュン,イングリッド
(72)【発明者】
【氏名】グレン,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA42
4C084BA44
4C084DA21
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA751
4C084ZB022
4C084ZB111
4C084ZB331
4C084ZC751
4C086AA01
4C086BC27
4C086BC42
4C086BC82
4C086CB07
4C086DA38
4C086EA17
4C086GA10
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB11
4C086ZB33
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
ヒト対象においてD型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法が提供される。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、該対象に、治療有効量のペグ化インターフェロンラムダ1aをロナファルニブおよびリトナビルと組み合わせて少なくとも24週間皮下投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてD型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法であって、該対象に治療有効量のインターフェロンラムダを週に1回皮下投与すること、および該対象に治療有効量のロナファルニブおよびリトナビルを毎日投与することを含み、ここで、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルの投与は、
HDVウイルス量の持続的な低下に到達すること、
HDV RNAが検出不能なレベルに低下していること、
インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルが少なくとも12週間投与されたこと、
インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルが少なくとも24週間投与されたこと、または
インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルが少なくとも48週間投与されたこと:
の1つまたはそれ以上の状況になるまで行う方法。
【請求項2】
インターフェロンラムダが、ペグ化インターフェロンラムダを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
インターフェロンラムダが、インターフェロンラムダ-1aを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルが、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも36週間、少なくとも48週間、少なくとも54週間、または12週間~96週間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
インターフェロンラムダが、180マイクログラムを週に1回、90マイクログラムを週に2回、80マイクログラムを週に2回、または180マイクログラムを1週間に、の用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
インターフェロンラムダが、120マイクログラムを1週間に、60マイクログラムを週に2回、70マイクログラムを週に2回、または120マイクログラムを1週間に、の用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
対象が、投与開始後24週間で血清中HDV RNAがベースラインより>2 log低下している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
対象が、処置後12週目および24週目の経過観察で血清中HDV RNAが検出不能である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
対象が、処置終了時に組織学的な炎症性スコア(改変HAI)が少なくとも2点低下し、組織学的な線維症の進行を伴っていない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
対象が、処置終了時、処置後12週目の経過観察時、および処置後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上において血清ALTが正常化している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
対象が女性であり、かつALTレベルが<20 IU/Lであるか、または対象が男性であり、かつALTレベルが<31 IU/Lである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
対象が、処置後12週目の経過観察時または処置後24週目の経過観察時の一方または両方において血清ALTがベースラインの>50%で低下している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
対象が、処置終了時に、肝静脈圧勾配(HVPG)測定値がベースラインの>25%で低下しているか、HVPGが正常化(<5mm Hg)している、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
対象が、処置終了時に、Fibroscan(登録商標)一過性エラストグラフィー値がベースラインの>25%で低下している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
対象が、処置終了時に、線維形成スコアがF1に低下している、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
対象が、処置終了時に、線維形成スコアが少なくとも1レベル、2レベル、3レベル、または4レベル低下している、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
対象が、処置終了時、処置後12週目の経過観察時または処置後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上において血清からHBsAgが消失している、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
対象が、処置終了時および処置後24週目の経過観察時の一方または両方においてベースラインと比較して定量HBsAgレベルが変化している、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
12週間の処置後に、対象の少なくとも約81%が、ベースラインから3.6 log IU/mLのHDV RNA中央値の低下を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
12週間の処置後に、対象の大多数が、約2.6~4.2 log IU/mLのRNA中央値の低下を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
12週間の処置後に、対象の少なくとも約24%が検出不能なHDV RNAを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
12週間の処置後に、対象の少なくとも約24%が定量化の下限未満(BLOQ)のHDV RNAを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
処置終了時に、対象の少なくとも約73%が、少なくとも約3.4 log IU/mLのHDV RNAの低下を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
処置終了時に、対象の大多数が、約2.9~約4.5 log IU/mLのHDV RNAの低下を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
処置終了時に、対象の37~42%が、検出不能なHDV RNAを達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
処置終了時に、対象の少なくとも約11~16%がBLOQを達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
処置終了時に、対象の少なくとも約95~96%が、24週間の処置中、>2 logのHDV RNAの低下を達成した、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
>50%の対象が、検出不能なまたはBLOQのHDV RNAレベルを達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
ヌクレオシド類似体またはヌクレオチド類似体を該対象に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
ヌクレオシド類似体またはヌクレオチド類似体が、ラミブジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビル、またはテノフォビルである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象が、硬変を伴うかまたは伴わない代償性肝疾患を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
対象が、硬変を伴う代償性肝疾患を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
インターフェロンラムダが1週間に180~120mcgの用量で投与され、ロナファルニブが50mgでBID投与され、リトナビルが200mgでQD投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
対象の約11.5%が、ペグ化インターフェロンラムダ-1aまたはロナファルニブの1つまたはそれ以上の用量を減少して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
対象の約15.4%が、ペグ化インターフェロンラムダ-1aの投与が中止される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
対象においてD型肝炎ウイルス(HDV)を処置する方法であって、
第1の処置期間に、該対象にインターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルそれぞれの治療有効量を投与すること(ここで、インターフェロンラムダは第1のインターフェロンラムダ用量で投与され、ロナファルニブは第1のロナファルニブ用量で投与され、リトナビルは第1のリトナビル用量で投与される);および
第1の処置期間後の第2の処置期間に、該対象にロナファルニブおよびリトナビルそれぞれの治療有効量を投与すること(ここで、ロナファルニブは第2のロナファルニブ用量で投与され、リトナビルは第2のリトナビル用量で投与される)、
を含む方法。
【請求項37】
B型肝炎ウイルス(HBV)およびD型肝炎ウイルス(HDV)の共感染を有する対象においてHDV感染に対するHBVを標的とする治療薬の影響を評価する方法であって、
処置期間に、該治療薬を該対象に投与すること;
処置期間後に、該対象からの生物学的試料中のHBsAgの量を測定すること;および
生物学的試料中のHBsAgの量が検出不能であるかどうかを決定すること、
を含み、
ここで、HBsAgの量が検出不能であれば、該治療薬がHDV感染に影響を与えているとする、方法。
【請求項38】
該対象におけるHDV RNAのベースライン量を決定すること;
処置期間後に、該対象からの生物学的試料中のHDV RNAの量を測定すること;および
該生物学的試料中のHDV RNAの量がHDV RNAのベースライン量と比較して減少されているかどうかを決定すること、をさらに含む、請求項37に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月24日出願の「D型肝炎ウイルス感染を処置する方法」の名称の米国仮特許出願63/014,774、2019年10月16日出願の「D型肝炎ウイルス感染を処置する方法」の名称の米国仮特許出願62/915,933および2020年8月25日出願の「D型肝炎ウイルス感染を処置する方法」の名称の米国仮特許出願63/070,047の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、D型肝炎ウイルス(δウイルス肝炎)感染に起因するウイルス肝炎を処置する方法を提供するものであり、したがって、化学、医薬品化学、医学、分子生物学、および薬理学の分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
D型肝炎ウイルス(HDV)感染は、ヒトの慢性ウイルス肝炎の最も侵攻性の高い形態である。慢性HDVおよびHBVの共感染は、既存のHBV関連肝損傷を悪化させ、肝硬変、肝代償不全、および肝細胞癌に至る。Negro, Cold Spring Harb. Perspect. Med., 2014, 4:a021550; Honer zu Siederdissen, Visc. Med., 2016, 32:86-94; Lau, Hepatology, 1999, 30:546-549を参照のこと。HDVおよびHBVの両方に共感染している対象は、HBVのみに感染している対象と比較して、肝疾患による合併症で死亡する可能性が高い。Alavian et al., J. Res. Med. Sci., 2012, 17:967-974を参照のこと。
【0004】
HDVの処置のためのインターフェロンアルファ療法は記載されている。2011年と2019年にそれぞれ発表されたHep-Net International Delta Intervention Trial 1および2(HIDIT-1および-2)の研究では、ペグインターフェロンアルファ-2a療法を受けた対象の23~31%が処置終了の24週間後に、120コピー/mLの血清のHDV RNAの検出下限(LOD)を用いた定量HDV RNAアッセイを用いて測定した検出不能なHDV RNAを達成したことが見出された(Mederacke et al, 2010)。換算係数は、このアッセイでは1mLあたり1コピーであり、1mLあたり62 IU/に等しいと後で決定された(Wedemeyer et al, 2019a)。換算係数を適用すると、検出限界は930 IU/mLとなる。したがって、この実験室アッセイの検出の高い限界を考えると、実際の検出不能なHDV RNA率は23~31%よりはるかに低い可能性が高い。Wedemeyer et al., N Engl J Med, 2011, 364:322-331 and Wedemeyer 2019 ref.
【0005】
インターフェロンアルファの不十分な抗HDV効果は、EASL 2019における別の臨床試験(MYR203試験)では、実対照群としてインターフェロンアルファ180mcg単剤療法での48週間の処置により、Robogene(登録商標)2.0 HDV RNA定量アッセイを用いて48週間の処置終了時にHDV患者の13%のみが検出不能なHDV RNAを有することになったことを証明すると報告されている(Wedgeeyer et al, 2019b)。この検出不能は、処置後24週間での経過観察では維持されておらず、検出不能なHDV RNA患者は0%であった。
【0006】
多くの異なる細胞型によって広く発現されているインターフェロンアルファ受容体を介してシグナル伝達を行うことによってその効果を媒介するインターフェロンダとは対照的に、インターフェロンラムダは、制限された細胞発現パターンを有する異なるクラスの受容体(「インターフェロンラムダ受容体」)を介してシグナル伝達を行う。インターフェロンラムダはまた、インターフェロン受容体の発現の違いに一部起因して、インターフェロンアルファとは異なる抗ウイルス活性を示す。HBVの処置のためのペグ化インターフェロンアルファおよびペグ化インターフェロンラムダの比較試験(Chan et al., J. Hepatology, 2016, 64:1011-1019)において、ペグ化インターフェロンラムダは処置中期(24週間)でペグ化インターフェロンアルファと比較してより顕著なウイルス血症の低下をもたらすものの、処置期間終了時にはペグ化インターフェロンアルファ処置とペグ化インターフェロンラムダ処置の間に差がなく、処置後はペグ化インターフェロンラムダ処置群でより大きなウイルス学的リバウンドが見られたことが見出された。ペグ化インターフェロンアルファを4週間受けたHBV/HDV共感染マウスは、HDV-RNAレベルの2.2 logの低下を示したが、ペグ化インターフェロンラムダを4週間受けたマウスは、HDV-RNAレベルの1.5logの低下を示した(Giersch et al., 2013)。
【0007】
現在までのところ、HDVの処置のための、ロナファルニブおよびリトナビルと組み合わせた長期ペグ化インターフェロンラムダ療法の有効性は記載されていない。HDV感染を処置するための薬剤の必要性は、引き続き存在する。
【0008】
HDVの安全かつ効果的な処置のための当技術分野のニーズは依然として存在する。
【発明の概要】
【0009】
一態様において、ヒトにおいてD型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法が提供される。
【0010】
別の態様において、本明細書では、対象においてHDV感染を処置する方法であって、HDVウイルス量の持続的な低下に到達すること、HDV RNAが検出不能なレベルに低下すること、または12週間、24週間、もしくは48週間投与されたこと、の状況になるまで、該対象に治療有効量のペグ化インターフェロンラムダ-1aを週に1回皮下投与すること、およびロナファルニブおよびリトナビルを毎日投与すること、を含む方法が提供される。
【0011】
別の態様において、本明細書では、対象においてD型肝炎ウイルス(HDV)を処置する方法であって、以下の投薬レジメン(drug regimen)を含む方法が提供される:第1の処置期間に、該対象にインターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルそれぞれの治療有効量を投与すること(ここで、インターフェロンラムダは第1のインターフェロンラムダ用量で投与され、ロナファルニブは第1のロナファルニブ用量で投与され、リトナビルは第1のリトナビル用量で投与される);および第1の処置期間後の第2の処置期間に、該対象にロナファルニブおよびリトナビルそれぞれの治療有効量を投与すること(ここで、ロナファルニブは第2のロナファルニブ用量で投与され、リトナビルは第2のリトナビル用量で投与される)。
【0012】
一実施態様において、投薬レジメンは、少なくとも12週間、または24週間、または36週間、または48週間、または54週間、または12週間~48週間適用される。
【0013】
一実施態様において、ペグ化インターフェロンラムダ-1aは、180マイクログラムを週に1回(QW)、または90マイクログラムを週に2回に;または80マイクログラムを週に2回、または180マイクログラムを1週間に、の用量で投与される。
【0014】
一実施態様において、ペグ化インターフェロンラムダ-1aは、120マイクログラムをQW、または60マイクログラムを週に2回、または70マイクログラムを週に2回、または120マイクログラムを1週間に、の用量で投与される。
【0015】
一実施態様において、投与開始後24週間でHDV RNAが>2 log10低下している。
【0016】
一実施態様において、対象は、投与開始後の12週間でおよび/または処置後24週目の経過観察時、例えば、最後の投与後24週間で血清中HDV RNAが検出不能である。
【0017】
一実施態様において、対象は、処置終了時に組織学的炎症スコア(改変HAI)が少なくとも2点低下し、組織学的な線維形成の進行を伴っていない。低下は、ベースラインと比較した場合であってもよい。
【0018】
一実施態様において、対象は、治療終了時、治療後12週目の経過観察時および治療後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上において血清ALTが正常化している。一実施態様において、ALTレベルは、女性では<20 IU/Lに、男性では<31 IU/Lに低下している。
【0019】
一実施態様において、対象は、治療後12週目の経過観察時および治療後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上において、血清ALTがベースラインの>50%で低下している。
【0020】
一実施態様において、対象は、治療終了時に、肝静脈圧勾配(hepatic venous pressure gradient、HVPG)測定値がベースラインの>25%で低下しているか、またはHVPGが正常化(<5mm Hg)している。
【0021】
一実施態様において、対象は、治療終了時に、Fibroscan(登録商標)一過性エラストグラフィー値が>25%で低下している。
【0022】
一実施態様において、対象は、治療終了時、治療後12週目の経過観察時または治療後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上において血清からHBsAgが消失している。
【0023】
一実施態様において、対象は、治療終了時および治療後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上においてベースラインと比較して定量HBsAgレベルが変化している。
【0024】
一実施態様において、12週間の処置後に、対象の少なくとも約81%は、ベースラインから少なくとも3.6 log IU/mLのHDV RNA中央値の低下を有していた。
【0025】
一実施態様において、12週間の治療後に、対象の大多数は、約2.6~4.2 log IU/mLのRNA中央値の低下を有するであろう。
【0026】
一実施態様において、12週間の治療後に、対象の少なくとも約24%は検出不能なHDV RNAを有する。
【0027】
一実施態様において、12週間の治療後に、対象の少なくとも約24%は定量化の下限未満(BLOQ)のHDV RNAを有する。
【0028】
一実施態様において、治療終了時に、対象の少なくとも約73%は、少なくとも約3.4 log IU/mLのHDV RNAの低下を有する。
【0029】
一実施態様において、治療終了時に、対象の大多数は、約2.9~約4.5log IU/mLのHDV RNAの低下を有する。
【0030】
一実施態様において、治療終了時に、対象の少なくとも37%は検出不能なHDV RNAを達成する。
【0031】
一実施態様において、治療終了時に、対象の少なくとも約16%はBLOQを達成する。
【0032】
一実施態様において、治療終了時に、対象の少なくとも約95%は、24週間の治療中、>2 logのHDV RNAの低下を達成する。
【0033】
一実施態様において、>50%の対象は、検出不能なまたはBLOQのHDV RNAレベルを達成する。
【0034】
一実施態様において、本発明は、ヌクレオシド類似体またはヌクレオチド類似体を該対象に投与することをさらに含む。一実施態様において、ヌクレオシド類似体またはヌクレオチド類似体は、ラミブジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビル、またはテノフォビルである。一実施態様において、対象は、硬変を伴うかまたは伴わない代償性肝疾患を有する。一実施態様において、対象は、硬変を伴う代償性肝疾患を有する。
【0035】
別の態様において、本明細書では、HBVおよびHDVの共感染を有する対象においてD型肝炎ウイルス(HDV)感染に対するB型肝炎ウイルス(HBV)を標的とする治療薬の影響を評価する方法が提供される。この本発明の方法は、処置期間に、治療薬を該対象に投与する工程;処置期間後に、該対象からの生物学的試料中のHBsAgの量を測定する工程;および生物学的試料中のHBsAgの量が検出不能であるかどうかを決定する工程、を含み;ここで、HBsAgの量が検出不能であれば、治療薬がHDV感染に影響を与えるとする。
【0036】
一実施態様において、本方法は、対象におけるHDV RNAのベースライン量を決定すること;処置期間後に、対象からの生物学的試料中のHDV RNAの量を測定すること;および該生物学的試料中のHDV RNAの量がHDV RNAのベースライン量と比較して減少しているかどうかを決定すること、をさらに含む。
【0037】
詳細な説明
定義
本明細書で使用される用語は、特定の実施態様を説明するためのものであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定を意図するものではない。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書およびそれに続く特許請求の範囲において、多くの用語が参照されるが、それらは、反対の意図が明白でない限り、以下の意味を有すると定義されるものとする。場合によっては、一般に理解される意味を有する用語は、明確にするためおよび/またはすぐに参照できるように本明細書で定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野で一般に理解される用語の定義に対する実質的な違いを表すと解釈されるべきではない。
【0038】
本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、好ましい方法、装置および材料についてはここに記載する。本明細書で引用されるすべての技術および特許公報は、引用によりその全体が本明細書に包含される。本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明によりそのような開示に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0039】
すべての数字表示、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、範囲を含めて、適宜、プラスまたはマイナス0.1または1.0の増分で変化させる近似値である。すべての数字表示は、「約」という用語が先行することが、常に明示されているわけではないが、理解されるであろう。
【0040】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを規定しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」に対する言及は、複数の化合物を含む。
【0041】
用語「投与」とは、本開示の化合物、組成物、または薬剤を、ヒトなどの宿主に導入することを意味する。本開示の文脈において、薬剤の1つの好ましい投与経路は皮下投与である。他の投与経路には、静脈内投与および経口投与が含まれる。
【0042】
用語「ベースライン」とは、特に断らない限り、または文脈から明らかでない限り、治療過程の前に行われる測定値(例えば、ウイルス量、対象の状態、ALTレベル)を意味する。
【0043】
用語「含む」とは、化合物、組成物、および方法が、記載の要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図している。「本質的にからなる」は、化合物、組成物および方法を定義するために使用される場合、請求された発明の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与える他の要素を除外することを意味するものとする。これらの各転換語によって定義される実施態様は、本発明の範囲内にある。
【0044】
用語「処置の過程」および「治療の過程」は、本明細書で互換的に使用され、対象が、例えば、HDVに感染しており、医療介入を必要としていると診断された後に行われる医療介入を意味する。医療介入には、典型的にはHDVに感染した対象に対する、一定期間、少なくとも1ヶ月、典型的には数ヶ月もしくは何ヶ月、または数年の薬物の投与が含まれるが、これに限定されない。
【0045】
ヒト血清または血漿試料の「HDV RNAウイルス量」または「ウイルス量」という用語は、ヒト血清または血漿試料の所定量中のHDV RNAの量を意味する。HDV RNAは、一般的に、定量的リアルタイム逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)アッセイによって検出される。このようなアッセイにおいて、アッセイ中に産生されるシグナルの量は、試料中のHDV RNAの量に比例する。試験試料からのシグナルは、定量化されたD型肝炎RNA標準物質の希釈系列のシグナルと比較され、ゲノムコピー数が計算される。例えば、Kodani et al., 2013, J. Virol. Methods, 193(2), 531; Karatayli et al., 2014, J. Clin. Virol, 60(1), 11を参照のこと。HDV RNAウイルス量は、1mLの血清(または血漿)あたりのRNAコピー数として、または1mLの血清(または血漿)あたりの国際単位(IU)を用いて報告することができる。Chudy et al., 2013, Collaborative Study to establish a World Health Organization International standard for hepatitis D virus RNA for nucleic acid amplification technique (NAT)-based assays.” WHO Expert Committee on Biological Standardization WHO/BS/2013.2227を参照のこと。市販のアッセイはARUP Laboratories (Salt Lake City, UT)から入手可能である。ARUP HDV RNAアッセイの検出限界は31IU/mLと報告されている。Analytik Jena AG(ドイツ)は、RoboGene(登録商標)HDV RNA定量キット2.0を提供しており、これは抗ウイルス処置に対する応答を評価するためのWHO標準的基準でCE-IVD認証を受けている。RoboGene(登録商標)アッセイの検出限界は6IU/mLと報告されている。単位が特定されていない「ウイルス量」(例えば、「ウイルス量100未満」)への言及は、特に断らないか文脈から明らかでない限り、1mLの血清あたりのHDV RNAのコピーを意味する。特に断らない限り、「検出レベル未満」への言及は、8IU/mL未満を意味する。
【0046】
HDVレベルは、一般的にlog10単位を使用して表示される。HDV RNAレベルは、「1mLあたりのRNAコピー」または「1mLあたりの国際単位(IU)」の単位で表示できる。Chudy et al., 2013, Collaborative Study to establish a World Health Organization International standard for hepatitis D virus RNA for nucleic acid amplification technique (NAT)-based assays.” WHO Expert Committee on Biological Standardization WHO/BS/2013.2227を参照のこと。本明細書では、両方の単位が使用される。本明細書で使用される場合、「1mLあたりHDV RNAコピー」の記載(他に指定されず、例えば、実施例に示されるような臨床試験結果に関連する議論を含まない場合)は、明細書記載または根拠のために、「HDV RNAコピー/mLまたはHDV IU/mL」を意味するものとして読み替えられるべきである。1mL当たりHDV RNAコピーの特定の量が記載されている場合、HDV RNAコピー/mLの量をIU/mLの量に変換させるために、明細書記載および根拠のために、1.2の乗算が適用され得る。例えば、「1mLあたり120HDV RNAコピー」は、「120コピー/mLまたは100 IU/mL」と読み替えられるべきである。HDV RNAレベルの変化は、ウイルス学の通常の慣例に従って、「log低下」として示され得る。
【0047】
ヒト(宿主)に関して「HDV感染」という用語は、宿主がHDV感染に罹患している事実を意味する。典型的には、HDV感染したヒト宿主は、次のHDV RNAのウイルス量を有する:宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約2 log10 HDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの102コピー、多くは宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約3 log10 HDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの103コピー、そしてまた多くは、特に、いかなる治療も受けていない対象の場合、宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約4 log10 HDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの104コピー、例えば宿主血清もしくは血漿1mL当たり約4 log10 HDV RNAコピー~8 log10 HDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの104~108コピー。本明細書で使用される場合、ヒト宿主に関する「慢性HDV感染」という用語は、陽性HDV抗体(Ab)試験および/またはRT-PCRによって検出可能なHDV RNAによって記録される、少なくとも6ヶ月ヒト宿主において持続したHDV感染を意味する。HDVの診断および病因は、例えば、Wedemeyer et al., Nat. Rev. Gastroenterol. Hepatol, 2010, 7:31-40に記載されているものである。
【0048】
用語「定量化の下限」とは、特定のアッセイによって、定めされた信頼限界内で確実に定量化できる分析物質(例えば、ウイルス力価)の最低濃度を意味する。
【0049】
「対象」、「宿主」、または「患者」という用語は互換的に使用され、HDVに感染したヒトを意味し、以前にHDVに感染し、ウイルスが消失した対象を含む。
【0050】
用語「医薬組成物」とは、対象への投与に適した組成物を包含することを意味する。一般的に、「医薬組成物」は無菌であり、好ましくは、対象内で望ましくない反応を誘発することができる汚染物質を含まない(例えば、医薬組成物中の化合物(複数可)は医薬等級である)。医薬組成物は、対象またはそれを必要とする対象に経口、静脈内、頬、直腸、非経腸、腹腔内、皮内、気管内、筋肉内、皮下、吸入などを含む多くの異なる投与経路を介して、投与するように設計することができる。
【0051】
HDVウイルス量の「持続的な低下」とは、ある期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上)のウイルス量の低下(例えば、血清1mLあたり少なくとも1.5 log10 HDV RNA IU、血清1mLあたり少なくとも2.0 log10 HDV RNAコピー、または血清1mLあたり少なくとも2.5 log10 HDV RNA IUの低下またはHDV RNAの検出不能なレベルへの低下)を意味する。持続的な低下は、処置の過程が継続している期間であってもよく、処置の過程が終了した後の期間であってもよい。
【0052】
本明細書で使用される用語「治療有効量」とは、疾患、障害、または状態をある程度処置する、例えば、処置される疾患、すなわち、感染症の1つまたはそれ以上の症状を緩和する投与される物質(例えば、化合物、阻害物質、または薬物)の実施態様の量、および/または、疾患、すなわち、処置される対象が発症したかまたは発症する危険性がある感染症の1つまたはそれ以上の症状をある程度予防する量を意味する。
【0053】
用語「処置(treatment)」、「処置する(treating)」および「処置する(treat)」は、疾患、障害、または状態に薬剤で作用させて、疾患、障害、もしくは状態および/またはその症状の薬理学的および/または生理学的効果を低下または改善することと定義される。本明細書で使用される「処置」は、ヒト対象における疾患のあらゆる処置を網羅し、(a)当該疾患の傾向があると判定されたが、当該疾患に感染しているとまだ診断されていない対象の当該疾患の発生危険性を低下させること、(b)当該疾患の発症を妨げること、および/または(c)当該疾患を緩和すること、すなわち、疾患の後退を引き起こすこと、および/または1つまたはそれ以上の疾患症状を緩和すること、を含む。「処置」はまた、疾患または状態が存在ない場合であっても、薬理学的効果を提供するための阻害物質の送達を包含することを意味する。例えば、「処置」は、対象において増強されたまたは望ましい効果(例えば、ウイルス量の低下、疾患症状の減少など)を提供する薬剤の送達を包含する。
【0054】
HDV RNAレベルに関して使用される「検出不能な」または「検出レベル未満」または「BLD」という用語は、採用されるアッセイ方法によってHDV RNAコピーが検出されないことを意味する。いくつかの実施態様において、アッセイは定量的RT-PCRである。
【0055】
一態様において、本開示は、HDV感染対象にインターフェロンラムダ療法を適用することにより、HDV感染を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダのペグ化形態(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a(「LMD」))が投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ療法(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ療法)を受ける対象はまた、抗ウイルスヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体(例えば、抗HBVヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体)で処置される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ療法(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ療法)を受ける対象はまた、例えば、インターフェロンラムダ療法の期間中またはインターフェロンラムダ療法が適用される時間の一部中に、ロナファルニブ(「LNF」)療法またはロナファルニブおよびリトナビル(「RTV」)療法で処置される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ療法(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ療法)を受ける対象は、抗ウイルスヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体療法を適用されない。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ療法(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ療法)を受ける対象は、ロナファルニブ療法またはロナファルニブおよびリトナビル療法を適用されない。
【0056】
インターフェロンラムダ、ロナファルニブおよびリトナビル
インターフェロンは、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節するポリペプチドである。それらがシグナルを送る受容体の型に基づいて、ヒトインターフェロンは、3つの主要な型(I型、II型、およびIII型)に分類されている。全てのI型IFNは、IFNAR1鎖とIFNAR2鎖からなるIFN-アルファ受容体(IFNAR)として知られる特定の細胞表面受容体複合体に結合する。ヒトに存在するI型インターフェロンは、IFN-アルファ、IFN-ベータ、IFN-エプシロン、およびIFN-オメガである。II型IFNは、IFNGR1鎖およびIFNGR2鎖からなるIFN-ガンマ受容体(IFNGR)に結合する。ヒトにおけるII型インターフェロンはIFN-ガンマである。III型インターフェロン群は、IFN-ラムダ1、IFN-ラムダ2、IFN-ラムダ3(それぞれIL29、IL28A、IL28Bとも称される)という3つのIFNラムダ分子からなる。これらのIFNは、IL10R2(CRF2-4とも称される)およびIFNLR1(CRF2-12とも称される)からなる受容体複合体をを通じてシグナルを送る。
【0057】
本明細書で使用される「インターフェロンラムダ」または「IFN-λ」という用語は、天然起源のIFN-λ;合成IFN-λ;誘導体化IFN-λ(例えば、ペグ化IFN-λ、グリコシル化IFN-λなど);および天然起源または合成IFN-λの類似体、を含む。いくつかの実施態様において、IFN-λは、血清半減期などの特定の性質を変更するために誘導体化(例えば、天然起源のペプチドに対して化学的に修飾)されたIFN-λの誘導体である。そのため、用語「IFN-λ」は、ポリエチレングリコールで誘導体化されたIFN-λ(「ペグ化IFN-λ」)などを含む。ペグ化IFN-λ(例えば、ペグ化IFN-λ-1a)、およびその製造方法については、例えば、米国特許第6,927,040号、米国特許第7,038,032号、米国特許第7,135,170号、米国特許第7,157,559号、および米国特許第8,980,245号およびPCT公開WO 2005/097165、WO 2007/012033、WO 2007/013944およびWO 2007/041713(これら全ては引用によりその全体が本明細書に包含される)で論じられている。いくつかの実施態様において、IFN-λは、PCT/US2017/018466(引用によりその全体が本明細書に包含される)に開示されているようなIFN-λである。いくつかの実施態様において、ペギル化IFN-λ-1aは、US 7,157,559(引用によりその全体が本明細書に包含される)に記載の構造を有する。
【0058】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の治療方法に使用するためのインターフェロンは、ペグ化IFN-λ1(例えば、ペグ化IFN-λ-1a)、ペグ化IFN-λ-2、またはペグ化IFN-λ-3である。いくつかの実施態様において、インターフェロンは、ペグ化IFN-λ1(例えば、ペグ化IFN-λ-1a)である。
【0059】
HDVの処置のためのロナファルニブ療法は、US 2017/0042862(引用により本明細書にホ包含される)に開示されている。
【0060】
いくつかの実施態様において、本療法のロナファルニブ成分は、1日あたり50~200mgの1日総用量、例えば、1日あたり少なくとも50mg、1日あたり少なくとも75mg、1日あたり少なくとも100mg、1日あたり少なくとも150mg、または1日あたり少なくとも200mgで投与される。ロナファルニブ療法は、1日1回(QD)または1日2回(BID)適用され得る。いくつかの実施態様において、ロナファルニブは、25mg BIDの用量、50mg BIDの用量、75mg BIDの用量、100mg BIDの用量、50mg QDの用量、75mg QDの用量、または100mg QDの用量で投与される。いくつかの実施態様において、ロナファルニブ療法は、インターフェロンラムダ療法の開始時またはインターフェロンラムダ療法の過程中に開始される。
【0061】
リトナビルまたはコビシスタットなどのCYP3A阻害剤は同時投与される。いくつかの実施態様において、CYP3A阻害剤はリトナビルである。ロナファルニブおよびリトナビル併用療法は、WO 2015/168648およびWO 2017/079009(引用により本明細書に包含される)に開示されている。
【0062】
いくつかの実施態様において、本療法のロナファルニブ-リトナビル部分は、1日あたり50~200mgのロナファルニブの1日総用量(例えば、1日あたり少なくとも50mgのロナファルニブ、1日あたり少なくとも75mgのロナファルニブ、1日あたり少なくとも100mgのロナファルニブ、1日あたり少なくとも150mgのロナファルニブ、または1日あたり少なくとも200mgのロナファルニブ)および1日あたり100~200mgのリトナビル(例えば、1日あたり少なくとも100mgのリトナビル、1日あたり少なくとも150mgのリトナビル、または1日あたり少なくとも200mgのリトナビル)である。本療法のロナファルニブおよびリトナビルの部分は、1日1回(QD)または1日2回(BID)投与され得る。いくつかの実施態様において、ロナファルニブは、25mg BIDの用量、50mg BIDの用量、75mg BIDの用量、100mg BIDの用量、50mg QDの用量、75mg QDの用量、または100mg QDの用量であり、およびリトナビルは、50mg BIDまたは100mg BIDの用量である。
【0063】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載のインターフェロンラムダ、ロナファルニブおよびリトナビル療法で処置される対象は、HDV感染症、例えば、急性HDV感染症または慢性HDV感染症を有する対象である。いくつかの実施態様において、処置される対象は、陽性のHDV抗体(Ab)試験、および/またはqRT-PCRにより検出可能なHDV RNAによって記録される、少なくとも6ヶ月の持続期間の慢性HDV感染症を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の治療方法で処置される対象は、急性HDV感染症、例えば、新たに診断されたHDV感染症、またはそうでなければ6ヶ月を超えて対象に存在しなかったと考えられるHDV感染症を有する対象である。HDVの診断および病因は、例えば、Wedemeyer et al., Nat. Rev. Gastroenterol. Hepatol, 2010, 7:31-40に記載されている。HDVは、さまざまな亜型で存在することが知られており;本明細書に記載の方法は、HDV亜型にかかわらず、全てのHDV対象を処置するのに適している。いくつかの実施態様において、対象は成人(18歳以上)であり、他の実施態様において、対象は小児である。
【0064】
いくつかの実施態様において、対象のHDVウイルス量は、HDV RNAアッセイの定量化の下限(LLOQ)よりも>2 log10高い。いくつかの実施態様において、ウイルス量は、前処置の3つの時点で測定され、平均のウイルス量はHDV RNAアッセイのLLOQよりも>2 log10高い。
【0065】
いくつかの実施態様において、処置される対象は、血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも102HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあた少なくとも102HDV RNA IU、例えば、血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも103HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも103HDV RNA IU、血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも104HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも104HDV RNA IU、血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも105HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも105HDV RNA IU、血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも106HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも106HDV RNA IU、血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも107HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも107HDV RNA IU、または血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも108HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあたり少なくとも108HDV RNA IU、のベースラインのウイルス量を有する。いくつかの実施態様において、HDVウイルス量は、対象からの血清試料を用いて測定される。いくつかの実施態様において、HDVウイルス量は、対象からの血漿試料を用いて測定される。いくつかの実施態様において、ウイルス量は、定量的RT-PCRによって測定される。血清または血漿中のHDV RNAの定量化のためのqRT-PCRアッセイは、当技術分野で知られており、例えば、上記に記載されているとおりである。いくつかの実施態様において、処置される対象は、血清もしくは血漿1mLあたり最大約104HDV RNAコピーまたは血清もしくは血漿1mLあたり最大約104HDV RNA IUであるベースラインのウイルス量を有する。いくつかの実施態様において、処置される対象は、血清もしくは血漿1mLあたり最大約105HDV RNAコピーおよび/または血清もしくは血漿1mLあたり最大約105HDV RNA IUであるベースラインのウイルス量を有する。いくつかの実施態様において、処置される対象は、血清もしくは血漿1mLあたり最大約106HDV RNAコピーおよび/または血清もしくは血漿1mLあたり最大約106HDV RNA IU血清もしくは血漿1mLあたりであるベースラインのウイルス量を有する。
【0066】
いくつかの実施態様において、HDVウイルス量は、対象からの血清試料を用いて測定される。いくつかの実施態様において、HDVウイルス量は、対象からの血漿試料を用いて測定される。いくつかの実施態様において、ウイルス量は、定量的RT-PCRによって測定される。血清又は血漿中のHDV RNAを定量化するためのqRT-PCRアッセイは、当技術分野で知られており、例えば、上記に記載されているとおりである。
【0067】
いくつかの実施態様において、処置される対象は、以下の1つまたはそれ以上を有する:血清中の抗HDVの存在;HDV RNAアッセイのLLOQより>2 log10高い平均HDV RNAレベルを有する3回の前処置の時点における血清中の定量可能なHDV RNAの存在;少なくとも6ヶ月の血清中のHDV RNAの存在により証明される慢性化の実証;または少なくとも6ヶ月の抗HDV抗体の存在。
【0068】
いくつかの実施態様において、処置される対象は、肝機能不全の1つまたはそれ以上の症状を示す。いくつかの実施態様において、対象は、健常対照(例えば、HDVおよび/またはHBVに感染していない対象)の正常パラメータから外れた1つまたはそれ以上の肝機能パラメータを示す。いくつかの実施態様において、肝機能パラメータは、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびプロトロンビン活性からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、対象は、正常化の上限(ULN)よりも少なくとも2倍高い(例えば、ULNよりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍またはそれ以上)血清ALTレベルを有する。肝機能パラメータは、当技術分野で記載されている。例えば、Limdi et al., Postgrad Med J, 2003, 79:307-312を参照のこと。これらの肝機能パラメータを測定する方法は、当技術分野で知られている。
【0069】
いくつかの実施態様において、対象は、肝硬変を伴うかまたは伴わない代償性肝疾患(例えば、Child-Turcotte-Pugh分類システムに従って分類されたもの)を有する。Child-Turcotte-Pugh分類システムは、肝疾患の重症度を分類するために用いられ、血清アルブミンレベル、ビリルビンレベル、プロトロンビン時間レベルの国際正規化比、腹水形成、および脳症を評価することによって決定されることは、当業者によって認識されるであろう。いくつかの実施態様において、対象は、5~6のChild-Turcotte-Pughスコア(クラスA)を有する。いくつかの実施態様において、対象は、1~6のChild-Turcotte-Pughスコアを有する。いくつかの実施態様において、対象は、1~6の下位範囲、例えば、1~2、1~3、2~4、3~4、2~5、3~5、または2~6のChild-Turcotte-Pughスコアを有する。いくつかの実施態様において、対象は、肝硬変を伴う代償性肝疾患を有する。いくつかの実施態様において、対象は、肝硬変を伴わない代償性肝疾患を有する。
【0070】
いくつかの実施態様において、対象は、例えば、肝生検、肝機能検査、超音波検査、肝静脈圧勾配(hepatic venous pressure gradient、HVPG)測定、ALTレベル、1つまたはそれ以上の他の血液検査、またはアルブミンレベル、の1つまたはそれ以上によって決定される慢性肝炎と診断されている。いくつかの実施態様において、生検は、処置開始前の6ヶ月以内に行われる。いくつかの実施態様において、生検は、本明細書で提供される方法によって、処置開始前の18ヶ月以内に行われる。いくつかの実施態様において、生検は、処置開始前の1日~24ヶ月以内に行われる。いくつかの実施態様において、対象は、スクリーニング前6ヶ月以内の肝生検に基づく慢性肝炎の証拠を有する。いくつかの実施態様において、対象は、処置前24週間以内および/または処置開始時、処置開始前24ヶ月以内、処置開始前24ヶ月~1ヶ月、または治療開始前12ヶ月~1日に正常化の上限(ULN)を超える血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有する。さまざまな実施態様において、対象は、実施例1における1つまたはそれ以上の独立に選択される基準を満たす。
【0071】
用量レジメン
いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法は、対象に、インターフェロンラムダ(例えば、ペグインターフェロンラムダ-1a)を1週間当たり180マイクログラム(McG)の用量で、ロナファルニブを50mgの1日2回(BID)用量で、およびリトナビルを100mgのBID用量で投与することを含む。一実施態様において、対象は、インターフェロンラムダを約200mcg~約100mcgでQD、ロナファルニブを約25mg~約50mgでBID、リトナビルを約50mg~約150mgでBID投与される。
【0072】
いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法は、対象にインターフェロンラムダを1週間当たり180~120mcgの用量で、ロナファルニブを50mgのBIDの用量で、リトナビルを200mgのQDの用量で投与することを含む。
【0073】
いくつかの実施態様において、ラムダは、1週間に120mcg、1週間に110mcg、1週間に100mcg、1週間に90mcg、1週間に80mcg、1週間に120~70mcg、1週間に200~120mcg、または1週間に170~130mcgで投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、180mcg QWの用量で投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、90mcg週に2回の用量で投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、3~4日毎に90mcgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、80mcg週に2回の用量で投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、3~4日毎に80mcgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、100~70mcg週に2回の用量で投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、100~70mcgの用量で3~4日おきに投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、120mcg QWの用量で投与される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダは、80mcg QWの用量で投与される。
【0074】
いくつかの実施態様において、HDV感染を処置されている対象は、処置の過程中にインターフェロンラムダおよび/またはロナファルニブ成分の用量レジメンの調節を受ける。いくつかの実施態様において、対象は、1つまたはそれ以上の後の用量が1つまたはそれ以上の前の用量よりも低い用量であるという形で、インターフェロンラムダおよび/またはロナファルニブの用量減少を受ける。いくつかの実施態様において、対象が許容できない副作用を示す場合、用量は減少される。いくつかの実施態様において、対象は、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルによる処置過程中に複数回の用量減少を受けることがある。いくつかの実施態様において、対象に投与される用量は、第1の用量での処置(例えば、180mcg QWの第1の用量で)の8週間前、または第1の用量での処置の1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、若しくは7週間前には減少されない。いくつかの実施態様において、対象に投与される用量は、第1の用量での処置 (例えば、180mcg QWの第1の用量で)の9~12週間前には減少されない。ロナファルニブの用量は、インターフェロンラムダの用量と同時期(または同時期(複数))に減少されてもよく、および/またはロナファルニブの用量は、インターフェロンラムダの用量とは異なる時期に減少されてもよい。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダの用量は減少され、ロナファルニブの用量は減少されない。いくつかの実施態様において、ロナファルニブの用量は減少され、インターフェロンラムダの用量は減少されない。
【0075】
いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法は、第1の処置期間に、対象にインターフェロンラムダを第1のインターフェロンラムダ用量(例えば、180マイクログラムを1週間に)で投与し、ロナファルニブを第1のロナファルニブ用量(例えば、50mg BID)で投与し、次いで、第2の処置期間に、対象にインターフェロンラムダを第2のインターフェロンラムダ用量(例えば、120マイクログラムを1週間に)で投与し、ロナファルニブを第2のロナファルニブ用量(例えば、25mg BID)で投与することを含む。いくつかの実施態様において、第1の処置期間の時間の長さは、第2の処置期間の時間の長さと同じである。いくつかの実施態様において、リトナビルの用量は、両方の処置期間において同じままである。
【0076】
いくつかの実施態様において、第1の処置期間および第2の治療期間は、異なる長さの時間である。いくつかの実施態様において、第1の処置期間は、第2の処置期間よりも長い。いくつかの実施態様において、第2の処置期間は、第1の処置期間よりも長い。
【0077】
対象は、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法を、所定の時間、許容されなくなるまで、またはエンドポイントに到達するまで受け得る。処置は、少なくとも2~3ヶ月間毎日継続され得る。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法は、少なくとも30日間、例えば、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも150日間、または少なくとも180日間継続される。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル処置は、少なくとも6ヶ月、例えば、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、または少なくとも2年間継続される。いくつかの実施態様において、本療法は、少なくとも6週間、例えば、少なくとも12週間、少なくとも18週間、少なくとも24週間、少なくとも30週間、少なくとも36週間、少なくとも42週間、少なくとも48週間、少なくとも60週間、少なくとも72週間、少なくとも84週間、または少なくとも96週間継続される。他の実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルの療法は、対象の残りの人生、または意味のある治療効果を提供すためにウイルスを十分に低いレベルに維持する効果がなくなるまで継続される。
【0078】
本明細書の方法において、一部のHDV対象は、本明細書に記載のインターフェロンラムダ、ロナファルニブおよびリトナビル療法に、ウイルスを検出不能なレベルまでクリアすることによって応答する。いくつかの実施態様において、HDV RNAレベルが検出レベル未満である対象については、HDVレベルが検出可能なレベルに戻らない限り、および戻るまで、処置が中断される。他の対象は、ウイルス量の低下および症状の改善を経験するが、検出不能なレベルまでウイルスをクリアしないが、定められた期間(例えば、約1年間、約2年間、約3年間、またはそれ以上)、または治療効果が提供される限り、治療を保持する。
【0079】
いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法での処置は、24週間の処置後に測定した場合、対象におけるHDVウイルス量の、血清1mLあたり少なくとも1.5 log10 HDV RNAコピーの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法での処置により、処置の24週間または48週間後に測定した場合、対象におけるHDVウイルス量の、血清1mLあたり少なくとも2.0 log10 HDV RNAコピーの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法での処置により、処置の24週間後に測定した場合、対象におけるHDVウイルス量の、血清1mLあたり少なくとも2.5 log10 HDV RNAコピーの低下をもたらす。
【0080】
いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法での処置により、処置の過程が継続している間にある期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上)持続するHDVウイルス量の持続的な低下(例えば、血清1mLあたり少なくとも1.5 log10 HDV RNA IU、血清1mLあたり少なくとも2.0 log10 HDV RNAコピー、または血清1mLあたり少なくとも2.5 log10 HDV RNA IUの低下、またはHDV RNAの検出不能なレベルへの低下)をもたらす。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法での処置により、処置の過程が完了した後のある期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上)持続するHDVウイルス量の持続的な低下をもたらす。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法により、1,000コピー/mL未満のHDV RNAレベル(例えば、血清HDV RNAレベルまたは血漿HDV RNAレベル)をもたらす。いくつかの実施態様において、HDV RNAレベルは、少なくとも1ヶ月、例えば、少なくとも3ヶ月、少なくとも1年、またはそれ以上の期間、1,000コピー/mL未満を維持する。いくつかの実施態様において、処置の過程により、100コピー/mL未満のHDV RNAレベル(例えば、血清HDV RNAレベルまたは血漿HDV RNAレベル)をもたらす。いくつかの実施態様において、HDV RNAレベルは、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも1年、またはそれ以上の期間、100コピー/mL未満を維持する。「未満を維持する」とは、ある期間、初期測定値(例えば、100コピー/mLまたは100 IU/mL)未満を維持すること、例えば、初期測定値の決定後1ヶ月(または他の指定時間)において、少なくとも1ヶ月(または他の指定時間)測定されるウイルス量測定値が初期値より高くないことを意味する。いくつかの実施態様において、対象は、指定時間中、インターフェロンラムダ療法を受けない。いくつかの実施態様において、対象は、指定時間中、いかなる抗HDV処置も受けない。
【0081】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される療法は、HDV RNAレベルが3 log10 HDV RNAコピー/mL未満(1,000コピー/mL未満)、または時にはHDV RNAレベルが2 log10 HDV RNAコピー/mL未満(100コピー/mL未満)または検出レベル未満になるまである期間継続される。いくつかの実施態様において、療法は、ウイルス量が許容可能な低レベル(例えば、検出不能なレベル)まで低下した後、ある期間(例えば、1~3ヶ月またはそれ以上)継続される。いくつかの実施態様において、療法は、HDVウイルス量が検出不能なレベルに低下するまで継続される。
【0082】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法により処理された対象は、処置の経過中にHDVウイルス量の検出不能なレベルへの低下を示し、該対象は、処置の終了後少なくとも12週間、HDVウイルス量の検出不能なレベルへの低下を維持する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法により処置された対象は、処置の経過中にHDVウイルス量の検出不能なレベルへの低下を示し、該対象は、処置の終了後少なくとも24週間、HDVウイルス量の検出不能なレベルへの低下を維持する。
【0083】
いくつかの実施態様において、対象のHDV力価は、処置の経過中にベースライン未満に低下する前に、ベースラインから上昇する。いくつかの実施態様において、対象のHDVレベルは、ベースラインの150%超、または200%超に上昇する。いくつかの実施態様において、力価の上昇は、ベースラインの25~50%、ベースラインの25~100%、またはベースラインの50~200%である。いくつかの実施態様において、力価の上昇は、療法開始後2週間以内に発生する。いくつかの実施態様において、対象の上昇したHDV力価は、療法の開始の2週間以内、または3週間以内に、ベースライン未満に低下する。
【0084】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法により処置された対象は、1つまたはそれ以上の肝機能パラメータの改善を呈する。いくつかの実施態様において、肝機能の改善は、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポ蛋白A1、ハプトグロビン、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)などの1つまたはそれ以上の血清マーカー(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上のマーカー)における改善である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法により処理された対象は、肝線維症(例えば、組織学的分析による生検、一過性超音波エラストグラフィー(例えば、FibroScan(登録商標))、または磁気共鳴エラストグラフィーによって評価される)の改善を呈する。いくつかの実施態様において、処置により、処置開始前と比較して、対象において1つまたはそれ以上の肝機能パラメータ(例えば、血清マーカー(複数可)の改善または肝線維症の改善)の少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%もしくは少なくとも100%の改善、または5~50%の間、10~80%の間、もしくは50~100%の間の改善をもたらす。いくつかの実施態様において、処置により、1つまたはそれ以上の肝機能パラメータの、HDVまたはHBVに感染していない健常対照対象のレベルへの改善(例えば、血清マーカー(複数可)の改善または肝線維症の改善)をもたらす。いくつかの実施態様において、対象は、血清ALTレベルの正常化の上限以内にあるレベルへの改善を呈する。
【0085】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法により処置された対象は、処置開始時のベースラインレベルと比較して、および/または対象のHDVウイルス量を低下させるのに有効な処置を受けていない同様の感染対象と比較して、HBVウイルス量の低下を示す。いくつかの実施態様において、処置により、HBVウイルス量の少なくとも1 log10の低下をもたらす。
【0086】
処置前に、対象のHDVおよび/またはHBVのウイルス量を測定して、ベースラインのウイルス量を決定する。ある期間の処置後(例えば、12週間の処置後)、対象のウイルス量は、ベースラインと比較して低下している。いくつかの実施態様において、ある期間の処置後(例えば、12週間の処置後)、対象のウイルス量は、ベースラインと比較して実質的に低下しており、例えば非常に低いレベルまたは検出不能なレベルに低下している。いくつかの実施態様において、処置により、HBVウイルス量の少なくとも2 log10の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法により処置された対象は、HBsAgレベルの低下またはHBsAg抗原のクリアランスの改善を呈する。処置前に、対象のHBsAgレベルを測定して、ベースラインを決定する。ある期間の処置後(例えば、12週間の処置後)、対象のHBsAgレベルは、ベースラインと比較して低下している。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法により処置された対象は、抗HBs抗体の存在を示す。
【0087】
本開示によるインターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法を受ける対象はまた、ヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体、HBV感染の処置に使用される化合物、および他の薬剤などの1つまたはそれ以上の他の抗ウイルス物質で処置されることもある。
【0088】
いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビル療法を適用される対象は、HBVの処置に使用される抗ウイルス物質で処置される。現在承認されている抗HBV薬は、インターフェロンを除き、逆転写酵素を阻害し、ヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体である。これらの医薬は、HBV DNAに対しては有効であるが、HDVが複製するために必要なHBsAgをクリアしないため、HDVに対しては有効ではない。現在承認されている抗HBVヌクレオシド/ヌクレオチド類似体は、ラミブジン(Epivir-HBV(登録商標)、Zeffix(登録商標)、またはHeptodin(登録商標))、アデフォビル・ジピボキシル(Hepsera(登録商標))、エンテカビル(Baraclude(登録商標))、テルビブジン(Tyzeka(登録商標)またはSebivo(登録商標))、クレブジン(韓国/アジア)、テノフォビル(Viread(登録商標)またはVemlidy(登録商標))を含む。いくつかの実施態様において、インターフェロンラムダ療法を適用される対象はまた、ラムビジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビル、テノフォビル、またはクレブジン(これらに限定されるものではない)などのヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体も投与される。いくつかの実施態様において、対象は、インターフェロンラムダ療法の開始前に、ヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体療法を受けている。いくつかの実施態様において、ヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体療法は、インターフェロンラムダ療法の開始時またはインターフェロンラムダ療法の過程中に開始される。
【0089】
以下の実施態様が考えられる。以下で使用されるように、一連の実施態様へのいずれかの参照は、それらの実施態様の各々への選言的な参照として理解される(例えば、「実施態様1~4」は、「実施態様1、2、3、または4」として理解される)。
【0090】
実施態様1は、対象においてD型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法であって、該対象に治療有効量のインターフェロンラムダを週に1回皮下投与すること、および該対象に治療有効量のロナファルニブおよびリトナビルを毎日投与することを含む投薬レジメンを含み、ここで、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルの投与は、
HDVウイルス量の持続的な低下に到達すること、
HDV RNAが検出不能なレベルに低下すること、
インターフェロンラムダ、ロンファルニブ、およびリトナビルが少なくとも12週間投与されたこと、または
インターフェロンラムダ、ロンファルニブ、およびリトナビルが少なくとも24週間投与されたこと、または
インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルが少なくとも48週間投与されたこと:
の1つまたはそれ以上の状況になるまで行う方法、である。
【0091】
実施態様2は、対象においてD型肝炎ウイルス(HDV)を処置する方法であって、
第1の処置期間に、対象にインターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルそれぞれの治療有効量を投与すること(ここで、インターフェロンラムダは、第1のインターフェロンラムダ用量で投与され、ロナファルニブは、第1のロナファルニブ用量で投与され、リトナビルは、第1のリトナビル用量で投与される);および
第1の処置期間後の第2の処置期間に、対象にロナファルニブおよびリトナビルそれぞれの治療上有効な量を投与すること(ここで、ロナファルニブは第2のロナファルニブ用量で投与され、リトナビルは第2のリトナビル用量で投与される)、を含む方法である。
【0092】
実施態様3は、インターフェロンラムダがペグ化インターフェロンラムダを含む、実施態様(複数可)1~2のいずれかの実施態様である。
【0093】
実施態様4は、インターフェロンラムダがインターフェロンラムダ-1aを含む、実施態様(複数可)1~3のいずれかの実施態様である。
【0094】
実施態様5は、インターフェロンラムダ、ロナファルニブ、およびリトナビルが、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも36週間、少なくとも48週間、少なくとも54週間、または12週間~96週間投与される、実施態様(複数可)1~4のいずれかの方法である。
【0095】
実施態様6は、インターフェロンラムダが、180マイクログラムを週に1回、90マイクログラムを週に2回、80マイクログラムを週に2回、または180マイクログラム1週間に、の用量で投与される、実施態様(複数可)1~5のいずれかの方法である。
【0096】
実施態様7は、インターフェロンラムダが、120マイクログラムを週に一回、60マイクログラムを週に2回、70マイクログラムを週に2回、または120マイクログラムを一週間に、の用量で投与される、実施態様(複数可)1~6のいずれかの方法である。
【0097】
実施態様8は、投与開始後24週間でHDV RNAがベースラインより>2 log低下している、実施態様(複数可)1~7のいずれかの方法である。
【0098】
実施態様9は、対象が、処置後の12週目および24週目の経過観察で血清中のHDV RNAが検出不能である、実施態様(複数可)1~8のいずれかの方法である。
【0099】
実施態様10は、対象が、処置終了時に組織学的な炎症性スコア(改変HAI)が少なくとも2点低下し、組織学的な線維形成の進行を伴っていない、実施態様(複数可)1~9のいずれかの方法である。
【0100】
実施態様11は、対象が、処置終了時、処置後12週目の経過観察時、および処置後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上において血清ALTが正常化している、実施態様(複数可)1~10のいずれかの方法である。
【0101】
実施態様12は、対象が女性であり、かつALTレベルが<20 IU/Lであるか、または対象が男性であり、かつALTレベルが<31 IU/Lである、実施態様11の方法である。
【0102】
実施態様13は、対象が、処置後12週目の経過観察時、または処置後24週目の経過観察時の一方または両方において血清ALTがベースラインの>50%で低下している、実施態様(複数可)1~12のいずれかの方法である。
【0103】
実施態様14は、対象が、処置終了時に、肝静脈圧勾配(hepatic venous pressure gradient、HVPG)測定値がベースラインの>25%で低下しているか、またはHVPGが正常化(<5mm Hg)している、実施態様(複数可)1~13のいずれかの方法である。
【0104】
実施態様15は、対象が、処置終了時に、Fibroscan(登録商標)一過性エラストグラフィー値がベースラインの>25%で低下している、実施態様(複数可)1~14のいずれかの方法である。
【0105】
実施態様16は、対象が、処置終了時に、線維形成スコアがF1に低下している、実施態様(複数可)1~15のいずれかの方法である。
【0106】
実施態様17は、対象が、処置終了時に、線維形成スコアが少なくとも1レベル、2レベル、3レベル、または4レベル低下している、実施態様(複数可)1~16のいずれかの方法である。
【0107】
実施態様18は、対象が、処置終了時、処置後12週目の経過観察時、または処置後24週目の経過観察時の1つまたはそれ以上において血清からHBsAgが消失している、実施態様(複数可)1~17のいずれかの方法である。
【0108】
実施態様19は、対象が、処置終了時および処置後24週目の経過観察時の一方または両方においてベースラインと比較して定量的HBsAgレベルが変化している、実施態様(複数可)1~18のいずれかの方法。
【0109】
実施態様20は、対象の少なくとも約81%が、ベースラインから3.6 log IU/mLのHDV RNA中央値の低下を有する、実施態様(複数可)1~19のいずれかの方法である。
【0110】
実施態様21は、12週間の処置後に、対象の大多数が、約2.6~4.2 log IU/mLのRNA中央値の低下を有する、実施態様(複数可)1~20のいずれかの方法である。
【0111】
実施態様22は、12週間の処置後に、対象の少なくとも約24%が、検出不能なHDV RNAを有する、実施態様(複数可)1~21のいずれかの方法である。
【0112】
実施態様23は、12週間の処置後に、対象の少なくとも約24%が、定量化の下限未満(BLOQ)のHDV RNAを有する、実施態様(複数可)1~22のいずれかの方法である。
【0113】
実施態様24は、処置終了時に、対象の少なくとも約73%が、少なくとも約3.4 log IU/mLのHDV RNAの低下を有する、実施態様(複数可)1~23のいずれかの方法。
【0114】
実施態様25は、処置終了時に、対象の大多数が、約2.9~約4.5 log IU/mLのHDV RNAの低下を有する、実施態様(複数可)1~24のいずれかの方法である。
【0115】
実施態様26は、処置終了時に、対象の37~42%が、検出不能なHDV RNAを達成する、実施態様(複数可)1~25のいずれかの方法である。
【0116】
実施態様27は、処置終了時に、対象の少なくとも約11~16%がBLOQを達成する、実施態様(複数可)1~26のいずれかの方法である。
【0117】
実施態様28は、処置終了時に、対象の少なくとも約95~96%が、24週間の処置中、>2 logのHDV RNAの低下を達成した、実施態様(複数可)1~27のいずれかの方法である。
【0118】
実施態様29は、>50%の対象が、検出不能なまたはBLOQのHDV RNAレベルを達成する、実施態様(複数可)1~28のいずれかの方法である。
【0119】
実施態様30は、ヌクレオシド類似体またはヌクレオチド類似体を対象に投与することを含む、実施態様(複数可)1~29のいずれかの方法である。
【0120】
実施態様31は、ヌクレオシド類似体またはヌクレオチド類似体が、ラミブジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビル、またはテノフォビルである、実施態様30の方法である。
【0121】
実施態様32は、対象が、硬変を伴うかまたは伴わない代償性肝疾患を有する、実施態様(複数可)1~31のいずれかの方法である。
【0122】
実施態様33は、対象が、硬変を伴う代償性肝疾患を有する、実施態様32の方法である。
【0123】
実施態様34は、インターフェロンラムダが1週間に180~120mcgの用量で投与され、ロナファルニブが50mgでBID投与され、リトナビルが200mgでQD投与される、実施態様(複数可)1~33のいずれかの方法である。
【0124】
実施態様35は、対象が、12週間の処置後にベースラインから少なくとも3.6 log IU/mLのHDV RNA中央値の低下を有する確率が少なくとも81%である、実施態様(複数可)1~34のいずれかの方法である。
【0125】
実施態様36は、対象が、12週間の処置後に約2.6~4.2 log IU/mLのHDV RNA中央値の低下を有する、実施態様(複数可)1~35のいずれかの方法である。
【0126】
実施態様37は、対象が、12週間の処置後に検出不能なHDV RNAを有する確率が少なくとも24%である、実施態様(複数可)1~36のいずれかの方法である。
【0127】
実施態様38は、対象が、12週間の処置後に定量化の下限未満(BLOQ)のHDV RNAを有する確率が24%である、実施態様(複数可)1~37のいずれかの方法である。
【0128】
実施態様39は、対象が、処置終了までにHDV RNA低下が少なくとも約3.4 log IU/mLである確率が少なくとも73%である、実施態様(複数可)1~38のいずれかの方法である。
【0129】
実施態様40は、対象が、処置終了までにHDV RNA低下が約2.9~約4.5 log IU/mLである可能性が高い、実施態様(複数可)1~39のいずれかの方法である。
【0130】
実施態様41は、対象が、処置終了までに検出不能なHDV RNAを有する確率が少なくとも37%である、実施態様(複数可)1~40のいずれかの方法である。
【0131】
実施態様42は、対象が、処置終了までにBLOQを有する確率が少なくとも約16%である、実施態様(複数可)1~41のいずれかの方法である。
【0132】
実施態様43は、処置終了時に、対象が、24週間の処置中、>2 logのHDV RNAの低下を有する確率が少なくとも約95%である、実施態様(複数可)1~42のいずれかの方法である。
【0133】
実施態様44は、対象が、処置終了までに検出不能なまたはBLOQのHDV RNAレベルを達成する確率が>50%であり得る、実施態様(複数可)1~43のいずれかの方法である。
【0134】
実施態様45は、対象の約11.5%が、ペグ化インターフェロンラムダ-1aまたはロナファルニブの1つまたはそれ以上ついて用量減少される、実施態様(複数可)1~44のいずれかの方法である。
【0135】
実施態様46は、対象の約15.4%が、ペグ化インターフェロンラムダ-1aの投与を中止される、実施態様(複数可)1~45のいずれかの方法である。
【0136】
実施態様47は、対象に投与されるインターフェロンラムダまたはロナファルニブの量が処置終了前に減少される、実施態様(複数可)1~46のいずれかの方法である。
【0137】
実施態様48は、対象が、対象に投与されるインターフェロンラムダまたはロナファルニブの量の減少を必要とする確率が少なくとも約11.5%である、実施態様(複数可)1~47のいずれかの方法である。
【0138】
実施態様49は、インターフェロンラムダの投与が、処置終了前に中止される、実施態様(複数可)1~48のいずれかの方法である。
【0139】
実施態様50は、対象が、インターフェロンラムダの投与の中止を必要とする確率が少なくとも約15.4%である、実施態様(複数可)1~49のいずれかの方法である。
【0140】
実施態様51は、対象が、12週間の処置後に定量化の下限未満(BLOQ)のHDV RNAを有する、実施態様(複数可)1~50のいずれかの方法である。
【0141】
実施態様52は、対象が、処置終了時にHDV RNA低下が少なくとも3.4 log IU/mLである、実施態様(複数可)1~51のいずれかの方法である。
【0142】
実施態様53は、対象が、処置終了時にHDV RNA低下が約2.9~約4.5 log IU/mLである、実施態様(複数可)1~52のいずれかの方法である。
【0143】
実施態様54は、対象が、処置終了時に検出不能なHDV RNAを有する、実施態様(複数可)1~53のいずれかの方法である。
【0144】
実施態様55は、対象が、処置終了時にBLOQのHDV RNAを有する、実施態様(複数可)1~54のいずれかの方法である。
【0145】
実施態様56は、対象が、処置終了時に、24週間の処置中、>2 logのHDV RNAの低下を有する、実施態様(複数可)1~55のいずれかの方法である。
【0146】
実施態様57は、対象がBLOQのHDV RNAを有する、実施態様(複数可)1~56のいずれかの方法である。
【0147】
実施態様58は、第1のロナファルニブ用量が第2のロナファルニブ用量に等しい、実施態様(複数可)1~57のいずれかの方法である。
【0148】
実施態様59は、第1のロナファルニブ用量が第2のロナファルニブ用量より少ない、実施態様(複数可)1~58のいずれかの方法である。
【0149】
実施態様60は、第1のロナファルニブ用量が第2のロナファルニブ用量より多い、実施態様(複数可)1~59のいずれかの方法である。
【0150】
実施態様61は、第1のリトナビル用量が第2のリトナビル用量に等しい、実施態様(複数可)1~60のいずれかの方法である。
【0151】
実施態様62は、第1のリトナビル用量が第2のリトナビル用量より少ない、実施態様(複数可)1~61のいずれかの方法である。
【0152】
実施態様63は、第1のリトナビル用量が第2のリトナビル用量より多い、実施態様(複数可)1~62のいずれかの方法である。
【0153】
実施態様64は、第1の処置期間が第2の処置期間に等しい、実施態様(複数可)1~63のいずれかの方法である。
【0154】
実施態様65は、第1の処置期間が第2の処置期間より短い、実施態様(複数可)1~64のいずれかの方法である。
【0155】
実施態様66は、第1の処置期間が第2の処置期間より長い、実施態様(複数可)1~65のいずれかの方法である。
【0156】
実施態様67は、B型肝炎ウイルス(HBV)およびD型肝炎ウイルス(HDV)の共感染を有する対象においてHDV感染に対するHBVを標的とする治療薬の影響を評価する方法であって、処置期間に、該治療物質を該対象に投与すること;処置期間後に、該対象からの生物学的試料中のHBsAgの量を測定すること;および生物学的試料中のHBsAgの量が検出不能であるかどうかを決定すること、を含み、ここで、HBsAgの量が検出不能であれば、該治療薬がHDV感染に影響を与えているとする、方法である。
【0157】
実施態様68は、該対象におけるHDV RNAのベースライン量を決定すること;処置期間後に、該対象からの生物学的試料中のHDV RNAの量を測定すること;および該生物学的試料中のHDV RNAの量がHDV RNAのベースライン量と比較して減少されているかどうかを決定すること、をさらに含む、実施態様67の方法である。
【実施例
【0158】
実施例1
本明細書では、慢性D型肝炎の成人患者26名を、ペグインターフェロンラムダ-1a(LMD)とリトナビル(RTV)(一般に「LMD/LNF/RTV」)でブーストしたプレニル化阻害剤であるロナファルニブ(LNF)の組み合わせで24週間処置する非盲検の臨床試験を提供する。本試験は、ラムダインターフェロン組み合わせ療法(LIFT)試験と称される。患者は、療法開始前に採血、画像診断、安全相談、および門脈圧測定を伴う肝生検を含むベースライン検査を受けた。療法中、すべての患者は、定量的HDV RNAおよびHBV DNAレベル、ならびに定期的な安全対策および肝機能検査についてモニターした。24週間後に、療法を停止し、患者は再び採血、画像診断、安全相談を含む検査を繰り返し受けた。療法中止後、患者をさらに24週間追跡した。
【0159】
対象は18歳以上であり、血清中に抗HDVが存在すること;処置前の3時点において血清中に定量可能なHDV RNAが存在し、平均HDV RNAレベルがHDV RNAアッセイの定量化の下限(LLOQ)より>2 log10高く、血清中のHDV RNAが6ヶ月存在するか、または抗HDV抗体が6ヶ月存在することにより証明される慢性化の証明であること。
【0160】
ビリルビン>4mg/dL、アルブミン<3.0gm/dL、プロトロンビン時間>2秒延長、または出血性食道静脈瘤、腹水もしくは肝性脳症の既往により定義される非代償性肝疾患対象は登録させなかった。ALTレベルが1000 U/Lを超える(ULNの25倍を超える)対象は登録させなかった。絶対好中球数<1000/dL、血小板<75,000/dLの患者は、試験から除外させた。対象また、うっ血性心不全、腎不全(eGFR<50ml/min)、臓器移植、重い精神疾患またはうつ病、または活動性冠動脈疾患;登録前2ヶ月以内に全身性免疫抑制療法;ウイルス性肝炎に加えて別の形態の肝疾患の証拠(例えば、自己免疫性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ウィルソン疾患、アルコール性肝疾患、進行中の薬物誘発性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(ただし、脂肪症ではない)、ヘモクロマトーシス、またはアルファ-1-アンチトリプシン欠乏症);前年内のアルコール、吸入または注射薬物などの活性物質乱用;肝細胞癌の証拠を含むかこれらに限定されない、肝疾患以外の有意な全身性または主要疾患を有すれば登録させなかった。対象は、AFPの上昇;血清HCV RNAが陽性であるC型肝炎の同時感染の証拠;登録前6ヶ月以内に実験的療法またはペグ化インターフェロン療法を受けたこと;全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、クローン病または関節リウマチなどの活動性の重い自己免疫疾患を有すれば登録させなかった。
【0161】
試験中にB型肝炎が再発する可能性を防ぐため、全ての患者は試験中にヌクレオシ(チ)ド類似体で処置した(24週間のエンテカビルまたはテノフォビル+ロナファルニブ/リトナビル/ラムダ、および療法後のモニタリング段階中の24週間のエンテカビルまたはテノフォビル)。ロナファルニブ/リトナビル/ラムダ開始前にヌクレオシ(チ)ド類似体を使用していなかった患者には、HDV療法を開始する前に、(HBVの処置のためにAASLDおよびEASLにより推奨されるファーストラインヌクレオシ(チ)ド類似体)であるエンテカビルまたはテノフォビルを開始した(B型肝炎再発の危険性を低減するため)。HBVウイルス量は、試験参加の全過程中、各外来患者の訪問でヌクレオシド類似体療法を開始した後にモニターした。実験的HDV療法に対する応答の決定を改善するために、HDV療法を開始する前に、ヌクレオシド類似体療法での適切なHBV抑制(血清HBV DNAレベル<2000 IU/mL)が必要であった。
【0162】
全ての患者は、ロナファルニブ50mgを1日2回経口投与、リトナビル100mgを1日2回経口投与、およびインターフェロンラムダ180mcgを毎週皮下投与で開始した。患者は、例えば肝生検の1~2日後に療法を開始し、副作用の観察、医薬の投与、ウイルス学的応答動態分析および薬物動態分析を容易にするための定時採血のために、療法導入後72時間は臨床センターに保持させた。入院中、ウイルス動態、薬物動態、保存のため、頻繁に採血を行った(初回投与の0時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間後)。
【0163】
特定の条件下で、対象は以下のように用量減少を行った:インターフェロンラムダの用量を180mcgから120mcgに減少させ、ロナファルニブの用量を50mgから25mgに減少させた。用量は、例えば、対象が、ラムダまたはロナファルニブに関連すること、ラムダまたはロナファルニブに関連する可能性があること、ラムダまたはロナファルニブに関連する可能性があること、および臨床的に有意ではないこと、の1つまたはそれ以上であるグレード3を超えるかそれと同等である有害事象を経験した場合に、用量を減少させた。例えば、対象がうつ病を経験した場合、新たな眼症状、血液学的異常を有していたが、またはクレアチニンクリアランスが50mL/min未満であった場合、用量を減少させた。
【0164】
現在進行中のこの試験では、慢性HDVで、血清中のHDV RNAが定量可能(定量化の下限<40 IU/mL)な成人患者26名が、24週間のLMD/LNF/RTVでの処置を完了し、24週間のプロトコル通りの処置後のモニタリングを受けている。患者は62%が男性で、年齢中央値は40歳、アジア人(54%)、白人(31%)およびアフリカ人(15%)の対象であった。ベースラインの評価値の中央値には、ALT(62 IU/mL)、AST(47 IU/mL)、イシャク線維症(3)、改変HAI炎症(9)、HBV DNA(<21 IU/mL)およびlog HDV RNA(4.74 IU/mL)が含まれた。12週間の処置後、ベースラインからのHDV RNA中央値の低下は3.4 log IU/mL(IQR:2.9~3.8, p<0.0001)であり、7人の患者(27%)がHDV RNA検出不能を達成し、6人の患者(23%)が定量化の下限未満(BLOQ)のHDV RNAであった。療法終了時(24週)に、HDV RNA中央値の低下は3.4 log IU/mL(IQR:2.9~4.5、p<0.0001)で、11人の患者(42%)が検出不能なHDV RNAを達成し、3人の患者(11%)がBLOQを達成した。26人中25人の患者(96%)が24週間の療法期間中に>2 logの低下を達成した。有害事象は、ほとんどが軽度から中等度であり、GI関連副作用、体重減少、高ビリルビン血症、および貧血などであった。療法において、3名の患者で用量を減少させ、4名の患者で中止させた。
【0165】
慢性HDV患者における、ペグインターフェロンラムダ-1a(LMD)とリトナビル(RTV)でブーストしたロナファルニブ(LNF)との組み合わせの三重併用療法は、ほとんどの患者において最大6ヶ月間安全かつ許容できると見られる。24週間後、ほぼすべての患者が療法中にHDV RNAの低下が>2 logを達成し、>50%が検出不能またはBLOQ HDV RNAレベルを達成した。
【0166】
実施例2
ペグインターフェロンラムダ(ラムダ)を48週間投与することにより、HDVおよび代償性肝疾患を有する患者の36%において、持続的なウイルス学的応答(処置後24週目にHDV RNAが定量化の限界以下)を誘導することが示された(第2相LIMT試験、NCT02765802)。本療法の説明については、国際出願番号PCT/US2019/048038も参照のこと。LIMT試験では、ラムダ療法の肝組織学への影響は評価されていない。本実施例では、LIMT試験からHDV患者における処置後の肝線維症の後退の2つの症例報告を提供する。
【0167】
試験のランダム化の前に肝生検を受け、48週間ラムダ180mcgを週1回皮下注射で処置し、その後24週間の経過観察期間が続くLIMT試験からの2人の患者を、最後のラムダ注射のの18ヶ月後の肝生検で評価した。ISHAK採点システムに従ってステージングされた肝生検を、患者の過去の生検の結果と比較した。HDV RNAウイルス量およびALTレベルは、ベースライン(BL)、処置終了(EOT)時、および試験終了(EOS)時に評価した。Fibroscan(登録商標)はBLおよびEOSに行った。
【0168】
FibroScanは、肝臓における線維症(瘢痕化)および脂肪症(脂肪性変化)を測定する専用の超音波装置である。Fibroscan装置(Echosens)は、せん断波速度を測定することによって機能する。この技術では、超音波プローブの先端にある小さなトランスデューサーから50MHzの波が肝臓に通過する。プローブの先端には、この波が肝臓を通過するときのせん断波の速度(m/s)を測定することができるトランスデューサーも有する。このように、このせん断波の速度は、肝臓の硬さに変換され、キロパスカルで示される。基本的に、この技術は肝臓を通過する音波の速度を測定し、その測定値を肝臓の硬さの測定値に変換するもので、このプロセス全体を肝臓超音波エラストグラフィーと称することが多い。Afdhal, N.H., Gastroenterol Hepatol (N Y). 8(9): 605-607 (2012)中のさらなる議論をご参照のこと。
【0169】
64歳男性の患者1では、HDV RNAレベルはBL時に3.7 log10であり、EOT時に検出不能となり、EOS時に2.6 log10にリバウンドした。ALTはBL時に169U/Lであり、EOT時に55U/Lに低下し、EOS時に54U/Lを保持した。Fibroscan(登録商標)スコアはBL時の20kPaからEOS時の9.9kPaに低下した。過去の肝生検とラムダ処置後の生検を比較すると、線維化スコアがF5(不完全肝硬変)からF1(軽度門脈線維症)に低下したことが有意に示されていた。
【0170】
37歳女性の患者2では、HDV RNAはBL時に4.9 log10であり、EOT時に検出不能となり、EOS時に3.6 log10にリバウンドした。ALTはBL時に159U/Lであり、EOT時に44U/Lに低下し、EOS時に162U/Lとピークに達した。Fibroscan(登録商標)スコアは、BL時に7.7kPaであり、EOS時に11.1kPaと上昇した。過去の生検と処置後の生検を比較すると、線維化スコアはF4(著しい架橋線維症)からF1に低下していた。
【0171】
これは、承認された処置がない最も重症の肝炎である慢性HDV患者において、ラムダによる有限の持続期間の治療後に線維症が後退したことを示す最初の報告である。これらの症例研究は、HDV RNAクリアランスがない場合、48週間のラムダ療法の後の肝臓における臨床的利益を示唆するものである。
【0172】
実施例3
HBVに対する新しい薬剤が開発されているので、HDV共感染に対するそれらの効果を予測しようとした。多くの薬剤が血清HBV DNAのレベルに対してさまざまな効果を有すると見られるが、大多数はHBsAgレベルに対して有意に少ない効果を有する。HBsAg(オーストラリア抗原とも称られる)は、B型肝炎ウイルス(HBV)の表面抗原である。これは、現在のB型肝炎の感染を示すものである。HBsAgの1 log超の低下が期待できる薬剤であっても、HBVからの要件は、どんなに小さくてもHBsAgの供給源であるため、共存するHDV感染に意味のある影響を与えるかどうかは不明である。重複感染した細胞に存在するHBsAgを利用する上で、HDVはHBVよりも効率的であると見られる。
【0173】
HDVに対する開発中のHBV用新しい薬剤の影響の予測にさらに取り組むために、本試験では、モンゴルのウランバートルのHDV感染患者の単一施設からのコホートにおいて、HBsAgの閾値が徐々に低くなる関数としてHDV RNAレベルを調査した。
【0174】
モンゴルのウランバートルのThe Liver CenterのデータベースからALTが上昇した57人の患者の定量的HBsAg(qHBsAg)[検出限界(LOD)=0.03 IU/mL]およびHDV RNA(LOD=50 IU/mL)の結果のペアが分析に利用可能であった。患者は以下のqHBsAgレベルでグループ分けた:<50 IU/mL未満、50~100 IU/mL、100~1000 IU/mL。そして、各qHBsAg閾値について、平均HDV RNA値および平均ALT値を決定した。この分析の結果は、以下の表1にまとめる。
【0175】
定量的HBsAgレベルが非常に低い場合(すなわち、<100 IU/mL)でも、HDV RNAはALTレベルの上昇とともに持続し、継続する肝損傷と一致する。HBsAgを完全に根絶することができない開発中のHBV療法は、共存するHDV感染に大きな影響を与えることはない。
【表1】
【0176】
本明細書で引用されるすべての出版物および特許は、個々の出版物または特許が具体的かつ個別に示されるかのように、引用することにより本明細書に包含される。本明細書に引用されたすべての出版物および特許は、それぞれの出版物または特許が引用された方法および/または材料を開示および記述するために、引用により本明細書に包含される。
【0177】
本発明は、特定の態様、実施対象、および任意の特徴によって具体的に開示されているが、そのような態様、実施態様、および任意の特徴の修正、改善、および変形は、当業者によって頼ることができ、そのような修正、改善、および変形は、本開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0178】
本発明は、本明細書において広く一般的に記載されている。一般的な開示に含まれるより狭い種および亜属グループのそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、本発明が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの亜群に関しても説明されることを認識するであろう。
【国際調査報告】