(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】ナノ結晶コバルトドープニッケルフェライト粒子、その製造方法、およびその使用
(51)【国際特許分類】
C01G 49/00 20060101AFI20221207BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20221207BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20221207BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20221207BHJP
H01F 1/34 20060101ALI20221207BHJP
H01F 1/37 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C01G49/00 E
C08L101/00 ZNM
C08K3/22
C01G49/00 H
C01G53/00 A
H01F1/34 140
H01F1/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522990
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 US2020055449
(87)【国際公開番号】W WO2021076536
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤジエ・チェン
【テーマコード(参考)】
4G002
4G048
4J002
5E041
【Fターム(参考)】
4G002AA10
4G002AB01
4G002AE05
4G048AA03
4G048AB01
4G048AC08
4G048AD03
4G048AE05
4J002AA001
4J002BB001
4J002BB031
4J002BD121
4J002BD141
4J002BD151
4J002BG021
4J002BG061
4J002CH091
4J002CN031
4J002DE116
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD130
4J002FD206
4J002GQ00
4J002GR00
5E041AB12
5E041BB04
5E041CA08
5E041HB11
5E041HB17
5E041NN02
5E041NN06
5E041NN14
5E041NN15
(57)【要約】
式:Ni1-x-yMyCoxFe2+zO4を有するナノ結晶フェライトであって、式中、MがZn、Mg、Cu、またはMnの少なくとも1つであり、xが0.01から0.8であり、yが0.01から0.8であり、zが-0.5から0.5であり、前記ナノ結晶フェライトが、5から100nmの平均粒径を有する、ナノ結晶フェライトが開示される。ナノ結晶フェライトを形成する方法は、高エネルギーボールミル粉砕を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ni
1-x-yM
yCo
xFe
2+zO
4を有するナノ結晶フェライトであって、
式中、MがZn、Mg、Cu、またはMnの少なくとも1つであり、xが0.01から0.8であり、yが0.01から0.8であり、zが-0.5から0.5であり、
前記ナノ結晶フェライトが、5から100nm、好ましくは10から40nmの平均粒径を有する、ナノ結晶フェライト。
【請求項2】
前記ナノ結晶フェライトが、式Ni
1-x-yZn
yCo
xFe
2+zO
4を有し、式中、xが0.1から0.3であり、yが0.2から0.4であり、zが-0.5から0.1である、請求項1に記載のナノ結晶フェライト。
【請求項3】
前記ナノ結晶フェライトが、
0.2から100マイクロメートルの平均粒径を有する球形粒子、または
最長寸法が厚さより大きいという条件で、0.5から100マイクロメートルの最長寸法、および0.05から1マイクロメートルの厚さを有するプレートレット形状粒子
の少なくとも1つの形態である、請求項1または2に記載のナノ結晶フェライト。
【請求項4】
0.1から6ギガヘルツで1.5から5の透磁率、または0.1から6ギガヘルツで3から8の誘電率の少なくとも1つを有し、透磁率および誘電率が、パラフィンワックス複合体の総体積に基づいて60体積パーセントのナノ結晶フェライトを含むパラフィンワックス複合体として決定される、請求項1から3のいずれか一項に記載のナノ結晶フェライト。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のナノ結晶フェライトと、ポリマーとを含む複合体。
【請求項6】
前記ポリマーが、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、または低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、またはポリ(エーテルスルホン)のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
前記複合体の総体積に基づいて5から95体積パーセント、または30から70体積パーセントのナノ結晶フェライトを含み、前記複合体の総体積に基づいて5から95体積パーセント、または30から70体積パーセントのポリマーを含む、請求項5または6に記載の複合体。
【請求項8】
1から3ギガヘルツで2以上、または3以上、または5以上の透磁率、
1から3ギガヘルツで0.05以下、または0.02以下の磁気損失正接、
0.1から6ギガヘルツで3、4、5、6、7、または8以下の誘電率、
0.1から6ギガヘルツで0.02以下の誘電損失正接、または
1から6ギガヘルツの共振周波数、
の少なくとも1つを有し、
それぞれの特性が、0.1から8.5ギガヘルツの周波数範囲においてNicholson-Ross-Weir法でベクトルネットワークアナライザ(VNA)を同軸ケーブルとともに使用して決定される、請求項5から7のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項9】
1から3ギガヘルツで0.05以下、または0.02以下の磁気損失正接、および
1から3ギガヘルツで3以上、または2以上の透磁率
を有する、請求項5から8のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項10】
請求項5から9のいずれか一項に記載の複合体を含む物品。
【請求項11】
前記物品が、アンテナ、変圧器、反電磁インターフェース材料、またはインダクタであり、かつ/または前記物品がマイクロ波装置である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
例えば請求項1から4のいずれか一項に記載のナノ結晶フェライトを形成する方法であって、
ニッケルフェライト相を有する粉砕粉末を提供するのに十分な時間(例えば、2から100時間)および温度(例えば、800から1200℃)で、Ni、M、Co、およびFe前駆体粉末を高エネルギーボールミル粉砕するステップであって、前記高エネルギーボールミル粉砕が任意選択的に400から600rpmのバイアル回転速度で行われる、高エネルギーボールミル粉砕するステップと、
5から100ナノメートルの平均粒径を有するナノ結晶構造を有するナノ結晶フェライトを生成するのに十分な時間(例えば、0.5から30時間)および温度(例えば、300から1000℃)で前記粉砕粉末を加熱するステップと、
を含む、ナノ結晶フェライトを形成する方法。
【請求項13】
例えば請求項1から4のいずれか一項に記載のナノ結晶フェライトを形成する方法であって、
ニッケルフェライト相を有する混合粉末を提供するのに十分な時間(例えば、2から4時間)および温度(例えば、800から1200℃)で、Ni、M、Co、およびFe前駆体粉末を混合及び加熱するステップと、
前記混合粉末を一定時間(例えば、2から100時間)高エネルギーボールミル粉砕して、無秩序な原子スケール構造を有する粉砕粉末を提供するステップであって、前記高エネルギーボールミル粉砕が任意選択的に400から600rpmのバイアル回転速度を有し得る、高エネルギーボールミル粉砕ステップと、
5から100ナノメートル、好ましくは10から40nmの平均粒径を有するナノ結晶構造を発達させるのに十分な時間(例えば、0.5から30時間)および温度(例えば、300から1000℃)で前記粉砕粉末を加熱するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記ナノ結晶フェライトが、式Ni
1-x-yZn
yCo
xFe
2+zO
4を有し、式中、xが0.1から0.3であり、yが0.2から0.4であり、zが-0.5から0.1である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記前駆体粉末が、α-Fe
2O
3、NiO、Co
3O
4、およびZnOを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記高エネルギーボールミル粉砕の間のボール対総粉末質量比が20:1から40:1である、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ボールが3mmから20mmの直径を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱するステップが、空気、アルゴン、窒素、または酸素のうちの少なくとも1つの下で実施される、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ結晶フェライトが、
0.2から100マイクロメートルの平均粒径を有する球形粒子、または
0.5から100マイクロメートルの平面寸法、および0.05から1マイクロメートルの厚さを有するプレートレット形状粒子
の少なくとも1つの形態である、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ結晶フェライトが、0.1から6GHzで1.5から5の透磁率、および/または0.1から6GHzで3から8の誘電率を有し、透磁率および誘電率が、パラフィンワックス複合体の総体積に基づいて60体積パーセントのナノ結晶フェライトを含むパラフィンワックス複合体として決定される、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月17日に出願された米国仮出願第62/916,425号の利益を主張する。関連出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
極超短波(UHF)、Lバンド、およびSバンドで使用されるデバイスに対して絶えず増大する要求を満たすために、性能の向上と小型化が必要であり、これらは、様々な商業および防衛関連産業において特に関心がある。レーダーや最新の無線通信システムの重要なコンポーネントとして、小型サイズのアンテナ要素が継続的に開発されている。しかしながら、多くのフェライト材料が高周波で比較的高い磁気損失を示すため、そのような高周波用途で使用するためのフェライト材料を開発することは困難であった。したがって、高周波用途で使用するための改良されたフェライト材料が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示されるのは、ナノ結晶コバルトドープニッケルフェライト粒子、その製造方法、およびその使用である。
【0004】
本明細書に開示されるのは、式:Ni1-x-yMyCoxFe2+zO4を有するナノ結晶フェライトであり、式中、Mは、Zn、Mg、Cu、またはMnのうちの少なくとも1つであり、xは0.01から0.8であり、yは0.01から0.8であり、zは-0.5から0.5であり、ナノ結晶フェライトの平均粒径は5から100nm、好ましくは10から40nmである。
【0005】
さらに、上記のナノ結晶フェライトおよびポリマーを含む複合体も開示されている。
【0006】
上記のナノ結晶フェライトを形成する方法は、ニッケルフェライト相を有する粉砕粉末を提供するのに十分な時間および温度で、Ni、M、CO、およびFe前駆体粉末を高エネルギーボールミル粉砕するステップと、平均粒径が5から100ナノメートルのナノ結晶構造を有するナノ結晶フェライトを生成するのに十分な時間および温度で、粉砕粉末を加熱するステップと、を含む。
【0007】
上記のナノ結晶フェライトを形成する別の方法は、ニッケルフェライト相を有する混合粉末を提供するのに十分な時間および温度で、Ni、M、CO、およびFe前駆体粉末を混合および加熱するステップと、混合粉末を一定時間高エネルギーボールミル粉砕して、無秩序な原子スケール構造を有する粉砕粉末を提供するステップと、平均粒径が5から100nmのナノ結晶構造を発達させるのに十分な時間および温度で、粉砕粉末を加熱するステップと、を含む。
【0008】
上記および他の特徴は、以下の図面、詳細な説明、および特許請求の範囲によって例示される。
【0009】
以下の図面は、本開示を説明するために提供される例示的な態様である。これらの図面は例示するものであり、本開示に従って製造されたデバイスを、本明細書に記載の材料、条件、またはプロセスパラメータに限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本開示によるナノ結晶構造を有する球形粒子の概略図である。
【
図1B】本開示によるナノ結晶構造を有するプレートレット形状粒子の概略図である。
【
図1C】本開示によるナノ結晶構造を有するプレートレット形状粒子の断面の概略図である。
【
図2】実施例1で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子(球形)のXRDパターンを示す。
【
図3】実施例1で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素透磁率を示す。
【
図4】実施例1で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。
【
図5】実施例2で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。
【
図6】実施例2で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。
【
図7】実施例3で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。
【
図8】実施例3で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。
【
図9】実施例4で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子(球形)のXRDパターンを示す。
【
図10】実施例4で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子の複素誘電率を示す。
【
図11】実施例4で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子の複素誘電率を示す。
【
図12】実施例5で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子の複素誘電率を示す。
【
図13】実施例5で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子の複素誘電率を示す。
【
図14】実施例6で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子の複素誘電率を示す。
【
図15】実施例6で生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子の複素誘電率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
高エネルギーボールミル粉砕によって、5から100ナノメートル(nm)のナノ結晶粒径を有するNi0.5Zn0.3Co0.2Fe2O4などのNi1-x-yMyCoxFe2+zO4フェライトが提供されることが発見された。このようなフェライトは、本明細書においてナノ結晶フェライトと呼ばれる。ポリマーと配合されると、本開示によるナノ結晶フェライトは、低磁気損失、高透磁率、低誘電率、または低誘電損失のうちの少なくとも1つを有する複合体を提供する。ここで説明する複合体は、アンテナ基板、インダクタコア、および広範囲の周波数(0.1から6GHz)にわたるEMIサプレッサとしての用途において特に有用である。
【0012】
ナノ結晶フェライトは、式Ni1-x-yMyCoxFe2+zO4を有し、式中、Mは、Zn、Mg、Cu、またはMnの少なくとも1つであり、xは0.01から0.8であり、yは0.01から0.8であり、zは-0.5から0.5である。ナノ結晶フェライトは、例えば、シェラー方程式を用いたX線回折によって測定される、5から100nm、好ましくは10から40nmの平均粒径(例えば、結晶子径)を有するが、粒径は、一般的に、TEMによって測定され得る。
【0013】
ナノ結晶フェライトは、式Ni1-x-yZnyCoxFe2+zO4を有することができ、式中、xは0.1から0.3であり、yは0.2から0.4であり、zは-0.5から0.1である。ナノ結晶フェライトは式Ni0.5Zn0.3Co0.2Fe2+zO4を有することができ、式中、zは-0.5から0である。ナノ結晶フェライトは、式Ni0.5Zn0.3Co0.2Fe2O4またはNi0.5Zn0.3Co0.2Fe1.95O4を有することができる。
【0014】
ナノ結晶フェライトは、
図1Aに示されるようなナノサイズの粒子を含む球形粒子を含み得る。ナノ結晶フェライトは、
図1B(広い表面)および
図1C(断面)に示されるように、ナノサイズの粒子を含むプレートレット粒子を含み得る。粒径は、Horiba LA-910レーザー光散乱PSDアナライザを使用して、またはASTM D4464-15に従って決定され得る。球形粒子は、0.2から100マイクロメートルの平均粒径を有し得る。プレートレット形状粒子は、最長寸法がプレートレット厚さより大きい条件で、最長寸法(長さ)が0.5から100マイクロメートル、または5から100マイクロメートル、またはプレートレットの厚さが0.05から1マイクロメートル、または0.05から0.5マイクロメートルの少なくとも1つを有することができる。
【0015】
ナノ結晶フェライトは、0.1から6GHで1.5から5の透磁率、および/または0.1から6GHで3から8の誘電率を有することができ、透磁率および誘電率は、0.1から8.5GHzの周波数範囲でNicholson-Ross-Weir(NRW)法とともにベクトルネットワークアナライザ(VNA)を使用して、3×7×2.8ミリメートルのトロイドにプレスされた複合体の総体積に基づいて60体積パーセント(vol.%)のナノ結晶フェライトを有するパラフィンワックス複合体として決定される。誘電率および透磁率は、25℃の温度および50±5%の相対湿度で決定され得る。
【0016】
ナノ結晶フェライトを形成する方法は、化学量論的または非化学量論的な量のNi、M、Co、およびFe前駆体粉末を、粉砕粉末を提供するのに十分な時間および温度で、高エネルギーボールミル粉砕するステップを含む。高エネルギーボールミル粉砕は、2から100時間行われ得る。高エネルギーボールミル粉砕中のバイアルの回転速度は、毎分400から600回転(rpm)であり得る。粉砕粉末は、平均粒径が5から100nm、好ましくは10から40nmのナノ結晶構造を有するナノ結晶フェライトを生成するのに十分な時間および温度で加熱され得る。加熱は、摂氏300から1000度(℃)の温度で行われ得る。加熱は0.5から30時間行われ得る。
【0017】
ナノ結晶フェライトを形成する方法は、化学量論的または非化学量論的な量のNi、M、Co、およびFe前駆体粉末を、混合粉末を提供するのに十分な温度および時間で混合するステップと、ニッケルフェライト相を有する混合フェライトを生成するのに十分な時間および温度で混合粉末を加熱するステップと、を含む。混合粉末を加熱するステップは、800から1,200℃の温度で行われ得る。混合粉末を加熱するステップは、2から4時間行われ得る。混合フェライトには、一定時間高エネルギーボールミル粉砕が施され、無秩序な原子スケール構造を有する粉砕粉末が提供され得る。高エネルギーボールミル粉砕は、2から100時間行われ得る。高エネルギーボールミル粉砕中のバイアルの回転速度は、毎分400から600回転(rpm)である。粉砕粉末は、5から100nm、好ましくは10から40nmの平均粒径を有するナノ結晶構造を発達させるのに十分な時間および温度で加熱して形成され得る。加熱は、摂氏300から1000度(℃)の温度で行われ得る。加熱は0.5から30時間行われ得る。
【0018】
高エネルギーボールミル粉砕は当技術分野で知られている。高エネルギーボールミルの例には、SPEXミル、振動ミル、極低温グラインダ、および摩砕機が含まれる。好ましくは、高エネルギーボールミル粉砕は、3から20ミリメートル(mm)、より好ましくは3から10mmの直径を有するボールの存在下で行われる。例示的なボールには、硬化クロム鋼ボールが含まれ、粉砕用の例示的な容器には硬化クロム鋼容器が含まれる。
【0019】
高エネルギーボールミル粉砕プロセスでは、ボール対全粉末(例えば、前駆体粉末または焼成フェライト)の質量比は、20:1から40:1、または30:1であり得る。
【0020】
ナノ結晶フェライトを製造するための前駆体には、Ni、M、Co、およびFeの前駆体酸化物または炭酸塩粉末が含まれる。例示的な前駆体には、酸化鉄(例えば、α-Fe2O3)、酸化ニッケル(例えば、NiO)、酸化コバルト(Co3O4)、および酸化亜鉛(例えば、ZnO)が含まれる。その他の鉄前駆体には、Fe(NO3)3・9H2O、FeCl3・6H2O、Fe2(SO4)3・H2Oが含まれ、その他のニッケル前駆体には、Ni(CH3COO)2・4H2O、Ni(NO3)2・6H2O、NiCl2・6H2Oが含まれ、その他のコバルト前駆体には、Co(CH3COO)2・4H2O、Co(NO3)2・6H2O、CoCl2・6H2Oが含まれ、その他の亜鉛前駆体には、Zn(NO3)2・6H2O、ZnCl2、ZnSO4・7H2Oが含まれる。
【0021】
それぞれの加熱ステップは、例えば、空気、アルゴン、窒素、または酸素のうちの少なくとも1つにおいて実施することができる。加熱ステップは、結晶粒径およびフェライト相の形成を制御することに加えて、内部応力を解放することができる。
【0022】
複合体は、ナノ結晶フェライトおよびポリマーを含み得る。ポリマーは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含み得る。本明細書で使用される場合、「熱可塑性」という用語は、塑性または変形可能であり、加熱すると溶融して液体になり、十分に冷却されると脆いガラス状態に硬化する材料を指す。使用され得る熱可塑性ポリマーの例には、環状オレフィンポリマー(ポリノルボルネンおよびノルボルネニル単位を含むコポリマー、例えば、ノルボルネンなどの環状ポリマーとエチレンまたはプロピレンなどの非環式オレフィンとのコポリマーを含む)、フルオロポリマー(例えば、ポリ(フッ化ビニル)(PVF)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(エチレン-テトラフルオロエチレン)(PETFE)、またはパーフルオロアルコキシ(PFA))、ポリアセタール(例えば、ポリオキシエチレンおよびポリオキシメチレン)、ポリ(C1-6アルキル)アクリレート、ポリアクリルアミド(非置換およびモノ-N-またはジ-N-(C1-8アルキル)アクリルアミドを含む)、ポリアクリロニトリル、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、ポリフタルアミド、またはポリアラミド)、ポリアミドイミド、ポリ無水物、ポリアリーレンエーテル(例えば、ポリフェニレンエーテル)、ポリアリーレンエーテルケトン(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエーテルケトンケトン(PEKK))、ポリアリーレンケトン、ポリアリーレンスルフィド(例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS))、ポリアリーレンスルホン(例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルホン(PPS)など)、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート(ホモポリカーボネート、またはポリカーボネート-シロキサン、ポリカーボネート-エステル、もしくはポリカーボネート-エステル-シロキサンなどのポリカーボネートコポリマーを含む)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、またはポリエステル-エーテルなどのポリエステルコポリマー)、ポリエーテルイミド(例えば、ポリエーテルイミド-シロキサンコポリマーなどのコポリマー)、ポリイミド(例えば、ポリイミド-シロキサンコポリマーなどのコポリマー)、ポリ(C1-6アルキル)メタクリレート、ポリアルキルアクリルアミド(例えば、非置換およびモノ-N-またはジ-N-(C1-8アルキル)アクリルアミド)、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、ポリプロピレン、およびそれらのハロゲン化誘導体(ポリテトラフルオロエチレンなど)、およびそれらのコポリマー、例えば、エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー)、ポリオキサジアゾール、ポリオキシメチレン、ポリフタリド、ポリシラザン、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリスチレン(例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)またはメチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)などのコポリマー)、ポリスルフィド、ポリスルホンアミド、ポリスルホネート、ポリスルホン、ポリチオエステル、ポリトリアジン、ポリウレア、ポリウレタン、ビニルポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルハライド(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルケトン、ポリビニルニトリル、またはポリビニルチオエーテル)、パラフィンワックスなどが含まれる。前述の熱可塑性ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせを使用することができる。
【0023】
熱硬化性ポリマーは、熱または放射線(例えば、紫外線、可視光、赤外線、または電子ビーム(eビーム)放射線)への曝露によって誘発され得る、重合または硬化により不可逆的に硬化して不溶性になり得る熱硬化性モノマーまたはプレポリマー(樹脂)に由来する。熱硬化性ポリマーには、アルキッド、ビスマレイミドポリマー、ビスマレイミドトリアジンポリマー、シアネートエステルポリマー、ベンゾシクロブテンポリマー、ベンゾオキサジンポリマー、ジアリルフタレートポリマー、エポキシ、ヒドロキシメチルフランポリマー、メラミン-ホルムアルデヒドポリマー、フェノリック(ノボラックおよびレゾールなどのフェノール-ホルムアルデヒドポリマーを含む)、ベンゾオキサジン、ポリブタジエンなどのポリジエン(ホモポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリ(ブタジエン-イソプレン)を含む)、ポリイソシアネート、ポリウレア、ポリウレタン、トリアリルシアヌレートポリマー、トリアリルイソシアヌレートポリマー、特定のシリコーン、および重合性プレポリマー(例えば、不飽和ポリエステル、ポリイミドなどのエチレン性不飽和を含むプレポリマー)、または類似のものが含まれる。プレポリマーは、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(C1-6アルキル)アクリレート、(C1-6アルキル)メタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、酢酸アリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、またはアクリルアミドなどの反応性モノマーを用いて、重合、共重合、または架橋され得る。
【0024】
ポリマーは、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、または低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、またはポリ(エーテルスルホン)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0025】
複合体を形成する方法は限定されず、圧縮成形、射出成形、反応射出成形、押し出し、圧延などのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0026】
複合体は、複合体の総体積に基づいて、5から95体積%、または30から70体積%のナノ結晶フェライトを含み得る。複合体は、複合体の総体積に基づいて、5から95体積%、または30から70体積%のポリマーを含み得る。
【0027】
ナノ結晶フェライトを含むポリマー複合体は、1から3ギガヘルツ(GHz)で0.05以下、または0.5から2.5GHzで0.001から0.02、または0.5から2GHzで0.001から0.01の磁気損失正接を有し得る。好ましくは、ナノ結晶フェライトを含むポリマー複合体は、1から3GHzで0.05以下、または0.02以下の磁気損失正接を維持しつつ、1から3GHzで2以上または3以上の透磁率を維持する。このような低い磁気損失を有する磁性材料は、アンテナ用途などの高周波用途において有利に使用することができる。
【0028】
ナノ結晶フェライトを含むポリマー複合体は、1から3GHzで2以上、3以上、または5以上の透磁率を有し得る。ナノ結晶フェライトを含むポリマー複合体は、0.1から6GHzの広い周波数範囲にわたって2以上または3以上の高透磁率を有し得る。
【0029】
ナノ結晶フェライトを含むポリマー複合体は、1GHz、または0.1から6GHzで3、4、5、6、7、または8以下の誘電率を有することができ、誘電率は、複合体中のナノ結晶フェライトの含有率に応じて調整可能である。
【0030】
ナノ結晶フェライトを含むポリマー複合体は、1GHz、または0.1から6GHzで0.02以下の誘電損失正接を有し得る。
【0031】
ナノ結晶フェライトを含むポリマー複合体は、1から6GHzの共振周波数を有し得る。
【0032】
ポリマー複合体は、誘電性フィラーおよび難燃剤などの追加の添加剤を含み得る。追加の添加剤は、複合体の総体積の5体積%以下の量で存在し得る。
【0033】
粒子状の誘電性フィラーを使用して、複合体の誘電率、誘電損失、熱膨張係数、および他の特性を調節することができる。例示的な誘電性フィラーには、二酸化チタン(ルチルおよびアナターゼ)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、シリカ(溶融非晶質シリカを含む)、コランダム、ウォラストナイト、Ba2Ti9O20、固体ガラス球、合成ガラスまたはセラミック中空球、石英、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、マイカ、タルク、ナノクレイ、水酸化マグネシウム、および前述の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0034】
難燃剤は、ハロゲン化または非ハロゲン化され得る。例示的な無機難燃剤は、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、Niまたは前述の少なくとも1つを含む組み合わせなどの金属の水和物などの金属水和物である。特定の水和物には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、および水酸化ニッケル;アルミン酸カルシウム、石膏二水和物、ホウ酸亜鉛、およびメタホウ酸バリウムの水和物が含まれる。有機難燃剤は、無機難燃剤の代わりに、またはそれに加えて使用することができる。有機難燃剤の例には、メラミンシアヌレート、微粒子メラミンポリホスフェート、芳香族ホスフィネート、ジホスフィネート、ホスホネート、およびホスフェートなどのさまざまな他のリン含有化合物、特定のポリシルセスキオキサン、シロキサン、ならびにヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(HET酸)、テトラブロモフタル酸およびジブロモネオペンチルグリコールなどのハロゲン化化合物が含まれる。
【0035】
ナノ結晶フェライトを含む物品も本明細書に含まれる。物品は、アンテナまたはインダクタなどのマイクロ波装置であり得る。物品は、変圧器、インダクタ、または反電磁インターフェース材料であり得る。物品は、パッチアンテナ、逆Fアンテナ、または平面逆Fアンテナなどのアンテナであり得る。物品は、例えば、ワイヤレス充電用の磁気バスバー、NFCシールド材、または電子バンドギャップメタマテリアルであり得る。磁性粒子は、マイクロ波吸収またはマイクロ波シールド用途で使用され得る。
【0036】
ナノ結晶フェライトは、式:Ni1-x-yMyCoxFe2+zO4を有してよく、式中、Mは、Zn、Mg、Cu、またはMnのうちの少なくとも1つであり、xは0.01から0.8であり、yは0.01から0.8であり、zは-0.5から0.5である。ナノ結晶フェライトは、5から100nm、または10から40nmの平均粒径を有し得る。ナノ結晶フェライトは、式:Ni1-x-yZnyCoxFe2+zO4を有してよく、xは0.1から0.3であり、yは0.2から0.4であり、zは-0.5から0.1である。ナノ結晶フェライトは、平均粒径が0.2から100マイクロメートルの球形粒子を含み得る。ナノ結晶フェライトは、最長寸法がプレートレットの厚さよりも大きいという条件で、0.5から100マイクロメートルの最長寸法および0.05から1マイクロメートルの厚さを有するプレートレット形状の粒子を含み得る。ナノ結晶フェライトは、パラフィンワックス複合体の総体積に基づいて60体積パーセントのナノ結晶フェライトを含むパラフィンワックス複合体として決定される0.1から6ギガヘルツで1.5から5の透磁率を有し得る。ナノ結晶フェライトは、パラフィンワックス複合体の総体積に基づいて60体積パーセントのナノ結晶フェライトを含むパラフィンワックス複合体として決定される0.1から6ギガヘルツで3から8の誘電率を有し得る。
【0037】
複合体は、ナノ結晶フェライトおよびポリマーを含み得る。ポリマーは、例えば、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、または低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、またはポリ(エーテルスルホン)の少なくとも1つを含み得る。複合体は、複合体の総体積に基づいて、5から95体積パーセント、または30から70体積パーセントのナノ結晶フェライトを含み得る。複合体は、複合体の総体積に基づいて、5から95体積パーセント、または30から70体積パーセントのポリマーを含み得る。複合体は、1から3ギガヘルツで2以上、または3以上、または5以上、または2から10の透磁率を有し得る。複合体は、1から3ギガヘルツで0.05以下、または0.02以下、または0超0.05までの磁気損失正接を有し得る。複合体は、0.1から6ギガヘルツで3、4、5、6、7、または8、または1から8の誘電率を有し得る。複合体は、0.1から6ギガヘルツで0.02以下、または0超0.02までの誘電損失正接を有し得る。複合体は、1から6ギガヘルツの共振周波数を有し得る。複合体は、1から3ギガヘルツで0.05以下、または0.02以下の磁気損失正接を有し得る。複合体は、1から3ギガヘルツで3以上、または2以上の透磁率を有し得る。物品は、例えば、複合体の形態でナノ結晶フェライトを含み得る。物品は、アンテナ、変圧器、反電磁インターフェース材料、またはインダクタであってよく、かつ/または物品はマイクロ波装置である。
【0038】
ナノ結晶フェライトを形成する方法は、Ni、M、Co、およびFe前駆体粉末を十分な時間(例えば、2から100時間)および十分な温度(例えば、800から1200℃)で高エネルギーボールミル粉砕してニッケルフェライト相を有する粉砕粉末を提供するステップであって、高エネルギーボールミル粉砕が任意選択でバイアル回転速度400から600rpmで行われる、ステップと、粉砕粉末を十分な時間(たとえば、0.5から30時間)および十分な温度(例えば300から1000℃)で加熱して、平均粒径が5から100ナノメートルのナノ結晶構造を有するナノ結晶フェライトを製造するステップと、を含み得る。ナノ結晶フェライトを形成する方法は、Ni、M、Co、およびFe前駆体粉末を十分な時間(例えば、2から4時間)および十分な温度(たとえば、800から1200℃)で混合および加熱してニッケルフェライト相を有する混合粉末を提供するステップと、混合粉末を一定時間(例えば、2から100時間)高エネルギーボールミル粉砕して、無秩序な原子スケール構造を有する粉砕粉末を提供するステップであって、高エネルギーボールミル粉砕が、任意選択で、400から600rpmのバイアル回転速度を有し得る、ステップと、粉砕粉末を十分な時間(例えば、0.5から30時間)および十分な温度(例えば、300から1000℃)で加熱して5から100nm、または10から40nmの平均粒径を有するナノ結晶構造を発達させるステップと、を含み得る。前駆体粉末は、α-Fe2O3、NiO、Co3O4、およびZnOを含み得る。高エネルギーボールミル粉砕の間のボールと総粉末の質量比は、20:1から40:1であり得る。ボールの直径は3mmから20mmであり得る。加熱は、空気、アルゴン、窒素、または酸素のうちの少なくとも1つの下で行うことができる。
【0039】
以下の実施例を提供して本開示を説明する。実施例は単に例示的なものであり、本開示によって作製される装置を、記載された材料、条件、またはプロセスパラメータに限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0040】
ナノ結晶フェライトの電磁特性を決定するために、ナノ結晶フェライトをパラフィン(フェライト粒子の60体積%)と混合し、3×7×2.8ミリメートルのトロイドにプレスして、周波数範囲0.1から8.5GHzにおいて、Nicholson-Ross-Weir(NRW)方式で同軸ケーブルを備えたVector Network Analyzer(VNA)によって電磁特性測定(透磁率および誘電率)を行った。誘電率および透磁率は、25℃の温度および50±5%の相対湿度で決定され得る。
【0041】
実施例1:Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4の調製;アルゴン下での熱処理
Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4は、遊星ボールミルにロードされた30グラム(g)のα-Fe
2O
3、NiO、ZnO、およびCo
3O
4粉末の化学量論的混合物から調製した。硬化クロム鋼バイアル(容量500ミリリットル(mL))および10mm硬化クロム鋼ボールを粉砕プロセスに使用した。ボールと粉末の質量比は30:1であった。粉砕は、空気中で、500rpmで30時間行った。合成されたコバルトドープニッケル亜鉛フェライト粉末を、ナノ結晶構造およびフェライト相を制御するために、アルゴン中で600℃で2時間熱処理した。次に、熱処理された粒子をパラフィンワックスとブレンドし、上記のようにNRW法を使用して試験した。
図2は、生成されたナノ結晶NiNi
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子(球状)のXRDパターンを示す。
図3は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素透磁率を示す。
図4は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。表1に、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4の電磁特性の概要を示す。
【0042】
【0043】
実施例2:Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4の調製;窒素下での熱処理
Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4は、遊星ボールミルにロードされた30gのα-Fe
2O
3、NiO、ZnO、およびCo
3O
4粉末の化学量論的混合物から調製した。硬化クロム鋼バイアル(容量500mL)および10mm硬化クロム鋼ボールを粉砕プロセスに使用した。ボールと粉末の質量比は30:1であった。粉砕は、空気中、500rpmで30時間行った。合成されたコバルトドープニッケル亜鉛フェライト粉末を、ナノ結晶構造、フェライト相、およびFe
2+を制御するために、1体積%O
2および99体積%N
2の雰囲気下で600℃で2時間熱処理した。次に、熱処理された粒子をパラフィンワックスとブレンドし、上記のようにNRW法を使用して試験した。
図5は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素透磁率を示す。
図6は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。表2に、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4の電磁特性の概要を示す。
【0044】
【0045】
実施例3:Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4;の調製;空気下での熱処理
Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4は、遊星ボールミルにロードされた30gのα-Fe
2O
3、NiO、ZnO、およびCo
3O
4粉末の化学量論的混合物から調製した。硬化クロム鋼バイアル(容量500mL)および10mm硬化クロム鋼ボールを粉砕プロセスに使用した。ボールと粉末の質量比は30:1であった。粉砕は、空気中、500rpmで30時間行った。合成されたコバルトドープニッケル亜鉛フェライト粉末を、ナノ結晶構造、フェライト相、およびFe
2+を制御するために、空気中で600℃で2時間熱処理した。次に、熱処理された粒子をパラフィンワックスとブレンドし、上記のようにNRW法を使用して試験した。
図7は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素透磁率を示す。
図8は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。表3に、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
2O
4の電磁特性の概要を示す。
【0046】
【表3】
実施例4:Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の調製
α-Fe
2O
3、NiO、ZnO、およびCo
3O
4粉末をブレンドして1150℃で2時間か焼してNi
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の組成を有するフェライトを合成した。か焼されたフェライト粉末を、高エネルギーボールミル粉砕のために遊星ボールミルに充填した。ボールと粉末の質量比は30:1であった。粉砕は、空気中、500rpmで5時間行った。次に、ナノ結晶構造を発達および制御するために、粉砕された粉末を空気中で580℃で2時間アニールした。次に、アニールされた粒子をパラフィンワックスとブレンドし、上記のようにNRW法を使用して試験した。
図9は、生成されたナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子(球状)のXRDパターンを示す。
図10は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素透磁率を示す。
図11は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。表4に、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の電磁特性の概要を示す。
【0047】
【0048】
実施例5:Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の調製
α-Fe
2O
3、NiO、ZnO、およびCo
3O
4粉末をブレンドして1150℃で2時間か焼してNi
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の組成を有するフェライトを合成した。か焼されたフェライト粉末を、高エネルギーボールミル粉砕のために遊星ボールミルに充填した。ボールと粉末の質量比は30:1であった。粉砕は、空気中、500rpmで5時間行った。次に、ナノ結晶構造を発達および制御するために、粉砕された粉末を空気中で600℃で2時間アニールした。次に、アニールされた粒子をパラフィンワックスとブレンドし、上記のようにNRW法を使用して試験した。
図12は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素透磁率を示す。
図13は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。表5に、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の電磁特性の概要を示す。
【0049】
【0050】
実施例6:Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の調製
α-Fe
2O
3、NiO、ZnO、およびCo
3O
4粉末をブレンドして1150℃で2時間か焼してNi
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の組成を有するフェライトを合成した。か焼されたフェライト粉末を、高エネルギーボールミル粉砕のために遊星ボールミルに充填した。ボールと粉末の質量比は30:1であった。粉砕は、空気中、500rpmで5時間行った。次に、ナノ結晶構造を発達および制御するために、粉砕された粉末を空気中で700℃で5分間アニールし、続いて550℃で3時間焼戻し(drawing)した。次に、熱処理した粒子をパラフィンワックスとブレンドし、上記のようにNRW法を使用して試験した。
図14は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素透磁率を示す。
図15は、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4粒子-パラフィンワックス複合体の複素誘電率を示す。表6に、ナノ結晶Ni
0.5Zn
0.3Co
0.2Fe
1.95O
4の電磁特性の概要を示す。
【0051】
【0052】
以下に記載されるのは、本開示の非限定的な態様である。
態様1:式:Ni1-x-yMyCoxFe2+zO4を有するナノ結晶フェライトであって、式中、MがZn、Mg、Cu、またはMnの少なくとも1つであり、xが0.01から0.8であり、yが0.01から0.8であり、zが-0.5から0.5であり、ナノ結晶フェライトが、5から100nm、好ましくは10から40nmの平均粒径を有する、ナノ結晶フェライト。
【0053】
態様2:式Ni1-x-yZnyCoxFe2+zO4を有し、式中、xが0.1から0.3であり、yが0.2から0.4であり、zが-0.5から0.1である、態様1のナノ結晶フェライト。
【0054】
態様3:0.2から100マイクロメートルの平均粒径を有する球形粒子、または最長寸法が厚さよりも大きいという条件で、0.5から100マイクロメートルの最長寸法および0.05から1マイクロメートルの厚さを有するプレートレット形状粒子の少なくとも1つの形態である、態様1または2に記載のナノ結晶性フェライト。
【0055】
態様4:0.1から6ギガヘルツで1.5から5の透磁率、または0.1から6ギガヘルツで3から8の誘電率の少なくとも1つを有し、透磁率および誘電率が、パラフィンワックス複合体の総体積に基づいて60体積パーセントのナノ結晶フェライトを含むパラフィンワックス複合体として決定される、態様1から3のいずれか1つに記載のナノ結晶フェライト。
【0056】
態様5:態様1から4のいずれか1つに記載のナノ結晶フェライトと、ポリマーとを含む複合体。
【0057】
態様6:前記ポリマーが、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、または低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリ(アリーレンエーテルケトン)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ポリアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、またはポリ(エーテルスルホン)のうちの少なくとも1つを含む、態様5に記載の複合体。
【0058】
態様7:前記複合体の総体積に基づいて5から95体積パーセント、または30から70体積パーセントのナノ結晶フェライトを含み、前記複合体の総体積に基づいて5から95体積パーセント、または30から70体積パーセントのポリマーを含む、態様5または6に記載の複合体。
【0059】
態様8:1から3ギガヘルツで2以上、または3以上、または5以上、または2から10の透磁率;1から3ギガヘルツで0.05以下、または0.02以下、または0超0.05以下の磁気損失正接;0.1から6ギガヘルツで3、4、5、6、7、または8以下、または1から8の誘電率;0.1から6ギガヘルツで0.02以下、または0超0.02以下の誘電損失正接;または1から6ギガヘルツの共振周波数;の少なくとも1つを有し、それぞれの特性が、0.1から8.5ギガヘルツの周波数範囲においてNicholson-Ross-Weir法でベクトルネットワークアナライザ(VNA)を同軸ケーブルとともに使用して決定される、態様5から7のいずれか1つに記載の複合体。
【0060】
態様9:1から3ギガヘルツで0.05以下、または0.02以下、または0超0.05以下の磁気損失正接、および1から3ギガヘルツで3以上、または2以上、または2から10の透磁率を有する、態様5から8のいずれか1つに記載の複合体。
【0061】
態様10:態様5から9のいずれか1つに記載の複合体を含む物品。
【0062】
態様11:前記物品が、アンテナ、変圧器、反電磁インターフェース材料、またはインダクタであり、かつ/または前記物品がマイクロ波装置である、態様10に記載の物品。
【0063】
態様12:例えば態様1から4のいずれか1つに記載のナノ結晶フェライトを形成する方法であって、ニッケルフェライト相を有する粉砕粉末を提供するのに十分な時間(例えば、2から100時間)および温度(例えば、800から1200℃)で、Ni、M、Co、およびFe前駆体粉末を高エネルギーボールミル粉砕するステップであって、前記高エネルギーボールミル粉砕が任意選択的に400から600rpmのバイアル回転速度で行われる、高エネルギーボールミル粉砕するステップと;5から100ナノメートルの平均粒径を有するナノ結晶構造を有するナノ結晶フェライトを生成するのに十分な時間(例えば、0.5から30時間)および温度(例えば、300から1000℃)で前記粉砕粉末を加熱するステップと;を含む、ナノ結晶フェライトを形成する方法。
【0064】
態様13:例えば態様1から4のいずれか1つに記載のナノ結晶フェライトを形成する方法であって、ニッケルフェライト相を有する混合粉末を提供するのに十分な時間(例えば、2から4時間)および温度(例えば、800から1200℃)で、Ni、M、Co、およびFe前駆体粉末を混合及び加熱するステップと;前記混合粉末を一定時間(例えば、2から100時間)高エネルギーボールミル粉砕して、無秩序な原子スケール構造を有する粉砕粉末を提供するステップであって、前記高エネルギーボールミル粉砕が任意選択的に400から600rpmのバイアル回転速度を有し得る、高エネルギーボールミル粉砕ステップと;5から100ナノメートル、好ましくは10から40nmの平均粒径を有するナノ結晶構造を発達させるのに十分な時間(例えば、0.5から30時間)および温度(例えば、300から1000℃)で前記粉砕粉末を加熱するステップと;を含む、方法。
【0065】
態様14:前記ナノ結晶フェライトが、式Ni1-x-yZnyCoxFe2+zO4を有し、式中、xが0.1から0.3であり、yが0.2から0.4であり、zが-0.5から0.1である、態様12または13に記載の方法。
【0066】
態様15:前記前駆体粉末が、α-Fe2O3、NiO、Co3O4、およびZnOを含む、態様12から14のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
態様16:前記高エネルギーボールミル粉砕の間のボール対総粉末質量比が20:1から40:1である、態様12から15のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
態様17:前記ボールが3mmから20mmの直径を有する、態様16に記載の方法。
【0069】
態様18:前記加熱するステップが、空気、アルゴン、窒素、または酸素のうちの少なくとも1つの下で実施される、態様12から17のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
態様19:前記ナノ結晶フェライトが、0.2から100マイクロメートルの平均粒径を有する球形、または0.5から100マイクロメートルの平面寸法、および0.05から1マイクロメートルの厚さを有するプレートレット形状粒子の少なくとも1つの形態である、態様12から18のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
態様20:前記ナノ結晶フェライトが、0.1から6GHzで1.5から5の透磁率、および/または0.1から6GHzで3から8の誘電率を有し、透磁率および誘電率が、パラフィンワックス複合体の総体積に基づいて60体積パーセントのナノ結晶フェライトを含むパラフィンワックス複合体として決定される、態様12から19のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
組成物、方法、および物品は、代替的に、本明細書に開示される任意の適切な材料、ステップ、または構成要素を含むか、それらから構成されるか、または本質的に構成されることができる。組成物、方法、および物品は、追加的または代替的に、組成物、方法、および物品の機能または目的の達成に必要ではない材料(または種)、ステップ、または構成要素を含まないか、または実質的に含まないように配合することができる。
【0073】
「1つの」という用語は、量の制限を示すのではなく、むしろ、言及されるものの少なくとも1つの存在を示す。「または」という用語は、文脈によって明確に示されない限り、「および/または」を意味する。本明細書全体において、「態様」、「実施形態」、「別の実施形態」、「いくつかの実施形態」などの記載は、関連して説明される特定の要素(例えば、特徴、構造、ステップ、または特性)が本明細書に記載される少なくとも1つの態様に含まれることを意味するものであり、他の態様に存在する場合も存在しない場合もある。さらに、記載された要素は、様々な態様において任意の適切な方法で組み合わせることができることを理解されたい。本明細書で使用される「第1」、「第2」などの用語は、順序、量、または重要性を示すのではなく、ある要素を別の要素と区別するために使用される。「組み合わせ」という用語は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。また、「少なくとも1つ」とは、リストに各要素が個別に含まれること、リストの2つ以上の要素の組み合わせ、およびリストの少なくとも1つの要素と記載されていない同様の要素の組み合わせが含まれることを意味する。別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0074】
本明細書で反対に特定されない限り、すべての試験規格は、本出願の出願日に有効な最新の規格であり、優先権が主張される場合は、試験規格が現れる最も早い優先出願の出願日である。同じ構成要素または特性を対象とするすべての範囲のエンドポイントは、エンドポイントを含み、独立して組み合わせることができ、すべての中間ポイントと範囲を含む。例えば、「最大25体積%、または5から20体積%」の範囲には、「5から25体積%」の範囲のエンドポイントとすべての中間値(10から23体積%など)が含まれる。
【0075】
化合物は、標準的な命名法を使用して記載されている。例えば、示された基で置換されていない位置は、示された結合または水素原子によってその原子価が満たされていると理解される。2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-CHOはカルボニル基の炭素を介して結合する。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリル基とメタクリル基の両方を含む。本明細書で使用される場合、「(イソ)シアヌレート」という用語は、シアヌレートおよびイソシアヌレート基の両方を含む。
【0076】
引用されたすべての特許、特許出願、および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ただし、本出願の用語が、組み込まれた参照の用語と矛盾する場合、本出願の用語は、組み込まれた参照の矛盾する用語よりも優先される。特定の態様について説明したが、代替案、修正、変形、改善、および現在予測されていない、または現在予測されていない可能性のある実質的な同等物が、出願人または当業者に生じ得る。したがって、提出された、および補正され得る添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての代替案、修正のバリエーション、改善、および実質的な同等物を包含することを意図するものである。
【国際調査報告】