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特表2022-552011鉄障害を処置するための方法及び組成物
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  • 特表-鉄障害を処置するための方法及び組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】鉄障害を処置するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/497 20060101AFI20221207BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/4412 20060101ALI20221207BHJP
   A61K 31/132 20060101ALI20221207BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
A61K31/497
A61P7/00
A61P7/02
A61P25/00
A61P9/00
A61P29/00
A61P35/00
A61P3/10
A61P1/16
A61P31/04
A61P25/16
A61P25/28
A61P9/10
A61P21/02
A61K45/00
A61K31/4196
A61K31/16
A61K31/4412
A61K31/132
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523040
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 US2020055357
(87)【国際公開番号】W WO2021076485
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/915,241
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517282078
【氏名又は名称】ビヨンドスプリング ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モハンラル,ラモーン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ラン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA36
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(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、溶血により上昇した血漿ヘモグロビンレベルの存在下での血漿ハプトグロビンレベルの不足/低減に関連する組織鉄過剰症及び障害を低減する、予防する、又は改善させる方法である。特に幾つかの態様は、プリナブリンの臨床的に関連する量を対象に投与することに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における鉄障害を予防する方法であって、プリナブリンの治療有効量を必要とする前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記鉄障害が、慢性的輸血に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鉄障害が、疾患に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記疾患が、神経変性疾患、心臓血管疾患、炎症性疾患、癌、インスリン抵抗性、非アルコール性肝疾患、アルコール性肝疾患、及び感染性疾患からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記神経変性疾患が、ALS、プリオン病、パーキンソン病、又はアルツハイマー病である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記心臓血管疾患が、アテローム性硬化症、虚血性脳血管疾患、又は虚血性脳卒中である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が、頭頸部癌、肺癌、胃癌、結腸癌、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、腎臓癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、黒色腫、神経膠腫、骨髄腫、リンパ腫、白血病、腎細胞癌、悪性黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵嚢癌、ホジキンリンパ腫、又は扁平上皮癌である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記鉄障害が、鉄過剰障害又は貧血状態から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記鉄過剰症が、オキシラジカル形成に関連する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記オキシラジカル形成が、虚血再灌流に関連する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
虚血再灌流が、臓器移植、心臓PCI処置、又は再灌流処置の間に起こる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記鉄過剰障害が、一次性鉄過剰障害である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記一次性鉄過剰障害が、遺伝性ヘモクロマトーシス、若年性ヘモクロマトーシス、フェロポルチン病、新生児ヘモクロマトーシス、バンツー血鉄症、アフリカ型鉄過剰症、グラシル症候群、運動失調、及びフロードライヒ運動失調からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記鉄過剰障害が、二次性鉄過剰障害である、請求項8~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記二次性鉄過剰障害が、サラセミア、低色素性小赤血球性貧血、鎌状赤血球貧血症、小球性鉄負荷性貧血、遺伝性鉄芽球性貧血、先天性赤血球形成異常性貧血、挽発生皮膚ポルフィリン症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、遺伝性無トランスフェリン血症、セルロプラスミン欠損症、骨髄異形成症候群、肺ヘモジデローシス、無セルロプラスミン血症、及びX連鎖鉄芽球性貧血から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記貧血状態が、溶血性貧血、サラセミア、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、免疫性溶血性貧血、同種免疫性溶血性貧血、薬剤性溶血性貧血、機械的溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、慢性疾患の貧血、貧血、再生不良性貧血、先天性再生不良性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、ファンコニ貧血、鉄欠乏性貧血、異常なRBCサイズの貧血、巨赤芽球性貧血、小球性貧血、ビタミン欠乏性貧血、悪性貧血、RBC突然変異の貧血、鉄芽球性貧血、及び鎌状赤血球貧血症からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記鉄過剰症が、身体組織中の鉄の蓄積である、請求項2~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記身体組織が、心筋、肝臓、及び内分泌系臓器から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
金属キレート化剤を投与することをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記金属キレート化剤が、鉄キレート化剤である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記鉄キレート化剤が、デフェラシロックス、ジメルカプトコハク酸、デフェロキサミン、デフェリプロン、又はトリエンチンから選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
処置の前に、前記哺乳動物が、上昇したハプトグロビンレベルを呈する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記処置の前に、前記哺乳動物が、低下したヘモグロビンレベルを呈する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記哺乳動物を、プリナブリンの投与前に前記鉄障害を有するとして同定することをさらに含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
哺乳動物においてハプトグロビンを増加させる方法であって、プリナブリンの治療有効量を必要とする前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項26】
前記哺乳動物を、プリナブリンの投与前に低下したハプトグロビンレベルを有するとして同定することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩を必要とする対象に投与することを含む、鉄過剰症を低減する方法。
【請求項28】
前記対象を、プリナブリンの投与前に鉄過剰症を有するとして同定することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対象における遊離血漿ヘモグロビンを減少させる方法であって、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩を必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記対象を、プリナブリンの投与前に上昇した遊離血漿ヘモグロビンレベルを有するとして同定することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩を必要とする対象に投与することを含む、鉄障害を処置する方法。
【請求項32】
前記対象を、プリナブリンの投与前に前記鉄障害を発症するリスクがあるとして同定することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
プリナブリンの投与が、前記鉄障害の発生率を少なくとも10%低減する、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
プリナブリンの投与が、前記鉄障害の発生率を少なくとも30%低減する、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
プリナブリンの投与が、前記鉄障害の持続期間を少なくとも2倍低減する、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
プリナブリンの投与が、前記鉄障害の持続期間を少なくとも30%低減する、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記プリナブリンが、約2.5mg/m~約40mg/mの範囲内の用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記プリナブリンが、約8.5mg/m~約35mg/mの範囲内の用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記プリナブリンが、約20mg/m~約35mg/mの範囲内の用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記プリナブリンが、約25mg/m~約35mg/mの範囲内の用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記プリナブリンが、用量約30mg/mで投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記プリナブリンが、輸血と同時に投与される、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記プリナブリンが、輸血の前に投与される、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記プリナブリンが、輸血の後に投与される、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
30日より長く貯蔵された赤血球細胞を対象に輸注すること;及び
プリナブリンを、前記輸注の前、前記輸注の間、又は前記輸注の後に前記対象に投与すること、
を含む、赤血球細胞を輸注する方法。
【請求項46】
プリナブリンの有効量を投与することを含む、癌用薬物又は癌治療を受けている対象において鉄障害を処置又は低減する方法。
【請求項47】
前記癌用薬物又は癌治療が、ドセタキセル、パクリタキセル、TC又はTACから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記投与されるプリナブリンの量が、約10mg/m~約50mg/mの用量である、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記プリナブリンが、21日の癌用薬物又は癌治療サイクルの1日目に投与される、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象のハプトグロビンレベルが、プリナブリンの投与後に上昇される、請求項46~49のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年10月15日出願の米国特許仮出願第62/915,241号への優先権の利益を主張するものである。前述の出願の全てが、全ての目的で全体として参照により本明細書に完全に取り込まれる。
【0002】
本開示は、化学及び医学の分野に関する。より具体的にはそれは、プリナブリンを用いて鉄障害(iron disorders)を処置する、予防する、及び改善させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
鉄は、事実上全ての哺乳動物細胞の正常な構造及び機能を維持するのに不可欠である。鉄は通常、鉄流入の際に合成が誘導されるタンパク質フェリチンの形態で細胞内に貯蔵される。フェリチンの貯蔵能力が過剰になると、病的量の代謝活性鉄が、膨大した不安定なプールの中にヘモシデリン(一部は分解されてフェリチン)及び自由鉄の形態で細胞内に放出される。代謝活性鉄は、フリーラジカルの形成を触媒して、膜脂質及び他の巨大分子を損傷し、細胞死、そして究極的には臓器不全につながる。肝臓は、かなり多くのフェリチンを生成するため、心臓は、肝臓よりも鉄毒性を受け易い。
【0004】
慢性貧血のための慢性的輸血の合併症は、遊離ヘモグロビンレベルの上昇と、続く組織(心筋、肝臓、内分泌系臓器など)内での鉄過剰症であり、2歳という若い患者では病的状態と平均寿命の短縮につながる。SCD、MDS、幹細胞移植を受けた血液悪性疾患、慢性腎機能障害などの複数の病気は、頻回の輸血を要する。遊離血漿ヘモグロビンは、強い非共有結合を通してハプトグロビンにより急速かつ不可逆的に結合される。このハプトグロビン-ヘモグロビン複合体はその後、細胞表面受容体(CD163)を介してマクロファージにより除去され、血漿ハプトグロビンレベルの不足につながる。ヘモグロビン中の鉄含有ヘムの酸化性及び毒性のために、遊離ヘモグロビンの効率的除去が、健康に必須である(Kristiansen Nature 2001)。鉄過剰症は現在、鉄キレート化療法により処置されているが、それは、組織中の鉄過剰症が既に臨界閾値レベルに達した場合のみ適応される。現在、鉄過剰症を予防するために利用可能な効果的処置は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的において、哺乳動物における鉄障害を予防する方法が、開示される。幾つかの態様において、該方法は、プリナブリンの治療有効量を必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの態様において、鉄障害は、慢性的輸血に関連する。幾つかの態様において、鉄障害は、疾患に関連する。幾つかの態様において、疾患は、神経変性疾患、心臓血管疾患、炎症性疾患、癌、インスリン抵抗性、非アルコール性肝疾患、アルコール性肝疾患、及び感染性疾患からなる群から選択される。幾つかの態様において、神経変性疾患は、ALS、プリオン病、パーキンソン病、又はアルツハイマー病である。幾つかの態様において、心臓血管疾患は、アテローム性硬化症、虚血性脳血管疾患、又は虚血性脳卒中である。幾つかの態様において、癌は、頭頸部癌、肺癌、胃癌、結腸癌、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、腎臓癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、黒色腫、神経膠腫、骨髄腫、リンパ腫、白血病、腎細胞癌、悪性黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵嚢癌、ホジキンリンパ腫、又は
扁平上皮癌である。
【0007】
幾つかの態様において、鉄障害は、鉄過剰障害又は貧血状態から選択される。幾つかの態様において、鉄過剰症は、オキシラジカル形成に関連する。幾つかの態様において、オキシラジカル形成は、虚血再灌流に関連する。幾つかの態様において、虚血再灌流は、臓器移植、心臓PCI処置、及び再灌流処置の間に起こる。
【0008】
幾つかの態様において、鉄過剰障害は、一次性鉄過剰障害である。幾つかの態様において、一次性鉄過剰障害は、遺伝性ヘモクロマトーシス、若年性ヘモクロマトーシス、フェロポルチン病、新生児ヘモクロマトーシス、バンツー血鉄症、アフリカ型鉄過剰症、グラシル症候群、運動失調、及びフロードライヒ運動失調からなる群から選択される。幾つかの態様において、鉄過剰障害は、二次性鉄過剰障害である。幾つかの態様において、二次性鉄過剰障害は、サラセミア、低色素性小赤血球性貧血、鎌状赤血球貧血症、小球性鉄負荷性貧血、遺伝性鉄芽球性貧血、先天性赤血球形成異常性貧血、挽発生皮膚ポルフィリン症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、遺伝性無トランスフェリン血症、セルロプラスミン欠損症、骨髄異形成症候群、肺ヘモジデローシス、無セルロプラスミン血症、及びX連鎖鉄芽球性貧血から選択される。幾つかの態様において、貧血状態は、溶血性貧血、サラセミア、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、免疫性溶血性貧血、同種免疫性溶血性貧血、薬剤性溶血性貧血、機械的溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、慢性疾患の貧血、貧血、再生不良性貧血、先天性再生不良性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、ファンコニ貧血、鉄欠乏性貧血、異常なRBCサイズの貧血、巨赤芽球性貧血、小球性貧血、ビタミン欠乏性貧血、悪性貧血、RBC突然変異の貧血、鉄芽球性貧血、及び鎌状赤血球貧血症からなる群から選択される。
【0009】
幾つかの態様において、鉄過剰症は、身体組織中の鉄の蓄積である。幾つかの態様において、身体組織は、心筋、肝臓、及び内分泌系臓器から選択される。幾つかの態様において、該方法はさらに、金属キレート化剤を投与する。幾つかの態様において、金属キレート化剤は、鉄キレート化剤である。幾つかの態様において、鉄キレート化剤は、デフェラシロックス、ジメルカプトコハク酸、デフェロキサミン、デフェリプロン、又はトリエンチンから選択される。幾つかの態様において、哺乳動物は、上昇したハプトグロビンレベルを呈する。幾つかの態様において、処置の前に哺乳動物は、低下したヘモグロビンレベルを呈する。幾つかの態様において、該方法はさらに、哺乳動物を、プリナブリンの投与前に鉄障害を有するとして同定する。
【0010】
幾つかの形態において、哺乳動物においてハプトグロビンを増加させる方法が、開示される。該方法は、プリナブリンの治療有効量を必要とする哺乳動物に投与することを含む。幾つかの態様において、該方法は、哺乳動物を、プリナブリンの投与前に低下したハプトグロビンレベルを有するとして同定する。
【0011】
幾つかの形態において、鉄過剰症を低減する方法が、開示される。該方法は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩を必要とする対象に投与することを含む。幾つかの形態において、該方法はさらに、対象を、プリナブリンの投与前に鉄過剰症を有するとして同定する。
【0012】
幾つかの形態において、対象における遊離血漿ヘモグロビンを減少させる方法が、開示される。該方法は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩を必要とする対象に投与することを含む。幾つかの形態において、該方法は、対象を、プリナブリンの投与前に上昇した遊離血漿ヘモグロビンレベルを有するとして同定する。
【0013】
幾つかの形態において、鉄障害を処置する方法が、開示される。該方法は、プリナブリン又はその医薬的に許容できる塩を必要とする対象に投与することを含む。幾つかの形態において、該方法はさらに、対象を、プリナブリンの投与前に鉄障害を発症するリスクがあるとして同定する。
【0014】
幾つかの形態において、プリナブリンの投与は、鉄障害の発生率を少なくとも10%低減する。幾つかの形態において、プリナブリンの投与は、鉄障害の発生率を少なくとも30%低減する。幾つかの形態において、プリナブリンの投与は、鉄障害の持続期間を少なくとも2倍低減する。幾つかの形態において、プリナブリンの投与は、鉄障害の持続期間を少なくとも30%低減する。幾つかの形態において、プリナブリンは、約2.5mg/m~約40mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの形態において、プリナブリンは、約8.5mg/m~約35mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの形態において、プリナブリンは、約20mg/m~約35mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの形態において、プリナブリンは、約25mg/m~約35mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの形態において、プリナブリンは、用量約30mg/mで投与される。幾つかの形態において、プリナブリンは、輸血と同時に投与される。幾つかの形態において、プリナブリンは、輸血の前に投与される。幾つかの形態において、プリナブリンは、輸血の後に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】22日にわたるプリナブリン処置及び基底結果からのハプトグロビンの変動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に開示されるのは、様々な疾患、障害、又は状態の予防、処置、及び/又は改善に有用な組成物及び方法である。幾つかの態様は、プリナブリンを含む組成物に関係する。プリナブリンである(3Z,6Z)-3-ベンジリデン-6-{(5-(2-メチル-2-プロパニル)-1H-イミダゾール-4-イル]メチレン}-2,5-ピペラジンジオンは、天然化合物フェニルアヒスチンの合成類似体である。プリナブリンは、全体として参照により本明細書に取り込まれる米国特許第7,064,201号及び同第7,919,497号明細書に詳述された方法及び手順に従って即座に調製され得る。幾つかの態様は、鉄障害を処置する、予防する、又は改善させるためのプリナブリン又はその医薬的に有効な塩の使用に関する。同じく本明細書に提示されるのは、対象を本明細書に開示された組成物に暴露することがハプトグロビンレベルを上昇し得る、という驚くべき発見である。
【0017】
本明細書で用いられる節の見出しは、構成の目的に過ぎず、記載された主題を限定すると解釈すべきでない。1つの見出しの下に開示された特色(組成など)は、異なる見出しの下で開示された特色(処置の方法)と組み合わせて用いられる。他に定義されなければ、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、当業者に共通して理解されるものと同じ意味を有する。本開示の特定の特色又は形態を記載している場合の個々の用語法の使用が、用語法に関連する本開示の特色又は形態の任意の具体的特徴を含むように制限されることを用語法が本明細書で再定義されていることを暗示していると、捉えるべきでないことに留意すべきである。
【0018】
本開示は、前述の記載において詳細に例証及び記載されているが、そのような記載は、例証又は例示と見なすべきで、制限と見なすべきでない。本開示は、開示された態様に限定されない。開示された態様の変形は、本開示及び添付の特許請求の範囲の学習から、請求された開示を実践する際に当業者に理解及び実行され得る。
【0019】
定義
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者に共通して理解されるものと同じ意味を有する。全ての特許、出願、発表された出願、及び他の発行物は、全体として参照により取り込まれる。本明細書において用語のための多数の定義が存在する場合、他に断りがなければ、この節の定義が優先される。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる通り、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈で他に明確に指示されない限り、多数の対象物を含む。「又は」又は「及び」の使用は、他に断りがなければ、「及び/又は」を意味する。さらに「含んでいる」に加え、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれた」の使用は、限定的でない。特定の尺度が互いに異なる従属クレームで引用される、という単なる事実は、これらの尺度の組み合わせが都合よく用いられ得ないことを示さない。
【0021】
用語「約」又は「およそ」は、当業者により決定される個々の値の許容できる誤差範囲内を意味し、値がどのように測定又は決定されるか、例えば測定システムの限界に一部が依存するであろう。例えば「約」は、当該技術分野での実践ごとに1以内、又は1を超える標準偏差を意味し得る。或いは「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%、及び最大1%の範囲を意味し得る。或いは特に生物学的系又は工程に関して、この用語は、値の1桁以内、5倍以内、及び2倍以内を意味し得る。個々の値が、本出願及び特許請求の範囲に記載される場合、他に断りがなければ、個々の値の許容誤差範囲内を意味する用語「約」が、仮定されるべきである。
【0022】
本明細書で用いられる通り、本明細書で用いられる「担体」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、細胞又は組織中への化合物の組み込みを容易にする化合物をいうが、これに限定されない。例えば非限定的に、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを容易にする共通して用いられる担体である。水、生理食塩溶液、エタノール、及び鉱物油もまた、特定の医薬組成物中で用いられる担体である。
【0023】
本明細書で用いられる通り、本明細書で用いられる「希釈剤」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、薬理活性が欠如しているが医薬的に必要又は所望であり得る医薬組成物中の原材料をいうが、これに限定されない。例えば希釈剤は、製造及び/又は投与のためには質量が過度に小さい強力な薬物の嵩を増加させるために用いられてもよい。それは、注射、摂取、又は吸入により投与される薬物の溶解のための液体であってもよい。当該技術分野の希釈剤の共通する形態は、非限定的に、ヒトの血液の組成を模倣したリン酸緩衝生理食塩水などの緩衝水溶液である。
【0024】
本明細書で用いられる通り、用語「疾患」及び「状態」は、互換的に用いられてもよく、個々の疾病又は状態が既知の病原体を有さない場合があり(そのため病因が依然として解明されておらず)、それゆえ依然として疾患と認識されないが、望まない状態又は症候群としてのみ認識され、症状の大体の具体的組み合わせが臨床医に同定されている、という点が異なり得る。
【0025】
本明細書で用いられる通り、本明細書で用いられる「賦形剤」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、医薬組成物に添加されて、非限定的に嵩、粘稠度、安定性、結合能、潤滑、崩壊能などを組成物に提供する物質をいうが、これに限定されない。「希釈剤」は、賦形剤の1つの型である。
【0026】
本明細書で用いられる「鉄障害」は、哺乳動物の正常な血清鉄レベルに比較した血清鉄レベルの上昇若しくは低下、又は哺乳動物の肝臓中の正常な鉄レベルに比較した哺乳動物の肝臓中の鉄レベル上昇若しくは低下など、体内の鉄のレベルが個々の哺乳動物の正常範囲から外れた(即ち、異常な鉄レベルの)哺乳動物、好ましくはヒトの状態をいう。
【0027】
本明細書で用いられる「哺乳動物」は、通常の生物学的感覚で用いられる。したがってそれは、シミアン(チンパンジー、類人猿、サル)及びヒトをはじめとする霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、げっ歯類、ラット、マウス、モルモット、又は同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で用いられる通りの「医薬的に許容できる」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題のある合併症を起こさず、人類及び動物の組織との接触並びに/又は人類及び動物による消費に適し、合理的リスク/利益比率に見合う、健全な医学判断の範囲内のそれらの化合物、材料、組成物、及び/又は投与剤形をいうが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で用いられる通りの用語「医薬的に許容できる塩」及び「その医薬的に許容できる塩」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、医薬的に許容できる非毒性の酸又は塩基から調製された塩をいうが、これに限定されない。適切な医薬的に許容できる塩としては、金属塩、例えばアルミニウム、亜鉛の塩、リチウム、ナトリウム及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;有機塩、例えばリシンの塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、プロカイン、及びトリス;遊離酸及び塩基の塩;無機塩、例えば硫酸塩、塩酸塩及び臭化水素酸塩;並びに現在、広範囲の医薬的使用が行われていて、例えばThe Merck Indexなどの当業者に周知の出典に列挙されている他の塩が挙げられる。任意の適切な構成要素は、本明細書で議論された治療薬の塩を作製するために選択され得るが、但しそれが非毒性であり、所望の活性を実質的に妨害しないことを条件とする。塩に加えて、化合物の医薬的に許容できる前駆体及び誘導体が、用いられ得る。医薬的に許容できるアミド、低級アルキル誘導体、及び保護された誘導体もまた、好ましい態様の組成物及び方法において使用に適し得る。好ましい態様の化合物を医薬的に許容できる塩の形態で投与することが可能であってもよいが、化合物を中性形態で投与することが、一般に好ましい。
【0030】
本明細書で用いられる通りの用語「医薬組成物」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、本明細書に開示された1種又は複数の化合物と希釈剤又は担体などの他の化学成分との混合物をいうが、これに限定されない。医薬組成物は、生物体への化合物の投与を容易にする。医薬組成物は、化合物を無機又は有機酸又は塩基と反応させることにより得ることができる。医薬組成物は一般に、具体的な意図する投与経路にあつらえられることになる。
【0031】
本明細書で用いられる通り、本明細書で用いられる「対象」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、処置、観察又は実験の対象物である動物をいうが、こ
れに限定されない。「動物」としては、冷血及び温血脊椎動物、並びに魚、貝、爬虫類などの無脊椎動物、そして特に哺乳動物が挙げられる。「哺乳動物」としては、イルカ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、サル、チンパンジー及び類人猿などの霊長類、そして特にヒトが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの態様において、対象は、ヒトである。
【0032】
本明細書で用いられる通り、本明細書で用いられる通りの「治療有効量」及び「有効量」は、広範囲の用語であり、当業者に通常の、そして慣用的意味を与えられるべきであり(そして特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されず)、示された生物学的又は医学的応答を誘発する活性化合物又は医薬剤の量を示すために用いられるが、これらに限定されない。例えば化合物の治療有効量は、処置される対象の状態のマーカ若しくは症状を予防する、軽減する、若しくは改善させるため、又は生存を延長するために必要となる量であり得る。この応答は、組織、系、動物又はヒトにおいて起こり得、処置される疾患の徴候又は症状の軽減を包含する。治療有効量の決定は、本明細書に提供された開示を考慮すれば当業者の能力で充分に行われる範囲である。用量として要求される本明細書に開示された化合物の治療有効量は、投与経路、処置されるヒトをはじめとする動物の型、及び検討される具体的動物の身体的特徴に依存するであろう。用量は、所望の効果を実現するためにあつらえられ得るが、体重、食事、現行の薬物療法のような因子、及び医学の技術分野の当業者が認識する他の因子に依存するであろう。
【0033】
本明細書で用いられる「処置すること」又は「処置」は、哺乳動物、好ましくはヒトの鉄障害、又は哺乳動物、好ましくはヒトの鉄障害に関連する疾患若しくは状態の処置に及び、(i)哺乳動物の鉄障害、又は哺乳動物の鉄障害に関連する疾患若しくは状態が哺乳動物で起こることを予防すること;(ii)哺乳動物の鉄障害、又は哺乳動物の鉄障害に関連する疾患若しくは状態を阻害すること、即ちその発症を停止させること;(iii)哺乳動物の鉄障害、又は哺乳動物の鉄障害に関連する疾患若しくは状態を緩和すること、即ち該鉄障害又は該疾患若しくは状態の転帰を引き起こすこと;(iv)哺乳動物の鉄障害、又は哺乳動物の鉄障害に関連する疾患若しくは状態の症状を緩和すること、即ち根底にある鉄障害、疾患又は状態に取り組まずに症状を緩和すること;或いは(v)鉄障害を有する、又は鉄障害に関連する疾患若しくは状態を有する哺乳動物において正常な血清レベル、トランスフェリン飽和度、血清フェリチン、肝臓鉄及び/又は体内鉄レベルを回復させること、及び/又は維持すること、が挙げられる。
【0034】
開示された態様で参照される用語「増加」は、任意の個々の対象が体験した実際の増加に反した、対象の「予測増加」をいう。したがって、開示された態様を実践するために、対象の生涯、生存時間、寿命、又は健康寿命が終了するのを待つ必要はない。予測増加は、統計学的に有意であっても、又は非有意であってもよいが、幾つかの態様において、任意の予測増加は、統計学的に有意である。統計学的有意性を計算するため、例えば「p値」を計算するために知られた多くの方法が存在する。幾つかの態様において、統計学的有意性のための閾値は、p値≦0.2、≦0.15、≦0.1、≦0.05、≦0.01、≦0.005、約≦0.2、約≦0.15、約≦0.1、約≦0.05、約≦0.01、又は約≦0.005である。時には結果が、統計学的に有意でない場合があるが、それでも結果は幾つかの付与された利益の情報又は示唆を与える。個々の結果に帰属する有意性の度合いが通常の熟達した医師の認知内であることが、理解される。
【0035】
本明細書で参照される任意のパーセント値、比率又は他の量は、他に示されない限り、重量基準である。
【0036】
処置の方法
対象における鉄障害を処置する、予防する、又は改善させる方法が、本明細書で開示さ
れる。対象における鉄障害を処置する、予防する、又は改善させるために本明細書に開示された組成物を受ける必要がある対象は常に、組成物での最初の処置を受ける前に同定される必要があるとは限らない。例えば対象は、鉄障害の任意の徴候を示す前に鉄障害を発症することを予め決定されてもよい。或いは対象は、彼又は彼女が鉄障害のリスクがある場合、又はリスクがない場合に、処置を予防的に受けてもよい。したがって幾つかの態様において、該組成物は、対象が早期段階の診断を受けた後に、対象に投与される。幾つかの態様において、全ての対象がそのような投与の候補とは限らず、対象における処置の同定が、望ましくなり得る。患者の選択が通常の熟達した医師の技術での複数の因子に依存することが、理解される。したがって、本明細書に開示された幾つかの態様は、少なくとも1種の化合物又は組成物の有効量を投与して鉄障害を処置する、予防する、又は改善させることにより利益を享受するものとして対象を同定することをさらに含む。対象は、対象の年齢、現在の医学的状態、現在の医学的処置、処方された医学的処置に応じた対象に特異的な生理学的因子、又は幾つかの態様において対象が鉄障害と診断されていることに基づいて同定されてもよい。
【0037】
鉄障害を処置する、予防する、又は改善させる幾つかの態様は、プリナブリンの有効量を対象に投与することを含む。他の態様において、鉄障害に関連する疾患又は状態は、哺乳動物の身体組織中の鉄の蓄積によるものである。幾つかの態様において、鉄障害としては、鉄欠乏障害が挙げられる。幾つかの態様において、鉄障害としては、鉄過剰障害が挙げられる。幾つかの態様において、鉄障害としては、鉄障害に関連する2つ以上の状態が挙げられる。幾つかの態様において、該方法は、プリナブリンと、1種又は複数の追加的治療薬と、の治療有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、該方法は、鉄障害の危険因子について対象をテストすること、及び本明細書に記載された通り組成物を投与すること、を含む。幾つかの態様において、鉄障害の危険因子について対象をテストすることは、対象の血液をテストすることを含む。幾つかの態様において、鉄障害の危険因子について対象をテストすることは、肝臓のテスト、MRIスキャン、及び遺伝子テストを含む。幾つかの態様において、鉄障害の危険因子について対象をテストすることは、血清フェリチンテストを実施することを含む。
【0038】
別の形態において、本開示は、哺乳動物の身体組織中の鉄の蓄積による哺乳動物の鉄障害に関連した疾患又は状態を予防するための方法であって、プリナブリンの治療有効量を必要とする哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。幾つかの態様において、該方法は、プリナブリンと、1種又は複数の追加的治療薬と、の治療有効量を投与することを含む。対象が第一の組成物を投与されて、対象が次の1種又は複数の組成物の投薬を受ける、というレジメンを即座に、かつ直接想像することができよう。対象が第二の組成物の投薬を受けた後に第三の組成物の投薬を受けるように、そのようなレジメンが継続してもよい。幾つかの態様において、対象は、処置の間、1,2、3、4、5、6、7、8、9、10用量、又はより多くの用量を受けてもよい。幾つかの態様において、対象は、鉄障害に至る前にプリナブリンの治療有効量を受ける。
【0039】
別の形態において、鉄障害は、鉄過剰障害である。幾つかの態様において、鉄過剰症は、神経変性疾患(ALS、プリオン病、パーキンソン病、アルツハイマー病を含む)、心臓血管疾患(アテローム性硬化症、虚血性脳血管疾患、及び虚血性脳卒中を含む)、炎症性疾患及び状態(関節炎及びウイルス性肝炎の疾患進行を含む)、癌、インスリン抵抗性、非アルコール性肝疾患、アルコール性肝疾患、並びに感染性疾患(HIV、マラリア及びエルシニア感染を含む)で観察された病態の一部を担う場合もある。幾つかの態様において、鉄過剰症は、オキシラジカル形成に関連する。幾つかの態様において、オキシラジカル形成は、虚血再灌流に関連する。幾つかの態様において、虚血再灌流は、臓器移植、心臓PCI処置、又は再灌流処置の間に起こる。
【0040】
幾つかの形態において、鉄障害は、一次性鉄過剰障害である。幾つかの態様において、鉄過剰障害は独立して、患者が輸血を受けていない場合があり、赤血球系の駆動(drive)の増加と、それによる消化管内での鉄吸収増加により鉄過剰症になる場合がある、遺伝性ヘモクロマトーシス、若年性ヘモクロマトーシス、フェロポルチン病、新生児ヘモクロマトーシス、バンツー血鉄症、アフリカ型鉄過剰症、グラシル症候群、運動失調、及びフロードライヒ運動失調に加え以下に列挙された貧血の全てと、非限定的にサラセミア(ベータ及びアルファ、重症型、軽症型、及び中間型)、低色素性小赤血球性貧血、鎌状赤血球貧血症、小球性鉄負荷性貧血、遺伝性鉄芽球性貧血、先天性赤血球形成異常性貧血、挽発生皮膚ポルフィリン症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、遺伝性無トランスフェリン血症、セルロプラスミン欠損症、骨髄異形成症候群、肺ヘモジデローシス、無セルロプラスミン血症、及びX連鎖鉄芽球性貧血をはじめとする複数の明確な貧血を処置するために用いられる反復的輸血により引き起こされ得る二次性(又は輸血による)鉄過剰障害と、からなる群から選択される。
【0041】
幾つかの形態において、鉄障害は、二次性鉄過剰障害である。この形態の別の態様は、疾患又は状態が独立して、サラセミア(ベータ及びアルファ、重症型、軽症型、及び中間型)、低色素性小赤血球性貧血、鎌状赤血球貧血症、小球性鉄負荷性貧血、遺伝性鉄芽球性貧血、先天性赤血球形成異常性貧血、挽発生皮膚ポルフィリン症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、遺伝性無トランスフェリン血症、セルロプラスミン欠損症、骨髄異形成症候群、肺ヘモジデローシス、無セルロプラスミン血症、及びX連鎖鉄芽球性貧血からなる群から選択される。
【0042】
幾つかの態様において、哺乳動物としては、例えば複数回の輸血を必要とする、骨髄幹細胞移植を受けた対象が挙げられる。幾つかの態様において、哺乳動物としては、鎌状赤血球貧血症、サラセミア、MDS、又は腎機能障害を有する対象が挙げられる。幾つかの態様において、そのような患者は、頻回の輸血を必要とする。
【0043】
幾つかの態様において、本明細書に開示されるのは、貧血状態に関連する状態を予防する方法に関する。幾つかの態様において、該方法は、プリナブリンの治療有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、貧血状態は、貧血(非限定的に、サラセミア、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、ピルビン酸キナーゼ欠損症、免疫性溶血性貧血、同種免疫性溶血性貧血、薬剤性溶血性貧血、機械的溶血性貧血、及び発作性夜間ヘモグロビン尿症を含む)、慢性疾患の貧血、貧血、再生不良性貧血(非限定的に、先天性再生不良性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血及びファンコニ貧血を含む)、鉄欠乏性貧血、異常なRBCサイズの貧血(非限定的に、巨赤芽球性貧血及び小球性貧血を含む)、ビタミン欠乏性貧血(非限定的に、悪性貧血を含む)、RBC突然変異の貧血(非限定的に、サラセミア、鉄芽球性貧血、及び鎌状赤血球貧血症を含む)に関連する。
【0044】
幾つかの態様において、本明細書に提供された組成物及び方法は、鉄障害に関連する状態、障害、疾患及び欠損の処置、予防及び/又は維持に適応される。幾つかの態様において、鉄障害としては、貧血により引き起こされるものが挙げられる。幾つかの態様において、本明細書に提供された組成物及び方法は、鉄障害に関連する状態、障害、疾患及び欠損の処置、予防及び/又は維持に適応される。幾つかの態様において、鉄障害としては、慢性疾患の貧血が挙げられる。幾つかの態様において、本明細書に提供された組成物及び方法、貧血により引き起こされた鉄障害に関連する状態、障害、疾患及び欠損の処置、予防及び/又は維持に適応される。
【0045】
貧血の危険因子としては、食事の葉酸及び可溶性鉄の不足、月経、妊娠、慢性病、遺伝子病、家族歴及び年齢が挙げられるが、これらに限定されない。存在してもよいが存在す
る必要はない個別の、又は任意の組み合わせでの貧血の指標としては、血中の酸素運搬の低減、疲労、及び身体能力の低下、又は心不整脈及び心不全をはじめとする続発的な臓器機能障害若しくは損傷が挙げられる。幾つかの例において、貧血は、小型又は淡染性RBCにより同定され得る。貧血のバイオマーカ指数としては、本明細書に提供された指数及びマーカ、並びに臨床医に利用可能な他の指示が挙げられ、例えば赤血球細胞カウント、網赤血球、ヘマトクリット又はパックド・セル・ボリューム、赤血球細胞分布幅、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、ヘモグロビン、白血球細胞カウント、鉄欠乏、血清鉄、総鉄結合能、トランスフェリン飽和度、亜鉛プロトポルフィリン、及び血清sTfRが挙げられる。
【0046】
再生不良性貧血は、低RBC生産に関連する。鉄欠乏性貧血は、赤血球形成が不充分になるような鉄貯蔵の欠乏に関連する。鎌状赤血球貧血症は、突然変異体鎌状ヘモグロビンをもたらす突然変異により引き起こされ得る。鉄芽球性貧血は、骨髄におけるミトコンドリアの鉄蓄積、非効果的な赤血球形成、及び組織鉄レベルの上昇という共通の特色を有する障害の群である。ファンコニ貧血は、高頻度の血液学的異常及び先天性異常に関連する希少な遺伝子障害をいう。ビタミン欠乏性貧血は、正常量より低量の特定ビタミンにより引き起こされる健常な赤血球細胞の欠如をいう。ビタミン欠乏性貧血に関係するビタミンとしては、葉酸、ビタミンB1、又はビタミンCが挙げられる。小球性貧血は、正常よりも小さな赤血球細胞の生成を特徴とする。小球性貧血は、グロビン生成物の欠如(サラセミア)、ヘモグロビンのヘム基への鉄送達の制限、及びヘム基の合成の欠損の1つ又は複数により引き起こされ得ると考えられている。
【0047】
幾つかの態様において、本明細書に提供される組成物及び方法を利用して処置するのに適正な貧血対象は、本明細書に提供された危険因子、指数及びマーカにより、そして臨床医に利用可能な他の指示により同定されてもよく、例えば低い赤血球細胞カウント、網赤血球、ヘマトクリット/パックド・セル・ボリューム、赤血球細胞分布幅及びヘモグロビン;高い白血球細胞カウント、鉄欠乏、血清鉄、総鉄結合能、トランスフェリン飽和度、亜鉛プロトポルフィリン、及び血清sTfRを特徴とする。幾つかの態様において、貧血は、小型又は淡染性RBCにより同定され得る。
【0048】
幾つかの形態において、鉄障害の症状又は状態を処置する方法は、プリナブリンの有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、該方法は、鉄障害の症状又は状態を低減し、プリナブリンの有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、該症状又は状態としては、糖尿病、肝臓酵素の上昇、勃起不全、極度の倦怠感、心臓疾患、関節疾患、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。幾つかの態様において、プリナブリンの有効量を投与することは、該症状又は状態を少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で低減する。
【0049】
幾つかの態様において、癌用薬物を受けている対象において鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、プリナブリンの有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、タキサンを受けている対象において鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、プリナブリンの治療有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、タキサンは、パクリタキセル、ドセタキセル、カルバジタキセル、又はそれらの組み合わせから選択される。幾つかの態様において、TC(ドセタキセル及びシクロホスファミド)を受けている対象において鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、プリナブリンの治療有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、TAC(タキソテール、ドセタキセル、シクロホスファミド)を受けている対象において鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、プリナブリンの治療有効量を投与することを含む。幾つかの態様において、投与されるプリナブリンの治療的量は、約10mg/m~約50mg/mの用量である。幾つかの態様において、プリナブリンは、21日の化学療法サイクルの1日目に投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、1サイクルあたり1回だけ投与される。幾つかの態様において、対象のハプトグロビンレベルは、プリナブリンの投与後に上昇される。幾つかの態様において、ハプトグロビンレベルは、少なくとも2倍上昇される。幾つかの態様において、ハプトグロビンレベルは、プリナブリン投与の2日以内に上昇する。幾つかの態様において、上昇したハプトグロビンレベルは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で持続する。幾つかの態様において、ハプトグロビンの上昇は、対象において遊離ヘモグロビンを中和する。幾つかの態様において、対象におけるハプトグロビンの上昇は、溶血に応じた過剰症を予防する、低減する、又は改善させる。
【0050】
幾つかの態様において、本明細書に提供された化合物及び方法は、血清又は血漿の鉄濃度の基底値(例えば、処置される患者の処置前の値又は特有の患者集団で観察された一般的値)未満への低下を提供してもよい。例えば血清鉄濃度は、少なくとも約0.01μg/dl、少なくとも約0.05μg/dl、少なくとも約0.1μg/dl、少なくとも約0.4μg/dl、1μg/dl、少なくとも約2μg/dl、少なくとも約3μg/dl、少なくとも約4μg/dl、少なくとも約5μg/dl、少なくとも約6μg/dl、少なくとも約7μg/dl、少なくとも約8μg/dl、少なくとも約9μg/dl、少なくとも約10μg/dl、少なくとも約15μg/dl、少なくとも約20μg/dl、少なくとも約25μg/dl、少なくとも約30μg/dl、少なくとも約35μg/dl、少なくとも約40μg/dl、少なくとも約45μg/dl、少なくとも約50μg/dl、若しくは50μg/dlを超えて、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で低下されてもよい。幾つかの態様において、血清鉄濃度は、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で、基底値(例えば、処置される患者の処置前の値又は特有の患者集団で観察された一般的値)未満に低下してもよい。
【0051】
幾つかの態様において、プリナブリンの使用は、鉄障害の発生率を少なくとも約1%、5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、100%、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で低減し得る。幾つかの態様において、プリナブリンの使用は、鉄過剰症の発生率を少なくとも約1%、5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、100%、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で低減し得る。幾つかの態様において、プリナブリンの使用は、一次性鉄過剰症の発生率を約1%、5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、100%未満で、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で低減し得る。幾つかの態様において、プリナブリンの使用は、二次性鉄過剰症の発生率を約1%、5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、100%未満で、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で低減し得る。
【0052】
幾つかの態様において、本明細書に提供される通りの方法は、血漿ヘモグロビンレベルの低下を提供してもよい。幾つかの態様において、本明細書に提供される方法は、遊離ヘモグロビンの減少を提供してもよい。例えばヘモグロビンレベルは、少なくとも約0.1g/dL、少なくとも約0.2g/dL、少なくとも約0.5g/dL、少なくとも約1g/dL、少なくとも約5g/dL、少なくとも約10g/dL、少なくとも約25g/dL、若しくは少なくとも約30g/dL、若しくは少なくとも約50g/dL、若しくは少なくとも約100mg/dL、若しくは少なくとも約200mg/dL、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で、基底値(例えば、処置される患者の処置前の値又は特有の患者集団で観察された一般的値)未満に低下してもよい。
【0053】
幾つかの態様において、本明細書に提供される方法は、血漿ハプトグロビンの増加を提供してもよい。幾つかの態様において、本明細書に提供される組成物又は方法は、遊離ハプトグロビンの増加を提供してもよい。例えばハプトグロビンレベルは、少なくとも約0.1mg/dL、少なくとも約0.2mg/dL、少なくとも約0.5mg/dL、少なくとも約1mg/dL、少なくとも約10mg/dL、少なくとも約20mg/dL、少なくとも約50mg/dL、若しくは少なくとも約75mg/dL、若しくは少なくとも約100mg/dL、若しくは少なくとも約200mg/dL、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で、基底値(例えば、処置される患者の処置前の値又は特有の患者集団で観察された一般的値)を超えて上昇してもよい。幾つかの態様において、プリナブリンの使用は、ハプトグロビンを約1%、5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、100%未満で、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で増加し得る。
【0054】
幾つかの態様において、本明細書に提供される方法は、血漿ヘモペキシンの減少を提供してもよい。幾つかの態様において、本明細書に提供される方法は、遊離ヘモペキシンの減少を提供してもよい。例えばヘモペキシンレベルは、少なくとも約0.1mg/dL、少なくとも約0.2mg/dL、少なくとも約0.5mg/dL、少なくとも約1mg/dL、少なくとも約10mg/dL、少なくとも約20mg/dL、少なくとも約50mg/dL、若しくは少なくとも約75mg/dL、若しくは少なくとも約100mg/dL、若しくは少なくとも約200mg/dL、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で、基底値(例えば、処置される患者の処置前の値又は特有の患者集団で観察された一般的値)未満に低下してもよい。幾つかの態様において、プリナブリンの使用は、約1%、5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、100%未満で、又は前述の値を含む、そして/若しくはまたがる範囲で、ヘモペキシンを低減し得る。
【0055】
幾つかの態様において、本明細書に提供される通りの組成物及び方法は、鉄障害のマー
カをモジュレートする。特定の態様において、マーカは、血清、血漿、若しくは赤血球細胞膜の鉄濃度;血清、血漿、若しくは赤血球細胞のヘモグロビン濃度;血清フェリチン、血清鉄、トランスフェリン飽和度、赤血球細胞カウント、網赤血球、ヘマトクリット若しくはパックド・セル・ボリューム、赤血球細胞分布幅、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、ヘモペキシン、ヘプタグロビン白血球細胞カウント(heptaglobin white cell count)、鉄欠乏、血清鉄、総鉄結合能、トランスフェリン飽和度、亜鉛プロトポルフィリン、又は血清sTfRである。
【0056】
幾つかの態様において、本明細書に提供される方法は、鉄障害のマーカの濃度を測定するステップを含む。当業者は、非限定的に本明細書に記載されたものなどのそのような測定ための適切な方法を実施することができよう。異常な血清鉄レベルは、比色アッセイを利用した血清鉄の直接的測定により、又は標準的トランスフェリン飽和度アッセイにより(血中の鉄を運搬するタンパク質に鉄がどれほど結合するかを明らかにする)、又は標準的な血清フェリチンアッセイにより、決定され得る。例えば、45%以上のトランスフェリン飽和レベルは通常、血清中の異常に高い鉄レベルの指標となる。肝臓における異常な鉄レベルは、肝生検により、又はMRI及び/若しくはSQUIDなどの画像技術により、得られた組織からの肝臓の鉄量を測定することを決定され得る。他の組織(例えば、脳、心臓)における鉄レベルの度合いもまた、これら及び他の画像技術を利用して推定されてもよい。幾つかの態様において、異常な鉄レベルは、血清又は組織中の上昇した鉄レベルである。
【0057】
幾つかの態様は、長期間貯蔵された赤血球細胞の輸注を許容するプリナブリンの使用を含む。例えば様々な態様は、20日、25日、30日、35日、40日、45日、又は50日より長く貯蔵された赤血球細胞を輸注することを含む。プリナブリンは、そのような赤血球細胞の輸注の前、輸注の後、又は輸注の間に投与されてもよい。
【0058】
投薬
当業者に即座に明白になる通り、投与される有用なインビボ投薬量及び個々の投与様式は、年齢、体重、症状の重症度、及び処置される哺乳動物種、用いられる化合物の個々の形態、並びにこれらの化合物が用いられる具体的用途に応じて変動するであろう。有効な投薬レベル、即ち、所望の結果を実現するのに必要となる投薬レベルの決定は、日常的方法、例えばインビボ試験を利用して当業者に完遂され得る。例えば、“Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers,” U.S. Food and Drug Administration, July 2005を参照してもよい。
【0059】
幾つかの態様において、本明細書に提供された方法は、本明細書に提供された組成物の治療有効量を投与することを含んでいてもよい。幾つかの態様において、治療有効量は、貧血状態をはじめとする本明細書に提供された状態のマーカのモジュレーションの参照により決定されてもよい。幾つかの態様において、治療有効量は、本明細書に提供された状態の症状のモジュレーションの参照により決定されてもよい。さらに他の態様において、非限定的に貧血状態をはじめとする本明細書に提供された状態の処置のためのガイドラインをはじめとする、本明細書に記載された状態のための確定されたガイドラインを参照してもよい。
【0060】
投薬量は、所望の効果及びマーカ値などの治療の指示に応じて広範囲で変動してもよい。或いは投薬量は、当業者に理解される通り、患者の表面積又は体重に基づき、計算されてもよい。厳密な投薬量は、個々の場合に応じて決定され、又は幾つかの例では対象の情報に基づく裁量に委ねられるであろう。
【0061】
投薬は、個々の対象にとって適正であるように、単回、又は1日若しくは数日の過程で与えられる2回以上の連続であってもよい。幾つかの態様において、該化合物は、連続治療の期間、例えば約1週間若しくはより長く(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、又はより長く)、数週間、約1か月若しくはより長く(例えば、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、又はより長く)、1年若しくはより長く、又は多年の間、投与されるであろう。
【0062】
当業者に理解される通り、特定の状況において、本明細書に開示された化合物を、対象を効果的に処置するために上述の好ましい投薬量範囲を超える量で投与することが必要となる場合がある。
【0063】
単位投与剤形、例えば所定のスケジュールでの投与のために構成された、予め測定された量の組成物を有する個々の包装もまた、提供され得る。1日あたり1~3回の投与のために構成された単位投与剤形が、好ましいが、特定の態様において、1日あたり3回より多くの投与、又は1日あたり1回未満の投与のための単位投与剤形を構成することが望ましい場合がある。
【0064】
投薬量及び間隔は、所定のパラメータ、指標若しくはマーカの値、又は最小有効濃度(MEC)を維持するのに充分となる活性部分の血漿レベルを提供するように個々の対象に適合されてもよい。所望の結果を実現するのに必要となる投薬量は、個々の特徴及び投与経路に依存するであろう。しかし、アッセイ、例えばHPLCアッセイ又はバイオアッセイが、血清濃度を決定するのに用いられてもよい。
【0065】
本明細書に記載された方法は、選択された対象に1種又は複数の組成物を投与することを含んでいてもよい。幾つかの態様において、該組成物は、プリナブリン又はその塩である。幾つかの態様において、プリナブリンは、約1~50mg/m体表面積の範囲内の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約5~約50mg/m体表面積の範囲内の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約20~約40mg/m体表面積の範囲内の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約15~約30mg/m体表面積の範囲内の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約0.5~1、0.5~2、0.5~3、0.5~4、0.5~5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、0.5~11、0.5~12、0.5~13、0.5~13.75、0.5~14、0.5~15、0.5~16、0.5~17、0.5~18、0.5~19、0.5~20、0.5~22.5、0.5~25、0.5~27.5、0.5~30、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~13.75、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~22.5、1~25、1~27.5、1~30、1.5~2、1.5~3、1.5~4、1.5~5、1.5~6、1.5~7、1.5~8、1.5~9、1.5~10、1.5~11、1.5~12、1.5~13、1.5~13.75、1.5~14、1.5~15、1.5~16、1.5~17、1.5~18、1.5~19、1.5~20、1.5~22.5、1.5~25、1.5~27.5、1.5~30、2.5~2、2.5~3、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、2.5~11、2.5~12、2.5~13、2.5~13.75、2.5~14、2.5~15、2.5~16、2.5~17、2.5~18、2.5~19、2.5~20、2.5~22.5、2.5~25、2.5~27.5、2.5~30、2.5~7.5、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、3~13、3~13.75、3~14、3~15、3~16、3~17、3~18、3~19、3~20、3~22.5、3~25、3~27.5、3~30、3.5~6.5、3.5~13.75、3.5~15、2.5~17.5、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、4~13、4~13.75、4~14、4~15、4~16、4~17、4~18、4~19、4~20、4~22.5、4~25、4~27.5、4~30、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、5~13、5~13.75、5~14、5~15、5~16、5~17、5~18、5~19、5~20、5~22.5、5~25、5~27.5、5~30、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、6~13、6~13.75、6~14、6~15、6~16、6~17、6~18、6~19、6~20、6~22.5、6~25、6~27.5、6~30、7~8、7~9、7~10、7~11、7~12、7~13、7~13.75、7~14、7~15、7~16、7~17、7~18、7~19、7~20、7~22.5、7~25、7~27.5、7~30、7.5~12.5、7.5~13.5、7.5~15、8~9、8~10、8~11、8~12、8~13、8~13.75、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~22.5、8~25、8~27.5、8~30、9~10、9~11、9~12、9~13、9~13.75、9~14、9~15、9~16、9~17、9~18、9~19、9~20、9~22.5、9~25、9~27.5、9~30、10~11、10~12、10~13、10~13.75、10~14、10~15、10~16、10~17、10~18、10~19、10~20、10~22.5、10~25、10~27.5、10~30、11.5~15.5、12.5~14.5、7.5~22.5、8.5~32.5、9.5~15.5、15.5~24.5、5~35、17.5~22.5、22.5~32.5、25~35、25.5~24.5、27.5~32.5、2~20、t 2.5~22.5、又は9.5~21.5mg/m体表面積の範囲内の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40mg/m体表面積の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40mg/m体表面積未満の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50mg/m体表面積を超える用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約10、13.5、20、又は30mg/m体表面積の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約20mg/m体表面積の用量で投与される。
【0066】
幾つかの態様において、プリナブリン用量は、約5mg~100mg、又は約10mg~80mgである。幾つかの態様において、プリナブリン用量は、約15mg~100mg、又は約20mg~80mgである。幾つかの態様において、プリナブリンは、約15mg~60mgの範囲内の用量で投与される。幾つかの態様において、プリナブリン用量は、約0.5mg~3mg、0.5mg~2mg、0.75mg~2mg、1mg~10mg、1.5mg~10mg、2mg~10mg、3mg~10mg、4mg~10mg、1mg~8mg、1.5mg~8mg、2mg~8mg、3mg~8mg、4mg~8mg、1mg~6mg、1.5mg~6mg、2mg~6mg、3mg~6mg、又は約4mg~6mgである。幾つかの態様において、プリナブリンは、約2mg~6mg又は2mg~4.5mgで投与される。幾つかの態様において、プリナブリンは、約5mg~7.5mg、5mg~9mg、5mg~10mg、5mg~12mg、5mg~14mg、5mg~15mg、5mg~16mg、5mg~18mg、5mg~20mg、5mg~22mg、5mg~24mg、5mg~26mg、5mg~28mg、5mg~30mg、5mg~32mg、5mg~34mg、5mg~36mg、5mg~38mg、5mg~40mg、5mg~42mg、5mg~44mg、5mg~46mg、5mg~48mg、5mg~50mg、5mg~52mg、5mg~54mg、5mg~56mg、5mg~58mg、5mg~60mg、7mg~7.7mg、7mg~9mg、7mg~10mg、7mg~12mg、7mg~14mg、7mg~15mg、7mg~16mg、7mg~18mg、7mg~20mg、7mg~22mg、7mg~24mg、7mg~26mg、7mg~28mg、7mg~30mg、7mg~32mg、7mg~34mg、7mg~36mg、7mg~38mg、7mg~40mg、7mg~42mg、7mg~44mg、7mg~46mg、7mg~48mg、7mg~50mg、7mg~52mg、7mg~54mg、7mg~56mg、7mg~58mg、7mg~60mg、9mg~10mg、9mg~12mg、9mg~14mg、9mg~15mg、9mg~16mg、9mg~18mg、9mg~20mg、9mg~22mg、9mg~24mg、9mg~26mg、9mg~28mg、9mg~30mg、9mg~32mg、9mg~34mg、9mg~36mg、9mg~38mg、9mg~40mg、9mg~42mg、9mg~44mg、9mg~46mg、9mg~48mg、9mg~50mg、9mg~52mg、9mg~54mg、9mg~56mg、9mg~58mg、9mg~60mg、10mg~12mg、10mg~14mg、10mg~15mg、10mg~16mg、10mg~18mg、10mg~20mg、10mg~22mg、10mg~24mg、10mg~26mg、10mg~28mg、10mg~30mg、10mg~32mg、10mg~34mg、10mg~36mg、10mg~38mg、10mg~40mg、10mg~42mg、10mg~44mg、10mg~46mg、10mg~48mg、10mg~50mg、10mg~52mg、10mg~54mg、10mg~56mg、10mg~58mg、10mg~60mg、12mg~14mg、12mg~15mg、12mg~16mg、12mg~18mg、12mg~20mg、12mg~22mg、12mg~24mg、12mg~26mg、12mg~28mg、12mg~30mg、12mg~32mg、12mg~34mg、12mg~36mg、12mg~38mg、12mg~40mg、12mg~42mg、12mg~44mg、12mg~46mg、12mg~48mg、12mg~50mg、12mg~52mg、12mg~54mg、12mg~56mg、12mg~58mg、12mg~60mg、15mg~16mg、15mg~18mg、15mg~20mg、15mg~22mg、15mg~24mg、15mg~26mg、15mg~28mg、15mg~30mg、15mg~32mg、15mg~34mg、15mg~36mg、15mg~38mg、15mg~40mg、15mg~42mg、15mg~44mg、15mg~46mg、15mg~48mg、15mg~50mg、15mg~52mg、15mg~54mg、15mg~56mg、15mg~58mg、15mg~60mg、17mg~18mg、17mg~20mg、17mg~22mg、17mg~24mg、17mg~26mg、17mg~28mg、17mg~30mg、17mg~32mg、17mg~34mg、17mg~36mg、17mg~38mg, 17mg~40mg、17mg~42mg、17mg~44mg、17mg~46mg、17mg~48mg、17mg~50mg、17mg~52mg、17mg~54mg、17mg~56mg、17mg~58mg、17mg~60mg、20mg~22mg、20mg~24mg、20mg~26mg、20mg~28mg、20mg~30mg、20mg~32mg、20mg~34mg、20mg~36mg、20mg~38mg、20mg~40mg、20mg~42mg、20mg~44mg、20mg~46mg、20mg~48mg、20mg~50mg、20mg~52mg、20mg~54mg、20mg~56mg、20mg~58mg、20mg~60mg、22mg~24mg、22mg~26mg、22mg~28mg、22mg~30mg、22mg~32mg、22mg~34mg、22mg~36mg、22mg~38mg、22mg~40mg、22mg~42mg、22mg~44mg、22mg~46mg、22mg~48mg、22mg~50mg、22mg~52mg、22mg~54mg、22mg~56mg、22mg~58mg、22mg~60mg、25mg~26mg、25mg~28mg、25mg~30mg、25mg~32mg、25mg~34mg、25mg~36mg、25mg~38mg、25mg~40mg、25mg~42mg、25mg~44mg、25mg~46mg、25mg~48mg、25mg~50mg、25mg~52mg、25mg~54mg、25mg~56mg、25mg~58mg、25mg~60mg、27mg~28mg、27mg~30mg、27mg~32mg、27mg~34mg、27mg~36mg、27mg~38mg、27mg~40mg、27mg~42mg、27mg~44mg、27mg~46mg、27mg~48mg、27mg~50mg、27mg~52mg、27mg~54mg、27mg~56mg、27mg~58mg、27mg~60mg、30mg~32mg、30mg~34mg、30mg~36mg、30mg~38mg、30mg~40mg、30mg~42mg、30mg~44mg、30mg~46mg、30mg~48mg、30mg~50mg、30mg~52mg、30mg~54mg、30mg~56mg、30mg~58mg、30mg~60mg、33mg~34mg、33mg~36mg、33mg~38mg、33mg~40mg、33mg~42mg、33mg~44mg、33mg~46mg、33mg~48mg、33mg~50mg、33mg~52mg、33mg~54mg、33mg~56mg、33mg~58mg、33mg~60mg、36mg~38mg、36mg~40mg、36mg~42mg、36mg~44mg、36mg~46mg、36mg~48mg、36mg~50mg、36mg~52mg、36mg~54mg、36mg~56mg、36mg~58mg、36mg~60mg、40mg~42mg、40mg~44mg、40mg~46mg、40mg~48mg、40mg~50mg、40mg~52mg、40mg~54mg、40mg~56mg、40mg~58mg、40mg~60mg、43mg~46mg、43mg~48mg、43mg~50mg、43mg~52mg、43mg~54mg、43mg~56mg、43mg~58mg、42mg~60mg、45mg~48mg、45mg~50mg、45mg~52mg、45mg~54mg、45mg~56mg、45mg~58mg、45mg~60mg、48mg~50mg、48mg~52mg、48mg~54mg、48mg~56mg、48mg~58mg、48mg~60mg、50mg~52mg、50mg~54mg、50mg~56mg、50mg~58mg、50mg~60mg、52mg~54mg、52mg~56mg、52mg~58mg、又は52mg~60mgで投与される。幾つかの態様において、プリナブリン用量は、約0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、又は約40mgを超える。幾つかの態様において、プリナブリン用量は、約1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、約40mg、又は約50mg未満である。
【0067】
幾つかの態様において、処置スケジュールは、輸血と同時のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、輸血の前のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、輸血の少なくとも1分前、輸血の少なくとも5分前、輸血の少なくとも10分前、輸血の少なくとも15分前、輸血の少なくとも30分前、輸血の少なくとも45分前、輸血の少なくとも60分前、輸血の少なくとも75分前、輸血の少なくとも90分前、輸血の少なくとも120分前のプリナブリン又はその塩の投与を含む。
【0068】
幾つかの態様において、処置スケジュールは、輸血の後のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、輸血の少なくとも1分後、輸血の少なくとも5分後、輸血の少なくとも10分後、輸血の少なくとも15分後、輸血の少なくとも30分後、輸血の少なくとも45分後、輸血の少なくとも60分後、輸血の少なくとも75分後、輸血の少なくとも90分後、輸血の少なくとも120分後のプリナブリン又はその塩の投与を含む。
【0069】
幾つかの態様において、処置スケジュールは、3週間ごとに1回(例えば、1回目、2回目、3回目、4回目、5回目、6回目、7回目又は8回目)のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間ごとに1回のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間ごとに2回のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の処置サイクルにおいて1週間ごとに1回のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の処置サイクルにおいて1週間ごとに2回のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の処置サイクルにおいて週ごとに3回(例えば、1、2、3日目、又は1、3、5日目)のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、21日の処置サイクルの1日目、8日目及び15日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間に毎日のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、2週間、3週間、又は4週間に毎日のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目及び2日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目及び3日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、3日目、5日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目、3日目及び4日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目、3日目、4日目及び5日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目及び6日目のプリナブリン又はその塩の投与を含む。
【0070】
幾つかの態様において、処置スケジュールは、3週間ごとに1回のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間ごとに1回のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間ごとに2回のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の処置サイクルにおいて1週間ごとに1回のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の処置サイクルにおいて1週間ごとに2回のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間の処置サイクルにおいて1週ごとに3回(例えば、1、2、3日目、又は1、3、5日目)のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、21日の処置サイクルの1日目、8日目及び15日目のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、1週間に毎日のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、2週間、3週間、又は4週間に毎日のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目及び2日目のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目及び3日目のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、3日目、5日目のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目、3日目及び4日目のプリナブリンの投与を含む。幾つかの態様において、処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目、3日目、4日目及び5日目のプリナブリンの投与を含む。処置スケジュールは、毎週の処置の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目及び6日目のプリナブリンの投与を含む。
【0071】
併用療法
本明細書の他の箇所に開示される通り、幾つかの態様は、本明細書に記載されたプリナブリンなどの組成物を追加的治療薬と共投与することを提供する。併用療法としては、2種以上の医薬活性剤が同じ配合剤中に存在する固定された組み合わせ;別の配合剤中の2種以上の医薬活性剤が同じ包装中の固体であり、例えば共投与のための使用説明書が共に存在する、キット;及び医薬活性剤が別に包装されているが、同時又は連続投与の使用説明書が提供される、自由な組み合わせを挙げることができる。他のキット成分としては、診断薬、アッセイ、連続又は同時投与のための反復投与剤形、医薬組成物の凍結乾燥又は濃縮形態を再構成するための使用説明書及び材料、医薬活性剤を投与するための装置、並びに同様のものを挙げることができる。例えば、本明細書の他の箇所に開示された態様の化合物である第一の薬物と、第二の薬物と、を併用投与のための使用説明書と共に含む医薬包装が、提供される。本明細書の他の箇所に開示された態様の化合物を、少なくとも1種の第二の薬物との併用投与のための使用説明書と共に含む医薬包装もまた、提供される。同じく提供されるのは、少なくとも1種の第二の薬物を、本開示の化合物との併用投与のための使用説明書と共に含む医薬包装である。
【0072】
本明細書の他の箇所に開示された態様による組み合わせでの処置が、併用の成分のどれか単独による処置と比較して、改善又は優れた転帰を提供してもよい。例えば幾つかの態様の化合物の量と、第二の薬物の量とを含み、その量が相乗的治療効果を生じるのに適正である医薬的組み合わせが、用いられてもよい。幾つかの態様において、プリナブリン及び第二の治療薬を含む医薬的組み合わせが、相乗的治療効果を生じる。幾つかの態様において、第二の治療薬は、ビタミン又はミネラルである。幾つかの態様において、第二の治療薬は、可溶性鉄である。
【0073】
幾つかの形態において、鉄障害を処置する方法は、金属キレート化剤を投与することをさらに含む。幾つかの態様において、金属キレート化剤は、プリナブリンと共に投与される。幾つかの態様において、金属キレート化剤は、プリナブリンの前に投与される。幾つかの態様において、金属キレート化剤は、プリナブリンの後に投与される。幾つかの態様
において、金属キレート化剤は、鉄キレート化剤である。幾つかの態様において、鉄キレート化剤は、デフェラシロックス、ジメルカプトコハク酸、デフェロキサミン、デフェリプロン、又はトリエンチンである。
【0074】
幾つかの態様において、本明細書に記載された組成物は、放射線照射又は生物学的治療などの他の処置と組み合わせて投与又は使用され得る。幾つかの態様において、放射線照射は、プリナブリンの前に施される。幾つかの態様において、放射線照射は、プリナブリンの後に施される。幾つかの態様において、生物学的治療は、プリナブリンの前に施される。幾つかの態様において、生物学的治療は、プリナブリンの後に施される。幾つかの態様において、鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、モノクローナル抗体を投与することをさらに含む。幾つかの態様において、モノクローナルは、FRFEポリペプチドを特異的に認識する。幾つかの態様において、モノクローナル抗体は、フェロポルチンである。幾つかの態様において、鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、ヘプシジン又はヘプシジン類似体を投与することをさらに含む。
【0075】
幾つかの態様において、鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、瀉血を施すことをさらに含む。幾つかの態様において、鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、静脈切開を施すことをさらに含む。
【0076】
幾つかの態様において、鉄障害を処置する、低減する、又は改善させる方法は、食事制限をさらに含む。幾つかの態様において、食事制限としては、鉄を含有するサプリメントを回避すること、ビタミンCを含有するサプリメントを回避すること、鉄が豊富な食物及び鉄を強化した食物を低減すること、未調理の魚及び貝を回避すること、アルコール摂取を限定すること、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0077】
医薬組成物
幾つかの態様は、プリナブリン又はその医薬的に有効な塩を含む医薬組成物を包含する。
【0078】
幾つかの態様において、先に記載された医薬組成物は、鉄障害を低減する作用がある追加的薬剤を含む。幾つかの態様において、追加的薬剤は、鉄キレート化剤である。例えば幾つかの態様において、医薬組成物は、デフェラシロックス、ジメルカプトコハク酸、デフェロキサミン、デフェリプロン、又はトリエンチンを含む。
【0079】
他の態様は、2種以上の別の医薬組成物、つまりプリナブリン又はその医薬的に許容できる塩を含む1種と、追加的治療薬を含む1種又は複数の他の医薬組成物と、を含む。
【0080】
幾つかの態様において、先に記載された組成物は、1種又は複数の医薬的に許容できる希釈剤をさらに含み得る。幾つかの態様において、医薬的に許容できる希釈剤としては、kolliphor(登録商標)(ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸)を挙げることができる。幾つかの態様において、医薬的に許容できる希釈剤としては、プロピレングリコールを挙げることができる。幾つかの態様において、医薬的に許容できる希釈剤としては、kolliphor(登録商標)及びプロピレングリコールを挙げることができる。幾つかの態様において、医薬的に許容できる希釈剤としては、kolliphor(登録商標)及びプロピレングリコールを挙げることができ、kolliphor(登録商標)は、希釈剤の総重量に基づき約40重量%であり、プロピレングリコールは、約60重量%である。幾つかの態様において、該組成物は、1種又は複数の他の医薬的に許容できる賦形剤をさらに含み得る。
【0081】
幾つかの態様において、先に記載された組成物は、1種又は複数の医薬的に許容できる
担体又は賦形剤をさらに含み得る。用語「医薬的に許容できる担体」又は「医薬的に許容できる賦形剤」は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、並びに同様のものを包含する。医薬活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が、有効成分と不適合である場合を除き、治療組成物中でのその使用が、企図される。加えて当該技術分野で共通して用いられるような様々なアジュバントが、含まれてもよい。医薬組成物中の様々な成分の包含のための検討材料は、例えば、全体として参照により本明細書に取り込まれるGilman et al. (Eds.) (1990); Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Basis
of Therapeutics, 8th Ed., Pergamon Pressに記載される。
【0082】
医薬的に許容できる担体又はその成分として役立ち得る物質の幾つかの例は、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びメチルセルロースなどのセルロース及びその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウムなどの固形滑沢剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、ココナッツ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びカカオ属の油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸;TWEENなどの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;香味剤;打錠剤;成形剤(tableting agents)、安定化剤;抗酸化剤;防腐剤;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;及びリン酸緩衝溶液である。
【0083】
本明細書に記載された組成物は、好ましくは単投与剤形で提供される。本明細書で用いられる通りの「単位投与剤形」は、適正診療規範に従った単一用量での動物、好ましくは哺乳動物対象への投与に適する化合物又は組成物の量を含有する組成物である。しかし、単一又は単位投与剤形の調製は、その投与剤形が1日1回、又は治療過程で1回投与されることを暗示していない。そのような投与剤形は、1日あたり1回、2回、3回又はより多く投与されることが企図され、ある期間(例えば、約30分~約2~6時間)にわたり輸液として投与されても、又は連続輸液として投与されてもよく、治療過程の間に1回より多く与えられてもよいが、単回投与が、具体的に除外されない。熟達した技術者は、配合が全治療過程を具体的に企図せず、そのような決定が配合よりむしろ処置の当業者に委ねられることを認識するであろう。
【0084】
全体として参照により本明細書に取り込まれるRemington's The Science and Practice
of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2005)に開示されたものなどの標準の医薬配合技術が、本明細書に記載された医薬組成物を作製するために用いられ得る。
【0085】
先に記載された組成物は、多様な投与経路のため、例えば経口、舌下、口腔、鼻腔、直腸、局所(経皮及び皮内を含む)、眼科、脳内、頭蓋内、髄腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、又は他の非経口投与経路のための多様な適切な形態のいずれかであってもよい。経口及び鼻腔用組成物が吸入により投与され、利用可能な方法論を利用して作製される組成物を包含することは、熟達した技術者は察知するであろう。望ましい個々の投与経路に応じて、当該技術分野で周知の多様な医薬的に許容できる担体が用いられてもよい。医薬的に許容できる担体としては、例えば固体又は液体充填剤、希釈剤、ハイドロトロピー剤、表面活性剤、及びカプセル化物質が挙げられる。該化合物又は組成物の活性を実質的に妨害しない任意選択による医薬活性材料が、含まれてもよい。該化合物又は組成物と併せて用いられる担体の量は、該化合物の単位用量あたりに投与のための実践的量の材料を提供するのに充分となる。本明細書に記載された方法において有用な投与剤形を作製するための技術及び組成物が、本明細書の参照により全てが取り込まれる以下の参考資料に記載され
る:Modern Pharmaceutics, 4th Ed., Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, editors, 2002);Lieberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (1989);及びAnsel,
Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 8th Edition (2004)。
【0086】
錠剤、カプセル(例えば、液体ゲルカプセル及び固体ゲルカプセル)、顆粒及び原薬粉末のような固体形態をはじめとする様々な経口投与剤形が、用いられ得る。錠剤は、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘起剤、及び溶融剤を含有して圧縮、刷り込み錠剤(tablet triturates)、腸溶性コーティング、糖コーティング、フィルムコーティング、又は多重圧縮が行われ得る。液体経口投与剤形としては、適切な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味剤、溶融剤、着色剤及び香味剤を含有する、水性溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成された発泡性調製物が挙げられる。
【0087】
経口投与のための単位投与剤形の調製に適した医薬的に許容できる担体は、当該技術分野で周知である。錠剤は典型的には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロースなどの不活性希釈剤;デンプン、ゼラチン及びスクロースなどの結合剤;デンプン、アルギン酸及びクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクなどの滑沢剤として、従来の医薬的適合性アジュバントを含む。二酸化ケイ素などの滑剤が、粉末混合物の流動特性を改善するために用いられ得る。FD&C色素などの着色剤が、外観のために添加され得る。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント及びフルーツフレーバなどの甘味剤及び香味剤が、チュワブル錠のための有用なアジュバントである。カプセルは、典型的には先に開示された1種又は複数の固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、風味、コスト、及び貯蔵性のような二次的検討材料に依存し、重大ではなく、当業者によって即座になされ得る。
【0088】
経口組成物としては、溶液、エマルジョン、懸濁液及び同様のものも挙げられる。そのような組成物の調製に適した医薬的に許容できる担体は、当該技術分野で周知である。シロップ、エリキシル、エマルジョン及び懸濁液のための担体の典型的成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。懸濁液の場合、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC-591、トラガカント及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ;典型的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ;典型的な防腐剤としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液体組成物はまた、先に開示された甘味剤、香味剤及び着色剤などの1種又は複数の成分を含有してもよい。
【0089】
表題組成物が、所望の局所適用の付近の胃腸管内で、又は所望の作用を延長するために様々な時間に放出されるように、そのような組成物は、従来法により、典型的にはpH又は時間依存性コーティングでコーティングされてもよい。そのような投与剤形としては、典型的には酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックス及びシェラックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
表題化合物の全身送達を果たすのに有用な他の組成物としては、舌下、口腔及び鼻腔用投与剤形が挙げられる。そのような組成物は典型的には、スクロース、ソルビトール及びマンニトールなどの可溶性充填物質;並びにアラビアゴム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤の1種又は複数を含む。先に開示された滑剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、抗酸化剤及び香味剤もまた、含まれてよい。
【0091】
局所眼科的使用のために配合された液体組成物は、それが局所的に目に投与され得るように配合される。快適さが可能な限り最大にされてもよいが、時には配合の検討材料(例えば、薬物安定性)が、最適に満たない快適さを必要とする場合がある。快適さが最大になり得ない場合、液体が、局所眼科的使用の患者に忍容され得るように、液体が配合されてもよい。加えて、眼科的に許容できる液体は、単回使用のために包装される、又は反復使用での汚染を予防するための防腐剤を含有する、のどちらであってもよい。
【0092】
眼科適用の場合、溶液又は医薬品は多くの場合、生理学的な生理食塩溶液を主要なビヒクルとして使用して調製される。眼科溶液は、好ましくは適正な緩衝系で快適なpHを維持されてもよい。配合剤はまた、従来の医薬的に許容できる防腐剤、安定化剤及び界面活性剤を含有してもよい。
【0093】
本明細書で開示された医薬組成物中で用いられ得る防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、フェニル水銀、アセテート及び硝酸フェニル水銀が挙げられるが、これらに限定されない。有用な界面活性剤は、例えばTween80である。同様に様々な有用なビヒクルが、本明細書に開示された眼科調製物中で用いられてもよい。これらのビヒクルとしては、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及び精製水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
張度調整剤(Tonicity adjustors)が、必要に応じて、又は簡便さに応じて添加されてもよい。それらとしては、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール及びグリセリン、又は任意の他の適切な眼科的に許容できる張度調整剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
得られた調製物が眼科的に許容できる限り、pHを調製するための様々な緩衝剤及び手段が用いられてもよい。多くの組成物では、pHは、4~9の間であろう。したがって緩衝剤としては、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤及びホウ酸緩衝剤が挙げられる。酸又は塩基が、必要に応じてこれらの配合剤のpHを調整するために用いられてもよい。
【0096】
眼科的に許容できる抗酸化剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール及びブチルヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
眼科調製物中に含まれ得る他の賦形剤成分が、キレート化剤である。有用なキレート化剤は、エデト酸二ナトリウム(EDTA)であるが、他のキレート化剤が、それの代わりに、又はそれと併せて用いられてもよい。
【0098】
局所使用では、本明細書に開示された組成物を含有するクリーム、軟膏、ゲル、溶液又は懸濁液などが用いられる。局所配合剤は一般に、医薬的担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系及び皮膚軟化剤で構成されてもよい。
【0099】
静脈内投与の場合、本明細書に記載された組成物が、生理食塩水又はデキストロース溶液などの医薬的に許容できる希釈剤中に溶解又は分散されてもよい。適切な賦形剤は、非限定的にNaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl及びクエン酸をはじめとする所望のpHを実現するために含まれてもよい。様々な態様において、最終組成物のpHは、2~8、又は好ましくは4~7の範囲内である。抗酸化賦形剤としては、重亜硫酸ナトリウム、アセトン重亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルホキシレート、チオウレア、及びEDTAを挙げることができる。最終的な静脈内組成物中で見出さ
れる適切な賦形剤の他の非限定的例は、リン酸ナトリウム又はカリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びにデキストロース、マンニトール及びデキストランなどの炭水化物を挙げることができる。さらなる許容できる賦形剤は、Powell, et al., Compendium of Excipients for Parenteral Formulations, PDA J Pharm Sci and Tech 1998, 52 238-311、及びNema et al., Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future Directions, PDA J Pharm Sci and Tech 2011, 65 287-332に記載されており、それらは両者とも全体として参照により本明細書に取り込まれる。非限定的に硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、及びクロロブタノールをはじめとする抗菌剤もまた、静菌又は静真菌溶液を実現するために含まれてよい。
【0100】
静脈内投与のための組成物は、投与の少し前に滅菌水、生理食塩水又は水中のデキストロースなどの適切な希釈剤で再構成される1種又は複数の固体の形態で介護者に提供されてもよい。他の態様において、該組成物は、すぐに非経口投与できる溶液の中で提供される。さらに他の態様において、該組成物は、投与前にさらに希釈される溶液の中で提供される。本明細書に記載された化合物と他の薬剤との組み合わせを投与することを含む態様において、その組み合わせは、混合物として介護者に提供されてもよく、又は介護者が、投与前に2種の薬剤を混合してもよく、又は2種の薬剤が、別々に投与されてもよい。
【0101】
本明細書に記載された活性化合物の実際の用量は、具体的化合物、及び処置される状態に依存し;適正な用量の選択は、熟達した技術者の知識で充分に行われる範囲である。幾つかの態様において、プリナブリン又は他の治療薬の単一用量は、約5mg/m~約150mg/m体表面積、約5mg/m~約100mg/m体表面積、約10mg/m~約100mg/m体表面積、約10mg/m~約80mg/m体表面積、約10mg/m~約50mg/m体表面積、約10mg/m~約40mg/m体表面積、約10mg/m~約30mg/m体表面積、約13.5mg/m~約100mg/m体表面積、約13.5mg/m~約80mg/m体表面積、約13.5mg/m~約50mg/m体表面積、約13.5mg/m~約40mg/m体表面積、約13.5mg/m~約30mg/m体表面積、約15mg/m~約80mg/m体表面積、約15mg/m~約50mg/m体表面積、又は約15mg/m~約30mg/m体表面積であってもよい。幾つかの態様において、プリナブリン又は他の治療薬の単一用量は、約13.5mg/m~約30mg/m体表面積であってもよい。幾つかの態様において、プリナブリン又は他の治療薬の単一用量は、約5mg/m、約10mg/m、約12.5mg/m、約13.5mg/m、約15mg/m、約17.5mg/m、約20mg/m、約22.5mg/m、約25mg/m、約27.5mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、又は約100mg/m体表面積であってもよい。
【0102】
幾つかの態様において、プリナブリン又は他の治療薬の単一用量は、約5mg~約300mg、約5mg~約200mg、約7.5mg~約200mg、約10mg~約100mg、約15mg~約100mg、約20mg~約100mg、約30mg~約100mg、約40mg~約100mg、約10mg~約80mg、約15mg~約80mg、約20mg~約80mg、約30mg~約80mg、約40mg~約80mg、約10mg~約60mg、約15mg~約60mg、約20mg~約60mg、約30mg~約60mg、又は約40mg~約60mgであってもよい。幾つかの態様において、プリナブリン又は他の治療薬の単一用量は、約20mg~約60mg、約27mg~約60mg、約20mg~約45mg、又は約27mg~約45mgであってもよい。幾つかの態様において、プリナブリン又は他の治療薬の単一用量は、約5mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、又は約200mgであってもよい。
【0103】
本発明をさらに例証するために、以下の実施例が含まれる。実施例はもちろん、本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきでない。特許請求の範囲の中のこれらの実施例の変形は、当業者のプレビューの範囲内であり、本明細書に記載及び請求された本発明の範囲に含まれるものとみなされる。読者は、網羅的実施例がなくとも、本発明の開示及び当該技術分野の技能を与えられた熟達した技術者が本発明を調製及び使用し得ることを認識するであろう。
【実施例
【0104】
方法。TAC(タキソテール、ドキソルビシン、シクロホスファミド)を受けている非転移性乳癌患者が、10(n=15)、20(n=15)又は30(n=12)mg/m2の用量のプリナブリンも受けた。血液学的安全性評価が、プロトコールにより見込みとして予め定義された通り、プリナブリンの投与前、並びに投与後2、3、6、7、8、9、10、11、12、13及び15日目に実施された。プリナブリンは、21日サイクルごとに単一用量として1日目に与えられた。血液学的評価を分析する際に、驚くべきことにプリナブリンがハプトグロビンレベルを上昇させることを発見した。
【0105】
結果。30mg/mプリナブリン用量は、低用量に対比して、血漿ハプトグロビンレベルの上昇について最も有効な用量であり(p<0.01);基底平均(SD)ハプトグロビンは、1.32(0.453)g/Lであり、プリナブリン30mg/m投薬後に、最大ハプトグロビンレベルが2倍より多く上昇し、1.61(1.29)g/Lの平均(SD)上昇であった(p<0.0005)。Hp上昇は、プリナブリン投薬の2日以内に起こり(P<0.03)、3週間より長く持続した(図1)。
【0106】
このデータに基づくと、30mg/mプリナブリンの単一用量は、急速(2日以内)かつ持続的な(3週間より長く)ハプトグロビンレベル上昇を生じ、それは統計学的及び臨床的に有意である。ハプトグロビンは、遊離ヘモグロビンを中和するため、ハプトグロビンレベルを上昇/倍増させるプリナブリンの能力は、溶血に応じた鉄過剰症の予防に利用され得る。
図1
【国際調査報告】