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特表2022-552021組織切除マージン測定装置のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】組織切除マージン測定装置のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20221207BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523116
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020056114
(87)【国際公開番号】W WO2021076987
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/923,137
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/054,921
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】522154250
【氏名又は名称】ナヴィゲーション サイエンシズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ブエノ ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ジャガディーサン ジャエンデル
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス アラン ディー.
(57)【要約】
本発明の実施形態は、組織塊を切除するためのシステム及び方法を提供する。組織塊を切除するためのシステムは、組織塊の位置及び向きに対応する信号を測定するための第1のセンサを含む。第1のセンサは、組織塊内又は隣にフィットするように寸法決めされる。システムはまた、外科用装置の位置及び向きを測定するように構成された外科用装置に取り付けられた第2のセンサを含む。コントローラは、第1のセンサ及び第2のセンサと通信し、コントローラは、内蔵プログラムを実行して、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離を計算する。したがって、視覚的、聴覚的、触覚的又は他のフィードバックが臨床医に提供されて外科用装置が外科的マージンに誘導される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的構造内の選択された管腔に対する器具の位置を決定するための方法であって、
前記解剖学的構造の前記選択された管腔に、追跡されるカテーテルを位置決めすることと、
前記追跡されるカテーテルに対する追跡される器具の位置を決定することと、を含み、
前記追跡されるカテーテルは、所与の基準フレームに対して追跡され、
前記器具の位置を決定することが、前記追跡される器具が前記所与の基準フレームに対して追跡され、それによって、前記解剖学的構造の前記選択された管腔に対する前記追跡される器具の位置を決定することを含む、方法。
【請求項2】
コントローラが、前記追跡されるカテーテルに対する前記追跡される器具の位置を、
前記所与の基準フレームにおける前記追跡されるカテーテルの位置を決定し、
前記所与の基準フレームにおける前記追跡される器具の位置を決定し、
前記所与の基準フレームにおける前記追跡される器具の位置と前記所与の基準フレームにおける前記追跡されるカテーテルの位置との間の差を決定することによって、決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所与の基準フレームにおける前記追跡される器具の位置と前記所与の基準フレームにおける前記追跡されるカテーテルの位置との間の差が、聴覚的キューと、視覚的キューと、定量的キューと、触覚的キューと、からなる群からの少なくとも1つによって、ユーザに通信される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚的キューが、前記追跡されるカテーテルの仮想モデル及び前記追跡される器具の仮想モデルを含み、
前記追跡されるカテーテルの前記仮想モデルと前記追跡される器具の前記仮想モデルとの間の空間的関係が、前記所与の基準フレームにおける前記追跡されるカテーテルと前記追跡される器具との間の空間的関係と同じである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記解剖学的構造が肺を含み、前記選択された管腔が前記肺内の気道を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記追跡される器具を使用して前記解剖学的構造の一部を切除することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記解剖学的構造の前記選択された管腔に対する前記追跡される器具の位置を決定することが、切除中に前記解剖学的構造の前記選択された管腔を残すために使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記解剖学的構造の前記選択された管腔に対する前記追跡される器具の位置を決定することが、切除中に前記解剖学的構造の前記選択された管腔を摘出するために使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記解剖学的構造が樹状構造を有する複数の管腔を含み、前記選択された管腔が前記複数の管腔のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記解剖学的構造の前記選択された管腔に前記追跡されるカテーテルを位置決めすることが、
スコープを、前記スコープの前記視覚的誘導下で、前記複数の管腔のうちの少なくとも1つを通って前進させることと、
前記追跡されるカテーテルを、前記スコープを通して前記選択された管腔まで前進させることと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スコープが、前記選択された管腔まで前進される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スコープが前記選択された管腔の手前で停止し、前記追跡されるカテーテルが前記スコープから前記選択された管腔まで前進される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記解剖学的構造の前記選択された管腔に前記追跡されるカテーテルを位置決めすることが、
前記追跡されるカテーテルをスコープ内に位置決めすることと、
前記スコープを、前記スコープの前記視覚的誘導の下で、前記複数の管腔のうちの少なくとも1つを通って前進させることと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記スコープが、前記選択された管腔まで前進される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スコープが前記選択された管腔の手前で停止し、前記追跡されるカテーテルが前記スコープから前記選択された管腔まで前進される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記解剖学的構造が変形可能であり、
前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記追跡されるカテーテルが、前記解剖学的構造の前記選択された管腔に位置決めされ、
前記解剖学的構造が前記第1のコンフィギュレーションから第2のコンフィギュレーションに変化する間、前記追跡されるカテーテルが、前記解剖学的構造の前記選択された管腔内の位置に維持され、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときに、前記追跡されるカテーテルに対する前記追跡される器具の位置が決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記追跡されるカテーテルを使用して、前記解剖学的構造の複数の管腔をマッピングする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記解剖学的構造内に基準センサが配置され、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記解剖学的構造の選択された管腔に、追跡されるカテーテルが配置され、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記基準センサ及び前記追跡されるカテーテルの相対的な配置が決定され、
前記解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションに変化し、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときに、前記基準センサ及び前記追跡されるカテーテルの相対的な配置が決定され、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションへと変化した後に前記基準センサ及び前記追跡されるカテーテルの相対的な配置の変化が決定され、当該変化が、前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造の変形の程度及び解剖学的位置を推定するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
解剖学的構造内の選択された管腔に対する器具の位置を決定するためのシステムであって、
前記解剖学的構造の前記選択された管腔に配置可能であるように寸法決めされたカテーテルと、
前記カテーテルによって担持されているカテーテル追跡装置であって、所与の基準フレームに対する前記カテーテル追跡装置の位置を表すカテーテル信号を提供するためのカテーテル追跡装置と、
器具と、
前記器具によって担持されている器具追跡装置であって、前記所与の基準フレームに対する前記器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
コントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記追跡されるカテーテルに対する前記追跡される器具の位置を決定し、これにより、前記追跡されるカテーテルが前記解剖学的構造の前記選択された管腔に配置されると、前記解剖学的構造内の前記選択された管腔に対する前記追跡される器具の位置を決定する、システム。
【請求項20】
前記コントローラが、前記追跡されるカテーテルに対する前記追跡される器具の位置を、
前記所与の基準フレームで前記カテーテル追跡装置の位置を決定し、
前記所与の基準フレームで器具追跡装置の位置を決定し、
前記所与の基準フレームにおける前記器具追跡装置の位置と前記所与の基準フレームにおける前記カテーテル追跡装置の位置との間の差を決定することによって、決定するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
ユーザインターフェースを更に含み、
前記ユーザインターフェースが、前記所与の基準フレームにおける前記器具追跡装置の位置と前記所与の基準フレームにおける前記カテーテル追跡装置の位置との間の差をユーザに通信するように構成され、
前記ユーザインターフェースが、聴覚的キューと、視覚的キューと、定量的キューと、触覚的キューと、からなる群からの少なくとも1つを使用することによって、前記ユーザと通信する、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記視覚的キューが、前記追跡されるカテーテルの仮想モデル及び前記追跡される器具の仮想モデルを含み、
前記追跡されるカテーテルの前記仮想モデルと前記追跡される器具の前記仮想モデルとの間の空間的関係が、前記所与の基準フレームにおける前記追跡されるカテーテル及び前記追跡される器具の空間的関係と同じである、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記追跡されるカテーテルを収容するように寸法決めされたスコープを更に含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記解剖学的構造が変形可能であり、
前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記追跡されるカテーテルが前記解剖学的構造の前記選択された管腔に配置され、その後、前記解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションに変形し、前記解剖学的構造が前記第2のコンフィギュレーションをとるときに、前記追跡されるカテーテルが前記解剖学的構造の前記選択された管腔に留まるように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
変形可能な解剖学的構造内の複数の管腔をマッピング及び追跡するための方法であって、
前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに前記解剖学的構造の仮想モデルを提供することと、
前記解剖学的構造が前記第1のコンフィギュレーションにあるときに、マッピングされ追跡される前記解剖学的構造内の前記管腔のうちの1つに、追跡されるカテーテルを位置決めし、前記管腔における前記追跡されるカテーテルの位置を決定して、前記管腔の位置をマッピングすることと、
マッピングされ追跡される前記解剖学的構造内の前記管腔の各々について前述の工程を繰り返して、当該管腔をマッピングすることと、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記仮想モデルに前記マッピングされた管腔を補足し、それによって、前記解剖学的構造及び前記マッピングされた管腔の補足された仮想モデルを提供することと、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションから第2のコンフィギュレーションに変形する間、前記解剖学的構造の前記マッピングされた管腔のうちの1つに前記追跡されるカテーテルを維持することと、
前記解剖学的構造が前記第2のコンフィギュレーションにあるときに、前記解剖学的構造内の前記追跡されるカテーテルの位置を決定することと、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造及び前記マッピングされた管腔を表すように前記補足された仮想モデルを修正し、それによって、修正され補足された仮想モデルを提供することと、を含み、
前記修正が、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションに変形するときに、前記追跡されるカテーテルの空間的変化を決定し、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造及び前記マッピングされた管腔の前記修正され補足された仮想モデルを提供するように、前記補足された仮想モデルの前記マッピングされた管腔に前記追跡されるカテーテルの前記空間的変化を適用することによって、行われる、方法。
【請求項26】
前記空間的変化が、平行移動、回転及び変形からなる群からの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記追跡されるカテーテルが少なくとも1つの追跡装置を含み、
前記追跡されるカテーテルが管腔に沿って移動する際に前記少なくとも1つの追跡装置の位置を決定することによって、当該管腔がマッピングされる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記追跡されるカテーテルが複数の追跡装置を含み、
前記追跡されるカテーテルを定位置に固定し、前記複数の追跡装置の位置を決定する間に、前記追跡されるカテーテルを管腔内に位置決めすることによって、当該管腔がマッピングされる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記解剖学的構造が肺を含み、身体の前記管腔が気道を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
変形可能な解剖学的構造内の選択された管腔をマッピング及び追跡するための方法であって、
前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記解剖学的構造の前記選択された管腔に、追跡されるカテーテルを位置決めすることと、
前記解剖学的構造が前記第1のコンフィギュレーションにあるときに前記追跡されるカテーテルの位置を決定することと、
前記解剖学的構造が前記第1のコンフィギュレーションにあるときに、前記解剖学的構造と前記解剖学的構造の前記選択された管腔に位置決めされた前記追跡されるカテーテルとを走査することと、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときに、走査された前記解剖学的構造及び前記解剖学的構造の前記選択された管腔内に位置決めされた前記追跡されるカテーテルの仮想モデルを作成することと、
前記解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションに変形する間、前記解剖学的構造の前記選択された管腔内の位置に前記追跡されるカテーテルを維持することと、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときに前記追跡されるカテーテルの位置及び向きを決定し、それによって前記解剖学的構造が前記第2のコンフィギュレーションにあるときに前記解剖学的構造の前記選択された管腔の位置を決定することと、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造及び前記選択された管腔を表すように前記仮想モデルを調整し、それによって、調整された仮想モデルを提供することと、を含み、
前記修正が、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションに変形するときに、前記追跡されるカテーテルの空間的変化を決定し、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造及び前記選択された管腔の前記調整された仮想モデルを提供するように、前記仮想モデルの前記選択された管腔に前記追跡されるカテーテルの前記空間的変化を適用することによって、行われる、方法。
【請求項31】
前記空間的変化が、平行移動、回転及び変形からなる群からの少なくとも1つを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記解剖学的構造が肺を含み、身体の前記管腔が気道を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記解剖学的構造が前記第1のコンフィギュレーションにあるときに前記解剖学的構造と前記解剖学的構造の前記選択された管腔に位置決めされた前記追跡されるカテーテルとを走査した後、前記解剖学的構造の前記選択された管腔における前記追跡されるカテーテルの正しい配置を確認することを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
変形可能な解剖学的構造内の複数の管腔をマッピング及び追跡するためのシステムであって、
マッピングされ追跡される前記解剖学的構造の前記複数の管腔に配置されるように寸法決めされ、前記解剖学的構造の変形中に前記解剖学的構造の選択された管腔に留まるように構成された、カテーテルと、
前記カテーテルによって担持されるカテーテル追跡装置であって、前記カテーテル追跡装置の位置を表すカテーテル信号を提供するためのカテーテル追跡装置と、
前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造を表す前記解剖学的構造の仮想モデルと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
(i)前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにある間、前記複数の管腔の各々の中に前記追跡されるカテーテルが配置されるときに、前記追跡されるカテーテルの位置を決定して、前記複数の管腔をマッピングし、
(ii)前記仮想モデルに前記マッピングされた管腔を補足し、それにより、前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造及び前記解剖学的構造を表す前記マッピングされた管腔の補足された仮想モデルを提供するよう構成されている、システム。
【請求項35】
前記コントローラが、
前記追跡されるカテーテルが前記解剖学的構造の前記マッピングされた管腔のうちの1つに維持されている間、前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションから第2のコンフィギュレーションに変形したときに、前記追跡されるカテーテルの位置を決定し、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造及び前記マッピングされた管腔を表すように前記補足された仮想モデルを修正し、それによって、修正され補足された仮想モデルを提供するように更に構成され、
前記修正が、
前記解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションに変形するときに、前記追跡されるカテーテルの空間的変化を決定し、
前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの前記解剖学的構造及び前記マッピングされた管腔の前記修正され補足された仮想モデルを提供するように、前記補足された仮想モデルの前記マッピングされた管腔に、前記追跡されるカテーテルの前記空間的変化を適用することによって、行われる、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記空間的変化が、平行移動、回転及び変形からなる群からの少なくとも1つを含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記追跡されるカテーテルが少なくとも1つの追跡装置を含み、
前記コントローラが、前記追跡されるカテーテルが管腔に沿って移動する際に前記少なくとも1つの追跡装置の位置を決定することによって当該管腔をマッピングするように構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記追跡されるカテーテルが複数の追跡装置を含み、
前記コントローラが、管腔内に前記追跡されるカテーテルを位置決めし、そして、前記追跡されるカテーテルを定位置に固定して維持している間に前記複数の追跡装置の位置を決定することによって、当該管腔をマッピングするように構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項39】
変形可能な解剖学的構造内の選択された管腔をマッピング及び追跡するためのシステムであって、
前記解剖学的構造の前記選択された管腔に配置されるように寸法決めされ、前記解剖学的構造が変形する間に前記解剖学的構造の前記選択された管腔に留まるように構成された、カテーテルと、
前記カテーテルによって担持されるカテーテル追跡装置であって、前記カテーテル追跡装置の位置を表すカテーテル信号を提供するためのカテーテル追跡装置と、
前記解剖学的構造及び前記解剖学的構造の前記選択された管腔に位置決めされた前記追跡されるカテーテルの仮想モデルであって、前記解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに作成される仮想モデルと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
(i)前記解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションとなった後に前記追跡されるカテーテルの位置を決定し、
(ii)前記仮想モデルが前記追跡されるカテーテルの位置に適合するように、前記解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときに前記解剖学的構造及び前記追跡されるカテーテルの前記仮想モデルを調整するよう構成される、システム。
【請求項40】
少なくとも1つの管腔を含む解剖学的構造の中又は上にある組織塊を追跡するための方法であって、
前記少なくとも1つの管腔に沿ってスコープを、前記スコープの遠位端が前記選択された組織塊の近傍に配置されるまで、前進させることと、
基準センサを前記スコープを通って前記解剖学的構造内に前進させ、前記基準センサを前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定することと、
前記解剖学的構造内の前記基準センサの位置を検出することと、を含む、方法。
【請求項41】
前記基準センサが無線である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記基準センサが導線を介して電力供給され、
前記基準センサが前記スコープを通って前進され前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定されるときに、前記導線が前記スコープを通って延び、
前記方法が、
前記基準センサが前記解剖学的構造に固定された後、前記導線を前記スコープから取り外し、前記導線を前進させて、前記導線を前記解剖学的構造を通る切除線の遠位に配置させることを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記導線が前記切除線の遠位に配置された後に前記導線に電力を供給することを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記基準センサが導線を介して電力供給され、
前記基準センサが前記スコープを通って前進され前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定されるときに、前記導線が前記スコープを通って延び、
前記方法が、
前記基準センサが前記解剖学的構造に固定された後、前記導線を前記基準センサから取り外し、前記スコープの経路に沿って前記導線を引き抜くことを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記導線が、前記スコープを通って引き抜かれる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記スコープが、前記導線が所定の位置にある間に引き抜かれ、次いで前記導線が、前記スコープの前記経路に沿って引き抜かれる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記導線が、前記切除線の全部ではなく一部が達成された後に、前記基準センサから取り外され、前記スコープの前記経路に沿って引き抜かれる、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記基準センサはセンサアセンブリの一部であり、
前記センサアセンブリが、前記基準センサと、前記基準センサから遠位に延在する導線と、を含み、
前記基準センサが前記スコープを通って前進するときに、前記導線が前記基準センサに先行する、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
針カニューレ及びプッシャを含む配置アセンブリを使用して、前記センサアセンブリを前記スコープを通って前記解剖学的構造内に前進させる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記センサアセンブリが、前記針カニューレ内にスライド可能に配置され、
前記針カニューレが前記スコープを通って前進して、前記センサアセンブリを前記スコープを通って前進させ、
前記センサアセンブリは、前記針カニューレに対して前記プッシャを前進させることによって、又は前記プッシャに対して前記針カニューレを後退させることによって、前記針カニューレから前記解剖学的構造内に配置される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記導線が、前記解剖学的構造の外面を通過する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記センサアセンブリが前記針カニューレから前記解剖学的構造内に配置される前に、前記導線が前記解剖学的構造の外面を通過する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記導線が前記針カニューレ内に配置されている間、前記針カニューレが、前記解剖学的構造の外面を通って延在する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記導線の遠位部分が前記解剖学的構造の外面を通って運ばれた後、前記針カニューレが後退して、前記解剖学的構造の外面を通って延びる前記導線の前記遠位部分を露出させる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記導線の前記遠位部分が前記解剖学的構造の外面を通って延びた後に、前記センサアセンブリが、前記針カニューレから外され、前記解剖学的構造と係合する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記導線が解剖学的構造の外面を通って延びる位置を決定するために、外科用ナビゲーションシステムが使用される、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記外科用ナビゲーションシステムが、前記基準センサの追跡を使用して、前記導線が解剖学的構造の外面を通って延びる位置を決定する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記導線が、疎水性編組線を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
前記導線が、非外傷性先端を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
前記導線が、前記導線の近位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
前記基準センサが、前記基準センサの遠位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項62】
前記導線が、前記導線の近位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含み、
前記基準センサが、前記基準センサの遠位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項63】
前記センサアセンブリが、前記基準センサに電力を供給するための近位導線を更に含み、
前記基準センサが前記スコープを通って前進され前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定されるときに、前記近位導線が前記スコープを通って延在する、請求項48に記載の方法。
【請求項64】
前記スコープが前記少なくとも1つの管腔に沿って挿入されるときに、前記基準センサが追跡される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記基準センサが前記スコープを通って前記解剖学的構造内に前進され前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定されるときに、前記基準センサが追跡される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記基準センサが前記解剖学的構造に固定された後、前記センサアセンブリが前記解剖学的構造内に配置された後に、前記近位導線を前記センサアセンブリから取り外すことを更に含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記基準センサが前記解剖学的構造に固定された後、前記基準センサから遠位に延びる前記導線を介して前記基準センサに電力を供給することを更に含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1つの管腔を含む解剖学的構造の中又は上にある組織塊を追跡するための方法であって、
基準センサと、前記基準センサから遠位に延びる導線と、を含むセンサアセンブリを提供し、針カニューレ及びプッシャを含む配置アセンブリを提供することと、
ここで、前記センサアセンブリは、前記プッシャの遠位の前記針カニューレ内にスライド可能に配置され、
前記少なくとも1つの管腔に沿ってスコープを、前記スコープの遠位端が選択された組織塊の近傍に配置されるまで、前進させることと、
前記針カニューレを前記スコープを通して、前記解剖学的構造内に、そして前記解剖学的構造の外面を通して前進させることと、
前記針カニューレを後退させて、前記解剖学的構造の前記外面を通って延在する前記導線の一部を露出させることと、
前記解剖学的構造の前記外面を通って延在する前記導線を介して前記基準センサに電力を供給することと、
前記プッシャを前記針カニューレに対して前進させることによって、又は前記針カニューレを前記プッシャに対して後退させることによって、前記基準センサを前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定することと、
前記解剖学的構造内の前記基準センサの位置を検出することと、を含む、方法。
【請求項69】
前記センサアセンブリが、前記基準センサに電力を供給するための近位導線を更に含み、
前記近位導線が、前記基準センサに取り外し可能に取り付けられ、前記基準センサが前記針カニューレ内に配置されているときに前記プッシャを通って延在し、
前記近位導線が、前記基準センサが前記針カニューレ内に配置されているときに前記基準センサに電力を供給する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記遠位導線を介して前記基準センサに電力が供給された後に、前記近位導線が前記基準センサから取り外される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具の位置を決定するためのシステムであって、
前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定されるように構成された無線基準追跡装置であって、前記無線基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供する無線基準追跡装置と、
器具と、
前記器具によって担持される器具追跡装置であって、前記器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
前記無線基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置を決定するためのコントローラと、を含む、システム。
【請求項72】
前記コントローラが、前記無線基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置を、
前記無線基準追跡装置の位置を決定し、
前記器具追跡装置の位置を決定し、
前記器具追跡装置の位置と前記無線基準追跡装置の位置との間の差を決定することによって、決定するように構成される、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
ユーザインターフェースを更に含み、
前記ユーザインターフェースが、前記器具追跡装置の位置と前記無線基準追跡装置の位置との間の差をユーザに通信するように構成され、
前記ユーザインターフェースが、聴覚的キューと、視覚的キューと、定量的キューと、触覚的キューと、からなる群からの少なくとも1つを使用することによって、前記ユーザと通信する、請求項71に記載のシステム。
【請求項74】
前記視覚的キューが、前記無線基準追跡装置の仮想モデル及び前記追跡される器具の仮想モデルを含み、
前記無線基準追跡装置の前記仮想モデルと前記追跡される器具の前記仮想モデルとの間の空間的関係が、前記無線基準追跡装置と前記追跡される器具との間の空間的関係と同じである、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具の位置を決定するためのシステムであって、
前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって、前記基準追跡装置の位置及び向きを表す基準信号を提供するための基準追跡装置と、
前記基準追跡装置に電力を供給するための導線であって、前記基準追跡装置に取り外し可能に接続された導線と、
器具と、
前記器具によって担持される器具追跡装置であって、前記器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
前記基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置を決定するためのコントローラと、を含む、システム。
【請求項76】
前記コントローラが、前記基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置及び向きを、
前記基準追跡装置の位置及び向きを決定し、
前記器具追跡装置の位置及び向きを決定し、
前記器具追跡装置の位置及び向きと前記基準追跡装置の位置との間の差を決定することによって、決定するように構成される、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
ユーザインターフェースを更に含み、
前記ユーザインターフェースが、前記器具追跡装置の位置と前記基準追跡装置の位置との間の差をユーザに通信するように構成され、
前記ユーザインターフェースが、聴覚的キューと、視覚的キューと、定量的キューと、触覚的キューと、からなる群からの少なくとも1つを使用することによって、前記ユーザと通信する、請求項75に記載のシステム。
【請求項78】
前記視覚的キューが、前記基準追跡装置の仮想モデル及び前記追跡される器具の仮想モデルを含み、
前記基準追跡装置の前記仮想モデルと前記追跡される器具の前記仮想モデルとの間の空間的関係が、前記基準追跡装置と前記追跡される器具との間の空間的関係と同じである、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
解剖学的構造の中又は上にある組織塊に対する器具の位置及び向きを決定するためのシステムであって、
前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって前記基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供するための基準追跡装置と、前記基準追跡装置に電力を供給するための導線であって前記基準追跡装置から遠位に延びる導線と、を含むセンサアセンブリと、
器具と、
前記器具によって担持される器具追跡装置であって、前記器具追跡装置の位置及び向きを表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
前記基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置及び向きを決定するためのコントローラと、を含む、システム。
【請求項80】
前記システムが、前記センサアセンブリを前記スコープを通って前記解剖学的構造内に前進させるための配置アセンブリを更に含み、
前記配置アセンブリは、針カニューレ及びプッシャを含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項81】
前記針カニューレが、スコープの内及び外にスライド可能に配置されるように構成され、
前記センサアセンブリが、前記針カニューレ内にスライド可能に配置され、
前記プッシャが、前記針カニューレ内にスライド可能に配置され、これにより、前記プッシャを前記針カニューレ内で前進させると前記センサアセンブリが前記針カニューレの外に配置されるよう構成される、請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記導線が、前記基準追跡装置が前記組織塊の近傍に配置された時に前記導線が前記解剖学的構造の外面を通って延びることができるように寸法決めされる、請求項79に記載のシステム。
【請求項83】
前記導線が解剖学的構造の外面を通って延びる位置を決定するための外科用ナビゲーションシステムを更に含む、請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記外科用ナビゲーションシステムが、前記基準追跡装置の追跡を使用して、前記導線が解剖学的構造の外面を通って延びる位置を決定する、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記導線が、疎水性編組線を含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項86】
前記導線が、非外傷性先端を含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項87】
前記導線が、前記導線の近位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項88】
前記基準追跡装置が、前記基準追跡装置の遠位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項89】
前記導線が、前記導線の近位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含み、
前記基準追跡装置が、前記基準追跡装置の遠位方向の移動を制限する少なくとも1つの返しを含む、請求項79に記載のシステム。
【請求項90】
前記センサアセンブリが、前記基準追跡装置に電力を供給するための近位導線を更に含み、
前記近位導線が、前記基準追跡装置から離れて近位に延びる、請求項79に記載のシステム。
【請求項91】
前記コントローラが、前記基準追跡装置が前記スコープを通って前記解剖学的構造内に前進され前記組織塊の近傍で前記解剖学的構造に固定されるときに、前記基準追跡装置を追跡するように構成される、請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記近位導線が、前記センサアセンブリから取り外し可能である、請求項90に記載のシステム。
【請求項93】
前記コントローラが、前記基準追跡装置を通って遠位に延びる前記導線を介して、前記基準追跡装置に電力を供給するように構成される、請求項92に記載のシステム。
【請求項94】
前記コントローラが、前記基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置を、
前記基準追跡装置の位置及び向きを決定し、
前記器具追跡装置の位置及び向きを決定し、
前記器具追跡装置の位置及び向きと前記基準追跡装置の位置及び向きとの間の差を決定することによって、決定するように構成される、請求項79に記載のシステム。
【請求項95】
ユーザインターフェースを更に含み、
前記ユーザインターフェースが、前記器具追跡装置の位置及び向きと前記基準追跡装置の位置及び向きとの間の差をユーザに通信するように構成され、
前記ユーザインターフェースが、聴覚的キューと、視覚的キューと、定量的キューと、触覚的キューと、からなる群からの少なくとも1つを使用することによって、前記ユーザと通信する、請求項94に記載のシステム。
【請求項96】
前記視覚的キューが、前記基準追跡装置の仮想モデル及び前記追跡される器具の仮想モデルを含み、
前記基準追跡装置の前記仮想モデルと前記追跡される器具の前記仮想モデルとの間の空間的関係が、前記基準追跡装置と前記追跡される器具との間の空間的関係と同じである、請求項95に記載のシステム。
【請求項97】
解剖学的構造の中又は上にある組織塊に対する器具の位置及び向きを決定するためのシステムであって、
前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって前記基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供するための基準追跡装置と、前記基準追跡装置に電力を供給するための導線であって前記基準追跡装置から遠位に延びる導線と、を含むセンサアセンブリと、
針カニューレ及びプッシャを含む配置アセンブリであって、前記センサアセンブリが前記プッシャの遠位の前記針カニューレ内にスライド可能に配置される、配置アセンブリと、
器具と、
前記器具によって担持される器具追跡装置であって、前記器具追跡装置の位置及び向きを表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
前記基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置及び向きを決定するためのコントローラと、を含む、システム。
【請求項98】
前記センサアセンブリが、前記基準追跡装置に電力を供給するための近位導線を更に含み、
前記近位導線が、前記基準追跡装置に取り外し可能に取り付けられ、前記基準追跡装置が前記針カニューレ内に配置されている間に前記プッシャを通って延在し、
前記基準追跡装置が前記針カニューレ内に配置されている間に、前記近位導線が前記基準追跡装置に電力を供給する、請求項97に記載のシステム。
【請求項99】
解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具のエンドエフェクタの位置を決定するための方法であって、前記器具がシャフト及び前記エンドエフェクタを含み、前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの配置が調整可能であり、
前記組織塊の位置を追跡することと、
前記器具の前記シャフトを追跡することと、
前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの配置を決定することと、
前記組織塊に対する前記エンドエフェクタの配置を決定することと、を含む、方法。
【請求項100】
解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具のエンドエフェクタの位置を決定するためのシステムであって、
前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造に固定されるように構成された無線基準追跡装置であって、前記無線基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供するための無線基準追跡装置と、
シャフト及びエンドエフェクタを含む器具であって、前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの配置が調整可能である器具と、
前記器具の前記シャフトによって担持される器具追跡装置であって、前記器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
前記シャフトに対する前記エンドエフェクタの配置を検出するためのセンサと、
前記無線基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置を決定するためのコントローラと、を含む、システム。
【請求項101】
前記コントローラが、前記無線基準追跡装置に対する前記追跡される器具の位置を、
前記無線基準追跡装置の位置を決定し、
前記器具追跡装置の位置を決定し、
前記器具追跡装置の位置と前記無線基準追跡装置の位置との間の差を決定することによって、決定するように構成される、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
ユーザインターフェースを更に含み、
前記ユーザインターフェースが、前記器具追跡装置の位置と前記無線基準追跡装置の位置との間の差をユーザに通信するように構成され、
前記ユーザインターフェースが、聴覚的キューと、視覚的キューと、定量的キューと、触覚的キューと、からなる群からの少なくとも1つを使用することによって、前記ユーザと通信する、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
前記視覚的キューが、前記無線基準追跡装置の仮想モデル及び前記追跡される器具の仮想モデルを含み、
前記無線基準追跡装置の前記仮想モデルと前記追跡される器具の前記仮想モデルとの間の空間的関係が、前記無線基準追跡装置及び前記追跡される器具の空間的関係と同じである、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
解剖学的構造によって担持された組織塊に対する器具の位置を指示するための方法であって、
前記組織塊の接線を決定することと、
前記組織塊の位置を追跡することと、
前記器具の位置を追跡することと、
前記接線に対する前記器具の配置を決定することと、
前記器具の一部が前記接線と整列するように前記器具の移動を指示することと、を含む、方法。
【請求項105】
解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具の位置を指示するためのシステムであって、
前記組織塊の近傍の前記解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって、前記基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供するための基準追跡装置と、
器具と、
前記器具によって担持される器具追跡装置であって、前記器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
前記組織塊の接線を決定し、前記接線に対する前記追跡される器具の位置を指示するためのコントローラと、を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<係属中の先行特許出願の参照>
本特許出願は、(1)Raphael Bueno et al.によって2019年10月18に出願された係属中の先行米国仮特許出願第62/923,137号の「組織切除マージン測定装置のためのシステム及び方法」(代理人整理番号129319.00702.BWH22238)、及び(2)Raphael Bueno et al.によって2020年7月22日に出願された係属中の先行米国仮特許出願第63/054,921号の「組織切除マージン測定装置のためのシステム及び方法」(代理人整理番号129319.00734.BWH2020-564)の利益を主張する。
【0002】
上記2つの特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は概して、手術に関し、より詳細には、コンピュータ支援手術に関する。
【背景技術】
【0004】
病変の低侵襲性外科的切除は、周囲の健康で重要な組織を残しながら病変を正確に切除することを含む。いくつかの例には、乳房温存手術及びビデオ胸腔鏡下手術(Video-Assisted Thoracic Surgery:VATS)が含まれるが、これらに限定されない。病変の外科的切除は、病変細胞の完全な除去及び長期生存率の改善を確実にするために、病変の周囲の組織のマージンの除去を必要とする。デフォルトのマージンは、病変の種類及び周囲組織への病変の微小浸潤に依存する。これは、元の病変及び病変と共に切除された正常組織のマージンの大きさが生存率に関連する、癌に特に当てはまるが、これは非癌性病変にも当てはまる。高い粘弾性、生理学的運動(肺の虚脱、呼吸又は拍動運動等)、又は組織操作による組織の著しい変形は、病変の位置測定及び病変の正確な除去を困難にする可能性がある。その結果、切除が不十分となり、局所的に又は転移(癌において)により病変が再発し、十分なマージンが得られる場合と比較して長期的な利益が不十分となる可能性がある。2つの外科用途を例として以下に列挙する。しかし、開示されたシステム及び方法は、低侵襲性又は画像誘導の手法又は直視下手術、あるいは手法の組み合わせによって、他の病変の切除又は生検に適用されてもよい。
【0005】
<肺病変手術>
肺組織片を除去するための現在の診療は、胸骨を切断することによって、又は肋骨を広げることによって胸部を開くことに関与する。多くの場合、肋骨は破断され、切片はこれらの処置中に外科的に除去されることが多い。整形外科的外傷は単独で相当な痛みを呈し、患者の回復過程を複雑にする可能性がある。この大きさの胸郭痛はまた、身体が強制換気に順応し、痛みが自然な胸部リズムを妨げる可能性があるため、全身麻酔から患者を回復させる作業を複雑にする。患者は、この整形外科的外傷をもたらすことなく胸部の小さな切開又はポートを通して行われる処置から劇的な利益を得る。
【0006】
低侵襲性又はVATS技術は、開胸処置と比較して外傷を最小限に抑え、回復時間を短縮することによって患者に利益をもたらすことがよく知られているが、現在でも相当数の開胸処置が依然として行われている。これは、少なくとも部分的には、このように胸部的処置を容易にするために特に設計された器具の数が限られているという事実に起因する。
【0007】
しかし、肺癌の手術は、特に小さな病変に対して、VATS及びより小さな解剖学的又は非解剖学的肺切除(例えば、楔状切除又は区域切除)を使用する低侵襲性手法に移行しつつある。しかし、VATSを行う従来の方法では、手術中に肺が虚脱し、病変の正確な位置を特定し、切除マージンを決定することが困難になる。更に、手術への低侵襲性手法のために、肺組織の触診は常に可能であるとは限らない(特に、より小さい又は初期の癌の場合)。不正確な外科的切除は、不完全な切除及びその後の病変再発をもたらし得る。
【0008】
<乳房病変手術>
乳房温存手術(Breast Conserving Surgery:BCS)は、病変の周囲の健康な乳房実質を残しながら病変を除去することに関与する。化学療法と組み合わせたBCSは、乳房切除術と同様の長期的利益を有し、更なる美容上の利点を有することが研究により示されている。しかし、病変全体の同定及び切除は、乳房の高度に変形可能な性質のために困難な作業である。健康な実質への損傷を最小限に抑えて切除断端陰性を達成することは、乳房の軟組織性質のために、簡単なことではない。実際、研究は、乳房切除の最大25%が断端陽性を残し、再治療を必要とすることを示している。
【0009】
したがって、病変を正確に位置測定し、切除マージンを決定するための改善された手法を提供することによって、上記の制限を克服する組織切除マージン測定装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、組織の弾性的性質及び生理学的に誘発された運動による組織変形を補正しながら、組織塊を切除するためのシステム及び方法に関する。非限定的な例では、本発明は、外傷を与える重大な組織を識別し、切除マージンを正確に決定する組織切除を実施するための装置及び方法を提供することによって、低侵襲外科処置を可能にする。更に、聴覚的キュー(cue)、視覚的キュー及び触覚的キューが外科医に提供されて、病変の周りの病変マージン及び重要な構造を同定し、より正確に測定して、病変の完全かつ安全な切除を確実にすることができる。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態は、組織塊を切除するためのシステムを提供する。システムは、外科用装置と、第1の信号を測定するための第1のセンサと、を含む。第1のセンサは、通常、組織塊と最終的な切断領域マージンとの間の位置において、標的病変/組織塊の内部又は隣(例えば、近接)にフィットするように寸法決めされる。システムはまた、第2の信号を測定するための第2のセンサを含み、第2のセンサは外科用装置に結合される。コントローラは、第1のセンサ及び第2のセンサと通信し、コントローラは、内蔵プログラムを実行して、第1の信号及び第2の信号に基づいて第1のセンサと第2のセンサとの間の距離を計算する。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、外科用装置のハウジング及び第2のセンサの少なくとも1つと係合するように寸法決めされたスリーブを更に含むことができる。第2のセンサは、例えば接着剤によって外科用装置のハウジングに結合されてもよい。外科用装置は、例えば、病変(例えば、腫瘍、結節等)であり得る標的組織塊を取り囲む切除マージンに沿って切断するように構成されたステープラ、Boviペンシル、又は切断装置であり得る。切除マージンは、第1のセンサと第2のセンサとの間で計算された距離内に含まれ得る。組織塊と第1のセンサとの間の距離、及び組織塊のコンフィギュレーション等、他の要因がマージンの計算に含まれてもよい。
【0013】
一実施形態では、第1のセンサによって受信される第1の信号は、外科用装置に対する組織塊の位置及び向きをリアルタイムで示すことができる。同様に、第2のセンサによって受信される第2の信号は、組織塊に対する外科用装置の位置及び向きを示すことができる。一実施形態では、第2のセンサは、第1のセンサと同じ基準フレームで外科用装置の位置及び向きを示す。第1のセンサは、超弾性材料から作られたアンカー内に埋め込まれた基準マーカ(基準センサ又は基準追跡装置と呼ばれることもある)であり得、第2のセンサは、器具センサ(器具追跡装置と呼ばれることもある)であり得る。一実施形態では、第1のセンサは、組織塊の位置及び向きを測定するように構成され得、第2のセンサは、外科用装置の位置及び向きを測定するように構成され得る。
【0014】
一実施形態では、システムは、第3の信号を測定するための第3のセンサを更に含むことができる。第3のセンサは、第1のセンサとは反対の位置で組織塊の隣にフィットするように寸法決めされて、第3のセンサによって受信される第3の信号が、第1のセンサに対する組織塊の位置及び向きを示すことができる。
【0015】
一実施形態では、第1のセンサは、超弾性材料、例えばニチノールで作られたフック構造内に埋め込まれてもよい。フック構造は、Tバー(T-bar)又はJバー(J-bar)の形態であってもよく、送達針及び/又は被覆の内側にフィットするように寸法決めされ得る。送達針及び/又は被覆は、第1のセンサを誘導するように構成されてもよく、フック構造は、第1のセンサを組織塊内に固定するように構成されてもよい。一実施形態では、フック構造内に埋め込まれた第1のセンサは、リアルタイム画像誘導下で組織塊に挿入され得る。
【0016】
一実施形態では、第1のセンサは、複数の分岐を含むフック構造内に埋め込まれ、第1のセンサは、送達針及び/又は被覆の内側にフィットするように寸法決めされ得る。送達針及び/又は被覆は、第1のセンサを誘導するように構成されてもよく、複数の分岐は、第1のセンサを組織塊内に固定するように構成されてもよい。フック構造は、フック構造の管部分から延在する複数の延長部を更に含んで、複数の延長部は第1のセンサを受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0017】
システムは、コントローラと通信するディスプレイを更に含むことができる。ディスプレイは、外科用装置に結合され、コントローラによって実行される内蔵プログラムによって計算された、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離を表示するように構成されてもよく、これはまた、追加の計算を含むように構成されてもよい。外科用装置(例えば、ステープラ等の切断器具)の基部、中間及び先端からの距離も表示することができる。ディスプレイは、OLEDディスプレイ又はLCDディスプレイであり得るが、これらに限定されない。一実施形態では、システムは、可聴信号を発するための可聴源を含むことができる。可聴源は、内蔵プログラムを実行するように構成されたコントローラと通信して、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて可聴信号を変更することができる。一実施形態では、内蔵プログラムはナビゲーションシステムである。
【0018】
システムは、外科用装置のハンドルに結合された圧電アクチュエータを更に含んでもよい。圧電アクチュエータは、触覚的信号を発するように構成されてもよい。圧電アクチュエータは、内蔵プログラムを実行するように構成されたコントローラと通信して、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて触覚的信号を変更することができる。
【0019】
システムは、いくつかの実施形態では、視覚的信号を発するためのモニタを更に含むことができる。モニタは、内蔵プログラムを実行するように構成されたコントローラと通信して、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて視覚的信号を変更することができる。追加的又は代替的に、システムは、ビデオオーバーレイを表示するためのモニタを含むことができる。モニタは、内蔵プログラムを実行して、腹腔鏡、胸腔鏡、又は内視鏡画像(即ち、「スコープ画像」)を仮想モデル画像(即ち、解剖学的構造の仮想モデルからコンピュータ生成された画像)と融合して、スコープ画像と仮想モデル画像とのビデオオーバーレイを作成するように構成されたコントローラと通信することができる。ビデオオーバーレイは、組織塊及び第1のセンサの位置を同定するように構成することができる。
【0020】
一実施形態では、本発明は、患者の内部の組織塊を切除するための方法を提供する。方法は、第1のセンサを標的組織塊の内部又は隣に(例えば、組織塊に近接して)挿入することと、組織塊の内部又は隣に(例えば近接して)埋め込まれた第1のセンサの少なくとも1つの画像を記録することと、を含む。少なくとも1つの画像を使用して組織塊の周りの切除マージンが計算される。外科用装置が患者に挿入され、外科用装置は第2のセンサに結合される。第2のセンサは、切除マージンに対して追跡され、外科用装置は、切除マージンを切断するために使用される。外科医は、診断及び組織塊の大きさに基づいて、達成すべき最良であり得るマージンを決定する。この情報はまた、必要とされる正確な実施を決定するために使用されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、外科用装置のハウジング及び第2のセンサの少なくとも1つと係合するようにスリーブを寸法決めすることを更に含むことができる。あるいは、第2のセンサは、例えば接着剤によって外科用装置のハウジングに結合されてもよい。別の実施形態では、センサは、装置/器具内に埋め込まれてもよく、又はセンサは、装置/器具に組み込まれてもよい。外科用装置は、例えば、病変(例えば、腫瘍、結節等)であり得る組織塊を取り囲む切除マージンに沿って切断するように構成されたステープラ、Boviペンシル、又は切断装置であり得る。切除マージンは、第1のセンサと第2のセンサとの間で計算された距離内に含まれ得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のセンサによって受信される第1の信号は、外科用装置に対する第1のセンサの位置及び向き(したがって、組織塊の位置及び向き)をリアルタイムで示すことができる。同様に、第2のセンサによって受信される第2の信号は、組織塊に対する外科用装置の位置及び向きを示すことができる。一実施形態では、第2のセンサは、第1のセンサと同じ基準フレームで外科用装置の位置及び向きを示す。第1のセンサは、超弾性材料から構成された基準マーカであり得、第2のセンサは、器具センサであり得る。一実施形態では、第1のセンサは、組織塊の位置及び向きを測定するように構成され得、第2のセンサは、外科用装置の位置及び向きを測定するように構成され得る。
【0023】
一実施形態では、方法は、第3の信号を測定するための第3のセンサを提供することを更に含むことができる。第3のセンサは、第1のセンサとは反対の位置で組織塊の隣にフィットするように寸法決めされて、第3のセンサによって受信される第3の信号が、第1のセンサに対する組織塊の位置及び向きを示すことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のセンサは、フック構造内に埋め込まれてもよい。フック構造は、Tバー(T-bar)又はJバー(J-bar)の形態であってもよく、送達針及び/又は被覆の内側にフィットするように寸法決めされ得る。送達針及び/又は被覆は、第1のセンサを誘導するように構成されてもよく、フック構造は、第1のセンサを組織塊内に固定するように構成されてもよい。一実施形態では、フック構造内に埋め込まれた第1のセンサは、リアルタイム画像誘導下又は直接視覚的誘導下で組織塊に挿入されてもよい。
【0025】
一実施形態では、第1のセンサは、複数の分岐を含むフック構造内に埋め込まれ、第1のセンサは、送達針及び/又は被覆の内側にフィットするように寸法決めされ得る。送達針及び/又は被覆は、第1のセンサを誘導するように構成されてもよく、複数の分岐は、第1のセンサを組織塊内に固定するように構成されてもよい。フック構造は、フック構造の管部分から延在する複数の延長部を更に含んで、複数の延長部は第1のセンサを受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0026】
方法は、コントローラと通信するディスプレイを提供することを更に含むことができる。ディスプレイは、外科用装置に結合され、コントローラによって実行される内蔵プログラムによって計算された距離を表示するように構成され得る。ディスプレイは、OLEDディスプレイ又はLCDディスプレイであり得るが、これらに限定されない。ディスプレイはまた、様々なセンサ間の距離、並びに測定の品質に関する情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、可聴源から可聴信号を発することを含むことができる。可聴源は、内蔵プログラムを実行するように構成されたコントローラと通信して、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて可聴信号を変更することができる。一実施形態では、内蔵プログラムはナビゲーション方法である。
【0027】
方法は、外科用装置のハンドルに結合された圧電アクチュエータから触覚的信号を発することを更に含むことができる。圧電アクチュエータは、内蔵プログラムを実行するように構成されたコントローラと通信して、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて触覚的信号を変更することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、モニタ上で視覚的信号を発することを更に含むことができる。モニタは、内蔵プログラムを実行するように構成されたコントローラと通信して、第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて視覚的信号を変更することができる。追加的又は代替的に、方法は、モニタ上にビデオオーバーレイを表示することを含むことができる。モニタは、内蔵プログラムを実行して、腹腔鏡/胸腔鏡/内視鏡スコープ画像(複数可)を仮想モデル画像に融合して、ビデオオーバーレイを作成するように構成されるコントローラと通信することができる。ビデオオーバーレイは、組織塊及び第1のセンサの位置を同定するように構成することができる。
【0029】
本発明の一形態では、システムは、特定の気道の位置を同定するために使用され得る。発明のこの形態では、システムは、肺の気道内へのセンサの気管支鏡による位置決めのための手段を含む。肺の気道におけるセンサのこの気管支鏡による位置決め(例えば、気管支鏡上又は気管支鏡内のカテーテル上にセンサを位置決めし、気管支鏡を目的の気道内に前進させることによって)は、実際の手術中に、区域切除、肺葉切除又は楔状切除等の手術のための肺葉、区域又は亜区域気管支を画定するために使用することができる。この機能は、病変マージンの測定とは無関係であり得、気管支を同定するセンサの位置は、別のセンサを担持する別の装置(例えば、外科用装置)の位置と相関して、外科医が実行の胸部側から手術のための正しい気管支を定義することができる。したがって、発明のこの形態では、1つのセンサは、気管支鏡上に、又は特定の気道に挿入される気管支鏡内に配置されたカテーテル上に配置されて、特定の気道の位置を定義し、別のセンサは、実行の胸部側から手術のために前進される外科用装置上に配置され、システムは、気管支鏡上のセンサの位置に対して外科用装置上のセンサの位置を連続的に追跡して、外科医は、目的の気道(気管支鏡上のセンサによって同定された)に対する外科用装置の位置を連続的に追跡して、例えば、気管支鏡上のセンサによって同定された気道を標的とし、気管支鏡上のセンサによって同定された気道を回避すること等ができる。
【0030】
本発明の一形態では、システムは、病変を取り囲む気道をマッピング及び追跡するための手段を含む。
【0031】
本発明の一形態では、システムは、基準センサ又は別のセンサを組織内に気管支鏡で配置(例えば、組織塊又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡配置)するための手段を含む。
【0032】
本発明の一形態では、システムは、外科用ステープラの関節運動を測定するための手段を含む。
【0033】
本発明の一形態では、システムは、病変の切除マージンの境界をマークし、病変の切除マージンの境界に隣接して外科用ステープラを位置決めするための手段を含む。
【0034】
本発明の一形態では、解剖学的構造内の選択された管腔に対する器具の位置を決定するための方法であって、
解剖学的構造の選択された管腔に、追跡されるカテーテルを位置決めすることと、
ここで、追跡されるカテーテルは所与の基準フレームに対して追跡され、
追跡されるカテーテルに対する追跡される器具の位置を決定することであって、追跡される器具が所与の基準フレームに対して追跡され、それによって、解剖学的構造の選択された管腔に対する追跡される器具の位置を決定することと、を含む方法が提供される。
【0035】
発明の他の形態では、解剖学的構造内の選択された管腔に対する器具の位置を決定するためのシステムであって、
解剖学的構造の選択された管腔に配置可能であるように寸法決めされたカテーテルと、
カテーテルによって担持されているカテーテル追跡装置であって、所与の基準フレームに対するカテーテル追跡装置の位置を表すカテーテル信号を提供するためのカテーテル追跡装置と、
器具と、
器具によって担持されている器具追跡装置であって、所与の基準フレームに対する器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
追跡されるカテーテルに対する追跡される器具の位置を決定するためのコントローラであって、それによって追跡されるカテーテルが解剖学的構造の選択された管腔に配置される時に、解剖学的構造内の選択された管腔に対する追跡される器具の位置を決定する、コントローラと、を含むシステムが提供される。
【0036】
発明の他の形態では、解剖学的構造内の複数の管腔をマッピング及び追跡するための方法であって、解剖学的構造が変形可能であり、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに解剖学的構造の仮想モデルを提供することと、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、マッピングされ追跡される解剖学的構造内の管腔のうちの1つに追跡されるカテーテルを位置決めし、管腔における追跡されるカテーテルの位置を決定して、管腔の位置をマッピングすることと、
マッピングされ追跡される解剖学的構造内の管腔の各々について前述の工程を繰り返して、それらの管腔をマッピングすることと、
仮想モデルに、マッピングされた管腔を補足し、それによって、解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及びマッピングされた管腔の補足された仮想モデルを提供することと、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションから第2のコンフィギュレーションに変形する間、解剖学的構造のマッピングされた管腔のうちの1つに追跡されるカテーテルを維持することと、
解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションにあるときに、解剖学的構造内の追跡されるカテーテルの位置を決定することと、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及びマッピングされた管腔を表すように、補足された仮想モデルを修正し、それによって、修正され補足された仮想モデルを提供することと、を含み、
上記修正が、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションに変形するときに、追跡されるカテーテルの空間的変化(spatial transformation)を決定し、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及びマッピングされた管腔の修正され補足された仮想モデルを提供するように、補足された仮想モデルのマッピングされた管腔に、追跡されるカテーテルの空間的変化を適用することによって行われる、方法が提供される。
【0037】
発明の他の形態では、解剖学的構造内の選択された管腔をマッピング及び追跡するための方法であって、解剖学的構造は変形可能であり、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、解剖学的構造の選択された管腔に追跡されるカテーテルを位置決めすることと、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、追跡されるカテーテルの位置を決定することと、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、解剖学的構造と解剖学的構造の選択された管腔に配置された追跡されるカテーテルとを走査することと、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときの、走査された解剖学的構造及び解剖学的構造の選択された管腔内に位置決めされた追跡されるカテーテルの仮想モデルを作成することと、
解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションに変形する間、解剖学的構造の選択された管腔内の位置に追跡されるカテーテルを維持することと、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときに、追跡されるカテーテルの位置及び向きを決定し、それによって解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造の選択された管腔の位置を決定することと、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及び選択された管腔を表すように仮想モデルを調整し、それによって、調整された仮想モデルを提供することと、を含み、
上記修正が、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションに変形するときに、追跡されるカテーテルの空間的変化を決定し、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及び選択された管腔の調整された仮想モデルを提供するように、仮想モデルの選択された管腔に、追跡されるカテーテルの空間的変化を適用することによって行われる、方法が提供される。
【0038】
発明の他の形態では、解剖学的構造内の複数の管腔をマッピング及び追跡するためのシステムであって、解剖学的構造は変形可能であり、
マッピングされ追跡される解剖学的構造の複数の管腔に配置されるように寸法決めされ、解剖学的構造の変形中に解剖学的構造の選択された管腔に留まるように構成された、カテーテルと、
カテーテルによって担持されているカテーテル追跡装置であって、カテーテル追跡装置の位置を表すカテーテル信号を提供するためのカテーテル追跡装置と、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造を表す解剖学的構造の仮想モデルと、
コントローラと、を備え、
上記コントローラが、
(i)解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにある間に、複数の管腔の各々の中に追跡されるカテーテルが配置される時に、追跡されるカテーテルの位置を決定して、複数の管腔をマッピングし、
(ii)仮想モデルをマッピングされた管腔で補足し、それにより、解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及び解剖学的構造を表すマッピングされた管腔の補足された仮想モデルを提供するよう構成されている、システムが提供される。
【0039】
発明の他の形態では、解剖学的構造内の選択された管腔をマッピング及び追跡するためのシステムであって、解剖学的構造は変形可能であり、
解剖学的構造の選択された管腔に配置されるように寸法決めされ、解剖学的構造の変形中に解剖学的構造の選択された管腔に留まるように構成された、カテーテルと、
カテーテルによって担持されているカテーテル追跡装置であって、カテーテル追跡装置の位置を表すカテーテル信号を提供するためのカテーテル追跡装置と、
解剖学的構造及び解剖学的構造の選択された管腔に配置された追跡されるカテーテルの仮想モデルであって、解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに作成される仮想モデルと、
コントローラと、を備え、
上記コントローラが、
(i)解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションとなった後に、追跡されるカテーテルの位置を決定し、
(ii)仮想モデルが追跡されるカテーテルの位置に適合するように、解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにある時に解剖学的構造及び追跡されるカテーテルの仮想モデルを調整するように構成される、システムが提供される。
【0040】
発明の他の形態では、解剖学的構造の中又は上にある組織塊を追跡するための方法であって、解剖学的構造は少なくとも1つの管腔を含み、
少なくとも1つの管腔に沿ってスコープを、スコープの遠位端が選択された組織塊の近傍に配置されるまで、前進させることと、
スコープを通って解剖学的構造内に基準センサを前進させ、基準センサを組織塊の近傍の解剖学的構造に固定することと、
解剖学的構造内の基準センサの位置を検出することと、を含む方法が提供される。
【0041】
発明の他の形態では、解剖学的構造の中又は上にある組織塊を追跡するための方法であって、解剖学的構造は少なくとも1つの管腔を含み、
基準センサと、基準センサから遠位に延びる導線と、を含むセンサアセンブリを提供し、針カニューレ及びプッシャを含む配置アセンブリを提供することと、
ここで、センサアセンブリが、プッシャの遠位の針カニューレ内にスライド可能に配置され、
少なくとも1つの管腔に沿ってスコープを、スコープの遠位端が選択された組織塊の近傍に配置されるまで、前進させることと、
針カニューレをスコープを通して、解剖学的構造内に、及び解剖学的構造の外面を通して前進させることと、
針カニューレを後退させて、解剖学的構造の外面を通って延在する導線の一部を露出させることと、
解剖学的構造の外面を通って延在する導線を介して基準センサに電力を供給することと、
プッシャを針カニューレに対して前進させることによって、又は針カニューレをプッシャに対して後退させることによって、基準センサを組織塊の近傍の解剖学的構造に固定することと、
解剖学的構造内の基準センサの位置を検出することと、を含む方法が提供される。
【0042】
発明の他の形態では、解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具の位置を決定するためのシステムであって、
組織塊の近傍の解剖学的構造に固定されるように構成された無線基準追跡装置であって、無線基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供する無線基準追跡装置と、
器具と、
器具によって担持されている器具追跡装置であって、器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
無線基準追跡装置に対する追跡される器具の位置を決定するためのコントローラと、を含むシステムが提供される。
【0043】
発明の他の形態では、解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具の位置を決定するためのシステムであって、
組織塊の近傍の解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって、基準追跡装置の位置及び向きを表す基準信号を提供する基準追跡装置と、
基準追跡装置に電力を供給するための導線であって、基準追跡装置に取り外し可能に接続された導線と、
器具と、
器具によって担持されている器具追跡装置であって、器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
基準追跡装置に対する追跡される器具の位置を決定するためのコントローラと、を含むシステムが提供される。
【0044】
発明の他の形態では、解剖学的構造内又は解剖学的構造上にある組織塊に対する器具の位置及び向きを決定するためのシステムであって、
組織塊の近傍の解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供する基準追跡装置と、基準追跡装置に電力を供給するための導線であって基準追跡装置から遠位に延びる導線と、を含むセンサアセンブリと、
器具と、
器具によって担持される器具追跡装置であって、器具追跡装置の位置及び向きを表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
基準追跡装置に対する追跡される器具の位置及び向きを決定するためのコントローラと、を含むシステムが提供される。
【0045】
発明の他の形態では、解剖学的構造の中又は上にある組織塊に対する器具の位置及び向きを決定するためのシステムであって、
組織塊の近傍の解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供するための基準追跡装置と、基準追跡装置に電力を供給するための導線であって基準追跡装置から遠位に延びる導線と、を含むセンサアセンブリと、
針カニューレ及びプッシャを含む配置アセンブリであって、センサアセンブリがプッシャの遠位の針カニューレ内にスライド可能に配置される、配置アセンブリと、
器具と、
器具によって担持されている器具追跡装置であって、器具追跡装置の位置及び向きを表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
基準追跡装置に対する追跡される器具の位置及び向きを決定するためのコントローラと、を含むシステムが提供される。
【0046】
発明の他の形態では、解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具のエンドエフェクタの位置を決定するための方法であって、器具がシャフト及びエンドエフェクタを含み、シャフトに対するエンドエフェクタの配置が調整可能であり、
組織塊の位置を追跡することと、
器具のシャフトを追跡することと、
シャフトに対するエンドエフェクタの配置を決定することと、
組織塊に対するエンドエフェクタの配置を決定することと、を含む方法が提供される。
【0047】
発明の他の形態では、解剖学的構造によって担持される組織塊に対する器具のエンドエフェクタの位置を決定するためのシステムであって、
組織塊の近傍の解剖学的構造に固定されるように構成された無線基準追跡装置であって、無線基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供するための無線基準追跡装置と、
シャフト及びエンドエフェクタを含む器具であって、シャフトに対するエンドエフェクタの配置が調整可能である、器具と、
器具のシャフトによって担持されている器具追跡装置であって、器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
シャフトに対するエンドエフェクタの配置を検出するためのセンサと、
無線基準追跡装置に対する追跡される器具の位置を決定するためのコントローラと、を含むシステムが提供される。
【0048】
発明の他の形態では、解剖学的構造によって担持された組織塊に対する器具の位置を指示するための方法であって、
組織塊の接線を決定することと、
組織塊の位置を追跡することと、
器具の位置を追跡することと、
接線に対する器具の配置を決定することと、
器具の移動を指示して、器具の一部が接線と整列されることと、を含む方法が提供される。
【0049】
発明の他の形態では、解剖学的構造によって担持された組織塊に対する器具の位置を指示するためのシステムであって、
組織塊の近傍の解剖学的構造内に固定されるように構成された基準追跡装置であって、基準追跡装置の位置を表す基準信号を提供するための基準追跡装置と、
器具と、
器具によって担持されている器具追跡装置であって、器具追跡装置の位置を表す器具信号を提供するための器具追跡装置と、
組織塊の接線を決定し、接線に対する追跡される器具の位置を指示するためのコントローラと、を含むシステムが提供される。
【0050】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び添付の特許請求の範囲を考慮することによりよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態による送達針を通して配置されている例示的な基準センサの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による組織塊に隣接した送達針を介して配置されている図1の例示的な基準センサの斜視図である(基準センサが組織塊に隣接して配置されて、基準センサが組織塊と接触するか、又は基準センサが組織塊からわずかに間隔をあけることができることに留意されたい)。
図3】本発明の一実施形態による、組織塊に隣接した送達針を通して配置されている図1の追加の基準センサ及び例示的な基準センサの斜視図である。
図4】本発明の別の実施形態によるフック構造内に埋め込まれた例示的な基準センサの斜視図である。
図5】組織塊を取り囲む切除マージンを有する、図2の組織塊に埋め込まれた基準センサの斜視図である。
図6図2の組織塊の隣に埋め込まれた基準センサの斜視図であり、切除マージンが組織塊を囲んでいる(基準センサが組織塊に隣接して配置されて、基準センサが組織塊と接触するか、又は基準センサが組織塊からわずかに間隔をあけることができることに留意されたい)。
図7】組織塊を切除するために使用される従来のステープラ装置の部分斜視図である。
図8】本発明の一実施形態によるステープラ装置のハウジング上に器具センサを含むスリーブを有する図7のステープラ装置の部分斜視図である。
図9】患者に挿入された図8のステープラ装置の斜視図であり、基準センサと器具センサとの間の距離を示す。
図10】腹腔鏡ビューにオーバーレイされた組織塊の仮想内視鏡又は「スコープ」ビューの例示的なスクリーンショットである。
図11】組織塊の腹腔鏡ビューの例示的なスクリーンショットである。
図12】肺の気道の樹状構造を示す概略図である。
図13】気管支鏡を使用して、肺の特定の気道に追跡されるカテーテル(即ち、センサを担持するカテーテル)を位置決めし、それによって肺の特定の気道を同定する方法、及び別のセンサを担持する外科用装置をその気道に対して誘導する方法(例えば、その気道を標的とするため、その気道を回避するため等)を示す概略図である。
図13A】気管支鏡を使用して、肺の特定の気道に追跡されるカテーテル(即ち、センサを担持するカテーテル)を位置決めし、それによって肺の特定の気道を同定する方法、及び別のセンサを担持する外科用装置をその気道に対して誘導する方法(例えば、その気道を標的とするため、その気道を回避するため等)を示す概略図である。
図13B】気管支鏡を使用して、肺の特定の気道に追跡されるカテーテル(即ち、センサを担持するカテーテル)を位置決めし、それによって肺の特定の気道を同定する方法、及び別のセンサを担持する外科用装置をその気道に対して誘導する方法(例えば、その気道を標的とするため、その気道を回避するため等)を示す概略図である。
図14】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図15】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図16】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図17】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図18】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図19】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図20】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図21】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図22】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図23】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図24】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図25】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図26】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図27】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図28】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図29】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図30】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図31】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図32】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図33】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図34】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図35】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用する方法を示す概略図である。
図36】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用することができる別の方法を示す概略図である。
図37】気道の位置を同定するために追跡されるカテーテルを使用することができる別の方法を示す概略図である。
図38】病変を含む解剖学的部位、基準センサ及び追跡されるカテーテルを示す概略図である。
図39】経皮的アクセスを使用して配置された基準センサを示す概略図である。
図40】気管支鏡を通して配置された無線基準センサを示す概略図である。
図41】気管支鏡を通して配置された無線基準センサを示す概略図である。
図42】気管支鏡を通して配置され、次いで画像誘導下で気管支鏡的に肺実質を通って皮膚の表面まで押し込まれたワイヤベースの基準センサを示す概略図である。
図43】気管支鏡を通して配置され、その後にそのワイヤが基準センサから取り外され、気道内に引き抜かれるワイヤベースの基準センサを示す概略図である。
図44】基準センサを組織内に気管支鏡で配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)するための別の手法のための装置を示す概略図である。
図45】基準センサを組織内に気管支鏡で配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)するための別の手法のための装置を示す概略図である。
図46】基準センサを組織内に気管支鏡で配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)するための別の手法のための装置を示す概略図である。
図46A】基準センサを組織内に気管支鏡で配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)するための別の装置を示す概略図である。
図46B】基準センサを組織内に気管支鏡で配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)するための別の装置を示す概略図である。
図47】基準センサの組織内への気管支鏡による配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)に、図44図46の装置を使用する方法を示す概略図である。
図48】基準センサの組織内への気管支鏡による配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)に、図44図46の装置を使用する方法を示す概略図である。
図49】基準センサの組織内への気管支鏡による配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)に、図44図46の装置を使用する方法を示す概略図である。
図50】基準センサの組織内への気管支鏡による配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)に、図44図46の装置を使用する方法を示す概略図である。
図51】基準センサの組織内への気管支鏡による配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)に、図44図46の装置を使用する方法を示す概略図である。
図52】基準センサの組織内への気管支鏡による配置(例えば、組織塊内又は組織塊の近傍への基準センサの気管支鏡による配置)に、図44図46の装置を使用する方法を示す概略図である。
図52A】例えば基準センサが気管支鏡を通して配置される場合等に、基準センサに対して一時的な近位電気的接続を提供する方法を示す概略図である。
図53】外科用ステープラのヘッドの関節運動を検出するための関節運動センサを備えた外科用ステープラを示す概略図である。
図54】外科用ステープラのヘッドの関節運動を検出するための関節運動センサを備えた外科用ステープラを示す概略図である。
図55】(i)病変のモデルを示す概略図である。
図56】(ii)病変のモデルと組み合わせた切除マージンのモデルを示す概略図である。
図57】病変の切除マージンに隣接してステープルを配置する方法を示す概略図である。
図58】病変の切除マージンに隣接してステープルを配置する方法を示す概略図である。
図59】病変の切除マージンに隣接してステープルを配置する方法を示す概略図である。
図60】病変の切除マージンに隣接してステープルを配置する方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は以下の図面に示される構成要素の構造及び配置の特定の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、他の方法で実施又は実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「を含む」、「備える」又は「有する」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。特に指定又は限定されない限り、「取り付けられた」、「接続された」、「支持された」及び「結合された」という用語並びにそれらの変形は、広く使用され、直接的及び間接的両方の取付け、接続、支持及び結合を包含する。更に、「接続された」及び「結合された」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されない。
【0053】
以下の説明は、当業者が本発明の実施形態を作成及び使用することを可能にするために提示される。図示された実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書の一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態及び用途に適用することができる。したがって、本発明の実施形態は、示された特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された原理及び特徴と一致する最も広い範囲が認容されるべきである。以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面の同様の要素は同様の参照番号を有する。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。当業者は、本明細書で提供される例が多数の有用な代替物を有し、本発明の実施形態の範囲内にあることを認識するであろう。
【0054】
<基準センサを使用した組織塊の位置の追跡>
図1図3は、送達針12を通して挿入されている例示的な基準センサ10(基準マーカ又は基準追跡装置とも呼ばれる)を示す。基準センサ10は、例えば、組織塊18の位置及び向きをリアルタイムで測定する送信機を含むマーカであり得る。基準センサ10は、図1図3に示すように、ケーブル14に取り付けられてもよく、又は基準センサ10は無線であってもよい。基準センサ10は、図1に示すように、フック構造16内に埋め込むことができる。基準センサ10のフック構造16は、超弾性材料、例えばニチノール、又はステンレス鋼、あるいは任意の他の適切な材料から作製することができる。これにより、基準センサ10を送達針12を通して挿入し、送達針12の開口22(即ち、管腔)を通して組織塊18の中心又は周囲に配置することが可能になる。組織塊18は、例えば、病変(例えば、腫瘍、結節等)であり得る。
【0055】
図4に示すように、基準センサ10及びフック構造16のより詳細な図が示されている。フック構造16は、管部分15を含み得、管部分15は、管部分15の一端から延びる複数の延長部17と、管部分15の反対端から延びる複数の分岐20と、を有する。管部分15は、例えば、約0.6ミリメートル~約0.8ミリメートルの外径Dを有するニチノール管であり得、フック構造16は、約8ミリメートル~約12ミリメートルの全長Lを有し得る。管部分15は、そこから延在する複数の延長部17を有する円筒形状にレーザ微細加工されて、基準センサ10を定位置に固定することができる。いくつかの実施形態では、基準センサ10は、AA-Bond FDA22等の医療グレードのエポキシ接着剤を使用して、フック構造16の近位端に取り付けられた電磁センサであってもよい。
【0056】
図4に示すように、複数の分岐20は、基準センサ10を含むフック構造16を、図2の組織塊18等の組織塊内に、又は組織塊の周囲に固定するように構成されてもよい。複数の分岐20は、ニチノール等の超弾性形状記憶合金から構成することができる。複数の分岐20は、例えば曲げられてもよく、フック構造16の中心軸Yから外側に延びてもよい。複数の分岐20はまた、熱処理されて、分岐20が湾曲形状を保持し、ニチノールの相構造が例えばマルテンサイト相であることを確実にすることができる。図4に示す実施形態では、フック構造16は3つの分岐20を含むが、任意の適切な数の分岐を設けて、フック構造16を、組織塊18等の組織塊又は組織塊の周囲に固定することができる。
【0057】
基準センサ10は、フック構造16と共に、例えば18ゲージ針であり得る送達針12の遠位端を通して挿入され得る。フック構造16の複数の分岐20は、最初に送達針12の管腔22に挿入されてもよい。有利なことには、ニチノールの超弾性性質のために、フック構造16は、送達針12の管腔22に容易に挿入することができる。フック構造16は、送達針12の管腔22を通して挿入される金属スタイレット(図示せず)を使用して配置することができる。完全に配置されると、複数の分岐20はそれらの元の湾曲した形状を回復し、開いてフック構造16を組織塊18の中又はその周囲にしっかりと固定する。次いで、送達針12は、フック構造16の配置後に取り外されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、基準センサ10は、フック構造16と共に、リアルタイム画像誘導(例えば、CT、CアームCT、MRI、超音波等)下で送達針12を通して挿入され得、図5に示すように組織塊18内に、又は図6に示すように組織塊18の隣に(例えば、その近傍に)埋め込むことができる。基準センサ10は、外科処置の前又は最中に組織塊18の中又は隣に埋め込むことができる。リアルタイム画像誘導を使用することによって、三次元における組織塊18に対する基準センサ10の空間的関係(即ち、位置及び向き)が常に周知される。フック構造16は、例えば基準センサ10を組織塊18内又はその隣に固定して移動を阻止するために、Tバー又はJバーの形態であってもよい。有利なことには、力は、ワイヤ14により、Tバー16の中心にあり、それによって基準センサ10を組織塊18内又はその隣に固定することを容易にする。組織塊18内又はその隣に埋め込まれた基準センサ10は、例えば、肺の虚脱又は呼吸等の軟組織の変形又は生理学的運動に起因して導入される任意の変形にもかかわらず、組織塊18の位置及び向きをリアルタイムで測定し、それによって、しばしば決定が困難である組織塊18の位置を容易に同定する。
【0059】
図3に示す代替の実施形態では、第2の基準センサ11(例えば、Tバーアセンブリの形態で)を組織塊18の近くの異なる位置に配置することができる。図3に示すように、第2の基準センサ11は、第1の基準センサ10とは別個のケーブル14を有し得るか、又は第1の基準センサ10及び第2の基準センサ11は、同じケーブル14を共有し得る。第2の基準センサ11又は任意の他のそのような装置は、組織塊18が変形している場合であっても、組織塊18の位置測定を改善するために使用することができる。例えば、第2の基準センサ11は、組織塊18の第1の基準センサ10とは反対側に配置され、電磁場のひずみによって第1の基準センサ10によって認識され得る。したがって、組織塊18がこれらの2つのセンサの間にあることを知ることによって、軟組織の変化にもかかわらず組織塊18を位置測定することができる。
【0060】
ここで図5及び図6を参照すると、組織塊18の位置及び向きが分かると、組織塊18の周りに三次元エンベロープを作成することによって、組織塊18を取り囲む所定の距離Dを有する切除マージン24が決定される。切除マージン24は、所望の所定の距離D、例えば2センチメートルに手動で設定することができ、外科医の選択及び病変タイプに依存する。所定の距離Dは閾値を定義して、以下で更に詳細に説明する外科用装置26(例えば、外科用ステープラ)が閾値未満の位置にある時に、聴覚的、視覚的、及び/又は触覚的キュー(cue)を外科医又は外科用装置26に提供して、組織塊18の正確かつ完全な切除を確実にすることができる。
【0061】
<器具センサを使用した外科用装置の位置の追跡>
ここで図7を参照すると、外科用ステープラ、Boviペンシル、キトナー、腹腔鏡及び/又は任意の適切な切断、切除若しくは除去装置等の従来の外科用装置26が示されている。外科用装置26は、外科用装置26の反対端部で締結アセンブリ32に結合されたハンドル30を含むことができる。締結アセンブリ32は、ハンドル30に取り外し可能に接続された使い捨て部品であり得、即ち、締結アセンブリ32は、ハンドル30に接続され、使用後に取り外されるカートリッジであり得る。締結アセンブリ32は、組織塊18の切除中に組織に固定される複数の締結具36を含むハウジング34を含む。締結アセンブリ32はまた、組織塊18の切除マージン24に沿って切断するためのブレード(図示せず)を収容するブレードスロット38を含むことができる。
【0062】
好ましい実施形態では、外科用装置26は、例えば、図8に示すように、ハウジング34上をスライドするように寸法決めされたスリーブ40を含む。スリーブ40は、例えば、外科用装置26のハウジング34を覆うように構成された任意の市販のスリーブであってもよい。器具センサ28(器具追跡装置と呼ばれることもある)は、例えば縫合によってスリーブ40に取り付けることができる。あるいは、器具センサ28は、任意の適切な接着剤を介して外科用装置26のハウジング34に直接取り付けられてもよく、又はハウジング34自体に一体化されてもよい。器具センサ28がスリーブ40又はハウジング34のいずれに取り付けられているかにかかわらず、器具センサ28は、組織塊18内又はその隣に埋め込まれた基準センサ10と同じイメージング基準フレーム内の外科用装置26の位置及び向きを測定することができる。言い換えれば、外科用装置26の位置は、以下で更に詳細に説明するように、組織塊18内又はその隣にある基準センサ10に対して正確に測定することができる。基準センサ10及び器具センサ28の両方が同じ基準フレームにおいて測定されるため、基準軸の変更を必要とする、レジストレーション及びキャリブレーション工程に起因して生じる誤差を最小限に抑えることができる。
【0063】
図9に示すように、スリーブ40はまた、以下に説明するように、切除マージン24からの外科用装置26の距離Dをユーザに示すディスプレイ42を含むことができる。ディスプレイ42は、外科用装置26のハンドル30に取り付けられてもよく、任意の市販の有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ又は液晶ディスプレイ(LCD)であってもよい。OLEDディスプレイの場合、例えば、外科用装置26の先端に位置する組織塊18の再フォーマットされたCT画像をユーザに表示することができる。
【0064】
<外科用装置の組織塊への誘導>
ここで図9を参照すると、前述したように、動作中、基準センサ10は、フック構造16の複数の分岐20を使用して組織塊18の隣に配置されるか、又は組織塊内に埋め込まれる。例えば、CT/MRI/蛍光透視/CアームCT検査を実行して、組織塊18の隣に配置されるか、又は組織塊内に埋め込まれた、基準センサ10の画像を取得する。次いで、組織塊18は、術前診断用CT/MRI検査から区域化され、組織塊18の三次元モデル(図示せず)が作成される。基準センサ10の配置中に取得された術中画像は、患者の診断検査にレジストレーションを行うことができ、基準センサ10の位置を推定することができる。前述のように、組織塊18を取り囲む所定の距離Dを有する切除マージン24は、組織塊18の周りの三次元エンベロープ又は近接球としてモニタ(図示せず)上でユーザに表示される。切除マージン24の所定の距離Dは、外科医の選択及び組織塊18の種類に基づいて決定することができる。
【0065】
次に、図9に示すように、外科用装置26を身体44(即ち、患者)に挿入して、切除マージン24に沿って組織塊18を切断する。組織塊18内又はその近くに埋め込まれた基準センサ10は、コントローラ48と電気的又は無線通信する。コントローラ48は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)であってもよく、基準センサ10によって生成された信号を解釈するように構成される。基準センサ10は、例えば、基準センサ10の位置及び向き(例えば、1つ又は複数の空間座標)を示す信号を生成する電磁センサであり得る。基準センサ10によって生成される信号は、例えば、電気信号であってもよく、コントローラ48は、内蔵プログラム50を介してこの信号を解釈することができる。内蔵プログラム50は、例えば、基準センサ10及び器具センサ28と通信するナビゲーションシステムを含むことができる。
【0066】
同様に、器具センサ28は、例えば、器具センサ28の位置及び向き(例えば、1つ又は複数の空間座標)を示す信号を生成する電磁センサであり得る。器具センサ28によって生成される信号は、例えば、電気信号であってもよく、コントローラ48は、内蔵プログラム50を介してこの信号を解釈することができる。基準センサ10及び器具センサ28は、コントローラ48と通信し、ナビゲーションシステムを使用して組織塊18及び外科用装置26の位置及び向きを中継する。いくつかの実施形態では、内蔵プログラム50は、キャリブレーション及び/又はレジストレーションアルゴリズムを実行して、外科用装置26の遠位先端及び外科用装置26に対する法線ベクトルを追跡するように構成され得る。その後、コントローラ48の内蔵プログラム50は、基準センサ10と器具センサ28との間の図9に示す距離Dを計算して、外科用装置26がDの閾値を下回ると、聴覚的、視覚的、又は触覚的キューがユーザのために生成される。
【0067】
外科用装置26が組織塊18の切除マージン24に向かってナビゲートされると、外科用装置26は、基準センサ10及び器具センサ28の両方が活発に追跡されることに起因する周囲組織への損傷を最小限に抑えながら、組織塊18を摘出することができる。周囲の健康な組織への最小限の損傷はまた、正常な生理学的機能、例えば肺機能を保証することができる。基準センサ10及び外科用装置26上の器具センサ28からのフィードバックを利用して、組織塊18及び外科用装置26からの距離Dは、ユーザに知られ、常にディスプレイ42上で見ることができる。結果として、所望の切除マージン24を常に維持することができ、それによって組織塊18の完全な切除を確実にする。一実施形態では、組織塊18及び外科用装置26の位置及び向きのデータを使用して、外科用装置26をロック又はロック解除して、組織塊18の誤った切除を防止することができる。
【0068】
<組織変形アルゴリズム>
いくつかの実施形態では、コントローラ48の内蔵プログラム50は、組織塊18及び/又は周囲組織の変形の結果として、処置中に切除マージン24に起こり得る変化を推定又はモデル化する1つ又は複数の変形アルゴリズムを含むように構成され得る。変形アルゴリズムは、切除マージン24に対する任意のそのような変化を考慮することを試みて、手術中にユーザにより正確な切除マージンを提供し、これは健康な周囲組織への損傷又はその除去を制限しながら組織塊18の完全な切除を助ける。
【0069】
非限定的な一例では、内蔵プログラム50は、組織塊18(例えば、乳房病変)が剛性であり、周囲組織(例えば、実質)が変形すると仮定する変形アルゴリズムを含む。アルゴリズムは、組織塊18上のすべての点が、上述のように組織塊18に固定された基準センサ10と共に移動すると仮定する。別の非限定的な例では、内蔵プログラム50は、組織塊18が粘弾性又は流体媒体を通って移動する剛性物体であると仮定する変形アルゴリズムを含む。更に別の非限定的な例では、組織塊18及び周囲組織の患者特有の特性は、例えば、CT/MRI/蛍光透視検査を介して測定されて、その特定の患者の手術中に生じる組織塊18又は切除マージン24に対する変形を予測することができる。内蔵プログラム50の変形アルゴリズムは、内蔵プログラム50のナビゲーションシステムを用いてリアルタイムで動作することができることを理解されるべきである。
【0070】
より具体的には、組織塊18(例えば、病変)を、例えばCT/MRI/蛍光透視検査から得られた立体画像から区域化して、表面モデルを作成することができる。ユーザによってナビゲーションシステムに入力されたデフォルトの切除マージンに基づいて、区域化された病変ラベルマップを所望の切除マージンまで拡張して、切除マージンに対応する表面モデルを作成することができる。病変及び周囲組織の変形により、例えば患者の運動により切除マージンが変化し得る。したがって、病変及び切除マージンの表面モデルから線形弾性体積有限要素モデル(「FEM」)(Finite Element Model)メッシュを作成することができる。FEMモデルを使用して、基準センサ10のリアルタイムの位置測定を考慮して、組織塊18及び切除マージン24の他の節点の変位の推定を行うことができる。剛性値は、FEMモデルについて完全には正確ではない可能性があり、FEMモデルは、一例では、組織塊18及び周囲組織に拘束され得る。したがって、FEMメッシュの推定剛性値の不確実性に基づいて、組織塊18及び周囲組織変形の不確実性測定値をリアルタイムでユーザに提供することができる。
【0071】
<聴覚的、視覚的、定量的及び触覚的キュー>
上述したように、外科医及び/又は外科用装置26に聴覚的、視覚的及び触覚的キューを提供して、切除マージン24を同定して、組織塊18の正確かつ完全な切除を確実にすることができる。例えば、可聴源52は、可聴信号を発するように構成され得る。可聴源52は、内蔵プログラム50を実行するように構成されたコントローラ48と通信して、器具センサ28と基準センサ10との間の距離Dに基づいて可聴信号を変更することができる。器具センサ28は、基準センサ10によって生成された信号を使用して、コントローラ48が内蔵プログラム50を実行することを可能にして、基準センサ10と器具センサ28との間の図9に示される距離Dを計算して、外科用装置26がDの閾値を下回る時に可聴信号を生成する。可聴信号は、例えば、電子音、ビープ音又はアラームであり得る。可聴信号はまた、距離Dが減少するにつれて、頻度又はデューティサイクルが増加してもよく、その結果、外科用装置26が切除マージン24に近づきすぎると、可聴信号の頻度又はデューティサイクルが増加する。
【0072】
聴覚的キューに加えて、コントローラ48と通信する1つ又は複数のディスプレイ54上で視覚的キューをユーザに提供することもできる。1つ又は複数のディスプレイ54は、例えば、内視鏡ディスプレイ又は別個のモニタに提供される視覚的キューを含むことができる。例えば、内視鏡ディスプレイ又は別個のモニタは、視覚的信号を発するように構成されてもよい。内視鏡ディスプレイ又は別個のモニタは、内蔵プログラム50を実行するように構成されたコントローラ48と通信して、器具センサ28と基準センサ10との間の距離Dに基づいて視覚的信号を変更することができる。器具センサ28は、基準センサ10によって生成された信号を使用して、コントローラ48が内蔵プログラム50を実行することを可能にして、基準センサ10と器具センサ28(例えば、外科用装置26の先端付近)との間、及び/又は器具センサ28(例えば、外科用装置26の先端付近)とフック構造16に対する法線ベクトルとの間の図9に示される距離Dを計算して、外科用装置26がDの閾値を下回る時に、視覚的信号を生成する。視覚的信号は、例えば、内視鏡ディスプレイ又は別個のモニタ等の1つ又は複数のディスプレイ54に示される点灯光又は点滅光であり得る。視覚的信号はまた、例えば距離Dが減少するにつれて、頻度又は輝度が増加してもよく、その結果、外科用装置26が切除マージン24に近づきすぎると、視覚的信号の頻度及び/又は輝度が増加する。更に、器具の切断面の先端、中間又は基部からの距離もまた、内蔵プログラムに基づいて決定され得、ユーザに表示され得る。距離数値のそのような表示は、本明細書ではいわゆる定量的キューと呼ばれることがある。
【0073】
非限定的な一例では、視覚的キューは、例えばディスプレイ54のうちの1つに色変化球として示され得る。色変化球は、例えば、器具センサ28と基準センサ10との間の距離Dに基づいて色が変化するように、組織切除マージン24を表すことができる。したがって、器具センサ28が基準センサ10に近づくにつれて、例えば、球はディスプレイ54に第1の色で示され得る。同様に、器具センサ28が基準センサ10から離れるにつれて、球は、例えば第2の色でディスプレイ54上に示され得、それによって外科医は、器具センサ28と基準センサ10との間の距離Dを視覚的に認識することができる。
【0074】
外科用装置26からの切除マージン24の距離を同定するために定量的、視覚的、及び聴覚的キューを臨床医に提供することができ、視覚的キューは、コントローラ48と通信するディスプレイ54のうちの1つ又は複数でユーザに提供されるビデオオーバーレイを更に含むことができる。例えば、図10のディスプレイ54に示すように、ビデオオーバーレイを行って、腹腔鏡画像及び仮想内視鏡画像を融合して、基準センサ10及び組織塊18の位置を確認することができる。腹腔鏡56の位置に基づいて、図11のディスプレイ54に示すように、三次元解剖学的構造の仮想内視鏡ビデオを生成することができる。焦点距離及び視野を入力して、例えば三次元ビューの視覚化ツールキットカメラを使用して生成された仮想内視鏡ビューを制御してもよい。
【0075】
また、触覚的キューが外科用装置26上でユーザに提供されてもよい。例えば、圧電アクチュエータ46は、触覚的信号を発するように構成された外科用装置26のハンドル30に取り付けられてもよい。圧電アクチュエータ46は、内蔵プログラムを実行するように構成されたコントローラと電気的に通信して、器具センサ28と基準センサ10との間の距離Dに基づいて触覚的信号を変更することができる。器具センサ28は、基準センサ10によって生成された信号を使用して、コントローラが内蔵プログラムを実行することを可能にして、基準センサ10と器具センサ28との間の図9に示される距離Dを計算して、外科用装置26がDの閾値を下回る時に触覚的信号を生成する。触覚的信号は、例えば、外科用装置26のハンドル30に加えられる振動であってもよい。触覚的信号はまた、距離Dが減少するにつれて、振幅及び/又は頻度が増加してもよく、その結果、外科用装置26が切除マージン24に近づきすぎると、触覚的信号の振幅及び/又は頻度が増加する。
【0076】
<肺癌手術への適用>
米国では毎年23万人に近い新たな肺癌症例が診断されており、医療システムに対する推定費用は121億ドルである。肺癌患者の1年及び5年生存率は、それぞれ44%及び17%である。初期段階の小さな病変の治療のために、実質を残した低侵襲性楔状切除術(WRS)又は区域切除が、肺葉切除よりも外科的切除の好ましい方法になりつつある。健康な肺機能の保存は、過度の喫煙、老齢、複数の病変、以前の肺手術、心臓併存症又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)のために肺生理学が損なわれている場合には更により重要になる。これらの手法(即ち、WRS及び区域切除)はより良好な肺機能をもたらすが、病変再発率は肺葉切除のほぼ2倍であり、5年生存率は有意により低い。更に、区域切除は重大な合併症を伴う。区域切除に関連する局所領域的再発及び合併症は、虚脱した肺において病変を正確に位置測定し、切除することが困難であること、及び区域間面を同定することが困難であることに起因し得る。周術期及び術後の合併症を回避するために、正確な解剖学的ランドマーク(例えば、血管及び気管支の解剖学的変化)を慎重に同定し、追跡する必要がある。
【0077】
前のセクションでは、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)が病変18の近くに配置されて、リアルタイムで病変を追跡することが教示される。外科用ステープラ(又は他の外科用装置)26はまた、器具センサ28を使用してリアルタイムで追跡されて、肺病変18の切除が正確に誘導される。より具体的には、ナビゲーションソフトウェアは、外科用ステープラ26から基準センサ(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)までの距離、したがって外科用ステープラ26から病変18までの距離を計算し、距離測定値をリアルタイムで外科医に対して表示して、病変の完全な切除を確実にする。更に、基準センサ10又は腫瘍表面からステープラ切断線(本明細書では切除線と呼ばれることもある)の先端、中間及び基部までの距離も、リアルタイムで計算及び表示することができる。
【0078】
<手術中に処置の胸部側から気道を同定する際に、システムを使用して肺内の特定の気道を同定して、外科医を支援する>
また、手術中に処置の胸部側から気道を同定する際に、システムを使用して肺内の特定の気道を同定して、外科医を支援することができる。
【0079】
より具体的には、肺の気道は複雑な樹状構造を有する。図12を参照されたい。
【0080】
肺の病変を治療する場合、特に治療が肺を切除して病変を除去することに関与し得る場合、特定の気道に対する切除を計画すること、即ち特定の気道を除去すること、特定の気道を回避すること等が重要であり得る。したがって、切除手術を行う際に関連する気道の位置を知ることが重要であり得る。
【0081】
気管支鏡検査中、気管支鏡は、気管支鏡が気道の樹状構造を下に進む時に特定の分岐によって特徴付けられる下降経路をたどるため、特定の気道に対する気管支鏡の位置を同定することが可能である。しかし、気管支鏡は、典型的には、その大きさ及び気道の漸進的に減少する大きさのために、肺の気道を限られた距離のみを通り抜けることができる。更に、手術中の処置の胸部側からの、胸部側から外科医に提供される視覚化は、直接の視野に限定され、胸部側から外科医に提供される限定された視野に起因して、胸部側から特定の気道を同定することは非常に問題となり得る。
【0082】
手術中に処置の胸部側から気道を同定する際に、本発明を使用して肺内の特定の気道を同定して、外科医を支援することができる。
【0083】
より具体的には、ここで図13図13A及び図13Bを見ると、本発明のこの形態では、気管支鏡60を使用して、センサ70(即ち、「追跡されるカテーテル」75)を担持するカテーテル65を肺の関連気道内に位置決めする。より詳細には、本発明の好ましい一形態では、気管支鏡60は、気管支鏡60が関連する気道に向かって可能な限り前進するまで、気管支鏡誘導下で、又は例えばCTイメージング、Cアームイメージング等の他の何らかの形態の誘導によって、気道を通って前進することができる。図13を参照されたい。次いで、追跡されるカテーテル75(即ち、センサ70を担持するカテーテル65)が、気管支鏡60を下って前進され、次いで、気管支鏡60の端部から肺の関連する気道へと前進される。図13Aを参照されたい。気管支鏡60の最大限の可撓性を維持するために、好ましくは、追跡されるカテーテル75は、気管支鏡60が肺に配置される後まで気管支鏡60を通って前進しないことに留意されたい。追跡されるカテーテル75が気管支鏡60から出て関連する気道内の位置に進められると、気管支鏡60を引き抜くことができる。図13Bを参照されたい。気管支鏡は換気を妨げる可能性があるため、気管支鏡60の引抜きは、この時点で一般的に望ましい。
【0084】
次いで、肺の関連する気道におけるセンサの気管支鏡による位置決めを使用して(即ち、肺の関連気道に追跡されるカテーテルを気管支鏡的に位置決めすることによって)、実際の手術中の区域切除、肺葉切除又は楔状切除等の手術のための肺葉、区域又は亜区域の気管支を画定することができる。より具体的には、気管支(即ち、追跡されるカテーテル75上のセンサ70)を同定するセンサの位置は、別のセンサ85を担持する別の装置(例えば、外科用装置)80(即ち、追跡される器具90)の位置と相関させることができ、その結果、外科医は、システムを使用して、処置の胸部側から手術のための正しい気管支を同定することができる(直接の視覚化が制限され、特定の気道に関してしばしば不明瞭である場合)。したがって、本発明のこの形態では、一方のセンサ70は、特定の気道に挿入されるカテーテル65上に配置されて、特定の気道の位置を同定し、他方のセンサ85は、処置の胸部側から手術のために前進される外科用装置80上に配置され、システムはその後、追跡されるカテーテル75に対する(したがって、追跡されるカテーテル75が配置される気道の位置に対する)外科用装置80の位置を追跡する。このようにして、外科医は、処置の胸部側からの直接の視覚化が特定の気道に関して制限され、曖昧であり得るとしても、(追跡されるカテーテル75上のセンサ70によって同定される)目的の気道に対する外科用装置80の位置を同定することができる。結果として、外科医はシステムを使用して、追跡されるカテーテル75上のセンサ70によって同定された気道を標的とするか、又は追跡されるカテーテル75上のセンサ70によって同定された気道を回避すること等ができる。
【0085】
重要なことに、追跡されるカテーテル75は、肺が第1のコンフィギュレーション(例えば、膨張したコンフィギュレーション)にある間に肺の関連する気道に挿入さ得、肺が第2のコンフィギュレーション(例えば、収縮コンフィギュレーション)に変化する間にその気道内の位置に維持され得る。これは、限定的アクセス外科的処置(例えば、視覚化が胸部内に進められたスコープによって提供される場合)中に肺の関連気道を同定しようとする場合に特に有利であり得、肺は第1のコンフィギュレーションと第2のコンフィギュレーションとの間で変化する。
【0086】
必要に応じて、追跡されるカテーテル75は、気管支鏡60が肺の気道を下に進む前に気管支鏡60に挿入されてもよいことに留意されたい。しかし、上述したように、気管支鏡60に最大の可撓性をもたらすことから、気管支鏡60が肺内に配置された後に、追跡されるカテーテル75を気管支鏡60内に挿入することが一般に望ましい。
【0087】
また、所望であれば、気管支鏡60は、追跡されるカテーテル75が関連する気道内に前進された後に肺内の位置に残されてもよいことに留意されたい。しかし、上述したように、肺のより良好な換気を提供することから、多くの場合、追跡されるカテーテル75が関連する気道内に前進された後に気管支鏡60を取り外すことが望ましい。
【0088】
上記に加えて、必要に応じて、気管支鏡60自体がセンサ(図示せず)を担持して、気管支鏡60自体が肺の気道内で追跡され得ることも理解されるべきである。この手法は、気管支鏡60が目的の気道に前進することができる場合、例えば、目的の気道が気管支鏡60によって直接アクセスされ得る比較的大きな気道である場合に有用であり得る。
【0089】
必要に応じて、追跡されるカテーテル75(及び/又は追跡される気管支鏡)はまた、肺が所与のコンフィギュレーション(例えば、第1の膨張したコンフィギュレーション)にある間に肺内の複数の気道をマッピングするために使用されてもよいことに留意されたい。
【0090】
本発明の一形態では、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)は、肺が第1の(例えば、膨張した)コンフィギュレーションにある間に肺内に配置され、追跡されるカテーテル75は、肺がその第1の(例えば、膨張した)コンフィギュレーションにある間、肺の選択された気道に配置され,基準センサ10及び追跡されるカテーテル75の相対的な配置は、肺がその第1の(例えば、膨張した)コンフィギュレーションにある間に決定され、肺は、第2の(例えば、収縮した)コンフィギュレーションに変化し、基準センサ10及び追跡されるカテーテル75の相対的な配置は、肺がその第2の(例えば、収縮した)コンフィギュレーションにある間に決定され、基準センサ10及び追跡されるカテーテル75の相対的な配置の変化は、肺がその第1の(例えば、膨張した)コンフィギュレーションからその第2の(例えば、収縮した)コンフィギュレーションに変化した後に決定され、肺がその第2の(例えば、収縮した)コンフィギュレーションにある間の肺構造の変形の程度及び位置を推定するために使用される。
【0091】
<周囲の気道のマッピング及び追跡>
前述のシステムは、肺の正しい区域が確実に摘出されるように、(病変と共に)周囲の気道をマッピング及び追跡することによって強化することができる。これは、肺の収縮中に解剖学的構造が移動し、摘出される組織片が外科医にとって明らかでない可能性があるためである。
【0092】
肺の気道をマッピング及び追跡するための処置は、以下のように行うことができる。
【0093】
第1に、患者を仰臥位にする。次いで、気管支鏡的に、オンボードカテーテルセンサ70を有する可撓性カテーテル65を、病変18を含む肺区域の最も近い/標的の気管支に配置する。これは、正しい気管支を視覚的に同定することによって、又は何らかの形態の誘導(例えば、CTイメージング、Cアームイメージング等)のいずれかによって行われる。追跡されるカテーテル75は、病変18の組織塊の近くの標的気管支に挿入され、カテーテル65が挿入されると、カテーテルセンサ70の位置及び向き(したがって、カテーテル65の位置及び向き)を同定するように構成された、オンボードカテーテルセンサ70及び電磁追跡装置システムを使用して、カテーテル65の軌跡が記録される。この軌跡は、電磁追跡装置システムの座標空間内の気道95の位置を示す。図14図34を参照されたい。カテーテル65が気道95を前進するときのカテーテルセンサ70の連続的な検出位置を連結して、標的気道の中心線を提供することができる。図35を参照されたい。
【0094】
あるいは、カテーテル65は、その長さに沿って配置された複数のカテーテル追跡装置70を含んで、カテーテル65が気道に完全に挿入された後に、様々なカテーテルセンサ70の位置を単に記録することによって気道マッピングを行うことができる。図36及び図37を参照されたい。カテーテル65は、気管支鏡誘導下で、又は例えばCTイメージング、Cアームイメージング等の他の何らかの形態の誘導によって、気道を通って前進させることができることに留意されたい。
【0095】
次いで、隣接する気道でこのプロセスを繰り返して、病変を取り囲む気道をマッピングすることができる。
【0096】
関連する気道のマッピングが完了すると、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ又は同様の追跡装置)及びマッピングされた気道の位置が、膨張した肺で(及び最終的には、収縮した肺で)記録される。
【0097】
その後、病変18に隣接する基準センサ10及び病変付近の重要な気道に配置された追跡されるカテーテル75により、肺は手術の開始前に虚脱される。基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)及び追跡されるカテーテル75は、肺が虚脱される時にリアルタイムで追跡される。図38を参照されたい。基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)及び重要な気道(例えば、追跡されるカテーテル75を含む気道)の位置は、収縮した肺で記録される。有限要素ベースの粒子フィルタ又はFEM変形アルゴリズムを使用して、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)及び重要気道の膨張状態から収縮状態への空間的平行移動(translation)が推定される。重要気道の周りの滑らかな変形場が推定される。次いで、膨張した肺内でマッピングされた他の気道に変形場が適用されて、収縮した肺内の他の気道の位置を推定する。「変形した」気道(即ち、収縮した肺の気道)は、病変と共に誘導システム内で外科医に表示されて、重要な解剖学的構造が残されることを確実にしながら、外科用ステープラ26を最適な切除マージンまで正確に誘導する。この手法はまた、ステープラナビゲーションがなくても、切除のための正しい区域(並びに計画された処置の一部として切除する又は切除しない正しい気管支区域)を定義するのに役立つ。適切な気管支区域が胸腔鏡又は胸部の観点で同定されると、カテーテル65は、任意の外科的切除の前に、口、鼻又は気管内チューブから気道からそれを単に引き抜くことによって除去することができる。
【0098】
本発明の一態様では、変形可能な解剖学的構造内の複数の管腔は、以下の工程によりマッピング及び追跡され得る。即ち、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに解剖学的構造の仮想モデルを提供し、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、マッピングされ追跡される解剖学的構造内の管腔のうちの1つに追跡されるカテーテルを位置決めし、管腔における追跡されるカテーテルの位置を決定して、管腔の位置をマッピングし、
マッピングされ追跡される解剖学的構造内の管腔の各々について前述の工程を繰り返して、それらの管腔がマッピングされるようにし、
仮想モデルにマッピングされた管腔を補足し、それによって、解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及びマッピングされた管腔の補足された仮想モデルを提供し、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションから第2のコンフィギュレーションに変形する間、解剖学的構造のマッピングされた管腔のうちの1つに追跡されるカテーテルを維持し、
解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションにあるときに、解剖学的構造内の追跡されるカテーテルの位置を決定し、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及びマッピングされた管腔を表すように、補足された仮想モデルを修正し、それによって、修正され補足された仮想モデルを提供する。
ここで、上記修正は、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションに変形するときに、追跡されるカテーテルの空間的変化を決定し、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及びマッピングされた管腔の修正され補足された仮想モデルを提供するように、補足された仮想モデルのマッピングされた管腔に、追跡されるカテーテルの空間的変化を適用することによって行われる。
【0099】
本発明の別の態様では、変形可能な解剖学的構造内の選択された管腔は、以下の工程によりマッピング及び追跡され得る。即ち、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、解剖学的構造の選択された管腔に追跡されるカテーテルを位置決めし、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに追跡されるカテーテルの位置を決定し、
解剖学的構造が第1のコンフィギュレーションにあるときに、解剖学的構造と解剖学的構造の選択された管腔に配置された追跡されるカテーテルとを走査し、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションにあるときに、走査された解剖学的構造及び解剖学的構造の選択された管腔内に位置決めされた追跡されるカテーテルの仮想モデルを作成し、
解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションに変形する間、解剖学的構造の選択された管腔内の位置に追跡されるカテーテルを維持し、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときに、追跡されるカテーテルの位置及び向きを決定し、それによって解剖学的構造が第2のコンフィギュレーションにあるときに解剖学的構造の選択された管腔の位置を決定し、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及び選択された管腔を表すように仮想モデルを調整し、それによって、調整された仮想モデルを提供する。
ここで、上記修正は、
解剖学的構造がその第1のコンフィギュレーションからその第2のコンフィギュレーションに変形するときに、追跡されるカテーテルの空間的変化を決定し、
解剖学的構造がその第2のコンフィギュレーションにあるときの解剖学的構造及び選択された管腔の調整された仮想モデルを提供するように、仮想モデルの選択された管腔に、追跡されるカテーテルの空間的変化を適用することによって行われる。
【0100】
<基準センサの気管支鏡配置>
上述のシステムでは、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)は、経皮的に配置されるものとして説明されている。図39を参照されたい。しかし、必要に応じて、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)は、気管支鏡的手法、又は開胸手法若しくはVATS手法を介して配置することができる。
【0101】
より具体的には、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)は、フック状構造内に埋め込まれた無線電磁センサを有する金属アンカーである。金属アンカーは、超弾性材料、例えばニチノールから作製することができ、又はステンレス鋼から作製することができる。基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)は、端部に傾斜先端を有する長い可撓性中空管内に配置される。この中空管は、気管支鏡60の作業チャネルを通して挿入される。ナビゲーションシステムを使用するリアルタイム画像誘導下で、無線基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)は、気管支鏡60を使用して気道を通って誘導され、病変の近くに配置される。図40を参照されたい。基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)が病変18の近くに配置されると、気管支鏡60(及び気管支鏡の作業チャネルを通って延びる中空管)が取り外される。図41を参照されたい。その後、肺を虚脱させ、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)を使用して病変18をリアルタイムで追跡する。また、外科用ステープラ(図示せず)は、外科用ステープラに取り付けられた器具センサを使用してリアルタイムで追跡される。外科用ステープラは、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)と同じ基準フレームで追跡されることに留意されたい。次いで、外科用ステープラは、ナビゲーションシステムを使用して最適な切除マージンまで誘導され得る。
【0102】
あるいは、必要に応じて、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)は、ワイヤベースの電磁センサを担持することができる。この場合、基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)が配置された後、病変18をマークするように、基準センサのワイヤ14は、次いで、画像誘導下で、病変18に最も近いスポットにおいて肺実質を通って皮膚の表面まで気管支鏡で押される。図42を参照されたい。
【0103】
基準センサ10(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)がワイヤベースの電磁センサを担持する本発明の更に別の形態では、ワイヤ14は電磁センサへの取り外し可能な接続を有する。次いで、ステープラを使用して切除線を確立した後、ワイヤ14を電磁センサから取り外し、気道を引き上げる。図43を参照されたい。
【0104】
本発明の更に別の形態では、図44図52を参照すると、基準センサ10を組織塊18内又は組織塊18に隣接して気管支鏡で配置するための気管支鏡センサユニット100が設けられる。
【0105】
より具体的には、ここで図44図46を見ると、気管支鏡センサユニット100(図44)は、一般に、Jバー及び導線アセンブリ105(図45)及び配置アセンブリ110(図46)を含む。
【0106】
Jバー及び導線アセンブリ105は、一般に、Jバーアセンブリ115及び導線120を含む。Jバーアセンブリ115は、上述の基準センサ10及び上述の分岐20を担持する上述のフック構造16を含む。導線120の一端125は、基準センサ10に接続されて、導線120に供給される電力が、基準センサ10に電力を供給することができる。導線120の他端130は、非外傷性先端135を含む。導線120は、疎水性編組線で覆われて、配置アセンブリ110の管腔150(以下を参照)を通るJバー及び導線アセンブリ105の容易な挿入及び後退を可能にする。
【0107】
あるいは、必要に応じて、非外傷性先端135の代わりに、Jバー及び導線アセンブリ105の遠位端は、導線120の遠位端が肺から出た後に導線120が肺に再進入するのを防止することができる第2のアンカーを含んでもよい。言い換えれば、この第2のアンカーは、配置後の導線120の遠位端の逆行移動を防止するであろう。更に、本発明のそのような形態では、Jバーアセンブリ115の分岐120は、配置アセンブリ110から取り外された後のJバーアセンブリ115の順行移動を防止する構成を有することができる。例えば、導線120の遠位端にある分岐135A、及びJバーアセンブリ115の遠位端にある分岐20Aを示す図46A及び図46Bを参照されたい。分岐135Aは、導線120の遠位端の配置後の近位方向の移動を防止し、分岐20Aは、Jバーアセンブリ115の配置後の遠位方向移動を防止する。
【0108】
配置アセンブリ110は、針カニューレ140及びプッシャ145を含む。針カニューレ140は、中空管150を含み、鋭い先端155で終端する。プッシャ145は、シャフト160を含む。シャフト160の一端は、とがっていない遠位端165で終端する。シャフト160の他端は、ハンドル170で終端する。プッシャ145のシャフト160は、針カニューレ140の管腔150にスライド可能に収容されるように寸法決めされる。配置アセンブリ110の針カニューレ140は、気管支鏡の作業チャネルを通して挿入され得るように寸法決めされることに留意されたい。
【0109】
図44に見られるように、Jバー及び導線アセンブリ105並びにプッシャ145のシャフト160は、最初に針カニューレ140の管腔150内に配置され、Jバーアセンブリ115の分岐20は、真っ直ぐなコンフィギュレーションに弾性変形して、針カニューレ140の管腔150内に収容され、弾性変形した分岐20の近位端は、プッシャ145のとがっていない末端165のまさに遠位にある。また、Jバー及び導線アセンブリ105が針カニューレ140の管腔150内に配置される場合、導線120の非外傷性先端135は、弾性変形して、針カニューレ140内で実質的に真っ直ぐに位置することに留意されたい(図44は、本質的に概略的であるように意図されており、実際には導線120は、針カニューレ140の管腔150をより密接に充填する直径を有して、導線120の非外傷性先端135が、針カニューレ140内に閉じ込められた時に実質的に真っ直ぐに位置し、非外傷性先端135が針カニューレ140内に閉じ込められていない時に図45に示すコイル状のコンフィギュレーションに戻ることに留意されたい)。このようにして、針カニューレ140は、Jバー及び導線アセンブリ105を担持することができ、針カニューレ140は、Jバー及び導線アセンブリ105を、周囲の構造(例えば、気管支鏡、組織等)との接触から遮蔽する。しかし、プッシャ145の遠位方向移動は、針カニューレ140の管腔150からJバー及び導線アセンブリ105を排出することができる。
【0110】
好ましい使用方法では、患者の解剖学的構造に対するJバー及び導線アセンブリ105の意図された位置は、診断又は処置中のCT、CアームCT、MRI又は他の撮像法を使用して肺に配置する前に計画され、即ち、Jバーアセンブリ115の意図された位置、及び肺表面から出る時の導線120の出口点は、診断又は処置中のCT、CアームCT、MRI又は他の撮像法で事前に計画される。電磁(electromagnetic:EM)追跡座標は、当技術分野で周知の画像レジストレーションアルゴリズムを使用して、診断/処置中イメージング座標にマッピングされて、気管支鏡並びにJバー及び導線アセンブリ105をイメージング座標内で追跡する。Jバーアセンブリ115の位置は、腫瘍の近くにあるように、好ましくは気管支鏡標的位置と導線の出口位置とを結ぶ線に沿って選択され、一方、肺からの導線120の出口点は、(i)Jバー位置から肺表面(又は間裂表面)までの最短経路、又は(ii)外科医の選択に応じて選択される。
【0111】
限定ではなく例として、好ましい使用方法では、ここで図47図52を見ると、気管支鏡60の遠位先端が病変(即ち、組織塊)18の近くに配置されるまで、気管支鏡60が患者の気道を通って前進する。図47を参照されたい。気管支鏡60は、直接的な視覚化の下で前進させることができ、その位置は、気管支鏡60によって担持される1つ又は複数のセンサ180を使用して追跡することができることに留意されたい。あるいは、一時的な電気的接続がJバーアセンブリ115に提供されるならば(即ち、プッシャ145の一部を通電することによって等、針カニューレ140の内部を通って延びる電気的接続を介して)、Jバーアセンブリ115を使用して気管支鏡60の位置を追跡することができる。追跡される気管支鏡60の位置を、当技術分野で周知の種類の画像レジストレーションアルゴリズムを使用してイメージング座標(上記参照)にマッピングして、気管支鏡60を病変18に誘導することができる。
【0112】
次に、まだ行われていない場合、標的点185が、針カニューレ140が肺から出て胸膜腔に入ることが望まれる点として肺の外面上に同定される。図48を参照されたい。
【0113】
次いで、気管支鏡センサユニット100(配置アセンブリ110並びにその乗客であるJバー及び導線アセンブリ105を含む)は、その遠位端が気管支鏡60を通って肺を通り、標的点185を通って胸膜腔に前進する。図49を参照されたい。気管支鏡センサユニット100の遠位端は、気管支鏡60を介して、及び/又はスキャナの視覚化(例えば、CTイメージング、Cアームイメージング、超音波イメージング等)を介して、又は針カニューレ140の内部を通して一時的な電気的接続が確立されている場合には、一時的に電気的に接続されたJバーアセンブリ115を使用することによって、視覚的に誘導することができることに留意されたい。
【0114】
次に、配置アセンブリ110のプッシャ145を使用して、Jバー及び導線アセンブリ105を遠位方向に押して、(i)非外傷性先端135及び導線120の一部が針カニューレ140から胸膜腔に出ることができ、(ii)Jバーアセンブリ115が病変18に隣接して配置され得る(しかし、この時点で、Jバーアセンブリ115及び導線120の一部が針カニューレ140内に残っていることに留意されたい)。図50を参照されたい。
【0115】
次に、針カニューレ140は、プッシャ145を定位置に維持しながら近位に後退し、それにより、(i)標的点185からJバーアセンブリ115まで延在する導線120の一部、及び(ii)Jバーアセンブリ115を露出させる。針カニューレ140がJバーアセンブリ115の分岐20を越えて後退すると、分岐20はもはや針カニューレ140の管腔150内に拘束されず、自由に外向きに跳ねて組織内に植え付けられ、それによってJバーアセンブリ115(したがって、基準センサ10)を病変18に隣接して固定する。図51を参照されたい。この時点で、Jバーアセンブリ115が針カニューレ140の内部を介して電力に一時的に接続された場合、Jバーのワイヤは切断され、針カニューレ140内に引き込まれる。針カニューレ140を通過する導線のこの切断及び後退は、意図された切除線からそれらを除去するため望ましいことに留意されたい。
【0116】
次いで、電源クランプツール190が胸膜腔に前進され、肺から延びる導線120の一部にクランプされ、それによって導線120、したがってJバーアセンブリ115の基準センサ10に電力を供給する。図52を参照されたい。(気管支を通って前進した針カニューレ140及び気管支鏡60を介するのではなく)身体の外側の点から胸膜腔内に前進した電源クランプツール190を介して、Jバーアセンブリ115に電力を供給することによって、導線は意図された切除線を横切らないことに留意されたい。
【0117】
電源クランプツール190は、様々な形態をとることができる。電源クランプツール190は、本質的に、身体の外側から胸膜腔に延在し、肺から胸膜腔に延在する導線120の一部に電気的接続を行い、それによってJバーアセンブリ115に電力を供給するように構成された細長いツールである。限定ではなく例として、電源クランプツール190は、肺から胸膜腔に延びる導線120の一部の周りで閉じることができる一対の電気的に接続されたはさみ口を含むことができる。電源クランプツール190は、皮膚を通って延びる針又は皮膚表面に形成されたポートのいずれかを通って配置することができることに留意されたい。電源クランプツール190によって導線120に供給される電力は、Jバーアセンブリ115がEM追跡システムに接続することを可能にする。
【0118】
電力が供給されると、基準センサ10は電磁(EM)追跡システムと通信し、基準センサ10の位置(したがって、病変18の位置)をコントローラ48によって決定することができる。
【0119】
この時点で、外科用装置80(器具センサ85を担持する)を使用して肺内に所望の切除線を達成し、それによって肺の残りの部分から病変18を摘出することができる。Jバー及び導線アセンブリ105は、病変18から胸膜腔まで延在し、したがって摘出されている組織内に含まれ、切除線を横切らないことに留意されたい。言い換えれば、Jバー及び導線アセンブリ105は、常に病変18の外側にある。結果として、Jバーアセンブリ115の基準センサ10は、切除処置全体にわたって電力供給されたままであり得、切除処置を妨げず、Jバー及び導線アセンブリ105は、切除が完了した後に切除された組織と共に取り除かれる。
【0120】
上述したように、本発明の一形態では、気管支鏡60の遠位先端が病変(即ち、組織塊)18の近くに配置されるまで、気管支鏡60が患者の気道を通って前進する。また、上述したように、気管支鏡60は、直接的な視覚化の下で前進させることができ、その位置は、気管支鏡60によって担持される1つ又は複数のセンサ180を使用して追跡することができる。あるいは、一時的な電気的接続がJバーアセンブリ115に提供されるならば(即ち、プッシャ145の一部を通電することによって等、針カニューレ140の内部を通って延びる電気的接続を介して)、Jバーアセンブリ115を使用して気管支鏡60の位置を追跡することができる。したがって、Jバーアセンブリ115に一時的な電気的接続(即ち、プッシャ145の一部を通電することによって等、針カニューレ140の内部を通って延びる電気的接続を介して)を提供して、Jバーアセンブリ115が針カニューレ140内にある間にJバーアセンブリ115に電力供給することが望ましい可能性がある。
【0121】
Jバーアセンブリ115に一時的な電気的接続(即ち、プッシャ145の一部を通電することによって等、針カニューレ140の内部を通って延びる電気的接続を介して)を提供して、電源クランプツール190を肺から延びる導線120の一部に接続する前に、Jバーアセンブリ115に電力供給することが望ましい可能性がある。
【0122】
本発明の好ましい一形態では、ここで図52Aを見ると、Jバーアセンブリ115のための一時的な電気的接続は、以下のように提供することができる。Jバーアセンブリ115の基準センサ10は、近位電気コネクタ200(並びに基準センサ10から遠位に延びる導線120)を含む。プッシャ145はカニューレに挿入され、遠位電気コネクタ205を含む。プッシャ145を通って延びるワイヤ210(図示されていない電源に接続する)によって、プッシャ145の遠位電気コネクタ205に電力が供給される。Jバーアセンブリ115が針カニューレ140に着座している間、Jバーアセンブリ115の近位電気コネクタ200はプッシャ145の遠位電気コネクタ205に接続され、それによって基準センサ10に電力を供給する。Jバーアセンブリ115が患者の解剖学的構造内に配置された後(及び分岐20が組織内に設置された後)、プッシャ145が後退し、プッシャ145の遠位電気コネクタ205をJバーアセンブリ115の近位電気コネクタ200から分離し、それにより、プッシャ145を通って延びるワイヤ210によって供給される電力からJバーアセンブリ115を切断する。しかし、導線120及び電源クランプツール190(導線120に接続されている)を介してJバーアセンブリ115に依然として電力を供給することができることが理解されるであろう。
【0123】
<ステープラ関節運動測定>
外科用ステープラヘッドは、回転軸220を中心に関節運動して、病変を切除する間、所望の向きを提供することができる。器具センサ28は、外科用ステープラ26の関節運動ヘッドに配置され得る一方(例えば、図8及び図9に示すように)、これはステープラヘッド上の強磁性材料からの干渉を引き起こす可能性がある。したがって、実際には、器具センサ28は、ステープラヘッド上の強磁性材料からの干渉を回避するために、通常、関節運動点のすぐ近位、例えばステープラ先端から約10cmで、外科用ステープラ26のシャフト上に配置される。この位置では、器具センサ28は、外科用ステープラ26の回転軸220の近位にあり、それにより、器具センサ28は、ステープラ26の非関節運動部分に位置する。図53を参照されたい。結果として、外科用ステープラ26の非関節運動部分に配置された器具センサ28は、外科用ステープラ26の関節運動を捕捉しない。
【0124】
したがって、本発明の別の形態では、外科用ステープラ26は、ステープラのヘッドの関節運動角を測定するように構成される。より具体的には、好ましくは2つの部分を含む関節運動センサ225が提供される。関節運動センサ225の第1の部分230は、ステープラシャフト上に配置される。関節運動センサ225の第2の部分235は、関節運動ステープラヘッド上に配置される。関節運動センサ225の第1の部分230と第2の部分235との間の接続は、ステープラヘッドの関節運動端の角度を測定するフレキシブルエンコーダ回路を介する。エンコーダ回路は、好ましくは、ステープラヘッドの角度を測定するための改良された円形電位差計である。図54を参照されたい。ホイートストンブリッジ回路は、エンコーダ回路に生じる可変抵抗を測定して、ステープラ関節運動角を推定する。更に、外科用ステープラ26はまた、外科用ステープラ26上の関節運動センサ225の配置を確認するために、ステープラシャフト上にLEDインジケータ(図示せず)を含んでもよい。関節運動センサ225が外科用ステープラ26上に配置されると、回路は完了してLEDインジケータを点灯させる。
【0125】
必要に応じて、関節運動センサ225は、電気抵抗以外の方式を使用して、ステープラヘッド関節運動を測定することができ、例えば、光学エンコーダを使用してステープラヘッド関節運動を測定してもよく、又は磁気エンコーダを使用してステープラヘッド関節運動を測定してもよい。関節運動センサ225はまた、ステープラ装置26の特定の動作内部に内在化されてもよい。あるいは、第2のセンサ(図示せず)は、スリーブから先端に向かって関節を通過する弾性延長部上に配置されて、ステープラ関節運動角の直接測定を可能にする。この延長部は、テープ又は他の接着剤で固定されてもよい。
【0126】
<切除マージンの境界のマーキング及びステープラ位置決め>
本発明の一形態では、病変は、診断用CTイメージングから区域化されて、ナビゲーションシステムに入力される病変240の3Dモデルを作成する。本発明の別の形態では、病変は、放射線学的所見からの入力の有無にかかわらず、外科医による病変の直接視覚化に基づいて区域化されてもよい。外科医からの入力又は機械学習アルゴリズムに基づいて、切除マージンが決定される。所望の切除マージンだけ病変ラベルマップを拡大することで、切除マージン245に対する区域化モデルが生成される。図55及び図56を参照されたい。基準センサ(例えば、Tバー又はJバーアセンブリ)及び病変モデル240の位置が分かれば、追跡される外科用ステープラの位置を、病変モデル240及び推定された切除マージンモデル245に対して正確に推定することができる。
【0127】
上記に加えて、本発明の一形態では、ナビゲーションソフトウェアは、組織塊の大きさ及び推定診断に基づいて外科医によって定義された十分なマージンを確保するための距離に基づいて、外科医を誘導して、病変の周りを正確に切除することができる。図57図59を参照されたい。より具体的には、本発明の一形態では、ここで図60を見ると、ナビゲーションソフトウェアは、モデル化された切除マージン245の周囲の接線250を計算し、次いで、ステープル255をそれらの接線250のすぐ外側に配置するように外科医を誘導して、ステープル255が推定切除マージンモデル245の周りの接線経路に従う。
【0128】
組織塊を切除するための上記のシステム及び方法は、肺に関する手術のために記載されたが、それはまた、身体の任意の他の器官又は構造における病変の切除、例えば、乳房温存手術、肝臓切除、肉腫切除、部分的腎摘出又は肺楔状切除のための切除にも適用可能である。更に、組織塊を切除するための上述のシステム及び方法は、VATS又は低侵襲性手術に限定されない。
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【国際調査報告】