(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】総塩素含有量が低く、重金属残留物のないエポキシド及びその合成プロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 301/12 20060101AFI20221207BHJP
C07D 303/44 20060101ALI20221207BHJP
C07D 303/28 20060101ALI20221207BHJP
C07D 303/02 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C07D301/12
C07D303/44
C07D303/28
C07D303/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542305
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2020115790
(87)【国際公開番号】W WO2021052400
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201910875227.3
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522105654
【氏名又は名称】江蘇泰特爾新材料科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】韓建偉
(72)【発明者】
【氏名】賈泉
(72)【発明者】
【氏名】常楊軍
(72)【発明者】
【氏名】曹祥明
(57)【要約】
本発明はエポキシド樹脂の分野に関係し、より詳しくは総塩素含有量が低く、重金属残留物のないエポキシド及びその合成方法に関する。エポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含み;前記有機酸類化合物と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比は(1~1.5):1であり、得られたエポキシドは、高収率、低溶媒含有量、低色度、低塩素含有量、及び低金属イオン含有量を有し;同時に、エポキシドの反応システムは、シンプルで、環境に優しく、安全で制御可能であり、製造コストが低く、技術経済要件を満たすことができ、大規模な工業生産に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシドであって、前記エポキシドの調製原料が二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含み;前記有機酸類化合物と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比は(1~1.5):1であることを特徴とするエポキシド。
【請求項2】
前記溶媒と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の重量比が(2.5~3.5):1であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシド。
【請求項3】
前記有機酸類化合物の炭素原子の数が3~7であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシド。
【請求項4】
前記有機酸類化合物が、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、無水コハク酸及び無水マレイン酸のうちの少なくとも1つから選択されることを特徴とする請求項3に記載のエポキシド。
【請求項5】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物が4-ビニルシクロヘキセン、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレート、3-シクロヘキセニルメチルアクリレート及びポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルから選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1~4に記載のエポキシド。
【請求項6】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物が、4-ビニルシクロヘキセン、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、メタクリル酸-3-シクロヘキセンメチルエステル及びアクリル酸-3-シクロヘキセニルメチルエステルのうちの少なくとも1つから選択される場合、前記過酸化水素と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の環内二重結合のモル比が(1~1.7):1であることを特徴とする請求項5に記載のエポキシド。
【請求項7】
前記アルカリ塩が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム或は酢酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項1に記載のエポキシド。
【請求項8】
前記溶媒が芳香族溶媒、塩素化アルカン溶媒、エステル溶媒及びアルカン溶媒のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシド。
【請求項9】
前記芳香族溶媒が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン又はトリメチルベンゼンを含み、前記塩素化アルカン溶媒は、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、1.3-ジクロロプロパン又は1,2-ジクロロエタンを含み;前記エステル溶媒が、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル又は炭酸ジエチルを含み;前記アルカン溶媒が直鎖アルカン、分岐鎖アルカン又はシクロアルカンを含むことを特徴とする請求項8に記載のエポキシド。
【請求項10】
前記溶媒には、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、又はtert-ブタノールも含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシド。
【請求項11】
二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、冷却させ;有機酸類化合物を追加し;過酸化水素溶液を滴下し;静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を使用して前記下層の有機相-1を洗浄し、静置、分層して下層の有機相-2を取得し;精製してエポキシドを得ることが含まれることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項12】
前記混合洗浄液と溶媒の重量比が1:(2.5~3.5)であることを特徴とする請求項11に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項13】
前記過酸化水素溶液の滴下時間が1~3時間であることを特徴とする請求項11に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項14】
前記無機アルカリ溶液中の無機アルカリには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム又は水酸化アンモニウムが含まれ;前記無機アルカリ溶液の濃度が20~40wt%であることを特徴とする請求項11に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項15】
前記還元塩溶液中の還元塩には、亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、チオ硫酸ナトリウム又は硫酸第一鉄が含まれ;前記還元塩溶液の濃度が10~20wt%であることを特徴とする請求項11に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項16】
前記還元塩溶液が混合洗浄の40~45wt%を占めることを特徴とする請求項11及び14、又は14に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項17】
前記下層の有機相-2には水性洗浄液も含まれることを特徴とする請求項11に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項18】
前記水溶液の中に小分子アミン類物質及びトレハロースを含み;前記小分子アミン類物質及びトレハロースの総量は、水溶液の15~30wt%を占め;前記小分子アミン類物質とトレハロースの総量比が(3~5):1であることを特徴とする請求項17に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項19】
前記水溶液と溶媒の重量比が1:(2.5~3.5)であることを特徴とする請求項11及び17、又は18に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項20】
前記精製には、減圧蒸留と二次薄膜蒸留が含まれることを特徴とする請求項11に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項21】
前記二次薄膜蒸留には、順次に第一次薄膜蒸留及び第二次薄膜蒸留を実施することを含み;前記第一次薄膜蒸留の温度は30~90℃であり、圧力は200~250Paであり;前記第二次薄膜蒸留の温度は75~130℃であり;圧力は20~40Paであることを特徴とする請求項20に記載のエポキシドの合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年09月17日に中国特許庁に出願された出願番号がCN201910875227.3、発明名称が「総塩素含有量が低く、重金属残留物のないエポキシド及びその合成プロセス」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用によって本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明はエポキシド樹脂の技術分野に関し、特に総塩素含有量が低く、重金属残留物のないエポキシド及びその合成プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
脂環族エポキシ樹脂及びその硬化物は、優れた加工性、熱安定性、電気絶縁性及び紫外線耐性などの総合性能を備えており、既に航空宇宙、マイクロエレクトロニクスパッケージング及び電気絶縁などの重要な産業分野で広く使用されている。現代産業の高分子材料に対する性能と機能化の要求の高まりに対応して、近年、脂環族エポキシ樹脂の合成と特性に関する研究は非常に活発になっている。
【0004】
グリシジルエーテルエポキシ樹脂と比較して、脂環族エポキシ樹脂は、明確な分子量と分子構造、さまざまな合成方法及び強力な構造設計性を備えており、実際のニーズに合わせてその化学構造を変更が容易であるため、樹脂の物理的性質の調整が実現できる。脂環族エポキシ樹脂の優れた物理的性質の優れた特徴は、硬化前の室温で一般に液体であり、粘度が低いため、溶媒により希釈せずに直接塗料や電子パッケージ材料などの建設作業に使用できることが多く、ポッティング、流し込み、真空注入などの工程が容易になることである。脂環は、剛構造及び硬化後産物の高架橋密度により、異なる基板への良好な結合強度、高い熱変形温度、優れた耐薬品性、機械的及び電気的特性を備えている。脂環族エポキシ樹脂は、通常芳香環などの強い紫外線発色団を含まず、高電圧アークに曝されると、分解して二酸化炭素、一酸化炭素、水などの低分子揮発性物質を生成し、遊離炭素を発生して導電性経路を形成することがないため、高電圧漏れ性能に対する優れた耐性を備えている。優れた総合性能により、脂環族エポキシ樹脂は、近年、超大規模集積回路パッケージング、プリント回路基板製造、特殊光硬化コーティング、真空圧含浸技術用の大容量で耐高温性のモーター絶縁材料の分野で応用されている。
【0005】
従来技術の方法は、主に、従来の触媒法により調製された脂環族エポキシ樹脂を使用し、このタイプの触媒には通常、重金属イオン(タングステンWなど)が含まれているため、反応生成物にはそれに応じてあるの重金属イオン残留物も含まれ;重金属イオンを含む触媒の影響により、最終産物にも重金属イオンが残留し、この微量の重金属イオンもまた製品の硬化速度(即ちゲル化時間)に影響を与え、硬化中の分子内架橋が影響を受け、製品のゲル化時間が長くなり、それによって生産効率と製品品質に影響を及ぼす。不飽和脂環族化合物を有機過酸のエポキシ化反応により得られる脂環族エポキシ樹脂は、その遊離塩素や金属イオンの含有量が非常に少なく、比較的過酷な場所の要件を満たすことができ、大きな利点がある。
【発明の概要】
【0006】
従来技術に存在するいくつかの問題を考慮して、本発明の第一の方面はエポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含み;前記有機酸類化合物と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比は(1~1.5):1である。
【0007】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記溶媒と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の重量比は(2.5~4.5):1である。
【0008】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記有機酸類化合物の炭素原子の数は3~7である。
【0009】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記有機酸類化合物は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、無水コハク酸及び無水マレイン酸のうちの少なくとも1つから選択される。
【0010】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物は、4-ビニルシクロヘキセン、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレート、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレート及びポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルから選択される少なくとも1つである。
【0011】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物が、4-ビニルシクロヘキセン、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレート、3-シクロヘキセニルメチルアクリレートのうちの少なくとも1つから選択される場合、前記過酸化水素と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の環内二重結合のモル比は(1~1.7):1である。
【0012】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記アルカリ塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は酢酸ナトリウムを含む。
【0013】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記溶媒は、芳香族溶媒、塩素化アルカン溶媒、エステル溶媒、アルカン溶媒のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
本発明の一種の好ましい技術スキームとして、前記芳香族溶媒は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン又はトリメチルベンゼンを含み;
前記塩素化アルカン溶媒には、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、1.3-ジクロロプロパン又は1,2-ジクロロエタンが含まれる。
【0015】
前記エステル溶媒には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル又は炭酸ジエチルが含まれ;
前記アルカン溶媒には、直鎖アルカン、分岐鎖アルカン又はシクロアルカンが含まれる。
【0016】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記溶媒はまた、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール又はtert-ブタノールを含む。
【0017】
本発明の二つ目の方面は、エポキシドを合成する方法を提供し、前記エポキシドを合成する方法は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、冷却させ;有機酸類化合物を追加し;過酸化水素溶液を滴下し;静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を使用して有機相-1を洗浄し、静置、分層して下層の有機相-2を取得し;精製してエポキシドを得ることが含まれる。
【0018】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記混合洗浄液と溶媒の重量比は、1:(2.5~3.5)である。
【0019】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記過酸化水素の滴下時間は1~3時間である。
【0020】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記無機アルカリ溶液中の無機アルカリには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム又は水酸化アンモニウムが含まれ;
前記無機アルカリ溶液の濃度は20~40wt%である。
【0021】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記還元塩溶液中の還元塩には、亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、チオ硫酸ナトリウム又は硫酸第一鉄が含まれ;
前記還元塩溶液の濃度は10~20wt%である。
【0022】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記還元塩溶液は、混合洗浄溶液の40~45wt%を占めている。
【0023】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記下層の有機相-2を水溶液で洗浄する。
【0024】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記水溶液の中には前記小分子アミン類物質及びトレハロースを含み;
前記小分子アミン類物質及びトレハロースの総量は、好ましくは、水溶液の15~30wt%を占め;
前記小分子アミン類物質とトレハロースの重量比は(3~5):1である。
【0025】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記水溶液と溶媒との重量比は1:(2.5~3.5)である。
【0026】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記精製には、減圧蒸留及び二次薄膜蒸留が含まれる。
【0027】
本発明の一つの好ましい技術的解決策として、前記二次薄膜蒸留には、順次に第一薄膜蒸留及び第二薄膜蒸留を実施することを含み;前記第一薄膜蒸留の温度は30~90℃であり、圧力は200~250Paであり;前記第二薄膜蒸留の温度は75~130℃であり;圧力は20~40Paである。
【発明の効果】
【0028】
従来技術と比較して本発明は以下の有益な効果を有する:
本発明によって得られたエポキシドは、高収率、低溶媒含有量、低色度、低塩素含有量、及び低金属イオン含有量を有し;同時に、エポキシドの反応システムは、シンプルで環境に優しく、安全で制御可能であり、製造コストが低く、技術経済要件を満たすことができ、大規模な工業生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一つ目の側面は、エポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含み;前記有機酸類化合物と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比は(1~1.5):1である。
【0030】
本発明によって提供されるエポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物を含む。
【0031】
本発明では、前記脂環族化合物は、好ましくは、一種の炭素環族化合物であり、脂肪族化合物の一般的性質及び炭素環式構造を有する化合物である。
【0032】
一実施形態では、前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物は、好ましくは、4-ビニルシクロヘキセン、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレート、3-シクロヘキセニルメチルアクリレート及びポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルから選択される少なくとも1つである。
【0033】
一実施形態では、前記ポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルは、好ましくは、ポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテル(3:1)、CAS:244772-00-7である。
【0034】
本発明によって提供されるエポキシドの調製原料には、過酸化水素が含まれる。
【0035】
一実施形態では、前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物が、4-ビニルシクロヘキセン、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレート、3-シクロヘキセニルメチルアクリレートのうちの少なくとも1つから選択される場合、前記過酸化水素と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の環内二重結合のモル比は好ましくは(1~1.7):1である。
【0036】
本発明では、前記環内二重結合は、アルカン環の二重結合を指す。
【0037】
一実施形態では、前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物が好ましくはポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテル(3:1)である場合、前記過酸化水素とポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテル(3:1)における環内二重結合のモル比は好ましくは(1~1.5):1であり;より好ましくは、前記過酸化水素とポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテル(3:1)における二重結合のモル比は1.2:1である。
【0038】
一実施形態では、前記過酸化水素溶液の濃度は、好ましくは30~50wt%であり、より好ましくは、前記過酸化水素溶液の濃度は35wt%である。
【0039】
本発明によって提供されるエポキシドの調製原料には、有機酸類化合物が含まれる。
【0040】
本発明では、有機酸類化合物は、有機酸及び酸無水物の総称である。
【0041】
一実施形態では、前記有機酸類化合物の炭素原子の数は、好ましくは3~7であり;.より好ましくは、前記有機酸類化合物は、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸及び無水マレイン酸のうちの少なくとも1つから選択され;より好ましくは、前記有機酸類化合物は無水酢酸であり、さらに好ましくは、前記無水酢酸の純度は98~100wt%であり、前記無水酢酸は、購入メーカーについて特に限定しない。
【0042】
実験により、特定の量の過酸化水素、有機酸類化合物及び二重結合を持つ不飽和脂環族化合物により、得られる脂肪族エポキシ樹脂の収率を上げ、無色透明性を向上させるのに有益であり、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の含有量が多い場合、不飽和脂環族化合物から自己重合した生成物の収率が低下すると考えられ;システムの過酸化水素が多すぎると、システムで一部の水が生成され、得られたエポキシ化合物の一部の加水分解も促進され、同時に、一部の不飽和脂環族化合物或は得られるエポキシドを酸化してケトンを形成することも可能であり、同時に、一部のジエポキシドも生成されるため、反応系の分解、酸化などの反応が同時に行われて、収量が減少し、且つ得られた樹脂には黄変が発生し、ディスプレイランプの電子製品への応用に影響を与え;有機酸類化合物の含有量が多すぎると、反応系に酸の濃縮が生じる可能性があり、得られたエポキシ樹脂の分解が促進され、収率が低下する。
【0043】
本発明によって提供されるエポキシドの調製原料には、溶媒が含まれる。
【0044】
一実施形態では、前記溶媒と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の重量比は、好ましくは(2.5~4.5):1であり、より好ましくは、前記溶媒と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の重量比は、3:1である。
【0045】
本発明の前記溶媒は、好ましくは、芳香族溶媒、塩素化アルカン溶媒、エステル溶媒及びアルカン溶媒のうちの少なくとも1つである。
【0046】
一実施形態では、前記芳香族溶媒は、好ましくはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン又はトリメチルベンゼンを含み、前記塩素化アルカン溶媒は、好ましくはクロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、1.3-ジクロロプロパン又は1,2-ジクロロエタンを含み;前記エステル溶媒は、好ましくは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル又は炭酸ジエチルを含み;前記アルカン溶媒は、好ましくは、直鎖アルカン、分岐鎖アルカン又はシクロアルカン、より好ましくは、n-ヘキサン又はシクロヘキサンを含む。
【0047】
一実施形態では、前記溶媒にはさらに、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール又はtert-ブタノールを含む。
【0048】
一実施形態では、前記溶媒は、好ましくはトルエンであり、前記トルエンは購入メーカーについて特に限定しない。
【0049】
本発明によって提供されるエポキシドの調製原料は、アルカリ塩を含む。
【0050】
一実施形態では、前記アルカリ塩は、好ましくは、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム又は酢酸ナトリウムを含む。一実施形態では、前記アルカリ塩は、より好ましくは、酢酸ナトリウムであり、前記酢酸ナトリウムは購入メーカーについて特に限定しない。
【0051】
本発明は、反応過程中に生成される酸性物質をアルカリ塩で中和することにより、反応系のpHを調節し、一方では、システム内の酸の濃縮が回避され、不適切な温度制御がもたらされると同時に、得られたエポキシドの分解が回避され;他方では、酸化反応が促進される。
【0052】
本発明の二つ目の方面は、エポキシドを合成する方法を提供し、前記エポキシドを合成する方法は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、アルカリ塩、溶媒を混合し、冷却させ;静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を使用して有機相-1を洗浄し、静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;精製し、エポキシドを得る方法である。
【0053】
一実施形態では、前記エポキシドの合成方法は、以下のステップを含む:
(1)二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、有機酸類化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、冷却し;
(2)過酸化水素溶液を滴下し、反応させ;
(3)静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を使用して有機相-1を洗浄し、静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;
(4)精製して前記エポキシドが得られる。
【0054】
ステップ(1)
一実施形態では、前記冷却温度は好ましくは5~15℃であり;より好ましくは、前記冷却温度は10~15℃である。
【0055】
本発明では、前記冷却温度が低すぎると初期反応が遅く、過酸の蓄積により後期の反応温度の制御が困難になる可能性があり;前記冷却温度が高すぎると、過酸化水素が分解しやすくなり、反応が不完全になる。本発明では、当該温度範囲内までに冷却して過酸化水素水を滴下するため、反応温度の制御が容易で、副反応が少なく;過酸化水素水は酸化性が強く、反応は放熱反応であり、低温環境下で、反応を穏やかにさせ、反応の初期発熱が激しくなり、温度が急激に上昇して制御不能となり、生産安全上のリスクにつながることを防止する。
【0056】
ステップ(2)
一実施形態では、ステップ(2)の特定のプロセスは、過酸化水素溶液を滴下し、次に2~6時間反応を続ける。
【0057】
一実施形態では、前記過酸化水素の滴下時間は好ましくは1~3時間であり;より好ましくは前記過酸化水素の滴下時間は2時間である。
【0058】
一実施形態では、前記ステップ(2)のシステムの温度は、好ましくは15~25℃であり;より好ましくは、前記ステップ(2)のシステム温度は20℃である。
【0059】
一実施形態では、前記ステップ(2)のシステムのpHは、好ましくは、3.0~4.5であり;より好ましくは、前記ステップ(2)のシステムのpHは、3.5~4.2である。
【0060】
本発明では、過酸化水素を添加する場合、ゆっくりと滴下する方法を採用し、且つ滴下する時間を1~3時間に制御し、滴下が完了した後、次に15~25℃で反応を継続すると、反応効率を効果的に向上でき、即ち、短時間の反応時間で得られるエポキシ樹脂の収率が高く、且つ色ができるだけ透明であり、システム温度と滴下時間を当該範囲に制御しているため、反応を安全、スムーズ、効率的に実行されることが保証されると考えられ;温度が高く、時間が短いと反応が激しく制御できなくなり、時間が短すぎると材料間の接触が不十分になり、一部の反応物の残留物と自己重合が生じるだけでなく、生成されたエポキシ樹脂分子が酸化性物質と完全に接触し、酸化が促進され、製品の収量を減らし;時間が長すぎると、得られたエポキシ樹脂は酸性系を含み、酸化性物質が一時的に不足しているため、システム内の求核性物質は、内部張力の高いエポキシ樹脂と反応しやすいため、得られるエポキシ樹脂の分解や副生成物の生成を促進し、収率を低下させる。
【0061】
ステップ(3)では、本発明は、ステップ(2)により得られるシステムを静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を使用して有機相-1を洗浄し、静置、分層して、下層の有機相-2を取得する。
【0062】
一実施形態では、ステップ(3)の特定のプロセスが:静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を加えて撹拌し、有機相-1を洗浄し、静置、分層して、下層の有機相-2を取得する。
【0063】
一実施形態では、前記pHは好ましくは10~12であり;より好ましくは、前記pHは11である。
【0064】
一実施形態では、前記攪拌時間は、好ましくは20~40分間であり、より好ましくは、前記攪拌時間は30分間である。
【0065】
一実施形態では、前記混合洗浄液と溶媒の重量比は、好ましくは1:(1.5~5.5)である。
【0066】
一実施形態では、前記無機アルカリ溶液の濃度は、好ましくは20~40wt%であり;より好ましくは、前記無機アルカリ溶液の濃度は30wt%である。
【0067】
一実施形態では、前記過還元塩溶液の濃度は、好ましくは10~20wt%であり、より好ましくは、還元塩溶液の濃度は10wt%である。
【0068】
一実施形態では、前記還元塩溶液は、好ましくは、洗浄液の40~45wt%を占めている。
【0069】
一実施形態では、、前記無機アルカリには、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム又は水酸化アンモニウムが含まれ;より好ましくは、前記無機アルカリは水酸化ナトリウムであり、前記水酸化ナトリウムの購入メーカーについて特に限定しない。
【0070】
一実施形態では、前記還元塩は、好ましくは、亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、チオ硫酸ナトリウム又は硫酸第一鉄を含み;より好ましくは、前記還元塩は亜硫酸ナトリウムであり、前記亜硫酸ナトリウムの購入メーカーについて特に限定しない。
【0071】
実験により、得られた反応液を同時に無機アルカリと還元塩で洗浄することは、最終製品の収率の向上に役立ち、無色透明のエポキシ樹脂の形成を促進し、攪拌プロセス中に、還元塩とシステム内の酸化物質の相互作用が原因で、システムで得られたエポキシ樹脂のさらなる酸化を回避したと考えられ;無機塩基は、反応溶液中の残留酸性溶液を中和できるため、システム内で遊離イオン状態を示し、有機相から水相に移動し、同時に、中和プロセス中、還元性物質と酸化性物質の生成物が継続的に減少され、それによって酸化性物質の作用を促進し、システムの収率を向上させることを見出した。
【0072】
本発明では、洗浄液中の還元塩の含有量を調整及び制御すると、製品の収率及び色度をさらに最適化でき、還元塩が多すぎると、システム内のアルカリ液の中和は飽和状態に達し、還元塩は酸化されやすく、酸の濃縮を引き起すため、有機酸の一部が有機相に残り、エポキシ樹脂の分解が促進される。
【0073】
また、洗浄液と有機溶媒の比率を調整することで、製品の収率や色度をさらに最適化でき、これは、洗浄液が少ないと有機相中の小分子不純物を完全に中和及び還元できないため、飽和に達すると有機相中に小分子不純物が残っているためと考えられ;洗浄液の含有量が多い場合、攪拌プロセス中、エポキシ樹脂の大きな立体障害及び環状構造のために、有機相が内側に収縮する傾向がある微小球構造の存在は、水相への小分子不純物の自由移動の程度に影響し、製品の色度を低下させる。
【0074】
一つの好ましい実施形態では、ステップ(3)の特定のプロセスが:静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を加え、一定のpHを保ち、有機相-1を攪拌、洗浄し;静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;次に水溶液で洗浄して、下層の有機相-3を得た。
【0075】
一実施形態では、前記水溶液と溶媒の重量比は好ましくは、好ましくは1:(2.5~3.5)であり;より好ましくは、前記水溶液と溶媒の重量比は、1:3である。
【0076】
一実施形態では、前記水溶液の中には、好ましくは、前記小分子アミン類物質及びトレハロースを含み;さらに好ましくは、前記小分子アミン類物質及びトレハロースの総量は、好ましくは、水溶液の15~30wt%を占め;より好ましくは、前記小分子アミン類物質及びトレハロースの総量が水溶液の20wt%を占めている。
【0077】
一実施形態では、前記小分子アミン類物質とトレハロースの重量比は、好ましくは(3~5):1であり;より好ましくは、前記小分子アミン類物質とトレハロースの重量比は4:1である。
【0078】
一実施形態では、前記小分子アミン類物質は、好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシエチルエチレンジアミン及びN-アセチルエチレンジアミンのいずれか1つから選択され;より好ましくは、前記小分子アミン類物質はN-アセチルエチレンジアミンである。
【0079】
本発明では、粗製品をトレハロース及び小分子アミン類物質でさらに洗浄すると、生成物の収率と色をさらに良好にさせ、トレハロースは、分子量が比較的大きくて、水溶性化合物であるため、洗浄及び攪拌プロセス中にエポキシ樹脂の脂肪族セグメントと相互作用できるため、有機相の比較的集中かつ密になった分子鎖が引き伸ばされて、システム内の小分子不純物分子の相対的な自由度を向上させ;他方では、攪拌プロセスでは、トレハロースと小分子不純物の作用力は、小分子不純物とエポキシ樹脂の間の作用力より高く、二重作用により洗浄効率が向上するが;トレハロースの分子量は比較的大きく、その鎖セグメントの回転自由度は比較的低く、システム内の小分子との接触能力は比較的低く、一方、小分子アミン類物質はトレハロースの作用下で、水相と有機相の間の界面の間をより容易に往復し、有機相における小分子を取り出し、次にトレハロースと相互作用してブリッジとして機能し;さらに、小分子アミン類物質はシステムにおける微量の金属元素と相互作用して、不純物を減らし、色を最適化でき;同時に、小分子アミンは求核基グループの存在下でN+を形成でき、さらに求核基グループと相互作用し、それによって求核基グループとエポキシ樹脂の相互作用を弱め、エポキシの分解を減らし、それによって不純物を減らす。
【0080】
本発明では、トレハロースと小分子アミン類物質の比率を調整して、最も優れた収率と色度を達成でき、トレハロース含有量が少ない場合、攪拌過程で、有機相における内向きに微小球構造に収縮した分子構造は伸長度が低く、より大きな立体障害を持つ分子鎖は膜を形成し、小分子不純物と小分子アミン類物質の自由な動きを妨げ、それによって不純物除去率を低下させ;小分子アミン類の含有量が少ない場合、中間架橋効果が低く、小分子不純物と水相との相互作用力が弱く、一部の不純物が有機相に残り、製品の色度が低下する。
【0081】
ステップ(4)、本発明は、ステップ(3)で得られた下層の有機相を精製して、エポキシドを得た。
【0082】
一実施形態では、ステップ(4)の特定のプロセスは:まず、減圧蒸留により精製し、次に二次薄膜蒸留により精製する。
【0083】
一実施形態では、前記減圧蒸留の真空度は、好ましくは-0.05~-0.1MPaであり、温度は好ましくは25~60℃であり、時間は好ましくは0.5~1時間であり;より好ましくは、前記減圧蒸留温度は-0.07MPaであり、温度は42℃、時間は0.75時間である。
【0084】
一実施形態では、前記二次薄膜蒸留には、順次に第一次薄膜蒸留及び第二薄膜蒸留を実施することを含み;前記第一次薄膜蒸留の温度は好ましくは30~90℃であり、圧力は好ましくは200~250Paであり;第二次薄膜蒸留の温度は75~130℃であり;圧力は好ましくは20~40Paである。
【0085】
一実施形態では、前記第一次薄膜蒸留時間は、好ましくは0.5~1.5時間であり、より好ましくは、第一次薄膜蒸留時間は1時間である。
【0086】
一実施形態では、前記第二次薄膜蒸留の時間は、好ましくは0.5~2時間である。
【0087】
本発明は、前記フィルムの材質に関して特に限定されるものではなく、本発明の実施形態では、前記薄膜の材料は、好ましくはスクレーパーであり、材質はステンレス鋼316Lである。
【0088】
本発明では、二次薄膜蒸留法を採用し、二回蒸留の温度と圧力を制御することにより、脂肪族エポキシ樹脂における溶媒含有量を効果的に低減でき、溶媒含有量を0.1%未満にし、同時に、脂肪族エポキシ樹脂の精製効率が向上し、即ち、非常に短時間で精製を完了させ、得られた脂肪族エポキシ樹脂が無色透明であることに有益であり、これは、まず低温高圧、次に高温低圧の薄膜蒸留方法により、エポキシ樹脂の溶媒や酸性物質及びその他の不純物を効果的に低減し、且つ、蒸留過程中の副反応の発生を効果的に回避できるためと考えられ、即ち、まず低温高圧の薄膜蒸留を行うことで、得られたエポキシ樹脂よりも沸点の低いエポキシ樹脂の求核基グループを減らし、内部張力が大きいエポキシ樹脂の分解を避け、且つ蒸留の始まりの段階では、システムの分子鎖間の内部摩擦が小さく、粘性も低く、熱パラメータも小さいが、小分子が比較的容易にシステム表面に移動するため、比較的短時間でシステムから除去するのに役立ち;しかしながら、得られたエポキシ樹脂には一定の立体障害があるため、小分子の移動の自由度が制限され、得られたエポキシ樹脂の溶媒含有量は依然として1~5%であり;また、高温低圧の蒸留後、システムにおける溶媒含有量をさらに減らすことができ、前の処理により、分子鎖が絡み合い、システムにおける内側の摩擦力が増加し、粘度が増加し、熱パラメータも増加するため、高温低圧下では、分子鎖の自由な動きが増加するため、内部溶媒はシステムの表面にさらに遊離し、システム内の関与する溶媒又は小分子不純物をさらに除去し、エポキシ樹脂の透明度と無色度を向上させる。
【0089】
本発明では、高温での一次薄膜蒸留により、8~15時間の蒸留後、得られたエポキシ樹脂における溶媒残留物は0.5~1%であり、淡黄色であり、これは、高温条件下でのシステム表面の溶媒又は小分子不純物の迅速な除去、およびエポキシ樹脂の表面での分子鎖が高度に絡み合うため、システム内部の溶媒或はその他の小分子不純物の表面へ遊離する速度と総量を妨げ、また、高温条件下では、不均一なエポキシ樹脂の分解や自己重合などの副反応が起こり、システムの不安定性が増し、それによって溶媒含有量及び得られたエポキシ樹脂の発色の程度が増加する。
【0090】
以下、本発明を実施例に関連してさらに説明する。
【0091】
実施例1
【0092】
本発明の実施例1は、エポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含む。
【0093】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物は、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレートであり;前記有機酸類化合物は酢酸無水物であり、前記酢酸無水物の純度は98wt%であり、前記酢酸無水物と3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレートのモル比は1.2:1であり;前記過酸化水素溶液の濃度は35wt%であり、前記過酸化水素と3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレートにおける環内二重結合のモル比は1.5:1であり;前記溶媒はトルエンであり、前記トルエンと3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレートの重量比は3:1であり;前記アルカリ塩は酢酸ナトリウムである。
【0094】
前記エポキシドの合成方法は、以下のステップを含む:
【0095】
(1)不飽和脂環族化合物、有機酸類化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、13℃に冷却し;
【0096】
(2)過酸化水素溶液を2時間滴下し、次に4時間反応を続け、当該ステップの温度を20℃に保ち、pHを3.7に保ち;
【0097】
(3)静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を加えて、20分間撹拌し、有機相-1を洗浄し、pHを11に保ち;静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;
【0098】
(4)まず、減圧蒸留により精製し、減圧蒸留の真空度は-0.07MPaであり、温度は42℃、時間は0.75時間であり、次に二次薄膜蒸留により精製し、二次薄膜蒸留における第一薄膜蒸留の温度は60℃、蒸留圧力は200Pa、蒸留時間は1時間であり、第二次薄膜蒸留の温度は80℃であり、蒸留圧力は20Pa、蒸留時間は1時間である。
【0099】
前記混合洗浄液と溶媒の重量比は1:4.4であり;前記無機アルカリ溶液の濃度は30wt%であり;前記還元塩溶液の濃度は10wt%であり;前記無機アルカリは水酸化ナトリウムであり;前記還元塩は亜硫酸ナトリウムであり、前記還元塩溶液は混合洗浄液の44wt%を占めている。
【0100】
実施例2
【0101】
本発明の実施例2は、エポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含む。
【0102】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物は、3-シクロヘキセニルメチルアクリレートであり;前記有機酸類化合物は酢酸無水物であり、前記酢酸無水物の純度は98wt%であり、前記酢酸無水物と3-シクロヘキセニルメチルアクリレートのモル比は1.25:1であり;前記過酸化水素溶液の濃度は35wt%であり、前記過酸化水素と3-シクロヘキセニルメチルアクリレートにおける環内二重結合のモル比は1.5:1であり;前記溶媒はトルエンであり、前記トルエンと3-シクロヘキセニルメチルアクリレートの重量比は3:1であり;前記アルカリ塩は酢酸ナトリウムである。
【0103】
前記エポキシドの合成方法は、以下のステップを含む:
(1)不飽和脂環族化合物、有機酸類化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、13℃に冷却し;
(2)過酸化水素溶液を2時間滴下し、次に4時間反応を続け、当該ステップの温度を20℃に保ち、pHを3.7に保ち;
(3)静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を加えて、20分間撹拌し、有機相-1を洗浄し、pHを11に保ち;静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;
(4)まず、減圧蒸留により精製し、減圧蒸留の真空度は-0.07MPaであり、温度は42℃、時間は0.75時間であり、次に二次薄膜蒸留により精製し、二次薄膜蒸留における第一次薄膜蒸留の温度は60℃、蒸留圧力は200Pa、蒸留時間は1時間であり、第二次薄膜蒸留の温度は80℃であり、蒸留圧力は20Pa、蒸留時間は1時間である。
【0104】
前記混合洗浄液と溶媒の重量比は1:4であり;前記無機アルカリ溶液の濃度は30wt%であり;前記還元塩溶液の濃度は10wt%であり;前記無機アルカリは水酸化ナトリウムであり;前記還元塩は亜硫酸ナトリウムであり、前記還元塩溶液は混合洗浄液の44wt%を占めている。
実施例3
【0105】
本発明の実施例3は、エポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含む。
【0106】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物はテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルであり;前記有機酸類化合物は酢酸無水物であり、前記酢酸無水物の純度は98wt%であり、前記酢酸無水物とテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルのモル比は1.4:1であり;前記過酸化水素溶液の濃度は35wt%であり、前記過酸化水素とテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルにおける環内二重結合のモル比は1.7:1であり;前記溶媒はトルエンであり、前記トルエンとテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの重量比は3:1であり;前記アルカリ塩は酢酸ナトリウムである。
【0107】
前記エポキシドの合成方法は、以下のステップを含む:
(1)不飽和脂環族化合物、有機酸類化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、13℃に冷却し;
(2)過酸化水素溶液を2時間滴下し、次に2時間反応を続け、当該ステップの温度を20℃に保ち、pHを3.7に保ち;
(3)静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を加えて、20分間撹拌し、有機相-1を洗浄し、pHを11に保ち;静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;
(4)まず、減圧蒸留により精製し、減圧蒸留の真空度は-0.07MPaであり、温度は42℃、時間は0.75時間であり、次に二次薄膜蒸留により精製し、二次薄膜蒸留における第一薄膜蒸留の温度は70℃、蒸留圧力は200Pa、蒸留時間は1時間であり、第二薄膜蒸留の温度は100℃であり、蒸留圧力は20Pa、蒸留時間は1時間である。
【0108】
前記混合洗浄液と溶媒の重量比は1:5.2であり;前記無機アルカリ溶液の濃度は30wt%であり;前記還元塩溶液の濃度は10wt%であり;前記無機アルカリは水酸化ナトリウムであり;前記還元塩は亜硫酸ナトリウムであり、前記還元塩溶液は混合洗浄液の41wt%を占めている。
実施例4
【0109】
本発明の実施例4は、エポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含む。
【0110】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物は、ポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテル(3:1)、商品名TTA3150であり;前記有機酸類化合物は酢酸無水物であり、前記酢酸無水物の純度は98wt%であり、前記酢酸無水物とポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルのモル比は1.4:1であり;前記過酸化水素溶液の濃度は35wt%であり、前記過酸化水素とポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルにおける二重結合のモル比は1.2:1であり;前記溶媒はトルエンであり、前記トルエンとポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルの重量比は3:1であり;前記アルカリ塩は酢酸ナトリウムである。
【0111】
前記エポキシドの合成方法は、以下のステップを含む:
(1)不飽和脂環族化合物、有機酸類化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、13℃に冷却し;
(2)過酸化水素溶液を2時間滴下し、次に4時間反応を続け、当該ステップの温度を20℃に保ち、pHを3.7に保ち;
(3)静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を加えて、20分間撹拌し、有機相-1を洗浄し、pHを11に保ち;静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;
(4)まず、減圧蒸留により精製し、減圧蒸留の真空度は-0.07MPaであり、温度は42℃、時間は0.75時間であり、次に二次薄膜蒸留により精製し、二次薄膜蒸留における第一薄膜蒸留の温度は90℃、蒸留圧力は200Pa、蒸留時間は1時間であり、第二薄膜蒸留の温度は120℃であり、蒸留圧力は20Pa、蒸留時間は2時間である。
【0112】
前記混合洗浄液と溶媒の重量比は1:1.6であり;前記無機アルカリ溶液の濃度は30wt%であり;前記還元塩溶液の濃度は10wt%であり;前記無機アルカリは水酸化ナトリウムであり;前記還元塩は亜硫酸ナトリウムであり、前記還元塩溶液は混合洗浄液の44wt%を占めている。
実施例5
【0113】
本発明の実施例5は、エポキシドを提供し、前記エポキシドの調製原料は、二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含む。
【0114】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物は、4-ビニルシクロヘキセンであり;前記有機酸類化合物は酢酸無水物であり、前記酢酸無水物の純度は98wt%であり、前記酢酸無水物と4-ビニルシクロヘキセンに対するモル比は1.2:1であり;前記過酸化水素溶液の濃度は35wt%であり、前記過酸化水素と4-ビニルシクロヘキセンにおける環内二重結合のモル比は1.7:1であり;前記溶媒はトルエンであり、前記トルエンと4-ビニルシクロヘキセンの重量比は3:1であり;前記アルカリ塩は酢酸ナトリウムである。
【0115】
前記エポキシドの合成方法は、以下のステップを含む:
(1)不飽和脂環族化合物、有機酸類化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、13℃に冷却し;
(2)過酸化水素溶液を2時間滴下し、次に2時間反応を続け、当該ステップの温度を20℃に保ち、pHを3.7に保ち;
(3)静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を加えて、20分間撹拌し、有機相-1を洗浄し、pHを11に保ち;静置、分層して、下層の有機相-2を取得し;
(4)まず、減圧蒸留により精製し、減圧蒸留の真空度は-0.07MPaであり、温度は42℃、時間は0.75時間であり、次に二次薄膜蒸留により精製し、二次薄膜蒸留における第一薄膜蒸留の温度は30℃、蒸留圧力は240Pa、蒸留時間は1時間であり、第二薄膜蒸留の温度は75℃であり、蒸留圧力は30Pa、蒸留時間は0.5時間である。
【0116】
前記混合洗浄液と溶媒の重量比は1:2.7であり;前記無機アルカリ溶液の濃度は30wt%であり;前記還元塩溶液の濃度は10wt%であり;前記無機アルカリは水酸化ナトリウムであり;前記還元塩は亜硫酸ナトリウムであり、前記還元塩溶液は混合洗浄液の45wt%を占めている。
実施例6
【0117】
本発明の実施例6はエポキシドを提供し、その特定の実施形態は実施例4と同じである。
【0118】
前記エポキシドの合成方法は、その具体的な実施形態は、前記工程(3)によって下層の有機相-2を得た後、次に水溶液で洗浄して、下層の有機相-3が得られ;前記水溶液と溶媒の重量比は1:3であり;前記小分子アミン類物質とトレハロースの総量が水溶液の20wt%を占め;前記小分子アミン類物質とトレハロースの重量比は4:1であることを除いて、実施例4の実施形態と同じである。
実施例7
【0119】
本発明の実施例7はエポキシドを提供し、その特定の実施形態は実施例6と同じである。
【0120】
前記エポキシドの合成方法は、具体的な実施方法は、前記小分子アミン物質が3-メチレンシクロブチルアミンであることを除いて、実施例6と同じである。
実施例8
【0121】
本発明の実施例8はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例6と同じである。
【0122】
前記エポキシドの合成方法では、具体的な実施方法は、前記水溶液は20wt%のトレハロースを含んでいることを除いて、実施例6と同じである。
実施例9
【0123】
本発明の実施例9はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例6と同じである。
【0124】
前記エポキシドの合成方法では、具体的な実施方法は、前記水溶液には20wt%の小分子アミンが含まれていることを除いて、実施例6と同じである。
実施例10
【0125】
本発明の実施例10はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0126】
前記エポキシドの合成方法では、具体的な実施方法は、前記混合洗浄液と溶媒の重量比が1:1であることを除いて、実施例4と同じである。
実施例11
【0127】
本発明の実施例11はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0128】
前記エポキシドの合成方法では、具体的な実施方法は、前記還元塩溶液が混合洗浄液の55wt%を占めることを除いて、実施例4と同じである。
実施例12
【0129】
本発明の実施例12はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0130】
前記エポキシドの合成方法では、具体的な実施方法は、前記過酸化水素溶液を滴下する時間が10分間であることを除いて、実施例4と同じであるが、安全上の理由から操作性がない。
実施例13
【0131】
本発明の実施例13はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0132】
前記エポキシドの合成方法では、その具体的な実施方法は、前記過酸化水素溶液の滴下添加時間が5時間であることを除いて、実施例4と同じである。
実施例14
【0133】
本発明の実施例14はエポキシドを提供し、前記有機酸類化合物と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比が5:1であることを除いて、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0134】
前記エポキシドの合成方法は、その具体的な実施方法は、実施例4と同じである。
実施例15
【0135】
本発明の実施例15はエポキシドを提供し、前記有機酸類化合物と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比が1:5であることを除いて、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0136】
前記エポキシドの合成方法は、その具体的な実施方法は、実施例4と同じである。
実施例16
【0137】
本発明の実施例16はエポキシドを提供し、前記過酸化水素と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比が7:1であることを除いて、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0138】
前記エポキシドの合成方法は、その具体的な実施方法は、実施例4と同じである。
実施例17
【0139】
本発明の実施例17はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0140】
前記エポキシドの合成方法では、その具体的な実施方法は、前記ステップ(4)が、まず減圧蒸留により精製し、減圧蒸留の真空度が-0.07MPaであり、温度が42℃であり、時間が0.75時間であり、次に一次薄膜蒸留により精製し、一次薄膜蒸留の温度が120℃であり、蒸留圧力が85Pa、蒸留時間が14時間であることを除いて、実施例4と同じである。
実施例18
【0141】
本発明の実施例18はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0142】
前記エポキシドの合成方法では、その具体的な実施方法は、第二薄膜蒸留の圧力が200Paであることを除いて、実施例4と同じである。
実施例19
【0143】
本発明の実施例19はエポキシドを提供し、その具体的な実施形態は実施例4と同じである。
【0144】
前記エポキシドの合成方法は、その具体的な実施方法は、有機相-1を前記洗浄液で洗浄する場合は、まず無機アルカリ溶液の洗浄を実行してから、次に還元塩溶液の洗浄を実行することを除いて、実施例4と同じである。
【0145】
性能評価
1.エポキシ当量試験:実施例1~11、13~19で最終的に得られたエポキシドのエポキシ当量をGB/T4612-2008に従って試験し、試験結果を表1に示す。
【0146】
2.溶媒含有量試験:実施例1~11及び13~19で最終的に得られたエポキシドの溶媒含有量をガスクロマトグラフィーに従って試験し;実施例1~5の一次薄膜蒸留後のエポキシドの溶媒含有量をガスクロマトグラフィーによって試験し、試験結果を表1に示す。
【0147】
3.収率試験:実施例1~11、13~19で最終的に得られたエポキシドの収率は、質量収率に従って試験され、実際に得られた製品の質量が応器に追加された原材料の質量の百分率のことを指し、試験結果を表1に示す。
【0148】
4.色度試験:実施例1~11、13~19で最終的に得られたエポキシドの色度は、GB/T9282.1~2008透明液体-プラチナ・コバルトスケールによる色の評価の第1部分:視覚的方法で試験を実施し、試験結果を表1に示す。
【0149】
5.ハロゲン含有量試験:実施例1~5、10、11及び17で最終的に得られたエポキシド中の塩素元素の含有量をイオンクロマトグラフィーに従って試験し、試験結果を表2に示す。
【0150】
表1 実施例1~11及び13~19で最終的に得られたエポキシドの性能試験結果
【表1】
【0151】
表2 実施例1~5、10、11、及び17で最終的に得られたエポキシドの総塩素含有量
【表2】
【0152】
表1及び表2の試験結果から分かるように、本発明によって提供されるエポキシドは、高収率、低溶媒含有量、低色度、低塩素含有量、低調製コストを有し、大規模工業生産に適している。
【0153】
以上の実施例の説明は、本発明の方法とそのコアとなる考え方を理解するためのものである。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対していくつかの改良及び修正が可能であり、これらも本発明の請求項の保護範囲に含まれることに留意されたい。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で定義された一般原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施例で実施できる。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシドであって、前記エポキシドの調製原料が二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、過酸化水素、有機酸類化合物、溶媒及びアルカリ塩を含み;前記有機酸類化合物と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物のモル比は(1~1.5):1であることを特徴とするエポキシド。
【請求項2】
前記溶媒と二重結合を持つ不飽和脂環族化合物の重量比が(2.5~3.5):1であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシド。
【請求項3】
前記有機酸類化合物の炭素原子の数が3~7であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシド。
【請求項4】
前記二重結合を持つ不飽和脂環族化合物が4-ビニルシクロヘキセン、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、3-シクロヘキセニルメチルメタアクリレート、3-シクロヘキセニルメチルアクリレート及びポリ[(2-ビニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロピレングリコールエーテルから選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1~
3に記載のエポキシド。
【請求項5】
前記アルカリ塩が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム或は酢酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項1に記載のエポキシド。
【請求項6】
前記溶媒が芳香族溶媒、塩素化アルカン溶媒、エステル溶媒及びアルカン溶媒のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシド。
【請求項7】
二重結合を持つ不飽和脂環族化合物、アルカリ塩及び溶媒を混合し、冷却させ;有機酸類化合物を追加し;過酸化水素溶液を滴下し;静置、分層して下層の有機相-1を取得し、無機アルカリ溶液及び還元塩溶液の混合洗浄液を使用して前記下層の有機相-1を洗浄し、静置、分層して下層の有機相-2を取得し;精製してエポキシドを得ることが含まれることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項8】
前記混合洗浄液と溶媒の重量比が1:(2.5~3.5)であることを特徴とする請求項
7に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項9】
前記無機アルカリ溶液中の無機アルカリには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム又は水酸化アンモニウムが含まれ;前記無機アルカリ溶液の濃度が20~40wt%であることを特徴とする請求項
7に記載のエポキシドの合成方法。
【請求項10】
前記還元塩溶液中の還元塩には、亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、チオ硫酸ナトリウム又は硫酸第一鉄が含まれ;前記還元塩溶液の濃度が10~20wt%であることを特徴とする請求項
7に記載のエポキシドの合成方法。
【国際調査報告】