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特表2022-552054蛍光セラミックス及びその製造方法、光源装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】蛍光セラミックス及びその製造方法、光源装置
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/78 20060101AFI20221208BHJP
   C04B 35/64 20060101ALI20221208BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20221208BHJP
   C09K 11/00 20060101ALI20221208BHJP
   C09K 11/02 20060101ALI20221208BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20221208BHJP
   C04B 35/117 20060101ALN20221208BHJP
【FI】
C04B35/78
C04B35/64
C04B38/00 303Z
C09K11/00 Z
C09K11/02 Z
C09K11/08 B
C04B35/117
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506668
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020112198
(87)【国際公開番号】W WO2021037226
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】201910808533.5
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522042418
【氏名又は名称】シェンチェン ライティング インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】リ,キアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シュァイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤンガン
【テーマコード(参考)】
4G019
4H001
【Fターム(参考)】
4G019FA13
4H001CA01
4H001CA02
4H001CF02
(57)【要約】
【課題】本発明は、レーザ照明表示の技術分野に関し、蛍光セラミックス及びその製造方法、光源装置を開示する。
【解決手段】該蛍光セラミックスは、セラミックス基体と、セラミックス基体内に分散された蛍光粉体とを含むものであって、セラミックス基体の結晶粒内部には気孔が形成されている。上記形態によって、本発明は、蛍光セラミックスの発光効率を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光セラミックスであって、
セラミックス基体と、前記セラミックス基体内に散布された蛍光粉体と、を含み、前記セラミックス基体の結晶粒内部には気孔が形成されていることを特徴とする蛍光セラミックス。
【請求項2】
前記セラミックス基体の結晶粒内部には、均一に分布した複数の前記気孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光セラミックス。
【請求項3】
前記気孔の孔径は、0.1μm~2μmであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光セラミックス。
【請求項4】
前記蛍光粉体の粒径は、5μm~30μmであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光セラミックス。
【請求項5】
前記セラミックス基体の結晶粒径は、5μm~20μmであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光セラミックス。
【請求項6】
蛍光セラミックスの製造方法であって、
セラミックスマトリックス原料粉体を提供するステップと、
前記セラミックスマトリックス原料粉体を焼結し、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得るステップと、
前記第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結することによって、前記気孔を前記セラミックス基体の結晶粒の内部に保持するステップと、を含むことを特徴とする蛍光セラミックスの製造方法。
【請求項7】
前記セラミックスマトリックス原料粉体を焼結し、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得る前記ステップは、
一部の前記セラミックスマトリックス原料粉体を取得して焼結し、第1粉体ブランクを得ることであって、残りの前記セラミックスマトリックス原料粉体が第2粉体であるステップと、
前記第1粉体ブランクを破砕し、ラッピングし、結晶粒内部に前記気孔が形成された前記第1粉体を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記一部の前記セラミックスマトリックス原料粉体を取得して焼結し、第1粉体ブランクを得るステップは、
取得された一部の前記セラミックスマトリックス原料粉体を温度1600℃~1800℃の雰囲気に配置して2h~6h焼結し、前記第1粉体ブランクを得るステップ、を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1粉体の粒径は、前記第2粉体の粒径よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結するステップは、
前記第1粉体、前記第2粉体、前記蛍光粉体及び焼結助剤を混合して焼結するステップであって、前記焼結助剤が酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化チタンのうちの少なくとも一種であるステップ、を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記焼結助剤は、少なくとも酸化チタンを含むことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1粉体、前記第2粉体、前記蛍光粉体及び焼結助剤を混合して焼結するステップは、
前記第1粉体、前記第2粉体、前記蛍光粉体及び前記焼結助剤をボールミリングして混合し、第1混合粉体ブランクを得るステップと、
前記第1混合粉体ブランクを真空又は保護ガス雰囲気に配置して保温焼結し、第2混合粉体ブランクを得るステップであって、焼結温度が1300℃~1600℃であり、焼結時の圧力が20MPa~180MPaであり、焼結時間長が0.5h~4hであるステップと、
前記第2混合粉体ブランクを空気雰囲気に配置してアニール処理を行い、前記蛍光セラミックスを得るステップであって、前記アニール処理の温度が1200℃~1400℃であり、時間長が5h~20hであるステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記蛍光粉体の質量は、前記第1混合粉体ブランクの総質量の30%~70%を占め、前記焼結助剤の質量は、前記第1混合粉体ブランクの総質量の0.1%~1%を占め、かつ、前記第1粉体と前記第2粉体との質量比は、4:6~7:3であることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光セラミックスを含むことを特徴とする光源装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ照明表示の技術分野に関し、特に蛍光セラミックス及びその製造方法、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ照明表示技術は、主に青色レーザ光で蛍光材料を励起するによって他の波長帯の蛍光を取得する。レーザ照明及び表示技術の継続的な発展に伴い、蛍光材料の各性能に対する要求も高くなってきている。従来の蛍光材料は、光変換効率、発光輝度及び熱伝導性が低く、かつより高いパワー密度の青色レーザ光などに耐えることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、本発明が主に解決しようとする技術課題は、蛍光セラミックスの発光効率を向上させることができる蛍光セラミックス及びその製造方法、光源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術課題を解決するために、本発明による一態様は、蛍光セラミックスを提供することであり、該蛍光セラミックスは、セラミックス基体と、セラミックス基体内に散布された蛍光粉体とを含み、セラミックス基体の結晶粒内部には気孔が形成されている。
【0005】
本発明の一実施例において、セラミックス基体の結晶粒内部には、均一に分布した複数の気孔が形成されている。
【0006】
本発明の一実施例において、気孔の孔径は、0.1μm~2μmである。
【0007】
本発明の一実施例において、蛍光粉体の粒径は、5μm~30μmである。
【0008】
本発明の一実施例において、セラミックス基体の結晶粒径は、5μm~20μmである。
【0009】
上記技術課題を解決するために、本発明による他の態様は、セラミックスマトリックス原料粉体を提供することと、セラミックスマトリックス原料粉体を焼結し、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得ることと、第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結することによって、気孔をセラミックスマトリックスの結晶粒内部に保持することと、を含む蛍光セラミックスの製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の一実施例において、セラミックスマトリックス原料粉体を焼結し、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得るステップは、一部のセラミックスマトリックス原料粉体を取得して焼結し、第1粉体ブランクを得ることであって、残りのセラミックスマトリックス原料粉体は、第2粉体であることと、第1粉体ブランクを破砕し、ラッピングし、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得ることとを含む。
【0011】
本発明の一実施例において、一部のセラミックスマトリックス原料粉体を取得して焼結し、第1粉体ブランクを得るステップは、取得された一部のセラミックスマトリックス原料粉体を温度1600℃~1800℃の雰囲気に配置して2h~6h焼結し、第1粉体ブランクを得ることを含む。
【0012】
本発明の一実施例において、第1粉体の粒径は、第2粉体の粒径よりも大きい。
【0013】
本発明の一実施例において、第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結するステップは、第1粉体、第2粉体、蛍光粉体及び焼結助剤を混合して焼結するステップを含み、ここで、焼結助剤は、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化チタンのうちの少なくとも一種である。
【0014】
本発明の一実施例において、焼結助剤は、少なくとも酸化チタンを含む。
【0015】
本発明の一実施例において、第1粉体、第2粉体、蛍光粉体及び焼結助剤を混合して焼結するステップは、第1粉体、第2粉体、蛍光粉体及び焼結助剤をボールミルして混合し、第1混合粉体ブランクを得ることと、第1混合粉体ブランクを真空又は保護ガス雰囲気に配置して保温焼結し、第2混合粉体ブランクを得ることであって、焼結温度が、1300℃~1600℃であり、焼結時の圧力が、20MPa~180MPaであり、焼結時間長が、0.5h~4hであることと、第2混合粉体ブランクを空気雰囲気に配置してアニール処理を行い、蛍光セラミックスを得ることであって、アニール処理の温度が、1200℃~1400℃であり、時間長が5h~20hであることと、を含む。
【0016】
本発明の一実施例において、蛍光粉体の質量は、第1混合粉体ブランクの総質量の30%~70%を占め、焼結助剤の質量は、第1混合粉体ブランクの総質量の0.1%~1%を占めており、かつ、第1粉体と第2粉体との質量比は、4:6~7:3である。
【0017】
上記技術課題を解決するために、本発明による別の他の態様は、光源装置を提供することであり、該光源装置は、上記実施例に記載された蛍光セラミックスを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。すなわち、従来技術と異なり、本発明は、蛍光セラミックスを提供し、該蛍光セラミックスのセラミックス基体の結晶粒の内部には気孔が形成されており、蛍光セラミックスがレーザ光(例えば青色レーザ光)に照射される際に、入射レーザ光がセラミックス基体の結晶粒内部の気孔を通過して散乱を生成することになり、散乱されたレーザ光がさらにその近傍のより多くの蛍光粉体を励起して発光させることができ、それによって蛍光セラミックスの発光効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例における技術案をより明瞭に説明するために、以下、実施例を記載するために使用する必要な図面を簡単に紹介し、明らかなように、以下に記載される図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創意工夫をかけない前提で、これらの図面から他の図面を得ることもできる。
図1】本発明の蛍光セラミックスの一実施例の構造概略図である。
図2】本発明の蛍光セラミックスの一実施例のミクロ構造概略図である。
図3】本発明の蛍光セラミックスの製造方法の一実施例のフローチャートである。
図4】本発明の蛍光セラミックスの製造方法の他の一実施例のフローチャートである。
図5】本発明の蛍光セラミックスの焼結過程の一実施例の構造概略図である。
図6】本発明の光源装置の一実施例の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明らかにするために、以下に、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。理解されるように、ここで記載される具体的な実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。なお、記載の便宜のために、図面において、全ての構造ではなく、本発明に関連する部分のみを示す。本発明における実施例に基づいて、当業者が創意工夫を要さずに想到しうる他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
本発明において「第1」、「第2」といった用語は、異なる対象を区別するために用いられており、特定の順序を説明するために用いられるものではない。また、用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変体は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。例えば、一連のステップ又は手段を含むプロセス、方法、システム、製品又は装置は、列挙されたステップ又は手段に限定されるものではなく、好ましくは、列挙されていないステップ又は手段をさらに含み、又は好ましくは、これらのプロセス、方法、製品又は装置にとって固有の他のステップ又は手段をさらに含む。
【0022】
本明細書で言及された「実施例」とは、実施例を結合して記述された特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各箇所で該フレーズが現れることは、必ずしも同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と排他的で独立した又は候補的な実施例でもない。当業者であれば、本明細書に記述された実施例を他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解することができる。
【0023】
レーザ照明及び表示技術に用いられる蛍光材料は、3種類に大きく分けることができる。第1種では、蛍光粉体は、有機シリカゲル/有機樹脂などの有機ポリマーによって封止される。青色レーザ光パワーの増加に伴い、有機マトリックスに封止された蛍光粉体が光変換を行う際に、生成された熱も急激に増加することによって、その自体の温度が大幅に上昇し、さらに封止されたシリカゲル/有機樹脂などの有機マトリックスの老化及び黄変を引き起こし、さらに光効率損失やライフタイムの減少などの問題を招致する。第2種では、蛍光ガラス材料であって、それは主に蛍光粉体をSiO基/ホウケイ酸塩基のガラスに封止するものである。蛍光ガラスは、有機樹脂に比べて、耐熱性、高い熱安定性、低い色ずれなどに大幅に改善されるが、熱伝導性能については、有機樹脂に比べて著しい改善がないものである。第3種では、蛍光セラミックスである。蛍光セラミックスは、有機マトリックス及び無機ガラスマトリックスで封止された蛍光材料に比べて、耐熱性にも熱伝導率にも顕著な利点を有するものである。蛍光セラミックスは、その優れた性能から、レーザ照明表示技術の重要な発展方向となっている。
【0024】
蛍光セラミックスは、2種類に分けられ、その一つは、YAG(YAl12、イットリウムアルミニウムガーネット)などの透明セラミックスに希土類元素をドープすることによって製造されてなり、それは、純相セラミックスである。もう一つは、蛍光粉体を高熱伝導率の透明セラミックスに封止することによって形成される複相のPIAセラミックスである。
【0025】
蛍光セラミックスについて、どのようにその発光効率を向上させるかは、重要である。蛍光セラミックスにおける純相セラミックス(例えば、上記第1種の蛍光セラミックス)は、自体の構造のため、励起光に対して高い利用率を有することは困難であり、それが励起される場合、その発光中心が相対的に少ないことによってその発光効率が悪い。対比的に、蛍光粉を透明セラミックスに封止して形成された蛍光セラミックスは、励起光に対して高い利用率を有することができる。したがって、複相構造の蛍光セラミックスは、よりメリットがある。
【0026】
これに鑑みて、本発明の一実施例は、蛍光セラミックスを提供し、蛍光セラミックスの発光効率を向上させることができる。該蛍光セラミックスは、セラミックス基体と、セラミックス基体内に分散された蛍光粉体とを含み、セラミックス基体の結晶粒内部には気孔が形成されている。以下に詳述する。
【0027】
図1を参照して、図1は、本発明の蛍光セラミックスの一実施例の構造概略図である。
【0028】
一実施例において、蛍光セラミックスは、セラミックス基体11と、セラミックス基体11内に散布された蛍光粉体12と、を含む。これから分かるように、蛍光粉体12は、セラミックス基体11内に封止され、蛍光セラミックスは、複相構造であり、高い励起光利用率を有し、蛍光セラミックスの発光効率を向上させることに有利である。
【0029】
例えば、セラミックス基体11の材質は、アルミナなどであってもよく、蛍光粉体12は、セラミックス基体11に封止され、セラミックス基体11は、透明状を呈し、蛍光粉体12の発光を阻害しない。アルミナセラミックスに基づく蛍光セラミックスは、そのミクロ組織構造が図2に示すように、蛍光粉体21が連続媒体アルミナ相22(すなわち、セラミックスマトリックス)内に均一に分布する。アルミナは、三方晶系に属するため、それに複屈折現象が存在する。レーザ光は、蛍光セラミックスにおいて複屈折によって散乱し、蛍光セラミックスにおいて散乱されたレーザ光は、さらにその近傍のより多くの蛍光粉を励起することができ、それは、発光効率がより高いことを示している。これも複相セラミックス(例えばPIAセラミックス)の発光効率が純相セラミックス(例えばYAGセラミックス)よりも優れた原因であり、この点は蛍光セラミックスの厚さが薄い場合に特に顕著である。
【0030】
本実施例は、これに基づいてセラミックス基体11の結晶粒内部に気孔13を形成し、レーザ光が気孔13に到達するときにさらに散乱が発生し、それによって入射レーザ光の散乱をさらに増加させ、散乱されたレーザ光は、さらにその近傍のより多くの蛍光粉体12を励起して発光させることができ、それによって蛍光セラミックスの発光効率を向上させる。
【0031】
なお、本実施例で述べた蛍光セラミックスは、結晶粒内部の気孔13が、結晶粒の境界に位置せず、結晶粒の中央部に近い領域に位置する。気孔13が結晶粒の境界に位置すると、セラミックスが粒界破壊を生じやすくなり、セラミックスの強度を大幅に低下させる。本実施例において、気孔13が結晶粒の中央部に近い領域に位置するため、セラミックス強度の低下を効果的に回避することができる。
【0032】
選択可能に、セラミックス基体11の結晶粒径は、5μm~20μmであることが好ましく、例えば、10μmなどである。発明者らは、大量の実験によって、結晶粒径が5μm~20μmのセラミックス基体11が連続相の形成に有利であり、蛍光セラミックスが良好な熱伝導能力を有することを保証しつつ、蛍光セラミックスの構造強度を保証することができることを見出した。
【0033】
さらに、セラミックス基体11の結晶粒内部には、均一に分布した複数の気孔13が形成されている。セラミックス基体11の結晶粒内部の気孔13が均一に分布することによって、入射したレーザ光がより一層気孔13に到達して散乱することができ、それによって入射したレーザ光の散乱をさらに増加させて、さらに蛍光セラミックスの発光効率を向上させることができる。
【0034】
選択可能に、気孔13の孔径は、0.1μm~2μmであることが好ましく、例えば、1μmなどである。発明者らは、大量の実験によって、孔径が0.1μm~2μmの気孔13が入射レーザ光の散乱を最大限に増加させることができるとともに、蛍光セラミックスの各方面の性能を保証することができることを見出した。
【0035】
さらに、蛍光粉体12は、Ce:YAG黄色蛍光粉体又はCe:LuAG緑色蛍光粉体等であってもよく、その粒径は、5μm~30μmであることが好ましく、例えば、15μmなどである。発明者らは、大量の実験によって、粒径が5μm~30μmの蛍光粉体12が、レーザ光によって励起されて発光することで、蛍光セラミックスに良好な発光効果を持たせることができることを見出した。
【0036】
以上のことから分かるように、本発明による蛍光セラミックス内の蛍光粉体は、レーザ光(例えば青色レーザ光)によって励起されて発光する。そして、セラミックス基体の結晶粒内部には気孔が形成されており、蛍光セラミックスがレーザ光に照射される際に、入射したレーザ光は、セラミックス基体の結晶粒内部の気孔を通過して散乱が発生し、散乱されたレーザ光はさらにその近傍のより多くの蛍光粉体を励起して発光させることができ、それによって蛍光セラミックスの発光効率を向上させる。
【0037】
以下は、上記実施例に記載された蛍光セラミックスの製造方法を説明する。
【0038】
図3を参照し、図3は、本発明の蛍光セラミックスの製造方法の一実施例のフローチャートである。なお、本実施例に記載された蛍光セラミックスの製造方法は、以下のステップに限定されるものではない。
【0039】
S101では、セラミックスマトリックス原料粉体を提供する。
本実施例において、蛍光セラミックスを製造するためにセラミックスマトリックス原料粉体を提供する。ここで、セラミックスマトリックス原料粉体は、蛍光セラミックスのセラミックスマトリックスを形成するために用いられる。
【0040】
S102では、セラミックスマトリックス原料粉体を焼結することによって、内部に気孔が形成された第1粉体を得る。
本実施例において、セラミックスマトリックス原料粉体を焼結することによって、第1粉体が得られる。第1粉体は、後続の蛍光セラミックスの製造プロセスにおいて蛍光セラミックスのセラミックスマトリックスを形成するために用いられる。ここで、第1粉体の結晶粒内部には気孔が形成され、入射レーザ光の散乱を増加させることによって、蛍光セラミックスの発光効率を向上させるために用いられる。
【0041】
S103では、第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結することによって、気孔をセラミックス基体の結晶粒内部に保持する。
本実施例において、上記ステップで得られた第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結し、すなわち、二次焼結を行うことによって、セラミックス基体及びセラミックス基体内に散布された蛍光粉体を得る。蛍光粉体は、レーザ光で励起されて発光し、蛍光セラミックスの発光機能を実現する。また、二次焼結によって、一次焼結で得られた気孔は、セラミックス基体の結晶粒内部に保持され、さらに結晶粒内に気孔が存在する蛍光セラミックスを製造した。
【0042】
図4を参照し、図4は、本発明の蛍光セラミックスの製造方法の他の実施例のフローチャートである。なお、本実施例に記載される蛍光セラミックスの製造方法は、以下のステップに限定されるものではない。
【0043】
S201では、セラミックスマトリックス原料粉体に対して前処理を行う。
本実施例において、第2粒径を有するセラミックスマトリックス原料粉体を提供し、セラミックスマトリックス原料粉体に対して前処理を行うことによって、第1粒径を有する第1粉体が得られる。具体的には、一部のセラミックスマトリックス原料粉体を取得して焼結し、第1粉体ブランクが得られ、残りのセラミックスマトリックス原料粉体が、すなわち第2粉体であることを含むことができる。第1粉体ブランクを破砕し、ラッピングし、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得る。ここで、セラミックスマトリックス原料粉体、第1粉体及び第2粉体は、同じ材質である。
【0044】
具体的には、取得された一部のセラミックスマトリックス原料粉体を坩堝(坩堝の材質がセラミックスマトリックス原料粉体、第1粉体と同じであり、セラミックスマトリックス原料粉体、第1粉体が坩堝と化学反応を起こすことを回避することができ、セラミックスマトリックス原料粉体、第1粉体の成分の安定性を維持することに有利である)に配置して、タッピングして圧密処理する。その直後に、マッフル炉で2h~6h焼結し、焼結温度を1600℃~1800℃にする。焼結が完了して冷却した後、第1粉体ブランク中の焼結ブロック体を破砕して、粒径が第1粒径になるまでボールミル粉砕すれば、第1粉体を得て、瓶詰めして使用に備え、セラミックスマトリックス原料粉体に対する前処理を完了する。
【0045】
S202では、第1粉体、第2粉体、蛍光粉体及び焼結助剤をボールミリングして混合し、第1混合粉体ブランクを得る。
本実施例において、前処理で得られた第1粉体、第2粉体、蛍光粉体及び焼結助剤をボールミリングして混合し(ボールミリングは当業者の理解範囲に属し、ここで説明を省略する)、第1混合粉体ブランクが得られて、後続の焼結段階に用いられる。ここで、第1粉体と第2粉体の質量比は、4:6~7:3であり、蛍光粉体は、第1混合粉体ブランクの総質量の30%~70%を占め、焼結助剤は、前記第1混合粉体ブランクの総質量の0.1%~1%を占めている。発明者らは、大量の実験データのまとめによって、第1粉体、第2粉体、蛍光粉体及び焼結助剤の添加量が上記に示されるようになる場合、製造された蛍光セラミックスが各方面で良好な性能を示すことができることを見出した。
【0046】
なお、第1粉体の粒径は、第2粉体の粒径より大きく、すなわち、第1粒径は、第2粒径よりも大きい。結晶粒径の小さい第2粉体と結晶粒径の大きい第1粉体を混合して焼結すると、第2粉体は、二次焼結の過程で第1粉体とよりよく融合して、第1粉体の各結晶粒を連続相に接続することができ、それによって最終的に製造された蛍光セラミックスのセラミックス基体が連続相となり、蛍光セラミックスが良好な熱伝導能力を持ち、その放熱に有利でありながら、良好な構造強度を有するようになる。
【0047】
選択可能に、第1粒径は、5μm~10μmであってもよく、第2粒径は、0.05μm~0.5μmであってもよい。発明者らは、大量の実験データのまとめによって、第1粉体及び第2粉体の上記最適な粒径範囲は、蛍光セラミックスにおける気孔の形成に最大限に有利であること、及び、セラミックス基体に連続相を形成できることを見出した。
【0048】
選択可能に、焼結助剤は、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化チタンのうちの少なくとも一種であってもよい。そして、焼結助剤は、酸化チタンであることが好ましく、酸化チタンを焼結助剤として添加することで、セラミックス基体に結晶内孔を形成しやすくなる。結晶内孔の形成は、主に価数変化チタンイオンによってセラミックス基体(例えばアルミナ材質のセラミックス基体)に大量の格子欠陥が現れ、さらにセラミックス基体と固溶体を形成し、粒界移動を促進して結晶内孔を形成する。気孔は界面拡散からバルク拡散に変換され、その拡散過程に必要なエネルギーがより高く排出しにくく、さらに結晶内孔の形成がより容易となる。
【0049】
S203では、第1混合粉体ブランクを焼結して、第2混合粉体ブランクを得る。
本実施例において、混合して得られた第1混合粉体ブランクを黒鉛研削工具に充填し、第1混合粉体に対して小さな圧力で予圧処理を行い、その後に第1混合粉体ブランクが充填された黒鉛研削工具をSPSホットプレス炉に配置し、真空又は保護ガスの雰囲気で保温焼結を行うことによって、第2混合粉体ブランクを得る。
【0050】
ここで、発明者は、大量の実験データのまとめによって、焼結温度が1300℃~1600℃であり、焼結時の圧力が20MPa~180MPaであり、焼結時間長が0.5h~4hである場合、第1混合粉体ブランクにおける各種粉体の間の焼結結合に最大限に有利であり、要求を満たす蛍光セラミックスを製造することができることを見出した。
【0051】
選択可能に、保護ガスは、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスなどの不活性ガス、又は他の化学的に不活性なガスであってもよく、ここで限定されない。
【0052】
なお、セラミックスマトリックス原料粉体を予備焼結することによって、互いに接触するセラミックスマトリックス原料粉体粒子が焼結過程において、点接触から面接触まで、焼結ネックを形成する。次に第1粉体ブランクの凝集塊を粉砕し、さらに未処理の第2粉体、蛍光粉体及び少量の焼結助剤と共に焼結する。焼結助剤は、予め処理して形成された大粒子の第1粉体と未処理の第2粉体及び蛍光粉体の表面に位置する。焼結過程において、焼結助剤は第1粉体と第2粉体との間の焼結を加速し、前処理された大粒子の第1粉体31内に気孔32が形成しやすく、かつ気孔32は排除しにくいため結晶粒の内部に残り、さらに図5に示されるように、結晶粒内に気孔が存在する蛍光セラミックスを取得する。小粒子の第2粉体は、第1粉体の結晶粒の間に充填することができ、それによって第1粉体と第2粉体で形成されたセラミックス基体は連続相となり、それが良好な熱伝導性能を備えることを保証する。
【0053】
S204では、第2混合粉体ブランクにアニール処理を行うことによって、蛍光セラミックスを得る。
本実施例において、第1混合粉体ブランクを焼結して第2混合粉体ブランクを得た後、蛍光セラミックスを得るために、第2混合粉体ブランクにアニール処理を行う必要がある。具体的には、第2混合粉体ブランクを空気雰囲気に配置してアニール処理を行う。アニール処理の温度は、1200℃~1400℃であり、時間長は、5h~20hである。
【0054】
S205では、蛍光セラミックスに対して後処理を行う。
本実施例において、アニール処理によって蛍光セラミックスの粗ブランクを得た後、蛍光セラミックスが製品の寸法仕様及び表面性質の要件を満たすように、蛍光セラミックスに後処理を行う必要がある。具体的には、蛍光セラミックスに対して行われる後処理は、ダイシング処理、ラッピング処理及びポリッシング処理などのうちの少なくとも一種を含む。ここで、ダイシング処理は、蛍光セラミックスの粗ブランクを製品に要求される大きさ、形状の蛍光セラミックスに切断することを目的とするものであり、ラッピング処理及びポリッシング処理は、蛍光セラミックスの表面平坦度、平滑度などの表面特性が製品の要求を満たすことを目的とするものである。
【0055】
上記した蛍光セラミックスの製造方法を結合し、以下に、いくつかの具体的な蛍光セラミックスの製造過程を例に挙げて説明する。
【0056】
第1実施例
【0057】
粒径が0.1μmのナノアルミナ粉末をアルミナ坩堝に配置して、タッピングして圧密処理し、用いられるアルミナの純度が99%以上である。その直後に、マッフル炉で1700℃の温度で4h予備焼結する。焼結が完了して冷却した後、アルミナ焼結ブロック体を破砕して、粒径が5~10μmの第1粉体になるまでボールミル粉砕し、瓶詰めして使用に備える。
【0058】
前処理されたアルミナ粉末(すなわち、第1粉体)と未処理のアルミナ粉末(すなわち、第2粉体)を質量比6:4にして、少量の無水エタノールとボールミリングして混合し、アルミナボール(アルミナ坩堝を選択することと同様な理由)を選択してボールミリング混合を行い、ボールミリング時間を24hにする。同時に、酸化マグネシウムを焼結助剤として添加し、それが粉体の総質量の0.5%を占める。一定量のYAG:Ce蛍光粉体を秤量し、それが粉体全体の50%を占め、1hボールミリング混合した後、スラリーを70℃で乾燥させ、その後に粉砕研磨し、篩にかけて処理する。
【0059】
混合された蛍光セラミックス粉体を黒鉛金型に充填し、粉体に対して小さい圧力で予圧処理を行い、その後に黒鉛金型をSPSホットプレス炉に設置し、真空雰囲気で、1500℃で1h保温焼結し、焼結時の圧力が50MPaである。焼結が完了した後に蛍光セラミックスを空気雰囲気で1200℃にて15hアニーリングする。最後に、蛍光セラミックスに対してダイシング、ラッピング及びポリッシング処理を行えば、粒内多孔質の蛍光セラミックスを得ることができる。
【0060】
第2実施例
【0061】
粒径が0.05μmのナノアルミナ粉末をアルミナ坩堝に配置して、タッピングして圧密処理し、用いられるアルミナの純度が99%以上である。その直後に、マッフル炉で1650℃の温度で5h予備焼結する。焼結が完了して冷却した後、アルミナ焼結ブロック体を破砕して、粒径が5~10μmの第1粉体になるまでボールミル粉砕し、瓶詰めして使用に備える。
【0062】
前処理されたアルミナ粉末(すなわち、第1粉体)と未処理のアルミナ粉末(すなわち、第2粉体)を質量比1:1にして、少量の無水エタノールとボールミリング混合し、アルミナボールを選択してボールミリング混合を行い、ボールミリング時間を16hにする。同時に、酸化マグネシウム及び酸化イットリウムを焼結助剤として添加し、それぞれが粉体の総質量の04%及び0.5%を占める。一定量のYAG:Ce蛍光粉体を秤量し、それが粉体全体の40%を占め、1hボールミリング混合した後、スラリーを70℃で乾燥させ、その後に粉砕研磨し、篩にかけて処理する。
【0063】
混合された蛍光セラミックス粉体を黒鉛金型に充填し、粉体に対して小さい圧力で予圧処理を行い、その後に黒鉛金型をSPSホットプレス炉に設置し、真空雰囲気で、1550℃で0.5h保温焼結し、焼結時の圧力が60MPaである。焼結が完了した後に蛍光セラミックスを空気雰囲気で1300℃にて8hアニーリングする。最後に、蛍光セラミックスに対してダイシング、ラッピング及びポリッシング処理を行えば、粒内多孔質の蛍光セラミックスを得ることができる。
【0064】
第3実施例(本実施例において前処理のプロセスを省略する)
【0065】
高純度のナノスケールのアルミナ粉末及び酸化チタン粉末(焼結助剤とする)を選択し、両者の純度は、いずれも99%以上である。両者を少量の無水エタノールとともにボールミルタンクに投入し、フッ化チタンは、粉体の総質量の1%を占め、高純度のアルミナボールを選択してボールミリングし、ボールミリング時間を20hにする。
【0066】
一定のYAG:Ce蛍光粉体を秤量し、それは、総粉体質量の60%を占める。1hボールミリングした後、60℃で真空乾燥を行い、その直後に粉砕研磨し、篩にかけて処理し、使用に備える。
【0067】
セラミック素体をホットプレス焼結炉に設置し、アルゴンガス雰囲気で、圧力が40MPaであり、1550℃で1h焼結する。ホットプレス焼結した後、蛍光セラミックスを空気雰囲気で、1350℃で10hアニール処理する。最後に、セラミックスに対して粗ラッピング、微ラッピング及びポリッシング処理を行って、粒内多孔質の蛍光セラミックスを得る。
【0068】
前記のように、本発明による蛍光セラミックスの製造方法は、粒径の大きさが異なるが同じ材質の第1粉体、第2粉体を提供し、その両者を蛍光粉体と混合して焼結することによって、蛍光粉体を第1粉体と第2粉体で形成されたセラミックス基体内に散布させ、かつ、セラミックス基体の結晶粒内部に気孔を形成する。蛍光セラミックスが青色レーザ光に照射される場合、青色入射レーザ光は、セラミックス基体の結晶粒内部の気孔を通過して散乱を生成し、散乱された青色レーザ光はさらにその近傍のより多くの蛍光粉体を励起して発光させることができ、それによって蛍光セラミックスの発光効率を向上させることができる。
【0069】
図6を参照し、図6は、本発明の光源装置の一実施例の構造概略図である。
【0070】
本実施例において、光源装置4は、蛍光セラミックス41を含む。蛍光セラミックス41は、上記実施例に記載された蛍光セラミックスであってもよく、ここで説明を省略する。光源装置4の具体的な応用形態は、固定式光源、マイクロ投影光源、テレビ及び他の投影装置等であってもよく、ここで限定されない。
【0071】
上記した記載は、本発明の実施形態にすぎず、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面を利用して行われた等価構造又は等価フロー変換、又は他の関連する技術分野に直接的又は間接的に応用することは、いずれも同様に本願特許請求の範囲内に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光セラミックスであって、
セラミックス基体と、前記セラミックス基体内に散布された蛍光粉体と、を含み、前記セラミックス基体の結晶粒内部には気孔が形成されていることを特徴とする蛍光セラミックス。
【請求項2】
前記セラミックス基体の結晶粒内部には、均一に分布した複数の前記気孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光セラミックス。
【請求項3】
前記気孔の孔径は、0.1μm~2μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光セラミックス。
【請求項4】
前記蛍光粉体の粒径は、5μm~30μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光セラミックス。
【請求項5】
前記セラミックス基体の結晶粒径は、5μm~20μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蛍光セラミックス。
【請求項6】
蛍光セラミックスの製造方法であって、
セラミックスマトリックス原料粉体を提供するステップと、
前記セラミックスマトリックス原料粉体を焼結し、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得るステップと、
前記第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結することによって、前記気孔を前記セラミックス基体の結晶粒の内部に保持するステップと、を含むことを特徴とする蛍光セラミックスの製造方法。
【請求項7】
前記セラミックスマトリックス原料粉体を焼結し、結晶粒内部に気孔が形成された第1粉体を得る前記ステップは、
一部の前記セラミックスマトリックス原料粉体を取得して焼結し、第1粉体ブランクを得ることであって、残りの前記セラミックスマトリックス原料粉体が第2粉体であるステップと、
前記第1粉体ブランクを破砕し、ラッピングし、結晶粒内部に前記気孔が形成された前記第1粉体を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記一部の前記セラミックスマトリックス原料粉体を取得して焼結し、第1粉体ブランクを得るステップは、
取得された一部の前記セラミックスマトリックス原料粉体を温度1600℃~1800℃の雰囲気に配置して2h~6h焼結し、前記第1粉体ブランクを得るステップ、を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1粉体の粒径は、前記第2粉体の粒径よりも大きいことを特徴とする請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1粉体と蛍光粉体を混合して焼結するステップは、
前記第1粉体、前記第2粉体、前記蛍光粉体及び焼結助剤を混合して焼結するステップであって、前記焼結助剤が酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化チタンのうちの少なくとも一種であるステップ、を含むことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記焼結助剤は、少なくとも酸化チタンを含むことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1粉体、前記第2粉体、前記蛍光粉体及び焼結助剤を混合して焼結するステップは、
前記第1粉体、前記第2粉体、前記蛍光粉体及び前記焼結助剤をボールミリングして混合し、第1混合粉体ブランクを得るステップと、
前記第1混合粉体ブランクを真空又は保護ガス雰囲気に配置して保温焼結し、第2混合粉体ブランクを得るステップであって、焼結温度が1300℃~1600℃であり、焼結時の圧力が20MPa~180MPaであり、焼結時間長が0.5h~4hであるステップと、
前記第2混合粉体ブランクを空気雰囲気に配置してアニール処理を行い、前記蛍光セラミックスを得るステップであって、前記アニール処理の温度が1200℃~1400℃であり、時間長が5h~20hであるステップと、を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記蛍光粉体の質量は、前記第1混合粉体ブランクの総質量の30%~70%を占め、前記焼結助剤の質量は、前記第1混合粉体ブランクの総質量の0.1%~1%を占め、かつ、前記第1粉体と前記第2粉体との質量比は、4:6~7:3であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光セラミックスを含むことを特徴とする光源装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
S203では、第1混合粉体ブランクを焼結して、第2混合粉体ブランクを得る。
本実施例において、混合して得られた第1混合粉体ブランクを黒鉛金型に充填し、第1混合粉体に対して小さな圧力で予圧処理を行い、その後に第1混合粉体ブランクが充填された黒鉛金型をSPSホットプレス炉に配置し、真空又は保護ガスの雰囲気で保温焼結を行うことによって、第2混合粉体ブランクを得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
高純度のナノスケールのアルミナ粉末及び酸化チタン粉末(焼結助剤とする)を選択し、両者の純度は、いずれも99%以上である。両者を少量の無水エタノールとともにボールミルタンクに投入し、酸化チタンは、粉体の総質量の1%を占め、高純度のアルミナボールを選択してボールミリングし、ボールミリング時間を20hにする。
【国際調査報告】