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特表2022-552063極端な交通挙動を定量化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】極端な交通挙動を定量化するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/10 20120101AFI20221208BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20221208BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221208BHJP
【FI】
B60W40/10
G08G1/00 D
B60W60/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510174
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2019072617
(87)【国際公開番号】W WO2021037329
(87)【国際公開日】2021-03-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ハグヴァル,リーナス
(72)【発明者】
【氏名】クリントベリ,エーミル
(72)【発明者】
【氏名】ウィグストロム,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】サンドブロム,フレデリク
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241CA15
3D241CA19
3D241CD12
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB08Z
3D241DB09Z
3D241DB12Z
3D241DC43Z
3D241DC45Z
3D241DC47Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
(57)【要約】
ロードユーザ挙動を定量化するための方法であって、ロードユーザ挙動のサンプルを取得するステップと、選択されたサンプルが予め決定された統計的極値分布に従うように、ロードユーザ挙動サンプルの部分集合を選択するステップと、選択されたロードユーザ挙動のサンプルに基づいて、予め決定された統計的極値分布をパラメータ化するステップと、パラメータ化された統計的極値分布に基づいて、ロードユーザ挙動を定量化するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードユーザ(230、240)挙動を定量化するための方法であって、
ロードユーザ挙動
【数1】
のサンプルを取得するステップ(S1)と、
選択されたサンプルが予め決定された統計的極値分布に従うように、前記ロードユーザ挙動サンプルの部分集合を選択するステップ(S2)と、
前記選択されたロードユーザ挙動のサンプルに基づいて、前記予め決定された統計的極値分布をパラメータ化するステップ(S3)と、
前記パラメータ化された統計的極値分布に基づいて、ロードユーザ挙動を定量化するステップ(S4)と
を含む方法。
【請求項2】
前記取得するステップは、予め記憶されたロードユーザ挙動サンプルの集合を取得するステップ(S11)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得するステップは、自車両(100)の動作中にロードユーザ挙動サンプルの集合を取得するステップ(S12)を含む、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記選択するステップは、閾値ζ、
【数2】
を越える前記ロードユーザ挙動のサンプルが前記予め決定された統計的極値分布に従うように、前記閾値ζを決定するステップ(S21)を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値ζを超えるロードユーザ挙動サンプル間を通過した時間を表わす超過メトリック間の時間を測定するステップ(S7)と、
前記超過メトリック間の時間に基づいてODDを監視するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予め決定された統計的極値分布は、一般パレート分布GDPである、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記予め決定された統計的極値分布は、一般極値分布GEVである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ロードユーザ挙動のサンプルは、ロードユーザ位置、ロードユーザヘディング、ロードユーザ長手速度、ロードユーザ横速度、ロードユーザ長手加速度、ロードユーザ横加速度、ロードユーザヨーレート、路面に対するロードユーザモーション、車線に対するロードユーザモーション、別のロードユーザに対するロードユーザモーション、および、ロードユーザの意図的シグナリング、ならびに、外部事象に応答するロードユーザ活動、のいずれかを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記予め決定された統計的極値分布に基づいて、1-γよりも大きい確率で範囲
【数3】
内に位置するように前記挙動を限界決めすることによって、限界決めされたモデルとして、前記ロードユーザ挙動を定量化するステップ(S41)を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記予め決定された統計的極値分布と関連付けされた信頼度βを決定するステップ(S5)を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記予め決定された統計的極値分布と関連付けされた前記信頼度βに基づいて挙動定量化のために収集されたロードユーザ挙動データの充足性を評価するステップ(S51)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータ化された予め決定された統計的極値分布をベースライン分布パラメータの集合と比較することによって、前記車両と関連付けされた運行設計領域ODDを監視するステップ(S6)を含み、
前記ODDの外側の動作は、パラメータ化された予め決定された統計的極値分布パラメータと、前記ベースライン分布パラメータとの間の差によって表わされる、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
プログラムがコンピュータ上または制御ユニット(110)の処理回路(710)上で実行されるときに請求項1から12のいずれか1項のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(800)。
【請求項14】
プログラム製品がコンピュータ上または制御ユニット(110)の処理回路(710)上で実行されるときに請求項1から12のいずれか1項のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(820)を担持するコンピュータ可読媒体(810)。
【請求項15】
ロードユーザ挙動を定量化するための、請求項1から12のいずれか1項に記載の前記方法の前記ステップを実行するように構成される制御ユニット(110)。
【請求項16】
請求項15に記載の制御ユニット(110)を含む車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極端な交通挙動を定量化するための方法、制御ユニットおよび車両に関する。本明細書に開示された方法は、自律的な運転、運転者支援システム、および、他の安全限界車両機能における用途がある。
【0002】
本発明は、トラック、セミトレーラ、建設機械などの重作業車両に適用できる。本発明は、主として貨物輸送タイプ車両について説明されることになるが、本発明は、この特定の車両に限定されず、建設機械、バス、および自動車などの他のタイプの車両にも使用できる。
【背景技術】
【0003】
自律的な運転システムや他の先進運転支援システム(ADAS)は、車両を危険に晒さずに、所与の目標を履行するために、どのように自己車両を制御するかについて絶えず判断を行う。これらの判断は、自己車両の状態だけでなく周囲環境の双方に関係する広範な様々な要因に基づく。
【0004】
周囲環境の重要な部分は、自車両の付近に位置するロードユーザ、例えば、他の車両や歩行者である。ロードユーザ挙動のモデルを構築でき、意思決定プロセスで使用できる。これらのモデルは、ロードユーザが或る形で挙動する可能性、例えば、どんなふうに自車両の前の車両が所与のシナリオで制動することになるか、どのぐらいその制動が強くなることになるかを説明する。
【0005】
米国特許第9,120,484号(B1)は、運転環境における対象物の観察に基づいてロードユーザ挙動をモデル化するためのシステムを考察している。
【0006】
ロードユーザ挙動のモデル化を観察に基づかせることについての課題は、急制動やほとんど起きない不意の旋回などの稀な挙動を正確にモデル化するために、多くのデータが要求されることである。そういった大量のデータを収集することは、費用もかかり時間も浪費し、場合によっては、実用的な見地から実行できないことすらある。
【0007】
信頼できるやり方で稀なロードユーザ挙動を効率的にモデル化するのを可能にする、極端な交通挙動を定量化する改善された方法が求められている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、極端なロードユーザ挙動を定量化およびモデル化するための方法を提供することである。この目的は、ロードユーザ挙動を定量化するための方法によって達成される。方法は、ロードユーザ挙動
【数1】
のサンプルを取得することと、選択されたサンプルが予め決定された統計的極値分布に従うように、ロードユーザ挙動サンプルの部分集合を選択することと、選択されたロードユーザ挙動のサンプルに基づいて、予め決定された統計的極値分布をパラメータ化することと、パラメータ化された統計的極値分布に基づいて、ロードユーザ挙動を定量化することと、を含む。
【0009】
開示された方法の重要な特徴は、ロードユーザ挙動を定量化する目的で必要とされる必要データ量が低減されることである。低減されたデータの集合に基づいて極端な挙動のモデル化を可能にすることによって、開発および試験時間は短縮され、これは利点である。また、その理由が大量すぎるデータを単に必要としたために以前は実行が可能でなかった幾つかのタイプの解析が、今では開示された方法によって使用可能である。
【0010】
開示された方法は、オフライン処理および/またはオンライン処理の双方に適用可能であり、これは利点である。オンライン処理は、例えば、より広範なオフライン処理を補完するために使用でき、改善されたモデル検証を、したがって、改善された車両動作をもたらす。
【0011】
予め決定された統計的極値分布は、例えば、一般パレート分布(GDP)または一般極値分布(GEV)とすることができる。これらの極値分布は、広範に研究されてきたが、それが意味することは、開示された方法がよく知られた頑強な解析技術を利用できることである。
【0012】
いくつかの態様によれば、方法は、閾値ζを超えるロードユーザ挙動サンプル間を通過した時間を表わす超過メトリック間の時間を測定すること、および、超過メトリック間の時間に基づいて運行設計領域(ODD)を監視すること、を含む。これは、比較的単純に決定できるメトリックであり、依然として、それは、車両がODDの外側で動作しているときの強力な指標である。
【0013】
幾つかの例によれば、ロードユーザ挙動のサンプルは、ロードユーザ位置、ロードユーザヘディング、ロードユーザ長手(縦)速度、ロードユーザ横速度、ロードユーザ長手(縦)加速度、ロードユーザ横加速度、ロードユーザヨーレート、路面に対するロードユーザモーション、車線に対するロードユーザモーション、別のロードユーザに対するロードユーザモーション、および、ロードユーザの意図的シグナリング、ならびに、外部事象に応答するロードユーザ活動、のいずれかを含む。したがって、提案された方法は、他の車両、歩行者、および自転車乗用者などの幅広い異なったタイプのロードユーザのために、幅広い異なったタイプのロードユーザ挙動をモデル化するために使用できる。ロードユーザ挙動のサンプリングは、幾つかの異なったやり方で実行でき、それは下で考察されることになる。
【0014】
幾つかの態様によれば、方法は、予め決定された統計的極値分布に基づいて、挙動の限界の集合によって、すなわち、1-γよりも大きい確率で範囲
【数2】
内に位置するように挙動を限界決めすることによって、ロードユーザ挙動を定量化することも含む。
【0015】
このように挙動を限界決めすることによって、例えば、制御理論からの公式の方法を使用可能であり、例えば、緊急操作中に安全状態に移行するときに車両状態の分析を可能にする。ロードユーザ挙動の限界は、オフラインとリアルタイムの双方で様々な運転シナリオのリスク評価も可能にする。開示された方法から得られる限界モデルは、車両による緊急操作をトリガすべきときを判断するために使用することもできる。このタイプの分析の例は、図3に関連して下で提供される。
【0016】
幾つかの他の態様によれば、方法は、予め決定された統計的極値分布と関連付けされた信頼値(信頼度)βを決定することを更に含む。
【0017】
この信頼度は、下でより詳細に考察されることになる。それは、パラメータ化されたGEVまたはGDPで得られる信頼性、すなわち、GEVやGDPが正確に利用可能データに適合するかどうかや、より多くのデータが良好な適合のために必要なのかどうか、を表わす。
【0018】
幾つかの更なる態様によれば、方法は、予め決定された統計的極値分布と関連付けされた信頼度βに基づく挙動定量化のために収集されたロードユーザ挙動データの充足性を評価することを含む。
【0019】
本明細書に開示された方法は、いつ所与の目的のためのデータ収集が行われるか、例えば、いつ十分な量のデータが、何らかのシナリオでロードユーザ挙動を定量化するために、収集されたか、について建設的フィードバックを提供することも可能にする。例えば、いくつかの態様によれば、方法は、パラメータ化されたGEVまたはGDPと関連付けされた信頼度βに基づいて、モデル正確性検証のために収集されたモデルデータの充足性を評価することを含む。
【0020】
開示された方法は、任意選択で、パラメータ化された統計的極値分布をベースライン分布パラメータの集合と比較することによって、車両と関連付けされた運行設計領域(ODD)を監視することを含むこともでき、ODDの外側の動作は、パラメータ化された統計的極値分布パラメータと、ベースライン分布パラメータとの間の差によって表わされる。換言すると、極値分布が決して以前に経験や設計のない何かに突然変化した場合に、車両は、「未知(uncharted)領域」で動作しており、何らかの緊急活動がトリガされる必要があり得る。
【0021】
換言すると、開示された方法の更に別の特徴は、中間結果がODDの少なくとも一部のモニタを構築するために使用できることである。これらの特定の態様は、上で考察された方法に依存しない独立したスタンドアロンの方法のための基盤として適用可能でもある。結果として、車両と関連付けされたODDを監視するための方法が本明細書に開示される。方法は、上で説明されたようにまたは幾つかの他の方法で、車両動作中のロードユーザ挙動のサンプルからパラメータ化されたGEVまたはGDPを取得することを含む。方法は、パラメータ化されたGEVまたはGDPをベースラインGEVまたはGDPパラメータの集合と比較することによって、車両と関連付けされたODDを監視することも含み、ODDの外側の動作は、パラメータ化されたGEVまたはGDPパラメータと、ベースラインパラメータとの間の差によって表わされる。
【0022】
様々な方法に関連して上で考察されたのと同じ利点に関連する制御ユニット、コンピュータプログラムおよび車両が本明細書に更に開示される。
【0023】
全体的に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で別段明示的に規定されない限り、技術分野のそれらの普通の意味に従って解釈されるべきである。「1つ(a)/1つ(an)/その(the)要素、装置、構成要素、手段、ステップ等々」に対する全ての参照は、別段明示的に記述されない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップ等々のうちの少なくとも1つの事例を参照していると開放的に解釈されるべきである。本明細書に開示された任意の方法のステップは、明示的に記述されない限り、開示された正確な順序で実行しなくてもよい。本発明の更なる特徴や利点は、添付された特許請求の範囲と次の説明を検討するときに明らかになろう。当業者は、本発明の様々な特徴が組み合わされて以下で説明されるそれら以外の実施形態を作成でき、本発明の範囲から逸脱しないことを理解する。
【0024】
添付された図面を参照して、以下には、例として言及される本発明の実施形態のより詳細な説明が続く。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】車両を概略例証する図である。
図2】車両による状況回避操作の例を示す図である。
図3】安全集合の例を示す図である。
図4】閾値動作の例を示す図である。
図5】閾値動作の別の例を示す図である。
図6】方法を例証するフローチャート図である。
図7】制御ユニットを概略例証する図である。
図8】コンピュータプログラム製品の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の態様は、今から添付図面を参照してより十分に説明されることになる。しかしながら、本明細書に開示された様々な装置および方法は、多くの異なった形態で実現でき、また、本明細書に記載された態様に限定されると解釈すべきではない。図面中の同様の符号は、全体を通して同様の要素を参照する。
【0027】
本明細書で使用される用語は、本開示の態様を単に説明するためであって、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、文脈が別のやり方で明瞭に示さない限り、複数形も含む。
【0028】
図1は、制御ユニット110を含む車両100を概略例証する。制御ユニット110は、様々なタイプのサポートシステムおよび先進運転者支援システム(ADAS)などの車両機能安全のためのシステムや自律的な運転(AD)のための機能を実装できる。
【0029】
車両は、制御ユニット110を含む車両制御システムを支援するために、オフライン計算を実行するように構成された処理デバイス130に接続120できる。接続120は、好ましくは、無線であるが、有線接続や、ハードドライブまたは同種のものなどの幾つかの記憶モジュールを介した接続にもできる。
【0030】
制御ユニット110、および潜在的には処理デバイス130も、サポートできる1つの機能例は、状況回避操作(situation avoidance maneuver)(SAM)の計画および実行である。安全停止操作は、SAMの一例である。しかしながら、SAMは、所与のレーンで一定の速度を維持することや障害物回避操作の実行を含むこともできる。一般に、状況回避操作のクラスは、検出された危険な状況などの不所望の状況を回避するために実行できる全ての操作を含む。SAMは、例えば、駐車困難な状況や同種のものに関係することもある。
【0031】
図2は、一例のSAMを例証する。車両100は、点Aにおいて、何かが誤っており、しかも、車両が安全停止操作を実行するのを必要とすることを検出する。例えば、車両100は、レーダシステム故障やカメラ不調状態など、点Aで幾つかのタイプのセンサ故障を経験した可能性がある。
【0032】
図2に例証されたSAMの例は、車両100を道路210の片側に移動させること、および、点Bで制御された様式で車両を停止させること、を含む。制御ユニット110は、したがって、SAMの間に車両100によって追従されるべき軌道220および関連速度プロファイルを決定する。
【0033】
適切な軌道および速度プロファイルを決定するときの課題は、他のロードユーザに対処しなければならないことである。例えば、他のロードユーザとの衝突を回避すべきことが好ましい。図2は、他車両230を、また、歩行者240も示す。これらのロードユーザは、当然ながらSAMの持続時間の間に移動することになる。十分に高い確率で、安全な方法で良好に実行されるSAMを決定するために、操作中に他のロードユーザ230、240の挙動に対処することが重要である。歩行者240は、例えば、稀な場合に、道路の非常に近くを歩くかまたは歩道であっても降りて道路に出る可能性がある。他車両230は、或る稀な場合に、誤った車線にドリフトする可能性もある。このタイプのロードユーザの稀な挙動をモデル化することによって、SAMが高確率で安全に実行できるように、十分な安全マージンを決定できる。
【0034】
本明細書では、「安全」は、幅広い解釈が与えられる。安全な操作または車両状態は、車両および/または車両占有者ならびに/あるいは他のロードユーザが負傷や損傷の観点から危険に晒されない状態であり得る。
【0035】
幾つかの例は、安全条件と非安全条件が与えられることがある。
【0036】
幾つかの態様によれば、衝突のリスクがあり得ない状況は、安全状態と考えることができる。
【0037】
幾つかの他の態様によれば、衝突のリスク危険があり得なくない状況であっても、対象物によっては、依然として安全状態と考えることができる。すなわち、小さな茂みや樹木との衝突は、安全と考えることができ、その一方で、別の車両やレンガ壁のような大きめの対象物との衝突は、非安全と考えることができる。
【0038】
幾つかの別の態様によれば、例えば、車両対車両(V2V)の通信を介して、衝突が低リスクで許容できると事前に決定されていた別の車両との衝突は、安全と考えることができる。
【0039】
態様によれば、車両が運転可能エリアから出るリスクを冒す状況は、非安全と考えられる。
【0040】
他の態様によれば、運転可能エリアから出ることは、上で考察された通り運転可能エリア外の土地の特性によっては、安全と考えることができる。
【0041】
車両状態は、車両が現在どの状態にあるかを一緒に説明する変数の集合体である。本明細書では、車両状態は、車両位置(座標)および配向(orientation)(例えば、ヘディング、操舵角、および関節角など)と関連付けされた変数を含む。車両状態は、車両動的状態、すなわち、車両速度、加速度、旋回速度等々と関連付けされた情報も含む。車両状態は、多くの場合、状態変数xのベクトルとして表わされる。下でより詳細に考察されることになるように、許容できる車両状態空間は、一般に、操作の持続時間のための横位置などの状態変数に関する上限および下限の双方を含むことができる。
【0042】
車両は、発せられた制御コマンド、例えば、制動コマンドまたは旋回コマンドに基づいて状態間を移行する。車両状態は、多くの場合、何らかの集合の中に高確率で存在するように、限界決めできる。
【0043】
図3を参照すると、車両100は、現在、状態xと関連付けでき、状態xは、何らかの状態集合Sに含まれており、他の何らかの状態集合Xの中に移行するのを望んでいる。制御ユニット110は、したがって制御コマンドuを発する。
【0044】
所与のターゲット集合Xのために、1ステップの頑健な制御可能な集合(またはプレイメージ集合)Sは、Xに頑健にマッピングされる状態集合として定義される。プレイメージ集合は、例えば、F.Borrelli、A.Bemporad、および、M.Morari著「Predictive Control for linear and hybrid system」(2015年ケンブリッジ大学プレス)で考察されたが、したがって、本明細書ではより詳細に考察されない。集合Sは、車両状態集合であり、それのために、制御信号u(図3に示す)が存在し、車両状態を、全ての可能な外乱に関して、ターゲット状態集合Xに含まれる状態に移行させる。外乱集合は、限界決めされたと仮定でき、あるいは、固定された発生確率を表わす何らかの集合であると仮定できる。換言すると、車両が、制御信号uを発することの結果として、車両状態集合Sから開始して、状態集合Xに含まれる状態xに移行することになることを様々な知られた方法を用いて確かめ得る。
【0045】
他のロードユーザとの衝突や干渉のリスクなしに、車両が安全に移行できる適切なターゲット集合Xを決定する目的で、他の車両230などの他のロードユーザの状態は、定量化を必要とし、好ましくは、何らかの集合Vの中に存在するように限界決めされ、それはその後に高確率で集合Xから分離されるべきである(2つの集合は共通の要素を持たない場合に互いに素な集合と呼ばれる)。例えば、集合Vの空間寸法310は、加速および制動の観点から車両挙動のモデルに基づいて決定できる。しかしながら、この挙動は、極端な制動や強い加速などの非常に稀な活動にも対処することが好ましい。このロードユーザ挙動のモデルを決定するための1つのやり方は、ロードユーザが高確率で限界内にとどまることになるように、限界を構築することである。
【0046】
極値理論(EVT)は、稀な事象の特性に焦点合せする統計のエリアである。EVTは、例えば、C.ScarrottおよびA.MacDonald著「A review of extreme value threshold estimation and uncertainty quantification」REVSTAT統計ジャーナル2012年10巻1号で考察されている。
【0047】
確率論や統計学では、一般極値(GEV)分布は、タイプI、II、およびIII極値分布としても知られているGumbel、Frechet、およびWeibullファミリを組み合わせるために、極値理論内で発展した連続確率分布のファミリである。極値定理によって、GEV分布は、独立して同様に分布されたランダム変数のシーケンスの適切に正規化された最大値の唯一の可能な極限分布である。極限分布は、規則的な条件が分布の裾に要求されるため、存在しなくてもよいことに留意されたい。これにもかかわらず、GEV分布は、多くの場合、ランダム変数の長い(有限の)シーケンスの最大値をモデル化するための近似として使用される。
【0048】
幾つかの分野の用途では、一般極値分布は、Ronald FisherとL.H.C.Tippettにちなんで命名されて、Fisher-Tippett分布として知られている。しかしながら、この名称の使用は、Gumbel分布の特殊なケースを意味することに限定される場合がある。
【0049】
ピークオーバー閾値(POT)は、何らかの閾値を超える極端な事象をモデル化するEVTにおける方法のクラスである。幾つかの仮定の下で、超過量は、いわゆる一般パレート(GDP)分布に漸近的に収束する。特定のデータセットのために、超過量を使用してGDP分布のパラメータを推定でき、GDP分布のパラメータを使用してより稀な事象ですらその可能性を予測できる。これは、従来法よりも著しく少ないデータで挙動の仮定の限界に対する統計的論拠を可能にする。この分析からの結果を使用して、仮定の集合がデータが収集された運行設計領域(ODD)について妥当すると思われることを検証することもできる。例えば、車両ODDは、最大相対速度、最大リタデーションなどについての仮定を含むことができる。EVTベースの分析が、これらの仮定がもはや妥当しないことを表わす場合、何らかの調整または緊急手順を保証できる。
【0050】
更に、仮定は、その後に、自車両が或る活動を実行できるか、すなわち、他のロードユーザが先に記述された仮定の限界内で任意の活動を実行する場合に、活動が安全であるかどうか、を評価するときに使用できる。
【0051】
GEVおよび/またはGDP分布のパラメータは、ODDの或る態様、すなわち、他の交通に関する仮定のためのモニタを作成するために使用することもできる。より具体的には、現在の交通挙動がGDP分布から逸脱する(或る確率閾値を超える)場合に、自車両がもはや定義済みODDの内部にないというリスクの徴候が存在し、したがって自車両は、予防策を採る必要があり得る。
【0052】
ODDモニタは、他のロードユーザから交通挙動を変更することに関してシステムが経時的に安全を維持するであろうという主張がなぜ可能であるかの理由を示す。これは、システムが、事故につながり得る極端な事象が発生する前に、交通挙動の変化を検出できるからである。
【0053】
本明細書で提案される方法論を使用することの利点は、元のODD(すなわち、元のデータ収集)がもはや有効でないというリスクが存在することを検出する目的で、仮定が損なわれた交通状況を観察することの明確な必要性がないことであることに留意されたい。期待分布と合致しないある程度稀な事象(これらの事象はODDの内部に依然としてある)の分布を検出することで十分である。
【0054】
交通状況およびロードユーザ挙動を定量化することは、多くの異なった特徴および依存に基づくことができ、それらは、これらに限定されないが、位置、ヘディング、長手(縦)速度、横速度、長手(縦)加速度、横加速度、曲率、ヨーレート、道路または車線相対運動、異なったロードアクタ間の相対運動、ターゲットアクタと自車両間の相対運動、交通操作の高レベルの描写、静的環境(例えば、道路タイプ、サイン、マーキング、静的対象物、道路曲率、交通信号)に基づく活動、動的状況(例えば、他のアクタの状態、他のアクタのタイプ)に基づく活動、意図的シグナリング(例えば、ターンインジケータ、または彼/彼女の腕で指し示している自転車乗用者)、ロードアクタ(例えば、車や歩行者は異なった挙動をすることになる、気象条件、光源条件、その日の時間、地理的エリア、そのエリアのロードアクタの密度)のタイプ、を含む。
【0055】
対象車両230の長手加速度などの稠密サンプリングのロードユーザ挙動データが得られていると想定する。このデータを直接使用して、加速の極端な事例の発生率を決定することは、可能であるが、それは交通の挙動を必ずしも良好に捕捉しない。代わりに、任意選択で、稠密サンプリングデータをフィルタリングして、モデル化に興味のある特定の挙動を説明する一連の低次元の集合サンプルを抽出することが本明細書で提案される。例えば、目的が、突然の減速の事例を定量化することである場合、集合サンプルは、先ず、幾つかの基準(例えば、閾値)に基づいて突然の減速の事例を検出すること、次いで、集合測定値、例えば、速度の総変化および速度変化の持続時間から構成される2次元サンプルを用いてこれらの事例を定量化すること、によって形成できる。稠密サンプリングデータは、また、例えば、稠密サンプリングデータの連続ブロックに対して決定される最大値ブロック、平均値ブロック、または中央値ブロックによって置換され、したがってより密でないサンプリングデータを提供することもできる。
【0056】
別の例は、車両の割込みである。割込みの事例を検出すること、および、割込み時点の自車両と対象車両間の距離と、関連性のある速度と、を記録することが可能である。
【0057】
図4は、閾値動作400を概略例証しており、ロードユーザ挙動410、420のサンプルが収集されている。閾値ζは、ロードユーザ挙動サンプルの部分集合を選択する目的で適用され、したがって、選択されたサンプルは、予め決定された統計的極値分布に従う。
【0058】
図5は、ここでは2次元x、xの別の閾値動作を例証する。ロードユーザ挙動のサンプル510、520が収集されている。閾値ζは、ロードユーザ挙動サンプルの部分集合を選択する目的で再度適用され、したがって、選択されたサンプルは、予め決定された統計的極値分布に従う。
【0059】
図6は、上の考察を要約する方法を例証するフローチャートである。ロードユーザ230、240の挙動を定量化するための方法が例証されている。方法は、ロードユーザ挙動
【数3】
のサンプルを取得するステップ(S1)を含む。サンプルは、例えば、予め記憶されたロードユーザ挙動サンプルの集合として取得(S11)でき、あるいは、自車両100の動作中のロードユーザ挙動サンプルの集合として取得(S12)できる。
【0060】
ロードユーザ挙動のサンプルは、上で考察されたように、ロードユーザ位置、ロードユーザヘディング、ロードユーザ長手速度、ロードユーザ横速度、ロードユーザ長手加速度、ロードユーザ横加速度、ロードユーザヨーレート、路面に対するロードユーザモーション、車線に対するロードユーザモーション、別のロードユーザに対するロードユーザモーション、および、ロードユーザの意図的シグナリング、ならびに、外部事象に応答するロードユーザ活動、のいずれかを含むことができる。ロードユーザ挙動のサンプリングは、図4および5に関連して上で考察された。本明細書では、ロードユーザ面(road user surface)は、例えば、路面傾斜、路面摩擦係数、路面盛土などを含むことができる。
【0061】
方法は、選択されたサンプルが予め決定された統計的極値分布に従うように、ロードユーザ挙動サンプルの部分集合を選択するステップ(S2)を含む。予め決定された統計的極値分布は、例えば、一般パレート分布(GDP)、または一般極値分布(GEV)の事例とすることができる。
【0062】
幾つかの態様によれば、選択は、閾値ζ、
【数4】
を超えるロードユーザ挙動のサンプルが、予め決定された統計的極値分布に従うように、閾値ζを決定するステップ(S21)を含む。幾つかの例の閾値は、図4および5に例証されている。閾値は、幾つかの性能基準に基づいて固定または動的に調整できる。
【0063】
方法は、選択されたロードユーザ挙動のサンプルに基づいて、予め決定された統計的極値分布をパラメータ化するステップ(S3)、およびパラメータ化された統計的極値分布に基づいて、ロードユーザ挙動を定量化するステップ(S4)を更に含む。極値分布パラメータ化のための方法は、知られており、したがって、本明細書ではより詳細に考察されない。
【0064】
幾つかの態様によれば、方法は、閾値ζを超えるロードユーザ挙動サンプル間を通過した時間を表わす超過メトリック間の時間を測定するステップ(S7)、および超過メトリック間の時間に基づいてODDを監視するステップを含む。このように、車両がODD内で動作しているか、または、交通状況条件が大きく変化したので車両100がもはや意図したODD内で動作していないか決定することができる。
【0065】
幾つかの態様によれば、方法は、予め決定された統計的極値分布に基づいて、1-γよりも大きい確率で範囲
【数5】
内に位置するように挙動を限界決めすることによって、限界決めされたモデルとして、ロードユーザ挙動を定量化するステップ(S41)を含む。
【0066】
幾つかの態様によれば、方法は、予め決定された統計的極値分布と関連付けされた信頼度βを決定するステップ(S5)を含む。超過量
【数6】
を使用して(対応する信頼度を備えた)GDPまたはGEVのパラメータを推定できる。識別された分布は、信頼度βで満たされるロードユーザ挙動に限界を見い出すために使用することができる。ロードユーザ挙動モデルは、信頼度βを備えたγの検証済み正確性を有し、信頼度βは、パラメータ化されたGEVまたはGDPと関連付けされる。信頼度βを決定するための方法は、知られており、本明細書ではより詳細に考察されない。信頼度(信頼値)は、閾値ζを越えて収集された観察の数に少なくとも部分的に依存し、必要なデータ量に建設的フィードバックを提供する。このように、十分なデータセットが、ロードユーザ挙動をモデル化するために集められたとき、および、より多くのデータが必要とされるときを推定できる。開示された方法の利点は、したがって、それらが使用されて、パラメータ化されたGEVまたはGDPと関連付けされた信頼度βに基づいてモデル正確性検証のために集められたモデルデータの充足性を評価できることである。したがって、信頼度βが、GEVまたはGDPがパラメータ化された後で、低すぎる場合、より多くのデータが、信頼度を増加させる目的で、必要とされることがある。換言すると、幾つかの態様によれば、方法は、予め決定された統計的極値分布と関連付けされた信頼度βに基づく挙動定量化のために集められたロードユーザ挙動データの充足性を評価するステップ(S51)を含む。
【0067】
幾つかの他の態様によれば、方法は、パラメータ化された予め決定された統計的極値分布をベースライン分布パラメータの集合と比較することによって、車両と関連付けされた運行設計領域ODDを監視するステップ(S6)を含み、ODDの外側の動作は、パラメータ化された予め決定された統計的極値分布パラメータと、ベースライン分布パラメータとの間の差によって表わされる。
【0068】
説明されたロードユーザ挙動モデル化は、オフラインで(すなわち、設計段階で)実行できるが、識別されたGDPまたはGEV分布は、オンライン使用のためにODDのモニタを構築するために使用することも更にできる。特に、ロードユーザ挙動サンプルがオンラインで収集される場合、超過量の分布を監視できる。オフラインで得られた分布と比較しての著しく異なった超過の分布は、システムがODDの外であることを表わす。換言すると、開示された技術によって、パラメータ化されたGDPまたはGEVをベースラインGDPまたはGEVパラメータの集合と比較することによって、車両と関連付けされたODDを監視することが可能になる。ODDの外側の動作は、例えば、パラメータ化されたGDPパラメータと、ベースラインGDPパラメータとの間の差によって表わされる。警告信号またはSAMは、ODDの外側の動作が検出された場合に、トリガできる。
【0069】
この種の単純なモニタは、何らかの時間の窓を越える再現期間(すなわち、超過量間の平均時間)を計算することである。再現期間の著しい減少は、その後に、車両がODDの外側で動作することの徴候である。
【0070】
図7は、幾つかの機能ユニットの観点から、本明細書の考察の実施形態に係る制御ユニット110の構成要素を概略例証する。処理回路710は、適切な中央処理ユニットCPU、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサDSP等々のうちの1つまたは複数の任意の組合せを使用して設けられており、例えば、記憶媒体730の形式のコンピュータプログラム製品に記憶されたソフトウエア命令を実行できる。処理回路710は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASICやフィールドプログラマブルゲートアレイFPGAとして更に設けることができる。
【0071】
特に、処理回路710は、制御ユニット110に動作の集合やステップ、例えば、図6に関連して考察された方法を実行させるように構成される。例えば、記憶媒体730は、動作の集合を記憶でき、処理回路710は、動作の集合を記憶媒体730から検索して、制御ユニット110に動作の集合を実行させるように構成できる。動作の集合は、実行可能命令の集合として提供できる。したがって、処理回路710は、それによって、本明細書に開示されたように方法を実行するように配置構成される。
【0072】
記憶媒体730は、例えば、磁気メモリ、光メモリ、固体メモリまたは遠隔実装メモリのうちの任意の単一または組合せとすることができる持続性の記憶装置を含むこともできる。
【0073】
制御ユニット110は、遠隔サーバ130または他の車両機能などの少なくとも1つの外部デバイスと通信するためのインターフェース720を更に含むことができる。そういうことで、インターフェース720は、アナログ構成要素およびデジタル構成要素と有線通信または無線通信用の適切な数のポートとを含む1つまたは複数の送信機および受信機を含むことができる。
【0074】
処理回路710は、制御ユニット110の一般的な動作を制御し、それは、例えば、データ信号および制御信号をインターフェース720および記憶媒体730に送信すること、データおよびレポートをインターフェース720から受信すること、および、データおよび命令を記憶媒体730から検索することによる。制御ノードの他の構成要素ならびに関連機能は、本明細書に提示される概念を不明瞭にしない目的で省略される。
【0075】
図8は、制御ユニット110によって実行可能な動作810の集合を含むコンピュータプログラム製品800を概略例証する。動作810の集合は、制御ユニット110の記憶媒体730の中にローディングできる。動作の集合は、図6に関連して上で考察された方法に対応できる。
【0076】
図8の例では、コンピュータプログラム製品800は、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタルバーサタイルディスク)、ブルーレイディスク(登録商標)などの光ディスクとして例証される。コンピュータプログラム製品は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、または、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)などのメモリとして、より具体的には、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリまたはコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリなどのフラッシュメモリなどの外部メモリのデバイスの不揮発性記憶媒体として具現化することもできる。したがって、コンピュータプログラムは、図示された光ディスク上のトラックとして、ここでは概略示されているが、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラム製品に適している任意の方法で記憶できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量化されたロードユーザ(230、240)挙動に基づいて車両(100)を制御するための方法であって、
ロードユーザ挙動
【数1】
のサンプルを取得するステップ(S1)と、
選択されたサンプルが予め決定された統計的極値分布に従うように、前記ロードユーザ挙動サンプルの部分集合を選択するステップ(S2)と、
前記選択されたロードユーザ挙動のサンプルに基づいて、前記予め決定された統計的極値分布をパラメータ化するステップ(S3)と、
前記パラメータ化された統計的極値分布に基づいて、ロードユーザ挙動を定量化するステップ(S4)と
前記定量化されたロードユーザ挙動に基づいて、前記車両(100)を制御するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記取得するステップは、予め記憶されたロードユーザ挙動サンプルの集合を取得するステップ(S11)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得するステップは、自車両(100)の動作中にロードユーザ挙動サンプルの集合を取得するステップ(S12)を含む、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記選択するステップは、閾値ζ、
【数2】
を越える前記ロードユーザ挙動のサンプルが前記予め決定された統計的極値分布に従うように、前記閾値ζを決定するステップ(S21)を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値ζを超えるロードユーザ挙動サンプル間を通過した時間を表わす超過メトリック間の時間を測定するステップ(S7)と、
前記超過メトリック間の時間に基づいてODDを監視するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予め決定された統計的極値分布は、一般パレート分布GDPである、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記予め決定された統計的極値分布は、一般極値分布GEVである、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ロードユーザ挙動のサンプルは、ロードユーザ位置、ロードユーザヘディング、ロードユーザ長手速度、ロードユーザ横速度、ロードユーザ長手加速度、ロードユーザ横加速度、ロードユーザヨーレート、路面に対するロードユーザモーション、車線に対するロードユーザモーション、別のロードユーザに対するロードユーザモーション、および、ロードユーザの意図的シグナリング、ならびに、外部事象に応答するロードユーザ活動、のいずれかを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記予め決定された統計的極値分布に基づいて、1-γよりも大きい確率で範囲
【数3】
内に位置するように前記挙動を限界決めすることによって、限界決めされたモデルとして、前記ロードユーザ挙動を定量化するステップ(S41)を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記予め決定された統計的極値分布と関連付けされた信頼度βを決定するステップ(S5)を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記予め決定された統計的極値分布と関連付けされた前記信頼度βに基づいて挙動定量化のために収集されたロードユーザ挙動データの充足性を評価するステップ(S51)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記パラメータ化された予め決定された統計的極値分布をベースライン分布パラメータの集合と比較することによって、前記車両と関連付けされた運行設計領域ODDを監視するステップ(S6)を含み、
前記ODDの外側の動作は、パラメータ化された予め決定された統計的極値分布パラメータと、前記ベースライン分布パラメータとの間の差によって表わされる、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
プログラムがコンピュータ上または制御ユニット(110)の処理回路(710)上で実行されるときに請求項1から12のいずれか1項のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(800)。
【請求項14】
プログラム製品がコンピュータ上または制御ユニット(110)の処理回路(710)上で実行されるときに請求項1から12のいずれか1項のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(820)を担持するコンピュータ可読媒体(810)。
【請求項15】
ロードユーザ挙動を定量化するための、請求項1から12のいずれか1項に記載の前記方法の前記ステップを実行するように構成される制御ユニット(110)。
【請求項16】
請求項15に記載の制御ユニット(110)を含む車両(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
ロードユーザ挙動のモデル化を観察に基づかせることについての課題は、急制動やほとんど起きない不意の旋回などの稀な挙動を正確にモデル化するために、多くのデータが要求されることである。そういった大量のデータを収集することは、費用もかかり時間も浪費し、場合によっては、実用的な見地から実行できないことすらある。
極値理論(EVT)の使用は、例えば、衝突確率を推定するのに使用するために研究されてきた。「Using Extreme Value Theory for Vehicle Level Safety Validation and Implications for Autonomous Vehicles」IEEE transactions on intelligent vehicles(2017年12月第2巻第4号)において、Åsljungらは、衝突確率を推定するためのEVTの応用を考察している。「Collision prediction in roundabouts: a comparative study of extreme value theory approaches」TRANSPORTMETRICA A:TRANSPORT SCIENCE(2019年第15巻第2号)において、Orsiniらは、ラウンドアバウトでの予測衝突におけるEVTの応用を考察している。
【国際調査報告】