(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】部品及び部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20221208BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20221208BHJP
H01C 7/02 20060101ALI20221208BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20221208BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01G4/30 540
H01G4/33
H01C7/02
B81C1/00
B81B7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512724
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020078583
(87)【国際公開番号】W WO2021074068
(87)【国際公開日】2021-04-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーレ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バーナート, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エントラー, シュテファン ベルント
(72)【発明者】
【氏名】クレン, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ビーグル, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】プフ, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】レドルフィ, セバスティアン
【テーマコード(参考)】
3C081
5E001
5E034
5E082
【Fターム(参考)】
3C081AA11
3C081AA17
3C081BA03
3C081BA22
3C081BA26
3C081CA03
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3C081CA27
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3C081DA03
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3C081DA21
3C081DA27
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3C081DA43
3C081EA01
3C081EA21
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AG00
5E001AJ04
5E034AA08
5E034AA09
5E034AC02
5E034AC05
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5E034DC05
5E082BC39
5E082EE23
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5E082FF05
5E082FG03
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5E082FG42
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082HH43
(57)【要約】
部品(1)であって、上面(2a)及び下面(2b)を有する少なくとも1つのキャリア層(2)と、前記キャリア層(2)の前記上面(2a)に配置されていると共に、特殊な電気的特性を有する材料を含む少なくとも1つの機能層(5)と、を有し、前記センサ素子(1)は、別々の部品として直接的に電気システムに組み込まれるように形成されている、部品(1)が記述される。更に、部品の製造方法が記述される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(1)であって、
- 上面(2a)及び下面(2b)を有する少なくとも1つのキャリア層(2)
- 前記キャリア層(2)の前記上面(2a)に配置されていると共に、特殊な電気的特性を有する材料を含む、少なくとも1つの機能層(5)
を有し、
別々の部品として直接的に電気システムに組み込まれるように形成されている、部品(1)。
【請求項2】
前記キャリア層(2)は、シリコン、シリコンカーバイド又はガラスを含む、請求項1に記載の部品(1)。
【請求項3】
前記機能層(5)は、形状接続及び材料接続された状態で前記キャリア層(2)の上に塗布されている、又は、前記機能層(5)は、直接的に前記キャリア層(2)の材料内で局所的に又は層として、生成されている、請求項1又は2に記載の部品(1)。
【請求項4】
前記機能層(5)は、ペロブスカイト型構造の酸化材料をベースとする誘電性の又は反強誘電性のセラミックを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項5】
前記機能層(5)は、ナシコン型構造の材料をベースとするイオン伝導性のセラミックを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項6】
前記機能層(5)は、スピネル型構造又はペロブスカイト型構造の酸化物をベースとする半導体材料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項7】
前記機能層(5)は、キュリー温度の調整のためのPb、Sr、Ca及びドーパントとしてのY、Mn、Feを含む多結晶BaTiO
3から成るペロブスカイト構造をベースとする半導体材料を含み、前記多結晶構造は、正の温度係数を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの保護層(7)を更に有し、前記保護層(7)は前記部品(1)の上面(1a)に、及び/又は、前記部品(1)の少なくとも1つの側面(1c)に、配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項9】
前記保護層(7)はSiO
2を含む、請求項8に記載の部品(1)。
【請求項10】
少なくとも1つのフィードスルー(3)を更に有し、前記フィードスルー(3)は前記キャリア層(2)を完全に貫通しており、前記キャリア層(2)の前記下面(2b)に前記部品(1)の電気的な接触のための少なくとも1つの接触要素(4)が形成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項11】
少なくとも2つのフィードスルー(3)を有し、前記キャリア層(2)の前記下面(2b)には2つの接触要素(4)が形成されている、請求項10に記載の部品(1)。
【請求項12】
少なくとも1つのカバー電極(6、6a、6b)を更に有し、前記カバー電極(6、6a、6b)は、前記機能層(5)の電気的な接触のために、前記機能層(5)の上面(5a)から形成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項13】
前記カバー電極(6、6a、6b)は、前記機能層(5)の直ぐ上に配置されている、請求項12に記載の部品(1)。
【請求項14】
前記カバー電極(6、6a、6b)は、少なくとも1つのスパッタリングされた層を有する、請求項12又は13に記載の部品(1)。
【請求項15】
少なくとも2つのカバー電極(6a、6b)を有し、前記カバー電極(6a、6b)は互いに隣接して配置されており、前記カバー電極(6a、6b)は、少なくとも1つの凹部(8)によって、空間的に及び電気的に互いに分離されている、請求項12~14のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項16】
前記部品(1)は、MEMS構造及び/又はSESUB(登録商標)構造への直接的な組み込みのために形成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の部品(1)。
【請求項17】
以下のステップを含む、部品(1)の製造方法。
A)キャリア層(2)を形成するためのキャリア材料(10)を準備するステップ
B)前記キャリア材料(10)を完全に貫通する少なくとも1つのフィードスルー(3)を形成するステップ
C)前記少なくとも1つのフィードスルー(3)を金属材料(13)で充填するステップ
D)機能層(5)を形成するために、前記キャリア材料(10)を機能材料(14)で被覆するステップ
E)前記部品(1)を細断するステップ
【請求項18】
ステップE)の前に、前記機能材料(14)の上面の上への少なくとも1つのカバー電極(6、6a、6b)の堆積が行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記機能層(5)はPVD又はCVDプロセスによって生成される、又は、前記機能材料(14)はゾル-ゲル法によって又はセラミックスラリーによって生成され、CSD法によって前記キャリア材料(10)の上に塗布される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
ステップD)の後に、焼戻し工程が行われる、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ステップD)はステップB)の前又はステップC)の前に実行される、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記カバー電極(6、6a、6b)は、前記機能層(5)の電気的な接触のために、前記機能層(5)の上面(5a)から形成されている、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記カバー電極(6、6a、6b)は、前記機能層(5)の直ぐ上に配置される、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記キャリア層(2)の前記下面(2b)には、前記部品(1)の電気的な接触のための少なくとも1つの接触要素(4)が形成される、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記部品(1)は、MEMS構造及び/又はSESUB(登録商標)構造への直接的な組み込みのために形成されている、請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品、特に電気部品に関する。本発明は、更に、部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばセンサ、コンデンサ、保護部品及び/又はヒータのような受動部品を電気システムに組み込むために、部品の寸法は、マイクロメートル・スケール領域及びナノメートル・スケール領域でさえある現代の実装設計に適合されていなければならない。このレベルの小型化を達成するために、部品は、電気接続を有する支持構造上に薄膜として堆積され、別々の部品として記述される。これらの部品は、MEMS(微小電子機械システム)構造又はSESUB(登録商標)(半導体内蔵基板)構造に組み込むことができる。
【0003】
しかしながら、現在の技術的解決策は、例えばMEMS又はSESUB構造への電子部品の組み込みに適していない。これらのシステムには、非常に小さな構成要素が必要であり、それらは、更に、適切な接触方法によって組み込み可能でなければならない。SMD(表面実装型デバイス)構造のための従来のはんだ付けプロセス又は「ベアダイ」のためのワイヤボンディング技術を、そのために使用することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した問題を解決する部品を記述することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項による部品及び部品の製造方法によって解決される。
【0006】
一態様によれば、部品が記述される。部品は、電気部品である。部品は、電気システムへの組み込みのために形成されている。
【0007】
部品は、好ましくは受動部品である。部品は、例えばセンサ、コンデンサ、保護部品又は加熱素子である。
【0008】
部品は、少なくとも1つのキャリア層を有する。キャリア層は、上面及び下面を有する。キャリア層は、キャリア材料を含む。好ましくは、キャリア層は、シリコン、シリコンカーバイド又はガラス(ケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸ガラス)を含む。
【0009】
部品は、更に、少なくとも1つの機能層を有する。部品は、1つより多くの機能層、例えば2つ又は3つの機能層を有することもできる。機能層は、特殊な電気特性を有する材料(機能材料)を含む。例えば、機能材料は、特定のU/I特性曲線、特定のR値及びB値特性曲線、特定の充電/放電曲線、特定のキャパシタンス及び/又は特定のRIS(T)を有する。
【0010】
機能層は、好ましくは、キャリア層の上面に配置されている。機能層は、キャリア層の上面を、好ましくは完全に覆っている。機能層は、好ましくは、キャリア層の上面の直ぐ上に形成されている。特に、機能材料は、形状接続又は材料接続された状態で、キャリア層の材料の上にある。これに代えて、機能材料は、直接的にキャリア層の材料内で局所的に又は層として、生成されている。
【0011】
これに代えて、例えばシリコンキャリアの場合、キャリア層の構成に応じて、キャリア層と機能層との間に、薄い電気絶縁膜を形成することもできる。
【0012】
特殊な構成により、部品は非常にコンパクトに具現することができる。例えば、部品は、好ましくは500μm以下の、例えば100μm又は250μmの幅を有する。部品は、更に、好ましくは500μm以下の、例えば100μm又は250μmの長さを有する。部品は、好ましくは、100μm以下の、例えば50μmの高さ又は厚さを有する。
【0013】
したがって、部品は非常にコンパクトに具現されており、その結果、回路基板又はシリコンチップのような電気システム内に完全な部品として組み込むことができる。特に、部品は、別々の部品として直接的に電気システム内に埋め込まれるように形成されている。例えば、部品は、MEMS構造及び/又はSESUB構造に直接的に組み込まれるように形成されている。
【0014】
機能層は、好ましくは、薄膜層である。換言すれば、機能層は、非常に小さな厚さしか有していない。例えば、機能層は、10nm≦d≦1μmの、例えば500nmの厚さdを有する。このようにして、既存の構造内に問題なく埋め込むことのできる、非常に小さな別々の部品が利用可能になる。
【0015】
一実施形態において、機能層は、ペロブスカイト型構造の酸化材料をベースとする誘電性の又は反強誘電性のセラミックを含む。その場合、ペロブスカイトは、組成PLZT(鉛(Pb)-ランタン(La)-ジルコニウム(Zr)-チタン(Ti))の混晶を含むことができる。Laの全部又は一部を、例えばNa又はCuで置換することができる。
【0016】
これに代えて、機能層は、ナシコン型構造の材料をベースとするイオン伝導性のセラミックを含むことができる。その場合、組成は、LATP(リン酸チタンアルミリチウム)、LVP(リン酸バナジウムリチウム)、LZP(リン酸ジルコニウムリチウム)、及び、例えばLiCo又はLiFePのような電池用の他の典型的な活物質の混晶をベースとすることができる。
【0017】
これに代えて、機能層は、スピネル型構造又はペロブスカイト型構造の酸化物をベースとする半導体材料を含むことができる。スピネルの組成は、NiMn2O4の混晶をベースとすることができ、Ni及びMnの全部又は一部を、例えばFe、Co又はAlで置換することができる。ペロブスカイトは、組成CaMnO3の混晶をベースとすることができ、Caの全部又は一部を、例えばY、Cr、Al又はLaで置換することができる。
【0018】
これに代えて、機能層は、多結晶BaTiO3から成るペロブスカイト構造をベースとする半導体材料を含むことができる。その場合、Pb、Sr又はCaを、キュリー温度の調整のために用いることができる。材料は、ドーパントとしてY、Mn、Feを含むことができる。多結晶構造は、好ましくは、正の温度係数を有する。
【0019】
代替的な実施形態において、機能層は、六方晶系ウルツ鉱型構造又は閃亜鉛鉱型構造中の立方相の、シリコンカーバイドをベースとする半導体材料を含む。これに代えて、機能層は、ウルツ鉱型構造の金属窒化物を含むことができる。
【0020】
これらの上述した材料は、機能層が安定な薄膜層としてキャリア層の上に堆積されることを可能にする。したがって、信頼性が高くコンパクトな部品を利用可能にすることができる。
【0021】
一実施形態において、部品は、保護層を有する。保護層は、部品の上面に配置されている。保護層は、部品の上面を、好ましくは完全に覆っている。
【0022】
例えば、保護層は、機能層の上面の上に形成されている。しかしながら、保護層は、機能層の上に配置された構造の上に形成することもできる。保護層は、部品を、外部の影響から保護する。好ましくは、保護層はSiO2を含む。
【0023】
更なる実施形態において、部品の少なくとも1つの側面、好ましくは全ての側面も、保護層によって覆われていることができる。この保護層も、好ましくはSiO2を含む。特に、この保護層は、好ましくはSiO2から成る。
【0024】
一実施形態において、部品は、少なくとも1つのフィードスルー(Durchfuehrung)を有する。部品は、1つより多くのフィードスルー、例えば2つ又は3つのフィードスルーを有することもできる。フィードスルーは、金属材料を含む。フィードスルーは、キャリア層を完全に貫通している。換言すれば、フィードスルーは、キャリア層の上面の機能層からキャリア層の下面まで延びている。その場合、キャリア層の下面は、部品が統合される電子システムの上に又は当該電子システムの構成要素の上に載置される、キャリア層又は部品の面である。
【0025】
代替的な実施形態において、フィードスルーは、付加的に機能層も完全に貫通することができる。この場合、フィードスルーは、機能層の上面から機能層及びキャリア層を貫いてキャリア層の下面まで延びている。
【0026】
キャリア層の下面には、更に、部品の電気的な接触のための少なくとも1つの接触要素が形成されている。しかしながら、部品は、1つより多くの接触要素、例えば2つ又は3つの接触要素を有することもできる。接触要素は、キャリア層の下面で、直接的にフィードスルーに接続されている。
【0027】
接触要素は、例えば、バンプ又は薄い電極を有することができる。フィードスルー及び接触要素は、電気的な接触及び接続面であり、それによって、部品を電気的に接触させることができる。したがって、電気的な接触のための、SMD構造のための従来のはんだ付けプロセス又はワイヤボンディングは、省略することができる。したがって、部品は、MEMS又はSESUB構造に組み込まれるのに、抜きん出て適している。
【0028】
一実施形態において、部品は、更に、少なくとも1つのカバー電極を有する。カバー電極は、例えばAu、Ni、Cr、Ag、W、Ti又はPtを含む。カバー電極は、機能層の上側から機能層を電気的に接触させるために形成されている。したがって、部品は、下側からはフィードスルー及び接触要素を介して、上側からはカバー電極を介して、確実に接触させることができる。
【0029】
好ましくは、カバー電極は、機能層の直ぐ上に配置されている。特に、カバー電極は、機能層の上面の上に堆積されている。カバー電極は、機能層の上にスパッタリングすることができる。カバー電極は、薄い金属膜を有する。好ましくは、カバー電極は、薄膜電極である。カバー電極は、単層として又は複層として、形成することができる。例えば、カバー電極は、10nm≦d≦1μmの、例えば500nmの厚さdを有する。このようにして、電気システムに直接的に組み込むための非常にコンパクトな部品が利用可能になる。
【0030】
一実施形態において、部品は、少なくとも2つのカバー電極を有する。好ましくは、カバー電極は、互いに隣接して配置されている。その場合、それぞれのカバー電極は、機能層の上面の一部のみを覆っている。
【0031】
カバー電極は、少なくとも1つの凹部又は少なくとも1つのギャップによって、空間的に及び電気的に互いに分離されている。凹部の大きさ(特に幅)、したがってカバー電極間の距離の大きさによって、部品の抵抗を変更又は調整することができる。
【0032】
凹部の代わりに、2つのカバー電極の間に、くし状に互いに噛み合う構造を設けることもできる。このようにして、カバー電極間の面積が増大する。更に、くし状の構造によって、部品の抵抗及び抵抗のばらつきが低減される。
【0033】
一態様によれば、部品、特に電気部品の製造方法が記述される。好ましくは、当該方法によって、上述した部品が製造される。部品又は方法に関して開示されている全ての特性は、それぞれの特性がそれぞれの態様の文脈において明示的に言及されない場合であっても、それぞれの他の態様に関して対応して開示されており、その逆も同様である。方法は、以下のステップを含む:
【0034】
A)キャリア層(ウェハー)を形成するためのキャリア材料を準備するステップキャリア材料は、好ましくはSi、SiC又はガラスを含む。キャリア材料によって形成されたキャリア層は、部品の安定化のために機能する。
【0035】
B)少なくとも1つのフィードスルーを形成するステップフィードスルーは、キャリア材料を、好ましくは完全に貫通する。換言すれば、後に金属材料で充填される貫通孔が、キャリア材料を貫いて生成される。
【0036】
このプロセスステップにおいては、貫通孔が、キャリア材料の薄化ステップの後に初めて、当該キャリア材料を完全に貫通するようにすることができる。換言すれば、先ず開口部/凹部をキャリア材料に形成し、続いてキャリア材料を除去することができる。その結果、開口部/凹部はキャリア材料を完全に貫通する。これに代えて、キャリア材料には、単一のプロセスステップで貫通する開口部を設けることもできる。
【0037】
C)少なくとも1つのフィードスルーを、例えば電気的に、金属材料で充填するステップ金属材料は、例えば銅又は金を含むことができる。
【0038】
D)機能層を形成するために、キャリア材料を機能材料で被覆するステップその場合に結果として得られる機能層は、好ましくは、薄膜層である。
【0039】
被覆は、例えば、PVD(物理気相成長)プロセスによって、CVD(化学気相成長)プロセスによって、又は、電気的に、行われる。任意に、続いて、焼戻し工程を行うことができる。
【0040】
これに代えて、機能層は、ゾル-ゲル法によって又はセラミックスラリーによって生成することができ、CSD(化学溶液堆積)法、例えばスピンコーティングによってキャリア材料の上に塗布することができる。この場合、引き続いての熱処理が必要となる。
【0041】
セラミックに応じて、熱処理においては、空気、又は、例えばアルゴン、窒素、フォーミングガスのような不活性ガスの雰囲気下での、水分あり及びなしでの、最大4時間までの保持時間を伴う、数K/s~K/min及び最大1200℃までの範囲の急速な加熱ランプが意図される。
【0042】
E)部品を細断するステップこれは、例えば、フォトレジストを塗布し、続いて機能層及びキャリア層をプラズマエッチング又はソーイング及びノッチングすることによって行われる。
【0043】
当該方法によって、既存の電気システムに容易に組み込むことのできる、信頼性が高くコンパクトな別々の部品が生成される。
【0044】
一実施形態において、ステップE)の前に、機能材料の上面の上への少なくとも1つのカバー電極の堆積が行われる。例えば、カバー電極は、少なくとも1つのフィードスルーの充填を伴う1つのプロセスステップで生成することができる。これに代えて、フィードスルーを充填するため及びカバー電極を生成するための別個のプロセスステップも意図され得る。
【0045】
少なくとも1つのカバー電極の生成は任意のステップであり、すなわち、結果として得られる部品は、カバー電極なしで形成することもでき、フィードスルー及び接触要素を介してのみ下側から接触させることができる。
【0046】
カバー電極の堆積は、好ましくは、PVDプロセスによって、CVDプロセスによって、又は、電気的に、行われる。その場合に結果として得られるカバー電極は、好ましくは、薄膜電極である。
【0047】
一実施形態において、ステップD)は、ステップB)の前又はステップC)の前に実行される。換言すれば、キャリア材料の機能材料による被覆は、少なくとも1つのフィードスルーの形成の前に、又は、少なくとも1つのフィードスルーの充填の前に、行うことができる。この場合、フィードスルーは、機能層内に突出する。例えば、フィードスルーは、機能層によって取り囲まれる。好ましくは、フィードスルーは、キャリア層及び機能層を完全に貫通する。
【0048】
少なくとも1つのフィードスルーの充填の前に機能材料を塗布することにより、好ましくは、機能材料の後の除去を回避することができる。それにより、特に安価で迅速な製造方法が可能になる。
【0049】
以下に記述される図面は、縮尺どおりと解釈されてはならない。むしろ、より良好な図示のために、個々の寸法が拡大、縮小あるいは歪曲されて示されている可能性がある。
【0050】
互いに同一の、又は、同一の機能を担う構成要素は、同一の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、第1の実施形態による部品1を示している。部品は、好ましくは受動部品として形成されている。部品1は、好ましくは、センサ素子、コンデンサ、保護部品又は加熱素子である。
【0053】
部品1は、少なくとも1つのキャリア層2又はウェハー2を有する。キャリア層2は、上面2a及び下面2bを有する。キャリア層2は、キャリア材料、好ましくはシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)又はガラス(ケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸ガラス)を含む。キャリア層2は、部品1の機械的な安定化のために機能する。
【0054】
部品1は、更に、少なくとも1つの機能層5を有する。この実施例では、部品1はちょうど1つの機能層5を有している。しかしながら、複数の機能層5、例えば2つ、3つ又は4つの機能層5も考えられ、これらは、例えば互いに隣接して又は互いに重なり合って、配置され得る。
【0055】
機能層5は、この実施例では、キャリア層2の上面2aに配置されている。機能層5は、好ましくは完全に、キャリア層2の上面2aを覆っている。機能層5は、形状接続又は材料接続された状態で、キャリア層2の上に配置されている。これに代えて、機能層5は、直接的にキャリア層の材料内で局所的に又は層として、生成されている。
【0056】
機能層5は、1μm以下の非常に小さな厚さを有している。
【0057】
機能層5は、特殊な電気的特性を有する材料を含む。機能層5は、例えば、ペロブスカイト型構造の酸化材料をベースとする誘電性の又は反強誘電性のセラミックを含む。ペロブスカイトは、例えば組成PLZTの混晶から成り、ここで、Laの全部又は一部は、例えばNa又はCuで置換することができる。
【0058】
機能層5は、ナシコン型構造の材料をベースとするイオン伝導性のセラミックを含むこともできる。この場合、組成は、例えばLATP、LVP、LZP、及び、例えばLiCo、LiFePのような電池用の他の典型的な活物質の混晶をベースとする。
【0059】
これに代えて、機能層5は、スピネル型構造又はペロブスカイト型構造の酸化物をベースとする半導体材料を含むことができる。その場合、スピネルの組成は、好ましくはNiMn2O4の混晶をベースとし、ここで、Ni及びMnの全部又は一部を、例えばFe、Co、Alで置換することができる。ペロブスカイトは、好ましくは、組成CaMnO3の混晶を含み、ここで、Caの全部又は一部は、例えばY、Cr、Al又はLaで置換することができる。
【0060】
機能層5は、更に、キュリー温度を調整するためのPb、Sr、Ca、及び、ドーパントとして例えばY、Mn、Feを有する、多結晶BaTiO3から成るペロブスカイト型構造をベースとする半導体材料を含むこともできる。この場合、多結晶構造は、好ましくは正の温度係数を有する。
【0061】
これに代えて、機能層5は、六方晶系ウルツ鉱型構造又は閃亜鉛鉱型構造中の立方相の、シリコンカーバイドをベースとする半導体材料を含むことができる。代替的な実施形態において、機能層5は、更に、ウルツ鉱型構造の金属窒化物を含むことができる。
【0062】
図1による実施例では、キャリア層2は、更に、2つのフィードスルー3を有する。これに代えて、部品1は、1つのフィードスルー3のみを有していてもよいし(これについては
図3参照)、全くフィードスルー3を有していなくてもよい(これについては
図4参照)。更に、2つより多くのフィードスルー3、例えば3つ又は4つのフィードスルーも考えられる(明示的には示されていない)。
【0063】
それぞれのフィードスルー3は、キャリア層2を完全に貫通している。換言すれば、フィードスルー3は、キャリア層2の上面2aから下面2bまで突出している。フィードスルー3は、例えば銅又は金のような金属材料を含む。
【0064】
図1に示された部品1は、更に、2つの接触要素4を有する。接触要素4は、キャリア層2の下面2bに配置されている。接触要素4は、直接的にフィードスルー3に形成されている。接触要素4は、フィードスルー3と、電気的及び機械的に接触している。接触要素4は、部品1の電気的な接触のために機能する。更に、部品1は、接触要素4を介して、例えば電気システムの他の構成要素の上に積み重ねられ得る。
【0065】
接触要素4は、例えばバンプとして又は薄い電極として、具現され得る。接触要素4は、金属、例えば銅、金又ははんだ付け可能な合金を含む。フィードスルー3は、キャリア層2の上面2aの機能層5をキャリア層2の下面2bの接触要素4に接続し、それによって機能層5を電気的に接触させるために機能する。このようにして、堅牢で信頼性の高い部品1が提供される。
【0066】
更なる実施例(明示的には示されていない)において、部品1の上面1aには、更に、保護層7が配置されている。保護層7は、この場合、直接的に機能層5の上に形成されている。保護層7は、機能層5の上面5aを完全に覆っている。保護層7は、好ましくはSiO
2を含む。保護層7は、機能層5及び部品1を外部の影響から保護するために機能する(これについては
図2も参照)。
【0067】
部品1は、その特殊な接触(フィードスルー3、接触要素4)及び特殊な層構造(特殊な電気的特性を有する薄い機能層5)を通じて、完全な部品としてSiチップ内に又は回路基板上に組み込まれ得るよう構想されている。特に、部品1は、別々の部品としてMEMS又はSESUB構造に組み込まれるように形成されている。
【0068】
全体として、部品1は、非常にコンパクトに具現されている。部品1は、非常に小さな寸法を有する。部品1は、好ましくは500μm以下の、例えば50μm、100μm、250μm、300μm、400μm又は450μmの幅を有する。部品1は、好ましくは500μm以下の、例えば50μm、100μm、250μm、300μm、400μm又は450μmの長さを有する。好ましくは、部品1は、矩形の基本形状を有する。部品1は、好ましくは100μm以下の、例えば10μm、50μm又は80μmの高さ(積層方向の広がり)を有する。
【0069】
コンパクトな設計、並びに、フィードスルー3及び接触要素4による接触によって、部品1は、MEMS又はSESUB構造への組み込みに、抜きん出て適している。
【0070】
図2は、第2の実施形態における部品1を示している。
図1に関連して記載した部品1とは異なり、
図2による部品1は、付加的にカバー電極6を有している。カバー電極6は、機能層5の上面5aの上に配置されている。特に、カバー電極6は、機能層5の直ぐ上に塗布されている。この実施例において、カバー電極6は、機能層5の上面5aを完全に覆っている。機能層5は、カバー電極6によって、上側から接触させることができる。下側の接触は、フィードスルー3及び接触要素4を介して行われる。
【0071】
カバー電極6は、金属材料、好ましくはAu、Ni、Cr、Ag、W、Ti又はPtを含む。好ましくは、カバー電極6は、機能層5の上に、例えばPVD若しくはCVDプロセスによって又は電気的に、堆積されている。好ましくは、カバー電極6は、機能層5の上にスパッタリングされている。カバー電極6は、薄膜電極である。換言すれば、カバー電極6は、好ましくは薄い金属膜を有する。カバー電極6は、≧100nmかつ≦1μm、例えば500nmの厚さd又は高さを有する。
【0072】
この実施例において、部品1は、更に、既に
図1に関連して記載した保護層7を有する。したがって、カバー電極6は、図示の場合、機能層5と保護層7との間に配置されている。換言すれば、保護層7は、この実施例において、カバー電極6の直ぐ上に形成されている。
【0073】
しかしながら、代替的な実施例(明示的には示されていない)においては、保護層7を省略することもできる。この場合、カバー電極6が、部品1の上面を形成する。この実施例では、例えばカバー電極6の上でのワイヤボンディングによって付加的な接触を実現する(明示的には示されていない)という可能性が存在する。
【0074】
図2による部品1の全ての更なる特徴に関しては、
図1についての説明を参照されたい。
【0075】
図3は、第3の実施形態における部品1を示している。この実施例において、部品1は、1つのフィードスルー3及び1つの接触要素4のみを有し、それにより、機能層5は、下側から接触される。接触要素4は、既述のように、バンプとして又は薄い電極として、具現され得る。
【0076】
部品1は、この実施例においては、更に、既に
図2に関連して記載したカバー電極6を有する。
図2の場合とは異なり、カバー電極6は、この実施例においては、機能層5の(上側からの)接触のために絶対に必要である。
【0077】
図3による部品1の全ての更なる特徴に関しては、
図1及び
図2についての説明を参照されたい。
【0078】
図4は、第4の実施形態における部品1を示している。この実施例において、部品1は、フィードスルー3を有しておらず、キャリア層2の下面2aの接触要素4も有していない。むしろ、機能層5は、ここでは、専ら上側から接触される。特に、部品1は、部品1の電気的な接続のための2つのカバー電極6a、6bを有している。カバー電極6a、6bは、機能層5の直ぐ上に形成されており、好ましくは、既に
図2に関連して説明したように堆積されている。カバー電極6a、6bは、機能層5の上で互いに隣接して配置されている。
【0079】
それぞれのカバー電極6a、6bは、単層として又は複層として、形成することができる。それぞれのカバー電極6a、6bは、好ましくは薄膜電極である。それぞれのカバー電極6a、6bは、好ましくは、少なくとも1つのスパッタリングされた金属層を有する。例えば、それぞれのカバー電極6a、6bは、Au、Ni、Cr、Ag、W、Ti又はPtを含む。好ましくは、それぞれのカバー電極6a、6bは、100nm~1μmの厚さ又は高さを有する。
【0080】
カバー電極6a、6bは、この実施例において、部品1の上面を形成している。しかしながら、これに代えて(明示的には示されていない)、カバー電極6a、6bの上に配置された保護層7を設けることもできる。
【0081】
カバー電極6a、6bは、電気的に互いに分離されている。この目的のために、
図4に示されているように、カバー電極6a、6bの間に、少なくとも1つの凹部又はギャップ8が形成されている。この凹部8は、カバー電極6a、6bを空間的及び電気的に分離している。凹部8の大きさ(水平方向の広がり、すなわち積層方向に対して垂直な広がり)によって、部品1の抵抗を調整することができる。凹部8が小さくなると、抵抗は低下する。しかしながら、それにより、抵抗のばらつきも大きくなる。これを回避するために、又は、カバー電極6a、6bの間の面積を増大させ、それにより抵抗を低下させるために、カバー電極6の間にくし状の構造を設けることもできる(明示的には示されていない)。カバー電極6は、この場合、互いに噛み合った状態で隣接して配置されている。
【0082】
図5は、第5の実施形態における部品1を示している。この実施例において、部品1は、2つのフィードスルー3と、2つの接触要素4と、2つのカバー電極6と、を有する。
【0083】
図1に示された実施例と比較すると、この実施例においては、フィードスルー3は、キャリア層2だけでなく機能層5も、完全に貫通している。特に、それぞれの金属製のフィードスルー3は、機能層5内に突出していると共に、機能層5によって取り囲まれている。したがって、それぞれのフィードスルーは、キャリア層2の下面2bから、キャリア層2及び機能層5を貫通して、機能層5の上面5aまで延びている。
【0084】
それぞれのフィードスルー3の上面には、それぞれカバー電極6が形成されている。それぞれのカバー電極6も、この実施例においては、少なくとも部分的に機能層5内に埋め込まれている。したがって、カバー電極6は、少なくとも部分的に機能層5の上面5aを形成している。
【0085】
機能層5の直ぐ上には、保護層7が形成されている。保護層7は、この場合、少なくとも部分的にカバー電極6によって形成される機能層5の上面5aを覆っている。
【0086】
下側の接触は、フィードスルー3及び接触要素4、例えばバンプを介して行われる。その場合、
図5に示されたものよりも多くのフィードスルー、例えば4つのフィードスルーを設けることもできる。
【0087】
図6は、第6の実施形態における部品1を示している。
図5に示された実施形態の場合のように、部品1は、2つのフィードスルー3と、2つの接触要素4と、2つのカバー電極6とを有する。
【0088】
ここでも、フィードスルー3は機能層5を完全に貫通している。特に、それぞれのフィードスルーは、キャリア層2の下面から、キャリア層2及び機能層5を貫通して、機能層5の上面まで延びている。
【0089】
図5による実施形態の場合とは異なり、それぞれのフィードスルー3は、ここでは円錐形に形成されている。この場合、それぞれのカバー電極6は、電気的なプロセスにおいて製造される。続いて、平坦化のために更に「フライカッティング」ステップを実行することができる。
【0090】
この実施例において、それぞれのカバー電極6は、機能層5の表面の上に形成されている。
【0091】
機能層5の直ぐ上には、保護層7が形成されている。保護層7は、機能層5の上面を覆っている。下側の接触は、やはりフィードスルー3及び接触要素4、例えばバンプを介して行われる。
【0092】
図7~11は、部品1の製造方法を示している。好ましくは、当該方法によって、上述した実施例のうちの1つによる部品1が生成される。したがって、部品1との関連で説明された全ての特徴は、当該方法にも適用することができ、その逆も同様である。
【0093】
第1のステップA)において、上述したキャリア層2を形成するためのキャリア材料10が準備される(上述の
図7参照)。好ましくは、キャリア材料10は、Si、SiC又はガラスを含む。
【0094】
次のステップB)において、上述したフィードスルー3が生成される。そのために、ビア/貫通孔12が、例えばフォトリソグラフィ及びその後のプラズマエッチング(「ドライエッチング」)によって、キャリア材料10内に生成される(
図7の中央及び下を参照)。代替的に、ビア12は、レーザによっても生成することができる(レーザ穿孔)。
【0095】
ビア/貫通孔12は、ステップC)において、例えば電気的に、金属材料13(例えば銅)で充填される(これについては、
図8参照)。フォトリソグラフィの際に使用されたフォトレジスト11(
図7参照)が、次に洗浄除去される。
【0096】
更なるステップD)において、機能層5を形成するために、キャリア材料10が機能材料14で被覆される(これについては、
図9を参照)。
【0097】
被覆は、例えばPVD又はCVDプロセスによって行われる。その場合、機能材料14の薄膜が、キャリア材料10の上に生成される。任意に、ステップD)の後に、焼戻し工程を行うことができる。
【0098】
これに代えて、機能層5は、ゾル-ゲル法によって又はセラミックスラリーによって生成することができ、CSD法(例えばスピンコーティング)によってキャリア材料10の上に塗布することができる。この変形例の場合、引き続いての熱処理が必要となる。
【0099】
方法ステップD)は、代替的な実施例においては、ビア/貫通孔12の生成(ステップB))の前に行うこともできる。この場合、金属材料13は、機能層5内に突出し、機能層5によって取り囲まれる(これについては、
図5/
図6に関連して説明した実施例も参照)。
【0100】
更なるステップにおいて、少なくとも1つのカバー電極6を形成するために、電極材料15の堆積が行われる(これについては、
図2~6に関連して
図10を参照)。電極材料15は、好ましくはAu、Ni、Cr、Ag、W、Ti又はPtを含む。堆積は、PVD若しくはCVDプロセスによって又は電気的に行われる。
【0101】
その場合、単層又は複層の薄いカバー電極6(薄層電極)が生成される。特に、カバー電極6は、この方法ステップにおいて、機能材料14の上に薄い電極膜として堆積される。2つのカバー電極6が堆積される場合、凹部(
図4参照)又はくし状の構造が、カバー電極6a、6bを電気的に分離するために設けられる。
【0102】
任意のステップにおいて、更に、適切な材料(好ましくはSiO
2)を塗布することにより、機能材料14の上(
図1による実施例)又は電極材料15の上(
図2~6による実施例)のいずれかへの、保護層7の形成を行うことができる。
【0103】
最後のステップE)において、部品1が細断される(これについては、
図11参照)。これは、フォトレジスト11を塗布し、続いて機能層5及びキャリア材料1のうち後のキャリア層2の高さ又は厚さを決定する部分をプラズマエッチング又はソーイングすることによって行われる(ノッチング)。
【0104】
これに代えて、下側のキャリア材料10の薄化は、2つのステップで実行することができ、第1のステップにおいて、キャリア材料10が平面的にエッチング除去又は研磨除去され、第2のステップにおいて、平面的なエッチングによって細断が行われ、接触要素4が金属を酸化させることなく露出される。
【0105】
図12~17は、部品1の代替的な製造方法を示している。好ましくは、以下の方法では、ガラスキャリア層2を有する部品1が製造される。
【0106】
第1のステップにおいて、上述したキャリア層2を形成するためのキャリア材料10が準備される(
図12参照)。好ましくは、キャリア材料10は、ホウケイ酸ガラス(ガラスウェハー)を含む。
【0107】
更なるステップ(
図13参照)において、フィードスルー3が生成される。これは、この実施例においては、好ましくはLIDE(laser induced deep etching)によって、ガラスウェハー内にビア/貫通孔12をエッチングすることにより行われる。この場合、好ましくは、円錐形状を有する貫通孔12が生成される(これについては
図6も参照)。
【0108】
続いて、更なるステップにおいて、機能層5、例えばNTC層を形成するために、キャリア材料10の機能材料14による被覆が行われる(
図14)。この場合、機能材料14は、それぞれのビア/貫通孔12の内側領域にも塗布することができる。特に、ビア/貫通孔12の内側領域は、完全に機能材料14で被覆される。
【0109】
機能材料14は、この実施例においては、完全に、キャリア材料10の上に又はビア/貫通孔12の内側領域に残る。高価で時間のかかる、機能材料14を部分的に除去するための後続のステップは必要とされない。それにより、方法は単純化され安価になる。
【0110】
ビア/貫通孔12は、更なるステップにおいて、好ましくは電気的に、金属材料13(好ましくは銅)で充填される。このために、先ず、金属材料13(好ましくは銅)の犠牲層又はシード層(Keimschicht)が、機能材料14の上にスパッタリングされる(明示的には示されていない)。更に、この関連において、フォトリソグラフィマスク16(フォトレジスト)が機能材料14の上に塗布される(
図15)。
【0111】
続いて、ビア/貫通孔12が、電気的に金属材料13で充填される。機能材料14の上面のフォトリソグラフィマスク16の間にある空間にも、少なくとも部分的に、金属材料13が、カバー電極を形成するために堆積される(
図16)。
【0112】
フォトリソグラフィマスク16は、続いて再び除去され、例えば洗浄される(
図16)。更に、前述した犠牲層又はシード層も、例えばエッチングによって部分的に除去される。
【0113】
最後のステップにおいて、下側のキャリア材料10の薄化が、裏面研削(Backgrinding)又はエッチングによって行われる(
図17)。金属材料13は、その後、キャリア材料10の下面から機能材料14の上面まで突出する。したがって、金属材料13は、2つの層を完全に貫通する。その場合、金属材料13は、
図16及び17から分かるように(これについては
図6も参照)、部分的にキャリア材料14の上面の上に載っている。
【0114】
図18~22は、部品1の代替的な製造方法を示している。好ましくは、以下の方法では、ガラスキャリア層2を有する部品1が製造される。
【0115】
第1のステップにおいて、上述したキャリア層2を形成するためのキャリア材料10が準備される。好ましくは、キャリア材料10は、ガラス(ケイ酸塩ガラス又はホウケイ酸ガラス)(ガラスウェハー)を含む。
【0116】
図12~17に関連して説明した方法とは異なり、次のステップにおいては、ハードマスク17がキャリア層10の上面の上に塗布される(
図18)。マスク17は、好ましくは、例えば凹部のような構造を有する固体のキャリアである。
【0117】
次のステップにおいて、フィードスルー3が生成される。これは、ガラスウェハーにビア/貫通孔12をエッチングすることによって行われる。その場合、円錐形状を有する貫通孔12が生成される(
図18)。
【0118】
更なるステップにおいて、マスク17が再び除去される。続いて、機能層5、例えばNTC層を形成するために、キャリア材料10の機能材料14による被覆が行われる(
図19)。この場合、機能材料14は、それぞれの貫通孔12の内側領域にも塗布することができる。ここでも、機能材料14のその後の部分的な除去は必要とされず、それにより、方法は単純化され安価になる。
【0119】
ビア/貫通孔12は、更なるステップにおいて、金属材料13(例えば銅)で充填される。このために、先ず、金属材料13の犠牲層/シード層がスパッタリングされる(「シード層スパッタリング」)。更に、フォトリソグラフィマスク16が機能材料14の上に塗布される(
図20)。
【0120】
続いて、ビア/貫通孔12が、電気的に金属材料13で充填される。金属材料13は、フォトリソグラフィマスク16の間の空間内に、機能材料14の表面の上に部分的に導入される。
【0121】
フォトリソグラフィマスク16は、続いて再び除去される。更に、犠牲層又はシード層も、例えばエッチングによって部分的に再び除去される(
図21)。
【0122】
最後のステップにおいて、やはり下面の上のキャリア材料10の薄化が、裏面研削(Backgrinding)又はエッチングによって行われる(
図22)。
【0123】
図23~28は、部品1の代替的な製造方法を示している。好ましくは、以下の方法では、シリコンキャリア層2を有する部品1が製造される。
【0124】
第1のステップにおいて、上述したキャリア層2を形成するためのキャリア材料10が準備される(
図23)。好ましくは、キャリア材料10は、シリコン(シリコンウェハー)を含む。
【0125】
次のステップにおいて、フィードスルー3が生成される。特に、レーザによって、ビア/貫通孔12がシリコンウェハー内に導入される(
図24)。貫通孔12は、好ましくは円錐形状を有する。
【0126】
更なるステップにおいて、適切な材料(好ましくはSiO2)をキャリア材料10の上に塗布することによって、電気絶縁層が生成される(明示的には示されていない)。特に、キャリア材料10は、電気絶縁材料で被覆される。その場合、電気絶縁材料の薄膜が生成される。
【0127】
次のステップにおいて、機能層5を形成するために、キャリア材料10が機能材料14で被覆される(
図25)。その場合、機能材料14は、絶縁層の上に塗布される。機能材料14は、ビア/貫通孔12の内側領域にも塗布される。
【0128】
ビア/貫通孔12は、更なるステップにおいて、金属材料13(好ましくは銅)で充填される。このために、やはり先ず金属材料13の犠牲層がスパッタリングされる。更に、フォトリソグラフィマスク16(フォトレジスト)が機能材料14の上に塗布される(
図26)。
【0129】
続いて、ビア/貫通孔12が、電気的に金属材料13で充填される。フォトリソグラフィマスク16及び部分的に犠牲層も、続いて、例えば洗浄又はエッチングによって除去される(
図27)。
【0130】
最終のステップにおいて、下面の上のキャリア材料10の薄化が、裏面研削(Backgrinding)又はエッチングによって行われる(
図28)。この方法においても、機能材料14の少なくとも部分的な除去は必要とされず、これにより、単純化された安価なプロセスがもたらされる。
【0131】
図29~35は、部品1の代替的な製造方法を示している。好ましくは、以下の方法では、シリコンキャリア層2を有する部品1が製造される。
【0132】
第1のステップにおいて、上述したキャリア層2を形成するためのキャリア材料10が準備される(
図29)。好ましくは、キャリア材料10は、シリコン(シリコンウェハー)を含む。
【0133】
続いて、キャリア材料10に凹部19が生成される。このために、フォトレジスト18がキャリア材料10の上面の上に塗布される(
図29)。続いて、凹部19が、フォトレジスト18の間の領域にプラズマエッチングによって生成される(
図30)。次のステップにおいて、フォトレジスト18が再び除去される。
【0134】
更なるステップにおいて、適切な材料(好ましくはSiO2)をキャリア材料10の上に塗布することによって、電気絶縁層が生成される(明示的には示されていない)。特に、キャリア材料10は、電気絶縁材料で被覆される。電気絶縁材料の薄膜が生成される。
【0135】
次のステップにおいて、機能層5を形成するために、キャリア材料10が機能材料14で被覆される(
図31)。例えば、薄いNTC層が、キャリア材料10の上に又は絶縁層の上に塗布される。その場合、キャリア材料14は、先に生成された凹部19の内部にも導入される。特に、凹部19は、キャリア材料14で充填される。
【0136】
続いて、キャリア材料10の上面の機能材料14の研磨が行われる。特に、研磨は、機能材料14が、好ましくは、先に生成された凹部19内にのみ残り、キャリア材料10の表面の上には残らないような方法で、行われる(
図32)。特に、機能材料14は、好ましくは、キャリア材料10の表面と面一に終端する。
【0137】
次のステップにおいて、機能材料14の上面がフォトレジスト18で被覆される(
図33)。続くプラズマエッチングにより、キャリア材料10が広い面積に亘って除去される。特に、キャリア材料10は、先に生成された機能材料14の下部にのみ残る。このようにして、ビア/貫通孔12が、キャリア材料10及び機能材料14の個々のセクション/柱体の間に生成される(
図34参照)。続いて、フォトレジスト18が再び除去される。
【0138】
更なるステップにおいて、ビア/貫通孔12が、犠牲層/シード層(明示的には示されていない)の塗布後に、電気的に金属材料13(好ましくは銅)で充填される(
図35)。この方法では、キャリア材料10が前のステップで既にプラズマエッチングによって除去されるので、キャリア層2の最終的な薄化を省略することができる。
【0139】
ここで提示された主題の記載は、個々の特定の実施形態に限定されない。むしろ、個々の実施形態の特徴は、技術的に意味のある限り、任意に互いに組み合わせられ得る。
【符号の説明】
【0140】
1 部品
1a 部品の上面
1b 部品の下面
1c 部品の側面
2 キャリア層/ウェハー
2a キャリア層の上面
2b キャリア層の下面
3 フィードスルー
4 接触要素
5 機能層
5a 機能層の上面
6、6a、6b カバー電極
7 保護層
8 凹部
10 キャリア材料
11 フォトレジスト
12 ビア
13 金属材料
14 機能材料
15 電極材料
16 フォトリソグラフィマスク
17 マスク
18 フォトレジスト
19 凹部
【国際調査報告】