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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20221208BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20221208BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/12
B32B5/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518748
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020053721
(87)【国際公開番号】W WO2021076338
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】201941042250
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】バレット、アブラハム
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK03A
4F100AK03C
4F100AK05C
4F100AK07A
4F100AK07C
4F100AK51B
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB00B
4F100DG11C
4F100DG12C
4F100EJ38A
4F100GB15
4F100HB31D
4F100JK02
4F100JK06
4F100JK10
(57)【要約】
(a)第1のポリオレフィンフィルム基材層と、(b)第2の織物ポリオレフィン布地基材層と、(c)層(a)および(b)を結合するために(a)および(b)の層のうちの少なくとも1つの表面に配置された無溶剤(溶剤不含)積層接着剤組成物と、を含む、多層積層体製品、ならびに上記の積層体を製造するためのプロセス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1のポリオレフィンフィルム基材層と、
(b)第2の織物ポリオレフィン布地基材層と、
(c)層(a)および(b)を結合するために(a)および(b)の前記層のうちの少なくとも1つの表面に配置された、積層接着剤組成物の層と、を含む、多層積層体。
【請求項2】
前記第1の層が、印刷された二軸延伸ポリプロピレンフィルム層である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第2の層が、織物ポリプロピレン層または織物高密度ポリエチレン層である、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記積層接着剤組成物が、少なくとも1つのイソシアネート成分および少なくとも1つのポリオール成分を含む2成分無溶剤ポリウレタンベースの積層接着剤である、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記イソシアネート成分が、40重量パーセント~70重量パーセントの濃度の少なくとも1つの脂肪族多官能性イソシアネート化合物である、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記ポリオール成分が、30重量パーセント~60重量パーセントの濃度の少なくとも1つのポリエステルポリオール化合物である、請求項4に記載の積層体。
【請求項7】
多層積層体を生成するためのプロセスであって、
(I)
(a)第1のポリオレフィンフィルム基材層、
(b)第2の織物ポリオレフィン布地基材層、ならびに
(c)層(a)および(b)を一緒に結合するための積層接着剤組成物を提供するステップと、
(II)ステップ(I)からの前記接着剤組成物を、ステップ(I)の前記第1および第2の基材層の前記層のうちの少なくとも1つの層の表面の少なくとも一部に塗布して、接着剤層を形成するステップと、
(III)多層積層体を形成するのに十分な前記接着剤層と一緒に前記第1および第2の基材層を組み合わせるステップと、
(IV)ステップ(III)の構造を硬化させて、硬化した多層積層体を形成するステップと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層積層体構造に関し、より具体的には、本発明は、(a)延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも第1の層と、(b)織物ポリプロピレン布地の少なくとも第2の層と、(c)延伸ポリプロピレンフィルムを織物ポリプロピレン布地に接着するための無溶剤積層接着剤組成物と、を含む、多層積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
織物ポリプロピレン(wovenPP)または織物高密度ポリエチレン(wovenHDPE)の積層体は、通常、食用穀物、豆類、砂糖、野菜、乾燥食品などの大量の消費財を包装するように意図される。典型的には、これらのタイプの積層体は、薄いポリエチレン(PE)層が、印刷された二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムとwovenPPフィルムとの間に押し出され、タイ層(tie layer)として作用する、押出積層プロセスによって調製される。このような押出積層プロセスに伴う欠点は、2つの積層フィルム間の接着値が低く(150g/15mm未満)、およそ10gsm~15gsmの押し出されたPEがこのプロセスにおいて用いられるため、積層のコストが高くなることである。接着剤積層を使用すると、2.5gsm~4.5gsmの無溶剤接着剤のみが接着剤積層構造に用いられるため、接着値は、通常、より高く(例えば、150g/15mm超)、積層のコストは、より低い。加えて、押出積層の速度は遅い(例えば、120mpm~150mpm)が、無溶剤接着剤積層では、加工の速度は、通常、より高い(例えば、200mpm~400mpm)。したがって、無溶剤接着剤積層経路の生産性は、有益により高くなり得る。
【0003】
しかしながら、wovenPP表面は非常に不均一かつわずかに多孔性であるため、接着剤積層プロセスによって、wovenPPまたはwovenHDPEの積層体を一般に加工することは、困難である。押出積層の代わりに、溶剤ベースの接着剤積層プロセスが使用されている。例えば、溶剤ベースの接着剤積層プロセスおよび機械は、OPP/VMOPPフィルム積層を形成するために延伸ポリプロピレン(OPP)および真空金属延伸ポリプロピレン(VMOPP)を積層するために使用されているが、頑丈な袋(sack)を製造するためには使用されていない。無溶剤接着剤は非常に低いグリーンボンド(green bond)値(例えば、<20g/15mm)を有する傾向があるため、無溶剤接着剤系を用いて接着剤積層プロセスを実施することは、さらにより困難になる。
【0004】
したがって、当業者は、非常に迅速な接着発達(2つの成分を混合した後の分子的増強)を有する接着剤系を提供することによって、一般の無溶剤接着剤積層に関連する課題を克服することが望ましいであろう。また、低い初期粘度を有する混合接着剤は、粗い不均一なwovenPP表面を均一に塗るのに役立つ。接着剤の急速な接着発達は、2つのフィルムを一緒に結合および保持するのに役立つ。追加的に、接着剤は、厚いwovenPPフィルムおよび印刷されたBOPPフィルムを一緒に保持し、かつ何らかの外気が新たに積層された層に入り、極小の層間剥離またはトンネリングを引き起こし得ることを防ぐために、十分な初期タック(tack)/接着/せん断および迅速な硬化速度を有することが、望ましいであろう。
【0005】
完成した積層体が落下試験に耐えることができることもまた重要であり、ここで、積層体は、10kgもしくは25kgの袋に変換され、食用穀物を充填されるか、または、同様の品目が、密封され、少なくとも6つの別個の回数(袋の前面、背面上部、下部、および各側面を含む、袋の各々の平らな表面で1回)約1.8mの高さから落下される。
【0006】
これまで、様々な積層体構造ならびに積層体および包装物品を調製する製造プロセスが、米国特許第8,377,508B2号および同第10,233,368B2号、ならびに米国特許出願公開第2013/0177747A1号、同第2015/0360449A1号、同第2018/0281370A1号、および同第2018/0186130A1号などの先行技術において開示されている。しかしながら、上記の先行技術は、一般に、一般の可撓性包装用途のための、または接着剤を使用して、熱プレスによって熱可塑性フィルムを不織熱可塑性布地に積層するための、複合フィルムを製造することを開示する。上記の先行技術のうちのいずれも、頑丈な包装用のwovenPP布地もしくはwovenHDPE布地を積層するための、または頑丈な包装用のOPP/wovenPP積層体を製造するための、高速硬化無溶剤接着剤系を開示しない。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、本発明は、ポリマーフィルムの第1の層を織物布地の第2の層に接着するための(c)無溶剤(すなわち、溶剤不含)積層接着剤系または組成物で(b)織物布地の少なくとも第2の層に接着された(a)ポリマーフィルムの少なくとも第1の層を含む、多層積層体構造に関する。
【0008】
好ましい実施形態では、本発明において使用される無溶剤積層接着剤組成物、成分(c)は、織物布地のポリマーフィルムの少なくとも第1の層とポリマーフィルムの少なくとも第2の層との間に50g/15mm超のグリーンボンド(積層の60分[min]後の接着)を有利に提供し、硬化速度の加速を提供し、積層の8時間以内に150g/15mmを超えている硬化した接着を与える。
【0009】
別の好ましい実施形態では、ポリマーフィルムの少なくとも第1の層、成分(a)は、例えば、印刷された二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム層を含み、織物布地の少なくとも第2の層、成分(b)は、例えば、本発明の積層体を形成するためのwovenPP層またはwovenHDPE層を含む。無溶剤接着剤系を使用する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、上記の多層積層体構造を製造するための接着剤積層プロセスを含む。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態では、上記の積層体を使用して作製された包装物品に関する。
【0012】
さらに別の実施形態では、本発明は、上記の包装品を製造するためのプロセスを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書全体を通じて使用されるように、以下に示される略語は、文脈が別段明確に指示しない限り、以下の意味を有する:「=」は「等しい」を意味し、「@」は「で」を意味し、「adh」は「接着剤」を意味し、「ex」は「押出」を意味し、「<」は「未満」を意味し、「>」は「よりも大きい」を意味し、N=ニュートン、mN=ミリニュートン、N/15mm=15ミリメートル当たりのニュートン、mpm=分当たりのメートル、gsm=平方メートル当たりのグラム、g=グラム、g/15mm=15ミリメートル当たりのグラム、mg=ミリグラム、kg=キログラム、kg/m=立方メートル当たりのキログラム、L=リットル、mL=ミリリットル、g/L=リットル当たりのグラム、rpm=分当たりの回転、Mw=分子量、m=メートル、μm=ミクロン、μL=マイクロリットル、mm=ミリメートル、cm=セントメートル、min=分、s=秒、hr=時間、rad/s=秒当たりのラジアン、℃=摂氏度、A=アンペア、Kw.min/m=平方メートル当たりのキロワット.分、mPa.s=ミリパスカル-秒、kPa=キロパスカル、Pa.s/m=平方メートル当たりのパスカル-秒、dtexまたはDecitex=10,000メートル当たりのグラム、cN=センチニュートン、mm=平方ミリメートル、mg KOH/g=ポリオールのグラム当たりの水酸化カリウムのミリグラム単位でのヒドロキシル価、気泡/mmは、平方ミリメートル当たりの気泡数単位での細孔密度値であり、%=パーセント、vol%=体積パーセント、wt%=重量パーセント。
【0014】
本明細書に記載されたすべてのパーセンテージは、別段指示されない限り、重量パーセンテージ(重量%)である。
【0015】
別段明記されない限り、温度は摂氏度(℃)にあり、「周囲温度」は20℃~25℃を意味する。
【0016】
「多層」は2つ以上の層を意味し、層のうちの少なくとも2つは異なる基材のものである。
【0017】
「無溶剤」、「非溶剤」または「溶剤不含」という用語は、溶剤をほとんどまたはまったく含まない物質を意味するために本明細書で互換的に使用され、本明細書の接着剤組成物に関して、組成物は、一実施形態では<2wt%の溶剤を含有し、別の実施形態では0wt%~<1wt%である。好ましい実施形態では、組成物は、希釈剤または添加剤としてゼロwt%の溶剤を含有し、組成物中に存在する溶剤の濃度は、もしあれば、本明細書では、例えば、<500ppmの汚染物質レベルに起因するとみなされる。本発明の無溶剤接着剤は、環境に優しい。
【0018】
広い実施形態では、本発明は、積層包装材料を生成するための多層積層体構造を含み、積層体は、接着剤組成物または配合層によって一緒に粘着された基材の少なくとも2つの層の組み合わせを含む。例えば、本発明の一般の実施形態では、(a)OPPフィルムなどの延伸ポリオレフィンフィルムの少なくとも第1の層と、(b)wovenPP布地などの織物ポリオレフィン布地の少なくとも第2の層と、(c)延伸ポリオレフィンフィルムを織物ポリオレフィン布地に接着するための無溶剤積層接着剤組成物と、を含む、多層積層体を含む。所望の場合、1つ以上の他の任意選択の層基材が、上記の多層積層体構造を生成するために使用され得る。
【0019】
本発明の積層体を作製するために使用されるポリオレフィンフィルムの第1の層、成分(a)は、1つ以上のポリオレフィンを含み得る。例えば、ポリオレフィンの第1の層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、二軸延伸ポリエチレン(BOPE)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、金属化BOPE、金属化BOPP、低密度ポリエチレン(LDPE)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)などの1つ以上のポリオレフィンフィルムを含み得る。
【0020】
1つの好ましい実施形態では、ポリオレフィンフィルムの第1の層は、例えば、織物布地の第2の層に接着される、印刷されたBOPPフィルム層またはPETフィルム層を含み得る。
【0021】
本発明の多層積層体を形成するために使用されるポリオレフィンフィルムの第1の層の厚さは、例えば、一実施形態では8μm~20μmであり、別の実施形態では12μm~15μmであり得る。
【0022】
織物ポリオレフィン布地第2層、成分(b)は、ポリオレフィンフィルムの第1の層および織物布地の第2の層を一緒に積層(接着)するための積層接着剤を利用して、上記のポリオレフィンフィルムの第1層に接着される。本発明の積層体を作製するために使用される織物ポリオレフィン布地の第2の層は、例えば、1つ以上の織物ポリオレフィン布地を含み得る。例えば、織物ポリオレフィン布地の第2の層は、wovenPP層およびwovenHDPE層などの1つ以上のポリオレフィン織物を含み得る。
【0023】
織物ポリオレフィン布地の第2の層の重量は、一般に、一実施形態では35gsm~110gsm、そして別の実施形態では50gsm~90gsmの範囲にある。布地の重量が<35gsmである場合、材料は、その布地を使用して作製された頑丈な袋の落下試験に耐えられず、布地の重量が>110gsmである場合、その布地を使用は全く経済的に実行可能でない場合がある。
【0024】
それぞれ、第1および第2の層、成分(a)および(b)を結合するために使用される接着剤組成物の層、成分(c)は、少なくとも第1層のフィルムと少なくとも第2の層の織物布地との間の50g/15mm超のグリーンボンド(積層の60分後の接着)を有利に提供し得る、積層接着剤であり、硬化速度の加速を提供し、積層の8時間以内に150g/15mmを超えている硬化した接着を与える。
【0025】
本発明において有用な接着剤組成物の例は、イソシアネート成分およびポリオール成分を含む2成分無溶剤ポリウレタンベースの接着剤組成物を含む、米国特許出願公開第2019/0127617A1に記載される接着剤である。例えば、上記の特許出願公開に記載されるように、イソシアネート成分は、MOR-FREE(商標)698A(The Dow Chemical Companyから入手可能)などのイソシアネートであり得、ポリオール成分は、MOR-FREE(商標)C-83(またThe Dow Chemical Companyから入手可能)などのポリオールであり得る。本発明において使用される接着剤組成物を生成するプロセスはまた、上記の特許出願公開にも記載される。
【0026】
別の好ましい実施形態では、接着剤は、例えば、MOR-FREE(商標)899A/C99(The Dow Chemical Companyから入手可能)を含む、市販の接着剤を含み得る。
【0027】
第1および第2の層を接着し、かつ本発明の多層積層体を形成するために使用される接着剤層の厚さは、例えば、1つの一般の実施形態では、2.5gsm~4.5gsmであり得る。接着剤層の厚さが<2.5gsmである場合、接着剤を使用すると低い粘着接着がもたらされ、接着剤層の厚さが>4.5gsmである場合、第1および第2の層に接着剤を塗布することは、事実上困難な場合がある。
【0028】
積層の60分後の接着剤の最小接着値は、1つの一般の実施形態では、50g/15mm~100g/15mmである。60分のグリーンボンドが50g/15mm未満である場合、第1および第2の層の最終接着もまた、低く許容不可能な可能性が高く、60分の接着が>100g/15mmである場合、最も恐らくは、良好かつ高い最終硬化接着が発生するであろうが、>100g/15mmの60分接着を使用することによる経済的な利益はない。
【0029】
接着剤硬化後の接着剤の最終的な接着値は、1つの一般の実施形態では>150g/15mm、そして別の実施形態では150g/15mm~250g/15mmである。250g/15mmを超える接着値は非常に良好であるとみなされるが、100g/15mm未満の最終的な接着値は、許容可能でなく、落下試験失敗をもたらすであろう。
【0030】
本発明において有用な接着剤は、含む他の既知の積層接着剤と比較していくつかの利点を有し、例えば、接着剤は、ウェブ間の層間剥離を許容しないことによる可撓性/衝撃、バルク商品の包装プロセス、かつ落下試験を実行する際に関して、優れた性能を有することを含む。
【0031】
前述のように、多層積層体は、上記の成分層(a)~(c)に加えて、他の任意選択の層状基材、成分(d)を含み得る。例えば、OPA、すなわち延伸ポリアミド(ナイロン)、セロハン、およびPETなどの基材は、上記の第1および第2の層に積層(接着)され得る。
【0032】
本発明の多層積層体は、上記の接着剤組成物を第1のフィルム基材の表面上に塗布して、フィルム基材の表面に接着剤層を形成し、次いで、接着剤コーティングされた第1のフィルム基材を第2の織物布地基材と接触させ、次いで、多層積層体を硬化させることによって生成される。
【0033】
接着剤組成物の塗布は、接着剤組成物または配合物を塗布する当該技術分野で既知の従来の手段によって実施され得る。例えば、接着剤組成物は、圧延、噴霧、ホットメルト押出などを含む、従来の装置およびプロセスを使用して塗布され得る。
【0034】
例えば、Nordmeccanica 1 Shotラミネータ(Nordmeccanicaから入手可能)などのラミネータは、本発明の積層体を調製するために、SYMBIEX(商標)(The Dow Chemical Companyから入手可能な非従来型接着剤技術)などの接着剤とともに使用され得る。1 Shot技術は、SYMBIEX接着剤で典型的に使用されるNordmeccanicaからの無溶剤積層技術を指す。1 Shot技術は、接着剤成分および硬化剤成分を含む接着剤組成物を伴い、成分は接着剤組成物の塗布前に一緒に混合されないが、代わりに、成分は個々のフィルム基材に別々に塗布される。
【0035】
一般の実施形態では、多層積層体を生成するためのプロセスは、例えば、以下の順序で、
(I)(a)第1のフィルム基材、(b)第2の織物布地基材、および(c)接着剤組成物を提供するステップと、
(II)接着剤組成物を第1または第2の基材の表面の少なくとも一部に塗布して、接着剤層を形成するステップと、
(III)多層積層体を形成するのに十分な接着剤層と一緒に第1および第2の基材を組み合わせるステップと、
(IV)ステップ(III)の構造を硬化させて、多層積層体を形成するステップと、を含む。
【0036】
ステップ(I)を実施する際に、ウェブ巻き戻し張力は、ウェブの任意の伸びまたはカールを防ぐために、最小限に維持される。印刷されたOPPまたはPETフィルムについてのウェブ張力は、約40N~120Nに維持され得る。40N未満のウェブ張力は、ラミネータの長さに沿って一次的フィルムを引っ張るのに十分でない場合がある。120N超のウェブ張力は、ウェブの伸びをもたらし得る。
【0037】
ステップ(II)を実施する際に、接着剤組成物は、「温かい」、すなわち一実施形態では30℃~60℃で供給され、塗布ローラーもまた、ウェブ上への接着剤の広がりを促進するためにこれらの温度の間に維持される。一実施形態では、コーティングニップ圧力は、通常、2バール~5バール(kg/sq.cm)の範囲に維持される。<30℃の塗布温度および<2バールの圧力では、接着剤は、ウェブ上に一様に広がらず、ウェブ表面を均一に塗ることができず、接着剤の低い接着値をもたらすことになる。温度が高くなると、接着剤またはローラーがウェブを柔らかくする場合があり、このことがラミネータ上の不適切なウェブ張力制御および伸びにつながる場合がある。>5バールの圧力は、標準の圧縮空気ラインシステムからの従来のラミネータで達成することは困難であり、>5バールの圧力を使用することは、実際には、接着剤の塗布に必要でない。
【0038】
ステップ(III)を実施する際、積層ニップローラーは25℃~55℃で維持されて、二次的ウェブ上への接着剤の広がりを促進する。一実施形態では、積層ニップ圧力は、通常、2バール~5バール(kg/sq.cm)の範囲に維持される。<25℃の塗布温度および<2バールの圧力では、接着剤は、二次的ウェブ上に一様に広がらず、接着剤は、二次的ウェブ表面を均一に塗ることができず、低い接着値をもたらすことになる。>55℃の温度を使用することによって、接着剤は、接着剤が織物材料の細孔を通って織物材料に浸透し得るほど軟化し得る。このことは、次に、フィルム間の低接着性コーティングにつながり、より薄いタイ層をもたらし、最終的に低い接着値をもたらす場合がある。積層ニップ圧力について>5バールの圧力を使用することはまた、接着剤が織物ウェブに浸透し、最終的に低い接着値をもたらすのと同じ効果を有することになる。
【0039】
ステップ(IV)を実施する際に、新しく作成された積層体ロールは、ロールの張力が開くか、または緩むことを回避するように、自己接着テープによって固定される。一実施形態では、積層体構造は、積層体構造を周囲温度20℃~40℃の空気中に24時間の期間懸濁したままにすることによって硬化する。
【0040】
別の実施形態では、さらなる任意選択の加工ステップは、積層体が硬化すると実施され得、例えば、硬化した積層体を細長く切るステップを含む。細長く切るステップは、典型的には、積層体が、一つの一般の実施形態では24時間以上の硬化時間の期間の後、そして別の実施形態では積層の12時間~24時間後などの、硬化時間の期間に供された後に実施される。一実施形態では、硬化した積層体は、20℃~40℃の周囲温度で細長く切られ得る。
【0041】
積層体の細長く切るステップの後、バッグは、バッグ作製について知られている任意の従来のプロセスおよび装置を使用して、細長く切られた積層体材料から製造され得る。例えば、バッグ作製プロセスは、(i)超音波密封/溶接技術を使用してVFFS(垂直フォーム充填および密封)機械で積層体中にセメントを充填し、積層体を50kgのバッグへと形成するステップであって、バッグの端が超音波で密封される、ステップを含み得る。超音波密封の方法および装置の説明は、米国特許第8,028,503B2号および米国特許第9,149,980B2号および以下のインターネットウェブサイト:https://www.herrmannultraschall.com/en/ultrasonic-basics/ultrasonic-sealing/において見出され得る。
【0042】
次いで、製造されたバッグは、本明細書の実施例において記載されているように、落下試験に供され得る。
【0043】
上記のプロセスに従って生成された結果として得られる多層積層体は、例えば、最終的な積層体が、(1)層間剥離を受けない;(2)150g/15mmを超えている接着値を有する;(3)42,000mNを超えている引裂き値を示す;および(4)落下試験に合格することを含む、いくつかの有利な特性を示し得る。
【0044】
例えば、本発明の最終的な積層体は、上記の一実施形態では、2つの積層フィルム(第1および第2の層)の間に150g/15mmを超えている接着値を有する。
【0045】
本発明の最終的な積層体は、1つの一般の実施形態では42,000mN、そして別の実施形態では>42,000mN~50,000mNを超えている引裂き値を示す。
【0046】
加えて、本発明の最終積層体は、特に、(i)積層体が袋またはポーチ中に構築され、(ii)積層体ポーチが、充填された材料であり、熱密封され、(iii)充填された積層体ポーチが、1.8mの高さから袋の6つの表面すべてへの落下に供される際に、落下試験に合格する。
【0047】
例えば、本発明の積層体は、食用穀物/豆類の頑丈な包装のために使用される際、落下試験に合格し、すなわち、包装が1.8mの高さから6つの別個の回数手動で落下された後、積層体は層間剥離の兆候を示さない。加えて、接着剤が24時間硬化した後、積層体のトンネリング、層間剥離、または変形は、発生しない。
【0048】
OPP/wovenPP積層体袋についての他の有利な機能および用途は、例えば、厳しい気象条件に対する耐性、高い引張強度、堅牢な落下試験耐性、優れた光学的外観、および漏出に対する耐性を含む。
【0049】
本発明の積層体は、様々な包装材料および製品を製造するための包装用途において使用され得る。特に、食用穀物および豆類のバルク包装のためのwovenPP布地およびバッグの製造業者は、本発明から利益を得ることができる。
【0050】
例えば、積層体は、OPPフィルムをwovenPP積層体袋生地に対する無溶剤接着剤積層のために使用され得る。袋生地は、例えば、食用穀物/豆類、種子、レンズマメ、穀物、砂糖、塩、油料種子、砂糖、塩、茶粉、タマネギ、ジャガイモ、他の食品、医薬品、肥料、農薬などのバルク包装のために使用され得るが、これらに限定されない。
【0051】
本発明の接着剤は、従来の接着剤よりも速い接着強度増強を示すため、Pacacel(商標)接着剤を使用する積層体構造は、従来の無溶剤接着剤系を使用する積層体構造よりもはるかに高い凝集を有する。そして、高い凝集は、接着剤組成物中のポリエステルポリオール含有量の高い負荷レベル、同様に比較的高い架橋密度に由来する。しかしながら、同時に、高すぎない初期粘度を有する適切なポリエステルポリオールが、選択される。さもなければ、接着剤塗布操作が、問題となる。混合された接着剤および硬化剤系の初期粘度は、好ましくは、推奨される重量比で、ウェブ/フィルムへの均一な塗布のために、2,000kPa.s未満に維持するはずである。
【0052】
上記の懸念のすべてに対処するために、厚く不均一な積層体は、低粘度を有し、不均一なwovenPPフィルムを塗ることに優れ、同時に、従来の2成分無溶剤積層接着剤と比較してより高い初期のグリーンタック/接着/せん断、同様に、十分に高い接着値およびせん断強度を生成するための硬化速度の加速を有し、積層体の層間の任意の空気の動きを阻害し、グリーンステージでフィルムを一緒に保持するのに十分な強度を提供する、PACACEL(商標)968/C-108などの非常に特殊な加速硬化無溶剤接着剤を使用して、標準の無溶剤ラミネータで上手く加工される。無溶剤積層プロセスは、溶剤蒸気を乾燥させるためのラミネータに対する高温の使用を伴わない。プロセス全体が室温で実施されるため、印刷されたOPPフィルムが伸びて、最終製品におけるカールおよびしわの形成のような関連する欠陥を引き起こす可能性は、きわめて低い。
【0053】
需要は、積層(コーティング)された織物袋の頑丈な包装材料のバルク袋パックのための印刷されたOPP/wovenPPまたはOPP/wovenHDPE積層体に対して高い。包装製品の製造におけるコンバータは、新規の無溶剤接着剤を使用して、70gsmのwovenPPに粘着した厚さ12ミクロンまたは厚さ15ミクロンのBOPPフィルムから積層体を製造することができる。コーティング(積層)織物袋業界は、無溶剤接着剤積層プロセスを経済的に利用し得る。例えば、厚さ10μm以上のPE押出層は約3.5gsmの接着剤で置き換えられることができ、生産ライン速度が増加し得るため、本発明の無溶剤接着剤積層プロセスを使用することによるOPP/wovenPPバッグの製造は、経済的である。
【実施例
【0054】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提示されるが、特許請求の範囲の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。別段指示されない限り、すべての部およびパーセンテージは、重量による。
【0055】
本発明の実施例(INv.Ex.)および比較実施例(Comp.Ex.)において使用される様々な内容物、成分、添加剤、または原材料は、以下の材料を含む:
(1)PACACEL(商標)968/C-108は、接着剤であり、The Dow Chemical Companyから入手可能であり、かつ
(2)MOR-FREE(商標)899A/C99は、接着剤であり、The Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0056】
積層体構造を調製するための一般の手順
いくつかの積層体構造を、以下のように調製した:標準のNormeccanica無溶剤ラミネータ上で、OPPまたはPETの印刷されたプレーンウェブが一次的基材として取られる。このウェブは、接着剤コーティングステーションで、接着剤ダムからの混合接着剤でコーティングされる。次いで、このウェブはラミネータの長さに沿って積層ニップまで移動し、そこでウェブは、二次的wovenPPまたはwovenHDPEフィルムに積層/ニップされる。積層ニップの後、新しい積層体は、ラミネータの巻き戻しステーションでロール中に巻き戻される。
【0057】
平らなwovenPP布地および管状のwovenPP布地は、各々12ミクロン厚さのOPPフィルムおよび15ミクロン厚さのOPPフィルムで積層され、両方の場合では、印刷されたOPPフィルムおよび印刷されていないOPPフィルムが、調製された各積層体に対して使用された。
【0058】
次いで、積層されたリールは、分析のために送られ、接着強度および落下試験について試験され、このような分析は、顧客によって行われ得る。
【0059】
実験
明細書の以下に記載される加工パラメータを使用し、接着剤としてPACACEL 968/C108を使用して、積層体を用いた3つの実験を実施した。Nordmeccanica Super Combi 3000ラミネータ機械およびミキサー(Nordmeccanica SpAから製造され入手可能な両方の機器)を使用してパイロットスケールで積層を実施することによって、良好な結果を得た。ラミネータ機械を使用して、PACACEL 968/C108接着剤(コーティングされた材料)の層をwovenPP布地のウェブ(支持体)上に塗布し、印刷されたOPPフィルムまたは印刷されていないOPPフィルムをwovenPP布地上に積層した。接着剤は、素早く硬化し、OPPフィルムを不均一なwovenPP布地に強力に結合する。wovenPP布地に積層されたOPPフィルムの得られた多層積層体は、「OPP//wovenPP布地」と称される。
【0060】
試験では、イソシアネート(NCO)成分、PACACEL 968対ポリオール(OH)成分、C108の混合比を、100:45.8重量部に維持した。
【0061】
NCO成分を含むタンクの温度を45℃に維持し、OH成分を含むタンクの温度を35℃に維持した。Nordmeccanicaミキサーに取り付けられたホースパイプの温度を、40℃に維持した。「S1」および「S2」と呼ばれるラミネータの計量スチールローラーを、40℃に維持した。「S3」と呼ばれるコーティングローラーを45℃に維持し、 「S4」と呼ばれる積層ニップローラーを55℃に維持した。接着ダムの接着温度は43℃であった。
【0062】
4バール(400,000パスカル)の圧力を、以下の各々の実験において使用した:ラミネータの転写圧力、コーターの圧力、積層ニップ圧力力、およびレイオン圧力。
【0063】
wovenPPフィルムのコロナ処理のために、2.5Kw.min/mのインラインコロナを維持した。
【0064】
実施例1-実験1
15μmの印刷されたOPP//70gsmのwovenPPの平らな布地を、この実験1において使用した。積層体から作製された得られたバッグを充填するために使用された食品は、Amul Gold Riceのブランド名で販売された米であった。
【0065】
使用した張力は以下のとおりであった:ラミネータのウェブ上の一次張力は120Nであり、ブリッジ張力は140Nであり、二次張力は270Nであり、巻き戻し張力は150Nであり、テーパー張力は15%であった。
【0066】
接着剤コーティング重量を、3.5gsm~3.8gsmに維持した。積層のライン速度を、200mpmに維持した。200mpmのライン速度でのコーターの電流を、5.0A~6.0Aに維持した。この実験1で生成された積層体の24時間の接着を、100g/15mm~200g/15mm(1N/15mm~2N/15mm)で測定し、積層体に対して実行された試験は、滑らかな剥離および部分的なインク転写をもたらした。
【0067】
明細書での「滑らかな剥離」は、試験中に2つのウェブのうちのいずれか1つが損傷するか、または裂けることのない、2つの積層ウェブ間の凝集破壊を意味する。「破壊」は、接着剤層の凝集破壊、反対側のウェブ上への印刷インクの転写、または接着剤とフィルムのうちの1つとの間の粘着破壊を含み得る。
【0068】
本明細書での「部分インク転写」は、印刷されたフィルム表面上の印刷インクの一部が、印刷されたフィルム表面から反対側の織物ウェブ上に転写されることを意味する。接着強度を検査する間の破壊様式の観察は、2つのウェブ/フィルム間の接着の程度を理解するために重要である。接着値は、例えば、1N/15mmの数値によって記録される一方で、凝集破壊は、接着強度が約1N/15mmであり、それ以上ではないことを示す。部分的または完全なインク転写は、印刷インクのフィルムへの限定された接着により、接着値がある特定のレベルに制限されることを示す。しかしながら、1N/15mmの同じ値で基材破壊接着が発生する場合、2つの積層フィルム間の実際の接着強度が1N/15mmを超えているが、基材のうちの1つが、1N/15mmの力で剥離するか、または裂けることを示す。
【0069】
実施例2-実験2
12μmの印刷されていないOPP//70gsmのwovenPP管状布地を、この実験2において使用した。
【0070】
この実験2において使用した張力は以下のとおりであった:ラミネータのウェブ上の一次張力は40Nであり、ブリッジ張力は80Nであり、二次張力は100Nであり、巻き戻し張力は120Nであり、テーパー張力は15%であった。
【0071】
維持された接着剤コーティング重量は、3.5gsm~3.8gsmであった。積層のライン速度を、150mpmに維持した。この実験2において生成された積層体の24時間接着は、OPPフィルムが引き裂かれることをもたらす基材破壊接着であった。
【0072】
実施例3-実験3
15μmの印刷されていないOPP//70gsmのwovenPP管状布地を、この実験3において使用した。積層体を、150mpmのライン速度で生成した。24時間後の接着値は220g/15mm~270g/15mmであり、基材は剥がれ落ち、すなわち、OPPが裂けた。
【0073】
試験測定
接着値
積層体についての接着値を、g/15mmでT型剥離法によってUniversal試験機械で得た。
【0074】
引裂き値
積層体の引き裂き値を、ノッチが積層体サンプルにおいて作製され、ノッチから積層体サンプルを引き剥がすのに必要とされる力が測定される、標準の引裂き試験機で得た。
【0075】
落下試験
積層体を、落下試験に供し、積層体から作製された袋を1.8mの高さから6回、袋の各側面/表面に手動で落下させることによって、「合格」または「不合格」と評価した。
【0076】
試験結果
表I、II、およびIIIは、押出成形およびPACACEL(商標)無溶剤接着剤積層経路を使用することによって調製されたOPP/wovenPP積層体の比較性能データの結果を記載する。以下の表で、「OPP」は「延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム」を意味し、「ex.PE」は「押出ポリエチレンフィルム」を意味し、「adh」は「接着剤」を意味し、「wwPP」は「織物ポリプロピレン布地」を意味する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0077】
表IVおよびVは、通常の無溶剤接着剤系、MOR-FREE(商標)899A/C99を使用することによって調製されたOPP/wovenPP積層体の性能データの結果を記載し、これらは所望の要件を満たすことができなかった。
【表4】
【0078】
引裂き値-通常の無溶剤接着剤
【表5】
【0079】
結果の考察
本発明の方法によって作製された完成した積層体の外観は許容可能であり、すなわち、積層体において目に見える欠陥は観察されなかった。積層体の24時間接着値もまた、許容可能であった。PACACEL(商標)968/C-108無溶剤接着剤を用いて作製される積層体構造を用いて作製された袋の最終的な接着値、引裂き値、および落下試験性能は、通常の押出積層プロセスで作製される積層体構造で作製された袋を試験する際に観察された値よりも良い。本発明は、オペレータ/コンバータが、優れた性能、経済性、およびより高い生産性の利益のために、本発明の無溶剤接着剤積層プロセスに容易に切り替えることを可能にする。従来の無溶剤接着剤積層プロセスで得られた接着および引裂き値は、従来の押出積層プロセスで得られたものよりも大幅に低く、頑丈な包装などのある特定の用途に適合するには不十分である。
【0080】
従来の押出ベースの積層体サンプルでは、接着値は50g/15mm~180g/15mmの範囲で大幅に変化し、結果として得られる積層体構造は滑らかな剥離を示す。本発明の無溶剤接着剤系を使用すると、積層体構造の接着値はより一貫しており、接着値は、190g/15mm~230g/15mmまで高くなり得る。また、結果として得られる積層体構造は、OPPフィルム引裂きを示す。積層体構造のOPPフィルムの引裂きは、実際の接着値が230g/15mmの記録された値よりもさらに高いことを示す。230g/15mm以上のより大きい接着値は、ユニット構造としての積層体の完全性の大幅な改善である。
【0081】
2時間の硬化後のPACACEL接着剤のタックレベルは、同じ時間間隔でのMOR-FREE接着剤でのタックレベルと比較してより低い強度である。上記の2つの接着剤におけるタックレベルの差異は、PACACEL接着剤がMOR-FREE接着剤と比較してはるかに高い速度で硬化することと、PACACEL接着剤が、wovenPP布地を通って布地のもう一方の側に容易に浸透しないことと、を示し、それによって、良好な接着のための接着剤タイ層厚さを維持する。MOR-FREE接着剤の場合、2時間の硬化後のMOR-FREE接着剤のタックレベルは、PACACEL接着剤よりも高く、MOR-FREE接着剤がPACACEL接着剤よりも遅い速度で硬化することを示している。より低いMwを有する粘着性のMOR-FREE接着剤は、積層体ロールの内圧下で織物布地の不均一な表面を通って浸透し得る。観察されるように、浸透は有効なタイ層厚さを低減し、さらに低い接着値をもたらす。
【0082】
引裂き値に関して、押出積層体構造の引裂き値は約42,000mNであり、接着剤積層体構造の引裂き値は約44,000mNである。得られた引裂き値は、両方の積層体構造が積層体の引裂き能力に関して同等であることを示す。しかしながら、接着剤積層構造の引裂き値が押出積層体構造の引裂き値よりもわずかに高いため、接着剤積層構造を引き裂くことはわずかにより難しい。
【0083】
表VIは、以下のプロセスの各々を用いて調製されたOPP/wovenPP積層体の比較性能データの結果を示す:(1)押出積層、(2)PACACEL(商標)968/C-108無溶剤接着剤積層、および(3)MOR-FREE(商標)899A/C99通常の無溶剤接着剤積層。
【表6】

【国際調査報告】