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特表2022-552139エチレン-カルボン酸共重合体を含む水分散組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】エチレン-カルボン酸共重合体を含む水分散組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20221208BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20221208BHJP
   C08K 5/16 20060101ALI20221208BHJP
   C08K 3/105 20180101ALI20221208BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L91/06
C08K5/16
C08K3/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520293
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2020013291
(87)【国際公開番号】W WO2021071165
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0125911
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェ ウン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジ スン
(72)【発明者】
【氏名】パク ド ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン ヘ ジン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE03X
4J002BB08W
4J002DE026
4J002DE058
4J002DF007
4J002FD207
4J002FD208
4J002GH01
4J002GJ01
4J002HA07
(57)【要約】
本発明の実施形態の水分散組成物は、エチレン-カルボン酸共重合体、エチレン-カルボン酸共重合体の重量に対して5重量%以上の量で含まれ、示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry:DSC)グラフにおける融点80℃以下のピーク面積が50%以上である高分子ワックスを含むアンチブロッキング剤と、水性分散媒とを含む。アンチブロッキング剤により、ブロッキング現象を低減するとともに、所望の熱接着特性を確保することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン-カルボン酸共重合体と、
前記エチレン-カルボン酸共重合体の重量に対して5重量%以上の量で含まれ、示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry:DSC)グラフにおける融点80℃以下のピーク面積が50%以上である高分子ワックスを含むアンチブロッキング剤と、
水性分散媒とを含む、水分散組成物。
【請求項2】
前記高分子ワックスの重量平均分子量(Mw)は500~1,500である、請求項1に記載の水分散組成物。
【請求項3】
前記高分子ワックスの多分散指数(PDI)は1~4である、請求項1に記載の水分散組成物。
【請求項4】
前記エチレン-カルボン酸共重合体は、エチレン-アクリル酸(EAA)共重合体を含む、請求項1に記載の水分散組成物。
【請求項5】
前記EAA共重合体中のエチレンの割合は75~85重量%、アクリル酸の割合は15~25重量%である、請求項4に記載の水分散組成物。
【請求項6】
前記エチレン-カルボン酸共重合体の190℃、2.16kgの条件下で測定されたメルトフローインデックス(Melt Flow Index:MFI)は250~1,500g/10minである、請求項1に記載の水分散組成物。
【請求項7】
中和剤をさらに含み、
前記エチレン-カルボン酸共重合体の中和度は40~100%である、請求項1に記載の水分散組成物。
【請求項8】
前記中和剤は、アンモニアまたはアルカリ金属塩を含む、請求項7に記載の水分散組成物。
【請求項9】
前記アンチブロッキング剤の含有量は、前記エチレン-カルボン酸共重合体の重量に対して5~10重量%である、請求項1に記載の水分散組成物。
【請求項10】
20~50%の固形分を有する、請求項1に記載の水分散組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン-カルボン酸共重合体を含む水分散組成物に関する。より具体的には、エチレン-カルボン酸共重合体と添加剤を含む水分散組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エチレン-アクリル酸共重合体のようなエチレン-カルボン酸共重合体は、シール材、接着剤、パッキング材、光学フィルムなどの様々な用途に活用されている。エチレン-アクリル酸共重合体は、水性分散液の形態で製造し、コーティング膜または接着層形成用途に使用することができる。
【0003】
例えば、水性分散液は高分子フィルム、紙、金属箔、織物などの表面上に塗布し、熱を加えて、接着層または融着層の形成に使用することができる。
【0004】
エチレン-カルボン酸共重合体は共重合体構造内に酸基を含んでおり、それ自体が接着特性を有する。そのため、分散液の保管中に容器などの他の媒体にくっつくブロッキング(blocking)現象が発生することがある。ブロッキング現象の解消のために、耐ブロッキング剤のような添加剤を分散液に含めると、分散液の接着力およびそれから形成された接着層の機械的特性が低下することがある。
【0005】
前述の側面を考慮して、接着信頼性を維持できる組成物を設計する必要がある。
【0006】
例えば、国際特許公開公報WO2005/085331号、WO2017/050589号では、水性重合体分散液を用いた加熱密封性コーティングの形成を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、向上した接着信頼性を有するエチレン-カルボン酸共重合体を含む水分散組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な実施形態による水分散組成物は、エチレン-カルボン酸共重合体と、前記エチレン-カルボン酸共重合体の重量に対して5重量%以上の量で含まれ、示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry:DSC)グラフにおける融点80℃以下のピーク面積が50%以上である高分子ワックスを含むアンチブロッキング剤と、水性分散媒とを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記高分子ワックスの重量平均分子量(Mw)は500~1,500であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記高分子ワックスの多分散指数(PDI)は1~4であってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記エチレン-カルボン酸共重合体はエチレン-アクリル酸(EAA)共重合体を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記EAA共重合体中のエチレンの割合は75~85重量%、アクリル酸の割合は15~25重量%であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記エチレン-カルボン酸共重合体の190℃、2.16kgの条件下で測定されたメルトフローインデックス(Melt Flow Index:MFI)は、250~1,500g/10minであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記水分散組成物は中和剤をさらに含み、前記エチレン-カルボン酸共重合体の中和度は40~100%であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記中和剤はアンモニアまたはアルカリ金属塩を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記アンチブロッキング剤の含有量は、前記エチレン-カルボン酸共重合体の重量に対して5~10重量%であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記水分散組成物の固形分は20~50%であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
例示的な実施形態によれば、水分散組成物は、エチレン-カルボン酸共重合体と共に所定の融点の範囲の天然ワックス系のアンチブロッキング剤を含むことができる。これにより、保管中のブロッキング現象を大幅に低減するとともに所望の接着力を維持することができる。
【0019】
前記水分散組成物は、中和剤をさらに含むことができ、エチレン-カルボン酸共重合体および中和剤の物性、含有量もまた、接着力およびアンチブロッキング特性をバランスよく維持するように調整できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態による水分散組成物は、エチレン-カルボン酸共重合体、アンチブロッキング剤および水性分散媒(例えば、水)を含み、中和剤をさらに含むことができる。
【0021】
エチレン-カルボン酸共重合体は、エチレンとカルボン酸単量体の共重合反応によって生成することができる。例示的な実施形態によれば、前記カルボン酸単量体としては、アクリル酸を使用することができる。この場合、エチレン-カルボン酸共重合体はエチレン-アクリル酸(EAA)共重合体を含むことができる。
【0022】
本出願で使用される用語「アクリル酸」は、メタクリル酸を含む意味で使用され、またそのエステル化物(例えば、アクリレート、メタクリレート)を含む意味で使用され得る。
【0023】
以下では、エチレン-カルボン酸共重合体としてEAA共重合体を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0024】
EAA共重合体は、水分散組成物の塗布特性を実現するために、実質的にコーティング可能な粘性流体が得られるように物性を調整することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、EAA共重合体の全重量中のアクリル酸(例えば、アクリル酸由来の単位またはアクリル酸由来のブロック)の含有量は15~25重量%であってもよい。この場合、エチレン(例えば、エチレン由来の単位またはエチレン由来のブロック)の含有量は75~85重量%であってもよい。
【0026】
相対的にアクリル酸の含有量が小さいと、疎水性の基材(例えば、ポリオレフィンなどの樹脂基材)への接着力が向上することがある。アクリル酸の含有量が高いと、製造工程におけるポリアクリル酸の生成などの問題で効率的な共重合体の生産が困難なことがある。このため、アクリル酸の含有量を前述の範囲に調整することにより、エチレン-アクリル酸共重合体を含むコート層またはシール層の接着力を向上させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、EAA共重合体のメルトフローインデックス(Melt Flow Index:MFI)は、190℃、2.16kgの条件下で250~1,500g/10minであってもよい。前記範囲内では、水分散組成物の流れ性を高めて塗布特性を向上させるとともに、水分散組成物から形成された接着層またはシール層の耐熱性および機械的強度が過度に低下することを防止することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、EAA共重合体の中和度は40~100%であり、好ましくは40~80%、より好ましくは45~80%であってもよい。
【0029】
本出願で使用される用語「中和度」とは、EAA共重合体に含まれる酸基(カルボン酸基)中、中和剤によって反応または中和された割合を意味し得る。前記中和度の範囲内では、水分散組成物の過度の粘度上昇が抑制され、十分な分散性、コーティング均一性を確保することができる。
【0030】
中和剤は、前述のように、EAA共重合体の酸基を少なくとも部分的に中和するために含むことができる。中和剤は、例えばEAA共重合体とともに混合され、実質的に水分散組成物がコーティング可能な粘性流体として提供され得る。
【0031】
中和剤としては、塩基性化合物を特に制限なく使用することができる。好ましい実施形態では、中和剤はアンモニアまたはアミン系化合物などの有機系塩基を含むことができる。中和剤は、LiOH、KOH、NaOH、CsOHなどのアルカリ金属塩を含むこともできる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
中和剤の量が少なすぎると、分散液の調製が実質的に困難なことがあり、EAA共重合体の酸基によってブロッキング現象が引き起こされることがある。
【0033】
中和剤の量が多すぎると、水分散組成物の粘度が増加してコーティング特性が劣化することがあり、接着特性もまた低下することがある。
【0034】
一実施形態では、中和剤としてアンモニアを用いる場合、中和剤の含有量は組成物の全重量に対して10重量%以下(例えば、1~10重量%、5~10重量%)であってもよい。中和剤として前述のアルカリ金属塩を用いる場合、中和剤の含有量は組成物の全重量に対して1重量%以下(例えば、0.1~1重量%、0.5~1重量%)であってもよい。
【0035】
例示的な実施形態によれば、水分散組成物は、ワックスまたはパラフィン系のアンチブロッキング剤を含むことができる。
【0036】
例えば、水分散液を形成するために、EAA共重合体の酸基を前述の中和剤によって部分的に中和することができる。しかし、アンモニア(またはアンモニア水(NHOH))のような中和剤の場合は、容易に揮発または蒸発し、酸基が過度に露出または残留することがある。そのため、水分散組成物の保管中に容器や他の媒体にくっつくブロッキング現象が引き起こされることがある。
【0037】
これに対して、例示的な実施形態による水分散組成物は、アンチブロッキング剤をさらに含むことにより、組成物の接着力を保持しながら前記ブロッキング現象を低減または抑制することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、アンチブロッキング剤は、天然ワックスまたはパラフィン系材料を含むことができる。例えば、微結晶(microcrystalline)ワックス、天然ワックス、合成ワックス、フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス、ポリエチレン系ワックスなどを使用することができる。
【0039】
好ましい一実施形態では、前記アンチブロッキング剤として、融点(Tm)が80℃以下の高分子ワックスを使用することができる。例えば、示差走査熱量分析(Differential Scanning Calorimetry:DSC)により得られたグラフにおいて複数のTmピークが生成され、前記Tmピークのうち80℃以下のピーク面積(Peak Area)が全ピーク面積に対して50%以上である高分子ワックスを使用することができる。
【0040】
前述した融点の範囲の高分子ワックスを使用すると、実質的にアンチブロッキング特性を実現することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、アンチブロッキング剤の重量平均分子量(Mw)は500~1,500の範囲であってもよい。前記範囲内では、水分散組成物の粘度を増加させることなく、アンチブロッキング特性を十分に実現することができる。
【0042】
一実施形態では、アンチブロッキング剤の多分散指数(polydispersity index:PDI)は1~4であってもよい。前記範囲内では、分子量分布の均一性の低下による不溶成分(non-dispersible)の生成を防止するとともに、水分散組成物の過度の粘度上昇を抑制することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記アンチブロッキング剤の含有量は、EAA共重合体の全重量に対して5重量%以上であってもよい。アンチブロッキング剤の含有量が5重量%未満であると、アンチブロッキング特性を実質的に実現できないことがある。好ましい一実施形態では、前記アンチブロッキング剤の含有量は、EAA共重合体の全重量に対して5~10重量%の範囲であってもよい。
【0044】
前記水分散組成物中の固形分の含有量は20~50重量%、好ましくは25~30%であってもよい。前記範囲内では、低温で容易に揮発成分が除去され、接着層またはシール層を形成することができる。
【0045】
水分散組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートなどを含む包装用フィルムのシール材として使用することができる。例えば、包装用フィルムのシール部の表面上に前記水分散組成物をコーティングした後、熱圧着によって容易にシール層または接着層を形成することができる。
【0046】
また、水分散組成物は、紙、樹脂フィルム、金属箔などの様々な対象体にコーティングされ、接着層、帯電防止層、エンキャプセレーション層などの絶縁構造の形成に使用することができる。
【0047】
水分散組成物は、EAA共重合体による分散性、熱的特性などの物性を阻害しない範囲内で他の添加剤をさらに含んでいてもよい。例えば、添加剤は帯電防止剤、界面活性剤、無機粒子などを含むことができる。
【0048】
以下、本発明の理解を助けるために具体的な実施例を提示するが、これらの実施例は本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではない。これらの実施例に対し、本発明の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正を加えることが可能であることは当業者にとって明らかであり、これらの変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然のことである。
【0049】
実施例及び比較例
中和度80%、全固形分25%のEAA共重合体を含む水分散組成物を準備した。前記水分散組成物中に、下記表1に示すタイプ、含有量のワックス系のアンチブロッキング剤を含めて、実施例および比較例の水分散組成物を調製した。
【0050】
比較例5および6の場合は、アンチブロッキング剤を省略し、中和剤のみを添加した。
【0051】
実験例
(1)アンチブロッキング剤の分子量の測定
各アンチブロッキング剤の5mgを取って、システムの溶出液として使用されるブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)200ppm含有1,2,4-トリクロロベンゼン(Trichlorobenzene)1Mを用いて溶解した。このとき、試料は前処理装置(Agilent PL-SP 260 VS Sample Preparation System)を用いて、150℃で4時間攪拌して調製した。
【0052】
前記試料の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を、屈折率検出器(Refractive Index Detector)が接続されたGPCシステム(PL-GPC220、Agilent)およびポリスチレン標準物を用いて測定した。
【0053】
測定されたMwおよびMnを用いて、PDI(Mw/ Mn)を計算した。
【0054】
(2)アンチブロッキング剤の融点の測定
融点は、示差走査熱量法(Differential Scanning Calorimeter、測定機器:TA社のQ20)を用いて測定した。
【0055】
具体的には、アンチブロッキング剤の試料10mgを取って、アルミニウムるつぼ(Crucible)に入れ、ピンホール(Pinhole)を含む蓋(lid)をした。
【0056】
パージガスとして、窒素を50mL/minの流量で供給しながら、-50~180℃の範囲で10℃/minで昇温(第1次昇温区間)した後、180℃で1分間等温維持した。その後、180℃から-50℃に10℃/minの速度で冷却し、試料を結晶化した。第2次昇温区間で-50~180℃、10℃/minに温度を変更し、第2次昇温区間で発生する溶融ピークの温度(Tm)を測定し、80℃以下のピーク領域の割合を計算した。
【0057】
(3)水分散組成物のブロッキング力(blocking force)
ISO 11502のBlocking Resistance Method B試験方法に基づいて以下のように評価した(測定装置:Instron)。水分散組成物がコーティングされた基材の試験片は、760×100mmのサイズで作製された。水分散組成物がコーティングされている基材とコーティングされていない基材とを当接しておき、荷重2.3kgで適用して50度で3時間放置した後、恒温恒湿室で24時間放置した。引張試験機に100×100mmのアルミニウムブロックを上下に掛けた後、試験片をアルミニウムブロックの間に固定し、500mm/minの速度で引っ張った後、最大力を測定した。
【0058】
(4)水分散組成物の熱接着力(Heat Seal)の測定
ASTM F88に準拠して以下のように測定した(測定装置:Instron)。ASTM F2029に準する装置(Gradient Heat Seal Tester)によって250×10mmサイズの試験片を作製した。水分散組成物がコーティングされている基材とコーティングされていない基材とを当接させてGradient Test装置に置いた後、一定温度で2bar、1secで接着させた。恒温恒湿室で24時間放置後、引張試験機に試験片を上下に噛み合わせた後、300mm/minの速度で引張り、力が一定の区間を平均で測定した。
【0059】
測定の結果を下記表1にまとめて示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1を参照すると、実施例のアンチブロッキング剤含有水分散組成物の場合は、ブロッキング力が減少し、安定した熱接着力が実現された。
【0062】
ワックスのTmピーク面積が50%未満に減少した比較例1~3、及びワックスが添加されていない比較例5-6の場合は、ブロッキング力が増加するか、または熱接着力が顕著に減少した。
【0063】
ワックスの含有量が3重量%である比較例4の場合は、実質的にアンチブロッキング特性が実現されなかった。
【国際調査報告】