(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】解放可能な固定のためのフィルムバッキング
(51)【国際特許分類】
B32B 7/022 20190101AFI20221208BHJP
C09J 7/22 20180101ALI20221208BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20221208BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20221208BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B32B7/022
C09J7/22
C09J201/00
C09J7/29
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520357
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 IB2020059297
(87)【国際公開番号】W WO2021064696
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ルドウィグ,ブレット ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,アビ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】レニクゼック,カテリン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ストランド,レーシー エム.
(72)【発明者】
【氏名】エムスランダー,ジェフェリー オー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジェイコブ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クドゥバ ラーマン サヌムールシー,ラマスブラマニ
(72)【発明者】
【氏名】スピエワック,ブライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ニース,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シエラッキ,ジェイムズ エム.
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK04A
4F100AK04D
4F100AK05A
4F100AK05D
4F100AK06A
4F100AK06D
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK07D
4F100AK51A
4F100AK51B
4F100AK51D
4F100AK63A
4F100AK63B
4F100AK63D
4F100AK68A
4F100AK68B
4F100AK68D
4F100AK71A
4F100AK71B
4F100AK71D
4F100AK73B
4F100AL09B
4F100AN00B
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CB00A
4F100CB00C
4F100CB00D
4F100CB00E
4F100GB66
4F100JK08
4F100JK08A
4J004AA05
4J004AA10
4J004AB01
4J004CE01
4J004EA05
4J004FA08
4J040CA001
4J040DF001
4J040NA02
(57)【要約】
開示されるフィルムバッキングは、表面に固定することができる固定接着剤を有する多層伸張性基材と、伸張性基材を延伸して、固定接着剤を下にある表面から除去するためのタブとを有する。伸張性基材を延伸させることによって、下にある表面から接着剤が容易に剥離する。したがって、強力な接着剤を使用することができる。多層伸張性基材は、構造全体の弾性を最小限に抑えるためにスキンを形成する塑性変形層に隣接するコアを形成する弾性層を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面及び前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有するフィルムバッキングであって、
伸張性基材であり、
エラストマー材料を含むコア層と、
塑性変形材料を含む、前記コア層に隣接する第1のスキン層と
を備える、伸張性基材と、
前記第1の主面に隣接する固定接着剤と
を備え、前記伸張性基材が、10:1未満のコアの厚さ対第1のスキンの厚さの比を有し、
前記伸張性基材が、少なくとも50%の塑性変形を有し、
前記伸張性基材が、600%未満の伸びを有し、
前記伸張性基材が、50%の伸びにおいて幅1インチ当たり20N未満のFn係数を有する、フィルムバッキング。
【請求項2】
前記コアが、エラストマーポリマー、SEBS、SEPS、SIS、SBS、ポリウレタン、エチルビニルアセテート(EVA)、エチルメチルアクリレート(EMA)、直鎖状超低密度ポリエチレン(ULLDPE)、水素化ポリプロピレン、及びこれらの組合せ又はブレンドのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のフィルムバッキング。
【請求項3】
前記コア層に隣接し、かつ前記第1のスキン層とは反対側にあり、塑性変形材料を含む第2のスキン層を更に備える、請求項1又は2に記載のフィルムバッキング。
【請求項4】
前記第1のスキン層又は第2のスキン層が、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリウレタン、EVA、EMA、接着剤、及びこれらの組み合わせ又はブレンドを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項5】
前記伸張性基材が、2:1未満のコアの厚さ対第1のスキンの厚さの比を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項6】
前記第2の主面に隣接する第2の接着剤を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項7】
前記伸張性基材が、少なくとも100%かつ500%未満の破断点伸びを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項8】
前記伸張性基材が、50%の伸びにおいて、幅1インチ当たり5N未満のFn係数を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項9】
前記伸張性基材の周縁部分にタブを更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項10】
第2のタブを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項11】
前記タブにおける前記伸張性基材の前記第1の主面又は第2の主面のうちの少なくとも1つが、粘着性接着剤を含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項12】
前記タブにおける前記伸張性基材の前記第1の主面に、前記固定接着剤とは異なるタブ接着剤がある、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項13】
前記タブにおける前記伸張性基材の前記第2の主面に、前記固定接着剤とは異なるタブ接着剤がある、請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項14】
前記固定接着剤及び第2の接着剤が、互いに少なくとも部分的に垂直に重なり合う関係で配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項15】
前記第2の接着剤に固定された装置を更に備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項16】
前記伸張性基材が、前記装置の周縁を越えて延びる、請求項1~15のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項17】
前記第1の主面上の前記固定接着剤が、前記装置の下にあるように配置されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項18】
前記固定接着剤が、前記タブを除いて前記第1の主面全体の上にある、請求項1~17のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【請求項19】
ロールに形成された細長いストリップになっている、請求項1~18のいずれか一項に記載のフィルムバッキング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚などの表面に装置を解放可能に固定するためのフィルムバッキングに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療装置が患者に取り付けられる。例えば、チューブ、モニタ、センサ、又はカテーテルが皮膚に固定される。炎症、脱落、及び感染症への潜在的な曝露を制限するために、医療装置は、患者に堅固に取り付けられるべきである。接着剤及び接着テープが、装置を皮膚に固定するために一般的に使用されている。非常に強い接着剤は、除去時に皮膚に外傷を引き起こす可能性がある。非常に穏やかな接着剤は、皮膚から容易に外れるが、医療装置を固定するのに十分な強度を有しない可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
開示されるフィルムバッキングは、表面に固定することができる固定接着剤を有する伸張性基材と、伸張性基材を延伸して、接着剤を下にある表面から除去するためのタブとを有する。伸張性基材を延伸することによって、固定接着剤が下にある表面から容易にかつ外傷なく剥離される。したがって、強力な接着剤を使用することができる。
【0004】
壁などの表面に物品を固定するための延伸剥離テープが知られている。例えば、3M(商標)コマンド(商標)テープは、強力な接着剤によって両方の表面上にコーティングされた発泡体基材を有する延伸剥離テープである。低弾性率材料の一例が、PCT公開第2017/136432号に記載されている。いくつかの延伸剥離材料は、高い伸びを有する。したがって、伸張性基材は、下にある表面から接着剤を剥離するために大きく延伸しなければならない。いくつかの用途では、単に、そのような延伸を可能にするための十分な空間が存在しない。更に、一般的に、延伸剥離材料は弾性であり、フィルムを伸ばすためのエネルギー入力が、接着剤が下にある基材から離れるときに放出され得、これによって、任意の上にある装置が跳ね飛び、又は、飛び出す可能性がある。
【0005】
延伸剥離テープを、皮膚などの適合性のある下にある基材に固定することを試みるとき、伸張性基材は、伸張性基材を延伸し、引くのに必要な力を最小限に抑えるために低い弾性率を有するべきである。伸張性基材は、伸張性基材を延伸し、引くのに必要な距離を最小限に抑えるために、低い伸びを有するべきである。更に、伸張性基材の変形の大部分が塑性変形であり、その弾性変形が最小限に抑えられることが望ましい。伸張性基材へのエネルギー入力が弾性構造のポテンシャルエネルギーとして蓄積されるのではなく、フィルム形態を再構成することによって消費されるため、伸張性基材の塑性変形は、応力の除去時に放出されるエネルギーを低減する。蓄積エネルギーがより少なくなることによって、伸張性基材によって所定の位置に保持された装置の除去中の安全性が改善する。低弾性率と大きい塑性変形との組合せにより、伸張性基材、及び、含まれる場合には上にある装置が、除去している手へと痛みを伴って跳ね飛ぶ危険なしに、表面から伸張性基材を片手で延伸させ、除去することが可能になる。
【0006】
塑性変形を達成するために、開示される伸張性基材は、コアと、コアの一方の側にある少なくとも第1のスキンとを有する。いくつかの実施形態では、コアの第1の側に第1のスキンがあり、コアの反対の第2の側に第2のスキンがある。最大強度のために設計された多層フィルムは、多くの場合、スキンを形成する2つの塑性変形層の間に挟まれたコアを形成する弾性層を含む。構造全体の弾性を最小限に抑えるために、弾性内容物が最小化される。塑性材料の割合が増加し、塑性物質は多くの場合弾性率よりも高い弾性率値を有するため、フィルムの弾性率は上昇する。構造全体をより薄くすることによって、構造の弾性率を、皮膚からの穏やかな除去を可能にするのに十分に低く保つことができる。典型的には、単一のスキンを有する実施形態では、コアの厚さ対スキンの厚さの比は、10:1未満である。一実施形態では、単一のスキンを有する実施形態では、コアの厚さ対スキンの厚さの比は、2:1未満である。
【0007】
延伸剥離材料の利点は、下にある基材に固定するためにより強力な接着剤を使用することができることであるため、より強い固定接着剤と比較して接着が低減されているか、又は、粘着性接着剤を含まないかのいずれかであるタブが含まれる。タブは、ユーザが伸張性基材の一部分を容易に持ち上げ、伸張性基材を延伸して、下にある基材から固定接着剤を除去することを可能にする。いくつかの実施形態では、伸張性基材を有する開示されるフィルムバッキングは、2つの対向するタブを含む。
【0008】
一実施形態において、フィルムバッキングは、第1の主面と、第1の主面の反対側の第2の主面とを有する。フィルムバッキングは、エラストマー材料を含むコア層と、塑性変形材料を含む、コア層に隣接する第1のスキン層と、第1の主面に隣接する固定接着剤とを備える、伸張性基材を備える。伸張性基材は、10:1未満のコアの厚さ対第1のスキンの厚さの比、少なくとも50%の塑性変形、600%未満の伸び、及び、50%の伸びにおいて20N毎インチ幅未満のFn係数を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】フィルムバッキングの一実施形態の側断面図である。
【0010】
【
図2】フィルムバッキングの別の実施形態の側断面図である。
【0011】
【
図3】フィルムバッキングの別の実施形態の側断面図である。
【0012】
【
図4】装置がフィルムバッキングに固定されている、
図2又は
図3の実施形態と同様の、フィルムバッキングの別の実施形態の上面斜視図である。
【0013】
【
図5】
図4のフィルムバッキングの側面斜視図である。
【0014】
【
図6】装置がフィルムバッキングに固定されている、フィルムバッキングの別の実施形態の上面斜視図である。
【0015】
【
図7】ロールになっているフィルムバッキングの細長いストリップの斜視図である。
【0016】
上記の図面及び図は、本発明の実施形態を表しているが、説明において述べられるように、他の実施形態も想定される。全ての場合において、本開示は、限定ではなく代表例の提示によって、本発明を提示する。本発明の範囲及び趣旨に含まれる他の修正形態及び実施形態が当業者によって考案され得る。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
伸張性基材の第1の主面に隣接する固定接着剤を有する伸張性基材を備えるフィルムバッキングが開示される。伸張性バッキングは、エラストマー材料を含むコア層と、塑性変形材料を含む、コア層に隣接する第1のスキン層とを備える。
【0018】
図1は、フィルムバッキング100の一実施形態の側断面である。フィルムバッキング100は、第1の主面102と、第1の主面102の反対側の第2の主面104とを有する。フィルムバッキング100は、エラストマー材料を含むコア層112と、塑性変形材料を含む、コア層に隣接する第1のスキン層114とを備える伸張性基材110を有する。フィルムバッキング100は、第1の主面102に隣接する固定接着剤120を有する。固定接着剤120は、フィルム基材110を表面300に固定する。
【0019】
図1は、任意選択のタブ140を示す。タブ140は、固定接着剤120と比較して接着性が低減されているか、又は、粘着性接着剤を含まないかのいずれかである、フィルムバッキング100の一部分かつ縁部であり得る。この実施形態では、タブ140は、粘着性接着剤を含まない第1の主面102の一部分を作成するために、固定接着剤120の上のカバーから形成される。したがって、ユーザは、伸張性基材110を下にある面から容易に引いて、伸張性基材110を表面から除去することができる。
【0020】
図2は、
図1の実施形態と同様のフィルムバッキング100の一実施形態の側断面である。この実施形態では、固定接着剤120は、第1の主面102に隣接し、第1の主面102の一部分上にある。固定接着剤120は、フィルム基材110を表面300に固定する。この実施形態において、フィルムバッキングの対向する両側の2つのタブ140は各々、固定接着剤120と比較して接着性が低減されているか、又は、粘着性接着剤を含まないかのいずれかである、フィルムバッキング100の縁部にある。この実施形態では、タブ140は、固定接着剤120と比較して接着が低減された第2の接着剤である。例えば、アクリレート又はシリコーン接着剤などの再配置可能な感圧接着剤が、タブ140にあって、ユーザが下にある表面から容易に持ち上げ、伸張性基材110の延伸を開始することができる第1の主面102の一部分を作成することができる。
【0021】
図3は、
図1及び
図2の実施形態と同様のフィルムバッキング100の一実施形態の側断面である。この実施形態では、第2の接着剤130は、第2の主面102に隣接している。この第2の接着剤130を使用して、装置(
図4~
図6に示される)に固定することができる。この実施形態では、フィルムバッキング100は、タブ140を有する。この実施形態では、タブ140は、固定接着剤120上に被覆144を含む。
【0022】
フィルムバッキング100を使用するために、固定接着剤120は表面に接触する。フィルムバッキング100を表面から除去するために、フィルム基材110の縁部を表面から持ち上げて剥がすことができる。タブ140を有する実施形態では、タブ140を使用して、フィルムバッキング100を表面300から剥がすことができる。
図2に示すように、2つの対向するタブ140を有する実施形態では、両方のタブ140を同時に引くことができる。これは、固定接着剤120が下にある表面に固定されている中央部分が横方向にずれるのを制限又は防止するため、有利である。
【0023】
フィルムバッキング100は、上にある装置を固定するための安定した均一な表面を作成する。下にある基材が皮膚である場合、皮膚の質感、水分、適合性、及び柔軟性は、人毎に大きく変化し得る。開示されるフィルムバッキング100は、
図4~
図6に示されるように、上にある装置のためのより均一なキャンバスを形成する。
図3に示す実施形態では、フィルムバッキング100は、装置を固定するための第2の接着剤を含み、一方、
図1及び
図2のフィルムバッキング100、フィルムバッキング100は、この第2の接着剤を含まず、装置自体が、フィルムバッキング100に固定するための接着剤を含む可能性が高い。
【0024】
いくつかの実施形態では、固定接着剤120は強力な接着剤であり、フィルムバッキング100を表面から剥がすことは困難である。代わりに、伸張性基材110は、伸張性基材110を長手方向に延伸するために剪断力によって引かれる。このプロセスは、延伸剥離と呼ばれ、伸張性基材110を伸ばし、表面300から固定接着剤120を剥離する。
【0025】
図4は、装置200がフィルムバッキング100に固定されている、
図2又は
図3の実施形態と同様の、フィルムバッキング100の別の実施形態の上面斜視図である。
図5は、
図4のフィルムバッキングの側面斜視図である。
図3とは異なり、この実施形態では、第2の接着剤130は、第2の主面104全体にわたって延びる。
【0026】
この実施形態では、カバー146は、第1の主面102において固定接着剤120上に含まれ、第1のタブ140及び第2のタブ145を形成する。カバーの代わりに、他の材料又は技術を使用して、固定接着剤120の接着特性を低減することができる。例えば、フィルム、コーティング、架橋、硬化(放射線)を使用して、第2の接着剤130の接着特性を低減することができる。タブ140、145において接着特性を低減することにより、タブ140、145が下にある表面300から容易に剥がれることが可能になる。代替的に、固定接着剤120が、第1の主面102の一部分にのみ提供され得ることが理解される。例えば、固定接着剤120は、タブ140、145を除いて、第1の主面102の全てに提供され得る。例えば、固定接着剤120は、装置200の下にある領域に含まれ得る。
【0027】
この実施形態では、カバー144は、第2の主面104において第2の接着剤130上に含まれ、第1のタブ140及び第2のタブ145を形成する。カバーの代わりに、他の材料又は技術を使用して、第2の接着剤130の接着特性を低減することができる。例えば、フィルム、コーティング、架橋、硬化(放射線)を使用して、第2の接着剤130の接着特性を低減することができる。第2の主面104上の露出した接着剤を低減することにより、汚染物質が第2の接着剤130に接触するのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、3Mテガダームドレッシング又は3MテガダームIVドレッシング(図示せず)などの上にあるドレッシングが、フィルムバッキング100の上に含まれる。代替的に、第2の接着剤130が、第2の主面104の一部分にのみ提供され得ることが理解される。例えば、第2の接着剤130は、装置200の下にある領域に含まれ得る。
【0028】
この実施形態では、固定接着剤120が下にある伸張性基材110は、装置200の下にあり、装置200の周囲にスカートを形成する装置200の周縁を越えて延びる。見てとれるように、下にある固定接着剤120は、装置200の下に垂直にあり、当該部分は、装置200の周縁を越えて延びる。装置200の周囲のスカートは、表面300に取り付けられたときに装置200の改善された安定性を提供する。
【0029】
図6は、
図4~
図5に示されるフィルムバッキング100と同様に、装置200がフィルムバッキング100に固定された、フィルムバッキング100の別の実施形態の斜視図である。
図4~
図5とは異なり、この実施形態では、伸張性基材110は、装置200の一部分のみを越えて、装置200の一部分の直下に延び、ただしそれを越えて延びない。
【0030】
フィルムバッキングは、ダイカットストリップ、又はロール状にされ得る細長いストリップにおいて提供され得る。例えば、
図7は、
図2の実施形態と同様の構造を有するフィルムバッキング100のロールの実施形態を示し、ここで、伸張性基材110の両側に2つの対向するタブ140がある。ユーザが一区画を取り外すことを可能にするために、予め形成されたミシン目領域があり得るか、又はユーザが一区画を切断することができる。細長いストリップは、縦方向の長さ及び横方向の長さを有する。この実施形態では、タブ140は、伸張性バッキング110の横方向の長さの方向への延伸を提供する。
【0031】
材料
【0032】
コアは、エラストマー材料を含む。エラストマーとは、材料が、変形を引き起こす力が除去された後、少なくとも部分的にその元の形状又はサイズに戻る少なくともある程度の能力を呈することを意味する。エラストマー材料の例は、エラストマーポリマー、SEBS、SEPS、SIS、SBS、ポリウレタン、エチルビニルアセテート(EVA)、エチルメチルアクリレート(EMA)、直鎖状超低密度ポリエチレン(ULLDPE)、水素化ポリプロピレン、及びこれらの組合せ又はブレンドを含む。
【0033】
スキンは、塑性変形材料を含む。塑性変形とは、特定の値(降伏値)を超える応力を受けたときに、材料が形状又はサイズの永続的な変化を受けることを意味する。塑性変形材料の例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリウレタン、EVA、EMA、接着剤、及びそれらの組合せ又はブレンドを含む。
【0034】
固定接着剤及び第2の接着剤は、互いに同じ接着剤であってもよく、又は、異なる接着剤であってもよい。接着剤は、強力な固定を提供するための永久接着剤であってもよい。接着剤は、固定を提供するが、依然として剥がれからの除去を可能にする、再配置可能な接着剤であってもよい。接着剤は感圧性接着剤としてもよい。有用な感圧接着剤の全般的な説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley-Interscience Publishers(New York,1988)に見出され得る。有用な感圧接着剤の更なる説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.I,Interscience Publishers(New York,1964)に見出され得る。任意の好適な組成物、材料、又は成分を感圧接着剤に使用することができる。例示的な感圧性接着剤は、1種以上の熱可塑性エラストマーを、例えば、1種以上の粘着付与樹脂と組み合わせて用いる。
【0035】
塑性変形を達成するために、伸張性基材110は、コアに固定された少なくとも1つのスキンを有するコアの多層構造である。典型的には、単一のスキンを有する実施形態では、伸張性基材110は、10:1未満のコアの厚さ対スキンの厚さの比を有する。一実施形態では、伸張性基材110は、2:1未満のコアの厚さ対スキンの厚さの比を有する。
【0036】
コア層112及び1つ以上のスキン層114、116は、例えば、コアとスキン層との共押出、共成型、押出コーティング、接着剤組成物による接合、加圧接合、加熱接合、及びこれらの組合せを含む任意の好適な機序を使用して、互いに結合されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、接着層は、ゴム、シリコーン、又はアクリル系の接着剤のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態において、接着剤は、天然ゴム;オレフィン;シリコーンポリウレアなどのシリコーンなどの粘着付与ゴム接着剤;ポリイソプレン、ポリブタジエン、及びスチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンコポリマー及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、及び他の合成エラストマーなどの合成ゴム接着剤;及び放射法、溶液法、懸濁法、又はエマルション法によって重合することのできるイソオクチルアクリレートとアクリル酸とのコポリマー;ポリウレタンブロックコポリマー;シリコーンブロックコポリマーなどの粘着付与のアクリル系接着剤又は非粘着付与のアクリル系接着剤、並びにこれらの組合せを含み得る。接着剤は、例えば、全て参照として本明細書に組み込まれる以下の特許出願:PCT特許公開第2015/035556号、同第2015/035960号及び米国特許出願公開第2015/034104号のいずれかに記載されている接着剤のいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、接着剤は粘着付与剤を含む。いくつかの例示的な粘着付与剤は、ポリテルペン、テルペンフェノール、ロジンエステル、及び/又はロジン酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
伸張性基材特性
【0039】
弾性率及び伸び
【0040】
伸張性基材110は、低Fn係数を有する。Fn係数は、伸張性基材110を伸ばすのに必要な力である。ユーザが、例えば、腕の裏など、両手でアクセスできない箇所からフィルムバッキング100を取り外している場合、ユーザは、フィルムバッキング100の縁部から、又は含まれる場合、単一のタブ140から引くことによってそれを取り外す必要がある。フィルムバッキング100が引かれると、伸張性基材110が延伸し、固定接着剤120は、フィルムバッキングの縁部分において表面から剥離され始め、次いで剥離は伸張性基材110に沿って進行する。しかしながら、伸張性基材110を延伸するのに必要な力も表面に適用される。表面が皮膚であり、かつ、その力が過剰である場合、伸張性基材110が皮膚から剥離されるまで、それは不快になるか、又は痛みを伴う可能性がある。
【0041】
両手を使用して装置を保持し、タブを引くか、又は対向する両側のタブを引くことができる状況であっても、低い弾性率は依然として、強度が平均を下回るか又は把持強度が制限されている人が、伸張性基材110を容易に伸ばし、除去できるようにする。
【0042】
伸張性基材110は、伸張性基材110を延伸し、引くのに必要な距離を最小限に抑えるために、低い伸びを有する。非常に高い伸びは、伸張性基材110が、表面300から剥離される前に延伸する距離が長いことを意味する。過度の延伸は、空間が制約される設定において不便である。
【0043】
Fn係数は、試験試料を指定されたパーセント(n)で伸ばすのに必要な力(F)である。Fn係数は、通常、フィルムの比較のために10%、50%、及び100%の伸びについて記録される。伸びは、試験試料が破損点までに到達する歪みの最大パーセントである。
【0044】
弾性率及び伸びは、PSTC-31、ASTMD882及びD3759試験方法に基づく方法によって周囲条件(25℃及び相対湿度50%)下で測定した。試験は、英単位又はメートル単位のいずれか及びクランプ型ジョーを備えた一定速度の伸張/引張試験機(Instron、Zwickなど)で実施した。試料は、ゲージ長よりも約10cm長くレザーカットされ(ゲージ長は25.4mm)、幅25.4mmであった。クロスヘッド速度を、2286mm/分とした。
【0045】
皮膚上に適用するのに理想的な伸張性基材110は、幅25.4mm当たり20N未満のF(50%)弾性率を有する。一実施形態では、伸張性基材110は、50%歪みにおいて幅25.4mm当たり10N未満のF(50%)係数を有する。一実施形態では、伸張性基材110は、幅25.4mm当たり5N未満のF(50%)弾性率を有する。
【0046】
伸張性基材110は、600%未満の伸びを有する。一実施形態では、伸張性基材110は、500%未満の伸びを有する。一実施形態では、伸張性基材110は、600%未満の伸びを有する。一実施形態において、伸張性基材110は、少なくとも100%の伸びを有する。
【0047】
塑性変形
【0048】
伸張性基材110の変形の大部分が塑性変形であり、その弾性変形が最小限に抑えられることが望ましい。弾性とは、変形を引き起こす力が除去されたときに、変形した材料本体がその元の形状及びサイズに戻る能力である。対照的に、塑性とは、特定の値(降伏値)を超える応力を受けたときに、固体が形状又はサイズの永続的な変化を受ける特性を意味する。高弾性フィルムは、フィルムが延伸するとき、有意な量のエネルギーがその中に蓄積されるため、フィルムを表面から除去するための延伸中に危険を呈し得る。延伸フィルムが固定されていない場合、フィルムが表面から剥離されると、このエネルギーは、フィルム及び任意の取り付けられた装置を、フィルムを延伸させている手に向かって加速し、その結果、外傷又は装置の破損の可能性がある。
【0049】
塑性変形は、伸張性基材110の元の長さ(Lo)、伸張性基材110の長さは、応力を加えられた状態で伸張性基材110が達する長さ(Ls)、及び、応力が除去された後に伸張性基材110が弛緩する長さ(Lr)を使用して計算される。
%塑性変形=(Lr-Lo)/(Ls-Lo)×100
【0050】
例えば、加えられた応力が除去されたときに4インチの長さ(Lr)に弛緩する、5インチ(Ls)まで延伸する1インチ(Lo)長さのフィルムは、75%の塑性変形を有する。((4-1)/5-1)×100)
【0051】
伸張性基材110へのエネルギー入力が弾性構造のポテンシャルエネルギーとして蓄積されるのではなく、フィルム形態を再構成することによって消費されるため、伸張性基材110の塑性変形は、応力の除去時に放出されるエネルギーを低減する。蓄積エネルギーがより少なくなることによって、伸張性基材110によって所定の位置に保持された装置の除去中の安全性が改善する。低弾性率と大きい塑性変形との組合せにより、伸張性基材110、及び、含まれる場合には上にある装置が、除去している手へと痛みを伴って跳ね飛ぶ危険なしに、表面から伸張性基材110を片手で延伸させ、除去することが可能になる。
【0052】
伸張性基材110は、少なくとも50%の塑性変形を有する。一実施形態では、伸張性基材110は、少なくとも60%の塑性変形を有する。一実施形態では、伸張性基材110は、少なくとも70%の塑性変形を有する。
【0053】
本明細書において具体的な実施形態を示し説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理の適用において考案され得る可能性のある多くの具体的構成を例示するものにすぎない点は理解されよう。当業者であれば、これらの原理に従い、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、多数かつ多様な他の構成を考案することができる。本発明の範囲は、本出願に記載される構造に限定されるべきではなく、請求項の文言により述べられる構造及びそうした構造の均等物によってのみ限定されるものである。
【国際調査報告】