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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20221208BHJP
   E06B 3/663 20060101ALI20221208BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01L31/04 560
E06B3/663 Z
E06B5/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520618
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 AU2020051051
(87)【国際公開番号】W WO2021062477
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】2019903698
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2019904261
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522045176
【氏名又は名称】クリアヴュー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライフォード、ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ、ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】クーネン、スティーヴン
【テーマコード(参考)】
2E016
2E239
5F151
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016AA07
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E239AA01
5F151AA01
5F151AA08
5F151AA09
5F151AA10
5F151BA03
5F151BA05
5F151EA05
5F151JA02
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA09
5F151JA13
(57)【要約】
本開示は、建物又は構造物の窓のための装置を提供する。この装置は、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域を有し、対向する第1の主面及び第2の主面を有するパネルを備える。第1の主面はパネルの受光面である。この装置は更に、少なくとも1つの太陽電池セル列を備え、各太陽電池セルは、パネルの第2の主面に面する受光面を有し、光がパネルと太陽電池の受光面との間の隙間を伝播することなく、太陽電池セルの受光面によって受光され得る方法で、第2の主面においてパネルに直接又は間接的に接合されている。少なくとも1つの太陽電池セル列は、パネルの端部でその端部に沿って配置されると共に、端部と可視光の少なくとも一部に対して透明な領域との間に配置される。太陽電池セルは、パネルの1つ以上の端部でその端部に沿って配置されるだけであり、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域には配置されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物又は構造物の窓のための装置であって、
可視光の少なくとも一部に対して透明な領域を有すると共に、対向する第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面がパネルの受光面である、パネルと、
少なくとも1つの太陽電池セル列であって、複数の太陽電池セルの各々が、前記パネルの前記第2の主面に面する受光面を有し、光が前記パネルと前記太陽電池セルの前記受光面との間の隙間を通って伝搬することなく前記太陽電池セルの前記受光面によって受光されるように、前記第2の主面で前記パネルに直接又は間接的に接合される、少なくとも1つの太陽電池セル列と、
を備え、
前記少なくとも1つの太陽電池セル列は、前記パネルの端部で当該端部に沿って配置されると共に、前記端部と可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域との間に配置され、
複数の太陽電池セルは、前記パネルの端部で当該端部に沿って配置されるだけであり、可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域には配置されない、
装置。
【請求項2】
前記パネルは、建物又は車両の窓のパネルであり、前記装置は、前記パネルを支持するためのフレーム構造をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、一体化されたガラスユニットを含む建物用の窓ユニットの形態で提供される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの太陽電池セル列の複数の太陽電池セルが、接着剤を用いて前記パネルに直接的又は間接的に接合される、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記接着剤は、少なくともパネル材料の屈折率に近い屈折率を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の太陽電池セルが、ポリマー材料の外層を有する、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ポリマー材料が、エチレン-酢酸ビニル(EVA)又はポリビニルブチラール(PVB)である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の太陽電池セルが、前記パネルの前記第2の主面に直接接合される、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
EVA又は他の適切な材料が、わずかに軟化され、次いで、追加の接着剤なしで、前記パネルの前記第2の主面に直接接合される、請求項6に従属する請求項7又は請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、複数の太陽電池セル列を備え、
前記複数の太陽電池セル列は、可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域の周りに配置され(かつ、全体を取り囲んでもよい)、
前記複数の太陽電池セル列は、前記パネルが可視光の少なくとも一部に対して大きく透明であり、可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域が中央領域であり、前記太陽電池セル列が配置される前記パネルの面積よりも5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、100倍、又は500倍大きくなるように、前記パネルの端部に配置されている、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域が、垂直入射で受光面に入射する可視光の少なくとも60%、70%、80%、90%、又は少なくとも95%に対して透過性を有する、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記パネルは第1のパネルであり、装置は第2のパネルを備え、
前記第2のパネルは、前記第1のパネルの前記受光面によって受光された光が、前記第2のパネルによって受光される前に、前記第1のパネルを通って最初に伝搬するような方法で、前記第1のパネルと実質的に平行に配置されており、
前記第2のパネルは、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域を有すると共に、対向する第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面が前記第2のパネルの受光面である、
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
各太陽電池セルは、各太陽電池セルが前記第1のパネルと前記第2のパネルとの間に挟まれ、各太陽電池セルが前記第1のパネル及び前記第2のパネルの両方に直接又は間接的に接合されるように、前記第2のパネルに直接又は間接的に接合される背面を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの太陽電池セル列は、少なくとも1つの第1太陽電池セルのセル列であり、装置は、前記第2のパネルに配置された少なくとも1つの第2太陽電池セルのセル列をさらに含み、
前記第2太陽電池セルのセル列内の各太陽電池セルは、前記第2のパネルに面する受光面を有すると共に、前記第2のパネルと前記太陽電池セルの受光面との間の隙間を通って伝搬することなく、前記太陽電池セルの前記受光面によって光を受光することができるように、前記第2の主面において前記第2のパネルに直接又は間接的に接合され、
前記少なくとも1つの太陽電池セル列は、前記第2のパネルの端部に当該端部に沿って配置されると共に、前記端部と可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域との間に配置され、
複数の太陽電池セルは、前記第2のパネルの1つ以上の端部に沿って且つ端部に近接して配置されるだけであり、可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域には配置されない、
請求項12又は請求項13に記載の装置。
【請求項15】
可視光の少なくとも一部に対して透明である前記領域は、前記第2のパネルに入射する可視光の少なくとも60%、70%、80%、90%、又は少なくとも95%に対して透過性であってもよい、請求項12又は請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第2のパネルは、入射した赤外光の前記第2のパネルの端部への再配向を容易化するために、回折素子及び/又は発光材料をさらに備える、請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
装置が、前記第2のパネルの少なくとも1つの端部表面に配置され、前記第2のパネルの主面に対して実質的に垂直に配向された、第3太陽電池セルのセル列の少なくとも1つをさらに含み、それによって、前記第3太陽電池セルのセル列の少なくとも1つは、前記第1のパネルにおける前記第1太陽電池セルのセル列に対して実質的に垂直に配置され、
前記第3太陽電池セルのセル列は、回折素子及び/又は発光材料によって再配向された少なくとも一部の光を受光するように配置されている、
請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記第1太陽電池セルのセル列内の複数の太陽電池セル及び前記第2太陽電池セルのセル列内の複数の太陽電池セルは、シリコン系であり、前記第3太陽電池セルのセル列は、CIS系又はCIGS系である、請求項12から請求項17までのいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は発電装置に関し、これに限定されるものではないが、特に、太陽電池を含む窓用パネルのようなパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスタワー、高層住宅、及びホテルなどの建物は、ガラスパネルを組み込んだ大量の外部窓パネル及び/又はファサードを使用する。
【0003】
このようなガラスパネルは、大量の太陽光を受けるため、室内空間が暖まり、エアコンを使用する必要がある。エアコンの運転には、世界的に大量のエネルギーが使用されている。
【0004】
PCT国際出願番号PCT/AU2012/000778、PCT/AU2012/000787及びPCT/AU2014/000814(本出願人が所有する)は、窓ガラスとして使用することができ、可視光に対して透過性であるが、赤外線などの光を吸収して発電する太陽電池を有するスペクトル選択性パネルを開示している。
【0005】
本発明は、さらなる改良を提供するものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1の態様において、建物又は構造物の窓のための装置を提供し、この装置は、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域を有すると共に、対向する第1の主面及び第2の主面を有し、第1の主面がパネルの受光面である、パネルと、少なくとも1つの太陽電池セル列であって、複数の太陽電池セルの各々が、パネルの第2の主面に面する受光面を有し、光がパネルと太陽電池セルの受光面との間の隙間を通って伝搬することなく太陽電池セルの受光面によって受光されるように、第2の主面でパネルに直接又は間接的に接合される、少なくとも1つの太陽電池セル列と、を備え、
少なくとも1つの太陽電池セル列は、パネルの端部で当該端部に沿って配置されると共に、端部と可視光の少なくとも一部に対して透明な領域との間に配置され、複数の太陽電池セルは、パネルの端部で当該端部に沿って配置されるだけであり、可視光の少なくとも一部に対して透明な前記領域には配置されない。
【0007】
パネルと太陽電池との間のエアギャップのような間隙が回避されるため、パネルから太陽電池セル内に伝搬する光の強度損失が低減される。
【0008】
パネルは建物又は車両の窓のパネルであってもよく、装置は、パネルを支持するためのフレーム構造をさらに含んでいてもよい。一実施形態では、装置は、一体型ガラスユニットのような、建物用の窓ユニットの形態で提供される。
【0009】
少なくとも1つの太陽電池セル列の複数の太陽電池セルは、接着剤を用いてパネルに直接的又は間接的に接合されてもよい。一実施形態では、接着剤は、少なくともパネル材料の屈折率に近い屈折率を有していてもよく、これは例えば、ガラス又は適切なポリマー材料であってもよい。あるいは、太陽電池セルは、ポリビニルブチラール(PVB)又はエチレン-酢酸ビニル(EVA)又は別の適切な材料などのポリマー材料の外層を有していてもよい。この実施形態では、複数の太陽電池セルは、パネルの第2の主面に直接接合されてもよい。例えば、太陽電池セルがEVA又は他の適切な材料の層を含む場合、PVB、EVA又は他の適切な材料が、わずかに軟化され、次いで、典型的には追加の接着剤なしで(PVB、EVA又は他の材料を接着剤として使用することによって)パネルの第2の主面に直接接合されてもよい。
【0010】
少なくとも1つの太陽電池セル列の複数の太陽電池セルは、パネルに対して平行に配置されてもよい。隣接する太陽電池セルは、互いに少なくとも略隣接する関係にあってもよい。代替的に、各太陽電池セルは、逆の電気極性を有する対向する一対の主面を有してもよく、各太陽電池セルは、「板葺きの」太陽電池セル列が形成されるように、他の1つの太陽電池セルに重なってもよい。
【0011】
この装置は、複数の太陽電池セル列を備えていてもよく、複数の太陽電池セル列は、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域の周りに配置されてもよい(かつ、完全に取り囲まれてもよい)。また、複数の太陽電池セル列は、パネルが可視光の少なくとも一部に対して大きく透明であり、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域が中央領域であり、太陽電池セル列が配置されるパネルの面積よりも5倍、10倍、15倍、20倍、50倍、100倍、又は500倍大きくなるように、パネルの端部に配置されていてもよい。
【0012】
パネルは4つの端部を有してもよく、少なくとも1つの太陽電池セル列は、パネルの各端部に配置されてもよい。
【0013】
可視光の少なくとも一部に対して透明な領域が、垂直入射で受光面に入射する可視光の少なくとも60%、70%、80%、90%、又は少なくとも95%に対して透過性を有していてもよい。
【0014】
パネルは第1のパネルであり、装置は第2のパネルを備えていてもよい。第2のパネルは、第1のパネルの受光面によって受光された光が、第2のパネルによって受光される前に、第1のパネルを通って最初に伝搬するような方法で、第1のパネルと実質的に平行に配置されてもよい。また、第2のパネルは、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域を有すると共に、対向する第1の主面及び第2の主面を有し、第1の主面が第2のパネルの受光面であってもよい。
【0015】
この実施形態では、各太陽電池セルは、第2のパネルに直接又は間接的に接合される背面を有していてもよく、これにより、各太陽電池セルは、第1のパネル及び第2のパネルの両方に直接又は間接的に接合され、各太陽電池セルは、第1のパネルと第2のパネルとの間に挟まれることになる。この実施形態では、装置の前面及び後面の両方が、第1のパネル又は第2のパネル(ガラスパネルであってもよい)の表面であり、これは太陽電池セルを保護するという利点を有し、窓用途のための信頼性のある(真空)シール面を提供するという利点も有する。
【0016】
少なくとも1つの太陽電池セル列は、少なくとも1つの第1太陽電池セルのセル列であり、装置は、第2のパネルに配置された少なくとも1つの第2太陽電池セルのセル列をさらに含んでもよい。第2太陽電池セルのセル列内の各太陽電池セルは、第2のパネルに面する受光面を有すると共に、第2のパネルと太陽電池セルの受光面との間の隙間を通って伝搬することなく、太陽電池セルの受光面によって光を受光することができるように、第2の主面において第2のパネルに直接又は間接的に接合されてもよい。ここで、少なくとも1つの太陽電池セル列は、第2のパネルの端部に当該端部に沿って配置されると共に、端部と可視光の少なくとも一部に対して透明な領域との間に配置され、複数の太陽電池セルは、第2のパネルの1つ以上の端部に沿って且つ端部に近接して配置されるだけであり、可視光の少なくとも一部に対して透明な領域には配置されない。
【0017】
第2のパネルは4つの端部を有していてもよく、第2のパネルの各端部に配置された第2太陽電池セルのセル列を少なくとも1つ含んでいてもよい。
【0018】
可視光の少なくとも一部に対して透明である領域は、第2のパネルに入射する可視光の少なくとも60%、70%、80%、90%、又は少なくとも95%に対して透過性であってもよい。
【0019】
第2のパネルは、入射した赤外光の第2のパネルの端部への再配向を容易化するために、回折素子及び/又は発光材料をさらに備えていてもよい。
【0020】
さらに、装置は、第2のパネルの少なくとも1つの端部表面に配置され、第2のパネルの主面に対して実質的に垂直に配向された、第3太陽電池セルのセル列の少なくとも1つを含んでいてもよく、それによって、第3太陽電池セルのセル列の少なくとも1つは、第1のパネルにおける第1太陽電池セルのセル列に対して実質的に垂直に配置されている。第3太陽電池セルのセル列は、回折素子及び/又は発光材料によって再配向された少なくとも一部の光を受光するように配置されている。回折素子による赤外線放射の偏向は、(パネルが窓ガラスとして使用される場合)建物内への赤外線放射の透過を低減することができ、その結果、建物内の空間の過熱を低減し、空調コストを削減できるという更なる利点を有する。
【0021】
太陽電池セルは、シリコン系の太陽電池セルであってもよいが、代わりに、CIGS又はCIS、GaAs、CdS又はCdTeなどの任意の他の適切な材料に基づいていてもよい。
【0022】
1つの具体的な実施形態では、第1太陽電池セルのセル列内の複数の太陽電池セル及び第2太陽電池セルのセル列内の複数の太陽電池セルは、シリコン系であり、第3太陽電池セルのセル列は、CIS系又はCIGS系である。
【0023】
本発明は、本発明の特定の実施形態の以下の説明からより完全に理解されるのであろう。以下、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による発電装置の概略上面図である
図2】本発明の一実施形態による装置の一部の概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態による装置の一部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
最初に図1を参照すると、本発明の一実施形態による発電装置100の概略上面図が示されている。発電装置100はパネル102を備え、この実施形態では、4つの太陽電池セル列104 106、108、110が、パネル102のそれぞれの端部に配置されている。4つの太陽電池セル列104 106、108、110は、パネルの受光面に面し、一緒になって、少なくとも大部分が光を透過するパネルの領域を取り囲んでいる。パネル102は、例えば、建物又は別の構造の窓のパネルを形成してもよく、4つの太陽電池セル列104、106、108、110は、窓ユニットのためにパネル102及び1つ以上の他のパネルを支持するフレーム構造に配置されてもよい。
【0026】
パネル102は、入射する可視光の少なくとも70%に対して透過性である(ガラスなどのパネル材料の透過率によって制限される)。太陽電池セルは、パネル102の端部だけで入射光の透過が太陽電池セルによって妨害されるように、パネル102の端部にのみ配置される。
【0027】
太陽電池セル列104 106、108、110の太陽電池セルは、それぞれパネル100に面する受光面を有し、太陽電池セルとパネル102との間に空隙が存在しないように、パネル102に接着される。この例では、太陽電池セル112は外側ETA層を含む。太陽電池セル112をパネル102に接着する前に、ETAを(注意深く加熱することによって)わずかに軟化させ、次いで、太陽電池セル112をパネル102に押し付ける。軟化したETAが再び硬化すると、追加の接着剤を必要とせずに、太陽電池セルはパネル102に接着される。
【0028】
パネル102は、任意の形状を有することができるが、1つの特定の実施形態では、矩形であり、正方形であってもよい。パネル102は、適切なガラス又はポリマー材料から形成されてもよい。
【0029】
太陽電池セル列104 106、108、110は、この実施形態では、重なり合う関係で配置され、導電性接着剤を使用して電気的に接続されている。太陽電池セル112は、対向する一対の主面を有し、一対の主面は異なる極性を有しており、同じ極性の主面のみがパネル102に面するように配向されている。導電性接着剤は、1つの太陽電池セル112の背面を、隣接する太陽電池セル112の前面と結合する。その結果、太陽電池セル列の複数の太陽電池セルは、電気的に直列に接続される。
【0030】
あるいは、太陽電池セルは、隣接する関係(abutting relationship)で配置されてもよい。
【0031】
ここで図2を参照すると、本発明の一実施形態による窓ユニットの一部の断面図が示されている。窓ユニット200は、第1太陽電池セルの(板葺きの)セル列104、106、108及び110を有するパネル102を備えており、これらの太陽電池セル列は、ETA層109によって封止されている。パネル102は、受光面103を有する。この実施形態では、パネル102は第1パネルであり、窓ユニット200はまた、第1パネル102と平行に、かつ第1パネル102と離間して配置された第2パネル202を備える。第2のパネル202は太陽電池セル列204を有しており、太陽電池セル列204は、第1のパネル102について図1を参照して上述したのと同様にして、第2のパネル202に接合されている。この実施形態では、パネル102及び202は、矩形であり、それぞれ4つの太陽電池セル列を備えている。4つの太陽電池セル列は、パネル102、202の端部に接着され、図1に示すように配置されている。
【0032】
図1に示されるパネル102と同様に、第2のパネル202は、入射する可視光の少なくとも70%に対して透過性である(ガラスなどのパネル材料の透過性によって制限される)。太陽電池セルは、パネル202の端部だけで入射光の透過が太陽電池セルによって妨害されるように、パネル202の端部にのみ配置されている。
【0033】
また、窓ユニット200はフレーム構造205を備えており、フレーム構造205は、パネル102及び202と太陽電池セル列とを所定の位置に保持するように構成されている。
【0034】
この実施形態では、パネル102及び204は、それぞれのガラスのペイン(panes of glass)を備えており、ガラスのペインは、それぞれ可視光に対して大きく透過性である。一実施形態では、パネル102及び204を形成するガラスペインは、低鉄の超透明ガラスペインで形成され、パネル204はさらに低放射(low-E)コーティングを有する。
【0035】
図2に示す実施形態では、パネル204は、3つのサブペイン204a、204b及び204cを有する積層構造である。サブペイン204aは、厚さ4mmの低鉄の超透明ガラスで形成されており、第2及び第3のペイン204b,204cは、それぞれ4mmの厚さを有する超透明ガラスから形成されている。サブペイン204a、204b、及び204cは、互いに対合して、互いに実質的に平行なサブペインのスタックを形成する。ガラス板204aと204bとの間には、ポリビニルブチラール(PVB)の中間層210が分配されている。PVB中間層212も、サブパネル204bと204cとの間に配置されるが、PVB中間層212は光散乱要素も含む。この実施形態では、光散乱要素は、PVBに埋め込まれた発光性散乱粉末(luminescent scattering powder)を含み、これはまた接着力を提供するエポキシである。パネル204はまた、回折格子を含み、回折格子は、パネル204の端部領域に向かって(すなわち、フレーム205に向けて)光の再配向を容易にし、全内部反射による光の導出を容易にするように構成されている。
【0036】
パネル204は、任意の数の中間層を備えた任意の数のペインを有し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、パネル204は、ガラスなどの光透過性材料の単一片を含むことができる。
【0037】
パネル204は、受光面103と交差する平面を有する端部211を有している。図2の実施形態では、端部211と受光面103との間の角度は90°である。
【0038】
また、窓ユニット200は、第3太陽電池セルのセル列114を有する。第3太陽電池セルのセル列114は、端部211と、第1のパネル102と第2のパネル204との間のキャビティとに面している。第3太陽電池セルのセル列114は、第2のパネル204を実質的に取り囲み、散乱材料及び/又は回折素子(図示せず)によって第2のパネル204の端部(端部211など)に再配向される光を受光するように配置されている。さらに、第3太陽電池セルのセル列214は、第1のパネル102と第2のパネル204との間のキャビティに面する領域でも光を受光する。
【0039】
本実施形態では、第1太陽電池セルのセル列及び第2太陽電池セルのセル列104、106、108、110、208は、シリコン系の太陽電池セルであってもよいが、代わりに、CdS、CdTe、GaAs、CIS又はCIGSなどの任意の他の適切な材料に基づくことができる。第3太陽電池セルのセル列214は、CIS系又はCIGS系であってもよいが、代わりに、SI、CdS、CdTe、又はGaAsなどの任意の他の適切な材料に基づくことができる。
【0040】
図3は、本発明のさらなる実施形態による発電装置を示す。図3は、第1のパネル302及び第2のパネル304を有する装置300を示している。第1のパネル302及び第2のパネル304は、入射する可視光の少なくとも70%に対して透過性である(ガラスなどのパネル材料の透過率によって制限される)。
【0041】
装置300は、複数の太陽電池セル306を備えている。複数の太陽電池セル306は、それぞれがパネル302に対向する受光面を有し、太陽電池セル306と第1のパネル302との間に空隙が存在しないようにパネル302に接着されている。さらに、複数の太陽電池セル306は、それぞれパネル304に対向する背面を有し、パネル304に接着されている。この例では、太陽電池セル306は、前面に外側ポリビニルブチラール(PVB)層、又はエチレン酢酸ビニル(EVA)層を含む。排除体積分岐ポリマー(EVB:Excluded-Volume-Branched-polymers)、又はエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)のシートは、シートが太陽電池セル306とパネル304の背面との間にも配置されるように、パネル302とパネル304との間に配置される。太陽電池セル306をパネル302、304に(及び、パネル302、304を互いに)接着する前に、PVB、ETA、EVB又はETFEを(注意深く加熱することによって)わずかに軟化させ、次いで、パネル302、304を、太陽電池セル306がパネル302、304の間に配置されるように、一緒に押圧する。軟化したPVB、ETA、EVB又はETFEが再び硬化すると、太陽電池セル列は、追加の接着剤を必要とせずにパネル302、304の間に挟まれ、接着され、それによって積層構造が形成される。パネル302、304は、太陽電池セル306を保護し、また、装置の前面及び背面の両方において信頼性の高いシール面を提供し、これは窓の用途に有利である。
【0042】
いくつかの特定の実施形態を説明したが、開示されたユニット200は多くの他の形態で具現化されてもよいことを理解されたい。例えば、ユニット200は必ずしも矩形である必要はなく、代替的に、任意の他の適切な形状(例えば、円形又は丸みを帯びた形状など)を有していてもよい。さらに、パネル204は、任意の適切な数のサブパネルを含むことができる。さらに、窓ユニットは、三重ガラスユニットが形成されるように、第3のパネルを備えてもよい。
【0043】
本明細書全体にわたる背景技術のいかなる議論も、そのような背景技術が従来技術であること、又はそのような背景技術が広く知られているか、又はオーストラリア又は世界中の当該技術分野における共通の一般的知識の一部を形成することを認めるものとは、決して見なされるべきではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】