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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】衛生チャンバを備えた充填機
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/04 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B65B55/04 N
B65B55/04 K
B65B55/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520640
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020077312
(87)【国際公開番号】W WO2021063992
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】19201541.0
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ジェニー・リンドブラッド
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・リンドブラッド
(72)【発明者】
【氏名】マーテン・レグナー
(72)【発明者】
【氏名】ボー・ルンベルグ
(57)【要約】
個々のパッケージ(4)を形成し、充填し、シールするように構成された充填機(10)が提供される。充填機は、消毒ステーション(16)と、消毒ステーション(16)の下流にある衛生チャンバ(20)とを備え、衛生チャンバ(20)は、消毒ステーション(16)を通過した後のパッケージの再汚染のリスクを低減するように構成されている。内側衛生ゾーン(30)が前記衛生チャンバ(20)の内部に形成され、それによって、内側衛生ゾーン(30)から内側衛生ゾーン(30)の外側の衛生チャンバ(20)への正の空気流が確立される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々のパッケージ(4)を形成し、充填し、シールするように構成された充填機(10)であって、消毒ステーション(16)と、前記消毒ステーション(16)の下流にある衛生チャンバ(20)とを備え、前記衛生チャンバ(20)は、前記消毒ステーション(16)を通過した後の前記パッケージの再汚染のリスクを低減するように構成され、前記充填機は、前記衛生チャンバ(20)の内部に内側衛生ゾーン(30)をさらに備え、それによって、前記内側衛生ゾーン(30)から前記内側衛生ゾーン(30)の外側の前記衛生チャンバ(20)への正の空気流が確立される充填機(10)において、
分離板(32、34、36)がU字形に配され、その結果、少なくとも2つの縦方向分離板(32、36)が機械方向に延び、少なくとも1つの横方向分離板(34)が前記機械方向に垂直に延びて、前記2つの縦方向分離板(32、36)を接続する、
充填機(10)。
【請求項2】
前記内側衛生ゾーン(30)が複数の分離板(32、34、36)によって形成され、そのうちの少なくとも1つは、前記内側衛生ゾーン(30)を開放してそこにアクセスできるように移動可能である、請求項1に記載の充填機。
【請求項3】
前記分離板(32、34、36)が天井から床に向かって延び、それぞれの分離板(32、34、36)の下端と前記床との間にスリット(42)を残す、請求項2に記載の充填機。
【請求項4】
前記分離板(32、34、36)の少なくとも1つが、前記内側衛生ゾーン(30)の大きさを増大又は縮小するために移動可能である、請求項2又は3に記載の充填機。
【請求項5】
前記内側衛生ゾーン(30)が、上流側の前記消毒ステーション(16)に向かって開放される、請求項1~4のいずれか一項に記載の充填機。
【請求項6】
前記内側衛生ゾーン(30)がフィルタ付き空気ユニット(38)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の充填機。
【請求項7】
前記フィルタ付き空気ユニット(38)が、前記内側衛生ゾーン(30)の天井に配置される、請求項6に記載の充填機。
【請求項8】
前記内側衛生ゾーン(30)からの正の空気流が、前記フィルタ付き空気ユニット(38)の空気流を制御することによって制御される、請求項6又は7に記載の充填機。
【請求項9】
前記フィルタ付き空気ユニット(38)が、HEPAフィルタユニットである、請求項4~6のいずれか一項に記載の充填機。
【請求項10】
前記衛生チャンバ(20)が、前記内側衛生ゾーン(30)の外側に配置された空気排出ユニット(40)を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の充填機。
【請求項11】
前記空気排出ユニット(40)が、前記衛生チャンバ(20)の天井に配置される、請求項9に記載の充填機。
【請求項12】
個々のパッケージ(4)を形成し、充填し、シールするように構成された充填機のための方法であって、前記充填機は、消毒ステーション(16)と、前記消毒ステーション(16)の下流にある衛生チャンバ(20)とを備え、前記衛生チャンバ(20)は、前記消毒ステーション(16)を通過した後の前記パッケージの再汚染のリスクを低減するように構成されており、前記方法は、
前記衛生チャンバ(20)の内部に内側衛生ゾーン(30)を設けることと、前記内側衛生ゾーン(30)から前記内側衛生ゾーン(30)の外側の前記衛生チャンバ(20)への正の空気流を確立することとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充填機に関し、特に、個々のパッケージを形成、充填及びシールするように構成された充填機に関する。本発明はまた、そのような充填機向けの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品業界では、飲料及び他の製品は紙又は板紙をベースにしたパッケージで包装されることが多い。液体食品用に意図されたパッケージは、紙又は板紙のコア層と、パッケージの内側を形成するコア層の少なくともその側にある熱可塑性材料の外側の液密層とを備える包装用ラミネートから製造されることが多い。
【0003】
頻繁に現れるパッケージの1種は、いわゆるレディ・トゥ・フィル・パッケージ(充填準備の整ったパッケージ)から製造される。このようなレディ・トゥ・フィル・パッケージは、充填前にその下端がシールされる、上述のような包装用ラミネートのスリーブとして提供される。上端は、スリーブの上端をシールして形成することによって、又は例えばプラスチックトップの形態で上部を追加することによって形成することができ、上端/上部には、スクリューキャップなどの開閉手段を設けることができる。
【0004】
オープンエンドの包装材スリーブは、充填機の送込みステーションで受け取られ、その後、下端がシールされる。半完成パッケージは、この時点で充填準備の整った形状を有しているが、衛生的な包装を提供するためにさらなる工程が必要とされる。下流のステーションで、開口したスリーブは、パッケージ内に貯蔵される製品の保存期間を延長するために、少なくとも内側を殺菌又は消毒される。保存期間の所望の長さに応じて、またパッケージが冷蔵環境で、又は室温で流通、保管されるのかどうかに応じて、異なるレベルの殺菌/消毒を行うことができる。
【0005】
パッケージの殺菌/消毒後、パッケージはさらに、製品充填のための充填ゾーン、オープンエンドのシールのためのシールゾーン、そして典型的にはパッケージの最終成形のための最終成形ゾーンに運ばれる。
【0006】
パッケージの運搬は、搬送経路に沿って誘導される一連のキャリアによって達成される。搬送経路は、好ましくは、パッケージの流れが充填機及びすべての必要なステーションを通って移動するように、充填機を通して連続的である。
【0007】
レディ・トゥ・フィル・パッケージの消毒/殺菌の後、関連するステーションによってパッケージが充填されシールされる際に、衛生的な状態を維持することが重要である。したがって、これらの充填機ステーションは、既に殺菌又は消毒されたパッケージの再汚染を最小限に抑えるために、衛生ゾーンに設置される。
【0008】
衛生ゾーン内でのパッケージの充填、シール、運搬を適切に行うためには、複雑な機構と形状が必要とされる。衛生ゾーン内の充填・シールステーション(及び成形等のための関連ステーション)で使用される構造部品は、点検及びメンテナンスの対象となり、これらのステーションは充填機の高性能運転のために時折アクセスされなければならない。
【0009】
しかしながら、衛生ゾーンにアクセスするたびに、外部から望ましくない粒子や微生物が侵入するリスクがあり、それによってパッケージの再汚染のリスクが高まる。
【0010】
顧客のニーズに対応するために充填機の速度及び複雑さが増すにつれて、点検及びメンテナンスの必要性も高まり、それによって機械のダウンタイム及び衛生ゾーンへのアクセスが必要となる。
【0011】
したがって、衛生ゾーン内に配置された部品の点検及びメンテナンスのために、パッケージが再汚染されるリスクを低減する充填機が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術の上で特定した制限の1つ又は複数を少なくとも部分的に克服することである。特に、衛生ゾーン内に存在するパッケージの再汚染のリスクを低減する充填機の衛生ゾーンを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的を解決するために、充填機が提供される。充填機は、個々のパッケージを形成し、充填し、シールするように構成され、それによって、充填機は、消毒ステーションと、消毒ステーションの下流にある衛生チャンバとを備え、この衛生チャンバは、消毒ステーションを通過した後のパッケージの再汚染のリスクを低減するように構成される。前記衛生チャンバの内部には内側衛生ゾーンが設けられ、それによって、内側衛生ゾーンから内側衛生ゾーンの外側の衛生チャンバへの正の空気流が確立される。
【0014】
内側衛生ゾーンは、複数の分離板によって形成されてもよく、そのうちの少なくとも1つは、内側衛生ゾーンを開放してそこにアクセスできるように移動可能である。
【0015】
分離板は、天井から床に向かって延び、それぞれの分離板の下端と床との間にスリットを残してもよい。
【0016】
分離板は、少なくとも2つの縦方向分離板が機械方向に延び、少なくとも1つの横方向分離板が機械方向に垂直に延びて2つの縦方向分離板を接続するように、U字形に配されてもよい。
【0017】
分離板の少なくとも1つは、内側衛生ゾーンの大きさを増大又は縮小するために移動可能であり得る。
【0018】
内側衛生ゾーンは、上流側の消毒ステーションに向かって開放されていてもよい。
【0019】
内側衛生ゾーンは、フィルタ付き空気ユニットを備えてもよい。フィルタ付き空気ユニットは、内側衛生ゾーンの天井に配置されてもよい。フィルタ付き空気ユニットは、高効率粒子吸収(HEPA:high efficiency particulate absorbing)フィルタユニットである。
【0020】
内側衛生ゾーンからの正の空気流は、フィルタ付き空気ユニットの空気流を制御することによって制御されてもよい。
【0021】
衛生チャンバは、内側衛生ゾーンの外側に配置された空気排出ユニットを備え得る。空気排出ユニットは、衛生チャンバの天井に配置されてもよい。
【0022】
第2の態様によれば、個々のパッケージを形成し、充填し、シールするように構成された充填機のための方法が提供される。充填機は、消毒ステーションと、消毒ステーションの下流にある衛生チャンバとを備え、この衛生チャンバは、消毒ステーションを通過した後のパッケージの再汚染のリスクを低減するように構成される。この方法は、前記衛生チャンバの内部に内側衛生ゾーンを設けるステップと、内側衛生ゾーンから内側衛生ゾーンの外側の衛生チャンバへの正の空気流を確立するステップとを含む。
【0023】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な記載及び図面から明らかになるであろう。
【0024】
次に、本発明の実施形態について、添付の概略図を参照して例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態による充填機の概略図である。
図2】一実施形態による充填機の上面図である。
図3】一実施形態による充填機の断面図である。
図4】一実施形態による方法の概略図である。
図5a-c】一実施形態による充填機が運転中に汚染を受けるシミュレーショングラフである。
図6a-c】運転中の一実施形態による充填機の圧力のシミュレーショングラフである。
図7】一実施形態による充填機の運転中の空気流のシミュレーショングラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照すると、充填機10が概略的に示されている。パッケージ4を形成し、充填し、シールするように構成されている充填機10は、包装材料のブランク2が受け取られる送込みステーション12を有している。ブランク2は、当該技術分野において周知であり、背景のセクションで既に簡単に記載したように、カートンベースの包装材料のスリーブとして典型的に製造される。送込みステーション12は、底部シールステーション14の上流に配置され、このステーションでは、ブランク2がスリーブ形状に立設され、各ブランクの下端がシールされて、一方の下端が閉じられているが、上端がまだ開いている半完成パッケージを形成する。
【0027】
半完成パッケージは、消毒ステーション16に運ばれ、そこで生きている微生物の量が減少される。背景のセクションで説明したように、消毒のレベルはユーザの目的によって異なり得る。包装材料の消毒は、例えば、過酸化水素、UV光、電子ビーム照射等による処理によって達成されてもよい。充填機の最後に、充填機10から完成したパッケージ4を下流の装置、保管、及び/又は輸送に放出するように構成された送出しステーション18が配置されている。
【0028】
消毒ステーション16と送出しステーション18の間には、衛生チャンバ20が設けられている。衛生チャンバ20は、充填機のさらなるステーションを備え、消毒ステーション16の直ぐ下流には、充填ステーション22が配置される。ここで、レディ・トゥ・フィル・パッケージは、所望の内容物で充填される。充填後、パッケージは予備折り曲げステーション24に運ぶことができ、そこで、オープンエンドパッケージの上部が所望の形状に形成される。予備形成後、パッケージは加熱ステーション26に運ばれ、そこで包装材料のヒートシール可能な材料が高温に加熱される。パッケージの上端の高温は、パッケージが加熱ステーション26の直ぐ後ろに配置されたシールステーション28に入ったときに、上端のシールを容易にする。
【0029】
一旦シールされると、パッケージ4は衛生的な状態をもはや必要とせず、それによってそれらは衛生チャンバ20を出て、送出しステーション18によって(先に説明したように)放出される。
【0030】
衛生チャンバ20は、レディ・トゥ・フィル・パッケージの消毒又は殺菌の後、少なくともしばらくの間、レディ・トゥ・フィル・パッケージに衛生的な状態を提供する限り、より多い又は少ない充填機ステーションを備え得ることを理解されたい。また、充填機10は、正確に図1を参照して記載したように構成されていなくてもよく、充填機10は、プラスチックトップパッケージ等などの他のタイプのパッケージを製造するように構成されていてもよいことを述べておく。
【0031】
図2には、充填機10の一実施形態が、特に衛生チャンバ20に関して、さらに詳細に示されている。充填機ステーション、すなわち送込みステーション12、底部シールステーション14、衛生ステーション16等は、すべて破線で示され、図1と同じ参照数字が与えられている。また図2には、運搬路50が示され、送込みステーション12から送出しステーション18まで、矢印Aで示す方向に、パッケージを運搬するために用いられるコンベア及びキャリアを表している。
【0032】
衛生チャンバ20は、消毒ステーション16からパッケージが完全にシールされる下流位置までの充填機10の全空間を覆っており、図示の充填機10では、これは上端シールステーション28の後に現れる。
【0033】
衛生チャンバ20の内部には、内側衛生ゾーン30が画定される。内側衛生ゾーン30は、衛生チャンバ20の内部に空間を形成し、本質的に衛生チャンバ20の全長にわたって延在するが、衛生チャンバ20の幅の一部のみにわたって延在する。図2に示されるように、内側衛生ゾーン30は、少なくとも3つの壁32、34、36によって形成されている。第1の壁32は、消毒ステーション16の送出し端から運搬路50の片側に、機械方向に、充填ステーション22、予備形成ステーション24、予備加熱ステーション26、及び上端シールステーション28を横切って延在している。第2の壁36は、第1の壁32と平行に配置されている。第2の壁36は、消毒ステーション16の送出し端から運搬路50の反対側に、機械方向に、充填ステーション22、予備形成ステーション24、予備加熱ステーション26、及び上端シールステーション28を横切って延在している。
【0034】
内側衛生ゾーン30の下流端には、第1及び第2の壁32、36の方向と直交する方向に第3の壁34が配置されている。それゆえ、第3の壁34は、第1及び第2の壁32、36を接続し、内側衛生ゾーン30から出るパッケージ4のための出口壁を形成する。このことから、第3の壁34は、パッケージが内側衛生ゾーン30から出ることを可能にするための何らかの開口部を備えていることが明らかであるはずである。
【0035】
合計数が3より多くてもよい壁32、34、36は、それによって、以下にさらに説明するように、消毒されたパッケージを外部の環境から保護するU字形の空間を区切る。より具体的には、内側衛生ゾーン30の壁32、34、36は、充填機10が点検及びメンテナンスのためにアクセスされるときにバリアを形成する。
【0036】
充填機10は、充填機の外殻を形成するハウジング60を有する。機器を調査し、充填機10に対して様々な作業を行うために、スタッフが充填機内部に入ることを可能にするために、1つ又は複数のドア62、64がハウジング60に設けられる。典型的には、ドア62、64は、送込みステーション12だけでなく、上端シールステーション28にも配置することができる。特に、衛生チャンバ20の内部に配置される上端シールステーション28では、可能な限り衛生的な状態を維持することが望まれる。衛生チャンバ20の残りの部分から区切られている内側衛生ゾーン20の提供により、スタッフは、内側衛生ゾーン30に存在するパッケージ4を再汚染のリスクの増加にさらすことなく、ドア64を介して衛生チャンバ20に入ることができる。
【0037】
好ましくは、内側衛生ゾーン30に入る必要なしに点検及びメンテナンスを可能にするために、できるだけ多くの機械部品が内側衛生ゾーン30の外側に配置される。
【0038】
内側衛生ゾーン30の壁32、34、36は、好ましくは、内側衛生ゾーン30の大きさを調整できるように、充填機ハウジング60に対して移動可能である。この目的のために、第1及び第2の壁32、36は、機械方向に対して横方向に移動可能であり得る一方、第3の壁34は、第1及び第2の壁32、36の間に閉鎖部を形成できるように、伸縮可能であり得る。
【0039】
また、内側衛生ゾーン30の壁32、34、36の少なくとも1つは、内側衛生ゾーン30が点検及びメンテナンスのためにアクセスできるように、例えばスライドドア機構によって、開閉可能であることが好ましい。このような開口部は、好ましくは、内側衛生チャンバが開かれたときに信号を提供する、センサを備えてもよい。したがって、内部衛生ゾーン30がアクセスされたかどうか、及びいつアクセスされたかを監視することが可能である。
【0040】
図2に見られるように、内側衛生ゾーン30は仕切り壁38を備えてもよく、仕切り壁38は充填ステーション22と予備加熱ステーション24との間に配置される。仕切り壁38の目的は、予備加熱ステーション24からの過剰な熱が充填ステーション22を加熱するのを防止するために、充填ステーション22に熱バリアを提供することである。仕切り壁38(パッケージが通過できるように何らかの開口部を備えている)は、特にチルド製品が充填される場合に有利である。
【0041】
次に、図3に目を向けると、衛生チャンバ20の概略図が断面で示されている。内側衛生ゾーン30は、2つの壁32、36の間を横方向に広がっている。内側衛生ゾーン30の内部には、ここでは単純な形状によってのみ概略的に表される運搬路50が配置されている。分離壁32、36は、天井から下方に延び、その下端と床との間にスリット42を残している。このスリット42は、内側衛生ゾーン30から外側衛生チャンバ20への正の空気流を確保するために設けられている。
【0042】
内側衛生ゾーン30の天井には、好ましくはHEPAフィルタの形態であるエアフィルタユニット38が設けられている。HEPAフィルタ38は、清浄で濾過された空気の下向きの正流を確保する。空気の流れは、矢印で示すように、床の方に向けられ、スリット42を通して内側衛生ゾーン30から強制的に排出される。空気は最終的に、衛生チャンバ20の天井であるが内側衛生ゾーン30の外側に配置された空気排出ユニット40によって排出される。
【0043】
次に図4に目を向けると、充填機10のための方法100が概略的に示されている。先に説明したように、充填機10は、個々のパッケージ4を形成し、充填し、シールするように構成され、それによって、充填機は、消毒ステーション16と、消毒ステーション16の下流の衛生チャンバ20とを備え、この衛生チャンバ20は、消毒ステーション16の通過後のパッケージの再汚染に対するリスクを低減するように構成される。方法100は、衛生チャンバ20の内部に内側衛生ゾーン30を設ける第1のステップ102と、内側衛生ゾーン30から内側衛生ゾーン30の外側の衛生チャンバ20への正の空気流を確立する第2のステップ104とを含む。
【0044】
ここで図5a~cに目を向けると、潜在的な汚染を表すガスが、消毒ステーション16の底面全体及び衛生チャンバ20の底面全体から放出されるシミュレーション中の充填機10が示されている。充填機10の側面断面図である図5aで分かるように、汚染ガスの濃度は、内側衛生ゾーン30で実質的に少なく、このことは、充填機10の上面断面図である図5bからさらに明らかである。図5cの断面図(図3と同じ視界)からは、内側衛生ゾーン30には、実質的に汚染ガスが存在しないことが分かる。
【0045】
図6a~cでは、充填機10の運転中の圧力分布が示されている。これらの視界は、図5a~cに関するものと同じ断面であり、内側衛生ゾーン30が外側衛生チャンバ20に開口する領域において、小さいが明確な圧力勾配が生じることが示されている。
【0046】
図7は、充填ステーション22の別の断面図であり、内側衛生ゾーン30を通る空気流を示す。HEPAフィルタ38は、下向きの均一な清浄空気の流れを提供する。
【0047】
衛生ゾーン30の内部で充填領域において低温環境が確立され、それによって充填ステーション22の内部での微生物の成長を最小限に抑える。この低温環境は、図2に示される仕切り壁38により確保される。
【0048】
上述したように、提示された解決策は、生産モード中及び生産の停止中の両方で、衛生チャンバ20の再汚染を防止することを支援するものである。
【0049】
内側衛生ゾーン30と外側衛生チャンバ20との間に小さいが明確な圧力勾配が確立されるため、重要な内側衛生ゾーン30の強固な保護が得られる。さらに、それは重要な領域のカセット/コンベア/運搬路50からの汚染も防止する。
【0050】
衛生チャンバ20にアクセスする必要がある生産の停止中、衛生チャンバ20への大型のドア62、64を開くときに汚染を引き起こすリスクは低減される。小型の分離壁32、34、36はアクセスが必要なときに比較的小さな領域を開くだけだからである。提案された概念による追加の利点は、簡素化された供給システム設計も含む。排気システムを衛生チャンバの天井の上に配置することができ、分離壁32、34、36が排気システム設計の飛散を防止するからである。さらに、HEPAフィルタのより効率的な利用が達成され、それによって、流量に関する要求が減少する。
【0051】
上の記載から、本発明の様々な実施形態を記載し、示してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の請求項に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5a-c】
図6a-c】
図7
【国際調査報告】