(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】睡眠姿勢訓練デバイス及びそのデバイスを制御する為の方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A61B5/107 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022520882
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 NL2020050022
(87)【国際公開番号】W WO2021071354
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522136164
【氏名又は名称】サイド スリープ テクノロジーズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】アレッシィ,ミヒール ジェロエン
(72)【発明者】
【氏名】ベルマン,イダン レーフェン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA15
4C038VB33
4C038VB35
(57)【要約】
本開示の1つの観点は、睡眠中の胃食道逆流を低減する為の睡眠位置訓練デバイスに関する。該訓練デバイスは、向きセンサ、刺激発生器及び処理システムを備えている。該向きセンサは、人の該胴体の向きを示す信号を出力するように構成されている。該刺激発生器は、人の該胴体が、ある時間間隔の後にのみ、該所定の胴体向き範囲内にあるとき、該刺激を与えるように該刺激発生器を起こさせるように構成される。該刺激発生器は、例えばシールを使用することにより、取り外し可能に該人の該胴体に取り付け可能である。該処理システムは、該向きセンサから、該人の該胴体の向きを示す第1の信号を受信し、該向きが該睡眠姿勢における該所定の胴体向き範囲内にあることを判定するように構成されている。該刺激は、該x-z面の左上の象限の少なくとも一部において与えられず、複数の象限は、該長手方向軸に沿うy方向において該人の該胴体から足の方へ見られるものである。
【選択図】
図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の睡眠姿勢において胃食道逆流を低減するように構成された睡眠姿勢訓練デバイス(2)であって、
該人の胴体の向きを示す信号を出力するように構成された向きセンサ(4)、
該人の該胴体が睡眠姿勢における所定の胴体向き範囲内にあるときに、該人の該胴体に第1の刺激を与えるように構成された刺激発生器(6)、ここで、該刺激発生器(6)は該人の該胴体に取り付け可能である、及び
処理システム(100)、
を備えており、該処理システム(100)が、
該向きセンサ(4)から第1の信号を受信すること、ここで、該第1の信号が、該人の該胴体の第1の向き(11)を示す、
該第1の信号に基づいて、該人の該胴体の該第1の向き(11)が該睡眠姿勢における該所定の胴体向き範囲(15)内にあることを判定すること、ここで、該所定の胴体向き範囲は、y方向に仰臥姿勢になっている該人の該胴体の長手方向軸に対して直角のx-z面において、該第1の刺激が、該x-z面の右上の象限(XZ-1)の実質的に全体において与えられ、該刺激が、該x-z面の左上の象限(XZ-2)の少なくとも一部において与えられないようなものであり、複数の象限は、該長手方向軸に沿うy方向において該人の該胴体から足の方へ見られるものである、
の工程を行うように構成されている、前記睡眠姿勢訓練デバイス(2)。
【請求項2】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面の該左上の象限(XZ-2)の少なくとも一部、及び/又は、該x-z面の右下の象限(XZ-4)の少なくとも一部においても与えられるようなものである、請求項1に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項3】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面の右下の象限(XZ-4)の実質的に全体において与えられるようなものである、請求項1又は2に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項4】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該右上の象限(XZ-1)及び該右下の象限(XZ-4)において120度よりも大きい角度にわたって与えられるようなものである、請求項3に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項5】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面のz軸に対して、該x-z面の該右上の象限において30度未満の角度にわたって与えられないようなものである、請求項1~4のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項6】
該所定の胴体向き範囲は、該x-z面に対して直角のy-z面において、該刺激が、該y-z面の左上の象限(YZ-2)及び該y-z面の右上の象限(YZ-1)のうちの少なくとも一方の少なくとも一部において与えられないようなものである、請求項1~5のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項7】
該デバイスが、該デバイスを正しい向きで該人の該胴体に取り付ける為の向き付け手段を備えている、請求項1~6のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項8】
該処理システムは、該人の該胴体が、ある時間間隔の後にのみ、該所定の胴体向き範囲内にあるとき、該刺激を与えるように該刺激発生器をトリガするように構成されている、請求項1~7のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項9】
該処理システム(100)が、
該向きセンサ(4)から第2の信号を受信すること、ここで、該第2の信号は、該人の該胴体の第2の向きを示す、
該第2の信号に基づいて、該人の該胴体の該第2の向きが該所定の向き範囲(15)内にあることを判定し、その判定に基づいて、該刺激発生器(6)に、該第1の刺激と異なる第2の刺激を起こさせること
の工程を行うように構成されている、請求項1~8のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス(2)。
【請求項10】
該第1の刺激の強度が、第1の刺激期間の間に第1の時間的経過を有し、ここで該第1の時間的経過が不規則的である、請求項1~9のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス(2)。
【請求項11】
該第2の刺激の強度が、第2の刺激期間の間に第2の時間的経過を有し、ここで該第2の時間的経過が該第1の時間的経過と異なっており、任意的に該第2の時間的経過が不規則的である、請求項10に記載の睡眠姿勢訓練デバイス(2)。
【請求項12】
任意的に請求項1~11のいずれか1項又は複数項に記載の、睡眠姿勢訓練デバイスであって、該デバイスが人の胴体の上部に取り付け可能であり、該デバイスが、
加速度信号を出力するように構成された加速度計(4)、
該加速度計から該加速度信号を受信し、該人の呼吸速度可変性を導出するように構成された処理システム、及び
該人が睡眠姿勢における所定の向き範囲内にあるときに該人に第1の刺激を与えるように構成された刺激発生器(6)、ここで、該第1の刺激は、該処理システムによって導出された該呼吸速度可変性に依存して与えられる、
を備えている、前記睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項13】
該処理システムが、該導出された呼吸速度可変性を、該人の第1の睡眠段階と第2の睡眠段階とを区別するように設定された少なくとも1つの変動閾値と比較するように構成されており、該処理システムが、
該人が該第1の睡眠段階にあるとき、該第1の刺激を与えるように該刺激発生器をトリガし、
該人が該第2の睡眠段階にあるとき、該第1の刺激を与えるように該刺激発生器をトリガすることをしない、
ように構成されている、請求項12に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項14】
該加速度計が、請求項1~11のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイスの該向きセンサとして使用される、請求項12又は13に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項15】
人の睡眠姿勢における胃食道逆流を低減する為の方法であって、
刺激発生器(6)を該人の胴体に取り付けること、
向きセンサ(4)を使用して、該人の該胴体の向きを示す信号を出力すること、
該人の該胴体が睡眠姿勢における所定の胴体向き範囲内にあるときに、該刺激発生器(6)を使用して、該人の該胴体の該向きを変える為に該人の該胴体に第1の刺激を与えること、
該向きセンサ(4)から第1の信号を受信すること、ここで、該第1の信号が、該人の該胴体の第1の向き(11)を示す、
該第1の信号に基づいて、該人の該胴体の該第1の向き(11)が該睡眠姿勢における該所定の胴体向き範囲(15)内にあることを判定すること、ここで、該所定の胴体向き範囲は、y方向に仰臥姿勢になっている該人の該胴体の長手方向軸に対して直角のx-z面において、該第1の刺激が、該x-z面の右上の象限(XZ1)の実質的に全体において与えられ、該刺激が、該x-z面の左上の象限(XZ2)の少なくとも一部において与えられないようなものであり、複数の象限は、該長手方向軸に沿うy方向において該人の該胴体から足の方へ見られるものである、
を含む、前記方法。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項又は複数項に記載の前記処理システムによって行われる該工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
任意的に請求項15又は16に記載の、人の睡眠姿勢を訓練する為の方法であって、
刺激発生器を人の胴体の上部に取り付けること、
加速度計を使用して加速度信号を出力すること、
該加速度信号から該人の呼吸速度可変性を導出すること、及び
該人が睡眠姿勢における所定の向き範囲内にあるときに、該人の向きを変える為に該人に刺激を与えること、ここで、該第1の刺激は、該導出された呼吸速度可変性に依存して与えられる、
の工程を含む、前記方法。
【請求項18】
該導出された呼吸速度可変性を、該人の第1の睡眠段階と第2の睡眠段階とを区別するように設定された少なくとも1つの変動閾値と比較することと、
該人が該第1の睡眠段階にあるとき、該刺激を与えること、又は
該人が該第2の睡眠段階にあるとき、該第1の刺激を与えないこと
のうちの一方と、
の工程を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか1項又は複数項に記載の前記睡眠姿勢訓練デバイス(2)に、請求項15~18のいずれか1項又は複数項に記載の前記方法を行わせる命令を備えている、コンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19の前記コンピュータプログラムが記憶されている、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
人の睡眠姿勢における胃食道逆流を低減するように構成された睡眠姿勢訓練デバイス(2)であって、
該人の胴体の向きを示す信号を出力するように構成された向きセンサ(4)、
該人の該胴体が睡眠姿勢における所定の胴体向き範囲内にあるときに、該人の該胴体に第1の刺激を与えるように構成された刺激発生器(6)、ここで、該刺激発生器(6)は該人の該胴体に取り付け可能である、及び
処理システム(100)、
を備えており、該処理システム(100)が、
該向きセンサ(4)から第1の信号を受信すること、ここで、該第1の信号が、該人の該胴体の第1の向き(11)を示す、
該第1の信号に基づいて、該人の該胴体の該第1の向き(11)が該睡眠姿勢における該所定の胴体向き範囲(15)内にあることを判定すること、ここで、該所定の胴体向き範囲は、y方向に仰臥姿勢になっている該人の該胴体の長手方向軸に対して直角のx-z面において、該第1の刺激が、該x-z面の右上の象限(XZ-1)の少なくとも一部において与えられ、該刺激が、該x-z面の左上の象限(XZ-2)の少なくとも一部において与えられないようなものであり、複数の象限は、該長手方向軸に沿うy方向において該人の該胴体から足の方へ見られるものであり、該第1の刺激は、該x-z面の該左上の象限(XZ-2)よりも該x-z面の該右上の象限(XZ-1)のより大きい部分に与えられる、
の工程を行うように構成されている、前記睡眠姿勢訓練デバイス(2)。
【請求項22】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面の右下の象限(XZ-4)の少なくとも一部においても与えられるようなものである、請求項21に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項23】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該右上の象限(XZ-1)及び該右下の象限(XZ-4)において120度よりも大きい角度にわたって与えられるようなものである、請求項22に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項24】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面のz軸に対して、該x-z面の該右上の象限において30度未満の角度にわたって与えられないようなものである、請求項21~23のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項25】
該睡眠姿勢訓練デバイスが更に、請求項6~14のいずれか1項又は複数項に従って構成されている、請求項21~24のいずれか1項又は複数項に記載の睡眠姿勢訓練デバイス。
【請求項26】
人の睡眠姿勢における胃食道逆流を低減する為の方法であって、
刺激発生器(6)を該人の胴体に取り付けること、
向きセンサ(4)を使用して、該人の該胴体の向きを示す信号を出力すること、
該人の該胴体が睡眠姿勢における所定の胴体向き範囲内にあるときに、該刺激発生器(6)を使用して、該人の該胴体の該向きを変える為に該人の該胴体に第1の刺激を与えること、
該向きセンサ(4)から第1の信号を受信すること、ここで、該第1の信号が、該人の該胴体の第1の向き(11)を示す、
該第1の信号に基づいて、該人の該胴体の該第1の向き(11)が該睡眠姿勢における該所定の胴体向き範囲(15)内にあることを判定すること、ここで、該所定の胴体向き範囲は、y方向に仰臥姿勢になっている該人の該胴体の長手方向軸に対して直角のx-z面において、該第1の刺激が、該x-z面の右上の象限(XZ1)の少なくとも一部において与えられ、該刺激が、該x-z面の左上の象限(XZ2)の少なくとも一部において与えられないようなものであり、複数の象限は、該長手方向軸に沿うy方向において該人の該胴体から足の方へ見られるものであり、該第1の刺激は、該x-z面の該左上の象限(XZ-2)よりも該x-z面の該右上の象限(XZ-1)のより大きい部分に与えられる、
を含む、前記方法。
【請求項27】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面の右下の象限(XZ-4)の少なくとも一部においても与えられるようなものである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該右上の象限(XZ-1)及び該右下の象限(XZ-4)において120度よりも大きい角度にわたって与えられるようなものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面のz軸に対して、該x-z面の該右上の象限において30度未満の角度にわたって与えられないようなものである、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、睡眠姿勢訓練デバイス、そのデバイスを制御する為の方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
人の睡眠姿勢は、その人に関する様々な健康上の影響、例えば呼吸問題、いびき、及び過剰な胃食道逆流の発生、を有しうる。睡眠姿勢に影響を与えてそのような影響を低減又は回避する為に、マットレスやクッションのような特別な補助具が開発されている。
【0003】
他の補助具は、人に対するフィードバックを用いて特定の姿勢を取るように該人を訓練することを対象とする。そのような睡眠姿勢訓練デバイスは、いびきに関して既知である。例えば、体位性のいびきをかく人(positional snorer)とは、主として仰向けに寝ている時、すなわち「仰臥姿勢」にあって、頭部もまっすぐな姿勢にある(目が天井の方を向いている)時、にいびきをかく人である。該頭部及び/又は身体が仰臥姿勢にあると、重力の為に、該人の頭部が横に傾いている時又は該人が横向きで寝る時よりも頻繁に舌が気道内に落ちる。該舌が該気道内にあるとき、該舌は部分的に該気道をふさぎ、そのことがいびきの主要な原因となる。
【0004】
睡眠姿勢訓練は、仰臥姿勢ではなく、いびきを誘発しない別の姿勢で寝るように人を訓練する為に使用されうる。典型的に、睡眠姿勢訓練中に、寝ている人の睡眠姿勢が監視され、該寝ている人がいびきを誘発する姿勢にあると判定されると、フィードバック、例えば振動、が該人に与えられる。該フィードバックは好ましくは、該人を目覚めさせず、それでいて該人を刺激して睡眠姿勢を変えさせるのに十分な強さである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの観点は、人が、実質的に水平方向の姿勢にあるとき、例えば該人がベッドに寝ているとき、に、夜間酸逆流、夜間胸やけ、又は睡眠時逆流としても知られる(夜間性)胃食道逆流を低減するように特に設計された睡眠姿勢訓練デバイスに関する。強皮症、閉鎖症、及びアカラシアを包含する、食道に関係する兆候も、該訓練デバイスから利益を得ることが企図されていることが認識されるべきである。
【0006】
該訓練デバイスは、向きセンサ(例えば、三軸加速度計)と、刺激発生器(例えば、振動を与える)と、処理システム(例えば、睡眠姿勢訓練の為の特定のコード部分を実行するように構成されたマイクロプロセッサ)と、を備えている。
【0007】
該向きセンサは、該人の胴体、すなわち、該人の頭部と脚との間の身体部分、の向きを示す信号を出力するように構成されている。
【0008】
該刺激発生器は、該人の該胴体が睡眠姿勢における所定の胴体向き範囲内にあるときに、該人の該胴体の該向きを変える為に該人の該胴体に第1の刺激を与えるように構成されている。該刺激発生器は、例えばシールを使用することにより、取り外し可能に該人の該胴体に取り付け可能である。
【0009】
該処理システムは、該向きセンサから、該人の該胴体の向きを示す第1の信号を受信し、該向きが該睡眠姿勢における該所定の胴体向き範囲内にあることを判定するように構成されている。該所定の胴体向き範囲は、該人が体の右側又は左側を下にして寝るように訓練する為に、垂直方向の面y-zに対して該人の長手方向y軸を中心として非対称である。例えば、該所定の胴体向き範囲は、y方向に仰臥姿勢になっている該人の該胴体の長手方向軸に対して直角のx-z面において、該人の該胴体から足に向かう該長手方向軸に沿った方向に見られたときに、該第1の刺激が、該x-z面の該左上の象限よりも該x-z面の該右上の象限のより大きい部分に与えられるようなものである。好ましくは、該第1の刺激は、該x-z面の右上の象限の実質的に全体に与えられ、該刺激は、該x-z面の左上の象限の少なくとも一部において与えられず、複数の象限は、該長手方向軸に沿うy方向において該人の該胴体から足の方へ見られるもの(ベッドの枕側からの眺め)である。
【0010】
本開示の別の観点は、人の睡眠姿勢における胃食道逆流を低減する為の方法に関する。該方法は、刺激発生器を該人の胴体に取り付けることと、向きセンサを使用して、該人の該胴体の向きを示す信号を出力することとを含む。該刺激発生器は、該人の該胴体が睡眠姿勢における所定の胴体向き範囲内にあるときに、該人の該胴体の該向きを変える為に該人の該胴体に第1の刺激を与えるように使用される。該方法は、該向きセンサから第1の信号を受信することを更に含み、ここで、該第1の信号は、該人の該胴体の第1の向きを示す。該方法はまた、該第1の信号に基づいて、該人の該胴体の該第1の向きが該睡眠姿勢における該所定の胴体向き範囲内にあることを判定することを含みうる。該所定の胴体向き領域は、該人が体の右側又は左側を下にして寝るように訓練する為に、垂直方向の面y-zに対して該人の長手方向y軸を中心として非対称である。例えば、該所定の胴体向き範囲は、y方向に仰臥姿勢になっている該人の該胴体の長手方向軸に対して直角のx-z面において、該人の該胴体から足に向かう該長手方向軸に沿った方向に見られたときに、該第1の刺激が、該x-z面の該左上の象限よりも該x-z面の該右上の象限のより大きい部分に与えられるようなものである。好ましくは、該第1の刺激は、該x-z面の右上の象限の実質的に全体に与えられ、該刺激は、該x-z面の左上の象限の少なくとも一部において与えられず、複数の象限は、該長手方向軸に沿うy方向において該人の該胴体から足の方へ見られるもの(ベッドの枕側からの眺め)である。
【0011】
1つの実施態様において、該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面のz軸に対して、該x-z面の該右上の象限において30度未満の角度にわたって与えられないようなものである。この実施態様の利点は、人Pに、睡眠姿勢を変えさせる為の刺激信号にさらされることなく、睡眠姿勢のいくらかの柔軟性が許されることである。特に、人々の中には、仰向けで又はわずかに右側を向いて寝る為の柔軟性があることを望む者がある。特には該右上の象限XZ-1における、該向き範囲の構築は、睡眠中の逆流を効率的に防止又は低減することと、睡眠姿勢の柔軟性(すなわち、ユーザの快適性、従って該デバイスが実際に使用されるより高い見込み)との間のトレードオフである。
【0012】
1つの実施態様において、該向きセンサは、0.0001Hz~0.1Hz、好ましくは0.003Hz~0.03HZ、より好ましくは0.008Hz~0.02Hz、最も好ましくは毎分およそ1回(およそ0.017Hz)、の範囲を有する周波数を用いて、該人の該胴体の該向きを測定するように構成される。1つの実施態様において、該人の該胴体の該向きは、刺激期間中には測定されない。
【0013】
該刺激の総エネルギー、該刺激の最大強度、のパラメータのうちの少なくとも1つは、第1の刺激期間と第2の刺激期間とで同じで有りうる。更に、該第1の刺激期間と該第2の刺激期間とは等しい長さでありうる。
【0014】
該向きセンサ、刺激発生器、及び処理システムは、物理的に分離され得、その場合、該向きセンサ、刺激発生器、及び処理システムは、互いと無線通信するように構成される。しかしながら、好ましくは、該向きセンサと該処理システムとの間の有線接続があり、該処理システムと該刺激発生器との間の有線接続がある。また、好ましくは、該向きセンサ、刺激発生器、及び処理システムは、該人に取り付けられることができる単一の筐体の中に実装される。
【0015】
1つの実施態様において、該睡眠姿勢訓練デバイスは、該睡眠姿勢訓練デバイスを該人の該胴体に貼り付ける為の粘着表面を備えている。該粘着表面は、該睡眠姿勢訓練デバイスの筐体の表面に貼られた両面医療用テープ又はシリコンテープの表面でありうる。この実施態様は、該人の該胴体への該睡眠姿勢訓練デバイスの固定を容易にする。
【0016】
1つの実施態様において、該刺激発生器は、振動発生器を備えており、該刺激は、該人の胸部に対する振動触覚刺激である。この実施態様は、振動触覚刺激に対する該胸部の高い敏感性を利用し、それにより、該人に該刺激を効果的に与えることを可能にする。この実施態様における該刺激の強度は、該振動の振幅に関係すると理解されうる。
【0017】
本発明者等は、いびきを低減する為の睡眠姿勢訓練デバイスの実地試験の際に、酸逆流も患っている一部の人について、そのような逆流防止効果も、いびき睡眠姿勢訓練デバイスによって低減される又は無くなることを発見した。それらの人達は、いびき睡眠訓練器が刺激を与えたときに自然に仰向けから左側に向きを変えていたことが判明した。ここで開示されている訓練デバイス及び方法は、体の右側(これはいびきを防止又は低減するのに好適な姿勢である)ではなく実質的に体の左側を下にして寝るように、及び好ましくは加えて仰臥姿勢で寝ないように、人を刺激することを可能にする。睡眠中の胃食道逆流を低減する為には実質的に左側を下にして寝ることが有益であることが証明されている。
【0018】
該人が該向き範囲内にあると判定されるときには、該第1の刺激が、又はどのような刺激も、該人に直接加えられる必要がないことが留意されるべきである。刺激が生成される及び/又は該人に加えられる前に、該人が該向き範囲内にあるという複数回の判定が起こりうる。例えば、該処理システムは、該人の該向きを(規則的な)時間間隔で判定し、該人が第1の時間にわたって該向き範囲内にあると判定されると、より高い頻度で該向きを判定しうる。該人が該向き範囲内にあるというそのようなより頻繁な判定が所定回数行われた場合にのみ、該処理システムは、該刺激を生成するように該刺激発生器をトリガしうる。この実装は、例えば該人が短時間だけ特定の側に向いた場合に、早すぎる刺激の印加を回避する。
【0019】
該第1の信号を受信し、該人の該胴体が該所定の胴体向き範囲内にあることを判定する一連の工程は、複数回繰り返されうる。
【0020】
本開示の1つの実施態様において、該所定の胴体向き範囲は、該刺激が、該x-z面の該左上の象限の一部、及び/又は、該x-z面の右下の象限の少なくとも一部においても与えられるようなものである。この実施態様は、該胴体向き範囲を、他のあまり好ましくない姿勢、例えば(ほぼ)仰臥姿勢、まで拡張し、該刺激は、胃食道逆流を低減又は回避する為の最適な睡眠姿勢を取るように該人を訓練する為に与えられる。該拡張は、他の兆候、例えばいびき、にも有益でありうる。
【0021】
本開示の1つの実施態様において、該所定の胴体向き範囲は、該x-z面に対して直角のy-z面において、該刺激が、該y-z面の左上の象限及び該y-z面の右上の象限のうちの少なくとも一方の少なくとも一部において与えられないようなものである。この実施態様は、いつ該刺激が与えられるべきか又は与えられないべきかを決定する柔軟性を可能にする。例えば、該人が該y-z面においてある姿勢に、例えば該人がベッドから出る時又は読書をしている時に直立姿勢に、あるとき、すなわち覚醒しているとき、該刺激は与えられるべきでない。他の状況において、例えば該人が幾つかのクッションを使用しているとき、該刺激は、該人が眠っているときでも与えられるべきである。
【0022】
本開示の更に別の実施態様は、該デバイスを正しい向きで該人の該胴体に取り付ける為の向き付け手段を備えている睡眠姿勢訓練デバイスに関する。該胴体向き範囲はy軸を中心として非対称である為、該デバイスがどのように該胴体上に配置されるべきかを該ユーザに指示することが有益でありうる。該向き付け手段は、視覚的表示、例えば該デバイス上の図像マーク又は該デバイスの一方の側に位置する光源、を備えうる。
【0023】
本開示の別の実施態様は、該人の該胴体が、ある時間間隔の後にのみ、該所定の胴体向き範囲内にあるとき、該刺激を与えるように該刺激発生器をトリガするように構成された処理システムを有する、睡眠姿勢訓練デバイスに関する。例えば、該実施態様は、該ユーザが、所定の持続時間の間は該デバイスからの刺激に煩わされることなく寝付くことを可能にする。例えば、該デバイスは、該デバイスがオンにされてから20分後に初めて刺激を与え始めうる。別の例において、該訓練デバイスは、該加速度計によって提供されるデータから、該人が眠っていると思われるときにのみ刺激を与える。
【0024】
該人が特定の刺激に慣れて、それ故に該刺激に作用しにくくなることを回避する為に、本開示は、該人が該胴体向き範囲内にあるたびに、又は該刺激が加えられるたびに(これは、該人が刺激に反応しないときには数回でありうる)、異なる後続刺激を与える訓練デバイスを提供する。
【0025】
1つの実施態様において、該睡眠姿勢訓練デバイスは、該向きセンサから、該人の該胴体の第2の向きを示す第2の信号を受信し、該第2の信号に基づいて、該人の該胴体の該第2の向きが該所定の向き範囲内にあることを判定する。この判定に基づいて、該刺激発生器は、該第1の刺激と異なる第2の刺激を起こさせる。ここでも、該第2の刺激信号は、該人が該向き範囲内にあるという最初の判定の直後に与えられる必要はない。本開示の別の実施態様において、該第1の刺激の強度は、第1の刺激期間の間に第1の時間的経過を有し、該第1の時間的経過は不規則的である。特に、該第2の刺激の強度は、第2の刺激期間の間に第2の時間的経過を有し、該第2の時間的経過は該第1の時間的経過と異なり、任意的に該第2の時間的経過が不規則的である。該胴体の該第1の向きと該第2の向きとは同じであることも同じでないこともありうる。更に、該第2の刺激期間は、該第1の刺激期間の前又は後に起こりうる。
【0026】
これらの実施態様に従う、開示されている睡眠姿勢訓練デバイスにより、人が刺激に慣れることを防止することができる。この刺激に慣れることは望ましくない。なぜならば、該人が該胴体の向きを変える気になりにくくなり、よって睡眠中に胃食道逆流を起こしやすくなる為である。このようにして、該姿勢訓練は、効果が低くなる。この問題を低減する為に、該第1の刺激期間の間の該刺激の強度の該時間的経過は好ましくは、別の、先行する又は後続の刺激期間の間の該刺激の強度の該時間的経過とは異なる。該刺激強度の時間的経過は、刺激パターンとも呼ばれうる。有利には、該睡眠姿勢訓練デバイスは、該それぞれの刺激期間の間の該刺激の総エネルギーを変更する必要なしに、各刺激期間の間に異なる時間的経過を有する該刺激を与えることを可能にする。該強度の不規則な変動を使用することにより、該時間的経過を変動させる可能性が増す。説明の為に、一つの刺激期間の間の該刺激の所与の総エネルギーについて、可能な別個の時間的経過の数は、規則的な、例えば周期的な、強度変動のみが許される場合よりも、不規則的な強度変動が許される場合に、はるかに多くなる。よって、それらの実施態様に従う該開示されている睡眠姿勢訓練デバイスは、習慣性の防止の為に更に高い周波数の更に強い刺激を与えることを必要としない。それにより、該デバイスの電力消費が低減される。
【0027】
一つの刺激期間の間の該刺激の総エネルギーを変更する必要なしに該時間的経過を変動させることができることは、該刺激が人の胴体の上部(胸部)に与えられる場合に特に有利である。該胸部の中央部は、刺激を与えるのに非常に好適な身体部分である。これは、胸骨(breastbone)(胸骨(sternum)とも呼ばれる)が、振動に対して特に、非常に敏感である為であり、これは骨伝導とも呼ばれ、耳の後ろの骨に置かれて頭部に装着されるラウドスピーカにも使用される技術である。説明の為に、該胸骨に対する振動触覚刺激は、人の胸腔内で振動を生じさせることができ、それを該人は容易に感じる。しかしながら、該胸骨はとても敏感である為、一つの刺激期間の間の刺激のエネルギーの総量は、限られた範囲の中でしか変動させることができない。閾値を超えて総刺激エネルギーを増大させることは、すなわち該人を目覚めさせる。該胸骨はとても敏感である為、この閾値は、比較的低く、よって容易に到達される。それ故に、該総刺激エネルギーを増大させる必要なしに、与えられる刺激に対する習慣性を防止できることは非常に有益である。よって、それらの実施態様に従う該睡眠姿勢訓練デバイスは、該刺激が該胸骨に加えられる場合であっても、該刺激に対する習慣性を容易に防止することを可能にする。
【0028】
ある量の時間的経過とは、時間に伴うその量の変動であると理解されうる。従って、一つの刺激期間の間に不規則的な時間的経過を有する刺激の強度は、該刺激の該強度が、該刺激期間の間に時間と共に不規則的に変動することであると理解されうる。任意的に、該刺激発生器に、一つの刺激期間の間に不規則的に変動する強度で該刺激を与えさせることは、該刺激期間の間に該刺激の該強度をランダムに変動させることを含む。
【0029】
該人の該胴体の該向きが該所定の向き範囲内にあることの判定は、トリガ判定と呼ばれうる。刺激期間は、そのようなトリガ判定によってトリガされると理解されうるが、上記のように、該トリガ判定の直後に開始することは必要とされず、該刺激期間が開始される前に所定回数のより頻繁なトリガ判定を必要としうる。刺激期間は、刺激信号が生成されることができる期間であり、例えば10秒未満、例えば5秒又は4秒、の固定された期間でありうる。より特に、刺激期間は、所定回数のトリガ判定の後の第1の時間インスタンスに開始し、該トリガ判定の後の第2の時間インスタンスに終了する、所定の期間であると理解されうる。該第1及び第2の時間インスタンスは事前に決定され得、該第2の時間インスタンスは典型的に、該胴体の該向きが、通常の低頻度の一連の胴体向き範囲判断で再度判断される瞬間よりも前である。該第1の時間インスタンスは、該トリガ判定が行われる瞬間でありうる。追加的又は代替的には、特定のトリガ判定に対する刺激期間は、該特定のトリガ判定が行われた後に、該刺激発生器が該第1の時間にわたって該刺激を与え始める瞬間に開始すると理解され得、発生しうる次のトリガ判定の後まで該刺激発生器が該刺激を与えるのを中止する瞬間に終了すると理解されうる。更に、刺激期間は典型的に、1回の、ただし必ずしも初回のものとは限らない、トリガ判定によって引き起こされる。
【0030】
1つの実施態様において、該第2の時間的経過は不規則的である。このことは、該第1及び第2の刺激期間の間の該刺激強度の該それぞれの時間的経過がそれぞれ異なることを保証する為の更に多くの可能性を提供する。無論、該刺激は、複数のそれぞれの刺激期間の間に該人に与えられ得、該強度の時間的経過は、それら刺激期間の各々の間に不規則的でありうる。
【0031】
1つの実施態様において、該第1の、及び任意的に第2の、刺激期間の間に該刺激発生器に該刺激を与えさせることは、該刺激発生器をオン状態とオフ状態の間で切り替えさせることを含み、該オン状態にある該刺激発生器は、非ゼロの強度を有する、例えば実質的に一定の強度を有する、該刺激を与え、該オフ状態においては、該刺激を与えないか又は実質的にゼロの強度を有する該刺激を与える。この実施態様は、該刺激発生器が不規則的にオン・オフするように単純に制御されることができる為、該刺激の該強度を不規則的に変動させる為の利便な方式を可能にする。任意的に、この実施態様は、一つの刺激期間の間に少なくとも2回、該刺激発生器を該オフ状態から該オン状態に切り替えさせることを含む。
【0032】
該オン状態にあるとき、該刺激発生器は、ある一定の強度で該刺激を与えうる。この一定の強度は、異なるオン状態に対して同じである又は異なりうる。
【0033】
1つの実施態様において、該第1の、及び任意的に第2の、刺激期間の間に該刺激発生器に該刺激を与えさせることは、該第1の、及び任意的に第2の、刺激期間の間に、該刺激発生器をその後、第1の部分期間の間に該オン状態、第2の部分期間の間に該オフ状態、第3の部分期間の間に該オン状態にさせることを含み、該第1の部分期間は、該第3の部分期間よりも長いか又は短い。この実施態様は、一つの刺激期間の間に該刺激の該強度を不規則的に変動させる為の利便な方式を可能にする。
【0034】
1つの実施態様において、該第1の、及び任意的に第2の、刺激期間の間に該刺激発生器に該刺激を与えさせることは、該第1の、及び任意的に第2の、刺激期間の間に、該刺激発生器をその後、第4の部分期間の間に該オン状態、第5の部分期間の間に該オフ状態、第6の部分期間の間に該オン状態、第7の部分期間の間に該オフ状態、第8の部分期間の間に該オン状態にさせることを含み、該第5の部分期間は、該第7の部分期間よりも長いか又は短い。この実施態様は、一つの刺激期間の間に該刺激の該強度を不規則的に変動させる為の利便な方式を可能にする。
【0035】
1つの実施態様において、該処理システムは、一つの刺激期間の間の該刺激強度の為の複数の異なる時間的経過を記憶している。この実施態様において、該第1の刺激期間の間に該刺激発生器に該刺激を与えさせることは、該複数の時間的経過のうちの特定の時間的経過を選択し、好ましくはランダムに選択し、該選択された時間的経過に従って該刺激発生器に該刺激を与えさせることを含む。任意の刺激期間、例えば該第2の刺激期間、の間に該刺激を与えることは、該複数の時間的経過のうちの時間的経過を選択する、好ましくはランダムに選択する、ことを含みうる。この実施態様は、該刺激生成器に迅速に適切な刺激を与えさせることを可能にする。
【0036】
睡眠姿勢訓練デバイス一般に関して、睡眠サイクルのうち浅い睡眠段階の間の、該人が該所定の向き範囲内にある時に刺激が生成されることが最適な結果の為に有益である。そのような浅い睡眠段階は、一回の睡眠周期の間に数回起こることが既知であり、N1及びN2睡眠段階と呼ばれることがある。区別される他の睡眠段階は、N3(深い睡眠段階)であり、RがREM睡眠段階であり、Wが覚醒状態である。
【0037】
本開示の1つの他の観点は、加速度計を使用して人の睡眠段階を判定して、人への刺激を生成し、該判定された睡眠段階及び該所定の向き範囲に依存して該人への該刺激の印加をトリガするように構成されている、睡眠訓練デバイスに関する。該睡眠段階への依存は、例えば、該睡眠段階に応じて該刺激が該人に加えられる若しくは加えられないこと、及び/又は、刺激の種類が該睡眠段階に依存することでありうる。そのようにして、該人が浅い睡眠段階にあり、且つ所定の向き範囲内にあるときに、該人に、例えば該胴体に、刺激を加えることが可能となる。該加速度計は、該人の該向きを判定する為に、及び該睡眠段階を検出する為に使用されうる。
【0038】
該睡眠訓練デバイスは、該加速度計からの信号に加えて、更なる睡眠段階情報を使用して浅い睡眠段階を判定しうることが留意されるべきである。この情報は、睡眠段階順序情報(例えば、人が眠りにつくとき、該人は必ず浅い睡眠段階(すなわちN1及び/又はN2)を経過した後に深い睡眠段階に入ることが既知である)と、タイミング情報(例えば、睡眠段階のうちの1以上のおよその持続時間が既知でありうる)と、の少なくとも一方を包含しうる。該情報は、刺激信号が与えられるべきか否かを決定する為に該睡眠姿勢訓練デバイス内で実行される決定アルゴリズムにおいて使用されうる。
【0039】
この種の睡眠段階判定は、兆候(いびき、酸逆流等)に関係なく、及び適用される向き範囲(任意の方向で対称であるか非対称であるか)に関係なく、任意の睡眠姿勢訓練デバイスで使用されることができることが留意されるべきである。
【0040】
特に、本開示の1つの観点は、人の胴体の上部、例えば該人の胸骨(breastbone)(胸骨(sternum))、に取り付け可能である睡眠姿勢訓練デバイスに関する。該睡眠姿勢訓練デバイスは、該人の呼吸変動を示す加速度信号を出力するように構成された加速度計(例えば三軸加速度計)を備えている。該加速度計は、十分に正確な加速度測定を助ける為に、例えば該デバイスを該人の胸骨に貼り付けることにより、該人の該胴体の該上部と直接接触する。該デバイスは、該加速度計から該加速度信号を受信し、該人の呼吸速度可変性(RRV:respiratory rate variability)を導出するように構成された処理システムも備えている。また、該デバイスは、該人が睡眠姿勢における所定の向き範囲内にあるときに該人に第1の刺激を与えるように構成された刺激発生器を備えており、該第1の刺激は、該処理システムによって導出された該呼吸速度可変性に依存する。ここでも、他の情報が、刺激信号が与えられるべきか否かを決定する為の該決定アルゴリズムにおいて使用されうる。
【0041】
本発明の別の観点は、人の睡眠姿勢を訓練する為の方法に関し、該方法は、刺激発生器を人の胴体の上部(胸部)に取り付けること、加速度計を使用して、該人の呼吸変動を示す加速度信号を出力すること、該加速度信号から呼吸速度可変性を導出すること、及び、該人が睡眠姿勢における所定の向き範囲内にあるときに、該人の向きを変える為に該人に刺激を与えること、ここで、該第1の刺激は、該導出された呼吸速度可変性に依存する、を含む。
【0042】
該人の睡眠段階を判定する為に1以上のRRVパラメータが使用される本発明のこれらの観点は、それらのRRVパラメータに依存して該人に刺激を加えることによって胃食道逆流を低減するように適用される又は適用され得ないことが認識されるべきである。該人からの加速度信号を測定することによって取得されるのと同じRRVデータが、他の兆候、例えばいびき、に関して使用されて、睡眠状態を判定し、特定の睡眠状態の間に、その兆候の為に構成された向き範囲に独立して刺激を加えうる。
【0043】
特に、睡眠姿勢訓練デバイス及び方法の一つの実施態様は、該導出された呼吸速度可変性を、該人の第1の睡眠段階と第2の睡眠段階とを区別するように設定された少なくとも1つの変動閾値と比較するように構成された処理システムを備えており、該処理システムは、該人が該第1の睡眠段階にあるとき、該第1の刺激を与えるように該刺激発生器をトリガし、該人が該第2の睡眠段階にあるとき、該第1の刺激を与えるように該刺激発生器をトリガしない、ように構成されている。該第1の睡眠段階は、該人が、(より)深い睡眠段階中よりも該刺激に対して反応する、浅い睡眠段階でありうる。該第1の睡眠段階は、浅い睡眠段階、例えばN1又はN2段階、であり得、対して該第2の睡眠段階は、N3、覚醒、又はREM段階でありうる。
【0044】
1つの実施態様において、該睡眠姿勢訓練デバイスは、該人の該向きの判定と該人の該睡眠段階の検出との両方に使用される加速度計を備えている。この実施態様は、該デバイスに関するハードウェアを節減する。
【0045】
該人の該睡眠段階を推定する他の方式が使用されることができることが留意されるべきである。
【0046】
本開示の1つの観点は、本明細書に記載されている該睡眠姿勢訓練デバイスに、本明細書に記載されている方法工程の1以上を行わせる命令を含んでいるコンピュータプログラムに関する。
【0047】
本開示の1つの観点は、このコンピュータプログラムが記憶されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0048】
当業者によって認識されるように、本発明の観点は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として具現化されうる。従って、本発明の観点は、完全にハードウェアの実施態様、完全にソフトウェアの実施態様(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を包含する)、又は、本明細書において概して「回路」、「モジュール」、若しくは「システム」と呼ばれうるソフトウェアの観点とハードウェアの観点を組み合わせた実施態様の形態を取りうる。本開示に記載されている機能は、コンピュータのプロセッサ/マイクロプロセッサによって実行されるアルゴリズムとして実装されうる。更に、本発明の観点は、コンピュータ可読プログラムコードが具現化、例えば記憶、されている1以上のコンピュータ可読媒体として具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取りうる。
【0049】
1以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが利用されうる。該コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体でありうる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、若しくはデバイス、又は上述の任意の好適な組み合わせでありうる。該コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は、これらに限定されないが、1以上の配線を有する電気接続、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EPROM若しくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又は前述の任意の好適な組み合わせを包含しうる。本発明の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスが使用する為に、又はそれとの関係でプログラムを保持又は記憶することができる、任意の有形の媒体でありうる。
【0050】
コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読プログラムコードが内部に、例えば基底帯域に又は搬送波の一部として、具現化された伝搬データ信号を包含しうる。そのような伝搬信号は、これらに限定されないが、電磁気、光学、又はそれらの任意の好適な組み合わせを包含する各種形態のいずれをも取りうる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体でなく、且つ命令実行システム、装置、又はデバイスが使用する為に又はそれとの関係でプログラムを通信、伝搬、又は移送することができる、任意のコンピュータ可読媒体でありうる。
【0051】
コンピュータ可読媒体上に具現化されたプログラムコードは、これらに限定されないが、ワイヤレス、電線、光ファイバ、ケーブル、RF等、又は前述の任意の好適な組み合わせを包含する、任意の適当な媒体を使用して伝送されうる。本発明の観点に関する動作を実行する為のコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語、例えばJava(商標)、Smalltalk、C++等、及び、従来の手続き型プログラミング言語、例えば「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語、を包含する1以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれうる。該プログラムコードは、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、全体が該人のコンピュータ上で、部分的に該人のコンピュータ上で、部分的に該人のコンピュータ上で及び部分的にリモートコンピュータ上で、又は全体がリモートコンピュータ又はサーバ上で実行しうる。後者のシナリオにおいて、該リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)を包含する任意種類のネットワークを通じて該人のコンピュータに接続され得、又は、接続は外部コンピュータになされうる(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)。
【0052】
本発明の観点は、本発明の実施態様に従う、方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して下記で説明される。該フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに該フローチャート図及び/又はブロック図内のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装されることができることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサ、特にマイクロプロセッサ若しくは中央演算処理装置(CPU)、に提供されて機械を創出し得、それにより、該コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスの該プロセッサを介して実行される該命令が、該フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロックに指定される機能/動作を実装する手段を作り出す。
【0053】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスに特定の態様で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶され得、それにより、該コンピュータ可読媒体に記憶された該命令が、該フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロックに指定される機能/動作を実装する命令を含んでいる製造品を創出する。
【0054】
該コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスにロードされて、該コンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で一連の動作工程を行わせて、コンピュータによって実施されるプロセスを創出し得、それにより、該コンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行される該命令が、該フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロックに指定される機能/動作を実装する為のプロセスを提供する。
【0055】
図におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施態様に従う、システム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、該フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、1以上の指定された論理機能を実装する為の1以上の実行可能命令を含んでいる、モジュール、セグメント、又はコードの一部分を表しうる。また、一部の代替の実装形態において、該ブロックに記される機能は、図中に記される順序から外れて発生しうることが留意されるべきである。例えば、連続して示されている2つのブロックが実際には実質的に同時に実行され得、又は該ブロックが、関係する機能に応じて、時に逆の順序で実行されうる。また、該ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びに該ブロック図及び/又はフローチャート図内のブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは動作を行う特殊目的ハードウェアに基づくシステム、又は特殊目的ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせによって実装されることができることが留意される。
【0056】
更に、本明細書に記載されている方法を実行する為のコンピュータプログラム、並びに該コンピュータプログラムを記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータプログラムが、例えば、既存の睡眠姿勢訓練デバイスにダウンロード(アップデート)される、又は該デバイスの製造時に記憶されうる。
【0057】
特定の実施態様について又はそれとの関係で論じられる要素及び観点は、明示的に断らない限り、好適には他の実施態様の要素及び観点と組み合わせられうる。本発明の実施態様は、本発明による実施態様を概略的に示す添付図面を参照して更に説明される。本発明は、決してそれらの特定の実施態様に制約されないことが理解されよう。
【0058】
本発明の観点は、以下で、図面に示されている例示的実施態様を参照することにより、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、開示されている一つの実施態様に従う睡眠姿勢訓練デバイスを模式的に示す。
【
図2】
図2は、開示されている一つの実施態様に従う睡眠姿勢訓練デバイスによって行われる方法の工程を示す。
【
図3A】
図3Aは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図3B】
図3Bは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図3C】
図3Cは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図3D】
図3Dは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図3E】
図3Eは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図3F】
図3Fは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図3G】
図3Gは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図3H】
図3Hは、開示されている実施態様に従う、所定の胴体向き範囲の模式図である。
【
図4A】
図4Aは、動作中の該睡眠姿勢訓練デバイスの模式図である。
【
図4B】
図4Bは、動作中の該睡眠姿勢訓練デバイスの模式図である。
【
図4C】
図4Cは、動作中の該睡眠姿勢訓練デバイスの模式図である。
【
図4D】
図4Dは、動作中の該睡眠姿勢訓練デバイスの模式図である。
【
図5】
図5は、該睡眠姿勢訓練デバイスによって生成される異なる刺激パターンを示す。
【
図6A】
図6Aは、開示されている一つの実施態様に従う、睡眠姿勢訓練デバイス用の睡眠段階情報を取得する工程を示す。
【
図6B】
図6Bは、別個の睡眠段階におけるRRV測定の例を示す。
【
図7】
図7は、異なる実施態様に従う方法の工程を示す。
【
図8】
図8は、刺激強度の為の規則的な時間的経過を示す。
【
図9】
図9は、刺激強度の為の不規則的な時間的経過を示す。
【
図11】
図11は、一つの実施態様に従う処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、開示されている一つの実施態様に従う睡眠姿勢訓練デバイス2を示す。該デバイス2は、処理システム100、向きセンサ4、及び刺激発生器6を備えている。該処理システム100は、該向きセンサ4及び刺激発生器6が接続されているプリント回路基板(PCB)を備えうる。該処理システム100は、該睡眠姿勢訓練デバイス2の動作を制御するものと理解されうる。該睡眠姿勢訓練デバイス2は、該デバイスを正しく人に配置する為の向き付け手段8、例えば該デバイスが起動されたときに光を発するLEDライト、を備えうる。該デバイス2は、該人の胴体に取り付けられうる。
【0061】
該向きセンサ4は、該人の該胴体の向きを示す信号を出力するように構成されている。該向きセンサは好ましくは、加速度計、例えば三軸加速度計、を備えている。該加速度計は、例えば国際公開第2007/061756(A2)号パンフレットに記載されているように、MEMS(微小電気機械システム)加速度計でありうる。
【0062】
該刺激発生器6は、該人に自身の姿勢を変えさせる為に該人に刺激を与えるように構成されている。該刺激発生器6は、振動発生器を備え得、該刺激は、該人の身体、例えば該人の該胴体、例えば該人の胸部、に対する振動触覚刺激でありうる。特に、該振動発生器は、一般に8~12mmの直径を有する、シャフトレス又はパンケーキ振動子モータとも呼ばれる、コイン振動モータでありうる。他の種類の刺激は、弱電流又は音を包含する。
【0063】
該睡眠姿勢訓練デバイス2は更に、電源(図示せず)、例えば再充電不可能バッテリ、例えばボタン電池、特にCR2032電池(国際規格IEC60086-3を参照)、を備えうる。
【0064】
また、該睡眠姿勢訓練デバイス2は、人の相互作用に応答して該デバイスのオンとオフを切り替える為の手段(図示せず)を備えうる。
【0065】
該睡眠姿勢訓練デバイス2は、該向きセンサ4、刺激発生器6、及び処理システム100を備えた、単一のパッド状デバイスとして具現化されうる。そのようなパッドデバイスは、およそ4cm×4cm×1cmの寸法を有しうる。1つの例において、該睡眠姿勢訓練デバイス2は、該睡眠姿勢訓練デバイス2を該人の該身体に貼り付ける為の粘着表面を備えている。人が就寝する直前に、該人は、両面医療用テープを該パッドに貼ることができ、該パッドを自分の身体、例えば胸部、に貼り付けることができる。
【0066】
該処理システム100は、該人の胴体の向きが所定の向き範囲の外側にあるか否かを判定するように構成されている。それ故に、該処理システム100は、該向き範囲をあらかじめ記憶していうる。任意的に、人が、該デバイス2を使用する前に該向き範囲を設定することができる。該向き範囲は、重大な健康問題、例えばいびき又は(夜間性)胃食道逆流、がありうる範囲であると理解されうる。
【0067】
図2は、該睡眠姿勢訓練デバイス2、より特には該処理システム100、によって行われる方法の幾つかの工程を示す。
【0068】
任意的な工程として、該睡眠姿勢訓練デバイス2は、該人が浅い睡眠段階にあるかどうかを判定しうる。睡眠姿勢訓練デバイス一般に関して、睡眠サイクルのうち浅い睡眠段階の間の、該人が該所定の向き範囲にある時に刺激が生成されることが最適な結果の為に有益である。そのような浅い睡眠段階は、一回の睡眠周期の間に数回起こることが既知であり、N1及びN2睡眠段階と呼ばれることがあり、N3が深い睡眠段階、RがREM睡眠段階、Wが覚醒状態である。浅い睡眠段階の間、該人は該刺激をより感じやすく、深い睡眠段階の間は、該刺激が効果を有さない又は該人を目覚めさせることがありうる。
【0069】
該人の睡眠段階を判断する為に様々な方式が使用されることができる。
【0070】
該人の該睡眠段階を検出する為の高度で直接的な1つの方法は、加速度計を使用することであり、該加速度計は向きセンサ4と同じ物でありうる(ただし必ずそうであるとは限らない)。該向きセンサが該人の該胸部、例えば胸骨、に直接貼られる場合、該加速度計4が使用されて、該人の呼吸速度可変性を導出することができる。この方法は、後に
図6A及び
図6Bを参照してより詳細に説明される。
【0071】
行われる場合、睡眠段階の判定は、該刺激が生成される前の任意の時点に行われうることが留意されるべきである。
【0072】
図2に戻り、次の工程として、該処理システム100は、該人の向きを示す信号を向きセンサ4から受信し、該人の該向きが該向き範囲内であるか否かを判定する。該向き範囲内でない場合、該処理システム100は、引き続き該人の該向き、及び任意的に該睡眠段階、を判定する。
【0073】
該人の該向きが該向き範囲内である場合、刺激発生器6がトリガされて、該人の該身体に加えられる刺激の生成を引き起こしうる。該刺激は、下記でより詳細に説明されるように、単一の振動又は振動のセットでありうる。
【0074】
該処理システムは、(規則的な)時間間隔で該人の該向きを判定し、該人が第1の時間にわたって該向き範囲内にあると判定されると、より高い頻度で該向きを判定しうる。該人が該向き範囲内にあるというそのようなより頻繁な判定が所定回数行われた場合にのみ、該処理システムは、該刺激を生成する為に該刺激発生器をトリガしうる。この実装は、例えば該人が短時間だけ特定の側に向いた場合に、早すぎる刺激の印加を回避する。向きが判定される規則的な時間間隔は、例えば1分であり得、該人が向きゾーンにあると判定された場合は、その1分以内に何回か、例えば4秒ごとに、更なる向きが判定されうる。何回かのそのようなより頻繁な判定の結果、該人が該向きゾーンにあることが分かった場合にのみ、該刺激が加えられうる。
【0075】
該処理システム100によって適用される該向き範囲は、向き角度の範囲として定義されうる。
【0076】
本開示の1つの実施態様において、該処理システム100は、体の右側又は左側を下にして寝るように該人を訓練する為に、該人の長手方向軸を中心として非対称である所定の胴体向き領域を適用する。
【0077】
図3A~
図3Hはまた、デカルト座標系と呼ばれることがある、互いに直交する軸をもつ系を使用した、所定の胴体向き範囲Oがどのように見られることができるかの模式図である。好適な変換及び回転のセットによって、
図3A~3Eの系と同じ極系又は代替の系のような他の表現が導出されることができることが理解されるべきである。
【0078】
図3A及び
図3Bは、頭部を支える為にクッションCを使用してベッドBに横たわっている人Pの、それぞれx-z面及びy-z面における模式図である。該睡眠姿勢訓練デバイス2は、該人Pの胴体Tに取り付けられているものとして描かれ、該x-z面及び該y-z面両方の原点にあるものと考えられる。該x-z及びy-z面の各象限は、半軸によって区切られ、デカルト系の慣習に従ってそれぞれXZ-1~XZ-4、YZ-1~YZ-4と示されている。
【0079】
該睡眠姿勢訓練デバイス2の1つの実施態様は、該人を刺激して、実質的に体の左側を下にして寝させ、右側で又は仰向けで(仰臥姿勢)で寝ないようにさせることを可能にする。睡眠中に胃食道逆流を低減する為には、実質的に左側を下にして寝ることが有益であることが証明されている。その目的の為に、該所定の胴体向き範囲Oは、
図3C及び
図3Dに示されているように、y方向に仰臥姿勢になっている該人Pの該胴体Tの長手方向軸に対して直角の該x-z面において、該人Pの該胴体Tから足に向かう該長手方向y軸に沿った方向に見られたときに、該刺激が、該x-z面の左上の象限XZ-2よりも、該x-z面の右上の象限XZ-1のより大きい部分に与えられるようなものである。好ましくは、これも
図3C及び
図3Dに示されているように、該第1の刺激は、該x-z面の該右上の象限の実質的に全体に与えられ、該刺激は、該x-z面の該左上の象限の少なくとも一部において与えられない。該胴体向き範囲がそのように定められている結果、
図4A及び
図4Bを参照して更に詳細に説明されるように、刺激は主として、該人の胴体が該右上の象限XZ-1の方を向いているときに該人Pに加えられる。
【0080】
該胴体のあまり好ましくない他の向きに対しても該刺激をトリガする為に、該所定の胴体向き範囲Oは、睡眠中の胃食道逆流を低減又は回避するのに最適な睡眠姿勢を取るように該人Pを訓練する為に、左上の象限XZ-2及び右下の象限XZ-4内まで拡張される。該左上の象限XZ-2内への拡張は、胃食道逆流といびきの両方を回避又は低減する為に有利でありうる。これは、いびきは仰臥姿勢にない時に低減される可能性が最も高い為である。
【0081】
図3Eに、該胴体向き範囲Oは、加えて、該刺激が該y-z面の該左上の象限YZ-2及び該y-z面の該右上の象限YZ-1の少なくとも一方の少なくとも一部において与えられないように、該y-z面において定められうることが示されている。それにより、この方向で該刺激が与えられるべきか又は与えられるべきでないかを決定する柔軟性が可能になる。例えば、該人Pが該y-z面においてある姿勢にある、例えば該人がベッドから出る時又は読書をしている時に直立姿勢にある場合、すなわち覚醒しているとき、該刺激は与えられるべきでない。他の状況において、例えば該人が幾つかのクッションCを使用しているとき、該刺激は、該人が眠っているときでも与えられるべきである。
【0082】
1つの有利な実施態様において、
図3Dに示されているように、該胴体向き範囲は、該x-z面の該右上の象限XZ-1全体を覆い、45度又はそれ以下、例えば30度若しくは20度、の角度θ
1で該XZ-2象限内に延びている。該胴体向き範囲は、90度又はそれ以下、例えば70度、45度、又は20度、の角度θ
2で該XZ-4象限内にも延びうる。該y-z面については、他の角度、例えば該z軸の一方の側又は両側に75度又はそれ以下の角度、が適用されうる。
【0083】
三次元において、該胴体向き範囲は、該睡眠姿勢訓練デバイス2の中又はその近くに頂点が位置する角錐を形成する。
【0084】
更に別の実施態様において、該所定の胴体向き範囲Oは、該右上の象限XZ-1の実質的に全体を覆うが、完全には覆わない。この実施態様の利点は、該人Pに、睡眠姿勢を変えさせる為の該刺激信号にさらされることなく、睡眠姿勢のいくらかの柔軟性が許されることである。特に、人々の中には、仰向けで又はわずかに右側を向いて寝る為の柔軟性があることを望む者がある。特には該右上の象限XZ-1における、該向き範囲の構築は、睡眠中の逆流を効率的に防止又は低減することと、睡眠姿勢の柔軟性(すなわち、ユーザの快適性、従って該デバイスが実際に使用されるより高い見込み)との間のトレードオフである。
【0085】
図3F~3Hは、該向き範囲Oが該右上の象限XZ-1のかなりの部分を覆う様々な実施態様を提供する。
【0086】
図3Fに、該所定の向き範囲Oが該右上の象限XZ-1のかなりの部分を覆うことが示されている。正のx軸との角度θ
3aは、角度θ
3bが30度又は更には20度になるように、例えば60度より大きい、例えば70度、でありうる。従って、仰臥姿勢で横たわっている、又は更にはわずかに右側を向いている人Pは、刺激信号を受け取らない。
【0087】
図3G及び
図3Hは、それぞれ、該所定の向き範囲Oが該右下の象限XZ-4の全部分及びかなりの部分を覆うことを示している。従って、該人Pはまた、過度に右側を向いた状態でうつぶせで寝るべきでない。
図3Hにおいて、該所定の向き範囲は、該x-z面において該x軸に対して実質的に対称である。1つの実施態様において、角度θ
3a及びθ
4は、60度より大きい、例えば70度又はそれ以上、である。
【0088】
図4A及び
図4Bは、
図3Dの該所定の向き範囲を使用する該睡眠姿勢訓練デバイス2の動作の図解である。
【0089】
図4Aは、人が胴体Tを左側に向けた状況を示している。示されているように、該胴体Tの向きは、角度αをなし、該角度αは、該睡眠姿勢訓練デバイス2の該向きセンサ4の信号から該z軸との間で決定され、該処理システム2によって決定された該所定の胴体向き範囲Oの外側にある。従って、胃食道逆流を低減するこの特定の用途では、該人Pが主として体の左側を下にしている為、該処理システム100は、該刺激発生器6をトリガして刺激信号を生成することをしない。
【0090】
睡眠中に該人Pが
図4Bに示されているように向きを変えると、該処理システム100は、該角度αが変化し、今は該所定の胴体向き範囲O内になったことを、該向きセンサ4の信号から検出する。従って、該処理システム100は、該刺激発生器6をトリガして該刺激信号を生成し、それを該人Pの該胴体Tに加えて、該人Pに体の向きを左側に変えさせ、その結果、逆流が発生する変化を低減する。上で言及されたように、1つの特定の用途において、該処理システム100は、デバイス2が該人Pの(より)浅い睡眠段階においてのみ該刺激信号を生成するように、人Pの睡眠段階を考慮する。
【0091】
図4C及び
図4Dは、
図3Hの該所定の向き範囲を使用する該睡眠姿勢訓練デバイス2の動作の図解である。
【0092】
図4Cにおいて、
図4Aと同様に、人Pは、胴体Tを左側に向けており、この向きの為、該刺激発生器6は刺激信号を生成しない。
【0093】
図4Dにおいて、人Pは、胴体をわずかに右側に向けて仰向けに寝ている。
図4Bの該胴体向き範囲では、この向きの結果、刺激信号を生成することになるのに対して、
図3Hの該右上の象限における縮小した向き範囲は、この向きにおける刺激信号の生成を阻止する。人Pが向きを変えて該右上の象限に入るときの該z軸からの角度は、例えば20度でありうる。代替的には、処理システム2は、タイマを開始し、刺激信号の生成を一定の時間期間だけ遅らせうる。この期間は、設定又は事前設定されうる。人Pが体の向きをより右側に変えると(
図4Dには図示されず)、角度αが該所定の向き範囲Oに入り、刺激信号が生成されて該人を刺激して、向きを逆流がより起こりにくい姿勢に変えさせる。
【0094】
図5は、該人が所定の向き範囲内にあるときに、及び任意的に、該人が(より)浅い睡眠段階にあるときに、刺激期間SP-A及びSP-Bの間にパルスとして与えられる刺激信号の例の模式図である。該デバイス2は、該人が望む任意の向きで寝付くことを許す為に、最初の期間中は刺激信号が提供されないように構成されうる。
【0095】
該刺激信号は、刺激信号が生成される連続した刺激期間にわたり実質的に同一でありうる。しかしながら、該刺激信号は好ましくは、連続した刺激期間ごとに異なり、複数の刺激信号の中からランダムに選択されうる。
【0096】
図5において、該刺激期間SP-AとSP-Bは同じであり、例えば10秒よりも短い。刺激期間SPの間、連続したパルスが印加されることができる。連続する振動周期の数は、異なる刺激期間ごとに異なり得、例えば0~10パルス、例えば3~8パルス、である。該振動周期と振動周期の間の時間間隔及びそれら周期の持続時間は、変動され得、連続する刺激期間に対応するエネルギーの総量が実質的に同じになるように選択されうる。1つの実施態様において、該刺激期間中の刺激の合計継続時間は同じでありうる。例えば、
図5において、刺激期間SP-Aは、所定の等しい継続時間の6回の振動周期を含んでおり、刺激期間SP-Bは、SP-Aにおける該振動周期の2倍の継続時間を各々が有する3回の振動周期を含んでいる。
【0097】
1つの実施態様において、該振動周期と振動周期の間の最小時間間隔は100ミリ秒(ms)であり、最大時間間隔は400msである。振動周期の最小継続時間は500msであり得、最大継続時間は3秒でありうる。例えば、特定の刺激期間について、該刺激の総計継続時間は4秒である。例えば、該第1の刺激期間は、1回目=500ms、間隔200ms、2回目=500ms、間隔300ms、3回目=3秒、である3回の振動周期を有しうる。刺激期間の別の例は、1回目=500ms、間隔200ms、2回目=500ms、間隔400ms、3回目=500ms、間隔300ms、4回目=500ms、間隔200ms、5回目=500ms、間隔300ms、6回目=500ms、間隔400ms、7回目=500ms、間隔200ms、8回目=500ms、である8回の振動周期を備える。
【0098】
人が該刺激に慣れて反応しにくくなることを回避する為に、刺激信号は異なりうることが留意されるべきである。そのような異なる刺激信号の例は、下記で
図8及び
図9を参照して説明される。
【0099】
図6Aは、刺激信号が人に与えられるべきか否かを判定する為の睡眠姿勢訓練デバイスにおける方法の幾つかの工程の図解である。このデバイスは、1以上の兆候、例えばいびき及び/又は胃食道逆流、に好適である任意の向き範囲を適用しうることが留意される。いびきの場合、該向き範囲は、該人が仰臥姿勢になって頭部もまっすぐな姿勢(目が天井の方を向いている)になることのないようなものである。該頭部及び身体が仰臥姿勢にあると、重力の為に、該人の頭部が横に傾いている時又は該人が横向きで寝る時よりも頻繁に舌が気道内に落ちる。該舌が該気道内にあるとき、該舌は部分的に該気道をふさぎ、そのことがいびきの主要な原因となる。胃食道逆流の兆候の場合、該向き範囲は、
図3A~
図3E及び
図4A~
図4Bに示されているようなものでありうる。
【0100】
図1の睡眠訓練デバイス2は、加速度計4を使用して人の睡眠段階を判定し、該人の向きを判定して、該人に対する刺激を生成するように構成されうる。そのようにして、該人が浅い睡眠段階にあり、且つ所定の向き範囲内にあるときに、該人に、例えば胴体に、刺激を加えることが可能となる。
【0101】
特に、該睡眠姿勢訓練デバイス2は、人の胴体の上部、例えば該人の胸部、例えば胸骨、に取り付け可能である。該睡眠姿勢訓練デバイス2は、該人の呼吸変動を示す加速度信号を出力するように構成された加速度計4(例えば三軸加速度計)を備えている。該加速度計4は、十分に正確な加速度測定を助ける為に、例えばシールを使用して該デバイスを該人の胸骨上に直接貼り付けることにより、該人の該胴体の該上部と直接接触する。該睡眠姿勢訓練デバイス2はまた、
図6Aの最初の工程に示されているように該加速度計4から該加速度信号を受信し、
図6Aの2番目の工程に示されているように該人の呼吸速度可変性(RRV)を導出するように構成された処理システム100をまた備えている。該RRVは、
図6Bに示されているように、該人の睡眠段階を検出する為に使用されることができる。
【0102】
また、該デバイス2は、該人が睡眠姿勢における所定の向き範囲内にあるときに、該人に第1の刺激を与えるように(可能性としては、上記で説明されたように所定回数の肯定の判定の後にのみ)構成された刺激発生器6を備えており、該第1の刺激は、該処理システムによって導出された該呼吸速度可変性に依存する。
【0103】
図6Aに示されている次の工程において、該処理システム100は、該導出された呼吸速度可変性を、少なくとも第1の睡眠段階とある(連続する)睡眠段階とを区別するように設定された少なくとも1つの変動閾値と比較するように構成されている。該処理システム100は、該人が該第1の(浅い)睡眠段階にあるとき、該刺激発生器6をトリガして該第1の刺激を与え、該人が深い睡眠段階、覚醒睡眠段階、又はREM睡眠段階にあるときは、該刺激発生器6をトリガして該第1の刺激を与えることをしないように構成されている。該第1の睡眠段階は、該人が、深い睡眠段階又はREM睡眠段階中よりも該刺激に対して反応する、浅い睡眠段階でありうる。該第1の(浅い)睡眠段階は、浅い睡眠段階N1、N2であり得、対して該連続する睡眠段階は、覚醒段階、深い段階又はREM段階でありうる。
【0104】
該呼吸速度可変性(RRV)は、該加速度計4からの該加速度信号を処理し、該加速度信号から該RRVを導出する(例えば、式:RRV=100-測定された加速度/DC成分%、を使用する)ことにより、取得されることができる。正常な人は、睡眠中に1分あたり約10~15回呼吸する。該RRVは、該人の睡眠中の特定の時間間隔の間に、例えば1分の時間間隔の間に、判定されうる。該RRVは、スライドする時間窓を適用し、該睡眠段階に関する決定が行われるまでに連続した時間間隔にわたってある数の決められたRRVを使用することにより、取得されうる。更に、例えば1分の時間窓が適用されて、幾つかの時間窓にわたる変動を分析することにより、時間窓ごとの平均呼吸数と、呼吸数の変動とを取得し得、例えば10、5、又は3個の時間窓が使用されることができる。複数のRRVのうちの該RRVが、設定された閾値RRV値と比較されて、睡眠段階を判定することができる。例えば、該RRVが50%若しくはそれ以上、又は55%若しくはそれ以上である場合、該睡眠段階はREM段階と判定され得、刺激信号は生成されない。該RRVが該閾値よりも低いと判定され、より浅い睡眠段階を示す場合、該刺激信号が生成される。
【0105】
例えば、最初の1分にRRV=38%であり、2番目の1分に39%であり、3番目の1分に35%である場合、該睡眠段階は浅い睡眠段階と判定され得、更に該人が該所定の向き範囲内にあるときには、刺激信号がトリガされることができる。
【0106】
別の例において、最初の1分にRRV=36%であり、2番目の1分に37%であり、3番目の1分に39%であり、4番目の1分に60%であり、5番目の1分に40%であり、6番目の1分に38%であり、7番目の1分に37%であり、8番目の1分に39%である場合、該睡眠段階は、依然として浅い睡眠段階であると判定される。該4番目の1分は、覚醒である可能性が高い。該4番目の1分の後の少なくとも2つの連続した時間間隔もRRV>50%を生じさせた場合にのみ、該浅い睡眠段階が過ぎており、該人が該向き範囲内にあると判定される場合でも該人に刺激が加えられるべきでないという判定がなされることになる。
【0107】
図6Aは、加速度計を使用して人の睡眠段階を検出して、睡眠姿勢訓練デバイスの為に該RRVを導出し、該所定の向き範囲内にある該人の人に刺激が加えられるべきか否かを決定する、決定アルゴリズムの一部である。該RRVに加えて更なる情報が該決定アルゴリズムで使用されることができることが留意されるべきである。この情報は、睡眠段階順序情報を包含しうる(例えば、人が眠りにつくときには、該人は必ず浅い睡眠段階(すなわちN1及び/又はN2)を経過した後に深い睡眠段階に入ることが既知である)。他の情報は、タイミング情報を包含し、例えば睡眠段階のうちの1以上のおよその持続時間が既知でありうる。典型的な一回の睡眠段階は、例えば20分続くことが既知であり、この情報が該RRVの判定と併せて使用されて、該刺激が与えられるべきかどうかを決定することができる。該アルゴリズムは、判定されたRRVが依然として浅い睡眠段階を示していても、浅い睡眠周期から深い睡眠周期への予想される遷移境界の近くでは該刺激の印加をトリガしないと決定しうる。
【0108】
図7は、1つの実施態様に従う該デバイス2の動作中に行われる工程を示す。工程10において、該向きセンサ4が、該人Pの該胴体Tの向きを示す信号を出力する。該向きセンサ4は、この信号を該処理システム100に供給しうる。該処理システム100は、該信号を受信し、この信号に基づいて、工程12において、該人の胴体の該向きが該所定の向き範囲O内にあることを判定する。
【0109】
この判定に基づいて、又は複数の判定が必要とされる場合には複数の判定に基づいて、該処理システム100は、工程14において、該人に胴体/身体の向きを変える為に、第1の刺激期間SP1に該刺激発生器6に該人に対して該刺激を与えさせる。好ましくは、該刺激は、該胸骨上の1つの位置に与えられる。該処理システム100は、工程14において、該刺激発生器を動作させる制御信号を送信しうる。窓26は、該第1の刺激期間SP1の間の刺激強度の時間的経過を示す。該時間的経過は不規則的である。該刺激期間は、3つの後続の部分期間a~cを含んでいる。該刺激発生器6は、オン状態とオフ状態の間で切り替わる。部分期間a及びcにおいて、該刺激発生器6は該オン状態であり、よって非ゼロの強度、特に示されているように一定の強度I0、の刺激を与える。部分期間bにおいて、該刺激発生器は、該オフ状態であり、該刺激を与えない。刺激期間SP1における強度は、該オン状態である部分期間a及びcの長さが等しくないという意味で不規則的に変動する。
【0110】
刺激強度は、該刺激の力、例えば振動力、を示しうる。それ故に、強度-時間グラフより下の表面積、すなわち3つのブロックパルスの表面積、は、該刺激期間中の該刺激の総エネルギーを示しうる。
【0111】
図7は、任意的な工程18~24を更に示す。工程18において、該向きセンサ4は、該胴体の該向きを示す別の信号を出力する。該処理システム100は、この信号を受信し、この信号に基づいて、工程20において、該人の該向きが該所定の向き範囲O内にあることを再び判定する。この判定(又は複数の判定)に基づいて、工程22において、該処理システムは、第2の刺激期間SP2の間に該刺激発生器に該人に対して該刺激を与えさせる。該刺激発生器6は、工程24においてこの刺激を与える。窓28に示されているように、該刺激期間SP1の間の刺激強度の時間的経過は、該刺激期間SP2の間の刺激強度の時間的経過とは異なる。更に、該刺激の強度の該時間的経過は、刺激期間SP2では規則的である。すなわち、部分期間d、f、及びhは等しい長さであり、更に、これらも等しい長さである部分期間e及びgによって隔てられている。
【0112】
図8は、刺激強度が該刺激期間の間に規則的に変動する場合に、該刺激強度の時間的経過が異なる刺激期間ごとにどのように異なることができるかを示している。
図8A~8Dにおいて、縦方向の軸は該刺激の該強度を表し、横方向の軸は時間を表している。それぞれの刺激期間は、SP1、SP2、SP3、及びSP4によって示されている。
図8Aは、刺激期間SP1の間の刺激強度の基準時間的経過を示す。刺激期間SP1は、該刺激の該強度がI
0の値を有する3つの部分期間と、刺激が与えられない2つの中間部分期間とを含んでいる。
【0113】
図8Bは、刺激期間SP2の該強度の時間的経過を示す。
図8Bの該強度の該時間的経過は、与えられる場合に刺激がより高い強度I
1を有するという点で、
図8Aの該時間的経過と異なる。更に、頻度は同じであり、該刺激期間の継続時間も同じである。
【0114】
図8Cは、刺激期間SP3の強度の時間的経過を示す。この時間的経過は、該刺激期間SP3がSP1よりも長いという点で
図8Aの該時間的経過と異なる。しかしながら、該刺激が与えられる強度は同じI
0であり、また該刺激が与えられる頻度も同じである。
【0115】
図8Dは、刺激期間SP4の該強度の時間的経過を示す。この時間的経過は、該刺激が与えられる頻度が
図8Aよりも高いという点で
図8Aの該時間的経過と異なる。しかしながら、該刺激が与えられる強度は同じ、すなわちI
0、であり、該刺激期間の継続時間も同じであり、すなわちSP1はSP4と同じ長さである。
【0116】
上記で説明されたように、
図8の該強度-時間グラフより下の合計表面積は、該それぞれの刺激期間SP1~SP4の該刺激の総エネルギーを示す。グラフB、C、及びDの各々の該強度-時間グラフより下の合計表面積は、Aの強度-時間グラフより下の合計表面積よりも大きい。これにより、
図8は、他の手段を全く用いずに、刺激の強度、継続時間、又は頻度を変更することは、該刺激期間の間に該刺激の該総エネルギーを変更、典型的に増大、することを伴うことを示している。
【0117】
図9は、一つの刺激期間の間の該刺激強度の6つの不規則的な時間的経過A~Fを示す。
【0118】
時間的経過Aにおいて、該刺激発生器6はその後、部分期間aの間に該オン状態、部分期間bの間に該オフ状態、及び部分期間cの間に該オン状態にさせられる。この例において、部分期間aは部分期間cよりも短い。従って、該強度は不規則的に変動すると理解されうる。
【0119】
時間的経過Bは、該刺激発生器が該刺激期間の間にオフ状態でない場合にも、該強度が不規則的に変動することができることを示している。
【0120】
時間的経過Cは、該強度が、別々のオン状態の間に変動することができることを示している。よって、該オン状態と該オフ状態が規則的な間隔で発生したとしても、該強度は依然として示されているように不規則的に変動することができる。
【0121】
時間的経過Dは、該強度が、それぞれのオン状態の間に一定の値を有しうることを示しているが、これらの一定の値は、該それぞれのオン状態ごとに異なることができる。
【0122】
時間的経過Eは、5つの部分期間d~hを含んでいる。部分期間d、f、hの間、該刺激発生器は該オン状態にある。部分期間e、gの間、該刺激発生器は該オフ状態にある。この例において、部分期間eは部分期間gよりも短い為、該強度は不規則的に変動する。
【0123】
時間的経過Fは、一つの刺激期間の間に不規則的に変動する強度の更に別の例を示す。
【0124】
図6Aは、該睡眠姿勢訓練デバイス2により、特に該処理システム100により、採用されうるアルゴリズムを示す。任意的に、該処理システム100は、該人が睡眠サイクルの浅い睡眠段階にあることを判定する工程28を行うように構成される。これは、該刺激は好ましくは、該人が浅い睡眠段階にある時に与えられる為、有益である。
【0125】
工程28は、
図6Aに示されているように該RRVを判定することによって行われうる。
【0126】
該処理システム100が工程28において該人が浅い睡眠段階にないと判定した場合、再び工程28を実行する前に所定の時間だけ待機しうる。
【0127】
次いで、工程30は、上記で説明されたように該処理システム100が該向きセンサ4から向き信号を受信することを含む。
【0128】
次いで、該処理システムは、該胴体の向きが該所定の向き範囲内にあるか否かを判定することを含む工程32を行う。該所定の向き範囲内にない場合は、工程30(又は工程28)が再び行われる。
【0129】
該処理システム100が工程32において、該向きが該向き範囲内にあると判定した場合、それは工程34を行い、該工程34は、該複数の時間的経過のうちの特定の時間的経過を選択する、好ましくはランダムに選択する、ことを含む。この複数の時間的経過は、あらかじめ該処理システム100によって記憶されたものであった。
【0130】
工程36において、該処理システム100は、該選択された時間的経過に従って該刺激発生器に該刺激を引き起こさせる。
【0131】
好ましくは、人を目覚めさせるリスクを低減する為に、後続の刺激期間SPは、少なくとも待機期間、例えば1分、だけ時間的に隔てられている。
【0132】
工程28が実際に行われた場合は、工程28でなされた判定及び工程32でなされた判定の両方に基づいて、工程36において該刺激発生器が該刺激を与えるようにされることが認識されるべきである。
【0133】
図11は、一つの実施態様に従う例示的な処理システムを説明するブロック図を示す。
図11に示されているように、該処理システム100は、システムバス106を通じてメモリ要素104に結合された少なくとも1つのプロセッサ102を含みうる。それにより、該処理システムは、メモリ要素104内にプログラムコードを記憶しうる。更に、該プロセッサ102は、システムバス106を介して該メモリ要素104からアクセスされた該プログラムコードを実行しうる。1つの観点において、該処理システムは、プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに好適なコンピュータとして実装されうる。しかしながら、該処理システム100は、本明細書内に記載される機能を行うことが可能なプロセッサ及びメモリを含む任意のシステムの形態で実装されうることが認識されるべきである。
【0134】
該メモリ要素104は、1以上の物理メモリデバイス、例えば、ローカルメモリ108及び1以上の大容量記憶装置110、を含みうる。該ローカルメモリは、ランダムアクセスメモリ、又は該プログラムコードの実際の実行中に一般に使用される1以上の他の非永続的メモリデバイスを云いうる。大容量記憶装置は、ハードドライブ又は他の永続的データ記憶装置として実装されうる。該処理システム100は、実行中にプログラムコードが該大容量記憶装置110から取り出されなければならない回数を低減する為に、少なくとも一部のプログラムコードの一時的な記憶を提供する1以上のキャッシュメモリ(図示せず)も含みうる。
【0135】
入力装置112及び出力装置114として描かれている入出力(I/O)装置が、任意的に該処理システムに結合されることができる。入力装置の例は、これらに限定されないが、キーボード、ポインティングデバイス、例えばマウス等、を包含しうる。出力装置の例は、これらに限定されないが、モニタ又はディスプレイ、スピーカ等を包含しうる。入力装置及び/又は出力装置は、直接、又は仲介するI/Oコントローラを通じてのいずれかで、該処理システムに結合されうる。
【0136】
一つの実施態様において、該入力装置及び該出力装置は、組み合わされた入出力装置として実装されうる(
図7に、該入力装置112及び該出力装置114を囲む破線で示されている)。そのような組み合わされた装置の例は、「タッチ画面ディスプレイ」又は単に「タッチ画面」と呼ばれることもある、タッチセンシティブディスプレイである。そのような実施態様において、該装置への入力は、該タッチ画面ディスプレイ上又はその近傍での、物理的物体、例えばスタイラス又は人の指、の動きによって提供されうる。
【0137】
ネットワークアダプタ116も該処理システムに結合されて、それが、仲介する私設網又は公衆網を通じて、他のシステム、コンピュータシステム、リモートネットワークデバイス、及び/又はリモート記憶装置に結合されるようになることを可能にしうる。該ネットワークアダプタは、上記システム、デバイス及び/又はネットワークによって該処理システム100に送信されるデータを受信する為のデータ受信器と、該処理システム100から、上記システム、デバイス及び/又はネットワークにデータを送信する為のデータ送信器とを備えうる。モデム、ケーブルモデム、及びEthernetカードは、該処理システム100と共に使用されうる異なるタイプのネットワークアダプタの例である。
【0138】
図11に描かれているように、該メモリ要素104は、アプリケーション118を記憶しうる。様々な実施態様において、該アプリケーション118は、該ローカルメモリ108、該1以上の大容量記憶装置110に、又は該ローカルメモリ及び該大容量記憶装置から離れて記憶されうる。該処理システム100は、該アプリケーション118の実行を容易にすることができるオペレーティングシステム(
図7には図示せず)を更に実行しうることが認識されるべきである。実行可能プログラムコードの形態で実装された該アプリケーション118が、該処理システム100により、例えばプロセッサ102により、実行されることができる。該アプリケーションを実行するのに応答して、該処理システム100は、本明細書に記載される1以上の動作又は方法の工程を行うように構成されうる。
【0139】
本発明の1つの観点において、該処理システム100は、本明細書に記載されている該睡眠姿勢訓練デバイスの制御モジュールを表しうる。
【0140】
本発明の様々な実施態様は、コンピュータシステムで使用する為のプログラム製品として実施され得、該プログラム製品の1以上のプログラムは、(本明細書に記載されている方法を包含する)該実施態様の機能を規定する。1つの実施態様において、該1以上のプログラムは、各種の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に保持されることができ、本明細書において使用される場合、表現「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」は、全てのコンピュータ可読媒体を備え、唯一の例外は一時的な伝搬信号である。別の実施態様において、該1以上のプログラムは、各種の一時的コンピュータ可読記憶媒体に保持されることができる。例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、これらに限定されないが:(i)情報が恒久的に記憶される書込み不可能記憶媒体(例えば、コンピュータ内部の読出し専用メモリデバイス、例えばCD-ROMドライブによって読み取り可能なCD-ROMディスク、ROMチップ又は任意種類のソリッドステート不揮発性半導体メモリ)、及び、(ii)改変可能な情報が記憶される書込み可能記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ、ディスケットドライブ内のフロッピーディスク又はハードディスクドライブ又は任意種類のソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)、を包含する。該コンピュータプログラムは、本明細書に記載される該プロセッサ102上で実行されうる。
【0141】
本明細書で使用される術語は、特定の実施態様を説明することのみを目的とし、本発明を制限する意図はない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のように示さない限り、複数形も包含することが意図される。語「~を備える」及び/又は「~を備えている」は、本明細書で使用される場合、述べられる特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されよう。
【0142】
下記の特許請求の範囲における全ての手段又は工程に機能を加えた要素の互いに対応する構造、材料、動作、及び相当物は、明確に特許請求される他の特許請求される要素との組み合わせで該機能を行う為の任意の構造、材料、又は動作を包含することが意図される。本発明の実施態様の説明は、例示の目的で提示されたものであり、網羅的である又は開示されている形態での実施に制限する意図はない。特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの変更及び変形が当業者に明らかとなろう。該実施態様は、本発明の原理及び幾つかの実際的な応用を最もよく説明し、当業者が、様々な実施態様に関して、企図される特定の用途に適する様々な変更と共に本発明を理解することを可能にする為に選択及び記載された。
【国際調査報告】