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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】スイッチトキャパシタ回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/00 20060101AFI20221208BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H03K17/00 D
H03K17/687 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520994
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020077371
(87)【国際公開番号】W WO2021069278
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】19201664.0
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417403
【氏名又は名称】イニベーション・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュンハン
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX29
5J055AX44
5J055BX05
5J055BX17
5J055DX22
5J055DX61
5J055DX72
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ09
5J055GX01
5J055GX05
(57)【要約】
本発明は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタベースのスイッチを含むスイッチトキャパシタ回路であって、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタベースのスイッチは、ゲートとソースとドレインとを有する第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)であって、ソースが第1のノード(T1)に接続され、ドレインが第2のノード(T2)に接続されるか、または、ドレインが第1のノード(T1)に接続され、ソースが第2のノード(T2)に接続された、第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)と、ゲートとソースとドレインとを有する第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)であって、ソースがドレインに接続され、ソースとドレインとがともに第2のノード(T2)に接続された、第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)と、第1のノード(T1)と第3のノード(T3)の間に接続された第1のキャパシタ(C1)と、第2のノード(T2)と第3のノード(T3)の間に接続された第2のキャパシタとを含む、スイッチトキャパシタ回路に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタベースのスイッチを備えるスイッチトキャパシタ回路であって、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタベースのスイッチは、
ゲートとソースとドレインとを有する第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)であって、ソースが第1のノード(T1)に接続され、ドレインが第2のノード(T2)に接続されるか、または、ドレインが第1のノード(T1)に接続され、ソースが第2のノード(T2)に接続された、第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)と、
ゲートとソースとドレインとを有する第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)であって、ソースがドレインに接続され、ソースとドレインとがともに第2のノード(T2)に接続された、第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)と、
第1のノード(T1)と第3のノード(T3)の間に接続された第1のキャパシタ(C1)と、
第2のノード(T2)と第3のノード(T3)の間に接続された第2のキャパシタ(C2)とを備える、スイッチトキャパシタ回路。
【請求項2】
前記第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)のゲートが第1のゲート信号を受信し、前記第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)のゲートが第2のゲート信号を受信するように設計され、第1のゲート信号と第2のゲート信号は、第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)がオフに切り換えられた後で第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)がオンに切り替わるように形成される、請求項1に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項3】
前記第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)のゲートが第1のゲート信号を受信し、前記第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)のゲートが、反転された第1のゲート信号である第2のゲート信号を受信するように設計された、請求項1または2に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項4】
第1のゲート信号の立ち下がりエッジと第2のゲート信号の立ち上がりエッジとの間に、および/または、第1のゲート信号の立ち上がりエッジと第2のゲート信号の立ち下がりエッジとの間に遅延があるように設計された、請求項2または3に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項5】
第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)と第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)とが同じ型である、請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項6】
第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)は、第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)のチャネル長の90%と110%の間であるか、または第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)のチャネル長と実質的に等しいチャネル長を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項7】
第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(2)は、第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)のチャネル幅の40%と60%の間であるか、または第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(1)のチャネル幅の半分に実質的に等しいチャネル幅を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項8】
前記第1のキャパシタ(C1)の第1の静電容量と前記第2のキャパシタ(C2)の第2の静電容量とが、同じオーダーであるか、または実質的に等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項9】
前記第1のキャパシタ(C1)および/または前記第2のキャパシタ(C2)は、ある静電容量を有するか、あるいは、少なくとも10fF、32fF、100fFまたは320fFの静電容量を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項10】
前記第1のキャパシタ(C1)および/または前記第2のキャパシタ(C2)は、ある静電容量を有するか、あるいは、第1のノード(T1)の第1の寄生容量(CP1)の、第2のノード(T2)の第2の寄生容量(CP2)の、および/または、第3のノード(T3)の第3の寄生容量(CP3)の、少なくとも5倍、10倍または20倍の静電容量を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項11】
第2のノード(T2)または第3のノード(T3)は仮想接地に維持されるように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項12】
第1のノード(T1)に接続された入力バッファ(Bi)と、第3のノード(T3)に接続された仮想接地バッファ(Bvg)とを備えるサンプルホールド回路として構成されて、第2のノード(T2)がサンプルホールド回路の出力として構成された、請求項1から11のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項13】
第3のノード(T3)に接続された入力バッファ(Bi)、ならびに第1のノード(T1)と第2のノード(T2)の間に並列接続された、増幅器(A)および第3のキャパシタ(C3)を備える、特にデルタ変調器のための、容量帰還増幅器回路として構成され、第2のノード(T2)が増幅器(A)の入力に接続され、第1のノード(T1)が容量帰還増幅器回路の出力として構成された、請求項1から11のいずれか一項に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【請求項14】
前記第1のキャパシタ(C1)および/または前記第2のキャパシタ(C2)は、ある静電容量を有するか、あるいは、値1/(2・π・f・R)の少なくとも5倍、10倍または20倍の静電容量を有し、fは、第1および/または第2のMOS(1、2)のゲートに供給されるゲート信号のゲート信号主周波数成分であり、Rは前記入力バッファ(Bi)の小信号出力抵抗、または前記仮想接地バッファ(Bvg)の小信号出力抵抗、または前記増幅器(A)の小信号出力抵抗、またはこれらの3つの小信号出力抵抗値のうちの最小値である、請求項12または13に記載のスイッチトキャパシタ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを含むスイッチトキャパシタ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチトキャパシタ回路は、サンプルホールド回路やアナログ-デジタル変換器など、様々なアナログ回路およびミクストシグナル回路で広く使用されている。スイッチトキャパシタ回路の正確さは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFETまたはMOS)からなるスイッチによってもたらされるチャージインジェクションとクロックフィードスルーとによって制限されることが多い。チャージインジェクションは、スイッチMOSがオフにされるときに起こり、その残留チャネル電荷をそのソース端子とドレイン端子とに注入する。クロックフィードスルーは、ゲート-ソース/ゲート-ドレイン静電容量によって生じる、スイッチMOSのゲートに接続されるデジタル信号とスイッチMOSのソースまたはドレインにおけるアナログ信号との望ましくない容量結合である。チャージインジェクションとクロックフィードスルーは両方とも、スイッチMOSのソース端子またはドレイン端子においてアナログ信号に誤差を生じさせる。
【0003】
チャージインジェクションとクロックフィードスルーの影響に対処しようと試みるいくつかの知られている技術がある。これらの従来技術の解決策について、図1から図4を参照しながら以下で説明する。
【0004】
印刷物に文書化されていない図1Aに示す回路は、2つの端子すなわちノードT1とT2の間に並列接続されたN型MOS(またはNMOS)とP型MOS(またはPMOS)とからなる1対の相補型MOSFETを使用する。2つの相補型MOSFETは、2つの反転信号S1およびS2によって制御される。この回路は、両方が同時にオフに切り換えられたときに、NMOSによって注入された電荷にPMOSによって注入された電荷を打ち消させることを目的としている。クロックフィードスルーの効果は、NMOSとPMOSの間のゲート-ソース間/ゲート-ドレイン間静電容量を一致させることによって最小化される。しかし、NMOSとPMOSによってそれぞれ注入される電荷の量は、両方がオフに切り換えられる前のチャネル電位と、プロセス変動とに依存する。NMOSとPMOSの間のゲート-ソース間/ゲート-ドレイン間静電容量の一致も、プロセス変動の影響を受ける。したがって、実際には、注入電荷とクロックフィードスルーの打ち消しは通常、不完全である。
【0005】
印刷物として文書化されていない図1Bに示す回路は、スイッチとしての単一のMOSと、スイッチMOSの約半分のサイズのダミーMOSとを使用する。スイッチMOSとダミーMOSとは同じ型(すなわちNMOSまたはPMOS)であるが、反転信号S1およびS2によって制御され、第1の信号S1はスイッチMOSのゲートを制御し、第2の信号S2はダミーMOSのゲートを制御する。ダミーMOSのソース端子とドレイン端子の両方がスイッチMOSの一方の端子T2に接続され、そこで注入電荷が打ち消されることになる。スイッチMOSがオフに切り替わると、ダミーMOSがオンに切り替わる。スイッチMOSがオフに切り替わるときにスイッチMOSのチャネル電荷の厳密に半分がそのソース端子とドレイン端子のそれぞれに注入されると仮定すると、ダミーMOSはダミーMOSがオンに切り替わるときにその厳密な量の注入電荷を吸収することができるはずである。スイッチMOSがダミーMOSの2倍の幅である場合、スイッチMOSの一方の端子のゲート-ソース/ゲート-ドレイン静電容量は、ダミーMOSの両方の端子のゲート-ソース/ゲート-ドレイン静電容量と一致する。したがって、スイッチMOSのクロックフィードスルーの効果はダミーMOSによって打ち消される。しかし、スイッチMOSがオフに切り替わるときにスイッチMOSチャネル電荷の厳密に半分が端子T1またはT2のそれぞれに注入されるという仮定は、妥当でないことが多い。したがって、この回路は実際の状況では完全なチャージインジェクション打ち消しを保証することができない。
【0006】
米国特許第5479121号では、スイッチMOSと、ダミーMOSと、インバータと、3つのキャパシタC1、C2、C3とからなる図2に示す回路が、スイッチMOSのチャージインジェクションを補償するように設計されている。しかし、比較的複雑で電力を消費するにもかかわらず、この補償機構は、ソース端子T1とドレイン端子T2のそれぞれに注入されるスイッチMOSのチャネル電荷の分配がダミーMOSのチャネル電荷の分配と同じであるという仮定に依拠している。電荷分配はMOSの2つの端子間のインピーダンス比に依存するため、この仮定は実際にはスイッチMOSとダミーMOSとの端子インピーダンス比の差によってしばしば無効化され、その結果として不完全なチャージインジェクション補償となる。
【0007】
米国特許第6850098号では、スイッチMOSと2つのダミーMOSと2つのキャパシタC1、C2とを含む、チャージインジェクションを無効にする図3に示す回路と方法とが提案されている。しかし、この回路もスイッチMOSによって注入され、無効化ダミーMOSによって吸収されるチャネル電荷の割合が等しいという仮定に依拠している。この仮定も実際には保証されず、その結果として不完全なチャージインジェクション補償となる。
【0008】
米国特許第7663424号には、粗い(coarse)スイッチMOSと細かい(fine)スイッチMOSと、任意によるバッファ回路とを含む、図4に示す低チャージインジェクションおよびクロックフィードスルーの2スイッチ回路が記載されている。この2スイッチ回路は、粗いサンプル期間には粗いスイッチMOSと細かいスイッチMOSの両方をオンにし、粗いスイッチMOSの結果として生じるチャージインジェクションとクロックフィードスルーを補正するために、細かいスイッチMOSをオンにしたままで粗いスイッチMOSをオフに切り換える。細かいスイッチMOSがオフにされると、チャージインジェクションとクロックフィードスルーを依然として生じさせる。粗いスイッチMOSトランジスタを所定のサイズとし、サンプリング期間を適切に選定することによって、細かいスイッチMOSのサイズを小さくすることができる。したがって、そのチャージインジェクションとクロックフィードスルーを、同じサンプリング速度で粗いスイッチMOSのみを使用する場合と比較して低下させることができる。しかし、この回路は、細かいスイッチMOSのサイズを、細かいスイッチMOSからのチャージインジェクションとクロックフィードスルーの影響が受容可能なほど小さくなる程度まで十分に小さくすることができるという仮定に依拠している。実際には、(製造プロセスによって可能な)最小サイズでなる単一のMOSスイッチが十分なサンプリング速度を与えるコンパクトな設計の場合、この回路はその最小サイズのMOSスイッチのチャージインジェクションとクロックフィードスルーをさらに低下させない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5479121号明細書
【特許文献2】米国特許第6850098号明細書
【特許文献3】米国特許第7663424号明細書
【特許文献4】米国特許第7728269号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
要約すると、スイッチトキャパシタ回路におけるスイッチチャージインジェクションおよび/またはクロックフィードスルーを打ち消すための実際的で有効な回路設計という必要がまだ満たされていない。その回路設計は、以下の目的のうちの1つまたは一部または全部に対処し、および/または達成する必要がある:MOSスイッチ、具体的には微小または最小サイズのMOSスイッチの、チャージインジェクションおよび/またはクロックフィードスルーを実質的に低下させるかまたは打ち消し、必要消費電力が小さく、必要とする複雑さが少なく、および/または、回路を実現するためのチップ面積が小さい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有するスイッチトキャパシタ回路を提供することによって達成される。本発明のさらなる有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0012】
図1Bに示す回路におけるようなスイッチMOSによって注入されるチャネル電荷を吸収し、したがって補償するためにダミーMOSに依拠する従来技術のMOSFET回路解決策から始めると、本発明の基礎にある基本概念は、スイッチオフ時のスイッチMOSのチャネル電荷の分配または分割比が両方の端子T1およびT2のインピーダンスに依存することである。したがって、スイッチオフ時にスイッチの両側のインピーダンスが一致しない場合、そのような回路は完全なチャージインジェクション打ち消しを達成することができない。したがって、本発明によるスイッチトキャパシタ回路では、スイッチMOSのソース端子とドレイン端子とに対応する第1のノードと第2のノードが、既知のインピーダンス、すなわち、それぞれ第1のキャパシタと第2のキャパシタを通して共通の第3の端子に接続される。
【0013】
したがって、本発明によれば、スイッチトキャパシタ回路は金属酸化膜半導体電界効果トランジスタベースのスイッチを含む。このスイッチは、以下ではMOSと略称する場合がある、第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタと、第2のMOSとを含む。第1のMOSのソースまたはドレインが回路の第1のノードに接続され、また逆に、ドレインまたはソースが回路の第2のノードに接続される。それに対して、第2のMOSのソースはドレインに接続され、ソースとドレインはともに第2のノードに接続される。第1のMOSは、第1のノードと第2のノードとの間の実際のスイッチング動作を担うため、スイッチMOSとみなすことができ、一方、ダミーMOSとみなすことができる第2のMOSは、短絡され、スイッチMOSがオフになるとスイッチMOSによって注入される電荷を吸収することによって、チャージインジェクションを打ち消す機能を有する。
【0014】
AC(交流)接地とも呼ばれる場合がある小信号接地は、関心のあるAC信号に影響されない任意の安定ノードを指すことがある。これには、回路接地ノードGNDまたは回路電源電圧ノードVDDなどのノードが含まれる。本明細書において第1のノードと第2のノードの間のインピーダンスを一致させることが要求される場合は常に、第1のノードと小信号接地との間のインピーダンスを、第2のノードと小信号接地との間のインピーダンスと一致させる必要があることを意味する。
【0015】
2つのキャパシタのインピーダンスは既知であり、自由に事前選択可能であるため、これらのキャパシタはスイッチMOSのスイッチング時に、第1および第2のノードのそれぞれと小信号接地との間の対応する全インピーダンスが一致されるように選定することができる。2つの静電容量の値を適正に選択することによって、第1のノードと第2のノードの間のインピーダンスを、第1、第2または第3のノードにおける寄生インピーダンスを含む第1、第2または第3のノードと小信号接地との間のいずれのインピーダンスと比較しても無視可能な程度にすることができる。
【0016】
好ましい一実施形態によれば、スイッチトキャパシタ回路は、前記第1のMOSのゲートが第1のゲート信号を受信し、前記第2のMOSのゲートが第2のゲート信号を受信するように設計され、第1のゲート信号と第2のゲート信号は、第1のMOSがオフに切り換えられた後で第2のMOSがオンに切り換えられるように形成される。図1Bに示す従来技術に関連して上述したように、第1のMOSスイッチがオフに切り替わった後で第2のMOSをオンに切り換えさせることで、オフへの切り換え時に第1のMOSが第2のノードに注入したチャネル電荷の部分が相対的に予測可能になり、したがって第2のMOSによる補償の信頼性をより高くする。
【0017】
好ましい一実施形態によれば、スイッチトキャパシタ回路は、前記第1のMOSのゲートが第1のゲート信号を受信し、前記第2のMOSのゲートが、反転された第1のゲート信号である第2のゲート信号を受信するように設計される。言い換えると、第1のゲート信号が論理ゼロを伝達するときに第2のゲート信号が論理1を伝達し、その逆も同様であるように、第1のゲート信号と第2のゲート信号は互いに相補的である。第1または第2のゲート信号は、他方のゲート信号をインバータ回路に通すことによって得ることができる。反転ゲート信号の使用は、第1のMOSがオフにされると第2のMOSがオンにされ、したがって、第2のノードに注入される第1のMOSの残留チャネル電荷を第2のMOSが吸収することができるようにするという効果を有する。
【0018】
好ましくは、第1のゲート信号の立ち下がりエッジと第2のゲート信号の立ち上がりエッジの間、および/または、第1のゲート信号の立ち上がりエッジと第2のゲート信号の立ち下がりエッジの間には遅延がある。2つのMOSが両方ともN型であるとき、第2のゲート信号の立ち上がりエッジは第1のゲート信号の立ち下がりエッジに続く。2つのMOSが両方ともP型であるとき、第2のゲート信号の立ち下がりエッジは第1のゲート信号の立ち上がりエッジに続く。遅延は、第2のノード上の注入電荷を吸収するように第2のMOSがオンにされる前に第1のMOSが完全にオフにされ、チャージインジェクションが生じて分配されるように保証することができる。具体的には、スイッチトキャパシタ回路は、第2のゲート信号が、立ち上がりエッジか立ち下がりエッジかを問わず対応する信号エッジの最大で10%、30%または50%を通過している前に、第1のゲート信号が、立ち下がりエッジか立ち上がりエッジかを問わず対応する信号エッジの少なくとも50%、70%または90%を通過しているように設計することができる。一例として、第2のゲート信号の立ち上がりエッジが第1のゲート信号の立ち下がりエッジに続くとき、有利には、第1のゲート信号は第2のゲート信号がその最高値の10%まで立ち上がっている前に少なくとも90%だけ立ち下がっていることになる。
【0019】
理想的には、第1および第2のMOSのチャネルは厳密に、またはほぼ同じ長さを有するか、または実質的に等しい長さを有する。しかし、本発明は、第2のMOSが第1のMOSのチャネル長の90%と110%の間、またはさらに75%と125%の間のチャネル長を有する場合にも、完全ではないとしても機能する。
【0020】
好ましくは、第2のMOSは、第1のMOSのチャネル幅の30%と70%の間、もしくは40%と60%の間であるか、または第1のMOSのチャネル幅の半分に実質的に等しいチャネル幅を有する。ほぼ、または実質的に等しい長さを有する2つのMOSのチャネルに関連して、第1のMOSの幅のほぼ、または実質的に半部の幅を有する第2のMOSのチャネルは、第2のMOSが第1のMOSのチャネル電荷のほぼ、または実質的に半分を吸収することができることを意味する。第1のMOSがオフにされると、第1のMOSはそのチャネル電荷の半分をそのソースに注入し、他方の半分をそのドレインに注入する。したがって、この実施形態は、第2のMOSが第2のノードに注入されるチャネル電荷の全部を吸収することができるという効果を有することになる。
【0021】
有利な一実施形態によれば、前記第1のキャパシタの第1の静電容量と前記第2のキャパシタの第2の静電容量とは、同じオーダーであるかまたは実質的に等しい。第1の静電容量と第2の静電容量とが同じオーダーであることは、具体的には両者が10倍を超えて相違しないことを意味する。好ましくは、第1の静電容量と第2の静電容量とは、5倍または2倍だけ異なる。より好ましくは、両者は値が10%または5%未満だけ異なる。
【0022】
好ましい一実施形態では、前記第1のキャパシタおよび/または前記第2のキャパシタは、ある静電容量を有するか、あるいは、少なくとも10fF、32fF、100fFまたは320fFの静電容量を有する。静電容量が高いほど、第1のノードと第2のノードの間のインピーダンスが、第1、第2または第3のノードにおける寄生インピーダンスを含む第1、第2または第3のノードと小信号接地との間のいずれのインピーダンスと比較しても、より無視できるほど小さくなるという利点を有する。ここで、および以下で言及しているいずれのインピーダンス値(いずれの寄生インピーダンスも含む)も、第1および第2のMOSに提供される第1および第2のスイッチング信号など、回路内のMOSのゲートに提供されるゲート信号の主周波数成分であるゲート信号周波数で決定されるインピーダンスを指すことが意図されている。
【0023】
さらなる好ましい一実施形態によれば、前記第1のキャパシタおよび/または前記第2のキャパシタは、ある静電容量を有するか、あるいは、第1のノードの第1の寄生容量、第2のノードの第2の寄生容量、および/または第3のノードの第3の寄生容量の、少なくとも5倍、10倍、20倍、または100倍の静電容量を有する。第1のキャパシタと第2のキャパシタの両方が、3つの寄生容量のうちの最大値の少なくとも5倍、10倍、20倍または100倍の静電容量を有すればさらによいであろう。各寄生容量は、それぞれのノードと小信号接地との間の容量として測られ得る。
【0024】
有利には、スイッチトキャパシタ回路は、第2のノードまたは第3のノードが仮想接地に維持されるように構成される。これは、具体的には、この第2のノードまたは第3のノードの電位が、事前定義された信号周波数範囲内に収まる信号周波数で安定または固定されることを意味する。この第2のノードまたは第3のノードは、信号周波数が前記事前定義された信号周波数範囲外にあるときに浮遊電位を有し得る。
【0025】
好ましい一実施形態によれば、スイッチトキャパシタ回路は、第1のノードに接続された入力バッファと第3のノードに接続された仮想接地バッファとを含み、それによって第2のノードがサンプルホールド回路の出力として構成された、サンプルホールド回路として構成される。この実施形態では、サンプルホールド回路への入力信号は、入力バッファの入力端子に提供され、一方、仮想接地バッファの入力端子には基準信号が提供される。したがって、仮想接地バッファにより、第3のノードは仮想接地電位に保持される。
【0026】
別の一実施形態によれば、スイッチトキャパシタ回路は、第3のノードに接続された入力バッファと、第1のノードと第2のノードの間に並列接続された増幅器と第3のキャパシタとを含み、第2のノードが増幅器の入力に接続され、第1のノードが容量帰還増幅器回路の出力として構成された、具体的にはデルタ変調器のための容量帰還増幅器回路として構成可能である。この場合も、入力バッファにはその入力端子に入力信号が提供される。この構成では、増幅器の入力端子に接続された第2のノードは、仮想接地電位で動作する。第3のキャパシタは、増幅器のフィードバックループとして機能する。第1のMOSは容量帰還増幅器のリセットスイッチとして機能する。
【0027】
有利には、上記の両方の実施形態の場合、第1のキャパシタおよび/または第2のキャパシタは、ある静電容量を有するか、あるいは、値1/(2・π・f・R)の少なくとも5倍、10倍、20倍または100倍の静電容量を有する。ここで、fは第1および/または第2のMOSのゲートに供給されるゲート信号のゲート信号主周波数成分であり、Rは第1のノードにおける小信号ノード抵抗、第3のノードにおける小信号ノード抵抗、またはこれら2つの小信号ノード抵抗のうちの小さい方である。ノード抵抗は、具体的にはそれぞれのノードと小信号接地の間で測定可能である。上述のように、小信号接地は回路接地GNDと回路電源電圧ノードVDDとを含むが、これはこれらが関心のある周波数範囲で安定しているノードであるためである。
【0028】
スイッチトキャパシタ回路が上述のようなサンプルホールド回路として構成される場合、Rは前記入力バッファの小信号出力抵抗、前記仮想接地バッファの小信号出力抵抗、またはこれら2つの小信号出力抵抗値のうちの小さい方とすることができる。一方、スイッチトキャパシタ回路が上述のような容量帰還増幅器回路として構成される場合、Rは前記入力バッファの小信号出力抵抗、前記増幅器の小信号出力抵抗、またはこれら2つの小信号出力抵抗値のうちの小さい方とすることができる。
【0029】
好ましくは、第1のMOSと第2のMOSとは同じ型であり、すなわちどちらもNMOSまたはPMOSとして構成される。
【0030】
本発明の実施形態のいくつかの例について、以下の説明で添付の概略図を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】従来技術による、チャージインジェクションとクロックフィードスルーとを最小限にするための第1のMOSFETを示す図である。
図1B】従来技術による、チャージインジェクションとクロックフィードスルーとを最小限にするための第2のMOSFET回路を示す図である。
図2】従来技術による、チャージインジェクションとクロックフィードスルーとを最小限にするための第3のMOSFET回路を示す図である。
図3】従来技術による、チャージインジェクションとクロックフィードスルーとを最小限にするための第4のMOSFET回路を示す図である。
図4】従来技術による、チャージインジェクションとクロックフィードスルーとを最小限にするための第5のMOSFET回路を示す図である。
図5】好ましい一実施形態による、MOSFETベースのスイッチを示す図である。
図6】サンプルホールド回路として構成されたスイッチトキャパシタ回路に組み込まれた図5のスイッチを示す図である。
図7】注入電荷に対する図6に示すスイッチトキャパシタ回路の小信号等価回路を示す図である。
図8】第1および第2のMOSに提供されるゲート信号と、それらの対応する立ち上がり時間および立ち下がり時間とを示す図である。
図9】容量帰還増幅器回路として構成されたスイッチトキャパシタ回路に組み込まれた図5のスイッチを示す図である。
図10】注入電荷に対する図9に示すスイッチトキャパシタ回路の小信号等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図5に、好ましい一実施形態による、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタベースのスイッチを示す。このスイッチは、第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ1(以下では単にMOSと略す)と、第2のMOS2と、第1のキャパシタC1と、第2のキャパシタC2とを含む。スイッチMOSとして機能する第1のMOS1は、第1のノードT1を第2のノードT2に接続する。第1のMOS1のソースまたはドレインのどちらかは、第1のノードT1に接続可能であり、その結果他方の端子が第2のノードT2に接続される。ダミーMOSとして機能する第2のMOS2は、ドレインに接続されたソースを有し、両方が第2のノードT2にのみ接続されている。第1のMOS1と第2のMOS2は同じ型であるが、反転信号S1およびS2によって制御される。第1のMOS1と第2のMOS2はN型またはP型のどちらかとすることができるが、以下では一例としてN型のみを示す。第2のMOS2は、チャネル面積が第1のMOS1のサイズの半分である。具体的には、第2のMOS2は、第1のMOS1と同じチャネル長を有するが、チャネル幅は第1のMOS1の半分である。第1のノードT1は第1のキャパシタC1を介して第3のノードT3に接続され、一方、第2のノードT2は第2のキャパシタC2を介して第3のノードT3に接続されている。
【0033】
図5に示すスイッチの機能原理について、以下で図6および図9に示す2つの異なるスイッチトキャパシタ回路に関連して説明する。
【0034】
図6は、サンプルホールド回路として構成されたスイッチトキャパシタ回路を示す。これは、入力信号が入力バッファBiを通して第1のノードT1に供給され、出力信号が第2のキャパシタC2でアナログ信号をサンプルホールドする第2のノードT2において供給される、汎用サンプルホールド回路とみなすことができる。第3のノードT3は定常基準信号に接続された仮想接地バッファBvgによって駆動される仮想接地端子である。入力バッファBiと仮想接地バッファBvgは両方ともアナログバッファである。
【0035】
入力バッファBiは以下のような小信号出力抵抗R1を有する:
【数1】
ここで、VAPおよびVANは、第1のノードT1を駆動する入力バッファBi内のNMOSおよびPMOSのアーリー電圧値であり、IDS1は、第1のノードT1を駆動する入力バッファBi内のNMOSおよびPMOSのドレイン-ソース電流である。||は並列接続された2つの抵抗またはインピーダンスの全抵抗値または全インピーダンス値を計算するための演算子である。
【0036】
同様に、仮想接地バッファBvgは、以下のような小信号出力抵抗R2を有する:
【数2】
ここで、VAPおよびVANは、第3のノードT3を駆動する仮想接地バッファBvg内のNMOSおよびPMOSのアーリー電圧値であり、IDS2は、第3のノードT3を駆動する仮想接地バッファBvg内のNMOSおよびPMOSのドレイン-ソース電流である。
【0037】
第1のMOS1および第2のMOS2のゲートに接続される第1および第2のスイッチング信号S1およびS2の主周波数成分はfである。したがって、第1のMOS1によって注入される電荷の主周波数成分もfである。注入電荷に対し
、第1のキャパシタC1の小信号インピーダンスはZ1であり、第2のキャパシタC2の小信号インピーダンスはZ2であり(ここで、iは1または2を表し、Ciは第1または第2のキャパシタC1、C2の対応する静電容量を表す)、以下のようになる:
【数3】
【0038】
注入電荷に対する小信号等価回路を図7に示す。寄生インピーダンスZP1、ZP2またはZP3(破線で描かれている)は、それぞれ、第1、第2または第3のノードT1、T2またはT3と小信号接地との間の対応する寄生インピーダンスである。これらは、3つのノードT1、T2、T3のそれぞれと小信号接地との間の等価な全寄生容量CP1、CP2、CP3によって生じる(ここで、iは1、2または3を表す):
【数4】
【0039】
第1および第2のキャパシタC1およびC2の静電容量の望ましい値は、2つの条件によって決まり得る。第1の条件は、Z1およびZ2の値が値ZP1、ZP2およびZP3のそれぞれの値の1/10(10分の1)未満である必要があることである。したがって、本明細書でC1およびC2によっても表す静電容量のそれぞれは、以下の制約を満たす必要があり、ここでmax(CP1,CP2,CP3)は、3つの静電容量値CP1、CP2およびCP3のうちの最大の値を表す(ここでiは1または2を表す):
Ci>10・max(CP1,CP2,CP3)
【0040】
実際には、寄生静電容量値CP1、CP2、CP3は、それら自体が静電容量値C1およびC2による影響を受ける。2つのキャパシタC1およびC2は、典型的には、金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタまたは金属-酸化膜-金属(MOM)キャパシタとして形成される。一般に、C1およびC2の値が10fF未満の場合、CP1、CP2、CP3の最小静電容量値は、ほぼ1fFの範囲である。したがって、値C1およびC2は通常、少なくとも10fFでなければならない。CP1、CP2、CP3の値は、C1およびC2の値とともに上昇する。適正なレイアウト設計により、CP1、CP2、CP3の値はC1およびC2の値の1/10未満に維持することができる。したがって、インピーダンスZ1およびZ2は、キャパシタC1およびC2の適切なレイアウト設計によって寄生インピーダンスZP1、ZP2、ZP3の1/10未満に維持される。
【0041】
また、第2の条件は、値Z1およびZ2もR1およびR2の1/10未満である必要があることである。低電力サンプルホールド回路の場合、IDS1およびIDS2は、通常、1nAと1mAの間の範囲である。VAPおよびVANが両方とも10Vであると仮定すると、R1およびR2は、通常、5kオームと5×10オームの間の範囲である。IDS1およびIDS2が約1mAである場合、R1およびR2は約5kオームである。したがって、それぞれのC1およびC2制約は以下の式によって決定することができ、式において、min(R1,R2)はR1とR2のうちの小さい方を表し、fは通常は10GHzであり、これはスイッチング信号S1およびS2が約100psの立ち上がり時間および立ち下がり時間を有することを意味する(ここでiは1または2を表す):
【数5】
【0042】
したがって、IDS1とIDS2が両方とも約1mAである場合、C1およびC2は少なくとも32fFとなる。IDS1およびIDS2が約1nAである場合、R1およびR2は約5×10オームである。この場合、第2の条件はC1およびC2が3.2×10-20Fより大きいことを必要とするだけである。
【0043】
総合的に見れば、上記2つの条件は、1nAと1mAの間の範囲のIDS1およびIDS2を有する低電力サンプルホールド回路の場合、C1およびC2が少なくとも32fFであることを要求する。しかし、より優れたチャージインジェクション打ち消し性能を持たせるためには、上記2つの条件を満たすだけでなく、超えることが望ましい(これについては以下でより詳細に説明する)。たとえば、より優れたチャージインジェクション打ち消しは、C1およびC2を少なくとも320fFになるように選定し、CP1、CP2、CP3を3.2fF未満に維持することによって、Z1およびZ2がZP1、ZP2、ZP3とR1およびR2の1/100未満となる場合に実現可能である。
【0044】
非限定的な一例として、VAPおよびVANが両方とも10Vであり、fが10GHzであると仮定すると、以下の値を選定することができる:R1が5Mオームとなり、R2が500kオームとなり、R1がR2を超えるように、IDS1は1μAであり、IDS2は10μAであり、Z1とZ2が両方とも約160オームとなり、R1およびR2の1/1000未満となるように、C1とC2は両方とも100fFである。さらに、Z1およびZ2がZP1、ZP2およびZP3のそれぞれの20分の1となるように、CP1、CP2およびCP3は、レイアウト設計によって5fF未満に維持される。
【0045】
サンプルフェーズ中、第1のMOS1はオンであり、第2のMOS2はオフである。第1のMOS1と第2のMOS2が両方ともN型の場合、第1のMOS1のゲートは高電圧(S1=VDD)にあり、第2のMOS2のゲートは低電圧(S2=GND)にある。第1のMOS1と第2のMOS2が両方ともP型の場合、第1のMOS1のゲートは低電圧(S1=GND)にあり、第2のMOS2のゲートは高電圧(S2=VDD)にある。したがって、サンプリングフェーズでは、出力端子として機能する第2のノードT2は、入力端子として機能する第1のノードT1に接続され、入力バッファ(Bi)の帯域幅内の任意の入力信号に従う。
【0046】
サンプルフェーズを終了し、ホールドフェーズに入るために、第1のMOS1がオフにされ、次に第2のMOS2がオンにされる。第1のMOS1と第2のMOS2の両方がN型の場合、第1のMOS1のゲートが高電圧(S1=VDD)から低電圧(S1=GND)に遷移し、次に第2のMOS2のゲートが低電圧(S2=GND)から高電圧(S2=VDD)に遷移する。第1のMOS1と第2のMOS2の両方がP型の場合、第1のMOS1のゲートが低電圧(S1=GND)から高電圧(S1=VDD)に遷移し、次に第2のMOS2のゲートが高電圧(S2=VDD)から低電圧(S2=GND)に遷移する。
【0047】
第1のMOS1がオン状態からオフ状態に遷移すると、その残留チャネル電荷が第1のノードT1と第2のノードT2の両方に注入される。この注入電荷に対し、第1のノードT1と小信号接地との間の全インピーダンスはZT1であり、第2のノードT2と小信号接地との間の全インピーダンスはZT2である。Z1とZ2は両方ともR1、R2と、ZP1、ZP2およびZP3のそれぞれよりもはるかに小さいため、以下の関係:ZT1≒ZT2≒R1||R2||ZP1||ZP2||ZP3が成り立つ。
【0048】
この近似的等しさの許容範囲は、設計が、C1およびC2に対する制約を決定する前述の2つの条件を超えるマージンに依存する。たとえば、Z1およびZ2がZP1、ZP2、ZP3とR1およびR2の約1/10である場合、ZT1はZT2と10%だけ異なってもよく、一方、Z1およびZ2がZP1、ZP2、ZP3とR1およびR2の約1/100である場合、ZT1はZT2と1%のみだけ異なってもよい。
【0049】
ZT1とZT2が第1のMOS1の残留チャネル電荷によって見られたときにほぼ等しい場合、第1のMOS1の残留チャネル電荷のほぼ半分が第1のノードT1と第2のノードT2のそれぞれに注入される。
【0050】
第1のMOS1がオフにされた直後、図8に示すように、第2のMOS2はオフ状態からオン状態に遷移し始め、図8は、第1のMOS1のゲートを駆動する第1のゲート信号S1を実線で示し、第2のMOS2のゲートを駆動する第2のゲート信号S2を破線で示している。上述のように、第1のMOS1の残留チャネル電荷のほぼ半分が第2のノードT2に注入される。第2のMOS2は第1のMOS1のチャネル面積の半分のチャネル面積を有するため、第2のMOS2のオフ状態からオン状態への遷移時に、第2のMOS2のチャネルは第1のMOS1の残留チャネル電荷の半分を吸収する。したがって、第2のMOS2がオンにされた後、第1のMOS1によって第2のノードT2に注入された電荷は、第2のMOS2によってほぼ完全に吸収され、回路の出力端子において実質的なチャージインジェクション打ち消しを実現する。設計がC1およびC2の値を決定する前述の2つの条件を超えるマージンが大きいほど、チャージインジェクション打ち消しの効果が大きい。
【0051】
また、第2のMOS2のチャネル幅が第1のMOS1のチャネル幅の半分であるため、ゲート-ソース静電容量とゲート-ドレイン静電容量との和である第2のMOS2のゲートと第2のノードT2との間の全静電容量は、第1のMOS1ゲートと第2のノードT2との間のゲート-ソース間(または第1のMOS1のソースとドレインのいずれが第2のノードT2に接続されているかによって、ゲート-ドレイン間)静電容量とほぼ等しい。したがって、第1のMOS1ゲート信号S1と第2のMOS2ゲート信号S2からのクロックフィードスルー効果も、第2のノードT2において実質的に相殺する。
【0052】
入力端子としての第1のノードT1が駆動され、したがって最終的にチャージインジェクションとクロックフィードスルー効果に打ち勝つことができるため、第1のノードT1に対するチャージインジェクション効果とクロックフィードスルー効果は問題ではない。ホールドフェーズ中は、第1のMOS1はオフであり、第2のMOS2はオンである。第2のノードT2における出力端子は、その電圧信号を保持する。R1はR2より大きく設計され、これはIDS2がIDS1よりも大きいことを意味し、したがって仮想接地バッファVbgは入力バッファBiよりも強い駆動強度と高い帯域幅とを有する。したがって、第2のノードT2は、第1のノードT1から実質的に分離される。
【0053】
第1のノードT1と第2のノードT2の両方がサンプルフェーズで駆動され、したがってチャージインジェクション効果およびクロックフィードスルー効果に最終的に打ち勝つことができるため、ホールドフェーズからサンプルフェーズへの遷移時、第1のノードT1と第2のノードT2の両方に対するチャージインジェクション効果とクロックフィードスルーの効果は問題にならない。
【0054】
デルタ変調器アナログ-デジタル変換器では単一入力容量帰還増幅器回路が使用される。「Photoarray for detecting time-dependent image data」という名称の米国特許第7728269B2号では、各光検出画素においてデルタ変調を使用して光強度依存アナログ信号を符号化するために、容量帰還増幅器回路が使用されていた。この容量帰還増幅器は、前のリセットからのアナログ信号の差を増幅する。リセットスイッチが容量帰還増幅器回路をリセットし、新たな基準レベルを現在のアナログ信号値に設定する。しかし、実際には、単一のMOSからなるこのリセットスイッチは、リセット期間の終わりにオフに切り替わるたびにチャージインジェクションとクロックフィードスルーとを生じさせる。注入された電荷とクロックフィードスルーは、容量帰還増幅器出力をそのリセットレベルから逸脱するように駆動し、それによってその後の量子化段階で有意な誤りを生じさせる。
【0055】
図9に、容量帰還増幅器回路として構成されたスイッチトキャパシタ回路を示す。この構成では、第1のノードT1が、容量帰還増幅器の出力に接続された出力端子として機能する。第3のノードT3が、入力信号に接続されるアナログバッファである入力バッファBiによって駆動される入力端子として機能する。第2のノードT2が、増幅器Aの入力に接続された仮想接地端子として機能する。
【0056】
入力バッファBiは、以下のような小信号出力抵抗R1を有する:
【数6】
ここでVAPとVANは、第3のノードT3を駆動する入力バッファBi内のNMOSとPMOSのアーリー電圧値であり、IDS1は、第3のノードT3を駆動する入力バッファBi内のNMOSとPMOSのドレイン-ソース電流である。通例通り、||は並列接続された2つの抵抗またはインピーダンスの全抵抗値または全インピーダンス値を計算するための演算子である。
【0057】
増幅器Aは、以下のような小信号出力抵抗R2を有する:
【数7】
ここで、VAPとVANは、第1のノードT1を駆動する増幅器A内のNMOSとPMOSのアーリー電圧値であり、IDS2は第1のノードT1を駆動する増幅器A内のNMOSとPMOSのドレイン-ソース電流である。
【0058】
第1のMOS1および第2のMOS2のゲートに接続されるスイッチング信号S1およびS2の主周波数成分はfであり、したがって注入電荷の主周波数成分もfである。注入電荷に対し、第1のキャパシタC1の小信号インピーダンスはZ1であり、第2のキャパシタC2の小信号インピーダンスはZ2であり、第3のキャパシタC3の小信号インピーダンスはZ3である(ここで、iは1、2または3を表し、Ciは第1、第2または第3のキャパシタC1、C2またはC3の対応する静電容量を表す):
【数8】
【0059】
注入電荷に対する小信号等価回路を図10に示す。寄生インピーダンスZP1、ZP2またはZP3(破線で描かれている)は、それぞれ第1、第2または第3のノードT1、T2またはT3と小信号接地との間の対応する寄生インピーダンスである。これらは、3つのノードT1、T2、T3のそれぞれと小信号接地との間の等価な全寄生容量によって生じる(ここで、iは1、2または3を表す):
【数9】
【0060】
第1および第2のキャパシタC1およびC2の静電容量の望ましい値は、2つの条件によって決まり得る。第1の条件は、Z1およびZ2の値が値ZP1、ZP2およびZP3のそれぞれの値の1/10未満である必要があることである。したがって、本明細書でC1およびC2によっても表す静電容量のそれぞれは、以下の制約を満たす必要があり、ここでmax(CP1,CP2,CP3)は3つの静電容量値CP1、CP2およびCP3のうちの最大値を表す(ここで、iは1または2を表す):
Ci>10・max(CP1,CP2,CP3)
【0061】
実際には、CP1、CP2、CP3の寄生静電容量値自体が静電容量値C1およびC2によって影響される。2つのキャパシタC1およびC2は、典型的には金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタまたは金属-酸化膜-金属(MOM)キャパシタとして形成される。一般に、C1およびC2の値が10fF未満である場合、CP1、CP2、CP3の最小静電容量値はほぼ1fFの範囲内である。したがって、値C1およびC2は通常、少なくとも10fFでなければならない。CP1、CP2、CP3の値は、C1およびC2の値とともに上昇する。適正なレイアウト設計により、CP1、CP2、CP3の値をC1およびC2の値の1/10未満に維持することができる。したがって、インピーダンスZ1およびZ2は、キャパシタC1およびC2の適正なレイアウト設計によって寄生インピーダンスZP1、ZP2、ZP3の1/10未満に維持される。
【0062】
また、第2の条件は、値Z1およびZ2もR1およびR2の1/10未満である必要があるということである。米国特許第7728269B2のような2D配列として特に実現された低電力単一入力容量帰還増幅器回路の場合、IDS1およびIDS2は通常、1pAと1μAの間の範囲であり、VAPとVANの両方が10Vであると仮定すると、R1およびR2は通常、5Mオームと5×1012オームの間の範囲である。IDS1およびIDS2が約1μAの場合、R1およびR2は約5Mオームである。したがって、それぞれのC1およびC2制約は以下の式によって決定可能であり、式においてmin(R1,R2)はR1とR2のうちの小さい方を表し、fは通常10GHzであり、これはスイッチング信号S1およびS2が約100psの立ち上がり時間と立ち下がり時間を有することを意味する(ここで、iは1または2を表す):
【数10】
【0063】
したがって、IDS1とIDS2が両方とも約1μAである場合、C1とC2は少なくとも3.2×10-17Fでなければならない。IDS1と1DS2が約1pAである場合、R1とR2は約5×1012オームである。この場合、第2の条件はC1とC2が3.2×10-23Fより大きいことを必要とするだけである。
【0064】
総合的に見れば、上記2つの条件は、1pAと1μAの間の範囲のIDS1およびIDS2を有する低電力単一入力容量帰還増幅器回路の場合、C1およびC2が少なくとも10fFであることを要求する。しかし、より優れたチャージインジェクション打ち消し性能を持たせるためには、上記2つの条件を満たすだけでなく、超えることが望ましい(これについては以下でより詳細に説明する)。たとえば、より優れたチャージインジェクション打ち消しは、C1およびC2を少なくとも100fFになるように選定し、CP1、CP2、CP3を1fF未満に維持することによって、Z1およびZ2がZP1、ZP2、ZP3とR1およびR2の1/100未満となる場合に実現可能である。
【0065】
非限定的な一例として、VAPおよびVANが両方とも10Vであり、fが10GHzであると仮定すると、以下の値を選定することができる。:R1が5Gオームとなり、R2が500Mオームとなり、R1がR2より大きくなるように、IDS1は1nAであり、IDS2は10nAであり;Z1とZ2が両方とも約160オームとなり、R1およびR2の1/1000000未満となるように、C1とC2は両方とも100fFである。さらに、Z1およびZ2がZP1、ZP2およびZP3の20分の1となるように、CP1、CP2およびCP3は、レイアウト設計によって5fF未満に維持される。C3は5fFであり、したがってC2とC3の比率は20であり、容量帰還増幅器のために利得20を設定する。
【0066】
リセットフェーズ中、第1のMOS1はオンであり、第2のMOS2はオフである。第1のMOS1と第2のMOS2が両方ともN型の場合、第1のMOS1のゲートは高電圧(S1=VDD)にあり、第2のMOS2のゲートは低電圧(S2=GND)にある。第1のMOS1と第2のMOS2が両方ともP型の場合、第1のMOS1のゲートは低電圧(S1=GND)にあり、第2のMOS2のゲートは高電圧(S2=VDD)にある。したがって、リセットフェーズでは、第1のノードT1の電位は第2のノードT2の電位と等しくなるように駆動される。R1はR2より大きく設計され、これはIDS2がIDS1より大きいことを意味し、したがって仮想接地バッファBvgは入力バッファBiよりも強い駆動強度と高い帯域幅とを有する。したがって、第1のノードT1と第2のノードT2は、入力信号による影響を受けずにそれらのリセットレベルを維持する。
【0067】
リセットフェーズを終了するために、第1のMOS1がオフにされ、次いで、第2のMOS2がオンにされる。第1のMOS1と第2のMOS2の両方がN型の場合、第1のMOS1のゲートが高電圧(S1=VDD)から低電圧(S1=GND)に遷移し、次に第2のMOS2のゲートが低電圧(S2=GND)から高電圧(S2=VDD)に遷移する。第1のMOS1と第2のMOS2の両方がP型の場合、第1のMOS1のゲートが低電圧(S1=GND)から高電圧(S1=VDD)に遷移し、次に第2のMOS2のゲートが高電圧(S2=VDD)から低電圧(S2=GND)に遷移する。
【0068】
第1のMOS1がオン状態からオフ状態に遷移すると、その残留チャネル電荷が第1のノードT1と第2のノードT2の両方に注入される。この注入電荷の場合、第1のノードT1と小信号接地との間の全インピーダンスはZT1であり、第2のノードT2と小信号接地との間の全インピーダンスはZT2である。Z1とZ2は両方ともR1、R2と、ZP1、ZP2およびZP3のそれぞれよりもはるかに小さいため、以下の関係:ZT1≒ZT2≒R1||R2||ZP1||ZP2||ZP3が成り立つ。
【0069】
この近似的等しさの許容範囲は、設計が、C1およびC2に対する制約を決定する前述の2つの条件を超えるマージンに依存する。たとえば、Z1およびZ2がZP1、ZP2、ZP3とR1およびR2の約1/10である場合、ZT1はZT2と10%だけ異なってもよく;一方、Z1およびZ2がZP1、ZP2、ZP3とR1およびR2の約1/100である場合、ZT1はZT2と1%のみだけ異なってもよい。
【0070】
ZT1とZT2が第1のMOS1の残留チャネル電荷によって見られたときにほぼ等しい場合、第1のMOS1の残留チャネル電荷のほぼ半分が第1のノードT1と第2のノードT2のそれぞれに注入される。
【0071】
図8に示したのと同様に、第1のMOS1がオフにされた直後に、第2のMO2がオフ状態からオン状態に遷移する。前述のように、第1のMOS1の残留チャネル電荷のほぼ半分が第2のノードT2に注入される。第2のMOS2は第1のMOS1のチャネル面積の半分のチャネル面積を有するため、第2のMOS2のオフ状態からオン状態への遷移中に、第2のMOS2のチャネルは第1のMOS1の残留チャネル電荷の半分を吸収する。したがって、第2のMOS2がオンにされた後、第1のMOS1によって第2のノードT2に注入された電荷は第2のMOS2によってほぼ完全に吸収され、第2のノードT2において実質的なチャージインジェクション打ち消しを実現する。設計がC1およびC2の値を決定する前述の2つの条件を超えるマージンが大きいほど、チャージインジェクション打ち消しの効果が大きい。
【0072】
また、第2のMOS2のチャネル幅が第1のMOS1のチャネル幅の半分であるため、ゲート-ソース静電容量とゲート-ドレイン静電容量との和である第2のMOS2のゲートと第2のノードT2との間の全静電容量は、第1のMOS1ゲートと第2のノードT2との間のゲート-ソース間(または第1のMOS1のソースとドレインのいずれが第2のノードT2に接続されているかによって、ゲート-ドレイン間)静電容量とほぼ等しい。したがって、第1のMOS1ゲート信号S1と第2のMOS2ゲート信号S2からのクロックフィードスルー効果も、第2のノードT2において実質的に相殺する。
【0073】
増幅器Aの出力としての第1のノードT1は駆動され、したがって最終的にチャージインジェクションとクロックフィードスルー効果に打ち勝つことができるため、第1のノードT1に対するチャージインジェクション効果とクロックフィードスルー効果は問題ではない。
【0074】
増幅フェーズ中は、第1のMOS1はオフであり、第2のMOS2はオンである。第2のノードT2はその信号を保持する。出力端子T2は、C2とC3との比率によって決まる利得により、容量帰還増幅器の帯域幅内で入力信号の変化を増幅する出力信号を生成する。
【0075】
増幅フェーズからリセットフェーズへの遷移時、第2のノードT2と第1のノードT1は両方ともリセットフェーズで駆動され、したがって最終的にチャージインジェクション効果とクロックフィードスルー効果に打ち勝つため、第2のノードT2と第1のノードT1に対するチャージインジェクション効果とクロックフィードスルー効果は問題にならない。
参照番号:
1 第1の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(第1のMOS)
2 第2の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(第2のMOS)
C1 第1のキャパシタ
C2 第2のキャパシタ
C3 第3のキャパシタ
S1 第1のゲート信号
S2 第2のゲート信号
T1 第1のノード
T2 第2のノード
T3 第3のノード
Bi 入力バッファ
Bvg 仮想接地バッファ
A 増幅器
CP1、CP2、CP3 寄生容量
ZP1、ZP2、ZP3 寄生インピーダンス
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】