(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ヘアトリートメント組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/365 20060101AFI20221208BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20221208BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20221208BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20221208BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20221208BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20221208BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20221208BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20221208BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61K8/365
A61Q5/12
A61Q5/02
A61Q17/00
A61Q5/00
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/42
A61K8/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022521003
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2020078190
(87)【国際公開番号】W WO2021069533
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,コリン・クリフトファー・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ポイントン,トーマス・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ラジャパンディアン,ベンジャミン・ジェスクマル
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,グリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ロンロン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC072
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD152
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083BB53
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD27
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
pH3~5を有する、i)アルドン酸のアルカリ金属塩;ii)組成物全体の重量基準で0.1~5重量%のクエン酸;及びiii)界面活性剤を含む組成物は、毛髪のダメージを受けた内部タンパク質に対する修復を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)アルドン酸のアルカリ金属塩;
ii)組成物全体の重量基準で0.1~5重量%のクエン酸;及び
iii)界面活性剤
を含む組成物であって、
pH3~5を有する組成物。
【請求項2】
シャンプー、コンディショナー及びマスクから選択されるリンスオフヘアトリートメント組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルドン酸が、ガラクトノラクトン、グルクロノラクトン、ガラクツロノラクトン、グロノラクトン、リボノラクトン、サッカリン酸ラクトン、パントイルラクトン、グルコヘプトノラクトン、マンノノラクトン、ガラクトヘプトノラクトン及びそれらの混合物から選択されるラクトンから誘導される、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ラクトンがグルコノラクトンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルドン酸のアルカリ金属塩がグルコン酸ナトリウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
アルカリ金属塩の量が、組成物全体の0.02~20重量%の範囲である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
クエン酸の量が、組成物の全体の0.15~2重量%の範囲にある、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、双性イオン性若しくは両性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
毛髪のダメージを受けた内部タンパク質の修復方法であって、
シャンプーである前記請求項のいずれか1項に記載の組成物を適用する段階、及び
コンディショナーである前記請求項のいずれか1項に記載の組成物を適用する段階
を含む方法。
【請求項10】
毛髪内部タンパク質に対するダメージを修復するための、アルドン酸のアルカリ金属塩とクエン酸を含む組成物の使用。
【請求項11】
前記アルドン酸のアルカリ金属塩がグルコン酸ナトリウムである、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪ダメージの修復におけるヘアトリートメント組成物の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消費者は、定期的に髪を集中的にトリートメントし、ケアとスタイリングのルーチンを行い、所望の見た目を実現するのに役立てている。消費者が行う行為は、毛髪ケラチンタンパク質の化学に変性を生じさせて、結果的に、ミクロ及びマクロ構造の変化、ひいては繊維の物理特性の変化をもたらすもので、これらの結果は、一般に消費者によってダメージとして知覚される。
【0003】
毛髪を梳いたりブラッシングしたりすると、繊維のキューティクルが機械的に削られ、それが粗くなり、摩擦特性が高くなる。漂白や毛染め処理などの脱色処理では一般的に、メラニンを分解して新しい髪の色を作り出すため酸化段階が行われるが、これらの段階は、髪の繊維タンパク質及び内在性脂質も酸化する。これらの反応は、繊維内の共有結合及び非共有結合の数及び種類を変化させ、毛髪の熱安定性及び機械的特性に影響を及ぼす。ダメージを受けた毛髪の内部タンパク質は、代表的には、バージン毛髪と比較して低い変性温度を有する。
【0004】
ダメージを受けた毛髪のトリートメントに使用するために、多様な有機分子及びそれらの組み合わせが提案されている。
【0005】
WO 2004054526には、二糖類、特にトレハロースを含む、ダメージを受けた毛髪のケア及び修復のための、そして毛髪のまとまり感を改善するためのヘアトリートメント組成物が記載されている。
【0006】
WO 2004054525には、二糖類、特にトレハロース、及びジオール、特に3-メチル-1,3-ブタンジオールを含む、ダメージを受けた毛髪のケア及び修復のための、そして毛髪のまとまり感を改善するためのヘアトリートメント組成物が記載されている。
【0007】
WO 2009040240には、乾燥し、ダメージを受けた及び/又はまとまりのない毛髪のトリートメントのための、ラクトン及び二糖類を含むヘアトリートメント組成物が開示されている。
【0008】
US5635167Aには、少なくとも一つのキレート剤を含む組成物により、ヒトの毛髪に付着した外因性金属イオンを除去する方法が開示されている。
【0009】
WO2016/188691A1には、毛髪のトリートメントにおいて、ラクトン、二糖類、無機塩及び有機酸若しくはその塩を含み、pHが3~6.5である組成物の、毛髪タンパク質へのダメージを修復するための使用が開示されている。
【0010】
CA2949527A1には、水溶液を含ませるための50~60%の蒸留水;ペーストを生成するのに十分な量のデイ(day);シャンプー後の毛髪に脂っこい膜を残さずに毛髪ストランドに水分を加えるのに有効な量の保湿剤成分;及び毛髪強化剤としても作用する量の植物タンパク質を含有する、毛髪マスク組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2004/054526
【特許文献2】WO2004/054525
【特許文献3】WO2009/040240
【特許文献4】US5635167A
【特許文献5】WO2016/188691A1
【特許文献6】CA2949527A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の定義
本発明の第1の態様において、
i)アルドン酸のアルカリ金属塩;
ii)組成物全体の重量基準で0.1~5重量%のクエン酸;及び
iii)界面活性剤
を含む組成物であって、
当該組成物が、pH3~5を有する組成物が提供される。
【0013】
本発明は、毛髪の内部タンパク質へのダメージ修復を提供する。これは、毛髪の内部タンパク質の変性温度の上昇によって示すことができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、シャンプーである第1の態様の組成物を適用する段階、及びコンディショナーである第1の態様の組成物を適用する段階を含む、毛髪のダメージを受けた内部タンパク質を修復する方法を提供する。
【0015】
好ましくは、これらの段階は連続的であり、それによって、シャンプーが最初に適用され、次いでコンディショナーが適用される。好ましくは、シャンプーを洗い流してから、コンディショナーを適用する。
【0016】
毛髪の内部タンパク質に対するダメージを修復するための、アルドン酸のアルカリ金属塩とクエン酸を含む組成物の使用であって、好ましくはアルドン酸のアルカリ金属塩がグルコン酸ナトリウムである使用も提供される。
【0017】
毛髪
毛髪は好ましくは、毛髪の内部タンパク質の変性温度が低下しているダメージを受けた毛髪である。
ダメージは、機械的手段、例えば髪梳きやブラッシング、化学的手段、熱への曝露、太陽光などの環境的手段、ダメージを与えるエネルギー源、例えば紫外線などの光への曝露によって引き起こされ得る。化学的手段には、酸化的段階が関与する処理、例えば、漂白などの毛髪脱色、及び毛染め処理などがある。好ましくは、毛髪は漂白され、より好ましくは複数回漂白される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
アルドン酸
本発明の組成物は、アルドン酸のアルカリ金属塩を含む。
【0019】
アルドン酸は、アルドースのアルデヒド基をカルボン酸基に酸化して得られるポリヒドロキシ酸であり、その酸は、下記一般式で表すことができる。
【化1】
式中、RはH又はアルキル基(通常はH)であり、nは1~6の整数である。
【0020】
アルドン酸は、カルボキシル基と1個の水酸基の間で1モルの水を除去することにより、分子内ラクトンを形成する。
【0021】
好適なアルドン酸は、以下のラクトンから誘導することができる。
2,3-ジヒドロキシプロパン酸ラクトン(グリセリン酸ラクトン);
2,3,4-トリヒドロキシブタン酸ラクトン(立体異性体:エリスロノラクトン、スレオノラクトン):2,3,4-トリヒドロキシブタン酸ラクトン(立体異性体:エリスロノラクトン);
2,3,4,5-テトラヒドロキシペンタン酸ラクトン(立体異性体:リボノラクトン、アラビノラクトン、キシロノラクトン、リキソノラクトン);
2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸ラクトン(立体異性体:アロノラクトン、アルトロノラクトン、グルコノラクトン、マンノラクトン、グロノラクトン、イドノラクトン、ガラクトノラクトン、タロノラクトン);及び
2,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロキシヘプタン酸ラクトン(立体異性体:アロヘプトノラクトン、アルトロヘプトノラクトン、グルコヘプトノラクトン、マンノヘプトノラクトン、グロヘプトノラクトン、イドヘプトノラクトン、ガラクトヘプトノラクトン、タロヘプトノラクトン)。
【0022】
上記のいずれかの混合物もまた、本発明の組成物において使用することができる。
【0023】
好ましくは、アルドン酸は、アロノラクトン、アルトロノラクトン、グルコノラクトン、マンノラクトン、グロノラクトン、イドノラクトン、ガラクトノラクトン、タロノラクトン、最も好ましくはグルコノラクトンから選択される2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシへキサン酸ラクトンであるラクトンから誘導される。
【0024】
アルカリ金属は、好ましくはカリウム及びナトリウムから選択され、最も好ましくはナトリウムである。
【0025】
アルドン酸の好ましいアルカリ金属塩は、グルコン酸ナトリウムである。
【0026】
本発明のヘアトリートメント組成物中のアルドン酸のアルカリ金属塩の総量は、組成物の総重量基準で0.02~20重量%、好ましくは0.05~2重量%、より好ましくは0.05~0.8重量%の範囲である。
【0027】
本発明で使用するための組成物は、クエン酸又はその塩を含む。
【0028】
クエン酸の量は、組成物全体の重量基準で0.1~5重量%、好ましくは0.15~2重量%、より好ましくは0.15~1重量%、最も好ましくは0.2~0.5重量%である。
【0029】
ヘアトリートメント組成物
本発明によるヘアトリートメント組成物は、好適には、シャンプー、コンディショナー、スプレー、ムース、ジェル、ワックス又はローションの形態をとることができる。
【0030】
好ましくは、ヘアトリートメント組成物は、洗い流すタイプのヘアトリートメント組成物であり、好ましくは、シャンプー、コンディショナー及びマスクから選択され、最も好ましくは、シャンプー及びコンディショナーである。より好ましくは、シャンプー及びコンディショナーは、順々に使用され、最も好ましくは、数回の洗浄又はトリートメントにわたって繰り返し使用される。
【0031】
ヘアトリートメント組成物は、界面活性剤を含有する。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、双性イオン性又は両性界面活性剤及びそれらの混合物から選択することができ、好ましくはアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤である。好適な界面活性剤及び好ましい界面活性剤を以下に記載する。
【0032】
シャンプー類
本発明のシャンプー組成物は、一般に水性であり、すなわち、水又は水溶液又はリオトロピック液晶相をその主成分として有する。
【0033】
好適には、シャンプー組成物は、組成物の全重量に基づいて、50~98重量%、好ましくは60~90重量%の水を含むであろう。
【0034】
本発明によるシャンプー組成物は、一般に、美容上許容され、毛髪への局所適用に適した1以上のアニオン性クレンジング界面活性剤を含むことになる。
【0035】
好適なアニオン性クレンジング界面活性剤の例は、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルカリルスルホン酸塩、アルカノイルイセチオン酸塩、アルキルコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、N-アルキルサルコシン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウム及びモノ、ジ及びトリエタノールアミン塩である。前記アルキル基及びアシル基は、一般に8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であってもよい。前記アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルリン酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位を含んでもよい。
【0036】
本発明のシャンプー組成物で使用される代表的なアニオン性クレンジング界面活性剤には、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸、及びN-ラウリルサルコシン酸ナトリウムなどがある。
【0037】
好ましいアニオン性クレンジング界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO、(nは1~3である)、ラウリルエーテルコハク酸ナトリウム(n)EO、(nは1~3である)、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム(n)EO、(nは1~3である)、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びラウリルエーテルカルボン酸(n)EO(nは10~20である)である。
【0038】
前述のアニオン性クレンジング界面活性剤のいずれかの混合物も好適であり得る。
【0039】
本発明のシャンプー組成物におけるアニオン性クレンジング界面活性剤の総量は、一般に、組成物の総重量基準で、0.5~45%、好ましくは1.5~35%、より好ましくは5~20%のアニオン性クレンジング界面活性剤の範囲である。
【0040】
任意に、本発明のシャンプー組成物は、性能及び/又は消費者の受容性を高めるために、以下に記載するようにさらなる成分を含有することができる。
【0041】
当該組成物は、組成物に美的特性、物理特性又はクレンジング特性を付与するのを助けるために、共界面活性剤を含むことができる。
【0042】
共界面活性剤の1例は、ノニオン性界面活性剤であり、それは、組成物の総重量基準で0.5~8重量%、好ましくは2~5重量%の範囲の量で含まれることが可能である。
【0043】
例えば、本発明のシャンプー組成物に含めることができる代表的なノニオン性界面活性剤には、脂肪族(C8-C18)一級若しくは二級直鎖又は分岐アルコール又はフェノールとアルキレンオキシド、通常はエチレンオキシド、一般に6~30個のエチレンオキシド基を有するものとの縮合生成物などがある。
【0044】
他の代表的なノニオン性界面活性剤には、モノ又はジアルキルアルカノールアミドなどがある。例えば、ココモノ又はジエタノールアミド及びココモノイソプロパノールアミドなどがある。
【0045】
本発明のシャンプー組成物に含ませることができるさらなるノニオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APGs)である。代表的には、APGは、1以上のグリコシル基のブロックに(架橋基を介しても良い)連結されたアルキル基を含むものである。好ましいAPGは、下記式で定義される。
【化2】
【0046】
式中、Rは分岐又は直鎖アルキル基であり、それは飽和又は不飽和であることができ、Gはサッカリド基である。
【0047】
Rは、約C5~約C20の平均アルキル鎖長を表すことができる。好ましくは、Rは、約C8~約C12の平均アルキル鎖長を表す。最も好ましくは、Rの値は、約9.5~約10.5である。Gは、C5又はC6単糖残基から選択されることができ、好ましくはグルコシドである。Gは、グルコース、キシロース、ラクトース、フルクトース、マンノース及びそれらの誘導体からなる群から選択されることができる。好ましくは、Gはグルコースである。
【0048】
重合度nは、約1~約10以上の値を有することができる。好ましくは、nの値は、約1.1~約2にある。最も好ましくは、nの値は、約1.3~約1.5にある。
【0049】
本発明で使用するための好適なアルキルポリグリコシドは市販されており、例えば、Oramix NS10 ex Seppic;Plantaren 1200及びPlantaren 2000 ex Henkelとして特定される材料などがある。
【0050】
本発明の組成物に含めることができる他の糖由来のノニオン性界面活性剤には、例えばWO92 06154及びUS5194639に記載されているようなC10-C18N-アルキル(C1-C6)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えばC12-C18N-メチルグルカミド、及びN-アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えばC10-C18N-(3-メトキシプロピル)グルタミドなどがある。
【0051】
共界面活性剤の好ましい例は、両性又は双性イオン性界面活性剤であり、それは、組成物の総重量基準で0.5~約8重量%、好ましくは1~4重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0052】
両性又は双性イオン性界面活性剤の例には、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン類)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレート及びアシルグルタメートなどがあり、前記のアルキル及びアシル基は8~19個の炭素原子を有する。本発明のシャンプーで使用される代表的な両性及び双性イオン性界面活性剤には、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン及びココアンホ酢酸ナトリウムなどがある。
【0053】
特に好ましい両性又は双性イオン性界面活性剤は、コカミドプロピルベタインである。
【0054】
前述の両性又は双性イオン性界面活性剤のいずれかの混合物もまた好適であり得る。好ましい混合物は、コカミドプロピルベタインと、上記のような更なる両性又は双性イオン性界面活性剤との混合物である。好ましいさらなる両性又は双性イオン性界面活性剤は、ココアンホ酢酸ナトリウムである。
【0055】
本発明のシャンプー組成物中の界面活性剤(任意の共界面活性剤、及び/又は任意の乳化剤を含む)の総量は、組成物の総重量基準で、一般に界面活性剤の総重量の1~50%、好ましくは2~40%、より好ましくは10~25%である。
【0056】
カチオン性ポリマーは、コンディショニング性能を高めるための、本発明のシャンプー組成物中の好ましい成分である。
【0057】
好適なカチオン性ポリマーは、カチオン的に置換されているホモポリマーであってもよいし、2種類以上のモノマーから形成されていてもよい。そのポリマーの重量平均(Mw)分子量は、一般に、100000~200万ダルトンであろう。そのポリマーは、四級アンモニウム又はプロトン化アミノ基のようなカチオン性窒素含有基、又はそれらの混合物を有するであろう。そのポリマーの分子量が低すぎると、コンディショニング効果が乏しくなる。高すぎる場合は、伸長粘度が高くなり、組成物を注いだときにその糸引きが発生するという問題が生じる場合がある。
【0058】
カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在することになる。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、スペーサーとなる非カチオン性モノマー単位を含むことができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory, 3rd editionに記載されている。カチオン性モノマー単位の非カチオン性モノマー単位に対する比率は、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを与えるように選択され、これは一般に0.2~3.0meq/gmである。そのポリマーのカチオン電荷密度は、好適には、窒素測定のための化学試験の項で米国薬局方に記載されているようにケルダール法によって求められる。
【0059】
好適なカチオンポリマーには、例えば、カチオン性アミン又は四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプラクトン及びビニルピロリジンなどの水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーなどがある。そのアルキル置換及びジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基を有する。他の好適なスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールなどがある。
【0060】
カチオン性アミンは、特定の化学種及び組成物のpHに応じて、一級、二級又は三級アミンであることができる。二級及び三級アミン、特に三級アミンが好ましい。
【0061】
アミン置換ビニルモノマー及びアミンは、アミン型で重合し、次いで四級化によりアンモニウムに変換することができる。
【0062】
カチオンポリマーは、アミン及び/又は四級アンモニウム置換モノマーから誘導されるモノマー単位及び/又は相溶性スペーサーモノマーの混合物を含むことができる。
【0063】
好適なカチオン性ポリマーとしては、例えば、以下のものなどがある。
-カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、及びアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムのコポリマー(業界(CTFA)ではそれぞれPolyquaternium6及びPolyquaternium7と称される);
-3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号に記載のもの);
-カチオン性ポリアクリルアミド(WO95/22311に記載のもの)。
【0064】
使用できる他のカチオン性ポリマーには、カチオン性多糖類ポリマー、例えばカチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、及びカチオン性グアーガム誘導体などがある。
【0065】
本発明の組成物での使用に好適なカチオン性多糖類ポリマーには、下記式のモノマーなどがある。
【化3】
【0066】
式中、Aは、デンプン又はセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基、又はそれらの組合せである。R1、R2及びR3は独立に、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基又はアルコキシアリール基を表し、各基は最大約18個の炭素原子を含む。各カチオン部分の炭素原子の総数(すなわち、R1、R2及びR3の炭素原子の総数)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。
【0067】
また、別の種類のカチオン性セルロースには、業界(CTFA)ではPolyquaternium24と称される、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドを反応させたヒドロキシエチルセルロースの高分子四級アンモニウム塩などがある。これらの材料は、Amerchol社から、例えば商品名Polymer LM-200で入手可能である。
【0068】
他の好適なカチオン性多糖類ポリマーには、四級窒素含有セルロースエーテル(例えば米国特許第3,962,418号に記載)、及びエーテル化セルロースとデンプンのコポリマー(例えば米国特許第3,958,581号に記載)などがある。
【0069】
使用できるカチオン性多糖類ポリマーの特に好適な種類は、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Rhodiaから、そのJAGUAR商標シリーズで市販されている)である。そのような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14、JAGUAR C15及びJAGUAR C17である。
【0070】
上記のカチオン性ポリマーのいずれかの混合物を用いてもよい。
【0071】
カチオン性ポリマーは、一般に、組成物の総重量基準でカチオンポリマーの総重量の0.01~5%、好ましくは0.05~1%、より好ましくは0.08~0.5%のレベルで本発明のシャンプー組成物に存在することになる。
【0072】
好ましくは、本発明の水性シャンプー組成物は、懸濁剤をさらに含む。好適な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖類ガム及び結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、及びそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレート及びポリエチレングリコール3ジステアレートは、これらが組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol420、Carbopol488又はCarbopol493として市販されている。多官能性剤で架橋されたアクリル酸のポリマーも使用することができ、それらはCarbopol910、Carbopol934、Carbopol941及びCarbopol980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルの好適な共重合体の1例は、Carbopol1342である。すべてのCarbopol(商標)材料は、Goodrichから入手可能である。
【0073】
アクリル酸及びアクリル酸エステルの好適な架橋ポリマーは、Pemulen TR1又はPemulen TR2である。好適なヘテロ多糖類ガムは、例えばKelzan muとして入手可能なキサンタンガムである。
【0074】
上記の懸濁剤のいずれかの混合物を使用してもよい。好ましいのは、アクリル酸の架橋ポリマーと結晶性長鎖アシル誘導体の混合物である。
【0075】
懸濁剤は、一般に、本発明のシャンプー組成物中に、その組成物の総重量基準で、懸濁剤総重量の0.1~10%、好ましくは0.5~6%、より好ましくは0.9~4%のレベルで存在することになる。
【0076】
コンディショナー
コンディショナー組成物は、代表的には、美容上許容され、毛髪への局所適用に好適な1以上のカチオン性コンディショニング界面活性剤を含むものである。
【0077】
好ましくは、カチオン性コンディショニング界面活性剤は式N+(R1)(R2)(R3)(R4)を有し、R1、R2、R3及びR4は独立に(C1~C30)アルキル又はベンジルである。
【0078】
好ましくは、R1、R2、R3及びR4のうちの1個、2個若しくは3個が独立に(C4~C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3及びR4基又は複数基が(C1-C6)アルキル又はベンジルである。
【0079】
より好ましくは、R1、R2、R3及びR4のうちの1個若しくは2個が独立に(C6~C30)アルキルであり、他のR1、R2、R3及びR4基が(C1-C6)アルキル基又はベンジル基である。アルキル基は、1以上のエステル(-OCO-又は-COO-)結合及び/或いはエーテル(-O-)結合をアルキル鎖内に含んでいても良い。アルキル基は、1以上のヒドロキシル基で置換されていても良い。アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であっても良く、3個以上の炭素原子を有するアルキル基については環状であっても良い。アルキル基は、飽和していても良く、或いは1以上の炭素-炭素二重結合を含んでも良い(例えば、オレイル)。アルキル基は、アルキル鎖上で1以上のエチレンオキシ基でエトキシル化されていても良い。
【0080】
本発明によるコンディショナー組成物における使用に適したカチオン性コンディショニング界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、二水素化タロージメチルアンモニウムクロリド(例えば、AkzoNobel製Arquad2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG-2-オレアンモニウムクロリド及びこれらの対応するヒドロキシドが含まれる。別の適したカチオン性界面活性剤には、Quaternium-5、Quaternium-31及びQuaternium-18のCTFA名を有する材料が含まれる。前述の材料のいずれかの混合物が適していることもある。本発明によるコンディショナーにおける使用に特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、GENAMIN CTAC(例えばHoechst Celanese)として市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明によるコンディショナーにおける使用に特に有用な別のカチオン性界面活性剤は、例えば、GENAMIN KDMP(例えばClariant)として市販されているベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0081】
本発明における使用に適したカチオン性コンディショニング界面活性剤のある種類の別の例は、単独で或いは1以上の他のカチオン性コンディショニング界面活性剤と混合して、以下の(i)及び(ii):
(i)一般式(II):
【化4】
(式中、
R
1は、10個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり、
R
2及びR
3は、1~10個の炭素原子のヒドロカルビル鎖から独立して選択され、
mは、1~約10の整数である。)に相当するアミドアミン、及び
(ii)酸
の組み合わせである。
【0082】
本明細書において用いられる場合、ヒドロカルビル鎖という用語は、アルキル鎖又はアルケニル鎖を意味する。
【0083】
好ましいアミドアミン化合物は、
R1が、約11~約24個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基であり、
R2及びR3が、それぞれ独立に、1~約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基、好ましくはアルキル基であり、mが1~約4の整数である、式(I)に相当するものである。
【0084】
好ましくは、R2及びR3は、メチル基又はエチル基である。
【0085】
好ましくは、mは、2又は3であり、すなわち、エチレン基又はプロピレン基である。
【0086】
本明細書において有用な好ましいアミドアミンには、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン及びこれらの混合物などがある。
【0087】
本明細書において有用な特に好ましいアミドアミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン及びこれらの混合物である。
【0088】
本明細書において有用な市販のアミドアミンには、Inolex(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手可能な商品名LEXAMINES-13及びNikko(日本、東京)から入手可能な商品名AMIDOAMINE MSPのステアラミドプロピルジメチルアミン、Nikkoから入手できる商品名AMIDOAMINE Sのステアラミドエチルジエチルアミン、Croda(英国ノースハンバーサイド)から入手可能な商品名INCROMINE BBのベヘンアミドプロピルジメチルアミン、並びにScher(米国ニュージャージー州クリフトン)から入手可能な商品名SCHERCODINEシリーズの各種アミドアミンなどがある。
【0089】
酸(ii)は、ヘアトリートメント組成物中のアミドアミンをプロトン化できる任意の有機酸又は鉱酸であってもよい。本明細書において有用な適した酸には、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸及びこれらの混合物が含まれる。好ましくは、酸は、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0090】
酸の主な役割は、ヘアトリートメント組成物中のアミドアミンをプロトン化し、従って、ヘアトリートメント組成物中でイン・サイツで三級アミン塩(TAS)を生成することである。TASは、実際、非永久的な四級アンモニウム又は擬似四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0091】
好適には、その酸は、存在するアミドアミンをプロトン化するのに十分な量で、すなわち、組成物中に存在するアミドアミンの量と少なくとも等モルであるレベルで含まれる。
【0092】
本発明のコンディショナーにおいて、カチオン性コンディショニング界面活性剤のレベルは、概して、組成物の全重量に対するカチオン性コンディショニング界面活性剤の全重量の0.01~10%、より好ましくは0.05~7.5%、最も好ましくは0.1~5%の範囲になる。
【0093】
本発明のコンディショナーは、代表的には、脂肪アルコールも組み込む。コンディショニング組成物における脂肪アルコールとカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤が分散されるラメラ相の形成をもたらすので、特に有利であると考えられている。
【0094】
代表的な脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、より好ましくは16~22個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは、代表的には、直鎖アルキル基を含む化合物である。好適な脂肪アルコールの例には、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物などがある。これらの材料の使用はまた、それらが本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0095】
本発明のコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般に、組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~7重量%、最も好ましくは0.3~6重量%の範囲である。カチオン性界面活性剤の脂肪アルコールに対する重量比は、好適には1:1~1:10、好ましくは1:1.5~1:8、最適には1:2~1:5である。カチオン性界面活性剤の脂肪アルコールに対する重量比が高すぎる場合、それは組成物からの眼球刺激につながる可能性がある。それが低すぎると、一部の消費者にとって髪が擦れるように感じる可能性がある。
【0096】
組成物の形態
本発明によるヘアトリートメント組成物、特に水性シャンプー及びヘアコンディショナーは、好ましくは、1以上のシリコーンコンディショニング剤も含む。
【0097】
特に好ましいシリコーンコンディショニング剤は、ポリジオルガノシロキサンなどのシリコーン、特にはCTFA呼称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサン、CTFA呼称ジメチコノールを有するヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン、及びCTFA呼称アモジメチコンを有するアミノ官能性ポリジメチルシロキサンから形成されるものなどのシリコーン乳濁液である。
【0098】
乳濁液液滴は、代表的には、本発明の組成物において、0.01~20マイクロメートル、より好ましくは0.2~10マイクロメートルの範囲のザウター平均液滴直径(D3,2)を有し得る。
【0099】
ザウター平均液滴径(D3,2)を測定する好適な方法は、Malvern Mastersizerなどの機器を使用したレーザー光散乱によるものである。
【0100】
本発明の組成物での使用に適したシリコーン乳濁液は、Dow Corning及びGE Siliconesなどのシリコーンの供給者から入手可能である。そのような予め形成されたシリコーン乳濁液の使用は、シリコーン粒径の処理及び制御を容易にするために好ましい。そのような予め形成されたシリコーン乳濁液は、代表的には、アニオン性又はノニオン性乳化剤などの好適な乳化剤、又はそれらの混合物をさらに含み、乳濁重合などの化学的乳化プロセスによって、又は高剪断ミキサーを使用する機械的乳化によって調製することができる。ザウター平均液滴径(D3,2)が0.15マイクロメートル未満の予め形成されたシリコーン乳濁液は、一般にマイクロエマルションと呼ばれる。
【0101】
好適な予め形成されたシリコーン乳濁液の例には、全てDow Corningから入手可能な乳濁液DC2-1766、DC2-1784、DC-1785、DC-1786、DC-1788並びにマイクロエマルションDC2-1865及びDC2-1870などがある。これらはいずれもジメチコノールの乳濁液/マイクロエマルションである。DC2-8177及びDC939(Dow Corningから)及びSME253(GE Siliconesから)等のアモジメチコン乳濁液も好適である。
【0102】
例えばWO03/094874に記載されているような、ある種の高分子量の表面活性ブロックコポリマーをシリコーン乳濁液液滴と混合したシリコーン乳濁液も好適である。そのような材料において、シリコーン乳濁液液滴は、好ましくは、上記のようなポリジオルガノシロキサンから形成される。表面活性ブロック共重合体の一つの好ましい形態は、下記式によるものである。
【化5】
【0103】
式中、xの平均値は4以上であり、yの平均値は25以上である。
表面活性ブロックコポリマーの別の好ましい形態は、下記式によるものである。
【化6】
式中、aの平均値は2以上であり、bの平均値は6以上である。
【0104】
上述のシリコーン乳濁液のいずれかの混合物を用いることもできる。
【0105】
上述のシリコーン乳濁液は、本発明の組成物中、一般に、組成物の総重量基準で、シリコーンの総重量の0.05~10%、好ましくは0.05~5%、より好ましくは0.5~2%のレベルで存在することになる。
【0106】
他の成分
本発明の組成物は、性能及び/又は消費者受容性を高めるために、他の成分を含んでもよい。そのような成分としては、香料、色素及び顔料、pH調節剤、真珠光沢剤又は乳白剤、粘度調整剤、並びに防腐剤又は抗菌剤などがある。これらの成分はそれぞれ、その目的を達成するのに有効な量で存在することになる。一般にこれらの任意成分は、個々に、全組成物の最大5重量%のレベルで含まれる。
【0107】
本発明のヘアトリートメント組成物は、主に、乾燥し、ダメージを受け及び/又はまとまりのない毛髪のトリートメントのために、リンスオフ又はリーブオン組成物のいずれかで、ヒト対象者の毛髪及び/又は頭皮に局所適用することを意図したものである。
以下において、下記の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明するが、引用される全てのパーセントは、別断の断りがない限り、総重量に基づく重量基準である。
【実施例】
【0108】
毛髪
バージン:以下の実施例で使用した毛髪は、ダークブラウンの欧州人毛髪の房2.5グラム及び長さ6インチであった。
【0109】
漂白:バージン毛髪の房を次のプロトコールに従って漂白した。9%クリームパーオキサイド、30「vol」と混合した市販の漂白粉末で、毛髪を30分間漂白した。次に、毛髪を、14%ラウレスエーテル硫酸ナトリウム(SLES)水溶液で洗浄してから乾かした。
【0110】
2回漂白した毛髪を、実験に先立って、72時間の期間をかけて蒸留水5リットルで透析し、その期間にわたり水を3回代えた。透析後、毛髪の房を、制御された環境(20℃及び50%相対湿度)で終夜乾かした。
【0111】
組成物
組成物1は、本発明によるシャンプー組成物である。
組成物A及びBは比較シャンプーである。
組成物2は、本発明によるコンディショナー組成物である。
組成物C及びDは、比較コンディショナーである。
組成物A及びCはダメージ修復剤を全く含まない。
組成物B及びDは、先行技術の代表的なものである。
組成物E及びFは、クエン酸を含むがアルドン酸のアルカリ金属塩を含まないシャンプー及びコンディショナーの比較例である。
【0112】
表1:本発明による組成物1~2及び比較組成物A~Fの成分(重量%)
【0113】
【0114】
毛髪のトリートメント
毛髪(バージン及び2回漂白)を、まず、30秒間の泡立てと30秒間の水道水でのすすぎを用い、14%ラウレスエーテル硫酸ナトリウム(SLES)を含む水性組成物で、0.1mL/毛髪1gで2回処理した。
【0115】
次に、毛髪を以下の方法を用いてシャンプー組成物1、A、B又はEで処理した。
【0116】
0.1mL/毛髪1gを適用し、30秒間泡立てた後、水道水で30秒間すすいだ。
【0117】
シャンプー組成物による処理後、毛髪を組成物2、C、D又はFで次の方法で処理した。0.2mL/毛髪1gを60秒間適用し、その後、水道水で60秒間すすいだ。
【0118】
次に、毛髪の房を20℃、50%の相対湿度で終夜乾かした。
【0119】
毛髪タンパク質に対する1~2及びA~Fによる処理の効果
示差走査熱量測定(DSC)用の毛髪サンプルを準備するために、各毛髪房の先端から毛髪1インチを切った。その後、毛髪を1~2mmの細片に切り分けた。
【0120】
Mettler-Toledo DSC(オートサンプラー搭載)を用いて測定を行った。細かく刻んだ乾燥毛髪の7~10mgサンプルを、「中圧ステンレス鋼DSCパン」に入れ、正確に計量した。次に、脱イオン水50マイクロリットルを各サンプルに加え、その後、パンの蓋をしてパンを圧着して閉じて、気密シールを施した。測定前の少なくとも24時間にわたり、パンを平衡化して、毛髪が完全に水和するようにした。DSCをプログラムして、最初に各サンプルを加熱して100℃として3分間経過させ、次に一定速度5℃/分で100℃から180℃までさらに昇温させた。
【0121】
【0122】
本発明による組成物1及び2で処理した漂白毛髪では、5回の洗浄サイクル後に、バージン毛髪の状態に対して、変性温度に3.01℃の上昇があり、組成物A及びCで処理した漂白毛髪では、毛髪変性温度が0.34℃上昇するだけであることが分かる。
【0123】
先行技術である組成物B及びDは、変性温度を1.94℃上昇させ、それは組成物1及び2からのものより小さい。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)
グルコン酸ナトリウムである、アルドン酸のアルカリ金属塩;
ii)組成物全体の重量基準で0.1~5重量%のクエン酸;及び
iii)
アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤から選択される、界面活性剤
を含む組成物であって、
pH3~5を有する組成物。
【請求項2】
シャンプー、コンディショナー及びマスクから選択されるリンスオフヘアトリートメント組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アルカリ金属塩の量が、組成物全体の0.02~20重量%の範囲である、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
クエン酸の量が、組成物の全体の0.15~2重量%の範囲にある、
請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、双性イオン性若しくは両性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
毛髪のダメージを受けた内部タンパク質の修復方法であって、
シャンプーである前記請求項のいずれか1項に記載の組成物を適用する段階、及び
コンディショナーである前記請求項のいずれか1項に記載の組成物を適用する段階
を含む方法。
【請求項7】
毛髪内部タンパク質に対するダメージを修復するための、
グルコン酸ナトリウムとクエン酸を含む組成物の使用。
【国際調査報告】