(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサ及び超音波トランスデューサアレイを冷却するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20221208BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20221208BHJP
A61B 8/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H04R1/00 330A
H04R17/00 330H
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521083
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 CA2020051341
(87)【国際公開番号】W WO2021068064
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513193738
【氏名又は名称】サニーブルック リサーチ インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルフト,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】グナシーラン,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ヒニネン,クレルボ
【テーマコード(参考)】
4C601
5D019
【Fターム(参考)】
4C601EE16
4C601GB03
4C601GB18
4C601GB24
5D019AA17
5D019BB02
5D019BB14
5D019BB28
5D019DD01
5D019FF04
(57)【要約】
超音波装置及びシステムが開示されており、超音波トランスデューサの能動音響素子の冷却は、能動音響素子の近位側を越えて延在して熱交換器と接触する導電性部材を介して達成される。導電性部材は、熱交換器に熱を伝導しながら、能動音響素子に電気駆動信号を送る。また、導電性部材との接触がない、能動音響素子の近位面の領域も、液体又は固体との接触がなく、それによって、超音波エネルギの反射が容易になり得る。熱交換器は、導電性部材に接触して導電性部材を通って伝導する熱を除去する電気絶縁性流体を含んでもよい。能動音響素子は、多層横モード素子であってもよく、導電性部材は、横モード素子の電極を形成してもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動信号が印加されたときに超音波エネルギを生成するように構成され、遠位方向に超音波エネルギを放出するための遠位面と、反対側の近位面とを有する能動音響素子と、
前記能動音響素子に接触し、前記能動音響素子に電気駆動信号を送信し、前記能動音響素子から熱を伝導するための導電性部材であって、少なくとも前記能動音響素子の前記近位面の少なくとも一部が前記導電性部材と接触しないよう、前記能動音響素子から前記近位面を越えて延在し、前記導電性部材を介して前記能動音響素子に電気駆動信号を送信するための駆動電子機器に接続可能である導電性部材と、
前記近位面から近位方向に空間的にオフセットされ、前記導電性部材を介して前記能動音響素子に電気駆動信号を送信するために前記近位面を越えて存在する前記導電性部材の一部に接触し、前記導電性部材を介して前記能動音響素子から熱を除去する一方、前記能動音響素子に前記導電性部材を介して前記電気駆動信号を送信する熱交換器と
を備える超音波装置。
【請求項2】
前記導電性部材と接触しない前記近位面の領域もまた、液体又は固体と接触せず、それによって、前記近位面の前記一部での超音波エネルギの反射を容易にする、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項3】
前記近位面と前記熱交換器との間にギャップが存在し、それによって前記近位面の前記一部での超音波エネルギの反射を容易にし、前記導電性部材が前記ギャップを横切って延在して前記熱交換器に接触する、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項4】
前記ギャップがエアギャップである、請求項3に記載の超音波装置。
【請求項5】
前記ギャップは、空気以外の気体で満たされている、請求項3に記載の超音波装置。
【請求項6】
前記近位面が信号電極を含み、前記導電性部材の遠位端が前記電極に接触する、請求項1~4のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項7】
前記導電性部材の前記遠位端は、前記近位面の全表面積の10%未満の表面積を有する小領域内で前記近位面に接触する、請求項6に記載の超音波装置。
【請求項8】
前記導電性部材の前記遠位端は、前記近位面の全表面積の5%未満の表面積を有する小領域内で前記近位面に接触する、請求項6に記載の超音波装置。
【請求項9】
前記導電性部材の前記遠位端は、前記近位面の全表面積の2%未満の表面積を有する小領域内で前記近位面に接触する、請求項6に記載の超音波装置。
【請求項10】
前記熱交換器に接触する前記導電性部材の前記一部内の前記導電性部材の断面積は、前記導電性部材の前記遠位端における前記導電性部材の断面積よりも大きい、請求項6に記載の超音波装置。
【請求項11】
前記熱交換器に接触する前記導電性部材の前記一部内の前記導電性部材の断面積は、前記導電性部材の前記遠位端における前記導電性部材の断面積よりも小さい、請求項6に記載の超音波装置。
【請求項12】
前記熱交換器に接触する前記導電性部材の前記一部内の前記導電性部材の断面積は、可変であり、前記導電性部材の前記遠位端における前記導電性部材の断面積よりも大きい及び/又は小さい、請求項6に記載の超音波装置。
【請求項13】
前記熱交換器に接触する前記導電性部材の前記一部内の前記導電性部材の断面積は、不均一、非対称、粗いか、又は延長部もしくは他の構造、形状、表面パターン若しくはマイクロ構造を有して、熱伝送を向上させる、請求項6に記載の超音波装置。
【請求項14】
前記導電性部材と接触しない前記近位面の一部は、後方伝播超音波エネルギの少なくとも50%が前記近位面の前記一部で反射されるように選択された音響インピーダンスを有する材料と接触する、請求項1~13のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項15】
前記導電性部材と接触しない前記近位面の一部が、前記能動音響素子の音響インピーダンスと整合するように選択された音響インピーダンスを有する材料と接触し、後方伝播超音波エネルギが前記近位面の前記一部で抑制される、請求項1~13のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項16】
前記導電性部材と接触しない前記近位面の一部は、後方伝播超音波エネルギの10%未満が前記近位面の前記一部で反射されるように選択された音響インピーダンスを有する材料と接触する、請求項1~13のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項17】
前記導電性部材は、前記近位面から延在し、前記熱交換器に接触する前に前記材料を通過する、請求項14~16のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項18】
前記材料を通って伝導される熱の除去を容易にするために、前記材料が前記熱交換器に接触する、請求項14~16のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項19】
前記材料が音響的に減衰させるものである、請求項14~16のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項20】
前記導電性部材の遠位領域が、前記能動音響素子の電極に接触する、請求項1~19のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項21】
前記導電性部材の遠位領域が、前記能動音響素子の電極を形成する、請求項1~19のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項22】
前記熱交換器は、電気絶縁流体を含み、前記電気絶縁流体は、前記導電性部材の前記一部に接触して、前記能動音響素子に接触することなく、前記導電性部材を通って伝導される熱を除去する、請求項1~21のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項23】
前記電気絶縁流体に接触する前記導電性部材の前記一部は、円筒形セグメントを含む、請求項22に記載の超音波装置。
【請求項24】
前記電気絶縁流体に接触する前記導電性部材の前記一部は、平面フィンを含む、請求項22に記載の超音波装置。
【請求項25】
前記電気絶縁流体に接触する前記導電性部材の前記一部は、前記熱交換器を横切って延在する細長いセグメントを含み、前記細長いセグメントは、そこから横方向に延在する1つ又は複数の横方向部材を有する、請求項22に記載の超音波装置。
【請求項26】
前記電気絶縁流体を前記熱交換器に流すように構成されたポンプをさらに備える、請求項22~25のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項27】
前記熱交換器は、第1の熱交換器であり、前記超音波装置は、前記遠位面の遠位側に配置された第2の熱交換器をさらに備え、前記第2の熱交換器は、前記能動音響素子内で生成された熱が、前記第1の熱交換器によって前記能動音響素子の近位側で除去され、前記第2の熱交換器によって前記能動音響素子の遠位側で除去されるように、前記能動音響素子と熱連通している、請求項22~26のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項28】
前記熱交換器は、熱電冷却器を備える、請求項22に記載の超音波装置。
【請求項29】
前記能動音響素子は、遠位方向の横方向モード超音波放射を励起するためにその間に設けられた電極を有する複数の圧電層を含む横方向モデル能動音響素子である、請求項1~19のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項30】
前記導電性部材の遠位領域が、前記横方向モデル能動音響素子の電極を形成する、請求項29に記載の超音波装置。
【請求項31】
前記熱交換器の近位側に存在するプリント回路基板を更に備え、
前記導電性部材は、前記熱交換器を越えて延在し、前記電気駆動信号を送出するために前記プリント回路基板に接続される、請求項1~30のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項32】
前記導電性部材は、前記能動音響素子に接触する第1セグメントと、前記熱交換器に接触する第2セグメントとを備え、前記第1セグメントは、前記超音波装置のモジュール式アセンブリを容易にするために、前記第2セグメントに着脱自在に接続される、請求項1~31のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項33】
前記第1セグメントの断面直径は、前記第2セグメントの断面直径よりも小さい、請求項32に記載の超音波装置。
【請求項34】
前記第1セグメント及び前記第2セグメントの一方が、前記第1セグメント及び前記第2セグメントの他方を受け入れるためのソケットを備える、請求項32又は33に記載の超音波装置。
【請求項35】
前記能動音響素子及び前記導電性部材の前記第1セグメントを支持するように構成されたハウジングをさらに備える、請求項32~34のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項36】
前記導電性部材が第1の導電性部材であり、
前記超音波装置が第2の導電性部材をさらに含み、
前記第2の導電性部材は、前記能動音響素子の前記近位面の少なくとも一部が前記第2の導電性部材と接触しないように、前記近位面を越えて前記能動音響素子から延在し、前記第2の導電性部材を介して前記能動音響素子に電気駆動信号を送信するための駆動電子機器に接続可能である。
請求項1~35のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項37】
前記第1の導電性部材及び前記第2の導電性部材は、前記近位面の異なる領域に接触する、請求項36に記載の超音波装置。
【請求項38】
前記第2の導電性部材は、前記能動音響素子の接地電極に接触する、請求項36に記載の超音波装置。
【請求項39】
前記能動音響素子が第1の能動音響素子であり、前記導電性部材が第1の導電性部材であり、前記超音波装置がさらに1つ又は複数の追加の音響能動素子を含み、
各追加の音響能動素子は、それぞれの追加の導電性部材の一部が前記熱交換器に接触するように、それぞれの近位面を越えて延在するそれぞれの追加の導電性部材を有し、前記第1の能動音響素子及び前記追加の音響能動素子は、能動音響素子のセットを画定し、前記第1の導電性部材及び前記追加の導電性部材は、導電性部材のセットを画定し、前記能動音響素子のセット及び前記導電性部材のセットは、超音波アレイを形成するように空間的に配置される、請求項1~21のいずれか1項に記載の超音波装置。
【請求項40】
前記熱交換器は、電気絶縁流体を含み、前記電気絶縁流体は、前記導電性部材を通って伝導される熱を除去するために、各導電性部材の前記一部に接触する、請求項39に記載の超音波装置。
【請求項41】
前記熱交換器内に存在する絶縁スペーサをさらに含み、前記絶縁スペーサは、前記導電性部材間の接触を防止するように構成される、請求項40に記載の超音波装置。
【請求項42】
前記一組の能動音響素子を支持するように構成されたハウジングをさらに備える、請求項39に記載の超音波装置。
【請求項43】
前記導電性部材の組の各導電性部材が、それぞれの能動音響素子に接触する第1セグメントと、前記熱交換器に接触する第2セグメントとを含み、各第1セグメントが前記ハウジングによって支持され、
前記ハウジング、前記能動音響素子のセット及び前記第1セグメントのセットがアレイモジュールを形成し、
前記第2セグメントのセットが、前記熱交換器によって支持された冷却アレイを形成し、
各第1セグメントが、それぞれの第2セグメントに取り外し可能に接続され、前記アレイモジュールが、前記冷却アレイから取り外し可能であり、前記超音波装置の前記熱交換器とのモジュール式アセンブリを容易にする。
請求項42に記載の超音波装置。
【請求項44】
前記第1セグメントの断面直径は、前記第2セグメントの断面直径よりも小さい、請求項43に記載の超音波装置。
【請求項45】
前記第1セグメント及び前記第2セグメントの一方が、前記第1セグメント及び前記第2セグメントの他方を受け入れるためのソケットを備える、請求項43又は44に記載の超音波装置。
【請求項46】
前記アレイモジュールは、第1のアレイモジュールであり、前記冷却アレイは、第1の冷却アレイであり、前記超音波装置は、1つ又は複数の追加のアレイモジュールと、1つ又は複数のそれぞれの冷却アレイとをさらに備える、請求項43に記載の超音波装置。
【請求項47】
各アレイモジュールは、それぞれの冷却アレイを介して、それぞれの回路基板に接続され、各回路基板は、モジュールごとの専用駆動電子機器に接続される、請求項46に記載の超音波装置。
【請求項48】
電気駆動信号が印加されたときに超音波エネルギを生成するように構成された能動音響素子であって、遠位方向に超音波エネルギを放出するための遠位面と、反対側の近位面とを有する能動音響素子と、
前記能動音響素子に電気駆動信号を送信し、前記能動音響素子から熱を伝導するために、前記能動音響素子に接触する導電性部材であって、前記能動音響素子の前記近位面の少なくとも一部が前記導電性部材と接触しないように、前記近位面を越えて前記能動音響素子から延在する導電性部材と、
前記近位面から近位方向に空間的にオフセットされた回路基板であって、前記導電性部材の近位端は、前記能動音響素子に電気駆動信号を送信するための記回路基板と電気的に接触している回路基板と、
前記回路基板と熱的に接触している熱交換器であって、前記導電性部材及び前記回路基板を通って伝導される熱を除去する熱交換器と
を備える超音波装置。
【請求項49】
2つ以上の圧電層を含み、前記2つ以上の圧電層は、第1の方向に沿って積層される圧電スタックを備える横モード超音波トランスデューサであって、
複数の電極であって、前記圧電スタックのそれぞれの外面に形成された一対の外部電極と、前記圧電スタックの隣接する圧電層の間に存在する一組の内部電極とを含む複数の電極と、
前記複数の電極の第1のサブセットと電気的に連絡する第1の共通電極と、
前記複数の電極の第2のサブセットと電気的に連絡する第2の共通電極と
を備え、
前記複数の電極の前記第1のサブセット及び前記複数の電極の前記第2のサブセットは、前記第1の共通電極と前記第2の共通電極との間に印加されるときに、前記圧電スタックの横モード結合共振に関連する周波数で駆動信号が印加されるように選択され、
前記駆動信号は、前記圧電スタックの隣接する圧電層の間で反対方向に印加され、横モード結合は、前記圧電スタックを、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って機械的に応答させ、それによって、第2の方向に沿って超音波放射を生成し、
前記第1の共通電極は、前記圧電スタックの遠位面上に少なくとも部分的に存在し、前記遠位面は、前記第2の方向に垂直であり、前記第2の共通電極は、前記遠位面に対向する近位面上に少なくとも部分的に存在し、
電極の前記第2のサブセットの各内部電極は、前記遠位面に近位に存在し、前記遠位面から近位方向に延在するそれぞれの電気絶縁チャネルによって前記第1の共通電極から電気的に絶縁され、
電極の前記第1のサブセットの各内部電極は、前記近位面に近位に存在し、前記近位面から遠位方向に延在するそれぞれの電気絶縁チャネルによって前記第2の共通電極から電気的に絶縁される、超音波トランスデューサ。
【請求項50】
ハウジングと
前記ハウジングによって支持された能動音響素子のアレイであって、それぞれ能動音響素子は、遠位超音波放射面と、それぞれの近位面とを有する、能動音響素子のアレイと、
各能動音響素子が、電気駆動信号を供給するための第1の導電性部材と電気的に連通するように支持された第1の導電性部材の第1のアレイであって、各第1の導電性部材は、近位方向に、それに接続されたそれぞれの能動音響素子のそれぞれの近位面を越えて延在する、第1の導電性部材の第1のアレイと、
熱交換器と、
前記熱交換器によって支持され、前記熱交換器に熱的に接触する第2の導電性部材の第2のアレイと
を備え、
前記第1の導電性部材の第1のアレイは、前記能動音響素子アレイから前記第1の導電性部材の第1のアレイ及び前記第2の導電性部材の第2のアレイを介した前記熱交換器への熱伝導により、前記熱交換器で前記能動音響素子アレイを冷却するために前記第2の導電性部材の第2のアレイに接続可能であり、
前記第2の導電性部材の第2のアレイは、前記熱交換器を通って延在し、前記能動音響素子のアレイに電気駆動信号を送信するための駆動電子機器に接続可能であり、同時に前記能動音響素子アレイを冷却する、超音波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波に基づく治療及び画像化に関する。いくつかの態様において、本開示は、超音波トランスデューサ及び超音波トランスデューサアレイ素子の冷却に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国仮特許出願第62/913,351号(発明の名称「超音波トランスデューサ及び超音波トランスデューサを冷却するためのシステム及び方法」)」(2019年10月10日出願)の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
超音波を発生させること、特に高出力で発生させることは、変換器の損傷を防止するために消散させなければならない廃熱を発生させる。現在の緩和アプローチには限界がある。例えば、強制空冷は、高出力アプリケーションで使用するのに十分なほど迅速に熱を除去することができない。超音波放射面とは別に、変換器に冷却液を接触させることを必要とするアプローチは、変換器の効率を大幅に低下させる。同様に、比較的大きな表面積のヒートシンク又は交換器を変換器表面に取り付けると、装置への機械的負荷が増大し、その有効性が低下する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書は、超音波装置及びシステムを開示する。超音波トランスデューサの能動音響素子の冷却は、能動音響素子の近位側を越えて延在して熱交換器と接触する導電性部材を介して達成される。導電性部材は、熱交換器に熱を伝導しながら、能動音響素子に電気駆動信号を送る。また、導電性部材との接触がない、能動音響素子の近位面の領域も、液体又は固体との接触がなく、それによって、超音波エネルギの反射が容易になり得る。熱交換器は、導電性部材に接触して導電性部材を通って伝導する熱を除去する電気絶縁性流体を含んでもよい。能動音響素子は、多層横モード素子であってもよく、導電性部材は、横モード素子の電極を形成してもよい。
【0005】
従って、第1の態様では、以下を含む超音波装置が提供される。
・電気駆動信号が印加されたときに超音波エネルギを生成するように構成された能動音響素子であって、前記能動音響素子は、遠位方向に超音波エネルギを放出するための遠位面と、反対側の近位面とを有する、能動音響素子
・能動音響素子に電気駆動信号を送信し、能動音響素子から熱を伝導するための、能動音響素子に接触する電気伝導部材であって、能動音響素子の近位面の少なくとも一部が電気伝導部材との接触がないように、能動音響素子から前記近位面を越えて延在する前記電気伝導部材(前記電気伝導部材は、前記電気伝導部材を通して前記能動音響素子に前記電気駆動信号を送信するための電子機器を駆動するように接続可能である)
・前記近位面から近位方向に空間的にオフセットされた熱交換器であって、前記近位面を越えて存在する前記電気伝導部材の一部と接触し、前記電気駆動信号を前記導電性部材を通して能動音響素子に送信する一方、前記能動音響素子から前記電気伝導部材を通して熱を除去する、熱交換器
【0006】
装置の一実施例では、導電性部材と接触しない近位面の領域もまた、液体又は固体と接触せず、それによって、近位面の一部での超音波エネルギの反射を容易にする。装置の一実施例では、ギャップが、近位面と熱交換器との間に存在し、それによって、近位面の一部における超音波エネルギの反射を容易にしている。ここで、導電性部材は、ギャップを横切って延在して、熱交換器と接触する。ギャップは、エアギャップであってもよい。なお、ギャップには、空気以外の気体が充填されていてもよい。
【0007】
装置の一実施例では、近位面は信号電極を含み、導電性部材の遠位端は電極に接触する。導電性部材の遠位端は、近位面の総表面積の10%未満の表面積を有する小領域内で近位面に接触してもよい。導電性部材の遠位端は、近位面の全表面積の5%未満の表面積を有する小領域内で近位面に接触してもよい。導電性部材の遠位端は、近位面の総表面積の2%未満の表面積を有する小領域内で近位面に接触してもよい。
【0008】
熱交換器に接触する導電性部材の一部内の、導電性部材の断面積は、導電性部材の遠位端における導電性部材の断面積よりも大きくてもよい。熱交換器に接触する導電性部材の部分内の、導電性部材の断面積は、導電性部材の遠位端における導電性部材の断面積よりも小さくてもよい。熱交換器に接触する導電性部材の部分内の導電性部材の断面積は、可変であってもよく、導電性部材の遠位端における導電性部材の断面積よりも大きい及び/又は小さい。熱交換器に接触する導電性部材の部分内の導電性部材の断面積は、不均一、非対称、粗面であってもよく、又は熱伝送を強化するための延長部もしくは他の構造、形状、又は表面パターンもしくは微細構造を有してもよい。
【0009】
装置の1つの実施例では、導電性部材との接触がない近位面の一部は、後方伝搬超音波エネルギの少なくとも50%が近位面の部分で反射されるように選択された音響インピーダンスを有する材料と接触する。装置の一実施例では、導電性部材との接触がない近位面の一部は、能動音響素子の音響インピーダンスに整合するように選択された音響インピーダンスを有する材料と接触し、その結果、後方伝搬超音波エネルギが近位面の部分で抑制される。装置の一例の実施において、導電性部材との接触がない近位面の一部は、10%未満の後方伝搬超音波エネルギが近位面の部分で反射されるように選択された音響インピーダンスを有する材料と接触する。導電性部材は、近位面から延在し、熱交換器に接触する前に材料を通過してもよい。材料は、材料を通って伝導される熱の除去を容易にするために、熱交換器と接触してもよい。材料は、音響的に減衰させるものであり得る。装置の一例の実施において、導電性部材の遠位領域は、能動音響素子の電極に接触する。装置の一例の実施において、導電性部材の遠位領域は、能動音響素子の電極を形成する。
【0010】
装置の一実施例では、熱交換器は、電気絶縁流体を備え、電気絶縁流体は、導電性部材の部分に接触し、能動音響素子に接触することなく、導電性部材を通して伝導した熱を除去する。電気絶縁性流体と接触する導電性部材の部分は、円筒セグメントを含んでもよい。電気絶縁性流体と接触する導電性部材の部分は、平面フィンを含んでもよい。電気絶縁性流体に接触する導電性部材の部分は、熱交換器を横切って延在する細長いセグメントを含んでもよく、細長いセグメントは、そこから横方向に延在する1つ又は複数の横方向部材を有する。
【0011】
装置は、熱交換器を通って電気絶縁流体を流動させるように構成されたポンプをさらに備えることができる。熱交換器は、第1の熱交換器であってもよく、超音波装置は、遠位面の遠位側に位置する第2の熱交換器をさらに備えてもよく、第2の熱交換器は、能動音響素子と熱連通し、その結果、能動音響素子内で生成された熱は、第1の熱交換器によって能動音響素子の近位側で除去され、第2の熱交換器によって能動音響素子の遠位側で除去される。熱交換器は、熱電冷却器を備えることができる。
【0012】
一実施例では、能動音響素子は、遠位方向の横モード超音波放射を励起するためにその間に設けられた電極を有する複数の圧電層を含む横モデル能動音響素子である。導電性部材の遠位領域は、側方モデル能動音響素子の電極を形成してもよい。一実施例では、装置は、熱交換器の近位側に存在するプリント回路基板をさらに備えることができ、導電性部材は、熱交換器を越えて延在し、電気駆動信号を送信するためにプリント回路基板に接続される。
【0013】
装置の一実施例では、導電性部材は、能動音響素子に接触する第1セグメントと、熱交換器に接触する第2セグメントとを備えることができ、第1セグメントは、超音波装置のモジュール式アセンブリを容易にするために、第2セグメントに着脱自在に接続される。第1セグメントの断面直径は、第2セグメントの断面直径より小さくてもよい。第1セグメント及び第2セグメントの一方は、第1セグメント及び第2セグメントの他方を受け入れるためのソケットを含むことができる。装置は、能動音響素子及び導電性部材の第1セグメントを支持するように構成されたハウジングをさらに備えてもよい。
【0014】
装置の1つの実施例では、導電性部材は、第1の導電性部材であり、超音波装置は、第2の導電性部材をさらに含み、第2の導電性部材は、能動音響素子の近位面の少なくとも一部が第2の導電性部材との接触から解放されるように、能動音響素子から近位面を越えて延在する第2の導電性部材であって、第2の導電性部材は、第2の導電性部材を通して能動音響素子に電気駆動信号を送信するための電子機器を駆動するように接続可能である、超音波装置。第1の導電性部材及び第2の導電性部材は、近位面の異なる領域と接触してもよい。第2の導電性部材は、能動音響素子の接地電極と接触してもよい。
【0015】
装置の一実施例では、能動音響素子は第1の能動音響素子であり、導電性部材は第1の導電性部材であり、超音波装置はさらに1つ又は複数の追加の音響能動素子を含み、各追加の音響能動素子は、それぞれの追加の導電性部材の一部が熱交換器に接触するように、それぞれの近位面を越えて延在するそれぞれの追加の導電性部材を有し、第1の能動音響素子及び追加の音響能動素子は、能動音響素子のセットを画定し、第1の導電性部材及び追加の導電性部材は、導電性部材のセットを画定し、能動音響素子のセット及び導電性部材のセットは、超音波アレイを形成するように空間的に配置される。熱交換器は、電気絶縁性流体を含んでもよく、該電気絶縁性流体は、各導電性部材の部分に接触して、該導電性部材を通って伝導する熱を除去する。装置は、熱交換器内に存在する絶縁スペーサをさらに備えてもよく、絶縁スペーサは、導電性部材間の接触を防止するように構成される。装置は、一組の能動音響素子を支持するように構成されたハウジングをさらに備えてもよい。
【0016】
一組の導電性部材の各導電性部材は、それぞれの能動音響素子に接触する第1セグメントと、熱交換器に接触する第2セグメントとを備えることができ、各第1セグメントは、ハウジングによって支持され、前記ハウジング、一組の能動音響素子、及び一組の第1セグメントは、アレイモジュールを形成し、前記一組の第2セグメントは、熱交換器によって支持される冷却アレイを形成し、各第1セグメントは、冷却アレイから取り外し可能に接続され、熱交換器による超音波装置のモジュール式アセンブリを容易にする。
【0017】
第1セグメントの断面直径は、第2セグメントの断面直径より小さくてもよい。第1セグメント及び第2セグメントの一方は、第1セグメント及び第2セグメントの他方を受け入れるためのソケットを含むことができる。アレイモジュールは、第1のアレイモジュールであってもよく、冷却アレイは、第1の冷却アレイであってもよく、超音波装置は、1つ又は複数の追加のアレイモジュール及び1つ又は複数のそれぞれの冷却アレイをさらに備えてもよい。各アレイモジュールは、それぞれの冷却アレイを介して、それぞれの回路基板に接続されてもよく、各回路基板は、モジュールごとの専用駆動電子機器に接続されている。
【0018】
別の態様では、以下を含む超音波装置が提供される。
・電気駆動信号が印加されたときに超音波エネルギを生成するように構成された能動音響素子であって、前記能動音響素子は、遠位方向に超音波エネルギを放出するための遠位面と、反対側の近位面とを有する、能動音響素子
・能動音響素子に電気駆動信号を送信し、能動音響素子から熱を伝導するために能動音響素子に接触する導電性部材であって、能動音響素子の近位面の少なくとも一部が導電性部材と接触しないように、能動音響素子から近位面を越えて延在する導電性部材
・近位面から近位方向に空間的にオフセットされた回路基板であって、前記導電性部材の近位が、前記能動音響素子に前記電気駆動信号を送信するために、前記回路基板と電気的に接触している回路基板
・前記導電性部材を介して前記回路基板を通って伝導する熱を除去するために、前記回路基板と熱的に接触している熱交換器
【0019】
別の態様では、以下を含む横モード超音波トランスデューサが提供される。
・2つ以上の圧電層を含む圧電スタックであって、2つ以上の圧電層が第1の方向に沿って積層される、圧電スタック
・複数の電極であって、圧電スタックのそれぞれの外面に形成された一対の外部電極と、圧電スタックの隣接する圧電層の間に存在する一組の内部電極とを含む、複数の電極
・複数の電極の第1のサブセットと電気的に連絡する第1の共通電極
・複数の電極の第2のサブセットと電気的に連絡する第2の共通電極
前記複数の電極の前記第1のサブセット及び前記複数の電極の前記第2のサブセットは、前記第1の共通電極と前記第2の共通電極との間に印加されるときに、前記圧電スタックの横モード結合共振に関連する周波数で駆動信号が印加されるように選択される。前記駆動信号は、前記圧電スタックの隣接する圧電層の間で反対方向に印加され、横モード結合は、前記圧電スタックを、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って機械的に応答させ、それによって、第2の方向に沿って超音波放射を生成する。
第1の共通電極は、少なくとも部分的に、圧電スタックの遠位面上に存在し、遠位面は、第2の方向に垂直であり、第2の共通電極は、少なくとも部分的に、遠位面に対向する近位面上に存在する。電極の第2のサブセットの各内部電極は、遠位面に近位に存在し、遠位面から近位方向に延在するそれぞれの電気絶縁チャネルによって第1の共通電極から電気的に絶縁され、電極の第1のサブセットの各内部電極は、近位面に近位に存在し、近位面から遠位方向に延在するそれぞれの電気絶縁チャネルによって第2の共通電極から電気的に絶縁される。
【0020】
別の態様では、以下を有する超音波装置が提供される。
・ハウジング
・前記ハウジングによって支持された能動音響素子のアレイであって、それぞれ能動音響素子は、遠位超音波放射面と、それぞれの近位面とを有する、能動音響素子のアレイ
・各能動音響素子が、電気駆動信号を供給するための第1の導電性部材と電気的に連通するように支持された第1の導電性部材の第1のアレイであって、各第1の導電性部材は、近位方向に、それに接続されたそれぞれの能動音響素子のそれぞれの近位面を越えて延在する、第1の導電性部材の第1のアレイ
・熱交換器
・前記熱交換器によって支持され、前記熱交換器に熱的に接触する第2の導電性部材の第2のアレイ
第1の導電性部材の第1のアレイは、能動音響素子のアレイからの熱の伝導を介して熱交換器を熱交換器に冷却するために、第2の導電性部材の第2のアレイに接続可能である。第2の導電性部材の第1のアレイは、導電性部材の第1のアレイと導電性部材の第2のアレイとを介して熱交換器に接続可能であり、第2の導電性部材の第2のアレイは、熱交換器を通って延在し、能動音響素子のアレイを同時に冷却しながら電気駆動信号を能動音響素子のアレイに送信するための電子機器を駆動するために接続可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の機能的及び有利な態様のさらなる理解は、以下の詳細な説明及び図面を参照することによって実現され得る。実施形態は、図面を参照して、単に例として記載される。
【
図1A】導電性部材が超音波トランスデューサの能動音響素子と接触し、また、超音波トランスデューサの能動音響素子に電気駆動信号を送信し、能動音響素子から熱を除去するための近位熱交換器と接触した、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示す。
【
図1B】例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示し、熱交換器を介して接地接続もなされる例示的な構成を示す。
【
図1C】例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示し、回路基板が、能動音響素子の近位面と熱交換器との間に存在する例示的な構成を示す。
【
図1D】導電性部材が回路基板と電気的及び熱的に接触し、回路基板が熱交換器と熱的に接触する実施形態の例を示す図である。
【
図1E】導電性部材が回路基板と電気的及び熱的に接触し、回路基板が熱交換器と熱的に接触する実施形態の例を示す図である。
【
図2】超音波トランスデューサアレイ要素のアレイが、共通の熱交換器と接触する要素ごとの導電性部材を介して近位冷却される実施形態の例を概略的に示す図である。
【
図3A】例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示し、熱交換器が、導電性部材に接触する電気絶縁流体を採用して、そこから熱を除去する例示的な構成を示す。
【
図3B】二重熱交換器構成が図示されている、効率的な熱除去のために、超音波トランスデューサの能動音響素子の近位面及び遠位面上に採用される別個の流体ベースの熱交換器ループを有する、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示す。
【
図4】導電性部材が超音波トランスデューサの能動音響素子の近位面を越えて延在し、断面積が変化する、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図である。能動音響素子の近位面との接触位置における断面積が、熱交換器との接触領域内の断面積よりも小さい例示的な場合を示している。
【
図5A】複数の導電性部材が、能動音響素子の近位面を越えて延在して熱交換器と接触する、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示す。
【
図5B】複数の導電性部材が近位面を越えて延在し、熱交換器に接触する共通の近位導電セグメントに統合する、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示す。
【
図6A】超音波トランスデューサが横モード超音波トランスデューサである、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示す。
【
図6B】超音波トランスデューサが横モード超音波トランスデューサである、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示し、ここで、横モード超音波トランスデューサの複数の電極は、近位面を越えて延在し、熱交換器に接触する。
【
図7】例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示す。ここで、導電性部材は、能動音響素子の横方向表面に接触し、能動音響素子の近位面を越えて近位方向に延在して、熱交換器に接触する。
【
図8】付加的な材料によって、導電性部材と接触しない領域にわたって、導電性部材が熱交換器と接触する前に材料を通って近位方向に延在するように、能動音響素子の近位面が接触される近位冷却超音波トランスデューサ装置の一実施形態を示す。その材料は、能動音響素子の近位面で超音波エネルギをそれぞれ伝送又は反射するために、活性音響素子とのインピーダンス整合又は不整合を有するように選択されてもよい。
【
図9】超音波トランスデューサがハウジング内に受け入れられる、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示す。ハウジングが、超音波トランスデューサの活性音響素子の近位面とハウジングとの間にギャップが存在するように、超音波トランスデューサを支持する例示的な構成を示し、電気伝導部材は、ギャップを横切って延在する。
【
図10A】導電性部材が、第2セグメントに着脱自在に接続される第1セグメントを含む、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示している。超音波トランスデューサ及び導電性部材の第1の部分が、ハウジングによって支持される例示的な構成を示す。
【
図10B】導電性部材が、第2セグメントに着脱自在に接続される第1セグメントを含む、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置の断面図を示している。超音波トランスデューサ及び導電性部材の第1の部分が、ハウジングによって支持される例示的な構成を示す。
【
図11】超音波トランスデューサアレイ素子のアレイが、共通の熱交換器と接触する素子ごとの導電性部材を介して近位冷却される実施形態を図示している。各導電性部材は、第1セグメントを含み、ここで、各能動音響素子及び導電性部材の各第1の部分は、ハウジングによって支持されて、アレイモジュールを形成する。また、各導電性部材は、アレイモジュールに着脱自在に接続可能な冷却アレイを形成するために、熱交換器に接触し、熱交換器によって支持される第2セグメントを含む。
【
図12】複数のアレイモジュールが、共通の熱交換器に接触するそれぞれの冷却アレイに着脱自在に接続される実施形態の例を示す。
【
図13】近位冷却超音波トランスデューサ装置を使用して超音波治療又は撮像を実行するための例示的なシステムを概略的に示す。
【
図14A】交換器の冷却アレイ及び電気駆動信号の冷却及び送信のための回路基板に接続可能な、例示的な超音波アレイモジュールを示す。
【
図14B】交換器の冷却アレイ及び電気駆動信号の冷却及び送信のための回路基板に接続可能な、例示的な超音波アレイモジュールを示す。
【
図14C】交換器の冷却アレイ及び電気駆動信号の冷却及び送信のための回路基板に接続可能D、例示的な超音波アレイモジュールを示す。
【
図14D】交換器の冷却アレイ及び電気駆動信号の冷却及び送信のための回路基板に接続可能な、例示的な超音波アレイモジュールを示す。
【
図14E】交換器の冷却アレイ及び電気駆動信号の冷却及び送信のための回路基板に接続可能な、例示的な超音波アレイモジュールを示す。
【
図14F】交換器の冷却アレイ及び電気駆動信号の冷却及び送信のための回路基板に接続可能な、例示的な超音波アレイモジュールを示す。
【
図15】熱交換器を備えたアセンブリの前に試験のためにプリント回路基板に接続された例示的なアレイモジュールを示す図である。
【
図16】複数の超音波アレイモジュールを含む一例のマルチモジュール超音波装置を示し、ここで、各超音波アレイモジュールは、それぞれ超音波アレイ素子に接触する近位側に延在する導電性部材の専用アレイを含み、ここで、近位側に延在する導電性部材の各アレイは、共通の熱交換器に延在し、かつ接触する。
【
図17】各超音波アレイモジュールの遠位側部を冷却するように構成された遠位熱交換器を備えた例示的なマルチモジュール超音波装置を示す図である。
【
図18】例示的なマルチモジュール超音波装置の断面を示す。
【
図19】例示的なマルチモジュール超音波装置の詳細な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の様々な実施形態及び態様は、以下で論じられる詳細を参照して説明される。以下の説明及び図面は、本開示を例示するものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明される。しかしながら、場合によっては、本開示の実施形態の簡潔な議論を提供するために、周知の又は従来の詳細は説明されない。
【0023】
本明細書で使用されるように、用語「含む」及び「含む」は、包括的であり、限定的ではないと解釈されるべきである。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「備える」及び「備える」という用語、ならびにそれらの変形は、指定された特徴、ステップ、又は構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在を排除するものと解釈されるべきではない。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「例示的」は、「例、事例、又は例示として働く」ことを意味し、本明細書で開示される他の構成よりも好ましい、又は有利であると解釈されるべきではない。本明細書で使用される「約」及び「ほぼ」という用語は、特性、パラメータ、及び寸法の変動など、値の範囲の上限及び下限に存在し得る変動を包含することを意味する。特に明記しない限り、「約」及び「およそ」という用語は、±25パーセント以下を意味する。
【0025】
特に明記しない限り、任意の特定の範囲又はグループは、範囲又はグループの各メンバー及びすべてのメンバーを個別に、ならびにその中に包含され、その中の任意のサブ範囲又はサブグループに関して同様に言及する簡潔な方法であることを理解されたい。別段の指定がない限り、本開示は、サブレンジ又はサブグループのそれぞれ及びすべての特定のメンバー及び組み合わせに関するものであり、明示的に組み込まれる。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「~のオーダーで」は、量又はパラメータと共に使用される場合、記載された量又はパラメータの約10分の1~10倍に及ぶ範囲を指す。
【0027】
本発明者らは、従来の超音波トランスデューサ冷却方法の前述の限界を克服しようとした。超音波トランスデューサが冷却流体との直接接触を介して冷却され、冷却流体と超音波トランスデューサとの音響結合のためにトランスデューサ性能を妨げ得る従来のアプローチを採用する代わりに、本発明者らは、超音波トランスデューサとの不必要な又は過度の流体的又は機械的接触を回避しながら効率的な冷却を達成する導電性冷却解決策を求めた。また、本発明者らは、個々の超音波トランスデューサ及び超音波アレイ素子にも適応可能なコンパクトな解決策を求めた。
【0028】
本発明者らは、超音波変換器が、超音波変換器に電気駆動信号を送信し、また、熱伝導を介して熱抽出のための経路としても機能するように、電気伝導体を採用することによって、その音響性能に最小限の影響を与えながら、その近位側で冷却され得ることに気が付いた。このようなアプローチは、超音波トランスデューサとの機械的接触を低減又は最小化し、超音波トランスデューサとの流体接触を回避するのに有益であることが、本発明者らによって見出された。
【0029】
そのような実施形態の一例が
図1Aに示されており、
図1Aは、超音波エネルギを放出するための遠位面110と、反対側の近位面120とを有する能動音響素子100を含む超音波装置を示している。本図は、熱交換器140を介した能動音響素子100の近位冷却を概略的に示す。ここで、熱交換器140は、能動音響素子100に電気駆動信号を送る導電性部材130を介して能動音響素子100と熱的に接触している。
【0030】
図1Aに示すように、導電性部材130は、能動音響素子100に接触して、超音波エネルギの生成のために能動音響素子100に電気駆動信号を送信し、また、能動音響素子100内で生成された熱を除去するために熱交換器140に接触する。超音波トランスデューサが検出のために採用されるいくつかの実施形態では、導電性部材130は、(例えば、超音波画像の生成のための)検出された信号の検出回路への送信のためにも採用され得る。
【0031】
導電性部材130は、能動音響素子100の近位面120を越えて能動音響素子100から延び、近位面120から空間的にオフセット(近位方向)されている熱交換器140に接触する。従って、能動音響素子100内で発生した熱は、電気駆動信号が導電性部材130を介して能動音響素子100に送信される間、導電性部材130を介して熱交換器140に伝導する。
【0032】
図1Aに示される実施例では、電気駆動信号は、導電性部材130と回路基板150(例えば、フレキシブルプリント回路基板)との接触を介して、導電性部材130を介して送信される。回路基板は、駆動電子機器を含んでもよく、又は遠隔に配置された導電路駆動電子機器を提供してもよい。あるいは、導電性部材130は、その近位端又は領域において、ワイヤ、ケーブル、はんだボールのボールグリッドアレイ、又は他の電気コネクタもしくは導管と接触して、電気駆動信号の送信を容易にし得る。
【0033】
導電性部材130は、能動音響素子100への電気駆動信号の送信を容易にするのに十分な導電性を有する。熱伝導性でもある導電性部材を形成するための導電性材料の非限定的な例としては、金属、合金、ドープされた半導体、及びグラファイトや導電性ポリマーなどの非金属電気導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、導電性部材は、少なくとも105S/mの導電率及び少なくとも1W/m・Kの熱伝導率を有する物質から形成される。
【0034】
いくつかの例示的な実装では、導電性部材130は、能動音響素子100の電極(そのような電極は、
図1Aには示されていない)と接触してもよく、一方、他の例示的な実装では、導電性部材130は、それ自体、能動音響素子100の電極を形成してもよい。
図1Bは、導電性部材130が、能動音響素子の表面上に存在する電極122に接触する例示的な構成を示す。
図1Bは、近位面120上に存在する電極122に接触する導電性部材130を示すが、代替例の実装においては、導電性部材130は、表面124上に形成された電極のような、能動音響素子の横方向表面上に存在する電極と接触してもよい。
【0035】
図1Aには示されていないが、能動音響素子110の電極の接地への接続を容易にするために、別個の導電経路を採用してもよい。一例の接地接続が
図1Bに示されており、この接続は、能動音響素子100の遠位面110上に存在する接地電極112となされる。
図1Bに示す実施例では、接地電極112は、同じく熱交換器140を貫通して接触する追加の導電性部材135と電気的に連通させることができる。他の例示的な実施態様では、接地接続は、熱交換器140と接触せずに行うことができる。
【0036】
前述の実施形態は、熱交換器が回路基板と能動音響素子の近位面との間に存在するように、熱交換器の近位側に配置される回路基板(又はケーブル/コネクタ)を示し、説明しているが、代わりに、回路基板(又はケーブル/コネクタ)を能動音響素子の近位面と熱交換器との間に配置して、導電性部材が回路基板(又はケーブル/コネクタ)を貫通し、電気駆動信号を送信するために回路基板(又はケーブル/コネクタ)の導電経路に接触し、さらに近位方向に延在して熱交換器に接触するようにしてもよい。
図1Cに示されるこのような代替の例示的な実施形態によれば、回路基板150と能動音響素子100の近位面120との間に存在する導電性部材130の遠位部分を通って伝導される熱の一部は、回路基板(又はケーブル/コネクタ)の熱質量によって除去され得、熱の残りは、熱交換器140によって除去される。あるいは、回路基板が、熱も発生する能動電気部品を含む場合には、熱交換器は、能動音響素子100と回路基板150の両方によって発生する熱を除去してもよい。
【0037】
図1Cに示される実施例は、回路基板150と熱交換器140との間に存在するギャップを示すが、回路基板150は、熱交換器140と直接熱的に接触していてもよいことが理解されるであろう。例えば、
図1Dに示すように、導電性部材130は、熱交換器140に接触する前に、回路基板150を通過してもよい。このような実施例は、回路基板150が熱を発生する能動電気部品を含む場合に特に有用であり得て、この場合、熱交換器140は、回路基板150及び能動音響素子100の両方から熱を除去するために採用され得る。
【0038】
図1Eは、導電性部材130の近位端が回路基板150に接触し、その結果、導電性部材130が中間回路基板150を介して熱交換器150と間接的に熱接触する代替実施形態を示す。このような場合、能動音響素子100内で発生した熱は、回路基板150を通して伝導され、続いて熱交換器140によって抽出される。本明細書に例示される様々な実施形態では、導電性部材130は、能動音響素子100の近位面120の少なくとも一部が導電性部材130と接触しないように、能動音響素子100と接触する。近位面と導電性部材130とのこのような制限された接触又は接触の欠如は、それぞれ、能動音響素子100内で生成された後方に伝播する超音波からの反射超音波の生成を低減又は回避し、また、導電性部材130の存在によって引き起こされる電気駆動信号に対する能動音響素子100の機械的応答の摂動を低減する。
【0039】
図1Aには示されていないが、超音波トランスデューサは、能動音響素子100に加えて、1つ又は複数のインピーダンス整合層、音響レンズ、防水及び/又は電気絶縁遠位膜、1つ又は複数の電極、及び裏打ち層などの1つ又は複数の層を含むことができるが、これらに限定されない。
【0040】
図1Aに示す例示的な実施形態では、導電性部材130の遠位端は、能動音響素子100の近位面120の小領域にのみ接触し、その結果、近位面120の表面積のかなりの部分は、導電性部材130と接触しない。このような例示的な実施形態によれば、導電性部材130の遠位端は、近位面120の全表面積の一部である能動音響素子100の近位面120の小領域に接触することができ、この部分は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、2%未満、又は1%未満とすることができる。いくつかの実施態様において、導電性部材の遠位端は、1mm
2未満、0.5mm
2未満、0.2mm
2未満、0.01mm
2未満、0.05mm
2未満、0.02mm未満、又は0.01mm
2未満の面積を有する。
【0041】
能動音響素子から熱を除去する導電性部材130の能力は、限定されるものではないが、導電性部材の熱伝導率、能動音響素子100の導電性部材と近位面120との間の接触領域、導電性部材と熱交換器140との間の接触領域、及び熱交換器の熱特性などの、多数の要因に依存することが理解されるであろう。これらのパラメータは、所与の用途に適した値を特定するために(例えば、十分な量の熱抽出を達成するために、又は能動音響素子100の所定の動作温度を達成するために)、当業者によって変更され得る。
【0042】
本明細書に開示されるいくつかの例示的な実施形態では、導電性部材130との接触がない近位面120の領域の少なくとも一部もまた、液体又は固体との接触がない。このような構成は、接触していない表面の領域内での超音波エネルギの反射を容易にし、これは、出力音響出力を増加させ、治療用超音波処置のような用途における改善を提供し得る。このような実施形態は、
図1Aに示されており、この場合、ギャップ125は、能動音響素子100の近位面120と熱交換器140との間に存在し、ギャップは、導電性部材130の一部によって拡張されている。いくつかの例示的な実施形態では、空気などの気体、又は空気以外の気体が、ギャップ内に存在してもよく、又はギャップは、真空又は大気圧未満の気体(例えば、空気)であってもよい。ガスは、ギャップにまたがる導電性部材の部分から、及び熱交換器の上面から(例えば、強制流体冷却)熱を除去するために、ギャップを横切って能動的に流動されてもよい。
【0043】
ギャップ125は、近位面120において硬い音響反射を確立するのに十分な大きさしか必要としない。適切なギャップサイズは、例えば、異なるギャップサイズを有する一連のトランスデューサ装置を構築又は模擬し、十分に大きな反射(又は超音波トランスデューサからの十分に大きな音響出力パワー)を容易にする最小ギャップサイズを決定することによって、実験的に決定され得る。1つの例示的な実施形態では、ギャップは少なくとも1mmである。
【0044】
熱交換器140と回路基板150との間には更なるギャップ145も示されているが、他の実施例では、熱交換器140が回路基板150と直接接触してもよいことが理解されるであろう。
【0045】
図1A及び
図1Bは、単一の超音波トランスデューサ(単一の能動音響素子100を示す)を含む実施形態の例を示すが、近位冷却トランスデューサ装置は、複数の能動音響素子を含んでもよい。複数の能動音響素子は、能動音響素子のフェーズドアレイのような超音波アレイに配置されてもよい。そのような実施形態の一例が
図2に示されており、この図は、アレイ状に配置された複数の能動音響素子100A~100Cを示しており、各能動音響素子は、共通の熱交換器140と接触する素子毎の導電性部材130A~130Cを介して近位冷却されている。本図は、素子ごとの導電性部材130A~130Cが、共通の熱交換器を越えて近位に延在して、共通の回路基板150(又は共通のコネクタ/ケーブル)に接触する例示的な実装形態を示すが、代替の実装形態では、導電性部材130A~130Cは、別個のワイヤ、ケーブル、又はコネクタに接触することができる。能動音響素子は、それらの動作波長の半分以下の中心間間隔で配置されてもよい。
【0046】
本図は、超音波トランスデューサの線形アレイを含む例示的な場合を示すが、アレイは、代替的に、2次元アレイ(平面2次元超音波トランスデューサアレイ又は湾曲2次元超音波トランスデューサアレイなど)であってもよいことが理解されよう。
図2から分かるように、それぞれの能動音響素子100A~100Cから、近位方向のそれぞれの近位面を越えて延びて共通の熱交換器140と接触する素子ごとの導電性部材130A~130Cを採用する本実施形態は、能動音響素子との不必要な機械的接触を回避しつつ、能動音響素子100A~100Cの伝導冷却のためのコンパクトな構成を可能にし、従って、素子の機械的負荷及び関連する摂動を、素子の機械的応答に低減する。
【0047】
熱交換器140は、導電性部材から熱を除去し、その熱を流体に伝送することができる任意の装置であってもよいことが理解されよう。熱交換器の一例は、空気のような流体又はヒートシンクに対して流れる冷却剤と熱的に連通しているヒートシンクである。このような場合、導電性部材によって接触されるヒートシンクの領域は、熱伝導を許容しながら、電気的に絶縁(電流の流れを阻止)してもよい。熱交換器は、熱電冷却器のような能動冷却装置を含むことができる。
【0048】
図3Aは、熱交換器ハウジング145の入口141を通して導入される電気的に絶縁性(なお熱伝導性)の流体が、導電性部材130から熱を除去するために導電性部材130と熱的に接触する熱交換器の一実施形態を示す。電気絶縁流体は、熱交換器ハウジング145内の出口142を通って流れ、熱を除去する。出口142を通って流れた後、電気絶縁流体は、外部冷却され(例えば、別の流体に熱を伝送する外部熱交換器を介して、又は放散及び/又は遠隔流体リザーバとの接触を介して)、ポンプ(図示せず)によって再循環される。いくつかの実施形態では、電気絶縁流体の温度は、外部から制御されてもよい(例えば、直接冷却又は温度センサからのフィードバックを伴う外部熱交換器を介して)。導電性部材130は、熱交換器ハウジング145と導電性部材130との間の界面の周りの漏れを防止するために、熱交換器ハウジングから出入りする際に、Oリングと接触してもよい。あるいは、このような界面は、エポキシなどの接着剤で封止されてもよい。
【0049】
電気絶縁性流体の例には、空気又は他の気体及び非導電性液体が含まれる。電気絶縁性液体の非限定的な例としては、油、脱イオン水、又は3MのNovecシリーズなどの特別に設計された伝熱流体が挙げられる。例では、電気絶縁性液体を採用する熱交換器において、導電性部材は、熱交換器ハウジング内の電気絶縁性流体と直接に電気的及び熱的に接触することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、付加的な能動的強制流動流体熱交換器160は、
図3Bに示されるように、能動音響素子100の遠位側の超音波変換器と接触してもよい。この付加的な熱交換器内を流れる流体は、遠位熱交換器160が超音波素子のいかなる導電性部分にも接触する必要がないので、近位熱交換器140内を流れる流体とは異なっていてもよい。代わりに、単に超音波変換器の遠位面(例えば、能動音響素子100の遠位面又は屈折率整合層又は音響レンズの遠位面)に熱的に接触してもよい。この遠位流体はまた、能動音響素子100と標的領域との間の音響結合媒体として使用されてもよい。
【0051】
先の図に示された実施形態例は、導電性部材が、その長さに沿って一定の断面直径を有する例を示すが、導電性部材は、変化する直径及び/又は形状(例えば、その細長い方向に沿って)を有してもよいことが理解されよう。
図4は、導電性部材が断面直径で変化する実施形態の例を示しており、導電性部材が、異なる断面直径を有する第1の細長い部分131及び第2の細長い部分132を含む例を示している。特に、本図は、能動音響素子の近位面との接触位置における導電性部材の断面直径が、熱交換器と接触する領域内の断面直径よりも小さい実施形態の例を示す。このような実施形態は、熱交換器の近傍における熱伝導のためのより大きな表面積を提供しながら、能動音響素子130の導電性部材と近位面120との間の接触面積を減少させることにおいて有益であり得る。別の実施形態では、能動音響素子の近位面との接触位置における導電性部材の断面直径は、熱交換器と接触する領域内の断面直径よりも大きくてもよい。別の例示的な実施形態では、能動音響素子の近位面との接触位置における導電性部材の断面直径は、熱交換器と接触する領域内の断面直径より小さくてもよい。
【0052】
いくつかの例示的な実施形態では、導電性部材の第1及び第2の部分は、異なる材料から形成されてもよい。例えば、より小さい断面積を有する導電性部材の遠位部分131は、近位部分132の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料から形成され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、2つ以上の導電性部材が、能動音響素子と接触してもよい。この実施形態は、
図5Aに示されており、この図は、2つの導電性部材130及び130’が、能動音響素子の近位面を越えて延在して熱交換器と接触する、例示的な近位冷却超音波トランスデューサ装置を示す。そのような実施形態は、能動音響素子100の異なる空間領域から熱を抽出することを可能にする際に有益であり得る。2つの導電性部材130及び130’は、能動音響素子130の共通電極に並列に接続されてもよく、又は、信号電極及び接地電極などの異なる電極と接触してもよい。例えば、ある場合には、信号電極及び接地電極は、能動音響素子100の近位面120上の異なる空間領域に配置されてもよい。
図5Bは、複数の導電性部材(131及び131’)が、近位面120を越えて延在し、熱交換器140に接触する共通の近位導電セグメント132に統合する代替実施形態を示す。
【0054】
更に、導電性部材(又は複数の部材)は、多種多様の可能な形状をとることができることが理解されるであろう。いくつかの実施態様において、導電性部材の少なくとも一部(例えば、熱交換器と接触する導電性部材の一部)は、円筒形状(例えば、ピン)を有する。他の実施形態では、導電性部材の少なくとも一部(例えば、熱交換器に接触する導電性部材の一部)は、箔又はフィンなどの平面表面を有する。他の実施形態では、導電性部材の少なくとも一部(例えば、熱交換器に接触する導電性部材の一部)から横方向に延びる1つ又は複数の横方向部材(例えば、フィン)である。いくつかの実施形態では、熱交換器に接触する導電性部材の部分は、熱交換器との接触のその長さに沿って変化する断面直径を有してもよい。導電性部材のこの部分の断面積は、その長さに沿って変化し、その遠位端における導電性部材の断面積よりも大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態では、熱交換器に接触する導電性部材の部分は、熱伝送を高めるために、凹凸、非対称、粗面及び/又は延長部若しくは他の構造、形状、又は表面パターン若しくは微細構造を有していてもよい。超音波トランスデューサ装置の能動音響素子は、電気信号を音響振動に変換することができる任意の適切な素子であってもよいことが理解されよう。適切な例示的な能動音響素子は、チタン酸ジルコン酸鉛又はニオブ酸リチウムのような圧電材料、又はCMUTのようなキャパシタンス駆動構造を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、能動音響素子は、圧電層の積層体から形成された横モード圧電トランスデューサであってもよく、隣接する層は、対向するポーリング方向を有する。このようなアプローチは、電気的整合回路の必要性を回避するのに有益であり得る。このような横モード能動音響素子の一例が
図6Aに示されており、これは、水平方向205に沿って積層された複数の圧電層200を含む圧電スタックを示す。圧電スタックは、圧電スタックのそれぞれの外側側面上に形成された一対の外側電極210と、一組の内部電極とを含む複数の電極を含み、各内部電極は、圧電スタックの隣接する圧電層間に存在する。また、圧電スタックは、複数の電極の第1のサブセットと電気的に連通する第1の共通電極215と、複数の電極の第2のサブセットと電気的に連通する第2の共通電極220とを含む。図から分かるように、第1の電極サブセット及び第2の電極サブセットは、第1の共通電極215と第2の共通電極220との間に駆動信号が印加されると、駆動信号が圧電スタックの隣接する圧電層間で対向する方向に印加されるように選択される。さらに、駆動信号が、圧電スタックの横モード結合共振に関連した周波数で印加されると、横モード結合により、圧電スタックは、水平方向205に垂直な第2の方向(遠位-近位垂直方向225)に沿って機械的に応答し、それにより、垂直方向に沿って超音波放射を生成する。
【0056】
図6Aに示されるように、電極(第2及び第4の電極)の第2のサブセットの各内部電極は、遠位面の近位側に存在し、遠位面から近位方向に延在するそれぞれの電気絶縁チャネル232によって、第1の共通電極215から電気的に絶縁され、電極(図中の単一の中央電極)の第1のサブセットの各内部電極は、近位面の近位側に存在し、近位面から遠位方向に延在するそれぞれの電気絶縁チャネル234によって、第2の共通電極220から電気的に絶縁される。
【0057】
いくつかの実施形態では、横モード能動音響素子の電極のうちの1つ以上は、導電性箔から形成されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、横モード超音波トランスデューサの1つ以上の電極は、熱交換器に接触するように、能動音響素子の近位面を越えて延在してもよく、その結果、1つ以上の電極は、電気駆動信号を提供するためと、熱伝導熱除去の両方のために採用される。そのような実施形態の一例は、
図6Bに示されており、ここでは、例示の横モード能動音響素子の2つの電極138及び139は、ギャップを横切って近位側に延在して、熱交換器140と接触し、また、電気駆動信号の送信のために回路基板150(又はコネクタ/ケーブル)と接触する。
【0058】
一実施例では、横モード能動音響素子の少なくとも内部電極は、複数の圧電層200を接合するために使用される導電性接着剤(例えば、導電性エポキシ)を介して形成されてもよい。電気絶縁チャネル(例えば、
図6Aのチャネル232及び234)は、内部電極の初期部分に沿って隣接する薄いトレンチをダイシングし、これによりそれを除去し、次いで、電気絶縁接着剤でトレンチを充填することによって、所与の表面(例えば、近位又は遠位)内に形成されてもよい。次いで、所与の表面に関連する共通電極を、充填されたトレンチの上に形成して、適切な同様の電極を接続してもよい。横モード能動音響素子を製造するこの例示的な方法は、信号電極用の導電性接着層が接地電極(例えば、偶数の層を有する素子の場合、素子の左側及び右側)に接触しないことを保証する。さらに、の米国特許第9,327,317号(発明の名称「超音波トランスデューサ、及びその製造方法」)に開示されている方法とは異なり、本実施例の方法は、2次元アレイに容易に組み立てることができる素子の製造を可能にする。
【0059】
従来のトランスデューサ製造方法は、モノリシック構成素子として一緒に残存しトランスデューサアレイを形成するであろうトランスデューサ材料の大きなピースの加工を含み、素子をコンポーネントに画定するために実行される様々なプロセスを伴う。この従来の方法はトップダウンアプローチであり、そこでは、より小さな特徴が大きな部分に画定される。そのような方法とは対照的に、多層横モード能動音響素子は、代わりに、材料の大きなピースを加工して複数の個々の素子を画定するように形成されてもよい(そのような方法は、一度に約300の素子を生成することができることが分かっている)。例えば、個々の音響活性プレート(例えば、約40mm×40mmのサイズを有する、
図6Aの圧電層200)を導電性エポキシと一緒に接着して、大きな多層プレート(積層体)を形成してもよい。次いで、このプレートは、より小さな素子(例えば、約1.3mm×3.2mmのサイズ)に加工され得る。素子の第3の寸法は、板の積層体の厚さ(板厚、エポキシの厚さ、及び板の数)に依存する。
【0060】
このアプローチは、個々の部品として任意のアレイ形状に組み立てることができる個々の緩い素子を生成する。このボトムアップ・アプローチは、より大きなパーツ・アレイを構築するために、個々の小片を使用する。ボトムアップアセンブリアプローチは、これらのタイプの素子に限定されない。本発明は、個々の構成要素として試験し、操作し、組み立てることができる任意のトランスデューサ素子に適用される。例えば、厚さモード素子、非層状素子、又はチューブ形状素子を、このアセンブリ技術と共に使用することができる。
【0061】
導電性部材と能動音響素子の近位面との接触を伴う先行例の実施形態の多くは、導電性部材が能動音響素子の横方向表面と接触する他の実施形態が提供されてもよいことが理解されよう。一実施形態は、
図7に示されており、ここでは、導電性部材は、能動音響素子の横方向表面に接触し、能動音響素子の近位面を越えて近位方向に延在して、熱交換器140に接触する。図に示される実施形態では、導電性部材は、遠位セグメント131及び近位セグメント132を含み、ここで、遠位セグメント131は、能動音響素子の横方向表面に接触し、近位セグメント132は、遠位セグメント131から延びて、熱交換器140に接触する。図に示される例示的な実施形態では、少なくとも遠位セグメント131(及び任意選択で近位セグメント)は、平面を有する。能動音響素子100の近位面との導電性部材の接触を伴う前述し図示した実施形態のいくつかとは異なり、本実施形態例は、近位面が導電性部材と接触しないという点で有利であり得、これは、超音波トランスデューサの出力電力及び機械的応答を増大させる際に有益であり得る。
【0062】
前述の例示的な実施形態は、導電性部材と接触しない近位面の部分が、別の液体又は固体材料又は媒体と接触しない例示的な構成を示しているが、場合によっては、近位面が別の材料と接触することが有益であり得る。そのような実施形態の一例は、
図8に示されており、ここで、材料180は、能動音響素子100の近位面120に接触するように示され、ここで、導電性部材130は、熱交換器140に接触する前に、近位面120から材料180を通って延在するように示されている。本図は、材料の近位面182の間にギャップ126が存在する実施例を示すが、ギャップは存在しなくてもよく、その結果、材料の近位面182は、熱交換器140に直接接触し、任意選択で、導電性部材130を介して除去される熱に加えて、材料180を介した追加の熱除去を容易にすることが理解されよう。
【0063】
例えば、能動音響素子内で生成された後方伝播超音波エネルギが近位面で反射されることが望ましい場合(例えば、遠位面からの音響出力パワーを増加させるため)、近位面は、能動音響素子の音響インピーダンスと不整合である音響インピーダンスを有する材料と接触されてもよい。例えば、材料の音響インピーダンスは、後方伝播超音波エネルギの少なくとも50%、好ましくは90%以上又は99%が近位面で反射されるように選択することができる。音響反射を強化するための適切な材料の例は、空気又は他のガス、又は同調された厚さの多層整合構造を含む。
【0064】
例えば、超音波装置が撮像用途に採用される場合、能動音響素子内で生成される逆方向伝搬超音波エネルギの近位面での反射を防止又は少なくとも部分的に抑制することが望ましい場合がある。これは、例えば、近位面での反射を防止又は低減するように選択された音響インピーダンスを有する音響減衰材料と近位面を接触させることによって達成され得る。例えば、材料の音響インピーダンスは、後方伝播超音波エネルギの50%未満、好ましくは10%未満が近位面で反射されるように選択されてもよい。この材料はまた、高い音響減衰を有し得る。画像形成用途のための適切な裏打ち材料の例としては、シリコーン又はエポキシが挙げられ、これらには、場合によっては粉末が充填されている。
【0065】
いくつかの例示的な実施形態では、能動音響素子は、ハウジングによって支持されてもよい。例示的な実施形態が
図9に示されており、そこでは、能動音響素子100が収容され、ハウジング115内に支持されている。図に図示されるように、ハウジング115は、能動音響素子100を支持することができ、また、任意に、ギャップ190が能動音響素子の近位面とハウジングとの間に存在し、導電性部材がギャップを横切って延在するように、導電性部材で支持することができる。
【0066】
図9は、導電性部材が第1セグメント131及び第2セグメント132を含む例示的な実施形態を示す。第1セグメント131は、第1セグメント131の遠位端又は領域が能動音響素子100に接触するように、ハウジング180によって支持されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、第2セグメント132は、熱交換器140によって支持されてもよい。このような場合、第2セグメント132の遠位端は、第1セグメント131の近位端部に取り外し可能に接続可能であり、それによって、能動音響素子100を製造し、ハウジング115に組み込み、第1セグメントと接触させることができ、熱交換器140との組み立て前に任意に試験することができるモジュラー設計を容易にすることができる。この実施形態の一例は、
図10A及び10Bに示されており、ここで、導電性部材は、第2セグメント132に着脱自在に接続される第1セグメント131を含む。一実施例では、ハウジング115及び熱交換器の一方又は両方が、第1セグメント131と第2セグメント132との間の接続を容易にするソケットを支持することができる。
図10A及び
図10Bは、ハウジングが、第1セグメント131に電気的に接続され、又はこれと共にモノリシックに形成され、かつ第2セグメント132の遠位端を受け入れるように構成されたソケット133を支持する一例の構成を示す。
図10(A)は接続状態を示し、
図10(b)は切断状態を示す。
【0067】
図11は、能動音響素子100A~100Cのアレイが、共通の熱交換器140と接触する各素子毎の導電性部材を介して近位冷却される実施形態の例を示す。
図10A及び10Bに示される例示的実施形態におけるように、各導電性部材は、共通ハウジング115によって支持されるソケット133A~133Cに接触する第1セグメント131A~131Cを含む。ハウジング115、第1の導電性セグメント131A~131C、及びソケット133A~133Cは、超音波アレイモジュール300を形成する。熱交換器140は、第2の導電性セグメント132A~132Cのアレイが、アレイモジュールに着脱自在に接続可能な冷却アレイを形成するように、第2の導電性セグメント132A~132Cのアレイを支持する。
【0068】
回路基板150は、コネクタ又はケーブルで置き換えられてもよく、又は電気駆動信号を能動音響素子100A~100Cに送信するための電気トレースからなるフレキシブルプリント回路基板であってもよく、電気トレースは、共通の接地トレースによって分離及び遮蔽されてもよい。電気配線は、プリント回路基板150の複数の層上に存在してもよい。プリント回路基板150の一端は、導電性部材の位置に適合するコネクタを含んでもよい。フレックスケーブルの他端は、駆動電子機器に接続されるか、又は接続可能である。
【0069】
いくつかの例示的な実施形態では、複数のアレイモジュール300は、各アレイモジュールが、一緒になって超音波アレイを形成する能動音響素子のサブアレイを画定するように配置されてもよい。このような実施形態の一例が
図12に示されており、アレイモジュール300A~300Fが共通フレーム315によって配置され支持されている。本図に示されるように、各アレイモジュールの各能動音響素子の近位面から延在する第1の導電性素子は、共通の熱交換器140に接触する第2の導電性素子のアレイによって画定されるそれぞれの冷却アレイ(アレイモジュール300Aと着脱自在に接続するように構成された1つの当該アレイが310Aに示される)に着脱自在に接続可能である。アレイモジュールは、それらの対応する導電性部材を介して共通の回路基板に接続されてもよいが、
図12は、各アレイモジュール300A~300Fがモジュールごとの回路基板150(又はモジュールごとのコネクタ又はケーブル)に接続される実施例を示す。各アレイごとのモジュール回路基板150は、それぞれのアレイごとのモジュール駆動電子機器を支持するか、又はそれに接続されるか、又は接続可能であってもよい。以下により詳細に説明するように、このような実施例は、各アレイモジュールに対応する駆動電子機器のための別個の遠隔冷却アセンブリの使用を容易にする。
【0070】
図13は、診断及び/又は治療用超音波処置を実行するための例示的なシステムを示すブロック図である。制御及び処理回路400は、超音波エネルギを生成及び放出するために超音波トランスデューサアレイ350に電気信号を送信する、トランスデューサドライバ電子機器/回路500を介して、超音波トランスデューサアレイ350に動作可能に接続される。超音波トランスデューサアレイは、本明細書に記載される例示的実施形態に従って近位冷却され、例示的システムは、電気絶縁流体を再循環させる外部トランスデューサ冷却システムに接続された交換器の使用を図示している。ここで、電気絶縁流体は、超音波アレイの能動音響素子から延在する導電性部材を介して接触される熱交換器を通って流れる。トランスデューサ冷却システム530は、ポンプ、任意選択の温度センサ、流体リザーバ、及び/又は冷却デバイス(例えば、熱電冷却器又はヒートシンク)を含むことができ、制御及び処理回路400に動作可能に接続され、制御され得る。
【0071】
トランスデューサドライバ電子機器/回路500は、例えば、限定されるものではないが、Tx/Rxスイッチ、送信及び/又は受信ビーム形成器を含んでもよい。例えば、送信/受信スイッチが含まれ、超音波トランスデューサアレイ350によって検出された反射超音波エネルギ信号を受信するようにしてもよい。トランスデューサドライバ電子回路は、制御及び処理回路400に動作可能に接続され、かつそれによって制御され得る電子機器冷却システム(例えば、強制流体流熱交換器又は熱電冷却器などの能動熱交換器)を介して冷却されてもよい。
【0072】
超音波トランスデューサアレイ350が複数のアレイモジュール(上述したものなど)を含む実施形態では、各アレイモジュールは、個別の及び専用の駆動電子機器とインターフェース接続されてもよく、個別の及び専用の駆動電子機器のそれぞれは、それぞれの電子機器冷却システム(例えば、専用の熱電冷却器及びヒートシンク)を有してもよい。例えば、各アレイモジュールは、複数(例えば、64)のチャネルを有する1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)に動作可能に接続されてもよく、各チャネルは、独立した出力を生成することができる。ASICは、それぞれのASIC出力の増幅のために、フレキシブルプリント回路基板を介して増幅器に接続されてもよい。ASIC及び増幅器は、ヒートシンクに取り付けられ、強制空気循環又は冷却された液体によって冷却されてもよい。複数のASICは、バックプレーンを介して、共通のアレイ毎モジュールコントローラに接続されてもよく、複数のアレイ毎モジュールコントローラは、共通のクロックによって同期されるように、制御及び処理回路400に(例えば、ネットワークを介して)接続されてもよい。一実施形態では、駆動電子機器の少なくとも一部は、ファラデーケージ(例えば、超音波アレイを含む超音波処置中に採用される磁気共鳴走査装置の動作帯域幅を超える高域遮断周波数を有するファラデーケージ)内に収容されてもよい。
【0073】
制御及び処理回路400は、1つ以上のプロセッサ410(例えば、CPU/マイクロプロセッサ)、バス405、メモリ415(ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読み出し専用メモリ(ROM)を含む)、データ取得インターフェース420、ディスプレイ425、外部記憶装置430、1つ以上の通信インターフェース435、電源440、及び1つ以上の入力/出力デバイス及び/又はインターフェース445(例えば、スピーカ、キーボード、キーパッド、マウス、位置追跡スタイラス、位置追跡プローブ、フットスイッチ、及び/又は音声コマンドを取り込むためのマイクロホンなど)を含み得る。
【0074】
制御及び処理回路400は、プログラム、サブルーチン、アプリケーション、又はモジュール450でプログラムすることができ、これらは、1つ又は複数のプロセッサ410によって実行されると、システムに本開示で説明する1つ又は複数の方法を実行させる実行可能命令を含む。そのような命令は、例えば、メモリ415及び/又は他の記憶装置に記憶されてもよい。
【0075】
図示の実施形態の例では、トランスデューサ制御モジュール455は、超音波トランスデューサアレイ350のトランスデューサを制御して、対象の位置又は領域にエネルギを送信するための実行可能な命令を含む。いくつかの例示的な実装形態では、標的位置への超音波エネルギの送信は、ボリュメトリック画像データ490とトランスデューサ位置及び向きと登録に基づくことができる。例えば、超音波アレイ350は、複数のフェーズドアレイトランスデューサを支持することができ、トランスデューサ制御モジュール455は、ボリュメトリック画像データ490に対するフェーズドアレイトランスデューサの既知の位置及び向きに基づいて、1つ又は複数の集束エネルギービームを関心領域に送出するために適用されるビームフォーミング(送信及び/又は受信)を制御することができる。関心領域は、(例えば、制御及び処理回路400によって制御されるユーザインターフェースを介して)ユーザによって手術中に、又は事前に確立された手術計画に従って指定されてもよい。
【0076】
例示的なシステムでは、登録モジュール470が、任意選択で、トラッキングシステム510に関連付けられた術中基準フレームにボリュメトリック画像データ490を登録するために使用されてもよい。超音波トランスデューサアレイの位置に関連するボリュメトリック画像データ490及び登録データは、外部データベースに記憶されてもよいし、制御及び処理回路400のメモリ415又は記憶装置430に記憶されてもよい。
【0077】
任意選択の画像処理モジュール475は、超音波トランスデューサアレイによって検出された超音波信号を処理することによって(例えば、受信超音波信号のセットに対して受信ビーム成形を行うことによって)超音波画像を生成するために採用されてもよい。任意選択のナビゲーションユーザインターフェースモジュール480は、画像誘導手順のための空間的に登録されたボリュメトリック画像を示すユーザインターフェースを表示するための実行可能命令を含む。
【0078】
トラッキングシステム510は、任意選択で、患者10に取り付けられた1つ又は複数の基準マーカ560、及び任意選択で、基準マーカが取り付けられた1つ又は複数の医療器具又はデバイスの検出を介して、患者の位置及び向きを追跡するために使用することができる。例えば、基準マーカから放射される受動信号又は能動信号は、2つの追跡カメラを採用したステレオグラフィトラッキングシステムによって検出することができる。
【0079】
図に示されるように、例示のシステムは、磁気共鳴イメージングスキャナ520と共に使用するように構成されてもよい。例えば、超音波アレイ350は、磁気共鳴画像形成互換性材料から製造されてもよく、駆動信号を超音波トランスデューサアレイに送信する電気回路基板及び/又はケーブルは、電気的にシールドされてもよい。
【0080】
いくつかの例示的な実施形態では、手術中のボリュメトリックデータは、磁気共鳴イメージングスキャナを介して取得されてもよく、超音波トランスデューサアレイ350と磁気共鳴イメージングスキャナ520との間の既知の空間的関係(登録)は、治療的集束超音波処置中に、所望の標的位置での治療的超音波エネルギのフォーカシングの手術中制御を容易にするために使用されてもよい。標的位置は、手術中の磁気共鳴画像と手術計画に関連する手術前のボリュメトリックとの間で画像登録を任意に実行することによって、手術中の画像に基づいて決定されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、手術中に取得された磁気共鳴画像は、手術中に登録され、超音波アレイ350を介して取得された手術中に取得された超音波画像と共に表示されて、複数の画像モダリティによる治療的フォーカス超音波処置の手術中監視を容易にすることができる。
【0081】
各構成要素のうちの1つのみが
図13に示されているが、各構成要素のうちの任意の数を制御回路及び処理回路400に含めることができる。例えば、コンピュータは、典型的には、多数の異なるデータ記憶媒体を含む。さらに、バス405は、構成要素のすべての間の単一の接続として示されているが、バス405は、構成要素のうちの2つ以上をリンクする1つ以上の回路、デバイス、又は通信チャネルを表してもよいことが理解されるであろう。例えば、パーソナルコンピュータでは、バス405はしばしばマザーボードを含むか、又はマザーボードである。制御及び処理回路400は、図示されたものよりも多くの又は少ない構成要素を含むことができる。
【0082】
制御及び処理回路400は、1つ以上の通信チャネル又はインターフェースを介してプロセッサ410に結合される1つ以上の物理デバイスとして実装されてもよい。例えば、制御及び処理回路400は、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実装することができる。あるいは、制御及び処理回路400は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実装することができ、ソフトウェアは、メモリから、又はネットワーク接続を介してプロセッサにロードされる。
【0083】
本開示のいくつかの態様は、少なくとも部分的に、コンピューティングシステム上で実行されると、コンピューティングシステムを、本明細書で開示される方法を実行することができる専用コンピューティングシステムに変換するソフトウェアで実施することができる。すなわち、この技術は、マイクロプロセッサなどのそのプロセッサに応答して、ROM、揮発性RAM、不揮発性メモリ、キャッシュ、磁気及び光ディスク、又は遠隔記憶装置などのメモリに含まれる命令のシーケンスを実行する、コンピュータシステム又は他のデータ処理システムで実行することができる。さらに、命令は、コンパイルされリンクされたバージョンの形態で、データネットワークを介して計算装置にダウンロードすることができる。あるいは、上記のようなプロセスを実行するロジックは、大規模集積回路、特定用途向け集積回路、又は電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ及びフィールドプログラマブルゲートアレイのようなファームウェアのような、ディスクリートハードウェア構成要素のような、追加のコンピュータ及び/又は機械可読媒体に実装することができる。
【0084】
コンピュータ可読媒体は、データ処理システムによって実行されると、システムに様々な方法を実行させるソフトウェア及びデータを記憶するために使用することができる。実行可能なソフトウェア及びデータは、例えばROM、揮発性RAM、不揮発性メモリ及び/又はキャッシュを含む様々な場所に記憶することができる。このソフトウェア及び/又はデータの一部は、これらのストレージデバイスのいずれかに保存することができる。一般に、機械可読媒体は、機械(たとえば、コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯情報端末、製造ツール、1つ又は複数のプロセッサのセットを有する任意のデバイスなど)によってアクセス可能な形態で情報を提供する(すなわち、格納及び/又は送信する)任意の機構を含む。
【0085】
コンピュータ可読媒体の例としては、揮発性及び不揮発性メモリデバイス、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリデバイス、フロッピー及び他のリムーバブルディスク、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体(例えばコンパクトディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)等)等の記録可能及び記録不能型媒体が挙げられるが、これらに限定されない。命令は、搬送波、赤外線信号、デジタル信号などのような、電気的、光学的、音響的、又は他の形態の伝播信号のためのデジタル及びアナログ通信リンクにおいて具現化され得る。本明細書で使用されるように、「コンピュータ可読材料」及び「コンピュータ可読記憶媒体」という語句は、一時的な伝搬信号自体を除いて、すべてのコンピュータ可読媒体を指す。
【0086】
[実施例]
以下の実施例は、当業者が本開示の実施形態を理解し、実施することを可能にするために提示される。それらは、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、単にその例示及び代表であると見なされるべきである。
【0087】
本実施例は、複数の超音波アレイモジュールを組み込む超音波システムの非限定的な実施形態を通して、本開示の種々の態様を図示するために提供される。各アレイモジュールは、能動音響素子のサブアレイを画定し、ここで、アレイモジュールは、
図12を参照して前述したように、共通の熱交換器を介して近位冷却される超音波アレイを形成するように組み立てられる。
【0088】
より大きな超音波アレイシステムを組み立てる際に使用するための一例の超音波アレイモジュール300が、
図14Aに示されている。実施例のアレイモジュール300は、2次元サブアレイ内の複数の能動音響素子100を支持するアレイモジュールハウジングを含む。実施例のモジュールハウジングは、2つの構成要素、すなわち、2次元サブアレイを形成する間隔を置いた構成で能動音響素子100を支持するための電気絶縁グリッドフレーム600と、グリッドフレーム600の下側に形成され、グリッドフレーム600内に窪んだ開口部内に受け入れられる電気絶縁インサート610とを含む。挿入体610は、
図14Cにより詳細に示すように、導電性部材の第1セグメント131のアレイを支持する。
図14Bは、能動音響素子の挿入前のグリッドフレーム600を示し、挿入体610によって支持される導電性部材の第1セグメント131のアレイを示す。
【0089】
図14D及び
図14Eは、アレイモジュールの断面図を示す。図から分かるように、導電性部材の第1セグメント131は、各第1セグメント131がそれぞれの能動音響素子100の近位面に接触し、第1セグメントが熱伝導を介して能動音響素子100から熱も除去しながら能動音響素子100に電気駆動信号を供給することができるように、差込部610によって支持される。
図14Dにも示されるように、挿入体610は、導電性部材の第2セグメントの遠位端部分を受け入れるために、導電性部材のそれぞれの第1セグメントと電気的に接触するソケット133も支持する。
【0090】
デバイスの遠位端において、接地接続は、能動音響素子間に存在し、各素子の接地電極に(例えば、導電性エポキシなどの導電性接着剤で)接触し、それによって共通の接地接続を形成する、薄い金属ワイヤ又は箔によって提供されてもよい。1つの例示的な実施形態では、共通接地接続は、能動音響素子の列の間に存在する箔によって実施することができる。他の非限定的な例示的な実施形態は、(i)導電性フィルムを能動音響素子の遠位面と接触させること(防水としても機能し得る)、素子間のばね接点のアレイを使用すること、又は信号電極及び接地電極が能動音響素子の近位面の異なる領域に存在するように各能動音響素子を製造すること、ならびに接地電極と接触し、近位面から延在する第2の導電性ピンを含むことを含む。
【0091】
図14A及び
図14Bは、能動音響素子100の間の接地線を支持及び配線するための、グリッドハウジング600内のスロット640を示すが、接地線は、図には示されていない。
【0092】
図14Fは、例示的なアレイモジュールの上面図を示す写真であり、接地線の接続及び接地線の熱交換器を通過するための近位方向への引き回しを示す。ワイヤ630は、能動音響素子100の各列の間を水平に走る。各ワイヤ630は、少量の導電性エポキシによって、ワイヤに隣接する能動音響素子の外部接地電極に接続される(ただし、前述のように、スプリング接続などの代替構成が可能である)。ワイヤ630は、グリッドハウジングの側部のスロット640を通ってグリッドハウジング600から出る(これらのスロットは、例えば、
図14Aにおいて見える)。ワイヤ630は、グリッドの縁(写真では垂直)に沿って延び、単一のワイヤグループ化(写真ではモジュールの底部、650で示される)に束ねられる。このアース線束は、以下にさらに詳述するように、熱交換器を通過するアース接続部660にはんだ付けされ、熱交換器を通過した後に回路基板に電気的に接続される。薄膜は、能動音響素子100及びグリッドフレーム600の水接触面を横切って含まれてもよい。このような膜は、ターゲット媒体からの防水及び電気的絶縁を提供する。
【0093】
グリッドフレーム600及びインサート610の使用は、ボトムアップアレイ製造アプローチを容易にする上で有益であり得る。このようなアプローチを通して、各個々の能動音響素子100は、格子フレーム600及び挿入体610によって機械的に画定される位置を有する。組み立て中、各能動音響素子100は、グリッドフレーム600内のそれぞれの支持位置に挿入される。本実施例は、能動音響素子の正方形格子を使用するが、他の素子サイズ及び形状は、異なる格子形状に採用されてもよい。例えば、中空の円筒形状を有する素子は、六角形のアレイ状に配置されてもよい。
【0094】
本例の実施形態では、導電性部材の第1セグメント131は金属ピンである。所与の能動音響素子100は、導電性エポキシの小さな塗布によって、そのそれぞれのピンを機械的及び電気的に固定することができる。上述のように、ピンは、能動音響素子に接触するための導電性部材の1つの例であるが、1つの例である。他の例示的な実施は、導電性箔(能動音響素子の製造の一部として導入されるか、又はアレイ組立中に追加される)、低温はんだのボール、異方性導電性エポキシ、又は能動音響素子の軸に整列されるか、又は能動音響素子の側面に押し付けられるばね接点を含むが、これらに限定されない。
【0095】
本例示的実施形態は、能動音響素子の大部分が固体又は液体(例えば、空気裏打ち)と接触しない構成を採用する。この構成は、ターゲット媒体への最適な超音波パワー伝送を可能にする。上記で説明したように、用途の要件に応じて、代替的に、裏打ち材料、例えば、診断用途で使用するためのエポキシ裏打ちを使用することができる。
【0096】
図11及び
図12に示すように、アレイモジュール300のソケット133は、超音波アレイシステムのモジュラーアセンブリ中に熱交換器と接触する導電性部材の第2セグメントの冷却アレイの遠位端部と直接接触してもよい。しかし、
図14D及び
図14Eに示すように、代替例では、ソケット133は、中間接続ボード670のピンを受け入れることができる。図に示すように、中間接続ボード670は、導電性部材の第2セグメント(冷却ピン)又は更に別の中間接続ボード670のピンのいずれかを受け入れることができる付加的な近位ソケットを含む。中間接続ボード670は、モジュール式組立てを容易にし、1つの構成要素の近位方向における他の構成要素に対するオフセットを変化させるのに有益であり得る。
【0097】
図15は、アレイモジュール300を駆動電子機器に接続できるかどうかのおかげでフレキシブルプリント回路基板680と電気的にインターフェースさせることにより、熱交換器との組み立て前に、例示のアレイモジュール300をどのように試験できるかを実証する。これは、例えば、アレイモジュールのそれぞれのソケットによって受け入れることができるピンのアレイを有するプリント回路基板を使用して達成することができる。
【0098】
上述したように、単一のアレイモジュールは、熱交換器と接触する導電性部材の第2セグメント(例えば、
図11に示すように)とインターフェース接続されてもよいが、いくつかの実施形態では、2つ以上のアレイモジュールをより大きな超音波アレイに組み合わせることができ、これにより、各アレイモジュールは、より大きな超音波アレイに対して能動音響素子のサブアレイに寄与する。このような例示的な実施形態を
図16、
図17及び
図18に示す。
【0099】
最初に
図16を参照すると、大型の超音波アレイを形成するために複数のアレイモジュール300が組み立てられた、例示的なマルチモジュールトランスデューサアレイシステムが示されている。実施例のシステムは、上板700、底板705及び側壁706によって画定される内部チャンバを有し、入口710及び出口720を有する近位熱交換器を含む。熱交換器には電気絶縁性の流体が流れる。アレイモジュール300のセットは、熱交換器の遠位側に支持される。前述の実施形態のいくつかによれば、導電性部材は、アレイモジュール300の能動音響素子の近位面から延在し、熱交換器と接触して能動音響素子から熱を除去する。
【0100】
図17及び
図18は、入口ポート810及び出口ポート820を有する随意の遠位熱交換器800を含むことを示す。追加のカバープレート(図示せず)は、アレイモジュール300の遠位面にわたって形成された凹み領域を囲み、冷却流体は、入口ポート810と流体連通する入口815を通って空洞に入る。冷却流体は、アレイモジュール300の遠位面上を流れ、遠位側冷却を提供する。遠位熱交換器は、標的組織への結合及びアレイ素子の冷却を提供する、ある体積の冷たい脱気水を循環させてもよい。
次に、
図18を参照すると、
図17の超音波アレイシステムの断面図が示される。3つのアレイモジュールが、近位熱交換器と遠位熱交換器との間に存在し、マルチセグメントピン(導電性部材)が、各能動音響素子の近位面から遠位熱交換器を通って延び、遠位熱交換器が電気絶縁流体と接触し、近位熱交換器の近位側に現れ、そこで、駆動電子機器に接続可能である(例えば、1つ又は複数のコネクタ、ケーブル、又は回路基板への接続を介して)。
【0101】
図19は、
図18の破線の長方形850内に囲まれた領域の詳細図を示し、単一のアレイモジュールを中心とする図である。アレイモジュールの能動音響素子100は、遠位熱交換器800の下方に存在し、アレイモジュールのグリッドフレームは、各能動音響素子の近位側にギャップ125を確立し、各々の導電性部材の第1セグメント131がギャップを横切るようにする。グリッドフレームによって支持されるソケット133は、中間接続ボード670の遠位ピンを受け取り、これは、熱交換器(遠位プレート700及び近位プレート705によって包囲される)を通過し、電気絶縁性流体と接触する導電性部材の第2セグメント132を受け入れる追加ソケット673を提供する。図に示されるように、熱交換器の内部領域内の導電性部材間の空間的分離を維持するために、中間電気絶縁スペーサ850を設けてもよい。
【0102】
熱交換器を通過した後、導電性部材の第2セグメント132は、ケーブル又はプリント回路基板(フレキシブルプリント回路基板など)を介して駆動電子機器に接続されてもよい。このアース線束は、上述した(但し
図19では図示せず)熱交換器を通過するアース接続部660にはんだ付けされている。熱交換器の反対側では、接地接続部660は、コネクタ、ケーブル又は回路基板の接地線に接続される。従って、最終的な全体的なアレイに一旦組み立てられると、各組の長いピンの裏側に電気的接続を行うことができる。近位熱交換器がない状態で組み立てられた超音波アレイシステムを含む代替実施形態では、電気的接続をアレイモジュールと直接行うことができる。本実施形態では、可撓性プリント回路基板ケーブルが、熱交換器の近位側で、各アレイモジュールに接続可能な嵌合コネクタに取り付けられる。そして、このケーブルは、駆動電子機器に配線される。別の実施形態は、駆動電子機器を一体化するか、又は2つ以上のアレイモジュールの接続を、電子機器への接続のために、より大きなケーブルに結合するかのいずれかを行う、PCB上へのデバイスの実装を含む。
【0103】
本実施例では、エポキシを用いて、各長いピンが熱交換器の近位及び遠位プレートを通過する位置を封止した。代替の実施形態は、循環冷却ガスの使用、又は他の手段(例えば流体熱交換器又は熱電冷却器のような能動冷却熱装置)によって冷却される熱伝導性固体内にピンを埋め込むことを含んでもよい。
本実施形態のモジュール式設計は、アレイモジュールの位置決め及びその後のステップ(防水など)を、ケーブル配線を含む必要なしに実行することができるので、いくつかのモジュールのアセンブリを、より大きなアレイに大幅に簡素化する。また、ケーブルを別個のコネクタ上に保持することは、モジュールがケーブルの重量及びトルクを有しないので、トランスデューサモジュールの脆弱性を減少させる。ケーブルは、完全なアレイアセンブリが完了した後に含まれ、支持されてもよい。
【0104】
本実施形態では、アレイモジュール(及び能動音響素子)の位置は、熱交換器内に収容されるピンの第2セグメントの配置を介して規定される。代替の例示的な実施形態では、熱交換器との電気的接続の前に、アレイモジュールが所定の位置に(例えば、接着剤又は他の取り付け方法によって)組み立てられる格子構造を使用することができる。別の例示的な実施形態では、アレイモジュールの位置は、剛性PCBによって画定されてもよい。
【0105】
本発明者らは、超音波アレイアセンブリの遠位領域において遠位熱交換器によって提供される冷たい脱ガス水が、導電性部材を通して能動音響素子に接触する近位熱交換器によって提供される近位冷却と組み合わされて、各トランスデューサ素子の両側に冷却効果を提供し、内部トランスデューサ温度及びアレイ冷却時間の両方を改善することを見出した。集束超音波治療手順の場合、この設計は、全体的な集束超音波治療時間を短縮することが見出されている。
【0106】
本実施例のシステムは、150μmの直径を有する第1セグメントを有する導電性部材を使用して実施された。これは、素子の表面積の約1%を表すが、素子を高出力で駆動するために必要な電流を支持するのに十分に厚いままである(例えば、実装された例示的なシステムでは約70mA)。例示システムは、音響パワーの素子あたり約170mW、又は64素子アレイモジュールで約11Wの最大出力パワーを達成することが分かった。この最大電力は、少なくとも30~60秒間維持されることが見出された。更なる試験は、モジュールが約50%の効率であることを実証し、その結果、エレメント当たり約170mWの熱が生成された。
【0107】
上述の特定の実施形態は、例として示されており、これらの実施形態は、様々な修正及び代替の形態が可能であり得ることを理解されたい。さらに、特許請求の範囲は、開示された特定の形態に限定されることを意図するものではなく、むしろ、本開示の精神及び範囲内にあるすべての修正形態、均等物、及び代替形態を包含することを意図するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】