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特表2022-552231ATF6モジュレーターおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ATF6モジュレーターおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20221208BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20221208BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20221208BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20221208BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20221208BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20221208BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/422
C07D417/14
A61K31/427
A61K31/497
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P25/00
A61P9/00
A61P31/12
A61P25/28
A61P3/10
A61P13/12
A61P9/04
A61P9/10 101
A61P9/10
C12N5/071 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521085
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020078478
(87)【国際公開番号】W WO2021069701
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/913,126
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520209727
【氏名又は名称】プラクシス バイオテック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プジャラ,ブラーマム
(72)【発明者】
【氏名】サテ,バラジ ダシュラス
(72)【発明者】
【氏名】タクラル,プーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナレス,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウレタ ディアズ,ゴンザロ アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ベルマール,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065BB13
4B065BC12
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB09
4C063CC75
4C063CC94
4C063DD22
4C063DD51
4C063DD67
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC00
4C086BC67
4C086BC85
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
活性化転写因子6(ATF6)のモジュレーターとしての化合物(I)が提供される。化合物は、ATF6によって媒介される疾患または障害の治療のための治療剤としての使用を見出し得、ウイルス感染症、神経変性疾患、血管疾患、または癌の治療における特定の使用を見出し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、HまたはC-Cアルキルであり、
は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
Lは、-CH-であるかまたは不在であり、
--は、結合であるかまたは不在であり、
、R、R、R、およびRは、各々独立して、H、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも2つは、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
ならびに/あるいはR、R、R、R、およびRのうちの1つは、CNであるか、
あるいはR、R、R、およびRは、各々独立して、H、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成し、5員または6員炭素環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換され、
Aは、
【化2】
であり、
は、5員または6員ヘテロアリールであり、5員または6員ヘテロアリールは、非置換であるか、またはOH、ハロ、C-CアルキルおよびC-Cアルコキシからなる群から選択される1~4つの基で置換され、
ただしAが
【化3】
であり、Rが2-フリルまたは2-チオフリルである場合、(i.)~(vi.)のうちの少なくとも1つが適用され、
(i.)Lは不在であり、RはC-Cアルキルであり、
(ii.)--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成し、ただし5員炭素環が形成される場合、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
(iii.)R、R、R、R、およびRのうちの1つは、CNであり、
(iv.)RおよびRは、各々独立して、Cl、Br、I、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
(v.)RおよびRは、各々Clであり、
(vi.)R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、F、Br、I、CN、またはC-Cハロアルキルであり、Rは2-チオフリルであり、
は、H、C-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり、
ただし、RがC-Cアルキルである場合、RはHであり、RがC-Cアルキルである場合、RはHである)。
【請求項2】
の5員または6員ヘテロアリールが、2-フリル、2-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、および2-ピラジニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが
【化4】
であり、Rが2-フリルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが
【化5】
であり、Rが2-ピリジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
Aが
【化6】
であり、Rが2-ピリミジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
Aが
【化7】
であり、Rが4-ピリミジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
Aが
【化8】
であり、Rが2-ピラジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項8】
Aが
【化9】
であり、Rが2-フリルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項9】
Aが
【化10】
であり、Rが2-ピリジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項10】
Aが
【化11】
であり、Rが2-ピリミジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項11】
Aが
【化12】
であり、Rが4-ピリミジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項12】
Aが
【化13】
であり、Rが2-ピラジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項13】
Aが
【化14】
であり、Rが2-フリルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項14】
Aが
【化15】
であり、Rが2-ピリジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項15】
Aが
【化16】
であり、Rが2-ピリミジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項16】
Aが
【化17】
であり、Rが4-ピリミジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項17】
Aが
【化18】
であり、Rが2-ピラジニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項18】
--が結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員炭素環を形成する、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
--が結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、6員炭素環を形成する、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
Aが
【化19】
であり、Rが2-フリルであり、Lが不在であり、RがC-Cアルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
Aが
【化20】
であり、Rが2-フリルであり、--が結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成し、ただし5員炭素環が形成される場合、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つが、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
Lが不在であり、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員炭素環を形成し、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つが、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Lが不在であり、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、6員炭素環を形成し、R、R、R、およびRの各々が、水素である、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
【化21】
からなる群から選択される化合物、
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項26】
活性化転写因子6(ATF6)によって媒介される疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項27】
ATF6の活性化によって特徴付けられる疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項28】
ATF6がATF6αである、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
疾患または障害が、がん、神経変性疾患、または血管疾患である、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
疾患または障害が、ウイルス感染症、遺伝性小脳萎縮症および運動失調症、またはアルツハイマー病、2型糖尿病、糖尿病性腎症、心筋萎縮症、心不全、アテローム性動脈硬化症、虚血、虚血性心疾患、もしくは脳虚血である、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
がんの治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項32】
血管新生に関連する疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項33】
代謝障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項34】
個体におけるATF6を調節する方法であって、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項35】
細胞におけるATF6を調節する方法であって、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物、あるいは前述の代謝産物を細胞に投与または送達することを含む、方法。
【請求項36】
個体におけるATF6を活性化する方法であって、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項37】
細胞におけるATF6を活性化する方法であって、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物、あるいは前述の代謝産物を細胞に投与または送達することを含む、方法。
【請求項38】
個体におけるATF6を阻害する方法であって、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項39】
細胞におけるATF6を阻害する方法であって、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物、あるいは前述の代謝産物を細胞に投与または送達することを含む、方法。
【請求項40】
ATF6によって媒介される障害または疾患の予防および/または治療のための医薬品の製造における、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項25に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項41】
療法における使用のための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
活性化転写因子6(ATF6)によって媒介される疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法における使用のための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
ATF6の活性化によって特徴付けられる疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法における使用のための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
ATF6がATF6αである、請求項42または43に記載の使用のための、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項45】
疾患または障害が、がん、神経変性疾患、または血管疾患である、請求項42から44のいずれか一項に記載の使用のための、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項46】
疾患または障害が、ウイルス感染症、遺伝性小脳萎縮症および運動失調症、またはアルツハイマー病、2型糖尿病、糖尿病性腎症、心筋萎縮症、心不全、アテローム性動脈硬化症、虚血、虚血性心疾患、もしくは脳虚血である、請求項42から44のいずれか一項に記載の使用のための、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項47】
血管新生に関連する疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法における使用のための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項48】
代謝障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法における使用のための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/913,126号の優先権の利益を主張するものであり、その開示は参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、活性化転写因子6(ATF6)のモジュレーターとして有用であり得る治療剤に関する。
【0003】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
以下のASCIIテキストファイルでの提出文書の内容は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる:配列表のコンピューターにより解析可能な形式(Computer Readbale Form(CRF))(ファイル名:196052001440SEQLIST.TXT、記録された日:2020年10月8日、サイズ:1KB)
【背景技術】
【0004】
哺乳動物細胞のEPにおける誤って折り畳まれたタンパク質の蓄積は、折り畳み機構を困惑させ、ストレス応答をもたらす。細胞は、ERから核へシグナルを送り、ERにおけるタンパク質折り畳み能力を向上させる膨大な遺伝子発現プログラムを活性化することによって、ERタンパク質負荷を減少させようと試みる。しかしながら、このシステムが失敗し、恒常性を再構築することができない場合、細胞はアポトーシスを起こすことによって死滅する。変性タンパク質(折り畳み不全タンパク質)応答(Unfolded Protein Response(UPR))は、ERストレスに応答してタンパク質恒常性を維持する、進化的に保存されたシグナル伝達経路である。
【0005】
UPRは3つの絡み合ったシグナル伝達経路:(1)PERK(タンパク質キナーゼRNA様ERキナーゼ)、(2)IRE1(イノシトール要求酵素1α)、および(3)ATF6(活性化転写因子6)からなる(McKimpson,W.M.et al,Circ Res,2017,120(5):759-761)。ATF6経路の活性化は、タンパク質を折り畳むか、または品質管理を媒介する小胞体の能力を増強する、BIP(Grp78)、CHOP、またはXBP-1などの、遺伝子の上方制御をもたらす。ATF6は、IRE1と連携して作用し、ATF6の標的遺伝子の1つとして、XBP1は、IRE1の主要な基質である(Yoshida,H.,et al.,Cell,2001,107(7):881-891)。PERKは、タンパク質折り畳み負荷を一時的に低下するために新しいタンパク質の産生を中断することを含む、いくつかの他の役割も行う。
【0006】
ATF6は、ERストレスセンサーおよび転写因子として機能する、ERに局在するII型膜貫通タンパク質である(Adachi,Y.,et al.,Cell Struct Funct,2008,33(1):75-89、Wu,J.,et al.,Dev Cell,2007,13(3):351-64)。需要がERの折り畳み能力を超える場合、ATF6は、ERからゴルジ体に輸送され、2つのゴルジ常在プロテアーゼ、site-1およびsite-2プロテアーゼ(S1PおよびS2P)による連続切断が、ゴルジ膜からそのN末端ドメイン(ATF6N)を放出し、核に輸送され、その標的遺伝子の転写を活性化する(Ye,J.,et al.,Mol Cell,2000,6(6):1355-64)。この活性化は、ERストレス応答エレメント(ERSE)と呼ばれるコンセンサス配列へのATF6の結合に関与する。ERSEのコンセンサス配列は、CCAATCGGCGGCGGCCACG(配列番号1)である。
【0007】
PERKおよびIRE1によって制御されるUPRの他のアームとは異なり、ATF6アームは、実質的にアポトーシス促進性シグナル伝達に関連していないとされてきた(Hetz, C. and Papa, F.R. 2018; Sano, R. and Reed, J.C. 2013)。代わりに、ATF6は、主として、急性生理学的および病理学的傷害後の細胞生理学の保護的な適応性リモデリングおよび回復を促進するように設計されているいわゆる「適応性UPR」において機能する。適応性UPRの一部として、ATF6は、複数の他のストレス応答性シグナル伝達経路と統合されて、細胞生理学を様々な種類のER傷害に敏感に適応させる。
【0008】
UPRの文脈において、この統合は、他のUPR制御bZIP転写因子、例えば、XBP1s(Yamamoto, K. et al. 2007; Shoulders, M.D. et al. 2013)またはATF6b(Thuerauf, D.J. et al. 2007; Thuerauf, D.J. et al. 2004; Forouhan, M. et al. 2018; Pieper, L.A. et al. 2017)とのATF6のヘテロ二量体化を通して達成され得る。ATF6はまた、S1P/S2P依存性タンパク質分解を含むメカニズムを通して同様に制御される他のbZIP転写因子、例えば、CREB-Hとヘテロ二量体化する潜在性を有する(Asada, R. et al. 2011; Zhang, K. et al. 2006)。ヘテロ二量体化は別として、ATF6シグナル伝達はまた、他の転写因子、例えば、NRF1、PGC1a、PPARa、およびERRgと相互作用する他のストレス応答性シグナル伝達経路と統合される(Chen, X. et al. 2016; Wu, J. et al. 2011; Misra, J. et al. 2013; Baird, L. et al. 2017)。
【0009】
複数のメカニズムを通して他のシグナル伝達経路と統合されるATF6の能力は、このUPRシグナル伝達アームが、ERタンパク質恒常性リモデリングに加えて、ERストレスを誘導するある範囲の病理学的傷害に対する保護細胞応答を連携させる無比の潜在性を反映する。ATF6シグナル伝達の阻害および活性化の両方のための新しい薬理学的アプローチの確立は、がん、自己免疫疾患、神経変性、代謝性疾患またはI/Rに対して異なる組織を保護することに関与するATF6シグナル伝達のタイミングおよび程度を慎重に調べるための新しい機会を提供する。
【0010】
UPRを操作するためのいくつかの戦略が、ERストレスおよびヒト疾患の間の考えられる関連を定義するために活用されてきており、がんおよび神経変性において大幅な進歩を遂げた。
【0011】
がんにおいて、腫瘍成長は、腫瘍微小環境および抗がん免疫応答をリモデルすること(Song, M and Cubillos-Ruiz, J.R. 2019)ならびにならびにがんの他の中心的特徴に影響を及ぼすこと(Urra, H. et al. 2016)に加えて、悪性形質転換を駆動するための選択力(selective force)としてのUPRに依拠する(Cubillos-Ruiz, J.R. et al. 2016)。
【0012】
例えば、多発性骨髄腫(MM)は、高用量化学療法、自家幹細胞移植、および新規薬剤にかかわらず、主に不治の悪性腫瘍のままである。ボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤(PI)は、MMを有する患者の奏効率および生存率を向上させた。新たに診断されたMMのボルテゾミブおよびデキサメタゾンに対する全体的な患者奏効率は、約67%である。再発した難治性MMにおいて、奏効率は約40~60%に低減する。したがって、顕著な数のボルテゾミブ抵抗性MM患者が存在する。MM細胞は、生理学的UPR遺伝子の定常発現を必要とする、それらの多量の免疫グロブリン生成のために、PIに対して本質的に感受性である。これは、PI誘導性小胞体(ER)ストレスに対するアポトーシス促進性/終末UPRの誘導についてそれらの閾値を低下させると考えられる。UPR誘導の特徴の1つは、ER分子シャペロンの転写および翻訳の増加である。これらの遺伝子は、UPR転写因子XBP1およびATF6によって誘導される。XBP1スプライシングおよびその得られる活性化は、PI処理されたMM細胞において阻害されることが示されているが、所見は、2つのXBP1標的遺伝子産物、GRP78およびGRP94の高い定常発現がPI処理によって低減されないことを示し、XBP1依存性UPR標的遺伝子ERdj4が通常はPIによって誘導されたという観察は、UPRがPI処理されたMM細胞において機能的なままであることを示す。XBP1およびATF6の両方がUPR標的遺伝子のプロモーターにおけるERストレス応答エレメントに結合し得るので、ATF6がPI処理されたMM細胞において低減したXBP1活性を補填し得ることが示されている。これと一貫して、GRP78およびGRP94の誘導がXBP1-/-B細胞においてわずかにのみ損なわれること、およびGRP94の発現が、両方ではなく、ATF6またはXBP1のいずれかを必要とすることが示されている。興味深いことに、以前の研究は、XBP1がボルテゾミブに対する感受性を予測し、そのレベルがボルテゾミブに対する感受性と比例して相関することを示している。最近Harnoss JM et al.は、遺伝子および薬理学的破壊を用いて、インビトロおよびインビボで、IRE1a-XBP1s経路がMM成長において重要な役割を果たすことを実証した。実際に、小分子を用いるIRE1αキナーゼ活性の阻害は、MMを臨床的に治療するための潜在的に有効かつ安全な療法であることが実証された。
【0013】
量に加えて、PI感受性も、MM細胞内での免疫グロブリン折り畳みの有効性に関与すると考えられる。MM細胞株におけるER常在シャペロンGRP78およびGRP94の高い定常発現は、生理学的UPR遺伝子発現が専門的な分泌細胞機能に必要とされるという報告と一貫している。ERシャペロンレベルの上昇は、形質細胞に特徴的であり、それらの発現は、適切な抗体アセンブリおよび分泌に必須である。GRP78は、免疫グロブリン軽鎖とまだ結合していない免疫グロブリン重鎖に安定に結合し、免疫グロブリンアセンブリを補助することが示されている。さらに、GRP78およびGRP94の両方は、免疫グロブリン軽鎖折り畳みおよびアセンブルされていないサブユニットを分解のため標的化するために重要である。GRP78およびGRP94の発現が、PIおよび古典的ERストレス剤で処理されたMM細胞においてわずかにのみ増加するという事実は、それらが既に最大に近いレベルの細胞保護的UPRタンパク質を発現して、分泌細胞として機能することを示す。よって、これらの細胞は、ERに対する任意の追加のストレス後の終末UPRの誘導について(非分泌細胞と比較して)より低い閾値を有し得る。したがってより抵抗性の骨髄腫クローンおよび他の非分泌性悪性腫瘍は、ATF6シグナル伝達経路のモジュレーターなどのUPRに干渉する薬剤と組み合わせることによって、ボルテゾミブに対して感受性化され得る。
【0014】
一方、専門的な分泌細胞のタンパク質折り畳み能力は、いくつかの疾患において困惑し、終末UPRシグナル伝達を通して細胞変性および死をもたらす。例えば、インスリン分泌性膵臓β細胞におけるUPRシグナル伝達の異常調節は、早期細胞喪失、インスリン欠乏、および糖尿病をもたらす。ニューロンは典型的には古典的分泌細胞であると考慮されないが、異常な凝集体の蓄積は、それでもなお、ニューロンにおいて終末UPRを誘導し、神経変性をもたらし得る(Hetz, C. and Saxena, S. 2017)。ERストレスは、眼疾患におよびニューロンの光受容細胞の死に関与している(Kroeger, H. et al. 2019)。
【0015】
加えて、多くの疾患が循環障害をもたらし、これは、脳、心臓、および腎臓を含む様々な器官において虚血状態を引き起こし得る(Benjamin, E.J. et al. 2018)。これらの設定において、長時間の虚血は不可逆的損傷をもたらし、これは、再灌流を通して血流を回復させる臨床的介入によって部分的に軽減され得る(Hausenloy, D.J. and Yellon, D.M. 2016)。再灌流は継続的な虚血の損傷を軽減するために必要であるが、再灌流そのものは一般的に活性酸素種(ROS)の結果としていくつかの追加の損傷をもたらすことが知られている(Murphy, E. and Steenbergen, C. 2008)。虚血または虚血に続く再灌流(I/R)に関連する細胞損傷の複雑な性質は、多数のシグナル伝達経路および転写因子のレベルおよび活性に影響することが以前に示されている。より最近研究されている1つのI/R活性化経路は、タンパク質恒常性の破壊に関与する。I/Rによって誘導された病理学的ERストレスに対して保護するために、組織は、内因性適応性ストレス-応答性シグナル伝達経路、例えば、変性タンパク質応答(UPR)を活性化する。
【0016】
最近の証拠は、複数の疾患モデルにおける虚血/再灌流(I/R)損傷に関連する有害転帰を軽減する際のUPRのATF6アームの保護の役割を強調し(Kudo, T. et al. 2008; Oida, Y. et al. 2008; Prachasilchai, W. et al. 2009; Oida, Y. et al. 2010; Blackwood, E.A. et al. 2019 ; Yu, Z. et al. 2017; Bi, X. et al. 2018)、活性化因子化合物とともに多様な虚血関連障害に薬理学的に介入するための潜在的な治療標的としてのATF6を示す(Plate, L. et al. 2016; Glembotski, C.C. et al 2019)。
【0017】
ATF6活性化転写標的は、ウイルス感染症、癌、神経変性、アルツハイマー病、脳虚血、遺伝性小脳萎縮症および運動失調症、2型糖尿病、および糖尿病性腎障害、ならびに心血管疾患、例えば、心筋萎縮、心不全、虚血性心疾患、およびアテローム性動脈硬化を含む、様々な疾患の発病および発症において役割を果たす(Chu,W.S.,et al.,Diabetes,2007,56(3):856-62、Vekich,J.A.,et al.,J Mol Cell Cardiol,2012,53(2):259-67、Liu,C.L.,et al.,Int J Mol Med,2016,37(2):407-14)。したがって、ATF6媒介性転写の調節(modulation)は、ATF6の活性が関与するこれらおよび他の疾患のための治療戦略を提供し得る。
【発明の概要】
【0018】
一態様において、式(I)の化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩が提供され、式中、A、R、R、R、R、R、R、R、R、および--は、本明細書で詳述される通りである。
【0019】
別の態様において、活性化転写因子6(ATF6)によって媒介される疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法が提供され、方法は、治療有効量の、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または当該化合物を含む薬学的組成物を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、活性化転写因子6(ATF6)によって媒介される疾患または障害は、ウイルス感染症、癌、神経変性疾患、または血管疾患である。特定の実施形態において、疾患または障害は、ウイルス感染症、遺伝性小脳性萎縮症および運動失調症、アルツハイマー病、2型糖尿病、糖尿病性腎症、心筋萎縮症、心不全、アテローム性動脈硬化症、虚血、虚血性心疾患、または脳虚血である。いくつかの実施形態において、活性化転写因子6(ATF6)によって特徴付けられる疾患または障害は、癌である。いくつかの実施形態において、ATF6は、ATF6αである。
【0020】
別の態様において、活性化転写因子6(ATF6)によって特徴付けられる疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法が提供され、方法は、治療有効量の、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または当該化合物を含む薬学的組成物を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6の活性化によって特徴付けられる疾患または障害は、ウイルス感染症、癌、神経変性疾患、または血管疾患である。特定の実施形態において、疾患または障害は、ウイルス感染症、遺伝性小脳性萎縮症および運動失調症、アルツハイマー病、2型糖尿病、糖尿病性腎症、心筋萎縮症、心不全、アテローム性動脈硬化症、虚血、虚血性心疾患、または脳虚血である。いくつかの実施形態において、活性化転写因子6(ATF6)によって特徴付けられる疾患または障害は、癌である。いくつかの実施形態において、ATF6は、ATF6αである。
【0021】
別の態様において、癌の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、治療有効量の、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または当該化合物を含む薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。
【0022】
いくつかの実施形態において、癌は、乳癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、黒色腫、線維肉腫、骨肉腫、結合組織肉腫、腎細胞癌、巨大細胞癌、扁平上皮癌、白血病、皮膚癌、軟組織癌、肝臓癌、胃腸癌、または腺癌である。いくつかの実施形態において、個体における1つ以上の癌細胞は、休眠状態の癌細胞である。
【0023】
いくつかの実施形態において、個体は、前治療を受けている。いくつかの実施形態において、癌は、前治療に抵抗性または不応性である。いくつかの実施形態において、癌は、ユビキチン-プロテアソーム経路阻害剤、タキサン、Cox-2阻害剤、白金系抗悪性腫瘍薬、アントラサイクリン、ピリミジン類似体、トポイソメラーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、または免疫腫瘍学に使用される薬剤での治療に抵抗性である。
【0024】
いくつかの実施形態において、方法は、放射線を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、第2の抗癌剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2の抗癌剤は、免疫チェックポイントタンパク質を標的とする。
【0025】
別の態様において、血管新生に関連する疾患または障害の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法が提供され、方法は、有効量の、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または当該化合物を含む薬学的組成物を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、第2の抗血管新生剤を投与することをさらに含む。
【0026】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、方法は、変性タンパク質応答または統合的ストレス応答を調節する第2の薬剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、IRE1/XBP1経路を阻害する。
【0027】
別の態様において、個体におけるATF6を調節(活性化または阻害)する方法であって、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または当該化合物を含む薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法が提供される。
【0028】
別の態様において、細胞におけるATF6を調節(活性化または阻害)する方法であって、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または当該化合物を含む薬学的組成物を細胞に送達することを含む、方法が提供される。
【0029】
(A)本明細書で詳述される化合物、例えば、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩と、(B)薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む、薬学的組成物も提供される。本明細書で詳述される化合物またはその塩および任意に使用説明書を含むキットも提供される。ATF6の活性化によって特徴付けられる疾患または障害の治療のための医薬品の製造のためにも、本明細書で詳述される化合物またはその薬学的に許容される塩は提供される。いくつかの実施形態において、疾患または障害は、癌、神経変性疾患、または血管疾患である。特定の実施形態において、疾患または障害は、ウイルス感染症、遺伝性小脳性萎縮症および運動失調症、アルツハイマー病、2型糖尿病、糖尿病性腎症、心筋萎縮症、心不全、アテローム性動脈硬化症、虚血、虚血性心疾患、または脳虚血である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
本明細書で使用される場合、別途明示されない限り、「a」、「an」などの用語の使用は、1つ以上を指す。
【0031】
本明細書における値またはパラメータの「約」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(および説明する)。例えば、「約X」を参照する説明は、「X」の説明を含む。
【0032】
本明細書で使用される「アルキル」は、別段の記載がない限り、指定された炭素原子の数を有する(すなわち、C~C10は、1~10個の炭素原子を意味する)飽和直鎖(すなわち、非分岐状)または分岐状の一価炭化水素鎖またはこれらの組み合わせを指し、かつこれらを含む。特定のアルキル基は、1~20個の炭素原子(「C~C20アルキル」)、1~10個の炭素原子(「C~C10アルキル」)、6~10個の炭素原子(「C~C10アルキル」)、1~6個の炭素原子(「C~Cアルキル」)、2~6個の炭素原子(「C~Cアルキル」)、または1~4個の炭素原子(「C~Cアルキル」)を有するものである。アルキル基の例には、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、および同等のものなどの基が挙げられる。
【0033】
「アルコキシ」は、基R-O-を指し、Rは、アルキルであり、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキシルオキシ、1,2-ジメチルブトキシなどを含む。
【0034】
本明細書で使用される「アリール」または「Ar」は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)(この縮合環は芳香族であっても芳香族でなくてもよい)を有する不飽和芳香族炭素環式基を指す。特定のアリール基は、6~14個の環状炭素原子(「C~C14アリール」)を有するものである。少なくとも1つの環が非芳香族である2つ以上の環を有するアリール基は、芳香族環位置または非芳香族環位置のいずれかで親構造に接続されてもよい。一変形例において、少なくとも1つの環が非芳香族である2つ以上の環を有するアリール基は、芳香族環位置で親構造に接続される。
【0035】
本明細書で使用される「シクロアルキル」は、別段の記載がない限り、指定された炭素原子の数を有する(すなわち、C~C10は、3~10個の炭素原子を意味する)飽和環式一価炭化水素構造を指し、かつそれを含む。シクロアルキルは、シクロヘキシルなどの1つの環、またはアダマンチルなどの複数の環からなることができる。2つ以上の環を含むシクロアルキルは、融合(縮合、fused)、スピロ、もしくは架橋、またはこれらの組み合わせであってもよい。特定のシクロアルキル基は、3~12個の環状炭素原子を有するものである。好ましいシクロアルキルは、3~8個の環状炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)、3~6個の炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)、または3~4個の環状炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)環式炭化水素である。シクロアルキルの例には、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、および同等のものが挙げられる。
【0036】
「ハロ」または「ハロゲン」は、原子番号9~85を有する第17族の元素を指す。好ましいハロ基には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素の基(ラジカル)が挙げられる。残基が2つ以上のハロゲンで置換される場合、それは、結合されたハロゲン部分の数に対応する接頭辞を使用することによって称されてもよく、例えば、ジハロアリール、ジハロアルキル、トリハロアリールなどは、2つ(「ジ」)または3つ(「トリ」)のハロ基で置換されているアリールおよびアルキルを指し、これは同じハロゲンであり得るが必ずしも同じではない;したがって、4-クロロ-3-フルオロフェニルは、ジハロアリールの範囲内にある。各水素がハロ基で置き換えられるアルキル基は、「ペルハロアルキル」と称される。好ましいペルハロアルキル基は、トリフルオロメチル(-CF)である。同様に、「ペルハロアルコキシ」は、ハロゲンがアルコキシ基のアルキル部分を構成する炭化水素中の各Hの位置を取るアルコキシ基を指す。ペルハロアルコキシ基の一例は、トリフルオロメトキシ(-OCF)である。
【0037】
「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロ置換基、または1つ、2つ、もしくは3つのハロ置換基を有するアルキル基を指す。ハロアルキル基の例は、-CF、-(CH)F、-CHF、CHBr、-CHCF、および-CHCHFを含む。
【0038】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」は、1~14個の環状炭素原子および以下に限定されないが、窒素、酸素、および硫黄などのヘテロ原子を含む、少なくとも1つの環状ヘテロ原子を有する不飽和芳香族環式基を指す。ヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジル、フリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニル、ベンゾチエニル)(この縮合環は芳香族であっても芳香族でなくてもよい)を有してもよい。特定のヘテロアリール基は1~12個の環状炭素原子および、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~6個の環状ヘテロ原子を有する5~14員環、1~8個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~4個の環状ヘテロ原子を有する5~10員環、または1~5個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~4個の環状ヘテロ原子を有する5、6、もしくは7員環である。1つの変形例において、特定のヘテロアリール基は、1~6個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~4個の環状ヘテロ原子を有する単環式芳香族5、6、または7員環である。別の変形例において、特定のヘテロアリール基は、1~12個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~6個の環状ヘテロ原子を有する多環式芳香族環である。少なくとも1つの環が非芳香族である2つ以上の環を有するヘテロアリール基は、芳香族環位置または非芳香族環位置のいずれかで親構造に接続されてもよい。一変形例において、少なくとも1つの環が非芳香族である2つ以上の環を有するヘテロアリール基は、芳香族環位置で親構造に接続される。ヘテロアリール基は、環炭素原子または環ヘテロ原子で親構造に接続され得る。
【0039】
本明細書で使用される「複素環」、「複素環式」、または「ヘテロシクリル」は、単環または複数の縮合環を有し、1~14個の環状炭素原子および1~6個の環状ヘテロ原子、例えば、窒素、硫黄、または酸素、および同類のものを有する飽和または不飽和の非芳香族環式基を指す。2つ以上の環を含む複素環は、融合、架橋、もしくはスピロ、またはそれらの任意の組み合わせであってもよいが、ヘテロアリール基を除外する。ヘテロシクリル基は、任意に独立して、本明細書に記載の1つ以上の置換基で置換され得る。特定のヘテロシクリル基は、1~13個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~6個の環状ヘテロ原子を有する3~14員環、1~11個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~6個の環状ヘテロ原子を有する3~12員環、1~9個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~4個の環状ヘテロ原子を有する3~10員環、1~7個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~4個の環状ヘテロ原子を有する3~8員環、または1~5個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~4個の環状ヘテロ原子を有する3~6員環である。一変形例において、ヘテロシクリルは、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~6個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~2、1~3、または1~4個の環状ヘテロ原子を有する単環式3、4、5、6、または7員環を含む。別の変形例では、ヘテロシクリルは、1~12個の環状炭素原子および独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1~6個の環状ヘテロ原子を有する多環式非芳香族環を含む。
【0040】
「薬学的に許容される担体」とは、対象に非毒性である、有効成分以外の、薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、以下に限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤を含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。例えば、有益または所望の結果は、以下に限定されないが、次のうちのこと、すなわち、疾患に起因する症状を減少させること、疾患に罹患している者の生活の質を向上させること、疾患を治療するために必要とされる他の医薬品の用量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、および/または個体の生存期間を延長することの一つかそれ以上を含む。癌または他の望ましくない細胞増殖に関して、有益または所望の結果は、腫瘍を縮小すること(腫瘍サイズを低減すること)、腫瘍の成長速度を低下させること(例えば、腫瘍成長を抑制すること)、癌細胞の数を低減すること、末梢器官への癌細胞浸潤を阻害、遅延、もしくはある程度まで減速し、好ましくは停止すること、腫瘍転移を阻害すること(ある程度まで減速し、好ましくは停止すること)、腫瘍成長を阻害すること、腫瘍の発生および/もしくは再発を予防もしくは遅延すること、ならびに/または癌に関連する症状のうちの1つ以上をある程度まで緩和することを含む。いくつかの実施形態において、有益または所望の結果は、望ましくない細胞増殖などの再発を予防または遅延することを含む。
【0042】
本明細書に使用される場合、化合物もしくはその塩または薬学的組成物の「有効投与量」または「有効量」は、有益または所望の結果を得るために十分な量である。予防的使用について、有益または所望の結果は、疾患、その合併症、および疾患の発症中に提示される中間病理学的表現型の生化学的、組織学的、および/または行動に関する症状を含む、疾患のリスクを排除もしくは低減すること、重症度を低下させること、または発症を遅延させることなどの結果を含む。治療的使用について、有益または所望の結果は、疾患に起因する1つ以上の症状を改善、緩和、低下、遅延、もしくは減少させること、疾患に罹患している者の生活の質を向上させること、疾患を治療するために必要とされる他の医薬品の用量を減少させること、標的化などを介して別の医薬品の効果を増強すること、疾患の進行を遅延させること、および/または生存期間を延長することを含む。癌または他の望ましくない細胞増殖に関して、有効量は、腫瘍を縮小させるため、および/または腫瘍の成長速度を低下するため(例えば、腫瘍成長を抑制するため)、または他の望ましくない細胞増殖を予防もしくは遅延するために十分な量を含む。いくつかの実施形態において、有効量は、発症を遅延するために十分な量である。いくつかの実施形態において、有効量は、再発を予防または遅延するために十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与することができ、癌の場合、有効量の薬物または組成物は:(i)癌細胞の数を低減、(ii)腫瘍サイズを低減、(iii)末梢器官への癌細胞浸潤を阻害、遅延、ある程度まで減速、好ましくは停止、(iv)腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度まで減速、好ましくは停止)、(v)腫瘍成長を阻害、(vi)腫瘍の再発を予防もしくは遅延、および/または(vii)癌に関連する症状のうちの1つ以上をある程度まで緩和し得る。有効投与量は、1回以上の投与で投与することができる。本開示の目的について、化合物もしくはその塩、または薬学的組成物の有効投与量は、直接的または間接的のいずれかで予防的または治療的な処置を達成するために十分な量である。化合物もしくはその塩、または薬学的組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または薬学的組成物と併せて達成されてもよく、またはそうでなくてもよいことが意図され、理解されている。よって、「有効投与量」は、1つ以上の治療剤を投与する文脈において考慮されてもよく、1つ以上の他の薬剤と併せて、所望の結果が達成され得るか、または達成される場合、単一の薬剤は、有効量で与えられると考慮されてもよい。
【0043】
本明細書に使用される場合、「個体」という用語は、ヒトを含む、哺乳動物である。個体は、以下に限定されないが、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類、または霊長類を含む。いくつかの実施形態において、個体は、ヒトである。個体(ヒトなど)は、進行した疾患またはより程度の低い疾患、例えば、低腫瘍負荷を有し得る。いくつかの実施形態において、個体は、増殖性疾患(癌など)の初期段階にある。いくつかの実施形態において、個体は、増殖性疾患(進行した癌など)の進行した段階にある。
【0044】
本明細書に記載される態様および変形例はまた、態様および変形例「からなる」および/または「から本質的になる」ことを含むことが理解されている。
【0045】
刊行物、特許、特許出願、および公開された特許出願などの全体の参照は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
化合物
【0046】
一態様において、式(I)の化合物、
【0047】
【化2】
またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、HまたはC-Cアルキルであり、
は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
Lは、-CH-であるかまたは不在であり、
--は、結合であるかまたは不在であり、
、R、R、R、およびRは、各々独立して、H、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも2つは、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、ならびにならびに/あるいはあるいはR、R、R、R、およびRのうちの1つはCNであるか、
あるいはあるいはR、R、R、およびRは、各々独立して、H、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員環を形成し、5員または6員環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換され、
Aは、
【0048】
【化3】
であり、
は、5員または6員ヘテロアリールであり、5員または6員ヘテロアリールは、非置換であるか、またはOH、ハロ、C-CアルキルおよびC-Cアルコキシからなる群から選択される1~4つの基で置換され、
ただしAが
【0049】
【化4】
であり、Rが2-フリルまたは2-チオフリルである場合、(i.)~(vi.)のうちの少なくとも1つが適用され、
(i.)Lは不在であり、RはC-Cアルキルであり、
(ii.)--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成し、ただし5員炭素環が形成される場合、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
(iii.)R、R、R、R、およびRのうちの1つは、CNであり、
(iv.)RおよびRは、各々独立して、Cl、Br、I、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
(v.)RおよびRは、各々Clであり、
(vi.)R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、F、Br、I、CN、またはC-Cハロアルキルであり、Rは2-チオフリルであり、
は、H、C-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり、
ただし、RがC-Cアルキルである場合、RはHであり、RがC-Cアルキルである場合、RはHである)。
【0050】
一変形例において、式(I)の化合物、またはその塩が提供され、式中、R(すなわち、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cハロアルキル)を有する炭素は、「S」配置である。別の変形例において、式(I)の化合物、またはその塩が提供され、式中、R(すなわち、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cハロアルキル)を有する炭素は、「R」配置である。所与の化合物のラセミまたは非ラセミ混合物、異なる化学式の2つ以上の化合物の混合物を含む、式(I)の化合物の混合物も含まれる。
【0051】
本明細書の説明において、ある部分のすべての説明、変形例、実施形態、または態様は、説明の各々およびすべての組み合わせが特異的かつ個別に列挙されたかのように、他の部分のすべての説明、変形例、実施形態、または態様と組み合わされ得ることを理解されたい。例えば、式(I)のRに関して本明細書に提供されるすべての説明、変形例、実施形態、または態様は、各々およびすべての組み合わせが特異的かつ個別に列挙されたかのように、式(I)のAのすべての説明、変形例、実施形態、または態様と組み合わされ得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物が提供され、式中、Aは、
【化5】
である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物が提供され、式中、Aは、
【化6】
である。
【0053】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物が提供され、式中、Aは、
【化7】
である。
【0054】
式(I)のいくつかの実施形態において、RはC-Cアルキルである。他の実施形態において、RはC-Cシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、RはC-Cハロアルキルである。特定の実施形態において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。いくつかの実施形態において、Rはシクロプロピルである。
【0055】
式(I)のいくつかの実施形態において、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換5員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、ハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される5員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、ハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員複素環を形成し、5員または6員複素環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される。
【0056】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Lは不在である。他の実施形態において、Lは-CH-である。いくつかの実施形態において、Lは不在であり、RはC-Cアルキルである。他の実施形態において、Lは不在であり、RはC-Cシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Lは不在であり、RはC-Cハロアルキルである。特定の実施形態において、Lは不在であり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである。いくつかの実施形態において、Lは不在であり、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Lは不在であり、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Lは不在であり、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。いくつかの実施形態において、Lは不在であり、Rはシクロプロピルである。
【0057】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員の炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換5員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、ハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される5員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、ハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員複素環を形成し、5員または6員複素環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される。いくつかの実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員炭素環を形成し、5員炭素環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルで置換され、R、R、R、およびRのうちの1つまたは2つは、独立して、ハロ、CN、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルから選択される。特定の実施形態において、Lは、不在であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換5員炭素環を形成し、R、R、R、およびRは、各々Hである。一変形例において、Lは、不在であり、Rは、Rを有する炭素が「S」配置である場合、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員炭素環を形成する。別の変形例において、Lは、不在であり、Rは、Rを有する炭素が「R」配置である場合、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員炭素環を形成する。
【0058】
いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、C-Cアルキルである。他の実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、C-Cシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、C-Cハロアルキルである。特定の実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、メチルである。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、エチルである。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、シクロプロピルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換5員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、ハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される5員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、ハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される6員炭素環を形成する。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員複素環を形成し、5員または6員複素環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される。いくつかの実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員炭素環を形成し、5員炭素環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルで置換され、R、R、R、およびRのうちの1つまたは2つは、独立して、ハロ、CN、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルから選択される。特定の実施形態において、Lは、-CH-であり、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換6員炭素環を形成し、R、R、R、およびRは、各々Hである。一変形例において、Lは、-CH-であり、Rは、Rを有する炭素が「S」配置である場合、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成する。別の変形例において、Lは、-CH-であり、Rは、Rを有する炭素が「R」配置である場合、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成する。
【0059】
式(I)のいくつかの実施形態において、Aは
【化8】
であり、Rは2-フリルである。式(I)の別の実施形態において、Aは
【化9】
であり、Rは2-ピリジニルである。式(I)のいくつかの実施形態において、Aは
【化10】
であり、Rは2-ピリミジニルである。式(I)の他の実施形態において、Aは
【化11】
であり、Rは4-ピリミジニルである。式(I)のさらに他の実施形態において、Aは
【化12】
であり、Rは2-ピラジニルある。
【0060】
式(I)のいくつかの実施形態において、Aは
【化13】
であり、Rは2-フリルである。式(I)の別の実施形態において、Aは
【化14】
であり、Rは2-ピリジニルである。式(I)のいくつかの実施形態において、Aは
【化15】
であり、Rは2-ピリミジニルである。式(I)の他の実施形態において、Aは
【化16】
であり、Rは4-ピリミジニルである。式(I)のさらに他の実施形態において、Aは
【化17】
であり、Rは2-ピラジニルある。
【0061】
式(I)の他の実施形態において、Aは
【化18】
であり、Rは2-フリルである。式(I)の別の実施形態において、Aは
【化19】
であり、Rは2-ピリジニルである。式(I)のいくつかの実施形態において、Aは
【化20】
であり、Rは2-ピリミジニルである。式(I)の他の実施形態において、Aは
【化21】
であり、Rは4-ピリミジニルである。式(I)のさらに他の実施形態において、Aは
【化22】
であり、Rは2-ピラジニルある。
【0062】
式(I)の特定の実施形態において、--は結合であり、それにより、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、6員炭素環を形成する。いくつかの変形例において、6員炭素環は非置換である。他の変形例において、6員環は置換される。また他の変形例において、6員炭素環は、ハロ、-CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換される。
【0063】
式(I)のいくつかの実施形態において、--は結合であり、それにより、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員炭素環を形成する。いくつかの変形例において、5員炭素環は非置換である。他の変形例において、5員炭素環は置換される。また他の変形例において、5員炭素環は、ハロ、-CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換され、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、ハロ、CN、またはC-Cアルキルである。
【0064】
式(I)のいくつかの実施形態において、Aは
【0065】
【化23】
であり、Rは2-フリルであり、Lは不在であり、RはC-Cアルキルであるか、あるあるいはは結合であり、それにより、Rは、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成し、ただし5員炭素環が形成される場合、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルである。
【0066】
式(I)の特定の実施形態において、RがC-Cアルキルである場合、RはHである。式(I)の他の実施形態において、RがC-Cアルキルである場合、RはHである。
【0067】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRは、各々独立して、H、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRは、各々独立して、H、Cl、CN、またはCFである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々独立して、Cl、Br、I、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの1つは、H以外である。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの2つは、H以外である。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも2つは、H以外である。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの1つは、CNである。いくつかの実施形態において、Rは、CNである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの1つは、CFである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの2つは、CFである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々CFであるか、またはRおよびRは、各々CFであるか、またはRおよびRは、各々CFである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの1つまたは2つは、Clである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Clである。他の実施形態において、RおよびRは、各々Clである。さらに他の実施形態において、RおよびRは、各々Fである。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの1つは、Fであり、RおよびRのうちの1つは、Clである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Fである。他の実施形態において、RおよびRは、各々Clである。いくつかの実施形態において、RおよびRのうちの1つは、Fであり、RおよびRのうちの1つは、Clである。いくつかの実施形態において、R、R、R、およびRは、各々Hである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの3つは、H以外である。特定の実施形態において、R、R、およびRは、H以外である。いくつかの実施形態において、R、R、およびRは、各々ハロである。特定の実施形態において、R、R、およびRは、各々Fである。
【0068】
式(I)のいくつかの実施形態において、
【化24】
は、
【化25】
であり、式中、RおよびRは、各々C-Cハロアルキルである。いくつかの実施形態において、
【化26】
は、
【化27】
であり、式中、RおよびRは、各々独立して、ハロ、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、
【化28】
は、
【化29】
であり、式中、RおよびRは、各々独立して、Cl、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、
【化30】
は、
【化31】
であり、式中、RおよびRは、各々独立して、ClまたはFである。いくつかの実施形態において、
【化32】
は、
【化33】
である。いくつかの実施形態において、
【化34】
は、
【化35】
であり、式中、RおよびRは、各々独立して、Fである。いくつかの実施形態において、
【化36】
は、
【化37】
であり、式中、RおよびRのうちの1つは、Fであり、RおよびRのうちの1つは、Clである。いくつかの実施形態において、
【化38】
は、
【化39】
であり、式中、RおよびRは、各々ハロである。いくつかの実施形態において、
【化40】
は、
【化41】
であり、式中、RおよびRは、各々独立して、Cl、Br、I、CN、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、
【化42】
は、
【化43】
である。いくつかの実施形態において、
【化44】
は、
【化45】
である。他の実施形態において、
【化46】
は、
【化47】
である。さらに他の実施形態において、
【化48】
は、
【化49】
である。
【0069】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Rは、5員または6員ヘテロアリールであり、5員または6員ヘテロアリールは、非置換であるか、またはOH、ハロ、およびC-Cアルキルから選択される1~4つの基で置換される。いくつかの実施形態において、Rは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはテトラジニルであり、その各々は、非置換であるか、またはOH、ハロ、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシからなる群から選択される1~4つの基で置換される。いくつかの実施形態において、Rは、2-フリル、2-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、および2-ピラジニルからなる群から選択され、その各々は、非置換であるか、またはOH、ハロ、C-Cアルキル、およびC-Cアルコキシからなる群から選択される1~4つの基で置換される。
【0070】
いくつかの実施形態において、Rは、1個のヘテロ原子を含む5員または6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも2つがC-Cハロアルキルである場合、Rは、少なくとも2個のヘテロ原子を含む6員ヘテロアリールである。式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のいくつかの実施形態において、式中、
は、HまたはC-Cアルキルであり、
は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
Lは、-CH-であるかまたは不在であり、
--は、結合であるかまたは不在であり、
、R、R、R、およびRは、各々独立して、H、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも2つは、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
ならびに/あるいはR、R、R、R、およびRのうちの1つは、CNであるか、
あるいはR、R、R、およびRは、各々独立して、H、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成し、5員または6員炭素環は、非置換であるか、またはハロ、CN、-OH、C-Cアルキル、およびC-Cハロアルキルからなる群から選択される1~3つの基で置換され、
Aは、
【0071】
【化50】
であり、
は、5員または6員ヘテロアリールであり、5員または6員ヘテロアリールは、非置換であるか、またはOH、ハロ、C-CアルキルおよびC-Cアルコキシからなる群から選択される1~4つの基で置換され、
ただし、R、R、R、R、およびRの少なくとも2つがC-Cハロアルキルである場合、Rは、少なくとも2個のヘテロ原子を含む6員ヘテロアリールであり、
ただしAが
【0072】
【化51】
であり、Rが2-フリルまたは2-チオフリルである場合、(i.)~(vi.)のうちの少なくとも1つが適用され、
(i.)Lは不在であり、RはC-Cアルキルであり、
(ii.)--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、5員または6員炭素環を形成し、ただし5員炭素環が形成される場合、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、ハロ、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
(iii.)R、R、R、R、およびRのうちの1つは、CNであり、
(iv.)RおよびRは、各々独立して、Cl、Br、I、CN、C-Cアルキル、またはC-Cハロアルキルであり、
(v.)RおよびRは、各々Clであり、
(vi.)R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、F、Br、I、CN、またはC-Cハロアルキルであり、Rは2-チオフリルであり、
は、H、C-CアルキルまたはC-Cハロアルキルであり、
ただし、RがC-Cアルキルである場合、RはHであり、RがC-Cアルキルである場合、RはHである。
【0073】
いくつかの実施形態において、Aは
【0074】
【化52】
であり、Rは、非置換であるか、またはOH、ハロ、C-CアルキルおよびC-Cアルコキシからなる群から選択される1~4つの基で置換される5員または6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Aは
【0075】
【化53】
であり、Rは、各々非置換であるか、またはOH、ハロ、およびC-Cアルキルからなる群から選択される1~4つの基で置換される、2-フリル、2-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、および2-ピラジニルである。いくつかの実施形態において、Aは
【0076】
【化54】
であり、Rは2-フリルである。
【0077】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Aは
【0078】
【化55】
であり、Rは、5員または6員ヘテロアリールであり、Rの5員または6員ヘテロアリールは、非置換であるか、またはOH、ハロ、およびC-Cアルキルからなる群から選択される1~4つの基で置換される。いくつかの実施形態において、Aは
【0079】
【化56】
であり、Rは、各々非置換であるか、またはOH、ハロ、およびC-Cアルキルからなる群から選択される1~4つの基で置換される、2-フリル、2-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、および2-ピラジニルである。いくつかの実施形態において、Aは
【0080】
【化57】
であり、Rは2-ピラジニルである。
【0081】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Aは
【0082】
【化58】
であり、Rは、5員または6員ヘテロアリールであり、Rの5員または6員ヘテロアリールは、非置換であるか、またはOH、ハロ、およびC-Cアルキルからなる群から選択される1~4つの基で置換される。いくつかの実施形態において、Aは
【0083】
【化59】
であり、Rは、各々非置換であるか、またはOH、ハロ、およびC-Cアルキルからなる群から選択される1~4つの基で置換される、2-フリル、2-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、および2-ピラジニルである。いくつかの実施形態において、Aは
【0084】
【化60】
であり、Rは2-フリルである。
【0085】
本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0086】
【化61】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、Rはメチルであり、RはHであり、Aは
【0087】
【化62】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RはHであり、Rはメチルであり、Aは
【0088】
【化63】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0089】
【化64】
であり、Rは2-フリルであり、--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換6員炭素環を形成する。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0090】
【化65】
であり、Rは2-フリルであり、--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換5員炭素環を形成する。
【0091】
本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0092】
【化66】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、Rはメチルであり、RはHであり、Aは
【0093】
【化67】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RはHであり、Rはメチルであり、Aは
【0094】
【化68】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0095】
【化69】
であり、Rは2-フリルであり、--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換6員炭素環を形成する。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0096】
【化70】
であり、Rは2-フリルであり、--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換5員炭素環を形成する。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0097】
【化71】
であり、Rは2-ピラジニルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。
【0098】
本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0099】
【化72】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、Rはメチルであり、RはHであり、Aは
【0100】
【化73】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RはHであり、Rはメチルであり、Aは
【0101】
【化74】
であり、Rは2-フリルであり、Rはメチルであり、Lは不在である。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0102】
【化75】
であり、Rは2-フリルであり、--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換6員炭素環を形成する。本明細書に提供される式のいずれかのいくつかの実施形態において、RおよびRはHであり、Aは
【0103】
【化76】
であり、Rは2-フリルであり、--は結合であり、それにより、Rが、Rおよびそれらが結合した原子と一緒になって、非置換5員炭素環を形成する。
【0104】
本明細書に記載される実施形態のいくつかの変形例において、式(I)の化合物は、以下の化合物のいずれでもない。
【0105】
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)プロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール(isoxazole)-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
5-アセチル-N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(3-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-{1-[2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-{1-[2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]-1H-ピラゾール-4-イル}-5-tert-ブチル-1,2-オキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-[3,3’-ビピリジン]-5-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(2,4-ジフルオロフェニル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-イミダゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4フルオロフェニル)ニコチンアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-フェニルニコチンアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(5-メチルフラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,6-ジクロロベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(4-シアノベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(3-クロロピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(3-クロロピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-((2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)(シクロプロピル)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(3-クロロピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)ニコチンアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-5’-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(ピリジン-2-イル)チアゾール-5-カルボキサミド、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(ピリジン-2-イル)チアゾール-4-カルボキサミド、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(フラン-2-イル)チアゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,4’-ビピリジン]-2’-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-[2,3’-ビピリジン]-6’-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピリジン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(2-メトキシフェニル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(2-メトキシフェニル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(フラン-2-イル)アクリルアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリミジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-メチル-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(ピリジン-2-イル)チアゾール-5-カルボキサミド、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-4-メチル-2-(ピリジン-2-イル)チアゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-メチル-3-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-メチル-5-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-メチルピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-メチルピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(ピリジン-2-イル)チアゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(ピリジン-2-イル)オキサゾール-4-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(ピリジン-2-イル)オキサゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリミジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(ピリジン-2-イルアミノ)チアゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-4-メチル-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピラジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(1-(4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピコリンアミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラジン-2-カルボキサミド、
N-(1-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(2,6-ジクロロベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(2,6-ジクロロベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,6-ジクロロベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(フラン-2-イル)チアゾール-5-カルボキサミド、
N-(1-(2,6-ジクロロベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピラジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-4-メチル-5-(ピリジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリミジン-4-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(ピリジン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、および
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド、
またはその薬学的に許容される塩。
【0106】
代表的な化合物を表1に列挙する。
【0107】
【表1】
【0108】
いくつかの実施形態において、表1に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及びその使用が、本明細書に提供される。
【0109】
本明細書に記載される実施形態及び変形例は、該当する場合、本明細書に詳述される任意の式の化合物に適している。
【0110】
N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)-1,3,4-チアジアゾール-2-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2,6-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボキサミド;
5-(ピラジン-2-イル)-N-(1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;
N-(1-(1-(2,6-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド;および
N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド、
からなる群から選択される化合物、
またはその薬学的に許容される塩が、本明細書に提供される。該当する場合、幾何異性体(例えば、シス/トランス異性体またはE/Z異性体)、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはラセミ混合物を含む、任意の比でのその混合物を含む、本明細書に示される化合物のいずれかおよびすべての立体異性体も本明細書に提供される。
【0111】
本明細書に記載される実施形態および変形例は、該当する場合、本明細書に詳述される任意の式の化合物に適している。
【0112】
本開示による中間体および最終化合物を含む、本明細書に詳述される化合物のすべての代表的な例は、本明細書に示される。一態様において、該当する場合、単離され、個体に投与され得る中間体化合物を含む、化合物のいずれかは、本明細書に詳述される方法において使用され得ることが理解される。
【0113】
本明細書に示される化合物は、塩が示されていなくても塩として存在してもよく、本開示は、当業者によって十分に理解されるように、ここに示される化合物のすべての塩および溶媒和物、ならびに化合物の非塩および非溶媒和物の形態を包含することを理解されたい。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される化合物の塩は、薬学的に許容される塩である。1つ以上の第3級アミン部分が化合物中に存在する場合、N-オキシドもまた提供され、記載される。
【0114】
互変異性体形態が本明細書に記載の化合物のいずれかについて存在し得る場合、互変異性体形態のうちの1つまたはいくつかのみが明示的に示され得るが、各々およびすべての互変異性体形態が意図される。具体的に示される互変異性形態は、溶液中または本明細書に記載される方法に従って使用されるときの主な形態であってもそうでなくてもよい。
【0115】
本開示はまた、記載される化合物の任意のエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態を含む、立体化学形態のうちのいずれかまたはすべてを含む。本明細書に与えられる任意の式の化合物は、不斉中心を有し、したがって異なるエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態で存在し得る。一般式の化合物のすべての光学異性体および立体異性体、ならびに任意の比でのその混合物は、式の範囲内で考慮される。よって、本明細書に与えられる任意の式は、特定の立体化学が別途示されない限り、ラセミ体、1つ以上のエナンチオマー形態、1つ以上のジアステレオマー形態、1つ以上のアトロプ異性体形態、および任意の比でのその混合物を表すことが意図される。表1の化合物が特定の立体化学配置で示される場合、化合物の任意の代替立体化学配置、および任意の比での化合物の立体異性体の混合物も本明細書に提供される。例えば、表1の化合物が、「S」立体化学配置にある立体中心を有する場合、立体中心が「R」立体化学配置にある化合物のエナンチオマーも本明細書に提供される。同様に、表1の化合物が、「R」配置にある立体中心を有する場合、「S」立体化学配置にある化合物のエナンチオマーも本明細書に提供される。「S」および「R」立体化学配置の両方を有する化合物の混合物も提供される。さらに、特定の構造は、幾何異性体(すなわち、シスおよびトランス異性体)として、互変異性体として、またはアトロプ異性体として存在し得る。例えば、本明細書に与えられる任意の式の化合物は、束縛回転を有する結合を含有し、したがって異なる幾何配置で存在し得る。表1の化合物が特定の幾何異性体(例えば、EもしくはZ異性体、またはシスもしくはトランス異性体)として示される場合、化合物の任意の代替幾何配置、および任意の比での化合物の幾何異性体の混合物も本明細書に提供される。例えば、表1の化合物が「Z」異性体として示される場合、化合物の「E」異性体も本明細書に提供される。同様に、表1の化合物が「E」異性体として示される場合、化合物の「Z」異性体も本明細書に提供される。「E」および「Z」立体化学配置の両方を有する化合物の混合物も提供され、混合物は任意の比である。同様に、表1の化合物が「シス」異性体として示される場合、化合物の「トランス」異性体も本明細書に提供され、化合物が「トランス」異性体として示される場合、化合物の「シス」異性体も本明細書に提供される。「シス」および「トランス」立体化学配置の両方を有する化合物の混合物も提供され、混合物は任意の比である。化合物のすべての形態、例えば、化合物の結晶形態または非結晶形態はまた、本発明によって包含される。本発明の化合物を含む組成物はまた、例えば、その特定の立体化学形態を含む実質的に純粋な化合物の組成物、またはラセミまたは非ラセミの混合物などの2つ以上の立体化学形態を含む、任意の比での本発明の化合物の混合物を含む組成物も意図される。
【0116】
本発明はまた、本明細書に記載される化合物の同位体標識および/または同位体濃縮の形態を意図する。本明細書における化合物は、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上に人為的な(unnatural)割合の原子同位体を含み得る。いくつかの実施形態において、化合物は、同位体標識されており、例えば、1つ以上の原子の画分が同じ元素の同位体によって置き換えられる、本明細書に記載される式(I)の同位体標識化合物またはその変形例である。本発明の化合物に組み込まれ得る例示的な同位体には、H、H、11C、13C、1413N、15O、17O、32P、35S、18F、36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、塩素の同位体が挙げられる。特定の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14C)は、化合物または基質組織分布研究において有用である。重水素(H)などのより重い同位体の組み込みは、より大きな代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加、または用量要件の低減に起因するある特定の治療上の利点を提供することができ、したがって、いくつかの事例において好ましい場合がある。
【0117】
本発明の同位体標識化合物は、概して、当業者に既知の標準的な方法および技法によって、または対応する非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を置き換える付随する実施例に記載されるものと同様の手順によって調製することができる。
【0118】
本発明はまた、記載される化合物のいずれかまたはすべての代謝産物を含む。代謝産物は、記載される化合物のいずれかの生体内変化によって生成される任意の化学種、例えば、ヒトへの投与後にインビボで生成されるような、化合物の代謝の中間体および生成物を含み得る。
【0119】
本明細書に記載される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を好適な容器に含む製造物品が提供される。容器は、バイアル、ジャー、アンプル、プリロードシリンジ、I.V.バッグ、および同類のものであり得る。
【0120】
好ましくは、本明細書に詳述される化合物は、経口的に生体利用可能である。しかしながら、化合物はまた、非経口(例えば、静脈内)投与用に製剤化され得る。
【0121】
本明細書に記載される1つまたはいくつかの化合物は、活性成分としての化合物(単数または複数)を、当該技術分野で既知の薬理学的に許容される担体と組み合わせることによって、薬剤の調製に使用することができる。薬剤の治療形態に応じて、担体は様々な形態であり得る。一変形例において、薬剤の製造は、例えば、がんの治療のために、本明細書に開示される方法のうちのいずれかにおける使用のためのものである。
【0122】
一般的な合成方法
本発明の化合物は、以下で一般的に説明されるようないくつかのプロセスによって調製され得る。以下のプロセスの説明では、示される式で使用されるときの記号は、本明細書の式に関して上に記載されるそれらの基を表すものと理解されたい。
【0123】
化合物の特定のエナンチオマーを得ることが所望される場合、これは、エナンチオマーを分離または分解するための任意の好適な従来の手順を使用して、対応するエナンチオマーの混合物から達成され得る。したがって、例えば、ジアステレオマー誘導体は、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ体、および適切なキラル化合物の反応によって生成され得る。次いで、ジアステレオマーは、任意の好都合な手段によって、例えば、結晶化によって分離され得、所望のエナンチオマーが回収される。別の解決プロセスでは、ラセミ体は、キラル高速液体クロマトグラフィーを使用して分離され得る。あるいは、所望である場合、特定のエナンチオマーは、記載されるプロセスのうちの1つにおいて適切なキラル中間体を使用することによって得ることができる。
【0124】
クロマトグラフィー、再結晶化、および他の従来の分離手順はまた、化合物の特定の異性体を得ること、またはそれ以外の場合反応の生成物を精製することが所望される中間体または最終生成物とともに使用され得る。
【0125】
本明細書に提供される化合物またはその薬学的に許容される塩の溶媒和物および/または多形体も企図される。溶媒和物は、化学量論量の溶媒または非化学量論量の溶媒のいずれかを含み、結晶化のプロセス中に形成されることが多い。溶媒が水であるときに水和物が形成され、または溶媒がアルコールであるときにアルコラートが形成される。多形体には、化合物の同じ元素組成物の異なる結晶パッキング配置が含まれる。多形体は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気特性、安定性、ならびに/または溶解性を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度、および貯蔵温度などの様々な要因は、単一の結晶形態を支配し得る。
【0126】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、スキーム1に従って合成され得る。
スキーム1
【化77】
ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、およびAは、式(I)、または本明細書に詳述されるその任意の変形例について定義される通りである。
【0127】
スキーム1における調製方法の例示的な実施形態をスキーム1aに示す。
スキーム1a
【化78】
ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、式(I)、または本明細書に詳述されるその任意の変形例について定義される通りである。
【0128】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、スキーム2に従って合成され得る。
スキーム2
【化79】
ここで、A、R、R、R、R、R、R、R、およびnは、式(I)、または本明細書に詳述されるその任意の変形例について定義される通りであり、Xは、ハロゲンである。
【0129】
スキーム2における調製方法の例示的な実施形態をスキーム2aに示す。
スキーム2a
【化80】
ここで、A、R、R、R、R、R、R、R、およびnは、式(I)、または本明細書に詳述されるその任意の変形例について定義される通りであり、Xは、ハロゲンである。
【0130】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、スキーム3に従って合成され得る。
スキーム3
【化81】
ここで、A、R、R、R、R、R、およびRは、式(I)、または本明細書に詳述されるその任意の変形例について定義される通りである。
【0131】
スキーム3における調製方法の例示的な実施形態をスキーム3aに示す。
スキーム3a
【化82】
ここで、A、R、R、R、R、R、およびRは、式(I)、または本明細書に詳述されるその任意の変形例について定義される通りである。
【0132】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、スキーム4に従って合成され得る。
スキーム4
【化83】
ここで、A、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、式(I)、または本明細書に詳述されるその任意の変形例について定義される通りであり、Xは、ハロゲンである。
【0133】
特定の例は、以下の実施例セクションに提供される。上記のスキームは、適切な試薬および出発物質の選択によって、本発明の様々な化合物に到達するように変更され得ることを理解されたい。保護基およびそれらの使用に関する一般的な説明については、P.G.M.Wuts and T.W.Greene,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis 4th edition,Wiley-Interscience,New York,2006を参照されたい。
【0134】
薬学的組成物および製剤
本明細書に記載の化合物のうちのいずれかの薬学的組成物は、本開示によって包含される。したがって、本開示は、本明細書に詳述される化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む薬学的組成物を含む。一態様において、薬学的に許容される塩は、無機または有機の酸で形成される塩などの酸付加塩である。薬学的組成物は、経口、口腔、非経口、鼻腔、局所、または直腸の投与に好適な形態、または吸入による投与に好適な形態をとり得る。
【0135】
本明細書に詳述される化合物は、一態様において精製形態であってもよく、精製形態の化合物を含む組成物は、本明細書に詳述される。実質的に純粋な化合物の組成物などの、本明細書に詳述される化合物またはその塩を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に詳述される化合物またはその塩を含む組成物は、実質的に純粋な形態である。
【0136】
一変形例において、本明細書の化合物は、個体への投与のために調製された合成化合物である。別の変形例において、実質的に純粋な形態の化合物を含む組成物が提供される。別の変形例において、本開示は、本明細書に詳述される化合物と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を包含する。別の変形例において、化合物を投与する方法が提供される。精製された形態、薬学的組成物、および化合物の投与方法は、本明細書に詳述される任意の化合物またはその形態に好適である。
【0137】
本明細書に詳述される化合物またはその塩は、経口、粘膜(例えば、鼻、舌下、膣、頬、または直腸)、非経口(例えば、筋肉内、皮下、または静脈内)、局所、または経皮送達形態を含む、任意の利用可能な送達経路のために製剤化され得る。化合物またはその塩は、以下に限定されないが、錠剤、カプレット、カプセル(硬質ゼラチンカプセルまたは軟質弾性ゼラチンカプセルなど)、カシェ剤、トローチ、ロゼンジ、ガム、分散液、座薬、軟膏、パップ剤(湿布剤)、ペースト、粉末、ドレッシング、クリーム、溶液、パッチ、エアロゾル(例えば、鼻腔スプレーまたは吸入器)、ゲル、懸濁液(例えば、水性または非水性液体懸濁液、水中油型乳剤または油中水型液体乳剤)、溶液、およびエリキシル剤を含む送達形態を提供するために好適な担体とともに製剤化され得る。
【0138】
本明細書に記載される1つまたはいくつかの化合物もしくはその塩は、活性成分としての化合物(単数、複数)またはその塩と、上記のようなものなどの薬学的に許容される担体とを組み合わせることによって、薬学的製剤などの製剤の調製に使用することができる。システムの治療形態(例えば、経皮パッチ対経口錠剤)に応じて、担体は様々な形態であり得る。加えて、薬学的製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、再湿潤剤、乳化剤、甘味料、染料、調整剤、および浸透圧の調整のための塩、緩衝剤、コーティング剤、または酸化防止剤を含み得る。化合物を含む製剤は、貴重な治療特性を有する他の物質も含み得る。薬学的製剤は、既知の薬学的方法によって調製され得る。好適な製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,20th ed.(2000)に見出され得る。
【0139】
本明細書に記載されるような化合物は、硬質もしくは軟質のシェルのゲルカプセル、錠剤、およびコーティング錠剤、、乳剤、または懸濁液などの一般に許容される経口組成物の形態で個体に投与され得る。かかる組成物の調製に使用され得る担体の例は、ラクトース(乳糖)、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、タルク、ステアレートまたはその塩などである。軟質シェルを有するゲルカプセルについて許容される担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体、および液体ポリオールなどである。加えて、薬学的製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、再湿潤剤、乳化剤、甘味料、染料、調整剤、および浸透圧の調整のための塩、緩衝剤、コーティング剤、または酸化防止剤を含み得る。
【0140】
本明細書に記載される化合物のうちのいずれかは、記載される任意の剤形で錠剤中に製剤化され得、例えば、本明細書に記載されるような化合物またはその薬学的に許容される塩は、10mgの錠剤として製剤化され得る。
【0141】
本明細書に提供される化合物を含む組成物もまた記載される。一変形例において、組成物は、化合物またはその塩、ならびに薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。別の変形例において、実質的に純粋な化合物の組成物が提供される。
【0142】
使用方法および使用
本明細書に詳述される化合物および組成物、例えば本明細書に提供される任意の式の化合物またはその塩、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物は、本明細書に提供されるような投与および治療の方法において使用され得る。化合物および組成物はまた、スクリーニング目的のためおよび/または品質管理アッセイを実施するために、化合物または組成物を細胞に投与するインビトロ方法などの、インビトロ方法において使用され得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、ATF6経路を調節する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、ATF6を調節する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、ATF6経路を活性化する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、ATF6を活性化する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、ATF6経路を阻害する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、ATF6を阻害する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、ATF6はATF6αである。本明細書に記載される化合物またはその塩および本明細書に記載される組成物は、ATF6経路、ATF6、および/又はATF6αを阻害するのに有効であると考えられる。
【0144】
いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αを調節する方法は、ATF6またはATF6αを含む細胞に、本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物を投与または送達することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αを活性化する方法は、ATF6またはATF6αを含む細胞に、本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物を投与または送達することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αを阻害する方法は、ATF6またはATF6αを含む細胞に、本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物を投与または送達することを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、癌細胞などの異常細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、活性化されたATF6経路を有する。いくつかの実施形態において、細胞は、ERストレス誘導条件に曝露されている。いくつかのERストレス誘導条件は、グルコース欠乏、異常Ca2+制御、ウイルス感染、低酸素、およびERストレス誘導分子、例えば、タプシガルギン、イオノマイシン、またはツニカマイシンへの曝露など、当該技術分野で知られている。
【0145】
いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6またはATF6αを調節する方法は、本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物を、腫瘍に投与または送達することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αを活性化する方法は、本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物を、腫瘍に投与または送達することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αを阻害する方法は、本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物を、腫瘍に投与または送達することを含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αの調節は、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子の発現を調節することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αの調節は、ATF6α標的遺伝子の発現を調節することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子の発現は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%調節される。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αの活性化は、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子の発現を活性化することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αの活性化は、ATF6α標的遺伝子の発現を活性化することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子の発現は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%活性化される。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αの阻害は、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子の発現を阻害することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6経路、ATF6、またはATF6αの阻害は、ATF6α標的遺伝子の発現を阻害することを含む。いくつかの実施形態において、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子の発現は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または98%阻害される。
【0147】
いくつかの実施形態において、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子は、ERストレス応答エレメント(ERSE)を含むプロモーターを含む。いくつかの実施形態において、プロモーターは、CCAATCGGCGGCGGCCACG(配列番号1)と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%配列同一性を共有する配列を含む。いくつかの実施形態において、プロモーターは、配列番号1を含む。いくつかの実施形態において、ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子は、GRP78、HERPUD1、またはERO1Bである。いくつかの実施形態において、ATF6α標的遺伝子は、GRP78である。ATF6および/またはATF6αの標的遺伝子の発現の調節、活性化、または阻害は、当該技術分野で知られる方法によって、例えば、PCR、qPCR、もしくはノーザンブロッティングなどの技法を用いる標的遺伝子のmRNAの検出によって、またはウエスタンブロッティングもしくは質量分析などによる、ポリペプチド遺伝子生成物の検出によって決定することができる。
【0148】
いくつかの実施形態において、化合物、その塩、または組成物は、ATF6経路、ATF6、またはATF6αを、約10μM未満、例えば、約5μM、2μM、1μM、900nM、800nM、700nM、または600nM未満のIC50で、調節、活性化、または阻害する。いくつかの実施形態において、化合物、その塩、または組成物は、ATF6経路、ATF6、またはATF6αを、約10nM~5μM、例えば、約50nM~2μM、100nM~1μM、または20nM~1μMのIC50で阻害する。半最大阻害濃度(IC50)は、特定の生物学的または生化学的機能を阻害する物質の有効性の尺度である。IC50は、所与の生物学的プロセスまたはプロセスの構成要素、例えば、酵素、細胞、細胞受容体、または微生物を半分阻害するのにどの程度の阻害剤が必要かを示す定量的尺度である。IC50をインビトロおよびインビボで判定する方法は、当該技術分野で既知である。
【0149】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物またはその塩および本明細書に記載される組成物は、ATF6β活性が調節(活性化または阻害)されないか、またはより少ない程度調節(活性化または阻害)される量で投与される。いくつかの実施形態において、ATF6αの調節(活性化または阻害)は、ATF6β活性の阻害よりも、少なくともまたは少なくとも約2倍大きく、例えば、少なくともまたは少なくとも約3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、30倍、50倍、60倍、75倍、または100倍大きい。
【0150】
個体における疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその任意の実施形態もしくは変形例もしくは態様(集合的に、式(I)の化合物または本化合物または本明細書に詳述もしくは記載される化合物)、あるいはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0151】
いくつかの実施形態において、個体においてATF6経路によって媒介される疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体においてATF6経路の活性化によって媒介される疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体においてATF6の活性化によって媒介される疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体においてATF6αの活性化によって媒介される疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0152】
いくつかの実施形態において、個体においてATF6経路の活性化によって特徴付けられる疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体においてATF6の活性化によって特徴付けられる疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体においてATF6αの活性化によって特徴付けられる疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体においてATF6標的遺伝子の増加した発現によって特徴付けられる疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体においてATF6α標的遺伝子の増加した発現によって特徴付けられる疾患を治療する方法であって、有効量の、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、増加した発現は、非罹患組織または細胞との比較におけるものである。
【0153】
本化合物またはその塩は、様々な疾患および障害、例えば、ATF6活性化された転写標的が疾患の発病または発症において役割を果たす疾患を治療するために有効であると考えられる。例えば、いくつかの実施形態において、本化合物および組成物は、ウイルス感染症、癌、神経変性疾患、または血管疾患、例えば、心血管疾患を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態において、疾患は、ウイルス感染症、遺伝性小脳萎縮症および運動失調症、またはアルツハイマー病である。いくつかの実施形態において、疾患は、2型糖尿病または糖尿病性腎障害である。いくつかの実施形態において、疾患は、心筋萎縮、心不全、アテローム性動脈硬化、または虚血、例えば、虚血性心疾患または脳虚血である。
【0154】
UPRのATF6分枝がウイルス感染症の中心であることは実証されている。例えば、ATF6は、ウエストナイルウイルス感染症中に細胞生存を維持し、免疫応答を調節するために重要である(Ambrose R J.Virol.February 2013 vol.87 no.4 2206-2214)。また、アフリカ豚熱ウイルスは、早期アポトーシスを防止し、ウイルス複製を確保するように、ATF6分枝を活性化する(Galindo I,Cell Death Dis 2012 Jul 5;3:e341.doi:10.1038/cddis.2012.81)。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、ウイルス感染症を治療または予防する方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、ウイルス感染症は、アフリカ豚熱ウイルス、デングウイルス、エンテロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、またはウエストナイルウイルスの感染症である。いくつかの実施形態において、ウイルス感染症は、感染細胞においてATF6を活性化するウイルスによって引き起こされる。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、乳癌、結腸直腸癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、黒色腫、線維肉腫、骨肉腫、結合組織肉腫、腎細胞癌、巨細胞癌、扁平上皮癌、白血病、皮膚癌、軟組織癌、肝臓癌、胃腸癌、または腺癌などの、がんを治療する方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、化合物、塩、または組成物は、転移性腎臓癌、慢性リンパ球性白血病、膵臓腺癌、または非小細胞肺癌を治療する方法において使用され得る。
【0156】
ATF6α転写標的は、癌細胞において高レベルで発現している。例えば、細胞内GRP78レベルと腫瘍サイズとの間に相関が存在する(Cai,J.W.,et al.,J Cell Physiol,1993,154(2):229-37)。さらに、GRP78/BiP発現が、癌細胞において実験的に抑制され、次いでマウスに注射された場合、細胞は、細胞毒性T-細胞(CTL)応答および腫瘍壊死因子(TNF)に対する増加した感受性のために、腫瘍を形成することができなかった(Jamora,C.,et al.,Proc Natl Acad Sci USA,1996,93(15):7690-7694、Sugawara,S.,et al.,Cancer Res,1993,53(24):6001-6005)。
【0157】
細胞的に休眠している癌細胞は、増殖性マーカーを欠き、静止状態で存在する。細胞的休眠性を経験することが知られる細胞は、播種性腫瘍細胞(DTC)および循環内に位置する腫瘍細胞(循環性腫瘍細胞(CTC)と呼ばれる)を含む(Hensel,J.A.,et al.,Nat Rev Clin Oncol,2013,10(1):41-51)。孤立性DTCによって引き起こされる最小残存疾患は、好ましくない患者予後と関連する十分に認識される事象である。通常は増殖マーカー(例えば、Ki67)に対して陰性(negative)に染色する、DTCは、原発性腫瘍の治療の最大数十年後に発症し得る腫瘍再発の源であり得る(Meng,S.,et al.,Clin Cancer Res,2004,10(24):8152-8162)。ATF6αは、休眠癌細胞のためのATF6α-Rheb-mTOR経路を通した伝達生存シグナルであることが報告されている(Schewe,D.M.et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2008,105(30):10519-10524)。ATF6αシグナル伝達は、ERおよび低糖ストレスに対する保護にとって重要であり、ATF6αとmTORシグナル伝達との間の相互作用は、ドキソルビシンに対する、およびmTOR阻害剤ラパマイシンに対する休眠癌細胞の抵抗性を与えると考えられ、潜在性薬物抵抗性メカニズムを明らかにする(Schewe,D.M.et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2008,105(30):10519-10524)。
【0158】
加えて、多癌研究は、転移対原発性病変におけるより高いATF6発現を示し、それらの原発性腫瘍におけるATF6αの増加した発現を有する結腸癌患者は、再発のより高い可能性を有した(Ramaswamy,S.,et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2001,98(26):15149-15154)。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、個体における癌を治療する方法において使用され得、個体における1つ以上の癌細胞は、休眠癌細胞である。いくつかの実施形態において、休眠癌細胞のうちの1つ以上は、播種性腫瘍細胞または循環性腫瘍細胞である。いくつかの実施形態において、休眠癌細胞のうちの1つ以上は、播種性腫瘍細胞である。
【0160】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、個体における癌を治療する方法において使用され得、個体は、前治療を受けている。いくつかの実施形態において、癌は、前治療に抵抗性または不応性である。いくつかの実施形態において、癌は、前治療で進行している。実施形態において、癌は、再発性癌である。いくつかの実施形態において、前治療は、ユビキチン-プロテアソーム経路阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル(docetaxel))、Cox-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、白金系抗悪性腫瘍薬(例えば、シスプラチンまたはオキサリプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシルまたはゲムシタビン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド)、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン)、免疫チェックポイント阻害剤、または免疫腫瘍学に使用される薬剤での治療であった。いくつかの実施形態において、癌は、ユビキチン-プロテアソーム経路阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)、Cox-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、白金系抗悪性腫瘍薬(例えば、シスプラチンまたはオキサリプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシルまたはゲムシタビン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド)、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン)、免疫チェックポイント阻害剤、または免疫腫瘍学に使用される薬剤での治療に抵抗性である。いくつかの実施形態において、癌は、ドキソルビシンおよび/またはラパマイシンでの治療に抵抗性である。
【0161】
いくつかの実施形態において、化合物、塩、または組成物の投与は、個体における腫瘍成長、腫瘍増殖、または腫瘍発生性を低減する。いくつかの実施形態において、化合物、塩、または組成物は、腫瘍成長、腫瘍増殖、または腫瘍発生性を低減することを必要とする個体においてそれを行う方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、腫瘍成長は、遅くなるか、または停止される。いくつかの実施形態において、腫瘍成長は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低減される。いくつかの実施形態において、腫瘍のサイズが低減される。いくつかの実施形態において、腫瘍サイズは、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低減される。いくつかの実施形態において、腫瘍転移は、予防されるか、または遅くなる。いくつかの実施形態において、腫瘍成長、腫瘍増殖、または腫瘍発生性は、化合物、塩、または組成物の投与前の個体における腫瘍成長、腫瘍増殖、または腫瘍発生性と比較される。いくつかの実施形態において、腫瘍成長、腫瘍増殖、または腫瘍発生性は、同様の個体または個体群における腫瘍成長、腫瘍増殖、または腫瘍発生性と比較される。腫瘍成長、腫瘍増殖、および腫瘍発生性を測定する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、個体の反復イメージングによる。
【0162】
本化合物またはその塩はまた、血管新生の阻害に有効であると考えられる。ATF6およびPERKの活性化は、AKTの完全活性に必要な、Ser473上のAKTのmTORC2媒介性リン酸化を正に制御することによって内皮細胞(EC)に対する血管内皮成長因子(VEGF)の生存効果に寄与する。PLCγ、ATF6、またはeIF2aの減少は、マウスマトリゲルプラグ、標準的な血管新生アッセイにおいて、VEGF誘導性血管新生をインビボで劇的に阻害した(Karali,E.et al,Molecular Cell,2014,54:559-572)。したがって、本化合物またはその塩は、血管新生に関連する様々な疾患および障害を治療するために有効であると考えられる。
【0163】
血管新生は、固形腫瘍および転移、アテローム性動脈硬化、後水晶体線維増殖、血管腫、慢性炎症、眼球内血管新生疾患、例えば、増殖性網膜症、例えば、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性(AMD)、血管新生緑内障、移植された角膜組織および他の組織の免疫拒絶、リウマチ性関節炎、ならびに乾癬を含む、様々な疾患障害の病因に関与している。したがって、いくつかの実施形態において、本化合物および組成物は、癌、例えば、任意の本明細書に記載される癌、望ましくないか、または異常な肥大、関節炎、リウマチ性関節炎(RA)、乾癬、乾癬プラーク、サルコイドーシス、アテローム性動脈硬化、アテローム性動脈硬化性プラーク、未熟児網膜症を含む糖尿病性および他の増殖性網膜症、後水晶体線維増殖症、血管新生緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病性黄斑浮腫、角膜血管新生、角膜移植血管新生、角膜移植片拒絶、網膜/脈絡膜血管新生、角の血管新生(ルベオーシス)、眼血管新生疾患、血管再狭窄、動静脈奇形(AVM)、髄膜腫、血管腫、血管線維腫、甲状腺過形成(グレーブス病を含む)、角膜および他の組織移植、慢性炎症、肺炎症、急性肺損傷/ARDS、敗血症、原発性肺高血圧症、悪性肺滲出液、脳浮腫(例えば、急性脳卒中/閉鎖性頭部損傷/外傷と関連)、滑膜炎、RAにおけるパンヌス形成、骨化性筋炎、異所的骨形成、変形性関節症(OA)、難治性腹水、多嚢胞性卵巣疾患、子宮内膜症、サードスペース体液疾患(膵炎、コンパートメント症候群、bums、腸疾患)、子宮筋腫、早期分娩、IBD(クローン病および潰瘍性大腸炎)などの慢性炎症、腎臓同種移植片拒絶、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群、望ましくないか、または異常な組織塊成長(非癌)、血友病性関節、肥厚性瘢痕、毛髪成長の阻害、オスラー-ウェーバー症候群、化膿性肉芽腫、後水晶体線維増殖症、強皮症、トラコーマ、血管接着、滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水、心膜滲出液(心膜炎と関連するものなど)、および胸膜滲出液を治療する方法において使用される。
【0164】
微生物性腸内毒素症と関連した腸障壁防御における破損は、炎症性腸疾患、1型糖尿病、アルツハイマー病、および癌を含む、いくつかの障害への主要な要因として出現している。特に、結腸直腸癌(CRC)を有する患者において、腫瘍組織におけるATF6の高発現レベルは、増加した腫瘍サイズおよび低減した無病生存率と関連付けられた。一方、改変微生物叢は、CRCと関連付けられている。これらのデータは、UPRの活性化、微生物叢、および結腸腫瘍発生の間のつながりを示す。ATF6を介したUPR活性化と微生物叢依存性結腸腫瘍発生との間の新規関係が実証されている。杯細胞喪失および上皮腺窩への細菌浸潤は、腫瘍形成前に発生し、nATF6IECマウスの抗生物質治療は、腫瘍負荷を有意に減少させた。ATF6活性化の誘導性マウスモデルにおいて、26週で100%腫瘍発生率があった。活性化ATF6誘導の4日後、増加した細胞増殖とともに結腸上皮に対して細菌の近くに顕著な増加があり、これらの変更がATF6活性化の下流の早期事象であることを示した。一部の研究者らは、腫瘍発生の開始前である、5週齢での16S rRNA遺伝子アンプリコン配列決定によって評価されるように、減少した微生物多様性を伴う微生物性の腸内毒素症(dysbiosis)が、nATF6IECマウスの盲腸内容物に存在したことを見出した。このディスバイオティック微生物叢は、対照微生物叢のnATF6IECマウスへの移動と比較して、無菌nATF6IECマウスへの移動後に腫瘍形成を向上させた。これらのデータは、上皮における微生物性腸内毒素症およびその後のSTAT3シグナル伝達が、このモデルにおいて腫瘍発生に有意に寄与することを示す。
【0165】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、ATF6の阻害を通してCRCを予防または治療するための方法において使用され得、杯細胞喪失および腸内毒素症を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、CRC患者のサブセットにおける腫瘍進行をアンタゴナイズするようにATF6シグナル伝達を遮断し、腸内毒素症を回復(食い止める、reverse)するための方法において使用され得る。
【0166】
ERタンパク質恒常性および機能にはっきりと影響を及ぼすUPRシグナル伝達アームの能力は、これらの経路の選択的活性化が、病因学的に多様なヒト疾患と関連するERタンパク質恒常性における病理学的不均衡を軽減する顕著な潜在性を有することを示す。特に、ATF6シグナル伝達アームの活性化は、ERタンパク質恒常性および機能における疾患関連不均衡を改善するために有用であることが示されている。化学遺伝子アプローチを用いるATF6転写因子のストレス非依存性活性化は、ERタンパク質恒常性経路の保護リモデリングを誘導し、内因性プロテオームの分泌に大きな影響を及ぼすことなく、トランスチレチンおよび免疫グロブリン軽鎖などの不安定化されたアミロイド疾患関連タンパク質の分泌および細胞外凝集を選択的に低減する(Shoulders et al.,2013、Chen et al.,2014、Cooley et al.,2014、Plate et al.,2016)。したがって、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、タンパク質の誤った折り畳みおよび凝集疾患の細胞および動物モデルにおいてERタンパク質恒常性の病理学的不均衡を補正するための方法において使用され得る。
【0167】
本発明の一態様は、細胞におけるATF6の過剰発現が、そうでなければタンパク質の望ましくない蓄積がその細胞において起こる場合に発生するという細胞死を予防するという予期せぬ発見に基づく。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、パーキンと相互作用し、細胞内で適切に廃棄されない分子の異常蓄積と関連するパーキンソン病(PD)などの状態を治療するための方法において使用され得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、細胞死を予防するための方法において使用され得る。例えば、ヒトを含む、哺乳動物における黒質ニューロンの死を予防することを含む、神経細胞死を予防することが、本発明内で企図される。
【0169】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、タンパク質の異常沈殿および/または凝集と関連する神経変性疾患を治療するための方法において使用され得る。例えば、アルツハイマー病を有する患者の脳は、神経原線維変化(NFT)、老人斑、およびアミロイドベータの脳血管性沈着物を示し、プリオン病を有する患者の脳は、プリオンタンパク質を含む斑(プラーク)を示し、ハンチントン病を有する患者の脳は、ハンチンチン沈殿物を示し、優性遺伝性脊髄小脳失調症を有する患者は、対応するアタキシンタンパク質沈殿物を示し、多系統萎縮症を有する患者は、アルファ-シヌクレイン沈着物を示し、進行性核上性麻痺を有する患者は、タウ沈殿物を示し、家族性筋萎縮性側索硬化症を有する患者は、SOD1沈殿物を示す(Johnson,W.G.,J.Anat.4:609-616(2000))。これらの様々な疾患は、共通の病理学的メカニズムを共有するので、それらは、タンパク質の異常凝集および/または沈殿をもたらす経路を共有する可能性がある(Hardy,J.and Gwinn-Hardy,K.,Science 282(5391 ):1075-1079(1998))。
【0170】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、単独療法として、または他の姑息的である薬剤(例えば、治療される障害の症状を緩和する薬剤)、および/もしくは障害の原因を標的とする薬剤との併用療法としてのいずれかの方法において使用され得る。例えば、ATF6の発現を増加させる組成物の対象への投与は、L-DOPA、ドーパミンアゴニスト、モノアミンオキシダーゼB阻害剤、またはパーキンソン病などの神経変性疾患の治療において有用な任意の他の組成物の投与とともに実施され得る。
【0171】
心臓における活性ATF6転写因子の過剰発現はまた、抗酸化遺伝子、カタラーゼのATF6依存性制御を含むメカニズムを通して、虚血性心疾患のマウスモデルにおいて心機能を改善することが示されている(Jin et al.,2017)。同様に、肝臓における活性ATF6転写因子の過剰発現は、肥満マウスにおいてインスリン感受性を改善する(Ozcan et al.,2016)。これらの結果は、ATF6活性化が、様々な疾患に関与するERタンパク質恒常性欠損を改善する無比の治療機会を提供することを示す。
【0172】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、特に心臓における内因性適応性ATF6遺伝子プログラムを活性化することによって、I/R損傷からの心筋回復を向上させるための方法において使用され得る。
【0173】
ATF6α経路はまた、ストレス誘導脂質蓄積において役割を果たす。p50ATF6は、SREBP-2の核形態と相互作用し、それによって脂質合成遺伝子のSREBP-2制御転写ならびに培養された肝細胞および腎臓細胞における脂質蓄積をアンタゴナイズする。また、Atf6α欠損マウスは、ERストレスの薬理学的誘導への応答において野生型マウスよりもかなり長く、肝機能障害および脂肪症を示した。これは、CHOPの慢性発現およびC/EBPαの持続抑制、ならびに/またはタンパク質シャペロン、輸送、およびERAD機能をコードする遺伝子のATF6α媒介性誘導の失敗によって説明することができた。喫食時、HFD、Atf6α-/-マウスは、SREBP-1cの増加した発現と関連して肝脂肪症および耐糖能異常を発症した。一方、ゼブラフィッシュにおけるATF6の機能的に活性な核断片の過剰発現は、脂肪肝を引き起こし、肝臓脂肪症を予防するためにATF6αの微調整が重要であり得ることを示す。
【0174】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、肥満、I型およびII型糖尿病、膵臓炎、脂質異常症、高脂血症状態、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、インスリン抵抗性、高インスリン血症、ブドウ糖不耐症、高血糖症、代謝症候群、急性心筋梗塞、高血圧、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患、卒中、心不全、冠動脈心臓疾患、腎臓疾患、糖尿病合併症、ニューロパチー、胃不全麻痺、インスリン受容体における深刻な不活性化変異に関連する障害、および他の代謝障害などの、代謝性障害を治療する方法において使用され得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物もしくはその塩、または本明細書に記載される組成物は、虚血性心疾患または虚血/再灌流(I/R)からの心筋回復を治療する方法において使用され得る。
【0176】
本開示に従って、いくつかの実施形態において、個体は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、個体は、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、またはげっ歯類である。いくつかの実施形態において、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態において、個体は、本明細書に開示される疾患または障害のうちのいずれかを有する。いくつかの実施形態において、個体は、本明細書に開示される疾患または障害のいずれかを発症するリスクである。
【0177】
薬剤の製造における、本明細書に記載される化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物の使用もまた本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、薬剤の製造は、本明細書に記載される障害または疾患の治療のためのものである。いくつかの実施形態において、医薬品の製造は、ATF6経路、ATF6、またはATF6αによって媒介される障害または疾患の予防および/または治療のためのものである。
【0178】
併用療法
本明細書に提供されるように、本明細書に記載される化合物またはその塩、および本明細書に記載される組成物は、本明細書に開示される疾患および障害のうちのいずれかを治療するために薬剤とともに投与され得る。いくつかの実施形態において、薬剤は、変性タンパク質応答または統合的ストレス応答を調節する。いくつかの実施形態において、薬剤は、抗血管新生剤である。いくつかの実施形態において、薬剤は、抗癌剤である。いくつかの実施形態において、薬剤は、免疫チェックポイントタンパク質を標的とする。
【0179】
いくつかの実施形態において、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)薬剤は、逐次投与、併用投与、または同時投与される。ある特定の実施形態において、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)薬剤は、約15分以下、例えば、およそ、10、5、または1分以下のいずれかの時間分離で投与される。ある特定の実施形態において、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)薬剤は、約15分以上、例えば、およそ、20、30、40、50、60分、もしくはそれ以上の時間のいずれかの時間分離で投与される。(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物のいずれかと、(b)薬剤とが最初に投与され得る。ある特定の実施形態において、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)薬剤は、同時に投与される。
【0180】
いくつかの実施形態において、薬剤は、変性タンパク質応答または統合的ストレス応答を調節する。いくつかの実施形態において、薬剤は、変性タンパク質応答または統合的ストレス応答を阻害する。いくつかの実施形態において、薬剤は、PERK経路を調節する。いくつかの実施形態において、薬剤は、PERK経路を阻害する。いくつかの実施形態において、薬剤は、PERKを阻害する。ATF6は、IRE1と連携して作用することが知られ、ATF6の標的遺伝子の1つとして、XBP1は、IRE1の主要な基質であり(Yoshida,H.,et al.,Cell,2001,107(7):881-891)、例えば、ATF6およびIRE1シグナル伝達は、ERストレスを受ける黒色腫細胞の生存にとって重要であり、IRE1阻害剤と組み合わせたATF6阻害剤の使用における潜在的な利益を示す(Tay,K.H.,et al.,Cell Signal,2014,26(2):287-294)。したがって、いくつかの実施形態において、薬剤は、IRE1/XBP1経路を調節する。いくつかの実施形態において、薬剤は、IRE1/XBP1経路を阻害する。いくつかの実施形態において、薬剤は、IRE1またはXBP1を阻害する。
【0181】
いくつかの実施形態において、薬剤は、抗血管新生剤である。本化合物またはその塩は、血管新生の阻害ならびに血管新生に関連する疾患および障害を治療するために有効であると考えられる。したがって、血管新生を阻害する方法であって、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)抗血管新生剤を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。血管新生に関連する疾患または障害、例えば、本明細書に開示される血管新生に関連する任意の疾患または障害を治療する方法であって、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)抗血管新生剤を個体に投与することを含む、方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、VEGFアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、ベバシズマブまたはラニビズマブである。
【0182】
腫瘍微小環境における免疫調節のメディエーターとしての血管新生の役割が最近注目されている。さらに、新しい証拠は、免疫療法が腫瘍における免疫介在性血管障害をもたらし得ることを示し、腫瘍血管系が腫瘍に向けた免疫応答と癌そのものとの間の重要な接点であり得ることを示す。多くの癌のための有効な免疫療法戦略としての免疫チェックポイント阻害の導入は、この接点のより良好な理解をもたらした。血管新生、VEGFシグナル伝達、および免疫系の間の複雑な関係の初期研究は、免疫チェックポイント遮断と血管新生阻害との組み合わせが潜在性を有し、免疫療法を向上させる努力が腫瘍学の将来に広範に影響を及ぼすであろうこと示す。VEGFシグナル伝達に対するATF6の効果は、免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせとしてのATF6阻害剤の使用の考えを強化する(Ott,P.A.,F.S.Hodi,and E.I.Buchbinder,Inhibition of Immune Checkpoints and Vascular Endothelial Growth Factor as Combination Therapy for Metastatic Melanoma:An Overview of Rationale,Preclinical Evidence,and Initial Clinical Data.Front Oncol,2015.5:p.202)。
【0183】
したがって、いくつかの実施形態において、薬剤は、免疫チェックポイントタンパク質を標的とする。いくつかの実施形態において、薬剤は、免疫チェックポイントタンパク質を標的とする抗体である。いくつかの実施形態において、薬剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、CCR4、OX40、OX40L、IDO、およびA2ARを標的とする。いくつかの実施形態において、薬剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である。
【0184】
(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)免疫チェックポイントタンパク質を標的とする薬剤を個体に投与することを含む、個体における免疫応答を増強する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、個体は、がんを有する。いくつかの実施形態において、増強された免疫応答は、腫瘍または癌細胞を対象とする。
【0185】
(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)免疫チェックポイントタンパク質を標的とする薬剤を個体に投与することを含む、癌の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法もまた本明細書に提供され、個体の免疫応答は増加される。
【0186】
いくつかの実施形態において、薬剤は、抗癌剤である。いくつかの実施形態において、抗癌剤は、ユビキチン-プロテアソーム経路阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル(docetaxil))、Cox-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、白金系抗新生物薬(例えば、シスプラチンまたはオキサリプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシルまたはゲムシタビン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド)、または変性タンパク質応答もしくは統合的ストレス応答を調節する薬剤(例えば、IRE1/XBP1阻害剤またはPERK阻害剤)である。いくつかの実施形態において、抗癌剤は、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、またはゲムシタビンである。いくつかの実施形態において、抗癌剤は、免疫チェックポイント阻害剤、または免疫腫瘍学に使用される薬剤である。
【0187】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物は、がんを有する個体に投与され、1つ以上の抗癌治療に対する感受性を増加させる。
【0188】
治療抵抗性は、癌を有する患者についての転帰の改善に対する主要な障壁である。放射線は、ERストレスおよびその下流シグナル伝達を誘導することができ、照射に続発するROSバランスの変化に関連していると考えられる。以前に、ATF6のノックダウンは、放射線誘導細胞死を向上させるために十分であった(Dadey,D.Y.,et al.,Oncotarget,2016,7(2):2080-2092)。これは、放射線療法の有効性を向上させるための潜在的な治療標的としてATF6を示す。
【0189】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物は、がんを有する個体に投与され、放射線に対する感受性を増加させる。いくつかの実施形態において、癌の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)放射線を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0190】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物は、がんを有する個体に投与され、1つ以上の抗癌剤に対する感受性を増加させる。いくつかの実施形態において、抗癌剤は、ユビキチン-プロテアソーム経路阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル(docetaxil))、Cox-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、白金系抗新生物薬(例えば、シスプラチンまたはオキサリプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシルまたはゲムシタビン)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド)、または変性タンパク質応答もしくは統合的ストレス応答を調節する薬剤(例えば、IRE1/XBP1阻害剤またはPERK阻害剤)である。いくつかの実施形態において、抗癌剤は、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、またはゲムシタビンである。いくつかの実施形態において、抗癌剤は、免疫チェックポイント阻害剤、または免疫腫瘍学に使用される薬剤である。
【0191】
個体における代謝性および/または線維性疾患を治療する方法であって、(a)本明細書に記載される化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される薬学的組成物、および(b)薬剤を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、薬剤は、プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、およびイキサゾミブである。いくつかの実施形態において、薬剤は、モノクローナル抗体、例えば、ダラツムマブおよびエロツズマブである。いくつかの実施形態において、薬剤は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)タンパク質の阻害剤、例えば、パノビノスタット、ロミデプシン、およびボリノスタットである。いくつかの実施形態において、薬剤は、免疫調節薬(IMiD)、例えば、タリドミド、レナリドミド、およびポマリドミドである。いくつかの実施形態において、薬剤は、副腎皮質コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、およびメチルプレドニゾロンである。いくつかの実施形態において、薬剤は、IRE1-XBP1を標的とする療法である。
【0192】
投与および投与の方法
個体(ヒトなど)に投与される化合物の用量は、特定の化合物またはその塩、投与の方法、および治療されているがんの種類および段階などの特定の疾患とともに変化し得る。いくつかの実施形態において、化合物またはその塩の量は、治療有効量である。
【0193】
化合物の有効量は、一態様において、約0.01~約100mg/kgの用量であり得る。本発明の化合物の有効量または用量は、因子、例えば、投与または薬物送達の様式または経路、薬剤の薬物動態、治療される疾患の重症度および経過、対象の健康状態、状態、ならびに体重を考慮して、モデリング、用量漸増、または臨床試験などの所定の方法によって確認され得る。例示的な用量は、毎日約0.1mg~10gの範囲である。
【0194】
本明細書に提供される方法のうちのいずれかは、一態様において、有効量の本明細書に提供される化合物またはその塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を個体に投与することを含み得る。
【0195】
本発明の化合物または組成物は、所望の期間または持続時間、例えば、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、または少なくとも約12ヶ月以上の有効投与レジメンに従って、個体に投与されてもよく、これは、いくつかの変形例において、個体の寿命の持続時間であり得る。一変形例において、化合物は、毎日スケジュールまたは間欠スケジュールで投与される。化合物は、一定期間にわたって個体に連続的に(例えば、少なくとも毎日1回)投与することができる。投与頻度はまた、毎日1回未満、例えば、1週間に約1回の投与であり得る。投与頻度は、毎日1回超、例えば、毎日2回または3回であり得る。投与頻度はまた、「休薬日」を含む間欠であり得る(例えば、毎日1回の投与を7日間、続いて7日間の投与なしの14日単位が、約2ヶ月、約4ヶ月、約6ヶ月以上などの任意の期間繰り返される)。投与頻度のうちのいずれかは、本明細書に記載される化合物のうちのいずれかを、本明細書に記載される用量のうちのいずれかとともに用いることができる。
【0196】
本明細書に提供される化合物またはその塩は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、経口、および経皮を含む、様々な経路を介して個体に投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物または組成物は、経口投与される。本明細書に提供される化合物は、「メトロノミック療法」として知られる、低用量で頻繁に、または化合物を単独で用いるか、もしくは1つ以上の追加の薬物と組み合わせた維持療法の一部として投与することができる。メトロノミック療法または維持療法は、サイクルにおいて本明細書に提供される化合物の投与を含むことができる。メトロノミック療法または維持療法は、本明細書に提供される化合物の腫瘍内投与を含むことができる。
【0197】
本明細書に記載される疾患の治療、予防、ならびに/またはその発症および/もしくは進行の遅延、ならびに本明細書に記載される他の方法における使用のための本明細書に記載される組成物(薬学的組成物を含む)も本明細書に提供される。特定の実施形態において、組成物は、単位剤形で存在する薬学的製剤を含む。
【0198】
製品およびキット
本開示は、本開示の化合物またはその塩、組成物、および本明細書に記載される単位投与量を好適なパッケージングに含む製品をさらに提供する。ある特定の実施形態において、製品は、本明細書に記載される方法のうちのいずれかにおいて使用されるためのものである。好適なパッケージングは、当該技術分野で既知であり、例えば、バイアル、容器、アンプル、ボトル、ジャー、可撓性パッケージング、および同類のものを含む。製品は、さらに滅菌および/または密封されてもよい。
【0199】
本開示は、本明細書に記載される1つ以上の化合物または本明細書に記載される化合物を含む組成物を含む、本開示の方法を実施するためのキットをさらに提供する。キットは、本明細書に開示される化合物のうちのいずれかを用いてもよい。一変形例において、キットは、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩を用いる。キットは、本明細書に記載される使用のうちのいずれか1つ以上に使用されてもよく、したがって、癌などの本明細書に記載される疾患の治療のための説明書を含み得る。
【0200】
キットは概して、好適なパッケージングを含む。キットは、本明細書に記載される任意の化合物を含む1つ以上の容器を含んでもよい。各構成要素(1つ超の構成要素がある場合)は、別個の容器にパッケージすることができるか、またはいくつかの構成要素は、交差反応性および保存期間が許容される1つの容器に組み合わせることができる。
【0201】
キットは、単位剤形、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)またはサブ単位用量であり得る。例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、またはそれ以上のうちのいずれかなどの、長期期間にわたって個体の有効な治療を提供するために本明細書に詳述される疾患(例えば、高血圧)に有用な、十分な投与量の本明細書に開示される化合物および/または第2の薬学的に活性な化合物を含むキットが提供され得る。キットはまた、化合物の複数の単位用量、および使用のための説明書を含み得、薬局(例えば、病院薬局および調剤薬局)における保管および使用に十分な量でパッケージされ得る。
【0202】
キットは、説明書を含む電子記憶媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光ディスク)もまた、本発明の方法の構成要素(複数可)の使用に関連して許容されるが、一組の説明書、概して書かれた説明書を任意に含んでもよい。キットに含まれる説明書は、概して、構成成分およびそれらの個体への投与に関する情報を含む。
【0203】
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに理解することができ、これらは例示として提供され、限定することを意味するものではない。
【実施例
【0204】
合成実施例
以下の例は、本開示を限定するためではなく、例示するために提供される。当業者であれば、以下の合成反応およびスキームが、式(I)の他の化合物、またはその塩にアクセスするために、好適な出発材料および試薬の選択によって改変され得ることを認識するであろう。化合物は、上述される一般的な方法を用いて調製される。
【0205】
以下の略語は、実施例全体を通して使用される:DCM(ジクロロメタン)、DIAD(アゾジカルボン酸ジイソプロピル)、DIPEAまたはDIEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、HATU((1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)、IPA(イソプロピルアルコール)、LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析)、NMR(核磁気共鳴)、PPh(トリフェニルホスファン)、RT(室温)、TEA(トリエチルアミン)、THF(テトラヒドロフラン)、およびTLC(薄層クロマトグラフィー)。
【0206】
実施例S1
実施例S1-1. N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-1)の合成。
【0207】
【化84】
ステップ1:1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オールの合成。メタノール(5mL)中1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オン(1gm、5.28mmol、1.0当量(equiv))の撹拌溶液に、NaBH4(303mg、8.0mmol、1.5当量)を少しずつ0℃で添加し、10分間撹拌した。反応混合物を室温で1時間撹拌させた。生成物形成を、TLCおよびLCMSによって確認した。反応の完了後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(50mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オール(無色の液体として990mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.47 - 7.63 (m, 2H), 7.30 - 7.47 (m, 1H), 5.55 (br. s., 1H), 4.20 (br. s., 1H), 1.45 (d, J = 6.58 Hz, 3H).
【0208】
ステップ2:1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾールの合成。THF(2mL)中PPh3(413mg、1.578mmol、1.5当量)およびDIAD(318.94mg、1.578mmol、1.5当量)の撹拌溶液に、4-ニトロ-1H-ピラゾール(118.947mg、1.05mmol、1当量)を添加し、続いて1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オール(200mg、1.05mmol、1.0当量)を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(50mL×3)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な生成物1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(160mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.14 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.49 (d, J = 7.89 Hz, 2H), 7.29 - 7.44 (m, 1H), 6.13 - 6.36 (m, 1H), 1.99 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0209】
ステップ3:1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。10mLのEtOH/水(1:1)中1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(160mg、0.6235mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe(172.5mg、3.135mmol、5当量)および塩化アンモニウム(175.68mg、3.136mmol、5当量)を添加し、80℃で2時間加熱させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液(filtrate)を蒸発させ、DCM/水で2回抽出した。有機層を収集し、減圧下で蒸発させて、1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(110mg)を得た。LCMS: 256 [M+H] +.
【0210】
ステップ4:1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩の合成。エタノール中1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(100mg)の撹拌溶液に、エタノール(1mL)中HClを添加し、室温で1時間撹拌させた。反応完了後、反応混合物を蒸発させ、凍結乾燥して生成物1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(125mg)を得た。LCMS: 256 [M+H]+.
【0211】
ステップ5:N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(1mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(50mg、0.277mmol、1当量)の溶液に、HATU(105.5mg、0.277mmol、1.0当量)を添加した。混合物をDIPEA(107.99ml、0.831mmol、3.0当量)で滴下処理した。室温で15分間撹拌した後、混合物をDMF(1mL)中1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(80.55mg、0.555mmol、1当量)の溶液で滴下処理した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(10mL×3)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをアセトンヘキサン(8:2)mlでの粉砕(摩砕)によってさらに精製して、沈殿物をN-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドとして得た。LCMS: 417 [M+H] +.
【0212】
ステップ6:(R)および(S)-N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドのラセミ混合物をキラル順相HPLC(Daicel Chiralpak(登録商標)-IC、250×20mm、5μm)によって精製した。HPLCグレードn-ヘキサンおよびHPLCグレードイソプロパノール、総流量:56ml/分、共溶媒パーセンテージ:10%での無勾配(isocratic)プログラムは、エナンチオマーA(12mg)およびエナンチオマーB(10mg)を得る。LCMS 417 [M+H]+;エナンチオマーA、1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.03 (br. s., 1H), 8.10 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.49 (d, J = 7.89 Hz, 2H), 7.34 - 7.41 (m, 1H), 7.28 (d, J = 3.51 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 6.11 - 6.22 (m, 1H), 1.96 (d, J = 7.02 Hz, 3H).エナンチオマーB、1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.02 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.49 (d, J = 7.89 Hz, 2H), 7.34 - 7.41 (m, 1H), 7.29 (d, J = 3.95 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 6.78 (br. s., 1H), 6.10-6.21 (m, 1H), 1.96 (d, J = 7.45 Hz, 3H).
【0213】
実施例S1-2. N-(1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-2)の合成。
【0214】
【化85】
ステップ1:5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールの合成。メタノール(20mL)中5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(500mg、3.01mmol、1.0当量(eq))の撹拌溶液に、NaBH4(120mg、4.518mmol、1.5当量)を少しずつ0℃で添加し、10分間撹拌した。反応混合物を室温で1時間撹拌させた。生成物形成を、TLCおよびNMRによって確認した。反応の完了後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を水(2×50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(500mg)を得た。
【0215】
ステップ2:1-ブロモ-5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデンの合成。DCM(10mL)中5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(500mg、2.747ミリモル、1当量)の撹拌溶液に、PBr3(893mg、3.29mmol、1.2当量)を少しずつ0℃で添加した。その後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。生成物形成を、TLCおよび1HNMRで確認した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(50mL×3)で洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な生成物1-ブロモ-5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデンピラゾール(褐色の液体として、702mg)を得た。
【0216】
ステップ3:1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-ニトロ-1H-ピラゾールの合成。DMF(1mL)中4-ニトロ-1H-ピラゾール(300mg、1.304mmol、1当量)の溶液に、K2CO3(270mg、1.955mmol、1.5当量)を0℃で添加した。15分間撹拌した後、混合物をDMF(1mL)中1-ブロモ-5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン(147mg、1.304mmol、1当量)の溶液で滴下処理した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認し、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(2×50mL)で洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(白色の固体として、225mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.00 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.25 (d, J = 8.77 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 8.33 Hz, 1H), 5.92 - 6.03 (m, 1H), 3.14 - 3.24 (m, 1H), 2.90 - 3.04 (m, 1H), 2.62 - 2.73 (m, 2H), 2.41 - 2.48 (m, 1H).
【0217】
ステップ4:1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。10mLのEtOH/水(1:1)中1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(150mg、0.566mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe(155.66mg、2.83mmol、5当量)および塩化アンモニウム(158mg、2.83mmol、5当量)を添加し、80℃で2時間加熱させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を蒸発させ、DCM(100ml×2)で抽出し、有機層を収集し、減圧下で蒸発させて、1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(180mg)を得た。LCMS: 234 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.38 (s, 1H), 7.21 (d, J = 6.14 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 8.33 Hz, 1H), 6.97 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 5.62 - 5.70 (m, 1H), 3.85 (br. s., 2H), 3.02 - 3.13 (m, 1H), 2.83 - 2.96 (m, 1H), ).
【0218】
ステップ5:1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩の合成。エタノール(1mL)中1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(180mg.)の撹拌溶液に、エタノール(2ml)中4M HClを室温で添加し2時間おいた。生成物形成を、TLCおよび1HNMRで確認した。反応混合物を減圧下で濃縮して粗製物を得、それをジエチルエーテルでさらに粉砕し、凍結乾燥して、純粋な生成物1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(150mg、褐色の固体)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.07 (br. s., 2H), 8.01 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.25 (d, J = 8.33 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 8.33 Hz, 1H), 5.87 - 6.01 (m, 1H), 3.07 - 3.19 (m, 1H), 2.95 (td, J = 7.73, 15.68 Hz, 1H), 2.63 (dtd, J = 5.26, 8.17, 13.48 Hz, 1H), 2.28 - 2.43 (m, 2H).
【0219】
ステップ6:N-(1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(1mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(50mg、0.277mmol、1当量)の溶液に、HATU(105.8mg、0.277mmol、1当量)を添加した。混合物をDIPEA(107.5mg、0.833mmol、3当量)で滴下処理した。室温で15分間撹拌した後、混合物をDMF(1mL)中1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(64.722mg、0.277mmol、1当量)の溶液で滴下処理した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認し、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(2×50mL)で洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋なN-(1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(白色の固体として、50mg)を得た。LCMS: 395[M+H] +,1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.28 (d, J = 3.07 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 7.89 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.07 (d, J = 7.89 Hz, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 5.84 - 5.94 (m, 1H), 3.04 - 3.20 (m, H1), 2.94 (td, J = 7.67, 15.35 Hz, 1H), 2.56 - 2.70 (m, 1H), 2.28 - 2.42 (m, 1H).
【0220】
ステップ7:N-(1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの異性体の分離。N-(1-(1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドのエナンチオマー(50mg、溶出時間14.12分および15.87分)を、キラルSFC(Daicel Chiralpak-IC 250×20mm、5μm)によって分離した。分析グレード液体二酸化炭素およびHPLCグレードメタノール、総流量:4g/分、共溶媒パーセンテージ:40%での無勾配プログラムは、第1の溶出エナンチオマー、エナンチオマーA(8mg)、LCMS: 395 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.28 (d, J = 3.07 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 7.89 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.07 (d, J = 7.89 Hz, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 5.84 - 5.94 (m, 1H), 3.04 - 3.20 (m, 1H), 2.94 (td, J = 7.67, 15.35 Hz, 1H), 2.56 - 2.70 (m, 1H), 2.28 - 2.42 (m, 1H)および第2の溶出エナンチオマー、エナンチオマーB(8mg)、LCMS: 395 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.28 (d, J = 3.07 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 10.09 Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.07 (d, J = 7.89 Hz, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 5.88 - 5.94 (m, 1H), 3.07 - 3.20 (m, 1H), 2.94 (td, J = 7.73, 15.68 Hz, 1H), 2.55 - 2.69 (m, 1H), 2.29 - 2.44 (m, 1H)を得る。
【0221】
実施例S1-3. 5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-3)の合成。
【0222】
【化86】
ステップ1:1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-オールの合成。メタノール(20mL)中3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(500mg、3.4mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、NaBH4(120mg、5.1mmol、1.5当量)を少しずつ0℃で添加し、10分間撹拌した。反応混合物を室温で1時間撹拌させた。生成物形成を、TLCおよびNMRによって確認した。反応の完了後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(2×50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-オール(500mg)を得た。
【0223】
ステップ2:1-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンの合成。DCM(10mL)中1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-オール(500mg、3.37ミリモル、1当量)の撹拌溶液に、PBr3(1098mg、4.05mmol、1.2当量)を0℃で滴下した。その後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。生成物形成を、TLCおよび1HNMRで確認した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(50mL×3)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な1-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(褐色の液体として632mg、粗製物)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.61 (d, J = 5.26 Hz, 1H), 8.15 (d, J = 7.45 Hz, 2H), 7.50 - 7.63 (m, 1H), 5.88 (d, J = 4.38 Hz, 1H), , 3.18 - 3.34 (m, 2H), 3.01 - 3.15 (m, 2H), 2.76 (td, J = 7.56, 14.69 Hz, 2H)
【0224】
ステップ3:4-ニトロ-1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾールの合成。DMF(1mL)中4-ニトロ-1H-ピラゾール(161.4mg、1.428mmol、1当量)の溶液に、K2CO3(295.71mg、2.14mmol、1.5当量)を0℃で添加した。15分間撹拌した後、混合物をDMF(1mL)中1-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(300mg、1.428mmol、1当量)の溶液で滴下処理した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認し、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(2×50mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な4-ニトロ-1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール(白色の固体として、250mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.98 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.26 - 7.41 (m, 2H), 7.11 - 7.26 (m, 2H), 5.93 - 6.06 (m, 1H), 3.07 - 3.20 (m, 1H), 2.90 - 3.03 (m, 1H), 2.60 - 2.71 (m, 2H), 2.40 - 2.48 (m, 2H).
【0225】
ステップ4:1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。10mLのEtOH/水(1:1)中4-ニトロ-1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール(150mg、0.617mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe(169.7mg、3.085mmol、5当量)および塩化アンモニウム(172mg、3.085mmol、5当量)を添加し、80℃で2時間加熱させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を蒸発させ、DCM(100ml×2)で抽出し、有機層を収集し、減圧下で蒸発させて、1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(121mg)を得た。
LCMS: 214 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.38 (s, 1H), 7.16 - 7.28 (m, 1H), 6.92 - 7.07 (m, 4H), 5.57 - 5.74 (m, 1H), 3.90 - 3.82 (br, 2H), 2.89 - 3.10 (m, 2H), 2.83 - 2.89 (m, 2H), 2.25 - 2.39 (m, 2H).
【0226】
ステップ5:1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩の合成。エタノール(1mL)中1-(5-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(120mg.)の溶液に、エタノール(2ml)中4M HClを添加した。生成物形成を、TLCおよび1HNMRで確認した。反応混合物を減圧下で濃縮して粗製物を得、それをジエチルエーテルでさらに粉砕し、凍結乾燥して、純粋な生成物1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(123mg、褐色の固体)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.16 (br. s., 2H), 7.81 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.14 - 7.27 (m, 2H), 7.11 (t, J = 7.24 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 7.89 Hz, 1H), 5.63 (t, J = 6.58 Hz, 1H), 2.69 - 2.94 (m, 2H), 2.10 - 2.26 (m, 2H), 1.71 - 1.91 (m, 2H).
【0227】
ステップ6:5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(1mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(50mg、0.277mmol、1当量)の溶液に、HATU(105.8mg、0.277mmol、1当量)を添加した。混合物をDIPEA(107.5mg、0.833mmol、3当量)で滴下処理した。室温で15分間撹拌した後、混合物をDMF(1mL)中1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(68.88mg、0.277mmol、1当量)の溶液で滴下処理した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認し、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(2×50mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(白色の固体として40mg、42.59%)を得た。LCMS: 375 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.00 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.23 - 7.32 (m, 1H), 7.15 - 7.23 (m, 2H), 7.04 - 7.15 (m, 2H), 6.68 - 6.83 (m, 2H), 5.52 - 5.66 (m, 1H), 2.84 - 3.00 (m, 1H), 2.71 - 2.82 (m, 1H), 2.17 (br. s., 2H), 1.84 (br. s, 2H).
【0228】
実施例S1-4. N-(1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-4)の合成。
【0229】
【化87】
ステップ1:1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エタン-1-オールの合成。メタノール(5mL)中1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エタン-1-オン(1gm、5.8mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、NaBH4(465mg、12.3mmol、2当量)を少しずつ0℃で添加し、10分間撹拌した。反応混合物を室温で1時間撹拌させた。生成物形成を、TLCおよびLCMSによって確認した。反応の完了後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(50mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エタン-1-オール(無色の液体として1gm)を得た。
【0230】
ステップ2:1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾールの合成。THF(2mL)中PPh3(903mg、3.44mmol、1.5当量)およびDIAD(0.669ml、3.44mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、4-ニトロ-1H-ピラゾール(260mg、2.29mmol、1当量)を添加し、続いて1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エタン-1-オール(400mg、2.29mmol、1.0当量)を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(50mL×3)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な生成物1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(320mg)を得た。
【0231】
ステップ3:1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。10mLのEtOH/水(1:1)中1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(200mg、0.743mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe(200mg、3.71mmol、5当量)および塩化アンモニウム(208mg、3.71mmol、5当量)を添加し、80℃で2時間加熱させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を蒸発させ、DCM/水で2回抽出した。有機層を収集し、減圧下で1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(170mg)まで蒸発させた。LCMS: 240 [M+H] +.
【0232】
ステップ4:1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩の合成。エタノール中1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(150mg)の撹拌溶液に、エタノール(1mL)中HClを添加し、室温で1時間撹拌させた。1時間後、反応混合物を蒸発させ、凍結乾燥して、生成物1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(155mg)を得た。LCMS: 240 [M+H] +.
【0233】
ステップ5:N-(1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(1mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(50mg、0.277mmol、1当量)の溶液に、HATU(105.5mg、0.277mmol、1.0当量)およびDIPEA(107.99ml、0.831mmol、3.0当量)を添加した。室温で15分間撹拌した後、DMF(1mL)中1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(77mg、0.555mmol、1当量)の溶液を添加した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(10mL×3)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをアセトン:ヘキサン(8:2)での粉砕によってさらに精製して、沈殿物をN-(1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(30mg)として得た。LCMS: 401 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.01 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.00 (d, J = 1.32 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.35 - 7.48 (m, 2H), 7.19 - 7.33 (m, 2H), 7.14 (s, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 6.02 (q, J = 7.31 Hz, 1H), 1.92 (d, J = 7.45 Hz, 3H).
【0234】
実施例S1-5. N-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-5)の合成。
【0235】
【化88】
ステップ1:1-(2,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オールの合成。メタノール(5mL)中1-(2,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オン(1gm、6.4mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、NaBH4(465mg、12.3mmol、2当量)を少しずつ0℃で添加し、10分間撹拌した。反応混合物を室温で1時間撹拌させた。生成物形成を、TLCおよびLCMSによって確認した。反応の完了後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(50mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、1-(2,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール(無色の液体として1gm)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.45 - 7.61 (m, 1H), 7.00 - 7.20 (m, 2H), 5.33 (d, J = 4.38 Hz, 1H), 4.87 - 5.00 (m, 1H), 1.31 (d, J = 6.58 Hz, 3H).
【0236】
ステップ2:1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾールの合成。THF(2mL)中PPh3(678mg、2.53mmol、1当量)およびDIAD(0.511ml、2.53mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、4-ニトロ-1H-ピラゾール(286mg、2.53mmol、1当量)を添加し、続いて1-(2,4-ジフルオロフェニル)エタン-1-オール(400mg、2.53mmol、1.0当量)を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(50mL×3)で洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な生成物1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(170mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.10 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.51 (dd, J = 2.63, 8.77 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 6.14, 8.77 Hz, 1H), 7.26 (dt, J = 2.41, 8.44 Hz, 1H), 6.00 (q, J = 6.87 Hz, 1H), 1.83 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0237】
ステップ3:1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。10mLのEtOH/水(5:5)中1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(100mg、0.395mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe(106mg、1.976mmol、5当量)および塩化アンモニウム(111mg、1.976mmol、5当量)を添加し、80℃で2時間加熱させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を蒸発させ、DCM/水で2回抽出した。有機層を収集し、減圧下で1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(89mg)まで蒸発させた。LCMS: 224[M+H] +.
【0238】
ステップ4:1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩の合成。エタノール中1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(89mg)の撹拌溶液に、エタノール(1mL)中HClを添加し、室温で1時間撹拌させた。反応完了後、反応混合物を蒸発させ、凍結乾燥して、生成物1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(60mg)を得た。LCMS: 224 [M+H] +.
【0239】
ステップ5:N-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(1mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(31.09mg、0.171mmol、1当量)の溶液に、HATU(65.2mg、0.171mmol、1.0当量)およびDIPEA(0.089ml、0.515mmol、3.0当量)を添加した。室温で15分間撹拌した後、DMF(1mL)中1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(50mg、0.171mmol、1当量)の溶液を滴下した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(10mL×3)で洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをアセトンヘキサン(8:2)mlでの粉砕によってさらに精製して、沈殿物をN-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(30mg)として得た。LCMS: 385 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.02 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.00 (d, J = 0.88 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.22 - 7.38 (m, 3H), 7.14 (s, 1H), 7.03 - 7.10 (m, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 5.85 (q, J = 7.02 Hz, 1H), 1.80 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0240】
実施例S1-6. N-(1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-6)の合成。
【0241】
【化89】
ステップ1:1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エタン-1-オールの合成。メタノール(5mL)中1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エタン-1-オンオン(0.5gm、3.205mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、NaBH4(183mg、4.807mmol、1.5当量)を少しずつ0℃で添加し、10分間撹拌した。反応混合物を室温で1時間撹拌させた。生成物形成を、TLCおよびLCMSによって確認した。反応の完了後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を水(50mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エタン-1-オール(無色の液体として0.4gm)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.43 - 7.64 (m, 1H), 6.97 - 7.19 (m, 2H), 5.33 (d, J = 4.38 Hz, 1H), 4.84 - 5.00 (m, 1H), 1.31 (d, J = 6.58 Hz, 3H).
【0242】
ステップ2:1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾールの合成。THF(2mL)中PPh3(611mg、2.28mmol、1当量)およびDIAD(0.460mg、2.29mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、4-ニトロ-1H-ピラゾール(260mg、2.29mmol、1当量)を添加し、続いて1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エタン-1-オール(400mg、2.29mmol、1.0当量)を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。生成物形成を、TLCおよびLCMSで確認した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(50mL×3)で洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、純粋な生成物1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(220mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.10 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.51 (dd, J = 2.63, 8.77 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 6.14, 8.77 Hz, 1H), 7.26 (dt, J = 2.41, 8.44 Hz, 1H), 6.00 (q, J = 6.87 Hz, 1H), 1.83 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0243】
ステップ3:1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。10mLのEtOH/水(1:1)中1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール(100mg、0.395mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe(107mg、1.97mmol、5当量)および塩化アンモニウム(111mg、1.976mmol、5当量)を添加し、80℃で2時間加熱させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を蒸発させ、DCM/水で2回抽出した。有機層を収集し、減圧下で1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(89mg)まで蒸発させた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.15 - 7.24 (m, 1H), 6.97 - 7.15 (m, 2H), 6.93 (s, 1H), 5.74 (br. s., 1H), 5.59 (m, J = 6.58 Hz, 1H), 3.82 (br. s., 2H), 1.68 (d, J = 7.45 Hz, 3H).
【0244】
ステップ4:1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩の合成。エタノール中1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(118mg)の撹拌溶液に、エタノール(2mL)中HClを添加し、室温で1時間撹拌させた。反応混合物を蒸発させ、凍結乾燥して、生成物1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(80mg)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.9 (s, 2H), 8.04 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.49 (dd, J = 2.63, 8.77 Hz, 1H), 7.18 - 7.41 (m, 2H), 5.95 (q, J = 6.87 Hz, 1H), 1.78 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0245】
ステップ5:N-(1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(1mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(32.72mg、0.181mmol、1当量)の溶液に、HATU(69.72mg、0.181mmol、1.0当量)およびDIPEA(0.094ml、0.54mmol、3.0当量)を添加した。室温で15分間撹拌した後、DMF(1mL)中1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(50mg、0.181mmol、1当量)の溶液を添加した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。反応の完了後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(10mL×3)で洗浄し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して粗製物を得、それをアセトンヘキサン(8:2)mlでの粉砕によってさらに精製して、沈殿物をN-(1-(1-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(30mg)として得た。
LCMS: 401 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.04 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.00 (d, J = 1.75 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.46 - 7.55 (m, 1H), 7.19 - 7.30 (m, 3H), 7.14 (s, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 5.91 (q, J = 6.87 Hz, 1H), 1.79 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0246】
実施例S1-7. N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボキサミド(化合物1-11)の合成。
【0247】
【化90】
ステップ1:N'-ヒドロキシピラジン-2-カルボキシイミドアミドの合成。ピラジン-2-カルボニトリル(1gm、9.5mmol、および1当量)の混合物にエタノール:水(10:10)ml中NH2OH.HCl(1.32gm、0.018モル、2当量)を添加し、Na2CO3(2gm、0.018モル、2当量)を添加した。反応混合物を16時間還流した。反応混合物を室温に冷却した。得られた懸濁液を濾別した。得られた沈殿物が我々の生成物N'-ヒドロキシピラジン-2-カルボキシイミドアミド(1.1gm、白色の沈殿物)であると確認した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.23 (s, 1H), 9.06 (d, J = 0.88 Hz, 1H), 8.63 (q, J = 2.63 Hz, 2H), 5.95 (br. s., 2H).
【0248】
ステップ2:N-ヒドロキシピラジン-2-カルビミドイル(carbimidoyl)クロリドの合成。0℃のH2O(5ml)中N'-ヒドロキシピラジン-2-カルボキシイミドアミド(200mg、1.449mmol、および1当量)の溶液に、NaCl(256.34mg、4.34mmol、および3当量)、0.1N HCl(0.4ml)および酢酸(1ml)を添加した。反応混合物を透明になるまで撹拌し続けた。反応混合物にNaNO2(100mg、1.449ミリモル、および1当量)を添加し、0℃で30分間撹拌し続けた。得られた懸濁液を濾別した。得られた沈殿物が我々の生成物N-ヒドロキシピラジン-2-カルビミドイルクロリド(180mg、白色の沈殿物)であると確認した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ13.04 (s, 1H), 9.09 (s, 1H), 8.70 - 8.78 (m, 2H).
【0249】
ステップ3:3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボン酸エチルの合成。室温のDCM(20mL)中N-ヒドロキシピラジン-2-カルビミドイルクロリド(100mg、0.632mmol、1当量)およびプロピオン酸エチル(124.05mg、1.265ミリモル、2当量)の混合物に、DCM(20mL)中K2CO3(218.3mg.、2.5ミリモル、2当量)の溶液を少しずつ60分かけて添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を乾固するまで濃縮し、水(10ml)を添加することによってワークアップを行い、酢酸エチル(2×25ml×2回)で抽出し、それを、ヘキサン中酢酸エチルの混合物を用いることによるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボン酸エチルを白色の固体(80mg)として得た。LCMS: 220 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.27 - 9.39 (m, 1H), 8.76 - 8.92 (m, 2H), 7.82 (s, 1H), 4.42 (q, J = 7.02 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.24 Hz, H 3H).
【0250】
ステップ4:3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボン酸の合成。THF(2mL)および水(2mL)中3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボン酸エチル(60mg、0.272mmol、1当量)の溶液に、水酸化リチウム(13.05mg、0.326mmol、1.2当量)をゆっくりと添加した。得られた混合物を16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して粗製物を得、それを1N HClで酸性化し、得られた懸濁液を凍結乾燥した。得られた粗製物をエーテルで粉砕した。得られた沈殿物(ppt.)3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボン酸は、我々の生成物(52mg、灰色がかった白色の固体)であった。LCMS: 192 [M+H]+.
【0251】
ステップ5:N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボキサミドの合成。DMF(2mL)中3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボン酸(50mg、0.2613mmol、1当量)の溶液に、HATU(100.2mg、0.261mmol、1当量)を添加した。混合物をDIPEA(0.183ml、0.783mmol、3当量)で滴下処理した。室温で15分間撹拌した後、混合物をDMF(1mL)中1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(84.56mg、0.261mmol、1当量)の溶液で滴下処理した。反応混合物を24時間撹拌下に保持した。反応混合物を水(50mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾別した。得られた粗製材料を、ヘキサン中酢酸エチルの混合物を用いるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーおよびDCM:ヘキサン(2:8)での粉砕によって精製して、N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボキサミド(40mg)を得た。LCMS: 497[M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.23 (s, 1H), 9.32 (s, 1H), 8.85 (d, J = 7.02 Hz, 2H), 8.21 (s, 1H), 8.02 - 8.12 (m, 2H), 7.74 - 7.81 (m, 3H), 5.95 (m, J = 7.02 Hz, 1H), 1.88 (d, J = 6.58 Hz, 3H).
【0252】
実施例S1-8. 5-(ピラジン-2-イル)-N-(1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-12)の合成。
【0253】
【化91】
ステップ1:5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールの合成。5mLのMeOH中5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(300mg、1.5mmol、1当量)の撹拌溶液に、NABH4(88.87mg、2.25mmol、1.5当量)を少しずつ添加し、室温で1時間撹拌させた。反応混合物を濃縮し、酢酸エチルおよび水(2×25mL)で抽出した。有機層を収集し、蒸発させて、5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オールを得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.49 - 7.60 (m, 3 H) 5.46 (d, J=6.14 Hz, 1 H) 5.09 (q, J=6.43 Hz, 1 H) 2.98 (ddd, J=16.01, 8.55, 3.51 Hz, 2 H) 2.78 (dt, J=15.90, 8.06 Hz, 1 H) 2.33 - 2.43 (m, 2 H) 1.75 - 1.87 (m, 1 H).
【0254】
ステップ2:4-ニトロ-1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾールの合成。THF(10mL)中PPh3(583.60mg、2.227mmol、1.5当量)およびDIAD(449.95mg、2.227mmol、1.5当量)の撹拌溶液に、5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(300mg、1.485mmol、1当量)および4-ニトロ-1H-ピラゾール(167.82mg、1.485mmol、1当量)を添加し、室温で16時間撹拌させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を酢酸エチルおよび水(2×25mL)で抽出し、有機層を分離し、減圧下で蒸発させて、粗製生成物を得て、それをコンビ-フラッシュクロマトグラフィーを用いることによってさらに精製して、4-ニトロ-1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾールを得た。LCMS: 297 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.11 (s, 1 H) 8.49 (s, 1 H) 7.68 - 7.74 (m, 2 H) 7.50 (dd, J=5.04, 1.97 Hz, 3 H) 7.38 - 7.41 (m, 1 H).
【0255】
ステップ3:1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。10mLのEtOH/水(1:1)中4-ニトロ-1-(2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエチル)-1H-ピラゾール(200mg、0.738mmol、1当量)の撹拌溶液に、Fe(202.95mg、3.69mmol、5当量)および塩化アンモニウム(195.57mg、3.69mmol、5当量)を添加し、80℃で2時間加熱させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を蒸発させ、DCM/水(2×25mL)で抽出した。有機層を収集し、減圧下で蒸発させて、1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミンを得た。LCMS: 268 [M+H]+.
【0256】
ステップ4:5-(ピラジン-2-イル)-N-(1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(4mL)中5-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(100mg、0.524mmol、1当量)の撹拌溶液に、HATU(199.12mg、0.524mmol、1当量)を添加し、室温で15分間撹拌させた。次いで、1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(140mg、0.524mmol、1当量)およびDIPEA(202.72mg、1.572mmol、3当量)の撹拌溶液を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌させた。反応完了後、反応混合物を氷冷水中に注ぎ、得られた沈殿物を濾別して、粗製生成物を得て、それをコンビフラッシュクロマトグラフィーを用いることによって精製して、5-(ピラジン-2-イル)-N-(1-(5-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(30mg白色の固体)を得た。LCMS: 441 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.12 (s, 1 H) 9.35 (s, 1 H) 8.82 (s, 1 H) 8.85 (s, 1 H) 8.18 (s, 1 H) 7.65 - 7.75 (m, 3 H) 7.55 (d, J=7.89 Hz, 1 H) 7.24 (d, J=7.89 Hz, 1 H) 6.04 (t, J=6.58 Hz, 1 H) 3.20 (d, J=4.82 Hz, 2 H) 3.03 (d, J=8.33 Hz, 2 H).
【0257】
実施例S1-9. N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-13)の合成。
【0258】
【化92】
ステップ1:N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(2ml)中5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(50mg、0.256ミリモル、1.0当量)の撹拌溶液に、HATU(97mg、0.256ミリモル、1.0当量)を添加し、室温で15分間撹拌した。1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(65mg、0.256ミリモル、1.0当量)を反応混合物に添加し、続いてDIPEA(0.13mL、0.769ミリモル、3.0当量)を添加し、再度室温で1時間撹拌した。反応の進行をTLC、LCMSによって分析した。反応の完了後、RMを氷冷水中に注ぎ、濾過し、フラッシュクロマトグラフィーを用いて精製して、N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドを得た。LCMS質量[M+1]: 433.3, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.99 (s, 1 H) 8.11 (s, 1 H) 7.83 (s,1H) 7.90 (s, 1 H) 7.66 (s, 1 H) 7.38 (d, J=8.33 Hz, 2 H) 7.17 (s,1H) 7.30 (s, 2 H) 6.17 (d, J=7.02 Hz, 1 H) 1.96 (d, J=7.45 Hz, 3 H).
【0259】
実施例S1-10. N-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-14および化合物1-15)の合成。
【0260】
【化93】
N-(1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(30mg)のラセミ混合物をキラルHPLCによって精製して、N-(1-(1-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドを第1の溶出異性体(化合物1-14)および第2の溶出異性体(化合物1-15)として得た。異性体をキラルSFC(Daicel Chiralpak-IA、250×20mm、総量)によって分離した。分析グレード液体二酸化炭素およびHPLCグレードイソプロパノール、総流量:56g/分、共溶媒パーセンテージ:20%での無勾配プログラム。
化合物1-14:収量=4mg;溶出時間=9.01分 化合物1-15:収量=4mg;溶出時間=17.68分。
化合物1-14: LCMS: 401 [M+1]; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (S,1H), 8.14 (S, 1H), 8.01 (S, 1H), 7.64 (S, 1H), 7.39 (m, 2H), 7.29 (m, J = 3.51 Hz, 2H), 7.14 (5, 1H), 6.78 @5.,1H), 6.02 (m, 1H), 1.92 (d, J = 6.58 Hz, 3H). 化合物1-15: LCMS: 401 [M+H]+; 1HNMR (400 HZ, DMSO-d6) m 11.01 (5, 1H), 8.14 (5, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.36 -7.44 (m, 2H), 7.20 -7.30 (m, 2H), 7.14 (5, 1H), 6.77 (m, 1H), 6.04 (m, 1H), 1.92 (d, J = 6.14 Hz, 3H).
【0261】
実施例S1-11. N-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-16および化合物1-17)の合成。
【0262】
【化94】
N-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(30mg)のラセミ混合物をキラルHPLCによって精製して、N-(1-(1-(2,4-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドを第1の溶出異性体(化合物1-16)および第2の溶出異性体(化合物1-17)として得た。エナンチオマーをキラルSFC(Daicel Chiralpak-IA、250×20mm、総量)によって分離した。分析グレード液体二酸化炭素およびHPLCグレードメタノール、総流量:51g/分、共溶媒パーセンテージ:15%での無勾配プログラム。
化合物1-16:収量=2mg;溶出時間=6.2分。化合物1-17:収量=4mg;溶出時間=7.5分。
化合物1-16: LCMS: 385 [M+H]; 1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ, 11.01 (s, 1H), 8.14 (s, IH), 8.00 (s, 1H), 7.69 (s, IH), 7.22 - 7.34 (m, 3H), 7.14(s, 1H), 7.08(m, 1H), 6.77(m, 1H), 5.85 (m, J = 7.45 Hz, 1H), 1.79 (d, J = 7.02 Hz, 3H). 化合物1-17: LCMS: 385 [M+1], 1HNMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.03 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.01(s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.23 -7.35 (m, 3H), 7.15 (s, 1H), 7.06 (m,1H), 6.78 (m, 1H), 5.84 (m, J = 7.45 Hz,1H), 1.78 (d, 3H).
【0263】
実施例S1-12. N-(1-(1-(2,6-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-18および化合物1-19)の合成
【0264】
【化95】
N-(1-(1-(2,6-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(185mg)のラセミ混合物をキラルHPLCによって精製して、N-(1-(1-(2,6-ジフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(チオフェン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドを第1の溶出異性体(化合物1-18)および第2の溶出異性体(化合物1-19)として得た。異性体をキラルSFC(Daicel Chiralpak(登録商標)-IA、250×20mm、5μm)によって分離した。分析グレード液体二酸化炭素およびHPLCグレードメタノール、総流量:56g/分、共溶媒パーセンテージ:25%での無勾配プログラム。
化合物1-18:収量=50mg;溶出時間=6.3分。化合物1-19:収量=50mg;溶出時間=9.3分。
LCMS質量[M+1]: 401.40; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.01 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.00 (d, J = 1.32 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.35 - 7.45 (m, 2H), 7.28 (d, J = 3.51 Hz, 1H), 7.19 - 7.26 (m, 1H), 7.14 (s, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 5.98 - 6.06 (m, 1H), 1.92 (d, J = 6.58 Hz, 3H).
【0265】
実施例S1-13. 5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-20および化合物1-21)の合成
【0266】
【化96】
ステップ1:1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エタン-1-オールの合成。エタノール(15ml)中1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エタノン(1.00g、5.74mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、NaBH4(0.437g 11.49mmol、2当量)を少しずつ0℃で添加し、室温で2時間撹拌させ、反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応の完了後、反応混合物を蒸留し、水10mlによってワークアップを行い、酢酸エチルで(2×20mL)回抽出した。有機層を分離し、減圧下で蒸発させて、生成物1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エタン-1-オール(1.00g)を得た。
【0267】
ステップ2:4-ニトロ-1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾールの合成。THF(15ml)中1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エタン-1-オール(1.00g、5.68mmol、1当量)および4-ニトロ-1H-ピラゾール(642mg、5.68mmol、1.0当量)の溶液に、TPP(2.23gm 8.522mmol 1.5当量)を添加し、0℃に冷却し、DIAD(1.72ml、8.522mmol、1.5当量)を不活性条件下で滴下した。添加後、反応混合物を室温で撹拌し、反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、水10mlによってワークアップを行い、酢酸エチルで(2×20ml)回抽出し、有機層を分離し、減圧下で蒸発させて、粗製物を得て、それをコンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、純粋な生成物4-ニトロ-1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール(1.2g)を得た。
【0268】
ステップ3:1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。EtOH:H2O(1:1)10ml中4-ニトロ-1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール(1.2g、4.428mmol、1当量)の溶液に、NH4Cl(1.195g、22.140mmol、5当量)およびFe(1.239g、22.140mmol、5当量)を添加した。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を蒸留し、水10mlによってワークアップを行い、酢酸エチル(2×20ml)で抽出し、有機層を収集し、濃縮して、生成物1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(920mg)を得た。
【0269】
ステップ4:5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(10ml)中1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(900mg、5.027mmol、1当量)の溶液に、HATU(1.91g、5.027mmol、1当量)およびDIPEA(2.62ml、15.08mmol、3当量)を添加し、5分間撹拌し、5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(1.21g、5.027mmol、1当量)を添加し、反応混合物を室温で撹拌した。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応物の反応完了後、冷水(30ml)によってワークアップを行い、酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、有機層を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗製生成物を得て、それをヘキサン:酢酸エチルを用いることによるコンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、生成物5-(フラン-2-イル)-N-(1-(1-(2,4,6-トリフルオロフェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(350mg)を得た。LCMS: 403 [M+H].
【0270】
実施例S-14. N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-22)の合成
【0271】
【化97】
ステップ1:1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オールの合成。0℃のエタノール(10ml)中1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オン(1.00g、5.29mmol、1当量)の撹拌溶液に、NaBH4(0.391g、10.58mmol、2当量)を添加し、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌し、反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を水3mlで希釈し、全エタノールを蒸留し、反応混合物を酢酸エチル(100ml×2)および水(100mL)で抽出し、有機層を分離し、減圧下で蒸発させて、粗製生成物1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オール(1.01g)を得た。LCMS: 191 [M+H]
【0272】
ステップ2:1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾールの合成。THF(10ml)中1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オール(1.00g、5.23mmol、1当量)および3-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(0.700g、5.23mmol、1当量)およびTPP(2.05g、7.85mmol、1.5当量)の撹拌溶液に、DIAD(1.6ml、7.85mmol、1.5当量)を0℃で滴下し、室温で4時間撹拌させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を酢酸エチルおよび水(2×500mL)で抽出した。有機層を分離し、減圧下で蒸発させて、粗製生成物を得て、それをコンビフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製して、1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(1.32g)とした。LCMS: 299.9 [M+H]
【0273】
ステップ3:1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。エテノール:水(1:1、10ml)中1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(1.0g、3.344mmol、1当量)の溶液に、NH4Cl(0.903g、16.722mmol、5 当量)およびFe(0.936g、16.722mmol、5当量)を添加し、得られた反応混合物を80℃で4時間撹拌した。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応の完了後、RMを、セライトベッドを通して濾過し、エタノールを蒸発させ、酢酸エチルおよび水(2×50mL)で抽出した。有機層を収集し、濃縮して、粗製生成物1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(0.560g)を得た。LCMS: 270.02 [M+H].
【0274】
ステップ4:N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(5mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(0.365g、2.044mmol、1当量)およびHATU(0.776gm、2.044mmol、1当量)の5分間撹拌した溶液に、DIPEA(1ml、6.133mmol、3当量)および1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(0.550g、2.044mmol、1当量)を添加し、得られた反応混合物を室温で4時間撹拌し、反応進行をTLCおよびLCMSによって監視し、反応の完了後、反応混合物を酢酸エチルおよび水(2×25mL)で抽出した。有機層を収集し、濃縮して、粗製生成物を得て、それをコンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(80mg)を得た。LCMS: 431.0 [M+H], 1HNMR (400MHz, DMSO-d6) 10.19 (s, 1H), 7.99 (s, 1 H), 7.64 (s,1 H), 7.49 -7.13 (s, 5H), 6.76 (d, J = 3.5 Hz, 1 H), 6.26 (m, 1 H), 1.92 (d, J = 7.0 Hz, 3 H), 1.80 (s, 3 H).
【0275】
実施例S1-15. N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(化合物1-23および化合物1-24)の合成。
【0276】
【化98】
ステップ1:1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オールの合成。0℃のエタノール(10ml)中1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オン(1.00g、5.29mmol、1当量)の撹拌溶液に、NaBH4(0.391g、10.58mmol、2当量)を添加し、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌し、反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、水(3ml)を添加し、全エタノールを蒸留し、反応混合物を酢酸エチル(100ml×2)および水(100mL)で抽出した。有機層を分離し、減圧下で蒸発させて、粗製生成物1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オール(1.01g)を得た。LCMS: 191 (M+H)+
【0277】
ステップ2:1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾールの合成。THF(10ml)中1-(2,6-ジクロロフェニル)エタン-1-オール(1.00g、5.23mmol、1当量)および3-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(0.700g、5.23mmol、1当量)およびTPP(2.05g、7.85mmol、1.5当量)の撹拌溶液に、DIAD(1.6ml、7.85mmol、1.5当量)を0℃で滴下し、室温で4時間撹拌させた。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応完了後、反応混合物を酢酸エチル(100ml×2)および水(100mL)で抽出した。有機層を分離し、減圧下で蒸発させて、粗製生成物を得て、それをコンビフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製して、1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(1.32g)を得た。LCMS: 299.9 [M+H].
【0278】
ステップ3:1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-アミンの合成。エテノール:水(1:1、10ml)中1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(1.0g、3 344.mmol、1当量)の溶液に、NH4Cl(0.903g、16.722mmol、5当量)およびFe(0.936g、16.722mmol、5当量)を添加し、得られた反応混合物を80℃で4時間撹拌した。反応進行をTLCおよびLCMSによって監視した。反応の完了後、RMを、セライトベッドを通して濾過し、エタノールを蒸発させ、酢酸エチルおよび水(2×50mL)で抽出し、有機層を収集し、濃縮して、粗製生成物1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(0.560g)を得た。LCMS: 270.02 [M+H].
【0279】
ステップ4:N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの合成。DMF(5mL)中5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボン酸(0.332gm、1.858mmol、1当量)およびHATU(0.7063gm、1.858mmol、1当量)の5分間撹拌した溶液に、DIPEA(1ml、5.576mmol、3当量)および1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(0.500g、1.858mmol、1当量)を添加し、得られた反応混合物を室温で4時間撹拌し、反応進行をTLCおよびLCMSによって監視し、反応の完了後、反応混合物を酢酸エチルおよび水(2×25mL)で抽出した。有機層を収集し、濃縮して、粗製生成物を得て、それをコンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(200mg)を得た。LCMS: 431.0 [M+H], 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 10.28 (s, 1H), 7.91 - 8.14 (m, 2H), 7.43 - 7.51 (m, 2H), 7.37 (d, J = 7.89 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 3.51 Hz, 1H), 7.16 (s, 1H), 6.77 (dd, J = 1.75, 3.51 Hz, 1H), 3.33 (s, 6H), 2.12 (s, 3H), 1.92 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0280】
ステップ5:N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミドの異性体の分離。N-(1-(1-(2,6-ジクロロフェニル)エチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(フラン-2-イル)イソキサゾール-3-カルボキサミド(90mg)のラセミ混合物をキラルHPLCによって精製して、第1の溶出異性体(化合物1-23;30mg)および第2の溶出異性体(化合物1-24;30mg)を得た。
化合物1-23: LCMS: 431 [M+H] +; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 10.28 (s, 1H), 8.05 - 8.01 (d, J = 0.88 Hz, 2H), 7.48 (d, J = 8.33 Hz, 2H), 7.32 - 7.16 (s, 3H), 6.77 (dd, J = 2.19, 3.51 Hz, 1H), 6.02 - 6.17 (m, 1H), 2.04 - 2.15 (m, 3H), 1.92 (d, J = 7.02 Hz, 3H). 化合物1-24: LCMS: 431 [M+H] +; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 10.28 (s, 1H), 8.05 - 8.01 (d, J = 0.88 Hz, 2H), 7.48 (d, J = 8.33 Hz, 2H), 7.32 - 7.16 (s, 3H), 6.77 (dd, J = 2.19, 3.51 Hz, 1H), 6.02 - 6.17 (m, 1H), 2.04 - 2.15 (m, 3H), 1.92 (d, J = 7.02 Hz, 3H).
【0281】
実施例S1-16. N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボキサミド(化合物1-25および化合物1-26)の合成。
【0282】
【化99】
N-(1-(1-(2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ピラジン-2-イル)イソキサゾール-5-カルボキサミド(130mg)のラセミ混合物をキラルHPLCによって精製して、第1の溶出異性体(化合物1-25)および第2の溶出異性体(化合物1-26)を得た。エナンチオマーをキラルSFC(Daicel Chiralpak(登録商標)-IC、250×21mm、5μm)によって分離した。分析グレード液体二酸化炭素およびHPLCグレードメタノール、総流量:56g/分、共溶媒パーセンテージ:33%での無勾配プログラム。
化合物1-25:収量=29mg;溶出時間=3.0分。化合物1-26:収量=32mg;溶出時間=4.2分。
化合物1-25: LCMS: 497.11 [M+H] +; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.24 (s, 1 H) 9.32 (s, 1 H) 8.75 - 8.94 (m, 2 H) 8.21 (s, 1 H) 8.02 - 8.16 (m, 2 H) 7.70 - 7.86 (m, 3 H) 5.95 (d, J=7.02 Hz, 1 H) 1.88 (d, J=7.02 Hz, 3 H). 化合物1-26: LCMS: 497.11 [M+H] +, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.22 (s, 1 H) 9.30 (s, 1 H) 8.73 - 8.94 (m, 2 H) 8.21 (s, 1 H) 8.01 - 8.16 (m, 2 H) 7.74 - 7.86 (m, 3 H) 5.92 (d, J=7.02 Hz, 1 H) 1.84 (d, J=7.02 Hz, 3 H).
【0283】
生物学的実施例
実施例B1. ERSE ATF6-ルシフェラーゼアッセイ
小胞体(ER)ストレスの不在または存在下で本発明の例示的な化合物がATF6の活性をどのように調節するかを理解するために、ヒト骨肉腫(U2-OS)ベースのTRE-ルシフェラーゼレポーター安定細胞株を生成して、ATF6標的遺伝子の転写の調節を決定した。
【0284】
U2-OS細胞を、American Type Culture Collection (ATCC HTB-96、ATCC Manassas、VA)から入手し、ウシ胎児血清(FBS)10%(Cat. No.:16000044、Gibco)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン抗生物質カクテル(Cat. No.:SV30010、Hyclone)を補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Cat. No.:SH30023.02、HyClone)を含有する成長培地で培養した。
【0285】
Cignal Lenti ATF6 lucレポーター(Qiagen #CLS-6031L)を用いて、U2-OS細胞において安定な細胞株を生成した(U2-OS ATF6 TRE-ルシフェラーゼレポーター)。lenti ATF6レポーターは、ミニマル(m)CMVプロモーターおよびATF6転写応答エレメント(TRE)の縦列反復の制御下でホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現する、複製不全、VSV-gシュードタイプ化レンチウイルス粒子の調製物である。応答エレメントおよび応答エレメント間の介在配列の数は、信号対雑音比を最大化するように実験的に最適化されている。
【0286】
本発明の例示的な化合物および参照化合物を、粉末からジメチルスルホキシド(DMSO;Cat. No. #D2650、Sigma Aldrich)中10mMのストック溶液として調製し、N2中性雰囲気の存在下、-80℃で保存した。
【0287】
一次スクリーニングについて、40,000個のU2-OS ATF6 TRE-ルシフェラーゼレポーター細胞を、ポリ-D-リシン(Cat. No.:P2636、Sigma)で予めコーティングされた白色の96ウェルプレート(Thermo Scientific Nunc #136101)において100μLの成長培地とともに播種した。細胞を加湿チャンバーにおいて24時間インキュベートした。
【0288】
ERストレスの存在下において例示的な化合物を試験するために、細胞を30分間、ビヒクル(DMSO)、1または10μMの試験化合物のいずれかを含有する50μLの成長培地で予め処理した。このプレインキュベーション後、0.2μMのERストレス誘導物質タプシガルギン(Tg)を含有する50μLの溶液を、適切なウェルに添加した。Tg溶液はまた、ビヒクルまたは1もしくは10μMでの試験化合物を示される通り含有する。各ウェルにおけるDMSOの最終濃度を0.3%で保持した。プレートを8時間加湿チャンバーにおいてインキュベートした。
【0289】
8時間のインキュベーション後、プレートをルシフェラーゼアッセイの前に10分間室温まで冷却した。ルシフェラーゼ反応を、ルシフェラーゼアッセイシステム(Cat. No.:E4550、Promega)を用いて行った。簡潔に、各ウェルを100μlのPBS 1×で洗浄し、次いで20μlの溶解試薬を各ウェルに添加した。プレートを10分間振盪し、次いで50μlのルシフェラーゼアッセイ試薬を各ウェルに添加した。発光をSynergy 4マイクロプレートリーダーにおいて110のゲインでの1秒の積分で決定した。すべての測定を3回(in triplicate)行った。
【0290】
ビヒクルのみを含有するウェルから決定された平均活性(DMSO、0%のATF6活性)をブランクとして用い、測定の残りから減算した。Tgのみを含有するウェルから決定された平均活性を、100%のATF6活性として用いた。例示的な化合物の調節のパーセンテージを、Tgによる潜在的な最大活性化に対して値を正規化することによって計算した。このアッセイにおいて、100%よりも高いATF6活性を示す例示的な化合物(正の調節)は、それらの分子について活性化因子活性を示し、100%未満のATF6活性を示す化合物(負の調節)は、阻害調節を示す。
【0291】
U2-OS ATF6 TRE-ルシフェラーゼレポーター細胞において試験された、Tg誘導ERストレスの存在下、1および10μMでの例示的な化合物のATF6活性を決定し、表2に示す。
【0292】
【表2】
【0293】
ERストレスの不在下において例示的な化合物を試験するために、細胞を8時間、ビヒクル(DMSO)、1もしくは10μMの試験化合物または0.1μMのTgのいずれかを含有する100μLの成長培地で処理した。各ウェルにおけるDMSOの最終濃度を0.3%で保持した。プレートを加湿チャンバーにおいてインキュベートした。
【0294】
8時間のインキュベーション後、プレートをルシフェラーゼアッセイの前に10分間室温まで冷却した。ルシフェラーゼ反応を上記の通りに行った。発光をSynergy 4マイクロプレートリーダーにおいて110のゲインでの1秒の積分で読み取った。すべての測定を3回行った。
【0295】
ビヒクルのみを含有するウェルから決定された平均活性(DMSO、0%のATF6活性)をブランクとして用い、測定の残りから減算した。例示的な化合物の調節のパーセンテージを、Tgによる潜在的な最大活性化に対して値を正規化することによって計算した。
【0296】
U2-OS ATF6 TRE-ルシフェラーゼレポーター細胞においてTg誘導ERストレスの不在下、1および10μMでの例示的な化合物のATF6活性を決定し、表3に示す。
【0297】
【表3】
【0298】
刊行物、特許、特許出願、および公開された特許出願などの全体の参照は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0299】
前述の発明は、理解の明瞭さの目的のために例示および例として、いくらか詳細に記載されているが、特定の小さな変更および改変が実施されるであろうことは、当業者には明らかである。したがって、本明細書および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【配列表】
2022552231000001.app
【国際調査報告】